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牛嶋正君 今の御
決意を私はお聞きしまして、ようやくこの
法案に少し魂が入ったかなというふうな気がしております。これは国と
地方自治体間の
役割分担のところもそうなんですね。私は、四条、五条を読みましても、読み方ではもう今のままでもいいのじゃないかというふうな読み方もできるわけですね。ですから、後は
推進計画を立てるときにどれだけその中に今の気持ちを含めていくかということだろうと思うんですね。
それと関連いたしまして、今度は
住民自治の方へ移らせていただきたいというふうに思います。
先ほども申しましたように、
住民自治というのは形式的には、首相も今おっしゃいましたように議会制度をとっておりますし、それから首長も公選でございますので、形の上では
住民自治は十分に整っていると思うんですけれども、問題は、私は先ほどもちょっと申しましたけれども、
住民報治が確立しているかどうかということは、それぞれの
地方公共団体が
住民の選好を正しくとらえて、そしてそれを満たしていくために
行政にどういうふうに反映させていくかということだろうと思うんです。それができて初めて私は
住民自治が実質的に一応確立したというふうに言えると思うんですね。
ところが、今までの
地方自治の
議論の中で固体
自治だけが
議論されていたんです。先ほど申しましたように、
自主財源の
確保とか三割
自治とか四割
自治という
議論は全部それなんです。今回そういう
意味で、先ほども
指摘いたしましたように、
住民自治が真っ正面から取り上げられたということで私はこの
法案が非常に
意味があるというふうに思っております。
今申しましたように、
住民の
ニーズをできるだけ正確に把握してそれを
行政に反映していくためには、私は相当個々の
地方自治体が力を持たなければならないと思うんです。すなわち、そうするためには、ある
一つの
行政を取り上げてみましても企画立案さらには調整を行ってそして実施をする、すなわち総合的に
行政を展開していかなければなりません。今までどらちかといいますと、企画立案のところは国がいろいろな形で関与をしてきた。
法律とか政令というふうなことで関与をしてきた。ですから、今まで
地方公共団体が本当にやってきたのは実施だけだったと思うんですね。そこの実施の段階で必要な
行政能力というのは私は技術的な問題が多かったと思うんです。しかし、総合的に企画立案からやるということになりますと、情報をできるだけ収集しなければならない。そしてそれを分析して
住民の
ニーズがどこにあるのかということを確認して、それに基づいて企画をし立案していく、こういうことですから、これまで以上の私は
行政能力が必要ではないかというふうに思うんです。
ところが、この
行政能力というのは今まで余り
議論されなかった。これはなかなかとらえどころがないわけでございます。財政力の場合は一人当たりの税収額とかあるいは財政力指数などであらわすことができます。しかも、その財政力に格差がある場合には
地方交付税制度等で調整できるわけです。ところが、
行政能力に私はどれぐらいの格差があるかわかりませんが、あると思うんですね。しかし、あったとしてもその
行政能力を調整することはできないわけです。ここにこれからの
地方自治、特に
住民自治を
推進していく場合のポイントがあるというふうに思うのであります。
今までなぜ企画立案のところで国がいろんな形で
関係してきたのかということですけれども、私は
地方公共団体のそういった
行政能力に対する国からの評価というのが過小評価があったのじゃないかというふうに思います。そういう過小評価を受けざるを得ないような場合もあったでしょうけれども、四十八年間の
地方自治確立のためのそれぞれの
努力によって私は相当な力をつけてきていると思うんですね。しかも、これまでは
行政に対する
ニーズというのは個々の
住民の間でそれほどばらつきがあったわけではありません。
例えばごみ
行政などを見てみますと、だれもが週二回ぐらい収集してくれればそれでいい、そして焼却というふうな形で衛生的に処理してくれればいいんだというふうな
ニーズだったと思うんです。ところが現在はそうじゃないですね。ごみを分別収集して再利用するものは叫利用したらどうだろうか、いろいろな
ニーズが出てきている。しかも個々の
住民の間の
ニーズはそれぞれ多様であります。そうだとしますと、この
ニーズをくみ取って、やはりそれを
行政に反映するのは化民に一番近い
地方公共団体ではないかと思います。ですから
分権推進が問題になるわけです。今まで露が関与してきた計画立案のところをもう
地方に任せる。私は
地方に任せるためには
地方の方を信頼しなくてはならないのじゃないかというふうに思っているわけでございます。
ここが問題でありまして、この後、
推進計画がつくられていくに当たりましてどれだけ
分権が進むかということです。これまでのように
地方自治体あるいは
地方公共団体の
行政能力を過小評価しているような立場をとり続けるならば、私はせっかくこういうふうな
推進法案ができてもやっぱり進まないんじゃないかというふうに思います。
それでは最後に首相に、今、
地方公共団体はいろいろあります、ありますけれども、全体的に見てどのように力を評価されておられるか。もうこれなら大部分任せてもいいのじゃないかというふうに評価されているのか。そしてあとは
財源をつけてやれば何とかやっていける、こういうふうにお
考えであるのかどうか。そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。