○岩田
委員 松岡先生を初め
新進党の
提案者の皆さんには、御苦労があったと思いますが、
敬意を表する次第であります。
こうしてお顔を拝見いたしますと、
松岡先生は、かつて
労働省の政務次官もなさって、そしてつい最近までは
労働委員会の
委員長として私
どもに御指導なさった、こういう経験を持たれております。それから
河上先生は、かつてパート
労働法を
提案をしたときには一緒に苦労をして、そちらに座ったという経験もございますが、その後政務次官の要職も綴られまして、ある種の感慨を覚えるわけであります。
昨日の質疑、さらにきょうの質疑を聞いておりまして
幾つか思うことがありますが、それは何といっても、老親
介護というのは大変な問題である。女性の問題としてこれまでは取り扱われてきましたけれ
ども、果たして男性がとれるのかどうか、いや女性も果たして今の
議論だけでとれるのかどうなのか、
実態はどうなのか、非常に興味があるところでありますが、関心の高さは、きょうたくさんの女性の
方々を
中心に傍聴に来られておることでもって極めて象徴的だろうというふうに思います。
きょうの
議論の中でも
松岡委員長の、いわゆる実効ある
法律としてこれをぜひ完成というか成立させたい、こういう意向がありましたが、我々もその誠意にこたえていく必要が極めてあるのではないかということが一点。
それから、先ほど申し上げましたように、女性の
立場をどう尊重できるかどうか。この
法律で本当に女性の
社会進出を助け、そして本当に家庭といわゆる職場、
社会が両立できるような、真の女性のいわゆる
権利といいますか
立場が保障されていくかどうかという問題を二点目には感じた次第であります。
その中で、私も身近に老親
介護の
状況をつぶさに見てきておりますが、私の地域などは旧産炭地でありまして、ですから、高齢化率が二〇%を超えているところなんというのはざらにあるわけですよ。選挙などで家庭訪問をしますと、立派な大きな家があるけれ
どもお年寄りが一人でしか住んでいない、お二人で住んでいる、やがてこれも大変な
状況になるわけでありますが、そういうことを身近に感じておるところであります。
先ほど
桝屋先生が御答弁の中で、脳血管性疾患の方のことを言われておりましたが、あれは比較的わかりやすいケースなんですよね。いわゆる倒れられる、そして
一定の
期間大変な
介護を要する
期間がある、その後は寝たきりになられるのか、痴呆症になるのか、それとも比較的安定した症状で安定するのか、こういう症状ですから。
ところが、痴呆症の場合も、徘回をするとか火をつけて回る、それから家出をされるとかそういった場合に、果たしてその要
介護者が求めている希望というのは一体何なのか。それから、
介護をする子供がそういう状態の親に対してどういう愛情を示すのか。これは精神的なものも非常に大きいだろうというふうに思います、その人がいなければ安心できない、一人では置けないという
状況だってあるわけですから。これもどういうふうに症状を見ていくのか、基準を定めていくのかというのは大変大きな問題だろうというふうに思います。
それから、もう
一つ感じましたのは、
家族の
介護ということを考えた場合、改めて、
家族の責任というのは一体何なのか、これはるる
議論されてきたところでありますけれ
ども、
家族の
範囲、
家族の
関係、
家族の
政策の対象をどこまでとするのか、これは今
議論されているのですが、さまざまな問題提起がなされているわけであります。
我が国の
家族政策というのは、歴史は古いのですね。歴史は古いというよりも、明治四年の廃藩置県以降戸籍が新たにできる。その戸籍をつくる際の
中心は、天皇制ですから、
家族を
中心にする。今の憲法ではそれは廃止になったのですけれ
ども、しかし連綿として残っている、核
家族になったけれ
ども残っているという
状況もあるわけですね。したがって、
家族介護にぐっと比重が置かれていくということを考慮しなければならない問題点であろうというふうに思います。
労働省は今まで何をしたのかというおしかりをきのうは大変受けましたけれ
ども、これは、この問題だけではなくて、例えば憲法で廃止された
家族制度の問題が現在の
法律にはたくさん残っているわけですよ。したがって、一九七三年だったと思いますけれ
ども、尊属殺人にかかわる判決で、最高裁はこれは違憲だというふうに言いましたね。あれから随分時間がたっているわけですが、今
国会で尊属殺人の二百条を含めて削除するという
議論がされた。時間がかかったのですが、ようやくここまで来たということもありまして、日本国憲法によって廃止された
家族制度の問題どこの
介護の問題がどう関連をしてくるのか、きのうからきょうの
議論で痛切に感じたわけであります。
さて、そういうことを感じてきたわけでありますが、まず第一の質問は、
基本的な問題として、いわゆる
介護休業を取得できる
期間を一年というふうにされておりますが、しかも
政府案は育児
休業法の一部改正といたしておりますけれ
ども、
新進党案は単独
立法でありますが、この辺はなぜ単独
立法にしたのか、お尋ねしたいと思います。
それから、お断りしておきますが、
長勢先生の御質問とダブる点があると思いますが、恐らくこの質疑をもって終わるわけではないと思いますので、重複いたしますけれ
どもその辺は御勘弁をいただきたい、お許しを願ってまずその点の御質問をしたいと思います。