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1995-04-26 第132回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年四月二十六日(水曜日)    午後二時三十分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         坪井 一宇君     理 事                 大浜 方栄君                 木宮 和彦君                 肥田美代子君                 星野 朋市君     委 員                 伊江 朝雄君                 板垣  正君                 北  修二君                 柳川 覺治君                 糸久八重子君                 庄司  中君                 菅野 久光君                 渕上 貞雄君                 風間  昶君                 吉田 之久君                 池田  治君                 武田邦太郎君                 市川 正一君                 中尾 則幸君                 島袋 宗康君    国務大臣        外 務 大 臣  河野 洋平君    政府委員        沖縄開発庁総務        局長       嘉手川 勇君        外務省総合外交        政策局長     柳井 俊二君        外務省総合外交        政策局軍備管理        ・科学審議官   林   暘君        外務省アジア局        長        川島  裕君        外務省北米局長  時野谷 敦君        外務省欧亜局長  野村 一成君        外務省条約局長  折田 正樹君    事務局側        第一特別調査室        長        志村 昌俊君    説明員        総務庁北方対策        本部審議官    中川 良一君        北海道開発庁農        林水産課長    段本 幸男君        防衛施設庁施設        部連絡調整官   坂本 憲一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (国会議員北方四島ピザなし交流参加に関す  る件)  (北方四島周辺水域における漁業の安全操業に  関する件)  (ロシア国内情勢に関する件)  (対日支援に関する件)  (サハリンからの引揚船撃沈事件に関する件)  (在沖米軍基地整理縮小に関する件)     ―――――――――――――
  2. 坪井一宇

    委員長坪井一宇君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 木宮和彦

    木宮和彦君 きょうは外務大臣がお越してございますので、北方領土の問題につきましてお尋ねを申し上げたいと思います。  当委員会では、毎年のように、あるいは一年置きに北方領土の視察をしてまいりましたが、何せ北海道の方から四島を眺めるだけがずっと戦後続いてまいりましたが、何とかして北方領土に渡って、上陸して現在の様子を見たい、実はそういうことを私どもかねがね望んでおりました。  今回、河野洋平外務大臣のお力添えによりまして、五月十二百から三日間、坪井委員長それから衆議院鈴木委員長が色丹島の方に訪問することができます。また、続いて五月十六日からもそれぞれビザなし渡航が出るたびに二名ずつ国会議員も行けるということにたったようでございます。本当にその点は外務大臣並びに外務省事務方方々の御努力に心からお礼を申し上げたい、こう思います。  この際、河野洋平外務大臣が三月の初めに日ロ外相会談コズイレフ外相に対して交流の拡張を求めまして、それに対してロシア側が応じたというふうに私は聞いております。  実は、私自身、昨年の十月まで約一年間沖縄北方特別委員長をやりまして、そしてそのときに、先ほど申し上げましたように国会議員ビザなし渡航でもってこの四島に上陸してつぶさに視察したいという気持ちがありました。そして、ビザたし渡航によって北方問題について何かの転機になるんじゃないか、実はこう思いまして私が提案をしたわけでございます。最初から言うとちょっと何ですが、せっかくの機会で、十分間の間、きょうは私の時間をいただきまして、過去を整理してこれを議事録にとどめたいと思います。  平成三年の四月にゴルバチョフ大統領が来日されまして、そして衆議院の本会議で講演をされました。そのときに北方領土返還について触れるんじゃないかという期待を持って私ども聞きに行ったんですが、残念ながらそれには触れられなかった。しかし、そのときにソ連側から北方四島にビザなし交流をしたらどうだという提案があったように私は聞いております。  その年の十月に日ソ外相間の往復書簡が交わされまして、十月の二十九日に閣議了解され、そして同日に総務庁告示第一号が発布されまして、そのときに、国会議員は「訪問を適当と認める著」の中の「北方領土返還要求運動関係者」に該当することが実は明文化されております。しかし、それにもかかわらず国会議員北方四島にビザなしで交流することは全然行われていませんでした。  昨年の委員会で派遣の話が出て、遠くから北方領土を眺めているだけではどうにもならぬ、何とかして国会議員ビザなし渡航の中に入って、北方領土返還要求関係者ということではなくて、ひとつ実情を見たいということで実はお願いをしたわけでございますが、最初のころは、西田参事官にお願いしましたが、なかなかそれは難しい、ソ連が恐らく嫌がるだろうというお話で、全然話にならなかったと言っちゃ失礼ですけれども、そういういきさつがございまして、なかなかこれが実現が難しいという話があったわけです。  そのいきさつの中で、実は昨年の十月の十八日、じゃひとつチジョフ駐日大使と参議院の沖縄北方問題特別委員会委員長理事が一度懇談をしたらどうだということで坪井委員長みずから席を設けましてチジョフ大使をお呼びして、そして国会議員北方領土にぜひビザなしで渡航をさせてくれ、ぜひひとつ総務庁告示のこともありますのでそれを希望すると、こういうことを実はお願いしたわけでございます。そのとき、大使の言いぶりは、ロシアの方は別に差し支えないんだ、無制限にビザなし渡航をしたいので、むしろ日本政府の方がいろいろと条件をおつけになるからいけないんだという発言がございまして、私も随分外務省の言うことと違うなと思って、そのときは考えたわけでございます。  その後、このことにつきまして事実はどうだということを外務省関係の方にお尋ねいたしましたところ、野村一成欧亜局長さんが、国会議員訪問はできるが、四島交流の枠組みの中で日ソ双方合意の上で、協議の上で決定するので、要するに協議が調わなければ行けないんだよと、こういうお話で、平たく言えば、両方合意して、両方のどちらかが反対すればこれは行けないんだと、こういうお話でございました。  昨年の十一月二十七日にソスコベツ第一副首相が来円した折に、野村局長ソロビヨフロシア外交第二アジア局長にピザたし渡航の要請を行いまして、これに対してソロビヨフ局長さんが自身で、ちょうど十月の四日でございますが、ごたごたしているから来春、来年の春まで待ってくれと、こういう返答があったということが伝えられました。  そういうことで、今回それが三月の二日に河野外相ロシア外相とが話し合いまして事務方で進めさせようということで、実は五月十三日にいよいよ行けるようになったと、こういうふうに私は聞いておりますが、外務大臣、私がただいま申し上げたことについて事実と違うところがあれば、ひとつ御訂正いただくし、もしその報告のとおりでしたら、その経過について私は大いに評価しておりますので、ぜひお答えを賜りたいと思います。
  4. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 木宮先生お話しのとおり、これまでの経過は大体お話しのとおりだというふうに私も承知しております。  三月のコスイレフ外相と私との会談におきまして、私は領土問題解決のための環境整備といいますか、そういう意味を込めて幾つかの提案をいたしましたが、その中の一つとして国会議員の問題について触れたわけでございます。  コスイレフ外相は、そのときに私の提案に対してわかりました、それではこれは事務方向上でなお作業させましょう、こういうことでございましたので、我が方外務省野村局長を初め事務当局と先方の事務方との間でその後引き続き協議をいたしておりまして、その協議が調ったということでございます。  本来、日ロ外相会議、領土問題にもっと切り込んで領土返還について思い切った話をするということが重要でございますことは十分承知をしておりますが、現在のロシア国内政治情勢その他を見ますと、それはそう簡単に今領土問題について思い切ったことができる状況ではないのではないか、これはやりとりの中でそういう感じもいたしましたし、私どもの分析もそうでございました。それたらば、環境整備をするということが重要であろう、こう考えた次第でございます。  これまでの先生方のいろいろな御努力に心からお礼を申し上げたいと思いますが、こうしたことが実現をいたしまして、これから先、衆参両院議員方々にも四島を訪問していただいて実情をつぶさに見ると同時に、我が方の考え方等についても折に触れて説明をしていただくことができれば非常に意味のあることではないかと考えております。
  5. 木宮和彦

    木宮和彦君 私は大変評価いたしまして、今回、北方四島に上陸できることは一歩前進だと思います。これがぜひ一巡できて、来年からはまたひとつ、二人という枠ではなくて国会議員が大勢行けるようにすることが、やはりアクションを起こすといいますか、やっぱり試行錯誤はあると思いますが、実際にソ連方々とも会うし、向こうの役人とも会うし、そういうことによって一歩一歩お互いに理解ができるのではないかなと、かように思いますので、今後もひとつぜひとも御努力のほどをよろしくお願いいたしたいと思います。  なお、今度は委員長が行かれて、いろいろ御報告があろうと思いますが、委員長が船の中で寝泊まりして上陸して視察するように聞いておりますが、ぜひ、なるべく国からも補助を出してでももう少しいい施設をつくって、日本人ができるだけ行けるようにして、そしていつか返ってくる日を待とうという気持ちになる方が私は実際的だと思いますので、今後とも御指導のほどをよろしくお願いいたします。  時間が参りましたので終わります。
  6. 板垣正

    板垣正君 外務大臣お見えでありますから外交の問題について、北方問題も後から伺いたいと思いますが、まず第一番目が米朝協議の現状でございます。  この問題については、二十一日に北鮮側が引き揚げた、決裂という中で、今度は高官会議をやろうという文書交換が行われた。向こう外務次官文書アメリカ側に渡されたと。その内容についても推測がいろいろ記事にも出ておりますけれども、現時点で把握しておられるところをお話しいただきたい。
  7. 川島裕

    政府委員川島裕君) ベルリンでやっておりました会議は結局話がつかないまま北朝鮮ベルリンを離れた次第でございます。  それで、その状況に至りまして、米側事態の打開を図るためにガルーチ大使姜錫柱外務次官、これは米朝合意をつくったお二方でございますけれども、そのハイレベルでの協議ジュネーブで行おうではないかということを北朝鮮側提案したわけでございます。ただし、その際に北朝鮮側原子力関連施設凍結を引き続き続けるということが条件であって、例えば五メガワット原子炉燃料を入れてしまったらそういうハイレベル米朝協議というものはたいよという前提での提案だったわけでございます。  そういたしましたところ、二十四日に至りまして、北朝鮮側からハイレベルでの協議提案に対する答えが姜錫柱次官からあったということのようでございます。それ自体米側ジュネーブでのハイレベル協議を受けるでもたく拒絶するでもたくということで、より詳細に米側に対して情報を求めるという内容でございます。今のところそういうことで、ジュネーブでのハイレベル米朝協議というところはまだ見えてきておりませんけれども、いましばらくの間、米朝のこうしたやりとりが続くのではないかと思われます。  私どもといたしましては、これはまさにこのハイレベル協議条件として北側核凍結を引き続き続けるというところがポイントでございまして、仮に五メガワット原子炉に再び燃料を入れてしまいますと、これは大変新たな事態に至るわけでございますけれども話し合いが継続する限りいろんなことは、何と申しますか、妥協を探ることは可能だと思っておりますし、その意味北朝鮮側がこのハイレベルでの協議という米側提案に対して前向きにこたえることを強く期待しておる次第でございます。
  8. 板垣正

    板垣正君 外務省としての見通してはどうでしょうか。この米朝協議内容北側にとっても非常に有利なものだから、これをぶっ壊してしまうようなことはまずないだろうという観測が主流になっているような気がしますけれども、我が外務省はどういうふうな見方をしておられますか。
  9. 川島裕

    政府委員川島裕君) 確かに、おっしゃるとおり、これはそもそも米朝合意自体は北にとって一つ外交的な大変な成果であるということは言えるわけでございまして、事実そういうふうに位置づけておりますので、簡単にそれを壊すということは考えにくいのではないかとも思えますけれども。  他方、今問題となっておりますのは、軽水炉の炉の形でございまして、これは炉の形ということよりも、軽水炉プロジェクトに当たって韓国側が中心的た役割を果たすという前提米側にしてもKEDOの参加国としては進めているわけでございますけれども、そこのところについて北朝鮮側がどう対応しようとするのか、まだ一つ見えないところがございます。韓国側が中心的な役割を果たすということの実態を北朝鮮側が受けるのであれば、話はいろいろだ妥協が可能だと思うんですけれども、実質的にも韓国を排除したいというような考え方北朝鮮にありますとすれば、そこは事態は必ずしも楽観は許されないと思いますので、今のところは何とか話し合いの継続を期待するという以上にどっちかということについてはちょっと申しかねるという感じでございます。
  10. 板垣正

    板垣正君 そこで、外務大臣に伺いたいんですが、私も最近、韓国康仁徳という極東問題の勉強をしておられる方のお話を聞きまして、つまり、北側が言っている統一というのはあくまで民族解放闘争なんだと、階級闘争なんだと、だから南北対話といっても、彼らの体制を、今の米朝合意軽水炉の問題もこれは体制維持につながっているでしょうし、また、アメリカとのいろんな折衝、韓国を切り離しながら在韓米軍の撤退の問題までいずれは出てくるという見通し。つまり、北側にとってはあくまで民族解放闘争、こういう立場で、これは我々の考えられないような点もいろいろな外交の展開をしてくるんでありまして、なかなかこれは容易ならざる相手であるとともに、外務大臣、よっぽど腰を据えて、これはアメリカとの関係ではございましょうけれども、やっぱり日韓協力しながらの体制をよほど力強く進めていただきたいと思いますが、その辺の御決意を。
  11. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) この米朝合意というものが我々にとって一つ大変意味のある合意であるという評価をいたしますのには、幾つか理由がございます。  一つは、朝鮮半島における核開発に対する疑惑を解明する、そしてそれが至近距離にございます我が国にとって安全保障上重要な意味があるということがまず一つございます。それはただ単に我が国という至近距離にある周辺国安全保障に重大な意味があると同時に、核不拡散核拡散を防ぐという国際的な意味がもう一つあると思います。  しかし、それと同時にほかにも意味があって、その意味北朝鮮というまことに我々からは内部が見えない不透明なそういう国がもう少し見えるようにたってくるんではないかと。つまり、北朝鮮という言ってみれば孤立主義をとり続けているこの国が国際社会の中で相互依存関係を持つ、経済的にもあるいはエネルギーの問題でも依存関係を持つようになる。そのことは、依存関係を持つということはとりもなおさず政策透明性、国力あるいは国内の事情が国際社会にももっと見えてくる、そういう意味を持つことになるのではないか。  したがって、この米朝合意はただ単に黒鉛原子炉軽水炉に取りかえるということにとどまらず、例えば米朝関係というものでも事務所の交換をしようということがございました。これも明らかに中が見えるようになってくることの一つの手がかりであると同時に、南北対話の促進ということも米朝合意の中に書き込んであるわけです。  そして、今、政府委員から御答弁申し上げましたように、アメリカ韓国日本と一緒になって軽水炉プロジェクトを行うに当たっては、進めるに当たっては韓国がその中心的役割を果たすということをお互いに確認し合いだから話を進めているわけでございまして、こうした幾つかの問題がパッケージになって米朝合意になっている、そこに米朝合意意味があるというふうに私どもは思っているわけでございます。  ただ単に黒鉛原子炉軽水炉にかわることで、これもまた極めて重要なことだとは思いますが、安全保障上極めて重要なことだと思いますが、それにとどまらたい、言ってみれば北朝鮮のこれまでやってきた大きな方針がそれによって変わっていく可能性というものをそこに見つけ出すことができるのではないか、そんなことを私は考えておるわけでございます。
  12. 板垣正

    板垣正君 いずれにしても、北東アジア安全保障にとって今一番最大の問題だと思います。力強く取り組んでいただきたいと思います。  次の問題は、NPTの再検討、延長問題ですね。これは四月十八日に河野外務大臣一般演説でこの問題について我が国の意思を表明されてきたわけです。見通しによりますと、いわゆる無期限延長の賛成が恐らく過半数を超えるであろう、こういうふうな見通しも言われておりますけれども、率直に言って私どもは、持てる国、つまりあの戦争で勝った国、五大常任理事国であり核を持っている国、これは持っている国はそのままですよ、持たざる国は永久に持ちませんよというあり方が、これはどうもその辺が余り、日本は人がいいんじゃないかという感じもぬぐえないんですけれども、どうでしょうか、そこのポイントは。
  13. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 過日、NPT総会に参りまして我が国立場考え方を申し上げてまいりました。若干NPT総会についてお許しをいただいて御報告をさせていただきたいと思います。  御指摘のとおり、百七十八カ国のNPT参加国でございますから大変多くの国が参加をしているわけでございます。このNPT、スタートしてからちょうど二十五年目に当たってここでさらに延長をする、ここでやめちゃおうという国はないのでございまして、延長をする。ただ、その延長を無期限延長するか、期限を切って例えば十年延長してみようとかあるいは二十五年延長してみょうとか、あるいは一定の期間延長してそれから先は自動延長にしようとか、つまり延長の仕方についていろいろ議論がある、こういう状況でございました。  その中で我が国は無期限延長を主張したわけですが、確かに今、委員指摘のような趣旨の指摘をする国が幾つかございました。つまり無期限延長とは、核を持つ国つまり核保有国非核保有国、つまり持つ国と持たない国の不平等性を永久に、不平等な状態を無期限に続けるだけのことではないか、そういう無期限延長が果たして適当であるか、こういう意見というものはございました。  しかし、そこで各国の演説を聞いておりますと、一番のポイントは、延長するに当たって核を持っている国がこの二十五年間にどれだけ核軍縮努力をしたか。つまりNPTというものは、核を持っている国、持たない国、持たない国は核を持ってはいけないよ、しかし核を持っている国はみずから核軍縮をやっていくよ、こういうことにたっているわけですから、その結果まず第一に核保有国の数がふえなかったというメリットは一つあると思います。もしNPTがなければ核保有国の数はこの二十五年間でふえていたかもしれません。それを抑え込んだということには意味があったと思います。  しからば、じゃこの二十五年間で核を持っている国がどのくらい核軍縮に誠実に取り組んだか、この評価がこの延長に当たっての議論に非常に大きな影響を与えるわけでございます。私の評価は、この二十五年間核保有国核軍縮への取り組みは残念ながら十分ではなかったというふうに私は申しました。  しかしながら、その一方で、とはいうもののここ数年間、つまり冷戦が終わってここ数年間、アメリカロシアSTARTI合意をした。あるいは今中国が、多少立場がいろいろございますけれども全面的核実験禁止条約についての合意ができそうな状況まで今来ている。さらには、カットオフ条約についても話し合いが緒につきそうなぐあいだ。それから、STARTⅡについても米ロ話し合いが進みつつある。つまり、二十五年間を通しては残念ながら核軍縮は進んでいないけれどもSTARTIができたり、この数年間は進んだし、それからさらにこれから進む希望を抱かせるものがあるというのが私の評価でございます。  持つ者と持たない者がこのまま無期限に不平等にいってしまうではないかという議論については、じゃどうすればいいんだ、みんなが持って平等になることがいいのか、これはそうはいかない。ということになれば、持っている国に核軍縮を誠実に進めてもらう以外にないわけでございまして、いかにして核軍縮を進めるかということが極めて重要なポイントだと私は思います。  今回のこの会議においても、核保有国はそれぞれ非核保有国安全保障について発言をしてみたり、あるいは核軍縮についてのさまざまな動きがあったりしておりまして、NPTという核不拡散核軍縮に向かっての大きな柱をどんと立てて、これを無期限に立てておいて、その中で核不拡散についての努力を促していくことが適当であろうというのが私の判断でございました。
  14. 板垣正

    板垣正君 外務大臣の見解承りました。  次に、北方領土の問題に関連いたしますが、さっきも外務大臣お話がありましたが、今のロシアの政情、特にエリツィン政権というのはどうなってしまうんだろうか。ことしの年末ですか、立法院の選挙があると言われている。来年六月には大統領選挙もやる。エリツィン支持率というのは三%か六%くらいしかないと言われていますね。だから、統治能力をもう失っているんじゃないのか。だから、そういうさっきお話し北方領土問題、いろんな交流をいろんな筋から進めることは非常に意義のあることだと思います。ビザなし交流を広げていくということもいいと思うし、またもう既に学者グループでは、平和条約の案を両方で出し合って学者同士でいろいろ作業を始めるくらいないろんな流れというのが出てきておりますね。  それはそれで結構ですけれども、チャンスといいますか、やはりロシア全体の大きな流れの中でこの政権の推移、エリツィンという人物というものも、もう恐らく大統領選挙が予定どおり行われるかどうかも含めて極めて不安定といいますか、しかもこのところの北方四島問題というのは、私どもの印象は非常に逆行といいますか、つまりロシア側の誠意が感じられない。それは、交流も広げていくとかいろいろございましょうけれども、国境警備隊を増強して日本の漁船をやたらに撃ったり拿捕したり、あるいは北方四島に居座っている軍隊は、これはもう減らさないんだ、こういう姿勢なり、その辺に今のまさに政情が不安定で統制がとりにくい姿。そうであるならば、やはり着実な交流の根回し等は進めながら、この際はエリツィンの次の政権といいますか、次のそこに日本側としての外交戦略を、焦点を定めて今から対処していくという、こういう必要があるんではないかと思いますが、率直な御見解を承りたいと思います。
  15. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) いろいろ示唆に富む御意見をいただきまして感謝をいたしておりますが、私は、実はこのロシアの今日の状況というものを非常に心配をいたしております。その一つの現象が、現象がと申しますか事態がチェチェン問題でございます。  チェチェンに対しますロシア政府の対応というものが果たして正しい対応であるかどうか。これはもちろんロシア国内問題でございますから、私どもがとやかく外部で言うべきことではないということも私は十分承知をしておりますが、そういう意味で大変懸念を持っている、心配をしている、こういうことを申し上げたいと思います。  先般お目にかかりましたコスイレフ外相、あるいはその後訪日されましたロシアの民主的選択という政党の党首でありますがイダール氏、こうした方々とお目にかかって意見の交換をしてみますと、こういうやりとりがございました。  ロシアの民主化が進み、経済の市場経済化が進む限りにおいて、我が国ロシアに対する支援というものはするつもりでいる。しかし、ロシアが果たして民主化が進んでいるんだろうか。むしろ一時的に進んだように見えた民主化が後戻りしていやしないだろうか。あるいはロシア経済の混乱ぶりを伝える報告というものがいろいろあるが、これらはどうかということを伺ってみました。  経済の問題はちょっとこっちに置くとして、ロシアの民主化の問題については、コズイレフさんもガイダールさんも同じようなことを言われまして、それはどういうことかと言うと、お一、人とも、つまり政治的な民主化が進んでいるかどうかということをはかる物差しとして、選挙が決められたルールに従ってちゃんと行われるかどうかを見てくれと。以前は、選挙の期日が勝手に延ばされたり選挙をやめちゃったりというようなことが言われたこともございますけれども、今日のロシアは決められた国会議員選挙あるいは大統領選挙を決められたルールに従ってきちんとやる、ルールに従って選挙がきちんと行われるということはやっぱり民主化のあかしであろう、こういう話がございました。  私は、それはもう最も基礎的な問題だというふうに申し上げましたが、もう一つ指摘は、私からもそういうことを申し上げたんですが、先方もそれに合意をされたのは、マスメディアがしっかりと機能しているということが非常に重要だということを私が申し上げたのに対して、先方もそれに同意をされました。  マスメディアが権力に抑え込まれて権力の言うとおりにしか機能しないというのであれば、これは民主化にとって非常な危機であろう。しかし、今のロシアのメディア、マスメディアというものは非常に元気がよくて非常に自由に活動しておる。今先生がおっしゃいましたように、大統領支持率なんというものを発表するというのは昔ではちょっと考えられなかったことであろうと思いますが、そういうことが出てくるということは、これは一つの民主化のあかしたんだろうと思います。  私は、少なくとも権力がマスメディアを抑え込むというようなことがあれば大変心配に私は思いますということを申しましたが、大変面倒な話ですけれども、この自由は我々は大事にしておりますということを言っておられました。  私は、そういうところにロシアというものを我々なりにしっかり注意深く見ていく必要があるのではないかというふうに思っているところでございます。
  16. 板垣正

    板垣正君 今お話しのとおりに、立法院の選挙大統領選挙も民主化のルールどおりに行われるかどうかが一つの大きな着目点になるし、これからの日ロ関係、それだけにやはり我が方としては、ロシア側の非民主的なチェチェンの問題にしても大変もう国際的にも非難を浴びるような事態にあると思うんですね。  そういうことについては、やはり我が国としても主張すべきことはどんどん主張して、ロシア側の民主化を確認していくということは一層必要じゃないかと思います。よろしくお願いします。  次は最後の問題なんですけれども、これは終戦五十年どことしは言っているわけですね。同時に、旧連合国はことしはいわば戦勝五十年。第二次大戦が終わって向こうは五十年でございますから戦勝記念日的なものが、西の方もありますから、五月九日にはまさにエリツィンのところで、どういうんですか、エリツィンのところに中国の江沢民まで呼んで、常任理事国のボスが皆集まって、ドイツからも呼ぶそうですね、コールを呼んで対独戦勝的なことをぶち上げるという、あるいはイギリスでも同じような行事がある、アメリカはもとよりハワイでですか九月二日にそうした行事をやられる。  そういうものと、我が方の終戦五十年をめぐるというものは、これは非常に私はよっぽど政治の姿勢からも配慮をしないと、極めて微妙な問題をはらんでいると思うんですね。  と申しますのは、例えば原爆の問題です。広島で原爆を落とす、長崎で原爆を落とした、これは我々としてはアメリカは許せないという、それはもう当然でございましょう。しかし、これに対してアメリカ大統領は、河野外務大臣もこの間行かれて長官にはそういうお話もされたということでございますけれども、しかしそれを言ったすぐ後また大統領は、あのトルーマンの決断は正しかったんだ、悲惨なことではあったけれども、しかしあれは止しかったと。  それは、やはり一国の大統領がそうしたものについて公の立場であれを否定するということは非常に難しいと思うんです。しかし、我々から見れば、日本人から見ればそれは許されたいというくらいにエキサイトしやすい問題です。  そうたってきますと、今度は最近ニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストが非常に激烈な論調で、日本は原爆のことばかり言っているけれども、それじゃどういうことをあの戦争に際してやったんだ、どういうことをやったんだと。こういうようなものをまたたきつけるといいますか、そうなってくると、まさに終戦五十年あるいは戦後五十年をめぐって、今までせっかく築き上げてきたこの良好な関係というものがこじれてしまうという懸念というのを非常に感じます。  ことしの一月ですか、外相アメリカで長官と話されたときに、やはりそういう行事がいろいろあるからお互い冷静にいきましょう、こういうふうな話し合いをされたということも報じられておりますけれども、その辺についてはどういう御見解でしょうか。
  17. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) お話しのように、ことしは過ぐる大戦が終わって五十年、半世紀ということもあって、一つの節目であるわけでございます。この節目に際しまして関係国と申しますか関係者は、それぞれ思いをいろいろとめぐらせてお考えになる、あるいは心を新たに未来を見詰める、こういうことが行われるのはよく理解のできるところでございます。  そうした中で日本アメリカ、つまり世界の中で最も意味のある二国間関係を有する日本アメリカは、まさに五十年前に戦った国同士でありますけれども、その戦いを終わって、もろもろの感情を乗り越えて今二国間関係は最も世界でよい二国間関係になってきている、また、しなければならない、そういうふうに思うのです。  私は、外務大臣としてアメリカの国務長官に対して、そういう両国の国務長官と外相として、それぞれお互い国内にはいろいろな国民感情がある、そして思い起こせばいろいろな思いが込み上げてくるものがあるでしょうと。しかし、その思いを否定はしないけれども、それと同時に、これから先、両国国民がお互いに協力し合ってやっていかなければならない、未来に思いをはせるということが重要ではありませんかと。このことを感情だけで判断をするのではなくて、未来を考えた理性的な処理の仕方、処し方というものが重要だと思いますということを私は申し上げて、クリストファー長官も、まことにそのとおりに自分は思っているので、お互いにそういうことを念頭に置きながら事に当たりましょうと、こういうお話が一月でございました。  その後、例の切手のデザインの話がございました。原爆雲といいましょうか、この切手のデザインが新聞に出まして、これはもう明らかに日本の国民感情からすればなぜだという気持ちになるのは当然でございます。早速、外務省幾つかのレベルでアメリカに対しても注意を喚起いたしましたが、少なくとも私の知る限り、国務長官はこの問題にすぐ理解を示されて、しかるべき措置をとられたというふうに私は理解しております。その結果、あのデザインはアイデアの段階でこれはやらないということになったわけでございまして、まさにアメリカの首脳部は日本の国民感情に対して十分な配慮をするという気持ちを持っておられるというふうに私はあのときに感じたわけでございます。  今回の大統領の御発言につきましても、御承知のとおり、大統領は二回にわたってこの問題に触れておられるわけですが、この二回の御発言を詳細に拝見をしますと、確かにアメリカにはアメリカの国民感情というものがあって、そのアメリカの国民感情というものも考えながら、しかし一方、明らかにクリントン大統領日本の国民感情、日本がいかに傷ついたか、日本がいかに厳しい状況に置かれたかということにも十分発言をされているわけでございまして、私は基本的に、私とクリストファー長官との間で、この五十年というものを未来に向かって意味のある年にしようというやりとりをした。大統領も、もっと高いレベルではありますけれども、そういうお気持ちを持っておられるということを私は、あの二回目の発言でございますが、二回目の発言でそういうことを読み取った次第でございます。
  18. 板垣正

    板垣正君 この問題は、やはり戦後五十年の一つの歴史の流れの中であると思います。対米関係でも、例えばもう日本人が遠慮なく原爆は許せないと、こういう声がどんどん起こってくる、あるいはアメリカのいろんな行事に対してもいろいろ言う、あるいは日本から乗り込んでいって向こうで展示会をやる、こういうあり方というのは今までは余りなかったと思うんです。  やはり戦後五十年の歳月がそれだけの歴史というものをもう一度見直すと申しますか、しかしおっしゃったとおりに、やっぱり歴史認識というのは、それぞれ国民はそれぞれ立場がありますから、国は国の立場がありますし、またそれぞれの民族、国民を異にすれば。したがって、そこでなかなか簡単に歴史認識などは一致するはずないと思います。  そういう意味合いにおいては、やっぱりこの流れの中で、終戦五十年を迎えて、これは三党で言っているような国会で決議をするという問題、よほど慎重にこれは考えたいと、今までの占領下の延長線にある意識と余り変わらないような、やみくもにとにかく日本は一方的に憩うございました、おわびをいたしますというだけの形では、これは今現に国民から大変な、そんな決議は許せない、そんな決議は国会やる資格があるかというくらいの、数百万の署名が集まるくらいの、こういう非常に微妙な問題になってきております。  こういう面で、これは国会決議の問題でございますけれども外務大臣は我が党の総裁でもあられるわけですから、この問題についてよほど慎重に対処をしていただく。やはりいろんな配慮をしながら、その中で未来志向、未来に向けてどう平和を築き上げていくかということに尽きるんじゃないかと思いますし、また、亡くなった方々に対する思いということですね。  それで、そういう関係というのは非常に難しい、これは感情的にエキサイトしやすい問題。しかし、やっぱり自省といいますか、そういう姿勢というものが必要だし、もう一つは、やはり事実に基づいて歴史を検証していく。この戦争でも今度ようやく東京裁判の却下された弁護資料とか、そうした膨大な資料が発刊されるとか、あるいは軍人の今考えられる最も権威ある人たちが、あの戦争の膨大な戦史をまとめて発刊されるとか、こういう形でやっぱり歴史の事実を、私どもはある意味でもそれが反省だと思うんです。既成の概念にとらわれたい形でそういうものを見直していく時期に入りつつある。  したがって、私どもは、一方的な決議というものほかえってそういうものに逆行する行き方であるから、これはもう認めるわけにはいかないという立場にいるわけでございます。  それで、ことしの三月の十四日に硫黄島で慰霊祭が行われました。これは当初アメリカ側は、当然我々は大きな犠牲を払って、アーリントンでもやりましたね、この戦勝は。戦勝はアーリントンでも大統領が出て非常にアメリカの亡くなった人をたたえることをやりましたが、今度は硫黄島でやる。その際に、そこで戦勝の式典をやられたんでは、これはこちらの生き残りの人たちも参加できませんよと、外務省もそれじゃ困りますよというようないろんな経緯がありまして、結局そこの行事というものが恩讐を超えたといいますか、ここに外務大臣の追悼のあいさつというのがあるんです。これは高野北米局審議官が現地では代読されておるわけです。  これに、硫黄島戦終結から圧十年を経た今日、日米両国の関係者が再びこの日米再会記念碑前に集い、両国戦没者追悼のための合同慰霊追悼式の開催に至りました。思えば五十年ということがございますけれども、そこの中に、その結果、両国の友好関係は世界で最も重要な二国間関係と言われるに至りましたが、これも日米双方の戦没者の崇高な犠牲の上に立った両国民の不断の努力、日米双方の戦没者の崇高な犠牲の上に立ったという、これはよく外務省はここまで、戦没者追悼、崇高な犠牲と、日米双方ともに戦った、それは崇高なものとして追悼が行われる。そこに参列した人もそういう思いで、まさに恩讐を超えて未来に向けての新しい誓いというものが行われるにふさわしい雰囲気ではなかったかと思うんです。  そういう意味合いで、今申し上げたような、単に戦没者はあれは気の毒な犠牲者だという程度の扱いなんですよ、今までは。そういうことじゃなくて、やはりともに戦った戦没者の崇高な犠牲というくらいの姿勢というものを、これから今後もこういう姿勢をやはりとっていただきたいし、河野外務大臣のお名前でこういうのをきちっと出されていることを私は評価して、今後もそういうことでお願い申し上げたいと思いますが、御所見がございましたら承ります。
  19. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) いろいろお話をいただきました。  硫黄島の話をまず申し上げれば、硫黄島におきます式典と申しますか催し、式典は、亡くたられた方々を追悼し、両国がともどもに今後の平和を誓い合う、そういう意味の式典というふうに私どもは認識をいたしておりましたし、今、私、本来私が出るべき場所であったかもしれませんが、北米局高野審議官に私の一文を代読していただきましたが、私はまさに国のために一命を投げ出した、命をささげた、つまりこれ以上のものはないというふうに私は思っているわけでございます。奉仕の精神とか献身的な努力とか、さまざまた言い方があったとしても、一命を捨てる、命を捨ててということになれば、これは崇高な犠牲と言って差し支えのないものであるし、私はそういう気持ちを持っております。  それから、国会決議についてお触れになりました。これは、私、外務大臣としては院の問題について余りコミットすべきものでないということを十分自覚はいたしておりますが、三党合意という約束事がございます。自由民主党の総裁として三党合意の一方の責任者として、三党によって誠実に三党での意見の一致を求める努力をするということは必要であろうと思っております。  しかしながら、国会の決議である以上、三党が合意したからといって国会の決議ができるという簡単なものでもなかろうと思います。すべての国会議員方々の認識を一致させる、そういう努力がやはり必要であろうと思います。三党合意合意という約束を果たすという意味と、さらに国会決議としてそれを具体化するという努力と二つの努力を重ねなければならない。それはだれがどう言ったからという簡単なものではない。できる限り合意のために主張は主張としてぶつけ合いだから、譲るべきところはまた譲らなければならない。しかし、ここだけは譲れぬということもあるかもしれませんが、とにかく合意のための最大の努力をして、三党ではまず最大公約数を求めるということがやはり必要なのではないかというふうに思っております。  もしこれがちょっと外務大臣としては言い過ぎた発言であるとすれば重々おわびをいたしますが、御発言もございましたので、それにお答えするような意味で申し上げたわけでございます。  板垣先生のこの問題についてのかねてからの御所見は、私は十分何度も伺って承知はいたしておりまして、できる限り多くの方々のお考えとあわせて合意点を求める努力が党のその担当者によってなされるであろうというふうに考えております。
  20. 板垣正

    板垣正君 ありがとうございました。
  21. 菅野久光

    ○菅野久光君 大臣どうも御苦労さまでございます。  先ほどもちょっと触れられましたけれども、私は最初にピザたし交流の問題についてお尋ねをしたいと思います。  このほど北方四島とのピザなし交流について初めて国会議員参加が認められたということになりまして、当委員会坪井委員長、大変御苦労さまでございます。今回行かれることにたったわけでございますが、このことにつきましては、本委員会でもたびたび要求してきたというふうに承知をしておりまして、これが実現したことにつきまして大いに私は評価をしたいというふうに思います。  そこで、まず外務省に、今回のピザなし交流への国会議員参加実現に至るまでのロシア側との交渉の問題でございますが、総務庁外務省告示第一号、これは平成三年の十月二十九日に閣議了解で出されているわけですね。それから実現まで約四年間かかったということ。何がこのようにおくれたのかということなども含めて交渉の経緯をお聞かせいただければと、このように思います。
  22. 野村一成

    政府委員野村一成君) 経緯につきましては、先ほど木宮先生の方からかたり昔に振り返って御説明がございまして、大臣の方から基本的にそのとおりであるという御答弁をさせていただきました。  おくれた事情の中には、実はゴルバチョフ政権と申しますか大統領のときからエリツィン大統領、新生ロシアに変わっている、そういう事情もございまして、この問題について本格的に取り上げるというタイミングと申しますか、それがやはり基本的にはエリツィン大統領日本訪問の後ということでございました。  御案内のとおり、日本訪問のときには東京宣言、これは特に第二項、これは領土問題の解決に触れておりまして、非常に重要な項目でございますけれども、その中におきましてこの四島交流に特に言及いたしまして、それを拡充と申しますか、一層発展させるということがうたわれておりまして、これが新生ロシアとの間での出発点でございました。  その後、やはりこの問題について基本的に大きな進展のきっかけとなりましたのは、ロシアとの間の折衝ということだげに着目いたしますと、本年三月の河野大臣とコズイレフ大臣との会談でございまして、ここにおきまして大臣の方から領土問題解決のための環境整備の一環として四島交流の一層の拡大ということを強く提案していただきまして、それに対しましてコズイレフ外相の方から基本的に合意するという答弁が得られた、同答が得られたことが欠きゅうございます。  その後、それを受けまして私どもの方で、じゃ拡充といったらどういうふうにということで、さらにそれを詰めを行った結果、今般、一回の訪問につきまして二名の国会議員の先生の参加を得られると、そういう合意に到達することができた、そういう次第でございます。
  23. 菅野久光

    ○菅野久光君 ピザなし交流国会議員参加するということは大変私は意義のあることだというふうに思っておりまして、河野大臣のときにこのことが実現したということについては高く評価をいたしたいというふうに思いますが、この国会議員参加するということについての意義、これを大臣はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  24. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ピザなし渡航という、いろいろ知恵を絞って、しかし我々の主張をきちんとした形で通すということが始まって随分多くの方々が四島を訪問されました。また、四島に住んでおられる方々日本へ随分大勢の方がやってこられました。こういう交流お互いの信頼関係というものをつくっていく。四島が確実に日本の手元に戻ってきて、そのときに四島に住んでいる人たちはどうたるのかな、あるいは日本という国はどういう国なのかなということが四島に住んでおられる方々にもよくおわかりいただけると思いますし、我々もまた四島というものが今どういう状況に置かれているかということを確認するということもございます。  それぞれ交流がございますけれども、やはり何といっても国会議員が四島を訪問するということは、やはりそれとは、今までとはまた少し違った意味合いというものが出てくるだろうというふうに私は思っているわけでございます。当初二人の国会議員が行くということにたっておりますが、その議員の数がふえていくということはやはりそれなりに意味が出てくるというふうに私は思っておりまして、年間を通じて一定の数の議員方々が四島を訪問してくださるということになれば、四島についての議論も、また新しい視点に立った議論というものもできてくるんではないかというふうに思っているところでございます。
  25. 菅野久光

    ○菅野久光君 今大臣もお話しになりましたけれども、今回の訪問は一回について二人の国会議員参加枠、これを認めることで合意をされたわけであります。今大臣もお述べになりましたけれども、今後は一回の参加人数の枠を徐々に広げていくということなどについてもぜひ御努力をいただきたいと思います。将来的には一般のピザなし交流訪問団の中に加えてもらう形もあってもいいと思いますけれども、むしろ、国会議員による独立のピザなし渡航の派遣団というような形が可能となるように持っていくべきではないかというふうに思いますが、この点についてのお考えを承りたいと思います。
  26. 野村一成

    政府委員野村一成君) 先生御案内のとおり、四島交流につきましては、今まで三年間の実績があるわけでございますけれども、どういう方々日本から行っておられるかということに着目いたしますと、やはり一番の主体となりますのは元住民の方々あるいはそれに準ずる方々ということでございました。さらに、地方自治体の関係方々、北海道を中心といたしましてそういう方々がございました。  今回初めて、中央と申しますか、のレベルで御参加をいただくということにたったわけでございまして、もともと四島交流を始めるに当たりましての両国の外務大臣の間の往復書簡におきまして、「領土問題の解決を含む日ソ間の平和条約締結問題が解決されるまでの間、相互理解の増進を図り、もってそのような問題の解決に寄与することを目的として、」ということがはっきりとうたわれておるわけでございまして、いろんなこの交流につきましては、ロシア側とのやりとりにおいて配慮が必要でございます。ロシア側の基本的な考え方を私が代弁して申し上げるわけにはいきませんけれども、やはり政治的な色彩と申しますか、そういうのを加えるということについては率直に申し上げて若干慎重にたるという対応でございます。  そういう経緯はございますけれども、先ほど大臣の方から御答弁がございましたように、基本的た訪問団の主体と申しますか構成の柱と申しますか、それはやはり従来と同じかと存じますけれども、それに御参加いただける国会議員の諸先生方の数の問題につきましては、余り無理をしないで、しかし徐々にふえていく、それがまさに拡充にもつながる、そういうふうに基本的には考えておりますので、ことしにつきましては、向こうが二名ということで、私どもそれに同意いたしましたけれども、来年度以降さらに外交努力を重ねたい、基本的にはそういうふうに考えておる次第でございます。
  27. 菅野久光

    ○菅野久光君 大変御苦労ですけれども、一層の御努力をひとつお願い申し上げたいと思います。  大臣も大変お忙しい日程で大変でしょうが、まだ北方領土外務大臣としてはごらんになったことがないのではないかというふうに思います。何とか時間を見つけて一度行っていただきたいものだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  28. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) もちろん議員として北方領土を遠くから見たことはございます。しかし、外務大臣としてそうしたことはまだ行っておりません。そういう気持ちは十分持っております。日程上の都合等を考えて、しかるべき時期にという、まだ余り具体的に考えてはおりませんが、今のお話をよく承らせていただいて考えたいと思います。
  29. 菅野久光

    ○菅野久光君 北方領土問題に対する関心といいますか、そういう点でもぜひ外務大臣として行っていただきたいということを、私も北海道に住んでいる者としてお願いしておきたいというふうに思います。  次に、ロシア国内情勢の問題でございます。  先ほどもちょっとお話がございましたが、昨年の十二月以来、ロシアはチェチェンヘの武力介入を行って一般市民にも多数の死傷者が出ているということが報ぜられておりますし、また最近では、ロシア政府の政策決定においてエリツィン大統領を取り巻く一部の側近が大きな発言力を行使しているというような報道などもなされております。  このような諸情勢というものを見れば、ロシアの民主化の今後の進展について大変大きな不安を抱かざるを得ないわけでございますが、そこで、河野外務大臣として、このようなロシア政治情勢の展望と、今後のロシアにおいて民主化路線を定着させ進展させるための我が国の対応ということについて、そのお考えを承りたいというふうに思います。
  30. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ロシアの政治状況が、我々から見ておりまして、これまでと少し違う方向に進んでいるのではないかという感じがいたします。  もともとエリツィン大統領は改革派として登場をされて、議会の中でも改革を求める議員によって支えられていたというふうに私どもは承知しておりましたが、チェチェンヘの対応もそうでございますけれども、このところのエリツィン大統領の対応について、かつてエリツィンさんを支えていた改革派と言われる議会の勢力の中で、エリツィンさんの支持から離れた人たちも見受けられるわけでございます。  そういう改革派に支えられていたエリツィンさんが、その改革派の支持が少なくなっていってしまう、これは、エリツィンさんの政策がまずあって、その政策が支持できないといって改革派が離れていったということだと思いますけれども大統領として理想と現実のはざまの中でなかなか苦悩をしておられる部分もきっとあるのであろうと思います。ただ、私としては、あくまでも民主的な手法あるいは民主的なルールにのっとってこの政策は進めてほしいものだと感じておりますが、これはロシア国内問題であって、我々は、不安になったり心配をしたり、そうでなければいいなと懸念を持つという状況でございます。  先ほども御答弁を申し上げましたが、コズイレフ外相やガイダールさんたちにも何度かロシア政治情勢について私なりの懸念を申し上げておりますが、こもごも、民主化については自分たちはしっかりやるつもりだというふうにおっしゃっておられて、先ほど御答弁申し上げたように、見ていてくれというお話でもございました。国内問題であり、しかも政府には政府の言い分があってのこととはいえ、今先生御指摘のように、一般市民にも多数の死傷者が出たと伝えられるチェチェン情勢などは、我々から見るとやはり大変心配なことでございます。チェチェンの問題などについては、むしろ軍の力が落ちているために長期化しているんだという、そんた説明もございますけれども、我々から見ると、どうも軍という力に頼って国内を抑え込むということが果たして結果としていい結果が出るものだろうかという心配も持っているところでございます。  いずれにせよ、ロシアというかつての大国の国内問題ということでございまして、それからもう一つまだまだ我々には少し情報が十分伝わらないこともございまして、多少靴の上から足をかいているような感じたきにしもあらずでございますが、懸念を持っているのが私の実際の気持ちでございます。
  31. 菅野久光

    ○菅野久光君 次に、ロシアの経済の現状についてお尋ねをしたいと思います。  ロシア経済は依然として大変厳しい状況にある。インフレは比較的落ちついてきてはいるものの、上業生産等は相変わらず低迷を続けている。伝えられるところによれば、昨年のGDP、国内総生産及び工業総生産額は、ともに対前年比で二割近いマイナスになっているようであります。そのために国民の生活は困難をきわめていて、社会不安や犯罪が蔓延しているようにも聞いております。このような経済や社会の不安定さは、これは政治不安の原因でもあるというふうに思います。  そこで、政府に、このようなロシア国内経済の現状と経済改革の進展状況、それから特に市場化及び軍民転換の進捗状況等について、ちょっとお知らせをいただきたいというふうに思います。
  32. 野村一成

    政府委員野村一成君) 今現在ロシアで行われておりますいわゆる改革路線、これは重要な柱として、やはり経済と、それから先ほど大臣から御答弁ございました政治の面での改革がございます。私どもは、民主化も含めまして、これが成功するということになりますれば国際社会に大きな利益をもたらすということで、それに対して、これは日本のみならずG7等国際社会が支援を行っておるわけでございます。  その政治と経済のうち経済の部分につきましては、ただいま先生の方から必ずしもうまいぐあいにいっていない状況ということの御説明がございました。確かに統計と申しますか、そういう数字で見ますと、インフレ率をとりましても私どもの常識で描いている数字とはかけ離れた数字が飛び出してきまして、非常に厳しい状況であるということがうかがわれます。特に生産の落ち込みというのが著しゅうございまして、これがやはり今後の経済状況を占う上におきまして心配材料でございます。  ただ、私、経済を見ます場合に、新生ロシアにたって三年ちょっとの期間を、三年間という単位で見ますと、やはり最初の生まれたころは本当に厳しい、何か、年間インフレ率二六〇〇%とか、考えられたいような状況、その中で私どもも食糧、医療も含めまして人道支援をやってきた時代、それがございました。そういう状況から見ますと、三年間の長い期間で見ますと、インフレ率も、例えばことしの三月につきましては、月間でございますけれども一けた、八・九%にとどまっているわけでございまして、また民営化という市場経済移行の重要た柱につきましても七〇%、八○%が成功しているというふうな例もございまして、一定の進展というのが見られておるというふうに評価できるのではないかというふうに思っております。  重要な視点は、先ほどまさに先生が御指摘になりました軍民転換の進捗状況でございまして、ロシアは、現在もそうでございますけれども、大変な軍事力を擁する国でございまして、その軍の部分が民生に転換されるということになれば、それが経済にも大きなプラスの影響をもたらすということでございますけれども、ただ、軍民転換のためには非常に多くの資金を必要といたします。  この転換のための資金の捻出が予算編成等の中でままならない状況でございまして、必ずしもこれがうまいぐあいにいっておらないというのが実態でございます。例えば九五年度予算で軍民転換のための予算は九千二百億ルーブル、ドルにいたしますと約一・八億ドルでございまして、これは額面でとらえますと前年度九四年度の二一%増ということでございますけれども、ところがインフレ率というのを加算しないといけません。本年、六〇%たいし八〇%というのが政府目標でございまして、これを考慮いたしますと実際のところはマイナスというのが実態でございます。この辺が実は難しいところかなというふうに思います。  他方、軍民転換はやはり大事な分野でございまして、ロシアの方も努力しておるわけでございますし、日本のみならずG7の国としましても、この分野において必要な支援ができるのであれば協力するという基本的な考え方をとっている次第でございます。
  33. 菅野久光

    ○菅野久光君 体制が全く変わる、そういう状況の中でのロシア経済ですから、そうそううまくいくわけはないというふうには思っておりますけれども、この試みが失敗して国内が混乱に陥った場合には、これは日本はもちろんのこと、世界全体に与える影響というものははかり知れないものがある。そういう意味では、我が国を初め先進諸国は、このようなロシアの民主化あるいは経済改革といった体制移行の試みについて支援していく必要があるということで、一致していろいろなことをなされているわけでございます。  そこで、身近な問題といいますか、実はロシアの極東航空管制体制に対して、これをどのように支援していくかということも、またこれ飛行機で往来する人がたくさんいるものですから大変な問題だと思っているんですが、これは対日支援の一環としてもぜひ緊急に考えていただきたいものだというふうに思っております。  それはシベリアの空路なんですが、これはもう日本韓国等からヨーロッパに向かう出発便の唯一の空路ということになっております。近年、特にソ連が崩壊した後、レーダーなどロシア側の老朽化した管制施設が原因となって、極めて不安定な運用体制にあるというふうに聞いております。シベリア空路及びロシア極東管制体制、さらにロシアの空の安全管理ということは、即我が国の空の安全管理につながってくる問題でございます。そういった意味で、極東ロシアの航空管制に対する支援が緊要だというふうに考えております。  そこで、シベリア空路の安全確保のための支援の必要性と支援の現状、こういったようなことについて、その見解と説明をお願いいたしたいと思います。
  34. 野村一成

    政府委員野村一成君) ただいま先生御指摘ございましたように、シベリアルートは日本とヨーロッパを結ぶ空の大動脈でございまして、確かに、ロシアにおける管制設備の老朽化等の理由によりまして、九三年十二月ごろからロシア側によりまして運航の便数制限、つまり一挙にたくさん管制ができないという、そういう事態が発生いたしました。当時一時間ぐらい出発が待たされるという状況があったわけでございますけれども、その後、私どもの運輸当局、航空当局の努力もございまして、航空路の運用方式等を調整いたしまして、次第に遅延状況が緩和されてまいりました。ことしの三月二日からこういった制限も廃止されるに至ったというふうに承知いたしております。  支援という点に着目いたしますと、この問題につきましては、やはり管制分野の技術支援と申しますか、人の訓練というのが大准というふうに考えてございます。平成四年度からでございますけれどもロシアから毎年七ないし八名程度の航空管制分野の専門家を受け入れまして、ロシア側航空管制官の技術向上を目的といたします研修を実施いたしております。本年度につきましてもこういった技術支援の一環として研修を継続する所存でございまして、これがさらに管制の円滑化につながっていくということを期待している次第でございます。
  35. 菅野久光

    ○菅野久光君 何か運輸省の管制課では、ロシアは発展途上国でもなくODAの対象国にならない上、ロシア側からの要請もたい、視察、研修などソフト面の支援だけが現状というような新聞の報道がありますが、この新聞では、一日約六千人の邦人が飛んでいると言うんですね。そういうことからいえば、ただODAの対象国にもならない、発展途上国ではないということだけで済まないのではないかなというふうに思うんですが、こういう、何というんでしょうか、形式張ったことだけではなくて、こういったような実態をどう改善するかというのは、これは大変大事なことだというふうに思います。  外務大臣は副総理でもございますので、その辺、こういったような空の安全ということなどについても、内閣としてぜひ取り組んでいくべきではないかというふうに思っておりますが、大臣いかがでしょうか。
  36. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 空の問題は、一つは安全ということも考えなければなりません。我が国として技術的な支援が一体どういうことができるか、その他考え得る幾つかの事柄をよく検討してみたいというふうに思います。先生からの御指摘を踏まえて、少し部内で検討をさせていただきたいと思います。
  37. 菅野久光

    ○菅野久光君 ぜひお願いをいたしたいというふうに思います。  次に、北方四島周辺海域における安全操業の問題でございますが、平成四年以来、ロシアの国境警備隊による日本漁船銃撃・拿捕事件がたびたび起きております。根室市を初めとする地元の漁民の皆さんも、周辺海域で操業ができずに大変困っているわけです。  日本漁船は、ロシア領海内ということではなく、いわば日本の固有の領土である北方四島周辺海域で操業を行っている、そういう認識なんですね。そのような漁船を拿捕することは、国際法上決して我が国としては認められないというふうに思うんですが、政府はこれまでの拿捕事件に対してどのように対処をされておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  38. 野村一成

    政府委員野村一成君) 北方領土周辺海域におきます日本漁船の拿捕につきましては、国際法的た見地からいたしましてもただいま先生の御指摘のとおりでございまして、基本的にはやはり、日本の領海における操業でございますから、それに対して拿捕、ましてや発砲なんていうのはとんでもない行為でございまして、その都度先方に抗議を申し入れている次第でございます。  ただ他方、実態といたしましては、北方四島は遺憾ながらロシアによって不法に占拠されているという実態、またそういう実態を受けまして日本の施政権が及んでいないという状況であるのも事実でございまして、そういう見地から、日本国内法に基づきまして、日本漁船のその地域における操業については規制を行っているというのも事実でございます。  しかしながら、御指摘のように、日本漁船の拿捕が繰り返されるという状況が事実としてあるわけでございます。この問題について、安全操業という見地から、ロシア側と基本的に何らかの枠組みの話し合いができないかということも、あわせて、懸案として日ソ間、それから日ロ間でも長年存在してきた問題でございまして、先生御案内のとおり、三月十三日、十四日、モスクワにおきまして北方四島周辺水域におきます我が国漁船の操業の枠組みに関する第一回目の交渉が行われたわけでございます。この交渉、難しい交渉でございますけれども、できるだけ早期にこの枠組みができるという方向で全力を尽くしたいというふうに考えておる次第でございます。
  39. 菅野久光

    ○菅野久光君 四島周辺海域での安全操業、これは何としても確保しなければならないというふうに思っておりますが、今局長からもお話しのように、河野外務大臣の御尽力によって、ようやく三月十二百から日ロ政府間の第一回目の交渉が始まったわけですけれども、残念ながら第一回目の交渉では日ロ両国政府の主張は平行線をたどったということで、問題解決の糸口さえ見出されないということで大変残念でございます。ぜひあらゆる知恵を絞って粘り強くロシア政府と交渉をしていただきたいというふうに考えますが、大臣の御決意を承りたいと思います。
  40. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 今、政府委員が御答弁申し上げましたように、第一回目の交渉は結論を得るに至りませんでした。我が方といたしましては、この交渉において、万が一にも領土問題について我が方の基本的な考え方に外れるというようなことがあってはなりません、そういう大きな前提を持って臨んでいるわけでございまして、なかなか交渉は正直難しい交渉でございますが、しかし漁民の皆さんのことを考えますと、何としてもこれは両者が知恵を絞ってやらなければならぬというふうに思っております。  私は漁民の方々の漁期の問題もありますからと思って、かたり急いであれしたわけですが、なかなか一回では片がつかないことでございました。引き続き今後もこの会合を開いて、何としても結論を導き出したいというつもりで臨んでおるところでございます。
  41. 菅野久光

    ○菅野久光君 大変御苦労ですけれども、漁民の皆さん方が大変大臣に期待をしておりますので、ぜひひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。  最後になりますけれども北方領土隣接地域の振興と住民の生活安定のために、国と道によって百億円の北方基金がつくられました。その運用益で各種の施策が講じられることになっているんですが、最近の低金利でその運用益も大変少なくたってきておりまして、いろんな事業にも影響しているということで皆さんが本当に心配をしております。基金の拡大だとかあるいは基金の取り崩しなどということについてもいろいろ話が出ている状況でございます。  そこで、戦後五十年を迎えて、北方の島々から根室管内を初めとする各地域に移ってこられた元島民の方々は、もう戦後五十年ですから相当な高齢になっておられる。現在では子や孫の方が生活を支える中心となっております。それで、北方問題対策協会の融資事業の対象範囲の拡大は現行法上大変難しいこともわかっております。何か前にもどなたかの質問で、それはできませんというふうに一刀両断で言われたというような話も聞いておりますが、これはぜひ島民の子や孫の方まで拡大することを前向きに検討していただきたい。だめなことはわかっているんですけれども、今はだめでもこれから何とかここのところは検討してもらいたい。これは多くのそういう元島民の人たちからの要望事項として挙がっていることは総務庁としても御承知のはずでございますので、その辺、気持ちを込めてお答えをいただければと、このように思います。
  42. 中川良一

    説明員(中川良一君) お答え申し上げます。  北方領土の返還が実現しない状況におきまして、北方領土問題対策協会が行っております融資事業の対象を北方地域元居住者からその子あるいは孫まで拡大すべきであるという要望は私どもも十分承っております。いろいろな機会を通じまして、関係者の方からそういう御要望を承っております。  現在の法律におきましては、単に世帯主だけではなくて、昭和二十年八月十五日まで引き続きまして六カ月以上北方四島に居住していたという方々につきましては、世帯主の配偶者であってもあるいは生まれたての子供であっても一応現在の融資の対象に含めるという制度になっておるわけでございます。  また、この融資制度と申しますのが、北方四島からの引き揚げを余儀なくされまして生活の基盤を失いました元居住者等の生活の安定を図るという趣旨で創設されたという事情がございまして、いわばソ連の不法占拠の被害を直接こうむった世代の方々の救済措置というふうな位置づけもございますので、対象者の拡大の問題については、従来からいろいろ御要望は承っておりますが、私どもといたしましては慎重に対処すべき問題ではないかというふうに従来から考えているところでございます。
  43. 菅野久光

    ○菅野久光君 終わります。
  44. 坪井一宇

    委員長坪井一宇君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  45. 坪井一宇

    委員長坪井一宇君) 速記を起こしてください。
  46. 風間昶

    ○風間昶君 委員長の当意即妙な健康体操には大変頭が下がりました。  ビザたし渡航の件については、坪井委員長の御努力、また外務省の御努力、本当にありがとうございます。北海道におっても国境沿いまでしか行けない状況が、数は少ないですが行けることにたったことについては本当にありがたいなと思います。  それで、きょうは外務大臣もお見えでございますので、三、四点外務大臣にいろいろお伺いしたいと思います。  まず、九一年、平成三年度に海部首相とゴルバチョフ大統領との会談からスタートした外務省の対日技術支援予算事業について、北海道でも平成四年の九月に日ロ経済協力プログラムというのを策定しまして、それで五年には、林業に限って言いますと、日本の林業専門家が極東地域に派遣され、そして極東の専門家七名を北海道で四十日間受け入れて技術交流をされたわけです。それで、昨年はまた技術関係の人たちが交流をされたというふうに聞いておりますが、五年度、六年度は林業だけじゃなくて対日技術支援予算事業、それから今年度、金額ベースでまず幾らかをちょっとお教えいただければありがたいと思います。
  47. 野村一成

    政府委員野村一成君) ただいま先生御指摘ロシアの経済改革に対する支援におきます技術支援の重要性というのはとみに私ども認識しておる次第でございまして、先生御案内のとおり、技術支援予算の中から地方公共団体に委託してロシアに対する技術支援事業も行っております。  例えば、昨年度につきましては、五十七名のロシア人研修員が日本に招聘されております用地方自治体支援の実績といたしましては、平成四年度三名でございましたが、五年度六十七名、六年度五十七名ということでございます。  北海道への支援の実績を内訳として申し上げますれば、平成五年度については十一名、六年度につきましては九名で、平成五年度につきましては、先生御指摘の林業の専門家という形で招聘いたしました。七年度につきまして、ちょっと私今金額について手持ちがございませんけれども、若干減りまして、全体で二十ないし三十名程度の見込みになっておるというように承知いたしております。
  48. 風間昶

    ○風間昶君 人数ではなくて、聞いているのは金額ベースで幾らかと聞いているんですから、それに答えてくださればありがたいんです。
  49. 野村一成

    政府委員野村一成君) ちょっと恐縮でございます。今手持ちの資料がございませんので、至急調べさせていただきますればと思います。
  50. 風間昶

    ○風間昶君 それじゃ、ぜひとも後で教えていただきたいと思います。  局長がわからないということですからあれなんですが、金額の問題ではたなて、むしろ、先ほど外務大臣ロシアの情勢の不安定性を多少お話しされたわけですが、いずれにしても市場経済移行の今段階であると。もし安定してくるような状況になれば、特に北海道の人たちはサハリンを含むロシアとの、極東との交流をかなり望んでいらっしゃる方が多いわけです。  そうすると、北海道だけじゃなくて、全国各地でロシアと、いわゆる極東地域との対日支援事業に取り組んでいかれる方々も出てくると私は推測しているんです。そうなりますと、外務省として今後さらに支援事業の配分、要するに支援事業の配分基準というか、畜産関係だとか林業関係だとかあるいは文化関係だとかいろいろあると思うんですけれども、その辺の策定方針を決めておく必要があるのではないかというふうに私は思うんですが、いかがなものでございましょうか。
  51. 野村一成

    政府委員野村一成君) ロシアは非常に広大な領域の国でございまして、支援を中心としました経済関係をどういうふうに持っていくかということに着目いたしますと、今先生御指摘の極東あるいは東シベリアと言っていいのだと思いますが、特に極東部分との交流というのが重要でございます。  この点、実は昨年十一月にサスコベツ・ロシア第一副首相が日本に参りました折、大臣との会談におきましても経済面での交流についての話し合いが行われました。その際に、外務大臣の方から、今後いわゆるロシアの極東地域との交流というのを日本としては重視してまいりたいという基本的な考え方指摘しておりました。  今後いろんな交流、実は先生御指摘のように、地方自治体レベルあるいは民間レベルで結構極東部分との間では交流がしげく行われておるわけでございますけれども、政府の方といたしましても、具体的な交流計画、あるいは経済面におきましてプロジェクト等が出てまいります場合に、いわゆる先ほど申しましたようなロシアの極東地域との交流というのを重視していく基本的な考え方で対応していくのが適当ではないかというふうに考える次第でございます。
  52. 風間昶

    ○風間昶君 ちょっとピントがずれているんですけれども、だからその際の配分基準を、例えば行政研修なら行政研修、あるいは文化交流なら文化交流、あるいは企業実務研修なら企業実務研修と今までもやられているわけだから、配分基準についての策定する方針がございますかというふうに伺っているんです。
  53. 野村一成

    政府委員野村一成君) 方針といたしまして、先ほど申しましたような基本的な大きな考え方延長といたしまして、実務研修等の技術支援につきましても、我が国との関係あるいは交流が密接な極東地域につきましては例えば研修費の配分等に当たりまして適切な配慮を行ってまいりたいというふうに考えております。  ただ、具体的にどういう割合でというところまでにつきましてはその都度で考えさせていただきたいと思いますけれども、ただいま先生御指摘のとおり、研修費の配分等につきまして極東地域の重要性というのを念頭に置いて対応させていただきます。
  54. 風間昶

    ○風間昶君 先ほど板垣先生の方からもお話がありましたが、再来週のモスクワでの対独戦勝五十周年記念式典について三点ばかりちょっとお伺いしたいんです。まず日本側に案内が来たのかということと、対独戦争に参加しない中国が参加するというふうに聞いていますけれども、アジアのもう一つの極である我が国に案内が来ていないということに対しての政府の所感、二点お伺いします。
  55. 野村一成

    政府委員野村一成君) モスクワにおきましてはこれは対独戦勝五十周年記念式典ということで五月九日に式典が行われるわけでございますが、この式典には我が国を含みますモスクワにございます外交団に対しまして招待状が発出されておりまして、これには日本からは渡辺駐ロシア大使の出席を現在検討中でございます。  それから、別途、首脳に対する招待ということで、ロシア側の発表によりますと、先生今御指摘がございましたように、中国も含めましてアメリカ、フランス、イギリス、スペイン、カナダ、ノルウェー等々の首脳が招待されて参加するということのようでございますけれども、これに日本の首脳に対して招待がなされたいということにつきましてでございますが、これは基本的には、冒頭に申しましたように、対独戦勝五十周年記念という行事の性格上、我が国としてそれについて問題はないというふうに考えている次第でございます。
  56. 風間昶

    ○風間昶君 外務大臣、恐らく米ロ会談が行われるというふうに思うんですが、北方領土問題についてもしかしたら話題になるかもしれないというふうに、もしかしたらですよ、これは仮定ですから。そのことを考えると、アメリカを主体に西欧の各国に対して日本立場を強く支持してもらうお考えがあるのか、あるいはその方策があるのか、端的にお伺いしたいと思うんです。
  57. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 我が国ロシアとの間に領土問題があるということについてはかねてからアメリカもそのことは十分認識し、この領土問題の日本の主張を支持してくれているところでございます。  また、かねてからG7におきまして北方領土問題について触れることがしばしばございました。私は昨年のナポリのG7の外相会議に出席をさせていただきましたが、その席でも私は北方領土問題について意見を述べました。私の述べた意見についてアメリカを初め幾つかの国が積極的にその日本の主張は我々はよく承知しておるという何といいますかフォローがございました。  私としては、これらG7の各国は、我が国ロシアとの間にございますこの領土問題についての認識といいますか正しい認識といいますかを十分持ってくれているものと思います。また、私自身クリントン大統領に直接この問題についても申し上げたことがございまして、大統領北方領土問題という問題があることは十分承知をしているという御返事をいただいたことがございます。  米ロ会談でこのことが話題になるかどうかということについては、私今のところつまびらかに情報を持っておりませんが、当事者でないアメリカが、米ロ会談の中でこういう問題がアメリカ側から提起されるか、ロシア側から提起されるということはちょっとないと思いますが、アメリカ側から提起されるかどうかについては今まだ情報を持っておりません。
  58. 風間昶

    ○風間昶君 ですから、予測ですが、アメリカ側から提起してもらうようなまた働きかけは、これは外交上はどうなのか僕はわかりませんけれども、難しいんでしょうかね。どうなんですかね。
  59. 野村一成

    政府委員野村一成君) 現実にどういう形でどういう内容会談に今回なるかということがわからないものでございますので、推測で私はこの米ロ首脳の会談内容を言ってはいかがかと思いますけれども、ただ、先生に申し上げられますのは、この米ロのクリントン・エリツィン大統領会談でやはり領土問題について触れるのが適当である、そういう場がございますと、基本的にはただいま大臣が申しましたように米国に従来より一貫して北方領土問題に対する我が国立場を支持していただいておりますので、私どもは基本的にはそういう場合におきましてはクリントン大統領から従来どおり我が国立場を支持する、そういう立場で臨んでいただけるものというふうに確信いたしております。
  60. 風間昶

    ○風間昶君 それではもう一つ、先ほども板垣先生の方から話が出ました、九月一日から三日にハワイで行われる太平洋戦争及び第二次世界大戦の終結五十周年記念式典、こちらは招待状が来ているというふうに伺っておるんですが、二つお聞きしたいんですが、太平洋戦争の概念自体、時間的範囲、空間的範囲、我が国の中でも議論があるわけだし、参加するに当たって太平洋戦争の範囲に日米間の違いはあるのかどうか。すり合わせがないとそのままいっちゃう可能性があるので、そこが一つ。日米間の違いがあるのかどうかの認識。  それからもう一つは、これは外務大臣にぜひともお伺いしたいんですが、特に北海道民は北方領土が返ってこないと戦後は終わっていたいというふうに思っている人が結構多いわけで、そういう国民の声がある中で式典に今回参加する際の日本政府の基本的な姿勢をぜひ大臣にお伺いしたいというふうに思います。
  61. 時野谷敦

    政府委員(時野谷敦君) 先生ただいまお尋ねのこの式典との関連での太平洋戦争の日米間でのとらえ方ということでございますが、その点について私どもアメリカ側議論をしているわけではございません。今先生がおっしゃいましたように、まさにアメリカ側の行事として太平洋戦争の終結ということの行事を行うということで招待状が届いている、こういうことでございまして、その点、主催国であるアメリカ側がどういうふうに考えるかということだろうと思いますし、私どもがそこの点についてすり合わせをするということが必要だというふうには思っておりません。  それから、ただいま二番目に申されました北方領土問題、ロシアということだろうと思いますが、現時点で私どもこの行事にアメリカ側がどういう国を招待しているのかということはつまびらかにいたしておりません。一般的に私どもが承知しておりますのは、太平洋戦争に何らかの形で関係のある国を広く招待したいというのがアメリカ側の意図だというふうには承知しておりますが、個々具体的には目下のところ承知をいたしておりません。
  62. 風間昶

    ○風間昶君 大臣、答えていただけますか。
  63. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 九月におきます式典の目的といいますかそういったものは、今政府委員が御答弁申し上げましたように、すべての国の太平洋戦争の犠牲者の追悼、そして、アジア・太平洋地域の平和を祝福し、二十一世紀に向けてこの地域のさらなる繁栄と協調を確認することだと、これが招待状によればこの式典の目的ということになっております。その目的は我が方としても何といいますか納得できるというか十分理解できるところでございます。  この式典に対して我が方が出席するかしないか、その場合にはだれが行くかとかいうことについては今検討をいたしております。招待状自体は防衛庁長官あてに参っておりますが、政府としてどう対応をするかについては検討しようということにいたしておりまして、私、防衛庁長官だと集まって相談をこれからするということにいたしております。
  64. 風間昶

    ○風間昶君 その際のやっぱり基本姿勢について、行かれる大臣と行かれない大臣で違うとまたとやかくたりますので、ぜひきちっとした対応をしていただきたいと思います。  それから、北方領土問題について、ビザなし渡航を中心とした民間交流はもちろん盛んになってきたんですけれども、一方では、北方領土に隣接する一市四町の問題なんですが、これは外務省関連じゃないんですけれども、調べてみますと、根室市だけがロシアのサザレクリリスク市と何か姉妹都市を結んでいるらしいんです。あとの四町は友好都市交流さえも結ばれていないんで、隣接する地域はちょっと、冷ややかではないんでしょうけれども、財政的な問題とかなんかもあるのかもしれませんけれども、地元の北方領土返還に対する情熱と熱意がもちろんこれは基盤だと思うんです。今こういう状況ですから、ロシアと簡単においそれと姉妹都市は結べたいにしても、そういう何といいましょうか、もし外務省に知恵がありましたら教えていただきたいなと思うんです。
  65. 野村一成

    政府委員野村一成君) 日本ロシアとの間で、多くの地方自治体間で国際交流事業が行われるということは基本的には非常に結構だとは考えますし、ロシア、特に極東ロシアとの間におきましては現にそういう交流が行われているというふうに私どもは基本的には理解しております。政府として、これは地方自治体の自主性と申しますか基本的な考え方というのが尊重されなければなりませんので、そういうのを踏まえながら側面的に前向きに協力してまいりたいというふうに思っております。  それから、先ほど私失礼申し上げましたが、もしよろしければ、技術支援につきましての平成七年度の予算でございますけれども、これは技術支援全体でございますが、五億五千万円という数字になっております。失礼申し上げました。
  66. 風間昶

    ○風間昶君 六年度は。
  67. 野村一成

    政府委員野村一成君) 六年度は約六億円というふうに理解しております。
  68. 風間昶

    ○風間昶君 五年度は。
  69. 野村一成

    政府委員野村一成君) 恐縮でございますが、後でお知らせさせていただきたいと思います。済みません。
  70. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  ちゃんと読まないであれしたので申しわけない、ロシアのセベロクリリスク市と根室市が姉妹都市を結んでいるようでございます、どこにあるかちょっとわからないんですけれども。  時間も余りないのであれなんですが、開発庁さんにもちょっとおいでいただいていますので一点ばかりお伺いしたいんですが、手元の資料で、一市四町ではないんですけれども、道立厚岸水産高校というのがありまして、この水産高校の入学者はもう徐々に減少してきていまして、昨年は四十五、六人入学して、漁業従業者もまた減ってきているわけですが、今年度は三十六人しか入学していないんです。昨年の平成六年度は漁業従事者は卒業者の中で三人だけなんですね、四十何名のうち。農業も深刻な後継者難ですけれども、漁業もさらに深刻だというふうに思うわけです。  と同時に、後継者の問題もそうですが、特に一市四町の北方領土についてはスケソウダラとか海藻では昆布が沿岸漁業の中でも基本的な重要な位置づけをされているんですけれども、昆布に関して言えば、昆布の胞子が岸壁に着床する前にいろんなモクだとかヒバだとかスガモだとかイシゴロモだとか石灰藻だとかという雑藻というのですか、雑海藻が繁茂して、昆布の生産が著しく減少しているわけです。五、六年前までは流氷が来て、流氷が海の底の雑海藻を掃除していってくれたんですけれども、温暖化もあるんでしょうが、流氷が来なくなったものですから雑海藻を人為的に今取っているんですね。漁船員の方が水中ブルドーザーとかキャタピラにチェーンをつけたりいろんな鎖をつけたりして、がらがらがらと一回雑海藻の芽を削って摘んでしまって、そうしますと、昆布の芽が生えてくるというあれなんです。  開発庁が直接の所管官庁じゃないんですけれども、雑海藻増加の原因追求のための実態調査は水産庁がやることかもしれないけれども、もしやっているんだとしたら開発庁もそれを押さえていなきゃならないわけで、把握しておりますか。
  71. 段本幸男

    説明員段本幸男君) お答えいたします。  昆布等のいそ根資源の減少を引き起こす雑海藻の繁茂の状況につきましては、昨年七月、地元市及び漁業協同組合が潜水調査を行っておりまして、私どもにもその調査結果の報告が来ております。根室管内の歯舞地区八十ヘクタールで潜水調査を実施いたしておりますが、問題になるのは製品となるナガコソブがどの程度の量がということなんですが、調査によりますと、一平方メートル当たりでナガコソブが平均二百六十グラムという量に対して、雑海藻が一万九百グラムという状況でございまして、ほとんどが雑海藻に覆われているというふうな状況でございます。恐らく周辺の他の地域についても同様の傾向にあるというふうに考えられます。
  72. 風間昶

    ○風間昶君 時間が来ましたので終わります。  済みません、開発庁さん。残りの部分はまた次回の委員会でお伺いします。
  73. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 現代のように非常に困難な問題の多いときに、我々、特に大事な問題は人類史の近現代がどういう方向に展開しているか、これを正しくつかまえることが大事だと思うんです。  そこで、楽天的な空想だと言われるのを覚悟で申しますと、世界は一体化の方向に進んでいる、政治は民主化しつつある、貧困は解消する方向だ、こういうことになると思うんです。それは第二次大戦が終わって五十年、明治維新はその八十年前であります。この三つの時期をとらえて、明治維新のころ、第二次大戦に負けたころ、それと今と、先ほども申しました三点がどういうふうに進んでいるか。これは急激に進んでいると言っても差し支えない、こういうふうに思います。  ところが、そういう極めて幸福な状態があらわれる前に重大な問題がありまして、その一つは、世界は一つになるんだけれども、その前に国家連合形態的な現象が急激にあらわれると。その一番早くいっているのはヨーロッパ連合でありますが、アメリカもNAFTAをいっておりますし、日本の近くではマレーシアのマハティール首相が大分前に言い出したEAECですか。これは、アメリカが非常に機嫌が悪くて日本は一歩退いた形でありますけれどもアメリカの熱心なAPECよりもEAECの方がはるかに日本にとって急ぐ現実的な問題ではないか。  二者択一はよくないと思います。EAECに六割ぐらいのウエートをかけ、APECには四割ぐらいで前進すると。それはあくまでも文明の進歩、歴史の前進に伴って一体化が進んでいく今の段階だからそうだと。アメリカさんもNAFTAを大いにやりたさい、同時にAPECも一緒にやりましょうやと、こういう姿勢をとることがまずまず適当じゃないかと思うんです。  第二は、途上国が先進国を追い上げてくると。これは、最近の中国あるいはインドの急激な前進を見ればもうはっきりしております。日本もぐずぐずすれば追い抜かれる、そういう状況であります。  そういう中で、大臣は核兵器の問題で非常に御苦労していただいたわけでありますけれども、核兵器にせよ化学兵器にせよ、科学技術の進歩に伴って途上国がこういう武器を手に入れることが非常に易しくなるわけですね。そういう状態の中で、今のように第二次大戦に勝った国だけが核兵器を持ってあとの国は持つなと、こういうようなことは、我々は非常に大人の態度で、私は大臣の姿勢を心から支持いたしますけれども、これは決して理想の状態ではない。幾ら先進国が頑張っても途上国が化学兵器あるいは核兵器を持つ意欲はたくならないし、またその可能性は高まるだろうと、そういう状態があります。  私どもは、戦争を放棄する以外に方法はないだろう。戦争は、既にベトナム戦争、アフガニスタン戦争を見ればわかるように、もう順策遂行の戸段としては戦争は全く価値を持たない時代に入っている。こういう今まで経験しなかった新しい段階を人類は生きているんだということをやはり国際会議で強調することが一つ重大な問題ではないか。  こういうことを考えに入れて、さて、我々は戦争が済んで五十年になるんでありますけれども、領土問題として、南と北と両方に困難な、ほとんど解決をしそうもないようた困難な状況を持っているわけです。沖縄の問題については外務委員会で少し大臣に申し上げて、おなかの中におさめておいてくださいとお願いしました。  つまり、アメリカと中国はこのままでいけば軍事的対立をいよいよ激化させる。そうすると、沖縄の米軍基地というものは、門本の安全を守るという意味をだんだん薄らがして米中対立の焦点として浮かび上がる心配が非常にある。だから日本は、死中に活を求めるほどの覚悟を持って米中に仲よくしてもらうということ以外に沖縄の米軍基地を返還してもらう方法はないだろう。これは非常に難しい問題でありますけれども、今後長期にわたって日本の政治を担われる方だからおたかに入れておいてくださいと、こう申し上げました。  ところが北方の方は、肝心のロシアが民主主義的に非常に混乱しているという状況でありますけれども、先ほど申し上げた理由によりましてロシアの政治もだんだんと民主化するに違いない。これは、マスコミが健全であって、選挙が公正に行われれば文句なしに民主化は進むわけでありますが、我々の国もその点では余り威張れませんけれども、しかし前進することは間違いない。  そういうことを頭に置いて、先ほど申しました国家連合形態、国境を近く持って文明の性格が比較的共通性を持つ国々が提携していくという場合には、今申しましたようにEAECが比較的、日本としてはアジアから離れる、アジアに背を向けるということはこれはできない相談でありますから、これを何とかスムーズに実現したいわけでありますけれども、できれば北方領土を頭の中に置きだから、サハリン州それから沿海州、昔はハバロフスク州というのがあったんですが、今はどうたっておりますか、あのあたりぐらいまでをこの国家連合形態といいますか、東アジア経済共同体として包容するようなことを、ロシア政府とうまく話がつけばの話でありますけれどもロシアは広大な国でありますからロシア全体とそういうことをするということは不可能でありますから、まず手近なそれぐらいのところを相手に、日本の技術力と資本力をもって、両国の友好を深める意味も含めて、東アジア共同経済圏の中に入れる方向に行けるのかどうか。  そういう努力の中で、ロシアのその地域の大衆が、日本は信頼すべき国である、日本と手を握ることは非常に幸福だと、こういうことを思われるような我々の努力が可能であれば、もちろんその中には極めて小部分ですけれども四島が入るわけでありますから、四島の住民自身日本への帰属をむしろ望むような状態を考えられないか。非常にこれは楽観的だと言われても仕方ない議論でありますけれども、今のような困難な状態において何らかの希望を探求するとすれば、まあ一つの問題として考えるに値するのではないか、こういうふうに思うのでありますが、大臣のお考えをお伺いいたします。
  74. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) アジアにおきますアメリカの存在というものをどういうふうに見るかというのが一つあると思うんです。  確かに、EAECというものはマレーシアなどが提唱をして、地域的にも一つの固まりとして、何といいますか、手ごろなといいますか、固まりではないか、こういうことを提唱されたと思うんです。それに対して、アメリカを初め非常にやかましく言っておりますのは、オーストラリアもそうでございますけれども幾つかの国が、せっかくAPECという、アジア・太平洋という経済について語ろうという会をつくっている中で、その中でまたEAECといって幾つかの国だけが組をつくるということは適当ではないんじゃないかという議論があるというのが今の状況だと思います。  私は、アジアにおきますアメリカというものは、実は今割合どうまくいっているんだろうと思っているんです。といいますのは、アメリカはアジアにやはり大変な関心を今持っております。その関心が、アジアに対する関心というと日本を通り越しているとかなんとかという議論はいろいろありますけれども、いずれにせよ日米関係はこれだけ大きな経済、貿易量でございますから、もちろんアメリカ日本を含めてアジアに対する大きな経済的関心を持っております。  また、アジアの国々はアメリカに対して大きな関心を実は持っているわけです。それは何かというと、アジア・太平洋地域がこれだけの経済発展を遂げたのはやはりそれが非常に安定しているからだと。つまり、安全保障の面でも非常に安定しておって、そこには大きなトラブルが起きないという状況がある。これがアジア・太平洋をして経済の大変な成長センターに育てているわけです。それはヨーロッパから見てもどこから見ても、やはりアジア・太平洋地域の経済というものは安心してつき合える経済だというふうに思われる大きな要素なんです。  つまり、いろいろな議論はありますけれども、今、アジアには幾つか面倒な場所があるわけです。南沙群島を初めとする地域とか幾つか問題の地域はあるけれども、そこにはやっぱりアメリカのプレゼンスというものがあって大きなトラブルにならない、あるいは大きくなくても小さなトラブルも今のところ起きずにいる。このことは、やはりそこにアメリカのプレゼンスというものが一つの安心感になっているからだということを、意識すると無意識であるといろいろあると思いますけれども、そういう理解があるんだと思うんです。ですからアジアの国々は、アジア・太平洋地域からアメリカがいなくなった方がいいというふうに思っている国は概してないと言っていい今の状況だろうと思います。  そしてまた、アメリカはそこにプレゼンスを展開して、その結果アジア・太平洋地域の安定というものをそこにつくり出すと同時に、アメリカはやっぱりアジア・太平洋に対して大きな関心を持って、経済的にもいろいろな仕事のやりとり、貿易その他仕事のやりとりを行っている。これは私は、アメリカとアジア・太平洋との間は今は非常にバランスのとれた状況になっているのではないかと思うんです。  したがって、その中でアメリカを排除する動きというものがあって、それはEAECがそうだというふうに私は思いません。EAECの方々も決してアメリカを排除しようと思っているとは、そんな説明を私は実は聞いていないのです。  EAECと言われる人たちは、コーカスというんですから集まって雑談をするというか忌憚のない意見交換をしようというサークルなんであって、それは目くじら立ててアメリカが排除されるというものではないのだという説明はなさるんですけれども、どうもアメリカは若干そこが気になって、聞いてみるとどうも事務局もかたりしっかりした事務局があって、場合によれば定期的に集まるんではないか、どうではないかということになる、なぜ自分を排除するそういう仕組みができるのかと。いや、あの辺の地域で、APECといったって大変広いわけですから、全部が集まるというのはなかなか難しいから、とりあえず周辺だけでも集まることは悪いことではないじゃないかという話があると、EAECをまずつくろうとしている国々が日本を誘い中国を誘い韓国を誘いという話になる。どうも、見ているとだんだん自分が排除されていくのではないかという、そういう感じを一時は持たれたと思うんですね。  我々も、どうしてそういうメンバーにたるのですか、その地域たら、例えばオーストラリア、ニュージーランドが入ったっておかしくないじゃありませんかと言うと、いや、どうもオーストラリア、ニュージーランドはまたちょっと違うんだというような話にたる。なかなかそこはちょっと微妙な関係に今なっているという状況だろうと思います。  話が長くなって申しわけありませんが、先生おんで東アジア経済圏というものはつくれないかというお話は、私は一つの構想だと思います。  少し長期的に考えれば、それはもうきっと地理的な、地政学的に言ってもそういうことはあるんだと思うんです。ただし、その東アジア経済圏の中に不確定要素がある、つまり朝鮮半島という。そして、その不確定要素は混乱要因になりかねない。私は、混乱要因になりかねないこの部分が、きちんとルールができて、お互いに一緒に経済関係を結んで平和裏に安定的にやろうじゃないかという話があれば、東アジア経済圏というのは、特に北海道の皆さんとか日本海側の幾つかの都市にとってみれば非常に意味のあるもので、現に環日本海構想なんというものがあるわけですから、十分そういう将来的な可能性はあると思います。  しかし、やっぱりそこには安定感というものがなければいけない。その安定感はどうやってつくるんだと。アメリカもかかわる、ロシアもかかわる。しかし、その朝鮮半島が持つ、言ってみれば何となく不透明な、よく見えない、そしてそこから来る不安定になりそうな感じというものが、やはり経済というものは安定した環境の中でないとやれないということの、つまり経済の足を押さえてしまっている部分というのがあるのではないか。  したがって、つまり政治が克服できる問題でありますから、政治はそういうものを克服する努力というものをしなきゃいけない。しかし、この努力は我々が一方的にするわけにはいかないんで、やはり朝鮮半島の人たちもそういう克服するための政治的努力をしてもらわなければならない。そして、お互いに本当に安心してつき合えるという状況をやっぱり早くつくり上げるということが大事なのではないかというふうに思っております。
  75. 武田邦太郎

    武田邦太郎君 お話は全く抵抗なしに伺えましたが、幾らか気になることをつけ加えれば、アメリカが東アジアに関心を持っていることは大いに結構なんですけれども、例えば南沙諸島の問題で東南アジアがアメリカのミリタリープレゼンスを求めるというような場合は、これは東アジアにとっては痛しかゆしなんですね。中国が暴れるのをアメリカが抑えてくれるということは力と力の問題でありまして、長く安定的な平和をそこにもたらす力としては少なくも理想的ではないと。それからアメリカ沖縄の基地も、あるいは膨大な資本、技術を中国の広大なマーケットに注入しているのを守り、にらみをきかせているというふうに中国側がとっていないでもないんですね。  でありますから、アメリカという国は非常にレベルの高い良識者を持つと同時に、非常に権力的なところがございますよね。だから、民族的混乱があるとすぐ軍隊をやりたがったり、経済問題が起きるとすぐ三〇一条を発動したがると。そういうことはやはり日本が大変な忍耐力を要するわけでありますけれども、それは世界の指導国として重畳ではないだろう、世界の多くの国が心から尊敬するアメリカはそうではないはずだというようなことを、まあ言うチャンスがあればの話でありますが、我々の願うアメリカのあり方はこうだと。  我々はAPECその他を通じてアメリカが東アジアと提携することは心から願うんだけれども、今のようなあり方では率直にアメリカありがとうというふうにはなりにくい面があるからというようなことで、これも非常に難しい問題でございますけれども日本が東アジアを通じて世界の平和への理想的な前進を、一等最初に申しました三つの人類史の前進方向に、極力犠牲、混乱たしに、東アジアからまず前進するのにアメリカも理解を持って、反発されないように、そういう努力をやはり日本が、先ほどお話がありました北鮮の核兵器の問題につきましても、ここで大臣がお話しになったような、ただ核兵器の問題だけじゃなくて、北朝鮮がめでたく南北一つになって東アジアの最も有能な一員となるようにということを日本が熱願していることを常に表明しだから、アメリカが今直接やっておるわけでありますけれどもアメリカ日本よちょっと力をかしてくれというような日本のあり方が、また積極的な、アメリカがやっているのを後をついていくのではなくて、前進する日本の姿勢ができればと、こういうふうに思いますが、よろしくどうぞ。  終わります。
  76. 市川正一

    ○市川正一君 本日、故山本富雄参議院自民党幹事長の党葬に私も参列させていただきましたが、葬儀委員長として大臣御苦労さまでございました。改めて心からのお悔やみを申し上げます。  さて、今回は時間も限られておりますので、沖縄における米軍基地問題に絞って外務大臣の基本的な認識を伺わせていただきます。  政府が作成した第三次沖縄振興計画、これによりますと、米軍基地は沖縄の地域開発や発展の大きな阻害要因にたっていると指摘しております。そして、沖縄県民も挙げて基地の縮小、撤去を願っております。  去年の秋の宝珠山防衛施設庁長官が基地との共生共存を求めたときに県民が強く反発いたしました。これは当然のことたんですが、そこで米軍基地について、特に県民生活の向上、沖縄の振興開発の促進という立場から大臣はどのように認識されておられるのか、まず確認をいたしておきます。
  77. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 沖縄におきます米軍基地は日本の全土の中の圧倒的なシェアを占めているわけでございまして、そういう意味から、少なくとも沖縄県民の皆さんに大きな負担をおかけしているというふうにまず思っております。  冷戦が終えんをいたしました今、確かに世界を分けて戦うというような大きな戦いがなくなった、その可能性は非常に少なくなったということは言えると思います しかし他方、地域紛争というものが現在この地球上に幾つもの地域で発生をしているという事実もまた我々は目をつぶるわけにはいかないわけでございまして、依然として私どもは日米安保条約というものが我が国の安全の上で重要な役割を果たしているというふうに考え、その結果、日米安保条約の取り決めにございます米軍基地というものに対して、我が国はその基地の機能が十分果たせるようなことを取り決め上のルールに従って行うということが重要で必要であるということもまた事実でございます。  沖縄県民の皆様方には、この基地の問題について長い間さまざまな御意見があり、あるいは要請を施設庁あるいは外務省にお寄せをいただいておることは私もよく承知をいたしておりまして、その要請の中には極めて切実なものもございますし、沖縄県民が沖縄で生活をする上においてこうしてほしいという御要請については、私どもとしてでき得る限りのことをしなければならないのは当然のことだと思います。  ただ、前段申し上げました安保条約というもの、そして我が国の安全を維持するという前提を除外するわけにはいかないということがございまして、そこの調和、何といいますか、その範囲の中での努力ということになるわけでございます。  長くたって恐縮でございますが……
  78. 市川正一

    ○市川正一君 なかなかお苦しいようでございますが。
  79. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 一月の日米首脳会談におきまして日米両国首脳が、沖縄の基地問題についての改善といいますか、問題について話し合われたわけで、この点につきましても総理からの特別の御指示がございますので、私としても全力を挙げて解決のために努力をしたいと思っております。
  80. 市川正一

    ○市川正一君 要するに、安保条約があるからしょうがないということなんで、あなた、私の時間の三倍も四倍もやられたのではアウトですがな。  ところで伺いたいのは、三月末から四月にかけて日米の安全保障担当実務当局者協議というのが開かれることにたっていたんですが、会議はやられたんですか。その日時、参加メンバー、協議内容などわかっていたら知らせてください。
  81. 時野谷敦

    政府委員(時野谷敦君) ただいま先生おっしゃいました日米の安全保障問題の実務者の会議でございますが、これは三月三十一日、四月一日にホノルルで開催いたしました。  お尋ねのメンバーでございますが、日本側からは、外務省は北米局審議官、関係の課長等が出席をいたしました。防衛庁からは平沢防衛審議官等。それからアメリカ側は、ハバード国務次官補代理、ウィードマン国防次官補代理等でございます。  協議内容でございますが、これは個々中身に立ち入って申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、地域情勢とか、日米間にいろいろございます日米安保体制上の円滑な運用ということを図っていく上での個々の課題の幾つか、そういうものを幅広く話し合ったと、こういうことでございます。
  82. 市川正一

    ○市川正一君 私の承知しているところでは、今も答弁がありましたけれども、この会議は、安保における日米対話の、まあ円滑とおっしゃったんだけれども、私から言えば強化を促進していくという、そういう一環の役割を果たしていると思うんですね。  アメリカはこの三月に、御承知のEASRなどアジア世界戦略の考え方を示す重要なレポート、一連の発表を行いました。これは主題ではありませんが、この中身は、日米軍事同盟を軸にしてアジア・太平洋地域に対するアメリカの軍事力体制を引き続き維持強化していく、そのために在日米軍基地と自衛隊がしっかり位置づけられている、そういうものと理解しております。これはまた大臣とやり出すともうエンドレスになりますから、これはおいておきます。  そこで、この実務当局者会議で、日本側はアメリカのこういう文書に対して何か見解は表明されたんですか。
  83. 時野谷敦

    政府委員(時野谷敦君) ただいま先生御指摘の東アジア戦略報告でございますが、これは先生がおっしゃいましたようなことといいますか、この報告が言わんとしていることは、アメリカが東アジアという重要な地域における同盟国に対するコミットメント、これを果たしていく、そのためにアジアにおいて今後とも現在の約十万という兵力を維持していくと、こういうことがこの報告の言っている中心点でございます。  日本側はどういう見解を持っているか、ないしどういう見解を表明したかということでございますけれども、私ども日米安保体制というものを重視しまして、そして我が国周辺の地域あるいはアジア・太平洋地域、こういうところでの米国のコミットメントを維持していくというこの報告の基調、こういう考え方は歓迎をしておる、支持しておる、こういうことでございまして、この協議においてもそういう趣旨の意見を述べた、こういうことでございます。
  84. 市川正一

    ○市川正一君 それでは、具体的に立ち入って伺いたいんですが、さっき大臣は答弁の中で、安保に基づくところの基地の機能を維持していく上で、取り決めに従って日本としてやるべきことをやっていると、こうおっしゃったんです。しかしながら最近アメリカが、円高や国防予算の削減を背景にして、米軍艦船あるいは航空機の修理費、在日米軍基地間の通信費、沖縄の海兵隊の実弾演習の移設に伴う将校宿舎や武器弾薬庫の建設、NLPの移転費用、こういう新しい負担増を強く求めているというふうにたびたび報道がなされております。  しかし、こうした費用は本来地位協定で米軍負担のものになっているわけです。これについて、さすがに政府も最近、現状維持として、新たな負担増には応じないという方針を固めたとも報道されております。  そうすると、この米軍駐留の経費負担、これは実務当局者会議では協議されたんですか。
  85. 時野谷敦

    政府委員(時野谷敦君) 実務者協議でも話題にはたりましたんですけれども、ただ実務者協議の場と申しますのは、いろいろな課題をいわばおさらいをするといいますか、そういう場でございまして、この場で交渉したというようなことではございません。  現在私どもは、先生今お話しになったと思いますが、駐留米軍経費にかかわるところの特別協定が来年三月に切れるという事態を踏まえまして、その後の駐留米軍経費負担のあり方というのはどういうことであるべきかということでアメリカ側と少しずつ話をしてきておる、こういう状況でございます。  中身に立ち入って申し上げられませんが、私ども、もちろん日本の財政の状況とかあるいは社会的、政治的な状況とか、いろいろだ要因を考慮しつつ、他方において、駐留米軍経費負担ということが日米安保体制を維持していく上での一つの重要た柱にたっている、こういう認識に立ってアメリカ側と話をしておる、こういう状況でございます。
  86. 市川正一

    ○市川正一君 安保自身が不平等条約であると同時に、大臣がさっき言われた言葉じりをとらえるわけではないけれども、まさにルール違反です。  去年の三月の米下院での公聴会で、太平洋軍司令官のラーソン大将が、我々は海外での軍事建設を数年にわたりゼロにしてきたと、こう証言しているんです。特にアジアにおいて、日本において。だから、特別協定は、もともと地位協定でできないものを、日本に負担義務のないものを無理やりに実施してきたものです。これを、新たな特別協定はもちろん、特別協定は今年度で終わるんだからもう打ち切るべきだという点は、大臣、先ほどの御答弁に照らして、良心に誓ってどうですか。  大臣は長くなるから、大臣の意を体して。
  87. 時野谷敦

    政府委員(時野谷敦君) 私どもは、ルール違反をしている、そんなことをしていたらとんでもたいことでございますので、ルール違反ということはいたしておりません。  安保条約及び地位協定に基づいて、この運用ということに対応してきているということでございまして、経費の問題について申し上げれば、地位協定とそれから国会でお認めいただきました特別協定、これは時限的、特別な例外的なケース、こういうことで労務費及び光熱水料について負担をしてきている、こういう関係になっている次第でございます。
  88. 市川正一

    ○市川正一君 そんたこと言うたかてあきませんがな。何ぼほおかぶりしても、これはもう破綻しているんだから。  そこで、時間が参りましたから、一間というか一問題だけやらさせてもらいます。  この間の本委員会で、外務サイドはお越しでなかったんですが、那覇軍港の問題を私は取り上げました。実務当局者会議で那覇軍港の代替地を浦添市の西海岸開発地内にすることに日米が基本的に合意したという報道が出ているんですけれども、これは本当ですか。
  89. 時野谷敦

    政府委員(時野谷敦君) 那覇軍港の問題につきましては、ただいま日米間の合同委員会のもとで作業グループをつくりまして検討いたしておりまして、その検討の方向は、沖縄本島の中部地区に移設する、こういうことを検討しておるということでございますが、浦添市に決定したというような状況ではございません。
  90. 市川正一

    ○市川正一君 最後に、それに関連して外務大臣にお伺いをいたします。  那覇軍港の西海岸開発地内への移転というのは、対象にたっている浦添市では絶対反対という立場、ここに新聞もございますが、そういう立場を強く表明しております。港湾地区とリゾート地区で構成される西海岸開発というのは、埠頭やあるいは港湾関連用地、卸売団地、港湾道路、これを整備する計画になっているわけです。那覇新港で扱う物流の三分の一を分担するという、そういういわば沖縄の将来の発展に重要なキーポイントをなす計画たんです。  これは沖縄先生方がいらっしゃるから、よう知っています。そこへ米軍施設を移設するということになると、西海岸の開発にとって大きな障害になることはもう本当に明らかなんです。沖縄県民の強い要求あるいは反対というこの声を押し切ってまで那覇軍港の移設を強行なさるのかどうか。  今日、利用頻度が通常よりは極めて低くなっている沖縄軍港、だから返還要求が起こっているわけです。この全面返還をこそ今要求すべきだと思うんですが、大臣の決意と所存を承って質問を終わります。
  91. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日米両国間には目下全面返還ということの了解が残念ながらございません。移転ということを計画いたしておるわけでございまして、仮に移転先となる地区に何らかの開発計画があるような場合には、当該計画との調和も配慮すべく努力することとしなければ……
  92. 市川正一

    ○市川正一君 大臣、移転だけじゃなくて縮小もあるでしょう。
  93. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 当該計画との調和も配慮すべく努力することになるだろうと。
  94. 市川正一

    ○市川正一君 浦添はやりますのか。
  95. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 浦添云々の話は、先ほど政府委員が御答弁申し上げましたとおりでございます。
  96. 市川正一

    ○市川正一君 やむを得ません。
  97. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 中尾でございます。  私も、北方領土関係について何間かの質問通告させていただいたんですけれども、先ほどの質疑でかなりの部分を答弁いただきました。なるべく重複を避けまして、北方領土問題について、一、二問最初にお伺いしたいと思います。  まず、ピザなし交流の問題でございますけれども、今回国会議員団が、坪井委員長を初め外務省の皆さんの御努力により北方領土訪問実現した。私も大変その努力に敬意を表したいと思います。  ビザたし交流、ことしで四年日を迎えまして、つい先日、ロシア側から訪問団が根室に入りました。資料を調べてみますと、この三年間でこちらからの訪問が十九回、およそ一千百人、受け入れが十八回、九百七十九人というふうに承知しております。私ども北方領土問題を解決する上でこうした民間交流というのは大変大事だろうと思って、その意義を高く評価するものでございますけれども、先ほど来の質疑にもございましたけれども、一昨年からロシア国境警備隊の北方領土周辺海域における日本漁船への銃撃事件等々もございまして、住民の中には右手で握手をしながら左手でピストルを持つとは何事かという住民感情も確かにございます。  ピザなし交流対話というのは私はさらに拡大すべきだと思いますが、この現地の声も含めてさらに本音で領土問題を語り合える環境づくりが必要じゃないかと思うのでございますが、それについて大臣のお考えを伺いたいと思います。
  98. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 北方四島周辺水域におきまして日本漁船の拿捕などが頻発する事態は、極めて遺憾でございます。その都度ロシア側に抗議の申し入れを行ってきているわけでございますが、こうした事態を改善し北方領土問題の解決に向けて前進を図るために何ができるかということを真剣に考えているわけでございまして、北方四島周辺水域における我が国漁船の操業枠組みに関する交渉というものをスタートさせたわけでございます。この交渉で、北方領土問題に関する我が方の基本的立場がそれによって損なうということがあってはなりませんが、そうしたことに十分気をつけたがら、あくまでも漁民の安全た操業ということのために意味のある結論を導き出してほしいというふうに思っております。  私はやはり、先ほど環境整備ということから議員の皆さんの四島訪問ビザたし訪問ということを提案して実現の運びになりつつあるわけでございますが、まさにお互いの信頼関係をつくり出すということが大事なのであって、できる限り言うべきことはきちっと言い、信頼関係をいろいろな場面でつくっていきたいというふうに思っております。
  99. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 余り残された時間もございませんので。  ある新聞報道によりますと、この三月二十二日に、ロシア側の国境警備隊の幹部が武力行使も辞さずみたいな強い態度で臨むというような話がございますので、枠組み交渉の中でも、少なくともこういった問題については毅然とした態度で臨んでいただきたいと思います。  それから、先ほど菅野先生からもお話がございましたが、外務大臣北方領土訪問、私は、まずその前に総理大臣の根室訪問といいますか、北方領土視察というふうに書かれているんですが、と申しますと、国内的には、これは昭和五十六年だったと思いますけれども日本の総理として初めて納沙布岬等を訪れたのは鈴木善幸総理だろうと思うんです。私も当時報道の一員として現場で取材をさせていただきました。  それから、ソビエトがロシアに変わりまして対ロシア政策、これは随分変わってきたことは承知しております。これ以上ロシアを刺激してはならないということも承知しておりますけれども北方領土返還に向けてやっぱり国内世論の盛り上がりというのが一つの大事な要素だろうと思うんです。  それで調べましたら、総理大臣の訪問がそれ一回きり。それから外務大臣が、これは一九八八年、宇野外務大臣だと思いますが、それが最後であるということであります。  友好関係を進めるのはもう当然でございますが、それについて、その訪問、現地根室訪問で旧島民の話を聞いたり、そういうことを私はぜひされたらどうかと思うんですが、二百大臣の所見を伺いたいと思います。
  100. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 先ほど御質問があってお答えを申し上げましたが、私としては、北方領土視察といいますか、根室等へお伺いをするということは、日程その他の都合がつけば私は行きたいという気持ちを持っております。  これは以前と違いまして、日ロの間には北方領土問題が存在するということを日ロ双方は認めているわけでございますから、当然視察をすることについて友好関係を害するとかそういったことに配慮する必要はないわけでございまして、私は、日程上物理的な都合がつけばそうしたことは考えたいというふうには思っております。  今直ちに日程を持っているわけではございませんが、本日お二方からのそういう御指摘もございましたので、頭に入れておきたいと思います。
  101. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ことし三月二日ですか、ロシアコスイレフ外相が来日しまして、河野外務大臣は精力的に七時間に及ぶ会談に臨んだと。大変御苦労さまでございました。  その中で、エリツィン大統領の来日の際の再確認というんですかね、北方領土問題の再確認等々もありましたけれども、そのほかにも人道問題等も話し合われたと聞いております。中でも、人道問題でシベリア抑留者の名簿の引き渡しもあったというふうに聞いております。このほかにも、在サハリンの韓国人問題等々北方をめぐる問題等々があったというふうに聞いております。  私は前にも、外務大臣が二年前に官房長官のときにいろいろ質問させてもらった問題なんですが、ソビエトから日ロの五十年にわたる戦後処理の問題でございますけれども、これは二年前の参議院決算委員会で取り上げました樺太からの引き揚げ船の問題でございます。  北海道の日本海留萌沖で、終戦直後の八月二十二日、三隻の船が撃沈されまして、推定で千七百八名という犠牲者を出しました。当時からソビエトの攻撃であろうと、私も当時報道記者の立場からいろいろそこまでは推測しておったんですが、二年半前に、ロシア国防省戦史研究所副所長から拓殖大学の棄教授あての手紙で、ソビエトの潜水艦の攻撃であるということが判明いたしました。  この問題を二年前に取り上げたときに、当時の河野官房長官は、やはりこれは早急に速やかに処理すべきだというお答えをいただきました。当時の武藤外務大臣コスイレフ外相に、この問題をやはりきちっと戦後の処理としてやるべきだというふうに申し入れたというふうに伺っております。  時間がございませんのでその会議録を紹介できませんけれども外務省も積極的にこの事実の解明に大使館を通じてやられているというふうに聞いておりますが、まだ誠意ある回答は得られていないということでございます。二年半もたちましたけれども、一体どういう理由からなのか、その事実だけちょっとお答えいただきたいと思います。
  102. 野村一成

    政府委員野村一成君) ただいま御指摘のございました樺太からの引き揚げ船三隻が撃沈された事件につきまして、まさに御指摘のとおり、大臣レベルに上げましてこの問題についてロシア側の回答を求めて為る次第でございます。中尾先生から三月八日でございますか外務大臣に対しまして陳情がございまして、改めてロシア側に対しまして、本件は大臣レベルにおいても要請が行われた政治的にも重要な問題であるということで、事実関係調査関係資料の提供について迅速な対応を求める旨申し入れを行いました。  その際、ロシア側からは、本件事件に関する情報は現在手元にない、しかし改めて、日本側の要請を踏まえまして関係の情報があるかどうかの点に関しまして引き続き調査したいという回答を得ております。  ソ連邦が崩壊いたしまして、旧ソ連時代には部外秘というか公開ということは考えられたかったような資料が公開されつつあるのが昨今の状況でございまして、ロシア政府がこの事件に関する資料を早急に公開いたしまして、事実関係を明らかにするということを期待しておるわけでございます。
  103. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 この問題についてなぜ私が取り上げるかといいますと、十数年のかかわりもあるのでございますけれども、やはり日本とソビエトの国民感情、特に日本の北海道の国反感情というか道民感情といいますか、やはり理解し合うし上では、こういった問題をうやむやにした上で理解というのは私は成り立たないということで、真の友好はそこに原点があるんではないかということでお尋ねしているのでございます。  遺族会が三年前に結成されたんですが、この事実が発見されてから翌年の六月、遺族会の代表五人がウラジオストクの太平洋艦隊を訪れまして、太平洋艦隊博物館館長などから、ソビエト潜水艦が事件当日の八月二十二日、留萌沖にいたことを示す作戦地図や、それから攻撃時間や行動を示す潜水グラフ等を見せてもらった、公開してもらった。名前もはっきりしておりまして、この潜水艦はL12号とL19号という潜水艦であったということで、この遺族会はこの年、一九九三年ですが、エリツィン大統領あてに哀悼及び陳謝の表明などを申し入れているわけでございます。  あちらの内政の問題で大変外務省の皆さんが御苦労されているのは私も常々伺っておりますけれども、それからロシア国内情勢、経済情勢も先ほどもお話がございましたけれども、チェチェンの問題、いろいろございます。確かにございますけれども、戦後五十年という節目でもありまして、やはりこれは早急に整理すべきではないだろうか。  ここまで情報が来ておるものですから、これについてより具体的な示唆といいますか、こういう情報があるんだけれども調べていただきたいというふうに外務省にもう一つのお骨折りをいただきたいなと思っているんですが、もう時間が来ましたので、それについてのお答えをいただきたいと思います。
  104. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 中尾議員からの御要請でございます。きちんと対応してロシア側にもその旨伝えたいと思います。
  105. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 終わります。
  106. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 さきの外務大臣の所信表明の中で、日米安保体制を高く評価し、そしてそれを堅持してやっていかれるというふうな表明がございましたけれども、私は、この安保体制を支える国内体制に明らかにアンバランスがあるということで、沖縄県民は人きた犠牲を強いられているという面から考えますと、外務大臣と明らかに意見を異にするわけでございます。  そういうふうなことで、私は機会あるたびごとに安保体制というものは沖縄の犠牲と差別を強いているというふうなことを申し上げているわけでありますけれども、見解の相違でありますけれども、もう一度外務大臣の所見を承りたいと思います。
  107. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 先ほど来申し上げておりますように、東西の冷戦が終結をいたしまして、地球的規模の戦争の可能性は大幅に減少をした。さらに、核大国の間の軍縮への努力が進んで、国際協調に基づく新しい世界の枠組みというものがつくられつつあるということは言えると思います。  しかしながら、私は、所信表明でも申し上げましたとおり、冷戦の終結後も依然として不安定要因というものは国際社会の中にございまして、我が国が引き続き安全を確保していくためには日米安保条約の必要性というものを私は申し上げなければならないと思います。  日米安保体制は、国際社会における広範な日米協力関係の政治的基盤にもなっておりまして、さらに、先ほども申し上げましたが、アジア・太平洋地域における安定要因として、アメリカの存在を確保し、この地域の平和と繁栄を促進するという役割も実は担っているわけでございます。  こうした状況の中で、沖縄県民の皆様方に基地問題で大変な御苦労を強いているということについて私どもも十分認識いたしておるわけでございまして、先ほども御答弁申し上げましたが、日米両国首脳会談におきましても、沖縄の基地問題を少しでも改善させるというためのできる限りの努力をするということについての両者の話がございまして、帰国後、村山総理から私にできる限りの努力をしろと具体的な御指示もあったところでございます。  したがいまして、日米安保体制というものが日本の国、そしてアジア・太平洋におけるアメリカの存在というものを考えましたときに、我々はこの体制を引き続き続けていくということの政策を変える気持ちはございませんが、沖縄県民の皆様方のお気持ちを体して、その改善のための努力もまた引き続き行ってまいりたい、こう考えております。
  108. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 極めて不満でありますけれども、時間がないので前に進みます。  さきに米国防省の二つの報告書が出されております。その一つは、二月二十七日の東アジア・太平洋地域における米国の安全保障戦略、三月一日の日米間の安全保障関係についての報告、この二つが出されております。  そこで、三月一日に出された報告書によりますと、基地の縮小を求める沖縄の世論が米国議会を動かした結果出された報告であるということを特に指摘しておかなければならないと思います。  そのことをアメリカ側は余り快く思っていないようでありますけれども、実はこの三月一日の報告書の資料の中で、米国政府も日本政府も、政治の場や影響を受けている自治体の米国への直訴ではなくて、政府間の合同委員会を通じて土地問題を解決するプロジェクトを支持しているというふうな評価アメリカ側はしているわけです。  私が申し上げたいことは、わざわざそういった重大な問題を念を押して議会や自治体が介入していくことにくぎを刺しているようだ感じであります。そういう役人同士の話し合いが、こういった日米間、とりわけ沖縄にとって極めて不利な状況に置かれているというふうに、その報告書を見ても明らかでありますので、やはりこの米軍基地整理縮小問題における沖縄県の努力としてこれを評価していただいて、基地の影響を受けている沖縄県の自治体が、現にこれまで五回もアメリカに直訴しに行っているわけです。また、この七月に大旧知事が基地関係市町村の皆さんと一緒になって六回目の直訴に参るわけであります。  そういうふうな前提の中にあっての直訴でありますから、やはり地方自治体がいかに苦しんでいるかということをそれなりの向こうの筋に訴えるわけですから、そういうアメリカ報告書みたいに言われると、何のために直訴をしに行くかということが非常に私はここで問題になると思いますので、外務省もそういった自治体あるいは沖縄県内のことを十分把握していただきまして、それを支援していくというふうな立場をとってほしいというふうに思いますけれども、どのようにお考えですか。
  109. 時野谷敦

    政府委員(時野谷敦君) もちろんアメリカ報告書が言っておりますように、基地の返還というような具体的な問題の処理ということになりますれば、当然直接的には政府と政府で処理をしなければならない、こういうことでございますので、報告書が言っておりますこともまさにそのことを指摘しているんだと思いますが、一方におきまして、おっしゃいますように、地元の方々がどういう意見を持っておられて、どういう要望を持っておられるかと。それから、まさに基地が存在する場所の地域社会と基地にいるアメリカの人たちとの、何といいますか意思の疎通、相互理解、交流、こういうものが極めて重要であるということもまたそのとおりでございまして、そういうことはアメリカ側も意識をしているというふうに私ども思いますけれども、今後ともアメリカ側にはそういう面での努力ということは従来以上にやっていくように促していきたいというふうに思います。  そういう意味で、今、先生おっしゃいますように、知事が訪米をされて沖縄県の抱える問題を直接アメリカ政府の関係者に伝えられる、こういうことは意義のあることだというふうに私どもも思いますし、その点では私どももできることはお手伝いをいたしたいと、従来からもしてきているつもりでございますけれども、そういうことは今後ともやらせていただきたいというふうに思います。
  110. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 報道によりますと、五月一日から玉沢防衛庁長官が訪米されるようでありますけれども、用件の中に沖縄の基地、特に三事案が入っていると理解してよろしゅうございますか。わざわざ出かげるわけですから、いわゆる沖縄問題の三事案について何らかの方向性が見出せるようた形で交渉なされるおつもりたのか、その辺について伺います。
  111. 坂本憲一

    説明員(坂本憲一君) 御説明申し上げます。  日米防衛首脳会談におきましては、日米双方の共通の関心事項につきまして幅広く意見交換が行われるものと考えております。  いずれにいたしましても、現時点で具体的な会談内容について申し上げる段階にないということを御理解いただきたいと思います。
  112. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 たくさん申し上げたいんですけれども、これまでの三事案に関する政府側の答弁を検討してみると、日本政府は米国に沖縄側の要求をどう伝えているのか、非常に疑問に思っております。  那覇軍港を条件つきで返還するといっても、沖縄にはどこにもいわゆる代替施設はないわけでありますから、四月二十二日の地元紙の報道によれば、さきもありましたように、当該地が基地として使用されることで毎年二百三十六億円以上の損失をこうむることになるというふうな試算を浦添市が発表しております。  このように政府は実際上、那覇軍港の無条件返還を要求したことがあるのかどうか、そういう市町村においては耐えられたい状態に追い込まれているというふうな実態があるものですから、あえてこのことについて米側の感触としてどのような方向性を見出していくのかということを御質問したいと思います。
  113. 時野谷敦

    政府委員(時野谷敦君) ただいま先生お尋ねの点は、やはり港湾施設というのはアメリカ軍にとりまして重要な施設でございまして、全面返還というのは困難である、こういう状況でございます。  先生御案内のとおり、この那覇港湾施設につきましては昭和四十九年に移設という条件つきで返還をしようということが日米間で合意をされておる、こういうことでございまして、それ以来の懸案でございます。したがいまして、私どもは、移設たしに返還というのは難しいということでございますけれども、移設ということの中で何とかして返還ということを実現するべく目下真剣に努力をいたしておるということでございます。
  114. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この問題については、いわゆる外交政策によって外務省が今日まで安保体制ということで堅持しておりますから、いわゆるこういった問題について、三事案についてどこがイニシアチブをとって解決していく方向なのか、防衛庁かどちらなのか、それをちょっと説明してください。
  115. 時野谷敦

    政府委員(時野谷敦君) どちらと申しますか、私ども、まさに防衛施設庁あるいは防衛庁と外務省、一緒にやっております。
  116. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 もう時間がありませんが、最後に、沖縄では全国にない祭日といいますか祝祭日といいますか、一日だけ法律によって追加されております。それは六月二十三日の沖縄の慰霊の日でありますけれども、私が申し上げたいことは、歴代の外務大臣がその日の式典に参列した記録がございません。そこで、河野外務大臣は、ことしの慰霊の日に沖縄訪問して、戦後五十年の米軍基地の実態と県民の平和に対する強い願望を御自分の目で確かめていかれるというおつもり、ぜひこの慰霊の日に沖縄訪問する機会はないのかどうか、その御意思をお伺いしたいと思います。
  117. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 沖縄県民の皆さんが戦争中、多大の犠牲を負われたことは忘れることはできません。改めて哀悼の意を表したいと存じます。  また、今もお話がございましたように、戦後も安保条約の目的達成とはいえ多大の御苦労をおかけしておりますことを心から感謝を申し上げたいと思っております。  今、六月二十三日という特定された日にちについてのお話でございまして、六月二十三日が一体どういう状況になっているかということ、今ちょっと私即答はいたしかねますが、以前にも国会の委員会におきまして、米軍基地の実情沖縄基地の実態、実情というものを一度見るべきではないかという御指摘がございまして、そのとき私はチャンスを見て伺いたいと思っておりますということを申し上げた次第でございます。  私自身は、官房長官当時、植樹祭がございましたが、その折沖縄に伺いましたが、しかし十分な時間がなくて十分あちこち拝見することができませんで、日を改めて、機会をつくって年来の気持ち実現させたいというふうに思っておるところでございます。
  118. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今の御答弁のように、ぜひ沖縄訪問して、基地問題その他について調査し、そして県民を激励していただきたいというふうに要望して、終わります。
  119. 坪井一宇

    委員長坪井一宇君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会