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1995-02-13 第132回国会 衆議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月十三日(月曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君  理事 三野 優美君 理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    稲葉 大和君       浦野 烋興君    江藤 隆美君       小此木八郎君    小野 晋也君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    岸田 文雄君       後藤田正晴君    近藤 鉄雄君       関谷 勝嗣君    高鳥  修君       蓮実  進君    原田  憲君       村山 達雄君    若林 正俊君       安倍 基雄君    井奥 貞雄君       伊藤 達也君    石井 啓一君       石田 勝之君    川島  實君       工藤堅太郎君    古賀 一成君       笹木 竜三君    月原 茂皓君       長浜 博行君    広野ただし君       冬柴 鐵三君    松田 岩夫君       宮本 一三君    山口那津男君       山田  宏君    池端 清一君       今村  修君    佐々木秀典君       坂上 富男君    細川 律夫君       前原 誠司君    穀田 恵二君       松本 善明君    矢島 恒夫君       海江田万里君  出席国務大臣         外 務 大 臣 河野 洋平君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 与謝野 馨君         厚 生 大 臣 井出 正一君         農林水産大臣 大河原太一郎君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         運 輸 大 臣 亀井 静香君         労 働 大 臣 浜本 万三君         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         自 治 大 臣 野中 広務君         国 務 大 臣         (内閣官房長官五十嵐広三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      高村 正彦君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      田中眞紀子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 小澤  潔君         国 務 大 臣 小里 貞利君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       藤井  威君         内閣官房内閣外         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房外政審議室         長       谷野作太郎君         内閣官房内閣情         報調査室長   大森 義夫君         内閣総理大臣官         房管理室長   安藤 昌弘君         警察庁警備局長 杉田 和博君         総務庁人事局長 杉浦  力君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      田中 一昭君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         経済企画庁物価         局長      谷  弘一君         科学技術庁長官         官房長     石井 敏弘君         科学技術庁研究         開発局長    沖村 憲樹君         科学技術庁原子         力局長     岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   笹谷  勇君         国土庁計画・調         整局長     糠谷 真平君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         外務大臣官房長 池田  維君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省条約局長 折田 正樹君         大蔵大臣官房参         事官         兼内閣審議官  福田  誠君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省理財局長 田波 耕治君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       鈴木 康司君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   松川 隆志君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省生涯学習         局長      泊  龍雄君         文部省初等中等         教育局長    井上 孝美君         文部省教育助成         局長      遠山 耕平君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省社会・援         護局長     佐野 利昭君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産大臣官         房審議官    関口 洋一君         農林水産省畜産         局長      高木 勇樹君         農林水産省食品         流通局長    鈴木 久司君         林野庁長官   入澤  肇君         通商産業大臣官         房審議官    河野 博文君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         工業技術院長  平石 次郎君         資源エネルギー         庁長官     川田 洋輝君         中小企業庁長官 中田 哲雄君         運輸大臣官房長 黒野 匡彦君         運輸省運輸政策         局長      豊田  実君         運輸省鉄道局長 戸矢 博道君         運輸省海上交通         局長      平野 直樹君         運輸省航空局長 土坂 泰敏君         郵政省放送行政         局長      江川 晃正君         労働大臣官房長 伊藤 庄平君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 佐野 徹治君         消防庁長官   滝   実君  委員外出席者         大蔵省印刷局長 浅見 敏彦君         会計検査院事務         総局次長    白川  健君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十三日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     稲葉 大和君   志賀  節君     蓮実  進君   中山 太郎君     岸田 文雄君   村田敬次郎君     小野 晋也君   山崎  拓君     小此木八郎君   伊藤 達也君     長浜 博行君   工藤堅太郎君     古賀 一成君   左藤  恵君     井奥 貞雄君   松本 善明君     穀田 恵二君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     越智 伊平君   小此木八郎君     山崎  拓君   小野 晋也君     村田敬次郎君   岸田 文雄君     中山 太郎君   蓮実  進君     志賀  節君   井奥 貞雄君     左藤  恵君   古賀 一成君     宮本 一三君   長浜 博行君     伊藤 達也君   穀田 恵二君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   宮本 一三君     広野ただし君 同日  辞任         補欠選任   広野ただし君     工藤堅太郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成七年度一般会計予算  平成七年度特別会計予算  平成七年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田宏君。
  3. 山田宏

    山田(宏)委員 おはようございます。きょうは、特殊法人見直し案がまとまったという、マスコミ報道しか知りませんけれども、そういった時期ですので、特殊法人見直しの問題を中心に何点がお聞きをし、その後、外務大臣外交政策部分についてお伺いをしていきたい、こう思っております。  また、きょう朝に突然官房長官にお出ましをいただくようにお願いいたしまして、大変申しわけございませんでした。何せ十一日の未明にまとまった案でございますから、祝日、休日と挟んだものですから、大変申しわけなく思っております。  まず、新聞でしかわかっておりませんので、二月十一日の未明にまとまった政府与党特殊法人整理合理化案について、廃止民営化統合するものに分けて簡単に御説明をいただきたい、こう思っております。
  4. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  政府系金融機関の問題につきましては、今国会中に検討するというようなことになりましたが、それ以外の問題は各省庁から十日に総務庁報告がございました。その点について申し上げたいと思います。  今回、すべての特殊法人につきまして事業の役割を改めて評価し、業務の縮小を含む事業合理化効率化を推進し、原則として全法人について、各省庁合理化効率化内容を固めた上で総務庁最終報告をしていただきたいという要請に対してこたえてまいいったものであります。  まず、統廃合民営化方針を決定いたしましたものとしては、具体的には次のとおりであります。  第一は、新技術事業団と日本科学技術情報センターの統合。二、塩専売制廃止日本たばこ産業株式会社塩専売事業民営化。三、私立学校教職員共済組合日本私学振興財団統合。四、社会保障研究所廃止。五、畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団統合。六、石炭鉱害事業団と新エネルギー産業技術総合開発機構統合。七、アジア経済研究所日本貿易振興会統合。八、鉄道整備基金船舶整備公団統合。九、中小企業退職金共済事業団と建設業清酒製造業林業退職共済組合統合。十、本州四国連絡橋公団の現行の組織体制見直し。十一、消防団員等公務災害補償等共済基金民間法人化。十二、帝都高速度交通営団完全民営化。  以上が統廃合民営化等方針を決定したものでございます。  そのほかに、先ほど申し上げましたように、事業内容縮小する、合理化効率化、これを進めるというものにつきましては、主な点について申し上げたいと思います。  日本体育学校健康センター、これにつきましては、学校給食用承認物資段階的縮小廃止をする、これは平成十年度末を目途といたします。それから、大倉山ジャンプ競技場地方移管、これは札幌市に移管をする予定であります。  次に森林開発公団水源林造成事業多様化事業重点化、大規模林業圏開発林道事業着工路線早期完了環境面への配慮。それから農用地整備公団広域農業開発事業畜産基地建設事業廃止平成十年度を目途といたします。  金属鉱業事業団海外探鉱支援部門への組織定員配置重点化鉱害防止事業事業所統廃合。それから電源開発株式会社人員効率化工事費低減調達価格の一層の低減石炭火力の高効率化及び排煙の超クリーン化等の時代の要請にこたえた取り組みの強化。  国際観光振興会事業重点化、部の削減等本部組織機構改革海外事務所配置見直し国庫補助金の抑制及び補助対象定員縮減等。  まだありますが、いいですか。あと、簡易保険福祉事業団、労働福祉事業団、雇用促進事業団住宅都市整備公団、これについては随分切り込みをする予定でございますが、こういったものの縮減効率化もあわせ報告をいただいております。
  5. 山田宏

    山田(宏)委員 いろいろ御報告ございましたけれども新聞記事でいいますと、大体、統合が十四法人廃止が一法人、それから民営化が三、こういうふうに報道されております。  十二日朝の新聞は、こぞって社説を挙げて今回の政府の案について論評を行っております。行革とほど遠いどたばた劇であった、これが政治主導行革と言えるのかと、大変厳しい論評を行っておりますし、また別の紙では、官僚の高笑いは消えない、やっぱりだめなのかと受けとめた人も多かったのではないか、政府与党特殊法人改革案予想どおり内容に乏しく、合格点にはほど遠かった。日経は、決めるのは官僚ではないということで、国民期待を大きく裏切る内容になった。これは挙げてみれば切りがないのですが、こういうような論評を行っております。  そもそも、なぜ村山内閣においてこの特殊法人見直しがこれほど注目を集め、衆参両院とも昨年も議論されましたけれども、それは、やはり税制改革をする、税制改革国民負担をお願いする。お願いするためには政府の血を流さなければいけない、行革をして歳出を削減しなければいけない。その最も重要な具体策の一つとして特殊法人が位置づけられた、こういうふうに認識をしております。  十月十七日の参議院における予算委員会の中で、片山議員質問に対して村山首相は、この特殊法人見直し規制緩和地方分権というものは、「これはある意味では国民全体に対する約束」である、こう発言をされております。約束、つまり公約である、こういうことが村山首相の言葉から出ております。予算委員会でもこう言いましたけれども、また、これは新聞を見ますと、国会内で行われた十月四日の行政改革に関する閣僚懇談会の初会合で、村山首相は席上、特殊法人見直しについて、所信表明演説で公式に発言した以上これは公約であり後には下がれない、お互い痛みを覚悟して身を削るつもりで決断して取り組んでほしいと指示した、こういうふうに報道をされております。国民も野党も多分ほとんどが、これは村山さんが身を削って必死になってやってくれるものだ、こういうふうに期待をしたのだと思っております。  また、参議院予算委員会の十月十四日には、野末議員質問に対して、村山首相も、「これは今回、税制改革を行うに当たりましても見直し条項を入れまして、そして国民にこれだけの負担をお願いする限りにおいては政府みずからも身を切る思いで行政改革は徹底してやる必要があるということの決意で今取り組んでおります」、こういうふうに述べて、特殊法人見直しを含む行財政改革税制改革と不即不離の関係であるということを明確に述べておられます。  総務庁長官にお聞きしますけれども、なぜ行財政改革目玉にこの特殊法人見直しが挙げられたのかということを、簡単に御所見を伺いたいと存じます。
  6. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  私にも昨年の予算委員会、本年の予算委員会におきましてしばしばそういう御質問がございました。私ども総務庁といたしましては、村山総理大臣の強い決意を受けまして、行政改革村山内閣重点課題である、したがいまして、このために規制緩和、さらには地方分権特殊法人整理合理化、そして情報公開、これらの問題を積極的に進めていかなければならない、こういう考え方で対処いたしてまいりました。  そうして、特に特殊法人整理合理化につきましては、前政権のもとでは二年間にこの整理合理化をやるということでございましたが、与党の皆さんとも相談の上で、前倒しで今年度内にこの問題については決着をつけるということで対処してまいりました。そしてそのためには、各省庁において閣僚リーダーシップを握って、できる限りこの統廃合あるいは民営化組織機構縮小スリム化等の問題について取り組んでいただいて、そうして二月十日には報告をいただくということで対処いたしてまいりました。そのように各省庁とも各大臣が懸命な努力をして、先ほど御報告を申し上げたような形で統廃合民営化効率化スリム化について報告をいただいたというふうに思っております。  したがいまして、私どもとしては、こればかりではない、さらに規制緩和の問題もあるし、さらには地方分権の問題も、今国会地方分権推進に関する法律を提案申し上げるということで今鋭意作業いたしておりますが、そういった行政改革全般について、私ども村山総理指示を重く受けとめ、懸命に努力をしているという点で御理解をいただきたいと存じます。
  7. 山田宏

    山田(宏)委員 今総務庁長官は、重要な政策、こう簡単に述べられましたけれども、昨年以来、行財政改革政府の最重要の課題であると何度も国会発言をしておられますし、不退転の決意で臨むということはもう何度も聞いております。武村大蔵大臣税制改革特別委員会答弁で、「総力を挙げて取り組んでいく」「総理御自身がこの場でもたびたびおっしゃっていただいているように、政権をかけてこの問題に全力を尽くしていこうというお考えであります。きょうも、三党首の会合でも、河野総裁も含めて同じ考えでありました。」こう御答弁をされている。最も重要な課題である、政権をかけてやるんだ、こういう問題だったはずであります。  もちろん、政府の案が決まりました。しかし、例えば民営化たばこ産業についても、これは当然民営化をされていくものと考えられておりましたし、また、本州四国連絡橋公団組織体制見直しにしても、橋ができればこれだけの人数は要らないわけですから、やはりこれだって当然縮小をされていく。また、営団地下鉄運輸省ですけれども、これももともと行革審から答申をされて、そして特殊会社を五年後に行って、その後で民営化を図っていく、こういう方針が決まって、また閣議でもそれが了解をされてきたところでありますし、何ら新しいところがない。廃止されるのは、社会保障研究所と言われる二十三名の職員の場所だけである。そのほか、統合についても後から申し上げていきますけれども、経済的な効果歳出削減効果といった点ではほとんど見るものがないのではないか、こういうような案だろうと思っております。  ちょっとこの話は本当は先にするはずだったのですが、官房長官のお時間が、記者会見があるということで官房長官最初お話を申し上げますが、もっとも、こういう政府案をまとめる中で新聞でもテレビでも何度も放映をされておりましたのは、政府系金融機関統合の問題でございました。大蔵大臣通産大臣がどういう話をしたとかいろいろと事細かく報道がされておりましたし、財投、財政投融資の面でも大きな部分を占めております政府系金融機関の特に日本開発銀行をめぐる問題というものについては、多くの国民期待をし、我々も期待をしておりました。新進党の行政改革に対する第一次提言というものを私たちも二月九日に行っておりますけれども、その中でも、日本開発銀行輸出入銀行民営化という方針を確定をしております。  しかし、結局、この開銀統合問題が官邸紛糾をしました。最後まで、これが目玉だ、何としてもこれをやり遂げなきゃいけないと自民党もさきがけも一生懸命になって取り組んでおられたという記事がありましたけれども、結局これは見送りになった。年度内では出ない、この国会中に結論を出すんだ、こういうことでありましたけれども官邸でこれが紛糾していたときに首相は一体どうしておられたのか。  首相の一日だけを見れば、八時四十四分にはもう公邸にお戻りになっている。また出てこられるときには、午前三時前に官邸にお出かけになって、そして政府与党首脳会議に出られて、この全体の見直し案、または特に政府系金融機関がきちっと結論が出なかった、見送りということも決めて、十一日の未明に終わったということであります。  しかし、この間、一体何をされていたのか。まさかそれは休んでおられたとは申し上げませんけれども、しかし、この八時四十四分から午前三時までの間、新聞によりますと、十時にまたは零時三十分に、大蔵大臣通産大臣や各閣僚を交えて、この問題に対して大変紛糾をしておった、協議をしていた、こういうことでありました。  そして、結局これが、痛み分けじゃないですけれども見送りになりましたけれども行革というのは、最後はやはり首相の断固たる決断で物を決めなければ、官僚や各省の大臣の調整に任せたら絶対結論が出ないということはこれまでも何度となく言われてまいりました。最後は反対する大臣または官僚を更迭するぐらいの決意でやるのが行革じゃないですか。  そういう中で結局この問題が見送りになりましたけれども、どこに首相リーダーシップがあったのか。一番重要なこの政府系金融機関統合問題で首相がどういう決断を下したのか、下さなかったのか、ここが最も求められるところであり、特殊法人で、今山口長官がおっしゃられましたけれども、これから規制緩和とか地方分権とかあると、ここでこういう決断ができない首相で、これから規制緩和とか地方分権とかもっと大変で、または各官庁の統廃合の問題を取り扱うときに、首相決断をできないで、この問題一つできなくて今後大きな行革が進められていくという確証はほとんどなくなったのではないかと思っております。  韓国では、金泳三大統領が御存じのように行革を行いました。金泳三大統領政府与党緊急幹部会でいきなり、二十日後に統廃合を行う、内閣改造を断行する、こういうことを発表して、行革の中身も、二十省庁を十八省庁統廃合大臣二人、次官級三人、局長級二十三人のポストがなくなる、全体で約九十の課が廃止職員の一〇%以上を削減するという荒療治の決断を行いました。やはり行革最後トップだと思うのですね。各大臣も、最後トップで今回決断をされたと思うのです。そして、全体の内閣で統一できない問題は首相決断をしていかなきゃいけない。しかし、今回はそういう決断の跡が見られない。  首相がおられないので官房長官にお聞きをしますけれども、この問題では山口長官五十嵐官房長官が一番中心になっておまとめになられて、特に首相の近くでいろいろとお仕事に携わっておられる官房長官に、この開銀の問題に首相がどう関与したかということをお尋ねしたいと思います。
  8. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 行政改革がこの内閣としては極めて重要な課題であって、総理みずから先頭に立って今日までいずれの場合も大変な御努力を傾注し、我々にも厳しい指示を続けてこられたところであります。  もちろん、今も言及なされましたように、地方分権の問題であるとかあるいは規制緩和であるとか、さらにまたこの後、これらの問題が一段落しましたら、やはり政府内部の機構の改革の問題であるとか、あるいはこの間来、地震災害に関連して非常に言われている官邸の強化、近代化の問題であるとかあるいは情報の問題であるとか、こういうさまざまな問題にしっかり取り組んでいかなければならないわけでありますが、その中でもこの特殊法人の問題はまず大きな課題として、この間来、真剣に総理指示のもとに我々は取り組んできたところであります。  総理は、特に今までの閣議であるとかあるいは閣僚懇談会であるとか、あるいは政府与党首脳会議であるとか、さまざまな機会でこれらについての総理の意思も明確に御指示をいただいておったところでありまして、先般来のこの地震災害の対策の陣頭指揮の中で、しかしこの問題は、やはり二月十日の予定しているこの期日までには何としてもしっかり整理をしていこうということで頑張っていただいたところであります。  十日の日のことについてただいま御質問でございますが、この日も、実は前日から引き続いて与党三党におけるプロジェクトチームあるいは政審、政調のレベルの話し合いだとか、大変な激論を交わしながら大詰めの調整を進めていたところで、これらにつきましても、総理には逐一その状況について御報告を申し上げてきたところであります。  一方、各省庁も最終的な詰めを大臣の指揮のもとにいたしまして、これが、十日の夕刻から私どもそれぞれの関係の、特に難しい大臣のおいでをいただきまして、山口総務庁長官と私と直接話をさせていただきました。  およそ、各省庁にまたがる問題は別として、個々の省庁における大臣指揮のもとの問題というのは、いわば第一ラウンドといいますか、午後十時ぐらいに一わたり、まあ今回はこれは手いっぱいなところだなという感じのものが出そろってまいりまして、ここで私の方から、公邸で待機しておりました総理にこの状況をずっと御報告をさせていただきました。各省庁にまたがる、特にいわゆる政府系金融の問題に関して、これをひとつしっかりさらにやってほしい、そのつもりでこれからやりますということで第二ラウンドに入っていったわけであります。  この第二ラウンドには、特に関係の深い大臣においでいただいて、それから与党の方も与党の各党の責任者においでいただきまして、ここで本当に、先ほどお話もございまして、あるいは新聞でも、ちょっとこんなことはなかったなと思うような記事もありましたけれども、しかし、かなりその状況をうかがわせるような記事もございまして、それは本当にそれぞれのお立場で、しかもみんな、こういう筋こそがあるべき行政改革の姿という信念に立って激論を交わされました。  そういう中で、幾つかの具体的な案等も出たりもいたしましたけれども、相当な時間の経過後、そうですね、あれで三時前ぐらいでしょうか、一応休憩をいたしまして、この段階で与党の幹事長、書記長にもおいでいただいて、そこでも御相談をいたしまして、そういうようなものをもって今度は三党首の会談をすることにいたしました。もちろん総理はお出になられて、執務室で三党首における協議をいたしました。  ここでも総理は大変熱心にこの問題の解決のための意見をお述べになられたのでありますが、そういうことの御論議を経た上で、この場合は幾つかの理由がございますが、若干の時間をもって政府系金融等については引き続き真剣に討議して、最もいい結論を得るのが適当だろうということになりまして、その後、待機しておりましたそれぞれのプロジェクトチームの責任者あるいは各党のそれぞれの機関の責任者、あるいは各大臣等も含めたところで総理からのお話がございました。そして、ごらんになっているような最終的な当日の結論ということになったわけであります。  それはやや、午前四時ぐらいのことであったと思いますが、終始総理といたしましても懸命な御努力をいたしたところであることを、私からも申し上げたいと思います。
  9. 山田宏

    山田(宏)委員 今、事細かに時間を追って御報告ございましたけれども、これは総理が不退転の決意であると約束をした、公約をしたテーマであります。しかも、今年度中に結論を出す、こう言い切ってこられました。努力はされたかもしれない。我々は見えないからわからない。しかし、最後にやはり各閣僚紛糾している問題をばんと決断をするのは首相じゃないですか、これは。それができなかった。  結局、大震災のときも初動態勢のおくれやいろいろ指摘されておりました。また、今回のこの特殊法人見直しの問題についても、それぞれの官庁での検討はまあそれでよしと、十時ごろに大体まとまった。今後問題を残した問題が、十時以降、政府系金融機関の問題が長々と討議された。しかし最後までまとまらないで、これは、ではしょうがないのでもうちょっと時間かけようということになった。しかし、約束は今年度中にやるということ、最後総理決断をすべき問題だった。それができなかったというところは、やはりその決断の上では大変重大な問題を残したと私は言えると思いますけれども、いかがですか、官房長官
  10. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  先ほどお答えもいたしましたが、村山総理が、行政改革については、これは山田委員も言われたように最重点課題である、したがってこの問題については全力を挙げるべきだと、絶えず総務庁長官である私に指示をされました。したがって、私は、先ほど申し上げたように、規制緩和地方分権、さらには特殊法人整理合理化、そして情報公開行政改革の問題に取り組んでまいりました。  そして、特殊法人については、先ほどもお答えしましたが、二年間にというものを前倒しして今年度内ということにいたしまして、この間、予算委員会におきましては、本当に三月末までに具体的な特殊法人の名前を挙げて、固有名詞を挙げて整理合理化ができるんですか、こういう厳しいお尋ねが随分ございました。私は、二月十日までに各省からの最終報告をいただいて、年度内に必ず具体名を挙げた整理合理化を仕上げるつもりであります、こうお答えをしてきたつもりであります。  総理の強い要請がございまして、各省の大臣、懸命に努力をいたしまして、先ほど申し上げたように、塩の民営化を含めますと十二項目のいわば統廃合、そして民営化という問題も出たわけでございます。ですから、そういう意味では、この予算委員会でお答え申し上げてまいりました、必ずこの整理統合民営化スリム化、この問題について年度内に結論を出すということについては、これはお答えどおり、私は実施し得たと思っております。  そして、各省にわたる政府系金融機関の問題については、さらにこの上、引き続いて行政改革は進めなきゃならぬという観点から、今国会中にさらに努力をしようということにしたわけでございまして、私は、そういう意味では、私どもが今日までお答えしてまいりました、あるいは総理がお答えしてまいりました問題は、これは懸命に努力をし、実行し続けてきたということで御了解いただけるのではないかと存じます。
  11. 山田宏

    山田(宏)委員 それが了解できないわけですよ。各省庁で挙がったものが、それはそのままオーケーで、十時ごろでいいでしょう、その内容は後でやりましょう。しかし、お互いの省が、お互いの各大臣が意見が違うという問題は、最後首相決断じゃないですか。それができなかったということを問題にしているんです。――どうなんですか。
  12. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 御存じのとおり、一昨年のこの第三次行革審の折にも大変な、当時の故鈴木会長らの御苦労にもかかわらず、当時宮澤内閣でありましたが、結局何の結論も得られないで終わったことがあって、そういうような困難な問題ではありますが、しかし、今回はどうしても、まさに不退転の決意でこれをやり抜くんだ、そのためには各省で自主的にひとつ大臣を先頭に立てて頑張ってほしい、こういうことで、十一月二十五日の報告、御案内のように、当時は各省とも出なかったわけでありますが、さらに十二月の二十六、二十七と、予算編成後、年末でありましたが、我々、直接各大臣の御意見をずっと伺わさせていただいて、そしてなお全力を尽くして頑張っていただくようにお願い申し上げた。  明けてから、地震災害の中で、しかし各大臣頑張っていただいて、今山口総務庁長官がお話しになりましたように、かつて、振り返れば昭和五十五年の大平・宇野行革のとき、当時は百十一法人でありましたが、これを十一統廃合いたしたことがあった、私は、そのときと本当に並ぶ立派な成果というものを各大臣は上げてくれたというふうに思うのです。  問題は……(発言する者あり)何がですか。それはそれだけの苦労は各省庁で、私はしっかり頑張ってくれたと思うのです。  しかし問題は、今御指摘の各省庁にわたる政府系金融の問題であったと思うのです。この問題についても、それぞれ本当にもう各省庁とも、関連するところは大臣を先頭にして御努力なされた。しかし一方で、この震災というものが出た。  つい先日、関西の四経済団体の代表の皆さんがおいでになられ、政府系金融の問題については、地震災害のために死力を尽くしてみんな頑張ってもらっている、今この政府系金融の問題の合理化等については凍結をしてもらいたいという四団体からの要望もあったのは事実であります。  しかし、そうだからといって、そのことだけをお聞きするというわけにいかないわけでありますから、我々は我々なりに全力を挙げて頑張って、全体の状況判断の中で総理は、今申し上げたような結論を出して明確にそれについての責任を持ってやっていこう、今国会中には決着をつけようという方針を決めたということでありますから、その点についての御理解をお願い申し上げたいと思うのであります。
  13. 山田宏

    山田(宏)委員 今国会中にということで、重要な問題は先送りをされた。今年度中にということをずっとおっしゃっておられました。やはりそれぞれの大臣にお話をされまして、まず、それまでの間に首相がどれくらいいろいろな指示をしたかというお話もありましたけれども最後のところでどう決断をするかというのがやっぱりリーダーの役割だ、こう思っております。  きょうはもう官房長官もお時間ですので、また同僚の議員に譲りますけれども、まずこの首相リーダーシップの欠如というものを指摘をしておきたい、こう考えております。どうも御苦労さまでした。  特殊法人というのは、その政策目標を達成すると整理統合される。役割を終えたものは廃止民営化、人員削減を図って、政府の財政支出の削減を図っていくということが特殊法人見直しの基本だ、こう考えております。  これまで臨調や行革審で何度となく指摘されてまいりましたこの特殊法人見直しは、先ほどお話ございましたけれども、今日では九十二法人財政投融資からの借入残高は百六十二兆円、職員数は五十八万人、平成六年の国からの、つまり税から支出されるお金は約四兆三千億、防衛予算は四兆六千八百億円ですから、防衛予算にも匹敵する支出であります。  行革審の答申でも指摘されているように、業務を見直し、人員を削減し、しかもそれが政府の財政の歳出カットに結びつかなければ、これは行革とは言えないと思います。  そこで、きょうおいでいただいた各大臣の所管において、今回の見直しでどの程度のいわゆる人員削減や歳出効果などの経済効果が見込まれるのか、細かい数字は無理だろうと思いますけれども、お伺いをしておきたいと思います。  まず、農林大臣にお聞きをいたします。  とりわけ、先ほども報告がございました蚕糸砂糖類価格安定事業団畜産振興事業団統合の経済的な効果についてを中心に、補助金の削減につながるのか、人員の削減の効果はあるのか、こういった問題についてお話をお伺いしたいと思います。
  14. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 御案内のとおり、今回の特殊法人合理化につきましては、当省関係では蚕糸砂糖類価格安定事業団畜産振興事業団、これの統合を決したわけでございます。これについては、両者ともに価格安定業務を行うという視点から統合を行ったことでございます。価格安定業務を行うという点で行ったところでございます。  両事業団の統合によりまして管理部門を一体化できるという点は当然でございますし、さらに組織及び定員については、いかなる切り込みができるかという点については今日検討中でございまして、総務庁等の第三者機関の十分なスクリーンを経た上でそれをいたしたい、さように思っておるところでございます。
  15. 山田宏

    山田(宏)委員 今後検討するということですが、実は、蚕糸砂糖類価格安定事業団が以前蚕糸事業団と糖価安定事業団に分かれていたときと一緒になった後の資料がございます。  職員の推移はどうなったかといいますと、これも多分、今大臣答弁のとおり、価格安定業務を行う上で一体化をしたという理由だと思いますけれども、合併前、五十六年四月は、両事業団合わせて職員数は百二十七、役員は十七でございましたが、合併後、五十七年四月は、職員数が百二十六、一人減る、そして役員が十二名、五名減る、こういうような状態だったわけであります。  また、補助金などはどうなったかといいますと、両事業団を合わせた補助金、交付金の合計額は、合併前が二百九十九億七千四百万円、合併後、五十六年が三百二十五億三百万円。ふえているわけです。その後は養蚕農家とかサトウキビ農家が数が減っていったりいろいろしたと思います。その中で当然予算額は減っていくし、それに携わる人の数も減るのは当然だ、こう思っております。今回そういったこの制度存続そのものの意味合いがどうかということが問題でこれが廃止の対象になっているわけでしょう。  この両事業団の見直しについて、昨年九月のさきがけ案ではどんな案でしたか、武村大蔵大臣
  16. 武村正義

    武村国務大臣 よく承知いたしておりません。
  17. 山田宏

    山田(宏)委員 これはさきがけ案ですから、さきがけの党首たる大蔵大臣が御存じないというのもちょっと無責任だな、こう思っておりますけれども、ここでは両事業団とも廃止、こう挙げていたわけです。両事業団、蚕糸砂糖類価格安定事業団畜産振興事業団、両方とも廃止、こう挙げていたんですが、大蔵大臣、これはなぜさきがけ案がそういうふうに廃止考えたか、わかりますか。
  18. 武村正義

    武村国務大臣 去年の秋にさきがけ案として表に出ておりますものは、恐らくさきがけのこの問題を担当した議員が中心になって検討を重ねて、文字どおりあるべき姿として考え方をまとめてくれたものと承知をいたしております。数多くの団体について思い切って廃止あるいは民営化という方針を出しておりまして、この辺が特色かと思っております。  もちろん、これはさきがけの議員ベースの勉強の成果でありますから、各省庁と詳細な意見調整はできておりません。各大臣ともできておりません。三党の中で、我が党としては、こうした具体案をお示しすることによって、村山総理がおっしゃっているこの問題に対する三党の党ベースの取り組みに対してひとつ大きな参考資料にしていただこうと、このとおりにならなくても、これをベースにしながら特殊法人行革が前進をすることを期待して提案いたしたものと私は思っております。  詳細、農林省所管の今の三つの問題についての認識は私は十分ではありませんから、具体的答弁大蔵大臣としては控えさせていただきます。
  19. 山田宏

    山田(宏)委員 一つの提案として、でも、無責任な提案ではだめだと思うんです。  社会党はこの両事業団についてどういう案を出されたか。昨年の二月末に社会党案が出ております。御存じですか。
  20. 山口鶴男

    山口国務大臣 先週金曜日にも同じような御質問がありましたのでお答えいたしましたが、社会党としましては、プロジェクトチームの中で党としての考え方をまとめようかということで、さまざま議論をしたことは事実であります。昨年末のある新聞にその経過の、途中の考え方が一部報道されたということは私も承知をいたしております。  しかし、社会党としましては、やはり与党三党足並みをそろえてこの問題には対処する必要があるというふうに認識をいたしまして、社会党としての案をまとめるということはいたしませんでした。したがいまして、与党三党のプロジェクトチームで各省庁官房長等を呼びましていろいろ議論をする過程で、党としての考え方、認識等については、その都度与党の一員として発言をするという程度にとどめたということでございますので、この点は御理解をいただきたいと存じます。
  21. 山田宏

    山田(宏)委員 ちょっと時間がだんだんなくなってきたのですが、社会党のプロジェクトチームの原案も、この両事業団は廃止、こうなっているんです。さきがけも廃止。社会党も、プロジェクトチームの一つの考え方だけれども廃止。なぜこれが存続になったんですか。
  22. 山口鶴男

    山口国務大臣 何度がお答えしておりますが、特殊法人は、それが設立されました際にはそれなりの大きな意義があったと思いますし、それが日本の今日の経済の発展に大きく貢献をしたということは、私は隠れもない事実であろうと思います。  しかし、その後、年がたちまして、この設立当初の役割というものの意義が薄れてきたというものについては、やはり見直すべきだという観点が当然であろうと思います。そういう中で、このものについてはやはり検討する必要があるという意見から、冒頭お話しいたしましたように、畜産事業団との間の統合という形で決着をつけるということにいたしたということだと存じます。
  23. 山田宏

    山田(宏)委員 社会党もさきがけも廃止、こう大方考えていた案を、存続すると。結局、統合はしても存続をする。統合効果というのは、先ほども申し上げたとおりすぐには出てこないんです。人数にしてもほとんど変わらない。補助金などはふえたりする。こういうことだと、これは何のために今回の特殊法人見直しを掲げたのかという意味合いが全くぼやけてくる。  先ほども申し上げましたとおり、経済的効果についても今後大臣がおまとめになって発表していただく、こういう認識でいいと思いますけれども、やはりこの問題一つとってみても、本来はもう全体としてはこの制度自体の存続価値というものが薄れている中で、再びその延命を図ったと言わざるを得ないのではないかということを……(発言する者あり)それは、さきがけや社会党案でもそういう案になっております。もう農林大臣、結構です。  次は、運輸大臣に伺います。  今回の見直し案で、所管されている事項について、先ほども申し上げました経済的効果、人員削減や政府の財政支出、財投支出の削減等についての効果中心にお伺いしたいと思います。
  24. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 お答えをいたします。  運輸省所管の二特殊法人統合営団地下鉄完全民営化について申し上げますが、運輸省所管の特殊法人につきましては、その役割を終わったものとか休眠中の法人は一つもございません。  船舶整備公団につきましても、委員御承知と思いますけれども、これは経営力の弱い中小造船との間での共有方式をとって造船をやっておるわけでございまして、旅客船につきましては共有方式が七割、貨物につきましては五割、そうした形で、国内における海運につきましては、旅客、貨物ともに船舶整備公団なくしては現在建造ができないというような状況になっていることは御承知のとおりであります。  また、鉄道整備基金につきましては、地下鉄、私鉄、地方鉄道を含めて、これについての助成措置をやる基幹的な役割を御承知のようにこれが果たしておるわけでございまして、そういう意味では、需要はますます今増加をいたしております。今度の常磐新線も委員御承知のとおりでございますし、東京における地下鉄のさらに拡充についても大きな役割を果たしていっておるわけでございます。  では、なぜこれを統合をいたすことに決意をしたかと申しますと、私どもの基本的な考え方というのは、もちろん個々の経費の節減、人員の削減も行革の大きな目的でありますけれども、要は、従来やっておる業務をより効率的に実施をする、また国民のニーズにさらにきちっとこれが応じていける、そうしたことをやるのが行革の使命だ、このように考えておるわけであります。  私ども運輸省といたしまして、現在、陸海空のバランスのとれた交通体系を構築をするということで省を挙げて検討をやっておりますけれども、陸と海のそうした交通体系を一体的に整備をしていく点において、運輸省本体が実施をしていく面と、そうした特殊法人という形で民間と一緒になって実施をしていく面とがあるわけでございますが、民間と一緒にやっていく面についても、一体的な運用をした方が将来に向けて効果的であろうということで決断をしたわけでございます。  しかし、これにつきましては、それぞれ別にやっていただいた方が都合がいいという要望が非常に強かったわけでございます。二つを足して一つにすればいいというような、そう簡単にやれたわけではございませんが、各ユーザーの方々も、そうした一体的に運輸行政を推進をするということについて理解をいただきまして、総理からも強い御指示もございまして決断をしたような次第でございます。  また、営団地下鉄につきましては、これを従来とも民営化するという流れはあったわけでございますけれども、これを大きく前倒しをいたしまして、今の七号線、十一号線の完成時において一応これを完全民営化に持っていくということで決断をしたわけでございますが、このメリットについては、やはり国民に開かれた、また都民に開かれた、また株主のいろいろな目、こういうものの中でより経営が効率化をしていくであろう、また、いろいろな意味での自由な発想に基づいての経営が展開をできるであろう。  また、これを民営化することによりまして株式を放出するわけでございますから、財政的な面での大きな寄与が期待をできるし、この点につきましては、どの程度の財政上の寄与があるかは現在は算定することはできませんけれども、間違いなくこれはそういう効果が出てくるであろうし、そのように持っていかなければならない、このように考えておる次第でございます。  以上。
  25. 山田宏

    山田(宏)委員 営団の民営化については、前倒しを大変評価をいたします。  この船舶整備公団については、もう御質問はしませんけれども、さきがけも社会党もこれは廃止、こういうふうに考えてきたのです。提案していたわけです。何か御答弁ありますか。どうぞ。
  26. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 それは、さきがけと社会党の認識が間違っておったということになります。
  27. 山田宏

    山田(宏)委員 どうですか、さきがけの武村大蔵大臣
  28. 武村正義

    武村国務大臣 党の考えと、それから各党の考えと、三党全体ですね、与党考えが一致しないことは間々ございますし、また、党と政府の意見が一致しないことも当然少なくないわけであります。そういう事例の一つだと認識をいたします。
  29. 山田宏

    山田(宏)委員 今の運輸大臣のお話は、より効率的なニーズに対応するために統合した、それで経済的な効果というものはまだよくわからない、こういうふうに認識をしてよろしいですか。
  30. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は、業務が非常に一体的な広い視野で展開をされるということが国民に対して大きなメリットであると同時に、またそれは経済的効果は必ず出てくるというふうに考えるわけでありますし、また、もちろん役員とか管理部門を含めて人員面でのメリット、行政経費等でのメリットが出てくることは必然であろうと思います。
  31. 山田宏

    山田(宏)委員 運輸大臣がそういう御答弁ですから、統合をした今までの例をちょっと申し上げておきたいと思います、もう御存じのところで申しわけないのです。  例えば建設大臣所管の住宅都市整備公団ですが、これは昭和五十五年、合併前は日本住宅公団と宅地開発公団が合わせて五千四百六十一名、職員定員がございましたが、現在は五百六十名減った程度、四千九百一名、こう聞いております。補助金の受入額は、合併前は千七十六億だったものが合併直後で千二百三十三億、現在は二千百七億。財政投融資は、合併前が八千四百八億、それが現在では一兆二千百六十五億。  それから、社会福祉・医療事業団、これも昭和五十九年に統合されておりますけれども、合併前は役員十二、職員二百三十六。役員が合併後は十名、職員が二百四十七名とふえておる。財投借入金については、合併前が九百八十六億、平成七年度は三千七十二億。  これは挙げていけば切りがないのですけれども、ほとんど合併後もどんどん仕事をふやしていって、合併前のものと比べてだんだん肥大化していくという傾向があるというのが私は事実だろうと思っているのです。だから、経済効果がじきにあらわれてくるというのは、私は無責任な答弁だと思います。
  32. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 無責任な答弁とおっしゃると心外でございます。私が申し上げております経済的効果というのは、ただ単に公団の職員が減るとか、あるいはそれの事務経費等が減るということだけが経済効果だとは理解していない。要は、国民の必要なニーズに対して、今までのそれぞれの公団、基金以上にきちっと応じていける、そうしたことが私は経済効果だと思うわけでございまして、先ほども申し上げましたように、両公団、また基金とも休眠でもございませんし、今大変な需要のもとで活発な活動をやっておるわけでございます。  私の立場で申し上げますと、ますます私は、この統合されました、新たに交通整備公団という名前をつけようかと思っておりますが、これのニーズはどんどんふえてくると思いますよ。委員のおられます東京都につきましても、この新しい公団に対しての大変なニーズが私はどんどん出てくると思います。  そういうものをやはりこなしていくわけでございますから、事業量として私はどんどんふえるというのは当然だと思う。休眠中じゃございませんから、ますます活動しておるわけでございますから、私は事業量が減るなんてことは全然考えておりません。  そうじゃなくて、全体として国民に対してちゃんとしたニーズがさらに提供できる、また全体としてトータルの交通政策を展開する面において都合がよくなるということを私は申し上げた。これが行政改革だと申し上げておりますので、それを無責任な答弁だというようなことは、私はぜひお取り消しいただきたい。
  33. 山田宏

    山田(宏)委員 取り消しません。これまでの資料をもとにして私なりの所見を申し上げた。それは、大臣大臣の御所見がある、こう考えております。  次に、建設大臣に伺います。  見直しの中で、所管部分の経済的効果についてお伺いしたいと思います。
  34. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えいたします。  内容について行った諸点からお話を申し上げますが、本州四国連絡橋公団、この問題につきましては、連絡橋の三ルート、これが大体平成十一年の春には概成できますので、この時点で公団としての組織見直しをしたい、こういうふうに考えております。  一つの条件としては、これは八県二市に協力をしてもらっておりますが、現在は借入金残高が二兆九千億ございます。したがって、各県各市、神戸市と大阪市ですが、これが脱落いたしますと約六兆円の赤字になってくる、そういう状況でございますので、この問題を確保しながら進めていかなければなりません。  もう一つは、架橋問題についての技術の水準というのは、私は日本の技術は世界最高水準だと考えております。ますますこの技術を確保しておかなければなりませんし、将来、豊予海峡とかあるいは紀淡海峡とか伊勢湾とか、こういう点についても、第二国土軸というような問題がございますから、十分考えてこの問題等については対処していかなければならぬと思いますが、我々の趣旨からいいまして、七百人おる現在の定員は、三分の一、約二百人程度は削除しなければならぬ、こういうふうに考えておるところでございます。  それから、お話にありました、前には住宅公団と宅地開発公団と別々にあったのですが、これは合併統合をしております。  現在、道路公団につきましては、施設協会というものがございまして、ほとんどの施設は施設協会がやっておりますが、これについては民間の意向も取り入れ、あるいは地元の特産物というものを入れ、一カ所一店舗、一テナント一店舗ということではなしに、テナントにはもっと余計入れて、民活といいますか、民間の競争を進めていきたい。  そのほかに住都公団には、ガラスが割れたり壁が落ちたりした場合にすぐ直さなきゃならぬ、こういう点がございますので、これはJSといいますけれども、日本総合住生活会社ということで、そのほかに多摩のニュータウンとかいろいろなニュータウンに会社ができておりますけれども、これはある程度の都市の整備ができ上がりましたら全部民間にする予定にいたしておるところでございます。民間法人にして公団は撤退をしたい、こういうふうに考えております。  それから、日本道路公団につきましては、建設費が約五百億、それから年間の人件費その他については四十億、これを節減をする。したがって、もっと節減ができるのではないかということで、建設省及び日本道路公団の役員、職員は入れないで、民間の学界の皆さんやそれぞれ専門家の皆さん方で審議会をつくりまして内容を検討して、できるだけ合理化を進めて、日本道路公団というものは今後十分に皆さん方の期待にこたえていかなきゃならぬ。サービスエリアその他についても、サービスが不十分だという声がございますので、エリアを広げて競争店舗をその中に投入したい、こういうふうに考えておるところでございます。  また、住都公団のあり方そのものを申し上げますと、今までの民間と競合して住宅を建てるということについては、これはやめる。したがいまして、新しい都市整備と、そしてもう一つは賃貸住宅を建てて、民間が一つ一つ建てていくというようなところに競合するようなことはやめて、すべて民間にお任せをするという方式で臨むということで、事業中心は新しい地域整備の問題と家賃によるところの賃貸住宅に重点を置くということで、民間との競合は避けますということにいたした次第でございます。  以上です。
  35. 山田宏

    山田(宏)委員 長々と御答弁いただきましたけれども、今までの各大臣の御答弁を伺ってまいりまして、ちょっと時間がなくなってきたので、せっかく高村長官おいででございますので、本当は高村長官のお話を聞いて、道路公団の問題についてお尋ねをしよう、こう思っていたわけですが、せっかく長官お忙しい中おいでいただいておりますので、一言だけお尋ねをしておきたいのですが、公共料金であります。  長官は、就任早々の去年七月三日、公共料金値上げ凍結については、これは羽田内閣方針を継続をしたい、こういうことを新聞のインタビューでお答えになっておられる。しかし、それから二十日後の閣議では、はやこの羽田内閣の公共料金年内値上げ凍結というものが閣議で変わりまして、値上げが決まるということで変わりました、二十日間で。この経緯というのは、長官どういうことなんでしょう。
  36. 高村正彦

    ○高村国務大臣 今の内閣は、前の内閣のいわゆる年内一括凍結を完全に継承しておりまして、全く変わっておりません。
  37. 山田宏

    山田(宏)委員 前内閣は、きちっとしたリストラや合理化案が出てきて、それを見据えた上で値上げというものについては結論を下す、こういうことでありましたけれども政府は、そういう案が出てきて決めたのですか。それとも、もう方針だけ先に決まっていたんじゃないですか、この新聞を見ていると。
  38. 高村正彦

    ○高村国務大臣 羽田内閣は総点検ということをするということを決められました。そして、羽田内閣の中で努力目標として六月中にその結論を出す、こういうことをされているのですが、それができなかった。それを七月になってから我が内閣で総点検をした。それが凍結解除と誤り伝えられた、それだけのことであります
  39. 山田宏

    山田(宏)委員 わかりました。  この問題をやっていますとまた時間が過ぎてしまいますので。もう長官結構です。それから、運輸大臣ももうお時間、お忙しいと思いますから。  山口長官に伺いますけれども、これまで各大臣答弁を伺ってまいりましたけれども、その経済効果というものを中心に聞いてまいりました。しかし、どの大臣の御答弁も、これは全部必要なんだ、必要性は変わらない、ますます大きくなるかもしれない、しかし合理化努力はしましょう、大体こういうように聞こえたのです。  もともとこの特殊法人行革目玉になったのは、やはり税制面でのいろいろな、これから五%に引き上げなければいけない、政府がみずから身を削っていかなければ国民負担をお願いできない、もう最初申し上げましたとおり、そういう考え方でスタートをしたと思うのです。  しかし実際は、身を削るどころか、ますますまたその必要性も増加するかもしれない、こういうような状態で、経済効果についても大変この辺は、今までの大臣のお話を聞いている限り、ばちっとこれぐらいが減りますよというようなお話はなかったというように思います。  総務庁長官は、昨年の十月二十四日の税制改革に関する特別委員会で、今井議員の質問に対して――去年もこういう議論がいっぱいありましたよね、長官。経済効果、経費節減目標といっぱい議論がありました。その今井議員の質問に対してこうお答えになっています。  ちょっとこれを読ませていただきますが、これはどれくらい金額が浮くかという話なんですが、「今直ちにどのような金額になるかということはお答えすることは無理だと思います。年度末、この法人についてはこうこうするという方向が出ますと、当然それにのっとりまして、与党の皆さん、野党の皆さんの御協力もいただく中で、法案としてかけるべきものは法案としてかけなきゃならぬと思います。そういう中で、具体的な金額等はそこで見通しを立てていくということになるのではないでしょうか。」この方針は変わりませんか。
  40. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  その前に、運輸大臣がお答えになりました点ですが、例の、党としては、プロジェクトチームでは案を考えましたが、社会党の場合は、政策審議会で党としての正式な政策は決めます。そういう中で、鉄道建設公団の問題については廃止というようなことを今すぐ決めるべきではないということで、党としては党としての正式な案はまとまらなかったということは、先ほどお答えしたとおりであります。  それから、今お尋ねの点でございますが、あのとき私は次のようにお答えしたと思います。  行政改革に関して計量的に計算できるものもあるし、計算できないものもある。したがいまして、平成七年度の予算編成におきまして、定員につきましてはできる限り縮減する、必要なものについてはふやす、しかし縮減すべきものは縮減をするということで、二千八十五名の国家公務員の定員はネットで減にいたしました。したがいまして、これにつきましては百四十億円の削減ということができたわけでございまして、こういったものは計量的に計算できます。  ところが、特殊法人の場合は、お答えを引いていただきましたが、結局、ある程度タイムラグのある問題もございます。そういう中で、明日、最終的な各省から出ました案につきましては閣議に報告をいたしたいと思っておりますが、その後に、閣議決定には若干時間がかかると思います。  その際、今回の措置によりまして、建設大臣がお答えしましたように、住都公団につきましては思い切ったスリム化考える。こういう中で、今後どのような形で具体的なスリム化ができるであろうかというようなこともある程度各省庁においておまとめをいただいて、そういったものを総合いたしまして、閣議決定の際にはおおよその、どこまで具体的にできるかわかりませんが、各省庁でおまとめいただいた今後の計画、見通しというものについてもある程度まとめて閣議決定に持ち込みたい、かように考えておる次第でございます。
  41. 山田宏

    山田(宏)委員 そうすると、総合的に見て、今回の見直し案の経費の面とか人員削減とか、どれぐらいになるという、おおよその見込みというのですか見通しというのですか、そういうものはその時点で大体明らかになる、こう考えでいいですか。
  42. 山口鶴男

    山口国務大臣 統合につきましては、直ちにということではなくて、平成九年度あるいは十年度というような時間的な見通しを持っての統合というものもございますし、それから、建設大臣がお答えしましたような帝都交通営団の問題につきましては、これは民営化に持っていくのに一定の時間がかかるわけでございますから、そういう意味で今直ちに幾らということではございません。  したがって、決定をいたします際には、それぞれの時間の見通しと、それからその統合なり民営化というものを実現した場合にはどのような効果が出るであろうかということについては、どこまで具体的な数値ができるかはわかりませんけれども、一定の見通しはつけた上で閣議決定に持っていきたいと考えておる次第であります。
  43. 山田宏

    山田(宏)委員 閣議決定までには見通しをつけたい、こういうふうに認識をしていいということですね。  平成六年九月十九日の与党行革大綱では、行革全体ですから、「瀕死の状態に追い込まれている財政事情の悪化に歯止めをかけ、国民の理解と協力を得ながら税制の抜本的な改革を行うためにも徹底した行財政の改革は、村山政権にとって極めて重要な政治課題でありこと、二つの必要性を言っているわけです。財政悪化に歯どめをかけるため、それから税制改革を行うことに国民の理解を得るため、そのために徹底した行財政改革を行うのだ、こう述べているわけですね。  さらに、平成六年十月十二日の衆議院予算委員会、本委員会の五十嵐委員質問に対して、行財政改革の位置づけというものについて村山総理大臣が、「そうした税制改革も行って国民負担を求めていく限りにおいては、やはり政府みずからが歳出を削減するとか、経費を節減するとか、あるいは思い切っでこれまでの行政の見直しも十分やって、そしてみずから身を削る思いで厳しくとらえていく」、こういうふうに述べておられる。経費削減にも言及をされておられるわけです。  その行政改革の最も政府目玉になっておりました今回の特殊法人見直しについて、やはりこの点の数字的な経費節減や人員削減やその他のものをきちっとなるべく早く出さなければ、来年の、平成八年の九月には税率の見直しをやらなければいけないわけですから、それまでに、税制改革の前提として行革というものをお話しになってこられたわけですから、やはりきちっとしたものを、今年度に見直すと言う以上は、その辺を数字的に発表をしていただきたい、こう思っておりますけれども、長官、いかがでしょうか。
  44. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  先ほどお答えいたしましたように、定員削減というような問題に関しては、具体的な人員が出ますれば経費で幾ら削減ということが明確にできると思います。しかし、特殊法人の問題に関しまして、あるいは地方分権の問題もそうだと思いますが、ある程度時間をかけてやっていく問題につきましては、今直ちに幾らの経費削減というものを数字的にあらわすのはなかなか困難であるということは、先ほど来申し上げているとおりであります。  しかし同時に、こういった形で民営化をやっていく、統合をやっていくという中で、あるいはスリム化をやっていく中で、こういった程度の人員の削減等々の問題について、あるいは国から出しますところの経費について縮減に努力をしていくということについては、やはり閣議決定の際におおよその考え方を示さねばならぬでしょうということを申し上げたわけでございまして、そういう限りでの努力はいたしたいと考えておる次第であります。
  45. 山田宏

    山田(宏)委員 ちょっと先を急いで申しわけございません。  次に、大蔵大臣にお伺いしますが、今回の日本開発銀行統合等をめぐる問題について簡単に御所見を伺いたいと思います。  当初さきがけは、日本開発銀行については民営化、こういう方針を打ち出しておられました。我が党も、日本開発銀行については民営化、こういう方向で考えております。それは、やはりもう日本開発銀行の役割というものが、かなり民業を圧迫している、昔のようにエネルギー関係だとか交通関係だとかということじゃなくて、今やもう宅地造成とか既成市街地の開発とか、こういうことにもどんどんどんどん融資をしている、しかも低利で固定で長期だ、それが財投で全部担保されている。こういう日本開発銀行の将来像について、もうこれは民営化をしていいじゃないか、こういうことだったと思うんです。  大蔵大臣は折衝の中で、例えば自民党からの輸出入銀行との統合案に対して、さらに北海道東北開発公庫も含めたものを提案されたとか、いろいろと新聞ではお伺いしておりますけれども、本当に理想的に言えば、一番大事な大蔵省、やはり行財政の責任ですから、この日本開発銀行はやはり民営化をすべきではないんでしょうか、どうですか。
  46. 武村正義

    武村国務大臣 先ほど来議論がございましたように、私は、これまでの内閣特殊法人に対する取り組みあるいはその成果から見れば、今回の村山内閣もきのう決まったものだけでもかなりのものである、これは率直にそう認識をいたしますし、それはそれで皆さんも御評価をいただきたいと思っているわけであります。しかし、これまた率直に申し上げて、あれでよかったか、十分であったかと問われれば、必ずしも十分であったとは私は言う自信はありません。  幸い、これはもう三党、政府全体のそうした認識がございまして、いろいろ議論を交わした結果、政府系金融機関については、今国会中というタイムリミットを設けて、いわば第二弾といいますか、もう少し時間をかけるテーマという認識のもとに、もう一度与党中心に議論をまとめていただこう、こういうことになったわけであります。ですから、その行方をぜひ見守っていただきたいし、激励を賜りたいと思うのであります。  その中に今御指摘の開銀という問題も当然あるわけでございますが、野党の皆さんも、開銀民営化と御提案をされました。私どものチームも最初そういう提案をいたしたのは事実でありますが、どういう考え方で、どういう方向で民営化をお考えなのか、ぜひ山田さん、もう少し詳しく野党の考えをできたらお聞かせをいただきたいと思います。  民営化といっても、即この政府系金融機関である開銀を民間会社にする、株式会社にするという、形で見ればそういうことでございますが、そうすると、もう事実上きょうまでやっておりますような財投による長期低利の融資をやめる、そして普通銀行にするとか普通の長期銀行にするとか、そういう趣旨で民営化をおっしゃっているのかどうか。  それであれば、もうこれは開銀廃止という、廃止だけれども、千名を超える職員がおられますから、そういう意味で普通銀行として民営化を認めていこう、しかし、これなれば今度は銀行業界の中で非常に大きな波紋を、もう一つ大きな金融機関が誕生しますから、それはそれでまた大きな波紋を呼ぶわけですが、そういう意味でおっしゃっているのか。開銀という機能を民間の法人にして、しかし今までとほぼ同じような、多少改善、工夫はするにしても、役割を担わせていこうということなのか。その辺はどう整理されているのか、お聞かせをいただけるとありがたいと思います。  私自身もこの問題をじっと見詰めてまいりまして、たまたま地震が起こったということでより一層認識をいたしましたが、真っ先にやはりJRや鉄道あるいは電力・ガスは開銀に足を運んでこられました。そして、開銀が一番早く被害総額をそういう関係ではつかんだと言ってもいいんですが、そして融資を要請されてきているということを見ると、大きくは時代の役割を終えたという認識もあるのは知っておりますが、新しい時代の中で開銀が協調融資という形で、民間が丸々乗りにくい分野に努力をしているということもあって、事はそう単純ではない。  私は、民営化が絶対だめだとかいいとかいうことを言いませんが、そこをじっとにらみながら、ひとつともども間違いのない結論を求めていく必要があるというふうに思っております。
  47. 山田宏

    山田(宏)委員 私、大臣のお考えを聞いたのであって、私も逆に質問をされて、どう考えるかということで、本当は大臣のお考えを聞きたかったわけですけれども、私は必要な部分はあると思うんです、必要な部分は。長期で固定で低利で、ちゃんと出さなきゃいけない部分はあると思う。だけれども、余りにも肥大化していないか。だから、肥大化した部分は削って、これは民営化していいと思う、この部門は。  だけれども、残りの、ぜひこれからの将来を見据えた上で必要な部分というのは幾つかある。だから、それは例えば環境のいろんな、民間が出すには余りにもリスクが大きいというものについては、やはり政府系金融機関の重要性はあるでしょう。あると思います。しかし、今のこの開銀の問題は、ほとんどやはり民間がやるべきことをやっているんじゃないかというところからこういう議論が出ているんだと私は認識をしております。だから、そういう部分を整理縮小するということでもそれは構わない、私の意見はですね。大臣の意見をお聞きしたいんです。
  48. 武村正義

    武村国務大臣 開銀プロパーの今後の問題としましては、昨今はいわゆる協調融資という形をとっておりまして、みんな一定の率でぴしっと決めているわけではないようですが、平均すると大体融資の四〇%、一つのプロジェクトに対して四〇%ぐらいを開銀が受け持つ、あとの六〇%は民間銀行で受け持つ、こういう形が多いようであります。一つ一つのプロジェクトにも、民間が御判断をされて、非常に有利だと、これならもううちが全部出したいとか、もっとたくさん出したいと思われるものもあるし、これはちょっとやはり不安があったりしますと遠慮したいというのもあって、平均がそうなっているようでありますが、この協調融資、特に民間が意欲的な事業については開銀がもう少し遠慮をするというふうな改善はあってしかるべきだというふうに私は思っております。
  49. 山田宏

    山田(宏)委員 それはやはり、改善案といってもどこまで改善するのか、もう時間がないので、今後お示しをいただきたいと思いますが、民間が出したくないという部門にお金を出すことによって、不採算な事業に対してそれを延命させるということにもつながることが非常に多いと思うんですね、この国は。やはりある程度、自由経済ですから、そこは民間に任せた方がいいという部分も私はあると思う。そういうことをどんどん救っていくことによって、どんどんどんどん政府系金融機関が大きくなる、こういう傾向になっていると思いますから、ぜひさきがけ案の原点に立ち返っていただいて、この日本開発銀行については取り扱いをいただきたい。  社会党も、プロジェクトチームの案ではありますけれども、原案でありますけれども日本開発銀行民営化については検討する、こういうことであります。さきがけも民営化、我々もまあ民営化、そして社会党も民営化だったら、これは出せば、自民党が反対しても通っちゃうじゃないですか。  もうあと五分しかございませんが、河野外務大臣、この問題についてお話をお聞きしたかったのですが、外交の問題について何点がお聞きをしておきたい。  その前に、やはりこの政府特殊法人の今回のまとめられた案というのは、私は、経済効果といった点でも見るべきものが非常に少ない。行革という観点では、経費を節減し、これから国民に大きな負担をお願いしていかなきゃいけないというような視点で昨年見直し条項が入ったわけですから、そういう点では少しく落胆をさせられる。さらに、政府系金融機関を含めた最も財投などの大きな部分を占めておりますこういった機関に対しての見直しも、公約に反して先送りをされた。  さらに、そういったものについて、最後首相決断がやはり、公約を重要視するならば、必要だったにもかかわらず、首相もこの点については決断ができなかった。先送りの決断をしたと言ってもいいのかもしれませんが、やはりこの案というのは大きく国民期待を裏切るものだったと私は言わざるを得ないと思います。しかし今後総務庁長官が、数字などもきちっと出していただいて、国民にわかりやすく御説明をしていただける、こう考えておりますが、ぜひその辺をおまとめをいただきたい、御要望を申し上げたいと思います。
  50. 山口鶴男

    山口国務大臣 数字的に出せるものもあるし、出せないものもあるということは申しました。したがいまして、閣議決定の段階でどのようなまとめができますか、できる限り努力をしてみたいということを申し上げたので、数字でもってすべて明確にするという意味でのお答えをしたわけではございませんので、その点は御理解を賜りたいと存じます。
  51. 山田宏

    山田(宏)委員 時間がありませんので、外務大臣に一言お伺いを申し上げます。長い時間どうもありがとうございました。  新聞なんですが、国連の決議で、いわゆる核兵器の使用や威嚇が国際法に違反するかどうかを国際司法裁判所に法的判断を求めるという決議が国連で昨年上がりまして、それをもとに国際司法裁判所が、日本を含む各国に対して、六月二十日まで政府見解を出してください、こういうことを通知を進めている、また送った、こういう記事がございました。  これは、昨年、ここにいらっしゃる何名かの委員の皆さんからも羽田内閣方針について、あのときはWHOの問い合わせでこの国際司法裁判所が問い合わせてきたということでしょうけれども、同じようなことがまた国連決議のもとに通知がされる、こう聞いておりますが、この事実関係と、一体これにどう回答していくのか、最後にまとめてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  52. 河野洋平

    河野国務大臣 ICJの問題でございますが、国連は、昨年の十二月十五日の国連総会におきまして決議をいたしております。この決議に従いまして二月一日にICJは、本件についての陳述書の提出期限を六月二十日に定める旨決定をいたしました。政府としては、既に昨年六月、世界保健機構がICJに同様の諮問をした際に日本政府としての見解をICJに通報したところでございます。  今後、今回のこの問題にどのように対応するかについては十分検討をしてまいりたい、こう考えております。
  53. 山田宏

    山田(宏)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  54. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて山田君の質疑は終了いたしました。  次に、古賀一成君。
  55. 古賀一成

    古賀(一)委員 新進党の古賀一成でございます。地震対策を中心に、それから、これからの日本の行政、あるいは国土といいますか、経済改革のあり方、そういうものを中心にお時間をいただきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、今度の阪神大震災、五千三百名をついに超えられる犠牲者がお出になりまして、本当に、質問するに当たりまして、私の方からも心からなるお悔やみを申し上げたいと思います。かつまた、あれだけの家屋倒壊という中でローンを抱え、そしていまだ復興の見通しが立たない中に苦労されながら努力しておられます被災者の方に、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。  さて、本日の質問の論点といいますか視点でございますが、私、冒頭申し上げたいのですが、これまで各委員会、とりわけ本会議、そしてこの予算委員会で、各行政分野につきまして本当に多くの論点、各行政課題、微に入り細にわたり御指摘があったと思うのですが、私は本日、どちらかといえばこれを私なりに総括をして、今行政あるいは政治、そういうものがこの震災によって根本的な何か見直すべき点が大いにあるのではないか、そういう点に的を絞りまして申し上げたいと思います。  まず何よりも、今度の震災、教えられたものがたくさんあるわけでありますけれども、各行政の課題、例えば道路の道路構造令あるいは構造基準が十分であったのかとか、あるいは水の補給体制がどうであったのかとか、いろいろな問題が提起されておるわけでございます。  今回の地震においては、私は、やはり現場の発想にしっかり立って、つまり役所のこれまでの計画論といいますか、まずこういう法律をつくるときには中央で何か基本計画をつくる、そして都道府県の計画がそれに、国の法律に基づいて中央官庁で決めた項目を半分焼き直しのようにつくり、そしてそれがまた市町村計画としてつくられる、こういうパターンというものがこういう有事の際、これだけの大震災の際には全く機能しなかったのではないかという反省、つまり、これまでの行政の流れがいわば画一化し、ワンパターン化した中に推移してきた、しかしこれだけの大震災では何らこれが役に立たなかった、こういう一つの反省も大いにあったのではないか、かように思います。  もう一つは、やはり縦割りの問題であります。私もかつて役人という立場でその縦割り行政の一角におったわけでありますけれども、かねてより、これからの行政といいますか政策というものは縦割りの行政を越えた中にこそ、生きたあるいは国民が求める、あるいは経済が求める政策というものはそういう縦割りを越えたところに、あるいは縦割りをまぜたところにあるのではないかという一つの価値観を私は持っておるわけでございますが、今回の大震災においても、縦割りでは本当に生きた機動的な対応というのがとれなかった、見事にとれなかったということを示したのではないか、私はそう思っております。そういう視点。  そしてもう一つは、行政と政治という面について今度の震災は大変教えることが多かっただろう、私はこういう基本的な認識を持ってここに今立っておるわけでございます。  今回の地震、空前と言ってもいい地震、大震災であったと思います。これが空前絶後、もうこれ以降はこういう被害、五千名を超える被害がない、あれだけの混乱は決して起こらない、そういうことにするために、私は、今度の震災を、本当に原点に戻って、ゼロベースで、そして本当に謙虚な反省の、虚心坦懐の気持ちに戻って今後の災対法の見直しあるいは各震災対策を講ずるべきだ、かように思っております。  この点、まず私の基本認識を申し上げたわけでございますけれども、まず、総括する質問のようでございますけれども、今後震災対策の再構築に当たりまして御努力いただかなきゃなりません小澤長官に、ひとつこの点についての基本的な所感といいますか反省といいますか、お願いを申し上げたいと思います。
  56. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先生の御指摘は、縦割りでなく総合的に検討すべきではないか、やるべきだ、こういった御質問に相なろうと思いますが、政府といたしましては、御存じのように十七日に直ちに非常災害対策本部をつくりまして、そして私を団長とする調査団が現地に飛びました。そして、明くる日上空から視察をし、明くる日は現地から火災の、震災の生々しい現場、こういったところも視察をさせていただき、淡路島にも飛んだところであります。  官房長官と打ち合わせをしながら、そして帰り、早速、帰りは防衛庁長官、自治大臣とも飛行機一緒になりましたので、総理報告に行くから一緒にということで三名で行って報告をし、閣僚会議も招集していただいておりましたので、総理並びに閣僚会議において現況の報告を細々といたしたところであります。さて、そうして総理も、よし、あした行くということで十九日に参りました。そして、緊急対策本部もつくったところであります。  こういった、政府としては一生懸命、懸命な努力をいたしましたが、なかなか反省すべき点も多く出たことも事実であり、緊急体制、非常体制の問題等々加味しながら一生懸命頑張ってまいったところであります。  そして先生の御指摘は、防災基本計画も、そして地域防災計画もゼロから真剣に討議をしなさい、こういった御指摘もあったところであります。まことにそのとおりでありますので、我々は、今回御指摘のような問題もありますので、基本計画の策定に入りまして、とにかく五月いっぱいには基本計画の見直しもでき上がる予定であります。  さらに、地域防災計画につきましては、これは都道府県、いわば自治省所管でありますので、我々も自治省と相提携をしながら、各都道府県、市町村とも相提携しながら、ひとつ防災計画ができ上がった後早い機会に、なかなかすぐとはいかないと思いますが、この地域防災計画も検討をしまして、先生の目的であるゼロからひとついきなさい、これに向かって検討を進めてまいる、かように考えておるところであります。
  57. 古賀一成

    古賀(一)委員 後ほど地域防災計画の話も申し上げようと思いましたけれども、一部長官の方からお答えがございました。  今の長官のお話を聞いておりまして、確かに十七日に非常災害対策本部を設置したというようなお話がございました。そして、長官が現地に飛ばれたこともよく存じております。長官が帰京されるのを待って、閣議を開いて対策ということもテレビに出ておりました。  ただ、これがつまり私が今指摘しようと思ったことでございまして、一刻を争うあの震災、しかも火事が現に起こっておって、幾人ともわからない多くの人がその燃え盛る下におられるだろうというその状況の中で、長官が視察をされ、帰京され、報告を受け、それから物事が動いていくというような、つまり防災計画、基本防災計画あるいは地域防災計画にのっとって自動的にそれが、特に初動ですよ、動いていくというシステムがないというところが問題なわけでございます。  長官がヘリで飛ばれた、御苦労されたというのはよくわかります。しかし、危機管理といいますか、今回の震災が教えたものはそういうことでは足りないということでございまして、この五月に基本計画を見直される、その結果が出るということでございますが、それはお役所が、また机上の空論と言っては失礼でありますけれども、現場とは離れてこうしたらよかろうと言うだけではない、もっとゼロに戻って、後ほど申し上げますけれども、現場のいろいろな何万、場合によっては何十万かもしれません、そういう提言を全部拾い上げてもう一回組み立てていくという、そこまでの原点に戻っての、ゼロベースでの対応が私は絶対必要だと思います。  この点につきまして、ちょっと質問通告はしておりませんでしたけれども、小里大臣、担当大臣としていかがな所感をお持ちでございましょうか。
  58. 小里貞利

    ○小里国務大臣 もろもろ厳しい経験を限りなく私どもはいたしました、また、いたしつつございます。そういう未曾有の、破格の事態が発生をいたしまして、しかも、現場におきまする諸対策もいろいろとまさに出てまいりました。私どもは、それに対応する地元の市あるいは県等々と一体となりまして対応を進めてまいったところでございますが、率直に申し上げまして、余りにもその対応も本当に多岐にわたったこと、御承知のとおりであります。  その間にわたりまして、先生先ほどお話ございましたように、厳しく私どもは反省をし、かつまた、ただいまお話しのように今後の一連の防災対策を根本的に反省、総括をして、そして今度の、重ねて申し上げますが、この経験を厳しい教訓にいたしまして、根本的に見直さなければならない。これは、総理もしばしばこの委員会におきまして言明なさっておられるわけでございますが、特に私ども、今次具体的にその業務に当たりました経験者の立場から申し上げましても、その感を大変厳しく受けとめておるところでございます。  私は、ざっくばらんに申し上げて、先生がおっしゃるようなそういう根本的な見直しはできるだけ早急にやらなければならない。同時にこの際、政治も行政も三歩、四歩謙虚な気持ちで下がって、今度の厳しい経験をなさった関係行政自治体、あるいは現場の罹災者の皆様方の生きた教訓も最優先して、重んじてお聞きしながら、同時にまた、内外の数多くの機関や、あるいはその方面に造詣の深い筋も数多く聞かされておりますから、胸ぐらを広く開いて、そしてこの際踏み込んで、本当に再びこのような事態を繰り返さない、不動の体制をこの際つくるべきである、さように思っております。
  59. 古賀一成

    古賀(一)委員 今、両大臣の方から決意をお聞きしたわけでありますけれども、私は、私のみならず、恐らく国民の皆さんもここにおられる皆様もそうじゃないかと思うのですが、総理答弁を、本会議あるいは予算委員会での答弁を何度も聞きました。総理がよくお使いになる、きょうは総理お見えでございませんけれども、総合的に対処していくんだというお話がございます。  でも、どうしても、これまでの一連の対応、例えば補正予算の問題もございましょう、あるいはその十七日当日、十八日の話、いろいろございますけれども、一連のずっとこうした流れを見てきたときに、総理がおっしゃる総合的にやるんだという言葉はどうしても、何といいますか、遅い、あるいは受け身、あるいは官主導、あるいはリーダーシップの不在、あるいは英知が足りない、そういうことを私は何か覆い隠しているような感じすらするわけですよ。それは国民の皆さんもそういう疑念を私は持っておると思うのです。  もう一点、その総合的という言葉とともによく答弁の中で、要するに地元での市役所の職員の方、あるいは各ボランティアの方々、本当に汗を流し、不眠不休でやっておるという御答弁がよく政府関係の方から、とりわけ総理からされますけれども、それはそれでいいと思うのです。しかしながら、質問で求められておるのは、皆さん頑張っているから全体が頑張っている、いいじゃないかということではなくて、やはり権限と責任を持つ政府の責任と対応というのが今問われておるわけでございまして、そういう一連のこれまでに幾度となくお聞きした答弁の中から、ゼロベースに戻って本当にやり直す、先ほど大臣の方から三歩、四歩というお話がございましたけれども、むしろ百歩というくらい下がっての、原点に戻っての対応が私は必要だと思うのです。  それで、時間も刻々過ぎますので、もう一点、いろいろの質問をする前にお聞きしたいのですけれども、今問われておるのは安全であります。安全を確保する。行政、とりわけ政治のサイドから見た、我々政府として安全を確保します、安全でなければならぬという場合の安全という概念を一回しっかり考え直す、これもゼロに戻っての話でありますけれども考えるべきだと私は思うのであります。  これはちょっときのう考えた話で、通告はしておりませんけれども、一般的な質問でございます。直観的に、安全というものは、政府として安全を図るということはどういう概念であるかという点につきまして、両大臣から、こういうことじゃないかというそのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  60. 小里貞利

    ○小里国務大臣 小澤大臣の方から、私から答弁というお話でございますからお許しをいただきます。  時間の関係もございますから端的に申し上げますが、私はこういう緊迫事態に直面いたしまして、全く予測いたさなかったまさに未曾有の事態ですが、こういう一つの経験を経まして考えております、ただいま先生が御指摘の安全とは、その安全についての私の言うなれば概念を、行政として責任を持つべき立場から申し上げますと、その安全を求める一つの基準、いわゆる最悪の事態、危険性、そしてはかり知れない経験を今度いたしましたが、そのような震災の実態というものは、最悪に私は基準を置くべきである。それに対しまする責任ある行政の窓口あるいは制度、体制、あるいは組織の問題等含めまして、対応する施策は、これはあとう限り全知全能を絞って、万全のものでありますと言い得るぐらいの一つの体制というものを組むべきである、そういうふうに思います。  したがいまして、先ほど前段で先生からお話がございましたこれから対処する政府の姿勢というものは、ただいま申し上げましたようなことも厳しく重く基準に置いて推進するべきではなかろうかさように思います。
  61. 古賀一成

    古賀(一)委員 小里大臣の御答弁と私も大体一緒なわけでありますけれども、まずその安全というのは、何といいますか、自由とか平等とか繁栄とか、いろいろな政治目標といいますか我々政治、行政がやらなきゃならぬテーマがあるわけでありますけれども、その中で、やはり安全というものは何にもかえがたく、自由よりも私は重い概念だと思うのですね。  現に、災対法をひもといてみますと、災対法第三条、「国の責務」という条文でございますが、「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて」、「すべてをあげて」ですね、「防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」こう書いてあるのですね。これだけ強く国の責務を書いた法律はほかに私はないと思うのです。つまり、何にもかえがたい政治の最優先の課題がこの安全だろうと思うのですね。  そうしたときに、その安全というものはどうやって確保されるのか。私なりに考えますのは、一言で言えば、フェールセーフ。フェール、つまり失敗した、起こってほしくないことが起こった、しかし起こった場合にセーフである、その被害を最小限に抑えるシステムが働く、そういう概念が安全だろうと思うのですね。道路は安全でなければならぬ、その道路そのものについて絶対的な安全というものは私はないと思うのです。安全という概念は極めて社会的な概念でございまして、科学的、絶対的な基準での安全というものは私はあり得ないと思うのですね。  したがって、失敗するかもしれない、あるかもしれない、その場合にどういうシステムが講じられておるかということでございまして、そういう面から見ると、今度の震災が明らかにした今までのフェールセーフシステムといいますか、つまり防災システムですよ、行政システム、これがほとんど機能しなかったんじゃないか、かように私は思います。  そこで、消防庁長官にちょっとお聞きしたいのですが、ここに、手元に神戸市の地域防災計画というのがございます。私も読ませてもらいました。読んだというより眺めたのかもしれませんけれども。これで実際、いざというときにこれが役に立つんだろうかという、私は本当に驚いたわけでございますが、消防庁長官でございますか、地域防災計画の御担当ということでございますけれども、今回の地震を機に、この地域防災計画、どういうふうに評価されましたでしょうか。
  62. 滝実

    ○滝政府委員 基本的には、この地域防災計画は、神戸市の場合どういうような被害を想定しているかというのが出発点になっているかと存じます。そういう中では、おっしゃるように、神戸市の場合には震度五、それも六に近い震度五ということを一応想定しているのでございますけれども、これが崩れておりますから、そういう意味では、根幹となる物の考え方、そういうものに相当なずれが出ているということは、これは否めないところだと思います。  ただ、その中であっても、個々のいろいろな問題がございます。例えば避難所の問題でございますとかヘリコプターの問題とか、こういういろいろな問題がございます。個別的にはそれはそれなりに動いていると思うのでございますけれども、全体として見た場合には、やはり何といっても被害想定というものが崩れている以上は、全体としていろいろぎくしゃくが出る、想定しないものが出てくる、こういうことだと思います。例えば、避難者の数そのものをとってみたとしましても、この神戸市の避難所の数は大体三百程度を想定していたわけでございますけれども、現実にはその倍の六百幾つになっているとか、そういうようなことで、基本的にそこのところに問題があると思うのです。  したがって、今後の問題としては、そういう意味では、先ほど小里国務大臣がおっしゃいましたけれども、要するに、考えられるどの程度の被害を想定しているかということが今回のやはり反省点の問題じゃないだろうか、こういう感じを受けております。
  63. 古賀一成

    古賀(一)委員 ただいま、想定が甘かったというお話でございます。それはおっしゃるとおりなんです。この地域防災計画で想定されているのは、確かに震度五でございます。しかも、震源地を神戸市の南百八十キロの地震、震源地を神戸市の北東七十キロの地点での想定、あるいはもう一つは西五十キロメートルに想定、三つのパターンで神戸に震度五が起きる、その場合の震源地はその三つを想定してあるんですね。いずれも遠いんですよ。  ところが、現実を見れば、実際起こった地震を見れば、昭和四十九年に兵庫県南東部地震というのが震源地西区で起こっているわけですね。それから、昭和三十七年、淡路島北部。今度も淡路島は非常に近かった、北部ですね、あそこ。まさに今度の震源地であります。北部を震源地として起こっております。昭和二十七年、さらにさかのぼること十年の昭和二十七年に、瀬戸内海東部ということで明石を震源に地震が起こっている。その八年前の昭和十九年には、兵庫県南部、今度と一緒です。西区でさらに起こっておるんですね、西区を震源地として。だから想定も甘かったし、それから前提も甘いんですね。こういう想定のもとに、「道路は、舗装面に小さな亀裂が生じる。」こうなっているのです。これが想定なんですね。  先ほど小里大臣がおっしゃいました最悪の事態を想定してという前提からいうとほど遠いし、この点は、やはり安全だ、フェールは起こらないだろうという本当に甘い想定があったんじゃないか。これは、今後神戸市のみならず全国の防災計画、地域防災計画というのは、やはり一番現場に近いわけでありますから、一番重要だと思うのでありますけれども、この点は、やはり最悪の事態を想定したという厳しい目で、原点に戻って私は考えるべきだと思うのです。  それともう一つは、この立て方ですよね。先ほど想定が甘いという話でございましたけれども、実際これを見て、全然役立たないのです。  水という項目を見て、もうただ一般論の分析、問題の所在が項目として羅列しているだけの実は防災計画でありまして、いざというときに水の項目を見る、そうしたら飲料水というのが出ている、近隣に飲料水の井戸がどこにある、あるいはどういうところに要請をすればペットボトルが何万個供給できる、電話番号は何だ、そういった本当の意味でのマニュアルですよね。マニュアル化した、使える、何せ地震であります、カタストロフでありますから、そういう防災計画であるべきであるし、それは防災計画のみならず、地震を考える発想の原点である。現場で実際使えるという、そういう厳しい具体的な発想を持たなければ、今後この震災というものが教訓として、五千三百余名の犠牲というものは生かされないと私は思います。  したがいまして、この点、五月いっぱいに基本計画ということでございますけれども、私は、急ぐのも重要でありますけれども、その原点というものは絶対忘れずに、腹にしっかり据えて考えていただきたいと思います。  私は、ちょっとくどいようでありますけれども、安全というものはフェールセーフシステムというものである。ところが、今度の自衛隊の初動調査の問題あるいは対応のおくれ等々も、原因として共通するのはやはりここのフェール、失敗、つまり事故というものはない、あってほしくないということで今まで十分に論じられていないのじゃないか。それは安全保障の問題もそうであります。  今、政権与党の党首は社会党の村山さんでございます。どちらかといえば、社会党のこれまでの長い安全に関する思想といいますか、それはフェールセーフではなくて、セーフセーフ、いや安全ですよ、そういうことはあってはなりませんよ、フェールはあってはなりませんよ、だからセーフセーフシステムなんです。安全は安全ですよと言っているようなもので、いや、そうじゃない、何かあったときにどうするんだという論議を国は、政治はすべきなのに、いや、その話はやめましょう、安全は安全ですよと言ってきたに等しいのが、私はこれまでの村山総理の、きょうおられませんけれども、心の中にあった一つの基本的な物の考え方じゃないかと思うのですね。  それがこの震災に尾を引いていなければいいなと思うわけでありますけれども、私は、そういうことで、あってはならないフェールも、最悪の場合を想定して具体的にすぐ動ける、そういう震災対策を根底からつくり直すということで対応していただきたいと思います。  そこで、関連でございますが、ちょっと順番が違いますけれども、そういうことからして、災害対策基本法、この法律体系も私いろいろ意見がございます。まず、もうこれをいじる、部分改正をするということじゃなくて、私は抜本的な新法ということで対応すべき問題だろうと思いますけれども、この点につきまして御答弁をお願い申し上げます。
  64. 小里貞利

    ○小里国務大臣 今の災害対策基本法におきまする自衛隊との位置づけ、結ひつき、私この辺を端的に申し上げますが、先生御承知のとおり、十二条で中央防災会議に参加できますよ、言うなれば他の関係閣僚と同列に参加いたしておられるわけでございます。それから十二条で、その会議において意見を述べることができる、こういう形でございます。  私は、今この席上、緊急、総合的、そして根本的、そして反省、総括の上に立ってきちんとしなければならないよという先生のお気持ちもよくわかりますし、同感でございますけれども、あえて自衛隊の防災出動について云々する気持ちはありませんけれども、これは別途に、やはり自衛隊は自衛隊、防衛庁は防衛庁で自主的に、それぞれ長官がお述べになっておられるように、新しい対処の心構えもお持ちのようでございますから、その辺を十分尊重申し上げながらという前提で申し上げるわけでございますが、この災害対策基本法の現行法の中におきましては、それ以外に先生が今望まれておるような分野がなかなか見えないということは事実でございまして、私どもは、そういうような意味におきましてきちんとこの際検討しなければいかぬ、見直さなければならぬ、こう思っております。  実は、ちょっとここで申し上げたいのでございますが、私は三日前に、倒壊家屋敷、半壊を含めまして八千戸という淡路島に行ってまいりました。一宮の町長さんとゆっくり握り飯を食べながら話しました。  御承知のとおり、大変な半壊、全壊も起こしましたけれども、火災を一戸も起こさなかった。後ほど消防庁長官にも報告申し上げたのでございますが、なかなかこれは、いろいろ私どもの体制としては不備な点、反省事項もありますけれども、その中におきまして特筆されるべき事項だと思っておったものだから、一宮の町長さんに聞いてみました。一宮町長さんに確かにその辺の前後をよく秩序正しく説明をしていただきました。大きな教訓もありました。  しかしながらその中においてあえて、こんなに厳しい震災がやってくるとは本当に想定できなかった、しかし町長さん、あなた方はよく闘いましたよ、よくやってくれましたと私はごあいさつを申し上げましたけれども、後日政府等におきまして、先ほどお話しのような、今度を反省、回顧して、そして次の日本の言うなれば震災対応策を考えるときには、あなた方のこういう貴重な意見をストレートにひとつお聞かせくださいよ、私は今日こういう任にあるけれども、これもまた他日、それぞれの機関あるいはつかさ、当事者に必ず引き継いでおきますからと、そういうお話を申し上げたぐらいでございまして、先ほどの先生の御指摘をお伺いしながら、現地におきましても、数多くの教訓が得られましたということもあわせて御報告させていただきます。
  65. 古賀一成

    古賀(一)委員 私の質問したい中心は、いわゆる災害対策基本法を筆頭とする今の災害対策関係諸法、体系ですね、これを私は、抜本的に組みかえるべきではないか、それは新法でしかないだろうという御提言を申し上げたわけでございますけれども、この点についていかがでございましょうか。
  66. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先生が手続について詰めてお問い合わせでございますから、はっきり申し上げますが、現行法の言うなれば補完的修正で対応するのかあるいは新法で際立てていくのか、その辺のことも含めまして検討をいたさなければならない、かように思っております。
  67. 古賀一成

    古賀(一)委員 後ほどもまたいろいろ質問申し上げますけれども、私からの強い意見として申し上げさせていただくならば、今の災害対策基本法という体系では今後こういう大震災には対応できない、私はもうはっきり結論を申し上げたいと思うのです。  ですから、今、今後それも含めて御検討ということでございますが、先ほど言いましたように原点に戻ってでも、時代の環境あるいは昭和三十六年にできたときのいわゆる経済環境といいますか都市環境、これは抜本的に違っているわけでありまして、私は強く、政府の方に新法で、ぜひゼロベースで対応を考えるということをお願い申し上げたいと思います。  それに先立ちまして、今淡路島の現場からの声等々も反映をするということでございましたけれども、もちろん長官、大臣が行かれて現場で聞いた話、それはもう当然事務当局に伝達をされ、生かすべき話でありますけれども、私は、国民各界各層から――私も地元に帰りますと、もう大小いろいろな提言を受けるわけです。苦言も受けます。  この前こういう苦言も受けましたね。きのう、おとといであります。古賀さん、市役所から防災の心得のチラシを急遽配ってきた。配ってきたのです。これは法体系とはちょっと違いますけれどもね。これを読みなさいということで、各戸に配布されているわけですね。もう字が小さくて全然見えないと言うのですよ。私と同じ年ですから、まあまあ若い、四十代なんですけれども。  ましてや今度大震災で一番被害を受けられた六十、七十、八十という高齢者の方から見れば、およそ見えないのです。信じがたいほど小さい字で書いてあるビラをこの期に及んでも配る、そういうところですね。現場からの発想ですよ。これだけ書かなければならぬ、上から言ってきたのはこれだけの事項を伝達しなければならぬ、予算がない、では勢い字を小さくして、見えなくてもいいからというような、そういうあれなんですよね。  だから、私は、そういう面からいえば、今度の教訓を本当に生かすなら、阪神大震災、国民各界各層からの援言、苦言、そういうものをシステマチックに政府として、一般の市民からもマスコミからも有識者からも全部とったらどうでしょうか。それを全部要約をつけてコンピューターに入れて、氷なら水、飲料水なら飲料水、消火なら消火と、すぐ検索できますからね。何万という提言をもらって、それを検索をして分類して、ああ現場ではこういう問題がこういう手順で起こる、そういうことを私はこの際すべきだと思いますけれども、私の提案につきまして、いずれでも結構でございますが、大臣の御感想、いかがでございましょうか。
  68. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先生御提言のとおり、もう既に総理府及び非常災害対策本部におきましてそのような心得のもとに予備的な作業に入っておるところでございますが、さらに一段と留意して、当然必要なことである、さように思っております。
  69. 古賀一成

    古賀(一)委員 それでは、まだいろいろ申し上げなければなりませんが、これは質問ではございません、私の意見として一点申し上げたいわけでありますけれども、今度の震災でいろいろな印象を国民の方々持たれたと思うのですね。その中で、要するに、特に当初三日間ですよ。最初はもう、ああ大変だな、この火事、どうなるんだろう、市民の皆さんかわいそうにという心を全国民が持たれたと思うのですね。  そのうちに何かおかしいなと私も感じたのが、要するに行政なり政治なりからのアプローチ、情報がなかなか発信されない。ただただ、あそこで燃えている、ここが大変だ、行政に対する不満は何ですかという、その情報ばかりがめぐって、いわゆる神戸市役所あるいは兵庫県、あるいは消防、警察、あるいは政府、今から日本国としてこういう措置を講ずるから安心してくれ、あるいは神戸市から市長が、ボランティアでこれだけの外科医が足りない、どこそこに参集してくれというような、いわゆる行政の方針なり行政の呼びかけというのが本当に出なかったのですね。ここに私は、こういう大震災でこれだけの犠牲者がいる中で、ただただ各テレビがそれを報道して大変だと言うばかりで本当に震災対策あるいは災害対策というのはいいのであろうか、こういう印象を持ちました。  しかも、政治が発した情報、一番最初に発した情報は私は本部決定だと思うのですね。一月十七日十一時半、兵庫県南部地震非常災害対策本部決定。ここに書いてあることは、余震に対する厳重な警戒をする、被害状況の的確な把握、行方不明者の捜索、救出、被害者に対する適切な救済措置、火災に対する早期消火、道路、鉄道、ライフライン施設等被災施設の応急復旧、これだけなんです。これはもう項目を羅列したにすぎないわけでありまして、結局震災対策に、あの時期に本当に具体的な項目を、政府がもっと具体的な対応を発すべきだったし、それがあの段階でなかった。中身がなかったと私は言っても過言ではないと思うのです。翌日十八日の決定事項もそうでございます。  そういう面を含めまして、この点、いわゆる対策本部の当初における意思決定というものがあれで十分であったのかどうか、反省すべき点がないかという点につきまして、御所見をお伺い申し上げます。
  70. 小里貞利

    ○小里国務大臣 まず答弁を申し上げるに当たりまして、この機会に、弁解とか言いわけというのは一切禁物である、私はそう思っております。むしろ厳粛に、今、やがて一カ月経過せんといたしておりますが、さまざまな厳しい起伏がありましたが、それを反省、総括いたしておるところでございます。  殊に初期の段階における先生のお話でございますが、市、県、政府、一体となりまして、まさに先ほど先生がお話しになりましたように、縦割り行政なんてそんな障害など全く、お互いにわきまえながら、そして率先して、日ごろの国、県、市、町の行政区分などお互いに踏み越えて一体となって対処された、私はそういうふうに一応敬意を表しております。  しかしながら、御承知のとおり、十七日に発生いたしまして最初の四日間は、少なくともその被害が、規模が大きく、そして中身におきましても複雑多岐、しかもそれが顕著な勢いで拡大をしていく四日間の背景があるものですから、そこにまた、現場におきましては県や市の、先ほど先生の方から御指摘ありましたが、指揮体制というものの話もございましたが、皆さんも罹災者でもあるし、なかなかその辺の刻々移り行く状況変化という、しかもそれが拡大していくというところに倒していけない側面もあったかなと思います。  しかしながら、率直に申し上げまして、四日たちましてから、その辺の、ひとまず、国は何を考えているよ、今こういう緊急対策を議しておるよ、こういうものを発信しました、こういうことを発動いたしました。県はこうだ、市はこうだということを、あとう限り、そのもろもろの施策を末端の罹災者の皆様方に、いかにして機敏に、そして適切に届けるかということに留意いたしたわけでございますけれども、何せ申し上げましたような混乱した状況下でございましたので、決して十分でなかった、そう思っております。  それから、特に一両週間経過いたしましてから、お互いに、そのような一つの苦言や苦情もございましたし、また各方面から指摘もございましたので、市、県あるいは国が一体となって、あるいは国独特の施策事項等を末端にどうして伝えるか、これは今日でさえも率直に申し上げまして私どもの悩みの種の一つである、こういうふうに申し上げたいところでございますが、政府政府で、挙げまして、総理府の協力をいただきながら、そしてまた私どもの対策本部でも、できるだけその辺をひとつ工夫してやろうじゃないか。  広報宣伝も周知徹底も大事だが、また現場におきまする一つ一つの打ち出しましたる救命、救済、あるいは復旧諸施策についてできるだけお手伝いをしようということで、それは人的なお手伝いをしようということで、自治省を初め関係省庁の協力をいただきまして、それぞれの分野で、単独で、必要な人員、必要な行政事業は何でも対応いたしますから、協力申し上げますからということでいたしておるわけでございますが、決して十分であるとは思っておりません。
  71. 古賀一成

    古賀(一)委員 それでは、もう総論はこれで打ちどめまして、各論に移りたいと思います。  今度の震災で大変印象的だったことは、先ほど一点申し上げましたけれども、もう一点は、やはり政治、行政は当初は大変混迷したと思うのですね。混迷した、対応が遅い、何をやっているんだ、こういう批判。それといいコントラストであったのが、私は、市民の冷静さあるいは沈着さ、これはもう世界の各報道で褒められておることでございますけれども、その点も非常な鮮やかなコントラストであったと思います。  もう一つが、いわゆる責任ある者、権限ある者、つまり行政であります。それと全くいい好対照でございますいわゆるボランティア、ボランティアの活躍というのは私は驚きました。しかも域外、とりわけ国外からのあの善意の申し込みというものについてはもう頭の下がる思いでありまして、ああ本当に地球というのは小さくなったな、昔と違うんだなという感慨を我々国民に、そして私にも与えたわけでありますけれども、このボランティアというものは全く災害対策基本法上位置づけられていないのではないか。  災害対策基本法第一条は「国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を」云々、こう書いてありまして、実際、今度一番活躍をしたボランティアというのはいわゆる蚊帳の外というか、視野にも入っていないということであろうと思うのですが、これは、今後この教訓を生かしまして、中央防災会議においても、全国あるいは世界を視野に入れた、そういうボランティア団体のデータバンク化とか、協定というのはもちろんないのでしょうけれども、あるいは国際協力事業団の医療班等の国内での活動のあり方とか、あるいは地域防災計画においては、各地域がそういうボランティア団体あるいは関係民間企業、そういうものを具体的にリストアップする、そういうシステム化をすることが必要だと思うのですけれども、そういうお考えは、今後この教訓を生かして頭にあるでしょうか。
  72. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先生御指摘のとおりであろうと思います。  今回の大災害におきましては、各分野で徹底的な御支援をいただきました。もう頭の下がる思いでありますが、その中にありましても、特に献身的な御支援をいただいたのがボランティアの皆さんではなかったかと思います。こういったニュースも耳にいたしておるところであります。  そういったことで、ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議というのを設置をいたしました。日時は二月三日であります。関係省庁寄りまして、これらを制度化はいたしませんが、その件につきましては二月三日から真剣に討議をいたしておるところであります。  災害時におけるボランティアの方々の、また関係民間企業のデータバンク化を初めとし、受け入れ、活用等の方策につきましては、関係省庁連絡会議におきましても、検討結果を踏まえ、さらにボランティアの活動環境の整備につきましては万全を期して検討してまいっておりますが、これからも検討してまいりたいと思います。
  73. 古賀一成

    古賀(一)委員 これは昔から言われていることですけれども、アメリカ等々と違いまして、日本にはボランティアの風土がない、システムもないのですね。アメリカの場合は、大学に行くときに高校時代のボランティアの実績というものが評価される、こういう実態もあるわけでありますけれども、この大震災というものは、そういう面で日本国民全体にボランティアというものの意義、存在というものを教えたと思うのですね。  だから震災対策に限らず、高齢化社会の問題もあるわけでありまして、これは一つのいい教訓であり、いいきっかけであります。政府は挙げて、ボランティアというと何か問題が軽いと思われるでしょうが、高齢化社会の医療の問題等々考えたときに、私はこれは大変重要な問題であろうと思っています。したがいまして、これは震災対策のボランティアというだけではなくて、もっと高い視野から考えるに値する項目だと思います。  この関連で、ちょっと質問通告はしておりませんが、外務大臣お見えでございます。  いわゆる震災対策の財源としてODAの予算を何とかしたらどうかという御意見がちらほら、与党にも野党にもあるでしょう、まだコンセンサスは両方ともないと思うのでありますけれども、こういう議論が一方でございます。ところが、数十年にわたりまして、いわゆる国際貢献という中でODAを我が国は、まあ中身についていろいろ批判はありますけれども、日本は各国にODAという政府開発援助を行ってきた。その結果、今度モンゴルからあの関西空港に物資を持ってこられて、迷惑だから二時間でもう帰りますよといって帰られた。  ある新聞によれば、ある途上国の最貧国のスラムから、これは協力隊か何かでありましょう、日本人がこれまで我がスラムを面倒見てくれた、貧乏な国だけれども、我々のお金を出したいということで、百万円が貧乏な国のスラムから届けられた。これはやはり国際協力あるいは国際貢献あるいは平和貢献をしてきた日本のその評価の返事だと思うのですね。  そういうときに、ODA予算で、日本がちょっと困ったからここをねらい撃ちにしてちょっと震災対策をということになると、私は、これまで培ってきたそういうものが崩れるのではないかという懸念を私個人は持つわけでありますけれども外務大臣に、質問通告はしておりませんけれども、今ちょっとボランティアの関係でそれを痛切に感じましたので、お考えを。
  74. 河野洋平

    河野国務大臣 議員がお述べになりましたように、今回の地震は我々にいろいろなことを教えていると思います。今御指摘になりました世界と日本との関係を見ましても、我々はまさに国際社会の中で助け合って生きているという実感を持っているのでございます。  今お話がありましたように、我が国は、例えばODAに一兆円を超える予算を持っておる、したがって国内で問題が起きたらその金を直ちにそちらに振り向けるというわけには私はいかないであろうと思います。それは、国民の一部には感情的にそういう議論、つまりうちの中が困っているのに何も外に持っていくことはないではないかという、そういう御意見があることはきっとあるだろうとは思います。  しかし、これは国際社会を視野に入れれば、我々とすれば、やはり今議員がお尋ねのように、国際社会にはさらに貧困にあえぎ、食糧に本当に窮している国々もあるわけで、そうした国々は我が国からの支援を期待をしている、あるいは我が国の支援に頼っている、そういう部分があるわけでございます。そうしたことはやはりそうしたこととして、きちっと我々はその期待にこたえていくということが重要であろうと思います。  しかし一方、いずれにせよ我々、こうしたODA活動というものは国民の理解の上に行われなければならないこともまた当然でございます。私どもとして、政府全体として、国内の問題には全力を挙げて取り組み、一方、国際社会に対するその期待にこたえる仕事は仕事としてまたきちっと行っていくということが大事ではないかと考えます。
  75. 古賀一成

    古賀(一)委員 外務大臣に御答弁いただきましたので、関連してもう一点外務大臣にお伺いしたいのですが、クリントン・アメリカ大統領から一月十八日に村山総理に電話があった、そこで、在日米軍はいかなる要求にもこたえる用意がありますという申し出があったやに聞いています。新聞にも載っておったと思いますが。その結果、毛布とかテントとかあるいはそのテントを張る要員とか、これは膨大な量でありますけれども、防水シート二万五千枚とか、米軍がこの大量の緊急物資を提供してくれた。  これ自体は私はいいと思うのでありますが、こういう物資というものは本来ならばアメリカから供与されるというよりも、まず自衛隊が駐屯地から持っていくというのが本筋じゃないかと思うのでありますけれども、それはきょうはさておきまして、その中に、インディペンデンスの協力という問題があったとか、使っていいとか、そういう問題があったとかも聞くのですが、その実態はいかがでございましょうか。
  76. 河野洋平

    河野国務大臣 議員お尋ねのとおり、災害発生直後にアメリカから見舞いの意思が届けられまして、極めて善意あふれる、日本が必要とするものがあれば在日米軍はいかなる対応もいたします、こういう大統領からのお話が村山総理あてに届けられました。そのことは事実でございます。  しかし、今議員がお話しのように、インディペンデンスでもどうぞお使いくださいというふうに明示的に提案があったかといえば、そういうことではなくて、これはいかなることでもそちらの御要望にはできる限りこたえますよ、こういうお話でございまして、そう言えば全部入っているじゃないかと言われればそれはまあそうであるかもしれませんが、我々もそこは現地のニーズといいますか、今緊急に現地が必要としているものは何か、しかもそれに、米軍にあるいは米国にお願いのできるものは何かということを考えれば、こういうものであろうといって、先ほど議員お話しのような毛布であるとかテントであるとかということを緊急にお願いをしたということでございます。
  77. 古賀一成

    古賀(一)委員 確かに、在日米軍はいかなる要求にもこたえる用意があるということで、ところが役所のレベルでは、これはインディペンデンスも含む、どうしようかという検討があったやにも聞くんです。こういうインディペンデンスをどうする、これも含まれるんじゃないか、政治的に判断しようという相談というか、御意見の伺いというものは大臣にあったんでしょうか。
  78. 河野洋平

    河野国務大臣 いかなる要請にもこたえる、こうおっしゃっていただいたわけで、我々とすれば、それでは何をお願いをするか、そんな丁寧なやりとりではもちろんございませんけれども、あの緊急な場面でございますから。今必要なものは何だ、水だ、あるいは毛布だ、テントだ、これは自衛隊にもお願いをしているが、在日米軍にもとにかくお願いをしよう、こういう判断でございまして、それはお願いをいたしました。テントは多少日時が違っておりますけれども、そういうことをお願いをした。  お願いをすると、極めて迅速にそれに対応してくださったということでございまして、一々、戦艦はどうか、航空母艦はどうか、巡洋艦ならどうだ、あるいはほかの、例えばヘリコプターならどうだ、何がどうだといったようなことを一つ一つ個別に私のところまで現場から、現場といいますか、原局から相談が上がってきたかというと、そういうことはございません。
  79. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は何を聞きたいかといいますと、申し上げたいかといいますと、役所レベルでは、あのクリントン大統領の申し出はインディペンデンスの話も含んでおるんだ、そういうことで、これについては官僚ベースで判断をしたんだということを言っているやにも、そういう声も聞こえます。  つまり、政と官ですね。とりわけこういう極めて重要な問題が政治の場に全く上げられもせず、論じられもせず、行政で判断をしたというような言葉が行き交うようでは、私は、この震災のみならず、国際的な有事といった場合に本当に政府は対応できるんだろうか。政と官のその問題については、私はこれは非常に懸念というか危惧を覚えるわけでありまして、大臣、その点全く御存じございませんでしょうか。
  80. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、アメリカからのいかなる要請にもこたえますよという話が、大統領から我が国総理あてにお話がありまして、それは官邸から直ちに私のところに、こういう話があったぞと、当然のことながら御連絡がございました。  私としては、まさに今議員がお話しのように、政治が判断をするのは、この米側の善意、米側のお申し出にはひとつぜひお願いをしろという判断、これはもう政治のまさに判断でございます。こういう日本とアメリカとの関係、あるいは在日米軍という極めて迅速に動けるであろう体制、そういうものが手伝うよ、我々のできることがあればやりますよと言ってくれた。じゃそれに頼むかどうかという判断は私の判断でやるのが当然と思います。  しかし問題は、その中で、毛布にするか、水にするか、テントにするか、食糧にするか、何にするかという判断は、これは行政におろして現場と原局とがまず相談をするということは、これは行政の仕事として考えていいのではないかというふうに思っております。  それで、そうした原局でこれを頼もうとお願いをした、このやりとりが実にうまくいった。私からモンデール大使に対して、あるいはクリストファー国務長官に対して、まことにありがとうと感謝の意を述べ、向こうからは引き続き、まだ我々にできることがあればおっしゃってください、ありがとうございます、また何かあれば緊急にお願いをいたします、こういうやりとりは政治の責任としてやっている、こういうことでございます。
  81. 古賀一成

    古賀(一)委員 それでは次の論点に移りたいと思います。  今度の震災でまたあぶり出されたといいますか、教訓は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども官邸の危機管理体制あるいは危機管理能力という問題でなかったかと思います。きのうですか、新聞にも載っておりましたけれども。  私は、今度の大地震の第一報を官邸にだれが伝えたか。ガードマンの手によるファクス通信でなかったかとか、あるいは真夜中には官邸にはだれも、総理の家族以外の方はおられないじゃないかとか、秘書官は、じゃ、あの日いつ出勤したんだとか、そういういろいろな苦言といいますか、問題点が指摘されておると思います。  私も、官邸のあの建物でいいのかなとか、官邸の、あるいは公邸ですね、特に公邸がひどいということがかねてから指摘されておるわけでございますけれども、この際、こういう震災を想定しまして、震災が起これは、まずは一定の基準で、客観基準ですね、方面の自衛隊あるいはその当該県あるいは隣接県も含む県警なり消防ヘリが一定の基準で同時にスクランブルをかける。それで一定のヘリコプターには最新鋭の通信及び画像機器を設けて、それが二十四時間体制の地上局、県警なのか自衛隊なのかあるいは国土庁なのか、それは議論はいろいろあるでしょう、そういうものに伝達をして、それがAランク、Bランク、Cランクでボタンを押せば、一定の基準で官邸にあるいは関係大臣に、秘書官に行くというような、そういうシステムというものが必要なんですよね。  今後総理官邸の機能強化について検討会が行われるということのようでございますが、今言いましたような初動の調査ヘリを含め、それから官邸に至るまでの一運の危機管理体制というものをこれまたどういう体制で今後政府は検討されるのかお伺いをしたいと思います。――小里大臣、お願いします。
  82. 小里貞利

    ○小里国務大臣 ここは私がお答え申し上げるべき立場であるかどうか、ちょっと迷ったところでございますが、答弁のところをちょっと御紹介申し上げますと、実は一昨日、ただいま先生がお話しございましたように、まず、災害が発生した、それを迅速に政治の中枢部である総理大臣官邸にいかにして届けるか、迅速に届けるか、その辺の言うなれば初期段階におきまする情報収集体制をきちんと、高度な機能を持った組織をつくるべきではないか、そういうような観点から、これは先ほどお話がございました総体的な今後の防災対策よりも一歩前倒しで、初歩の段階におきまする総理官邸に情報を集めるためのその体制はいかにあるべきかというプロジェクトチームを結成をされまして、そしてその中間的ないわゆる意見交換、あるいは一つの素材がおおむね出そろっておりましたので、一昨日実は総理官邸で協議が持たれたところでございます。  その中で、ただいま先生からお話がございましたヘリの活用、これは極めて高度であって大きな効果期待できるというような一項も入っておりまして、そのための既設のそれぞれの機関、体制が持つヘリ等をどういうふうに有効に活用するか等々、相当議論を詰めておるところでございます。
  83. 古賀一成

    古賀(一)委員 そういうことで危機管理体制が論議されることは大いに結構であるし、必要だと思うのでありますが、これはどういうメンバーで、政府部内だけの、お役所の一定のポストにある方だけでの検討になるわけでございましょうか。
  84. 大森義夫

    ○大森(義)政府委員 お答えいたします。  先ほど小里大臣から御答弁ございましたのは災害即応体制検討プロジェクトチームでございまして、その座長は石原副長官でございます。それに関係いたします国土庁初め、私ども内閣情報調査室、警察庁、防衛庁、海上保安庁、消防庁、気象庁、関連の局長クラスで構成されております。
  85. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は、こういう危機管理体制というものは、石原官房副長官、行政のプロでございます、それはもう重々承知しておりますけれども、仰せお忙しい。これは、本当に専門的な分野を取り込まないと意味がないと思うのです。私は、これはあくまでアイデアでありますけれども、民間には相当の通信のプロ、システムのプロがおられるわけでありまして、私は逆に、国家の危機管理に関するものを民間に委託するというのは何か変な気もいたしますけれども、でも、知恵を引く、本当に生きた知恵を引っ張るということだったら、今のようなメンバーで、気象庁のだれそれさん、何とか省の何とかさん、全部全然経験がないわけですね。  しかし、そういうことから見ると、本当にこれを原点に戻って生きた危機管理体制をつくり上げる、システムをつくりあげるということであれば、私は、今のようなメンバーによる委員会というのは形だけのものであって、アメリカの大統領のあの危機管理システムといいますか、核のボタンまであるわけですけれども、そういうものとまでは言いませんけれども、ダイナミックな、機動的な危機管理体制というのはおぼつかないんじゃないかと思いますけれども、この点について、大臣いかがでございましょうか。
  86. 小里貞利

    ○小里国務大臣 これは先ほども若干申し上げたわけでございますが、中期にわたる総体的な防災計画、これはこれでできるだけ早い時期に検討を、その作業を開始するべきでございますが、今説明申し上げましたのは、当面の緊急対応として総理大臣官邸周辺に迅速に情報を届けられるようにとりあえずやろうじゃないか、そういうことでございまして、もっと具体的に申し上げますと、そのための線を引っ張ったり、あるいは人的な配置をしたり、いろいろと作業はもう既に開始しておいでになりますから、そのような一つの性格のものであると御理解いただきたいと思います。
  87. 古賀一成

    古賀(一)委員 新聞に載っておるところによれば、内調に災害対策官を置くということのようでございます。いろいろな対応が出てくるんだと思いますけれども、私はその程度の対応で真の危機管理というものはできないということを、私の意見を申し上げて、次のテーマに移りたいと思います。  今度の震災、先ほども申し上げましたように、いわゆるフェールセーフというものを厳しく問いかけたと思います。失敗しても大丈夫といういわゆる安全の体系というものは、私は、選択肢を幾つもつくる、代替肢をつくる、そしてそれをちゃんとネットワークするということだろうと思うのです。  そういう面で、私はかねてから思っておりました、これからの国土のあり方というものも一面で見直すべきじゃないだろうか、かように思うのです。つまり、これまでの日本のとりわけ戦後の流れを見ますれば、東京から名古屋、大阪、神戸に至り、九州に至るいわゆる第一国土軸というラインがあって、ここに都市が集中し、工業化が進み、そして経済効率最優先の日本型の戦後社会をつくってきた。  そのど真ん中にあるのがいわば神戸でありまして、神戸はよく言えば、もうかねてから言われていることでございますけれども、日本一都市経営のうまい町である、経済発展について一番知恵がある都市である、こう来たわけですね。その町にあの震災が起こったというのに私は歴史の何かを感ずるわけでありますけれども、私は、この際この神戸市のこの震災を教訓として生かすには、つまり第二国土軸というか、もう一つのそういうものを国の開発のあり方として考えるべきではないか、それを一つ示したのではないかと私は勝手に思っておるわけでございます。  そういう面で、五全総の策定の動きがあるということでございます。あのラインではなくて、もう一つの国土開発の軸、その議論につきまして、国土庁長官、今回の震災を契機にと言っていいのかどうかわかりませんけれども、五全総、時代の変わり目、日本経済の体質の変化、こういうものも大きな課題として挙がっておるところでございまして、第二国土軸への取り組みについて、簡単でようございますが、よろしくお願いします。
  88. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先生の御指摘は、今回の地震に対しまして、第二国土軸、こういった問題が提起をされました。我が国土庁といたしましては、まず我が国土の開発のために、全総から始まりまして、新全総、三全総、四全総、ここまでただいま参っておることは先生御承知のとおりであります。  いよいよ、昨年の十一月十日に国土審議会を開催をいたしまして、新しい二十一世紀に向けての全総をひとつ先生方考えていただきたい、総理並びに私からお願いをいたしたところであります。それに伴いまして、今度は専門部会もできました。そして、その専門部会は、第二回目をこの二月十六日に、防災も含め先生の言われた国土軸も含め検討することは必定であります。  先生の言われましたこれからの全総、高齢化社会に対応、そしてまた地球の環境問題、少子化の問題等々挙げれば枚挙にいとまがありませんが、これらを踏まえて、ひとつまた神戸における第二国土軸、これはもう本当に必要な国土軸でありますので、これらも、今後の全総にかわる全総、これにおいて真剣な討議、また部会においても討議をされることは必定でありますので、一言申し添えたところであります。
  89. 古賀一成

    古賀(一)委員 五全総の中で当然この第二国土軸というのは論議はされるであろうし、中核の一つの構想として実現することを心から期待しております。  今までの新全総、三全総、四全総、こう来た流れ、今度の五全総というものは、単に時代が変わったから、あるいはもう時間もたったから改定というよりも、まさに日本の経済体質あるいは価値観、私は、もう今までのトレンドでこれからの経済というものはもたないと思うのです。そういう面で、五全総という名前も、四の次だから五という発想も困るし、それでは私は済まない。もっと、これまた先ほど申し上げましたように、抜本的に今置かれた日本の過渡期であるそのさまをしっかりと私は受けとめて、新しい国家理念というものを出していただきたいと思うのです。  これは質問ではございませんが、もう時間がないので、ちょっと参考になるかどうかわかりませんが、西ドイツと日本というものはお互い敗戦国として戦後スタートしたわけです。ドイツがああで日本がこうだ。日本は私はお山の頂上で、今度の震災があろうとなかろうと、経済的にも国民の価値観の面においても、次なる目標を見出し得ず何か右往左往している、そういう感じにとれるわけです。だから、新しい国家理念というものが、あるいは国土像といいますか、あるいは日本人像というものが今求められている。それが私は日本の根本問題だと思います。  そこで、ドイツというものはどうなのだろう、こう思っておりましたら、ある男がうまい資料を私のためにつくってくれました。  西ドイツ、旧西ドイツでございます、東ドイツは除きまして。あの国は、戦後スタートして今日に至るまでの基本的な国家観というものは、国家理念は、日本の場合はどちらかと言えば、一言で言えば産業重点政策という言葉も言えるかもしれません、経済効率最優先の社会と言ってもいいかもしれません。  ドイツはどうだったか。豊かな国民は国家の財産であるというコンセプトで、もう福祉から老人ホーム、勤労者対策あるいは救急問題、これはもう説明する時間ありませんけれども、ことごとく、豊かな国民生活、それが、そのものが国家の財産であるというコンセプトで来ているわけですよ。だから、社会資本整備などは一九六〇年代末までにつくり上げるという思想で、基礎的な部分ですからね、住宅投資、社会資本投資をやってきた。  こういう実は流れの中で、国民生活の豊かさを確保するための手順を全部順番を追って西ドイツというのは来て今日があるということのようでございまして、日本と同じ敗戦国としてスタートしながらそのシナリオが相当違ったな、そしてたどり着いた様子も違うなということを私は痛感をいたします。  そういう面で、この西ドイツ型の国家理念をというわけではございませんけれども、国家理念を新しくつくるというぐらいの私は意気込みでこの五全総といいますか、五全総という名前はいけないと思います、新しい国家像というものを構築すべきその重要な時期にあると思いますが、この点についてはもう先ほど御意見をいただいた、答弁をいただいたということで、次の質問に移りたいと思います。  そういう中でいいますと、第二国土軸がその柱になるだろう、なるべきだと思いますけれども、伊勢湾口から紀淡海峡、そして四国はもう大鳴門橋で結ばれております。そして、近々できます、今度地震がありました明石架橋、あれでまた神戸と淡路島、紀州、四国がつながる。四国縦貫道ももう建設ハイビッチである。豊予海峡トンネル、あるいは架橋かもしれません。そして中九州横断あるいは九州横断という流れてその国土軸はあるわけであります。  運輸大臣きょう来ていただいておりますけれども、これからのアジア経済あるいは世界経済、あるいはいろいろな航空行政といいますか、航空社会の変化を展望したときに、西日本のどこかに、私は九州の方がいいと思っておりますけれども、いわゆるハブ空港が絶対必要だ、それは日本国家のためだ、こう私は信念として思っております。  その前提として運輸省の方にお伺いしますけれども、今もうアジア各国ですさまじいハブ空港建設が行われております。私もよく見ます。これにつきましての各国の状況を端的に、口早で結構でございます、簡潔に御答弁をお願いします。
  90. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 まずソウルでございますが、新ソウル・メトロポリタン空港を建設中でございまして、二〇〇〇年初めの開港を目途に滑走路長三千七百五十メートルの空港の建設中でございます。  それから香港につきましては、チェク・ラップ・コック空港を建設中でございまして、これは一九九七年を目途に三千八百メートルの滑走路を持っ空港を建設中でございます。  それから上海につきましては、これは浦東地区に新しい空港をつくるという計画で現在調査中、こういうふうに聞いております。
  91. 古賀一成

    古賀(一)委員 本当に口早で、イメージはわかなかったと思うのですが、現地に行きますと、私は、恐るべきものがある。しかも、上海の話が出ました。私、昨年三回も上海へ行ったのでありますけれども……(発言する者あり)ありがとうございます。浦東の新区、あそこにはもう証券取引所が巨大なものが立ちつつある。恐らくあと数年もすれば三十階、四十階、五十階建ての、要するに第二のマンハッタンをつくると言っているわけですから、それだけのピッチでつくっております。そこに、何と日本の第四次円借款のお金で上海第二空港をつくる。  金融の空洞化が今問われております、問題になっております。私は、もうこれは長々と申し上げられませんけれども、あの上海あるいは中国沿海のあのすさまじい開発、そしてやる気。今加藤筆頭理事から顧問という話がありましたけれども、旧満州、今の東北地方の長春の経済顧問とか、私いろいろ仰せつかっておりますけれども、何せ地方都市まで含めてすごいのです。  そうしたときに、日本に二十四時間のハブ空港というものが、去年九月三日に関空はできました。しかし、あのシンガポールという国一つとっても、淡路島しかないのです、面積は。あそこに滑走路を三本から四本持つ、つまりアジアの金融センターになろうという意気込みであの小さい国にあれだけのものをつくっている。私はそういう面で、これからの日本の経済の体質の問題、いろいろ考えたときに、ハブ空港はもう欠かせないインフラであると思います。亀井運輸大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  92. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私どもは、国際化がますます進展をするという今後の状況、また、中国大陸あるいはその近辺、朝鮮半島、このあたりが今後二十一世紀においては世界経済の新しい中心になるのではないかということも言われておるわけでありますから、地政学的にも考えまして、成田、関空だけで私は対応できるというようには思っておりません。広島、それから山口、それから九州、このあたりは地政学的にも先ほど申し上げました地域と非常に近いところでもございますから、ここについて委員おっしゃるようなハブ空港が必要になるというように認識をいたしております。  しかし、現在におきましては、特に九州においては大型空港が相当整備もされておるわけでございます。ぜひひとつ委員中心になっていただきまして、関係の、広島を除いてもらっちゃ困りますが、含めて、コンセンサスを各県等において形成をいただいて、お取り組みをいただきたい、運輸省としてはそういう認識を持っております。  なお、ついでに申し上げますと、ソ連対日本という時代からロシア対日本という関係になりましたので、そういう意味でも札幌から東北にかけての一つ新しい経済圏ができてくるという可能性もありますので、そういう意味におきましては、千歳等も今後そういう機能を果たしていくのじゃないか。東京、大阪だけが中心である時代がいつまで続くかどうかこれは私は、必ずしもそれが永遠に続くとは思っておりません。
  93. 古賀一成

    古賀(一)委員 すばらしい答弁をいただきまして、本当にうれしゅうございます。  これは、地元九州に空港をと言うと、何だ利益誘導ではないかという、すぐそういうお考えを持たれがちでございますけれども、私は、もうこの数年、アジアの変貌、十年前から見ているわけですけれども、本当に、日本経済の足元が危ないというぐらいの危機感を持っておりまして、いろいろ財源問題等々もあるでしょうけれども、そういう国内問題を乗り越えずして空洞化が進んでいった場合、将来は税収の空洞化が起こるわけでありますから、私は、今の大臣の御提言もございました、しっかり頑張りたいと思いますし、ぜひ政府の方でもトータルな立場でやっていただきたい、かように思います。  それで、関連でございますが、せっかくの機会でございます。もうあと三分もありませんけれども、私は、この空港論を言うときに皆さんによく言うのですけれども、いわゆる機材ですね、飛行機の変化が今後すごいと思うのです。今世界の最先端をいきまして、ハイパーソニック・トランスポーテーション、HST、極超音速機のエンジンが何と日本のイニシアチブで開発をされておるということでございます。私もかねてよりこれは非常に関心があって聞いておるのですが、この開発状況について一言通産省の方から御説明をいただきたいと思います。
  94. 平石次郎

    ○平石政府委員 私ども工業技術院では、産業科学技術研究開発制度のもとで、平成元年度より十年間の計画で、今先生おっしゃられました超音速輸送機用推進システムの研究開発を進めているところでございます。このプロジェクトは米英仏との国際共同で進めております。  本プロジェクトは、東京-ニューヨークの間を三時間で巡航する速度マッハ五クラスで、燃費がよく、低騒音、低公害な極超音速輸送機用のジェットエンジンであって、ターボジェットエンジンとラムジェットエンジンとを統合いたしましたコンバインドサイクルエンジンという新しいエンジンの試作研究を行うものでございます。平成六年度末までにターボジェットエンジン、ラムジェットエンジンの燃焼機の基本性能試験等を終了する予定になっておりまして、目下のところ順調に進展しているところと考えております。  今後とも引き続き鋭意研究開発を進めまして、目標としております平成十年度にはコンバインドサイクルエンジン開発に必要な技術を確立したいと考えております。
  95. 古賀一成

    古賀(一)委員 院長、まだもう一点関連で申し上げますので、そちらで……。  今御説明ございましたように、要するにラムジェットエンジン、マッハ五でありまして、これが本当にお役所の方から御説明があったように着々と進んでいるわけです。マッハ五という飛行機が要するに二十一世紀へ向けてつくられている。その中で、今、コンコルドがマッハ二ですね。これは、音がうるさい、エンジン効率が悪い、燃費が悪いということで大西洋しか飛んでいませんけれども、これよりもっといい飛行機が二〇〇五年に就航する。  羽田空港なんかへ行きますと、よく某社の広告が出ております。超音速機の写真が載っております。二〇〇五年と、こう書いてあるのですね。私は、これは企業の単なる広告がなと思っていまして、関心があって聞きましたところ、二〇〇五年ごろにはそのマッハ二・五の、さっきのマッハ五じゃないのですけれども、二・五の超音速機が具体的に就航するという予定があるやに聞きますけれども、その点、可能性はいかがでございましょうか。
  96. 平石次郎

    ○平石政府委員 その点につきましては、担当の機情局の方から御返答させていただきたいと思います。
  97. 渡辺修

    ○渡辺政府委員 お答えを申し上げます。  今申し上げましたように、我々工業技術院とやっておりますのはマッハ五でございますけれども、今先生の御指摘のありました二〇〇五年というのは恐らく、今アメリカのNASAが中心になりまして、一九九〇年から二〇〇一年までということで、これまたマッハ二・二から二・五ぐらいの見当の超音速航空機及びエンジンの一連のシステムを開発いたしております。現在進行中でございます。それが二〇〇一年に、いろいろ問題ございますけれども、もしそれを技術開発が成功すれば、それから後はいよいよ具体的な開発に入りますから、それで、アメリカでは二〇〇五年にそういった新しい二・五クラスの超音速航空機が開発するんじゃないかということで今実験が行われておる、そういう段階でございます。
  98. 古賀一成

    古賀(一)委員 これで質問を終わりますけれども最後にあと三十秒おかりして申し上げたいのは、SSTがそういうことで就航をする、二〇〇五年。そして上海の国際空港も二〇〇〇年までに恐らくつくるのです。そうしますと、あと二年ぐらいであの浦東新区にあの巨大な空港の姿ができてくるのですよ。韓国の仁川もそうであります。香港もそうであります。  そうしたときに、日本政府の対応がおくれておったときに、あと数年して、何をやっていたのだ、関空だけで大丈夫かという論議は、私は日本の空洞化論とともにもっと燃え盛ると思います。そういう面でぜひ、結論は九州の国際空港でございますけれども、運輸大臣の御協力、御理解も得まして、今後私も頑張りますので、よろしくお願い申し上げますと申し上げまして、終わります。  以上でございます。
  99. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて古賀君の質疑は終了いたしました。  午後二時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時五分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  100. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮本一三君。
  101. 宮本一三

    宮本委員 きょうは行政改革についての質問をさせていただきたいというふうに思っておりますが、その前に、私は、このたびの地震で大きな被害を受けた淡路島とかあるいは西宮、芦屋その他、兵庫二区の方から選出させていただいているものですから、災害の対策について、最初に二、三確認の御質問をさせていただきたいと思います。  最初に小里地震担当大臣にお伺いをしたいわけでございますが、仮設住宅の問題でございます。  実は一週間ほど前でございますけれども、新進党の海部党首夫人を初め幹部の夫人連中が、ボランティアの方と一緒に被災地に参りまして、エプロン姿で何千食という豚汁を提供するようなサービスをやってまいったわけでございます。そのとき私も一緒に参りまして、非常に多くの方が豚汁をとりに外へ出てくるわけですけれども、それができないような非常に弱っておられる方が大きな体育館の中におられるということで、申しわけないということで、私たちも中に運んだりするサービスも行ったわけでございます。そのときに、仮設住宅が何万戸もできるようだ、ありがたいことだけれども、一体いつになったら入れるんだろうかという切実な質問が多くの方から出てまいりました。  私は、何万戸という計画が発表されればされるほど、実際に待っておる方々は、もうあしたにでも可能なのかなという、そんな非常に切実な気持ちになるわけでございますので、大臣、もしおわかりでしたら、例えば二月末日までには何人ぐらいの方が入れるか、三月末には何人ぐらいの方が入居できるか、そういう見通しがわかっておりましたら出していただきたいと思います。
  102. 小里貞利

    ○小里国務大臣 実は三日前に私は、仮設住宅を既に完成いたしまして、そして入居が始まっておりまする町村なども、町でございましたが、お伺いしてみました。  ただいま先生のお話でございますが、各市町村間でかなり個人差があるようでございます。例えて申し上げますと、津名町では二百戸欲しい、この計画に対しましてもう既に百戸完成いたしまして入居いたしておられる、そういう町もございます。しかしながら、トータルとして申し上げますと、先生大変御心配、御指摘いただいております るように、なかなか思うに任せず、大変私どももざんきにたえないなと恐縮いたしておる次第でございます。  御案内のとおり、最初三万戸、そしてその後県知事から一万戸の要請がございまして、四万戸確保いたしますと、かような計画を厚生省の御努力をいただきましてきちんと約束をいたして、その四万戸に向かいまして、お話しのようにできるだけ迅速に供給できるように、その体制を急いでおるところでございます。四万戸のうち三万戸はもう既に発注をいたしました。そしてまた、その中で着工も、若干数字は動いておりますが、きょうあたりで一万四千戸前後はもう既に着工しているのではないか、こういう感じを持っております。  なおまた、それぞれ、合計四万戸の完成はいつかというお話でございますが、とりあえず最初の三万戸は三月中には完成させる。そして、その中におきまして、順次できるだけ早急に入居できるように努力を払う。懸命の努力を、市を初め県、政府も一体となって対応いたしておるところでございます。  さらに、追加の一万戸の分でございますが、これもまず土地が大事でございますから、土地を約八十ヘクタール前後必要といたしますが、そのうちの千二百戸分だけはもう既に確保をいたしました。あと、ざっと申し上げまして七十ヘクタールぐらいの土地を準備いたさなければなりませんが、あらかじめ、準備といたしましては、国有地等も兵庫県内域だけでも百八十ヘクタールぐらい一応の準備がしてございますから、これらを市及び県で具体的に用途、配分を進めていただきまして、できるだけ早急に体制を整えなけりゃならぬ、さように思っております。  それから、先生の方から御指摘ございました老齢者あるいは体調がすぐれない皆様方の措置でございますが、これは、今申し上げました四万戸のほかに八千戸を準備いたしましたことも御承知のとおりでございます。しかもそれは既設の旅館、ホテルあるいは民間マンション等でも結構でございますと、しかもその老人の皆様方をお迎えする施設については仮設住宅並みの取り扱いをいたしますと、かように申し上げまして、もうこの措置は、御承知のとおり既に約十日ぐらい前に措置いたしたところでございますが、順次この八千戸の分につきましても、相当数戸数も確保していただきましたし、既にまた入居が始まっておる、そういう状況でございます。  以上、お答え申し上げます。
  103. 宮本一三

    宮本委員 ありがとうございました。  三月末までに三万戸は完成するという大臣答弁でございまして、気を強くいたしております。できるだけ早急に需要に応ずるように、御努力をさらにお願いしたいと思います。  もう一点、きのうのNHKの番組でも、小里大臣の方から中小企業に対する融資等について、政府系金融機関の金利を二・五%、三年間、しかし、それも思い切った措置だけれども、さらに地方自治体とも相談して、この二・五%についても何らかの形の手当てをする、無利子でよろしい、しかも担保も保証人も要りませんよという発言がございました。  早速私の方へ地元からも電話がかかってまいりまして、そういう条件はありがたいことだけれども、一体いつから借りられるのかね、例えばあした行けばいいのかというふうな質問がございましたので、具体的に、金融機関の窓口へいつ行けば、いつからということで指導するのかということをちょっとお伺いをしたいと思います。
  104. 小里貞利

    ○小里国務大臣 お話は、中小企業向けのいわゆる事業融資の話でございますが、御承知のとおり、一口は三千万枠、もう一つは五千万枠を、この際通産省、大蔵省等々の大変な決断をいただきまして、決定いたしました事柄のお話でございます。  そこで、特に先生は利子のお話でございますが、申し上げますと、例えば据置期間にいたしましても、三千万の場合は二年を五年に持っていく、あるいは償還期限を十年を十五年に持っていく特別な一つの配慮も措置してございますが、最初この三千万に対する利子は、激甚法を適用いたしまして三%というところまで切り下げていただきましたけれども、これでもなおかつどうかというようなことで、二・五%まで持っていきました。  さらにこの二・五%を、地元の県市と協議をいたさなければならないわけでございますが、あらかじめ協議は相当進捗いたしておりますけれども、その後の二・五を無利子に持っていく、その辺の一つの原資あるいは支弁方について目下国が、申し上げましたように県市と協議中でございますが、これは最終的には無利子に持っていける、その確信のもとに御説明を申し上げておるところでございます。  なおまた別途、それだけでは必ずしも十分でない、別枠をというようなお話でございましたから、五千万枠をセットした、それは十年間でございます。据え置きは三年間でございますが、これも利子についてはただいま申し上げましたような取り計らいでございます。  なおまた、無担保あるいは無保証人の措置もこれをとらしていただきまして、金額に制限は若干ございますけれども、一定の手続をとっていただければ無担保・無保証人の形に近い状況で融資を申し上げる、さようなことでございます。  それから、これはいつから実施に移されるかというお話でございますが、これはもう可能な限り早期にやる必要がございますから、特別に法制上の措置なども今急いでいただいておるところでございまして、可能な限り近々これを実施の体制に入れるようにいたしたい。  したがいまして、お話がございましたように、中小企業者、そして罹災者の皆様方は、できるだけこのような新しい、大変中身としても皆様方に活用度が高いような措置が講じられましたので、早目にそれぞれの窓口に、例えば中小企業金融公庫、国民金融公庫あるいは商工組合中央金庫等に、早目にひとつお問い合わせ方をむしろ督励を申し上げたい、そのような気持ちでございます。
  105. 宮本一三

    宮本委員 地方自治体と今協議中ということでございます。これはなかなか難しい問題ですから、それは協議には時間もかかることはわかりますけれども、できるだけ早くやっていただかないと、中小企業の方々も、最終的に、一体この同じ場所であるいはこの震災の中で企業をもう一度やり直すことがいいのか、やはり場所を変えてしまうかという決断がかなり迫られております。それだけに、おくれますと震災地域の空洞化ということが進んでしまいますし、そうなりますと、一たん空洞化が進みますと、回復しがたいような打撃になるわけですから、これはもう本当に急いでいただきたいということをお願いします。  それからもう一つ、税制の問題についてでございますけれども、雑損控除の問題を六年の所得にも適用しようということなど、非常に有効な手を打っていただいておりますけれども、私、いろいろ意見を聞くわけでございますが、例えば土地譲渡益の課税を何とかこの震災地域については免除してもらえないか、大変な税金を私わにゃいかぬというようなこととか、あるいは、損害の大きく出た法人などで、一年間の繰り戻しは可能だけれども、二年、三年前まで何とか繰り戻しをやっていただけないだろうか、それまで大変な税金を払ってきたのだからというような声もございます。  また、地方税につきましても、これは自治大臣にお願いしなきゃいかぬのかと思いますが、不動産取得税とかいろいろな問題、固定資産税、そういった問題についてもこの災害地について特別に免除の手を打ってもらえないか、そういったたくさんの要望がございますので、現時点で可能な限りの措置、これは一体どのような状況になっておるのか、両大臣からお願いしたいと思います。  それともう一つは、申告期限の延期とか、あるいは納付についてもちょっと延ばしてほしいというようなこと、これに対する措置も国税庁の通達の方で出しておられるようですけれども、一部地域が外れているようなところもありますので、その辺の手直しもひとつお願いしたい。  この点について、ひとつよろしくお願いします。
  106. 武村正義

    武村国務大臣 土地譲渡益課税の減免と、いわば赤字転落法人に対する還付対象をなるたけ延長すべしという御意見でございますが、所得税は近々法案にして御提案を申し上げますが、所得税に係る緊急対応以外の税法上、税制上の対応につきましては、目下、地震災害の状況、各方面での取り組み状況、さらには税制全般とのバランス等も考えまして、できるだけ早期に適切な対応をとれるよう協議を進めているところでございます。  詳細につきましては、政府委員からお答えいたします。
  107. 松川隆志

    ○松川政府委員 お答えいたします。  地域指定による申告期限の延長の御質問でございますが、この錐衰卲タの延長につきましては、地域指定によるやり方と、それから被害を受けられた納税者の個々の申請に基づくやり方と、二つございます。  それで、地域指定によるやり方につきましては、その地域内の納税者の相当多くの方々が被害を受けた場合に、こういう地域指定によるやり方をするわけでありますが、今回新たに追加指定のあった、今御指摘のあったような三原町など三町につきましては、被害の状況あるいは被災地を管轄する国税局の収集した情報等を勘案いたしまして、地域指定によるやり方ではなくて、申告ができない被災者個人の申請によりまして、地域指定による場合と同様に期限を延長していきたいというふうに考えております。
  108. 野中広務

    ○野中国務大臣 委員御指摘の、災害によりまして被災をいたしました納税者等に対します一時的な担税力が減少する事情にかんがみまして、地方税法及びこれに基づきます地方公共団体の条例の定めるところによりまして、委員御指摘がございました期限の延長、徴収の猶予または減免措置を講じ、その救済を図ることができるようにしておるところでございます。  これらの措置につきましては、既に事務次官名をもって通達がされておるところでございますが、今回の兵庫県の南部地震の被害が極めて甚大でございますので、平成六年度の地方税の取り扱いにつきまして、通達を基準といたしまして、今お話がございました期限の延長、徴収の猶予、減免措置等を適切に講ずるよう、地方公共団体に対しまして、先般税務局長名で通達を発したところでございます。  また、大蔵大臣からもお話がございましたように、今回の損害につきまして、所得税において雑損控除の一年の前倒し適用につきまして、今特別法を準備をしておられるところでありまして、同様の措置を平成七年度分の個人住民税につきましても措置することとして、現在法案を準備をいたしておるところでございます。  七年度以降の減免措置の取り扱いにつきましては、基本的には各地方公共団体において条例を制定し、判断をされるところでございますが、今回の被害がまことに甚大であることにかんがみまして、関係地方公共団体の考え方を十分私どもも把握しながら、減免等による減収に対する地方財政措置のあり方等も十分考慮をいたしまして、取り扱いを検討をいたしてまいりたいと考えております。
  109. 宮本一三

    宮本委員 ありがとうございました。できるだけ被災地の方々の立場を考慮して弾力的に運用していただきたいというふうに思います。  それから、大蔵大臣に復興財源のことについてお伺いしたいと思います。  十兆円とも言われる大変な復興事業になると思いますが、一体、この財源をどう手当てするのか。正味財源はどのくらいになるか、まだ今から計算でしょうが。公債の発行によってカバーされるのか。それとも消費税の引き上げ時期を早めるとか、あるいは特別減税を打ち切るとか、そういった一種の増税的な方法によるのか。あるいは思い切った経費の削減といいますか歳出のカットといいますか、そういったものでこれを埋めようと思われるのか。ひとつ財源の問題について御意見を伺いたいと思います。
  110. 武村正義

    武村国務大臣 今御提案をいたしております七年度当初予算も、たびたび御説明を申し上げてまいりましたように、大変厳しい財政状況の中で、多大の財政需要と限られた税収というはざまで苦慮しながら編成をさしていただきました。  結果としては、多額の建設国債、さらには減税についてはつなぎ国債の発行を含んだものになっておりますし、それでも足りない、歳入歳出のバランスがとれないために数兆円の、いわば臨時の特例措置をしているところでございます。そういうことの長年の結果として二百十二兆という、先進国七カ国の中でもひときわ目立つような、GNPの半分ぐらいに国債残高がなるような、大変残念な、財政としては脆弱な状況に立っております。  そういうときに今回の大震災が起こりました。もちろん、こういうことでございますから万難を排して対応しなければなりません。優先的に、迅速果敢に財源措置を、二次補正も含めて対応をしていかなければならないということでありますが、まずは、今年度であれ新年度であれ、既存の予算に盛られた措置を最優先で発動しなければならない、これは予備費等でありますが。そして、一般論としては、やりくり算段といいますか節減措置等も当然考えていかなければならないと思いますが、今のところは、新年度予算はこうして御審議をお願いしているさなかでございますから、この新年度予算について具体的な措置を云々することは、これはできません。  いずれにしましても、一般論でそういう努力をして、それでも足りない、当然今回の災害は足りない事態だと思っております。その財源をどうしていくのかということになって、委員各位からも、増税なり、いや国債なりあるいは復興債というような提案もございましたか、さまざまな御提案もいただいているところであります。私どもは、今日までも、あらゆる財源の可能性を真剣に求めさせていただきます、こう答えてまいりました。きょうもこの時点のお答えしかできませんが、真剣に議会での御議論に耳を傾けさせていただき、あるいは国民の声にも耳を傾けながら最終的な判断をさせていただきたいと思っているところでございます。
  111. 宮本一三

    宮本委員 確かに難しい問題であることはわかりますし、また真剣な検討をされているし、最終的にどうなるか、まだ今の段階では言えないというような感じの答えだったと思います。  私は、平成七年度の予算案でございますけれども、昨年末に政府で決められたこの予算案でございますが、確かに大変な苦しい財政事情の中でのやりくりを最後まで努力された結果であることはわかるのでございますが、その後になりまして大震災が起こったわけであります。  大蔵大臣、どうお考えでしょうか。昨年末の時点では予算の配分、いろいろな配分計画、最適な配分であったという気持ちはあろうと思います。また、そのような努力をされたと思いますけれども、しかし、これだけの大きな災害が起こった現時点で、あの当初の、昨年末の状況で判断した予算の内容が現在も最適であるというふうにお考えなのか。それともこれはやはり震災前のときの最適配分であって、これだけの大事件が起こったからには、これはやはり見直さなければいかぬというふうにお考えなのか。その点、お答えいただきたいと思います。
  112. 武村正義

    武村国務大臣 もちろん震災前の予算編成でございました。全体としましては、先ほども申し上げましたように、かなり切り詰めながら、シーリングのもとに、各省庁スクラップ・アンド・ビルドを重ねながらぎりぎりの編成をさせていただいて、そういう意味でも、一段と重点化効率化という方針で仕上がった予算であると思っております。  しかし、その後こういう地震が発生したわけでございます。これと比べてどっちがよりプライオリティーが高いかという、そういうまだ判断はいたしておりません。目下はその予算の御審議をこうして真剣にいただいているさなかでございますから、新年度の予算として、地震対応は含まれておりませんが、これはこれでぜひ新年度早々から動き出すことができますように国会で御承認をいただきたい、ひたすらそういう思いでございます。  とりあえず六年度の第二次補正を近々に御提案をさせていただきますが、当然新年度に入りましても、この震災対策としての予算対応をしていかなければなりません。そういう次元でぜひ、既に提出している予算全体と新年度の地震対応とのかかわりで、また真剣な御議論を賜りたいと思っているところであります。
  113. 宮本一三

    宮本委員 今の大蔵大臣答弁を聞いておりますと、十二月に編成した七年度案はそれはそれでいきたいということのようでございますけれども、確かに予算を早く通すことは、この全体としての不況ムードを一日も早く切り抜けるために必要なことはわかるのでございますが、あれだけの震災を受けた、そして兵庫県を中心とするあの地域の人々から見ると、どうも納得ができないと。ああいう震災のないときに一番いいという配分で決めた当初予算案ではあるけれども、こんなに大震災で苦しんでいるのに、何の手直しもしないで、あれでいいのだというような、早く通すことがいいのだというようなことは、これは災害を受けた多くの人々からは、とてもじゃないけれども、納得できないと思うのです。その点、どう思いますか。
  114. 武村正義

    武村国務大臣 そんなことはないと思うのであります。ぜひ宮本議員もそういう声に対しては冷静におこたえをいただきたいと思うのでありますが、とにかく緊急対応は既に、予備費もありますし、予算前に地方自治体もどんどん契約をするという形で、仮設住宅も瓦れき対策も、あるいは人命、食糧に関する予算対応もどんどんやっているわけですね。目をつぶって、場合によっては予算より先行して対応しています。  それはもう、いつも災害が起こった場合、私も市役所の経験がありますが、今度は激甚災でございますが、一般の災害でも補助率のルールがありますから、それを見越してどんどん、切れた堤防を直していくとか、そういう先行的な対応をしていくのがならわしてございますし、とりあえず予算がなければできないという制約も確かにございますから、この一月に起こった地震に対して、一月、二月、三月のこの年度の残期間に対しては、こうして二十四日までには補正予算を御提案をさせていただくわけでございます。  新年度、四月以降のことを今御心配いただいているわけでございますが、当初予算は通していただいて、そして新年度予算に対する震災対応をさせていただきますと、これはもうはっきり申し上げているところでございます。地震の入っていない当初予算を今このまま認めるのは何か大きな矛盾のようにお感じかもしれませんが、しかし、これはこれで日本の経済や国民全体の暮らしのかかった大事な予算でございますから、これは今年度内にぜひお認めをいただいて、地震は、そのために消極的になるのでなしに、積極的に新年度においても対応させていただく、この決意に変わりはございませんので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  115. 宮本一三

    宮本委員 私は、第二次補正予算でいろいろ手当てをして震災対策をやろうとしておられる気持ちはもちろんわかっておりますし、また、平成七年度予算について、その後も震災対策のための第一次補正その他いろいろな形でその対応をこれからやっていただけるであろうということはもちろん疑ってはおりません。  問題にしているのは、平成七年度予算を十二月に編成して決めたときに一番最適であったと。そのアイデアといいますか、その考え方は私は正しいと思いますし、その時点ではよかったと思いますが、これだけの震災があったのですから、もっと大きな例えば震災があったとしましょうか。そういうときでも十二月に決めた予算案はそれはそれで通すんだと……(発言する者あり)私はそういう意味で、そういう意味で私は――まあいいです。  そういうことで、十二月に決めた案を、これはもう本当にそのときとしてはよかったということは僕は理解しているんですよ。しかし、これだけの震災が起こっても依然としてあの案が七年度案として一番よかったという論拠はどうしても納得できないと言っているんです。仮に、神戸の震災、大変なことでしたけれども、あれの三倍、五倍のことが起こったと仮定しますか。それでもやはり十二月にやったあの案がベストだと言って押し切れますか。私は、これはやはり大蔵大臣、よく考えてもらわなければいかぬと思います。
  116. 武村正義

    武村国務大臣 地元議員の一人として予算対応に大変真剣なのも、よく理解をしなければいけないと思っております。  結局、宮本議員も御承知のとおり、二十日に提案をいたしましたこの本予算を組み替えをしたらどうかということに通ずるわけでございますが、そのためにはかなりの時間がかかりますよね。これはもう、ちょこちょこっと二、三項目だけを組み替えるのじゃなしに、災害は非常に予算の全般にわたっておりますだけに。そうするとどうなるか、大蔵省におられましたから……。そのためにかなりの日数がかかってしまって、結果的には年度を越してしまうということになりかねませんし、もう一つは、補正対応ですらまだ数字が全部上がり切っていない。必死で地方自治体も各省庁も現地に飛んで積み上げをやってくれていますが、ようやく最近、大蔵省の方へ数字が入り始めているという状況でございます。まだ全部入り切っておりません。  そんな状況でございますから、ましてやこれは補正対応だけですから、新年度の予算を本格的に組み替えるとしますと、やはりああいう横倒れになった阪神高速道路の新しい技術設計も決めなきゃならない、港湾の修復も、根底から技術的な設計をして金額を積み上げていかなきゃならない、そのためにかなり時間がかかってしまうということと、二つの理由から、ここは本予算をお認めいただいて、なるだけ早く新年度の震災対応をしていく。これは実質においては変わりはないわけでございますが、その道をとらざるを得ないということでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  117. 宮本一三

    宮本委員 訂正に時間がかかることはわかっておりますけれども、それをかけてもやるだけの価値があるかどうか、やるべきじゃないかという、その判断の問題だと思います。これ以上の議論は、私はここでしてもむだだと思いますから、私の考えだけを述べさせていただきます。  次に、災害の対策に対する責任官庁の問題がいろいろ議論されておりますが、政府も二十四時間体制で情報を集めるための措置をいろいろ検討されておることは承知いたしておりますが、国土庁を中心にしている今の体制がいいのか、それとも、例えば自治省など、非常に自治体との関係も深いし、あるいは消防あるいは警察といったところも非常に深い関係にありますから、そこでやられた方がいいのじゃないかといったような議論もございます。防災の責任官庁についてどんな考えを持っておられましょうか。これは官房長官でしょうか。
  118. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これは五十八年の年であったと思いますが、第二次臨時行政調査会における答申の中で決められたところなんであります。実はそれまでは、国土庁というのは四十九年の六月に創設になっているのでありますが、それ以来国土庁の長官官房の災害対策室というところでこれは担当しておったのでありますが、今申します第二次臨調答申に基づきまして閣議決定をいたしまして、国土庁の中に防災局を設けて災害の予防から応急、復旧対策まで広範囲に及ぶ関係省庁の防災行政の調整機能をそこでやっていこう、こういうことで今日まで至っているところであります。  今度の災害におきましても、御承知のように、十七日の朝七時半ころ、災害対策本部を設けるということで、当時、法に基づく非常災害対策本部の設置の準備に入りまして、十時の閣議を経て十一時半に一回目の会合を持つなど、国土庁としても責任官庁としての努力を続けてきているところであります。  関連してさまざまな、内閣としての緊急対策本部等のことはもう御承知のとおりでございますから省略をさせていただきたい、こういうぐあいに思いますが、今後の復興に当たりましても、これも既に機会を見てお話を申し上げているとおり、復興法のようなものをぜひお決めいただいて、そういう中で復興本部を設けて、同時にまた、総理の諮問機関としての復興委員会も設けながら、これらについても全力を挙げていく、こういうようなものなどの担当は、国土庁がやはり一生懸命ひとつ努力してもらう、こういう考え方でいるところであります。
  119. 宮本一三

    宮本委員 特殊法人統廃合の話が、けさの同僚議員からの質問の中にも出ておりましたけれども、確かに九十二法人を八十一法人廃止または統合ということでございますが、内容的に見ると、どうも数合わせに終始しているようにしか思えないわけであります。  昨日の日経新聞の社説にも出ておりましたけれども廃止はわずか一件だ、しかもそれが職員二十三名のというふうなことも出ておりましたし、まあせいぜい、大部分統合されて温存されておるものですから、役員の数が少し減る程度がなといったような書き方になっておりまして、「どうした武村蔵相」という小見出しまでついておりました。  武村大蔵大臣は、消費税を三%から五%に引き上げるからには、その前に行政改革によって政府もリストラの実を示さなければ国民の納得は得られない、こういうふうに申されましたし、また、ことしの一月八日のフジテレビを見ておりましたけれども、「この政権行革ができないのなら、さきがけはこのままこの政権にとどまる考えはない」というふうに言明されておられました。私は、このテレビを見たときに、武村さんは本気だなというふうに思いましたし、また、これは紛れもなくテレビを通しての国民に対する公約だと私は思いました。  そこで、これは最初に総務庁長官にお伺いしたいのですが、この十一日未明に決められました統廃合の結果、どれほどの経費の削減なり、あるいは消費税等の引き上げの前提となるリストラ、そういったものをやりましたというふうに国民に示し得る数字といいますか、朝も似たような質問が出ておりましたが、それを再度確認させていただきたいと思います。
  120. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  たびたびこの委員会でも御議論になったのですが、三月末までに本当に具体名を挙げて特殊法人整理合理化ができますかというようなお尋ねが随分あったわけであります。しかし、村山総理リーダーシップもございまして、私も各省の大臣に強く要請をいたしまして、午前中の委員会でお答えいたしましたように、十一の法人につきましては統廃合ないしは民営化、その方向を出しますと同時に、日本たばこ会社につきましては、専売制を廃止をする、こういった形の決着をつけることができたわけでございます。  この点は行革審におきましても随分議論がありましたが、結局は、このような方針政府努力をせよというような答申しか出なかったわけでございますし、それから、その前後の内閣におきましても、具体的な整理統合民営化というものはできなかったわけでございまして、そういう意味では、村山内閣として公約実現のために全力を挙げて努力をしたということについてはひとつ御理解を賜りたいと思う次第でございます。  そして、お尋ねのこの効果の点でございますが、委員、大蔵省御出身でもございますのでよく御存じだろうと思いますが、統廃合等に伴う組織及び要員体制の変更の具体案作成は、今後行う法案等の作成作業で検討されるべき課題であるし、また、財政支出等につきましては、各年度の予算編成過程で具体化されるということはよく御理解をいただいていると思います。そういう意味で、平成七年度の予算の編成に当たっては、公務員の定数については一定の削減をやって百四十億円の経費節減を実現したということは午前中の委員会でもお答えしたとおりでございます。  そういうことではございますが、御要求でございますので、この特殊法人整理合理化の閣議決定に当たっては、おおよそこのような形で数量化、定数化については努力をしようといったイメージについては、出せるものについては努力をいたしましょうということを申し上げたわけでございまして、今具体的に、数量的にこれこれの削減とかいうことはお答えすることが困難なことは、もう委員よくおわかりのとおりだろうと存じます。
  121. 宮本一三

    宮本委員 けさの同僚委員質問の中で、大蔵大臣に対しまして、さきがけ案のことを聞いておられました。そのとき、ちょっとこれは私も、内部放送のテレビでございますから、誤解があってはいけませんので聞いているわけですが、あのさきがけ案は武村党首が認知していないものなのですか、それとも、これはさきがけ案として出した以上は党首の責任において出されたものなのか、これをちょっと伺いたいと思います。
  122. 武村正義

    武村国務大臣 私も、さきがけの代表を務めておりますが、今閣僚の一員として政府に参画をさせていただいておりまして、時々党の会合にも顔は出しておりますが、一貫して出られる状況ではありません。そういう意味では、基本的には通常の党務は代行の皆さん以下の党に残っておられる皆さん方にお任せをしているということだと思っております。したがって、一々といいますか、すべての党の決定を事前に党首に相談をするという形になっておりません。  そんな中で、この問題について承知していたとかいないとかいうことはちょっと避けさせていただきたいのでありますが、いずれにしましても、さきがけ案という形で出たことを私は認識をしなければなりませんし、外へ出た以上は党首もそのことに責任を感じなければいけないという思いであります。
  123. 宮本一三

    宮本委員 船舶整備公団について、さきがけの案では廃止となっておるのに廃止にならなかったことについての質問がありましたとき、運輸大臣は、これはさきがけ、社会党が間違っているのだと、切って捨てるような答えが出てまいりました。これは、さきがけ党首として、ああそうですかで済むような考えでございましょうか。
  124. 武村正義

    武村国務大臣 あのときもお答えいたしましたように、党の立場と閣僚政府の立場と意見が違うことは間々あり得るし、あってもいいという考えてあります。  ましてや、党といっても与党三党の意見ということになりますとかなり重くなってきますが、三党の意見でも政府と違うことだって起こり得ます。しかし、三党を構成する私どもの意見が、与党全体の意見にも残念ながらなっていない状況でありますから、今回のような結論になってもそれは問題はないと思っておりますし、私自身は、この船舶整備公団ですか基金でしたか、詳細存じ上げておりません。ですから、これがどっちが正しいとかいうことをここで胸を張って申し上げるのは控えさせていただきたいと存じます。与党を構成するある政党の考え内閣考えが違うことはままあり得るということで御了解いただきたいと思います。
  125. 山口鶴男

    山口国務大臣 午前中の委員会におきまして、運輸大臣が、鉄道整備基金船舶整備公団との関連におきまして、委員御指摘のような御発言があったことは事実でしょう。しかし私は、お答えいたしましたように、党としては、行革プロジェクトチームの中でそういう意見はありましたが、党の政策審議会なり党の正式機関として決定した案というものはございませんということを申しました。ある一つの新聞に案なるものが報道されたということは知っておりますが、他のマスコミに報道されたこともございませんし、結局、党として正式に決まった案ではないということは御理解いただけるんじゃないかと存じます。
  126. 宮本一三

    宮本委員 社会党の方の経緯について私も理解をしていつもりでございますが、いろんな人が、さきがけ案として出されたときに、これはやはりさきがけ、党としての意見ではないかというふうにとったわけでございますし、またそれであればこそマスコミでもそれなりの敬意と重要さを持って報道されたのだと思います。  こういうことになりますと、これは党首も忙しいのはわかりますけれども、やはり発表される案についてはだれの意見かということをぜひ今後しっかりしておいていただきたい、このように申し述べたいと思います。  時間が参りましたので、私の質問は途中になりましたけれども、この辺で中断させていただきます。ありがとうございました。
  127. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、石井啓一君から関連質疑の申し出があります。宮本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石井啓一君。
  128. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は、まず、特殊法人の問題につきましてお尋ねをいたしたいと存じます。  午前中から同僚議員からもいろいろ質疑がございましたけれども、その中で、政府においては、今回の特殊法人改革案では、数も十一法人削減をした、全力を挙げて努力をされた、いわば自画自賛をなさっているわけでございますが、私は、今回の特殊法人見直しについては、いろんな識者も指摘をされておりますように、二つ大きな課題があったかと思います。  その一つは、今回たくさんの統合案が挙げられておりますけれども、単なる数合わせではなくて業務の内容まで踏み込んでリストラをする、その結果、どれだけ財政に寄与をするのか、こういうことが一つございました。もう一つは、政府系金融機関についてどこまで切り込めるのか、この二つが大きな焦点であったかと思います。  そこで、お尋ねをしたいと思いますけれども、この焦点でございます政府系金融機関見直しについて、先送りをされた理由をまずお聞かせをいただきたいと存じます。総務庁長官、よろしくお願いします。
  129. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  村山総理の強い指示がございまして、私、この間、昨年は五十嵐官房長官と私とで各省庁大臣においでをいただいて、それぞれが所管をする特殊法人に対して、統廃合あるいは民営化、あるいは組織機構縮小スリム化等々の問題について強く要請をいたしました。また、ことしに入りましてからも、しばしば各閣僚に対してそのことを閣議後の懇談で要請をしたり、あるいは各閣僚の皆さんにもお願いをしてきたところでございます。その結果、それぞれ閣僚の皆さんは、それぞれのリーダーシップのもとでみずからが所管をする省庁のこの整理合理化については懸命に取り組んでいただいたと思います。これは先ほどお答えしたとおりであります。  しかし、この政府系金融機関という問題になりますと、これはどうしても複数の官庁にかかわる問題でもございます。そういう点もございまして、この点につきましては鋭意要請はいたしましたが、この問題について、残念ながら、十日夜から十一日の未明にかけまして政府与党として具体的な結論を見出すことができませんで、今国会中にいわばこの問題については決着をつけるということにならざるを得なかったということでございます。
  130. 石井啓一

    石井(啓)委員 今の御説明ですと、一生懸命頑張ったけれども残念ながらまとまらなかったという、単純に言うとそういうことかと思いますが、しかし、それで理由になるのかなという私は思いがいたします。  と申しますのは、総理はもうたびたび今年度中にすべての特殊法人について見直しをする、こういうふうにおっしゃっておるわけであります。二月十日というのは、まだ今年度中ということでは時期がありますけれども、私は、百歩譲って、この政府系金融機関についての見直しを若干時間をかけるということを認めたとしても、せめて今年度中に結論を出すということでないと、この総理公約に明らかに違反するのではないか。これが今国会中となっていますね。これは三月末ということじゃないですね。伝えられるところによると、五月あるいは六月ということです。これは総理公約とは明らかに違うのではないんでしょうか。いかがですか、総務庁長官
  131. 山口鶴男

    山口国務大臣 これはもう何回も繰り返し申しましたように、本来特殊法人のこの整理合理化の問題は、前内閣におきましては二年間ということだったわけでございますが、村山内閣になりまして、総理の強い御意思もあり、与党の皆さんとも相談の上、政府与党一体となって前倒しをして、そうして年度内に決着をつけようということにいたした次第でございます。そうして、二月十日までに各省庁が懸命に努力をして、最終報告を提出をすることを求めて、先ほど来お話がございましたような報告をいただいたところでございます。  政府系金融機関の問題につきましては、先ほどお答えいたしましたように、各省庁にわたる問題でもある、それからまた、御案内のように、今回の阪神の大災害に際しまして中小企業に対して、午前中も融資のお話もございました。中小企業に対する金融の問題、さらには、JRその他に対する融資の問題も開発銀行等で真剣に取り組んでいるという問題もございます。  そういう状況の中でも何とか答えを出そうではないかということで努力をいただいたわけでございまして、したがって、そういう中で各金融機関も具体的に、午前中の委員会で答弁の途中でやめたのでございますが、すべての、八十の特殊法人に対して組織効率化あるいは縮小等については、いずれもみんな報告をいただいているわけであります。しかし同時に、この政府系金融機関のあり方の問題については、やっぱり不断に取り組む必要があるということから、これは今国会中に政府系金融機関、さらに鋭意検討して答えを出そうということにしたわけでございますから、公約違反という御批判は当たらない、かように考えておる次第であります。
  132. 石井啓一

    石井(啓)委員 政府系金融機関について複数の省庁にまたがっているというのは、そんなことは言われなくてもだれでもわかっている問題であるわけですね。それは二月十日になって初めてわかった問題ではないはずですよ。  それから、もう一つ言っておきますけれども、私ども、震災対策が大変ですから、二月十日に最終報告は出るんですかと何回も聞いたはずです。私もちょうど一週間前のこの委員会においてお聞きをしました。そのとき総務庁長官、何とおっしゃったかというと、「全力を挙げて各省庁とも、震災対策は震災対策、そして特殊法人問題は特殊法人問題、こういう形で対処いただける、」こういうふうにおっしゃったにもかかわらず、いざ期日になってみるとそういう言いわけをなさる。これは私は、やはりちょっと政府の姿勢としてはおかしいのではないか、ちょっと納得がいきません。  それで、なぜ今国会中なのか。まだ三月末まで時間がございますでしょう。なぜ今年度中という総理公約を守ろうとなさらないのか、そこら辺をちょっと明確にもう一度おっしゃっていただけますか。
  133. 山口鶴男

    山口国務大臣 私ども明日、最終結果につきましては、閣議に報告を私の方からいたしたいと思います。その際、八十の特殊法人、それから十二の特殊会社、すべてに対して見直しを行って、例えば開発銀行においても、あるいは中小企業金融公庫においても、あるいは環衛公庫においても、こういう形で組織機構スリム化について努力をしますという趣旨の報告はいただいているわけでございまして、これは閣議にきちっと報告をいたします。  したがって、二月十日に各省庁が懸命に取り組んで最終結果をすべて報告をいただくということについてはそのとおり全体御報告をいただいたわけでございまして、そういう意味では公約違反ではございません。  しかし、行政改革は、委員御指摘のように、絶えず鋭意継続的に努力をしなきゃならぬ課題であることは明らかでございますから、したがって、政府系金融機関の問題については、今国会中、懸命に努力をして結論を得ることにしようということにしたわけでございまして、この点は公約違反という御批判には当たらない、先ほど申し上げたとおりでございます。
  134. 石井啓一

    石井(啓)委員 これ以上申し上げても水かけ論になりそうですのであれですけれども、しかし、明らかに総理は、年度内にすべての特殊法人について見直しをする、こういうふうに明言をされておるわけですから、政府系金融機関だけ別問題だというふうには一切おっしゃってなかったわけですよ。政府系金融機関でも特殊法人なわけでしょう。ですから、この問題について先送りするというのは、私どもはこれは明らかな総理公約違反と言わざるを得ない、このように指摘をしておきます。  次に、大蔵大臣にお聞きしますけれども、二月六日、ちょうど一週間前の本委員会におきまして、私、この特殊法人問題につきまして質問を申し上げました。そこで大臣は、この大蔵省の主管の政府系金融機関については全体の政府系金融機関のあり方の中で議論を詰めると、こういうふうにおっしゃったのですね。そこで私は、それでは二月十日の最終報告までにそういう議論を詰めるんですねというふうに確認をいたしました。その折、大臣のお答えはどういうお答えだったかと申しますと、「大蔵省は政府系金融全体にかかわっておりますが、しかし、他省庁とほとんどは共管でございます。そういう意味で、十日までには大蔵大臣としては一定の考え方をしっかり固めて総務庁長官報告をいたしたい」こういうふうにお答えをなさいました。  それでは、大臣にお聞きしますが、大蔵大臣としてはどのような考え方を総務庁長官に御報告をなさったのか、御答弁いただきたいと思います。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  135. 武村正義

    武村国務大臣 大蔵省としましては、少し早い時期に、塩の専売制度、塩の国家管理、明治以来続いておりますが、これを思い切って民業にする、民営化するという、このことが私ども決断した一つの内容でありました。先ほど来、厚生省の社会保障研究所、二十何名にしかすぎないとおっしゃいますが、この塩の専売をやめるということは、これだけに従事している職員が六百名おります。これは民営化といっても、どこかすっぽり民間会社で残るのでなしに、全く職を失ってしまいます。そういう次元の問題でありますが、あえて今回決断をさせていただきました。  そして、あと三つの大きな政府系金融機関を大蔵省プロパーで所管をいたしておりますし、また、十幾つかの公庫等については各省庁と共管でかかわっているわけでございまして、今お答えしたのはそういう前提でお答えをし、十日の夜は、総務庁長官官房長官にも、御答弁いたしましたとおり、大蔵省の政府系金融機関に対する考え方を申し上げました。新聞に出ているとおりでございます。
  136. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは確認をいたしますけれども大蔵大臣の出された提案というのは、開銀と北海道東北開発公庫との統合が一つ。二つ目に、国民金融公庫それから中小企業、環境衛生の三金融公庫の統合、これが二つ。この二案でございますか。確認をさせていただきたいと思います。
  137. 武村正義

    武村国務大臣 もう一つは、奄美群島振興開発基金を県に移管をしてはどうかという、三つの内容であります。
  138. 石井啓一

    石井(啓)委員 いずれにいたしましても、この大蔵省の出された提案というのは、いわゆる他省庁とかかわる問題でございますね。これは御提案をされた際に、通常であれば、他の省庁と十分連絡、連携、調整をとられた上での御提案かと思いますけれども、今回の提案においては、そういう事前の連携なり調整なりというのがあった上での御提案であったのでしょうか。確認をしたいと思います。
  139. 武村正義

    武村国務大臣 法律用語では主務大臣という表現がございますが、いろんな法律についていわゆる共管のそれぞれの大臣を主務大臣というふうに表現をいたしております。政府系金融機関の多くもそういう意味で共管になっている、主務大臣が二人、三人の公庫が少なくありません。そういう前提で大蔵大臣としての御意見を十日表明をいたしたわけでありますが、このことは総務庁長官も、昨年末も既に大変大事な問題点として御認識をされておりまして、ぜひ大蔵省の方でも知恵を出してほしいという御指示を承っておりました中で、いわば大蔵大臣の宿題という気持ちがございました。  しかし、地震が起こる、政府系金融機関全体の議論がまだ、各省にまたがりますから全体としては余り進んでないということに大変危惧を感じておりましたが、しかし、一応宿題を与えられておりましたから、大蔵大臣としてはこういう考えでいかがでしょうかという提案をさせていただいた。  中小企業でいいますと、通産大臣と十分相談をして協議をして了解をとったものではありません。中小企業金融公庫は通産大臣大蔵大臣の共管でございますが、もう一人の主務大臣である通産大臣と協議をしたものではありません。ただ、大蔵大臣としての考え方を申し上げた。  この夜、十日の夜もうぎりぎり、この協議ができてないということもありますし、また自民党等からは別の案も出ておりますし、そういう中でこれをまとめ切るのは容易じゃないなという認識はありましたが、しかし、政府系金融の所管大臣として何も言わない、宿題も預かっておりながら何も言わないわけにいきませんから、あの段階で大蔵大臣としての考え方を申し上げたということであります。年度内という意味もあって、少し時間をかければまとまっていくだろうと。  最終的にはそれが今国会中ということで与党政府全体で合意をすることになりましたので、私どもは私どもの案だけを固執するつもりはありません。もう一度、ある意味では白紙の段階から与党でしっかり政府系金融機関全体を見詰めていただいて、一定の改革の方向をお出しをいただくように御努力を願いたいじ、また、大蔵省としてもそのために側面から努力をさせていただきたいと思っている次第でございます。
  140. 石井啓一

    石井(啓)委員 二月十日の報告日の最終段階になって、他省庁とも調整をなさらない案を出された。これは普通で考えると非常に、非常にといいますか、余りに唐突である、私はこのように言わざるを得ない。うがった見方をしますと、初めからおまとめになる気があったのかどうか、これは非常に疑わしい限りでございまして、報道されておりますけれども、自民党案の開銀と日本輸出入銀行との統合案、これを取り下げるために、このまとめるのが難しい対案を出されたというふうに疑われております。これは事実かどうかわかりませんけれども、そういうふうに疑わざるを得ないということも、これは指摘をしておきたいと思います。
  141. 武村正義

    武村国務大臣 ちょっといいですか。もう一つ、私はその場で御提案をしたことを申し上げるのを忘れておりましたが、塩の民営化政府系金融機関についての、まだ政府内部は未調整でありますが、大蔵大臣考え方と、もう一点申し上げましたのは、それにしても時間が足りないことも頭にありましたので、政府系金融機関全体について、これは財投との裏表もございますが、四カ月ぐらい期間をかけて、総理の私的諮問機関を置いて、これは幅広く、深く検討して結論を出してはどうかということも三番目に提案をいたしました。  そういう意味で、一応具体案は示しましたが、基本的には、もう少し時間をかけて、政府与党全体で議論をして、そして最終結論を出すべきだということもあわせて提案をいたしたことであります。
  142. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは、総務庁長官にもう一つお尋ねしますが、政府系金融機関については与党三党で協議を続けられるということでいらっしゃるようですけれども、どういう協議がなされるのか、全く白紙でゆだねたということではないと思いますけれども統合民営化など経営形態や組織の改編、簡素化に関する協議なのか、あるいは業務範囲、特に民間と競合している範囲がたくさんあるというふうに指摘されていますけれども、そういう業務範囲まで突っ込んだ内容なのか、さらには財政投融資まで含んだ議論をされるのか、検討をされるのか、確認をしたいと思います。
  143. 山口鶴男

    山口国務大臣 大蔵大臣もお答えになったわけでございますが、そのような御提案をなされる前に、大蔵省としては、塩の専売ばかりではなく、国民金融公庫についても開発銀行についても、あるいは輸出入銀行につきましても、組織及び機構の効率化等の問題については見直したいという趣旨の報告はきちっとなされているわけでございまして、政府系金融機関すべて、大蔵省所管あるいは通産省所管等々の政府系金融機関についても、それぞれの大臣が今申し上げたような報告総務庁に十日までになされておるということは、ひとつ御理解をいただきたいと思うのです。  そして、今のお尋ねの点でございますが、これは政府系金融機関について協議をするということでございまして、中身はこれこれという限定はございません。政府系金融機関のあり方について御検討いただくものというふうに考えております。
  144. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は、本来、政府系金融機関の資金の入り口である財政投融資とやはりセットで議論しなければ、この財投の使い道である特殊法人だけを議論しても意義が薄い、多くの識者がこういうふうに指摘しておりますので、これはぜひやっていただきたいと存じます。  じゃ、最後に、大蔵大臣としてはどのような議論がなされることを期待をされているのか、ちょっとお聞きしたいと思います、この与党関係で。
  145. 武村正義

    武村国務大臣 与党で真剣におまとめをいただくということでございますから、余りもう政府側は予断を持って申し上げない方がいいとは思っておりますが、御指摘のように政府系金融機関、財投のすべてが政府系金融機関への融資とは言えませんが、かなりの部分を背負っていることは事実でございます。そしてまた、財投の原資としては郵貯や簡保や年金がある。この郵貯、簡保、年金等が入り口であるとしますと、財投は真ん中、そして政府系金融機関は出口、こういうとらえ方もできるわけでございますが、この関連は当然ございますから、与党においてもそういった関連を見詰めながら議論を集約していただけるものと期待をいたしております。
  146. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは、話題を変えまして、別の問題につきまして御質問したいと思います。  厚生大臣、お待たせいたしました。国立病院それから療養所の再編成合理化問題でございます。これは行革の一環として御質問をしたいと思います。  これは長年の政府課題になっているわけでありますけれども、昭和六十一年につくられました再編成計画では、おおむね十年の間に二百二十九の施設を百六十五施設に整理する、すなわち、統合あるいは移譲により七十四施設を整理するということになっておりますが、再編計画の十年目に当たる平成七年度を前にして、現在まで統合で八ケース、移譲で二ケースが終了したにすぎないわけでありまして、これによって合わせて九施設の整理ができたにすぎません。これは七十四施設の目標からいいますと、達成率は一二%でございます。また、これから予定のものもあるようでありますけれども予定が決まっているものでも、統合が八ケース、移譲が二ケース、これによって十一施設の整理がされる。ただ、この実績と予定を合わせても二十施設の整理にとどまっておりまして、この達成率が二七%ということでございます。  この国立病院・療養所の再編合理化、なかなか難航しているということでございますけれども、この原因の一つに、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律、この政令の中で定める要件が厳しいのではないか、こういう指摘もございます。  具体的に申し上げますと、移譲できるものの範囲が政令で限定をされておりますね。日本赤十字社、各種共済組合、福祉事業団、医学部を置く大学を設置する学校法人、社会福祉法人、医師会、地方公共団体、こういったものに限定をされているということが一つあります。  もう一つは、移譲により資産の割引譲渡、これは自治体は無償、日本赤十字社などは九割引きになっておりますけれども、この要件の一つとして、国立病院の職員の二分の一以上を引き継ぐこと、こういう要件がございます。この要件が厳しいのではないかという指摘がございます。  そこで、政令で定める要件を大幅に見直すなど、抜本的にこの再編成の方針を示し、十年をめどとしておりますけれども、期限を切って計画も進めるべきではないかと考えますが、厚生大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  147. 井出正一

    ○井出国務大臣 お答えします。  先生御指摘のように、昭和六十一年に策定された再編成計画が平成七年度で十年目を迎えるのでございますが、今御指摘くださいましたような十ケース、十七病院だったと思いますが、それが再編成が終了し、今再編成に向けて具体的に動いているのが十ケース、十九病院だと承知しております。しかし、合わせても二十ケース、三十六病院でございまして、計画どおりに進んでいるとは到底言えないのが現状でございます。  その理由は、今先生御指摘になられたこともありますし、それから、地元のなかなか合意を得られないという点もございます。  そこで、厚生省といたしましては、ことしの一月三十日にスタートしたのでございますが、有識者による懇談会を設けまして、今後のこの政策医療のあり方、再編成等についてもう一度見直すといいましょうか、御議論をいただいて、今先生御指摘のような点をすべて含めて、本年秋を目途に御提言をいただくことに相なっております。その御提言を踏まえて、二十一世紀において国立病院が果たすべき役割を明確にするとともに、譲渡先の拡大を含めて再編成を一層推進するための方策の検討、現行の再編成計画の見直しども進めていきたい、こう考えておるところでございます。
  148. 石井啓一

    石井(啓)委員 よろしくお願いしたいと思います。  今厚生大臣、実績で十七病院、予定で十九病院、そのとおりでございますけれども、私が指摘しましたのは、それによって減少する数がそれぞれ九、十一ということでございますので、しっかり御検討をいただきたいと思います。  それでは、具体的な問題に移りたいと思います。  国立病院・療養所、これは厚生省所管でございますけれども、これは再編成合理化の流れにあるわけでありますけれども、各省庁が持っている病院は、再編成合理化の対象となっておりません。これらを対象にすべきではないかというふうに考えますけれども、具体的に申し上げますと、各省庁が持つ主な病院には、逓信病院、自衛隊病院、大蔵省印刷局、宮内庁、林野庁、拘置所、刑務所関係などがございます。これらの中には、政策遂行上必要なものもありますけれども、大蔵省印刷局の病院などは、今日の社会情勢においては大蔵省が持つ意味は極めて乏しいのではないかというふうに思います。  大蔵省印刷局に二つの病院がございますけれども、これらの病院の経営収支を見ると、芳しくございません。  例えば病床の利用率で見てみますと、東京の病院が平成五年度三四・二%の利用率、小田原にある病院が三〇・八%。単純計算で申し上げますと、東京の病院の百五十床の病床数のうち五十一床しか使われていない。小田原の病院の五十二床のうち十六床しか使われていない。合わせて二百二床のうち六十七床しか使われていない。逆に言うと、百三十五床近くは遊んでいるという、こういうことになるわけでありまして、これを全国の統計で見てみますと、これは平成五年の医療施設調査によりますと、病床の利用率は総数で八二・五%、一般病棟では八一%でございますので、印刷局の病院は、単純に見て、全国の半分以下の病床の利用率でしかないわけであります。  さらに、経常収支を見てみますと、これも平成五年度でございますけれども、二つの病院合わせて、収入が十四億七千五百万円、支出が二十六億八千六百万円ということで、十二億一千百万円の赤字を出しております。支出に対する収入の割合は五五%にとどまっております。  さらに、小田原病院に関しましては、人件費だけで収入を大幅に上回っている。小田原病院の経常収支の収入が四億二千二百万円、人件費が六億二千万円ということでございますから、収入で人件費も賄えない、こういう数字になっております。民間病院との単純比較はできませんけれども、これらの数字は極めて異常な数字だというふうに言わざるを得ません。  国立病院あるいは療養所については、厚生省において平成五年度から経営改善に向けて努力がなされておりますね。具体的に申し上げますと、政策医療などを除いて、一般会計から特会に繰り入れをする、その際、経営改善に要する費用をゼロにしよう。これはどういうことかというと、国が政策的に取り組んでいる医療は、これは一般会計から繰り入れはやむを得ない、ただし、一般医療については診療の収入で賄うようにしよう、こういう努力をなさって、平成九年度を目途にこの努力が具体的に今されているところでございます。その一方で、同じ国が所有する病院でありながら、大蔵省所管の病院が大幅な赤字を出して放置されている、こういう実態があるわけでございます。  そこで、大蔵大臣にお尋ねをいたしますけれども、印刷局病院の代表者であり、また行革を叫んでおられるさきがけの党首でもあります大蔵大臣が、この現状をどのように認識をされておるのか、また、これほどのむだは放置できないと私は思いますけれども、どのように大臣はお感じになっていますか。
  149. 武村正義

    武村国務大臣 正直に言いまして、議員の質問で初めて、所管の印刷局病院の経営の実態を認識をいたしました。大変経営環境がよくないということを認識をさせていただいた次第であります。  ぜひ今後、この認識の上に立ってこの問題に対応したいと思っていますが、とりあえず政府委員から答弁をいたします。
  150. 浅見敏彦

    ○浅見説明員 印刷局の病院経営についてのお尋ねでございますので、私から説明をさせていただきたいと存じます。  まずもって、私ども印刷局でございますが、石井委員御高承のとおり、日本銀行券、国債、収入印紙あるいは郵便切手、パスポートといったような、国として偽造を許さないものをつくっていくというのが一つの大きな使命でございます。それから、ただいま御審議をいただいております予算書、法律案あるいは官報といったような、限られた時間内に正確にものをつくる、こういった仕事をさせていただいているわけでございます。  そういう事業なものですから、全国七つの工場でこれらについての仕事をしているわけでございますけれども、どうしてもいろいろ事業の性格上、特定の化学物質、例えば製版のためにクロムメッキを扱うとかそういった特殊作業がございます。それから、業が深夜に及ぶ、こういったこともございますので、私ども印刷局といたしましては、事業主としての責任ということで、労働安全衛生法に基づく健康診断等、あるいは不幸にして労働災害が起きましたときの治療体制の確保といったようなことで、この職域病院を設置させていただいているわけでございます。  ただ、この経常収支につきましては、ただいま委員御指摘のように、大変よくないという点も私ども大変強い問題意識を持っております。  そこで、今日までに、例えば診療単価の引き上げですとか、東京病院は昭和六十二年から、あるいは小田原病院は昭和四十八年から一般開放するということ、あるいは病棟を統合する、あるいは定員を削減する、あるいは看護学院というのを持っておりましたが、これを昭和五十九年に廃止をするといったような改善策を実施してきたわけでございます。  そういったことで、昭和五十五年当時三〇%程度の収支率が、今先生御指摘の六〇%見当、小田原病院がやや、最近改築をいたしましたのでどうしても患者さんを受け入れられないということで、先生悪い数字の御指摘がございましたが、そういった努力をしているというのが実態でございまして、今後とも診療科の見直し、あるいは結核病床といったようなものを廃止する、業務を外注化する、それから人間ドックの拡大を図っていくというようなことで、職域病院としての必要性を維持しながら経営改善には努力をしていきたい、先生の御指摘を重く感じて、我々も努力をしてまいる所存でございます。よろしくお願い申し上げます。
  151. 石井啓一

    石井(啓)委員 経営改善の努力はもちろんでございますけれども、私、一つ提案を申し上げたいと思いますけれども、今現在印刷局病院の収支は印刷局の特別会計の一部をなしておりまして、予算書の上では病院独自の収支会計はございません。印刷局の特会としては黒字でありますけれども、かといって、病院を赤字のまま放置しておくべきではないと思います。  そこで、病院の収支を明らかにして外部のチェックを可能にする、そのことによって病院当局の経営改善努力を促していく、こういった意味で、印刷局の特別会計に病院勘定を置いて収支をガラス張りにする、こういった合理化が必要ではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  152. 浅見敏彦

    ○浅見説明員 先生御指摘の経理でございますけれども、御承知のように、私ども事業特別会計ということで、印刷局特別会計法に基づきます経理をいたしておりまして、予算書上、区分経理等はなされておりませんが、病院の収支につきましては、私ども、個別にしっかりと積算管理をいたしまして、先ほど来の先生の御指摘の数字等にも明らかなように、経営の努力に努めているところでございます。  ただ、何分、病院の収支については、こういった特別会計の予算書上のさまざまな、いろいろなことを明らかにするために、一定の量でどういうふうに表示していくかという制約もございますので、こういった職域病院の個別の経理だけを明らかにするということは、なかなか技術上難しい問題があるということを御理解賜りたいと存じます。
  153. 石井啓一

    石井(啓)委員 いや、小さな問題のようですけれども、やはり足元からきちんとやっていただかないと、本当に行革というのは実のあるものはできないと思うのですね。そういう意味では、技術上の問題があるとおっしゃるようですけれども、この点についてはより検討をいただきたいと思います。  もう一つ、農林水産大臣にお尋ねします。  林野庁の病院でございますけれども、これは調べましたところ、大蔵省印刷局の病院以上に経営内容が憩うございますね。病床の利用率は、これは平成五年度で二七・六%、さらに経常収支を見ると、収入が八千八百万円、支出が二億六千九百万円、経常収支率は三三%。支出のうち人件費が一億七千九百万円ということですから、収入が八千八百万円、これが人件費一億七千九百万円の半分以下しかないという非常に悪い経営内容になっております。  林野特会自体も大赤字の中で、こういった現状を大臣はどのように認識して改善されようとしますか、御見解を伺いたいと思います。
  154. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答えいたします。  秋田の営林病院の件でございますが、かっては医療施設が整備されなかった時代に秋田の北の方の山間部に設けたという経緯がございますけれども、最近は医療施設も周辺に整備されまして、また御指摘のような経営改善の努力をすべき時期でございますので、我々としては、平成八年度に廃止をいたしたい、かような方針で進めております。
  155. 石井啓一

    石井(啓)委員 国民の生命と財産に関する問題ですので、簡単に廃止云々ということは私は申し上げませんけれども、やはりその中でもきちんと行革への努力をしていただきたいと思います。  時間が参りましたので終了いたしますが、ちょっと時間配分が悪くて、質問通告をしておきながら質問できなかった大臣もいらっしゃると思いますので、失礼をいたしました。  以上で終わります。
  156. 三野優美

    ○三野委員長代理 これにて宮本君、石井君の質疑は終了いたしました。  次に、広野ただし君。
  157. 広野ただし

    ○広野委員 新進党の広野ただしてございます。  阪神大震災被災からもう四週間ということでございます。亡くなられた方々、そしてまた遺族の方々に本当に心から哀悼の意を表しますとともに、なおまたたくさんの方々が、四週間もたった今日も避難所においてまことに悲惨な状況におられるわけでございまして、まことに心の痛む思いでございます。そしてまたボランティアの方々、また不眠不休で救援、復旧に当たっておられる方々、本当に御苦労でございます。  本当に復興のために悲しみを乗り越えて頑張っていただきたい、このように思うわけでございますが、復旧の中で、今避難所で困っておられる方々にまず一番必要な緊急住宅の手当てを初め、いろいろな復旧事業がございますが、平成六年度の第二次補正を早く提出いただいて、被災者の皆さんに頑張っていただくようにしてもらいたいと思うわけでございます。  またその意味で、先ほども同僚委員からありましたけれども、この平成七年度予算、まさに審議中のものでございますが、一部を節約をしてでも早く復興予算に充て、平成七年の四月一日から直ちにその復興予算をスタートできるような体制にしてもらいたい、このように思っておるわけでございます。  そういう意味で、ぜひ被災者に元気つけになるような、そういう施策をとっていかないとならないのではないか、このように思いますが、大蔵大臣の見解を求めます。
  158. 武村正義

    武村国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたが、おっしゃるとおり、被災者あるいは被災地域の状況を思いますと、迅速果敢に、救援にしろ、復旧、復興にしろ、対応していかなければいけない思いでいっぱいであります。  形についてはいろいろ議論があるかもしれませんが、私どもは、そういう基本的な姿勢の中で、まずは六年度は第二次補正で対応させていただく。これも通常二、三カ月かかるのを、急ぎに急いでおりまして、ようやく各省庁から被害状況が大蔵省の方にも数字で上がりつつございまして、それを近々に集約をし、精査をし、念査をし、そして印刷をして、少なくとも二十四日までには第二次補正という形で議会にお出しをさせていただきたいと思っているところでございます。  既に予算前から、予備費もありますが、市町村の迅速な対応でどんどん復旧は進んでいます。急がなければならないものはどんどん発注をされて、予算がなくても進んでいる状況もあるわけでございまして、そして第二次補正対応ということで、当面、この第二次補正をお認めいただくことによって、各般にわたる道路、橋あるいは上下水道、学校、福祉施設、港湾等々、さまざまな復旧事業が補正で上がってまいりますが、これで急いで対応をしていく。そして、新年度予算をお認めいただいた後、これももうなるべく早い時期に、新年度予算に対する震災の対応を真剣に、同じ気持ちで進めていかなければいけないというふうに思っておる次第でございます。
  159. 広野ただし

    ○広野委員 先ほども大蔵大臣から御答弁があった中で、ことしの六月ごろですか、新年度の補正をやって復旧をするというようなことをちょっと御答弁になったような、そうではないですか、その新年度の補正というのは、いつごろ出されるおつもりでございますか。
  160. 武村正義

    武村国務大臣 まだ当面の第二次補正に追われておりますから、新年度、具体的にいつというところまで申し上げておりません。気持ちとしては少しでも早くという気持ちで努力していかなければいけないというふうに思っております。
  161. 広野ただし

    ○広野委員 やはり新年度予算に復興予算を入れて、それが四月一日からやれるというようなことが罹災者の方々にも本当に元気つけになるし、政府も本格的にその復興の気持ちをあらわしている、こういうことになろうかと思いますので、私の見解を述べさせていただいて、ここにとどめさせていただきたいと思います。  ところで、行政改革は、本来であれば今国会行政改革国会と言われるくらいの最重要課題だ、このように思いますし、また民間企業は、バブル経済崩壊後、本当に血のにじむような努力をし、リストラに励んでいる。それに合わせるように、政府、行政機関でもやはり徹底的な節減をしていく。特に、この財政が、二百兆円にも及ぶ国債を抱え、また地方債でも八十、九十兆という大変な借金がある。そしてまた、さらにいわゆる隠れ借金というものも数十兆ある。  こういうようにまさに国家の財政あるいは地方の財政というのは首の回らないような、そういう状況にあるわけで、やはり国は身を削ってでも歳出削減に取り組んでいくということが非常に大切だ、このように思います。  村山内閣も、行政改革を最重要課題として不退転の決意で勇気を持って取り組んでいく、このようにおっしゃっておるわけでございますが、その中で、今般、特殊法人関係政府案というのは、あすですか、正式に決定をされるということだと思います。具体的には幾つもの統合案というものが出ておりますが、それがやはりどのような歳出削減になるのか、そしてまた人員等においてもどういうような削減になるのかということがやはりポイントだと思うのですね。  国民の皆様からいうと、そういうものが数値で見えないと、どこまで政府が身を削ってやっておるのかというのが全く見えない。統合して理事長の数が一人減るというようなことでは、まことにただ数合わせだというようなことになってしまうので、やはりどれくらいのものになっておるのかということを明確にお示しをいただきたい、このように思うわけでございます。  全体として、大蔵大臣あるいは総務庁長官、どれくらいの歳出削減効果、そしてまた人員の面で削減になっておるのかということを改めてもう一度お答えをいただきたいと思います。
  162. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  先ほど宮本委員にもお答えをいたしました。この特殊法人統廃合あるいは民営化、さらには組織機構縮小スリム化等々において具体的に一体それがどうなるのか、こういう御指摘でございましたが、御案内のように、統廃合等に伴う組織及び要員体制の変更の具体案作成は、今後各省庁において法案等の作成作業の中で明確になる問題でございます。また、この財政支出等の問題につきましても各年度の予算編成過程で具体化されるということは、委員も御理解をいただいていると思います。  そういう意味で、例えば国家公務員の定員縮減の問題については、平成七年度予算の確定の際に二千八十五名、金額にいたしまして約百四十億円ということを明らかにいたしたわけでございまして、そういう意味で、この特殊法人整理合理化の問題につきましても、法案作成過程あるいは予算編成過程で明らかにするものは明らかにしていく、これが原則だと思います。  しかし、この委員会での御指摘、御意見等も随分ございました。したがいまして、本質的には先ほどお答えしたとおりでございますけれども、これから十四日には、総務庁報告されました九十二の特殊法人の対応について報告をいたします。そうしてその後閣議決定に持ち込むわけでございますが、閣議決定の際に、この問題については、定量化、定数化等でこのようなイメージが考えられるという問題につきましては、明らかにできるものは明らかにすべく努力はいたしたいということをお答えした次第でございます。
  163. 広野ただし

    ○広野委員 官房長官が御用事でちょっと中座されるようですので、官房長官に、どれくらいの効果があるのかというのを国民の皆さんにわかりやすくやはり言っていただきたい。そうしないと政府のやった努力が見えないんじゃないか、こう思いますので、お答えいただきたいと思います。
  164. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 やはり、お話のような趣旨で、在るべくわかりやすくお示しするようなことも今後考える必要があると思います。  御承知のように、一昨日の朝まとまったところで、しかもなおまたこれから努力する部分も残っているわけでございますので、当面それらに全力を挙げて取り組んでまいりたい、こういうぐあいに思います。  全体では約、ちょっと私の記憶、もし間違っていたらごめんいただきたいと思うのですが、八十前後ぐらい、全法人にわたって、これはああいうぐあいに削ろう、あそこはこう削ろうというようなことで、それぞれが、今度の統廃合の対象になっていないところもそれぞれ大変なみずからも工夫をし、こういうような節約の方法をとろうというふうに、全体的に筋肉質を目指して努力をしているところでありますので、そういう点はずっと眺めてみて、かなり評価をいただけるのではないか、こういうぐあいに思います。一広野委員「八十億ですか、それは」と呼ぶ)いやいや、項目のことでございます。
  165. 広野ただし

    ○広野委員 大蔵大臣、さきがけの党首として、さきがけ案ではやはり非常に明確にその点が数値で出されております。それがやはり非常にわかりやすい。特に、年間八千数百億ですか、特殊法人合理化によって出てくる、こういうことがさきがけ案では発表されておるわけですね。ですから、そういう目標をここでちょっとお示しをいただきたい。この統合等によってどういうことになるのかお示しをいただきたいと思います。
  166. 武村正義

    武村国務大臣 今回の政府の結果については総務庁長官官房長官のお答えのとおりでございまして、私の方はまだ、全体の、特に数字の面での精査したものを拝見いたしておりません。政府全体として近々おまとめをいただけるということで御了解をいただきたいと存じます。  それで、行政改革という視点からは、地方分権規制緩和もございますし、将来もっとさまざまなテーマも控えているわけでありますが、この財政再建、我が国の赤字体質といいますか、巨額の国債を抱えた脆弱な財政をどう健全化していくのかという点では、別に行政改革と財政改革を意識して分けていただく必要がありませんが、しかし、行政改革は、どちらかといえば、行政のリストラとかむだを排するという側面もございますが、時代の流れに行政も合わせていく、積極的に対応をしていくという姿勢がございます。財政効果はゼロであっても、行政需要に対応して中身をどんどん変えていく、そういう努力も含まれているわけであります。  片方、財政改革という表現は、まさにこういう尋常ならざる我が国の財政状況の中で、歳出歳入全体を改革をしていくというテーマだと思っておるわけであります。予算編成の時点でそれなりの努力をしてきたわけですが、それでも御議論があるような我が国の財政状況でございますだけに、今後かなり時間をかける必要もございますけれども、相当大胆な改革を進めていかなければいけない。これこそ本当の意味で、御関心の数字の面で財政を健全化していくという目標を達成していく課題であるというふうに認識をいたしている次第でございます。
  167. 広野ただし

    ○広野委員 やはり国民の前に数値で客観的な基準といいますかそういうものが見えるということが非常に大切なことだと思いますし、行政改革、やはり身を削ってそういう節減効果が出てくるということが重要だと思います。  通産大臣にお伺いしますが、アメリカとの交渉においても客観的な数値目標、客観基準というものが常に話題になるわけであります。通産省でこの二つの、ジェトロとアジ研、NEDOと石炭鉱害事業団統合をやることによってどれくらいの歳出削減効果が、あるいはその人員等においてどういうことになるのか、単なる理事長だけの削減になるのか、そこのところをちょっとお答えいただきたいと思います。
  168. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今委員、削減効果という意味での御指摘でありましたけれども、私は今回、削減効果とかそういうことを主にしてこの問題を考えてはおりませんでした。むしろ、通産省の主管いたします特殊法人は数が相当数ございます。ですから、そのすべてを私は見直しながらそれぞれの特殊法人の中での合理化あるいは業務の簡素化等、そうした視点の努力を続けますと同時に、一体どうすればより効果的な事業の推進ができるか、そのための姿はどうすべきかという視点でこれをとらえました。  その中で大変迷いましたのは、石炭鉱害事業団につきまして、既に相当先のことではありますけれども、その業務の終期が明示されております。そういたしますと、その終期まで単独の法人で存続をし、その業務を完全に遂行し終わった段階でそれを廃止する方がよいのか、それとも重複する部分のあるNEDOとの統合を今日図りながら、その業務を終了した段階においてある程度の退職者を出すことを計算に入れながら業務をスリム化していく方がよいのか、これは正直私は大分迷いました。  結果として、業務の遂行の担保をしていきますためにはこの二つの統合をした方がより効果が上がると考え、この結論を一点は出したわけであります。  同時に、今既に日本貿易振興会が国際的な活動をいたしております。その内容は、委員がよく御承知のとおりでもあります。そして、アジア経済研究所の持つ、特にアジアを中心とした部分に対する調査研究の能力というもの、これを今後APECの中で我々がよりすぐれた仕事をしていこうとした場合に、統合することは意味のある統合であり、将来に向けて利がある、私はそう判断をいたしまして、この二つの統合考えたわけであります。  個別法人ごとの独自の事業合理化効率化というものは、その見直し結果を総務庁の方に取りまとめて報告をいたしておるところであります。
  169. 広野ただし

    ○広野委員 運輸大臣にお聞きいたしますが、船舶整備公団鉄道整備基金、そしてまた営団地下鉄営団地下鉄は特に五年後に民営化ということでございますか、そうしますと、この資本金五百数十億円のうち政府出資三百億円ぐらい、この三百億円部分を上場するというような形態になるわけですかね。そうしますと、その点が財源効果、こういうふうに考えていいわけでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  170. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 営団地下鉄にいたしましては、委員御指摘のように、七号線、十一号線を一応完成をいたしたときをめどにいたしまして特殊会社に移行し、そのときの証券市場等状況によってできるだけ早くこれを、政府の持ち株を市場に出す、これが財政的な効果が生まれてこようか、このように考えておりますが、細部につきましては今後これを詰めていくという形になります。  船舶整備公団及び鉄道整備基金につきましては、委員御承知のように、それぞれ休眠法人ではございませんで、内航のこれは旅客、貨物と、それぞれ五割、七割以上は船舶整備公団との共有という形で建造をやっておるところでございますので、中小造船につきましてはこれがなくては建造が進められない、そういう意味で重大な役割を担っておるわけでもあります。  また、鉄道整備基金も、御承知のように鉄道、地下鉄等につきましてのこれの低利融資等の重要な役割を担っておりまして、現在もその需要はどんどんと増大をしておるわけでございます。ただ、私どもとしては、陸と海の交通体系を一体的にこれを広い観点から整備をしていくということで両者を一本化をするということでございますので、それによってこの業務内容縮小していくとかいうことは、これはちょっと考えられません。むしろ国民のニーズに対してきっちりと応じていく、しかしそれを広い観点から調整をするということで統合するということでございますので、そのように御了解いただきたいと思います。
  171. 広野ただし

    ○広野委員 文部大臣にお伺いしますが、私学振興財団と私立学校教職員共済、これによってどういう効果が出てまいるのでしょうか。
  172. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 文部省の所管しております八法人というのは、いずれも学術、スポーツ、文化あるいは私学振興等と申しました重要な仕事を担っているわけでございまして、不要な仕事を整理するという観点から今回の特殊法人整理合理化に当たったわけではございません。特殊法人の整理ということが内閣の一つの大きな政治課題でございましたので、そういう観点から私どもの八法人見直したわけでございます。その結果、私学振興という観点から見ますと、私学共済もまた私学振興を最終的な目的としておりますし、私学振興財団も私学振興というものを最終的な目標としているわけでございます。  そういう意味で、大変難しい作業ではございましたが、関係者にお話をいたしまして、こういう両者が一体となって今後私学振興のさらに積極的な推進を行う、また私どもとしては、両者が一体となることによって二つの特殊法人が持っている隠された潜在的な能力というものがまた発揮されるだろう、こういう観点で統合を行うということにしたわけでございます。
  173. 広野ただし

    ○広野委員 建設大臣にお伺いしますが、本四架橋公団、これは九九年の春に経営形態を見直す、この意味はどういうことを考えておられるのですか。民営化ということを考えておられるのですか。株式会社に、特殊株式会社に持っていかれる、どういうことを考えておられるのか。
  174. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えします。  本四公団の問題については、今お話がありましたように、平成十一年の春に概成をいたします。したがいまして、一応の使命を達成するという状況になりますので、人員は保守管理、そういう面を考えて三分の一は削除してまいりたい。そして、その後の形態についてはその間に決定をしたい、こういうふうに考えております。特殊会社もありますし、認可法人もありますし、そういう点について十分間違いのない方向というものを決めていきたいと考えております。
  175. 広野ただし

    ○広野委員 それは道路公団との統合考えて、含まれるのですか。どういうことになりますか。
  176. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 日本道路公団と本四架橋公団との統合の問題については、先生も御承知のとおり、日本道路公団というのは国家的事業でございまして、全額国が出資をしております。全国ネットワークをつくって国土の均衡ある発展をねらいとしております。本四公団につきましては、瀬戸内海のあたりの国家的プロジェクトで、国と十府県市の皆さん方が共同出資をして現在運行しておる、こういう状況でございますので、なかなか容易に統合ということは難しいと考えておりますが、私が努力をした結果は、先ほども通産大臣がお話しになりましたように、その公団自身でどういうふうに合理化をして効率を上げていくかということも考えていかなければならぬ、そういうふうに思っております。  そういう意味で、日本道路公団では、今道路審議会等で検討して、料金の問題、あるいはサービスの問題、合理化の問題等を十分討議していただいて成果を上げたい、こういうふうに考えておるところでございまして、若干性格を異にしますので、統合というところは、努力いたしましたけれども無理がある、組織の肥大化、あるいは事業の複雑化、こういうことによってより困難を来すではなかろうか、こういうふうに考えました。  ちなみに、日本道路公団は七千名以上いるという現状でございますので、そういう点についても十分配慮したつもりでございます。
  177. 広野ただし

    ○広野委員 厚生省の官房長あるいは自治省の官房長が見えているんではないかと思いますが、この社会保障研究所廃止あるいは消防団共済基金の民営化によってどういう歳出削減効果が出るのか、お答えいただきたい。
  178. 太田義武

    ○太田(義)政府委員 お答え申し上げます。  今回の特殊法人見直しに際しまして、社会保障研究所につきましてはこれを廃止いたしまして、その研究機能は、厚生省の試験研究機関を抜本的に再編成しまして、これに引き継ぐこととしておるところでございます。  御質問の、縮減がどの程度かということでございますが、試験研究機関の再構築に当たりましては、既存の国立試験研究機関の定員の枠の中で措置することとしておりますので、社会保障研究所廃止時におきましては、特殊法人社会保障研究所の役職員及び役職員の人件費等が縮減されるというふうになるものと考えております。  以上でございます。
  179. 滝実

    ○滝政府委員 今般の改革によりまして、消防団基金につきましては、現在の特殊法人から民間法人に切りかえたい、こういうようなことで報告をいたしたところでございます。  基本的には、これは先生御案内のとおり、現在の基金というのは、認定業務あるいは支払い業務は個々の市町村がおやりになっているのでございますけれども、いわば共済制度、加入市町村の共済という格好でもって財源をプールして運用している、こういうことでございます。  そういうような観点から、財源的には現在の市町村の掛金が変わらないわけでございますけれども、基本的にはやはり国の関与を縮小しよう、こういうふうなことから出発をいたしておりまして、もう一つは、何と申しましてもやはりこういう消防団の環境整備というような必要のある段階でございますので、私どもとしては、民間法人化することによってその事業内容に少し弾力性を持たせていきたい、こういうような観点から今回の改革を考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、現在少しばかりの国庫助成金が出ているわけでございますけれども、こういった点については今後民間法人化して国の関与を縮小する、こういうようなことでございますから、その段階で、私どもとしてはこの補助金のあり方についてはなお今後の問題として検討していく必要がある、かように考えておる次第でございます。
  180. 広野ただし

    ○広野委員 大体各省の案といいますか、それを聞かせていただきましたけれども、ざっと足し合わせてもなかなか歳出削減効果あるいは人員等についてどうなるのかというものが見えないわけですね。これは、総理が、行政改革は本内閣の最重要課題だ、言葉だけの改革に終わることのないよう、不退転の決意と勇気を持って実のある改革を断行したいと、こうおっしゃっているのと物すごく違うわけですね。どういうことなんですかね、これは。  このことについて河野外務大臣、まず河野大臣の外務省における御努力と自民党総裁としての今までの御努力、そしてまた全体の考え方をちょっとお示しいただきたいと思います。
  181. 河野洋平

    河野国務大臣 御承知のとおり、村山内閣としてはこの行政改革は極めて重要なものと位置づけて、総理から再三にわたって各閣僚に対して、それぞれの閣僚は所管する特殊法人等について十分な見直しを行い、整理統合すべきものがあればこれを整理統合するようにという指示があったわけでございます。私どもそれぞれ閣僚は、みずから所管するものについて見直しをし、統合できるものあるいは廃止するもの、あるいは民営化すべきもの、あるいはスリム化についてできる限りの検討をし、決断をするために努力をいたしてまいりました。  自由民主党も、これは与党三党が政府の決定をバックアップしなければならぬ、もっと言えば、政府与党は一体となってこの行政改革には取り組む、こういう考えのもとに、与党三党横の連絡もとりつつ、あるいは政府に対していろいろと御提言もいただき、御案内のとおり最終段階におきましては、政府与党が一体となって最後結論の取りまとめについて議論をしたところでございます。  外務省といたしましては、御承知のとおり、特殊法人二つ、JICAと国際交流基金と二つの特殊法人がございます。この二つの特殊法人も全く例外ではございません。一つ一つ、廃止するものであるか、あるいは統合すべきものであるか、民営化すべきものであるか、さらにはその内容についてスリム化できるものはないか、それぞれ検討を行ったところでございます。  御承知のとおり、JICAにいたしましても国際交流基金にいたしましても、これは民間でやるという性質のものではないということであれば、これはその内容を子細に点検をして、いかなる形で今後作業を進めていくかということについて十分検討をいたしたわけでございます。十分な検討の結果、何点かスリム化すべき点があるということについては省内でさらに厳しくチェックをいたしまして、スリム化すべき点について何点かの指示を私からもいたしたところでございます。その内容につきましては、総務庁長官のもとに外務省として書類で提出をいたしております。
  182. 広野ただし

    ○広野委員 二百兆の借金を抱え、その利払いだけでもう十兆円ぐらいになる、本当に日本の財政、パンク状態と言っていいくらいのものであります。いわば民間企業で言えば破産状態のような状況の中で、民間であれば子会社等、いろんなところで赤字になっている、そういうことでもあればそこをもう整理をするという考え方が非常に大きいわけですよ。  ところが今回の場合、そういう統合等はやったけれども、それが具体的な歳出削減効果という形ではなかなかお示しいただけない、そういうことでは本当に国民の皆さんは、何をやっているんだろうか、こういうことになりますし、また来年の九月までには消費税の問題、三%から五%に上げる、その税率について見直しをする、こういうことですよね。どうするのか。やはり非常に緻密な議論をして、数値的にどれぐらいになるんだ、どれぐらい節約できるからこうするんだということを示さないと、国民は合点がいかないんだろう、こういうふうに思うわけですね。  ですから、やはり明確に、今度の特殊法人の改革によってどれだけのものが節減ができるんだ、人員はどうなるんだということを全体としてお示しをしていただきたい、このように思うわけです。  ところで、この特殊法人関係の人員ですが、この五年間の間に六十一万人から五十七万人に減ってきております。公務員全体、中央省庁の定員については、これまで八次の総定員管理といいますか縮減をずっと図ってきているわけですが、特殊法人全体の定員について、総定員についてどのようにしていくか。  例えば、節減目標等を盛って全体として合理化を図っていくというような考え方があるのか。あるいは、今度の統合によって、理事長等が一人いなくなるということではなくて、例えば統合によってまず役員数はどれぐらいにする、何割ぐらいに減らすんだ、そしてまた、重複している事業等があるわけですから、その点、職員数はこういうふうに減らすというような一つの目標を定めてやっていく、そういうことが必要なんではないか、このように思いますが、総務庁長官いかがですか。
  183. 陶山晧

    ○陶山政府委員 いわゆる特殊法人職員の定員なり職員数の問題につきましては私ども直接の所管ではございませんが、便宜御説明をさせていただきます。  国家公務員の定員削減については、先生御案内のような経緯をたどっているわけでございますが、毎年度の予算編成におきまして、国家公務員の定員削減に準じて公庫、公団等特殊法人職員についてもその人件費の取り扱いが定められているというふうに承知をいたしております。特に、大蔵大臣に予算協議をやられる法人、現在七十法人と承知しておりますが、これにつきましては国家公務員に準じた定員削減措置が講じられているというふうに承知をいたしております。  ところで、ただいま今後の取り組み方針という意味のお尋ねでございますが、現在、与党行政改革プロジェクトチームにおきましてこの特殊法人問題について相当密度の濃い議論を積み重ねられた結果、本日から各党の党内手続に入っておられると伺っております。現在私どもが承知しておるその内容の中に、特殊法人職員数の総数の抑制について与党として方針をお決めになるというふうに伺っております。  私ども大臣から申し上げておりますように、各省からの最終報告内容につきまして近々具体的な閣議決定という形で政府方針を決定いたしたいと思っておりますが、ただいま申し上げました与党方針につきましても、政府方針としてその中に盛り込みたいということを現在考えているところでございます。
  184. 広野ただし

    ○広野委員 この五年間に全体の特殊法人の総定員といいますか、これは六十一万人から五十七万人に減ってきておりますが、JR七社あるいはNTT、たばこ産業、これを除くとどのような推移になっていますか、お答えいただきたい。
  185. 陶山晧

    ○陶山政府委員 先ほども申し上げましたように、私ども直接の所管事項ではございませんので必ずしも精密な数字を持っているわけではございませんが、便宜資料に基づいて御説明をいたします。  ただいまの御指摘でございますが、手元の資料で申し上げますと、現在最も新しい数字として、平成六年一月一日現在の特殊法人職員数総数は五十六万九千二百三という数字になっております。もし必要なら内訳も御説明申し上げます。  ところで、推移というお話でございましたが、公社というのはもちろん現在ございません。便宜上、イメージを浮かべていただくために名称区分で推移を申し上げます。  手元の資料で五十一年度からの数字がございますが、五十一年度は特殊法人の総数……(広野委員「この五年間でいいです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。では、五年間で申し上げます。  六年度の区分がちょっと手元にございませんので便宜五年度以前五年間で申し上げますと、元年度、公団が二万三千五百。ちょっと丸めて申し上げます。事業団が二万九千四百、公庫が九千六百、金庫、特殊銀行が七千四百、営団が一万九百、特殊会社、NTT等でございますが、五十万二千、その他の名称のものが三万二千、トータルで六十一万五千六百でございます。  五年度の数字、同じ数字を申し上げますと、公団が二万三千二百、事業団が三万九百、公庫が九千五百、金庫、特殊銀行が七千四百、営団が一万九百、特殊会社が四十五万五千三百、その他の名称の法人が三万一千、トータルで五十六万九千二百。法人の総数は五年前と同じでございます。
  186. 広野ただし

    ○広野委員 結局、中曽根行革でJRの部分、またNTT、たばこ産業等について、こちらはもう徹底的な合理化を図ってきているわけなんですね。ところが、それ以外の部分がふえているのですよ。ですから、やはりここは腹を据えてやらないと、結局それ以外の部分がふえてしまう。  だから、中曽根行革が評価されるのは、やはりそこが徹底的な民間経営センスが入って、今まで赤字が垂れ流しだったものがきちっととまり、そして黒字になった、そういうことなんで、この残りの部分についてもやはり民間的な経営センスを入れて徹底的にやっていけば、人件費も合理化できるし、そして歳出削減効果も出てくるということなんで、単なる統合とか合体だけでつじつま合わせとか数合わせみたいなことをやっていたのでは何にもならないわけなんですね。  これを徹底的にぜひ総務庁長官、本内閣の最重要課題だ、こうおっしゃっているわけですから、各省から上がってくることだけではなくて、総務庁では全体定員をこういうふうに削減をしていくんだ、公務員の削減計画と同じように、公務員もこういうふうにやるんだから、中央省庁はこういうふうにやるんだから特殊法人もこういうふうにやってくれというような目標を示していかないと、これはどうにもならないことになるのではないか、こう思うのですね。
  187. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  今行政管理局長からお答えございましたように、この特殊法人の定員全体を見ておりますのは総務庁ではございませんで総理府でございます。したがいまして、私どもの方の所管ではございません。しかし、何回も閣議において発言等もいたしまして、公務員の定員抑制と同じように、それぞれの公社公団を所管する各省庁において、特殊法人の定員抑制については、あるいは縮減については努力してほしいということで強調いたしまして、そういうことで対処をいたしている次第であります。  それから、今回の特殊法人見直しは、先ほど来お話しになっております統合民営化、この問題ばかりではなくて、すべての、九十二ございます特殊法人全体、この組織機構縮小スリム化について努力をしてほしいということを要請しているわけでございます。  具体的に言えば、日本道路公団では、特に関連法人がいろいろ問題があるということが委員会でも御指摘でございました。したがいまして、この関連法人については広範な見直しを行って、競争性の確保や利用者サービスの向上を図る、そうして公団の発注する業務については機構及び要員の合理化を図るとか、それから住宅都市整備公団におきましては、分譲住宅については民間でも実施可能なものからは撤退する、そうして仕事を限定する等々の形で、それぞれの……
  188. 広野ただし

    ○広野委員 そういう個別具体的なことを聞いているのじゃないのですよ。全体で、総定員のものをどうするんだということを聞いているのです。
  189. 山口鶴男

    山口国務大臣 ですから、そういう形でそれぞれの特殊法人が機構の縮小合理化に努めているわけでございまして、そういったものを総合いたしましてどういうことになるかということは、先ほど来お答えしたように、法律を提案をいたします際に具体案は明らかになる、あるいは予算編成の過程で、それぞれ特殊法人の予算について大蔵省と合い議になるものが多いわけでございますから、そういう形の中で、財政的にはこういった効果があるという形で出てくるものだと思います。  しかし、御指摘でもございますので、閣議決定をいたします段階で、このようなイメージが考えられるのではないかということについては、できる限りまとめる努力はいたしたいということをお答えしている次第でございます。
  190. 広野ただし

    ○広野委員 私は、個別のものについて、確かに統合する場合は、重複している事業があるわけですから、そこの点は人員等で合理化できる点がある、そして役員についても合理化できる点がある、ですからそういうことはやってもらいたい、こういうことは言っている。そしてまた、全体の、九十二が八十一になるのですか、そういうことについて、その全体の定員について、特にJRだとか今民営化をした以外の部分の十二万人と言われている、十一万人ですか、十二万人と言われているその部分の人員の全体の削減について言っているわけです。  もちろんその一つ一つのやり方については、退職者の半数ぐらいを不補充にしていくとか、あるいはまた特殊法人相互間の異動の道を開くというようなことをやって職員の雇用安定というものには配慮しなければいけないと思うのですよ。だけれども、全体としてやはり、中央省庁もやっているわけですから、それ以外の子会社というのはおかしな言葉ですけれども、いわば行政代行機関たる特殊法人全体のところが人員を削減をしていく、そういう努力をしないと、どうしているんだと、こういうことを国民の側から言われるんじゃないか、そういうことを言っておるわけです。  ところで、今度のこの問題で、特殊法人の役員数、これは八五年が七百四人おりました。それが九四年、十年間たったら八百二十一人になっている。百二十人ふえているわけですね。ところが、昭和五十四年、七九年の閣議了解では、特殊法人の役員については一割を削減するということを閣議了解でやっているんですよ。ところが、そこにまた百二十人ふやしている。閣議了解では一割減らすということを言っていながら、この十年間の間にまた百二十人役員が太ってきているということですよ。これでは、どこを節減しているんだ、国民の側からそういう声が出てくるわけですよ。この点についてはどうお考えですか。
  191. 山口鶴男

    山口国務大臣 昭和五十四年の閣議了解につきましては、御指摘の点と、それからいわゆる天下りですね、官僚OBは半数以下にするという目標を定めておりまして、これを実現するように努力をしていると思います。  具体的には、総理府のこれは所管でございますので、総理府の方から答えさせます。
  192. 広野ただし

    ○広野委員 それは後でお答えいただくことにして、そういうようなことで役員がふえている。そして全体の職員もふえてきている。JRとか中曽根行革のところは別にしてですよ。  中曽根行革、橋本大臣も随分御努力されました。そういう面では本当にやはりそこは評価されるわけですよ。ところが、今はどうなってきているんだ。全然そこがなってないわけです。ですから、今度の閣議決定のときに、そこのところを総務庁長官、そしてまた内閣で全体を決めて、政治家が主導してやっていくということをやっていただきたい。  まあ、後で官房長官が見えたときにそこのところはお話しいただくことにして……
  193. 山口鶴男

    山口国務大臣 ですから、お答えしておりますように、私ども、九十二すべての特殊法人について、それぞれ所管する閣僚がそれぞれの機構に対して、組織機構縮小する、スリム化をするという努力を徹底してやってくださいということを要請して、そのような報告が、例えば先ほど申し上げたように、住都公団であるとかあるいは雇用促進事業団であるとか、それぞれこういう形でこの事業を限定します、縮小しますという報告が来ているわけでございますので、そういう形の中で、特殊法人全体として組織機構縮小されていく。  もちろん雇用の問題は、この問題はきちっと私ども対応しなきゃなりませんが、そういう形できちっとやはりこの要請に従って各省庁努力をして、その努力の結果が報告に参っておるということはひとつ御理解をいただきたいと思うのです。
  194. 広野ただし

    ○広野委員 各省から上がってきてというのもよくわかりますけれども山口長官内閣委員会で、やはり総務庁挙げて村山内閣の最重要課題である行政改革に真剣に取り組むというようなことも答弁されているんですね。ですから、こちらからどんどんリーダーシップを発揮して、全体をリードしようというようなことをやはり掲げてやっていってもらうような意気込みが必要だろう、こういうふうに思うわけです。  ちょっと官房長官との間のあれがあるのかもしれませんから、そこのところは……
  195. 山口鶴男

    山口国務大臣 昨年以来、総務庁は行政管理局を中心にして懸命に努力をいたしました。ですから、ただ各省庁から報告があるのを待っているわけではなくて、事務次官以下、局長、全力を挙げて各省庁と折衝をして、私もまた各閣僚要請をいたしまして、そういう中で、二月十日、先ほど来語が出ておりますようなこの統合とか、あるいはそれぞれの機構をスリム化するとかいう形の報告が出ているわけであって、私ども、腕を組んで待っておったわけではございません。  総務庁挙げて、また私も、微力でございますが、全力を挙げて努力をして、いずれにせよ、大平内閣の宇野行革以来のこの特殊法人に対する整理合理化案を各省庁から提出をいただいてまとめたという点はひとつ評価をいただきたいと存じます。
  196. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいま広野先生から人事管理の問題についての御指摘がございました。  先ほど私から、特殊法人職員の定員管理の問題について与党においても御議論をされているという状況の御説明は申し上げましたが、人事管理の問題につきましても、特殊法人間の人事交流の問題とか、あるいはいわゆる天下り等の問題に関する対応策であるとか、いわば人事管理の適正化に関して総合的に対処する方策について議論をされてまいりました。  申し上げましたように、現在党内手続中で、最終的に与党として統一した御方針を示されると伺っておりますが、この特殊法人の役職員の人事管理の適正化の課題につきましても、私どもが取りまとめの窓口に当たりまして、近々閣議決定をしようとしておりますこの特殊法人のいわゆる見直しの結果に基づく政府方針の一環としてそれを盛り込みたいというふうに考えているところでございます。
  197. 広野ただし

    ○広野委員 天下りの問題ですとか渡り鳥の禁止、退職金の是正などで事前に通告をしておりますが、後で官房長官がお見えになってからもう一度その点に戻らせてやらせていただきたい、このように考えます。  ところで、特殊法人の子会社、いわゆるファミリーと言われておるものでありますが、この特殊法人の子会社の全貌というのがなかなかわからないのですね。私どもも、明日の内閣でいろいろと調べさせていただいておりますが、こういう点については、それこそ行政改革の重要な中に情報公開ということがあるわけですね。このことについて明確に、子会社の数とか、どれくらい出資金が出されておるのか、そういうことがわかるようにぜひしていただきたいと思うのですね。  それで、この二月九日に朝日新聞トップで書いておりますが、特殊法人ファミリーの全定員、全定員というのはおかしいですが、職員数が六万六千人になるというのですね、六万六千人。要するに全体の特殊法人職員数は抑制しても、今度はこの孫会社といいますか、孫会社の方の人員がふえてくる、こういうことを言っているわけです。この全体、六万六千人というのは、これは合っていますか。
  198. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  昨年の内閣委員会でも同じような議論がございましたのですが、私ども総務庁としましては、行政監察局がございまして、行政監察を行っております。  御指摘のような特殊法人の子会社あるいは孫会社、これらに対して監察をやるのかと言いますから、やりますということをお答えをいたしました。特殊法人が行っている株式会社等に対する出資についても、当該特殊法人について、その経営の健全化を図る観点から、必要に応じて調査をいたします、また、特殊法人の出資法人たる株式会社等に対しては、いわゆる孫会社ですね、これに対しては残念ながら調査権限は及びませんが、協力を得てできる限り調査を行っていきたいということでお答えをいたしているわけでございます。  そういたしまして、私どもといたしましては、直接権限はなくとも、できる限りやはり国民のこの税金、国民のこの御意向というものを十分考えまして、行政の透明化、そういう意味では特殊法人、これについても透明化を図るということで努力をいたしているということで御理解をいただきたいと思います。
  199. 広野ただし

    ○広野委員 いや、言葉では透明化とかそういうものを言っていますけれども、情報をどんどん公開しないと、これはもう国のお金が出資され税金がそこに行っているわけですから、これを何か秘密のようにしていると、それはおかしいのですね。民間企業は、みずから自分の企業のイメージをよくするためにどんどん情報を公開していく。ところが、今の特殊法人の姿は何か秘密で隠微な関係があるんですね。何かおかしいんですよ。  だから、自分たちのやっていることをもっと宣伝をすればいいんですよ。それを全然宣伝しないで、何か悪いことやっているようなことにね、隠しているものだから何かまたあるんじゃないかと。そして特にその孫会社みたいなものがありますと、そこに発注をしている。それはまた不明朗な形で発注しているのではないのかと、そういう疑惑を生んでしまうんですね。国民の皆さんが信頼が置けなくなってくる。それを打開するのは情報公開なんですよ。  だから、どんどん特殊法人を指導して、その子会社関係、そしてどれくらい人数がいるんだとか、どれくらい出資しているんだとか、その金額だとか、みんなを明らかにしていけば、おのずとまた議論が違ってくるのではないか。そしてまた、本当にそこに税金を使うことがいいかどうかということまで議論ができるわけです。そういうことがちょっと欠落をしている、このように思います。  私は、もう一つ言いたいのですが、民間企業ですと全体として連結決算で出すんですよ。そうしませんと、どんな関係になっているかわからない。ところが、特殊法人関係、どういうことになっていますが、その発表ぶりは。連結決算のような形で出ていますか。
  200. 陶山晧

    ○陶山政府委員 まず、御指摘の連結決算等について、私ども所管の関係特殊法人の財務、経理等の内容について必ずしも承知しているわけではございません。一般論として申し上げますが、財務内容の公開の問題については、かねてから国会におきましても御議論があったことは承知いたしております。たびたび申し上げますが、今回の特殊法人見直しに当たりまして、与党のお立場としても、この財務内容の公開の御議論を相当詰めた形で御議論になったと承知をいたしております。  いわば、財務内容の公開、透明性の確保、ただいま広野先生御指摘のような観点で、会計監査機能の強化等を含めたそうした措置が必要であること、また、子会社とかいわゆる関連会社が存在をして、単独では経営実態がつかみがたいという批判もある、そういう場合に全体像を明らかにするような情報公開の措置を進めることが必要であるという趣旨の御議論であろうと思います。  このことにつきましても、私どもとしては、取りまとめ窓口として閣議決定の中に盛り込んでいきたいと考えておりますが、要は、政府全体としてのこうした問題に関する方針、具体的な方針を定め、それに基づいて、それぞれの所管の省庁においてきちんとした対応をされるということがこうした問題の処理に当たって最も現実的な方策ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  201. 広野ただし

    ○広野委員 これも、各省庁で所管をして省庁が指導をするということではだめなんですよ、出資金総額がどれくらいになってきているんだとか、それが全部足し合わせてわかるようにしないと。財投のあり方だとか金融のあり方というもの全体として議論をして、その出資金等を節減をしていく。例えば出資金全体を、特殊法人政府出資金総額を足すとどれくらいになるか。二十四兆円になるというわけですよね、二十四兆円に。一般会計から来ているものと特会から来ているもの、そういうものは、これ全部足し合わせるようにしていかないと全貌がつかめない。そのためには、いろいろな情報を出してもらわないと議論ができないわけですよ。  ですから、加藤寛先生なんかが言われるのは、ディスクロージャーが一番大事だと。政府系金融機関、このことも本当にそうなんですね。そういうものが示されないから何をやっているかわからない、こういうことであります。  ところで、官房長官も見えられましたので、ちょっと戻らせていただきまして、天下りの問題でございます。  昭和五十四年の閣議了解では、特殊法人役員の半数以下に天下りの者を抑える、こうなっておったわけですが、これは官房長官、また別のところで答弁しておられますが、半数以下になっている、こうおっしゃっております。ところが、JR関係あるいはNTT、中曽根行革でやった民営化のものを除きますと、これはそれが守られていないんですよ。六割以上が天下りになっているんですね。この点、間違いありませんか。
  202. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 委員御指摘のように、昭和五十四年の閣議了解に基づく、全特殊法人の役員総数のうち半分以下にしていかなきゃだめだ、当時こういう方針を出したわけなんでありますが、確かに、九十二法人で計算をいたしますと平成七年一月一日現在で四六・三%、こういうことになります。ただ、特殊会社を除いて一体どうなるかという計算をいたしますと、つまり八十法人で、これは全体としまして六三・七%の計算になるということになります。
  203. 広野ただし

    ○広野委員 私は、役所OBにもすばらしい人たちはおられる、それは認めるんですよ。ところが、大事なのは民間企業のセンスを入れていく。民間出身の人たちを役員にどんどん入れていくと、そういう民間のセンスで全事業を洗い直すということになってきますから、やはり経営の合理化効率化というものが進む。ですから、やはりこれは半数以下にするというのをぜひ厳守してもらいたい、こう思うんですね。いかがでしょうか。
  204. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 御案内のように、与党行革プロジェクトチームでも非常に熱心に御議論いただいて適切な御提言もいただいているわけでありますが、私どもといたしましても、昨年十二月の行革大綱当時、もっと積極的にこの問題に取り組んでいこう、こういうような検討方針を出しているわけでございます。  まず第一には、現在すべてが役人出身者で占められているというような法人もやはりかなりあるんですね。こういうところに関しては、今後任期が来たという場合には、これは役人出身でないお方にきちっとかえていこうということをまずしっかりしていかなきゃいかぬというふうに思います。  それから、全体として見ても、一気にというわけにはまいりませんけれども、どのぐらいになりますか、今検討中でありますが、ある年限の中で、ひとつこの際、今委員お話しのような、できれば八十法人で見ても半分ぐらいにならないかということで、今鋭意検討しているところでございます。ぜひ我々としてもしっかり努力してまいりたい、こう思います。
  205. 広野ただし

    ○広野委員 それを明確に実行していくこと、これが非常に大切な、私は統合以上に大切なことだと思うのです。  そしてまた、先ほど、官房長官がおられなかったですかね、ちょっとお話をしたんですが、特殊法人の役員数、これがここ十年に百二十名ほどふえているのですよ。一割削減をする、こう言っていたのにふえているんですね。この点ほどう対処されますか。――前もってちゃんと通告しているんですから、きちんとした答弁をやってもらいたい。時間がもったいないから次に行きますけれども、本当に何をしているんですか。これで本当に行政改革を本気でやっているという気がありますか、こんなことをやっていて。
  206. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 御通告ではそういうのはなかったのですよ。
  207. 広野ただし

    ○広野委員 何を言っているんですか。天下りの抑制、役員数の削減、こういうことをちゃんと言っているじゃないですか。私が通告しなくたってちゃんとやれる立場にあるんですよ。
  208. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 幾つかちゃんと用意はしてきていますが、役員数がふえているのをどうこうというのはちょっと聞いておりませんでしたが、なお担当の方から答えさせます。
  209. 三野優美

    ○三野委員長代理 総務庁陶山行政管理局長。ちゃんと答えてください。
  210. 陶山晧

    ○陶山政府委員 常勤の役員数について先生ただいま御指摘がございましたが、常勤のまず過去五年間の数字を申し上げますと、平成五年度というのが今一番新しい数字でございますが、八百二十一。ただし、これは特殊会社を除きますと五百十八人でございます。  それで、この特殊会社を除いた数で申しますと、五年前の平成元年度は五百十八でございますから、同数でございます。ただし、特殊会社を含めた数で常勤の役員数は、五年前は七百五十五、平成五年度は八百二十一でございますから、特殊会社について常勤の役員数が増加をしたということであろうと思います。
  211. 広野ただし

    ○広野委員 それともう一つ、渡り鳥の問題ですね。これも特殊法人間を次から次から渡っていって、それで高額の退職金をもらう。これはやはり庶民感情からいってとんでもないことなんですね。前の閣議了解では、一回は認めてやろうじゃないか、こういうことを言っているんですよ。それはやめてもらいたい、全面的に禁止だ、こう思いますが、いかがですか。
  212. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 現在、昨年で言いますとたしか年間十七人ぐらいいたと思います。これも全体でいうと、全役員の数でいえば二%ぐらいの率になる。これは原則としてはやはり一回限り。二回にわたるというのはよほど特別な事情のあることに限って認めるということになっているようでありますが、しかし、委員御指摘のとおり、極力減らしていくということはそのとおりであろうというふうに思いますので、なおそのように努めたい、このように思います。
  213. 広野ただし

    ○広野委員 そういうあいまいなことを言っていると、国民の皆さんが見ているのですよ。きちっとやった方がいいですよこれは、そういうことを。  そしてもう一つ、退職金ですよ。高額退職金。やはり、いろいろとよく新聞にも言われます。在職月数掛ける月給、こういうようなやり方、これはどうなんですか。高いと思いませんか。
  214. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 特殊法人の役員の退職金は、昭和五十二年十二月の行政改革推進についての閣議決定に従いまして、現在、在職期間一月につき当該役員の退職時の俸給月額の百分の三十六という統一的な方式で算出をしているものでございます。そういう方式でございますので、異動回数、いわゆる渡り鳥と申しましょうか、そういうことの結果として、その多寡等によって増減するものではないと考えます。全体としての特殊法人に在職している年限の中で退職金が今のような一律方式で算出をされてくるわけでございます。  このような方式となっておりますのは、特殊法人の役員が特定された任期の中でその法人の経営に対して重要な責任を負うということの関係で、この退職金の支給水準を民間企業役員の退職金の支給水準とのバランスに配慮しながらこういう方式で考えているということでございます。直近の民間企業役員の退職金実態に関する調査、平成六年に人事院に実施をしていただきましたが、これによりますと、民間企業役員の在任一年当たりの平均退職金は約五百六十万円となっております。特殊法人の役員の平均は在任一年当たり四百二十万円というものになっておりますので、特殊法人役員の退職金の支給水準は、現段階で民間とのバランスでは必ずしも高いものにはなっておりません。  なお、今の百分の三十六と申しますのは、以前は百分の四十五でございましたが、昭和五十三年度におきまして二割引き下げでそのような水準としているものでございます。
  215. 広野ただし

    ○広野委員 これは各省あるいは主計局がいろいろと査定をしたりしてやっているんでしょうけれども、仲間内というような感じで、忍びないようなところもあるかもしれません。だけれども、民間は、本当にそれこそ赤字になったら、それはもう退職金もないということだっていっぱいやっているわけですね。そういうことを考えますと、今日本の国家財政、もう大変な状況なんですよ。そういう中で、今おっしゃったのは、高くないとおっしゃいましたけれども、何しろ私は是正をしていただく、そういうことを要求をさせていただきたい、このように思います。  もう一つ、先ほどお話しさせていただいた大事なことで、全体がわかる連結での財務諸表、これを公開を義務づける、こういうことをやりませんと全貌がわからないんですね。そして、どこを節減をしたいか。出資金これぐらい出ている、二十四兆円も出ている、そして毎年また出資金と補給金で四兆円が出てくる、こんな状況、それを節減していきたいわけですが、全貌がわからないと、先ほど、財投のあり方等を議論をしないと出てこない、よくわかりますが、その前提はディスクロージャーなんですね。この連結決算、全部公開をする、この点について、これはどうでしょうか、だれがお答えいただけるんでしょうかね。大蔵大臣、いかがですか。
  216. 陶山晧

    ○陶山政府委員 先ほども申し上げましたように、政府としては、個別の特殊法人整理合理化方策のみならず、特殊法人の管理運営に関する一般的な方策についても近々の閣議決定で政府方針を決めたいと考えておりますが、その中に、ただいま御指摘のありました財務内容の公開についても政府方針を盛り込みたいということを先ほども御説明を申し上げました。  問題は、具体的にどういう公開の仕方をするかということになろうかと存じますが、ただいまお話しの連結決算につきましてもいろいろ御議論があることは承知をいたしておりますけれども、例えば党のプロジェクトチームでも、ただいま広野先生の御指摘のような御議論があった際、逆に本体部分の経理、財務の内容がかえってわかりにくくなるのじゃないか、隠されるおそれだってあるのではないかというような議論もあったと伺っております。  いろいろな問題点があろうかと存じますが、現在、この財務内容の公開については、少なくとも原則としては企業会計原則に基づく財務内容の公開が行われることになっておりまして、その内容が事務所に備えつけられているということに多くの法人ではなっているはずでございます。なお、根拠法の改正の都度、そうした規定を盛り込んでいくということもこれまで積み重ねられてきたわけでございますが、例えば決算の時期が区々であるというようなことからそれがなかなかにいわば全体としてわかりづらいとかそうした議論も与党のプロジェクトチームの中でもあったやに伺っております。  いずれにしろ、私どもが直接詳細を承知しているわけではございませんけれども政府全体の方針としてその財務内容の公開について改めて方針を決めて、それに基づいて各省庁がきちんとした対応をしていくというようなことを改めて今回の閣議決定でも盛り込んでいきたいというふうに考えております。
  217. 広野ただし

    ○広野委員 私は、やはり全貌がわかるようにするためには、連結決算で財務諸表を出していただく、そしてさらに個々の孫会社についても決算を出していただくということをやっていくことが国民の皆さんに非常によくわかりますし、透明性を増す上で非常に大事なことだ、このように考えます。  そしてまた、今ちょっとありましたけれども、企業会計原則とおっしゃいますが、そんなことになってないんですね。特殊法人会計処理基準というのでやっているわけです。ですから、いろいろとわかりにくいようなことになっておりますので、できるだけ企業会計原則に近いものにして発表してもらいたい、このように思います。  時間が参りましたが、ひとつ公益法人の問題について最後にお聞きさせていただきたいと思います。  公益法人、全体で二万六千近くございます。社団法人一万二千、財団一万三千五百というようなことでありますが、この中に休眠法人がある、こういうことであります。そして、この休眠法人について、私は徹底的に整理をしていくべきだ、このように思いますし、それ以外に不活発な公益法人、いろいろとあろうと思うのですね。この公益法人について監督官庁は廃止統合をする権限があるのかどうか、民法上、この点についてお伺いさせていただきたい。
  218. 安藤昌弘

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御質問の公益法人につきましては、民法三十四条によりまして主務官庁がそれぞれ監督を行うということでございまして、主務官庁の御判断によって許可の取り消しということもあり得るというふうに考えております。
  219. 広野ただし

    ○広野委員 休眠法人でまだ整理をされてないものが幾つもあります。それはぜひもう許可の取り消しということをやってもらいたいと思います。  そしてまた、この公益法人特殊法人のような行政代行機関的な役割を果たしている点がいっぱいあるのですね。それで結局、特殊法人のしり抜けになってしまう。特殊法人が縛られちゃっているから公益法人をつくって、そこへ補助金を出していく、補給金を出していく。こういうことになっていますと、また全貌がわからなくなってくるということで、国民の皆さんの行政に対するまた信頼を欠くということになってまいりますので、そういう点も含めて、公益法人の規制を強化する、あるいは休眠法人廃止をしていくということを今度の行革の中にも入れてもらいたい、このように考えます。  時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  220. 三野優美

    ○三野委員長代理 これにて広野君の質疑は終了いたしました。  次に、今村修君。
  221. 今村修

    ○今村委員 社会党の今村であります。  時間の関係もありますので、端的にそれぞれお伺いをいたしますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  その第一は、地震対策についてであります。  一昨日の十一日の日、神戸へ入ってまいりました。住吉の駅から三宮までバス代行がありますが、長蛇の列で乗れなくて、視察をしながら三時間歩いて神戸の町を見たわけであります。しかし、国や県、市の努力、そして被害を受けられた皆さん方の大変な努力によって今、町が活気を呈してきている、その状況を見てまいりました。  しかし、いまだ歩道上に崩壊をした住宅が放置をされる、傾いたビルがそのまま、そんな状況が続く。特に、三宮のあの繁華街を中心にしながら、大きなビルが傾いたまま、まだ手がつけられていない。そして、繁華街一帯が立入禁止地域になっている。こんな状況を見ながら、この復旧には大変な努力が必要だなと、そのことを改めて痛感をしたわけであります。  それぞれ大変な努力を続けているわけでありますけれども、避難されている避難所の皆さん方、あるいは担当している方、ボランティアの方からいろんな意見が寄せられました。その意見だけお伝えをし、御答弁をお願いをしたいと思います。  一つは、避難民が相談をする場合、相談の場所が幾つもある、何とか一カ所ですべて解決できるという方法がないのか、こんな悩みが寄せられたわけであります。それは、住宅のもの、仕事の話、商売再開の話、いろんな相談事がいっぱいある、交通が大変な状況の中で避難民の人が一つ一つその相談の場所に訪れるというのはなかなか大変だ、どこか一カ所で全部処理できる方法がないか、これが一つであります。  もう一つは、相談した際に、答えとめどだけははっきり出してもらえないか、なかなか思うように答えが返ってこない、こんな悩みが出されたわけであります。  ぜひともこの点に努力をしていただきたい。 もし御回答があれば、お願いをしたいと思います。  それから、繁華街を中心にして、崩壊をした大変なビル、あれは早急に取り壊しをしないと二次災害を含む大変な状況になるのじゃないのかと強く感じたわけであります。二階建て、三階建ての建物というのはもう、まだまだ手がつけられなくて、そのまま放置されているというのがいっぱいあります。それ以上、十階建て程度の大型のビルが傾いたまま放置をされている、こんな状況でありますので、これもまた、ビル対策だけはぜひとも早急に対応していただきたい。  ボランティアの方からこんな話がされました。高等学校やあるいは大学生、この中でボランティアに参加している方も大分いる、大阪からボランティアに来ているのが大部分だ、そのボランティアの方々は陸路じゃなくて海路を伝って神戸に入っている、こういうお話であります。そして、現地に泊まり込みの方もありますが、多くの方は毎日通うという形になっている、ただ、この船賃がばかにならない、何とか証明書を発行しながらこの船賃だけボランティアの人たちに手だてする方法がありませんかと、ボランティアからこういう要望が出ておるわけであります。お答えがもしあれば、この点についてのお答えをお願い申し上げたいと思います。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  222. 小里貞利

    ○小里国務大臣 まず第一項でございますが、御案内のとおり、被害が甚大であったがゆえに、地元、市、県あるいは国の対策も多岐にわたっております。また、御指摘ございましたように、罹災者あるいは市民の皆様方のニーズも多くにわたって生じておるところでございますが、いずれにいたしましても、お話しのとおり、迅速にかつ適切に対応しなければならないと心がけておるところでございます。  特に先生の方から御指摘がございました、いわゆる避難所の皆様方を中心にいたしまして、それぞれ行政が機敏な対応をさまざまにわたって施すわけでございますが、それをできるだけ迅速にその罹災者の皆様方に御通達を申し上げる、これも大事な問題点でございますし、さらにまたお話がございましたように、より多くの情報を一カ所の窓口によって、その窓口も無数につくらなければならないし、それぞれの行政機関がその啓発を申し上げる、通知を申し上げる箇所も無数につくっておるつもりでございますが、さらに、ただいまお話がございましたのは、できるだけ的確に説明すると同時に答えも出せるようなという意味でございましょうが、そのように努めてまいらなければならぬと思っております。  実は、そのことにつきましては、官房長官の方からも特に指示がございまして、ひとまず落ちつきを見せました一週間ぐらい前から、私どもも、細やかに迅速にお伝えするような、その一つの方式を、手続を今検討もし、また施しつつあるところでございます。  最近におきましては、先生も御承知のとおり、去る九日、十日には、法務局あるいは財務局の機関の協力をいただきまして、現地での特別総合行政相談所の開設なども申し上げた次第でございますが、御指摘のとおり相当罹災者の皆様方が殺到いたまして、御活用いただいたといういきさつがございます。  それから二点目は、大きなビル等が傾斜をして、なかなかこれが処理が困難ではないかというようなお話でございますが、御承知のとおり、解体から搬送まで、中小企業の場合、資本金一億以下、従業員三百人以下は、これは行政の責任において処理することにいたしましたけれども、ただいま先生がお話しのお話を聞いておりますと、恐らくこの対象以上の、いわゆる大企業のビルあるいは公有施設等も御指摘になっておられるかと思うのでございますが、それらにつきましては、私どもも地元の市あるいは県等に積極的に督励を申し上げなければならぬなと、さように感じておるところでございます。  なおまた、最後にお尋ねのボランティアの問題でございますが、大変この貢献度は大きいこと、お話のとおりでございます。私どももこれには重大な感謝とともに関心を持っておるところでございますが、目下これらのことにつきましても、官房長官の方から取り仕切りがありまして、ボランティア対策検討プロジェクトチームを作成いたしまして、今、特にこの公益性の担保をどうするかそれは法制上の見地あるいは国や地方公共団体がこれをどういうふうに支援を申し上げるか、その辺を一つの基準にいたしまして、鋭意検討中でございます。  なおまた、お話にございましたように、恐らく大阪等からのお話であろうと思うのでございますが、ボランティアの皆さんが船舶を利用しておる、したがってこれを、料金を何とか配慮することはできないのかというようなお話でございますが、その御発言の趣旨はよく理解するところでございますけれども、率直に申し上げまして、この船舶会社そのものも罹災者の一人でもございますし、さらにまた、その船舶を利用する方々の中には、援護に行かれるための市民の方々もたくさん乗っていらっしゃいます。あるいはまた被災者の方々も乗っていらっしゃるし、被災者の親戚、縁者の皆さんも乗っていらっしゃるということでございます。  これは、恐らくもう一週間ぐらい前、私どもの非常対策本部でも検討いたしましたけれども、なかなか、ボランティアの皆さんのみを特別取り扱いをするということは、その区分の上において混乱するな、そういうような一つの話も出ておるところでございまして、強いて申し上げまするなれば、これは例えば別途な法的措置によりまして、地元の市、団体等から要請があればさらに踏み込んで検討はしてみたい、さように考えておるところでございます。
  223. 今村修

    ○今村委員 いずれにしても、相当長期間にわたるという状況でありますので、その対応についてはぜひとも的確な対応を心からお願いをして、この部分質問を終わります。  次に、地震予知と、特定観測地域及び観測強化地域対策についてお伺いを申し上げたいと思います。  一つは、この地震が発生をして、地震予知のお話がよく出るわけであります。本当に地震予知ができるのかという問題が出てくるわけでありますけれども、困難だ、こういう指摘があります。しかし、地震対策、万全を期します、万全を期しますという話だけが出てくると、これは地震予知が本当に可能だという誤解を与える、こんな感じがしますので、この点について改めてお伺いをしておきたい。  もう一つは、この特定観測地域あるいは観測強化地域、これらに指定をされている、この指定をされた地域に一体どんな対応をされているのか、この点についてお伺いをしたい。  もう一つは、この指定地域の内に原発が相当数あるわけです。この指定区域内にある原発、これに具体的な何か対応がなされているのか。  それから、この原発の問題でありますが、神戸大地震やあるいは三陸はるか沖地震、これによって近隣の原発の震度計がどのくらい振れたのか、この点についてもお伺いをしておきたいと思います。
  224. 田中眞紀子

    田中国務大臣 地震予知につきましては、もうここずっと同じような質問をいただいております。ということは、それだけ皆様が本当に関心を持っていらっしゃることの証左だと思います。  それで、二月の十日でございますけれども、地震予知の推進本部というものを私が開催いたしまして、各省庁の代表の方及び四人の大学の専門家の方をお呼びいたしましてお話を伺いましたけれども、いつごろどの規模でというふうなことは何か特に難しいというお話を聞いてがっかりいたしました。先生によっては、専門誌に発表をしたことがあるようなことをおっしゃった方もおられましたが、専門誌等の一部に対するのではなくて、パニックが起こるといけないというふうなこととか、あるいはいろいろほかのことも御心配のようでございますけれども、やはり地方自治体等にもそういうインフォメーションを流すようなシステムづくりは必要であろうというふうに思います。  現段階におきましては、先生も御存じのとおり、予知につきましては、気象庁や国土地理院、科技庁等が連絡をとり合っておりまして、三月末には、データベースで、インターネットでお互いに連絡をとるような仕組みには今なっておりますが、そのために振興調整費も十二分に使っていただきたいというふうに思っております。  特定観測地域と原発地域等につきましては、事務方から詳しく御説明申し上げるのでよろしゅうございましょうか。
  225. 川田洋輝

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  まず、御質問最後の方からお答えをさせていただきます。  我が国では、現在、四十九基、四千五十二万キロワットの原子力発電が稼働いたしておりますが、このすべての原子力発電所につきまして、今回の阪神大震災や三陸はるか沖地震による影響はなかったところでございます。  御質問の、阪神大震災及び三陸はるか沖地震での最寄りの発電所におきます震度などにつきまして御説明いたしますと、まず、阪神大震災につきましては、高浜、美浜、大飯、敦賀といったようなところがかなり近いところの発電所でございますが、発電所における震度はいずれも三でございます。発電所における震度をガルで申しまして、高浜が一番高うございまして二十二ガルでございました。  三陸はるか沖地震に関して申しますと、福島第一、女川、福島第二、柏といったところが、これは先ほどの阪神より比べますと距離数はかなり大きくなりますが、発電所における震度で最も高いところで三、発電所における震度をガルで申しまして十二、これは福島第一の数値でございますが、これが最高のもので、いずれも安全な範囲内の数値を示しておるところでございます。  それから、その前にお尋ねございました、特定観測地域あるいは観測強化地域における原子力発電所などについての措置でございますが、我が国は世界でも有数の地震国であることにかんがみまして、原子力発電所の立地につきましては、御指摘の特定観測地域や観測強化地域にあるものも含めまして、すべてについて大変万全な地震に対応する対策を講じているところでございます。  まず、原子力発電所の地点選定に当たりましては、活断層の存在などを詳細に調査をいたしまして、活動可能性のある活断層を立地点としては回避するということにいたしておりますし、すべての重要な建物、構築物を強固な岩盤に直接固定する。あるいは、調査をいたしました周辺地域の活断層、過去に起こりました地震などを考慮いたしまして、直下地震を含めて考えられる最大の地震を想定した上で、これらに耐えられるような耐震設計を実施する。  これらに加えまして、建築基準法の三倍の耐震性の確保、地震時の揺れ方の大型コンピューターによる高精度解析などに基づく十分な裕度を持った安全性の確認、さらには、発電所に設置をいたしました地震検知器が震度五程度以上の揺れを感知しました場合には原子炉を安全に自動停止させる仕組みなどの設計、運転上の対策を実施いたしております。さらに、重要な機器などにつきましては、実際に大型振動台で設計上考慮した地震動などよりも大きな力で揺らしまして、その安全性を実証しております。  こういうように原子力発電所は高い耐震設計レベルを有しておりまして、これまでの地震、今回の地震におきましても、現実に影響は生じておりません。私どもとしては、耐震上の安全性には問題がない、これはすべての地域、すべての発電所についてそう言えるのではないかと思っております。  しかし、現在の安全に慢心することなく、常に安全確保に最大限努力することが必要でございまして、原子力安全委員会における耐震設計に関する指針の妥当性についての確認、その他のいろいろな動きを私ども十分注視をしてまいりまして、参考とさせていただきながら、引き続き原子力発電所の安全に万全を期してまいりたいと考えております。
  226. 今村修

    ○今村委員 私は、特定観測地域や観測強化地域に指定している、この指定地域内というのは特別な対策がとられているのか、このことをお聞きしたのであって、一般的なものはいいですから。原発のことも、そのことの地域内にあるものが特別また強化をしているということなのかどうかということだけです。何かお答えがちょっとピントが外れたようであります。  ただ、お聞きをすると、この特定観測地域や観測強化地域には指定するけれども、指定の地域内で特別な対応をされるという内容にはなっていない、こういうことになっているようであります。そういう点では、今回の特定観測地域内にあった神戸についても別な対応がなされるべきじゃなかったのかな、こんな気持ちもしたものですから、この点を指摘をしたわけであります。  次に移ります。  今回災害が発生して、救助体制についていろいろお話があったわけであります。特に自衛隊の出動問題についていろいろお話がありました。しかし、考えてみると、特別非常警報が出ているという状況でもないし、突如襲うこの災害、これに対応するという内容でありますから、これは自衛隊といえども大変な困難を伴う、こういう状況になっていると思います。そういう点では、災害に対する第一義的責任は、当然これは地元の自治体、消防、警察、これにあると思います。しかし、同時に、これで手に負えない場合どうしても自衛隊という話が出てくるわけであります。  ところが、自衛隊といえども、この災害救助にはいろいろな災害があって、それぞれの災害に応じた日常的な訓練や器具やいろいろな設備もまた必要だ、こういうことになるわけです。ですから、それらを備えておかないとどうにもならぬ、こうなるわけでありますので、自衛隊の中に災害救助を任務とする災害救助隊、こういうものを備えてはどうか、こう思うわけでありますけれども、この点についてのお答えをお願いします。
  227. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 委員御指摘のとおり、自衛隊法におきましては、まず自衛隊は、我が国の直接並びに間接侵略に対処する、そして公共の秩序維持には当たりますが、この中に災害等、治安活動等あると思うわけでございます。これはやはり、何と申しましても自分の町は自分で守る、こういう地方自治体の決意があって、そしてまず災害には第一に消防、警察、地方自治体が対処し、その対処能力において限界がある場合におきましては自衛隊にも要請がありまして、そして協力をいたしまして災害に対処する、こういう形になっておると思うわけでございます。  そこで、自衛隊は我が国を防衛するため必要最小限のものとして整備されてきておるものでありまして、自衛隊は組織と装備を用いまして、平素の訓練を通じて培った能力を生かして、遭難者や遭難船舶、航空機の捜索救助、水防、防疫、給水、人員、物資の緊急輸送など、広範多岐にわたる災害救援活動をこれまで長年にわたって行ってきておるところであります。  今回のような大規模災害等に対応することのみを目的とする専門組織を自衛隊の中に常設するという考え方でございますけれども、これはやはり全体から考えまして、人員や装備の確保の面で極めて非効率であると考えておるところであります。防衛庁といたしましては、むしろ平素から防災訓練を一緒に行うなど、各地方自治体との間で緊密な協力関係を維持することによって適切に災害派遣を行い得る体制を確保することの方がより重要であると考えているところであります。
  228. 今村修

    ○今村委員 非効率だというお話ですけれども、国内における災害に自衛隊が相当出動しているという状況から見ていけば、緊急に発生したこれらの災害に全国どこからでも駆けつけることのできるという、いわば二十四時間体制を含む対応というのがぜひとも必要ではないのかなという感じがするわけであります。ぜひとも御検討をこれからもお願いをしたい、強く要請をして次に移りたいと思います。  次は、行政改革の問題であります。行政改革については、これを論ずる場合、国の財政全般を含めて、特に財政投融資制度、これらを含めての議論が必要になってくると思います。それらについては、これからまだまだ議論していかなければならぬと思っていますので、後に譲りたいと思っています。  特に、この行政改革についていろいろな提言などもなされているわけであります。特に海部新進党の党首が本会議発言をした内容、先般新進党が発表した内容とは若干違っているようでありますけれども、これに対するお答えがまだ出ていない。省庁統合というのは唐突な気がするわけでありますけれども、しかし、話がされている以上、政府としての見解を明らかにしておいていただきたいという点で、この問題についてのお答えをお願いしたいと思います。
  229. 山口鶴男

    山口国務大臣 海部党首の方から本会議において御提言がございました。総理の方からもお答えになっていると思うんですが、各種総合調整機能はやはり行政の実施部門と組織が担当するものが違うわけでございますので、例えば総務庁のような調整機能を持っている官庁、それから建設省のようないわば実施官庁、したがいまして、こういったものが一緒になるというのはやはり問題があるわけでございまして、したがいまして、経済企画庁のような総合調整官庁とそれから実施部門を持っている大蔵省とを一緒にするというようなことも、これまた問題があるのではないか、かように私ども認識をいたしている次第でございます。  ただ、行政改革が我々が進めなければならない重大な課題であることは認識をいたしております。したがいまして、当面、私ども地方分権の推進に今努力をいたしております。今国会地方分権に関する基本的な法律を御提案申し上げる、そうして国と地方自治体との役割分担というものを明確にしていく、そういう形で地方分権を推進いたしまするならば、中央官庁は当然スリムになっていくわけでございまして、そういう中で抜本的な省庁統合はどうあるべきかということを考えることは私は必要ではないかと思っている次第でございます。  したがいまして、私どもとしては、地方分権であれば、地方自治体は総合行政機関でございますから、そうなれば、地方分権を進めることは、この行政の縦割りという批判もこれは解消していくことができるんではないか、かように思っている次第でございます。  したがいまして、せっかくの御提言でございますが、私どもとしては今実現するのは問題がある、かように認識をいたしている次第であります。
  230. 今村修

    ○今村委員 本来であれば、新進党の皆さんが質問しなければならぬ話ですけれども、一切この点について触れておりませんので、私から、政府として答えるべきだ、こう思って質問した次第であります。  特殊法人の役員の退職金問題については先ほど答弁いただきました。しかし、なかなかあの内容では国民の皆さん方は理解できないと思います。私からもぜひとも再検討するよう指摘だけして、次の質問に入りたいと思います。  新年度の予算の問題であります。  新年度の予算、いろいろな多くの課題を負った予算ではないのかな、こんな感じがいたします。特に、昭和三十年度以来四十年度ぶりのマイナス予算になった、あるいは税収の不足が続き大変なやりくりをせざるを得ないような内容になっている、あるいは財政の悪化が、経済の動向とも関係ありますが、一段と進んだ、こんな内容の予算にもなっているわけであります。  そこで、幾つかの点について大蔵大臣の見解をお願いをしたい。原則的なお話、こういうことになるだろうと思いますけれども、原則的な話の中から基本的な物の考え方をつくり出していくというのも必要だろうと思って質問をいたします。  一つは、税収と歳出との間に相当なギャップが出ている、これは近年特に続いているという状況になっているわけであります。今年度で言えば、七十兆幾らの歳出総額のうち、税収で賄われるのは七六%、約二五%がいわばそれ以外の収入で賄われなければならぬ、こういうことになっています。結果として国債の発行、こういう形になって財政の硬直化を招く、こういう状況になっているわけであります。この歳出といわば税収とのギャップがこう極端に開くという状況についての御認識、これを一つお伺いをしたいと思います。  二つ目は、これは国債不発行主義という財政法上の原則があります。財政法第四条という形にあるわけでありますが、しかし、この原則がどんどんどんどん崩れてしまうという状況で予算をつくらざるを得ない、こういう内容になっているわけであります。しかし、こういう状況が、法律が一方でありながら恒常化するという状況というのはよくないと思います。そういう点では、これは発行を認めるという形で変える、しかし発行の額については一定の限度を設ける。例えば歳出総額の八割が税収で賄われなければならぬ、それ以外はだめですよ、こういう枠を決めておくとか、新たな財政の枠組みをつくるという必要があるのじゃないのか。これに対する考えをお伺いをしたい。  それから、俗に言われる隠れ借金という内容、この返済の見通しについてお伺いするわけでありますが、これも一般の人にとっては極めて複雑であり、なかなか理解しにくい、こういう会計間のやりくりという状況になっているわけであります。いわばこの返済の見通しと、これの取り扱いについての大臣の御見解をお伺いをしたい。  それから四つ目には、財政投融資、これは平成五年度末計画残額が三百八兆円という金額になっているようでありまして、いわば平成五年度で国債の発行額の二百十二兆円を超えるという残額という内容になっている。これがイコール第二予算と言われる形でそれぞれの特殊法人に流れるという形になっているわけであります。ですから、この問題と特殊法人とは関係が出てくるわけでありますけれども、金融の自由化あるいは高齢化と進む中で、この財政投融資制度、これそのものも見直しが必要になってきている時期ではないのか、こんな気がするわけでありますけれども、これらについての大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  231. 武村正義

    武村国務大臣 我が国財政の基本にかかわる四つの御指摘をいただきました。  まず最初は、予算編成における税収と歳出のかかわりでありますが、この乖離が余りにも大きくなり過ぎているという御指摘であります。  そのとおりでございます。昨今税収が停滞しておりますだけに、歳出カットが不十分でありますとそのギャップがなかなか埋められないという悩みがございます。そんな中で、税収イコール歳出でなければならないことはありません。税外収入もございまして、言ってみれば健全な収入と健全な歳出がイコールだと一番いいということになりましょうか。  そういう状況でなしに、なかなか歳出増の要求は非常に強い、依然として強い。これは政治家の中でも論議としては、むしろ歳出をふやすべきであるという国会論議は非常に多いわけであります。片方、歳入増、いわゆる増税にかかわる主張というのはなかなか国民の皆さんも進んでは御理解いただけませんから、国会の論議としても増税についてはひるんでしまう。結局、健全な歳入をはからないで歳出をぐんぐんふやしてくる、こういう残念な結果でもありまして、今日の二百十二兆という世界でも最も目立つような巨額の公債を積み上げてしまったということが言えるわけてあります。  今後はこのギャップ、今御指摘いただきました が、これをなるべく埋めていくということで健全化を図っていかなければなりませんし、公債等に限って言えば、ことしも国債費二〇%、いわゆる公債依存度という数字がございますが、これは一七・七%、それから、歳出総額に占める利払い、過去の借金の利払い費率、一六・四%、これも世界一でございます。あるいはGDPに対する長期政府債務残高の比率も九四年度は五五・一%、もう半分を超えてきております。G7ないしは先進国と比較をいたしましても、もう一、二、一位あるいは二位という、こういうトップに財政の不健全な数字が立ってしまっているということをしっかり認識をしながら、御指摘のような努力をしなければならないというふうに思います。  その中で、やはり国債に対する私どものスタンスといいますか考え方も、もう一度議論が必要ではないか。国債は国民の借金だ、それも資産だというとらえ方も確かにあります。しかし、政府の財政で見る限りはやはり国債は借金でありますから、借金の返済、元本の返済でぐんぐんぐんぐんその金額が上がってきますと、もう貴重な税金のかなりの部分を過去の借金のツケを払うために優先して回さなきゃならない、それを引いてしまうともう当該年度の予算が組めないという、こういう状況になることを考えますと、単純に国債は国民の財産というとらえ方もできない。  これまでは、赤字国債に対して建設国債は、いずれにしても公共事業をやって道路や橋や建物の資産を残すのだ、そういう資産は長年にわたって将来世代が活用できるのだ、だから今の納税者だけが払う必要がない、何十年かかけてみんなが払えばいい、こういう論理であります。これはもっともな、間違った考えではないわけですけれども、そのことがややもすると安易に建設国債ならどんどん目いっぱい発行してもいいというふうな考え方になっていく。  そういう点でも、財政審が報告で示しておりますように、予算規模の五%ぐらい、あるいは五%以内が望ましいというと、本当にことしは、ことしも建設国債だけで十兆近い額を発行しておりますと、五%と言われると三兆数千億ぐらいしかだめだ、六兆円ぐらいオーバーして発行している。建設国債に限ってもそういうふうにも自己診断ができるわけでありまして、こういう建設国債のボリュームといいますか、発行額そのものにも真剣に論議を向けなければいけないと思っております。  隠れ借金の問題も御指摘をいただきましたが、決して隠しているわけではありませんが、公債以外の借金あるいは借りという意味でこういう表現が使われているわけであります。隠れ資産ならいいのですけれども、隠れ借金でございますから、大変これはもう財政の体質の面から見ればよくない話であります。  しかし、これはやりくり算段とも言っておりますが、それぞれ貸し借りを明らかにしながらなるべく早く処理をしよう、しかも財政の中だけで貸し借りをしておりますから、六十年償還の国債を発行して、そしてカバーしてしまうということに比べますと、かなりこれは財政の対処の仕方としてはまじめな面もありまして、そう長期にわたるものじゃないということもありますし、財政の中で早く始末をしなきゃならないという、そんな側面もあることも御理解いただきたい。  そして、ことしはもう六兆円を超すような規模です。昨年の細川政権のときも六兆円ぐらいでございました。こういう隠れ借金と御指摘された臨時特例措置を年々こういう規模で措置をすることはむしろ抑制をしていかなければいけないというふうに思います。  最後に、財政投融資についても御指摘をいただきましたが、確かに経済成長の中で、あるいはバブル後は景気対策という視点から累次にわたる補正予算を組んでまいりました。かなり大型の補正予算を公共事業中心に組んでまいりまして、この大半が建設国債でありましたために、ここ三、四年の財政で一段と建設国債もふやしてしまいましたし、同時にまた、将来の償還を前提にはしておりますが、財投資金もかなり拡大をして事業を実施をしてまいりました。  ことし、今提案をいたしております財投でやっとほぼ前年並みといいますか、余りこれをふやさない姿勢を打ち出したところでございます。財投そのものにつきましては、朝からの政府系金融機関のあり方等も含めて、財投改革と言ってもいいのかもしれません、これは、大きくは財政改革の中に、財政投融資の改革というふうな視点からも、真剣に論議を進めていくことが必要だと思っております。
  232. 今村修

    ○今村委員 ありがとうございました。  いずれにしてみても大変な課題を抱えているという状況になっているようでありますから、この課題解決のために一層の努力をお願いをしたいと思います。  次に、戦後五十年問題についていろいろとお伺いをしたい、こう思います。  細川内閣を含めて、今日までの連立政権の中で、過去の我が国の侵略行為や植民地支配などが、多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに深い反省とおわびを申し上げます、こういう対応でこの五十年問題を解決をしよう、こういうことで来たわけであります。  最近高等学校で、これは韓国やあるいは東南アジアに訪問する、修学旅行で行くというのがあるようであります。現地へ行って高校生が初めて、日本の国の軍隊がシンガポールに来ていた、朝鮮を三十八年間植民地にしていたというのを海外に出て初めて知る、こんな話もよく聞くわけであります。そういう点では、この学校教育と戦後五十年問題、大変大きな課題ではないのか、こう思いますけれども、文部大臣の御見解をお願いをしたいと思います。  もう一つは、日の丸・君が代の問題であります。  この問題も、この五十年問題と深くかかわるという形になっていると思います。端的な言葉で言えば、表裏という関係、そんな内容で五十年間経過をしてきたのではないか、こう思うわけであります。  同時にもう一つは、そういう関係があったために、例えば旗日でありながら、国旗が社会一般の中でなかなかそれぞれの家に立たぬ、こういう形になっている。日の丸・君が代の問題は、本来であれば、大人たちが日常生活の中でそんな生活をしていれば、子供たちが必然的に身につくという性格のものではないか。学校で掲げること、歌うことを義務的に強制するという内容ではなくて、本来、社会の中で身につくというスタイルがあるべき姿ではないのか。それがそうなっていないところに、この問題の深さがあると思います。  そういう点では、この過去の我が国のいろんな経過をなおかつ背負っているという認識に立っての対応が必要ではないのかと思いますけれども、この点についての文部大臣の御見解をまたお願いをしたい、こう思います。  こういう戦後五十年の認識、この点については、文部大臣についても御同様だと思いますので、この認識についてもお願いをしたい。  同時に、こういう認識に立って、計画されているアジア歴史資料センター、これがつくられるのではないだろうか、こう思うわけでありますけれども、厚生省が計画した戦没者追悼平和祈念館、これがなかなか前に進まぬという状況は、この認識の問題も含めて、いろいろ経過があったようであります。そういう点では、このアジア歴史資料センターがそんな内容にならぬように、ぜひとも初期の目的を達成するように心から期待をするものであります。これらの経過についてと見通しについてお伺いをしたいと思います。
  233. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 三つの御質問があったと思うわけでございますが、最後の歴史センターについては私の所管でございませんので、別途お答えをすると思います。  まず先生の御質問、アジア各国と共通の歴史認識を持てるよう、戦争に関することを学校できちんと教えるべき、こういう御趣旨の御質問だったと存じますが、文部省としては従来から、国際理解と国際協調の観点から、近現代史の教育の充実に努めてまいってきたところでございます。現行の学習指導要領においても、近現代の歴史を中心に指導する科目、すなわち日本史A、世界史Aというのを設けるなど、十分に配慮しているところでございます。  歴史教育においては、客観的、学問的な研究成果を踏まえ、児童生徒の発達段階に応じて指導することが重要であり、我が国とアジアの近隣諸国との歴史を含め、児童生徒が正しい歴史理解を持つよう引き続き努力してまいる所存でございます。  次の国旗・国歌の件でございますけれども、教育の中で国旗・国歌について教育的な指導をする。あわせまして、やはり社会、実践の場において国旗・国歌に触れるということは当然必要なことでございます。私どもは、昭和二十年八月十五日終戦を迎えたわけでございますが、それまでのいろいろな歴史的な経過等もございまして、国旗・国歌に対する正しい理解というものが少しずつ回復せざるを得なかったという事情もあることを御賢察をいただければと考えております。
  234. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 アジアの歴史資料センターについてお答え申し上げたいと思います。  政府は、平成六年八月三十一日の内閣総理大臣の談話におきまして、平和友好交流計画の一環として、かねてからその必要性が指摘されておりましたアジア歴史資料センターの設立について検討していきたい旨、表明をいたした次第であります。  これを受けて、このセンターの事業内容、運営のあり方などに関しまして広く各界からの有識者の御意見を伺うため、私のもとにアジア歴史資料センター、これは仮称でありますが、その設立検討のための有識者会議を開催することといたしまして、これまでに三回会合を開催している次第であります。本有識者会議には、本年の六月を目途に提言の形で御議論を取りまとめていただきたいと考えております。  政府は、提言をいただきました後、その内容を十分尊重して、政府部内など関係機関と協議の上、政府としての取り組み方について具体的な検討を進めたい、このように考えている次第であります。
  235. 今村修

    ○今村委員 ありがとうございました。  ぜひともこの戦後五十年問題、ことしで解決をして、これから新たな五十年をつくる、そういう対応にしていただきますことを強くお願いをしておきたいと思います。  次に、放射性廃棄物、原発の問題についてお伺いをしたいと思います。  その第一は、フランスから返還をされる高レベル放射性廃棄物が二月に入ってくる、二月にフランスを出発をする、こういう計画になっているようでありますが、政府はこれまで、その日時、ルートをぜひとも公開をする、こういう発言を繰り返ししてきたわけでありますが、いまだこれらについて発表がない、こういうことになっているわけであります。  このおくれている理由と、政府としてはあくまでこれは公開の原則で進む、こういう考えである、こう思っていますけれども、これに対する御見解をお伺いをしたいと思います。
  236. 河野洋平

    河野国務大臣 我が国としては、返還輸送に関する情報は可能な限り公開をするという方針であります。現在、関係政府及び事業者間で準備作業を行っております。  本件輸送に関しましては、幾つかの国からその懸念が表明されていることは事実でありますが、本件輸送の安全性については十分な配慮がなされているというふうに承知をいたしております。すなわち、輸送船については国際海事機関、IMO、それから輸送容器につきましては国際原子力機関、IAEAの国際基準を満たして行われることとなっているわけであります。  こうした観点から、政府としては、これらの諸国が有する安全性への懸念を払拭して、輸送が円滑に行われるよう各国の理解を求めてまいりたいと考えております。
  237. 今村修

    ○今村委員 ぜひともこれは公開をしていただきたいというのと、ただ、もう二月にフランスを出発をするというのに、いまだ具体的にわからぬという内容というのはちょっと理解できないのですけれども、この点が第一点。  それからもう一つは、この問題をめぐって中米やあるいはアジア諸国の中で大変な懸念が出され、なおかつ反対の態度を明らかにしている、こういうような国もあるわけでありますので、この点に対する対応というのは一体どうなっているのか、この点についてもお伺いをしたいと思います。
  238. 林暘

    ○林(暘)政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の返還のルートでございますけれども、これはまだ現在関係政府事業者間で相談をいたしておりまして、まだ決定をいたしておりません。決定した暁には、今大臣が申し上げましたとおり、できる限り公表したいと思っておりますけれども、その点についてもまだ合意が見られておりません。  いろいろな国からいろいろな意見というのが出てきておりまして、幾つかの国からは外交ルートを通じて我々にも懸念その他が伝わってきておるわけでございますけれども、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、輸送についての安全性については十分な配慮がなされているということについての理解を求めるよう、各国政府その他について説明をしているというところでございます。
  239. 今村修

    ○今村委員 ただ、一つだけ確認したいのですけれども、いずれにしてみても二月中にはフランスを出発をするということで理解していいのですか。この点だけ確認します。
  240. 林暘

    ○林(暘)政府委員 そういう、二月中にフランスのシェルブール港を出発するということで作業は進んでいると理解をしております。それと、シェルブール港を出発する一日ないし二日前にその出港の日時その他については公表するという点については、事業者間の合意があるというふうに承知をいたしております。
  241. 今村修

    ○今村委員 ぜひとも公開という立場での対応をよろしくお願いをしたいと思います。  二つ目に、これはイギリスからの放射性廃棄物の返還問題についてお伺いをしたいと思います。  私どもも寝耳に水であったのですが、今月の六日京都で開催された核燃料リサイクル国際円卓会議でイギリスのBNFL、英国核燃料会社THORP、再処理工場のロックリン本部長が、日本に返還予定の低・中レベル放射性廃棄物のかわりに同じ放射能量の高レベル廃棄物を日本に返還する、低・中レベルのかわりに高レベルのガラス固化体を日本に返還するのだ、こういう方針をこの会議の中で明らかにした、こう報道されているわけであります。これは事実ですか。これが事実だとすれば、これに対する国としての見解をお伺いをしたいと思います。
  242. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 先生御指摘のとおり、この二月六日京都で開催をいたしました核燃料リサイクルに関する国際円卓会議、この会議に参加いたしましたイギリスの核燃料会社のロックリン部長は、再処理委託に伴いまして発生いたします低レベル放射性廃棄物の我が国への返還に関しまして、これに相当する高レベル放射性廃棄物を返還する方式について検討している旨発言しております。ただし同時に、本件については現在イギリス政府に提案している段階でございまして、いまだ決定はしていない、こういうこともあわせて発言をしております。  したがいまして、我が国政府として今意見を申し上げる段階にはない、このように思っておりますけれども、今後この提案が具体化した段階におきましては、そのような場合におきます、今先生おっしゃいました同等と申しましょうか、あるいは等価と申しましょうか、こういった考え方あるいはその是非について検討すべきものではないか、このように考えております。
  243. 今村修

    ○今村委員 将来イギリスの方針が決まった後にという考え方というのはちょっと理解できないのです。日本の政府として、そんなことは困りますよ、こういう見解を明らかにすべきではないのか、こう思いますけれども、これに対する再度の御質問、お願いします。
  244. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 この件につきましては、あくまでもイギリスの核燃料会社と我が国の電気事業者の私的契約に基づくものでございます。したがいまして、まず提案は、イギリス側の提案に基づいて日本側が検討する、このような段階になってございます。  したがいまして、まだ正式にイギリスから提案はございませんので、この提案を受けて検討する、このようなことになっておるかと存じます。
  245. 今村修

    ○今村委員 いつもこんな形での御答弁しかいただけないのですけれども、最終的にこれが入り込んでくると、私の住んでいる青森県六ケ所村に入り込むという形になるわけです。ですから、いろいろ心配されるわけです。高レベルの量をこれ以上ふやしてもらっちゃ困る、こんな気持ちでいっぱいなんです。イギリスの政府が決め、日本の電力会社と向こうのBNFLと、イコールですね、協定が決まってしまってから日本の態度を出したってどうにもならぬじゃないですか。  ですから、そういう考え方があるというときに、日本としてはそれは困りますよ、だめですよ、そういう見解を出すのが当然の話でないですか。再度お伺いします。
  246. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 イギリスが考えておりますこの等価方式そのものの考え方というのをよくやはり聞いてみないといけません。それが我が国にとって本当によいのか悪いのか、この辺は十分慎重に検討する必要がございますけれども、今先生の御指摘の点も踏まえまして、十分その辺の妥当性あるいは我が国が受け入れる是非について慎重に検討いたしたいと思います。
  247. 今村修

    ○今村委員 強くお願いをしておきます。  次に、最近東南アジア地域での原発の立地がいろいろ話題になっています。欧米の売り込みが激しい、こういう話もあるようであります。しかし、私は、東南アジアにおける原発の立地というのは核不拡散の立場から日本の国として対応していくべきだ、こう思っています。  日本の原発に対する考え方は、核燃をサイクルさせるという考え方をとっています。原発を運転をして出てきた使用済み燃料棒を再処理をする、プルトニウムを取り出す、そしてそのプルトニウムを利用するという考え方であります。東南アジアの発展途上国に原発が持ち込まれると、この理屈はまた日本として否定することができないわけです。  しかし、日本は過去の戦争の体験から、核の問題については大変な、三原則をつくって厳しい態度をとっている、こういう状況になっております。しかし、原発の世界の歴史を見ると、これはイコール兵器と裏表の関係であります。そういう点で、東南アジアの各国でこの原発の立地、導入という問題が話題になっている、こういうとき、日本の政府としてこの問題にどう対応するのか、お伺いをしたい。  同時に、日本はこういう核不拡散の立場からいえば原発の輸出国になるべきではない、こう思うわけでありますけれども、これに対する見解もお伺いをしたいと思います。
  248. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 近年アジア諸国におきまして急速にエネルギー需要が伸びておること、同時に、従来石炭火力が非常に主力を占めておりましたエネルギー供給に対して、地球環境保護という側面からの要請にも対応し、原子力開発の機運が高まっているということは御指摘のとおりであります。  私は、原子力開発というものが当事国の責任において行われるものでありますけれども、今委員が御指摘になりましたように、核の拡散問題を惹起したり、あるいは原子力事故の発生につながることがないように実施されることが、これは当該国だけではなく、我が国を含みます。辺の国にとっても極めて重要なことだ、そう考えております。  日本としては、アジア諸国の原子力開発につきまして、核拡散防止の確保ということ、同時に安全水準の向上という視点に立って適切に対処していくことが必要である、そう考えております。そして、これらの諸国の原子力発電開発につきましての対応のあり方などにつきまして、現在、総合エネルギー調査会の原子力部会で御論議をいただいておりまして、本年六月ごろにはその取りまとめがいただける、そのように考えております。
  249. 今村修

    ○今村委員 ぜひとも核不拡散という立場で対応していただくように強く要請をしておきます。  最後に、新幹線の問題についてお伺いをしたいと思います。  整備新幹線の問題については、三線五区間については運輸大臣の大変な努力によって一定の前進を見た、こういうことになっているわけであります。しかし、この新幹線の整備基本計画というのは膨大な基本計画を持っているわけです。基本計画は一方でつくりながら、それの具体的な、いつまでにやるかというめどがないまま、いわば地元には大変な夢だけ描かせて絵にかいたもちにしてきたという取り扱いは、問題があるのではないかと思っています。この新幹線問題についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  250. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 御承知のように、基本計画を策定をしたままである線がほとんどでございまして、一部、御承知のように整備路線として具体的に取り上げておるわけでありますが、私どもといたしましては、日本の国土の均衡ある発展を目指すという観点から、そうした基本計画を今後実施をするということについては何ら変更をしておるつもりはございません。  ただ、我が国の財政事情もございますので、やはり今後、当面十年間は六百三十兆のそうした公共投資基本計画の中でとりあえずは整備新幹線の建設を逐次着実に進めていきたい。幸い財政当局も大変な御理解をいただいておりますので、これをまずやり、さらに今後基本計画について取り組んでいくつもりでございますので、いつまでも夢に終わらせていくというつもりはございませんので、御支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
  251. 今村修

    ○今村委員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  252. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて今村君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十四日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三分散会