○村田
誠醇君 どうもありがとうございました。
今回のドル安の
影響について
経済企画庁にちょっとお聞きをしたいと
思います。
先ほ
ども言いましたように、これは
円高というよりもむしろドル安の方の側面が私は強いんだろうと思っているんですが、しかし
日本国内から見ますとどうしても
円高という要素しか出てきません。そのために
産業がどんどん
空洞化していくじゃないかということの懸念が片方であるわけでございますが、それは言葉をかえて言えば、生産が
海外に移転をしている
状態だと思うわけです。
ところが、これが完全に三年前、五年前に移行し終わっておればまだいざ知らず、大体統計的にいろいろな数値を見てみましても、生産拠点を
日本から
海外に移転をさせる、そうするとそれに伴って資本財の輸出というのが
日本からどんと出ちゃうわけですね、これは一時的、ある程度の年限が来ればおさまりますけれ
ども。しかし、その後に出てくるのは、今度はそのパーツが
日本からまた出ていく。そういう
意味で、中間財というんですか、これがどんどんまた
日本から出ていく。これはある程度中長期的に続くというのが、今までの統計的に出てきている部分からするとこういうことが起こってくるわけですね。
そうすると、表現は悪いですけれ
ども、それじゃこれだけ
円高になりましたから今から生産拠点を移しましょうといっても、この構造が続く限り、つまり現地での、
中小企業といいましょうか
部品供給といいましょうか、中間財の供給部分がなければ
日本から
部品がどんどん出ていく。そうしますと、そう簡単に
経常収支の
黒字幅というのは縮まってこないということが想定されるわけです。そうすると、逆にどんどんとまた
円高に振れていくんじゃないか、こういうことが言われるわけです。
そうしますと、
日本だけから見たときにはいいんですけれ
ども、アジアやNIESの国から見たときに、今度は
日本から輸入する
部品、資本財が高くなってくるということになるわけです。高くなっても入れなければしょうがないということで、逆に言うと対日赤字がどんどんと膨れ上がっていくということが傾向として出てくるんじゃないかと思うんです。
ですから、今回の事態が、
日本から見たら大変かもしれないけれ
ども、アジアやNIESの諸国から見たときに一体これは貿易
関係にどういう
影響をもたらしてくるのかなというのがあるわけですね。その点については一体どういうふうなお考えになっているのかなというのが
一つなんです。
それは、なぜそういうことを聞くかというと、きょうも言っておりましたけれ
ども、ドルが安くなることによってメキシコのペソに
影響が出ているんだよ、とばっちり食っていますよということが出ているわけです。このメキシコの
金融危機というものが前回一月に起こったときに、軽微ではあったにしてもアジアの諸国にも実は衝撃が走ったわけですね。メキシコと同じ構造を持っている国が結構あるんじゃないか。
そうすると、関連した
金融不安というものが、通貨不安というものが起こるんではないんだろうかということがうわさされ、インドネシアのルビアとかフィリピンのペソ、タイのバーツ、それからマレーシアのリンギーというそれぞれの
為替レートに大変な衝撃が走った。これらの国が、今言ったように、じゃ平価の切り下げをするとか
為替調整を始めると、また
日本にもとばっちりが来てえらい騒ぎになるということになるわけでございます。
そういう点、今言ったようにアジアの方から
日本を見たときにこの
円高というものがどういう
影響をもたらしていくのか、あるいは今回のこの事態が、アジアの通貨あるいはその国の対外的信用度というんですか、カントリーリスクに、あるいは
経済政策にどういうような
影響を与えると
経済企画庁は判断をなさっているのか、ちょっとお聞きをしたいと
思います。