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1995-02-21 第132回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月二十一日(火曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 浦野 烋興君       高鳥  修君    村田敬次郎君       伊藤 達也君    高木 義明君       松田 岩夫君    佐々木秀典君       辻  一彦君    兼務 栗原 博久君 兼務 河村たかし君    兼務 小沢 鋭仁君 兼務 山原健二郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  橋本龍太郎君  出席政府委員         通商産業省産業         政策局長    牧野  力君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         通商産業省生活         産業局長    江崎  格君         資源エネルギー         庁長官     川田 洋輝君         中小企業庁長官 中田 哲雄君         中小企業庁計画         部長      安本 皓信君  分科員外出席者         大蔵大臣官房企         画官      藤岡  博君         大蔵省主計局主         計官      佐藤 隆文君         国税庁課税部法         人税課長    田中 正昭君         通商産業大臣官         房会計課長   横川  浩君         自治省税務局固         定資産税課長  板倉 敏和君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 分科員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   松田 岩夫君     高木 義明君   佐々木秀典君     辻  一彦君 同日  辞任         補欠選任   高木 義明君     松田 岩夫君   辻  一彦君     池田 隆一君 同日  辞任         補欠選任   池田 隆一君     秋葉 忠利君 同日  辞任         補欠選任   秋葉 忠利君     佐々木秀典君 同日  第二分科員小沢鋭仁君、第五分科員山原健二郎  君、第七分科員河村たかし君及び第八分科員栗  原博久君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成七年度一般会計予算  平成七年度特別会計予算  平成七年度政府関係機関予算  (通商産業省所管)      ————◇—————
  2. 浦野烋興

    浦野主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算及び平成七年度政府関係機関予算通商産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  この際、分科員各位お願いを申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力お願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。
  3. 辻一彦

    辻分科員 私は、きょうは原子力発電所の幾つかの問題についてお尋ねしたいと思います。  大臣も御承知のとおりですが、私の若狭湾福井県は、現在十五の原子力発電所があります。約千二百万キロワット、その集中度においても容量においても、原発の基地としては世界一、日本一であろうと思っております。  そういう点で、一つ安全性に対する皆さんの不安と関心が非常に高いということと、それから第二は、非常に集中しているものですから、この問題と、そしてもう一つは、これだけ国エネルギー政策協力をしておるのであるから地域振興も考えてもらいたい、この三つの点があるわけであります。  ちょっと申し上げますと、福井若狭湾には、かつて五十年代に日本原電放射能漏れが海水にあって、非常に大きな問題になりました。それから、その後にスリーマイルの事件が国際的にあり、また近くはチェルノブイリの事故があったわけであります。福井県の方では、引き続いて、関西電力美浜発電所二号において、蒸気発生器の破断による戦後初めてECCSが作動したという事故がありました。それから、近くは言うまでもない阪神大震災、こういう状況の中で、安全性に対する関心が非常に高まっているということ、これはもうしばしば私は国会論議をしてきましたので、きょうはこの問題はまたの機会にいたしたいと思います。  第二は、そこで、福井県の県民皆さんの中に、これだけ国エネルギー政策にも協力をしてきたのであるから、もうこれ以上福井県に原発を持つことは遠慮したい、もういいじゃないか、これはもう八割以上、県民の圧倒的な世論であると思うのですが、特に今回のような阪神大地震の後ではこの関心が非常に強くなっている。  現に最近、二十二万近くの、もう増設は要らない、こういう署名が集められております。福井県の八十万ぐらいの人口の中で有権者が六十五万、その中で二十二万というのはかなり大きな数字だと思いますが、こういう点で、これ以上はもういい、こういう意見が非常に強まってきておりますので、私は第三の、いわゆるこれだけ協力をしているのであるから地域振興をもっと考えるということを申し上げる前に、第二の点で若干お尋ねをいたしたい。  実は、福井県の県知事も、こういう県民世論を反映して、福井県で増設をするには非常に慎重な姿勢を示しております。日本原電事業者から調査の承認を求めましたが、全く今は白紙の状況、こういう点で非常に慎重です。しかし、日本原電の方は法の手続によって調査等に入っております。ところがもう一つ地元敦賀市長さんが、最近こういう世論を踏まえて、増設凍結するということを記者会見を持って明らかにしている。  そういう状況の中で依然として日本原電調査は進められておりますが、これは私は県民住民感情を逆なですることでなかろうか。いわゆる原子力は、私たちも電力の三分の一を占めている重要性を認めておりますが、しかし、住民理解協力なしにはこれらは困難であると思います。その観点からいって、私は、これは日本原電調査も当面凍結すべきである、このように思って、これらのしかるべき行政指導営業炉の直接監督官庁である通産省は考えるべきでないか、このように思っておりますが、これについて長官と、特に責任者である大臣見解一言お尋ねしたい。  以上です。
  4. 川田洋輝

    川田政府委員 お答え申し上げます。  まず、福井県下において多くの、十五基に上る原子力発電所を現在建設終了あるいは進め、研究炉建設などを進めさせていただいておりまして、大変御理解を賜っていることをかねて感謝申し上げているところでございます。  その中で、ただいま先生お述べになりました安全の問題を中心に、福井県御当局とも、私この一年間でもう県知事さんとも何度も何度もお会いをさせていただきまして、ただいま先生お話しのような点も含めて情報交換意見交換をさせてきていただいておりまして、地元理解協力を得ながら原子力発電政策を進めていきたいというように思っておるところでございます。  そこで、ただいまお尋ね敦賀三、四号機に係る環境影響調査の件でございますけれども日本原子力発電株式会社敦賀三、四号機の増設計画いたしまして、PWR型百四十二万キロワット二基の計画を持っておるところでございます。事業者は、御承知のように発電所計画段階通産省省議決定に基づく環境影響調査実施いたしまして、これを私ども環境審査に結びつけていく、こういう段取りに相なっておるところでございます。この環境影響調査につきまして諸般の手続を進めてまいりまして、最近ようやく環境事前調査の一部着手を事業者がいたしたところであるという認識をいたしておるところでございます。  県御当局あるいは市御当局とも、いろいろな論議を積み重ねて現在に至っておるところでございます。最近、その中で、ただいまお触れになりました、敦賀市長から、阪神大震災にかんがみて、この日本原子力発電株式会社三、四号機の建設凍結という記者会見が行われた旨私ども承知をしておるところでございますが、一方で環境影響調査、御承知のように環境現況調査、それから環境保全のために講じようとする対策の検討、環境影響予測評価を行うというものでございます。これも大きな意味では住民方々理解協力を得て仕事を進めるための一つ段階でございまして、この実施が直ちに発電所立地に結びつくというものではございませんので、事業者としては今仕事に着手したところで、それを進めていく段階にあるというようには承知をしておるところでございます。  いずれにいたしましても、地方自治体との関係を勘案しながら、どういうふうに進めていくか、最終的には事業者が判断をすべきものという位置づけのものでございまして、私ども行政当局としては、これからの日本エネルギーあるいは日本電力というものを考えていきました場合に、原子力発電というものを今後とも新増設を図っていかなければならないということがございますので、ぜひとも事業者地元理解協力を得ながら、この環境影響調査も含めて、仕事を着々と進めていくことになることを期待をいたしたいと思っておるところでございます。地元理解協力はあくまでも得ながら進めていくということが必要であろうというように思っております。
  5. 辻一彦

    辻分科員 私は、住民感情やそういう点からいくと、これだけの状況の中で、地元市長までも含めて凍結宣言をしている中で、これはそのまま進めていけば住民感情をやはり逆なですることになりかねない、そういう点でまず凍結をすべきである、こう思いますから、そのことを主張しておきたいと思います。  それから第二段に、次は恐らく土壌調査地質調査という本格的なボーリングをやるとかいうことになるのですが、これはこの状況においてはやるべきではないと思いますが、その点についての見解一言だけ伺いたい。
  6. 川田洋輝

    川田政府委員 お答え申し上げます。  基本的には先ほどお答えしたとおりでございますが、そういう調査事業で本格的なものをやること自体、やはり地元の御理解と御協力を得なければ実施できないものでございますから、ぜひとも事業者において地元自治体とそういう事業実施についても円満な話し合いが進んで、理解協力を得ながら進められるようになることを期待いたしたいと思っております。
  7. 辻一彦

    辻分科員 私は、もう時間が非常に限られておりますから再度は申し上げませんが、これは十分な配慮をしないといかないのではないか、このことを強調しておきたいと思います。  そこで大臣、私は、福井県民住民皆さんが、さっき申し上げました安全性、それからもうこれ以上の集中度は避けたい、しかし、国にこれだけ最大の協力をしてきておるのであるから地域振興ももうちょっと考えるべきである、こういう三点は無理からぬ要求である、当然の要求であると思いますが、大臣としてこの三点についてどうお考えになるのか、ちょっとその大筋を一言だけ伺いたい。
  8. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 我が国原子力というものに対して特殊な感覚を有する過去の歴史からの国民感情がある、これは私は委員が御指摘になるとおりだと思います。同時に、我が国の将来のエネルギーというものを考えましたときに、安全の上にも安全性を追求しながら、原子力発電というものに依存せざるを得ない部分があることも御承知のとおりであります。  そうした中におきまして、今、敦賀三、四号機の増設問題につきましての委員からの御質問に、資源エネルギー庁長官から通産省としての立場を申し上げました。これは、環境影響評価調査だけではなく、原子力発電所計画というものを進めていくに当たりましては、地元の御理解協力が得られなければ前に進まない、これは当然のことでありまして、その理解協力を得ていくことが何よりも大切なことである、これはもう我々共通の認識であり、この点について日ごろから電気事業者を指導しておりますこと、委員も御承知のとおりでございます。  私は、三、四号機の増設に関しましても、こうした考え方に基づいて物事が進められていくことが何より肝要、そう考えてまいりました。現在もそう考えております。  同時に、その地域を、原子力発電所が非常に立地をしている、これに対して振興していくための何らかの処方というお話は、いろいろな角度から今までも出てまいりました。そして、例えば交通インフラをより積極的に整備すべきとか、こうした視点からの御議論が出てきておったことも御承知のとおりであります。  現在、その発電所立地いたします地域に対しまして種々の施策が講じられ、国としてその地域皆様方に対し、これで十分かどうかといえば御議論はあろうかと思いますが、それだけの特別の施策というものを講じておる部分があることも御承知のとおりでありまして、今後一層そうした点に思いをいたしていくべき、そのような感じでおります。
  9. 辻一彦

    辻分科員 三点のうち一、二点は、きょうはこれ以上申し上げません。それで私は、十五も、千二百万キロワットも国に協力しているのだから、これ以上福井県では要らない、そういう県民の大多数の気持ちをぜひひとつ酌み入れて、これからの行政に生かしていただきたいということを強く主張しておきます。要望しておきます。  第三の、それとは別でありますが、私が安全問題に極めて厳しい立場国会でとってきたことは、大臣予算委員会等で御承知のとおりだろうと思います。それはあくまで非常に大事なことでありますから、これからとも取り組まなくてはいかない。と同時に、住民県民皆さんには、日本一原発を引き受けて協力しているのだから、もう少し地域のことを考えてくれないかという声も強いということ、私はきょうは残された十五分間をこの問題について具体的に少し論議をいたしたいと思います。  そこで、一つは、私が参議院におりました昭和四十八年でしたか四十八、九年ごろに電源三法が成立をいたしまして、その三法が成立する前と三法が成立してから後は、立地市町村は随分財政的な面では開きがあるのです。例えば、ちょっと簡単にこの一覧表を見ますと、美浜は万博に電気を送る前後、最も先進的なある意味では苦労をしたのですが、法律成立は数年後になったために、その法によるところのプラスの面がほとんど受けられなかったという経緯があります。  例えば、もう詳しいことは申し上げませんが、美浜には一号から三号までで百六十六万キロワットの容量を持っていますね。それから、高浜は三百三十九万、大飯は四百七十一万、敦賀百五十一万キロワットの容量を持っている。ところが、六年度末見込みの交付金で、美浜六億五千七百万、それから高浜は七十八億、大飯は百二十一億、敦賀は四十三億と、これは通産だけの関係ですが、これを見ると、容量では敦賀美浜が同じでありながら、昭和四十九年当時に換算して約十二億になったとしても、実際は四分の一、それから高浜大飯の六分の一、十分の一というように、一番最初の非常に苦労したところが、この法律は遡及されないという原則によって非常に差がついている。  ここらを何かの方法で埋めてほしいという、これは美浜の当然な気持ちであろうと私は思います。こういう自治体の要望に対して、通産当局科学技術当局もいろいろ努力をしていることは私はわかりますが、まだその点では自治体からいうと非常に不満が強い。これに対する改善策を考えるべきじゃないかというのが第一点です。  それから、これは時間の点から全部申し上げますが、第二点は原発耐用年数の問題です。  これは大蔵省省令で十五年になっておりますね。ところが、もう既に敦賀はことしで運転二十五年、それから美浜も二十四年、二十年を超えるのが既に四台からあり、かなりの年数を経ている。そうしますと、固定資産税は十五年で大体終わり。  ところが、発電所は、蒸気発生器等を入れかえれば、まだ十年、二十年、初めからいえば三十年ぐらい稼働する可能性があると思うのです。そうしますと、自治体の方からいうと、発電機は、発電所は何ら変わらずに電力生産をしてやっている。これは結構なことだ。しかし固定資産税は、性格上からいえばそういう性格でありますが、現に十五年で切れてどうかこういう耐用年数の延長を要望する声は、自治体のみならず、福井県の知事も県もこういう要請をしていることは御承知のとおりである。こういう点で改善策が考えられないかということ。  一括申し上げますが、第三点は、新たに蒸気発生器のあの事故以後、SG蒸気発生器を今全部入れかえようとしておる、全国で。福井県の場合も、美浜高浜大飯と全部入れかえの計画関西電力等々によって決まっておりますが、これは単位が百億単位の大型な蒸気発生器でありますから、新たなる資産として考えるべきではないかと思います。それについての見解を、これは大蔵省に伺いたい。そしてまた、これに対して固定資産税対象となるかどうか自治省から見解を伺いたいと思います。  第四点は、電力移出交付金の問題ですが、これは今まで五百億キロワットアワーを天井としておったものを、今度の予算政府案の中に、かなり前進して一千億キロワットアワーまでを刻んだわけなので、その点は私は前に向いて前進しているということを認めます。しかし、福井の場合は、千百五十億キロワットアワーぐらいの電力県外に送っておると思いますから、従来のように五十億単位ぐらいに刻んで、電力移出に応じた交付金を考えるべきではないか。  以上四点について、それぞれから、もう時間の制限がありますから、ポイントだけ聞かせていただきたい。  以上です。
  10. 川田洋輝

    川田政府委員 私からは三点お答えさせていただきたいと思います。  まず第一は、美浜原子力発電所についての電源法交付金関係でございます。  いわゆる電源法制度につきましては、先生お触れになりましたように、石油危機背景として、石油火力に代替する電源を緊急に立地する必要が生じたということなどを背景といたしまして、昭和四十九年に創設をされたものでございますが、美浜一号機については昭和四十五年、二号機については昭和四十七年に運転開始をいたしておりますために、電源法制度対象とならなかったということで、三号機のみが、大体半分強ぐらいのところが対象になっているということでございます。  しかしながら、もう先生御高承のとおり、こういった制度につきまして、制度発足以前に現段階からさかのぼって交付金等の手当てを行うというようなことは困難なことでございまして、お触れになりましたように、美浜方々、私も何度もお伺いいたしておるところでございますけれども、なかなかこれを制度的に措置をするということは困難であろうというふうに言わざるを得ないところでございます。  しかしながら、運転開始から十五年以上を経過いたしました原子力発電所立地する市町村につきましては、当該市町村福祉対策を支援するための交付金を、平成四年度からでございましたか、たしか設けさせていただきまして、毎年度これを交付するといたしておるところでございます。また、平成六年度からは、その年間の交付金額を引き上げをさせていただいたことも御承知のとおりかと思います。この三法交付金と見合いの額とかいうようなことになるものでは決してない金額ではございますけれども、ぜひそういった施策の活用なども図っていただきながら、地域振興を図っていただくようにお願いをいたしたいというように思っておるところであります。  それから、第二点の原子力発電所減価償却に係る耐用年数の問題でございますけれども原子力発電所償却資産に係る耐用年数は、他の施設全般と同様に、法人税法に基づく大蔵省令において資産ごとに決められておるものでございます。  この償却資産に係る耐用年数は、法人税法上適正な課税所得計算のために、税務上認め得る減価償却最高限度額を定めるために設けられているものでございまして、具体的には、設備物理的寿命技術的進歩による経済的陳腐化を加味して定められているものと承知をいたしておるところであります。このために、委員お触れになりましたが、必ずしも実際の設備使用期間と一致することにはならないという面があることは御指摘のとおりでありますが、我々としてはこれは所与のものとして運用をしていく、こういう形のものでございます。  それから最後に、移出交付金につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  この制度は、都道府県内の発電量消費量の一・五倍以上である場合に、当該都道府県全国電力需給の安定に果たしている役割にかんがみまして、当該都道府県移出電力量に応じて、工業団地の造成などの企業導入産業近代化事業に充てる交付金を毎年度交付しているものでございます。  この交付金につきましては、今までの制度でございますと、お触れになりましたように、移出電力量が五百億キロワットアワー交付金額で十五億刊が上限となっておりまして、福井県は当然この上限交付を行ってきておったところでありますが、電源集中立地地域において適切な地域振興策実施を図るために、平成七年度の予算案におきまして、この上限を大幅に引き上げる拡充措置を盛り込まさせていただいたところで、現在御審議を賜っているところでございます。  具体的に申しますと、現在五百億キロワットアワー、十五億円となっております上限を、七百五十億キロワットアワー、二十二・五億円に引き上げることといたしまして、さらに当該都道府県内の発電量消費量の十倍を超える福井県などの県でございますが、特例といたしまして、上限を千億キロワットアワー、三十億円まで引き上げるということにいたしておるものでございます。  従来十五億円でございましたものが三十億円ということでございますので、我々、財政当局にも福井県などの集中地域状況について十分説明をして、御理解をいただいた上で計上された予算であるというように考えておるところでございます。この制度によりまして、電源集中立地地域における地域振興策大幅拡充が図られるのではないかというように期待をさせていただいているところでございます。
  11. 藤岡博

    藤岡説明員 第二点の法定耐用年数考え方につきまして、法人税法所管当局考え方を御説明申し上げたいと思います。  ただいま資源エネルギー庁の方からもお答えがございましたとおり、減価償却制度の目的は、期間損益を適正に計算するため、固定資産取得価額使用期間に応じて費用配分することにございまして、この計算要素一つである使用期間につきましては、累次の税制調査会の答申でも述べられておりますとおり、資産物理的寿命経済的陳腐化を加味して客観的に定められるべきものであるとされているところでございます。したがいまして、法定耐用年数見直しに当たりましては、平均的な使用年数、個々の構成装置の取りかえ、修繕の状況等、その使用実態を十分に見きわめる必要があろうかと考えておる次第でございます。  ただ、これにつきまして政策的に見直しを行うということは、耐用年数考え方にはなじまないと考えておるところでございます。  なお、先生最後に御指摘の具体的なSG蒸気発生器の問題につきましては、執行の問題でございますので、国税庁からお答え申し上げます。
  12. 田中正昭

    田中説明員 お答え申し上げます。  SG交換が実質的には新しい資産の追加ではないかという御質問に対するお答えでございますが、電気事業者の具体的な会計処理は、通算省令電気事業会計規則で定められておりまして、お尋ねSG蒸気発生器につきましても、資本的支出として管理すべきものとされております。  その理由は、SG原発主要設備でございまして、それを交換することにより原発使用可能期間を延長させることができるということになるものですから、税務上も、法人税法施行令によりまして、その資産交換が行われた場合には、資本的支出として取り扱うこととなっております。  以上でございます。
  13. 板倉敏和

    ○板倉説明員 まず、簡潔に蒸気発生器の方を御答弁させていただきます。  御指摘美浜原子力発電所蒸気発生器の取りかえ工事は、資産の価額を増加させるものでございまして、固定資産税はその増加した価額に対して評価を行い、それを課税標準として税額を算定することとなりますので、増加した資産の価額に対応する部分については税収が増加するということになります。  さらに、固定資産税償却資産耐用年数のことでございますけれども、御指摘のとおり、現在国税で用いられておりますいわゆる耐用年数省令によっておるところでございます。これは、この耐用年数省令が現在におきまして広範囲にわたる資産耐用年数を定めたものでは法的権威のある唯一のものでございますし、また固定資産税における償却資産の評価方法をできる限り税務会計上の取り扱いに合わせる、そういう趣旨によるものと考えております。  このような趣旨でございますので、お話しの耐用年数の問題は、私ども地元の方からいろいろと承ってはおるのでございますが、各種の資産の中から特定のものだけを取り出して固定資産税の独自の耐用年数を設定することは、なかなか技術的には困難ではないかというふうに考えておるところでございます。
  14. 辻一彦

    辻分科員 これで終わります。  大体わかっていることを大分御答弁になりましたが、その先をどうするかということをお尋ねしておるのです。論議をする時間がありませんから、きょうは問題を提起したということにいたしまして、これについてぜひそれぞれ、政府当局、各省とも検討いただくように、そしてその検討結果を私に一度知らせていただきたい。このことを申し上げて、終わりにしたいと思います。  いろいろありますけれども、これで終わります。どうもありがとうございました。
  15. 浦野烋興

    浦野主査 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢鋭仁君。
  16. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 新党さきがけの小沢鋭仁でございます。本日は分科会、貴重な時間をいただきまして感謝を申し上げます。  私は、この機会に、いわゆる産業政策の基本方針及びそれに関連する平成七年度予算につきまして、通産省の御所見をお伺いしたいと思います。  第一番目に、産業の空洞化という議論が大変今大きなテーマとしてされております。大臣も御案内だと思いますが、与党の中に経済対策プロジェクトチームというのがございまして、そうした産業空洞化に対する対応等を大きなテーマとして半年以上検討を続けてきたところでございます。  そうした中で一つだけまずお尋ねしたいのは、産業の空洞化というのが現在日本の産業において始まっていると考えるのか、あるいはまた、まだ始まっているというところまでにはちょっと早いのだ、そういうふうな御認識なのかということを御質問したいと思うのです。  なぜかと申しますと、その議論の中で通産省皆さんたちの御見解、少なくとも昨年の暮れまでは産業の空洞化の懸念、懸念という言葉をどうしてもお使いになっていたわけでございまして、それに対して我々与党の政治家の方は、いや、もう家電にしろ自動車にしろ相当の海外生産が始まっているじゃないか、そしてそれが日本の産業にとって今大きな問題になっているじゃないか。ということは、懸念というような認識では逆に生ぬるくて対応が後手になるおそれがある、これはもう始まっていると考えるべきではないか、そんな議論が交わされたところでございます。そのあたりの現在の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 牧野力

    ○牧野政府委員 今の御質問でございますが、時間の関係がありまして簡潔にお答えいたしますけれども、始まっているとか、あるいは懸念をしているということを云々するよりも、私どもとしては、現下の情勢に対してどう対応し、どういう政策を今打っていくかということであろうかと思います。  いずれにしましても、現状を放置いたしますと空洞化ということで非常に大きな問題になるだろうということで、また後ほどいろいろ御議論があろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、内外価格差の問題あるいは良質な社会資本の整備の問題、規制緩和等々の対策を目いっぱいやっていきたいというふうに考えております。  一言だけ申し上げますと、事態を現状のまま放置いたしますと、今後、雇用や中小企業、地域経済に対して非常に大きな問題を与えるということを真剣に懸念いたしております。
  18. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 もちろん認識云々ということよりも実際の対応策の方が重要だ、そういう御趣旨だったと思いますが、それは本当に私もそのとおりだと思います。  ただ、要は、政府がどういう認識を持っているかということは、私のような一政治家が持っているということ以上に、——今そういったものが既に始まっていて、この問題は日本経済の今後を考えていったときに本当に大きな問題ですね。日本の産業が空洞化していく、経済力が低下していく、国際競争力が失われていくということになれば、これは我が国にとって大変大きな課題であります。  私どもは、経済対策プロジェクトチームの中で、やはりかなり危機感を持たなければいけない状況ではないのかということを相当議論いたしました。後ほどまた御質問をいたしますが、その経済対策プロジェクトチームの中の最終了ウトプットで「我が国経済構造改革の基本方向」というものをつくらせていただきました。サブタイトルで「創造経済時代への指針」という言葉をつくらせていただきました。この創造経済時代という言葉を造語でつくったゆえんは、戦後の我が国の経済状況を考えてみたときに、いわゆる最初の焼け跡の中から復興経済の時代というのがあったのだろう。その後、いわゆる高度成長経済の時代というのがあったのじゃないか。  ここ数年を振り返ってみて、まだ言葉としては生まれておりませんけれども、ここ数年の経済のことを考えてみますと、これは合理化経済といいますか効率化経済といいますか、いわゆる円高に対応していく、企業がリストラをしていく、そして何とか利益を出していくという形での合理化経済の時代とでも呼べるものではないのかという話をいたしました。  しかしながら、いよいよ今度は途上国からのまさに追い上げが極めて激しいということになってくれば、そこはまた違う考え方を持たなければいけない。その追い上げは相当厳しいんだぞ。その厳しさというのは、戦後、諸先輩の皆さんたちが焼け跡に直面した、その中から日本の経済が復興した、そのくらいの、今我々の目の前には戦後の焼け跡はないわけでありますけれども、発展途上国あるいはまた諸外国の日本経済に対する追い上げが、そのくらい厳しいんだという危機感を持つことが重要なんじゃないかというようなことで議論をしたわけであります。  そういった意味においても、私は、後ほど申し上げますが、まだまだポテンシャルはある、十分やれると思っているのでありますが、しかし、現状は厳しいんだという認識を政府の方でしっかり示していただくことも重要なのではないか、そんな趣旨でございますので、どうぞ局長、そういった御理解、御認識お願いしたいと思います。  それに関連しまして、二番目の質問に入らせていただきますが、そうなってきますと、具体的な方策としてはいろいろな個々の政策の積み上げでありますが、大きな流れでいったときに、やはり日本の産業の構造を転換していかなければいかぬのだろうということになるのだと思います。  我が国経済、ここ四年ほどの不況の中から、いわゆる循環論としての明るさですか、低迷をやや抜け出る上向きの傾向が出てきたと思うわけであります。しかし、これはあくまでも循環論の部分でありまして、先ほど来申し上げております空洞化論等のことで考えると、やはり構造論としてここはもう一段力強いものを生み出していかなければいけないと思うわけでありますが、そういった意味において、現在の日本における産業構造転換の必要性を通産省がどのようにお考えになっているか、御所見をお伺いしたいと思います。
  19. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、私は委員と局長のやりとりを聞きながら、同じことを言っている。ただ、現状を強調するのか、その現状を踏まえて進むべき方向に視点を合わせているか、その差だという感じがいたしました。私は、委員が述べられたことを全く否定するつもりはありません。そして、まさにポテンシャルを持っている日本経済として、この時期に思い切って産業構造の転換を進めなかったら本当に空洞化になってしまう。その意味では、認識は私は通産省委員との間に差はないと思います。  ですから、我々としては、やはり何としても内外価格差の是正というもの、これは中間財まで含めて考えなければなりません。また、新たな事業機会を創出していくためにも、規制緩和は進めなければなりません。そして同時に、産業構造を円滑に転換させていくために新規事業をどう育て上げていくのか、またそれにサポートをするのか。同時に、既存産業が事業革新をどう進めていくのか、政府としてそれをどう支えるのか。そして、内需主導型の経済構造を実現していくためにも、良質な社会資本をどう計画的に整備し、しかもできるだけ前倒ししていけるか。こうした経済構造改革を強力に進めていかなければならない、そう考えております。  そして、そのような思いの中から、通産省といたしましては、通産省自身の所掌に係る規制緩和を積極的に今進めつつあります。これからもまた進めていきます。また、内外価格差の実態調査にも取り組んでおりますが、今国会事業革新円滑化法及び中小企業創造的事業促進法を御審議をお願いを申し上げておりますのも、これらを制定することを通じ、産業構造の転換を積極的に推進するとともに、総合的な施策の展開を図っていきたいという願いからにほかなりません。その意味において委員認識の差はない、私はそう感じております。
  20. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 ぜひその方向を歩まなければ、本当に我が国の二十一世紀、極めて難しい。逆に、その方向にまさに勇気を持って踏み出していけば、まだまだ十分ポテンシャルはある。私も全くそこは同感でございます。  では、その関連で、改めて具体的にお聞かせをいただきたいのでございますが、今大臣おっしゃっていただきましたように、通産省あるいは政府としてもそういう方向でお考えをいただいているようであります。  そこで、具体的に、昨年の暮れに産業構造転換・雇用対策本部、これをたしか十二月の二十七日、暮れも迫ったころに設置をしていただいたと思います。これは、私ども与党の経済対策プロジェクトチームのメンバーにとりましては、私ども与党としての案を御提案申し上げて、そしてそれを政府の皆さんが受けとめていただいて、素早く御対応いただいたというふうに理解をしておりますし、大変感謝もしておるわけでございますが、その対策本部の進捗状況、いかがでございましょうか。震災等ありましたから、なかなか難しい面もあろうかと思いますが、お聞かせをいただきたいと思います。
  21. 牧野力

    ○牧野政府委員 御指摘がございましたが、産業構造転換・雇用対策本部、昨年末に設置をいたしたわけでございます。当省におきましても、これは極めて異例ではございますが、省内に大臣を本部長とするそれに対応する本部を設けまして、鋭意検討を続けております。  与党のプロジェクトチームの御提案がありましたそのちょっと前でございますが、そういったものを受けまして、平成七年度の予算、税制等において、詳細は時間の関係上申し上げませんけれども、種々構造転換に対する対策を打ち出したところでございますし、これは私どもの所管ではございませんが、労働省におきましても、雇用調整助成金を企業をまたがって新たに設けるというような大きな踏み出しもしていただいております。  その後の動きでございますが、私どもといたしましては、この本部の大きな仕事一つといたしまして、今国会事業革新円滑化法、これは既存の大いに能力と意欲のある人の事業の革新を行う、これを助成するための円滑化法、あるいは中小企業におきましては中小企業の創造的事業促進を図る法案を提出をしまして、国会において御審議をいただいているところでございます。
  22. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 方向はそれでいいのでありますが、牧野局長、政府としての本部の会議とかそういったものは、震災のこともあったと思いますが、まだそんなに会合は開かれていないのでございましょうか。そういった進捗状況はいかがですか。
  23. 牧野力

    ○牧野政府委員 御指摘のように、災害等もございましたので、ちょっと私一〇〇%シュアでございませんが、総理の臨席する本部自体がそう頻繁に行われているかは聞いておりませんが、それぞれの各省あるいは本部のもとの幹事のレベルではいろいろ検討を行われ、各方面から今後どんどん意見も伺って、対策を進めていくというふうになっていると聞いております。
  24. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 確かに、震災がございましたから、もうそちらに力を注いでいただくのは当然のことでありますから、それは私としても十分理解をするところであります。  もちろん、その震災対策に全力を尽くしながら、しかしながら、昨年成立しました村山内閣、御案内のように、百三十一臨時国会であらかたのいわゆる懸案を片づけたわけであります。そして、平成七年度、いわゆる年が明けまして、この百三十二国会を初めとして、本年は本当に前向きの、今までの懸案を片づけましたから、前に向かって進んでいく、まさにそういう施策を出していかなければいけないと思っておるわけでありますが、その前に向かって進む施策の大きな柱が、一つ行政改革、これの表裏一体となる地方分権という話もそれに加味されるでしょう。これはもう今進んでいるわけであります。  それと同時に、この行政改革というのは、ある意味では仕組みの部分でありますから、そしてまた身を削っていく話でありますから、やや苦しいイメージがつきまとうわけであります。それに対して、同時に、この産業構造転換、そして日本経済の再生という話は、本当に本年の二本柱になっておかしくない重要な案件だと私は思うのです。  ここ三、四年、いわゆる民間の経済界の皆さんたちも相当苦しんできました。この一九九五年は、平成七年は、まさに日本経済が未来に向かって再生するそのスタートの年だ、それがこの対策本部だという位置づけを持っていただくことが極めて重要だというふうに私は思うものですから、どうかこの対策本部の成果を上げていただいて、そしてそれを国民に向かって大いにアピールしながら、あるいは訴えながら進んでいただきたいと、お願いを申し上げるわけであります。  今、四番目の質問の用意をしておりました円滑化法案とか、通産省さんの方で御用意いただいた法案の話も、牧野局長、橋本大臣のお話の中から出てまいりました。私の用意しておりました四番、五番を合わせて、どういった法案を御用意ですかというお話を申し上げる予定でありましたが、それも含めてでありますが、お願いをしたいのであります。  それと同時に、五番の私の予定しておりました質問でありますが、その予算が、円滑化法案にしても私は小さいんじゃないかと思うのですね。これはまあ新規の話でありますから、なかなか予算配分が、今までのシェア配分がなかなか変えがたい。私も昨年、公共事業の配分のチームに加えていただいて、もう本当によくわかりました。  それはわかるのでありますが、しかしながら、これからの未来をつくっていく産業といいますか、日本経済の根幹をどうしていくかという話の予算でありますから、それにしては例えば五十億程度の予算というのは、九兆円という公共事業予算全体のことを考えてみますと、国の予算でありますが余りにも小さいのではないか。日本経済をぐっと力強くしていくためには、もっと通産省頑張れという思いがするわけでありますけれども、どんな法案を用意なさっているか、そして、その予算に関してはどんな御所見が、お聞かせいただきたいと思います。
  25. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほど委員が本部の話に触れられましたので、その点から簡潔にお答えを申し上げたいと思います。  確かに、ことしになりましてから本部を開催いたしておりません。これは災害の影響ももちろんございます。しかし、それに言葉を逃がすつもりはありません。と申しますよりも、せっかく与党の経済対策プロジェクトチームが非常に積極的な提言をしていただきました。そして、それを受けて内閣として本部をスタートさせる、昨年末、我々としてその方向を決定したわけであります。  そして、今それを具体化すべく努力をしているさなかでありまして、私は、本部の会合というのは、しばしば開くことよりも決めたことをどう実行していくかが大切でありますから、今その実行の時期、そう受けとめていただければ大変幸いだと思います。そして、その法律制度等につきましては、今局長からも御報告を申し上げました。ですから、通産省が今国会に提出をいたします二法案について、長々と申し上げるつもりはありません。  むしろ、ここから先我々がやっていくべきこと、またやらなければならないということで進行中のものは何かというならば、やはり社会的ニーズの強い新規成長分野というものに対応した規制緩和を進めていくことでありましょう。通産省の場合、昨年、国の内外からちょうだいをいたしました規制緩和についての御要望を全部整理をし、他省庁の分はそれぞれ各省にお送りをいたしました。  通産省自身にかかわるテーマは、その中で三百五十二項目ありました。そのうち、私どもがこれはできないという結論を出したものは八十九項目でありまして、百四十項目余りは既に措置済み、または進行中であります。その詳細について、なぜできないかという理由も明示したものを、たしか先週の火曜日であったと思いますが、私どもとしては公表もいたしました。これからもそうした努力は進めてまいります。  しかし、それと同時に、社会資本を整備していくこと、店頭公開市場を活性化しながら資金調達環境を整備していく、これによるベンチャー企業育成など、各種の支援ツールをどううまく組み合わせていくかが我々にとって一番大事なことであろう、そうした思いでこれからも仕事をしていきたいと考えております。  そして、予算について御注意をいただきましたこと、真剣に受けとめます。そしてこれは、確かに予算は多ければ多いにこしたことはないわけでありますけれども、事務方の諸君はよく努力をしてくれた、そのように思っております。  そして、具体的には、事業革新円滑化法関連の施策といたしましては、円滑化補助金として、これは情報の収集とか提供に当たる費用でありますが、新たに五千万円の予算措置を講じました。また、内外価格差調査事業費を拡充して、一億一千万円を予算措置をいたしております。また、設備投資減税あるいは長期保有財産の買いかえ特例、試験研究促進税制の創設などの政策減税、これは党の方にも、小沢委員初め皆さんには大変な御協力をいただいたものでありますが、税の世界でもこれに対応をいたしております。  また、事業革新円滑化融資制度を創設しておりますし、中小企業の創造的事業促進関連法の施策といたしましても、技術改善費補助金あるいは信用保証協会への基金補助金等、約七十億円の関連予算措置を講じました。これにつきましても、設備投資減税あるいは試験研究関連税制等、減税規模約百億円の政策減税を実施をいたそうとしております。  また、地域中小企業の活性化貸し付け、従業員独立開業貸し付けなどの関連の融資制度も講じておるわけでありまして、私どもは、一般会計予算、税制、政策融資、こうしたものを組み合わせながら、規制緩和や社会資本整備の措置と相まって十分な対策に仕上げていこう、そう考えておるわけでありまして、今後これらの法律に基づく関連施策を速やかに実施することが何よりも大切、そのように考えております。
  26. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 大変心強い御説明をいただいたわけであります。私も、今いろいろな経営者の皆さんたちとお話をする機会に申し上げておりますことは、さっき冒頭申し上げましたように、この日本経済、今、焼け野原は目の前にないけれども、しかし、あの戦後の復興と同じ危機感を持って経営者の皆さんはやってもらわなければだめだ。企業家精神を本当に大いに発揚してやってもらわなければいかぬ。  それをやるのはまさに皆さんたちですよ、それは我々政治家じゃないですよ、経済界の皆さんたちがそれをやってくれなければだめなんですよ。ただ同時に、政治、行政は、そういった意欲を見せてくれる皆さんたちにはしっかりとそれなりのバックアップをさせていただきますよ、せめてそれはさせていただきますよということを申し上げておるわけでございまして、どうかそういった前向きの制度の充実をさらに御検討いただきたいと思います。  それで、時間も少なくなってきたのですが、前向きな話をするということは、同時にちょっとつらい話をさせていただきたいと思います。  構造改革ということになりますと、それでは今までの非効率化してくる産業あるいは付加価値が低い産業、それをどうしていくのかという話が当然その裏腹にあるわけであります。そのまさにリストラクチャリングをしていく中では、そこの手当てというものをどう考えるのかということをしなければいけない。それで、どちらかというと、そうした時代におくれつつある産業はフロンティアの方に移行していっていただく、それが今回の通産省の既存産業の円滑化法等のまさに趣旨だと私は思うわけでありますが、最近ちょっといろいろなところで、通産省はまさに日本の産業を今まで引っ張ってきたけれども、最近は通産保護省だというそんな御批判の声を耳にいたします。  といいますのは、例えば、今まで大きな装置産業等がありました。それは今までの日本経済を引っ張ってきました。しかし、時代に合わなくなってきた部分というのはかなりある。しかし、それを通産省は今保護しているじゃないか。保護しているから輸入がふえないじゃないか。輸入がふえないから、国際収支のところで千三百億ドルぐらいのいわゆるインバランスが出ているじゃないか。インバランスがあればそれは為替レートに結びついていって、どうしたって円高になっていくんだ。  要は、私はこの為替レートの問題については、これはいろいろな為替レートの要因というのは当然ありますけれども、その黒字の部分を減らしていくというのがやはり何といっても一番基本的な対策。その基本的な対策は、縮小均衡ではいかぬわけでありまして、拡大均衡しなければいかぬ。拡大均衡のためには輸入をふやす。輸入をふやそうとしているけれども、保護があってふえないじゃないか、日本の産業が保護されていてふえないじゃないかというロジックがあるわけですね。  ですから、ここは、要はつぶせということではなくて、新しい分野を提示してそこに移行してもらう、まさにそれが重要だと思うのですが、そういった通産保護省などという、いわれなき批判だと思いますが、そういったことに関しまして、御所見はいかがでございますか。
  27. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かにそういう声も耳にしないわけではありません。ただ、私は、それは非常に現実と遊離したお話だと考えております。そして、なぜ通産省が規制緩和に積極的に取り組んでいるのかある意味では官庁としてみずからの権限を手放すことに熱心なのかということをお考えいただきましたとき、私はその点は大いに異論がございます。  そして、一つの例を電力の保安規制で考えてみますならば、今回御論議をいただこうとしております、国会に提出する案件の中にこの分野もあるわけでありますが、従来、非常に細かいところまで、安全ということを考えチェックをいたしてまいりました。それを相当程度の規模のもの以下は、でき上がってから立入検査はさせていただきますけれども、事前の規制というものを外します。そうしますと、今、例えば発電設備について、年間一千件ぐらいの新規の案件があります。許認可の対象になりますものは、この改正が終われば多分四十件ぐらいに減るでありましょう。そのほとんどは原子力発電です。  それだけ大きな変化を遂げつつある通産省、私は、時代時代において、まさに保護が必要だったときにはこの役所は保護をやってきたと思います。そしてまた、育成措置が必要だったときは育成措置をやってきたと思います。今どうやって自力で行動していただけるのか、同時に、本当に円滑に新たな分野に転換していただけるのか、そうした方向に対して手を差し伸べようとしているわけでありまして、どうぞそこは誤解のないようにしていただくとともにサポートしていただきたい、心からお願いを申し上げます。
  28. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 時間が参りましたので、最後一言。  そういったまさに構造改革をしっかりやっていけば、日本経済はまだ十分明るい展望を持てるという大臣の御所見を最後一言お伺いして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  29. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 全力を挙げて明るい展望に我々は持っていかなければなりません。我々も全力を尽くします。国会におかれても、どうぞ御協力をよろしくお願いをいたします。
  30. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 ありがとうございました。
  31. 浦野烋興

    浦野主査 これにて小沢鋭仁君の質疑は終了いたしました。  次に、高木義明君。
  32. 高木義明

    高木(義)分科員 通産大臣、連日の国会の御審議、大変お疲れでございます。  私どもは政権の外におりますので、今の政府・与党の政策決定あるいは平成七年度の予算の細部についてはなかなか知る由はございませんで、この際、短い時間でございますが、我が国の産業の振興のためにという気持ちを私も持ちながら、お尋ねをしてまいりたいと思っております。  先ほども議論があっておりますが、世はまさに成熟社会でございまして、特に通産省にとりましてはある意味では厳しい冬の時代ではないかな。いわゆる経済優先から生活優先の国づくりというのをよく私も耳にしたわけでございます。しかし、少なくとも我が国の国民生活の中で大切にされなければならないのは、やはり国民の健康であり、人づくりの教育であり、そして生活のよりどころを求めて、また生きがいを求めていく産業のしっかりとした定着だろうと私は思っております。今後もいろいろ厳しいことがある中でも、やはり産業の確立こそが新しい日本の国づくりの柱にならないといけない、私はそのように考える一人でございます。  したがって、何とか明るい夢を求めてあすに挑戦をする、そういう我が国の産業政策をぜひ進めていただきたい、こういうことを思いながら、とりわけ今新しい分野になるであろうと思われる我が国の航空宇宙産業のあり方について、御所見を賜りたいと思っておるわけでございます。  その前に、今私たちの国会にかかっております関連法案の中での諸資料に目を通させていただきましてもわかりますが、例えば急速に進む海外生産、いわゆる我が国の産業が今空洞化しておる、そういう危機感の中で、このような数字も出されております。  例えば、製造業の対外直接投資、一九九三年度は前年度比一〇・七%、一九九四年度では二九・九%、かなり進んでおります。これに比べまして、製造業が国内の設備投資をすることについては、九三年度では対前年度比二一・九%マイナス、一九九四年度ではこれまたマイナスの一五・一%。確かに海外へ生産拠点が移っておることがうかがえるわけであります。  私たち、今日までの歴史の中で三Kとか三Cとかいろいろ用語が使われておりました。カラーテレビなどは一九九〇年で六〇・一%の海外生産でありましたが、今では、九三年度では七一・九%、VTRにつきましては一八・七%が四一・六%、また電気洗濯機におきましても二一・八%から二〇・九%、このように、私たちが身の回りで使っておる製品は、その多くが海外が生産拠点となっておるわけであります。  このことからしましても、いわゆる私たちの基幹産業と言われる主要産業の就業者数についても、金属系の素材産業では、九二年が百七十六万人であったものが二〇一〇年の予測では百三十九万人、減少の傾向にあります。輸送機械・産業機械におきましては三百六十二万人が二百七十九万人、電気・電子機械につきましては二百五十三万人が二百二万人、それぞれ就業者数の減少も予測をされておるわけであります。  そういう中で我々は、今新しい日本の産業構造の転換ということがよく叫ばれておりますが、円高という経済環境にもあり、また企業、産業にとりましても次の時代をリードする一つの柱を見きわめ切らない、そういう非常に複雑な、不透明な段階にあると思っております。  こういう認識の中で、今の我が国の産業空洞化に対してどのように見られており、そして、当面その空洞化の歯どめのために一体何をしなければならないのかこの点につきまして御所見を賜りたいと思います。
  33. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 第二次世界大戦終結後今日までの間を振り返りますとき、我が国では何回かの大きな産業構造、雇用構造の転換を体験してきたと思います。  そして、そのたびに、例えば第一次産業から第二次産業へ、第二次産業から第三次産業へ労働力の移動が行われておりました。そのときには、それぞれの業種にとって大変厳しい条件でありましたけれども、他の産業分野でそれを吸収する余力を我が国は持っておったと思います。例えば、昭和五十年代の初期、特定不況という言葉が非常に強く打ち出され、特定不況業種離職者臨時措置法が議員立法として、特定不況地域離職者臨時措置法が企業城下町を対象として政府の提出案件として国会議論をされ、装置産業、例えば造船、重機といった分野が非常に大きな危機に見舞われたこともありました。しかし、そのときには他の分野で吸収する、それだけの労働力の移動に対するゆとりを持っておったと思います。  今回我々は、実は構造不況、基本的な意味での空洞化というものにぶつかっておりますのは、その意味では、どの分野におきましても多量の労働力余力を吸収する力を現在では持っていない。そして新たな、産構審の言い方を借りますならば、十二分野といったものをこれから積極的に育てていくことにより、そうした分野における労働力の吸収というものを期待する、そういう状況にあるわけであります。  この原因を考えますならば、先ほども論議のありました経常収支の大幅な不均衡が大きな原因になっております行き過ぎた円高の状況、あるいは内外価格差、これは中間財までを含めて、我々は深刻に受けとめなければなりません。あるいは、国内の既存産業が成熟化し、同時に、そのために新たな業を起こそうという意欲がなかなか起こってこない、あるいは閉塞感が生まれてしまっている、いろいろな状況が言えると私は思うのです。そして、それはどの原因もそれぞれにその役割をしているでありましょう。  それだけに、我々は今非常にこの問題を深刻にとらえて対応を考えなければならないと思っておりますのは、どうやったら創造力と活力にあふれた経済社会をつくり上げることができるのかということでありまして、我々はこれを最大の我々の政策課題、そのようにとらえております。  そして、そのためには、先刻来お答えを申し上げておりますように、その内外価格差をいかにして是正していくのか、あるいは新たな事業機会をつくり出すためにどう規制を緩和していけばいいのか、あるいは産業構造転換を円滑に進めるための新しい事業の育成支援をどう行うのか、さらに、既存産業の事業革新をどう支援するのか、こうした視点を我々は失うわけにいきません。  さらに、内需主導型の経済構造を実現するためにも、良質な社会資本の計画的な整備、しかも、できるだけ前倒ししてこういったものに取り組まなければならないと思っております。  いわば、こうした施策を総合的に実施することによって現在の空洞化への懸念というものを払拭し、新たなステップに踏み出さなければならない、それが我々の率直な気持ちであります。
  34. 高木義明

    高木(義)分科員 確かに、今大臣からお話がありましたように、今非常に袋小路といいますか、それはバブルの崩壊であり、円高の長期化であり、あるいは国内市場の成熟化であり、そしてまた内外価格差の問題、こういったさまざまな難しい問題が横たわっておるし、我が国でつくる製品についてはほとんどが高いコスト、そういう構造、体制になっておる、そういうことが言えるのではないかと私は思っております。  戦後、農林水産業あるいは石炭を初めとするいわゆるかねへんの鉱業、こういった一つの時代がありました。それから、いわゆる製造業、これは繊維産業から始まりまして鉄鋼産業、いわゆる素材産業と呼ばれるわけであります。その素材産業からさらに、同じ製造業でありますが、自動車、電機、機械、加工産業というのが構築をされ、そしてまさにそれが我が国の今の経済大国を支えてきた原動力と言われております。  しかし、その製造業が今危ない。大変厳しい環境にある、これが今の我が国の実態ではなかろうかと思っております。もちろん、新しい経済成長のリード役とされておるのは、いわゆるマルチメディアという情報通信分野かもわかりませんが、それとてまだ具体的なプログラム、プロセスは明らかになっていない、そういう厳しい環境であります。  私はよく思うのでありますが、アメリカの製造業はかってやはり日本から凌駕されてしまった。多くの失業者を抱え、自動車産業、鉄鋼産業、大変なニュースをよく聞いておりました。しかし今、アメリカの製造業は復活した、こういう見方がされております。  その復活の大きな要素は、何といいましてもあの厳しい一九八〇年代にきちっとした設備投資をした。もちろんその設備投資は、企業の力とともに、レーガン政権におかれてのいわゆる投資減税初め税制改革を着実にしてきたこと。あるいは、やはり何といいましても二十五年前には月に人を送り込んだ相当のノウハウを持った国でありますから、その技術力がきちっと温存されておった。もちろん軍需産業というのもありますので、そういうものを通じて新しい先端産業への挑戦が続いておった。三つ目には、何といいましても労使の危機感です。これではアメリカがだめになるのじゃないか、そういう一つの危機感。そして、アメリカながらのいわゆるプロ意識、闘争心、こういうものがあったからこそ今アメリカの製造業が復活をしてきた、こういうことが言われるのじゃないかと思っております。  したがって、我が日本におきましても、この時期に決意を新たにして、もちろん経営もそうですし、あるいは勤労者もそうですし、国もそうなんです、今こそ私たちは、この苦しい時代を、挑戦、チャレンジ精神を持って新しい分野に臨んでいかなければならぬ、私はこのように思っておるわけであります。そういう意味で、大臣日本の製造業、将来は私はあると確信をしておりますが、この点について御所見を賜っておきたいと思っております。
  35. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、やはり製造業に未来がなければその国の経済社会の発展はあり得ないと考えております。そして、物づくりというものがどれだけ大事かということは、私はだれも忘れてはいないと思います。  そして、今日の日本が、大変失礼でありますけれども委員も大きな物づくりの企業で育たれました。私も、短期間でありますが、そうしたところにおりました。しかし、本当に支えられているのは、そうした大企業だけではなく、例えば、その青写真を持ってこい、どんな試作品でもつくってみせてやる、あるいは、この分野の金型ならおれのところへ持ってこい、どんな微細なものでもつくってみせるという、いわば職人集団ともいうべきすそ野産業に支えられてきた部分が非常に大きいと私は思っております。  今、ほかでも私は申し上げてきましたけれども、ある意味での危機感を非常に持っておりますのは、そうした職人集団ともいうべき中小、特に小から零細にかけての業種の方々、非常に特化された技術を持っておられる方々のところに後継者がなかなか定着をしないことであります。出生率の低下もありましょう。その中での高学歴化の傾向もありましょう。しかし、なかなかその技術の後継者が育たない。この状況は何とかしなければなりません。そして、そういう分野まで目を行き届かせて初めて、物づくりというものが大企業においてもこの国の将来を担っていけるものになる。  その意味では、委員が御指摘になりましたようなアメリカの復興の例もありますけれども、我々はやはり、いわば職人国家としての日本とでもいうべき、その基盤の部分にも目配りをした物づくりの精神を再び呼び覚ましていく、これが大切なこと、そのように感じております。
  36. 高木義明

    高木(義)分科員 そこで、我が国の航空宇宙産業についてお尋ねしてまいります。  私は、昭和でいいますと四十年代の半ばごろに初めてジェット旅客機に乗りました。そのころ私が直感したのは、よくこんな重たいものが空を飛べるな、こういう思いでございました。しかし、残念なことに、日本が飛行機をつくる技術まではまだ至っていない。やはり私は日本人であるから、日本がつくったジェット旅客機で世界を回ってみたい、こういう一つのロマンらしきものを持ったのが今思い出されるわけでありますが、そういう気持ちで見てみますと、私は、今、日本の新しい産業分野の挑戦の一つになるのが航空宇宙産業分野ではないかなと思っております。  しかし、この分野は、言うはやすく行うほかたしでありまして、大変難しい問題点、課題もあるわけです。例えば膨大な資金が要る。その反面リスクが大きい。安全性等の問題でございます。あるいは国内のマーケットがほとんどない。そういうことでありますから、防衛産業といいますか、いわゆる官需に依存された体質になっておる。こういうことで、国としてもかなりの支援はされておりますが、なかなか大きく飛躍することができないというのが今の現実じゃないかと思っております。  しかし私は、先ほども大臣が言われておりましたように、日本の産業というのはすそ野が広い。そういうものを支え、そこに活力を与え、そして新しい日本の技術立国としての基盤を固めるためには、やはりこういうことに苦しくとも前進をしていかざるを得ないのではないかと思っております。  そこで、我が国の航空宇宙産業についての位置づけについて、御所見を賜っておきたいと思います。
  37. 渡辺修

    ○渡辺政府委員 お答え申し上げます。  航空機及び宇宙産業の位置づけについての御質問でございました。  航空機産業につきましては、今先生幾つが御指摘されましたような産業の特質を持っておりまして、ボーイングとかエアバスといったような列強の大企業と国際舞台でいきなり競争しなきゃいかぬ、こういう事態に直面するわけでございまして、そういう意味で、限られたマーケットでこれから後発として出ていくというのは、非常に難しさを持っておるというのは御承知のとおりでございます。  特に、総需要約八千億円ございますけれども、御承知のように、その四分の三ぐらいを占めております防衛需要が、冷戦が終結しました後どんどん落ちてきておりますものですから、そういう意味で、民間の航空機産業の振興というのが今最大の課題になってきております。先生承知のとおり、今までYXプロジェクト、ボーイング767、さらに現在開発中のボーイング777、これは九六年には就航することになると思いますけれども、それらに全力投球を行っておるわけでございますし、あわせてV2500、これにつきましても、一度開発を終わってA320等には積んでおりますけれども、さらにそれの派生型の開発を今続けておる、こういうことをやっておるわけでございます。  そうした航空機産業、全体で、現在アメリカの十分の一ぐらいの規模にまで徐々にではありますけれども成長してきております。この後、我々の路線といたしましては、大型航空機については引き続き諸外国との共同開発路線をしっかりと歩んでいきたい、こういうふうに考えておりまして、開発予算その他についても助成を続けておるわけでございますが、あわせて小型の方、例えばYS11の後継機と言われますYSXでございますけれども、これを日本が主導的な立場をとって、百人乗りぐらいの飛行機を開発できないかということで、現在これの開発のフィージビリティースタディーを行っておるところでございます。  そういうことで、大変厳しい国際環境下ではございますけれども、YSXを何とか離陸させまして、着実に民間航空機産業の振興分野を引っ張っていきたい、かように考えておるわけでございます。  それから、もう一つの宇宙産業の方でございますが、もう先生よく御案内のとおり、我が国の宇宙産業、規模は全体で三千億ぐらいでございます。その中で、通信とか放送分野のように既に実用化に走っておる分野もございますが、大部分はまさに研究開発分野でございまして、その中にも比較的実用化の早い分野と、宇宙開発ステーションのような大型のこれからの研究開発というふうに中身が分かれると思います。  通産省におきましては、その研究開発の中の比較的実用化が、近いとは言いませんけれども、それに比較的近い分野に属しておりますリモートセンシング技術の開発分野、さらには、無重力の実験分野というところに焦点を当てまして、その二つの研究開発分野を精査し、足腰を強くして実用化につなげていきたい、こういうことで現在宇宙産業施策を展開しておるわけでございます。  前者のリモートセンシングにつきましては、先生よく御承知のとおり、資源探査衛星、これは既に平成四年に打ち上げまして、それの幾つかのデータを今配信してもらって、諸外国にもこれを流しておって有効活用しておるわけでございますが、あわせて、ことしの三月でございますけれども、長く三省庁、科学技術庁、通産省それから文部省でやっておりました無重力実験の方のフリーフライヤー、これを打ち上げようということになっておりまして、これも画期的なプロジェクトでございます。  そういったようなことで、研究開発分野の中の比較的実用化に近い分野、かつ技術開発効果の大きい分野、そういうところに焦点を当てて、引き続き政府として技術開発の施策を展開している、かような状況でございます。
  38. 高木義明

    高木(義)分科員 最近の新聞でもちょっと目を引きましたが、ロシアの風洞実験装置を我が国が借りて研究をしていくという動きもあっておるようでありまして、例えば、今我が国では大型の風洞設備がない。したがって、そういうものも完備する必要があるのではないか。  もちろん、産業あるいは国、また研究機関、いわゆる産学官の役割分担というのがありまして、これはきちっと整理をされて、その場その場で最大限のお互いの努力をするということが目標になると私は思うのであります。今、公共投資の拡大というのがよく言われておりますが、航空宇宙産業、いわゆる我が国の新しいリーディングプロジェクトとしての産業分野でありますから、私は長い目で見る必要もあろうと思っております。  したがって、こういうものについても、公共事業のシェアの配分等も十分見直しながら前広な取り組みがされていかなければ、そういう分野においての立ちおくれが危惧されるわけでありますから、ひとつこの点についてもぜひ善処方をお願いしたいと私は思いますし、このスタンスがもちろん平成七年度予算にも具現化されておると思うのですが、この点についての御所見を賜っておきたいと思っております。
  39. 渡辺修

    ○渡辺政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の大型の風洞実験、これは前々からよく指摘されているところでございまして、研究開発の必要な大変お金のかかる分野でございまして、大型航空機の風洞実験装置その他を日本がいずれ持たなきゃいかぬという課題になっておることは、御承知のとおりでございます。  その問題につきましては、これは航空機の実際の開発のときの風洞実験に使うのみならず、恐らく試験研究開発の分野でもこれを利用することが非常に多いと思っております。そういう観点から、今御指摘のあった公共投資の問題についても、研究開発投資という分野をこれからどういうふうに重点的にそれに充当していくかというのが大きな課題になっております。そういった大きな課題の中の一つのテーマとして、我々も十分頭に置いて対処していかなきゃいかぬ、かように考えておるわけでございます。  それから、今の予算関係でございますけれども、宇宙開発関係予算、これは通産省関係予算でございますけれども、今申し上げました、先生の御指摘のとおり百数十億円、一般会計、特会合わせて今の関係に充当いたしておりますし、航空機産業につきましても、財投での今の回転基金は別に、予算関係でも百億を超える予算を計上いたしておる、こういうのが現状でございます。
  40. 高木義明

    高木(義)分科員 時間が参りましたのでこの辺でおきますが、私は今回の阪神大震災の災害を見まして、空からなぜ救生活動ができなかったか、なぜ消火活動をしなかったのか、もう素朴な国民の疑問があったわけですね。  そういう中で、ヘリコプターにつきましても、今問題点とされておる騒音の問題あるいは安全性の問題、こういったものがさらに研究開発されて克服されていけば、国民の生命、財産を守る、そういう観点からも、ヘリコプターのすばらしいものを日本で開発する、こういうことも私は十分に出てくるんじゃないかと思っております。どうかひとつ、大臣初めさらに御支援をいただきたいというふうにお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  41. 浦野烋興

    浦野主査 これにて高木義明君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  42. 山原健二郎

    ○山原分科員 最近の急激な円高を背景にしまして繊維製品の輸入が急増しまして、国内繊維産業の海外移転も急激に進んでいます。地域経済、雇用の大事な足場になっていた繊維関係の地場産業の存亡にかかわる問題が起こっているわけで、御承知のとおりであります。  この繊維産業につきまして、政府、通産省の方では、「繊維セーフガード措置の取扱いについて」というのが昨年の五月、生活産業局から出ておりますけれども、それには、日本の繊維産業は、流通段階まで含めれば就業者人口二百八十万人と極めて大きな産業であり、地場の中核産業として位置づけられているというふうに位置づけているわけでございまして、この問題について質問をいたしたいと思います。  私の生活しております四国の場合に例えて申しますと、愛媛県今治市のタオル産業、それから香川県大川郡の手袋産業、これは地場産業として大変貴重なものとして長い歴史を持っているわけですが、ここでも今大変深刻な状態が起こっておりまして、今、政治の力をこういう業者に対して注ぐ必要があるのではないかというふうに思いますので、最初に大臣に、我が国全体の繊維産業がどういう状況になっているかという問題でお伺いしたいわけです。  円高は一九八五年のプラザ合意以降急速に進んでいますが、その一九八五年の時点と現時点との比較で、まず第一番に、繊維製品の輸出輸入の貿易収支バランスはどのように変化をしているかという問題と、そして繊維製品の内需に占める輸入製品の割合はどのようになっているかという問題です。これは事務局の方でも結構ですけれども、最初にお答えをいただきたいのです。
  43. 江崎格

    ○江崎政府委員 お答えいたします。  我が国の繊維製品の貿易バランスでございますけれども、一九八五年におきましては、輸出が五十五億ドル、輸入が三十五億ドルということで、二十億ドル余りの輸出超過になっていたわけでございますけれども、その後、輸入がだんだん増加してまいりまして、一九八七年には入超に転じております。この年には、輸出が六十一億ドル、輸入が六十七億ドルということで、初めて輸入が六億五千万ドル上回ったわけでございますが、さらに輸入がその後も増勢が続くという状況でございまして、一番新しいデータが、一九九三年におきましては、輸出が七十一・七億ドル、輸入が百五十五億ドルということで、差し引きで八十三・五億ドルの赤字ということになっております。  また、御指摘の繊維製品の内需に占める輸入品の割合でございますが、これも一九八五年には二六・一%だったわけですが、その後、輸入の急増によりまして、一九九三年には半分を超えまして、五〇・八%ということになっております。
  44. 山原健二郎

    ○山原分科員 今のお答えを伺いましても、その数字を見ましても、輸入物に大きく圧迫されている状況がはっきりとしてくるわけでございまして、このことが繊維製造業関連の雇用に対してどういう影響を与えているかという点ですが、この点についてもお伺いしたいのです。
  45. 江崎格

    ○江崎政府委員 雇用でございますが、繊維製造業の従業者の数は、工業統計によりますと、この二十年間一貫して減少してきておりまして、特に最近の例で申し上げますと、一九八五年には製造業で百三十三万人の従業者がいたわけですが、九二年にはそれから十万人ほど減りまして、百二十二万人という数字になっております。
  46. 山原健二郎

    ○山原分科員 ちょっとここで失業について私の方から説明したいと思うのですが、四国通産局の方へもたびたび参りまして、香川県の手袋、そして愛媛県のタオル、この問題で何遍か説明をし、通産局の方でも大体実情はつかんでいるように思います。  例えば、香川県大川郡の手袋産業というのは、百年有余の歴史を持った地場産業でございます。以前は、手袋産業に関係のない家は百軒に二、三軒とも言われたほど栄えたものですね。ところが、この十年ほどは、円高のもとで輸入品に押されまして、多くの企業が海外にどんどん出ていくということで、大変な事態になっています。  昨年一年間をとってみましても、十五以上といいますが、これは正確ではありません、もっと多いのですけれども事業所が廃業に追い込まれたと聞いておりますし、輸入圧力に対抗するため、大変な長時間・低賃金労働も余儀なくされているということが報告されております。中小零細事業所では、一日十六時間も働きまして、しかもその時間給は四百八十円程度という低さだということでございます。  それでも仕事があればいいという状況でございまして、一定の資全力を持った企業は海外に生産拠点を移し、その下請の中小零細事業者仕事が次々に奪われていく。だんだんと町じゅうからミシンの音が消える。このままでは手袋産業の灯が消えてしまうという危惧の念が寄せられているのであります。これは大川郡の手袋の問題です。  今治のタオル、日本のシェアの大半を持っているところでありますけれども、ここではこの二年間で六十社が倒産あるいは廃業いたしております。これは零細業者を含めてでありますが、今まで三百六十六社あった事業所が今三百四社に減っておりまして、その原因は海外進出で、地元の大半が倒産したり、さまざまな影響を受けるという状態でございます。現在、五社が中国へ行っておりますし、準備中が二社あるという状態でございます。  それで、ついでに、そこでつくった製品、中国でつくった製品をすべて日本に輸入してまいりまして、これに押されて大変な事態が起こっているわけです。それで、この業者の希望としましては、輸入制限をしてほしい、タオル製造組合としては三月をめどにいわゆるセーフガード発動の申請をしたい、こういうふうに言っております。  もう一つは、融資の問題がありまして、ついでに要求を申しておきますと、振興資金の利息が高い。取り組みの中で二%台になっておる資金もありますけれども、もっと低利にしてもらいたいという要請。それから、無利子の資金を出してもらいたい。利子つき資金でも、据置期間を大幅に延ばすなどの方向、方針をとってもらいたい。現在三カ月程度でありますが、これを延ばしてもらいたい、こういう切実な要求が出されているわけでございます。  こうした事態は、単に香川県あるいは愛媛県のタオルや手袋に限らず、全国の繊維地場産業に共通したものであって、何とかしなければならないという思いに駆られるわけでございます。地場の中核産業として、地域経済、地域雇用の極めて重要な支えとなってきた繊維地場産業のともしびを消してはならないという観点から、私は通産大臣に対して、この点で大臣の基本的な認識をまずお伺いしたいと思います。
  47. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私自身、かつて繊維業界に身を置いたことのある人間であります。そして、現在我が国の繊維産業が非常に厳しい状況にあることは承知しておるつもりであります。それは消費の低迷という要因もありましょうし、輸入の増大といった要因もありましょう。いずれにしても、厳しい環境変化に直面しておることは十分認識をしているつもりであります。  そうした中において、現在、一部の業界の中から、繊維のセーフガード措置対象としたいという品目を挙げておられる状況があることも十分承知をいたしております。今後、関係業界から正式に御要請がなされました場合には、先日制定いたしました繊維のセーフガード措置に係る手続などに基づいての検討を行うことになる、そのように考えております。
  48. 山原健二郎

    ○山原分科員 零細な繊維業者の苦境について今簡単に御説明申し上げたわけでございますが、これを乗り切るためにさまざまな工夫や設備の高度化などにも取り組まなければならない。そのための資金繰りが大変だという問題が必ず起こってまいります。現に起こっているわけですが、その強力な後押しに全力で取り組むべきときだと思うわけでございます。特に資金の融通について、自治体ともタイアップして、末端では無利子となるような融資対策などを緊急に拡充してもらいたいという声があるわけでございますが、これを国だけに頼るのではなくて、自治体とも、地場産業を守るという観点からこのようなことが望まれておりますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
  49. 中田哲雄

    ○中田(哲)政府委員 円高不況を含めまして、大変厳しい状況に直面しております繊維産業を初めといたします中小業者の資金の融通の円滑化を図るということを私ども一生懸命やっておるわけでございまして、これまで累次の経済対策に基づきまして、運転資金支援特別貸付制度、これは政府系中小企業金融三機関によります特別融資制度でございますが、あるいは緊急経営支援貸付制度、これは委員指摘の国と県がタイアップいたしまして、資金を持ち寄りまして中小企業体質強化資金というものをつくりまして、ここによって行うものでございます。民間金融機関、商工中金から融資をするものでございますけれども、こういう制度を設け、あるいはそれの拡充をしてきているところでございます。  御指摘の無利子という点につきましては、これまでの景気対策における政策金融制度の位置づけでございますとか市中金融機関の貸し付けとのバランス等から考えますと、現時点では非常に困難であるというふうに思うわけでございます。これまでの融資制度を御活用いただきますとともに、設備近代化につきましては設備近代化資金という無利子の制度もございますし、あるいは高度化融資制度もございますので、これらの制度の御活用もいただきたいというふうに考える次第でございます。
  50. 山原健二郎

    ○山原分科員 今回の阪神大震災との関係ですけれども、例えば四国の場合は今回の震災地に隣接をしておるところでございまして、交流が非常に激しいわけで、もちろん阪神一帯または全国的にもこの大震災の影響というのはあるわけでございますが、特に隣接したところではこの影響が深刻なものがございまして、例えば阪神地域との取引のある事業所は、納品もできない、また納金もないという事態のもとで、資金繰りが悪化しているという例が少なくありません。こうした震災により間接的ながら影響を受けた事業者への特別の対策も急がれておると思います。  震災地域の救済対策にはもちろん全力を挙げなければなりませんし、その点で、今政府がとられようとしておる姿勢についてもいろいろ申し上げたいことがありますが、ともかく必死になってやっておられるということはわかります。これに準じた対応をしてもらいたいという声が極めて強くなっておりまして、先ほども述べましたように、末端で無利子となる融資措置や、これまで借りていた資金の償還繰り延べ、軽減措置などができないものなのかという声があるわけですが、これについてはどのようにお答えになりますか。
  51. 中田哲雄

    ○中田(哲)政府委員 震災によりまして間接被害を受けた中小業者に対しましても、私ども最大の配慮をすべきであるというふうに考えているところでございます。このような観点から、被害の程度に応じまして、間接被害を受けた中小業者に対しましても特別の融資を行うこととしているところでございます。  また、委員指摘の既往債務の返済の問題につきましては、政府系中小企業金融機関に対しまして、中小業者の実情に応じまして弾力的に対応するようにということで私どもの方から指示もしているところでございます。そういうことで、債務の返済猶予につきましても、適切な対応が図られるようにということでやってまいりたいというふうに考えております。
  52. 山原健二郎

    ○山原分科員 言うならば、こういう難局に対しまして一定の歯どめをかけるという意味におきまして、繊維業界にとっての一筋の光明となっているのがセーフガードでございます。急激な輸入増大に対して緊急輸入制限措置をとるというものでありますけれども、その発動を求める声が非常に高いわけですね、先ほども例を申し上げたわけですが。  通産省は、このセーフガードに関する運用指針をまとめて昨年十二月に公布しましたが、繊維業界からのセーフガード発動要請があれば、これに積極的にこたえる用意があると理解してよろしいでしょうか。先ほど大臣が少しお答えになりましたが、この点についてお伺いをいたします。
  53. 江崎格

    ○江崎政府委員 大臣から先ほどお答えしたとおりでございまして、業界によりましては、セーフガードの対象に幾つかの品目を考えているというふうに私ども承知しております。関係業界から正式な要請が出てまいりますれば、先般制定いたしましたセーフガードの手続に関する基準に基づきまして、これらについて検討させていただくということになります。
  54. 山原健二郎

    ○山原分科員 セーフガードの発動をするかどうかについてのメリット・デメリットを十分に検討した上で決める、今までそういう説明がなされてきておったわけでありますが、そのことについて業界の中からは、これは報道機関の言葉でありますが、敷居が非常に高いという言葉が出ておるわけでございます。しかし、急激な輸入増大から国内繊維産業を守るための緊急輸入制限措置は国際的な貿易協定で認められた措置でありますし、だから米国も欧州連合もこれを使って緊急輸入制限措置をとっておるというふうに聞いておるわけでございます。  まず第一番に、米国がセーフガードを発動している相手国は何カ国で、主な国はどこか、その対象品目の割合はどの程度かということと、同様に欧州連合の場合はどのようになっているか、現状を伺いたいのであります。
  55. 江崎格

    ○江崎政府委員 昨年末のガットの事務局の資料によりますと、米国は三十カ国に対しましてこのセーフガード措置を発動しております。また、EUは十七カ国に対しまして同様の措置を発動しているという状況でございます。  それぞれの国の繊維輸入に占める対象品目の割合でございますけれども、米国の場合は輸入の八割ほど、EUについては五割ほどというふうに、これは正確な統計がございませんので推定でございますが、そのように言われております。
  56. 山原健二郎

    ○山原分科員 そういう実態を見ましても、先准各国とも国内産業を守るために緊急制限措置をとっているわけでして、カナダの場合もそのように聞いておりますが、日本はこの点ではまだそういう措置をとっていないわけですね。  例えば、セーフガード発動が消費者に与えるデメリットも考えるという声もありますけれども、そういう理屈でどんどん産業空洞化を放置したらどうなるかといいますと、消費者の立場に立っても、消費者も働いて生計を立てているわけですから、その働き口がどんどん失われていく現状になれば、消費者の利益を守るということもできないわけでございまして、内需拡大どころでなくなるというふうに思います。そういう問題を含んでいます。  したがって、国内の雇用問題がこれだけ深刻さを増し、何とかしなければ日本社会は大変なことになる、そういう危機意識から、これから社会に出る青少年に希望を与えることもできなくなるというふうに考えますと、この事態に直面していながら、これを正面に据えずに、あれこれ両面から考えなければならないなどということを言っておりましたならば、事を誤るのではないかというふうに思いますが、私のこの危惧の念に対してどうお答えになりますか。
  57. 江崎格

    ○江崎政府委員 昨年の五月に、先生指摘のように審議会の答申が出まして、このセーフガード措置の取り扱いについての手続についての提言が出たわけでございますが、これによりますと、このセーフガード措置の発動をするかしないかということにつきまして、二つの要素を総合的に勘案するということになっております。  一つが技術的な判断要素でございまして、これは、輸入の増加の事実ですとかあるいはそれによる当該産業の被害の実態、こういったことを勘案する。それからもう一つが政策的な判断要素でございまして、これが先生おっしゃっております制限措置の発動によるメリットとデメリット。  メリットと申しますと、それによりましてその業界の構造改善を進める環境が整備されるかどうかとか、あるいは極端な雇用問題を回避できるかどうかといったメリット。それからデメリットといたしましては、繊維製品の価格が非常に急に上がるというようなことから、消費者に対する不利益がひどくならないかどうかとか、あるいは技術革新が停滞しないかどうかとか、あるいは、セーフガード措置というのは特定の国を対象にいたしますので、その国との通商関係が著しく悪化しないかどうか、こういったことでございますが、そうした技術的な判断要素と政策的な判断要素を総合的に判断して決めるべきである、こういう提言がなされました。私どもこの援言を受けまして、ほぼそのとおりの運用基準を先般定めたわけでございます。
  58. 山原健二郎

    ○山原分科員 大臣にお伺いしますが、よろしいですか。お疲れだろうと思いますけれども。  このセーフガード問題に当たりましては、国内産業を空洞化から守るという点、それからもう一つは深刻化する雇用問題に立ち向かう、この二つの点にいわゆる基軸を置いて、言うならば軸足を置いて対処すべきであろうと私は思います。当然その発動要請に対しまして、通産省としても政府としても積極的にこたえるべきだと思うわけでございますが、この点もう一度大臣の決意を伺っておきたいのです。
  59. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 かつて私が在職いたしました綿紡績の会社、既に姿を消しまして相当の年数がたっております。そういう状況を考えますときに、セーフガードの問題は大変私にも複雑な思いがございます。ですから、一部の業界から正式な要請がなされました場合には、これはきちんと手続を追って措置していく、検討していくことになる、そう申し上げておきたいと思います。
  60. 山原健二郎

    ○山原分科員 最後に要請申し上げたいのですが、時間の関係もありますので、これ以上長い質問はいたしませんが、通産局へ行きましても、実情を案外深部のところがわかってないのですよ。業者の願いというのは非常に切実ですからね。ところが、そこのところがどうも隔靴掻痒の感があるといいますか、どうしても通じない面がありまして、そういう意味で、今日の置かれているいわゆる繊維製造業界の実態というものをぜひつかんでいただいて、そしてこれに対する対策、これは誠意を持ってこたえる態度で臨んでいただきたいということを要請いたしたいと思いますが、この点についてのお答えを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  61. 江崎格

    ○江崎政府委員 先ほどから大臣お答えいたしましたように、私どもといたしましても、繊維産業は、消費の低迷ですとかあるいは輸入の急増によりまして大変厳しい環境にあるということをよく承知しております。私ども、日ごろから業界の各種の団体等と接触いたしまして、御指摘のような実情の把握に努めているつもりでございますし、今後ともそれに努めてまいりたいと思っております。それらに基づきまして適切な対応をしていきたい。  御承知のように、セーフガードの措置の問題ももちろんでございますし、それから国内産業の構造改善ということにも大変私ども熱心に取り組んでおりまして、昨年三月に繊維工業構造改善臨時措置法を改正いただきまして、新しい構造改善ができるようにしていただきました。これに基づきまして、現在構造改善対策に熱心に取り組んでいるところでございます。
  62. 山原健二郎

    ○山原分科員 敷居が高いという言葉が出てまいりましたけれども、ぜひ今日の事態を十分把握していただいて、適切な指導あるいは対策を講じていただきたいことを要請しまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  63. 浦野烋興

    浦野主査 これにて山原健二郎君の質疑は終了しました。  次に、河村たかし君。
  64. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 河村たかしてございます。  大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この間新聞で見させていただきましたけれども、コンピューターを操っておられるところを拝見させていただきました。私も情報通信関係を専門に、前から好きだったこともあって勉強しておるのですけれども、アメリカでは政府がまず一番の牽引力になって、九八年ごろだと聞いています、そのころには全政府調達をコンピューターネットワークを使った電子取引でいこうという計画があるようなんですね。  いろいろ情報通信が必要だということは言いますけれども、やはりできるところからやるというのが当たり前のことでございまして、そこら辺を、みずからコンピューターを使われました政策通の橋本大臣、まずアメリカのその状況というのをどんなふうに認識されておるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  65. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私どもが非常に注目をいたしておりますのは、本院におきましても既にしばしば御論議が出ておりましたけれども、何年ごろでありましたか、アメリカの国防総省がCALSを進め始めた。それがいつの間にか、あれは最初はDODと言ったんでしたか、名前をちょっと忘れましたが、そのシステムが今だんだん民間企業にも転移し、そうした中で、当初はたしか二〇〇〇年までにCALSによる政府調達というような目標がかざされていたと思います。  ところが、この電子取引の活用に積極的に取り組むという方針が、具体的には、一九九七年の一月までに政府機関全体と中小企業も含めましたすべての業者との間で電子商取引システムを可能な限り構築する、そのような目標に変わったと承知をいたしております。  ちょうど本日、政府におきましても高度情報通信社会推進本部が開かれ、そこで基本方針を決定いたしたばかりでありますが、そこにも明記いたしておりますように、日本政府としては総務庁でまとめておられます行政情報推進五カ年計画に基づきまして、行政のあらゆる分野における情報通信システムの利用を拡大していく、そして、電子的な政府という言葉が私はどこまで民間にも受けとめていただける言葉になるかという思いはありますが、電子的な政府というものの実現を進めるということを目指しておるわけであります。  通産省自身としても、行政の情報化のモデル省庁として、このような行政情報、行政の情報化の推進に向けての取り組みをより積極的なものにしてまいりますとともに、関係省庁にも働きかけを行ってまいりたい。同時に、民間においても電子取引というものをできるだけ定着させていかなければ、例えば日本の業者がアメリカの政府調達に参入したいと思いましてもそれでも障壁ができてしまう、そのような事態はつくりたくない、これが私どもの今の率直な思いであります。
  66. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 割と前から、やはり政府の部門を何とかコンピューターネットワーク化せないかぬということで、いろいろあったのですけれども、なかなか日本は進まない。どうも官僚は首切りが嫌なので、なかなか日本じゃ進まぬのじゃないかということで、いろいろなシンクタンクを見るとこの提案が必ず出てくるのです。このたびそういうような提案を出されるそうでございますけれども、そこら辺の足を引っ張るような動きというのはあるのかないのか。  また、通産省がモデル省庁だと言われるのでしたら、例えばインターネットなんかも今盛んに言われておりますけれども、僕ちょっとまだ見ておらぬでいかぬですけれども、あれに今現在との辺の情報が入っているのか。例えば、最低でも一週間ぐらいのスパンのものをぜひ入れてもらわないと、大分前に私、官邸のものを見たのですけれども、半年も前のものが入っておって、これで一体どうなんだろうかという感じがしましたものですから。  今の二点ですか、行政の方から余り電子化を進めていってもらっては人手がというような問題があるのかないのか、それと、モデル省庁だと言われるならぜひ率先して、幾ら古くても一週間ぐらいの情報をぜひほうり込むぐらいの、具体的な、できるところからまずやっていただきたいという感じがいたしますが、大臣、ちょっと。
  67. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 事務的な状況については機情局長の方から御報告をさせますけれども、少なくとも私が知る限りにおきまして、通産省の中でこうした動きに反する行動があるとは思っておりません。強いて申しますならば、秘書官が私の練習の時間を余りとってくれないことぐらいでありまして、むしろ幹部、職員、非常に積極的にこの時代に対応しておりますし、その意味では、今委員がお話しになるような感じは私は全く持ちません。
  68. 渡辺修

    ○渡辺政府委員 第二点の、通産省がモデル省庁としてどういうふうな情報化のための省内の体制をとっておるのか、こういう事務的な御答弁でございまして、私の方からやらせていただきます。  内閣に高度情報化推進本部というのが昨年の八月にできました。同日付で通産省内に高度情報化推進本部という本部を設けまして、関係局長全部入りまして、部局入りまして、まずは隗より始めよということで、省内で情報化のための大作業をやっておるわけでございます。  そのうちの一つの点は、今おっしゃいました我が省の情報の外への発信でございまして、現在、試験的でございまして、やっておりますのは、我が省のいろいろな発表文書とかそういうのがございますけれども、それをサンプリングいたしまして、これをインターネットに適宜実験的に流しておるというようなことをいたしております。  それから、主要な審議会の中間報告、例えば情報産業部会で産業の情報化に関する小委員会の中間報告が昨年十月に出ましたが、これについてはインターネットにすぐに流しまして、それについて世界じゅうから意見を求めた。随分いろいろな意見が入ってきております。こういうのもやり始めております。それで平成七年度、四月以降、これをもう少し体系的にいたしまして、インターネットで定期的に我々の発表文を流せるようにしようというのが我が省内の情報化の一つの柱でございます。  もう一つは、通産省への国民の皆様からの情報のアクセスでございますけれども、それを図る意味でデータベースを整備しよう。それに合わせて、通産省の所管団体、約三百ぐらいございますけれども、そのうちの五十幾つのものが今オンラインになっております。できればそれをできるだけネットワーク化いたしまして、そういうところへの情報のネットワークによる入手というのもできるだけアクセスしやすくしようではないか。  こういう二つの柱をもとに、今省内の情報化を進めておるところでございます。
  69. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 とにかくできるところから具体的にやっていただくということで、インターネットを注目しております。一遍半年も前のものが入っておって、熱心にと言っていただいても、何を言っておるんだということになりますので、ぜひその辺のところをお願いしたいと思います。  以上のように、行政府の対応はやはり日本はおくれておるのじゃないかというのが一つの通説的に流布されておることでございますけれども、そうなると、海外の企業からすると、日本と取引するときには電子じゃだめよ、一々書類を全部つくらないかぬということになります。それもコストもかかりますし、そういう意味では参入障壁というような一つの理論構成もできるのではないかというふうに思うのですが、その辺のところはどうでしょうか、大臣
  70. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 もし委員のようなお考えがすべてでありましたならば、昨年私はAPECの中小企業大臣会合であれほど苦労をしなくて済んだであろうにと思います。  確かに、このAPECの中小企業大臣会合の席上、情報分野について、アメリカの代表からは大変積極的といいましょうか、これについてこられないのはおかしいんだに近い強い発言はありました。ただし、その席上でこれに対しては猛烈な反発が出ました。要するに、一番進んだ国のレベルで他の国に強制されてもついていけない、これは率直な声でありました。そして、それはASEANばかりではなくその他の国々からも、むしろそのシステムの押しつけというものに対する反発が出たというのがそのときの空気であります。  ただし、情報化の促進というものが必要であることは皆が認めておりまして、その基盤がまだできていない国が多数あるときに、一番先端を走っている国のルールを強制されては世界経済自身が参ってしまう、こういう反応で、私はそのメッセージはアメリカにも非常に素直に伝わったと思っております。  そして、本年APECの議長国としての日本が高級事務レベル会合を現在準備を進めている段階でありますけれども、そういう意味では、アメリカの姿勢というものが、自分の国のシステムを他国に強制するのではなく、ついてこれる体制は何かということについて、日本あるいはカナダその他オーストラリア等々いわばある程度進んでいる国が自制を働かせながら、全体の体制構築に努めようという雰囲気に変わりつつある、これは私は実態であると思っております。  ですから、委員がおっしゃいましたような、自分の国のシステムと合わないから非関税障壁だ、そのような議論は私はまだ成立する状況にはない。ただその中で、より日本が例えば電子取引等についても積極的に対応していく努力をする、あるいはCALSの研究を進めていき、アメリカにおける商慣習の中で行動できる姿勢をつくっていく必要性があることは御指摘のとおり、そのように私は思います。
  71. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 今のAPECのお話ですが、考え方としては、早く押しつけるというのですか、アメリカ製というか、今大臣が言われたように進んだものがどんどん行く。戦略論の一つとしては、例えば三次元画像とかそういう面では明らかにアメリカが進んでいるよということになると、そういう標準化を先にとってしまおう、そういうような戦略的な考え方という見方も一つできるのです。  例えば車でいいますと、ハンドルがあって、右足にアクセルがあって、その隣にブレーキがあるよという一応最低限の標準化というのは早く進めた方が、これは全体のレベルアップに早くつながるということがございまして、その辺のところ、僕なんかはやはり取引の電子化というところは、今の車のハンドルとブレーキとアクセルの位置をまずやらぬことには全体で車もつくれない、そんなような気がするので、そういうようなところ辺はどうですか、大臣認識ですね、結局。
  72. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、たまたま山登りが好きで、途上国に行き過ぎているのかもしれません。しかし、電話がかからない国もまだ現在現実に存在をいたしております。また、電話はあるといいつつも、電話機のあるところまで百キロ単位で移動しなければ、その電話機に到達できない地域も現に存在をいたしております。  そして、たまたま私が今APECを例に引きましたけれども、一番そういう意味では多様性というものがさまざまなレベルで言われる地域でありますから、私はAPECを例に引きました。  そして、委員が言われるような、いわば基本的な部分においてのルールづくりが必要な時代に入ってきていることを私は否定しているものではありません。ただ、それ以前の段階にある国々が現に相当数存在し、そしてその国々が、自分たちが手の届くところまで全体をレベルアップしていくためにどういう支援をしてくれるかということを求めているのが実態だと私は思います。  そして同時に、私は、今委員からお話しいただきましたような感じからいきますと、例えばEUと日本との間でも、これから新たに出てくる分野の規制のルール、あるいはこれから新たに出てくる市場における共通のルール、そういうものは日本とEUだけではありません。これは当然アメリカとの間でもそうでありますけれども、お互いにつくり上げていこう、どこかのシステムの押しつけではなくという空気が現に生まれております。そうした中でおのずから、今委員の言われるような、例えばハンドルとタイヤとエンジンとという基本部分についてどうするかといった話し合い、それは今後も並行して行われていくものと思います。
  73. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 よくわかりました。なかなか御丁寧な説明で、さすが政策通の大臣だなと思って感心をしております。  それから、日本の場合、EDIという、昔からこれをやっております。大きい企業がやっておるのか、建設だとか電力なんというのは割と進んでおるような話を聞いておりますけれども、なかなか中小企業のところでは一向に声が聞こえてまいりません。今の進捗状況というのは、これは政府委員で結構でございますから、どうでございますか。
  74. 渡辺修

    ○渡辺政府委員 お答え申し上げます。  EDI、電子取引の我が国の実態でございますけれども、八〇年代初頭からこれを導入いたしまして、現在約五万社がEDI取引を行っているというのが我々の把握しておる概要でございます。残念ながらこのEDIは、現状はその五万というのも、大部分は企業グループごとあるいは業界ごとに独自の仕様のEDIネットワークがつくられておって、そういうサークルの中でのEDIであって、したがって、そのサークルと違う別のEDIグループとの間では、多端末現象だとか変換地獄が起こっておるというのが今の実態である、こういうのが現状でございます。  そこで、私どもといたしましては、これにつきまして、国際取引の標準でありますUN・EDIFACTというのがございます。これは先生よく御承知と思いますけれども、国際的な取引の標準になっておるわけでございます。これを何とかうまく使えないかという研究を片一方でいたしながら、同時に、これが技術的にいろいろ難しい問題があるものでございますから、とりあえず業界ごとのサークルになっておる今のEDI取引というのをできるだけ業種横断的な標準化にしようではないかということで、九一年からCII標準というものを開発いたしまして、現在これが急速に普及いたしております。大手を中心に千三百社ぐらいがこれの横断的な標準を使っておる、こういうのが現状でございます。  参考までに、アメリカそれからイギリスなどの国内取引を見てみますと、彼らのEDIも、今のUN・EDIFACTという国際標準がまだ使えません、難しいものですから。五割以上がそれぞれ独自の国の標準を使っておる、こういうのが現状でございまして、今我が国のCIIが普及していけば、現在のアメリカあるいはイギリスといったような形に似たようなものになってくると思います。  ただ、その後で、今現在、UN・EDIFACTという国際標準をもっと改良して使いやすくしようじゃないかという動きが一方で国際的に動いております。これはアメリカも参加しております。我々もそれに参加しております。したがいまして、国内の共通の標準化を進めながら、同時に国際的な標準化によりインプルーフするためにお互いに協力しておる、こういうのが現状でございます。
  75. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 よくわかりました。  普通、EDIFACTが大体欧米で使えるようになったよ、だけれども、どうも日本は違う道を行くんじゃないかなということで、外人からするとえらい面倒くさい話じゃないかというような感覚なんです。そういうことだとすれば、一緒にやるというパターンもいいですけれども、やはり日本のナショナルフラッグを掲げるというのも一つの政策だと思います。そうは思っておったのですけれども、そうじゃなくて、一緒に溶け込んでいくという、そんな認識になるのでしょうか。
  76. 渡辺修

    ○渡辺政府委員 おっしゃるように、我が国は今CII標準に特化して急速に普及しております。それと同時に、今おっしゃったような形のUN・EDIFACTをより使いやすくする、そういう努力を今アメリカあるいは欧州及び日本、そういうものが参画して、そこの議論が同時並行的に行われておるということでございまして、これはまだいろいろな技術的な問題があると思いますけれども、うまくいけばおっしゃっているような方向に到達し得るのではないか、かように考えております。まだ克服しなきゃいけない技術的な問題が多々あることは当然のことでございます。
  77. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 先ほど大臣が言われましたCALSについては、何か最近アメリカでは、向こうの会計検査院か何かが、国防総省が余りリーダーシップをとるよりもこれはやはり商務省のことだといって、何かECだ、エコノミックコマースですかね、何かそんなことを言っておるらしいのですけれども、いずれにしましても、日本政府として何か今度四億円ですか、その予算づけをされたというお話を聞いております。これは、その内容というか、どんなふうに持っていかれるのですか。
  78. 渡辺修

    ○渡辺政府委員 御指摘いただきましたように、CALSを日本で生産活動あるいは下請あるいはその他の取引を円滑に行って、かつ運用も一体的に効率化するために使えないか、こういう問題意識のもとに、ことしから三カ年計画ぐらいでこのCALSに関する実証モデル開発事業を行って、それの標準的な我が国の使いやすい一つのモデルのようなものをつくれないか、こういうことで、現在、平成七年度に予算四億一千万ほどをお願い申し上げた次第でございます。  これは、一例を発電プラントに求めまして、発電プラントと申しますのは、当然のことながら発注する電力会社がございますけれども、それと同時に、そのプラントメーカー、あるいはそれにまつわる材料メーカーあるいは部品メーカーと、非常にすそ野の広い関連業界がございます。さらには、そこにコンピューターメーカーあるいはソフトメーカーも組み込みましたような形で研究組合をつくりまして、それの具体的な、今の発電プラントというのをモデルに置きまして、幾つかの実証試験をこれからやっていこう。  さらに、そこである程度幾つかの、まさに先ほどおっしゃったハンドルとタイヤと何かになるような骨格的なものが出てまいりましたら、それが発電プラントだけではなくて、例えば自動車メーカーあるいは鉄鋼メーカーといった他の主要業種にそれを汎用的に利用できるようなものにならないかという観点から、今の標準化をさらに汎用化のためにチェックをいたす、こういうようなシステムで、三年がかりぐらいでしっかりしたものをつくっていきたい。まずその第一歩として平成七年度に四・一億円を計上させていただいた、こういう現状でございます。
  79. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 行政のところならまだいいのですが、これは大臣にお伺いしたいのですけれども、取引の一番もとになりますものですから、そこの標準化をどっちが押さえるかということで、先ほども言いましたが、三次元画像とかそういう面ではアメリカが非常に進んでいる。今の状況ではさっと向こうがやってしまったら、これはまた大変なことになるなということだろうと思うのですけれども、基本的な戦略としては、ある程度流れに、欧米の一つの規格の中に溶け込んでやっていこうと考えておられるのか、それとも、やはりこのことだけは、日本の産業を守るために、多少おくれてでも独自の規格をつくって頑張るんだというふうに戦略論としてお立てになっておられるのかこの辺はひとつ大臣に理念をお聞きいたしたいと思います。
  80. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは具体的に申し上げた方がよろしいのかと思いますが、今週末、これは国会のお許しがありましたならば私自身が参加をしたいと願っております情報社会に関する関係閣僚会合がブラッセルでございます。これは先進七カ国が論議を交わす場になるわけでありますけれども、中小企業が電子取引を実現するための共同プロジェクト、これにつきましては、我が国が恐らく中核的な役割を果たすことになろうと存じます。  そして、その中で今いろいろな角度からの議論が想定されておりますけれども、中小企業の利益を守るための、分散情報データベースを基礎とする、距離、時間、国境等の障害を超えた技術、製品、人的資源等の情報交換環境整備、こうしたものを考えながら、今も御議論のありましたEDI・ECの拡大による各企業の業務のリードタイムの短縮、コスト削減の実現のための研究開発と実証試験、こうしたものになろうかと思います。  目的とするものは、これは中小企業の協力の強化でありますし、また、利用可能なマルチメディアサービスの開発であります。そして、中小企業による電子ネットワークの使用の促進というものでありまして、今局長からも御答弁を申し上げましたように中小企業支援体制、EDIシステムは欧州各国に存在しておりますけれども、特にEDIにつきましてはカナダとの協力実施するといったことになりましょう。  いろいろな角度でこの中で議論は進められてまいりますし、通産省の所管部分だけではなく、今回の会議におきましては、日本流に言いますならば郵政大臣に御出馬をいただいて、郵政省としての立場から議論を組み立てていただくべきものもございます。  ですから、私は、むしろ委員が言われましたように、どこか一カ国のシステムに組み込まれてしまうとか、あるいはどこか一カ国が自分のところの進んでおります考え方を他に押しつけていくという状況にはないということを御理解いただきたいと思うのです。  そして、今回のG7、GIIの会合におきましても、それぞれの分野について各国がそれぞれの役割を果たしていくことになってまいります。ですから、例えば公的部門におきましても、電子図書館などは日本がやはりその主役を演じる一つの分野ということに想定をされているわけでありまして、それを現実のものにするためにも、国会のお許しをいただいて何とか参加をしたいというのが今私たちの気持ちでありますが、逆にそれは、例えば日本が何が何でも日の丸システムを確立して他国にそれを押しつけるという姿でもない。むしろ共同しながらよりよいものを今模索しつつある。進んだ国は進んだ国なりに、おくれている国はおくれている国なりに役割を果たそうとしているのが今の状況、そう御理解をいただければ幸いであります。
  81. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 よくわかりました。ただ、何となくやはりアメリカの、向こうの方がそういうようないろいろな面で進んでおりますものですからということでございます。  それからもう一つ、商法のことですから、これは大蔵省にという話になるかもわかりませんけれども、会社の経理の書類、あれを最後は何か、私もきちっと条文を読んでおりませんが、紙で保管しなければいかぬということになっておるそうなんで、せっかく電子取引をやりかけても、ここで最後のところは紙になりますと、これは結局出口がだめということになりますので、通産大臣としてそこら辺も大いに踏み込む決意があるのかないのかそこら辺ちょっと大臣にお伺いしたいのです。
  82. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 商法というより、今委員が御指摘になりましたようなケース、私は、むしろ国税の分野、税の分野の方が要素は大きいのではないかと想像をいたします。そして、行政情報全体をできるだけぺーパーレスに持っていきたいというのが我々みんなの共通した願いであろうと思いますが、現実になかなかそれが進行しておりませんことは、世間から御批判を受ける部分を確かに持っております。  ただ、問題は、行政情報の中で特に個人の機密に関するような部分につきまして、そういうものをねらうハッカーがいるかどうか私わかりませんけれども、やはりその情報の流出ということに対しては、私は、行政府は非常に慎重であるべきだと思っております。そして、私自身が大蔵大臣在任中にそうした議論を省内でいたしましたときには、セキュリティーにおいて万全の自信が持てないという部分が現実に存在しておることを、その時点では確認をいたしておりました。  今後、まさにその個人情報あるいはセキュリティーといったものとの見合いの中で、少しずつ、しかしやはり変わっていくべき分野ではなかろうか。できるだけそういうものはぺーパーレスにしていくことの方が私も望ましいと思いますけれども、やはりその安全ということ、個人の機密漏えいを阻止しなければならないという行政の責任、その中で判断されるべきことではなかろうかそのように思います。
  83. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 最後に、大企業は自分のところでどんどん進められておりますけれども、中小企業は電子取引というのはなかなかやりにくいわけで、アメリカは、ECRCとかいうデータベースをつくって、何かそこに問い合わせていろいろごちゃごちゃやる、指導をするようなものをつくっておるようなんですが、日本ではそういうようなものは余り聞いたことがないのです。これは中小企業なんか、例えば商工会議所の出張所でそういうようなことをやり始めるとか、税とか制度、助成でもいいのですけれども、そんなようなお気持ちはおありになるかどうか、最後にちょっと大臣にお伺いして、終わりたいと思います。
  84. 渡辺修

    ○渡辺政府委員 最初に事務的にお答え申し上げますと、中小企業向けの、特におっしゃいましたようにEDI、それをやるために大型汎用コンピューターが要るんじゃないかとか、そういったようなことで大企業に比べて相対的におくれておるというのは事実でございます。  これを何とか解消するために、特に物流関係の方から入りまして、EDIのパイロットモデル調査というのを現在予算をつけましてやっておるわけでございます。平成五年度、六年度を通じまして一つのモデルをつくって、しかもパソコンを利用して、それでEDIをやっていくためにうまく利用できるような中小企業の物流に的を絞ったモデル・パッケージソフトウェアの開発を行う、こういうことをやってまいりました。  それから、平成七年度には、さらにこれをノート型パソコン等を利用したような形で簡易型のE DIモデルをつくろう、これもソフトでございます、それを中小企業に普及していこう、こういうことで今やっておりまして、そういう意味で実績を上げております。  これがうまく中小企業に浸透していくように、これからも中小企業関係予算その他の面でやるべきことは多いと私どもは思っておるところでございます。
  85. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今御指摘の点は、やはり私どもも大切な点だと思います。ソフトについて今局長の方から答弁を申し上げましたけれども、商工会議所あるいは商工会等に御協力を我々がさせていただく形、そうした形でどうすれば十分な知識の普及、利用の普及、さらには活用についての協力、こうしたものが得られるか、工夫してみたいと思います。ありがとうございます。
  86. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 まず隗より始めよと局長も言われましたけれども、ぜひインターネットの中身、楽しみにしておりますので、話だけに終わらぬようにひとつお願いしたいと思います。  以上で終わります。どうもありがとうございました。
  87. 浦野烋興

    浦野主査 これにて河村たかし君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  88. 浦野烋興

    浦野主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。栗原博久君。
  89. 栗原博久

    ○栗原(博)分科員 現在、産業の空洞化ということで、我が国の加工業者が特にアジア諸国に出ておるわけですが、それによりまして、国内の製造業者あるいは繊維業者というものに大変雇用の面等を初めとして問題が起きていることは御承知だと思います。  そういう中で、日本工業新聞等のアンケートによりますと、製造業の約八割が今後ともさらに空洞化が進む、そしてまたそれによって人員の削減計画を持っているのが三六、七%あるやに伺っておりまして、平成六年度の年次経済計画では、短期的には国内の生産が減少し、あるいはまた国内の投資機会も減る、あるいは雇用も減るけれども、長期的にはそれはいい方向に向かっていくというような指摘もあるようです。しかし、それはマクロ的にそうであっても、私ども地方においては、産業基盤の弱い地域においては、短期的な期間において壊滅的な影響、言うなら仕打ちを、言葉は間違っているかもわかりませんが、受ける可能性があるわけであります。  ちなみに、全国的な面から見ますと、海外に行くことによって、金利が高くなるとかあるいはまた輸出の通関の費用が高くなる以外は、みんな安い。例えば、土地なんか中国は日本の十分の一であると伺っておりますし、人件費は百分の四であると伺っている。あるいはまた水道料については、これも百分の一というふうに伺っておりますが、こうなりますと、それをある程度規制しないと、私どもの、特に新潟のような産業基盤の弱いところにおいては大きな影響を受けるわけでございます。  特に投資は、八五年のプラザ合意以来、円高を背景としてどんどん海外投資のテンポが高まっておるようでありますし、特にドル建てで見ましても、最近数年間は一〇%を超しておる。例えば九四年度の前半期は、約三〇%近い対外投資のプラス面があるようです。国内の設備投資が低くなっているということで、例えば九二年度ではマイナス一六、九三年度でマイナス二一、それで九四年度の前半期でマイナス一五ですから、これも景気の低迷の要因になっているのではなかろうかと私は思うのであります。  こういう中で、我が国はまだアメリカに比べまして海外にこのように会社が、企業が出るのは低いかもわかりませんが、しかし、国内の全体の六%強が海外で製造をされておるということでありますし、あるいはまた海外に進出している企業の生産額が約一八%ですかそれも海外であるということであります。例えば繊維をとってみましても、もう五〇%を超しておるというようなことでございます。  そういう中で、ちょっと御所見をお聞きしたいのですが、雇用の面はいかようなことになるかということの実は不安を持っているわけでございます。雇用は、九〇年度は一割、国内雇用の純効果は一割でいいのですが、九一年度以降はマイナスに転じているようでありますし、例えば全産業の労働者の千分の一に相当する雇用の減退ですか、七万人が減っていると伺っているわけですが、この点について大臣の御所見を、産業の空洞化の進展による我が国の経済の実態と雇用の面についてお聞きしたいと思うのであります。
  90. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今現実に我が国の景気が回復基調にあるとは言いながら、その足取りは決して早いものではない。そして、その中における円高の状況あるいはその他の要因の中で経済環境が大きく変化しております。そうした中で、昨年来、有効求人倍率を見ましても、また失業率を見ましても、必ずしも望ましい状況にないということは、委員が御指摘のとおりであります。私は、それが必ずしも企業の海外進出だけが原因だとは思っておりません。  しかし、企業の海外進出というものが、例えば親企業の海外進出に伴って同行できる中小企業と同行できない中小企業、ここに格差を生ずるとか、あるいは親企業の海外移転とともに現地における部品の調達等がそのまま中小の方々へ影響する、さまざまなケースが現実に出てきております。こうした問題点というのは、今委員がそれぞれの分野で比較をされましたように、円高の行き過ぎた進展というものもありますし、内外価格差の存在もありますし、同時に、国内産業が、既存産業が成熟化している、そして新しく業を起こす意欲が減退しているなど、我が国産業に閉塞感が生まれている、こうした構造的要因があることは否定できません。  そうした中で、やはり確かに今委員お触れになりましたような地域経済への影響、さらに雇用あるいは中小企業に対する悪影響というものを私どもは懸念いたしております。そしてさらにそれは、長期的に考えました場合には、我が国の技術基盤への影響など、はかり知れないものがあると考えております。  それだけに、私どもは今、こうした部分に対して新たな手法をもって立ち向かおうと国会へも御協力お願い申し上げているわけでありまして、どうぞよろしく御支援を賜りたい、この場をかりてお願いを申し上げます。
  91. 栗原博久

    ○栗原(博)分科員 この空洞化の問題は大変深いものがあると思うのでございますが、今後、どうかひとつ大臣におかれましては、海外に出ていく企業をとめるわけにいきませんが、親企業が海外に参ることによって、親企業についていけない中小企業が倒産の憂き目に遭うということも大臣十二分に御承知と思いますが、こういう点について、今度も新しい法律を審議しているようでございますが、十二分に施行の中に御留意を賜りたいと思います。  この中で、我が国の産業、特に私は繊維の問題をきょうは問うてみたいと思うのでありますが、その前に、私どもの選挙区の中に三条というところがございます。あるいはその周辺、燕というのがありますが、そこは金物あるいは洋食器等の産地でありますし、また栃尾、見附等においては繊維に大変依存しておるわけであります。このような同一業種が集中している産地、あるいはまたこういうものについて、空洞化といいましょうか、これに歯どめをかけるために今後どのような具体的な政策がおありになるかということをお聞きしたいと思うのでございます。
  92. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員が例示として挙げられました三条あるいは燕の金属洋食器、過去にも何回か非常に厳しい条件に遭遇されながら、その折その折に、より付加価値の高い商品開発といったものに取り組みながら、今日までその業の隆盛を誇ってこられました。  こうした状況の中で、現在確かに、通産省が調べさせていただきましても、出荷額あるいは企業数に減少傾向が見られております。しかし、新分野進出あるいは製品の付加価値をより高めるための努力、こうした前向きの姿勢は今も消えておらないように私どもは思います。そうして、昨年の九月、通産省実施をいたしました調査に対しましても、輸入品の増加によって生産額が減少した地場産業、産地企業のほとんどと申し上げてもよいと思います、前向きに体質強化に取り組んでおられるということを私は非常に幸せに思います。  通産省といたしましては、こうした活動を積極的に支援すべく、従来から中小企業新分野進出等円滑化法など各種の施策を講じてまいりました。平成七年度におきましては、独自性、優位性のある技術、ノウハウの開発及びその成果の事業化、さらに、業を新たに起こすことによって新規事業分野を開拓されていこうというそうした努力を一層促進するために、中小企業創造的活動促進法を中核とした資金調達の円滑化、販路開拓の支援など、総合的な支援策を積極的に実施していきたい、そのように考えております。
  93. 栗原博久

    ○栗原(博)分科員 今大臣から仰せの施策については、本当にごもっともでありがたいと思うのですが、私は三条等の金物の町を、今度新しい選挙区になるものですから、歩いていろいろ話をしていますと、小さな製品でも開発するのにやはり技術代がかかる。わずかの、百万とか百五十万でもいいから、そういう新しい技術を自主開発する企業に対して、やはりそれを助成していただくような、それによって新しいユニークな新製品を創造できるというようなお話も承るわけでありますが、今後通商行政を進めるに当たりまして、そのような地元の、本当の末端の製造業者でございますが、そういう方の御意見もひとつ参考にしていただければ幸いでございます。  その中で、繊維の問題でございますが、全国で繊維の事業所が三十八万有余、そしてまた、従業員は二百八十万人いたと承っています。農業の専従が二百五十万人でございますから、それをしのぐ量でございます。雇用では一〇%だ、雇用の比率では。私ども新潟県におきましては、繊維に対する依存率が約二〇%でございまして、全国平均の約一割を大きく上回っているのであります。  ですから、今このようなウルグアイ・ラウンドの対応の中で、通産大臣の、橋本大臣のWTOでの委員会の中身を拝聴させていただきますと、やはり弱い産業に対して目を向けねばならないというお話でございます。特に大臣は、十一月二十九日の答弁では、WTOの協定を受け入れることによって、国際競争力の弱いものに当然やはり力を注がねばならない、特にまた、米、農業もそうでございますが、あわせて繊維については、関税の率からいたしましても、他の工業生産品に比べまして関税率の引き下げ幅を低くしたというふうに承っておるわけです。そういうことで、大臣も、この繊維問題については通常五年の関税の比率を十年まで繰り延べしたということで、大変お骨折りをいただいて、私ども地元の繊維関係は、この点では御評価をさせていただいているわけであります。  ちなみに、先ほど申しました栃尾、見附の農業粗生産額は、例えば見附においては五十八億六千万が農業生産額でございます。見附市における工業生産は一千四十九億ですが、そのうち繊維産業の生産額は六百八十五億でございまして、農業の約十倍でございます。  例えばまた、栃尾市というところがあるのですが、栃尾は農業生産が三十八億七千万でありまして、工業生産が四百八十六億、そのうち実に繊維の生産額は三百五十億でございます。ここはおいしい米のできる地域でございますが、農業をしながら繊維産業に従事しておりますので、要するに兼業農家が多い。米の方もだめになって繊維もだめになりますと、もうダブルパンチを受ける地域でございます。  繊維業者の方は、今回のWTOの推移を見ながら、やはり農業が頑張ってもらわぬと、農業がウルグアイの中で先細りになると地元の繊維産業そのものもだめになるということで、繊維も米も一緒だというようなお考えを持っている方がたくさんおられまして、私もWTOの委員会で、この農業問題等、そして繊維問題の絡みの中で実は発言させていただいたことがあったわけであります。  その中で、大臣がWTOの委員会でも御答弁でございますが、この中において、特に繊維につきまして、今までMFAの発動、セーフガードは、実は日本とスイスだけがしていない。アメリカにおきましては、数字は間違っているかわかりませんが、市場に約八・三%程度の繊維が入ってきたときに、たしか一九七四年ですか、セーフガードを実は発動しておるわけであります。  私ども日本の国は、一九八七年から初めて繊維というものが輸出から輸入の攻勢に移ったわけですが、先ほど私冒頭申し上げたとおり、繊維というのはどんどん入ってまいっておりますので、これについて大臣が、WTOでも御発言されましたけれども、関税を従来の一二を八%にし、実行ベースで一〇を八%にした。で、課税年を普通は五年のところを十年にされたということでありますし、産業全体を見るならば、協定ベースで三三%あるいはまた実行ベースで二三%ですから、大変繊維の関税率は低いわけでありますが、これは日本だけでなくて、アメリカもあるいはECも、繊維はやはり二六%とかあるいはまた二四%関税でございますから、とりわけ日本が関税が低いわけではないと思うのです。ただ、国内の鉱工業の全体のベースから見たならば低いと思います。  この繊維問題については一層厳しさを増しているのですが、例えば大臣がこの前、昨年ですか、ジャカルタのAPECの会議で中国の責任者と強くこれを交渉されて、セーフガードの発動の趣旨もお述べになっていただいたようでございますが、その中で、中国が一月一日から実はそういう改善する措置があるように、十二月何日でしたか、たしか話をしているようです。では、その後中国はどのような措置をされているか。  もう一つは、中国とかあるいはインドネシア国内の日本に対する過去の輸出の度合いですね、シェアがどの程度になっているか。あるいはまた、今までのままでいきますと、どの程度のシェアになるかということを、もしおわかりでしたら、事務局で結構ですが、お示しいただきたいと思うのですが。
  94. 江崎格

    ○江崎政府委員 アジア諸国のうち、日本に対する輸出の多いものを幾つか御紹介いたしますと、中国、韓国、台湾あたりが大変ウエートが高こうございます。特に中国につきましては、近年、輸入が大変増加してきておりまして、一九八七年には二二・八%であったシェアが最近の九三年では四七%ということで、約倍になっているということでございます。一方、韓国あるいは台湾あたりは、中国の増加に伴いましてシェアは逆に落ちてきておりまして、韓国は八七年で二八・八%あったものが最近では一三・八%、また、台湾も八七年には一二・四%あったのですが、九三年には六・七%というふうに低下をしてきております。このように、中国が大変高い伸びを示しているというのが目につくところでございます。
  95. 栗原博久

    ○栗原(博)分科員 仰せのとおり、今大変中国のシェアが高まっているようでありますが、その中で、大臣がAPECで、十一月十二日ですか、中国の貿易経済の部長とお会いされて、このことについて強くお話しされたことは先ほど申し上げました。  新聞によりますと、日本紡績協会からですか、セーフガードの要請を受けるような記事も載っていましたし、また、日本のスフ織物、こういう組合からもそのような要請があるやに伺っております。今国内におきまして、このような要請に対して我が国はどのような対応をするか、まあきょう現在まだ要請をしていないようでございますが。  織物は五〇%の輸入を私どもが受けていますし、そしてまた、例えば私ども新潟県においては、過去、織物関係では自殺している人もたくさんおるわけですね。今回ほかの県でも二十人も自殺したようなことを聞くと、私は大変胸に迫ってまいるわけであります。  ウルグアイ・ラウンドで世界の安定の中での貿易も必要ですが、しかし我が国の産業を、特に戦後、繊維産業は我が国の経済の中枢として我が国の経済の復興を果たしたわけです。そういう人たちが、そういうところに従事した方々が、一番経済が安定してこれからよくなるときに犠牲となって、自分の家屋敷を売らねばならない。あるいはまた、借金があれば、借金を返せばいいんだけれども、その返す当てもない。今の織物の関係の機械をよそに売っても、買ってくれる人がいない。何でもかんでもゼロになってやめられれば喜んでやめると思うのですね。ところが、ここでやめれば保証人にも迷惑をかける、だから一人ではやめられないということでございます。  彼らは、制度資金とかあるいはまた補助金とかを求めるのではなくて、要するに、つくって売りたい、労働して、汗を流しても売りたいというのが彼らの本当の気持ちなわけでございまして、そういう点について私はもっと力強い御措置をいただきたいと思う。  それから、今セーフガードの発動要請がありましたら、どのように対応してお取り組みになるかということをお聞かせいただきたいと思うのであります。
  96. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私自身、社会人の振り出しは紡績会社の一員でありまして、栃尾、見附といった名前は、当時営業に歩いた本当に懐かしい場所であります。それだけに、それらの産地の苦境を委員から訴えられまして、非常に重い気持ちでお話を伺っておりました。  現在、日本の繊維産業というものが、消費の低迷していること、あるいは輸入の増大していること、こうした諸原因が重なりまして非常に厳しい環境変化に直面していることは、十分承知をしているつもりであります。そして、こうした中で、一部の業界から、繊維のセーフガード措置対象としたいとする品目を挙げておられるといった状況承知をしているつもりであります。今後、関係業界から御要請がございました場合には、先日制定をいたしました繊維セーフガード措置に関する手続などに基づいてこれをきちんと検討してまいりたい、そのように考えております。  本日の時点では、どうぞそこでとめさせていただきますように……。
  97. 栗原博久

    ○栗原(博)分科員 私も地元を歩いておりますと、橋本大臣が答弁でおっしゃっていましたが、皆さんが、今の通産大臣は昔の自分たちが華やかなころの内容をわかっておるし、また苦しみのどん底もおわかりになるはずだ、だから、きょう私がここで質問すると言いましたら、大臣に篤と若いころを思い出していただいて、何とかそれに対応していくようにお願いしてまいれと言われましたので、ひとつ大臣、よろしくお願いいたします。  こういう中で、では、ちょっと話を変えてあれなのですが、事務局からお聞きしたいのですが、セーフガード、具体的に発動する条件というのはどのようなものであるかということをお聞きしたいと思うのです。
  98. 江崎格

    ○江崎政府委員 昨年の五月に繊維産業審議会の答申をいただきまして、それに沿って私どもセーフガード発動の手続を決めたわけでございますが、この基準によりますと、MFAの発動につきまして二つの要素を考えるということにしております。  一つが技術的な判断要素でございまして、これは、当該商品の輸入の増加のぐあいですとかあるいは国内産業への損害の程度、それから、特定の国を対象にいたしますので、その国からの輸入の伸び率ですとかあるいは輸入のシェア、こういった内容が技術的な判断要素でございます。  一方、政策的な判断要素も考えることにしておりまして、これは、セーフガード措置を発動する場合のメリットとデメリット、両方ございます。  メリットにつきましては、このセーフガード措置を発動することによりまして、構造改善のための環境整備になるかどうかという点でございます。それからもう一つは、この措置の発動によって、それぞれの地域における急激な雇用問題等の回避ができるかどうか、こういった問題でございます。それから、デメリットといたしましては、セーフガード措置の発動によりまして、消費者あるいはユーザーに著しい不利益にならないかどうかとか、あるいは技術革新のテンポを逆に緩めることにならないかどうかとかいった問題、あるいは特定国を対象にいたしますので、その国との通商関係が非常に悪化するかどうかこういった要素がございます。  これらの技術的な問題と政策的な問題を総合的に勘案して定めるということにしているわけでございまして、画一的な基準による判断を避けまして、今申し上げました両要素を総合的に判断する、このように考えております。
  99. 栗原博久

    ○栗原(博)分科員 わかりました。  まあなるべく業界も、例えばニット関係でも、みずから生産しながら、みずから中国に行って、それをまた逆輸入しているという方もおられますから、なかなか組合の中での歩調は難しいと思うのです。ただ私は、商社とかそういう方々はそれは生き延びるかもわかりませんが、末端の、例えば兼業しながら何とかしのいでき大方々、こういう方はもうどうにもならぬわけでございますので、どうかひとつこういう方々の方に目を向けた中でMFAのセーフガードの発動を早くお願いしたいと思っております。  そのほか実は新潟のニットを初めとする織物関係は、今回の神戸の震災につきまして、やはり大変憂慮をしているのでございます。というのは、ワールドという会社がございます。約一千億ぐらいの売り上げがあるというように承っておりますが、私ども新潟県の五泉を初め、先ほど申しました見附、栃尾の業者もワールドとの関連が多いのです。こういう会社が、翌年のファッションですかそういう見本市をやるようでございますが、それができなくなると当然生産地が大きな打撃をこうむるものですから、大きな商いをしておりましたこういう企業に対して、早く立ち直れるように、ぜひひとつ国からも機敏な行政的な措置を講じていただきたいことをお願いを申し上げておきます。  また、私は、ニット関係の方、繊維織物の方といろいろお話ししますと、今までは生産が需要を生んだわけでありますが、これからはやっぱり需要が先で、それによって生産だと。  通産省では、今回、法律を三本ですか。意をされて、それに対する機敏な対応を実はしていただくようでございますが、私はいつも生産者の方に言うのですけれども、やはり日本人の感性ですね、中国でつくるのと日本では違うわけですから。きのうも私、中国の方と夜、話をしておったのですが、彼女らは、やはり日本がつくっている品物は違うと言うのですね。私は、国内的にも、日本の国内で生産されるものはすばらしいのだという、そういうことの教宣活動も必要と思いますし、本当に感性に合った品物ができるためにも、そういうものに対しての行政的な措置もひとつ講じていただきたいと思います。  また、あるいはイタリアにおいては、日本は大量生産ですが、コモとかミラノにおいては、ほんの小規模な、少ない生産であっても、それがすごく市場性があるわけでございます。そういうことで、どうかひとつ高品質な製品が生産されるような、そのためにはデザイン等の技術的なものについては当然国が行政的なもので後押しをしていただきたいと思うんです。そういうことをぜひひとつしていただくことをお願いしまして、最後ですが、こういうことについての取り組みを大臣から一言お願いしたいと思います。
  100. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに、私どもが紡績におりましたころ、つくれば売れるという意識がありましたし、むしろ日本は海外の諸国を追い上げる立場でありました。そして、今我々が苦しんでいると同じような状況を、当時の繊維部門における先進国に恐らく与えておったであろうと思います。そして、今はしなくも委員が言われましたように、今、日本の繊維産業が生きていくために、より品質を高めていく、同時にそのファッション性をとうとび、消費者が求める方向での生産を進めていく、こうした意識は間違いなしに従来以上に必要になっておると私は思います。  かつて私が在籍した会社は、今は他社に合併されまして既にその名前はなくなって随分になりますが、私は、今、栃尾、見附、そして五泉という名前を挙げられましたけれども、当時からお持ちでありました高度な技術、それをより高度化する努力をされると同時に、より消費者に求められるものをつくる努力はこれからも継続をしていただきたい、通産省としてもできる限りのお手伝いはさせていただきたい、そのように思っております。
  101. 栗原博久

    ○栗原(博)分科員 ありがとうございました。
  102. 浦野烋興

    浦野主査 これにて栗原博久君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  各位の御協力により、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後二時二分散会