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1995-06-06 第132回国会 衆議院 予算委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年六月六日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君    理事 草川 昭三君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    稲葉 大和君       浦野 烋興君    越智 伊平君       越智 通雄君    大島 理森君       片岡 武司君    木村 義雄君       菊池福治郎君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       関谷 勝嗣君    中谷  元君       中山 太郎君    額賀福志郎君       原田  憲君    平林 鴻三君       村田敬次郎君    村山 達雄君       若林 正俊君    安倍 基雄君       伊藤 達也君    石井 啓一君       石田 勝之君    川島  實君       工藤堅太郎君    左藤  恵君       笹木 竜三君    月原 茂皓君       野田  毅君    冬柴 鐵三君       松田 岩夫君    山口那津男君       山田  宏君    池端 清一君       今村  修君    佐々木秀典君       坂上 富男君    細川 律夫君       前原 誠司君    中島 武敏君       松本 善明君    吉井 英勝君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  村山 富市君         法 務 大 臣 前田 勲男君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     野中 広務君  出席政府委員         警察庁刑事局長 垣見  隆君         法務省刑事局長 則定  衛君         大蔵大臣官房長 涌井 洋治君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省証券局長 日高 壮平君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         労働大臣官房長 伊藤 庄平君         自治省行政局長 吉田 弘正君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 五月二十六日  辞任        補欠選任   石井 啓一君    赤羽 一嘉君   石田 勝之君    久保 哲司君 同日  辞任        補欠選任   赤羽 一嘉君    石井 啓一君   久保 哲司君    石田 勝之君 同月三十日  辞任        補欠選任   矢島 恒夫君    不破 哲三君 六月二日  辞任        補欠選任   安倍 基雄君    石田 美栄君 同日  辞任        補欠選任   石田 美栄君    安倍 基雄君 同月六日  辞任        補欠選任   江藤 隆美君    中谷  元君   越智 伊平君    大島 理森君   後藤田正晴君    片岡 武司君   高鳥  修君    稲葉 大和君   原田  憲君    平林 鴻三君   村田敬次郎君    額賀福志郎君   山崎  拓君    木村 義雄君   冬柴 鐵三君    東  順治君   不破 哲三君    吉井 英勝君 同日  辞任        補欠選任   稲葉 大和君    高鳥  修君   大島 理森君    越智 伊平君   片岡 武司君    後藤田正晴君   木村 義雄君    山崎  拓君   中谷  元君    江藤 隆美君   額賀福志郎君    村田敬次郎君   平林 鴻三君    原田  憲君   東  順治君    冬柴 鐵三君   吉井 英勝君    中島 武敏君 同日  辞任        補欠選任   中島 武敏君    不破 哲三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  予算実施状況に関する件(旧東京協和・安全  両信用組合問題等)      ————◇—————
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  予算実施状況に関する件について調査を進めます。  本日は、旧東京協和・安全両信用組合問題等について集中審議を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  4. 佐藤観樹

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野呂田芳成君
  5. 野呂田芳成

    野呂田委員 東京協和信用組合、安全信用組合問題につきましては、当委員会でもしばしば取り上げられ、特に政治家が絡んだ乱脈経営実態、あるいは破綻金融機関処理のあり方、あるいは信用組合監督についての国と地方の責任等、多くの問題が浮き彫りにされつつありますが、私は、本日の集中審議において議論の総括を図るため、まず、二信用組合処理問題に関連して、経営破綻を来した金融機関処理はいかにあるべきかというミクロの問題についてまず取り上げ、第二に、現在我が国金融機関が抱える膨大な不良債権問題をいかに処理していくべきかというマクロの課題について、政府見解をただしたいと思います。  二つ信用組合問題を総括すれば、私は次の二点が問題であると思います。  第一に、破綻処理を行う場合の基本的な考え方について、事前に全く国民に対して説明がなされなかったという点であります。こうした場合は、大蔵省破綻処理の基本的な方針国民に対し明確にすることがまず何よりも必要であったと思います。  第二に、今回の処理方策が信用不安の波及を回避し、全国の預金者預金を保護することが目的であったにせよ、結果的に両組合高金利大口預金者も救済されたことは甚だ問題であります。  なお、両信組不正貸し付けには山口敏夫中西啓介氏の両政治家が深くかかわっており、その債権はほとんど回収されておらず、それが乱脈経営の大きな原因一つとなっており、ひいてはこの問題に対する国民疑惑を深める原因となったのであるから、この問題の解明については、次の機会に十分な審議を尽くすべきであると考えます。  これらの点について大蔵省は今後十分検討してほしいと思っておりますが、以下、順次に大蔵大臣のお考えをただしてまいりたいと思います。  まず第一に、破綻処理全体の問題に入る前に、二信組処理に対する東京都の支援問題についてお伺いしたいと思います。  青島知事は、先月十一日の都議会で、三百億円の低金利融資問題について、両信用組合の救済のために支出しないことは私の公約であり、今もその気持ちに変わりないと発表しておりますが、信用組合監督権限はすべて都道府県知事に委任されており、都は早くから両組合の乱脈な経営状態を把握し、監督していながら、その是正について、役員解任等毅然たる改善措置をとらなかったのであります。その責任はまことに重大であります。  民主主義原則は、権利があれば義務があるということであります。私は、青島氏のように、権限はあるけれども責任がないとの議論にくみすることは、到底できないことであると思います。  これまでも個別信組経営問題の処理に当たっては、その地域の信用不安を回避するとともに、地域中小企業向けを中心とした金融円滑化を確保し、ひいては地域経済活性化に資するという観点から、信組監督官庁である都道府県は、低金利融資等の形での、解決のために応分財政支援を多く行ってきております。平成二年四月から平成七年七月までの五カ年間で、東京都、千葉県、青森県、広島県、神奈川県、大阪府、佐賀県、岐阜県等で多数の信用組合合併事業譲渡等を実施し、これに対し都道府県がそれぞれ支援措置を行ってきたところでありますが、これらの点について、青島知事見解を含め、大蔵大臣考え方についてお伺いしておきたいと思います。
  6. 武村正義

    武村国務大臣 信用組合に対する都道府県知事監督責任の問題は、これまでもたびたびお尋ねをいただき、お答えを申し上げてきたところでございますが、もう一度整理をしながらお答えをさせていただきます。  信用協同組合監督は、中小企業等協同組合法等の規定によりまして、都道府県知事機関委任されているところでございます。両組合監督に関する事務の主体は、そういう意味都道府県知事、この二つ信組に対しては東京都知事にあるという認識であります。このため、御指摘のとおり、個別信用組合経営破綻に陥った場合、監督官庁である都道府県知事責任を持って対処をしてきているのが今日までの姿であります。  その際には、預金者保護を図り、地域の信用不安を回避する、あるいは地域における中小零細企業資金の円滑な需給を確保し、ひいては地域経済活性化に資する、さらに支援金融機関合意形成等立場も踏まえて、これまでも応分財政支援をそれぞれの都道府県が行ってきたもの上承知をしております。  今回の二信組問題の処理に当たりましては、東京都は、同じような観点あるいは考え方から、支援を行うことは不可欠であるという判断をされたものでありました。この判断を軸にしながら、日本銀行民間金融機関の参加を求めた今回のスキームが成り立っているわけであります。  いずれにしましても、単純に支援をしないだけでは済まされない重大な問題である、もしそうであるならば、どういう対案があるのか、どういう形で責任を全うしていこうとされているのかそのことも注視をしなければならないと思います。  青島知事は、公約認識をしているが、各関係方面意見を聞きながら最終判断をしたいというのが都議会での答弁のようでございまして、いましばらく新知事考え方整理と決断を待ちたいというふうに思っている次第であります。
  7. 野呂田芳成

    野呂田委員 東京都も、平成二年の四月一日、都民向島信用組合都民信用組合に、平成五年九月二十七日には、東京食品、いちば信組東京食品信用組合に、それぞれ合併した際、東京信用組合支援基金機構から支援を行ってきました。青島知事も、改めて都議会での議論を含め関係者意見もよく聞き、諸事情を総合的に勘案し慎重に対処してまいりたい、今大蔵大臣答弁されたとおりの発言をしております。  私は、この際東京都も応分の低金利融資を実施するのが筋であると思いますが、仮にそれができない場合でも、これまで東京都がやってきたように、東京信用組合支援基金機構からの支援方策や、あるいは支援の額の検討も含めて、何らかの形できちっとした責任を果たすべきである、そういうことが実現するように大蔵省の強い行政指導を重ねて要請しておきたいと思います。  次に、信用組合等がどのような乱脈経営をしても、結局、政府行政庁が信用不安の波及を回避し預金者を保護するために支援措置がとられるのだ、こういうような安心感から大蔵省東京都の再三にわたる事業改善命令も無視した高橋、鈴木両理事長経営責任については、大蔵省東京都は、検察当局捜査を待っている姿勢ではなく、もっと毅然たる態度で対処すべきであると思います。  まず第一に、監督官庁として経営者責任をどう認識しているのかを明らかにし、積極的に役員解任や、あるいは刑事訴訟法による告発をして責任の所在を明確にすべきではなかったのか。それをしないで、乱脈経営によって生じた穴埋めを都民税金で賄おうとする安易な考え方では都民も納得しないだろうと思います。  刑事訴訟法二百三十九条は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と告発を義務づけております。本件のように経営者責任行為が明白な場合、敢然としてこの責任を糾弾することが信用不安解消のための国民の協力を求める大前提だと考えますが、大蔵大臣答弁をお願いしたいと思います。
  8. 西村吉正

    西村政府委員 大蔵省といたしましては、今回の両信用組合経営が破綻したことにつきましては、経営の任に当たってきました両理事長責任は極めて重大でございまして、刑事民事両面における法的な責任を含めまして、厳格に経営者としての責任が追及されるべきものと考えております。  その点に関し、今御指摘の、大蔵省みずからが告発すべきではないかとの御指摘につきましては、告発捜査機関に対して犯罪事実を特定いたしましてこれを行う必要があるわけでございますが、両信組の前経営者による行為刑事上の犯罪事実に該当するかについて、犯罪捜査のために行われるものではない金融検査によってこれを確定的に把握するということは困難でございました。そのため、この点につきましては、私どもとしては司法当局による解明が必要と判断した次第でございます。  大蔵省といたしましては、東京都とともに、まず実質的な被害者立場に当たる両信用組合の新経営陣がその立場告訴を行うよう督励したところでございます。こうした手続を通じて司法当局による解明を求めることとしたものでございますが、大蔵省としては、今回の告訴を支持するものでございまして、現在捜査中の司法当局に対し、できる限り協力してまいりたいと考えております。
  9. 野呂田芳成

    野呂田委員 この両信用組合理事長らがやった行為は明らかに背任行為であります。大蔵省機関委任をしているということでできないとすれば、私は、直接の監督権を持っている東京都の公吏告発をすべきではなかったか、こういう意味も含めまして、ひとつ検察の手に任せるだけではなくて、監督官庁毅然としたそういう措置をとることがこの問題に対する国民疑惑や怒りを解消するもとになると思いますので、厳しくそのことを東京都に行政指導することを要請しておきたいと思います。  次に、今回の場合のように信用不安解消のために都民税金預金保険機構資金援助をもって対策を講じなければならない場合に、常識外れ高金利を付された大口預金を含めすべての預金が救済されるというようでは、預金者モラルハザードを発生させるという問題があります。  信用不安解消等のためペイオフを回避して資金援助機構を活用する場合であっても、大口預金者に対して、あるいは高金利を求めて危険を覚悟しながらこういうところに集まってきた人たちに対して、何らかの負担を求めるべきじゃないか。そうしないとこの問題はやはり都民国民の納得することにならない。その検討を急ぐべきであると思いますが、将来の問題も含めて、ひとつ大蔵省の所見、方針を承っておきたいと思います。
  10. 西村吉正

    西村政府委員 金融自由化が進展したもとにおきましては、大口預金というものは金融機関にとって非常に重要な資金調達手段であるとともに、金利動向金融機関経営状況等に敏感に反応するために、その動向小口預金に比べまして金融機関経営、ひいては金融システム安定性に大きな影響を与えることに留意する必要があるということをまず申し上げておきたいと存じます。  しかしながら他方、御指摘のように、金融機関破綻処理に関して、預金者モラルハザード発生防止に配慮することも大変重要なことであると考えております。そのための方策といたしまして、大口預金者に一定の損失を求めること等、資金援助による預金全額保護ペイオフとの中間的な処理を行うためには、現行法制度のもとでは預金者の同意が必要でございますけれども、今後の問題として、多様な破綻処理方式を持つ米国の連邦預金保険公社等の海外の制度参考にしながら、預金保険制度破綻処理方法多様化等につきまして金融制度調査会に早急に検討をお願いしたいと考えております。
  11. 野呂田芳成

    野呂田委員 金融制度調査会で今鋭意検討中だそうでございますから、改めて要請しておきますが、法制度の改正を含めてひとつこの問題については毅然としたルールづくりをしていただきたいことを重ねて要請をしておきたいと思います。  先ほども触れましたが、今回の二信組処理に当たりまして大蔵省当局は、ペイオフという手段をとらず、預金保険機構資金援助という手段をとることになったわけであります。こういう手段をとるについてのメリットとデメリットがあるはずでありますが、この面が必ずしも整理された形ではなく、国民に明確にされていないまま発動されている。この際、大蔵省はまず、これらの問題について国民に対してきちっと説得できるような説明をすべきであると考えますが、大蔵省方針をお伺いしたいと思います。
  12. 武村正義

    武村国務大臣 金融機関経営破綻に至る事情はさまざまであります。あらかじめ詳細な処理基準を定めておくことは困難でありますが、破綻処理には御指摘預金保険制度等公的手段を用いる必要がございますし、破綻処理に関する基本的考え方についてできるだけ国民の皆様の合意を形成しておくことが大変大事であるというふうに考えます。  破綻処理基本方針につきましては、今後金融制度調査会審議をお願いし早急に取りまとめたいと考えておりますが、このペイオフ資金援助得失等につきましてもそのような基本方針の中で整理をしていかなければならないと考えますが、行政当局としましては、当面、次のような考え方でございます。  まず、預金保険発動形態には、御承知のように、預金保険金支払い、いわゆるペイオフという方法と、営業譲渡合併等に対する資金援助ペイオフ援助という二つの道がございます。  まずペイオフでありますが、一つは、保険金支払いに時間を要することにより、預金者日常生活中小企業等資金繰りに支障が生じることがある。一つは、金融機関の清算による地域金融の円滑や利用者利便支障が生じる可能性があること。一つは、預金に対する信認の動揺や決済システムの連鎖を通じて損失が伝播するおそれがあること。最後にもう一つは、我が国金融機関に対する国際的な信認が低下するおそれがあることなどなどから、経済社会全体から見てコストの大きい処理方式だというふうにも言えると思います。アメリカにおきましても、ペイオフは、これまでは小規模な金融機関について例外的に実施されているだけのようでございます。  もう一つ方式である資金援助方式でございますが、これは、営業が継続され、違法な預金を除くすべての預金等全額保護されるため、一般預金者取引企業関係金融機関、内外の信用秩序に与える影響は小さいわけであります。その反面、処理を引き受ける金融機関がない場合には行い得ないという問題がございます。また、預金者の御指摘モラルハザードというリスクが伴うという問題もございます。  以上が二つ方式の長短でございます。  具体的な破綻処理方法選択に当たりましては、金融システム安定性確保前提にしまして、預金者保護預金者利便地域金融の円滑、我が国金融機関に対する国際的な信認への影響などを総合的に勘案して、できる限り社会的コストの小さい処理方法選択する必要があります。あわせて、経営者預金者等モラルハザード防止についても配慮する必要があるというふうに考えております。
  13. 野呂田芳成

    野呂田委員 この二つ信用組合問題についても、ペイオフにより処理すべきであるという議論も当然出てきたと思うのでありますが、現実には、ペイオフという手段をとることはそれほど簡単ではないと思います。  過般、私の生まれた町の能代市で、能代信用金庫問題について、倒産するという大変ショッキングなニュースが中央紙によってトップ記事として紹介されました。その際に、一千万を超える預金は保護されないとか、あるいは株主出資者の株券や出資金も保護されないような記事でありました。  その途端に、夜明けを待って数キロ預金引きおろしの人たちが並び、一日で二十数億預金を引きおろされるという大変なパニックが生じたのであります。これは、中央のもう少し大きい銀行であれば、一波が万波を呼んで、私は日本じゅうに信用不安を巻き起こした可能性があると思います。そのようにこの問題は大変であります。  大蔵省や日銀の早速の手際のよい会見でこの問題は何とか今日収束して、預金も戻ってまいりましたけれども、そういうわけで、現実ペイオフという日本にはなれない手段をとることはそれほど簡単ではないと思います。  そういうわけで、やはり他の金融機関への信用不安の波及が心配されるし、預金保険機構で一千万以下の小口預金者について元本のみとはいえ保護されるが、払い戻しまで大変な時間がかかります。給与の振り込みとか公共料金の引き落としなどの決済取引ができなくなるほど、その影響は、小口取引を行っている人にとっても大きな影響があります。  したがって、ペイオフという事態を回避をすべく取りまとめられた今回の処理方法については、破綻処理の基本的な考え方事前に明らかにされなかった。この問題は大いに反省すべきものでありますけれども現行制度のもとでは、手段としてはやむを得なかった面もあると思います。  ただ、今後同様の破綻金融機関があらわれた場合に、大蔵省としては、やはりペイオフは絶対に避けるという方針を堅持するつもりなのか。仮にペイオフを行うとすれば、どのような場合にこれを行うつもりなのか、どういうケース資金援助により対応するのか、この際明確にすべきであると考えますが、その方針を明らかにしていただきたいと思います。
  14. 武村正義

    武村国務大臣 野呂田委員の御指摘のとおり、現時点において直ちにペイオフを発動するということは極めて困難であるという認識であります。  その理由の一つは、金融機関破綻処理に当たって、金融機関を信頼した善意の預金者損失を求めることについての国民的コンセンサスがまだ十分形成されていないということでありますし、いま一つは、金融機関が不良債権問題を抱えた状況であります、信用不安を醸成しやすい状況にあるということであります。もう一つは、ディスクロージャーが実施過程でありまして、預金者自己責任を求めるに足る情報が十分提供されていないということなどであります。  したがって、預金者についても自己責任原則を実現し得る環境整備をできるだけ早期に、私どもとしましては、遅くとも五年以内に完了をすることが大事だというふうに考えております。こうした環境整備が行われた後においては、破綻金融機関処理選択肢の一つとしてペイオフという手段をとり得るというふうに考えます。  ただ、具体的な処理方法選択に当たりましては、金融システム安定性確保前提に、経営者預金者等モラルハザード防止について配慮をしなければなりませんし、預金者保護預金者利便地域金融の円滑あるいは国際的な信認への影響というふうなことも総合的に勘案をしまして、まさにケース・バイ・ケースで、できる限り社会的コストの小さい処理方法選択すべきであると考えます。  基本的には、資金援助方式可能性をまず追求することにしまして、ペイオフは、信用秩序へ重大な影響を及ぼさないことを前提に、例えば株主出資者損失負担関係金融機関等による支援、あるいは預金保険機構からの資金援助が行われても、営業譲渡等処理ができない場合に行われることになるのではないかというふうに考えます。  以上のような考え方により破綻処理に当たってまいりたいと考えますが、こうした問題につきましても金融制度調査会審議をお願いをしているところであります。  なお、今回の二信組に対して、もう少し仕組みを発表をしてという御指摘でございますが、まさにそこに悩みがございまして、処理仕組みを決めて発表する、あるいは議会等々に御相談をする、公にするということが卵もう経営実態が表へ出るわけでございまして、その矛盾をどう乗り越えるか私どもも昨年の秒そこは非常に悩んだところでございます。  一種の危機管理のような性格がございまして、表へ出るときにはもう処理対策はすべてまとめ切っていて、同時に発表しないとかえってさまざまな影響を与えるというのが昨年の私ども認識でございまして、そのために、結局、民主的な国民議論を欠いたというおしかりも受けなければならない状況でありました。
  15. 野呂田芳成

    野呂田委員 ただいま大蔵大臣から大変重大な発表があったと思います。  ペイオフは、預金者自己責任を求めるに足る十分なディスクロージャーが実現することが前提である、それから不良債権を処理するまでの間はなかなかペイオフの発動はできない、そういう環境整備が完了すればペイオフは実施する段階に入る、その完了の時期は五年後に完了するであろうというめどを示されましたが、このことは大変国民にとってもはっきりとされたわけでありますから、私どもは、こういう前提に立って今後この問題について考えていかなければいけない問題である、こう思いますので、大蔵省も鋭意ひとつ努力をしていただきたい、こういうふうに思います。  次に、預金保険機構資金援助機能は、平成四年四月に東邦相互銀行を吸収合併した伊予銀行に対して発動されて以来今日まで、東洋信用金庫、釜石信用金庫、大阪府民信用組合信用組合岐阜商銀、友愛信用組合及び今回の二信組処理のためと、合計七回にわたって発動の決定が行われてきましたが、今後、預金者保護が図られるとしても、経営者出資者責任を明らかにした上で資金援助を行うという点を明らかにすべきである。このことを前提にした資金援助方式の発動要件、この発動要件について大蔵大臣はどのように考えておるか、この際方針を明らかにしていただきたいと思います。
  16. 武村正義

    武村国務大臣 資金援助方式の発動要件でありますが、これまでもだんだん厳格化を図ってきているところでございます。今後の資金援助の発動に当たりましては、原則として次のような考え方で対応をさせていただきたいと考えます。  一つは、経営陣の退任を基本とし、さらに、経営破綻原因を招いた者については、その責任に応じ、法の枠組みの中で経営責任が厳格に追及されること。一つは、ペイオフの場合には株主出資者は保有している株式、出資について損失負担することとなるが、資金援助の場合にも原則として同様な負担を求めること。一つは、資金援助の際、徹底的な合理化計画が策定されること。さらに一つは、関係金融機関等による可能な限りの支援が実施されること。  以上であります。
  17. 野呂田芳成

    野呂田委員 預金保険制度の発動がどういう場合になされるかということは、これまた金融政策にとって大変基本的な重要な問題でありますが、この点につきましても、ただいま大蔵大臣から大変重大な御発言がございました。  つまり、こういうものを発動する条件として、経営陣の退任を基本とする、さらには経営破綻原因を招いた者については経営責任を厳格に追及する。こういうことが今度の場合に必ずしもなされていないことが遺憾でありますが、そういうことも示されました。それから、資金援助の場合も、原則として株主出資者が保有する株式、出資についての負担をきちっと求めるとか、徹底的な合理化計画を策定することが前提であるとか、大変大事な目安を示されましたが、この点につきましても厳正にひとつ守りながら今後の金融政策を実行していただきたい、強く要請をしておく次第であります。  それから、二信組処理に当たって、預金保険制度資金援助のみでは対応できないで広く民間金融機関支援を求めるということに今回はなりましたが、金融機関破綻処理に対して、直接関係のない金融機関に対してまでも不明瞭な形で支援を求めるというのは、やはりどう考えてもいささか問題があると思います。したがって、預金保険制度を改正して、信用秩序維持のために特別の保険料を徴収する等によってより柔軟な資金拠出を可能とすることができないのか、そのような検討を急ぐべきじゃないか。預金保険制度を改正する意思も含めて、ひとつ大蔵大臣の御意向を承っておきたいと思います。
  18. 西村吉正

    西村政府委員 今回の二つ信用組合の破綻に際しましては、破綻金融機関は清算し消滅させた上で、預金を保護し、信用秩序を守るために、まず第一に、全国の民間金融機関に広く資金の拠出を要請するとともに、日銀法第二十五条に基づく措置を発動して受け皿銀行を設立いたしまして、破綻金融機関の事業譲渡を行うという方式をとったところでございます。  今回はこのような手法をとったわけではございますが、このような事態に対しましては、預金保険機構の機能を拡充して、預金保険機構が時限的に例えば付加保険料を徴収いたしまして、信用秩序維持のために資金援助をするというようなことを可能とする制度改正による対応も考え得るところでございます。  今後、各界の意見や海外の制度参考にしまして、金融制度調査会においてこのようなことも検討をしてまいりたいと考えております。
  19. 野呂田芳成

    野呂田委員 いずれにしましても、金融機関破綻処理に対して、直接関係のない金融機関に対して不明瞭な形で支援を求めるというのはやはり大きな問題として残されますので、今銀行局長の答弁されたとおり、この問題については火急にひとつ対策を講じていただきたい、このことを強く要請しておきたいと思います。  次に、二信組処理に当たりましては、日本銀行法二十五条が今回は発動されました。東京共同銀行に対して出資が行われたわけでありますが、事柄が重大であるにもかかわらず、今回は唐突に決定された印象をぬぐえません。日銀法二十五条の発動は安易に行われてはならないものであると思います。  預金者保護信用秩序観点、法律二十五条にも書いてあるとおり、信用制度の保持育成という観点から、これによらざるを得ない場合が今後も出てくると思います。この問題についてはこれまで国会でもいろいろ論議されてきたところでありますが、これからどのような場合に日銀法二十五条が発動されるのか、その方針をこの際明白にしていただきたい。  日銀資金を投入することがそういう前提で必要あれば発動されるということでなければ、これもまた今後問題をそのたびに惹起することになります。日銀資金投入についての基本的な考え方を、大臣、明らかにしていただきたいと思います。
  20. 西村吉正

    西村政府委員 日銀法二十五条の問題は、大変重要な問題でございますが、二つの側面に分けて考える必要があろうかと存じます。  一つは、金融機関への流動性の供給、資金的に資金ショートというような状況に対してどのように対応するかという点でございますが、各国とも中央銀行の重要な機能として、このような場合には、通常の日銀貸し出しに加えまして日本銀行法第二十五条に基づく措置、このような措置も必要に応じて発動が求められているところでございます。  もう一つの側面でございますが、流動性の問題を超える、今申し上げましたような問題を超える構造的な金融機関経営危機への対応という問題があろうかと思います。今後、預金者にも自己責任を求め得る環境が整備されるまでのおおむね五年間におきましては、金融システム安定性確保のための緊急避難的措置としてこのような措置の発動もやむを得ない場合があるのではないかと考えているわけでございます。  しかしながら、これはあくまでも緊急避難的な措置でございまして、経営責任の追及、株主出資者損失負担関係金融機関支援預金保険資金援助等による処理だけでは我が国信用秩序への重大な影響が避けられないというような場合に限りまして慎重に対応されるべきものと考えられます。  当面、以上のような考え方により破綻処理に当たることを考えているわけでございますが、金融制度調査会に現在審議をお願いしているところでございます。このような問題につきましても、早急に破綻処理基本方針というようなものを取りまとめてまいりたいと考えております。
  21. 野呂田芳成

    野呂田委員 先ほど大蔵大臣答弁にもありましたが、日銀法二十五条に基づく措置は、先ほど大臣が申されたとおり、金融システムの機能回復に、あるいは不良債権の解消に異例の努力を求められている間、つまり五年間はある程度発動はやむを得ないというふうに、今の答弁はそういうふうにとることができます。  しかしながら、これはあくまでも緊急避難的措置であり、破綻の程度が著しい場合とか、あるいは破綻金融機関営業譲渡等を行う適切な受け皿がないとか、あるいはペイオフを行った場合には我が国信用秩序への重大な影響が避けられない場合が出てくる、こういうような要件が大事であります。  こういう重大な発動をこのたびは唐突に決定したということについて国民が納得していないわけでありますから、この問題につきましては、さらに関係の調査機関で十分と検討を加えながら、今後誤りなき発動を期すようにひとつ注意していただきたいことを要請しておきます。  次に、二信組問題を通じて都道府県信組に対する検査・監督体制に問題があることが明白になりました。理事の兼職とか、ディスクロージャーの問題とか、監査のあり方の問題とか、あるいは信用組合の検査・監督のための要員が不足しているとか、あるいは機構が充実していないとか、あるいは再々指摘されたように大口融資や員外預金、員外融資に係る規制が徹底していない問題とか山積するほど指摘されました。大蔵省として、これらの点について抜本的な対応策を講ずるべきであると考えますが、見解を伺っておきたいと思います。
  22. 武村正義

    武村国務大臣 二信組問題を踏まえまして、信用組合経営の健全性確保の立場から、御指摘のような理事の兼職、ディスクロージャー、監査のあり方、検査・監督体制のあり方等々について、制度改正も含めて今後検討をさせていただきたいと考えております。  当面、検査・監督体制等の充実でありますが、次のように考えます。  一つは、大口融資、員外預金、員外融資に係る規制等についてその徹底を図り、違反行為につきましては、業務改善命令、理事解任等厳格な対応を行うよう都道府県を指導してまいります。  一つは、信用組合の検査・監督のための要員の充実や研修内容の充実を図るとともに、都道府県との間の定例協議を設けまして、意見・情報交換を行い、国と都道府県の協力関係の一層の緊密化を図ってまいります。  もう一点は、信用組合の監事に外部の金融精通者を加えるよう指導するとともに、全国信用組合中央協会が運営する全国信用組合監査機構の監査を充実するよう指導をしてまいりたいと考えております。
  23. 野呂田芳成

    野呂田委員 今大蔵大臣から御答弁あったようなことがこれから適切に行われれば、今回のような問題はかなりの程度防げると思いますので、これは早急にひとつ実行していただきたい、都道府県に対し、しっかりとした行政指導を徹底していただきたい、こういうことを要請しておきたいと思います。  次に、現在我が国が抱えておる不良債権の問題、このマクロ的な問題について論議をしたいと思います。  まず、我が国金融をめぐる状況について見ますと、金融機関が抱える不良債権は巨額に上っております。一説には五十兆円とも百兆円とも言われておりますが、どうもこれは明白でありません。  既に大蔵省等が明らかにしている不良債権は、都銀や長信銀、信託二十一行で、破綻先債権額、延滞債権額合わせて十二兆五千四百六十二億であります。これに金利減免等債権十兆円強がありますから、合計二十二兆五千億強であります。また、地銀や第二地銀協加盟行の破綻先債権額は一兆三千億でありますが、これには延滞債権額とか金利減免等の債権は含まれておりませんから、これらを含めると幾らになるかはどうもはっきりしておりません。また、これら以外の協同組織金融機関については、今のところは全く不明であります。これを含めると、先ほどのように膨大な不良債権額が出てくるということになります。  このような不良債権額を解決することは、我が国金融機関全体に対する国民の信頼を確保することのみならず、資金の円滑な供給を図ることにより金融市場の活性化、ひいては我が国の経済安定に大変大事なものであります。  大蔵省は、まず、現時点における不良債権問題の現状をどのように見ているのか、また、今後この問題にどのように対処して解決していこうとするのか、その方針についてお伺いしたいと思います。
  24. 西村吉正

    西村政府委員 対処方針については大臣がお答えになることと存じますが、その前提といたしまして、不良債権の現状について若干の説明をさせていただきます。  不良債権問題を考える前提といたしまして、御指摘のように、その実態を明らかにするということは大変大切なことかと存じますが、そのため、ディスクロージャーを今後的確に進めてまいろうという方針で臨んでおるわけでございます。  逐次そのような努力が実を結んでまいるかと存じますが、現段階においての認識でございますが、御指摘のように、部長銀信託二十一行、大きな銀行の破綻先債権、延滞債権の残高は十二兆五千億程度でございます。さらに、いわゆる金利減免債権の残高は十兆円強と見込まれますので、これを合わせますと二十二、三兆円ということになるわけでございますが、それでは、金融機関全体で、地方銀行とか協同組織金融機関も含めまして全体の、いわゆる広い意味での不良債権というようなものがどれくらいになるかということでございます。  今後、その点については逐次計数を整備してまいりますけれども、現在の認識におきましては、金融機関全体の破綻先債権、延滞債権及び金利減免等債権の総額は、都銀等三業態に係る公表不良債権十二兆五千億の三倍程度ではないか、四十兆円前後ということになりましょうか、そういうような金額のものではないかと考えているところでございます。  しかしながら、今申し上げましたものがすべてロスになるというものではございませんで、金利減免等債権の相当部分は正常債権化するものでございますし、破綻先債権、延滞債権についても既に処理をされておる額もございますので、今述べた総額の一部について今後手当てをしていかなければいけない、そのような金額として御認識をいただきたいと存じます。
  25. 武村正義

    武村国務大臣 健全で活力ある金融システムは、我が国経済発展のために必要不可欠な要素であります。金融機関の不良債権問題の早期解決を図ることは、金融システム自体にとっても、また我が国経済社会全体にとりましても大変重要な課題であると認識をいたしております。  そういう認識に立ちまして、先般、政府・与党で決定をいたしました四月十四日の緊急円高・経済対策におきましても、既に「金融機関の不良債権の処理を一段と促進し、経済活動に必要な資金の円滑な供給を図るためこ「金融機関の不良債権については、預金者保護に配慮しつつ、金利減免等を行っている債権をも含め、従来からの発想にとらわれることなく概ね五年の間に積極的な処理を進め、問題解決の目処をつけることとする。」旨表明をいたしているところでございます。  不良債権の早期処理に向けまして、今後とも金融機関の一層の経営努力を促すとともに、私どもとしましても、その経営環境改善、整備に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  26. 野呂田芳成

    野呂田委員 総理大臣に、予告なしに大変御無礼でありますが、決意のほどだけをちょっとお伺いしたいと思いますので……。  景気は、回復から半年たっても好況感が一向にわいてこない、どうも腰折れ懸念が広がっております。やはりその背後に円高問題や不良債権問題があるからだと私も思います。証券不況や石油危機など過去の不況期には、行き詰まった企業の再建とか処理には銀行が一番活躍してくれました。その銀行が今度は自分が深手を負って動けない、自分が一番悩んでいるというところに私は今日の不況の元凶があると思います。  経済を縮小均衡に引きずり込む不良債権の処理というのは、今や国にとって最も重大な問題でありますから、あらゆる政策手段と知恵を動員しなくてはならない。私は、場合によっては公的資金をもう少し使ってこれらの問題を早急に解決すべきだと思いますが、これらの点に関する総理の決意をひとつお伺いしておきたいと思います。
  27. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員から御指摘もございましたように、ようやく日本の経済も緩やかながら持続的な成長の明るさが見えた、こういう状況の中に、急激な円高等もございまして、今お話もございましたような、例えば鉱工業生産指数やらあるいは完全失業率なんかを見ましても、日本の経済も腰折れの感があるのではないか、こういう懸念が表明されておるという厳しい認識はいたしておるところであります。  そういう背景というものはいろいろな背景があると思いますけれども、大きな流れからすれば、今御指摘もございましたように、一つは急激な円高と、もう一つは経済の動脈的な役割を果たしている金融に不良資産があって安定していないというところに私は原因があると思うのです。  そこで、今大蔵大臣からもお話がございましたように、まず一番に金融機関自体が自己責任体制というものを明確にして、その責任は十分果たしていただくということが何よりも大事ではないかというふうに思いますけれども、しかし、なかなかそれだけでは及ばない面もありますから、したがって、預金者保護観点あるいはそういう意味における経済に果たす金融の役割というものを考えた場合の金融秩序の保持といったようなものも大変大事なことでありますから、そうした面も総合的に判断をしながら、先ほど大蔵大臣からも答弁がございましたけれども、緊急円高・経済対策の中で、五年をめどに何とか再建ができるような対策を講じていこう、こういうことも決めておるわけであります。  これからもそういう心がけで金融機関自体の自己責任というものも明確にするし、同時に、先ほど来お話がございましたようないろいろな仕組みというものも十分検討した上で、一日も早くそうした不安というものを解消して、十分産業の動脈としての役割を果たして、日本の経済に明るい展望が持てるような、そういう対応というものをしっかりやっていく必要があるということについては、そういう決意で望みたいというふうに思っているところでございます。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  28. 野呂田芳成

    野呂田委員 ただいま総理大臣から大変明白な決意表明がございました。私どもは大いに期待をしておりますので、内閣挙げてひとつ挙党態勢でこの問題の解決に当たっていただきたい、こう思います。  次に、預金者自己責任原則前提となる個々の金融機関経営情報の開示、いわゆるディスクロージャーについては、例えば最も先進的だと言われるアメリカでは、すべての上場金融機関に、元利が延滞している債権のほか金利減免等の条件変更を行った債権の開示が求められております。これに対して、我が国金融機関のディスクロージャーは全くおくれております。先ほど大臣や銀行局長からるる御説明ありましたが、具体的には、都銀や長信銀や信託銀行については、破綻先債権及び延滞債権のみが開示されます。地銀、第二地銀については、破綻先債権のみが開示されております。信金、信組、労金、農協等の協同組織金融機関では、全く不良債権の開示が行われておりません。極めて不十分なものであります。  私は、ディスクロージャーのおくれがマクロ・ミクロ両面での不良債権の議論を混迷させている原因一つであると考えます。ただ、金融機関のディスクロージャーを早急に進めることについては、金融機関の信用不安を招くという問題も反面ありますからそう簡単ではありませんが、ディスクロージャーはステップ・バイ・ステップで進めていく必要がある、このことはよく理解できるところであります。しかしながら、これをどういう手順で行うかについては、きちっとした方針を示す必要があると思います。  以下三点について、大蔵省方針を伺いたいと思います。  第一に、大蔵省としては今後ディスクロージャーの進め方についてどのような見通しを持っておられるのか。  第二に、五月十五日に公表された金融制度調査会の作業部会の報告書では、地銀、第二地銀については海外拠点を有しているところのみについて延滞債権額の開示を行うこととされておりますが、これら以外のものについても積極的に開示を行わせるべきではないか、そう思いますが、この点について所見を伺いたい。  第三に、協同組織金融機関については八年の三月期から実態に即した資産の健全性に関する情報の開示を行う、こういうふうにされておりますが、具体的な開示のあり方についてはどうするのか。  以上、大蔵省のしっかりした方針をお示しいただきたいと思います。
  29. 武村正義

    武村国務大臣 金融機関経営の透明性を高め、経営の自己規制を促す効果を持っておりますディスクロージャーの拡充は、金融機関の不良債権等の早期処理を促す上でも大変大きな意義を有しております。また、ディスクロージャーの拡充は、預金者自己責任原則確立のための基盤としても大変重要であるというふうに認識をいたします。  このため、今御指摘がありました、先日公表された金融制度調査会の作業部会の報告を踏まえまして、これまでのディスクロージャーの実施状況信用秩序に与える影響も配慮しながら、平成八年三月期決算からディスクロージャーの範囲の拡大が図られていくというふうに考えております。  具体的には、一つは、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、農林中央金庫、商工組合中央金庫、全国信用金庫連合会におきましては、従来の破綻先債権、延滞債権に加えまして、金利減免等債権についてもディスクロージャーを行うという方針であります。  また、地方銀行、第二地方銀行協会加盟行におきましては、少なくとも海外支店、現地法人を設けて銀行業を営んでおり、国際的にも経営の透明性確保の要請が強い金融機関につきましては、従来の破綻先債権に加えて延滞債権のディスクロージャーを行うということであります。  さらに、御指摘の協同組織金融機関につきましては、その実態は多種多様であり、一律に論ずることは困難な面がございますが、組合員、会員の同質性、事業地域の範囲、事業の規模、員外員の利用可能性などを踏まえながら、ディスクロージャーの範囲、方法、態様等について、金融制度調査会において協同組織金融機関をめぐるその他の問題とあわせまして検討を行っていただき、これも平成八年三月期には、協同組織金融機関実態に即した資産の健全性に関するディスクロージャーを進めてまいりたいと考えております。  このようなディスクロージャーの範囲は、いわば最低限の目安であります。各金融機関が自主的な判断に基づいてこれを超えるディスクロージャーを行うことは積極的に評価されるべきことであります。私どもとしましても、さらなる開示範囲の拡大により、今後五年以内のできるだけ早い時期に預金者自己責任原則を確立させるために十分なディスクロージャーが実現できますよう努めてまいりたいと考えます。
  30. 野呂田芳成

    野呂田委員 それにつけましても、我が国における不良債権問題を解決するためには、まず金融機関自身における自助努力が大変大事な前提であると思います。  そこで、第一に、金融機関自身、具体的にいかなる自助努力をしなければいけないと大蔵大臣はお考えですか。  また第二に、大蔵省としても、金融機関側にすべてを任せきりにするのではなくて、今後この不良債権の処理に向けた努力を促していくことが大変必要であると思います。大蔵省は、具体的に何か手だてを講ずるつもりはありますのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。  第三に、金融機関における自助努力にもかかわりませず、その金融機関における不良債権の処理、ひいては経営問題の解決が見込めないようなケースも出てくると思いますが、大蔵省としては、金融機関において、こうした経営問題に対処したり、あるいは経営基盤の強化のための積極的な対応策としてどのような手段があると考えておられるか、その方針をお伺いしておきたいと思います。
  31. 西村吉正

    西村政府委員 まず第一点の金融機関自身における自助努力の問題でございますけれども、具体的には、各金融機関において、店舗網の見直したとか徹底した経費の削減合理化等、経営組織全体を通じました最大限の合理化努力をすること、また、金利減免等の支援をしておりますノンバンクあるいは住宅金融専門会社等につきましては、再建計画の進捗状況を的確に把握いたしまして、必要に応じて再建計画の抜本的見直しを含む適切な措置を講ずること、あるいは不良債権の処理について、償却引き当ての改善や共国債権買取機構の設立等、これまでに導入されました施策の活用によりその処理を進めることが必要かと存じます。さらに、経営実態に即した決算対応を行う等の措置が必要かと考えております。  第二番目に、そのようなことを金融機関がやるに際して、大蔵省として何かの支援策がないのかという点でございますけれども、今まで、金融機関のこうした施策の活用によりましてバランスシート上の処理というものは進めてきているわけでございますが、しかし、実態面と申しますか、今後、担保不動産の流動化等に向けまして一層の努力が要請されると考えております。  当局といたしましては、信託方式などを用いた流動化手法の積極的な活用、あるいは金融機関の資産の再構成を容易にするためのローン・パーティシペーションの活用というような新たな手法、あるいは共国債権買取機構が保有いたします担保不動産につきまして、情報提供の拡充や競売制度の活用、持ち込み金融機関の自己競落会社が競落処分する手法の導入等によりまして、実質的にこのような不良債権問題が解決されていくような手法を私どもとしても支援してまいりたいと考えているところでございます。  三番目の問題でございますが、御指摘のように、金融機関における自己努力にもかかわらず、不良債権の処理あるいは経営問題の解決が見込めないようなケースにおきまして、金融機関経営問題に対処しあるいは積極的に経営基盤の強化を図るためには、合併等方策を講ずることも重要であると考えております。  なお、先般の金融制度改革によりまして、破綻金融機関につきましては子会社化も選択が可能になっているところでございますし、また、同種金融機関合併等だけではなくて、異種金融機関との合併等選択肢の一つであると考えております。そのような合併等選択する金融機関に対しましては、その円滑な実現のため、当局としても可能な限り支援、協力を行う所存でございます。  また、大都市部に所在する協同組織金融機関の中には、経営実態が大きく変化しているものもございます。そうした場合には、経営実態に見合いました業態、銀行、信用金庫、信用組合、いろいろな業態があるわけでございますが、経営実態に見合った業態に転換をするというような方策も考えられると存じます。当局といたしましては、個別の金融機関判断を踏まえまして、転換についての法令の規定に基づき適切に対処してまいりたいと考えております。
  32. 野呂田芳成

    野呂田委員 次に、大変今焦眉の急と言われている住宅金融専門会社、いわゆる住専問題についてお伺いしたいと思います。  住専問題の解決を抜きにして我が国金融システムに対する内外の信用回復は果たし得ないと言っても過言ではないと私は思います。住専については、八社合計で十一兆円を超える貸付残高があり、関係金融機関から十三兆円を上回る多額の融資を受けていると聞いております。  したがいまして、単純に貸し付け責任を問う形での処理を行うことは困難ではないかと考えますが、第一に、この問題についての大蔵省の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。  第二に、住専問題においても二信組処理と同様の方策を使うつもりはあるのかどうか、具体的な処理方針についてお伺いしたい。  第三に、住専問題処理のために公的資金を投入するつもりはあるのかどうか。大変重要な問題でありますので、この三点について明確に御答弁いただきたいと思います。
  33. 武村正義

    武村国務大臣 住専各社におきましては、関係金融機関の協力を得ながら、目下経営再建の努力を続けられているところであります。基本的にはその動向を注視をしていきたいという姿勢でございます。  一方で、不動産市況の状況や金利の低下など住専各社を取り巻く現状の経営環境が、再建計画策定時に比べ厳しくなっていることも事実でございます。住専の経営問題は、基本的に住専及び関係金融機関自己責任原則に基づいて処理すべきことでありますが、大蔵省としまして個別の経営に直接関与すべきものではありませんが、金融システムに対する国民の信頼を回復していくためには、本問題への対応は重要なポイントであるという認識でございます。  住専自体、あるいは母体行等のサポートも含め、自己責任原則に基づいて一層の経営努力を行っていくことが求められているところでありますが、大蔵省としましては、再建計画の進捗状況の的確な把握が行われ、必要に応じ再建計画の抜本的見直しを含む適切な措置が講じられるよう、住専各社及び支援金融機関の間での真剣な論議及び対応を促してまいりたいと考えております。  住専は、一般の金融機関とは性格は異なります。いわゆるノンバンクであり、預金の受け入れは行っておりません。直接的には預金者保護の問題は生じない機関であります。また、金融機関の持っ決済機能につきましては、企業間信用など国民生活の基盤をなしており、また金融機関相互間も資金決済を通じ密接に結びついていることから、個別金融機関経営問題が他の金融機関国民生活に連鎖的に影響を及ぼすことがあり得るわけでございますが、住専につきましてはこの決済機能はなく、こうした連鎖的な問題は生じないわけであります。したがって、住専自体に対し、二つ信用組合処理のスキームを適用することは考えておりません。  一方で、住専各社は金融機関から多額の借り入れを行っており、住専問題への対応が、そこへ融資しております個別金融機関経営影響を与えることが予想されるわけであります。この影響度合いはそれぞれの金融機関によってさまざまでございます。したがって、住専問題の処理に当たりましては、金融システム全体への影響を見据えながら、個別金融機関ごとの状況を注視をしていくことが重要であります。  次に、公的資金の問題でありますが、公的資金の導入により個別の不良債権を処理することについては、関係者が十分な経営努力を行っているかどうか、金融システム安定性確保のためにそれが不可欠であるかどうかなどの論点を踏まえることが大事であります。そして同時に、今回の二信組に対するいわゆる東京都の公的支援につきましても、ああした幅広い国民の関心事でございますだけに、最終的には、この問題に対する国民世論の動向といいますか、国会の御意見も含めて、そういうところに注視をしなければならない問題でございまして、慎重に検討する必要があると考えております。  なお、いわゆるノンバンクである住専については、破綻金融機関処理の際に見られるいわゆる預金者保護の問題は、先ほども申し上げたように直接は生じないという前提で論議をしていく必要があろうかと思います。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  34. 野呂田芳成

    野呂田委員 住宅金融専門会社に対する貸付者の中には、農林中金一兆一千億円、信連三兆七千億円が入っており、特に信連の貸付金は、額に汗をして働いた農民の貴重な預金であります。  預金者保護の問題は直接起こらないという大臣の御答弁はそのとおりでありますけれども、これらの事情を考慮して、この問題の処理に当たっては、これらの事情も十分配慮した上で対処していただきたいということを強く要請しておきたいと思います。  さて、今度の国会の論戦で、このたび二信組に対するスキームの問題が大変問題になりました。締めくくりのために、次の二点についてひとつ大蔵省にお伺いしておきたいと思います。  まず第一に、今回の二信組に適用した特別のスキームは今後とも使用するつもりがあるのかどうか、使用することがあるとすればどのような場合に考えられるのかこの点を明確にお答えいただきたいと思います。
  35. 西村吉正

    西村政府委員 先般の二つ信用組合の破綻に際しましては、破綻金融機関を清算し消滅させた上で、預金者を保護し、信用秩序を守るために、全国の民間金融機関に広く資金の拠出を要請するとともに、日銀法第二十五条に基づく措置を発動して受け皿銀行を設立いたしまして、破綻金融機関の事業譲渡を行ったわけでございます。  今後もそのような方式をとるのかというお尋ねでございますが、今後、預金者にも自己責任を求め得る環境が整備されるまでのおおむね五年間におきましては、破綻金融機関を清算いたしました上で、預金者保護信用秩序の維持を図るため、通常の預金保険資金援助の発動を超えましてこのような特別の対応を講ずることがやむを得ない場合もあり得ると考えております。  その場合におきましても、日銀法二十五条による措置は、経営責任の追及あるいは株主出資者損失負担関係金融機関支援預金保険資金援助等を最大限に活用した上で、そのような措置だけでは我が国信用秩序への重大な影響が避けられない場合に限り、緊急避難的措置として発動されるべきものと考えております。  また、今回の二信組破綻処理におきましては、関係金融機関支援のみならず、広く全国の民間金融機関資金の拠出要請を行ったわけでございますが、この点につきましては、先ほども申し上げましたように、今後預金保険機構を通じた資金拠出に変えていくような制度改正も議論の対象になり得るものと考えております。  当面、以上のような考え方により破綻処理に当たることが考えられるわけでございますけれども、この問題につきましては、金融制度調査会審議をお願いいたしまして、早急に破綻処理基本方針を取りまとめるというようなことも考えてまいりたいと考えております。
  36. 野呂田芳成

    野呂田委員 不良債権問題の解決とか破綻金融機関処理方針をどうするかは、今後の金融問題を考えるに当たりまして極めて重要な問題であると思います。したがいまして、本件についての大蔵省考え方や今後検討しようとする事柄については、きょうも大変踏み込んでかなりの点が明白にされたと思います。  こういう議論を踏まえまして、もっと国民にわかりやすい形で、きちっとまとめた上で対外的に明らかにすることが金融当局に対する国民の信頼回復の第一歩になるのではないかと思います。大蔵大臣には、この点を前向きに考えて対処していただきたいと思いますが、お考え方を伺っておきたいと思います。
  37. 武村正義

    武村国務大臣 二つ信用組合処理をめぐる国会審議等におきましては、いわゆる金融機関一般の不良債権処理破綻金融機関処理に関する方策に関する論議、この二つの個別の大変具体的な問題とが相互に絡み合いながら今日まで議論をいただきました。  けさ、野呂田委員から、全体、今後の対策という視点からさまざま大変具体的なお尋ねをいただき、私どもも精いっぱい答弁をさせていただいているところでございますが、いずれにしましても、この金融機関の不良債権の処理等に関し、政府としての基本的な考え方整理をしていく必要があるというふうに認識をいたしております。  きょうの答弁も含めて全体としてそういう論議を今真剣に重ねているところでございまして、そういう基本的な考え方を踏まえて、また金融制度調査会にさらに具体的な考え方を提起をしていただくというふうなことを答弁でも申し上げてきた次第であります。そういう方針でおりますことをぜひ御了解賜りたいと存じます。
  38. 野呂田芳成

    野呂田委員 これで私の質問は終わりまして、同僚の桜井さんが関連質問を行いますが、きょうの質疑で二信組の問題、不良債権の問題等についてかなり大蔵省は意欲的な方針を示されました。これからさらにひとつ金融の安定、経済の安定成長のために、大蔵省はもちろん、内閣を挙げて頑張っていただくことを心から要請いたしまして、質問を終わります。
  39. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、桜井新君から関連質疑の申し出があります。野呂田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。桜井新君。
  40. 桜井新

    ○桜井委員 私どもは、この定例国会が開会以来、この二信組の問題については議論をしてきたところでございます。きょうは、その締めくくり的な意味も含んで集中審議ということでやることになっておりますが、おおむねのポイントについては野呂田芳成さんから今ほどそれぞれお聞きをして、適切な答え、私にしてみればまだいささか不満の点もございますが、お答えがあったわけでございます。私は、それについて少し角度を変えてただしておきたいと思うわけでございます。  もともと経済というのは、上り坂のときには、金融機関はそんなに緊張感がなくとも、企業のいわゆる血液としての役割をそれなりに果たすことはできると思いますけれども、ある程度それぞれの分野において物的な満足感を与えるような社会になってまいりますと、そう簡単にはいかなくな名と思います。  そんな中で、私は前回、もうあれは三月ごろだったでしょうか、一度ここに立たせていただいたときにも申し上げたのでありますけれども金融機関が本来業務であります企業診断やプロジェクト診断、あるいは経営者の資質に対する判別といいましょうか診断、そういったことをかなりルーズにやるようになった。  それは経済がどんどん伸びておるときはそれで結構間に合ったのでありますが、これだけ満たされた世の中になってまいりますと、最も大切なことなんだけれどもそれが最もおろそかになっている。中には審査部さえ改名をして組織解体をしてしまった金融機関すらあるとも聞いておるわけでありますが、こういうところに三十兆とも四十兆とも言われるあのバブル時代にいろんな不良債権が生まれる要因があったと私は思うし、これはなかなかそう簡単に解決はできない、金融機関はもっとこのことについて強い責任感を私は持ってもらわなければならないことだ、こう思いつつ、やってまいりました。  そんな中で、今、野呂田さんの質問で、この事件が起きてから大蔵省がどうこれに対応するかということについては、かなり詳細に突っ込んで話をした。そして大蔵省も、大臣並びに西村銀行局長がこれに答えました。しかし、この中にも随所にまだまだ甘過ぎる点が、そして多分に責任逃れという感じを受けざるを得ないと思っております。  しかし今、この事件が起きて何とかしなきゃならぬ、こういう思いでやっているときでありますから、私は、このことを積極的にしっかりとやってもらいたい、そしてもっと責任感を強めてやってもらいたいという思いはいっぱいでありますけれども、今ここで重ねてこのことを突っ込んでいこうとは思っておりません。  そこで、これから私のただしたいことに入っていきたいと思うのですが、西村銀行局長は、日銀の増渕局長と同じ時期ですね、平成六年五月の末に就任をされたと承っておりますが、間違いないですか。
  41. 西村吉正

    西村政府委員 私は昨年の七月一日に辞令をいただきました。したがって、増渕さんとほぼ同様の時期に就任したことになろうかと存じます。
  42. 桜井新

    ○桜井委員 私が今まで聞いておったのでは、五月の末というようなお話だったですけれども、まあ二カ月ぐらいの差は結構でありますが、大体時期を同じゅうして日銀も大蔵も担当者がかわったわけであります。そして、これまでの審議の中で、西村銀行局長も恐らく銀行届始まって以来の大きな問題に遭遇をされて、国民の厳しい批判の中に立たされ、苦しい対応を迫られた毎日であったと思います。私もかなり激しく西村さんを責めた一人でありますが、心から同情を申し上げる次第であります。  さてそこで、この両信組の問題は、既に大蔵省は都とともに監査に立ち会った後でしたね。一年前に入ったと私は承っております。したがって、監査に入った後に引き継がれたわけであります。したがって、内容については、示達書といいましょうか、指導書というものを私たちは大蔵省を通じて要求をして、この委員会でいただきました。その指導書の内容を見る限りでは、可能な限り踏み込んで検討されておったようですが、救済対策については既に大方の方向が決まっておったように、特に証人喚問で呼ばれた増渕局長さんは答弁をしておられました。西村さんが引き継いたときは一体どうであったのか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  43. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、この二つ信用組合経営状況については平成五年の検査以降私ども承知をして、対応策を東京都等とともに考えてまいったわけでございます。そういう意味では、この問題について必ずしも昨年の秋から初めて承知をしたというわけではございませんけれども、しかしながら、具体的に今回のような対応策をこの二つ信用組合に対して講ずるべきであるというようなことを意思決定をいたしましたのは、昨年の秋の段階でございます。  なお、一般的に破綻金融機関処理に際しましてどのような方策が考えられるかというような検討というものは、もう少し前の段階から、私が就任する以前の段階から一般的な処理方策検討という意味ではなされていたということは確かでございますが、この二つ信用組合にそのような考え方を適用するかどうかという具体的な検討は、昨年の秋以降のことと申し上げられるかと存じます。
  44. 桜井新

    ○桜井委員 今、回りくどい言い方をしたけれども、これもやはり責任追及されないように、先輩の立場もかばい、自分の立場もかばおうとして言っているんじゃないかとしか思えない。回りくどくてわけわからぬよ。  そういうことをやったのかやらぬのか。それはもちろん、決めたのは昨年の秋ですよ。だけれども、私が聞いているのは、そういうことが既に論議をされて、大筋のスキームは話し合われておったと、このことを増渕さんははっきり言っているんだよ。社会党の坂上さんの質問に対して、そのとおりだと、簡単にそのとおりだと答えているんだよ。あなたに相談なかったの。日銀だけでやったので、大蔵に何にも相談なかったの。簡単に答えてくれ、簡単に。そういう回りくどい、ごまかしたような言い方しないで、きちっと答えてくれ。
  45. 西村吉正

    西村政府委員 破綻金融機関処理方策としての考え方整理というものは、私が就任する以前から行われておったわけでございますが、この二つ信用組合に適用するかどうかという具体的な検討は昨年の秋と申し上げることができると思います。
  46. 桜井新

    ○桜井委員 これ以上ここで時間をかけても、この人の言っていることは後でいずれわかる話ですから、私はこれ以上聞きません。  というのは、坂上さんがお聞きしたときは、交代の引き継ぎの段階で、破綻金融機関処理の仕方として日銀出資を含む受け皿銀行方式も考えられる、大蔵省も理解しているとなっておるがどうかと、そのとおりでありますと、こういう答えなんだよ。こういう答えなんだよ。どうだかわからぬなんということを言っているんじゃないんだよ。だから私はそう申し上げている。  そこで、私たちが大蔵省を通して都庁からいただいた資料によると、平成五年の監査で、両信網とも金融機関とは言いがたいほどの状態で、一日も放置しがたい状況と思われておりますが、銀行局はこの状態を承知しながらなぜ機敏に対応しなかったのか聞かせてください。
  47. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、平成五年の検査におきましても、この信用組合経営状況は大変に異例の状態にあったということは私ども認識していたところでございますが、その段階におきましては、東京都は経営内容の改善指導を強化することによってその経営問題の解決に努めるという方針をとっていたわけでございまして、私どももそのような方針を尊重をしたということでございます。
  48. 桜井新

    ○桜井委員 これは、東京都に責任転嫁をするようなことでそんな言い方をしておるけれども、それじゃ聞くが、委任事務で、これは東京都に大蔵省が委任しておるわけでありますが、最終的な行政監督責任をどこがとるんですか。最終的な行政監督責任はどこがとるんですか。あくまでも東京都なんですか。
  49. 西村吉正

    西村政府委員 機関委任事務に関する、最終的という御趣旨が非常にお答えするのが難しいわけでございますが、現実にこの機関委任事務の運用、この信用組合監督という点に関しまして現実の行政の運用は、できる限り都道府県知事にゆだね、金融システム全般に影響が及ぶというような問題になります場合に大蔵省日本銀行も相談し協力しながら対応する、このような考え方で臨んでいるところでございます。
  50. 桜井新

    ○桜井委員 このような経済の血液、動脈とも言われるほど大切なルールを決めていく、働くルールを決めていく機関が、どこかと相談しながら、どこに責任があるかわからないようなことでやれるわけがないでしょう。そんな無責任なことはないんですよ。これはちゃんと……。  そして私は、法律は素人だけれども調べてみた。調べてみましたら、このことについては中小企業等協同組合法で委任をされているわけでありますが、地方自治法第百四十八条の二項によれば非常手段は私はとれたと思うのですよ。  そして東京都は、経済の小さなときはあるいはやれたかもしらぬけれども、これだけ経済が大きくなって何千億という金を扱うようになった信用組合の、果たして本当に完全な行政指導ができるのか。できるとすればこんなことになっていなかったと思う。だから大蔵省に相談したんでしょう。違うのか。大蔵省にだから相談したんだろう。そして一緒に監査に入ったんだよ。  そうしたら大蔵省として当然、もともとは大蔵省の仕事を委任したんだ、この前のとき私が聞いたら、自治大臣は、いわゆる東京都という自治体の仕事だけれども、事このことに関しては大蔵省がすべきことであって、自治省はそのためにこのことに関与していないという話をされたので、私もそうだな、こう思ったんだ。だから大蔵省に相談があって、大蔵省は一緒に監査に入ったんでしょう。そうだとしたら、最終責任大蔵省が負って、これはどういう対応をするかということをその場で本気で取り組むべきじゃなかったんですか。どうですか、大臣。
  51. 武村正義

    武村国務大臣 これは大変難しい問題で、およそ機関委任、機関でなくてもいいんですが、委任をする、お預けするということですから、基本的には都道府県知事信用組合監督権限はお任せをしているわけです。  じゃ、お任せの度合いというか、それをどう思うかという今御質問を受けているわけでありますが、地方自治法には確かに機関委任全体についての指揮監督権が認められております。かつては、数年前までは市町村長、知事の罷免権まで認められていたように私は記憶いたしておりますが、片方、今地方分権推進法の議論ではもう機関委任事務は廃止しよう、もうすっぽり地方の事務にしていこうという議論も強くなってきている中で、一体これをどう見るか。  私どもは、実態としては、任せる以上はよほどのことがない限りは国は物を言わないという、これは恐らく全体の姿勢がそうだと思うのです。よほどのことがあれば地方自治法上の指揮監督権も発動しなきゃならないわけですが、この信用組合についても、東京都、五十幾つの組合を対象に三十何名の専門の課を置かれて、検査官も二十数名いて、日々協同組合信用組合の指導監督に専念をされているわけですね。ましてや大東京都ですから、大蔵省が一々どうこう、中身まで関与はしないという、そういう姿勢で今まで来たことは事実でございます。  そこへ二年前、共同検査の要請が入りました。で、共同検査に確かに大蔵省は参加しておりますが、これも逃げて言うんじゃないですが、主検査官は東京都の職員なんです。従として大蔵省が二名派遣している、専門的立場から、広い視野からいろいろ経験しているという専門職員を派遣している、こういう形で、組み合わせて入っているわけであります。  そのときにしかし、大蔵省実態認識をいたしました、これは大変だぞと。しかし、東京都はそのときに、私どもがやります、きちっとこれは経営改善指導をやっていきますと。もっと具体的な話があったのかと思いますが、そういう都の方針でございますから、それはしっかりやってくださいよということで、二年前は東京都の考え方を尊重する姿勢をとらせていただいた。これが結果としてはまずます悪くなって、むしろ早くやっておけばよかったという反省につながるわけでございますが、そのときはそういう判断をさせていただいたということであります。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  52. 桜井新

    ○桜井委員 武村さん、あなたはそう言うけれども、そこらが責任逃れをしようとしてさっぱりだれも責任とろうとしないんだと思っているんですが、そうは言いながら、東京都に責任があるんだと今言いましたね。委任事務をされた以上は東京都が責任がある、こう言っている。しかし、東京都は手に負えなくなってあなたのところへ相談に来た、一緒にやった。その当時はまだあなたは大臣でなかった。前の人の話だ。  それで、そうは言っておきながら、一番大事な解決策を決めるときに、日銀と大蔵だけでやったので私はその当日まで知りませんでしたと、小久保局長をここへ呼んだときに、証人喚問のときに、このスキームのことについて、私はその日まで全く相談を受けていません、知りませんでした、こう言っているんですよ。  責任東京都にあると言いながら、この救済策の最終的な決定をするのに、全部、それはそこで東京都がうんと言わなきゃ決まらなかったんだという言い方もあるかもしらぬ。だけれども、段取りを全部つけるのを日銀とあなたのところでやって、これはもちろん、あなたはその当時就任をされていて、そこまで詳しく知っていたかどうか私はわかりませんよ、事務的に全部やってきちゃったんだ。それは責任があると思っているからそうしたんだと思うんです。  それを格好よく、都合の悪いことは向こうだ、都合のいいことはこっちだなんという話は私は通らぬと思うから、先ほどの野呂田さんの質問に対する答弁を聞いていてもまだ私としては必ずしも満足できないと言ったのは、そういうところにまじめさ、真剣さというものがまだあなたの部下たちにはないんだよ。大蔵省にないんだよ。だから、私はあえてこういうことを取り上げて言わなければならぬ。国民の生活がかかっているんですよ、真剣にやってください、このことは。  それから——いや、いいですよ、もう。時間がそんなにないので。私はあと二十分しかありませんから。  平成五年の立入検査の報告書及びその他の資料より推測すれば、大蔵省が、東京共同銀行設立に当たって、この両信組の取り扱いいかんによっては取りつけ騒ぎや金融恐慌すら起きかねないようなシミュレーションまで説明をされて、協力を要請したやに聞いておるが、これほど事が重大であるならば、法に基づいた非常手段がその場でとられたはずだと思っております。  しかるに、一年以上も、まあ看過をしたと、放置をしたと言っていいかどうかわかりませんが、事実上見過ごされてきた。そのことが、その間にますます不良貸し付けがふえて不良債権が拡大をしてしまったという結果になったのですが、これは一体どういうことなんですか。どうしてその段階で非常手段に入らなかったのですか。私は、取りつけ騒ぎやなんかしなくてもやる方法はあったと思うのです。そのこともきちっと法律に書いてある。それにもかかわらず、とらなかった理由はどういうことですか。
  53. 西村吉正

    西村政府委員 先ほども申し上げましたように、平成五年の検査の結果も大変に重大な状況ではございました。ただ、その段階におきましては、東京都の経営改善指導を中心に何とか対応をできるのではないか、また都の方もそうしたいということでございましたので、私どもはその努力を見守ったわけでございます。  しかしながら、六年の検査をさらにいたしましたところ、一層重大な局面に達し、また、それを放置いたしますと、これは単に二つ信用組合あるいは地域的な問題に限らず、金融システム全般の問題に波及するおそれがあると判断をいたしまして、私どもはその段階で、我々も協力して取り組むということを決意したという次第でございます。
  54. 桜井新

    ○桜井委員 今そんな言いわけをしたって始まらないので、毎年毎年検査というのはあるわけで、その報告書はちゃんと大蔵省まで届いていますね。それを見れば、平成二年ごろから急速に五年、六年にかけて不良貸し付けがふえていることは歴然としているし、あなた方は中身を全部見れるのですから、その中身を監査で入って見たのです。見て、そんなことがわからないはずがない。五年の状態も六年の状態も、数字が大きくなっただけで、悪いことしようとしておる中身のことなんて、ちっとも変わってないんだよ。その気になって見ればわかる話、プロが見てわからない中身ではなかったはずであります。そういう点で、私は、なぜこのときに非常手段に出なかったかということは、どうしても納得できない。  そして、だれも責任を負わぬなんというばかな話がありますか。その当時の人たちがきちっと責任をとるべきなんであって、大臣としてはこれらの当時のことをきちっと精査をして、責任の所在を明らかにさせていただきたい。ほかの役所もそうでありますが、このごろはさっぱり、人に責任転嫁をして、人のことは批判をするが、だれも責任をとらぬ。そのことがだんだんだんだん、世の中がこんなになってしまう。まあ、国民のそういう意味での不安は一層募る一方でありますから、このことはしっかりひとつ対応していただきたいと思います。  次に、大口預金者の中にはこういうことを言っている人もいるのですよ。日本経済新聞の大蔵省立入検査の記事を読んで、高橋理事長に強い抗議を申し入れた方もあったと聞く。そのとき高橋氏が、大丈夫だ、決して裏切るようなことはしない、日銀の最も偉い人が必ず救済すると言った、そんなに疑うなら確かめてみてくれ、こうまで言ったと私は漏れ聞いております。今ここで、事情がありますから、だれこれとは申し上げませんし、これは本来、今司直の手が入っておる、こういうことでありますから、法務省並びに検察庁でこのことはしっかりと調査をしていただかなければ、私も、それに支障があってはなんですから、これ以上踏み込んだことは言いません。  しかし、この事実についてはいずれはっきりしますけれども、私が考えるには、大口預金者は大体プロですよ。新聞に出て、ちょっと危ないなんということになったら、たちまちその保全を考えるはずですよ。どういう行動を起こすと思いますか。それは心配で、不安であれば直ちに取り下げしますよ。それが、これだけの事件があからさまになって、新聞に発表されたり、いろいろマスコミに取り上げられたにもかかわらず、しかも、自分たちが異常に違法とも思われる高金利預金をしておることはみんな承知しておる、それにもかかわらず、この取り下げをしなかった。この人たちがそうだとすれば、一般の人が、今大口預金者にこうまで言ったということを聞かなくても、あるいはそうじゃないのかな、こう思っても不思議じゃないのじゃないでしょうかね。私は不思議ではないと思う。  そして、そのことが、これは担当者でなければできない話ですから、担当者でなければ言えないし、できない話です。しかも、その陰にはまた政治家が絡んでいるんじゃないか、こんなこともささやかれるようになった。これが国民の不満を一層募る結果になり、この二信組に対する強い関心が高まったのだ、私はこう思っておりますよ。このことについては、銀行局長、あなたはどういう考え方を持っていますか、私が言ったことについて。
  55. 西村吉正

    西村政府委員 今いろいろな御指摘をいただきましたが、具体的な事実について私、その真偽のほどを確かめるすべを持たないわけでございますが、少なくとも私ども担当しております者にとりまして、今回の処理方策を定めるに際し、政治的な働きかけとか、あるいはその当事者、金融機関経営当事者からの働きかけとか、そういうものによってこの処理方策影響を受けた、左右されたという要素は全くないというふうに申し上げて間違いはないと存じております。
  56. 桜井新

    ○桜井委員 これはここで聞いて、そういうことがあるかもわかりません、ありましたなんということは銀行局長言うわけもないし、言ったらそれこそ大変だ。たちまち逮捕されちゃう。これは、そのことも十分承知しつつ私はあえて言うのですよ。だけれども、事実プロの皆さんは、それぐらいの保証がなければ、そう簡単にこのことをこのまま放置はしなかったと思う。  しかも、公金が今度の場合入れられるわけですね。東京都やあるいは日銀の金の一部が入るわけです。これには、会計検査院制度もあれば国会承認という手続も必要なことは、当然これにかかわる官僚の皆さんは承知をされておると思うし、また金融のプロの皆さんだって承知をしておると思う。そこで国民は、この両信組と深いかかわりがあった国会議員から何かあったのではないかと思っても、まことに残念なことだけれども、不自然ではないと、私はそういう意味で先ほど申し上げたわけであります。  当時の状況として、だれがどう関与したのか明確にされなければ、なぜ、監査に踏み込んで中身がわかった段階で非常手段に入らなかったか、その後ずるずると延ばしてきたかということについては、どうしても私は納得することができません。これは司直の手をかりるまでもない、大蔵省みずからがこれぐらいのことはただすべきだと思うが、銀行局長、いかがかな。
  57. 西村吉正

    西村政府委員 繰り返しの御説明で恐縮でございますけれども、私どもといたしましては、組織といたしまして、平成五年の検査以降のこの二つ信用組合に対する行政的な取り組みということに関しまして、御指摘のようないろいろな配慮とか影響とかいうことで左右をされてきたということはないと信じておりますし、そのように対処してきたつもりでございます。
  58. 桜井新

    ○桜井委員 官庁中の官庁とも言われておる大蔵省であります。行政の最も中心的な血液とも言える予算を預かっておる役所であります。これからも十分そのことを自覚をして、このことについてはしっかりと対処していただきたいと思う。  事務次官が今度やめられたわけだけれども、私はこのことについては、むしろ、あのノンバンクという言葉がはやり出した、兜町が荒らされたことがあった、そして土地の高騰が進んだ、そのとき以来、金融に対する、通貨に対する大蔵省の取り組みは余りにも甘過ぎた。私はその当時の銀行局長にも、責任をとるべきだ、こういうことを再三申し上げてきたわけでありますが、責任をとるどころではない、国税庁長官に出世したなんという大蔵省の行政姿勢については、全く納得のいかないようなことが間々行われておる。その心の緩みが、今せっかく戦後一億国民が挙げて本当に必死になって稼ぎまくったこの富をむだに減らすような結果にもなりかねない状態にあるということを改めて自覚をしていただいて、しっかりと対処をしていただきたい。これは注文をしておきます。  それから、野中自治大臣には、二つの点でお伺いをしたいと思います。  その一つは、先ほども触れましたが、今度の両信組の異常で違法とも言える高利による預金集めや、無軌道としか言いようのない大口貸し付けについては、既に明らかにされたところですが、大蔵、日銀によって、平成六年の五月末、西村、増渕両局長が就任する以前から救済銀行の大方の方向が決められ、信組側が承知をしておったなどということは断じて許されるべきことではないと思う。  このことについて、先ほどもちょっと触れましたが、東京都がほとんど知らない間に両信組の間でこのことが進められ、しかも、救済銀行をつくるということが当事者に漏れ伝わっておる。そのことがこういう違法行為をより一層助長する結果になったと思っておるわけでありますが、このことについてはやはり背任行為なり詐欺行為なりという刑事的な責任を問われてしかるべきだと思っております。このことについて、自治大臣として、国家公安委員長としてどうお考えか、所見を承りたいと思います。
  59. 野中広務

    ○野中国務大臣 御質問の件につきましては、警視庁におきましてただいま事犯解明のための捜査を徹底して行っておるものと承知をしております。
  60. 桜井新

    ○桜井委員 ぜひこのことは、徹底してその解明をしていただいて、国民の前に明らかにしていただきたいと思います。  いま一点お聞きをしたいことでありますが、これも先ほど触れましたけれども機関委任事務の最終監督責任はどこにあるのか、この際検討し直すべきではないかと思われるのですが、どうでしょうか。  戦後五十年の経過の中で法律の及ぼす環境も大きく変化をしたと思われるが、委任をされた行政庁の資質も当然、先ほどの銀行行為でいえば規模が比較にならないほど大きくなったわけでありますから、その資質の点についても検討されるべきではないかと思っております。  地方分権法が通った機会に、これらのあり方も十分精査の上しかるべき対応をすべきと思いますが、大臣の所見を承りたいと思っております。
  61. 野中広務

    ○野中国務大臣 このたびの二信組の問題について申し上げますと、たびたびこの席からでも申し上げてきたところでございますが、東京都知事は、中小企業等協同組合法及び協同組合による金融事業に関する法律の規定に基づきまして、信用組合に対する監督事務を適正に管理し、及び執行する責任を負っておると考えるのであります。  また、当該監督事務は都道府県知事に対する機関委任事務として、大蔵大臣は、東京都知事が当該監督事務を適正に管理し、執行されるよう必要な指揮監督を行う責任を負っておると考えるところでございます。  知事大蔵大臣それぞれが、ただいま申し上げた立場でその職員を果たされるべきものと考えておるところでございます。  機関委任事務につきましては、今委員から御指摘ございましたように、地方分権推進の立場からさまざまな御批判、御意見があるところでございます。政府におきましては、昨年十二月、御承知のように地方分権推進のための分権大綱を閣議決定をいたしまして、その整理合理化を積極的に推進をすることとしておるところでございます。制度そのものにつきましての検討を行ってまいったところでございます。  また、先般この国会におきまして成立をさせていただきました地方分権推進法は、地方分権の推進に関する基本理念あるいは基本方針や地方分権推進委員会の設置を織り込んでいただいておりまして、ただいま、その地方分権推進委員会委員の皆さんの御同意を近く国会にお願いをする運びになっております。  今後、この委員会審議等を通じまして、機関委任事務制度そのものの存廃をも含めて、適切な検討が行われるものと承知をしておるところでございます。
  62. 桜井新

    ○桜井委員 連日の事件に関与して自治大臣は国家公安委員長として大変御苦労されているわけであります。その上、今申し上げたような新しい局面に立って地方自治体の健全なあり方を推進しなければならない立場にあるわけでありますが、どうぞひとつ、一層の御精進のほどを心からお願いを申し上げる次第でございます。  大蔵大臣には、私もあなたのことについては十分御信頼を申し上げておつき合いをしているつもりですから、あなたがこの事件に関して積極的に取り組んでいることについては満腔の信頼と支持を申し上げているところでございますが、どうぞ一層ひとつ努力を重ねていただきたいと思います。  次に、法務大臣にお伺いをいたしますが、オウム真理教事件を初め最悪の事件続き、日夜御苦労さまでございます。ことしは、阪神大震災を初め天災、人災相次ぐ中で、世情騒然たるものを感じております。人心は乱れ、まさに世も末の思いを強くいたしておる昨今であります。  この中にあって、バブル経済以来の金融環境の乱れもまた極をきわめております。わけても、両信組の乱脈ぶりは、日本じゅうの不良債権を皆ここにたたき込んだのかと思いたくなるような内容であります。日本の経済の動脈の一つとも言われる長銀ほどの金融機関が、一体何を考えて、血迷ったとしか言いようのないような形で貸しまくったさまは、嘆かわしい限りであります。既に強制捜査に入られたようですが、どんなお取り組みをなされるおつもりか御所見を承りたいと思います。  国民は、警察、検察、自衛隊には大きな期待を寄せております。しかし、多少の綱紀の乱れも見られないわけではありませんが、一層この点については強い御配慮を賜りたいと思います。とりあえず、この両信組捜査に当たっての御所見を承りたいと思います。
  63. 前田勲男

    ○前田国務大臣 お答え申し上げます。  金融機関をめぐります不正事件につきましては、経済秩序を混乱させ、かつまた国民の皆様に金融機関のあり方に対するいわば不信感を醸成し、かつまた不公平感、これを醸成をさせておるという観点から、極めて重大な事件である、かように受けとめておるところでございます。  こうした中で、いわゆるこの二信組事件につきましては、現在検察におきまして、その全容解明のために今日鋭意所要の捜査を行っているところでございます。あらゆる角度から慎重かつ的確に捜査を行い、犯罪の嫌疑が認められるものにつきましては、法と証拠に基づき厳正に対処していかなければならない、かように考えておるところでございます。
  64. 桜井新

    ○桜井委員 村山総理にはずっと静かにお聞きをいただいて大変ありがとうございましたが、不幸にして、戦後五十年で初めてで、しかもかつてない大変な事件続きの新春を迎え、新春以来今日に引き続いておるわけであります。世評もいろいろ申し上げておりますけれども、よくぞここまで耐え、そして熱心に取り組んでいただいたと、私は心から深く敬意を表し、感謝を申し上げたいと思っておるわけであります。(発言する者あり)まあ、どっこいしょでも何でもない。野党の諸君は勝手なことを言うけれども、だれがなったって、そんな簡単にこの問題を一つ一つ解決できるわけはないですよ。そういう点では、本当によくやってくださったと私は思っております。  しかもこの二信組の問題は、これに限らず、何十兆円と言われる不良債権がある。先ほども野呂田さんからそれぞれ触れられた問題があります。それにこれから適切に対処して、詐欺や違法なことをやりながら、汗も流さず、人の犠牲も顧みずにうまいことをやろうとする人たちがのさばれば、国は滅びます。そういう中で、この金融制度こそ、国民の幸せをつかむ上では極めて大切なエレメントだと私は思っております。  それだけに、私たちもこのことについて真剣に取り組んできたのでありますが、総理からも適切な措置をその都度御指導をちょうだいしながらきたところでありますが、総理の御所見を承って終わりにさせていただきたいと思います。
  65. 村山富市

    村山内閣総理大臣 きょうそれぞれの委員からいろいろな問題の御指摘がございましたけれども、とりわけこの二つ信用組合乱脈経営実態というものは、これはやはり徹底的に明らかにしていかないと、こういうものを放置したまま公金を出すとかいろいろ言っても、国民の皆さんは絶対に信頼はしないというふうに思いますし、同意は得られないと思うのですね。そんな意味では、今法務大臣からも御答弁がございましたけれども、こうした乱脈経営実態というものは司法当局によって徹底的に解明されなきゃならぬ問題だと思いますし、また、解明されることを私は期待をいたしております。  しかし一方、今お話もございましたように、これはやはり、日本経済の動脈的な役割を果たしておる金融というものは極めて大事なものでありますし、とりわけ預金者の保護とも関連をして成り立っておるわけであります。そういう預金者の保護と金融の安定、秩序維持というものは、極めて大事なやはり経済の基盤をなすものでありますから、それはそれとしてやはり十分に対応していく必要があるというふうに思います。  今お話のございましたような点は総合的に判断をしながら、国として責任を持って対応しなきゃならぬものについては責任を持って対応する、それぞれの分野で責任を持ってその責任を果たしていくことが大事ではないかというふうに考えておりますから、そういう決意で取り組んでまいりたいと思っております。
  66. 桜井新

    ○桜井委員 どうもありがとうございました。
  67. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて野呂田君、桜井君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後二時二十七分開議
  68. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  衛藤征士郎君。
  69. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私は、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけを代表して、証人出頭要求に関する動議を提出いたします。(発言する者あり)  このたびの予算実施状況に関する件の調査に関し、旧東京協和・安全両信用組合問題について、山口敏夫君及び中西啓介君を証人として本委員会に出頭を求めることとし、その日時等については委員長において定められることを望みます。(発言する者あり)
  70. 佐藤観樹

    佐藤委員長 ただいまの衛藤征士郎君の動議につきましては、理事会にて協議をさせていただきたいと思います。  委員会は、暫時休憩をさせていただきます。     午後二時三十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕