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武田邦太郎君 私が今、東アジアあるいは世界的と言ってもいいと思いますが、平和問題について一番心配しておりますのはアメリカと中国との軍事的対立てあります。
中国が核実験をやめない、海軍力の拡張を盛んにやっている、世界で恐らく軍備拡張に最も熱心な国でありますが、例の南沙諸島をめぐって東南アジア諸国は非常に中国を脅威としておる。フィリピンの
米軍基地撤退後においてもアメリカのミリタリープレゼンスを東南アジアが熱望しているということ一つを見ましても、容易ならぬ状態が今我々のすぐそばにあるということが言えますが、同時に、アメリカにとって大きな脅威は中国の核兵器の拡充だろうと思います。
私、昨年中国に参りまして、中国の要人と若干
意見交換をするチャンスがありましたが、中国としては
沖縄の
米軍基地をどう思っているかという
質問に対して、これはもちろんはっきりした
返事はいたしません、いたしませんが、非常に苦渋に満ちた表情で、ソ理解体以後において
沖縄の
米軍基地はどこをねらっているんだと、こういう表現で中国にとって容易ならぬ脅威が
沖縄にあるという認識を示したものであります。
こういう
状況において、もちろんアメリカも
米軍基地は非常に大事なところであって、これは
日米安保以上の意味をアメリカに持っている。特に、今日の中国の広い経済のマーケットに膨大な資本、技術をアメリカは投入しておるわけでありますから、その
安全保障のためにも
沖縄の
米軍基地は欠くべからざる役割を持っているというふうに理解されます。そういう
状況でありますので、
沖縄の皆さん、もちろん我々もそうでありますが、熱望おくあたわざる
米軍基地の
返還はこういう
状況のある限りは絶対絶望です。
唯一の活路ありとすれば、何とかして中国とアメリカが仲よくなって軍事的な心配のないような間柄にお互いになれないものかと。これは現状では夢のような話でありますけれ
ども、我々の平和理想に対する高まりというものは単なる平和理想ではありませんで、世界の歴史の現実に照らして人類は戦争を放棄しなければ安全はない、こういう歴史の
段階にある。軍事によってはもうほとんど何も
解決しない。それはPKOにおきましても、ソマリアからボスニアヘルツェゴビナに至るまで、軍事力は全く平和をもたらすことに意味を持たないのは眼前の事実であります。
我々は、そういうことの歴史的な認識において、アメリカ及び中国に対して、軍事力によって国際対立の解消を考えるなど、それは現実的に大変な間違いだということを堂々と
日本が言えるのかどうか。いつもアメリカの後塵を拝してちょろちょろ動いているような
日本の外交姿勢ではもちろんそういうことは言えない、言ったって笑われるだけです。
しかし、もしも我々のアドバイスを入れて軍事対立がなくなったならば、アメリカ及び中国の
政府の財政、国民経済がいかに楽になるか。そういうことを多角的に
検討して、いかに両国の国民経済なりあるいは財政なりが楽になるかを数字的に示すような
準備を十分やった上で両国に向かう。できればロシアに対しても呼びかけるべきだと思います。願わくは二十年期限、できれば三十年期限の
日本・中国・アメリカ不可侵条約を結ばないかと。そういう前提ができれば、そこに初めて我々の戦争放棄を両国あるいはロシアに向かっても声を大にして、恐らく世界の世論は
日本を支持するでしょう。そういうようなことが考えられないかどうか。
きょうは
外務大臣お見えでありませんからお
返事は要りませんけれ
ども、ぜひそういうことを
日本の世界政策の重要な一環、しかも眼前に迫った重要問題として御
検討をいただければ大変ありがたいのであります。
そういうことがうまくいったと仮定して、中国にとっては
沖縄の軍事基地は横っ腹にドスを突きつけられておるわけでありましてもう大変な問題でありますが、アメリカにとっては中国を制肘する上に絶対必要物ですね。ところが、そういうような今申しましたようなことが幸いにして実現すれば、これはアメリカは大変なお金を使って
沖縄の
米軍基地を維持する必要はないわけであります。そういうことを念頭に置いて、あの軍事基地が返された場合に軍事基地をどういうふうに使うのかということを具体的に考えるべきだろうと思うんですね。
それで、上原
長官のころこの問題をちょっと
お話ししました。先ほど製造業が不振であるという議論が出まして、順序からいえば製造業が発展しなければ農業は発展しないんです、どこの国でもそうでありますのですけれ
ども、そうばか旦言えない。世界の発展途上国は大部分が熱帯、亜熱帯でありますので、熱帯、亜熱帯の国がどうしたら国民経済的にレベルアップできるか、そういうことの世界的な研究教育
機関を
沖縄に設置すると。そして、アメリカはこれを望むか望まないか、それはいいことだとお考えならばアメリカにも一割か二割は金を出してくれと。中国には余り要求できないと思いますけれ
ども、共同研究ぐらいはやってくれと。やはり
日米中三国の平和的な
作業として、あの
米軍基地を平和によみがえらせるという
計画を、これも世界の英知を集めて説得力のある
計画を立てるということが翻ってあの
米軍基地を
返還してもらう一つの要素になる
可能性もあると思うんですね。
そういうことで、私は農業畑の人間でありますから農業が気になるわけでありますが、
沖縄の耕地面積は四万七千ヘクタール、農家戸数が三万九千戸ですから平均一・二ヘクですね。これではもう問題になりません。しかし、これは予算
委員会でも若干申し上げたんでありますけれ
ども、
沖縄の三万九千戸に対して後継者は百軒に一人しかおりません。
本土もそうでありますが百軒に一人です。
だから、現在の状態におきましては、一・二ヘクタールの営農規模が百二十ヘクタールに拡大せざるを得ない。急傾斜している。そうはなりませんけれ
ども、どこまで広がるかといえば、
可能性としては、急には農産物の自由化はできませんけれ
ども、若いジェネレーションに希望を持たせるためには、相当先だけれ
ども仮に自由化されても二次、三次産業とバランスする農業所得が得られるということを
計画すれば、百二十ベクはもちろん要りません、その三分の一ぐらいで十分だと思いますけれ
ども、そういうようなことをやはり今から、琉球大学農学部は優秀な教授がおりますが、そういう人たちがそういうことをやりたくても現実性がないから研究していないわけです。それを政治の側から、こういう
可能性がある、平和問題からいっても農業理想からいっても、まず
沖縄からこういう研究をやってくれ、こういうことを、
沖縄の比嘉さんなんというのは物すごい進歩的な学者でありますから、そういう人たちに問題提起いたしまして、サトウキビにしても非常に単収が悪いですよね。世界で一番単収が上がっておるのは
沖縄の二倍ぐらいはとっておりますから、これは品種改良にせよ基盤整備をやるにせよ、あるいは技術改良すれば単収は二倍ぐらいになる
可能性は十分にあります。砂糖はほとんど外国からの輸入品でありますが、消費は国内でもういっぱいあるわけです。幾ら増産したって足りません。
時間がないのでこれで終わりますけれ
ども、そういうことがありますので少し視野を広げて、そして少なくとも、さっきは防衛の見地から二十年、三十年というような話をしましたけれ
ども、せめて十年先を見た
沖縄の農業設計をやるようにお願いしたいと思います。
そういうことは上原
長官も、いいに決まっているけれ
ども、大変褒めてくださいましたが、ちょっと手は出ないなというような
感じのお
返事がありましたから、恐らくきょうもそういうお
返事だろうと思いますから余り詳しいことは要りませんけれ
ども、ぜひ現実問題として念頭に置いていただきたい、お願いいたします。