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1995-03-14 第132回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月十四日(火曜日)     午後一時開議 出席委員   委員長 中西 績介君    理事 久間 章生君 理事 二田 孝治君    理事 松岡 利勝君 理事 倉田 栄喜君    理事 小平 忠正君 理事 仲村 正治君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 錦織  淳君       赤城 徳彦君    岸本 光造君       栗原 博久君    栗原 裕康君       小泉 農一君    七条  明君       東家 嘉幸君    蓮実  進君       浜田 靖一君    保利 耕輔君       松下 忠洋君   三ッ林弥太郎君       御法川英文君    山口 俊一君       山本 公一君    山本 有二君       石破  茂君    江崎 鐵磨君       大石 正光君    小坂 憲次君       鮫島 宗明君    実川 幸夫君       千葉 国男君    畑 英次郎君       初村謙一郎君    増田 敏男君       矢上 雅義君    山岡 賢次君       石橋 大吉君    遠藤  登君       辻  一彦君    前島 秀行君       玄葉光一郎君    藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣 大河原太一郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 小澤  潔君  出席政府委員         国土庁地方振興         局長      松本 英昭君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産大臣官         房審議官    紀内 祥伯君         農林水産省経済         局長      東  久雄君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         食糧庁長官   上野 博史君         林野庁長官   入澤  肇君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ―――――――――――――  辞任         補欠選任   栗原 博久君     蓮実  進君   徳田 虎雄君     小泉 晨一君   中川 昭一君     山口 俊一君  三ッ林弥太郎君     山本 有二君   石破  茂君     小坂 憲次君   木幡 弘道君     鮫島 宗明君   山田 正彦君     江崎 鐵磨君 同日  辞任         補欠選任   小泉 晨一君     徳田 虎雄君   蓮実  進君     栗原 博久君   山口 俊一君     中川 昭一君   山本 有二君    三ッ林弥太郎君   江崎 鐵磨君     山田 正彦君   小坂 憲次君     石破  茂君   鮫島 宗明君     木幡 弘道君     ――――――――――――― 三月十三日  農産物検査法の一部を改正する法律案内閣提  出第八二号)  農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八一号)(予)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ  き、農林水産消費技術センター設置に関し承  認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)(予  ) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二〇号)(参議院送付)  山村振興法の一部を改正する法律案起草の件      ――――◇―――――
  2. 中西績介

    中西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。七条明君
  3. 七条明

    ○七条委員 きょうから議題になっております農協合併助成法の一部改正案につきまして質問をさせていただきます自由民主党の七条でございます。が、時間が三十分に限られておりますので、忌憚のない御意見をお聞かせいただくとともに、簡単明瞭なる答弁政府の方々にもお願いをいたしておきます。  それでは、実は私この法案を少しながら読ませていただいておりましたけれども、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意を受けて、本年から以降六年間にわたりまして六兆円を超えるような予算がつきました。そして農業だとか農村対策を実施していくわけでありますけれども、しかしながら、一番これから心配されるのは、本当に日本の農業農村が大きく生まれ変われるのだろうかどうかということが一番危惧をされております。  特に、農業者自身組織であります農協系統組織におかれても、その意味ではこれから大変な努力がなければならない。経済国際化の進展あるいは国の内外を取り巻きます環境等々も含めまして、経済競争の激化する中で、農協活動が今一つの大きな転換期に来たと思っておりますけれども、その意味で、今度の農協合併助成法の一部改正も、私はある意味で大きな関心を持っておるところでございます。  その意味におきまして一つまずお聞かせをいただきたいのは、最近の農協経営状況についてでありますけれども、私は農村地域に住んでおる一人でございますために、最近の農協経営が非常に厳しいものがあると認識をいたしております。  特に、農林省の調べておられる資料を見てみましても、信用事業だとかあるいは共済事業だとか、それから販売事業あるいは購買事業というのがありますけれども、信用事業共済事業はある程度の成果を上げておりますが、しかしながら、販売事業だとかあるいは購買事業というのは横ばいか減少ぎみで、先行きが余り明るくないというのが実態ではないかと思います。  このような中で、事業収益あるいは経常利益は、平成に入りまして年々減少をしておる。特に単位農協でもその差のひどいところもあるわけでありますけれども、そこらのことを含めまして、農林水産省としては問題意識をどういうふうに持っておるのか、最近の農協経営状況についてお伺いをしてみたいと思います。
  4. 東久雄

    東政府委員 端的に申しまして、先生指摘のとおり、従来、販売事業購買事業とも農協全体といたしましては赤字でございまして、その赤字状態は大体継続しております。そこへもってきまして、ここのところ、最もそういう赤字を賄っておりました信用事業それから共済事業、特に信用事業の変化が徹しゆうございまして、ここ四期連続して、単位農協でございますが、農協全体として見まして、もう事業利益経常利益減少しておりまして、一時のピーク時の半分ぐらいになっているというようなことで、非常に厳しい状況がございます。  さらに、先ほどお話ございましたとおり、諸事情が変化しておりますので、販売購買も含めた事業に対しての影響ということも今後予想されますので、農協全体として経営問題としては非常に厳しい状況にあるということを申さざるを得ないと思います。
  5. 七条明

    ○七条委員 農協は、最近JAというふうに名前をイメージチェンジをしました。我々の自民党もJFというふうにちょっと変えてイメージチェンジをいたしておりますけれども、同じJがついておりますけれども、JAJF、大分違うようでありますが、これはさておきまして、JA農協がこれから一つ転換期にあって、先ほどの質問に関連をしてくるのですけれども、農水省の資料によりますと、この黄色い資料をいただいておりますが、この資料の中で、経常利益伸びが落ちているのは、主としていわゆる事業管理費伸び事業の総利益伸びが一九・八%なんだけれども、それ以上に管理する方の費用が二六・五%も伸びまして、どちらかというと、この管理費というのは、人件費がやはりふえてきているのじゃないだろうか。  そうすると、年々合併は徐々にでも目標に近づいてきておりますけれども、実際は経常利益よりも管理費の方がふえてくるということが起こってきますと、これは農協にもう少し真剣に指導をしておかなければ、いかに合併が進んでも問題が残ってくるのではないだろうかという素朴な疑問が私自身は出てくるのですね。  ですから、その意味で、いろいろ調べてみますと、昭和六十年以降の合併によりまして役員人員は非常に減ってきておるようです。それから、組合合併も大幅に進みまして減ってきておるわけでありますけれども、もちろん合併したからといってすぐに職員を減せということはできないかもしれませんが、しかしながら職員が増加する傾向にあるというのは、非常に合併に意に反する部分があるのじゃないだろうか、実はそういうふうに私は感じますから、この人件費というか管理費、こういうものまでやはりうまくやれるような合併をする助成法でなければならないと私は思うのですけれども、どうなんですか。
  6. 東久雄

    東政府委員 お話のとおりでございまして、現在、単協段階での職員数が約三十万、これも微増してきておるというのが実態でございます。これは、ある意味では組合員のニーズの多様化ということがございますし、事業規模の拡大ということもある程度はあるのだろうと思います。  しかし、先生指摘のとおり、こういう厳しい事業収益の中で管理費が相当増大してきております。これも、単協の全体で見まして約三分の二は人件費でございまして、そういう点の合理化ということはやはり強く求められているところでございます。  そういうこともございまして、昨年の秋に、三年ごとにやります全国農協大会で、農協側といたしましても労働生産性の三〇%向上というような方向で、やはり合理化、それからできるだけ新規採用を抑えていくというような方向等を打ち出しておりまして、こういう自主的な改革努力がやられていくというふうな状態でございまして、私たちといたしましても、そういう方向につきまして支援していくとともに、引き続いて十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  7. 七条明

    ○七条委員 局長、ここ二十年とか三十年前ぐらいから徐々に農協合併をしてきたり、最近特に農協合併が着実に進んでいることを私は感じておる一人です。  ただ、今に来て進まなくなった理由の中には、やはり焦げついた借金があるんだ、あるいは地域のいろいろな特殊な事情があってなかなかできない、独立採算ができているから合併までしなくていいよというような農協もあるかもしれませんが、しかしながら、合併が着実に進んでおいて、その一方で人件費がふえる、いわゆる職員数が減っていないというおかしな現象になってきています。もちろん事業伸びているときはいいですけれども、さっきも言いましたように今事業がだんだん減ってきているときですから、そのときに人件費だけ伸びていくという傾向ができてきたら、これは私は大変複雑な感覚で、合併を推進しろ、推進しろとは言いにくくなるのですね。  ですから、そこらをやはりこれから考えて、職員数を減らす傾向になっていくような指導ができていくのだろうかどうか、これはやはり確かめておく必要がありますから、指導できますか。
  8. 東久雄

    東政府委員 先ほど申し上げましたとおり、例えば農協農協大会での決定、決議というところを見ましても、「人材の有効活用をはかる要員管理の徹底、労働分配率の見直し、新規中途採用調整等による人員圧縮取り組みます。」ということを明言いたしております。これは去年の秋のことでございますが、そういう意味で、真剣な取り組みがこういうふうなところから行われていくというふうに思いますし、また事業的にも非常に厳しい状況に立たされているというところで、農協は全部で二千六百くらいございますが、二百十にもわたる農協が昨年度赤字を出したという状態の中で、やはり真剣にそれは取り組まれていくというふうに考えておりますし、そこは十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  9. 七条明

    ○七条委員 それでは、そこまで言われるのです。から、農協合併が三十年代から以降着実に進んできていることは私も認めております。それで、農協系統組織においては、平成七年の三月現在で二千六百二十六組合、これを西暦二〇〇〇年には五百七十組合にするというような構想を今立てておられる。これはそういう資料を見せていただきましたけれども、五百七十にしたいという構想のようですね。  それは大変な構想で、これはどうなるのだろうかと私も不安になったり、こんなに二〇〇〇年までに減少するのだろうかという危惧もするのでありますけれども、合併の中で一番ネックになっておるのは何だろうか。やはり先ほど言いましたように、二百十の間で借金とかいわゆる負債がいろいろあったりする。今までの関係からいきますと、今度の改正案の中には、合併推進法人がやはり必要だということで、それが一部改正の一番大きな目玉になってきております。その意味で、この二〇〇〇年までに五百七十になるだろうという予測の上で、目標達成までには紆余曲折があると思いますが、これは実際にうまくできるのだろうかな、ネックというのは本当に今思っておるようなことでいいのだろうかな、これはどうなのでしょうか。
  10. 東久雄

    東政府委員 ネックという部分でございますが、この五百七十農協にという計画は、各県でそれぞれ、この地域一つ農協、ここの地区に一つ農協というふうな計画を立てておりまして、その積み上げが五百七十でございます。その現在の達成率を見ますと、四割ちょっと欠ける程度でございます。  そこの原因というのをそれぞれの県ごと調査をしたのがございますが、やはり大きなネックというのは、役員組合員理解不足というところがあるようでございます。特に、先ほど先生指摘のように、力の強い農協というのが、特に集荷、販売関係で非常に強い農協割合合併がしにくい状態があったということは事実でございます。それは、私の方、その計画等達成状況を見ておりまして、特に東北、北海道の進捗状況が悪いという状態がございました。それらはその辺が一つあったのだと思います。  しかし、ここへ来てやはり役員組合員の間に今後の、具体的に言いますと米というような問題を持った販売というところの問題の意識というものは十分出てきておると思いますし、さらにいろいろな意味での理解不足というところがその原因の大きなところでございます。  それからもう一つは、先ほど先生指摘固定化債権の問題、今回そのために一つの措置を新たに加えさせていただいたということは御承知のとおりでございまして、そこにもう一つ、これはちょっとマイナーな、小さいことかもしれませんが、市町村の行政区域をまず最初合併させて、それからさらに広域にという動きがございまして、ちょっとその前の段階が進んでいる状態というところもあるものですから、ちょっと進捗状況が悪いところがございます。  しかし、こうして新たな方式で難しい点を処理していくという方向がとられることによって、私の方は相当進んでいくというふうに考えております。
  11. 七条明

    ○七条委員 基本に流れる問題は、ネックは、やはり固定化債権対策があれば大幅に進むものが出てくるというのは、私は肌でも感じておりますし、今度この改正法案の中で出てくる合併推進法人が、その役目を果たしていく意味で大いに私は期待するところなんです。  では、合併をする意味での推進法人、現在全国で十八カ所設置がされております。ただし、全国に十八できておりますけれども、まだ未設置部分の県がたくさんありますね。これは今後どうするのだろうか。いわゆるその活動状況がどういうふうにしていけば目標達成できるかということも含めて、こっちもちょっとお聞かせをいただけますか。
  12. 東久雄

    東政府委員 先生指摘のとおり、現在十八の合併推進法人が、十八県で十八のものができております。各県一つということでございますが、現在設立を予定しているのが十二都道府県ございます。もう既に予定しておるということでございます。  また、今回新たに、先ほど御指摘いただきました固定化負債対策を盛り込んだものですから、さらに加速していくと私たちは考えております。少なくとも近い将来、すぐ近くで三十になるというふうに考えております。
  13. 七条明

    ○七条委員 今十八の上にもう十二が予定をしておる、三十くらいはできるんだ。ただし、これでもまだ未設置の県ができできますし、当然五百七十という目標になるためには、この意味での、かなりの固定化債権をうまく処理していくためには合併推進法人意味が非常に大きいですから、これは早くその目標を目指せるような努力をしていただくこともついでにこの際に要請しておきたいと私は思うのです。  それでは、ちょっと観点を変えて聞いてみたいのでありますが、先ほど農協合併障害要因の最大のものは固定化債権処理、こういうふうに御答弁がありましたけれども、今回の改正合併を促進する上で大きな意味を持っていること、しかしながら、その合併推進法人固定化債権幾らでも買い取れるのか、幾らでも買い取るのか。その意味でいきますと、私は、どこまでの限度を持ってやらなきゃいけないのか、それを全部が全部処理をしてしまえばいいことはいいでしょうが、どの辺までちゃんとうまくその処理ができるのか、機能をしていけるのかな、これが一番知りたいのですね。  特に今、東京協和の問題なんかが起こってきまして、いわゆる不正事件に絡めるようなものまでそこで全部固定化債権処理をやってしまうということになったら、これは問題が起こってくることもありますから、何となくそこらが、いわゆる一般の世間で言うものとの兼ね合わせから含めまして、農協は随分いいじゃないかということであってもいけないですし、かといって農協合併目標を進めていくためにはどこまでくらいはできる、ただしこういうふうにやっていくという、もっと具体的に聞いておきたいのですね。
  14. 東久雄

    東政府委員 固定化債権買い取りという場合には、これは先生承知のとおり、現価で買い取るわけでございまして、それはすぐ処分できるという価格ということになるわけでございます。したがいまして、その債権の類とそれから買い取る額との間に差額が出てきます。これは欠損として合併される農協処理するか、それとも欠損金として引き継がれるか、どちらかになっていきます。それはやはり合併前の単協でどれだけの能力を持ってそれを処理できるかという問題、それから合併後の農協がどれだけそれを耐えていけるかという問題と絡んでくる問題でございますが、現在、全体といたしまして単協の持っております不良債権というのは約四千億でございますので、預金残高その他から考えますと、そう大きなものではございません。貸付金の中に占める割合も、非常に小さい割合でございます。  そういう状態ではございますけれども、いろいろ問題のある債権がございます。一つは、成立に瑕疵があって争いが行われている、裁判上の争い等が行われているというような問題や、それから担保をつけております不動産権利関係が非常に錯綜しておる、例えば第三位の抵当権であったり、そういうことで回収が不可能になるようなものがあり得る。そういう処分困難なものなどは、推進法人として対応が困難ということになりますので、これは推進法人としての対象にはしにくいと思います。  ただ、もう一つ不正事件に係る債権、これにつきましても、当然その前に総会で、特別議決でそれらについてどう処理するかという方針が出されますから、そこはもちろん、不正事件に係るものについては理事責任というものはやはり第一に追及されるべきものだと思っておりまして、そういう債権などは、むしろ大きな固定化債権というのは割合そういうものが多いわけでございまして、それらがきちっとした上で対応することになっていくのでは。ないかと思います。  いずれにいたしましても、全体としても、不良債権というのは農協全体として見ました場合にはそれほど大きくないものですから、ある程度この形によって解決を図っていくことができると思っております。
  15. 七条明

    ○七条委員 これが一番問題になりますのは、この固定化債権のいわゆる買い取りの場合の額、その評価をどうするか。あるいは、先ほどちょっと言いましたように、不正な事件に該当するようなものをどういうふうな形で処理するのか。できない、できるという判定をどうするのか、ここらが一番ポイントなんですね。もう一遍そこらはもっと具体的に聞かせてもらえませんか。
  16. 東久雄

    東政府委員 ちょっと重複するところがあるかとも思いますが、一つは、まず評価委員会という、弁護士さん、税理士さん、不動産鑑定協会等の県の協会等から推薦された学識経験者だけによる評価委員会で、第三者にきちっとした評価をしてもらうという形をとります。  それからもう一つの、要するに不正事件に係る債権でございますが、これは、理事責任ということは重大でございます。それからまた、その不正にかかわった人間の責任ということは重大でございます。これらは、幾つかの県があるのは私たちの方も把握しておりますが、それらについては、やはり地元で明確になっておりますし、いわゆる合併のための総会において、特別議決でその債権処理を決めていただくという方向をとっておるのはその点でもございまして、しっかりした責任関係をとって、できるだけそういう債権については理事者その他の責任を追及していく。極端なことを言えば、そういうのを私的財産をもってでも埋めるという方向をとられた上で合併が進めていかれるものというふうに理解しております。
  17. 七条明

    ○七条委員 これは今、東さんがおっしゃられたように、不正なことだけにはならない、ちゃんと整然とそういうものがやっていただけるようにお願いもしておかなければなりませんし、当然のことながら、この合併推進法人、これが固定化債権にとっては非常に有効なやり方だと思っておりますから、ぜひそれらを進める上で万端遺漏のないように進めていただくことを私も望んでおきます。  それからもう一点、実は農協系統組織で、組合合併とあわせて事業を二段階にするということを決めておられる。これは恐らく、五百七十にしてくると、今の県連の組織だとかそれから機能のあり方をもう一度考え直すという意味で私は二段階という表現が出てきたのであろうと思いますが、いわゆる系統組織全体での合理化だとかあるいは効率化にも役立つという意味で、今回の改正がこの事業の二段階組織の二段階構想についてうまく合致していくのだろうか、それから、その意味で位置づけがちゃんとできるのだろうか、これもちょっと心配するのですけれども、どんなものでしょうか。
  18. 東久雄

    東政府委員 御指摘のとおり、農協系統におきましては、広域合併とともに、事業それから組織の二段階制へという方向を打ち出しております。その組織事業の二段階制ということをやっていくためには、やはりその前提でございます農協合併促進ということが大事でございまして、これをできるだけ加速させていくということがまず最初に必要なことでございます。  次に重視されることが、系統段階制への取り組みといたしましては、まず事業の二段階制という方向が進められて、その段階で、ある程度組織の二段階へと移行していくことになると思います。  事業の二段階にはもう既に取り組んでいる部分がございます。これは全国連に直接利用をするという形で進められておりまして、具体的には購買事業の肥料の問題で一部の農協で進んでおりますし、それから信用事業でも今進められようとしております。これは中金への直接預金という形が一部の県で進められようとしております。さらに共済事業につきましては、いわゆる積み立て責任部分というのがございます。これは後で満期が来たときに取り戻すところの積み立てで、これは県でやっておったのを順次全共連の方へ移管していくという形で進められております。  そういう意味で、今、事業の二段階が緒についたところであるということでございます。
  19. 七条明

    ○七条委員 これも、事業の二段階だとか組織の二段階構想一つの大きな成果が上がっていくものだと期待しておりますから、今度のこの一部改正案がそれとうまく並行して両輪になっていけるように望んでおきます。  もう一つ、今まで言ってきたのは、これは総合農協という表現で、農協法だとか合併助成法の第二条二項二番の、この意味からいきますと特定の組合の方がありますね。こっちのいわゆる専門農協合併の方も、これは数が随分、三千二百、三百あったと思うのですが、これは合併の対象になっているのか。特に畜産とか酪農の関係組合がこれからやや問題になるのではないかというふうに私自身は推測するのでありますが、こっちの専門農協合併についてはどうするのでしょうか。
  20. 東久雄

    東政府委員 専門農協合併につきましては、前回のこの合併助成法のときに畜産関係を入れていただいております。畜産関係というのは畜産と酪農でございます。  それで、ちょうど四年度と五年度の件数をまとめておりますが、それは九件、三十九農協合併助成法基づ合併をいたしております。それからさらに果樹等の専門農協につきましては、個別に解散をしてどこかへ吸収されるとか総合農協との合併というような形をとって合併している部分があるようでございまして、そちらの方も順次進んでおる。  ただ、果樹の場合は専門農協同士の合併というのは非常に難しゅうございます。これはブランド問題がございましてなかなか難しいという状況があるので、そちらの方の雰囲気といいますか状況というのは、まだ盛り上がってきていない。これは、盛り上がってきた場合にはまた御審議をいただいて、専門農協としての取り扱いを、合併促進をやっていく必要があるのかとも思っております。
  21. 七条明

    ○七条委員 総合農協だけでなくして、農協合併法の中でも、この専門農協の方も希望があるところはやはりやらなければならない、合併をさせて合理化をしていかなければならないことが出てくるかもしれませんから、それも対応できる範囲の中で、法律では対応できにくいところもあります。が、これは考えていただくことを望んでおきます。  時間が来ましたから、最後に農林大臣に決意をお聞かせいただきたいのですけれども、今度の合併助成法の一部改正に伴いまして、これはウルグアイ・ラウンドで、非常に意欲のある農家、あるいは意欲のある経営体を持っていこうとする農家がこれから出てこなければ、日本の農業が衰退をしていきます。この意味での農協合併も非常に意義が出てくるわけですし、当然のことながら、さっきも言いましたように二〇〇〇年までに五百七十にしたいという意味での目標達成できるかどうか、その決意のようなものを大臣から聞いておきます。
  22. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 農業なり農協をめぐり厳しさを増しながら大きく変化している今日でございまして、組合員のいろいろな多様なニーズに対して農協がこたえていくためには、やはり経営基盤を一段と強化しなければ相ならぬということでございますし、また、系統組織全体としても効率化合理化ということが何としても必要であるというふうに思うわけでございます。  そういう意味は、委員も既にお述べになりましたけれども、昨年の九月の全国農協大会等において、単協合併を、二十一世紀までに二千六百六十三を五百七十にいたすとか、あるいは事業組織の二段階とか、あるいは労働生産性を三〇%上げるというような方向で強靭なる体質、経営基盤の強化というようなことに向かっております。したがって、我々としてもこの方向に対して各般の面で支援を申し上げたいと、申すまでもなく今回の助成法についてもさように存じておるところでございまして、とにかく一層それについては我々としても支援を強化していきたい、さように思っております。
  23. 七条明

    ○七条委員 終わります。
  24. 中西績介

    中西委員長 千葉国男君。
  25. 千葉国男

    ○千葉委員 新進党の千葉国男でございます。  農協合併助成法の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいと思います。  大河原農水大臣は、その提案理由の説明の中で次のように述べられております。近年の我が国農業及び農村をめぐる状況の変化の中で、農協組合員ニーズの多様化等に対応した健全な事業運営を図るとともに、農業及び農村の活性化に積極的に取り組んでいくためには、その経営基盤の安定強化が喫緊の課題となっており、全国的にいまだ脆弱な小規模組合が多数存在している状況にある、政府としてこれを踏まえ、農協系統がみずから進めている農協合併を引き続き応援する、こういうものでございます。  そこでまずお伺いしたい点は、我が国農政にありまして、この合併後の農協に対して基本的にどのような役割を期待されているのか、原点となる役割について大河原大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 農協は、申すまでもなく、各種事業を通じまして組合員の営農等に対する支援をいたしながら、その地域農業なり農村の振興ということについての役割を果たしているわけでございまして、そのような役割を果たすためにはやはり経営基盤が強固でなければならないという点が考えられるわけでございます。  それは申すまでもないことでございますけれども、やっぱり国の農政なりあるいは地方公共団体の農林行政、そういうものと農協農業協同組合が、車の両輪といいますか、表裏一体になって強力に進んで初めてその地域農業農村の活性化が図られるものだ、そういうふうに思っております。
  27. 千葉国男

    ○千葉委員 今大臣から営農支援あるいは地域農業の活性化等についてのお話がありましたが、今ここで述べられている「脆弱な小規模組合」というふうな表現になっておりますが、この小規模な組合ではそういう課せられた課題に対して期待にこたえられない、こういうふうな認識があると思うのですが、具体的にここがこうたがら小規模ではいけないんだ、こういうような点を教えていただきたいと思います。
  28. 東久雄

    東政府委員 規模の拡大ということは、一つは効率を高めるということになるわけでございます。が、ちょっと私の方で調査をしております組合員数千人以上の大規模農協とそれから千人未満の小規模農協、これは実は農協合併のときに一応千人ということを基準にいたしておりますので、そこでとってみますと、やっぱり貯金、共済、販売購買、全部の労働生産性はやはり大規模農協の方が高こうございます。また、販売手数料は大規模農協の方が低率になっている、これは平均的なところでございますが、低率になっているということでございまして、こういう意味では小規模農協事業効率が低いということで脆弱でございますので、余裕がないためにいろいろな地域農業の振興とか農山村の活性化などの活動が十分にできにくくなる傾向がございますが、それをカバーし得ることになる。  また、小規模の農協の場合は、職員数が少ないものですから、やはり多様化していきますないしは高度化していきます組合員のニーズにこたえられないような状態も起こり得ます。そういうことについて、特に営農指導、人間が限定されます営農指導についてそういう点が見られますので、そういうものに対する対応というものも大規模化することによって対応していけるというふうに考えております。
  29. 千葉国男

    ○千葉委員 平成六年八月の農政審議会の報告の一文の中で、団体等のあり方について、「このうち、農協系統組織については、団体自らによる経営合理化に向けた業務運営の改善、二段階制に向けての単協合併を中心とした組織再編の取組が行われているところであるが、更にその加速化を図るとともに、市町村との関係、農家に対する営農指導等の見直しを行うことが課題である。」こういうふうな条件をつけているわけであります。けれども、「団体自らによる経営合理化に向けた業務運営の改善」、これは具体的にどのような内容と認識しているんでしょうか。
  30. 東久雄

    東政府委員 農協の側で昨年の秋に全国大会で決議いたしましたものがございます。それは大ざっぱに申しまして、合併構想の早期の実現、これは各県の合併構想がございますが、それから農協系統組織全体の労働生産性の三〇%以上の向上と支所の再編、施設の統廃合というようなこと、それから三つ目といたしまして、効率的な資材配送とか在庫管理の徹底など各事業の業務運営の改善、それから部門収支の構造の改善というようなことを決定してやっていこうとしております。  そういう方向につきましては、農林水産省といたしましても、その系統組織整備促進事業等の中でできるだけ支援をしていくという方向をとっていきたいというふうに考えている次第でございます。
  31. 千葉国男

    ○千葉委員 今いろいろと具体的な経営合理化、こういうふうなことがお話ありました。後ほど現場の実態がどうなっているのかということでもう一回確認をさせていただきたいと思っております。  また、次の問題として、組織事業の二段階制への移行が喫緊の課題である、こういうふうに受けとめて現在実行方策を策定している、こういうことを聞いておりますが、信用事業共済事業の支援についてはどのように見通しをされているのでしょうか。
  32. 東久雄

    東政府委員 先生指摘の点は、事業の二段階移行ということがまず最初にやられておりますので、その点の信用事業につきまして申し述べたいと思います。  これは今、本年度、平成六年度からでございますが、一部の県で実施しておりますのが中金の直接利用、要するに単協が直接中金を利用するという形で県の段階を飛ばす、これは一定の限界を持ってやっておりますが、そういう形でやっております。  それから、共済事業の件でございますが、これは非常に共済の制度がややこしいのでございます。が、危険責任積み立て責任というのがございまして、危険責任というのは何か事が起こったときに金を、共済金を出していくわけでございますが、これは全共連全国一本でやります。積み立て責任というところがございます。これは県に積み立てておいて満期が来たときに返すというところなんでございますが、その部分を順次県の段階から全共連の方へ移していっております。平成七年度までに三割それを移すということで、その方向で今順次やられております。  そういう方向で今、先ほど言いましたように、信用事業についてはまだ一部の県でございます。が、共済事業については全県でそういうふうな方向でまず事業の二段階制へ向けて動いております。
  33. 千葉国男

    ○千葉委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思いますが、今回の合併助成法の延長期限は三年間ということですが、この間、現在の二千六百六十二の農協に対してどの程度の合併が促進されると考えているのか。  それぞれいただいたデータを見ますと、都道府県ごとに見た進捗状況はさまざまな状態になっております。例えばおくれている県に対して、現在あなたの県はどの程度の進みぐあいなんですかということを調べたり、あるいは農政審でも言われているように今後どういうふうに加速化を図っていくのか、この辺の指導はどのようになっているのでしょうか。
  34. 東久雄

    東政府委員 今回御議論いただいております合併助成法の延長の問題の中に、一つ固定化債権処理の方式を入れ込ませていただいております。が、これは先ほど御答弁いたしましたように非常に大きな桎梏になっている部分でございまして、これがやはり一つの大きな加速になるというふうに私たちは思っております。  また、さらに平成七年度から約五億円で農協系統組織整備促進事業というのを実施すべく予算要求でお願いしておるわけでございます。その中で、やはり今のような合併促進というものを、先生指摘のとおりどこに難しい点があるかというようなことを県の段階で話し合うということを含めて、県を中心に一層促進させるという方向お願いしている次第でございます。
  35. 千葉国男

    ○千葉委員 実は、農政審の中で農家に対する営農指導の見直しを求めております。私もこの営農指導事業こそ農協事業全体の基礎であり原点である、こういうふうに思っております。これがあって初めて農協地域農業振興の中心的な役割を果たすことができるのではないか、こう考えます。ところが、従来、ややもすれば大型化により組合員農協との関係がだんだん心の中で希薄化している、あるいは具体的な現場の中でさまざまな問題が指摘されているわけであります。  先日、私の、米どころ宮城JAに行ってまいりまして、平成四年四月に実施しました「地域農業将来ビジョン策定調査の結果について」、こういう報告書をいろいろ見せていただきながら懇談をいたしました。  この調査は、県内の全組合員農家の三割、三万四千百戸抽出の目標に対して二万九千五百十戸、回答率八六・五%です。非常にしっかりとした調査ではなかったか、こう受けとめておりますが、問題は、その中で「JA営農指導事業の現状評価について」という項目があります。具体的には、質問二十二で、「お宅のJA農協)の営農指導事業への感想についてお伺いします。」こうありまして、答えは六通り。一つは、十分満足である、二は、課題・問題もあるがおおむね満足である、三番目は、課題、問題点が多く改善を必要とする、四番目は、すべてに不満である、五番目は、JAの営農指導事業は不要である、六番、その他、こうなっておりまして、これを農家の収入の割合に応じて、「農業が主」、それから農業に対して「半々ぐらい」、それから三番目が農外収入が中心という「農外が主」、こういう三通りに分類してそれぞれアンケートをとったわけであります。  この営農指導事業についての感想については、「農業が主」は、回答六千八百三十に対しまして、三番の課題、問題点が多いと、すべてに不満である、そして営農指導は不要である、こういう答えが三千百九十五通になっておりまして、全体の四七%となっております。  それに対して「半々ぐらい」の農家ですと、実は内容が変わってまいりまして、むしろ一番の十分満足できる、そして課題も問題もあるがおおむね満足であるというのが「半々ぐらい」では五一・九%。それから「農外が主」では、不満が三四%に対して満足が四五・三%、こういうふうにデータ的にはなっているわけでございます。  そして、このアンケートについているコメントとしては、「「農業が主」の方が多くの不満がうっ積しており、逆に満足度合は農外依存の高い層の方が強いという結果が出ております。」こう言っています。問題はここだと思うのですね。  ですから、要するに、おたくのJAの営農指導事業についてどうですかと聞いたときに、農業が収入の中心になっている人が不満がうっせきしている、そして満足しているのは農外の人が中心だ、こう言われるような今の営農指導実態農協調査で出ているわけですね。  ですからここは、大臣の趣旨説明の中にも組合員の多様なニーズにこたえると言っているわけですが、多様なニーズは結構なんですが、問題は、「農業が主」の方に軸足を置いて多様なニーズにこたえていくのか、農外が軸足になって多様なニーズにこたえていくのか、基本的に今の農政は農協に対してどのような軸足で指導されているのか、はっきりした御見解をお願いしたいと思います。
  36. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 ただいま千葉委員から大変貴重な調査の結果を伺いました。  この点については、我々としてはまず第一点は、もう農協の各種事業の中で営農指導事業は根幹である、それだからこそ、この事業を行ってこそやはり農協だと言われるわけでございますが、ややもすれば経済事業に傾斜して営農指導が手薄になるということが各方面から指摘されるところでございます。  それで、いかなるニーズにこたえるかという点については、もちろん、農業について自立していこうと申しますか農業の専業的な農家、これについての需要にこたえるのが第一義的であるべきだというふうに思うわけでございまして、我々の方もかねがね、農協の技術指導員については例えば専門技術員とか改良普及員というような資格を取るような技術員を置くべきだとか、あるいはその他の点についてもいろいろな指導をしておるわけでございまして、やはり農業を主とすると申しますか農業重点の専業的な農家の需要にこたえてこそ営農指導の目的が達成されるのではあるまいか、さように思うわけでございます。
  37. 千葉国男

    ○千葉委員 今大臣から、営農指導こそ農協の根幹であり、それがあってこそ農協だ、こういう認識をいただきました。本当にその認識で政府指導していくのであればさまざまな課題がこれから出てくるのではないか、こういうふうに思います。  もう少しデータをいきたいと思います。  次の質問では、「営農指導事業で課題・問題点は何ですか」、こういうふうなことを問い合わせております。その中の最大の答えは、巡回指導が少ない。これは「農業が主」、「半々」、「農外が主」、この三者があるわけですが、この三者に共通して二〇%指摘されているわけであります。  問題は、要するに、顔の見える農政をやってもらいたい、あるいは肉声の聞こえる農政を求める生産者の生の声がここから聞こえてくるんじゃないか、こう思います。  そこで、今も大臣からお話がありましたが、本来営農指導員としてやるべき主な仕事の内容はどれとどれ、こういうことをまずお示しをいただきたいと思います。
  38. 東久雄

    東政府委員 営農指導事業は、農産物の生産から販売に至るまでの作物別の技術指導ということが一つ、それから農業経営指導一つ、それから生産者組織の育成指導というようなことが一つ、これらを包括的にやるということでございます。この営農指導事業の中心を担うのが営農指導員でございます。  これは、まず何を具体的にやっているかといいますと、農家の生産コスト低減のために生産技術をどういうふうに持っていったらいいかという指導をいたします。それからもう一つは、農業経営そのものの指導をいたします。さらに、それと関連いたしますが、所得税の記帳指導等、税対策というようなことの指導をいたします。もう一つは、地域農業全体の振興計画の策定というようなもの、これらが営農指導員の中心的な活動になっておる主体でございます。  また、巡回指導の問題の御指摘がございました。この点につきましては……(千葉委員「それはまたもう一回聞きますから」と呼ぶ)
  39. 千葉国男

    ○千葉委員 今局長の方から、いろいろ営農指導員のやるべき大事な仕事についてお話がございました。そこで、この営農指導員の体制はどうなっているのか。データ的に見てみますと、例えば平成五年の正組合員の戸数は四百七十八万戸になっております。これに対してこの職員は一万七千八百八十人、こういう実態になっているわけですが、農協職員三十万人に対して一万七千八百八十人ということは、全体の六%の職員体制である。また農家の対象を見ますと、一組合平均千六百八十五戸としますと、組合平均の六・三人あるいは百戸に対して二・七人、これが現状であります。しかも、昭和六十年から平成五年の間に、昭和六十年一万九千一人いたものが、平成五年ではさらに減りまして、千百二十一人減っている、現状では。ですから、一万九千あったものが一万七千八百です。から、もうこの間に千人以上も減らしているわけです。  ですから、営農指導が大事だ大事だ、大臣も、これが根幹だ、これがあって初めて農協だ、こういうふうに発言しながら、現実にはこの営農指導員がどんどん現場では減っている。そして、今局長からお話があったように、仕事はこれこれです、こういうことに対して、現実に、なおかつその上で巡回指導を現場はやってもらいたい、こう言っている。どのようにこの体制を見直していくのか、その改善策を教えていただきたいと思います。
  40. 東久雄

    東政府委員 営農指導員の設置状況でございますが、先生指摘のとおり、平成五年度はそのようになっております。実は私ども、ちょっと過去にさかのぼりまして、先ほど先生指摘の昭和六十年度一万九千人から平成五年度一万七千八百八十、約一万八千人一千人ほど減っています。ただ、この間正組合員の戸数も減っておりまして、実はこれで見ますと、一営農指導員当たりの正組合員戸数というのは、ほとんどここのところ二百六十戸ぐらいで横ばっておる状態でございます。  私たち、やはり組合合理化ということが必要であるということは認識いたしますが、少なくともこういうような形で、この間に機材等の活用もございましょうし、それからいろいろな形での指導合理化といいますか、そういうこともやりながら、やはりこういう形で農協は対応していってくれている、営農指導員は減りますけれども、一人当たり受け持っております正組合員戸数は、平均的に見れば余り変わらないようにしていってくれているというふうに思います。  ただ、いろいろな面でこれから高度な研修その他で、さらにこの営農指導員が活力のある営農指導ができるように努力していかなければならぬというふうに考えております。
  41. 千葉国男

    ○千葉委員 関連して、生活指導員の問題についてお伺いします。  これも、職員三十万に対して生活指導員三千五十七人、一%の割合でありますが、この方々が、生活指導員としての主な仕事はどのようなものが期待されて今なっているのか、教えていただきたいと思います。
  42. 東久雄

    東政府委員 農協の生活指導事業という中でその生活指導員が活躍するわけですが、生活指導事業といたしましては、一つは健康管理活動、それから二つ目といたしましては高齢者の対策、それから三つ目といたしまして環境対策への取り組み、さらに四番目といたしまして、料理教室などの生活、文化活動というようなことをやっております。その中心になってこれらの活動を企画調整したり、農協婦人部などの組織と一体になって事業を実施していくというのがこの生活指導員の任務でございます。
  43. 千葉国男

    ○千葉委員 農政の中で、今、高齢化また後継者不足、こういう中で、健康問題、高齢者対策というのは大変重要な問題点を含んでいるわけですが、今のような体制で今回また老人福祉事業等を強化してきた、こういうようなことを考えると、仕事だけはどんどんふえているけれども、実際の体制というのが、ほとんどこの応援体制ができていない、こういうふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  44. 東久雄

    東政府委員 先生が御指摘のとおり、高齢化対策というのは、農協全体として取り組む非常に重要な問題でございます。これはもちろん、組合員も参加したというか、組合員が中心になった活動がございます。それの企画調整ということがこの生活指導員に求められているところでございまして、そういう意味で、一農協当たり一人ちょっとという人数でそういう企画調整をやっている。大変忙しい企画調整をやるわけでございますが、実は、それもまたちょっと古いデータを見ますと、その生活指導員というのは、昭和六十年度で見ますと一農協当たり○・七人しかいなかった。ところが、農協合併が進むことによって人数も最近ふえてきております。この部分はふえてきておりますし、それで今では一農協当たり一・一人という形になってきております。やはりこれは、合併が促進されることの一つのメリットではないかと思います。  その生活指導員一人で奔走することでなくて、やはり管理部門の参事さんその他の御助力も得ながら事業を円滑に進めていってくれるように、ここのところにつきましてはやはり、最近三千人規模ぐらいの形での対応がなされているという状態でございまして、さらにこの合理的な活動というものを進めていくという必要があろうかと考えております。
  45. 千葉国男

    ○千葉委員 農協事業をめぐる状況の中で、「総合農協事業取扱高概要」というのがありまして、販売事業購買事業信用事業共済事業、こういうことについては幾ら幾らというのがきちっと書かれておりますが、実際には、営農指導、生活指導事業について、一体どれだけの年間の予算を計上して、どういう部門でどれだけお金を使っでこれだけの活動をしているんだ、こういうことがいただいたいろいろな資料にどこにも出ていない。  それは要するに、信用事業とか共済事業から赤字部門であるいろいろなところへこうやって、採算を度外視して営農指導事業をやっているのだということで出ていないのか。どういう予算規模でどれだけやって、年々この営農指導に対する対策にこれだけの予算が充実されてきたのかこないのか、こういう内容についてどこを調べても出てこない。これをぜひ教えていただきたいと思います。
  46. 東久雄

    東政府委員 営農指導につきましては、先ほど大臣からお答えしましたように、非常に重要な基幹的な事業であるということで、農協法の中でその年度の剰余金の二十分の一以上を翌年度の営農事業の経費として計上しなければならぬということになっております。農協法の中でそれを位置づけるくらい営農事業というものは重要であるという位置づけになっていると思います。  それで、予算の関係でございますが、予算はうちの方では総計という形で、営農指導幾らそれから生活指導幾らという形がとられておりませんで、それぞれ幾らずつかということはちょっと数字を持ち合わせておりません。  ただし、私ども、かけたお金というよりも、やはり人による活動というのが営農指導の中心であり、かつ生活指導の中心であろうかと思うわけでございまして、調査につきましても、どういうことをやっている農協が幾つあるかというような調査はしておりまして、例えば、先ほど言いました営農指導状態地域農業振興計画の策定農協は、平成五年度で千五百くらいございますし、稲作コスト低減のための機械施設の共同利用に取り組むというのが千六百あるというようなこと。それから生活指導も、一つは健康診断を行っている農協が二千四百、それから高齢者対策としてスポーツ活動等をやっているのが二千。それからリサイクル活動、これは環境関係でございますが、これが約六百五十。それからいろいろな生活文化活動と先ほど申し上げましたそれの実施農協が千七百というふうに、数字で、どれだけの農協でやられているかという形でとらえておる次第でございます。
  47. 千葉国男

    ○千葉委員 今事業内容について各組合でどういうふうに実施されているか、それについては私も資料をいただいているからわかっているわけでありまして、要するに、営農指導、生活指導に対して農協全体としてこういう考え方で、ことしはこういうふうにやるのだぞというようなものがちゃんと全体に見えるようでなければ、結果的には何かそういう財政の基盤になっていく信用事業共済事業だけにこのお金の中心が、目が移って、本来あるべき根幹と言われる営農指導に対する魂の入った経営改善ができないのではないか、こういうことを私は言いたいわけなのです。
  48. 東久雄

    東政府委員 農協の場合には春に総会が開かれますが、その中での事業計画という中に、それぞれ営農指導でどういう事業をやるのか、それから生活指導関係でどういう事業をやるのかということが明定されるのが通常でございます。  それで、それらが人件費等の見方が難しかったりしてなかなか集計しにくいわけでございます。が、いわゆる指導事業という形の支出だけを、今のいわゆる各農協の支出で平均的に見ますと約二千五百万円。これが、私たち先ほど先生にちょっと御遠慮申し上げたのは、営農指導員の給与がどういうふうに処理されているのか、管理費の中で処理されておったりいろいろしておるものですから、これがこのままの数字でというのはちょっと私たちもはばかられるところなのですが、平成四年度で一農協当たり平均二千五百万円ほどを使っておるという状態でございます。
  49. 千葉国男

    ○千葉委員 そういうふうに最初からはっきり言っていただければ結構なわけであります。  その次の質問の中で、これからの営農指導でさらに充実強化が望まれる事項は何ですか、こういうのがあります。それに対して、さっきの「農業が主」、「半々」、「農外が主」、この三者とも共通して要望していることは、一貫性のある営農指導、こういうことがトップに出ておりまして、その次が営農情報の敏速な提供、こういうふうになっているわけでありまして、やはりこれだけの要望が現場の中から出てきている。しかも、合併をしてそのことがさらによくなったと言われるのならいいのですけれども、実際は全然よくなっていない。現場の答えは大変に厳しいものがあります。  そういう意味で、この経営改善の中に営農指導事業本部制とか何かを明確にして、ここへ力を入れているのだ、こういうふうな目に見える形での今度の改善計画が必要ではないか、このように思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  50. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 これにつきましては、先ほど申し上げましたように、昨年九月の全国農協大会、これにおいても営農についても各般の組織事業等についての強化策を打ち出しておりますが、営農指導の強化による組合組合員の結びつき、特に合併による大型農協、その場合においては組合員との結びつきは非常に希薄になる、そこが一つの盲点でございますが、これについては営農指導の強化によってこれを克服するということもございまして、諸般の面で系統の自主的な努力も我々は期待いだすとともに、我々としても指導をしてまいりたいと思っております。
  51. 東久雄

    東政府委員 ちょっと具体的なことを追加させていただきます。  先ほど営農指導事業本部制というお話がございました。実は、農協大会でやはりこういう要望が強かったのだと思われます。去年の農協大会でございますが、やはり農協本所に広域営農センターというものをつくるべきだ、それから支所、市町村レベルに営農センターを設けるべきだ、さらには都道府県の営農センター等の整備を進めるべきだということを農協の総意として合意いたしておりまして、私は、これは去年の秋のことでございますから、今年度の各農協での活動というものがこの方向に沿った方向へ出ていくのではないかというふうに考えております。
  52. 千葉国男

    ○千葉委員 今回の広域合併なんですが、先日合併構想達成してほぼ一年になります新ふくしまJAを訪ねてまいりまして、常務さんと懇談してまいりましたが、この一年間大変忙しかったでしょう、こう私が申し上げました。そうしましたら、常務さんの方からは、一つの市で一つJAになる、規模の大小がある、あるいは数字がみんな違う、やり方も違う、そういう農協合併です。から、その調整に大変時間がかかりました、こう言っていました。また、計画の立案、組織づくり、事務の統一というテーマに挑戦した、自分にとっては貴重な一年であった、こういうことで述懐しておりましたが、合併の効果はいかがでしたか、こう聞きましたら、現在のところアイ・エヌ・ジーです、こういうふうに言っておりました。  そこで、新ふくしまJAとしては、できて一年たったわけですけれども、この一月下旬に三十五の支店の運営委員会を開きまして、現場の意見、要望を聞いて、広域合併一年、皆さんの現場の声はいかがですか、こういうふうに聞きました。組合長初め担当がそれぞれ現場に飛んで、一月二十三、二十四、二十五日、三日間使っていろいろ皆さんの意見を聞いてまいりまして、こういうふうなデータがいっぱい出ております。そこの中から私がそんなに独善的、べんは的でなくて選んで幾つか紹介したいと思いますが、合併後の主な声を拾ってみると、いかに難産であるか、こういう状況が聞こえてまいります。  ある支店からは、合併してどこがよくなったのか明確にしてほしい、合併してから購買の肥料、農業に関した在庫がないため用が足せない、方針として支店に在庫を置かないのか、農協離れにつながるのではないか、こういう意見とか、合併して支店が大変になった、営農指導も形だけで組合員のためになっていない、合併して組合員がよくなったことはない。  ある支店では、販売事業の清算が合併したら遅くなったので早くしてほしい、営農指導員を支店に配属してほしい、指導員がいないと不便だ、管埋センターが遠くなり不便になった。  ある支店からは、合併後サービスの低下が進んでいる、他の業界ではリストラ等の努力をしている、早目に対応して組合員のサービスに努めてもらいたい、それでないとますます組合員が離れていくんじゃないか。支部の人たち、そこに寄せられた組合員の本当に切実な声がここにもう百項目ぐらい来ているわけなんです。  こちらにはこういうのがあります。「JA合併 二十一世紀へ夢つなぐ」、すばらしいです。「広域合併による新しいJAにご期待下さい」、こうやって宣伝して、漫画をつくって、いろいろこういうふうになるんですよと徹底してやって、合併して実際一年間たっていかがですかと聞いたら、本当に不満だらけですよ。ですから、こういう実態に対してどのような実感を持っていらっしゃるのか、まず御感想をお伺いします。
  53. 東久雄

    東政府委員 合併のメリットというのは、なかなか組合員との関係ないしは支部との関係では理解されにくい点があると思います。  一つは、合併したことによる事業能力の充実といっても、これは購買力が強くなったといっても、それはなかなか下の方には、組合員との間ではわかりにくいという点があるかと思います。また、いわゆる資金量の増大等のいろいろな形での事務の問題での合理化効率化というようなこと、それから農協の中で非常に先進的な取り組みをやっているところが他へも波及していくという波及効果というようなもの、それからリスクへの対応力というようなもの、なかなかそれは組合員との間ではわかりにくい点があろうかと思います。これは、ある意味では長期に発現していくことであり、また農協の管理という分野で大きなポイントになってくる分野でございます。  したがいまして、私たちは、やはり合併のときにデメリットが幾分かございます。それは組合員との関係の希薄化という問題でございます。そういうものが起こらないようにするために、今新ふくしま農協の例がありましたが、やはり組合員の声をよく聞く。これはいろいろな形での部会の機会をつかまえたり、新ふくしま農協の場合にはそういう形でわざわざそのための会合を開いたりされておるようでございますが、できるだけそういう不満を吸い上げて、そういうものが経営に反映されていくような努力というものは、合併努力だけでも大変なことだったと思いますけれども、さらにそこは努力をしていくということが農協に課せられている任務ではないかというふうに考えます。
  54. 千葉国男

    ○千葉委員 今局長の方からいろいろお話ございましたけれども、私が言いたいのは、一年間たって合併後にこういうさまざまな現場の声がある。ですから、それをこうやって新ふくしまの場合は一生懸命取り組んで、声を聞いて何とか改善をしたい、こういうことで取り組んでいるわけですよね。ですから、別に揚げ足をとろうというつもりで私は言っているわけでないので、どんどん積極的になって、本当に合併組合員のための合併なんだというふうになるようにしなければならないのではないか。  常務さんのお話でも、本当にこの一年は正直言って大変だった、てんてこ舞いで。職場も、何かあちこちのあれからみんな吸い上げてきたから、本当に建物も古くて、過密の状態で、歩くのにこうやってやるようなところでみんな仕事をしているわけでありまして、それはそれで職員の人は一生懸命やっています。  ですから、そういう問題、合併に対する効果をうたいながら現場的には大変な思いをさせているということに対して、明確に、一年目はここまでしかできませんよ、だけれどもここまでは我々の分は努力しますよ、二年目はこうだとか、三年をめどにきちっと改善するのであれば、改善計画がこういうことですから、ぜひそういうことで御理解もし、御協力もいただきたい、こういうふうな、三年計画でこうなるんだみたいな目に見えるものが絵になっていなければならないんじゃないか。そうでないと、何かPRするときだけは「ご期待下さい」と言って、いざ現場に入って一年たったら何のメリットもない、何のだ灯にやったんだ、こう批判されているわけですよ。これについてはどうですか。
  55. 東久雄

    東政府委員 合併のときに、その前の段階からいろいろな議論があるわけでございますが、合併後三年の事業年にわたっていろいろこういうふうにしていくという方向性をその合併農協として打ち出していくというのが合併推進の一つのポイントになっております。それを組合員に知らしめるということは非常に重要なことだと思います。なかなかそのとおりにいっていないということがまた不満になっている点も私たちとしては認めなければいかぬと思いますが、それへ向かっての努力目標という形でしっかりしたものにしていく必要があると思います。  また、そういう計画が、本当に合併を進めていくときに、真剣に総会ないしはその前の理事会、それぞれの合併していく農協理事会で十分議論をされておくということがやはり大事なことではないかと思います。  それからもう一つは、合併後に、今先生指摘のとおり、いろいろな声を聞くための努力をしていく。これについては、私どもの方も、部会を設けるとか婦人部それから青年部の方々を理事に加えるとかいうような努力をして、できるだけそういう声を吸い上げるようにという指導はやっておるところでございます。
  56. 千葉国男

    ○千葉委員 今現場の声を一部紹介しましたが、次に、購買事業等についての現場の声を御紹介したいと思います。  ある支店では、事業実績で特に販売購買事業が低迷している、農業を初めとして農業資材の価格が業者より高いことが原因ではないのか、購買 事業の取り扱い減少組合員のニーズに合っていないからではないか、ディスカウント店では肥料、農業が安いのでJAでも検討してほしい、今は農機具店でも肥料、農業の注文をとっている、JAは農振会に任せきりである、民間セールスマンは話もうまく、よく回っている、JAでももっと組合員宅を訪問すべきである、こういうふうな声が購買。の問題で出ております。  本来農協による購買事業というのは、計画的な大量購入によって安い価格で仕入れをし、流通経費を節約をして、組合員に安価、安全、良品の品物を提供する、これが本来の組合の目的であるはずです。ところが、現実にはこういう声がどんどん現場で聞こえている。それに対して私の方から、こういう声が出ているのに対してどうなんですかというのに対して、いやそんなことないですよという答えしか返ってこない。要するに、農協農協のそういう考え方から売っているわけですけれども、現場的には高いという声で現場で受け取っている。それに対して、いや高くないと思います。よという話をしているのでは話にならないでしょう、こんな話では。  要するに、三段階になっていろいろ手数料が重なってきて、仕入れがこれだけで、本当はこれだけの安い値段で農協へ肥料が入るのだ、それが現実には現場へ行くと高い。機械は高いし、肥料も高い。いろいろな生産者とお会いしたときには、もっと機械代を半分くらいにできないのか、肥料ももっと安くしてもらいたい、そして何とか営農を立てていきたい、こう言っているときに、組合員のためにあるべき農協からの購買が、現実にはみんなと比べて安くない。それだったら、そんな安くないものはやめて、商社の方でどんどん買うようにした方が農家のためになりますよ。どこに組合員のメリットがあるのですか。はっきりしてもらいたい。
  57. 東久雄

    東政府委員 農協から購入する一部の資材が他に比べて高いんじゃないかという批判が間々あるということは承知いたしております。  この点につきまして、農協の手数料をちょっと調べてみますと、購入の問題で、単協で一二・五、経済連三・二、全農一・〇という一七・七%の手数料がかかっているということが一つございます。ただ、先生先ほど御指摘のとおりでございまして、農協は良質のものを適正な価格で供給するということが重要な任務でございまして、こういう手数料をどういうふうに削減していくかということは一つ農協と促してやらなければならない努力でございまして、その一つの答えと言ったら語弊がございますけれども、一つ方向として、事業二段という形で取り組みをしていくということが見られます。  なお、それを待っているというわけにもいきません。そこで、私どもの方といたしましては、先ほど先生指摘のとおり、組合員に対して十分な情報を提供する。要するに物流の合理化等をやっていくわけですが、手数料の開示というようなことで十分情報提供をする、それで信頼を得るということが一つ重要なことではないかと思います。  さらにもう一つは、大規模農家に対するメリットをどう還元するかだと思います。これは、農協の場合には平均的な、要するに小さい農家にもやらなければいけないという組合員平等の原則というものがございます。したがいまして、大規模農家に対していかにコストを低減してやっていくか、これは大規模のメリットを利用した価格等についての弾力的な取り扱いということ。  この二つの点を私ども指導しているというのが現状でございますけれども、なかなか隅々まで目が届くというわけにはいかないというのが現状でございまして、あるいはそれぞれの農協の中でそういう声を反映させていくということがやはり購買事業合理化につながっていくのではないかというふうに考えております。
  58. 千葉国男

    ○千葉委員 局長、今お話ありましたけれども、これも全中のデータなんですが、「組合員農協活動に関する意向調査 平成三年六月」、全中が組合員約一万世帯を対象にした調査があるわけですが、その中で、「農業生産、経営コスト低減等の面に関するニーズ」という中で第一番目に言われていることは「生産資材の価格低下」、これが六七・八%。一番現場で望んでいるのは、ともかく生産資材を安くしてもらいたい、そのための農協じゃないか、これが一番の声です。  ですから、最初に申し上げましたように、要するに農協はさまざまなニーズがあるということで、最初の問題に戻って恐縮ですけれども、営農指導に対する評価、要するに、「農業が主」の方に多くの不満がうっせきし、「半々」及び農外依存の高い人に満足の度が強かったと。  一体農協は、農業を一生懸命やろうとする人に軸足を置いているのか、兼業農家を中心にした、あるいは農外収入で生計を立てている人に対する農協なのか。みんな組合員、平等です。平等だけれども、本気になってやっている方に対してちゃんと応援してあげなかったら何のための組合ですか。はっきりしてもらいたい。
  59. 東久雄

    東政府委員 先生指摘のとおりで、先ほど大臣からも御答弁申し上げたところでございます。やはり農協の中心的な課題は、その地域農業そのものの発展ということが一番の問題点でございます。それから農家の生活の改善ということになろうかと思います。  そこで、やはり農協につきましては、それでは地域農業をだれが担っていくのか、やはり農業を主たる業とする方がその地域農業全体の大きな担い手になるということは当然農協の中でも理解が進んでいると思います。そのところへやはり農業に関しての施策というものをやっていく必要があると思います。ただし、農協はやはり組合員のものでございますので、組合員の生活その他の面で、あるいは他の組合員に対する配慮というもの、これもどうしても欠かせないことになる。そこは、ここだけということにならなくなる。ただ、これが中心の支えている人たちだという理解のもとで事業を進めていく必要があるというふうに考えております。
  60. 千葉国男

    ○千葉委員 ですから、局長、いいのですよ、全体の組合員のニーズにこたえる、これは基本ですから、入っている以上は。だけれども、農協と名がつく以上は、農業を一生懸命やる人に対してさまざまな便宜を図るように改善することが当然じゃないですか。はっきりしてください、その辺を。
  61. 東久雄

    東政府委員 今の点、先生の御指摘のとおりだと思います。それで、やはり大規模の農業経営する方ないしはその地域農業を担っていく方、これらに対してどういうふうに農協が配慮できるのか、また、営農指導の面でも高度化した指導をできるのか、そういう体制を整えていくことが農協の重要なポイントであるというふうに考えております。
  62. 千葉国男

    ○千葉委員 時間もなくなってきましたが、具体的に今度のことを通して、やはり広域合併をすることによって、非常に組合員との心の距離が離れる、あるいは具体的な現場のさまざまな作業でおくれが出てきている。そういう意味で、支所とか支店、ある一面では合併することも大事だけれども、現場のこの機能を強化する必要があるのじゃないかとこういう生の声を通して思いますが、これに対してどういうことを今指導されているのでしょうか。
  63. 東久雄

    東政府委員 まず一つは、組合員との関係の希薄化ということを防ぐためにいろいろな形での意見の吸い上げ、先ほど申し上げましたいろいろな生産部会等、それから青年部会、婦人部会というようなところの部会の動向等による吸い上げということも大事でございますし、さらに、農協が支所のことにつきましても、やはり組合員との日常的な触れ合い機能を充実する一方で、機能の特化、集約化等の再編をやっていくという方向を出しておりますように、この組合員との日常的な触れ合いの機能というものを支所に大きく期待していかなければならぬというふうに考えております。
  64. 千葉国男

    ○千葉委員 まだまだ問題点はたくさんありますし、また次の機会にお伺いさせていただきたいと思いますが、最後に農水大臣に、このような現場の組合員の声を通して私自身が全体的に感ずることは、農協経営基盤の安定強化を図る、これが優先をして、組合員のニーズに対応する努力が二の次になっているのではないか、こういう印象を強く受けます。  そういう意味で、組合員のための農協の基本姿勢を前面に出して、組合員ニーズにこたえていくこと、合併の、改革の見直し、そこをもう一回魂を入れ直していただきたい。こういうことについて農水大臣のお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  65. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 実際にわたる、合併組合等の現実に即したいろいろな御指摘をちょうだいしたわけでございますが、我々としてやはり懸念しているところ、すなわち、大規模化、経営基盤の強化、経営至上主義、組合員の営農なり生活のための協同組織だという原点を忘れるような傾向が大変出やすい。それに対する対応としては、今経済局長からるる申し上げましたように、支所の問題とか青年部あるいは婦人部等の組織化の強化とかもろもろございますが、特に、大規模合併を進めて系統組織が三段階から二段階というような大事な段階に来ておりますので、その点については今後十二分に留意をいたしたい、さように思っております。
  66. 千葉国男

    ○千葉委員 以上で終わります。よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  67. 中西績介

    中西委員長 石破茂君。
  68. 石破茂

    石破委員 今回の法改正もそうですが、一連の流れはやはり新農政の中にあろうと思っております。WTOもそうです。新食糧法案もそうです。今回の法案もそうです。  私はWTOのときからくどくお聞きをしておるのですが、米価は一体どうなりますかねということと、下支え機能はどうなりますかねということをくどくどとお聞きをしておりますのは、まさしくこれが農協の問題であり、農家それぞれの問題であり、このことをつまびらかにしないままで新農政の成就というものはあり得ないであろうというふうに考えておりますから、くどくどとお聞きをしておるのでございます。  まず、その前に本法に関してお尋ねをいたしたいと思います。  よく農協批判というのが行われますね。それは、農家の数や農民の数というのはどんどん減っておるのだけれども農協職員は全然減らぬではないかい、いわゆる背広農民というのですか、そういうものは減らぬではないかというようなことがいろいろな論者の中で闘わされておる。それは、心あるJA職員、本当に額に汗して働いておるJAの皆様方の心を痛めるに十分なものであるわけですが、これに対してどのように反論をしていくかということなんですね。それは、公式論的には、准組合員がふえている、組合員の数もふえている、だからそれに対応するのが必要だというような公式論的なお答え、それはそれでわかりますよ。しかし、そのほかに何かそれに対して説得力のある反論というものがあるかどうか、まずお尋ねをいたしたい。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
  69. 東久雄

    東政府委員 農協職員を一組合当たりで見た場合に、約三百人ぐらいの平均でございますが、そのうち約百人が信用事業とそれから共済事業でございます。准組合員というのは信用事業共済事業割合多いわけでございますが、それらの事業量が非常に大きく伸びているということが一つあろうかと思いますが、そのほか、組合員ニーズの多様化それから複雑化、さらに、農協事業自身がいろいろな施設を、例えば今のいわゆる共同利用施設というのは相当程度農協が中心になって運営しております。これらの施設の増加というものは著しいものがございます。そういうような事業量の拡大ということがやはり農協職員数が減らないという、多少最近ではふえている傾向がございますけれども、ということになっていると思います。  しかし、これは私たちといたしましてももっと効率化合理化するべき分野があるのではないか、特に管理部門についてはあるのではないかというような感じがいたしまして、いろいろと議論をしておったわけでございますが、農協の方も昨年の大会で、いわゆる労働生産性のアップという形で対応していくということでございまして、私たちといたしましてもその方向で引き続き指導していくという方向をとりたいというふうに考えております。
  70. 石破茂

    石破委員 今回の法案についてお尋ねするのですが、先ほど千葉議員からもるる指摘がございましたように、本当に農家、農民のためにもなり、JAのためにもなりという一致点をどこで見出すかという話なんですね。さっきから、営農指導をもっと強化しろという話がありますよ。営農指導というのははっきり言って余りもうからぬ話なんですな。そしてまた、手数料をどんどん安くしていく、安い農産物を提供するという本来の目的と農協経営というのが、ある場面では二律背反になることは否めないと思うのですね。みんながうまい話なんてどこにもないので、どこでその線を引くのかなということ、そしてまた、どうやって国民のコンセンサスを得るのかなということ、ここが重要な点であろうというふうに考えております。  大臣にお尋ねをいたしますが、ちょっととっぴなことをお尋ねするようですが、東京共同銀行というのが今問題になっていますね。これをどうするんだという話ですが、信用秩序の維持というのが大事である、だから三百億を出すべきであるというような議論が最初あった。だけれども、信用秩序の維持というのはそういうものだと私は思っていないのですね。  私も銀行員であったことがありますが、信用秩序の維持というのは、本当に善良な預金者、そしてまた善良な債務者、そして健全な金融機関、その信頼というものをきちんと守る、それが信用秩序の維持というものであって、でたらめな経営をし、そしてまたでたらめな融資をし、銀行の能力も見抜けないようなお客様というのは、それはもうお客様の名に値をしないというふうに思っておるのですよ。そういうようなものを守ることが信用秩序の維持だとは私はどうしても思われないのですね。ですから、このことは予算委員会でも総理にも、そしてまた大蔵大臣にもお尋ねをしたことですが、明確なお返事は得られなかった。とにかく信用秩序の維持のためにこのスキームを維持するんだ、こういうお返事で、今国民はかなり怒っておるわけですよ、こんなことがあっていいのかという話でね。  これは恐らく東京都知事選挙でも大きな争点になることだろうというふうに思っておるのですが、今回のこの法案を見て連想するのはやはりそういうことなんですね。本質は全然違うというふうにお思いだろうし、そういう面もありますよ。しかしながら、まず、金融機関のあり方というのはどういうふうにあるべきか、そして、信用秩序というものはどういうものであるか、その点について農水大臣のお考えを承りたい。
  71. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 ちょっと御質問の趣旨が十二分によくわからないのです。
  72. 石破茂

    石破委員 それでは観点を変えましょう。今回、不良債権固定化債権と言われるものはどれくらいありますか。
  73. 東久雄

    東政府委員 今の御質問につきましては農協不良債権のことだと思いますが、単協全体で、全国単協のものを集めまして約四千億円ほどございます。
  74. 石破茂

    石破委員 それはいかなる要因によって固定化債権となりましたか。その分類はなさっていますか。
  75. 東久雄

    東政府委員 分類したものは持ち合わせておりませんが、固定化債権ないしは不良債権になった原因というのはそれぞれいろいろな要素がございます。一つは、農業経営の破綻というようなもので、その経営者が農協からの借入金を返せないということが大きな問題だと思います。そのほか、先ほどちょっと御質問がございましたけれども、一部の職員ないしは役員の不正というようなことから不良債権化したものがあるということも事実でございます。これが幾らくらいでどうなっているかということについてはちょっと統計を持っていないということで、申しわけございませんが、わかりません。
  76. 石破茂

    石破委員 今一番問題になっているのは、そういう固定化債権をどうするかという話なんですよね。ラウンド対策でもそうでしょう。そういうような人たちをどうやって救っていくかということが大きな問題になっているのではないでしょうか。自己責任部分と、そしてまた、どうやっていろいろなスキームで救っていくかという部分はやはり分けていかないといかぬと思っているのです。よ。それは経済局で分類されていないとは私は思わないのですが、本当に分類されておりませんか。
  77. 東久雄

    東政府委員 ただいまのお話は、いわゆる農協不良債権ではなく農家が抱えている負債の問題かとも思います。負債でございますけれども、それはいかなる原因によって発生したかということにつきましては、価格はどうだとか、見通しかどうだとか、いろいろなことが言われております。  ただ、確かに、現在抱えている負債経営合理化をしていくときにその負債があるために合理化が滞ってしまう可能性があるという問題に着目いたしまして、御承知のとおり、ウルグアイ・ラウンド対策といたしまして、負債の整理のための特別の融資制度というものを創設していただいたところでございます。
  78. 石破茂

    石破委員 このお話は、以前、共国債権買取機構のところでも議論のあったところですよね。これは農林中金も金を出していますから農協にも関係する話なんですよ。その共国債権買取機構なるものをつくるときに、本当にこういうようなスキームをつくって助けなければいけないのかねという議論がありました。そのことについてどのような見解をお持ちですか。
  79. 東久雄

    東政府委員 この固定化債権処理というのは農協固定化債権処理でございますが、これは農協合併を進めていく上においてこの固定化債権処理というものが桎梏になって進まないという状況があるわけでございます。そこで、この固定化債権を一定の評価をいたしまして、その債権自身が回収できる金額というものを確定する。そのときに債権としてあるもの、例えば百万円の債権を持っておりますが、その担保価値が下がったために七十万円の価値しかないというようなときに、それを七十万円と評価して、それで、その三十万円の損失を合併される農協の中の損金として算入していく、ないしは、さらに欠損金という形で残った場合には、引き継いでいく農協の中で五年間にわたってそれを償却していくという方式をとるための手段でございまして、それは先ほどもお答えいたしましたけれども、その固定化債権のよって来るところ、これにつきましては、いろいろな原因で、例えば経営責任というようなものが追及されるということが、その農協合併計画の中で固定化債権処理というものをめぐって議論されていくというふうに私たちは考えております。
  80. 石破茂

    石破委員 仕組みは確かにそのとおりなんですね。百万円の固定化債権を持っている、これを買ってくれないかという話で、不動産鑑定士とか税理士がそれを見て七十万円ということであれば、その七十万円をJAが融資をして買い取るというお話ですね。そのJA債権を持ってそれの回収に当たる、こういうことですが、三十万円は償却をされるわけですから、この部分には税金はかからない、こういうことですね。  問題は、そこに税金がかからないという仕組みなんですよ。それは、納税者というものに対してそういうことがあっていいのか、それに税金がかからないということが、こういう仕組みとして創設をされてよいものかということなんです。そこはどうですか。
  81. 東久雄

    東政府委員 こういう債権で回収できない部分が生じた場合には、これはいずれかの時点で必ずいわゆる損金という形で処理されるわけでございます。それの時点をいつにするかという問題だと思います。  この間、ほかの委員会のことで申しわけございませんが、予算委員会で共同銀行の話がございまして、まさにそこのところが指摘されておったところでございます。したがいまして、今の時点で償却するのか、本当に行き詰まったところで償却するのか、いずれにしても損金算入が出てくるわけでございまして、時点のずらしということであろうかというふうに思います。
  82. 石破茂

    石破委員 これが時点のずらしということだけなのかなという疑念はあるのですよ。つまり、金融機関であるがゆえにこういう仕組みをつくってもらえるわけですね。だから、確かに時点のずらしてはあるのだけれども、こういう銀行であるとか農協であるとか、銀行のときもそういう議論があったでしょう、そういうものであるがゆえにそういうようなスキームをつくってもらえるということについて、公平性はどうなんでしょうか。
  83. 東久雄

    東政府委員 今の御質問は、農家と比べてということだろうと思います。  それで、農家といえども株式会社の組織をとれば同じような形といいますか、掛金という形でやれますし、また、例えば農家の負債というものにつきましてはいろいろな形で、これは収益のところでそういう負債負債として処理するならば、やはり所得税その他のところでやりようが、いわゆるコストという形でどういうふうに見ていくかということがあるのかと思いますけれども、今のところは、私たちといたしましては、固定化した農家の負債というものについては、それがこれからの農業発展に支障を来さないように処理していくという形で対応を考えたところでございます。
  84. 石破茂

    石破委員 大臣が質問意味がよくわからないというふうにおっしゃいましたが、恐らくおわかりになっていてそうおっしゃっておるのではないのかなという気がするのですよ。どういう人を守っていかなければいけないのか。いろいろな利益がありますよね、みんながうまい話というのはないわけですから、何を一番優先していかなければいけないのかということだと思っているのです。よ。  今回の場合には、JA広域合併というのをとにかく加速度的に進めていかなければいけない、そのためにはいろいろな仕組みもつくっていかなければいけないということだろうと思っています。ただ、それがどうやって人々の理解を得るような努力をしていくのか、どういうような話をしていくのかということだろうと思っているのですね。やはりきちんとした経営をした人、そういう人たちを守っていくということが念頭になければいけないことじゃないか。そういうJAを助けていくというのか、助けていくという言い方はよくないですね、JA合併をさらに後押ししていくということが大事なことであって、そういうことが大方の理解を得るに資するものではないだろうかということなのですが、いかがですか。
  85. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 先ほどはちょっと失礼いたしましたが、石破委員のおっしゃる意味で、大方の納得を得る債権償却方式、損失の償却方式という点については、今回の我々の農協合併に伴う合併推進法人債権買い取りシステムについても、その買い取り債権等については、放漫なあるいは不正を伴うとかいろいろな指弾を受けるような債権についてはこれは買い取らないというような基本方針で、ただいま御指摘のようなそしりを受けぬような運営をするということになっておりますので、その点の御懸念はないと思うわけでございます。
  86. 石破茂

    石破委員 委員諸兄にはローカルなお話で大変恐縮でございますが、お許しをいただきたいと思います。  私は余り選挙区の話はしたくないのですけれども、私の選挙区に中浜農協なる農協がありまして、鳥取県は三つのJAにしてしまおうということで、東部JA、中部JA、西部JAということで、三十九市町村あるのですが、大変遠大な構想というか雄大な構想というか、三つにしてしまおうということで西部農協というのができた。しかし、中浜農協だけ入れてもらえなかったのですね、これは経営状態が悪いよということで。そこの役員の方々も、組合員の方々も、私も長いおつき合いがありますが、本当に一生懸命努力をしておられるんだけれども仲間に入れてもらえないということなんです。  それは、人の責めに帰すべき事由もあるでしょう、国の指導にも問題があるのかもしれない、いろいろな考え方があるだろうと思う。今ここで断定的なことを申し上げる立場にもないし、そういうことについて熟知をしているわけでもありませんから、そういうことは差し控えます。  ただ、こういうような問題についてどのような見解を役所としてはお持ちですか。
  87. 東久雄

    東政府委員 個別の農協経営内容にかかわる問題でございますので、深いコメントはちょっと差し控えさせていただいた方がいいと思います。が、全体として、ここの中浜農協についてはいろいろな面での同情すべき点があるということもあって、今県全体として、いわゆる県の農協全体として、ないしは県そのものも、この中浜農協の問題に真剣に取り組んでおられるということは、私も去年の夏ごろから聞いておりまして、これに適切な措置が今検討されているのだろうと思います。  それらの結果等も踏まえて、私たちといたしましても、鳥取県というのが直接の監督の官庁でございますので、そこを通していろいろな御要望もあろうかと思います。また、適切な指導をしていきたいというふうに考えております。
  88. 石破茂

    石破委員 局長、言葉じりをとらえるようでごめんなさいね。同情すべき点が多々あるとは、どういうことですか。
  89. 東久雄

    東政府委員 余り経営の内容に立ち入ることはどうかと思いますが、大変多額の負債が一部の畜産の団地との関係で滞ったということを聞いております。それについて、いろいろ地元での御努力もあって、その畜産団地の売り払いですか、というような方向もとられているというのは、ちょうど去年の夏にお聞きしております。その後具体的なことは聞いておらないのでございますけれども、みんながこの中浜農協の問題に取り組まなければいかぬというようにされておるということでございまして、それは地元からそういうふうに聞いておりますので、そこはいろいろな事情、これはいろいろなことを言っておられます。いろいろなことというか、畜産のその時々のタイミングの悪さというようなことも言っておられたと聞いております。  そういうことで、皆さんの同情が、同情と言ったらいけませんが、これは何とかしなければいかぬという雰囲気が出ているということは、それはそういう面があるのではないかというふうに考えております。
  90. 石破茂

    石破委員 ごめんなさい。これでこの問題は終わりますが、これは優良事例として全国に紹介されたこともある畜産団地なんですよね。これから次はこういうふうに豚を飼いなさいという当時の政府の方針もあったのでしょう。県の指導もあったのでしょう。もちろん、それがあったからといって、経営者として、マインドとしてそれに乗ったわけですから、だれが悪いとかそんなことをここで申し上げるべきことだとは思いません。ただ、本当に、なぜそういうような負債を生ずるに至ったかということは、それぞれ検証してみなければいかぬことであろうというふうに私は思っておるのでございます。  さて、その四千億ですが、これは中身はよくわからない、そこまで子細に検討してもいない、実際そういうものでしょうね。それはどれぐらいこのシステムによって救済されると思われますか。
  91. 東久雄

    東政府委員 固定化負債の対応というのは、これは実は四千億の細かい農協ごとのことをやっておりませんので、合併される農協がどれだけこの中の、四千億の中に占めるかという計算が十分できておりません。  それからもう一つは、いわゆる固定化負債の、債権処理の仕方というのは、今も金利補給という形で一部やられております。これに新しい方式として買い取りという形を入れ込んだわけでございます。これは税法との関係もあって、またもう一つは、はっきりさせた方がいいんだという、またはっきりさせてくれという御要望があってこの制度を入れたものでございますので、どちらへ振り分けていかれるかという見通しかちょっと立ちにくうございますので、幾らになるかということはちょっと今申し上げかねる点でございます。
  92. 石破茂

    石破委員 今、まさしく不動産市況というのが低迷した中にあって、本当にこれうまく動くのかなという懸念はどうしてもあるのですよ。共国債権買取機構でも農林中金が金を出しているわけですね。人も出している。だから、農協もこの機構に乗ってもいいわけですね。しかし、これの取り扱い事例というのは一つか二つしかないはずです。よ。それは東京にしかないということで、全国津々浦々あるものまでつき合っていられないということもあるのでしょうが、その担保に供せられておる土地、そういうようなものが、どうにもならないと言っては悪いけれども、なかなか売りにくいねという土地があることは事実でしょうね。  さて、これをやることによって、非常に意地悪な言い方をすれば、移しかえをやるだけのことじゃないのか。この不動産市況が低迷した中にあって、今度はそれに融資したわけですが、それは回収しなければいかぬわけですな。これは本当に回収できるんだろうか。逆に言えば、回収できるものしか取り扱いませんよということであるのか、その辺の見通し、いかがです。
  93. 東久雄

    東政府委員 原則として、やはり回収できる見込みが十分あるということが一つのポイントだと思います。回収の見込みがないというもの、見込みがないと言うのはちょっと語弊がありますが、ちょっと時間がかかるというものについては、やはり利子補給の形をとって新しい農協へ引き継がれるというのが一番いいことだと思います。  しかし、回収につきましては、実は買取機構を使わないという理由は、今先生お話しのとおり、東京にしかないということで地元との接触が持てない。それから、買取機構というのは、どちらかというと宅地が中心でございますので、農地というものの取り扱いにふなれであるというようなこともございます。それで、できるだけ農地というようなもの、また農協固定化債権というものは、担保等は大体地元でございますので、そこを中心にした処理というのが一番いい方向でございまして、その見込みがある程度ついているところを中心にこの制度でやっていきます。またしかし、そうかといって利子補給の制度の固定化債権処理というのが難しいというものになりました場合には、その担保不動産等をできるだけみんなで努力して処理するという方向をとると思います。  また、それは適正な価額で評価される。もちろんそれは安い形になる可能性がございます。その場合には、やはり損金が大きくなるという形になるわけですが、そういう努力はやはり地元で行われるということの期待感がございます。そういう形でこのシステムが動きやすい、いわゆる東京にあります買取機構というものが利用できなかった、それがこういう形でやっていける一つのきっかけになるというふうに考えております。
  94. 石破茂

    石破委員 税理士とか不動産鑑定士とか、そういうのが評価をするわけですよね。これの評価がきちんとしたものでないと、これは全然意味がない話になりますね。これをきちんとしたものにして、ちゃんとこれが機能するような手だてというのはどのようなものが講ぜられておりますか。
  95. 東久雄

    東政府委員 この評価は、学識経験者のみによる評価という形で、その学識経験者として今御指摘のような専門家に入っていただいて、第三者としての目で評価していただくということを確保していくというところがポイントだと思います。
  96. 石破茂

    石破委員 これはやらなければいかぬものでしょう。私は反対をするものではございません。ぜひ、これによって農協合併がさらに促進されることを私は個人的には願っておるものでございます。  さて、新農政の中で農協の位置づけというのはどうなっていくのでしょう。そしてまた、ラウンド対策六兆百億というのが出ていますが、この中で農協に対してどのようなことを考えておられますか。
  97. 東久雄

    東政府委員 新農政の中で、これはもう既に新農政というのは平成五年に最初部分が出ておるわけでございますが、その新農政の中では、その中でどういうふうにJAグループがやっていくかということは、全中が既に平成五年五月に取りまとめております。それが昨年九月の農協大会で言われておるわけでございますが、JAみずからが農地保有合理化法人の資格を取得して農地の利用調整に取り組むということでございますとか、農作業だとか経営受委託のあっせんを通じた経営耕地の集団化を図るというようなことを決議しております。  それから、このような中で、例えば農地の流動化に関しましては、農協が農地を借り入れて規模拡大農家に貸し付けるというような事業、これは農地保有合理化事業の一環でございますが、というようなこと、組合員の委託によって農地等の売り渡しを行う農地信託事業というようなことをもう既に行っておりますが、そういう形で重要な役割を農協としても果たしたいという方向を出しております。  こういう方向でございますので、これは行政機関との連携をとりつつ、その新農政の方向に従った形でやっていく。農地の問題と、それからもう一つは担い手の育成という形で農協努力をしたいということでございます。これらについて幅広く積極的に取り組んでいってくれるというふうに期待しておる次第でございます。
  98. 石破茂

    石破委員 後段の六兆百億円の中で、農協対策というのはどんなものがありますか。
  99. 東久雄

    東政府委員 失礼いたしました。六兆百億の中で農協に直接ということでございますが、いろいろな事業がございますが、一つ負債対策ということで片づけておりますけれども、その場合に、系統資金を使った形での負債処理というような取り組みをしていただくということが一つございますし、それが六兆百億の中の一つ事業としてございます。  それから、いろいろな形での基盤整備などの場合に農協一つの意見、もちろん土地改良区が中心になるのだと思いますけれども、農協等の意見がまたそこへ反映される、ないしは種々の合理化事業というようなもので共同利用の施設の整備等の事業について農協が役割を果たしていくのではないかと思います。  具体的に、農協関係、関連の予算が幾らになるかというような計算はちょっといたしておりません。
  100. 石破茂

    石破委員 ちょっと観点を変えてお尋ねをいたしたいと思います。  上野食糧庁長官お出ましですか。その新食糧法案というものの実体というのかな、これの中身は、新食糧法案を通したときにいろいろな議論をいたしました。ただ、私がまだこだわっているのは、米の値段どうなるんだろうねということなのです。この新食糧法案というのは、実は農協のあり方を根本的に変えていくものじゃないのかというふうに思っているのですね。ある人に言わせれば、農協改革法と名づけてもいいぐらいだと言う人もいます。つまり、農協の自己責任というものをきちんとしていきましょうねということが実はこの新食糧法案の裏に透けて見える。きちんとした農協がそれぞれの販売戦略を持ってやっていかなければいけませんよということ、それに減反も絡んでくるんだろう、百五十万トンの備蓄というのは多分そういうことであろうというふうに思っているんです。新食糧法案によって農協というのはどのように変わりますか。
  101. 上野博史

    ○上野政府委員 今お話ございましたとおり、現在のお米の生産から集荷、流通段階農協系統の力が相当発揮されているのは紛れもない事実だろうと思うわけでございまして、新しい新食糧法のもとにおいても、そういう一つ実態を踏まえながら新たなお米の流通というものを考えていかなければならないんだろうというふうに我々としては思っているわけでございまして、集荷の面におきます農協の活躍あるいは自主流通米の流通、今の指定法人というようなものが自主流通法人というような、名前は変えて法的にしっかりした根拠のもとに活躍をするということにはなりますけれども、ともかく農協系統組織がお米の集荷から流通に相当の大きな力を発揮するということを想定をいたしているわけでございます。  そういう中で、具体的に、ではどういう変化が起こってくるのかということになりますと、生産者の側がやはり出荷の際に自主流通米として出す。のか、あるいは計画外の出荷をするのかというような判断もできるようになるわけでございますし、あるいは単協が集めましたお米をどういうふうに流すかということについても今まで以上に自由になるわけでございますので、私は、農協としても、やはりお米の生産から流通に対しまして今まで以上に関心を持つところが一方では出てまいるのではないか、つまり、一つ農協が行います。事業としていろいろな意味でビジネスチャンスも与えられてくることになるんではないか、そういう意味で、今まで以上に真剣に取り組む農協というものも出てまいるのではないかというふうに思います。  他方、今までどちらかというとお米の生産というようなことが余り大きなウエートを持たないところじゃないかという気もいたしますけれども、そういうところでは、従来の食管法の組織、考え方、制度の中で一定の役割があるので、それをいわば余り自主性はないんだけれどもやらなければいけなかったというようなところも中にはおありになられるかもしれない、そういうところについては、新たなお米の流通の中で関心が薄れていく面というものもおありになられるのではないか。かなり農協農協によりまして、それぞれの置かれている立場によって取り組み方が違ってまいるんではないかというふうに考えております。
  102. 石破茂

    石破委員 農協というのが一番マスコミに載りますのは米価のときなんですよね。米価大会というのがある。幾晩も幾晩も徹夜をして、私も自民党時代に大河原大臣と一緒に、幾晩も幾晩もそういうことをやっておった人間であります。農協にとって、やっぱり米価というのは大事なものであるということなんですね。ことしはいろいろな選挙がございますから、選挙があるとどうしても米価というものに対してセンシティブになって、米価は守るんだというような話になってくるわけですが、この新食糧法案をよく読んで、そしてまた百五十万トンという枠を考えて、そしてまた売れ残っている輸入米の量数を考えて、減反ということを考えてみると、やはりこれは基本的に下がっていく方向にいくんだろうねということを私は感想としては持つんですね。  そこで、もし仮に、米価維持であるとか上げるとか、それはそれでその局面としては大変に喜ばれることなのかもしれませんが、そうすると、新食糧法案のスキーム自体がもたないという気がするんですよ、ここのところをどうしていくんだろうかということなんですが、いかがですか。
  103. 上野博史

    ○上野政府委員 なかなか的確に見通すのは難しいんだろうと思うのでございますけれども、やはりお米の需要と供給の関係を適切に保つということが一番大事なことなんではないか、そこの需給の状況がどちらかに振れるということになると、お米の値段というのは非常に高くなったり非常に安くなったりするということがまず第一にあるんではないかというふうに思うわけでございまして、需給の安定を図ることにこれからの努力が要るんではないのかなというふうにまず思っております。  そういう需給の安定を図るということになりますと、お米それぞれの、今の自主流通米でも多分にそうなんですけれども、銘柄によって値段はかなり違っておりますし、そういう意味で値段というものほかなり区々になった動きをしてまいるんではないかというふうに基本的には思っております。  ただ、先生お話が多分そういうところにあるんじゃないかと思うわけでございますけれども、いわゆる新農政の方向づけのもとにできるだけコストの低いお米の生産体制をつくるという努力もなされるわけでございます。そういうことを考えてまいりますと、先行き的に全体としてお米の生産がより効率的な体制で行われるということは十分考えられるわけでございまして、そういうようなことがお米の価格に反映をしてまいるということば、それはそれとしてあるんではないかというふうに思っております。  念のため申し加えますと、現在ございます緊急輸入米の在庫というようなものにつきましては、これは我々とすればできるだけ国内米に影響を与えないように処理をしてまいらなければならないというふうに考えているところでございまして、それによる国内米への影響というのは私は余り大きくは考える必要はないんではないか、現実に我々の現在持っております緊急輸入米の値段というのはかなり安いというふうに思っておるわけでございますが、なかなか思うように動いていない状況でございます。
  104. 石破茂

    石破委員 なかなか売れないんですよね。余っちゃった、どうにもならない。これが海外援助米になるという話が具体的になったという話も聞いたことがない。これどうやって国内に影響を与えないようにやっていくのか。余っちゃった場合にやはり百五十万トンの枠に組み入れられると思って間違いないのですか。
  105. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 緊急輸入米についてはいろいろな機会に御答弁申し上げているわけでございまして、これは国内米の需給に影響を与えない、処理の仕方としては、特別に加工用とか業務用で要請があればそれに対して供給するけれども、最後は飼料用としても処理するという考えで棚上げをしているというのが今日の考えでございます。
  106. 石破茂

    石破委員 飼料用にした場合のコストにつきましてはまた何かの機会に議論をしたいと思います。が、そうしますと、大臣のお答えを私なりの理解で申しますと、それは百五十万トンにはなるべく組み込まない方向でいくというふうに理解してよろしいのですか。
  107. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 百五十万トンには組み込みません。
  108. 石破茂

    石破委員 そうしますと、組み込まないということであれば、それは減反の強化ということもそんなに考えなくてもいい、そこまで神経質に考えなくてもいい、百五十万トンというのが丸々、丸々とは言いませんが、ミニマムアクセス分も入ってくるわけですから、それだけの余裕はあるということで、農蚕園芸局長よろしいですか。
  109. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 ちょっとあれですが、ミニマムアクセスのお話ですか。(石破委員「緊急輸入米」と呼ぶ一緊急輸入米、これは百五十万トンの備蓄用には組み入れる考えはございません。国産米を前提としてやっていくという考えでございます。
  110. 石破茂

    石破委員 そうしますと、ミニマムアクセス分というのは、これはどれだけ百五十万トン分に組み込んでくるんでしょう。
  111. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 これもしばしば新食糧法の御審議の際申し上げましたように、内外無差別の原則でございますから、主食なり加工用、それと備蓄ということで、その振り分けをいかがするかということは、まだ最終決めておりません。
  112. 石破茂

    石破委員 この新食糧法案が通ることによって、それぞれの農家、それから農協経済連、全農、これがどのような行動に出てくるだろうかということを議論しなければいけないと思っているのですね。  今売れるのは、結局それぞれに売れるとしたら産直で売るしかない、特栽米という形で売るしかないという形ですが、新食糧法が動いてくると、そういうようなことよりも、もっと自由にどんどん売りましょうか、大きな農家ほどそういうような傾向になってくるのじゃないか。ますます農協というものを通さないで、プロの農家というのですかそれぞれ大規模農家が売るようになってくる。  また、農協経済連に全部お任せという話にならないから、農協も全部自分で売っていかなきゃいけなくなる。そうすると、販売戦略ということを考えていかないと農協自体もたないということだと思いますね。経済連の顔色をうかがい、全農の顔色をうかがいということじゃない、それぞれの農協が独自の販売戦略を持って売っていきなさい、そしてまた、大きな農家はもう農協に頼らず自分で売りなさいということに恐らくなるのでしょうね。  そうしますと、自由米の価格というのは当然競争の原理によってだんだん下がっていくということになると思いますが、そこはどうですか。     〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
  113. 上野博史

    ○上野政府委員 今先生お話ございましたように、いろいろなお米の流通が可能になる、生産から流通段階のそれぞれの関係者が一番いいというルート、販売の仕方をするということになってまいるだろうというのはそのとおりだろうというふうに思います。  ただ、大きな農家が自分で売ればいいというのも一つの考え方でございますけれども、他面、やはりつくることと売ることというのを分けて考えたいとか、あるいは売ることに伴ういろいろなリスクもあるわけでございますので、販売の方については農協を通すというふうな選択も将来的にかなりあるのじゃないか。そういうことが、むしろ従来どおり一般的になってくるのではないかという気も私はするわけでございまして、規模の大きな農家がいっぱい出てくれば自由なお米の流れがどんどんふえてくるというふうには必ずしも言い切れないのではないのかな、遠い先のことはちょっと私も何とも申し上げられないのですが、そういう感じでおります。  そのときに、米の需給の均衡をどう図っていくかというのは、やはりそれはそれで私は従来以上にいろいろと努力なり工夫の要るところだというふうに、確かにそれはそういうふうに思うわけでございまして、去年の秋以来の需給調整のためのいろいろな御努力もやはり一つのそれの先駆的な御努力であったのではないかというふうに思っているわけでございます。  しかしながら、生産者も、やはりつくる自由と売る自由ということが目の前に出てくるわけでございますから、全体として需給のバランスをとり、価格の安定を図るということを頭に置いていろいろ努力をされる、そういうことに方向としてはなっていかざるを得ないのではないかというふうに考えているところでございます。
  114. 石破茂

    石破委員 価格破壊という言葉がはやりでありますが、これは米においても起こるのじゃないかなという気がするのですよ。  百五十万トン、これはプラス・マイナスは若干のアローアンスはあるのでしょうけれども、そういうことになってくると下支え機能というのがだんだん働かなくなってくる。そうすると、個々の農家も、どっちが得なのかなということになって、さあだれに売りましょう、商系に売りましょうか、それとも農協に売りましょうか、どうしましょうかというような、それぞれの農家の判断というのが求められる。そして、そういう農家でなければ残っていけないというようなことがやはり到来するのじゃないかというふうに私は思うのです。だから、下支え機能というのはどうなるのでしょう。  旧食管法のときには、米価というのは下支えなんだ、とにかくこれより下には下がらないんだ、だからこれを守ろうということでずっと一生懸命やってきたと思います。今回、下支え機能というものはどうなるのか。そしてまた暴落対策というものがいま一つ得心がいかない、これが暴落対策だというものが私はいま一つ見えてこないのですが、やはりそこをあえてはっきりしないことによってと言ったら語弊があるかしら、やはり自己責任の原則、きちんとした農家、それがプロの目を持ってやっていきましょうよということ、それが目指すべき方向だと思うのですがね。
  115. 上野博史

    ○上野政府委員 まさに今最後に先生がおっしゃられたとおりのことではないか。やはり今度の制度というのは自己責任の原則というものの上に考えられている。今までの食管制度というのが全量政府責任という形で仕組まれていたのに対する、対置されるべき考え方ではないかというふうに思うわけでございまして、そういう考え方のもとにおきましては、暴落のときに一切の責任をだれかがしょってくれるという話はやはり考え方として入れられないのではないかというふうに思っておるわけなんです。  ただ、そうはいいながら、そういう事態を放置するということもまた大変問題のあるところだというふうにも思っているわけでございまして、かねがねお答えを申し上げておりますとおり、百五十万トンのアローアンスを持ちまして政府としても在庫の調節に努めますし、同時に、その努力というのは生産者団体の自主的な調整保管というものとリンクをさせながら努力をしてまいる。こういう形によりまして、自己責任のもとでの需給の安定、価格の安定ということにつながるように運用してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  116. 石破茂

    石破委員 下支え機能というものが従来のように完全に働く、つまり米価というものよりも下回ることはないんだというのが今まででしたね。だけれども、これからは現象としてはそれよりも下のことが当然あり得るというふうな理解でよろしいですか。
  117. 上野博史

    ○上野政府委員 下支えの議論になりますと、これは従来の食管制度のもとでの生産者米価の考え方と違うということは従来から申し上げておるわけでございまして、コストの観点に加えまして需給の観点を加味をしてといいますか、需給の観点に加味をしてまずコストの観点を考えるという、書き方としてはそういうことになっておるわけでございますが、そういう両面からの判断のもとに価格を決めるということでございますので、従来のような意味での下支えというのとは大分違ってくる可能性はあるだろうというふうに思います。
  118. 石破茂

    石破委員 これは大臣にはかねがねお願いを申し上げているところでございますが、要は、どうして農家の所得をふやしていくのかということを考えていかねばならぬのだろうと思っています。今、乳価の議論、畜産物価格の議論がございます。そしてまた、この後恐らく米価の議論もあるのでしょう。要は、どうやって農家の所得をふやしていくかということ、これをはっきり明示をしていく。それはもう残された期間というのは六年間しかないわけですから、こうこうこうなってこうなりますというようなストーリーが明確に書かれていくということが大事なことだろうというふうに思っておりますので、ぜひ英断を持ってお願いいたしたいと思います。  例えば機械銀行というものがありますね。農協がやっている機械銀行というのがあります。同じトラクターをみんなが持つのはやめようよ、農協が全部いろいろなトラクターを持ち、言われればそこへ持っていってやりますからというようなことをやろうとしていますが、これはどれぐらい広まっているのでしょう。広まりが遅いとすれば、その阻害要因は何ですか。
  119. 日出英輔

    ○日出政府委員 今先生のお尋ねの機械銀行でございますが、昭和四十七年度から私どもはこれの助成をしながら推進をしてきたわけでございますが、最近の状況でございますと、参加農業者数が三十万人ということでございまして、全体の受委託のうちの大体二割程度を機械銀行が担っているというふうに見ておるわけでございます。
  120. 石破茂

    石破委員 これをさらに進めていくためにはどうしたらよろしいのでしょうね。
  121. 日出英輔

    ○日出政府委員 この機械銀行でございますが、主として農協等が農作業の受委託の仲介、あっせんという形でやっておるわけでございます。  近年、この受託者の方の高齢化ということがどんどん進んでまいりますと、委託者の方は、委託したいという方は結構いるわけでございますが、受託者の方に問題が出てまいりました。そういうことで、実は、平成七年度から、直接農協なり農業公社が受託の主体になるというような方式、私どもはコントラクター方式と言っておりますが、直接その請負といいましょうか、受託の主体になる方式を進めないと、今のままの機械銀行ではなかなか進まないということがございますので、平成七年度から私どもとしますとこういう方式を進めまして、直接的に農協農業公社が受託作業を実施する、あるいは農業機械のオペレーターの掘り起こしのための研修を実施する、こういうやり方を進めたいと思っているわけでございます。
  122. 石破茂

    石破委員 今お尋ねをいたしましたのは、これから先農協というのがどうやって競争に勝ち残っていくか、そのためにどのようなことをしていかねばならないかということの一つとしてお尋ねをしてみたわけでございます。  例えば、これから先米を売る場合に、商社とも競争をしていかなければいけないということになりますね、商社とも競争をしていかねばならない。そうすると、その場合に農協にとって有利な条件というのは何だろうか。やはりそれに農協は勝ち残っていかなければいけない。もちろん合併をして大きくするということも大事ですが、商社に対して農協の方のメリットというのはどんなものがありますか。
  123. 東久雄

    東政府委員 米ということではなく全体的に申し上げたいと思いますが、やはり農協というのは、農業を振興するということ、その地域農業の基盤の上に成り立っている団体でございます。これはもう御承知のとおりでございます。したがいまして、農家との結びつき、それから営農指導等、農業活動のバックアップといいますか、推進ということとの絡みで有利な点が、いわゆる農家との結びつきという形での有利な点があるんではないかと思います。  また、もう一つは、米に限らず販売全体につきまして、今までの販売経験というもの、これがやはり大きく物を言っていくのではないかと思います。
  124. 石破茂

    石破委員 資金的にはどうですか。
  125. 東久雄

    東政府委員 農協につきまして、御存じのとおり、信用事業をやっている関係上、相当程度の余裕金というのが農協の中にございます。したがいまして、農協自身が活動するに当たって資金的に不自由をするといいますか、非常に難しい状態になるということは余りないのではないかというふうに思います。
  126. 石破茂

    石破委員 そういうふうに自分の金を使ってやっていけるというところが農協のメリットなんでしょうね。自分の金というか、自分の中に置いてある金、そういうものでやっていかなければいけない。だから、農協というのはこれからやりようによっては十分商社とも対抗していける。  それから、新食糧法案ができたといっても、本当に意欲のある農協というものは消費者のニーズに合わせて十分やっていくことができるんじゃないか。だから、この新食糧法案というのは、ある意味農協意識改革法でもあるのかなという気が私はいたしておるところでございます。  今までは、とにかく経済連にお願いしますという話でやっておったわけですから、いろいろな手数料というのが入っておりましたよね、販売手数料でありますとか、保管料でありますとか、いろいろなものが入っていた。しかし、これがだんだん入ってこなくなりますよね。この点が経営に与える影響はどのようになりますか。
  127. 東久雄

    東政府委員 先生指摘のとおり、新食糧法のもとにおきまして、米というものをめぐって、いわゆる農協とそれから農民の間の結びつきが弱くなる可能性も一部ありますけれども、逆に今度は、御指摘のとおり、販売もできますし加工もできますということで、ビジネスチャンスにもなる点があるわけでございます。そういう面で、やはり農協取り組みというのは新しい展開方向をとっていけるんではないかというふうに考えているところでございます。  もう一つ、手数料の点でございますけれども、確かに手数料収入というのは影響を受ける可能性がございます。ただ、販売事業というものが今のところ農協の採算という面では余り貢献してない点でございまして、やはり全体としての農協活動、それは信用事業であり共済事業であり、いろいろな面で総合的にやっているという点が一つ農協の活動の有利な点でもございます。  手数料の点につきましては、やはりできるだけ流通その他の合理化を図りながら、なおかつ販売努力によってできるだけ有利な形での販売ということを心がけることによって、そこのところの問題がある程度解決できるんではないか。ただ、こういう形でございますから、やはり農協間の競争というのは相当激しくなってくるんではないかというふうに考えております。
  128. 石破茂

    石破委員 これは前に一回お尋ねをしたことがありますが、去年の米価のときだったかに、集荷手数料はだれがどこへ持っていったんだろうねという話があったのですね。その分のお金が出ます。よね、米価のときに。これは農協の方に聞いてみると、さてどこへ行ったのかねと言う人がおりましたが、これはどのように使われてきたんでしょう。
  129. 上野博史

    ○上野政府委員 政府米の集荷に対応いたしまして、その数量に応じて単協に最終的には配付されているというふうに理解をしております。
  130. 石破茂

    石破委員 これは実際に汗を流して集荷をして歩いたのは農協の現場の職員でありますから、今の長官のお答えのように、きちんきちんと農協に行くということがなければならないというふうに思っています。  要は、どうやってコストを下げていくか。今の流通についてもそうです、手数料についてもそうです。とにかくいかにぎりぎりにコストを下げていくかという努力を、別にお米に限らずすべてのものでやっていった農協だけが勝ち残っていくんだということにこれから先はなるだろう、そうであればこそこの合併というものを進めていかなければいけない、こういうストーリーだろうと思いますね。  ただ、もう一つは、今耕作放棄地みたいなものがたくさんありますね。これはだれが面倒見るんだという話になって、いよいよになると農協が見たらいいじゃないか、こういう話がある。これは営農指導とはちょっとジャンルの違う話、カテゴリーの違う話ですが、そういうもうからない部分というものも農協が見ていかなければいけないということがやはりあるだろう。農協組合員、そしてまた役職員、そういう者の使命感としては、やはりそういうところも我々が見ていかなければいけないのかなというような、本当に崇高な使命感を持っている人もたくさんおられるわけです。それに対して、どのような措置というのか、そういうものは考えておられますか。
  131. 東久雄

    東政府委員 先ほどちょっと、新農政の中での農協のこれから担っていこうとする仕事について触れました。それらについても多少の補助金等の用意もあるようでございます。それで、耕作放棄地をできるだけ耕作をする人のところへあっせんというようなこともやっていく面があろうかと思います。農協というのはやはり地域の農家の集団的な活動の中心でございます。したがいまして、そういう任務もいろいろあるわけでございます。  しかし、今のところもいろいろな業務をやっておりまして、それらの収入源につきましてはいろいろな点で有利な取り扱いがされている、農協というものの法的な位置づけ等、有利な取り扱いがされていることは御承知のとおりでございまして、他の分野での収益等で今赤字部分を埋めたりしながら活動をしておるということでございます。合理化を迫られていきますけれども、やはりその中でこういう地域のニーズを酌み取った仕事もやっていくということで努力していかなければいけないところだと思います。
  132. 石破茂

    石破委員 時間が参りましたのでそろそろ終わりますが、要は、やはりこれからの時代というのは自己責任というものをきちんとするということだろうと思います。何でもかんでもみんなで面倒見ましょうという話ではない。それそれがきちんと自己責任を持って、そしてそのために努力をしたものが報われるという方針、これを明らかにしていかないと絶対に新農政の実現は不可能であるというふうに私は思っております。  ですから、この新食糧法案を動かすことによって、農協というのはどのように変わっていくのか、そしてそれぞれの組合員に対して、こういうふうになっていくんですよ、だからこのようにしてくださいねということを自信を持って説明できるというそういうビジョンを描くことが必要だと思っています。だから、本当にもう六年間の間、その後、例外なき関税化になりますかなりませんかとお尋ねしても、これはお返事をいただけないのでどうにもならないし、米価がどうなりますかと聞きましても、これも確たるお返事がいただけない。  それは仕方がないとは思いますけれども、しかし今必要なことというのは、本当にこれから先こうなる、皆さんこうしてくれ、そうすればこういうような将来があるということを、嫌なこと、つらいことも包み隠さずに農政当局として訴えかけていく、そしてそのために与野党一致してやっていくということが一番必要なことではなかろうかというふうに思います。そういう意味で、今回の法案合併のさらなる促進に資することをこいねがいまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  133. 中西績介

    中西委員長 矢上雅義君。
  134. 矢上雅義

    ○矢上委員 新進党を代表しまして質問をさせていただきます矢上雅義でございます。  今回、農業協同組合合併助成法の延長ということで、いろいろ今までの経過を勉強させていただきましたが、大変今までに至るまでに大きな経緯がございます。  昭和二十二年に農協法の成立、また昭和二十六年末には約半数の四割近い農協赤字に転落するなど大変な歴史をたどりながら、農林漁業組合再建整備法、昭和二十六年、また農林漁業組合連合会整備促進法、昭和二十八年、そして高度経済成長の折には農業基本法、また農協合併助成法というように幾つもの曲がり角を越えながら頑張ってきておられます。こういう歴史を後手後手と見るのか、逆に五百万、そして現在では八百万人を超える組合員を抱えた、地域社会そして組織を動かす上で大胆な改革であったと言えるのか、それぞれの立場によって大きく評価は変わるものだと思っております。  そういう中で、今回農業協同組合合併助成法の延長、そして固定化債権買い取りについて新しい施策が加えられたわけでございますが、まず大臣にお聞きしたいことでございます。  今回の合併の目的が、地域農業の振興、そして地域社会の活性化に十分な役割を果たすとともに、多様化、高度化する組合員のニーズにこたえ得る機能の整備を図るというように各種の審議会で述べられております。これからの合併というものは、以前の経営不振の農協を整理するとか固定化債権処理、また金融の自由化に対応するための単なる経営効率化合理化のためだけではなく、今後六年、十年後を見据えた農協法の目的、そして新農政に対応した視点を持っていかなければならないと考えておりますが、それについてまずお考えを大臣からお聞きしたいと思います。
  135. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 農家の自主的な組織でございます農業協同組合、これは先ほども御質問がございましたが、端的に申し上げれば、農業生産に関連する、その他各種事業を通じてその組合員である農家の営農を支援して、そして地域農業なりあるいは農村の振興を図るというのが中心的な役割だと思うわけでございます。  そういう意味では、経営基盤が強化されなければそのような農協の役割は果たせないということで、その合併促進ということが打ち出されておるわけでございまして、何度も申し上げますけれども、昨年九月の全国農協大会においてもその点が強く打ち出され、農業農村の活性化とか、組合員同士あるいは消費者との連携を強化して地域おこしをやるとか等々を打ち出しておるわけでございまして、新しいと申しますか、逆に厳しい環境のもとにおける農業農村情勢の中における農協の新しい役割ということになると思うわけでございます。
  136. 矢上雅義

    ○矢上委員 ところで、新農政が対象としております若手、担い手、また大規模専業農家、よくちまたで言われることが、若者やその大規模専業農家の農協離れが起きておる。ただそれは、統計で出ておるとかそういうことはよく私も存じ上げておりませんが、なぜこのような現象が起きるのか、そういう現実について農水省の方ではどのように把握されておられるか。また、それに対する対策をどうお考えになっておられるか、ぜひお聞かせください。
  137. 東久雄

    東政府委員 先生指摘のとおり一部の、一般的に大規模な専業農家ですとか、若者といいます。か後継者等が農協離れの傾向があるということがよく言われます。これはやはり、その方々のニーズを農協側が十分酌み取っていないのではないかということがポイントだと思います。  それで、全体の数字を見ますと、今の農家の農協利用率というのをちょっと見てみますと、近年は大体ほぼ横ばいなのでございます。ただ販売の面で、米麦を除きますとやや減少ぎみでございます。米麦自身もこの秋からはちょっと形が変わってくるわけでございますし、それらの影響も出てくるだろうと思います。  こういう農協離れと言っていいのかどうか、問題は、先ほど申し上げましたとおり、ニーズの的確な把握ということが必要でございまして、それぞれいろいろなところで、農協事業にこういうことをやっていってそういう農家の意向を酌み取っていくんだと言っております点を申し上げますと、販売事業の面につきましては、ブランド化の推進とか、それから流通の効率化というようなことを言っております。それから、購買事業の点につきましては、大口取引者に対する弾力的な対応、それから物流の合理化という方向をとっていくんだ。それから、信用、共済事業についてはいろいろな形での信用、共済事業のニーズがございますので、それに適合したような、これ、商品という言い方をしますが、商品の開発、サービスということをやっていかなければならぬということを農協の全体としても意識を十分持っておりまして、これらに対する対応をとることによってこういう方々の、これからの農業をしょっていかれる方々のニーズに対応していくということになるのだというふうに考えております。
  138. 矢上雅義

    ○矢上委員 確かに、ただいまの御説明のとおり、ニーズの的確な把握のためにも、きめ細かなサービスをするための人員農協職員の方が必要になってくるでしょうし、また、そういう人員を効率よく雇用していくためにも、これからの大規模合併が望まれることだと理解しております。ぜひ、その面での拡充を望みたい、と思います。  またもう一つ、若者についてでございますが、農業協同組合というものが共同の理念を持って地域に密着することが必要でございますが、しかし、密着し過ぎて統制的な部分が出る、それに対する若者の反発というものも現実には存在しております。今地方では若い人が少ないですから、すべて農業をやっておると農協責任のある立場につくことになります。そこでなかなか意見が言えずにしゃんしゃん大会で終わって後から後悔するということが多いものですから、これからまた大規模化の場合の組合組合員の距離感、その中で若手の人たちが意見を発言できるような場をぜひ設けていただきたいと願います。  次に、質問の二に移ります。  農協のこれからの理念というものについて先ほど質問いたしましたが、現実は、農村地域での混住化が進む、その中で農協のあり方がこれからどうなっていくのか。理想としては、これが農協だという一つの視点でとらえたいということは私も願っておりますが、そうはいかない現状にもあります。サラリーマン、兼業農家、専業農家が混住する町もあれば、専業農家が多いという地区もございます。また、完全に都市化してしまったような町もあります。同じ農協という看板がついていても、銀行のようなところ、保険会社のようなところ、スーパーのようなところ、また逆に、専門農協に引けをとらないような農協もございます。千差万別の中で、地域社会に密着した総合農協が生き残るためには、当然の結果であったと推測できます。そしてまた、今後もこのような形で進んでいくであろうことは当然予測できることでございます。  このように、都市的農村、そして純農村とに分化しつつある中で広域合併をやるとすれば、結果として、性格の異なる農協同士が合併することになってしまいます。そこで、果たして合併後のそういう組合事業運営や組合員相互の結びつきがうまくいくのか、農水省としてはいかがお考えでしょうか。
  139. 東久雄

    東政府委員 お言葉でございますが、純農村農協というのは、純農村というのをどういうふうに定義するかにもよりますけれども、やはり混住化ということの方の進展が激しいと思います。そういう意味農協自身が、もちろん農業者の団体といった性格とともに最近では地域共同体としての性格も持ってきておる。特に、信用事業ではそういうふうな位置づけにもなってきております。  そういう意味で、そういう混住化する農村というものの中で、ニーズは非常に多様化しております。また、これはいろいろな地域広域でございますからいろいろなニーズがそれこそ大小いろいろあるわけでございますが、やはり合併を進めていくときにおいて、やはりその辺を頭に置いた形で自主的な合併計画というものがつくられていくというふうに考えるわけでございますが、いずれにしましても、大変多様化しているニーズというものに対応していくという形で農協の現在の状況に対する対応になっておるわけでございまして、そういう意味で、そういうふうな形で広域化していった場合に、ニーズが多様化すればするほど、またその不満が逆のところから出てくる可能性もある。  そこで、組合組合員との関係組合員同士の関係というものを非常に大事にしなければならぬわけでございまして、そういうために、やはり日常活動に対応したような諸機能の充実でございますとか、先ほどちょっとお話がございました、青年部会とか婦人部会というようなものを設けて、そういう形での意見の聴取とか、できるだけ多角化した形での意見を聴取してみずからの対応を考えていかなければならないというふうに考えております。
  140. 矢上雅義

    ○矢上委員 確かに、地域社会の混住化が進みますと、農業者だけではございませんから、その中で、そういう地域社会で存立基盤を持っている農協にとりましては、加入者をふやすという使命がございます。農協が加入者をふやせばふやすほど、努力すればするほど、多種多様な人を巻き込み、またその結果、自由化の波、そして他産業との競合というものが避けられなくなってくると思います。そういう中で、農業者間だけでの共同化というものには、当然一定の限界があると思います。  ただ、いろいろな業界との競合により、農協にも農業者にも、企業家精神というのですか、自助努力の精神というものが生まれてくるのではないかと思っております。農協と農民の結びつきが弱くなるという表現はおかしいかもしれませんが、少し距離が離れてくるとしたならば、そのかわりに他産業従事者との結びつきを強くする努力農協が積極的に行い、その中でビジネスチャンスを増加させる、所得を増加させる方法というか、方向性がこれから見えてくると思いますが、どうお考えでしょうか。
  141. 東久雄

    東政府委員 先ほど申し上げましたとおり、農協というのは、地域の共同体としての性格も持ち合わせておりまして、そういう意味で准組合員という制度を設けております。そこの組合員も相当の数に上ってきておるわけでございまして、それらの方々のニーズ、もちろん農協というのは農業者の、農業を基盤にした協同組合ではございます。けれども、そういうような、准組合員のニーズというようなものも含めた形で対応しなければならぬ。  さらに、もうちょっと申し上げますと、その准組合員以外の非組合員に対するサービスということもあり得ます。これは、例えば高齢者対策でございますとか、それから病院の運営というのをやっている厚生農協がございます。そういうものなど、これはもう員外利用を一〇〇%認めるというような形での対応をしたりしてやっていっておるわけでございまして、そういう面での活動というのも十分視野に入れてやっていかなければならぬことだと思います。
  142. 矢上雅義

    ○矢上委員 今御説明にありましたように、准組合員のニーズ、非組合員の福祉等のサービス等ございますが、そういういろいろな活動の中で農協自体が各層、各界にチャンネルをふやしていくわけでございますから、中山間地域におきまして、今農産物を競り市に出しても安値安定だと言われますが、いろいろなチャンネルをつくられて、農協が農家と、准組合員、また非組合員の方々との橋渡しをすることによってその売り上げを伸ばす。とか、産業振興にぜひお役に立てるように御指導いただければと考えております。  次の質問に移らせていただきます。  よく言われますが、金融自由化の進展、これなどにより農協経営が厳しくなり、これに対応するためには、一般的に、スケールメリットを追求した大規模合併が望ましいと言われております。こういう考え方は、当然、事業効率化合理化意味してまいりますが、そのような合理化を進めていく中で、収益部門ではない営農指導の分野の充実をどのように位置づけて指導していくつもりか、ぜひ御意見をお聞かせください。
  143. 東久雄

    東政府委員 営農指導につきましては、おっしゃるとおり、その性格上、収益をそのまま生ずるものではございません。ただ、販売事業だとか購買事業と相当関連した形で行われることも事実でございますが、必ずしもその収益性というところに注目した形での活動ではございません。  しかし、先ほど来大臣からもお答えしましたとおり、営農指導事業というのは農協の基幹的な事業であるというふうに考えておりまして、そのためには各種の、例えば営農指導員の質の向上、これはやはり専門化したり大規模経営者であったりする方々にも対応できるような質の向上でございますとか、営農指導というのは普及事業が片やございます、それとの連携をとっていくこと、それから、やはりそういうために、先ほど千葉先生から御指摘がございましたように、これに対する予算措置をどうするかというような問題がございます。  そういうことで、適切にこういう点をやっていくようにということを指導しておるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、その経費につきましては、毎事業年度の剰余金の二十分の一以上を翌年度の営農指導の費用として確保するということが農協法上義務づけられているくらい重要な事業でございますので、そういうことがおろそかにならないように十分指導をしてまいりたい、合併促進に当たってはその点は気をつけていかなければならぬというふうに考えております。
  144. 矢上雅義

    ○矢上委員 剰余金の二十分の一ですか、それを営農指導の方に振り分けるということでございますね。確かに、今小さい農協では、一人とか二人の人数で巡回指導、また本所で営農計画を作成するとか、また営農センター等での業務、幾つも本当はやるべきことがあるわけでございますが、多種多様な業務を一人二人でやっておる状況ではなかなか、農家の不満が高まるばかりでございますのできれば、合併に伴いまして、今おっしゃったように重点的に営農指導に助成していただく、またそのような形になるように指導をしていただく、それが大事ではないかと思っております。   特に、幾ら混住化が進んだとはいえ、大規模企業が誘致できるという条件にどこでもがあるわけではございません。なかなか今企業誘致も難しいですから、やはり農林水産業、そういうものが地域社会の基幹産業であることには間違いありません。その中で、合併後の農協におきましても、営農指導というものに力点を置きまして、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  ところで、次の質問に移らせていただきますが、単位農協合併等を超えた話でございますが、組織事業の二段階制への移行が、先ほどから質問でも取り上げられております。それに対する取り組みの意義と現状についてお聞かせ願いたいということでございます。また特に、現在県連単位で有しておられる人材、また資産の帰属は今後どうなっていくのか、これは今後の事業を円滑に運営していくためにも、また雇用問題を含めましても大事な問題でございますので、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
  145. 東久雄

    東政府委員 まず、組織事業の二段階組織事業と両方二段階制に持っていくということでございます。  その第一段は、まず事業の二段階をやって、もちろんそれは並行しながらになろうと思います。が、組織の二段階という形になろうと思います。この目的は、昨年のJA農協全国大会でも明確にされておりまして、農協系統事業運営の合理化効率化を図るということを目的にして、西暦二〇〇〇年までにこの二段階制というところへ向けて努力をしていくということになっております。現在、その二段階のやり方については各県でその方策を検討する、これは各県の県連がございますので、それをどう持っていくかということが中心の課題になりますので、各県で議論がされておりまして、その実行方策が一応四十四の都道府県ででき上がっております。あと三都道府県がちょっとまだ検討中でございます。  そういうことをやりながら、やはりまず事業の二段という形で今やっておりますのは、購買事業、これは肥料の購買事業でございますが、これは直接全農から取引を行うというシステムを一部の県の農協で開始をいたしました。また、これがちょっと広がりつつあるところでございます。  それから、もう一つ信用事業事業二段でございまして、これにつきましては、ある県でもう既に今年度から一部の農協の一部の預金について農林中金直接利用が始まっております。これについてもまた他の県へ波及していく情勢でございます。  それから、もう一つ共済事業でございます。この共済事業につきましては、県の段階で一部いわゆる払い戻しをする部分でございますが、積み立て責任という部分、これを県の段階で、県の共済連が持っておりますが、それを徐々に全共連、全国団体へ移していこうということで、七年度中に三〇%までそれを移していきます。そういう形で事業の二段ということが緒についておるというのが現状でございます。  さらに、先生質問の、資産、要員の取り扱いでございますが、それぞれの県の計画を見ますところ、県内の施設につきましては、できるだけ広域合併農協で活用するということを基本にしながら、やはり広い形での利用施設については統合連合組織へ持っていくという形で、二つに分けるという方式をとっているのが一般的でございます。それから要員につきましては、結局、統合連合組織に継承される業務、機能にかかわる職員は統合連合組織へ持っていきたいという形になっておりまして、そこのところは今のところ定員不補充その他で合理化を進めながらやっていくということになるのだろうと思います。今のところ大体各県の計画が概してそういう形ででき上がっておるわけでございます。  そういう計画につきまして、まず農林省としてもできるだけ適切な指導、支援をしてまいるという方向をとっておるところでございまして、今のところ、組織の二段というところまではまだちょっと至らないので、しばらくその点については検討させてくれというのが今農協側の言い分でございまして、事業をまずできるだけ広げていく。それともう一つは、合併農協の基盤をきちっとしておかないと、県段階を抜くという形で突然やりましても大変なことになりますので、それの進む進路ということも大事でございまして、それの支援体制というのが今回お願いしている合併助成の法律でございます。よろしくお願いします。
  146. 矢上雅義

    ○矢上委員 もう一度確認のためにお聞きしたいんですけれども、事業の二段階制は着手しつつあるが組織についてはこれからの課題であると。となりますと、特に人員の配置をどこに置くかというのは、大変労働者側も使用者側もきつい問題でございますが、じゃ、まだそのようなことに対して、前提として、相談とか聞き取り調査とかはやっておる段階ではないということでございますか。
  147. 東久雄

    東政府委員 この点につきましては、全国団体とそれぞれ県の団体と、これは全国団体の場合、全国農協中央会が中心になって検討を進めておるわけでございますが、この要員の問題にまでまだ深く入った検討はなされていない。それから、これをやはり事業の二段へ持っていって、それがどういうふうな形で、これも一挙に二段になれないだろうという形で、徐々に、順次整ったところからということになるんだろうと思いますけれども、まだ整ったところも出てきていない。したがって、一遍にわっと、全部と話し合うというんではなくて、統合をしていく団体同士の間でその要員をどう処理処理と言ったらおかしいですが、配置するかという検討がなされることになると思いますが、まだ具体的なそういう話し合いに入っているところはございません。
  148. 矢上雅義

    ○矢上委員 今の御説明でよくわかりました。  それで、次の質問に移らせていただきますが、専門農協合併という問題について、以下お尋ねしたいと思います。  前回の改正におきまして、専門農協合併の対象に加わりましたが、総合農協と専門農協のそれぞれの合併の基準には何らかの相違があるのか。つまり、総合農協であれば経済、生活圏が同一であるとか、専門農協であればブランド確立に優位であるとか、市場までの距離や交通の便がよいとか、そういう基準といいますか、平成四年の四月の審議の際の附帯決議にも配慮するように書かれておりますので、そういう基準がありましたら、抽象的にでも結構でございますから、わかりやす。く御説明をお願いいたします。
  149. 東久雄

    東政府委員 専門農協合併につきましては、前のこの合併助成法の延長の御審議の際に入れていただいた経緯がございます。これは現在のところ、畜産並びに酪農協に限定されておりまして、これは、花、野菜についてはやはり自己ブランドを確立している関係上、むしろ、お互いが合併するというのはなかなか希望がないようでございまして、これはニーズが出てきましたところで我々も検討をすることになります。現在のところ、そういう意味で、畜産、酪農協とそれから総合農協合併推進の認定要件の差というところでお答えさせていただきたいと思います。  まず総合農協でございますが、一つは、合併後、合併をし終わりました段階での区域が市町村の区域以上であることが一つ、それからもう一つは、合併しまして正組合員の戸数、これが千戸以上であること、このどちらかに該当するというときが一つでございます。  それからもう一つ、専門農協間の合併は、これはそれぞれの専門の方が広い地域に分散しておるという性格がございます。特に畜産と酪農の場合はそういう形でございますので、まずその一つの条件が、合併後の組合の地区が郡市区域以上ということ、それから正組合員戸数が百戸以上であるか、または払い込み済みの出資金額が五千万円以上となる合併合併した後でそうなるということでございます。かつ、これは複数条件でございます合併後の年間の販売取扱高が十億円以上になるということを要件といたしております。これは、先ほども申し上げましたとおり、総合農協の場合は一定地区内のほとんどの農家を対象として、広い総合的な事業を行うということでございます。が、畜産、酪農の場合は、大規模化した畜産、酪農の専門農家を広い範囲でやっていき、しかも農産物の販売が中心であるという特性があるから、こういう基準を設けております。  なお、先ほど申し上げましたが、これは酪農と畜産の農協に対する基準でございまして、他のものにどうするかということは、これをそのまま適用する云々ということは、これは、むしろそちらの方へ合併助成を広げていくかどうかのときに検討しなければならぬことだと思っております。
  150. 矢上雅義

    ○矢上委員 今の総合農協、専門農協合併の基準、わかりやすく説明していただきましたが、専門農協の、特に畜産関係ですが、具体的な事例についてちょっとお話ししたいと思います。  地元の畜産農協合併を例にとりますと、熊本県内の複数の畜産協同組合を県レベルで一つに統合しようという話がございます。確かに人員、施設の合理化も進み、さらには固定化債権処理も可能になる、その結果経営再建に役立つ、そういうメリットもあります。また、一般論としましても、一定水準の数量、品質が確保できますので、価格交渉力も向上していくということも私自身納得しております。そういう意味のある中で、熊本県におきましても、今は畜産協同組合合併が議論されております。  ただ、意味はわかるのですけれども、私どもが地元に帰りますと、一つには施設統廃合の問題がございます。当然、人員の整理統合により施設が統廃合される。競り市場が県内に幾つかあるのを一つに統合する。そうしますと、高齢者の方とか少ない家族労働でやっておられる方々が、今までは仕事の合間に近くの市場まで牛を軽トラックに積んで運んでいった、そういうぐあいにやっていたものが、競り市場が一つになりますと、大型トラックを使って遠くの市場まで運ばなければならないという現状が出てきます。年配の農家の方は、近所の若い人に日当、燃料代、高速代金を払ってお願いするか、専門の運送業者に手数料を払って委託するしかありません。ただでさえ牛の値段が下がっているのに、手数料がさらにかさむことに、なるので大変ではないかという声も聞かれます。  また、ほかの理由として、朝早く、朝の暗いうちからいろいろ手間かけて、牛をトラックに積んで市場まで運ぶのに何時間もかかります。そうすると、寒い中を冬場なんか高速道路を走っていきますと、牛にとっても大変負担が重うございますから、牛の体重の減少とか体調の悪化が見られるのではないか。そういう中で、市場から遠い産地は不利になるのではないかという現場の意見もございます。  こういう意見がございますが、こういう問題点、小さい問題かもしれませんが、現場では起きております。どのようにお考えでしょうか。
  151. 東久雄

    東政府委員 畜産の専門農協の場合、先生指摘のとおり、特に九州南部におきましては家畜市場という施設を持っている場合が多うございまして、なかなかその統合というのは難しい問題がございます。それらにつきましては、やはり個々の農協組合員の意向を十分酌み取って、どう対応するかというのを考えながらやっていかなければいけないことだろうと思います。  ただ、先生承知のとおり、家畜市場につきましては、やはり買う人がどれだけ集まってくれるかというのが非常に重要な、私ちょっと前任のことで、自分の経験で申し上げます。どれだけ集まってくれるかというのが値段の設定を左右する大変な要素でございます。そういう意味で、やはり大型化していかないと、最近は買い取る方の人数が大分減ってきております。  これはちょっと横へそれますが、例えば九州の島嶼、島の部分、行きたがらないというような問題が生じた県もございまして、こういう買う方に来ていただくということ、そこで有利な価格形成ができるという面があるわけでございまして、さらに手数料も引き下げられるということがあるようでございまして、それらの問題と、やはり多少の不便さをどういうふうにカバーするかということが問題なんだろうと思います。  熊本の件で私が聞いておりますのは、手数料がちょっと引き下げられるということを聞いておりますのと、それから畜連でございましょうか、やはり希望に応じての、畜産協同組合の方で輸送の手配をしながらそういう不便に対応していくんだ、こういう形でやっていかないとなかなか、きちっとしたいい値段でと言うと語弊がございます。が、適正な価格形成というものが難しくなるという状況であるようでございまして、そういうものを踏まえての合併計画というふうに私の方は聞いております。こういう形での合併ということも、やはり皆さんの話し合いの中から計画がつくられるべきだと考えますが、一応この件につきましては、そういう話し合いであるというふうに聞き及んでおる次第でございます。
  152. 矢上雅義

    ○矢上委員 確かに、買う方が来ていただけなければ市が成立しませんので、なるほどなと納得はいたしますが、ただ、特に九州は中山間地域と申しますか、中というよりも山間地域でございます。その中で高齢者の方々が、狭い農地で付加価値の高いものをつくっていこうとすると、どうしても畜産とか酪農というものは手放せない産業の一つでございます。そしてまた、なるたけブランド確立といいますか、小さいながらも各地に幾つかのブランドがあるという、競争というのですか、そういう問題も含めて考えた場合に、人員整理の問題とか買い手の問題とか、合併の意義は現場の農家の方々も確かに理解されておられますが、今後合併に当たりましても、そういう地元の特徴といいますか、中山間地域の特徴、特に高齢者が多い、狭い農地で頑張っておる、そういうつらい立場も御理解いただきながら、今回私の地元がこれに当てはまるかどうかわかりませんが、畜協同士の合併でも地域のつながりを何らかの意味でしんしゃくできないか。また、経済生活圏を共通にする畜協と広域総合農協との合併が可能性があるか。私の地域に当てはめなくても結構でございますから、全国各地、そういう厳しい状況のところもあろうと思います。それについて、いろいろ御検討をこれからも重ねていただきたいと思います。御意見をぜひお願いします。
  153. 東久雄

    東政府委員 それぞれの農協事情というものの中で合併が進められていくわけでございます。が、平成七年度の予算において約五億円ほどで、各県においてこういう合併推進のための事業といいますか、相談会その他いろいろな形での事業をやっていただきます。その中で、そういう意見の調整ということをやっていただく必要があろうかと思います。それで、やはり十分な議論の末に合意できる方向での合併促進ということが必要だと思います。  なお、もちろん、先ほどの畜産農協同士の合併もできますが、畜産農協と総合農協合併というのも、ある総合農協が畜産の取り扱いをしておればそれは可能だと思いますので、それら具体的な例に当たって、やはり県の中での話し合いということを中心にした計画作成ということで私どもも十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  154. 矢上雅義

    ○矢上委員 もう一つだけ、この問題についてちょっと追加させていただきたいのですけれども、合併のメリットといいますのは、信用事業とか共済事業、いろいろな事業があって、それぞれ赤字の部門もあれば黒字の部門もある。また、総合農協におきましても、黒字に近い、黒字の農協もあれば赤字が大きいところもあります。そういう黒字と赤字を組み合わせるような形での合併であれば将来展望というものは非常に明るくなるのではないかと思いますが、今自由化の中で畜産とか酪農に関する協同組合経営状況を考えると、地元の畜産農業協同組合の累積の赤字のものを見せてもらったのですけれども、全部赤字なんですよ。そして赤字のものを幾つ集めても黒字にならないものですから、そういう形での専門農協合併に今後の展望があるのか、この点についてお聞かせ願えればと思います。
  155. 東久雄

    東政府委員 やはり合併ということの中で、管理費の節減等できるだけ合理化をしていって健全化していくということになると思います。  なお、損金につきましては、合併した場合に、合併後の農協で五年間にわたっていわゆる損金としての算入がしていけるわけでございまして、累積赤字というものについてもそういうふうな措置がとれますが、しかし、さはさりながら、合併してできた農協が黒でないと、そこはまた赤を重ねていくという形になります。その辺の合理化、それはやはり個々の具体的な農協合併計画の中でどういうふうに持っていくのが一番いいかということを十分御相談していただく。また、これについて県の方からも御意見を申し上げるという形で進めていく必要があるのだろうというふうに思います。
  156. 矢上雅義

    ○矢上委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。  次に、今も出ましたけれども、固定化債権買い取りについてでございます。  今回の改正で、都道府県の推進法人の業務に固定化債権の取得、管理及び回収を行う業務を付与することにして今後の合併の促進を期待するとされておりますが、基本的なことで申しわけございませんが、確認のためにお聞きしたいのですけれども、固定化債権買い取りに関しまして、評価の信頼性を高めるために価格判定委員会がつくられることになっておりますが、現実にはどのような構成でどのように具体的に機能していくのか、簡単に御説明いただければと思います。
  157. 東久雄

    東政府委員 価格判定委員会でございますが、これはもちろん推進法人の中に設けられます。買い取り債権の価格決定は公正かつ適正な価格決定を行う必要がございますので、第三者的な学識経験者で構成されるということを考えております。  この学識経験者としては、不動産鑑定士協会、これは都道府県の団体のそれぞれでございます。が、それから税理士会、弁護士会というようなところの役員の方を中心にお願いして、非常に第三者的な形で評価をしていただく。しかも専門的な立場で評価をしていただくという形を考えておりまして、そちらの方へ指導をするというつもりでございます。
  158. 矢上雅義

    ○矢上委員 それでは、そういうメンバーの方々で委員会をつくられて、年に何回か開催月というのですか、開催日を決めて、その中でやられるのでしょうか、それとも随時やられるような御計画でしょうか。
  159. 東久雄

    東政府委員 これは、買い取り物件というものが明確になった段階で開催されるということになりますが、もちろんそういう物件がない段階でも意見交換というような会合は開かれると思います。けれども、原則として随時といいますか、必要に応じて開かれるというふうに考えております。
  160. 矢上雅義

    ○矢上委員 今の御説明で大体わかりましたので、次の質問に移らせていただきます。  次に、このシステムの中で一番大事なというか煩雑な固定化債権の回収手続、処理事務等、その実務的機関はどこになるのか。また、回収額と買い取り価格に差が生じたときの処理等についてお答えください。
  161. 東久雄

    東政府委員 まず、買い取り債権の回収という業務、ここは大変煩雑になると思います。  それはいろいろなケースが考えられます。一つは、債務者が弁済をして回収ができるということ。これは一番スムーズになります。それから、保証人等代位弁済が行われる場合もございます。それから、これが多いのではないかと思いますが、担保物件の任意売却ないしは極端な場合は競売という形での回収ということになると思います。それからさらに、代物弁済ということもあろうかと思います。どちらかというと、この三の担保物件の任意ないしは競売処分ということが中心になるのではないかと思います。特に地方の場合には、できる限り任意売却が望ましいわけでございます。  大体固定化債権というのは、要するに滞る、元本も支払われない、それから金利も支払われないという状態になって一年以上たっているということでございますので、法的な手続はそこから大体入れるわけでございます。しかし、実際の回収事務は、今申し上げましたとおり農村地域でございますので、債務者だとか保証人、それから担保物件等についての状況について一番熟知しているのが持ち込んだ農協ないしはまた合併された後の農協ということになります。したがいまして、その持ち込んだ農協に委託して、できるだけこれをうまく販売していただく。競売のときはもちろん措置はできますけれども、委託してやっていただくということが中心になろうかと思います。  それから最後に、損金、差額が出るのではないかということでございますが、最終処分いたしましたときの損益というものにつきましては、公正な価格を算出いたしますし、できるだけ流動可能なものということで対象といたしますし、保有期間もできるだけ短くという形になりますので、基本的には余り発生しないのではないかと思われます。  しかし、どうしても発生するということになりました場合には、先ほど石破先生質問のところで御指摘がございました共国債権買取機構というのが今ございます。これは一般の銀行のものを買い取るという東京にある機構でございます。これと同様に、まず相応の範囲内でしたら多少の利子だとか事務費というようなものは推進法人の事務費の中で処理できる部分があると思いますけれども、相当もくろみが違うという状態になったときには、やはり持ち込んだ農協とあらかじめ契約しておいて、そのときの負担関係を明確にしておく必要があるのではないかと思います。そういう形での解決が可能ではないかというふうに考えております。
  162. 矢上雅義

    ○矢上委員 今の説明で大体わかりましたが、最後におっしゃった本当に回収できない状態が続いた場合、確かにこれは一番大事な問題でございますので、負担率をお互いどうやっていくか、これからもさらに検討していただきたいと思います。  次に、これに関連しまして、根本的なことでございますが、固定化債権の発生原因として、当然農協から農家への融資をする場合に審査基準がどうであったか、過去の問題、そして今後の問題についてでございます。  以前であれば土地という確実な担保を持つか否かが重要な客観的基準でありましたが、現在では担保物件である土地の値下がりとか、また連帯保証人になかなか親戚もなってくれない、そういう状況にございます。信用保証協会のほかにまた連帯保証人等必要でございますので、なかなか昔のように金を借りようとしても土地が担保になりにくい、連帯保証人がなかなかなり手がいないということで、融資審査の基準も変わらざるを得なくなってくると思います。  そこで、従来のような担保一辺倒主義ではなく、農業者の経営能力に着目して今後融資できるのかという問題が生じできます。これは言うのは簡単でございますが、情実融資につながったりとか、どこまで本当にその人が原則として返してくれるのか、なかなかつかみにくいところでもございます。ただ、今後、新農政におきましても新規参入者を含め今後の担い手の確保育成という点を考えれば、農業者の持つ意欲とか経営能力に重点を持っていくという方向に移行していかざるを得ないと考えております。  そこで、担保重点主義から経営能力審査に重点を置いていくようになった場合に、当然債務者が経営不振に陥ることもございます。そうした場合に、その債権をどのように回収するのか、そういう事後の問題と、あと事前の問題として、どのように経営能力を見ていくか、意欲を見ていくか、そのような対策についてぜひお聞かせください。
  163. 東久雄

    東政府委員 まず一つ、意欲的な、非常に地域の中核、中心になって農業を展開していく農業者というのは、御承知のとおり認定農業者の制度ができております。今年度中に約一万の認定農家が出てくるようでございますが、その一万というのは一応計画でございますので今どれぐらいになっているのか私もちょっと承知しておりませんが、そういう認定農業者に対する融資というのが、いわゆる農林漁業金融公庫の資金を中心にした制度資金というものが、非常な低利の制度資金を昨年の七月につくっていただいておるところでございまして、こういう形でのいわゆる公庫資金というものを活用するということがこういう非常に意欲的な方にはあるのではないか。しかもこれは、融資条件等も非常に緩和といいますか有利な形になっております。それから限度額も相当設けておるという形でございます。  そのほか、農協の資金というものは、やはり農協というのは金融機関としての立場がございます。まず最初、もちろん御指摘のとおり、農家の営農設計というようなものに基づいて、農家の能力とこの営農設計がちゃんとやれるかどうかということを審査するというのがまず第一義だと思います。その上で、さて担保等についてどうするかという問題になってくるのだと思いますけれども、担保に重点を置くのか、それとも経営能力審査を優先させるのか、これはやはり金融機関としての農協の自己責任という問題が出てまいりますので、なかなか難しい問題でございます。ケース・バイ・ケースだろうと思いますけれども、信用力というものは、長年その地域農業をやってこられておって、その地域の中での中核的な農業者であるということが一つ大きな要素になるのだろうと思うわけでございます。  いずれにしましても、両々相まって、ケース・バイ・ケースでやっていかざるを得ない。農協の金融機関としての性格上それはやむを得ない点だと思います。  そこでもう一つ、農家がそこで経営不振に陥ったらどうするのかというお話でございますが、第一義的には、農家と農協との間で営農再建の取り組みをやるのが通常でございます。できるだけこの農家を何とか営農上立ち直らせようという形で、指導ないしは追加融資というようなこともあり得ると思うのですが、そういう取り組みが行われます。どうしても不可能という状態になったときには、保証機関の代位弁済とか担保権の実行というようなことで回収にかからざるを得ないわけでございますが、これはやはり、そこで回収不能というものにつきましては農協みずから償却するというのが今の金融機関としての農協一つの責務でございますので、その点、金融というところではある程度限界がある。  ただ、先ほど申し上げましたように、公庫資金というものについては、その辺は割合柔軟な対応が公庫の方でなされているというふうに考えております。
  164. 矢上雅義

    ○矢上委員 先日の日本農業新聞でも、ことしに入って認定農業者が急増しておる。またそれは、地元の市町村、農協あたりの適切な営農指導のおかげでこういう計画がどんどん出てきているのではないかと思っております。また、民間の銀行におきましても、不良債権償却のための自己資本比率を高めるとか鋭意努力されておられますので、ぜひ今の御説明のようにうまくいくような方向で御指導いただければとお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  165. 中西績介

    中西委員長 藤田スミ君。
  166. 藤田スミ

    ○藤田委員 今回の法案では、合併時の障害になっている農協不良債権買い取り機構で処理することを法案の目玉にしているわけですが、不良債権といえば、何といっても日本の金融システムを大きく揺るがしかねず、場合によっては全国の信連、農協も吹き飛ばしかねない住宅金融専門会社、通称住専、この住専の問題を避けて通れないわけです。  この問題に対して、まず大臣はどのような御認識、私は危機感と申し上げたいわけですが、それと責任をお持ちなのか、明らかにしてください。
  167. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 住専問題についての御指摘でございますけれども、御案内のとおり、住専については、系統農協組織の方から相当な貸付残高があるわけでございます。これについてはもう委員十分御案内のとおり、平成五年の二月から七月にかけて、住専七社については母体行を中心として経営再建計画がつくられまして、利子減免等を内答とする経営再建計画がつくられ、母体有を中心とした努力が今日行われておるところでございます。  したがって、私どもとしては、住専問題そのものは金融機関同士の問題でございますけれども、農協系統信用事業の安定にとって非常に大事な問題でございますので、監督官庁でございます大蔵省と連絡をとりながらその推移を見守っておるところでございます。
  168. 藤田スミ

    ○藤田委員 住専は、九二年春の時点で十四兆の借入金を抱え、昨年九月の段階不良債権が少なくとも六兆二百二十五億円に及び、その不良債権額は一年間に八千億円も増加しているわけであります。その再建計画は、九三年春に、今大臣もおっしゃったように確かにつくられておりますが、早くも行き詰まろうとしていることは周知の事実になっているところです。  第二地銀を母体とする総合住金は、九五年三月末に返済期限が来る農林系金融機関からの借入金元本六百六億円の返済が、不良債権の回収が進まないためできないとして、三百九十六億円の返済繰り延べを求めようとしています。この返済繰り延べができなければ、総合住金は資金繰りができなくなって不渡りを出しかねない事態になっていると伝えられていますが、農林系金融機関は四百億円近い資金が回収できなくなるわけで、経営を直撃されることになります。これに対して大臣はどういうふうに対応されるおつもりですか。
  169. 東久雄

    東政府委員 まず先生不良債権というのは、ちょっと私の方の税法上の定義で、六カ月以上の延滞利息ないしは貸付先破綻というのが不良債権でございまして、住専につきましては、不良債権ということにはなっていないし、再建計画の中で、ある利息の軽減措置をとっている債権でございます。  そこで、今お話しのございました総合住金からの問題でございます。  これは、総合住金は、今年度末に約六百六億円色計画として各県の信濃連、それと各県の共済連、これらを優先返済するという形になっておりましたので、それらに対する返済を、県のそれぞれの団体に申し入れをしておるという状態でございまして、それは農協全部が済んだかどうかはちょっと私は確認しておりませんが、先週の段階ではまだ幾つか残っておりました。  そういうことで、今申し入れをしている。それを農協系統の中で現在検討しておりまして、具体的な取り扱いについてはこれから話し合いが行われるというふうに考えております。  実は、それは現行の再建計画の枠組みを維持しながらやっていくのだということで、極力早く返しますということなのですが、手元流動性のショートを来しておるというがないわけではないのでございますけれども、やはり手元流動性がきつくなるということで、これからの事業活動が難しくなるということでそういう申し入れがあったということを聞いておるところでございます。
  170. 藤田スミ

    ○藤田委員 その認識は大変甘いと思います。  総合住金だけじゃないのです。信託七行を母体とする住総も、今期の最終赤字計画の三倍近くになると見られています。この住総の信連への借入残高は、九四年九月末で四千五百億円をはるかに超えています。これらの住専が不渡りを出さないという保証はどこにもありません。九四年九月末で、住専七社に対する農協系統金融機関の融資額は、五兆五千億円を超えて住専の総借入残高の四二%にも達しているわけです。このうち信連の融資額は三兆四千億円。住専の再建計画が破綻す。れば、信連の経営を脅かし、信連に貯蓄の七割を預ける農協を直撃することになります。そうすれば、一番のしわ寄せは、農協の零細な預金者である農家に行くことは明らかなのです。  どうしてこんなことになったのか、また預金者の保護のためにどういう手だてをとるおつもりなのか、もう一度聞かせてください。
  171. 東久雄

    東政府委員 信連の総預金残高は五十兆円あるわけでございます。そして、先ほど御指摘のとおり、その中で三・四兆円が住専七社全体の貸し付けとなっております。  それで、今回収をしておるわけでございまして、その再建計画基づいてやられておるものでございます。確かに金利の減免は行っておりますが、順調に、大蔵省の銀行局長の言によると多少の下ぶれ、下ぶれという表現があるのだそうですが、ちょっとおくれている部分があるけれども、しかし他の分野について、今この再建計画がどうのこうの一というようなお話は一切伺っておりません。農協系統としても、それは母体行の指導のもとにしっかりやられていくものと期待しておる次第でございます。
  172. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣、こういう事態を招いた責任を大臣は重大に受けとめるべきだというふうに私は言わざるを得ないわけです。  そもそもこの住専に対する認識というのです。か、私はこの問題について質問をした我が党の林紀子参議院議員の議事録を見ましたけれども、大臣はこういうふうにおっしゃいました。「何か農家から集めた銭を勝手に住宅金融に回したというようなものではなくて、個人住宅需要が非常に強い、それに対する資金需要にこたえるためにこやった、こういうことで、個人住宅建設という国民のニーズに沿ったものだ、そして、住専は大蔵省も認めた金融機関だと公共性を大変強調されているわけです。  しかし、住専は、本来の業務である個人向け住宅ローンから、都市銀行が個人向け住宅ローンに手を伸ばし始めました。言ってみれば母行、つまり親が子の分野に手を伸ばし始めて、子の住専の仕事を吸い上げてしまった。こういうようなことから大変伸び悩みが出てまいりまして、住宅開発や貸しビルなどを手がける不動産会社、住宅開発会社などを対象とした貸し付けを八〇年の後半から急速にふやしました。現在、その不動産向け融資は六割にまで拡大させているわけです。  したがって、最初の個人住宅に向けてのローンを行うところなんだという性質はもうすっかり変わっているわけです。その不動産業は、バブルの崩壊で業績が急に悪化しました。そのために住専は巨額の不良債権を抱えることになっていったわけであります。このように不動産会社への融資へ事業の比重が傾いていった状態の中では、とりわけバブルが崩壊することで、当初の公共性の高い安心できる融資先から、リスクの極めて高い金融機関に変身をしていったこともまた明らかであります。  農水省はこの時期に、住専に対する巨額融資が極めて危険なものだとお考えにはならなかったのでしょうか。また、住専への農林系金融機関からの巨額の融資が国民のニーズにこたえるとか、公共性が高いとか、そういうことではとても合理化できるものではないというふうに考えますが、この点は、大臣いかがお考えですか。
  173. 東久雄

    東政府委員 住専に対する融資の問題でございます。  住専につきましては、バブル後というのは確かにそれぞれの住専が厳しい立場に立ちまして、再建計画という形で今対応をしておるところでございます。  住専そのものにつきましては、金融機関としての位置づけで、農協が、それぞれの信連等が当時余裕金をいかに運用するかということとの関係で金融機関としての位置づけという点を重視いたしまして、しかも、大臣がお答えしたのでしょうか、先ほどの議事録のお話のとおり、公共性のある住宅の投資、もちろんそれは個人の住宅、それから建設業者等を通じての住宅供給ということを促進するという面があったわけで、それらの点を考慮して信連並びに中金等系統がお貸ししているというふうに考えております。
  174. 藤田スミ

    ○藤田委員 変質をしたということは、それは認めておられるわけですね。最初おっしゃったのはそういう意味ですか。
  175. 東久雄

    東政府委員 変質というのがどういう意味がわかりません。個人住宅ローン向けから不動産融資に傾斜というお話がございましたが、個人住宅ローンももちろん、住宅に対する開発ということで建設業者を通じての住宅供給ということも大きなポイントであったと思います。主として住宅の取得に必要な長期資金を貸し付けるということが住宅金融専門会社の任務だということで、そこは同じ立場ではないかと思います。  バブル後の問題につきましては、それはバブル後に住宅専門会社が種々の問題を生じまして、再建計画ということの話が出てきたのは平成四年の秋以降のことであったというふうに考えております。
  176. 藤田スミ

    ○藤田委員 どうしてそういう認識になるのかなとやはり思わざるを得ません。  大体地価が暴落していったのは、平成四年じゃなしに、既に平成三年というよりか二年、つまり一九九〇年の初めからそういう気配が十分出ていたわけですからね。随分認識にずれがあるな、こう思うわけです。  それで、今言いました大変バブル崩壊の予感が出てきた九〇年初頭に、もう年明け早々に株価が暴落していますが、とにかく大蔵省は九〇年三月二十七日に銀行局長通達で、銀行や信託各行など監督下の金融機関に対して土地関連融資の総量規制を実施しています。この通達では、「不動産業向け貸出については」「その増勢を総貸出の増勢以下に抑制すること」を要請しています。そして同時に、「上記の趣旨に鑑み、当面、不動産業及び建設業、ノンバンクの三業種に対する融資の実行状況を報告するよう」、そのように求めているわけです。この通達を受けた各行は、不動産業向けの融資とともに、報告をしなければならないノンバンクである住専に対する融資からも手を引かざるを得なくなったことは、その後の経緯を見ても明らかであります。  実は農林系金融機関にも、大蔵省の銀行局長と農水省の経済局長の連名、当時はあなたではありませんが、連名で同様の通達が出されているのです。ところが、こちらには、その「上記の趣旨に鑑みこつまり総量規制をやりなさい、そういうことを促し、そういう趣旨にかんがみて「当面、不動産業及び建設業、ノンバンクの三業種に対する融資の実行状況を報告するよう」にという部分が全くないわけであります。この通達で規制される「不動産業向け貸出」というのは住専は対象にならないというのが大蔵、農水両省の趣旨ですから、住専の報告を求められない信連などは、都市銀行などから融資が途絶えた住専に莫大な融資をその後行っていった。二つの通達の違いが農林系金融機関を住専への融資に誘導したのだとすれば、農水省の責任は免れることはできないじゃありませんか。
  177. 東久雄

    東政府委員 ちょっとバブルの問題で、先生今まさにおっしゃったのですが、平成二年の三月に総量規制の通達ですか、それは地価抑制のために総量規制が行われたと私は理解しております。そこから地価抑制ということが加速度的に始まったのではないかと思います。それで、そういうことでございますから、住専がそのときに悪かったということではなくて、地価を抑制するためにこういう規制をとられたというふうに理解しております。  私の方の農協の方でございますが、組合員向けが主体であって、不動産業だとか建設業向けは基本的に少ないということと、従来四半期ごとにこれらの報告をとっておりました。それから、住専を除くノンバンク向けは規制を受けております。そのほかに、住専貸し付けについても、五十五年以降年二回、貸出限度額の届け出を行わせているということもございます。そういうような事情からこの通達の中に入れておりませんが、ただ、この状況については、私の方は、幾らどういうふうに貸しているかということは把握していたというふうに申し上げておきたいと思います。  それから、なお金融機関が住専から云々ということは、こういう総量規制というのは、要するに金融面から地価問題の対応の観点から不動産向け貸し出しの増勢を抑制するということでございますのでは、なぜ減らすかということでございます。これはやはりBIS規制が当時行われていた、ある目標を持ってBIS規制が行われるということもあって、それらの点から銀行の対応があったというふうにも理解しておりまして、そういう意味で、また当時余裕金の相当ございました農協が、その農協資金の金融機関に対する貸し付けという形で活用していったものであるというふうに考えております。
  178. 藤田スミ

    ○藤田委員 全く言っていることが理解に苦しむというふうに言いたいわけです。  大体、通達が出された九〇年三月末から九二年までの二年間で、都市銀行、地銀などその他の金融機関は住専に対する融資を三千五百億円減らしたのです。通達が出てから三千五百億円減らしたのです。また、融資をストップしただけではなく、回収にも乗り出しているわけです。一方、同じ期間に農林系金融機関は融資を二兆七千億円もふやしたのですよ。そんなこと、一体どういうことになるのですか。これが現在の信連が莫大な貸し出しを抱えて窮地に立たされる直接の原因になっているのです。まさに通達が明暗を分けた。土地関連融資の総量規制で住専への融資をストップした都銀などにかわって、農林系の金融機関が巨額の資金で肩がわりをした、そこに監督官庁の政策的誘導があったと関係筋は一様に指摘をしているのです。私もそのように思います。まさに農水、大蔵の連名の通達というのは、極めて高度な政策的判断に基づいて出されたものではなかったか、そして、この通達の責任は極めて大きいと言わざるを得ません。もう一度答えてください。
  179. 東久雄

    東政府委員 私の方、大蔵省から各金融機関へ出された通達についてコメントする立場にはございませんけれども、とにかく、いわゆる不動産業、建設業、ノンバンクの四半期ごとの貸し出しの報告を受けるということになっておるはずでございます。私の方は、これらにつきましては従来から数字を把握していたので、その通達は必要ないというふうに判断したと聞いております。  その後の貸し出しの問題につきましては、それは銀行としてのそれぞれの立場、これはBISと先ほど申し上げましたが、BISだけではないでしょう、全体の貸し付けの状況というようなことから行われたことであり、それで、またこれは母体行が責任といいますか、母体行を中心に活動しております住宅の専門金融機関でございますので、これに対して農協は金融機関としての貸し出しという形で安心をして貸しておるということが実態でございます。それぞれまた信連が個別に貸しておりまして、それで、信連というのは、先生承知のとおりしっかりした金融調査機関を持った上での信用機関でございます。それぞれの金融機関との話し合いの中で、金融機関というのは住専も含めてのことでございますが、行われたものでございまして、それがこの通達で云々ということはないというふうに考えております。
  180. 藤田スミ

    ○藤田委員 状況を把握していて、それでいてなおかつ大蔵省が一般の金融機関にはノンバンク、つまりその主要なものは住専に当たるわけですが、ノンバンクヘの融資に報告を求めることで抑制をかけていった、それが母体行も含めて住専への融資どころか資金引き揚げに動いた。それに対して信連に対するものは、そういう報告を求めるというのは明記されていなかった。それはあなたがおっしゃるように、四半期ごとの報告を求めていたからあえてそういうことをしなくても状況は把握していたということでしょうが、しかし、当然このとき監督省庁として注意を喚起して抑制をかけなければ、この三行がなければ、あの通達というのは一般的に不動産向けへの融資老抑制しろよということだけであって、ノンバンク、この住専に対する注意の喚起になっていないわけです。そのことがつまりは、その後都市銀行は三千五百億円も融資を減らしているけれども、一方、信連、系統の方は二兆七千億円も融資をふやすということで、しかもバブルの真っ最中、地価がどんどん落ちているときに融資がどんどんふえる。しかもその経営状態は、調査機関があるというならなおさらでしょう、その住専からの融資が不動産向けの方にどんどん傾いていって、個人住宅向けのローンというようなものはたった二割にしかなってきていないという、そういう経営の変化もわかっているわけですから、そういうことを見ながら農水省はあえて何にも注意を喚起しなかったのですか、もう一度聞きます。
  181. 東久雄

    東政府委員 私の方から銀行局長さんが金融機関に発せられた通達を云々することはちょっと不適当なのかもしれませんが、要するに、不動産向け貸し出しについて、その増勢を総貸し出しの増勢以下に抑制するという通達でございます。したがいまして、引き揚げがあったのかどうか、私の方は、住専そのものの話でございまして、数字その他は確認する立場にはございませんが、そういうことでございまして、そういう三業種の融資の実行状況を報告するという形になっています。こういう報告についてはお互いにとっております。  それから、銀行は、金融政策の立場から、先ほど言いましたような立場から、それぞれ自行の融資について運用されるわけでございまして、また、それについて、我が方の信連は、やはり母体行がしっかりしているということも一つあったと思いますが、もう一つは、金融機関に対する貸し付けとして位置づけて、これは適切な貸し付けであるというそれぞれの判断に基づいて融資をしていたものであるというふうに考えております。
  182. 藤田スミ

    ○藤田委員 結果として、九〇年一月の株価暴落、九一年からの地価の急激な暴落と、バブル崩壊が明らかな時期に、農家の方々のお金を預かる信連が、非常にリスクの高い住専向け資金の肩がわりをさせられたというのは事実であります。それも数県の信連というのじゃないのです。すべての信連がかかわり、系統全体では五兆円を超える資金が動いているわけであります。監督官庁として、その責任を免れることはできないと思いますが、大臣、お答えください。
  183. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 今、るる経済局長から申し上げたとおりでございまして、信連が、その母体行のむしろ子会社である住専に対して信頼をいたして、余裕資金をもって住専の事業資金に充てた、そういうふうに私どもは理解しておるところでございます。金融機関同士のお話だというふうに考えるところでございます。
  184. 藤田スミ

    ○藤田委員 母体行がしっかりしているといっても、その母体行さえももう遠慮さしてもらいます。というようなことで、住専の再建の困難さが指摘されているわけです。今後、農協や農家組合員にしわ寄せがいくことは絶対にあってはならないことであります。  農協信用事業は、農産物の販売代金や農家の兼業収入などを貯金して、これを農家の営農や生活に必要な資金を初め地域の活性化を図るための資金需要にこたえていくことが本来の役割であります。系統信用事業はこの原点に返るべきです。  今回の法改正は、農協の自主性を無視した広域合併を押しつけ、競争力の強化、経営効率化合理化農協を駆り立てることになるでしょう。  私は、組合員の生活と営農を守るという協同組合本来のあり方から離れたところで農協経営の安定はないということを強調いたしまして、後の発言もありますので、これで終わります。
  185. 中西績介

    中西委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  186. 中西績介

    中西委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。藤田スミ君。
  187. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、日本共産党を代表して、農業協同組合合併助成法の一部改正案に対して、反対討論を行います。  今回の法改正は、農業情勢や新政策の方向を踏まえて、農協の業務運営、組織のあり方の見直しが必要であるとの立場から、農協系統組織に対し、さらに強力に広域合併組織再編の推進を迫るものであるということです。  それは、農協の自主性を無視し、合併計画の実施をさらに加速化させることで農協経営に競争力の強化、強靱な経営体質を求めるもので、それによって、組合員の生活と営農を守るという農協本来のあり方の変質を迫るものであると言わざるを得ません。  組合員の意思や地域の実情を無視した広域合併推進は、農協経営の基本である組合員の要求実現のための協同活動を困難にし、農協経営危機の打開策につながらないことは明らかであります。むしろ、これまで進められてきた広域合併は、組合員農協の結びつきを一層希薄なものにしてきました。  さらに、改正案は、都道府県の合併推進法人固定化債権買い取り業務を付与し、合併の障害になっている固定化債権処理をより短期間で有利に行えるようにするとしていますが、支援の対象は合併する農協にのみ限られ、小規模、未合併のまま地域の条件を生かし協同活動を発展させようと努力している少なくない農協は、支援措置を一切受けられません。このような差別的な取り扱いにより、大型、広域合併を強引に推進することは、農協の自主的性格からしても容認できません。  以上、反対理由を述べて、討論を終わります。
  188. 中西績介

    中西委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  189. 中西績介

    中西委員長 これより採決に入ります。  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  190. 中西績介

    中西委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  191. 中西績介

    中西委員長 この際、本案に対し、松岡利勝君外三名から、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。小平忠正君。
  192. 小平忠正

    ○小平委員 私は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけを代表して、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国農業及び農村をめぐる状況の変化の中で、農業協同組合は、組合員の多様なニーズに対処し、農業及び農村の活性化に積極的に取り組んでいくため、その経営基盤の安定強化を図ることが求められている。  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現を図り、農業協同組合の健全な発展に努めるべきである。     記  一 農協合併の推進に当たっては、画一的な基準によらず、地域の実情を反映させるとともに、合併後の経営理念を明示する等により、組合員の理解と納得の下に行われるよう指導すること。  二 農協の大型化・広域化に伴い、農協組合員農協と市町村との関係が希薄化することのないよう、営農指導体制の確立・強化、市町村行政との連携強化等について十分指導すること。  三 農協合併に伴う固定化債権問題の解消に係る推進法人等の機能が十分発揮されるよう、財務内容の透明化を図る等、業務の適切かつ円滑な運営に対する指導に遺憾なきを期すること。  四 農協系統組織事業組織の再編・整備に当たっては、そのメリットを広く組合員に還元することを旨とし、事業の種類、地域の実情等に配慮しつつ推進するよう指導するとともに、農協系統組織における組織整備の進展に対応した法制度の整備について検討すること。  右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  193. 中西績介

    中西委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  松岡利勝君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  194. 中西績介

    中西委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大河原農林水産大臣
  195. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。
  196. 中西績介

    中西委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 中西績介

    中西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  198. 中西績介

    中西委員長 次に、山村振興法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。  まず、本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。  山村振興法は、山村地域における経済力並びに住民の福祉の向上を図り、あわせて他地域との格差の是正及び国民経済の発展を図ることを目的として、昭和四十年に衆議院農林水産委員長の提出によって制定されました。  その後、数次にわたる改正を経て今日に至っておりますが、その間、本法による山村振興計画基づいて産業基盤や生活環境の整備が推進され、山村地域の活性化に多大な成果を上げてきたところであります。  しかしながら、昨今の山村をめぐる状況は、主要産業である農業、林業の低迷、人口の過疎化、高齢化の一層の進行、生活環境施設の整備のおくれ等極めて厳しいものがあります。一方、山村地域が果たしている国土の保全、水資源の涵養、保健休養の場の提供等の重要な役割に対して国民が寄せる期待は、ますます大きくなってきております。  このような実情にかんがみ、本案は、本年三月三十一日をもって期限切れとなる本法の有効期限を延長いたしますとともに、山村の当面する新たな情勢に対処して、山村振興対策の充実を図ることとしており、その主な内容は以下のとおりであります。  第一に、地方公共団体が、山村振興計画基づいて行う事業に要する経費に充てるために起こす。地方債について特別の配慮をすることとしております。  第二に、認定法人である山村の第三セクターが行う事業内容に、森林施業に関する研修及び都市等との地域間交流に関する事業を追加することとしております。  第三に、国及び地方公共団体は、情報の流通の円滑化及び通信体系の充実について適切な配慮をすることとしております。  第四に、国及び地方公共団体は、高齢者の福祉の増進、勧業の機会の確保等について適切な配慮をすることとしております。  第五に、国及び地方公共団体は、山村における文化の振興について適切な配慮をすることとしております。  第六に、本法の有効期限を十年延長して平成十七年三月三十一日までとすることとしております。  以上が本案の提案の趣旨及び主な内容であります。     ―――――――――――――  山村振興法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  199. 中西績介

    中西委員長 この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。小澤国務大臣。
  200. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 本法律案の提出に際しての委員長及び委員各位の御努力と御熱意に対し、深く敬意を表するものであります。  政府といたしましては、山村地域の社会経済情勢にかんがみ、本法律案については特に異存はないところであります。  この法律案が御可決された暁には、その適正な運用に努め、山村地域の一層の振興を期してまいる所存であります。
  201. 中西績介

    中西委員長 お諮りいたします。  お手元に配付してあります山村振興法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  202. 中西績介

    中西委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決しました。  なお、ただいま決定いたしました本案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 中西績介

    中西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十八日火曜日理事会、委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会      ――――◇―――――