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1995-03-10 第132回国会 衆議院 本会議 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月十日(金曜日)     —————————————  議事日程 第十号   平成七年三月十日     午後一時開議  第一 阪神淡路大震災に伴う民事調停法によ     る調停申立て手数料特例に関する     法律案内閣提出)  第二 国家公務員等共済組合法の一部を改正す     る法律案内閣提出)  第三 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を     改正する法律案内閣提出)  第四 海上衝突予防法の一部を改正する法律案     (内閣提出参議院送付)  第五 道路交通法の一部を改正する法律案(内     閣提出)  第六 自動車保管場所確保等に関する法律     の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 阪神淡路大震災に伴う民事調停法   による調停申立て手数料特例に関する   法律案内閣提出)  日程第二 国家公務員等共済組合法の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第三 関税定率法及び関税暫定措置法の一   部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 海上衝突予防法の一部を改正する法   律案内閣提出参議院送付)  日程第五 道路交通法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第六 自動車保管場所確保等に関する   法律の一部を改正する法律案内閣提出)  戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者等の遺   族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  地方分権推進法案内閣提出)及び地方分権の   推進に関する法律案冬柴鐵三君外三名提出   )の趣旨説明及び質疑     午後一時三分開議
  2. 土井たか子

    議長土井たか子君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 阪神淡路大震災に伴う民事調停   法による調停申立て手数料特例に関   する法律案内閣提出
  3. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第一、阪神淡路大震災に伴う民事調停法による調停申立て手数料特例に関する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。法務委員長金子原二郎さん。     —————————————  阪神淡路大震災に伴う民事調停法による調停   の申立て手数料特例に関する法律案及び   同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔金子原二郎登壇
  4. 金子原二郎

    金子原二郎君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、阪神淡路大震災の被害の状況にかんがみ、同震災に起因する民事に関する紛争の迅速かつ円滑な解決に資するため、当該紛争に係る民事調停法による調停の申し立ての手数料について、これを免除しようとするものであります。  委員会においては、去る八日前田法務大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、これを終了し、直ちに採決を行った結果、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  5. 土井たか子

    議長土井たか子君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 国家公務員等共済組合法の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第三 関税定率法及び関税暫定措置法の   一部を改正する法律案内閣提出
  7. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第二、国家公務員等共済組合模の一部を改正する法律案日程第三、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。大蔵委員長尾身幸次さん。     —————————————  国家公務員等共済組合法の一部を改正する法律案及び同報告書  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔尾身幸次登壇
  8. 尾身幸次

    尾身幸次君 ただいま議題となりました両案につきまして、大蔵委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  初めに、国家公務員等共済組合法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、雇用保険法における育児休業給付と同様の内容給付として、国家公務員等共済組合制度短期給付の中に新たに育児休業手当金を創設し、組合員国家公務員育児休業等に関する法律等規定に基づく育児休業を取得した場合に、育児休業をした期間一日につき標準報酬の日額の百分の二十五に相当する金額を支給することにするものであります。  次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、我が国の市場の一層の開放を図る等の見地から、次のとおり所要改正を行おうとするものであります。  第一に、平成七年三月末に適用期限の到来する石油関係免税還付制度について、その適用期限の延長を行うとともに、自動車用繊維製品等関税率の撤廃を行う等所要措置を講ずることにしております。  第二に、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約に定める品目表改正されることに伴い、関税率表品目分類に関する所要調整を行うことにしております。  両案は、三月八日武村大蔵大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、質疑終局後、順次採決いたしましたところ、国家公務員等共済組合法の一部在改正する法律案については全会一致関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案については多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 土井たか子

    議長土井たか子君) これより採決に入ります。  まず、日程第二につき採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第三につき採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の皆さんの起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 土井たか子

    議長土井たか子君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第四 海上衝突予防法の一部を改正する   法律案内閣提出参議院送付)  日程第五 道路交通法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第六 自動車保管場所確保等に関す   る法律の一部を改正する法律案内閣提出
  12. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第四、海上衝突予防法の一部を改正する法律案日程第五、道路交通法の一部を改正する法律案日程第六、自動車保管場所確保等に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。交通安全対策特別委係員長貝沼次郎さん。     —————————————  海上衝突予防法の一部を改正する法律案及び同   報告書  道路交通法の一部を改正する法律案及び同報告   書  自動車保管場所確保等に関する法律の一部   を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔貝沼次郎登壇
  13. 貝沼次郎

    貝沼次郎君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、交通安全対策特別委員会におけみ審査経過及び結果を御報告申し上げます。  初めに、海上衝突予防法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、千九百七十二年の海上衝突予防のための国際規則改正に伴い、長さ二十メートル未満の漁労に従事している船舶が表示すべき形象物についてかごを廃止するとともに、長さ二十メートル以上のトロールにより漁労に従事している一定船舶に対し表示すべき追加の灯火を定めることといたしております。  本案は、去る二月二十二日参議院より送付され、同日本委員会付託となり、三月八日亀井運輸大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑に入り、同日質疑を終了しました。昨日採決の結果、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、道路交通法の一部を改正する法律案及び自動車保管場所確保等に関する法律の一部を改正する法律案の両案について申し上げます。  まず、道路交通法の一部を改正する法律案についてでありますが、  第一に、運転免許行政をめぐる最近の情勢等にかんがみ、自動二輪車免許を廃止し、新たに大型自動二輪車免許及び普通自動二輪車免許を設けるとともに、当該免許を受けた者が運転することができる自動車等の種類を定めることとするほか、運転免許欠格事苗に関し、十八歳に満たない者に対しては大型自動二輪車免許を、また十六歳に満たない者に対しては普通自動二輪車免許を、それぞれ与えないことといたしております。  第二に、最近の交通情勢に対応して、自動車原動機付自転車、軽車両及び自転車の定義及び歩行者とする者に関する規定等を整備することといたしております。  次に、自動車保管場所確保等に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、本案は、軽自動車保管場所に係る届け出等に関する規定適用地域の拡大によって新たに適用地域となった地域に使用の本拠の位置を有して運行の用に供されている軽自動車について保有者の変更があった場合、新保有者は、当該自動車運行の用に供しようとするときは、当該自動車保管場所位置等を届け出なければならないことといたしております。  両案は、去る二月二十四日に本委員会付託され、昨日野中国務大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑に入り、質疑終了後、直ちに採決を行った結果、両案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  14. 土井たか子

    議長土井たか子君) 三案を一括して採決いたします。  三案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  16. 山本有二

    山本有二君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  内閣提出戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  17. 土井たか子

    議長土井たか子君) 山本有二さんの動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、日程追加されました。     —————————————  戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者等の   遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改   正する法律案内閣提出
  19. 土井たか子

  20. 岩垂寿喜男

    岩垂寿喜男君 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、戦傷病者戦没者遺族等の処遇の改善を図るため、戦傷病者戦没者遺族等援護法による障害年金遺族年金等の額を、恩給改善に準じて平成七年四月から引き上げるとともに、平成七年四月一日における戦没者遺族で、同一の戦没者に関し恩給法による公務扶助料戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金等支給を受けている者がいないものに対して、特別弔慰金として額面四十万円、十年償還の国債を支給するものであります。  本案は、二月三日付託となり、三月八日井出厚生大臣から提案理由説明を聴取し、本日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  21. 土井たか子

    議長土井たか子君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  地方分権推進法案内閣提出)及び地方分権の   推進に関する法律案冬柴鐵三君外三名提   出)の趣旨説明
  23. 土井たか子

    議長土井たか子君) この際、内閣提出地方分権推進法案及び冬柴鐵三さん外三名提出地方分権推進に関する法律案について、趣旨説明を順次求めます。国務大臣山口鶴男さん。     〔国務大臣山口鶴男登壇
  24. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) 地方分権推進法案について、その趣旨を御説明いたします。  国民ゆとりと豊かさを実感できる個性豊かで活力に満ちた地域社会実現が求められている今日、地方公共団体がその実情に沿った個性あふれる行政を展開できるよう、その自主性及び自立性を高めていくため、地方分権推進が不可欠であります。  このため、政府は、地方分権推進を当面の重要課題の一つとして位置づけ、各方面の御意見を踏まえつつ、昨年十二月二十五日に「地方分権推進に関する大綱方針」を閣議決定いたしました。本法律案は、この大綱方針基本的方向に沿って取りまとめ、ここに提案申し上げる次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明いたします。  第一は、地方分権推進に関する基本理念並びに国及び地方公共団体責務であります。  地方分権推進は、各般行政を展開する上で国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会実現を図ることを基本として行われるものとしております。また、国及び地方公共団体責務について、所要規定を設けております。  第二は、地方分権推進に関する基本方針であります。  地方分権推進は、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務など国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体においては地域における行政の自主的かつ総合的な実施役割を広く担うことを旨として行われるものとしております。  また、地方分権推進に関する施策として、国は地方公共団体への権限移譲推進するとともに、地方公共団体に対する国の関与必置規制機関委任事務補助金等整理及び合理化その他所要措置を講ずるものとしております。  このほか、国は地方税財源充実確保を、また、地方公共団体はその行政体制整備確立を図るものとしております。  第三は、地方分権推進計画であります。  政府は、地方分権推進に関する基本方針に即して地方分権推進計画作成し、当該計画国会報告するとともに、その要旨を公表しなければならないことといたしております。  第四は、地方分権推進委員会であります。  委員会は、地方分権推進計画作成のための具体的な指針内閣総理大臣勧告するとともに、同計画に基づく施策実施状況を監視し、その結果に基づき内閣総理大臣に必要な意見を述べることを任務としており、委員会勧告または意見については、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととしております。  委員会は、すぐれた識見を有する者のうちから両議院同意を得て内閣総理大臣が任命する委員七人をもって組織することとするとともに、委員会事務を処理させるための事務局を置くことといたしております。  また、委員会は、行政機関及び地方公共団体の長に対して、資料提出意見開陳説明その他の必要な協力を求めることができることとしているほか、特に必要があると認めるときは、みずから行政機関及び地方公共団体業務運営状況を調査することができることとしております。  なお、この法律は、政令で定める施行の日から起算して五年を経過した日にその効力を失うことといたしております。  以上が、この法律案趣旨であります。(拍手)     —————————————
  25. 土井たか子

    議長土井たか子君) 提出者冬柴鐵三さん。     〔冬柴鐵三君登壇
  26. 冬柴鐵三

    冬柴鐵三君 ただいま議題となりました地方分権推進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  いわゆる中央集権型行政システムが、明治以来の我が国近代化一定役割を果たしてきたことは事実でありますが、今日においては、行政権限の国への過度の集中をもたらし、行政の非効率化を招いているほか、長年にわたる東京圏への諸機能の一極集中など、さまざまな弊害が生じております。  このような弊害を除去し、地方公共団体がその実情に沿った個性あふれる行政を展開できるよう、その自主性及び自立性を高め、地域の個性を生かした多様で活力あふれる地域づくりを進めることが、国民一人一人がゆとりと生活の豊かさを実感できる社会実現する上で極めて重要であり、そのためには、中央集権型行政システムから分権型行政システムへの転換を図ること、すなわち地方分権推進が不可欠なのであります。  これは、新進党への合併前の政党である新生党、公明党、日本新党及び民社党のそれぞれの政策提言及び自民党並び社会党の各政策提言、経団連やいわゆる民間政治臨調の再度の緊急提言地方団体意見書内閣総理大臣に対する行革審及び地方制度調査会の第二十ないし二十二次及び第二十四次の各答申等がひとしく指摘するところであり、また、衆議院及び参議院地方分権推進に関する決議に示されるように、国民合意は既に形成済みというべきであります。新進党は、かかる事実を踏まえ、地方分権推進を当面の重要課題として位置づけ、党内機関による意見集約を踏まえて本法律案を取りまとめ、ここに提出申し上げる次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明いたします。  第一は、地方分権推進に関する基本理念並びに国及び地方公共団体責務であります。  地方分権推進は、各般行政地域実情に応じて処理されることが重要であることを踏まえつつ、これを展開する上で国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会実現を図ることを基本として行われるものとしております。また、国、地方公共団体責務について、所要規定を設けております。  第二は、地方分権推進に関する基本方針であります。  地方分権推進は、国においては国際社会における国家としての存立に直接かかわる事務など国が本来果たすべき最小限役割を明確にしこれを重点的に担い、地方公共団体においては地域における行政について企画、立案及び調整を含め一貫して自主的かつ自立的にこれを実施する役割を広く担うことを旨として行われるものとしております。  また、地方分権推進に関する施策として、国は地方公共団体への権限移譲推進するとともに、機関委任事務制度及び地方事務官制度を廃止し、国の地方行政機関整理及び合理化を行い、並びに地方公共団体に対する国の関与及び必置規制を法令で特に定める必要最小限のものとするほか、地方公共団体に対する国の負担金補助金等支出金整理及び合理化並びに地方債許可制度弾力化及び簡素化を行う等、地方分権推進計画的に行い、おおむね五年を目途に具体的成果を上げるものとしております。  なお、権限移譲は、できる限り基礎的な地方公共団体である市町村へ行われるよう配意するものといたしております。  このほか、国は地方公共団体自主財源である地方税充実強化基本とする地方税財源充実確保を、また、地方公共団体はその行政体制整備確立を図るものとしております。  第三は、地方分権推進計画であります。  政府は、地方分権推進に関する基本方針に即して地方分権推進計画作成し、当該計画国会報告するとともに、その要旨を公表しなければならないこととしております。  第四は、地方分権推進委員会であります。  委員会は、地方分権推進計画作成のための具体的な指針内閣総理大臣勧告するとともに、同計画に基づく施策実施状況を監視し、その結果に基づき内閣総理大臣に必要な意見を述べ、委員会勧告または意見については、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととしております。また、内閣総理大臣は、勧告を受けたときは、これを国会報告するものとし、委員会は、勧告をしまたは意見を述べたときは、その概要を公表し、定期的にその審議概要を公表することとしております。  委員会は、すぐれた識見を有する者のうちから両議院同意を得て内閣総理大臣が任命する委員七人をもって組織することとするとともに、委員会事務を処理させるための事務局を置くこととしております。  また、委員会は、行政機関及び地方公共団体の長に対して、資料提出意見開陳説明その他必要な協力を求めることができることとしているほか、特に必要があると認めるときは、みずから行政機関及び地方公共団体業務運営状況を調査することができることとしております。  以上が、この法律案提出理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いいたします。(拍手)      ————◇—————  地方分権推進法案内閣提出)及び地方分権推進に関する法律案冬柴鐵三君外三名提出)の趣旨説明に対する質疑
  27. 土井たか子

    議長土井たか子君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山本拓さん。     〔議長退席、副議長着席〕     〔山本拓登壇
  28. 山本拓

    山本拓君 私は、ただいま議題となりました政府提出地方分権推進法案並びに新進党提出地方分権推進に関する法律案につきまして、新進党を代表し、政府並びに新進党提出者双方に質問をいたします。  さて、私は、平成五年六月の衆参両院における憲政史上初地方分権推進に関する決議に参加した者の一人として、地方分権を進めるための法案が本日この本会議に上程される運びになりましたことに対し深い感銘を覚えますとともに、いよいよ地方分権実現のときを迎えたことを強く実感するものであります。  しかしながら、本法は、地方分権の目的ではなく手段であり、重要ではあるがその第一歩にすぎないものであります。山深ければ道険しと存じますが、地方分権実現という時代の大転換期における一大事業に向けて、政治の強力なリーダーシップがいよいよ不可欠となってまいります。  我々は、衆参両院における決議の意義を踏まえ、与野党相協力して、実効ある本法成立を目指し、地方分権実現に向けた確実な第一歩を踏み出すべきであります。ここで、改めて本法成立への総理の決意をお伺いするとともに、新進党の対案をどう評価されておられるか、まずもってお尋ねをいたします。  以下、順次、両案に沿ってお尋ねをいたします。  まず第一に、本法に求められているものは何かということであります。  地方分権は、ややもすると、中央と地方の役所間の権限争いの問題としてとらえられたり、中央レベルでの議論が先行し、住民や市町村レベルでの関心が薄いのではないかという危倶が取りざたされております。私は、住民や自治体の間で地方分権の具体的な姿がいま一つイメージできないでいることに大きな原因があるのではないかと考えるものであります。  その点から政府案を見ますと、権限や財源について、何を分権するのかという具体的な中身が全く示されていないのであります。地方分権推進するための土俵づくりはそれなりに重要でありますが、本法は単なる宣言法や設置法にとどまるべきでなく、国民の前に可能な限り実現への手順と具体的な姿を示し得るものかどうかが大切であり、国民各界各層の幅広い関心と参加を喚起することが求められております。この点について、総理及び新進党提出者にその所見をお尋ねいたします。  第二に、国と地方公共団体役割分担でありますが、地方自治の確立のためには行政権限の国への過度な集中による弊害除去が必要であります。  憲法九十二条は地方自治の保基本原則をうたっておりますが、ここでうたわれている地方自治の本旨が余りにも軽視され、ゆがめられてきたのではないかという感を強く抱くものであります。  今や我が国は、戦後復興期から高度成長期を通じたキャッチアップ型の社会構造から、成熟型社会へ向けた多様な国民ニーズに対応できる新たな政治行政・経済システムへの構造転換を迫られているのであります。国と地方役割分担に当たっては、国の役割は限りなく限定的にとらえる一方、地方にあっては、企画、立案、調整そして実施と一貫した役割を広く担うべきであり、これまでの国と地方役割に対する抜本的な発想の転換が求められていると考えますが、総理及び新進党提出者の御所見をお尋ねいたします。  第三に、地方分権推進に関する国の施策についてであります。  政府案によりますと、権限移譲に当たっての国の関与必置規制機関委任事務制度等について整理合理化その他所要措置を講ずるとあるのみで、具体的な内容は一切示されておりません。先ほども申し上げましたように、これでは地方自治体も住民も地方分権の具体的な姿を思い浮かべることはできないのであります。この点については骨抜きとの批判もある大綱方針以上に後退したものと断ぜざるを得ません。  機関委任事務制度の廃止は地方制度調査会においてもたびたび答申されておりますが、今や国民的コンセンサスを得たものというべきであります。総理はみずからの諮問機関である地方制度調査会の答申をどのように考えておられるのか、答申を尊重する義務はないのか、お尋ねをいたします。  さらに、平成四年十二月に社会党がまとめた「地方分権推進法とプログラムの試み」におきましても、機関委任事務の原則的廃止がうたわれているのでおります。社会委員長としての総理はこの点についてどのようにお考えになっておられるのか、お尋ねをいたします。  また、このような基本的事項についての方向性すら明示せず、今後の議論にゆだねることは、先送り以外の何物でもなく、政治のリーダーシップはどこにも感じられない極めて無責任な態度であると言わざるを得ません。総理の御所見をお尋ねするものであります。  第四に、基礎的自治体である市町村への権限移譲のあり方についてであります。  市町村レベルで見ますと、ある意味での格差があることは否定できません。したがいまして、当面、二層制を前提とした分権の推進が現実的であることは認めざるを得ないものでありますが、住民に身近な基礎的自治体である市町村への分権が究極的な地方分権の姿であることも否定できません。この点についてどのように考えておられるのか、総理及び新進党提出者にお尋ねをいた促します。  第五に、地方公共団体の税財政基盤についてであります。  政府案を見ますと、「国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源充実確保」とありますが、これまで繰り返し言われてきた極めて当たり前の、決まり文句の域を一歩も踏み出していないのであります。地方自治とは究極的に、みずから課税し、みずから歳出を決めることであり、地方税財政基盤の確立は地方分権実現に当たって不可欠の課題であります。  地方関係者が抱く地方分権に対する大きな不安は、権限移譲はいいけれども、果たしてそれに見合う財源がついてくるのかということにあり、財源の伴わない分権はかえって迷惑だということになるわけであります。地方自主財源である地方税充実強化なくして地方の財政的自立はあり得ないのであり、地方公共団体の税財政基盤の整備に当たって、何を重視し、どのように組み立てていくのか、具体的指針を明示すべきではないかと考えますが、総理の御所見をお尋ねするものであります。  第六に、地方公共団体行政体制の整備についてであります。  地方分権推進に伴う国及び地方公共団体を通じた行政簡素化及び効率化は不可欠であり、地方分権実現は何よりも地方自治体自身の変革を求めていくものであります。したがいまして、地方分権推進にあわせた地方行政体制の整備は極めて重要であり、今後の分権化時代へ向けた主人公ともいうべき地方公共団体のあるべき姿と今後の課題についてどのように考えておられるのか、総理及び新進党提出者にお尋ねするものであります。  第七に、本法の時限立法化と実現のめどについてであります。  政府案によりますと、五年間の時限立法との規定はあるものの、何をいつまでに実現するのか明らかにされておりません。五年間で結果が出なかったものはどうなるのか。五年たったら根拠法を失い、はいそれまでよということになりはし方いか。うがった見方をすれば、この法律案地方分権推進法ではなく、地方分権中止法になりかねない危険をはらむものであります。時限立法の意 味と、五年間で何をどのように実現しようとされておられるのか、総理の所見をお尋ねするものであります。  また、新進党案によりますと、「五年を目途に、具体的成果をあげる」とする一方、時限立法化はされておりません。これはどのような理由によるものか、今後の具体的手順とあわせて新進党提出者の御所見をお尋ねするものであります。  最後に、地方分権推進委員会事務局の独立性の確保についてであります。  地方分権推進委員会は、地方分権推進計画作成のための具体的指針勧告実施状況の監視等、地方分権推進計画に関して一貫した役割を担うものであり、その機能にふさわしい実効ある推進機関としなければなりません、その委員会活動を十二分にバックアップするためには、課題の重要性、迅速性、公平性の観点からも、事務局の独立性とともに質量両面における十二分の措置が必要と思われますが、総理及び新進党提出者の御所見をお尋ねいたします。  以上、法律案に沿ってお尋ねをしてまいりましたが、私は、豊かな地域社会の創造なくして活力ある日本の新たなる発展はあり得ないと信じるものであります。地方分権実現を通して、自治の精神に支えられた生き生きとした地方が形づくられ、一人一人が豊かさを実感できる社会が築かれることを念じ、本法成立地方分権実現に向け大きく貢献することを期待いたしまして、私の質問といたします。(拍手)     〔内閣総理大臣村山富市君登壇
  29. 村山富市

    内閣総理大臣(村山富市君) 山本議員の質問にお答えを申し上げたいと思います。  まず、法案成立に向けた決意についてのお尋ねでございますが、地方分権につきましては、今や大きな時代の流れであり、もはや実行の段階であると認識をいたしております。政府におきましては、昨年、行政改革推進本部の地方分権部会におきまして、地方制度調査会地方団体を初め各方面の御意見を聴取いたしまして、幅広い議論を行い、地方分権大綱を閣議決定したところでございます。  新進党の対案についてのお尋ねでありますが、政府案とかなりの部分で一致しているようでございまして、目指すべき方向におきましても根本的対立点はないのではないかと考えております。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、御審議をいただいておりまする地方分権推進法案は、先般閣議決定をいたしました地方分権大綱に沿って立案したものでございまして、政府といたしましては、本法案についてぜひとも御理解をいただけるよう最善の努力を尽くしてまいりたいと考えております。  次に、地方分権について可能な限り実現への手順と具体的な姿を示すべきとの御指摘でございますが、今般の地方分権推進法案では、地方分権推進に関する基本理念を示し、その上で、権限移譲、国の関与必置規制等の整理合理化推進することとするなど、国の施策基本方針を示しておるところでございます。  さらに、同法案では、地方分権推進委員会計画の具体的な指針勧告し、政府はこの勧告を尊重して地方分権推進計画作成し、総合的かつ計画的に地方分権推進することとしたものでございまして、具体的な手順等を明らかにしているところでございます。  なお、地方分権の個別具体的な内容につきましては、国と地方役割分担のあり方を踏まえ、地方分権推進計画作成過程において具体的に検討されていくものと考えております。  次に、国と地方公共団体役割についてのお尋ねがございましたが、国は国際社会における国家としての存立にかかわる事務等国が本来果たすべき役割を重点的に担うこととし、その方向で役割分担を明確にしていくことこそが重要であると考えております用地方分権推進に当たりましては、国と地方公共団体役割を見直し、地方公共団体自主性自立性を高め、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理することを基本に進めることが重要であると考えておりまして、このような視点に立って地方分権を進めてまいる所存でございます。  次に、機関委任事務についてのお尋ねがございましたが、政府といたしましては、地方制度調査会の答申の趣旨を踏まえ、昨年、地方分権大綱を閣議決定し、機関委任事務につきましても整理合理化を積極的に進めることといたしておりまして、これから検討を行うものでございます。この方針に基づきまして、国と地方役割分担の見直し、権限移譲機関委任事務整理合理化等とあわせて、機関委任事務制度についてもそのあり方を含め適切な検討を行ってまいる所存でございます。  次に、機関委任事務の原則的廃止について社会委員長としてどのように考えているのかとのお尋ねでございますが、日本社会党におきましても、平成四年十二月に取りまとめられました地方分権推進のプログラムにおきましては、機関委任事務の原則的廃止による整理合理化を掲げております。政府といたしましても、機関委任事務整理合理化を積極的に進めるとともに、制度そのものについても検討することといたしたものでございまして、その趣旨は生かされているものと考えているところでございます。  次に、機関委任事務の原則廃止を明示せず委員会にゆだねることは議論の先送りではないかとのお尋ねでございますが、政府といたしましては、先ほども申し上げましたように、機関委任事務整理合理化を積極的に推進するとともに、その制度についても検討を行うこととしておりまして、適切な結論が得られるよう責任を持って鋭意努力をする所存でございます。  次に、市町村への分権についてのお尋ねでございますが、市町村は基礎的な自治体として、また、都道府県は地域における総合的、広域的な行政主体として、それぞれ自主的、自立的な行政が展開できるようにしていく必要がございます。昨年十一月の地方制度調査会の答申でも、国からの権限移譲等を進めるに当たりましては、当面、都道府県により重点を置いて進めることが現実的かつ効率的であり、その上で、住民により身近な存在であり地域づくりの主体である市町村への移譲を進めることが適当であるとされているところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。  次に、地方公共団体の税財政基盤の整備についての御質問でございますが、先般の税制改革におきましても、地方分権推進し、地方税源の充実を図るため、地方消費税を導入することとしたところでございます。地方分権推進法案においては、「国は、地方公共団体事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源充実確保を図るものとする。」とされているところでございます。地方の税財政基盤の整備は、国・地方を通ずる事務配分等を初めとする地方行財政制度全般のあり方を踏まえつつ検討する問題でございまして、その分権の趣旨に沿って適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。  次に、地方公共団体のあるべき姿と今後の課題についてお尋ねがございましたが、地方分権推進につきましては、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるように、国と地方役割分担を本格的に見直し、権限移譲や国の関与等の廃止・緩和、地方税財源充実強化を進め、地方公共団体自主性自立性を強化していくことが必要であると考えているところでございます。  このような地方分権推進の成果を上げるためには、まず、国として行うべき事項を定めることが必要でありますが、同時に、地方公共団体においても行財政改革を推進するとともに、行政の公正の確保と透明性の向上及び住民参加の充実等、新たな地方公共団体役割を担うにふさわしい地方行政体制の整備・確立を図ることが必要であることは申し上げるまでもございません。  時限立法としての意味及びその間の進め方についてのお尋ねがございましたが、地方分権推進法案においては、地方分権推進計画作成から実施まで一定の期限内に集中的かつ計画的に取り組むことが具体的な成果を上げる上で最も効果的であるとの認識のもとに、地方制度調査会の答申をも参考として五年の時限立法としたものでございます。  なお、改革の期限をあいまいにすることは改革の実施を先送りすることにつながりかねません。明確な期限を切って、その間に最大限の努力を尽くすことが地方分権を進める上で最善の方法と考えているところでございます。政府といたしましては、この法案成立後できる限り速やかに地方分権推進委員会を発足させ、具体的な指針の検討に着手していただき、その勧告を尊重して、充実した内容推進計画作成するとともに、その実行に努力してまいりたいと考えているところでございます。  最後に、地方分権推進委員会事務局についてのお尋ねがございましたが、委員会の活動を十分に補佐し、かつ、委員会の客観的、公正な立場からの調査審議を確保するため、独自の事務局を設置することといたしております。実際の体制につきましては、委員会業務に支障が生じないよう配慮してまいる所存でございますので、御理解をいただきたいと存じます。  以上です。(拍手)     〔増田敏男君登壇
  30. 増田敏男

    ○増田敏男君 私は、提案者の新進党の増田敏男でございます。山本拓議員の質問の第一、第二についてお答えをいたします。  本法律に何が求められているかについてのお尋ねであります。  地方分権推進につきましては、長い間の懸案事項として各方面からの提言、意見また答申等提出をされ、論議をされてきたところであります。去る平成五年六月、衆参両院において、憲政史上初めて地方分権推進に関する決議全会一致で議決されましたが、私も、この国会決議のもととなった地方行政委員会決議では、章案の作成から各党の調整に当たり、委員会決議文を提案した者として、まことに感慨無量であります。  今や、地方分権が論議のときを過ぎ、いよいよ実現のときを迎えでおり、本法の使命は、地方分権推進の実効性を確保するとともに、目指すべき地方分権の姿を具体的に示すことにあると考えるものであります。  政府案の提出を受け、次の焦点は推進委員会の人事であるとのマスコミの論調も見受けられます。どのような方に委員になっていただくかはもちろん大事なことではありますが、本法に具体的方向を示さずに、政府委員会の作業に丸ごとゆだねるということは無責任であり、地方分権を進めるための法律としてはまことに不十分なものと考えております。(拍手)  したがいまして、私どもの法案は、地方分権推進に関する国の施策に当たっては機関委任事務制度、や地方事務官制度の廃止を明記しているほか、地方自主財源である地方税充実強化基本とした財政基盤の整備等を明記しているところであります。これらのことは、既に地方制度調査会を初めとする各答申や意見に共通するものであり、国民的なコンセンサスは十分得たものと考えております。今後、これらの実現に向けてどのような方法でどのように成果を上げていくかということが政府及び委員会役割である、このように考えております。  次に、国と地方公共団体役割分担のあり方についてのお尋ねであります。  ただいま山本議員が御指摘になられました認識と全く意を同じくするものであり、キャッチアップ型の社会構造から成熟社会へ向けた新たな社会システムの構造転換を行っていく上で歴史的な変革期を迎えている世界の中にあっては、国としては、内政面の役割整理し、国際化への対応等へ重点的に取り組む体制に転換すべきときであり、必然的に国の役割は限定化されてくるものと考えております。その意味で、国と地方役割に対する抜本的な発想の転換が必要だ、このように考えるものであります。  したがいまして、私どもの法案では、国が本来果たすべき最小限役割を明確にするとともに、地方においては、これまでどちらかといえば企画、立案は国がやり、それを地方がいわゆる下請的に実施をするという役割分担の発想を変え、企画、立案、調整を含め一貫して実施する役割を担うべきであるとしたところであります。御理解を賜りたいと思います。(拍手)     〔今井宏君登壇
  31. 今井宏

    ○今井宏君 山本拓議員の御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、住民に一番身近な地方自治体は言うまでもなく市町村でありますから、最終的には、当然市町村が住民の多様なニーズをくみ上げ、自主的かつ自立的に施策実施していくことが望ましいと我々は考えております。  ただ、御承知のように、一口に市町村と言いましても、人口が百万人を超える大都市もあれば千人に満たない村もあるわけでして、すべての市町村が同じスタートラインに立てない事情も一方ではあるわけでございます。  地方制度調査会の答申や地方団体意見書でも述べられておりますとおり、当面は現在の二層制を前提としながら地方分権推進する方策を積極的に取りまとめ、新進党案にあるとおり、できる限り基礎的な地方公共団体である市町村へ権限移譲されるよう国は配意するべきであると考えております。  次に、地方公共団体のあるべき姿と今後の課題についてのお尋ねでございます。  まず第一に、行政能力のさらなる向上が必要であります。住民の多種多様な価値観に的確に対応していくためには、職員の意識改革を含め、今まで以上に自助努力が求められることになります。  第二点といたしまして、自治体の自己チェックシステムの整備を挙げなければなりません。外部監査制度や住民モニターの充実、オンブズマン制度の創設など、さまざまな施策を検討する必要があります。  第三に、住民の信頼の確保が求められます。情報を公開し、住民であればだれでもアクセスしやすい仕組みに変えていく必要があります。  第四として、住民の参加への配慮があります。住民発意などの直接請求制度や地方議会の活性化、そのための積極的な広報活動や啓蒙活動が一層必要になってまいります。  以上、いろいろと申し述べてまいりましたが、市長を十六年経験してきた者といたしまして、今この場で一番指摘しておきたいことは、現場で直接住民に接し事情を最もよく知り得る立場にある者の判断と責任が尊重されるような体制を確立し、住民主権と住民自治を定着させることが地方分権の根本であり、そのための推進法でなければならないということでございます。  以上、答弁とさせていただきます。(拍手)     〔山崎広太郎君登壇
  32. 山崎広太郎

    ○山崎広太郎君 答弁の順序が前後しますが、まず、事務局の独立性の確保の問題でございます。  ただいま山本議員御指摘のとおり、地方分権推進委員会の機能にふさわしい事務局スタッフとその独立性は、ぜひとも確保すべきものと考えております。したがいまして、私どもは、事務局スタッフの配置に当たっては専任職員の配置を原則とすべきと考えており、計画的、集中的に業務に取り組めるよう十分な要員の確保を機動的に行う必要があると考えております。リストラを踏まえた政府の格段の努力を求めるものであります。  次に、本法を時限立法としなかった理由と今後の具体的な手順についてであります。  地方分権を進めていく上で、一定の期限の中で成果を上げ得る、実効ある地方分権推進方策をどのように仕組んでいくのかという点は、私どもも特に腐心したところであります。  今日求められている地方分権が、単なる国から地方への一方的な権限移譲のみで終わるものではなく、国と地方の新たな仕組みを構築し、そしてさらにそれを発展させていくものであるという視点からすれば、時限立法は本来なじまないものではないかと考えるのであります。また、明治以来の行政システムの大転換をスムーズに実施していくためには、周到な準備も必要であります。そして、具体的指針勧告推進計画作成実施状況の監視という流れを考えますとき、時限立法では結果的に地方分権を中途半端なものにしてしまうおそれがあることからも、あえて時限立法の措置をとらないとの結論に達したのであります。  もとより、その作業に当たっては、計画的、集中的に取り組むべきことは当然であり、私どもは、五年を目途に具体的成果を上げることを目標に掲げ、勧告国会報告委員会審議概要の公表を義務づける等の措置によりまして、進行管理を行っていこうとするものであります。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、地方分権が国と地方の新たな仕組みをつくり上げようとするものであり、立法権が唯一国に帰属する現状からいたしまして、行政の裁量にゆだねずに、この分権推進法の中でできるだけ地方分権の具体的方向を指し示すことが我々立法府に課せられた責務であるということを申し上げまして、御答弁とさせていただきます。(拍手)     —————————————
  33. 鯨岡兵輔

    ○副議長(鯨岡兵輔君) 荒井聰君。     〔荒井聰君登壇
  34. 荒井聰

    ○荒井聰君 私は、自由民主党・自由連合、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけを代表し、ただいま議題となりました内閣提出に係る地方分権推進法案につきまして、村山内閣総理大臣を初め関係閣僚に質問をいたします。  まず、本論に入る前に、現下の緊急課題である円高対策について伺います。  この数日、円相場の急騰が著しく、一ドル九十円を突破するなど未曾有の高騰ぶりを見せており、このままの状態では我が国経済に深刻な影響を与えることが懸念されます。円高問題は為替相場の問題でもあり、これへの対応は大変難しいものがあると考えますが、今回の円高問題に対する総理の所見を伺います。  さて、本論の地方分権についてでありますが、地方分権推進は、特殊法人改革、規制緩和と並び行政改革の大きな柱の一つであり、むしろ本格的な行政改革を進めるための基礎的条件ではないかと私は考えるところでございます。  戦後の経済復興と国民生活の安定をなし遂げ、成熟化を迎えつつある我が国においては、今や地方の時代あるいは国から地方へ、画一性から多様性への言葉に象徴されるとおり、地方公共団体自主性及び自立性を高め、国民一人一人が真にゆとりと豊かさを実感できる社会をつくり上げ、国民福祉の増進を図っていくことが望まれております。今や、地方公共団体がその実情に応じて地方の責任と裁量と負担のもとに個性ある行政を展開していく地方分権推進は、大きな時代の流れとなっております。  地方分権推進は、明治以来の国家構造を変革し、しなやかで多様性に満ちた国家を形成しようとするものであり、その実現には大きな困難を伴うものと考えます。地方分権を日本で最初に唱えた福沢諭吉は、その著書「分権論」の中で、分権の必要性を切々と説く一方、「治権の整頓に至るまでは十年を以て待つ可らず、二十年を以て期す可らず、恐らくは余が生涯の中には其成功を見ることなかる可し。」と、その取り組みの難しさを指摘しております。  戦後は、地方制度調査会や臨調及び累次の行革審答申を初め全国知事会等の地方団体などが、幾度となく分権の必要性を指摘しております。さらに、平成五年六月には、衆参両院において地方分権推進に関する決議が採択され、「地方分権を積極的に推進するためめ法制定をはじめ、抜本的な施策を総力をあげて断行していく」ということが決議されております。  地方分権推進は、地方公共団体等の地方関係者のみならず、国民がこぞって久しく待ち望んでいたものであり、ここに内閣から地方分権推進法案提出されたことはまことに喜ばしく、心から歓迎するとともに、この難事業に真正面から取り組まれる総理の決意を高く評価するものであります。  さて、地方分権推進法案について、若干総理のお考えを伺いたいと思います。  地方分権推進に当たっては、まず何よりも、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理するとの基本方針のもとに、国と地方公共団体との役割分担を見直すことが基本であります。そして、この結果に基づき、国に過度に集中している行政権限地方公共団体への移譲地方公共団体に対する国の関与必置規制整理合理化等を推進していく必要があると考えます。これに伴い、必要な財源の配分見直しを行うことも重要なことであります。  他方、地方公共団体においては、みずからの行財政改革はもとより、人材育成を図るとともに、条例制定権の拡大などを通じて議会の活性化を図る必要があると考えます。  このような地方分権推進する上で最も重要な出発点は、国と地方との関豚をどのようにとらえるかということであります。従来、ともすれば、国と地方の関係については、両者が相対立して権限を奪い合うという形でとらえられてきた嫌いがおりますが、住民福祉の向上の観点から見た場合、国と地方との関係について総理はどのような認識をお持ちですか。総理のお考えを伺いたいと思います。  次に、機関委任事務制度についてお伺いいたします。  機関委任事務制度は、国と地方との関係なり地方分権を考える際に必ず議論の俎上に上ってまいります。機関委任事務については、地方サイドから、機関委任事務があるがゆえに地方公共団体が国の出先機関化し、地方自主性が阻害されているといった意見が提起されているほか、国と地方の責任の所在を不明確にしているとの批判もあります。このため、全国知事会などの地方団体からは、古くから、機関委任事務を抜本的に整理合理化すべきとの意見、要望が出されているところであります。このような意見、要望を反映して、平成三年の地方自治法の改正では、知事の罷免制度を廃止したほか、機関委任事務についての議会や監査委員関与を認めるなどの改善措置が講ぜられてきたところであります。  機関委任事務の中には、国政選挙、外国人登録、戸籍事務なども含まれており、住民の利便と全国的統一性、公平性の調和を図るものとして、これらの事務を直ちに廃止することは困難と考えますが、制度のあり方を抜本的に見直していくことは常に必要なことと考えます。  機関委任事務制度の原則的廃止を含め、同制度の改革に早急に取り組む必要があると考えますが、これについての総務庁長官の見解をお伺いしたいと思います。  次に、地方分権推進委員会について伺います。  地方分権推進委員会の設置は、政府作成する地方分権推進計画と並び、今回の法案の中核をなすものと理解しております。特に、地方分権推進委員会の設置については、昨年末、閣議後の閣僚懇談会の場において総理がリーダーシップを存分に発揮された結果、地方分権大綱に明記されたものと伺っており、記憶に新しいところであります。  地方分権は総合的かつ計画的に推進する必要があり、この意味において、法案政府地方分権推進計画作成を義務づけていることは極めて有効なことと考えます。  さらに、法案では、地方分権推進委員会がこの計画の具体的な指針内閣総理大臣勧告し、政府はこの勧告を尊重して計画作成する、そしてさらに委員会政府における計画実施状況を監視するという仕組みを構築しております。委員会は、計画から実施までの一連の作業に常に関与することができることとされております。このような仕組みはまさに画期的なものであり、地方分権推進委員会勧告、監視、意見の三つの機能を有することになります。委員会の早期発足を心から望むものであります。  このような委員会の仕組みができたとしても、委員会の機能が十分に発揮され、地方分権が順調に進むか否かは、委員会委員構成及び事務局長の人選にかかっていると行っても過言ではありません。この法案が、委員会の活動を補佐するため独立の事務局を置くこととしている点については、我々は委員会の設置とともに高く評価しているところであります。  地方分権推進は、中央が一方的に行うものではなく、中央は地方意見や要望を十分に聴取し、地方意見委員会勧告などに反映されるよう措置する必要があると考えます。  そこで、総理にお伺いいたします。  委員会委員及び事務局には、地方意見を反映させるためにも、地方関係者を含めるべきと考えますが、総理の素直なお考えをお聞かせ願いたいと思います。  冒頭にも触れましたとおり、地方分権推進は、その必要性が古くから唱えられてきたにもかかわらず、運々として進展しなかった大きな課題であります。地方分権推進は今や実行の段階であり、その第一歩を力強く踏み出すことが肝要であります。  地方分権推進は、国と地方行政全般にかかわるものであり、その対象とするところは極めて広いのみならず、個別の権限移譲など各論になればなるほどその実現に困難を伴うことが予想されます。このように考えた場合、実効ある地方分権推進するためには息の長い改革を目指すべきものと考えられますが、今回の法案は五年の時限立法とされております用地方分権推進は一過性、臨時的なものではないと考えますが、今回の法案を五年の時限とされた趣旨、目的について、総理の率直な見解をお伺いいたします。  質問を終わるに当たり、一言申し上げます。  徒然草の第五十五段に「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。」という一節がありますが、必ずしもこの一節が日本全国に当てはまるとは限らないのであります。私の出身地である北海道では、むしろ「家の作りやうは、冬をむねとすべし」なのです。行政の面においても画一的な物の考え方を改め、地域実情に応じた、しなやかで多様な行政を展開していく必要があると考えます。  その意味においても、内閣提出のこの法案を一刻も早く成立させるよう、万難を排して尽力していただきたいと思います。また、法案成立した暁には、さらに総理がその勇断とリーダーシップを発揮され、五年後の二十一世紀には、国民が真にゆとりと豊かさを実感できる「人にやさしい地域社会」が築かれることを期待する次第であります。  最後に、地方分権推進に取り組まれる総理の決意のほどをお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣村山富市君登壇
  35. 村山富市

    内閣総理大臣(村山富市君) まず最初に、為替相場の急激な変動が我が国経済に及ぼす影響を憂慮された立場から、円高問題についてのお尋ねがございました。  最近の為替市場において、必ずしも日本経済に起因するものではないさまざまな要因によりましてドル安が進んでおり、これにつられる形で円高がここに来て急速に進行していることを強く懸念いたしております。政府といたしましては、こうした事態を真剣に受けとめており、為替市場の動きに細心の注意を払いつつ、通貨当局間で一層緊密に連携をとり、適切に対処してまいる所存でございます。  また、急激な円高は、輸出産業の企業収益を圧迫し、企業活動に悪影響を与えることが懸念をされます。政府といたしましても、回復局面にある我が国経済の安定成長の確保に向け、適切かつ機動的な経済運営に万全を期してまいる所存でございます。  次に、国と地方の関係についてのお尋ねでございますが、国と地方公共団体は意思疎通を図って相協力して住民福祉の増進を図っていくことが大切であり、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるよう、国と地方役割分担を本格的に見直し、権限移譲や国の関与等の廃止・緩和、地方税財源充実強化を進め、地方公共団体自主性自立性を強化していくことが必要であると考えております。  次に、委員会委員及び事務局には地方関係者を含めるべきとのお尋ねでございますが、委員の人選につきましては、国会における御議論を踏まえながら、本法案の成立をまって検討する所存でございます。いずれにいたしましても、国会の御同意をいただけるよう適切な人選を進めるつもりでございます。また、事務局職員につきましても、同様に、本法成立後において、地方分権推進するという委員会の任務を補佐する上で最も適切な人材を配置するよう留意してまいる所存でございます。  次に、今回の法案を五年の時限とした趣旨、目的についてのお尋ねでございますが、この法案においては、地方分権推進計画作成から実施まで、一定の期限内に集中的かつ計画的に取り組むことが具体的な成果を上げる上で最も効果的であるとの認識のもとに、五年の時限立法としたものでございます。改革の期限をあいまいにすることは、むしろ改革の実施を先送りすることになりかねないと思われます。なお、昨年十一月の地方制度調査会の答申におきましても、同様の考え方から時限立法とすべき旨提言されていると承知をいたしておるところでございます。  次に、地方分権推進に取り組む決意についてお尋ねでございますが、地方分権推進していくことは現内閣の最も重要な課題の一つであり、今回の地方分権推進法案を今国会においてできる限り早期に成立をさせていただき、それをもとにして具体的に地方分権を強力に推進していくことが重要であります。私といたしましても、具体的な成果を上げるべく強い決意でこれに取り組んでまいる所存でございます。  残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)     〔国務大臣山口鶴男登壇
  36. 山口鶴男

    国務大臣山口鶴男君) お答えいたします。  本日、地方分権推進に関する法律を提案いたしましたが、地方分権推進に関する国会決議を提唱した者といたしまして、まさに感無量であったことを申し上げたいと思います。特に、地方分権推進委員会の設置につきましては、村山総理の強いリーダーシップがあったことをこの際申し添えておきたいと存じます。  さて、機関委任事務に関する問題でございますが、国政選挙の執行あるいは旅券の発給事務、戸籍事務等、機関委任事務をすべて廃止することが問題であることは皆さん方もよく御理解いただけると思います。したがいまして、機関委任事務につきましては、残すものは残しますけれども、しかし、この機関委任事務制度のあり方、これを抜本的に検討いたしまして、できる限り整理合理化を進めるということにつきましては、政府としての方針でありますことをこの際申し上げておきたいと存じます。(拍手
  37. 鯨岡兵輔

    ○副議長(鯨岡兵輔君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  38. 鯨岡兵輔

    ○副議長(鯨岡兵輔君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十五分散会      ————◇—————