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1995-03-28 第132回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月二十八日(火曜日)     午前九時三十二分開議 出席委員   委員長 中西 績介君    理事 久間 章生君 理事 二田 孝治君    理事 松岡 利勝君 理事 倉田 栄喜君    理事 小平 忠正君 理事 仲村 正治君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 錦織  淳君       赤城 徳彦君    岸本 光造君       栗原 博久君    栗原 裕康君       七条  明君    東家 嘉幸君       徳田 虎雄君    中川 昭一君       浜田 靖一君    松下 忠洋君      三ッ林弥太郎君    山本 公一君       石破  茂君    北村 直人君       鮫島 宗明君    実川 幸夫君       千葉 国男君    西  博義君       初村謙一郎君    増田 敏男君       矢上 雅義君    山岡 賢次君       石橋 大吉君    遠藤  登君       辻  一彦君    前島 秀行君       藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣 大河原太一郎君  出席政府委員         農林水産政務次         官       谷津 義男君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省経済         局長      東  久雄君         農林水産省経済         局長      今藤 洋海君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君  委員外出席者         環境庁自然保護         局国立公園課長 鹿野 久男君         農林水産大臣官         房審議官    福島啓史郎君         建設省住宅局建         築指導課長   羽生 洋治君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   赤城 徳彦君     島村 宜伸君   木幡 弘道君     杉山 憲夫君 同日  辞任         補欠選任   島村 宜伸君     赤城 徳彦君   杉山 憲夫君     木幡 弘道君 同月十六日  辞任         補欠選任   初村謙一郎君     竹内  譲君 同日  辞任         補欠選任   竹内  譲君     初村謙一郎君 同月二十四日  辞任         補欠選任   初村謙一郎君     工藤堅太郎君 同日  辞任         補欠選任   工藤堅太郎君     初村謙一郎君 同月二十八日  辞任         補欠選任   木幡 弘道君     鮫島 宗明君   畑 英次郎君     西  博義君   山田 正彦君     北村 直人君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     山田 正彦君   鮫島 宗明君     木幡 弘道君   西  博義君     畑 英次郎君     ――――――――――――― 三月十七日  農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八一号)(参議院送付)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ  き、農林水産消費技術センターの設置に関し承  詔を求めるの件(内閣提出、承認第二号)(参  議院送付) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十五日  農業協同組合合併助成法期限延長に関する陳  情書  (第七三号)  ガットウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う  農業農村整備事業促進に関する陳情書外二十  六件  (第七四号)  農林水産業と食料・環境政策の確立に関する陳  情書外六件  (第七五号)  平成年産米政府買価格、米の集荷・販売  並びに食管制度の改革に関する陳情書  (第七六号)  農作物干ばつ対策に関する陳情書外二件  (第七七号)  道前道後平野地区国営土地改良事業促進に関  する陳情書  (第七八号)  漁港・漁村、沿岸漁場整備拡大に関する陳情書  外四件  (第七九号)  生糸輸入関税化に伴う関税相当量設定に関  する陳情書  (第八〇号)  かんきつ振興対策に関する陳情書外一件  (第八  一号)  過積載問題に係る影響軽減対策に関する陳情書  (第八二号)  林業振興対策強化に関する陳情書外一件  (第八三  号)  水源地域森林整備について国の補助制度の拡  充に関する陳情書  (第八四号)  山村振興法延長及び充実に関する陳情書外一  件  (第八五号)  営林署の配置に関する陳情書外一件  (第八六号)  森林保護制度化に関する陳情書外一件  (策八七号)  水産業振興対策強化に関する陳情書  (第八八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(畜産問題等)  平成七年度畜産物価格等に関する件     ―――――――――――――
  2. 中西績介

    中西委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松岡利勝君。
  3. 松岡利勝

    松岡(利)委員 それでは早速質問をさせていただきたいと思いますが、時間がないこともありまして、二十分でございますから、なるべく簡潔に、合理的にお願いをしたいと思います。  まず、実は私どもの党のことで恐縮でございますが、先般、山本先生自由民主党総合農政調査会長がお亡くなりになられました。農林大臣もやられ、そしてまた自由民主党農政の一番中心でもございました。本当に残念のきわみでございますが、私ども山本先生の教えを受けた者としても、精いっぱいこの農政山本先生の遺志を継ぎながら頑張ってまいりたいと思っております。  そのような意味で、きょうは大河原大臣、御出席なくて残念でありますが、大河原大臣もまた山本先生と並んでまさに盟友中の盟友としても大変農政の柱でもございますし、また谷津先生山本先生に一番近いそういう立場、また関係の深い、農政の面につきましても師弟の間柄だと思います。そのような意味で、きょうは大河原大臣にかわっていただいて、谷津政務次官、ぜひ今風の畜産物価格決定に当たっての本当に前向きの、農家が意欲と希望の持てるような、そういう血の通った温かい方向をひとつ示していただきたい、このことを冒頭特にお願いをいたしまして、以下質問に移らせていただきたいと思います。  まず、WTOがいよいよ平成七年度からスタートをする、こういう時期になってまいりました。今回のこの自由化といいますか、WTO体制への移行、特にその中で米を初めとして農産物が大幅な自由化をされる、これにつきましては、今でもこれは私は間違いであったと思っております。それは、人類の将来、人口の増加、地球環境の将来、こういったことを考えますときに、この農業というものは世界のあらゆる地域において健全に成り立っていかなきゃいけない、私はこう思っております。単なるお金合理性だけで考えるような、そういう次元ではないと思っております。そういう意味におきましては、本当に残念であった、間違っておった。  しかも、大変恐縮な言い方ですけれども、特に我が国においてはあの交渉の終末において、まことに政治不在というか、そういうような状況の中でこれが決せられてしまった。非常にそのことは残念であると同時に、しかし今さらそのことを言ってみても始まらないわけでありまして、そういう中でいかに日本農業がしっかりと成り立っていくか、このことを考えなきゃいけない。  そのような思いを持ちながら、まずお伺いいたしたいのは、このWTO体制下における日本農業、これがきちんと成り立っていくようなそういう政策をどうとっていくか。特に酪農畜産というものは、先般来の牛肉の自由化によって大変な打撃をこうむっておるところでございます。その酪農畜産を含む日本農業全体、WTO体制下においてちゃんと、大丈夫守っていくんだ、こういうようなお気持ちで農政を進めてもらいたいと思うのでありますが、まずその点について政務次官農林省としての基本的なお考えをお伺いしたいと思います。
  4. 谷津義男

    谷津政府委員 松岡先生の御質問お答えを申し上げます。  まず、先生におかれましては、このWTOが発効する前、いわゆるガットウルグアイ・ラウンド交渉のときにも積極的にジュネーブの方にも行かれ、あるいはアメリカ等にも行かれまして、非常に先生のこの問題に対する熱意と情熱に対しまして私どもも敬意を払っているところでございます。  我が国農業農村は、社会経済情勢の変化の中で、担い手の減少、高齢化など大変困難な状況にあることは先生も御承知のとおりであります。加えて、本年四月から、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施によりまして、新たな国境措置のもとで厳しい環境に置かれているものと考えておるところであります。  このような情勢の中で、二十一世紀に向けて我が国農業の将来展望を切り開き、効率的かつ安定的な農業経営生産の大宗を担う力強い農業構造と、住みやすく、活力に満ちた農村地域を早期に築いていくことが必要であるというふうに考えているところでございます。  このためには、政府としては、昨年十月に決定された対策大綱に示された具体的施策を含め、二十一世紀に向けて我が国農業農村が自立と持続的発展を遂げるように全力を尽くしてまいる所存であります。また先生の御指導等もいただきながら、しっかりこの辺のところを踏まえてやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  5. 松岡利勝

    松岡(利)委員 今基本的な方向を示していただきました。いずれにいたしましても、今の政務次官お答えは、日本農業を守るためにあらゆる観点から、先般お決めいただきました六兆百億を基本にしながら、それ以外の、そのときそのときに生じてくる問題に適宜適切に対応していく、そのお考えを示されたものであろうと私は思います。  特にそういう中で、今回の畜産物価格というのは、これから自由化体制の中で日本農業がどうしっかりと生き残っていけるかそのスタートの一番大事な、通常の年の畜産物価格とはまた違った意味でこれは大変意義深い重要な価格決定であろう、私はこのように思います。  そういう中で、きょう食肉の点については諮問をいただくようでございますが、その諮問につきまして今お聞きをいたしているところでは、肉の点につきましては、本当に自由化の中で酪農畜産もこれは大変な打撃をこうむっております。特に豚なんかにつきましても、これは大変な落ち込みょうでございます。しかしながら、豚についても、農家の切なる願いをお聞き届けいただいて、四百円というのはこれは守った形で諮問をいただいておる。その他の分野につきましても、それぞれに大変御配慮いただいた諮問をいただいておる。食肉の点について、私は、これはそれなりの評価ができる、ありがたい方向を示していただいているなと評価する次第でございます。  問題は、きょうからあしたにかけましての乳価でございますが、これまた今大変な状況に置かれておりまして、そういう意味で、この乳価につきまして特に御配慮を賜って、あしたの諮問、そしてまた審議会の答申に結びつくようにしていただきたい、この点は特に私は要請をする次第であります。そして、WTO元年で、自由化になって本当にこれはどうなるかと心配と不安ております農家に対して、心配ない、大丈夫だ、ひとつ頑張ってくれ、こういうような形になりますように特別にお願いをして、この点は終わりたいと思います。  次に、実は農産物の問題でいつも出てきますのが農産物価格内外価格差の問題でございます。この内外価格差ということで、いかにも農産物が悪の権化みたいに言われまして、高い物を消費者が買わせられる、その農業を保護してけしからぬ、こういうようなことを言われるわけでありますが、これは内容をよく見てみますと、もうこれは農林省はおわかりと思うのですが、農産物内外価格差の元凶は農業サイドにあるのじゃないのですよ。私は、米の問題のときにも、アメリカに行ったときにいろいろアメリカ議員やりとりをするとき、ジュネーブヘ行ったときよその国の議員やりとりをするとき、これは調べましたけれどもアメリカ日本を比べますと、米は第二次生産費アメリカのまさに十倍の費用がかかっているのですね。  その内容は何だというと、これは農機具であり、肥料であり、いろいろな骨材ですね。ビニールにしても、ビニールパイプにしましても、そういったものが全部足されて、米については十倍だ。酪農の点につきましても、調べてみますと、要するに製品としての乳価の差よりも、農業酪農生産資材、これに係る内外価格差の方が、実ははるかに大きいのです。  例えば、ガソリンなんかは日本ガソリンアメリカの四倍いたしておりますし、農機具とかその他の飼料とかいろいろな分野でもこれは外国の数倍しておる。そういう生産資材、それを供給しておる会社、そこの人たち賃金、これは都会のサラリーマンです。その人たち賃金を賄うために農家は高い生産資材費用を払って、そのお金生産するものですから、結果として乳価も高い、この乳価が高いところだけとられて、農業はけしからぬ、農家はけしからぬ、こんな話になっているのですが、これはもうまことにもってすりかえであります。  したがいまして、この内外価格差の問題、この農業資材内外価格差解決こそが一番優先されなければいけない問題だろうと私は思います。このことを世論に、マスコミにあまねく知らせると同時に、そこのところの解決をすれば、日本農産物価格というのは今よりはるかに安くなって、逆に外国との競争力がつくわけであります。この点が今まで全く無視されておった。この点につきまして、私は、特に農林省取り組みを、一言で結構ですから御認識と同時にお伺いをしておきたいと思うのです。
  6. 谷津義男

    谷津政府委員 松岡先生の御質問先ほど畜産酪農関係の話がありましたが、認識は全く同じでございますので、ウルグアイ・ラウンド初年度ということもありまして、その辺のところはしっかりと踏まえてこの対応に当たっていきたいというふうに考えているところであります。  ただいまの内外格差の問題でございますけれども、これは配合飼料農業機械等内外価格比較については、品質とか装備とか流通形態等の諸条件が違う面もありますものですから、単純に比較するということは適当でない面もあろうかと思いますけれども、あえて単純に配合飼料あるいは農業機械等についての内外価格比較してみますと、例えば配合飼料につきましては、採卵鶏用及び肥育豚用飼料については、比較を行った場合に、平成五年度でありますけれども、米国の配合飼料価格日本に比べて六割程度とされております。また、台湾の配合飼料格差はほぼ同水準ではないかなという、あるいはまた八割程度となっておることが見受けられます。  また、農業機械につきましては、乗用型のトラクターにおいては、輸入機日本での販売価格は、イギリスにおける販売価格類似性の高い型式のもので比較を行った場合に、平成六年夏の時点で、イギリスでの販売価格日本に比べて八割程度というふうに見られます。いずれにしましても、農業生産コスト低減を図るためには、農業生産資材費の節減が最も重要な課題であるというふうに私も考えているところであります。  このためには、農林水産省といたしましても、例えば配合飼料については、配合飼料工場集約化、あるいは生産受委託等合理化の推進を図っていかなければならないというふうに考えておりますし、また農業機械については、農業団体メーカーに対して、価格交渉における適正価格設定、あるいは過度のモデルチェンジの抑制をしなければならぬ、あるいは部品の共通化流通合理化等も図っていかなければならないというふうに考えております。まずはコスト低減に努めるようにただいま指導しているところであります。  今後とも、農業生産コスト低減を図るために、関係省庁とも連携を図りながら、生産資材の製造、流通及び利用の各段階における対策に万全を期していきたいというふうに考えております。
  7. 松岡利勝

    松岡(利)委員 ぜひこの点はお願いいたします。  農業サイドに対する指導ではなくて、農業外の、簡単に言うと、あの日経連の永野さんという会長、私はあの人はおかしな人だといつも思っているのですが、ああいう経済界、あの人たちのもうけのために農家は高い物を買わされて、その結果、高い農産物になっている。だから、外に向かって、経済界、特に日経運永野会長さんあたりの耳元に行って、あなた方がちゃんとすれば農家もちゃんとなるんだ、農業もちゃんとなるんだ、こういう形でひとつ特段のお取り組みお願いしたいと思うのであります。  次に、昨年は農産物価格、その中でも乳価が特に三円五十銭も、これは乳業メーカーですね、その方の一方的、まさに強権的とも言えるようなやり方で、一方的に押しつけられて引き下げられました。一方、メーカーは、大変な猛暑でその売り上げが伸びたということもございまして、私もここに資料を持っていますが、一々申しませんけれども史上空前利益を上げておる。一方で、農家は三円五十銭も引き下げられている。それで大変な打撃を受けて、暑さの中で牛も死んで、こんな状況でございます。去年は私ども、野党にありました。まさに政治としてそういう後押しかできなかった。非常に残念でありますが、これだけ一方的引き下げ、そして自分たちは大変な空前利益を上げている。これはやはりお互いの、酪農乳業、これは一心同体のはずでありますから、少なくとも還元をすべきではないかと思っております。  農林省は、酪農経営の安定を図る、それがやはり使命でありますから、そういう立場に立って、直接的な権限はないにしても、この乳業メーカーに対しまして、農林省としてやはり何らかの働きかけ、指導をすべきではないかと私は思っておりますが、これも一言で結構でありますから、どういうお考えになっておるか、賜りたいと思います。
  8. 谷津義男

    谷津政府委員 だいまの委員の御質問にありましたように、この価格決定につきましては、実需者そして生産者との間の交渉ということで、おっしゃるとおりでございまして、本省がこれは中へ入って決めるべきものではないということは承知しておるのでありますけれども、この当事者間の交渉について、私自身も昨年来の様子を見ておりますと、いま少し何とかならぬかなと正直に個人的には強く感じているところであります。  そういう観点から見ましても、ことしもかなり生乳は不足するのではなかろうかというふうな状況の中に置かれているだけに、この問題についていろいろと実は苦慮しているというのが私自身の実態でございます。今回はまた別な団体も強力に出てきているようでありますから、その当事者間の折衝を見ながら、本省といたしましても、いろいろとまたその辺についての対応等考えていきたいなというふうにも考えているわけでございます。
  9. 松岡利勝

    松岡(利)委員 この点は農林省は確かに第三者かもしれません。しかし、酪農経営の安定、農家経営の安定、こういう観点から農林省はあらゆる政策を講じておるわけでありまして、余りにも理不尽な、一方的なそういう押しつけに対しては、やはり行政の立場に立って理不尽なことはやめさせるような、そういうことをしっかりとやっていく、これがまた農林省に求められた、また農家が期待する、農民が期待する、社会的公正、正義の上からもそれは当然やってしかるべき農林省役割だと思いますから、私はこれ、適時適切に、勇断を持ってこの点でも農林省のお取り組みお願いしたい、こう思うわけでございます。  最後に、もう時間もなくなりましたので、一つだけ個別具体的なことをお伺いいたしますが、私は、これはもう何度もここでも質問させていただきました。  私は熊本県の阿蘇が出身でございますが、あの阿蘇景観というのは、世界阿蘇と言われまして、大変すばらしい国立公園でございます。この国立公園、あの阿蘇景観が何で守られておるかということはもう何度も申してまいりました。赤牛放牧いたしますから、その放牧のために野焼きをするわけでございます。これは農家が全部、ノルマで出るわけです。牛がおってもおらなくても野焼きをするのです。私も昔野焼きに百姓の息子ですから出た経験がございます。そういう中で、今は野焼きに出ないと七千円負担をしなければいけない。こういう負担によってあの野焼きがずっと守られてきて、それによってあの景観がすばらしく維持されてきた、こういうことでありまして、まさに阿蘇農家の、畜産農家負担によってあのすばらしい景観が守られる。  景観が守られただげじゃないのです。国土保全がそれで図られているのです。この前も新聞に出ておりました。実は阿蘇郡十二町村のうち一町村、白水村というところがことしから野焼きはできないというふうに、この何百年の中で初めてそういうことが起きました。これは人がいないということと、やっぱり財政的負担に耐えられない、こういうことでやめてしまいました。そうしたら、すぐ新聞に出ました。保熊本で昭和二十八年に大水害がありました。これはやっぱり、その前の二、三年野焼きをしてなかった。野焼きをしていないものですから草の根張りが悪いのですね。草の根張りが悪いものだから土がぼさぼさになって、火山灰土壌ですから、そして土が浮いたようになって、それが結局水とともに土砂を押し流して大災害につながった。こういうことでございまして、まさに農業が果たしておるいろいろな役割の、人の生命、財産を守る、本当にその基本でございます。  これは環境庁畜産局も、特に環境庁ですけれども、これは、いやまあ何とか私ども畜産の健全な発展を期待しておりますなんという言葉だけで済ませるそういう段階ではない、私はこう思います。本当に、一遍だめになってしまったら、これは二度と復活させることは極めて難しい。  そういう観点からも、これは畜産振興と絡む話でもございますけれども景観の維持、国土保全、そういう面からもこれはどうしても必要な問題でございます。環境庁としての取り組み基本を聞かせていただいて、基本だけではなくて、具体的な対策をひとつ求めてこの質問をしたいと私は思いますので、これを最後に終わりたいと思いますが、環境庁見解と、そしてまた環境庁農林省畜産局一体となって取り組んでいただきますよう、畜産局見解もお聞きして終わりたいと思います。
  10. 鹿野久男

    鹿野説明員 先生御指摘の阿蘇くじゅう国立公園でございますが、これはただいま先生おっしゃるとおり、世界一の大カルデラの地形とそれから雄大な草地景観から成り立っております。このような草地景観といいますのは、長い間放牧火入れ草刈りといったような、放牧に伴う長い間の人為行為によって維持されている景観でございます。そういうことからして、火入れ等行為といいますのは、阿蘇くじゅう国立公園草地景観を守る上で重要であるというように認識しているところでございます。  環境庁といたしましては、基本的には、放牧火入れ草刈り等阿蘇畜産産業が将来とも健全に維持され、その結果として雄大な草地景観が維持されることを期待しているところでございますが、私どもといたしましても、草地景観価値を多くの人に再認識してもらおうということで、昨年の十一月には阿蘇くしゅう国立公園指定六十周年記念事業の一環といたしまして、草地景観価値についてという演題のシンポジウムを開催したところでございます。また、本年の三月には野焼きの重要性とその労力の大変さについて理解していただくべく、野焼き体験ツアーというものを実施しております。  今後とも関係行政機関とも連携を保ちながら、草地景観の維持が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
  11. 谷津義男

    谷津政府委員 畜産局に御質問でございますが、この問題につきましては、実は昨年私が向こうに調査に行きました関係がございますので、それで私の方から答弁をさせていただきたいと思います。  野焼きにつきましては、今松岡先生からもお話がありましたように、人手不足のためにとうとう昨年できなかったというようなお話を伺いました。何か娘さんまで出ていただくような状況だったという話も現場で聞いてきたわけでありますけれども、非常に高齢化農家戸数の減少等によって、とうとう減少をするだけじゃなくてできなくなってきた。そこで、畜産振興観点から野焼きに何らかの助成をというお話も今ありましたけれども、なかなかこの点については非常に厳しい点もございます。しかし、何とかこの辺は考えなければならぬかなというふうな考えを強く持ってきました。  また、そのとき県の部長さんも御案内いただいたわけでありますけれども、この問題については、観光資源としての維持対策国土保全等の観点からも、熊本県としてもこれを検討を進めておるというふうなこともおっしゃっておりましたものですから、この辺も含みあわせまして、本省も積極的に何か対応考えなければいけないかなというふうにも考えているところであります。  以上でございます。
  12. 松岡利勝

    松岡(利)委員 時間でありますから終わります。ありがとうございました。
  13. 中西績介

    中西委員長 遠藤登君。
  14. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 食糧政策農業問題については、松岡先生とは基本的に認識は同じであります。それで、大事な肉の価格乳価の問題などについては、特に肉の問題についてもきょうは審議会が行われておる、大臣も審議会諮問案を提起してきたのではないかと思いますが、非常に農業情勢、特に畜産情勢は、今松岡先生からお話もありましたように厳しい現実にあるわけでありますが、少なくとも安定経営を維持して再生産の展望を切り開くような体制、いわば価格政策、所得政策が極めて重要な意味合いを持っているというふうに思う次第であります。  まず、審議会価格決定をするに当たりまして、乳価も含めて農林省所管大臣としての基本的な考え方についてお聞かせをいただきたい。
  15. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 ガットウルグアイ・ラウンド等の農業合意の受け入れその他、激しく変わる国際環境のもとにおきまして、本年度の畜産物価格決定は慎重の上にも慎重でなければ相ならぬというふうに、さように思っておるところでございます。  それぞれの価格決定についてはもう既に委員御案内のとおりでございますが、加工原料乳でいえば、加工原料乳の生産者補給金暫定措置法、いわゆる不足払い法に基づきまして、生産費なりあるいは需給事情等を勘案しながら再生産確保ということに努めるわけでございますし、食肉についても、牛肉なり豚肉についても、それぞれ生産費なりあるいは需給動向等見まして適切に決定しなければならないわけでございます。  子牛価格の補給金制度についてもまさに同様でございまして、その原則でやっていきたい。合理化目標価格等についても、牛肉の国際価格なり、あるいは肥育農家の視点から見て採算可能な素畜の価格の水準を実現するための指針ということで決めなければ相ならぬということになっておるわけでございまして、それそれについては一般原則以外にそれぞれの算定方式がございますので、それらについての価格決定諸要素を慎重の上にも慎重に見据えまして決定をいたしたい、さように思っておるところでございます。
  16. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 生産費の算定のあり方について、これまで長い期間にわたって問題提起をされてきたということがあると思いますが、一つは、生産性を向上する、生産性の向上に努力した分についてこれは全額生産費を引き下げる要因というのはいかがなものか。やはり農家それ自体の努力した分についてはきちっと報いてやるべきじゃないのか。それは、一層細心の努力を傾けて生産性を向上しなさいといって、その努力した分を全額引き下げ要因にするというのはいかがなものかということを特に感じているものでありますが、これはこれまでも多くの先輩の皆様初め、大変な問題提起をされてきたということがあります。  それから、特に畜産の場合は、子供さんもじいちゃんやばあちゃんも、家族全体が生き物の管理に当たっているという、労働費の算定のあり方についても、これはそれぞれの、個々の経営によって違うと思うのでありますが、小学校の子供らから、あるいは小学校に入らない子供からえさをはんだり、大変な家族全体的な、協力して畜産の経営が営まれている。そういう家族全体の労働費の部分も、これは個々の経営によって違うと思うのでありますが、もう総体的にそういう状況というものを配慮してやるべきじゃないのか。  それから飼育管理費、これは生き物を扱うわけでありますから、例えば五人以上の製造業の場合は八時から五時までいあるいはボーナスやその他の残業手当なども含まれるということだと思いますが、特に今の場合は分娩の時期でもあるし、お産をする家畜がいれば、それはもう家族全体であれば夜を徹して分娩の手当てに当たるということでありまして、病気をすればそれは大事に管理をする。生き物を飼育する、扱うというのは、単なる労働とは違うのじゃないか。それは管理費の面でもその分は、生き物を管理する、飼育するということについては、単なる製造業の労働の体質と中身が違うのじゃないか。そのことについても十分な配慮をする必要があるのではないかというふうに思うのでありますが、それから、今先ほど松岡先生からもおっしゃられたのでありますが、農業機械生産資材ですね。  農業機械を初めとして生産資材がいわば、農業機械の場合は耐久化の問題、あるいはその価格の問題ですね、このことについては余り重視をされてこなかった。まあ私はそういうふうに感じるのでありますが、もちろん私たちの努力も足りなかったというふうに思うのでありますが、こういう開放化の時代に入って、あるいはガット関連の中でますます関税の引き下げの問題を含みとして自由化体制の波の中に入っていくわけでありますから、このことについてもっと大胆に、粘り強くやはり対応していかなければならないのではないだろうかというふうに、生産費の算定のあり方、畜産をめぐる、あるいは農業生産の構造をめぐる考え方の視点に立ってそんなことを特に感じるのでありますが、そういう問題点についてのお考えがありましたらひとつお聞かせをいただきたい。
  17. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 遠藤委員の御指摘は数点あるかと思うわけでございますが、一つは、いわゆる生産性向上のメリット、これを全部国といいますか財政の方で吸い上げるのはいかがなものであるかという御議論でございまして、これはかねてからの畜産物価格、特に加工原料乳の価格決定の際の論議のあるところでございます。  これについては、加工原料乳は御案内のとおり、飼育管理労働については特別な、加工原料乳地域の五人以上の製造業労賃に評価がえをする、その評価がえをした労賃は、その製造業の方の生産性の向上があれば、労賃が高まれば、そのまま反映をしておるというような面も実はあるわけでございます。  それからまた、不足払い制度は御案内のとおり財政の補給制度でございますので、その点については、メリットについてこれをそのまま生産者に還元するというわけにはなかなか消費者、国民に対する建前としても問題があるというようなことでございまして、その点については、従来もその時々における酪農経営等の置かれた条件を見て、そして生産性向上のメリットという名前はつけませんけれども、いろんな配慮があったものであるというふうに私は記憶しておるところでございます。  それから、飼育管理労働は、確かに畜産については時用牛もそうですし酪農等もそうでございますが、この点については、その価格決定のもとになります統計情報部の生産費調査、これに基づくわけでございますが、その労働時間の盛り込みその他については逐次整備されてきておるところでございまして、労働時間についての実質的な反映というものは確保されておるものではないかというふうに私は思っております。  それから第三点の農業資材費の問題、コスト引き下げのためには機械を初めとする農業資材問題、確かにそのとおりでございまして、今後の農畜産物コスト低減、これが国際化において一層必要となる場合においては、従来の施策以上の各般の面での努力をいたさなければ相ならぬというふうに思っているところでございます。
  18. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 これは主に通産などとの関連が重要になってくると思いますが、やはり運輸省を含めて、農業機械、トラクターなどの車検の期間の延長の問題なども含めてやはり関係省庁との十分な意思疎通を図って、生産性の向上の面について万般にわたってそれは特に重視をして対応していただきたい。その上に立って生産コストを削減をする、そして安定的な経営と再生産を確保するという価格政策と所得政策も十分配慮しないと、これは戸数がどんどん減る。あるいは、飼育頭数が若干ふえた、規模が若干拡大をされたということがあるにしても、やはり日本畜産日本からどんどんと後退をする。いろいろな農林省調査でも、とにかく酪農なら酪農をやめるという方々の大方は、大体半分ぐらいは、まず高齢になった、担い手が、なかなか継いてもらえないという方が五割も超えるという状況なんですね。それはやはりいろいろ環境の条件もあるし、労働の過重の問題もあるし、縛られるという問題もあるし、幾多の要素があると思いますが、基本的にはやはり価格的なもの、所得的なもの、それから労働条件だと思うのですね。その点の改善に向けて誠心誠意、行政側も、政治の側も精いっぱい農家の努力と歩調を合わせて努力しないと、日本畜産というのは、農業というのはなくなっていくのではないか、大変心配、危惧をしているわけでありまして、大臣は百もおわかりでありますから、大胆にこのことに意を注いで、努力を積み上げていかなきゃならぬのじゃないかというふうに特に要望をしたい。  その上に立って、特にあしたの審議会に向けて、乳価の問題、限度数量の問題など、これからとみにまた問題になってくるわけでありますが、先ほども大臣、答弁されたのでありますが、このことについてのお考え方、対処方針ですね、このことをちょっと改めてお聞かせをいただきたい。
  19. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、いわゆる不足払い制度、これに基づく保証価格決定につきましては、加工原料乳地域生産費をもとにいたしまして、生産条件なり、あるいは需給事情を勘案して決めるわけでございますが、あの御案内の算定ルールによりまして、資材についての物価修正をいたす、それから労賃について、製造業五人以上の労賃に評価がえをいたすというルールに基づきまして決定をいたしたいというふうに思っておるわけでございまして、実は明日の畜産振興審議会への諮問を前にいたしまして、最終の詰めに我々としては入っておるところでございます。  やはり最近の生産費調査なり、酪農情勢を見ますと、例えばぬれ子だとか、あるいは老廃牛というような副産物収入、これが低水準にあるというような状況がある一方、他方においては、生産費の大体二割を占める配合飼料、こういうものが相対的に安い水準になっておる、それから労働費も減少しておる、さらには乳量も北海道等においては増加をしておるというようなことがございまして、それらの諸要素を勘案して決めなければ相ならぬというふうに思っておるところでございまして、なお詰めておる最中でございます。
  20. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 とにかく海外の輸入物がもう年々増大をするという状況があるし、しかも価格の問題にしても所得の問題にしても、国内の畜産酪農というのは大変な環境にありますから、そこに明るい展望を見出せるように勇断を持って対応してもらいたいということを強く求めたいと思います。  それから特に、時間がありませんから、ヘルパー制度の強化拡充、支援体制について、これはもう積極的に今までの対応も見直しながらやるべきじゃないか。それから負債対策のことについても大変な御心配をいただいておりますが、このことについても基本的な考え方について時間の範囲内でちょっとお聞かせをいただきたい。
  21. 福島啓史郎

    ○福島説明員 お答えいたします。  先生今御案内のように、酪農経営といいますのは家族労働を主体としておりまして、かつ、毎日の搾乳労働が必須であるということから、周年拘束性が強い労働環境となっているわけでございます。そのために、平成二年から酪農ヘルパー事業円滑化対策事業を実施いたしまして、休日の確保または冠婚葬祭等の場合に飼養管理の代行を行う酪農ヘルパー組織の整備、その普及、定着化を推進しているところでございます。現在、四十六都道府県におきまして三百七十五の酪農ヘルパー利用組合が設立されておりまして、約二万戸の酪農家が加入しております。そのうち四分の三の農家が年間平均十日の定期利用をするなど、着実にヘルパー制度は普及、進展しているわけでございます。  特に平成六年度から、高度な技術を有しまして利用農家に信頼されるヘルパー要員の育成確保を図るという観点から、酪農ヘルパー事業安定特別対策事業を実施いたしまして、養成を図っておるところでございます。また、地方交付税の措置によりまして、後継者の育成確保等を図り、また後継者の研修、あるいは新規就農者の奨励、ヘルパー組織の育成等、農山漁村対策の実施が講ぜられておるわけでございます。その中に先ほど申しましたようにヘルパー支援策が含まれているわけでございまして、これらの事業を活用いたしまして、より一層ヘルパーの利用が促進されるように図ってまいりたいというふうに思っております。  次に、先生質問の負債の問題でございます。畜産経営の状況でございますが、農家経済調査の資産及び負債の増減からいたしますと、経営規模の進展等によります生産性の向上もありまして、全体的には改善傾向にあります。ただし、一部の経営におきまして負債に苦しむ農家が存在することは十分認識しているところでございます。これらの経営に対しましては、償還困難な負債を長期低利で借りかえる、大家畜経営活性化資金の融通等の各種金融措置を講ずるとともに、個別の経営改善指導に努めてきたところでございます。  さらに、ウルグアイ・ラウンド農業対策といたしまして、意欲的に営農を継続しようとする者の経営改善を支援し、既往の負債の負担の軽減を図るという観点から、先生御案内のように、農家負担軽減支援特別資金を創設したこと、また自作農維持資金の拡充を図ったこと、さらに農業経営基盤強化資金の拡充を図っているわけでございます。こうした各種措置を適切に活用いたしまして、畜産経営の一層の改善と体質強化に努力してまいりたいというふうに思っております。
  22. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 時間でありますから終わりますが、やはり自給飼料の確保の問題を含めて、それからふん尿処理と環境改善の問題などについて特に重視をして対応してもらいたい。それから、関連対策についてさらにこれから詰めるということがありますから、それは総合的に各分野にわたって手厚い手だてを決断できまするようにお願いをしまして、終わります。どうもありがとうございました。
  23. 中西績介

  24. 北村直人

    北村委員 毎年行われております酪農畜産物価格決定する三月が、またことしもやってきたという感じがしております。  そこできょうは、私の時間三十分でありますけれども、ローカルな話になりますが、北海道は酪農畜産物のこれまたメッカでもございます。そして北海道の生産者の方々は、地理的にも、あるいは環境的にも、そして気候的にも非常に厳しい中で、国民の皆さんの健康を守っていく、特に乳製品を通じて国家の皆さんにという誇りを持ちながら農業酪農畜産にいそし人でございます。そういった意味で、北海道を中心とした質問にはなりますけれども、そのことをまずお許しをいただきたい、このように思います。  もう大臣御承知のとおり、日本酪農というのは特に戦後の復興に大きな役割を果たしたということは、これはもう論をまたないわけであります。しかし、ヨーロッパ等々の先進国の酪農あるいは畜産、こういったところで百年あるいは百何十年かかってつくり上げてまいりました、あるいは国民の合意を得ながら何の不自然さもなく酪農畜産というのがその国の基幹産業である、そういうふうに思われているヨーロッパのそれぞれの地域、それと、北海道は、御承知のとおり数年ごとの冷害ということがございました。戦後いろいろな開拓の中で、生産者の方々は本当に苦しい思いをしながら、冷害を克服するために何が一番いいかというような形の中で、国の御指導もいただきながら、あるいはみずからそういった判断に基づいて、酪農畜産というものを選んできたのは事実でございます。  ですから、北海道の酪農というのは、一つには冷害から始まったと言っても過言ではない。そしてその中で、大臣御承知のとおり、土地改良という、決定的な、大きな、規模拡大に向かっての土地改良が行われていった。土地改良と同時に規模が拡大されていった。となりますと、私は、当時、第一次構造改善事業等々から出発した土地改良あるいは規模拡大、これは生産者の皆さんにとっては夢を与える、そしておやじも頑張っているからおれも頑張ろう、こういうことで後継者の方々も力強く後を継いできた、こういうことが言われるわけであります。  しかし、本当に酪農家の方々、生産者の方々が、将来の目標というものを見定めて規模拡大をしてきたのかな、となると、私は、どうもそうではない。ただ単に、目標なき規模拡大、つまりそれは、一つには確かに生産者の方々から要望があり、この今の生産費補償方式、北海道の加工原料乳地帯の補償方式ということがありますけれども、毎年毎年、牛舎からの生産者の皆さんのメッセージでいけば、生産性が向上すればするほど乳価が下がる。つまり、数字というものは冷酷なものであります。生産費補償方式にとられる、生産費の中にとられるこの数字というものは、規模が拡大されれば、あるいは頭数がふえれば、乳量がふえれば、あるいは機械化が進めばこれは労働時間が下がってくる。つまり、全部、生産性が向上すればその分機械酌に生産費が下がってくる。  これはまあ制度上やむを得ないといえばそれは仕方がないことではありますけれども、だからこそ私は、生産費補償方式の中で最終的に政治的な判断が必要である。大臣御承知のとおり、生産費調査で出てきたこの価格、一キロ当たりあるいは百キロ当たり幾ら、何円である。しかしそれを、直近のいろいろな状況を踏まえながら、そして最後には大臣やあるいは政治家の皆さんの判断によって、ことしはこういう価格にしようではないか、それでないと将来的に展望ができない、こういう判断で政府価格あるいは関連対策というものが決められてきた、私はこう思いますけれども、大臣はいかがお思いでしょうか。
  25. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 酪農問題に大変お詳しい委員に対してちょうちょう申し上げるのもいかがかと思うわけでございますが、不足払い制度、これは御案内のとおり、加工原料乳地帯である北海道の生産費をもとにして、物価修正なりあるいは労賃の飼育管理労働費については五人以上の労賃に評価がえするというようなことで、再生産確保の基準をつくってきたところでございます。  お言葉のように、生産性が上がると当然価格算定のルールからいえば下がるわけでございまして、その点についていかがかと思うわけでございますが、これは財政補給をしておるという点が一つあるわけでございまして、なかなかにその点については、国民、タックスペイヤーに対して、その納得のいく合意を得ながら価格決定をする点については、制度の安定性からいってもやはり考えていかなければならないわけでございます。  しかし、その間においても、これは北村委員よく過去の乳価決定等についても御案内のとおり、その場合においても、種々の配慮をいたしながら、生産者等の意向にもこたえるような点についての努力もされたことは否定できないところでございます。  しかし、特に最近におきましては、規制緩和による価格政策の見直しというようなことがいろいろと言われております。我々は、農業政策の領域で、この規制緩和一辺倒で畜産物価格政策等を論ぜられることは全く反対でございまして、今回の規制緩和問題においてもそのらち外に置いたわけでございます。  いずれにしても、やはりその制度の安定的な運用については国民的な強い関心のあるところでございます。したがって、現にかなった価格決定、これをいたさなければならないという段階であることも御承知願いたいと思うわけでございます。
  26. 北村直人

    北村委員 大臣の今のお話をまとめさせていただければ、一つには制度を守っていく、あるいは国民の合意を得られる、そして理にかなったやり方をしていく、しかし最終的には政治家がやはり決定していくということも大事であるというふうに私は認識をしたところでございます。  それで、畜産審議会に対して必ず政府諮問をするわけであります。そして、審議会の中でいろいろな議論が行われて、大臣に対して答申が出てくるというのがこの制度の基本的な問題であります。  しからば、平成六年の三月三十日には、政府諮問に答申が出ました、審議会の森会長から。この答申の、これは表に出ているというのでしょうか、我々が目にする答申は、「政府諮問に係る保証価格等及び限度数量については、一部に不満があったが、生産条件、消費の動向、需給事情その他の経済事情を総合的に考慮すると、政府試算に示された考え方で定めることは、やむを得ない。」こういうふうに当時の畑農林大臣に答申がされている。そして建議がついているわけであります。  そのときに出てきた保証価格というのは七十五円七十五銭、これがこの答申であります。ところが、ことしの二月から農林事務当局は、それは確かに七十五円七十五銭にしていったいろいろな試算のあれがあったでしょう、積み重ねをしていくいろいろなことがあったでしょう、しかし、いろいろなところで七十五円七十五銭ではあったけれども、しかし政府の試算は七十四円七十四銭である、こういう言い方で、私のところにも参りましたし、あるいはいろいろな各代議士のところに、実は七十五円七十五銭ではない、七十四円七十四銭でした、それが政府の試算でありますと。  そうなると、どこにこの答申で七十五円七十五銭というのは出てくるのか。それはいろいろな試算の仕方があったでしょう。そして七十四円七十四銭というのも一つはあったでしょう。しかし、政府が七十五円七十五銭で試算をして、それを諮問をしなければ、審議会の中で、これは七十五円七十五銭という答申が出てこない、こう私は思うわけであります。  ですから、別にこれに対して答弁は要りません。これは私は、去年のこの答申は七十五円七十五銭である、これ一言だけ、間違いございませんか。それだけお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 福島啓史郎

    ○福島説明員 諮問はそのとおりでございます。
  28. 北村直人

    北村委員 諮問はこの諮問、そして答申は七十五円七十五銭。ということであれば、事務方の方々は、多くの代議士の皆さんのところへ行って、それこそトランプであればエースを引かさせておいて、いや、実はあなたの引いたのはジョーカーでした、こういう言い方で、どうして根回しに走るのでしょうか。  答弁は要りません。そういうこそくなやり方はすべきでない。私も農林省の皆さんと長いおつき合いです。別に言われなくたって、その積み重ねというものにどれだけ事務方の皆さんが努力をされたかということはわかっております。しかし、生産者の方々は、七十五円七十五銭ということで、そして手取りは七十八円七十五銭、これを信じ切って去年一年間生産をしてきたのです、営農してきたのです。それを三月になって、いや、実は七十四円七十四銭が本当でした、これでは生産者の方々を、農水省の皆さんの方でその信頼関係を全くなくすることになってしまう。私は、今後はそのような、ちょっと言葉は悪いですけれども、こそくなことはすべきでない、審議会があるのであれば、審議会へ出てきたものをきちっと基準としてやっていただきたい、そう思います。  それからもう一つは、あとこの三円の問題があります。これも、これはことしになって出てきたのを、単年度限りの措置として、UR対策で二円、冷害対策で一円、こう出てくるのですよ。だけれども、去年、そんなことどこにも出ていないのですね、実は。それはいろんな考え方あるでしょう。だから、これも去年のいろんな資料にはそこのところが出てなくて、ことし出てくるいろんな資料の中には、単年度限りの措置として二円と一円というふうに区分けされている。  私もわかりますよ、予算の関係ですから複数にわたってこれをどうこうなんということはできないというのは、これは行政上の、あるいは予算措置の中ではわかります。しかし、わかりますけれども政府とあるいは政治家、政党が、やはり暗黙と言ってはあれですが、あの、それこそ畑作三品のときだって、単年度ではない、複数だということをそれぞれが認識をした上で、次の年にもそれが反映をされていく、これが私は政治の継続性ではないかと思います。それを、去年は去年だ、予算が単年度限りだからこれは全部単年度です、こう切られてしまったら、私は、一人の政治家としても、そこに対して不信感を呼びますし、それから生産者の方だって、何だ、政治家は言っていることが違うじゃないか、こういうことに実はなって、生産者の方々の農水省に対しての不信感というものだけがますます増大していくのではないか、私はこう思います。  これに対してのいろんな言いわけはあると思いますよ、言いわけはあると思う。しかし、言いわけを聞いていると時間がありませんから、そこにどんどん理詰めで、いやいやそうではない、こうこうこうだとなるとあると思いますが、大臣、手を挙げられましたので、簡単にそこのところだけ、これは継続性ということで。
  29. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 保証価格以外の横積みの問題は、これはもう北村委員十分御理解のところでございまして、保証価格以外に、その年々の酪農経営の実態に即して、単年度で、それぞれ技術の改良だとか、その他いろいろ、平成三、四、五とございました。そういうことでございまして、あくまでも、そのときどきの酪農情勢によって、必要な措置としての対策でございます。したがいまして、我々としては、従来もそのように思っておったところで、従来どおり、そう思っているところでございます。
  30. 北村直人

    北村委員 大臣はそう答弁するしかないんだと思いますね。行政的には、あるいは予算を執行する側とすれば、これは単年度ですから、単年度の予算に複数なんということは、これは口が裂けても言えないわけでありますけれども、しかし、大河原大臣も今まで、それこそ総合農政調査会長として、あるいは我々の大先輩としてこの農政に携わってこられた大先輩でございますので、そのことは十分承知の上で、やはり当時の政府・与党そして政治家等々が、将来にわたっての展望を含めた中で、これは、この三円については、経営の合理化あるいはガット対策、いろいろな問題で必要である、腹芸と言うと怒られてしまいますけれども、腹の中で、胸の中でそのことは継続をしていこうと、私はそういうふうに、昨年のワーキングチームの中で議論をさせていただいて、生産者の方々にそのこともお伝えをした。去年のうちでは、来年の政府・与党の方々が今度はどういう判断をするか、しかし継続性がある。それでなければ、今の村山総理がいろいろな政策についてと人とんどんどん変えていくなんということは到底考えられないわけでありますから、ですからやはり変えていくということは、そこにはやはり継続性がある、そのことをまず指摘をしておきたい、このように思います。  さらに、もう一つ、肉用子牛の生産補給金制度のことについてお聞きをしたいと思いますが、現在、F1とホルの雄子、これがどうも何か三月の十七日ですか閣議決定でこれは一つにするというふうな決定をされたようであります。それにはいろいろと関係団体だとかあるいは生産者団体の方々も入って決めたというふうに私も漏れ聞いております。しかし、どうもそこにも手落ちがあるように私は思います。それは事務方の方々と、あるいは北海道の道庁や、あるいはこれは北海道の方々にも責任はあるのかな、こう思いますけれども、道庁やあるいは生産者団体の上層部の方々、事務方だけでこれは決めていったのではないかな。生産者の方々の声は全くここには入ってないのじゃないか。  特に、F1とホルを一緒にするということは、それは制度上のいろいろなことはありますよ、制度を守っていくということ、これは大事なことでしょう、しかし、もしF1とホルの雄を一緒にしていくということになれば、このホルの方の、これはとんでもない、種を崩壊していくことにつながっていく。雑をどんどんふやしていって、同じ形の中で、同じロットの中で考えていったら、これはとんでもないことになる。私は一人の獣医師としても、このF1とホルを一つの制度の中で考えていくということは、これは私は納得できない。ましてや、北海道やホル、ホルスタインという一つの種というものを守るということであれば、ホルとF1ということはきちっと分けでこのことを考えていかなければならぬ。  しかし、三月十七日に閣議決定をされた。これは閣議決定をされたことですから、その背景にはいろいろなことがあるでしょう。しかし、先ほど言ったとおり、現地でも懇談会をしていますけれども、しかしここには全く生産者の人は入っていません。入っていませんよ。生産者の代表という人は入っていますよ、事務方の人は。そのことは当局の方はよく知っているはずです。  ですから、本当にまじめに生産をしている方の声をしっかり聞いていただいて、このF1とホルの、これを合作をしたような肉牛のこの生産者補給金制度の運用ということについては、即刻改めていただきたい。閣議決定はされましたけれども、そのことは即刻改めていただきたい、そのことについて御答弁を。
  31. 福島啓史郎

    ○福島説明員 お答えいたします。  先生質問の、交雑種F1の問題でございます。  従来、同一の品種区分に属しながら、頭数も少なかったためにこのF1が乳用種の平均売買価格の計算から除かれておったわけでございます。ところが、最近ではこれが二五%、四分の一を占めるなど、増加しているわけでございます。  そのために、こうした状況の中で、交雑種につきまして、先生の御意見は、現在の肉専用種以外の品種、つまり乳用種の区分から独立した品種区分にすべきではないかという御意見だろうというふうにお伺いしたわけでございますが、乳用種からつくられますF1につきましては、血統登録等客観的な証明書類がないわけでございまして、そのまま初生子牛の段階でロットとして流通し、また表現形態も、先生御案内のように極めて似通った、交雑種と乳用種と似通った表現形態をとるわけでございまして、これを厳正に区分することはできないわけでございます。  また、F1供給を、ニーズを的確に反映して供給を図っていくという観点から考えますと、独立した品種区分を設けてそこで価格差を固定するよりも、市場価格の動向に合った形で弾力的に供給ができる、つまり同一の区分に入れておいた方がいいという点もあるわけでございます。  さらに、先生御指摘の、ホルがなくなってしまうではないかという御指摘でございますが、町も供給がふえますと、これは平成五年の実態もそうだったわけでございますが、価格が低下するわけでございます。そういうことから、おのずから需給の均衡は図られるだろうということ。また、当然のことながら、酪農家は後継牛を確保するために、必要なものにつきましてはホルを授精させるわけでございますので、先生御指摘のような心配はないというふうに考えておりますが、さらに一層関係者の理解を深めてまいりたいというふうに考えております。
  32. 北村直人

    北村委員 大変心配があるからここで質問しているのですよ。今審議官が、その証明ができない、こう言っていますけれども、そんなことはありません。もしそんな認識なら現地に行って見てきてください。これはきちっと証明できます。もしそのことだけでこれを一緒にするなんて言ったら、生産者の人力を愚弄することになりますよ。これは証明、きちっとできますから、そのことを踏まえて検討に入ってください。これは私の要望だけにしておきます。三月十七日に閣議決定されたのを今すぐなんて、手続上そんな簡単にはやれないでしょう。  しかし、皆さんは重大な過ちを行っている。それも、まさしく制度を、制度として決まったからということで、まず団体や、あるいは生産者の方々にこれを説明しているのと、その一番のあれは、F1とホル雄、これが区別できない、証明ができない、証明する方法なんて幾らでもあります。ですから、そういうことをしっかり踏まえてこのことを、再検討をぜひお願いしたいと思います。  さて次に、先ほど自民党さんの方からヘルパー制度のことについては出てまいりましたけれども、やはりフレッシュなミルクを国民の人力が飲みたい、安全で安心して飲んでみたい、こういう消費者の意思というものが私は非常に強いと。そういったときに、牛乳を飲むことによってこれからの高齢化社会の中で医療費というものも軽減できるという方法もあります。あるいはその酪農、牛乳を搾るという、三百六十五日朝晩搾る、これは絶対に不可欠な労働です。普通のほかの労働とはまた違うのですね。生き物の中でも、それも国民の意思であるフレッシュな牛乳、安全で安心して安定的に飲みたい、そういう意思をしっかりやろうとすれば、この労働というものについては、ほかの一般の労働とイコールというふうに考えられないところがある。ですから、そうならば、やはりこのヘルパー制度というのは基金だけでは私は無理であると。ぜひここのところを、フレッシュな牛乳を飲みたい、安全で安心して飲んでみたい、そういう国民の皆さんの意思をきちっと踏まえたヘルパー制度というものを、これは何としても実現をしていただきたい、このように実は思います。  それからもう一つ大きな問題で、コントラクター事業がございます。しかし、今のトラクターは補助の対象にならないのですね。これは昭和五十四年だったと思いますけれども局長通達でこれはだめになっていますね。年数がどうか、ちょっと私もあれですが。  つまり第一次構造改善、第二次近代化、そういうときには、トラクター利用協同組合をつくりなさいというので、これはもう鳴り物入りで国があれしました。私のところもそうです。今でもトラクター利用組合、やっていますよ。ここに専用のトラクターの運転手を置いてやっていますよ。しかし、いろいろなところがトラクター利用組合をつくったけれども、結局は、最後は個々の農家のところにトラクターを張りつけをしてしまった。それが会計検査でいろいろな問題が起きて、トラクターはだめだと。しかし、この立ち上がりというのでしょうか、規模を拡大していく、皆さんの方が、ある程度規模を拡大していかなかったら、生産性向上をして安いものをつくれないというのであれば、一つの事業の中で規模を拡大していくということになれば、トラクターというのは不可欠なものなんです。ところが、そのトラクターだけは補助の対象にならない。ところが農林省の皆さんは、いや、地方の方から上がってくればいいですよと。しかし、局長通達があれば都道府県も、あるいは市町村も、それは局長通達は政治家以上に強いです。北村直人が何か言うよりも、局長がだめと言ったら、これは役所の人力、ひょっとしたら大臣よりも強いのじゃないですか、局長通達の方が。我々、どこにも決めたわけではないですよ。局長さん方は十万票いただいて選挙で当選してきたわけではないです。東大を出て、第一回目の上級職を通って、それは優秀な成績で入ったでしょう。しかし、国民から負託もされていない人が局長通達で、そしてその後は、いや、農林省はそれでもいいのです、上がってこないからだめなんです、だれも上げられませんよ、都道府県も市町村も。やはりトラクター事業というのも、これは特に農協だとか公社がやる事業についてもだめだ、これはやはり考えていくべきであると私は思いますけれども、どうでしょうか。
  33. 福島啓史郎

    ○福島説明員 まず、ヘルパーの事業でございますが、先ほどお話しいたしましたように、平成二年に基金を造成しまして運営費を賄っているわけでございます。また、平成六年には、要員確保のための研修に対しまして助成を行っておりますし、先ほど申し上げましたように、地方交付税措置によります農山漁村対策の中でヘルパー組織の育成も含まれているわけでございまして、これらの事業の活用を指導してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから、お話のトラクターの件でございますが、特に中、小型のトラクターにつきましては、要するに個人の営農用機械ということで、そういう性格が強いわけでございますので、これはたしか昭和五十五年だったかと思いますが、補助の対象から除外するという通達を、先生御案内のように出しております。馬力の大きい深耕用のトラクターにつきましては、共同利用等を条件に引き続き補助対象にしているというふうに記憶しております。そういうことでもって、そのかわりと言っては語弊がありますけれども、補助から融資へという考え方のもとに、改良資金等の無利子資金を、たしか五十六、七年だったかと思いますけれども対応したわけでございます。  また、先ほどの御質問の中で、F1の問題でさらに御意見を先と言われたわけでございますが、交雑種を確認することは、例えば授精証明書等あるいは鼻紋等によってもなかなか難しいという専門家からの意見も聴取した上での判断でございまして、その点、御理解を賜りたいというふうに思っております。
  34. 北村直人

    北村委員 私の持ち時間がなくなってまいりましたので、しかし審議官、そんなことはありませんよ。専門家の意見だって、本当にどんな専門家の人を呼んでそれを聞かれたのか。現地のもっとしっかりした御意見をお聞きください。それでないと、これは大変なことになる、こう思います。  それで、時間がございません。私は、今後の若者の方々が勇気を持って、夢を持って酪農畜産にいそしんでいくということになれば、やはりこれは建設省のあれにも入ると思いますけれども、牛舎等々の建築基準法の改正も必要でしょう。あるいは、野中の一軒家にある草舎に消防法が適用されているというのもおかしなものである。そこで燃えたって自分の草舎が燃えただけであって、ほかのところには影響はない。ならば、消防法なんということについても相当な規制緩和が必要でしょう。あるいは、トラクターの車検等々についても、今後の大きな問題でもあろうと私は思います。また、北海道ではサルモネラ菌による一般の伝染病等々で大変大きな問題も出ております。人畜共通伝染病であれば、いろいろな制度の中である程度の問題の解決をしていただけますけれども、そこのことについても担当局の方々の御配慮というよりも十分な協議というものが必要になってきていると私は実は思っております。  最後に、北海道は御承知のとおり生産費補償方式で乳価というものが決まります。しかし、北海道の多くの方々というよりはほとんどの生産者の方々は、北海道方式と言いまして、組勘制度によって一つの経営がされております。組勘が十二月でプラスになるかマイナスになるか、こういうことが一年間本当に汗水を流してきて自分の経営がよかったのか悪かったのかというバロメーターになります。  昔はこの組勘の中にいろいろなものが入っていた。例えば住宅のお金も入っていたとか、あるいは一杯飲んだお金まで入っていたとかというふうな問題もありました。しかし今は、それぞれの農協がそういったものはすべて省いた中で、本当に農家の経営をやれる組勘になっている。まずそのことを御理解をいただきながら、これはわずか九十二戸の生産者を持っている農協の昨年の組勘の締めでありますけれども、一戸当たり二百六十万九千円の赤字です。
  35. 中西績介

    中西委員長 時間が超過しておりますので。
  36. 北村直人

    北村委員 そういった組勘の中身。その中でも、家計費というのが四人で働いて三百二十万です。ですから、そういうことを考えていったときに、今までは乳価プラス個体販売というのがありました。ですけれども、今の所得の所得率は二二%、そして所得額が約五百十万程度、その中で家計費が三百二十万、支払い元金が三百二十万、そういうような状況であります。  皆さん方はいろいろな形で統計的なものを持ってきているのでしょう。しかし、それとは実態はかけ離れたものである、このこともよく御理解をいただきながら、今後の中長期的な問題、そして生産者に夢と希望、あるいは後継者が育っていける、この六年間、このガットウルグアイ・ラウンドのこの中でしかできない、そのことを十二分に、大臣もそれから事務当局も認識をしていただいてはおりますけれども、なお一層の認識をしていただきながら、北海道の酪農、ひいては全国の酪農畜産振興に全力を傾けていただきますようお願いを申し上げ、ことしの三月の保証価格について、生産者の方々の意見というものを十二分に踏まえた中で決定をしていただきますようお願いをいたしまして、若干オーバーしましたけれども、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  37. 中西績介

    中西委員長 倉田栄喜君。
  38. 倉田栄喜

    ○倉田委員 新進党の倉田でございます。  既に本年度の乳価畜産価格決定のあり方につきましてはさまざまの御質問がございました。本年度がガットウルグアイ・ラウンドの合意を受けて初めての価格決定の年であること、この視点からも既に御質問がございましたけれども、どうぞその重要な意義を踏まえながら、なおかつ畜産農家の現状、そしてその生産者の思いというものに十分配慮をしていただきながら決定をしていただきたいと私は存じます。  私は、そこで、少し畜産政策全般にわたって御質問をさせていただきたいと思います。  もちろん、本年度の畜産価格決定が重要であることは論をまたないわけでございますけれども、来年、再来年、そして二十一世紀畜産のあり方、これをどういうふうに今後考えていくのか。これも、ガットウルグアイ・ラウンドの合意を受けて、本年度、これからどういう方向に船出をしていくのか大変重要なことであろうかと存じます。  そこで、大臣にお伺いをしたいわけでございますが、農業基本法の改正も検討されているというふうに伺っております。さらには、畜産の中長期の見通しも本年度秋口を目指して検討をされている最中であろうというふうにも伺っております。  今既に質問がありましたけれども、いわゆる農業過保護論みたいなものがある中で、農業のあり方、畜産のあり方、国民の皆さんの税金をどんなふうに使うのかということを納税者の方々にきちんと納得してもらわなければならない、同時に、納得できる根拠というものも示さなければいけない、私はそう思うわけでございます。  そこで、そのためには、例えば畜産に的を絞って言えば、一つには農業基本法の中に、我が国農業の中で畜産というのはこういう意義、役割を有するのだ、そういうことを明確に書いていくことが必要なのではなかろうか、同時に、中長期の見通しの中でも、今後畜産農家生産者数のあり方、あるいは生産目標、そういうことも示していかなければ、生産者の方々は、来年はどうなるのだろう、二十一世紀、あと四年、五年、本当に日本畜産業というのはあり得るのだろうかという不安を持たれる、そこに後継者問題も出てくるのだろうと私は思うのです。  そこで大臣に、農業基本法改正の際、畜産役割というのをきちっと意義づけることができるかどうか、さらには、中長期見通しの中で生産目標というのをきちっと明確に打ち出すことができるかどうか、このところからまずお伺いをいたしたいと存じます。
  39. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 しばしば申し上げておりますように、農業をめぐる内外の情勢の変化なりあるいは国際化の進展、これを受けて、農業基本法にかわる基本法の制定の検討に着手しようとしておるところでございます。  その場合については、大きな視点、食糧政策の視点、あるいは農村等の地域政策の視点とか、各般の視点を取り入れるわけでございますが、お話しの畜産については、その重要性は稲作等と並んで我が国農業の基幹的部門である、産出額では二五%だというようなこと、あるいは中山間地域が全体の五割を占めておる、あるいは、申すまでもなく国民の動物性たんぱくの消費の六割を占めておるというようなことでございまして、その重要性は否定できないわけでございます。  したがって、その畜産業の重要性、これについてどういうふうな形で基本法等について反映させるかという問題でございますが、基本法の体系をどうするかという点についてはこれからでございまして、個別の部門をそこに取り入れるような体系になるのかどうかというような点もまだ私どもは未検討でございますが、現行の農業基本法におきましても、選択的拡大ということで畜産なり果樹を位置づけておるところでございますので、そういうことも参考にいたしまして基本法の検討を図りたい、さように思います。  それからもう一つ、長期見通しの問題でございますが、現在農政審議会の小委員会において平成十七年に向けて農産物畜産物等についての長期見通しの作業を鋭意急いでおるところでございまして、そこにおいての目標をお示ししたい。さらには、もう余計でございますけれども酪農と肉用牛の振興に関する法律による酪肉近代化方針、これも実は平成十七年を目途に現在作業をしておるところでございまして、これらの作業と相まって将来の目標を明らかにしていきたい、さように思っておるところでございます。
  40. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私は、農業基本法にしても、例えば米の問題、水田等々の問題はいろいろな意味で多様な意義づけがなされていると思うのです。それは、国土保全であるとか水の問題であるとか環境の問題であるとか。ただ、そういうところに比べると、畜産業の意義づけというのは意外とまだしっかり、検討はされておるかもしれないけれども、国民の間にこういう意義があるのだということがそれほどまだ明確になってない。そういうところから、やはり生産者の方々にこれからどうなるのだろうという不安が出てくるのだろうと思いますので、ぜひ基本法の中にもそこまでうたい込めるように御検討をお願いいたしたいと思います。  それをどう意義づけるかというふうになると、なかなかこれは結構簡単なようで、それは輸入すればいいじゃないか、別に国内で高いものをつくらなくてもいいではないのかという議論に負けてしまうのではないのかという気がいたしてなりません。そこで、中長期のことに関しても生産目標をきちっと示すべきである。私は目標は示されるのだと思うのですけれども、やはりそれは目標であって、では最低限どこまで日本の国内で生産できるのかということになれば、いわゆる自給率の問題と絡んで、国内ではこれくらいはきちっと最低限自給いたしますよ、ここまで打ち出していかなければ、どんどん農家数、あるいは将来的には生産量も減っていくのではないのか、こういうふうに思いますが、再度この点も含めてお伺いをしておきたいと存じます。
  41. 福島啓史郎

    ○福島説明員 先生御案内のように、我が国畜産業、農業総産出額の約二五%を占めております。また、かつそうした基幹部門であると同時に、消費におきましても引き続き増大するという成長分野でもあります。また、立地が中山間地域が五割を占め、かつ農業経営の複合化あるいは地域の活性化等に大きく貢献しているわけでございます。また、国民の栄養あるいは食糧供給という面で見ましても、畜産物はたんぱく質供給の約三割を占めるということでございまして、国民の健康あるいは豊かな食生活の形成に大きく寄与しているところでございます。  先生質問の今後の畜産物の需給見通してございますが、これは先ほど大臣がお答えいたしましたように、本年秋を目途として「農産物の需要と生産の長期見通し」の策定をしているわけでございますが、その中で検討されるわけでございます。畜産物の将来の自給率につきましても、この需要と生産の相互関係の中で明らかになるというふうに考えております。  また、特に酪農それから肉用牛生産につきましては、今後の生産振興方向、あるいは生乳及び牛肉の生産数量の目標等を、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施後の諸情勢を踏まえまして、中長期的な観点に立って明らかにするために、昨年秋、酪肉振興法に基づきます酪肉近代化基本方針の策定につきまして、諮問畜産振興審議会に行っております。こうした中で、酪肉近代化基本方針の中で近代的な酪農経営あるいは肉用牛経営の指標等を提示してまいりたいというふうに考えております。
  42. 倉田栄喜

    ○倉田委員 牛肉に例をとりますと、やはり輸入量は今後も増加する方向なのではないのか。そうしますと、生産目標あるいは自給率の観点から決めたとしても、ウルグアイ・ラウンドの合意を受けて輸入牛肉というのが今後も増加するということを考えていくならば、これに対してどう対応していくのか、その影響をどう考えるのか。それは、合意を受けての六年間と、そしてさらに六年後、これはきちっとその影響というものも考え対策を示していかなければならないと思うのですね。自由化の流れの中で、いわば生産目標を一方で示しながらも、しかし総量規制をする、それが原則論の中で困難だとすれば、輸入量の増加に対してどういう対策考えているのか、この点についてはいかがでしょうか。
  43. 福島啓史郎

    ○福島説明員 牛肉の輸入の今後の状況でございますが、景気の動向、あるいは輸出国の産地価格の動向、さらには為替の動向等によっても影響を受けるわけでございますので、正確に見通すことは困難でありますけれども、あえて見通しますと、関税率の引き下げ幅が毎年一・九%程度と、従来の引き下げ幅に比べまして小さくなるということ、また、牛肉の需要の伸びは従来よりは鈍化傾向で推移するのではないかと見込まれることなどから、牛肉の輸入量が従来ほど大幅に毎年増加するということは考えにくい状況でございます。  また、今回のウルグアイ・ラウンド農業交渉におきまして、輸入急増時への対応といたしまして、チルド、フローズン別に四半期ごとに一一七%を超えた場合には関税率を五〇%に戻すという緊急調整措置も確保したわけでございます。そうした措置を適切に運用すれば、国内への影響を最小限に食いとめることは可能ではないかと考えております。  また、牛肉の輸入自由化以降の収益性の低下に対しましては、繁殖経営に対しましては肉用子牛の生産者補給金等の交付、つまり不足払いの実施、また肥育経営に対しましては枝肉価格が低下することによりまして収益性が低下した場合にそれを改善するための緊急対策、さらには酪農経営に対しましては乳廃牛、ぬれ子の有効活用なりあるいは付加価値の向上を図ります乳肉複合経営の推進等の措置を講じているわけでございます。  今後とも、これらの措置を適切に講じまして、国内の肉用牛生産振興を図ってまいりたいというふうに考えております。
  44. 倉田栄喜

    ○倉田委員 中長期の生産目標を定められる、一方で税率の低減によって輸入牛肉もふえてくるだろう、今御答弁ではそれほど影響はないような対策は講じられるつもりだというふうな答えでございますけれども、しかし、先のことだから、先行き見通しはよくわからないということでもあろうかと存じます。私は目標というものが、ある意味では計画できちっとしたものではないから難しいかもしれないけれども、しかし、生産者の方々はどれだけ入ってくるかということについても影響されるし、またどれだけ生産できるかということについても、酪農経営の見通しを考えたときに非常に大きな関心事なわけですね。思い切って設備に投資してお金を借りて、その償却あるいは借りた分のお金はどんどん返さなければいけないけれども、一方で収益の方の見通しは立ちにくい。  そこで、これは御検討いただきたいわけでございますが、例えば輸入量の影響によって国内生産がいわゆる一定目標から下回る場合、その影響による減産相当額で国内生産者の所得を補償するような、そういう肥育牛所得補償制度とか、それみたいなものをひとつ創設をしたらどうでしょうか。例えば、これが直接無理であるとしても、何かそういうものに対する積立制度をつくり、これに支援措置を講じていく、こういうものが検討できないのかどうか、あるいは検討されておられるかどうか、御質問をいたします。
  45. 福島啓史郎

    ○福島説明員 先生御案内のように、我が国の肉用牛生産におきましては、牛肉の自由化に際しましてその影響が最終的には子牛価格に反映されるということから、牛肉の関税収入を財源といたしまして子牛段階においていわゆる不足払いを行います肉用子牛生産者補給金制度を導入したわけでございます。  また、先ほど申し上げましたように、枝肉価格の急落等に対処いたしまして、肥育経営の安定を図るために緊急対策等の措置を講じているわけでございます。  これらの措置によりまして国内の肉用牛生産は若干ながら増加傾向にあるわけでございまして、今後ともこうした制度あるいは事業を活用いたしまして肉用牛生産の維持拡大を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  また、先生今御紹介いただきましたそうした考え方につきましては、畜産経営は、そもそも畜産物価格なりあるいは資材価格の変動によりまして所得が不安定になりやすいという性格を持っているわけでございます。そういうことから、農協等が生産者に対しまして、契約により、販売価格あるいは生産コストの変動にかかわらず平均化した所得相当分を支払う平均払い事業を行っているわけでございます。国といたしましても、こうした平均払い事業に対しまして、損失補償事業のための支援を行うなどの促進策を講じているところでございます。
  46. 倉田栄喜

    ○倉田委員 生産の維持拡大を図るということでございますが、一方で自由化の問題これあるわけでございますから、本年度がガットウルグアイ・ラウンドの合意を受けて初めての年である、従来の対策は従来の対策、今からどうするかということはまた新しい視点で考えなければならないはずだと私は思いますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。  そこで、実は今、例えば店頭で、これは国内産の牛肉ですよというラベルも随分私も見かけるところでございますけれども、国内産及び輸入表示、これは輸入物ですよという、そういう表示というのは、やはりこれは消費者の選択の自由という観点からももっときちっと徹底をしてやる必要があるのではないのか、こういうふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
  47. 福島啓史郎

    ○福島説明員 先生御案内のとおり、食肉の小売販売に当たりまして、適正な表示によりまして消費者に対しまして適切な選択の機会を与えるということは、極めて重要と考えるわけでございます。こうしたことから、昭和六十三年度から、食肉販売店におきます輸入牛肉の表示の明確化を図るために、輸入牛肉等適正表示販売推進事業を実施しております。そうした事業によりまして輸入牛肉の適正表示の普及の徹底に努めているわけでございます。こうした中で、公正取引委員会の認定を受けて食肉販売店が設定します食肉の表示に関する公正競争規約の施行県が増加しております。そういうことによりまして輸入牛肉の表示はかなり浸透しているわけでございます。  ちなみに、平成五年の調査結果によりますと、牛肉では約一万七千件の調査に対しまして九九%が表示をいたしております。そういうことでもって、輸入牛肉につきましては、その表示はかなり徹底しているというふうに考えているわけでございます。
  48. 倉田栄喜

    ○倉田委員 次に、生乳の生産枠の流動化対策という視点からお聞きをしたいと思います。  この点につきまして、いわゆる生産枠の一律配分、これは議論になっているところだと思います、既に御検討いただいたのではないのかなと思うわけでございますけれども、この生産枠の一律配分を見直して、そして育成すべき酪農家に円滑に流動するような対策を講じる必要があると私は思うわけでございます。昨年の当委員会の議論の中でも、いわゆる熊本方式みたいなもののお話をさせていただいたわけでございますけれども、この生産枠の流動化対策、育成すべき農家に円滑に流動するような対策。  それと同時にもう一点、この視点から、いわゆる酪農後継者、この育成を図るために一定の生産枠というのを後継者に優先的に配分する、特別枠と言っていいのかどうかわからないけれども、そういうことも考えてみたらどうなんだろうかと思うわけでございますが、この二点についていかがでしょうか。
  49. 福島啓史郎

    ○福島説明員 生乳の計画生産でございますが、五十年代からの生乳需給の緩和と価格の低迷に対処いたしまして、五十四年度から生産者団体、具体的に言えば中央酪農会議でございます、ここにおきまして自主的に行われているところでございます。  こうした計画生産は、概して一律的な取り組みになりがちなために、意欲ある酪農家にとって、円滑かつ計画的な規模拡大ができないという問題が生じているわけでございます。そうした問題に対処するために、計画生産のもとで国際化の進展に対応し得るような効率的、安定的な酪農経営体を早急に育成するということが重要な課題であります。そのために、先般のガットウルグアイ・ラウンド対策の中で、経営を中止する酪農家生産を意欲ある経営体に集約し経営体質を強化するための支援措置、これは七年度予算におきまして約七十九億円でございます、これを講ずることとしているわけでございます。これは、先生御案内のように、熊本県等、現に行われている事例を参考にしながら、それを全国的に展開しようというものでございます。  また、特別枠を設定して後継者に優先配分するという考えでございますけれども、酪農家の間の計画生産数量の配分の公平性の確保、あるいは実行上いろいろな問題があるわけでございますので、今後の課題として生産者団体において検討を進めていく必要があるだろうというふうに考えており、農林水産省といたしましても、生産者団体におきます検討を見守ってまいりたいというふうに考えております。
  50. 倉田栄喜

    ○倉田委員 後継者という観点は重要な視点でございますので、ひとつ御検討をいただきたいと思います。  次に、価格といわゆる生産財単価ということで、これは大臣にお伺いさせていただければと存じますが、今、生産量の維持とかあるいは規模拡大というお話もございました。そこの中で、価格乳価にしても畜産にしても、まあ一番大きな問題は米の価格にしても、毎年決めているわけです。事務方におかれましても、また私たちといたしましても、いろいろな数字を考えながら毎年の価格決定をしている。私は、この方式、毎年価格決定をするというあり方が、長い、いろいろな知恵の中で、そして農家の現状、生産者の方々、毎年毎年いろいろな事情が変わっていくということを考えながら積み重ねられてきたものだ、こう思いはするのですけれども、しかし今後の酪農経営とかあるいは農家経営のあり方みたいなものを考えてみたときに、毎年ではなくて、例えば三年なり五年なり、許されるスパンの中で価格決定をしてみたらどうだろうか。それはいろいろ、畜産と米はまた違うのかもしれないけれども、その方があるいは、設備投資をして三年なら三年、あるいは五年なら五年、どれだけの収益が上がってくるという計画性が生産者の方々にきちんとできるのではないのか。  また一方で、確かに全然思いもかけない状況が起こってきて価格を何とかしてくれということは個々的にあるかもしれませんけれども、私は、生産者の方々が余り政府、農水省の手の中にあり過ぎても、うまみがないという言い方はおかしいかもしれないけれども、損をするときはあるかもしれないけれども、しっかりもうけるときもあっておもしろい、そういうことも一つあっていいのではないのかなという気がいたしてなりません。  これはもちろん危険なことでもあり、冒険的なこともあるかもしれませんけれども、その視点から、実は、価格決定のあり方を毎年ではなくて例えば三年ごとくらいにしたらどうだろうか、こういうお話を今させていただいているわけでございます。いろいろな議論があるのは承知いたしておりますので、そのこともひとつ当委員会でお話をさせていただくことで実は検討いただければと思って質問をさせていただきました。  そこで、まず畜産価格について、それから大きくはこれは米価の価格についても、毎年もうやるんじゃなくて、三年なりあるいは二年なり、そのくらいのスパンで決めてもいいんではなかろうかという思いがちょっとするわけでございますが、この点については、大臣はどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
  51. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 倉田委員のかねがねの御所論でございますし、また、過去の農産物価格決定についての論議をよう顧みて、事情も十分御承知の上の御意見なり御質問だと思うわけでございますけれども農産物については、需給の安定と価格の安定で生産者の所得の確保あるいは消費者の家計の安定ということによって、それぞれの農産物の特性に応じて価格決定をいたしておるということは言うまでもないところでございますが、その場合に、やはり生産資材等の価格水準の変化とかがございますし、また需給事情の変化等も年々ございます。したがいまして、中長期にそれを的確に見通してこの辺の水準がしかるべきであろうかというようなことについては、なかなか困難ではあるまいか、さように思っております。  事実、長い歴史を持っております生産者米価の決定におきましては、かつて、毎年毎年の大きな論議の中で、やはり三年なら三年、五年なら五年の生産者価格設定してその物価修正等程度でとどめたらどうだというような意見もあったわけでございまして、事実、一年ぐらい指数化方式というような方式をとりまして、これを採用した例もあるわけでございますが、やはり生産諸要素の変動その他いろいろな条件がございまして、生産者サイド自身からなかなかに受け入れがたいというような御議論等もございまして、一年ぐらいでやめたという歴史もあるわけでございます。したがって、せっかくの御所論でございますけれども、なかなかに私自身は困難ではあるまいか、さように思っております。
  52. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ウルグアイ・ラウンド合意の話ばかり繰り返すわけではございませんけれども農業全般について新しい時代を迎えている、このことは皆さんひとしく認識をしておられることだろうと思います。大臣もまたその点についてはどなたにも負けないくらい危機感を持ちながら認識をしていただいていることだと思います。そういう意味からすれば、従来の発想からではなくて新しい時代を迎えるに当たっての新しい発想で、従来議論されたことももう一度しっかり検討して見直していくことも必要なんではなかろうか、こういうふうに思ったわけでございます。  今大臣からお答えいただきましたように、生産資材等々もあるいはその生産量等も天候等々も毎年毎年事情は変わる、それも十分承知をいたしておるところでございます。私がしかし申し上げたいのは、その中にあって、農家の方々の本当に努力をされた方々、一生懸命やられた方々、そういう方が、単に労働コストの分だけでその努力された分が計算されて、そこだけでしかないということであれば、これはいわば勤労者と同じにすぎないわけであって、いわば経営者、経営者としてのうまみみたいなものがどんどんどんどん何かそぎ取られていくのではないのかという気がしてならないわけであります。そこは価格決定のあり方についても、規模拡大をすればするほど、あるいは努力をすればするほど価格が下がっていって、辛うじて転嫁されるのは労働単価のところでしかあり得ないというのでは、意欲ある経営者としての生産農家を育てるには少し夢がなさ過ぎるのかなという気がいたしまして、そういうことも申し上げたことでございます。  そこで、さっき、いろいろな事情を反映しなければいけない、それは、農林水産省の英知を傾ければもっと何かいい知恵が出てくるのではないのか。例えば、今円高でございますね。その円高について、例えば輸入飼料、そういうものについても円高のメリットというものが生産者の方々にきちっと届いているのかどうか、そういうことも必要なんだろうと思うのです。これも時々の事情だから毎年やらなければいけないんだという理論になっていくのかもしれませんけれども、それはそれとして私は工夫をしていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、輸入飼料と申し上げましたので、当今の円高、配合飼料価格改定、これ新聞報道もいろいろあるようでございますが、この価格改定の見通し、円高差益というのは生産者の方々に還元されるのかどうか、この点についての現状、見通しをお伺いしておきたいと存じます。
  53. 福島啓史郎

    ○福島説明員 もう先生御案内のように、配合飼料価格は、飼料メーカーによります自由な競争のもとで、要因としましては、飼料穀物の国際相場、シカゴ相場でございます、また為替レート、それから海上運賃、フレートでございます、そういうものの動向を反映して形成されるわけでございます。  最近におきましては、六年七月に、円高の進行、また飼料穀物価格の下落を踏まえまして、全農は二千円の値下げを行っております。また、引き続き六年の九月に、トン当たり千八百円の値下げをしているわけでございます。本年一月以降の価格につきましては、フレートの上昇等のコストアップ要因はあったものの、据え置きとなっているわけでございます。今後の配合飼料価格の四月以降の見通してございますが、主原料でありますトウモロコシのシカゴ相場が昨年十一月以降じり高傾向となっているということ、また、フレートが昨年後半から急騰いたしておりまして、十二年ぶりにトン当たり三十ドルの水準を超えまして、現在は三十五ドル水準まで上昇しているという、そういうコストアップ要因はあるわけでございます。他方、御案内のように、三月上旬以降円高が急速に進行したということから、今冬メーカーは、四月以降の価格を据え置きとしたところでございます。  今後とも、先ほど申し上げました配合飼料価格に影響を及ぼす諸要因の動きを引き続き注視いたしまして、適切な価格形成がなされるよう関係業界を指導してまいりたいというふうに考えております。
  54. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私は、いわゆる酪農にしても、中核農家を育てる、それは意欲あるつまり経営者の感覚を持つ農家を育てていく。その意味では、やはり国際的な市場の中でも円がどうなるかという動きも農家の方々御自身も関心を持ちながら経営をされていく、そういう農家を育てていくこともまた必要なのではなかろうかと思うのですね。ともかくみんな任せておって知らないという時代ではもうないわけでございますから、円高の問題だって、円が高くなれば飼料買うとき安くなるはずだ、だから我々のところにも安く買えるはずだ、そういうことが直接ぜひ届くようにしていただきたいと存ずるわけでございます。  そこで、先ほどもちょっとお話が出ておりましたけれども、畜舎ですね。いわゆる畜舎についても、建築基準法、消防法の適用がある。きょうは建設省の方から当委員会にわざわざお越しをいただいておるみたいでございますが、いわゆる建物というのかな、「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するものこまた「これに類する構造のもの」、これが建築物である、こうなっている以上、畜舎というのも建築基準法の対象になっている。今、阪神大震災がありまして、建築基準法そのものも、それぞれの目的、用途に応じた構造、設計強度というものが私は検討されなければならないだろう、こう思うわけでございます。そのときに、それぞれの目的、用途あるいは地域の安全性にかなった強さであり構造であっていいのではないのか。例えば、本当に身動きできない方々がいっぱいおられる病院とかそういうところの構造といわゆる畜舎みたいなものは、構造のあり方とか基準のあり方とかそういうのはやはり、それは区別をされておりますけれども、違う視点で考えるべきである。そうであるとすれば、畜舎などは、建築基準法の建築物という定義から含めれば確かに入ってしまうわけだけれども、外していいのではないのか、こういうふうに私は思うわけでございます。  よく、畜舎の建設コストが高い、基準どおりやらなければ補助金がつかない、現場の方々は、それはその基準どおりいかないものについて認めることはできないからやむを得ないのだ、そもそも法を犯すわけにはいかないのだから、こういうふうになっているわけですね。やはり基本は、建築基準法があって建築物という定義がある。さらには各地でいろいろな上乗せ条例みたいなものがあるわけでございます。しかし、国際競争の中で価格の問題は、資材、生産材とともに設備費の問題について非常に大きなポイントであるのだろうと思いますが、建設省の方はいかがでしょうか。畜舎について、建築物といいながら何とか建築基準法の枠外に外すことができないのかどうか、またその点について御検討なされているのかどうかお伺いをしたいと存じます。
  55. 羽生洋治

    ○羽生説明員 先生お尋ねの畜舎につきましての建築基準法の関係でございます。  建築基準法は、国民の生命、健康及び財産の保護を図ることを目的に、地震、風圧、火災等に対する建築物の安全性を確保するため一定の基準を定めておりますのは、先生御承知のとおりでございます。建築物でございます畜舎につきましても、内部で働く方の安全の確保や周辺への被害の防止等を図るため、最低限の基準ということで定めております。今後とも建築基準法の適用対象といたしまして、地震、風圧、火災等の災害に対する安全性を確保するということが適当であると考えております。  ただ、先生御指摘のように、いろいろなコスト観点で過剰な規制にならないようにというようなことでございまして、そういう意味におきましては、畜舎等の農業用施設に関しましては、その構造上の特徴ですとか、それから一般的な立地状況、こういったことを十分勘案いたしまして、例えば六十二年には畜舎におきます防火壁の設置の緩和とかそれから平成四年には、先生御指摘のように畜舎の中でも非常に簡易な構造の建築物、そういったものにつきまして考えまして、防火基準の緩和を図っております。それからまた、平成六年には防火壁の設置を必要としない畜舎等につきましての手続の簡素化を図ってきております。このように必要な最低限の基準とすべく規制の合理化ということを図ってきているところでございます。  今後とも、そういった技術開発の進展等、建築物をめぐる環境の変化に的確に対応して、建築基準の合理化に努めてまいりたいと考えております。
  56. 倉田栄喜

    ○倉田委員 これは大臣、お答えは要りませんけれども、この点も農水省としてぜひ御検討いただきたいと思います。  なかなか先行きの見通しかない中で非常に膨大な設備投資をしてすごい立派なものをつくって、三年たったらそこはつぶれてしまって廃屋になっていた、そういう姿を見るのはやはり大変寂しいわけですね。だからさっき、毎年毎年やるのは、価格決定するにしても合理的、弾力的にやるためにそれは毎年やっているんだということを言うのだとすれば、そういう施設のあり方についても合理的、弾力的に対応できるような畜舎のあり方であってもいいのではなかろうかと私は思います。大臣、農水省におかれましても、今お答えいただきました建設省ともよく御相談をいただきまして、畜舎に対する規制のあり方、御検討をぜひお願いをいたしたいと思います。  そこで次に、先ほどもう既に御質問がありましたけれども、畜舎と同時に生産資材、例えば生産各資材費、肥料である、あるいは飼料である、農業である、農機具、これが本当にもっと安く生産者の手に入らないのか。これは非常に大きな課題だと思うのですね。  それで、先ほど総論的には確かに質問があってお答えをいただいたわけですけれども、農水省として具体的に、例えばこの価格はもうこれぐらいまで下げるべきじゃないのかとか、なかなか難しいのだろうけれども、その具体的な方法を私はちょっとお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
  57. 日出英輔

    ○日出政府委員 先生お話しのように、生産資材の資材費の節減対策は、農業経営上大変大事な問題だというふうに思っておるわけでございます。  ただ、先生も御理解賜われると思いますが、資材の資材賢一つとりましても、製造コスト流通コスト、それから利用する側の利用の問題、それぞれに分かれているわけでございます。私どもといたしますと、機械の製造コストだけではなくて、流通コストあるいは利用面で適正な利用をしているかどうかというところまで含めて実は生産者への対応考えているわけでございます。  先生お話しのように、資材一つ一つにつきまして、製造コストをここまでというのはなかなか難しかろうと思っておりますが、例えば私どもの所管でございます農機具でございますと、農機につきましてのコストの一番かかりますのがモデルチェンジが早過ぎるという議論がございました。これは、極力抑制するようにというようなこともやっております。あるいは規格の共通化、これもコストを引き下げる大変な要因でございますが、今大体四割から五割程度まで、例えばよく使われますような一般的な機械、農機でございますが、そういうのは規格の共通化が進んでおります。  そういった、地味ではありますけれども一つ一つ努力を続けていって、資材費の低減に努めていきたいと考えている次第でございます。
  58. 倉田栄喜

    ○倉田委員 価格は、私は先ほど、毎年じゃなくて、二年か三年か五年かということで決めたらどうかということを申し上げたわけですけれども価格は、ともかく一応農水省、政府の方で決めるわけですね。しかし、各生産者の方々が、ではどういう生産各資材をどういう価格で入手するかということについては、これもなかなか自由にならないような現状があるのだと思うのですね。一方で価格はきちっと決められながら、安い生産資材というものもなかなか手に入らない、まだ高い。高い中でも安いものをできるだけ手に入れるようにしたいのだけれども、なかなかそう思うようにならないという現状もあるのだと思いますので、一方で価格を決めるのであれば、生産者の方々が経営者としてのメリットを享受するのだとすれば、その辺のところも十分創意と工夫が生かされるような体制というのをぜひつくっていただきたい。また、この点についてはこれからいろいろ議論もあろうかと思いますので、きょうはこの辺にしたいと存じますが、ぜひお願いをしておきたいと思います。  そこで、次の視点でございますが、いわゆる環境問題と衛生環境対策、これはいろいろな段階があるのだと思いますけれども、農協段階においてすら家畜の衛生検査体制が不十分なのではないのか。例えば獣医師であるとか畜産専門技術員の育成確保、こういう面でなかなか、畜産専門の獣医師さんもそれできちっと所得が図られていないという現状もあるのではなかろうかと思います。この辺の管理、防疫体制及び指導体制、このところもひとつお伺いをしておきたいと思いますが、その整備強化対策はどのようになっておりますか。
  59. 福島啓史郎

    ○福島説明員 先生御指摘のとおりでございまして、畜産振興を図る上で、家畜の健康を保持することにより家畜の生産能力を十分に発揮させることは最も基本的なことだというふうに考えておるわけでございます。そのために、家畜の疾病の発生を未然に防止することが最も肝要であるわけでございますので、予防衛生対策に重点を置いた施策を推進しているところでございます。  最近、家畜の伝染性疾病の発生は、ワクチンの開発、普及等の予防技術の進歩なり、あるいは都道府県の家畜保健衛生所の整備等の検査体制の整備向上もありまして、総じて平静に推移しているわけでございますが、今後とも家畜衛生対策の充実強化を図って、畜産振興に寄与してまいりたいというふうに考えております。  また、先生御指摘のありました、家畜衛生対策の担い手であります産業動物獣医師の確保でございますけれども、獣医療法において定めました獣医療計画に即しまして、獣医学生でこの産業動物獣医師になろうとする人に対しましては、そうした学生に対しましては修学資金を給付するなどによってその確保に努めているところでございます。
  60. 倉田栄喜

    ○倉田委員 冒頭、農業基本法においても畜産の意義、役割というのをきちんと明確にしていただきたいと申し上げたわけでございますが、そういう視点からも、これを守る獣医師という立場を、なかなか最近はいわゆるペットとかそういう方に獣医師の方々が流れておられるという現状もありますので、いわゆるこの生産に資する獣医師さんの立場を十分考えていただければと思います。  そこで次に、これは大臣にお伺いしておきたいと思いますが、畜産環境汚染の問題です。  従来牛を飼っていた、豚を飼っていた。しかしだんだん郊外にあったものが住宅化されて、いわゆるにおいが、あるいは汚いとかなんとかあって移転をする、しかし移転するにしても金がない。なかなか設備投資もできない、やめざるを得ない。このふん尿処理等の環境汚染問題というのは、実は非常に大きな畜産業の重要な問題なのだろうと思うのです。この問題をきちんと解決をしなければ、やはりコストの問題等々も含めてきちっとした畜産の将来というものは描けないのではないのか。  そこで大臣、このふん尿処理施設ですけれども、これはなかなか個々でやるのも大変だから、ひとつこれは共同施設をつくるなり、そういうことをやっていくべきではないのか、その点が一点。それからもう一つ、そのぶん尿のリサイクル化、肥料化とか、飼料化とか、これは民間でさまざまな検討がされていると思いますが、この肥料等再利用のためにも国がもっと積極的に研究なりあるいは研究開発なり、そういうための予算をきちっとつけてやっていくべきではないのか、こう思うわけでございますが、この二点について、これは将来的なことでもございますから、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  61. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 家畜ふん尿処理問題は、委員の御指摘のとおりでございまして、価格政策も大事だ、あるいはコスト削減のための各種の施策も大事でございますけれども畜産の今後の発展にとってはふん尿処理、環境問題、これをどうクリアしていくかということがやはり最大の問題の一つだと思うわけでございます。  混住が進む集落において、養豚経営ができなくなったとか、あるいは内地酪農においても同様で、その飼養戸数が減っていくというような大きな原因にもなっているわけでございまして、これに対する適切な対応こそあるいは畜産の諸対策のうちの重要な柱になるべきだというふうに思っておるところでございます。  申すまでもなく、ふん尿については有機質を大変含んでおりますから、これを地方の維持に還元する、堆肥化するということが何よりも大事であるというふうに思うわけでございまして、この点につきましては、実はもう既に共同ふん尿処理施設等に対しては、助成なりあるいは融資なり、またリース方式というような方法も講じておるところでございますが、さらに体系的にこれに対する環境保全としてのふん尿問題、その処理に取り組まれなければ相ならぬというわけでございます。  なお、御指摘の国なり県の試験研究機関におきましても、堆肥化技術の高度化という点についてはそれぞれの研究を進めておると承知しておりますが、委員の御所論のとおり、この領域における一層の施策の充実を図るべきであるというふうに思っております。
  62. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今大臣にお答えいただきましたのは、重要な問題であり大切に思う、こういうことでございます。いわば総論でございますが、各論においては、その共同施設をきちんと推進をする、研究開発に予算をつけきちっとやる、こういう各論、具体的なところでございますので、ぜひこれは強く要望しておきたいと存じます。  時間も参りましたので最後に大臣、これは大臣にお聞きするのはもう三回目でございますけれども農業の多様化、多目的化ということで、きょうも冒頭阿蘇野焼きの問題が出まして、野焼きができなくなった、しかしできなくなると、実はいろいろな問題が起こるのですよというお話がございました。  そこで大臣、もうこれは何回もお聞きをいたしておりますので、大臣の頭の中には十分入っておるのではないかと私は自分なりに思っておるのですけれども、いわゆる先ほど野焼きの問題については環境庁の方から来ていただいてお話がありました。中山間地域農業ということを特に考えた場合、農業の多目的化あるいは担い手についてもさまざまな多様化ということをこれからやはり考えていかなければいけない。私がよく申し上げておりますように、観光農業であり、あるいは教育農業であり、あるいは生きがい農業であり、あるいは治山治水農業、これからこういう多方面に農業政策というものを展開していく必要があるのだろうと思っておりますので、何回もお聞きをして恐縮でございますが、大臣この点についてその後どんなふうにお考えが進んでおられるのか、最後にお尋ねをして私の質問を終わりたいと存じます。
  63. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 農業なり農山村の持っている多面的な機能、これを生かすことによりましてそれぞれの地域の所得機会の増大とかあるいは地域の活性化、あるいは国土保全を図るというようなことについては、このたびのウルグアイ・ラウンド農業合意基づく国内対策においても、中山間地帯対策として強く取り上げようとしておるところでございます。  いわゆるグリーン・ツーリズムというような、都市と農村との交流を図りながら、その農山村地帯の所得の確保を図るとか、あるいはその地域保全のための各種の施策、あるいは生活環境農業生産基盤一体としての施策とか、各般の面で強力な政策を進めることは現に平成六年度補正なり平成七年度予算においても計上しておるところでございまして、御所論の方向と一致するものではあるまいかというふうに思っております。
  64. 倉田栄喜

    ○倉田委員 時間が参りましたので以上で終わりますが、この問題も既に総論の問題ではなくて、具体的な施策の問題としてどう展開をしていくかという時期に来ていると思いますので、どうぞぜひ大臣、具体的な形の中でその趣旨を生かしていただきたいと存じます。  以上で終わります。
  65. 中西績介

    中西委員長 矢上雅義君。
  66. 矢上雅義

    ○矢上委員 新進党の矢上雅義でございます。  まず牛乳・乳製品等についての質問から始めさせていただきたいと思いますが、自分の所見から述べさせていただきます。  今回ウルグアイ・ラウンド合意を受けて、平成七年四月より乳製品が関税化されることになりましたが、現在の円高の進展、また今後マークアップの上限及び関税相当量の一五%削減を考えますと、二〇〇〇年以降、乳製品の輸入が相当増加することが予想されます。そうなりますと、乳製品の需給緩和により、当然、国内の生乳生産が圧迫されることになるのは必至でございます。輸入乳製品の増加に対応して国内生乳生産の維持、発展を図っていくためには戦略的にはどうあるべきか、中長期的に見た場合、貿易材としてなじみにくいかどうか、そこにポイントが出てくると思います。  当然、水ものですと輸送費がかさむ、また新鮮度、衛生度の点で輸入製品に対抗できる、そういう観点からも飲用乳生産の方に中長期的には重点が移っていくのではないかと思っております。ただし、飲用乳のニーズが今現在一定しておる中で、どういう結果を生み出すか、それは本土と九州、北海道、各産地のシェア争い、そういうものが見えてくるわけでございます。  そういう問題を回避しながらもどうやって日本酪農全体の利益を図っていくか、大変重要な問題でございます。まず、国内での飲用乳の需要拡大を早急に図ること、もしくはそれに近い新鮮度を要求される形での乳製品の需要拡大を図る、そういうことが現在必要となってきております。  そういう点を踏まえまして、今後の国内生乳生産の維持、拡大に関する基本考え方について、大臣にお考えをお聞かせ願えればと思っております。
  67. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  まず、競争力が国内にない乳製品等については、今回のウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う措置といたしまして、非常に高水準の関税相当額を設定をいたしたこと、あるいはカレントアクセスなり民間輸入の乳製品等については、お話があったマークアップによって国内との調整を図るということでございますので、直接的な影響というものを直ちに生ずることはないというふうに思っておりますが、中長期的に見れば、やはり関税化の進展によってじわじわ乳製品部門にもあらわれてくる。乳製品自体のコスト低減、加工原料乳から始まった乳業メーカーコスト低減その他の取り組みも必要である、これは同様でございますが。  やはり今お話がございました飲用牛乳、これはフレッシュな健康食品として、私は米以上に国際競争力を持っておるというふうに思うわけでございます。したがって、この飲用牛乳の普及についての消費拡大の努力、これは大変大事である、我が国酪農発展の一つの柱になるものだというふうに思うわけでございます。  申すまでもなく、御案内のとおりでございまして、牛乳については、栄養価が高いとかあるいはカルシウムを大変持っておるというようなことで、一層の啓発、普及によって消費の拡大が必ず図れるものであるというふうに思っております。  現に、昭和六十年代に飲用牛乳の消費が非常に落ち込んで、これでいよいよ牛乳、飲用乳の伸びが一つの壁に来たということで、我々も非常に心配したんでございますが、その後、普及の努力あるいは三・五牛乳の普及等によってまた消費が相当伸びてきたという点がございまして、私は、ポテンシャルとしてのものをこの飲用牛乳は持っておる、それは政策の努力、あるいは生産者なり乳業メーカーなりあるいは販売業者、小売業者、そういうものが一体となっての普及の努力が必要であるというふうに思っておりまして、現に、全国牛乳普及協会等が、生、処、賑が一体となって協会をつくっておりまして、これに対しても普及のための各般の助成を行っておるわけでございます。
  68. 矢上雅義

    ○矢上委員 昭和六十年代の一つの壁を乗り越えまして、乳脂肪分の問題も乗り越えて、需要拡大を実現されました。その努力に対しまして、ここ二、三年、天候不順のせいで計画生産も抑制ぎみに移ってきております。ただ、うれしいことに平成七年度は、前年度比一〇二・八%ですか、上向く兆しかございますので、どうかいろいろな形での啓発、普及活動を通しまして、生乳、飲用乳の需要拡大を努力していただくことを期待しております。  次の質問に移らせていただきます。  ただいまの国内生乳生産の基盤整備の問題とは別に、喫緊の課題として、乳製品の内外価格差をどう縮めていくかという問題を現在抱えております。  ここ数日、乳価畜産の問題におきましても、生産者段階では血のにじむような努力で、一円単位、また一円単位以下のレベルでの生産費の算定、そして乳価決定を行おうとしております。そういう生産者の方々の努力とはまた別の段階で、特に乳業合理化を精力的にどう進めていくかということが問題に上がっております。  我が国乳業工場というものは、特に小規模、零細なところが多く、その問題をどのように解決していくか。直接的な問題ではなく、間接的な、民間のことでございますので非常に難しい側面もあると思いますが、今までの取り組みの現状及び今後の課題について、農水省の御意見を伺いたいと思います。
  69. 福島啓史郎

    ○福島説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、我が国乳業工場は非常に合理化の立ちおくれが目立つわけでございまして、昭和五十年の千二百八十工場が平成五年でも八百七十工場もあるという形で、立ちおくれが自立っわけでございます。また、飲用牛乳工場につきましても、大手乳業が約七割の操業率に対しまして、中小乳業の稼働率は五割弱と低いものになっております。  また、国際的に乳業比較いたしますと、一工場当たりの年間生乳処理量は、我が国が約一万トンであるのに対しまして、EU及びアメリカでは約二万五千トン、豪州では約六万トンということになっているわけでございます。こうしたことから、製造販売コスト等が諸外国に比べ高い等の問題を抱えているわけでございます。  従来から、農林水産省としましては、乳業合理化なりあるいは経営体質の強化を図るため、共同化等を推進してきているわけでございます。  さらに、今後のウルグアイ・ラウンド合意のもとでの国際化の進展のもとで、一層の乳業合理化が課題となっているわけでございまして、農林水産省といたしましても、乳業合理化のあり方につきまして、現在検討中の酪肉近代化基本方針の中で位置づけることとしておりまして、乳業団体等とも連携をとりながら、乳業合理化あるいは経営体質の強化の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  70. 矢上雅義

    ○矢上委員 特に、先ほども申しましたように、飲用乳、これの国内での需要拡大を図る場合に、今でも起きております広域流通の問題です。  非常に昔は産地と消費地が一体化しておりましたから、各地に小さい乳業工場がたくさんあった方がかえっていい時代がございました。ただ、これから広域流通がだんだん実現してまいりますと、やはりそれに合わせました乳業工場の合理化というものも出てきますので、民間企業でございますので指導される場合にも大変ではございましょうが、いろいろ現場の意見を聞きながら、努力していただきたいと思っております。  次の質問に移らせていただきます。  国内生乳生産に大きな影響を与える問題として、バターの過剰在庫の問題が数年前から言われております。特に平成四年度から五年度にかけまして、在庫が急増してきた経緯がございます。在庫の数量が五万三千トン、七・五カ月、平成五年段階ですね。現在では大分解決されてきましたが、平成六年十一月の段階で三万九千トン、五・三カ月分の在庫がございます。そのようにバターの過剰在庫が与える国内生乳生産への影響というものを考えた場合に、今後どうあるべきか。  資料によりますと、アメリカはバターと脱脂粉乳の相対価格政策的に下げて消費拡大を図っております。日本ではバターの値段を政策的にどう考えられるのか、それとまたバターの値段がある程度下がった場合に、原料用としての需要がふえてバターの在庫が解消されるのではないか、そういう点についてお聞きしたいと思います。  いずれにしましても、バターの在庫を減らすには、バター価格低減を図っていくか、クリーム段階での消費をふやすしかないと思われます。ただ、厳しい財源の中でどこまでできるものか、考えておられるのか、農水省の意見をお伺いしたいと思います。
  71. 福島啓史郎

    ○福島説明員 バターにつきましては、先生今御指摘ありましたように、膨大な在庫を抱えていたわけでございますので、平成五年度及び六年度におきましては、生産者団体におきましては計画生産強化いたしまして、前年対比一・五%なり、あるいは二・九%減という計画生産を実施してきたわけでございます。また他方、バターの消費拡大のための諸事業を実施しているところでございます。  こうしたバターの過剰在庫は、生乳需給の緩和という要因が一つと、もう一つは、バターと脱脂粉乳の需給の不均衡というのが第二の要因ではないかというふうに考えられるわけでございまして、この平成七年の四月から、従来の乳脂肪のみによる取引から乳脂肪と無脂乳固形分の双方を勘案した乳成分取引への円滑な移行、さらには乳牛の改良等に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  また、バターの価格は需給動向を反映いたしまして低下傾向で推移しているところでありますが、七年度の安定指標価格決定に当たりましても、これらのことを含め検討し、決定してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  また、先生の御指摘のありました生クリームの消費拡大でございますけれども、競合する植物性油脂との価格差をどうやって縮小していくかということが検討課題であるわけでございます。この点で、既に六年度から、ホクレンにおきまして、生クリーム向け生乳が一定量を超えて取引された場合には価格を引き下げる方式を自主的に導入しているわけでございます。そのことによりまして消費拡大に成果を上げているというわけでございます。こうした今後の生産者みずからの取り組みを注視してまいりたいというふうに考えております。
  72. 矢上雅義

    ○矢上委員 ただいま福島審議官の話の中にもございましたが、乳脂肪分と固形分とのバランスをとるということですか、これは平成五年から平成六年の前半にかけまして現場の農家の方々からも非常な要望でございました。それを平成七年四月から取り入れられるということで、早い段階で要望を聞いていただきましたことには感謝いたします。現場を回りましても、乳脂肪分が高ければいいというだけの競争で、低いとペナルティーを課せられる、そのために飼料代もかかる、また牛の健康状態も悪くなることが多い、そういう要望を承っておったものですから、今回この改定がされるということは大変感謝いたしております。  本当にこのバターを何とか解決しませんと、田舎に帰りましても、おつき合いでバターをバター拡大運動のときにいっぱい買います。うちの嫁の実家の方が千葉で酪農地帯なものですから、帰省すると近所の方からバター拡大運動ということでたくさん買って冷蔵庫にしまい込んでおく、そういう現状が去年ぐらいまでございました。ぜひそういうことがないように、バターの消費拡大、また値段の問題も含めて努力していただきたいと思っております。  次に、牛肉の問題について移らせていただきます。  今回、牛肉について関税率が二〇〇〇年までに五〇%から三八・五%に引き下げられることになります。また、豚肉につきましても、基準輸入価格が四百七十円から四百十円に将来引き下げられます。そういうことから、経営体の足腰を強め、輸入食肉の増加に対抗するためには、輸入食肉との差別化に努力するということが重要になってまいります。基本的には、いい肉をつくる努力をする、また産地の銘柄化を図る、国産肉の消費拡大を図るということの三点にあろうかと思います。  そういう、基本的に、抽象的に言うと簡単な問題ではございますが、やはり経営体の経営の安定と生産性の向上という大きな問題を抱えております。差別化を推進していくためにもこの問題は急がねばなりませんが、平成七年度予算での具体的な施策及び今後の展望を農水省にお聞きしたいと思います。
  73. 福島啓史郎

    ○福島説明員 肉用牛生産につきましては、重要な食料であります牛肉の供給源であり、かつまた我が国の土地利用型農業の基軸であるというふうに位置づけられるものでございます。そのために、自由化に伴います子牛価格の低下に対しましては、肉用子牛生産者補給金制度、不足払い制度を適正、円滑に実施しております。また、繁殖経営におきます子牛生産拡大意欲の向上を図るために繁殖奨励措置を講じております。また、肥育経営に対しましては、枝肉価格の低下等によります収益性の悪化に対応するために経営安定の緊急対策を実施しております。  次に、養豚経営につきましては、豚肉は食肉消費の四割を占めるなど重要な食料でございます。そうしたことから、豚肉の調整保管など含みました価格安定制度を円滑に実施しております。また、優良種豚の改良増殖の推進、あるいは優良種豚の導入促進、また家畜ふん尿対策等の施策を講じて経営の安定に努めているところでございます。  特に、平成七年度におきましては、ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴います国際化の進展に対応しまして、一層の生産性の向上と経営の安定を図るために、地域の創意と工夫を生かしました地域畜産の再編活性化を図るための共同利用施設等の整備、あるいは効率的な生産システムの農家の庭先での実証展示、また高性能の飼養管理用の機械のリース方式による個別経営体への導入、また家畜ふん尿の適切な処理あるいは農地へのリサイクルの推進等の対策を実施したわけでございます。これらに加えまして、都道府県単位で実施されます肉豚の価格差補てん制度をバックアップするための資金供給を行います地域肉豚生産安定基金造成事業につきましても、その円滑な実施に努めてまいりたいというふうに考えております。  今後とも、こうした施策によりまして、肉用牛経営、養豚経営の安定と生産の維持拡大、生産性の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。
  74. 矢上雅義

    ○矢上委員 ただいま審議官が述べられました各種政策、国、自治体を通していろいろございます。  要約しますと、今後必要となってきますのは、大規模専業農家の育成を初め、そうなりますと、個人としては設備投資が大変きつくなってくるわけでございます。そういうきっい状況の中で、今後さらに資本の高度化を進めるためには、身軽にその設備を利用できるとかいう形での共同利用の施設を充実するとか、先ほど申されましたリース事業ですか、国から助成を受けて農機具をリースできる。身軽な形で、しかも高度の資本形成を図るという形での援助が大きくなってくると思います。その点で重点的に頑張っていただきたいということが一つでございます。  補足としまして、肉用子牛生産者補給金制度、これは畜産家にとって欠かせない制度でございます。特に、ウルグアイ・ラウンドの影響を乗り越えるためにも必要なことでございます。また、地域肉豚生産安定基金、これにつきましても、もう申すまでもございません。ただ、この両制度におきましても、肉用子牛生産者補給金制度を例にとりますと、平成二年から現在までの補給金の交付額が一千三百億円、その内訳としまして、国庫負担が九百三十七億円ということでございます。また、それに伴う県の協会等の借入金が膨らんできておりまして、国のバックアップが欠かせないような状況でございます。農水省の予算としては大変厳しいところでございますが、この財源、特に借入金の返済財源確保につきましては、特段の御配慮をお願いいたしたいと思います。  次に質問を移らせていただきます。  やはり食肉の問題でございます。加工、流通に関する問題ですが、大量生産の時代で、外食産業、加工産業の隆盛がきわまっております。量的、質的、価格的に安定して供給をするという新しいニーズが生まれてきております。輸入食肉は部分肉が中心で処理が簡単であることから需要が伸びているのに対し、国内産食肉は枝肉が主流で処理に手間がかかる、流通コストがかさむという声が聞かれております。その対策として、各地で食肉センターがつくられ、部分肉として産直処理されておりますが、この進捗状況及び現在抱える問題等について、ありますればお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、鉢呂委員長代理着席〕
  75. 福島啓史郎

    ○福島説明員 先生今御指摘がありましたように、食肉の需給規模は拡大しておりますし、また流通も広域化しておるわけでございます。こうした状況対応しまして、食肉流通合理化を図るために、産地において零細屠畜場の再編整備を行いまして、部分肉まで大量一貫処理する近代的な食肉処理施設を産地食肉センターとして整備を推進しているわけでございます。また、こうした先進的な屠畜処理体制と、これに対応した効率的な集荷・流通体制を有する産地食肉センターを整備しているわけでございますが、これにつきましては、特に全国の屠畜場数が年々減少している中で、産地食肉センターにおきます処理割合は増加傾向にあるわけでございまして、平成五年には九十カ所の食肉センターにおきまして、肉豚につきましては約半分、肉用牛につきましては約四割が処理されているところでございます。  今後とも、こうした事業を通じまして、産地食肉センターにおきますより一層の大規模化、また省力化機械等の導入によります効率化、また衛生的な処理の推進、それから小割りカットヘの対応、それから製品の高付加価値化といったような整備を促進いたしまして、食肉流通合理化なりあるいは低コスト化、さらには輸入食肉に対する競争力強化に資するように努めてまいりたいというふうに考えております。
  76. 矢上雅義

    ○矢上委員 私の地元、熊本の人吉の方にも食肉センターをつくっておられて、大変地元で活用されております。ただ、今後とも輸入食肉がふえてきて、しばらくの時期は国産食肉はきつい状況が出てくると思います。稼働率の問題も含めまして、経営状況の問題も今後出てくる可能性もございます。その中で、せっかくつくっていきます食肉センターが安定して経営ができますように、そういう経営面での助成なりバックアップもさらに強めていただければと期待しております。  次に、実は次の質問として国内産、外国産の食肉の表示の問題を取り上げるつもりでございましたが、先ほど倉田先生よりお話がございましたので、この質問は割愛させていただきますが、ただ、牛肉につきましては、先ほど審議官の説明どおり表示制度は進んでおります。民間の努力でございます。ただし豚肉、特に台湾産チルド等の輸入食肉に押されております豚肉におきましては、表示制度の問題が若干おくれているという声も聞かれます。それに対して、現場では表示制度を国内産、外国産、きちんとしてほしいという要望もございますので、この質問は要望とかえさせていただきます。  次の質問に移らせていただきます。  ただいま国、地方自治体におきまして、環境保全畜産確立対策事業として各地に家畜のふん尿処理施設等の建造が急がれております。実績は結構上がっておりますが、地方によりましては生産者の方々からも、今まで捨てておったものを余分なコスト負担をしてまでもする必要があるのかと、計画に消極的な方も一部にはおられます。また、この問題が地方自治体の議会を通る際にも、なぜ一部の特定産業に対して助成をするのかという議員さんの反発もございまして、議会を通らない場合もございます。  基本的な食糧でございます食肉生産する、そしてそれから出るふん尿は大量なものでございます。それを個人レベルの畜産家だけですべて処理できるわけではございません。公共性のあるものとして、人ぷんと同じように家畜のふん尿も国家なり地方自治体が責任を持ってやるということが必要でございます。そして、この事業が設けられているわけでございますが、システム、事業体制は整ってはまいりましたが、地元の生産者の方々の理解、また地方議会、地方住民の理解を高めるためにも、今後とも積極的な啓蒙活動が必要と考えておりますが、これについての取り組みをお聞かせください。
  77. 福島啓史郎

    ○福島説明員 先ほど大臣からも答弁がありましたように、今後の畜産の健全かつ安定的な発展ためには、畜産環境問題の主因となります家畜ふん尿の適切な処理がますます重要であるというふうに考えます。この場合、家畜ふん尿は有機物を多く含んでおるわけでございますから、これを堆肥化しまして土壌に還元するということが基本的な考え方ではないかというふうに思うわけでございます。  このために、畜産農家に対する家畜ふん尿の適切な処理、利用のための指導が一つでございます。また、共同利用の家畜ふん尿処理あるいは利用機械施設等の整備に対する補助が二番目でございます。さらに、個人での家畜ふん尿処理あるいは利用機械施設の整備に対します低利融資なりリースというのが三番目でございます。さらに、このほか家畜ふん尿の効率的な処理、利用に関します技術体系の確立あるいは研究開発等が四番目の対策でございまして、これらを総合的に講じてまいりたいというふうに考えております。  また、今回のウルグアイ・ラウンド関連対策といたしまして、緊急に家畜ふん尿処理あるいは利用機械施設の整備を行うための非公共事業、公共事業の予算の大幅な増額を図ったところでございます。また、平成七年度におきまして、新たに畜産農家と耕種農家の連携によります堆厩肥の流通・利用を促進するためのシンポジウムを開催したり、あるいは共働会を開催したり、あるいは情報の提供等を行う事業を実施するようにしております。また、閉鎖性水域などの水質規制の厳しい地域におきます高度な家畜排せつ物処理施設の整備などの事業を実施することとしておりまして、今後とも畜産環境対策の充実強化に一層努めてまいりたいというふうに考えております。
  78. 矢上雅義

    ○矢上委員 ただいまの質問最後質問でございましたが、平成七年度から今後六年間、予算的にもまた事業的にも多種多様な現場の生産者の役に立つ事業が拡充されてくると思っております。ただし、限られた時間の中でその制度を有効に使うためにも、ただいま審議官がおっしゃったようなシンポジウムの開催と、何がどう使えるのか、自分がどう使えるのか、そういう情報を各地の農家の方々に懇切丁寧に伝えていくということがこの六年間の勝負を決めることになりますので、どうか今後ともそのソフト面での努力をしていただくことを期待して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  79. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長代理 藤田スミさん。
  80. 藤田スミ

    ○藤田委員 ことしの畜産価格は、乳製品の完全自由化畜産物の関税率の一層の低下を進める農業協定の初年度に当たるわけです。酪農家を初め全国の畜産農家は、暗たんたる思いの中でことしの畜産物価格を迎えようとしているわけであります。  今生産現場では急速な離農が進んでいます。例えば乳用牛の飼養農家は、九〇年度から見て毎年四千戸の規模で離農が進んでいます。このテンポで離農が進めば、あと十年でなくなってしまうほどのスピードであります。肉用牛の飼養農家も毎年一万戸の規模で離農、これもあと二十年でなくなってしまうテンポです。養豚農家についても、九〇年から九四年のわずか四年間で四万三千四百戸から二万二千百戸へと半減をしています。  一方、経営面ではどうかといえば、酪農経営では八八年から九三年まで毎年農業所得が減り、逆に負債額はふえているといった本当にどうしようもない状況であります。この経営状況の悪化と乳価の保証基準価格の引き下げは、リンクしていると言ってもいいものであります。このような状況について政府は一体どのように受けとめていらっしゃるのか。私は、今大きな問題になっている畜産物の食糧自給率を引き上げるためにも有効な価格政策をとるべきだと考えますが、大臣はいかがお考えですか。  もう一つの問題は、指定乳製品の保証価格については私たちはいつも要求してまいりましたが、都市勤労者並みの労賃を保障する価格にするべきでありますし、この三年間引き下げ続けられている限度数量についてもこれを引き上げるべきであります。お答えください。
  81. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  まず、加工原料乳の保証価格決定につきましては、当委員会においてもしばしば申し上げておりますように、加工原料乳地域におきます生産条件あるいは需給事情を勘案いたしまして、再生産が可能な価格ということで決めておるわけでございまして、その点では、我々としては制度にのっとった価格決定を行っておるつもりでございます。  なお、委員農家戸数の減少等いろいろおっしゃいましたし、所得も申されましたけれども、例えば、我々が、平成四年でございますかの加工原料乳地帯の所得と平成六年の所得を比べましても、明らかにふえておるというような数字も持っておるところでございまして、連年の減少というようなことではないというふうに思っております。  主要農家の減少につきましては、一々の畜種について申し上げませんけれども、やはり高齢化して後継者がない、あるいは小規模あるいは病気だというようなそれぞれの原因がございまして、必ずしも保証価格決定が低きに過ぎるというようなことではないというふうに考えておるわけでございます。
  82. 藤田スミ

    ○藤田委員 そんな認識では、本当に今深刻な、どんどん離農が続いているこの問題について、政府は一体この問題をどうするのかということを、私は時間があれば幾らでもここで聞いていきたいわけです。もしことしの畜産価格がさらに引き下げられるならば、完全自由化で展望を奪われた畜産、酪農家の離農は一層加速度を増していくでしょう。私は、そのことにあなた方が痛みを感じないとしたら、それはもう本当に許されないことだと思っています。  価格問題とあわせて国内の畜産農家にとって深刻な問題は、WTO協定による畜産物の完全自由化によって牛肉や豚肉を初めとする畜産物の輸入急増が問題であります。このまま事態を放置していれば、国内生産が維持できなくなるという問題です。関係者を初めセーフガードなどの輸入規制を強く求めてきておりますが、農水省として至急対策をとるべきであります。また、当然のこと、WTO協定の見直しかなければ日本畜産は生き残ることはできません。政府として、WTO協定の見直しを真剣に検討するべきじゃありませんか。
  83. 福島啓史郎

    ○福島説明員 WTO協定の実施に伴います平成七年度からの関税率の引き下げに対処いたしまして、牛肉につきましては、牛肉の輸入が前年度の一一七%を超えて急増した場合には関税を五〇%に戻すという緊急調整措置を確保しておりまして、こうした関税暫定措置法等の規定に従いまして、この措置を適切に運用していくこととします。また、この新たな緊急調整措置は、従来の措置と違いまして、発動基準が前年の輸入量の一一七%に設定しているということ、また四半期ごとに設定をするということ、またチルド牛肉とフローズン牛肉を分離して適用しているということなどから、日米あるいは旦豪合意に基づきます緊急調整措置に比べまして発動しやすくなっているということを御理解いただきたいと思います。  また、豚肉につきましては、現行の差額関税制度の機能を維持するとともに、基準輸入価格等の引き下げに対応しまして今回の農業協定の特別セーフガード措置、また輸入急増時に基準輸入価格を引き上げる緊急調整措置を確保しているところでございまして、これらの措置を適切に運用してまいりたいというふうに考えております。  また、WTO協定につきましては、前国会で御承認をいただいた上で受諾を行っているところでございまして、協定内容を見直すことは考えていないわけでございます。政府といたしまして、この合意が農業にとり厳しいものであることは認識しておりますが、国内農業への影響を最小限に食いとめるとともに、我が国農業の将来展望を切り開くよう、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図るための対策の充実強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
  84. 藤田スミ

    ○藤田委員 セーフガードが発動しやすくなっている、そして調整も行えるようになっている。適切にそれを運用していきたいというなら今すぐそれをやればいいじゃないですか。WTO協定の改定、その権利権限は参加国に認められているわけです。先ほどの議論の中でも、与党の皆さんからもWTO協定を受け入れたことは間違いであったといった発言がされているぐらいですから、その見直しをやればいいじゃないですか。日本酪農畜産生産規模を、このままではさらに突き崩してしまって、そして牛乳・乳製品や牛肉、豚肉などの食糧自給率を引き下げていく、しかしそのことは我が国に食糧危機を招きかねない深刻な事態になるわけでありますから、もっと国民の食糧に責任を持つ省として農水省は対応をするべきだ、私はそのことを強く申し上げておきたいと思います。  ところで、この十六日に開かれました畜産振興審議会総会の場で、農水省は、ゆとりある畜産経営の育成、そういう言葉を使われました。私どもは一貫して、ゆとりある畜産経営、人間らしい生活ができる畜産経営を政府に求めてきました。そして生産現場では、政府が言うはるか前からマイペース酪農という名前で、酪農家が人間らしい生活ができる適正規模の飼養頭数と牛の生理を大切にした経営、そしてむだな投資をしないというやり方で、むしろこれが大規模経営酪農より多くの利益を上げることができ、徐々にそういう経営体が広がってきています。政府がゆとりある畜産経営の育成と言うならば、マイペース酪農についてももっと研究をして、本当にゆとりある畜産経営とはどういうものか一定の見解を持つべきであります。この点が一点です。  もう一つの問題は、先ほどからも問題になっていますが、ゆとりある畜産経営と言うなら、周年性の畜産経営にとって週一日の休日を確保することは極めて重要な問題であります。そのために、酪農ヘルパー制度の拡充は欠かせない問題です。私は、そのことを一貫して要求してまいりましたが、ある程度の制度の広がりを私は否定するものではありません。しかし、まだ人員面からも体制面からも制度的に不十分であることは言うまでもないことです。  この酪農ヘルパー制度が制度的に飛躍できないのはなぜか。これは関係者からも要望として強く出されておりますように、酪農ヘルパーの人件費に対する国庫補助が実現していないということなんです。だから、政府が本当にゆとりある畜産経営と言うなら、長年のこの問題について、もういよいよ酪農ヘルパーの人件費に対する国庫補助を実現するべきじゃないか私はそのように考えます。いかがですか。
  85. 福島啓史郎

    ○福島説明員 最近、北海道を中心に放牧を主体とした低投入持続型酪農、いわゆるマイペース酪農に取り組む経営が注目されていることは承知いたしております。我が国酪農におきまして、生産コスト低減と所得向上を図る上で規模拡大は有効な方策の一つであり、今後とも推進する必要があると考えておりますが、一方で、規模拡大を伴わずに生産、経営管理技術の改善あるいは半群改良等の経営内容の充実によりまして、所得向上を図る方向も同様に重要であるというふうに考えております。これらの点につきましては、放牧を活用した低コスト、ゆとり重視のいわゆるマイペース酪農につきましても、今後検討すべき一つの方向であるというふうに考えており、本年秋ごろを目途に策定中であります酪肉近代化基本方針の検討の中でも、他の多様な経営タイプとともに検討を行ってまいりたいというふうに考えております。  次に、先生の御質問酪農ヘルパーの人件費に対する助成の問題でございます。  これにつきましては、他産業につきましてはもとより、他の農業部門におきましても、みずからの負担で労働者を雇用しているという現状にあるわけでございます。またヘルパーの利用は、経営者である酪農家が休日の確保やあるいは冠婚葬祭等の不時の必要に応じまして労働力を雇用するものであることから、ヘルパーを利用する受益者が負担すべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  なお、平成六年からヘルパー要員の育成確保のための事業あるいは地方交付税措置によりますヘルパー組織の育成等を含みます農山漁村対策が実施されているわけでございまして、これらの事業、制度の活用、推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  86. 藤田スミ

    ○藤田委員 あなた方は現状のままでここをこう、ヘルパー制度をもっと定着、広げていくために、それが障害になっているとは思いませんか。正直に、皆さんの難しいとか難しくないとかでなしに、人件費のところで負担を軽減させる、あるいはその人件費を持っていく。公の方が持っていかなければ、そこを乗り越えていかないと制度が定着、広がりができないとは思いませんか。
  87. 福島啓史郎

    ○福島説明員 先生の御指摘ではございますが、人件費補助といいますが、先ほど申しましたように、これは他産業あるいは他農業におきましても、自分の負担で労働者を雇用しているわけでございますから、これは国費なり、あるいは税金を使う上で適当ではないというふうに考えております。
  88. 藤田スミ

    ○藤田委員 国費や税金というのは、もっと本当に削ってほしいところ、たくさん持っているのです。こんな酪農ヘルパーの人件費、もっと名目も工夫すればできるし、それに人件費を持つぐらいの費用を出したからといって、そんなだれが怒るのですか。きょうびそんなもの、二十四時間、三百六十五日、目を離さずに取り組まなければならない仕事なんてめったにありませんよ、この酪農ぐらいです。だからそういうところに本当に手を差し伸べていくということに対して一体だれが怒るというのですか。そういう姿勢だからだめなんです。だけれども、私はどうしても、せっかくヘルパー制度もここまで広げてきたわけですから、いろんな工夫をしてでもやはりもっともっと拡充、定着させるために努力をしていただきたいと思います。  最後の問題ですが、畜産酪農両方に深刻な影響を与えている輸入牛肉の問題では、国内対策とされている肉用子牛対策がぬれ子を対象にしていないなど極めて不十分であります。この点では生産者に多くの不満が広がっています。これは財源を牛肉の関税収入に求めているわけですが、これまでの収支を見ておりますと、単年度に四百億から五百億の余剰金が出ているのです。既に千三百億円、九四年度分を加えますと千七百億、厳密に言えば千六百九十九億ですか、それだけの関税収入が未使用になっているのです。これらを使ってぬれ子を価格保証の対象にするとともに、肉用子牛の保証基準価格を引き上げ、畜産農家の保護水準を引き上げるべきであります。  もう一つの問題は、各都道府県の子牛価格保証協会の経営は、乳用種の価格合理化目標価格を大きく下回っているため支給額が急増し、破綻寸前のところに来ています。先ほど指摘したようなこの関税収入の余剰金千七百億円を活用していけば、これも解決することができるわけです。私はぜひそれをやっていただきたい。
  89. 福島啓史郎

    ○福島説明員 まずぬれ子の問題でございます。肉用子牛生産者補給金制度、つまり子牛の不足払い制度の定着以降、ぬれ予価格は相対的に安定的に推移しているわけでございます。これは今後とも子牛段階におきまして不足払い制度を講ずれば、素牛価格と補給金を加えた類と、それからぬれ子の価格との相関関係が強いわけでございますので、こうした相関関係の強さから見まして、ぬれ子の価格安定も図り得るというふうに考えているわけでございます。  次に、都道府県の肉用子牛価格安定基金協会の借入金の問題でございます。  最近ずっと、要するに、日本短角とその他の肉専用種、それから乳用種では、平均売買価格合理化目標価格を大幅に下回っているということ、その結果、県の指定協会は生産者積立金不足を生じ、全国の肉用子牛価格安定基金協会から融資を受けて生産者補給金を交付している状況でございます。この借入金につきましては、基本的には都道府県指定協会におきまして造成される生産者積立金で返済されることになっているわけでございますが、当面、今後一定の価格回復を見込んでも、この借入金の返済は困難な状況となっているわけでございますので、こうした補給金の円滑な交付に支障を生じないように、平成五年度から緊急的に、国が平成四年度までの借入金の三分の二、これは四十三億円でございます、また平成六年度におきましても、五年度分百十六億円の借入金について同様の対応をしているところでございます。平成七年度におきましても、同様な考え方を念頭に置きながら、この子牛の不足払い制度の円滑な運営の確保を図るための対策を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  90. 藤田スミ

    ○藤田委員 納得できないのです。私が皆さんからいただいた資料に基づいて、関税収入が余っているということを数字で出しているわけです。どうしてこのお金をもっと使わないのですか。あれこれの理由をつけて、もう最初から一貫してあなた方は、ぬれ子を国内対策の対象に持ち込むのを拒んでいらっしゃるわけですが、これだけお金が余っているのです。そして今三年から五年にわたって助成をされていることは知っていますが、全部で百五十九億二千三百万円助成をしておられることを知っていますが、貸付残高は七十三億三千九百万もまだあるわけです。したがって、どうしてこの積もり積もって千七百億になろうかというお金を活用されないのですか。わかりませんね。
  91. 福島啓史郎

    ○福島説明員 まず関税収入につきましては、産地の価格、それから為替レート、また消費の動向等、いろんな変動要因があるわけでございます。  それからまた、子牛価格の子牛の不足払いの借入金につきましては、先ほど御説明しましたのは平成五年度、それから六年度における措置を御説明したわけでございますが、平成七年度におきましても、現在三百億円を超える額の貸付残高があるわけでございまして、これに対する対応が必要となっているわけでございます。そうしたことを念頭に置きますと、子牛の価格の変動というものを、いろんな状況、いろんな事態を念頭に置かなければいけないわけでございまして、計画的に今ある残額をすべて使用するというわけにはいかないわけでございまして、そこは子牛価格全体の仕組みの中で一番重要な不足払い制度という制度を安定的に運営していくという観点に立って、財源を重点的に使用していくのが適当ではないかというふうに考えているところでございます。
  92. 藤田スミ

    ○藤田委員 残念ですが、質疑の時間はこれで終わりました。しかし、私は、千七百億円というものを本当に農家が喜ばれるような形で、しかも今まさに大事な時期ですから、そういう時期に一筋の光になるようなそういう対策をとるべきだ。そうでないと、私は、これは国民的な問題として取り返しのつかない食糧自給率の低下を招いていく、そういう問題につながるということを申し上げて、私の質問を終わります。      ————◇—————
  93. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長代理 この際、松岡利勝君外四名から、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び日本共産党の共同提案による平成七年度畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。倉田栄喜君。
  94. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び日本共産党を代表して、平成七年度畜産物価格等に関する件の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     平成七年度畜産物価格等に関する件(案)   我が国農業の基幹的部門である畜産業は、ガットウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う乳製品等の関税化、牛肉・豚肉の関税引下げ等厳しい情勢下にある。  よって政府は、本年が農業合意実施の初年度であることを踏まえ、平成七年度畜産物価格決定に当たっては、畜産業のあるべき将来を見据えつつ、畜産経営の基盤強化を図るため、左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。     記  一 国際化の進展に対応し、新たな基本法において畜産業の役割を明確にするとともに、新たな酪肉近代化基本方針等において国内生産の中長期目標並びにその実現のための生産コスト低減乳業及び生乳流通合理化等の具体策を提示すること。また、畜産農家の再生産を確保するため、価格政策を含め、国際化に対応し得る中長期的な畜産政策の展開方向について検討すること。  二 加工原料乳保証価格については、生産者の努力が報われ、意欲をもって営農に取り組めるよう、再生産を確保することを旨として適正に決定すること。加工原料乳限度数量については、国産生乳供給の十分な確保を旨とした生乳需給計画の下、適正に決定すること。    また、酪農経営体の育成強化対策を着実に推進するとともに、飲用牛乳等の消費拡大、国産ナチュラルチーズの生産振興、余乳処理施設の再編及び中小乳業の体質強化等への支援措置を引き続き講ずること。    さらに、本年から開始される乳製品のカレント・アクセスについては、国内需給に悪影響を及ぼさないよう、適切に対処すること。  三 牛肉・豚肉の安定価格については、再生産の確保を図ることを旨として、経営の安定が図られるよう適正に決定すること。    また、牛肉については、牛肉輸入の増大により国産牛肉の価格が低下してきている現状に対処するため、肉用牛肥育経営安定緊急対策を引き続き講ずることとし、豚肉については、価格低迷や環境問題等により飼養戸数が著しく減少している現状に対処するため、養豚経営の強化対策、糞尿処理施設の整備対策等を一層拡充すること。  四 肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の再生産の確保を旨として適正に決定合理化目標価格については、肉用子牛生産の実態並びに輸入牛肉の価格低下等を勘案し、適正に決定すること。    また、子牛生産の拡大奨励対策、都道府県肉用子牛価格安定基金協会の財政基盤強化対策等を引き続き実施すること。  五 畜産業の安定的発展に資するため、国産畜産物の消費拡大、生産基盤の強化流通合理化食肉処理施設の再編整備、金融支援の推進などの総合的対策を講ずること。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じ委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  95. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  松岡利勝君外四名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  96. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長代理 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大河原農林水産大臣
  97. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
  98. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長代理 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十六分散会