運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1995-02-21 第132回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月二十一日(火曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 野呂田芳成君       荒井 広幸君    小此木八郎君       近藤 鉄雄君    村山 達雄君       東  祥三君    石田 勝之君       岩浅 嘉仁君    上田  勇君       山本 孝史君    海江田万里君   兼務  菊池福治郎君 兼務 大野由利子君   兼務  高木 陽介君 兼務 遠藤  登君   兼務  高見 裕一君 兼務 岩佐 恵美君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 小澤  潔君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       三井 康壽君         国土庁計画・調         整局長     糠谷 真平君         国土庁土地局長 山田 榮司君         国土庁大都市圏         整備局長    荒田  建君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省河川局長 豊田 高司君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君  分科員外出席者         国土庁長官官房         会計課長    徳山  直君         大蔵省主計局主         計官      長尾 和彦君         大蔵省主計局主         計官      牧野 治郎君         文部大臣官房文         教施設部指導課         長       原山 明宗君         厚生省健康政策         局指導課長   磯部 文雄君         厚生省社会・援         護局保護課長  松尾 武昌君         建設大臣官房会         計課長     林  桂一君         建設省河川局河         川計画課長   脇  雅史君         建設省道路局企         画課長     佐藤 信彦君         建設省住宅局民         間住宅課長   坂田 隆史君         建設省住宅局建         築指導課建築物         防災対策室長  磯田 桂史君         消防庁消防課長 猪野  積君         消防庁防災課長 高田  恒君         消防庁救急救助         課長      西村 清司君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 分科員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   山崎  拓君     荒井 広幸君   石田 勝之君     上田  勇君   野田  毅君     山本 孝史君 同日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     安倍 晋三君   上田  勇君     東  祥三君   山本 孝史君     岩浅 嘉仁君 同日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     栗原 博久君   東  洋三君     石田 勝之君   岩浅 嘉仁君     野田  毅君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     小此木八郎君 同日  辞任         補欠選任   小此木八郎君     山崎  拓君 同日  第一分科員菊池福治郎君、高見裕一君、第四分  科貫高木陽介君、第五分科員大野由利子君、岩  佐恵美君及び第七分科員遠藤登君が本分科兼務  となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成七年度一般会計予算  平成七年度特別会計予算  平成七年度政府関係機関予算  〔総理府国土庁)及び建設省所管〕      ————◇—————
  2. 野呂田芳成

    野呂田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算及び平成七年度政府関係機関予算総理府所管国土庁について、政府から説明を聴取いたします。小澤国土庁長官
  3. 小澤潔

    小澤国務大臣 総理府所管のうち、国土庁平成七年度予算について、その概要を御説明いたします。  まずもって、兵庫県南部地震のお見舞いを申し上げたいと思いますが、今回の大震災に当たりお亡くなりになられた方々、その遺族の方々に対しましては、衷心より哀悼の意を表するとともに、被災をされ、またけがをされた皆様方にも心からなるお見舞いを申し上げたいと思います。  国土庁一般会計歳出予算は、三千四百五十九億六千五百万円余を予定いたしております。  また、大蔵省所管産業投資特別会計に計上の日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、国土庁に係る無利子貸付金について、歳出一千七百万円を予定いたしております。  その主要な内容は、  第一に、新しい全国総合開発計画に向けた施策展開等国土計画推進  第二に、利用価値に相応した適正な地価水準の実現、適正かつ合理的な土地利用確保等総合的土地対策推進  第三に、水資源開発及び有効利用促進等の総合的な水資源対策推進  第四に、大都市圏整備計画策定首都機能移転に関する検討都心居住推進各種主要プロジェクト実施等大都市圏整備推進  第五に、人口地方定住促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会形成を図るための地方振興推進  第六に、地震、津波、噴火、洪水等災害から国民生命及び財産を守るための総合的な災害対策推進  第七に、人口及び産業地方への分散と地域開発発展を図るための地域振興整備公団事業推進であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります平成七年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じま す。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 野呂田芳成

    野呂田主査 以上をもちまして総理府所管国土庁についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 野呂田芳成

    野呂田主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
  6. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 おはようございます。  大臣を初め関係皆様方のこのたびの阪神淡路地震大震災について日夜大変な御貢献、また御心労をいただいておりますことにおねぎらいと、また感謝を申し上げたいと思っております。また、本当に大勢の皆様方がお亡くなりになって、お見舞いを申し上げる言葉もございませんけれども大臣におかれましては、また国土庁におかれましては、引き続き最善の対策で復興、復旧ということに全力を尽くしていただきたいというふうに考えて、質問に移らせていただきたいと思います。  先ほど大臣から御説明ございましたけれども今度の予算、そしてまた、これは長年の懸案でございます、また同時に、国会自身の問題でもございましたけれども国会等移転に関して平成二年の国会決議がございましたが、それ以降、この国会等移転についての経緯、経過ということをお知らせをいただきたいと思います。
  7. 荒田建

    荒田政府委員 お答えいたします。  国会等移転に関しまして、平成二年の国会衆参両院決議がございました。もう先生承知のとおりでありますが、その後、その決議を受けまして、幾つかのプロセスがありますので、ちょっと細かくなりますけれども、御説明させていただきたいと思います。  まず、国土庁長官の主催する首都機能移転問題に関する懇談会、これが二年十一月以降、三年の春だったと思いますが、でぎまして、専門的な見地から首都機能移転必要性とかその具体的なあり方について平成四年の六月に取りまとめを行っております。これを私ども懇談会取りまとめという言い方をしておりますが、それから、ほぼ同時並行的に、今度は、国土庁長官じゃなくて、内閣総理大臣の主催する首都機能移転問題を考え有識者会議、座長が平岩当時経団連会長でございましたが、これが平成二年十二月に発足いたしまして、平成四年の七月に一応の取りまとめをいただいたということでございます。  それから、平成四年の十二月になりまして、院の方で、国会の方で国会等移転に関する法律というのをお決めいただきまして、その法律に基づきまして、平成五年四月に国会等移転調査会というものが正式の機関として政府の中に置かれまして、そこで調査審議が行われておるという流れでございます。  それで、現在の段階では、この国会等移転調査会において、一昨年の春から審議が行われておりまして、新都市部会あるいは基本部会というものをつくりまして審議をやっておりまして、とりあえず去年の夏、中間報告取りまとめていただきましたが、首都機能移転意義効果、これをいま一度きっちり議論しようということで、国民的な合意が大事ですから、それをまとめて国会にも御報告させていただいています。  それから、去年の十一月には新都市部会の方で、新都市ビジョン規模ですとかどういう施設を配置していったらいいかといった点に関するビジョンですけれども、それが部会で中間的に取りまとめが行われている。同時に、去年の春からですけれども調査会において全国的に公聴会を開催しようということを計画いたしまして、去年の春に東京で第一回の公聴会、それから去年の秋に第二回の公聴会を名古屋でやりました。それから、この三月には一応新潟で公聴会をやろうかなという予定をしております。  それまでがこれまでの政府側検討経緯でありますけれども、院の方におかれましても、平成三年の八月くらいから国会等移転に関する特別委員会というものを設けられまして、そちらの方で、移転に関する法律の制定ですとかあるいは、大所高所から、いろいろな角度の立場からの御意見を聞くということで、参考人意見というものをずうっと聞いていただいております。昨年からは、その特別委員会、特に衆議院の方ですけれども、やはり特別委員会としても地元へ行って十分に意見を聞く必要があるということで、昨年はたしか大阪それから仙台、それぞれ行っていただいて、いろいろな立場からいろいろな御意見を伺ってきている、こういう経緯でございます。  ちょっと長くなり過ぎましたが、以上がこれまでの検討経緯でございます。
  8. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 長くなりましたがというお話がありましたけれども、きちんと御説明いただくのは大変ありがたいことでございまして、といいますのも、先ほど局長お話にありましたとおり、国民的合意がないとどうしてもこれはできないということでございますので、そのような形で確認をさせていただいたという次第でございます。  さて、そういう公聴会あるいは調査研究あるいは議論という中におきまして常に言われてまいりましたのが、国会等移転調査会取りまとめた六月の中間報告にもございますけれども災害を想定して、起こり得るべしということでの前提のお話が常にあったわけでございます。そして、あってはなりませんでしたが、今回の阪神淡路大震災ということが起きたわけでございまして、これが我が国国土、いっどこでどう起こっても、もしかしたらこれはおかしくないのではないか、おかしくないというふうに思います。  そういう点で、今のような経緯を踏まえまして、今度の大震災、これが現実のものとなってきたということで、首都機能移転の従来の議論の中で非常に切迫した問題となったと思いますので、非常に検討を急がれまして、そして、中身も早く詰めまして、今後に安心できるような状況を早くつくるべきではないかこのように考えておりますけれども、現在どう検討され、また今後進めていかれるのか。その点お聞かせをいただきたいと思います。
  9. 荒田建

    荒田政府委員 今回の阪神淡路大震災、こういうことを踏まえますと、確かに首都機能移転検討は急がなければいけない、これはもう先生の御指摘のとおりかと思います。  先ほど私が申し上げましたけれども調査会というのは、国会の方から、この国会移転に関して、その具体化に向けて専門的な立場、技術的な立場から検討せよという御依頼がありますので、今までは遷都に関していろいろな議論がございましたけれども、本格的な調査検討というのは恐らく今回が初めてだということもありますし、やはり国民的な合意というのが何よりも大事なものですから、いろいろな意見、いろいろな御批判、いろいろな要望というものを踏まえながらできるだけ詳細に検討しようというのが今までの調査会運営のスタンスだったかと思います。もとより私ども事務局でございますから、調査会運営の仕方は調査会でお決めいただくわけですけれども。  そういう形で「意義効果」というあのビジョンがまとまりましたけれども、現在及び今後のスケジュールとしては、いよいよ移転の対象の範囲といいまして、どういった機関移転させたらいいのかという問題、それから、移転先都市づくり、新首都づくりに当たってあらかじめ講ずべき措置、特にやはり土地対策というのが一番大きな問題になるんだろうと思うのです。これまでの大規模開発に見られたような乱開発になってしまうとか、あるいは土地投機が横行するとかというよ うなことになりますと、せっかく二十一世紀、国民挙げてのプロジェクトである新都市づくりも非常に国民から批判されるようなプロジェクトになってしまいかねないわけですから、この春から夏にかけまして、そういった新都市づくりに当たって具体的にどういう制度でやったらいいんだろうかということを今一生懸命議論していただいております。  その上で、いよいよこの夏以降、新首都移転先選定基準、どういうところに、どういう条件が満たされるところに移ったらいいんだろうかという議論をしていくというようなことを考えておりまして、その先に、移転の時期の目標ですとかいつ移ったらいいんだとかですね、それから移転先選定手続ですね、どういうプロセスで決めていったらいいのか。これまたいろいろな御議論がございます。国民投票をせよなんという意見もございますけれども、いろいろな手続論がございます。  いずれにしましても、そこらあたりを本当に専門的に掘り下げた形で調査会で御議論いただいて、来年の春ぐらいまでには何とか専門的な検討を終えていただけないだろうかということで事務局考えております。  そこから先で移転先決定ということが恐らく国会中心に御議論になるであろうということを期待しているわけでございますけれども、私ども調査会事務局を預かる立場あるいは国土政策全体を主管する立場からいけば、先生がおっしゃったように、阪神淡路大震災、まことにもってあすはというようなこともございますから、そういうペースで進んではおりますけれども、できるだけ急ぐように事務局としても調査会お願いして進めてまいりたいというふうに考えております。
  10. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 私は、御説明にもございましたけれども、また私の考えでもございますが、これは急ぐべきであると。これは地震が来ることを当然想定しての話でございましたから、国会での決議にもその文言が盛り込んであるということでございます。  ただ、その際にいろいろなイメージがあると思いますが、私は、重都的な、バックアップシステム的な、バックアップシティー的なそんなことも考えておりますけれども、そうしますと、今ほど御説明中身も随分これは変わってくるわけでございますけれども、後で時間があれば言及したいと思いますが、情報通信高度化によってかなりの部分、従来のいわゆる首都機能移転というもの、これは随分形態が変わってきている、このように思います。変わってくるだろうということの方が正確な表現かもしれません。  そんなことを含めて考えてまいりますと、どういう機能を分散するのが適当なのかということも、これはかなり議論が出てくるんだろうと思います。そして、その条件の中で一つ私は、地震災害に強いというような地理的、環境的な問題を重要視をいたしますが、同時に、国土庁の御指導があり、あるいはまたいろいろな形で、村おこしという言葉に象徴されるように、それぞれが自立した、生き生きとした我が町をつくろう、我がふるさとをつくろうというような動きも非常に四全総の中で高まってきていることも確かで、その芽ももう吹いて形になっているところもある、こういうことでございます。  そういう中でさまざまな地方主体の自発的な、自立的な計画というのがどんどん出てきております。私たち自由民主党の若手としてもいろいろ勉強会等々をさせていただいておりますけれども、例えば阿武隈開発、これは福島県を中心にしてやっておりますし、また北東銀河プラン、これも東北と北海道が一体となってというような構想を初めとして、たくさん出ているわけです。特にこの北東銀河プランという立場では、私たち議員懇談会というものを、最初に自民党の東北の議員衆参集まりまして、積極的にこの北東銀河プラン推進していこうということで議員連盟を設立をしました。ほぼ同意をほとんどの方にいただいておりまして、与党に広げ、そして野党に広げて、例えば北東銀河プラン推進していくお手伝いをしていこうじゃないか、その自発的な流れに応じて我々も対応させていただいているというような次第でございます。  こうした阿武隈開発であるとか北東銀河プランであるとか、こういう構想が自発的に出ている、また新国土軸というようなことでももう三本、四本と出ているという状況でございますけれども、このような自立的な、熱意のこもった構想あるいは要望、こういうものをどのように四全総の次の次期総計画反映されていくおつもりかを御意見をいただきたいと思います。
  11. 糠谷真平

    糠谷政府委員 新しい全国総合開発計画でございますけれども、現在私どもといたしましては、平成八年度中を目途策定をしたいということで、国土審議会におきまして本格的な調査審議を始めたところでございます。  これからの国土づくり地域づくりに関しまして、今先生指摘のように、阿武隈開発構想でございますとか新たな国土軸構想各地からいろいろな構想が出てきているということは、私どもも新しい全総計画策定に向けまして大変有意義だということで注目をしているところでございます。阿武隈開発につきましては、私ども持っております調査調整費でも一緒に調査をさせていただきましたし、新たな国土軸構想につきましても現在調査を進めているところでございます。  そういうことでございますので、新しい全総計画策定に当たりましては、いろいろ各地から出てきております提案、要望等を十分伺いながら作業を進めていきたいと思っております。策定作業節目節目におきまして、新計画基本的考え方、これはことしの秋ぐらいを目途につくりたいと思っておりますし、来年の秋には新計画中間案というものを取りまとめたいと思っておりますので、そういう節目節目でそれを国民皆様に公表いたしまして、各地域皆様といろいろ意見交換、フィードバックをしながら最終的なものにまとめていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  12. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 ありがとうございます。糠谷局長さんは、四全総そして今度の次期全総にもかかわるということをお聞きしておりまして、そういう意味ではまたいろいろなお考えもおありかと思います。ぜひ御反映をいただきまして、それぞれの地域全国地域が主体的に熱を持ってやっているものも十分反映をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  そういうところで今度は、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、多分大臣あるいは局長範囲では次期全総という言葉を非常に選んでおられるわけで、今までとは全く違う視点からの新しい全国総合開発計画というものを八年度中にお定めになる、こういうことでございますけれども、そういうときに、大臣にお伺いをいたしたいわけでございますが、やはりあってはならないものが来たというこの大震災、こういうことを踏まえれば、かなり新しい視点を持った、あるいは中身を持った、本当に我々に密着した今度の計画というものがこうした震災を踏まえた防災に極力重点を置くということは、私はまた国民要望でもあろうと思うのです。  そういったところで、防災という位置づけをどのようにされて今度の次期全総をお考えになるか、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  13. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生の御指摘は、防災次期全総ではどのように位置づけるか、かような御質問であつだろうと思います。国民生命財産安全確保国土づくり基本であり、新しい全総計画においても、安全で質の高い国土形成が最も重要な課題であると考えております。  したがいまして、新しい全総計画策定に当たっては、今回の阪神淡路大震災を初めとする最近の一連の災害についての教訓等を踏まえまして、災害に強い国土づくりを行うべく鋭意努力してまいる所存であります。  先生も御存じのように、全総国づくり町づ くりの根幹でありますが、まず全総から始まりまして、新全総、三全総四全総までただいま参っておることは先生も御承知のとおりであります。いよいよ八年度をめどにひとつ全総にかわる全総、いわゆる地球環境地球に優しい内容等々、また防災、そして少子化高齢化社会にも即応できる大事な次の全総を八年度をめど策定を急いでおるのが現況であり、昨年の十一月十日に総理並びに私から国土審議会委員先生方お願いをいたしたところであります。そして、ことしの一月十二日第一回、第二回が二月十六日、ついせんだって行われました。このときには、土木の専門家災害に強い専門家等々の提言もあったと承っております。三月は十四日に予定をしておると局長からも報告を受けたところであり、これらに向かって、先生指摘のとおり、大震災災害に強い施策も必ず次の全総には入ることは間違いございませんし、また入れていただいて、国民が安心をして住める我が国土づくりをしてまいりたい、かように考えております。
  14. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、大臣お話にもありましたけれども地球環境に優しいというお話もあったわけでございます。実は、この間神戸に単身で行こうと思いましたが、四日目でございまして、私自身用意不足で入れないで戻ってきたわけでございますが、その際、梅原猛先生にお会いをしてまいりました。梅原猛先生の言をかりれば、まさに地獄のさたも金次第というような風潮がはびこっておったけれども、自然に対する畏敬の念を我々は忘れていたのではないかというような戒めの言葉をいただきました。  今までの全総は、どちらかというと、自然、あるいは環境を含めて自然というものを人間がその英知によれば克服できるんだ、支配できるんだという考え方がどうもあったのではないか。そして、今検討中であるいろいろな御意見等で出ているものでは、共生をしていこう、こういうような発想になってきておられます。そういう意味でのこの防災という位置づけは非常に難しいと思うのです。畏敬を持ちながら、恐れを抱きながら、同時に我々人類がどう生きていくのか、これも険しい闘いの中での共生という一面があろうと思います。  それで、こんな観点を一つにとらえていきますと、例えば東京地方というものも対立概念でとらえているのではなくて、厳しい対立はあるけれども共生できるものではないか、あるいは都市と農村というのもそうじゃないか、生産者とあるいは消費者だ、こういう対立概念がもう非常に無理が来ている。そのいい例があのソビエトの崩壊でもあったのだろう、一方では、イデオロギーの世界ではそうだったろうと思います。  こんなところで、私は、相互が共生をしていく、相互が、お互いが交流していく、それはいろいろな次元があると思います。人の次元もあれば、自然との交流の仕方もあると思いますし、また情報もあれば物もある、もちろん金もある。しかし、そういうものの中に一つこの防災ということを考えていけば、例えば、従来は余暇ということをレジャーとか保養ということで考えていましたが、災害が起こったときには保養施設が実は緊急避難所にもなるんだ。そして、その保養とか余暇に行っていたところ、あるいは林間学校に行っていたところが、万が一地震が来たときに、あるいは何か自然が怒ったときに、ほえたといいますか、怒ったという意味での表現をさせていただくと、あのときに家族でみんなで林間学校に行ったね、保養にあの県に行ったね、あの町に行ったね、あそこにふるさと産物を届けていただけるあの米屋のおじさんいたね、あの米をつくっているお兄さんいたね。だから、緊急なときに何か引かれるものがあって一時避難をする、あるいはそこに住みつくかもしれません。  今神戸で一つの問題は、やはり皆さんそこにいたいと言うのですね。しかし、いたいけれども、こういうときには一度疎開をしていただいて、区画整理等々もしていけば、これはもう住まるべきところがあって、この非常に難しい気持ちと感慨の問題がある。こういうものを考えると、そういう視点が非常にこれから必要になってきたのではないかというふうに思います。保養所とかレジャー施設というものは、それは心が、そこに行ってもいいよ、家族がそこへちょっと避難しようじゃないか、そういう疎開地にもなるということだと思います。  同時に、私は家族に障害者を持っているものですから、今度の震災の経験をお聞かせいただいても、環境が変わるとおトイレ、用を足せないのです、眠れません。そんなことを考えると、そういうレジャー施設とか保養地とか、そういうところには必ず今言ったような避難所であったり緊急的に生活する場所であるというふうな位置づけをするとすれば、高齢者の方々と要看護の方々、それから障害者の方々に対して配慮をした施設も当然そこには機能として入れておかなくちゃならないと思うのです。  そのような観点から、新しい交流の形として、緊急時においてもその支援が円滑に行われるような組み込みも次期全総でいただきたい、このように思っておりますが、この点につきまして、局長さんの方から御見解等々いただければ幸いです。
  15. 糠谷真平

    糠谷政府委員 先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、今度の全総計画、本格的な人口減少、高齢化時代が来るとか、あるいは地球時代と言われておりますけれども、世界各国間の相互依存性が非常に高まってくるということで、従来と異なる理念、アプローチというのが必要になってくると思っております。  しかも、東京一極集中というものにつきましても、人口移動の面ではやや状況が変わってきた、一極集中の新局面を迎えているのではないかということもございますので、東京地方都市と農山村の関係というものにつきましては、対立的にとらえるというのではなくて、それぞれの地域がお互いの価値を認め合う、相互に交流、連携しながら地域の活性化を図っていくという視点が重要になってくるというふうに思っております。これは、今度の全総計画のあり方を御議論いただきました国土計画基本問題懇談会というのがあるのでございますが、そこの報告でも強く指摘をされているところでございます。  それから、先生指摘のように、日ごろから地域間で活発に交流をいたしますと、震災等緊急時における支援活動の円滑化に資するということもおっしゃるとおりだと思っております。私ども地域連携ということをこれから一つのポイントにしようということで、今年度、全国十二地域、いわき、郡山、新潟をつなぐ軸を含めまして、全国十二地域で事例調査をやっておりますけれども、この調査、例えばいわき、郡山、新潟というような中核都市をつなぐということだけではなく、その中間にあります農山村と都市の連携をどういうふうに考えるかということも大きなテーマとして考えているところでございますので、そういった事例調査を積み上げることによりまして、地域連携の具体的なイメージをつくってまいりまして、新しい全総計画でも生かしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  16. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 そういう角度から見てまいりますと、この震災の意義というものを教訓にして、お見舞いを申し上げながら生かすべき点が多々あるなというふうに感じております。  同時に、これは大臣、私の意見でございますが、例えば今のような地域開発をしていく、いろいろな対応をしていくという場合に、例えば北東公庫の統廃合というような問題があるのですが、こういう地域に根差した開発をするために、市場の金融ではできないというようなものはやはり私は大切にしていっていただきたいと思いますし、同時に、首都機能移転国会移転、こういうことを考えますと、今のような防災上の観点はもとよりでございますが、もう一つは、原発を日本はたくさん抱えております。これからも原発を推 進していきます。そういう意味においては、原発がある地域が安全な地域なんだという前提なんですから、そういうところも私はひとつ首都機能移転の有力な候補地ではないかというふうにも考えておる次第でございます。  同時に、人と人との交流、こういうことを言われてまいりましたけれども、今回のボランティアの活動を見たり、みんなで助け合っているのを見ると、本当に今度の次期全総というのは重要な意味を持った計画になるんだなというふうに思いますので、我々若手の議員としても、自民党、何党と言わず全力で頭を絞り、そして皆さんの気持ちを気持ちとして進めてまいりたいと思いますので、大臣にも、大変この時期御苦労されていると思いますが、なお一層御指導いただいて、災害復興ということに万全を期していただきたいと思います。  ありがとうございました。
  17. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて荒井広幸君の質疑は終了いたしました。  次に、上田勇君。
  18. 上田勇

    上田(勇)分科員 長官初め国土庁皆様には、震災対策に日夜取り組まれておりまして、まことに御苦労さまでございます。きょうは、首都圏の将来計画につきまして、工業のあり方を中心に何点かにわたりまして質問をさせていただきます。  現在我が国におきましては、急激な円高の進行や、人件費、土地価格、エネルギー価格などが海外に比べて高いと言われるいわゆる内外価格差のために、これまで日本の経済成長を牽引してきました輸出産業の競争力が低下しまして、そうした経済環境のもとで、各企業は、コスト面で不利な国内生産を減らす一方で海外への設備投資が増加しているということは、いろいろなデータが示しているとおりであります。こうした産業の空洞化によります将来の雇用の不安あるいは技術の停滞などが、今日極めて重要な課題となっているわけであります。今国会でも産業の空洞化対策、これは重要な課題として位置づけられておりますし、また、今国会には通産省から空洞化対策の法案が幾つか提出されていることが、このことを物語っているというふうに考えております。  こうした産業構造の変化は、工業等の配置計画、さらにはそれに連携しまして地域開発整備計画にも大きな影響があるということが当然のことながら考えられます。現行の首都圏の基本計画、これは昭和六十一年に制定されたものであります。これは六十一年制定ですので、調査分析等を行ったことから見れば、既にもう十年以上が経過している部分があるというふうに考えられますが、この間、ただいま申し上げたように、産業構造あるいは経済社会の情勢、そういったものは大きく変化しておりますし、特に近年の空洞化というこの新しい情勢を踏まえまして、新しい計画、これに改定、策定する必要があるというふうに考えますが、御見解をお伺いいたします。
  19. 荒田建

    荒田政府委員 先生お話しになりました産業の空洞化、特に私ども国土計画全般のみならず首都圏の計画を担当しておりまして、おっしゃるように昭和六十一年六月につくった計画、もう大体約十年たつ。その間、バブルの経済の生々発展と言うとちょっと語弊がありますが、ありまして、崩壊がございました。その間の変化の状況を受けまして、私ども都市圏局におきまして、実は基本計画のフォローアップ懇談会というのを設けまして、首都圏を取り巻く経済社会情勢の変化、それが首都圏に今後どういうような整備上の課題をもたらすのかということを勉強してまいったわけですが、非常に、製造業の問題ももちろんそうですけれども、やはり産業構造全体の変化という面から見ますと、金融機能あるいは国際業務機能、こういった機能がますます東京中心とする一都三県に集中してきておる。それから情報サービス業なんかもそういうような傾向が強い。  しかし一方で、いわゆる製造業は、これはもう先生も十分御承知だと思いますが、戦後一貫して、一方では経済の復興、発展ということをやりながら、できるだけ製造業を地方に移そう、地方分散を図ろうということでやってきたわけでありまして、その製造業の出荷額そのものがかなり首都圏から地方に分散する、逆に言いますと、首都圏のウエートが相当下がってきているというような状況が、この十年間のフォローアップの結果出てまいります。特に最近の結果は、今先生おっしゃったように、工場の集約化ですとかあるいは海外展開あるいは地方へのシフトというような形で、かなり大きな企業が海外に出ていくというような状況になっているわけでございます。  そういった中で、現在私どもとしては、首都圏の産業構造の変化をどのように国土計画位置づけて、これからどういうような形でそれを評価し議論していくかということをこれから勉強しようかというような状況でございます。
  20. 上田勇

    上田(勇)分科員 ただいま、今からというかこれからの検討ということでありましたけれども産業構造の変化あるいは社会経済の環境の変化というのはスピードが非常に速く進んでおります。今、この産業の空洞化という問題がこれほど大きく議論されているときに、やはり産業政策と同様にそれに十分対応した国土政策国土計画が必要だというふうに思われますので、ぜひ早急な検討、またその変化する環境に十分即応したような計画策定に向けて努力していただきたいというふうに考えるところであります。  産業の空洞化といった問題、原因についてはいろいろなことが指摘されておりますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、やはり最大のものというのは国内の経営資源が余りにも高過ぎる。あるデータによりますと、製造業を対象にして比較すると、工場用地とかの土地代が、アメリカと比較しただけでも十二倍を超えるというような差があるし、水道、電力、人件費ともかなりコストが割高になっている。こうした国内での生産のコスト高を回避するために、結局は生産設備を海外に移転してしまうというようなケースがあります。もう既に高度に工業が集積したような工業地域においては、こうした人件費また経営資源、建物のコストがとりわけ割高になっているということが言えると思います。  国内にも、先ほど局長の方からも分散型ということで、コストのかからないというか比較的低い地域といったものもあると思いますし、とりわけ土地代とかあるいはエネルギー、水道といったことになるとそうした傾向があると思いますので、将来の雇用や我が国の経済の安定成長といったことを考えるときに、極力、海外移転ではなくて国内における適正配置、これをやはり進めるための諸施策が重要であるというふうに考えます。  ただし、ここで、どうも従来型の開発の中においては、適正配置、分散させることだけに目的が先行して、実は経営資源のコストの低減、こうした目的意識が若干不足していたのではないかという気がいたします。これから国際競争力という観点を踏まえてコスト低減をどのように図っていくか、そういうことを踏まえた施策推進が必要であると思いますが、これまでさまざまな施策に取り組んでいると思いますけれども、それとともに、今後時代の変化に合わせでどういう対策をとられるお考えか、見解を伺いたいと思います。
  21. 荒田建

    荒田政府委員 まず、国内における適正配置の話があるわけですね。海外に行かなくても、せめて、国内でも地方部にはまだまだ土地もあるしということで、コストも大都市、特に首都圏などに比べるとはるかに安いということがあるわけで、そちらの方で今私どもが行っている話をちょっと申し上げたいと思うのです。  工業団地造成事業、これを、首都圏と近畿圏で一定の法律に基づいて工業団地造成事業をするという仕組みになっておりまして、この団地造成事業は非常にメリットがあるといいますか土地収用権ですね、工業団地造成事業に公共事業と同じような一定の収用権を認めて土地を取得できる。そうしますと、収用対象事業になりますから、工業団地の造成事業に土地を提供する者は譲渡所得税がかなり大幅に軽減されるというようなことも ございますし、それから、立地する企業に対してはいろいろな税金の軽減というような措置も講ぜられるというような形になっておりまして、東京あるいは大阪という中心市街地から、東京でいいますと北関東を中心とする工業団地造成事業かなりありますけれども、そういったところに立地する場合に、かなりインセンティブといいますかそういうことが誘導が図られるような措置を講じてきております。  そういうことで、実は古くから、もう三十年ぐらい前からそういう政策をやってきております。例えば関東でいいますと、昭和三十五年以降、鹿島の臨海工業地帯あるいは宇都宮の周辺を中心とする工業団地等々、北関東を中心に工業団地造成事業で四十一地区、一千社を超える立地、そして従業員ベースでは十三万人近くに上っているというようなこともございまして、近畿圏でもかなり大阪、神戸から外へ出ていくということがございまして、これはこれでかなりの成果が出ておる。つまり、産業集中の是正それから地方分散ということで成果が出ているということかと思うのです。  同時に、先生指摘の、コスト意識というのが大変重要だ、これは、私ども国土政策という観点よりはむしろ産業政策の方の観点というのが強く出るのだろうと思いますが、国土政策的には、そういうことで、できるだけ安くて環境のいい工業団地造成事業を行ってそちらに企業を誘致するという面で、これはこれで、東京で立地するよりははるかにコストの低い、いい環境での操業ができるわけでございます。そういったところにいろいろ道路をつくったり関連公共事業をつくったりして、周りのインフラもきれいに整備することによってできるだけコストのかからない操業が可能なような形で、国土政策でもそういう立場で御協力を申し上げるということをやっているわけです。  それで、今後、そういうことで、こういった空洞化とかいろいろな新しい状況が出た中で、国土政策として新しい政策をいろいろこれからまた考えなければいかぬということでございます。既に通産省さんの方でリストラ法ですか、御用意いただいて、今国会で御審議いただいているというふうに伺っておりますけれども、私どももそういった中で、先ほど今検討中というようなお話を言いましたけれども、やはり急ぐことは間違いございませんから、いろいろ知恵を絞ってこれから検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  22. 上田勇

    上田(勇)分科員 私の地元の横浜市は京浜工業地帯の一角を形成しておりまして、これまで我が国の産業や経済の発展を支えてきた地域でもあります。しかし、この地域は従来鉄鋼、化学といった業種が中心でありまして、経済環境の変化の影響をまともに今受けている地域でもあります。本格的なリストラを行う必要に迫られている、そういう状況であります。  ただいま局長お話の中で、工業の計画的な再配置、これを促進していくということも国の産業政策、国土政策上非常に重要なことであるということはそのとおりでありますが、一方、この京浜工業地帯のようにもう既に工業が高度に集積した地域においても、そこの企業の事業革新、生産性の向上、こういったことを進めて、変化する経済環境の中で地域経済を活性化させて、同時に雇用を安定させていく、こうしたこともまた重要な課題であります。同時に、こうした既存の工業地帯、人口の楯密な地域でもあります。市民生活と調和のとれた工場立地を進めて快適な町づくりも進めていかなければいけない、こういう状況であるというふうに考えております。  京浜工業地帯につきましては、国土庁で昨年九月に「京浜臨海部の再編整備にむけて」という報告書が、これは構想調査委員会の方から出ておりますけれども、まだ、中身を拝見したところ基本構想というかイメージというかが示されている、そのような段階であるというふうに感じます。今後この報告に示されている内容をどのような方針で構想をより具体的な計画発展させていくのか。また、報告書の中には幾つかの戦略プロジェクト、例えばJR貨物線の旅客線化であるとかそういったことも含まれていますが、これはやはり幾つかの省庁にまたがるような事業になっております。これは、縦割りの行政の中でこうしたプロジェクトの調整、どういうふうに図っていかれるのか、国土庁においてそういう調整の責任を果たしていかなければちょっとほかにやるところがないんじゃないかというような気もしますけれども、こうしたことも踏まえまして、この京浜臨海部の今後の方向につきまして、国土庁考えをお伺いします。
  23. 荒田建

    荒田政府委員 京浜工業地帯、先生のまさに横浜それから川崎を中心として、真っ先にこの地域が古くから工業地域として発展して、我が国の明治以来の経済発展に大きな役割を果たしてきたことは事実でございます。  現在、現況を見てみますと、この東京圏のシェアだけで見まして、京浜三区ですね、京浜三区というのは川崎市の川崎区それから横浜市の鶴見区それから神奈川区、こういったところでの出荷額のシェアが少しずつ落ちてきておりますし、最近伸び率も相当鈍化、鈍化というよりもむしろマイナスになってきているような状況でございます。それから、従業員数もやはり同じように東京圏の平均よりも低くなってきているというようなことで、御承知のような工業機能の縮小化といいますかリストラといいますか、景気の情勢ということも非常に大きいかと思いますけれども、そういうような状況にあることはもう御承知のとおりであるわけです。  私どもといたしましては、広く言えば京浜、京葉を含む東京湾全体をどういう形で適正に利用していくかという立場があるわけですけれども、特に、この京浜臨海部、川崎から横浜にかけての京浜臨海部が特に再編整備が急がれるんじゃないかということから、去年の九月に神奈川県あるいは横浜市あるいは川崎市といったところと共同で、この地域を将来どう持っていったらいいんだということを議論したわけでございます。  先生承知かと思いますけれども、その構想の中で、特に臨海部を歴史的に形成されてきた順番に第一層、第二層、第三層というような形で一応概念整理をいたしまして、第一層というのは一番湾岸道路といいますか、前の高速道路、市街の方の高速道路に一番近い方なんですが、つまり陸側の方です、そこが一番古いわけですけれども、そこは主として市街地にも近いし、密集市街地も非常に多うございますから、そこはひとつ業務機能と住宅機能、商業機能という形で、むしろ住宅問題、都市問題の一番大変なところでありますから、そういう機能に持っていったらいいんじゃないだろうか。  それから、第二層といいまして、ちょうど海側と第一層の間ぐらいになりますけれども、ここはいまだに近代的な工場もまだまだ張りついているというようなことでございますから、やや高度化するゾーンと複合空間化するゾーンみたいな形で持っていったらどうか。  それから三番目の、一番臨海部の方ですけれども、これは日本鋼管を初めとする大規模な工場が立地しているわけですけれども、そういったものの、これからどうなるかということはもちろんありますけれども、そういった企業の高度化を図る。他方で、まだ未利用地もかなり多うございますので、大震災ということも起きましたので、防災性の配慮ということも十分考慮に入れながら、大規模な緑地とかアメニティー空間として整備したらと。  おおむねそういった構想で一応公共団体、国土庁でまとめた形になっておりまして、この構想を踏まえまして、ちょっと長くなって恐縮ですが、一応川崎市において、昨年十一月なんですけれども、川崎臨海部再編整備委員会、つまりその構想を具体的に推進するための検討を始めております。結論としては、平成七年半ばくらい、つまりことしの半ばぐらいを目途にある一定の方向を、 具体的な方向を出したいなというふうに考えております。  先生指摘のように、こういったプロジェクトあるいは地域開発、こういった整備は縦割りではもちろんなかなかできませんから、私どもも運輸省とかあるいは建設省とか、密接に連絡をとらしていただいています。この地域を将来どう持っていったらいいかということをそれぞれが知恵を出しながら、国土庁が、現地の川崎市なり横浜市の御意見を伺いながらまとめていくというような形で、できるだけ具体化のための構想をまとめていきたいというふうに考えております。
  24. 上田勇

    上田(勇)分科員 この京浜工業地帯というのは、古くから立地した企業が多いことから、工場の面積が狭かったりあるいはレイアウトが必ずしも効率的でなかったりいろいろな問題を抱えていて、工業生産という意味からも今その効率化が求められているわけであります。そうした中で、この京浜工業地帯の生産機能を再構築して再編する、同時に町づくりを進めていく上で、どうも幾つか規制がそういう施策を進めていく上での逆に障害になっているんじゃないかというような気もいたします。その主なものを挙げただけでも、国土庁首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律、また通産省の工場立地法、そしてさらに臨海部にあっては運輸省の港湾法など、さまざまな規制が多くの省庁にまたがって設けられています。  きょうは国土庁ということでございますので、この中の一番最初の工業等制限法について何点かお伺いしたいと思うのですが、この工業等制限法の第四条ですか制限区域内での生産施設の新増設が原則禁止されております。同時に、この法律とそれから政令の中では例外が何点か設けられているわけであります。これは、例えばその一つが中小企業の特例許可、近代化施設の導入をする場合というようなことも設けられているのですが、しかしこの地域、先ほどもお話ししましたが、もともと工場施設が狭いというような状況があります。しかも、省力化、オートメーション化を進めていくと、生産施設の面積がどうしても拡大する傾向にあるというようなことも言われております。  また、特にそういったリストラや事業革新、生産設備の更新などを行っていくときには、一気に必ずしもできるものじゃなくて、やはり何年かをかけて計画的に行うケースも多い。現行の規制だと、仮に何年か後に最終的な形では条件を満たすとしても、その経過的な措置としての増設についてもかなり制限されるなどといった話も伺いますし、またこの特例は中小企業に対して設けられているものですが、大企業には認められていないわけであります。大企業でも、この地域、立地した時代が古いこともあって、敷地が狭かったり工場のレイアウトがかなり古くなっていたりといったようなこともありますし、リストラや事業転換をこうした企業に対しても進めていく上で、この立地環境にもちろん配慮する必要があると思います。周辺の環境に十分配慮したものであるものは、規制の緩和あるいはこういう規制の運用において特別な配慮が必要なんじゃないかというふうに考えられます。  特に、冒頭から申し上げましたが、今日我が国の製造業を取り巻く国の内外の環境というのは大きく変化しておって、産業の空洞化といったものが深刻な問題になっている。とりわけ重化学工業中心から知識集約、情報集約型への産業構造が大変速いスピードで進んでいる。こうしたときに、企業が事業革新や転換、リストラ、こういったことを進めて競争力の向上に努めていこうというときに、この規制そのものはいろいろな目的があるということは承知しておりますけれども、その規制自体のその地域の実情を十分考慮した運用の弾力化、そういったものが必要なんじゃないかというふうに考えられます。  さらに、工業等制限法ではいろいろ知事や市長がこの例外による許可を行うときには国土庁長官の承認が必要となっているとか、これもちょっと、地域のニーズを最も的確に把握しているのは自治体であると思いますし、今の地方分権といった流れもあるところであります。許認可手続、経済の変化のスピードに合わせたスピードアップも求められていることと思いますので、そういう点も考慮する必要があると思います。  さらに、いろいろ細かい規定も設けられている。例えば適用除外業種なども見直しが昭和三十七年以来行われていないとか、今の大都市型の例えは食品関連産業に関する適用の拡大であるとか、知識・情報関連、ファッション関連などの大都市型の産業についてもそういう考慮が行われるべきなど、ちょっと私が気がついただけでも何点か、今後規制の緩和あるいは地域の実情に合った運用の弾力化を図っていかなければいけないような点が幾つかあると思います。もちろん、すぐに結論が出るもの出ないものもあるかと思いますが、こうした空洞化、産業構造の変化というのは物すごいスピードで進んでおりますので、それにこうした、過剰と言ってはなんですけれども、規制がその障害となることがないように、ぜひともこうした規制が適正な範囲になるように御検討お願いしたいと思いますが、その点の御見解をお願いいたします。
  25. 荒田建

    荒田政府委員 臨海部において、特に京浜地域における工場のリストラを進めるための、工業制限法その他いろいろ制約があり過ぎるではないかという御議論でございます。  もう言うまでもございません。先生承知だと思いますが、この首都圏の集積密度というのは猛烈でございまして、人口密度にしましても工業従業者の集積密度にしても、もう過密と言われて久しいわけですね。一方で、今回の地震などでも見られますように、何とか過密過ぎる状態を解消しなきゃいかぬ。そのためには人口産業をできるだけバランスよく地方に分散しなきゃいかぬということは、私、基本的な国の政策として今後とも堅持すべき政策だと考えられると思います。幾ら何でもちょっと過密過ぎるじゃないかということが言われて久しいのだけれども、なかなかそれができなかった。しかし、一方でそういう努力を続けながらも、やはりこの地域産業、工場を、その時期の、時代の要請に応じてリストラその他生き残るための具体的な経営転換を図っていくという必要も当然ございます。先生おっしゃるとおりでございます。  私どもとしては、この工業制限法というものは、そういう全体の国土政策流れ人口産業の過度の集中を防止するという思想は依然として重要性を失わないと思っておりますが、だからといって個別の現在立地している企業のリストラまで、細かいところまで、ああやってはいけない、こうやってはいけないという趣旨でもなかろうかというふうに思っておりまして、今一々先生から御指摘いただいた諸点、私どもも十分承知しておるつもりですけれども、都県知事、市長、そういった方々との情報連絡もよくしておりますし、また商工会議所などからもいろいろそういう御要望も聞いていますし、大企業からも要望を聞いている。そして、きょう先生からいろいろ御指摘をいただきましたから、さらにその運用の弾力化といいますか、そういったリストラに支障のない形で運用の弾力化に向けて努力していきたいと思います。
  26. 上田勇

    上田(勇)分科員 ぜひともやはり、こうした地域の経済の活力を維持していくと同時に、市民に開かれた町づくりをしていくために、その規制の問題についても前向きな御検討お願いしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  27. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。  次に、大野由利子君。  ちょっと皆さんにお断り申し上げますが、大野さんがちょっと腰の調子が悪いものですから、座ったままでの御発言をお許しいただきたいと思います。
  28. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 済みません。今委員長からお 話がございましたように、ちょっとぎっくり腰になって、大分よくなったのですが、立ったり座ったりが大変つらいものですから、最初だけで、後は座ったまま質問をさせていただきたいと思いますので、大変失礼ですが、御容赦いただきたいと思います。  初めに、私、三多摩選出の国会議員でございます。小澤長官と同じ選挙区で、本当に何かとお世話にもなっておりますが、この三多摩の地、立川の地に国土庁災害対策本部の予備施設がございます。通常、立川広域防災基地、このように言われているわけでございますが、この立川の広域防災基地でございますが、すぐ近くに立川断層が走っているということでいろいろ心配されているわけでございます。  今回の阪神大震災におきましても、断層の大体二百メーターから三百メーターの幅にわたって被害が非常に集中しておりまして、倒壊家屋五割以上がこの断層の幅二百メーターから三百メーター、そういう状況であるわけですが、国土庁から出されましたパンフレットを見ますと、この「立川広域防災基地」というパンフレットの中に、「立川広域防災基地は地質、気象などの優れた立地条件を考慮して」云々、このようにあるわけですけれども、この立川の地に決められた背景というのにどういう背景があったのかまた、震度七を想定してこの施設がつくられたのかどうかについて、初めに伺いたいと思います。
  29. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 立川の政府災害対策本部予備施設でございますけれども、南関東地域直下の地震等によって著しい被害が生ずるといったような場合におきましても、霞が関か立川かいずれか一方は生き残って機能するというふうな考え方でございます。そういった意味で、距離が三十キロばかり離れておりますので、関東大震災のような地震が起きましても、あるいは直下型の地震でももちろんでございますけれども、両方がだめになるというようなことはないというふうな考え方でつくっておるところでございます。
  30. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 もう一つ、震度七を想定してっくられたかどうか。
  31. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 震度七ということは実は想定をまだしておりませんで、今回の大震災の経験にかんがみまして、万一断層による直下型の地震が発生した場合にどうかというようなことについては、早急に調査をしたいというふうに考えております。
  32. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 霞が関かどちらか、三十キロ離れておるから大丈夫なんだ、そういう今御回答だったのかなと思っておりますが、しかし、この立川広域防災基地のそばには大変いろいろなものが集まっております。自衛隊や消防庁や海上保安庁、警視庁、厚生省の国立病院東京災害医療センター等々、東京防災センター、それ以外に、ライフラインでありますNTTの多摩ネットワークセンターがございます。また、東京ガスのガスタンクもございます。また、中央高速道路とか甲州街道、JRの中央線、南武線とかさまざまなこういう住民の生命にかかわるもの、命やライフラインにかかわる一番の中枢機能がここに集まっているという状況でございますので、断層が動くのは五千年に一度だから、そんな一々心配していたら切りがない、そういう回答なのかもしれませんが、しかし、やはり私は、最大の危機に備えて準備をする、それが国土庁の役目なのではないか、このように思っておりますので、そうした場合、ここに何もかも集中していることに対して、今後何らかの対策は必要ないのかどうかその点について伺いたいと思います。
  33. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 先ほども申し上げましたように、今回の神戸で起きました地震の経験にかんがみまして、立川防災基地についての安全性については再点検したいと思っております。ただ、これまでも、先生もちょっとおっしゃいましたように、五千年に一度ということで、一番最近に起きたのが千四百年前というような記録があるようでございまして、そういうことからいきますと、直下型の断層による地震というのは当分起きないだろうというのが学者の大方の見解のようでございますけれども、そうは申しましても、先生もおっしゃいましたような、万全を期すということが大事だろうと思っておりますので、再点検をしてみたいと思っております。  それから、建物そのものも、私どもの建物もそうでありますし、東京都等の建物につきましても、非常に厳しい耐震基準、通常よりも厳しい耐震基準でつくっておるということもございますけれども、いずれにいたしましても、点検はしてみたいというふうに考えておるところでございます。
  34. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 今回の阪神大震災も、だれも予想してなくて起きたわけでございますので、ぜひこの点はお願いをしたいと思います。  この立川の広域防災基地は、緊急時に対応できるシステムになっているのかどうか伺いたいと思います。
  35. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 緊急時に対応できるシステムと申しますと、立川防災基地の体制ということでございますか。(大野(由)分科員「はい、体制を簡潔に言っていただきたい」と呼ぶ)立川防災基地は、国の予備施設としての機能のほかに、震災時におきます航空機活動の拠点としての飛行場施設、それから、災害発生時に即応できる警察、消防、海上防災、医療等の関係の人員、物資等を確保する総合的な防災基地として整備されているところでございます。  災害発生時におきましては、昭和六十二年十二月に中央防災会議において定められました南関東地域震災応急対策活動要領等に定められた体制に基づきまして調整、協力しつつ、応急活動を実施するというようなことになっておるところでございます。
  36. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 この立川の広域防災基地にいろいろな施設が隣接して全部そろっているわけでございますが、自衛隊や消防庁や海上保安庁、警視庁、厚生省の国立病院等々のホットラインというものが、各省庁の施設間の緊急運絡体制の専用回線、ホットラインがあるのかどうか伺いたいと思います。
  37. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 一部につきましては、国の機関同士につきましては中央防災無線を整備しておるのでございますけれども先生おっしゃいますように、国の機関以外の都の機関、あるいはそれ以外の公共団体等の機関につきましては、現在、万全と言える体制では必ずしもないわけでございますので、そういった問題を早急に検討しようということで、国の機関、それから東京都の機関、立川市等の間で検討会を持っておりまして、平成七年度を目途検討を終えたいということでございます。  検討内容としては、今先生もおっしゃいましたような、基地内の連絡・通信網の整備のあり方、それから備蓄品、物資等に係る融通支援体制、それからヘリポートの利用に係る調整等につきまして、今申し上げましたように、一緒になって検討しておるところでございます。
  38. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 もう一回確認をさせていただきたいのですが、今ちょっと、国の機関の間にはそろっているような御答弁だったように思うのです。霞が関の国土庁とほかの省庁の連絡はとれるようになっていると思うのですが、かわりを務めます予備施設である立川の広域防災基地内で隣接するものと連絡がとれるようになっているかどうかそういう質問だったのですが。     〔主査退席、近藤(鉄)主査代理着席〕
  39. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 先ほどちょっと申し上げましたのは、海上保安庁、防衛庁、農林水産省の施設がございますけれども、その三つにつきましては、中央防災無線網の中の、持ち運びのできます移動無線電話を使用するということで、これらの機関には配備をいたしております。  それから、海上保安庁は、今申し上げました中央防災無線網とは別に、立川防災基地から海上保安庁の本庁、それから第三管区海上保安本部等の間に専用通信網を整備しております。  それから、防衛庁につきましては、陸上自衛隊 の立川駐屯地から防衛庁本庁及び市ケ谷駐屯地等の間で専用通信網を整備しておるところでございます。  それから、農林省につきましては、立川政府倉庫から東京食糧事務所の間で防災無線の整備が行われている、そういう状況でございます。
  40. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 ちょっといつも答弁がすれ違っているような気がするのです。私は、各省庁が中央と連携がとれているかどうかという質問じゃなくて、国土庁と省庁が連絡がとれるようになっているのかどうかという、ちょっと答弁がすれ違っているような感じがするのですが、要するに、それぞれの省庁はそれぞれの中央と連携がとれている、これはもう当然だと思うのです。  そうじゃなくて、そういう縦割りであってはいざ災害が起きたときに前進しないわけですので、国土庁とそれぞれ中央、ほかの省庁と連携がとれているのかどうか。中央はとれているのだと思いますが、かわりを務めます立川の、国土庁中心のところとその他のところが連携がとれているのかどうか。そして中央におきましても、例えば中央は霞が関の国土庁とそれぞれの省庁が連携がとれていると思いますが、そこに東京都庁が入っているのかどうか、それを伺いたいと思います。
  41. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 まず第一点の方でございますが、現地にあります海上保安庁あるいは防衛庁、農林水産省の出先と私どもとは、先ほど申し上げましたように、携帯電話を置いておりますので連絡はとれることになっております。  それから、東京都とどうかということでございますが、現在消防庁の方で設置しております消防の無線では東京都と連絡とれておりますけれども、それ以外に私どもといたしましても、東京都を含めた全都道府県と直接連絡がとれるような防災無線を設置する必要があるだろうということで、現在そういう方向で財政当局と折衝いたしておるところでございます。現在はございません。
  42. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 先日、読売新聞の二月十六日の夕刊に、阪神大震災が発生した後、現地の確認のために電話が殺到したわけですけれども国土庁から兵庫県内への通話が四時間以上にわたって不通状態になっていたという、そういう報道がありました。その理由は、要するにNTTと新電電三社のうち通話料金の安い方に設定されるようになっていて、そして新電電に災害時の優先機能がなかったために、このことに気がつくのが遅くて四時間連絡がとれなかったという報道がなされておりましたけれども、これは事実だったのかどうか、小澤長官に伺いたいと思います。
  43. 小澤潔

    小澤国務大臣 国土庁には、NTT直通電話が百十五本あります。そして、そのうちの四十二本がNTTの災害時優先電話の指定を受けておるところであります。この四十二本のうち二十本において低料金の回線を自動的に選択する装置を設置しているため、発災直後から午前十時までの間は兵庫県方面の通信が不通になったことは事実であります。ただし、装置を経由していない残りの二十二本の災害時の優先電話に加え、災害時応急復旧用の無線電話七台を合わせて二十九台を確保しておるところから、回線が混雑し、接続しにくい状態にありましたが、通信は可能であったわけであります。  以上です。
  44. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 大変な混乱があったという状況で、いろいろ大変な状況にあったとは思いますけれども、事実といたしまして、国土庁で非常対策本部が設置されて初会合が開かれたのは、地震発生から五時間以上たった十一時二十五分であった、こういう報道がなされておりまして、そういう意味では、国土庁は本当にこういう緊急態勢というのが非常におくれたのじゃないか、こういうふうに言われているわけですが、この点についていかがでしょうか長官、もう一回。
  45. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生指摘のとおり、非常災害対策本部ができたのは十時の閣議で決定をさせていただいたところであります。そして、第一回の会合を開いたのは十一時二十五分。そこで緊急対策として六項目を決めまして、直ちに我々は被災地に赴いたところであります。
  46. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 南関東地域直下の地震対策推進についていろいろ検討されたようですが、実動部隊の必要人員が早急に確保できるのかどうか。例えば自衛隊について、立川の広域防災基地内に隊員の宿舎が設置されていないわけですが、首都圏の緊急災害時にどのように対応できるのか伺いたいと思います。
  47. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 立川防災基地の中には、非常時には約三千名ちょっとの人間が、非常態勢の場合には集まるということになっております。当然、実際には災害が起きました場合にそれだけではもちろん足りないわけでございますので、自衛隊なり警察なり消防なりがそれぞれの系統を通じまして災害規模に応じた動員態勢をとって、救急救助活動をするということになろうかと思います。
  48. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 三千名の方が集まるようになっているとおっしゃいましたけれども、この三千名は大体どれくらいの時間内に駆けつけられる人なんでしょうか、一時間以内に駆けつけられる人。
  49. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 ちょっと正確にお答えできませんが、かなりの、例えば警察なんかは待機宿舎がございますし、それから東京都の職員なども基地の中に待機する施設がございますので、三千名もちろん全部ではございませんが、かなりの人数は短時間のうちに活動ができるような状態になろうかと思っております。
  50. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 ぜひこの辺は大体というのじゃなくて、やはり災害のときは初動態勢が大変重要でございますので、すぐさま、三十分以内に駆けつけることが可能な人がどれだけ、一時間以内に駆けつけることができる人がどれだけという、一時間かかっていたら本当は用をなさないのじゃないかと思いますけれども、その辺はきちっとした体制をやはり組むことが必要じゃないかなと思っております。  そして、一応防災要員宿舎というのがございますね。これはどれぐらいいらっしゃるのでしょうか。
  51. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 先生おっしゃっていますのは東京都のことでございますか。(大野(由)分科員東京都ですね、防災要員宿舎」と呼ぶ)それで、一般論でございますが、できるだけ短時間に自衛隊、消防、警察等の実動部隊が参集して実際の活動をする必要がもちろんあるわけで、それは一刻も早い方がいいわけでございますが、今回の地震の例を見てみましても、そういった方々自体が被災者でもあるということで、かなり難儀をしたというような状況でございます。あるいは、そういった機関の、例えば警察の庁舎が壊れてしまうとかいうようなこともあったようでございまして、実際、例えば東京地震に襲われるというようなことになりますと、そういった面もあって非常に困難をきわめることになろうかと思いますが、実際にどうなるかということについては、シミュレーション等をやって実際に把握をした上で、訓練等も当然やっていかなければいかぬというふうに考えておるところでございます。
  52. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 先日、立川の広域防災基地を訪ねてきたのですが、そこにいらっしゃる国土庁防災職員というのは一人もいらっしゃらない。そして嘱託の方がお一人いらっしゃるだけで、しかも月、水、金のみで、その他の曜日はどなたもいらっしゃらない。そういう状況で、全く二十四時間体制ができていないということを痛感いたしまして、災害というのは朝あるかもしれない、夜中にあるかもしれない、どういう状況になるかもわからない。いろいろなシステムを完備すると同時に、やはりある程度の人手、緊急態勢に対応できる人手というものがあって初めてシステムというのが生きてくるのじゃないか、このように思っております。  そういった意味で、この立川の広域防災基地についても体制その他を見直す必要があるんじゃな いか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  53. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 私ども施設につきまして、先生おっしゃいましたような状況でございます。ただ、あの施設は要するに予備施設ということでございまして、霞が関が生きている間にあそこを使うということは想定をいたしておりませんので、そういった今先生がおっしゃいましたような状況になっておるところでございます。  ただ、そうは申しましても、半分はだれもいないということもなんでございますので、そこら辺はもう少し検討してみたいというふうに考えております。
  54. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 予備施設だからいなくていいというのでは予備施設にならないわけでございますので、緊急時に何があったときにでも対応できて初めて予備施設になるわけですし、ですからその辺、平時と災害時とどう対応するのかという綿密なものがやはり必要ではないかと思いますので、ぜひこの辺は御検討お願いをしたいと思います。
  55. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生指摘のとおりであろうと思います。また、やがて来るであろう関東大震災に次ぐ、今度は南関東、いつあっても不思議ではない。また、南関東には三多摩も入っておりますし、先生指摘の活断層等々のお話もあり、いつ震災があっても不思議ではございませんので、ただいまの先生、視察調査されましたことを踏まえて、国土庁といたしましても前向きの姿勢で対処してまいりたいと思います。
  56. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 霞が関の災害対策本部が立川の広域防災基地内の予備施設に移るときはどういう被害を受けたときか、その辺の基準というのはあるのでしょうか。
  57. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 要するに、霞が関あるいは官邸も含めまして、この辺で執務ができないという状況の場合に、物理的に執務ができないような状況の場合に、予備施設関係者が行きまして、そこで霞が関の方が使えるような状態になるまで活動しようということでございます。
  58. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 この基地内に、緊急時に従事する職員のための食糧備蓄等々のお部屋もあるようですけれども、これは何人ぐらいを想定して、何人ぐらいの食糧の準備をしていらつしゃるのか伺いたいと思います。
  59. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 数百人規模を集めるという想定をいたしておりまして、その職員が当分の間活動できるような水あるいは食糧、それから非常電源設備等を整備しておるところでございます。
  60. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 国土庁の職員の人たちの備蓄が数百人とはとても考えられない状況でございました。東京都が準備していらっしゃるのはそれなりの食糧を準備していらっしゃいましたけれども国土庁の食糧の備蓄というのは、現場を私見てまいりましたけれども、とてもそういうものを想定していると考えられない状況でございましたので、この辺もぜひきちっと整備お願いをしたい、このように思います。  それから、次の質問に移りたいと思いますが、神戸市に今回救援へリポートの着陸地が確保されていなくて、陸上自衛隊の大型のへリが着陸できるのは、十七日じゅうに着陸可能だったのは結局一カ所しかないということで、それで非常に今回の人命救助がおくれたというふうに指摘されております。実際に患者の搬送に使われたのは、十七日に一件、十八日に二件、十九日が一件、二十日は一件というような、本当はもっともっとヘリが多くの患者の搬送等に使われたらもっと多くの人命が救済されたんじゃないか、このように思うわけですけれども国土庁は、首都東京で自衛隊のへリが離着陸できるへリポートがどれだけあるか、掌握していらっしゃいますでしょうか。
  61. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 必ずしも自衛隊のへリが離着陸できるということではないのですが、航空法の三十八条の許可を得て整備されているものが、公共用が一カ所、それから、例えばマスコミ等が設置しているものが四カ所ございます。それ以外に、管理者があって当然ふだんは公園等として使用している場所につきまして、いざという場合に使用できるようにということで、私どもと管理者と相談しておるところが三カ所ばかりございます。
  62. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 厚生省の方も来ていただいているかと思うのですが、東京の病院も国公立の病院が六十数カ所ありますが、その中でへリが離着陸できる病院は三カ所しかない。こういう状況であっては、大変な災害があったときにとても対応できないんじゃないか、このように思っておりますが、へリポートが離着陸できる病院等々ももっと確保すべきじゃないかと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  63. 磯部文雄

    ○磯部説明員 先生今御指摘の三カ所と申しますのは、私どもで三次医療機関、救急医療機関として整備いたしております救命救急センターに設置されておりますへリポートの数でございます。  私どもといたしましては、救命救急センターを中心にこれまでやってきておりますが、今後も引き続きこうしたことでへリポートの整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
  64. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 先ほど局長から御答弁ありましたけれども、千二百万からの東京都、また南関東の地震考えたときに、大変な被害が想定されるわけですが、へリポートの数も少な過ぎるんじゃないかな、そのように思っていますが、自治省も、この辺はどのように思っていらっしゃるか、ちょっと伺いたいと思います。
  65. 西村清司

    ○西村説明員 私どもが掌握いたしております東京都内の地域防災計画におきまして確保されておりますへリコプターの臨時離着陸場、これは全体で六百六十三カ所ございます。これは、例えば学校の校庭ですとか公園ですとか広場ですとかあるいは河川敷とか、そういうところが確保されています。  また、防衛庁におきましては、南関東地域地震を想定いたしまして、この一都三県の区域におきまして各都道府県、市町村がこのような形で確保しております臨時離着陸場の中から、特に自分たちのへリコプターが活動するのに便利な場所というものを約二百カ所選定されておりまして、その一つ一つについて、どのような現場の状況になっているのか、またその周辺にどのような公共機関があるのか、また医療機関があるのかということについての調査をして、そのデータを持っていらっしゃる。また、それを私ども関係いたします東京消防庁においても、同じような情報を管理しているという状況になっております。
  66. 大野由利子

    ○大野(由)分科員 この後いろいろ、バイクによる救援隊が今回は大変活躍いたしまして、このバイクによる救援隊のボランティアの組織化みたいなものも必要なんじゃないかとか、それから、日本は一年に一回ずつくらい結構大きな地震が起こっていますので、災害救助船みたいなものも検討が必要なんじゃないかというような御質問もさせていただきたかったのですが、時間が来ましたので、以上で終わりたいと思います。  もう一点、国土調査に関連して地籍調査の件で質問を用意しておりましたけれども、これも時間がなくなったものですから、答弁に来ていただいた方もいらっしゃるかと思いますが、今回はこれで終わりたいと思います。大変ありがとうございました。
  67. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)主査代理 これにて大野由利子君の質疑は終了いたしました。  次に、高見裕一君。
  68. 高見裕一

    高見分科員 お尋ねを申し上げます。  まず、今回の地震で感じましたことは、自然の力の前では人の力というものは本当に弱いのだということを、被災地におり実感をした次第でございます。幾ら補強をしてある、耐震構造にしてあるといっても、がけは崩れ、あるいは埋立地では液状化現象が現実に起こりました。自然を征服する、自然と文明は対立をして、文明は自然を克服をする力だという近代的な思想に基づくのではなく、自然と共存するという思想に転換をしていくことが、今後の災害対策の実は最大のかなめではないかと私は思います。  例えば、今回の被災地である神戸は地質上崩れやすい土地が多く、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律によれば、急傾斜地の崩壊防止のために都道府県が民有地に防災工事をするという構造になっております。しかし、急傾斜地の下をわざわざ防災工事を施してまで居住可能にするという考えに立つのではなく、危険な地域は初めから住宅建築禁止の措置をとるなどの必要がこれからあるのではないかと思います。  建築基準法の三十九条には災害危険地域の制度があるので、こうした場合に活用するべきであると考えるが、現実にはほとんど活用されておりません。神戸市においても傾斜地の開発ばかりを考え災害危険地域の制度は全く利用されていなかったと聞き及んでおります。この実態は現実にどうだったのかということを、まず教えていただきたい。  また、今後は急傾斜地周辺などの危険性の高い区域に対しては建築制限などの手法も取り入れるべきではないかと考えますが、建設省のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  69. 磯田桂史

    ○磯田説明員 先生お話のありましたがけ崩れとか地すべりのような災害発生が予想される区域につきましては、今お話がありましたように、建築基準法の規定に基づきまして地方公共団体が条例で建築物の建築を制限しているところでございますが、兵庫県下では約八十ヘクタールがそのような災害危険区域に指定をされているところでございます。一方、居住者がこのような区域から他の区域へ住宅を移転させる場合には、地元の県それから市町村と国が連携をとりながら補助を行うがけ地近接等危険住宅移転事業により危険住宅の移転推進しているところでございます。  今後とも、がけ崩れなどの災害の発生が予想される区域におきましては、適切に建築制限が行われるよう地方公共団体に働きかけるとともに、移転促進する補助事業と連携させながら災害の防止に努めてまいりたいと考えております。
  70. 高見裕一

    高見分科員 そういう御答弁になるのは無理からぬことでございますが、本当のところで申し上げたいことは、我々自身が今持っている自然というものに対する対立の概念、ここを本当は問うていかなければ本当の災害に強い都市、人間生活、暮らしというものはできていかないのではないかということを実はただしたいわけでございまして、そこのところを御理解を賜れればと存じます。  現行では、日本の法のシステムでは、そういう危険地域等々に対して、一般に土木工事で対応するというハード的な手法が中心でございます。例えば、洪水対策として堤防、地下河川、がけ崩れ対策として急傾斜地崩壊防止工事、過密対策として巨大埋め立てというようにでございます。しかし、このような手法も確かに、もちろん有効な部分があるということは否定をいたしませんが、この手法だけに頼るということではやはり無理があるということが今回の地震で判明をしたわけであります。これからは、例えばアメリカなどでも採用されているソフト的な手法を大いに取り入れるべきではないかと存じます。  先ほどの急傾斜地周辺への崩壊防止工事や洪水・津波対策についても、堤防をつくったり強化するということではおのずと限界があり、住宅建設は河川や海岸から一定距離後退を必要とするといった、ソフト的なアプローチもうまくミックスしなければならないと考えます。特に、東海地震等では大きな津波の襲来というのが予測をされておるわけでございまして、波高三十、四十という津波に五メートル、十メートルの防波堤はほとんど役に立たないというのは、もう奥尻島で経験済みでございます。これまでのハードに頼る手法だけでは災害対策としては不十分なのだ、人間が傲慢になり過ぎてはいけないのだということを痛感する次第でございます。とにかく、今回の地震は、これまでの日本のとってきた考え方が完璧ではないということが明らかになったと断言してよいと思います。  そのような自然と共生をしていくようなソフト的な手法をどのように今後展開するお考えなのか、建設省にお答えをいただきたいと存じます。
  71. 脇雅史

    ○脇説明員 我が国におきましては、河川流域の開発による洪水流出量の増大や河川のはんらん区域への人口、資産の集中によりまして、水害、土砂災害が依然として多発している状況でございます。  このような状況に対処してまいるために、先生の御指摘のとおり、治水施設整備というハード対策促進するとともに、流域の開発計画土地利用計画などとの有機的な連携調整、警戒避難体制の整備などを図るという、ソフト対策も講ずることが重要であると考えております。  このため、これまでにも洪水予警報などの水防活動の充実、雨量、水位等の河川情報の提供、河川管理者と関係地方公共団体等から成る流域総合治水対策協議会の設置、総合治水対策の具体的な実施方針、例えば保水・遊水機能確保等でございますが、そういったものを示します流域整備計画策定、土砂災害の発生予測、警戒避難対策に必要な監視施設の設置などの推進、適正な土地利用の誘導と警戒避難体制等の整備の一環としての浸水実績図、洪水氾濫危険区域図、さらに土砂災害危険箇所マップ等の公表、治水施設整備状況に対応した水害に安全な土地利用、建築方式への誘導、こういったさまざまなソフトな対策も実施してきたところでございます。  いずれにいたしましても、治水事業は流域の住民の生命財産を守る極めて重要な事業であるとの認識のもとに、今後とも水害、土砂災害に対して安全な町づくりを進めるため、ハード対策とソフト対策を車の両輪として総合的な治水対策推進してまいりたいと考えております。
  72. 高見裕一

    高見分科員 今回の地震では、いわゆるライフラインという言葉が何かはや旦言葉のようになってしまいました。ライン型の生活関連施設が大打撃を受けて、市民生活を麻癖させました。現状でもまだ水道やガスの復旧されていないところが多く、市民の生活は困窮をきわめております。  確かに都市部では、規模の経済から考えて、平常時には集中してさまざまなそういったものを管理する方がいいのでありましょうが、災害時のことも考えて、ライフポイントという形で緊急施設整備することが今後は重要になるのではないかと思います。例えば、町内会に一つは井戸を掘っておくとか雨水をためる設備を設けるとか、太陽光の発電システムを備えておくとか、下水道ではなく合併浄化槽、個人下水道ですね、それで処理をすみ施設を持っておくとかでございます。そのようなライフポイントの確保が防災上非常に重要になってくると考えますが、そのような施設整備の方向性について、ぜひ長官にお尋ねを申し上げたいと思います。  一言補足するならば、ライフラインというのは本当にもろいんだな、そして、いざ災害があったときには、ラインとして全体が大規模機能しないことには役に立たない仕組みというものは、これは災害には対応できないんだということ、これはもう明らかだと私は経験上痛感をしております。そういう意味では、まず一戸の家、そしてその町内、その地区、エリアというものがそれぞれの中で自立する、災害に対して自立をしていくというような考え方基本、根本というものが要るんだなということを痛感をした次第でございます。  井戸なども、昔はどこの町内にもあったわけですね。全部水道が通ったことで埋めてしまいました。今回、燃え盛る火事の前で荘然と水が出ないホースを手にして立ちすくむ消防士が何百人いたことか。実際にため池もございません。そういう中で、ライフポイント、その地域災害に対して自立して対応できるという考え方、これは本当に重要なんだということをぜひ御理解賜り、御答弁願えればありがたいと存じます。
  73. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生指摘のとおりであろうと思います。昔の隣組とかいろいろございましたね。あの当時、私も子供のときによくそのようなことをこの目で見ておりまして、ただいま先生の 言われたのを身にしみておるところです。  さて、先生のポイントは、ライフポイントの確保の問題ですね。今回のようなライフラインに大被害を与える災害に対しても、各地域の避難場所等において飲料水など、避難した方々の生活のために必要な機能を確保できることが重要と認識をいたしております。避難場所における避難者の飲料水の確保等のために、貯水槽については従来より消防庁において耐震性貯水槽の整備に対する補助は行っておるところであります。  議員御指摘の観点も考慮いたしまして、トイレの問題を含め、避難場所に整備すべき施設等につきましては、今後ひとつ関係省庁とよく協力をしながら必要な対策検討してまいりたい、先生の御指摘を必ず生かしてまいりたい、かように存じております。
  74. 高見裕一

    高見分科員 要旨にはちょっとないのですが、一言だけ長官に。  今回、私ずっと現地で、地震発生後すぐから、倒壊をした家屋の中に生き埋めになった人を助けようと一生懸命努めてみました。しかし、なかなか人間の力だけでは難しいということがございました。そのときに、三つのものが本当に欲しかったのですね。  三つのものというのは、一つは大型のバールでございます。よくとび職の人なんかが持っておられますが、一メートル二十ぐらいの鉄のバールですね。それから、のこぎりなんですが、平のこではなくて、細身ののこぎりでございますね。それと、車の中に皆さんよく積んでおられるジャッキですね。あれのもう少し大型の、人間の手で持つことが可能な程度のジャッキ。この三つがあれば、私は具体的には四名の方を自分の手で救い出しましたけれども、あと何人か、五人か六人かはお救いできたのではないかと、実は内心思っております。  そういった救命具というふうなもの、特に具体的に震災の現場で役立つ救命具というふうなもの、今、倒壊家屋から生き埋めの人を助け出す三種の神器というふうに申し上げましたけれども、そういったものをもう少し御研究くださいまして、避難場所になる小学校や中学校やそういった地域の公民館などに、そこに行けばそういう道具があるということを地域の方に告知をしておくということが大変大事かと思います。  長官、ぜひ、もう東海大地震も来ることははっきりしておるわけですから、今のうちにそういった対策を立てておいていただきたい。そんなにお金がかかるものではない。この程度のことは国土庁がイニシアチブをとって何とか具体化をしていただきたいと、切に切に希望する次第でございます。本当にそれがあったら何百人かは助かっていたと断言しても間違いないと私は確信をしておりますので、ひとつ前向きに御検討くださいますようにお願いをいたします。  さて、今回の震災では電柱が倒れて道路をふさいで、あるいは電線が垂れ下がってそれが漏電をして火災の原因になったりというふうな、電柱が原因の危険な状態が数多く町中に出現をいたしました。また、道路をふさぐことにより緊急自動車が通れないなどの問題もございます。その点、電線を共同溝に埋めれば、電柱が倒れて道路をふさぐというような問題もございませんし、景観上も当然すぐれておる。また、電信柱があれだけ林立している先進国も日本ぐらいだという、この現実もございます。反面、今回の地震では共同溝というものはほとんど被害を受けなかったというふうに聞いております。防災の観点からも町の美観の観点からも、共同溝づくりというものを積極的に進めるべきであると考えますが、いかがお考えでございましょうか。  実際に電柱に支えられて辛うじて残った家などというものももちろんありましたし、復旧のためにということだけでいえば、電線が表に出ているゆえに復旧が簡単にできたという側面もございますが、復旧が簡単にできるというよりは、いかにそういった被害を最初から起こさないかという意味では、耐震型の共同溝というものは、マルチメディア時代もにらんで非常に有意義なものではないかと思う次第でございますがいかがか、ぜひ積極的に御答弁いただければと思います。
  75. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 建設省におきましては、これまでも、安全とかそれから円滑な道路交通の確保、これは平常時でございますが、そういったものとか、それから都市防災性の向上といった観点から、共同溝、それから共同溝の少し小さいものでございますが、歩道に電線類を入れますキャブというもの、ケーブルボックスでございますが、これをあわせてライフラインの地中化ということで促進してきております。特に共同溝につきましては、上下水道それからガスとか電線類すべてを入れる幹線的なものでございますが、これについては昭和三十八年から整備されております。  それから、先ほども申しましたキャブのシステム、ケーブルボックスでございますが、これが昭和六十一年度から、歩道とかそういうところに入れます一メートルくらいの大きさのものでございますが、そういったものの整備をしてきておりまして、これが二千キロくらい整備されております。そういった共同溝とかキャブシステムにつきまして、特に今回の地震におきましては、先生おっしゃられるように被害状況、詳細はまだ調査中でございますが、現在のところ、構造的には特段の被害はなかったといったふうに伺っております。そういったことで、一定の耐震性を有しているというふうに考えておりますので、ライフラインの地中化を推進していくといったことが非常に望ましいことだというふうに考えております。  そういったことで、都市防災上の観点、それから日常時は景観とか先ほどの交通安全の観点からもこういったものの地中化を進めるといったことで、これは特に関係事業者の方々とよく調整を図らないと進みませんので、そういった方々との調整も図りまして、積極的に推進していきたいというふうに考えております。
  76. 高見裕一

    高見分科員 前向きな御答弁で大変結構かと思いますが、実際にライフラインが地震で途絶をいたしまして、そしてこれほど大きな被害が出ておると。それから考えると、ふだんから共同溝というふうなものを整備しておく方がよほど安上がりだったなと、これは結果論でございますけれども。結局、一見高い投資ですがいざというときには安くつく、そういった目先の利益ではない大きな国益、グローバルな利益というものをお考えいただいて、建設省にはぜひ共同溝に対する特段のリーダーシップを発揮していただくべきではないかと思います。頑張ってください。  震災における個人の財産に対する補償について、長官にお伺いを申し上げます。  個人財産に対するこういう災害時の補償はできない、あるいは難しいというのが今までの政府の態度であると思われます。確かに、現行法の体系の中では、政府は当座の支援、例えば瓦れきの処理などについては援助をするが、財産の損失に対して財政的支援は行わないということになるのであろうと思われます。  ところが、現行法上個人の財産の損失に対して財政的支援が全くなされていないかというと、そうではございません。農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律では、破壊された開拓者の住宅の復旧に対しても国庫補助を出しており、農業だけがそのような財産的損失に対して補償を得られるのか、平等原則から考えて甚だ疑問を感じるところでございます。どうして農家以外の者の住宅の復旧には国庫助成ができないのか、明確にお答えを賜りたいと存じます。
  77. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生指摘のように、一般的に、自然災害により個人が被害を受けた場合には自助努力による回復を原則といたしておりますが、政府といたしましては、災害救助法による救助や各種融資措置等による被災者支援などの現行制度の運用によりまして、幅広くかつきめ細かく被災者の生活再建を支援をいたしておるところであります。今次災害につきましては、被害の甚大さにかんがみ、特例の立法によりこれらの支援措置を拡充することといたしておりますが、いずれ にいたしましても、個人補償という形ではなく、支援による対応を行うように考えております。  また、開拓者の住宅等の災害復旧事業への公費導入は、脆弱な生産基盤に立つ開拓者を救済し、国土保全や安定的食糧供給を図るという見地から行われるものであり、個人補償には当たらないと思います。  なお先ほどの、長官、よく肝に銘じておきなさい、それは三つあると。その一つが、余り幅の広くない細長いのこぎりである、そしてまた余り大きくないジャッキだと、そしてもう一つには、バールも、小さくなく、これはある程度大きくないとてこに利用できないのでというお話がありました。私も身にしみてそのとおりだと思っておりますので、これからは防災マップ等々にもでき得ることならば載せて、そしてまた、どこにあるかをよく所在を明らかにして、先生の三つの提案を肝に銘じ、ひとつ今後の防災に役立ててまいりたい、かように考えます。
  78. 高見裕一

    高見分科員 ありがとうございます。ぜひ先ほどの、三種の神器などというちょっと大仰なことを申しましたが、そういった、人間の力でコントロールできる、しかし非常に有効な道具類というのをぜひ御研究くださいまして、充実した整備、据え置き等を進めていただければと思います。本当にそういう道具がなくて悔しい悔しい思いをいたしましたので。  さて、先ほどの質問の件でございますが、私にはやはりこの法律、読めば読むほど農家に対する個人補償だというふうに読めてきてしまいます。農家だけではなく、一般的に個人の財産、特に家屋、ダブルローンの問題等もございます、せめて家屋に対する国庫助成が可能かどうかについて、ぜひとも前向きに御検討をいただきたいというふうに思います。  災害弔慰金の方にちょっと話を移したいと思います。  犯罪被害者給付金支給法においては、重度の障害者等になった場合には、家族のほかに本人の生活費がかかるので、死者の遺族に出すよりも多く支給金が払われております。災害弔慰金法においても、国家が本来的な責任を負わない場合に何らかの金銭的な給付をするというシステムであり、重度に障害を負った者に対して何らかの手厚い保護が必要になると考えますが、いかがなものでございましょうか。厚生省の御意見をお伺い申し上げたく存じます。
  79. 松尾武昌

    ○松尾説明員 お答えいたします。  災害見舞金につきましては、災害により重度の障害を受けた者に対しましてその精神的な打撃についてお見舞いをする、またその生活環境の改善の一助として支給するものでございます。その額が災害弔慰金の半額とされておりますのは、災害弔慰金が生命の喪失というその遺族にとって最大の不幸に対するものであるというのに対しまして、おのずと事柄の重みに相違があることによるものと理解しております。  また、先生指摘の犯罪被害者等給付金支給法に基づく給付金につきましては、労働者災害補償保険法による給付金や損害補償との調整規定を有するなど災害見舞金と異なっておりまして、両者を同列に論ずることはちょっと困難かと理解しております。先生も御理解いただきたいと思っております。
  80. 高見裕一

    高見分科員 時間がなくなってきたようでございますので、ちょっとまとめて質問させていただきたいと思います。  一つは、情報収集システムでございます。今回の教訓には、情報をいかに速やかに吸い上げるかと、それを最高責任者のもとに届けるかというふうなことがございました。実際に現場から声が上がってこない、その要請に基づいてでないと、例えば自衛隊の出動もできないというふうなことで、対策が後手後手に回ったりしたようでございますけれども、生の情報を入れる方法というものをもう少しお考えいただきたい。スポイルされた情報ではなく、実際のその現場の状況をリアルタイムにテレビで、どこかのテレビ局の画面ではなく、政府が実際に自分たちでハンドリングできるカメラで見れるものでありますとか。  私、長官に御提案申し上げたいことがございますけれども、せめて一万大規模で緊急災害時の通信システムというものがネットワークできないかなと。無線を利用して、全国で一万カ所程度でまず結構でございますから、そういった緊急災害時に、自分は総理官邸なら総理官邸に通報する義務があるのだという自覚を明確に持った人を育てておく。そういう方に実際に、例えば震度六というのはこれくらいの揺れなんだというふうなことを体感をしてもらい、研修をしてもらい、今自分たち地域が受けた災害がどの程度のものなんだというふうなことを、至急近所を回って状況を把握して、生の情報をトップにダイレクトに伝える仕組み、こんなものは現代の科学技術をもってすれば何ほどのことはなくできる仕組みであるはずでございます。そういう意味では、そういった仕組みをぜひお考えをいただきたいな、このように思っております。  それから、今回の大地震災害の結果として、二重ローンというのが非常に大きな問題になっております。端的に申しますと、国家が土地を積極的に買い上げられないのかということを、ぜひお尋ねを申し上げたいなと思います。特にマンションの問題なんかも非常に今現地でもめておりますけれども、土地をとりあえず公共あるいは公的団体が買い上げて、地権者に所得に応じて貸し付けるというふうなシステムは考えられないか。  土地を買い上げることによって以前のローンの返済に充当できますし、所得や資産に応じた地代設定をすれば、被災者がそこに住めなくなるという状況が避けられるのではないか。また、公共が土地を転売しないことを保証することによって、地権者も安心をして土地を拠出することができるのではないかというふうに考えます。このように、土地を公共が買い上げることによって、二重ローンの問題は多くはかなり解決するんじゃないかなというふうに思うのですが、このような方策は検討の余地がないのかどうかも、ぜひお答えをいただきたいと思います。  最後に、ブロック塀のことでございますが、今回もブロック塀の倒壊が実に町中の歩行などを困難にしておりますし、現実に大変危ないということがありました。いつも地震のたびにブロック塀を何とかしようと言われながら、手がつかないのは一体どうしてなのか。こういうときこそ国がリーダーシップを発揮するべきではないのか。例えば、生け垣にした方がよほど景観もいいし、安全性も高い。そういったことに対するインセンティブを具体的に与えられないのか。そういった問題も今回の地震の、一見細かいようでございますが、たまたま今回時間が時間で、五時四十六分、通行人が少なかったのでクローズアップされておりませんけれども、ブロック塀の問題というのは非常に重要な、大きな問題だということを現地で痛感をいたしました。そのあたりもぜひ御指導いただければと思いますが、お考えを述べていただきたいと思います。  ちょっと各省庁や長官にまたがってしまって恐縮でございますが、端的にお答えいただければと存じます。
  81. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 最初の御質問についてお答えさせていただきたいと思います。  先生おっしゃいますように、今回の状況を見ていますと、なかなか現地からの情報が上がってこない。上がってきたにいたしましても、今までの仕組みでは、警察なり消防が確認した、どのくらい死者が出たかという確認情報でございますので、被害の規模、全体がどのくらいの災害だったのかということを判断するには必ずしも適当でないという反省もございまして、先生もおっしゃいましたように早期に、一定規模以上の地震が発生いたしますと、自衛隊等を中心にいたしましてヘリが飛び立ちまして、若干カメラもございますけれども、それは数が十分でございませんので、パイロットが目で見た情報を本庁へ送ってくる、それを官邸にもつなぐといったようなこと。  それから、警察について言いますと、パトカーの交信情報を警察で整理しまして、それも上げてくるというようなこと、そういった生の情報を至急に上げてくるということを検討しております。それから、先生おっしゃいましたような何人かの、一万人の方にお願いをしておいて、情報を入れていただくというのも一つの方法ではあろうかと思います。  そういったことで、早期に情報を把握するという、今申し上げましたほかに、FEMAなどでは、人口それから構造物、それから地形、地盤等をデータバンクヘあらかじめ入れておきまして、実際の地震が起きました場合の震源あるいはマグニチュード、震度情報等をベースに、どれくらいの被害が出たかというのを推定する手法も運用しているようでございますので、それも本日から視察団を出して調査いたしまして、勉強させたいと思っておるところでございます。
  82. 坂田隆史

    ○坂田説明員 二重ローンの点、御指摘になりましたので、その点御説明申し上げます。 国等の公的主体が被災マンションの土地を買い上げて地権者に貸し付けるということにつきましては、私どもの理解が十分ではないのかもしれませんけれども、一般的に申し上げますと、例えば買い上げを望まない方がいる場合の取り扱いでありますとか、公的主体の財源の問題でありますとかいろいろあろうかと思います。公社公団の公的な主体がマンションの建てかえ等に参画をして支援を申し上げるということにつきましては、私どもいろいろ今検討しているところでございます。この中で、ローンを抱えておられる方が救済される場合も出てくるのではないかというふうに考えております。  また、二重ローンの問題で、住宅金融公庫をお借りになっている方がいらっしゃるかと思いますが、既に借りておられる方につきましては、支払いの繰り延べでありますとか、元利金の支払いの据え置きでありますとか据置期間中の金利の引き下げでありますとか、さらにそれらの措置に加えまして、据置期間について最大で五年間の延長を行うというような、可能な限りの措置を講ずることとしておるところでございます。また、新規にお借りになって建てられるというような場合につきましても、据置期間を五年間に延長するというような措置を講じているところでございます。  また、地方公共団体の方でもいろいろな施策考えておられるようでございますので、こうした措置地方公共団体の施策との連携を図って、被災者の負担軽減に配慮してまいりたいと考えております。
  83. 磯田桂史

    ○磯田説明員 コンクリートブロック塀の話でございますが、補強コンクリートブロック塀につきましては、建築基準法において、高さの上限でありますとか、それから厚みの下限でありますとか、それから鉄筋の間隔、それから基礎の深さといったものの構造基準が定められているところでございます。それだけではなくて、ブロック塀の施工者や住民の方々向けにパンフレットを作成いたしまして、今申し上げました構造基準、あるいは既存の塀の補強方法でございますが、こういうものの徹底や普及に努めてきたところでございます。今後とも、これらの広報資料を活用いたしまして、基準や補強方法の徹底普及にさらに努めてまいりたいと存じております。  それから、生け垣の設置でございますが、現在、地方公共団体の条例あるいは要綱などによりまして、全国で二百二十二の市町村において助成措置が講じられているところでございまして、十年ほど前に比べますと約倍以上にふえている状況でございます。今後とも、都市緑地保全法に基づきます緑化協定制度、あるいは地方都市緑化基金の活用等によりまして、生け垣の設置がより一層促進されるように努めてまいりたいと考えております。
  84. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)主査代理 これにて高見裕一君の質疑は終了いたしました。  次に、山本孝史君。
  85. 山本孝史

    山本(孝)分科員 新進党の山本孝史でございます。  まず最初に、大臣にお伺いをいたします。  一月十七日の阪神大震災から早くも一カ月以上がたちました。この間、横で見ておりましても、随分追及の矢面に立たされているというか、激励を受けているというか大臣も大変だったと思いますけれども、まず、きょう時点での大臣の御心情をお聞かせいただきたいと思います。
  86. 小澤潔

    小澤国務大臣 私は、十七日の災害発生時に、非常災害対策本部を十時の閣議で決定をさせていただきまして、そして第一回の会合を十一時半に持ち、六項目を緊急に決めまして、現地に飛んだところであります。そして十七日の日には空からヘリにより視察をし、十八日には地上からつぶさに被災者の皆さんにお会いをし、現場の生々しい場所も調査をさせていただきました。もう消防署員、ボランティアの皆さん、警察官そしてまた自衛隊の皆さん等々、それぞれの分野で大活躍をしておったことも感謝を申し上げ、とにかく亡くなられた皆さんもだんだんに多くなりますし、事の重大さも痛感しながら調査をさせていただいて、十八日には帰りまして総理調査の模様を御報告申し上げ、夜の閣僚会議報告をさせていただきました。  これらを通じまして、本当に震災の恐ろしさ、また、お気の毒に亡くなられた方々等々を思うときに、本当に身に、何といいますかもう言葉には尽くせない思いであります。  それらの教訓といたしまして、初動期における被害規模の早期把握手法の確立、官邸への情報連絡体制の確立、また自衛隊との連携のための事前の防災体制の確保、同時多発型の火災に対する消防力の強化等々を教訓として感じ取ったところであります。  こういったわけで、これからこれに対しての、具体的には地理情報システムなどの被害早期評価システムの活用、災害即応体制プロジェクトチームにおいての検討を行い、内閣総理大臣等への情報連絡体制の整備に関する当面の措置の閣議決定、本日閣議で行われたところであります。  具体的に申し上げましたが、本当にやはり危機管理の体制の強化も身にしみておるところであります。一言申し述べたところです。
  87. 山本孝史

    山本(孝)分科員 今お話の最後におっしゃったように、危機管理体制の強化というところ、一番これまでの焦点で追及をされている点だというふうに思います。  だからそこだけお触れになったのかと思いますが、私が質問している趣旨は、これまでの災害の教訓は、今回の阪神大震災の救援体制、初動態勢も含めて救援体制の中にこれまでの教訓は生かされてきたというふうに大臣はお考えですか。
  88. 小澤潔

    小澤国務大臣 反省すべき点もありますので、反省すべき点は謙虚に反省をしてまいりたいと思っております。
  89. 山本孝史

    山本(孝)分科員 反省していただく点ばかりじゃないのですか。実際のところ、今防災基本計画という計画がありますね。防災基本計画、三十八年の六月十四日の中央防災会議で決定をされた。その後これは修正されていますか。
  90. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 防災基本計画そのものの修正は一回であったかと思いますが、地震対策につきましては、同じく中央防災会議の決定という格好で、基本計画そのものを直したという格好ではございませんが、例えば南関東の対策要綱でございますとか、最近では平成四年に、南関東の直下型の地震が起きる蓋然性が高いということで、それに対する事前対策を決めました大綱といったような幾つかの対策を補完的に決めております。  スタイルとしては基本計画を直すというスタイルにはなっておりませんので、基本計画そのものは、先生おっしゃいますように、余り直してないという印象になるかと思います。
  91. 山本孝史

    山本(孝)分科員 日にちに触れられないのであれですが、四十六年の五月二十五日に防災基本計画が修正をされています。国土庁の発足は四十九年六月ですよね。したがって、国土庁が発足され てから一度もこの防災基本計画は実は修正、改正をされていない、見直しがされていないということになるわけですね。  この序説のところに、「防災基本計画は、災害根絶の究極目標を指向しつつ、最近における災害の実情に照らしこというふうに書いてある。ところが実際に、この四十六年五月以降に、宮城沖地震であれ日本海中部地震であれ、あるいは千葉県東方沖も釧路沖もそして奥尻もという形で、随分大きな地震が何回も起こっているにもかかわらず、そうした災害の実情に照らして防災基本計画は実は何も改正されていない。改正しようとする意図は、国土庁にはあったのですか。
  92. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 今申し上げましたように、例えば六十三年の十二月には南関東地震応急対策活動要領、これは関東大震災のような地震が起きた場合にどういうふうな対処をするかというものでございますが、六十三年の十二月六日の中央防災会議決定ということで決定をいたしております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、防災基本計画そのものを直していないということではございますけれども、それと一体的なものとして、今申し上げましたような活動要領でございますとか、先ほど申し上げました南関東地域直下の地震対策に関する大綱、これは平成四年の八月二十一日に中央防災会議で決定をいたしておりますが、そういったものと一体的なものとして地震対策推進してきているというふうに御理解いただければと思うのです。
  93. 山本孝史

    山本(孝)分科員 南関東、関東、関東とおっしゃっているうちに関西で大きな地震が起きてしまったということで、随分不公平な思いがするんですよね。やはりそんなに積極的じゃなかったと思わざるを得ないのです、こういう日付の話だけ見ていると。実際にどれだけのことをやっていただいているのかわからない。  今度、防災基本計画改定に向けての主要検討事項ということで十二項目ずらずらと出てきたわけですね。初めて防災基本計画も改定しようかという動きを、今ようやくおつくりになっている。この検討課題、これはどなたがおつくりになったのですか。これは国土庁が自分たちとしてこれを検討しなきゃいけないという思いでおつくりになったのですか。
  94. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 私どもがつくりまして、専門委員会の先生方にもお諮りして、項目としてはこんなものだろうということになったわけでございます。
  95. 山本孝史

    山本(孝)分科員 実際に現地に行ってみて、あるいは新聞等のいろいろな報道等を見ても、これだけのことが必要だなと常に言われてきたことが列挙されている、羅列されているという状況だと思うのですよね。  問題は、これから一つ一つこれを深めていかなければいけない。そこで国土庁が実際にリーダーシップをとってやれるのかというのが、実は国民全体の極めて心配に思っているところ。国土庁に任せたってどうせできっこないわという話にこれはなるのでしょう。だから、ぜひともその時点にはきっちりとやっていただきたいわけです。  この見直しをするということになっているわけです。今おっしゃったように、専門委員会で審議をするわけですが、いつまでに見直しをしていただけるのか。そして、極めてばらばらの体制になっている消防庁にしろあるいは建設省にしろ厚生省にしろ、いろいろなところにこれは各省庁またがるわけですけれども、きっちり国土庁はリーダーシップとってやっていただけるのか、やっていただけないならもうやめていただいた方がいいのじゃないか。それくらいに国民は思っているわけですけれども、見直しのスケジュールと本当にやっていただけるのかどうか、そこをお聞かせください。大臣でも結構ですが。
  96. 小澤潔

    小澤国務大臣 今後のスケジュールにつきましては、中央防災会議で決定するわけでありますが、五月をめどといたしております。
  97. 山本孝史

    山本(孝)分科員 各省庁にまたがる話、国土庁きっちりまとめられますか。大臣、どうですか。
  98. 小澤潔

    小澤国務大臣 国土庁は調整機関でありますので、ぜひやってまいりたいと思います。
  99. 山本孝史

    山本(孝)分科員 これまでの姿勢を振り返ってみても、余りおやりになっていない。しかも、今いみじくもおっしゃったように、調整機関ですから、ほかの省庁の方がはるかに強くてなかなな言うことを聞いてもらえない。そういう状況の中で、国土庁立場は極めて弱い立場だったと思うのですけれども、今のお言葉を信じでいいのかどうか出てくるもので判断をさせていただきたいと思いますので、五月の末をめどに確実にやっていただきたいと思います。
  100. 小澤潔

    小澤国務大臣 信じていただいて結構でございます。
  101. 山本孝史

    山本(孝)分科員 御自分の政治生命をかけてでも、きちっとやっていただけるというな言葉だというふうに理解をさせていただきます。  それで、もう一つ、私きょう質問としては、先ほど大野先生も触れておられましたけれども防災基地をぜひ西の方にもつくっていただきたいというふうに思います。  局長から答弁のありました「当面の防災対策推進について」という中央防災会議の決定、五十八年の五月ですけれども防災拠点の整備ということがその中でうたわれています。それで、立川広域防災基地あるいは横浜海上総合防災基地というふうに具体的に名前を挙げて、こういう基地の整備をするのだということが言われている。もともとの前提が、関東で大きな地震が起きたときにどうするかということですから、立川だあるいは横浜だという話しか出てこない。  西の方で地震が起き得る。そもそも日本というのは地震列島なわけだからどこで起きても不思議じゃないわけで、そういう意味で、なぜこう関東ばかりの話しか出てこないのか西の方の話はなかったのか、検討課題にものっていなかったのですかその辺の経緯を教えてください。
  102. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 確かに先生おっしゃるように、日本は全国どこでも地震が起きるということでございますが、ただ、論議といたしまして、東海地震あるいは南関東の地震、その中でも最近では直下型の地震が切迫しているということが言われております。  そういう中で、霞が関が壊滅したような場合にどうするかということでございまして、その場合の代替の機能を果たす基地といたしまして、立川防災基地を整備したということでございます。霞が関の機能が麻痺した場合に、その回復する間、立川で災害に対する対処の施策を講ずるということでございます。
  103. 山本孝史

    山本(孝)分科員 霞が関が壊れたら立川だというのはわかるのですけれども、横浜というのは何なのですか。
  104. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 その一環として、海上防災基地を横浜につくろうということでございます。
  105. 山本孝史

    山本(孝)分科員 だから、立川は政府の代替機関としてそこに指令本部を置こうということでいい。横浜は海上防災基地として持っているのだから、横浜は全く別の話ですよね。それが具体的な名称として、横浜に名前が、国の海上防災の拠点として整備をするのだという話が来る。だから、ちょっとそこは僕は話が違うのじゃないかというふうに思います。  それで、今回、大阪府それから大阪市の方から、ぜひ関西圏あるいは西日本を視野に置いての防災拠点というか防災基地をつくってほしいという話が出ています。だから、立川は霞が関のかわりだということであるとして、しかしもっと広域な防災、例えば西日本の方の漁船が遭難をするという話もいっぱいある、あるいは中国山地で山火事がいっぱい起きたりもする、そういったいろいろな広域的な防災があるわけですね、地震だけじゃなくて。そういったことを含めて、県単位で対応するのはなかなか財政的にも難しい部分があると思うわけですが、広く西日本を視野に入れる、あるいは関西圏を視野に入れるような防災基地をつくるというのはどうなのだろうという御提 案なのですよ。  兵庫県の貝原知事もこの間、新聞でのあれですけれども、朝日の「論壇」のところで、御自分の反省として「航空機、ヘリコプターなどによる機動性と暗視装置、緊急通信などの情報システムをもった、専門の支援組織と体制を、国か近畿広域圏に早急に整備する必要がある。」というふうに貝原さんもおっしゃっている。大阪府知事も市長も、西の方にそういう防災基地が要るのじゃないかという御提案があるわけですけれども、こういう提案について、国土庁はどういうふうにお受けとめでいらっしゃいますか。
  106. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 先生おっしゃいますように、兵庫県知事あるいは大阪府の方でも、大阪府の方は八尾空港ということのようでございますが、そういったお考えがあるということは承知いたしております。  それで、広域的な地域のためのものなのか、あるいは、少し離れておりますけれども立川のような機能と申しますか、東京がダウンした場合にそこである程度長い間指揮をとるという機能を持たせるのかどうかというような点も含めまして、今後関係省庁とも相談しながら、地元あるいは兵庫県、あるいは大阪府の御意向も聞きながら検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  107. 山本孝史

    山本(孝)分科員 立川基地は、確かに霞が関の官庁がつぶれたときのかわりにしようという話なのですけれども、例えば横浜だとかあるいは千葉だとかといったところが大きな災害に遭ったときに、それは立川の守備範囲ですか。
  108. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 霞が関が無事であれば、霞が関でやるということになると思います。
  109. 山本孝史

    山本(孝)分科員 防災基地というのが、単に指令本部があるだけではなくて、そこに消防庁も警察もヘリコプターなりを置いておられる、そしてそこにこういう基地がある、備蓄の倉庫もある、そして病院もあるという形で、立川はそういう形の広域防災基地として機能しているわけですよね。霞が関がつぶれたらそこに本部は行くんだということ、それはわかるのだけれども、そういう広域の大きな災害が起きたときに、その立川基地は、それでは必要ないという今の御答弁ですか。
  110. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 それは、今申し上げましたのは国の機能中心に申し上げましたものですから、あるいはあそこには、先生おっしゃいますように東京都の施設でございますとか立川市の施設とか国の施設も、全国をにらんだものは私どものものですけれども、関東ブロックをにらんだもの、それからあの地域の拠点として役立つようなものといった、いろいろな性格のものが集まっておるわけでございます。  したがいまして、霞が関が無事であっても、例えば立川あたりでかなりの被害が出たということになりますと、そこにあります幾つかのものは当然機能して活動するということになると思います。ただ、霞が関が生きておれば、国の機能自体は立川に移るということではございませんけれども、立川が持っております、そのあたりの、立川近辺に対処するための機能というものはもちろんございますので、例えば消防でございますとか警察でございますとか、そういったものについては当然活動するということになろうかと思います。
  111. 山本孝史

    山本(孝)分科員 どうも議論がかみ合わぬですね。  だから、立川近辺の話でなくて、せっかくあそこに各省庁というか海上保安庁もあるいは消防庁も警察も、皆さんがおられて、そこで本当は広域的に南関東全体の話が機能するのでしょう。でなければ、無用の長物になってしまうじゃないですか。何かそこはだから違うので、そこをもう一遍、立川防災基地の位置づけというものをちゃんとはっきりしていただきたいわけです。それを各都道府県が今一生懸命、埼玉は埼玉でつくる、神奈川は今度は厚木につくる、そんな形でいろいろつくっている。そういったところの都道府県単位の対応に任せているのかあるいは立川をもっと機能的に動かそうとしているのか、そこがよくわかもないのですけれども、きちんと整理してお答えください。
  112. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 今のお話で、南関東地域全体を対象としている施設が幾つかございます。例えば陸上自衛隊の立川駐屯地、それから東京食糧事務所の立川政府倉庫、それから赤十字の関係施設といったようなものにつきましては、南関東地域全体を対象といたしております。したがいまして、先生おっしゃいましたような、仮に横浜で大きな災害があったというような場合に、陸上自衛隊の立川駐屯地からも出ていくということになろうかと思います。  先ほどちょっと申し上げましたのは、それ以外にもう少し狭い範囲東京都全域を対象とする施設、例えば警察の関係施設それから消防の関係施設もございます。それからもっと狭い、多摩地区だけを対象としているような施設東京都の立川地域防災センターでございますとか、そういった施設もございます。ですから、幅の広いものから狭いものまでいろいろ集まっておるということでございます。
  113. 山本孝史

    山本(孝)分科員 今回八尾が、先ほどの御答弁にもありましたように随分阪神大震災の救援基地になりました。そこの部分の機能をどう評価しておられるのか、あるいは非常に問題点があったというか活動の妨げになったことがあるとすればそれは何だったのかそこの辺はどう整理されていますか。
  114. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 今回の災害に関しての立川防災基地の利用状況でございますが……(山本(孝)分科員「八尾、八尾」と呼ぶ)八尾でございますか。  八尾につきましては、中継基地等として非常に大きな役割を果たしたということでございます。私ども、あそこには民間の基地も混在しておるというようなことから、何か障害があったんじゃないかということを各実動部隊に照会をいたしました、別の先生からそういった質問ございました関係で。そうしましたところ、優先的な発着をさせる、民間を抑えて災害関係のヘリコプターについては優先的に運航させるということをしたので、特に支障はなかったというふうに聞いております。
  115. 山本孝史

    山本(孝)分科員 中継基地として大きな働きをしたということなんですけれども、だからそこに本当は中央の、もうあんなふうに神戸市役所でも兵庫県庁でもつぶれちゃって機能しなかったんだから、本当はそこに立川のような形の防災の司令塔があって総合的に動いたら、もっとうまく動けたんじゃないかというふうに思うんですよね、単なる中継基地というだけの話じゃなくて。その辺はどんなふうにお考え、受けとめていられるんでしょうか。
  116. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 おっしゃいますように、現段階では八尾空港も非常に、今回も相当の役割を果たしたわけですが、おっしゃいますように、大阪府がおっしゃっているような広域防災拠点として仮に整備されておれば、一層の活動ができたんじゃないかということでございます。  ただ、先生の御議論が、かつ関西全体で一つというようなことでございますと、八尾をつくれば、兵庫県の知事さんがおっしゃっているものとの関係もございますが、そういった広域防災拠点として八尾なりを、あるいはほかのところを整備するというのは、非常に重要なことであろうというふうに考えております。
  117. 山本孝史

    山本(孝)分科員 何か言いたそうになって途中でやめられたような御答弁なので、もう一つ何かその裏にあるんじゃないかとつい勘ぐってしまいますよね。実際問題、財政状況厳しいですから、あんな千五百メートルの飛行場をつくるというのは簡単な話じゃありませんし、だから、既存の施設をうまく活用していくというか、その機能を変えていけば非常にうまく機能していけると思うんですね。だから、関西は八尾にしろ、だから中国はどこにまたつくれという話じゃなくて、そこは 西日本の機能として順番にできるところからやっていけばいい。限られた財政の中で優先順位をつける話ですから、そういうことだと思うんですよ。たまさかあそこ、運輸省の航空局のところで今九万平米ですか、そのくらいの土地が実は国有地としてある、御存じですか。
  118. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 航空局の土地があるというのは承知しておりませんが、八尾市が周辺にかなりの土地を持っておって、防災基地として整備するためにはその活用が必要であるというふうに聞いております。
  119. 山本孝史

    山本(孝)分科員 大阪府八尾市に大阪航空局が九万平米、国有地として実はあります。今回仮設住宅建てたらどうかということで、御提供のリストにも実は載っています。そういう意味で、割と整備のしやすい環境にあるのかなというふうに思うんです。予算委員会で左藤恵先生も御質問をされていました。何とかそういう方向で協議をしていきたいというようなことですね。  運輸大臣は、伊丹空港はヘリコプターは使いにくかった、八尾空港をヘリコプター基地としての機能を果たせるように整備していくことは大事です、効率的な離発着など防災基地としての整備について、国土庁を初め各省庁と協議したいというふうに、予算委員会で運輸大臣がお答えになっています。今、国土庁の方も、各省庁と協議をしたいというふうにおっしゃったわけですけれども検討ということじゃなしに、実際に協議をしていただきたい。候補地としてはそんなにあるわけではないので、単に地震対応だけじゃなくて、もう少し広い意味の海上の災害もあるいはそういう山火事も、全部含めての防災拠点としての整備ができるんじゃないか。地元の八尾市の方も、西日本あるいは関西の拠点基地として整備していくというならば協力をしていきましょうということを内々におっしゃっておるところもありますので、ぜひ協議をしていただきたいし、検討していただきたい。  検討というと、検討しましたというだけになるので、いつごろまでにどんなふうな形でやっていただけるのか、そのスケジュールだけでも教えていただきたいと思います。
  120. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 具体的なスケジュールをちょっと申し上げられる段階ではございませんが、一つどもが気になっておりますのは、兵庫県知事も同じようなことをおっしゃっておられるようでございますので、そこら辺との調整もありていに言うと出てくるかなという感じもいたしております。大阪府の方もかなり構想をまとめられつつあるようでございますので、大阪府とも十分相談しながら、あるいは運輸省等とも相談しながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  121. 山本孝史

    山本(孝)分科員 政治生命をかけてこの防災計画基本計画の見直しなりこれからの日本の防災体制というものについて、大臣としては対応していくんだという強い決意をお聞かせをいただいたわけですけれども、行政改革の中で、もっと本当はきちんとした対応ができるような枠組みをつくり直した方がいいんだ。  国土庁防災局は、いつまでも自分たちの仕事だということで抱え込んでいるんじゃなくて、今回の震災で一番問題が何だったかといえば、行政の縦割りがどこまでも機能しなかったというか、本当の救援活動をやらせなかった、今も実際にやらせてない。どこの省庁も自分たちのことだけで、あるいは地元に全部責任を振り回すだけで何もやっていただけないというのが、地元にいる私たちの偽らざる気持ちなんですよね。そういう意味でも、ぜひ国土庁自身、日本の防災体制を考える上で、実は防災局を手放すことも含めてこれから取り組みをしていただきたいというふうに思います。  それで、八尾の防災基地という提案は、兵庫県知事も、あるいは大阪府知事も市長も地元の八尾も前向きに検討したいという、ぜひお願いをしたいという要望になっています。どういうものをつくるかというのは、立川と同じものをつくればいいのかどうかは、まだこれからの検討課題だと思います。一番機能のいいものをつくっていくということで、他省庁にまたがる話ですので、ぜひ大臣、最後にその辺のことも含めて御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  122. 小澤潔

    小澤国務大臣 八尾空港の件につきましては、内容を詳細にこれからも把握いたしまして、運輸省等の関係省庁と連携を密にしながら検討をしてまいりたいと思います。  そして、前段の先生指摘の件につきましては、国土庁、一生懸命これからも頑張ってまいる決意でありますので、よろしくお願いをいたします。
  123. 山本孝史

    山本(孝)分科員 時間ですので質問を終わります。  ありがとうございました。
  124. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)主査代理 これにて山本孝史君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  125. 野呂田芳成

    野呂田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  総理府所管国土庁について質疑を続行いたします。東洋三君。
  126. 東祥三

    ○東(祥)分科員 新進党の東洋三でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  今、国民の最大の関心は、何といっても大震災に見舞われた阪神地域の復興に注がれていると思います。私も過日、各国の領事館の方々との面会を中心に、被災後の神戸を訪れさせていただきました。その意味で、当面の緊急、応急的対策を急がねばならないことを痛感した一人であります。  言うまでもなく、本来政治というものは国民のために存在するものですから、国民生命財産そしてまた名誉を守るということを思うときに、防災対策なかんずく震災対策が確立されているかどうかという点から、防災対策について幾つか質問させていただきたいと思います。  第一点目でございますが、これはフォローアップになると思います。平成二年四月二十七日に行われましたこの予算委員会分科会におきまして、防災対策について幾つか質問させていただきました。そのときの一つの項目として、例えば私の住んでいる下町の江東区では小中高等学校等が災害時の避難所に指定されておりますが、そのための備えが学校には全くありません、最低限の食糧や医療品、プールの水を飲料水にするための浄化装置などの備えつけが必要なのではないか、という点をたださせていただきました。  この件につきまして、当時事前に文部省に御相談したところ、国土庁からの要請があれば学校を地域防災の拠点として活用することに全面的に協力するということでございました。また、当時の佐藤国土庁長官が、私の提案に賛成してくださいまして、地震を受けて「避難したところが水も食糧も何もないということになると実は大変なことでございまして、」「文部省と話しまして対応したい、こう思っております」との前向きな御答弁をいただきました。これによって地方公共団体の活動がスムーズに展開できるようになったと理解しておりますが、では具体的にはどのような措置がとられたのか。また、その結果どのように状況は変わってきているのか。まずこの点について、国土庁長官、御答弁願いたいと思います。
  127. 小澤潔

    小澤国務大臣 今般の阪神淡路大震災においても、小中学校等が被災者の方々の避難場所として活用されておりますが、災害時における避難場所として、学校施設は重要な役割を担っていると認識をいたしております。これらの施設での食糧、水、医薬品等の備蓄につきましては、文部省等関係省庁と密接な連携をとりつつ、今後ともその推進が図られるよう努めてまいる所存であります。
  128. 原山明宗

    ○原山説明員 お答えいたします。  学校施設は、地域住民の緊急避難場所といたし まして重要な役割を担っているところでございますが、実際に、地域によりましては防災のための各種の整備を行っている事例があると承知しているところでございます。  このような観点から、文部省では、平成三年度から策定しております小学校、中学校、高等学校の学校施設整備指針等におきまして、地域の必要に応じまして学校施設を緊急避難場所といたしまして想定しながら、その整備が進められるよう学校の設置者に対しまして指導を行っているところでございますが、このたびの経験を踏まえましてさらに努力してまいりたいと考えております。  なお、学校に地域防災拠点としての機能を抜本的に整備することにつきましては、国及び地域の全体的な防災対策のあり方に係る問題であると考えておりまして、多角的な観点から検討する必要があると考えているところでございます。よろしくお願いします。
  129. 東祥三

    ○東(祥)分科員 この点に関しては、既に国土庁の方から文部省に問い合わせがあって検討されたのですね。いかがですか。
  130. 原山明宗

    ○原山説明員 申しわけございませんが、その件については確認しておりません。
  131. 東祥三

    ○東(祥)分科員 確認していないということ。  では国土庁はいかがですか。平成二年四月二十七日に質問して、そして佐藤国土庁長官がオーケーだ、こういうふうに言ったわけでございますが、前向きに検討させていただくということは、当然文部省と話を詰めていくというふうに私は理解したのですけれども、それをやられなかったということですかいかがですか。
  132. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 先生の御質問の後、平成四年八月に中央防災会議におきまして南関東地域直下の地震対策に関する大綱というのを決めておりますが、その場合に、震災時における防災施設等としての機能保持・向上が図られるように配慮するということを決めておりまして、これに基づきまして、全部ではございませんけれども、一部の小中学校においては、食糧、飲料水、医薬品等の備蓄が図られておるところでございます。  例えば江東区におきましては、区内の小中学校すべてに災害資機材格納庫を設置しておるということでございます。例えば、そこに備蓄されている物資を幾つか挙げてみますと、無線機でございますとかラジオ、投光機、ろうそく、マッチといったような、そういった品々を備蓄しておるということでございます。  それから、それ以外のところ、例えば港区の地域防災計画をちょっと見てみますと、小学校あるいは中学校に救援救護物資を保管しているというところがかなり見受けられる状況でございます。
  133. 東祥三

    ○東(祥)分科員 今江東区の例を出してくださいましたが、例えば江東区では、七十八カ所の小中高等学校を含む百二十カ所の避難所が指定されています。飲料水用、生活水用の浄化装置なども徐々に設置されてきておりますけれども、まだ学校には食糧、そしてまた今回そのニーズ、重要性が明確になりました毛布等は配備されておらないわけです。  少子化も進んでいる、また学校教室のスペースにも余裕ができつつある現在、大規模都市災害考えると、ぜひ学校にもこの食糧、毛布が備蓄できるように、さらに積極的にバックアップしていっていただきたいと私は思うのですけれども国土庁長官そしてまた文部省の方に御決意を伺いたいと思います。
  134. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生指摘のとおりでありますので、前向きに検討してまいりたいと思います。
  135. 東祥三

    ○東(祥)分科員 今回、言うまでもなく、阪神大震災が起こったときに、御案内のとおり、毛布が足りない、三万枚至急在日米軍によって支援していただいたことは、皆さん御承知のとおりだろう。新品の毛布がない、現地においてはそれを獲得することができない。そして、残念ながら危機管理体制が欠如していた。日本の国内から新品の毛布を集めることができない。こういったことは事前に当然考えておかなければならない、僕は極めてプリミティブな、基本的な問題だと思います。そういう意味におきまして、今国土庁長官の方から前向きに検討していただくということは、ぜひともやっていただける体制をさらに強化していただけるんだろう、このように理解いたします。  続きまして、小澤大臣質問いたしますが、地震災害における主務官庁としての国土庁の責務と機能についてお尋ねしたいと思います。  主務官庁でありながら、今回阪神大震災を通してわかったことは、その主務官庁としての仕事がうまくできなかったんじゃないのかと。そういう意味で、この問題を考える上で、何事もコア、核となる部分がしっかりしていなくては、その他の分野の機能も十分にその力を発揮することができない。その核となる国土庁は、改めて私はお聞きしたいんですが、一体何をその主たる任務としているのか、また一体何ができるのかということを私たち自身が知っておくことも重要であると思いますし、その点についてまず大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  136. 小澤潔

    小澤国務大臣 国土庁は、災害予防から応急復旧対策まで広範囲に及ぶ関係省庁の防災行政の総合調整を行うことを責務といたしております。  このため、地震対策、土砂災害対策等の総合的推進災害対策の根幹となる防災基本計画の見直し、非常災害対策本部決定を通じた具体的対策の調整等、災害に関する施策を企画・立案し推進するとともに、関係行政機関災害に関する事務について必要な調整を行うことといたしております。
  137. 東祥三

    ○東(祥)分科員 今回の阪神大震災の初動の段階で、国土庁はどのような機能をまず発揮できたのか、この点についていかがですか。
  138. 小澤潔

    小澤国務大臣 国土庁においては、初動段階において被害状況等の情報収集に努めるとともに、政府一体となった対策推進するため、非常災害対策本部を設置し、関係行政機関による応急対策効果的に実施されるよう総合調整に努めたところであります。  しかしながら、初動期において具体的な被害規模に関する情報が不十分であったこともあり、地理情報システムなど早期評価システムの活用や、現場からの情報伝達体制の強化を図ることといたしております。
  139. 東祥三

    ○東(祥)分科員 よくわからないんですけれども国土庁に与えられた機能を十分遺憾なく発揮することができたんですかできなかったんですか。
  140. 小澤潔

    小澤国務大臣 何と申しますか先生指摘のように反省する点もありますので、その点については反省するとともに、いわゆる危機管理体制が初動期における非常に重要な点でありますので、それらに向けてただいま検討をし、プロジェクトチームで結論を得ましたので、本日の閣議においてその点が決まったところであります。
  141. 東祥三

    ○東(祥)分科員 これはずっと後で質問させていただこうと思っていたんですが、今の点に若干関連しますので、質問させていただきます。  今御指摘になりました防災基本計画改定に向けて現在一生懸命議論されている、また検討されているということを伺っております。その第一番目の項目として、情報の迅速な収集及び伝達体制、この阪神大震災において、情報の迅速な収集また伝達体制に不備があったんじゃないのかと、こういうふうに指摘されているわけでございます。それを踏まえた上でこの分野における体制整備ということが必要だと、検討項目の一つとして挙がっているわけでございます。  ただ、今回の場合、航空機というのは利用することができたんですか、いかがですか。
  142. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 自衛隊のヘリ等が飛びまして状況の、自衛隊の用語で言いますと偵察等の行動を行っているところでございます。
  143. 東祥三

    ○東(祥)分科員 今後の検討課題の一つとして、ヘリコプターも含めた上での航空機の利用ということを考えていらっしゃいますか。
  144. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 考えております。例えば、一定以上の震度の地震が発生した場合に、自衛隊等のヘリコプターが速やかに飛び立って状況の把握をするということにいたしております。それで、その場合に、ヘリにテレビカメラを積んでそれで画像を伝送するということもできるわけでございますけれども、それは現段階ではまだ数が少ないということで、それもできるだけ活用いたしますが、ヘリのパイロットが目で見た情報を中央に音声で送ってきて、どういう状況かということが判断できるようにする。それから、これはヘリではございませんけれども、警察のパトカーの交信の模様を警察庁で整理いたしまして、それを中央に伝達してくる。それも、どういう状況かということの状況判断の一つの材料になるだろうということでございます。  先生おっしゃいますように、今回の地震につきましては、早い段階では警察あるいは消防の情報も十分入ってきておりませんでした。しかも、その入ってきた情報も確認情報でございまして、何人亡くなられた方がいるということを確認した上での情報でございます。そういった情報でございますと、被害の規模が全体としてどれぐらいになるかということについては必ずしも役に立ちませんので、先ほど申し上げましたようなことをやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  145. 東祥三

    ○東(祥)分科員 飛行機等を利用されるというそういうお話でございますが、ただ、航空機の運用についてはいろいろな制約が当然起こるだろう。当然今回の場合は、肉眼で見られる方もある意味では専門家ではなかったんじゃないのか。つまりパイロットであると、その人の感性または観察眼に頼らざるを得ない。さらにまた、雲だとか霧だとか煙が出たならば、もうその機能は果たせなくなってしまうのではないのか。  そういうことも考えますと、例えば人工衛星の合成開口レーダーによる画像、合成開口レーダーというのは、雲を通して地形あるいは建物が見えるレーダーのことを指しますけれども、その人工衛星の合成開口レーダーによる画像、あるいはまた航空機にこの合成開口レーダーを搭載して、どこかで失敗したとしても何らかの形でもってちゃんと情報が入ってくる、こういったことを考えていく必要があるのではないのか検討していく必要があるのではないのかというように思うのですけれども、いかがですか。
  146. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 人工衛星の件につきましては、今回官邸で、官邸に情報を入れるということについて検討している段階で若干話題になりました。どうもかなりの数がありませんと、災害が起きたところにたまたま人工衛星がいるという確率は非常に低いようでございまして、現在の状況ではかなり困難ではないかというようなことでございました。  それから、航空機に先生がおっしゃいましたレーダーでございますかそういった設備を使うということについては検討の余地があるんだろうと思いますが、現段階では、先ほども申し上げましたように、とりあえずできることとしては、視認情報を的確に伝えてもらおうということでございます。ただ、先生おっしゃいますように、雨天あるいは荒天等で視認ができない場合にはそれが役立たないということがございますので、そういう場合にどうするかということは、さらに検討しなければいかぬ課題であるというふうに考えております。
  147. 東祥三

    ○東(祥)分科員 局長、ここにあるのが、インターネットを利用して、CNESというフランスの宇宙機関、これのSPOT衛星の画像です。これは三日後のものです。つまり、こちらの方にそういうちゃんとした体制があれば、自前の衛星をぼんぼん打ち上げて回せということを言っているのじゃなくて、既存の一つのシステムを使ってやろうと思えばできるのじゃないですかこういうことを言っているわけです。  それで、さらにまた御案内のとおり、平成四年の二月の十一日、ふよう一号というのを飛ばしているわけですね、人工衛星。これは通産省所管ですけれども、こことお話されていますか、いかがですか。まず、ふよう一号の件と、それからこのフランスのCNESのSPOT衛星の画像の取得、こういったことについて、これから獲得していく、そういうことを検討されるのか。
  148. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 あらゆる可能性を探るべきだと思いますので、検討させていただきたいと思います。
  149. 東祥三

    ○東(祥)分科員 その結果をまた近いうちに聞きますので、よろしくお願いします。  次に、今回、ボランティアあるいはまた外国からの援助、本当に温かい御支援をいただいたわけでございますが、基本的に、小澤大臣、日本の欠如していたこの危機管理体制、これをつくるに当たって、ボランティアあるいはまた外国の支援というのをどのように位置づけるのですか、この点についてお伺いしたいと思います。
  150. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 先生承知のように、ボランティアにつきましては、今回の災害でも非常な活躍をされております。災害関係につきましては、一昨年になりましょうか、北海道の南西沖地震、あるいはその年に起きました鹿児島の豪雨災害でもかなり顕著な活動が、それまでは余り活発でなかったようでありますけれども、見られております。  今後、政府全体としても、ボランティア活動全般、災害のみならず全般について、経済企画庁が窓口になって各省集めた検討をするということにいたしておりますが、それとあわせまして、私どもでも防災面でどういうふうな活用をしたらいいかということも、さらに検討はいたしたいというふうに考えております。  それから、外国の援助でございますが、今回につきまして相当多数の国から援助の申し出がありまして、現地のニーズを確認しながら受け入れるべきものは受け入れたということでございます。その過程で、ふなれな点もありまして、若干いろいろな御批判もあったということは承知しておるところでございます。
  151. 東祥三

    ○東(祥)分科員 本日、危機管理体制見直しのために、米国に、連邦緊急事態管理庁、FEMAへ国土庁審議官を団長に内閣情報室の方々十一名が派遣されるということを伺っております。いいことだというふうに思います。  ただ、局長御案内のとおり、FEMAというのは基本的には、私の理解するところ、外からの支援、つまり人ですね、受け入れないという方針を持っています。それはなぜならば、自己完結型で、善意に基づく支援を受け入れるためには当然それなりの受け入れ体制をこちらがつくらなくちゃいけない。そうすると、緊急事態における、こちらが完璧な体制であるとするならば、逆に善意の支援を受けることそれ自体が非常に難しくなる、そういう前提のもとに僕はつくられているのだというふうに思います。  今、私が質問させていただいている背景は、日本がこの大震災の教訓を踏まえた上で危機管理体制をつくるときに大方針としてどうするのか、その核が決まらない限り、ボランティアあるいはまた外国の支援という善意の支援を中に入れてやるのか、それともこれはちょっと外して、まずコアを自己完結型でつくるのかそしてフリンジの部分に関してボランティアあるいはまた外国の支援、善意の支援を受け入れるという、そういう形にするのかこれはどうなんですか、この点をお聞きしているのです。いかがですか。
  152. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 その点につきましてはいろいろな御意見があり得ると思いますが、私どもは今回の災害の際の実態にかんがみまして、どうも今回は、特に県庁所在地であります神戸市が被災したということもありまして、ボランティアの活動あるいはボランティアの皆さんの活動によって助けられている部分が相当大きい面があるのではないか。したがいまして、コアになる部分は行政で確立しなければいけませんが、あらかじめの役割、どういうことをやっていただくかというようなことを、あらかじめ地域防災計画なりできちんと位 置づける方向で検討していくべきではないかというふうに考えております。したがいまして、防災基本計画の中でも、そういったことをどうしたらいいのかということについて検討をしたいと考えております。  それから、外国からの援助につきましても、どうも今回の世論の動向等を見ていますと、外国からの援助でも受け入れるべきものは受け入れたらいいのではないかというのが大勢のようでございます。ただ、先生おっしゃいますように、受け入れるということ自体非常にエネルギーが要るわけでございますので、あらかじめどういうふうに受け入れるかということをよく考えておきませんと、無用の混乱を招くおそれがありますので、そこら辺についても防災基本計画なり地域防災計画の中でどういう位置づけをするかという点についても、あわせて検討したいというふうに考えておるところでございます。
  153. 東祥三

    ○東(祥)分科員 基本的に、まさに今局長が言われた点を踏まえた上で考えていただきたいと思います。  今月六日付の消防庁の「地域防災計画に係る緊急点検の実施について」ということに関して、今後、当然これらをチェックして地方自治体を監督するとともに協力、支援していかなければならない、このように私は思っておりますけれども、自治省としていかに取り組まれていくのか、この点について答弁いただきたいと思います。
  154. 高田恒

    ○高田説明員 お答えを申し上げます。  地域防災計画につきましては、都道府県、市町村それぞれの災害対策基本となるものでございます。私ども消防庁では、これまでも地域防災計画を今の世の中の実態に即したものになるよう指導してきたものでございますが、今回の災害にかんがみまして、地域防災計画の緊急点検を実施いたしましてその見直しを推進するよう通知したところでございます。  その点検に際しましては、直下型地震により当該地方公共団体の中枢機能に重大な影響が及ぶ事態を想定することとし、職員の動員体制、情報の収集・伝達体制、応援体制など、迅速かつ的確な初動態勢の確保に重点を置いて取り組むこととしてございます。  各地方公共団体におきましては、こうした点検を踏まえまして見直しの方向性を見定め、計画の修正を行っていくものと考えておりますが、消防庁といたしましても、適宜報告を求めつつ、引き続き適切な指導助言を行ってまいる所存でございます。さらに、地域防災計画は平素から職員が精通し自分のものとしておくことが重要である、そういった点についても力を注いでまいりたいと考えております。
  155. 東祥三

    ○東(祥)分科員 最後の質問になりますが、「消防団、自主防災組織の育成強化について」ということに関しまして、この点は極めて重要な課題であると私自身思っております。  消防団や地域防災コミュニティー等の自主防災組織は、現在高齢化の傾向も進んでおりまして、昼は居住地を不在にするサラリーマンも多くなってきております。こういったことを踏まえた上で、財政面も含めて自治省はどのような援助、バックアップ体制を、また推進をしていかれるつもりなのか、この点についてお答え願いたいと思います。
  156. 猪野積

    ○猪野説明員 お答えいたします。  地震や風水害等の大災害に際しましては、住民で組織されて地域に密着した活動を行う、しかも多人数で行われるという消防団等の果たす役割は極めて大きいものがございまして、今回の大震災におきましても、延べ六万人以上の消防団員が、救助、消火活動、避難誘導活動等に従事いたしまして、被災者にとっての力強い心の支えになっております。  しかしながら、御指摘のように、消防団員の平均年齢は、十年前に比べまして約二・二歳高くなってきておりますし、サラリーマン化あるいは団員数の減少といった問題を抱えております。このため、消防庁ではかねてから、消防団の施設装備の充実、あるいは消防団員の処遇の改善、女性層、青年層の団員への参加の促進等を積極的に進めているところであります。今後とも、今回の地震を貴重な教訓として、消防団員の高齢化等の対策に努めてまいる所存であります。  なお、地方交付税法等の一部を改正する法律案における平成七年度の消防費の単位費用の算定に当たりましては、消防団員の報酬年額を引き上げますとともに、一回当たりの出動手当等を大幅に改善をいたしているところであります。  また、震災時におきましては、地域住民の方々が連帯して、出火の防止、初期消火、被災者の救出救護等の自主的な防災活動を行うことが必要不可欠でございますが、消防庁ではかねてより、こうした自主防災組織の活動拠点として防災センターの整備促進するとともに、活動に要する経費について財政措置の充実を図ってきておるところでございます。加えて、今般、地域防災計画について緊急点検を実施し、見直しを図るよう指導したところでございますが、その点検に際して、自主防災組織の育成強化に重点を置くことといたしております。
  157. 東祥三

    ○東(祥)分科員 時間が来ましたので終わります。  ありがとうございました。
  158. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて東洋三君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  159. 野呂田芳成

    野呂田主査 建設省所管について、きのうに引き続き質疑を行います。  この際、御報告申し上げます。  きのうの本分科会において、志賀節君の質疑中、「談合は決してあってはならない」という政府答弁を、志賀節君が「談合は悪ではない」と発言したことについては、聞き違いであったことを本人が確認いたしましたので、御報告を申し上げます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小此木八郎君。
  160. 小此木八郎

    ○小此木分科員 自由民主党の小此木八郎でございます。本日はよろしくお願いをいたします。  まず、今回の阪神大震災において、被災者の方々に対し、哀悼の意を表し、一日も早い復興を心よりお祈りいたす次第であります。また、一議員として、微力でありますが、私もそこに力を尽くしたい、こういうふうに思っております。  私は、一昨年の総選挙で国会に議席をいただきましたが、その間、今回のこともそうでありますけれども、自然からの災いによっていろいろなことがあった。政治も経済も混乱をしている中でそういうことがあったわけでありますが、一昨年は冷夏の中で大変米が不足をいたしました。そして、昨年はそれとは全く正反対で暑い夏、猛暑の中で、米は豊作であったかもしれませんが、全国的な水不足に見舞われたということであります。そしてことしは、平成七年という年はぜひいい年にしなければならないという我々の思いでありますけれども、冒頭述べましたように、一月十七日にあのような大震災阪神地域を襲い、多くの命が失われたということでございます。  現在でも大きな困難を余儀なくされている方々がいらっしゃって、我々はその他の復興に全力でさらに取り組まなければならない。それと同時に、今生きている我々というのは、今回のことを教訓にしながら今後のことを考えていかなければならないと思っています。その見地から、建設大臣あるいは建設省の皆さんにいろいろと質問をさせていただきたいと思います。  今回の震災では死者五千名以上、被害住宅六万戸と、関東大震災以来の大災害、あるいは近代都市における直下型の大地震ということで、これも初めてのことではないかと思います。この被害を踏まえて、今後さらに災害に強い都市防災対策をどのように講じていこうというお考えなのか建設大臣にその思いをお聞かせいただきたいと思い ます。
  161. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 小此木議員にお答えをしますが、今質問に当たっての決意の御表明も承りました。さぞかし泉下でお父上も満足しておられるだろうと思っておりますが、いよいよ御健闘のほどを祈ってやみません。  お尋ねがありましたように、このたびの阪神淡路大震災、未曾有の大災害であったことは御案内のとおりであります。お話がありましたように、五千四百人に上るような人命が失われた、あるいは十万戸に及ぶところの倒壊があった、この状況を受けて、一体今後の都市づくりというものはどうしなければならぬか。一口で言えば、私は、防災に徹した安全な町づくりをしなければならない、こういうふうに考えております。  都市づくりの原則は、安全性、快適性、利便性、この三要件を備えておることが必要であると言われております。したがって、あの火事の、災害の現場を見て、区画整理事業をやったところ、やっていないところ、被害に大きな差異があるということを、私も三回の視察で熟知してまいりました。したがって、何をなさなければならないかということになれば、基幹道路というもの、幹線道路というものを明確にする、幅を広くする、あるいは、避難所も含めて、公園というようなものについては十分整備の必要があろう、まずこれを基幹にして土地の区画整理事業、あるいは都市開発整備事業、こういうものを相あわせて我々は進めていかなければならぬ、そのための特別措置法を先ほども可決をしていただきました。  私たちは、そういう意味を受けて、兵庫県、神戸市等を中心にしたいわゆる立派な防災都市を、世界に冠たる神戸をつくっていかなければならぬ、そういうふうに考えております。一つのモデルにして、全国的にそういう都市づくりについて強力に進めてまいりたい、こういうふうに考えております。  耐震問題については、共同溝の問題とか不燃化の問題とかたくさんございますが、あの倒れた橋や道路橋やその他の問題については、地震学者や土木学界の皆さん方で委員会をつくっていただいて、過去二回論議をしておりますが、三月中に一つの結論を出していただいて、耐震構造というものについても十分に対応し、善処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  162. 小此木八郎

    ○小此木分科員 どうもありがとうございました。  この震災で神戸市は、地震や火災で家屋やビルの損傷が激しい六地域を、建築基準法に基づいて建築制限地域に指定をいたしました。この地域以外の被災地については、条例で被災市街地復興推進地域に指定をいたしました。これによって神戸市は、今おっしゃいましたように、土地区画整理事業や市街地再開発事業などの都市復興事業にあわせて、避難所や延焼防止の機能を持たせた公園や道路の拡張を進める予定と聞いております。その中で、神戸市の場合、建築制限区域での土地区画整理事業や市街地再開発事業の面積だけで約二百三十三ヘクタール、復興促進地域も約六千ヘクタールに上ると聞いております。  そこで、この大震災の復興に関して、被災市街地復興推進地域の土地区画整理事業や市街地再開発事業などへの支援というものを、先ほどおっしゃいましたけれども、具体的にもう少しお聞かせをいただきたいと思います。
  163. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先生お尋ねの被災市街地復興推進地域における区画整理事業、市街地再開発事業に関してどんな支援を行うかという御質問でございますが、まず今回の特別措置法におきまして、こういった地域における土地区画整理事業、市街地再開発事業について地域の実態に合った、つまり住宅供給と一体となった面的整備という点でいろいろな制度としての特例的手法を用意いたしております。  それからまた、そこでの区画整理事業、市街地再開発事業に対して財政的な支援措置といたしまして、従来区画整理事業につきましては道路特会補助、一般会計補助というのはなかったわけでございますが、今回それを新たに創設していただきました。  また、非常に密度の高い地域でございますので、減歩の少ない形で良好な町づくりをするということになれば、公共団体による用地の先行取得がどうしても必要だということで、これも都市開発資金制度の拡充によりまして低利融資の制度を創設して認めていただいております。  そのほか今先生質問ございましたように、非常に広い面積の区画整理事業をしなければいけない。神戸市だけでも百三十、阪神地域を全部合わせますと三百ヘクタールに近い区画整理事業、あるいは市街地再開発事業を入れますと三百を超えるという状況でございますので、私ども建設大臣の指示に基づきまして、人的な支援体制についても、公共団体から要望があればそれに対して全面的におこたえするという体制をとっているところでございます。
  164. 小此木八郎

    ○小此木分科員 そこで、今度は仮設住宅でありますけれども、現在でもまだ二十万人を超える人々が避難所生活を余儀なくされているということで、四万戸の仮設住宅の建設を目標に努力をされているということでありますが、最新の進捗状況をお聞かせください。
  165. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 現在地元では四万戸ということを目標に掲げておりますが、そのうち三万戸が従来から計画されていたものでございまして、それに一万戸さらに追加するという状況になっておるわけでございますが、現在のところはその三万戸が発注をされておりまして、そのうちの二万二千六百戸ほどが工事にもう着手しているという状況でございます。  具体的な完成につきましては、このところようやく完成に至ってきた状況でございまして、日々使える状況になってきているわけでございますけれども、十九日現在でいいますと、約二千二百戸が完成をして、入居できる状況になっているということでございます。  この三万戸につきましては、目標を三月末にはすべて入居可能な状態に持っていこうということでやっているところでございまして、さらに追加がございました一万戸については、現在地元におきまして用地の確保なりそこに対すみ割りつけなりということに懸命な作業が進められているという状況でございます。
  166. 小此木八郎

    ○小此木分科員 もうちょっと突っ込みまして、このような仮設住宅の建設というのは早ければ早いほどいいものでありますけれども、この震災を。踏まえて、住宅建設のスピードアップということに関すれば、そのためにはどのように対処していくのかということもお聞かせください。
  167. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 今回のあれだけの災害でございますので、私ども建設省としても、この応急仮設の全体を動かしますのは厚生省でございますけれども、これだけの被災に対して対応するには私どもも可能な限り一緒になってやらないといかぬだろうということで、翌日の十八日から実は私どもとしてはこれに取り組んだわけでございます。その間、人的な支援体制を相当に組んでまいりましたほか住都公団を通じまして用地も順次提供してまいりまして、現在では八十八ヘクタールの用地を提供いたしております。さらに三万戸の計画があるわけでございますが、その中の一万戸は公団がみずから用地を提供するだけでなくて、建設そのものにも積極的に協力するというふうなことをやっているわけでございます。  先ほど申し上げましたようなことで、資材その他の調達そのものについても、これだけの量を一気に調達するというのは大変なことではございますが、我々の方としても、業界に対していろいろな、従来やっていなかったところも含めまして強く働きかけをし、また今申し上げたようなことで、我々から協力できますことは、公団も動員し、人も動員し、そういうことでやっているところでございます。  いずれにしましても、これからだんだん、市内の用地というものが大変逼迫をしていることもご ざいますので、できるだけ具体的に用地を早くセットして、そういうことにも私どももできるだけの協力をしていく。みんなが協力するという形でないとなかなか進まないのではないかということで、私どもも引き続き協力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  168. 小此木八郎

    ○小此木分科員 さらなる努力をお願いしたいと思います。  次に、河川改修について質問させていただきます。  横浜在流れる鶴見川、この鶴見川は典型的な都市河川でありますけれども、これまでも護岸工事などが随時行われてまいりました。これも今まで歴史的にいろいろな被害を受けてきたところでございますけれども、流域住民は過去何度も何度もそういった被害を受け、その記憶もまだ新しいものがございます。現在の鶴見川も戦後に記録した最大量の降雨を安全に流下させるにはなおほど遠いものがございまして、上中流域の開発により保水・遊水機能が著しく低下しているのではないかと思われます。このことを考えますと、その流域には、百六十万人に及ぶ住民が台風や集中豪雨のたびに今も危険にさらされているということになります。  このため、平成元年度から実施されている新総合治水対策の強力な推進はもとより、生麦地区、ここを初めとする無堤地区の解消や多目的遊水事業の完成など、河川整備を強力に進める必要が私もあると思っておりますけれども、この点について建設省のお考えをお聞かせください。
  169. 豊田高司

    ○豊田(高)政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘になりました鶴見川は、日本の中でも典型的な都市化が大変進んだ川でございます。特に昭和三十年後半から大変都市化が進みまして、三十年代の前半には狩野川台風という大きな台風で大変被害を受けました。最近になりましても、五十一年、五十七年にはこれも大変な被害を受けたわけでございます。と申しますのも、流域の開発が大変盛んであった、保水機能がだんだんなくなってきたということにも原因するわけでございます。  そういったことで、昭和五十四年には総合治水対策が必要だということが叫ばれまして、いち早くその総合治水対策特定河川に指定されまして、しかも、戦後最大の洪水に対応するように、先生指摘のとおりでございます。そのためには、川の堤防掘削をすることも必要でありますが、あわせまして、流域の保水機能だとか遊水機能を確保するということが必要であります。あわせまして、鶴見川の多目的遊水地の建設、大規模な河道掘削というものが必要になったわけでございます。  それ以来現在まで鋭意努力を続けてきておるわけでございますが、そのうち、特に今御指摘もありました下流の方の生麦地区の改修につきましては、確かに現在まだ無堤区間でございまして、幸い堤内の地盤が少し高いというわけで若干救われているわけでありますが、それでも高潮時の影響を受ける区間でありますので、これは堤防がぜひ必要でございます。現在、横浜市と事業の具体的な進め方につきまして相談を行っておるところでございまして、今後事業実施に向けて進めてまいりたいと思っております。  そのうち、この鶴見川遊水地について現況を御報告申し上げますと、この遊水地は公園と洪水調節を兼ね備える多目的施設でございまして、現在私たちの方と横浜市の共同で事業を実施しております。昭和五十九年には用地の買収に着手いたしまして、現在で約七割が終わっております。そして、工事の可能なところから掘削を始めておるわけでございまして、この遊水地の中には、総合運動公園といたしまして、平成十年の神奈川国体のメーン会場として利用していただくように聞いております。私ども建設省といたしましても、平成十年までにはぜひ概成して、この神奈川国体に間に合うようにしてまいりたいと思っておるところでございます。  いずれにしましても、この百六十万人の命と財産を守るために、河川改修事業、総合治水対策事業というのは大変重要な事業であるという認識のもとに、今後とも一生懸命頑張ってまいりたいと思っておるところでございます。
  170. 小此木八郎

    ○小此木分科員 先のことというのは本当にわからないものでありますけれども、こうやって命にかかわる大事なことでありますから、さらに御努力をお願いしたいと思います。  続きまして、電線類の地中化について質問いたします。  良好な都市景観を形成し、また快適な歩行者空間というものを創造するために、道路整備や商店街活性化など、防災上の観点からも電線類の地中化をより一層進めていかなければならない、こういうふうに思っています。今いろいろな議論があるところでありますが、平成三年から平成七年まで千キロメートルを整備するという第二期五カ年計画は、公共事業の増加によって平成六年に達成できだということを聞いておりますけれども、今後の推進計画についてお聞かせをいただきたいと思います。
  171. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今もお話ございましたが、都市景観の向上あるいは安全かつ円滑な道路交通の確保というような観点から、電線類の地中化というのが大変要請されているところでございまして、昭和六十一年から五カ年計画をつくりまして地中化を進めてまいったところでございますが、今お話ございましたように、平成三年からの五カ年計画につきましては一年前倒しをして実施することができまして、昭和六十一年度から約二千キロの地中化を進めてまいったところでございます。  これまではキャブシステム等が中心で進めていたところでございますが、今回の地震でも電線類の地中化というのが災害に強い町づくりの中でも急がれるというようなこともございまして、さらに一層地中化を推進する必要があるということで、私どもとしては、従来のキャブシステムよりもよりコンパクトでコストの安い電線共同溝というのを、電線類を収容する新たな道路空間として整備していこうというように考えておりまして、新たな法制度も近く整えようということで進めているところでございます。  今後の事業量につきましては、関係省庁あるいは電力とか通信の事業者等と調整を図りながら進めなければいけないのでございますが、私どもとしては、これからの五年間に、前回千キロという五カ年計画をつくっておったのですが、少なくともその倍以上の二千キロ以上、それは整備していきたいというふうに考えているところでございます。
  172. 小此木八郎

    ○小此木分科員 そしてこれは、歩道の幅によってもその地中化が大変に困難になるということを聞いておりますが、歩道すらないところも多い中で、そういうところでは今後どのように事業を進めていかれるかということもお聞かせください。
  173. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 従来のキャブシステムですと、幅が一メーター五十ぐらいというような大変大きな構造物だったものですから、歩道が狭いところとか歩道のないところではなかなか整備が進まないという状況であったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、今回はできるだけコンパクトなものにしたいということで、そのコンパクトな構造の電線共同溝を整備していきたいというふうに考えているところでございまして、歩道の狭い道路あるいは歩道のない道路につきましてもこの電線共同溝ということで何とか整備を進める、そういう道路でもできるだけ電柱がないような形にしていきたいというふうに私どもとしては考えております。
  174. 小此木八郎

    ○小此木分科員 次に、道路のことについてお尋ねをいたします。  横浜市というのは三百三十三万人、全国第二位の都市でありますけれども、道路整備というのは他の都市と比べて大変おくれております。他の都市を取り上げ大変恐縮ですが、例えば幹線系の都市計画道路の整備状況を申し上げますと、横浜市 の道路整備延長は三百五十一キロ、道路整備率五二・五%、大阪市ではこれが四百八キロメートル、八七・五%、名古屋では七百二十八キロ、八六・五%となっておりますが、横浜市は補助事業に加えて単独事業も投入して整備を急いでおりますが、国においても、整備がおくれている都市に対して国費を傾斜配分すべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。
  175. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 道路というのは私ども国民生活を支えるまさに基盤施設でございますし、また、経済社会活動を支える最も基本的な基盤施設だというふうに考えているところでございますが、その整備状況というのは全国的にも非常におくれております。今横浜市のお話がございましたが、そういう都市部でも地方部でも大変おくれておりまして、いろいろな課題を抱えているというのが現状でございます。そういう中で、私どもとしては、やはりいろいろな課題がございますので、都市部あるいは地方部を問わず、そういう課題にやはりこたえていかなければいけないというようなことで努力しているところでございます。  今、都市部への重点配分というお話があったわけでございますが、私どもといたしましては、具体的な地域配分に当たりましては、地域の骨格になります幹線道路の整備状況、あるいは渋滞とか交通事故とかいろいろな課題がございますが、そういう現状がどうかというようなこと、それから歩道の整備率がどうなっているか、あるいは地域開発プロジェクト地域振興あるいは地域開発のためのいろいろなプロジェクトが動いていくわけでございますが、そういうものの進捗状況、そういう道路整備に対するニーズというのはいろいろございますので、その辺は総合的に勘案しながら、予算重点配分を行っているところでございます。
  176. 小此木八郎

    ○小此木分科員 ありがとうございました。  さまざまな点から見ましても、今質問を申し上げた一つ一つが重要な課題であると私は思っています。しかし逆に、ただでさえ財政状況が苦しい、厳しい上に、さらにこの大震災の復興に我々は費用を費やさなければいけない、これは急務であると思いますけれども、だからそう無責任なことも言っておられないということもございます。また、そうでありますけれども、やはり長い将来を見越してやっておかなければならない、質問いたしました一つ一つの課題であるとも思いますね。そういう意味においては、行政改革を断行してむだな歳出というものを削減する、あるいは不公平税制の是正、脱税行為の厳しい取り締まり、将来何が重要なのかというものを見越した予算編成等、立法あるいは行政、我々が携わっている立場のこういう者が責任を持って今後一層やっていかなければいけない。  なお、私は自分自身を切磋琢磨してこういったことに取り組んでいく決意でありますが、時間も参りましたので、大臣にその点を踏まえまして改めて御所見を伺って、私は質問を終えたいと思います。
  177. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 多くの問題点を指摘いただきまして、各局長から具体的に答弁をしてまいりましたが、一つの見識を示されたわけでありますから、その問題について一つ一つ我々は解決をしていかなければならぬ。しかし、やることはやらなければならぬわけでありますから、建設国債やあるいは最悪の場合は赤字国債等を発行して、そして長くかかって対応して、当面する課題には十分対応するということが政治家の我々の任務であろうというふうに考えておりますので、お話をいただきましたように、懸命に御期待に沿うように努力することをお誓いをして答弁にかえる次第です。
  178. 小此木八郎

    ○小此木分科員 ありがとうございました。
  179. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて小此木八郎君の質疑は終了いたしました。  次に、高木陽介君。
  180. 高木陽介

    高木(陽)分科員 新進党の高木陽介でございます。  通常国会が始まって以来、もう震災の復旧・復興対策大臣を初め建設省のそれぞれの方々が本当に必死に動いておられて、本当にこの一カ月間御苦労さまでございました。また、これからもさらに建設省、一番重要な官庁ですので、この復興対策には本当に真剣に今後も取り組んでいただきたい、まず冒頭お願いを申し上げたいと思います。  まず、この震災に絡んで自分も神戸の方に何度か足を運んでみました。そのときに、長田区が一番火災で焼けて、そこの現場をずっと歩いている中で自分自身が感じた部分で、やはり道路がその火をとめたというか、広い道路だと飛び火をしない、移っていかないということで、やはり防災上から考えても道路というものが本当に重要になってくるな、そういうのを実感した次第でございます。  そのような中にあって、これはまた各地域地域、今前に質問された小此木先生も横浜の道路のこともちょっとおっしゃられましたけれども、本当に各地域要望または現実として拡幅をしたい、整備をしていきたいという中で、なかなかその財源がないという問題もございます。  そんな中で、今自分の地元でもあります多摩地域、これは首都圏どんどん人口もふえておりまして、交通需要というのもすごく重要な役割をしているという中で、特に八王子市内を通っています国道十六号、東京環状といって埼玉の方から神奈川の方までずっと走っている。ここはトラック等々、本当に交通の要衝でもありますし、そんな中で八王子市内の国道十六号における現状というのがなかなか整備されていないというそういった声も聞かれます。その点について現状をちょっとお話お伺いできればと思います。
  181. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今もお話がございましたように、国道の十六号でございますが、八王子市内というのは大変幅も狭いし非常に込んでいるというお話をお伺いしております。また、バイパスもできているわけでございますが、十六号のバイパスも大変込んでいる。それから、あと二十号という国道がございますが、この二十号につきましても非常に込んでいるというようなことで、いわゆるその交通混雑、八王子周辺というのは相当厳しい状況だというふうに私ども認識しております。
  182. 高木陽介

    高木(陽)分科員 それで、今局長がおっしゃられた八王子市内、国道十六号が通って、二十号がいわゆる交差をしている。さらに、それ以外にも中央道が通っていまして、今度圏央道が通ってまいりますし、本当にそこに集中してくるわけですね。  そんな中で、今の現状をいろいろと自分も調べてみましたが、八王子市の部分が二・七キロのうち、昭和三十六年に何か都市計画決定がされて、事業着手が五十五年、それで拡幅する予定でずっと地元またはそこを利用されるトラック、運送業者またはいろいろな方々がそういうふうに思っている中で、いまだに二車線、片側一車線ですね。しかも、トラックがかなり通りますので、ここを通学する児童たちもいてやはり危険だ。これは一昨年等々も通学路における道路が危ないということが予算委員会等々で指摘されたと思うんですけれども、そんな中で、事業着手が五十五年度、もう十五年たつわけですね、それが一向に広がらない。こういう現状の中で、今後それについてどういうふうにされていくのかということをちょっとお伺いしたいと思います。
  183. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございましたところというのは、一般国道の十六号の八王子インターが取りついた前後の二・七キロの区間でございますが、これにつきましては、現在四車線に拡幅する事業を進めているところでございます。  今もお話ございましたように、昭和五十四年度ですか、五十五年に事業に着手しておりまして、現在は八王子インターチェンジが取りつく区間を含めて前後丁二キロメーター、ようやく拡幅が完了したところでございます。平成六年度につきましては、八王子インターチェンジから都道の瑞穂秋川八王子線というところまで、これは延長三 百メーターぐらいあるんですが、その区間について工事を実施しておりまして、この区間三百メーターにつきましては平成七年度に供用する予定でございます。  それからさらに、都道から市内側でございますが、浅川橋までの間、この間がまだ残っているわけでございまして、この区間につきましては、現在用地買収を進めております。また、その区間の中に、八王子市が施行いたします中野中央土地区画整理事業というのがございまして、この事業との関連区間がちょっとあるものですから、その辺の土地区画整理事業の進捗と整合を図りながら、現在用地の取得を進めているというようなことでございます。  そういう意味では、昭和五十五年からということですから、相当な期間がたっているわけでございまして、大変御迷惑をかけているわけでございますが、私どもとしては、地元の関係者の皆様の何とか御協力を得てできるだけ早く完成したい。今お話がございましたように、大変込んでいるところでございますので、私どもとしても、できるだけ早くこの拡幅ができるように、今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  184. 高木陽介

    高木(陽)分科員 今御答弁いただきまして、これも御存じのことかと思いますけれども、例えば中央高速で、中央自動車道を使って都心から八王子インターまで三十分ぐらいで来ちゃうんですね。ところが、そこをおりてから、例えば八王子の中心街に行くのに一時間近くかかるというこういう現状、何のための高速道路なんだ、こういう意見かなりありまして、本当に御努力はされていると思うのですけれども、これは地元の問題、地元のその区画整理等との問題も絡んできますので、これは地元の方としてもしっかりとやっていただかなければいけないんですけれども、それに加えて建設省も今後ともそれに対して御尽力をいただきたいな、そういうふうにお願い申し上げたいと思います。  続きまして、道路の問題が続いちゃうんですけれども、今中央自動車道の話を申し上げました。中央自動車道も八王子インターをおりて、その手前の第一インターをおりてそのまま十六号バイパスにつながるということで、これはかなり利用者、利便性が増してまたその混雑度を解消する、そういう部分ではかなり画期的な事業だったと思います。その上で、もう一つさらにその先に元八王子のインターというのが計画としてあったというふうに伺っております。これは何か昭和四十六年の第二十一回の国土開発幹線自動車道建設審議会ですか、元八インターが請願インターとして決定されたという話をお伺いしました。これもかなり前に、だからもう二十年以上前になりますね、決定されて、地元もいろいろと反対等々もあったというふうにも聞いていますけれども、その後一体どうなっているのか、これについてちょっとお伺いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
  185. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 元八王子インターにつきましては、昭和四十六年に国幹審で整備計画策定されたわけでございますが、その後大変反対が、この開設について地元が大変強力な反対をするというようなことがございまして、今のところはとにかく手つかずというような状況になっているところでございます。  現在具体的な、東京都それから八王子市でも何とかインターを開設したいというようなことでいろいろ委員会等を設置いたしまして、いろいろ御検討いただいているというふうに聞いているところでございますが、建設省といたしましても、その辺の検討状況を踏まえて、いずれにしても、自治体等が大変強い要請をしてきているところでございますので、早期整備に向けまして努力してまいりたいというふうに考えております。
  186. 高木陽介

    高木(陽)分科員 これは、全国各地で道路整備、また道路以外にも建設省がいろいろと整備をしていこうというときに何より一番大切なのは、その地元または自治体、それがしっかりと合意を得ていく。八王子地域、多摩地域の場合でも、そうやってせっかくそういう国幹審等で決定をしても、なかなか地元がイエスと言わない、また住んでいる方々がイエスと言わないということで、そういう現状というのはすごく認識しております。  そんな中で、やはりこれだけ交通量が多くなってまいりまして、この圏央道が着工し始めて、これがアクセスし始めます。そうなると、やはり中央自動車道の部分、いわゆるあそこもまた渋滞地域になるのは間違いないと思うのですね。そういった中で、渋滞したからさあどうしようという問題よりも、本当に今からその問題について予測しながらやっていかなければいけないのかな、そういうふうにも感じます。  ここで、これは答弁は要らないのですけれども、地元の、もし元八王子インターができたときにこんな効果があるということで、これも御存じかと思うのですけれども、こんなふうにまとめているのですね。一つは、元八王子インターを整備することによって、八王子市西部地区における高速道路利用のアクセス性が高まる、これは当たり前のことなのですけれども。あと、八王子インターに集中している交通を分散することにより、八王子インター周辺の交通混雑を緩和する。もう一つは、あの地域に昭和天皇の武蔵野陵もございまして、今の天皇陛下が武蔵野陵に来られるときにいつも八王子インターをおりて、そのときは国道二十号が全部ストップされるわけですね。これはやはり警備上絶対に大切なことなのですけれども、そのことも踏まえた上でやはり考えていただきたいな、これは御要望として申し上げておきたいと思います。  続きまして、今ちょっと圏央道というお話を申し上げました。圏央道も本当に建設省御努力されながらいろいろと準備または着工されて着々と進んでおります。そんな中で、これも高速自動車道が、また圏央道等できたとしても、問題はそのおりたところなのですね。先ほど国道十六号で、中央道の十六号おりてからという問題も申し上げましたけれども、今回アクセス道路について計画はあると思いますが、そのことについてちょっと現状及び今後の展望をお聞かせ願えればと思います。
  187. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございましたように、現在圏央道の整備を進めているところでございます。この圏央道につきましては、中央自動車道から関越自動車道の間をできるだけ早くつなごう、それから、その前後の国道二十号あるいは国道の二五四、その区間の整備をとりあえず急ごうというようなことで進めているわけでございます。平成七年度には、埼玉県側が鶴ケ島インターまででございますけれども、一応供用できる見込みでございます。  今もお話がございましたように、この圏央道の利用というのですか、この役割を発揮させるためにはやはり建設に合わせて、当然インターチェンジから出入りすることになるわけでございますので、それのアクセス道路、これにつきましても、できるだけ圏央道の整備に合わせてやはり整備しておくことが必要でございます。  そういう点につきましても、これは都がそのアクセス道路の管理者になっているケースが多いわけでございますが、東京都とその辺の問題点等につきましてはいろいろチェックをしているところでございまして、私どもとしても、アクセス道路の整備といっても結構問題点があるところはあるわけでございますが、そのアクセス道路につきましても、圏央道の供用に合わせて整備が進むように、私どもとしてもできるだけのお手伝いをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  188. 高木陽介

    高木(陽)分科員 圏央道の方も、今ずっとおっしゃっていただいたように、実際問題どんどん事業化が進んで、その中でやはりこれは圏央道自体も早急につくっていかないと、都心の混雑、これはもっと言いますと、やはり今回の大震災で、あれは午前五時四十六分だった、そういうことで混 雑もしてなかった。これが今後混雑をしていたとき、または、いろいろ道路が寸断される可能性もありますけれども、そういったときの幹線道路がしっかりしていなければ、災害復旧ということもなかなか進まないのかな、そんなふうにも思っているので、特に圏央道またそれに関するアクセス道路、これを充実させていただきたいなと思うのです。  もう一つ申し上げますと、これも建設省の相武国道の方にちょっといろいろ聞いたときに、アクセス道路、ちょうど私が今住んでいる家をまともに通るということですね。これはもうしょうがないなと自分は思っているのですね。自分はどけばいいですけれども、ほかの方々は、はい、そうですかとはなかなかいかないので、ここら辺の、まあ地元の問題なんで、これは地元がしっかりやっていかなければいけないのですけれども、そういうことも踏まえた上で、さらに早期にやっていただきたいなと思います。  もう一点、これは質問というよりも、これは質問通告にもなかったので回答は結構なんですけれども、特に都心に、首都高に入っていくときに、今圏央道みたいな大きな環状ができています。また外環等々、いろいろ計画があります。今、実際問題、首都高からずっと入ってきたときに環状が二車線なわけですね。これは素人が考えても、二車線で入ってきて、これは二車線でやると絶対渋滞するのは当たり前なわけですよね。これは首都高速道路公団の方に聞いたときに、なぜそんなつくり方したのかと言ったら、つくり始めるのはやはり東京オリンピック前後でしたから、その当時にはこれだけの車の量になるとは想像もしていませんでした、こういうふうに言われているのですね。  同じように、今回圏央道とそういう環状線というものをしっかりとしていくことによってそれを解消するという目的もあるわけで、これを早急にやらないと、実際問題、そのまま不便な、または防災上も厳しい、または事故も多発する、こういった問題があると思いますので、安全性の面からもこれは最大限優先してというか、力を入れてやっていただきたいな、そういうふうに思います。これはもう答弁は結構でございます。  あと次に、下水道の問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。  これは先日、東京都知事の方から、二十三区下水道一〇〇%ということでパーティーをやりますので、国会議員の方、来てくださいというお知らせがありました。すごいなとは思うのですけれども、これは東京都なんですけれども、また自分のいる多摩地域、これがまたひどいというか、下水道は全国平均四九%ですか、これが東京都は、全体だと九八%だそうなんですけれども、多摩地域になると八四%に減りまして、八王子市になると五三%。何でこんなにひどいのだろうと自分も思っているのですけれども、これはやはり財政的な問題がかなりあるのかなと。  実際問題、この多摩地域というは人口がどんどんふえている。多摩ニュータウンもまだ人口がふえる。さらにまたその北側に秋留台のニュータウンというのをつくる計画もあるみたいです。そういった中で、やはり都市基盤の整備、これを充実させなければいけない、道路とともに下水道というものも充実させてもらいたいと思うのです。特に、八王子だけでも大学が二十一あるのです。人口五十万近くの中に十万人の学生がいて、全国各地から来て、学園都市としてこれからも発展していかなければいけないという状況の中にあって、その都市基盤だけがおくれている、田舎にぽつんと大学がある、こういう状況なのですね。  そんな中で、八王子市としても昭和三十年度に下水道の事業に着手をしていきました。今現在五三・二%。ところが、この市街化区域の普及率、今のままでいきますと、一〇〇%になるのは平成二十五年だと言うのです。これは余りにも、もう平成二十五年になりますと、基本的なインフラの問題よりも、情報インフラだとか次の問題に全国各地移っている。そういう中で、公共下水道、今申し上げました自治体も財政難があるという中で、補助率についてちょっとお話をお伺いしたいと思います。
  189. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 確かに先生指摘のとおり、八王子市の普及率が非常に低いということで、東京圏における一つの拠点都市形成している地域にもかかわらず非常に低い状況にあることはもう御指摘のとおりでございます。  補助率という点につきましては、これはなかなか現在の状況のもとでは見直しすることは非常に難しいかと思いますが、五カ年ごとに補対率というのを決めているわけでございます。平成七年度が今の五カ年計画の最終年度ということでございますので、また新しい五カ年計画、現在都市計画中央審議会で下水道部会を設けて検討しているわけでございますが、そういった補対率の見直し、一つ検討課題であるというふうに認識いたしております。  ただ、そういった国の補助事業ということだけではなしに、平成四年度から、いわゆる地方単独事業、これについて特別の起債措置を講じて、そして交付税で面倒を見るという緊急下水道整備特定事業も創設いたしております。こういった緊急下水道整備特定事業地方単独事業との連携のもとに、早急に普及率を上げるよう私どもといたしましても積極的に応援しなければいけない、このように認識いたしております。
  190. 高木陽介

    高木(陽)分科員 今お話しいただいたのですけれども、あとこれも地元の方から言われたのですけれども、特に管渠の補助対象というのですか、下水の排除量ですか、口径の補助じゃなくて、排除量によっていろいろとまた変わってくるということで、この補助対象を広げてもらいたいという御意見というのですか、これもやはり自治体等々を回ってみますといろいろとあるのです。そこら辺のところはどうなのかということをちょっとお願いします。
  191. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先ほどの答弁でそこまで含めて御答弁してしまったわけでございますが、補助率そのものについてはなかなか難しいと思いますが、補対率につきましては、特に問題になりますのは管渠、口径によってどこまで補助対象事業として見るかというのが補対率の、補助対象率の考え方でございますが、五カ年計画ごとに都市規模によってそういう補助対象率を決めております。新しい五カ年計画段階において、今の八王子市の実態なども踏まえながら、もう一回検討するテーマであろう、このように認識いたしております。
  192. 高木陽介

    高木(陽)分科員 この下水道の問題もやはり地域住民にとってすごく重要な問題ですので、一つ一つを挙げてみますと、全国各地同じような問題が多々あると思うのです。では、優先順位はどうなのか、もっともっとおくれているところがあるではないか、こういった御指摘もあると思います。そういった中で、やはり五十万都市、もっと言えば東京都内の一つの核となる都市でもありますので、この下水道、冒頭からずっと申し上げました道路の問題、道路ももっと挙げればいっぱいあったのです。ただ、個別の問題を一々こういう場で申し上げてもそれはどうなることでもありませんので。  そこら辺のところも含めて地方地方という言い方は余り好きではないのですけれども、やはりそういう都市基盤整備がおくれている地域がまだまだたくさんあります。都内、首都圏の中にもそういうのがあるのだという御認識を持っていただきたいなということで質問させていただきました。  そのことについて、大臣質問通告ということで言ってなかったのですけれども、そういう今のずっと話の中で、首都圏、東京都内だともうほとんど、どんどん都市基盤はできているのではないか、こういう実感を持たれている方は僕は多いと思うのです。そんな中で、本当にまだまだおくれているし、逆に言えば、自治体単独でもまだまだ それだけの体力もない。そういった中で、大臣としてそれについての、御感想で結構です、お話をお伺いできればと思います。
  193. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 高木議員にお答えをいたしますが、今具体的に地域発展開発のために、また、首都圏とはいえおくれておる箇所がたくさんあると。国道二十号線や圏央道の話がいろいろございましたし、下水道の問題についても具体的に示されました。  ただ、私は、国土の均衡ある発展とその地域の特性を生かした特性のある地域づくり考えていかなければならぬだろうということを常に主張してまいりましたが、例えば東京の中央線の場合でも、二時間に六分しか踏切があかぬ、こういうふうなお話も随分聞いてまいりました。したがって、東京都全体から見れば随分首都圏というものは強化をされておるというふうに言えますけれども一つ一つ丹念に見れば随分穴もあるなということを痛感しております。  お話がありました諸点につきましては、また後で同じような質問があろうかと思いますけれども、十分に高木先生お話を承りましたので、それぞれ検討して対応してまいりたい、そういうふうに思っております。     〔主査退席、近藤(鉄)主査代理着席〕
  194. 高木陽介

    高木(陽)分科員 大臣からもそういう現場の、または個別の話もこうやって聞いていただいて、本当に、今大臣がおっしゃられたように、一つ一つ見ていけばいろいろな問題があります。それを一〇〇%やれという、またやらなければいけないというのはなかなか無理だと思います。でも、その中でどれだけできるのか、これはやはり市民、国民が行政に対して望んでいることだと思うのです。  また、重複しますけれども、今回の阪神大震災の例を挙げるまでもなく、やはり交通網、道路、これは災害復旧、救助、すべて道路網というのが重要な役割を果たしたな、またはそういうインフラ整備というのがしっかりしていないと、いざというときに大変な問題になってしまうなということが明らかになっていると思います。  そういった意味から、では首都圏、東京、または多摩地域だけやればいいのか、そういうことではありません。北海道も大切ですし、九州も大切です。またその他、各地域地域、それぞれいろいろな個別の問題は抱えていると思います。やはりきめ細かく建設省もそれを見ていただきながら、今後、住民にとって、市民にとって、ああ本当に税金を払ったかいがあったな、そう思ってもらえるような行政に徹していただきたいな、そういうふうに思いますし、そのことを申し上げて質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  195. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)主査代理 これにて高木陽介君の質疑は終了いたしました。  次に、岩佐恵美君。
  196. 岩佐恵美

    ○岩佐分科員 私は、首都圏中央連絡道路、圏央道問題、そしてその関連でお伺いしたいと思います。  八王子の都市計画審議会は、今月七日、八王子都市計画道路一三一号首都圏中央連絡道路と、八王子都市計画道路三三二号東京八王子線の都市計画変更を行いました。八王子都市計画道路一三一号圏央道は、神奈川県境から一般国道二十号までの約二・五キロ、八王子南インターチェンジ建設も含みます。また、八王子都市計画道路三三二号東京八王子線は、一般国道十六号バイパスから圏央道の八王子南インターチェンジまでの約九・六キロ、圏央道へのアクセス道路となっております。施行予定者はいずれも建設省関東地方建設局となっています。  そこでまず、これらの道路計画は、阪神大震災以前の耐震設計基準に基づいた計画になっているわけです。今、建設省内の兵庫県南部地震道路橋震災対策委員会で、今回の道路、橋の損傷の原因究明を行い、道路等の建造物の耐震設計基準の見直しを検討されていると聞いていますけれども、その検討結果はこれら圏央道計画にも適用されることになるというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  197. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今もお話がございましたように、今回の阪神大震災、大地震で、阪神高速道路の道路橋が倒壊する、あるいは橋脚が大変な損傷を受けるというような被災があったわけでございます。建設省といたしましても、こういう被災状況を大変私どもとしても重く受けとめているところでございまして、なぜこういうことになったかというのを徹底的に究明しよう、それで、その究明の結果を踏まえてこれからの耐震性の向上に生かしていかなければいけないというようなことで、今もお話がございましたが、道路橋震災対策委員会というのをもう既に設置しておりまして、その委員会で原因究明を現在進めているところでございます。  この委員会の検討の結果を私どもはやはり踏まえて、所要の対策を講じていかなければいけない。耐震設計のあり方等についても議論していただくことになっておりますので、具体的な検討結果が取りまとめられれば、それを踏まえた具体的な対応というのをやっていきたいというふうに考えているところでございます。
  198. 岩佐恵美

    ○岩佐分科員 重ねて伺いますけれども、これらの圏央道計画というのは、鉛直方向の基準がない九〇年二月の橋、道路等の技術基準という通達に基づいて設計をされています。この委員会の検討結果に基づいて、これらの圏央道計画の道路、トンネル、橋、こうしたすべてについて、阪神大震災並みの地震にも耐え得るような設計基準で当然見直すべきだろうというように思いますけれども、その点重ねてお伺いをしておきたいと思います。
  199. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今も申し上げましたように、現在、なぜこういう被災が生じたかというような、その原因究明と、それが明らかになれば、これからの耐震設計をどうやるべきかというようなことを議論しているところでございます。  今、鉛直方向の力をどうするのだというようなお話がございましたが、具体的に新しい耐震設計の考え方でどういうやり方をやっていくかということについては、まだ具体的な方向というのが出ていないというところでございまして、今後この委員会の中でいろいろ議論されることになりますが、先ほども申し上げましたように、この圏央道あるいは八王子南バイパス、この辺の工事をする時点では、新しい知見に基づく耐震設計の考え方というものが出てくれば、当然それに基づいた対応をやるということでございます。
  200. 岩佐恵美

    ○岩佐分科員 八王子都市計画道路一三一号圏央道計画で一番問題だと思うのは、地域環境を無視した八王子南インターチェンジの構造物です。南浅川の狭い谷部に、谷部を通る国道二十号の上に、高尾山、南浅川トンネルの出口、八王子・城山トンネルの入り口、南道路の浅川トンネルの入り口、これを結ぶ橋梁が建設されるというものです。谷部全体を異様な景観に一変させてしまう、そういうインターチェンジ、これは景観破壊の何物でもないというふうに思います。もう本当に東京でも残された高尾山の山ろくのすばらしい地域であるわけですけれども、それが無残にもコンクリートで固められてしまうということになるわけです。  また、三つのトンネルの出入り口に囲まれたインターチェンジでの自動車排気ガスによる大気汚染は非常に深刻です。東京都の評価案の概要、これは、計画交通量が一日四万三百台で、二酸化窒素が〇・〇四五ppmなので大気汚染は問題ないというふうに言っているのですが、東京都の数値は、交通量の予測が甘い、大型車の混入率も低く見積もる。そして、既に環境基準の達成が不可能と言われている自動車NOx法の削減効果も算定に入れて数値をはじき出している。そのため、二酸化窒素の濃度が低く抑えられる、そういうことになってしまっています。まさに実態を反映しないそういう数値がつくられ、そして大気汚染に影響はない、こういうふうになっているわけですけれども、これでは住民の不安は解消しないわけで す。  さらに、この南浅川の谷部と南道路計画の紅葉台の谷、ここは山ろく部が放射冷却によって気温が低下をする。上部が高くなって、大気の汚染物質が拡散されずに停滞するのですね。放射冷却、逆転層、これが予測をされるということですけれども、当然この部分においても逆転層の調査を行うべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  201. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 八王子南インターのお話がございましたが、この南インターチェンジを含めまして、首都圏中央連絡自動車道の神奈川県境から二十号までの間、それから八王子南バイパスでございますが、これにつきましては、東京都が都市計画の手続をこれから進めたいということで、今もお話がございましたが、東京都議会の都市計画環境保全委員会に、都市計画内容それから環境影響評価の概要報告したところでございます。  八王子南インターチェンジ周辺の大気汚染につきましては、これは東京都の環境影響評価技術指針に基づいて予測したというふうに聞いておりますが、その結果として、今もお話がございましたように、二酸化窒素については○・〇四五ppm等々、大気汚染につきましてはいずれも環境保全目標を下回っているというような報告をしたと聞いておるところでございます。  今、逆転層のお話とか大型車の混入率の問題等々のお話があったわけでございますが、この都市計画につきましてはこれから手続を行うわけでございますが、この都市計画の案それから環境影響評価書の案等につきましては、これから具体的に公示をいたしまして縦覧を行う、また住民の皆さんの意見や市長の意見等を聞くことになるわけでございますが、さらに同時に、東京都の環境影響評価審議会にも諮問をいたしまして審議されるというふうに聞いているところでございまして、今いろいろな御指摘がございましたが、これらの手続の中でいろいろ議論されるだろうというふうに聞いているところでございます。
  202. 岩佐恵美

    ○岩佐分科員 裏高尾の谷間では、見解書の作成に当たって、逆転層の補足調査を行っているわけです。ぜひここについても調査をやるべきだというふうに思います。  ぜんそくなど慢性呼吸器疾患の原因として注目をされている浮遊粒子状物質、SPM、これが逆転層で発生する、このことはよく知られています。逃げ場を失ったSPMは下層に、下の方に蓄積をされます。SPMはディーゼル車の排ガスや工場のばい煙のほか、大気中で微粒子に変化してできる二次粒子も影響が大きい。環境庁は総合的な対策検討しているということです。この間、私も環境委員会でこの点質問をいたしました。ところが、東京都の評価書の概要を見ますと、SPMについて「発生源からの寄与を特定できないため、予測対象物質から除外した。」として、全く無視をしているわけです。SPMを予測対象物質として当然評価をやり直すべきだというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  203. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございましたSPM、浮遊粒子状物質でございますが、自動車の走行に起因する浮遊粒子状物質につきましては、発生源のデータというのが十分集積されてないということ、またこの浮遊粒子状物質の滞留がどうなるのか、あるいは二次生成がどういうふうになるんだろうかというようなことについて、まだ十分な知見が得られてないということでございまして、自動車に起因するという発生源からの寄与を特定することができないというのが現在の状況だというようなことでございまして、そういうことで予測対象物質から除外したというふうに聞いているところでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、今後東京都の環境影響評価審議会でいろいろ審議されるというふうに聞いておりますので、私どもとしても、その審議会での審議状況あるいはその審議会での御意見等を踏まえて対処していきたいというふうに考えているところでございます。
  204. 岩佐恵美

    ○岩佐分科員 SPMについては、国立の環境研究所でも花粉症、ぜんそくなどの原因になっている、そういうことが指摘をされているわけですから、きちんと評価をすべきだというふうに思います。  それで、東京都内の大気汚染の状態については、この問も環境委員会で取り上げたんですけれども、とにかく東京都の十八歳未満の公害患者が条例で指定をされているわけですけれども、その数が非常にふえてきているということで、この六年の間に二倍ぐらいにふえているわけですね。ですから、都内の環境からみんな郊外へ郊外へと逃げ出してきているんですね。とても人間が住む環境にない、高速道路が東西縦横に走っているところで、もう子供たちを育てることができないということで、郊外に逃げてきているわけですね。逃げてきたらまたそこに大きな道路ができる、そして環境が破壊される、そういうことで非常に多摩の人たちは心配をしている。こういう状況でありますので、本当に細心にこういう問題について対応していっていただきたいということを、強く要望しておきたいというふうに思います。  このインターチェンジは三つのトンネルに囲まれているわけです。高尾山トンネルが千三百四十メートル、八王子・城山トンネルが二千三十メーター、浅川トンネルが千八百メーター、合計五千百七十メーターの穴を掘るわけですね。  そこで、この五キロ以上のトンネル工事から出てくる残土の処理、これが一体どうなるのかということが非常に大きな問題、かつてから問題になっているわけですけれども、何の処理計画も明記をされていないわけですね。従来建設省は、首都圏中央連絡道路建設残土対策連絡協議会、これを設置して検討しているというふうに答えてこられているんですけれども、残土の処理計画はできたのかどうか。八王子南インターチェンジ付近でのトンネルの残土の処理あるいは掘り割りにするということですが、こういうところの残土の処理は一体どうなるのかということについてお伺いをしたいと思います。
  205. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 この残土の問題でございますが、既に事業化しております圏央道の東京都内区間につきましては、約四百万立米の発生土量がございまして、このうち二百万立米につきましては盛り上等に活用する。その残った量が二百万立米あるわけでございますが、この二百万立米につきましては、先ほどもちょっとお話がございましたが、関係機関で設けました首都圏中央連絡自動車道路建設残土対策連絡協議会というところで十分連絡調整を図りながら、他事業の骨材に使えるものは骨材に使う、路床材、盛り土材等にほかの事業で使えるところがあれば有効利用、有効活用していただくというようなことで、できるだけ残土が発生しないように努力をしているところでございます。また、どうしても残土が出ざるを得ないということになった場合でも、環境への影響に十分配慮しながら、適切に処理していきたいというふうに考えているところでございます。  この八王子南バイパスとそれから圏央道の南進ですね、都内区間、これに伴う残土につきましては、現在具体的な、どの程度の土量が出てくるかというようなことを検討しているところでございまして、いずれこの環境影響評価の中で明らかにされていくこととなるというふうに考えているところでございます。  ただ、この残土の処理につきましては、もう既に圏央道の東京都内区間でいろいろ協議会等を設けて対処しているところでございまして、私どもとしてもこの協議会をできるだけ活用する、そういう中で幅広く、出てきた土については有効に活用していただく、そういうことを中心に対応してまいりたいというふうに考えております。
  206. 岩佐恵美

    ○岩佐分科員 前に説明をしていただいたことから何の具体的な前進もないんですね。実は、中央道をつくったときには、木下沢や小仏に残土を捨 てて、自然公園の役割を著しく低下をさせただけじゃなくて、小仏川の清流の流量、これを半減させてしまったわけです。自然環境等に影響を与えない残土処理計画、これを明確にすべきだと思うんですね。  二百万立米、盛り土にするといったって、圏央道の一体どういうところに盛り土にするのか、あるいはあと残りの二百万立米、どうするのかということについて、あれだけの大きな残土が出れば、本当にそれでもって各今三多摩の地域は、西多摩の国立公園の本当に手前までずっと開発がどんどん進んでいるんですね。魅力的を沢がいっぱいある。そういう沢にみんな土を捨てていって、それでその上に家を建てたりとかあるいは何か利用するとかというようなことが次々に行われておりますから、この圏央道計画の残土の処理というのが一体どうなるのかというのは、今本当に住民の関心の的になっているわけですね。これがもし環境破壊につながることになったらもう大変だということで心配をしているわけです。  今のそういう計画を立てて鋭意やっていくということで、何も前進してないということで、それで計画だけはどんどん進んでいくわけですから、それじゃ住民は納得しないし、私自身も無責任だというふうに思います。こういう残土処理計画をちゃんと明確にすべきだというふうに思いますけれども、早急にやるべきだというふうに思いますが、重ねてその点いかがですか。
  207. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 残土計画につきましては、先ほども申し上げましたように、この圏央道の道路工事で必要になる部分についてはできるだけその道路工事で使う、それが圏央道の東京都内区間につきましては半分ぐらいでございます。残り二百万立米ぐらいございますので、それにつきましては、先ほども申し上げましたように、できるだけ有効活用をしていこう。ただ、これは工事が具体的にいつごろから始まるか、それからそのタイミングに応じて、どこでどの程度の有効利用が図られるか、なかなか確定しづらいところがあるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、できるだけ有効利用するようなそういう努力をやろう。  それでも、やはりどうしても利用できない、捨てざるを得ない部分がございます。そういう部分につきましては、今もいろいろお話がございましたが、私どもとしては、環境への影響というようなことにつきましては十分配慮するように、適切に対処したいというふうに考えているところでございます。
  208. 岩佐恵美

    ○岩佐分科員 今の答弁では到底納得できないのですね。建設省が環境に十分配慮してどんなことをやれるのだろうかというふうに思います。そういう点で、残土処理計画を、建設が始まってもいないのでわからないということではなくて、本当に責任を持ってやるべきだというふうに再度申し上げておきたいというふうに思います。  次に、八王子都市計画道路の三三二号東京八王子線の問題です。  この道路計画は、圏央道のアクセス道路として一三一号圏央道の建設と同時並行して行われますが、住環境や自然環境を無視した無理な計画となっています。まず、この南道路は、四車線の一般道の位置づけで、あたかも生活道路であるかのようになっているのですが、両側には街路が同時並行して取りつけられ、一日の交通量四万八千台、信号もほとんどない、トンネル、高架、掘り割りを中心としたもので、市民生活の利便とは結びつかないものだと思います。この南道路は、自動車専用道路で第二甲州街道だと思いますけれども、その点いかがですか。
  209. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 八王子南道路につきましては、八王子市域の東西方向の幹線道路ということで、現在の国道二十号あるいは北野街道というのが大変交通渋滞を来しておりますので、その緩和を図ろうということと、今お話がございましたように、圏央道の八王子南インターチェンジから八王子市内へのアクセス道路、そういう役割を果たす、また八王子ニュータウン等の新しい町づくりが進められておりますので、そういう地域の基幹的な道路として重要な役割を果たす道路だというふうに考えているところでございます。そういう意味では、この地域の人たちの恐らく生活を支えるようなもの等が毎日運ばれる、そういう大変重要な道路になるのではないかなというふうに考えているところでございます。  また、大変そういう沿道環境というのにもできるだけ配慮しなければいけない。交通量も結構多い道路でございますので、沿道環境にも十分配慮した構造にしたいということで、この八王子南バイパスにつきましては、全体が約十キロあるわけでございますが、そのうちトンネルとか掘り割り構造の区間が約六・五キロというようなことで、できるだけそういう沿道環境に与える影響を少なくするような構造にしているところでございます。  それからあと、掘り割り構造部等につきましては本線とは別に、沿道利用のための一般道路、歩道等を設けるということも考えておりまして、そういう道路がまさに沿道の方々の毎日使われる道路として機能するのではないかというふうに考えているところでございます。
  210. 岩佐恵美

    ○岩佐分科員 この南道路の計画交通量というのは二万一千百台から四万六千九百台になるわけですけれども、先ほど申しましたように、この大気汚染の測定についても、恐らく使われる現状からかけ離れたような、そういうような大気汚染の測定になっているわけで、これもちゃんと実態を反映したそういう大気汚染の予測をすべきだというふうに思うのですね。  それから、この道路が通ることによって数百世帯の立ち退きが強制される、こういうことになるわけですけれども関係住民の意見を全く聞かない、住宅密集地をばっと通してしまう、こういう道路の計画というのは本当に許されないというふうに思います。こういう道路計画というのは見直すべきだというふうに思いますけれども、この点、大臣にお伺いをしましょうか、大臣のお考えをちょっと伺っておきたいと思います。
  211. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 では、大臣のお答えの前に私の方から、今のお話についてちょっと御説明をさせていただきますが、八王子南道路につきましては、先ほども申し上げましたが、これから都市計画の手続を進めていこうということで考えているものでございます。  具体的な環境影響評価についても、縦覧し、説明することになりますし、具体的な都市計画中身につきましても縦覧、説明会等をやる予定でございます。私どもとしては、できる限り地元の方々の御理解と御協力をいただけるように今後とも努力していきたいというふうに考えておりますし、また、今お話がございました将来具体的な事業を実施するということになりますと、たくさんの方が移転しなければいけないという問題がございます。こういう移転対策につきましても、代替地の確保等も含めて誠意を持って対応してまいりたいというふうに考えております。
  212. 岩佐恵美

    ○岩佐分科員 時間がなくなってしまいましたもので、もう一問、ここだけはちょっと伺っておかなければいけないものですから……。  圏央道の秋川インターに関する建設省の設計説明会が二月の十三日に行われました。ところが、建設省は、土地改良区の地権者のみに案内を出し、計画周辺の関係住民を排除しているわけですね。今後とも関係住民に説明を行わないということを言っているわけです。こういうやり方というのは本当に非民主的だと思うのですね。今までこういうことないのです。日の出でも裏高尾でも関係住民に説明をきちんとしているのですね。何で秋川のところだけこういうことが行われ、また許されるのか、この点について伺いたいと思います。
  213. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございました圏央道の秋川インターの設計説明会、二月十三日に実施したようでございますが、これまでこの第二インターチェンジにつきましては、地元の了解を得て 測量を行って、その成果をもとに道路の設計を行ってきたところでございまして、そのまとまった設計の内容を地元に説明させていただく、それと同時に、今後用地幅ぐいの打設等を行いますので、その幅ぐいの打設の了解を求める、そういうことで説明会を開催したようでございます。  この第二インターチェンジにつきましては、すべて牛沼土地改良事業地域内に設置する計画になっているようでございまして、この土地ですね、直接的に影響が及びます土地改良事業の代表者の方といろいろ御相談したようでございますが、その方の意向も踏まえまして、土地改良事業の構成員の方だけに御案内を差し上げて説明会を実施したというようなことのようでございます。今お話がございましたように、今回説明の対象とならなかった方々への説明につきましては、今後、お問い合わせがあれば個別に対応してまいりたいというふうに考えております。
  214. 岩佐恵美

    ○岩佐分科員 今の答弁で、住民の了解を得て、理解を得て測量を行ったと言われますけれども、現地では、了解していない、そう言う人がいっぱいいるし、また、測量が正式に行われたということは理解できない、そういう理解はできないんだということで、私ども上田委員長も、そこのところは質問主意書で質問をしているところであります。  それで、今、設計説明会というのは関係住民をちゃんと集めて、それで説明するのが当たり前なんですね。それをやらない。だから、測量も測量とは言えないようなやり方で、法律に違反するようなやり方でやっている。それで、こういう説明会も、一部の人は排除してやっている。全く非民主的なやり方なんですね。それで、現地では大変なトラブルになっているのですね。こういうやり方というのは許されないと私は思うのです。そういう点で、大臣にきちんと御指導をしていただきたいというふうに思います。  それと、今、阪神大震災の問題で、本当にこういう計画自身、安全性が確認されるまで中断をするというのが、どこもそういう形になるわけですね。ところが、圏央道計画だけはどんどんと橋の橋梁がつくられたりいろいろしているわけですね。私は、こういう計画は中断すべきだというふうに思いますけれども、その点、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  215. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 非常に調査をされて一つの方針というものを出されて、感心して聞いておりましたが、阪神淡路大震災の教訓をどう生かすか、どう反映するかということについては十分検討してまいりたいと考えております。反映をさせなければこれからの大災害対策にはならない、こういうふうに思っております。ただ、中止するかどうかについては、そこの事業としては進行させますので一それに対する補強その他については、基準が出てまいれば対応しなければならぬと考えております。  それから、圏央道なりあるいは八王子南バイパスの話を詳しく御説明をいただきまして、これは私が聞いておる範囲では、地元の要望といいますか、強く要望されておるというふうに聞いておりました。したがって、この整備に当たっては、今岩佐さんがおっしゃるように、いわゆる環境だな、環境保全対策をどうするかということに焦点を当てて考えていかなければならない。したがって、圏央道については、既に環境アセスメントを実施したということになっています。  いわゆる計画東京都が都市計画をやりますけれども、仕事は私どもの方がやるわけでありますから、一緒になって、これについての問題については必要に応じて関係住民、この関係住民のところにひっかかっておるわけですが、どれが関係住民なのか、範囲はどれだけかということがありまして、建設省やら東京都もやったつもりでありますけれども、あなたの期待には沿っていないこともあるようでありますから、十分道路局長なり東京都とも御相談をして、説明会を開催をして理解と協力を得るというような体制をとっていかなければならぬなと考えております。  最後に、建設省としても、行政の責任者として、国民の皆さんに、地元の皆さんに信頼してもらわなければならない。政治は信義と信頼でありますから、先生がおっしゃったように、信頼ができないというようなことは言わないで、ぜひ話し合っていただいて、信頼していただいて、関係者の皆さんと相協力をして、理解を得ながら事業を進めて日本の国土発展のために資してまいりたい、こういうふうに思っておりますので、今後とも御指導なり御援助の方を心からお願いをして答弁にかえます。
  216. 岩佐恵美

    ○岩佐分科員 終わります。
  217. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)主査代理 これにて岩佐恵美君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤登君。
  218. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 まず、阪神災害に集中しているのではないかと思いますが、大震災から一カ月を過ぎて、大変な大災害をもたらしたわけでありますが、罹災者の皆さんに心からお悔やみやお見舞いを申し上げて、さらに、大臣初め昼夜を問わず大変な御健闘をいただいていることに、心から深く敬意を表したいというふうに思います。  それで、今それぞれの分野で被害状況などについての調査が行われていると思いますが、このたびの阪神淡路大震災における総体的な被害総額が九兆五千億とか六千億とか、十兆円とか十兆円を超えるとかいろいろなお話がありますが、今の時点で総体的な被害総額というのはどのような状況にあるのか、そしてまた、建設省の所管する分野においてどのような被害総額として現時点で掌握されているのか、その点についてお聞かせをいただきたい。
  219. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 被害総額につきましては、今先生からもお話がございましたが、これは兵庫県の方でいろいろ試算されているところでございますけれども、十兆円弱というような数字を聞いているところでございます。  私ども建設省所管施設につきましても、およそ一兆円をちょっと超えるくらいの金額の被災額になっているところでございます。中でも、道路関係の被害、被災というのが大変人きゅうございまして、大規模かつ広範囲に及んでいるところでございますが、道路関係の被害額について現時点で把握しているところをちょっと申し上げますと、全体で約七千八百億でございます。そのうち高速道路関係、一番大きいのが阪神高速道路でございまして、阪神高速道路が四千六百億、それから日本道路公団の高速道路、これが約一千億、それからあと、国道、県道、市町村道という一般道路でございますが、これが約二千二百億というような額でございます。
  220. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 これは、今いろいろ詰めの作業に入っていらっしゃると思いますが、いわば第二次補正ですね。今、瓦れきを初め、いわゆる廃棄物の処理などについて、それぞれ大変な御努力をされていらっしゃると思いますが、まずその交通を確保するということについて懸命な昼夜の努力がなされてきていると思いますが、この復旧、復興に向けての手だて、基本的なそれぞれ考え方なり、これから最終的な詰めが行われるということだと思いますが、これに対する、いわば復旧、復興への基本的な考え方などについてお聞かせをいただきたい。
  221. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 先ほど道路局長が建設省の災害総額について御説明しましたが、全般的に今把握しているのは、被害総額が大体九兆六千億というふうに把握しております。さらに伸びる可能性はあろうと思いますが、現時点の把握はそういうことであります。  復興計画でありますが、御案内のとおりに、救援、復旧、復興、こういうのが災害に対する復興対策基本だろうと思っておりますが、私は地震発生直後に参りましたし、一昨日も参りましたが、最初の参ったときには地獄の中を歩くような感じがしましたけれども、今は復旧、復興の息吹といいますか、活性力の、活力ある姿というものをまざまざと見せつけていただいて、そして道路 等も整備されてまいりました。変わってきたなという感じを持っておりますが、災害に強い都市づくり考えていかなきゃならぬ、これが基本であります。  したがって、都市は利便性なり快適性を言いますが、一番大事なのは安全性ということでありまして、都市局長等からも話すと思いますけれども、まずあの災害の現状を見て、道路のあり方、公園の設置の方法あるいは地下の共同溝の設置、そういうものを考えながら防災対策を十分にやっていくというところに強い安全な町づくりということができるだろう、そういう基本方針に立って、今度の特別立法等も提案して、御承認をいただいたところであります。
  222. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 大変な課題だと思いますが、それぞれの機関はもちろんでありますが、全国民の皆さんの御理解と御支援をいただいて、一日も早い復興に立ち向かうということで、大変な御心配をいただいていることに敬意を表する次第であります。  それに関して、私が二、三感じていることを申し上げます。  まず、一つは臨海の埋め立ての問題。これは、やはり大自然に逆らうというのはどんなものかと、私はずっと考えてきています。液状化の問題あるいは大災害の問題を含めて、これは多少は考える余地はあろうかと思いますが、大規模なそういう埋め立てなんということについては、これは十分考える必要があるのではないか。  それから、私はずっと言ってきたのは、一つは、いわば健康な都市構造政策というのはないのじゃないか、いわば都市構造政策の哲学が日本にないのじゃないかというふうに言ってきました。まず私は、バブル時代を含めて都市の農地を目のかたきにしてきた、それは何ですか。都市の空間とか緑とか都市の農用地を目のかたきにしてきた、それが今回の大震災につながった一つの大きな問題点でもあったのではないかというふうに私は思います。  私は二十年くらい前にある都市、ある国を視察したことがあります。そこで健康な都市、その居住者にとって何が大事かというお話がありました。それは、さんさんと太陽を最大限に確保する、それから緑の容積をどのようにつくり上げるか、それからその国のその都市は何十年もの風向きの記録をとっておる、風通しのいい都市をつくる、その三つが基本じゃないか。そして、いわば緑の中に住環境があり、文化それぞれの総合的な環境がある。そういうものに向かって最大に、これは十年、二十年の計画じゃないのじゃないか。現代に生きる私たちが子供や孫たちに健康な都市をつくる、都市環境、住環境をつくるということは、長いスパンにおいて計画をし、つくり上げていくということが大事な課題ではないか。それは哲学じゃないのか。  今の都市計画法の中でも、いわば公園は三%以上ということになっていると思いますが、公共施設は二五%以上というようなことになっていると思いますが、もう大体ぎりぎりの線でやっている。特に大都市において、それはこの機会に、健康な都市、文化的な都市、安全な都市構造をどのようにつくり上げるかという哲学的な視点も含めて、やはり見直していく必要があるのではないかというふうに思っているものであります。その点については、どんなお考えを持っていらっしゃいますか。
  223. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 基本的には、先生の御指摘のとおりだと我々も考えているわけでございますが、今回の阪神淡路地震におきましても、いわゆる公園、オープンスペース、これが非常に効果があった。オープンスペース、公園というのは面のオーブンスペース、それから線のオープンスペースが幹線街路。いずれにしても、オープンスペースの効用というのは非常に効果があったという今回の阪神淡路地震の経験に基づきましても、そのオープンスペース、緑の確保というのは非常に重要であろう、それはもう先生の御指摘のとおりだろうと思っております。  実は、野坂大臣就任の後に出されました緑サンサン・グリーンプランという、現在の緑のオープンスペースの量を二十一世紀初頭までに三倍増にしようという政策があるわけでございます。この政策が、まさに利便性、快適性という観点からだけではなくて、防災性の観点からも、防災性の高い町づくりの観点からも推進しなければいけない。その中で、先生おっしゃられた農地の活用という点についても、実は市民農園法とかあるいは生産緑地法ということで積極的に位置づけて、本来ならば公共団体が用地を全面的に買収して整備するという都市公園が一番いいわけでございますが、量的確保という点では必ずしもそれだけでは十分ではないということで、そういったものも活用しよう。  さらに、今国会提出予定法案の中には、いわゆる農地だけじゃなくて民間の持っておられる、例えば屋敷林とかあるいは空地とか、そういったものについても活用するための市民緑地の制度も実は検討いたしております。これもやはり緑サンサン・グリーンプラン、太陽がさんさんと輝くという、大臣はそういうお言葉を用いてこの政策を表現されるわけでございますが、その政策をさらに一層推進することが防災性という観点からも重要であろう、このように認識しているところでございます。
  224. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 非常にこれは、土地の価格の問題を含めて大変な課題だと思いますが、しかし現代を生きる私たちが真剣に考えなければならない課題だと思っておりますので、それと関連して感じるのは、余りにも過密、いわば経済合理主義とか科学万能主義に立ってきている。そして、余りにも過密都市をつくり上げてきた。それは四全総を含めて、それぞれの都市の歴史なりあるいはそれぞれの都市産業なり、文化の蓄積というのはみんなの努力によってなされてきたわけでありますが、この際に、これは建設省だけの問題じゃないわけでありますが、やはり超過密過疎、地方分散を含めて、やはり地方の中核都市あるいは大中小の都市を含めて国土全体、それぞれあらゆる分野において、この際、五全総策定の準備に入っているとも思いますが、見直していかなければならない課題ではないかなと痛切に感じております。  時間がありませんから、次に道路問題、これは阪神に集中するということがあり得るわけでありますけれども、第十一次道路整備五カ年計画などなど、今大変な御努力を積み上げられてきているのでありますが、端的に言えば、一つは、今回の阪神災害によってそれが見直しという部分があるのかどうか、あるいはどのような進捗方針に立っていらっしゃるのか、これは財源問題もあるわけでありますけれども、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  225. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 道路につきましては、現在第十一次の道路整備五カ年計画を進めているところでございます。この進捗率につきましては、平成七年度の当初予算までで全体の五六・七%ということでございまして、補正予算平成五年、六年とありましたので、全体としては計画で想定していた程度の進捗になっているということでございます。  また今回、阪神淡路大震災があったわけでございますが、この震災復旧と復興がこれから大変重要な課題として推進されることになるわけでございますが、その中においても道路事業というのが恐らく相当重要な役割を果たすことになる。それで、それなりにこの震災復興、復旧に関連した道路事業というのを推進する必要があるというふうに考えているところでございますが、五カ年計画につきましては、全国的な事業の量と事業の目標というのを定めたものでございまして、今の計画平成七年度でまだ三年目だというようなことでございまして、特に見直しをするというような必要はないというふうに理解しているところでございます。  いずれにいたしましても、今もいろいろお話がございましたが、やはり全国的なバランスのとれ た均衡のある発展ということが不可欠でございます。阪神大震災に絡んだ事業推進していく、これはもう大変重要なことでございますが、それ以外の地域につきましてもそれぞれ大きな課題を抱えているということでございますので、私どもとしては、そういう全国的なバランスというのに十分配慮しながら整備推進してまいる所存でございます。
  226. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 皆さんは、阪神高速を初めとして、特に道路問題全般にわたってなのでありますが、やはり予算はほとんど阪神に集中するんじゃないのかという心配をしているのであります。一定程度はそれは集中してやる以外にないということがあると思いますが、計画計画として全体的な立場推進をする、阪神阪神として集中的な対応もある、その点はちょっと、いつかの機会に明確にしておいた方がいいのじゃないかというふうに思います。  その点は大臣、どうなんでしょうかね、今の問題。
  227. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 もちろん阪神淡路の大災害でありますから、これについて重点的にやるというのは当然であります。  したがって、我々、当初予算をつくったわけでありますけれども、十七日に地震が起きる、もう二十日に提案しなきゃならぬ。それで、二十四日の日に阪神淡路の大地震についての補正予算は提起をいたします。したがって、当初予算はそれまでに積み上げた積算に基づいて予算をつくっておりますので別段大きな支障はない、今局長が申し上げましたように、予定どおり計画に従って整々と粛々と進めるということになろうと思います。
  228. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 それから、阪神災害によって水がめであるダムも相当な被害を受けたのではないか。しかも渇水期という渇水状況もある。それで、異常気象がもう世界的に続いているという状況があって、まず簡単に、阪神の水がめの問題、ダムの問題はどのような被害状況なのか。  それから、地元の問題で恐縮でありますが、いわば山形県的にも長井ダムを初め月山ダムあるいは乱川のダムなどについて、いろいろ長い間懸案の課題としてきているわけでありますが、あわせてどのような進捗状況にあるのかもちょっとお聞かせをいただきたい。
  229. 豊田高司

    ○豊田(高)政府委員 お答え申し上げます。  まず、このたびの阪神淡路大震災であの地方のダムの状況についてでございますが、淡路島はもともと雨の少ない瀬戸内気候帯でありましたから、従来よりかんがい用のダムあるいは洪水調節とあわせました多目的ダム等が既にできており、あるいは建設中であります。幸いにも、ダムというのは非常に大きい構造物ということで一つ一つ設計を丁寧にやっておるということで、今回の地震の後すぐ点検に入りましたが、少し変形をしておるところがありましたが、大きな崩れはありませんでした。それから、神戸の方でも一つ、活断層にかなり近いと言われておりますダムで明治時代につくったダムがございました。これをもう大変心配しておって、すぐチェックに入ったのですが、これも幸い大きな被害は受けておりませんでした。  阪神地方の水はどこから持ってきておるかと申しますと、琵琶湖に源を発します淀川から、ずっと数十キロ水路でトンネル等の導水をして阪神、神戸まで水を持ってきておるということで、水源自体には何ら心配はございませんで、ただ、水道のパイプ等あるいは上水道等が大きな被害を受けたということで、きょうの新聞ではもう七〇から八〇%回復したということを聞いておりますが、まだ全域にわたっていないという状況でありました。したがいまして、ダムなど水源については今回の地震でも大きな被害はなかったということで、私たちはそういう認識でおるわけでございます。  さて、先生お尋ねの山形県のダムについてでございますが、ただいま申し上げましたように、日本は地形の特性あるいは気象の特性から川の流量が非常に変動が大きいということで、多いときにはダムで洪水調節、少ないときには洪水時にためておいた水を少しずつ出すという多目的ダムというのが非常に有効だと思っております。おととしは大洪水、去年が大渇水で、現在も長崎、福岡などで給水制限が行われておりまして、去年では千五百八十万人が渇水の被害を受けたという状況でございます。  したがいまして、第八次治水五カ年計画に基づきまして多目的ダム等の事業推進しているところでございますが、山形県におきましては、月山ダムは赤川の洪水調節と庄内地方への水道の用水の供給ということで、現在平成六年の五月からダム本体のコンクリートを開始いたしました。普通ですと三年ぐらいでコンクリートが終わるわけでありますが、この地方は名にし負う豪雪地帯でありますので、冬の間がコンクリートが打設できないということで若干時間がかかりますが、ここまで来ますと後はもう時間の問題だというふうに認識しておるところでございます。一生懸命やって早期完成に努めてまいりたいと思っております。  それから長井ダムにつきましても、これは洪水調節とそれからかんがい用水と長井市への水道の供給を目的としたダムでございますが、これは用地もほぼ完了しておりまして、現在本体工事に必要な道路のつけかえ工事に進んでおるところでございますので、道路工事が終わりますといよいよ本体工事に着手していきたい、できるだけ早く本体工事に着手していきたいと思っているところでございます。  それから、乱川ダムにつきましては、これは県で施行していただいております治水ダムでございますが、これは平成四年度に実施計画調査に着手したものでございますので、現在詳しい地質調査を進めておるところでございまして、最終の設計ができますと建設に入るわけでございますが、現在詳しい地質調査をいろいろな角度から実施しているところでございます。  いずれにしましても、こういう多目的ダムというのは治水、利水上どうしても必要なダムということで、今後とも計画的に積極的に推進してまいりたいと思っておるところでございます。
  230. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 水の問題は、これは生活に不可欠なものでありまして、おっしゃるまでもなく大変な御努力をされていらっしゃるわけであります。それぞれの地元の関係者も大きな期待を寄せているということであります。財政問題その他大変だと思いますが、ひとつ一層頑張っていただきたいとお願いを申し上げます。  それから、時間がありませんが、道路の関係なんですが、特に山形県的には大変なお力添えをいただいておりますが、いわば高速の供用開始区間というのは御案内のような状況で、これに対してもこれはそれぞれの各地域で大きな期待を背負っていると思いますが、特に地元的に言えば東北横断自動車道酒田線、これも大変な御配慮をいただいておりますが、この進捗状況と見通しなどについて簡単に。  それから、あわせて地域高規格の関係、山形県的に言えば山形南部線を御指定をいただいた、それから新庄酒田線を御指定いただいたということでありますが、これも早期に何とか指定区間を整備区間にしていただいて、早く着工できるような体制をつくり上げていただきたい、大変な願望であります。その点について、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  231. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 まず、高速道路の関係でございますが、東北横断自動車道の酒田線でございますけれども、これにつきましては、既に笹谷トンネルを含めまして村田ジャンクションから寒河江間五十三キロについて供用中でございます。現在事業を進めておりますのが寒河江と月山沢の間三十一キロ、それから田麦俣から酒田北間五十三キロでございまして、この区間につきましては、第十一次の道路整備五カ年計画期間内に供用したいということで、現在用地買収、工事等を推進してい るところでございます。また、この酒田線につきましては、月山道路を活用しようということで考えておりまして、月山道路それから笹谷トンネル、これにつきましてもこの区間について活用するというような形で、とりあえず全線の供用を図るように努力したいというふうに考えております。  それから、地域高規格幹線道路でございますが、新庄酒田道路と新潟山形南部連絡道路という二本の路線を昨年の十二月に地域高規格道路としての計画路線として決定したところでございます。現在、この指定されました路線につきまして整備のプライオリティーの検討あるいは概略ルートの検討などの基礎的な調査を開始したところでございますが、今後調査の進みぐあいを勘案いたしまして、整備手法の検討環境アセスメントの実施、都市計画手続等の調査を進める調査区間、それから事業着手に向けて実施設計とか地元協議等を進める整備区間、こういう区間をできれば年度内に指定したいというようなことで、現在調査の熟度とか地元の状況等いろいろお聞きしているところでございまして、そういう具体的な区間指定から始まって、できるだけこの地域高規格道路につきましても、整備促進してほしいという要請が非常に強うございますので、整備促進に努力してまいりたいというふうに考えております。
  232. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 中央高速自動車道を含めて、大変な御配慮をいただいておりますが、なお一層ひとつ促進についてよろしくお願いを申し上げて、終わります。どうもありがとうございました。
  233. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)主査代理 これにて遠藤登君の質疑は終了いたしました。  次に、菊池福治郎君。
  234. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 戦後五十年、あの廃墟と荒廃の中から我々は経済大国をつくったわけであります。国民総生産、一人当たりの国民所得、あるいは公共投資の充実、社会福祉の向上、国民の中産階級化とか、あるいは安全で平和な社会の形成といったような、世界にもまれな国づくりをしたわけでございます。しかし、今度の阪神の大災害において、神戸地方は壊滅的な打撃を受けたわけであります。我々は、このことを考えた場合において、経済成長とか経済大国、あるいは我々のやってきたことは何であったか、我々は多くのことをなし遂げたけれども、また多くのことを失ってきたのではないかという感じもするわけであります。  我々はこれから何をなすべきか、何を目指して進むべきかということは、これは政治の大課題であり、真剣に考えなければならぬことでございますが、こうしたことについて大臣に、所感を一言述べてください。
  235. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 先生からお話がありましたように、戦後五十年、一つの節目がやってまいりました。  振り返ってみて、経済の成長に重点を置いて進めてまいりました五十年でありましたけれども、今後我々は、いわゆる少子・高齢化社会を迎えたわけでありますから、十分に福祉政策を前面に打ち出しながら、そして都市づくり等におきましても、堅牢なしかも安全性のある防災都市というものをつくっていかなければならぬ。そのことが子々孫々に残す我々の大きな使命と任務である、こういうふうに考えております。
  236. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 今の日本の都市は余りにも集中し過ぎておる。都市は過密である。都市の大改造、大改革というものは一刻の猶予もできません。しかし同時に、今の日本は、都市地方というか、中央と地方の格差が余りにもあり過ぎます。地方は過疎で魅力がないというふうに地方の人々は言っているわけでありますが、一極集中主義と言われますが、国土の均衡のある発展が一番必要なわけでありまして、地方をいかにして発展させるか、中央と地方の問題をいかに解決していくか、これは日本の政治、我々の最大の課題でございます。  私は、きょうはそういった都市問題は別の機会に譲りまして、地方の問題、特に私ども東北の問題、東北の将来について、特に東北の公共投資、公共事業のこれからの展開についてお伺いをいたしたいと思います。  その前に、一つだけ地震についてお伺いをいたしたいと思います。阪神大震災を踏まえて、高速道路、橋梁などの耐震基準の見直しの状況についてお伺いをいたしたいと思います。このことは、阪神のみならず今後の東北の道路、橋梁などにもいろいろと影響を及ぼすと考えられますので、このたびの阪神の道路、橋梁をどのように見直そうとするのか、その点をお聞かせをいただきたい。     〔近藤(鉄)主査代理退席、主査着席〕
  237. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 おっしゃるとおりに、日本の道路橋なり橋梁等につきましては、世界で最高の水準だと言われてまいりました。どんな地震があっても大丈夫という神話さえ生まれてまいりましたけれども、残念ながら今度の大震災では、落橋や橋脚が倒れるという悲惨な状態が生まれたわけでございまして、まことにもって残念に思っております。  したがいまして、今後このようなことがないように、橋梁学会や地震学会の皆さん方に現地に赴いていただきまして、研究に研究を重ね、原因を究明し、その対応策を一月二十四日、二月十日相次いで研究会が開かれておりますが、我々の希望としては、三月中にその原因の究明の中間報告をしていただいて、再びこのような災害が起きないような対応策をつくり、基準を見直しする必要があろうと思っておりますが、見直しもどんどんやって、そして全国の橋梁、道路というものを堅牢なものにしていかなければならぬと考えております。
  238. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 二十一世紀は東北の時代とも言われておるわけでありますが、日本全体の繁栄のためには、東北発展がその土台になると言われておるわけであります。  今、東北、北海道の方々は、北東銀河プランというふうなものをつくり、東北、北海道の総合的な発展を図ろうというプランをつくっております。東北発展のためには、もっと大々的な国家的な投資、公共事業などを急がなければならぬというふうに思うわけであります。それによって、東北の大きな未来の可能性を引き出すことができるというふうに我々は考えるわけであります。そのためには、東北新幹線の貫通とか高速道路あるいは空港の充実など、多くの課題が山積しておるわけでありますが、私は、そうした意味で最も切実に地域の住民に要望されておる東北の高速道路、特に三陸縦貫道についてお伺いをいたしたいと思います。  東北地方にとっては、道路こそ生活基盤であるという願いが大変強いわけであります。第十一次道路整備五カ年計画の進捗状況はどのようになっておりますか、お伺いをいたしたいと思います。
  239. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今もお話がございましたが、道路というのは、まさに根幹的な生活基盤でございますし、町づくりや地域づくりあるいは地域の活性化のための基幹施設ということで、大変重要な役割を果たしているところでございますが、まだ整備が十分でないものですから、いろいろな問題点がございまして、国民の皆さんからその整備が強く求められているところでございます。  今お話がございました道路整備五カ年計画の進捗状況でございますが、私どもとしても、そういう国民の皆さんの道路整備に対する要請にやはりできるだけこたえていこうということで努力しているところでございまして、平成七年度の当初予算までで第十一次の道路整備五カ年計画の総投資額は七十六兆円ということでございますが、五六・七%の進捗となる見通してございます。これは、平成五年、六年と補正予算がございまして、それでかなり進捗したというようなところがございますが、おおむね計画当初に想定していた程度 の進捗に今なっているというふうに理解しているところでございます。  今後とも、この完全達成に向けまして必要な事業費を確保いたしまして、その整備促進を図ってまいる所存でございます。
  240. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 第十一次道路整備五カ年計画におきまして、高規格幹線道路整備は特に重要であると考えられますが、その整備の進捗状況というものを御説明していただきたいと思います。
  241. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 高規格幹線道路につきましては、一万四千キロの全体の計画を持っているところでございます。いわゆる東京一極集中を是正して多極分散型国土形成、いわゆる均衡ある国土発展をつくるための基盤としてその整備が急がれているわけでございますが、平成七年度末の供用延長というのが六千五百六十五キロでございまして、ようやく供用率が四七%、まだ五〇%に達していないというようなところでございます。  私どもといたしましても、この第十一次の道路整備五カ年計画の最重要課題の一つだということでこの整備促進に取り組んでいるところでございまして、五カ年計画の最終年度でございます平成九年度末までに供用延長を七千八百キロ、これは供用率にいたしまして五六%でございますが、七千八百キロとしたいということで、現在、予算等につきましても最重点配分をするというようなことで、この整備促進に取り組んでいるところでございます。
  242. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 三陸縦貫道についていろいろお尋ねしたいわけでありますが、三陸縦貫道の宮城県内では、仙台−塩釜の仙塩道路、仙台松島有料道路、矢本石巻道路、桃生登米道路で事業が実施されておるわけでありまして、平成五年度までに仙台松島有料道路が供用されておるわけでございます。  それで、その先の方でございますが、平成五年七月に志津川—気仙沼までの基本計画区間というものが決定されたわけでありますが、三陸縦貫道の整備促進を図るために、基本計画区間であるこの志津川−気仙沼間の整備計画というものが大変地元でも要望されておるわけでありまして、志津川−気仙沼間の整備計画の決定というものはいつごろになりますか、これをひとつ御説明いただきたいと思います。これは、基本計画平成五年の七月ですから、既に一年七、八カ月もたっておるわけで、大変住民もその実現を渇望しておるわけでありますが、整備計画の見通しなどをひとつお示しいただきたい。
  243. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 三陸縦貫自動車道につきましては、仙台側から逐次整備を進めているところでございまして、今お話がございましたが、仙台松島道路まで供用しているということでございます。その隣の矢本石巻道路等については、用地、工事を促進しているところでございます。  今お話がございました志津川から気仙沼の間でございますが、平成五年の七月に基本計画を決定したところでございまして、現在整備計画策定に向けまして詳細なルートの検討環境調査等の調査を進めているところでございます。  この地域が三陸特有の大変急峻な地形であるということ、それから南三陸金華山国定公園が隣接しているというような問題がございます。また、そういうものも踏まえまして環境調査をやる必要がございますので、その辺の詳細な調査、また地質調査等を進めているところでございまして、私どもとしても、できるだけ早く地元自治体あるいは関係機関と十分な調整を図りながら、できるだけ早く整備計画策定したいということでございますが、ただいずれにいたしましても、今申し上げましたように既に事業化しているところがかなりの延長がございまして、この辺の整備をやはり促進する必要もございます。その辺の整備の進みぐあい等も勘案しながら、具体的な整備計画策定したいというふうに考えているところでございます。
  244. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 建設省の東北地建の仙台工事事務所の出張所というのが今度、石巻に七年度から設置されるということでございます。こういうことは、要するに志津川−気仙沼間の整備路線というものはいずれ近いうちに確定して、そういうことのための対応ではないか、そういうことに対応するためにそういう出張所というものがわざわざできたのではないかというふうなことも、地方の人々は考えているわけですね。大変その要望が高いわけでございますから、これは一日も早く何とか整備路線に決定をしていただきたいというふうに考えるわけですが、別にそれ以上のことは御説明ありませんか。
  245. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今もお話がございましたように、この三陸縦貫自動車道の地域に与えるインパクトというのですか大変大きい、それなりに大変重要な役割を担った道路だというふうに考えております。  そういう意味で、私どもとしてもそういう地域の皆さんの御期待にこたえるような、そういう対応というのが今後要請されているのだろうというふうに考えているところでございまして、先ほど全体のお話でも申し上げましたが、私どもとしても地域高規格道路につきましては、道路整備の中でもやはり特に重点を置く課題の一つだというようなことで、この整備促進に努力しているところでございまして、確かに全体的に結構延長が長いものですから、大変地域の人に、まだまだ進んでこないじゃないかというような、そういう感じを与えるところがあろうかと思いますが、私どもとしても、これは促進に全力を挙げているところでございます。  そういう意味で、皆さん方の御期待に沿えるように、この基本計画区間を整備計画にまず上げるということでございます。ええ、それはもう一日も早く上げるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  246. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 志津川−気仙沼間の今の整備計画をぜひとも早く決定していただきたいわけでありますが、気仙沼市内のルート決定というものも大変重要なことであると思いますが、ルート決定の状況はどういうふうになっておるか。気仙沼の鹿折という地域、蜂ケ崎架橋の海岸ルートというものが一番適切であって妥当だと地域方々も望んでおるというふうに今言われておるわけでございますが、そうした気仙沼のルートについて、お考えがあればひとつお聞かせを願いたいと思います。
  247. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 気仙沼市内のルートの問題でございますが、このルートの選定に当たりましては、地形とか地質の問題、それから地域土地利用の問題、あるいは開発状況がどうなっているかというような問題等々を調査いたしまして、その辺の調査結果を踏まえて整備したいというふうに考えているところでございますが、既に山側の方には四十五号の気仙沼バイパスがあるわけでございまして、この辺の機能分担をどうするかというような問題もございます。  今お話がございましたように、現在のルートの検討といたしましては、今お話がございましたように海側ルートと、それから気仙沼バイパスの西側を経由いたします山側ルート、そういうルートがございまして、比較検討を今進めているというふうに聞いております。  今のお話ですと、海側のルートの方が適切だというようなお話でございますが、現在地方建設局の方で地元の自治体あるいは関係機関ともいろいろ調整を図りながら、最終的にルートをどうするかというのを検討しているというふうに聞いているところでございまして、今の御意見については、地建の方にお話はさせていただきたいというふうに考えております。
  248. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 三陸縦貫道ですからね。山の中ばかり走ったのでは三陸ではないので、三陸沿岸の景観というものもありますから、そういう点も考えていただきたいと思うのですが、もう一つは、気仙沼から北の陸前高田の方に行く線が空白になっておるわけですね。これも気仙沼から陸前高田市に向かっての線を基本計画が早く決定されるように、その地域方々は望んでいるわけで す。  今度も三月の十一日に岩手県で、気仙沼の隣の陸前高田市、今のところは白紙ですが、陸前高田市で、気仙沼市と隣の宮城県の唐桑町と一緒に、そういう方々が千数百人集まって、三陸縦貫道の促進、今申し上げました海岸ルートの実現を図ろうという決起大会を今度の三月十一日に開催をする。地域方々は、この高速道路について非常な熱意を持って頑張っているわけです。したがって、今までも志津川町、歌津町とか、その沿線の本吉町とか気仙沼市とか、大臣のところにもたびたびお伺いしてその点は陳情しているわけですが、こういう大会を開いたり、こういうふうな地元民の熱意というものは大変なものでございますから、ぜひそういう点を酌み取っていただいて、白紙になっておる気仙沼から陸前高田市までの基本計画といいますか、それを早く決めていただきたいというふうに思っておるわけでございます。  時間がありませんから続けて申しますが、三陸縦貫道の整備促進を図るためには、今は主に宮城県のことですが、岩手県の整備も大変必要であり重要であるわけです。基本計画区間の山田町から宮古市の間及び予定路線区間である三陸町と釜石間の調査状況はまたどうなっておりますか。これは、東北道とか東北新幹線とかというものに相対立する三陸沿岸の東北を走る路線ですから、距離は確かに長いわけでありますが、この幹線道路をつくらなければ、東北は偏った形の繁栄というかそういうことになるわけで、ぜひその三陸縦貫道をなし遂げるためには、今言った気仙沼と志津川間の整備路線、気仙沼から岩手県の陸前高田市に至る空白地帯、早くこれを基本計画に入れてもらう、それから今申し上げましたようなもっと北の方の地域に対しても、ひとつ積極的な考え方を示していただきたいというふうに思うわけでありますが、そのことについて御説明いただきたいと思います。
  249. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございました気仙沼から北側の陸前高田までの間、これはまだ基本計画が決定していないわけでございます。また岩手県内の基本計画策定されております山田から宮古の間、それから予定路線でございます三陸から釜石の間、それぞれにつきまして、現在ルートの検討とか環境調査とかいろいろな調査を私どもとしても進めているところでございまして、それぞれの区間につきまして、予定路線のところは基本計画をできるだけ早く策定しよう、それから基本計画区間につきましては整備計画区間、事業計画区間にできるだけ早く持っていこうというようなことで努力をしているところでございます。  先ほども申し上げましたように、この三陸縦貫道というのが地域にとって、この地域発展のための基盤道路として大変重要な役割を果たすということは私どももよくわかっておりますし、それから今もお話がございました、地域の方のこの路線の整備に対する期待というのが大変大きいということも、私どもも十分よく承知しているつもりでございます。私どもとしても、地域の皆さんの御期待に沿うように、今後最大限の努力を払ってこの整備促進に努力してまいる所存でございます。
  250. 菊池福治郎

    ○菊池分科員 今も申し上げましたが、三陸沿岸というのは日本でも屈指の漁場なんですね。金華山沖漁場というのが沖合にあるわけですが、これは世界三大漁場の一つ、ノルウェー海岸、ニューファンドランド沖と並んで世界三大漁場と言うんですが、私は気仙沼市の出身ですけれども、これはサンマとかマグロでは日本一、マグロなんかをとる船は全国で一番多いわけで、乗組員も一番多いわけです。そういう物産とかそういうものを動かすにも、観光的にもすばらしい地域でありますから、ぜひこういう点を考えて、この地方発展のためにはどうしてもそういう高速道路が必要になってくるわけです。  仙台は宮城県の県都でございますが、仙台まで我々の気仙沼から三時間自動車でかかるわけです。三時間かけなければ県庁に行けないというのは、これは本来であれば大変なことなんですね。山の中の一軒家から行くんではないわけですから、田舎では、地方では六万五、六千の中都市ですから、そこから県庁まで三時間車でかかるということは、結局高速道路がないからですね。そういうことになる。  三時間という時間は、東京から大阪、新幹線で行けば大阪以上行ってしまうわけですから、そういうことを地域の人々は、どうしてこういうふうに地域的におくれているんだとか、あるいはなぜ縦貫道というものはできないんだとかしかも早くできないんだとかというそういう熱意、念願がありますから、大変そういう点においては盛り上がって中央にも陳情申し上げておる。  一生懸命地域方々はこの問題に取り組んでいるわけでありますから、ぜひひとつ、時間はもうありませんから、今申し上げましたような、意を尽くしませんけれども、いろいろ申し上げましたが、そういう意味を十分にお考えをいただいて、何とか三陸縦貫道を一日も早く実現するように、それが東北発展東北発展は日本全体の発展の土台になるんだ、こういう考えを今皆持っておりますから、そういう意味東北発展のために縦貫道の一日も早い促進お願いいたしたいと思います。  どうも失礼いたしました。
  251. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて菊池福治郎君の質疑は終了いたしました。  次に、岩浅嘉仁君。
  252. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 新進党、徳島県の岩浅嘉仁でございます。もう長時間お疲れさまでございます。五時を回りましたので、私もごく短時間で質問を終了さしていただきたいと思います。  関西と四国というのは大変近い関係にあるんですけれども、特に私の出身地でございます徳島というのは、近畿知事会の一員にも入っておりますし、四国で唯一近畿知事会にも加入しておる。関西圏には徳島県の出身者、二世、三世合わせますと百万人おるという説もあるぐらい、大変つながりの深い関係があります。去年関空ができまして、我々も関西圏の一員としてこれから頑張るぞ、こういう大きな期待を持っておりましたところに、今回の震災で水を差されたような気持ちがいたしておりますけれども、特にこの震災の影響で、私どもが長年にわたりまして待望いたしておりました明石海峡大橋、今建設をしていただいておりますけれども、このことについてまずお伺いいたしたいと思います。  御承知のとおり、明石の橋は紀伊半島の沖あるいは土佐沖でマグニチュード八の地震が起こっても耐えられるというふうな設計をされておられると聞いております。しかし、この地震の影響で、先般海上保安庁が海底調査をしますと、淡路島の北東部でございます野島断層の延長に一本、さらにまた神戸の須磨沖に二本の新たな断層が見つかった、こういう中間報告もなされておるわけでございます。  素人でございますけれども、単純に考えまして、こういうことを非常に心配をいたしておるんですが、本四公団の調査によりますと、明石の橋の三Pですか三Pが一・三保メートル、四Aが一・四メートルですか、西の方にずれておる、こういう調査結果が発表されたわけなんですが、我々は、この地震の影響で明石の橋の構造に何らかの影響が出ておるのかどうか。  最も知りたいことは、十年の春に開通ということを当初から言われておりまして、実は徳島県のいろいろな施策もこの十年春に照準を当てでいろいろな予算措置を今までやってきて積み重ねてきておるわけでございます。そういう意味で、構造に変化がないのかそれから十年春の開通は心配ないのか。  さらにもう一点、神戸が壊滅的打撃を受けておりますから、道路も寸断されておりますし、今後、その復旧、復興を考えますと、資材とか機材あるいは建設作業員の確保、こういうことも非常に、今想像できないほどの難しい問題が出てくる のではないか、これは後ろ向きの議論でございますけれども、そういうことも可能性として考えられる。こういうことを加味しまして、当初の開通計画である平成十年春、これは堅持できるのかどうかまずお伺いをいたしたいと思います。
  253. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 明石海峡大橋のお話があったわけでございますが、今もお話がございましたように、明石海峡大橋の設計というのは、南海大地震等の大型の地震を想定いたしまして、相当大きな地震力に耐えられるようにというようなことで設計をしているところでございます。それから、ピアとかアンカーを設置する場所につきましても、地質調査を綿密にやりまして、断層というようなものはできるだけ避けるということで、強固な地盤の上にセットするというようなことで計画をしたところでございます。  ただ、今回の地震というのが、非常に近接した場所に震源、今回の地震の震源地があったんじゃないかというようなことか言われておりますし、いわゆる今回の地震で動いたと言われております野島断層も非常に近い場所にあります。そういうことで、この明石海峡大橋に影響があったかどうかというようなことをすぐにいろいろチェックしたわけでございます。  地震の発生直後に構造物をまず目で、目視でチェックいたしましたが、既に架設が完了しておりますタワー、メインのタワーが二本ございますが、それから両岸のアンカレージ、ケーブル、これが今架設が完了しているわけでございますけれども、全然損傷は認められなかったということでございます。  それから、人工衛星を使ったGPS測量で、それてそれぞれのアンカレージとかタワーの位置関係についてチェックしたわけでございますが、チェックした結果、先ほどもお話がございましたが、やはり今度の地震で地殻変動がどうもあったようでございまして、本州と淡路島の間が約一・一メーター相対的に変位しているということが確認されたわけでございますけれども、この一・一メーターというのは、全体の橋梁の規模が三千九百十メーターという橋でございますので、全体の規模からすれば、まあ小さい、構造物に与える影響というのはほとんどないというようなことが確認されております。  それから、あと基礎について、水中に基礎をつくっていますので、この基礎についても水中カメラで調査を行ったわけでございますが、その調査結果からも、構造物の損傷それから地盤の変状、これはもう認められておりません。  そういうことで、これらの調査結果につきまして、本四公団に、いろいろな技術の問題を検討していただく橋梁工学、耐震工学等の専門家先生方にお集まりいただいている本州四国連絡橋公団技術委員会というのがございますので、その技術委員会にも報告をいたしまして、御意見をいただいたところでございますが、今回、地殻変動で橋が一・一メーター伸びたわけですけれども、橋梁計画に及ぼす影響というのはない、力学的にも全然問題ないというようなお話をいただいているところでございます。今後も、この委員会の御指導を得ながら、一応平成十年春の供用というのを今目指しておりますけれども予定どおり事業の進捗を図ることとしたいというふうに考えております。  それから資材とか労務者ですね、その辺が、今回の地震の復旧、復興というようなことで、確かに、当面復旧等に当たるというようなことで、特に人の確保というのが一時期大変だったという話は聞いているわけでございますけれども、これは特殊な労務者の方に実際の現場をやっていただいているということもございますが、そういう人あるいは資材についても確保いたしまして、先ほど申し上げましたように、予定どおり事業の進捗が図れるよう、今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  254. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 当初目標どおり十年春ということを堅持していただくと伺いまして、安心をいたしました。淡路島というのは、昔、江戸時代、藩政時代は徳島、阿波藩でございましたし、明治九年ごろまでは実は徳島県に入っておりまして、そういうことで、徳島とは非常に縁の深い地域でございまして、兵庫県のことですけれども、我々徳島県民は徳島のことだというふうな認識でおりますので、ぜひこの平成十年春を達成していただきたいと改めて要望申し上げておきます。  さらに、今菊池先生からもいろいろお話があったのですが、私も過疎地帯の出身でございますけれども、四国は高速道路の非常に後進県でございますが、地方の高速道路の建設について、建設省の基本的な考え方を伺っておきたいのです。有料制ということでいきますと、料金も野方図に上げていくというわけにいきませんけれども、やはり国が責任を持って均衡ある国土発展を図っていくためには、まだまだ高速道路の建設というのは日本はおくれておると思いますし、過疎地域は特にその被害者のようなところがございます。今菊池先生は、高速道路は生活だとおっしゃいましたが、我々のところですと道路は福祉だというふうな、そういう気持ちも大変強いわけなんですが、地方の高速道路につきまして、今後どういう考え方で、決意で取り組んでいかれるのか、大まかで結構ですから、それだけお願いします。
  255. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 先ほど菊池先生のときにもお話しさせていただいたのですが、この高速道路、高規格幹線道路につきましては、まさに活力ある地域づくりの基盤になるものだ、その整備がまだ五〇%にも達していないということでございます。特に、地方の高速道路の整備がまだまだおくれているということでございますので、私どもとしても、活力ある地域づくりをやる、国土の均衡ある発展、多極分散型の国土づくりをやっていく。そういうためにも、やはりそれぞれ全国的に均衡のとれた発展が図られねばならないわけでございまして、その基盤となるのが高速道路だというふうに私どもも認識しているところでございますので、この高速道路の建設につきましては、やはり最重点課題として取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。  特に、前回の料金値上げの際にいろいろな御意見があったわけでございますが、この問題については、現在、道路審議会の方でいろいろ御議論をいただいているところでございます。できるだけ早くこの御議論についてもおまとめいただいて、高速道路ですから、やはり国が責任を持って進めるべき事業だというふうに私ども考えておりますので、そういう視点に立って、できるだけ整備促進されるように、今後とも頑張ってまいりたいというふうに考えております。
  256. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 需要と供給のバランスがよく言われるのですけれども、私は、供給すれば需要が喚起されるという視点も、この高速道路についてはぜひ持っていただきたいと思っております。  それから、個別の問題に移るのですけれども、四国の中の高速道路なんですが、もう御承知のとおり、四国の延長率というのは三一%ですね。全国平均が四九%ですから、やはりおくれておるということが実際の数字に出ております。  徳島のことなんですけれども、恥ずかしいことなんですが、徳島県は高速道路が開通しましたのが昨年の三月で、全国都道府県で最後に約三十一キロが開通しまして、これも通行量調査をしますと、軽自動車とか普通車が九〇%ということですから、生活道路になっておるわけなんですね。地域の大動脈にはなっておらない。これは当然でございまして、ああいったところだけ高速道路ができたわけですから。  その中で、徳島県も鋭意取り組んでおりますが、当初、平成七年秋ごろには、ことしですか秋ごろには徳島−監住間、そして来年、八年末には脇−美馬間、そして平成九年度には美馬−川之江間を開通させて徳島と川之江を結ぶ、こういう目標でおるわけなんですが、いろいろな、特に美馬−川之江間で最近非常に難しい問題も惹起しておりまして、この目標が難しいのではない かということが巷間言われておるわけでございます。  九年度ということは、多分、今お話ございましたように、明石海峡大橋が開通するのが十年の春ですから、十年の春に合わせて、どんどん入ってくる車をスムーズに流すためにこの区間を九年度、明石海峡とほぼ同時に開通させるということで取り組んでいただいておると思うのですけれども、この九年度という徳島−川之江間全線の目標については、これもひとつ堅持していただいて実現させていただくというふうに考えてよろしいでしょうか。
  257. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 徳島県内の四国縦貫自動車道の供用の見込みでございますが、現在は藍住−脇町間の三十二キロが供用中でございまして、この藍住から徳島間九キロでございますが、これにつきましては今平成七年秋という話でございますが、平成七年度には何とか供用できるというようなことで現在工事を進めております。  それから、脇町から川之江の間でございますけれども、当初の予定ですと十一次五カ年計画期間内に何とか供用したいということで取り組んでおったところでございますが、確かに若干用地買収等の問題があって、当初の見込みの達成というのが危ぶまれているというようなお話は聞いておるわけでございますが、ただ明石海峡の橋が平成九年度、平成十年春にできるということでございます。四国内の高速道路のネットワークも、それなりにやはり整備されておくことが必要でございます。  そういう意味でも、今若干危ぶまれているというようなことではございますけれども、できるだけ当初の目標が達成できるように、できる限り努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  258. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 ありがとうございました。  あと二点なんですけれども、これも菊池議員さんの質問とよく似ておるのですが、どうしても道路に集中してしまうのですけれども、昨年末に私どもが待望しておりました徳島県の阿南から高知県の安芸まで約百四十キロ、これを地域高規格道に指定をしていただきまして大変ありがたく思っております。藤井技監さんも現地をごらんになっていただきまして、いろいろ適切なアドバイスもいただいてきたわけでございますが、この阿南地域高規格道路の阿南−安芸間のうち、特に阿南−日和佐間、この区間はもう雨が降りますと通行どめになります。迂回路も脆弱、狭い道しかないということで大変不便を来しておるわけなんですけれども、この整備区間の指定の見通しについて御示唆をいただきたいと思います。
  259. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 阿南−安芸間の道路につきまして、昨年地域高規格道路の計画路線として指定をしたところでございます。この道路というのは、高規格幹線道路のネットワークから外れていたということもございまして、この路線がネットワークヘ入りますと、四国のまさに高規格幹線道の循環道路のネットワークがさらに充実するというふうなことになる路線でございます。そういう意味では大変重要な路線だというふうに考えておりますし、地域の皆さん方の御期待も大変大きいというふうに考えているところでございます。 このルートにつきましては、この道路につきましては基礎的な調査を今やっているところでございますが、中でもこの阿南と日和佐の間につきましては、従来から異常気象時、台風等の際に交通どめをしなければいけないような、事前通行規制区間というふうに言っておりますが、そういう区間だったというようなこともございまして、この阿南−日和佐間の国道の改良工事をやろうというようなことでいろいろ検討を進めてきた区間でございます。  本年度、平成六年度につきましても、具体的なルートの検討とか環境に関する調査等を進めているようでございます。整備計画区間にしてほしいという御要請というのは私どももよく承知しておりまして、これから最終的な区間指定というのをやるわけでございますけれども、この調査の進みぐあい等を勘案するというようなこと、それから全国的なバランスの問題もちょっとあるわけでございますが、できるだけ地域の御要望にこたえるように、私どもとしても努力してまいりたいというふうに考えております。
  260. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 最後になりますけれども、この間の震災で、第一国土軸が、東西に分ける神戸の震災で第一国土軸の限界というものも出たように思うのですが、これから、新太平洋国土軸ということが今やかましく言われておりますけれども、これはちょっと先の話であろうと思うのですが、この新太平洋国土軸、第二国土軸は大体四国の縦貫道をずっと通っていきますけれども、補完ルートとして、大きな国土軸の補完ルートとして国土軸と同時に補完ルートも考えておく。こういう発想に立ては、徳島から阿南、安芸、高知、大洲といった太平洋ルートですね。国の基本的な施策の中に、徳島から安芸、高知、大洲という縦貫道の補完ルート、第二国土軸の補完ルートとしてぜひ建設省もこういう考えを持ってこのルートに取り組んでいただきたいと思います。  最後になりますけれども、紀淡海峡ですけれども、これは鉄建公団が昭和五十八年からいろいろ調査をしていただいております。最近は、近畿地建の方が数年前に橋梁説を唱えまして、徳島県の世論も橋の方がいいんじゃないかというふうな声もだんだん大きくなってきておるのです。当初は海底トンネルでカートレーン方式とかいろいろ和歌山県の仮谷知事さんなんかおっしゃっていましたけれども、和歌山県もいろいろな積極的な調査を県単独で続けておられるようでございますが、建設省として、この紀淡連絡道につきまして現在はどういう考えを持たれておるのか最後に伺っておきたいと思います。
  261. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 この紀淡連絡道路につきましては、先ほどもお話がございましたが、太平洋新国土軸の一環として検討されている大規模プロジェクトでございます。紀淡連絡道路というようなことで私ども位置づけているわけでございますが、この紀淡海峡道路につきましては、まずは技術的にどうだろうかというような検討平成三年から四年度にかけまして検討いたしましたが、もう既に明石海峡大橋という長大橋の技術があるわけでございますが、その辺を基本にして、若干、二、三割程度の大きさの橋だと技術的にはもう問題ないというようなお話をいただいているところでございます。そういう意味で、私どもとしても、この紀淡連絡道路については、やはり橋である程度建設可能ではないかなというふうな考え方を持っています。  ただ、大変建設コストがかかるというような問題がございますし、橋の果たす役割というのですかその辺について、やはりそれなりに国民的な評価を得なければいけないというふうな問題もございます。そういう問題についていろいろ今調査を進めているところでございまして、今回のあの地震でも、東西方向の中国自動車道、これがだめになったために東西方向の輸送に大変大きな影響が出たというふうなことがございまして、そういう中で、やはり新しい国土軸必要性というのも一層高まってきたのではないかというふうに考えているところでございます。  私どもとしても、今後この紀淡連絡道路につきましては、これは県と協力して調査していきたいというふうに考えておりますけれども、県と協力しながらこの調査をさらに一層進めるというふうなことで取り組んでまいりたいと考えております。
  262. 岩浅嘉仁

    岩浅分科員 ポスト明石は紀淡だというふうにもうコンセンサスはできつつありますので、ぜひ積極的なお取り組みをお願い申し上げまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  263. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて岩浅嘉仁君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。    午後五時三十二分散会