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1995-06-12 第132回国会 衆議院 予算委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年六月十二日(月曜日)     午後一時一分開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君  理事 三野 優美君 理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    浦野 烋興君       越智 通雄君    木村 義雄君       菊池福治郎君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    佐藤 剛男君       志賀  節君    近岡理一郎君       中谷  元君    額賀福志郎君       野田  実君    蓮実  進君       原田  憲君    村田敬次郎君       村山 達雄君    若林 正俊君       池端 清一君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       細川 律夫君    前原 誠司君       穀田 恵二君    松本 善明君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  村山 富市君         法 務 大 臣 前田 勲男君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 与謝野 馨君         農林水産大臣 大河原太一郎君         労 働 大 臣 浜本 万三君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     野中 広務君         国 務 大 臣         (内閣官房長官五十嵐広三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房管理室長   安藤 昌弘君         警察庁刑事局長 垣見  隆君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  土屋  勲君         総務庁行政管理         局長      陶山  皓君         法務省刑事局長 則定  衛君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省生涯学習         局長      草原 克豪君         文部省初等中等         教育局長    井上 孝美君         文部省学術国際         局長      岡村  豊君         文化庁次長   林田 英樹君         農林水産省経済         局長      東  久雄君         労働大臣官房長 伊藤 庄平君         労働省労政局長 七瀬 時雄君         自治省行政局長 吉田 弘正君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁松下 康雄君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 六月十二日  辞任        補欠選任   江藤 隆美君    中谷  元君   越智 伊平君    佐藤 剛男君   関谷 勝嗣君    額賀福志郎君   高鳥  修君    近岡理一郎君   中山 太郎君    野田  実君   山崎  拓君    木村 義雄君   不破 哲三君    穀田 恵二君 同日  辞任        補欠選任   木村 義雄君    山崎  拓君   佐藤 剛男君    越智 伊平君   近岡理一郎君    高鳥  修君   中谷  元君    江藤 隆美君   額賀福志郎君    関谷 勝嗣君   野田  実君    蓮実  進君   穀田 恵二君    不破 哲三君 同日  辞任        補欠選任   蓮実  進君    中山 太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  証人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  予算実施状況に関する件(旧東京協和安全  両信用組合問題等)      ————◇—————
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  ただいま新進党所属委員出席が得られておりません。与党理事をして出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。  速記をとめてください。     〔速記中止
  3. 佐藤観樹

    佐藤委員長 速記を起こしてください。  与党理事をして出席を要請いたさせましたが、出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  去る六日、衛藤征士郎君から、山口敏夫君及び中西啓介君を証人として本委員会出頭を求めることとし、その日時等については委員長において定めることを望むとの動議提出され、この動議の取り扱いについて理事会で協議いたしましたところ、これを採決すべしとの結論を得ました。  本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、山口敏夫君及び中西啓介君を証人として本委員会出頭を求めることとし、その日時等については、委員長に御一任いただくことに決しました。  委員長は、来る十七日午前十時に山口敏夫君を、同日午後一時三十分に中西啓介君を証人として本委員会出頭を求めます。  衆議院規則第五十三条の規定により、その手続をとることといたします。
  5. 佐藤観樹

    佐藤委員長 予算実施状況に関する件、特に旧東京協和安全信用組合問題等について調査を進めます。  去る六日に引き続き、質疑を続行いたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  7. 佐藤観樹

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細川律夫君。
  8. 細川律夫

    細川(律)委員 社会党の細川律夫でございます。  私の当初の質問は、六月六日の集中質問のときに予定をされておりました。しかし、審議が中断をいたしまして、本日行うことになったわけでございます。  六月六日といえば、今国民皆さんが最も関心の高い、関心を持っておられるオウム真理教教祖であります麻原彰晃東京地検によって東京地裁殺人罪などで起訴された日でございました。したがって、私は、その日にこの件につきまして総理を初めとして各大臣質問予定もいたしていたところでございます。  あれから日時がたちましたけれども、しかし、御承知のように、起訴された後、オウム真理教につきましては、麻原教祖らの例の地下鉄サリン殺人事件のほかにも、さらに未解決でありました事件解明をされようといたしております。いろいろな報道によりますと、上九一色村のオウムの教団の施設に強制捜査が入りました端緒となりました仮谷さん拉致事件につきましては、仮谷さんが既に死亡し、焼却されたというショッキングなことが判明もいたしてきております。また、松本サリン事件につきましても、裁判官の殺害をねらったオウム教のしわざであるということも徐々に明らかになってきているところでございます。  そこで、二信組に関する集中審議ではありますけれども、まず、総理にお伺いをいたしたいと存じます。  地下鉄サリン事件につきましては、朝のラッシュ時の地下鉄におきましてサリンを放出をさせ、無差別大量殺人をねらいました我が国犯罪史上かつてなかった極悪非道な犯罪でございます。犯行に使われましたサリンは、戦前ドイツナチスが開発したと言われておりまして、そのナチスさえも使用しなかったものでございます。しかも、この事件オウム真理教という宗教集団が行った犯罪でありまして、この点につきましても国内はもとより海外からも大変な高い関心が寄せられているところでございます。さらに、仮谷さん事件あるいは松本サリン事件等オウム真理教が行ったということが徐々に判明をしてきているところでございます。  そこで、総理、この時点におきましてこれらの事件について総理がどのようにお考えになっているのか、そして、このような問題が二度と起こらないように再発を防ぐという意味で、今後のお取り組みについて総理のお考えをお聞かせを願いたいと存じます。
  9. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員の御質問の中にもございましたように、去る六月六日、東京地方検察庁において、オウム真理教代表麻原彰晃こと松本智津夫らを地下鉄サリン事件に関する殺人罪及び殺人未遂罪東京地方裁判所公判請求したのを初めとして、関係被疑者を同罪ないし殺人予備罪等でその都度公判請求した旨、私は報告を受けております。検察当局は法と証拠に基づいて厳正に処分を行ったものと私は承知をいたしております。  今委員からもお話がございましたように、日本犯罪史上かつてなかった悪質な卑劣きわまる犯罪でございまして、警察はもとより総力を挙げてその犯人捜査全容解明のために取り組んできたことについては、もう皆さん既に御存じのとおりでありますが、これまでのそうした活動に対して国民皆さんからもいろんな意味で御理解と御協力をいただいたことについて、この際、私からもお礼を申し上げておきたいというふうに思うのです。  今後とも、これから公判も進んでいくわけでありますから、いよいよ全容解明されていくというふうに思いますけれども、引き続きこうした全容解明について、国民の期待におこたえできるように総力を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思っております。  政府といたしましては、先般、国会サリン等を取り締まる特別立法の制定を議会の御協力もいただきましてやったところでございますが、今お話もございましたように、こうした悪質、卑劣きわまる事件が二度と起こらないように再発防止のために万全を期すという意味で、これからも関係省庁一体となってこの事件解決に取り組んでいくということと同時に、今申し上げましたように、補正予算にもそうした問題についての予算計上もいたしておりまするけれども再発防止全力を挙げて治安維持に努めていくという決意で臨まなければならぬというふうに思っていることだけを申し上げておきたいと思います。
  10. 細川律夫

    細川(律)委員 次に、法務大臣にお伺いをいたします。  日本犯罪史上かつてない無差別大量殺人をねらいました今回の地下鉄サリン殺人事件でありましたけれども、六月六日、麻原教祖殺人罪起訴されました。さらにその後、仮谷さん拉致事件あるいは松本サリン事件、その他のオウム真理教関係をしているであろうと思われるような事件が徐々に解明をされてきております。  法務大臣は、現在、オウム真理教麻原教祖起訴され、さらにいろいろな関係をする事件解明をされてきているこの段階におきまして、どのようにお考えになっているのか、さらに、未解決事件にどのように取り組んでいかれるのか、あるいは公判維持に向けましてどのような決意であられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  11. 前田勲男

    前田国務大臣 現在も警察検察においてまさに全力を挙げて真相解明に努めておるところでございます。一日も早くこの事件解明をいたしたいと存じておるところでございます。  捜査状況は、ようやく一山越えたけれどもまだ幾つもの山がある、なお全力検察警察協力して捜査解明に当たっていくということでございますが、先週の金曜日、九日までの間に、東京地方検察庁ほか三十数庁において、延べ三百人以上の人員被疑者送致の受理を検察においていたしておるところでございます。延べ百十名を起訴公判請求をしておるわけでございますが、地下鉄サリン事件につきましては、東京地方検察庁において十一名を地下鉄サリン事件に関する殺人罪及び同未遂罪、十二名をサリン生成等に関する殺人予備罪公判請求をいたしておるところでございます。  検察官といたしましては、法と証拠に基づき有罪判決を得ることができると高度な見込みのある場合に初めて起訴を行っておるということと承知をいたしておりまして、今後の公判公訴維持につきましては万全を期していくものと思っております。
  12. 細川律夫

    細川(律)委員 この事件、大変大きな事件でありまして、捜査当局大変御苦労もされていることと思います。しかし、国民皆さん方大変心配をいたしておる事件でもありますので、どうぞこれからもひとつ真剣に取り組んでいただき、国民の不安を解消していただくよう、最大の御努力お願いをしたいと思います。  そこで、今専ら地下鉄サリン事件について中心的に御報告もいただきましたけれども、この起訴が済みましてから、仮谷さん拉致事件あるいは松本でのサリン事件、これらが解明をされてきているというような報道がされております。そして、坂本弁護士一家事件、あるいは警察庁長官狙撃事件、あるいはまた青島都知事に対する郵便物爆破事件、これらについても国民皆さん一体どうなっているんだろう、早期解決について強く望んでいるわけでありますけれども、これらの捜査状況、今後の見通しなどについてお聞かせいただきたいと思います。
  13. 垣見隆

    垣見政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘のございましたように、オウム真理教に関連して幾多の犯罪容疑が認められるところでございます。現在それぞれ捜査中でございまして、確定的にオウム真理教犯行というふうに断定するまでに至ったものが多いわけでございますけれども国民の不安を解消するためにも、警察においては引き続き全力を挙げて捜査をし、全容解明に努めたいというふうに考えておる次第でございます。
  14. 細川律夫

    細川(律)委員 ひとつ今後とも最大限の御努力お願いをいたしたいと思います。  それでは、文部大臣にお聞きをいたします。  地下鉄サリン事件、大量の無差別殺人事件という、こういう事件宗教法人であるオウム真理教、しかも、教祖を初めとして中心メンバーによって行われたということで、大変特異な事件でもございます。さらにこのオウム真理教仮谷さん事件、あるいは松本サリン事件にも積極的に関与いたしております。宗教は善という常識を全く覆すものでもございます。  宗教法人というものは法によって保護をされ、そして優遇もされておりますけれども文部大臣、この麻原教祖地下鉄サリン事件殺人罪起訴された、あるいはその他の凶悪事件オウム真理教関係者が行っているというようなことが明らかになってきておりますけれども、これについて大臣、どういうふうなお考えを今お持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  15. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 まずいオウム真理教については、これは宗教団体あるいは宗教法人あるいは宗教という名のもとに論ずるに値しない組織であると思っております。そういう意味では、複数の犯罪が徐々に明らかになっておりまして、公判請求等もなされております。そういう中で、宗教法人法上この宗教団体には法人格が与えられておりますけれども、こういうものにいつまでも法人格を与えるということはおかしいということは世間一般、皆考えているところでございまして、政府におきましては、官房長官中心法務大臣国家公安委員長文部大臣と集まりまして、政府としてやはりこの宗教法人に対しては宗教法人法第八十一条に基づいて解散請求をなすべきであるということを、既に政府の方針として決定をしております。  具体的には、解散請求裁判所にいたしますのは所轄庁である東京都、また公益代表である検察官が行うということでございます。その具体的な手続については、必要であれば法務大臣の方に御質問をされることがよいのではないかと思っております。
  16. 細川律夫

    細川(律)委員 それでは、法務大臣にお聞きをいたします。  今、文部大臣からもお話がございました。六月の九日に政府におかれましては関係閣僚会議を開かれて、政府一体となってこの問題に取り組んで、できるだけ早期解散命令請求手続をとることを確認したというふうに伝えられております。  そこで、解散命令請求については、東京都あるいは公益代表する立場で検察官の方からそういう請求ができることになっておりますけれども一体どちらで請求裁判所にされるのか、また具体的にいつごろそれを行うのか、この点についてお伺いいたします。
  17. 前田勲男

    前田国務大臣 オウム真理教に対する宗教法人解散命令請求でございますが、検察当局は、検察官におきまして宗教法人法八十一条第一項に基づいて宗教法人解散命令請求を行うこととしまして、そのために必要な事柄について検討を開始したものとの報告を受けておるところでございますが、所轄庁文部省東京都におきまして同じく解散命令請求申し立てられると伺っております。共同で行うということになると思います。ただ、具体的にはどういうふうにするか、現在、事前協議中であるわけでございます。  そこで、先生御指摘のいつというお話になってくるわけでございますが、この解散命令請求申し立ては、裁判所司法審理を経て決定される裁判所命令決定でございますので、検察官あるいは検察官協力をもちろんいたします東京都におかれましても、いわばその該当する事由を、裁判所証拠その他を提出をしなければならないわけでございます。  そこで、その証拠提出のための時間を見ていただかなければならないということになります。裁判所司法判断を仰ぎ、かつ、まさに早い決定をいただくために、膨大な捜査資料証拠の中から何をどう請求するか。それからもう一つは、やはりその裁判所判断は公開されない、未公開の状況下審理が行われるわけでございますが、いずれにいたしましても、オウム真理教関係弁護人からの申し立て等もいろいろ反論もございまして、そうした点も踏まえたことを考えますと、一つは、やはりこの請求によって証拠隠滅等が図られるようなことがあってはならないし、あるいはまた、口裏合わせと申しますか、こうしたものがあってもならない、公判維持のためにもこうしたものも考えておかなければならないという点、あるいは、あえて加えれば、個人的名前等出てくる場合もあろうと想像されますから、その方々のプライバシーの問題等々、やはりその請求に当たっての準備というのはある期間が必要であるというふうに御理解を賜りたいと存じます。  ただ、ある期間につきましては、早急にということを私ども当然心がけておるわけでございまして、何カ月かかるというような判断ではないと思っておりますが、でき得る限り速やかに請求を行うものと確信をいたしております。
  18. 細川律夫

    細川(律)委員 裁判との兼ね合いもあることだと思いますので、いろいろ難しい問題はあろうかと思いますけれども、この解散命令がおくれますと、オウム真理教の持っておる財産をその解散前にどこかに隠すという、そういうことも十分考えられますので、どうか文字どおり早急にひとつ解散請求をよろしくお願いをしたいというふうに思います。  それでは、国家公安委員長に最後にお尋ねいたします。  日本という国は治安がよいということで世界からも大変高い評価を受けてまいりました。ところが、今回の地下鉄サリン事件などによりましてこの安全神話は崩れまして、反対に日本は危険だというような印象も世界に与えております。今回、麻原教祖殺人罪起訴されました。そして、さらに数々の犯罪が明らかになってきておるところでありますけれども、今後の日本治安を守り、よくするために一体どのようにしていくのか、その決意をお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 野中広務

    野中国務大臣 先ほど総理初めそれぞれ御答弁がございましたように、また細川委員からも御指摘がございましたように、今回の地下鉄サリン事件を初めとするオウム真理教が行いましたさまざまな犯罪は、犯罪史上まれに見る凶悪なものでございました。この全体解明のために、鋭意、警察を初め関係機関の御協力国民理解をいただいて、そしてさらに全体解明をいたして、国民関係皆さん方の安心できる社会を取り戻していかなくてはならないと考えておる次第でございます。  それにつけましても、今回の犯罪考えますときに、私ども戦後五十年歩んできた道をそれぞれ謙虚に振り返りながら、そういう中におきまして、警察といたしましても、警察組織の問題あるいは装備の問題あるいは人員の問題等さまざまこれから国会初め関係機関の御理解をいただいて、これを節目にして、良好な治安を行うに足る警察を構築していかなくてはならないと思いますとともに、この種犯罪がどのようにして起きてきたかは、我が国の、先ほど申し上げましたように、五十年を謙虚に振り返りながら、新しい世代に向けてさまざまな施策、制度諸般を整えていかなくてはならないと存じますし、まだ視点が与えられておりませんけれども、どうしてこの間、あの宗教法人が異常な化学薬品等を購入するのにその薬品会社ノーチェックで、どうしてオウム真理教ダミー会社等に何の倫理観もなく売りさばいてきたのか、こういう問題をも、私どもは、それぞれ所管庁とのこれからの連携を深めながら、そういう体制をも整備していかなくてはならないと考えておる次第でございます。
  20. 細川律夫

    細川(律)委員 ありがとうございました。  それでは、二信組の問題に入ってお伺いをいたしたいと思います。  まず、高橋治則鈴木紳介理事長刑事責任あるいは民事責任についてお伺いをいたします。  東京地検特捜部は、五月十日から強制捜査に入りました。高橋鈴木両前理事長に係ります百十億円の背任罪と十数億円の導入預金取締法違反だというふうに伺っているところであります。本委員会審議内容からいたしましても、この二つの容疑は、二人の乱脈経営のほんのわずか、氷山の一角でしかないと思います。本委員会で明らかにできなかった部分も含めまして、この事件内容全容解明できるように、捜査当局に強く要望するものでもございます。  本件は、巨大な経済事件であり、しかも背任罪という立証が大変難しい事件でもありまして、捜査の方も時間もかかるかとも思いますけれども本件のこの事件についての法務大臣捜査に取り組む決意のほどをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  21. 前田勲男

    前田国務大臣 いわゆる金融機関をめぐる不正事件につきましては、経済秩序を混乱させ、一般国民金融機関のあり方に対する不公平感、また不信感を醸成させるおそれのある重大な事件というふうに理解をいたしております。  いわゆる二信組事件につきましては、現在検察当局におきましてその全容解明のために鋭意所要の捜査を行っているところでございます。今後もあらゆる角度から慎重かつ的確な捜査をした上で、犯罪の嫌疑が認められるものにつきましては、法と証拠に基づきまして厳正に対処していくものと考えております。
  22. 細川律夫

    細川(律)委員 この捜査体制あるいは捜査の現状、そして今後の見通し、これらについて説明をしてください。
  23. 則定衛

    則定政府委員 お答えいたします。  二信組関係につきましては、御案内のとおり、検察当局に対します告訴とそれから警視庁に対する告訴がございますけれども、私の方からは、お尋ねのうち、検察当局におきます捜査状況の概要についてお答えいたします。  御案内のとおり、東京地検におきまして、かねて二信組にかかわります問題につきまして内偵捜査を行ってきたわけでございますけれども平成七年二月二十七日に、両信組のそれぞれの元理事長に対します背任罪によります告訴がございまして、本格的に捜査を開始いたしました。ただいままた御指摘ございましたように、五月の十日、これまた警視庁と同時に、それぞれ被疑事実は違いますけれども背任罪容疑で、関係箇所多数の捜索・差し押さえを実施いたしまして、関係資料多数押収したわけでございます。現在、その押収いたしました証拠品の分析、検討並びに関係者方々からの事情聴取などの捜査を鋭意進めているところでございます。  具体的な捜査活動の内容についてはお答えいたしかねるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、検察当局といたしましては、この解明に必要な要員の投入と捜査の具体的な展開を実施しておりまして、その事案の解明に向け全力を挙げているところでございます。その過程で、罰則に触れると思われるもの、つまり嫌疑があるものにつきましては、法と証拠に基づきまして厳正な処分を行うものと考えております。
  24. 細川律夫

    細川(律)委員 次に、この事件における民事責任についてちょっとお伺いをいたしておきます。  この二人の理事長を初めといたしまして、各信用組合の理事の人たち、こういう人たちに民事的な責任も当然あろうと思います。その点について、この二つの信用組合、破綻をさせまして新しいスキームができたわけなのですけれども、この民事責任をどのように追及をするのか、これについてどの機関でどのような判断をして、そして結論的には一体どういうふうになっているのかをお聞きをいたしたいと思います。
  25. 西村吉正

    ○西村政府委員 経営者に対します民事責任等につきましては、これは、新しく経営陣になりました者が前の経営状況等を詳細に精査いたしまして、その結果として、もし民事責任を問う必要があるものがございましたら問うことになろうかと思いますし、私財の提供等を含めまして、新しい経営陣がそのようなことを的確に遂行いたすことになろうかと思います。  また、信用組合の監督に当たっておりました東京都においても、そういう点については適切な指導を行ってまいることになろうかと考えております。
  26. 細川律夫

    細川(律)委員 新聞などの報道によりますと、民事的な責任はもう追及をしないというような報道もなされておりますけれども、しかし、このような乱脈経営が行われた、これに対して、大変な大きな損害を与えたわけでありますから、これをきちんとけりをつけるということも大変大事なことであろうと思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  続きまして、信用組合の経営の健全化についてお聞きをいたします。時間が余りありませんので簡単に質問をいたしますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  私は、信用組合の体力をつける、こういうことも今後経営の健全化につきましては大変大事なことだろうというふうに思います。そういう意味で、今後信用組合の合併など、あるいは新しい組織に転換をしていくとかそういうようなこともしていかなければならないと思いますけれども、これらについて一体どのようにお考えになっているのか。  あるいは経営を健全にするためには、今回の二つの信用組合でありましたように、信用組合の理事長と、そしてその取引をするような相手の、例えば今回のイ・アイ・イ・グループの代表、これらを兼務をしているというようなことが今回のこのような事件に発展をしてきた大きな要因でもあろうかと思います。そういう意味で、私は役員の兼務の禁止というようなことも考えていかなければならないと思いますけれども、これらについてどのように今後取り組んでいかれるのかもお聞かせをいただきたいと思います。  さらには、外部監査の制度の導入ということもしていかなければならないというふうに思います。信用組合では中小企業等協同組合法によりまして内部の監査だけでありまして、この監査も、専門の公認会計士等がやるような義務づけはなされていないわけでございます。私は、この際、信用組合の監査を会計監査人、監査法人か公認会計士、こういう者がやるように義務づけたらどうかというふうに思いますけれども、これについてどのように考えておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。  さらには、経営を健全化するために、経営状況の外部への公表、ディスクロージャーについてもしていかなければならないと思います。  せんだって、六月八日、大蔵省の方からもこの点についていろいろ今後の対策が発表されたわけでありますけれども、信用組合につきましても今後ディスクロージャーをしていかなければならないと思います。来年の三月までにこれについては結論を出し行っていくというようなことが発表されましたけれども、具体的にどういうことを公開していくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  27. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、合併の問題でございますけれども、信用組合の経営問題に対処いたしまして、あるいは積極的に経営基盤の強化を図るために合併等の方策を講ずることも重要と考えております。経営基盤の抜本的な強化を図る観点から、合併等を選択する信用組合に対しましては、その円滑な実現のために、当局といたしましても都道府県と連携しつつ可能な限り支援、協力を行ってまいる所存でございます。  また、転換というお話もございましたが、現在その制度と実態とが乖離があるような場合には、それに適した業態を選んでいくという道もつくられているわけでございます。このような転換を望むものに対しましては、私どももそのような問題を制度にのっとって検討してまいりたいと考えております。  次に、役員の兼職の問題でございますけれども、信用組合の理事の兼職問題につきましても、金融制度調査会の課題といたしまして、国会で御指摘を今までたびたび受けておりますような問題について早急に検討してまいることにいたしております。  次に、外部監査制度の導入の問題でございますけれども、経営の健全性確保のためには直接業務に携わらない者による監査が重要でございます。一昨年の金融制度改革法の施行によりまして、監事が業務監査まで行うことができるようになったところでございます。今後の監査のあり方については、御指摘の点も含めまして、金融制度調査会の課題といたしまして検討していただきたいと考えております。  なお、当面の方策といたしましては、信用組合がその監事に外部の金融精通者を加えるよう都道府県を指導するとともに、全国信用組合中央協会が運営いたします全国信用組合監査機構の監査の充実について同協会を指導してまいりたいと考えております。  最後にディスクロージャーの問題でございますが、協同組織金融機関のディスクロージャーのあり方についてはいろいろな意見がございました。しかし今般、協同組織金融機関につきましても、平成八年三月期からその「実態に即した資産の健全性に関する情報の開示が行われるようにする必要がある。」とされたところでございまして、その具体策につきましては、金融制度調査会において早急に御審議いただきたいと考えております。
  28. 細川律夫

    細川(律)委員 終わります。
  29. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて細川君の質疑は終了いたしました。  次に、前原誠司君。
  30. 前原誠司

    ○前原委員 新党さきがけを代表いたしまして、二つの信用組合の問題、それから不良債権処理の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  まず御質問させていただきたいのは、今回の東京協和安全両信用組合の救済については、二つの信用組合はひどい経営であった、放漫経営、乱脈融資という、そのミクロの視点では大変ひどい経営をしていた金融機関をなぜ救済をするのか、しかも公的なお金を一部使ってなぜ救済をするのかという不満が一番大きくポイントになっているわけであります。大蔵大臣もそういうお考えを根本にはお持ちだと思いますけれども、しかしながら、今回の救済策というのが金融システムの秩序維持という大きな視点での施策であるという御説明をされておられます。  二月十五日に日本経済新聞に載っていた記事でございますけれども、信用組合を倒産させて預金保険を支払った場合は五百四十七億円の支払いで済んだというふうな試算が出ておりました。今回の出資金、資金援助、収益援助等の合計は一千六百七十億円にも上っているわけでありまして、こういうところからも、果たして助けるということについてそれほど意味があるのかどうかということがあります。  ここで大蔵大臣にお伺いしたいのは、これは国民の一般的な感覚としてまだ残っているのではないかと思いますけれども、助けなければ今の状況で取りつけとか金融不安というのが本当に生まれたのかどうか。助けなくても、それが倒産しただけでそれほど大過なく過ぎたのではないかという意見もあります。どういう根拠で、あるいはどういう判断材料で金融不安というものが生じるというおそれの中からこういった手段を、最悪のケースの場合にとられたのか、その点について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  31. 武村正義

    ○武村国務大臣 今回の二つの組合の経営問題につきましては、経営悪化の程度が甚だしいということから、預金者保険金の支払いにより対応するという、いわゆるペイオフの手段も含めて検討をしたところであります。  しかし、このペイオフという方法は、今まで御答弁申し上げてまいりましたように、保険金支払いに時間を要することによる取引関係者の資金繰り等への支障がございますし、地域の金融の円滑への支障も出ることになりますし、さらには預金に対する信認の動揺等も予想されます。経済社会全体のコストという面から見ますと大変大きいという問題があります。もちろん信用秩序に与える深刻な影響も考慮をいたしますと、この時期にこの手段をとることは困難であるという判断をいたしました。したがって、破綻金融機関である二つの信組を清算し、消滅をさせるという道を選んだわけであります。  救済をさせていただいたのは二つの信用組合ではありません。既にもう姿を消しております。救済はあくまでも預金者でありますし、また、守ろうとしたのは信用秩序であります。そのために、全国の金融機関にも広く資金の拠出を要請をさせていただき、協力をいただいているところでありますし、また、日銀法二十五条に基づいた措置を発動していわゆる受け皿銀行をつくり、債権債務関係の譲渡に伴ってその処理に当たるという考え方をとらせていただいたところでございます。  日本金融機関全体から見れば、二つの小さな金融機関ぐらいつぶしたって日本経済にはそんな深刻な影響を与えないという発言も間々見られました。問題は、この二つの信用組合の中だけにとどまるものでなしに、不良債権のいわば負担を各金融機関幅広く背負っている今の状況の中で、まさにある日突然信用組合が倒れる、なくなるということになったときにどういう影響を全国に与えるか、それがその他の金融機関にどういう影響を与えるか、そのことを一番心配をさせていただいた次第であります。  もちろん、これは予測でございますから、必ずこうなったというふうに断言できるものではありません。昭和金融恐慌の貴重な経験や諸外国の事例等を考えますと、たとえ何%であれその可能性がある以上は、大蔵省、日本銀行としてはこの危険な道は選べないという判断をさせていただいた次第であります。
  32. 前原誠司

    ○前原委員 たとえ何%でもそういう危険性があれば、大蔵省、日銀としてそういう手段をとれなかったのだというふうなことでございまして、その点を国民皆さん方に広く御理解をいただくように周知徹底をしていただきたいし、また、今おっしゃったペイオフの制度の充実、それから、いわゆる今までの護送船団方式からいわゆる競争原理の導入といったものについて案を出されているわけでありますので、それを鋭意精力的に実行に移されていきますように要望をさせていただきます。  次に、金融の自由化とも絡む話でございますけれども、今大臣から少しお話がございましたけれども、昭和二年に起きました「金融恐慌による預貯金の移動」という資料を持っております。要は、小さな金融機関がつぶれたという話でございました。  しかし、預貯金量の推移を見ますと、大銀行それから郵便貯金というものに集中をして、そして中小銀行等あるいは休業銀行というものにおける資金が流出をしたというふうなことでございまして、結局、マクロで見たらそれほど預貯金量は変わっていない。つまり、そういう危なっかしい時期には大きな、安心のできるところに預貯金が移っただけだということもひとつ言えるのではないかと思います。しかし、その陰に小さな金融機関がつぶれるという問題点、これをいかになくさないか。また逆に、これからは金融機関もつぶれる時代に突入をするわけでありますので、そういった金融機関に対する預金者の意思徹底というものをいかにしていくかということも大変重要な問題ではないかと思っております。  金融の自由化というふうなものが進んでいきますと、どうしても、さっき銀行局長が御答弁されておりましたように、吸収合併というものが進んでいくということでございますけれども、しかしながら問題点は、預金量は変わっていない、大きいところ、安心できる郵便貯金などに移った。しかしながら中小の金融機関はつぶれた。そして中小零細企業などは大手には貸してもらえない、そういう中小金融機関だからこそ貸してくれるという部分があって、日本の経済の下支えをしている中小零細企業というものの資金繰りというものをいわば中小金融機関が支えているという一面もあると思います。  そうした場合に、これから競争原理を導入していく、護送船団方式をやめていく、自由化の波で吸収合併というものも大蔵省として奨励をされていくということでありますけれども、中小企業、零細企業に対する資金繰りという不安感がこれからどうしても出てくるのではないかと思います。  逆に言えば、吸収合併をして大きくなって、あなたのところとはもう取引をしません、安心なところに融資をしたいというふうなことになってきて、今やっと資金繰りをうまくやって生き残っている企業というものに対する血液が流れなくなる心配があるのではないか。その点について、大蔵省としてどのように対応されるかということも大変重要なポイントではないかと思いますけれども政府の御見解といいますか、大蔵省の見解といいますか、それをお示しをいただければと思います。
  33. 武村正義

    ○武村国務大臣 おっしゃるとおり、今回の二つの信用組合をめぐる問題におきましても、預金がシフトするということが考えられるわけでございますが、昭和金融恐慌もそうでございました。やはり小さな金融機関から預金が引き出されて、安心のできそうな大きな銀行や郵便貯金の方へ移ったということでありました。しかし、確かに預金量全体はそんなに変わらぬだろうという見方もありましょう。  問題は、日本のこの金融という仕事が、現実には、国際的な舞台で活躍する大金融機関から銀行から、本当に各地域の、あるいはこの信用組合のようにある種の業界、業種に対する特別な金融機関として存在をして、事業経営者ないし国民から見れば非常に身近な、草の根的な銀行として活躍をいただいているものもたくさんあるわけであります。すべて世の中そうでございますが、そういう大きいものから必要に応じて小さなものまで、特色を持って健全に存在し得るような、そういう状況でなければ私はいけないと思います。  今後、金利の自由化等を踏まえましても、それぞれの業界、業種の中では合併もありましょう、あるいは異業種の合併も認めることになりますけれども、何も、大きな大銀行にすべて吸収合併していく、そういう考え方はとるべきではない。まさに身近な、必要に応じた金融機関はやはり健全に存続をさせていかなければなりませんし、御指摘のように、中小零細企業に対する金融機関もしっかり存続を図っていかなければならないというふうに思っております。
  34. 前原誠司

    ○前原委員 これもおいおい、金融の自由化とともに大蔵省あるいは政府が直面をされていく具体的な問題点になってくるのではないかと思います。総理を含めて、そういうものについて先手、先手に対応策あるいは政府の方針というものを示していかれますように御要望をさせていただきたいと思います。  次に、この二つの信用組合を救済した際の責任の問題というものについて、大蔵大臣と自治大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほども大蔵大臣から御説明がございましたけれども、この二つの信用組合を救済したあるいは安楽死をさせたというものは、全体の金融機関の秩序維持のたゆであったというふうな話をされておりました。しかしながら、東京都、都議会もそうでありますし、新しく知事になられました青島さんなんかも、いわゆるむちゃくちゃな経営をした金融機関、それを公的資金を使って救済をするということはけしからぬという話になっております。そこら辺がどうもかみ合わない、議論としてかみ合わない。  議論としてかみ合わないと同時に、今実際、金融機関の考査とか検査の体制を見ておりますと、信用組合は都道府県、ほかは全部日銀が考査をし、そして大蔵省が検査をされるという形になっています。しかしながら、信用組合とそれ以上の、それ以上と言っては語弊があるかもしれませんけれども、ある程度大きな金融機関の違いというふうなものが果たしてどこにあるのか。  つまり、今回の救済策というものは全体に及ぼす信用不安、秩序に対する動揺というものを考えてとられたものでありまして、これは都道府県知事あるいは都道府県が、実際問題、キャパシティーとしては超えているものになっているのではないかと思うわけであります。  例えば、東京都議会議員の皆さん方が三百億円の融資について投票されるというふうなことに直前までなって、それは先送りになったわけでありますけれども、果たして東京都議会議員の方々日本全体の金融秩序の維持というふうなものの観点で投票され得るのかどうか、そういったポイントも大きくあるのではないかと思います。  もし、先ほど大蔵大臣がおっしゃったことを前提として考えるなら、信用組合の検査、監督権といいますか、それが都道府県にあるということ自体が命の論理では無理があるのではないかという気がいたすわけであります。  国の機関委任事務として信用組合の検査権限、監督権限が都道府県にあるわけでありますけれども、今の枠組みあるいは今の仕組みの中では大変無理がある。したがいまして、これは国にもう一度戻すか、あるいは都道府県というものの監督権限というものを徹底するために何か施策をするか、二者択一の話になってくるのではないかと思います。  信用組合というふうなものをもう一度国の、日銀の考査とかあるいは大蔵省の検査、そういうものにかえ得るべきなのかどうか、その点について、大蔵大臣あるいは自治大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  35. 武村正義

    ○武村国務大臣 今回のこの東京都かの二信組の問題は、今御指摘のように、この監督責任をめぐってもたびたび御議論がございました。  今御指摘のように、機関委任事務であるこうした金融機関の一部の仕事を都道府県知事に委任していることがいいのかという御指摘でございます。ましてや、秩序維持、信用秩序を守っていく、金融システム全体を守るということになれば、都道府県の区域を超えるのではないかという御主張であります。  信用組合でございますから、この考え方がスタートした時点では比較的に小さな協同組合的な銀行でございますから、まあ都道府県の枠内、おおむね枠内という見方であったのだろうと思うのです。それはお任せしても地方自治体の権限の範囲の中で監督がしていただけると。しかし、現実はもう一兆円近い預金量を持つ信用組合も存在するようでありまして、そんなことを考えると、御指摘意味もよくかみしめなければならないと思っております。  ただ片方、時は地方分権であります。これは先ほどの宗教法人法をめぐる論議でも言えることでありますが、都道府県の区域を超えて活動する宗教法人は、むしろもう文部省が認証権を持つべきだという論理があります。大体、事故とか事件が起こると規制は強化しなければいけないという、当然そういう主張になりまして、今回はこういう機関委任事務、両方とも機関委任事務の問題でありますけれども、そういう問題提起を受けております。  ただ、監督のあり方は、この問題から学んで、真剣により強固な形を編み出していかなければいけないと思います。検査、監督の都道府県の体制も、東京都を含めてより充実をしていただかなければなりませんし、大蔵省としても、共同検査という形もありますが、日ごろの連携ももっと密にしていこうということも今検討させていただいておりまして、この二つの信組だけで即機関委任事務をやめるとか、そこまでは今考えているところではありませんが、ぜひ実質、都道府県がよりしっかり監督がいただけるような努力はしていかなければならないというふうに思っております。
  36. 野中広務

    野中国務大臣 今委員から御指摘ございましたように、今回の二つの信用組合は、全く異常、異質の組合としての運営がなされたわけでございます。  地域に根づいた中小企業者が出資をして協同的に金融を行っていこうというのが本来あるべき信用組合でございますので、私は、今日この二つの信用組合の問題が起きましたこと、あるいは金利の自由化等、それぞれ金融行政全体について都道府県の限界を超えた問題があって、都道府県が悩み苦しんでおるというのはよくわかるわけでございますけれども、ただいま大蔵大臣からもお話がございましたけれども、一般論としては、地方分権が言われておるときに、これから機関委任事務の具体的な内容が分権推進委員会において検討をされると思うわけでございますが、住民に身近なものは身近なところで行うという、そういう基本はこれからも貫いていかなくてはならないし、簡単にこの問題を二つの信用組合の異常さで論ずることはできない、より慎重に考えなくてはならない問題だと存じております。
  37. 前原誠司

    ○前原委員 両大臣の御答弁から、機関委任事務を現段階において見直すつもりはないと。しかしながら、なかなか、都道府県の能力と言ったら語弊があるかもしれませんけれども、今までの仕事の範囲を超えた部分も出てきている。そういったところは逆に、地方分権を進めるためにも、政府として一致協力して、初期の段階においては後ろから支える、協力をしていくという姿勢をぜひ強めていただきたいということも要望させていただきます。  東京都の問題について、私は、確かにこの三百億円というお金、日銀、大蔵省が出した救済のスキームというものについてはノーということを言われる、都議会としてはそういう意向もありましたし、青島新知事もそういう意向であるということを漏れ伝わって伺っております。それは一つの見識として認める部分もございますけれども、しかしながら、現在、確認をさせていただきましたように、一義的には機関委任事務として東京都の責任というものが避けられない。  したがいまして、日銀、大蔵省が出した救済のスキームというものに乗らないのであれば、新たに東京都が、じゃ私たちは具体的にこういった責任のとり方をさせてもらいますということをやはり言っていかなきゃいけないと思います。それがやはり、責任を明確化して、今後の、この問題について一つの反省をして、さらに金融秩序というものをより強固にする、そして金融機関の自己責任というものをより明確にしていくためには必要なことではないかと思っております。  しかしながら、日銀、大蔵省が出された救済スキームというものにノーと言われると、一体どんな責任のとり方があるのかなという疑問を私は持っているわけであります。万が一東京都が出資しないと決定した場合のスキームの変更をどのようにまず考えておられるのかというのが一点。それから、どんな責任のとり方があるのかといったところを、大蔵大臣、お立場上お答えするのが難しいということであれば結構でございますけれども、もしそういう、どんな責任のとり方があるのかということを国民に知らせていただくということが可能であれば、お答えをいただきたいと思います。
  38. 武村正義

    ○武村国務大臣 今、東京都がこの合意したスキームに乗ってこられないということを仮定してお答えするのは、今日までも答弁では控えてまいりました、それは控えさせていただきたいと思っております。  今提案をしているのでなしに、鈴木都知事の時代に東京都から、大蔵省、日銀にも知恵も力も出してほしいという申し出があって、それで三者が知恵を絞ってこの解決策を生み出したわけです。ですから、東京都と一緒に考えて合意した案でございまして、それがその後、議会なりあるいは都知事の交代という中で今論議を改めて呼んでいるわけでございますが、あくまでも東京都がそういう方針を固めていただくことを基本にしながら、大蔵省、日銀も日銀法二十五条の発動やら、全国の金融機関までこれに少しずつ協力していこうという方針が決まったということは、しっかり御確認をさせていただきたいと思います。  ただ、三百億、一%の低金利、十五年、これが東京都のこの共同銀行に対する具体的な責任の内容でありますが、こういう内容そのものは、実質中身をどうこう変えることは困難でありますけれども、形をいろいろ工夫することは、ないことはないと思います。  きょうここで具体的に申し上げませんが、そんなことも含めて、金の出し方もそれぞれ真剣にお考えをいただけるというふうに思っておりますし、万一何にもしませんよということになれば、監督者としての責任を放棄することになりますから、これはそのままでは済まないと私は思います。当然それならば、都みずからも新しい対案、何なのか、ぜひ具体的に提案をいただいて、都なりの責任をやはりしっかり全うしていただかなければいけないというふうに思っております。
  39. 前原誠司

    ○前原委員 日銀の総裁、来ていただいていますね。話を少し今度は拡大して、全体の今の経済の状況等々について日銀総裁に御質問をさせていただきたいと思います。  政府が出している統計、日銀が出している統計を見ておりますと、景気、もちろん円高等があって、またその修正があるのかもしれませんけれども、私からすると非常に楽観的だなという感覚を持っております。  地元に帰り、あるいはいろいろな地域に行かせてもらって経営者の話なんかを伺っている段階では、ますます景気は悪くなっているのではないかという気すらするような状況であります。特に資金繰りというものについてうまくいっていない、大変な状況になっているというケースが多いような気がしております。先般西村銀行局長から不良債権四十兆円というお話がございました。まだまだ、実勢がどのくらいになるかは別にいたしまして、この不良債権の処理というものが進まない限りは不況というものの出口は見えないのかなという感じがしております。  やはり、日本は不動産、そして土地というものにある程度、それはいいか悪いかは別にいたしまして、それをベースに経済活動が行われてきました。それがどんどん価格が下がり続けていて底が見えない。やはりその大きな部分を占める不動産というものについて何らかの歯どめといいますか底といいますか、そういうものをみずからつくり出していく姿勢というものも必要ではないかと思っております。  円高の問題とも絡むわけでありますけれども、ちょっと私の私見を総裁に言わせていただいて、それに対してのお答えをいただぎたいと思うわけでございます。  公定歩合一%という非常に低い金利でありますけれども、しかしながら、市中金利がまだまだそれに伴って下がっていないという問題点もございます。公定歩合をさらに下げるというふうな選択肢というものも私は考えていかなくてはいけないのではないかと思っております。  また、日銀が行っておられますオペレーションというものについて、現段階ではこの神学論争があるということも十分承知をさせていただいておりますけれども、微調整、そして受動的、受け身なものに徹しておられるというふうな印象を私は持っております。  今、金詰まりの状況といいますか資金繰りがいかない。そして、不動産の土地が下がり続けている。それを担保にしてお金を借りようとしても銀行がなかなか、その評価が低くて、また、まだまだ下がり続けるんじゃないかということでお金を貸してもらえないということがございます。したがいまして、何とか市中にお金が出回るような努力を、受動的ではなくて、微調整ではなくて、積極的に進めていく必要性があるのではないかと思います。  簡単に言えば、お金をたくさん日銀に刷ってもらって、そしてオペレーションで債券を回収してもらって、市中にお札がどんどん行き渡るようにしてもらうと、円の価値が薄れて円高もとまる。そんな簡単にはいかないかもしれませんが、そういった見方も一面にはあるわけであります。  御質問を繰り返させていただきますと、さらなる公定歩合引き下げというものの選択肢、いかにお考えか。また、オペレーション、特に買いオペレーションでありますけれども、それを微調整、受動的なものではなくて、積極的に、そして活用して市中にお金がどんどん行き回るようにする。そして、ある程度のインフレ施策というふうなものについても積極的に日銀が関与をしていくといったことが私は必要だと思いますけれども、それについての総裁の御見解をお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  40. 松下康雄

    松下参考人 景気の現状でございますけれども、ただいまの景気回復のテンポというものが、いまだに緩慢な状態にあるということは事実でございます。  その背景といたしましては、バブルの後始末でありますとか、日本経済全体の構造調整への圧力といったようなものもあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり景気が緩やかではありましても着実な回復を続けていくということが、現状極めて大事なことだというふうに認識をいたしております。  そういうことがございますので、先般三月の末から四月の中旬にかけまして、日本銀行としましては一連の金融緩和措置を講じてまいったわけでございます。その結果といたしまして、現在市中の各種の金利というものは大幅に低下をいたしておりますけれども、まだこの低下の過程というものはすっかり終わったわけではございませんで、現在その低下状況はなお各方面に波及をしているところでございます。  それからまた、今御指摘がございました通貨量、マネーサプライの増加につきましても、こういう景気の状況でございますが、このところ前年比で三%増程度の伸びを続けているわけでございます。  そういうことでありますので、私どもといたしましては、やはりこの一連の金融緩和措置の影響が、今後企業者マインドとかあるいは設備投資意欲とかいろいろな点に浸透してまいりまして、それが経済の活力を高めるということになってあらわれてくることを非常に期待をいたしておりまして、現状では市中のそのような動き、経済全般の動向につきまして非常に注意深くこれを見守っているという段階でございます。  御質問の中での一、二の点につきましては、先般、先週私どもが発表いたしました短観の中にも実は触れておりますけれども、例えばその中で、企業の経営者の方々が、金融機関からの資金調達は順調にいっているかどうかという御質問に対しまして、金融は緩やかになってきておって、資金調達についてはずっと楽になってきているというようなお答えがこのところ増加をいたしております。  それからまた、金利水準そのものは、先ほども申しましたように、これが全体に波及をして効果を上げてまいりますためにはどうしてもある一定の時間がかかりますので、やはり現状ではそれらの効果が、今申しましたような企業者の意識の中に反映をしてまいるということをよく見ていくのが先ではなかろうか。設備投資の意欲やあるいは企業の収益状況等につきまして、今回の短観の中では経済の底がたさというものを示すような数字も出てまいっております。  私どもとしましては、おっしゃいますように、この経済の先行きの景気回復の力が途切れるというようなことがないようにしっかりと注目をしてまいるつもりでございますけれども、現在はそういう段階でございます。
  41. 前原誠司

    ○前原委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  42. 三野優美

    ○三野委員長代理 これにて前原君の質疑は終了いたしました。  次に、新進党所属委員の草川昭三君、伊藤英成君の質疑時間でありますが、その出席が得られておりません。この際、与党理事をして出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちを願います。  速記をとめてください。     〔速記中止〕     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  43. 佐藤観樹

    佐藤委員長 速記を始めてください。  草川君、伊藤君の出席を要請いたさせましたが、出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  松本善明君。
  44. 松本善明

    松本(善)委員 旧二信組の問題で、日銀から二百億の出資い東京都から三百億の融資という公的資金を注ぎ込むスキームに対しまして、ごうごうたる非難の声が上がり、それが都知事選挙にも反映をしたことは御存じのとおりであります。この三百億融資を認める公約をした知事候補は、六人の立候補者に一人もありません。東京共同銀行の設立は大口預金者の救済になっただけだという批判も大きいものでありますけれども、二信組関係の不良債権が政治家絡みで生まれたという疑惑も重大であります。報道によると、何十億という金が政治家絡みで不良債権になっている。こういう疑惑が明らかにされませんと、金融行政の信頼の問題にとどまらず、政治そのものに対する不信が増大すると思います。  これらの点について質問をしたいと思いますが、まず、東京都知事に就任した青島氏の公約は、世界都市博覧会問題と同じく極めてはっきりしております。三月二十六日付の日経によりますと、青島氏の公約は、「都民の税金で乱脈経営の二信組を救済するなんてとんでもない。バブル期に二信組に深くかかわっていた長銀を含む金融機関の責任と都の監督責任を究明する。財政調整基金に積み立てられた三百億円は当面、防災対策に使いたい」というものであります。  他の有力候補、五人おられますが、それもすべて同様であります。例えば石原信雄氏の場合、「都議会が補正予算から三百億円を削減したことに賛成する。議会の決断を尊重し再度、融資案を議会に提出することはしない」、もう極めてはっきりしています。  こうなりますと、都民の選択は、青島都知事の公約のとおりに三百億は融資をしないという判断が下ったものです。言いかえれば、都民の総意一〇〇%です。これが三百億を融資しないということです。この前提に立つべきだと思いますけれども、大蔵大臣、そう考えませんか。
  45. 武村正義

    ○武村国務大臣 まず、二信組を救済するという考えは当初から全くありません。  たびたび申し上げておりますように、この信用組合を信頼して預金をされていた約二万三千の預金者の方々、この預金者を救済すべきかどうかという議論が最初から大きな問題としてあったわけでありますし、さらに言えば、信用秩序全体をどうしっかり維持をしていくか、この課題でございます。  既に二信組は姿を消しているわけでありまして、加えて私どもは、この実態を知ったときから、民事上、刑事上の責任は厳しく問われなければならないという姿勢でございましたし、大蔵省もむしろ二つの信用組合に対して告訴を督励をしてきたわけであります。また、告訴された姿勢を支持をさせていただいておるということであります。  問題は、そういう公約があったことは私も承知をいたしておりますが、青島新知事の都議会での御答弁は、公約は守りたいと思っているが関係方面の御意見を伺って結論を出していきたい、こんな趣旨のようでございます。  幸い、しばらく時間の猶予がございます中で、新知事が真剣に各方面の意見、意見の中には、当然過去の都の責任の問題も含めて、あるいはこのスキームに対する姿勢も含めて聴取をされるものだと思っておりますが、いずれにしましても、私どもは新知事のそうした冷静な御判断をお待ちをさせていただいているということであります。
  46. 松本善明

    松本(善)委員 大蔵大臣は先ほど、何らかの形で金の出しようがあると思うとか、何も出さないということになると監督者としての責任が問題じゃないかということを言われましたが、あなたは青島知事に公約を破れということを勧めるつもりなんですか。公約を守るということなら出ないんですよ、これははっきり。だから、公約を破れということを勧めるつもりなのかはっきり公約との関係でお答えいただきたい。
  47. 武村正義

    ○武村国務大臣 お答え申し上げる必要もないわけでありますが、すべからく政治家の公約は守るべきものであります。それは十分承知をいたしております。  ただ、事はそれぞれ大変奥行きが深かったり大変複雑であったりいたしますから、そういう中でいろいろ慎重な御検討をいただいて結論は出されるものだというふうに思っているわけであります。
  48. 松本善明

    松本(善)委員 総理にお聞きしたいと思います。  これは先ほど御紹介しましたように、六人とも全部反対なんですよ、石原さんまで。そうすると、一〇〇%、都民の意思は三百億出すことに反対なんです。この都民の総意を総理はどのように認識しておられるか、この点についての御見解を伺いたいと思います。
  49. 村山富市

    村山内閣総理大臣 東京都知事選挙をめぐって、それぞれの候補者が公約をされて投票をしてもらった、その投票にあらわれた都民の意思というものもある程度明らかになっておる、お話のとおりだと思いますね。  しかし一方、この信用組合のスキームの扱いにつきましては、やはりそれぞれの責任において話し合いがせられて決められたことだという一つの前提も私はあると思うのです。これは先ほど来お話がありますように、二つの信用組合を救済するためにするというのではなくて、あくまでも預金者の保護やあるいは信用秩序を維持していくというようなことから、東京都にも監督責任があるという立場から、そういう関係者の話し合いでもって決められた経緯がある。  したがって、その両面を踏まえた上で、都知事が知事に就任されてからの議会の答弁を、ここに答弁書がありますけれども、ちょっと読んでみますと、「乱脈経営によって破綻した二つの信用組合救済のための支出をしないことは、これも私の公約であり、今もこの気持ちは変わりはございませんが、改めて都議会での議論を含め、関係者の意見もよく聞き、諸事情を総合的に勘案し、慎重に対処してまいりたいと考えております。」こういう答弁をされているわけですよ。  したがって、都知事がこれからどういうふうにお考えになっていくのかあるいは東京都全体がどのような取り組みをしていくのかということについてはまだはっきりわかっておりませんから、したがって、そういう状況の推移も見ながら、これから相談をし、対応していかなきゃならぬ問題ではないかと私は考えております。
  50. 松本善明

    松本(善)委員 それは都知事とすればそういう答弁をするのはあり得ることです。何もほかの意見を聞かないなんてことは言えませんからね。しかし、結論ははっきりしていると思うのですよ。公約を守る限りは、それは三百億出さないのですよ。私はむしろ、大蔵大臣などこのスキームをつくられた方々が、これはもう、救済でないと言うけれども、救済だとみんなそう思っていますよ。政府はそう言っているだけの話で、そういうふうに思っている者が大多数です。  それはともかくとして、やはりこの問題については、むしろ大蔵大臣やその他このスキームをつくられた方々が、東京都の三百億というのは都民の意思とか都議会の意思にかかわる問題ですよ、そういうことを含めてやったということを反省すべきだと思うのです。都知事がかわったら政策が変わるのは当たり前ですよ、これは。そこのところの根本的な反省をしなければならぬと思うのです。  あなたも先ほど言われたように、何らかの形の金の出しようがあろうとか、何にも出さないということになるとどうかと、やはりもうそのとおりにいかないということを予測しているわけです。先送りではなくて、これは出ないということを考えて、そのスキームづくりについて考え直すべきではないか。むしろ大蔵省の方から、あるいは日銀とも相談して、出ない場合にはどうするかということを、それを東京都に提起をするとか、いろんなそういうことを今から考えないで、まだ東京都はどうするかわかりませんと。これは極めて無責任だと思いますが、どう思います。
  51. 武村正義

    ○武村国務大臣 三人が紳士的に約束してある目的で行動を起こした、そしてそのうち一人が途中でその約束をたがえたときに、たがえた方が責任があって、約束を守ってもらえなくて、あとの二人が無責任なんて言われる筋合いではないと思いますね。  これは前都知事としっかり約束をしてこのスキームができ上がっているわけでありますから、もうそれが新しい知事のもとに形を変えたいとか履行できないということになれば、当然ごあいさつもあるでしょうし、その善後措置をどうするかということで真剣に対案を検討なさるはずだ、私どもはそう信じております。
  52. 松本善明

    松本(善)委員 その例えが大体間違っているのですよ。個人が三人で相談したのと違うわけですよ。都知事もかわった、都知事は、これは皆、東京都民の意思や都議会の意向を踏まえてやるんですから、それは普通の三人の相談とは決して違う、そのことを強く主張しておきます。  それから、大蔵省の不良債権処理方針についてさらに聞こうと思います。  基本方針を発表しましたが、これは大筋では二億組の処理方針を制度化するもので、二信組処理についての国民の厳しい批判が集中し、これが、今もお話ししましたように、東京都知事選挙に反映したその民意、教訓を全く酌み取っていないというふうに思います。国民の批判は、乱脈経営の破綻、それには政治家絡みの疑惑もあります、これをなぜ公金、国民の負担で解決しなければならないかというものです。金融機関経営者、疑惑政治家に対する厳しい批判であります。政治家絡みの疑惑に対する徹底解明とともに、金融機関経営者に対するさらに厳しい態度が求められているのだと思います。  ところが、今回の方針では、ペイオフ、一定限度内の預金払い戻しについて、五年以内に環境整備をするということ、これは五年はペイオフをしないと言っているのと同じです。方針どおり不良債権の処理が終わればペイオフの必要がなくなりますから、ペイオフは当分ないということになる。要するに、ペイオフはしないで公的資金を使って不良債権の処理をするということを言っているようなものです。  いざというときに日銀の出動など公的資金の使用でペイオフがされないということになりますと、金融機関経営者のモラルハザード、倫理の欠如が助長されると考えるのが普通であります。そうは思わないのか。また国民の激しい批判にさらされると私は思います。そう考えないのか。  もう既に有力紙が次々とこれに対して批判を始めているでしょう。お読みになったかどうか、社説でやっているでしょう。あなたは今のこの問題についてどう思いますか。あなた方が発表された途端に、例えば、言いましょうか、日本経済新聞、朝日新聞、社説で批判をしていますよ。あなた方、そういう批判に対してどう答えますか。
  53. 西村吉正

    ○西村政府委員 先般の私どもの「金融システムの機能回復について」のお尋ねでございますが、金融機関の不良債権の早期処理は我が国経済の喫緊の課題であると認識して、あのような問題提起をした次第でございます。  その内容につきましては、ただいま御指摘の部分もございますが、五年間ペイオフをしないということではございませんで、五年間の間にはペイオフという環境が整っていないので、その間は環境整備に努力を傾注したいということでございます。その環境整備の完了後はペイオフも選択肢になるわけでございますが、具体的な処理方法の選択に当たっては、ケース・バイ・ケースで、できる限り社会的コストの小さい処理方法を選択すべきであり、基本的には資金援助方式の可能性をまず追求したいというものでございます。  なお、この方針につきまして新聞等でいろいろな御批評あるいは御批判もございますけれども、私ども理解しておりますところでは、おおむね、このような時期におきまして不良債権問題に取り組む姿勢を示したことについては御評価をいただいているものと思いますけれども、ただ、その踏み込み方が足りないというような御批判もあることは承知をしております。その点については、今後とも、これは問題提起ということで、さらに金融制度調査会等でも審議をし、また、御批判を真剣に受けとめてまいりたいと考えております。
  54. 松本善明

    松本(善)委員 五年で環境整備ができなければ、これはペイオフできないということと同じことじゃないですか。  ただ、この質問に大蔵大臣が直ちに立たないで銀行局長が立っだということが象徴的なんで、このやり方は極めて官僚的だと批判されている。やはり都知事選挙の結果を踏まえ、国民の批判を踏まえて、これは政治の問題ですよ、それを受けとめてないということなんですよ。だからそういう問題が起こってくるのです。  大蔵大臣、答弁することがあるのならどうぞ。
  55. 武村正義

    ○武村国務大臣 御答弁をいとうつもりはありませんが、我が国の目下の経済情勢の中で、これはもう識者も認めておりますように、バブル時の不良債権をどうするか、これは最大の大事なテーマの一つだという認識を持っております。  日増しに不良債権解決に対する声は高まってきているわけであります。問題は大変錯綜しておりますし、複雑であります。単純ではありませんが、私どもは先般総合的な考え方を発表させていただいたところであります。  しかし、これはいわば基本であります。五年間というこのタームの中でさまざまな不良債権をさまざまに対応しながらめどをつけていく、解決のめどをつけるという方針のもとに全体をまとめさせていただいたわけでありまして、大蔵省としてはかなり積極的なまとめ方だと私は自己評価をしているところでございます。  ぜひ、順次堅実に間違いなく進めていきたいと思っておりますので、そうごらんをいただきたいと思いますし、マスコミにもおおむねむしろ評価をいただいていると私は社説その他で拝見しました。もう少し具体性がないという激励ないしはおしかりは受けておりますが、確かにそういう部分はこれから詰めていく、各論は詰めていくという姿勢でございますので、もう少し時間をかしていただけたらというふうに思っております。
  56. 松本善明

    松本(善)委員 そういうあれでは私は後手後手を踏むということになるということを今警告しておきましょう。  別の問題に行きますが、二信組関係の不良債権が政治家絡みで生まれたという疑惑について質問します。  報道によりますと、何十億という金が政治家絡みで不良債権になった。この疑惑が明らかになりませんと、やはり金融行政の信頼の問題になるということは当然です。  それで、山口、中西両氏の証人喚問が決定されましたが、行政としてもこの解明努力が必要なんだと私は思うのです。山口敏夫氏の親族企業三社がイ・アイ・イ関連企業から三十六億円借りて返済もできないで、長銀の融資で債務を解消していったということや、山口氏親族企業グループがイ・アイ・イ系列会社の二信組手形割引枠で十億円もの融通手形を割り引いているなどの常識外れの資金援助が二信組から山口氏の親族企業になされているということが報道されております。  これらが事実としますと、二信組の問題はそのまま山口氏の疑惑にもなります。長銀がなぜ小さな二信組にここまで肩入れしたかという理由の一端も、私は理解できるのではないかというふうに思います。  中西啓介氏の秘書の関係先に三十六億とも二十六億とも言われる融資がイ・アイ・イ系ノンバンクからなされ、これが大半不良債権になったという報道もあります。  こうした政治家絡みの疑惑は徹底的に解明しませんと、不良債権についていろいろ対策を考えても、肝心の国民の信頼が失われていれば何の役にも立たない。それのみならず、さらに疑惑を生むことになります。  証人喚問が決められましたけれども、これは監督官庁、行政がやはりちゃんと解明をしないといけない問題であると思います。その点についての総理と大蔵大臣の認識を聞きたい。行政としてもこれらの疑惑をやはり解明するという姿勢をきちっととらないといけないというふうに思うのです。
  57. 武村正義

    ○武村国務大臣 刑事責任でございますから、やはり司法当局が基本になろうかと思っております。しかし、大蔵省としましても、この捜査に対しては精いっぱい協力をさせていただくという姿勢でございます。
  58. 松本善明

    松本(善)委員 中西啓介氏の疑惑に関してちょっと伺いたいと思います。  一九九二年九月、議院運営委員会の海外視察がありました。オーストラリア、ニュージーランド訪問の十日間の日程で、ニュージーランドの二泊を除いてオーストラリアの四泊が高橋氏系、すなわちイ・アイ・イ・インターナショナル系列所有のホテルを指名し、観光地での宿泊だったという。これについて、ホテルは団長中西議運委員長と事務局で決めたのではないかと、同行した議員の事務所が新聞紙上で語っております。  私が調べたところによりますと、帰国の途中、香港に立ち寄った際の二泊も、高橋氏の系列ホテル、リージェントホテルを使っていたことがわかりました。結局、視察団の宿泊全部で八泊のうち六泊までが高橋氏の系列ホテルということであります。しかも、調査はニュージーランドの二日だけで、オーストラリアの四日は調査は全くありません。中西氏は、高橋氏と親しい関係にあり、その一年前にも、小沢一郎氏と同行して同じホテル宿泊の豪州旅行をしております。私は、政治家として、また、国会の役員である議院運営委員長のこういう行動というのは、国会の権威にかかわるように思います。  私は総理に、国会議員として、総理ももちろん、今は行政の長でありますけれども、国会議員としての立場がございます。こういうことを国会議員としてどのようにお考えになるか、伺いたいと思います。
  59. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今度の二信組の問題に関連をして総括的に申し上げますと、この乱脈経営の実態や、あるいはその経営責任というのは、やはり責任の立場にあった二信組理事長中心にした者が、徹底的にその全容解明して、疑惑を問われなきゃならぬ、責任は追及されなきゃならぬというふうに思うのですね。  政治家に関連をする問題について一般論として申し上げれば、それはやはり、政治倫理綱領にもちゃんと明確に書いてありますように、疑惑を持たれたものについてはみずからその疑惑を解明する態度が必要だということは当然なんで、それは私はやはり、その責任は問われて、その疑惑の解明全容というものはみずから明らかにするぐらいの決意で政治家としての責任を果たす必要があるというふうに考えております。  ただ、個々の具体的な問題について、個々の議員の問題については、必ずしもこれは、報道があるにしろ全容が、まだ本当にその事実関係というものは明らかにされていないわけでありますから、その問題についてここでコメントすることについては差し控えたいというふうに思います。
  60. 松本善明

    松本(善)委員 山口氏の場合も多くの疑惑が提起をされておりますが、御本人は否定をしたままであります。監督官庁であります東京都、大蔵省合同で二信組を検査をしたときに、そのときの資料も国会にも提出もされていますが、大口信用集中の法令違反で、明確に山口敏夫関連というふうに指摘しているのではないかと思います。  そこで、九四年六月時点で融資残高がこの山口敏夫氏関連でどのようになっているか、お答えをいただきたい。
  61. 西村吉正

    ○西村政府委員 ただいまお尋ねの件につきましては、特定の企業に対する具体的な取引内容及び検査結果に係る事柄でございます。また、報道によりますと、現在司法当局が捜査中のものであることでもございますので、その内容につきましては行政当局がお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  62. 松本善明

    松本(善)委員 私は、しかしそういう態度はよくないと思うのですよ。この資料を出すについて、全体を出すのは困るということで、私どもは不満でありましたが、資料の提出が公にされませんでした。しかも、疑惑のあるものさえこういう形で言わない、私はこれは答弁拒否じゃないかと思うのですよ。  委員長、もう一回答弁するように言ってください、きちっと答えると。
  63. 西村吉正

    ○西村政府委員 私ども、このような件に関しましては、従来から、刑事訴訟法の第四十七条に規定されております趣旨等からいたしまして、金融当局としてはこの規定に直ちに拘束されるものではございませんが、捜査中の事案に係る具体的な内容を明らかにすることによって捜査及び公判に支障を来すおそれもあり得るため、具体的な内容を答弁するということは差し控えてまいっておるところでございますので、御理解を賜りますようにお願いいたします。
  64. 松本善明

    松本(善)委員 そんなことを言ったって捜査に何の支障も起こらぬですよ。こういうことが疑惑を解明しないことになるんだ。  確実に私が知っている範囲で言いますと、二信組合計で、九四年六月時点、四十億五千百五十万円、その一年前は九三年七月時点で三十六億九千百万円。そして、それに見合う担保はどうか。九四年時点では四十億五千百五十万円に対して四億七千四百万円、九三年時点では三十六億九千百万円に対して四億四千四十一万円、これしか担保がないというのは大変なことなんですよ。これはもう不良債権化している。  東京都の認定によるとどの程度の不良債権が山口敏夫氏関連で起こっているか、答弁を求めたい。
  65. 西村吉正

    ○西村政府委員 国会東京都が御提出をいたしました資料の中に具体的な記述のある点もあるわけでございますが、東京都の検査報告書そのものにつきましては、提出いたしますときの取り扱いといたしましては、すべてを公にしてということでないようなお取り扱いをお願いをしておる点もございます。その点についてもよろしくお取り計らいのことをお願い申し上げたいと存じます。
  66. 松本善明

    松本(善)委員 そういう奥歯に物の挟まったような物の言い方をしておるから、疑惑がますます拡大するんですよ。  別の件で聞きますが、担保の問題では、労働省の監督下にあります財団法人余暇厚生文化財団、これが基本財産が担保として提供をされています。それから総理府所管の財団法人二〇〇一年日本委員会、この基本財産も同様に担保にされているという重大問題の疑惑があります。これについては既に新聞報道もいろいろありますので、これについての調査を労働省、総理府、どのようにやっているかということについて、官房長官とそれから労働大臣の答弁を求めたいと思います。  時間がありませんので、まとめてお聞きします。  さらに、文部省の管轄で、情報科学国際交流財団、国際青少年育成振興財団、これがやはり担保を出してないかという疑惑があります。これについてはどうかということをお聞きをします。  それから法務省に、この問題は刑事責任の問題が生じ得る可能性を持っています。財団法人の基本財産を権限のない者が担保に提供するということになりますと、背任、私文書偽造行使、詐欺などの犯罪を構成することがあり得る。こういうことについては法務省はどのような関心を払っているか 一応そういうことをお聞きをしたいと思います。  以上です。
  67. 浜本万三

    ○浜本国務大臣 お答えいたします。  財団法人余暇厚生文化財団の基本財産の担保供与問題につきまして、労働省といたしましては、事実関係調査いたしましたところ、ことしの四月二十八日に当該財団から報告がございました。  その第一は、平成四年四月六日に財団の常務理事が、理事会等に語らずに財団の基本財産を融資の担保として提供したこと、平成七年三月三十日に借入金が返済され担保が解除されたこと、それから、四月二十七日に財団の常務理事より引責辞職の申し出があり受理されたこと、以上の報告を受けたところでございます。  それで、これが山口代議士とどのような関係にあるかということについては、労働省といたしましては承知をしておりません。  本件につきましては、さらに事実関係調査いたしたいと思っております。
  68. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 御質問の点について調査した状況を御報告申し上げたいと思います。  財団法人二〇〇一年日本委員会の基本財産が担保に供されていたことにつきましては、当該財団より、財団の理事会に諮らず財団の基本財産が担保に供されていたこと、平成七年二月六日に担保に供されていた基本財産が相殺されたこと、平成七年四月二十一日に担保に供されていた基本財産と同額が返還されたこと、こういう報告を受けているところであります。  山口氏と本件関係につきましては、六月一日の理事会につきまして報告がございまして、理事会において山口理事に対して基本財産及び運用財産について事情説明を求めましたところ、それぞれの背景について説明があり、有価証券森電機株十一万株、短期貸付金五千三百十九万円を六月二十日までに返還することを約束し、理事会はそれを了承したということであります。  また、山口理事は、一運の不祥事に対する責任をとり辞任届を提出いたしましたが、理事会は、財産の返還が急務として、それが完了する六月末まで辞任届は理事長預かりとするということになったようでございます。  財団の基本財産が、寄附行為に違反して、主務官庁である総理府の承認を得ずに担保に供されたことにつきましては、まことに遺憾なことであり、厳重に注意をしたところであります。現在さらに調査中でございまして、その結果などを踏まえて適切に判断をいたしたい、このように思っている次第であります。
  69. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 基本財産の一部を融資の担保としていたかどうかという点について、財団法人情報科学国際交流財団及び財団法人国際青少年育成振興財団に確認をいたしましたところ、そのような事実はないと聞いております。
  70. 則定衛

    則定政府委員 今御指摘の点につきましては、新聞報道等がなされていることは十分承知しておるわけでございます。ただ、具体的事件がそれぞれ犯罪を構成するかどうかは、これは捜査当局捜査をいたしまして、集めた証拠にのっとりまして法律判断をするということになりますので、この時点でその成否についてお答えするのは差し控えるべきだと思います。  いずれにいたしましても、検察といたしましては、一連の捜査過程で刑事事件として取り上げるべきものがあれば、適正に対応するものと考えております。
  71. 松本善明

    松本(善)委員 終わります。
  72. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  73. 海江田万里

    ○海江田委員 東京地検警視庁は、五月の十日と十一日の両日、旧二信組の乱脈融資事件強制捜査を行っていると思いますが、東京都港区虎ノ門にありますたかおグループという会社、ここの本社ビルにも家宅捜索が入っていると思いますが、その確認を法務省にお願いしたいと思います。
  74. 前田勲男

    前田国務大臣 いわゆる両信用組合事件につきまして、東京地方検察庁関係箇所捜査を行ったと聞いておりますが、その被疑事実の要旨は、鈴木紳介及び高橋治則が共謀するなどして、鈴木紳介代表理事であった安全信用組合の任務につき、自己らの利益を図る目的を持って、ゴルフ場等の開発会社などに対し、合計百十億円を不正に融資し、もって信用組合に財産上の損害を加えた内容であると承知いたしております。  具体的にいかなる場所を捜索したかにつきましては、捜査内容に関する事案でございますので、具体的な答弁はお許し願いたいと存じます。
  75. 海江田万里

    ○海江田委員 今その具体的なお答えはいただけなかったわけでございますが、このたかおグループというのは、実は私三月九日の証人喚問の席で高橋証人、鈴木証人に喚問しておりますが、その中で両証人は、確かに大口預金はある、大口預金はあるけれども、融資はないということを証言をしておるのです。  ところが、その後当委員会に出されました資料を見ますと、九四年十一月末の時点で、このたかおグループのだかエンタープライズという企業がございますが、ここに東京協和は六億七千五百万円、安全信組は五億五千万円、それぞれ融資をしております。  それと、このたかおグループとイ・アイ・イ・グループ、高橋治則証人のイ・アイ・イ・グループというのは大変緊密な関係にありまして、融資があったかどうかも知らないというような関係ではないということでございますので、私は、これ家宅捜索に入ったということでは半歩前進だろうと思いますので、今後重大な私も関心を持っておりますので、鋭意捜索を、それから鋭意真相究明をお願いしたいということでございます。  それから、きょうの東京株式市場でございますけれども、ちょっと私前場しか見ておりませんけれども、日経平均が一万五千円を割り込んだということでございます。  大蔵大臣もお聞き及びだろうと思いますけれども、先週末から、ちょうど大蔵省が「金融システムの機能回復について」というリポートを発表したあたりから、やはり株式市場は値下がりを続けておるわけですね。その株式市場値下がりの一つの理由が、大蔵省が出しましたこの「金融システムの機能回復について」という取りまとめが非常にわかりにくいとか、それと問題先送りとか、そういうような評価が出ておるわけですね。それについてどういうふうにお考えか、お聞かせください。
  76. 武村正義

    ○武村国務大臣 市場のことはなかなか明確に判断することは難しゅうございますから、断定的に言うことは控えなければなりませんが、少なくとも大蔵省の発表させていただいた不良債権の方針が株価の下落を呼んでいるというふうには理解いたしておりません。もう少し具体性が欲しいという期待は当然新聞の社説等にもございましたが、これは順を追って具体化していきたいと思っております。  今のところは、景気や企業業績、さらに急速に進んだ円高基調、こういったことも株価の動向に影響を与えているように市場関係者の見方として伝えられているところでございます。
  77. 海江田万里

    ○海江田委員 このレポートの市場の一番の関心事というのは、実は不良債権の処理に公的資金を導入するのかどうなのかというところにかかっていたわけですね。  私、これつぶさに拝見しますと、実は、公的資金の導入というものはあり得るんだというふうに書いてあるんだというふうな理解をしておるのですね。先ほどもお話がありましたけれども、ペイオフは五年以内だ。その五年以内にやる手だてというのは、これは九ページにございますけれども、八ページから九ページで、つまり「預金保険の発動を超えた特別の対応」という中に、きちっと日銀法の二十五条でいきますよということが書いてあるのですね。  それをもっと素直にといいますか、はっきりといいますか大蔵大臣は特に六日、閣議の後の記者会見で、公的資金の導入については、今の時点で公的資金を具体的に導入する考えはないという発言をされておる。それが新聞記事に載っておりますから、その発言に引っ張られてしまって、せっかくこの中身にそういう五年以内の、このまさに「預金保険の発動を超えた特別の対応」でそういう処理の仕方があるんですよということを書いておっても、それがちっとも伝わっていかないのですね。  このあたり、この公的資金の導入ということについて、もちろんいろいろな決まりというかいろいろな縛りはしなければいけませんけれども、ペイオフまでの間に可能性としてはあるんだよということをお考えなのかどうか。非常にわかりやすいようにお答えをいただきたいと思いますが。
  78. 武村正義

    ○武村国務大臣 確かに、あの記者会見では、今公的な資金の導入を考えているわけではないと否定をいたしました。しかし、このまとめの中におきましても、公的なかかわりをむしろ挙げておりまして、公的なかかわりというときには、もちろん許認可もありますし、行政指導もありますし、日銀法二十五条の発動もその一つでございます。それは個々の事態に対してどう日本銀行法二十五条を発動するかということでございますから、二つの信組のように出資という形もありますし、あるいは特融というふうな方法もあるのかもしれませんし、そういうことでもございます。  ただ、言えることは、今公的資金の導入を政府考えているわけではありませんが、この全体の処理の中で公的資金の導入を否定しているわけではありません。問題は、関係者が十分な経営努力を行っているのかどうか、金融システムの安定性確保のためにそれが不可欠かどうか、こういうポイントも含めてやはり幅広い御議論をまたなければなりませんし、またそういう国民的な議論を私どもは注視をしながら判断をしなければならない課題だというふうに認識をいたします。
  79. 海江田万里

    ○海江田委員 またわかりにくくなってしまうのですね、これは。今考えていないということはよくわかる。今というのはまさにこの時点ですからわかるわけですが、やはりこれは五年以内ということでいえば考えていると。むしろ、正直申し上げましてペイオフより前にある話なんですよね、これは。どうしても言えないということであれば、いたずらに時間を費やすのは私にとっても本意じゃありませんのでこれ以上追及はしませんが、やはりなるべくわかりやすくお話をされた方がいいのではないだろうかという考えを持っております。  それから、村山総理、最後までおつき合いをいただきましたけれども、私、今回の二信組の問題は、経済の本当に信用秩序を保持できるかどうかというその問題と、それから、先ほど来共産党からも指摘がありましたけれども、やはりそこに政治家が絡んでおったあるいは官僚が絡んでいたというこういう倫理上の問題と、この二つが一緒になったところに問題をわかりにくくしておる原因があるんじゃないだろうかという気がするのです。  どうですか、私なんか考えまして、日銀の総裁がどうしてもこれはああいう受け皿銀行をつくって、そして全部の金融機関協力を仰いで、それでああいう形でレスキュースキーム、一つの救済の、救済という言葉が悪ければ処理のスキームをっくらなければいけないということであれば、それから、国会の議論を通して、これはあの信用組合が、二つの信用組合がいかに問題のある信用組合であるかということがよくわかっておったのですから、例えば、日銀総裁がもう自分は責任をとってやめるというようなことを言って、そして自分が責任をとってやめるかわりにこの処理方式でもってひとつ処理をしてくれないだろうかというようなことを言えば、これはまた世論の受け取りも違うと思うんですがね。  私は、どうも村山内閣のいけないところは、いろいろ責任をとらなきゃいけない場面が多々あるわけでございますが、そういう中で全くその責任をとっていないということ、このことは私は大変大きな残念な事態だろうと思うんです。何も総理がやめろということじゃありませんよ、これは。私はそんなことを言っておるわけじゃないのですけれども、例えば、日銀総裁なんかもうあと任期も幾らもなかったのですよ、あのときで。だから、申しわけないけれども、もうこれを最後に私はやめさせていただくと。  やはり責任のとり方というのは、昔中国には「法は士大夫に及ばず」という、あの秦の時代の始皇帝がいて、法治主義で全部やっていたけれども、士大夫階級には及ばなかったわけですよ。これはどうして士大夫階級に及ばなかったかというと、彼らは身の処し方を知っていたからですよ。だから、わざわざ細かい法律を適用する必要はなかったわけですよ。  ところが、今その士大夫階級ともいうべき日銀の総裁でありますとかあるいは大蔵省のお役人でありますとか、そういう人たちがそれこそ本当に法律の網の目をくぐるような形でいろいろやっておるということで、そういう責任のとり方というものをもう少し内閣全体として周知徹底をさせるということはいかがでしょうか。
  80. 村山富市

    村山内閣総理大臣 いや、言われるお気持ちはよくわかりますよね。こういう事態になった場合に、その責任の所在も明確にして、そして責任をとるべき者がきちっと明らかにするということが大事じゃないかというお気持ちはよくわかりますけれども、今度の二つの信組の問題については、何分その経営が非常に乱脈であったということ、その責任は、やはりそれは理事長中心として経営に責任を持っている者が一義的には責任があるというのは当然の話ですね。これは機関委任事務ですから、その監督権限を持っておる東京都にもそれは全然責任がないとは言えない。  こういう状態になったものについてどのような処分スキームをつくるかというので、その関係者が集まって相談をして、そして総合的な判断の上、でああいう結論を出していったという経緯がありますし、それにまた政治が絡んでおるのではないかといったようなものまでまざってきて、そして非常に混乱をいたしております。  私は、なかなか国民の目から見ればわかりにくい、疑念は一体どこにあるのか、責任はだれがとるべきかといったような問題が提起されてくると思うのですが、これは整理をして、そしてやはりきちっと区分けをして問題点を解明していく。解明する中からその責任の所在というものは一層明確になってくると思いますから、あの段階で、例えば言われるように、日銀の総裁がもう任期もずく目の前に迫っておるんだから、すきっと責任をとってやめるということにすればからっとしたのではないかというようなことには必ずしもならないのではないか、私はそういうふうに思っております。
  81. 海江田万里

    ○海江田委員 では、終わります。ありがとうございました。
  82. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る十七日午前十時から委員会を開会することといたします。  この際、暫時休憩いたします。     午後三時十七分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕