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1995-02-25 第132回国会 衆議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月二十五日(土曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君    理事 草川 昭三君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    浦野 烋興君       江藤 隆美君    越智 伊平君       越智 通雄君    菊池福治郎君       後藤田正晴君    近藤 鉄雄君       志賀  節君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    橘 康太郎君       中山 太郎君    原田  憲君       平林 鴻三君    村山 達雄君       山崎  拓君    若林 正俊君       安倍 基雄君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       左藤  恵君    笹木 竜三君       月原 茂皓君    野田  毅君       東  順治君    弘友 和夫君       冬柴 鐵三君    松田 岩夫君       山口那津男君    山田  宏君       池端 清一君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       森井 忠良君    前原 誠司君       穀田 恵二君    松本 善明君       矢島 恒夫君    海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  村山 富市君         法 務 大 臣 前田 勲男君         外 務 大 臣 河野 洋平君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 与謝野 馨君         厚 生 大 臣 井出 正一君         農林水産大臣 大河原太一郎君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         運 輸 大 臣 亀井 静香君         郵政大臣臨時代         理         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     野中 広務君         労 働 大 臣 浜本 万三君         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         国 務 大 臣         (内閣官房長官五十嵐広三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)         (国土庁長官) 小澤  潔君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      高村 正彦君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      田中眞紀子君         国 務 大 臣         (環境省長官) 宮下 創平君         国 務 大 臣 小里 貞利君  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         防衛庁参事官  熊谷冨士雄君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁経理局長 秋山 昌廣君         防衛庁装備局長 荒井 寿光君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         外務省条約局長 折田 正樹君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         国税庁課税部長 堀田 隆夫君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省初等中等         教育局長    井上 孝美君         文部省体育局長 小林 敬治君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省社会・援         護局長     佐野 利昭君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         通商産業大臣官 林  康夫君         房総務審議官         労働大臣官房長 伊藤 庄平君         建設大臣官房長 伴   襄君         自治大臣官房総         務審議官    二橋 正弘君         自治省税務局長 佐野 徹治君         消防庁長官   滝   実君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   村田敬次郎君     橘 康太郎君   山崎  拓君     平林 鴻三君   川島  實君     弘友 和夫君   工藤堅太郎君     東  順治君   細川 律夫君     森井 忠良君   穀田 恵二君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   橘 康太郎君     村田敬次郎君   平林 鴻三君     山崎  拓君   東  順治君     工藤堅太郎君   弘友 和夫君     川島  實君   森井 忠良君     細川 律夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成六年度一般会計補正予算(第2号)  平成六年度特別会計補正予算(特第2号)  平成六年度政府関係機関補正予算(機第2号)  平成七年度一般会計予算  平成七年度特別会計予算  平成七年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  平成六年度一般会計補正予算(第2号)、平成六年度特別会計補正予算(特第2号)、平成六年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。弘友和夫君。
  3. 弘友和夫

    弘友委員 新進党弘友和夫でございます。  今回の五千四百名を超える方々が亡くなられました阪神淡路大震災、本当に想像を絶する未曾有の大被害を目の当たりにしまして、対応のおくれやなすすべもなかったことに対しまして、これはひとり総理責任だけではなく、政治行政も私たち政治家も、事前に国家危機管理についてもっと力を尽くしておくべきではなかったか、私自身そうした深い反省思いでいっぱいでありま すし、また、被害者皆様国民皆様に、本当に申しわけない、そういう気持ちで当たるべきである、このように思います。  私たちは、そうした思いから、新進党の明日の内閣でも、行政改革の提言の中で、内閣危機管理のあり方について、今回の阪神淡路大震災の教訓も含めて検討させていただきました。二月九日には第一次援言として発表させていただいたわけでございます。  ところが、一月十七日の地震発生後から今日まで、村山総理国会答弁などを拝見させていただきますと、本当に総理はこうしたことに対して、深い反省気持ちがおありなのかどうか。また、被災された皆さん国民皆さんに申しわけなかったという思いでその後の復旧対策に当たっておられるのかどうか、責任を感じておられるのか、疑問を持たざるを得ないわけでございます。  そういうことで、この大災害に対しまして、村山総理自身、また内閣の姿勢、責任についてお伺いをしたい、このように思います。  総理は、一月二十日の本会議で、我が党の二階議員内閣危機管理体制について聞きました質問に対して、こう答えられています。「政府危機管理体制についての御質問でありますがこと前置きをされまして、「しかし、今から振り返って考えてみますると、何分初めての経験でもございますし、早朝の出来事でもございますから、幾多の混乱があったと思われまするけれどもこと答弁されています。  この答弁がその後いろんな論議を呼びまして、総理としての資質、責任について問題となりました。私は、議場でこの御答弁を聞いておりまして、総理としては何と無責任な御発言だろう、こう思いましたけれども、一方では、私個人としては、村山総理らしい率直な気持ちをあらわしたもの、そういうふうに理解をしていたわけです。  ところがその後、その前言を翻されて、これは政府のことを言ったのではない、地元のことなのだという、地元責任があるような御発言をされております。(発言する者あり)じゃ、それを会議録に忠実に読まさせていただきます。一月二十六日、我が党の東議員に対する答弁でございます、予算委員会の御答弁。  東議員が、  ところが総理は、さきの本会議で、この大災害に対して、初めての経験であって、早朝の出来事でもあったので多少の混乱もあったと思うというような、こんなことをおっしゃっている。ここにリーダーシップとして、どこにその責任 があるのかと私は思いますよ。それからまた、  政府がとった措置は最善の策だった。云々と、このように聞いたことに対して村山総理は――よく聞いてください。  いい機会ですからお答えしておきたいと思うんですけれども、私が、まあ初めての経験だし、何分早朝のことですから混乱もあったと思いますということは、現場情勢がつかみ得なかったことの現状というものを申し上げたわけです。  神戸市では、兵庫県等では、これはやっぱりふだんからの備えというものも余りなかったのではないかと思いまするし、突然あれだけのことが起こりましたら、それは通信網は断たれるし、道路は破壊されるし、市の職員だって、それはもうみずから被災者になって、市役所に出ていけない。こういう状況というものを考えた場合に、それは現地ではやっぱり若干の混乱があったのではないかということは想定できますから、そのことを私は申し上げたのでございまして、何もここですよ。  何もこちら側の、政府の中に混乱があったという意味で申し上げたわけではないこのように言われております。(発言する者あり)今言われたように、きのうも質問をいたしました。きのうもやりました。また、二月十四日の山崎議員、本会議での二階議員に対する答弁も全く同じような状況でございます。  いいですか。いい機会ですからお答えしますと、「神戸市では、兵庫県等では、これはやっぱりふだんからの備えというものも余りなかったのではないか」「何もこちら側の、政府の中に混乱があったという意味で申し上げたわけではない」と。(発言する者あり)とんでもないですよ。きのうと同じじゃないですよ。  いいですか。きのうもですね――兵庫県知事動き、七時に登庁されて、八時二十分には災害対策本部設置されています。神戸市長動き神戸市長も六時には災害救助法を適用しております。また、伊丹市長尼崎市長、全部そういう、混乱をしていたと言うけれども尼崎市長は六時にもう登庁して、すぐ災害指令第一号、災害救助法を適用されているわけです。消防警察も精いっぱいやっておられるわけです。  ここに新聞がありますけれども、ある消防団の団長さんは、自分の奥さんが一緒に瓦れきの中に埋められて、そして、奥さんをそのすき間の中に寝かせて、そして奥さんが、早く助けに行ってください、私は大丈夫だ、そういうことで、その奥さんを置いてずっと動き回ってやっていたわけですよ。私は大丈夫だから、消防団責任者として皆さんを助けてあげてください、そう言って、出て、三日目に奥さんは亡くなったわけです。消防団の、これはある例です。  また、三日三晩一生懸命救助に当たって、三日目にやっとおふろに入ってそのまま亡くなった、そういう例がたくさんあるわけです。警察も、目の前に、瓦れきの中に埋まっている人、数の報告よりもまず人命を救助するのが先だ、このようにやっているわけです。  あなたは、総理はきのうもこう答えられておりますよ。あなたが言っているように、通信網は断たれている、道路は破壊されている、みずから被災者でありながら必死になって救援に当たっている。これほどの地震があれば、通信網が断たれるのは当たり前なのです。道路が破壊されるのは当たり前なのです。みんな被災者になるわけでしょう。それが早朝であろうと昼間であろうと夜であろうと、そういう状況地元はなるわけですよ。そうでしょう。これは初めてのことだと言われた。二回目であろうと三回目であろうと、それはいろいろな防災対策をやっていても、実際にそういう地元混乱というのはあり得るわけです。だから……(発言する者あり)今から聞きますよ。そうしたら、現場はそれだけ混乱しているわけです。そのときに、政府がどのような手を打つか、そして国としてどうするか、これが危機管理じゃないのですか。  では総理、あなた自身は、一月十七日五時四十六分地震発生直後、それから十時の閣議が開かれるまで四時間、何をされていたのですか。今までのをまとめてみますと、一番最初に私が知ったのは朝六時過ぎのニュースです、テレビで知ったわけです、これは大変なことになるのじゃないか、こういう気持ちがしました、すぐ秘書官の方に連絡して、情勢報告してほしいと、こう言われています。六時過ぎのニュースで知った、すぐ連絡をされた、七時半に第一報があった、こう言われております。  では、それぞれの閣僚の方にお聞きします。小澤長官、お聞きしますけれども、あなたは六時ごろのニュースで知ったと。それから十時の閣議までどういう行動をとられていますか。
  4. 小澤潔

    小澤国務大臣 お答え申し上げます。  私は、六時ごろのテレビ地震があった旨を知りました。そして、六時十五分ごろ秘書官から電話がありました。五時四十六分に地震発生をした、こういった連絡であります。私は直ちに、適宜に情報連絡をよこすこと、そしてまた国土庁に対しましては、適切な対応を行うように指示したところであります。  また、当日は月例経済報告閣僚会議もあり、閣議もある日ですから、車を待ちながらテレビを見ておったところであり、七時三十分ごろ、秘書官からまた、甚大な被害に発展するおそれがあるので非常災害対策本部をつくりたい、このような連絡が参りました。私は、直ちに首相官邸とも相談をして、万全を期しなさいということで対処を指示したところであります。そしてまた、国会に、七時五十分ごろ家を出ました。適宜、秘書官防災局連絡をとりながら月例経済報告閣僚会議に臨んだところであり、早速官房長官にこのことを伝え、非常災害対策本部閣議決定していただきたい。  そして閣議決定をし、直ちに現地に飛ぶように指示をされたところであり、第一回の非常災害対策会議を、十一時半ごろと思いますが、緊急六項目を決めまして直ちに準備にかかり、十二時四十分ごろ国土庁長官室を出ました。そして入間に参り、そして伊丹に参り、官房長官とも電話連絡をしながら、当日はヘリにより視察を行い、そして明くる日は、現地被災者ともお会いをしながら視察をしてまいり、帰京をし、総理にも報告をし、また官房長官とも相提携しながら、閣僚会議においても報告をし、初動の態勢は万全を期してやったところであります。
  5. 弘友和夫

    弘友委員 そこが、だから問題じゃないですか。今の御答弁では、六時ごろニュースで知りました、六時十五分ごろ秘書官から連絡がありました、情報を絶えず報告しろと。七時半ごろもう一度秘書官から、防災局としては甚大な被害発生している可能性があるから非常災害対策本部設置したい旨、そういうことを大臣に言ってきたわけでしょう。その大臣がですよ、国土庁長官、その大臣が、非常災害対策本部設置したい、このような連絡があったのに、それを首相官邸とよく相談してやりなさい、こんなばかなことがありますか。一番中心である大臣でしょう。非常災害対策本部といったらもう大変なことですよ。大変な災害でしょう。だから非常災害対策本部をやりたいと。それを当事者である大臣が、首相官邸連絡をとってやりなさいと……。  じゃ、大臣は直接総理連絡をとられたんですか。
  6. 小澤潔

    小澤国務大臣 とっておりません。
  7. 弘友和夫

    弘友委員 官房長官連絡をとられていますよね。七時四十分ごろ総理連絡をとられて、それで非常災害対策本部設置したいと。それは、非常災害対策本部の長になる国土庁長官とどういう連絡をとられて話し合われたわけですか。
  8. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これは、今小澤国土庁長官がもうお話しになられましたように、一月十七日の七時三十分ないし四十分ぐらいであろうというふうに思いますが、総理とも電話連絡を申し上げまして、また国土庁の方からも連絡もございまして、私どもの方からは、非常災害対策本部設置準備に直ちに入るように、こういうぐあいに指示を申し上げた次第であります。
  9. 弘友和夫

    弘友委員 いや、国土庁長官と直接連絡をとられたんですかということをお聞きしているんです。
  10. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これは国土庁担当者経由であったというふうに思います。
  11. 村瀬興一

    村瀬政府委員 今のお話でございますけれども先ほど小澤大臣が申し上げましたように、七時半ぐらいに非常災害対策本部設置手続に入るようにという御指示をいただいた、大臣からもいただいたわけでございます。  一方で、官邸でございますけれども総理秘書官あるいは官房長官秘書官とも電話連絡をいたしながら、七時半の段階で、非常災害対策本部設置をしようという政府の実質的な意思決定があった。その後、正式には十時の閣議決定をいただいたということでございます。  その間の事務的な段取りをもう少し詳しく申し上げますと、非常災害対策本部を始める前に関係省庁連絡会議というのを通常開きます。その連絡会議の開催の通知を八時二十一分にファクスで発信いたしております。それから十時九分には、非常災害対策本部でどういうことを決定すべきかということにつきまして、関係省庁に照会をいたしております。それから十一時には災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、その後十一時半から第一回の非常災害対策本部を開催したところでございます。
  12. 弘友和夫

    弘友委員 今、非常災害対策本部設置するという政府の実質的な意思決定があった、このように言われましたけれども、じゃ、その七時半の時点で非常災害対策本部設置しようと――役所の方が、これは大変なことになる、非常災害対策本部設置した方がいいですよ、こう進言をされた。国土庁長官は、それは官邸とよく相談してやってくださいと。本人は何の連絡もしないで、十時の閣議まで、総理にも連絡してない、官房長官にも連絡してないでしょう。じゃ、だれが非常災害対策本部設置するというふうに意思決定をしたわけですか、今、七時半に意思決定したと言いますけれども
  13. 村瀬興一

    村瀬政府委員 非常災害対策本部設置の場合でございますが、今申し上げましたように、この場合、七時半でございますけれども国土庁長官の御判断をいただきますと、あとは通常、事務的に官邸連絡をいたしまして段取りをするということになっております。それはほぼ、明文のマニュアルがあるわけではございませんけれども通常そういうことでやっておりますので、長官が直接御連絡いただくというような段取りではございません。私ども官邸事務方連絡をとって進めさせていただくということが通常でございます。
  14. 弘友和夫

    弘友委員 だから、それを言っているわけですよ。長官が、じゃ、非常災害対策本部設置しよう、この決意をして官邸連絡されているのであればいいですよ。(発言する者あり) 今後の問題があるでしょうが。危機管理の問題なんですよ。いいですか。今言っているのは、総理が知られて十時の閣議非常災害対策本部設置するまでどういうことがあったのか、内閣がどういうふうに動いたのかというのは、大変なこれは危機管理の大事な問題だと思うのですよ。一カ月前の話だとかそんなことじゃない。だから言っているのです。  非常災害対策本部というのはだれが決定したのですか。国土庁長官は、それは官邸相談しなさい、こう言っているわけでしょう。長ですよ、国土庁長官ですよ。それが、官邸相談してやってください。だから、だれが非常災害対策本部設置すると、先ほど村瀬局長答弁されましたけれども、じゃ、だれがそれを決定したのかということを聞いているのですよ。
  15. 村瀬興一

    村瀬政府委員 先ほども申し上げましたように、国土庁長官の御判断をいただきますと、それを受けましてスムーズに非常災害対策本部設置手続が進むような体制になっております。したがいまして、直接国土庁長官連絡をされるということがなくても、現にうまくいくようになっております。
  16. 弘友和夫

    弘友委員 私が聞いているのは、だれが連絡したかと言っているのじゃないのですよ。国土庁長官が、じゃ、非常災害対策本部設置しようという決意をしたわけじゃないでしょう。国土庁長官は、官邸連絡してよく相談してみてくれ、こう言ったわけでしょう。
  17. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 御承知のように、法に基づく非常災害対策本部というものを設置するのは、これは閣議決定をするわけであります。  これは、今説明ございましたように、当日十時からの閣議でこれを正式に決定をしているわけです。七時半というのは、その準備に入れ、そういう方針でいこうということを指示をしたということでして、官邸相談というのはもう当然の話で、閣議で決めるのですから、官邸と十分に協議しながら決めていくというのは、そういう運びになるわけですね。
  18. 弘友和夫

    弘友委員 じゃ、閣議が行われないと非常災害対策本部設置できないのですか。  「非常災害対策本部設置」、第二十四条、いいですか、「内閣総理大臣は、国家行政組織法第八条の三の規定にかかわらず、臨時総理府非常災害対策本部設置することができる。」これは閣議にかけないでも非常災害対策本部設置することができるということじゃないのですか。法制局の方、いらっしゃいますか。
  19. 大出峻郎

    大出政府委員 災害対策基本法の二十四条という規定がございます。これには一項、二項、三項とございますので、全体としてこの条文の趣旨を御理解いただきたいと思うんですが、まず第二十四条の第一項のところでは、内閣総理大臣は「臨時総理府非常災害対策本部設置することができる。」こういうふうに書かれております。しかし、二項、三項をさらに見てまいりますというと、「非常災害対策本部名称所管区域並びに設置場所及び期間は、内閣総理大臣閣議にかけて決定する。」というふうに規定をされておるわけであります。さらに三項につきましては、「内閣総理大臣は、非常災害対策本部を置いたときは当該本部名称所管区域並びに設置場所及び期間を、」少し飛びますが、告示をする、こういう趣旨のことが書かれておるわけであります。  したがいまして、設置につきましては、二十四条の一項、二項、三項、全体の仕組みの中で決められていく、こういうふうに御理解をいただければと思います。
  20. 弘友和夫

    弘友委員 だから、その設置そのもの閣議にかける、だけれども判断をする、非常災害対策本部をつくろう、このように決意したのは、決意というかこれを決めたのはどなたなんですか。国土庁長官なんですか、官房長官なんですか、総理なのですかということを聞いているのです。
  21. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 もうそれは、国土庁長官が、先ほど説明がございましたように、そういう方針を決め、官邸とも連絡をして進めてほしいと、こういうことは今述べたとおりであります。私どもも、当然これは非常災害対策本部を設けようという方針を決め、先ほど説明いたしましたが、総理とも御協議申し上げ、総理指示もいただいている。これは、ですからまさに三人それぞれの責任者として一致して協議してそういう方針を決めたということであります。
  22. 弘友和夫

    弘友委員 総理は、今までの答弁でも出ておりますけれども、朝六時のニュースで、テレビで知りました、これは大変なことになるんじゃないか、秘書官の方に連絡をした、秘書官の方に連絡して、情勢を把握して報告してほしいと。第一報が参りましたのが七時半ごろですね。こういうふうに……(発言する者あり) いいですか。今私が言っているのは、これだけの災害が起こって、五時四十六分から十時の間、全然連絡をとり合ってないじゃないですか。そういう仕組みになっておりますと言っても、国土庁長官が、それは総理官邸とよく話し合ってください。そして何にもしないで……(発言する者あり)してないじゃないですか。これは大変なことになりそうだと総理は思われたわけでしょう。総理は思われたわけでしょう、これは大変なことになりそうだと。  じゃ、観点を変えますけれども、そのときに総理は、秘書官の方に連絡をした。首相官邸、その秘書官というのはそばにおられたのですか。
  23. 小澤潔

    小澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、秘書官から七時三十分に連絡が参りました。私は判断をいたしまして、よく首相官邸とも相談をしながら非常災害対策本部設置するよう指示したところです。そしてまた、閣僚会議におきましても、官房長官にはこのことを申し上げ、そして、閣議にかけてほしい。  私の秘書官秘書官なりに防災局連絡をとりながら登庁したところであります。
  24. 弘友和夫

    弘友委員 それを聞いているのじゃないのです。総理が六時のニュースで知ってすぐ秘書官連絡をして、調査をして情報を上げてくれと。だから、秘書官がそばにおられたのですかということを聞いているのです。
  25. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今お話がございましたように、六時過ぎのニュースで、私はテレビで知ったわけです。  これはせっかくの御質問機会でありますから、私の感想を率直に申し上げたいと思うのですけれども、これだけの想像を絶する未曾有の大災害が起きた。もう五千四百人を超すとうとい生命がなくなられた。また、家が倒壊されて、あの震災があった当時は三十万を超す皆さん方が家をなくして集団的な避難生活をされ、あるいは負傷された方もございました。私は、亡くなられた方々や遺族の方々に謹んで哀悼の誠をささげたいと思いまするし、同時に、負傷され、今なお避難生活をされている皆さん方に心からお見舞いを申し上げたいという気持ちでいっぱいであります。  しかし、同時に、そういう現状にあったにもかかわらず、みずから被災者であることをも顧みずに救援活動に尽力をされてこられた市や県の職員、消防署の職員あるいは警察官あるいは医療関係者等々の不眠不休の御努力に対して、自衛隊も同じでありますけれども、心から敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。  それで、私は、そういう事態に対して本部として、政府としてとるべき態度は何なのかということをこれから若干申し上げたいと思うのですけれども非常災害対策本部を十時の閣議設置をして、私みずからが本部長になって全体としての指揮をとるという体制をつくりました。同時に、専任の担当大臣を決めて、そしてこの救援対策なりこれからの復旧問題に対して専任で当たってもらうという体制も整備をいたしました。それだけではまだまだ足りない点がありますし、これはもう地元と一体となって取り組んでいくことが必要ですから、国土庁の政務次官を本部長にする地元対策本部を設置をして、そして、そこには関係各省の関係のある職員も派遣をして、知事や市長と相談をして、即断即決、対応できるような体制もとる必要があろうというのでとってまいりました。  私は、こういう仕組みを考えていたということは、余りこれまで例がなかったことではなかったかと思うのです。それでもなお不十分な点が多々あろうかと思いまするけれども、そういう点は、やはり走りながら足らないところは充足をしていく、こういう措置もとっていかざるを得ない。こういう現状で、可能な限りのことはやり尽くしてきたつもりでございます。  しかし、この初動の段階において、いろいろお話もございますように、正確に情報をつかんで、そして正確な情報に基づいて適切な対策が完全にとれたかといえば、それはやはり欠くる点もあったのではないか。この委員会でもいろいろな問題点が指摘をされ批判をされておりますから、そういう問題点や批判については謙虚に受けとめながら、過ちを二度と繰り返さないように、危機管理についての体制もしっかりつくる必要があるというので、関係各省庁の担当者を集めたプロジェクトチームをこしらえて、そして、あす起こった場合にどういう対応ができるかということについて、今の制度、枠内でやれることはきちっとやっていこうではないかというので、先般閣議でも決めて、そしてとりあえずの緊急の体制をつくった。  これから長期にわたって、これからの防災対策をどうするかというような問題につきましては、先般も官房長官が新聞の記者会見で申し上げましたように、防災臨調といったものも設置もして、専門家の意見も聞き、国民の各般の意見も聞きながら、全体として防災対策に万全を期すような備えをする必要があるという取り組みの準備をいたしておるというところでございますから、御理解をいただきたいと思います。
  26. 弘友和夫

    弘友委員 今、秘書は、秘書の方はどこにおられたんですかと聞いているんです。
  27. 佐藤観樹

    佐藤委員長 村山内閣総理大臣秘書官はどこにいたかということのようです。
  28. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今の答弁の中で、非常災害対策本部長を私が兼ねたと。これは専任の国務大臣を置いておるわけですから、私は緊急対策本部の本部長として非常災害対策本部閣僚全体がバックアップをするという態勢をとったということでありますから、そこは訂正しておきたいと思うのです。  それから、秘書は常時私のそばにおるわけではないんですよ。ただ、いつでも連絡はとれるという態勢にございますから、電話連絡をとり合いながら情報の収集に当たったということであります。
  29. 弘友和夫

    弘友委員 いや、だから、もちろん常時とれるんだと思いますよ。だけれども、六時のニュースで知った、直ちに――じゃ、そのときはいらっしゃらなかったわけですね。その連絡総理の方からとられたわけですか。
  30. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは私がこれまでもたびたび申し上げておりますように、私は六時のニュースで知って、これは震度も高いし大きなことになっていくんではないかという懸念がございましたから、秘書官電話連絡をとって、直ちに情報収集をして状況について報告をしてほしいという指示をいたしました。
  31. 弘友和夫

    弘友委員 何でこういう細かいことを聞いたかというのは、それは大事な、要するに初動態勢、危機管理の初動態勢、これは総理が一番の責任者ですから、その責任者の周りに、ニュースで初めて震災を知って、自分から連絡をとって、自分から秘書官連絡をとらないと情報が上がってこない、各大臣からも今こうなっているよということも上がってこない、そこに問題があるんじゃないですかということを私は言っているわけです。どうですか。
  32. 村山富市

    村山内閣総理大臣 ですから、今申し上げておりますように、六時過ぎのニュースで見て秘書官指示をして、秘書官は、警察なりあるいは国土庁なりそれぞれ関係省庁連絡をとった上で正確な情報をできるだけ伝えたいというのでそういう作業をされたと思うんです。そして七時半ごろ第一報が入ってまいりました。そして七時四十分には官房長官からも御連絡をいただきまして、今こういうことで被害が拡大しそうだ、したがって、非常災害対策本部設置することを国土庁の方に連絡をとっておいた、こういう報告も受けておるわけであります。
  33. 弘友和夫

    弘友委員 総理が早起きで六時のニュースを見られたからよかった。それがなかったら七時半まで、じゃ総理は何にも知らないで。だれもいらっしゃらなかったわけでしょう。どうですか。要するに、総理の周りに連絡がなかった、だれもいなかったということが明確になったわけですけれども。  それと、総理の御答弁で一番最後に、兵庫県知事神戸市長のことを言われて、最後に、何もこちら側の政府の中に混乱があったという意味ではありません、政府の中に混乱があったというわけではありません、現地にあるんですよ、こう言われたわけです。だけれども反省すべき点は反省し、こう言われたわけですから、やはり何ら混乱がなかったというのはこれは当たらないと思うんですけれども、いかがですか。
  34. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私は、現地の知事や市長さんを、あるいは関係者を、混乱があったからといって責めているわけじゃないんですよ。私は、先ほども申し上げましたように、それぞれの衝にある方々はみずからの被災も顧みずに一生懸命やっておられる、これはもう心から敬意を表したいという気持ちはいっぱいであります。  ただ、これはもうどなたがお考えになっても、突然あれだけの大きな地震があれば、それは家は壊れる、人の気持ちもやはり動揺するでしょうし、あるいは交通が渋滞するだろうし、いろいろな意味で当地には混乱があったということはどなたも私は想定できるんじゃないかと思うのですよ。そういう混乱があった中で不眠不休で頑張っていただいて今日まで来ているわけですから、そういう実態というものについては私は心から敬意を表したいと思うのですね。  それで、何もこっちには混乱がなかったとかいうようなことを言う意味で申し上げたのではなくて、もう何度も申し上げますけれども、そういう当時、十七日の地震が起きた、突発的に起きた、その時点にはそういう混乱がやはりあったのではないかということを私は申し上げておるのでございまして、そのことはもうたびたび申し上げておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  35. 弘友和夫

    弘友委員 前段は確かにそのとおりだと思います。だけれども、はっきり、ここにいます東議員への予算委員会での答弁の中で、「何もこちら側の、政府の中に混乱があったという意味で申し上げたわけではないのでことあるじゃないですか。現地ももちろん混乱しているかもしれない、そういう状況であるかもしれない。だけれども政府は、何もこちら側の政府の中に混乱があったのではないとはっきり言っているじゃないですか。それだったらこの言葉を取り消していただきたいのですよ。
  36. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私が混乱があったと申し上げたのは、今あなたもお認めになったように、一月十七日のあの地震発生をしたその当時の混乱というものを申し上げたのであって、それ以外のことで申し上げたのではありません、こう申し上げているわけですから、御理解を賜りたいと思うのです。
  37. 弘友和夫

    弘友委員 時間が参りましたから終わりますけれども、その当時の状況というのは、だから、地元混乱があるけれども政府混乱しているじゃないですか。初動態勢、地元よりも四時間もおくれているんですよ。まあ、総理が取り消さないのであれば、またの機会にさせていただきたいと思います。  以上で終わります。
  38. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて弘友君の質疑は終了いたしました。  次に、東順治君。――静粛に願います。
  39. 東順治

    ○東(順)委員 それでは質問させていただきます。  私もこの大震災の……(発言する者あり)またかじゃありません、これは大事な問題なんだ。大震災の問題、この救急医療の問題についてお伺いさせていただきたいと思います。  この戦後最大の犠牲者を生んだ背景に、今回、広域の緊急医療体制というものが整備をされておらなかった、未整備だったということが多方面から指摘をされて、あるいはまた諸外国、いろんなところから比較の中で言われておるわけでございますけれども、我が国は、各病院が一つ一つ独立をして、広域のネットワークというものがやはり乏しい。そのために、いざこういう大パニックになったときに、病院間の協力あるいは協調、そういったもので災害医療に当たるということが非常に難しいという現実が今回の大震災で浮き彫りにされました。  したがって、私は、自治体の枠を超えたシステムづくり、ネットワーク、これが非常に大事なことだろうというふうに思います。あるいはまた、広域緊急医療体制の整備ということに対して具体的に、先ほどからもございましたけれども、もし、きょうあるいはあす、このような大災害が起こったときにどうするかということを考えていったらば、これは至急にその整備に手をつけていかなければいけないことだろう、このように思います。  したがって、地域に、自治体を超えた基幹病院あるいは副基幹病院、こういうような体制を至急私はつくるべきだろうと思います。(発言する者あり)そういう、病院がやられたときに、正あるいは副基幹病院というものをつくる、そして緊急医療体制に当たるということで今お尋ねをしておるわけでございます。  したがって、大パニックのときは患者がやはり一つの病院に集中をする、その搬送先というものを分散させる必要がそこに出てくる。したがって、日ごろからどの病院に患者を運ぶかということを広域で考えておかなければなかなかこれは難しいということが今回の現実であったろうというふうに思います。  まず、この点につきまして、厚生大臣、どのようにお考えか。
  40. 井出正一

    ○井出国務大臣 お答えをいたします。  災害時において、特に初期の医療の確保が大変重要な課題であることは申すまでもございませんが、今回の地震発生直後におきましては、多数の負傷者が生じる中で、輸送あるいは通信手段等のライフラインとともに大きな打撃を受けました結果、迅速的確な医療の提供を行うことは残念ながら困難な状況にございました。  そして、今先生おっしゃるようなシステムづくりがいかに必要かということも痛感したところでございます。その中でも、例えば日赤とかあるいは国立大学病院同士とか、あるいは国立病院といったような、一応連絡のとれるところはそれなりに機能しておったということを見ましても、特にそのことが言えるわけでございます。  そこで、今回のこの災害により大変な被害が生じたという事実を厳粛に受けとめながら、これを教訓として生かさなくてはなりません。関係省庁の御協力を得ながら、災害の際にも十分に機能できる医療体制の確立に向けて取り組んでいきたいと考えております。  このため、実は昨年一月に集団災害時における救急医療・救急搬送体制のあり方に関する研究班というのを厚生省の中で設置して、検討していただいている最中に今回こういう状況になってしまったわけでございますが、この研究班におきまして、今回の災害を振りかえって、専門的あるいは多角的な観点から災害時医療のあり方について十分に検討しようと今考えておるところでございます。  また、国立病院・療養所の再編成計画を今進めておるところでございますが、その一環として本年七月に東京の立川市に開設されます国立病院東京災害医療センター、仮称でございますが、これと並びまして、西日本地域にもこれを計画はしております。大阪府にございます国立療養所千石荘病院を、防災の基幹施設として整備することを計画しておるところでございます。今後、国立病院・療養所の再編成を推進していく中で、その実現に向けて努力してまいりたいと思います。過日、大阪の知事さん、それから大阪市長さんからも御要望をちょうだいしたところであります。  さらに、兵庫県におきましても、救急医療システム検討委員会というのが設置され、来週月曜日にその第一回の会合が持たれるようでございまして、厚生省からも担当課長がそのメンバーとして加わることになっております。災害時に即応し得る災害医療システムの策定をここでも予定をされておると聞いております。厚生省といたしましても、これにも積極的に協力してまいるつもりでございます。
  41. 東順治

    ○東(順)委員 大変積極的に取り組んでおられるということで、非常に大事なことだろうと思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思うわけでございます。  ちょっと物の本で読みましたけれども、アメリカのダラス市ですか、こういうところでは、市の庁舎を中心に放射状に基幹病院、副基幹病院というものを設置をして、それで、医師や看護婦が自分の病院が破壊された場合どこの病院に急行して働くか、そういったことまで細かく規定をしておる、そして医療体制全体の流れがトータル的に細かく、日常からそういうふうに規定をされているというふうに書かれておりました。  私は、日常のこういう危機管理こそがいざというときに非常に役に立つわけで、昨年の一月からその研究班を結成されて検討されておるということでございますので、本当はこれはいつごろまでに結論が出るのかどういう形で国民に示せるのか、そこまでお伺いしたいと思いますが、これはいかがでしょうか。
  42. 井出正一

    ○井出国務大臣 今回のいろいろな調査もしなくちゃなりませんし、この結論を出していただく、最終的には一年ぐらいかかると思いますが、そうも言っていられませんから、もう取り入れられる部分は可能な限り御提言いただいて施策に移していかなくちゃならぬ、こう考えているところでございます。
  43. 東順治

    ○東(順)委員 この広域医療体制ということと同時に、次に大変問題になってくるのは、ただいまも厚生大臣おっしゃいましたけれども、搬送の問題でございます。患者さんの広域搬送の問題でございます。  今回も、救急車が交通渋滞に巻き込まれて、そのために、結局搬送できずに何人もの重傷者の貴重なとうとい命が落とされたということがあるわけでございまして、私も現地のお医者さんなんかにいろいろお話を聞いてみましたら、まさに突然の医療過疎が起こっちゃった、日ごろは過疎でも何でもない大都市の中に、大地震というもので突然の医療過疎が起こっちゃった。そして、電話は通じない、車は交通渋滞で救急車は身動きとれない、じゃ患者を搬送しようというのにヘリコプターも飛べないというようなことで、何もできないまま各病院がもうずたずたに孤立してしまって、その中で必死になって精いっぱいの対応をするしかなかったという非常に悲惨な状況が出たわけでございます。  医療機関も約二千カ所のほぼすべてが何らかの打撃を受けた、小規模病院の半数以上が機能停止になる、そして逆に、医療を必要とする患者はふだんのもう何十倍というふうにふえている。結局、この大災害というようなもので電気とか水とかガスとか、そういうライフラインというものが断ち切られたときには、現地の病院というのは重傷者の最終目的地たり得ないということがよく今回のことでわかったわけでございます。  大阪市立総合医療センターというところがあるそうでございますけれども、さあ兵庫で大地震が起こった、患者が来るぞということで受け入れ態勢をしいて待っていた。待っていたところが、最初の患者が救急車に乗せられてこの大阪市立総合医療センターに届けられたのが、実に地震発生十二時間後の午後五時五分、それで三人の患者さんが届けられた。これがやはり厳しい現実でございました。あるいはまた、これはNHKの報道でございましたけれども、金沢病院というところからやはりこのセンターへヘリコプターが飛んできたのは、地震発生後五十時間というんです。  要するに、緊急に患者を搬送するということがもうほとんどできなかったという大変悲しい、かつ、厳しい現実があったわけでございます。したがって、全国的な防災計画の見直し、これから行われるわけでございます、現に行われておるわけでございますけれども、この中で、救急災害ヘリコプター、この全国配備ということを考える必要が絶対にあるだろう、私はこのように思います。  この点についてのお答えと、もう一つ、全国に百二十九カ所ですか、救命救急センターというのがございますね。この中でヘリポートが設置されているのが今二十病院、これはやはり大変私は少ないんだろうと思います。僕が住んでいるのは福岡県です。福岡県というのは、約五百万の人口、四百九十何万ですか、大県です。その中で政令都市が二つ、百万都市が二つございます、福岡市、北九州市。そういう大きな県でもヘリポートを持っている救急医療病院がたった一カ所しかない。あの大震災が福岡を襲ったときにこれはどうなるんだと、僕は自分のことを考えながら大変な思いに駆られました。  今回の兵庫県でもたった一カ所しかヘリポートがない。福岡よりもはるかに大きな県です。こういう現実を考えたときに、この救命救急センターにヘリポート設置というものは義務づけられないのか、このように私は率直に思います。この二つについてお答え願います。
  44. 井出正一

    ○井出国務大臣 先生御指摘のとおり、今回のヘリコプターの出動は正直のところ大変おくれてしまいました。受け入れの要請は厚生省の方からしておきまして、それなりに用意していてくださったのですが、なかなか動かなかった。防衛庁あるいは消防庁あるいは海上保安庁にお願いをいたしまして、結局は、実際には十七日には一名とか十八日には六名という程度で、二十日ごろからかなりの数になり、報告を受けているところでは百八十一名の患者さんを運んだような結果に相なっておるわけでございます。またヘリポートも、先生の御地元は福岡、一カ所、福岡大学病院だけでございますし、兵庫におきましても、救急医療センターは四カ所あるのですが、神戸市立中央市民病院一カ所でございました。  したがいまして、こういう災害時におきましては、やはりヘリコプターは有効な手段であります。実は、厚生省といたしましては、ヘリコプターによる患者搬送を円滑に実施できるよう、平成五年度から、各都道府県の救急医療の拠点であります 救命救急センターにおけるヘリポートの整備に対して補助はしておるところでございます。その結果、現在までに百十九カ所ある救命救急センターのうち二十一カ所になりました。それから今、札幌の市立札幌病院が建設中でございます。しかし、いずれにせよこれを入れても二十二カ所と大変少のうございます。今後とも、救命救急センターを中心に引き続きこのヘリポートの整備を図っていきたいと考えております。  先生今御提案の義務づけなんでございますが、まだそこまで考えておりません。一応、予算措置で促進を図ろうと考えております。今回のこういう状況、事態もございましたから、今後、よりここへ設置したいというところもたくさん出てきてくれるのじゃないかな、こう期待もしております。  ただ今回、神戸の中央病院は屋上にヘリポートがあるのでございますが、電気がとまってしまったものですからエレベーターが動かなくなった、したがって結果的には機能できなかった、こういった状況もあるものですから、今度はヘリポートが屋上でいいのかどうかといったこともまた検討の課題の一つだ、こう考えておるところでございます。
  45. 東順治

    ○東(順)委員 ただいま言いました大阪市立総合医療センターの鵜飼先生という方からお話を聞いたのですけれども、この先生は当日、県立西宮病院に駆けつけた。それで、そこで救急医療に当たられたといいますが、本当にしみじみおっしゃっていました。ヘリコプターだったら十五分で大阪の病院まで連れていけるところが、救急車だったら、あの交通渋滞で五時間、六時間、七時間、その間に人はどんどん命を落とす、これは本当に切実な問題だ、こうおっしゃっておりました。したがって、総理もぜひ、このヘリコプターで患者を搬送するという問題は、私は予算措置の中でやはり考えていかなければいけないことだろうと思います、義務づけとして。  そして、ただいまもエレベーターが動かないから屋上まで患者を上げられなかったというお話をされましたけれども、これも、例えば病院の自家発電の力をきっちり充実させておけばできるというようなこともございますので、ともかく、先ほど言いました広域緊急医療システム等をきちっとつくる、そしていざというときに患者をどこへでも運んでいける、そういうルートというか、どこに運んでいけばいいのかというようなことまできちっと計画化して、そういう総合的に大震災に備えるというようなことが非常に大事だろうと思いますので、総理、ちょっと一言御感想をどうぞ。
  46. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今議員から、貴重な御意見をこの救急医療に関連して拝聴させていただきました。私も極めて大事なことだというふうに受けとめております。  それで、今お話し申し上げましたように、防災臨調といったようなものをこしらえて、そして防災計画全体の見直しを、この際専門家、国民の声等々も反映させながら確立する必要があるのではないかというふうに考えておりますけれども、これは、昨年の九月一日に、一都七県ですか八県ですか、非常に広範囲な形の中でいろいろな関係者が集まって共同の防災訓練を行っておる。  これももちろんもっと実践的なものにしていく必要があると私は思いますけれども、そういう訓練の際に、県単位、県単位でなくて、そういう広範な地域においてお互いに救急医療の協力をどのようにしていくかというようなことについても、仮に防災臨調が設けられれば、その中でも検討していかなければならぬ重要な課題だなというふうに私は今思ったわけであります。そういう体制というものに十分取り組んでいく必要があるということを今認識をいたしました。  同時に、これは義務づけてやるということにつきましてはいろいろまた問題もあるかと思いますけれども、可能な限り、そういう計画の中でどの程度のヘリコプターならヘリコプターの役割を果たせるのかというようなこともやはり想定して、そしてそれなりに必要な予算措置はして、地方自治体と連携をとり合いながら体制を完備をしていくということは大事なことだというふうに私も今認識をいたしております。
  47. 東順治

    ○東(順)委員 どのくらい必要かということを想定して、それに応じた必要な予算措置は大事だろう、この答弁、非常に大事な答弁であろうと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。  次に、多少細かくなりますけれども、この搬送の問題とは今度は切り離しまして、各病院の機能の問題をちょっと伺いたいと思います。  各病院の緊急のときの体制というものがどのような状況になっているかということで、私は手元に貴重な資料が実はあるわけでございます。これは、一九九二年の十一月に大阪府下、兵庫県下の病院に対して、「災害に対する備え」ということでアンケート調査をしておるのですね。これは回収数が二百六十五通ということでございました。  これによりますと、いろいろなアンケートがなされております。例えば、あなたの病院はいざというときの災害対応計画を立てていますか、これに対して、全く立てていませんというのが八三・四%なんですね。  それから、災害訓練の経験がございますか、これに対して、九一・三%が経験がありません。あるのは年二回の消防訓練のみです。消防訓練といっても半分気楽な気分で消火する、そういうことで、本当のそういう大震災等に備えるところの災害訓練をやっていないというのが九一・三%。  それから、備蓄の問題でございます。医薬品の備蓄ということに対して、これは公立病院、私立病院、両方聞いておるわけでございますけれども、医薬品の備蓄がございませんがやはり九一・三%なんです。  今度は、医療用材料の災害用の備蓄がありますか、これも、ありませんが九二・五%。非常食はどうですか、ありませんが八四・五%。  それから、医薬棚などが地震が起きたときにひっくり返らないように耐震の工夫というのですか、棚を取りっけたりくぎづけたりして、それをやっていますかということに対して、壁に固定するということは、これもまたほとんどやっていないという状況が出ています。  それで、十二時間以上の断水に耐えられる病院が全体の四分の一。都市ガスの供給が途絶えたときの給食能力、八〇%が給食は不可能ですということでございます。  そこで厚生大臣、結論こういう結論なんです。災害対応計画を持っています、救護班を編成しています、災害訓練の経験があります、これが全体二百六十五病院のうちで十病院。それから、医療品の備蓄がございます、医療用材料の備蓄があります、これも全体二百六十五病院のうち十病院。今言いました、災害対応計画あり、救護班編成あり、災害訓練の経験あり、医薬品備蓄あり、医療用材料備蓄あり、以上の五点を全部備えている病院が二百六十五病院中だった一病院です。これが現実です。  これは一九九二年に調査をしたということでございますけれども、その調査をなさった先生方の結論として、このように書かれておりました。この地域、つまり大阪府下、兵庫県下ですね、この地域の病院の災害準備体制は全く不十分である。長時間の停電、多数傷病者の同時来院に耐えられない。今日の保険医療制度下では経営に余裕なく、医薬品の在庫も極力減らしているのが現状です。何らかの施策的対応が必要です。これが結論として述べられておる。  こういうことをきちっと警鐘を鳴らして、何らかしなきゃいけないというその直後に、この大地震が起こっておるわけでございます。そして不幸にも、大地震、大災害が起こったときにこれは大変なことになるということを想像したとおりのことが実態として今回起こったわけでございまして、これは私は大変重大なことだろうというふうに思うわけでございます。  したがって、これは厚生大臣、一括してお答え願えれば結構ですが、今回、大地震でもう電話が一切使えなくなりましたね。この間、NHKのテレビなんかでも、ハンディーの携帯電話から一一九を入れたら、これは全部かからないんですってね、東京以外は、全国。要するにつながっていないのです、消防署に。そういうふうにNHKでも報道していました。私も発生当日、十七日、現地へ行って、十八日とずっと向こうにいましたけれども電話が全くつながりませんでした。  ということは、病院間の電話も全くつながらない、電話がつながらないから連携がとれないから、患者を搬送しようにもどこに持っていっていいかわからないというようなことが起こった。したがって、もうこの病院の電話というものがいざというときには回線が使えないということで、そしてまた交通渋滞で輸送手段もない、先ほどの話のようにヘリコプターも飛ばない、こういう状況の中で、病院に緊急無線というものをぜひ持たせなければいざというときに勝負にならないということがはっきりしたと思います。  この緊急無線の問題、それから先ほどずっとるる私が説明しました各病院に救急活動計画、そういうマニュアルを作成させる、災害訓練を義務づける、水、医薬品、医療用材料それから非常食、自家発電装置用燃料の最低備蓄量等々を義務づけるというようなことに対してどのような御所見をお持ちか、これを伺いたいと思います。
  48. 井出正一

    ○井出国務大臣 災害の際にも十分に機能できる医療体制の確立が何よりも必要だということを今回つくづく思い知ったわけでございます。  実はきょう大阪で、先ほど申し上げました厚生省の中にございます集団災害時における救急医療・救急搬送体制のあり方に関する研究班とそれから日本救急医学会の調査班との合同会議が開かれておりまして、今先生御指摘のような点につきましてもここで検討をしていただける、こう考えております。  厚生省も、あの当日、現地へいろいろな連絡をとりたかったのですが、なかなか通じなかったということは、私自身経験しておりますし、したがって、各医療機関同士の連携もとれなかったのは容易に想像がつくわけでございますから、こういった問題につきまして地域防災計画なんかにきちっと組み込む必要があるな、こう考えておるところでございます。
  49. 東順治

    ○東(順)委員 いや、それで、計画に組み込むということと、お尋ねしたのは、緊急無線を持つ、あるいはいざというときのための薬の備蓄だとか水の備蓄だとか、あるいは災害訓練を行うだとか、そういうことに対する義務づけはいかがですか。
  50. 井出正一

    ○井出国務大臣 義務づけまできょうの合同会議で検討になるかどうか、ちょっとまだ私もはっきり申し上げられませんが、そこらもまた協議をしていかなくちゃならぬ課題か、こう考えております。  それと、先ほど先生のお示しくださった調査結果、似たようなものを厚生省も持ってはおりますが、新しいところをまたいただけたら大変ありがたい、こう思っています。
  51. 東順治

    ○東(順)委員 一口に義務づけといっても、例えば災害訓練だとかあるいはいざというときの救護の計画だとか、そういったことは大変たやすくできるんでしょうが、薬品の備蓄とかそういうことはお金のかかる問題ですから、病院経営圧迫というようなこともいろいろありますし、現実的にはやはり難しいこともあるんだろうというふうに私は思うんです。したがって、例えばこの備蓄については、無理な病院の場合は自治体とかあるいは公立病院、ここらにまず備蓄をきちっと義務づける、これはできるんじゃないかと私は思うんです。  それで、新聞ですか、きのうでしたか、厚生省が、各都道府県で備蓄を制度化しているのはどのぐらいあるかというようなことがちょっと載っておりましたけれども、このことを含めて自治体あるいは公立病院等ではその義務づけが可能であるかどうか、これはいかがでしょう。
  52. 井出正一

    ○井出国務大臣 今回のこの状況に当たって、私どももいろいろ協議をしております。確かに大変流通が発展してきておるものですから、個々の医療機関、そんなにふだん置いておかなくても済むし、また置いておけば置いておくだけいろいろなお金がかかるといったことがございますから、やはりそういった意味では公的な医療機関に備蓄をきちっとしておかなくちゃいかぬかな、こんな話は今しておるところでございます。  実は今般、一定の備蓄体制を整えている自治体、例えば東京都とか静岡県とか、これは私の地元でございますが長野県もかつて群発地震が二十年ほど前にあったものですから、ここらの例を参考にしながら、各県における災害時の医薬品等の供給体制の再検討を促してまいりたい、こう考えておるところであります。
  53. 東順治

    ○東(順)委員 ぜひその点、義務化ということも含めて検討をよろしくお願いしたいと思います。  次は、各地域に災害が起こった場合の救急医療の指揮をとるコントロールセンター、これも非常に大事なものだと私は思います。例えばそれを各県に一カ所あるいは政令都市なら政令都市に一カ所というような何らかの地域を特定して、その中にコントロールセンターを日ごろからきちっと決めておくということ、そして一たん大災害が起こったときに、そこにさまざまな情報がきちっと集結して、そこから的確な指示が出る、そのもとに患者の搬送がどんどん行われる、医薬品の充足もどんどんそこから行われるというような、そういう指示系統ということを考えたときに、このコントロールセンターということは非常に大事になるだろうと私は思います。  例えば、ロスのあのノースリッジ地震が起こりました。そのときに、ロサンゼルス郡というのはどういうコントロールセンター体制をとっていたか。一つは、郡に緊急管理本部を置いた。これは医療専門のですね。郡に緊急管理本部を置く、そして同時に郡衛生局に緊急作戦センターを置いた、同時にこの郡衛生局に医療緊急センターを置いたということで、郡に三つのコントロールセンター、役割をそれぞれ持たせたところのコントロールセンターを置いているんですね。特に三番目に言いました衛生局の医療緊急センター、これは南カリフォルニア大学の医療センターの地下に設置した。だから、最初の緊急管理本部あるいは二番目の緊急作戦センター、これが機能しなくなっても最後の地下での緊急センターは機能できるというところまで、三段構えでやっておるわけですね。  それで、この仕事の内容として、患者の選別そして医者のチームの派遣、受け入れ病院の確保、患者の輸送等々を行っておるわけでございます。こういうことを日ごろからきちっと準備をしているから、あのノースリッジ、あれだけの大地震だったけれども、死者は実は六十一人で済んでいるんですね。こういう状況でございます。  したがって、このコントロールセンターということはどのようにお考えになっておるか、また、今回、神戸でコントロールセンターというのはどこだったのか、これを伺いたいと思います。
  54. 井出正一

    ○井出国務大臣 災害対策基本法に基づいて策定されております厚生省の厚生省防災業務計画というのがございますが、そこでは、被災都道府県の県庁が地域の司令塔としての役割を担うことを前提としておりまして、厚生省は、そういった場合、都道府県との連携をとって、全国的な立場から、人員あるいは物資等の支援を行うこととしておったわけでございます。  今回は、この厚生省防災業務計画に基づいて応急対応を図ったところではございますが、先生御承知のように、県、その司令塔である県庁そのもの、あるいは神戸市の市役所自体が大きな被害を受けてしまったわけでございまして、そのほか輸送、通信手段やライフライン等が重大な打撃を受け、御案内のような初期の医療を満足に提供できなかったという残念な結果に相なったわけでございます。そんな状況の中でも、県や市の保健所が、救護班の調整とかあるいは医薬品の配付等において重要な役割を果たしてくれたと承知をしておるわけでございます。  したがいまして、こうした状況を踏まえ、先ほど申し上げました研究班におきまして、医療活動の調整のあり方も含めて、救急搬送を行う消防庁さんとも相談しながら十分に検討していかなくちゃならぬ、こう考えておるところでございます。
  55. 東順治

    ○東(順)委員 私も現地に行ってまいりまして、県の精神何とかセンターですか、その県の中心になるところに行かせていただいて、あるいは保健所もずっと回らさせていただきまして、一生懸命にそれは対応されています。だけれども、その懸命の対応の中で、いみじくもその県のセンターの方がおっしゃっておられましたけれども、人員がやはり十五名しかいない、それで、やはりこういう大災害になったときに現実にはもうコントロール不能です、こうおっしゃっておられました。  したがって、やはり一段、二段、三段構えぐらいのコントロールセンターの体制を考えないと、県にここ一カ所ぽんと置いているからそれでいいんだということではやはり事足りないんだろうというふうに私は思いますので、そのことも踏まえて、ぜひきっちりとした御検討をお願いしたい、このように望むわけでございます。  さて、こういう緊急医療のやりとりをずっと総理、伺われて、まあ医療というのはその最初の三十六時間がもう最大のポイントだ、こう言われます。生命を救うための緊急医療のポイントというのは最初の三十六時間とがよく言われますが、そういうことから考えたら、この緊急医療体制というものがもうちょっと整備され、かつ自衛隊なんかの、自衛隊も大変緊急医療の能力を持っていますね、もう少し早く出ておけば、本当にとうとい人命が一人でも多く助かったのじゃないかというふうに私は思うんです。今までの厚生大臣と私のやりとりを伺って、どのような感想をお持ちか、一言だけお願いいたします。
  56. 村山富市

    村山内閣総理大臣 こういう災害時に、救急医療体制というものをどういうふうに完備していくか、これはいろんな角度からの指摘がございまして、私は、貴重な御意見として拝聴させていただきました。  私は、一番最初に思いましたのは、もう何よりもかによりも総力を挙げて人命救助に尽くしてほしい、こういう要請も各所にしてきたわけです。その人命救助をする中で、まあテレビで見れば、もう焼き放題に火災が起こっておるということもございましたので、消防庁の長官にも人命救助と消火にすべてを挙げて取り組んでほしい、責任はすべて持つ、何でもやってくれ、こういうお願いもしたところなんですけれども、今いろいろな角度からの御指摘もございましたように、救急医療体制というものは、全体として連携のとれた形でどのような事態にも対応できるような仕組みというものを、これは自衛隊も含めてしっかりやはりふだんからつくっておくことが大事だなというふうなことを痛感をしておるところです。  私は、先ほども申し上げましたように、そういう防災訓練を広域でチームをつくって行う場合に、当然そういう救急医療の対応というものもやはり行うべきではないかということを今感じているわけでありますけれども、例えば、水が切れたとかあるいは電気がとまったとかいう場合に、やはり自家発電ぐらいは持って、そして対応できるようなそういう仕組みというものもしっかり決めておく必要があるなということを痛感をいたしました。  総体的に、大きなブロックの中でどういう仕組みでもって協力体制ができるのかということについて、今いろいろな角度からの御指摘があった点も踏まえて、私は、やはり防災臨調というようなものをつくれば、その防災臨調の中で、御指摘のあったような点については自衛隊も含めて十分協力をし合える体制をつくっていくことが大事だなということを厳しく認識をさせていただきました。
  57. 東順治

    ○東(順)委員 ただいま総理答弁の中で、自衛隊も含めて防災臨調の中でとございました。これは非常に私は大事なことだろうというふうに思います。  返す返す残念なのは、もし自衛隊が早く初動の段階で出ておればということでございます。というのは、自衛隊がビッグレスキュー91という総合訓練をやっておられるのですね、九一年に北海道で。これは自衛隊の北部方面隊が救急医療支援訓練ということでやっておられるのです。その規模は、自衛隊札幌病院の医師、看護婦、衛生科隊員四百六十人を含む総勢三千三百人で、大変な規模の訓練ですよ。三千三百人。車両が一千両、ヘリコプターが四十五機、この規模でビッグレスキュー91訓練をやっておられる。  シナリオとして、北海道内で大規模災害発生をした。ビルが倒壊をした、道路が寸断されて電話が不通になったということがシナリオだ。つまり、都市型の大震災というものをやはり想定しているわけですね。ビル倒壊、電話が不通、道路が寸断された、そういう中で、三千三百人が出てどう救援活動をやるかというすばらしい救援訓練をやっておられるわけです。  これは志方さんという当時の北部方面総監が企画立案したというふうに言われておりましたけれども、自己完結型の総合的機能を持ち、常に即応態勢を維持している自衛隊が、いつどこにいかなる大災害発生してもこれに対応できることを証明しようとしてこの訓練を行ったというのです。これは、だから、いっどこでいかなる大災害発生してもということですから、この訓練が今回の神戸に生かされておれば、本当に大勢の人が救われた可能性があった、私はそのように思えてならないのです。  その機能は、まずヘリコプターをしっかり使っていますね。空中機動力を多く使った。CH47、このヘリコプターに救急医療具と十のベッドをセットして、これを救急ヘリというふうな形で訓練に使った。  そして二番目に、野外救急医療能力、つまり野外で手術が可能なその能力、これはよくいろいろなところで紹介されていますけれども、手術車と手術準備車をセットされた野外手術システム、これを三セットこの訓練で出した。これはすごく性能がいい手術の車ですよね。つまり、脳外科手術以外は全部手術できるというんですよ。これを三セット出した。  ヘリコプターも救急ヘリとして使った。そして、野外病院のベッド数二百床、これを出したという。そして、陸を伝って車ではなかなか行けないだろうからと想定して、ヘリコプターで上からどんどん人をおろして、そしてそこに野外病院を展開して、そこに手術セットまで三セットセットして、二百のベッドを置いて、それでやったというんですから、これはすばらしいことだ。こんなすばらしいことをやっていて、どうして今回生かされなかったのか、もう非常に僕は残念でならないのです、本当に。  したがって、この予算委員会でももう何度も何度も質問が出て、総理答弁をなさっておられます、この初動の緊急対応ということでございますけれども、私もこれはやはり聞かなきゃいけないんだろうなと思うんです。  それは、自治体から自衛隊に対して要請を出して、それで自衛隊が動くということでございますけれども総理、中央防災会議の会長という立場ですね。自治体の県知事さんあるいは市長さん、地方防災会議のこれはまた中心者。したがって、この中央防災会議会長としての総理が、当日、県知事なりあるいは神戸市長に、自衛隊に医療救援の要請を出せという電話なり指示なりをできなかったのかな、早い段階で。本当にそう私はつくづく思うのですが、これはどうでしょうか。
  58. 村山富市

    村山内閣総理大臣 自衛隊自体は、これはもう委員御案内のように、伊丹等につきましては要請のある以前から必要な出動はしているわけですね。そして、正式に知事から要請があったのは十時、こうなっているわけですが、被災現地の実態というものがある程度把握をされて、その実態に対応して必要な部隊が派遣されていく、こういうことになろうかと思うので、そういう意味における段取りというものに欠ける点があったのではないかと、今から思いますとそういう点は痛感をするわけです。  私も、自衛隊の今度の震災における動き状況を見ておりますと、医療班が派遣されましたのは十八日になっているわけですからね。それは、今お話もございましたように、そうした現地の実態が正確に把握をされて、それぞれ必要な役割を持った部隊が派遣をされておればもう少し何とかなったのかな、もう少し救助ができたのかなということを今お話を聞きながら痛感をさせられているわけであります。  これはやはり何といっても、そのときの状況を正確に可能な限り早く掌握できる、把握できる、そしてその把握された状況対応して必要なものは即時に派遣される、こういう体制をとっておくことが大事だなということを今痛感をさせられて、反省もいたしておるところでございます。
  59. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 まず、これは地方自治体の要請もおくれたということは委員のお話しされたとおりでありますが、野外病院を設置する場合は、ビッグレスキュー91と関連して話をいたしますと、北海道の場合は、市街地が形成されないで非常に地域が広く、町その他が点在している、そういう中において野外病院が必要である、こういう想定でなされておる。  ところが今回の場合は、近隣の地域にそれぞれ病院が、しかも完備された病院がたくさんあるわけでございますので、やはり野外病院を設置するというよりは、いかに搬送を早くするか、こういう点が判断をされたもの、こういうふうに考えておるわけでございますので、被災地の地域以外の病院に搬送することが適切な処置である、こういうふうに考えまして、野外病院よりは救護所という形で十三カ所設置しながらやったという点でございます。
  60. 東順治

    ○東(順)委員 立派な病院がたくさんあるからという、その病院がやられているわけですから、これはもうやはり根本認識の問題だと思うんです。  それで、実際に……(玉沢国務大臣「地域、地域、周りの地域に搬送する」と呼ぶ)大阪だとか――そうそう、そういうことですね。わかりました。それはそのとおりです。ただ、ここに、先ほど言いました野外手術システム、これは二セット神戸に出ましたね。ところが、自衛隊のこのシステムが出たのが一週間後の二十三日なんですね。これはやはり遅かったなという感じがもう絶対するわけでございます。  それで、先ほど自治体の要請が遅かったから自衛隊の出動も遅かったと、こうございましたけれども、早く自衛隊に要請を出しなさいという指示は、やはり官邸から自治体の県知事や市長にこれはできたはずなんです。きのうかおとついも何か質問でございましたけれども、「中央防災会議」ということで、「中央防災会議は、その所掌事務の遂行について、地方防災会議又は地方防災会議の協議会に対し、必要な勧告又は指示をすることができる。」と、こうございますね。  だから総理、この日の朝、総理が、死者が二百名ぐらいですよと言ったら、ええっと驚かれたというのが……(村山内閣総理大臣「正午、正午」と呼ぶ)正午ね、その前に、向こうの自治体には何らかの指示なり勧告なりなさいましたか。その十二時前後、それを聞かれてから。(村山内閣総理大臣「それはもう防衛庁長官を派遣しているんですから」と呼ぶ)いやいや、それを伺っているんです。  要するに、二百名ぐらいですと言ったら、ああっと驚かれた。これは大変なことですからね。例えば、その直後でも、防災会議会長として、現地の地方防災会議責任者である自治体の長に、これはもう自衛隊を早く要請しろ、あるいは要請したのか医療活動をというような、何らかの直接のアクション、電話なりなんなりを起こされましたか。――いや、総理総理に。あなた、総理じゃないでしょう。総理に伺っている。
  61. 村瀬興一

    村瀬政府委員 先日も申し上げましたように、一月十七日に、十時半に、非常災害対策本部設置いたしまして、その中で、行方不明者に対する捜索、救出それから被災者に対する適切な救済措置等、六項目を決定いたしております。したがいまして、この非常災害対策本部には関係省庁すべて入っておりまして、これに、今申し上げました事項に基づきまして、各関係省庁がしかるべき措置をとるということでございます。それで、私ども国土庁長官からも、この非常災害対策本部の席で、各省庁、しかるべきこの申し合わせに沿って、全力を挙げてやってほしいということを指示しております。  したがいまして、それぞれの担当省庁はこれに従って全力を挙げてやるということでございますので、改めて総理から特別の御指示がなくても全体が動くということでございます。
  62. 野中広務

    ○野中国務大臣 今防災局長からお答えがございましたけれども、当日、兵庫県は七時四十分に、自衛隊に対しまして、派遣要請をするような状況になるという、あらかじめの連絡をいたしております。神戸市もまた同様でございます。したがいまして、自衛隊はそれ以前にも偵察に出かけていただいておりますし、それを受けて態勢を整えていただいておるわけでございます。  けれども、都道府県知事がこれを要請いたしますにつきましては、どの地域にどの程度の被害があってどのような部隊を必要とするということを要請をしなければならないのでございまして、あの瓦れきの中から、それぞれ出てまいりました県庁あるいは市役所の職員、消防警察等を掌握しながら全体の被害を掌握して、正式に自衛隊に派遣要請をするに至ったのが午前十時であったということをぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  63. 東順治

    ○東(順)委員 再三にわたって、今回の危機管理総理の顔が見えなかったということがずっと指摘をされている。私も当日、十七日に現地へ行って、そして十八日の昼、凄惨な焼け跡に立ってしみじみ思ったのですが、本当に、最高責任者である総理、十七日当日、一日、御自身が、それはもう確かにいろんなシステムがございますけれども、御自分からもう心配の余りあちこち電話をかけたりあるいは確認をしたり、これはどうなっている、ああなっているといって、そういうほとばしるような自分の責任感からの行動というものが出ておれば、私はこのような批判は浴びなかったのだろうというふうに思うわけでございます。  したがって、ともかく十七日という一日、そして、一人でも多くの人命を助けるという執念にも似た思いでこの一日の動きがあればと思って、私はこういう質問をしておるわけでございます。  我が国の国民の生命財産の危機管理をする、その責任者は、私は、村山総理、あなた自身である、このように思う次第でございます。その意味で、この初動のおくれというものが今後絶対にないように、その決意というものを再びここで述べていただきたい。
  64. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今御指摘もございましたけれども、私は七時三十分に、先ほど来申し上げておりますように、秘書官を通じて第一報の状況について報告を受けました。七時四十分ぐらいに官房長官からも連絡がございまして、非常災害対策本部設置指示した、それはよかったということで、相談をし合いまして決めたわけです。  それで、十時に閣議がございましたので、その閣議非常災害対策本部設置を決めて、その前に、八時四十五分には、私はコメントを発表して、今度の災害に対する見解というものを述べております。そして、十時に非常災害対策本部設置をして、そして消防庁長官政府調査団を現地に派遣をさせまして、そして現地状況を集約をしてきた。  それで、たまたま三時ごろでしたか、消防庁長官から電話もございましたので、とりあえず人命救助と消火にもう全力を挙げて当たってほしい、やれることは何でもやってほしいということを要請したり、それから三党首が集まって、防衛庁やらあるいは消防庁やら等々の担当者を呼んで、現地状況をさらに正確に把握する、こういうふうな行動もとってきたわけでございますけれども、まあ結果的に言えば、これだけの被害者が出ているわけですし、これだけの大災害を生んでいるわけでありますから、もう少し早く情報が正確に把握できて、そして初動態勢にもっと機敏に対応できたらというこの反省は、もう皆さんから御指摘もいただいておりまするし、私自身は十分に痛いほど痛感をしておるところでございます。  それだけに、こういうことが二度と繰り返されないような危機管理体制というものをしっかりつくる必要があるということを痛感をして、直ちに官邸を中心にして二十四時間体制で収集ができるような、そういうとりあえずの完備だけはきちっとしておこうではないかということで、先般閣議決定もいただいて対応しておるという状況にございますので、何分御理解を賜りたいというふうに思います。
  65. 東順治

    ○東(順)委員 それで、ちょっと総理、一つだけつかぬことを伺いたいことがございます。  それは、総理、十七日当日、午後四時に記者会見をなさいましたね。私はこれ、新聞で存じておるわけでございますけれども、記者会見を午後四時になさっていますね、十七日当日。今なお救援を求めている人がおり、人命の救援にあらゆる手段を尽くし、万全を期したいという意味の記者会見だと思う。  私は、この記者会見は非常にやっぱり重要な記者会見なので、新聞であればやはり若干のニュアンスの違いがあったらまずいので、正確な内容を教えていただきたいということで、実はいろいろ問い合わせをしたのです、官邸を中心に。  それで、私の事務所から、まず、どういう内容か教えてくださいということで内閣参事官室というところに電話を入れたのです。だが、その記者会見の内容は置いていませんという答えだったのですね。ここには、内閣参事官室には記者会見の内容は置いていませんという答えだったのです、問い合わせたら。それで、では今までの記者会見の分は全部置いていないのですかと聞いたら、置いていません、それは官邸に聞いてくださいということだったのです。  それで、今度は総理官邸に伺いました。政務秘書官が出てこられました。それで、詳しい内容のものは置いていないので、報道室に聞いてください、こういうことでございました。  それで、今度は内閣の報道室に電話をかけ直す。記者会見ですから新聞を見てください、ここにはありませんと。では、どこに聞けばいいのですかと言うと、今度は、内閣参事官室に聞いてくださいと。堂々めぐりですよ。内閣参事官室に聞いてわからないと言うからそこに電話しているのですよということで、もう最終的には切ってしまったのです。  それで、非常に重大な記者会見と思ったのですが、その正確な内容というものはとうとう私のもとに入手できないまま終わってしまった。  それで、私は改めて聞くのですが、本当にこれ、一瞬声が出なかったのですね、こんなことが本当にあるのだろうかと。危機管理危機管理と言うのだけれども、一国の総理の記者会見での発言内容というようなものが、総理の周辺で、官邸中心にきちっと保管をされていない、内容が置かれていないということが現実にあり得るのだろうか。これはどういうことなのだろうか、事務方の怠慢なのだろうか、あるいは何なのだろうか。もし急遽外国から問い合わせが来たりしたら、どうそれに対して対応したりするのだろうか。  これはどうなのでしょうか、ちょっとお答え願います。
  66. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 通常、記者会見等の仕事は広報室で行っておりますので、いろいろなことがありましたら広報室にお問い合わせいただけばいいと思うのです。  通常、記者会見の記録というのは、これは国会における議事録なんかと違いまして、一応表向きはないということになっているのですね。これは、ないのがいいのか悪いのかという点はありますが、しかし、そういうことにはなっているのですね。しかし、お問い合わせがありましたら、もちろん我々としては責任を持ってきちんとしてありますので、お答えできることは言うまでもございません。
  67. 東順治

    ○東(順)委員 お答えいただけなかったから私、聞いているわけでございまして、建前としてないという建前である、しかし実際はあるということだったらそれで結構なのです。いずれにしても官邸にあるのですね。そうすると、あるのに答えてくれなかった、こういうことなのですね。
  68. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 広報室にお問い合わせになられたわけですか。(東(順)委員「いや、広報室じゃなくて……」と呼ぶ)私どもの方も日ごろ御連絡を十分にしておけばいいと思うのですが、広報室に御連絡を賜れば一番わかるのではないか。もちろん、もし必要でありましたら、私どもにお話しいただけばそれなりに対応させていただきたいと思います。
  69. 東順治

    ○東(順)委員 わかりました。  危機管理危機管理と声高に言われている割には、こういう足元のところが大丈夫なのかなということで、私は素朴にそういうふうに思ったものですから、意外と足元のこういうささいなところに真実が出るものですから今こういうことを聞かせていただいたわけでございまして……(発言する者あり)だれが聞いたのかということを言われるが、私の事務所から私の責任でもって聞かせているわけですから、それできちっとこういう答えをとっているわけでございますから。じゃ、それは私が問い合わせればもらえるということですか。それで代理者だったらもらえないということですか。その点はっきりさせてください。
  70. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 つまり、議事録的なものはございませんけれども、しかし、これはもう議員さんから、いつの会見で話があった内容がどういうことであったかということのお問い合わせがあれば、もちろんこれはお答えするにやぶさかでございません。
  71. 東順治

    ○東(順)委員 それでは先に進みます。  今現地で大変大きく心配されておりますこと、もうそれはさまざまございますが、その一つに心のケアの問題というものが大きく心配をされております。  時間の関係でさまざまな事例というのはここでは省きますけれども、実際、今回の大震災で大勢の皆さんが肉親を失われ、そしてまた御自身も深く深く傷つき、地震恐怖症というような言葉でしょうか、大変なショックを受けておられる。したがって、こういう今のいわば心の病といいますか、それに大勢の皆さんがかかられている。こうした実態、あるいはこれからこの問題に対してどのようにとらえていくべきか、どのように対処をしていくべきか、ここをまず総理と厚生大臣に伺いたいと思います。
  72. 井出正一

    ○井出国務大臣 大変精神的に被害者皆さんは大きなショックを受けられたわけでございまして、そういった意味では、むしろ当初よりはこれから心理の面のケアが大変必要になるということは私どもも承知をしておりまして、目下のところ、神戸市等の保健所に精神科救護所を設置したり、あるいは巡回診療を実施したり、さらには尼崎市の保健所の管内等では、地元の医師会の皆さん方の御協力もいただいて、協力診療所を確保しているところでもございます。さらに兵庫県の南部の方では、これまた保健所約二十カ所を拠点といたしまして、保健婦さんも動員し、現在各避難所を原則一日一回巡回し健康相談を行う体制を組んでいるところでございます。  さらに、子供さん方も大変な精神不安定な状況にあるのじゃないかということも考えられますものですから、児童やその保護者に対しては、各地の児童相談所の協力を得て、児童精神科医や心理判定員等の専門家により構成するチームをそれぞれの相談所等へ派遣をして、児童の精神的な安定を図るべく活動をしておるところでございます。  しかし、先ほども申し上げましたように、今後、よりこの問題は大事だという認識でございます、長期化すればするほど。したがいまして、被災住民に対しましては、これまで実施してまいりましたメンタルヘルスケアへの取り組みをさらに一層充実していく必要がございます。また、地元の医療機関も徐々に復興してこられておられますから、これらの医療機関あるいは保健所あるいは精神医療機関との連携も図っていただきながら、地域における精神保健対策への取り組み体制を整備していく必要があろう、こう考えております。
  73. 東順治

    ○東(順)委員 私がちょうど二月十三日に現地に行ったときに、現地のある臨床心理士の方がおっしゃっていましたが、ちょうど避難所に、灘区民ホールといいましたね、そこの避難所に行ったときに、あるお年寄りから、震災後私は一度も下着をかえていないんです、だからどうか下着を持ってきてくださいと言う。一月十七日発生ですから、行ったのは二月十三日ですから、一回もそれまで下着をかえていない。しかし、避難所には下着はどんどん届いていたでしょうと。確かにそうなんです、でも並ばなきゃもらえない、私は体が弱いから並べないのです、だから一回も下着を手にすることができませんでしたので、新しい下着をくださいというような話を聞きましたということを報告受けまして、いやこれは本当に大変なことだなと。  あるいはまた、御主人の御両親を二人亡くされて、そして最愛の我が子を二人亡くして、そのお母さんが、我が子、一番下の子供さんを助け出そうとして瓦れきを一生懸命のけようとするけれども、のからないで結局その瓦れきの下になって死んじゃった。たまたま手元にはさみがあったので、そのはさみで思わず我が子の髪を切って、その髪を懐に入れて逃げたお母さんだとかまあ、それはそれはもうそういう本当にかわいそうな話がいっぱいあるんですね。  それから考えていったときに、あの雲仙・普賢岳も、一年後も精神的支援が必要だったという方たちが五八%おられるということから考えれば、私は現地で精神科のお医者さんやあるいは臨床心理士の先生方にいろいろお話を聞きましたけれども、今回、PTSDというのですか、心の病、地震恐怖症、専門的に言えば心的外傷後ストレス障害というのですが、こういうふうなものにかかっていらっしゃる方がどのぐらいおられると推定しますかと複数のお医者さんや先生方に伺ったんだけれども、どなたも想像を超えて、推定はできません、こうおっしゃっていました。これは大変なことなんだなと本当に思います。  で、去年ノースリッジの地震直後に、私、向こうに行ったときに大変驚いた、ショックなこと、それは、もちろん住宅やあるいは食料や医療やあるいは職業ですね、さまざまな相談に乗っている、そういうシステムがきちっとできていました、避難センターで。しかし同時に、各避難所に十五名一チームで、心的ショックを受けた人たちに対してカウンセリングを中心にずっとやっていくチームができていました。そして、私が行ったときはもう震災後二カ月後ぐらいだったのですが、そのときで四万名近くの人がカウンセリングを受けておりました。ああ、こういうことも同時並行できちっとやはりやっているんだなということで、僕は大変な驚きを覚えて帰ってきたのです。  そして、今回の震災が起こったときに、真っ先に頭に浮かんだのは実はそれだったのです。これから本当にもう、あのロスどころの騒ぎじゃないわけですから、大変な大震災ですから、これは相当大勢の心的障害の方たちが出るぞ、それに対してどのように対応するのか、カウンセリングというのはどうなっているんだということが真っ先に私の頭の中を駆けめぐったわけでございます。  したがって、これからこういう人たち対応し、心の病をきちっと救っていくためのカウンセリング、特にまた日本とアメリカというのは風土が違いますので、日本はカウンセリングを受けるだとかいうことになってくると、何かもう特別な病気にかかったみたいな、どうしてもそういうふうな受け取り方になってしまうので、自分から心の病というのをなかなか表にあらわさない気質というものがある。それを超えてでもやはり今回はカウンセリングというものを中心にしたそういうものをやっていかなければ大変なことなんだろうというふうに思うわけでございます。したがって、こういうものが気楽に、しかも息長く続けていくことが大事だろう、そのように思うわけでございます。  この点につきまして、厚生大臣、いかがでしょう。
  74. 井出正一

    ○井出国務大臣 先生今御指摘くださったPTSD、心的外傷後ストレス障害というのでしょうか、私も今度初めてどんな病症なのかを、この間勉強したところであります。むしろ、こういう災害のあった後数週間から数カ月後に発生し、感情の動きの鈍化あるいは不安、憂うつ、あるいは不眠等の症状を呈するものである。これにはやはり適切な相談、治療を行うことが必要で、そういうものが適正にさえ行われれば大部分の症例では回復が期待できるものだ、こんなふうに承知しております。  そういう中で、まさにカウンセリングが大変大事になってくるわけでございますが、これまた今先生御指摘のように、欧米諸国とは異なり、我が国ではどうも気楽に心のカウンセリングを受ける習慣があるとは言えないわけでございまして、これまでも、相談所に行きにくい方々には、例えば巡回診療による対応とか電話による相談あるいはメンタルヘルスに関するパンフレットの配付など、できるだけ気楽に相談できるような環境づくりに努めているところではございます。  また、先ほど申し上げました地域の保健所に設置いたしました精神科救護所等によって相談の受け付けや巡回相談、あるいはまた最近は夜間の対応も行っておるという報告を受けておるわけでございますが、こういった問題につきまして、いわゆる精神科の先生方あるいはカウンセラーあるいはそれぞれの専門家の皆さん総動員でこれは当たらなくちゃならぬ大きな問題だ、そしてまた、ある意味では長期間にわたってやる覚悟がなくちゃだめだな、こんなふうに考えておるところであります。  地方自治体等とも連携をとりながら、一層の体制整備に努めてまいりたいと考えております。
  75. 東順治

    ○東(順)委員 それで、このロスのノースリッジのときは、クライシスカウンセリングという言葉があるぐらいですから、もうこれは伝統的な、災害の後の手当てということで伝統的なものになっている、クライシスカウンセリング。経費も三十億円これにかけている。そして人員も、カウンセラーを主体として大変な人員を投入している。一年間で百三十万人の人たちがこのカウンセリングを受けた、こういう事実があるようでございます。  このうちの一人の、日本人カウンセラーの松島義博さんという人が、ロサンゼルス郡の精神衛生局に今勤務されている方が今回神戸に来て、五日間ずっと避難所を回った。この人の率直な感想が、ロサンゼルスでは学校への配置を含めて全国から約二千人のカウンセラーを投入した、今回の阪神大震災の規模では最低五千人が必要だろう、こういうようなことも言われております。  そういうようなことで、私は、長期でかつかなりの体制をつくって当たらなければいけないのだろうと思います。今はもちろん、私も現地に行っていろいろお話を伺ったり保健所を回ってきたりして、もう必死になって保健婦さんや精神科の先生や各県からの応援の先生がやっておられます、ボランティアで。ところが、やはりもうどうしても人員が足りない。これからますます足らなくなるだろう。  ちょうど僕がある保健婦のお話を伺っていたときに物すごい電話がかかってきていましたよ、その部屋に、その保健婦さんあてに。精神的に追い込まれている人らしいのですが、一日五回、六回かかってくる。もう不安で不安てしょうがない。その電話の内容は、それはもうすごい内容ですよ。殺すぞとか、もうすごい電話がかかってくるのです。それをもうくたくたになりながら、丁寧に丁寧に電話対応しておられましたよ。もう疲労こんぱいです。  しかし、それは特定の、例えば精神病の方たちとか、そういう人たちを対象にして今動いておられるけれども、それがさらに、先ほど言いました地震恐怖症といいますか、そういう大変大勢の方たちを相手にしていくためには、どうしてもマンパワーをしっかり確保して、補充をしてやらなければいけないということが一つと、もう一つは、あの広い県ですから、今も大臣もおっしゃったように、気楽に相談に来れる場というものがやはりある程度なければ、なかなかこれは展開できないだろう。  それから考えたら、病院とか行ったらもう自分が病気だというような重たさもやはり出てくるでしょうから、もちろん投薬が必要な方もいらっしゃいます、そういう方は精神科のお医者さんにかかったりいろいろする、しかし、そこまでではない、カウンセリングやいろいろな励ましやそういったことで対応できる人たち、心の傷を少しでもいやせる人たちは、例えば地域の公民館とか老人の憩いの家とか、そういうだれでも気軽にはっと米やすいような場所、そういったところを選定して、およそ県内で二十五カ所あるいは三十カ所ぐらい拠点を設けまして、そこにそういう臨床心理士の先生だとかボランティアの方だとかそういう人たちに配置についていただいて、そこで受け入れてずうっとカウンセリングを行う、同時に今度はまた巡回のカウンセリングにも先ほど大臣がおっしゃったように出ていくというようなことが私は必要ではないだろうかこういうふうに思うんです。  そういうことから考えたらば、やはりこのマンパワーの確保、それから拠点の確保のための予算措置というものがこれは必要になるんだろう。それが今回の補正に入っているんだろうか、あるいは次の本予算はどうなんだろうかということでございます。これはいかがですか。
  76. 井出正一

    ○井出国務大臣 先生がおっしゃるように、マンパワーの確保はこれから大変大事だと思います。今それぞれの皆さん一生懸命やっていてくださいますし、またボランティアの皆さんが御協力いただいておることも承っております。さらに全国、例えば群馬県とか千葉県、富山県、福井県、長野県、静岡県、鳥取県、熊本県等の県の保健予防課からそういった専門家の皆さんをいつでも派遣するからという意味で待機をしていただいておる方もいらっしゃいますから、これも必要に応じて行っていただくつもりであります。  そこで、その予算なんでございますが、特に先ほど来出ておりますPTSD対策として特別な予算を二次補正やあるいは平成七年度本予算で計上してはおりません。しかしながら、既に計上しております、県の精神保健センターを中心とする心の健康づくり推進事業、七年度ではこれは九千八百万円でございます。さらに、保健所の地域活動を推進するための地域保健推進特別事業、これは四十二億円でございます。さらに、七年度からこれは新規につくったものでございますが、県や市町村が心の健康相談等を進めるための地域精神保健対策促進事業、これは八億円でございます。これらの予算の中で重点的な配分を行うことにより対応してまいりたい、こう考えております。  いずれにしましても、これから県の精神保健センターや保健所あるいは児童相談所等々を拠点として、地域の専門家等の協力を得て、適切なメンタルヘルス対策に努めてまいりたいと考えるところであります。
  77. 東順治

    ○東(順)委員 総理、今大臣から丁寧なお答えがございましたけれども、予算は計上しているけれども、それはやはり特定の病気、特に精神上の病気とかそういうどうしても限られた範囲の方たちが対象になっているという趣がある。しかし、このPTSDというのは、その水面下のもう本当に幅広いそういう人たちが病んでいる心の傷、これを治すということでございますので、私は、そのことから考えたらば、今の予算ではとてもじゃないけれども対応できないだろう。  先ほども言いましたように、アメリカでは三十億かけているわけでございますから。日本の実情に合わせてそういう人たちに、ロスのこの方が言われるように一気に五千人のマンパワーなんというのはそれは無理でしょうから、例えば二百人でも二百五十人でもそういう人たちを投入して、そして拠点も、公民館とかそういう公立の拠点をお借りしてできるだけ安上がりにしてというようなことでずうっと切り詰めていって考えたとしても、私は今の予算ではとても足らないだろうと。  したがって、PTSDの対策予算としてぜひこれから計上していくように私は考えるべきだろう、こういうように思います。そのぐらいやはり深刻なこの地震の二次災害だろうと私は思います。心の災害、外側の復興はできても心の復興ができなかったらばこれは本当の復興とは言えない、そういうふうに思う次第でございます。したがって、ぜひ予算化というところまで幅広にこれは御検討して考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  78. 野中広務

    ○野中国務大臣 委員から今いろいろな局面にわたりましてきめ細やかな御指摘をいただいたわけでございます。  地震発生以来、ちょうど一月二十五日に私は大阪で、中国そして四国、近畿、それぞれ知事並びに政令指定都市の二十五の関係の皆さん方にお集まりをいただき、そしてお願いをいたしまして以来、各府県からそれぞれ多くの支援をいただき、あるいは公営住宅あるいは公営施設等の収容の申し出もいただき、中部ブロックも参画をしていただいて現地に事務所を設置いただき、その他の府県からも多数の応援をいただいて今やっていただき、あるいは全国からボランティアの皆さんの活動もいただいておるわけでございます。  けれども、これもまた日がたつに従って、委員御指摘のように非常に深刻さを加え、限度もやってくると考えておりますので、これから四月の新しい年度からは、それぞれ全国からの、また近隣を主体にしながら職員の派遣を、一般事務はもちろんのこと、保健婦あるいは今おっしゃったようなそれぞれケアできる人たちの応援をいただかなければ、兵庫県及び関係被災都市だけで対応できるものではないわけでございますので、この方策につきましては現在鋭意打ち合わせ中でございまして、第一には、三月末までは、それぞれの府県が支援していただいたものの財政措置は、自治省におきまして特別交付税において措置をいたします。  今後、四月一日以降は、それぞれ派遣された職員が、その県なり市町村の職員の身分と、そして兵庫県の県庁あるいは市役所の職員の身分を両方を持ちながら、これは今度はそれぞれ被災地域の県、市町村の職員としての身分で行っていく上での人件費を扱っていく交付税の基準財政需要額あるいは特別交付税の措置をいたしまして、財政的には十分の対応をいたしますので、ぜひ支援をいただきたいということをお願いをしておるわけでございます。  けれども、御承知のように、近隣で公営住宅を設けたり一般の収容施設をいたしましても、どうしても多くの皆さんに来ていただくことができません。それはもうさまざまな理由があります。そして、老人や幼児でも、温泉でも行ってください、経費を見ますと言っておりますけれども、なかなかそれができないという状況兵庫県の今度の震災には極端に残っておる、その人たちの深刻さもまたあるわけでございますので、そういう重要性を十分踏まえて対応をしてまいりたいと考えております。
  79. 東順治

    ○東(順)委員 自治大臣、ちょっと後で伺おうと思ったことを今お答えになったみたいですが、ちょっと今、私全然違う質問だったのです。済みません、また改めて聞かせていただかなくちゃいけない。どうも先取りされてしまいました。  それで、総理に、今言いました心のケアの問題で、予算計上ということをぜひ視野に入れてくださいというお尋ねを今したのです。というのは、例えば臨床心理士会の皆さんなんかでも、私たちは百五十人ぐらいだったらマンパワー確保できますよ、用意ありますよ、こうおっしゃっているのですね。  それで、ずっとお話を聞くと、全国で四千五百人おられて、京阪神で八百五十九人いらっしゃる。そのうち行政に携わっている方が約二百人いらっしゃる。こういう人たちは柔軟に、この阪神大震災の傷跡がいえるまでこちらでもって仕事をしなさいというような、そういう弾力的な対応もできるのでしょうし、そうやってボランティアで一生懸命やっている臨床心理士会の皆さんなんかがこれだけの人たち準備する用意がありますよというようなこともおっしゃっておるわけでございますので、しっかりそれを後押しする意味でも、もう一度ちょっと伺います。その予算計上ということはいかがでしょうか。
  80. 村山富市

    村山内閣総理大臣 あれだけの衝撃を受けたわけですから、心に与えられた影響というものも大変大きいものが私はあると思います。現に私のところに、小学生やら中学生やら等々がその当時のことを想起して書いた作文なんかも寄せてもらっておりますけれども、本当に取り返しのつかないような心の傷を持って、何かあったら絶えず動揺するといったような状況についても私もよく承知をいたしているつもりであります。  それだけに、心のケアという対策というものは大変大事だというふうに思いますが、先ほど来厚生大臣からも、いろいろな手を尽くして今努力をいたしておりますという説明もありましたけれども、実態に即応して必要な対応はしていかなきゃならぬというふうに思っていますから、そういう立場で検討させていただきたいというふうに思います。
  81. 東順治

    ○東(順)委員 実態に即応して予算化が必要であればする、こういうふうに解釈してよろしいですね。(村山内閣総理大臣「検討させていただきます」と呼ぶ)はい、わかりました。  それでは、自治大臣、済みません、最後の質問で。伺いたかったのは、公営住宅の、県外にずっと入居なさっている人たちに対する対応でございます。  それで現在、伺いますと、神戸に、中国、四国、近畿、中部ブロック担当の救援対策本部というのがテントでもって設置されていると伺いました。これは兵庫県外に出ていく、中でも中国地方、四国地方、近畿、中部に出ていく人たちのためのサービスの窓口として、いろいろな相談に乗ったりする窓口として置かれている、こういうふうに伺ったのですが、私は、これを全国的にもっと広げられないだろうかという質問なんです。  というのは、関西から離れて遠くへ行けば行くほど、あるいは九州とか東北とか、そうなってくればくるほど、やはり住環境の違いだ、あるいは仕事の不安だ、そういうものがいろいろ想起されてくるわけで、そういうことから考えますと、県外の各都道府県が、自治体がしっかり公営住宅を用意されているけれども、現状では受け入れ可能戸数が全国で一万七千七百四十四戸、そして、現在の入居済みあるいは入居決定戸数の合計が五千二百八十六、三〇%ということでございます。  それで、仮設住宅もなかなか思うように進まない。仮設もどんどん精力的に進めていくけれども、同時に安心をして県外に入居をしていただく、せっかくそこを提供していただくのだから、ということから考えますと、やはりその該当する自治体から職員の方たちか何か兵庫に来ていただいて、そこでもってその自治体の相談窓口を開いていただいて、そこでさまざまな相談に乗るというサービスをぜひやられたらいかがだろうか。  私は北九州市に住んでいます。北九州市からは実際に職員の人たちがボランティアで二十人、三十人とずっとおいでになっています。ところが、こういう窓口というのはない。ところが、北九州には行きたいけれどもよくわからない、そういう被災者の方もいらっしゃるわけで、そういう方たちのためにこういう窓口を、この中国、四国、近畿、中部からもっと広げてやられたらいかがか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  82. 野中広務

    ○野中国務大臣 現在、今御指摘いただきましたように四ブロックの現地本部を、それぞれ県庁職員の皆さんが来ていただいて熱心に相談にかかわっていただき、あるいは入居あるいは入所等の取り扱いその他の、各府県への転出についてきめ細やかな相談をいただいております。  委員から今御指摘ございましたように、他の府県からはどうだということでございますけれども、日を追って相談が少なくなっていくということと、それからもう一つは、全国から我が方にこういう施設があるということを言ってくださる方については、消防庁が現地に同じ、隣で事務所を、現地対策本部を持っております。そしてもう一方、現地調整本部を持ちまして、県庁における現地対策本部、これには各省それぞれ入ってやっておりますけれども現地の各府県のニーズに合うようなそういう、委員が今御指摘になったような相談は、現地の四ブロックのブロックのテントの前に現地対策本部を置きまして、そしてそこで調整をして各府県との連絡に当たるようにしておるわけでございます。各府県からそれぞれお越しいただいて、そこで調整をして、私の方との連絡をやっていただいております。  現に福岡県におきましても、受け入れ可能戸数を千百二ログいただいたわけでございますけれども、百八十二戸の受け付けの戸数に対しまして入居決定をいたしましたのは百四十三でございまして、他の府県に比べましては福岡には比較的多くの方が行っていただいた。  これは、全部東京から出かけております、ほとんど一カ月帰っておりません、この人たちによりまして全部各府県の対応をさせていただいておるところでございますので、今全部の各府県にはお願い申し上げ、あるいは政令指定都市にお願い申し上げるのは、むしろ困っておる、さっき申し上げましたような市あるいは県の職員の派遣、あるいは先ほど申し上げましたきめ細かなケアをやっていく、そういう専門職を、あるいは建設その他の専門職を、職員派遣をすることを全国的には幅広く広げていかなくてはならないということで、先ほど申し上げたわけでございます。
  83. 東順治

    ○東(順)委員 私の住む北九州市なんかは、市営住宅二百戸、民間住宅十戸、県営住宅六十戸はどうぞ来てくださいという体制をしいていまして、地元もボランティアで物すごい盛り上がっていて、ある団体なんかは、もう五千人ぐらいの人たちが、これらに来る人たちの冷蔵庫とか流し台とか食器とか、調味料とか、おふる場のいろいろな用品だとかテレビだとかもういろいろ持ち寄って、温かく温かく、とにかく皆さんが不自由ないようにという大変な盛り上がりなんです。  その方たちがおっしゃるには、もう少し北九州市の生活事情とか移り住む先の生活事情みたいのを細かくよくわかった市の職員の方が現地に行って説明してくれれば、もっと皆さん来やすいんじゃないだろうか、こういう声が非常に強いので、ぜひこのことも御一考いただきたい、こう思う次第でございます。  以上で終わります。
  84. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて東君の質疑は終了いたしました。  次に、穀田恵二君。
  85. 穀田恵二

    穀田委員 日本共産党の穀田です。  私は、補正予算に関連いたしまして、避難されている方々の現実の生活をどう改善するかということと、それから仮設住宅の問題について何度もお聞きしたものですから、そのことを中心にきょうはお聞きしたいと思います。  きのうも、厚生大臣は本会議答弁の中で、避難所における食事の改善問題について二月の十三日と二十一日に改善の指示を出したというふうに答えておられました。私は、問題は、本当にそのとおりに進むのかどうか、今度こそ実効あるものとしなければならないというふうに思っているんです。  私は、具体的にちょっと調べてみたんですね。二月の十三日に最初に指示を出した、その後どうだったかということで、私、二月の十七日神戸市の中央区の五つの避難所を調べてみました。それでいきますと、A小学校では、朝が菓子パン、牛乳各一個、昼はなし、夕方はお握り弁当。B小学校では、朝がパンと牛乳、昼はなし、夜はお握り弁当。C学園では、菓子パンが二個または食パン三枚、それにジュースか牛乳、夜はおこわ弁当だった。D学園では、朝パン一袋、昼はなし、夜はおにぎり二個。  こういう現状が、第一回目の指示が出されてから相変わらず進んでいない。そこで二十一日になって改めて指示を出したと思うんですが、今度ばかりは、こういう具体的な指示を出したが改善が図られないということでは済まないと思うんですね。ですから、具体的にだれにどういう指示を出して、今度は本当に大丈夫なのかということについてまずお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  86. 井出正一

    ○井出国務大臣 二月の十三日及び二十一日に、兵庫県を通じて各市町において、一日三食の給与あるいは温かい食事の確保や栄養バランスの面に配慮した献立など、的確な食事の提供が行われるよう重ねて要請したところでありますが、今先生お話しのように、第一回目を出したのでありますが、必ずしも徹底していないような感じがいたしました。そこで、二十一日に実はこういう要請をいたしました。     災害救助法に基づく食事給与事業の実態把握について(依頼)  早速でございますが、災害救助法に基づく食事給与事業の内容について、新聞等マスコミにより由々しき状況であることが報道されており、国会等における論議の中心となっております。  本件につきましては、先般、管下関係市町の各避難所ごとの食事給与の実態把握をお願いしたところであります。  今後、食事給与事業の充実は、避難されている方々の健康の維持に不可欠であり、一日三食の給食、温かい食事の確保、栄養面に配慮した献立等を実施していくためには、個々の避難所の実態を踏まえ、ボランティアによる炊き出しや、既存の給食設備の活用等を含めて、幅広な検討が必要と思われます。  つきましては、次の点について、早急に実情を把握し報告されますようお願い申し上げます。  そこで、各市町で、一日何食分が用意されて、一日当たりの単価は幾らか、三食用意されているのかどうか。温かい食事は用意されているか。献立は、だれが、どのように決めているのか。現状の献立、サンプル調査でこれは結構。炊事は可能か、規模、個数。電子レンジ、湯沸かしなどの設備はあるか。各市町の業者への委託契約の内容、こういったものについて回答を寄せてくれることを要請してありまして、回答は来週にはいただける、全部そろうと考えております。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 穀田恵二

    穀田委員 その説明は私は、指示文書については依頼という形で出している、それは知っているのです。だから聞いているんです。問題は、それが行われるのかということを私は聞いているんですよ。ちゃんと聞いてほしいんですね。  といいますのは、私がなぜこれほどまでに何度もこれを言っているかといいますと、大臣も避難所生活はもう限界だと何回も、総理大臣も言っているんですよ。現実はそうなっていずに、食事が改善されていない。そこでこんなことを出さざるを得ない。ところが、この指示が出されたのが二十一日です。私、また調べたのです、ほんまかいなということで。そうすると、二十二日でどうかということで見ますと、例えば尼崎などでは、こういうパックの、御飯があってそこにおかずが乗っているという、聞いてみますと、夜で三百円の弁当だというのですね。そういう実態だというのです。それで、きのうどうかとまた聞いてみたのですけれども、これはさすがに若干改善されていまして、ハンバーグと焼きシューマイ二個、ソーセージ、煮豆十個、それから肉を炊いたもの一切れ、みそ汁のもと、こういうふうなことだそうですよ。  この実態をやはりよく知っていただいて、そういうふうなことによって――業者によっては若干の違いはそれはあるでしょう。だけれども、本当にこういう改善がされずに、きのう聞きますと、芦屋でも市長がようやく、まあ八百五十円と今までいろいろ言っていたけれども千円ぐらいにしようかなという話なんですよ。私は、一日八百五十円じゃこれはどうしようもないよと。だから、厚生省の担当官に聞いてみると、一食千円とはいかないけれども、せめて、一日でいうと、決められた八百五十円という中身はあるけれども、倍ぐらいにはしてもらっていいんだということを言っているんだが、なかなかそう伝わらない、こう言うんですよ。伝わらないで済むんだろうか、一体総理はそういう実態についてとことんまで知っているんだろうかというふうに私は思うのですが、いかがですか。
  88. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先生は、もう現地で具体的に実情をよく把握しておいでになりますから申し上げますが、今厚生大臣にいろいろ説明をいただきました。私も先生と同じようにお伺いし、かつまた、この起案当時からずっと一緒に対応してまいっておるつもりでございますが、多少厚生大臣は遠慮をしながら私は説明なさったと思いますね。  例えば十二日の文書にいたしましても、あるいは二十一日の文書にいたしましても、先生が今指摘するような項目を具体的に書いてあるんですね。そして各市町、県知事は現場を検証しなさい、食事はどうですか、カロリーはどうですか、あるいは防寒対策はどうですかと具体的に指示して、その結果を報告しなさい、なおかつ、先ほどはおっしゃいませんでしたけれども、それらのこと等に関する経費についても遠慮なく申し出てきなさいよということをうたってあるんですよ、はっきり申し上げますと。先生はその文書をごらんになったかと思うのでございますが、今読んでもよろしゅうございますけれども……(穀田委員「わかっている」と呼ぶ)読まない。  そういうことは書いて、あえてそういうこともしてありますし、さらに私の方からも、現地対策本部を通じまして具体的に各避難所を点検もさせております。それは例えば、十三日もいたしますし、二十二日でございましたか点検もするし、今でも点検をさせております。特に十二日のごときは、二人ずつ、二十二カ所をピックアップをして、そして具体的に点検をしなさい、こういうふうにやっておるのでございます。決して十分であるとは言わないけれども、先生のおっしゃるような暗いイメージの側面だけは出てきていない、これはひとつ御理解をいただきたい。  それから、先生に何にも僕は反発して申し上げるわけじゃないのでありますが、そういう具体的な箇所があれば、ぜひひとつ私どもに具体的に御指示いただけば緊急に努力をいたしますから、その旨も申し添えさせていただきます。
  89. 穀田恵二

    穀田委員 先ほどの話でありましたけれども、例えば、それは自治体の仕事だよという話がありましたね。私は、問題はそこだと思うんですよ。そういう指示は幾らも出している。私は持っていますよ、二つとも指示を。だけれども現実はなかなか、例えば市長でさえ千円ぐらいにしないといかぬかなというような話で現実はおる段階にあるということも承知してほしいんですよ。  それで私は、なぜそんなことを言っているのかというと、なぜそういうふうに繰り返し繰り返しそんなことが起きているかといいますと、行ってみたんですけれども、こういう文書が出ているんですね。「災害救助事務の手引」というのが実際現地で出ているんですよ。  その中に「救助に要する経費に係る留意事項」と、またわざわざ銘打ってあって、その中に「定められた基準(一般基準)以外のことを行った場合には、その費用については当該市町の負担となるので充分な注意が必要である。」と、わざわざこう書いて、こういう立場でやれ、こう言っているものだから、現実は、二十一日の文書が出された以後も県の手引にあるこの一般基準の枠内という考えに縛られて、どんなことを言っているかというと、例えばある市では、最終的な負担をどこが負うのかを含めて国や県に確認しなければならないと、相変わらずこんなことまで県当局者や市当局者が言っていることがあるから私は何回も言っているんですよ。  個別の、あるところはこうだ、こうだじゃなくて、そういう県や市がやはり遠慮してやっていることがあるから、もう一度きちんとそういうことについて、言うならば改善の具体的実が上がるまで最後まで、一つ一つの問題だけと違って、県や布やそういったところは、そういうふうな判断でやっていることについての是正を図ってくださいよとわざわざ言っているんですよね。
  90. 井出正一

    ○井出国務大臣 私どももそれなりに現状を把握しておるつもりであります。二月の十一日時点、それぞれの市の報告をいただいております。  例えば、神戸市はこのとき八百五十円でございました。しかし、西宮は九百円、芦屋は八百五十円、尼崎三百七十五円、伊丹四百円、宝塚六百五十円、川西市千五百円、千五百円ですよ、明石四百五十円、三木千三百円、淡路の方が五百円。これは、援護物資も含まれているものですから、これだけ差があることも事実のようでございます。  そして二月の二十二日、神戸と西宮と芦屋の方から御報告をいただいておりまして、ちょっとそれを申し上げます。
  91. 穀田恵二

    穀田委員 いやいや、もうそれはいいんです。違うんですよ。話の焦点をわかってください。
  92. 佐藤観樹

    佐藤委員長 井出厚生大臣穀田委員の御質問に直接に答えてください。
  93. 井出正一

    ○井出国務大臣 はい。神戸市は平均八百五十円です。西宮は五百十七円から六百六円だそうですが、これは栄養士さんが献立を決めて購入されている。それから、芦屋市はこの時点でまだ八百五十円だったという、メニューもみんなついておりますが、報告を受けておることを申し上げておきます。
  94. 穀田恵二

    穀田委員 私が言っているのは、個別の話はもうわかっているわけだし、そんなこと言ってないですよ。これだけの事実が、個別の小さいところは、話と違って相変わらず県や市のところにもそういう遠慮がありますよと。  だから私は、じゃ、補正予算の関係で言いますけれども、第二次補正でも食事代について、やはり八百五十円と言われる一般基準の単価を上回るそういう改善が出されているんですか、計上しているんですか。私は、していないから、そういうことを言っているんですよ。本当にそこのところの現実を改善してほしいということをもう一度言っておきたいと思うのです。  それともう一つ……(井出国務大臣委員長」と呼ぶ)もういいです。それはいいです。ですから、そういうことだということです。  二つ目に、もう時間もありませんから、避難所生活の改善を行いつつ、きのうあらゆる意味で限界だというお話を総理はされていました。私は、その避難所生活自体を解消することに政治の全力を傾注することは本当に急務だと思うのですね。  そこで、仮設住宅の問題なんですが、私は何度も調べたのですが、二次補正でやはり四万戸の建設しか計上されていない。それで、どうしてそれで私は最善と言えるのかなと思うのです。一月二十六日、私がここで質問したときに総理は、私が十万戸ぐらいと言ったときに、担当大臣も含めてですけれども、その希望に合うようにということをお話ありました。それで、兵庫県知事もそういう要望に合うように、それからその後何度も何度も担当大臣などは、言っていただければプラス二万でも一方でも、こういう話がありました。  そこで私は、じゃ、今回の補正予算での財源的裏づけは一体どうなのか、そこはどうなのかということについてお聞きしたいと思うのです。
  95. 小里貞利

    ○小里国務大臣 四万戸のプラスかさ上げにつきましては、財政責任を含めましてきちんと言明を申し上げておるところでございます。
  96. 井出正一

    ○井出国務大臣 簡単に申し上げます。  八百五十円の件ですが、第二次補正予算には計上してありません。これは、現時点においてそのような要請が来ていないからでありますが、しかし、これから市町から出てきた場合にはもちろんそれに応ずるつもりでございますし、実績単価が算定できる。ようになった段階で十分対応できるというつもりでおりますから、改めて申し上げておきます。
  97. 穀田恵二

    穀田委員 もう改めて私が言う必要ないと思うのですけれども、建設戸数について言うならば、やはり四万戸しか示されない、その後財政責任を必ずとりますよ、こうおっしゃるんだが、この件で言いますと、例えば二月二十一日、同じ日付で、先ほどの文書ではないですけれども、担当大臣は「応急仮設住宅の供給について」というぺーパーを出していますね。その中にこういう文言がございます。「地元民間企業に用地確保を依頼中」ということになっています。そこで、どう考えても三万戸プラス一万戸、こういう数字ですよね。三万戸発注しているんですよ。残る一万戸は発注したのですか。
  98. 小里貞利

    ○小里国務大臣 あとの一万戸の分については、発注契約をするにつきましても、御承知のとおり、その土地の問題あるいはまた業者の問題もろもろ、公的な契約をするわけでございますから、準備が必要でございます。なかんずく、土地の準備が特に要請であろうと思う次第です。もう既にその一万戸分の必要な土地につきましては作業に入っております。
  99. 穀田恵二

    穀田委員 では、端的に聞きます。二つだけ聞きます。  土地の問題については、私は大事だと思うんですね。これは、地元民間企業に用地を確保依頼と言っているわけですから、私は実際やっている担当者の方々からすれば、民間に依頼したときに、では、その金はどうするんだ、借り上げの金はどうするんだということについて出てくると思うんですね。だから、それについても国が責任を持ちますよ、オーケーですよということを言えるのかどうかについて、一つ聞きたい。  もう一つは、四万戸の根拠って一体何だろうかなと、この間いろいろお聞きしているんですが、私は需要がもう少しふえるんじゃないか、そういうことも含めて、どうも一度もこれ根拠を聞いたことがないので聞いておきたいと思います。
  100. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先生御心配いただいておりまするのは、一万戸分の土地の面積、土地の用意そのことであろうと思うのでございますが、住宅・都市整備公団、もう既に十五ヘクタールを準備をいただきました。大体これが概算で申し上げまして二千戸分だろうと思います。  あと八千戸分はどうするか、ここであろうと思うのでございますが、これは県市におきましても準備をもちろんのことなさっておられますが、さきに申し上げておりました私ども国有地を提供分、百八十ヘクタールございました。この中の六十ヘクタール分はさきの三万戸に使っておりますから、あと百二十ヘクタール分ございます。しかも、この百二十ヘクタール分は兵庫県内域でございますが、できるだけ罹災者の皆さんの住所に近いところをと、こういうような一つの基準でいきましても、あと大体六十ヘクタールぐらい必要であろうかと思われるわけでございますから、その国有地分にいたしましても倍相当ある。  そのほかに、先ほど申し上げました県市の準備の土地もございますし、さらにまた先生お話しの、民間企業等から若干その辺も提供される用意もあります。もう若干どころでなくて、民間の土地も私のところに入ってきておる分だけでも相当分ありますけれども、なかなか距離が遠い。二十キロ、三十キロありますよ、都心部から。そういうような状況もあることも私どもは一応考慮に入れなければならぬと思います。  それから、三万戸を四万戸にふやしたその根拠、あるいはこれからのかさ上げのお話であろうかと思うのでございますが、これは御承知のとおり、県市が責任を持って設置をする話でございますから、関係市町の意見、要望を県の立場におきましてまとめまして、そして県の責任窓口におきまして私どもとしばしば協議をいたしております。実は、昨夜も総理官邸で貝原知事さんとお会いいた しましたが、四万戸の数字はどうですかということもお尋ね申し上げたくらいでございます。
  101. 穀田恵二

    穀田委員 私が尋ねているのは、大体土地の話の公有地の話はわかるのですが、現実で市当局、県当局の話を聞きますと、やはり公有地で見るならば、近くのところでいうと、やはり満杯だと。したがって、民間の土地をどうしてもやろうと思えば手当てが要る、その金はどうなるかということが非常にやはり現実問題心配です。そのことについて可能かどうかということをお聞きしたのです。それが一つ。  それともう一つ、時間がありませんから。私はきのうの新聞を見ていますと、やはり一部では仮設住宅の入居者を所得制限を課して入居を制限するというような、希望者を抑えようなんという動きさえ発生している向きがあります。けしからぬと思うんですね。  同時に、新聞では、当初外観だけで判定していた家屋被害について、屋内の再調査を実施したところ、明石では全壊と認定された戸数が当初の十倍、さらに伊丹では当初の四倍で、半壊は十三倍以上というふうになって、それぞれ被害の実態からいって入居希望者数がこれからもふえる可能性があるわけなんですね。そういったものに見合った形をやる。  知事は、この前の発言、私聞いていますと、新しい申し込みを含めて今からでもいいですよ、最後の一人まで責任を負うのかと言ったら、最後の一人まで責任を負うという話をしていました。そういうことについて、大臣としてもそういうことなんだよと、最後の一人まで責任を負うよということだけ、最後、二つだけお願いしたい。
  102. 小里貞利

    ○小里国務大臣 御心配いただいておりますだけに、先生のところにはいろいろ部分的な情報もお入りだろうと思います。しかしながら、仮設住宅の入居の条件等、さようなことは一切ございませんから、ひとつ御安心いただきたいと思います。  なおまた、四万戸プラスかさ上げのお話でございましょうか、再度確認をなさったのは。それであれば、これは兵庫県知事が御言明なさったとおり、私どもは、あの当時も御報告申し上げましたように、対策本部長である総理大臣の御指示も含めましてきちんと御返事を申し上げておりますから、私は責任をとります。
  103. 穀田恵二

    穀田委員 民間からの借り上げ費用は大丈夫ですか。出しますか、民間の土地の借り上げ費用。
  104. 小里貞利

    ○小里国務大臣 民間の借り上げ費用……。
  105. 穀田恵二

    穀田委員 土地代は出すのですね。
  106. 小里貞利

    ○小里国務大臣 それは、その方向です。
  107. 穀田恵二

    穀田委員 わかりました。先ほどそんな事実があってはならないということを言いましたけれども、一部の事実としてそれは新聞にも書かれていることですから、私が個別に入手したのじゃなくて、非常に重大な問題として注目をしているわけです。  さて、私は、最後に言いたいのは、この補正予算だけで実際の対策を打つということにはどうしてもなかなかならぬと思うのです。地震が起きてから、これで一カ月以上もたっているわけです。震災対策が盛り込まれていない本予算を、きのうも何度も、最善の予算、こういうふうに言っていることにつきまして、私は手直しの手を打ってこなかったことは極めて重大だと思うんです。第二次補正というのは当然だと思うんですけれども、震災対策でのいよいよの本予算での組み替えが必要なんじゃないかということを私思うんですが、いかがでしょうか。
  108. 武村正義

    ○武村国務大臣 もうきのう、衆参共産党の議員さんの質問にもお答えしたとおりでございますが、政府としましては、今御審議をいただいております本予算を修正、組み替えをして再提案をする考えは持っておりません。
  109. 穀田恵二

    穀田委員 私は、きのうの話並びにこの間の一連の大蔵大臣答弁を聞いていますと、どれだけ時間がかかればわかるかというような形で話を随分されているのが目につきました。時間の問題ですね、組み替えをするのに時間がかかる。私はそういうふうな発言を聞くたびに、地震による災害が起きてから五週間たつわけなんですね。大臣は何かというと時間の問題を言われるわけですけれども、私は、既に五週間、その時点で、震災を受けた、地震が起こった、そして災害が広がっている、こういう中にこそ本予算自身を組み替えるべき、スタートすべき時期があったと思うんですね。さっさっと私はやっているべきだったと思うんです。  しかも、大臣はいつも言うのですが、年度内に上げて四月一日から執行することが大事なんだということを繰り返し述べています。私は、そのことについて、じゃ、被災者にとってみたらどうなんだろう。被災者にとってみれば、四月一日から執行される本予算では自分たちのことを考えた対策が組み込まれていない、震災前と同じで、どうして救援、復旧や復興の手だてが打たれていくんだろうかというふうな点で疑問に思うのは当然ではないでしょうか。
  110. 武村正義

    ○武村国務大臣 確かに震災の当日から五週間たっておりますが、大蔵省が、ペーパー作業といいますか、机上の作業で予算の仕事ができるならそれはもう可能であるかもしれません。やはり現地から、特に補正対応以外のものになってきますと、いよいよ復旧から復興という大きい仕事も入ってきますから、技術の新しいチェックも必要になってくるものもあるわけで、そういう意味で、とりあえずは今提案をいたしております二次補正で対応をしながら、さらにこれも引き続いて、この次の対応も恐らく作業は始まっているし、議論も始まっているわけでございます。すべからくそういう作業が終わり次第、新年度の補正予算という形で積極的に対応をしてまいります。いささかもそのことに逡巡したり、おくれをとるようなことはしてはならない、全力を尽くしますという考えで、御理解をいただきたいと思います。
  111. 穀田恵二

    穀田委員 新しい補正でやるということについて今もお話がありましたけれども、じゃ、いつ提出するのか、それから規模もまだわからない。実際どんなに考えたって、四月一日からそれについて執行されるわけじゃないわけです。  そうすると、四月一日からはどんな手だてを打たれていくのか、そしてどういう費目で支出をしていくのか、それを具体的にお答えいただきたいと思います。
  112. 武村正義

    ○武村国務大臣 まず、きょうお認めいただく事業もすべてがあと一カ月余りの年度内に全部仕上がるわけじゃないかもしれません。中には繰越明許になるものが出てくるのもやむを得ないと思っておりますが、当然新年度、四月一日に入りましてこの予算に該当しない緊急な需要があった場合には、三千五百億の予備費が新年度ございます。まずこの辺の一般財源も優先充当はしていけるというふうに思っております。
  113. 穀田恵二

    穀田委員 私は、その予備費で対処するということ自体が、それだけでとりあえずという話でいかないところに問題があるということを何回も言っているんですね。私はその点を追及したいんですけれども、特に、あわせて財源の問題からも言っておきたいと思うんです。  例えば、今回の補正の歳入に大量の赤字国債を見込んでいます。これは何度も大臣おっしゃっているように、年度末ですから、緊急に対応するということこういう道しかないことは当然です。しかし、赤字国債に頼るやり方だけではこれは国家財政を一層にいびつにするわけですから、財政の健全化からいっても避けなければならない。だから、そのためにも私は、財源措置をやる意味からいっても、九五年度本予算の組み替えによって賄って、赤字国債については一時的にでもとどめるべきだというように思うんですが、いかがですか。
  114. 武村正義

    ○武村国務大臣 申し上げてまいりましたように、年度末ぎりぎりでございますから、今回の第二次補正の財源対応はやむなく建設国債、特例国債によらざるを得ませんでした。しかし、当然この償還をどう考えるかという議論はまだ宿題として残るわけであります。新しい年度を迎えましても、お話しのように組み替えをしなければ的確な財政対応ができないということはあり得ない、当初予算に対しても補正措置という実質組み替えに匹敵することも形の上では可能でございますから、そういう意味では十分真剣な論議を続けていきたいというふうに思っております。
  115. 穀田恵二

    穀田委員 その件は前委員会でも、二十三日も議論になったところです。  最後に、私は、総理は今度の大地震に対する復興の金に消費税率を上げて充てるという考えはございませんというふうに私どもの松本議員に答えました。二月二十三日、また本委員会で、災害対策については必要な金はきちっと確保しなければならない、安易に国民皆さんに増税を求めていくという道はとりたくない、と同時に、借金を積み重ねていくこともしたくないと答弁しています。だとすれば、どういう道を選ぶのか、どういうふうになるのかということが問われると思うんですね。  私は、財源手当てを、補正予算はともかく赤字国債で対処して実際の本予算に一つも触れないとなりますと、赤字国債での財政の悪化か増税かという二つの道しかないことはもう今の話でも明らかだと思うんですね。だから、そういう袋小路に入ることを避けるためにも本予算を組み替える必要があるんだということを何度も主張しているわけです。どういう道をおとりになるつもりか、最後お聞かせいただいて、質問を終わります。
  116. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私は、これまでもたびたび申し上げておりますけれども、この復旧、復興に多くの金が要るということは、これはもうどなたが考えてもそのとおりだと思うんです。しかも、国の財政というのは、これはもう言われますように大変厳しいものがある。しかし、この復興に要する金というものはきちんとやっぱり用意しなければならぬ。  そこで、その金をどうするかという問題については、安易に国債に依存することも許されない、同時に、安易に国民に負担を転嫁することもこれはなかなか難しい。そこでそうしたものも含めて、国民理解が十分得られるような広範な立場でさらに検討していく必要があるのではないかということを私は申し上げているのでありまして、いろいろな角度から広範な立場でこの財源をどうするかということは宿題としてこれから慎重に検討して考えていかなければならぬ課題であるということを申し上げておるのでありまして、大蔵大臣答弁との食い違いというのはない、私はそう思っています。
  117. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて穀田君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  118. 海江田万里

    ○海江田委員 まず、補正予算の歳入面でございますけれども、公債一兆五千九百億円の内訳、これは、建設公債七千七百九十四億円それから特例公債八千百六億円、五年ぶりの財源手当てのない赤字国債の発行であるということは、きのうの本委員会でもお示しをいただきました。  この債券の具体的な中身、きょうの新聞によりますと、二年物の国債五千億円、四年物の国債一兆九百億円と出ておりますけれども、これで間違いございませんか。
  119. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答えいたします。  このたびの一兆五千九百億に上りますものは、四年物で一兆九百億、二年物で五千億と、いずれも中期債で考えております。その中で、四年物一兆九百億の中で市中公募いたしますのが六千九百億でございます。それから、二年物五千億の中で市中公募いたしますのが四千億でございます。合計、市中公募いたしますのは、一兆五千九百億の中で一兆九百億ということになっております。
  120. 海江田万里

    ○海江田委員 市中公募の割合を比較的低く抑えだということは一つの特徴だろうと思うのですけれども、それ以上に大切なのは、これはいずれも中期国債を発行しているということなんですね。短期の国債もありますし、それから満期十年の長期国債もあるわけですけれども、今回は中期国債の発行にすべてこれを充てているということ、このことの意味合いは二つあると思うんですね。  一つは、今市場は、どうせ国債を大量発行しなきゃいけないから、まず長期金利が上がるんじゃないだろうか、国債を大量発行することによって。それによって、景気が非常に微妙な段階ですから、その景気の回復にブレーキがかかるんじゃないだろうかということを心配しておる。その心配に対して、長期国債じゃありませんから、中期国債ですから、その心配はありませんよという配慮を働かしたということ、これが第一です。これは私は、非常に賢明な判断だと思います。  それから、もう一つの判断としましては、もう一つの意味合いというのは、これはまさに中期国債でありますから、いわばつなぎの国債なんですね、これは。つなぎの国債でありますから、さっき問題になりましたこのつなぎ国債の償還の問題が実はここで出てくるわけです、これは。とりあえず赤字国債を発行しましたけれども、実はもう既に、つなぎでありますから、そのつなぎの償還のことを考えておかなきゃいけない、一番早くて二年後に満期が来るわけでございますからね。  だから、このつなぎの償還を一体どうするのかということは、これは実はもう避けて通れない問題で、これはやはり、私はこの委員会で前にもお話をさせていただきましたけれども、できるだけ速やかに、特に今回、まあこの補正で間に合えば一番いいわけですけれども、補正はいたし方ありませんけれども、一説には、この夏には参議院の選挙もある、場合によっては衆議院の選挙もあるから、一番国民に負担を求める、一番耳ざわりな点、口に苦い薬は選挙の後に延ばしてしまおうじゃないかというような風説があるわけでございますけれども、この国債の償還の財源の問題ですね。  この問題、一体いつごろ、先ほど大臣は宿題だというお話をしましたけれども、宿題は一体いっ答えを書くのか。夏休みの宿題で、夏休みが終わってから書くのか、それとも夏休み前に書くのか、この点のお答えをいただきたいと思います。
  121. 武村正義

    ○武村国務大臣 中期債を発行しようとするのは、議員がお話しをいただいたように、まさに市場の状況が基本でございます。今の時期、これが一番受け入れられやすい、それに素直に対応しているわけでありますが、だからこれはつなぎ国債を考えているのではないかと。つなぎ国債の可能性も真剣に考えなければなりませんが、そう決めてかかっているわけではありません。  総理がお答え申し上げたように、まあ今は、一方的に何か考えを先に持って事を進めようということではなしに、まさに真剣な、この国会の論議もそうでありますし、国民の論議にも耳を傾けさせていただいて、やはり震災というこれまた異例な事態でございますから、この事態に対して国民皆さんかどう感じ、どう考えていてくださるかそのことをやはり基本にまず置かなければいけないだろうと思っておりますし、安易に増税も、安易に国債もとらないとおっしゃったのはそのとおりであります。  私は、札幌で講演したときに、何か見出しが増税と、こうなりましたが、国債も結局国民の負担です、増税が嫌だから国債にしようという考えは間違っていますよ、これはむしろ将来世代を含めて、利子まで含めてふえますから、結局国民に多額の負担をお願いをすることでありますから、そういう意味ではまずは切り詰め、既存予算のやりくり、これが基本でしょうね、それでどこまでやれるか。それでも足りない場合には確かに増税か国債が、シンプルに言えばこの二つの道。国債の場合は、おっしゃるようなつなぎ国債という形をとるかとらないか、そんな道があるというふうに思っております。
  122. 海江田万里

    ○海江田委員 この宿題の答えを出す時期によって、実はもし増税ということをお考えであったら手だてがいろいろと縛られちゃうわけですね。それこそことしの所得税の減税分をこれを一部をカットするということになれば、もう六月になったら実施されちゃいますから、夏のボーナスで。そうすると、六月以降になればこの手はなくなるなどか、それからいわゆる付加税というような、所得税に一%上乗せをするとか法人税に一%上乗せをするとかいうことになれば、これもやはり早いうちに手当てを、それこそ企業や個人に対してそういうものになるんですよということを言わなきゃいけない。こういうふうにだんだん狭まってくると、それこそ消費税の税率を一気に五%を六にするとか七にするとか道が狭められてしまうわけですね。  だから、そういう意味ではなるべくフレキシビリティーというか選択肢を多くする意味でも早いうちに議論をして、早いうちに方向性を出すことが私は必要ではないだろうかという、これは私の意見です。お答えをいただくとまた長くなりますので、何しろ十分でございますのでそこにとどめさせていただきます。  あともう一つ、東京共同銀行のことでちょっとお話をさせていただきますが、国会のこの委員会に資料提出がありまして、全部匿名ですけれども、実はこれはもう大体わかるんですね、いろいろ調べをしますと。調べをしてみますと、例えば東京協和信用組合に対して個人で百十五億円の預金でありますとか、それから十七億円の預金でありますとか、この十七億円は佐藤昭さんではないだろうかということが巷間言われておりますけれども、例えばその十七億円の預金をするということが一体いかに大変なことか。私もいっとき一生懸命稼いでおったときがありますけれども、一億円目いっぱい稼いだって預金として残るのはせいぜい一千万円なんですよ、一年間に。  そうしますと、一億円を百七十年間稼いで、それで十七億円の預金ができるんですよ、本当はこれは。この佐藤さんという方、何歳かつまびらかではありませんけれども、まあ百七十歳ということはないと思うのですけれども、そういうふうに……(発言する者あり) ああ、そうですか、ありがとうございます。調べてみますると、どうもここに出ておる、とりわけ十億円を超えるような高額預金者と所得の関係が一体どうなっておるのか。これは今ちょうど確定申告の時期でもありますけれども、そのあたりは当然一つの資料として税務当局はお調べになっておるのかどうなのか。なっておるかおらないか、それだけでよろしゅうございます。
  123. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 お答え申し上げますが、先生お尋ねになられましたような個別にわたる事柄につきましては、従来から具体的に答弁することを差し控えさせていただいておりますので御容赦を賜りたい、御理解をいただきたいと思います。  一般論で申し上げますと、私どもはいろいろな有効な資料情報を収集いたしまして、その資料と納税者から提出していただいた申告書等を総合的に検討いたしまして、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなどによりまして適正な課税の実現に努めているということでございます。今後ともそうした考え方に立って対応していきたいと考えているところでございます。
  124. 海江田万里

    ○海江田委員 確かに、私もこれ、実名わかっておる範囲で調べまして、そして、これまでの所得申告の資料がございますので、それで調べをしてみたのですけれども佐藤昭さんは確かに平成五年で一億円の納税をしておりますけれども、ほかの方たちというのは、百十七億、百十五億の方から始まりまして、納税申告の高額番付に出ておらないんですね、これは。そういうこともありますので、これはやはり厳重に調べをしていただきたいということ、これをお願いをしておきます。  それから、村山総理、これで補正予算最後の質問になりまして、それから九五年の本予算につきましても、昨日この予算委員会での質疑を終えておりますけれども、まあ思い返してみますと、ことしの年明け、総理のおひざ元であります社会党の新民連の動きがありまして、もちろん私も一枚かんでおりましたけれども。ただ、これは、総理大臣の足を引っ張ろうなんということは毛頭思いませんで、日本の政治にとってやはり第三の極が必要だ、もう一つの選択肢が必要だという、まさにここのところに私たち思いはあったわけでございますから、この点はくれぐれも誤解のありませんように。  それで、一月の十七日に山花さんが会派の離脱届を出しまして、そしてそのときにまさに大震災が起きまして、私も、これは天の啓示だということで、やっぱり人知の至らないものがある、やはりその天の声というものは聞かなければいけないという気持ちでおったわけでございます。  総理あるいはこの内閣の初動において、やはりいろいろな反省をすべきであるという、こういう意見もあります。これにはやはり率直に耳をかしていただかなきゃいけないわけですけれども、ただ、だからといって、これは中国の有名な言葉でございますけれども、「前事の忘れざるは、後事の師なり、これをもって君子の国を為むる」、こういう言葉がありますから、私はこの初動のおくれを殊さらあげつらうことなく、どういうふうにこれからの戒めにしていかなきゃいけないかという、この点が大事だと思います。  そういう意味において、今回これで、補正が初めてのそういう意味では大震災に対する予算的な措置でございますから、これを終えるに当たって、年明けからいろいろなことがありましたけれども、今の時点でどういうふうなお考えをお持ちかということ、総理の率直な真情というものを最後に吐露していただいて、それで私の質問を終わりたいと思います。
  125. 村山富市

    村山内閣総理大臣 海江田議員がこれからの日本の政治の政局を展望しながらお考えになっておることについての誤解は一切しておりません。私は素直に理解をしておるつもりであります。  私は、この国会の冒頭の所信表明演説でも申し上げましたけれども、ちょうど五十年の節目になるわけでありますから、この五十年の節目に当たって、五十年を振り返りながら、これから、世界の情勢も随分変わってきておる、そうした世界の情勢の変化の中でこれから日本が展望をするものは一体何だろうかと、その五十年を謙虚に反省をする中から「改革から創造へ」という一つの道筋を明らかにして展望を開いていく必要がある。  そのためにはやはり思い切った国内の改革をする必要があるというので、先般来申し上げておりますような特殊法人の問題やら、あるいは規制緩和の問題やら、あるいは地方分権の問題等々に取り組みながら、いかにして民間の活力を活用しながら新しい日本の基盤というものを経済的にも社会的にもつくっていく必要があるかということにおける構造改革というものについて、真剣に取り組んでいかなきゃならぬというふうに考えてやってきているつもりであります。  ところが、たまたま思いがけなくもああいう大震災が起こってまいりまして、これは何よりも国民の身体と生命と財産というものを守る責任があるわけでありますから、この災害に対して救援と復旧と復興には全力を挙げて取り組む責任がある。その責任を果たさなきゃいかぬというふうにも考えておるところでございますが、国内外に多くの問題を抱えているときでもあります。  とりわけ、その五十年を節目にして、日本の立場というものもしっかり踏まえた上で、これから日本が国際的に貢献し得る役割は何なのかということも十分自覚をした上で、新しく日本が世界的にも飛躍できるような基盤をどうつくっていくかということが私に課せられた課題であるというふうに考えておりまするから、この震災に対する復旧と復興に全力を挙げながら、今申し上げました「改革から創造へ」という日本をつくり上げていくためにこれからも全力を挙げて取り組んでいきたいということを考えている次第でございます。
  126. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして平成六年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  127. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  平成六年度一般会計補正予算(第2号)、平成六年度特別会計補正予算(特第2号)、平成六年度政 府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  128. 佐藤観樹

    佐藤委員長 起立総員。よって、平成六年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)      ――――◇―――――
  129. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  三案に対する質疑は、昨二十四日終局いたしております。ただいままでに、新進党草川昭三君外二名から、並びに日本共産党松本善明君外一名から、それぞれ平成七年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。  この際、両動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。まず、草川昭三君。     ―――――――――――――  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計  予算及び平成七年度政府関係機関予算につき  撤回のうえ編成替えを求めるの動議     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  130. 草川昭三

    ○草川委員 私は、新進党を代表して、平成七年度一般会計予算外二案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及びその概要を御説明いたします。  説明に先立ち、去る一月十七日の阪神淡路大震災により犠牲となられました五千四百余名の方々に対しまして、謹んで哀悼の誠をささげるとともに、その遺族の方々に衷心よりお悔やみを申し上げるものであります。また、被災されました方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。  さらに、被災地にありまして、昼夜を分かたず救助、救援、復旧活動等に献身的な御尽力をいただいております、国、地方自治体、関係機関及びボランティアの方々に対しまして、深甚なる敬意と謝意を表するものであります。  さて、現在、我が国における緊急かつ最重要の課題は、阪神淡路大震災の復旧・復興対策でありますしかるに、政府提出の平成七年度当初予算には、阪神淡路大震災平成七年度予算政府案の決定直後に発生したため、本震災に対する復旧・復興対策費が全く計上されておりません。  今さら申し上げるまでもなく、村山内閣の本震災に対する認識の甘さと対応のおくれにより、五千四百余名のとうとい命が失われ、震災発生後一カ月以上を経た今日も、二十一万人余の被災者が不自由な避難生活を送っております。  既に被害額が判明し、対策が可能なものについては、当然、平成七年度当初予算において予算措置を講ずるべきであります。また、平成七年度予算編成替えに作業が間に合わない復旧・復興対策については、別途補正予算を編成し、措置をすることを要求するものであります。  平成七年度当初予算は、防災都市づくりについても全くといっていいほど対応しておりません。平成七年度をその開始年度とする公共投資基本計画に防災計画を盛り込むことに加え、公共事業の配分についても重点的、効率的に見直すべきであります。  平成七年度予算編成の過程において、我が新進党が、国民生活の一層の向上と景気の着実な回復を図るため、二度にわたり行った具体的提言を、村山内閣は一顧だにすることなく、旧態依然たる予算編成手法に終始し、村山総理みずから内閣の最重要課題と位置づけた行政改革国民の期待を大きく裏切った内容となっております。  また、村山内閣は、財政の硬直化が一段と進む中、いわゆる隠れ借金などの粉飾的手法によって財政の現状を隠ぺいすることなく、財政民主主義確立の観点からもこれを公にし、行財政改革を速やかに断行するとともに、歳入歳出構造を全体的に見直すなど、財政健全化の方途を提示すべきであります。  以上の諸点から明らかなように、平成七年度当初予算は数々の問題点を内包しております。とりわけ、阪神淡路大震災発生により、歳入歳出とも編成の前提条件が大きく変わっているのであります。  よって、政府は、復旧・復興対策を中心として、平成七年度当初予算を抜本的に組み替えるべきであります。  組み替えの重点事項は、以下のとおりであります。  まず第一は、国土・交通政策関連について、交通、物流の復旧を急ぎ、また河川、下水道等の復旧、公営住宅の緊急増設を中心に事業費を追加することであります。  次に、国民生活・福祉・年金・医療政策関連について、生活・住宅等の融資資金の拡大、救急医療体制の整備、瓦れき等の処理、上水道の復旧等の経費を追加するとともに、被災住民の心のケア対策を講ずることであります。  さらに、産業・貿易政策関連について、無担保超低利及び全額利子補給融資の創設等、企業活動に対する融資の拡充のための経費を追加することであります。  また、雇用・労働政策関連については、ふるさと復興のための職業安定所機能の充実強化、被災地における雇用の安定と創出、雇用調整助成金及び雇用保険等の各種保険の弾力的運用、社会保険料負担の猶予・減免等の経費を追加することを図ることであります。  次に、教育政策関連でありますけれども、被災地の学校及び専修学校、各種学校などの補修、授業料等の減免、奨学資金、学校への助成等の経費を追加することであります。  さらに、農林水産政策関連については、農林漁業施設等の復旧のための事業費を追加することであります。  また、防衛政策関連については、今回の大震災の初動態勢のおくれ、その後の火災の発生状況にかんがみ、US1A(救援飛行艇)の改良及び消防庁への導入、あるいは映像電送装置の陸上自衛隊の方面総監部への設置等に係る経費を追加することであります。  次に、人権・秩序・地方自治関連については、地域防災計画の見直し、情報収集・伝達体制、復興物資輸送、震災便乗商法への対策強化、在日外国人被災者に対する平等的待遇の確保、被災者の法的関係の調整に伴う行政費等の経費を追加することであります。  さらに、今回の大震災を契機とし、社会資本や建築物等の耐震設計構造に係る全国的調査、災害防災計画の見直し、耐震基準の見直しに伴う公共事業費の単価の見直し等を行うための調査費について追加をすることであります。  以上、総計二兆四千百五十九億円の国費を追加するよう要求するものであります。  これに要する経費は、施設費、直轄事業等を中心とした公共事業等の一部経費の国庫債務負担行為化及び当該年度歳出化分の繰り延べ、一般事務経費の削減等を含めた行政経費の節減、予備費の支出及び公債金によって措置をするよう要求いたします。  また、被災に関する税制上の優遇措置等について、国・地方税において、防災設備に係る租税特別措置等の強化や、農地に関する相続税の猶予の特例、財形貯蓄の優遇措置の特例を設けること等の措置を行うとともに、また、地方交付税については、国が責任を持って十分に確保することであります。  以上が動議の概要であります。  委員各位におかれましては、今回の阪神淡路大震災によって被災に遭われた方々、また、抜本的な防災都市づくりの端緒を開くべく、党派を超えて御理解、御賛同を賜りますよう、ぜひともよろしくお願いし、提案理由といたします。  以上です。(拍手)
  131. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、松本善明君。     ―――――――――――――  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計  予算及び平成七年度政府関係機関予算につき  撤回のうえ編成替えを求めるの動議     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  132. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、日本共産党を代表して、平成七年度予算三案につき政府がこれを撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案の理由及び概要を御説明いたします。  まず、撤回、編成替えを求める理由についてであります。  戦後最大の災害となった阪神大震災の救援・復旧及び復興にどう対応するかは、今政治に課せられた緊急かつ最大の問題であります。さらに、その中心に来年度予算をどうするかが位置していることも明白であります。  今、国会に提案されている予算案は、震災が起きる前に編成されたものであり、これを震災対策に対応させて組み直すのは当然であります。国がその財政力をもって震災対策に大きな責任を果たすべきであるとき、一度編成した予算案ではあっても、政府責任でこの緊急事態に即応した洗い直しを行って、不要不急の経費を削り、財源を生み出す努力を行うべきであります。  今回の阪神大震災の経過に即して見たとき、政府対応は、率直に言って問題だらけでありました。また、安全を無視した従来型の巨大公共事業、立ちおくれが明確になった震災即応体制のあり方、さらには、国民にとって真の安全保障七は何かという予算編成の根本問題などが鋭く問われております。予算案本体には一切手を加えないという政府・与党の態度は、緊急の重大事態に対応できない硬直化した官僚的な対応としか言いようがありません。また、財源を明確にしないのも、増税必至という袋小路に引き込もうとするもので、断じて容認できません。  今回の大震災に対して国の財政が緊急かつ抜本的に対応するため、震災前に編成された政府案を撤回して、抜本的に組み替え、再提出することを強く求めるものであります。  なお、平成六年度第二次補正予算で発行することとなった赤字国債の償還も、この中で行うのが当然であります。  次に、編成替えの概要について述べます。  第一は、国が責任を持って救援復興の財政的措置をとる問題であります。  その内容として、 一、被災者、避難住民に対する救援活動を来年度以降も継続、強化すること、 二、個人の住宅や個人営業資産など、個人補償に対する国の財政出動を行う、 三、復興に当たっては、耐震強化など防災優先の町づくりを目指す、この三点が中心となっております。  第二は、防災優先の見地から予算の全体を見直す問題であります。これは、来年度予算のみならず、今後引き続いて国の財政が目指すべき重要なテーマとも関連をしております。  その内容として、 一、公共事業費を耐震性強化、地震に強い町づくりに重点的に配分する問題、 二、消防力を抜本的に強化する問題、 三、地震観測・予知体制予算を増額する問題、 この三つの問題を指摘をしております。  第三は、財源の問題であります。増税や国債増発でなく、予算の浪費に徹底してメスを入れ、必要な財源を生み出すという提案であります。  その基本は、 一、年間五十三兆円にも上る公共投資を抜本的に見直し、震災復興と全国的な防災強化の事業に振り向けること、 二、軍事予算を聖域扱いせず、国民のための真の安全保障費である防災対策と復興経費に回すこと、 三、政党助成金を全額カットし、防災と復興資金に回すこと、 四、平均六%近い高利を支払っている国債を低利に借りかえること、などであります。  以上が動議の概要であります。  委員各位の御賛同を期待をいたしまして、趣旨の弁明といたします。(拍手)
  133. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて両動議の趣旨弁明は終了いたしました。     ―――――――――――――
  134. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより討論に入ります。  平成七年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議二件を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、順次これを許します。今村修君。
  135. 今村修

    ○今村委員 日本社会党の今村修であります。  私は、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけの与党三党を代表し、ただいま議題となりました政府提出の平成七年度一般会計予算案外二案に賛成し、また、新進党及び日本共産党からそれぞれ提出されました予算編成替えを求めるの動議に反対する理由を簡潔に申し上げたいと思います。  まず、政府提出の予算案でありますが、私たち与党は、昨年十二月、予算編成大綱基本方針を定めることによって、「やさしさを共有する活力のある国づくり」を目指し、真に必要な施策に要する経費の確保に努める一方、聖域を設けることなく歳出の見直しに努め、限られた財源を重点的、効率的に配分する旨の合意を形成しました。  この与党方針を踏まえた政府案は、NTT無利子貸し付けの繰り上げ償還に係るものを除いた一般会計の実質の伸びを〇・三%増に抑える一方、公共事業関係費四・○%増、社会保障関係費三・三%増、文教及び科学振興賢二・○%増とするなど、全体的に見れば景気回復と生活重視の均衡のとれた予算になっております。  特に、村山内閣の特徴がはっきり示されたポイントとして、次の三点を指摘することができます。  その第一は、防衛関係費の伸び率を○・八六%とし、冷戦終結後の世界に対応した抑制的なものにしたことであります。特に、新規正面契約額を五百七十億円圧縮し六・五%減とするなどは、政府・与党一体となった努力の成果として評価できます。  第二は、高齢化社会への対応として、新年度五千九百九十四億円のニューゴールドプランによって地域の介護システム確立を目指し、また、四省庁が推進するいわゆるエンゼルプランによって子育ての社会的支援の強化を図るなど、お年寄り、障害者、子供などの福祉と人権を重視する予算となっています。  第三は、二十一世紀を展望する未来志向の予算と言えることです。例えば、アジア諸国との平和友好交流計画の事業として、不幸な過去を含む歴史の研究を支援する事業や人的交流事業など、戦後五十年の節目にふさわしい予算、基礎研究の推進や研究基盤の充実に関する予算、産業構造の転換や環境基本計画推進に関する予算、農業、農村の自立と持続的発展のための予算など、積極的な姿勢を評価できます。  以上の理由から、政府提出の予算案に賛成いたします。  次に、新進党及び日本共産党からそれぞれ提出されました予算編成替え動議についてであります。  そもそも今日の段階においては、大震災後の復興に要する財政需要について、極めて応急的な措置に限って、しかもかなり大づかみにしか把握できません。そこで、当面緊急に必要な支出を追加するため、政府は、総額一兆円を超える平成六年度の第二次補正予算案を提出し、本日この委員会で全会一致可決したところであります。  本格的な復興が軌道に乗り始めた現段階においては、被災地のニーズや納税者の実情、関係各省庁及び現地自治体のとっている施策、さらには支援自治体の対応などを総合的に把握し、財政需要の全貌をある程度見きわめた上で計画的に対応する必要があります。  仮に、これを省略して予算の編成替えを行えば、およそ実効性ある財政運用とはならず、また、逆にこれらの調査検討を待って編成替えを行えば、新年度予算の成立、執行は大幅におくれることになり、その結果、国民生活への深刻な影響が不可避となります。  そこで、大震災後の復興に要する経費に関しては、政府方針どおり、今後平成七年度の補正予算によって措置することが必要かつ適切と考えるものであります。  このような理由から、二つの予算編成替えの動議には反対であります。  以上、政府提出の平成七年度予算三案に対する賛成理由と、新進党及び日本共産党からそれぞれ提出されました予算編成替え動議に対する反対理由について簡潔に申し上げ、私の討論といたします。  終わります。(拍手)
  136. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、伊藤英成君。
  137. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、新進党を代表して、ただいま議題となりました我が党提出の平成七年度一般会計予算外二案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に賛成し、政府提出の平成七年度一般会計予算外二案に対して反対の討論を行うものであります。  まず、討論に先立ち、去る一月十七日未明に発生した阪神淡路大震災により、不幸にも犠牲になられました方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族に対し、衷心よりお悔やみを申し上げます。また、今なお厳しい避難生活を送られている方々、負傷し入院されている皆様に対し、心からお見舞いを申し上げたいと思います。  今後は一日も早い本格的な復旧、復興が急がれるところでありますが、そのためには迅速かつ適切な対応が要請であります。もちろん、我が党としても、でき得る限りの支援を行う決意であることをここに申し添えるとともに、この際、村山内閣危機管理政治姿勢について一言触れておきたいと思います。  最新の科学の力をもってしても、地震については予知すらいまだできない現状であり、ましてや大自然による災害に対しては、我々人間の力は極めて小さいものであります。しかしながら、政治行政が万全の措置をとるならば、その被害は最小限に抑えられるのであります。  五千四百余名のとうとい命が失われた今回の阪神淡路大震災政府対応については、危機管理体制の欠如、自衛隊の災害出動のおくれなど、内外のマスコミあるいは世論から厳しい批判が寄せられております。我が党が再三提案してきた、災害対策基本法に基づく緊急災害対策本部設置を行わなかったこと、また、人命救助、緊急輸送などに大混乱を起こしたことなど、今回政府がとった措置は極めてずさんな対応であったとしか言いようがなく、この点においては、国民政治に対する信頼を失わせた村山内閣責任は重大であります。  また、行政改革への取り組みについて、村山総理は、さきの施政方針演説において、行革は村山内閣の最重要課題であり、言葉だけの改革に終わることのないよう、不退転の決意と勇気で断行すると力強く断言したのでありますしかるに、特殊法人の見直しについての取り組みたるや、お粗末きわまりなきどたばた劇そのもので、およそ国民が期待した行政改革とはかけ離れ、それこそ言葉だけの改革になりつつあると断ぜざるを得ません。  正しい主張、政策については、たとえそれが野党からのものであっても、真摯に耳を傾ける姿勢が必要であります。謙虚さを欠いた村山内閣政治姿勢について反省を促し、以下、本予算の組み替えが必要な理由を申し上げます。  その第一は、現在、国政の最重要課題であり、全国民が最も関心を寄せている阪神淡路大震災の復旧、復興対策が不十分ところか、全く盛り込まれていないことであります。  政府は当面の措置として、応急的対策のため、平成六年度第二次補正予算を編成したところでありますが、これだけでは、被害総額が十兆円とも言われる本震災への対策としては不十分であることは明らかであります。被害の全容掌握と復興計画の早期策定を急ぐとともに、既に被害額が判明し、対策が可能なものについては、直ちに当初予算を組み替え、早急に予算措置を講ずべきであります。  第二の理由は、平成七年度予算が防災都市づくりに全く対応していないのみならず、公共事業の配分見直しなど公共投資に対する改善がなされていないことであります。  昨年十月に閣議決定された公共投資基本計画には、都市防災の視点が欠落しており、今回の阪神淡路大震災の惨禍を見るまでもなく、都市防災は、地震国である我が国にとって必要不可欠にして緊要な課題であります。また、公共事業の配分見直しについては、細川連立政権において一定の方向性を示したにもかかわらず、平成七年度予算においては、配分の既得権益化を許したままで、ほとんど見直しがなされておりません。新しい公共投資計画の初年度である平成七年度を好機として抜本的な防災都市づくりに着手し、改めて公共事業の配分見直しを行うべきであります。  第三の理由は、平成七年度予算において、行財政改革先送り及び放漫型財政運営の懸念が現実化していることであります。  平成七年度予算編成の過程において、我々新進党は、国民生活の一層の向上と景気の着実な回復を図るため、経済の活性化、行財政改革の断行等、我が国が抱える最重要課題について、二度にわたり政府に具体的な提言を行ったところでありますしかるに、村山内閣は、提言提言を一顧だにすることなく、旧態依然たる編成手法に終始し、放漫型財政運営による改革先送り予算となっており、是正を要求するものであります。  第四の理由は、平成七年度予算において赤字国債の発行を抑えるため、いわゆる隠れ借金やNTT株式売却収入の活用事業を使った小手先の会計操作など、破綻寸前の財政状態を国民の目から隠すため、さまざまな粉飾的手法が行われていることであります。  財政民主主義を確立するためには、財政の現状を隠すことなく、これを公にし、行財政改革を速やかに断行するとともに、歳入歳出構造を全体的に見直すことなど、財政健全化の方途を国民に提示すべきであります。  以上の諸点から明らかなように、平成七年度予算は数々の問題を内包しており、特に阪神淡路大震災発生によりその編成の前提条件が大きく変わったことで、現状に適応した予算とは言いがたいものであります。国民の生命及び生活の安定が国政の最重要課題であるとの認識に立つならば、当初予算の組み替えは当然の帰結であり、政府は、速やかに災害対策を中心として平成七年度予算を抜本的に組み替え、国民の信託にこたえるべきであります。  以上、我が党提出の動議に賛成し、政府原案に反対する理由を申し述べ、私の討論といたします。  なお、日本共産党提出の編成替えを求めるの動議については、反対するものであります。  以上であります。(拍手)
  138. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、矢島恒夫君。
  139. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の一九九五年度予算三案並びに新進党提出の組み替え動議に対し反対し、我が党提出の予算編成替えを求める動議に賛成の討論を行います。  戦後最大の災害となった阪神淡路大震災は、五千四百人を超えるとうとい命を奪い、現在もなお二十万人に及ぶ方々が不自由な避難所生活を送っておられます。被災地に対する救援を、規模もスピードも被災者の実情に応じたものに早急に高め、充実させることは急務であります。  この大震災への救援と復興は、今日の政治に課せられた緊急かつ最重要の課題であり、国家財政が果たすべき責任は極めて重大であります。予算を抜本的に組み替え、数十万人の被災者皆さんが復興への着実な歩みを開始できるようにするのは当然でありますしかるに、政府は、口では救援や復興を言いながら、震災前に編成された予算に指一本触れず、無修正のまま成立させようとしています。  政府は、被災地の復興対策は大型補正予算を編成して対処するなどと言っていますが、本予算を緊急事態に即応して根本から見直し、不要不急の経費を削減して財源を生み出すというのが政治としてやるべき基本的な課題ではありませんか。この努力をせずに、補正予算で事足れりとする態度は、被災した方々を初め多くの国民の期待を裏切るとともに、国家としての責任を放棄するものと言わざるを得ません。  従来型の本予算をそのままにして補正予算で対応するということは、結局復興財源を国債か増税に求める袋小路に入るものであり、我が党は到底賛成できません。  被災地の本格的な復興に当たって、日本共産党は、復興の基本は、何よりも被災者の生活再建の土台を築くことであり、また、再び震災の恐怖におびえずに暮らせるよう、防災の見地を貫いた新しい町づくりを進めることだと提起しています。また、再建計画の策定と事業の推進に当たっては、住民の参加と合意が重要だと考えています。  私は、政府がこの基本的見地に立って、来年度予算を組み替えることを求めるものであります。  本予算の組み替えは、長年にわたる政府防災対策の軽視を根本的に改め、国民の生命と財産を守る方向に切りかえる上でも避けて通れない課題であります。  崩れ落ちた高速道路や新幹線、押しつぶされた病院、公営・公団住宅の大きな被害など、安全神話はもろくも崩れたのであります。全国の公共事業を、新規分だけでなく、既存の建物、施設を含め総点検し、震度七にも耐えられるようにすると同時に、消防力の抜本的強化、地震観測や地震予知に関する予算の大幅増額も急ぐ必要があります。そのためにも、年間五十三兆円にも及ぶ公共投資の流れを変え、震災復興と全国的な防災強化の事業に優先的に振り向けるべきです。  軍事費を聖域にしないことも重要であります。地震国日本では、生命と財産を震災から守ることこそ最も切実で重要な安全保障ではありませんか。世界第二位の規模に膨れ上がった四兆七千億円もの軍事費を削り、防災対策と復興経費に回すことを強く主張するものであります。  国民から強い批判を浴びている政党助成金も見直すべきです。被災者が言葉に尽くせない苦しみを負わされているとき、政党が国から三百九億円もの助成を受け取るということは、国民感情からも許されません。  また、大銀行、大企業などがその大部分を所有している国債に対し、政府は六%もの高利を支払っております。これを低利なものに借りかえるべきであります。  なお、新進党提出の組み替え動議については、政府予算の枠組みを根本的に転換せず、赤字国債の増発を財源としていることなどの点で賛成できないことを表明いたします。  最後に、私は、震災から国民の生命と財産を守ることは政治の最大の責任であり、そのためには予算の抜本的組み替えこそが国会の責務であることを重ねて強く主張し、私の討論を終わります。(拍手)
  140. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
  141. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより採決に入ります。  草川昭三君外二名提出の平成七年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  142. 佐藤観樹

    佐藤委員長 起立少数。よって、草川昭三君外二名提出の動議は否決されました。  次に、松本善明君外一名提出の平成七年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  143. 佐藤観樹

    佐藤委員長 起立少数。よって、松本善明君外一名提出の動議は否決されました。  次に、平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  144. 佐藤観樹

    佐藤委員長 起立多数。よって、平成七年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました平成六年度補正予算三案並びに平成七年度予算三案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     〔報告書は附録に掲載〕
  146. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。  去る一月二十五日に平成七年度総予算と平成六年度第一次補正予算をあわせて審査を開始して以来、一カ月にわたり終始真剣なる議論を重ねてまいりましたが、本日ここに、平成六年度第二次補正予算も含めすべての審査を終了するに至りました。  これもひとえに各党の理事並びに委員各位の御理解と御協力のたまものであり、委員長として衷心より感謝の意を表する次第でございます。  この間、審査直前に発生した阪神淡路大震災対策のため、我が予算委員会においても、与野党一致協力のもとに、集中審議を初め連日広範かつ真剣な審議を行ってまいりました。また、政府に対し、震災対策のための補正予算の一刻も早い提出を要請してまいったところであります。  本日は、平成六年度第二次補正予算を議決して、緊急の震災対策に対応することといたしましたが、この補正予算はいわば震災対策予算そのものであり、各党全会一致で可決いたしましたことは、各党の熱意のあらわれであると確信いたします。委員各位には、今後ともさらに政府を督励し、一日も早い復興を図り、罹災者の皆さん方がもとの平穏な生活に戻れるよう、十分な施策を講じてまいらなければなりません。各位の一層の御指導と御尽力をお願いするものであります。  我が委員会では、総予算審査開始に際し、震災の犠牲者に対し黙祷をささげたところでありますが、今日までに犠牲者はさらに増加し、五千四百人余に上っております。まことに哀悼、痛惜のきわみであります。  ここに予算審査を終えるに当たり、委員会として、被災者の方々に心からお見舞い申し上げますとともに、改めて、戦後最悪の地震の犠牲となられました皆さんの御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願いをいたします。――黙祷。     〔総員起立、黙祷〕
  147. 佐藤観樹

    佐藤委員長 黙祷を終わります。御着席ください。  終わりに当たり、連日審査に精励されました委員並びに関係各位の御労苦に対し、深く敬意を表し、御礼のごあいさつとさせていただきます。(拍手)  次回は、公報を持ってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十七分散会      ――――◇―――――