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1995-05-11 第132回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月十一日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中西 績介君    理事 久間 章生君 理事 二田 孝治君    理事 松岡 利勝君 理事 倉田 栄喜君    理事 小平 忠正君 理事 仲村 正治君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 錦織  淳君       赤城 徳彦君    岸本 光造君       熊代 昭彦君    栗原 博久君       栗原 裕康君    七条  明君       東家 嘉幸君    徳田 虎雄君       中川 昭一君    浜田 靖一君       林  幹雄君    保利 耕輔君       松下 忠洋君   三ッ林弥太郎君       御法川英文君    山本 公一君       石破  茂君    大石 正光君       実川 幸夫君    千葉 国男君       畑 英次郎君    初村謙一郎君       藤村  修君    増田 敏男君       矢上 雅義君    山岡 賢次君       山田 正彦君    石橋 大吉君       遠藤  登君    辻  一彦君       前島 秀行君    玄葉光一郎君       藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣 大河原太一郎君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         農林水産省食品         流通局長    鈴木 久司君         食糧庁長官   上野 博史君         食糧庁次長   阿部  修君  委員外出席者         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会常務         理事)     有賀 文昭君         参  考  人         (全国食糧事業         協同組合連合会         会長)     野村  昭君         参  考  人         (主婦連合会参         与)      和田 正江君         参  考  人         (明治大学教授         )         (東京大学名誉         教授)     角田 公正君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 五月十一日  辞任        補欠選任   栗原 裕康君     林  幹雄君   松下 忠洋君     熊代 昭彦君   木幡 弘道君     藤村  修君 同日  辞任        補欠選任   熊代 昭彦君     松下 忠洋君   林  幹雄君     栗原 裕康君   藤村  修君     木幡 弘道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農産物検査法の一部を改正する法律案内閣提  出第八二号)  農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八一号)(参議院送付)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ  き、農林水産消費技術センターの設置に関し承  認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)(参  議院送付)      ————◇—————
  2. 中西績介

    中西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農産物検査法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として全国農業協同組合中央会常務理事有賀文昭君、全国食糧事業協同組合連合会会長野村昭君、主婦連合会参与和田正江君、明治大学教授東京大学名誉教授角田公正君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、議事の順序について申し上げます。  有賀参考人野村参考人和田参考人角田参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。  それでは、有賀参考人お願いいたします。
  3. 有賀文昭

    有賀参考人 ただいま委員長から御指名を受けましたJA、全中の常務をしております有賀でございます。  本日は、農産物検査法の一部改正絡みにつきまして、このような席にお招きをいただきまして、生産者団体としての意見を発表する機会を与えていただきましたことに対しまして、心から厚くお礼を申し上げたいというふうに思っております。  農産物検査法の一部改正という問題は、食管法にかわります新食糧法制定ということに関連して出てきておる問題かというふうに思うわけでございます。  私ども生産者団体と申しますかJAグループでは、現在、十一月一日の施行を予定されております新食糧法絡み内容趣旨徹底、それに対する私どもJAグループ対応、さらには政省令生産調整計画流通等々の助成についての国に対するお願いというようなことにつきまして、農家のレベルまで含めまして広範な組織討議を展開しているところでございます。この検査の問題につきましても、その一環として位置づけまして、組織の中で今回の法改正内容等につきましても趣旨徹底を図っているところでございます。  そこで、検査法の一部改正絡みについてでございますが、まず、私どもJAグループと申しますか生産者団体基本的な認識でございます。  御案内のとおり、主要食糧でございます米麦につきましては、これまで国による検査実施されてきておるわけでございますが、このことにつきましては、国にとっても買い入れに必要であるということであるかと思いますが、私ども生産者にとりましても、自主流通米等の公正で円滑な取引のためには、その基礎になっているというふうに私どもは受けとめておるわけでございます。  したがいまして、本年の十一月からは、食管法から新食糧法にかわるということで、新しいシステムの中で米麦流通していくということになるわけでございますが、国による検査は引き続き必要であるというふうに私どもJAグループ生産者団体としては認識しておるわけでございます。  次に、ではなぜ国による検査が必要であるかということであるわけでございますが、まず第一に、これは先生方も御案内かというふうに思うわけでございますが、お米の流通ということに関連してでございます。  お米の流通につきましては、生産者から消費者まで、生産者団体流通業者を経由して流れておるというわけでございますが、その取引の形態が各流通機構における入札取引でありましてもあるいは相対取引でありましても、御案内のように、青果物のように現物を見て一々取引が行われていくというようなことではないわけでございます。現物を見ずにも円滑に取引が行われているという実態にございます。このようなことを可能にしている、またそれは流通合理化にもつながっておると思うわけでございますが、その背景といいますかベースに、公正な立場でございます国による検査実施ということがあるからではないかというふうに基本的に考えておるわけでございます。  それから、お米は最終的には消費者に食べていただくということで、消費者信頼していただくような品質あるいはその表示ということが必要になると思いますけれども、国による検査というのは、そういう消費者に対して信頼できる精米品質のものを供給するに当たっての出発点になっておるのではないかというふうに思うわけでございます。  お米につきましては、産地品種等によりまして食味差異がございますし、消費者評価にも差異があるわけでございます。しかし、一たん精米になってしまうと、これはどんな専門家であってもなかなかそういう産地とか品種等を見分けるのは難しい、もうほとんど不可能に近いというようなことも聞いておるわけでございます。  そういう実態の中で、公正な精米表示というようなことによりまして消費者の利益が守られるためにも、これは国による検査というようなことが必要でもございます。そういう認識をしておるわけでございます。  もし、これが国の検査というようなことではなくて、生産者団体が自分でやればいいじゃないか、つまり自主検査でやればいいじゃないかというような御意見もあるわけでございますけれども、そういうことになりますと、新食糧法のもとでは私どもJAの直接販売等々、多様な販売ルートというものが認められることになっておるわけでございますが、そういう中で増量競争といいますか無用な競争を引き起こすことになるのではないか。あるいは、国による検査というものと比べますと、もし自主検査というようなことになりますと、品種に対するクレームというようなことが増大するのではないかというふうに考えておりまして、私ども生産者団体といたしましては、これまでどおり、米麦につきましては国による検査というものを基本として対応お願いしたいというふうに思っておるわけでございます。  したがいまして、今回の農産物検査法の一部改正につきましては、基本的に賛成であるというのが私ども立場であります。  なお、検査につきましては、一層の効率化を図るべきであるとか、私どもは、生産者の側からしますと、出荷の実態対応したあるいは配慮した検査をしてほしいというような要望もあるわけでございますが、その辺につきましては、検査のやり方の改善については引き続きの努力を国の方にお願いしたいというふうに思っておるわけでございます。  それから次に、今回の一部改正案内容によりますと、計画流通米につきましては国の検査ということになりますが、計画外流通米については任意検査である、こういう内容になっておるわけでございます。  この点についてでございますが、計画外流通米というのが実際にどういうお米の流れになるかということは、やってみないとわからないという面もあるかとも思いますけれども、普通に考えられますのは、計画外流通米というのは、計画流通米、いわゆるお米の本流の傍流みたいなもの、現在でいきますと農家消費等というところに含まれておりますいわゆる縁故米なり特別栽培米といったようなもの、別の言い方をいたしますと生産者消費者が直接にお米のやりとりができる、顔の見える流通といいますか販売というふうにも受けとめることができるのではないかというふうに思うわけでございます。  そうなりますと、そうした計画外流通米については、必ずしも検査の義務づけということは必要ではないのではないか。したがいまして、計画外流通米については任意検査というふうにすることも、私ども立場からしてもやむを得ないのではないかというのが私どもの理解でございます。  ただし、計画外流通米については、そうした顔の見える流通だけというわけではございませんで、世上言われておりますような、いわゆる現在のやみ米というようなものの存在もあるわけでございます。そうしたものが流通の途中で検査を受けた計画流通米の中に潜り込んでいくというようなことは、これは何としても避けていただかなければならないことではないかというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。  したがいまして、検査を受けていない計画外流通米表示の問題は、検査を受けていなければ産地品種等々はわからないわけでございますので、そうしたものに対する表示についても、例えば産地品種等々の表示については、計画外流通米については認めないというような措置を何とかお考えいただけないかというふうに考えておるわけでございます。  それから、最後の点でございまして、精米関係表示の問題でございます。今も計画外流通米表示についてちょっと要望を申し上げさしていただいたわけでございますが、現在の表示につきましてはいろいろの問題点があるかというふうにも思いますけれども、これについては、私ども生産者の側からいたしましてもやはり不十分ではないかというふうに考えておりまして、表示制度といいますか表示内容あり方についてはぜひ見直しが必要ではないか、見直しお願いしたいというふうに思っておるところでございます。  どんな点を問題点として意識しているかということでございますが、まず第一は、現在の表示基本的には都道府県ごとに行うということになっておるわけでございますけれども、そうした都道府県ごと表示差異があるというようなことにつきましては、現在のお米の流通というのは御案内のように全国的な流通ということになっておりますので、そうした流通実態からいたしますと、消費者の保護というような観点から、全国統一的な基準表示されるというような制度といいますか仕組みになってもいいのではないかというふうに考えておるところでございます。  それから、表示絡みの第二点といたしましては、これもいろいろな方がおっしゃっておられますけれども、現在の必要的記載事項といいますか、特、上、中とか類による区分というようなことにつきましては、これは専門家観点からしますと必要不可欠かというふうにも思いますが、何といいましても、消費者にとってはどちらでもいいようなことというふうにも言えなくはないように思っておるわけでございまして、現在は任意的記載事項になっております産地品種産年、いわゆる三点セットの問題でございますが、このことにつきましては、消費者により理解していただく、あるいは消費者ニーズが最も高い表示内容ではないかというふうに思っておるわけでございまして、ぜひその三点セット内容表示の中心とするというようなことが望ましいのではないかというふうに考えております。  それに関連いたしまして、ミニマムアクセス米ということでことしから外国産米が恒常的に入ってくるわけでございますが、これにつきましても、産地国といいますか、あるいはそのブレンドの内容といいますか、明確な表示づけということをぜひお願いしたいというふうに思っております。  それから、表示絡み最後問題点といいますか意識しておる点でございますが、表示内容一致という点でございます。  これはいわゆる認証絡みというようなことになるかというふうにも思いますが、この点につきましては、消費者立場からいたしましてもいろいろ御意見があろうかと思いますけれども、私ども生産者の側からしましても、この点については若干の不信感といいますかそういうものがあるかなというふうに思うわけでございます。  何とか表示内容との一致確保認証あり方というようなことになろうかと思いますけれども、実際にはなかなか難しい、技術的には容易ではないというようなことも聞いておるわけでございますが、一層のこの辺についての国の御努力お願いして、その結果として、お米の表示内容についての消費者信頼、ひいてはそれが私ども生産者のためにもなるというふうに考えておるわけでございまして、ぜひその点の御配慮もお願いしたいというふうに思っておるわけでございます。  表示については以上三点のことにつきまして問題意識として持っておるわけでございまして、そうした表示制度改善につきましても、ぜひ十一月の新食糧法施行に間に合うように具体化お願いできたらというふうに思っておる次第でございます。  以上、何点かにわたりまして、私ども問題意識といいますか国に対するお願い、あるいは今回の法改正についての基本的な立場というようなことについて説明をさせていただきました。  どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。(拍手)
  4. 中西績介

    中西委員長 次に、野村参考人お願いいたします。
  5. 野村昭

    野村参考人 ただいま御紹介をいただきました、全国食糧事業協同組合連合会会長野村昭でございます。  米の流通につきましては、日ごろ格別の御指導を賜り、厚く御礼を申し上げます。また、本日は、衆議院農林水産委員会において意見を述べる機会を与えていただきましたことに対しまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。  本日は、米穀卸売業者といたしまして、当委員会において御審議中の農産物検査法の一部を改正する法律案について意見を述べさせていただきたいと存じます。  最初に、第一といたしまして、米の検査必要性について申し上げたいと思います。  私ども米穀卸売業者は、米の産地品種産年等級基準にいたしまして仕入れ、販売を行っておりますし、その取引価格もこれらを基準にして形成されていることは御承知のとおりでございます。このように、現在の米の流通取引産地品種産年等級基準として行われており、しかも、米のように年間を通じまして大量に流通するものを、個々の取引ごとにその都度現物品質等について確認することなしに適正な価格で安心して取引するためには、全国統一的な規格のもとで公正な検査実施することにより、一定の格付が行われる必要があるものと考えるわけでございます。  第二でございますが、検査内容規格について申し上げます。  最近におきましては、安全でおいしい米をとの消費者の声が高まってきておりますので、従来の米の水分であるとか容積重、形質、被害粒混入率等品位重視する検査から、できるだけ品質、要するに食味でございますが、この重視検査を志向すべきではないかと考えております。今までは、食味に関しては産地品種、銘柄により評価する以外にはありませんでしたが、今回の改正案によりますと、たんぱく質、アミロース等食味を構成している成分について規格を設定し、理化学分析による検査取引関係者希望に応じて新たに実施することとされていますことは、品質重視検査への第一歩と、今後の展開について期待をいたしておるところでございます。  また、品質重視する観点から、生産地段階検査のほかに、流通段階における品質変化に伴う品位評価等売買取引業者希望に応じて検査することとされていることにつきましても、評価をいたしておるところでございます。  なお、現行品位規格につきましては、現在の搗精施設流通実態に照らしまして、また、検査能率向上コスト低減観点からも見直されるべきではないかと考えておりますし、鑑定実務機械化による検査効率化を図ることも必要ではないかと考えております。  第三でございますが、義務検査等について申し上げます。  新食糧法のもとで、基本計画に即して、消費者に計画的かつ安定的に供給されるべき米として多数の登録流通業者によって取り扱われ、全国に広域的に流通する計画流通米につきましては義務検査対象とされ、それ以外の計画外流通米につきましては、生産者または取扱業者希望により検査を受けることができる、いわゆる任意検査とされましたことは、新食糧法基づく新たな制度への移行に見合った適切な措置と考えております。  第四に、検査体制等について申し上げます。  米の検査取引円滑化を図る上で信頼性統一性確保することが重要であり、公正中立第三者機関によって行われることが必要であると思われますので、従来どおり国によって行われることが最も望ましいと考えております。  また、理化学分析による新たな分野の検査につきましては、効率的な検査体制の整備を図る観点から、一定の要件を満たす国以外の第三者機関にその業務を委託することが適当と考えます。  なお、国内産米及び外国産米の安全性のチェックにつきましては、より安全な主食を国民に提供するという立場から、国の関係機関による一層の緊密な連携のもとに的確かつ迅速な対応がとられますよう安全性確保体制を整備されますとともに、消費者への情報提供を適切に行われますことを要望いたします。  第五に、以上を総括いたしまして、このたび政府より提出されました農産物検査法の一部を改正する法律案につきまして、私の意見を申し上げたいと思います。  近年、米の生産流通消費をめぐる諸情勢が大きく変化する中で、検査表示制度に対するニーズ変化してきておりますし、さらに、今後新食糧法のもとで米流通が多様化していくことが考えられます。このような各般の変化に的確に対応するため、現行農産物検査法改正し、義務検査のほかに新たに任意検査を導入することや売買取引業者希望に応じて流通段階での検査を行うこと、さらには、米の食味を構成する成分について新たな検査実施すること等により適切な検査を行い、米の安定流通確保を図ろうとされていることは、まことに時宜を得た措置評価をする次第でございます。  次に、検査制度と密接な関連を持っております精米表示制度につきまして、若干の意見を申し上げたいと存じます。  この表示制度検査の結果を的確に反映することによりまして、米の公正かつ適正な流通確保するということのほかに、消費者精米を購入する際の判断材料を提供するという役割を有していると認識をいたしております。したがいまして、改正される検査制度との関連も考慮しながら、新食糧法のもとで消費者表示に対する要望にこたえるとともに、その信頼確保する観点から整備する必要があると考えております。  また、精米表示すべき内容につきましては、第一義的には消費者ニーズを踏まえまして、消費者にとって精米品質が客観的に理解でき、わかりやすい表示とするよう検討する必要があると考えられます。その際、実際に表示を行う立場からは、表示実施が過度な負担となるようなものであれば消費者価格の値上げにもつながりかねず、精米の円滑な流通に支障を来すことも危惧されますので、この点にも十分留意をする必要があると思われます。したがいまして、新たな精米表示内容につきましては、消費者にとって真に必要な情報が何であるかを慎重に検討するとともに、原料玄米精米流通販売実態をも踏まえまして、現実的に販売業者対応可能なものとなるよう検討されなければならないと思います。  さらに、精米表示内容一致につきましては、今後登録販売業者の責任が一層求められるものと思われますが、表示内容一致を担保する措置として、現行行われております大型精米工場で製造される袋詰め精米対象とした表示検定制度改善拡充強化について検討をする必要があると思料されるものでございます。  なお、この表示検定制度が効果的に機能するためには、低コスト実効性のあるものとすることが重要であると考えております。  以上のような多角的な検討の上で設けられる新たな表示制度については、その円滑な導入が行われますよう行政当局におかれましても、あらかじめ消費者販売業者に対しまして十分周知徹底されるとともに、検定機関等への適切な指導監督を行われますよう要望をいたしたいと存じます。  最後に、私ども販売業者といたしましては、新食糧法の意図するところを十分理解し、今後とも我が国の主食である米の安定供給に努めてまいる所存でありますし、また、従来以上に消費者ニーズにこたえながら、消費者信頼を得られるよう努力してまいる覚悟でございますので、新食糧法下における新たな検査制度制定につきましては十分御審議をいただき、それが円滑に実施されますようお願いをいたす次第でございます。  今後とも何分御指導を賜りますようこの機会お願いを申し上げまして、私の意見開陳を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  6. 中西績介

    中西委員長 次に、和田参考人お願いいたします。
  7. 和田正江

    和田参考人 主婦連合会の和田でございます。  農産物検査法の一部を改正する法律案について、消費者立場意見を申し述べます。  今回の法案に対して幾つかの疑問点はありますが、現段階ではおおむね妥当と考えております。現段階ではと申し上げましたのは、新食糧法施行されましてからもし不都合な点がありますれば再検討が必要だということを考えておりますからです。  今回の改正法案は、新食糧法制定に伴って提出されたものですが、新食糧法の実際の運用は政省令にゆだねられている部分が多いので、私どもには大変わかりにくいところもあり、現実に新食糧法によって米が生産流通販売消費される実態、実際に米がどのくらいの量どのように動くのかという実態を見ないと新食糧法は十分に理解できないというのが正直なところです。したがって、検査法につきましても、動き出した新食糧法による米の生産流通消費を見て再度検討する必要が生じるのではないかと考えております。  では、法案の主な改正点について申し上げます。  まず第一に、義務検査見直しについて。  計画流通米のみ検査を義務づけ、計画外流通米任意検査となっております。今まで長年にわたりまして全量検査でなれてまいりましたので、正直なところいささかの不安はございますけれども、さりとて全量検査にすべしと主張することもないのかなというところでございます。  計画外流通米は、生産者消費者に直接販売する米、それと今までやみ米として流通してきたものの全部があるいは大半がこれに当たるかと思われます。やみ米の中には国の検査を受けてから不正規に流通しているものもあるようですけれども検査を受けないで流通し長年定着している大量のやみ米というものが現実にございます。その部分にまで国が全量検査しますというのは、余り現実的ではないのかなと思われます。しかも、その全量検査をするために検査に要する人員をふやすということになっては、現在の課題でもある行政改革にも逆行するのではないかという懸念もございます。  計画外流通米の中で任意検査を受けた米は何らかの表示がされることになると思いますので、私どもが選択することができると思います。検査を受けないいわゆる未検米がどのような表示で売られるのか、特に検査を受けた米とブレンドして売られた場合の表示がどのようになるのか、これはこれからの表示の大きな問題だと考えております。業務用あるいは外食用の米は、買い手の方から任意検査を受けるよう指示される場合もあるでしょうし、独自の品質チェックが行われることもあるでしょうから、この部分にも全量国の検査と言うこともないのかなというところでございます。  計画外流通米の量は、世上言われておりますやみ米の量から考えても少量とは言えないと思います。今後、新食糧法施行され、余りにも多量で任意検査による混乱というようなことが生じましたら、一番初めに申し上げましたような見直しが必要になるかもしれないと申し上げておきたいと思います。  二番目に、流通段階任意検査の導入については、特に申し上げることはございません。  三番目の米麦についての成分検査の導入につきまして、麦については、小麦の製パン、製めんの加工適性と関連する成分理化学分析による検査というものは、今まで我が国でも実績もあり、外国でも実施されておりまして、その導入は妥当だと考えております。  米につきましては、検査表示制度に関する研究会の報告書にもありますように、米の食味というのは個人差もあって客観的な評価を行うことが難しいために検査内容とすべきではないとした上で、米の食味を構成する成分について取引関係者希望に応じて分析検査実施するとなっております。  成分検査の研究を進めるということは大変望ましいことだとは思いますけれども成分検査希望して受けた業者がその検査結果をどのように扱うのかという点につきましては、ぜひ慎重に扱っていただきたいと思います。検査結果を消費者に対するお米のPRの手段としてそのまま不用意に使うということがないように注意が必要だと考えております。  四番目の検査規格につきまして、二点申し上げます。  一点目は、品位規格について、水分初め品位の各項目について再検討が必要と思われます。一般的に品位規格が余り細かく、厳しくなり過ぎないようにということを望んでおります。この厳しいのは、消費者にとりましてはある意味では望ましいことではありますけれども、厳し過ぎることはかえって消費者にとってはどうかなということでございます。  例えば整粒歩合、被害粒の混粒率などにつきまして、私ども精米所をあちこち見学する機会がございますけれども、この規格以上の品位になるように大変精度の高い検査実施している、そのために非常に高価な機械を使っているというところを見ますと、消費者として考えさせられました。少しでも被害粒や着色粒、異物が入らないようにとのことですけれども、度を越して品位を高める方向に進んだり、品位規格をより厳しくするということは、大きな目で見て、決して消費者のためとは言い切れないのではないかなと考えております。  着色粒の問題につきましては、その混入を少なくして等級を上げるために不必要な農業散布を助長しているという指摘もあり、その実態を明らかにした上で、ぜひ見直していただきたいと思います。  検査規格の二点目といたしまして、品位規格検討する際には、環境保全型農業、有機農業に本気で取り組んでいる現場の声をぜひ反映させていただきたいと思います。昨今、環境保全型農業の推進が盛んに言われておりますけれども、国としてもしそれが本気であるならば、品位規格にも環境保全型農業の推進に役立つような視点をぜひ取り入れていただきたいと思います。  五番目に、安全性確保について申し上げます。  消費者として米麦検査といえば、農産物検査法に示されている検査項目よりも関心の高いのが安全性検査でございます。研究会の報告では、一つの項目として「安全性確保」ということを明記しております。計画流通米も、計画外流通任意検査を受ける米も受けない水も、全量食品衛生法の対象であり、安全性のチェックは全く同じように行われるという、理屈は理屈としてわかりますけれども計画外流通米、これは販売数量は届け出ることになっておりますけれども、もしこれに違反して量も届け出ず任意検査も受けないで流通してしまうような米の場合に、他の米と同様に安全性検査が十分に行われると言い切れるのかどうか、その辺疑問が残ります。安全性のチェックは厚生省の所管ではありますけれども、農水省としても十分に連絡をとり、モニタリングを実施して、その情報を公開するなど、国産米も輸入米も安全性確保について万全を期していただきたいと思います。  六番目、農産物検査については、公正中立な第三者として現段階では国営検査が適切と思いますが、その業務はできるだけ合理化して、効率化を進めるように求めたいと思います。  七番目といたしまして、検査関連して表示について申し上げます。  米の表示は、消費者が米を選択し購入する際の判断材料でございます。表示については、米に限らず、消費者にわかりやすい表示というのが基本であります。それとともに、表示内容一致が担保できるかどうかということが必要になります。  米の表示について、いつの時代にも、消費者にわかりやすい表示とはどのような表示なのかということをその時代その時代検討し、私ども意見を申し上げて、改正を重ねてまいりましたけれども、現在の類別表示や特、上、中などの区分はわかりにくいというのが正直なところです。今後は、産地品種産年、これは現在任意表示となっておりますけれども、この三点セットを必要表示事項とすべきで、これを中心に表示検討していきたいと思います。特に複数銘柄のブレンドの場合も、それぞれの銘柄の産地品種産年、それからその構成割合の表示が望まれております。  その実現はさまざまな事情から困難とも言われますが、可能であるという声も現実に聞かれております。表示内容一致が担保できるかどうかという確認も念頭に置きながら、今後検討を進めるべきだと考えております。  それから、一括表示以外の表示につきましては、一括表示内容と矛盾しない表示、それから消費者に誤認を与えない表示ということが要件になりますけれども、私ども、今まで市販されております米の袋を見ておりますと、一括表示欄よりも目立つように大きく色刷りで表示され、消費者に与えるインパクトも大きいということを認識して対応していただきたいと思います。  輸入米につきましても産地産年表示が望まれます。緊急輸入に際しましては、産年表示はさまざまな事情から困難ということが言われましたけれども、今後は計画的に買い手として輸入するのですから、産年表示の実現を求めていきたいと思います。  今後、新食糧法施行に向かいまして、表示については時間をかけて十分に検討し、消費者が納得できる表示実施していただきたいと思います。  以上で参考人としての意見陳述を終わらせていただきます。(拍手)
  8. 中西績介

    中西委員長 次に、角田参考人お願いいたします。
  9. 角田公正

    角田参考人 御指名をいただきました角田と申します。  私は稲と稲作の研究に携わって四十年ほどになりますが、二十五年くらい前からは、国が主宰をいたします米の検査規格流通、銘柄等に関する研究会にも参加をさせていただいております。それらの会への出席を通じまして常々感じておりますことは、米のポストハーベストに対して我が国の措置が極めて綿密であって、しかも、時代の流れや要求に沿っていこう、そうした努力が明らかにうかがわれることでございます。時には、国がここまでかかわりを持たなくとも、そう思う面もございますが、主要食糧である米麦に対しこれほどきめ細かな措置が講じられている国は数少ないのではないか、そのように思っております。  米を主食とするアジアの国々を旅をいたしまして、米の売り場をのぞいてみましても、売られている米の素性はほとんどわかりません。箱やおけにばら積みされたお米に、単位重量当たりの価格、例えば中国ですと、戸当たり何元といったような値段が示されているにすぎません。原材料の内容が克明に記載をされ、きれいに包装された日本のお米に比べて、大変大きな違いを感じております。  顧みますと、国としての農産物検査が行われるようになりましてから既に五十年余りになりますけれども、それによって産米の改善信頼による流通取引一定品質米麦供給といった所期の目的を十分に果たしてきているように思います。  一消費者立場から申しますと、常に素性の明らかな米が供給されることによりまして、毎日口にしている米に対して絶対の安心感を持つとともに、品質価格について客観的なよりどころが示されている、そうした点に大きなメリットを感じます。  さて、このたびの検査法改正ですが、近年における生産流通消費をめぐる諸情勢の変化品質安定供給に対する国民の関心の高まり、それに新食糧法制定など、米麦をめぐる諸情勢の推移を考え合わせますと、今回の改正は時宜にかなった措置ではないかと思います。  以下、改革案の幾つかの部分及び関連する事柄についてコメントさせていただきたいと思います。  第一は、任意検査導入の問題です。そのうち計画外流通米に対する任意検査については、計画外流通米もまた計画流通米と同じように消費されることから義務検査にしたらどうか、こういうような考え方もあろうかと思いますが、新食糧法における計画外流通米の位置づけとその内容、それに義務検査に及ぼす業務的影響などを考え合わせますと、やはり任意検査とするのが現実的な選択ではないか、そのように思っております。  ただ、流通業者が介在をして大量に流通するものについてはやはりできるだけ受検することが望ましいと思いまして、そのためにはやはりそうした雰囲気といいますか、環境づくりが必要になってくるのではないかと考えます。  また、流通段階での任意検査の導入についても、米流通が多様化していること、品質に対するニーズが高まっていること、米の備蓄制度の導入、それらを考え合わせますと、適当な措置ではないかと思われます。  第二は、成分検査の問題です。  まず、麦について考えてみますと、麦、特に小麦の場合には、米の場合とは違いまして、食糧用のほとんどが製粉用として使われております。原料小麦の粉質によって粉としての製品が異なり、さらにその粉質の違いによってパン用、めん用、菓子用など用途が大きく変わってまいります。その際、麦の粒質、粉質、そして用途に大きなかかわりを持つのが原料小麦のたんぱく質含量です。わずか二、三%の違いが用途にまで大きな影響を及ぼしてまいります。そのほか、麦についてはでん粉の構成成分であるアミロースの含量等も食味や製めん歩どまりに非常に関係があるとされております。  したがいまして、世界的に見て、小麦の大産地であり、また輸出国でもあるアメリカ、カナダ、オーストラリアといった国々では、既にこれらの成分についての検査が行われ、その結果が活用されているのが現状かと思います。したがって、小麦についてはその成分検査というものは、用途を決め、検討する上で大きなよりどころとなり得るものと思われます。  一方、米についての成分検査は、専ら食味を意識した措置ではないかと思います。  これまで米の食味にかかわる理化学的要因といたしましては、たんぱく質を初めアミロース、脂肪酸、カリウム、マグネシウムといった微量成分の含有量、それに炊飯、つまり炊いたお米の諸特性など、数多くの要因が挙げられております。  しかし、検査実施に当たりまして、今後こうした数多くの要因についてすべての値を明らかにすることは、時間的にも、また経費的にもかなり難しいのではないか、そういうぐあいに思われます。したがって、数多くの項目の中からどういう項目に絞って検査を進めたらよいのか、これは一つの問題ではないかと思います。  さらに、考えてみますと、最終的に米の食味を決めるものはやはり人間の感覚そのものではないかと思います。それは、見た目、香り、舌ざわり、歯ざわり、風味、そういった感覚要素が総合されたものであろうかと思います。したがって、そこにはかなりの個人差というものも見られるかと思います。米の理化学的特性というものがこうした人間の食味感覚にかかわりを持っていることは確かでございますが、それらの値が食味感覚のすべてではないという点をやはり心しておくべき必要があろうかと思います。したがいまして、成分検査結果の取り扱い、例えば精米の任意表示等に利用される場合には、それらの値が過大評価されないよう十分意を用いてほしいと思います。  なお、米の食味に関してつけ加えさせていただきたいことは、毎年発行されている資料に「米の食味ランキング」というものがございます。これは毎年、日本穀物検定協会から公表されるものでございまして、全国産地品種、銘柄を対象として、特A、A、A'、Bといったランクづけがなされております。非常に経験豊かで舌の確かなパネラーによる食味テストでございますので、その結果はかなり信頼性が高いものと考えてよいかと思います。  既に米の流通取引の世界では、こうしたランキングの結果が有効に利用されている、そのように思いますけれども、一般の消費者にとってはこうした資料があることさえ知らないのがほとんどではないか、そのように思われます。今後は、こうした食味ランキングの結果が何らかの形で精米販売の段階でも有効に活用されてほしいと思っております。  第三は、精米表示にも関連する米の類別の問題です。  現在、販売用の精米については、品種区分や原料構成を明記することが義務づけられておりますが、具体的には原料米の類別区分とその構成割合が示されております。しかし、この類という言葉は、一般消費者にとってはなじみの薄い言葉でして、どこまでその内容を理解しているかという点についてはいささか疑問に思います。  もともと類別区分の設定というものは、政府買い入れ米に銘柄格差を導入するための措置であり、具体的には自主流通米としての流通実績そのものが類別の判定基準にされてまいりました。こうした類別格差の導入による良質米の奨励効果は明らかでございまして、自主流通米の出回り比率は年々高まり、現在その比率は政府管理米の六ないし七割にも及んでいるのが現状かと思います。  こうした実勢を踏まえまして、新食糧法では、計画流通米のうち、政府米は主として備蓄用、自主流通米が流通のほとんどを占めるといった方向が示されております。そうなると、これまで政府米について格付されてきた類別区分というものをそのまま自主流通米にも適用し、一〇〇%自主流通米を原料とする精米についても類別によってその構成を表示をするというやり方には問題があろうかと思います。  事実、自主流通米の取引では、二類が一類よりも高い価格取引をされているケースも見られますし、また、先ほどの穀物検定協会の食味ランキングを見ましても、三類、四類でありながら一類、二類と変わらない評価を受けている産地品種もございます。さらには、産地品種、銘柄についてかなりの関心と知識を持ち合わせている消費者の方々もふえてまいりました。  こうした諸事情を含めて考えてみますと、今後は、精米の必要表示に当たりましては、類別区分を用いるよりも、むしろ端的に、産地品種産年、そしてその構成割合を示す方がより消費者の理解を得やすいのではないかというぐあいに考えております。  そして、今後、新食糧法のもとでは、流通の多様化、弾力化、広域化というものが図られようとしておりますが、これらを考えますと、改めて類別区分の見直しを含めながら、精米表示には全国的な統一基準が設けられるのが望ましいかと思います。  第四は、輸入米の問題です。  これから年とともに増加していくであろう輸入米の品質価格安全性等については、国産米に準じた措置が講ぜられていくものと思われますが、消費者にとってやはり一番大きな関心は、というよりは懸念されるのは、安全性の問題です。検査法とは直接かかわりのない問題かもしれませんが、ぜひ他の諸機関とも連携を密にされ、安全性確保には行き届いた対応措置お願いしたいと思います。  なお、輸入精米表示については、国産米のようなきめ細かな表示は望みませんが、品質安全性の面から見て、産出国とともに産出年はぜひ併記していただきたい、そのように考えております。  第五は、農産物検査業務の効率化の問題です。  かつては、食糧事務所の定員や検査官の数が行政的にもかなり問題になったというぐあいに伺っておりますが、最近の資料を拝見しますと、昭和四十二年当時に比べ平成五年現在では、食糧事務所の定員数で四〇%、検査官数で二六%と、大幅に減少をいたしております。  この理由としては、玄米のばら検査、抽出検査の比率が増大をしたこと、検査場所数の減少が図られたこと、それに、食糧検査官のOBを食糧検査士という名で補助業務に登用したこと、それらのことが挙げられまして、検査業務の合理化効率化に対する国の努力はそれなりに高く評価されてよいかと思います。  今後も、こうした合理化効率化のための対応をさらに強化してほしいと思いますが、検査そのものにつきましても、より科学的な手法を取り入れるなどして、改善を図ってほしいと思います。  以上、私なりに気づいた幾つかの点を取り上げ、コメントいたしましたが、最後に一言つけ加えさせていただきたいと思います。  農産物検査にかかわる業務というのは、一見大変地味でして、縁の下の力持ち的な仕事というぐあいに感じます。しかし、その役割は大変貴重でして、生産流通消費の三者を信頼という糸で結ぶ大切な鎖ではないかと思っています。それだけに、検査法改正を討議するこの委員会におかれましても、将来の日本の米の姿を十分に展望されまして、生産流通消費、三者の立場を公平にとらえた総合的な視野から検討を重ねていただければ幸いかと存じます。  以上で意見の発表を終わらせていただきます。(拍手)
  10. 中西績介

    中西委員長 これにて参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 中西績介

    中西委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。七条明君。
  12. 七条明

    ○七条委員 先ほど来、四人の参考人の各先生方には、お忙しい中、当委員会にわざわざ御出席を賜り、大変貴重な御意見を賜りましたことを厚く厚く御礼を申し上げます。  自民党の七条でございます。  私は、立場として、これから各先生方に四点ほどお聞かせを賜りたいわけでありますが、今回のこの農産物検査法改正案につきましては、参考人先生方の御意見は、現段階でおおむね妥当だとおっしゃられた方もありますけれども基本的には賛成だというふうに理解をさせていただきましたし、私も、この改正案、特に新食糧法趣旨に沿っておる意味では賛成であります。  しかしながら、これからまだ施行まで、特に十一月までの間に具体的に詰めておかなければならない問題がかなりたくさんあるような気がいたしますから、特にこの問題の中で、お米の表示あり方、これが皆さん方やはり最終的には一番問題だ、検査そのものもさることながら、表示というものがやはり最終的には一番消費者と直結をして難しい状態だということでありますから、このことに的を絞って、十分という範囲でございますから、お伺いをしたいと思います。  生産者の顔が見えるような表示あり方をするべきだというのは、きのうも話がありましたし、きょうもそういうふうにおっしゃられた方もありましたけれども、実は食糧の検査表示は、私は、消費者サイドで、その消費者の方々の気持ちにちゃんとわかりやすい表現をしながら表示をしなければならないと思っておる一人であります。  まず一点目は、米の消費者の関心が最も高い、先ほど来話があります産地あるいは品種、年度別、いわゆる三点セットの義務づけ表示というのはもうやるべきだな、はっきりやっていくべきだと思っておる一人であります。もちろん、この場合はミニマムアクセスで輸入をしてくるものについても、産地というか国名を表示するという表現も含めてこれを義務づけていくべきだ、こう思っておる一人でありますがどうであろうかという点を、特に消費者のサイドあるいは流通生産者サイドの参考人の皆さん方の御意見をお聞かせをいただきたいと思います。  それから二つ目は、実は、一等米、二等米あるいは三等米というように、格付表示が実際には原料の玄米の段階ではされるのでありますけれども精米をされて精白米になった段階でこれは特、上、中とかいうふうな表現の違いがありまして、これは消費者サイドから見たら非常にわかりにくい表現でないだろうか。消費者の方々にとっては、もう少し簡単明瞭で、しかも産地から生産者の気持ちあるいはそのときの表示のやり方が見えてこない、どうもそういうふうな観点を持つわけでありますし、先ほど来角田先生のお話の中には一類、二類と価格が違ってくるから難しいという表現もありましたけれども、ここらあたりも御意見をお聞かせをいただきたいと思います。  さらに三点目は、表示内容一致が難しいからこれを確保することについてでありますけれども、現実には非常に難しいということはわかります。しかしながら、消費者にわかりやすい表示基本であるという認識に立ちますと、先ほど来和田参考人の方からお話がありましたように、環境保全型農法というものをどういうふうに表示をしたらいいか、あるいは安全性表示はどういうふうな妙案があるのだろうかとか、あるいはブレンドをしてしまうことによって表示がしにくくなっている、あるいはランクをつけにくくなっておるということがありますから、そのブレンドの場合の表示の方法というのも義務づけをしたらどうだろう、あるいは食味のランキングぐらいまで書くべきなのかどうか。こういうこともわかれば御意見をお聞かせを賜りたい。  最後にもう一点、四点目でありますけれども、ミニマムアクセスの輸入分について、特にここについては安全性というのが、日本国内では禁止されているような農薬が使われているケースもありますから、農薬の残存量との兼ね合わせもありますし、国内生産米の安全との比較の立場対応を厳しくやるべきだ、ミニマムアクセスから入ってくるものの輸入は対応を厳しくするべきだと思う一人でありますが、この辺の御意見もお聞かせを賜れればと思います。
  13. 中西績介

    中西委員長 それでは、義務づけ表示について、それぞれ四名の参考人の方からいただきたいと思います。
  14. 有賀文昭

    有賀参考人 それでは、ただいまの七条先生の御質問に対して私の考え方を述べさせていただきたいと思います。  まず、表示関係で三点セットの義務づけについてはいかがかということでございますが、具体的な、法律的といいますか手続等々よくわからない点もありますが、先生の御趣旨に私どもは賛成だというふうに思います。  それから二点目の、特、上、中あるいは類区分がわかりにくいのではないかということでございますが、これもかなり専門的な検討が多分必要かと思いますが、基本的にお米を食べていただきます消費者にわかりやすい表示にしていただくということは、私ども基本立場でございまして、賛成でございます。  それから三点目の、表示内容一致絡みでございますが、私ども生産者の側で議論が一番ございますのは、ブレンドについて何とか内容表示できないかというような要望は非常に強いものがございます。実際にはなかなか難しいという点もあるようでございますが、私ども立場はそういう点でございます。  それから四点目の、ミニマムアクセス絡みのお米の安全性検査の点でございます。これも、ポストハーベストというようなことも話題になっておるようでございますので、先生の御趣旨がうまく生かされるように私どもとしてもぜひ希望したいというふうに思っております。  以上であります。
  15. 野村昭

    野村参考人 第一点の三点セットの問題でございますが、この三点セットにつきましては、私ども流通業界といたしましても、はっきりと表示をするということの方がよろしいのではないか、そのように考えております。  それから、輸入米の安全性の問題でございますが、これはできるだけはっきりと表示をしてやっていきたい、我々としてもその方が望ましいわけでありますが、ただ、この輸入の段階で果たしてそういうチェックができるのかどうかというような問題もございますので、この点は厚生省なり農林省の方で御努力をいただいて、ただ、その場合もできるだけ敏速にそのようなことがわかるようなことでひとつお願いをいたしたい、このように考えております。  私からは以上でございます。
  16. 和田正江

    和田参考人 一点目の三点セットの義務づけにつきましては、私どももその義務づけを基本にすべきだというふうに考えております。  それから、買い入れの場合の一等、二等というような差が私たちが買うときの表示にはなかなかあらわれてこないではないかということにつきましては、確かにそのとおりで、それがわかって、しかも消費者にとって間違いなくわかるような表示、抽象的な文言ではそういうふうに申し上げたいのですけれども、現実の表示としてどういう方法があるのか、これから私どもとしても考えてまいりたいと思います。  それから、ブレンドの場合も同様な三点セット、それから構成割合ということを基本にして臨んでいきたいと考えております。  それと、輸入米の安全性につきましては、これはもう申し上げるまでもなく、私どもも運動の非常に大きな柱としてやってまいりましたけれども、輸入米、国内産米同様に安全性については求めてまいりましたが、特に輸入米につきましては、農業の規制の方法も違うという点もございますので、消費者の納得のいくような検査をして、なおかつその情報をオープンにしていただきたい。  なお、農薬につきましては、現在食品衛生法の改正検討されております。明日たしか衆議院の委員会にかかると聞いておりますけれども、その中で、農薬につきましても食品添加物同様にポジティブにしてほしいということを私どもは求めましたが、現状では無理だ、ただ参議院の附帯決議ではその方向ということが目指されておりますので、その方向で私どもも今後運動を続けてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  17. 角田公正

    角田参考人 御質問の中で三点セットについては、私も前々から、その方がむしろ簡単でわかりやすいのではないか、むしろ類別という、先ほどもお話し申し上げましたけれども、そこら辺の評価政府米について行われていた時代のことでして、これから自主流通米主体の流通の世界ではそれほど大きな意味を持たないのではないか、極端な言い方ですけれども、そのように考えます。  それから、等級と類別の問題ですけれども等級はやはり品位ということで、類別の中心とする品質食味という観点とは若干見方が異なっているのではないか。したがって、等級が無意味ではないかという考え方もありますけれども、小売をされる段階ではわかりませんが、現実に精米の一、二、三等によって、その後、玄米をする段階、精白をする段階で非常に大きな意味を持っているので、逆に言えば、消費者よりも精米段階で大きな価値があるので、やはり生産者としてはそれは明示をしなければいけない問題ではないか、私はそのように理解しております。  それから、輸入米の安全性の問題ですけれども、これはなかなか直接検査法というわけにはまいらないので、厚生省その他を含めて関係機関の連携を保ちながらの検査、あるいはどこまでその安全性を保証するような記載を精米にまで記すか、そこら辺が一つの問題かなと思います。  それから、ブレンドした米をどう表示をするのかということも大きな問題になろうかと思いますが、今度はどうなんでしょうか、例えば、まず計画流通米何%、計画外流通米何%、そういうぐあいに書いて、そして計画外流通米としてどこの産地品種産年、そういうようなことがひとつ想定をされるわけですけれども、ここら辺についてはなお具体的な検討が残されているように思います。  以上です。
  18. 七条明

    ○七条委員 いろいろ聞きたいのでありますけれども、もう時間が終了ということでございますから、基本的に御理解をさせていただきます。
  19. 中西績介

    中西委員長 石破茂君。
  20. 石破茂

    ○石破委員 参考人の皆様、御苦労さまでございます。私も時間が十五分でございますから、手短に質問をさせていただきます。  まず、有賀参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  今回の新食糧法案並びに本検査法改正案生産者にとってどうやってこれを利益がある方向に導いていくのかということではなかろうかと思っております。その点、JAの取り組みとして、この検査法改正をどうやって生産者にメリットが行くようにしていく運動をされるおつもりか。  これから産直というのがどんどん進んでくるだろうというふうに一方で言われていますが、それぞれの農家が産直をやっていって、本当にそれに耐えていく力を持っているかどうか。やってはみたもののというようなことが起こってしまって、かえって悲惨な結果を招きかねないというようにも思っております。  今度、特別栽培米というような特栽米の制度がなくなる。計画外流通米というものになって入ってくる。そういうようなこととも絡んでくるわけでございますが、どういうような形で生産者の利益というものを守っていこうとされておられるのか、その点をお尋ねいたしたいと存じます。
  21. 有賀文昭

    有賀参考人 ただいまの石破先生の御質問に対しましてお答えをさせていただきたいと思います。  新食糧法、具体的には関連検査法絡みで、生産者にとってそれらをどのようにメリットあるものにしていくかというような御質問の御趣旨かというふうに思います。新食糧法絡みにつきましては、先ほど意見の中でも紹介させていただきましたが、現在、組織討議というようなことで認識を深める努力を続けておるところでございます。  私ども立場といたしましては、新法の趣旨はあくまでも計画流通米というのがお米の流通の主流であるという考え方でございまして、私どももそれは賛成でございます。  したがいまして、可能な限り計画流通米、具体的には自主流通米を、私どもJAグループとしては生産者等の理解を得ながら確保していく、確保していくといいますか量をふやしていくというのが基本的な姿勢でございます。そういう中で、計画流通米ということであれば国の検査も義務づけということになって品質も保証されるということでございますので、そうしたお米の流通を主たるお米の流れにしていきたいというのが基本的な立場でございます。  そのような中で、では計画外についてはどうなのかということでございますが、計画外の中身が、ただいま石破先生からお話ございました、一つは産直というようなものでございます。生産者消費者とを直につないでいくというような点でございます。  これらについては、特別栽培米、つまり現行までの段階では、どちらかというとJAグループはそういうものには消極的な立場対応するという点がなかったわけではないというふうに思いますが、これからは新法の趣旨のもとで、そうしたいわゆる産直的なものにつきましても、私どもJAグループとしては積極的にそれにタッチしていく。生産者から消費者に直接お米が渡るということは非常に好ましいことでもあります。したがいまして、生産者に負担にならないように、例えば代金決済の話とか事務的な点でありますとか、そういうものに対しまして私どもJAグループとしてできるだけ援助をしていく、こういう形をとりたいというふうに思っております。  したがいまして、そのほかの計画外流通につきましても、できるだけ私どもJAグループとしては積極的に扱っていく。その中で、計画外につきましても任意検査といいますか検査をしていただくということは可能なわけでございますので、できるだけ検査をした品質のよいお米を消費者に提供していくという観点努力していきたいと思います。また、そういう努力生産者のメリットにもなるのではないかという感じがしております。  以上でございます。
  22. 石破茂

    ○石破委員 もう一点ちょっと教えていただきたいのですが、JAとして独自に検査体制みたいなものを組んでいく、JA規格のようなもの、そういうようなものを導入するというようなお考えはおありですか。お話の中では公的な認証というものを義務づけるべきであるというような御趣旨であったかと思いますけれどもJAとしてのそういう独自の取り組みというようなものを御検討になっておられますか。
  23. 有賀文昭

    有賀参考人 ただいまの、JAグループとして独自の検査の導入というようなことは検討しているかという御質問でございますけれども、結論から申しますと、そのような検討はしておりません。私どもといたしましては、検査につきましてはあくまでも国の検査お願いしたいという立場でございます。  なお、先生も御案内だと思いますけれども、それぞれの産地が、みずからつくりましたお米につきまして消費者に積極的にPRする、こういう点は、検査とは直接関係ございませんけれども、これからも一層力を入れて産地の振興に努めてまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  24. 石破茂

    ○石破委員 続いて野村参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど来、三点セットというものは必要だよというお話がずっと出ておりますが、実際問題、銘柄はもう百何十種類とあるわけですね。それぞれのお店屋さんにしてみますと、本当にそういう品ぞろえがちゃんとできるのですかねということがあるだろうと思う。こういうような三点セットというものが流布されるようになっても、それはあるのかねと言って、ありませんよと言うと、何だ、ないじゃないかというようなことも起こってくるでしょう。実際、三点セット表示すべきだという、理論としてはわかるのですが、現実対応としてそのようなことが可能ですか。
  25. 野村昭

    野村参考人 ただいまの先生の御質問でございますが、この三点セットにつきまして、確かに非常に種類が多いわけでございまして、なかなか全種類をそろえるというわけにはまいりませんが、ただ言えますことは、地域ごと、例えば東京であるとか関西であるとか大阪であるとか、その地域で特殊的といいますか大きくウエートを占めている品種というものがございますので、東京などでいえば三点セット表示というものはある程度可能かなというふうに考えております。  ただ問題は、我々流通業者としましてよく言われることは、表示と中身の問題を問われるわけでございます。従来は食管法という中で守られてきた商売でございますから、それで通ったわけでございますが、これからは自己責任というものが非常に求められるわけでございますので、業者としてもそれなりにやはり三点セット表示と中身というものを真剣に考えて、またそのように取り組んでいくのではないかな、そんなふうに考えておるわけでございます。  ただ、先生おっしゃるように、ではすべてのものを果たして取り扱えるかということになりますと、これはちょっと不可能ではないか、そのように思っております。  以上でございます。
  26. 石破茂

    ○石破委員 三点セットが明示されるのが一番いいわけですが、実際問題なかなか難しいねという気がしているのですね。そこをどうしてやっていくのか、これからまたお知恵をいただきたいと思っております。  今お話にございましたように、じゃ、新潟産コシヒカリといって本当にそうかねというようなのはありまして、実はその生産量の何倍も出回っているよということがどうもあるらしい。きのう食糧庁にお尋ねをしたけれども実態は把握できないということでしたが。それは消費者もいい迷惑ですが、まじめにつくった生産者もこんな迷惑な話はないわけでして、これをどう担保していくのかというのが大事なことです。三十万円以下の罰金、その前に警告があるということですが、実際それが機能しているのかなというと、今までどうも機能していないような気がしますね。罪刑法定主義の実効性が余り担保されていないような気がするのですよ。どうすればこれはきちんと実効性が保てるか。私は余り性善説に立っている人間じゃないものですから、どうやってこの辺を担保していくか、どういうような方策がおありですか。
  27. 野村昭

    野村参考人 問題はその担保の問題であろうかと思いますが、これから制度は変わるわけでありますが、行政におかれましてもいろいろ問題点はあろうかと思いますが、やはり行政におきましてのある程度のチェックができるような体制というものを今後考えていただく必要があるのじゃないか。  特に申し上げたいことは、大型精米工場、ここにおきましては大体間違いなく義務づけのとおり実施されていると思うわけでございますが、やはり全国に九万からの小売の窓口があるわけでございますから、その面まで果たして行き渡るかどうかということには私自身も疑問を持っております。ただ、先ほど申し上げましたように、これからは本当の商売という観点で成り立っていかなければならないわけでありますから、業者の自己責任、それによって消費者信頼されるかどうかということでありますから、その辺をやはりこれからの厳しい環境の中で業者の方々も十分認識をされていくのじゃないか、そんなふうにも考えております。
  28. 石破茂

    ○石破委員 そういたしますと、今表示ができますのはいわゆる大型精米業者に限られている、五十馬力以上のを持っていなければいかぬ。考え方として、これを小売まで広げていったらどうだという考え方も片方にあるわけですね。今のお話を進めますと、それはもう自己責任の原則で、妙なものを売ったらばそれはもう自分で責任を負いなさい、そういうものに対しては行政はきちんとチェックしますというような前提のもとでそれを、何も小売店まで広げることが是かどうかわかりませんが、今の基準というものを緩和する方向というのは是認すべきとお考えですか。
  29. 野村昭

    野村参考人 ただいまの限定制度ですね、こういうものはやはり引き続き継続させていただいていいのじゃないか、そんなふうに思っております。  以上でございます。
  30. 石破茂

    ○石破委員 角田参考人にお尋ねをいたします。  麦の成分検査の導入についての御意見がございました。これは、国産麦というのがいかに競争力がないかというのは毎年毎年麦の値段を決めるときに痛感をすることでございます。オーストラリアのASWと競争してやってみても、どう見たって、焼きたてはいいのですが、しばらくたつとくしゃっとなっちゃうようなパンでして、うまいぐあいにいかない。品種改良というものも時間のかかることですからなかなか進んでいかないわけでございますが、麦について成分検査というものを積極的に導入する意義というものはどのようにお考えですか。
  31. 角田公正

    角田参考人 先ほどもお話し申し上げましたように、小麦の例えはたんぱく、アミロースというようなものは用途そのものに直接影響しますので、お米の場合とは随分違っていると思います。  もちろん、日本の小麦の九〇%以上が輸入で賄われているわけでございますけれども、やはり技術者あるいは研究者としては、できるだけ日本にも、パンにもなれるような麦を今一生懸命試験場では育成していると思います。ですから、育成場所では当然そういうものを検定しているわけでございますけれども、やはりいい品種ができて、そして日本でも立派に、普通のめん類は当然であるが、パン用にもなれるような、そういう品種、有望系統ができたら、積極的に業界にも使っていただきたい。それから、そういうものを判定の基礎資料にしていただきたい。そういう効果は非常に持っているのではないか、私はそう思います。
  32. 石破茂

    ○石破委員 それでは、最後和田参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  輸入米の表示についてですが、原産国、産年というものを表示すべきだ、こういうようなお話でございました。それはそうだろうと思います。ただ、アメリカといってもいろいろなところがあるわけで、アーカンソーもあればカリフォルニアもあれば、タイといってもこれまたやたら広いわけで、私は、これは素人考えです、あるいは違っているのかもしれません、原産国だけでいいのかなという気がしないでもないのですね。それがアメリカなどというやたら広い国で、じゃ、一体そのどの地域でつくられたものなのかということを消費者はお知りになりたいのではないかなという気がしないでもないのです。その点、いかがですか。
  33. 和田正江

    和田参考人 今お話のございましたように、やはり原産国だけではなくて、広い地域の場合に、その産地によっての味の違いないしはいろいろな違いが出てくるということも聞いております。  私ども、実際のところ実態についてはまだまだ知らないことが多うございますけれども、できるだけ細かく、その原産国だけではなくてその中の産地ということを、アメリカに限らず、これから現実問題をよく勉強しながら求めていきたい。原則としては原産国だけではないということをお答えいたしておきます。
  34. 石破茂

    ○石破委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、いずれにしても、新食糧法案、そしてこの検査法改正案、今までのやり方を根本的に変えるものだと思っております。生産者にも消費者にもきちんと利益がある。それは、私どもが堅持していかなければいけないのは、いろいろなことがございますが、やはり国の基礎的な食糧は国の中で賄っていくんだ、なお国際的協調のもとで外国からも入れていかなければいけないけれども、どうやって国の食糧を国の中で賄っていくか、基本的な考え方を捨ててはならぬというふうに思っております。  これから新食糧法施行までにまた御議論をいただきまして、確実にそういうところを詰めていただきたい、かように要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  35. 中西績介

    中西委員長 鉢呂吉雄君。
  36. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 社会党の鉢呂でございます。  参考人の皆さんには、大変御苦労さまでございます。  まず、野村参考人に御質問いたします。  ただいまの生産者の団体の有賀参考人もおっしゃっておりましたけれども、今回の新食糧法改正は、いわゆる計画外流通米というものを認めた形になっております。しかし、これは現状追認的な意味合いが多いところでございまして、産直とか顔の見える、そういった積極的な意味合いもありますけれども、現状は非常に大きな不正規流通米が発生をしておるということでございます。これについては、生産者団体としては極力これを全量計画流通米に持っていこうという方向であります。  同時に、販売業界においてもこのことを積極的に受けとめて、むしろ計画流通米というものを中心に扱う。同時に、任意検査においても、検査米というものを中心に積極的にこの拡大を図っていく。そうでなければ、先ほどお話あったように検査米と未検査米をブレンドするというようなことが現実に発生をして、それが表示の問題とも関係してきますから、そういった意味で、計画流通米あるいは検査米というものについてどういった積極的な取り組みをしていくのか、この点についてまず第一にお聞かせいただきたいと思います。
  37. 野村昭

    野村参考人 ただいまの先生の御質問でございますが、私ども流通業界といたしましては、できるだけ計画流通米、これを主体にやってまいりたい。それで、消費者と申しますか、いろいろな角度のニーズによりましては、あるいは計画外というものも取り扱わざるを得ないという面も多分に出てくるわけでありますが、その場合も、任意検査というものが設定されておりますので、先ほど来議題となっております表示の問題等もございますので、できるだけ計画外流通米につきましても検査を受けて取り込んでまいりたい、そのように考えております。  以上でございます。
  38. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 有賀参考人にお聞きをいたします。  先ほど、受検の一層の効率化ということについて触れました。具体的にはどういったことを望むか。私も議員になる前は農協の職員でありましたからよくわかるわけでありますけれども、この辺、具体的に申し述べていただきたいというふうに思います。
  39. 有賀文昭

    有賀参考人 ただいまの鉢呂先生の御質問でございますけれども効率化と申しましても、検査というのはなかなか手数がかかる作業といいますかお仕事でございますから、なかなか難しいかなというふうにも思います。  ただ、現場では、食糧検査士の方々とか私どもJAグループの職員などもお手伝いをさせていただきながら検査業務というのが行われておるわけでございまして、専門的なことになるのかもしれませんけれども、現場ではサンプリング検査というようなことで実際には行われているわけでございますが、より統計学的な手法といいますか、多分そういう感じで一層の効率化が、これまでもされてきたというふうに思いますけれども、されるのではないかと思います。  ただ問題は、余りそういう点だけ追求されますと、お米を出荷する生産者にとりまして不便が生ずる可能性もないわけではないわけでございまして、検査の場所等々、その辺は現場ではなかなか難しい課題だなというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  40. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 もう一点、お伺いします。  先ほど角田参考人から米の食味ランキング、特AですとかAですとかA'、私どももそういう話を聞いております。生産地段階でもそのことで、例えば北海道ですと、Aについてはどこどこの地域だとか。これについて、生産者団体として今後米の産地の格付として積極的にこれをしていく考えがあるのか、この点についてお伺いをいたします。
  41. 有賀文昭

    有賀参考人 ただいまの鉢呂先生の御質問でございますが、これまでもそうですけれども、新食糧法のもとでは、今先生がおっしゃったような意味でのいわゆる産地のお米づくりの熱意といいますか、それぞれの産地の特殊性を生かすお米づくりというのは今まで以上に積極的に進むのではないかというふうに思います。そうした中で、お米の主産地についてもいろいろの動きが出てきておりますし、これからますます出てくると思います。  ただ、検査絡みとの関連で、じゃ、私どもJAグループといいますか生産者団体としてどのような全体的なスタンスで対応するかということにつきましては、率直に申しましてまだちょっと本格的な検討というふうには至っておりませんで、直接お米を取り扱っておりますのは全農サイドでございますが、これから全農、経済連、JAとの話し合いの中で今先生がお話しになったようなことは受けとめていくことになるのではないかというふうに思っております。  以上でございます。
  42. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほど和田参考人から品位規格についての再検討が必要だと。  そこで野村参考人にお聞かせを願いたいんですけれども生産者側からいきますと、例えば、先ほど言いました、被害粒〇・一%以内でなければ一等米になれない。これは、米の最終段階の収穫過程での問題で、例えばピンク米等の、何というんですか、発酵させて被害粒が発生する場合もありますけれども、多くはカメムシ等の食害による黒い斑点をつける。後で和田参考人にもお聞かせ願いたいのですけれども、むしろ消費者側では安全性との関係で、これは収穫直前にこのカメムシが発生してもみを食害するということで予防も兼ねて収穫末期に非常に短期間に農薬を散布するわけでありまして、私ども大変大きな問題があるというふうに思います。  一方で色彩選別機等の機械が非常に発達をしておりますから、こういう点についての規格見直しというものについて、いわゆる販売業界としてどういうふうに見るのか、お聞かせを願いたいと思います。
  43. 野村昭

    野村参考人 ただいまの先生の御質問でございますが、私どもといたしましても、そうした従来の検査規格と申しますか、そういうものについてはできるだけやっていただいた方がなおベターというふうな感じは持っておるわけでございますが、先生も御承知のように、最近我々の各企業におきます精米工場の設備と申しますか、こういうものは大変に発達をしておりまして、そうしたいろいろな、例えば着色粒であるとかそういうものも完全に除去できる、このような段階を踏まえておりますので、そういった点の検査というものはある程度削除いただいても、私どもといたしましては、できれば合理化をもってスピードある検査体制といいますか、そういうものを考えていただければと、そんなふうに思っております。  以上でございます。
  44. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 このことは、やはり一般の消費者は白い御飯に黒い斑点が入っていると、これは非常に米屋さんにも言ってくるそうです。しかし、安全性、より低農薬のものを食べるということはこれからも大変大切なことになるわけでありまして、そういった意味で和田参考人にお聞かせを願いたいのですけれども、見てくれだけでなくて、より内容といいますか、あるいはそういう残留農薬も含めてのより安全なものを食べる、まだ日本人はそういうところに必ずしも賢くなってないのではないかというふうに思われますけれども、その点についてお考えがありましたら。
  45. 和田正江

    和田参考人 確かに、今お話ございましたように、すべてのお米がとにかくいい、見た目が非常にきれいにでき上がっているという状況の中で、着色粒なりそういうものがあるということについて消費者がお米屋さんに言っていくことが現実にあるだろうとは思いますけれども、逆にそれが、今お話のありましたような収穫直前の不必要な農薬の使用ということを促しているというような事実は一切知らないわけですね。ですから、やはりその辺について実態を明らかにして、これは別に食味についてどうこういうものではないのだよ、そのために、こういうことがなければむしろ農薬の使用回数を一回でも二回でも減らすことができるのだということがもし事実であるならば、そのような点をきちんと情報として伝えていただければ消費者の方もきちんと理解ができるのではないかなと考えておりますので、その考えに立って対応していただきたいというふうに考えております。
  46. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間が来ましたので、本当はもう一点質問したかったのですけれども表示内容一致、とりわけ認証システム、販売業界として、総体として、いわゆる三点セットのものの仕入れと、それからでき上がった製品と判定、これをきちんと認証するシステムについての御質問をしたかったのですけれども、時間が来ましたので終わります。  ありがとうございました。
  47. 中西績介

    中西委員長 錦織淳君。
  48. 錦織淳

    ○錦織委員 新党さきがけの錦織でございます。参考人の方々、本当に御苦労さまでございます。  先ほど和田参考人の方から、環境保全型農業、有機農業の推進に役立つような、そういう制度づくりというような問題提起がございました。私は、これは非常に重要な点ではないかなと思います。安全な食糧を確保するという点もございますし、それから今回の新食糧法なりこの検査法改正というのは、ある程度多様な流通、多様な商品、こういった観点も考え方として入れておるわけでございます。  こういった点について、有賀参考人、そして野村参考人、それぞれ生産者あるいは流通業者立場からどのようにお考えか、簡潔にお述べいただければと思います。
  49. 有賀文昭

    有賀参考人 ただいまの錦織先生の御質問といいますか御意見でございますが、結果として今回の改正が有機農業の推進に役立つようにというような御趣旨であったかというふうに思いますけれども、私ども生産者団体といたしましても、従来のように、ただ量だけつくればいいというようなことでは消費者ニーズは満たせないという基本立場に立っております。また、ただおいしいだけということでもこれからはなかなか消費者の理解を得られないということでございますので、先生の御趣旨には全面的に賛成でございます。現場では有機農業の推進ということになりますとなかなか難しい点もございますけれども、そういう方向で努力はしてまいりたいというふうに思っております。  なお、それらの表示とか、そういうことになりますと、これは多分相当専門的なことになるのではないか、お国の方でも鋭意検討しているというふうにも聞いておりますけれども、そういう検討結果がまとまれば、私ども生産者の側としても、全面的にそういう方向で努力はしてまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  50. 野村昭

    野村参考人 ただいま先生の御質問でございますが、私どもといたしましても、環境の問題、これは非常に心配をいたしております。  ただ、やはりお米をつくります上におきまして、農業というものも若干必要でございましょう。また、そういうものが使用されないと、先ほど来お話が出ておりますカメムシの問題とか、そういうものの駆除ということもなかなかできない、そういうような問題もあるわけでございますが、要は、できるだけ農薬を使わず、例えばそうしたカメムシのようなものが出ましても、これは余り食する上にそう味とか何かに影響がないというようなことでもございますので、その辺はひとつ消費者の方にも御理解をいただいて、まず安全性というものを重視した食というもののお考えに立っていただきたい、そのように思っておるわけでございます。  以上でございます。
  51. 錦織淳

    ○錦織委員 最近の農業、食糧問題の議論をいろいろ聞いておりますと、今非常に難しい場面に立たされているのではないか。特に、農業、食糧に関係の深い方々の中では共通の前提あるいは暗黙の前提になっているようなことでも、外に出てみると必ずしもそうではないというような問題が多々ございます。  本日、直接のテーマではないかも知れませんが、非常に重要な点なので、ぜひとも参考人の方々の御意見をお伺いしたいのは、現在、規制緩和に伴って、いわゆる安全性基準ということについて、国際水準との整合性というようなことが議論をされております。私も、規制緩和検討委員会というのを政府で設けて、そこでの議論をつぶさに聞いてまいりましたが、相当激しい議論が闘わされております。  この機会に四人の参考人の方々から、この問題について、特にこの検査制度は、残念ながら品質検査であって安全性検査ではないという本質的な問題点を抱えてはおりますけれども、この機会にぜひともお伺いをしたいと思います。  よろしくお願いいたします。
  52. 角田公正

    角田参考人 私どもも一消費者として、食べ物の安全性ということについては常々関心を持っているわけでございますけれども、ただ問題が幾つか、私の立場とすれば悩むわけでございまして、一つは、現在の日本の農薬の基準、残留農薬の基準等につきましても、世界的に見ては非常に厳しい低さというか、それから使用する農薬の数も非常に制限をされておりまして、そういう意味では、世界の中を見回しても、日本の農業に対する姿勢というのは今までもかなり厳しかったように思います。  ですけれども、さらに農薬を使わないということが望ましいということについては異論はございません。ただ、その場合に、私いつも思うことは、同じ農林政策の中でも、一方では規模拡大をして、そしてできるだけ低コストでいいものをつくってほしい、そういう新政策に沿った線もございまして、そうなりますと、どうしても一定以上の低コストのためには農薬を使わなければいけない、あるいは化学肥料を使わなければいけない、そういう面が避けられない面も持っているかと思います。そしてしかも、理想的には無農薬、無化学肥料で稲をつくり麦をつくるというのは望ましいわけでございますけれども、そこで一つの大きな問題になることは、やはりコストの問題ではないかと思います。  十分御存じだと思いますが、無肥料をするためにはどれだけ堆肥をつくらなければいけないか、堆肥を投与しなければいけないか。そのために、うんと労力もかかる、人体に対する負担も非常に大きいということを無農薬農家から聞いておりますし、それからさらに、無農薬ということになれば、除草剤をまくかわりに手取り除草という、かつての田の草取りを実現している農家もあるわけで、そういう労働負担とかコストの面を考えれば、非常に幾つかの面を含んでおるわけでございまして、そういうものがもっと能率的に、組織的に、しかも農薬、化学肥料等の節減につながるような技術、そういうものの開発というものが非常に焦眉の問題であって、急がれなければいけないのか、そのように私個人では思っております。
  53. 和田正江

    和田参考人 安全性の問題につきましては、今、国際平準化、国際ハーモナイゼーションということが言われまして、農業に限らず比較的厳しい日本の基準がともすると緩められがちになっているという面がございますので、私どもとしては、やはり国民の命と健康を守るためにということでさまざまな運動、先ほど申し上げました食品衛生法の改正についての申し入れなども含めまして、国民の命と健康を守るためにということでの運動を過去からもしておりますし、特に最近の国際平準化という問題については、それで大丈夫なのかという運動を続けております。  以上でございます。
  54. 野村昭

    野村参考人 安全性確保の問題につきましては、やはり規制緩和の問題よりも優先して考えていくべきだろう、そんなふうに思っております。  以上でございます。
  55. 有賀文昭

    有賀参考人 要するに、規制緩和と国際水準との調和の問題というふうに御質問の御趣旨を受けとめたわけでございますが、我々日本人のための安全のために設けられているさまざまな基準を、国際化というような観点から、それをより守る形でということならいいのですけれども、その規制を緩める、つまり一般的に言いますと、安全性という観点からしますとマイナス効果が及ぶような、そういう事態はぜひ避けていただけないかというふうに思います。そのことは国や先生方にもぜひお願いしたいという立場でございます。  以上でございます。
  56. 錦織淳

    ○錦織委員 それでは、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  57. 中西績介

    中西委員長 藤田スミ君。
  58. 藤田スミ

    ○藤田委員 参考人の皆さん、きょうは本当にありがとうございます。  日本共産党の藤田スミでございます。  私は、まず最初に和田参考人にお伺いをしたいと思います。  私も消費者の一人でありますし、消費地大阪におりますけれども消費者の米の表示に対する不信感というものは非常に根強いものがある。新潟コシヒカリなんというような袋はどこに行っても目につくわけですが、それでは日本じゅう新潟県かと言いたくなるような、そういう袋が積まれていたり、中国産米が平気な顔をして国産米に混ぜられていたりする。現在行われております任意表示でも、産地品種産年のいわゆる三点セット実施されているのはわずか二二%であります。だからこそ検査表示制度に関する研究会で、この三点セットは必要的表示事項とすることを含めて検討する必要があるという強い要望が出されたと思うわけですが、今回の改正案の中では、これは受け入れられておりません。  この問題について、消費者として今真に必要な表示というものについて、私が最後でございますので、和田参考人から、もう少しきちっとまとめた、消費者として求めたい真に必要な表示内容をお聞かせをいただきたいのが一点です。  そこでは、もちろん輸入米の表示の問題がございます。昨年のあのときも輸入米の年産表示は行うべきだということを私も随分主張いたしましたし、今回も主張しておりますが、やはり米に対する外国評価が、古米の方が評価されるというような国もあったりしまして、その違いが一層年産表示というものをなじませないものになっているというふうな政府の答弁で、苦し紛れに昨日は検討するというところまでは言っておりますけれども、しかし、態度を見ていたら、なかなか大変だなと思うわけです。ぜひ消費者としての声を聞かせて、要望を聞かせていただきたいと思います。  安全性の問題についても、これが消費者にとって一番関心が強いんだというお話でございました。まことにそのとおりだと私も思っております。昨年緊急輸入で入ってきた米、厚生省の資料を取り寄せてみましても、不思議なことに、先行サンプルで入ってきたその米と、それから同じ米を船積みして到着時に検査した米とでは、全く違う農薬が検出されたりしております。その中で、到着時に検出される農薬の特徴は、ポストハーベストとして使われる農薬が非常に多く出てきているというような、そういう結果も私は厚生省の資料で見ているわけであります。  そのポストハーベストの心配に加えまして、先ほどから和田参考人もおっしゃっておいでのように、SPS協定を受けてハーモナイゼーションだということで、せっかく日本の農薬基準は使用も少なくしているし基準も厳しくしていて安心だなと思っていたのが、これからハーモナイゼーションで非常に条件が変わってくるという、そういう物差しの問題も出てくるわけであります。  そういう点から、ぜひ輸入米に対する安全性確保について、消費者としてかく望むというところを、少し時間をかけていただいて結構でございますので、お話を聞かせていただきたいと思います。
  59. 和田正江

    和田参考人 時間をかけてとまでおっしゃっていただきまして、まとまるかどうかわかりませんけれども、発言させていただきます。  一点目の、消費者にとって求める表示ということにつきましては、先ほども申し上げましたように、文言で言えば消費者にわかりやすい表示、それから中身と表示が合っているかどうかという二点に尽きますけれども、現実の表示ということにつきましては、とっさでございますので項目の落ちがあるかもしれませんが、先ほど申し上げました、産地品種、それから産年、この三点セットを義務表示の中心に据えるということと、あとは重量、それから搗精年月日、それから最終の責任をどこが持つのかというところの業者の氏名、住所、あるいは電話番号までの表示というようなものが私どもとしては今まで考えておりました表示の中での基本ということに考えております。  ただ、今先生からお話のありましたような一括表示、これは決められますけれども、それ以外のところにつきまして、その時々、いろいろな表示が出てまいります。私ども、どうかなと思うものにつきましては、そのたびに食糧庁へ持ってまいりまして対応していただいたこともございますけれども、先ほど申し上げましたように、消費者に与えるインパクトというのはむしろ強いわけですから、その辺についても十分に対応していただきたいということを申し上げておきます。  それから、特に輸入米についての安全性確保につきましては、緊急輸入の際にも、三段階のチェックをしているから心配はないと言われる反面、今先生がおっしゃいましたような現実の問題、それからサンプルのとり方というような、いろいろな問題が出ております。  これから恒常的に輸入がされるという事態になりまして、そして、それぞれの国では日本のような衛生状態ではないというようなこともよく聞いておりますので、やはりこれは厚生省と十分に連携をとり合って、一つは、農薬の例えは残留基準なり使用法の規格基準の決め方の問題があると思います。これにつきましては、やはり国際平準化に名をかりて緩めるということのないようにということを望んでおります。  世界で、国際的で共通な物差しというのは望ましいことだとは思います。それが世界じゅうの人にとって好ましいような厳しい物差しであれば共通の物差しというのはいいことだと思いますけれども、むしろ緩い物差しであって、それに上乗せするときには、いろいろそこの国の条件ないしは合理的、客観的な根拠、科学的な根拠によるとなっておりますが、果たして日本が今後主張するようなことが、その科学的、客観的な根拠として認められるのかどうかというようなことは非常に懸念しております。  その決め方、それから検査体制、その検査が十分にされているのかどうかということ、それからもう一点はその検査実態情報公開されるかどうか。基準の決め方、検査あり方、それからその検査の結果の情報公開という、この三点につきまして、これは米に限らずですけれども、私ども安全性確保ということについての運動も続け、お願いもしてまいりたいと思います。  以上でございます。
  60. 藤田スミ

    ○藤田委員 どうもありがとうございます。  もう一点お伺いしたいわけです。  今回の法改定で、輸入麦については農業協定によって関税化されまして、したがって、関税相当量を支払って輸入される麦については農産物検査義務がなくなるわけであります。米も政府が買い入れる米以外のものは国は検査しないということになっております。これは、今現在では国家貿易というもとで極めて限定された米がそういう任意検査ということになるわけで余り問題はないと思いますが、問題は今後、米は関税化されておりませんが、これが関税化されれば麦と同様に関税相当量を支払って輸入されるものは農産物検査義務が外されていくということにつながっていくわけでありまして、輸入米の品質信頼性が非常に低い中でこういうふうな法改定が行われるということについてどう受けとめていらっしゃるか。  私どもはもちろん、改めて言うまでもありませんが、安全で安心な米は何といっても日本でとれる米を私たちがいただき続けることだというふうに思っております。したがって、私たちは自由化というものを受け入れるべきじゃないという立場ではありますけれども、七年後の情勢いかんによっては、この法律がそのまま生きていけば、そういうふうに関税を超えて入ってくる米麦ですね、麦は現在そういうことに法改定でなりますが、米の方もそういうことになるということを非常に危惧しております。御意見をお伺いしたいわけです。
  61. 和田正江

    和田参考人 安全性の問題も含めまして、検査ということにつきましては、将来、先ほど私も申し上げましたように、新食糧法施行されましてからというのは、輸入の今後の、今おっしゃいました数年後の場合も含めましてやはり見直し、ないしは今出ております検査法では十分に対応し切れないというような不都合が生じることが十分考えられますので、私どもも再検討の必要があるのではないかなというふうに考えております。
  62. 藤田スミ

    ○藤田委員 最後に、野村参考人からお伺いをしたいわけですが、三点セット実施が求められている中で、端的に、流通関係者として実施するに当たって障害になるものがあるとすればどこが障害になるのかということを率直にお聞かせをいただきたいと思います。  もう一点、有賀参考人に確認をしておきたいと思いますが、ビール会社との契約栽培のもとでは、つまりは、政府に麦を売り渡すという関係にはありませんで、ビール会社に売り渡しているわけです。今回はそこは任意検査ということになりました。これまでは義務検査で公正な格付が行われ、それによって公正な取引がなされていたわけですが、任意検査の導入で生産者に不利になりはしないかという心配をしておりますが、お聞かせいただきたいと思います。
  63. 野村昭

    野村参考人 ただいまの先生の三点セットの障害の問題でございますが、私どもといたしましては、例えば袋の表示等が頻繁に変わるということが業界といたしまして大変なリスクが生じるわけでありまして、そういう点が非常に不都合な点かなというふうに思っております。
  64. 有賀文昭

    有賀参考人 ただいまの藤田先生のビール麦関係の点でございますけれども、ビール麦につきましては、ビール会社との契約関係取引が行われますので、任意検査ということになることはそのとおりだというふうに思っております。  ではどうするのかということでございますが、実際には、私ども生産者団体の代表といたしまして全農がビール関係の業界と売買の折衝等をやる立場にあるわけでございますが、これから新しい検査法が成立すれば、そのことを前提にしてどうするかという協議をするという段取りになろうかと思います。  その際に、ただいま藤田先生が御心配のような生産者に不利にならないように、私ども立場としては、任意検査ということを前提に、つまり、これまでの検査を前提にビール業界の方でビール麦の扱いをしていただけないかという姿勢でその折衝に全農を中心として臨みたいというふうに思っている次第でございます。よろしくお願いします。
  65. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたので、どうもありがとうございました。
  66. 中西績介

    中西委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表して、心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  67. 中西績介

    中西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出農産物検査法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鉢呂吉雄君。
  68. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 我が党は昨年末以来、農産物検査法改正について、小委員会を設けまして検討させていただきました。今回の改正案は、次の新しい、我が国に適応した、生産から流通までの一貫した、国民に安全な食糧を安定して供給できるという形の中で、今回の措置は妥当であるというふうに評価をするところでございます。  ただ、新食糧法ということで米の流通が大幅に変わりますから、現状追認的な意味合いも若干あろうというふうに思います。それは、計画外流通米について任意検査にしたということでございまして、きょうの午前中の参考人意見開陳でも、むしろこれを積極的に受けとめて、とりわけ新食糧法でも国が米の需給を管理をして、これを生産調整あるいは備蓄という方法で円滑な推進を図るという責務がございますから、とりわけ計画外流通米を把握をするということは、届け出制という制度は設けておりますけれども、極めて大切である。  そのことを、いわゆる国営検査というものを、任意でありますけれども大宗が受検をするような仕組み、そして同時にまた、その国営検査というものが米の価値を高めるという視点を、今回の意見聴取でも、流通販売業者も含めて、国営検査が大変意義があるというふうに認めておるわけでありますから、そういった点で計画流通米が米の流通の大宗を占め、さらに検査についても国営検査をしっかり受けておるということが極めて大切になるだろう。  そういった視点で、大臣としてこのことについてどのようにお考えになるのか。とりわけ、農水省としての、検査を受検するという、指導という観点で御意見をいただきたいというふうに思います。
  69. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  新しい米の管理方式と申しますか、新食糧法のもとにおきます米管理システム、これに対応いたしまして今回の検査制度改正いたしまして、審査お願いしておるところでございますが、計画流通米については、今もお話ございましたように、義務検査として引き続いてやっていく。  計画外流通米については、制度の本質から見ましても任意検査としたところでございますけれども生産者消費者が直接顔が見えるというような特別な取引はもちろんでございますけれども計画外流通米についてもやはり集荷、販売というような流通過程を経る。その場合にもやはり規格の設定と検査による信頼性取引というものが円滑な取引にとって大変重要でございますので、この点についても任意検査という道が開かれているということについて関係者に対して十分な認識を求めまして、制度が活用されるということを図ってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  70. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 きょうの午前中の東大名誉教授角田さんからも、仮にこの計画外流通米を大量に扱う流通業者があらわれた場合については、これをきちっと国の指導検査を受けるように指導するべきだというふうなこともお話をされておりました。ぜひ、国の積極的な指導お願いいたしたいと思います。  次に、検査規格見直しについてであります。食糧庁長官にお聞きをいたしたいと思います。  午前中におきましても、検査規格について、これが流通消費にわたって、あるいは生産においても現状効果あるものとして認められる、しかし、その検査規格については見直しが必要であると、四人の参考人それぞれそのような話をされておりました。  特に、具体的に一つ例を挙げまして申し上げたいと思いますけれども消費者食味あるいは安全志向というものは、最近極めて大きな高まりがあるわけであります。御承知のとおり、水稲ウルチ玄米の検査規格というものについては、容積重ですとか整粒、形質等々の見た目、あるいはそういった視点での品位検査が行われておりますけれども、例えば、被害粒の形で、死米ですとか着色粒ですとか、あるいはまた異種穀粒、異物というようなランクづけがありまして、それぞれ一等から三等あるいは等外という表示があるわけでありますけれども、例えば着色粒というのは、最高限度一等米が〇・一%を超えないということですから、千粒に一粒。二粒あればこれは二等米以下ということになるわけであります。  御承知のとおり、私は北海道でありますけれども、この被害粒、とりわけ黒色斑点米といいますか、これは収穫直前のもみにカメムシが付着をして、それが食害をして雑菌が入るということでありまして、そのために、北海道はもともと低農薬量だ、今低農薬ですとか有機農業ですとかということがなされておりますけれども、北海道自体はもうほとんど府県の三分の一以下の農薬しか使っておらないということでありますけれども、このカメムシ防除が極めて徹底的に、予防的に行われております。  このことについては、何もこれによって残留農薬が発生しておるということではありませんけれども、より低農薬の、安全性の高いお米を食べたいという消費者の志向からいきますと、現状の検査基準というのは厳し過ぎるのではないか。きょうも、流通販売段階あるいは消費者の代表からも、このことについての言及がございました。  私は、そういった面では、安全性に着目をして、農水省としてこの点についてもきちんと見直しを真剣に具体的にすべき段階に来ておるのではないか。〇・一%と三等米の〇・七%ではそれほど大きな違いはない。大型の搗精工場では既に色彩選別機をほとんどが入れておりますから、こういう点について具体的に農水省として見直しをすべきである。  これは、生産段階でも極めてコスト低減にもつながりますし、あるいはきょうも参考人は、環境保全型の農業というものをきちんと具体的に生かすべきであるというところからいっても、秋の散布というのはカメムシ以外の虫も全部死滅させるぐらいの力があるわけですから、そういった意味で環境保全型という視点に立っても、このことの見直しをすべきであるというふうに思いますけれども食糧庁長官の具体的な答弁をお願いいたしたいと思っております。
  71. 上野博史

    ○上野政府委員 このお話につきましては、これまでも先生から私承ったことがあるように記憶をいたしております。  おっしゃられますとおり、低農薬の農業あるいは環境に優しい農業というものにこれから取り組んで進めていかなければならない、まさにこれが我々の今後の進むべき方向だというふうに考えるわけでございまして、そういう方向に沿ったいろいろな問題の解決ということについては、鋭意努力をしてまいらなければならないというふうに考えておるところでございます。  この検査規格の問題につきましては、生産者は一等に該当するいい品質のものをつくりたい。したがって、カメムシの被害に遭わないように努力をするということになられるわけでございますけれども、一方で、消費者取扱業者の側から見ますと、いろいろな価値判断、価値基準がございまして、そういう感覚のもとにお米の品質というものを判断をされる。この両者の利害の接点で検査規格というものができ上がっているわけでございまして、私ども検査規格改正したり、新設をしたりする場合には、これらの各関係者のいわばコンセンサスのもとに規格をつくってまいっておるということでございます。  カメムシのこの問題につきましては、今委員のお話の中にもございましたように、大型の搗精工場では色彩選別機が取り入れてあって、そういう問題に配慮する必要がない、そういう規格であっても問題はないんだという話を私どもも聞いておりますけれども、なお店頭精米で搗精をしておられるような販売業者の側からは、やはり着色粒の除去に大変コストがかかるという御意見もございまして、必ずしも、こういう方向での規格の改定について、現在のところコンセンサスが得られているわけではないというのが実情でございます。  お話の方向といたしましては私どもも異論のないところでございますので、関係の方々の御理解を得るように、私どももあるいは生産者の方々もともども努力をするということで、そういう方向での解決を図れるように努力をいたしてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  72. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 午前中でも、むしろ消費者の側で、お米屋さんから買って、白い米の中に黒いものがまじっていたという消費者の苦情というのがあるのではないか、そういう消費者、むしろ安全性内容で、農業がないという、より安全なものに対する消費者の、賢い消費者ということがむしろ大切ではないかという話をしましたところ、そのことは極めて大切だ、そういうことがわかればそのように消費者指導していくという話もしておりますから、これは長官、関係者のコンセンサスというような話をされております。もちろんそのことは大切でありますけれども、安全な食糧を国内産の持ち味として、これを外国産に向かって売っていくんだという視点からも、やはり国の指導性を発揮していくべきだ。  幸い、法律に基づいては、検査規格の設定について条文を設けまして、学識経験者や関係者の意見を聞くという条文があるわけでありますから、再度ですけれども食糧庁長官として、この機関にこの問題についてかける意欲があるかどうか、お聞きいたしたいと思います。
  73. 上野博史

    ○上野政府委員 私、先ほど申し上げましたように、そういう低農業で生産をされたお米、こういうものを、何といいますか消費者の方々が選好してくださるということ、これが基本的に一番大事なことだというふうに思うわけでございまして、だんだん御理解が深まれば、低農薬であるということで商品価値も上がってくる、検査規格とは別の判断基準も出てくるという可能性もあるというふうに考えるわけでございますけれども検査規格との関係で言えば、やはり取引当事者の利害が集約したところに設定をせざるを得ないという、そういう性格のものだというふうに思うわけでございまして、先ほども申し上げましたように、関係者の御理解を得るように私ども努力をし、そういうことで素地ができますれば、関係のこの法律に定めておりますような手続を経て、しかるべき対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  74. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 次に、成分検査についてでありますけれども角田教授からは、小麦は別といたしまして、米の成分検査についてはさまざまな、たんぱくですとかアミロースですとかそういう理化学の検査は数種類あるということでありますけれども、それが食味、おいしさにつながるかどうかについては必ずしも確固たるものではない。したがって、一つは、そのことが小売段階で誇大に広告されまして、宣伝されましてということにならないように注意をしなければならない。  それから、二つ目でありますけれども、一方、穀物検定協会では、米の食味ランキング、これは地帯ごとだと思いますけれども、特AですとかAですとかA'とかいう食味ランキングを、これは専門鑑定官がそれぞれ食べたり見たり、御飯として見たりしているのでしょうけれども、そういうランクづけをしておる。これは極めて信頼性が高い、有効性があるということでありまして、もちろん科学的な、理化学調査というものを否定するものではありませんけれども、この穀物検定協会が行っております食味ランキングというものをどのように農水省として位置づけていくのか、この点についてお伺いいたします。
  75. 上野博史

    ○上野政府委員 この成分内容が味にどういうふうに影響するかということにつきましては、いろいろお話ございましたように、お考えの違う方もあるいはおられるのかもしれませんが、私ども聞いております限り、大体たんぱく質の含有量なりアミロースの含有量というものは、この味の一つの決め手になる。いろいろ要素がございますので、トータルとしたうまさをそれだけであらわすというわけにはいかないということでございますので、数値的に把握のできるその部分について今回道をまず開こう。しかし、具体的なその検定の規格とでもいいますか、そういうものについてどうするかということは、今後の検討をさらに続けさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。  穀検の食味ランキング、これは穀検といういわば民間の機関が独自の考え方で取りまとめているわけでございまして、それは私、一つの試みとして結構なことではないか。ただ、これが絶対的な価値を有するというわけでもまた一方ないのではないか、いろいろなお考えもあってしかるべきだというふうに思うわけでございまして、いろいろな観点からの食味の判断の仕方、そういうものがいろいろに試みられて、それで世の中の大方のコンセンサスも得られるというものがあり、これを客観的に把握するということができるというようなことでございますれば、私どものこの検査の作業にも、またどういうふうに取り組んでいくかということを考えてまいるというような、そういう段取りになるのではないかというふうに考える次第でございます。
  76. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 いずれにいたしましても、検査規格見直しというものは、時代の変遷といいますか、極めて大きいものと思いますし、そのことがなければ検査自体が有効な手段にならなくなりますから、随時この見直し徹底していただきたいと思います。  それから、特栽米制度の存続の問題です。きのうの御答弁を聞いておりますと、特栽米制度は、計画外流通米制度ができたことによってその役割を終えたかのような御答弁があったと思います。私は、特定JA制度というものがまだ期間がかかるということであれば、やはり現状で特栽米制度は、間接的ではありますけれども食糧事務所所長がこれを認めて、その特色ある、低農薬ですとかあるいは自然乾燥ですとかそういう形で特栽米制度というのは今日まで定着したというふうに思いますから、この特定JA制度が始まるまでは、私は過渡的でもこの制度は維持されるべきだろうというふうに思いますけれども、その考えがあるかどうか。  それから、特定JA制度については、今検討して、ガイドラインの見直しですとかということをやって、米についてもそういう方向について積極的な発言があったというふうに思いますけれども、その際には、食糧事務所がこの栽培過程の認証等について大きな役割を果たすべきだろう。この特定JA制度についても、始まりが非常にだらしなく始まれば、日本人というのは抜け目なくやるところがありますから、きちんとした認証システムというのを最初の段階で確立すべきだろう。そのためにも、中立公正で権威ある食糧事務所というものが積極的に対応する必要があるのではないかというふうに思いますけれども、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  77. 上野博史

    ○上野政府委員 特別栽培米制度のことでございますけれども、現在の特別栽培米というこの制度は、やはり今委員お話しの中にもございましたように、現行の食管制度流通規制がかけられている、これをバイパスとして産直的に生産者消費者の間の直接の流通を認める、食管制度上オーソライズするということを目的として置かれているわけでございまして、新食糧法に移りました場合には、改めてそういう食糧事務所長によります認定行為というようなものを得るまでもなく、生産者から消費者に直接供給ができるということになりますので、こういう特別栽培米制度を新食糧法のもとにおいて残しておく理由というのは制度的にはないというふうに今我々は考えている次第でございます。  また内容的にも、これは単に生産者消費者の間で、低農薬であるとか肥料を少ししか使わないとか、そういうような一定、特別な生産を前提として生産された米を売り買いするという契約があるということを認定するだけでございますので、新食糧法のもとにおきまして、当事者間でそういう契約関係ができれば、どんどんそういうことでおやりになられれば、それはそれで従来の取引関係というものを継続する、あるいはそういう形での供給というものを今後大いに伸ばしていくということは一向に問題がないというふうに考えるところでございます。  特定JASの規格制度ができました場合に、食糧事務所の職員が大いにこれに関与して、制度の適切な運営に当たるべきではないかという点につきましては、これは、国の役人の仕事というものについては一定の決まりというものを設けて、その所掌の範囲で対応するということになるわけでございまして、新食糧法のもとでの業務の関係、かかわりがある限りにおいて対応するということはあり得るんだろうと思うわけでございますけれども、いわゆる特定JASそのものの制度の運営に携わるということについては、これは現在のところ、それはなかなか難しい話になるのではないかというふうに存じておる次第でございます。
  78. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 次に、表示内容一致関係ですけれども、午前中の参考人の四人の方、とりわけ流通販売業界の会長を含めて、いわゆる三点セット産地、銘柄、産年、これについては必要事項といいますか義務事項として表示をすべきであるということが表明されました。あるいは流通販売業界では、自己責任というものも伴うのでこのことはそういう中でやるべきだ、自己責任も伴う中でやるべきだという表明があったわけであります。  私は、そういう意味で、消費者はそのことを非常に望んでいますし、生産者もこのことがないということは非常に不満の意見を述べられておりましたから、この際、この三点セットについては農水省としても積極的に考えるべきだ。いろいろ難しい点はありますけれども表示の中でこれを必要表示ということで行うべきだろうというふうに私からも意見を述べさせていただきますので、このことについての農水省の考えをお聞かせ願いたい。  あわせて、輸入米のとりわけ産年表示についても極めて積極的な御意見ばかりでございました。緊急輸入米と違いまして、今回はミニマムアクセス米ということで、商取引で行うわけでありますから、こちらから積極的に輸出国に産年をきちんと表示させる、そのことを取引条件として行うぐらいの強い姿勢があってしかるべきだろうというふうに思います。この二点についてお伺いいたします。
  79. 上野博史

    ○上野政府委員 表示の問題として、産地、銘柄、産年、これを必要記載事項の対象にするということにつきましては、確かに消費者あるいは生産者側からも御要請が強いところでございます。私どもも、この御要請にできるだけこたえるように検討をしてまいりたいというふうに思っているわけでございますが、繰り返し申しておりますように、書いたらいいというものではないわけでございまして、表示とその内容一致をするということが非常に大事な前提になるわけでございます。この三点セット認証、これが間違いのないものであるということをいかに確保できるか、これがこの問題を考える際の一番難しい問題でございまして、さらに検定機関による検定と、その対象を広げていくというようなこと等を通じまして、できるだけ消費者なりあるいは生産者ニーズにこたえられる方向で検討してみたいというふうに考えております。  それから、外米の産年表示の問題でございますけれども、おっしゃられますとおり、今後入ってまいりますミニマムアクセスの輸入米というのは、緊急輸入米と違いまして安定的に、国が計画的に入れてまいるものでございます。しかも、不足のときに緊急に、いわば売り手側にお願いをして買ってくるというような性格のものでもない。おっしゃられるとおり、買い手側がその希望を相手側に伝えて、その希望に合うものを買ってくるべきだという、そういう関係での輸入になるわけでございますから、おっしゃられるとおりの買い手側としての立場を十分に活用いたしまして、消費者の御要請にこたえられるような米の輸入ができるようにこれも努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  80. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 この二つの問題は、これからの農産物検査を生かすも殺すもここにかかっておる。今日までいわゆる不正規流通米というような形で、いびつな形で流通は来たと思うんです。ある意味では、計画外流通米ということで市民権を得たわけであります。したがって、ある面では、きちんとした表示内容一致ということを農水省としても指導できる立場に立ったわけでありますから、そういった意味で、今食糧庁長官、きのうから聞いていますと極めて慎重な、これはまあお役人さんとしてはやむを得ざるところだと思いますけれども、大臣から、私は表示の問題についても法的な整備をきちっと図るべきであろうというふうに主張しているんです、運用の改善ということでやるようでありますけれども。したがって、検査とこの表示というものが、ある面では表裏一体でなければ信頼性確保しないということは午前中でも聞いておりますので、法整備まで行かなくても、大臣としての積極的なお考えをお聞きいたしたいと思います。輸入米も含めてお尋ねしたいと思います。
  81. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 輸入米につきましては、我々が催しました検査なり表示の研究会等におきましても、その的確な内容確保、明らかにするような、すなわち産地なりあるいは年産等々について明らかにするようにという非常に強い要望があったわけでございまして、今食糧庁長官が申し上げましたように、緊急輸入米のような、とにかく量を確保することが最大だという輸入ではない、ミニマムアクセス等の輸入米でございますから、十分輸入国としての条件をこれら相手国に対して出して、国内の流通関係なりあるいは消費者要望にこたえるような進め方をいたしたい、また表示等についても、適切な表示がそれに反映されるようにいたしたい、さように考えておるところでございます。  それからなお、委員強調なさいました三点セットの問題は、その必要性等についてはもう大方のコンセンサスができておるわけでございます。ただ、表示内容一致認証という点について、なかなかに現段階では一〇〇%の確保ができぬという点でいろいろ悩んでおるといいますか、そういう点がありのままの姿でございますが、これについても我々としては一段と努力をいたしまして、表示内容一致確保と並行して今の三点セット表示の問題も前進をさせたい、さように考えておるところでございます。
  82. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 流通販売業界は自己責任ということを言っておりますから、国が全部責任をかぶる必要はないわけですから、私は、積極的に対応すべきことだと。  最後ですけれども、我々も連休中に農家を回りますと、やはり緊急輸入米当時の米が大量に余っておるということが、どうしても我々に、話がそこに来ます。あの段階で、あるいは昨年も不作ということが考えられた段階で、大変大量のものを輸入せざるを得なかったということについては、しかもそれは努力をして輸入されたわけであります。いろいろな見方はあったかもわかりませんけれども、短期間であのように大量の米を輸入した。しかし、不幸にして余るという状況が出たわけでありますけれども、この処理の方向について、今回の米穀の基本計画にもこれは除かれております。ミニマムアクセスについてはこのらち外で考えるというふうになっておりますけれども、緊急輸入米の処理の方向について、やはり大臣はきちんとした方向は出すべきであるというふうに思いますので、御答弁願いたいと思います。
  83. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 緊急輸入米の取り扱いの問題でございますが、お話のとおり、約二百五十万トンの緊急輸入をいたしましたが、国産米等に対する消費者等の強い志向というようなもろもろの要因が重なりまして、九十万トンの現在の在庫があるわけでございます。  これにつきましては、業務用とか、あるいは加工用とかというような点についての需要がございますれば、これを積極的に出すという姿勢を続けておるところでございますが、結局食用としての用途の充足は困難であるというような見通しもできるだけ速やかに立てまして、飼料用として処理いたしたい。一方では、外務省その他関係機関とできるだけ連携をとりながら、援助用にも充当をいたしたい。わずかな数量でございますが、先般もラオスとかネパール等に対して三万トンの援助輸出をいたすということでございまして、お話のとおり、これは需給計画の外の米として、国内の需給の安定なりその他について影響を及ぼさざるよう、深甚の注意を払ってまいりたいというふうに思っております。
  84. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 緊急輸入米はもう既に古々米になっておる米だと思いますから、つらくてもやはりこれは飼料米で処理をする。大宗はそうだと思いますので、そういう方向できちんと国民に明示をしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  85. 中西績介

    中西委員長 倉田栄喜君。
  86. 倉田栄喜

    ○倉田委員 新進党の倉田でございます。  農産物検査法の一部を改正する法律案につきましては、昨日から当委員会質疑が行われ、きょうは午前中、参考人の方々からもお話を承ったところでございまして、かなり問題点も、そして疑問点も明確になってきているな、そういう感じをいたしております。  そこで、私は、今まで出た質疑の中で多少重なる部分もあるかと存じますけれども、今村山内閣の一つの課題でございますいわゆる規制緩和と行政改革、この視点から、この法案を通して質疑を行わせていただきたい、こんなふうに存じます。  と申しますのは、かつていわゆる米の輸入自由化の問題のときに、我々は随分関税化阻止、そして自由化阻止、一粒たりとも入れないという議論をしているときに、海外の輸入自由化の問題よりも、まず国内農業の足腰の強さをつくることが大切である、そういう意味では国内の自由化の方が先なのではないのか、こういう議論があったことは御記憶のとおりなんだろうと思います。  そこでガット・ウルグアイ・ラウンドがミニマムアクセスという形で決着をつけ、その後で食管制度、新食糧法案というものが提出をされて、今回の検査法もその一環をなすものだと受け取ります。新食糧法案に移ったときに、国内の足腰の強い農業をつくる、国内の自由化を進める、そういうことの議論が、どうも予算措置ばかりに目が行って、制度的なものについて十分な議論が果たしてなされたのかな、私はこういう思いがしているわけでございます。  そこで、いわゆる規制緩和というのは、行政と市場、この行政と市場の関係において市場の活性化をどう図るか、ここに実は規制緩和の問題があり、農業の分野は個々の規制緩和の問題とどうかかわるかという問題がありますけれども、やはり避けては通れない問題だろうと思います。また行政改革は、政治と行政の関係において、いかに国民の皆さんに効率的な、適正な政府、行政のあり方を追求していくか、そういう問題なんだろうと思っております。そこでこの検査法を見たときに、この規制緩和の視点、行政改革の視点、やはりそこの視点からもなお検証されてみるべきだろう、こんなふうに思います。  と申しますのは、余論になりますけれども、平成七年度の公債残高は二百十三兆円に達している。そしてさらに、地方債もこれは百十六兆五千億になっている。また、大蔵省で発表している隠れ借金も四十一兆近くになる。三百七十兆近くもこういういわゆる負債というものが残されてきたときに、これから行政というものがどこまで国民生活に関与していかなければいけないかというのは、我々に、政治家に課せられた大きな課題なのだろうと思うのです。  そこで、私は、規制緩和と行政改革という視点からこの法案を検証していただきたいと思ったわけでございますが、まず大臣に、総論的に、いわゆる規制緩和、行政改革、村山内閣の非常に大きな課題、大臣はその内閣の一員でもあるわけですけれども、この規制緩和と行政改革ということをどのように受けとめて、どのように実現をしておられるのか。まず大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  87. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。ただいま委員の御指摘のように、規制緩和なり行政改革、これは国政全般の問題として受けとめ、これを推進しなければ相ならぬわけでございますが、農政なりの場面でこれを受けとめますと、先般のウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う国内対策でも明らかにいたしましたように、やはり国際的な競争力を強化する、あるいは経営感覚にすぐれた効率的な、安定的な経営を育成する、そのための自由な生産展開が行われるようにいたす。そういう制度的な裏づけとしての規制緩和が必要ではあるまいかということでございまして、お話も出ました今回の新食糧法等におきましても、御案内のとおり、民間流通である自主流通米を主体とした流通だ、そして消費者に対する安定的供給があるから計画流通米という制度を設けるが、そのほかに計画外流通米をつくる、さらには登録制度流通ルートの多様化もする。さらには、集荷、販売の業界に対しては登録制度を導入して自由な領域を拡充するということ等は規制緩和の一つでございますが、やや具体的に申し上げますと、本年三月に決まりました規制緩和五カ年計画においては、また御案内のとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンドに伴う関税化、これは数量割り当て等の行政の関与をなくするということでございまして、やはり大きな規制緩和だと思いますが、それらを含めまして、百三十項目の規制緩和を今後五カ年間で実施するというわけでございます。その中には、えさなりあるいは動物用医薬品その他の資材等についても積極的な規制緩和を行うというところでございます。  それからなお、行政改革等につきましては当然のことでございまして、行政の効率化を進めるということでございます。したがって、新食糧法基づく食糧庁組織の改編整備においても、食糧事務所の四十七を三十六にいたす、あるいは支所の三百六十一を二百一にするというような大幅な統廃合を行うということでございます。  委員御指摘の国政の最大課題である規制緩和及び行政改革に対しては、農林サイドにおいてはそのような受けとめ方をし、さらに進めたいというふうに考えておるところでございます。
  88. 倉田栄喜

    ○倉田委員 規制緩和もそして行政改革も、これは今政治が抱えている大きな課題であり、当然積極的に取り組んでいただかなければならない問題だろうと思うのです。農政もその例に漏れない。  そういう意味で、いわゆる国内自由化を進める、そして食管制度検討し、新しい食糧法に移る。スタートしたときに私は随分乱暴な議論だなと思ったのだけれども、いわゆる流通とかあるいは生産等々にもっと自由にやらせてくれという議論があったときに、食管制度がなくなって新しい食糧法ができれば、では食糧庁なんか要らなくなるのですか、そういうふうな議論も実はあったのですね。それがある意味では行政改革の一環にもなるのではないのかというふうに誤解をされたようなところもある。しかし、うまくは言えないけれども、やはり行政改革なり規制緩和なりそういう国民の期待には確かにこたえなければいけないわけであって、どうこたえられるかということが問題なんだろう、こう思います。  そこで、例えばこれは一般論としてよく言われることですけれども、行政においても、私も当委員会に所属させていただいて五年近くになるわけですけれども、ある意味では法律をつくるたびに行政の仕事がふえていく。これは一般論としていわゆる行政の肥大化現象というふうに言われるわけです。そうこうする中で、先ほど申し上げたように国の赤字というのはどんどんふえていく。それは確かに人に優しいという視点から、優しいというのはいろいろ解釈があるかもしれませんけれども、その視点からのみ考えていけば、国の予算は際限もなく膨大していってとんでもないツケを後世に残してしまうようなことになる。  そうすると、今我々が考えなければいけないことは、国がやるべきこと、行政がやるべきことは何であり、そして市場の信頼、市場の自由に任せ、いわゆる民間に任せなければいけないことは何なのであるかということをきちんと立て分けた上で、そして国がやるべきことについてはそれこそ積極的にもっと手厚い予算要求もしていかなければいけない、そういうことなんだろう、こう思うわけです。  そこで、これもちょっと総論になって恐縮でありますけれども、いわゆる行政の肥大化、そして行政がやれる範囲の基本的な部分、そして議論も出ましたけれども、自己責任という言葉が出ましたけれども、私はその前に、監督責任から自己責任というのも一つの大きな流れなんだろう、こういうふうに思います。その辺の視点、大臣は基本的にどんなお考えに立っておられるのか。総括的で結構ですので、お答えをいただきたいと思います。
  89. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 ただいまの御所論なり御指摘、御質問等を農政の場面で受けとめますと、例えば農業が持っておる国土保全とか環境の維持とかというようなそういう場面とか、あるいは我が国の農業経営の実態から即してどうしても必要な需給調整なり価格の安定のための価格安定制度、これらについては、私どもとしてはその内容合理化に努めるところでございますけれども、やはり単純な規制緩和とか行政の効率化ということでは律し切れない面があるというふうに考えております。  その他につきましては、諸般の、資材に対する規制だとか資材の流通あるいはその他各般の面で、何と申しますか、従来の国の関与、これらについては十分な見直しを行いまして、先ほど総論的に申し上げましたように、例えば農業者というのが自由な生産展開ができる、あるいは関係業界の競争原理を働かせて効率化するというような視点から制度を進めていかなければ相ならぬというふうに思っておるところでございます。
  90. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今大臣も御答弁の中に、農業の分野においては単純な規制緩和という議論のみでは律し切れない側面もある、こういうお話がございました。私は、まさにそこが非常に大切なところであって、どこの部分は規制緩和をきちっとやっていっていわゆる市場の活性化、市場の信頼性に任せられるべき問題なのか、あるいはどこの部分は行政が積極的に担保して、円滑な運営、円滑なあり方というのを求めていかなければいけないのか、そこはきちっと議論をしていかなければならないのだと思うのですね。  そこで、いろいろ違う側面からの視点もあったわけですけれども、一応私は規制緩和、行政改革の視点からこの検査法を見てみたい。  まず、いわゆる国でやる検査制度、これについては午前中参考人の先生の方々も、国でやる検査制度の意義というものは非常に重要である、おおむねそのような趣旨のお話でございました。私もお話を聞きながら、現状の中ではやはり検査制度というのは国でやっていかなければいけないなという思いもしたところでございます。しかし、その検査制度あり方、そしてその検査をどこまでやっていくのかということについては、今申し上げたように規制緩和と絡んでどこまでやるべきなのか、その範囲を見きわめるということが必要なことなんだろうと思うのです。  議論の中で、ではどうして国でやらなければいけないのかということについて、いわゆる検査制度の沿革ということで御説明がいろいろあったわけであります。やはり不統一では困るとか、あるいは民間に任せておいてはなかなか検査信頼性が担保できないとか、そういうことでやはり国でやるのが一番適当なのかな、こういうふうにも質問とお答えを聞きながら私も思ったわけです。  しかし一方で、沿革の中で当初においての社会とある程度成熟をしてきた社会、その市場の信頼性にある程度任せてもいいのではないのか。社会が成熟してきた時代の中にあって、従来の検査制度の沿革だけを見てやはり必要なんだという議論だけをしていたのでは時代に乗りおくれてしまうのではないのか。やはり時代に即した考え方をしていく中で、なおかつそこで検査制度の意義づけをしていかなければいけないのではないのか、こんなふうに思うわけでございます。  その辺のところ、これは食糧庁長官にお聞きをしたいと思いますけれども、いわゆる検査制度の意義、公正円滑な取引と間接的に品質改善の助長をするためには歴史的経過を見ながら国がやるのが相当である、こういうふうなお答えでございますけれども、これから先もその視点というのは変わりがないのか、あるいは市場社会を見ながら考えていくべきことが残っているのかどうか、その点はいかがでしょうか。
  91. 上野博史

    ○上野政府委員 お米についての検査あり方ということになりますと、私はお米の生産実態あるいはお米の流通、最終的にはお米の消費あり方というのがやはり検査あり方を規定する要因なんだろうというふうに思うわけでございます。  お米というのは主食でございますから、年間を通して何百万トンという非常に大量な取引がなされるわけでございまして、なかなか一体一体検査をするということで取引をするというようなことでは効率的な、円滑なお米の供給というのも図れない。  一方で、我が国の場合には規模の小さい農民の方々がたくさんおられて、その方々の生産されたお米が集まって一千万トン前後の水準の生産をなしている。したがって、生産されるお米については必ずしも均質なものとは言えない。非常にばらつきがある。そういうものを大量に、かなりの距離まで、広域にわたって流通させていくということになりますと、どうしても検査制度というもの、客観的な、公正な判断のもとになされた検査というようなことが前提になった取引というものを考えていかなければ流通対応できないということから、こういう検査の仕方というものが歴史的に形成されてきたのじゃないか。  これは明治の初めのころからの沿革で私どもは説明をいたしておりますけれども、そのころは全くの自由な取引の社会でございました。生産は今よりももっと零細だったかもしれませんが、地主制のもとで、あるいは単位としてはもっと大きいということもあったかもしれません。いずれにしろ自由な取引でございまして、先に行きましても、こういう検査あり方、あるいはお米の取引実態というものは、基本的にはそう大きく変化することはないのではないか。  ただ、非常に長いタームで考えますと、日本のお米の生産あり方というのもかなり変わるということがあるかもしれません。そのときには、そういう実態に応じて改めて検査あり方も考えなければならない事態があるのじゃないか、そういうふうに考えておるところでございます。
  92. 倉田栄喜

    ○倉田委員 最近、本屋さんでぱっと見たときに一番目についたのが「お役人さま!」というタイトルなのですね。中身をぺらぺらとめくってはみたのですが、何というふうに言えばいいのかわからないけれども、いわゆる行政がやってきたことに対して、すごい責任感という自負を持ってやってこられた、そして、これからもまたそうでなければならないだろうと私は思うのです。この検査の問題も、基本的には公正、中立性を担保するというのはやはり行政がやらなければだめなんだ、こういう基本的な考え方がまずあるのだろうと思うのです。そこは、多分今の時点ではお譲りにならないのだろうと思うのです。  しかし、その視点だけでずっと考えていったときに、果たして市場の信頼というものが、これからどこまで積極的に市場の活性化に対して進めていくことができるかどうかということになれば、検査ということについても、民間に任せて自主検査というのをやってもいいのではないのかという視点も常に置いておかなければいけないのだろうと思うのです。  それは、今の状況の中においては、ある意味では行政、政治が最終的な意思決定であり、そこが検査をするということは、アンパイアといわゆる決定権者が一緒になっているようなところがあるわけであって、その辺のところについてはいろいろな議論を展開することは可能なのだろう、こんなふうに思うわけです。ぜひ課題として御検討いただきたいし、いわゆる検査、これも生産段階と流通段階に分けて今から私はお尋ねさせていただきたいと思いますけれども、その視点があることをどうぞおわかりいただきたいと思います。  そこで、これは大臣にお聞きしたいと思います。  今回、いわゆる検査法改正をする中で、生産段階において、今まで全量というものを、一部計画外流通米については任意検査制度を導入した。一方で、流通段階において、今までなかったいわゆる任意検査制度、任意といえども検査制度を導入した。この検査というのを規制と考えるのか、あるいは公正なルールを担保するために必要な手段と考えるか、そこの発想の時点で違う議論はあるかとは思いますけれども、大臣御自身は、今回の改正は規制緩和の方向で検討された改正とお考えになるのか、あるいは規制強化とする方向で見られるべきものなのか、この辺はどんなふうにお考えでしょうか。
  93. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  結論から先に申し上げますと、やはり流通合理化に伴う規制緩和の方向であるというふうに考えるところでございます。  委員にはちょうちょう申し上げるまでもないところでございますが、新食糧法、新しい米の管理方式自体が、民間流通を主体とする自主流通米によって、計画流通米計画外流通米に分ける。計画外流通米については、届け出だけで済むような非常に自由な体制ができた。それに応じて、米について申し上げますれば、検査義務検査任意検査に分けたということが一つだと思います。  それから流通段階検査については、まさにこれはあれでございますね。計画外流通米として集荷、販売過程を経て出た場合においても、取引当事者が取引円滑化ということのための自主的な依頼検査ということでございます。また、成分検査等の流通段階における検査も同様でございます。  したがいまして、これは規制の強化ではなくて、大きな方向としては規制緩和の方向にのっとった措置であるという点で、委員の御所論と矛盾するものではないというふうに思うわけでございます。
  94. 倉田栄喜

    ○倉田委員 大臣のお答えで、今回の改正も規制緩和の方向に沿った措置である、こういうことでございます。  そこで、果たしてこれから先も実態がそのようになっていくのかどうかという視点から若干御質問をさせていただきたいと思います。  まず、これは平成四年度の国内農産物の検査数量でございますが、玄米は六百八十三万七千トン、これが検査をした数量であるというふうにいただいた資料の中に載っております。そこで、これは当然、超建前全量管理の中で、全量検査という状況の中の数字だと思うのですけれども、今回、生産段階は、計画流通米については従来どおり義務検査とする。そういたしますと、この計画流通米の数量は、従来まで検査をしてきた例えば平成四年度の数量六百八十三万七千トンの数字からふえていくのか、あるいは下がっていくのか。この辺はどんなふうに見通しを持っておられますか。
  95. 上野博史

    ○上野政府委員 新しい食糧法のもとで計画流通米という位置づけを与えておりますお米は、現在の政府管理米と大体において合致するのではないかというふうに思うわけでございます。  ただ、計画流通米は、現在の制度政府管理米よりももうちょっと広い、複線化とでもいいますか、多様な流通の仕方をするものを含むわけでございますので、そういう意味でいえば、必ずしも全く同じというわけではございません。したがいまして、数量的にも今おっしゃった政府管理米程度のものというのが一つのベースにはなるだろうというふうに思っておりますけれども、もう少し実態を見てみないとはっきりしたことを申し上げるのは困難ではないかというふうに考えているところでございます。
  96. 倉田栄喜

    ○倉田委員 お答えは、従来やられてきた検査、六百八十万トンぐらい、この今までの検査計画流通米の一つの基礎となり得る。計画流通米は今までの政府米よりも幅広いから、もしかしたらそれ以上にふえるかもしれないけれども、その辺の見通しははっきりとはわからない。こういう答えなのだろうと思うのですね。  そうすると、大体大まかに、検査しなければならない数量というのは現状あるいは現状よりふえるかな、こういう感じ、義務検査ですよ。こういうことなのだろうと思うのですが、一方で生産段階における任意検査の導入、これは今までいわゆる自由米と言われた部分についてもともかくできるだけ手を挙げてもらって検査をしましょう、そういう道を開いたのだからこれを大いに活用してもらいたい、これは大臣のお話でもございましたし、今までの各委員質疑を聞いておりましても、この辺はできるだけ検査を受けるように指導していったらいいのじゃないのかなという雰囲気の議論として私は聞いたわけです。そうすると、どうもここは、検査をしなければいけない数量というのは、それは義務検査にしても任意検査にしても、全体としてこれはふえるのかなというふうに思ったわけですが、この点はいかがですか。
  97. 上野博史

    ○上野政府委員 これは、計画流通米のボリュームにつきましても、計画外流通米という形でのお米の流通というものがいわば正当なお米の流れとして認められたということの影響を受ける可能性もある。持って回ったような言い方で恐縮でございますが、要するに、産直的なお米の流通制度的にもオーケーだということになれば、そういうことで大いにやりたいという動きというのはもう既にいろいろ見られるところでもあるわけでございます。その辺が一方で計画流通米の、先ほど申し上げましたような、従来の政府管理米の流通量とそう変わらないのではないか、ベース的にはそういうもので考えていいのではないかということを必ずしもはっきり断定、断言的に申し上げかねる一つの要素として感じているところでございます。  そうなりますと、今度は計画外流通米任意検査の方の動向がどうなるかということにもう一つ問題点が移るわけでございますけれども、これも我々の想定をしておりますところは、やはり何段階にもわたるような長い流通経路をとるものは大体計画流通米の方に行くであろう。そうなると、顔の見える流通とか極めて短い流通経路ということになって、取引関係が単純化すれば余り検査というようなものをバックにした取引ということにならない面もかなり出てくる。それが任意検査ということを導入した基本なのでございまして、全体として検査の数量が必ずしもふえるというふうに今の段階で思い込むのはいかがかな。減るということを申し上げるつもりもございませんが、ふえるのか減るのか、今の段階では判断がなかなか難しい。新食糧法の流れ、あるいは新検査法施行というようなことも見ながらでないと、ちょっとここら辺については物が申しにくいのではないかというふうに考えているところでございます。
  98. 倉田栄喜

    ○倉田委員 生産段階における検査義務検査任意検査、そして次にいわゆる流通段階における任意検査制度、これは従来流通段階において検査制度というのはなかったわけです。検査制度ということだけ考えれば、私は規制の強化という考え方もあり得るのだろうと思うのですね。しかし、そこはあくまでも任意なのだということなのですけれども流通段階において任意とはいえども検査制度を導入しようとした根拠、それは議論も出ましたけれども、もう一度改めて確認させていただきたいと思います。
  99. 上野博史

    ○上野政府委員 大別いたしまして三つぐらいの要因があろうかと思います。  一つは、計画外流通米で、先ほど申し上げましたように、当初出始めたときには検査を受けないで産地を出た、しかしながら、どういう事情によるかわかりませんが、取引当事者の間で内容の確定についてどうも検査を受けて確定をするのが一番客観的だというような事情が生ずるケースはあるのだろうと思うのです。そういうケースが一つございます。  それからもう一つは、新食糧法のもとでは備蓄の制度を拡充いたしまして、百五十万トン前後のものを毎年持っていって、古米にして処分をしてまいるということになるわけでございますので、一年間の保管期間の間に品質的な変化が生じているのではないかという懸念が取引当事者の間に生ずるということになりますと、やはり検査をしてみて、もう一遍その段階でチェックをしたものを取引しようというニーズが出てくる可能性がある。  それから三番目は、このところの加工業界あるいは消費者側からのニーズとして、小麦でございますと製パン適性であるとか製めん適性であるとか、そういうものを理化学分析で把握ができる。そういうものをわかった上で取引をしたい。あるいはお米でございますと、うまさというものを数値的に把握できるという最近の状況から、そういうものを用いて取引の中に導入をするという流れが出てまいっておるという、この関係で、総計三点くらいが今回流通段階検査というものを用意しようという理由でございます。
  100. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私は、流通段階、これは議論もありましたけれども、確かに未検査米と検査米を混入、ブレンドされた場合どうするかという問題もあって、基本的には検査してくれという要請はあり得るのだと思うのですね。ですから、そういう意味で流通段階検査制度を導入されたこともなるほどなと思ってもいるのですけれども、しかし一方で、いや任意というものがどう担保できるかという問題に関して、流通段階においても、いわゆる流通ルートに乗る部分についてはもう一回全部検査しましょうみたいな状況になってしまうと、これはコストも大変だし、ある意味では検査の体制もまた大変になってくるのかな、こう実は最初お話を聞いたときに思ったのです。  現行制度でも、例えば大豆であるとかインゲンであるとかでん粉であるとか、これは生産段階でも任意検査になっているはずです。任意検査になっているのだけれども、では生産量と比べてどのくらい検査をされているのかなと私なりにちょっと調べてみたのです。あるいは数字は間違っている可能性もあるかもしれませんけれども、平成四年度で比較をしてみると、大豆は四三%が任意検査対象になっている。それからインゲンは九二%が対象になっている。でん粉に至っては生産量が三十四万九千トンで検査量が三十一万九千トン、九一%。こういう検査の実情であるわけです。  ですから、これは確かに手を挙げて検査をしていただくということになるのですけれども、運用の、持ち方次第によっては、もう流通に乗っかっている部分は、一年たちましたし味もどうなっているかわかりませんからもう一回検査をしましょう、そういう可能性もあるのではないのかな、こういうことを思うわけです、それがいいか悪いかは別として。だから、そういう意味からすれば、流通段階における任意性というのは本当にきちんと担保されてなければならないな、こう思うのですが、この点は食糧庁長官のお考えはいかがでしょうか。
  101. 上野博史

    ○上野政府委員 今委員御指摘の、米麦以外の任意検査の農産物のケースと、今回、米麦について流通段階等で講じます任意検査というのは若干性格が違うところがあるんではないかというふうに私は思います。  任意検査というのは、いずれにいたしましても、生産者あるいは流通関係者の方々が、これで、やはりここで客観的な検査をして内容を特定できた上でそれをもとに取引をしたい、それが取引関係を律する上で一番大事であるという合意があった、あるいはそういうお考えがあったときに、出てくることに対応しようというわけでございますので、私どもとすれば、そういう当事者の御意思を尊重してこれに対応するということが大事なことだというふうに考えているわけでございます。私どもの感じ方で言いますと、これは、規制とかなんとかいう話も先ほどございましたが、そういうものというよりは、あくまでもサービスを提供する、求めに応じてサービスを提供するというのが任意検査だというふうに考えているわけでございます。
  102. 倉田栄喜

    ○倉田委員 確かに、今お答えをいただいたとおりだなというふうに私も思うわけです。検査ということを規制の手段とすれば、それはとんでもないことになるけれども、いわゆる公正なルールを担保する、そういう意味で、その趣旨でやるんだとすれば、行政が確かにやるべきことなのかな、こう思うわけですね。ぜひ、その任意性というのはしっかりと担保をしていただきたい、こんなふうに思います。  そこで、次に、検査の方法における簡素化、合理化というのかな、その視点からちょっとお伺いしたいと思いますけれども改正法案の十六条に「検査証明」というのが規定をされております。この検査証明の関係で少しお聞きしたいと思うのです。  例えば、この検査証明と、いわば通常言われる表示の自由、この場で表示の自由というふうに言っていいのかどうかわかりませんけれども、その関係について、旧法というのですか従来の食管制度のもとにおいては、卸売業者及び小売業者の業務運営基準というものがあって、表示が義務づけされておられたわけですね。これである程度の表示の仕方というのも決まっておった。ここに、いわゆる必要的記載事項任意的記載事項の問題があった。そこで、新食糧法のもとにおいては、この表示あり方というのはどういうふうになっていくのか。  具体的な例で申し上げれば、例えば、いわゆる特別栽培米という制度がありました。これは、新食糧法のもとではその制度の基盤を失うという形になるわけだけれども、地域地域で工夫をされて、デザインも考えられて、消費者と直結する形で表示もされて販売をされておられるわけだけれども、こういうのは今までどおりでやっていけるのかどうかというところです。この表示の義務づけのいわば適用範囲の問題でございます。どういうふうに考えればいいでしょうか。
  103. 上野博史

    ○上野政府委員 検査結果を表示するということにつきましては、これは、委員の御指摘が玄米の検査結果というふうに受け取ってお答えを申し上げてよろしいのかというふうに思いますが、精米表示の問題は当委員会でも随分いろいろ議論がございましたけれども、玄米の検査結果の表示ということになりますと、今委員御指摘いただきました十六条の問題になるわけでございまして、この規定にございますような、二項にございますように、検査の結果の内容に紛らわしい表示を付してはならぬというのがあるわけでございます。  先ほどの、特別栽培米のPR的な要素を米袋の表に書いたときに、これにどう当たるかというのは、これとの関係で判断をするということに多分なってくるのではないかというふうに思うわけでございますが、現在の検査規格との関係でいいますと、肥料をどれぐらい使ったか、農薬を使っていないか、半分に減らして使ったかというようなことが規格の中にあるわけではございませんので、そういう面では、紛らわしいというような問題ではない。ただ、検査の結果がいかにもそのことを証明したような形に受け取られるということになりますれば、それは問題が生じてまいるのではないかというような、ごく一般的な話で大変恐縮でございますけれども、そういう理解をいたしております。
  104. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今、確かに玄米の話でお聞きをしたわけですけれども、その延長として、もう一つ、いわゆる生産者消費者が直結する形で特別栽培米という制度が今まであって、そしてその特別栽培米制度のもとにおいて一定の工夫された表示をされて、ここになってくると精米して送っておられる部分がありますので、それは、その生産者の方が創意と工夫に基づいて自由に表示をされて消費者のもとに届けることについては何ら問題はないわけでしょうか。
  105. 上野博史

    ○上野政府委員 現行制度のもとでは、特別栽培米検査をいたしまして、その上で産地から消費地に送られているわけでございます。その際に、特別栽培米であるということを生産地側が袋に書いて送るということは、これは別段問題はないのではないかというふうに私は思います。
  106. 倉田栄喜

    ○倉田委員 それから、六条に「検査規格」というのがあります。こういうふうに書いてあります。「農林水産大臣は、農産物の種類及び銘柄ごとに、その量目及び荷造り、包装等並びに品位及び成分についての規格を定める。」この改正で「荷造り」が新しく加わっているわけですね。  それで、例えば、包装とかあるいは品位品位はいろいろありますけれども、この辺はもうちょっと、確かに搬送であるとかあるいは取り扱うのに一定規格のもとでの方が運びやすいのだと思うのですけれども、規制緩和という流れからすれば、この辺ももっと一つ一つ見直しながら、どこまでやったら円滑にいくのかなという視点と、もうここは要らないのじゃないか、こういう視点から考えてみなければいけないのじゃないか、こう思ったわけですけれども、この六条の検査規格の問題で、もっとこの辺は緩やかに考えられるべきだ、こういうお考えはないでしょうか。
  107. 上野博史

    ○上野政府委員 荷づくりの点についても、従来から実態的には検査をいたしておりまして、そういう経緯の上に今回法制面での手当てをしたというのが最初の御発言の部分についての説明でございます。  それから、第二点目の「荷造り、包装等」の部分についての私どもの考えは、非常にバルキーなお米を大量に輸送するという場合に、やはりそれぞれその運送なり保管なりに携わる方々、業者の方々がお見えになられるわけでございまして、そういう輸送なり包装をする際に、全く当事者が思い思いのままに規格の袋を使ったり、あるいは強度の違う袋を使ったり、荷姿の違うものに入れたりということになりますと、具体的に、倉に入れるときに思うように、これは一万トン入る倉庫のはずなのに八千トンしか入らないということもあるかもしれませんし、それから、運搬をする際に一定の強度があるということを前提に運送業者が取り扱っていくというのもできなくなってくる。強いものがあったり、弱いものがあったりするということになると扱いが非常に難しい。大きさもまちまちではまた取り扱いも難しいというようなことが多分あるのだろうと思うのです。  そういう意味で、最近の包装素材の進歩というようなものについてはもちろん配慮をしなければなりませんし、輸送手段の効率化というようなことについても配慮をしながら、その時々の状態を見て必要な規格を統一していくということはお米の流通を安定的に、円滑にならしめる大事な要素なのではないかというふうに考えている次第でございます。
  108. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今のお答え、非常によくわかるのです。私もそのとおりだと思うのです。  ただ、私が申し上げたのは、必要な部分と、一方で必要な部分がそのまま規制という形につながって、そこでもう何の競争も起こらない、いわゆる市場の活性化というのが起こらないことがあっては困る。だから、確かに規格必要性は必要でしょう、強度の必要性も必要でしょう。そういうことはそのとおりなんだと思うのですけれども、そこをどういうふうに運用していくか、あるいはそこにどう市場の活性化を盛り込んでいくかという視点からはもっと検討してみる部分もあるのではないのかな、こう思いましたので質問をしたわけでございます。  次に、今規制緩和ということを主にお伺いさせていただいたわけですけれども、行政改革という視点で、もう残り時間少なくなりましたけれども、お伺いをさせていただきたいと思います。  今回、いわゆる新食糧法において食糧庁の機構改革あるいは食糧事務所の統廃合、これは計画、五年先の見通しもされて、私も拝見させていただきました。一回その概要を御説明をいただきたい。その上で、確かにそう数字を並べると結構大変だなという思いも実際いたしておりますけれども、それに取り組まれる決意をお伺いしておきたいと思います。
  109. 上野博史

    ○上野政府委員 食糧庁の組織につきましては、最近のお米の生産流通消費、これがやはりかなり変わってきておりますので、それに伴います業務の変化というものがございます。こういうことに対応し、あるいは、新しく成立いたしました新食糧法のもとでの役割、任務に見合った組織体制をつくる、こういう観点で本年度から五カ年間の計画で組織の統合・再編を図ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。  まず第一点は食糧庁本庁の対応でございまして、これにつきましては、本年度に新制度に見合った組織への再編をしたいというふうに考えているわけでございます。内容的には、長官官房を廃止いたしまして、現在の管理部というものを総務部に再編をいたします。それから、業務部を計画流通部という形で新食糧法の業務の内容に応じた再編整理を図ってまいるということにいたしているところでございます。  それから、出先の食糧事務所と支所の再編・統合の関係でございますけれども、これは本年度から五カ年間に、現在四十七ございます食糧事務所を三十六食糧事務所、十一事務所を統合いたします。それから、支所の関係につきましては、現在三百六十一支所があるわけでございますけれども、これを二百一支所に減らしてまいる。したがいまして、百六十支所を統合してまいるというのが組織の統合整理の対応でございます。
  110. 倉田栄喜

    ○倉田委員 実際に数字をお聞きしますと、これは現場の問題として考えると、実際にそれを実施していくのは結構大変な問題だろうなという思いをいたしますけれども、やはり一つの国民の要望でもございますので、ぜひ強い決意で取り組んでいただきたい、こんなふうに思います。  最後に、大臣、実は私は流通段階における任意検査制度の導入というのにかなりこだわっておりまして、この任意性というのはよほど強く担保していただかなければならない、こんなふうに思っておりますので、この点について大臣のお考えをお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  111. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 任意検査につきまして、規制の強化かあるいは緩和か、その他これについての詳細な御質疑等ちょうだいしたわけでございますけれども、もう先ほど食糧庁長官がお答え申し上げましたように、基本的な性格は、取引当事者の利便のためのものである、サービスだというふうに我々は理解しておりまして、そういう意味では当然任意性は担保されるものであるというふうに考えているところでございます。
  112. 倉田栄喜

    ○倉田委員 まだかなり質問あったわけでございますけれども、ひとつ、規制緩和、そして行政改革は我々に課されている大きな課題でございますので、農政も、しっかりやらなければいけない部分、そしてここはもっと市場の信頼性に任せていい部分、截然と立て分けをしてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  以上で終わります。
  113. 中西績介

    中西委員長 藤田スミ君。
  114. 藤田スミ

    ○藤田委員 私の時間は十分でございますので、簡単に御答弁をお願いいたします。  関税相当量を超えて輸入される麦や国家貿易以外の輸入米については農産物検査義務を今回外したわけでありますが、その理由をお聞かせください。
  115. 上野博史

    ○上野政府委員 関税相当量、いわゆるTEを支払って輸入される麦につきましては、集荷や販売過程、流通業者の方々でございますけれども、これを通じて実需者に販売されるというようなものではないのじゃないか、輸入業者から実需者に直接売り渡されるというようなもの、あるいは実需者がみずから輸入するというようなものになるというふうに考えているところでございまして、これらのものにつきましては、国内の麦の取り扱い、お米の取り扱いと大体並行的に考えまして、任意検査とすることが適当だというふうに考えたところでございます。
  116. 藤田スミ

    ○藤田委員 非常に限られたものを対象にしていくから、したがってその数量は極めて少ないということでありますが、関税率が下がっていくのはもう自明の理でありまして、したがって低くなった関税率を超えて輸入される麦というものが広がっていくことは、これもまた明らかだというふうに思うわけです。  問題は、輸入米なんです。現在、米は関税化されておりません。今回の法改定では、麦が関税相当量を超えるものについて検査義務を外す、こういうことになったわけですが、米についても関税化されるならば関税相当量を超えて輸入されるものについては農産物検査義務が外されるということになりはしませんか、農水省。
  117. 上野博史

    ○上野政府委員 農産物の検査制度というのは、本来的に流通円滑化ということを目的としているわけでございまして、米麦義務検査ということを考えておりますものにつきましては、これは新食糧法のもとでの流通システムということを考えのもとに置きながら、計画的に、あるいは安定的に供給するという、そういうものを対象として義務検査対象とすることを考えたわけでございまして、基本的にそれ以外の米麦については任意検査とするという仕分けを考えたわけでございます。  したがいまして、これは繰り返しになりますけれども、農産物の検査というものは、農産物流通制度あるいは農産物流通実態、こういうものに即応して定められてくるべきものでございまして、基本的にそういう取引関係円滑化を図るという観点で構築をされていくべきものだというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、お米の問題、関税化の議論ということになりますと、これは関税化の特例措置の七年目以降の取り扱いいかんによって決まってくるわけでございまして、現段階でそのことについてとやかく申し上げるわけにはいかないというふうにまず考えるわけでございますが、その内容が将来決まってまいりますれば、その段階でそのときの状況に応じて考えていくべきものだというふうに考えるわけでございますけれども、御質問のように、関税化がどうかということでこの義務検査かどうかということが決まってくるものでは必ずしもないだろうというふうに考えているところでございます。
  118. 藤田スミ

    ○藤田委員 そうなれば、ますますもって関税化された場合、米と麦と扱いを違えていくということは、これは今の御答弁でも非常に矛盾が出てくるということになりますし、また、関税相当量を超えた米を国内産でいう計画外流通というふうに位置づけていく、そういう扱いにしていくならば、それは任意検査ということにおのずと話は落ちつく、こういうふうになっていくんじゃありませんか。
  119. 上野博史

    ○上野政府委員 米の先々の国境措置あり方について今議論してみましてもなかなか結論の出る話ではないわけでございまして、先ほども申し上げましたように、現在のWTOの取り決めとの関係でいいますと、七年目以降の取り扱いは六年目に決まるということでございますから、その段階の話に譲らざるを得ないというふうに思うわけでございます。  それと検査あり方との関係、したがいまして、それはその段階での話というふうに考えることが一番適当だろうというふうに思うわけでございますが、必ずしも、その段階のあり方いかんが即義務検査であるかあるいは任意検査であるかというようなことを決めてくるということにつながるものではない、いろいろな流通実態等を考え合わせて検討し、決めていくべき問題だというふうに考えているところでございます。
  120. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、先々の議論というふうにおっしゃって逃げるわけにはいかないというふうに思うのです。  この法律をずっと素直に読んでいきましたら、結局話はそういうところに落ちつくじゃないか、そうでなければ時限立法ということになるじゃありませんか。もう先ははっきりしているわけですから、それまでの期間ということになるじゃありませんか。しかし、この法の改正は、何も目先の短いあれを考えたわけじゃなしに、ずっともう末長くこれでやっていこうということで考えているんだ、そういう御答弁も昨日からございまして、したがって、私は素直に読めばそういうことになるじゃないかということを申し上げているわけです。  今回の法改定が、結局、米の関税化を想定して、それにも対応できるようにしたものではないかというふうに考えざるを得ないわけでありますが、もしそうでないと言うなら、その根拠をもう一度明らかにしてください。
  121. 上野博史

    ○上野政府委員 七年目以降の米についての国境措置、これは我が国農政といいますか、あるいは国政全体にとって非常に大事な問題だというふうに考えるわけでございます。いろいろな御議論がおありになられるのだろうと思いますし、この農産物検査法の一部改正法案の中でこのことについてとやかく、そのことを踏まえてどうこうというような、そういうような話では必ずしもないのではないか。もっともっと格の違う重要な問題だというふうに考えるわけでございまして、農産物検査法はそういうこととは関係なく、私が今申し上げましたように、当該農産物の流通実態というものを踏まえながら、その検査あり方をお諮りをしているということでございます。  ただ、未来永劫、一切これで変えないというわけにはいかないわけでございまして、状況が変わり、流通実態が変わり、生産実態が変わる、そうしますと、取引も変わってまいります。そういう場合にはやはり見直しもするということは将来的には必要になる面はある、このことはいわば自明のことではないかというふうに思うわけでございます。
  122. 藤田スミ

    ○藤田委員 私自身もお米の輸入自由化は反対なんです。絶対に認めるわけにはいかない。したがって、そういう立場からこの法律をもう一度目を通して読み直してみておかしいと思っているから指摘をしているわけであります。  最後に、大臣にお伺いいたします。今も言いましたが、米の関税化を含め米の輸入自由化は決して認められないわけでありますが、この点についての大臣の御見解をここで明らかにしてください。
  123. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 もう委員案内のとおりでございまして、七年間にわたるガットのウルグアイ・ラウンド農業交渉、その結果としてのWTOの農業協定をあの形で、米の特別取り扱いという形で受け入れたわけでございまして、ぎりぎりの妥協のもとで受け入れたところでございますので、今日ただいまは、交渉は六年目に行うにしても、基本的な姿勢は現在の制度を守っていくという姿勢で進めなければ相ならぬというふうに考えておるところでございます。
  124. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  125. 中西績介

    中西委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
  126. 中西績介

    中西委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。藤田スミ君。
  127. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、日本共産党を代表して、農産物検査法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。  反対の第一の理由は、米の全量検査をやめ、計画外流通米検査義務を外すことは、米流通に一層の混乱を招きかねないということです。  農産物検査法は、農産物について国が検査を行うことによって、公正かつ円滑な取引及び品質改善を助長することを目的としています。米については、一九五一年の本法の成立以降、全量検査実施してきました。  今回の法改正により、計画流通米については国の検査義務を課すが、計画外流通米については検査義務を外し、任意検査にするとしています。この結果、市場には、検査を受けた米と受けない米が混然と流通することになります。  米は、気象、土地条件、病虫害等、自然的要因に支配されることが決定的であり、その形状、品質に共通の斉一性が少ないのが普通です。このような米が未検査のまま取引されるときは、取引当事者は、みずから現物または見本によってその品位を検定し、売買契約を締結することになります。しかし、利害の相反する立場にある者による品位の公正な鑑定及びその品位に相当する取引価格の取り決めは容易にはなし得ず、また、米の量目等の確認についても多くの手数と時間を要することになります。  また、このような未検査米の取引については、多人数の手を転々と取引される間に変質、抜き取り、不良米などの混入等の不正行為が行われるおそれもあり、米取引はますます複雑かつ不合理なものとならざるを得ません。  また、小売段階で検査米と未検査米がブレンドされれば、適正な表示ができなくなり、消費者に米表示信頼を失わせ、消費者にも混乱を招くことになります。  反対の第二の理由は、今回の法改正ではこれまでの輸入米麦の全量検査をやめ、任意検査制度を導入するとしたことです。これによって、品質面で問題の多い外国米麦が無検査で輸入されることになり、国民の願いに反するということになります。  麦については、関税相当量を支払って輸入される麦は検査義務が外されることになります。現在は関税相当量の水準が高いため、直ちに関税化を乗り越えて輸入される麦は多くはないとしても、今後、関税率が下がっていくことになるため、その比重は高まっていくことは必至です。  米についても、六年後に関税化が導入されれば、麦と同じ事態になります。  輸入米麦は、昨年の米の緊急輸入の例でも明らかなように、異物混入が日本に比べてはるかに多いものです。昨年の緊急輸入米の際に、多くの消費者から、農産物検査規格を日本の米麦並みに強めてほしいとの声が出されたことは当然でありました。  このような問題の多い輸入米麦の全量検査を外すことは、品質面に問題のある外国米麦が大手を振って国内に流通することになり、消費者の願いに反するばかりか、多くの混乱を招くことになりかねません。  以上、討論を終わります。
  128. 中西績介

    中西委員長 これにて討論は終局いたしました。
  129. 中西績介

    中西委員長 これより採決に入ります。  農産物検査法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  130. 中西績介

    中西委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
  131. 中西績介

    中西委員長 この際、本案に対し、松岡利勝君外三名から、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。小平忠正君。
  132. 小平忠正

    ○小平委員 私は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけを代表して、農産物検査法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農産物検査法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   農産物検査制度は、農産物の公正かつ円滑な取引品質改善を助長するため重要な役割を果たしており、行政改革並びに規制緩和の一層の促進が求められる中にあって、本制度の適正かつ円滑な運営に寄せられる国民の期待には、極めて大きなものがある。   よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。       記  一 国が行う検査業務については、これまで果たしてきた役割に配慮しつつ、さらに効率的体制の整備を促進すること。  二 計画外流通米及び契約栽培による麦の任意検査への移行並びに検査規格の設定に当たっては、地域における営農の安定及び円滑な流通確保に十分配慮すること。また、米麦流通段階での任意検査導入については、本制度趣旨が十分生かされるよう今後の実施状況を踏まえて適正に対処すること。  三 成分検査については、米の食味等の適正な評価に資するため、取引関係者及び消費者ニーズに適切に応え得るよう国による理化学分析体制の整備を進めること。また、国以外の第三者機関に業務を委託するに当たっては、公正・中立な検査業務の確保が図られるよう万全を期すること。  四 精米表示制度については、消費者表示に対する信頼確保する観点から、検査制度との関連も考慮しつつ、表示されるべき事項及び表示内容一致等その整備を図ること。    また、輸入米については、安全性確保はもとより、その表示につき産地国名の明示等きめ細かい対応を行うこと。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  133. 中西績介

    中西委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  松岡利勝君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  134. 中西績介

    中西委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大河原農林水産大臣
  135. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。     —————————————
  136. 中西績介

    中西委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 中西績介

    中西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     〔報告書は附録に掲載〕
  138. 中西績介

    中西委員長 次に、内閣提出参議院送付農業者年金基金法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、農林水産消費技術センターの設置に関し承認を求めるの件の両案件を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。大河原農林水産大臣
  139. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げますとともに、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、農林水産消費技術センターの設置に関し承認を求めるの件につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  まず、農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  農業者年金制度は、昭和四十六年一月に発足して以来、経営移譲年金等の給付を行うことにより、専業的な農業者の老後生活の安定とともに、適期の経営移譲を通じた農業経営の近代化と農地保有の合理化の促進に寄与してまいりました。  しかしながら、近年、新規就農者の減少等を背景に加入者数は減少する一方、受給権者数は増加し、受給権者数が加入者数を上回る状況となっており、年金財政は依然として厳しい状況にあります。また、農業、農村を取り巻く情勢が変化する中で、本年金についても、効率的かつ安定的な経営体の育成等、農業構造の改善を一層促進するため、その機能の強化が求められております。  このため、本年金の財政基盤の長期安定を図るための措置を講ずるとともに、農業に専従する女性の地位の明確化、若い農業者の確保、担い手農業者への農地の集積の促進等の観点から、加入者の資格、経営移譲年金の支給要件等の改善を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、年金財政の長期安定を図るための措置であります。年金財政の長期安定を図りつつ、農業構造の改善を一層促進する観点から、平成二年の制度改正により導入された経営移譲年金の給付に要する費用に係る追加国庫補助を引き続き行うとともに、保険料を段階的に引き上げることとしております。また、近年の農業所得の動向を踏まえ、年金額を改定することとしております。  第二に、農業に専従する女性への加入資格の付与であります。夫とともに農業に専従し、実質的に農業経営に参画している妻については、家族農業経営における経営内容の充実と経営規模の拡大に重要な役割を果たしていることから、農地等の権利名義を有しない場合も含めて、農業者年金への加入資格を付与することとしております。  第三に、若い農業者の確保に資する措置であります。若い農業者の確保に資するため、後継者の加入資格要件を改善するとともに、農業の新たな担い手の確保観点から、適格な経営移譲の相手方として、農外からの新規参入者を位置づけることとしております。  第四に、担い手農業者への農地の集積の促進に資する措置であります。担い手農業者に対する農地の集積を促進するため、農業者年金の加入者等に対して経営移譲のやり直しを行った受給権者について、加算付経営移譲年金を支給することとしております。また、加入者が経営移譲年金の支給を受けるのに必要な保険料納付済み期間等を満たせずに離農した場合を、離農給付金の支給対象とすることとしております。  第五に、経営移譲年金の給付内容改善であります。死亡した加入者の経営を承継して加入した配偶者について、本人の選択により、死亡一時金の受給にかえて将来の経営移譲年金の額を加算する仕組みを創設することとしております。また、障害の状態となって経営移譲した者に対する支給の特例、経営移譲年金の支給停止要件の改善等の措置を講ずることとしております。  第六に、その他の改正事項として、市街化区域内農地の取り扱いの変更、農業者年金基金が行う融資業務の充実等、所要の措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  続きまして、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、農林水産消費技術センターの設置に関し承認を求めるの件につきまして御説明申し上げます。  農林水産消費技術センターは、農林畜水産物等の品質及び表示に関する調査分析等を行う機関として、一般消費者の利益の保護等に重要な役割を果たしておりますが、平成二年十二月に閣議決定された「平成三年度に講ずべき措置を中心とする行政改革の実施方針について」において、その配置について所要の見直しを行うこととされたところであります。  これを踏まえ、農林水産消費技術センターの業務を取り巻く環境、業務内容変化等にかんがみ、現行の六本所四支所体制を八本所体制に移行することとしております。  この案件は、このような配置の見直しの一環として、東京農林水産消費技術センター仙台支所及び神戸農林水産消費技術センター岡山支所を本所に変更することについて、国会の御承認を求めようとするものであります。  以上が、この案件の提案の理由であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに農業者年金基本法の一部を改正する法律案を御可決いただきますとともに、農林水産消費技術センターの設置に関し御承認をいただきますようお願いを申し上げます。
  140. 中西績介

    中西委員長 これにて両案件の趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十二分散会