運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1995-02-02 第132回国会 衆議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月二日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君    理事 草川 昭三君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    浦野 烋興君       江藤 隆美君    越智 伊平君       越智 通雄君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       塩崎 恭久君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    東家 嘉幸君       中山 太郎君    野田 聖子君       蓮実  進君    浜田 靖一君       林  幹雄君    原田  憲君       村山 達雄君    若林 正俊君       青木 宏之君    伊藤 達也君       石田 勝之君    上田 清司君       長内 順一君    鹿野 道彦君       川島  實君    左藤  恵君       笹木 竜三君    月原 茂皓君       野田  毅君    広野ただし君       弘友 和夫君    冬柴 鐵三君       桝屋 敬悟君    松田 岩夫君       矢上 雅義君    山岡 賢次君       山口那津男君    山田  宏君       池端 清一君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       細川 律夫君    前原 誠司君       穀田 恵二君    中島 武敏君       古堅 実吉君    松本 善明君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  村山 富市君         法 務 大 臣 前田 勲男君         外 務 大 臣 河野 洋平君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 与謝野 馨君         厚 生 大 臣 井出 正一君         農林水産大臣 大河原太一郎君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         運 輸 大 臣 亀井 静香君         郵 政 大 臣 大出  俊君         労 働 大 臣 浜本 万三君         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     野中 広務君         国 務 大 臣         (内閣官房長官五十嵐広三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)         (国土庁長官) 小澤  潔君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      高村 正彦君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      田中眞紀子君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 宮下 創平君         国 務 大 臣 小里 貞利君  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一         部長      津野  修君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         防衛庁参事官  別府 信宏君         防衛庁長官官房         長       三井 康有君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁教育訓練         局長      佐藤  謙君         防衛庁経理局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 宝珠山 昇君         防衛施設庁総務         部長      粟  威之君         経済企画庁国民         生活局長    坂本 導聰君         科学技術庁研究         開発局長    沖村 憲樹君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省人権擁護         局長      筧  康生君         法務省入国管理         局長      塚田 千裕君         外務大臣官房長 池田  維君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    高野幸二郎君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省経済協力         局長      平林  博君         外務省条約局長 折田 正樹君         大蔵大臣官房総         務審議官    竹島 一彦君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省理財局長 田波 耕治君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省学術国際         局長      岡村  豊君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省生活衛生         局水道環境部長 藤原 正弘君         厚生省社会・援         護局長     佐野 利昭君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産大臣官         房審議官    紀内 祥伯君         農林水産省経済         局長      東  久雄君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         農林水産省畜産         局長      高木 勇樹君         食糧庁長官   上野 博史君         林野庁長官   入澤  肇君         通商産業大臣官         房審議官    河野 博文君         資源エネルギー         庁長官     川田 洋輝君         中小企業庁次長 鈴木 孝男君         運輸省運輸政策         局長      豊田  実君         運輸省鉄道局長 戸矢 博道君         運輸省海上交通         局長      平野 直樹君         運輸省港湾局長 栢原 英郎君         運輸省航空局長 土坂 泰敏君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         労働大臣官房長 伊藤 庄平君         労働省労政局長 七瀬 時雄君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省河川局長 豊田 高司君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君         自治大臣官房総         務審議官    二橋 正弘君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         消防庁長官   滝   実君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 二月二日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     浜田 靖一君   後藤田正晴君     蓮実  進君   村田敬次郎君     塩崎 恭久君   山崎  拓君     林  幹雄君   安倍 基雄君     鹿野 道彦君   石井 啓一君     山岡 賢次君   石田 勝之君     上田 清司君   工藤堅太郎君     広野ただし君   吉井 英勝君     穀田 恵二君 同日  辞任         補欠選任   塩崎 恭久君     野田 聖子君   蓮実  進君     後藤田正晴君   浜田 靖一君     越智 伊平君   林  幹雄君     山崎  拓君   上田 清司君     矢上 雅義君   鹿野 道彦君     安倍 基雄君   広野ただし君     弘友 和夫君   山岡 賢次君     長内 順一君   穀田 恵二君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   野田 聖子君     村田敬次郎君   長内 順一君     石井 啓一君   弘友 和夫君     桝屋 敬悟君   矢上 雅義君     石田 勝之君   中島 武敏君     古堅 実吉君 同日  辞任         補欠選任   桝屋 敬悟君     青木 宏之君 同日  辞任         補欠選任   青木 宏之君     工藤堅太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成七年度一般会計予算  平成七年度特別会計予算  平成七年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。鹿野道彦君。
  3. 鹿野道彦

    鹿野委員 今回の阪神大災害、いわゆる予測もしなかった大災害に対しまして、世界国々から支援申し入れが多く来ているわけであります、六十八カ国という国々から。まことにありがたいことだなあという気持ちであります。この予算委員会の場をおかりして、私ども心から感謝の意を表させていただきたいと思っております。そして今日もなお、私の国もいろいろと何かやることができたらやりますよ、こういう申し入れが続いておるわけであります。そして、自主的に今被災者の方々が懸命に復興に向かって努力をされている中で、数カ国の人たちが一緒になって御尽力をいただいている。本当に私どもはそのお気持ち、心からありがたいという気持ちを受けとめながら、やはりこういうことが、こういう姿こそがお互い世界の平和というふうなものをつくり上げていく基本なんだな、こういう感じを持つわけであります。  しかし、そういう中で、まことに残念なことに、世界国々からの今回のそういうありがたい御好意に対して、日本の国の政府対応というものが、どうもきちっとした対応がなされてなかったのではないか、出おくれたのではないかというような疑問の声も上がっておるわけであります。それについてどういう対応をなされたか、またどうであったのか、このことについて簡単にお聞きしたいと思います。
  4. 河野洋平

    河野国務大臣 議員御指摘のように、今日まで六十七カ国といいますか、国、国際機関などから大変善意に基づくありがたい支援申し入れがございます。この申し入れに対しまして、私どもといたしましては、まことにその善意感謝を持って受けとめると同時に、現地至急連絡をしまして、現地ニーズ現地態勢などを確認の上、しかるべく返事を申し上げでいるところでございます。  支援申し入れにつきましては、前回、過日も申し上げましたが、急遽人を派遣する、それも緊急援助のための人を派遣するという申し入れもあれば、地震学者を送るという申し入れもございます。あるいは物資を送るという申し出もあります。その物資支援申し出の中には、もう直ちに必要な毛布その他をというお話もあれば、現地ニーズに合ったものをおっしゃっていただけば調達しますというお申し出もあって、それは緊急にお願いをするもの、あるいは若干の日にちが経過することによって現地ニーズも変わってまいりますから、現地ニーズの変化を踏まえてお願いをするというものも中にはあるわけでございます。しかし、いずれにせよ、お申し出には迅速に、現地ニーズ確認をする、受け入れ態勢確認する、と同時に、その善意に対しては感謝気持ちを伝えるという作業をいたしているところでございます。
  5. 鹿野道彦

    鹿野委員 いろいろ外務大臣からそのようなお答えがあったわけでございますが、現実的にそれぞれの国からやはり疑問の声が上がっているということだけは間違いない事実でありますから、私は、そういうことに素直に、我が国としても今後の対応についてさらに検討していくべきじゃないかと思います。  自主的にそういう支援申し出があった、そうすると、それが大使館から外務省に、今度外務省から国土庁へ、国土庁は今度はそれぞれの各省庁なりあるいは県とか市に対して、こう流されていくわけですね。返事は、今度それぞれの省庁あるいは県市の方から国土庁に、さらに今度は外務省に、さらに今度は大使館、こういうふうな仕組みでは、こういう緊急事態にはとても対応できない。自主的な外国からのせっかくそういうふうな御好意に対してどう対応するかは、諸外国からの、あるいは中央政府、そして地方、こういう中で新しい仕組みをきちっとつくっていくというふうなことがこれはもう大事なことだと思いますが、どうでしょうか。
  6. 河野洋平

    河野国務大臣 まさに議員おっしゃるとおり、緊急の状況でございますから、できるだけこれは速やかに行われなければならないことは、もうおっしゃるとおりでございます。時間との競争という部分もございます。先ほど申し上げましたように、時間との競争という部分と、若干の時間的な余裕がいただける部分とがございますけれども、まず緊急の部分についてはできるだけ速やかにやらなければならないことは当然のことでございます。  ただ、そうは申しましても、例えば外国から緊急の援助隊がやってくる、関西空港までは飛行機で一気に参りますけれども関西空港から現地までそれではどういう経路で現地に行くかということになりますと、これはやはり現地対応が、ヘリを準備するのか、海上で行くのか、陸路を行くのか、そのためにどれだけの対応力があるかということもこれは確認をしなければなりません。  来ていただくことはまことにありがたいことで、それはもう感謝気持ちいっぱいでございますが、やはり受け入れるためには、受け入れる準備というものも全く確認もせずに、さあ行けというわけにはいかないところもあるわけでございまして、現に、関西空港から現地までの間のヘリ輸送について、一定の規模の輸送を確保するために若干の時間が必要であったことも事実でございます。しかし、それらもできる限り速やかに行うということで、閣僚が直接話し合ったこともございますし、夜通しそうした交渉が行われていたことも事実でございます。
  7. 鹿野道彦

    鹿野委員 いろいろこれまた外務大臣の方から、説明ということなんでしょうか、あったわけですけれども、自主的に国土庁というところは、大変今回もこういう大災害に対しても努力をしていただいているわけですけれども現地ニーズ把握することに努める、こういうことをおっしゃいますけれども、手足がないのですね。ですから、吸収しにくいところになっているのですよ。私は、そういうふうなところをやはり具体的にどうやったならば、現地ニーズ把握に努めるというならば、どういうふうな努めることができる仕組みにしていくのか、こういうところを具体的に検討して、そういう新しい、きちっと早い意思決定ができる、そういうふうな仕組みをつくっていかなきゃならない、こういうことを申し上げておるわけであります。  そこで、クリントン大統領から、在日米軍日本政府のいかなる要求にもこたえる用意がある、まことにありがたい電話が総理のところにあったということであります。これに対してどう対応なされたのでしょうか。
  8. 河野洋平

    河野国務大臣 具体的には、モンデール大使から私にもお話がございまして、大統領は極めてこの問題に大きな関心を持って、何でもできることがあれば言ってほしい、アメリカとしては対応すると。まあ一番最初は、FEMAの持つ経験知識をおかししましょうという話が具体的にあったわけでございます。  それについては、それは大変ありがとうございます、ただ、今FEMA経験知識をいただくためには、これは少し時間をおかしくださいという御返事を申し上げましたが、引き続き、在日米軍が最も緊急に具体的な支援ができますから、いかなることでもおっしゃってください、こういうお話がございました。そこで、在日米軍との間で、お願いをする物資についての打ち合わせをいたしました。
  9. 鹿野道彦

    鹿野委員 私は、せっかくクリントン大統領が、いかなることもやりますよ、このようなことを総理に対してもおっしゃっていただいた。これだけの緊急大事態において、まず先に何をなすべきかというふうなことを考えた場合、やはり私は、人の命、人命を救助するということだと思うのです、まず。それは時間の経過に基づいて、それぞれそれはいろいろ優先順位も変わってくるわけです。  そうしますと、何でもやりますよ、瓦れき撤去作業もやりますよ、あるいはヘリも直ちに用意しますよ、こういうことでありますから、私は、そういう緊急事態というふうなものを考えた場合——もちろん心情的にはわかります。それは日本のことでありますから日本の自衛隊にやっていただく、これは心情的にはわかります。しかし、そういうことを何でもやりますというふうなことに対して、直ちに、やはり政治的な判断として、少なくともそれぞれの関係省庁であらゆる措置を講ずるというような、そういうやはり発信がなされるべきではなかったか、こういうふうに思うのです。  すなわち、この各国のいろいろなる支援申し出に対して、いろいろ外務大臣からそういう御答弁があったわけでありますけれども、それはあくまでも従来の枠組みの中でというふうなことで、これは当然、現地ニーズ把握に努めながらということならばそうなりますよ。しかしこれは緊急事態ですから、少なくともそこは政治判断政治決断によってあらゆる措置をとるようにというふうな、その指示によってそれぞれの関係省庁判断柔軟性を持って対応できる、そのことが一人でも二人でも人命を救うことに結びつくというふうなことになるのではないか。それがまさしく政治家使命ではないか、責任ではないか、こういうふうに私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  10. 河野洋平

    河野国務大臣 おっしゃる意味はよくわかります。しかしながら、現地も当日は大混乱状況でございました。その大混乱状況の中で、みんなが集まっていわば司令塔をつくり、どういうものをどういうところに受け入れをするか、何が緊急のプライオリティーが高いかという判断をしながらそれは受け入れていくということもまた重要ではないかと思いました。  在日米軍に対しましては、緊急に毛布輸送毛布を集めて輸送してほしいということをお願いをして、在日米軍はまことに迅速に大量の毛布をみずから集めて伊丹の飛行場まで輸送して届けてくれたということでございます。
  11. 鹿野道彦

    鹿野委員 現地ニーズ把握に努めるというのは、それはもちろん大事なことですよ。しかし、私は重ねて申し上げたいのは、予測も、予想だにしなかったことなんですね。それは、総理答弁におきましても初めてのことだ。しかし政治家というのは、初めてのことに対してどうするかということの決断をなすことが、政治家使命なんですよ。これからいろんな初めてのことが起きるんですよ。特に、これだけの世界の大激変の中で日本の進路をどう決めていくか、これはすべて政治判断がやっていかなければならぬのですよ。  そういうふうなことの中で、今回もやはりきちっとした最高の責任者のところからそういう指令が流れるということが、私は、いろんな対応というふうなものに結びついたのではないか、そして、そういうふうなことがこの緊急事態におけるところの政治家使命ではないか、こういう意味で私は強くこのことを申し上げているわけであります。  そこで、本当に六十八カ国というありがたい国々からの支援申し入れでありまして、小さな国々、いろんな国々からであります。それは、日本にこういう機会に恩返しをしたい、こういうふうなことでそういう支援申し入れをしてくださっているわけですね。六十八カ国のうち、残念ながら二十三カ国を受け入れた、こういうことであります。しかし私は、そういう何とか恩返しをしたいというふうな気持ちも含めて、そういう温かい心にどうこたえるかという、これは外交基本だと思うのです。いかがでしょう。
  12. 河野洋平

    河野国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。全く善意に基づいて支援申し入れをしてきてくださっているわけですから、これには感謝をし、その気持ちにできるだけ沿うということも重要だと思います。  議員は、二十何カ国しか受け入れてないではないかとおっしゃっておられますが、これはまだ途中でございまして……(鹿野委員「今の段階では」と呼ぶ)はい。今の段階で二十四カ国でございまして、これからまだまだ先方からのお気持ち確認をしながらお願いをするということは出てくるだろうと思います。
  13. 鹿野道彦

    鹿野委員 そこで、これだけのありがたい御好意というふうなものにやはりどうこたえていくかということが本当に大事なことでありますけれども、私は、ある一定区切りがついたところで、この現在六十八カ国の国々に対してやはり感謝気持ちをあらわすこと、これが非常に大事なことだと思いますね。  そこで、一つの提案を申し上げますけれども、あの湾岸戦争のときにクウエートがワシントン・ポストに感謝の広告を出しました。その中に日本の国が入っていなかったということはまことに残念だったわけでありますけれども、そのことを思い起こしますと、あくまでもこの区切りのついたところでありますけれども日本の国としてそういう場において感謝の意を表するというふうなことはいかがでございましょうか。そういう考え方はいかがでございましょうか。
  14. 河野洋平

    河野国務大臣 支援申し入れてくださった多くの国、これは国の数でいえば今議員おっしゃるように六十その国、国際機関などでございますけれども、それ以外にも世界のさまざまな国から義援金を募って国民レベル支援をしてくださっている方もあると思います。また、ボランティアとして支援をしてくださる方もいらっしゃるということを考えますと、もう我々は国際社会に対して我々の感謝気持ちを示すという必要があるだろうと思います。  私は、実は、支援をしてくださっている国に対しては、私自身直接大使にお目にかかってお礼を申し上げるというための努力をいたしておりますが、まだ時間も十分なくて全部というわけにいきませんが、できる限り大使にお目にかかってお礼を直接申し上げ、本国にその旨を伝えてくださいということを言っておりますが、これは一外務大臣程度のことではなくて、やはり国として、国を挙げてそういう感謝気持ちを示す方法があれば、それは大事な方法、それはやるべき方法であろうと思います。
  15. 鹿野道彦

    鹿野委員 ぜひそのようなことも検討していただきたいと思います。  そこで、重ねて強調したいことは、このような緊急事態において、世界国々がせっかく日本の国のためにという御好意をお示しいただいた、そのようなことに対しては、従来の枠組みに沿ってということではなしに、やはりまさしく政治の指導力によって、リーダーシップによってきちっと対応していく、このことの重要性を私は強調しておきたいと思うのであります。それがまさしく今日の政治の道を歩む者の責任使命ではないか、こういうふうに思うところであります。  そこで、総理にお伺いしますが、三十日の予算委員会で、月原議員の質問に対して総理は、朝鮮半島が南北に分割されている、このことは日本国民として歴史的な責任が幾らかあると思う、こういうふうな答弁をされている。三十一日の草川議員の重ねての質問に対しては、南北が分割されておる、そういう責任日本国についてはないと明確にしておきたい、こういうふうな食い違ったお答えがあったわけでありますけれども、どういうことなのでしょうか。明確にお聞きしたいと思います。
  16. 村山富市

    村山内閣総理大臣 説明に不十分な点があって誤解をされたのではないかと思いますけれども、これは、朝鮮半島というのは、歴史的に日本の植民地支配が相当長く続いてきているわけです。それで、植民地支配が長く続いてきておった朝鮮半島と日本との関係というのは、ほかの国と朝鮮半島との関係とは違った意味におけるやはり位置づけがある、国民感情もあるというふうに思われます。  現に日本と韓国とはもう国交も回復しておる、しかし北朝鮮とはまた、五十年もたつ現在、その国交も回復しておらない、こういう現状については、やはり国民としてほかの国とは違った意味で考える点があるのではないかという意味のことを申し上げたのでありましたけれども、それは、やはり国交回復をして、そして南北の対話も再開されていくことが朝鮮半島全体の平和にもなるし、それがまた同時に北東アジアの平和にもつながるし、日本の平和のためにもなる。こういう観点からすれば、そういう気持ちでもって日本国民は朝鮮半島というものに対応する必要があるというふうに私は常々思っているわけでありますけれども。  ただ、誤解があるといけませんけれども、朝鮮半島が南北に分割されているという現状については、これは、日本は敗戦国でありまして、それに対して一切どうのこうのくちばしを入れたわけじゃありませんし、そういうことを期待したわけじゃありませんし、これは、戦勝国はそれぞれの都合でもってなされたことでありますから、そのことに関する責任は問われないと思います。  しかし、先ほど来申し上げておりますように、韓国と日本との関係、北朝鮮と日本との関係等々を考えた場合の不正常な状態というものは、やはり一日も早く解消して、そして、朝鮮半島全体に平和がもたらされるような条件をつくるために日本も積極的に協力する責任もあるのではないか、こういう意味で申し上げた次第でありますから、御理解を賜りたいと思います。
  17. 鹿野道彦

    鹿野委員 明確にもう一度お聞きします。責任はないということの認識でございますね。
  18. 村山富市

    村山内閣総理大臣 朝鮮半島が東西に分割されているというのは……(「南北」と呼ぶ者あり)南北に分断されているというのは、これは戦勝国同士の話し合いの中でされたことであって、日本には関係はないし、責任はない。
  19. 鹿野道彦

    鹿野委員 昨年の九月に総理が母校の明治大学でお話をなされたときも、我が国としては責任があるというようなお話もなされたということも聞くわけでございますが、そういう事実はないわけですね。
  20. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今記憶が定かでありませんけれども、今私がここで申し上げたような意味のことは申し上げたかもしれぬと思います。
  21. 鹿野道彦

    鹿野委員 そこで三十日の、月原議員がお聞きになったときに、クリントン大統領とお会いしたときに私はこういう話を申し上げたのですよというふうなことなんですね。それで、そのクリントン大統領との話のときに、責任日本としてもあるのですよという趣旨のことを総理がおっしゃられたということを月原議員に対して答えているのですよ。  ですから、三十一日、次の日に草川議員に対しては、責任というものはありません、今も明確に、分断されているということについての責任はありません、こう言われたわけでありますが、三十日の答弁においては、クリントン大統領と会ったときにこういう話を申し上げた。これは大変な重要なことなんですね、総理。それはどういうことなんですか。
  22. 村山富市

    村山内閣総理大臣 いや、ですから、月原議員に対する答弁の際に、そこらで誤解をされるような言葉足らずの点があったのではないかと思いますけれどもクリントン大統領とお会いを申し上げてお話ししたときには、アメリカ国民が持っておられるような感情と、日本国民が持っておる朝鮮半島に対する感情とは若干の違いがあると私は思っています、それはなぜかと申しますと、これは、植民地支配が長く続いたという歴史的な経緯もございますし、韓国とは国交回復がされておって、北朝鮮とはまた、いまだに国交の回復もない、こういう不正常な状態というものについて、これはやはり国民感情としても、また朝鮮半島、北東アジア、日本の平和等々の観点からすると問題がある、私はそういうふうに国民は受けとめていると思います、こういう意味お話を申し上げたわけです。  朝鮮半島が分割されていることについて、これは日本の国民に責任があるとかいうようなことを申し上げたわけではございません。
  23. 鹿野道彦

    鹿野委員 総理はそういうふうにおっしゃいますけれども、現実的に、三十日の日に明確に月原議員の質問に対して総理はおっしゃっているわけですからね。そのおっしゃっている、こういうことを、クリントン大統領と会ったときに責任が幾らかあるのですよというふうなことを言いました、こう明確に言っておられるわけですよ。それで、次の日の三十一日には、それは訂正されている。しかし、総理、これは非常に重要な問題なんですよ。総理の認識というふうなものがどうとらえているのかということは、一国の総理大臣ですからね、そういうことに対する認識によってこれから、この軽水炉の支援の問題等々についても、朝鮮半島の安全についても、いろいろと関係してくるのですよ。  だから私は、このことはそういうふうな非常に重大な、重要な意味を持つんだという意味で、総理クリントン大統領と会ったときにこう申し上げたというふうなことがそう簡単に次の日に、いや、これは間違っておりましたよ、違うんですよということだけで済まされることではない。もしもそういうふうな認識でクリントン大統領がおられたら、ああ、そういうふうな、日本国の村山総理大臣はそういう認識でおられるんだなというふうに思っておられるということは、これは大変重要なことなんですよ。そういうことで私は明確にお聞きするんです。
  24. 村山富市

    村山内閣総理大臣 ですから、これはもう私は終始一貫して申し上げておりますとおり、クリントン大統領との話し合いの中で、分断されていることについての日本責任があるということについては一切触れておりません、これはもう明らかですから。  ただ、月原議員に対する答弁の際に、若干そういう点で誤解されるような発言があったとすれば、それは間違いですから訂正いたしますというので、草川議員から質問があったときに、私の真意はこういうことですということを明確に申し上げておいたわけです。(発言する者あり)
  25. 鹿野道彦

    鹿野委員 了解というふうな声もありますけれども、それは了解するとかしないとかの問題ではないのです、総理。これは重大なことなんですよね。  ですから、総理がただ単に、三十日のお答えを、今度三十一日に訂正しますというふうなこと、そして、実はそれは間違いであってというふうなことを今申されました。しかし、これは本当にクリントン大統領とのそういう首脳会談の中で万が一でもそういうふうな会話がなされたということならば重大な問題ですから、私は、記録を出してもらいたいと思います。首脳会談の記録を出してもらいたいと思います、総理
  26. 河野洋平

    河野国務大臣 私が出てきて答弁を申し上げる筋ではないかもしれませんが、念のために申し上げますが、月原議員総理とのやりとりは、一月の首脳会談ではなくて、昨年の七月の首脳会談のことについて話をされているわけです。  それで、その昨年の七月の首脳会談のときに、総理は、北朝鮮の核疑惑というものについて、日本国民は特別な感情を持っておりますよ、それは被爆国の国民として特別な感情ですということを言っておられるわけで、それからもう一つは、話し合いで問題を解決してくれることが我が国としては望ましいんですということを言われたというのが主たる総理の御答弁でございます。  今鹿野議員からお話しのものについては、総理は、御自身、そういうことは言っていないのだ、クリントンさんにはそういう話はしていないのだと総理がおっしゃっておられるわけで、これはそのことを了としていただかなければならないのではないかと私は思います。
  27. 鹿野道彦

    鹿野委員 それはもう外務大臣から申されるような話じゃないと思います。それはもう総理の問題ですからね、これは。ですから、外務大臣から今お話がございましたけれども、私は、そう簡単に、だから了承とかということじゃないと思うのです。  要するに、私は、もしも総理自身がおっしゃられたことが、クリントン大統領との話し合いの中でそういう認識を持たれておったのでは大変ですよというふうなことの中で申し上げているわけでありまして、これは明確にそのようなことがアメリカ側にも伝わるような努力をぜひしていただきたいと思いますよ、一度現実的にそうお答えになっておるわけですから。どうでしょうか、総理
  28. 村山富市

    村山内閣総理大臣 いや、もうそれは、私がここで明確に申し上げておりますように、分割されていることに対して日本政府責任があるというようなことについては一切触れておりませんから、その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思うのです。  ですから、先ほど来申し上げておりますように、月原議員に対する答弁の際には、舌足らずの点があって、そのような受けとめ方をされた方があるかもしれませんけれども、幸いに、次の日に草川議員の方からまた御質問をいただきましたから、いやそれは、実は真意はこういうことですと、そして、朝鮮半島が南北に分割されていることに対する日本政府責任というものはございませんということは明確に申し上げておりまするし、クリントン大統領とのナポリ・サミットにおける会談の際にも、そのようなことは申し上げておりませんと明確に私は申し上げておるわけでありますから、そのことについては、そのように御理解を賜りたいというように思います。
  29. 鹿野道彦

    鹿野委員 私は、これは基本的に、なぜこれだけ総理にお聞きするかというと、非常に重要な問題だという認識を持つからなのですね。これはもう政治家として重大なことなのですよ。三十日に明確に総理がそのようなことをおっしゃっているわけですね。それはしかし、いろいろと不明確であった。総理というのは、不明確だったから、次の日に、いや、それはちょっと違っておったというふうなことで、答弁が常にぐるぐる変わるようなことであってはならないのですね。  特に、日朝の正常化の交渉の段階でも、北朝鮮側はこの責任論というふうなものも非常に主張しているのですね。今後のこの話し合いという中でも大きな影響を及ぼすことなのです。だから私は、明確に総理の考え方をここは確認をして、そして、訂正をしなければならないような答弁というふうなことは気をつけてもらわなきゃならない、あるべき姿じゃないというふうなことを私は申し上げているのです。  政治家の中でも総理大臣という地位は重いものなのですよ、総理。その重さを十分認識してもらわないと、日本の国は間違ってしまうのですよ。総理大臣の本当に重さというものを認識してもらいたいと重ねて私は申し上げるわけであります。  そこで、これはことしの一月、私は本会議でも総理に質問をいたしました、軽水炉支援の問題でありますけれども。要するに、米朝合意につきまして総理自身が、北朝鮮の核兵器開発に関する懸念の払拭に資するもの、こういうふうなことで、この合意についていわゆる評価、歓迎をいたしておるわけであります。そういう中で、意味ある負担も果たす用意がある、こういうふうな表明がなされているわけでありますけれども、その辺のやりとり、あるいはどういうふうな立場を主張されたか、この辺のところを総理から重ねてお聞きしたいと思います。
  30. 河野洋平

    河野国務大臣 さきの日米首脳会談は、私、同席をいたしましたので、外務大臣として同席をした首脳会談におきますやりとりについて御説明をさせていただきたいと思います。  村山総理は、軽水炉プロジェクトの成功を確保するために、韓国が中心的な役割を果たすことが期待されている本件プロジェクトの全体像のもとで、我が国として本件プロジェクトにおいて意味のある財政的役割を果たす意図を有している、こういう発言をしておられます。
  31. 鹿野道彦

    鹿野委員 国会の本会議における答弁でも、総理はこういうふうに答弁されています。米朝合意は北朝鮮の過去、現在、将来の核開発活動に関する透明性を確保し、核兵器開発を解消させようとする、こういうふうなことも答弁されている。要するに、過去のことについて触れられて、その透明性を確保する、こういうことでありますが……。  総理がよくおっしゃっておられる、唯一の被爆国としていわゆる核問題については透明性を確保するというふうなことをおっしゃられるわけでありますが、この疑惑はまだ解消されていないわけですね。その疑惑をチェックするというふうなことなのでしょうか。どういうふうなことを言っておられるのでしょうか。
  32. 河野洋平

    河野国務大臣 今回の米朝合意は、まさに議員がおっしゃるように、北朝鮮の核開発疑惑を解明する道筋について米朝が合意をした。この道筋を両者が誠実に実行をしていけば、この疑惑は解明されることになる、こういうことでございます。
  33. 鹿野道彦

    鹿野委員 それでは、五年後にその査察を受け入れるというふうなことの段階でも、疑惑がまだ解消されていないというふうなときにはどうなされるおつもりですか。
  34. 河野洋平

    河野国務大臣 この米朝合意は、両者が誠実に合意を実行をしていく。つまり、一方は従来ある黒鉛炉について凍結をする、一方は代替エネルギーを供給をする、そういう条件を順次双方で積み上げてまいりまして、軽水炉というものが、最後に軽水炉の中心部分が導入をされるという前に、北側が完全にその疑惑払拭のための作業を行うという、両者がお互いに解明についての作業を積み上げていくということになっておりますから、一方がその実施を行わなければ、そこでこの問題は中断をするということになると思います。
  35. 鹿野道彦

    鹿野委員 総理クリントン大統領との話の中で、その核疑惑解消について総理から、国民的なその感情というふうなものも含めて、その疑惑解消についての何か言葉が発せられたのでしょうか。
  36. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは先般も申し上げましたように、日本国民は唯一の被爆国として、核のこの問題についてはもう絶滅に向けて全力を挙げて取り組んでいる国民感情というものを十分踏まえてひとつ御判断をいただきたい。それで北朝鮮、朝鮮半島を含めて、核疑惑が全面的に解消されることについて、日本政府として御協力できる点があるならば御協力も申し上げます。ぜひひとつ核の解消について御尽力をいただきたい、こういうお話は申し上げました。
  37. 鹿野道彦

    鹿野委員 御協力をいたしますということでありますけれども、具体的に核の疑惑解消というふうなことに対してどうするか。それは明確でないわけですね。このことは、もちろん唯一の被爆国だというふうなこともありますが、北東アジアの安全保障というふうなことについて非常に重要な問題なのですね。  そして、そういうふうな中で、日本の国は北朝鮮と隣り合っている国なのです。ですから、この核の疑惑解消というふうなもの、これは大変国民にとっても大事なことなのですよ。そういうふうなことが何か棚上げにされて、そして意味ある負担をやりますよというふうなことについては、これはなかなかそう簡単に納得していただくことができない面もある。それは、我々もこの負担というものは避けられないと思っていますよ。しかし、基本的にはそういうことを明確に、常にそういうふうな我が国の主張、立場というふうなもの重言い続けて、そして具体的にどうやってチェックしていくかというふうなことについてもきちっと対応していく、このことが大事だ、私はそういう意味で申し上げているわけなのです。  そこで、その意味ある負担をというふうなこと、最初のうちは、これは何か応分の負担をと、こういうふうなことだったのですけれども、そこはどういう違いがあるのでしょうか、意味ある負担をというふうなことは。
  38. 河野洋平

    河野国務大臣 昨年九月の二十一日に村山総理クリントン大統領あてに書簡をお出しになりました。この書簡の中で、北朝鮮の核兵器開発問題の解決が保証されることを前提として、我が国としてもアメリカ、韓国、他の国々とともに、軽水炉提供のための国際的な支援に参加し、応分の協力を行っていく用意がある。これは昨年の九月の段階でそういう文書、書簡をクリントン大統領あてに出しておるところでございます。  さて、本年一月の日米首脳会談におきましては、この米朝合意が、米朝間の交渉が粘り強い交渉の結果合意をいたしまして、いよいよこの合意が実施に移されるという、昨年の九月に比べれば具体的な段階に入ってきている、まだまだ詰めなければならないところはたくさんございますけれども、昨年九月の段階に比べれば具体的な段階に入ってきている。そういう状況下で、日米両国首脳が会談をして話し合った中におきまして、先ほど申し上げましたように、韓国が中心的な役割を果たすことが期待されている本件プロジェクトの全体像のもとで、我が国としては本件プロジェクトにおける意味のある財政的役割を果たす意図がありますということを言われたわけでございます。  もう一度繰り返しになりますが、昨年九月の段階とことしの一月の段階では、合意ができ上がり、その合意に基づいて実施に移されるための具体的な準備が始まっているという状況があるということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  39. 鹿野道彦

    鹿野委員 具体的準備が始まろうが何しようが、応分の負担から意味ある負担というふうなことは、やはりそこには政府としての考え方の違いというふうなものがあるわけですね、それは当然のことながら。  そこで、じゃ、お聞きしますけれども、これは国際公約と受けとめていいんでしょうね、当然のことながら。総理、いかがでしょうか。
  40. 河野洋平

    河野国務大臣 日米首脳会談で、首脳間でのやりとりでございますから、日本総理大臣として、アメリカの大統領との間の話し合いの中の発言でございますから、それは日米間における一つの確認といいますか、そういうこととアメリカ側は考えておられると思います。
  41. 鹿野道彦

    鹿野委員 国際公約と受けとめていいんですね。
  42. 河野洋平

    河野国務大臣 日米両国間における話し合いの文言というふうに理解していただきたいと思います。
  43. 鹿野道彦

    鹿野委員 総理総理にお聞きしますけれども、応分の負担から意味ある負担というふうなものについての経緯が外務大臣からお話がございました。準備の段階にもう入ったから、そういうふうな表現を使ったんですよと。しかし総理とすれば、それだけの負担をするということは、やはり相当な覚悟を持って約束をしたわけでしょう。それなら、当然念頭に、この意味ある負担というのはどういうふうな意味をなすのか、どの程度の負担なのかというふうなことくらいは、一国の総理大臣ですから、当然あったんでしょうね。
  44. 村山富市

    村山内閣総理大臣 まだKEDOがこれから設立をされるという段階でございますし、軽水炉全体の全貌もまだ明らかにされておりませんから、具体的にどの程度の数字を挙げてどういたしますというふうな話し合いができる段階ではございません。  ただ、事態はだんだん進行していっているわけでありますから、したがって、その進行の現状に照らしてそういうお話を申し上げたというふうに御理解をいただきたいと思います。
  45. 鹿野道彦

    鹿野委員 そういうふうなお話をなされるわけですけれども、共和党の有力な上院議員のルーガーさんが、日本の負担は十億ドルの負担を求めていきたいと思う、韓国に対しては四分の三、日本に対しては四分の一程度、こういうふうなこともおっしゃっておられるということもお聞きするんですが、そんな程度のことが総理、頭の中にあるんでしょうか。
  46. 河野洋平

    河野国務大臣 アメリカの大勢の議員の中の何人かの方々はこの問題に大変な関心を持っておられて、さまざまな御発言をしておられるということを私も承知をいたしております。しかしながら、今総理からも御答弁がございましたように、全体の額がどのくらいになるかということがまだ詰まっているわけでもない。  さらに、このプロジェクトといいますか、この問題に参加する国が何カ国になるかということについても、目下、日米韓はもう参加するという意思を有しておりますが、さらにもっと多くのこの問題への参加国を募るという作業をいたしておるところでございますから、韓国がこれこれで、日本がこれこれというようなことを簡単に言える状況でないことは、アメリカの議員の方々はきっとわかっておられるはずだと私は思います。
  47. 鹿野道彦

    鹿野委員 参考にお聞きしますけれども、この財政的な負担というのは外務省の予算でということになりますか。
  48. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  先ほどから御答弁ございますように、まだ全体像がわからないし、どういう出し方になるかもわかっていないものでございますから、どこの予算がというところまでは詰め得る状態になっていないということでございます。
  49. 鹿野道彦

    鹿野委員 どのくらいの程度、これからだ、いつからというのもまだ決まっていない、どの程度の規模だかわからないからこれからですということでありますけれども、国交がないからODA予算とはなじまない、こういうふうなことも言っておられるとかというお話も伺いますけれども、どうなんでしょうか。
  50. 川島裕

    川島政府委員 これもまた詰めておりませんけれども、ただ、まさに御指摘のとおり、国交がない状況でODAとかいうことが動くという想定はまあなし得ないのではないかと思います。  ただ、具体的にどういう出し方になるかということは、まだこれから詰めなきゃならないということでございます。
  51. 鹿野道彦

    鹿野委員 いずれにしても、これだけの負担をしていくという、意味ある負担をしていくということですから、これは国民も大変重大な関心を持っておるわけです。そういう意味で、私は政府の考え方をお聞きいたしたわけなんですね。  そこで、本当に、金額的にはまだわかっておりませんということでありますけれども、相当な額になることだけは間違いないと思うのです、これは。これだけの負担をするというふうなことなら、総理、大事なことは、また冒頭のお話に戻りますが、北朝鮮の核の疑惑の解消と、もう一つ大事なことは、米朝合意を守らせるということなんです。これはもう非常に大事なことなんですね。そのためにどういうふうな努力をなされようとしていますか、総理どうぞ。
  52. 河野洋平

    河野国務大臣 米朝合意が極めて重要であることは、これはもう申すまでもございません。北朝鮮の近隣諸国である韓国でありますとか、日本でございますとか、あるいは中国もそうだと思いますが、こうした国々にとってこの核開発疑惑はいかに深刻な懸念を持つものであるかということはもう当然でありますが、と同時に、国際社会もまた、核の不拡散という意味からは大変重大な問題だということであります。  それと、北朝鮮がこの問題の交渉相手としてアメリカを指名している、それ以外の国とでは交渉を行わないという状況でございますから米朝話し合いになったわけでございますが、国際社会はこの米朝協議に大変な関心を持ち、私どももアメリカに対して、ぜひ話し合いでこの問題が解決されるということが望ましいということを再三申し上げ、アメリカからもその都度緊密な連絡があり、韓国も入れて三者での打ち合わせがしばしば行われてきたわけでございまして、この話し合いは合意に達したわけですから、ぜひとも北朝鮮にこの合意を誠実に守ってもらわなければならぬ、そのためには我々もきちんと約束を果たしていかなければならないということは当然のことだと思います。
  53. 鹿野道彦

    鹿野委員 そこで、約束を守ってもらうということは、これは当然のことだと外務大臣申されました。朝鮮エネルギー開発機構というふうなものが設立されるというわけであります。私は、このKEDO、この中において我が日本の国がイニシアチブをとっていくということが約束を守ってもらうというふうなことにまず結びつく具体的な我が国としてのとるべき措置じゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
  54. 河野洋平

    河野国務大臣 KEDO設立につきまして、現在、アメリカ、韓国とともに打ち合わせ、協議をいたしております。KEDOは日米韓三カ国がイニシアチブをとっていくということで進めていかなければならないということは三カ国の共通の認識でございます。
  55. 鹿野道彦

    鹿野委員 私は、その三カ国が、外務大臣、それは中心となってやっていくということは当然のことなんですよ。しかし、そういう中で、我が国としてどうするかということを考えた場合に、我が国としてイニシアチブをとっていくのだというふうなこと、それが政治家でしょうや。どうですか、外務大臣
  56. 河野洋平

    河野国務大臣 KEDOの設立は、米朝合意のために重要な作業でございまして、米朝合意というのはまさにアメリカと北朝鮮の合意でございますから、今議員のおっしゃる意味からいえば、例えばKEDOの事務局長といいますか、に日本がなったらどうだ、こういう御提案だと思いますが、これは恐らくこのKEDOのそのポジションはアメリカがとる、そして、韓国、日本もまたそれを補佐する重要なポジションをとっていく、そういう形になるのではないかというふうに思っております。
  57. 鹿野道彦

    鹿野委員 外務大臣、なるのではないかという、そういう受け身の姿勢ではなしに、なかなか表現も難しいところがあるかもしれませんが、やはりこれからの外交というのは、一つ一つ政治的な判断というものをより明確に国民の人にもわかってもらうような形、また、諸外国にもそういうふうな意が伝わるような表現をしていただく、それが非常に大事なことじゃないかなと思うのですよ。  そこで、KEDOはいつ設立されるのでしょうか。
  58. 河野洋平

    河野国務大臣 二月中に設立を目指しております。
  59. 鹿野道彦

    鹿野委員 当然、このKEDOの協定というのは、国会承認を求めるというお考えなのでございましょうね。
  60. 折田正樹

    ○折田政府委員 いわゆるKEDOの設立に関します文書は、今協議中でございます。この文書ができ上がった場合、国際約束として合意されるようなことになった場合、日本としてどのような手続でそれを締結することになるかは、その内容いかんでございます。案文のまとまりぐあいを見定めつつ、国会の立法権にかかわるような約束が含まれることになるのか、予算または法律で認められている以上に財政支出義務を負うことになるのかどうか等の点により、今後判断していくわけでございます。
  61. 鹿野道彦

    鹿野委員 今後の判断、だれがなされるのですか、それでいつごろ判断されるのでしょうか。
  62. 折田正樹

    ○折田政府委員 文書ができ上がった段階でございますが、我が国がこれまで憲法上の慣行といいますか、憲法に基づきまして、これまで行政府がとっていたそういう基準に基づきまして判断するということでございます。
  63. 鹿野道彦

    鹿野委員 いつごろになりますか。
  64. 折田正樹

    ○折田政府委員 文書が見定めがつくころでございます。政府部内で検討させていただきます。
  65. 鹿野道彦

    鹿野委員 我々国会議員にとっても、国会にとっても非常に重要な問題でありますから、いろいろお聞きをいたしたわけであります。  そこで、先ほどの問題に触れますけれども、先ほど外務大臣の方から、要するにKEDOの事務局長というふうなものをねらうべきじゃないかという提案でしょう、こういうお話がございましたけれども、それも一つの考え方ですが、私は、基本的には、人的なそういう立場、人の立場というふうなものを、あくまでも指導的な立場というものを確保する、こういうことでやはり積極的に対応していく、そういう姿勢が大事なことではないでしょうかと、こういうことを申し上げておるわけであります。
  66. 河野洋平

    河野国務大臣 米朝協議が始まりまして以来、私どもは、アメリカに対しまして、ぜひ話し合いでまとめるべきだということを言ってまいりました。アメリカ国内においても、さまざまな意見があって、この話し合いでまとめようなんと思わずに、もっと国連の場で、あるいは制裁を伴う交渉をやらなければだめだというような意見もあったように仄聞をいたしておりますが、さまざまな意見がある中で、私どもとしては、話し合いによってこの米朝協議はぜひまとめて北朝鮮の核開発疑惑というものを払拭するということが望ましいということを、我々は繰り返しアメリカにも言ってまいりました。アメリカも、経過におきまして、しばしば我々との間で協議をしてきております。  そうした点で、私どもとしては、我々の意見というものは相当程度アメリカに言い、アメリカはそれを踏まえて交渉に当たってきたというふうに思っておりまして、今後とも、御指摘のとおり、この問題、近隣諸国が極めて重大な関心を持つわけでございますから、我々としても、我々の主張はきちんと申し上げていきたいと思っております。  ただしかし、いずれにせよ、これは一国でやることではございません。多くの国々がかかわって行う作業でございますから、それは我が国の言うとおりにすべてがなるということにはならないのは当然でございます。しかし、私どもとして、気がつくところ、我々の主張はきちんと申し上げていきたいと思っております。
  67. 鹿野道彦

    鹿野委員 我々の主張がすべて受け入れられるかどうか、それは当然のことであります。しかし、我が国として主張していくという明確なる姿勢を示していく、このことがこれからの大事なところだと思うのですね。これがまさしくこれからの日本外交にとって問われるところだと思うのです。ですから、私は、そのような指導的な立場というふうなものを確保するということに全力を挙げるべきだということを重ねて申し上げたいと思うのであります。  そこで、こういうふうな問題は、もちろんアメリカと日本と韓国が中心でやっていくということでありまして、先ほど外務大臣も言われましたけれども、多くの国と連携をしていくということなのですね。これは非常に大事なことなのですよ。もちろんそれは、日米韓が中心になっていくことでありますけれども、もう一つ大事なことは、そういう意味で国際的な問題なのですよという、そういうとらえ方で対応していくというふうなことがこれはあくまでも大事なことだ、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
  68. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、北朝鮮周辺諸国にとって重大な影響を持つ問題でございますと同時に、国際的に見ても、核の不拡散という視点に立てはこれは極めて重大な問題でございますから、国際社会の参加が望ましいと思っておりまして、そのための努力を今いたしているところでございます。  私どもから、アメリカに対しましても、より多くの国々の理解と協力が必要であるということは申し上げ、アメリカもその点については了解をしておりまして、これは仄聞するところ、アメリカも積極的に世界の多くの国々に働きかけを行われている、私どもとしても、事あるごとにこの問題に対する理解と協力をお願いをしているという事実もございます。
  69. 鹿野道彦

    鹿野委員 いずれにしても、この軽水炉転換の支援の問題につきましては、今までお話を申し上げましたとおりに、我が国は北朝鮮と隣り合っている国なのですね。いろいろと国民からいたしましても、核のことはどうなっているの、これはやはりそういう思いがありますよ。また、北朝鮮は相変わらず、敵国条項を外すなんということはだめよ、こういうふうな発言もしておる、そういう国になぜ財政的な支援をしていかなきゃならぬのかという気持ちも少なからずあるのですね。  私は、そういう意味で、日本のこの政府としても、核の疑惑解消、そして米朝合意の約束を守らせるというふうなことに対して、明確に常に政治家としての発進、お役人さんの言葉じゃなしに、総理大臣としての、外務大臣としての政治家基本的な考え方を常に内外に示していくというふうなことが今最も大事なことだ、こういうふうに思うのですよ。そうでなければ、これは日本外交、安全保障、大変なことになると私は思うのです。  最後に、総理大臣のその決意をお聞きしたいと思います。
  70. 村山富市

    村山内閣総理大臣 北朝鮮に対する核疑惑の解明と全面的な解消を図っていく、そのためにこの軽水炉の問題につきましても、KEDOという国際的な機関というものの中に日本も、今言われましたように、積極的に日本の見解というものを明らかにしながら協力していくということは大事なことだと思いまするし、これは何よりもやはり、国会の皆さんももちろんですが、国民の理解を得るということも大事なことでありますから、そういうことが明らかになるような道筋というものをしっかりつけて、積極的な取り組みと意思表示を明確にするということは、これからの外交にとっても極めて大事なことであるというふうに受けとめて理解をいたしております。
  71. 鹿野道彦

    鹿野委員 私は、重ねて申し上げますけれども、この問題は、総理はよく被爆国というふうなことを出されますが、当然それも大事なことです。北東アジアの安全保障の問題なのですね。このことも、総理、腹の中におさめていかなければいけませんよ。常に、そういうふうな問題だということも言葉として出てくるようにしてもらいたい。これは、国を守るというふうなこの安全保障は、政治家にとって最も大事なところなのですね。  そういう意味で私は、朝鮮半島の分断というふうなものが、その責任あるないというふうなことについてどうだったのかということを確認させていただいたということも、総理大臣の答弁総理大臣の思っている、そして口に出されることがいかに重いか、責任あるものであるか、そしてそのことが、日本の間違いのない外交、安全保障、その判断につながっていくのだ、こういうふうなことで指摘をさせていただいているわけでありますから、私は重ねて重ねて、総理の自信を持っての答弁、軽々に次の日になったら変わるようなことがないようにやはりやってもらいたい、このことを強く希望して、山岡議員に譲りたいと思います。
  72. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、山岡賢次君から関連質疑申し出があります。鹿野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山岡賢次君。
  73. 山岡賢次

    山岡委員 農林水産業の振興の問題について主にお考えをお聞きしたいと思います。  質問に先立ちまして、過般の阪神大震災におきましてお亡くなりになられた方、被災された方に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第でございます。また、復旧、復興に大変御尽力をされている皆様に心から敬意を表します。  阪神大震災の復旧、復興につきましては、今まで委員会あるいは集中審議で再々取り上げられてまいったところでございまして、政府対応の遅さ、不適切さということは、我々の指摘のみならず、広く国民の指摘するところであるわけでございます。  特に、きょうは農水関係ですから農水大臣にお聞きを申し上げたいのですが、この対策に一刻を争う、やはり緊急時の対策というのは早いほどいい、今さら言うまでもないことでございましたが、そういう一刻を争っている一月十九日、すなわち地震発生の翌々日でございますが、農水大臣はどこに行って何をしておられたのか、御説明をいただきたいと思います。
  74. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 十九日は、政務のために青森県下に参っておりました。
  75. 山岡賢次

    山岡委員 翌々日というのは、被災された皆さんが、まだ瓦れきに閉じ込められている人もたくさんいたわけでございました。現に、私ごとですが、私の義理の弟の父親も一階に寝ていて結果的には死亡したわけでございますが、それが発見されたのが二十一日でございました。そして、つい最近まで生きていたのじゃないか、こういうことで家族みんな大変悲しんでいるわけでございます。  そういう事態の中に、政務と今おっしゃいましたが、政治家がやることがすべて政務なら政務でしょうが、青森で選挙の応援をしているということが、それにもまさる重要なことで果たしてあるのか。  ここに政務というのが書いてありますが、青森市役所前で大河原太一郎農水大臣、亀井静香運輸大臣が激励の選挙応援をしに来たと、立派な政務でありますが、一方、輸入ホタテの大河原農相への陳情と。陳情を受けていることも政務でしょう。あなたは震災のそのすぐ後にこういうことをやることが政務の最適なことだと、そういうふうにお考えでやっているのですか。
  76. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、事の経緯を申し上げまして御理解願いたいと思います。  十七日、災害発生に当たりましては、食糧の安定供給ということが被災地なり被災の方々への我々の務めでございますので、直ちに応急炊き出しによる食糧の確保に努めたところでございます。  具体的に申し上げれば、三千トンの政府米、これを配備し、さらに五万食の乾パン、さらに炊き出しのためには炊飯施設が必要でございますので、学校給食の給食施設なりあるいは外食産業の給食施設、さらには自衛隊の四十台にわたる炊飯車等々について手配をいたしまして応急の対応をしたわけでございますが、特に各般の食糧が必要だということで、近畿に事業所を有する食品メーカーに対して、パンなりあるいは即席めん、あるいは弁当、缶詰、果物等々の確保供給方を要請いたしました。  さらに、省内でとりあえず災害対策連絡会議をつくりましたが、これを本部とし、一番大事な現地の県なり市の食糧確保の要望、これを確保しなければ相ならぬということで、神戸市に食糧供給の現地対策本部をつくりまして、現地の確保計画を承知をいたす、そしてそれに対する手当てをいたす、そこまでで初動の段階が一応終わったわけでございますので、私といたしましても、現地の要請が大変強かったものですから、今委員お話のような青森に参ったわけでございまして、私としては、災害対策についてのおくれなり支障があったというふうには思っておらないところでございます。
  77. 山岡賢次

    山岡委員 それでは農水大臣、初動のおくれに影響はなかったから問題なかった、そういうことをお答えなんですね。もう一回言ってください。問題なかったと言っているんですね。
  78. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、私の責任を持たなければならない被災地、被災民の方々に対する食糧の安定供給等については、特段の差し支えはなかったというふうに思うわけでございます。
  79. 山岡賢次

    山岡委員 全く問題なかった、こう言っておりますが、例えばスイス政府から日本への捜査犬の派遣、こういうことの申し出があったわけでございますが、そのことに対して農水省は、農水省というか大臣は関与していないと思いますけれども、御存じなかったと思いますけれども、そのことについての対応のおくれ。「スイス政府は今回の地震現場へ、がれきの中での被災者捜索を専門とする救助犬チームを派遣した。だが、派遣決定までの経過でスイス側を当惑させる一幕があった。」こういうことで大分おくれたと。  そういうことに対して、あなたはなぜ陣頭指揮をとって、農水省がそういうふうに言っていても、これは緊急時だから直ちに入れるべきだと、どうしてやらないのですか。農水大臣に聞いているのです。
  80. 河野洋平

    河野国務大臣 ちょっと私の所管の部分がございますので。  議員お尋ねのスイスの救助犬は、十九日の朝、既にもう現地に着いておりました。十八日に私は農水大臣とともにこの問題を協議いたしまして、農水大臣の決断によってこの問題は解決をいたしております。
  81. 山岡賢次

    山岡委員 私は、十九日に決心をしなかったという話をしているのじゃないのです、そういう問題もたくさんあるでしょうと。(発言する者あり)いやいや、違う違う。何言っている。間違えてない。そんなことわかっている。十九日に行って、十九日に犬が来ているのは書いてあるからわかっていますよ。  しかし、そういう問題がたくさん出てきているでしょう、いろいろなことが。そういうことに対してちゃんと陣頭指揮をとってやるべきじゃないですかと、それとも、そういうことは必要ないと……。
  82. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、救助犬の問題につきましては、十八日の午後、正確に申し上げますと二時半でございます。関係省庁から話がありまして、我々としては直ちに検討をいたしまして、狂犬病予防法に基づく犬の輸出入規則、その特例を行うと決めまして、関係省庁に連絡をしたのが五時ごろということでございまして、私自身がそれにかかわっていたということでございます。したがって、その点については特に差し支えがあったとは思っておらないわけでございます。
  83. 山岡賢次

    山岡委員 はっきりしておきますが、その十九日に出かけたからこれができなかったと私は言っているんじゃないですよ。十九日の話は姿勢の話を申し上げているのです、大臣の。そういう姿勢の話と、一事が万事そうであるということを言っているのですよ、いいですか。  それで、例えば「スイスからの災害救助犬は、村山首相よりも一足先に現地入りしているが、申し出災害発生直後にあった。その受け入れに、農水省が動物検疫の原則を盾に一定期間の検査を主張、現地での活動開始が遅れた。一刻を争う災害救助にこ「ロボット行政に、切歯扼腕せざるを得ない。」こういう指摘をされておりますし、この正式要請がその後あったと、一時間後にスイスを出発している、スポークスマンは、現場へは二十四時間以内に着くのが原則、今回は遅過ぎたと悔やんでいると、こういうことでしょう、中身は。
  84. 河野洋平

    河野国務大臣 スイスの犬にこだわるわけではありませんが、犬の問題について正確に申し上げたいと思いますが、農水省と犬の問題について協議をいたしましたのは、先ほど農水大臣からお話がありましたように、十八日の二時半ごろでございます。それ以前に農水省とこの犬の問題のやりとりはございませんでした。
  85. 山岡賢次

    山岡委員 大臣が青森に行っているときに状況はどうなったか。「政府、試される危機管理能力」「救援態勢なお整わず」「一日にジュース一本だった」「食料・薬・毛布…供給手間どる」「政府危機管理の甘さ露呈」「指導力不足の指摘」、当時のこと宣言えばこういう状況であったわけです。そういう状況の中にあって選挙の応援に行っている。総理、いかが思いますか。
  86. 村山富市

    村山内閣総理大臣 先ほどから外務大臣、農林大臣からも御答弁がございますが、一月十七日の地震発生後、この食糧等の緊急物資の提供につきましては、これはもう閣議で緊急対策本部が設置をされた際に、食糧に関する問題については農林大臣、責任を持ってすべて手配してほしい、こういうお話も申し上げまして、農林大臣はその職員を果たしていただいたと私は思っております。  なおまた、今犬の問題もございましたけれども、これは、お話がありましたように、十八日に農林大臣の決断できちっとやはり決着をつけて、そして御協力をいただいたと、こういう経過もございまするし、十九日には今お話もあったように東京を離れましたけれども、しかし、常に連絡ができるような体制のもとにやられたことであって、この地震対策に対して特段支障があったとは私は考えておりません。
  87. 山岡賢次

    山岡委員 それでは、これだけの対応のおくれと国民からの指摘もあって我々も指摘を申し上げているところですが、そういうときに選挙の応援に行っていたということは何ら問題はなかったと、そういうことですね。もう一回言ってください。
  88. 村山富市

    村山内閣総理大臣 何といっても、やはり五千人を超すとうとい命がなくなられたことでありまするし、もう今は二十六万何がしの皆さん方がまだ避難生活を余儀なくされている。こういう現状に照らして、いろいろこれまでとってきたことに対して御批判や御意見も多々あると思いまするし、とりわけ危機管理の問題等については、御指摘のようなこれまでのことも含めて私どもは反省もしなきゃならぬ点があるし、直ちに改善を要するといったような問題もあるということについては、もう重く受けとめておりまするけれども、今御指摘のございましたような農林大臣の行動について、特段そのことによって支障があったとかというようなことについては考えていません。
  89. 山岡賢次

    山岡委員 これだけ再々政府対応についての問題が提起されていて、そのおくれが、十分でないというのにもかかわらず、この三大臣が、しかも私が申し上げているのは発生直後の話でございまして、初期の態勢を整えることが極めて重要な災害において、その直後にこの三閣僚が出かけている。そういうことに対して私は、厳しくこれを受けとめ、国民に反省の態度をとるべきである、こういうことを指摘を申し上げる次第でございます。  私は、そのことをきょうは申し上げるつもりで参ったわけではないのでございます。今回は、言うなれば日本の一地域の大災害であったわけでございました。私が申し上げたかったのは、そういう危機管理に対する認識や体制のことをきょうは申し上げたいということで出だしに申し上げたわけでございます。  これは一地域の激震でありましたから非常にショッキングなことでございましたが、しかし、地球規模、こういうことで考えますと、これから大きな災害状態というのがやってくるんじゃないか、ひしひしと迫っているんじゃないか、これはひとしく皆の認識しているところであるわけでございます。言うなれば地球規模の大災害の状態ということに対してどう対応すべきかということを、やはり特に農業問題に関しては今から考えて対策を立てておかなければ、そのときには対応できないんじゃないでしょうかと、結論を言えばそういうことを申し上げたいわけなんでございます。  そこで、一昨年のような突発的な異常気象、これも記憶に新しいところでございますが、しかし、中長期的に見れば、世界の食糧事情を考えたときに、開発途上国の人口は増大をしている。今さら言うまでもありませんが、環境等の問題によっての制約もますます増してくる。さらに言えば、緑の減少あるいは砂漠化、また大きく言えば地球規模的な異常気象、こういうことは専門家ならみんな指摘しているところでございます。  大臣にここで細かいことを、数字をきょうは聞こうとは思っておりませんが、ちなみに申し上げますれば、毎年我が国の国土の面積の約四割に当たる一千五百四十万ヘクタール、この緑がなくなっている、この地球上からはですね。そういうわけですし、また、毎年六百万ヘクタールの草地や耕地が砂漠化をしている。これは日本の四国と九州を合わせた面積。こういうことで、既にまた砂漠化に今直面しているという耕地だけでも、草地と耕地で三十六億ヘクタール。これはもう世界の耕地総面積の五分の一に当たる。こういうところがそういう今危機にさらされている。こういうことが各研究機関で指摘をされているところでございます。  そして異常気象、これもまた再々言われていることでございますが、地球の温暖化はもちろんそうでございますけれども、北アフリカの熱波やエルニーニョ現象がもう頻発をして長期化している、あるいは二酸化炭素、フロンによるオゾン層の破壊とか、こういうことで気温が上がってきている。ちなみに、海水が一メーター上がれば世界の穀物の耕作栽培地の三分の一が失われる。こういう状況はもう早くから指摘をされ、最近大変危機感を持って言われているわけでございます。一方、特にあと五十年もたちますと、反対に地球の人口は百億になる、こういう指摘もあるわけでございます。  今の耕地面積では八十五億人分しか生産されない。(発言する者あり)これはみんなおわかりのことを述べているんです。そういう状況を我々はよく認識をしておかなきゃならない。こういう災害時にこういう状況になっていくんじゃないか、このことはわかっているんですが、ついつい当面のことに追われて、その辺の認識は極めて不十分、ここから考えていかないと日本の農業政策というのは考えられないわけでございまして、その点についての農水大臣の御所見を承りたいと思います。
  90. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま山岡委員の御指摘のとおりでございまして、繰り返しませんけれども、人口の問題、環境の問題、気象の不安定の問題等々で、中長期的に見ますと、非常に不安定であり、さらに不透明であり、これに対する対応が必要であるというふうに考えておるわけでございまして、この点につきましては、先般のガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れに伴う国内対策におきましても、自給力の低下傾向、これを真正面から見詰めまして、国内農業資源を最大限に活用して、農業生産の維持拡大を図ることによって食糧自給力を強化するというのを一つの人柱といたしまして、各般の政策を進めておるところでございます。
  91. 山岡賢次

    山岡委員 今、自給力を強化するというお話、この後、当然、そういうことですからお聞きをいたしますが、この認識を、やはり新聞にも雑誌にもあると、さっとこうみんな目を通していますが、このことが、どれだけこれからの農業政策にこの位置づけが大きくなるか、こういうことについて外務大臣、いかがですか。
  92. 河野洋平

    河野国務大臣 済みません。もう一回ちょっとお願いします。
  93. 山岡賢次

    山岡委員 私が今質問をしておりましたことに農水大臣からお答えいただきましたが、外務大臣はいかがお考えですかと。
  94. 河野洋平

    河野国務大臣 国際社会は、今議員お話しになりましたように、将来を見通しますと、食糧問題は極めて不安定な状況に推移していくだろうということがわかるわけでございまして、我が国としても、我が国自身で自給率を高める努力も必要であろうと思いますし、国際的に見て友好関係を培っていく、そして食糧の輸出入について十分なお互いの理解を深めていく必要があるだろうと思います。
  95. 山岡賢次

    山岡委員 ちなみに、この認識をしっかり持っておいていただかないと先に進みませんので、大蔵大臣と総理の御所見も承っておきたいと思います。
  96. 武村正義

    ○武村国務大臣 御指摘のように、地球の将来、人類の将来を考えますと、毎年一億ずつ人口はふえておりますし、環境面の心配事がどんどん広がってきている状況でありますから、これは最大の関心を持たなければならない課題だというふうに認識をいたします。我が国としましても、改めて念とか農という問題を真剣に見詰めるべきときに来ている、食糧自給率を高めていくという方針は間違いないというふうに認識をいたしております。
  97. 村山富市

    村山内閣総理大臣 地球全体をこう見渡しますと、アフリカ等を中心にして人口はどんどんふえていく、それに食糧増産が追いついていかないといったような深刻な食糧不足を招来しているところもあれば、先進国のように過剰な地域もある。地球全体から見れば大変なアンバランスがあると思いますね。  しかし、人口、食糧、環境問題等が今各国によって地球規模で議論をされておる、これからの重要な課題になると思いますので、この食糧というのはやはり環境の問題もあるし、それから気象状況等も影響しますし、極めて目測の立てにくい不安定な要因もありまするけれども、しかし、全体としてこれからこの地球全体における人口と食糧の需給関係というのがどうなっていくのかということについては、やはり極めて関心を持たなきゃならない重要な課題であるという認識は持っております。
  98. 山岡賢次

    山岡委員 関心を持っていただく程度じゃ困るのでございまして、細川内閣であろうと村山内閣であろうと、これはもう日本のこれからの生存の道でございますから、こういう大災害が起こったときに特にまた改めて喚起をしなきゃいけないんじゃないかと思いますが。  これはもう地球規模の、言うなれば大災害状態になると幅広く指摘されておるわけでございますから、そのことを日本国の総理にしっかりと認識をしておいていただかないと、今後の農政について語れないんです。そのことが、不確定ぐらいな発想では語れないんです。非常に大変である、こういう御認識をお持ちじゃありませんですか。
  99. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今私が申し上げましたことというのは、そういう不確定な要素もあるだけに、食糧、人口、環境問題というのは、これから地球規模においても深刻な問題として提起されておる、こういう認識を持って対応する必要があるということを申し上げたわけです。
  100. 山岡賢次

    山岡委員 ぜひそういう認識をしっかりと持ち続けていただきたい、特に総理にはいただきたいわけでございます。  先ほど外務大臣にちょっと聞き直していただきましたが、そのこともちょっと触れていただきましたが、東西の冷戦は確かに終わったのでございまして、一説によれば平和になったという説もあり、そういうムードも横溢しているのでございます。しかし、現実には各地で紛争は頻発しているわけでございまして、私は、この各地の紛争というのはまた食糧事情に大変大きな、輸入事情にもかかわってくる問題でございます。  平和になったんだから金を出せば買えるんだという発想でいくのか、各地は戦争状態がこれからむしろ起こりやすくなる、そういう認識で臨むかによって今後の政策は大いに変わってくると思うわけでございますが、外務大臣の御見解を承りたいと思います。
  101. 河野洋平

    河野国務大臣 まあどのくらいの期間をとるかによっていろいろ考え方、見方があると思いますけれども、私は、一般的に言って紛争は起こりやすくなると。  つまり、東西冷戦の間は西と東がぎゅっとおもしを乗せられてにらみ合っていたわけで、比較的小競り合いは少なかった、しかし、そのおもしが取れたから紛争は起こりやすくなる、こういう一般的な議論がございますが、それは一時期、あるいはそういう状況があったとしても、私は、ずっと将来を見通せば、それは人間の英知がその紛争をいかに未然に防ぐかという、そういうことになっていくだろう、これはまあやや希望的観測でございますが、そういう気持ちも持っております。  ただ、現実を見てみますと、イデオロギーの対立による紛争ではなくて、民族間の対立でございますとか、あるいは宗教上の対立てございますとか、あるいは貧富の格差が余りにひどいということを原因として起こる紛争などが散見されることも事実でございます。こうした状況を踏まえて、我々は将来どうあるべきかを考えなければならぬというふうにも思います。
  102. 山岡賢次

    山岡委員 天災あるいはそういう自然の成り行きについては、皆様ひとしく御同意、危機感をいただきましたが、今後の紛争状態、確かに予測は難しいし、人類の英知には期待をしたいと思います。しかし、事食糧、こういうことになった場合には英知によって解決されるだろう、私は、そういう方向で考えていくのは極めて危険ではないか、こういうふうに思っているわけでございます。  例えば、これは最近の例でも、一九七三年にはアメリカは大豆の輸出を禁止をいたしまして、豆腐と納豆が値上がりして、そこから日本は狂乱物価になってきた。これは紛争のことを言っているんじゃありませんが、一たび国家間の都合が変わってくればこういうダメージを受けるわけでございまして、また一九九三年のミシシッピ川のはんらんといったときには、トウモロコシが日本には全く入らなくなった、こういう事態もあるわけでございますし、また、一九八〇年の、これは我が国のことではありませんが、アフガン紛争、記憶に新しいと思いますが、アメリカはソ連に農産物の禁輸をいたしました。ソ連はやせ我慢をしていたようですが、一説によれば、これはもう核兵器を使われた以上の効果があった、このソ連の受けたダメージは大きい、こういうふうにも言われているわけでございます。  そういう点では、我が国は、私は決してアメリカがどうという意味じゃありませんが、輸入国を見てもアメリカが三八%、圧倒的に多いわけでございまして、オーストラリアが九・一%、中華人民共和国が八・二%、かなりの偏りがあるわけでございます。そういう点では、食糧安保、こういうことを念頭に置きながら、輸入国の多様化とか友好関係の維持とか、これをどういう方向で具体的に検討されているのか。概念的にはそう思っているが、まあそういうことはないだろう、災害はまあ先のことだろう、こういうことで具体的な検討は全くないのか、今後されるのか、お尋ねをしたいと思います。
  103. 河野洋平

    河野国務大臣 国際社会は相互依存関係の中で動いていくという状況にございます。我が国もその真っただ中にいると言っていいと思います。相互依存関係の中で動いているということを自覚をすれば、それにどうやって対応するかというおのずから次の行動がなければならないと思います。食糧安保もそうでございますし、エネルギーの安保についてもそういうことだと思います。  それぞれ、ただ市場の問題もございますし、いろいろな要素を考えながら対応していく必要があるであろうと思っておるわけでございます。
  104. 山岡賢次

    山岡委員 いろいろなことを考えて対応していく必要がある、それはまさにそのとおりなんですが、私が伺っているのは、具体的にそういうことを念頭に置いてやっているかということを聞いて、必要だと思いますというのは私の言っていることと同じことなんで、それじゃ、お答えにならないんですけれども、もう一回言っていただけますか。
  105. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 山岡委員御指摘のような一九七三年の国際的な輸出国の大不作、アメリカだけがまあまあだったんですが、それにソ連の大量買い付けが入って、穀物なり大豆あるいは飼料穀物等々暴騰いたしまして、アメリカは大豆の輸出禁止をしたというわけでございます。  そのような異常事態の御指摘でございますけれども、その際に、今委員がおっしゃいましたように、当然国内の農業の自給力を高める、もう一つは、備蓄に対する体制を整えるということとともに、輸入国の、輸入ソースの多元化と申しますか、今委員が指摘したとおりでございまして、その点につきましては、現在も小麦等についてはカナダなりオーストラリアと一定期間の供給目標の紳士的な約束をしておりまして、その輸入ソースの多元化を図っておるというような努力もしておるわけでございますが、委員は、さらにそういう輸入ソースの多元化に努めよというお話でございますので、今後検討の課題であるというふうに思っております。
  106. 山岡賢次

    山岡委員 そのことをぜひここで強くお願いをしておきたいわけでございまして、これは与野党問わず、極めて重要な問題でございますから。  総理に、先ほど若干明快でないような気もしたのでもう一回お尋ねしておきますが、やっぱり自然環境とか国際状況、こういうことが非常に厳しい環境にある。今農水大臣が言われましたが、今後この世界の危機状況、自然と、あるいは国の間の、備えた食糧安保に対する具体的計画を考えていく、こういうことですが、総理もそういうお考えでいらっしゃいますか。
  107. 村山富市

    村山内閣総理大臣 もう繰り返しませんけれども、やっぱり地球規模全体から判断をすると不確定要因も大変多い。しかし、不確定要因が多いから食糧が足りなかったというようなことになったのではこれは大変ですから、これは、食糧というのは国民生活にとって欠かせないものでありますし、安全な食糧を安定的に供給できるような体制を常に考えておくということは必要でありますから、今農林大臣からお話があったとおり、私も確認をいたしております。
  108. 山岡賢次

    山岡委員 ぜひ今からしっかり対応を考えておいていただきたいと思います。  農林大臣、先に先にとお答えいただくんでございますが、これから自給率をお聞きしようと思っているのでございますが、翻って、そういう世界の厳しい状況、この自然環境あるいは国際関係、こういうことが予想される中にあって、我が国は自給率をやっぱりきちっと維持していく必要があるんじゃないかとはよく言われております。しかし、また非常に低いということももう先刻承知のことでございまして、今さら言うまでもありませんが、フランスは一四〇%以上、アメリカも最近では二一〇%ぐらい、ドイツもイギリスも九四、七三とありますが、イギリスは一〇〇%ぐらいに最近なっていると伺っていますが、農水省、どうなんですか。
  109. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 お答え申し上げます。  イギリスの供給熱量自給率でございますが、最近の数字じゃございませんけれども、六十三年の数字で七三%ということでございまして、一〇〇%は切っておるということです。
  110. 山岡賢次

    山岡委員 それじゃ、新聞記事だそうでございますが、新聞記事とは変わっていないと。私は最近調べたら、これは一〇〇%に近づきつつあるという、イギリスの方から聞いたから聞いたのでございまして、日本の記事はまだ新聞程度、こういうことに相なるわけですが、この数字を私は問題にして言おうと思っているんじゃないわけでございまして、大臣にお聞きしたいのは、我が国は四六%、しかも、これは去年、おととしの気候異変とはいえ三七%に下がっているわけでございまして、これは特別な数字と考えますが、我が国の自給率、カロリーベースで世界最低であり、群を抜いている、こういう状態に対してどういうふうにお考えになるか、お答え願います。
  111. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 食糧自給力の強化とその確保は大変大事なことでございますが、我が国の制約された国土資源におきましては、一億二千万の消費人口を前提といたしますと、なかなか完全な自給には制約があることは、委員御案内のとおりでございます。したがって、先ほども申し上げましたような、国内の生産力を高めることが当然第一番でございますが、さらに備蓄なり輸入ソースの多元化、こういうものを組み合わせまして安定供給を図るということでございます。  さて、官給率の問題でございますが、これについては農業基本法に基づく農産物の需要と供給の長期見通し、これは現行の見通しは平成十二年でございますけれども、これについての目標につきましては、カロリーベースで五〇%を目標にし、穀物自給率では三〇%ということになっております。  しかし、今も委員がいろいろ御指摘になりましたような問題を提起されておりますので、今回のガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意に基づく国内対策におきましては、やはり国内資源を最大限に活用して国内生産の維持拡大を図る、自給力を強化するということから、今申し上げましたその長期見通し、これを平成十七年を目標とする、目標を変えるということで、昨年の九月から農政審議会等を中心にいたしましてその新しい作業に入っておるところでございまして、そこで、やはり自給力の強化と申しますか、ただいま提起されました問題についての課題にこたえたいということにしておるわけでございます。
  112. 山岡賢次

    山岡委員 五〇%よりももっと強化をすべきだというふうに承りましたが、具体的な数字目標はありますか。
  113. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 事細かに申し上げませんが、作業の過程といたしましては、それぞれの品目の需要量を積み重ね、その傾向から平成十七年の数字を想定し、さらに供給サイドにおきましては、作目の動向、耕地面積の動向あるいは就業人口の動向等々をかみ合わせまして、最後の数字として、結果の数字として出るわけでございまして、先に目標を設定してそれを合わせるというようなことを計数的に予定しておるわけではございません。
  114. 山岡賢次

    山岡委員 計数的に予定しているわけじゃありません、こういうふうに言われますが、これは先進各国が一〇〇%以上、ほとんど一〇〇%のときに、我が日本国は計数をいろいろやると五〇%ぐらいかな、しかし計数的に言っているわけじゃありませんと。  やはりこれは国民的な感情からいえば、食べ物はこのくらいちゃんと自給できるようにするんだよというところからあらゆる政策をスタートすべきであって、今の状況を足していったら、これだけにしかならない、こういうことだったら、ならないから食わないでいるんだ、災害でも我慢するんだ、そういう論理では困るんですよ。このくらいはやるんだ、そのためには何をするんだ、予算づけもどうするんだ、こういう論理でいかなかったら進まないと思いますよ。
  115. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 繰り返すようでございますが、国内の農業資源を最大限に活用いたしまして、その自給力の強化を図るという政策を今回も国内対策として打ち出したわけでございます。したがって、今申し上げました長期見通しにおきましても、そういう視点を念頭に置きまして作業を進めておるところでございますということを、繰り返しお答え申し上げるところでございます。
  116. 山岡賢次

    山岡委員 ここでこういう機会にはっきりさせでおきたいのですが、今度の災害のことは非常に生々しいものですから、当然ですが、大変関心を持たれております。そうしますと、最大の努力をしましたということで済む問題なのか。こういう地震が来てこういうことになった場合にはこれだけのことをやるような用意をしていくんです、これからこうやっていただかなければたまらぬわけですよ。  今の状態でやれるだけのことはやりました、積み上げた結果こうでした、これが今の対応になるわけで、要するに、そういう状況を想定しても我が日本国の食糧の自給は一〇〇%大丈夫なんだ、あるいは七五%で、あとの二五%は何とかするんだ、そういう目標から先にスタートをしていただかないと、そのための用意をしていただかないと、やることはちゃんと一生懸命やります、どうなるかはその結果です、こういうことでは、非常に不安であるわけでございまして、そのことを申し上げているのです。  何遍も聞いてもあれですから、大蔵大臣、いかがですか。後で予算のことが関係してくるのですが、どのくらいな自給率をお考えですか。
  117. 武村正義

    ○武村国務大臣 専門家でありませんので、明確に自信を持って申し上げる自信はありません。  ただ、自給率は引き上げの方向で、政治家の一人としましても努力をしていかなければいけないというふうに思っております。
  118. 山岡賢次

    山岡委員 日本国の大蔵大臣が素人だからわからぬ、こういうことでは国は成り立たないわけで、私は事前にあなたに質問の通告をしているわけでしょう。通告をしているでしょう。お聞きになっているでしょう。それに対して具体的なお答えはないのですか。
  119. 武村正義

    ○武村国務大臣 今お答えしたとおりでございます。
  120. 山岡賢次

    山岡委員 大蔵大臣、そうすると、日本の自給率はどのくらいに置くべきだ、国としてどのくらいに考えるべきだ、こういうことは大蔵大臣としてはお考えになっていない、こういうことですか。
  121. 武村正義

    ○武村国務大臣 専門家でありませんからと謙遜して申し上げましたが、大蔵大臣、まあ所管省じゃありませんから、農林大臣の方針に合わせて、私は財政担当者として最善を尽くしていきたいという気持ちであります。  自給率そのものは、カロリー計算の自給率にしましても、じわじわ下がる傾向にあるわけですから、このことに対しては大変問題がある。むしろ自給率が下がることをとめて、上げる方向にもっと努力をしていかなければいけないという思いであります。
  122. 山岡賢次

    山岡委員 今言われたのは、農水大臣の御決定に従う、そういうことですね。わかりました。  これは、総理、いかがですか。社会党としても、さきがけとしても聞きたかったのですけれども
  123. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは社会党として答えるというのでなくて、総理としてお答えしたいと思いますけれども、この食糧自給というのは、やはり消費者の需要に対する、嗜好といったものも変化してまいりますし、それからまた生産者自体もそのときの情勢によって経営判断がされると思いますから、なかなか難しい要素はあると私は思います。  しかし、今大蔵大臣もお話しございましたように、全体として食糧自給率というのが低下の傾向にある、これではやはりいけないので、何とか歯どめをかけて、そして引き上げる方向で日本の農業政策というものは考えていく必要があるという立場から今農業政策を推進をしておる、私はそういうふうにすべきものだというふうに考えています。
  124. 山岡賢次

    山岡委員 堂々めぐりをしていても進みませんから、とにかく自給率を高める、そういう皆様のお話と受けとめておきます。  そこで、備蓄の問題でございますが、これもまた非常に重要な問題、また金もかかる問題でございます。この日本の備蓄をどの程度にしておくべきであるか、お伺いしたいと思います。
  125. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 委員御案内のとおり、先般臨時国会で成立いたしました、略称を申し上げて恐縮ですが、新食糧法におきましては、制度としての備蓄を位置づけ、それに対する備蓄の量を百五十万トンと、ただし、上の方の幅を相当程度見るということで我々は進めていきたいということにしておるわけでございます、米につきまして。
  126. 山岡賢次

    山岡委員 その百五十万トン、米の種類によってもいろいろ考えられますが、どのくらいの予算を見積もっていらっしゃるのでしょうか。
  127. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 備蓄費用は、備蓄期間にもよりますけれども、金利、倉敷合わせまして、トン当たり二万円ということでございます。
  128. 山岡賢次

    山岡委員 総理、備蓄はどのくらい必要とお考えですか、日本の米の。
  129. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今農林大臣が答弁されたとおりであります。
  130. 山岡賢次

    山岡委員 世界の食糧状況あるいは国家紛争は非常に厳しくなる、備蓄もふやさなければならない、こういうときでありますが、現実に行われておる農政は、先般の緊急輸入米の残が百万トン、そしてミニマムアクセスによる輸入が四十万トン、そして今度は天候が好転しましたから、豊作によってかれこれ三百万トンの在庫が今見込まれている、こういうふうに言われておりますが、これは事実ですか。
  131. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、緊急輸入米は、作況指数七四、したがって二百五十万トンの不足ということで輸入いたしましたが、御案内の経緯で、国産米に対する消費者の非常に強い志向とか諸般の事情から、現在九十七万トン在庫をしておるわけでございます。  それから、お話しのミニマムアクセスは、実はまだ、四月一日からどういう形で受け入れるかということで、四十万トン、これは入っておりません。  最後にお話がございましたような平成六年の大豊作、作況指数一〇九ということでございまして、ことしの十月末には約百六十万トンぐらいの在庫になるのではあるまいかというのが、そういう数字でございます。
  132. 山岡賢次

    山岡委員 そのミニマムアクセスはまだ入っていないのはもちろんそうでございますが、そういう段階であるのにもかかわらず、政府は既に都道府県段階にまでおろして、水張り休田を含めて、三百万トンに対応した生産調整の数値の取りまとめを行っている、こういうふうに現地からは聞いておりますが、そういう実態はあるのですか。
  133. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  御案内のとおり、平成五年の大凶作にかんがみまして、平成六年産米と七年産米によって百三十万トンの備蓄造成をいたしたいということで、転作面積も六十七万六千ヘクタールから六十万ヘクタールにこれを減らしまして、二年間はこれを固定するということでございましたが、先ほども申し上げましたように、平成六年の大豊作、それによりましてことしの十月には既に、二年間で在庫造成をするつもりが一年間で百六十万から百七十万に相なるということでございます。  これは単に政府段階で過剰というだけではなくて、御案内のとおり、自主流通米の価格の低下なり、なかなかこれが売れないというようなことでございましたので、これについて生産者団体その他といろいろ話をいたしまして、二年間の約束であるから六十万ヘクタールが基本であるけれども、さらに需給状況を勘案して八万ヘクタールぐらいさらに追加的にやりたいということでございまして、生産者団体と納得の上で、御理解を願って推し進めておるところでございます。県あるいは市町村と農協と、農業団体と相協力いたしまして推し進めているわけでございまして、強制的というようなことはございません。
  134. 山岡賢次

    山岡委員 まあそれは強制的とは言われないでしょう。しかし、強制的に減反を言われている、これは一般の農業従事者は既に現に受け取っているわけでございまして、非常に難しい問題であることはよく心得ております。  片や、世界状況等々を考えたときには食糧の自給体制を整えなきゃいけない、こういう問題が一つある。片や、今日本の、もし過剰になれば、これは価格の問題が生じて生活が成り立たない、それじゃ備蓄をしてとっておこう、こういうことになると非常にお金がかかる。  農業問題というのは、大臣には釈迦に説法ですが、非常に厳しい八万ふさがりの状況に今はなっているわけでございますが、しかし将来のことを考えたら、やはりこの備蓄もきちっとしておかなきゃいけない、自給も高めなきゃいけない、この両立をさせなければこれは将来はないということに相なるわけでございまして、現在だけの視点では考えるわけにいかない。したがって、現在の痛みをこらえても将来に備えるというのが言うなれば災害状態に対する対策であって、そのときだけにその金を費やせばいいというのじゃ対策にはならないわけですね。  そういう点で、さはさりながら、備蓄がこれだけになって非常に処理に困っているわけでございますが、外務大臣にもお尋ねしますが、少なくとも、ミニマムアクセスでこれから日本に入ってくるそのお米について、備蓄に一年間あるいは一定期間置いて、そしてその後援助にお使いになるというのはいかがですか。
  135. 河野洋平

    河野国務大臣 食糧援助は、これはもう議員御承知のとおり、なかなかデリケートなところがございます。食糧を売ることによって財政を賄っている国がたくさんある、そういう状況も考えなければならないわけでございまして、食糧援助規約というものがございますが、その食糧援助規約に基づきまして、その中で我が国に割り当てられた拠出義務を考慮しつつ、食糧不足に直面している開発途上国の援助要請にこたえていくということが一番重要でございます。その場合、他国による食糧援助でありますとかWTO協定との整合性についても当然考えなければならぬというふうにも思っております。
  136. 山岡賢次

    山岡委員 そのことはよく心得ているんですが、現に今度はKR食糧援助によってラオス等に二万トン援助をする、それは量が少ないからいいだろう、こういうことだろうとは思いますが、極めてこの条約もデリケートな条約で、これだという確定的な根拠ではないことは大臣おっしゃっているとおりでございます。  そういう点においては我が国も非常に律儀な国ですから、そういう点では一寸たりとも抵触しないというふうにやるのが、これはお役所のやり方かもしれませんが、現に二万トン行くわけですから、そういう政治的な交渉あるいはそういうことによって、さらに言うならば国内の備蓄米も海外援助にすべきだという声はもう国民の中から、素朴な声は非常に強いわけです。そうすると、いつも外務省的見解は、こういうことでできないんですと言いますが、現にやるわけですから、その辺のことをこれから鋭意前向きにお進めいただきたいと思いますが、いかがですか。
  137. 河野洋平

    河野国務大臣 国際社会が助け合いの中にあるということは、今回の災害でも我々は非常に強く実感をしたところでございます。国際社会の中で食糧不足で大変な状況になっている国をどうやって助けるかということは、人道的な側面もよく考えながら対応しなければならぬと思います。  ただ、先ほど私申しましたように、国際社会の中では、食糧を輸出することによってその国の財政が支えられているという国もあるわけでございまして、そうした国のこともまたよく考えなければならぬ、やはりバランスのとれた対応というものが必要だということを頭に置きながらやりたいと思います。
  138. 山岡賢次

    山岡委員 そこら辺が、当然我々も国家に責任を持つ者ですから財政のことを考えながらやっていかなきゃならないと思って、そういう解決策を先にお聞きをしているんですが、きょうは時間がないので、この後またウルグアイ・ラウンドで同僚がお聞きをすると思います。  国内の農業問題を考えたときに、片や自給はすべきなんだ、片や備蓄はすべきなんだと言ってはいながら、実際には縮小、縮小、縮小とやって、減反、減反、あるいは耕地面積は減る一方、農家の収入は少なくなる一方、高齢化は増すばかり、後継者はいない、もう御存じのことですが、たくさんのことが指摘をされるわけで、そのことをこれから解決をしていくことがまた日本の自給体制や備蓄体制の解決につながるわけでございまして、これは基本的に何が必要になるか、金がかかるわけでございます。お金もかかるわけでございまして、言うなれば、ウルグアイ・ラウンド、ポスト・ウルグアイ・ラウンドのために六兆百億、こういう用意もあるようですが、そういうものを解決をしていこう、こうなったら、これはもう巨大な資金を要さなければ日本の農業は成り立たない、自給体制は成り立たない、こういうことに相なるわけでございます。  そこで私は、当初に、こういう機会にしつこく御質問を申し上げたのは、こういう世界状況とかあるいは国際関係とか、日本の自給体制とか、備蓄体制とか、この際そのことを前提に置いた日本国の農業政策ということを考えるべきだということをよく御理解をいただきたいと思うのでございます。いかがですか、農水大臣。
  139. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 まず、お言葉を返すようでございますが、御指摘の農業、日本農業において構造の劣悪化、老齢化とかあるいは減少とか担い手不足とか跡取りがない、そういう状態の中にガット・ウルグアイ・ラウンドの受け入れがございましたので、新しい国内対策、これを徹底的に行って、何と申しますか、経営感覚にすぐれた安定的、効率的な経営、これが地域の生産の中心になって、兼業農家その他もこれに協力して高い生産性の農業を実現する、そのための各般の総合施策を講じておるわけでございます。  今般も、その初年度、平成六年度補正と平成七年の予算において、事業費として一兆一千億の対策を盛り上げたわけでございまして、いわば日本農業の体質強化ということでございまして、その点については今回の対策によって十二分な措置がとられておる、そのように考えます。
  140. 山岡賢次

    山岡委員 もう時間ですから聞きませんが、そのことはこの次に聞くと今言ったのであって、その答えを聞いているのじゃないのです。それをやるのには、こういうことをよく認識しておかないと、予算もかかるし、なかなかコンセンサスが得られませんよ、こういうことを申し上げているのです。  総理、いかがですか。
  141. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今農林大臣が答弁されたのも、今委員が指摘されたようなもろもろのやはり不安材料がありますと、しかも、ウルグアイ・ラウンド合意後の日本の農業というのは、国際競争状況の中に置かれるわけですから、一体これから日本の食糧、農業、農村というものをどう守っていくのかということがまさに課せられた課題だというので、六兆百億円という、まあ反面、またいろいろな批判も聞いておりますけれども、そういうものもやはり考えて、そしてこの食糧、農業、農村というものに不安を来さないような日本の農業をつくっていこうというので取り組みを今しているわけでありますから、その点については御理解を賜りたいというふうに思います。
  142. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて鹿野君、山岡君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  143. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口那津男君。
  144. 山口那津男

    山口(那)委員 新進党の山口那津男でございます。  連日の議論が続いておるところでございますけれども、私は、きょうは阪神大震災についてのさまざまな国の制度の欠陥あるいは運用方法の不十分さ、そういうものを指摘しながら、今後二度と同じような過ちは繰り返さないように、そしてまた、他の地域における災害にも十分対応できるように議論を充実させることが、これが被災者に報いる道である、このように思いますので、ぜひ充実した質疑お願いしたいと思います。  そこで初めに、自衛隊の初動の態勢についていろいろ指摘されているところでありますけれども、被災当日一月十七日の七時十四分に陸上自衛隊の偵察ヘリ二機が情報偵察に向かった、さらには八時十一分には海上自衛隊のヘリが同じく情報偵察に向かった、このように言われております。  この実際に撮ってきた映像、報道されているものを見ますと、火災の様子やら、あるいは建物の破壊の状況やら、かなり低空で飛んでおるようでありますので詳しくわかるように見受けられるわけですね。ですから、これが政府機関が最初に入手した具体的な情報だったのではないかと思われるわけでありますが、この情報を実際にどのように収集をして、そしてどう伝達していったかというこの実態のところをまず御答弁いただきたいと思います。
  145. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 お答えいたします。  まず、陸上自衛隊は、地震発生直後の一月十七日七時十四分に中部方面航空隊のOH6一機を八尾駐屯地より発進をさせ偵察活動を行い、神戸付近にて約二十カ所から煙が上がっていること、淡路島北部における家屋の倒壊の状況、高速道路の倒壊の状況等を目視により確認し、帰投後直ちに中部方面総監部に対してこれらの情報について報告を行ったところであります。また、第三六普通科連隊は、阪急伊丹駅が崩落していること、及び同駅周辺においてその他特段の異常は認められない旨を確認し、当該情報を中部方面総監部に対して報告しました。  海上自衛隊は、同日八時十一分に徳島教育航空群のS61A機を徳島基地より発進させ偵察活動を行い、一宮付近の被害が大であること、八幡浜漁港付近において油が流出していること等を確認し、これらの情報については海上幕僚監部を通じて防衛庁長官に報告がありました。  なお当該情報については、淡路島広域消防本部及び小松島海上保安部に対しましても速やかに電話による連絡が行われておるところであります。
  146. 山口那津男

    山口(那)委員 各情報が陸幕、海幕に届いていく、そこから先、長官あるいは官邸への伝達というのはなかったのですか。
  147. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 私の方には偵察中であるという報告がありましたのが、私が防衛庁に当庁いたしました九時現在のものでございます。これは、十時から閣議がございましたので、閣議におきまして、それまでの自衛隊がとった状況につきまして報告をいたしております。
  148. 山口那津男

    山口(那)委員 自衛隊サイドから、あるいは防衛庁を通じてでも、この情報が災害担当官庁である国土庁等に伝えられたのはいつですか。
  149. 村田直昭

    村田(直)政府委員 先ほど大臣からお答えいたしましたように、陸の情報につきましては中部方面総監まで報告があるということでございます。  それから、先ほど大臣からお話がありましたように、この上がってきました海の情報等については、横の連絡というものは私どもとして都道府県等から国土庁にあるものというふうなことを考えておりまして、送ってはおりません。
  150. 山口那津男

    山口(那)委員 写真を機上から相当撮っているはずなんです。ビデオも撮ったかもしれません。これを防衛庁中央あるいは幕僚監部等に送る方法は、手段は持っておるのでしょうか。
  151. 村田直昭

    村田(直)政府委員 写真につきましては、現像した後これを送る装置は、例えば岩国等から送るという方法ができます。それを持っております。  それから、カメラで撮りました、ビデオで撮りました映像を送る装置につきましては、先般来お答えしておりますように、東部方面に一つございまして、それを直ちにその日のうちに中部方面に送りましたけれども、中部方面は当日は持っておりませんでしたので、これを送ってくることはできませんでした。
  152. 山口那津男

    山口(那)委員 結局、せっかく初期に空中から貴重な情報を撮りながらこれが災害対策に十分に生かされない、また中央に情報が速やかに伝達されないというのが実情でありまして、これは自衛隊、防衛庁サイドと他の機関との連携というものがうまくとれていないということの一つの現実であります。  さてそこで、当日十七日の午前十時に陸上自衛隊へ災害派遣の要請が兵庫県知事より行った、こう言われております。その後も海上自衛隊、航空自衛隊へそれぞれ要請がなされているだろうと思いますが、この陸海空それぞれに、いっ、どのような内容の要請がなされたか、これについてまとめて御答弁いただきたいと思います。
  153. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 陸上自衛隊につきましては、委員も今お話がありましたように、十七日の午前十時、電話により、兵庫県知事より姫路第三特科連隊駐屯地司令に対しまして、災害派遣を要請する旨の連絡がありました。  また、海上自衛隊につきましては、十七日当日午後七時五十分、電話により、兵庫県知事から呉地方総監に対しまして、災害復旧のための人員の派遣等災害派遣を要請する旨の連絡がありました。  航空自衛隊につきましては、翌十八日午後九時、兵庫県庁に派遣された航空自衛隊連絡調整員を通じまして、兵庫県知事より中部航空方面隊司令官に対し、航空輸送支援を内容とする災害派遣を要請する旨の連絡があったのであります。  以上です。
  154. 山口那津男

    山口(那)委員 それぞれの要請がかなり間隔を置いてばらばらになされているということなんですね、実際に。この要請の方法というのは文書が原則でありますけれども、口頭等でもいいということであって、電話その他でもいいことになっていますから、これは簡易な方法でやれたのだろうと思いますが、実際の要請がかなりまちまちであり、間隔を置いている。航空自衛隊の要請に至っては翌日の夜、午後九時ということですから、相当後になってからだということになるわけですね。  しかし実際には、自衛隊の活動というのは当初からかなり活発に行われてきているわけであります。例えば、十時の要請前であっても、伊丹の駅に第三六普通科連隊等が派遣されておりますね。この活動、この陸上自衛隊の伊丹に対して派遣された活動というのは、これは何条に基づく活動なんですか。八十三条で災害派遣の規定がありますか、二項では要請に基づく派遣が本文、ただし書きで自主的な派遣、そしてまた三項で近傍派遣と、こういう三つのカテゴリーがあるわけですね。そのいずれに当たるのでしょうか。
  155. 村田直昭

    村田(直)政府委員 発災間近の七時五十八分でございますか、伊丹の駐屯地から四十八名の者が伊丹駅に出ておる、それからその後二百六名の者が西宮に出ておりますが、これらにつきましては八十三条三項の近傍派遣ということで出たものでございます。
  156. 山口那津男

    山口(那)委員 それから、海上自衛隊については、十七日の午前九時四十分に呉港を「ゆら」という輸送艦が出港しております。また、九時五十分には同じく護衛艦の「とかち」が呉港を出発しているわけであります。それからさらに、同日の十四時には「みうら」「さつま」等の輸送艦が横須賀を出港しているわけですね。これらの活動はどういう派遣になるんでしょうか。
  157. 村田直昭

    村田(直)政府委員 これら艦船の活動につきましては、それぞれその総監等から行動災害命令、行災命というものが出ておりまして、呉総監につきましては、阪神基地隊に被害が発生しているということもございまして、それの支援ということで行災命で切っておりまして、行動災害命令として出港したものでございます。
  158. 山口那津男

    山口(那)委員 今の答弁、ちょっとわかりにくかったのですが、いわゆる八十三条いずれかに基づく災害派遣ではないという趣旨ですか。  横須賀から出ているのは、これは所属が違うわけですね。呉であれば、これは阪神基地隊は自分の管内ということでありますけれども、横須賀はそうじゃないわけですね。これらについてもう一度明快にお答えいただきたいと思います。
  159. 村田直昭

    村田(直)政府委員 海上自衛隊の輸送艦、護衛艦等の出港でございますが、これにつきましては、呉総監による般命ということで出ております。  それで、これにつきましては、先ほど言いましたように、阪神基地隊も、自隊の自分の部下のところが被害を受けているということもありまして、当然のことながらその支援ということと、それから災害派遣の準備ということも兼ねて出港をしております。先ほど言いましたように、当日の夜になって海上自衛隊は災害派遣命令を受けておりますけれども、それ以後、神戸港に入港をしておるということであります。
  160. 山口那津男

    山口(那)委員 そうしますと、この海上自衛隊への要請前の活動というのは、いわゆる近傍派遣でもないし自主的な派遣でもなくて、これはその準備のための行動である、あるいは自衛隊内の通常の、他の部隊の支援のための活動である、こういうことで伺ってよろしいでしょうか。
  161. 村田直昭

    村田(直)政府委員 般命を出して、そのような行動をしたということでございます。
  162. 山口那津男

    山口(那)委員 次に、航空自衛隊の行動ですが、これにつきましては、十七日当日、十七時三十八分、午後五時三十八分に警視庁等のレスキュー隊をC1二機あるいはC130三機等で運ぶということが行われておりますし、またそれに先立って十四時十二分には、C130によって陸上自衛隊の災害派遣資材を載せて入間を離陸しておるという活動があるわけですね。さらには、翌日十八日には、十二時三十三分に航空自衛隊の春日ヘリ空輸隊が大型ヘリコプター二機で、パンその他糧食等を運んでいる、こういう活動が始まっているわけであります。  これらは、航空自衛隊への要請前の行動なんでありますが、これはどういう、災害派遣の一つでしょうか、それともその他の活動でしょうか。
  163. 村田直昭

    村田(直)政府委員 先生が挙げられましたのは三つでございますか、C1による政府調査団の輸送ということが一つございますけれども……(山口(郡)委員「それは聞いていません」と呼ぶ)これは国賓等の輸送ということでございます。  それから、陸上自衛隊の災害関連物資輸送というのを十六時十二分に行っていますが、これは陸上自衛隊に対する支援ということで、部隊内では当然行われることでございます。  それから、警視庁のレスキュー部隊の隊員及び車両を十七時三十八分に輸送しておりますが、これは官庁間協力ということに基づいて行っております。
  164. 山口那津男

    山口(那)委員 そうしますと、整理しますと、要請前のさまざまな各自衛隊の行動は、伊丹の駅へ陸上自衛隊が派遣されたのが近傍派遣に当たる、それ以外は災害派遣ではないということになって、要請後初めて災害派遣として出て行った、要請に基づく派遣として出て行った、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  165. 村田直昭

    村田(直)政府委員 陸上自衛隊の災害派遣要請がございます時点で、海空自衛隊も当然のことながらそれぞれ態勢をとっております。海上自衛隊は、先ほど言いましたように、災害派遣を念頭に置きつつ艦艇を出しておるということです。ただし、災害派遣の要請を受けておりませんので、念頭に置きつつ出ておるということ。  それから、航空自衛隊もそれぞれの基地、特に小牧に救難機と輸送機というようなものを、やはり災害派遣がいつ要請があってもできるように対応をとっておるということでございまして、その災害派遣の要請が出たから、行なったのは事実災害派遣でございますけれども態勢としては当初から陸海空とも、陸上自衛隊は六時に非常呼集をかけておりますし、そのような態勢をとっておったということでございます。
  166. 山口那津男

    山口(那)委員 今確認的にいろいろお伺いしたのは、自衛隊としては、やはり要請という手続を慎重にとらえて、その要請が出たら直ちに実質的な災害派遣活動ができるように、事前の準備は早目早目に整えていったけれども、しかし自主的な派遣ということにはしないで、あくまで要請という手続をきちんと踏まえて出るようにしていった、こういうふうに見られるわけであります。  これが、根拠条文がどれに当てはまるかということそれ自体は私は余り重要な問題ではないのかもしれないと思っておるわけですけれども、実際、これらの派遣で、派遣の仕方によっていろいろな違いが出てくるのかどうかというところを念のため確認をしたいと思うのです。近傍派遣というものと、それから二項ただし書きの自主派遣という二つのものの違いというのはどこにあるでしょうか。
  167. 村田直昭

    村田(直)政府委員 自衛隊法の八十三条二項ただし書きによるいわゆる自主派遣でございますけれども、これは条文どおりですが、都道府県知事等の要請による災害派遣という原則に対して、これは本文でございますが、例外的に、事態に照らし特に緊急を要し、要請を待ついとまがないと認められるとき、長官またはその指定する者、これは長官以下駐屯地司令まで各種の方がおられるわけでございますが、その長官またはその指定する者は、事態やむを得ないと認める場合に、天災地変その他の災害に部隊等を派遣することができるということです。  これに対しまして、御指摘の三項による近傍派遣というのは、そういう長官またはその指定する者ではなくて、当該駐屯地の特に駐屯地司令とも限定せず、部隊等の長、部隊または機関の長でございますが、その部隊等の長が、庁舎、営舎その他の防衛庁の施設またはこれらの近傍に火災その他の災害が発生した場合にその部隊等を派遣できるということで、非常に簡易な規定になっておるわけでございます。  派遣時の権限につきましては、いわゆる自主派遣の場合には、自衛隊法の第九十四条によりまして、これは要請による派遣、すなわち八十三条二項本文の派遣と同じように、警察官職務執行法や海上保安庁法の一部の規定が準用されておりますが、近傍派遣の場合には、いわゆる軽易な派遣ということもありまして、こうした規定の準用がないということは、法的な権限に基づいて今言ったような制止でありますとか立ち入りでありますとか、そういうようなことを行うことになっておらないということであります。
  168. 山口那津男

    山口(那)委員 そうしますと、近傍派遣はそういう権限等について一定の制約がある。それから活動の地理的な範囲といいますか領域についてもある程度の制約があるというふうに考えられますので、本格的な今回のような震災に対する活動を展開するためには近傍派遣ではもちろん限界があったのではないか、こう思われるわけですが、しかし実際に出した場合に、警察官職務執行法の準用を除いて、その点を除いて、いわゆる救護活動その他の救援活動の内容とかそれから派遣の規模、部隊の投入量、このようなものについて、要請に基づく派遣、自主派遣、近傍派遣それぞれで違いが出るものでしょうか。
  169. 村田直昭

    村田(直)政府委員 ただいま申し上げましたように、要するに八十三条二項による要請による派遣、これが大原則でございます。もともとそういう地域の実情に精通し、そして一次的に災害救助といいますか災害対策というものの責任を持っておる地方自治体というものの要請に基づいて派遣をする、これが大原則でございまして、それが本文でございます。そして、その例外的な措置として、そういうことが非常に難しいというような場合に例外的に自主派遣ということが決められておる。  それから、今御説明した近傍派遣というのが三項にあるわけでございますが、先生おっしゃられるように、三項の派遣というのはあくまである駐屯地というものを前提にして、しかもそこの、駐屯地司令ということではなくて部隊の長ということでございますから、あくまで規模的にも非常に限られてくるということ。それから行動する範囲についても、あくまで近傍ということがかぶさってくるわけです。  それから例えば、例を挙げますと、火災なんかが近傍で発生したという場合、駐屯地に消防車がある場合もあれば、ない場合もございますが、消火に出向くというようなこともございます。そういう範囲でいえば、持ってくる機材等も限られるわけでございますから、規模的には小さいということが言えるかと思います。  ただ、要請による派遣と自主派遣ということにつきましては、特に法的には、規模の問題を法的にこちらが大きいとかこちらが小さいというような書き分けはしておりません。しかし、これはそのときの事態、様相に応じて自衛隊としての投じ得る能力を最大限に発揮して応じていくということで、先ほど言いましたように、量的な規定というものは定められておらないということでございます。
  170. 山口那津男

    山口(那)委員 それから、要請が陸海空それぞれになされているわけでありますが、これは各、別になされなければ、例えば陸に要請が来た場合には海空は動けないということになるのか、それとも要請の中身によって、その要請を受け取ったところは仮に陸上自衛隊であったとしても、空も海もその要請の内容によって動けるようになるのか、この理解の仕方はどういうふうに考えたらいいのでしょうか。
  171. 村田直昭

    村田(直)政府委員 今の、要するに要請の関係でございますけれども、都道府県知事等からの部隊等の派遣の要請は、必ずしも陸上、海上または航空自衛隊それぞれに対してなされなければならないというわけではございませんで、要請を受けた者は、要請の内容及びみずから収集した情報に基づいて部隊等の派遣の必要の有無を判断しまして、単独でまたは他の指定部隊等の長と協力して部隊等を派遣する等適切な措置を講じることができるというふうに内部の訓令で定めておるところでございます。
  172. 山口那津男

    山口(那)委員 最初の陸上自衛隊に要請があったときの要請の内容について、さっき余り足かな答弁ではなかったように思うのですが、ここでは、陸上自衛隊にのみ、あるいは姫路駐屯地にのみ出てくださいという要請があったのですか。  一応、要請の場合にはどの程度の規模とか何をとかという目的を定めることにはなっているようでありますが、しかし、余りここは実際の災害に際して厳格に解釈すべきものではなくて、もっと柔軟、包括的な要請の内容であってもいいのだろうと私は思うわけですね。しかも、口頭でもいいわけですね。ですから、この最初の要請のときに具体的な内容がどうだったのか。私は、混乱の中でありますからかなり包括的な内容であったのではないかと推測するのでありますけれども、実際どうだったのですか。
  173. 村田直昭

    村田(直)政府委員 最初の要請でございますけれども、これは、実際には、先ほど大臣から御答弁しましたように、第三特科連隊長に対して知事の方からあったわけでございますけれども、これは電話による要請でございまして、包括的な要請でございます。  実際の文書処理としましては、その後方面総監にも出ておりますし、当然その第三特科連隊長はそのような被害の状況等も判断して方面にも上げておりますので、当初は第三師団が中心となる。その後さらに広島の海田市、名古屋の守山というところから逐次中部方面隊の、それから四国の第二混成団、善通寺でございますけれども、そこから投入したということでございます。
  174. 山口那津男

    山口(那)委員 今までその制度の内容をいろいろと吟味してまいりましたけれども、今要請の内容がかなり包括的なものであったということでありますから、実際の救援活動の効果を上げるためには、もうこの時点で陸海空含めて派遣の要請があったというふうに理解をして全体的な派遣の態勢をとれなかったものかどうか、この辺が非常に気にかかるところなんですね。  防衛庁長官が記者会見等でお話しになっている報道を見ますと、要請が遅かった、そしてまた、自治体側にこの災害派遣に対する自衛隊の能力についての知識が乏しくて、何をどう要請していいのかわからない様子だったというコメントがあったように思うのですね。ですから、自主派遣ができるとはいっても、自衛隊が勝手に出ていっても、現場との連絡体制や受け入れ態勢が確立されていなければこれは意味をなさないわけでありますから、自治体側との緊密な連携を前提にして要請を受けてやるというのが筋ではあるのですけれども、しかし、要請をする能力すら十分ではなかったというふうにも推測されるわけですね。この辺について、長官はどういうふうに認識されておられますか。
  175. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 各種災害におきまして、自衛隊に要請をされたケースをいろいろと見てまいりますと、北海道の場合におきましては、奥尻島の事件でありますが、発災しましてから十八分後に北海道の知事からあるわけでございます。したがいまして、知事の要請ということになっておるわけでありますから、寸秒を急ぐということになってまいりますと、できるだけ早く要請していただくということが、やはり危機管理として一番大事ではないか。  そういう観点からいいますならば、今回の場合におきましては、その前に八戸の地震の場合もあったわけでございますが、こういう場合におきましてもかなり早い時間に知事からの要請があるわけです。時間はちょっとあれですが、もう一時間か三十分以内でございます。そういうケースと比べてみますと、たとえ県庁にたどり着くのが時間があったとしましても、県知事さんが要請者でありますから、電話でこれは連絡をとり得たのではないか、こういう点を申し上げておるわけでございます。
  176. 山口那津男

    山口(那)委員 中部方面隊から連絡員が自治体側に赴いて要請を促した、かなりもうこれは早い段階で要請を促しているんじゃないんですか。にもかかわらず、自治体側としてその段取りがとれなくて、実際のその体制をしくのはもう十七日の夕方近くになってしまったと、このように記者会見で長官お述べになっているんじゃないんですか。(玉沢国務大臣「何ですか」と呼ぶ)聞いていませんでしたか。  連絡員を中部方面隊、自衛隊側から自治体に出して、そして要請を早く出しなさいと、こう促したんだろうと思うんですね。にもかかわらず、自治体側が受け入れ態勢が整わない、災害救援活動で自衛隊をどう使ったらいいかその知識が足りないということで、自治体側と連携を組んで、派遣後、活動態勢に入れるまでの態勢をなかなかつくれなくて、それがやっと整ったのが十七日当日の夕方ごろであったと、こういうことをあなたは記者会見でお話しになっていませんか。
  177. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 記者会見等については後で調べてから申し上げますが、まず、我が方とそれから兵庫県との間におきましては、確かに県の段階におきましては、地震が起きた場合の、災害が起きた場合の対応については打ち合わせがあるわけでございます。つまり、陸上自衛隊が連絡をとり合うのは姫路にある特科連隊と、それから海上の場合におきましては阪神基地隊の警備隊と、それからさらに航空に対しましては陸上自衛隊の第三師団が連絡をとる、こういうようなマニュアルまで全部できておるわけでございます。それらを県の当局が知っていたか知らないかはわかりませんけれども、かなりのおくれがあったということは指摘せざるを得ないと思います。
  178. 山口那津男

    山口(那)委員 朝雲という新聞があるんですが、これの報道によりますと、玉沢長官は、十八日の記者会見で、これまで神戸市は防災訓練を自衛隊抜きで実施してきたことを挙げて、大臣のお言葉としてですよ、市当局が自衛隊の災害派遣活動について知識がなく、我が方の師団の幕僚が行って話し合いの末、夕刻に方針が決まったと、このように、日ごろから連絡がなかったことが初動態勢に影響したとの見方を述べた、こういうふうに報道されているわけですよ。  これは結局、自衛隊が早く出ようとしても、やはり現場のニーズとかいうことを早く吸い上げてどう効果的に動かすかという態勢ができなきゃ、自主派遣ができますよと制度だけ言っても仕方がないことなんですね。また、要請を促したとしても、これもまた実際に行って活動できなければ、これはどうしようもないわけですね。  ですから、要請による派遣か自主派遣かということよりも、どうやったらこの初動時に効果的に対応できる態勢を日ごろからつくっておくかということがやはり最も大事なことなはずですね。これが、残念ながら神戸市や兵庫県の場合にはそういう態勢が整っていなかった。しかし、日ごろそういう連携の密になっている北海道あるいはその他の場合には、非常に早い段階で要請が出てスムーズにいったと、こういう実情を長官は挙げられたわけですね。  そこで、考えてみますのに、もう少し要請の内容を、自衛隊の側の方からもっと独自にニーズを吸い上げて、独自に自衛隊側から自治体へ発信をして、そしてみずからその派遣を早める、こういうこともあっていいだろうと私は思うわけですね。ところが、原則が要請である、自主派遣というのは第二次的である、例外である、そういう制度の立て方になっているわけですよ。  だから、ここにもっと運用面での工夫の余地はないかと思うわけです。制度は制度でまた考え直さなきゃいけないわけですが、この自主派遣のできる場合を、要請がなくかつ緊急やむを得ない場合ということではなくて、もっと具体的に客観的な要件に変えられないかどうか。  例えば、二つ以上の自治体にまたがる一定規模の災害とか、あるいは地震の場合ですと、震度幾つ以上あるいはマグニチュード幾つ以上とか、そういうだれにでもわかる客観的な条件があれば、これは自衛隊が直ちに派遣の態勢を整えていち早く出る、そういうことを試みることがあってしかるべきだと私は思うわけですが、この点についてどうお考えでしょうか。
  179. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 緊急対処でございますから、一番いいのは、ばらばらに動くのではなくして、ふだんから訓練をしておりまして、その訓練に基づいて危機対処するということが一番大事じゃないかと思うんです。  今申し上げられましたように、姫路の方からは七時半に連絡要員が出発しております。マニュアルでは、県庁に参りましてお互いにそこで相談をしながら行うということになっているわけでありますが、六十キロぐらいありますから、行く途中に時間がかかってなかなか連絡がとれない。そこで、八時十分にこの第三特科連隊の方から連絡したのでありますが、県当局の方におきましては、まだ災害状況がわからないので何とも言えない、こういうような趣旨であった、こう思うわけでございます。  したがいまして、一番いいのは、日ごろからの訓練を十分行い連絡をとっておくということが一番大事じゃないか、そういうふうに思いますし、県当局もそのようなマニュアルはあるわけでございますけれども、その場合におきまして、自衛隊に対する発動ということがちょっとおくれたということは、私は残念だと思います。
  180. 山口那津男

    山口(那)委員 今、自主派遣の運用の基準をもっと客観的な、機械的なものにできないかというふうに尋ねたわけですが、余り明快な答弁はなかったようでありますけれども、また後で聞きます。  それで、この自衛隊を含めた防災の訓練、共同訓練というものが、現時点で全国の自治体で実際どう行われているか。自衛隊を含めて行われている自治体の現状について、都道府県と政令指定都市それぞれについてお答えいただきたいと思います。
  181. 野中広務

    野中国務大臣 委員御承知のとおりに、毎年九月一日を防災の日と定めまして、それぞれ全国で防災訓練が行われておるところでございます。  昨年中に行いました防災訓練では、ほとんどの都道府県において自衛隊との合同訓練が行われておりまして、また、一部の政令市を除いて単独訓練、または都道府県との合同訓練を通じて自衛隊の参加が行われておるところでございます。
  182. 山口那津男

    山口(那)委員 具体的な自治体の名前は結構ですけれども、数字を示してください。全国の自治体の数で、自衛隊参加のないところ。
  183. 野中広務

    野中国務大臣 隔年行われているところが一府県ありまして、その他、昨年防災訓練を行ってないところが七府県でございます。  なお、政令市は、一政令市がやっていないだけでありまして、神戸市は区で実施をしております。
  184. 山口那津男

    山口(那)委員 いずれにしても、全国的にまだ加えてやっていないというところが複数以上あるわけですから、この点はやはり今後の反省点の一つだと思うんですね。この共同訓練というのは、防災の日だけ一日やればいいというものではないと思いますね。しかも、自衛隊が参加しているとはいっても、この参加の仕方はさまざまでありまして、自衛隊の持っている災害の救援体制をかなり大規模に出しているところもあるし、人員や簡単な車両がちょっと出ただけとか、航空機も出してないとか、そういうところもあるわけで、さまざまなんです。  そしてまた、一年間でたった一日ぐらいではこれは本当の訓練にはならないし、実際の災害のときに効果を発揮するということも到底期待できないだろうと思うんですね。ですから、ここの共同訓練というものをもっと充実させなければいけない、もっと制度化して、法的に義務づけるようなことまで私は考えていかないといけないのではないかと思うんです。この点についてどうお考えでしょうか。
  185. 野中広務

    野中国務大臣 災害基本法におきましては、地域の防災計画におきまして重点を置くべき事項の一つといたしまして、最初に自衛隊の災害派遣の効率化に関する事項を挙げておるわけでございます。また、それぞれの地域におきます地域防災計画の作成を行う都道府県の防災会議委員には必ず陸上自衛隊の方面総監、またはその指名する部隊の長が充てられることに全部なっておるわけでございます。  したがって、地域の防災計画上、救援活動につきましては十分に自衛隊との調整が図られておるところでございますけれども、また先ほど申し上げましたように、九月一日の防災の日の自衛隊の参加も総合訓練として行われておるところでございますけれども、実際の、先般のような震災になりましたら、その演習と実際との間に運用の適正化を欠くところがあったということは私どもも残念に思うわけでございまして、平素からなお意思の疎通を図りますとともに、今後とも自衛隊との合同訓練につきまして、地域の防災計画の的確な運用というものをもう」度心がけ、そして各都道府県にあるいは政令都市に指導してまいりたいと考えております。
  186. 山口那津男

    山口(那)委員 今までも制度がありながら全然生かされていない、絵にかいたもちになっている、ただペーパーで計画を立てました、資料をつけました、こういう実態だったんでしょう。しかも、共同訓練に参加しているといったって、簡単な、実効性の上がらないような訓練じゃしょうがないんですよ。ですから、もっと本格的な体制をこれは検討しなきゃだめですよ。それは共同訓練だけではありませんで、ほかの整備すべき点もありますから、あわせて制度化については吟味していかなければならないと思うんですが、そこで、情報の大切さということをやはり考えなきゃいけないと思うんですね。  冒頭で自衛隊の、つまり国の行政機関で初めて空中からつかんだ大切な情報が中央に全然流れていないということでした。いち早く情報をつかむためには、いろんな方法が考えられるとは思うんですが、一つ、災害対策基本法の中に指定公共機関というのがありますね。その中には日本放送協会も挙げられているのではないかと思うんですが、NHKのテレビニュースはもう早くから映像を流しておって、総理もそれをごらんになったということですね。ですから、そのもとになるような情報というものが、災害対策目的のためにもっと早く行政側に入手できないのかどうか、この点についてはどうですか。
  187. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 山口委員御指摘の今の点が、今度の反省におけるやはり非常なポイントであろう、こういうぐあいに思うんです。  NHK等の放送も早くにあったわけでありますが、御承知のように、震度六であるとかそういう報道は早うございましたけれども、いわゆる地震の規模としてはなかなか、即時それを報道するというような状況にはならないわけですね。しかし、今度の反省の中でやはり大事なのは実はその点でございまして、今山口委員が、特に、自衛隊機で写した写真の映像をいち早く伝えることが、規模をある程度掌握する上でやはり重要ではなかったかという御指摘は、私は全くそのとおりであろう、こういうぐあいに思うんです。  実は、御案内のように今、FEMAのウィット長官が来ておりまして、きのうも私もいろいろお話を聞いたのでありますが、FEMAの場合の災害規模確認のための情報のとり方といたしましては、こういうぐあいにお話ししておりました。  一つは、まず州や地方の緊急マネジャー、それぞれ配置しているところから入ってくる、これは通常のことだろうと思いますが三番目には衛星で、これは気象庁だとかあるいはNASAによる測量の状況というものを直ちに知らせてくる。  それからもう一点は、コンピューターシステムによる把握で、そこの場合の地質だとか、あるいは建物など構造物だとか、あるいはそこに住んでいる人であるとか、こういう情報を先にインプットしてありまして、地震が発生した、そうすると、その地震の規模はどのくらいで震源地がどうであるというようなことをそこに入力しますと、大体推定被害がすぐ出てくる、こういうシステムがあるんですね。これを各地域でやっているとすれば、もちろんこれは大ざっぱな把握しかできませんけれども、一応の基礎的なデータは出てくるわけです。  これと、それからやはり上空から写した映像が入ってくるとか、さまざまな情報というものを総合して、そこで一分も早く、大体どのくらいの規模だというのが必要だと思うんです。やはり震度六ということだけではなかなか、この間の三陸はるか沖も震度六であったわけでありますが、より詳細に確実に地震の規模というものをつかむということを我々はどういうシステムでやるかということをぜひこの機会にしっかりつくってみたい、こういうぐあいに思っています。
  188. 山口那津男

    山口(那)委員 今官房長官から、FEMAの例も挙げながら詳細にお答えいただきましたけれども政府が自前でそういう情報を収集、組織、機材を整えるということ以外に、今私が聞いたのは、NHKのような指定公共機関に当たるものからの情報入手、情報提供がなされないのかというところなんですね。これはどうなんですか。
  189. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 今のシステムではNHKから、通常の放映等を通じてというのではなくて、別な情報が私どもの防災組織のところにストレートで入ってくるという状況にはなっていないというふうに思いますが、御指摘は受けとめて検討したいと思います。
  190. 山口那津男

    山口(那)委員 これは公共の報道機関でありますから、その情報の扱いは慎重にしなければいけないのが大原則だと思いますよ。しかし、政府の情報を国民に送るという使い方だけではなくて、これはやはり国も財政的にかかわりのある公共機関でありますから、ここから得た情報が政府の方に入ってくるという面でも、報道の自由等の関係を考慮した上で、何らかのもっと効果的な制度というものを考えていいのではないかと私は思うのですね。ちょっと研究してみていただきたいと思います。  そこで、こういう大規模な災害になりますと、自治体レベルで情報を収集して、それを中央に届けろといってもやはり無理があるわけでありまして、ここは最も効果的にやれそうなのは自衛隊であろうなと私は思うわけですね。  防衛庁長官はさっき、一台だけ伝送の機材がある、これは当日たまたま東京にあって現地にはなかった、こういうお話でしたね。ですから、こういったものをもっと全国的に一定規模で整えてやる。例えば、各陸上自衛隊の方面隊ごとにヘリコプターに搭載して直ちに使える、こういうことをやはり整えていく必要があると思うのですね。この点についてどうお考えでしょうか。
  191. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 七年度の予算でもう一基要求をいたしておるところでございます。これはやはり、できるだけ情報を早く伝達をして対応するという点におきまして極めて重要である、御指摘のとおりでございます。  それから同時に、やはり地方自治体におきましてもヘリコプターその他を持っておるわけでございますので、そういう点での活用の仕方もやはり検証してみる必要があるのではないか。我が方は七時過ぎにはもう立っておるわけでございますが、神戸市にも兵庫県にもヘリコプターがあるわけでございますから、そういうようなものの活用がどうであったかということも含めてやはり検討する必要があるのではないか、このように思います。
  192. 山口那津男

    山口(那)委員 自治体は財政的な限界というのもありますから、これが広域にわたる災害の場合の情報の収集、伝達ということについては、私は国の機関である自衛隊の方がふさわしいだろうということでさっき申し上げたわけですね。そしてまた、自衛隊のとった情報というのが自治体へも還元され、さらに中央の政府にも伝達される、こういう体制を整えることが一番妥当だろうと思うのですね。  それで、ヘリコプターが今回どの程度活用できたかということなんですが、消防用のヘリコプター、これは全国の自治体が、消防当局と、それから防災ということで都道府県が持っているものと両方あると思うのですが、この全体の数と、それから、今度の震災に対してそれを全国からどういう形で集めて何に使ったか、どのように使ったかということについて、まとめて御答弁いただきたいと思います。
  193. 野中広務

    野中国務大臣 今回の震災に対しましては、消防庁はあらかじめ、事前に大都市及び都道府県の消防本部に対しましてヘリコプターの出動要請を、準備をお願いしておりまして、兵庫県知事から消防組織法の二十四条の三に基づきまして要請を消防庁長官が受けますなり、直ちに出動要請をいたしたところでございます。  これによりまして、全国に配備された三十五機の消防・防災ヘリコプターのうち、地元の三機を合わせまして、連日十三機から十八機がこれに参加をいたしまして、救急、さらに食料、物資、医師、看護婦等の搬送を行い、また初期におきましては特に救急患者の搬送にも努力をしたところでございます。百七十四団体、延べ百八十機が参加をして、今日まで連日、今申し上げましたように十三機から十八機が運航しておる次第でございます。
  194. 山口那津男

    山口(那)委員 自治体の持っている消防・防災のヘリコプターというのは、全国でも三十五機しかないのですね。決して多い数字ではないと私は思います。しかも個々の自治体から見れば、東京が六機持っている以外はせいぜい一機か二機なんですね。ですから、定期点検ですとか故障の修理とかいうことも考えますと、常続的に運航できるという体制には単独の自治体ではなっていないということであります。  今度のような震災の場合、全国から十六機集めてきたというのは大変な御努力だったろうとは思うのですけれども、ここで、この自治体のヘリの運用について、大災害が起きた場合に全国からこれを集める体制、それから、日常の業務として隣接の自治体同士でこれを広域的に使う体制と、これは二つ分けてこの運用の方法というものをあらかじめ決めておく。そして、例えば自治省の消防庁なりが全体をコントロール、コーディネートできる、こういう体制というものをつくっておくことが必要ではないかと思うのですが、現にできているのか、それともこれからつくろうとするのかどうか、これについてお答えいただきたいと思います。
  195. 滝実

    ○滝政府委員 基本的には、今回の災害発生と同時に、私どもは個々のヘリコプター所有の消防局にヘリの舞い上がれる状況、こういうことを事前から相当時間をかけて、問い合わせながら準備をしていただいたというのが今回の初動の実態でございます。  今後の問題といたしましては、やはり今回の経験にかんがみまして、その辺のところはあらかじめのマニュアルをもう少し組み直すという必要が当然あるものと私どもは考えております。
  196. 山口那津男

    山口(那)委員 ぜひ提案を生かして制度化していただきたいと思います。  そこで、この震災に対する火災がなかなか初期消火できなかった、それで被害が拡大してしまったという残念な事態があったわけですが、この消火活動にヘリを使えなかったのかどうかと、一般市民の常識的な判断があるわけですね。しかし、これには技術的にはいろいろな問題点があるのだろうと思うのです。ヘリによる消火について、特に都市部の建物の火災に対して、山林や何かの火災は別にしまして、建物、都市部の火災に対するヘリの消火活動というのができるのかどうか、この点について確認いたします。
  197. 野中広務

    野中国務大臣 委員が御指摘のとおりに、今回の震災に伴いまして、燃え盛る映像を見た多くの市民の皆さん方から、どうしてヘリコプターから消火活動ができないんだという抗議も随分私どももいただいたところでございます。これはもちろん、ヘリコプターを消火活動にどう実施するかどうかは、当該の現地消防本部が判断を行うものでございますけれども、御承知のように、今回の火災は都市型の密集地域での火災でありますために、相当上空から散水をせざるを得ないということになるわけでございますが、上空から散水いたしましても、屋根等の構造物に遮られて有効な水がかからない、消火活動に十分な効力を発揮することができない。  私ども承知をいたしております範囲では、木造家屋でございますが、一軒の家屋を消火さすためには、ホース一本一分間で一トンの水が出るそう。でございます。そうして一軒を消火するためには二十分間、二十トンの水が要ると言われておるわけでございます。  一方、消防用のヘリコプターが一回に搬送できる水の量は〇・五トンでございます。したがいまして、相当大火災にヘリを利用するとしますと、大型のヘリが相当数集中しなければならないという危険度も持っておるわけでございます。また、もう御承知だと思いますが、低空飛行によりまして散布をいたしました場合は、ホバリングの際の発生する下方向の風によりましてかえって火勢を強める、そういう危険性、及び水の塊の衝撃によりまして、下に救助を必要とする人がおります場合はかえってその人に危険を与える懸念があるといったこと、あるいは煙がエンジンに入りました場合はエンジントラブルを起こして二次災害を起こす、こういったような諸般の状況があることを判断をした上で、今回はヘリコプターによる空中消火は行わなかったのであろうと考えておる次第でございます。
  198. 山口那津男

    山口(那)委員 東京で実施されている防災訓練の折には、ヘリから水を落とすというのが必ず出てくるのですね。ですから、あれを見ている人は、ああ、こうやって建物の火災も消せるんだなと思いやすいものなんです。  ところが、今の御答弁ですと、これはもう一般的にかなり困難である、技術的に困難であると。例えば火災の場合、上に上昇する熱気というのがありますし、それからホバリングで下へ新鮮な空気を送り込む、それから水の供給というものが短期間に追いつかない、こういう技術的な理由によってこれは一般論としてかなり困難だなという感じがするわけですね。  じゃ、およそ空中消火というのはできないのかということでありますが、これについては固定翼を使うという方法が考えられないかというのはかねて消防関係者から私も聞いてきたところであります。固定翼であれば、これはうまく落とせば上昇の熱気に邪魔されるということも少ないでありましょうし、下に空気を落とすということも少ないかもしれませんね。ですから、水の量さえ短期間に集中できればこれは効果を発揮しそうだな、こう思うわけであります。  そして、ある新聞報道によりますと、US1という自衛隊で使っている救難の飛行艇があるのですね。この飛行艇は大変大活躍しておる。そして、固定翼の中ではかなり遅い速度でも滞空しながら飛んでいける。そして、着水あるいは、何というのですか、水から飛び上がる、これがさほど時間をかけず、距離も置かずできるということなんですね。これはかって消火の実験をしたことがあるそうでして、一応所期の成功をおさめた、こういうデータもあるようであります。  ちなみに水の量は、これは一回で十五トンぐらいの貯水タンクをこの航空機に積めるということなわけです。飛行艇ではありますけれども、もちろん陸上にも着陸できる、非常に使い勝手のいい飛行機のように思うわけですね。これを活用するということは、かつて消防庁ではお考えにならなかったのでしょうか。
  199. 野中広務

    野中国務大臣 御指摘の飛行艇による火災の消火につきましては、消防研究所におきまして昭和四十九年から五十三年度までの間、実験研究が行われたと承知をいたしております。ある程度の延焼は抑止をされますものの、延焼阻止に至るまでの効果は残念ながら確認をされていないところでございます。したがいまして、飛行艇が市街地火災に有効であるかどうか、なお検討を要するわけでございます。  今私の承知いたしております範囲では、そのときの飛行艇は六トンの水を積むと言われておるわけでございますが、ヘリコプターと同様、山林の火災は火が燃え盛る周辺を、薬をまくなりあるいは水をまくなりして広がるのを防ぐわけでございますけれども、住家、特に密集地帯の上空からの災害防止というのは、飛行艇にいたしましても、相当数消火用の飛行艇を保有管理しておく必要があるわけでございまして、そういう点につきまして今日まで導入に慎重を期してきたという経過があるわけでございます。  今後、御指摘もございますが、私どもも多方面にわたってなお研究をしてまいりたいと存じております。
  200. 山口那津男

    山口(那)委員 今の消防の仕組みですと、これは自治体が中心に機材を整備するということなんですね。ですから、自治体の財政力等を考えますと、こういう飛行艇を保有して維持管理するというのはなかなか、用途も限られてくるでしょうし、財政面でも厳しいだろうと思うのですね。  ですから、これは消防組織というところで考えるとそういう制約もあったのだろうと思うのですが、しかし、これは自衛隊で現に持っているわけであります。七機から八機持っているわけですね。これは改造すればこういう消火用に転用することも可能だろう、こう思うわけですね。それなりの訓練をすればこれも一定の効果を上げることはできるだろう。少なくともヘリよりはもっと効果が高いということが言えるわけです。  ただ、さっき御指摘ありましたように、都市部の火災で今回の地震のようなことが起きますと、この落とした水圧で犠牲者が出るということだってあるわけですから、財産の破壊ということもあるわけですから、この使い方については、これはもっと研究をしなければいけないと思いますよ。ただ、漫然と燃やして命や財産が失われるのだったら、被害があったとしても、この飛行艇による消火ということも選択するというぎりぎりの判断だってあるわけですね。  ですから私は、これを自治体でというのではなくて、自衛隊の持っている飛行艇を活用する、あるいはもっと強化するという形でこれを消火活動にも使える、こういう整備をすべきであると思うのですが、いかがでしょうか。
  201. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 委員も御承知だと思いますが、自衛隊が出動して消火活動に当たる場合におきましては、あくまでも地方自治体の要請がなければならぬ、御承知だと思います。  今回の場合におきましては、やはり我が方からもヘリコプターによる消火等が必要であるかどうかという問い合わせをいたしたわけでありますが、その必要なしと、こういうことでございましたから、出動しなかった、こういう経緯もあります。  また同時に、飛行艇による場合におきましても、やはりよく研究しておかなければならぬのは、火災が起こっているところにだけ集中的にうまく水が落ちればいいわけでありますが、ちょっと風向き等が違うと、周辺の方に、一般のまだ被災されてないところに落ちていくということもあるわけでありますから、これはよほどやはり研究しなければいかぬだろう、こう思うわけでございます。  それから、先ほど私、八戸のことで、災害が発生してからすぐ対応したということでございますが、これはちょっと訂正をいたしておきます。県知事からの要請がありましたのは発災をいたしましてから時間がたっておりますが、これは給水支援が行われた、こういうことでございますので、訂正しておきます。
  202. 山口那津男

    山口(那)委員 水がどこに落ちるかというのは、これは教育訓練、技術レベルの問題でありまして、体制としてそういう考え方が効率的であり、かつ妥当性もあるのじゃないかと私は申し上げているわけで、ぜひこれは研究していただきたいと思うのですね。地震担当大臣、いかがですか。
  203. 小里貞利

    ○小里国務大臣 具体的にいろいろお聞かせいただいておるところでございますが、有力な材料の提案の一つとして拝聴をさせていただきました。
  204. 山口那津男

    山口(那)委員 ぜひ生かしていただきたいと思います。  さて、ヘリはいろいろな用途に使えるわけでありますけれども、今回、現地ヘリのおりられる場所というのがなかなか十分に確保できなかったのではないかというふうに思うのですね。自衛隊は大中小いろいろなタイプのヘリを大量に持っております。物資を王子競技場に集積をして、そこから各避難所等に小分けをしていったという活動の中で、消防やあるいは警察等各種機関のヘリも来ているわけですから、それぞれタイプが異なるわけですね。消防はおおむね小型、中型が多い。警察ですと、より小型が多いというようなことになりますから、こういう大災害の場合はそのタイプに応じたヘリを全体として用途を使い分ける、こういうことがやはり指揮運用できないと効果を発揮しないだろうと思うのですね。しかし、これも日ごろの訓練が大前提でありますから、なかなか簡単にはいかないだろうとは思いますけれども、そういうことをぜひ検討していただきたいと思うのです。  そしてまた、日常的にヘリポートが実際に確保されているのかどうか。災害時に効果を発揮するようなヘリポートが、これは全然不足ではないかと思うのですけれども、いかがですか。
  205. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先生の御指摘は、防災時に使えるヘリポートが少ない、確保せよ、こういった御質問であろうかと思います。  今回の大地震でヘリコプターが活躍したことは周知のとおりであり、特に救援物資輸送など極めて有効であったと思います。発災時のヘリコプターの活用には、ヘリポートとして使用できる場所をあらかじめ確保しておくことが不可欠であり、このたびの防災基本計画の改定の中でも重要な事項として検討してまいりたいと考えております。
  206. 山口那津男

    山口(那)委員 東京あたりでも地域の防災計画等を見ますと、このヘリポートというのが、大体学校の校庭が指定されていることが多いのですね。ところが、ここにおりられるヘリというのは、現状では小型のヘリだけなんですね。しかも、今回の阪神の震災等を見ますと、そういう学校の校庭が避難場所として使われて占拠されていますから、ヘリがおりられないということにもなってしまうわけですね。そういう意味で、物資の供給というものも滞りがちあるいは偏在しがちであったというふうなことがあったのだろうと思うのですね。ですから、ここはよほど力を入れて考えていかないと、何も地上、地面だけとは限らないと思いますね。うまく考えていかないといかぬと思うのですが、この点についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  207. 滝実

    ○滝政府委員 まず、今回の実績だけを申し上げたいと存じます。  神戸市内のあらかじめ予定されましたヘリポートは、大きなところは二カ所でございましたけれども、御承知のとおり一カ所は当初は使い物にならなかった、こういう状況でございます。その結果、急遽市民球場をヘリポートの基地にいたしまして、大量の物資はまず自衛隊の大型ヘリでもってその中継基地へ出し、そこから今度は小型の消防のヘリでもって市民球場なら市民球場へ持っていく、こういうような二段構えの輸送作戦を展開をいたしました。  それから西宮につきましては、たまたま西宮の野球場があったものですから、これをヘリコプター基地として十分活用させていただいた、こういう状況でございます。  したがって、災害の場合には、おっしゃるとおり二重三重の、どこか一カ所が崩れるという前提で、それの複合的な準備というのは必要だと存じますし、今回はそういうものがそれなりに機能したのではないだろうかな、こういうふうな反省をいたしております。
  208. 山口那津男

    山口(那)委員 まあ、机上の計画は余り機能しなかったというのが大事な反省点だろうと思いますので、これはまた再検討していただきたいと思います。  さてそこで、国際緊急援助隊という組織がありますね。これは海外の災害のときに緊急に対応する、こういう制度でありますけれども、いろいろな機関が待機というか準備の態勢を常日ごろしいているわけですね。警察、消防もあるでしょう。自衛隊もあるでしょう。民間のお医者さんや看護婦さんのチームもあるでしょう。その中で、警察、消防は日ごろどういう態勢をとっているのか。そして今回、災害が起こったことによってこれが何らかの影響を受けたのか、何か活動したのかどうか、この点について簡潔にお答えいただきたいと思います。
  209. 野中広務

    野中国務大臣 お答えいたします。  国際緊急援助隊の一部を構成する国際消防救助隊は、現在、四十消防本部、五百一名の救助隊員が登録をされております。毎日百名程度の隊員が待機をいたしまして、緊急事態発生時に、出動要請から二十四時間以内に出発できる態勢を整えておるところでございます。  今回の災害は、各消防本部から広域応援部隊の一員として三百四十九名の国際消防救助隊員が出動をし、現に救助救生活動に当たっておるところでございます。  なお、警察におきましては、やはり都道府県警察の機動隊員の中から四百九十名を指名をいたしまして、それぞれ、これは国際緊急援助隊でございますので、被災国の要請に基づく派遣に備えておるわけでございますけれども、今までは平成五年のマレーシアのビル倒壊等三回出動いたしました実績を持っておるわけでございますが、今回は、地震発生直後から、救助のために直ちに派遣をされました各都道府県警察機動隊五千五百人の中のレスキュー部隊の活動に参加をいたしまして、この国際緊急援助隊の隊員に指名されておる者が中心となって活動を行ったわけでございます。
  210. 山口那津男

    山口(那)委員 警察、消防の場合は、特に国際緊急援助隊として派遣するということをしなくとも、そのために準備されていた要員が本来の出動として十分効果を上げているということだろうと思うのですね。  自衛隊の場合も、医療チームやら給水チームやらいろいろなチームを常日ごろ整えておるだろうと思うのですね。自衛隊の場合は、各方面隊ごとに四半期ごとのローテーションを組んで待機態勢をとっているだろうと思うのですね。この阪神大震災のときは中部方面隊がたまたまローテーションの順番に当たっていたのではないかと思います。この待機態勢が実際にどうなったかについて教えてください。
  211. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 本件にかかわる待機には、広島におります陸上自衛隊中部方面隊の第十三師団がついておりましたが、発災後、災害が起きた後、同師団の一部は給水活動を実施すべく速やかに活動を開始しております。さらに、十九日には、救援活動に全力を挙げる態勢を整えるために、国際緊急援助隊としての待機を解除いたしたところでございます。  なお、海上自衛隊及び航空自衛隊につきましても、同様に待機態勢を解除しているところであります。
  212. 山口那津男

    山口(那)委員 その待機態勢を日ごろとっていることを解除して、そしてその機能、人材を生かす、こういうことで具体的に対応したのは大変結構だと思うのです。  さてそこで、民間のお医者さんや看護婦さんの方々が五百名近く登録をしていらっしゃると思うのですね。こういう方々は、これは緊急援助隊であれば外務大臣の命令で出られるのですが、かといって、ボランティアペースで勝手に出なさいと言われてもなかなかそうもいかない。  そうすると、こういう体制を災害のときにもっと効果的に生かすことはできないか。現在の制度が十分でないとすれば、これを工夫をしてもっと国がバックアップをするという体制のもとで効果的に使うことはできないか、この点について外務大臣、どうお考えですか。
  213. 河野洋平

    河野国務大臣 議員ももうよく御承知のとおり、国際緊急援助隊の中の医師、看護婦の部分については、常設の組織ではなくて、登録をしておいてその都度集まって一朝事あるときには出ていく、こういう仕組みになっているわけでございます。  今お話しのとおり、医師、看護婦その他五百名近い人たちが登録をしておられまして、何かどこかで災害が起これは、そこに連絡をして、行ける人が集まって行く、こういうことになっているわけです。あらかじめ登録をしていていただいているわけですが、こういう登録をしてくださっている方々は、基本的には非常にボランティア精神というものを持っておられる方々だと思います。  そこで、今回の災害につきましては、今議員お話しのように、組織として行くという法的な仕組みになっておりませんので、これを組織としてそこに出すということはいたしませんでしたが、しかし、ボランティア精神に富んでおられる方々が多いという、今私申し上げましたとおり、この登録メンバーのかなりの人たちが個人的に救援に向かっておられたということを私ども承知をいたしております。  外務省としては、この国際緊急援助隊の問題に当たる国際緊急援助室という室を持っておりますが、この国際緊急援助室の室員は、室員自身が洲本の出身で、家は全壊したという被災をされた方でございます。また、兵庫県から出てこられておられる方もおり、この方もある意味被災者でございますが、こうした方々が今回も懸命にこの国際緊急援助室の任務を遂行しておられまして、緊急援助隊が、今申し上げましたように人間はボランティアで個人的に行くわけですが、緊急援助隊が常時備えている機材をどうするかとか、そういった判断がございます。そうした仕事に没頭してくださっておられた。  私は、行ってくださったお医者さん、看護婦さんも非常にボランティア精神に富んだ方だと思いますが、御自身被災をされたにもかかわらずその仕事を懸命に遂行しておられるこの担当者にも、私は大変敬意を表しているところでございます。
  214. 山口那津男

    山口(那)委員 敬意を表したついでに、これは短時間で組織化して海外へ送り出すということができるわけですから、これをぜひ、国内で使っちゃいけないなんということはないわけでして、その志高いところ、それからまた即応性のあるところをもっと十分に生かすためには、やはり制度としてしっかりさせるということをもっと前向きに検討した方がいいんじゃないんでしょうか。この辺の御決意、いかがですか。総理大臣、どうですか。
  215. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今外務大臣から答弁もございましたように、私もJICAの総裁に電話をいたしまして、何とか御協力をいただきたいというお願いをしたわけですけれども、もう既に四十数名行っています、こういうお話でしたし、至急に登録されておるお医者さん方に連絡をとって派遣できるようにいたしましょう、こういうお返事もいただきました。  しかし、今御指摘のように、これだけ経験を積んでおる方々が、海外には出られるけれども、国内で何かあったときに組織的に活用して働いてもらえないというのは、やはりもう少し今の仕組み、制度について御指摘のような検討を加える必要があるのではないかというふうに思いますので、至急に検討させていただきたいというふうに思います。
  216. 山口那津男

    山口(那)委員 ぜひ早急にお願いしたいと思います。  そこで、きのうも質問があったかと思うんですが、在日米軍からいろいろな援助の申し出があったやに聞いておるわけでありますけれども、これが最も近い外国の組織的なチームでありますから、ここからもし援助の申し出があれば、これはむざむざ断る手はないだろうと思うんですね。特に、物資の供給とかということよりも、例えば艦艇を、在日米軍が持っています艦艇、船ですね。海上自衛隊は、これを支援活動の一環ということで阪神沖に何隻か停泊させまして、復旧活動に当たっている自衛隊員の方々が夜そこで休む、休息をとってリフレッシュしてまた救援活動に励む、こういう基地として、海上の基地として使うという支援活動を行っているわけです。これは、もう既にカンボジアのあのPKOのときもこうした支援活動を行って、大変喜ばれたわけですね。外国人たちにも一部使ってもらったということもあったわけであります。  ですから、これは海上自衛隊がやるのはもちろんとして、在日米軍からもそのような申し出があるのであれば、これは生かさない手はないと私は思うんですね。現にこういう申し出というのがあったのかどうか、これをどう処理したのか、この点についてまず確認したいと思います。
  217. 河野洋平

    河野国務大臣 クリントン大統領から村山総理あてに電話がございましたのはたしか十八日だったと思いますが、この電話の中で大統領は、在日米軍日本政府のいかなる要請にも対応する用意があるということを言われました。日本のいかなる要請、どんなことでも言ってくださいと、こういうことであったと思います。  そこで、どんなことでも言ってくださいと言われて、我々が一体どういうことをお願いすることが最も効果的であるかということを考えて、結局毛布お願いをするとか水をお願いするとか、あるいはテントを張っていただくとか、そういうお願いをしたわけですが、その中で、今議員が御指摘になりましたような艦船を利用させてほしいというお願いは私どもはいたしませんでした。
  218. 山口那津男

    山口(那)委員 これは、今回は具体的な向こうの申し出という形にはなっていなかったかもしれませんけれども、しかし、何も武装して出動するとかという話ではありませんから、海上自衛隊とともにこういう協力活動をするというのは、これは双方にとって決して悪いことではないだろうと思うんですね。しかも、アメリカの艦艇はかなり大型のもので大量に人員を収容できる、こういうこともあるわけでありますから、私は、これは検討課題の一つにしていいだろう、こう思うわけであります。  このような民生面、広い意味での民生面の協力ということは、これは日米安保条約の趣旨からどうなのか。決して私は外れないことだろうと思うんですね。本来は、主要な目的は違うところにあるかもしれませんけれども、例えば条約の二条の文言等の趣旨から見れば、私はこういったような協力ということも当然この条約が容認するところだろう、こう思うわけであります。  この点について、まず外務大臣に伺いましょうか。
  219. 河野洋平

    河野国務大臣 議員御指摘の第二条でございますが、  締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによって、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。  こういうことが第二条に書かれております。これはまさに、安保条約、いろいろ書かれておりますが、この部分議員のおっしゃる民生といいますか、その部分だろう、それはそう思います。  ただ、安保条約の書いてあるものの中に非常事態における災害救援の面での在日米軍による支援活動というものが、この第二条がそれを想定して書いていたかどうかということになると、それは具体的に予想していたとは言えないのではないか、これはそういうふうに思います。  こうした面を含め、一般にアメリカとの間の協力を促進することは、日米安保体制の基盤をなす日米の相互信頼及び友好関係を強化する、そういう意味では、これが具体的にそれを指しているかどうかは別として、そういう意味で友好関係を強化するものと考えてもいいだろう。そこで、これが具体的にそれを指しているとは思わないけれども、この精神は少なくともそういうことを考えてもよかろう、こんなふうに思っているわけでございます。
  220. 山口那津男

    山口(那)委員 条約二条がこのような状況を想定してつくったとは私も思わないわけですね、外務大臣のおっしゃるとおりであります。  しかし、その規定の趣旨とか精神とかということは、こういうことも広く含むものだろうと思って私はお伺いしておるのでありますが、念のため総理にも、日米安保体制を堅持する、こういう御姿勢をお示しになったのでありますが、どのようにお考えでしょうか。
  221. 村山富市

    村山内閣総理大臣 十八日の日にクリントン大統領からお見舞いを兼ねてそういうお電話をいただいたことについては、外務大臣から答弁があったとおりですね。  この第二条、それは、この条約をつくるときの背景というものがありますから、今ここで議論されたようなことが想定されてつくられたものとは私も思いませんけれども、しかしこの条文をよく見ますと、「並びに安定及び福祉の条件を助長することによって、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。」こういう条文を考えてみると、そうした意味における平素の協力関係というものもあっていいのではないかというふうに思いますから、この条約に照らして十分判断のできるものではないかというふうに私は読み取りたいと思うんですね。
  222. 山口那津男

    山口(那)委員 非常に前向きなお答えで、私は意を強くしたわけでありますけれども。  ところで、今回の阪神の大震災、これを他山の石として、他の地域においても一層の防災対策に努めなければいけないことは当然であります。とりわけ南関東とか東海地方というのは、より震災の可能性が高いとこれまで言われてきたところであります。そして、南関東地域について申し上げれば、これは中心的には東京都、そしてまた神奈川、埼玉、千葉、また周辺の県ということになるわけでありますけれども、ここでもし直下型でマグニチュード七程度の地震が起きたとすれば、これはかなりの被害が想定されるわけですね。そうならないことを願っているわけでありますけれども、しかし、万全の備えというものをしておかなければならないと思います。  そこで、阪神の場合は活断層に沿って大きな被害が集中している、こういう結果のようでありますが、この南関東地域に、断層、活断層が既に発見されているところはいいのでありますけれども、特に沖積部ですね、東京湾の湾奥部、湾の奥の内陸地域は広大な沖積層があります。しかし、その下に活断層があるのかないのか、これが地震が起きたときに影響を受けるのかどうか、この点もちょっと注意しておかなければいけないと私は日ごろ考えるわけですね。活断層というのはあるんですか、この地域に。
  223. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 東京都区部及びその近くの活断層としては、現在、東京湾北部断層、立川断層等の数カ所が知られております。この南関東地域は、厚い堆積層、これは約二、三千メートルございますが、これに覆われているため、活断層についての調査には大変困難が伴います。  南関東の直下に起こる可能性のある地震としては、活断層の運動によって発生する内陸地震、第二には、太平洋プレートの沈み込み運動によって発生する地震、フィリピン海プレートの沈み込み運動によって発生する地震が考えられます。大学の研究者、特に東京大学地震研究所深尾所長等のお話によれば、このうち最も大きな被害をもたらす可能性の高い直下型地震は、関東大地震などフィリピン海プレートの沈み込み運動による地震と考えられておりますが、活断層の運動による被害地震も西埼玉地震等が知られております。  文部省といたしましては、第七次地震予知計画、これは平成六年度から十年度のものでございますが、これに沿いました観測研究が円滑に推進されるよう、活断層の調査を含め、大学等における観測研究体制の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
  224. 山口那津男

    山口(那)委員 文部大臣も選挙区は東京でありますから、これには重大な関心がおありであろう、こう思うわけですけれども、活断層に起因する災害が起きるかどうかは別にして、この南関東地域についての震災対策というのは非常に重要な課題だろうと思います。  かねてから、地震の予知ということにこの地域、力を入れてきたようであります。例えば、三千メートル級の地下に観測機械を設置するというようなことも四カ所ぐらいでやっているようでありますが、この予知というのがなかなか簡単ではないわけですね。この予知の技術というのは、今のところ予知は可能なんですか、現在の技術で。
  225. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 お答えいたします、気象庁をあれしておりますので。  現在、予知が可能だという面で、一〇〇%とは言いませんけれども、相当程度の自信を持っておりますのは東海地震でございます。これにつきましてはそういうことでございますので、防げるわけにいかぬ場合には予知に万全を期すということでありますから、現在も相当な予算もかけまして万全の体制をとっておりますが、ただ、直下型地震につきましては、過去のデータの集積度、またその分析等からもいいまして現在はほとんどできない、このように考えていただいて結構だと思います。
  226. 山口那津男

    山口(那)委員 残念な答えでがっかりしているのでありますけれども、技術的な向上というのは今後も考えなければいけないところであります。  それで、地震予知連は、この大規模地震対策特別措置法ですか、これで対策強化地域をつくるというのは法定されている制度でありますけれども、それ以外に、予知連が指定する制度として観測強化地域あるいは特定観測地域という二つのカテゴリーを設けて指定をしているようなんですね。このたびの阪神地域はその特定観測地域の域内であったということであります。  この指定というのが、それぞれのカテゴリーがどのような意味を持ってくるのか、法定されている対策強化地域とどんな違いがあるのか、いわば観測体制の疎密が違うとか対策の予算の入れ方が違うとか、どういう違いがあるのか、それぞれちょっと説明していただきたいと思います。
  227. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 まず、大規模地震対策特別措置法に定めます地震防災対策強化地域でございますが、これは内閣総理大臣が指定するわけでございます。現在、静岡県等六県百六十七市町村が指定されております。この強化地域に指定をされますと、地震防災計画を定めるということがまずございます。  それからもう一つは、災害を防止するために緊急に実施しなければいかぬ事業があるわけでございますので、そういった事業につきまして計画をつくって、若干の事業につきましては補助率のかさ上げをするというようなこともやっております。これは昭和五十五年に議員立法によりまして、ちょっと長い名前の法律でございますが、地震財特法と簡単に言っておりますが、それに基づきましてそういった事業を実施しているということでございます。したがいまして、一口で言えば、地震防災対策強化地域というのは法律上の位置づけのある地域であるということでございます。  それから、後の方の観測強化地域、これは東海と南関東の二つでございますが、それから特定観測地域につきましては八つばかり決めております。これは、その観測の目安となる位置づけというようなことでございまして、特段の法律上の位置づけがあるというような性格のものではございません。
  228. 山口那津男

    山口(那)委員 そうすると、何のために観測強化地域と特定観測地域なるものを設けたのか、よくわからないんですね。これに入っているのと入ってないので国民にとってどういう違いがあるのか、よくわからないんですよ。どういうことなんですかね。これは学者さんの単なる分類項目ですか。
  229. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 今申し上げましたように、法律上の位置づけではないわけでございますが、特定観測地域の方の指定する目安でございますが、過去に大地震があって最近大地震が起きていない地域、それから活断層のあるような地域、それから最近地殻活動の活発な地域、それから東京などの社会的に重要な地域というようなものが指定の目安になっております。  それから、観測強化地域の方でございますが、これは、異常が発見された場合に、さらに観測を強化いたしまして異常を確かめる、例えば東海地震などで前兆現象と思われるような現象がありますと、集中的にさらに一層の観測をして前兆現象がどうかということを判定するというようなことでございます。
  230. 山口那津男

    山口(那)委員 そうしますと、この二つの指定の地域のカテゴリーというのは、余り実際上の対策とかあるいは観測データが国民にとって意味を持つとかということにはならないように私には聞こえるわけですね。しかも、今回の地震は特定観測地域というところで起きているわけですね。  ですから、この観測のデータというものがもっと活用される、例えば国民や企業の自主的な対策に使える情報として流されるとか、あるいは行政が対策を打つ場合の基礎データとして使われるとか、何らかの意味がなければ、こういうことをやっても国民には関心が持たれないだろうと思うんですね。この辺についてもっと積極的な対応が必要ではないかと思うんですが、いかがですか。
  231. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 先ほど運輸大臣から御答弁がありましたように、現時点で予知が可能であるというところは東海地域だけでございますが、ほかのところにつきましてもそういう方向に向けて、現段階では無理でございますけれども、そういう方向に向けて努力をしていく。特に、今申し上げました観測強化地域なり特定観測地域につきましては、そういった努力をほかの地域に比べて一層集中しているところというふうに御理解をいただければと思います。  そのデータその他につきましても、学者がいろいろ整理した上で公表するというようなことになっておりますが、そういった、国民にもっと興味を持たれるといいますか、直接周知するというようなことにつきましても、先生おっしゃいますように、関係方面と協議いたしたいというふうに考えております。
  232. 山口那津男

    山口(那)委員 なぜ私がこういうことを申し上げているかというと、これは阪神の震災が起きてからの、以後の話になりますけれども、実は事前にいろんな予兆があったとか、現に去年幾つかの地震があの地域で起きているということもあるわけですね。それから、学者さんが指摘していることを踏まえて、地方議会で、こういう指摘があるので対策に力を入れよという指摘がなされたにもかかわらず、可能性が低いからといって何ら手を打たれなかった。そういうところへ今回の震災が起きたということなんですね。  ですから、せっかくの難しい状況の中でいろいろこういう観測体制をしいているわけでありますから、もっとこれが、仮に行政の対策として結びつかなかったとしても、国民にとって有益な情報として、混乱を招かない程度に使えるような体制にならないものかどうか、ここはもっと検討してほしいなと思うのですね。今回の震災の調査も踏まえてぜひここを検討していただきたい、こういうふうに思います。  さてそこで、南関東地域で自衛隊と防災の共同訓練を実施していない都県あるいは政令指定都市があるのかどうか、この点についてちょっと具体的に、そういう自治体があれば具体的に指摘していただけませんか。
  233. 野中広務

    野中国務大臣 南関東地域におきましては、総合防災訓練の実施大綱に基づきまして、各地方公共団体で毎年大々的な訓練を行っておるところでございます。昨年も、村山総理が出席いたしまして埼玉県におきまして実施されたところでありまして、南関東地域の東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、千葉市、川崎市、横浜市のすべて七都県市合同訓練が開催され、自衛隊も参加をしておるところでございます。
  234. 山口那津男

    山口(那)委員 おおむね参加はしているのですが、神奈川県ですか、神奈川県はやってないんでしょう。(野中国務大臣「出ている」と呼ぶ)出ているのですか。そうすると、共同訓練をやってないところはない。(野中国務大臣「全部やっています」と呼ぶ)全部やっている。ということであればよろしいかと思うのですが、しかし、これむ十分な訓練の実情ではないということは、先ほど申し上げたところだと思います。  それで、南関東にもし震災が起きた場合の自衛隊の災害派遣計画というのが平成二年につくられているわけですね。直下型のマグニチュード七・九で相模湾に発生した地震を想定してやっているわけでありますけれども、これによると、派遣の規模というのが、陸上自衛隊が最大で、人員が五万七千四百人、航空機が百六十機、海上自衛隊が、人員五千人、艦船五十、航空機三十、航空自衛隊、人員五千、航空機七十五という状況なんですね。  今回のこの阪神震災と比べてみますと、例えば一月二十七日現在で言いますと、陸上自衛隊は、人員が一万六千人、車両三千両、航空機九十三機、海上自衛隊は、人員四千人、船舶は二十隻、航空機三十機、航空自衛隊は、人員が現地活動分で二百二、後方支援が三千八百、車両五十四両、航空機四十三という状況なわけですね。  これ、数字を細かく挙げましたのは、この南関東の震災の方がはるかに想定被害は大きいのに、派遣規模は大差がないということを申し上げたかったわけであります。ですから、実際にもし南関東で大震災が起きた場合には、このような派遣の想定で本当に対応が可能なのかどうかというところ、ここが極めて心配なわけですね。  特に、南関東ですと、大河川が幾つもありますから、ここが分断されるというようなこともあります。それから、高速道路も阪神でつくられているものよりもより以前にでき上がったものもたくさんあるわけですね。それで物資の補給やライフラインがちゃんと確保できるのかどうか。これは心もとない状況でのこういう派遣計画であります。そして、自治体の地域防災計画も、先ほど一部申し上げましたように、ヘリポート等も実際に機能するかどうか疑わしいような計画になっているわけですね。  ですから、この際、この南関東はもちろんでありますけれども、全国的にこの防災計画というものを全面的に見直すということが必要ではないか、こう思うのですね。まず防衛庁長官の方から、自衛隊の体制についての見直しについて伺います。
  235. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 見直しにつきましては、大規模震災への対処が関係機関と防衛庁との間で緊密な協力関係がなければ効果的に実施できない、そういう観点から、国土庁等の関係機関と十分連携を図りつつ、今回の地震の教訓を反省させるべく、今後より実践的なものになるよう所要の検討を行う必要があるのではないか、このように考えております。
  236. 山口那津男

    山口(那)委員 総理にお伺いしたいのですが、今回の阪神の初期の活動、応急対策活動を見ますと、まず、交通規制が早いうちにしかれなかったことによって大混乱を来して、緊急自動車が現場に近づけなかった、あるいは自衛隊もなかなか現場に到着てきなかった、こういうことがあるわけですね。  で、それぞれ一生懸命やっていることはもう本当に敬意を表するに値することなんでありますけれども、しかし、これからの問題として反省すべき点は、やはりそれぞれの役割分担というものをもっとうまくやれば効果的な対策というのが講じられたのではないか、こう思うわけです。  例えば、警察部門は、人命の救助ももちろん大切ですけれども、救助の方に人が割かれて交通規制の方に人が回らなくて規制がおくれたという指摘もあるわけですね。ですから、これがもし消防や自衛隊との連携がとれていれば、私は、人命の救助の方には自衛隊を大量に導入をして、そして交通規制は警察が主力として当たって、そしてまた消防も消防活動に専念するというような体制がもしとれておればもうちょっと効果が上がったのではないか、これは後知恵の話でありますけれども、そうも思うわけですね。  しかし、こんなことは、やっぱり相当な日ごろの訓練、さまざまな想定をやっていなければ到底現実にはできないことですね。ですから、今回、本当に全面的な見直しということをお願いしたいのです。そして、共同訓練というのも幾つかのタイプの想定、一種類ではなくてさまざまなタイプを想定して念入りにやってもらいたい。そしてまた共同訓練も、年間たった一回、一日だけというのではなくて、かなり力を入れてやっていただきたいということを要望したいのですね。この点について総理の所信をお伺いしたいと思います。
  237. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これまでの経過を振り返ってまいりまして、今委員から実態に即していろいろ指摘された点もあるわけでありますけれども、私も、何をおいても人命救助と消火に全力を挙げてほしいということをお願いをしたときに直観的に思ったのは、ヘリコプターで空から何とかならないのか、これは素人の考えですけれども、もうだれでもそう思ったと思いますね。そうしたらやっぱり、先ほど説明のあったような技術的な面もあってそう簡単にいかないんだというお話もございましたけれども。  私は、防災計画をつくる、防災訓練を行う、また日常の連携といいますか、そういうものが自衛隊なり消防なり警察なり、あるいはまた地方自治体なり、それぞれの分野で行われながら、今御指摘のような持ち分持ち分で十分総合的な効果の上がるような役割を果たしていただくということがやはり何よりも大事ではないかと思いますし、それは備えあれば憂いなしで、ふだんからのそういう準備というものがやはり必要だということを痛感させられております。  今度のようなこういう大災害を機にもう全国的にお互いに点検をし、見直しをして、そしてこの防災計画に十分を期していくということは大事なことだというふうに思いますから、全面的な見直しもこの際やって、そして疎漏のないような形で備えをしていただくということが大事ではないかというふうに重く受けとめて、そういうことをぜひやりたいというふうに思っています。
  238. 山口那津男

    山口(那)委員 余り考えたくないことですけれども、二点だけちょっと申し上げます。  さっきの南関東地域の自衛隊の災害派遣計画、これは東部方面隊というこの地域の方面隊のみならず、いろんな応援体制、増援体制も含めて計画されているわけですね。しかし、大災害が一カ所で起きると断言することはできないわけであります。特にここ半年見ただけで、北海道沖で起きたり、三陸沖で起きたり、今度は阪神。時期を接してこういう大規模な災害があるわけであります。しかも、地震だけとは限りません。これが台風シーズンに風水害と重なるということも絶対ないとはだれも言えないわけですね。  そういうことで、同時多発の災害に対して自治体レベルでは対応し切れないということは明らかなわけですから、やはり自衛隊に対する期待というのは大きいだろうと思うのですね。ですから複数の、時期を接した災害に対する対応ということも、これは研究の余地があるのではないかと思うのであります。この点、防衛庁長官、お考えになってみませんか。
  239. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 当然あらゆる事態を想定をいたしまして、特に一つの災害ばかりでなく複数の災害、こういうものもあり得ることでございますから、想定の中に入れまして、今後検討してまいりたい、こう思います。
  240. 山口那津男

    山口(那)委員 もう一点、考えたくないことでありますけれども、今回の阪神の震災を見ますと、これは兵庫県や神戸市の自治体の当局者も被災者になっているわけですね。けがをされた人もいますし、家族が犠牲になられた方もいらっしゃる。大変不幸なことであります。これが南関東地域に来た場合に、いわば国の中枢である霞が関、永田町が、あるいは行政や国家機関に当たる方々が被災されないという保証もないわけですね。こういった場合に国の機能が一気に麻痺をしてしまうというのでは困るわけであります。したがって、こういった場合についても、私は、もっと考え、備えというものがなければいけない、こう思うわけですね。  まあ霞が関以外に立川に防災の基地というものを設けてあるんですが、これも距離が近いといえ。ば近い。同じ震災で同時に被害に遭うということも考えられますし、また、活断層がそばにあるというのはさっき文部大臣の御指摘でしたね。ですから、そういうことも考えて、国の中枢機関のバックアップ体制、非常時にどうするか、この点について総理、どういうふうにお考えになりますか。
  241. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 大規模地震等により霞が関地区の政府関係施設に甚大な被害が生じた場合に災害対策本部を設置するための予備的施設として、立川広域防災基地内に政府災害対策本部予備施設が整備されております。本施設には、災害対策本部の機能を十分に発揮できるよう、最低限必要な会議室、執務室、無線通信設備等が整備されているほか、食糧、飲料水の備蓄が確保されており、非常時にはヘリコプター等を使って要員を移動させることといたしております。  今般の地震災害に伴う貴重な経験をもとに、今後、関係機関と連携してバックアップ体制等についてさらに検討し、本施設のより適切な運用を図ってまいりたい、かように考えております。
  242. 山口那津男

    山口(那)委員 ある国によりましては危機管理の一つの方法として、例えば大臣が一堂に全員が会するということは避ける、必ず何名がは外しておく、こういうことまでやっている国があるという話もあるわけですね。  それから、今の国土庁長官のお答えですと、立川がバックアップの拠点になるというような話でしたけれども、しかし立川も霞が関も同時に被災するということも十分これはあり得るわけですね。ですから、そんなようなことも含めて総理としてもっと大きな視点で国の体制の維持ということを検討していただきたいと思うんですが、総理のお考えはいかがでしょうか。
  243. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今国土庁長官から答弁がございましたように、今の一応の計画というのは、永田町、霞が関がやられた場合、立川の広域防災基地に政府災害対策本部の予備施設を設けてそこでやる、こういう計画を持っておるようでありますけれども、しかし、今お話がございましたように、それはどこがやられるかわかりませんし、ましてや閣僚が一カ所に全部集結しておってそこがやられたら一体どうなるのだ、こういうようなこともございますから、私は、今度の経験にかんがみて、今ある計画をやはりあらゆる視点からもう一遍見直しをして、いろんなことを想定した上で備えるということが大事ではないかというふうに思いますから、ぜひ再検討させていただきたいというふうに思います。
  244. 山口那津男

    山口(那)委員 今すぐ答えは出ないと思いますけれども、いずれ答えを聞きますからね、ぜひきちんと検討していただきたいと思います。  それと、南関東地域、特に東京、横浜、千葉という東京の湾岸の話でありますが、既存のいろんな輸送のインフラ、高速道路、鉄道、空港、港湾と、いろんなものが集中しているわけですね。今回、耐震設計のあり方等も含めていろんな被害の状況というのが明らかになってきているわけであります。将来に建設するものはともかくとして、既設、既にある輸送インフラの補強対策といいますか、これについて、まず運輸省として、大臣、どうお考えになりますか。
  245. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 各種の交通機関、特に高速交通機関につきましては、耐震の観点から今までも高レベルの地震の発生に耐え得るものという形でやっておるわけでありますが、このたびの事態を深刻に受けとめておりますので、現在陸海空それぞれ検討委員会を設けまして、今現地調査等を専門家によって鋭意やっておるところでありますけれども、私どもは、まず、御質問の外になるかもしれませんが、復旧ということは考えておりません。もとに戻すというんじゃなくて、これ以上の大地震にも耐え得るそうした新しい耐震設計のもとで復興をやっていきたいし、またその他の交通機関について、現在そうした検討委員会の結果等を踏まえて総点検を実施をし、それについて補強するものは思い切って補強をしていきたい、このように考えています。
  246. 山口那津男

    山口(那)委員 建設大臣、いかがでしょうか。特に首都高速道路について。
  247. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えをいたします。  今総理大臣が御答弁されましたように、見直しをしなければならぬだろうというふうに結論は考えておりますが、橋梁につきましては、今までもお答えしてまいりましたが、関東大震災や新潟地震、その都度整備、補強してまいったつもりであります。しかし、現実に倒れたわけですから、我々としては、その状況というものを十分把握しなければならない、原因を究明しなければならぬ。そういう意味で、地震学会及び橋梁学界と合同委員会を開いて、損傷その他の原因について究明をしております。一月の二十四日、今度は二月の十日にやりまして、最終的に、できるならば三月中にその結論を出してほしい、こういうことをお願いを申し上げておりますが、その間にも、先生からお話がありましたように、耐震対策として鋼板を巻くとか一つ一つ点検を始めております。  南関東地震ということになれば重大でございますので、その結論を待って、十分に対応ができるような施策を考えていかなければならない、そのためには見直しということになるであろう、こういうふうに推測をしております。
  248. 山口那津男

    山口(那)委員 南関東を中心に質疑をしましたけれども、これはまあ一例でありますから、ぜひ全国的に見直しというものを進めていただきたいと思うのですね。  それで、話は変わりますけれども、ことしの三月に国連が社会開発サミットというものを計画をしております。これはコペンハーゲンで開催されるようでありますが、四十八回の国連総会で、各国が官民を入れた国内委員会をつくってナショナルレポートをしてください、こういう取り決めがあったようなんですね。これの準備の状況というのはいかがでしょうか。
  249. 河野洋平

    河野国務大臣 社会開発サミットは、国連の経済社会分野における極めて重要な行事と認識をいたしております。政府といたしましても、一月九日付で関係省庁連絡会議を設置するなど、その取り組みを強化いたしておるところでございます。  なお、国別報告書の提出については、政府は既に第一回準備委員会会合において報告書を提出いたしております。
  250. 山口那津男

    山口(那)委員 経済社会理事会の関係で行うこれは極めて重要な行事なわけですね。各国の首脳、これは先進国の首脳も含めて多数参加する予定だというふうに伺っておりますけれども、かって環境サミットに総理大臣が国会状況で参加できなかったということもありますので、ここは国際社会の期待の強い日本でありますし、また政府としても積極的な国際貢献をうたっているわけでありますから、このサミットにはぜひとも総理が御出席をすべきである、そしてここで建設的な御提言をすべきである、私はこのように考えるわけでありますけれども総理の御決意を伺いたいと思います。
  251. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員の意見をお聞きしながら思い起こしたのですけれども、私は当時、国対委員長をやっていまして、そして、これはやはり日本が果たすべき国連の重要な会議だから、ぜひ総理、行くべきではないか、こういうお話を申し上げたことを思い出すのですけれども、国会日程もありますからね。そういう重い受けとめ方をしています。  これはもう本当に重要な会議だし、日本が果たすべきこれは最適な役割、仕事ではないかというぐらいに思っていますから、できれば出席をしたいというふうに思っておりますけれども、これは国会全体の日程もございますから、その時点で判断をさせていただかなければいかぬと思いますけれども、内閣としてはそういう受けとめ方をして、仮に私が行けない場合には、私にかわり得るぐらいの人が行っていただくというようなことの配慮も必要ではないかというふうに思っておりますから、この会議が重要な会議であるという認識については、委員御指摘のとおりに受けとめております。
  252. 山口那津男

    山口(那)委員 ぜひ党利党略は度外視して、積極的に対応していただきたい、こう思います。  以上で終わります。
  253. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて山口君の質疑は終了いたしました。  次に、冬柴鐵三君。
  254. 冬柴鐵三

    冬柴委員 新進党の冬柴鐵三でございます。  きょうは、時間をいただきましたので、日ごろ問題意識を持っている主として内政問題について、総理及び関係閣僚からお考えをお示しをいただきたい、このように思っております。  去る一月二十六日に行われました阪神大震災に関する集中討議のときにおきましても、地元から選出をいただいている議員として質問の機会を与えていただきました。そのときは、初動のおくれ等、そのようなことをいろいろと総理にお伺いいたしましたけれども、きょうは、将来に向かっての復興についての地元のいろいろな問題、そういうものを中心にまずお伺いをしてまいりたい、このように思う次第でございます。  周知のとおり、もう総理も御存じのとおりでございますけれども、今回の阪神大震災では、神戸市それから芦屋市、西宮市というところで非常に大きな面的な建物の破壊が行われました。私は、そのうち、芦屋市、西宮市が選挙区であります。本当に木造建物が一つの町全部と言ってもいいほど倒壊をしてしまったというような激しいものでございます。そういうところの後の復興ですね、復旧じゃなしに復興という問題を考えなければならない。  反面、私が今住んでおりますのは尼崎市という市でございます。もちろんこれも震災に遭ったわけでございますけれども、この尼崎市を見ておりますと、ある地域におきましては、もうほとんど町が液状化現象というものにやられまして、古い建物だけではなしに、何と昨年竣工式をされた立派な四階建てのビルがもう傾いてしまって使い物にならない、あるいは、四年前に立派な和風の居宅を建てられた家がございますけれども、約七十センチも沈下して、これも使い物にならない、そういう地域がございます。  こういうところは、またもどのようにそれぞれが自分の土地の中に、あるいは借地の上に家を建てても、これはどうかなというふうに思われます。ところが、成熟した住宅街の中で立派な和風建物が突如そこだけ破壊している、ブロック塀が壊れて、そこを人が通っていたら一撃だっただろう。尼崎でも倒壊した塀に下敷きになって亡くなった方がありましたけれども、時間が早かったからそういうことは起こらなかったけれども、大変だな、そういう家があるかと思いますと、両隣の家は全く無傷、そういう場所もあるわけでございます。したがいまして、この震災後の復興というのは大変いろいろな問題を提供しているように思います。  この今回の震災で八万棟、戸数に直しますと、マンションなんかも一棟として数えていますから、この中には何十戸の方がいらっしゃるわけでございます。焼失面積が百万平方メートル、一つのゴルフ場ぐらいが市街地で焼けてしまったというすさまじいものでございますから、罹災者の方の生活を立ち直らせるためにも一日も早い、そしてまた復興を急がなければならないと思うわけでございます。  ところが、この土地の上には、小さく区切られたところに、地主とそれから家の所有者と中に入っている人とが別々の人だというような非常に権利の入り組んだ関係もあります。したがいまして、まずは復興における私権の保護、あるいは反対に向ければ私権の制限といいますか、そういうような法体系が用意をされております。これをどう使っていくのかということが非常に大事な問題だろうと思います。  まずは、罹災都市借地借家臨時処理法という、昭和二十一年八月ですから、終戦の翌年施行された法律でございますが、これはもちろん戦災によって面的に多くの建物が罹災をして烏有に帰した、こういうところから借地人あるいは借家人の保護をどうしようかという、そういう考えてつくられた法律でございますけれども、その後、震災で面的に建物が広く滅失した場合、そういう場合にも、政令を発すればこれをそのまま適用できるという規定が二十五条の二ということで挿入されまして、その後大きな大震災の都度、政令でその地域を指定して、借地人、借家人と土地所有者との間の法律関係を整序してきたという歴史があります。ただ、この法律をそのまま震災があったからといってすぐばっとかぶせてしまいますと、今度は復興じゃなしに復旧になります。もとの状態に返ってしまいます。  そこで、これはいろいろありますけれども、私が冒頭申し上げたことは、私の住む小さな、五十万の都市ですから小さいとも言えませんけれども、狭い範囲ですが、そのようなところでも面的に破壊されたところ、それから町の中で、あるところではばっと一つの、文化住宅と関西では言いますけれども、連棟の長屋の大きなものですが、こういうものが関西にあります。これが倒壊をしまして、一カ所で十一人のとうとい命がなくなったという。尼崎市にもそういうところもあるわけでございまして、これは一律には適用はできないだろうと思うんですが、これは法務と建設の共管だと思います。  それで、私としては、その後、今被災していられる三十万人弱の方々の一番の心配は、家がなくなった、どうしようということでございますから、私も弁護士を長くやってきましたけれども、我々の友達も、もう法律相談が殺到しているんだけれども政府対応、この罹災都市借地借家臨時処理法が、政令を発して適用するのかしないのかが決まらないと鑑定意見の述べようがないというような話もありまして、ぜひこの際、全部の地域にしてくれというわけじゃない、けれども、これをどうされるのかを早くやってもらわないと困るというふうに思うわけでございます。  なぜならば、この法律の中では、政令を発した日からこの法律が適用されるので、震災後、政令を発するまでの間にいろんなことが行われるとまた一つの法律問題が起こってしまうものですから、それで、きょうはもう二月二日でございまして力もかわってしまったわけですから、どうされるのか、まずその点を法務大臣からお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  255. 前田勲男

    ○前田国務大臣 お答え申し上げます。  被災者の皆様の中で、先生お話しのように、不動産、特に土地家屋等の権利関係、中でも借地・借家人の方々の不安、まさに、これから住むところをどうしたらいいのか、その権利は保全されるのか、極めて大きな不安感を持っておられる。さらにその上に、先生御指摘の法律相談等も、これがはっきりしないと御相談にも、乗っていただけないわけじゃございませんが、まだ確定しておりませんので不明な点が多い。  そんな観点も踏まえまして、御指摘の罹災都市借地借家臨時処理法、これについては一日も早く適用したい。このつもりで、実は建設省と、また、建設省を通じて先生のお地元でございます各市町村とも緊密に協議を続けてまいりまして、おかげさまであす閣議で決定を得るべく現在作業を進めておるところでございまして、あす、まず二月三日に適用される予定である、かように御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。  特に、避難所にいらっしゃいまして、私どもにも何回かお電話をいただいた皆さんからは、応急住宅に入りたいんだけれども、そっちへ入ってしまうと自分の土地をとられてしまいはせぬか、そんな不安を持っておられる電話を私も受け取ったこともございますので、取り急ぎあすには決定、適用される予定だということを申し上げたいと存じます。  それからもう一点は、あす施行されるとして、震災のあった日からあすの間、この間は法の適用がないということになるわけでございまして、あすの前に借地権が設定をされていた土地の売買が仮に行われた場合、借地権を第三者に主張できなくなる、これは従来からそうでございます。  そこで、もう先年弁護士の先生でいらっしゃいますからよく御存じでいらっしゃいますが、政令の施行前に借地権の効力を消滅させることを目的として土地売買が行われたような場合には、このような土地の取得は背信的悪意によるものであるとか、権利の乱用であるとかいった理由によりまして、借地権を土地取得者に対抗することができるというのが従来の判例であり、判例として確立しておると承知をいたしております。  したがいまして、御指摘の問題につきましては、多くの場合この考え方で借地人が救済されるものと考えておりまして、個々の紛争については裁判の事案に応じて適切に借地権の権利が確保されるものと期待をいたしておるところでございます。
  256. 冬柴鐵三

    冬柴委員 総理決断されたわけでございまして、これで借地人、借家人が、今の答弁が報道されますれば、ほっとされるだろうというふうに思います。(前田国務大臣「ちょっと間違いがございましたので」と呼ぶ)そうですか、また後にしてください。  それで、なぜ急ぐかというと、最後どういうことになるかというと、土地の上に建物が建っていてその中に借家人がいた場合、この借家人は、一つは壊れた建物、建物が壊れれば賃貸借の目的物がなくなるわけですから、これで借家契約は本当は消滅してしまいます。しかし、この法律の罹災都市借地借家臨時処理法が政令で適用になりますと、二つの方法で助けられる。  一つは、その後、その土地の上に建った建物についてだれよりも優先して私が借りたいという権利が発生する。もう一つは、その上に建物が全然建たない場合には、地主に対し借家人が、私がその土地を借りる、借りて上へ自分が建てるという権利が発生するわけです。ですから、こういうことはなかなかわかりにくいので、特にこの阪神地域に重点的にPRしてもらわないと困ると思うのです。もう一々弁護士のところへ聞きにこられるのではなしに、これはやはり政府の方でもきちっとやってほしい。  それからまた、借地人は、今法務大臣もおっしゃったように、本来その土地の上に、土地を借りて建物を建てていた、その建物が倒れてしまっても、借地権自身はまだ期限があるから対抗できるわけですけれども、その土地を売買してしまった、地震の際に売買した、これを法律の本では地震売買と言っていますけれども、所有権の移転は賃貸借を破るということで、売買されてしまうと、本来はあるはずの借地権が対抗できなくなる、そういうものも、この法律が適用になると、五年間は、政令が発せられてから五年間は対抗できる、こういうことになるわけです。  今ちょっと訂正云々と言われましたけれども、一日も早くやってもらわないと、その地震売買があちらこちらで関東大震災の後にあったものですから借地・借家法とか建物保護法とかいうような法律ができたわけですけれども、この法律を一日も早くやってもらわないと、そういう不心得者が、実際問題、土地を貸してもう返してもらえないとあきらめておったのが、地震で倒壊した、よし、これはチャンスだということで、何とかならないかということで、ぱっと移せば明け渡しを求められるというようなことで、その被災者がどんな悲しい思いでおるかということはさておいてもそういうことをやる人が出てくるわけでして、ですから、あしたということになれば、そういう人たちは非常に権利が守られるわけであって、背信的悪意者というのはまた一つの、訴訟の上でそれを言って、そして勝訴した場合に通るわけですから、この政令が発せられる日がおくれると、それだけ借り主の権利が弱くなるということは否めないわけでございまして、何よりもあした政令が発せられるということは、非常に私としては歓迎すべきことだというふうに思います。  何か訂正されることがあるのですか。
  257. 前田勲男

    ○前田国務大臣 法令適用の日でございますが、あすと申し上げましたが、あす決定いたしまして、官報に掲載して公布いたしますから、土日は登記休みでございますから、実質来週早々からというふうに御理解いただきたいと思います。
  258. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それはそうですね。正確にありがとうございました。非常に大切なことでございます。  それで、とりあえずその適用の範囲をどこら辺にされるのか、これをちょっと明らかにしてもらいたい。それは建設省、建設大臣でしょうか、どうなんですか、事務職でもいいですけれども
  259. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 お答えいたします。  兵庫県の場合には十市十町と現在予定をいたしております。一町が場合によってはさらに追加になるかもしれませんが、それは地元のお申し出のこともございまして、現在のところは、兵庫の場合には十市十町、それから大阪で十二市でございます。具体的な名前はできるだけ、必要であれば申し上げたいと思いますけれども
  260. 冬柴鐵三

    冬柴委員 ちょっと十市十町挙げてよ、ばあっと早く。それは大変ですよ、ここを聞いている人は。
  261. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 済みません。ちょっとただいま持ってまいります。
  262. 冬柴鐵三

    冬柴委員 じゃ、大臣。
  263. 前田勲男

    ○前田国務大臣 それでは、ちょっと時間かかりますが、よろしゅうございますか。(冬柴委員「ささっと読んでください」と呼ぶ)大阪府のうち、大阪市、堺市、岸和田市、豊中市、池田市、吹田市、高槻市、茨木市、泉佐野市、大東市、箕面市、高石市、兵庫県の方は神戸市、尼崎、明石、西宮市、洲本市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、三木市、川西市、加古郡のうち播磨町、津名郡のうち津名町、淡路町、北淡町、一宮町、五色町、東浦町、三原郡のうち西淡町、三原町、南淡町でございます。(冬柴委員「三田市ありませんか」と呼ぶ)三田は入っておりませんですね。
  264. 冬柴鐵三

    冬柴委員 三田も私の選挙区ですが、どうも抜けているみたいですが、これは大変な問題ですから、きちっとやっていただきたいと思いますね。  ただ私、まずそういうことで網をかけていただいてありがたいと思うのですが、これから借地人、借家人と地主、いろいろな間で、消滅したということで交渉するのと、家は倒れたけれども、まだこれによって権利は保護されているよということを前提に救済を図られるのとは随分違うと思うのですね。ただ、これで地権者といいますか、土地に対する権利者がばあっと広がったのですね、数が。  それで復興ということになりますと、いよいよ土地区画整理法等に基づいて、やはりこの際、もとと同じような町をつくるんじゃなしに、やはり近代的な、パリも非常に大きくつくりかえて現在のような文化の枠といいますか、花のパリというものができ上がったそうでございますけれども、そういう一つの気概を持って、二十一世紀に神戸は絶対世界じゅうから行ってみたい都市だというようなものをつくるような気概でこれをやってほしいのですね。そうするとこれは、公有地拡大推進法という法律がありますけれども、できるだけやはり地方公共団体が被災地の地権者から土地を買って、そして自分の土地として思い切りすばらしい都市改造をやってもらいたいとも思うわけですが、これには莫大なお金が要ります。  自治大臣にお尋ねした方がいいと思いますが、そういう場合に、公有地拡大推進法によって地方自治体あるいは開発公社がそういうものを先行取得する、そういう場合の起債ですね、地方債、こういうものについて特段の配慮をされるかどうか、また、それについての元利償還金についてもまた考えられるかどうか、そういう決意を伺いたいと思います。
  265. 野中広務

    野中国務大臣 ただいま委員御指摘のとおりに、被災地の復興対策を考えますときに、今お説のとおりに、この際震災に強い都市づくりを推進していくということが重要な課題であると認識をしております。  この点から、公共用地の先行取得というのは有効な手段であると存じますので、私どもといたしましても、今御指摘のように地方債、土地開発公社等を活用して弾力的に先行取得ができますよう手当てをいたしますが、被災地の地方公共団体において今風の震災復興のための計画的な町づくりの観点から広大な用地を先行取得をされます場合は、自治省といたしましてそのための財政支援措置を十分検討してまいりたいと考えております。
  266. 冬柴鐵三

    冬柴委員 大変力強い答弁をいただきまして、地元は非常に喜ぶと思います。  そこで、建設大臣からも、建築基準法八十四条の例の建築制限、「被災市街地における建築制限」というもの、これはできるわけですが、災害発生、発災時から一カ月間、特に建設大臣の許可を得れば一カ月を延長できる、合計二カ月ということになっているわけですが、そういうものについての考え方はどうなんでしょうか。
  267. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えします。  先生御指摘のように、建築基準法八十四条、これにつきまして神戸市及び西宮市が宣言をいたしました。したがいまして、面的な都市開発事業をこれから円滑に、しかも緊急にやっていかなきゃならぬ、しかし一定の私権制限をしないわけにはいかぬだろうという報告を現在受けておりますが、この措置は土地区画整理事業等を予定する区域に限定するとともに、どうしても急ぐという方がある場合は、木造及び鉄骨は二階建てまでで建築が可能となっております。したがいまして、これらの方々については、地元の被災者の皆さん方の話し合いで調和のとれたものにしていかなきゃならぬ。二階までは、何といいますか、割合と下にころを敷いて引っ張ることもできるので、二階までは建築可能であるということに決まっておるのであります。  したがいまして、この建築基準法の八十四条の発動がありまして二カ月目は、私がそれを許可をすれば二カ月になる、その間に面的規制はするわけですから、その間には急ぐ方がその程度のことはやる。それ以上のものについてはいろいろと話し合いをして、五十平米ずつしか持っていない、三人集まって相談をして三階を建てる、そしてもっと面積が広くなる、こういうような、先生が御指摘のような防災的な都市計画というものをこの際は進んでやらなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
  268. 冬柴鐵三

    冬柴委員 いろいろと伺いたいことがありますが、時間もありますので、特に復興ということをやっていただきたい。  総理、ひとつもとに戻すんじゃなしに、そこに一つの、こういったくさんの、五千名以上の犠牲を出したわけですから、この方々の霊を慰める意味においても、この道が、この町がすばらしい町によみがえったという、そういうものをぜひ指導していただきたいと思うのですが、一言だけ、決意だけ、今後の復興についての決意だけをお伺いしておきたいと思います。
  269. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは今委員お話もございましたように、五千名以上のとうとい命を亡くされた、大変な大災害で、大きな犠牲があったわけですね。その犠牲に報いるためにも、私は、防災に強い、地震に強い兵庫県、神戸市を、復旧でなくて復興するというのが、やはり当面の最大の課題であり、責任だというふうに受けとめております。
  270. 冬柴鐵三

    冬柴委員 次に、仮設住宅の問題をお尋ねします。  実は西宮市は、実に一万一千六百四十一戸という全壊をいたしました。大変な数でございます。半壊が五千四百三十二戸、合計一万七千七十二戸ということでございまして、西宮市の世帯数が十六万三千世帯ですから、実に一割を超える人の建物が全壊ないしは半壊した、家を失ったということになるわけでございます。  私、一番最初に市長さんにお会いしたとき、先生、これだけ、一万七千戸が、西宮ですよ、西宮で一万七千戸も倒れているのに、たった県が五百戸、そして市で五百戸、千戸の仮設住宅ということですけれども、これはもう大変なことだ、私としてはやはり福祉家庭とか御老人という方を先に入れたい、そうすると、西宮の働き手の方はもうどこかへ、復興に何年もかかる間どこかへ行ってしまう、これでは西宮も活力がなくなるし、何とかこれ、この千戸なんてどういうところから出たんでしょうかねという話ですから、いや、国会で機会があれば、これはぜひこれをふやすようにお願いします、こういうことを申し上げました。  その後、政府の方も御努力をいただいて、逐次ふえていっているわけですが、西宮ではその後、これはまだ三十日ですから、もうちょっと古い数字になっていますが、千二百九十五戸という数字が計画戸数の中に入っております。  隣が芦屋市。西宮市は四十二万ほど、芦屋市は八万ほどの人口ですけれども、その芦屋も大変な被害を受けたけれども、芦屋には千九戸ということで、随分差が、被害の、倒壊戸数では違う、だけれども、仮設住宅数においては余り変わりがない。これはどういうところで、別に芦屋が多いなんて言っているんじゃないですよ、絶対に。芦屋も足らぬけれども、西宮はもっと足らぬじゃないか、こういうことを申し上げているわけですから、どうぞよろしくお願いします。
  271. 小里貞利

    ○小里国務大臣 もう先生既に御承知のとおり、全壊、半壊、六万三千、その中で、私ども、県市一体となりまして、自立的に何か対応できる方々を七千と踏みました。あとの五万六千を行政という窓口において原則責任を持って対応しよう、そういう一つの基本に立っておりまして、五万六千を、御承知のとおり、仮設住宅でとりあえず三万と、あとの二万六千を公営、公団、そのほかの方法によって賄っていこう、そういうような考え方で、既に実行行為に入っておるわけでございますが、仮設住宅、契約をいたしましたのが一万一千、その中で既に着手をいたしましたのが七千、そして、既にでき上がりまして、先生御承知のとおり現地で入居の手続が始まっておる、こういう状況でございます。  そこで、ただいま先生お尋ねの、各市間の一つの格差の問題でございますが、御承知のとおり、この事業主はもとより市になっておりまして、市の方で、その辺の需要、そしてまた被害度等を中心にいたしまして、各般の材料によって判断をいただき、計画を立てていただくということになっております。  けれども、それだけでは、老人及び高齢者、体力の弱い方々等々、非常に寒さも迫ってくるし、大変窮状な状態にあるから、それらの、今先生が御指摘になったようなそういう各市間の調整も含めまして、一体その三万戸という仮設住宅をどのような各市町間の計画、その配分戸数あるいは需要等を実態として把握しておるのか、その辺の対応を急げということが、たまたまけさほどの私どもの、総理大臣が中心になりました緊急対策会議で指摘をされました。  そして官房長官から指示がありまして、そして私ども、建設大臣、自治大臣、そして厚生大臣、私、入りまして、四者で実はきょうの昼、その対策会議を行ったところでございまして、今おっしゃるようなことを現地の対策本部に、今から約二時間ぐらい前、通告をいたしまして、現在検討中でございます。  十分そのような具体的な、微に入り細をうがったところまで、できるだけ努力いたさなけりゃならぬと思っております。
  272. 冬柴鐵三

    冬柴委員 私、いろいろ選挙区、たくさんあったわけですが、特に西宮市ですね、三十日現在も百六十九カ所の避難箇所に二万四千人がまだいらっしゃるんですよ、二万四千人。そういうことで、ほかは万単位のそれぞれの避難民の方があります。  そういうことにかんがみますと、西宮市では、自分の方はできるだけ公園用地とかそういうものを市でもちろん用意をしております、何とかこの仮設住宅というものをもう少し配分を考えていただきたい、こういう陳情がありますので、こんな席をかりてですけれども、実情を、二時間前にはそういう指令もしていただいたということですから期待しておりますので、どうかきめ細かにやっていただきたいと思います。  それから次、建設大臣、いわゆる被災建築物の耐久力チェックの話がいろいろ出ました。それで、今も各市で、ちょっと西宮市の避難民の方の数を申し上げましたけれども、大変たくさんの人がこの不便な寒空に、ストーブも学校の体育館ではストーブはやめてくれというところが多いわけでございまして、大変冷え込みます。ここは暖房が入っていますからいいですけれども、そういうところで毛布にくるまってやっていらっしゃるわけです。  そういう意味で、なぜ避難民の方が帰るところがないのかなということを考えますと、実は建物は、損傷は受けているけれども、ある。そこへ物をとりに行ったりしている建物があるんですよ。ところが、二次災害、またマグニチュード六クラスが、もう一回余震が来るんじゃないかということがずっと頭にこびりついて、そしてたくさん亡くなった人と同じような運命にそのとき自分がもう一度遭うのはたまらないという怖さから、やはり安心な学校のところにいる。また家へ帰っても、電気はっくようになりましたけれども、水も来てない。ガスも来てない。実は、私の家も二日か三日前ですよ、水が出だしたのは。それまでは、水がないということは、ふろに入れない、それから水洗便所が使えないということを意味するわけでございますから。  そこで、帰ってもいいんじゃないかと思われる家もあるんですよ。それで、もう学校も早く始めたいけれども、学校の中にたくさん避難民の方がいらっしゃるわけです。そういうことを考えますと、もう使えないという家はだれが見たってわかるわけですが、使えるんじゃないかという家があるわけでして、それを専門家が見ていただいて、一応グリーンカードを張ってほしいんですよ。それは地元から随分来ています。  で、ようやく宝塚では一月三十日現在で、長屋とか共同住宅、マンションは検査が終わりました。けれども、二戸建てはこれからだということで、半壊が三千七百十八戸ありますから、随分かかるだろう。  それから、伊丹市では一月三十一日からこれが始まる。全壊は別にしまして、半壊が六百二十三戸と一部損傷が五平六百八十三戸あるんですね。これをチェックしてもらうというのは、もう自分のところだけではとてもあれなんで派遣してくださいということで、建設省も随分御努力をされておることはわかっているんですよ。地元で赤や青、もう張りましたとおっしゃったけれども、余り見当たらないんですよ。それで聞きますとこういうことがありますので、避難民の方に安心して自分の家でお住まい、できる分は住んでいただくということを確保するためにも耐久力チェックを急いでいただきたいのですが、どんなものでございましょうか。
  273. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えをいたします。  先生御指摘のように、最初は、使用禁止という黒い紙を張っておったんですね。ところが、被災民の皆さん方から、非常にわかりにくいと、こういう声も出まして、赤は危険、黄色は、一時物をとりに入ってもよろしいけれどもそこに居住することはだめ、緑は、これはもう安泰である、こういうふうに三つの種類に分けて、市の職員、県の職員、建設省、公団職員、他府県からの応援、合計で約三百二十人ぐらいだと思いますが、それに先生もついて、一応一戸建て以外は終わったというふうに認識しております。  御案内のように、選挙のポスターみたいにぺたぺた張るわけじゃないので、一つずつ金づちでこうやってみなければわからぬと、こうおっしゃるわけです。そういう、割に入念なものですから、きょうも住宅局長に、督励をして、早く善処しなきゃならぬじゃないかと、こういう話をしましたら、個人住宅で二月の上旬には終わるであろうというようなことでございますので、大変せかして申しわけないと思いますが、御了承いただきたいと思います。
  274. 冬柴鐵三

    冬柴委員 期待しております。  避難民の方も自分の——それじゃ、ひとつちょっと……。
  275. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいま大臣から御説明したとおりでございますが、特に初動期のときには、人員は全国から調達して確保できる状況はございましたけれども、例えば、先ほど申し上げました三百人強の中の半分ぐらいは徳島の基地から直接船で毎日送り込むというようなことをやったような環境の中で進めたわけでございまして、マンションの関係も、当初は五千棟ぐらいという御要請でございましたが、結果的には、三十一日までに二万七千棟の検査をやらせていただいているところでございます。  ただいま先生から御質問ございました戸建て住宅についても、マンションに行った近傍では事実上やっておるわけでございますが、その点につきましては、二十七日からさらに別の三百名のボランティア部隊を編成をいたしまして、専ら戸建て住宅の被災度判定、これは役所がやる判定ではございませんが、実質的な技術者の判定としてのサービスといいましょうか、そういう点で力を入れているところでございますので、いましばらく御猶予をいただきたいと思います。
  276. 冬柴鐵三

    冬柴委員 頑張っていただきまして、特にグリーンですね、使っていいですよというところを見分けをしてほしいんです。まあ赤に入る人はいないでしょうけれども、黄色状態だったら怖くて入れないと思いますね。ですから、使っでいいのかどうかが素人で判定つかないところを判定してやっていただければ、不便な寒い避難所で生活を余儀なくされる人たちが、不便はあるけれどもやはり自分の家で住めるわけですから、そういうことを急いでいただきたい、このように思うわけでございます。  次に、倒壊建物撤去費用、処分の費用負担という問題は、大変努力していただいたと思います。敬意を表します。これについては、費用を国が半分持つ、残りは地方で持つというスキームをつくっていただいたようでございまして、しかしそこから先が余り議論されていませんので、そこから先の話を伺いたいと思うわけでございます。  まず、その適用される範囲はどうなるのですか、地域ですね。例えば、淡路島だけでも結構です。淡路島には一市十町あります。一市十町ありますが、適用除外されるところがあるのかどうか。
  277. 小里貞利

    ○小里国務大臣 一言だけその前に先生に御説明申し上げますが、ただいま先生は、解体費を含めての今度のいわば際立った対策で費用の話をお触れになりましたが、二分の一、あとは地元というお話でございましたけれども、これは交付税等できちんと国費で対応するわけでございますから、御理解願います。
  278. 井出正一

    ○井出国務大臣 対象地域でございますが、災害救助法の適用されたすべての市町村、したがって二十五です、今のところ。淡路島は全部入っています。
  279. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そうすると、南淡町それから緑町、それから三原町ですか、これも入りますか。
  280. 井出正一

    ○井出国務大臣 三原郡の緑町と南淡町は昨日夕方指定されましたものですから、これで全部淡路島の町は入ります。
  281. 冬柴鐵三

    冬柴委員 いや、昨日の昼まで勉強しておったものですから、それが入っていないものですから。  実は南淡町も私の選挙区なんですが、やはり四戸全壊で二士二戸が半壊してまして、同じ地震で壊れているのに、隣町であれば補償されるけれども、うちにはだめというのは、どうもわかりにくいものですからお尋ねしましたが、そういうことで淡路全部が入ったということであれば、地元の町長さんも非常に喜ばれると思います。  そこで、これは町なら町、市なら市がそういう事業主体になって半壊の建物を壊したりしたものについて何かこういう補助があって、私的に、自分の家が半壊になった、これじゃ危ないからということで、自分が業者に頼んでもう既に取り壊して、そして処分をした、これで費用が随分かかるわけですが、そういうものは入らないのですか、そこのところ。
  282. 小里貞利

    ○小里国務大臣 はっきり申し上げまして、一月十七日の災害発生後、個人の行為によりまして解体または搬送されたものはどうなるかということだろうと思うのでございますが、それは市が、廃棄物であるという前提に立ちまして、その延長上における仕事によって処理されたものは当然入ってくるだろうと、市の判断でございますが、私どもはそのように認識をいたしております。
  283. 冬柴鐵三

    冬柴委員 市の裁量があるということで、市に頑張ってもらおうと思うのですが、大変自分で一生懸命自助努力でやって、やらなかった人は補助はもらえるけれども、自助努力した人はやり損だったということにはならないように、同じ地震ですから、ひとつ担当相、頑張っていただきたいというふうに思います。  それから、担当相は、地元負担だけれども、これはちゃんと交付税で見ますと。その前に、全額起債を認めていただけるのですか、自治省。
  284. 野中広務

    野中国務大臣 今御指摘の瓦れき等の処理につきましては、災害対策債を配分をしたいと考え、その元利償還について特別交付税で見てまいりたいと考えております。
  285. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そうすると、これは県と市の負担割合とか、それから償還の期限とか、そういうことも細かく言えば非常に関係があると思いますので、利率までは言いませんけれども、それはどんなふうに考えておられるのでしょうか。
  286. 野中広務

    野中国務大臣 市町村でございます。市、町でございますね。
  287. 冬柴鐵三

    冬柴委員 いや、償還期限。
  288. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 災害対策債の充当でございますけれども、市町村負担分の一〇〇%を充当する、それに対して元利償還金を後年度に特別交付税で見ていく、こういう形になろうかと思います。  償還でありますが、これは今は、資金の問題についてはこれから国庫当局と調整しなければいけないわけですが、できるだけ政府資金を充てていただこうというように思っているところであります。そうなれば、通常ですと十年ぐらいという形になろうかと思いますが、その辺の条件については、また地方団体の意見等も聞いて考慮していきたいというように思っております。
  289. 冬柴鐵三

    冬柴委員 一〇〇%起債を認めるということも、本当にありがたいことだと思います。そして、それの元利金の償還については地方交付税で見ていくと。何%見るのですか。
  290. 野中広務

    野中国務大臣 五七%でございます。国庫と合わせまして八七になります。
  291. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そうすると、一三を市あるいは町という末端のあれが負担する、こういうことですね。それを十年で分けて負担するというわけですから、財政圧迫ということにはならないと思うのです。  さて、そこで、地方交付税で面倒を見てあげようという話であります。そうしますと、地方交付税を交付されない団体、不交付団体というのがあります。金持ちの団体だということになるわけでしょうけれども、しかし、被災して今回大変なダメージを受けているわけです。西宮市は不交付団体です。芦屋市も不交付団体、宝塚市も不交付団体でございます。これ、全部私の選挙区ですけれども、その不交付団体、こういうところには面倒をそれて見ていただけるわけですか、償還金について。
  292. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 お答え申し上げます。  元利償還金につきましては、後年度に実額を把握いたしまして、それを特別交付税で処理いたしますが、不交付団体についても、特別交付税の算定上特定項目として扱って、不交付団体にも実額が渡るように処理をいたします。
  293. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そうすれば、今お尋ねしたように、国で負担していただけるということがほとんどはっきりしたわけでありますから、これでいいと思うのですが、特別交付税ですね、これは交付税の七%がペンディングされて十二月と三月に払われるわけですが、三月では非常に遅いように思うわけですね。何とか繰り上げ交付をお願いしたいとともに、不交付団体にも当然これを、十二月はゼロというところもあるわけですけれども、三月の分については、やはり大変なダメージを受けて支出しているわけですから、交付をしていただきたいというふうに思うのですが、それについての考え方をお尋ねしたいと思います。
  294. 野中広務

    野中国務大臣 先般も申し上げましたように、村山総理から地方団体の財政措置について、被災者の救済に支障がないようにという意思を私ども強く受けましたので、これに基づきまして、昨日、今回の被災者状況にかんがみまして、特に特別交付税、これは三月交付の分でございますけれども、繰り上げ交付を決定したところでございます。ほぼ二月六日に交付することができると考えております。  この際、西宮、芦屋、宝塚の不交付団体も交付を行うことといたしております。総額百五十三億七千百万円でございます。
  295. 冬柴鐵三

    冬柴委員 きめの細かい配慮をしていただいているように思われます。ぜひそういうことで頑張っていただきたいと思います。  この廃材ですが、今一応甲子園浜という、西宮にありますが、そこへ野積みというか、そこへ持ってきて、一応そこでやって、それからそこで分別するのかどうするのか知りませんが、その後最終投棄場へということになっているようでございますけれども、ただ、これが分別されていないのですね。全壊した分については、木材とかコンクリートがらとかあるいは金属くずとか、まじって持ってくるということはやむを得ないと思うのですが、半壊状態にある分は、これはやはり通常のリサイクルのルートのように、木材は木材、そしてコンクリート、アスファルトがらはアスファルトがら、金属は金属で分別をして、そして再利用できるものは、木材はチップに、金属とかプラスチックも再利用できるわけでして、そういうものを、これは忙しいさなかですけれども、そういうきめの細かい配慮もやらなければいけないのではないか。  これはいろいろな利点があります。もちろん資源が再利用できるということもありますし、生のままの木材を埋立地には使えません。それで、私どもの尼崎地先のフェニックスというところでは、木材をそのまま埋めてもらっては困るということになっているわけでございます。  これは通産大臣なのかもわかりませんけれども、例えば木くずですね、家屋を壊した木、木製部分はチップにしましてそして再利用できるわけで、大阪では月産ですが三万一千五百トンの処理能力があります。それから、コンクリートがらでは一日に一万一千百二十トンとかいう能力が、産業廃棄物協会がそういうものをやりますということを言っているわけでして、それができるようなルートの御指導をやはりやっていただいた方がいいのじゃないかというふうに思います。その点いかがでしょうか。
  296. 井出正一

    ○井出国務大臣 冬柴先生おっしゃいますとおり、災害において発生した廃棄物につきましても、減量化、リサイクルは重要な課題だと認識しております。したがいまして、厚生省では、社団法人全国産業廃棄物連合会というのがございまして、この連合会が兵庫県内の市や町あるいは建設会社等に対しまして、再生事業者や廃棄物処理営業者を紹介する窓口を設けていただいて、円滑な情報提供に努めておるところでございます。  また、厚生省からは、直轄工事を行っている建設省や運輸省等に対しましても、道路等の復旧工事に伴って生じます廃棄物につきましては、再生事業者等のリストを御提供し、さまざまな業者を活用して適切なリサイクルや処理が行われるよう努めていただいているところであります。  さらに、兵庫県でも、市や町に対しまして「倒壊家屋等解体・処理事業実施マニュアル」を新たに示して、今後の解体、収集に当たってはできる限り減量化とリサイクルを進めるため、木くず等の可燃物とコンクリートや鉄筋等の不燃物の分別を求めているところでございます。  今後とも、そういう努力をこれから進めていかなければならぬと考えております。
  297. 冬柴鐵三

    冬柴委員 この甲子園浜で一応無料で投棄させてあげようということになっているわけですが、御存じのように、ほかで産業廃棄物を投棄するにはお金が要るわけですよ。それで、り災状況報告書、り災証明書というのですが、これを持っていけば甲子園浜でただでほうらせてもらえるのですね。それで、不心得者が当然出てくるわけでございまして、罹災建物じゃない廃材が相当量投棄されているという事実を申し上げて、注意を喚起しておきたいと思います。きめを細かくやっていただきたいと思います。  この甲子園浜もいっときはそれでいいのですけれども、二度手間になりますので、やはり新日鉄の未利用地とかあるいは堺、大阪ですね、対岸になりますが、堺第七—三区処分場というところで一応一部一時保管して、そこで分別をして各業者にとりに来さすというような方法もあると思いますので、ぜひそういう点も、二度手間にならない、そしてできるだけ減量するという形で、そしてリサイクル、資源を再利用する。そういう観点で、忙しいでしょうけれども、きめの細かい政策をとっていただきたい、このように思いますので、それはもう答弁要りませんから、どうぞよろしくお願いいたします。  さて、次の問題ですが、今、罹災者の方がマンションとか自分の建物、本当にとらの子のような建物、これはほとんどがローンを組んで、そして一カ月に十数万というようなものを払い、そしてボーナス時には数十万というお金を毎年払って耐えてきたわけですね。しかしそれは、これを払えばこの自分の家が自分のものになる、子供にも残してやれるという、そういう楽しみで今まで払えたわけですけれども、その建物がなくなってしまったわけですね。しかし、ローンは残っちゃったのですよ、ローンは。  それで、まあ災害に遭ったんだから、生まれたときは裸だったんだから、また裸一貫でやり直そうよということにならないわけです。マイナスから、大きな何千万の債務を負担した状況でこれからどうしようかということで、非常に悩んでいられる方がもう大半なんですね。  それで、これは非常に大胆な提案ですけれども、ローンを全部チャラにできないのかなと。チャラというのは債務免除。債務免除にする。そして、ローン会社はこれを損金として計上する。最終的には、税金が入ってこないわけですから、国が見ることになってしまうわけですけれども、それぐらいやらないと、この大きな、何千万の、家はなくなった、債務を負担したままで、もう一度家を買って、マンションを買って、ささやかだけれども、その上へ上積みでローン債務を抱えるということができる人は少ないですよ。そうすると、やはり震災地は非常に希望のない、活力のない人ばかりになってしまう。  そういうことを考えますと、前例はないかもわからないけれども、それぐらい大胆な政策をとれないかなというふうに思うのですが、大蔵大臣、急ですけれども、ローンを、被災者についてローン債務を免除するという方向はとれないものだろうかということでございますが、いかがでしょうか。
  298. 武村正義

    ○武村国務大臣 御指摘のとおり、確かに、マイホームを持たれて借金を返済中にその家が壊れた、なくなった、新たにまた借金をして再度マイホームを持つというのは大変なことだというふうに私も思います。  片方、個人補償の議論、この委員会でもずっと出ておりますが、基本的には、冷たいことを申し上げるようでありますが、この国が私有財産のシステムをとり、私的な財産そのものに補償する、税金の面から援助をさせていただくというシステムは、基本的には我々は持っていないということであります。  もちろん、個人補償といいましても、先般井出大臣が御説明申し上げたように、亡くなられた方であるとか、もう再起不能の障害に陥られた方に対しては、いわば税金を発動して、五百万とか二百五十万というふうな個人補償の制度が確立されて、弔慰金とか見舞金という名称でされているわけでありますが、他は、幸い体が元気で、被災に遭われたけれども元気な方は頑張ってもう一度立ち直っていただく、そのための応援をどうさせていただくか。  そういう意味では、低利融資とか融資の条件にいろいろ工夫をさせていただく、こういう仕組みになっているわけであります。これで今回の大震災も十分ですということを申し上げているわけではありません。今日までの我が国、国会も含めてみんなが議論してきてっくり上げているシステムは、そういうものでありますということであります。  しかし、こういう状況でありますから、モラトリアムという言葉がありますが、過去のローンの返済に対しても、緊急異例の措置として、これはもう公庫の例もそうですが、三年間は支払いをとめさせていただく。民間の融資、銀行の融資に対しては、私どももいろいろな、返済の金額を下げることから、あるいは日延べすることから、いわば返済条件の緩和について要請をいたしておりまして、各金融機関もそういう気持ちでいろいろな相談をいただいているところでございますが、目下のところは、このモラトリアムを発動してとりあえず返済猶予という措置をとらせていただくことになるのではないかというふうに思っております。
  299. 冬柴鐵三

    冬柴委員 従来の枠組みからいけば、もうモラトリアムで三年というのも大変な努力だろうということはわかるのですけれども、しかしこれだけ、三十万人からの、世帯数からして十万人以上の働き手が、今まで営々と働いて、そして自分のマンションの一室あるいは一つの家をローンで買ったという人が、それがなくなってしまった。こういう異例なことが集中して起こっているわけですから、私は、国がその人に生にお金を渡せなんという、そんなことを言っているわけではないので、そのローンというのは、銀行とかいわゆる住宅会社がそういうものを各人と契約をして、金銭消費貸借をして、そして十年で払う、十五年で払うという契約で元利金を払う契約をしてきたわけです。それで、その債務者の方が、これはその家は担保にとられているでしょう、しかし債務者であるその人が、こういう震災に遭って履行不能になったわけです。払えなくなっちゃった。  ですから、私にもしその人が泣きついてきたら何を言うかというと、これを全部チャラに、法律的に全部払わなくて済む方法はありますよ、一銭も払わなくても済む方法はありますよ、そういう方法を集団してとるということになれば、結局は、何ですか、銀行がこれは損金計上せざるを得ないわけでして、それを租税上全額を損金と認めるかどうかということに尽きると思うのですね。  これは余り柄のいい話じゃないけれども、これは法務省、民事局長いられるからちょっと、だれも予定していないけれども、民事局長、こういう震災に遭ってローン債務を、勤めているから給料はもらえますよ、もらえるけれども、全然もう支払いができない状況になっちゃったわけですよ。モラトリアム、三年延ばしてもろうても、その三年先払っていくことができない、そういう資力に陥った人が法的にその債務を免れる方法がありますね。
  300. 西村吉正

    ○西村政府委員 ちょっとその前に、先ほどの大臣の御答弁との関連で申し上げたいのでございますが、支払いの猶予というか、モラトリアムというか、間を置くという措置につきましては、住宅金融公庫について、先ほど大臣が申し上げましたように最長三年間、元金、利子双方の支払い猶予を認めているというところでございますが、民間の金融機関につきましては、これはいろいろな条件が、それぞれの債務者について事情が違うと思います。窓口で個別の条件に応じて、できるだけ債務者の事情に応じたような御相談に応ずる、こういうことでやっておることでございます。
  301. 冬柴鐵三

    冬柴委員 もう私から申し上げますけれども——やっていただけますか、じゃ、民事局長
  302. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 突然の御質問で十分に調べておりませんが、例えば破産の申し立てをして、要件もございますけれども、免責を受けるというようなことは考えられようかと思います。
  303. 冬柴鐵三

    冬柴委員 私も民事局長と同じ意見でして、被災者の方が、ほとんど唯一とも言える資産である家が倒壊した、あるいは地震によって類焼した、なくなった。残ったのは莫大な債務ですね。本人にとっては莫大な債務と本当に生きていく上に必要ななべかまが残っただけという状況の人がたくさんあると思うのですよ。この人は裁判所へ自己破産の申し立てをして、破産はすぐ認められると思います、同時的に認められると思います。そして、今言われたように、そのときに免責、債務を免れるという手続をとれば、もう何千万残っていても、これは免責をされることになっています。そして一から、それこそ、ここからスタートをするという方法があります。  そういうことを、個別的にやるのではなしに、要するにローンの会社が、こういうふうに全部倒壊した、それからほかには担保が入っていない、あるいは連帯保証人というけれども資力も余りないというような事例については、これはやはりこの際損金で落としても、租税上、法人税上、これは債務免除した分について損金と見てあげるという、いわゆる法人税はそれだけ、税の部分ですから全額にはいきませんけれども、軽くなるということになると思います。  それだけ歳入が減るということになると思いますけれども、そういう方法を、これはあるいは銀行局の方からの指導になるか、大蔵省全体の問題ですから大蔵の方で一遍よく考えていただいて、これは将来の問題ですから、きょうあしたの話ではありませんけれども、本当に生きる望みすらもうなくしてしまった人、たくさんいると思うのですね。  それは二重ローンなんて組めませんよ、もう一軒家を買う、自分たちの子供たちのことを考えればわかると思いますよ。その収入で、そのローンだけでも大変な負担で、もうあとは何も買わずに生活、とにかく歯を食いしばってもこのローンを払い、払い切ったらこれはおれのものだという、そういう気持ちで払っていられる人に対して、それがなくなってしまったわけですから、その上へなお重ねてもう一つローンを組めるほど、日本の給料は高いとは言われていますけれども、そんなに給料もらっている人はないと思うわけでございます。  どうかそういう方法も、自己破産という、これはみんながそう簡単にとり得るものではないと思いますけれども、最後の最後までいけばそういう方法も残されているわけですから、そういうことも考えながら、ひとつ前向きの政策決定をしていただければ、また神戸の町にも、芦屋、西宮にも活力が戻ってくる、私はそういうふうに思うわけでございまして、ぜひ、非常に大胆な話ですけれども、考えていただきたいと思います。  次の問題に移りますが、中小企業者も大変でございます。店舗を失い、商品を失い、生産手段を失った人がたくさんいます。しかしそれは、資産はあるけれども、反面、買掛金とか手形とか小切手とか借入金の債務というものが片やあるわけで、そっちの方はきちっと券面額で残っているわけでございます。これは、それまで全部なしにはなかなかできないと思いますが、やはり特に手形、小切手について、先ほど大蔵大臣おっしゃいましたように、モラトリアムという、一時債務の支払いを集団的に停止してしまうという方法について、ぜひ特段のお考えをいただきたいと思うのですが、通産大臣でしょうか、お願いします。
  304. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 委員が先ほどお述べになっておられるとおりの状況が今後続発すると私も思います。既に、政府系の中小企業金融機関に対しまして、被災いたしました中小企業の既往債務の返済猶予等につきましては弾力的な対応をするように指導いたしておりますし、また民間金融機関につきましては大蔵省の方から御指導いただいておるわけでありまして、今後とも、各金融機関が債務返済等について、個々の中小企業者の実情に応じた対応を実施していくものと考えております。  ただ問題は、今委員の御質問の延長線上にある問題でありまして、立ち上がりについて今政府としてできる限りの措置はとっておりますけれども、これだけで十分なものではございません。殊に信用保証等につきましては、新たな立法措置を必要とすると私は考えております。  しかし、例えば無担保・無保証の信用保証をつけましても、今のルールを超えた、例えば無利子の融資をいたしましても、なおかつ立ち上がり切れない企業が恐らく存在すると思われます。こうした方々に対して、いわば転廃業の資金に当たるものをどう考えればいいのか、この点については苦慮いたしております。まだ的確な方途を見出せておりません。そうしたものにつきまして何らかの考えをまとめましたときには、本院においてもぜひまた御協力を賜りたい、この場をかりてお願いを申し上げます。
  305. 冬柴鐵三

    冬柴委員 ぜひきめの細かいのをお願いいたします。  あと労働大臣に対して、失業保険の請求でございますが、いろいろと中小企業に対しても雇用調整助成金等で大変な御努力をいただいていることは承知いたしておりますが、震災直前に十二月に失業した、それで失業保険の請求をしているときにこういうふうに一月十七日に被災をしてしまったという場合、給付制限期間というのが何か三カ月間あるのですってね。  それで、これは何とかしてもらいたいということを私の方へ具体的に陳情に来た人があるのですが、そういう問題もありますし、それから、こういう震災で自分が勤めていた会社が休業のやむなきに至る、こういう場合もあるわけでして、そういう人たちの失業保険給付については、こういう給付制限期間というものに対しては特段の配慮をやはりしてやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  306. 浜本万三

    ○浜本国務大臣 先生も御承知のように、雇用保険におきます給付制限制度というのは、労働者が離職しますときに、ちょっと待ちなさいなというように慎重な判断を求める制度でございます。そういう立場からいいますと、この取り扱いは慎重にしなければならないと思うのでございますが、何しろ被災地の離職者でございますから、当然生活の問題もあるでしょうし、再就職に必要な費用も考えなければならぬと思いますので、原則どおりのことも申せないと思いますので、できるだけ弾力的に運用いたしまして、できるだけ緩和するように指示をいたしておりますから、先生の御指摘のようになると思います。
  307. 冬柴鐵三

    冬柴委員 ありがとうございました。  それから、次は法務大臣に、無料法律相談の問題でございます。  これはまた後でも聞く予定ですけれども、神戸の弁護士会、兵庫県には兵庫弁護士会というのはなくて、神戸弁護士会ということで兵庫全体のエリアをカバーしているわけですが、弁護士も神戸中心、神戸に大分集中しているわけですが、事務所か自宅かどちらかが被災してしまってなかなか無料法律相談に応ずることができないということで、神戸を含む近畿弁護士連合会がいち早く地震一一〇番というものを設定しまして、随分たくさんの相談があるようでございます。それからまた、周辺地域につきましても、市町村で法律相談、今言ったような借地・借家に関することとか、あるいは肉親が亡くなったことに関する相続の問題とか、いろいろな問題が持ち込まれているわけでございまして、出張相談もやっておられます。  これは、当然弁護士がボランティアで自主的にやっているわけですからこれでいいと思うのですけれども、ただ、法律相談、体一つで行ってできるものではありませんので、それにはやはり場所を提供していただくとか、あるいはその受付をしていただくとか、あるいは電話とかファクスとか、そういうようなものについてぜひ考えてやってほしい。  それからもう一つは、きょう御答弁がありましたように、罹災都市借地借家臨時処理法の適用というような問題は非常に特殊な法領域でございます。そういう意味で、これについての従来の考え方とか、あるいは政府の行政解釈とか、そういうものの資料もぜひ各地の弁護士会に、あるいは担当の弁護士に行き渡るようにして、そして来られた法律相談の方が二回、三回足を運ばなくても、一回来れば的確な、安心できる相談に応じられるような環境づくりに法務省として努力していただきたいと思うのですが、これはいかがでしょうか。
  308. 前田勲男

    ○前田国務大臣 被災民の方々に対する無料法律相談でございますが、先生からも、神戸弁護士会、神戸の弁護士の先生方、御自宅が倒壊されているにもかかわらず、既に御相談に乗っていただいたり、また近畿弁護士会としても、一月の二十六日から既に組織的に無料相談活動に入っていただいております。また日弁連、また財団法人法律扶助協会、そして司法書士会、土地家屋調査士会は現地でそれぞれ組織的に無料相談所を開いていただいておりますし、かつまた電話相談一一〇番ということで、極めてたくさんの相談を引き受けていただいておるところでございます。  法務省といたしましても、これら弁護士会、法律扶助協会、司法書士会、土地家屋調査士会等の御協力をいただきながら、相談体制の充実、なおこれからふえてくるという観点で努めておるところでございますし、またこれら支障の生ずることのないように財政上の措置を考え、踏まえて適切に対応してまいりたいと思っております。また、相談の場所等もこれまた大事なことでございまして、法務省の施設なども活用もいたすことにいたしておるところでございます。  また、御指摘のとおり、来週公布されます罹災都市借地借家臨時処理法、これもいわば罹災時の、いわば平時の法律ではございません。そんな関係から、特に説明、広報が極めてこれまた必要であろうという観点から、この法に対するいわばQアンドAと申しますか、こうしたパンフレット等もつくって、十二分に対応してまいりたい、かように考えております。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  309. 冬柴鐵三

    冬柴委員 ぜひPRに努めていただきたいのですが、こういう発想もありますね。法務大臣、ひとつテレビに出ていただきたい。テレビで、こういう罹災都市借地借家臨時処理法というものの適用がされました、そうなりますとこういうふうになりますということをテレビを通じて国民に呼びかけていただければ、テレビは物すごく見ていらっしゃるのですね。本当に随分たくさんの方がテレビを見ていられますので、これはお金がかかるのか、あるいは地元局は喜んで提供するのじゃないかと思うのですけれども、そういうところで法務大臣自身が出られて、そしてその法律はこういうものだということを説明をされる、そういうことも非常に大事なことじゃないかというふうに思いますので、考えていただきたいと思います。  次に、統一地方選が迫っております。四月九日、四月二十三日、もうすぐでございまして、例えば、もちろん兵庫県会議員選挙、それから芦屋では市長、首長の選挙も行われるわけでございますし、そのほか政令指定都市の神戸市市会議員の選挙、芦屋、西宮、宝塚、全部ありますが、こういう選挙をこのような被災のさなかにできるのだろうか、するのが妥当なのだろうか。  例えば、芦屋市は人口八万六千七百四十五人です、去年の十一月ですね。そのうち、実に避難した人が一万九千二百六十五人いられましたね。これは市のほぼ二二、三%、五人よりも四人に近いところで一人が被災している。それで、視察していただいていますからわかりますけれども、今も市役所に行けば廊下に、芦屋市役所の廊下にはたくさんの方が、毛布を敷き、その上に布団を敷いて生活していられますね。そういうところで首長選とか議員の選挙をするのがいいのかなという感じがします。  それから、長田区の惨状もそうですし、そしてまた、こういう被災された方は全国に復興期間中散って保護していただく、そういう制度もスタートしておりますので、本当に全国に散らばるわけですね。こういうときに選挙をしていいのか。  その点について、やり方、例えば、いろいろ考えてみたのですけれども、首長なり議員の、地方議員の任期が四年ということを地方自治法で決められております。ですから、それに対する一部改正をせないかぬと思うのですね。そういうことで一定期間この任期を延長するというようなことで、統一外になるわけですが、そういうことは許されるのだろうか、先例があるのかどうか、そこら辺、自治大臣からお言葉をいただきたいと思います。
  310. 野中広務

    野中国務大臣 災害救助法が適用されました市、町のうち、兵庫県で七市二町、大阪府で四市が統一地方選の対象となっております。これらの選挙が予定どおりに実施できるかどうかにつきましては、現地の事情を把握することが先決でございまして、今先生からもいろいろと御意見、実情を承ったところでございます。私どもといたしましても、兵庫県の選挙管理委員会との間で連絡をとっておりまして、また県の選管では市、町の選管との間で連絡をとりながら、状況把握に努めておるところでございます。  現在の時点におきましては、県の選管によりますと、選挙の実施に向けて鋭意努力をしているけれども、一部の市、町で具体的な点検課題、すなわち、本当に投票、開票の事務が可能か、あるいは場所が確保できるかどうか、あるいは従事する職員の確保が可能であるかどうか、あるいは今委員が御指摘になりましたような被災者の状態、こういった問題やら、諸物資の発注等さまざまな点検課題があるわけでございまして、こういう問題を点検いたしまして、いろいろ配慮をされておりますけれども、現在ではその見通しをつける状態にはなっておらないところでございます。  今後事情の許します限り、速やかに実情の把握に努めまして、関係地方公共団体等の意向も踏まえた上で、必要があります場合は、法的な特別措置、すなわち、任期の延長、選挙期日の繰り延べ等を講ずる処置を国会にもお願いをしなければならないと存じておるところでございます。  私も明後日現地に参りますので、またその意向をよく聞いてまいりたいと考えております。
  311. 冬柴鐵三

    冬柴委員 この判断は、国がするというよりも地方がどういうふうな意向を持つかということによって決まるんだろうと思いますけれども、いずれにしても法改正が必要になる事項だろうと思います。よろしくお願いしたいと思います。  次に、兵庫県には地方紙として神戸新聞という新聞があります。これはあと三年後には創刊百周年を迎えるというもので、発行部数は五十三万部ということで、兵庫県の県民の誇りの新聞でございます。オピニオンリーダーとして現在まで役割を果たしてきたわけですが、三宮に立派な本社がありました。この本社がこの大震災によって壊滅的打撃を受けまして、これは取り壊さないと危ないという状況になって、全く使い物にならなくなってしまいました。この本社の中には、最近のことでございますのでコンピューターシステムがありまして、コンピューターによる編集が行われていたわけですが、全く使えなくなったわけでございます。  そういうことで、このようなものをそのままにしていいのかということが、これは読売も、朝日、毎日、日経も随分、中日東京新聞等も大きく扱っておりまして、ちょっと読んでみますと、「どんな困難な条件でも新聞を発行する。それが使命だ——。阪神大震災で神戸・三宮の本社社屋が壊滅的な被害を受けた地元紙「神戸新聞社」は提携する京都新聞社に社員を派遣、同社のコンピューターを利用して新聞作りを続けている。」「自分の父親が遺体で発見されるまでの二日間を、社説につづった論説委員長がいた。母親の行方不明を伏せて陣頭指揮をとった社会部長がいた。」「家族、親類が犠牲になった記者もいる。家を失った社員も多い。「市民とともに郷土復興に立ち上がろう。そのための新聞作りを」」ということで、地震発生から一日も休刊はなく、「被災者らにホットで身近なニュースを送り続けている。」「がれきの中から、きょうも記事を発信する。」というようなことが書かれていますが、そういう地方の新聞、これは私企業ですから、相当な壊滅的な打撃を受けているわけですが、新聞というのは、これは何か所管省はないんですかね。どういうふうに考えたらいいのか、だれか。ちょっと待って。大臣、橋本大臣。
  312. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 産業分類上、私どもの守備範囲ということになるのかもしれません。ただ私は、私自身現地に参りましたときにも、非常に見事に発刊をしておられる状況を拝見をいたしました。その時点では、ああ、新聞が出ているなどいう印象でありました。  ところが、その後被害状況を業種別に調べてまいりますと、神戸新聞の被害状況というものは極めて大きい。本社ビルは壊滅状態である、そしてコンピューターシステムが全滅し、本社における紙面作製能力を喪失している。しかし、そうした中において、印刷部門がたまたま特段の被害がなかったということであったようで、ここに急遽コンピューターシステムを組んで紙面製作等の一部を代行しておられる、こうした努力を拝見すると本当に頭が下がる思いがいたします。そして同時に、それが被災者にとって、恐らく私は、非常に慰めでもあり、また勇気づけられるものでもあろうと存じます。  こうした努力が払われておりますこと、これはたまたま神戸新聞を例に挙げましたが、それ以外の企業におきましても、それぞれの分野において、必死で復旧を続けながら市民へのサービスを続けておられる産業が多く存することを、私は非常に心強いことであると同時に敬意を表したいと思います。
  313. 冬柴鐵三

    冬柴委員 この新聞、被災の日の夕刊というのはもう見開き四ページしかできない。これは京都新聞とこういう震災時に提携契約を一年前に結んでいたらしいのですが、それで、京都新聞まであの渋滞の中をオートバイで記事を運び、そしてまたそこでコンピューターで紙型をつくって、それをまたオートバイに乗せて、そして自分の生き残った印刷所で印刷をして、夜の八時ごろ夕刊ができた。それを配ったところ、拍手をもって被災民に喜ばれたということも出ています。大変な努力をしているということはわかるわけでございますが、こういう百年の歴史を持っオピニオンリーダー、これからの兵庫の復興というものについてはやはり欠かすことができないものではないかというふうに思うわけですね。  これがちょうど百周年を記念して、ハーバーランドで、大蔵省もバックアップをしていただいて、住都公団、神戸市とともに全国初の自治体、民間一体によるモデルケースとして共同ビル、新社屋建設中だったというのですね。これはまだ完成してないのですが、ここは幸い無傷であった。何とかこれをやり遂げて、どうしても再建したいというのが社員一同のお気持ちのようでございますし、通産大臣もおっしゃったように、私も敬意を表してきょうここで取り上げさせていただいたわけですが、何とかこういう民間の、過日は私立大学の壊滅的な被害についても、文部大臣、御発言がありましたけれども、そういう努力している私企業を殺してしまうということにならないように、いろいろな配慮をしていただきたいというふうにお願いしたいと思います。  もう一つ、ボランティアが活躍していることはもう皆さんが高く評価しているところでありますが、何とかこれをボランティアをしやすいように、ボランティア休暇がとれるようなシステムとか、あるいはボランティアでやっている仕事の途中で傷害を受けた、あるいは死亡したという場合もあると思うのですね。そういう場合の保険措置というようなことも、ぜひこの際、この震災を契機として政府でも考えていただきたいなというふうに思うわけですが、一言だけ総理からお言葉を。
  314. 村山富市

    村山内閣総理大臣 ボランティアの皆さんの活躍ぶりにつきましては、もうこの委員会でも評価されておりますし、私どもも、もう感謝気持ちでいっぱいであります。  ただ、最近の情報を聞いてみますと、企業の方も相当協力的で、ボランティアで出動した日は出勤としてみなして賃金を払うとかいうような便宜も与えているようでありますから、そういうボランティア活動がしやすいような環境をどう整備していくかということも大事なことだと思いますし、火事に活躍をしておってけがをされた場合にその保険をどうするかとか、あるいはもう少し法人として認めて、税金の面とかいろいろな面からやはりボランティア活動がしやすいような条件整備というものも必要ではないかというふうに考えますので、これは早急に検討を加えて何らかの方策を講じていきたいというふうに思っています。
  315. 冬柴鐵三

    冬柴委員 外国ではボランティア貯金というような制度もあるようでございます。そういうような外国の例も、文献上もいろいろありますけれども、ひとつ研究をしていただいて、これを契機に一歩前進をしていただきたいということをお願いしまして、次の問題に移ります。  随分時間をとってしまって、五つの課題のうち一つしかできなかったのですが、次は、在日外国人の地方参政権の問題を取り上げてみたいと思います。  ことしは、終戦五十年とともに、日韓国交正常化三十年という佳節に当たるわけでございます。私どもの住んでいる関西には、在日韓国・朝鮮人の方がたくさん住んでいられる地域があります。生野区という区があります、大阪市生野区。そこでは、実に住民の四分の一が在日韓国・朝鮮人の方なんでございます。この人たちは、もちろん日本で生まれ、日本で育ち、そして子をもうけて日本で亡くなっていったという人たちでございまして、もちろん日本語を流暢に話されますし、全く町内会のつき合い、PTAにしても、コミュニティーも日本人同様でありますが、ただ国籍が違うというだけでございます。  じゃ国籍がなぜ違うのか。日韓併合のときには、その人たち日本人にさせられたわけでございます。名前も、金という名前は、例えば、日本人らしい名前にせいということで強制的にそれにもう一つ字をつけて改姓をさせられたとかね。  そしてまた、生野区になぜこういうふうに在日韓国・朝鮮人の方がたくさんお住まいになったかというと、要するに、日韓併合後あそこに、大和川という川がちょっと雨が降ると大きく水害を起こすということで、それの治水工事に従事させるためにいわば朝鮮半島から強制的に移住をさせた、そしてそこへ住んでいただいた。その沿革があってあそこにたくさんの方が今もいらっしゃるという沿革があるわけですね。これは日本人だったわけですが、御存じのように、日本国との平和条約締結時に、また本人の意思を確かめることもなく外国人にさせられてしまったという沿革があるわけです。そういう重い歴史を我々は担っているわけです。  この人たちは、日本人と同じように地域社会では重要な構成員として活躍していられます。そしてまた、今日の日本の繁栄を維持発展させた一つの貢献もしてこられたことは間違いないと私は思うわけでございます。  そういう人たちは、もちろん税金も払っていられます。そういう人たちが、自分が払った税金、タックスペイヤーがその使い道について全く口出しすることができない、政治に参加できないというのは非常に、私から見たら、ちょっとどんなもんだろう、こういうことでいいのかなと、日本人の一人としてそのように思います。  国の政治に、例えば国会議員の選挙にこういう在日外国人の方に参政権を与えるということは、これはできません。憲法上も、十五条で「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民」、「国民」ですから日本国民、「固有の権利である。」と、こういうふうに書いてありますので、これはちょっとできないと思うんですが、ただ、憲法は「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」ここには「国民」と書いてないんですね。「住民」と書いてある。  それで、じゃ「住民」とは何だということになりますと、地方自治法十条があります。地方自治法十条では「市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。」と、こういうふうに書いてあります。  自治省、どなたでも結構ですが、この「住民」というのは在日外国人も当然含んでいると、当然そういうふうに思うわけでございますが、「住民」の中には日本人とそれから日本人でない住民とがあると思うんですが、そういうことでよろしいですか。どなたか自治省から。——今は選挙権のことではなしに「住民」だけです。
  316. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 お答えいたします。  憲法の九十三条における「住民」ということにつきましては、前提として日本国民ということでありまして、その日本国民がその地域に居住をしているという意味で「住民」という形で使われているというふうに私どもは理解しております。
  317. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そういう解釈もあるんですよ、そういう解釈も。あるんですけれども、また違う解釈もあって、十五条では「国民」と書いてあるし、選挙するのは「国民」だよと書いてある。九十三条では、地方の首長さんとか議員さん、こういうものはその地域に住んでいる「住民」が選ぶんだということで使い分けているんですね。  それで、じゃ何だというと、地方自治法では「住民」というのはそこに住んでいる人だと、こういうことが書いてありますから、これは日本人だけではなく外国人も含んでいることはもう明らかなんです。  法制局長官、何も通告してないんですが、そう読んでいいんでしょう。判例とかは別にしまして、「住民」というのは、地方自治法では日本人と日本人以外も含んでいると、そういうことでいいんでしょう。
  318. 大出峻郎

    大出政府委員 ただいまの委員の御質問は、地方自治法の十条に書かれている「住民」、ここに外国人を含むかと、こういう御趣旨と思いますが、地方自治法の十条というのは「市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。」と、こういうふうに書かれておりまして、ここでは日本国民に必ずしも限らないということであろうかと思います。
  319. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そうしますと、この地方自治法十条に言う「住民」と憲法九士二条に言う「住民」が同一の概念なのか違う概念なのかということになってくるわけですね。  例えば選挙関係では、やはり地方自治法で、九十条とか九十一条にそこの議員の定数の定限を定めているんですね。これは、その基数、人口何ばに対して何人ということになるわけですね。例えば五十二人とかですね、そういう決め方があります。その基数になるのは何になるんですか。有権者なんですか、日本人なんですか、それとも外国人も含んだ住民になるのか。  これは私も法律家ですから言いますけれども、もし間違っていたら指摘してください。ここに言う定限の基数、計算の根拠になるのは「住民」であって外国人も含んでいる、それから未成年者も含んでいる、そう解釈していいと思うんですが、間違っていれば指摘してください。
  320. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 地方自治法上の人口でございますか、これは国勢調査人口ということでございます。
  321. 冬柴鐵三

    冬柴委員 定住外国人を含むんですね。そうすると生野区はどうなりまずかね。これは外国人を除いてしまうと四分の一ごそっとなくなるわけですから、定数はもっと減るわけですね。  そういうことも考え合わしますと、この人たちは税金も払っている。日本人と同じ顔をしていられますよ。小学校も中学校もみんな一緒になってやったわけです。こういう人を政治に、税金払ってなきゃいいですよ、払ってくれているわけですから、そういう人たち日本の国が地方参政権も認めないということはいかがなものかなと思うんです。私は、この日韓国交正常化三十年に当たってこれは認めていいんじゃないかと。  外務大臣にちょっとお伺いしたいんですが、韓国から外交ルートでこういうことも古くから申し入れているんじゃないですか。いかがでございましょうか。
  322. 河野洋平

    河野国務大臣 長年の懸案と聞いております。
  323. 冬柴鐵三

    冬柴委員 これは九一年一月の日韓外相覚書で問題が指摘されまして、その後、以来、アジア局長会議等で引き続き韓国から提起をされて、そして日本の方は考え中というか、断ってきているという歴史があります。  ちょっと自治大臣、何か外国の立法例とかあるいは日本の国内の動き、これに対してですよ、あるいは世論とかそういうものがあれば、調べたものがあれば、お示しいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  324. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 お答えいたします。  定住外国人に地方参政権を付与している外国の事例についてでございますが、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、オランダ、アイルランド、こうした国々では、一定の条件を満たした外国人に地方参政権を認めているというふうに承知をいたしております。  それから、国内の動きと申しますと、例えば定住外国人の地方参政権を求めたり、あるいはその検討を要請するというような意見書あるいは要望等が各都道府県、市町村の議会から出されておりまして、その受理件数が昨年末では大体百三十八件、そういうような形で出されております。
  325. 冬柴鐵三

    冬柴委員 今選挙部長がお答えになったように、ヨーロッパの国々ではそういうような、当然に定住外国人について地方の参政権を認めるという国々が多いわけでございます。  もっと見逃してはならないのは、一九九三年発効したいわゆるマーストリヒト条約、EU条約、この中に、加盟市民が滞在する加盟国の自治体選挙に参加する権利を付与するという、相互にですね、ヨーロッパではどこの国でも定住したところで地方参政権には参加するという、そういう秩序がマーストリヒト条約の中でうたわれているということなんです。これは、一つの世界の潮流を示す大きなメルクマールじゃないかと思うわけでございます。  我々、総理、日韓というのは、日朝もそうですけれども、私が先ほどちょっと述べたような、非常に日本人にとって重い過去の歴史があります。そういう意味から見ても、ぜひこれは政治決断すべきじゃないかな。  それで、こういう判例があることを紹介しましょう。地方参政権については、大阪地方裁判所、平成五年六月二十九日という判決がありまして、これでは、定住外国人といえども、参政権を現行法のもとでは与えることはできないという、そういう判断を示しているのですが、傍論でこういうことを、重要なことを言っているのです。「これを付与するか否かは立法政策の問題にすぎないというべきである。」いわゆる国会が考えることだ。国会が考えることである。具体的には、地方自治法の十一条とか公職選挙法九条というものを改正をいたしまして、日本国民たる住民に限っているこの選挙権というものを、「日本国民たる」という部分を削れば、住民に与えるということにすれば、これは解決するわけでございます。  これも法制局長官、急に言って申しわけないですけれども、「これを付与するか否かは立法政策の問題にすぎないというべきである”」という判決の傍論ですが、そういうことを地裁判決は言っているのですが、その意味するところは、それは国会で考えて国会で議決するかどうかの問題だというふうなことを言っていると私は思うのですが、それでよろしいですか。
  326. 大出峻郎

    大出政府委員 ただいま委員が引用されました大阪地方裁判所の判決、平成五年六月二十九日の判決であろうかと思いますが、これは「立法政策」という言葉も出てまいりますけれども、この判決が必ずしも立法政策の問題だというふうに断定しているのではなくて、「仮に右の者に参政権を付与することが憲法に違反しないとの立場を採り得るとしてもこと仮定のことを言っているのでありまして、ここでこれは専ら立法政策の問題であると結論づけたというふうには私は理解をいたしておらないところであります。
  327. 冬柴鐵三

    冬柴委員 非常に今厳格な解釈を示していただいたから、これに対して異論は私はありません。ありませんけれども、ここで言っている「立法政策の問題にすぎない」というのは、決して憲法レベルの問題じゃなしに、憲法を改正しなきゃいけないとかいう問題ではなしに、国会がこういうふうに決断をすればこれは与えられ得る問題である、こういうふうに私は一つ読んでいるわけでございます。  いろいろ読み方はあると思いますけれども、先ほども言いましたように、日韓国交正常化三十年。隣国でございます。一衣帯水の関係にあるわけです。大事な大事な国だと思います。そしてまた、向こうでは終戦五十年とは言わなくて、復元節というのですか、光が戻ってきた日だというふうに向こうは五十年のことを言っているのですね。もちろん向こうにしたら植民地から解放されたわけですから、そういうふうに見ているんでしょう。  いろいろそれぞれに思いはありますけれども、しかし、今日本にいられる定住外国人というのは、本当に終戦前から日本にいて、そして講和条約の韓国籍にならされたときも日本にいた人たち、それの子孫が定住外国人として特別な扱いを受けているわけですから、この人たちにまで、勉強のために来ている外国人、通過外国人と言っていいと思うのですけれども、そういう人たち日本語が話せない外国人と十把一からげにして、外国人だから、国のレベルはだめだけれども、地方選挙権も与えませんというのは、私は日本国民として恥ずかしい思いをしています。ぜひひとつ総理、お考えをいただきたいと思うのですが、現時点のこと、感想でも結構ですから、お示しいただきたいと思います。
  328. 村山富市

    村山内閣総理大臣 ずっと日本に居住をして、もう全く生活もつき合いも日本人と同じような暮らしをしておる、今いろいろ言われた、委員の言われる意味の心情というものは、私はよく理解できます。  ただ、憲法九十三条と地方自治法の十条と、「住民」という概念がどういうふうに違うのか、そこらのところはまだ最高裁も明らかにしていませんし、法律的な解釈と現実的にどう判断をするかという問題と両面あると思いますから、これはこれからの宿題として大いに検討させていただきたいというふうに思います。
  329. 冬柴鐵三

    冬柴委員 我々は議員立法としてでも提出したいと私自身は思っています。ぜひそのときには真剣にいろいろな観点から考えていただきたいというふうに思うわけでございます。  何かありますか。では、法務大臣。
  330. 前田勲男

    ○前田国務大臣 お許しをいただきまして、先ほどの罹災都市借地借家臨時処理法の中で、三原郡の緑町を読み落としておりましたので、よろしくひとつお願いします。
  331. 冬柴鐵三

    冬柴委員 時間の配分が悪くて、私はきょうは五つの課題を、地方分権も総理とぜひやりたいと思っていたのですけれども、お許しをいただきたいと思います。法律扶助制度の飛躍的拡充、法律相談事業と地方公共団体の充実義務、それから地方分権の推進、こういう課題に挑戦をしてみたいというふうに思っていたのですけれども、非常に時間の配分が悪くてできませんでした。  通告をしながらできなかったことをおわびしまして、私の質疑を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  332. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて冬柴君の質疑は終了いたしました。  次に、笹木竜三君。
  333. 笹木竜三

    ○笹木委員 新進党の笹木竜三でございます。質問を始めさせていただきます。  最初に、今度の阪神大震災に対して、私も国会の一員として、本当に国民に対して申しわけないと感じております。しかも、本当に恥ずかしいと感じております。我々一丸となって何とか新しい体制に立て直していく、改革をしていく、そのことが本当に必要なんだと実感しております。  今政府の方でも、新しいシステムをどうやってつくり直していこうか、日々いろいろ提案をされております。あるいは検討をされております。しかし必要なことは、システムがどんなに変わっても、危機、状況というのは予想できなかったことが起きるわけですから、どんなに細かいシステムをつくっても、最後に問われてくるのは政治家判断とリーダーシップだと思うわけです。きょうのこの質問においても、ぜひ質問に対する答弁を、大臣あるいは総理大臣の御自身の判断を御自身の言葉で語っていただきたい、そう思います。どうかよろしくお願いします。  最初に、阪神大震災の対策についてお聞きしたいわけですけれども、具体的なことを幾つかお聞きします。  一つは、住宅の確保について。  もう三週間目に入っているわけですから、恐らく被災者の皆さん、例えば小学校におられる皆さん、これはもうかなり限界に達してきていると思うわけです。非常にストレスもたまってきているだろう、そう思うわけです。必要なことは早くスケジュールを示すことだと思うわけですけれども、今入居申込者が七万世帯ある。仮設住宅が三月末までに三万戸、他府県の住宅等が三万戸の見通し、残りの一万戸をどうするのか。さらに、七万世帯の申し込みがあるわけだけれども、これで三十万人を覆うことができるのか。そういったことについて、建設大臣、スケジュールを示していただきたいと思います。お願いします。
  334. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えをいたします。  これは小里対策本部長が担当でありますけれども、指名がございましたので申し上げます。  今笹木議員がお示しになりましたとおり、仮設住宅三万戸、そして近隣府県市町村から約三万戸、六万戸という格好であるけれども、七万戸ではないかというようなお話でございます。これについては、朝来、対策本部会議の際に、民宿あるいはホテル、そういうものを含めて八千戸程度用意して、直ちにそれを配備するということでありまして、被災者の皆さんに迷惑をかけないように措置をしていこうということは本部で確認をされております。現在は、他府県の状況、移転された方が、今日現在で三千五百九十六戸ございます。  以上、御報告を申し上げておきます。
  335. 笹木竜三

    ○笹木委員 今お話をしたわけですけれども、自治体の方では、三月末までに三万戸とかいろいろスケジュールを示しているわけですけれども、三十万人の被災者に対してほぼ完了するのは大体いつごろを目指したいのか。そのことについて、担当相お願いします。
  336. 小里貞利

    ○小里国務大臣 建設大臣の方から基数については御説明がございましたが、私は実態を、先生が担当大臣として本音というか真意を話してみる、そういうお話でございますから、そういう意味で申し上げてみたいと思いますが、三十日に副知事と、そして市役所の、神戸の総合復興局長がおいでになりました。  実はその以前の私どもの交渉があるわけでございまして、知事さんに、あなたの方で、本当に私ども対応しなければならないいわゆる被災者戸数、対応戸数は幾らですか、きちんとその辺を整理をして持ってきてもらわなければ政府としても対応に困ります、こういう混乱の中であるけれども、可能な限りひとつ精度の高いものを持ってきてください、こういう相談を申し上げておりました。そういうことも手伝いまして、申し上げましたように、三十日おいでになりました。  そのときに、もう既に先生もその持っておいでになった数字はお手元にお持ちのようでございますが、実は、緊急対応住宅というのはいろいろあるけれども、とりあえず行政の窓口で三万三千という基本の数字を申し上げます、これがどうしても責任窓口だと思う、こういう話でございました。  実は、その三万三千から出発するわけでございますから、その三万三千を私どももより広い立場から、建設省を中心に、あるいはまた厚生省にも相談しながら、対策室でいろいろ協議をいたした次第です。しかも、その中で約七千戸は、これは自律自衛と申し上げましょうか、調達ができる、そういうような見通しの数字もそこに入っておりますから、それを引いた残りの二万六千と御案内の三万を加えた五万六千を私どもは一応対応の窓口と考えた次第でございます。  その五万六千の中から、もう御承知のとおり、公営・公団住宅等のもろもろの施設を一応対応いたしますよ、こういうことにいたしましたるゆえんなるものは、まさに仮設住宅であります。仮設住宅、これを私ども対応といたしましては一番重要視しなければならないところでございまして、実は、それまでには、とりあえず一万九千と言っておられました数値を一万一千上げて三万持っておいでになりましたから、その三万の数字についても、副知事と局長といろいろな角度から私どもは吟味をいたしたつもりでございます。  したがいまして、その三万のその後の進行状況については御承知いただいておると思いますが、可能な限り、もう現品があるものはこの際契約をする。一万一千契約をして、そして即時に着工していただきまして既に七千戸は着手中、そしてその中の幾ばくかはでき上がってきた、そういう状況でございます。  それから、この機会にもう一つ御紹介申し上げなければならないのは、そのほかに、けさほども総理大臣から特に指示があったところでございますが、そういう仮設住宅に入られる見込みの中に、老人あるいは健康を損なっていらっしゃる方々、著しく体力を悪くしていらっしゃる方々を緊急救済をするべきではないかというお話がけさ方もあったのでございますが、その対応につきましては、今申し上げました三万戸の仮設住宅のほかに別枠でさらに八千戸をセットいたした、設けました。それは民間の住宅であり、あるいは民間のアパートであり、あるいは旅館であり、あるいはホテルでもよろしいから、それを仮設住宅の取扱基準に従ってセットをしなさい、そしてそこに老人や体力の弱い人を持っていきなさい、お願いしなさい、そういうような、急場しのぎ中のさらに急場しのぎと申し上げましょうか、特別な措置も講じておるところでございます。  なおまた申し上げたいのは、一昨日でございますが、知事の方から直接電話が参りまして、今お話を申し上げました仮設住宅、これは三万という数値にこだわらず、もし避難者の皆様方の要請が、あれば、それは原則として全部対応するという宣言をしてもよろしいかという問い合わせでございましたので、官房長官と協議を申し上げまして、それでいこう、こういうことになりましたので、知事もかような宣言をなさったわけでございます。  同時にまた、仮設住宅を初めその他の先ほど申し上げましたもろもろの施策についても、入居希望者はどうかひとつ気軽に、簡易な郵送方法でも結構でございますからお申し出を願います、こういうような特別な措置もとるがよろしいかという問い合わせでございましたので、それらもよろしい、こういうことを御返事申し上げた次第でございまして、ほかにもろもろございますが、一応要点を整理して申し上げた次第です。
  337. 笹木竜三

    ○笹木委員 それ以外で、例えば他の近隣の市町村あるいは府県で受け入れ態勢が、あいたところを貸すということが出ているわけですけれども、そういうことに対して、例えば知人、親戚がここにいるからということで選択をしていただけるような態勢を組んでいるのか。いろいろ問い合わせしますと、例えば府県によっていろいろ条件も違います。費用負担、引っ越しの負担ですとかあるいは家賃とか、こういうことも違いがございます。いろいろあるわけですけれども、そういう情報を集約して選択肢があるようになっているかどうか、もう簡単に結論だけ答えていただければ結構です。
  338. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先生今御承知のとおり、あくまでこれは市町が事業主でございますから、その判断が基準になることを御承知いただきたいと思います。さらに、家賃の乖離というのは恐らくあり得るはずはないのでございまして、これはすべて無料でございますから、その点御了解いただきたいと思います。
  339. 笹木竜三

    ○笹木委員 自治体が窓口というのは、受け入れというのはもちろんわかっているわけですけれども被災者の立場からすれば、神戸市に行ってわかる、あるいは大阪に行ってわかる、そういう態勢が必要なわけです。そういう情報の一元化というのはされているのか。一々近隣市町村に自分から電話をして問い合わせをしないといけないのかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。  それと、ちょっと時間がかかり過ぎているものですから、もう一つだけ。ついでに答えていただければ結構なんですけれども、これは雲仙岳の被災のときにあったわけですが、三カ月たってから出ております。要するにいろいろな項目について、例えば避難対策、民生対策、保健衛生対策、住宅対策、農林漁業対策、中小企業対策、医療関係施設対策、国の施策あるいは自治体の施策、すべて一覧表にして、これは三カ月たって出ております。  こういうものをどうして今出さないのか。例えば神戸にしても、電話は非常にパンクの状態、相談窓口もいっぱいの状態です。もちろん刻々と変わるわけですけれども、どうしてこういう統一したものを出さないのか。もう新聞、毎日私みたいに丹念に読んでいる人すべてではないわけです。被災者の方は時間がないわけですから、統一したパンフレットでも何でも結構です。毎日改訂して出す、そのぐらいのことをしていただきたいわけです。お答えください。
  340. 野中広務

    野中国務大臣 最初の、近隣府県に移動される被災者の方々につきましては、それぞれ現地におきまして知事公館のところで近隣府県のブロック別事務所を設けております。ここに御連絡をいただければ直ちにお迎えに行き、かつ手続をし、そして、そのあっせんしたところにつきましては、家賃につきましてその当該市が負担をすることにいたしておりますし、あるいは光熱費、食料等もそういう事情で当該市で負担をします場合は、私ども交付税で措置することを伝達をして、既にそれぞれ取り組んでいただき、昨日現在で、他の府県に出かけられることをこの事務所窓口を通じて御連絡いただき措置した人が二千二百人を超えております。  なお、被災者に対する日常の相談等でございますけれども、これは神戸市役所、県庁あるいは区役所において行っており、既に広報紙また避難施設に配っておる連絡板、こういうものをやっておりますし、また、県警が三名あるいは県の職員が二名パトカーに同乗いたしまして、百台でパトロールをいたしまして、それぞれ相談あるいは治安の維持に当たって、各種情報の収集と皆さん方の治安の維持のために努力をし、あるいは住宅その他の御相談を受けておる次第でございます。
  341. 井出正一

    ○井出国務大臣 済みません、時間のないところを。  今自治大臣からお話がありましたように、いろいろな手だてを講じてはおりますが、この四日に、「今週の日本」という政府の広報がございますが、この臨時特集号でいろいろな問題を整理して、約十五万部印刷して、兵庫県へ八万とか、大阪へ一万五千とかいう形でお届けをする体制が整っておりますし、今後、今大臣官房の方で検討中でおるようでございますが、しばらくの間、毎週一度ぐらいずつはそういう形で発行していこうというのを聞いております。
  342. 笹木竜三

    ○笹木委員 次に、中小企業対策についてお聞きをしたいわけですけれども、仮設工場のことは報道等で私も知っております。工場についてはとりあえず四百社分を、これは自治体ですか、三月末までにということが発表されております。商業について通産大臣何度か、これは地域との密接な関係が強いわけだから別だという御発言をされております。  そういうことはわかるわけですけれども、私自身福井なわけですけれども、昭和二十三年にマグニチュードその地震で、戸数一万九千のうち、ほとんど全焼、全壊、半壊になったわけです。そういう中で、都市計画をしていくときにいろいろ工夫をしまして、例えば、全壊家屋の方で新しい場所に移転をしていただく方には坪当たり金三百円、半壊家屋に対しては坪当たり金五百円、こういった施策をしまして、新しい都市計画、そのために非常に頑張ったわけですけれども、一番苦労をしたのは何か。やっぱり当座のバラックを建てるとか、当座の商店を建ててしまう。特に商業者をさらにその後で移転していただくとか、調整に一番骨を折った、汗を流したと聞いております。  そういうことで全く、これはほとんど全焼、全壊、半壊してもそのぐらいの苦労があったわけですけれども、商業者はそのままでいいんだ、それぞれに任せていいんだということで大丈夫なのかどうか。もちろん土地譲渡税を大幅軽減されたり、促進区域の制度をつくったりいろいろ工夫されているのはわかるわけですけれども、非常に心配をするわけです。お答えいただきたいと思います。
  343. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 大変失礼でありますが、私は商業者をほっておいていいなどと一回も申しておりません。(笹木委員「そんなことは申しておりません」と呼ぶ)いや、今そういう感じに聞こえる話が出ましたから。商圏というものがありますためにむしろ苦慮しておりますと申し上げてまいりました。仮設工場につきましても、むしろ先般私の方から県市に対してお願いをし、場所の選定等もお願いをいたしております。  そして、工場団地がありますだけに工業の方は比較的早くその候補地が今出てまいりつつあります。しかし商業の場合には、お得意様になってくださる方々もその地域で全部が被災をしておられるということで、仮設の商店の店舗をつくろうとしてもまだ場所が決まりません。私どもはそれで非常に苦しんでおるわけでありまして、仮設店舗等も当然のことながら考え、商店の仮営業に対しても努力をしていく意思を持っておりますので、どうぞそこは御理解をいただきたいと思います。
  344. 笹木竜三

    ○笹木委員 いろいろ御苦労が多いと思いますけれども、ぜひなるべく早く対応をしていただきたいと思います。  二つ目の地震研究、防災対策について質問をさしていただきます。  まず、これは決して無責任お話しするわけじゃないですけれども、非常に心配をするわけですけれども、こういう大きな直下型の地震、近畿地方に、文献を読んでびっくりしたわけですけれども、例えばこれは近世近くからのことですけれども、一五一〇年に近畿地方でマグニチュード六・五から七、これは推定ですけれども。その後、一五八六年にマグニチュード七・八、一五九六年にマグニチュード七・五、一六六二年にマグニチュード七・二から七・六、百七十年の間を置いてですけれども、その後一八三〇年にマグニチュード六・五、一八五四年にマグニチュード七・二、これは近畿地方だけについて古い文献で調べた方のお話なわけですけれども、そういう説があるわけです。早く失敗に学んで、早く反省をして新しい体制をつくっていただきたいと思うわけです、三週間目に入ったわけですから。  それで、地震研究、防災対策についてお聞きをしたいわけです。  まず、いろいろな省庁で地震研究、防災体制を組まれていると思います。予算もこれは大変なもので、これは全省庁の合計だけお話ししますと、防災ということでいいますと、科学技術の研究、教育訓練、防災施設整備、こういったことをすべて合わせまして九千九十五億円。地震の予知研究ということでいいますと、これも全省庁合わしてですけれども、百五億円余に平成六年度ではなっております。これだけ膨大なお金を使っているわけです。  ぜひここでお聞きをしたいわけです。担当の大臣、この地震の研究ですとか防災、なかなか簡単に当たらない、予知が当たらない、そんなことを今批判をしたいわけじゃないわけです。そういうことじゃなくて、研究、防災も一体として振り返ってみて、現状でどういう問題があるか、克服すべき課題がどういうことがあるか、まず科学技術庁長官にお聞きをしたいと思います。  その前にひとつ御説明をいただきたいわけですけれども、科技庁は、例えば文部省とか国土庁の間で研究とかそういった体制については調整役をされているわけです。しかし、残念なことに、ほとんどの省庁内の本部は十七日中に設立されているわけですけれども、科技庁も含めた幾つかの省庁が本部の設置が次の日以降におくれている。これは、予知とかの担当の省庁だけれども、当たらなくて当たり前なんだという感覚からなのか、あるいは起こってしまったらもうその後我々は関係ないんだよ、そういう感覚からなのか、ぜひお答えをいただきたいと思います。
  345. 田中眞紀子

    ○田中国務大臣 お答えいたします。  科技庁も十七日の日から省内で即対応会議をいたしております。  それから、その研究の現状とか今後の課題については、もうずうっと長いことこのことを議論をされていまして、隔靴掻痒でいらっしゃると思います。私どもも同じでございますけれども、本当に現段階では残念ながら東海地震以外は予知が不可能というのが実情でございますし、先ほどほかの先生のお尋ねの中にもございましたけれども、首都圏につきましては、堆積層の下を掘って、二千メートル、三千メートル掘って研究観測施設をつくったりして、そしてそれをお互いに、今度は三月末日になりますとインターネットで気象庁につなぐとかいうことができるようになっておりますし、私ども、予算面では振興調整費を各省庁と連絡をとりながら使っていただくということにいたしております。  現実対応といたしまして、その予知以外でも、ヘリコプターやら船やら、そのほかは重粒子線がん治療をやっておりますところからラセンCT車を出したり、できる限りのことは協力はいたしております。  ただ、この予知と研究の現状につきましては、まことに私もなかなか前へ出ないものですからいらいらしておりますので、また適切なアドバイスをいただければ、お知恵を拝借できればと思っております。
  346. 笹木竜三

    ○笹木委員 新聞等でも三つの省庁が対策本部をつくるのがおくれたということがあったから、今お話をしたわけです。  お聞きしたいのは、我々は研究者じゃないですから細かいことはわかりません。ただ、この予知はなかなか難しい、これはもうほぼ常識というか、なりつつあると思うのです。東海地震については別だとよく言われます。それもまあいろいろあると思いますけれども。その中で、悔しくないのか、そういった、いろいろ膨大でなかなかわからないという返事政治家が済むのか、三週間たった今、それで済むのかということをお聞きしているわけです。  文部大臣にも国土庁長官にも同様に、この防災も含めてです、予知のことだけお聞きしているわけじゃないです。防災に対する研究も含めて、今後の課題が何なのか、何を今一番早くすべきなのか、それを政治家が今三週間目に入って何の意見もないというのは異常なことじゃないかとお話をしているわけです。文部大臣、お願いします。
  347. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 予知ができるという意見と予知はできないという意見がございますが、一応研究としては予知ができるかもしれないという立場に立ってやっているわけでございます。  平成七年度、今先生方に御審議をいただいている予算の中にも、予知関係だけでも二十三億円の予算が入っております。これは文部省、国立大学だけでできるわけではありません。予知研究は、測地学審議会というものが建議いたします地震予知計画に基づきまして、主に国立大学ですが、大学、それから運輸省の気象庁、それから国土地理院等の関係機関が連携協力して行っているものでございます。  地震の研究は、関東大震災の後、東大で地震研究所ができまして以来、各国立大学、気象庁等で幅広くやっておりまして、観測地点も非常に全国であるわけでございます。これは、地震発生のメカニズム等もあわせて行っておりまして、例えば七次計画、七次予知計画というのは平成六年から十年にわたる計画でございますが、地震予知の基本となる観測研究の推進、第二には地震発生のポテンシャル評価のための特別観測研究の推進、地震予知の基礎研究の推進と新技術の開発、そして地震予知体制の充実、こういうことについて研究をしております。  予知ができるできないという議論をする前に、予知はできるかもしれないという観点で私どもは進んでおるわけでございまして、そういう意味では、この震災の膨大な被害を考えれば、このような学術研究を着実に進めていくということは、日本の将来あるいは国民の将来にとって私どもは大変大事なことだ、そのように考えております。
  348. 笹木竜三

    ○笹木委員 予知の研究が必要ないとは一言も言っておりません。それはよくわかっております。先ほどからお話しします防災とか、今この予算委員会でずっと議論をしておりますけれども、それじゃ起こって、被害を早く把握しよう、今度の場合、被害の把握もおくれた、気象庁からマグニチュードとかそういう連絡はすぐ来ても、その連絡だけでは被害のことについてはわからない。把握を早くするためにヘリコプターを飛ばそう、そのぐらいは私だってわかるわけです。  そうじゃなくて、防災について研究体制がもっと充実することができないのか、発生後いかに早く被害状況把握するのか、そしてどこに人員とか機材を短時間で集中投入するか、効率的に救助、復旧をするためにそういった研究が今ないのか、あると思いますけれども。そのことについての課題も含めてお聞きをしているわけです。
  349. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 私は、今般の災害を踏まえて我が国の防災対策についてどう総括するか、そしてまた、今後の対応について申し上げてみたいと思います。  今回の地震に対しましては、政府といたしては、発災後直ちに非常災害対策本部を開催し、道路、鉄道、ライフライン等被害施設の早期復旧について、当面重点的に実施すべき事項といたしまして直ちに実施に移すなど対策に全力を尽くしたところであります。今後とも、各種災害復旧事業の適切かつ円滑な実施が図られるよう、関係省庁間の連絡を緊密に図りつつ、政府が一体となって取り組んでまいる所存であります。  やはり危機管理の体制が大事でありますので、今回の地震により極めて甚大な被害が生じたことを厳しく受けとめ、政府及び関係機関が一体となって災害に迅速かつ的確に対応できるよう、情報収集及び伝達体制のあり方などについて検討し、災害時の危機管理体制の充実強化を図ってまいる所存であります。  そしてまた、私は、予知の問題、これについては非常に難しい、こう言われておりますが、学者の中には、できる、こう言った学者もいるということも聞いておりますので、やはり何といっても、予知は難しくともこれを解明する、これに力を入れる、全力投球でこの予知体制も確立をすべきであろうと思っておりますので、一言申し添えました。  以上です。
  350. 笹木竜三

    ○笹木委員 具体的なお答えをいただきたいわけです。もう何回もお答えいただいたよう宣言葉は結構なので、ぜひ具体的な対策についてお願いします。  それで、私みたいな素人が、地震が起こった直後から新聞を毎日読んでいると、いろいろなことがわかっできます、まあ素人としてですけれども。被害の大小の要因は何だろうか。やはり一つは活断層、それがどこにあるのか。これはもちろん調査できております。どういう傾きなのか、垂直か、水平か。割れの大きさが、ずれの大きさがどのくらいだったのか。どこにずれができたか。あるいは、活断層の要素とは別に、地盤のかたさ、やわらかさ、これは非常に影響がある。あるいは、建っている構造物の耐震性、それとその建物の揺れの周期、こういったことは新聞を読んでいるだけでもわかるわけです。それに対する対策がないのかということで、あるからお聞きをしているわけです。  それで、南カリフォルニア、ここも日本と同じように地震の研究については非常に進んでおります。さらに、もう対策も組んでいるわけですけれども、一九八八年から着手、南カリフォルニアのテラスコープというシステムについて、科技庁長官、もし御存じでしたらお答えいただきたいと思います。——科学技術庁長官、お願いします。
  351. 佐藤観樹

    佐藤委員長 科学技術庁沖村研究開発局長
  352. 笹木竜三

    ○笹木委員 いえいえ、先ほどお願いしましたように、大臣に、長官に答えていただきたいんです。個々に御説明を受けるのはどうぞやっていただいて結構ですから。科学技術庁長官。
  353. 田中眞紀子

    ○田中国務大臣 具体的なことはつぶさに存じませんので、お許しいただければ事務当局からお答え申し上げます。
  354. 笹木竜三

    ○笹木委員 細かい専門的なことは私もわかりません。この地震が起こってからもう三回新聞に載っております。それを知らないというのが問題だと思うわけです。最高責任者が、地震の予知とか、そういったことに対する最高レベルの責任者が、新聞に書いてあることも知らない。それで済むのか。  お話ししますと、例えば日経ですとか朝日、もう既にそのことを書いております。  ちょっと御説明をさせていただきますと、今この南カリフォルニアでは、八八年から着手して、広帯域速度計というのを二十五カ所、普通の微小の地震計を三百カ所、これを網羅して置いているわけです。事前にコンピューターに、活断層の位置ですとか大きさ、波形処理、そういったデータを入れておきまして、起こった後で、なるべくリアルタイムに近づく形で被害の状況把握しよう。どこが被害が大きくなるか。ここは少なくて済むか。もっと言いますと、これは、こういった地域にめぐらして、対策のために被害直後にリアルタイムでなるべく早く知ろう、そういう研究です。  民間では、日本の企業でも、例えば運輸省関係、JR東日本、ユレダス、あるいは通産関係の東京ガス、いろいろ工夫をされております。発生後に被害がどこに大きくなっているか、そのためのいろんな日常からのデータのインプットをしている、そういう工夫があるわけです。  この南カリフォルニアはこれでやっているわけですけれども、今まだ数時間かかります。発生後、特にマグニチュード七以上だとやはり数時間かかる。しかし、マグニチュード六だと、日本人の先生ですけれども、大体一時間ぐらいで処理ができると言っております。  もしこういったことがちゃんとできたら、これを全国に張りめぐらすことができたら、早くヘリをどこに飛ばすか、そういった対応にも非常にプラスになる、あるいは復旧にも非常にプラスになると思うわけです。  科学技術庁の方で、役所の方で結構ですけれども、それについて御説明をいただきたいと思います。
  355. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 御説明申し上げたいと思います。  地震予知の測定のデータ、研究のデータ、それにつきましては、私どもの防災科学技術研究所も含めまして、特に南関東、東海地区につきましては、気象庁に一元的にオンラインで、できるものをオンラインでデータを集中して、そのデータを関係方面に伝達するというスキームになっております。  以上でございます。
  356. 笹木竜三

    ○笹木委員 いえ、気象庁のシステムとは違うわけです。今回も、我々テレビを見ておりましても、その後の報告を聞きましても、気象庁のシステムでは、具体的な被害につながる要素、これを余り入力していないわけですし、わからないわけです。これもその南カリフォルニアでは、何回もお話ししますけれども、入力されているデータ、活断層の亀裂がどこに起こる、これが今度も非常に大きい要素になっているわけです。そうしたことをちゃんとやっている。そういった対策が今後大事じゃないかということをお話ししているわけです。(「何を聞いているかよくわからないんだよ、あなたの質問の仕方が」と呼ぶ者あり)いやいや、それは、新聞に載っていることも読んでないからわからない。(「何を聞こうとしているのかわからない」と呼ぶ者あり)不規則発言はやめてくださいようるさいな、本当に。
  357. 田中眞紀子

    ○田中国務大臣 先ほども申し上げましたし、ここのここ数日来の議論も多分笹木先生お聞きになっていらっしゃったと思いますけれども日本は地震国でございますし、活断層があることは皆よく認識しておりまして、その上にのっとっていろいろな、地震を予知するために全精力を傾注して研究機関等も働いているわけですし、もちろん、海外のいろいろなケース、それから日本国内も、過去にどのような地震が起こったかというふうなこともすべて分析をしておりますのです。  ですから、その結果、今の段階ではなかなか予知ができないということを申し上げたわけでございまして、アメリカのカリフォルニアのケースをちょこっと知らなかったから熱心ではないというような御発言は当たらないと思います。
  358. 笹木竜三

    ○笹木委員 かみ合わないな。  今、科技庁でも具体的にやっておられるわけです。だから聞いておるわけです。今年度三カ所、関東、東海で三カ所、もう既にそれと同じようなシステムをつくろうということで設置をしておられる。来年度また三カ所ですか、そういうことをやっておられるわけです。広帯域速度計、これをやって、とりあえず今、関東、東海で取り組もうとされているみたいですけれども、こういった研究をもっと伸ばしてほしい、そう思うから、先ほどからそれについての御認識を聞きたいと思ってお話しをしているわけです。
  359. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 先ほど御説明しましたとおり、私どもの研究、測定、地震に関する測定のデータ、それにつきましてはオンラインでつくばの私どもの防災科学技術研究所に集めまして、と同時に、関係省庁、気象庁にも差し上げまして、全体オンラインで速やかに判断ができるような体制をしかせていただいているところでございます。
  360. 笹木竜三

    ○笹木委員 運輸省管轄で、JRの東日本でユレダスというシステムがございます。これは直下型に必ずしも対応できるわけじゃございませんけれども、これも考え方は、起こった後、直後、なるべく早く被害をとめる、その考え方でございます。  これについては、大臣でも結構です。政府委員の方でも結構ですけれども
  361. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 お答えいたします。  JR各社がそれぞれ、大震災が起きた場合の対応については工夫を凝らしてやっております。例えばJR東日本の場合は、この首都圏、特に東京中心で起きた場合、社長が指揮がとれない、その次の副社長も指揮がとれないという場合には、高崎に一気に指揮が移るシステムができております、これは一瞬にして。高崎からJRのすべてに対して指揮がなされる、そういう意味の危機管理もやっております。  ただ、地震の予知体制ができておるというのは私は聞いておりませんし、委員御指摘のように、その地震の規模その他について把握しようとする努力はしているというようには聞いております。
  362. 笹木竜三

    ○笹木委員 先ほどからお話ししているのは、予知の研究も非常に大事だ、しかし起こった後で、ユレダスというのもそういう考えだと思うんですけれども、揺れ出した瞬間に、あるいは直下型じゃなかったら、最初震源地で揺れた直後にこちらでいつぐらいに、どのくらいの被害が来るか、それを把握するシステム、これがユレダスです。先ほどの、科技庁管轄でやっているものもテラスコープを参考にして始めているわけです。  研究者の方に、三人ほどに聞きました。いろんな研究者が南カリフォルニアに飛んで、おととしですか、見学にも行っておられる。ぜひこのシステムを日本全国に、これの経費は、一つの速度計が安くて二千五百万。これは、もう既に穴があるとかそういうところに入れるときに二千五百万ぐらいだと聞いております。ないときに、建物も建てて新しくやる場合に五千万円ほど。そういったシステムを先ほど最初に予算のことをお話ししましたのせ、非常に莫大な防災のお金をかけている、予知のお金もかけている。一時間以内のリアルタイムで、どこに被害が大きいか、これを調べようとするシステムですが、こういったことにもっと早く、検討していただいて、取り組んでいただきたい、そう思うわけです。  残念ながらほかの手段、例えば衛星では、これは先ほども聞きましたけれども、フランスの衛星SPOT、これが解像度が非常によくて十メートルぐらいできる。しかし、これは数時間以内にすることはできない、動いているわけですから。ヘリコプターにしましても、いろいろ議論はありますけれども、じゃ被害の全体把握が一時間、二時間単位でできるのだろうか、これもなかなか厳しい現状がございます。  こういったことを、例えば先ほどからお話ししているいろいろな、このテラスコープというのは、活断層の割れがどこに起きるか、これをまず早く調べて、その上が大体被害が大きいという考え方です。実際の予測と起こった直後にコンピューターに出た図、これが破線でございます。実際の活断層の亀裂、これが実線でございます。これは成功例ですけれども、決して成功例ばかりじゃないですけれども、このぐらい正確に出てくるシステム、その可能性があるシステム。  例えばコンピューターのセンターには保守、運転の方とあるいはデータを読み取る方、十人もいれば十分だと聞いております。安い費用で試してみることができるわけですから、ぜひこういったことに対して、これはまだ活断層の予想しか考えていませんけれども、地盤のかたさ、やわらかさ、構造物の耐震性あるいは構造物の周波、そういったことを入力しておく、あるいは気象条件も毎日入れるといいかもしれません。そういったシステムをつくることが、今官邸で御検討をされている、ヘリを飛ばしてどうやって早く把握するか、その後どうやってガス、電気あるいは通信、復旧をさせるか、そういったことに必ず早く結びつく、そういう事業だと思います。  あえてこういう専門的なことをお話ししているのは、新聞にもこの震災が起こってから出ているから御意見を聞きたいわけです。このことに限りません。総理に一言、これからの防災対策について、あるいは今お話ししたことについてお考えを、総理のお考えで結構ですから、お聞かせ願いたいと思います。
  363. 村山富市

    村山内閣総理大臣 先ほど来お話がございますように、日本は活断層も多いし、地震の大変多発する領土でもありますから、したがって、地震に対する研究は相当進んでおったのではないかと思いますし、それぞれ専門家の分野で協議をしながら、南関東等についてはもう相当防災計画もつくってやっておると思いますけれども、しかし、今回のこの兵庫県の地震というものを経験をした教訓に学んでもう一遍そういう点は見直しをして、そして、防災計画全体を立て直すというくらいの決意で取り組んでいくことが大事ではないかというふうに思っています。
  364. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひよろしくお願いします。  これは答えていただかなくて結構ですけれども、JR東日本のユレダス、こういった考え方のシステムです。四秒以内に地震を察知して、揺れが届くまでに新幹線をとめようというそういうシステムです。非常にいいシステム。しかし、これは直下型にはなかなか対応できない。非常に厳しい現実があります。そういうことも含めて、起こった後でいかに早く対応するか、そういったことについての調査、体制、システム、ぜひお願いをしたいと思います。  次の質問に移りたいと思いますけれども、きょうも何人かの委員の方からボランティアあるいはNGOについてのお話がありました。JICA、国際協力事業団のことについても先ほどお話がありました。今回、例えばこの大震災の救援に対しても、ふだんは国際協力あるいはNGOとしての経済援助、技術援助、途上国に対してですけれども、そういった活動をしているNGOの方がたくさん、阪神大震災救援NGO連絡会、これをつくっておられて非常な活動をされております。  例えばこの内容ですけれども、ボランティア百人を動員して物資の配布を実施しているボランティア団体、アジア協会アジア友の会、こういうようなのもございます。あるいは医師、看護婦を派遣しているボランティアの団体、これもございます。物資の救援、農家に働きかけて食糧、水の救援、こういった体制も組んでおります。あるいはホット飲料等二十万食分を支援している、これも海外協力のボランティア団体。あるいは語学ボランティア、外国人へのサポート、震災被災者に対して、こういったNGO、ボランティア団体もあるわけです。  今、ODA、一兆円をはるかに超えて大きな額を出しているわけですけれども、残念ながら、これは政府責任ばかりとは言いません。しかし、例えば国民一人当たりのNGOに対する援助実績、これは各企業ですとか個人ですとか、そこからNGOへの寄附あるいは政府からの助成、それを含めてですけれども日本を一としますと、ドイツがその七倍、アメリカはその七倍、イギリスが五倍、スウェーデン、スイスがその十倍、格段の差があるわけです。先進国の中では日本ほどNGOにお金が集まらない国はないわけです。  まあ歴史が違いまして、例えば欧米の場合には、キリスト教系の団体が植民地の経験のその時代からいろいろな活動をしている。それとNGOも連携していた面も否定はできません。しかし、そういった経験はあるわけですけれども、余りにも違いが大き過ぎると思うわけです。  外務大臣に、例えば海外援助に対するNGOの実態について、民間協力援助、民間援助に対する支援、三億円ほどですか、やっているわけですけれども、今後こういったNGOをどうやって育てていくのか、これも大臣御自身の私見で結構です。ぜひお答えをいただきたいと思います。
  365. 河野洋平

    河野国務大臣 NGOの活動は大変機動性もありますし、それから、非常に細かいところまで入っていって仕事をする。これはなかなか公といいますか、官の仕事ではやりにくいようなことまでやってくださるということがあると思います。大きな規模ということになりますとやはり政府が直接ということになりますけれども、必ずしも大きな規模の支援ばかりが喜ばれるわけではない。むしろ非常に細かい、それから温かみのある視点というものも非常に重要だと思います。したがって、私どももNGOに対する支援をODAの中でもやっていきたいというふうに考えておりまして、ここ一、二年、NGOあるいは草の根無償と申しますか、そういう支援を相当なスピードで増加させてきているところでございます。  これから先もこうした傾向を我々はとってまいりたい、こう考えておりますが、ただし、NGOと言われるものの中には、古い歴史を持った大きな組織のNGOもあれば、まだまだ歴史の浅い、あるいはほんの小人数で始めているNGOもあって、一体どれをどう評価するかということについてはなかなか正直難しい部分もあるわけでございまして、その点の判断というものをいかにするかということを我々はよく研究をしなければならぬだろうと思っております。
  366. 笹木竜三

    ○笹木委員 私自身も一年ほどNGOの一員としてアジアを、田舎ばかりを回って、日本のプロジェクトを調べてきたことがございます。非常にびっくりしたのは、日本の援助が決して悪いとは申しません、大規模のプロジェクトも実際に見てみれば非常に質がいい。欧米に比べても質がいいと思います。しかし、何が違うか。すそ野の違い、それに尽きると思います。先ほど言ったようにNGOにたくさんお金が集まる。これは税の優遇とかいろいろありますけれども、集まるシステムになっている。  それで、例えばタイの東北部のどんな田舎に行っても、びっくりするわけですけれども、イギリスのOXFAMのスタッフが、これは一人で、通訳だけ連れて回っている。これは実態を調べているわけです。きめの細かい相手国の実態の把握、こういったことで非常にプラスになっております。イメージも格段に違います。  それと、この十年で非常にNGOも育っております、たくさん。ここに全部入るぐらいの数になってきております。ぜひこのNGOに対する、マッチグラントといいまして、実績と同じ額を援助するという方式もございます。そういったことで充実をお願いしたいと思います。  今回の震災を見ましても、その対応で、民間ですとか市民、NGOの強み、これはもうはっきりしていると思います、できないことも多いですけれども。行政ができない、行政では限界のあることを非常に補うことができる団体です。  そういったことで、例えば厚生省管轄の福祉面でも非常にやれることがたくさんあると思うわけですけれども、残念なことに、どういうボランティアがいて、どういう人、例えば医療の技術を持っている人、お医者さんの免許を持っている人、介護のノウハウを持っている方、その方に、じゃ、どこに行っていただくか、こういう情報のネットワーク、まだまだできているとは思えません。そういったことに対する対応を厚生大臣にお聞きしたいと思います。
  367. 井出正一

    ○井出国務大臣 先生御指摘のように、今回の大震災でのボランティアの皆さんの活動は大変なものがございまして、心から感謝をしておるところでございます。  ただ残念ながら、例えばすべてを厚生省が福祉関係を把握しているわけではございません。各市町村にあります社会福祉協議会なんかを通じてそれなりに連絡のとれるところはございますし、またことしの予算でも、約十一億円ぐらいだったと思いますが、ボランティア活動に関心のある国民の皆様方がいつでもどこでもだれでも参加できるような条件づくりを進めるべく、市区町村ボランティアセンターといったものを各市町村に置いたり、あるいは都道府県にはこれまたセンターを設置しまして対処をしているところでございますが、まだまだ始まったばかりという段階かもしれません。今後、特に福祉分野における公的施策とさまざまな福祉ボランティア活動が相互にうまい連携がとれるようにしていかなくちゃならぬと考えておりまして、その方面の施策の充実を図ってまいりたい、こう考えているところであります。
  368. 笹木竜三

    ○笹木委員 先ほどの、どうして欧米に比べてお金の流れが違うのかという問題もありますけれども、もう一ついろんな助成の法があります。  ドイツですとボランティア活動促進法、一九六四年から。施設とか病院、国内でですけれども、そういったボランティア活動、それに対して十七歳から二十五歳の方に六カ月、それは実費は負担します、実費ですけれども。それと、国内でボランティア活動を行った方については、その後六カ月間海外でのボランティア活動、こういったことが大学の入試の資格としても認められる。資格の一つとして認められる。アメリカでは、三千万人のボランティアといいますけれども、ボランティア振興法、これもボランティアに対する補助金についての考えです。あるいはスイスですと、やはり大学入試資格を得るにはボランティア活動が義務になっている。ドイツの場合では兵役と社会奉仕活動どちらかを選べる、こういったことがございます。  ですから、国が、行政がボランティアに介入すること、それは決して望ましいと思いませんけれども、役割を分担して、それぞれが力を増すためにもっといろんな税面での優遇、そういったことでの対策が急がれている、そう思います。ぜひ大蔵大臣、これについての御意見をお伺いしたいと思います。
  369. 武村正義

    ○武村国務大臣 この世界の議論は大変英語が多いので残念でありますが、私も、二十年ほど前に琵琶湖で赤潮が発生して、文字どおり広範な粉石けん運動、市民運動が起こって、そういう背景で条例等を制定させていただいた経験があります。ですから、十数年前に県にボランティアセンターというのを設立した経験もございます。  そのころからこの問題は大変関心を持っているというよりは、政治や、特に地方自治の原点は、まさに自分の町や地域は自分たちで治めていく、汗を流し、負担をし、治めていくというのが地方自治の原点であることを思いますと、何かボランティアとかNGOとか特殊な用語で、ある種の特殊な運動のようなとらえ方は私は余りしない方がいい。しかし、今回の兵庫大震災に見られるような広範な、生き生きした、グループであれ個人であれ、自発的な参加というのは大変私もうれしく思っております。  それだけに、昨今議論がありますように、こういった動き、第三の動きといったらいいのでしょうか、プライベートな分野とパブリックな分野の真ん中にもう一つのNGOやNPOと言われる、こういう動きがまさに日本の将来を決める、特に日本の地方自治を決めるというふうに私は思っておりまして、法制度あるいは税制の面からも真剣に勉強をさせていただかなければいけないというふうに思っております。
  370. 笹木竜三

    ○笹木委員 もともと日本でも、例えば町内会単位、地域単位でいろいろな奉仕活動があったと思います。あるいは企業単位でも、職場でいろんな奉仕活動があると思います。  しかし問題は、今その町内会の中で一体に動くのにはちょっと気が染まない方、残念ながらおられます。あるいは、企業の中でべったりとそこでだけ奉仕活動をする方、これに気持ちが染まない方もふえている。その中で、言葉は本当にまだ英語ですけれども、ボランティアの方がふえているということだと思います。ぜひその方々にも、町内会の方々の奉仕活動にも、企業の方々の奉仕活動にも、それに増して今育とうとしているこの団体にバックアップをお願いしたいと思います。  それと、先ほどの地震対策について、一点だけちょっと聞くのを忘れたものですから、科技庁長官にお聞きしたいわけです。  私も発生後さらに研究をしております。きのう、おとといも議論がありますけれども、原子力発電所について、震度七には耐えられるという自信のある答弁がされておりますけれども、マニュアルですとか耐震設計、これも本当に検討すべきことはないのか、これも責任者としてお答えいただきたいと思います。
  371. 田中眞紀子

    ○田中国務大臣 笹木先生は福井でいらっしゃるから、地震の問題、殊に原子力の問題には大変関心をお持ちでいらっしゃるということはよくわかりますし、私もきのうも答弁の中で申し上げましたが、本当に新潟県も原発地域、ファシリティー、施設がございますものですから、先ほども申し上げましたけれども日本がとにかく地震というものは避けられないところにある国であるというこの宿命の中で、そこで岩盤というところをよく探して、そうしてその上に耐震構造、きのうは浜岡のケースを申し上げましたけれども、中部電力のケースを申し上げましたが、最善を尽くして、そして常にアラートな状態でいられるような施設づくりをしております。  ですけれども、完璧ではありませんし、今回も、私も大変心配がいつもございますので、何かがあった場合には大事件が起こってしまいますから、ですから、常に自分自身も注意喚起をして、人間があらゆるこういう施設を管理しておりますから、責任をとれるように、いつもいつも注意喚起、安全ということを心がけております。
  372. 笹木竜三

    ○笹木委員 また一般質問ですとか委員会で御質問をさせていただきたい、そう思います。  もう余り時間がなくなったので、最後に国会改革について。余り時間ありませんけれども、今度のこの震災を経験しまして、つくづくやはり感じております。この国会の制度ですとか習慣あるいはシステム、あるいは内閣の制度、システム、これが果たして政治家がリーダーシップを発揮する、政治家がみずから判断して、議論して決めて行動する、そういった能力を磨くようなシステムになっているかどうか、つくづく疑問に感じております。  我が党は、新進党は明日の内閣というのをつくりました。まだまだ形が整っているとは言いません。今度の国会で所信表明を党首が新しい形で試みておられます。これもまだまだ整った形にはなっていないかもしれません。しかし、まず総理大臣の、官邸の力の強化、これについてやることがたくさんあると思いますし、国会の本会議委員会あるいはいろんな制度、習慣、これも変えるものがいっぱいあると思います。  イギリスで実際に見てびっくりしたのは、影の内閣の各大臣に対して国の予算で、少ないですけれども、スタッフ一人分六百万円、これを見ている。これはすごいことだ。我々今与党じゃないですから、与党だったらぜひやりたいと思いますけれども、野党ですから我々がやることはでさません。それを今やっていただきたいというわけじゃないのです。そこまでやって競い合っている、磨き合っている。そういった国会にぜひ一緒に変えていきたい。  そのために、ぜひ総理大臣、官房長官、この国会、議会のシステム、官邸のシステム、どうもっと政治家がリーダーシップを発揮するのにいいように、ふさわしいように変えていくのか、最後に一言だけお答えいただきたいと思います。
  373. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 きょうの御審議で、先ほど山口委員冬柴委員の、本当にそれは今回の災害の中から真剣にお考えになられて、我々が聞いて、ああそうだな、そうだなという思いの御質問、御意見があって、これはもう与党だとか野党だとかそんなの関係なしに、私は実は深い感銘を受けたような次第であります。やはりこういう審議を通じて我々側で受ける学ぶべき点はたくさんあるわけでありますし、そういうものを執行の上でしっかり生かしてまいりたい、こういうぐあいに思うわけであります。  官邸のお話についてお触れになられましたが、官邸機能の強化、近代化、民主化については多くの課題がある、このように認識しておりまして、昨年の秋以来これに取り組んでいるところであります。しかも、こういうような問題が起こって、なおさら我々としては思うことが深いわけでありますので、今回の災害対策に当たりましても、これは官邸では決して政治が後からついてきているというものではなくて、私ども先頭に立ってしっかりリードしてやっている、こういう気持ちでおりますので、なお今後ひとつまた御協力をお願い申し上げたいと思います。
  374. 笹木竜三

    ○笹木委員 これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。
  375. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて笹木君の質疑は終了いたしました。  次回は、明三日午前九時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二分散会