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1995-02-08 第132回国会 衆議院 予算委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月八日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君    理事 草川 昭三君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    浦野 烋興君       江藤 隆美君    越智 伊平君       熊代 昭彦君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    関谷 勝嗣君       東家 嘉幸君    中山 太郎君       村山 達雄君    若林 正俊君       伊藤 達也君    石井 啓一君       石田 勝之君    上田 清司君       川島  實君    左藤  恵君       笹木 竜三君    月原 茂皓君       野田  毅君    広野ただし君       冬柴 鐵三君    松田 岩夫君       山口那津男君    山田  宏君       池端 清一君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       細川 律夫君    前原 誠司君       穀田 恵二君    松本 善明君       海江田万里君  出席公述人         奈良女子大学生         活環境学部助教         授       木村 陽子君         株式会社日本総         合研究所主任研         究員      宮脇  淳君         株式会社野村総         合研究所理事長 鈴木 淑夫君         オリックス株式         会社代表取締役         社長      宮内 義彦君         政治評論家   屋山 太郎君         財団法人日本交         通管理技術協会         会長      浅沼清太郎君  出席政府委員         内閣官房副長官 園田 博之君         総務政務次官  宮路 和明君         防衛政務次官  渡瀬 憲明君         経済企画政務次         官       細田 博之君         外務政務次官  柳沢 伯夫君         大蔵政務次官  萩山 教嚴君         大蔵省主計局次         長         兼内閣審議官  武藤 敏郎君         大蔵省主計局次         長       伏屋 和彦君         文部政務次官  岡崎トミ子君         厚生政務次官  狩野  勝君         農林水産政務次         官       谷津 義男君         運輸政務次官  細谷 治通君         労働政務次官  森  英介君         建設政務次官  簗瀬  進君         自治政務次官  小林  守君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月八日  辞任         補欠選任   高鳥  修君     熊代 昭彦君   工藤堅太郎君     広野ただし君   矢島 恒夫君     穀田 恵二君 同日  辞任         補欠選任   熊代 昭彦君     高鳥  修君   広野ただし君     上田 清司君 同日  辞任         補欠選任   上田 清司君     工藤堅太郎君     ――――――――――――― 本日の公聴会意見を聞いた案件  平成七年度一般会計予算  平成七年度特別会計予算  平成七年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算平成七年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。  この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわりませず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成七年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  御意見を承る順序といたしましては、まず木村公述人、次に宮脇公述人、続いて鈴木公述人順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、木村公述人にお願いいたします。
  3. 木村陽子

    木村公述人 奈良女子大学の木村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  国会に来ましたのは中学の修学旅行以来のことでございますので、なれないところで少し緊張いたしております。そして、私は関西の生まれで、ちょっと早口の癖がありますので、もし言葉遣い早口になってまいりましたら、手を挙げていただければゆっくり話す努力をいたしますので、よろしくお願いいたします。  きょう私が話をさせていただきますのは、高齢社会財政という問題についてでございます。時間が限られておりますので、三点ほどお話をさせていただきたいというふうに思います。  第一点目は、高齢社会で、福祉財政と申しましょうか、どういうような財政構造が望まれているのかという点が第一点でございます。第二点は、その観点から見ますと、ことしの予算というものはどういうように評価できるのか。それから第三番目に、今後の方向といたしまして、今後の福祉予算に望むことについて話をさせていただきたいというふうに思います。  それでは、一番初めの点でございますが、高齢社会財政構造というものは、これまでの社会財政構造とはかなり違うものを持っている、そのような財政構造とはどういうものなのかということについて、まず一番初めに話をさせていただきます。  まず、言うまでもなく高齢社会財政といいますのは、国民経済活動に占める公共部門割合、これが大きな社会である、大きな経済であるということが言えるかと思います。これはとりもなおさず、非常に高負担あるいは中負担と申しましてもいいのですが、少なくとも中負担以上の高負担社会が来るということは間違いないということであります。その一方で、歳出構造におきまして社会保障の占める割合が大きな割合になってくるのだ、これも一つそのとおりであります。  ここまでのところはよく言われることなのですけれども、社会保障割合がふえるに伴いまして、社会保障支出に占める質的な構造変化が同時に起こってくる社会であるということが言えるかと思います。社会保障は活力を阻害するとか、いろいろな方面からその経済効果におきまして反論されることも多いのですけれども、多くの見方は、社会保障は、年金医療社会福祉ですけれども、いろいろなことで批判されながらも、これからの二十一世紀の社会でもなおかつ支持され続けるであろうということが言われております。  それはとりもなおさず、単に所得の低い人々のためだけではなくて、いわゆる中流層と言われる人々生活設計にまで、例えば年金を見ましても、もう既に老後収入の六、七割ほどになっておりますが、それほどまでに生活設計の中に組み込まれた重要なものであるということが言えるからです。  では、先ほどの質的な変化をもたらすものは何かということと、それからどういうふうな形で質的な変化が生じているのかという点について話をさせていただきます。  質的な変化をもたらしているものは、それはすなわち介護問題そのものでございます。介護問題と申しますのは、今最も国民の間で不安感が強いものというふうに意識調査でも出てくるものでございますけれども、寝たきりになったときにだれに面倒を見てもらうかという問題です。まあ一人一人につきましたら、介護期間が延びたこと、それから介護を要する人が少数の問題ではなくてマジョリティーになったことという問題がまずございますが、その問題が社会的に対処を要する問題になったということでございます。  それがなぜなのかということですが、今後の社会を形づくっていく上で、先進諸国が受け入れている価値観というものが、一つは、よくお聞きになるようなノーマリゼーション、老人もそれから健常者障害者も、皆住みなれた地域で通常の暮らしをしたいんだ、それを支えていこう。私たちは、若いときに一生懸命働くのだけれども、老後になって自分が要介護状態になったときに安心して暮らせる、安全とか安心を与える社会を建設しようということが一つ価値観になっているからです。これはまた大変な決意ということを表明することでもあります。ノウハウが要りますし、また、金がかかる社会とでも言えます。  その一方で、男女共生社会といいますか、機会の均等というものも尊重される社会になってまいりました。研究者観点からいいますと、介護とかそれから育児という方面で、非常におもしろい変化ということが起こっております。それはどういうことかと申しますと、従来は、介護というものを社会的に見ていこうという場合は、女子の就労率が上昇したんだ、それから離婚、再婚がふえたがために、家族がそもそも介護というものを担い切れないんだということが従来言われてきたことでございます。  これは、言葉を返せば、家族機能を公的に補完していくんだということが一つの性格づけということで大きかったのですが、それだけでは説明のつかないような制度先進諸国生まれてきている。それは、例えば家族老人の面倒を見る場合にも手当を出しましょう、あるいは子供を家庭で見る場合にも手当を出しましょうというふうに変わってきているということでございます。  これはとりもなおさず、個人の自立ということを考えまして、自分たちひとりで生きて、ひとりで死んでいく人生なんだ、老後は。そして、できるだけ、例えば調査なんかでよく出てくるのは、親の介護のために一人息子仕事をやめて、そして親の面倒を見る。そうしたら、今までの制度ですと、その息子さんはまた老後年金もないというような生活が予測されるわけですけれども、そういうふうに社会的な介護とか育児とか重要なことを役割分担した人が後で不利になるような制度では望ましくないんだ、生き方のいろいろな多様化を認めるけれども、片一方で選択によって不利にならないようにするんだということが一つのコンセンサスとして出てきているということが言えるかと思います。  それでは今度は、実際の予算とか、そういう面において介護という問題がどのような質的な変化をもたらしているのかということについて話をさせていただきます。  それは、まず第一点から申しますと、国と地方公共団体役割分担をこの介護という問題は大きく変えているということでございます。先進諸国におきましては、この介護老人の面倒を地域で見ていくという事柄は、すべて地方公共団体仕事になっております。その理由は、とりもなおさず、これはもう財・サービス供給主体とするために、地方地域住民ニーズに合ったサービスを提供する方が効率的なのだという考え方が貫かれているからでございます。  片一方で、中央政府財政赤字から、地方仕事を移管するということもございますけれども、日本でも、一九八九年にゴールドプランが発表されましたし、一九九〇年には老人福祉法改正がありまして、この地域福祉責任をとるのは市町村であるというふうに明記されました。片一方で、全国津々浦々の市町村老人保健福祉計画を立てることになりました。  それで、これは、地方分権地方自治ということから見ますと、福祉分野で起こった小さなことのように見えますが、非常に大きなことで、この意味は大きいと言われました。ある意味地方分権の試金石であるとも言われた事柄でございます。と申しますのは、市町村みずからが、住民ニーズが何なのかということをまず考慮をして、それからニーズに合ったサービスの内容とか水準まで決定していくのだということまでしたからでございます。そういうふうな、地方分権が待ったなしで行われている分野がこの地域福祉と言えるかと思います。  そうしますと、できるだけ地方に体力をつけねばならない。国庫支出金一般財源化日本でも一般財源化方向に進んでおりますが、これは私は、地方自主裁量を大きくする点からは望ましいことであるというふうに考えておりますし、地方消費税についても同じように考えております。市町村の方々の声は、国庫支出金でもらう方がいいと。なぜかというと、一般財源化されると財政課の方に頭を下げなければならないから嫌だというふうな話も聞くのですけれども、長期的な方向としては、地方自由裁量を大きくするという面からはこれが望ましいだろうというふうに考えております。  それで、二番目の質的な変化でございますけれども、年金の場合ですと金銭給付だけでよかったわけですが、地域福祉になりますと、サービス、人的なサービスが主になりますので、ここでは物、それからマンパワーの問題が出てまいります。これは、社会保障ではかつて経験しなかったぐらいの規模で物あるいは人、そういうものが必要になるということでございます。  片一方で、この介護の問題が、医療あるいは年金にも大きな変化をもたらしております。と申しますのは、将来的に、今のような施設の選び方ではなくて、施設を私たち個々人が選択することができるのだ、福祉供給主体というものも多元的に変わっていくのだ、今の例えは医療保険のようなものを想定してもいいかと思うのですけれども、こういうふうになりますと、利用料老人本人負担するということになってまいりますので、購買力老人がつける必要が出てまいります。  片一方で、日本現状を見てまいりますと、国民年金空洞化とよく言われますように、数百万人の規模、三百万人と推定されたり百万人と推定されたりいたしますけれども、その規模で、今のところ年金保険料を滞納しているかあるいは適用されていないかとかで払っていない人が出てくる。これは、将来的には年金が非常に低い人か、あるいは無年金者が大きな規模で出てくるということを示唆する問題でありますので、私は、これはゆゆしき問題であるというふうに考えております。  そして、二番目の点でございますが、ことしの予算というものをどう評価するかということでございます。  ことしの予算は、四十年ぶりのマイナスの予算というふうに言われておりますけれども、その中で、私個人といたしましては、新ゴールドプランがスタートできたりあるいはエンゼルプランということを考えますと、この面では高く評価できるのではないかというふうに考えております。  しかしながら、片一方で、公共投資の配分につきましては依然として硬直性が見られるということから、高齢化社会において財政構造質的変換を迫るときには、このような硬直性を持ったままの予算というものは、今後、現状もそうですが、大きな問題ではないかというような気がいたします。  最後に、残された時間についてでございますけれども、今後の福祉予算に望むことということで話をさせていただきます。  ことしの予算も、赤字が見えないような形で隠れ借金つじつまが合わせられたと言われておりますが、隠れ借金が六兆円ぐらいになるだろうと拝聞しております。私は、こういうふうないつまでも隠れ借金つじつまを合わせるような仕方というのは、高齢社会で、昭和四十八年ごろに、年金におきましても、制度改正がなくても高齢化だけで年金保険料率が、今の赤ちゃんが三十歳ぐらいになるころには三四%ですか、それぐらいになるような制度がもうインプットされたわけですから、高負担ということは避けられないのではないかというふうに考えます。  そのときに、ではどのような負担をしていくのかという問題が次に出てまいりますけれども、よく、福祉が必要だから税金を上げなければならないというふうな議論がございます。  私は、福祉と申しましても、例えば社会保障ですと、年金とか医療とかそれから社会福祉、そういうふうに制度が多岐に分かれておりまして、その制度ごとに性格が異なるがために、きめの細かな議論を進めていく必要があるのではないかということが一つと、それから、年金というものは、これはもう高齢社会で大きな負担になることは間違いないことでございますので、その年金負担あり方とそれから税制というものを分離して考えることはできないのではないかというふうに考えております。  それで、私は、まず国民年金国庫負担引き上げということで、これは今度の年金改革案が通る前は非常に神経質な問題として取り上げられておりましたけれども、基礎年金につきましては、私は社会保険方式現状では無理があるのではないか、限界があるのではないかというふうに考えて。おります。  それは、一つは、空洞化と言われる先ほど申し上げた問題が第一点で、若い年の年金に対する無関心層が非常にふえてきている。片一方で、年金というものは老後生活保障として重要性が増している。また、片一方で、今のような社会保険料自主納付という方式は、滞納した人に何遍も納めてください、納めてくださいというふうに言っていくわけですから、徴税コストが非常に高くなる。こういう方面からいたしますと、私は社会保険方式には限界があるのではないか。  では、税方式に、もう私は個人的には全部してしまった方がいいと思うのですが、少なくとも国庫負担率引き上げという場合には、では何を財源にするのが望ましいかという問題になってまいりますが、私は消費税が望ましいというふうに考えております。  その理由一つは、現行のままの制度でいきますと、国民年金よりは厚生年金の方が将来長期的には財政的に大変になるだろうということが第一点です。  第二点は、その大変になるサラリーマンの方からかなり財政資金基礎年金の方に回っている。おまけに、第三号被保険者の分までサラリーマンが払っているという問題があります。  あと一つは、今度の一九九四年の年金改革におきましても、社会保険料引き上げ効果といったらあれですけれども、そういうふうな社会保険料引き上げというようなものを実際にする世代といいますと、昭和二十年代後半ぐらいの世代からで、昭和一けた生まれはもうもちろん年金をもらっておりますし、それから昭和十年生まれ世代にいたしましてもほとんど保険料引き上げ効果はないんだ、だけれども、今度の年金改革、あれが通りましたけれども、あの結果でも今の赤ちゃんが三十歳ぐらいになるころには年金保険料率は二八%ぐらいになるんだ、そのような後の世代余り負担を残さずに高齢化社会にソフトランディングしたいということになりますと、今の中高年層にも負担が求められる消費税が望ましいのではないかというふうに考えております。  それから、次の問題でございますけれども、年金積立金、まあ百十兆円ぐらいございます。これはかなり部分がもう財政投融資の方に回っておりまして、財政投融資現状ではその利子卒国債に連動してここしばらくは決められておりますが、その資金のうちのかなり部分国債だけに投資するというのはいかがなものかという考えでございますのでできるだけ高い利回りを確保することこそが保険料率を安くして被保険者のためになるのではないかというふうに考えます。  三番目でございますけれども、じゃ、介護についての財源をどうするのかということですが、介護は私は介護保険がやはり望ましいであろうというふうに思っております。ですから、ふえる負担というのは、かなりのそのランニングコストの方は保険料の増額ということで負担をしたらいいのではないのかということでございます。  と申しますのは、保険になりますと権利としてサービスを受けることができる。これは財・サービスを受けるというのは、お上の世話になりたくないとかいって、必要があっても受けない人が出てくるようなことを避けるためということもありますし、先ほど申しましたように、できるだけいろいろなサービス消費者が選べるような社会の方が望ましいんだということになりますと、自分で好きな供給主体を選んで、かかった費用保険から払ってもらうというものがいいんじゃないかというふうに考えるからであります。  そして、介護保険と申しますか、そのような案がちらほら見受けられます。その案の中で高齢者というものが介護の対象になっておりますが、年金を見ましても、若い人からも保険料を取るというふうな長期的な保険になりますとなかなか若い人の理解が得にくいということを考えますと、将来的には障害を持つ方の介護というものも保険事項の中に入れる方が私はいいのではないかというふうに考えております。  そして、あと一つでございますけれども、介護を充実させるということは、本音の部分で、若い人の六倍ぐらいかかる老人医療費削減、それから社会的入院というものをできるだけ福祉に回していこうということがございますけれども、現状財政構造におきましては地方の、頑張って医療から福祉に回そうという努力を支援しないような財政構造があるということを指摘したいと思います。  例えば、老人が一カ月病院に入院しまして五十万円かかる、そしてそれを、もう治療は必要がないから福祉施設に入れました、そうしたら、福祉施設に入れましたらそれが仮に二十三万ぐらいで費用が済んだ、社会的なコストというのは二十七万円削減されるわけですけれども、あに図らんや、老人医療老人保健法、それから老人福祉施設の方は老人福祉法で法律が違いまして、そして地方負担も違っておりますので、老人病院から施設に移したことで市にとっては九万円ぐらいのコスト削減にしかならないか、あるいは特例許可老人病院といいますけれども、そういうところから老人施設に移した場合はかえって市の負担がふえるというふうな財政構造がございますので、これは私はもう財源負担あり方を変える必要があるのではないかというふうに考えております。  最後になりますが、年金の話とか介護の話をいろいろな方とさせていただく機会職業柄多うございます。その中で聞かれる素朴な声というのは、働きがいのある制度が欲しいということとか、それから高齢社会負担がふえるのはわかる、だけれども、その負担がふえるからこそむだに使われていないか、これが本当に気になるところだということがよく言われます。  これほど将来的には負担がふえることが見込まれますと、効率的に使われているか、あるいは公平の問題、これが国民の間でも非常に鋭く意識されるようになってくるかと思います。この点で、政治的な責任、あるいは弱者に対してどれだけの配慮がなされているかということは大きな政治的責任になってくるかと思われます。  そして、福祉というものは、よく言われることは、経済成長を阻害するとかいうようなことが言われますけれども、それは特に経済の分析では、その国が貯蓄率がどうかとか、いろいろな与件で結果が違うわけですが、一つ言えることは、この介護の問題につきましては、これはミクロ的に見ますと、過疎地とかそれから地方の郡部の町、そういう町に関しましては、雇用を創出する効果というのは十分に期待できるかと思います。それから、その町で物を買うわけですから、その町に施設があることによって金を落とすということが言えるかと思います。そしてマクロ的に見ますと、今後百万人、百数十万人という推計もございますが、その規模福祉という産業分野、そういう分野が起こってくる、それぐらいの雇用機会を創出するような規模になるだろう。  片一方で、現在第三号被保険者に相当する層が千二百万人おるわけですから、そのうちの何割かが家族介護するために働きに出られない。その介護条件が整ってくると働きに出られるということになれば、長期的には少子社会で労働需要が逼迫すると言われる社会におきましては、これは労働供給をふやすというふうに考えますと、もう要介護老人がふえるということは、これはもう待ったなしの事実でございますから、介護体制を整えるということは、これは日本経済にとっては長期的にプラスになるというふうに私は考えております。  どうもありがとうございます。(拍手)
  4. 佐藤観樹

    佐藤委員長 ありがとうございました。  次に、宮脇公述人にお願いいたします。
  5. 宮脇淳

    宮脇公述人 日本総合研究所の宮脇でございます。よろしくお願い申し上げます。  きょうは、平成七年度の予算案に対する公聴会ということでございますので、私の方からは、財政改革、そして特殊法人問題と財政投融資につきまして考え方を述べさせていただきたい、このように思っております。お手元の方に、B4で横長の資料を配っていただいております。こちらの方を参考としていただきながら御説明をさせていただきたい、そのように考えております。  申し上げるまでもなく、日本財政というのは非常に厳しい状況に至っております。税収が三年連続をいたしまして前年度割れをする、あるいは二年連続で税収不足を発生させるということで、戦後の中でも最も状況の悪い異例な事態に陥っているというふうに評価をすることができるだろうと思います。  このような税収の状況等を反映いたしまして、こちらの資料の方の右の方をごらんいただいてもおわかりいただけますように、一般会計の歳出総額、これは平成七年度でマイナス二・九%ということで、昭和三十年度以来四十年ぶりの減額予算というものが組まれてきたわけでございます。  しかし、ただいまも木村公述人の方からございましたように、こうした減額は、国債整理基金への定率繰り入れ等の停止、これが三兆二千四百五十七億円、さらに一般会計の承継債務でございます償還の延期八千五十四億円、さらに五年度決算で生じました税収不足等を補てんするための国債整理基金への返済延期五千六百六十三億円等、こうした財政のやりくりによりまして、総額ベースを減額にしたということがあるわけでございます。  その一方で、政策的経費の配分でございます一般歳出でございますが、この一般歳出につきましては、この右側の表の一番下にございますように、平成七年度で三・一%の伸びということで、平成六年度の二・三%に比べましても伸びが高まっている。さらには、八〇年代後半に行われました財政再建期におきましては、毎年度、マイナスの伸びが五年間続けられていたわけですけれども、それに比べましてもやはり高い伸びという状況になっております。  もちろん、今回の一般歳出の三・一%の伸びにつきましては、ことしの夏行われます参議院の通常選挙の費用、あるいは五年に一度行われます国勢調査費用、あるいは政党助成等の創設といったような特殊要因があるということは確かでございますけれども、新ゴールドプランあるいは六百三十兆円の公共投資、農業予算、整備新幹線等、やはり中期的に日本財政を膨張させる要因というものがこの中には含まれているということではないかと思います。  資料の方、一ページおめくりいただきまして、二ページ目でございますけれども、この図表の2で書かさせていただいておりますように、日本財政につきましては、そのように中期的に財政膨張の体質が組み込まれている、一方でやはり税収というものは伸び悩んできている、むしろ減少の状況にあるということでございます。そういった中から、やはり歳出と税収のギャップというものが非常に恒常化すると同時に拡大をしてきているというのが現状でございます。  そして、御承知のように、これを補てんをするといいますか穴埋めをするために国債あるいは借入金等が行われている。その国債残高が平成七年度、これはあくまでも当初ベースの予定でございますけれども、約二百十二兆円、さらにこれ以外の政府借入金等を含めますと三百兆円を超える額になってくるという状況でございます。このように、日本財政というものは非常に硬直化を進めているということから、今後、財政再建の取り組みというものは今まで以上に強く行われていかなければならないということだろうと思います。  ただし、今までの財政再建の取り組みと申しますものは、残念ながら、一般会計という小さな領域、あるいは小さな窓と申し上げてもよろしいかと思いますけれども、そうした窓に限定された財政再建であったろうというふうに考えさせていただいております。すなわち、赤字公債依存体質脱却あるいは建設公債の依存率の低下等を目標といたしまして、一般会計の小さな窓を整えるということに主眼が置かれてきたわけでございます。  ところが、残念ながらこの歳出の方の財政の膨張体質というものは、先ほどもお話がございましたように、公共事業の配分比率の問題等に象徴されますように、その体質自身は大きく変化をすることがなかったということで、一般会計からはみ出しました財政需要というものは、どうしても地方財政ないしは郵便貯金、年金資金等の運用でございます財政投融資に向かっていったということが言えるのではないかというふうに思います。したがいまして、日本財政を最終的に支えてまいりましたのはやはりこの郵便貯金、年金等を原資とした財政投融資であったろうというふうに考えております。  恐縮でございますが、また一ページおめくりいただきまして、図表3のところでございますが、これは国家財政、一般会計と特別会計、それから財政投融資制度地方財政、そして一番右側のところには特殊法人、公益法人といったように、日本財政のシステムというものを簡単に書かさせていただいているものでございます。  この中で、ただいま御説明させていただきましたように、一般会計を中心といたしました財政需要、そこからはみ出たものがやはり財政投融資、非常に大きな資金量を有する、九四年度末で簡易生命保険も含めますと残高ベースで四百兆円を超える資金規模を有している、そうした財政投融資へ求められるという形になっております。  その求められる形でございますけれども、やはり国債あるいは地方債を大量に引き受ける、あるいは貿易保険特会でございますとか国有林野事業特別会計あるいは特殊法人等の赤字を補てんするといったような目的での資金供給がされる、あるいは社会資本整備等におきましても、本来一般会計等で負担をするべき部分につきましてもそれを代替をしていくというような領域が見られるわけでございます。  したがいまして、この財政投融資計画、これの出口部分に当たります財政投融資対象機関でございますけれども、これが平成七年度で六十機関となっております。ここには特別会計等も含まれるわけですけれども、この財政投融資対象機関のほとんどが今見直しが行われております特殊法人ということになっております。  総務庁の定義によります九十二の特殊法人中、約半分はこの財政投融資対象機関でございますけれども、その主要機関、例えば日本開発銀行さんでございますとか住宅金融公庫さん、日本道路公団さん等につきまして、そうした主要機関についてはすべて財政投融資対象機関ということで、この郵便貯金、年金等の資金に依存をしているということになっております。  ただ、こうした財政投融資ないし特殊法人のこれまで果たしてきた役割というものは正当に評価をしなければいけない、そのように思っております。日本経済、世界で冠たる経済に成長したわけですけれども、この原動力となりましたのはやはりこの財政投融資制度であったろうというふうに思っております。  また、これまで財政を支えてきてくださいました財政投融資、この支えができたという背景には、よく言われることでございますけれども、戦後半世紀の中で右肩上がりの経済成長というものが実現をしていた、あるいは規制された金融市場という中で豊富な資金を低利で調達をして、これを長期間にわたって運用することが可能であった、そういう図式の中でやはり財政投融資財政ないし経済というものを支えることができた、このように考えさせていただいております。  ただし、これからの日本経済を考えてみますと、高齢化社会の到来等によりまして経済の潜在成長率が四%から二%程度に落ちるといったような議論もされておりますけれども、その数字はともかくといたしまして、経済の成熟化ということが一つ大きな課題となってくる。それから、既に金利面では完成をいたしておりますけれども、金融市場の自由化というものが非常に進んでいくという中では、低いコストでの資金調達ということが非常に難しくなってくる、資金調達にコストが非常にかかるようになってくるということ。  それからもう一つは、より重要なことといたしまして、やはり資金の流動性が非常に高まってくるということでございます。したがいまして、現在、財政投融資、出口機関では二十年から二十五年という超長期にわたりまして資金運用を固定化させているわけですけれども、こうした長期にわたります固定運用というものはどうしても大きなリスクないしコストを抱えざるを得ないというふうに思っております。  したがいまして、これまで果たしてきた役割は正当に評価しなければいけませんけれども、今後同じような役割を果たしていけるかどうかというところにつきましては、十分考えていく必要があるのではないかということでございます。  それで、この平成七年度の財政投融資計画の表を三ページの右の方に挙げさせていただいております。これは一般財投の部分でございますけれども、この平成七年度で前年度計画ベース伸び率が一・八%ということで、一般会計同様非常に伸びが抑制されているという状況になってきております。  この原因でございますけれども、やはり主たる原因といたしましては、原資面の制約が非常に強くなってきている。これは郵便貯金、年金資金、こうしたもの、それから今まで資金運用部が抱えておりました余裕資金というものがかなり減少をしてきているということで、やはり財政投融資全体の体力は非常に厳しい状況になってきているということでございます。もちろん、郵便貯金につきましては民間金融機関との問題等ございますけれども、ここでは財政投融資の原資としてとらえた場合には、やはりその伸び率は徐々に落ちてきているということでございます。  このふうに考えてまいりますと、入り口面での原資の制約が出てくる中で、どうしても今まで同様の出口面の運用というのを維持することはやはり難しくなってきているのではないかということでございます。ただし、平成七年度一般財投の計画におきましても、財政投融資対象機関の数は、これは変わっていないということで、入り口面の制約が強まる中、出口面のそういう合理化というものがやはりついていっていないということが言えるのだろうと思います。  それでは、こうしたゆがみというものを何によってのみ込んでいるのかということでございますけれども、出口面に位置されております公団、事業団等、特殊法人様が民間資金を調達する、あるいは内部的に赤字をお抱え込みになるというような形で今のところはこの制度というものを維持しているということになっております。こうなりますと、財政投融資全体といたしましてのそのコストないし効率というものは非常に低下をせざるを得ないということになってまいります。  この原資面の問題でございますけれども、確かに足元で郵便貯金というものがすぐに減少に転ずるということはございません。これは定額貯金で十年物でございますので、その辺はきちんと根雪化をしているということでございますけれども、これが二十一世紀、二〇〇〇年に入りますと、例の、九一年にバブル経済が崩れまして、郵便貯金にシフトいたしました十六兆円規模のシフト資金が乗りかえの時期を迎えるわけでございます。そのときに、以前と違う形というのは、やはり金融自由化というものが非常に進んでいるということで、この郵便貯金というものがどこまでその乗りかえができるのか、ここについては、財政投融資全体に大きな影響を与える問題点だろうというふうに思います。  また、年金資金につきましては、これは申し上げるまでもなく、二十一世紀の前半にはこれは純減し出すということでございますから、やはりこの原資面の制約というのは強いということかと思います。  このことは、逆に申し上げますと、あと五年間の期間を置いて、やはり抜本的な特殊法人の見直しということを、出口機関の見直しというものを行うということが必要だということもまた提示していることだろうというふうに思いますが、またもう一方では、その出口に位置しております特殊法人、事業団、公団、公庫様等の特殊法人だけの見直しでは、やはり根本的な解決にはならないということでございます。  したがいまして、現在四百兆円の規模を有しております財政投融資システムそのものの効率化、全体を踏まえました効率化というものに取り組んでいかないといけないということだろうと考えさせていただいております。  また、特殊法人の改革問題でございますけれども、二月十日を一応予定されております。これに向けましていろいろと議論がされておりますけれども、やはりこの特殊法人の改革につきましては、いわゆる組織単位での数合わせに終わらせてはいけないというふうに思っております。  極端なことを申し上げますと、その数そのものは変わらなくても、各機関が抱えていらっしゃいます。その機能、これ自身が大きく見直しをされるということであれば、全体としての効率化ということは進んでいくのだろうというふうに考えさせていただいております。今までは、右肩上がりの経済の中で、やはり総花的な算出というものが可能であったわけですけれども、やはりここへ来て、政策間の優先性というものを財政計画におきましてもやはり厳しく見直していかないといけない、そういう状況になってきているというふうに思います。  先ほど御紹介させていただきましたように、特殊法人の中で赤字を抱え込まれているということでございますが、確かに今まで住宅金融公庫を初めといたしまして国民に対して非常に大きな役割を果たしてこられた機関さん、たくさんあるわけでございます。正直言いまして、私自身もその住宅ローンを利用させていただいているという状況でございます。しかし、国策として住宅金融、ここに力を入れていくということである一方で、残念ながら一般財政が非常に厳しいということで、この住宅金融公庫に対する利子補給というものが十分にされないという状況でございます。  このため、住宅金融公庫さんの中では特別損失金というのが拡大をしてきてしまっているということで、平成七年度予定でいいますと、これが四千億円規模になってきている。住宅金融公庫さんは、残念ながら自己資本比率が〇・二%程度の組織でございますので、こうした資金というものは確実に補てんされなければいけない、そういうふうに考えさせていただいております。  また、同じようなことが海外経済協力基金さん等でも起こってきているということで、やはり住宅、国民生活の質の向上ないし国際貢献という非常に大きなテーマを果たしていく上でも、そうした機関の効率化ないし一般財政の硬直化を打破していくということを、財投システム全体として考えていかないといけないというふうに思っております。  最後になりますけれども、今回の阪神大震災に対する復旧の財源の問題でございますけれども、やはりこれにつきましては、足元のライフラインの回復等につきましては、あらゆる手段をとりまして、やはり建設国債赤字国債問わず資金調達をする中で、早急な回復をお願いしたいというふうに思っております。  そして、平成七年度の補正予算段階では、やはり中期的な、こういう災害あるいはリスクに対します強い財政というものをつくっていっていただければというふうに思っております。残念ながら、今回のことを契機といたしまして、やはりこれまでの財政というものが必ずしもこうしたいろいろなリスクに対して強い体質ではなかったというのがあらわれてきているのだろうと思います。  今後、中期的に、やはりリスクに強い財政というものをどのようにつくっていくのか、ここがやはり重要なテーマではないかというふうに私自身考えさせていただいております。その大きな役割を担う、それがやはり財政投融資システムの効率化あるいは改革ではないかというふうに考えさせていただいております。  私の御説明は以上にさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  6. 佐藤観樹

    佐藤委員長 ありがとうございました。  次に、鈴木公述人にお願いいたします。
  7. 鈴木淑夫

    鈴木公述人 御指名をいただきました野村総合研究所理事長鈴木淑夫でございます。  本日は、平成七年度の一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算についての衆議院予算委員会の公聴会意見を申し述べる機会を与えられまして、大変光栄に存じます。  申すまでもないことでございますけれども、この平成七年度の予算案は、単に政府の財政政策をあらわしているだけではなくて、政府の経済政策、社会政策全体の反映でありますし、また、単に来年度の方針を示しているだけではなくて、中長期的に一貫した戦略をも含むものでなければならないと存じます。その意味で、経済政策、社会政策全般のあり方と、中長期的視点を含めまして、この予算案に対して意見を申し述べたいと思います。  日本経済社会は今、短期、中期、長期のすべての面におきまして大変大きな課題に直面しており、いわば短、中、長期の転換局面にございます。この転換をなし遂げない限り、将来の日本の発展に大きな影が差すのではないかと私は心配しております。  そこで、お手元に、私の考えております短、中、長期の課題を整理して一ページの紙でお配りしてございますので、ごらんいただきたいと思います。  まず短期の課題でございますが、そこには二つ書いてございまして、一つは、二年目に入った景気回復を持続させ、そのことによりましてバブルの後遺症を調整し、健全な金融システムを取り戻すこと。そして円高に触発されて空洞化が懸念される産業構造、この転換を円滑に進めることであります。いわば、調整と転換を伴う景気回復を持続させることであります。第二に、先般の不幸な阪神大震災の被災地救援と復興に万全を期すことでございます。  次に、中期につきまして、私、四つそこに挙げさせていただきました。  第一、規制緩和、行政改革、情報公開、この三つは、政府のアカウンタビリティーの確立という意味で統一的に理解すべきものだと考えております。アカウンタビリティー、すなわち、規制にいたしましても特殊法人にいたしましても、その存在理由国民にきちっと説明して、納得を得る責任であります。そういうものの確立、これが規制緩和、行政改革、情報公開に共通する使命でありますけれども、これによりまして、財政負担の膨張の抑制、民間市場経済の活性化及び国民生活の向上を図る。  つまり、行革と規制撤廃で財政負担の膨張の抑制を図り、あるいは行革で民業圧迫を排し、規制緩和でニュービジネスフロンティアを広げることによりまして民間市場経済の活性化を図る。さらに、規制撤廃による内外価格差の縮小と消費者選択の拡大によりまして国民生活の向上を図るということかと存じます。  二番目に、このたびの不幸な阪神大震災の経験を生かしまして、政府の危機管理体制を確立し、また防災安全モデル都市を兵庫県に建設し、そのモデルを全国の都市に広げていくということだと思います。  三番目の中期的課題は、研究開発の強化、高度情報通信の基盤整備及び生活関連社会資本の充実に公共投資のウエートをもっと移していくということだと思います。  最後に四番目には、以上に申し上げました一から三、すなわち、一の民間市場経済の活性化、二のモデル都市建設、そして三の新しいタイプの公共投資、これによりまして国内にあり余る貯蓄を吸収して投資に振り向ける、そのことによりまして経常黒字、すなわち国内の貯蓄超過を構造的に縮小し、貿易摩擦と円高の行き過ぎを防ぐということだと存じます。  最後に長期の課題として挙げておきましたのは、団塊の世代が六十五歳を超えます二〇一〇年から二〇三五年に戦略的目標を合わせまして、今から自助努力型の高齢者福祉システムを目指して徐々に改革を進める。そのことによって二〇一〇年から三五年の国民負担率の上昇をできる限り抑えていくということかと存じます。  以上の短、中、長期の課題という観点からこの予算案を見ますと、いろいろ私、意見がございます。順序を逆にいたしまして、まず長期の課題との関係から申し上げます。  長期に関連いたしましては、新ゴールドプランの発足、さきの年金改正に伴う支給年齢の六十五歳への引き上げなど、長期的課題への取り組みがうかがえることを私は評価いたしたいと思います。しかしながら、団塊の世代に戦略目標を絞りまして自助努力型の高齢者福祉システムに転換するという意図が新ゴールドプランには必ずしも明確にはうかがえず、どちらかといえば現状延長型のように私には思えるのであります。しかし、この転換をいたしませんと、二〇一〇年から三五年の国民負担率が高くなり過ぎまして、そのときの生産年齢人口では負担に耐えられないのではないかと私は憂えております。  ここで具体的に一つ申します。例えば、現在の団塊の世代というのは四十歳代であります。これが年収七百万から一千万円の働き盛りの所得層であります。この層の減税を先般お図りになりましたが、さらにもう一歩踏み込んでこの層の減税をすることによりましてこの団塊の世代に対して老後に備えた自助努力を促す、しかしそのかわり団塊の世代の将来の年金支払いにつきましては報酬比例部分を思い切って絞り込んでいく、場合によってはカットをする、公的年金基礎年金に絞るということが一つの大胆な案として考えられると思います。  御承知のように、現在の公的年金制度は積み立て方式ではなく賦課方式でありますから、一種の累進構造を持った賦課と観念すればこのことは不可能ではないと思います。検討すべき長期的課題として申し上げる次第でございます。  次に、中期の課題との関係で二つ申し上げたいと思います。  まず第一、行政改革、規制緩和などによります支出削減が本年度の予算案の中に見当たらないことについて国民の間に批判がございます。しかし、私は、特殊法人の整理を含めまして、行政改革、規制緩和の効果が歳出予算面に出るには中期的な時間がかかりますので、本予算案についてその面から批判するのは必ずしも適切ではないと考えております。  しかし、政府におかれましては、特殊法人整理を、先ほども宮脇公述人が申しておられましたように、統合による数減らし、いわゆる数合わせにとどめることなく、九十二の特殊法人一つずつにつきまして目的と機能にさかのぼって再検討していただき、目的を達成した法人は廃止、ニーズが縮小した法人や目的を超えて肥大化して民業を圧迫している法人は縮小する方向で、国民が納得する整理案をきっちりと出していただきたいと思います。  肥大化して民業を圧迫しております公的金融につきましても、入り口の郵貯、中間の資金運用部、出口の金融特殊法人の全部の機能を見直しまして、肥大化しないような方法によって公的金融の目的を達成する道を探るべきであると思います。  そもそも公的金融の目的というのは、国民経済にとって必要ではあるが民間ではできない次の三つの分野、すなわち、融資期間が長過ぎて民間では金利リスクに耐えられない、二番目に、採算の不確実性が大き過ぎて民間では信用リスクに耐えられない、三番目に、所得再分配上の配慮から低利で融資をしますので民間では採算に乗らない、こういった三分野への融資であります。  しかし、この公的金融の機能といいますものは、現在の自己増殖的な特殊法人の形をとらなくても、例えば民間金融機関に対する利子補給あるいは信用保証や無税の貸倒引当金の拡充、さらには長期資金の政府との間でのスワップといったようなことによりましても十分目的を達することができるはずであります。こうした視点からの抜本的な、やや時間をかけてもよろしゅうございますから、見直しを公的金融全般についてしていただきたいと思います。  中期との関係で二番目に申し上げたいのは、公共投資の配分見直しであります。  三千億円の重点化枠をおつくりいただきまして、さきに申し上げましたような新社会資本あるいは生活関連社会資本に配分のウエートを移されましたことを私は評価いたします。しかしながら、九兆円の公共投資総額の中の三千億円ではいかにも少ないじゃないか、在来型の農業土地改良事業であるとか整備新幹線の六年ぶりの新規着工といったものに国民の目が注がれているということをお忘れないようにしていただきたいと思います。  ともあれ、望ましい方向への配分シフトの芽が出たということを私は喜びまして、今後はもう少し速いピッチでこの方向への配分を変えていただきたいというふうにお願いいたします。  ここで、中期、短期両方に絡む財源問題について一日意見を申し上げたいと思います。  公共投資財源は、被災地復興の財源を含めまして、原則として建設国債の発行で賄い、その社会資本の耐用期間中に税金で均等償還すべきであると私は考えております。これは、その社会資本を使う世代間の公平な負担という観点からいっても望ましいことでありますし、また、国内にあり余る貯蓄を国債で吸収し、投資に回すことによって対外黒字を縮小するという観点からも望ましいことだと思います。  財政節度の観点から考えましても、国債発行より増税がよいのだとは必ずしも限りません。増税は目的を達した後も恒久的に残って財政を肥大化させます。しかし、国債はきちんと償還すれば、財政は目的を達した後、自律的に縮小をいたします。国債費の膨張も財政放漫に対する大きなブレーキとして現に働いております。その意味で、隠れ借金の一環である国債整理基金への償還資金繰り入れ停止は財政運営を不透明化するだけではなくて、国債発行の節度を失わせるのではないかと思って私は心配をしております。  最後に、短期の課題との関係で二つ申し上げたいと思います。  まず、被災地救援対策の財源を含めまして、赤字国債の発行は、建設国債のように後の世代が使える社会資本を残すという裏づけがございませんので、次の好況期間中に税金で償還すべきものと思います。しかし、現在の景気回復は、先ほど初めに申しましたように、調整と転換という重荷を背負って極めて緩やかなものであります。そして、その持続性にはなお若干の不安が残っております。したがいまして、復興活動の波及効果が十分にあらわれると思われます来年、九六年の景気動向を見きわめますまでは、軽々に増税の追加を決め、心理面から景気を冷やすべきではないと私は考えております。  次に、第二点、バブルの後遺症の一環といたしまして、資産内容の悪化した中小金融機関が散在しております。さきの東京共同銀行設立による東京協和、安全の両信用組合対策は、信用秩序維持のために私はやむを得なかったと思っております。もし両信用組合の倒産を放置いたしまして一千万円超の預金者への支払いが不能になる、いわゆるペイオフをいたしますと、恐らく日本じゅうの大口預金者が疑心暗鬼を抱きまして、念のために中小金融機関からの預金シフトを起こしたかもしれず、その場合は、うわさを立てられた中小金融機関が一斉に経営困難となりまして、決済システムに大混乱が起きたかもしれないと私は恐れております。  しかしながら、あの措置は今後に課題を残したことも事実であります。  まず第一に、経営者と大口預金者のモラルハザードの発生をいかにして防止するかということであります。あれだけの迷惑を納税者や支援金融機関、ひいてはその背後にいる株主にかけているのに、経営者はただやめさえすればよいということでありますと、将来も利益を求めて非常に危険な営業をする経営者が出てこないとは限らない、その意味のモラルハザードの防止であります。私は法律的責任についてもきっちりとさせた方がいいのではないかと考えております。  また、大口預金者のモラルハザードでありますけれども、大体大口預金者は小口の一般大衆よりもその金融機関の経営内容を知り得る立場にあると私は考えます。したがいまして、今後、金融機関の経営内容のディスクロージャーをもっと強化することによりまして、大口預金者に対してはペイオフもあり得るということを徐々に浸透させていく、そのことによって、大口預金者のモラルハザードを防ぐという工夫が必要ではないでしょうか。  二番目に、都道府県の検査、指導体制の点検が必要だと思います。回収不能債権が千百億円に達するまで放漫経営にブレーキがかけられなかったということは、やはり東京都の検査、指導体制に何か問題がなかったのかという疑問を国民に抱かせます。例えば、都道府県による信用組合の検査に際しての評定基準の統一を図りまして、一定の基準を超えたら大蔵省と日本銀行くの指導を求める、あるいは場合によっては移管をするといったような何らかの工夫がこの際この措置の反省として行われるべきではないでしょうか。  以上、私は、短期、中期、長期の課題、お手元に配りましたこの短期、中期、長期の課題に関連いたしまして、平成七年度予算案に対する意見を述べてまいりましたが、この後九四年度の第二次補正予算あるいは九五年度の第一次補正予算あるいは将来の予算編成などにおきまして、公的法人の見直しを含め、ただいま申し上げましたような、希望いたしましたような財政膨張を極力抑える方向で御努力いただけると信じまして、また諸般の情勢からこの際は速やかな予算成立を図ることが喫緊の課題と思われますので、この平成七年度の政府予算案に私は賛成するものであります。  どうもありがとうございました。(拍手)
  8. 佐藤観樹

    佐藤委員長 ありがとうございました。
  9. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前原誠司君。
  10. 前原誠司

    ○前原委員 公述人の皆さん、大変御苦労さまでございます。大変貴重な御意見を開陳をしていただきまして、まことにありがとうございました。  中国の、今危篤だと言われておりますけれども、最高指導者であります鄧小平さんの言葉に、黒い猫でも白い猫でもネズミをとる猫はいい猫だというふうな言葉がございます。今の政治状況というのは全くそうで、どの政党の枠組みであろうが、あるいはどういう組み合わせであろうが、国民が真に望んでいる政策を実行していく、断行していくという政権が結果的にいい政権だろうというふうに私は思っております。  そういう意味で、現在の三党は、政策合意を交わして、またその中でも一番大きなポイントとして、村山政権、ことしは行革の年であるというふうなことで我々取り組もう、与党、政府として取り組もうというふうなことでございまして、そういう意味からもきょうの御意見というのは非常に貴重な御意見ではなかったかというふうに感謝をしている次第でございます。  お話しをいただいだ内容について順次御質問をさせていただきますが、いろいろお考えをいただく時間も必要だと思いますので、ある程度まとめて皆さん方に御質問を投げかけて、順次、木村公述人宮脇公述人そして鈴木公述人という順序でお答えを賜われればと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  まず第一点目は、お三方に共通をして御質問をしたいわけでございますが、今回の阪神大震災の問題で、私は京都でございまして、特に近い自治体として感じることでありますけれども、確かに五千人を超える方が亡くなられて、また三十万人余りの方が避難生活を送られている、非常に復興にも時間がかかるというふうなことで、それに対する自粛ムードというふうなことが周りに出てきているわけでございます。  確かに気持ちの上で、日本人の美徳かもしれませんが、この自粛ムードというものが逆にこの震災復興に対して水を差している結果に徐々になり始めているのではないかということを私は非常に懸念をしているわけでございます。すべての行事がキャンセルをされる、あるいは先送りをされるというふうなことで、具体的に申し上げますならば、ホテル業界というのは全部キャンセル、結婚式まで延ばすようなところが出てきているわけであります。  そうすると、出入りの業者、例えば食料品でありますとかあるいは人材派遣でありますとか、またそれに乗ってくるということで交通機関とか、もろもろの要因がすべて波及をして、そろそろ自粛のムードというのは気持ちの上でとどめておいて、何とかそういう自粛ムードを逆に阪神の方々を元気づけるために見直しをしなければいけないんじゃないかと私は思っておるわけでありますけれども、お三方から、それに対しては、簡単で結構でございますので御意見を拝聴できればというふうに思っております。  次からはちょっと個別の問題に入らせていただきます。  木村公述人からは、福祉の御専門ということで貴重な意見を賜りました。  二点ばかりお伺いをしたいわけでございますけれども、まず一点目は、家族でいわゆる寝たきりのお年寄りを面倒を見る場合もお金を出すというふうなシステムについて御意見がございました。これは私も非常に前々から大切な問題としてとらまえさせていただいておるわけでございますけれども、例えば、私の隣の人が私の母親を面倒を見てくれる、その場合にはホームヘルパーとして登録すればお金が出る。私が隣の家の人のおじいちゃんおばあちゃんを面倒を見るということにすれば、いわゆるクロスをすればお金が出るけれども、自分家族の面倒を見ればお金が出ないというふうなことについては、日本人のこれもまた美徳かもしれませんけれども、私も漠然とした何か不思議な感覚を持っておりました。  地方議会では、京都府議会なんかはいわゆる介護者激励金というふうな制度がございまして、給料まではいかないけれども、ある程度そういう介護に対してお金を出していこうというシステムを持っておりまして、年間六万円と非常に少ない額でございまして、先生がおっしゃったような会社をやめて、働きをやめて入れるような形ではないというふうなことでございます。  そこでお伺いしたいのは、要は財政規模の問題で、こういう介護者激励金を一歩踏み出して、家族ヘルパー制度的なものでお金を出してきた場合にどれだけの負担増が出てくる、また逆に、そういう介護家族でやることによって施設に依存する面がどれぐらい減少されて、プラス・マイナスではどれぐらいの財政負担になるのか、あるいは逆に財政負担減になるのか。先生がどの辺でその辺の試算をされているのかというふうなところをまず第一点としてお聞かせを願いたいと思います。  それから二番目といたしましては、先生は、社会保険形式には限界がある、徴収の問題等々コストが高いというふうなことで、将来的には税で徴収をすべきではないかというふうなことで消費税の問題についてお触れになりました。  そういったところで、では具体的に、二〇二五年から二〇三〇年ごろ日本高齢化のピークを迎えるときに、大体その消費税率というものは、ほかの社会保険とか医療の問題とかどういうふうな形にするか、あるいはリストラを進めていくのか、あるいはどういう制度にするかという前提も踏まえて、大体消費税率というものはどのぐらいになるというふうな見積もりをされているのか、その点について、木村先生には二つ御質問をさせていただきたいというふうに思います。  続きまして、宮脇公述人に対して御質問をさせていただきたいと思います。  現在、御承知のように特殊法人の見直しということで、政府・与党の間で最終的な調整を非常に難しい段階で進めさせていただいているところでございます。新党さきがけといたしましても、行政改革は我が党の基本線であるということで、この点については非常に厳しい態度で臨んでいきたいというふうなことを確認をさせていただいているわけでございます。  先生が御指摘のように、特殊法人の問題といいますのは、いわゆるモグラたたき形式であってはいけないというふうに思っております。特殊法人をすべて、数は、極端に言えば、先生のお言葉をおかりをすれば、減らさなくても、すべてが効率化して、見直しをする中でなくせるものはなくす、そして効率化を図っていくということが前提条件ではないかと思います。  しかしながら、なかなかこれは政と官というふうな問題もございまして、自己増殖をした機関というものの見直しというのはやはり既得権益ということで非常に難しい。そういう意味で、私なんかは、党内でも一部意見がございますけれども、やはり財投そのものを見直す、いわゆる、先生のお言葉でありますと、入り口論からまず見直していくというふうなことも非常に大切ではないかというふうに思っているわけでございます。  ただ、時代が変わったといいましても、いわゆる公的金融というふうなものについては、これは鈴木公述人からも御指摘がありましたように、時代の要請が非常に強い部分もあった。あるいは今も、鈴木公述人のお話を引用させていただきますならば、いわゆるリスクを伴うもの、長期にわたるものあるいは不確実性を伴うものあるいは低利の融資というものが望まれるもの、そういうものに対してはまだまだ目的というふうなものが残っているのではないかというふうなお言葉でございましたし、私もその点はそのとおりだなというふうに思っているわけでございます。  そうしたところで、では具体的に、いわゆる財投の原資となっております郵貯それから年金、こういうふうなものに対して、特に郵貯でございますけれども、私なんかも、いわゆる銀行協会等、新年に呼ばれましたら、毎年のように郵便貯金を何とかできないのかというふうな陳情を新年早々からいただくわけでございます。この郵便貯金のあり方について宮脇公述人はどのようにお考えになっているのか。たしか、今個人の預金残高というのは百九十兆円ぐらい。非常に、官業は民業を補完するといいながらも、民業を圧迫するような状況になっている郵貯に対してどういうふうなお考えを持っているかについてお伺いをしたいと思います。  この点については、鈴木公述人についても同じ御質問をさせていただきたいと思っております。  それから、その原資の部分の御意見を伺った上で、では具体的に、公的金融のあり方の中で、微妙な時期でございますので客観的なお立場でお話をしていただければ結構だと思いますし、また、今の時期だから逆に具体的な名前は差し控えるというふうなことでも結構でございます。それは公述人の御意思にお任せをしたいと思うわけでございますが、具体的に、今公的金融を見渡した場合に、この点については要らないとか、あるいはこの点については統合できるのではないかとか、そういうふうな具体的な御提言があればお話を聞かせていただきたいというふうに思います。  それから鈴木公述人に対してでございますが、今申し上げました財投原資の郵貯についての御意見を伺いたいのと、もう一つは、これは我々が与党になりまして村山政権を組みましたときに、もう六月の終わりでございました。御承知のように、概算要求を決める段階というのはもう七月、八月というふうな段階で、今回の予算案の中でいわゆる公共事業の配分見直しというものが三千億円で、九兆の中で少ないという御指摘を受けまして、まさしくそのとおりだと思っておりますが、はっきり言って、政権ができたその直後に概算要求をまとめなければいけなかったということで、今までの大蔵省がやってきたいわゆるシーリング方式というものを抜本的に見直すということはなかなか難しかったわけでございます。  そういう中で、これはお知恵としてちょうだいしたいわけでございますけれども、では、その抜本的な公共事業の配分見直しを行う中で、今までのシーリング方式にかえて新しい概算要求を組む何かいいお知恵があればぜひお聞かせ願えればというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。  それでは、木村公述人から順次お伺いしたことについてお答えを願えればと思いますので、よろしくお願いします。
  11. 木村陽子

    木村公述人 前原先生、御質問ありがとうございました。それでは、三点ほどいただきましたので、簡単に答えさせていただきます。  阪神大震災のことは、本当にこれは心痛むことで、自粛のムードが広がっているということも伺っておりますが、ごくごく最新のあれでは、徐々に自粛のムードといいますか、キャンセルしたものが戻ってきているというような話も伺っております。  それから二番目の点でございますけれども、介護者に対する手当ですね、家族で見る場合に、その場合に支払われる手当ということに関してでございますが、私がイメージしておりますものは、今度一月一日に通りましたドイツの介護保険のようなことを、それを見て申し上げたことでございまして、施設あるいはホームヘルパーに見てもらう場合は、そのサービスにつきましては介護保険から支払われるのだけれども、寝たきりの方が、身内であろうとあるいは友人であろうとどなたかで、自分でこの方に介護してもらいたいんだというような親類縁者を見つけた場合には、その人たちには、要介護者本人に対してですが、介護手当というものが現金給付されるのだというようなことを聞いております。  それは保険で支払われる現物給付よりは金額にしますと低い額であるというふうに聞いておりますけれども、年間六万円というような規模ではなくて、もっと高い、介護人が見られる、生活が一応できるぐらいの水準であるということでございます。どれほどの規模になるかということでございますが、これはドイツでは所得の一%、それから日本では恐らく数千円単位の保険料になるのではないかというふうに聞いております。  それから三番目の点でございますが、社会保険方式には限界があるのではないかという点でございます。  社会保険方式は全般について限界があるという意味では私は、先生もわかっていただいたと思うのですが、申し上げておりませんで、今の基礎年金に関しましては社会保険方式限界があるのではないかというふうに考えております。  基礎年金財源として、それでは将来的に消費税がどれくらいの率で間に合うのか、これは研究者によって、幾つかの推計方法によって若干違いがございますけれども、一番低く見積もる方で三%、それから七%、多く見積もる方でたしか一〇%近くであったかと思います。こういうことを考えますと、高齢化がピークに達しているころには、消費税率は十数%、二〇%弱ぐらいまで、今の先進諸国に近いぐらいまでいくのではないかというふうに私は考えております。  その理由あと一つは、直間比率ということではなくて、人に課税するのかあるいは物に課税するのかということを考えますときに、人に課税するのは労働に対するペナルティーが大き過ぎるということから、あるいはタックスベースを非常に広くするためにも物に対する課税ということが今後、先ほど申し上げました高齢社会へのソフトランディングということも考えますと、受け入れられるのではないかということを考えて、十数%というふうに私本人は考えております。  以上でございます。
  12. 宮脇淳

    宮脇公述人 お答え申し上げます。  まず第一点目でございますけれども、阪神大震災の問題でございますが、これは先生が御指摘くださったとおりだというふうに思っております。経済面だけではなくて、今後、税金の減収というようなことを反映いたしまして、財政運営的にも国だけではなく地方自治体に大きな影響を与えることになりますので、その辺は早く復興の計画を立てることによって軌道に乗せていくということが必要であろうというふうに思っております。  それから、第二点目の公的金融、郵便貯金の問題でございます。  公的金融の出口面での使途につきましては、鈴木公述人が言われましたように、長期、あるいはリスクが高いもの、それから低利融資、こうしたものの領域というものはやはりある程度は残していかなければいけない。特に、例えば超長期で無利子で融資をする制度、これは恐らく民間ではなかなか負担ができない部分であろうというふうに思います。ですから、こういった領域に限定をする中で残していかなければいけない。  ただ、これを残すといいましても、原資は有償資金でございますので、これを支えられる一般財政からの補てん額というものをきちっと確保しなければいけないということでございます。したがいまして、多少逆立ちした議論ではございますけれども、一般財政からの補てん額が幾らできるのか、そのことをはっきりさせた上で出口面での領域というものを考えていくということでございます。  そうしますと当然、その入り口面での郵便貯金、その資金量というものがかなり大きなものであるということは言えるのだろうと思います。と申しますのは、一般会計での一般歳出が四十兆円規模、そして財投での一般財投の規模も四十兆円ということで、ほぼ同額の規模になってきております。こうした公的セクターで担う、あるいは公的金融で担う規模が同じというところまで、まあ単純な議論でございますけれども、果たして必要かどうか。そういった議論をした上で、郵便貯金さんにつきましては、そこに当然余る資金というものが出てくるわけでございます。財投の方に回せない資金というものが出てくる。そこのところには極力市場原理を導入いたしまして、民間金融市場との間の競争関係に入っていく。これは、調達それから運用両面でございますけれども、そういったやり方で実現をしていくということが必要なのではないかというふうに考えさせていただいております、  それから、最後の点でございますけれども、特殊法人の見直しの具体的な案ということでございます。  数点挙げさせていただきますと、例えば住宅金融でございます。現状、住宅ローンにつきましては住宅金融公庫さんと年金福祉事業団さん、二本のルートで行われているわけでございますけれども、この年金福祉事業団さんにつきましては、これは皆年金になる前の制度ということで、年金にお入りいただければ年金資金から住宅ローンをお貸しできますという制度で、これは還元融資という形で起こった制度でございまして、この辺のところは国民の利便性ということも考えまして一本化することもまた可能なのではないかというふうに思っております。  それから、中小企業金融につきましても、従来、その貸し付け規模あるいは業種等によりまして複数の機関が存在するわけでございますけれども、これにつきましても、そこまで細分化した対応が必要かどうか、やはりその辺の合理化が必要ではないか。あるいは開発銀行等についても言えることだろうと思います。  それから、事業団につきましては、今までのように企画をして直接事業を行うことが必要な領域というのはどこまであるのか。場合によっては、企画段階のところに特化していただくというようなこともまた選択肢としてできるのではないかというふうには考えさせていただいております。  以上でございます。
  13. 鈴木淑夫

    鈴木公述人 前原先生にお答えいたします。  まず、三人に共通で御質問いただきました自粛ムードの点でございますが、先生御指摘のとおり、自粛ムードの行き過ぎというのは支出削減につながりまして、今ふらふらしている景気にとってマイナスだというのはそのとおりだろうというふうに私は思います。ですから、お気の毒な被災者に対する気持ちをあらわすということは大いにすべきで、黙祷をささげるとか、いろいろありますが、行事そのものについて行き過ぎた自粛をするのはいかがか。どうしてもこんなお祝い事をしては申しわけないという気持ちであれば、その支出計画を義援金に回すとか、やめてしまうと景気に響きますので、何かもう少し、そういう気持ちをあらわすようにするということは大賛成でございます。  それから、私にいただきました二つの御質問でございます。  まず第一は郵貯でございます。公的金融の入り口の郵貯の見直しというのは避けて通れないと私も思いますが、その場合に、郵貯事業だけではだめだと思うのですね。御承知のように、郵便事業と簡保と郵貯と三つの事業をやっております。私は、この三つ全部を民間市場経済との関係でよく考えてみなければいけない時期に来たと思うのですね。  郵便事業につきましては、御承知のように国家独占が基本になっておりますけれども、現在既に民間ではさまざまな形で、小包については非常に便利なサービスが出てきておりますし、その気になれば郵便についてもできる段階に来ております。国民に選択の自由を残す、つまり、信書の秘密が大事で、これは郵便事業じゃなければ、国営じゃなければ守ってくれないと思ったら郵便を使えばいいので、そんなことはないさ、おれは、ちょっと金は高くてももっと便利な方がいいよというなら民間を使う、この選択の自由を与えなければいけないと思うのですね。  これは絶対国家独占だ、信書の秘密だというのはもう大変時代おくれの発想だと思います。特に、これから高度情報通信システムを発達させようというわけですね。どういうマルチメディアが出てくるか知りませんが、電子メール時代に入ってきましたらいよいよもって国家独占ほど陳腐な概念はないですね。もっとどんどん民間にやらせなければいけない。  ただ一点、郵便の使命として残るのは、山間僻地までナショナルミニマムとして安い料金で郵便を届ける、これは残ると思います。これはもう税金から、国民負担して補助するということをやってでも残すべきナショナルミニマムだと思いますが、その点を除きますと、もう民間に郵便事業をやらせてよろしいというふうに私は思っております。  それから、簡保と郵貯の二つについては、これは明らかに民業を圧迫しておりまして、基本は民営化だと私は思います。ただ、ぽんと民営化しますと巨大な金融機関が発生いたしますから、当然そのときには分割を考えなければいけないだろうというふうに思っております。  いずれにしても、これは大きな変革でありますから短期間にはできませんけれども、はっきりした今のような問題意識をお持ちいただいて着実にお進めいただきませんと、民間市場経済の活性化と言いながら大変なところでブレーキがかかるという現状が続いてしまうと思います。  それから、二番目に、公共投資配分でもう少しいい方法はないかということでございます。  今度の重点化枠の発想は大変結構でございますが、先生もおっしゃいましたように、九兆円に対して三千億円じゃ幾ら何でもという批判はそのとおりだと思うのですね。ですから、基本は、今までの各省別シェアみたいな、在来型のシェアを維持する部分のウエートをもっともっと下げなければいけないのではないでしょうか。これを例えば、五割だか六割だか知りませんが、そこまで下げて、残りの四割なり五割の部分を完全に重点化枠で、政治主導でやる部分と、それから、復活折衝でゼロから積み上げて、なるほどもっともだという場合にだけ乗っける部分と、せめて二つじゃなく全体を三つに分けるぐらいの工夫をされたらどうなんだろうかと私は常日ごろ考えて、見ております。  以上でございます。
  14. 前原誠司

    ○前原委員 どうもありがとうございました。  今のお答えをいただいたものについても、さらに何点かは掘り下げていかしていただきたいと思います。  木村公述人にお話を伺いますけれども、家族ヘルパー的なものについては介護保険というふうなお話をしていただきました。そういう介護保険というのも一つの例でありますし、日本もそういう制度がこれからどんどん広まっていくのかなという感覚も持っているわけであります。  一つお伺いしたかったのは、要は、今までの福祉政策というと何かハードの整備というふうなことが非常に特化されて、老人ホームをつくらなきゃいけないとか、あるいは高齢者の対策の病院をつくらなきゃいけないとか、そういうことで非常にお金がかかるものだというふうな感覚があったわけでございますけれども、そういう新しいものを取り入れることによって全体の福祉に対する予算といいますか、使われるお金というものがどのように変わっていくのかというところ。  ただ、お話を聞いていますと、消費税率も二〇%弱になるんではないかというふうな御見解も持たれていると思いますので、そういった部分は、余り介護保険とかそういうソフトの部分を充実しても結局福祉予算というものはそれほど縮まらないよというふうな御認識を持たれているのか、その点についてもう一度ちょっとお伺いできればありがたいと思います。
  15. 木村陽子

    木村公述人 前原先生、ありがとうございました。  将来的な福祉予算がどうなるかということでございますが、私は、基本的には、高齢社会というのは個々人の生活を支えるために福祉予算はもう膨らまざるを得ないんだという認識を持っております。先ほどの鈴木先生のお話のように、じゃ、必要なんだけれどもどこまでを公的でカバーするのかという議論になってくると思いますが、年金だと基礎年金だけでいいじゃないかという議論もありますし、この介護保険が必要だと申し上げましても、その保険で今度どこまでをカバーするのかというふうな問題になってまいります。  ですから、私は、介護保険が必要、それから年金も、物価スライドとか賃金スライドがついた金融商品がほかにないということから考えますと、年金も将来世代にもずっと支持され続けるであろう、ほかの代替的な手段が見つからない限り。そういう意味からしますと、基本的には膨らむんだと、だけれども、どこまでの水準にするかということはあくまでもその世代のコンセンサスによるというふうに考えております。  以上でございます。
  16. 前原誠司

    ○前原委員 ありがとうございました。  鈴木公述人にさらにお伺いしたいわけでございますけれども、郵便、簡保も含めて見直しをしていくべきだというふうなお話がございまして、その中でも簡保、郵貯については民営化をしていく方向で考えていくべきだ、また、分割・民営化という方向で考えていくべきだというふうな御意見でございました。  そうした場合に、初めに意見陳述をしていただきましたときに、先ほど申し上げたわけでございますけれども、公的金融の必要性というものはまだまだある程度は、もちろん今のように肥大化をして、音は、公的金融というものについては本当に目的が特化されてそしてお金が使われていたというふうなことでございますけれども、しかし開銀法なんかは一九七二年に改正をされて使われ方が結構自由になっちゃった、そういうことで何でも融資できるというようなことになって肥大化をしてきて、見直さなきゃいけないというのは、全く意見としては同じでございます。  ですから、郵貯の民営化をした場合に、そういう公的金融についての原資ですね、それは、先ほど宮脇先生がおっしゃったような、一般会計、財政からのいわゆる補てんとかいうふうなものにしていくというふうなお考えなのか、あるいはほかにもっと違うような資金調達というものをお考えなのか。その点ちょっとお聞かせ願えますか。
  17. 鈴木淑夫

    鈴木公述人 先生お尋ねの公的金融の原資でありますけれども、私は、さっき申し上げましたように、公的金融の目的で、まず第一に低金利で融資しなきゃいけないから民間ではできないという部分については、利子補給をすればいいんです、民間に代理貸しをやらせて。審査機能だけは国が持ちますが。そうしますと、もう資金源はぐっと減ってしまいますでしょう。  それから、長期金融過ぎて危なくて民間じゃ貸せないよ、その間に金利がどう変動するかわからないよという部分については、民間と国との間でスワップ取引をしまして、資金は民間に使わせますが、スワップをしてその金利変動リスクを担保してあげればいいと思うんですわ。  それから、不確実性が大き過ぎて貸せないというところで公的金融として必要なら、その分は民間に無税で貸倒引当金を積ませてやる、もしそれが足りなくなったときはもう政府が出すよ、これをやりますと、もう公的金融の資金量というのはぐうっと減るはずなんですね。それが私は頭にあります。  仮にそういうことをしてもなお足りないんだということであれば、これはやはり一種の財投債みたいなものを出して、民営化した郵貯を含め、民間に消化させるという手があると思っております。
  18. 前原誠司

    ○前原委員 ありがとうございました。  時間も参りましたので最後の御質問になるかと思うんですが、宮脇公述人に対してさせていただきたいと思うわけでございます。  公的融資の問題、財投の抜本的な改革が必要だというふうなことがございました。そして私は、同列にとらえていくのは、先ほど鈴木公述人からも話がございましたけれども、いわゆる民間の護送船団方式そのものもやはりこの際見直していかなくてはいけない分野なんではないかと、公的金融だけではなくてですね。金融全般がそういう抜本的な改革というふうなものを求められている時代ではないかというふうに思っております。  そこで、いわゆる今回の救済措置というふうなものに対しても御意見を賜れればと思うわけでありますけれども、さらに、そういう具体的な事例ではなくて、例えばアメリカのように、これから日本は徐々にそういう地ならしをしていって金融機関が倒産を繰り返すというふうなことも、研究者の立場からしてあり得てもいいのかどうか、また、そういう将来の日本の金融秩序像をどのようにとらえておられるか、その部分について御意見がありましたら、お聞かせ願えればと思います。
  19. 宮脇淳

    宮脇公述人 先生の御質問にお答えさせていただきます。  民間金融機関の護送船団方式等、こうした問題については、先生が御指摘くださっているとおりだと思います。ですから、公的金融につきましても民間金融につきましても、今までにも増して徹底したディスクロを行うということがまず今後の金融システムを考える場合の大前提になると思います。  で、その金融機関を御利用になられる国民の方々もそこではやはりある程度の自己責任はきちっと持っていただく。そうしませんと、こういう護送船団ですとか公的金融を支えるためのコストが非常に高くなっていってしまう。それは最終的には国民負担というところに結びつくわけでございますので、ぜひその辺のところは、ディスクロを行う上である程度の自己責任というところを追求していくということが基本ではないかというふうに考えております。
  20. 前原誠司

    ○前原委員 どうも御意見ありがとうございました。  お三方からいただきました御意見、特に、特殊法人の問題あるいは公的金融の問題については二月十日というのが一つの目安になっておりますので、我が党といたしましても参考にさせていただきまして、今最後宮脇公述人からお話がございましたけれども、国民負担というものに正当にこたえられる税金の使われ方というものを目指して我が党としても頑張ってまいりたいと思います。  どうも本日はありがとうございました。
  21. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  22. 草川昭三

    ○草川委員 新進党の草川でございます。  ただいま三人の先生方から大変貴重な御意見を拝聴いたしまして、大変ありがとうございました。三人の先生方も、それぞれ高齢化社会を踏まえての日本財政あり方等々について、大変示唆に富んだお話をお伺いをしたわけでございます。  そこで、大変恐縮でございますが、御発言なされました先生方に順次お伺いをしたいと思うんです。  まず木村先生に、特に社会福祉という面からのお話をお伺いをしたわけでございますが、お話の中にも出ておりますように新エンゼルプラン、これは七年度から十一年にかけてこのエンゼルプランが始まるわけでございまして、たしか厚生省の方もことしは老人保健法あるいは国民保険あるいは精神衛生法等の改正案を議会の方に出してくると思うのでございますが、先生お話のございました介護保険の問題については、これは非常に今後重要な問題になってくるのではないかと思います。  たしか七兆円規模の創設を考えるようでございますが、これも財源として保険料と公費、こういうものの組み合わせになってくるわけでございますが、まず介護というもののあり方が実は長年来日本では問題になっておりまして、医療の末端、最先端は実はいわゆる医療従事者ではなくて家政婦さんに依拠する点が非常に多かったわけであります。それで、家政婦さんに依拠することは問題があるということで、今回もいわゆる正規の病院の職員に家政婦さんを採用する、そして、また今度は地方自治体の方から在宅の方々にそういう方々を派遣をするようなシステムにしたらどうだろう、いろいろな組み合わせが出ておるわけでございます。  私は、先ほどお話がございましたいわゆる介護保険等の適用を含めまして、先生は、将来いわゆる高齢化社会に備えて寝たきりの方々に対して在宅で介護をすべきなのか、あるいはまた公的な機関で対応を立てる方がいいのか、まずそういう点についてお話をお伺いしたい、こういうように思います。
  23. 木村陽子

    木村公述人 草川先生、御質問ありがとうございました。  介護につきまして、一つの問題点は、どういう形で財源調達するか、それからだれがその供給主体となるのかという問題がございます。そして、あと一つは、在宅と施設とのハーモナイゼーションというけれども、どこら辺にそのウエートをつければいいのかということが関連してまいります。  先ほど申し上げましたように、ノーマリゼーションの視点に立ちますと、通常の暮らしがしたいということになれば、本当に私たちは素朴な願いとしては家で死にたいというような願いを持っておりますけれども、これは先進諸国の経験を見てまいりますと、人口の高齢化率ということに非常に関係してまいります。  例えばデンマークは、もう施設は排除しましょう、全部在宅でいきましょうというような方向転換をしておりますが、それよりも高齢化率が進んだスウェーデン、在宅福祉に非常に力を入れていたスウェーデンが、高齢化率が高まるに従って要介護老人、それも重度の要介護老人がふえてまいりまして、どうも在宅だけではコストがかかり過ぎるということで施設福祉も力を入れております。  ですから、私は、長期的に日本が四人に一人が六十五歳以上のお年寄りというふうな時代になりますと、施設福祉ということにも力を入れる必要があるというふうに考えますが、現在の端緒におきましては、取っかかりとしましては、在宅というものが余りにも今まで見過ごしにされてきたということを考えますと、在宅福祉に力を、ウエートを注ぐということは、これは政策の最優先としては適当ではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  24. 草川昭三

    ○草川委員 もう一度またお伺いをして大変恐縮でございますが、在宅のあり方について今先生から御答弁をいただいたわけであります。厚生省の方は二十一世紀のビジョンというのを持っておりまして、いろいろな計画を立てておるわけです。将来は、たしか病床を減らすのはマイナス五千七百床ぐらい、たしか若干上回りまして五千七百四十幾つだと思いますが、減らしていこう、こういう考え方のようであります。  現在、全国の病床が約百六十八万ぐらいあると思うのでございますが、医療費が毎年一兆円ずつ上がってくる、二十三兆から二十四兆へ上がってくるものですから、どうしてもマクロの面では抑制ということの施策をとらざるを得ないと思うのであります。そうなってまいりますと随分ぎくしゃくした面が出てくると思うので、私は、あるべき姿とすれば、在宅の環境整備をするということ、そして地方自治体との訪問なり派遣、あるいはドクターを英国型のようなドクターにするというようなことを包括的に給付でサービスをするということの方がいいのではないだろうか。  これは都市によっては違いますし、また環境によっても違いますから、一概には私は言えないのです。私自身もそれは悩みを持っておりまして、どうあるべきだという基本的な指針がなかなか出ないのですが、先生、特にその点については御専門家でございますので、ぜひお伺いをしたいということと、それから、当然のことながらいわゆる国民負担率という問題になってくるわけでありまして、先ほどスウェーデンのお話も出ましたが、もう七割を超えてくるようなことになってまいりますと、私ども、とてもそれはそこまではいかないのではないか、こう思うので、その点も含めまして、先生のお考えをもう一度お伺いしたいと思います。
  25. 木村陽子

    木村公述人 私、先生が御質問くださったことに十分にお答えできるほどの力を持ち合わせておりませんで、非常に大きな問題に対する御質問をいただきました。  在宅医療を完全に進めていくためには、医療、保健それから福祉の連携が必ず必要ということと、それから地方公共団体がたとえ供給主体にならなくてもそういうふうな計画を立てていく力があるかどうか、それから住民ニーズをくみ上げる力があるかというようなことが問題になってくると思います。それから、在宅を進めていく上では、もちろん訪問看護婦さんの問題とかがありまして、看護婦さんにできるだけ権限を渡していくんだというふうな、かなりの抜本的な、医療とか福祉における連携も含めまして、改革が必要ではないかというふうに考えております。  そして、何と申しましょうか、かかるコストのことにつきましてですが、やはり私は、高齢社会で一番お金がかかるのは年金である、介護方面年金の、かかりまして約二〇%ぐらいのコストで済むのではないかというふうに考えておりまして、介護のことにつきましては、財源をどうするかという問題とともに、むしろ問題なのは、さっき先生がまさにおっしゃったことで、保健、医療福祉の連携のノウハウがまだ蓄積されていない。スウェーデン、デンマークにおきましても、ある意味で三十年間試行錯誤の連続であったというふうなことが言えるかと思います。  私たち日本は、その点に関して後発の利益を享受できる段階ではございますが、先生が今下さった大きな御質問に対しましては、私もただいま勉強している最中でございます。
  26. 草川昭三

    ○草川委員 ありがとうございました。  では、宮脇先生にお伺いをしたいと思うのでございますが、いわゆる一般会計と財投との関係について大変貴重な御意見を賜ったわけでございます。確かに日本経済が成長した裏には日本的な財政投融資という仕組みがあった、もうおっしゃるとおりではないかと思うのであります。  しかし、財投というのが肥大化をしてまいりまして、いわゆる財政の二元化というんですか、あるいはまた、言葉をかえて言うならば、財投の財政化というんですか、財政の財投化というのかな、いろんな言い方をする方がお見えになりますが、そうなりますと、一般会計が七十兆円を超す規模になり、また財投が四十八兆でございますか、非常に大きな金額になってまいりますと、一体どこでどういう仕組みになってくるのか、なかなか複雑な形になってきまして、いわゆる財政民主主義の運用からも、肥大化した財投のあり方というものについていろいろと意見を言わなければならないと思うんです。  もちろん国会には財政投融資計画というのが提案をされるわけですから、一応国会での審議の対象にはなるわけでありますが、一般会計ほど実は関心が払われていないのも現状だと思うんです。  そういう点で、先生はかなり細かい点で財政投融資の問題について触れられておりますが、具体的に少し私、一歩入って、いわゆる財政投融資の中で焦げつきがかなり目立ってきておると思うんです。これは、国民金融公庫等々はかなり大きく焦げついておりますし、それから中小企業金融公庫等も焦げついているわけであります。  本来は財政投融資の収支というものは、きちっと返還される、それによって膨らんでこなければいけませんけれども、その全体像が実は議会の方にはなかなか見にくいわけですよ。単年度で、ことしはこういうような収入ですよ、計画ですよというのは出ますけれども、要するに流動化しているというんですか、動きが、なかなかこの動態が明らかになっていないという、こういう点について私ども非常に不満があるんでございますが、まずその点について、先生どのような御意見がお伺いしたいと思うんです。
  27. 宮脇淳

    宮脇公述人 お答え申し上げます。  今の点につきましては、私も先生のお考えと同じでございます。  私ども、財政投融資ないし公的金融というものを議論していくわけでございますけれども、その議論をする前提となります数字、これがどういう意味を持っている数字なのか、まずそれがはっきりと理解することができない領域が非常に多いということでございます。  先ほど、国民金融公庫さんあるいは住宅金融公庫さん等、赤字を抱えていらっしゃるというようなこともお話ございましたけれども、表面的に赤字という数字が出てきている部分はまだ一歩進んでいるということでございまして、特殊法人、財投機関の中で、その会計処理の方法が明らかにはなっていない、その中で、隠された形で赤字を抱え込んでいってしまっているという部分が多々あるわけでございます。  そういうことからいいますと、まずこの財政投融資、入り口から出口に至りますまでの情報の公開、これは、単に予算を執行するための予算書の形での情報公開ではなくて、国会で御審議いただく、あるいは一歩突っ込みまして、国民でもある程度理解できる、そういった形での情報公開はぜひ必要なのだろうというふうに思っております。それがないために公的金融全体のコストをはかるということがなかなかできないということになってまいります。したがいまして、そのディスクロの面につきましては、これは先生がおっしゃるとおりだと思います。  それから、あと一点つけ加えさせていただきますと、どうしても、先ほど先生が財政の財投化等のお言葉を使われましたけれども、日本財政は一般会計が中心になっておりますので、一般会計での処理方法というのが財投各機関のところでもやはり大きな影響を持っているということでございます。したがいまして、特殊法人そのものは民間に準ずる形で効率化を進めるという趣旨でございますので、その辺のところの違いというものも踏まえて会計処理というものを行っていく必要があるのではないか、そのように考えさせていただいております。
  28. 草川昭三

    ○草川委員 それから、先ほど先生の方から住宅金融公庫の利子補給等々の問題を含めてのお話がございましたし、海外の経済協力基金の点についても硬直化しているのではないかという点がお話がございましたが、もう少し、特に海外経済協力基金等のあり方についても問題がございましたら、御指摘を願いたい、こう思います。
  29. 宮脇淳

    宮脇公述人 お答え申し上げます。  住宅金融公庫及び海外経済協力基金様等につきましては、これ、国策としてそういったものに力を入れていくという御判断、それはあるかと思います。ただ、それの御判断をいただいた場合には、やはりそこの機関が累積赤字を抱えない、そうしたきちっとした運営をしていかないといけないのではないかということでございます。  海外経済協力基金様につきましては、現在、財政投融資からの資金調達金利と各国への貸出金利が、これは逆ざやの状況になっております。これは恒常的になっておりまして、最近若干減るような形もございますけれども、根雪化してきてしまっている。それに対しまして財投資金から繰り入れを行いましたり、あるいは御承知のように、一般会計からの出資金供給されているという形でございます。  このことにつきましては、海外経済協力基金様、海外のこういう国際貢献の機関と比較いたしましても、やはり職員の方々の数が少ないとか、そういう問題がございまして、やはり審査面の問題等、多々あるかと思います。したがいまして、今回の特殊法人の見直し等の中におきましては、例えば他の政府系金融機関様の審査能力、こういったものを海外経済協力基金様の方へ移すとか、そういったことによって効率化を図っていくというようなこともまた必要ではないかというふうに思っております。  なお、例えば貿易保険、これは特別会計ですけれども、こうしたところにも同じような問題ということで、リスケの問題等が同じように発生してきているというところが見受けられるわけでございます。  以上でございます。
  30. 草川昭三

    ○草川委員 宮脇先生に対する質問の最後でございますが、先生は少し震災の対策の財源についてもお触れになったわけでございます。  いわゆる一般会計というものが当然のことながらあるわけでありますが、最近、いわゆる補正予算というのを毎年のように提出をするわけであります。その補正予算というものは、本来は本予算の補完をすべきものであることは言うまでもありませんし、常識的に言うならば、例えば災害というようなものがあった場合は、当然のことながら補正、こういうことでありますが、いわゆる本予算というものがシーリング方式によって非常にスリムにならざるを得ない。  だんだん、削るべきものはもうほとんど削る余地がないぐらいに削られてくるということになりますと、新規の政策経費というのはなかなか反映しなくなります。それは、次々というと言葉が正確ではありませんが、補正に頼らざるを得ない。この補正予算が一次補正、二次補正というように続いできます。特に、今回のように大震災がありますと、当然そういう形になるわけであります。  昨日もちょっと私、ここで触れたんですけれども、いわゆる公債依存度、当然財源ということになりますから、公債の依存度を累計的に調べてまいりますと、本予算に対する収入の公債依存度よりは補正予算に対する収入の公債依存度の方が大きくなってくるんです。これもよく考えてみれば極めておかしいわけでございまして、中長期的に物を見るならばいかがなものか、こういう議論にも発展をしてくるのではないかと思うんですが、いわゆる財政の仕組みというんですか、あり方について、先生の御見解を賜れば幸いだと思います。
  31. 宮脇淳

    宮脇公述人 お答え申し上げます。  これも先生御指摘のとおりでございまして、八〇年代の財政再建期でございますけれども、これはどうしても当初予算はゼロシーリングないしマイナスシーリングで絞り込まなければいけないということで、予算主体部分あるいは赤字補てんの部分は補正予算に移されていったという、そういう財政運営がされてきたわけでございます。  で、御記憶にあるかと思いますけれども、バブル経済によりまして自然増収が発生したときでも、当初予算は絞り込みましたけれども、補正予算段階で税収を拡大させて歳出を大きくするというやり方もされてきております。したがいまして、実態的に言いますと、補正予算というものが非常に大きな意味を持ち出してきてしまっているということが言えるかと思います。したがいまして、これは、財政というものを外からは非常に見づらいものにしてしまっているということからいいますと、やはり問題があるのではないかというふうに思っております。  また、この補正予算を組む場合に、どうしても税収が幾らになるかというところの見積もりが非常に大きな問題になる場合がございます。特に今回の局面などでは、税収がどの程度になるのかということによって歳出を考えるということでございますが、多少極論的になるところもございますけれども、国会におきまして財政審議というものを十分にしていただけるということであれば、歳入の方につきましては、税収については議決項目から外すというようなこともまた一つの方法であろう。これは御承知のように、歳入の税収につきましては拘束力はございませんので、やはりそうしたことによって、新規施策について効率的な配分というものを議会でお考えいただくというようなこともまた、極論ではございますけれども、あり得るのではないかというふうに思っております。
  32. 草川昭三

    ○草川委員 ありがとうございました。  では、鈴木先生にお伺いをしたいと思うのですが、鈴木先生からは、当面する課題を短期、中期、長期に分けて大変わかりやすく御説明願いまして、ありがとうございました。  そこで、長期的ないろいろな展望で、国民負担率の上昇をできる限り抑えるという、こういうお話がございました。まあ古くは土光臨調のときに一定の指針というようなものが出たわけでございますが、先生は、日本の将来展望を考えられ、諸外国のいろんな動向をつかまれて、将来の展望としてはどの程度がぎりぎりの段階なのか、大変難しい質問でございますけれども、お考えをお示し願いたいと思います。
  33. 鈴木淑夫

    鈴木公述人 草川先生にお答えいたします。  私は、できる限り国民負担率の上昇を抑えるという表現を使って、数字を言わなかったのは、数字を言いますと、じゃその試算根拠を出せと言われると、これはいろいろやっかいなものですから言わなかったのですが、私は、今のままでいったら五〇%を突破するに決まっているなというふうに思います。  そうしますと、どこかで抑えなければいけない。国民の強い要望であります特殊法人の整理を含めた行政改革、これをまずやらなければいけませんが、それだけでは将来にかけての支出抑制は不十分であることははっきりしていると思うのですね。そうしますと、どうしても高齢化に伴う福祉支出のところを抑えなければいけない。その中身は、御承知のように、年金介護医療であります。ところが、さっき出ておりましたように、大宗は年金なんですね。年金が非常に大きいです。年金のところを思い切って切り込まない限りは、団塊の世代が六十五歳過ぎてきたときにどうしたって五〇%超えていっちゃうだろうというのが私の一応の試算なのでございますね。  ですから、あえて非常に乱暴なことをさっき申しました。賦課方式なんだから、思い切って報酬比例部分絞ってしまえ。これをやりますと五〇%超えないという試算が十分成立いたします。そういう意味で、「増税なき財政再建」といった、あの土光さんの臨調のころからのかけ声は、精神は立派だと思いますが、実際は、冷静に計算しますと、年金のところを切り込まない限り五〇%超えて、非常に日本社会に大きな影響を残すおそれがあると思っております。
  34. 草川昭三

    ○草川委員 賦課方式の問題は大変示唆に富んだ御提案でございます。なかなか我々も、物を言うということになりますと、大変苦悩するところでございますが、一つ方向ではないだろうかと思っております。  そこで、たまたま今、年金の話になりましたが、年金の自主運用をもう少し活発に行うならば一つの財布が多少なりとも豊かになるのではないか、今こういうお話がございますが、昨今の企業年金あり方なんかを見ておりますと、いわゆる評価損を大分出しまして、企業年金の運営にとってはいろいろと話題が出ておるわけです。  これはちょっと余談になりますが、株式がなぜおもしろくないかという中には、俗に言うPKOという言葉もございまして、いわゆる機関投資家として年金がいろいろと話題になっておるわけでございますが、そのようなことも含めまして、年金基金の運用というのは将来どうすべきなのか、今のような現状でいいのかどうか、お話をお伺いしたい、こう思います。
  35. 鈴木淑夫

    鈴木公述人 お答えいたします。  年金基金の運用は、ある意味でますます難しくなってきていると思うのですね。それは、日本経済がここまで成熟化してきておりますから、以前のように高い金利、平均的に高い金利にはなり幸せん。株価の上昇も、成長率が下がりますから、以前のような高い成長はしないというふうに思います。ですから、ますます専門家による運用が必要な時期に来ているというふうに思いますので、公的年金は自主運用か国家がやるかという問いかけをされますと、自主運用の中身は何なんだろうかということを私はいつも考えておりますが、国がやるにしても自主運用という名前をつけるにしても、専門家による運用は非常に大切だというふうに思います。  それで私さっき、減税をして、自助努力老後資金を蓄えるようにして、報酬比例部分絞れということを一案として申し上げましたが、運用が難しくなればなるほどこれは自助努力に任せた方がいいと思うのですね、個人の選択の問題に。それを国がお世話しようといったって、そんな十分お世話できませんですよ、この難しいときに。これは個人に任せた方がいいというのが私の考え方でございます。
  36. 草川昭三

    ○草川委員 ありがとうございました。  そこで、今度はまた話題を少し変えまして、先生の方から行政改革の問題がお話しになられました。それで、これはもうまさしく我々が今一番当面をしている問題でございます。例えば住宅公団だとか、まあ住宅政策にもなるのですが、これは非常に不謹慎な話ですが、この阪神の大震災で当面する空き家を提供しようじゃないか、こういうときに、五千戸という話が出たわけであります。住宅公団で三千幾ら近隣で提供が出たわけであります。もちろんこれは大変ありがたい話なんですが、ありがたい話でございますけれども、空き家が三千幾つあるということは、また逆な意味で、シビアに考えますと、随分管理上問題があるじゃないかという話もあるわけですわ。これはちょっと問題のあることになるかもわかりませんが。  それと同時に、いわゆる労働省の方は、雇用促進事業団という特別会計で、またこれ住宅を運営をしておるわけです。これは言わずもがなの話でございますが、いわゆるエネルギー転換のときに、炭鉱労働者の方々に都市に移動していただくという意味で、受け皿てつくった宿舎でありますから、あれはアパートではなくて宿舎という名前に今でもなっておるわけです。いわゆる住宅政策についても一元管理をしたらどうだろうというような提案もありますが、そうではなくて、特別会計という財布があるんだから、そこで運用するのが何が悪いかというような労働省的な意見もあると思うのですね。  そういう意味では、例えば私、今住宅ということを一つ取り上げましたけれども、行革というのは、一つは、本来原点ではそれぞれの目的があったわけでありますが、その原点にさかのぼる見直しということをしませんと、現状だけでこれはおかしい、あれはいいというようなことではなかなか議論は進まないんじゃないか、こう思うんですが、その点どうでしょうか。
  37. 鈴木淑夫

    鈴木公述人 先生おっしゃいますように、行革の議論というのは、原点、すなわち何のために国がここまで事業をするのかというその目的と機能にさかのぼって考え直さなければいけないと思います。おっしゃるとおりだと思います。  今例に挙げられました住宅政策も、一体どこまでが国がお世話しなければいけないナショナルミニマムなのかというところにさかのぼって考えるべきだと思うのですね。それから、どこから先は個人の自助努力に任せて、規制緩和で個人の選択の範囲を広げて、あと努力しなさいということで民間市場経済の機能に任せるのか、この線引きのところにさかのぼってぜひ議論していただきたい。  戦後、炭鉱から労働者が動くとき、このときのナショナルミニマムは非常にレベルが高かったといいますか、ニーズが強かったと思いますが、現時点でそんなにニーズは高いのだろうかとか、そういうことをお考えいただきまして、私は、やはりどちらかといえば、ナショナルミニマムの視点でやらなければいけないところを一元管理されて政府がおやりになる、あとは民間の自助努力がやりやすいような政策をお打ちになるということではないかと考えております。
  38. 草川昭三

    ○草川委員 ありがとうございました。  では、余り後に時間も残っておりませんので、短期のところで先生が円高と空洞化が懸念される、こういう御指摘がございました。  それで、産業構造の転換を円滑に進めるというのは、一つは東南アジアと日本との分業だとかいろいろなことがあると思うんですが、今私どもが大変気になっておりますのは、産業の空洞化そのものよりも金融の空洞化現象というのが深刻ではないか。  かつて東京の金融市場というのは、世界から注目をされ、そのためにいろいろな事業所というのですか事務所が必要であり、土地の値段が上がった要素とも言われたわけでありますけれども、その金融の空洞化を防ぐためには、例えば証券の場合ならば取引税が高過ぎるとか、あるいは新規の資金を求めるために上場する場合にいろいろな規制が、手続が面倒だから、香港あるいはシンガポールヘ逃げていくんだというようなことが言われておるわけでございます。この金融の空洞化というのは、これはもう自然の流れなのか、あるいは我が国として規制緩和をして日本にもっとそれを定着させるべきなのか、その点はどうなんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  39. 鈴木淑夫

    鈴木公述人 お答えいたします。  今、金融の空洞化という言葉で指摘されているさまざまの現象は、厳密に言いますと、本来日本の金融業が営まなければいけないものが外へ逃げ出しているという厳密な意味の金融の空洞化と、日本の金融システムの国際化がどんどん後退しておる、外国人が日本に来て金融取引をするのをやめてしまってほかでやっておるという両面があると思います。これは両方とも阻止しなければいけないことだと思うのですね。  なぜかといいますと、まず国際的な分業ということを考えましたときに、アジアの中で金融業の比較優位を持っている国は明らかに日本だと思います。長い歴史の中でのインフラの蓄積、知識の蓄積があります。その背後には世界一の貯蓄残高、金融資産残高があります。それからまた、アジアの中では円を使った取引がかなり広範に行われております。  こういうことを考えますと、それはシンガポールも香港も金融市場として国際的に使われていますが、あれはどちらかといえばオフショアの、外国通貨建ての取引が中心であって、円建ての国内のマーケット、自国通貨建てのマーケットということになれば、アジアの中でやはり日本が断然比較優位を持っているわけですね。ですから、日本の産業構造のあり方としても、産業の空洞化を許してはいけないと思います。  それからさらに、円がアジアで使われているということ、あるいは二十四時間取引の現状を考えますと、ニューヨークとヨーロッパの間に、東京にニューヨークやロンドンに相当する国際金融センターがないと世界の人が不便をするということを考えましても、日本の金融市場の国際化というのは必要だというふうに思います。  ですから、歴史の流れからいったら、むしろ日本の金融業は日本の産業の中で非常に大事だし、それからその日本の金融システムの国際化は大事なのだと思うのですね。  それにもかかわらず、なぜそれでは金融取引が逃げ出すかといえば、それは御指摘のように日本の地価が高いといったようなどうにもならない条件もありますが、主な原因はそこではございません。それよりもまず、取引の手法あるいはシステムが不便だとか、海外の非居住者のことを十分考えていないとか、あるいは非居住者を呼び込むための努力が欠けているとか、それから規制が強過ぎるとか、税制面からもコストが高過ぎるとか、そういった理由の方がはるかに大きいと思います。  これは、今や国際間の市場競争というのが激しくなっている時代でございますから、この現状を十分認識し、最初に申し上げましたように、日本の国益のためにも、それから国際貢献という見地からも、両面から見て日本の金融市場の空洞化を許してはいけないということで、官民ともに努力をすべき問題だというふうに考えております。
  40. 草川昭三

    ○草川委員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  41. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  42. 松本善明

    ○松本(善)委員 まず、宮脇公述人鈴木公述人に共通して伺いたいと思います。  本年度の予算というのは、阪神大震災の起こる前に編成したものでありますから、当然にこの復旧、復興、それから災害に強い国土づくり、そういう観点が入っておりません。その財政需要というのは今や最も重要なものではないかというふうに思います。  そういう点からするならば、当然この予算は組み替えるべきではないか。新年度入りまでまだ五十日あります。日本経済新聞などは三度にわたって、きょうも出しておりますけれども、組み替えをすべきであるという主張を、社説を出しております。そのほかかなりの数の、私の知る範囲では中央紙で四紙、社説もしくは記事で組み替えを主張しております。  中身については、賛成できるものもあり、賛成できないものもありますけれども、組み替えをするということは、新聞によっては暫定予算を一カ月組んでもいいじゃないか、こういう本格的に今の需要にこたえるような予算に組み替えるべきではないかということが言われております。この点について、お二人の公述人はどう考えられるか。  それから、それぞれお触れになりましたけれども、その場合の財源、増税や国債については触れられましたけれども、組み替えでやはり最不要不急の経費を削減をするということをやはり考えなければならないのではないか。かなり大きな財源が復興や災害に強い国土づくりのためには必要だと思います。そういう歳出の削減ということを考えるならば、やはり組み替え以外にないのではないかというふうに思います。  財源論を含めてお二人にこの点の見解をお聞きしたいと思います。
  43. 宮脇淳

    宮脇公述人 お答え申し上げます。  先生言われましたように、財政法上でいいますと、補正予算というのは当初予想できなかったものについて補正予算を組むということでございますから、現在まだ当初予算が成立していない段階において発生した事由につきましては、これは本筋からいえば予算を組み替えるということが必要になってくるというふうに考えます。  ただ、その場合に、これは行政サイドの問題でございますけれども、どの程度の時間でできるのか、それにつきましては私レベルでは定かではございませんけれども、そうした時間的な制約というものがどの程度あるのかというところはあろうかと思います。  それと同時に、これは財政法からはやや離れてしまいますけれども、当初予算の組み替えができないのであれば、早急に補正予算等を同時に提出する。よく、当初予算が成立していないのだからそれを補正するのはおかしいという議論がございますけれども、こういう緊急時においては、それによって実質的な組み替えを行うというような手段もあるのではないかというふうに思っております。  それから二番目の方でございますけれども、この財源問題でございますが、これは特に足元での復旧作業、こうしたものに必要となる財源につきましては、公共事業の中で不要不急なものについては先送りをするとか繰り延べるという中で資金を調達するということも大きな方法ではないかというふうには思っております。
  44. 鈴木淑夫

    鈴木公述人 松本先生にお答えいたします。  組み替えをするのか、それともここまで議論を詰めてできてきている来年度予算なんだから、これを成立させて直ちに平成六年度の補正予算、さらには平成七年度の第一次補正予算を組むことによって行うのかというのは、私は多分に技術的な問題なのではないかというふうに思っております。  ですから、そういう技術的な面までは十分承知しておりませんので、この点について、とりあえず来年度予算を早く片づけて、早速災害関係の本年度第二次補正予算、来年度第一次補正予算に取りかかっていただきたいというのが私の考えでございまして、さっきそういうふうに申し上げました。  それから、来年度予算の中の不要不急部分をカットするというのが震災対策の財源一つではなかろうかということでございますが、さっき私いろいろと希望は申し上げましたけれども、結論として、来年度のこの予算案は妥当なものだというふうに考えております。やはりこういう突発的なことが起きて、救援、復旧のところはもうすぐにやらなければいけませんが、あとは腰を据えて、恐らく中期的課題として取り組んでいく、これは私はやはり、さっき言いましたように基本は建設国債だなというふうに考えております。  ですからその点も、今ここまででき上がっている来年度予算の中身をもう一回点検し直して不要不急のところを探そうよというのではなくて、これを片づけて直ちに補正予算に取り組む方が能率がいいのではないかというふうに考えております。
  45. 松本善明

    ○松本(善)委員 重ねて伺いますが、大蔵大臣は組み替え的な補正で対応したい、こういうふうに言っているわけです。当初予算がまだ成立しない前に大蔵大臣が補正に言及するというのはまことに異常なことで、もう既に今の事態に対応できないということを大蔵大臣みずから認めている状況なんです。  重ねて伺いたいのは、例えば公共事業、耐震設計はもう震度七にしなければならぬというような話になってきています。そうすると、高速道路にしても、それから新幹線にしても、例えば千メートルできるところが八百メートルしかできないかもしれない。そういうようなことを考えますと、また公共事業の範囲の中だけ考えましても、何から先にやるかということ、着手の順序、それもやはり変わってくるのではないか、そういうことは補正では対応できないかと思いますが、その点はお二人は、もう余り時間がありませんので簡明にお答えいただきたい。
  46. 宮脇淳

    宮脇公述人 お答え申し上げます。  補正につきましては、やはり今回のような事態の場合には、本予算の審議をしている間であっても、補正について議論を行うということは私自身は必要なことだろうというふうに思っております。したがいまして、全体として国家財政が何をやるのかということを明確にすることが必要ではないか。ですから、財政法上の技術理論のところに余りウエートを置くことはよくないのではないか、そういうふうに思っております。  それから、公共事業のそういう耐震性等の問題につきましては、進捗率、先生が御指摘くださっているとおりだと思います。ただ、この問題につきましては、現状でのライフラインの復興等の問題とは違って、やはり中期的な問題でございますから、七年度の補正等を前提にして、そこで議論をしていく、公共事業の配分比率等についてもそこで議論をしていくということが必要ではないか、そういうふうに思っております。
  47. 鈴木淑夫

    鈴木公述人 先生お尋ねの点につきましても、私は平成六年度の第二次補正と平成七年度の第一次補正をこの後すぐやることによってかなりの程度対応できるのではないかというふうに思っております。やはり、要は、速やかに処理をして万全の財政面の体制をしくということではないでしょうか。
  48. 松本善明

    ○松本(善)委員 亀井運輸大臣なども、早いばかりが能じゃない、やはり根本的に、おくれても新幹線は耐震設計でやらなければだめだ、こういうことが閣内でも出てきています。  もう時間がありませんから、これで余り議論はできませんが、鈴木公述人に二点伺いたいのは、国債を節度を持ってというお話がありました。組み替えとの関係もあるのですけれども、私はいろいろ、組み替える場合の不要不急の財源について考えはありますが、国債かなり触れられましたので、この際、国債の低利借りかえという問題は考えていいのじゃないだろうか。これは日本でも二回やりました。イギリスもやりました。世界銀行もやりました。この点についてあなたはどうお考えになっているか。  それから東京共同銀行について、東京都の責任について触れられましたが、一番大もとの大蔵大臣の責任についてはどうお考えになっているか。  二点、簡明にお答えいただきたい、あと木村公述人にも伺いたいと思いますので。
  49. 鈴木淑夫

    鈴木公述人 国債の借りかえの問題でございますけれども、私は国債発行の節度の一番大事なことは、その国債を発行してつくった社会資本の耐用期間中の世代の人が税金でしっかりと負担するということだと思いますので、余り安易な借りかえをしないで、決めたとおりの期間内でちゃんと償還していくということが大変大事なことだと思います。  それから、大蔵大臣の責任とおっしゃいましたけれども、私が承知しておる限りでは、信用組合の監督責任は都道府県にございます。その東京都から、何といいますか、助けてくれというSOSが来たところで大蔵省と日本銀行はベストを尽くしたというふうに了解しております。
  50. 松本善明

    ○松本(善)委員 東京都が直接の責任を負うことは知っておりますけれども、ただ、こういう問題が起こる場合にはどうすべきかということについて大蔵省から基本的な指導をしておかなければならぬのではないか、そういう問題についてどう考えるのかということをお聞きをしたのでありますが……。  木村公述人に伺います。  年金が、私どもからいえば改悪されました。六十五歳からの支給ということになりました。木村公述人、いろいろ著書でも著述をしてもおられますが、これについてどうお考えなのか。六十歳代前半の就業状況、特に女性にとってはこれはどういう意味を持つのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  51. 木村陽子

    木村公述人 松本先生、御質問ありがとうございました。  年金の六十五歳へ支給引き上げの件でございますけれども、これは私は、ベビーブーマー世代が間もなく六十歳から六十五歳の世代になってまいりますので、年金財政的にはこれはやむを得ない措置であるというふうに考えております。  ただ、では六十歳から六十五歳までの雇用をどうするのか、あるいはそれまでにもう体が悪くて働けない人をどうするのか、その方たち生活保障をどうするのかという問題が必ず議論で出てくることでございますが、それのまず一つの点といたしましては、年金の減額繰り上げ支給というものを一つ入れるということが第一点でございます。  第二点では、六十歳の雇用ということは、女性にとって特に雇用状況が非常に厳しいということは承知しておりますが、片一方で、今度雇用保険の方でやられましたような、正確な名前はちょっと今のところ失念いたしましたが、雇用保険の方から賃金の保障をするんだ、二五%でしたか、そのような制度も両方をかみ合わせていく必要があるというふうに考えております。  私は、年金支給開始年齢六十五歳というのは、これはもう高齢化社会の趨勢であるというふうに考えております。ただ、実際的に私たちがどの年代で退職するのかということを考えますと、六十五歳よりはもっと早いときに退職する方々も今後先進諸国の経験を踏まえますとふえるであろうというふうに考えております。  以上でございます。
  52. 松本善明

    ○松本(善)委員 終わります。
  53. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  午後一時三十分から公聴会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  54. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  平成七年度総予算についての公聴会を続行いたします。  この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成七年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。  御意見を承る順序といたしましては、まず宮内公述人、次に屋山公述人、続いて浅沼公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、宮内公述人にお願いいたします。
  55. 宮内義彦

    ○宮内公述人 ただいま御紹介にあずかりました宮内でございます。本日は、行政改革の諸問題につきまして考え方を述べさせていただく機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。  実は、国会の場で行政改革について意見を述べさせていただくのは二回目でございまして、一昨年、平成五年の十月に、当院の規制緩和に関する特別委員会におきまして、規制緩和につきまして、経済界の考えや取り組みなどを御説明させていただきました。  その後、細川、羽田両内閣から現在の村山内閣に至るまで、歴代の内閣は規制緩和に重点的に取り組む姿勢を示されており、この間、約一千百項目に上る規制緩和策が政府より打ち出されております。また、政府では、三月末までに向こう五年を期間とする規制緩和のアクションプログラムを策定することとしておりますので、規制緩和は順調に進んでいるようにも見えます。  しかしながら、これまで取りまとめられました規制緩和策の中には、陸上と海上で別になっていたオットセイの猟獲許可を一本化し、猟獲報告の廃止と合わせて都合二件の許認可件数を削減したといったような、何ら実効性がない、単なる数合わせ的なものも少なくありません。  また、私自身、政府の行政改革推進本部の下に置かれました規制緩和検討委員会に参加させていただいておりますが、規制緩和をめぐる議論には際限がなく、いまだに、ためにする反対論もやむことのない状況にございます。  そこで、本日は、行政改革の諸問題の中から、まず規制緩和に重点を置いて御説明させていただき、さらに、地方分権や特殊法人等の問題について触れさせていただきたいと存じます。  規制緩和の最大の意義、目的は、これまでの官主導、中央集権型の国家システムを転換し、国民や民間企業を中心とした新たな市民社会を構築することにあります。  政治の世界では、戦後長らく続いてきたいわゆる五五年体制が崩壊したと言われますが、経済社会分野では、戦時中や戦後復興期に形成された体制、すなわち官が民間企業の活動や国民生活の隅々までを統制、管理するいわゆる四〇年体制が、基本的には続いております。  例えば、現在、規制緩和検討委員会で検討している項目の中でも、保険業法、昭和十四年、食糧管理法、昭和十七年、食品衛生法、昭和二十二年、証券取引法、昭和二十三年、古物営業法、昭和二十四年など、極めて古い法律によるものが多くあります。  食管法はさきの臨時国会で廃止が決まり、本年秋より新食糧法に衣がえすることになっておりますが、それ以外の多くの法律は、小手先の変更はされても、基本的枠組みはそのまま残っております。その結果、一つの例でございますが、盗品が横行したやみ市の時代を背景につくられ、また私どものようなリース業の展開など予想もしていない時代につくられた古物営業法が、中古品の円滑な売買やリース業の障害となり、現在急務となっておりますリサイクルの進展を妨げるようなことも起こっております。  二十一世紀を展望した今、このような規制による官の統制、管理から国民、企業を解放し、独禁法等の公正競争確保のためのルールと自己責任原則とを基本として、国民、企業が、公開された情報をもとに行動を選択するという新たな時代を創造していくことが求められております。同時に、景気低迷が続く中で、経済改革による内需主導型の景気回復をもたらすため、また、将来の日本経済の推進力ともなり得る新規事業、新規産業を創造するため、今こそ、大胆な規制緩和を実行すべき時期に来ていると存じます。  しかし、規制緩和を妨げる問題の一つに、議論が具体化すればするほど、総論賛成、各論反対、このような傾向が強くなることがあります。  規制緩和によって消費者の選択の幅が拡大すること、あるいは利便性が向上することは、国民に大きなプラスになります。内外価格差が縮小して、商品、サービスの価格が下がれば、それだけ実質所得が向上することにもなります。事実、一月十五日に総理府が発表した物価問題に関する世論調査では、六六%の国民が商品の低価格化を歓迎しており、規制緩和の効果としての内外価格差の縮減に対する国民の期待は大きなものがあると考えております。  しかし、問題は、規制緩和を求める一般国民の声が政治を動かすほど広範に結集されにくい一方で、各論反対の声は少数ながらも極めて声高なことです。政府規制で守られ、既得権を持つ人たちにとっては、規制緩和が進めば死活問題にもなりかねず、強力な反対運動を展開しております。  このような中で規制緩和を進めていくためには、政治が規制緩和を進める原理原則を確立し、強いリーダーシップを発揮して、聖域を設けることなく、各種の規制に原則を当てはめていくことではないかと考えております。  この原理原則とは、言い古されたことではありますが、第三次行革審の最終答申や経済改革研究会、いわゆる平岩研究会の規制緩和報告にあるとおり、経済的規制については原則自由、例外規制とすることであります。  具体的には、各種業法等に基づく需給調整の観点から行われている参入規制や設備規制、あるいは輸入規制、価格規制を早期に廃止することであります。  例えば、需給調整の観点から行われている参入規制は、現在、酒、米、たばこの小売販売や電気通信等の分野で行われております。  第二は、設備等の新増設規制であり、需給調整を目的とする銀行等の店舗規制や、バス、タクシー事業における台数規制、あるいは中小小売業者の事業機会の確保との名目で行われている大店法の規制などがこれに当たります。  これらは、スケジュールを決め、早期に廃止すべきであり、同時に、必要な構造改善対策や雇用対策等は重点的に講じていくべきであると考えます。  第三の規制は、たばこの小売価格や生産者、消費者米価、電気・ガス料金や鉄道、航空運賃等の価格規制であります。  公共料金など、すべて自由化するということはできませんが、何らかの規制を行うとしても、規制の方法としては、幅価格制とか上限価格制を導入すべきであると考えます。  輸入規制としては、乳製品、でん粉等の輸入数量制限品目、米、麦等の国家貿易品目、さらには特定石油製品輸入暫定措置法によるガソリン、灯油等への規制がございます。  輸入数量制限品目については、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴い、九五年四月一日をもって関税割り当て制度に移行する予定であり、特定石油製品輸入暫定措置法については、九六年三月末をもって廃止されることになっておりますが、これらについては、関税水準の引き下げや登録要件の緩和を通じ、確実に輸入や新規参入の促進を図るべきであると考えております。  他方、社会的規制については、自己責任を原則に必要最小限とせねばなりません。社会経済環境は時代とともに変化し、技術も日進月歩で進んでいるわけですから、不断の見直しが必要となります。経済的規制と社会的規制についてこのような方針を確立し、政治が責任を持って規制緩和策を具体化していくことが不可欠であります。  同時に、規制緩和を進めていくための最も重要なかぎは、国民や企業の自己責任原則の確立てあります。これまで何か事故などが発生すると、すぐに国民が行政の監督責任を追及し、マスコミもこれに追随する傾向が強く、これが官庁に民間活動へ介入する口実を与えてまいりました。今後は、安易な行政依存体質を正していくことが求められます。  要するに、行政は、例えば災害時の緊急時においても、硬直的になったり縦割りとなることなく、国民の側に立って真に行わねばならないことを責任を持って実施すべきであり、民間にゆだねるべきことは思い切って任せていくことであります。そのためには、経済界としても企業行動の見直しや自己責任原則の徹底を図りながら、痛み覚悟で規制緩和に取り組んでいくことを決意しております。何とぞ御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。  しかしながら、冒頭に申し上げましたとおり、最近の政府の取り組み姿勢から、私どもでは、三月末までとされる政府の規制緩和五カ年計画の取りまとめ作業が難航するのではないかと非常に懸念しております。  例えば、政府では、内閣総理大臣の指示ということで、去る一月十八日に「各省庁の所管行政に係る規制の見直し状況(中間取りまとめ)」を公表いたしました。ここでは、五カ年計画で規制緩和を予定している項目は約五百事項であるとしておりながら、公表されました資料に明らかにされた具体的な規制緩和事項は百十六項目にすぎず、五百項目の全体像は、五カ年計画を検討している規制緩和検討委員会にさえ示されておりません。  また、昨年十二月二十五日の閣議決定では、今回の規制緩和五カ年計画では、既に閣議決定した規制緩和策に盛り込まれながら実施の時期や内容が明確でないものはその具体化を図るとともに、新規事項も積極的に盛り込むとしております。  しかし、「中間取りまとめ」で公表されました百十六項目の中でも、二十四項目が依然「時期未定のもの」に分類されております。また、規制緩和検討委員会で検討している事項についても、各省庁は、今はその時期ではないとゼロ回答に終始しており、このような閣議決定違反まがいのことが公然とまかり通るようでは、今回の五カ年計画の取りまとめ作業の行方についても悲観的にならざるを得ません。  規制緩和検討委員会として、二月中にまとめる報告書を簡潔でめり張りのきいたものにするよう全力を挙げたいと考えておりますが、報告書の原案に対する委員の不満は強く、明朝開催されます最終取りまとめの会合がどうなるか、予断を許さない状況にあるかと考えております。  さらに、報告書がまとまっても、これが政府の作業にどこまで反映されるか不安であります。少なくとも、規制緩和検討委員会の中で委員意見が一致したこと、民間から多く出されている要望事項については、ぜひとも政府の施策に盛り込んでいただきたいと存じております。  立法府の皆様には、あらゆる場面を活用して、ぜひとも行政府の作業を監視していただきたく、よろしくお願い申し上げます。  なお、規制緩和検討委員会で検討した項目は、内外から寄せられました要望の中の極めて限られたものであり、今年度中に取りまとめられる政府の五カ年計画からは積み残しとなるものも少なくないかと存じております。したがいまして、本年四月以降の課題は、これらをどう政府の施策に盛り込み、五カ年計画の充実を図っていくかであります。  そのため、規制緩和検討委員会では、規制緩和を検討するための常設機関を行政改革推進本部の下に設置すべきことを提案する方向議論しております。  御案内のとおり、政府における行政改革の推進体制は、実行機関と監視機関の二本立てとなっております。すなわち、内閣に設置された、総理を本部長とする行政改革推進本部が規制緩和五カ年計画や地方分権大綱の策定などの行政改革の諸方策を立案、実施するとともに、行政改革委員会が政府の施策の実施状況を監視し、意見具申等を行うこととなっております。  この二本立ての組織は、第三次行革審、平岩研究会等での、規制緩和等行政改革は議論の段階は過ぎ、今は実行の段階になっている、したがって、総理が陣頭に立って政府の責任において行革を実行すべきであり、そのための本部と、それを外部から強力に監視する第三者機関を設置することが適当との問題意識によるものであります。  したがって、規制緩和を実行すること、すなわち規制緩和の五カ年計画を内容のあるものとすること、さらに、改定、新規項目の追加等で内容の充実を図ることは、一義的には実行機関である行政改革推進本部の役割であり、ここに民間の意見を反映させるため、引き続き行政改革推進本部のもとに、民間人を入れた検討組織、例えば規制緩和部会のようなものを設置していただきたいと存じております。  なお、行政改革委員会があるからこのような組織は必要ないとの意見もあるようです。もちろん、行政改革委員会がみずからの問題意識で規制緩和問題を検討し、意見具申を行うことはまことに結構なことであり、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと考えております。  しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、規制緩和を実行するのは一義的には政府の役割であり、総理を先頭に内閣が責任を持って規制緩和を計画的、継続的に推進すべきであります。その作業を第三者機関に全面的にゆだねるのは政府としての責任放棄ではないかと存じております。  次に、地方分権の問題について申し上げます。  昭和五十六年の土光臨調発足以来、地方分権は、規制緩和と並ぶ行政改革の二本柱として位置づけられてまいりました。しかしながら、地方の時代が喧伝されながら、抜本的な地方分権は遅々として進んでこなかったというのが実感であります。幸い、一昨年六月に衆参両院において地方分権の推進に関する決議がなされて以来、長年の課題でありました地方分権についても、ようやくその機運が高まっております。  昨年十二月には地方分権大綱が閣議決定され、それに基づき、地方分権推進法案が二月末ごろまでに国会に提出されると承っており、私どもとしては、その内容に注目するとともに大いに期待しているところでございます。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕  地方分権推進法案の内容で特に私どもとして関心を持っておりますのが、この法律に基づき設置される地方分権推進委員会の権限や機能であります。地方分権推進委員会に勧告権のような強い権限が付与されるのか、あるいは独立の事務局を持つようになるのか、地方分権大綱では必ずしも明確にならなかった事項であり、ぜひともこれらの点につきまして、立法府の皆様に厳しい監視をお願いしたいと存じます。  次に、中央省庁の再編や特殊法人の問題につきまして、意見を申し上げさせていただきたいと存じます。  まず、中央省庁の再編問題につきましては、第一に取り組むべきことは、中央省庁が果たすべき役割を明確にすることではないかと存じております。すなわち、官から民へ、国から地方へとの改革理念に基づき、規制緩和と地方分権を徹底的に進めること、あるいは法令に根拠を持たない不透明な行政指導を一切禁止すること等により、中央省庁のスリム化を図ることであり、これこそ行政改革のかなめであると存じます。  第三次行革審の最終答申では、中央省庁を六省庁に太くくりに再編したイメージを提示しておりますが、この最終答申自身が指摘しているとおり、現行のままで中央省庁の再編を進めれば、超巨大省庁ができてしまい、今以上に省内の縦割りがひどくなると存じます。  繰り返しになりますが、国がまずもって取り組むべきことは、規制緩和と地方分権の徹底であり、これを官僚任せにするのではなく、政治がリーダーシップを発揮して重点的に取り組むべきであると考えております。立法府の皆様には、余りにも肥大化した官僚組織の機能を政治の手に取り戻し、政治主導の政策決定を実現していただきたいと存じます。そのために、国会の各種委員会の積極的活用や、政府委員答弁制の制限なども検討していただきたいと存じます。なお、昨年夏に与党三党が合意した公務員の一括採用については、縦割り行政是正の観点からも、ぜひ進めていただきたいと存じます。  また、今回の震災への対応にも明らかなとおり、内閣の情報機能、政策調整機能を強化することが急務であり、このためには、何よりも総理の政治的リーダーシップが発揮されることが不可欠であると存じます。  最後に、特殊法人の問題でありますが、特殊法人は特定の政策目的の実現のために設置されているものであり、その改革のためには、まずその背景にある政策の是非についての議論が不可欠であります。例えば経団連が昨年十一月にまとめました規制緩和要望の中でも、価格規制の見直しの一環として、乳製品、砂糖等の農産物の価格支持制度の見直しなど特殊法人に関連する問題を指摘しております。  また、特殊法人を考える上で、公的金融制度あり方全体について総合的な検討をすることがぜひとも不可欠であります。郵貯、簡保、年金資金といった入り口から、個々の政府系金融機関という出口まで、公的金融システム全体のあり方についての総点検が必要であり、そうでなければ、幾ら個別の特殊法人を論じても単なる数合わせ的な改革に終わってしまうと存じます。  特に、郵便貯金、簡易保険については、臨調、行革審の場で、官業は民間事業の補完に徹するべきことが明確に打ち出されましたが、いまだに抜本的改革への着手がなされたとは言いがたい状況であります。郵便貯金の残高が、昨年十月未で百九十一兆円と、個人預貯金の三分の一に達しているなど、公的金融の規模は、市場原理に基づく金融自由化の進展を阻害しかねないところまで肥大化しております。  零細な庶民の貯蓄手段として郵貯、簡保が重要な意味を持っていることは事実であります。しかし、今やその役割の重要性は薄れつつあります。郵貯については、長期貯蓄性と流動性をあわせ持つ定額貯金の商品性見直しを早急に行うとともに、目標期間を定めて、市場原理に基づいた金融システムを阻害しないまでの範囲にそのシェアを引き下げていくか、さもなければ分割・民営化を図るべきであり、簡保についても、少なくとも現在以上の規模拡大、商品保サービスの拡充は回避するなど、民業の補完という本来の役割に徹することが必要であると考えます。  また、このような入り口の拡大に伴い、財政投融資規模も、平成七年度財政投融資計画では四十兆二千四百一億円、四十兆円を超えようとしており、政策金融が真に必要な分野を逸脱して自己肥大化し、民業の圧迫ともなっております。戦後の経済発展の中で、各分野の政策金融が果たしてきました役割は高く評価すべきであっても、経済社会の一層の発展のためには、金融市場においても市場原理を貫徹していくことが求められている中で、第二の予算と化した巨大な財政投融資あり方について抜本的な見直しが不可欠な時期でございます。  この際、公的金融システムについて、入り口から出口までを徹底的に見直すべきであり、我が国全体の中で公的金融が果たすべき役割を明確に限定し、それに基づいて個々の特殊法人の役割を見直していくことが結局は最も効率的な検討になるのではないかと存じます。また、各政策金融機関を初めとした特殊法人について、その関連組織をも含めてディスクロージャーを徹底し、国民の前に実態を明らかにするように立法府の持つ機能をフルに発揮していただきたいと存じます。  二月十日に取りまとめられる特殊法人の見直しは、統合などにとどまるとの報道がなされておりますが、これはあくまでも第一歩であり、特殊法人改革を一過性の取り組みに終わらせるべきではありません。なお、七日の新聞報道では、財投や特殊法人の抜本的見直しのために、総理の私的諮問機関を設置されるとのことでありますが、このような重大な問題は、権限の不明瞭な諮問機関ではなく、ぜひとも総理を本部長とする行政改革推進本部において、政治の責任で腰を据えてこの問題に取り組んでいただきたいと存じます。立法府の皆様にも政府の監視を心からお願いいたしたいと存じます。  以上、規制緩和を中心に行政改革をめぐる課題につきまして、若干私見を交えましてお話し申し上げました。  以上で終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  56. 三野優美

    ○三野委員長代理 ありがとうございました。  次に、屋山公述人にお願いいたします。
  57. 屋山太郎

    ○屋山公述人 屋山でございます。  私は、たまたま五十六年の土光臨調から、それから第三次行革審の終わる平成五年十月まで十二年間、行革におつき合いをしたのでありますが、私の感想を言えば、土光臨調のときには三公社の民営化というような大きな仕事ができたと思いますが、後の九年間はほとんど政府が行革をやったふりをするのにつき合わされた、こういう印象であります。  そこで、細川政権のときに、もう行革は実行の段階だということで行革推進本部というのが発足し、その後羽田総理、それから村山総理が引き継いで本部長をやられている。私は、この姿はあるべき姿だろう、これ以上政府、審議会で議論しましても何も出てこない。  この十二年にわたる臨調、行革審を貫く考え方は、答申は一メートルほどありますが、たった二つでありまして、一つは官業は民業の補完に徹する、それから役割の終えたものはやめる、これ二つでありまして、あと行革推進本部で、政治の力でこれを指摘するという仕事が残っているだけであります。  私は、この行革推進本部方式というのに非常に期待をかけております。一方で行革委員会というのもできまして、そこで監視する、これもいい姿だと思っているのでありますが、何よりも政治がその気にならなければ、これはほとんど意味がないことであります。  そこで、なぜ今行革が必要なのかというと、一口で言いますと、日本の姿は、先進資本主義諸国と比べると、これははっきり言って異質だろう。アメリカでも異質論というのが出ておりますが、私も非常に異質なものだというふうに言わざるを得ないと思います。  例えば、規制がかかっている分野というのは全産業の四〇・八%にわたっている。独禁法の適用除外が四十二法律もあるというような国は、これは資本主義国ではないのでありまして、例えばその規制分野、四〇・八に対応するアメリカの規制分野というのは七%、特に国防に関するような産業について行われているということであります。このほかに談合体質とか系列とか行政指導とかを入れますと、恐らく半分に対して規制がかかっている。そういう意味では私は半社会主義国家、半分社会主義国家だというふうに定義をいたしておりますが、先日アメリカの批評を見ておりましたら、社会主義の最もうまくいった国だ、こういうふうに書いてありまして、やはりそこを何かしないとこれから二つの問題が出てくる。  つまり、異質であるということは、一つは摩擦を生じるということと、もう一つ国民に内外価格差をもたらす、こういう二つの問題があります。  例えば英米独仏平均より日本は三六%高い、こういうことになっております。これは九三年の物価レポートでありますが、この内外価格差を半分へずろうという目標を仮に立てますと、五年で半分という目標を立てますと、この調査時点の国民の最終消費支出というのは二百八十八兆でありますから、これに一八%を掛けますと五十二兆円、したがって年に十兆円ずつ国民のポケットに残る。これは税抜きのお金でありますから大変なお金でありまして、今の減税に比べてみればどのぐらい大きいかというのはおわかりかと思うのであります。  そこで、そういうことをやると大量失業が起こるじゃないか、だから規制は緩和しない方がいい、こういう議論がありますが、これは産業構造が変わっていくということで、やむを得ないことであります。規制を緩和すれば必ず新しいビジネスというのも出てくるわけでありまして、むしろ規制緩和をした方が雇用機会は増大する、こういう計算もあります。アメリカの農業と製造業というのを取り上げてみましたが、一九六〇年に四〇%、九〇年に一七%、こう減っているわけでありまして、これが先進国の姿だろうというふうに思います。  これからのそういう新しい世界というものを考えた場合に一番心配になるのは、私は金融の問題と教育の問題だろうというふうに思います。  金融市場というのは、護送船団方式が七十年間続いた結果、もう銀行が官業化してしまっている。これは、ここに天下りの数も書いてありますが、ほとんど官営銀行である、精神ではそうだ。例えば、この間城南信金がくじつき定期というのを出したら、これが大騒ぎになった。これは、そういう特殊な商品というのは出るのは当然でありまして、これでびっくりするようでは、これはどうにもならないというふうに思います。  銀行がベンチャー企業への投資というのを非常に怠っている。何といいますか、リスキーな仕事は全部公的機関に押しつけて自分は楽なことをやっているという傾向があります。店頭新規公開というのは、過去十年で、米国は六千三百七十七社、日本は四百四十三。これは余りにも低いんじゃないか。これは件数でありますが、資金量で見ますと、NASDAQ、アメリカに店頭株取引市場というのがありますが、これの取引規模はニューヨーク市場を上回るというもので、日本は、東証の取引市場の三%に過ぎない、こういうことがあります。  公的金融のシェアは、昭和三十年に一三・六%、それが昭和五十年には二〇・〇%、これが平成五年には何と四三・二%。これは行革の、官業は民業の補完に徹するという一つのプリンシプルから外れた動きだというふうに思います。  それから、郵貯の問題は、先ほど宮内さん、るる述べましたので省かせていただきますが、私も、郵貯は分割民営化すべきだ、それで政府関係金融機関も究極的にはすべて民営化して、金融の世界を非常に競争市場にするという必要があると思います。それに従って財政投融資の見直しということが必要になるわけですが、私は、今行われている特殊法人の見直しの中で最も重要なのは、政府関係金融機関の問題だ。これに手をつけない見直しというのは数合わせに過ぎない、ほとんど意味がないんじゃないか。  それからもう一つは、例えば蚕糸、蚕糖事業団の蚕糸部門ですが、これはもう害あって益ないというものであります。そういうものをなぜ残すのか。統合する意味がない。蚕糖事業団と畜産と統合して同じ事業をやるのなら同じであります。なぜ蚕糖事業団を廃止できないのかということであります。  時間が来ましたので、最後一つ、教育の問題ですが、例えばノーベル賞の受賞の数を調べてみますと、アメリカが二百十四、イギリスが八十五、ドイツが七十一、フランスが四十八、それに比べて日本では、この間大江さんのやつも入れて八。これは余りにもふざけた数字じゃないか。日本の高等教育に大きな欠陥があるんじゃないか。これから、日本は最先端に立ったわけですから、そういう天才を育てる、あるいは基礎研究をやって世界にその研究成果を渡す、そういう使命を持った教育制度に大転換すべきではないかというふうに思います。  一応これで終わります。(拍手)
  58. 三野優美

    ○三野委員長代理 ありがとうございました。  次に、浅沼公述人にお願いいたします。
  59. 浅沼清太郎

    ○浅沼公述人 浅沼でございます。  私は現在芦屋市に在住しております。十六年おりますが、前半の八年は阪神高速道路公団の理事長をいたしておりました。その後の今日まで八年間は、事務所を持ちまして、関西空港調査会あるいは都市交通問題調査会あるいは大阪日中懇話会、これは先般お亡くなりになりました古井先生の関係でつくりましたが、それぞれの会長もしくは理事長をいたしております。そういうことで、芦屋に住み、主として大阪で仕事をいたしております立場で今回の震災につきまして御意見を申し上げたいと思います。  今回、一番まず問題になりましたのは、立ち上がりといいますか、一番大事な初動態勢におきましてこれがうまくいかなかった。それが後を引きまして、後手後手に回りまして、消火、救助等の活動に支障が来たというような点が指摘されております。  この点を考えますと、大きく二つ理由があります。一つは、関西には地震がないというふうに一般に思っております。思い込んでおりました。そういう安全神話というものが崩れまして、これは全くの油断としか言いようがありませんけれども、無警戒のところに襲われた。第二は、予想もしない規模の大地震が襲ってきた。  私どもは、今まで地震というと関東大震災を一つのめどといいますか、私がおりました阪神高速道路公団の高速道路が、芦屋付近で崩壊をいたしました。あの画面を見まして、私も息をのんでもう全く信じられないという気持ちでありました。まあ、当時も皆さんから御質問がありまして、理事長、あの高速道路は大丈夫かという質問は常によく受けたわけでありますが、私どもは、関東大震災規模の大地震があってもびくともしないんだ、そういう立派な設計に基づいてやっているんだということでおりましたが、あのような状態になりました。  私は、当日はたまたま東京に来ておりまして、川崎の自宅で、もう五時半からテレビは見ておりましたが、多くの親戚、友人が災難に遭いまして、これは詳しく申し上げる暇もありませんけれども、東京の友人で、今向こうにおりますが、東京でしばしば地震に遭ったけれども、あれは地震のうちに入らぬ、地震というものは物すごいものだということが今度わかったというようなことを言っております。  そういうことで、問題は、現地の指揮本部というか司令塔が初期に立ち上がりの際に機能しなかったということであります。災害対策は、御承知のように、地方では都道府県、市町村が一次的に担当することになっておりますが、今回は、知事さんも市長さんも幹部の人も職員も警察官も消防員も同じように被災者であります。また、本部に駆けつけようといたしましても、道路の渋滞でなかなかたどり着けない。  新聞報道等を見ましても、大変貝原知事さんや市長さん、あるいは芦屋の市長さんは女性の北村さんですが、北村さんも家が全壊して、御主人、私もよく存じ上げておりますが、重傷を負って入院する。しかし、六時半には現場へ、市役所にたどり着いたというようなお話でございました。  また兵庫県で見ますと、地方防災計画によりますと、このような大規模の震災のときには三千何百人の職員全員が登庁いたしまして対策に当たることになっておりますが、当日中に集結できました者はわずか二割だった。そういうことで、現地が壊滅状態になりまして、それが中央への情報のおくれ、あるいは消火、救援にもおくれを来す。  そこで、やはりこのような大規模の災害に対しましては、やはり現地の司令塔がやられるということも想定をいたしておかなければなりません。これは、外から応援に行って、そして特に初期の活動におきまして大量に応援をして、この救急、消火あるいは救援活動等をやらなければならないということであります。そういう広域的な防災協力体制といいますか、広域ブロック防災体制といいますか、そういうようなことを考えませんと、府県や市町村単位で事に対応しておりましては対応できない。やはり、広域圏でこれをカバーするということがぜひ必要であろうと思います。  東海地方、関東地方、特に南関東につきましては大地震があるというふうなことを言われておりまして、準備は関西よりも相当進んでおるということでございますけれども、しかし今回のような予想を上回る大地震が襲うと相当被害をもたらすものと思いますが、特に時間帯によりましては想像を絶するような被害が予想されるのではないかと心配をいたしております。  そこで、やはり今申し上げた広域ブロック防災体制というものを、まず当面関東、東海、関西、これの三ブロックにそういう体制を構築することが急務ではないかと思います。そして、警察、消防、救急医療、これらの総合応援体制をつくる。あるいは、それで救護や消火や救援活動に一体となって当たる。機材や食糧等の非常備蓄、分散貯蔵あるいは緊急輸送路の確保、そのための広域交通規制、また相互連絡速報のシステム、また中央との連絡通報システム、これらを二重、三重に構築いたしまして、いかなることがあっても通信連絡が途絶えることがないというような仕組み、またこのような鉄道とか道路とか、線路は一部やられますとそれで不通になる、通じなくなる。やはり海と空の連絡を利用し、これを確保する。  また、今回も自衛隊がいち早く救援に入りまして、地元は非常に力強い。まあ警察ももちろん、消防も行っています。自衛隊も入っている、これがやはり被災者を一番心強く力づけるものであります。私は、もっと思い切って初期に大量に協力する、動員する、あるいは自衛隊の艦隊を動員して、あるいは航空の輸送隊を編成して思い切って物資なり医療器材なり、そういうものをやるというようなことも考えていいのじゃないか。  関東大震災のときには当時のアメリカ大統領が、当時フィリピンは領土でありますが、フィリピンの艦隊に命じまして、フィリピンの艦隊が救援物資等を持って東京港に入港したということで大変喜ばれたということを言われております。  そのような広域ブロック体制、その中に関係の警察、消防、その他も入る、同時に自衛隊も加わる。そういう意味では自衛隊の配置等につきましても、このブロック体制の構築に伴って、その応援を考慮して配置を検討されることが望ましいのではないかというふうに思います。同時に、災害に対する、既に災害出動に対していろいろ装備、機材、訓練、行われておると思いますけれども、一層そういう点を充実していただくようにお願いをいたしたい、こう思います。  また、一言つけ加えて申し上げたいのは、先ほど申し上げた関西に地震なしというようなこと、そういう油断をいたしておりましたけれども、私は実は昨年の五月に専門家の講演を聞きました。関東や東海ということを言っているけれども、むしろ関西にいつ大地震があってもおかしくない、そういう状態になっているという話がありました。関西こそ最も危険だという話であります。同じようなことは関西の専門家、学者が以前から言っていたと聞きました。  震災の後に、関西は地震の活動期に入っておるというようなこと、あるいは活断層の活動ということは十分予想されていたというようなこと、そういう専門家の御意見も報道されておりますが、今まで私ども世間では、地震予知という言葉もございましょうが、東海と南関東、この大地震ということが非常に強調されてまいっております。  今回のような地震、その危険につきましては特に注意を喚起し、行政や一般国民にもこれに対応する心構えを持たせる、あるいは必要な対策を講じるようにそれを促すというようなことが必要ではなかったかということを私は感じております。  次に、今後の復旧あるいはさらに復興という問題でございますが、当面大切なことは被災者の皆さんに希望を与える、光を与える、それは具体的に申し上げれば、まず住むところ、家であります。それから働く場所、仕事であります。私はやっぱり学校の復旧ということを急がなきゃいかぬと思いますが、それと医療でございます。特に、今回の地震ではお年寄りが相当被害を受けておられますが、現在避難所にひとり暮らしのお年寄りがたくさんいらっしゃる、この人たちを何としても救わなきゃならぬ、こういう点をひとつ力強く推進をしていただきたい。  地元は復興というか、新しい神戸をつくろう、新しい防災都市をつくろうということで、非常に立ち上がっておるようであります。被災者のあの地獄のような中で、廃坑の中で助け合う、そこには略奪も暴動もないというような姿が世界で非常に驚嘆をもって見られたわけでありまして、日本人を見直したとか、日本人観を変えたというようなことが伝えられておりました。そういう意味で非常に日本人は立派だと思うのでありまして、この災害は残念でありますが、これを克服して再びあのようなすばらしい町ができる、ぜひそうしなきゃならないということを感じております。  それから、やはり防災都市をつくるということで、地盤の悪いところ、あるいは住宅の密集しているところはその立体化を進める、広い道路をつくる、あるいは公園、緑地を確保するというような復旧をまずやっていかなきゃなりませんが、いずれにしましても、今回の阪神の、関西の震災の復興には十兆円かかるという試算もあります。関東特に東京、あるいは東海、これらの防災都市についての再検討というようなことも進められておるようでありますが、それも急がなければならないと思いますが、これらにも多くのお金がかかると思います。何十兆という金がかかる。  私は、やはりここは非常の際でありますので、公共事業費を重点的に投入をいたしまして、現在平成三年からでございますか、十カ年で四百三十兆、この中でそれぞれの枠の中でこの復旧に回す金がもちろんいろいろあると思いますけれども、それらの枠を超えてシェアにこだわらずに配分を検討して、重点的に災害対策に投入していただきたい。  それから、本年度からプラス二百兆ですか、全体で六百三十兆と伺っておりますが、このプラスの分、これも恐らくは既に大体配分の計画が決まっておるかもしれませんけれども、私は例えばこのプラス二百兆の一割、二十兆はこの災害に投入するというようなことはできないだろうか。もちろん道路や新幹線、港湾、農業、住宅その他、いろいろ皆さんそういうことを期待しておられるでしょう。しかし、こういうときだから一時ストップというか、後回しにしてこっちを優先させてもらいたいというようなことは、私はこの際国民の御理解が得られるんじゃないかというふうに思うわけであります。やはりそういう思い切った対応をしていただきたい。  私どもは、やはり現在二十一世紀に向けまして、日本の国が世界の中で生きていくために必要な手当てを合しておかなけりゃならないのでありまして、また、今ならその力はあると思うのであります。そういう意味で、この防災対策、これを機会にその重点的な対応策をぜひお願いを申し上げたいと思います。  時間がありませんが、一言。私、関西空港調査会の理事長をいたしておりますが、今回の地震で、新しくできた関西空港は、これは水深十数メートルのところに海上五キロ、本当に海の中へつくった空港でありますが、これがどうかなということを一番心配しておりましたけれども、全く被害がない。  しかし、いや、それは君、地震の場所から離れているからそうじゃないのかというようなことを言われましたけれども、例えば旅客ターミナルビルの天井は五百三十五ガルと、震度七に相当する震動があった、地震計がそれを記録しておる。大体空港島自身は全体として震度五ないし六だそうであります。旅客ターミナルビルなんかも全然壊れていない、ガラス一枚割れていないそうでありますが、これなどはやはり、何よりも軽量化、軽くした、コンクリートをなるべく使っていない、鋼材でやる、あるいは曲線の設計、イタリー人のピアノという人が設計したあれですが、非常に柔軟性を持った設計。ピアノ氏がこの地震の後、記者に語ったところによりますと、その基本コンセプトは日本伝統の建築からヒントを得た、日本伝来の建築のコンセプトで自分の設計をしたということを言っておるそうです。  そういう意味で私は、まあそのほか地盤改良などに百万本の砂ぐいを、サンドドレーンを打ち込んでおるというようなことでありまして、何といいますか、今度の地震でなぜ壊れたかというようなことを十分御調査いただいて対策を立てていただくわけでありますが、同時に、なぜ関空が、海の上に立てたこの空港が全然被害がなかったのかというあたりも十分に専門家の皆さんに研究していただきたい。  この空港が救援活動に非常に役立っております。寄与しております。詳しいことは申しませんが、先ほど申し上げたように、道路とか鉄道は寸断されたら不通になってしまう。そうなると、空港と空港、空港と港、港と空港という、点と点を結んだ海上、空のルートをやはり利用しなければならない。  今度の阪神間と同じように、私は、湘南地方を考えましても、あるいは東海地方を考えましても同じような状態になっておるわけです。ですから、そこら辺はやはりそういう組み合わせ、救援システムといいますか緊急輸送システムといいますか、そういうものをやはりこの際考えていかなきゃならないと思います。  時間がありましたら危機管理について話せというお話もございましたが、一応これで時間が来ましたので申し上げることを終わります。  どうもありがとうございました。(拍手)
  60. 三野優美

    ○三野委員長代理 ありがとうございました。
  61. 三野優美

    ○三野委員長代理 これより公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤公介君。
  62. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 自由民主党の伊藤公介でございます。  大変お忙しいところ、三人の公述人の皆さんには、貴重な時間を割いて私どものこの委員会に御協力をいただきましたことを、心から感謝を申し上げたいと思います。  そして、今それぞれお三人の公述人の皆さんから、規制緩和、地方分権、行政改革についていろいろお話をいただき、また危機管理についてもそれぞれの御体験の中から大変参考になるお話を伺いまして、今後の私どもの国会活動にぜひ生かさせていただきたいというふうに思いますが、限られた時間でございますので、きょうは危機管理と行政改革についてお話を伺いたいと思います。  今私どもの予算委員会は、恐らく本来であれば行政改革、まさに二十一世紀への我が国の財政全体の中で行革をどう進めて、二十一世紀の日本はどんな国づくりをするのか、どこの港に我が国は向かっていくか、こういうことを本格的に議論をする、そういう委員会でございます。もちろん、そうしたことも今私たちはこの委員会で論議をしてきているわけでありますが、同時に、突発的に阪神の大災害ということになりまして、私も実は現地に足を運ばせていただいて、私は戦争も体験していませんし、関東大震災もただ先輩たちからお話を聞くだけの世代でございます。文字どおり、この大地震には現地で大変なショックを受けました。  一つは、我々政治家に課せられている、あるいは国家に課せられている仕事の一番大切な問題は、国民の生命と財産を守ることなんだ。我々は身近の消防団の活動なんかに行くとよくあいさつや演説ではするけれども、まさに本当に我々が大事なことは国民の命と財産を守ること、これが一番大事なことなんじゃないかということを感じました。  もう一つは、既に、先週の日曜日に私が伺いましたときには、災害の直後の惨たんたる状況でございましたけれども、もう二週間以上たっておりまして、やはり神戸の町といいますか日本人の力といいますか、復興への物すごいエネルギーを現地に感じました。  私たちはこの災害を単に神戸の問題だけにしてはいけない。日本の総力を挙げて、神戸の町がよみがえった、そして世界の人々に、やがて世界一災害に強い神戸がよみがえった、この町を見ていただけるようなそんな復興をすることが今の私たちに課せられている仕事ではないかということでございます。  そのことは、特に私が現地でショックを受けましたのは、何といっても、お話にもございましたが、我々日本人が誇ってきた高速道路、そして新幹線が倒壊をしたということでございます。いろいろな要素があったと思いますけれども、これは、我々がある意味では、ちょうど経済成長の中で大急ぎで新幹線をつくり、あのオリンピックに間に合わせて首都高速ができたり、まあ私たちは次の時代への大きな夢をかけてきたわけでありますけれども、この安全とかいう問題にもう一度思いを新たにしなければいけないということでございます。  もう一つは、現地で大変明るい表情でありましたけれども、ボランティアの方々の姿でございます。これは実はこの予算委員会でもいろいろ取り上げられました。既に大臣の皆さんが、新しい日本のボランティア組織というものに対する対応ということも語られたわけでありますけれども、ちょうどきょう午前中の公述人の皆さんとのやりとりの中でも、これからやがて来る、かつてどこの国も経験をし得なかった長寿化時代、そのときの日本財政、国家の財政等々をどうするかという議論もございました。  そうしたことを考えたときに、今、統計を見ますと、アメリカ人は週三時間ボランティアをしているという人々が九千万人いる。パーセントでいうと五四%といいますから、私も詳細定かではありませんが、ゼロ歳の赤ちゃんから百歳までいるわけですから、恐らくアメリカの健康な人たちは週何時間かのボランティアはすべての国民がやっている、こう考えてもいいと思います。  私、厚生省や労働省に一体日本のボランティアの人たちのそういうデータはあるのかと言って伺ったのですが、そういうデータはないのですね。しかし、ないからといってやらないわけではなくて、今度のあの災害の中で見せてくれたような、日本には今新しいボランティアの、民間が自分のできる余力で何か社会や国家のためにもなろう、隣人のためにも役に立とう、そういう物すごいエネルギーがあるということは、私たちは現地で大変勇気づけられました。  これは、これから私たちが国家の財政を考えるときに、役所がやらなければ、国家がやらなければこの長寿化時代を、ただ器であるとかあるいは予算であるとかいうことだけではなくて、もう少し国民一人一人が少しずつ何か社会のためになる、こういうことがこの長寿化時代を支えていくもう一つの力になってもらえるのではないか。  例えば先ほど非常に身近な消防団のお話をしましたが、私はかつて国土庁の政務次官をやらせていただいた経験がありますけれども、今全国で消防署のいわゆる公務員の数は十二万人ですね。しかし消防団は九十八万、約百万人いるわけです。恐らく今、日本の消防活動といいますか、国民の財産生命を守るというその分野で、消防署の職員だけでは当然できないわけで、この日本最大の、日本生まれたボランティア組織、消防団というものが果たしていただいている役割というのは極めて大きい。  そういう意味からいえば、私たちの二十一世紀は、こういう災害の中で見せてくれた日本人のそこはかとしたエネルギー、ボランティアというものは、これから私たちは二十一世紀に大きな明るい展望があるのではないか、こんなことを現地で私は感じて帰ってまいりました。  そこで、しかしこの委員会でもいろいろ議論になりました。我々はこれからの問題に立ち向かわなければならない。災害に対してどうした危機管理をしていくか、あるいは災害だけではなくて、日本の安全保障を含めた危機管理ということに対してしっかり我々は今思いを新たにしなければならない、そんなふうに思います。  先ほど行革の中で、公述人からも強力な政治家のリーダーシップという御指摘がございました。私は、昭和五十一年に三十五歳で初当選をさせていただきましたが、私自身が中央の政界に実はチャレンジしてみようと思ったときに、自分の頭の中にあったのは、現実には河野一郎とケネディでございました。  河野一郎さんは、私が学生時代に東京が水飢饉になったときに、現地に出向いて全部指揮をされて、そして大臣が公約をした八月のその日にはきちっと東京に水が出た。あるいは私のふるさと、私は東京が選挙区ですが、ふるさとは長野県でして、長野県に大変な、私のふるさと、私の家の近くですけれども、伊那谷の台風がありました。そのときに、直ちにヘルメットをかぶって河野さんが来て、次々と予算をつけている。役人の皆さんが後ろから、予算は大臣と、こう言えば、予算は後からつけると言って大臣が決断をしている。  法律の壁もありますし、さまざまな今までの慣例もあるけれども、やはり国民の傘とか財産を守るためには政治家が体を張る、そして自分責任を持つ、そういうことが私は本当に大事だ、そういう政治を夢見てきた一人でございまして、こうした今度のことを契機にして、我々は本当にしっかりやらなければいけない。  今、自由民主党、社会党、さきがけという三党の連立、我々は総力を挙げて今の事態、これからの問題に対処していますし、野党の皆さんも、今までのような政治の仕組みではなくて、国家の問題にはみんな協力してやっていこう、そういう雰囲気が生まれつつあることも事実であります。  そこで、まず最初に浅沼公述人に、国の危機管理、情報とか通信とか、たとえどんな状況が生まれましても、電話が通じない、ファクスが通じない、さまざまなことが予測されるわけでありますが、そうしたときの情報、通信、国家の危機管理について御意見があればまず伺いたいと思います。  そのほかの二人の公述人には、その後にもし御意見があれば手短にいただければと思います。
  63. 浅沼清太郎

    ○浅沼公述人 まず最初に、やはり私も安全の問題で、実は、私先ほどちょっと申しましたが、大阪で都市交通問題調査会を、これは違法駐車とか公害、渋滞、そういう過密都市の抱える問題を今やっておりますが、そういうことをやりますと、経済成長にとにかく一生懸命になりましても、安全という面にもっと金をかけないとやはり解決しないなということを痛感したのです。  それで、ただいまの危機管理の問題ですが、私は、この災害に対して、例えば警察も、ヘリコプターから映像を撮影いたしまして、それを警察の本部、同時に衛星を通じて警察庁にも送る、そういう設備を持っておるわけです。しかし、例えばあのときに、五時四十六分ですか、外は真っ暗です。ですから、とてもヘリを飛ばして写すような状況じゃなかったと思うのです。  そういうような災害に対する緊急の情報収集システムは、これは今のエレクトロニクスの進歩に伴いまして、警察だけじゃありません、消防も自衛隊も持っております。ですから問題は、それをいかに仕組みとして、システムとして総合的に運用、活用するか、そういう問題になると思うのです。  その場合に、やはり今お話しの、このような大規模な災害等の場合には、政府が、官邸が、それらの機材を駆使して、十分な情報が即刻必要なところに直ちに入るという体制、この運用をやはり十分考えなきゃならぬ、こういう問題であろうと思っております。
  64. 屋山太郎

    ○屋山公述人 二つ気がついたことを申し上げますが、一つは、新聞で、ダイエーの中内社長がとった措置でありますけれども、中内さんは、六時のNHKのニュースで神戸で震災だということ聞いて、しかしそのときにはまだ地震の規模がわからずに、六時十五分に、震度六が起こった、こう聞きますと、六時二十分には神戸の支店から損害を受けたという第一報が入って、それでニュースを見て、七時にはうちを出た。出たときには、本社に電話をして、災害本部を設置しろということを命じて、それから七時半に本社に着いた。  着いて、被害状況の報告を受けて、たまたま十七、十八が振りかえ休日だったそうですけれども、その時点で休日の返上ということを決めて、それから物資を搬入しろということももうその時点で命令しているわけですね。それから、九時に専務にヘリで現地に行け、こう言っているわけです。政府の方は十時に閣議をやっているわけで、その一時間ぐらい前にあらゆる手をもう打っている。要するに、危機管理については政治家よりも民間のトップの方がよほど早い。  私は、なぜ政治家がそうやって遅くなるか、官僚機構を通じた情報で遅くなるかというのは、例えば官僚機構というのは、テレビで震災が出ていましても、係官が現地へ行って報告するまでは、まだ事実は確認されてない、こう言うんですが、そういう情報確認の方法というのはこのメディア時代では遅いんじゃないか。  やはり、例えばNHKあるいは民放は七時半から一斉にぶっ通しのニュースに入ったわけで、その時点で事の重大さというのは結局わかるわけですから、少なくとも七時半か八時の時点で総理が、これはえらいことだと言って、防衛庁長官に、ちょっと考えろよ、あるいは四、五万人集めておけとか、そういう指示ができたはずだと思うのですね。そこら辺が今度の政府の動きを見ていて釈然としないのです。  ですから、メディア時代の情報収集、ただ言葉で入ってきたんじゃなくて、目で見る映像ですから、これは流言飛語はないわけで、そこである程度判断できるんじゃないか。ですから、そこをずっと、系統を通じて、それで上に上がってきて、課長、局長どこう上がってきたものが入ってくるまで待っていれば、それは時間を空費するのは当たり前なんで、その辺がちょっと、トップの心構えとして、もっと映像、メディアというものを注目した方がいいんじゃなかろうか、余り自分の縄張りとか系列というのにこだわる必要ないんじゃないかというふうに思いました。
  65. 宮内義彦

    ○宮内公述人 私、神戸出身でございまして、東京に住んでおりますけれども、災害後、テレビを見ておりまして、今の屋山さんと同じでございまして、一つはコモンセンスだと思うのです。  あれを見ておりましたら、ただならぬことであるというのは、もう恐らく普通の人であれば八時ごろにはわかったと思います。それを働かせて、例えば自衛隊にあれば、別に要請がなくても全軍を兵庫県に動かすというようなことがあってしかるべきであって、そういうコモンセンスがどこからも出てこなかったということで、私ども市民からいいますと、こういうときにこそ政府というのはあるわけでありまして、そういう意味では千載一遇のチャンスを何か逸したという感じがして残念でならないわけであります。何人の人命が失われたかと思いますと本当に悔いが残ると思います。  そういう意味で、政治家の皆様に、特に責任のある地位におられる方にコモンセンスを働かせていただき、それから関東大震災のときは連合艦隊の旗艦が東京湾へ出て救助活動をやったということを聞いております。どうして海上自衛隊が神戸という港に出なかったかなと不思議でございますし、アメリカの救援を断ったとか断らないというお話もございます。  いずれにしましても、この教訓は繰り返すことはできませんので、事実ですね、ファクトをぜひ集めていただきたいと思うのです。どういうことが、時間と規模、どう伝わってどうなったかということを克明に調べることによりまして、恐らく次の教訓が出てくるのではないかというふうに思います。  以上でございます。
  66. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 今回のことを十分我々は将来に生かしていかなければならないと思っております。  そこで、少し行政改革についてお話をいただきました。公述人の方々からのお話を総合して言えば、既にもう今まで長い時間をかけてその行政改革についていろいろな計画が立てられてきた。要は、政治家の強いリーダーシップで決断をしていく、実行していくときだ、まさに私自身もそう思っているところであります。  実は、その一つ一つの項目についてはもう随分議論されていますし、いろいろ報じられているところでありますけれども、全体からいって、国民の皆さんがこれからどのように負担をして、やってくる、年金とか医療とか介護とかいう議論がいろいろあるわけですけれども、どのように負担をして、それにどれだけの合意をしていただくかということが大変大事な問題だと思いますけれども、どうも今の日本の税制そのものに、少し仕組みに問題があるんじゃないか、私はそういつも考えています。  例えば、すべてではありませんが、アメリカは合衆国ですから、それぞれの州が、例えば私のこの町では、この州は公園面積を少しこれだけにしましょう、そのためには州の皆さんの税負担はこのくらいになりますよ。あるいは、この町の医療については、福祉については我々はこういう改革をする、そのための税負担をしてもらいたい。自分たち負担と受ける恩恵というものが非常に実感がある。  今、日本の税の仕組みの中ではどうも中央集権的で、税を納めるんだけれども、それが国に一たん上がっていって、そしてまた補助金とか特別交付金とかいう形で還元されるのですけれども、自分たちの納めた税金が、ああ、おれたちの町にこういう形で返ってきたなとか、自分たち生活にこういう形で税金が支えになっているんだという、どうもその実感が余りない。そういう意味で、日本の税体系全体をもう少し考え直していく必要があるんじゃないか。これは、税体系もそういうことですし、地方分権をこれから進めていく中で、国全体の、いわゆる地方自治体と国との関係のシステムも変えていく必要がある。  例えば、今度私たちは政治改革になって選挙制度が十一のブロックになるわけですけれども、そういうことになれば、日本全体を例えば十一の道州制のような形にして、さまざまな仕組みが、もう少し地方で連帯をして個性のある地方都市をつくっていく。東京にとにかくすべてが一極集中するということは国全体にとっても、東京に住んでいる私たちにとっても大変不幸なことでありまして、これから、今度の災害等を考えますと、これは本当に決断をしてやっていかなきゃならないときではないか。  税制の仕組み、今申し上げたような道州制というような新しい国の機構の改革、そんなことを含めて、それぞれ公述人の皆さんから、御専門の立場からもしお話を例えればと思います。
  67. 宮内義彦

    ○宮内公述人 私は先生のおっしゃったとおりだと思います。やはり地方分権というのは、権限が行きましても金がございませんと、中央から分配されるということでありましたら本当の意味地方分権にならない。したがいまして、地方の分権というのは、税金の配分権というようなものも、国は、国としてやらなければならないこと以外は地方に任せるというふうな基本的な税制の考え方を変えないといけないということだと思います。  それからもう一つは、国全体の税金の体制でございますけれども、現在国民負担率が税金と年金とを含めまして三十数%ということで、高齢化社会とともにこの国民負担率が五〇%になるというのはもう前提のような議論をなされておりますけれども、国民負担率五〇%という世界は、GNPの半分を国が配分する、資源配分するという世界でございますから、これは現在の行革とか規制緩和、民間の活力というような意味からいうと全く逆行することでございまして、やはりアメリカのような活力のある社会、東南アジアのような活力のある社会でございますと、この国民負担率を上げないように国づくりをする、そういうことが一番重要かと思います。  ヨーロッパの国は大体五〇%を超えておりますけれども、それとともに国の活力が失われて成熟社会に入っていく。北欧の社会になりますと、七十数%という国民負担率の国はもう国民が逃げていくというようなことになっております。  そういう、国の富のうちどれだけを税金等で配分するのかというそこの理念が、五〇%になるという前提での国づくりということであるとすれば、私は非常に疑問に思っておりますので、国民負担率を何としても上げないという形で今後の民間の力を利用していくということをお考えいただくのが非常にいいんじゃないかというふうに思っております。  以上でございます。
  68. 屋山太郎

    ○屋山公述人 二つ申し上げたいと思うのですが、一つは、イギリスがなぜ落ち目になったかというと、二十世紀の初めに、首相兼蔵相のロイド・ジョージが累進税率というものを発明して、これはいいや、金持ちからいっぱい取れるというのでそれをやったところが、高所得者はほとんど、能力がある人ですから、アメリカへ行っちゃった。そこからイギリスが落ち目になっていくわけですが、日本の今の累進税率というのももうその域に達しているんじゃないか。  例えば、岡本綾子さんがなぜ日本に帰ってこないか、利根川進先生がなぜ日本に帰ってこないか。帰ってくると、いいこと何もないんですわ。そういう意味では人材が流出する、それから向こうに行った人材が帰ってこない、そういう問題が起こりますから、やはり税というのは直接税も間接税も国際的な平均、例えば直間比率が七、三がいいのかとか何がいいという絶対なものはないんですが、国際比較でそういうものを考えていく必要があるだろう。  それから地方分権でよく、税源も全部地方に配分してという話がありますけれども、これはドイツみたいな、各州所得がみんな似ているというところではそれは成り立つのですけれども、私は、日本で成り立つのかなあと。例えば、消費税地方税にした。東京ではがぶがぶ集まるけれども、鳥取、島根というところでは足りないわけですから。  そこで私は、フランスが一九八二年に地方分権法というのをつくって、フランスは日本と同じような中央集権が非常に強く、それから地方に格差があるというところで、フランスのやり方というのは、中央で全部はさっと集めて、それであと面積と人口に配分して地方に金を出す、それで、あとは国は何も言わない、地方のやるままに任せる、こういうやり方が現実的かなというふうに思っております。  以上です。
  69. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 この行政改革につきましては、国家公務員の現在の百十六万人の総体の数をどうするのか。あるいは、先ほどお話もありましたが、各省庁の人事の採用の方法であるとか、また、各省庁の行政改革、特殊法人の問題、あるいは規制緩和、地方分権、情報公開、いろいろ項目があるわけです。  先ほど申し上げたように、内容については、我々政府側も、三月、五月という形で具体的な提案をすることになっているわけでありますから、もう最終的なすり合わせをするという段階になっているわけですが、もし、公述人の描かれている行政改革の中で、大ざっぱに言って、全体の公務員、今百十六万人と言われているわけですが、実は、私、昭和五十一年に初当選させていただいたときに、当時、JRは四十七万人ぐらいでした。一番多かったときは五十万人ぐらいですけれども。そこで、当時のJRの改革がいろいろ問われて、年間一兆円も赤字がある、けしからぬ、こう言われて、その後、自由民主党の政権下でついに民営化にした。今JRを見ますと、十九万人ですよね。  あるいは、東京都も、美濃部都政もいいことをやった部分もありましたけれども、しかし、財政的には大変な状況になった。そこで、今の鈴木都政になって、ちょうど鈴木さんが都政を引き受けたときは二十三万人、そして今日さまざま、東京はごみ処理からいろいろ仕事はふえたけれども、東京都の職員は十九万人に減っているんですね。  ですから、そういうことを考えると、やっぱり民間がやっているようなリストラをまず国はやる。そして負担は、しかるべきときに国民の理解を得でやって二十一世紀に向かっていくということだと思いますが、もし描かれていて、公務員の総体をどうするのかとか、あるいは特に、先ほど郵政の問題とか、それから政府系の金融機関とかいうような御指摘もございました。特に、自分はこれをやれと、目玉になることがあれば一言ずつ教えていただきたいということ。  もう一つは、先ほど、宮内公述人のお話の中だったと思いますが、私たちは、新しい産業を興す、二十一世紀、日本は何によって生きていくかということがとても大事で、実は私たちは、ことしの、平成七年度の予算編成のときに、党内でも実はこれはとても若手の人たち議論をしたところです。  もう時間ありませんのであれですが、私の地元の八王子に、オリンパスという会社がありますが、ここは今世界一の、もうカメラではなくて、胃カメラを開発しているのですね。あるいは、青梅に東芝工場というのがありますが、そこで今開発をしているロボットは、一ミクロンといいますから、一ミリの千分の一、その分野を作業できるような開発をしているんですね、行ってみると。我々は、そういう新しい分野に挑戦をしていかなきゃいけないんじゃないか。  アメリカに、もう情報通信では十五年も差をつけられたと言う人もいるし、いや、射程距離にいるんだと言う方もいます。私も、その分野、専門じゃありませんが、我々は政治に携わっている者として、二十一世紀の初頭までは、車をつくり、電気製品をつくって、これからアジア三十億のマーケットでアメリカとも十分競争できるだろう、しかしその今、今までの蓄積で余力があって走れる間に、もう次のことに我々は投資しなきゃならぬ。それは、何といっても、この情報通信を含めた基礎研究をしっかりやらなきゃいけないんしゃないか。  そんなことも含めて、これからの日本はどこに力点を置いていかなきゃいけないのかというようなことも、せっかくおいでいただきましたので、もし一言ずつ手短にお話しいただければと思います。
  70. 宮内義彦

    ○宮内公述人 大変大きな問題を提出いただきましたけれども、私はやはり、これからポスト・インダストリアル・ソサエティーといいますか、もう脱工業化社会に入っていくと思います。そういう意味では、非常にハイテク関係の研究開発というようなものに重点を置くことと、それからもう一つは、やはり日本は世界の有数たる金融資産の持ち主でございますから、金融サービス業におけるリーダーシップをとっていくことができる。それからやはり、そういう工業化社会の後に来るものはサービス産業でございますから、いろんな小さなサービス社会のソフトを担うサービス、これはアメリカなんかがそうでございますけれども、これは無数のものが出てまいって新しい雇用をつくり上げているということでございます。  そういう意味で、我田引水ではございませんけれども、規制緩和が進めば、必ず新しい市場参入、市場というものが生まれてきて、新しい雇用ができて、物づくりから一段上の経済社会になっていくということでございますから、そういう意味では、もうこれはだめになったというような思いは決して持っておりません。  以上でございます。
  71. 屋山太郎

    ○屋山公述人 私は、先ほど言いかけたんですが、やっぱり日本の研究開発費が大体少な過ぎる。国が出す分は、各国とGNPの比率で見ますと二・八とか大体同じぐらいなんですが、中身を見ますと、日本は七五%が民間で二五%は国、各国は国が半分ぐらい出しておる。この絶対量、国が出す分が少ない。  それから、企業がやりますと、やっぱり商品化という頭がありますから、基礎研究というのを、例えば研究のための研究とかそういうことができないと思うんですね。それがもう一つ。  それから、日本の国立大学がなぜこんなにだめになっちゃったか。現実に、今九十八の国立大学はがらくた同然と言ってもいいと思うんですが、二年ほど前にイギリスのネーチャーという雑誌で、日本の大学はなぜだめかという特集をやりました。その結論を一言で言うと、官僚が学問研究の内容に干渉し過ぎる、こういうことなんですね。  要するに、研究やりますと言うと、何やるんだ、きっちり計画が出てこないと予算が出ない、こういう仕組みになっていますが、研究というのは、何やるかというのがきっちり書かれる段階ではもうでき上がっている話でありまして、何が出てくるかわからないのが研究でありますから、私は、お金の出し方がまずいのではないか。  その点、ドイツは科学学術省というところがありまして、これは文部省はないんですが、そこの省は、莫大なお金を持って、それで研究者にぼんぼんと、まとめて、あなたに五年間五億ずつ払うとか、そういう、国内の研究者をウの目タカの目でそこは見ている、何かが出そうだといったときにはつかみ金で出す、そういうやり方をやる必要があるんじゃないかというふうに思います。
  72. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 ありがとうございました。
  73. 三野優美

    ○三野委員長代理 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。  次に、石井啓一君。
  74. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 新進党の石井啓一でございます。  公述人の先生方には、大変御多用のところ本委員会にお出ましいただきまして、また貴重な御意見を賜りまして、心から感謝申し上げます。  私は、阪神大震災関係と、また行政改革の関係につきまして主に質問をさせていただきたいと存じます。  まず、阪神大震災の関係でございますが、三人の公述人の先生に順次御質問を申し上げたいと存じます。  まず宮内先生でいらっしゃいますけれども、先生は、先ほど神戸市の御出身という御紹介もございますし、またオリックス・ブルーウエーブ球団のオーナーでもいらっしゃいまして、大変この阪神地域とは御関係の深い先生かと存じますが、特に、経済界からごらんになりまして、この地域の復興、特にその経済の復興のために御要望あるいは御意見ございましたら、ぜひともお伺いをしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
  75. 宮内義彦

    ○宮内公述人 やはり神戸という町は、貿易で栄えたところが完全な打撃を受けているということで、まずハードの回復という意味では、一番インフラがやられてしまっておりますので、修復されるまでの間の空白期間に他の競合する、例えば港湾でしたら台湾を初めマーケットを失うという、ですから、時間との競争みたいなところがございます。  したがいまして、同じようなハードをつくり上げたときにもう一度戻ってくるかどうかという場合は、やはり以前よりもっと魅力のある港湾でないと、ソフトを含めた港湾設備でないと戻ってまいらないと思います。そういう意味で、ハードの回復、早い回復が必要でありますけれども、ともにソフト面ですね、そういうものの失ったものをどう取り返すかということが神戸を代表する港湾について言えると思います。  これは中小企業から零細企業まで同じことだと思います。一企業でありましても、やはり一生懸命政府機関なんかからいろいろな援助で工場をつくってやりますけれども、その一連の物の動きというものには非常に連鎖しておりまして、今とまっているということで客を失う、失ったらもうそこで戻ってこないということがございますから、そういう全体のソフト、ハードが組み合わさったものに回復させるためには、よほど、物だけあったらいいんだ、機械がもとどおりになったからこれでいいだろうということでなく、全体的に、有機的に動くかどうかということをぜひ見ていただいて、対策を講じていただくということが必要かと思います。  以上でございます。
  76. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 ありがとうございます。  それでは、引き続きまして、屋山先生でいらっしゃいますけれども、先ほども危機管理のお話がございまして、特に情報入手が非常に遅かった。今回私どもの大きな反省といたしまして、官僚機構と申しますか、これは平時といいますか、ルーチンの仕事であればきちんとこなすわけでありますけれども、こういう緊急事態にはやはりなかなか即応的な対応がとれない。  先ほど先生もおっしゃいましたように、係長から課長から局長というふうに順次情報が上がっていく、それも情報をきちんと確認をしていかないと情報が上がらない、いわば完璧主義のようなところがございます。そういったところで総理に情報が上がるのが遅かったということもございますでしょうし、また自衛隊のヘリが当日午前八時前後にもう既に上空を偵察して、上空からその被災の状況を見ながらもその情報が上がっていかなかったということ等々もあるかと存じます。  そこで先生にお伺いしたいわけでございますが、この官僚組織と危機管理ということで、今の官僚組織を、どういうふうにこれをつくりかえていくといいますか、私は危機管理の組織だけをつくるのではこれはちょっと難しいと思うんですね。官僚組織自体をやはり大もとからつくりかえていかないと、この危機の、何十年に一遍という事態にはなかなか即応的に対応できないと思いますけれども、そういった点から、ぜひとも先生の御意見なり御感想なりをお聞かせいただきたいと存じます。
  77. 屋山太郎

    ○屋山公述人 先ほどもちょっと触れましたが、私、通信社の記者をやって海外にいるときにしばしば不思議だったんですが、大統領なんかの記者会見は、我々と外交官も一緒に出るわけですね。それで、一緒に聞いて、一緒に筆記して、それで一緒に送るわけですけれども、外交官はそれから大使館に行って暗号電報かなんか組んで、そうやって、我々は、キャリーといいますか、伝達することにおいてはプロでありますから、外交官が大使館で書いているころにはもう東京へ発信しているわけですね。  そのくらいの差があるので、そうなりますと、同じ会見で、それがしかもテレビで行われるとなれば、もう出先の人が送る必要はないんですね、東京で、本省で見ていればいいわけですから。ですから、その第一報は自分で送る必要はないと思うんですね。  それは、どうしても初めからやらないと官僚は気が済まないんですが、第一報は通信社ので見てくれ、あるいは第一報はテレビで見てくれといって、自分も聞いて、それで彼が送るべきなのは、それを聞いて私はこう解釈する、あるいはこうなるという第二報なんですね。それは通信社も第二報を出しますが、専門家が見るものは違うんで、そこが違ってくるんですね。第一報は変わらない。  ですから官僚は、このメディア時代の情報収集で、第一報を自分でこうやってつかむということをやめた方がいい、それが私の感想ですね。一報からいくというのでは、やはりどうしてもトップダウンの早い決断というのはできないんじゃないでしょうかね。  だから、機構をどんなにつくっても、私はそんなに早い、スピーディーな、それは寝ずの番をみんなつくったって、それは通信社とかテレビ会社にはかなわないと思うんですね。我々はそのために、ずうっとそれだけで教育されてきているわけですから。だから、ブロはプロに任せて、それから自分たちは違う種類の情報をとるということがいいんじゃないかと思います。
  78. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 ありがとうございます。  それでは続きまして、浅沼先生にお伺いをしたいと存じますが、先生の御経歴を拝しますと、長く警察にお勤めになっていらっしゃって、警察庁長官も先生お務めでいらっしゃいます。恐らく、警察に御在職中は幾たびか緊急事態あるいは非常事態、こういった事態に遭遇をされたと存じますけれども、私がお聞きをいたしたいのは、その先生の御体験を踏まえまして、組織の仕組みということではなくて、組織のリーダーとして、こういう危機管理といいますか非常事態の心構え、そういうものをぜひお聞かせをいただきたいと存じます。
  79. 浅沼清太郎

    ○浅沼公述人 まず、今回の災害ですけれども、先ほど申し上げたように、私、川崎の自宅で最初から聞いておりました。  最初の報道は、大阪放送局の姿が出てきた。これは大阪放送局ですから、後に出た神戸放送局が物すごくやるんですけれども、あれと大分遣うんですね。そうしたら、震源は淡路島である、そして津波の心配はない、こういうのが最初の項目でした。私ども素人ですから、津波の心配はないということで、大したことないなというまず感じを、ゆらりゆらりとですね、両方あわせましてね。  ところが、しばらくたっても、震源地である淡路島がどの程度の震度であるか、淡路島の情報はしばらく全然来ないんですね、画面に出てこない。私はある時点で、これは淡路島は全滅したかなどいう感じを持ちました。  私は、昭和四十五年に大阪の万博がありまして、もう大分古いですけれども、あのときに警察本部長をしておりました。万博が三月の十五日に始まりまして、その後、ふなれで若干のトラブルはあったんですけれども、やっと落ちつきまして、これはいけるなと思ったところで、四月八日にあの天六のガス爆発という、八十人ぐらい亡くなりましたかね、それで四百人ぐらいけがされた。地下鉄の工事現場でガス管からガスが漏れまして、その工事現場の中に充満して、そこに何らかの形で引火しましたので大爆発した。これは五時半ごろですね、夕方の。  私、第一報を聞きますと、何か音がしておる、あっちの方で。それで、白い煙が立っておる。まあその程度。第一報というのは大体そういうことが多いんですね。ところが、一報、三報と来るうちに、これはちょっと様子がおかしいなと思いまして、すぐ現場へ行きました。そしたらああいうような惨状でして、指揮していた警部の中隊長が殉職したというような事件でございました。  やはり情報というものは、これは、情報がないと幾ら優秀な指揮官でも、判断材料がないことには判断したり決断したり対策を考えることはできないことは当然でございまして、正確な情報が間髪を入れずに手元に来るということが最大のあれでございます。  私はその前の昭和三十五年に、池田内閣ができましたときに、岸内閣の退陣の後でございまして、警察から秘書官が行くということで、初めて私、秘書官で、池田内閣総理大臣秘書官を三年やりました。官邸に三年住みましたので、官邸の三十五年前の状況は、私はちょうど警察から行きましたから、ああいう状況の後で行きましたから、私が当時やっていた仕事は、文字どおり危機管理そのものだったのでしょう。余りそういう言葉は使いませんでしたけれども。  それで、やはり今の第一報ですね、これが官邸にすぐ届く、総理のところにすぐ行くということでなければいけませんので、私は警察から行っておりますから、警察の情報はすぐ来るわけです。  それからまた、私は若いときに内閣調査室におりましたので、内閣調査室の組織とか機構というものは私がいたときに大体でき上がった時期でありましたので、調査室はよく人も知っておるわけです。ですから、調査室にいろいろな情報が入ってくるのは、私にすぐ来るわけですね。  そういう仕組みになりまして、例えば昭和三十八年十一月、ケネディ暗殺事件がありました。あのときはちょうど通信衛星を介して日本とアメリカのテレビの中継が成功した、試験が成功したときなんですね。その試験放送の最初の映像があのケネディ暗殺の映像だったと思っていますが、それが私に、内調の特約したニュース社から出先に電話がありまして、ケネディが暗殺されたと。実はちょうどそのころ、私は秘書官をやめて警察庁に帰っていたときなんですけれども、まあ秘書官ということですぐ来たわけですね。  ですから、今度政府の方でお考えになって、内調などを使うというようなことも新聞に出ておりますけれども、いずれにしましても、そういう仕組みを、しかもその仕組みは極めて単純明快に、今いろいろお話しのように、いろいろな役所の組織とか、あっちをやるには言わなければいかぬとか、そんなことをやっていたら間に合わぬわけですね。だから、やはりそういうことを考える。  まず、的確な判断を下すために必要な材料を、情報を一刻も早く、ストレートに官邸に届くということ。それから、私は危機管理のもう一つの大きな問題は、やはりリーダーシップの問題、こういうふうに考えております。
  80. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 ありがとうございました。  それでは、行政改革につきまして、話題を変えてお聞きをしたいと存じます。  屋山先生は、今お話を承りましたとおり、十二年間にわたり行政改革にも携わっていらっしゃいまして、この間、恐らく官僚機構の厚い壁との闘いというのが相当あったかと存じますけれども、まず、この間の率直な御感想なり、今後の私どもにいただきますアドバイスなりをお伺いしたいと存じます。
  81. 屋山太郎

    ○屋山公述人 中曽根内閣のときに、かなりうまくいった。行管庁から総理大臣になられて、土光臨調もまだ続いているわけで、そのときに土光臨調のブレーンという人たちも相当見識があったし、敬服するような人たちが非常に多かったと私は思うのですが、官僚の側から見ると、この政権が何年続くか。一年かそこいらだという見当をつけますと、彼らはじっとしているのですね。絶対自分から動かない。それは、存在するものはすべて理由がある、こういうことですから、そういう理由を言ってやる。  ただ、中曽根さんは再選もしそうだ、結局五年やられたわけですけれども、そういう勢いだと官僚の方は、これは三年も四年も盾突いていたら自分の首が危ない、こういうふうにまず思うのですね。ですから、やはり政権が安定している、それからリーダーシップがあるということが行革の前提じゃないでしょうかね。  私は、どうもその後がほとんどうまくいかなかったというのは、やはり総理大臣が熱心じゃなかったなという思いとともに、スキャンダルが起こったりしていつ転ぶかわからない。これは官僚にとってはしめしめの状況でありまして、ですから、政権が安定している、それからやはり総理がリーダーシップを振るってくれないと、官僚には官僚の理屈が、それは本当に資料を見ただけで、この資料ならこれは要らないんじゃないかという結論は絶対出てこない資料ですからね。ですから、これは常識で、政治家の常識で判断していただくしかないんじゃないか。  先ほど申しました蚕糸なんかも、保護する保護するといって、土光臨調のときには十七万戸あったのですね、お蚕さんが。しかし、それでは保護にならないのじゃないかと言っているのに、いや、これで大丈夫だ大丈夫だと言って、もう去年は二万戸切っているわけですよ、あと二年続くかどうか。それなのになぜ保護するか。これを保護しているおかげで絹織物業者というのが倒れかけているわけですね。  イタリアがちょうど二十年前にそういう事態に直面して、お蚕をあきらめて全部廃業資金をやって、それで開発輸入して、それであのシルク産業が花開いたのですが、日本の場合はシルク産業が本当に息絶え絶えになっているわけですからね。これが死んだら、ではお蚕さんを飼うやつがだれがいるのかといったら、世界じゅうにいないわけですよ。だから、それはどっちを守らなければいけないかというのは、もうこの時点ではっきりしているというふうに思います。
  82. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 屋山先生、恐縮ですが、続けてお伺いをしたいと存じますが、現在、政府でも行政改革、特にこの二月十日には特殊法人の改革について案が出されるということで鋭意今進められておりますけれども、私自身は、いろいろ伝えられているところを見ますと、どうもそれぞれの法人の業務あるいは事業の内容の抜本的な見直しということではなくて、どちらかというと特殊法人の数を減らすために、業務、事業はそのままで、二つを一つにするという統合が多いというふうに伝えられております。正確な結果は二月十日になればわかると思いますけれども。  私は、それではやはり本来の意味での行革にはつながらないというふうに思うわけでございますけれども、先年今の政府の行政改革について何か御意見あるいは御感想等あればお伺いをしたいと存じます。
  83. 屋山太郎

    ○屋山公述人 特殊法人の関係の問題は、個別の問題と、先ほど言った蚕糸とか船舶整備公団とか雇用促進事業団とか、個別の問題でこれは要らないなというのがあります。  それともう一つ、個別問題じゃなくて、一番大きい問題はやはり金融の問題だと思うのですね。日本がこれから、何といいますか、金融の資力はあるのですから、これが活発に規制緩和をやればベンチャービジネスがどんどん出てくる。そこに対応できるという姿になっておりませんよね。銀行は相変わらず官業の、何といいますか、民業が官業になってしまったという状況であるし、それから、産業政策を育成するから政府関係金融機関が必要なんだと、こう言っても、現実に育成されたかというと、先ほど申したようにけた違いに悪いわけですね。  要するに、日本ではベンチャーをやるというのは大変なことなので、京セラの稲盛社長がよく行革審のときに言っておられましたけれども、今電話一本で何十億借りるのはとにかく楽だ、しかし、それはありがたいけれども、一番頭にくるのは要するに創業のときだと。創業のときに銀行に行って金貸してくれと言うと、担保の土地はあるかと聞かれる。そんなものがあるぐらいなら金借りに行かないんだと言うのですね。  それで、外国の銀行というのは、貸付係というのが非常に銀行の中で高い地位を占めていまして、こういう事業をやると言うと、その会社に行って一月ぐらい銀行員が一緒に働くのだそうですね。  それで、社長の人格から商品から社内の雰囲気からこう見て、この会社には二億貸してやろうあるいは三億貸してやろうと、そのくらいの単位のお金を二十七、八の貸付係が決める。十件のうち二件ぐらい失敗してもいいんだ。三件も四件も失敗すると、こいつは能力ないんじゃないかと思われるけれども、二件まで失敗しても大丈夫だと私はアメリカの金融マンから聞いたことがありますけれども、金融の仕事とはそういうものなんだろうと思うのですね。  そういうことから考えると、日本みたいに四三%も公的金融がふえちゃったというのは非常によくないことだと思うのですね。つまり国家の意思で、あるいは官僚の意思で、この産業は育てるべきだ、この産業は熱を入れなくていい、そういう産業の選別が行われる。今まではそれでよかったのです、アメリカという見本がありましたから。つまり家電にやる、次に自動車だというので、どんどん集中的にお金をぶち込んでいく対象が割とはっきりしていた。  今度は何が出てくるかわからないという世界になったわけですから、やはり官僚の公的金融では対応できないのだろう。そうかといって、銀行が目覚めているかというと、稲盛さんがぼやくみたいな状況ですから。  ここのところは、やはり財投のあり方から含めて、これは二月十日と言われていますけれども、結局成案は三月末ということですから、そこまでとことん議論して私はやっていただきたい。もうこれは諮問委員会をつくってやる、そうするとまた三年ぐらいこれで時間を稼がれちゃうわけですから、ほとんど意味がないと思うのですね。ですから私は、この機会にリーダーシップを発揮してここに切り込んでいただきたい。  即、例えば郵貯の分割とかいうのではなくて、郵貯なんかはアメリカは一九六〇年代にやめているのですよね。それからカナダもやめているし、オランダもポストバンクを民営化しているし、金融の自由化時代に備えてドイツもイタリアも郵貯の廃止を決めているわけですね。これがやはり国際的な潮流で、当たり前の流れだと思うのですね。  日本は公的金融があるからいいというのは、これは官僚がつくり出した神話なので、やはり神の見えざる手で市場はいった方が一番バランスがとれるのだというふうに思います。だから、ぜひ三月末までにまとめていただきたいというふうに思っております。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 大変ありがとうございました。  それでは引き続きまして、宮内先生に今度は規制緩和につきましてお伺いをしたいと存じます。  まず、先生は第三次行革審において専門委員でいらっしゃいまして、規制緩和についてお取り組みになりましたけれども、その折の御感想なりいろいろあったかと存じますが、また、私どもの方にいただけますアドバイスなりございましたら、ぜひお願いします。
  85. 宮内義彦

    ○宮内公述人 第三次行革審のくらしの部会で専門委員をさせていただきまして、あのときに規制緩和するべきという議論はもうほとんど出尽くしたように思います。  ただ、あのときの部会の構成を見ますと、半分が官僚のOBの方である。ですから、当該行政のところへ切り込むと物すごい反対があるというようなことで、議論は出尽くしながら本当に残念な結果に終わったわけであります。  今度、規制緩和検討委員会の委員にさせていただいて、一つ違うのは、今検討しておりますのは、内閣内政審議室と総務庁と、それからあとは民間の委員だけで検討させていただいているということでございますから、各論についての反対は出ないのですが、やはり意識の差がありまして、なかなか規制緩和の必要性というのはわかっていただけないし、十人のうち九人までが賛成して一人反対というふうになりますと、これをまとめますと両論併記になりまして、反対論の方が長かったりするとその辺でインパクトのない報告書にならざるを得ないのではないかということを非常に懸念しております。  ただしかし、行政改革、規制緩和というものは、その仕組みをつくるのはやはり立法府でございます。立法府が法律をつくり、その法律にのっとって行政機関がいろいろなことをやるわけでありまして、決して全部法律違反をやっているわけではないわけであります。そういうことで、私は、審議会のあり方、行政府が審議会をつくるというようなことでなく、やはり立法府が審議会をつくり、議員立法で物事を動かしていくということでないと、これほどおくれてしまった日本のシステムというのは変わらないと思います。  したがいまして、確かに内閣のリーダーシップということも言われるわけでありますけれども、私は、この両院のリーダーシップということで日本のシステムは変えていけると思っております。そうでないとおかしいわけでございますので、すべて行政にシステムづくりの考え方からそれの施行まで、法律の内容までつくってもらうというようなやり方はまことにおかしいわけでありまして、立法府がリーダーシップをとるということで日本のシステムをどうしても変えていかないといけない。その中の非常に大きな柱が規制緩和じゃないかというふうに思っております。よろしくお願いしたいと思います。
  86. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 それではお尋ねをしたいと存じます。  今度は屋山先生と宮内先生、両先生に引き続いて規制緩和についてお伺いをしたいと存じますが、私は、この規制緩和の問題で国民の声がいま一つ盛り上がってこないと申しますか、どちらかというと経済界の方が非常に中心になって申し上げている。それは恐らく、事業をなさることにおいて直接そういう規制とか各種の行政指導等にぶつかっていらしてそういう声が上がってくると思うのですが、やはり国民にとっては内外価格差を大幅に解消して国民生活が非常に豊かになるという大きなメリットがあるのですけれども、いま一つ大きな声が上がってこないというのが若干不思議なんです。  それは一つは、身近に何か規制があるというのが感じられない。生活していると当たり前のように思ってしまうようなところもございまして、そういうところでいわゆる国民的な盛り上がりを起こすためにはどういうことをやっていけばいいか。ぜひ何かお考えがございましたら両先生にお伺いをしたいと存じますが、いかがでございましょうか。
  87. 屋山太郎

    ○屋山公述人 国民はわかっていると思うのですね。ただ、これはもう十二年もやっていて、特に後半はまるっきり進まないわけですから、あきらめているのじゃないか。  私は、細川内閣ができて、それで生活者重視の政治、こう言ったときに、あの内閣に七〇%もの支持が続いだというのは非常に意味があると思うのですね。というのは、その前もその後も四〇%ぐらいでありますから、国民が感じたのはやはり生活者重視なんだ。というのは、これは、何といいますか、今までの政治と違うのだな、曇りの中で一カ所だけ晴天が見えたという心境だったのじゃなかろうか。  私はよく講演に行くのですけれども、例えば価格破壊とか内外価格差の是正というのはどこまでいくのだ、私はあらゆるところまで価格破壊は進むと思うのですね。価格破壊というのは、ある品物、商品の国際平準化ですから。ですから、賃金も恐らく下がっていくだろう、土地も下がっていくだろう。というのは、日本に投資する人はいないわけですよね。  九三年に日本からアメリカに対する投資は百三十七億ドルありましたけれども、アメリカから日本への投資は十三億ドル、つまり十分の一ですね。オフィスは高いわ、人件費は高いわ、事業用地は高いとなれば、投資する人はいないので、必然的に下がっていかざるを得ない。下がっていったら、それでは賃金も下がるということになれば大変じゃないかというけれども、これは日経連の永野さんがおっしゃっているように、賃金は下がる、しかしそれ以上に物価が下がっていくということになれば豊かになるわけで、私は、今の日本の賃金というのは最高水準であって、これから下がっていかざるを得ないと思うのですね。  日本航空でアルバイトスチュワーデスを雇う。あれはスチュワーデスの人件費を四分の一にしなければ日航はもう立ち行かないというところへ追い込まれているわけですから。そういう意味で、あらゆるところで価格破壊、賃金破壊といいますか、そういう現象が起こってくるだろう。  ですから、規制緩和をどんどん進めて、それで国民に、楽になるんだよというPRをやれば、国民は潜在的に、何かやるべぎだ、行政改革反対だという投書はほとんど見ませんよね、やれ、やれと言う人が多くて。ただ、政治の側の受けとめ方がとにかくマンネリになっているということなんで、私は、潜在的に国民は行政改革とかそういう小さい政府を望んでいるというふうに思います。
  88. 宮内義彦

    ○宮内公述人 私も、実は産業界だけというのは、恐らく産業界がやはり国境のないところで事業をしているということで、もう押し込まれて悲鳴を上げている、規制緩和をしないと生きていけないという悲鳴なんだというふうにお考えいただければいいと思います。消費者はまだ悲鳴を上げるところまで切実性がない。しかし、問題意識は持っていると思います。  恐らく、輸出産業の場面では一ドル百円というところで競争しているわけですけれども、中へ一たん水際から入りますと百九十何円という購買力平価である、サービス産業は三百円の世界である、農家は五百円の世界であるとかというこの格差は何かというと、やはりいろいろな日本の複雑なシステムと規制との枠の中でつくり上げられたところで、だれかが損をしてだれかが得をしているということなわけであります。  そして、国際的に見ると、もう国境を越えると全部百円の世界であるということになると、その立ち行かない、まあ企業は立ち行かなくなる、その次は生活者が、これはおかしいじゃないかということになるというのは自明の理ではないかと思います。  したがいまして、産業界だけが言っているというふうにおとりになるというのは、恐らくそうではない。もっともっと日本国全体が問われているのがこの規制緩和であり、それにまつわる行政改革というのも同じ脈絡の上にございますから、そういう意味では、もう臨調以来十数年でございますから、問題意識が出て十年たっても変わらないというのは、やはり日本が余りにもかたい社会になり過ぎた。  システムを変えるということにだれも勇気を持って取り組まないということであったらいけないわけでございまして、産業界というのは悲鳴を上げるだけで非常に残念なんですけれども、ただ、悲鳴を上げながら、これとこれとはこういうふうにしていただきたいということは申し上げているつもりでございますので、その辺倒理解いただければと思います。
  89. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 それでは最後に、屋山先生、宮内先生両先生にもう一問お伺いをしたいと存じます。  この規制緩和を進めるに当たりまして最大の課題となると思いますのは、やはり労働問題、失業問題かと存じます。国内での保護産業、ここでやはり雇用の調整というのが出てまいると思いますが、二つあると思うのですね。  一つは、規制緩和をしないままの方が国内産業が空洞化をするからむしろそちらの方が失業が大きくなるのではないかという問題、これについていかがお考えかということが一つでございます。  二つ目は、規制緩和をすることによって新しい産業を創出する、そのことによって雇用を確保するんだということがございますが、この場合、いわゆる労働力のミスマッチをどうするかという問題があるかと存じます。  この二つの問題につきまして、両先生の御意見を例えたらと思います。
  90. 屋山太郎

    ○屋山公述人 このままやっていけば余計に空洞化が起こると思うのですね。規制緩和をすれば必ずニュービジネスができるというのは、アメリカのなんかを見ていますとそうなっています。  例えばCATVなんかは十年前に同じにスタートしたのに、もう向こうは三千チャンネルもできている。日本はほとんどゼロ。それは郵政大臣の認可なんということをやるものですからそうなって、向こうは知事の認可。知事さんは地元に何かできるのは結構だからほとんどめくら判、こういうことで、大変な勢いで隆盛しているわけですね。ですから私は、規制緩和をやった方が起きると。  ただ、私が例えば今退職してすぐコンピューター会社へ行けなんといってもこれは行けないわけで、そこは私の息子が行くことになるので、その労働のミスマッチというのは社会政策としてきちんと見なくてはいけない。そこをテークケアすればうまく移動していくだろうというふうに思います。
  91. 宮内義彦

    ○宮内公述人 今屋山さんがおっしゃったのと全く同意見部分もございますが、実は規制緩和をしないで済むかというと、もうしないで済まないと思うのです。もしこのままでおりますと、日本の企業は収益性が猛烈に落ちて、解雇とか賃金カットをせざるを得ない部分が出てまいります。それから、このままでおろうと思ったら、国際的に非常に貿易摩擦等々の摩擦がひどくなると思います。したがいまして、このままではいかない。  したがいまして、今度は規制緩和をしていくと、経団連の計算では、九五年から二〇〇〇年の間の累計でGDPが百七十七兆円増加して、新しい雇用が七十四万人生まれるという計算もございます。  確かにミスマッチはありますけれども、数では心配はない。アメリカの実例では、数では新しい雇用は膨大にふえているということでございますので、年をとってだめだと言われた人を、これは社会政策として手だてをする必要がある、そういうふうに思っております。
  92. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 それでは以上で終わります。先生方、大変ありがとうございました。
  93. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。  次に、穀田恵二君。
  94. 穀田恵二

    穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。三人の公述人の皆さんには本当に御苦労さまです。私が最後でございますので。  私は、最初に浅沼公述人に御意見をお伺いしたいと思います。  先ほどの御発言でも、数字は別として、二十兆円ぐらいは公共事業の中で災害に投入できぬかということでお話ありました。そしてその後続きまして、幹線や道路は後回しにしてでも優先をというふうなお話もございました。私はそれを見まして、それ自身は同感だと思ったのです。  ついせんだっての新聞は、特に予算委員会は予算議論する場でもございますし、その中でいいますと、予算の修正が大事じゃないかという御意見一つの新聞の論調で出ています。ですからその点をお聞きしたいのです。  その新聞にはこんなふうに書いているのです。「九五年度予算には一般公共事業費として約九兆三千億円が計上されている。補修、管理に回される資金もあるが、多くは新規事業への資金となっている。新幹線、高速道路、港湾、空港、橋りょうなどの拡大を図ろうという発想で貫かれている。」これでいいかと。「新幹線や高速道路の安全神話の崩壊だった。」今回の事件は。そして、だから「日本列島を地震に対し、より安全なものにするため総点検し、さまざまな施設の補強を最重点に置くこと」が望ましいんじゃないか、したがって、今「緊急対策は補正予算で処理し、本格的な列島の安全性向上は九五年度予算を修正して取り組む」必要があるんじゃないか、こういうふうに結論づけているわけですね。  私は先ほど、公述人の御意見をお伺いして一つの共通項があるなと思ったわけですが、今予算を我々審議しているわけですが、かってそれこそ考えもしなかったこういう事態が起こる、そういう中で予算がそのままでいいんだろうかというのが多くの中で御意見がございます。  ですから、そういう意味で、防災対策の観点から予算を組み替えするというのが必要じゃないかという御意見がふつふつと沸き起こっているわけですが、その点についての御意見をお伺いしたいと思います。(発言する者あり)
  95. 浅沼清太郎

    ○浅沼公述人 先ほど、今回の災害を見まして、やはりこういうことに対応するためにはこういう事業、こういう体制が要るということを申し上げたのでありまして、私は財政について専門家でもありませんのでね。  ただ、やはり考え方としては、何というか、十年で、あとまだ六年ぐらい残っているのですかね、第一回が。あと二百兆ふやすというのですから。やはりそういう全体の中でこういうような緊急の問題に重点的に対応するというような、そこは専門の財政当局なり、あるいは国会の先生方でいろいろ御検討いただかなければいかぬと思いますが、私は原則的な考え方を申し上げたわけであります。
  96. 穀田恵二

    穀田委員 今与党の側からも時間がという話があるのですけれども、私はそうは思わないのですね。  実は今回の大震災は、私も何度もそれこそ行かせていただきまして、本当に甚大でして、それで救援と救済、復旧、復興というのはまさに国政上の中心課題だと思うのです。その点で言うならば、九五年度予算というのは大震災を予測して立てられたわけじゃ決してないわけなのです。これはだれが考えたってそうなのですね。  そうしますと、それにこだわって政府予算が、ともかくこれを通過させなくちゃならないというようなことじゃなくて、例えば、私は今も一つの社説を引用させていただきましたが、何せ九兆三千億円という膨大な公共事業がある。ほかにも私ども意見はありますけれどもね。  残りの宮内公述人と屋山公述人にお聞きしたいわけですが、公共事業の中で、先ほどの浅沼公述人のお話しゃありませんけれども、私は、災害対策という関係からしたらやはりもう一度見直す必要があるのじゃないか。私は、そういう意味でいいますと、復興と防災都市づくりということで予算を、今の公共事業自身の予算を、不要不急なものは凍結したり見直したりして思い切ってそこに充てるということが大事だ。  そうしないと、後で補正をしてやったらいいというような話になりますと、では、今の予算の執行を前提にしてとなりますから、今巨額の費用が要るということははっきりしているわけですから、その巨額の費用を捻出することが今だったらできると私はまず第一に思うのですね。  したがって、もし予算を通してから通してからといいますと、では次の財源をどうするんだということで、今議論になっていますように、結局のところ赤字国債か増税かというような話も出てきて、結局そういう袋小路に入ってしまいかねないと私は考えているところなのです。  したがって、今お話ししました、私としては、単に遅いという話もありましたけれども、きょうもある新聞の社説では再び組み替えをということが出ています。ですから、大臣の方々の中でも、実際の公共事業をする上でやはり重点的見直しは必要であるとおっしゃっている方もおられます。ですから組み替えが必要と考えるが、いかがかということが一つ。  それから二つ目に、復興財源についてのお考えはどういうふうにお持ちであろうか。そういう専門家的でないという方もいらっしゃるかもしれませんが、まず大枠の話だけきょうはお聞きしたいと思ってきたものですから、その二点をお二人の公述人にお答え願えれば幸いです。
  97. 宮内義彦

    ○宮内公述人 私も財政は不得手なのでございますけれども、やはりこれは突発的に十兆と言われている国民の資産が失われたわけでございます。それから、あとは時間との関係ということもあろうかと思いますから、どういうふうにこれを補っていくかという御議論だと思うのです。  今年度の予算の中に不要なものがあるのであれば組み替えということも考えられるのかもわかりませんけれども、恐らく必要なものをぎりぎり盛り込んでおられる予算が今審議されているということになりますと、この十兆の穴をどう埋めるか。恐らく答えはたくさんあるのだと思いますけれども、どういう方法がやはり被災に遭った神戸の人々にとりまして一番プラスなのかということをお考えいただきまして、今、別枠と組み替えというふうな御議論があろうかと思いますけれども、私も恐らくこういう難しい質問、問題に対しては答えはなかなか、これが正しくてこれが間違いというふうな問題でなくて、本当に思いもかけないものにどう対処するかということでお知恵を絞っていただくとお願い申し上げるということに尽きるわけでございます。
  98. 屋山太郎

    ○屋山公述人 私も常識的なことしか言えないんですが、予算ができ上がった以後に非常事態が起きたわけですね。ですから、この非常事態に緊急に対応するというものを予算の中に取り入れる。今、できた予算の中からむだというか省けるものは徹底的に省く、それで震災に対応する。  例えばウルグアイ・ラウンドの対策費なんというのは、これは土建屋さんが喜ぶだけで、農民はちっとも喜んでないのですね。ほとんどが土地改良の業者に行くというようなものですから、私は、初めからそういうものはやめた方がいいと思っていましたから、こういうものはやめる。あるいは漁港とか、そういう不要不急なものは削って、できるだけ震災対策を盛り込む。それで、もちろん足りないわけですから、足りないときには赤字国債でやるという、赤字国債やむを得ないというふうに思っております。
  99. 穀田恵二

    穀田委員 私は、今のお話を聞きまして、やはり不要不急のものという考え方ですよね。  私は、例えば現実の問題として、東京湾岸道路などを初めとして進行している、財政投融資から二千三百億円もつぎ込む、こんなことをしているんだけれども、それ自身、私は東京湾岸道路を否定しているわけじゃないんですけれども、それじゃあれ、今地下をこう行く場合に、本当に耐震性が、震度六や七に設計されているんだろうかという疑問を当然抱くわけですね。その辺は先生の御専門かと思うんですけれども。だから、そういう意味で、逆に言えば、予算を執行する公共事業の一つの考え方として、執行するに当たっても再度の見直しが必要だという場面もあるわけなんですわ。  だから、そういう意味からいいますと、逆に言えば、もう一度洗い直しが必要だという意味での中止や凍結も可能性があるんじゃないか。だから、先ほど浅沼公述人からお話があった、もう一度ある意味じゃ凍結をしてと、そういうものに金をかけてやってはどうか、後回しにしてというのに私非常に賛意を覚えたんですね。  ですから、現実にそういう道路や幹線やそれらのことについて安全の問題で随分苦労なすってきた浅沼公述人から、その点、再検討するという意味からいっても、公共事業の意味での関係から組み替えが必要じゃないかという意見はどうですかね。
  100. 浅沼清太郎

    ○浅沼公述人 私が申しております復興対策といいますか、関東大震災も七年間かかって復興をやり遂げたということになっております。ですから、今度はもっとかかるかもしれぬ、阪神だけじゃなくて。そうしますと、例えば十年規模で、まあ復興院ができるのかどうかわかりませんが、そういうことで地方をバックして、国もバックしてやっていく。  そういう場合のお金をどうしたらいいかという角度で、私はやはりこれだけの、何といいますか、膨大な公共事業費というものがありますので、十年規模のそういう復興というものを考えながらその財源を、私はまあ専門家じゃありませんけれども、これはやはりなるべくは増税はしないように、国民としましては。また、赤字国債やむを得ないかもしれぬが、それもなるべくはしないと。  そう言うとお金の出どころはないかもしれませんけれども、あるいは建設国債をさらにふやすということになるかもしれませんけれども、そういうこととして考えておるのでありまして、応急の復旧、目下のですね、そういう問題については、恐らく予備費もあるでしょうし、補正予算というような考え方もあるでしょうから、そこら辺をどういうふうに考えるか、ちょっと私は、財政当局あるいは国会の御審議というようなものでそこら辺が決められていくんじゃないか、こう思っております。
  101. 穀田恵二

    穀田委員 屋山公述人に最後にお聞きしたいと思うのです。  今もありましたように、なぜ私なんかが組み替えという話をしておりますかといいますと、予算を執行するに当たって、今度の予算を通してしまう、あとは補正だとなりますと、結局その巨額の費用を、今お話がありましたように何十兆円とかかる、まあ今の試算でいいますと、兵庫県などの場合は約八兆円から十兆円という試算がどうも多いみたいですが、被害に基づいては。それで、一度でやるわけじゃありませんけれども、大体五年から三年かかった場合としても、大体年間で三兆円ずつぐらい回していくというような感じでいけるんじゃないかと私は考えているのです。  そうしますと、やはりその三兆円でも生み出すのは相当大変なんですね。だから、結局のところ、今の予算の根本といいますか、本体をいじらないでいきますと、先ほどありましたように増税するか赤字国債するかということで、袋小路にはまっちゃう。それで、今浅沼公述人からお話がありましたように、増税はしない、赤字国債はなしにしてほしい、こういうことをやろうと思いますと、余計今の組み替えが必要だということだと私は考えています。  むだを省く問題については、意見は私はいろいろ違いますけれども、いずれにしても、不要不急と言っているのは、もう一度見直せということであって、しかも公共事業費の九兆三千億円、その中身については意見が若干違うと思いますけれども、ただし、公共事業費を見直す、私どもはさらに在日米軍に対する思いやり予算だとか、それから軍事費だとか、これは我々の主張ですから、そういうのを見直せとは言っていますが、そういう点なんかも含めて、最後に、どうすればいいかというあたりの御意見だけ一言お伺いしたいと思います。
  102. 屋山太郎

    ○屋山公述人 先ほど申し上げたように、今の予算、私は満足しておりませんで、相当のむだがあるなという感じがしておりますから、そういうところを詰めに詰めて、それで財源を浮かして震災対策に回す、それで足りなければ当面は赤字国債で出していくという、立ち上がりはそんなものじゃないかなという気がしておりますが……。
  103. 穀田恵二

    穀田委員 どうもありがとうございました。
  104. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  明九日の公聴会は、午前十時から開会することとし、本日の公聴会は、これにて散会いたします。     午後四時六分散会