○下村泰君 どうもありがとうございました。
一九七〇年に
国際レクリエーション協会が制定したレジャー憲章や一九七六年の世界余暇憲章会議の余暇憲章でも、あらゆるレクリエーションヘの参加の権利とか旅行が人間にとって大変重要なものであるということがうたわれております。また、障害を持った人の旅行といいますと、一九九一年の余暇開発センターの障害者の余暇
活動に関する意向調査でも、最も希望の強かったものが何だというと旅行とスポーツなんですね。
そして、最近こういうことが次々に起きておるわけです。
障害者・お年寄りら招待 入社内定者が「添乗員」 新人研修を兼ねた臨時特急列車 「ふれあいエキスプレス号」を運行、身体障害者やお年寄り、外国人など約百五十人を 栃木県藤原町の東武ワールドスクウェアに招待した。
それから次が、
盲導犬同伴、初の海外ツアー 視覚障害者が盲導犬同伴で出かける初の海外ツァーが 二月に
実施される。企画したトラベルデザイナー、おそどまさこさんは「障害者だけで なく、健常者にも体験してほしい」と広く参加を呼びかけている。旅行は「視覚障害者 にやさしいフランスツァー ニース・パリ七日間」。
それから今度は、
障害者・高齢者向けツアー登場 障害を持つ人々にも気軽に海外旅行を楽しんでもら おうと、車いす用のリフト付きバンでの移動など、さまざまなサービスを盛り込んだハ ワイ・アメリカ西海岸へのツアーが登場した。
これはアロハセブンというところが主催する「あおぞらツアー」と言うんですね。
それから、
障害者向け旅行を企画 近畿日本ツーリストは、今年から障害者向け旅行の開発に本 格的に取り組む。「旅行会社として、旅行に行きたいという社会的要請にこたえる必要 がある」と、障害者向けの旅行商品の開発にあたる専門部門を設けることにした。
それから今度は、
ビジネスホテル 新型をチェーン展開 ビジネスホテルを手掛ける企業が、相次いで 新しいタイプのホテルをチェーン展開する。高齢者、障害者用の客室、介護サービスを 備えたり、
なんかしよう、こういうふうになっている。
いろいろとこういうふうに企画されたりしております。
また、昨年私のところに
説明に来たのは日本航空なんですけれ
ども、こういうパンフレットを持ってきまして、いろいろと高齢者とか障害者のための窓口はこういうところでございますと。大変今殺到しているそうですね。ところが、これが先ほど冒頭に当たりまして、航空運賃が高かったなんということもございますけれ
ども。
では、どうしてこれほどここへきて障害を持つ人の関心がこういうふうに高まってきたかと申しますと、原因は幾つかあるでしょう。
一つは、さきに述べましたようにニーズがあるということ。
二つ目は旅行の持っリハビリ効果が大きいんですね。
アメリカでこういうことがありました。まるで植物人間に近い小児麻痺の状態の方がおりまして、子供さんじゃないんですが、もう全然動かないんです。車いすに乗ったままです。何の反応もない。この方に何とかインストラクターが、強烈なリズムの、十六ビートとか三十二ビートなんというビートのきいた強烈な音を流しまして、毎日一時間ずつ続けているうちにまぶたが動いて反応を示すようになったというんです、音を聞かせただけで。そのうちに手足が動くようになったという報告が来ているんです。ですから、動いたりなにかするということは大変リハビリにもってこいの効果があるということもあります。
三つ目は、アメリカなど町づくり先進国への関心の高さがあると思います。
しかし一方で、なお多くの阻害要因があります。
第一には、交通機関、宿泊施設を初め社会
環境の不備、
二つ目には社会意識としての障害を持つ人の旅行に対する
理解の不足、三つ目には情報不足があります。
私は、障害を持つ人が自由に旅行できる社会というのはこれは大変高度な文化のある社会だと思うんです。その到達度が、どのくらい到達できているかということがその国の文化
程度をはかる重要な尺度だと思うんです。これはアメリカの元大統領の御夫人が言っています。その国へ行って精神障害の
方々の施設、精神障害の
方々にどう
対応しているかということを見ればその国の文化
程度がわかるとはっきり言われております。たしかこれはレーガン元大統領の奥さんでしたか、そういうことを言われております。
ですから、そういうことは大変必要なんですけれ
ども、先般天王寺駅のことを述べましたけれ
ども、日本は身近な交通機関が使えなくて飛行機など
余り使わないものが使いやすいんです。隣近所にあるものが使いにくくて遠くへ行くものが使いやすいんです。だから、ある車いすの障害を持った人が言いました。アメリカには行けるけれ
ども隣の町には行かれないと言うんです。これはどうも情けないことだと思います。
もう
大臣には耳にたこができるほどの問題だと思います。さんざん私も言ってきました。だから、本当に文化度を上げようとするなら相当に思い切ったことをやらないとまずいと思うんです。ひとつ、ここで
亀井運輸
大臣のお名前を後世に残すようなことをしていただきたいと思うんです。
それで、こういうふうなことが言われています。
運輸省は高齢者や体の不自由な人が利用しやすい駅を整備するため、JRや地下鉄事 業者が新たに建設する駅などにエレベーターや障害者用トイレなどの設置を義務づける
法律を制定する方針だ。
新たに制定するのは「高齢者、障害者のための公共交通施設整備
促進法」(仮称)。 具体的には、新設駅や高架化などの大
規模な改良を
実施する
事業者に対して、①段差解 消のスロープかエレベーターを設置する②障害者用トイレを整備する③目の不自由な人 向けの誘導ブロックを設ける――などを義務づける。
こういうふうになっております。
運輸省、これは九三年ごろに出ているんです。
ですから、こういうことを含めて、ひとつ運輸
大臣のお気持ちを聞かせていただきたいと思います。