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1995-04-27 第132回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年四月二十七日(木曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大久保直彦君     理 事                 二木 秀夫君                 櫻井 規順君                 泉  信也君                 中川 嘉美君     委 員                 鹿熊 安正君                 河本 三郎君                 溝手 顕正君                 山崎 正昭君                 穐山  篤君                 渕上 貞雄君                 直嶋 正行君                 高崎 裕子君                 下村  泰君                 堂本 暁子君    国務大臣        運 輸 大 臣  亀井 静香君    政府委員        運輸省運輸政策        局長       豊田  実君        運輸省海上技術        安全局船員部長  加藤  甫君        運輸省港湾局長  栢原 英郎君        海上保安庁次長  松浦 道夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中島 啓雄君    説明員        外務省総合外交        政策局科学原子        力課長      高原 寿一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 泉信也

    泉信也君 今回の条約改正によりまして海洋汚染あるいは海上災害防止に関する規定が強化されるということを私は大変いいことだというふうに思っております。環境に対する汚染者負担原則ということに照らして考えますときに、今回の法改正がそうした観点からどのように位置づけられるのか、このことを中心お尋ねをいたしたいと思っております。  まず、四十条の二というところで、新たに備え置き義務が発生することになっております油濁防止緊急措置手引書というものがございますが、これにかかわります技術上の基準というのは今回の条約改正に絡んで改定されることになるのかどうか。特に、複合災害と申しましょうか単なる貯油タンクが破損するというようなことではなくて、地震一緒にそうした事態が発生した場合の対策等は盛り込まれておるのかどうか、こうした点についてまずお尋ねをいたします。
  4. 松浦道夫

    政府委員松浦道夫君) 御説明させていただきたいと思います。  特に、この間神戸で地震が起こったわけでございますけれども、幸いにあそこの場合は油の流出がございませんでしたけれども、大災害というのは起こる可能性があるわけです。従来、どちらかというとタンカーが衝突してそれで油が出る、そんなようなことを典型的なケースとして書かれているケースが多いんですが、今お尋ねのようなケースも当然のことながら想定いたしております。条約がということではございませんが。  そこで、考え方でございますが、まず防災のことに関しましては、今のようなことですと陸上タンク地震で壊れてそこから油が漏れ出る、そんなときの対応かと思うんですが、まずそれにつきましては石油コンビナート法だとかあるいは災害対策基本法だとか、そういういわば陸上分野での基本的な法体系がございます。その中でまず油が流れ出ないようなそういういろんな規制もございますんですが、出た後の対応につきましても同じように対策本部をつくるとか、そういうふうになっているというふうに承知しております。  そこで、それが陸上で抑え切れれば何も我々とかかわりがないわけですが、油が大量でさらに海に流れ込んできた、そういうときのケースかと思うんですが、これも海洋汚染防止法上は、陸上から流れ出てきた場合にも、タンカー事故でしたらタンカー原因者になるわけですが、同じように陸上タンクでしたら陸上タンク所有者原因者といたしまして、そこで措置命令をかけるとか、あるいは不十分の場合は海上災害防止センターに発動を命じるとか、そんな形でやります。  そういうことで、タンカー事故の場合と、それから今度の地震なんかの場合で海に流れ出てくるそういう場合は基本的には同じ体系で受けられるというふうに考えております。
  5. 泉信也

    泉信也君 恐らく、今回の阪神・淡路の災害の前にいろいろなことをお尋ねすれば、万全の対策がとれておるというようなお答えが、鉄道でも道路でも港湾でもいろんな災害に対してはお答えがあったと思うんですね。しかし、現実はそうはいかなかったと。これはいろいろな原因があったとは思いますが、今の海洋汚染問題等も、例えばオイルフェンスを展張する機械すら壊れてしまっておるというような状態も恐らく起きてくるんだろうと思うんです。  ですから、今おっしゃった石油コンビナート法あるいは災対法で整理ができておるということは私もそうだろうとは思いますけれども、さらに、技術上の基準等ももう一度この機会に見直していただくようなことが必要ではないかというふうに私は思っております。そういう点もこの際十分検討していただきたいという、この点については要望だけさせていただきたいと思います。  二点目に、今御説明がございました海上災害防止センター業務が幾つか新たに加わったように私は受けとめておるわけでありますが、四十二条の三十六というところに出てまいります委託による油の排出防止とか油の除去というのは、これはセンターの新しい業務ということになるんでしょうか。  また、六から八号は従来どういうふうな処理をしてこられたのか。例えば、海外からの研修生の受け入れというのは従来もセンターでなさってきたようでありますが、これを改めてセンター業務として規定をするという背景はどういうことなのかお尋ねをいたしたいと思います。
  6. 松浦道夫

    政府委員松浦道夫君) 御説明させていただきたいと思います。  まず最初お尋ねの、四十二条の第三十六、センター業務を書いているところの二号の表現につきまして表現を改めておりますが、従来はどちらかというと「消防船による消火及び延焼の防止」という消防イメージ、火を消すというイメージの方が書いてあるんですが、「その他海上防災のための措置」ということで、私どもはその後ろ側の方で実は運用をいたしております。  実は経緯的には、ちょっと当時にさかのぼりましてあれですが、この条文ができたときというのは、御承知のとおりの第十雄洋丸というのが東京湾の中で衝突して大火災をおこしまして、東京湾の中ではどうしようもないということで港外に引き出してそこで沈めると、そんなことまでやった。ああいう火災が大変大きい問題を起こした。あれを契機にしたものですから火災の方をちょっと中心に書いております。  実際上は、その後この二号を使ってセンターがやっていますのは、むしろ火災事故というのはたしか一件だけだったかと思うんですが、あとは油が流れ出たということに対して出動すると、そういうことでいわば油が中心になっているようなことでございます。実はそういうことだったんですが、今回の条約国内法国内体制をきちっと整備しようということがございますので、そこのところをきちっと油のことも書こうというので明文化したということでございます。  それから、あと六、七、八号のところでございますが、特にお尋ねの八号につきましては国際協力推進ということでございます。先ほども指摘のありましたように、タンカールートの国々の専門家の方といいますか、まず最初は例えばフィリピンだとかあるいはインドネシアのコーストガードとか、いわば海上保安庁に相当する係官の方なんかに来ていただいて研修を受けてもらうとか、そんなことで例えば平成六年度は十七カ国から二十二人の方を研修生として受け入れております。過去十三年間で百七十人の方の訓練を既に実施いたしております。それを今回、先ほど申し上げたような条約との関係国際協力をやろう、それも一つ条約ポイントでございますので明文化しようというものでございます。
  7. 泉信也

    泉信也君 特に、八号で海上災害防止ということから国際協力がうたわれておるわけですが、これはセンターの方が海外に出ていくと、日本海域外に出るというようなこともこの項目で読むということになるんでしょうか。
  8. 松浦道夫

    政府委員松浦道夫君) お答え申し上げます。  海上災害が発生しましたときに、防除するためには結構高度なテクニックといいますかノウハウが必要でございます。特に、潮がどうであるとか、あるいは油の性格がどうであるとか、風向きがどうであるとか、そういう状況によりまして随分手の打ち方が違うんだそうでございますが、そういうことにつきましてはこのセンター日本で唯一の専門機関としてもうすっかりノウハウは持っておりますので、これでまずノウハウを提供する、実際に起こったときに地元でコーディネートする、そういう役割として期待されますので、これでまず飛んでいくというケースが考えられます。そのほか資材につきましても、結構最新鋭のものをそれなりに備蓄しておりますので、これも持って届けるといいますか使ってくださいと言って提供する、そういうことも考えられると思います。  そんなことで、いろんなことにこたえられる専門機関として上手に育てていきたいと思っております。
  9. 泉信也

    泉信也君 こういう新たな業務が加わることによって、センターの組織とか陣容ハード施設も含めてですが強化するというようなことが起きてまいりますか。
  10. 松浦道夫

    政府委員松浦道夫君) まず、陣容という観点では人といわば施設、その二点あろうかと思うんですが、まず人につきましてはもう御時世でございますので今の体制で極力賄おうと。特に、実際防除をやるといったときにも、センターオイルフェンスを実際引っ張っていくそういう職員まで抱えているわけではありません。実は、そういう事態が起こったら日本の場合ですと各地に契約している業者の方がいます。そういう専門タグ業者の方とかそういう人にさっと依頼してやってもらう、そういういわばコーディネートとしての役割を持っていて、現場職員は持っておりません。そういう意味では、そういう有事がいつでも何回も重なって起こるというのは非常に想定しにくいものですから、今の陣容でやりたいと思っております。  ただし、物に関しましては、ハード面に関しまして今考えておりますのは、センターでちょっと弱いなといいますか、これからぜひやりたいなと思っておりますのは、オイルフェンスの展張なんかは横須賀の海面で展張したり、そういうのを外国の方に来てもらってそこで実際に訓練できるんですが、実際に油を流してこういう油ならこうなりますとか、そういう経験をしてもらう場、これはちょっと一般海面で流すわけにいかないものですから、そういう施設を今持っていないものですから、大きいプールをつくりましてそこでそういうことも経験してもらう、そういう意味ではプールをこれから増設したいということで考えております。  その他のオイルスキマーだとかそういう機器類につきましては、従来から最新鋭のものを少しずつ整えるということで、これはこれで従来からの延長線上でさらに充実させていきたいと思っております。
  11. 泉信也

    泉信也君 今のはセンターについてお尋ねしましたが、次に民間についてお尋ねいたします。  四十条の二で手引書を備え置くということが、従来の船舶所有者以外にも施設所有者というか設置者係留施設等にも義務づけられることになるわけですが、この手引書を備えつけることによってこうした方々に新たな体制を要求する、あるいは何らかの準備が必要になるというようなことが出てくるんでしょうか。
  12. 松浦道夫

    政府委員松浦道夫君) 基本的には、経済的負担というのはかからないと思います。  といいますのは、ここの趣旨は、要するに本当に有事といいますか事故が起こったときにはそれこそ、とりあえずは訓練があるとか何かあるんでしょうけれども、やっぱり大混乱してしまいますので、そこで絶対忘れてはならない連絡先電話番号をきちっと書いておくとか、あるいは非常招集体制をどうするとかいうのでそれぞれの自宅の電話番号を書いておくとか、あるいはどこに資材がどれだけ備わっているというのが一目でわかるようにしておくとか、そういうときのマニュアルでございます。  それを実は私どもモデルケースをお示しして、既にもう船につきましてはそういうのがあります、そういうことの経験がありますのでこういうのが有効である、そういうマニュアルだけを備えてもらうということですから、我々のこれからお示ししようと思っているモデルを参考にしてもらって、いわば冊子類のたぐいを各所に社内に置いていていただく、あるいは有事のときに使ってもらえるようにと、そういうマニュアル程度でございますのでそんなに経済的な負担にはならないと思っております。
  13. 泉信也

    泉信也君 今のお話ですと、マニュアルを備えつける程度という、緊急時の対応策を明記したものをそれぞれの場所に備えておくということになる程度だというふうに私は理解をいたしました。  それで、条約改正から始まりますこの新たな対応ができるのかどうかというのは私もう一つよくわかりませんが、今までの事故対応民間側対応にうまくいかなかった点、あるいはマニュアルどおりやったけれどもうまくいかなかったというようなことはなかったんでしょうか。
  14. 松浦道夫

    政府委員松浦道夫君) 過去何件か事故経験しておるわけでございますが、非常にうまくいった場合、それからそうではなかった、まずかったなというようなことがあります。例えばうまくいったケースですと、昨年の秋、和歌山下津港というところでタンカーに対して一般貨物船が衝突しまして、そこから油がばっと結構大きい量が出たんですけれども、非常にスムーズに処理ができました。  さらに、その一年前には必ずしも完全な回収ができなかったという、そういう反省したようなケースもございます。それにつきましては、気象条件が絡んでいたりあるいは場所が非常に人里離れているところであったりとか、そんなことでございますので、事故はどこで起こるかわかりませんので、そこへいかに駆けつけるかという駆けつけるときの体制をスムーズにするというのがやっぱり一番ポイントかなと思っております。  そういう意味では、マニュアルの中でそれぞれ備えつけておく場所、今度の場合は施設ですから船の場合と違って場所が特定されますから、そのところどころの的確な場所のあれを地元海上保安部あるいは保安署人たち一緒になってここの方がいいんじゃないかとか、そういうことで御指導を申し上げたいなと思っております。
  15. 泉信也

    泉信也君 海洋汚染にもう一つ大変重要な役割を果たしていただかなきゃならない海上保安庁役割についてお尋ねをいたします。  四十三条の二で従来の三大湾、瀬戸内以外の海域にも排出油防除計画をこれからつくるということになるわけですが、このことによって保安庁の体制をソフト、ハードを含めて強化するというようなことが必要になってくるんでしょうか。
  16. 松浦道夫

    政府委員松浦道夫君) 今のお話しのような排出油防除計画を、これは従来は事故の蓋然性が非常に高いところにこういうものをきちっと備えておこうということで、東京湾だとかあるいは伊勢湾だとか瀬戸内海等に限定をしていたんですが、ここ四、五年前でございましょうか、京都の舞鶴沖の丹後半島のところで事故が起こりましたりとか、あるいは一昨年の福島県いわき市の沖合での事故だとか、そういうことでタンカーが非常に数が多く通っているところ以外でもそういうケースがありますので、したがって、これは特に条約と直接リンクしているわけではございませんが、条約でも国内体制を各国それぞれ一生懸命やろうじゃないかというあれがありますので、そこを受けまして気合いとして全国やろうじゃないかということになったわけです。  そこで、くまなくこの場所事故が起こった場合にはどういう影響が出るんだろうかというのを事前に計測しておいたりとか、あるいは先ほど言ったような備蓄の資機材がだれの持っているのがどこにあるかと、お互いに持ち寄らにゃいかぬわけで、そこの有効活用するためにどこにあるだろうかとかいうのをやって、それから次の条にございますような協議会ということで関係者が一堂に会するわけですが、そこの共通のマニュアルにするとか、そんなようなことであります。  基本的には海上保安庁がこれで新たな何かをしないといかぬというものではないと思うんですが、計画をつくったりとか、あるいは協議会で皆さんと相談する会合を開いたりとか、訓練をやる場合も、それから発展して出る場合もあると思いますが、これはこれで一生懸命やるべきものかなということで取り組んでまいりたいと思っております。
  17. 泉信也

    泉信也君 今、民間それからセンターそして海上保安庁という三者の役割をそれぞれお聞きいたしました。基本的にはセンター業務が少しふえたかなということで、あとは従来の対応条約改正に絡んだ今回の法改正もやれる、こういう判断をしておられるように私は思いました。それで、検討されていいということであればそうかなと正直に言って思うわけですが、やはり汚染者負担原則というものを強く意識をして今後ともこの対応をしていただきたい、このように思います。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  18. 中川嘉美

    中川嘉美君 私は、まず法改正背景となっているOPRC条約について伺っていきたいと思います。  このOPRC条約は、平成元年の三月、例のアラスカ沖エクソン・バルディーズ号の大規模な油流失事故を教訓として、油流失時における防除体制の強化と、そして国際協力体制の確立、こういったことのために平成二年十一月にIMOで採択されたわけであります。この間、平成五年にはスマトラ沖マースク・ナビゲーター号油流失事故が発生しております。  したがって、この条約必要性がますます増大しているにもかかわらず、平成七年のことしになってようやくこの条約に加入するというのは、先進国として対応が余りにも遅過ぎるんじゃないだろうか、このように思います。ことしの五月十三日に条約が発効したとしても、我が国にとって効力が生じるのはさらに先になるということです。当然この法律の施行もお預けになるということになるわけです。  そこで、大臣に伺いますが、IMOで採択されるいわゆる安全確保とかあるいは環境保全等にかかわる条約について、世界有数石油輸入国でありまた海運国である我が国は、今後諸外国に率先してこういったものに加入していくべきではないかと思いますけれども、御見解を伺っておきたいと思います。
  19. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員指摘のように、海洋日本にとりましても、また油を外国に依存しておるという我が国経済体質からいいましても、まさに海洋汚染防止する、特に油の流失事故に伴う汚染を早期に迅速に除去するという、そうした体制をとるということは極めて重要だと思います。これを日本だけでということではできないことでありますので、御指摘のように国際的な協力がどうしても必要になるわけでありまして、当内閣といたしましては初の通常国会にこうして速やかに提出をいたしまして国会の御審議を賜るという対応をいたしておるわけでございます。  我々といたしましては、委員指摘のようにもっと早く何年か前にきちっと対応すべきことであった、このように思っております。委員の御指摘のとおりでございます。
  20. 中川嘉美

    中川嘉美君 私は、将来のことを考えますともっと積極的な姿勢に立って臨むべきではないかというふうに思います。というのは、中国を含めたASEAN諸国においては石油需要が急増しているわけです。日本近海も含むアジアでの海上輸送量が増大することはもう目に見えている。通産省の総合エネルギー調査会の試算によりますと、二〇〇〇年にはASEAN諸国石油消費量日本を上回って、特に中国は二〇一〇年にはアジア地域需要の三三%を占める、こういう石油消費大国になるというふうに言われております。  アジア地域の急激な石油需要の拡大というものは、資源問題とかあるいは環境問題、こういった構造的なエネルギー問題として深刻なものはありますけれども実態面で見れば頻繁化する海上輸送に伴って発生が懸念される海洋汚染事故等に対する予防的な取り組みというものが急務であるというふうに私は思います。  そこで、どうすればいいかということですけれども、先ほどの御答弁にも若干触れられてたようですが、私は日本がリーダーシップをとって、アジア地域全体がこういった問題を話し合うようなそういった枠組みをつくるという積極的な姿勢を示していく必要があるんじゃないだろうか。ここでこの点に関する大臣の御所見もあわせて伺っておきたいと思います。先ほど御答弁で若干これに関することを述べておられますけれども国際会議を開いて頻繁に行うようなこういった枠組みということについてはいかがでしょうか。
  21. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員指摘のように、産業活動に伴う公害防止というのはこれはもう絶対に不可欠なものでございまして、今度もそういう意味では油のことについてということで限定しておるわけじゃございませんが、油消費に伴ういろんな公害問題等につきましても、村山総理中国に出かけまして、向こうの政府とそうした公害防止ということについて日本としても積極的に協力をいたしますということのもとでの協議もして帰る予定にいたしておるわけでもございます。  おっしゃるように、我が国独自の努力だけでは解決することではございませんので、そうした公害防止ということをまさに世界協力の中で推進をしていく。その中で、日本が具体的にそういうことに私は金をかけるのは幾らかけてもいいと思うわけでございまして、従来の経済援助というのもただ単にその国の産業活動援助するというだけじゃなくて、それがやはり地球環境を守るという観点からきちっとなされるかどうか、そこの点にODAを含めまして焦点を当てた援助に切りかえるべきだということで今やっておるわけでございますので、委員の御指摘のとおり、海上の油の汚染の問題につきましても、場合によっては経済援助等を含めてそうした日本の施策の中に具体的に入れ込んでいきたい。また、いろんな国際会議その他の場でそういう協力を求める努力をしてまいりたい、このように思っております。  また、そういうことの中で必要があれば、委員指摘のように事務レベルでのお互いにこういう問題を協議する場というのも必要であろうかと思いますので、そのあたりも関係国協議をいたしましてそうしたことについても取り組んでまいりたい、このように考えています。
  22. 中川嘉美

    中川嘉美君 将来を展望し認識をさらに新たにしていただいて、ひとつ積極的かつ具体的な取り組みを開始されることをここで要望しておきます。  さて、改正案について若干伺いますが、まず油流出事故を発見した船舶等通報に関し所定の規定整備がなされておりますが、具体的には、海洋施設等から油の排出があった場合には、当該施設管理者等特定油以外の油についても海上保安庁の事務所に通報を要する、それとともに油の排出のおそれがある場合にも通報を要することとしております。この通報によって海上保安庁は直ちに油の流出事故を把握することができるわけですけれども通報を受けた際の海上保安庁役割、そして通報を怠った際の罰則規定みたいなもの、こういったものについてどのようになっているのか、確認をしておきたいと思います。
  23. 松浦道夫

    政府委員松浦道夫君) 御説明させていただきたいと思います。  まず前段の方の、海上保安庁通報をもらった後どういう役割を果たすのかということでございます。何点かございますが、まず海上保安庁の飛行機を飛ばすことになると思います。場所にもよりますけれども飛行機を飛ばします。あるいは、近くにいる巡視船をまず駆けつけさせまして、全体がどうなっているだろうかという状況把握というのが必要になると思います。それをまず私どもとしてやることになる。  それからもう一つは、状況把握をしながらどういう体制をとればいいかなというのを頭に描きながら、先ほど言った港湾管理者とか、あるいは被害を受ける漁協の関係者にも手伝ってもらわなければいかぬ場合があるし、あるいは御自身でも対応をお願いしなければならぬ場合もあります。そういう関係者、沿岸の地方公共団体初め港湾管理者とか漁業者団体だとか、そういうところにまず連絡をすることになると思います。  それから、先ほど泉先生のお話にもありましたように原因者措置をするのが、最高の義務者でございますので、その人に対して現場で指導をするというのがこれもまた海上保安庁でなければできない役割かなと思っております。  防除措置を命じてもなおかつ不十分な場合、あるいはその人では能力を超えているなというようなケースもあります。そういうときには、海上災害防止センターが全体でいつも訓練を組んだりあるいは態勢を整えておりますので、そこに出動を指示する場合、あるいは原因者とその海上センターの中をとって委託契約を結ばせる場合、そういうことで態勢をとらせることになると思います。それからさらには、当然のことながら我々も防除資機材を持っていますから、それも使わせていただくということになろうかと思います。  それからもう一つは、間接的になるんですが、こういう事故現場に、日本の近辺ですから結構どこでも船の航行があると思いますので、そういう人たちへ累が及ばないように交通整理といいますか退避を命じたりあるいは航行制限をかけたり、そういうことも我々でなければできない仕事がなと思っております。  さらにもうちょっと大きい事故の場合ですと、日本の場合は比較的想定しにくいんですが、大事故で隣接国に影響が出るというようなことが想定される場合には、これは条約上の義務として締約国はその影響を受けそうな国に連絡する、これも大きい義務の一つでございます。  最後のものは日本の場合はちょっと当てはめにくいかなと思いますが、概略はそういうところでございます。  それから二番目のお尋ねでございます。そういう原因者はまず自分で防除措置を講じる、本格的な措置を講じなさいというんですが、その前に何よりも海上保安機関に連絡をしなさいというのを義務づけているわけですが、それにつきまして報告を怠ったりあるいは虚偽の報告を行ったりした場合には三十万円以下の罰金を科すことになっております。
  24. 中川嘉美

    中川嘉美君 次に、油流出事故のときのガイドラインとも言うべき油濁防止緊急措置手引書の備え置き等の義務化が、百五十総トン以上のタンカーが係留できる係留施設、それから貯蔵能力が五百キロリットル以上の保管施設に拡大されたわけです。今回、新たに手引書の備え置きの対象となる事業所はどのくらい見込まれるか、その負担増はどのぐらいになるのか、さらにいつまでに実施されなければならないのか、この三点について伺っておきたいと思います。
  25. 豊田実

    政府委員(豊田実君) お答えいたします。  今回新たに義務づけられた施設として、今お話のございましたように五百キロリットル以上の油を保管することができる油保管施設、それからもう一つは、総トン数が百五十トン以上のタンカーを係留することができる係留施設、二つの施設でございます。  まず保管施設の方が二百六十カ所、それから係留施設が百八十、それぞれございますが、両方を兼ね備えている事業所が七百八十ということで、合計しますと全体で千二百二十の事業所ということでございます。  それからもう一つ負担関係でございますが、先ほどもちょっと御議論ありましたが、今回の改正に基づきまして新たに事業所で何か設備を設置するとかいうことはございませんで、緊急の手引書を備え置くということでございます。それで、その手引書を作成するに当たりましても、海上保安庁関係者がよく調整しましてひな形をつくりまして、それを講習会等でよく御理解いただくということで手引書の作成を円滑化させたいと思っております。  それから実施時期でございますが、これは条約関係国内法ということで、条約日本国について効力を生ずる日から実施ということでございますが、具体的には、別途条約を今国会で御承認を受けるために今提出しておりますが、御承認を得た上で条約の加入書をIMOの事務局長に寄託、その日から三カ月を経過した日ということになります。おおむねことしの秋口から実施するということを期待しております。  以上でございます。
  26. 中川嘉美

    中川嘉美君 過日の阪神大震災を持ち出すまでもなく、我が国世界有数地震国であって、その意味では五百キロリットルの流出事故でも被害はかなりのものになると考えられるわけです。この基準以下の施設についても油濁防止緊急措置手引書の備え置きを奨励するなど、五百キロリットル以下でもそういうことを考えて一層の安全対策に努めるべきではないか、こういうふうに私は思うんですが、この点はどうでしょうか。
  27. 豊田実

    政府委員(豊田実君) 今回の法律の改正で、法律上義務づける施設として一定規模を設けております。海洋汚染の蓋然性が高いとか、海洋汚染の規模の大きさとかいうような観点から一定の基準というものを設置したわけですが、お話しのように、海洋汚染については規模の小さいケースでもかなり影響が大きいケースがありますので、私ども手引書そのものの法律上の義務はそういうことでございますが、この海洋汚染防止法に基づいて、例えば排出規制とか事故時の通報義務とか応急措置義務というような一般的な規制は当然ながらこの基準以下の施設等についても適用しております。  一般的な事故の発生において対応するマニュアルといいますか、そういうものについては日ごろから全国的に海洋汚染防止講習会というものを設けまして、規模の大小を問わず関係の方にその徹底を図ってきておりますが、今後ともその努力をしていきたいと思っております。
  28. 中川嘉美

    中川嘉美君 そもそもこの油濁防止緊急措置手引書というのは、船舶について前回平成四年の当法律の一部改正の際に義務づけられたというふうに了解していますけれども油流出事故時に果たしてどのくらい役立っているのか、この辺がどうもよくわからないわけです。運輸省は、前回導入から今日までに船舶所有者等からもたらされた手引書の有効性とかあるいは使用状況、こういったものについての実情も把握しておられることとは思うんですが、その実情なるものがあればちょっと聞かせていただきたい。
  29. 豊田実

    政府委員(豊田実君) 船舶について御指摘のとおり既にこの手引書は備えつけがスタートしておりまして、既に四千隻を超える船舶が備えつけをしております。  具体的ないろいろなケースがございますが、ごく最近、この一月三十日ですか、京浜港で起きた油タンカー事故というものを例にとりますと、早朝七時三十五分に事故が発生したということですが、その五分後には既に通報を受けて海上保安庁が出動、防除作業をするというようなことで、ほかのケースについてもこの程度の時間差といいますか、で態勢が整うという状況で、この手引書はそういう意味では乗組員等に非常にきちんと徹底されているというふうに考えております。
  30. 中川嘉美

    中川嘉美君 それでは次に、今回の改正では海上保安庁長官が作成する排出油防除に関する計画の作成対象海域を拡大するわけでありますが、現在この排出油防除計画の作成が東京湾、伊勢湾等の六海域の船舶ふくそう海域に限定されているわけですね。この理由はどんなところにあるのか。  あわせて伺いますけれども、現行の六海域以外でもタンカー事故は発生しているわけです。当然大規模油流出事故もこれは予想されるわけでありますが、海上保安庁は早急に全国をカバーできる排出油防除計画を作成して万全の体制をとるべきことは当然だと考えるんですが、今後の計画作成の見通し。それから、ことしは河海域作成して、全国をカバーできるのは一体いつごろなのか、この辺についてもちょっと伺っておきたいと思います。
  31. 松浦道夫

    政府委員松浦道夫君) 最初の御質問の海域を拡大する趣旨でございますが、従来六海域というのが計画対象の海域であったわけでございます。これの趣旨というのは、調べてみましたら要するに大型タンカーが相当頻繁に動いていて、それで事故の起こったときに被害が大変大きく想定される、そういう場所ということで東京湾だとか瀬戸内海だとか、そういう船舶交通が多くなおかつ大型タンカーも通っている、そんなことで非常に極めて危険性の高い、逆に言うと事故の起こったときの備えの重要度の非常に高い海域についてこういうのもやってみようということで今まで取り組んできたわけでございます。  ところが、最近の事故ケースということになりますと、先ほどもちょと御説明申し上げたように、裏日本といいますか日本海側の京都の丹後半島のところで起こってみたりとか、あるいは福島県のいわき市沖で現に事故が起こったケースがおととしございますが、そういういわば余り交通量の多いところではないというようなところでも事故は起こります。そして、それは結構被害が大きいものがございます。そんなことで、特に今度のOPRC条約というのを締結しようということで、その中で各締約国は国内体制をきちんとしようではないかという一つの申し合わせがございますので、そういうもののいわば趣旨を体しましてこの際全国全部カバーしようではないか、そういうことで全般の海域を対象にしようということにしたわけです。  それと、さらには対象の油の種類も、従来重質油といいますか重油だとか原油だとかいわば被害の明らかに大きいものに限定していたんですが、軽質油は比較的影響は少ないと思われるんですが、それはそれで動物に影響が出るとか、そんなこともございますので軽質油も対象にして考えようということで、油の種類も拡大して考えております。  そこで、第二点目のお尋ねのいつごろまでに、早くやるべきではないかということなんですが、私どもも既に過去の経験もございますのでそんなものも踏まえながら、それから各地各地ごとの特性もございますので、これも関係者の御意向だとかも聞きながらまとめていかにゃいかぬと思っておりますので、できるだけ早くやりたいというふうに考えておるということでございます。
  32. 中川嘉美

    中川嘉美君 海洋汚染ということに関連しまして、ロシアの放射性廃棄物の投棄について一、二点伺います。  平成五年十月にロシアは日本海に放射性廃棄物の投棄を行っているわけです。さらにロシアは二回目の投棄を行おうとしたわけですが、我が国の抗議によって二回目の投棄を中止しています。ロシアは、その後の低レベル放射性廃棄物海洋投棄の全面禁止を盛り込んだロンドン条約の改正、これにも参加していないんですね。その後、平成六年一月に我が国はロシアに放射性廃棄物の緊急貯蔵用としてタンカーを供与しているわけですが、平成六年四月、ロシア沿海地方の放射能安全調査委員会が日本海への再投棄の勧告を行っているんです。そして、五月に日本が小型の海上附帯施設を建設して廃棄物を処理することで海洋投棄が当面回避されたにもかかわらず、八月にロシア太平洋艦隊司令部がロシア政府に投棄再開、これを打診しているんです。  ここで外務省に伺いますが、我が国の現在の支援をもってロシアの放射性廃棄物の処理は十分賄えるのか、さらに今後放射性廃棄物の海洋投棄の心配はないのかどうか、ちょっとこの辺をめぐって答弁いただきたい。
  33. 高原寿一

    説明員(高原寿一君) 御説明申し上げます。  委員指摘我が国の支援による液体放射性廃棄物の貯蔵処理施設の建設でございますが、従来我が方といたしましてロシア側との間で本件につきまして緊密な協議を重ねてきたところでございます。その結果、建設される貯蔵処理施設が極東における液体放射性廃棄物の海洋投棄を将来にわたり防止する上で十分な貯蔵処理能力を持つものとなるよう、鋭意努力しているところでございます。これに加えまして、ロシア側としても、最終的に海洋投棄の全面禁止を実現するという方針のもと、みずから廃棄物の一部処理等の措置を講じていると承知しております。  私どもといたしましては、これら日ロ双方の努力を通じ、極東における液体放射性廃棄物の海洋投棄は防止されるものと期待しているところでございます。
  34. 中川嘉美

    中川嘉美君 時間が来ましたので、最後に一点だけ伺って終わります。  今後ともロシアが放射性廃棄物を海洋投棄しないように注視していくとともに、これはもう当たり前のことです、その処理に対しても積極的に支援を行って放射能による海洋汚染防止していくべきだ、このように思いますけれども、この問題に対する今後の対応について最後に御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  35. 高原寿一

    説明員(高原寿一君) 先ほど申し上げましたこれまでの一連の協議におきまして、我が国といたしましては、放射性廃棄物の海洋投棄が再び行われてはならないという立場を繰り返しロシア側に対し説明し、またロシア側としても、最終的に海洋投棄の全面禁止を実現するという方針は不変である、そのために自助努力を継続していくということを言っておりまして、その点確認しております。  また、具体的には、ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄を防止するには放射性廃棄物の貯蔵処理問題の解決が不可欠でございます。これは一義的にはロシアがみずから解決すべき問題でございますけれども我が国としても貯蔵処理施設の建設につき協力する方針であり、この施設の早急な実現に向けて今後とも努力してまいりたいと思っております。
  36. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 水難事故における救難活動では水難救難所員の方が身分保障のないままボランティアとして命がけで行っているということで、私はいつも頭が下がる思いでいるわけです。この身分保障の問題については大臣がかわるたびに質問もし、海上保安庁の方にも何度も部屋に来ていただいて私強く求めてもまいりましたが、なぜ私がこの問題を重視し執念を燃やしているのかというと、それはこのボランティアの活動が今や公的な業務活動になっているからだということなんですね。  第一に、国民のレジャー志向によって水上スポーツとか遊漁などに伴う水難事故が多発して、国民的な救護活動になってきている。  それから第二に、海難救助の責任というのは国にあり、だから海上保安庁が全面的にその責務を遂行するということになっているわけです。ところが、私の北海道でもこの海上保安庁の出先機関というのはわずかに十六カ所だけということで、救難所が補完的な役割をしているというのが実態で、全国的にも、平成五年度の民間による救助を見ましても四八・五%が民間による救助になっているというのが実態なわけですね。  それから第三に、北海道の南西沖地震の際にもそうでしたが、津波とか高潮などの水の災害が発生した場合には、災害対策本部とか被災自治体から出動要請を受けてこの救難所員の方が活動するというような、こういう状況でいわば活動の中身が大きく変化をしている。  しかし、この活動がボランティアということで、水難救難所員の方が無報酬、無償でみずからの出漁を取りやめたりして、経費をかけ労力も負担してまで奉仕するにはもう限界に来ているというのが私は実情だと思うんですね。しかし私、多くの救難所の方にお話を伺っても、目の前で水難が起こっているととても目をつぶることはできないということで、命と財産を守るために本当に真剣な活動をされているということです。  これは、小笠原前議員がこの問題を質問して当時の大臣が検討を約束されてはやもう四年近くがたとうとしているわけで、なかなか具体的に進んでいかないという中で、自治体はある意味ではしびれを切らして既に条例をつくったりあるいはつくる動きがあるわけですね。自治体がこういう救難の体制とか身分保障についてこのように積極的な決意をしてその方向を示しているという中で、国としても自治体のこういう手法を含めて活用するという立場でここは積極的に検討していただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  37. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 水難救難所員の方々が身の危険も省みずそうした活動を行っておられるということに対しましては、本当に心から感謝を申し上げ敬意を表したいと思うわけであります。  この問題について一つ難しい問題は、消防団員と同じようなそうした身分保障なり権利義務関係を適用していくのがいいのかどうかという点であります。消防団員そのものというふうには委員もお考えになっておられないようでありますけれども一つはそうしていった場合今度は義務というのが生じてくるわけでありまして、出動の命令が下りますと従来任意ですけれどもそれに対して義務が生ずるという問題が出てまいります。そういうことが実際今までのそうした活動実態等から見ていいのかどうかというのが一つポイントであろうかなと思います。  しかし、現に今委員指摘のように、半数近くそうした方々の御活躍によって生命、財産が守られておるという実態がある以上は、消防団員に準ずるような、もうちょっとそのあたりを工夫して、しかしそうした御貢献に対してきちっとした国なり地方自治体として対応できる方法があるかないか。もう四、五年検討しっ放しじゃないかという御批判でございますが、別にほっておるわけじゃございませんで、そのあたりを各自治体、北海道以外の水難、またはこうした救難所員の皆様方の御意見もそれなりに調査、聴取をいたしてきておるわけであります。  先ほど申し上げましたように、義務づけられてはかなわぬ、責任が重くなってはかなわぬ、人が困っているときに助ける、人の命が危ないときに助けるということはこれは命令されたからとか後から手当がもらえるとか万一の場合補償してもらえるとか、そういう気持ちじゃなくて同じ人間として国民としての立場でまさにボランティアでやっているんだというそういう方々も非常に多いわけでございますので、そのあたりのそういう方々の意識の問題、またはどういうことを御希望されているかという問題をやはりこれは調査して、北海道だけを特別扱いに国としてするわけにはまいりませんが。  ただ、一つのやり方としては、今地方分権ということが言われておりますけれども、それぞれの自治体の事情もあろうかと思いますが、それぞれの自治体において条例その他の形の中で地元住民の合意の上に立ってこれらについて何らかの対応をされるということも、私は一つの方法でもあろうかなと思っております。別に国がこれは無責任だというわけではございませんで、そうしたものについてのいろんな財政措置を自治省あたりが交付税その他の算定の基準の中に事実上取り上げていくというような方法で財源問題は解決していく方法も私はないわけではない、このように思いますので、そのあたり、やり方についていろいろメニューといいますか考えながら検討をさせていただきたい、このように考えております。
  38. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 そこで、今大臣もいろいろ具体的に言われましたけれども、この救難所員の皆さんは命を助けたから報酬をということを決して言っているということではなくて、今言ったように救助の活動が国民的救護型に変化をしてきているということに見合ってやっぱりボランティアではなくてきちっとそれに見合った保障をすべきだと。  水難救護法によりますと、財産を救助した場合には報酬請求ができるのに人命だけの場合はできないというような、法体系の中でもさまざまな矛盾があり不備があり、そういうことも含めて、この水難救護法というのは特に明治三十二年の法律で今はとんと年に数件しか発動されていないというようなことも含めまして、こういう状況の変化を見た上で、積極的にこの水難救護法の抜本的改正あるいは身分保障について、今条例等について自治体も積極的にやっております、財政的な支援について条例による場合に自治体の出動手当などの負担にもなっているということも含めて、自治省などともそこら辺の身分保障の問題など含めて協議をされて、ぜひここは法の改正、そして新たな整備を含めて積極的にやっていただきたいというふうに思いますがいかがですか。
  39. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 先ほど御答弁申し上げましたように、自治省または自治体ともよく協議を申し上げ、またそうした所員の皆様方のお気持ち、そういうものもくみ上げながらこの問題は対応していきたいと思います。  基本的には私は、私なんかの田舎もそうですが、隣近所でいろんな問題が起きた場合、法律だとか条例でどうなっているとかそのことと関係なしに、まさにお互いに身の危険も顧みないでそうしたことに積極的に対応しておられるというのが日本の村社会の今までのいい伝統であったと思います。今度の震災でボランティアの方々が非常に活躍されたということで大きくクローズアップされましたけれども、子供のときから私ども思い出してみましても、日本の村落共同体といいますか村社会はいわばそういうもので成り立っておる、ある意味では麗しい社会、かつてこれが日本一つの特徴でもあったんじゃないか。それが消えてきておるから、そうした震災でのボランティアというのが何か急に出てきたもののような目で見られておるという、現代がいかに精神的に荒廃をしておるかという一つの私は逆な意味で象徴的なことであったんじゃないかなと思いますが、今の問題も、しかしそういうことも踏まえながら検討させていただきます。
  40. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 これは、皆さんは報酬を当てにするとかそういうことではなくて、本当に海の男の心意気ということで、ここは皆さん一生懸命命をかけてやっていらっしゃるということははっきりしております。そこを踏まえて国としても対応していただきたいと思います。本来は国の責任でやるべきことだということですので、そこはよろしくお願いします。  最後に、この救難活動をしてけがをしたり死亡したりする場合の災害補償で海上保安官の協力援助法による給付がございます。これは海上保安官が要請した場合はもちろんなんですけれども、むしろ海上保安官がほとんどいるわけではないという実情の中で、要請がなくても要請があるのが相当と認められる場合も当然含まれるということになっておりますが、この水難救護法であれ条例であれ出動した場合に、自救行為とかサルベージなどの営利行為とかそれから私法上の雇用契約の場合を除いて、これはすべての場合に給付されるということでよろしいわけですね。
  41. 松浦道夫

    政府委員松浦道夫君) 基本的には今御指摘のとおりだと思います。また、そんな気持ちで運用させていただいております。万が一、その要件をどうしても満たさないケースが個々によってあるかと思いますが、その場合には水難救済会の内部の援助の中で同様の災害補償という仕組みをつくってございます。したがって、どこかの要件が少しでも欠けて適用にならなかった場合にはそうなります。基本的には、今御指摘のようなことで運用してまいっております。これからもそうしたいと思っております。
  42. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 終わります。
  43. 下村泰

    ○下村泰君 質問させていただく前に、一言お礼を申し上げます。  一昨日二十五日に、障害者の方々の自動車の改造手続についてお伺いしましたところが、局長が勉強してみる、いろいろ検討してみるというようなお答えでした。ところが、その日のうちに技術企画課というんですか、そこの担当の方から私の方のスタッフに電話がありまして、直接手続を今とっているその方のお話を伺いたいと。それで、その方を御紹介しました。その結果がどうなっているかまだそれは私のところに入ってきてはいないんですけれども、あの二十五日に質問をしたその日のうちにこういうふうな措置をとってくださいました。この手続をとっていた障害者の方も大変驚いておりました。何て早い結果が出てきたんだろう、素早い対応だというので大変喜んでおりました。一言だけお礼を申し上げておきます。ありがとうございました。  そこで、この法案に対する質問なんですけれども、もうほかの方がやっていることと同じような質問が重なっておりますのでやめさせていただきまして、一つだけ伺います。  一般の旅客船の災害時のことについて伺いますが、最近、高齢者とか難病とかあるいは障害を持った方々も大変ニーズが多くなって、こういう旅客船に乗る方も多くなってきました。そこで、災害時のときにそういった危険をどうやってこういう方々に知らせるのか。例えば耳の聞こえない人は、言葉のあれはございませんから、どういうふうな状態になっているかわからない。それから、目の不自由な方ですとこれは方角がわからない。あるいは、車いすに乗っている人は人手をかりなければ動けないというようなことがたくさんございます。殊に高齢者になってくれば余計だと思います。そういう方たちに対する処置のとり方、これはどういうふうにされているのか、それ一点だけ伺って私は終わりにします。
  44. 加藤甫

    政府委員(加藤甫君) お尋ねの点につきましては、災害が発生した場合に船内の乗組員が旅客の避難誘導を適切に実施するようにするために、船長にあらかじめ非常配置表というものの作成を義務づけておりまして、旅客の客室などの区分ごとにあらかじめ旅客の招集とかあるいは誘導を行う担当者を決めております。実際におきましてはその担当者の誘導によって避難を行うという形にいたしておりまして、そのためには月に一回例えばそういった操練を行うとか、また、そういう誘導を行う担当者につきましては一定の資格を求めるとかいうような形でもってやっているところでございます。  実際の事例につきましては、身障者やあるいは高齢者であることが、例えば身障者割引等の適用によりましてこの船には乗っておられるというようなことが判明いたしましたならば、その方の座席でありますとか客室というものをあらかじめ確認をいたしておきまして、先ほど申しました救命艇手というんですがその担当者がそのような方については格別の配慮をして誘導するというような形をとっているところでございます。
  45. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 今まで同僚議員がなさった質問とできるだけダブらない範囲でずばり伺いたいと思いますが、私も、海洋汚染というのは各国全部が協力しない限り実現しないという性格のものだと思います。いささか我が国OPRC条約の批准は遅きに失したかもしれませんけれども、その手はずになって大変よかったと思っている次第ですが、先ほどからいろいろお話が出ているように、ロシアそして中国も批准していないわけでございまして、島国の日本としてもいろいろ危惧するところも多うございます。  そこで、このような日本の近海でいろいろな大規模な油の流出事故が発生した場合にどのような対応を今後日本としてはとっていかれるか、まずその点から伺いとうございます。
  46. 豊田実

    政府委員(豊田実君) 海洋油流出事故に対しては、御指摘のとおり関係国協力して対応するというのがポイントだろうと思います。私ども運輸省としましても、これまでも例えば韓国の油防除機関専門家との会合とか、あるいはさらに多くの国から専門家の方に参加していただきまして国際的なセミナーを開催するとかというようなことで、日ごろから協力体制を整えつつあります。  さらに、国連環境計画、UNEPと称しています国際機関がございますが、この国際機関では、世界各地の海洋環境の保全ということで地域的な協力体制を、行動計画を策定するということで取り組んでおります。日本の周辺で、例えば昨年九月に日本海とか黄海というような海洋における環境保全、この地域的な行動計画としまして北西太平洋地域海行動計画というものが採択されております。これには韓国、中国、ロシア等も参加しまして、我が国としてもこの行動計画を基本として今後とも努力をしていきたいと思っております。  また、海上保安庁等におきましても、専門家の会合あるいは近隣諸国との協力体制というものも個別に取り組んできているという状況でございます。
  47. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 大臣に伺いとうございますけれども、私は素人なんですけれども、とにかく油の事故があった場合には現場にいかに急行するかということが一番大事かというふうに聞いております。日本海域でしたら日本海上保安庁から出動する。しかし、もっと広い海域、今いろいろ会議とかそういうセミナーでは協力体制をいろいろ議論していらっしゃるようですけれども、救急車ではありませんけれどもその海域全部に対して緊急体制をとっておくことも非常に大事ではないか。やはり先進国日本としては、そういったところでぜひ運輸省がイニシアチブをとって今後海洋汚染防止していく必要があるのではないかと思いますが、御所見を伺いとうございます。
  48. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員の御指摘のとおりであろうと思います。海上にそれぞれフェンスで領海を区切っておるわけでもございませんし、また、それを処理することについてどこの国が協力すれば委員おっしゃるようにいち早く対応できるか、そういうような面もございますので一まさに国際協力が基本的な私はあれだと思います。  そういう意味で、この条約もそういう趣旨通報義務を含めまして整備をしていくわけでありますので、日本といたしましても、これを批准しないという国もあるわけでございますからそういうところに対して具体的に呼びかけをいたしまして、どこでどういうことが起きてもそれぞれが協力できる関係を日ごろのうちから構築する努力を具体的にしてまいりたい、このように考えております。
  49. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 これから期待させていただきたいと思いますが、同時にそういうネットワークのようなものが国際的に具体的な基地みたいなものができたらうれしいと思います。この新しい改正案の五十一条の二項にも国際協力ということが今度は入ったわけですので、その辺のところを、日本が受け身に回るのではなくてイニシアチブをとっていくことは大変大事かと思います。  それで、そういう意味でも、五十一条にもございますようにこれからいろいろ技術面での国際協力、そういったことも推進する必要があるかと思います。海上防災センター海外の研修員などを受け入れておられるようですけれども、こういった面でどのように充実していかれるか、その点よろしくお願いいたします。
  50. 松浦道夫

    政府委員松浦道夫君) 御説明させていただきたいと思います。  従来からも研修生の受け入れだとか、そんな形で取り組ませていただいておりましたけれども、今また新たに防災センター業務規定の中にも明文化いたしまして、さらに一段とそのあたりについて取り組もうと思っております。  考え方だけちょっと御披露させていただきましたら、まず一つは、海上防災センターは何といってもこの地域では多分各国を含めまして一番の専門家集団だと自負しておりますけれども、中でも専門家を現地に赴かせましてまず防災の仕組みをつくること、平時からの備えが大事でございますので、そういうシステムをつくることについてのアドバイスもできるのかなと思っております。  それから、資機材のノウハウにつきましての、あるいは特に扱い方につきましては、日本へお呼びするのでしたら数が知れてしまいますので、やっぱり現地で大勢の人にできるだけそういうのに参加してもらうチャンスが有効だと思います。したがいまして、現地へ行って資機材を実際に動かしてみる、そういう訓練一緒になってやってさしあげる。  あるいは本当の事故のときに、先ほどもちょっと御説明したんですが、気象、海象、それから油の性格だとか地形だとかによって随分やり方が、効果が違ってまいります。下手なやり方をしますと全然とんちんかんなことになってしまいますのでそういうことがないように、そういうノウハウを持っているつもりでございますが、それなんかの提供もやっぱり現地に飛んでいってそういうことをやるのかなと思っております。  それから、地味でございますが従来からやっております研修生の受け入れ、これも引き続きやらないかぬと思っております。先ほど申し上げましたように昨年度でも十七カ国、二十二名の方に来ていただいておりますが、ことしさらに来年も続けていきたいと思っております。先ほど申し上げたように油を流しての訓練というのは今日本の中でありませんので、そういう設備を今整えてそういうこともやってもらう。従来のきれいな海でのフェンスの展張とかそういうものだけに限らず、実際に油を流してやってみる訓練もできる、そういった設備も整えて受け入れ体制を強化していきたいと思っております。  その他、各国それなりに防除体制政府の中でできつつはございます。そういう中で、共同研究をしようとか、こんなケースはどうしたらいいんだろうかとかいうことを研究しようとか、あるいは啓蒙するための国際セミナーなんかの呼びかけもございます。そういうものも、小まめでございますが一つ一つ一生懸命取り組んでまいりたい、そういうふうに考えております。
  51. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 最後に大臣に伺いとうございますけれども、ことしから来年にかけて国連を中心として、海洋汚染防止と申しますか環境保全の会議それからセミナーが世界的に数多く開かれているようでございます。  話が古くなりますけれども、生命は三十八億年前に海で誕生じ、そして陸にいわゆる生命が上陸したというのはわずか四億数千年前ということになります。ですから、私どもの今そのものが海の中でずうっと長い間進化してきた、その結果としての私たち人間であろうというふうに思いますけれども、どちらかというと陸に比較して目につきません海洋の生態系、生物の汚染がおろそかにされていて、有害廃棄物でも海の方へ行って捨てるというようなことがありますとやはり海の生態系自体が大変壊れてしまう。  やはり運輸省として、船舶からの汚染もございましょうし、それから港湾の護岸工事なんかのつくり方もございますでしょうし、それからもっと護岸を離れて沖の海域、今後そういったところの海洋の生態系をぜひ保全する意味でも汚染防止、それからできるだけ生態系を陸と海と一緒に考えるという発想でいろいろ展開していっていただけたらうれしいと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。
  52. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員指摘のように、人類は母なる海のもとで進化したのか鈍化したのかそれはどうも最近疑問でありますけれども、そうであろうかと思います。  私は、就任のときの記者会見で最初の私の方針を御説明するときにも申し上げましたが、環境保全をきちっと眼目に置いて運輸行政を推進するということを私申し上げたわけでございます。そのとおりに今なっておるかどうか、きちっと私は検証できておるという自信はございませんけれども、運輸省としては委員指摘のように、これは決して二律背反のことではございませんし、またある意味では利便性の追求ももちろん大事でありますけれども環境は破壊をしてはもとに戻りません。そういう意味では、利便性の追求よりもとまでは申しませんけれども、同じようにやはり環境保全に意を用いながらこれを進めていかなければならないという方針を堅持しておるつもりでございます。
  53. 堂本暁子

    ○堂本暁子君 ありがとうございました。終わります。
  54. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  55. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十五分散会