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武村国務
大臣 我が国財政の基本にかかわる四つの御指摘をいただきました。
まず最初は、予算編成における税収と
歳出のかかわりでありますが、この乖離が余りにも大きくなり過ぎているという御指摘であります。
そのとおりでございます。昨今税収が停滞しておりますだけに、
歳出カットが不十分でありますとそのギャップがなかなか埋められないという悩みがございます。そんな中で、税収イコール
歳出でなければならないことはありません。税外収入もございまして、言ってみれば健全な収入と健全な
歳出がイコールだと一番いいということになりましょうか。
そういう状況でなしに、なかなか
歳出増の要求は非常に強い、依然として強い。これは政治家の中でも論議としては、むしろ
歳出をふやすべきであるという
国会論議は非常に多いわけであります。片方、歳入増、いわゆる増税にかかわる主張というのはなかなか
国民の皆さんも進んでは御理解いただけませんから、
国会の論議としても増税についてはひるんでしまう。結局、健全な歳入をはからないで
歳出をぐんぐんふやしてくる、こういう残念な結果でもありまして、今日の二百十二兆という世界でも最も目立つような巨額の公債を積み上げてしまったということが言えるわけてあります。
今後はこのギャップ、今御指摘いただきました
が、これをなるべく埋めていくということで健全化を図っていかなければなりませんし、公債等に限って言えば、ことしも国債費二〇%、いわゆる公債依存度という数字がございますが、これは一七・七%、それから、
歳出総額に占める利払い、過去の借金の利払い費率、一六・四%、これも世界一でございます。あるいはGDPに対する長期
政府債務残高の比率も九四年度は五五・一%、もう半分を超えてきております。G7ないしは先進国と比較をいたしましても、もう一、二、一位あるいは二位という、こういう
トップに財政の不健全な数字が立ってしまっているということをしっかり認識をしながら、御指摘のような
努力をしなければならないというふうに思います。
その中で、やはり国債に対する私
どものスタンスといいますか
考え方も、もう一度議論が必要ではないか。国債は
国民の借金だ、それも資産だというとらえ方も確かにあります。しかし、
政府の財政で見る限りはやはり国債は借金でありますから、借金の返済、元本の返済でぐんぐんぐんぐんその金額が上がってきますと、もう貴重な税金のかなりの
部分を過去の借金のツケを払うために優先して回さなきゃならない、それを引いてしまうともう当該年度の予算が組めないという、こういう状況になることを
考えますと、単純に国債は
国民の財産というとらえ方もできない。
これまでは、赤字国債に対して建設国債は、いずれにしても公共
事業をやって道路や橋や建物の資産を残すのだ、そういう資産は長年にわたって将来世代が活用できるのだ、だから今の納税者だけが払う必要がない、何十年かかけてみんなが払えばいい、こういう論理であります。これはもっともな、間違った
考えではないわけですけれ
ども、そのことがややもすると安易に建設国債ならどんどん目いっぱい発行してもいいというふうな
考え方になっていく。
そういう点でも、財政審が
報告で示しておりますように、予算規模の五%ぐらい、あるいは五%以内が望ましいというと、本当にことしは、ことしも建設国債だけで十兆近い額を発行しておりますと、五%と言われると三兆数千億ぐらいしかだめだ、六兆円ぐらいオーバーして発行している。建設国債に限ってもそういうふうにも自己診断ができるわけでありまして、こういう建設国債のボリュームといいますか、発行額そのものにも真剣に論議を向けなければいけないと思っております。
隠れ借金の問題も御指摘をいただきましたが、決して隠しているわけではありませんが、公債以外の借金あるいは借りという意味でこういう表現が使われているわけであります。隠れ資産ならいいのですけれ
ども、隠れ借金でございますから、大変これはもう財政の体質の面から見ればよくない話であります。
しかし、これはやりくり算段とも言っておりますが、それぞれ貸し借りを明らかにしながらなるべく早く処理をしよう、しかも財政の中だけで貸し借りをしておりますから、六十年償還の国債を発行して、そしてカバーしてしまうということに比べますと、かなりこれは財政の対処の仕方としてはまじめな面もありまして、そう長期にわたるものじゃないということもありますし、財政の中で早く始末をしなきゃならないという、そんな側面もあることも御理解いただきたい。
そして、ことしはもう六兆円を超すような規模です。昨年の細川
政権のときも六兆円ぐらいでございました。こういう隠れ借金と御指摘された臨時特例措置を年々こういう規模で措置をすることはむしろ抑制をしていかなければいけないというふうに思います。
最後に、
財政投融資についても御指摘をいただきましたが、確かに経済成長の中で、あるいはバブル後は景気対策という視点から累次にわたる補正予算を組んでまいりました。かなり大型の補正予算を公共
事業を
中心に組んでまいりまして、この大半が建設国債でありましたために、ここ三、四年の財政で一段と建設国債もふやしてしまいましたし、同時にまた、将来の償還を前提にはしておりますが、財投資金もかなり拡大をして
事業を実施をしてまいりました。
ことし、今提案をいたしております財投でやっとほぼ前年並みといいますか、余りこれをふやさない姿勢を打ち出したところでございます。財投そのものにつきましては、朝からの
政府系金融機関のあり方等も含めて、財投改革と言ってもいいのかもしれません、これは、大きくは財政改革の中に、
財政投融資の改革というふうな視点からも、真剣に論議を進めていくことが必要だと思っております。