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1995-04-13 第132回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年四月十三日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 自見庄三郎君    理事 佐田玄一郎君 理事 住  博司君    理事 虎島 和夫君 理事 遠藤 乙彦君    理事 金子徳之介君 理事 河村たかし君    理事 田中 昭一君 理事 小沢 鋭仁君       荒井 広幸君    岸本 光造君       佐藤 剛男君    斉藤斗志二君       坂井 隆憲君    関谷 勝嗣君       宮崎 茂一君    山下 徳夫君       神崎 武法君    小坂 憲次君       古賀 一成君    高木 陽介君       高橋 一郎君    中島  衛君       日笠 勝之君    米田 建三君       大木 正吾君    横光 克彦君       吉岡 賢治君    高見 裕一君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大出  俊君  出席政府委員         郵政大臣官房長 木村  強君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省貯金局長 谷  公士君         郵政省簡易保険         局長      高木 繁俊君         郵政省放送行政         局長      江川 晃正君  委員外出席者         文部省生涯学習         局青少年教育課         長       金森 越哉君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     米田 建三君 同日  辞任         補欠選任   米田 建三君     小坂 憲次君     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第八  五号)  郵便振替法の一部を改正する法律案内閣提出  第六〇号)(参議院送付)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第七一号)(参議院送付)  簡易生命保険積立金運用に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第七二号)(参  議院送付)      ————◇—————
  2. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これより会議を開きます。  内閣提出放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。虎島和夫君。
  3. 虎島和夫

    虎島委員 今回、放送法改正が提案されておるわけでございますが、従来から放送の公正、中立等々については深い議論を何回か重ねてきたわけであります。そういう中で、いろいろな議論がありましたけれども、放送の実行に伴って、真実報道が果たしてなされたかということ、あるいは基本的人権侵害がなかったかということ等については、これもまた深い論議を重ねてきたところであります。そういう意味では、従来の放送法に定める資料の保管等については、これもまた同時並行的に議論があったところであります。  それらを踏まえた結果でありますか、今回、放送法の一部を改正して、視聴者関係者から苦情申し立て等があった場合にはこれをもう少し丁寧に処理する、簡明に表現しますと丁寧に処理するということでありますか、改正案として法律案が出てまいったわけであります。したがって、私は、郵政省の方が、従来の苦情処理よりももっと踏みこんでいろいろな弊害を具体的に分析、検討した結果、苦情処理提出には積極的に道を開くという姿勢を政府が示したものというふうに理解していきたいと思いますが、これに間違いありませんか。
  4. 江川晃正

    江川政府委員 いろいろと御議論をいただいておりますこの問題について、今回の放送法改正訂正放送にかかわる部分でございまして、その部分を、今先生指摘なさいましたように、一歩踏み込んでというのかどうかわかりませんが、少しでも被害者といいましょうか、権利侵害された人に対する救済措置に一歩でも有効な手だてになるようにしたいということで考えたものでございます。
  5. 虎島和夫

    虎島委員 従来もこの制度はあったわけでありますが、この制度運用状況あるいは請求状況を具体的に申しますと、訂正放送請求状況というのはどういう実態に相なっておりますか、お伺いいたします。
  6. 江川晃正

    江川政府委員 このたびのことでいろいろ郵政省といたしまして訂正放送実態に関して調べたところによりますと、主な放送事業者の中で、文書記録に残っているという請求件数、それから郵政省自身が裁判所などに赴いて裁判事例になったようなものなどを調査いたしました。その結果、平成元年四月から平成七年一月までの間の訂正放送請求件数は二十九件ございました。この二十九件のうち、具体的に訂正放送が実施されたものは十六件になっておるというところでございます。
  7. 虎島和夫

    虎島委員 今の十六件の中には、テレビ朝日報道番組「ザ・スクープ」というので、中国受刑者臓器売買というのを報道したことがあるわけですが、これが入っておりますか。入っておるとすれば、どの程度の訂正放送、時間でもよろしいし内容の概要でもよろしいが、行ったのであるのか、このことについて承っておきたいと思います。
  8. 江川晃正

    江川政府委員 ただいま先生指摘テレビ朝日事例は、この訂正放送件数の中には入ってございません。
  9. 虎島和夫

    虎島委員 それは、時期的にでありますか。これにカウントされないという理由は何でありますか。
  10. 江川晃正

    江川政府委員 あの放送は、むしろ訂正放送ではなくて、三条の二項にあります「真実でない事項放送」ということに基づいた大使館からの話でございまして、それで処理されたものですから、この中には入ってございません。
  11. 虎島和夫

    虎島委員 罰則適用もあるわけでありますが、罰則適用があったのかなかったのかについても御説明願いたいと思います。  それから、訂正放送具体例について一、二主なもので結構ですから、件名まで挙げる必要はありませんけれども、説明をしていただきたい。それで、どのような範囲で訂正放送をやったのか、時間的にどうなのか、内容的にどうなのか、概略について二、三件で結構ですから、御説明願いたいと思います。
  12. 江川晃正

    江川政府委員 先ほどのを訂正させていただきたいと思います。私、三条二項と申しましたが、四条二項の「真実でない事項放送」という条文を間違えましたので、四条二項に訂正させていただきたいと存じます。  それから、ただいまの御質問でございますが、罰則、五十六条にございますが、これまでのところ、五十六条の罰条を適用して罰則が科せられたという事例はございません。  それから、具体的に訂正放送を行った事例ということにつきましては、十六件ほどございますが、一つをやや詳しく御説明させていただきまして、大体ほかもそうだというふうに御推察いただければと思います。  一番最近の例で、ことしの一月にあったことでございますが、十八時からのニューステレビラジオ両方ですが、において、公共工事をめぐる疑惑の中で、県警本部町長に対して事情聴取を行ったという放送をしたことがございます。何とか県警が何とか町というふうに固有名詞が入っておりますが、ここではちょっと省略させていただきたいと思います。これに対しまして、その町長は直ちに、事情聴取を受けた事実はないということで、放送事業者に対して訂正放送申し入れをいたしました。そして、放送事業者はそれを受けまして調査いたしました。その放送した内容真実でないということがわかりました。そこで、どうしたのかといいますと、テレビにおきましては、同日の二十一時、つまり十八時にやってすぐ二十一時でございますが、二十一時から、それから翌日の六時及び十八時からのニュース番組、それからラジオにおきましては、同日の二十一時五十五分から、翌日の七時及び十八時からのニュース番組でおおむねこういうことを申しました。  きょう、あるいはきのうということになりますが、夕方のニュースで、何とか町長が何々県警本部事情聴取を受けたとお伝えしましたが、その後の調査事情聴取を受けたという事実はなかったことがわかりましたので訂正いたしますという趣旨訂正放送を実施したところでございます。おおむねこういうようなことでやっております。
  13. 虎島和夫

    虎島委員 日本ことわざには火のないところに煙は立たぬということわざがある。悪事千里を走るということわざもある。こういうことは、この町長さんの政治生命にもすぐかかわってくるよ、うな問題なんです。」したがって、そのことは行政当局としては十分御認識であると思いますから、今後この法律運用については、やはり関係事業者周知徹底を図りながら、このようなことが起こらぬように、法の趣旨に沿った厳正な指導方をお願いしておきたいと思います。  ところで、権利侵害訴訟件数放送に関して上昇傾向にあるということをどのように把握していらっしゃいますか。
  14. 江川晃正

    江川政府委員 権利侵害訴訟件数は、平成元年度から六年度までで調べてみますと、トータルで二十二件提起されております。上昇と申しましょうか、最初、平成元年度はゼロ件でしたけれども、二年には一件あり、次に五件、八件とふえて、四件、四件というふうにちょっと落ちながらきているというところでございますが、大体、増加傾向にあるといいましょうか、そう理解してよろしいかと思います。
  15. 虎島和夫

    虎島委員 トラブルはふえつつあるというふうに認識してよろしいかと思っております。  そこで、現状では、訂正放送請求があった場合には、放送事業者調査して真実でないかどうかを判断しておるというふうに私は認識しておりますが、放送事業者は具体的にどのような組織でどのよう調査を行って判断しておるのか、一、二の具体例で御説明いただきたいと思います。
  16. 江川晃正

    江川政府委員 現在、訂正放送請求を受けますと、まず放送事業者としては、その問題となった番組を制作した部門において、その保存している番組を視聴します。あわせて、その番組ができ上がってくる取材過程を同時に調査いたします。そこで真実でないかどうかを判断するのが普通でございますが、問題の大きさといいましょうか、ややこしさとか難しさとか重要さといろいろありましょうから、物によっては、同じ社内考査部門とかあるいは編成部門にも問題を投げて、その人たちにも入ってもらってその問題の番組を一緒に見る、それで判断するというようなことも行っているところでございます。
  17. 虎島和夫

    虎島委員 諸外国では、放送による被害者を救済するために反論放送制度がありますけれども、反論放送制度については、今のように、トラブル増加傾向にある、しかも極めて事実でない報道等々、ゆがめられた報道と申しますか、によって基本的人権侵害が行われつつあるということもなきにしもあらずという状況からいけば、この反論放送制度というのを、日本においても検討の上将来採用するという方向でやるべきではないかと思いますけれども、御所見を承っておきたいと思います。
  18. 江川晃正

    江川政府委員 先生指摘反論放送制度といいますのは、放送による被害者が反論文放送することを当該放送事業者請求する制度で、被害者の反論文をそのまま放送する、そういう制度で、ドイツ、フラン又などでやっている、そのことを指していらっしゃると私ども承知いたしますが、そのこと自体は、被害者が自己の権利を回復するために有効な手段として機能している面が多々あることは、よく言われるところでございますし、また、そう認識できると思います。  ただ、その反面、やっぱり物には長短というのでしょうか、そのこと自体について、放送事業者は、反論文が提出されますと、その放送を強制される形になります。そのために放送時間を割がなければならなくなるということは、編成の上で非常に制約を受けるわけでございます。そこで、そういう負担を強いられることを避けるということから、放送事業者が論争的問題の放送を抑制するとか、あるいは回避するとか、言ってみますと無難なことをやってしまうというふうに流れてしまう傾向もなきにしもあらずだという指摘もございます。言ってみれば、それがマイナスだという一つになるわけでございますが、そのよう長短があるということが言われております。  そこで、日本国では、おっしゃいますようにその制度はまだございません。それで、今直ちにここで可否を申し上げるわけにいきませんが、今後我々として、郵政省としましては、そういったものも、長短も含めまして、この問題については研究してまいる対象がなというふうに考えているところでございます。
  19. 虎島和夫

    虎島委員 先ほど訂正放送の問題に戻りますが、イギリスではこれを、事業者社内のチェックだけでなくて法定独立第三者機関である放送苦情処理委員会、BCC、これがあって、そして被害者放送事業者による判断不満がある場合にはここへ訴えて処理するということが制度として定着し評価も受けている、公正な放送を確保するゆえんにもなっておる、私はそう理解しておりますが、このよう法定独立第三者機関を設けて、さらに各社苦情処理不満であるという人には提訴の道を開くということについてはどうお考えでありますか。
  20. 江川晃正

    江川政府委員 先生指摘のとおり、イギリスでは、法定第三者機関というものが設けられている。日本語で放送苦情処理委員会というふうに言っているところでございますが、おっしゃるとおりでございます。  それに引きかえ我が国はどうなっているかというと、先生もう御案内のとおりでございますが、番組審議会各社につくっていたり、あるいは民放連という中に放送番組調査会というものを設けていろいろ見ている。見ているというとあれでございますが、審議議論しているという状態になっております。  そこで、しかし第三者のそういう機関というのは日本にないというのは先生指摘のとおりでございまして、そういうものを設けるかどうかということ自身につきましても、これは十分な検討を要する課題ではないかなと考えているところでございます。その意味では、郵政省として、今後多方面から幅広く意見を伺いながら検討していきたい課題だと認識しているところでございます。
  21. 虎島和夫

    虎島委員 局長はかつて、いわゆる椿発言問題に関する本院における証人喚問あるいは逓信委員会における委員会審議等でいろいろな質疑答弁がなされておるわけでありますが、その中で、放送番組調査会についても、そのありようについてはいろいろな議論があったわけです。  これは今触れる時間はありませんけれども、その際、本逓信委員会において、あなたは、いずれにしましても、日本国では、今回のこのような問題が議論の俎上に上ったということは、不幸の中における一つの機会だ、チャンスだと思っておる、こう言っているのです。ところが果たして、あなたがこの文言どおり、その発言どおり今日まで鋭意省を督励して、局を督励してこのよう改善措置に取り組んできたかどうかということは、今の答弁を聞く限り私は疑問だと思う。やってないと言わざるを得ない。  しかもあなたは、とにかく、この今回の事実、不幸な事実でございますが、それを契機としていろいろ勉強、研究検討してまいりたいということでお許しいただきたいと、委員会でお許しを請うておるわけです。ところが、やっていない。  今、諸外国ではそういう第三者機関もあり、しかも、委員会の視察には郵政省から随行したでしょう。そして、その実態も調べてきているはずですよ。それが、そういうのがあるやに承っておるぐらいのことじゃ承知いたしがたい。ですから、そのことについても、もう少ししっかりした研究を始めていただきたい。  反論権についても、基本的人権侵害された、名誉を侵害されたという人方立場に、つまり視聴者立場というか、そっちに立ては、当然これについては検討をして、まだ論議したことがないよう答弁では私は怠慢だと思う。しかも、委員会における答弁どおりやってないというふうに指摘せざるを得ないのです。どうですか。
  22. 江川晃正

    江川政府委員 若干審議会のことなどについて説明を簡略して申し上げましたので、何もしてないかのごとく先生お受け取りになりましたとすれば、私の説明の不足だと思います。  我々は、先生今読み上げられた議事録にございますそれ以降、例えば政治的公平についての物差しとか、だれがどうやってそれを判断するのかとか、判断する手続だとか仕組みだとか、あるいは番組審議会というもののこれからのありようだとか、この被害者救済に、苦情処理などにどうそれを役立てていくのかというふうなことは、内部でいろいろと勉強して検討してまいっております。  それで、そういったことも含めまして、これは多くの人の知恵をいただかなければならない問題でございますので、できるだけ早く多くの人の意見をいただける場を設けたいというふうに考えております。その場を設けるのがまだできていないところでございますが、研究としてはあるいは検討としては私たちはやっているところでございます。  にもかかわらず、今回なかなかそういうふうなことの結果として表に出てこないのは、例えば一点だけ申し上げますと、番組審議会のことだけを取り上げましても、一つは、放送事業者任命権を持つ番組審議機関によって公正さが十分確保できるのだろうかとか、その道の専門家でない委員によって真実性判断ができるのかとか、あるいは番組審議会意見拘束力を持たせる、その場合に効果があるのか、あるいは持たせない場合にはどうなのか、また持たせた場合に言論の自由との関係ではどう理解したらいいんであろうというような深い問題がいろいろございます。そういうものを全部検討しているところでございまして、それの検討の結果をまだ得ていないというところで先ほど来の答弁を申し上げているところでございます。  研究検討は十分しておりますし、もっと場をつくって多くの人の御意見をいただく、言ってみれば懇談会と申しましょうか、そういったものもつくりたいと考えているところでございます。
  23. 虎島和夫

    虎島委員 実は、そのときの逓信委員会にはテレビ朝日社長伊藤さんも参考人としておいでなんです。その伊藤さんからの発言の中に「逓信委員会先生方にも御審議いただいて、前向きに御検討いただければありがたい」、我々にもボールを投げかけられておるわけです。したがって、委員長、毎回このことは論議しながら、公正な報道、公平な情報の伝達、誤ったならばきちっとした対応をするというようなことでやらなければならぬと思います。  もう一つは、もう時間がありませんから、これらをずっと押していきますと、先ほど放送番組調査会のありようにもかかわってくるし、あるいは自主的な規制だけでよろしいのかどうかという論議にも入っていきますし、第三者機関で、言うなれば上告審みたいな苦情処理機関をつくるということについても至急検討すべきだし、反論権についても、今ごろそういうのがあることは承知しているぐらいの答弁では、私は、この椿事件というのは一体何だったのかともう一遍問い直さざるを得ないというふうに思うのです。  省においては、漏れ承りますと、放送法三条の二の公正な放送の具体的なものも検討に入るというようなことも実は報道等にもあるわけでありますが、それらを含めまして、最後ですが、大臣の御所見、御見解を承っておきたいと存じます。
  24. 大出俊

    大出国務大臣 これは虎島先生私が郵政を担当することになってからというのじゃないのですけれども、椿発言などがございましたときに私はこの席にいたわけじゃありませんが、二十五年の法律でございますが、放送法なるものを一生懸命読み直してみた時期があるのです。  実は、このころの古い昔の法律というのは、随分検討をして、新しく直してきているという歴史があるのですね。しかも、私は国会に出てきたのは三十八年ですけれども、三十四年ぐらいからの法律の中には、診療エックス線技師法だとかあるいは衛生検査技師法だとか、たくさん法律ができたのですけれども、ほとんど身分法というようなこともあって直さなければならぬ法律がたくさんございました。私も三十二年ばかり衆議院議員をやっていますが、獣医師法もそうですけれども、音の法律を、みんな不備をたくさん直してきている。  この放送法というのを見ると、当時NHKがラジオ二波しかない時代でございまして、これは百九十何社あるのだと思うのですが、百九十三社ですか、二百四十七波ですね、今は。そうなりますと、このままでいいのかなという、しかも非常に不自然なところもある法律、私は長く大臣をやっておるわけじゃないから言い過ぎることは差し控えますけれども、どうも法律条文の中にこんなことまでうたっていていいのかなというようなことまであるわけでございます。  実は、郵政を引き受けてから、椿発言の結論を出すことになっているのでありまして、このときに私は局の皆さんにお願いをしているのでありますが、例えば第一条の第二号にもあるのですが、「不偏不党」とか、三条の二で「政治的に公平であること。」、一体何が政治的公平なのかという基準も何もないですね。おっしゃるとおり、反論権も何もない。  ということになると、このままこの椿発言があって、その決着をつけるに当たって見過ごすわけにいかないじゃないかというようなこともございまして、何かひとつ検討してみる。しかも、この種のことは衆知を集めなきゃできないし、公平な検討にもならないのだから、そういうふうにお考えを願えないかということを話しまして、それが今委員おっしゃっている、省の中でいろいろな検討を始めてきたきっかけでもございます。  そこで、今の御質問に対しまして、先ほどお話が出たと思いますが、多メディア・多チャンネル時代における放送をめぐる諸課題について懇談会を設置して幅広く衆知を集めて検討していこう、これはやるつもりでおります。したがって、今いろいろございました御発言を、この中でできるだけ衆知を集めて突っ込んだ検討をしていくようにしていきたい、こう思っております。やってみたいと思っております。
  25. 虎島和夫

    虎島委員 終わります。
  26. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、小沢鋭仁君。
  27. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 放送法の一部を改正する法律案を御質問させていただきます。  まず、今回の訂正箇所の背景となります点について御質問させていただきたいと思いますが、訂正放送、今までも行われていたと思います。過去においていかなる事案で訂正放送が行われ、そしてその訂正放送はどんなぐあいにされたのかというわかりやすい例がありましたら、ぜひ御紹介をいただきたいと思います。
  28. 江川晃正

    江川政府委員 過去の訂正放送請求及び具体的な訂正放送を行った事例というものにつきましては、先ほど申しましたように十六件、ここ数年の間にあるわけでございます。  ちょっと個別の議論になって恐縮でございますが、一つ例を取り上げさせていただきますと、これは、先ほどのもそうでございますが、また別の例で申し上げますと、昨年の六月のことなんですが、夕方の十七時五十分からのニュース番組で、ある水産加工業者が不渡りを出した、それで倒産したという内容放送を行いました。当然、同日その水産加工業者は、そのような事実はないという訂正放送申し入れをしたわけでございます。これを受けまして、放送会社が直ちに調査いたしまして、調査の中身は、先ほど申しましたような形で、まずはその放送番組のテープを見るとか取材過程を調べる、そういうようなことを全部したわけでございますが、結果として真実でないということが判明しました。そこで、翌日の十一時五十分からのニュース番組、十七時五十分からのニュース番組、これはつまり翌日になったわけでございますが、その番組の時間に、おおむねこういう趣旨放送をしております。昨日放送した何々水産加工ニュースの中で倒産と放送したのは誤りであり、同社は現在も操業を続けております、訂正するとともに関係者の方々におわびいたしますという趣旨訂正放送を実施したところでございます。  このほかにも、この種のと申しましょうか、訂正放送申し入れ及び訂正放送をしたという事例が十六件あるということで、御理解いただきたいと存じます。
  29. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 今の事案の例でもわかりますように、まさに経済活動をやっている会社にとって、そういった報道があるということは、恐らく経済的な損失というのは極めて大きいわけですね。今の江川局長の御説明に、その後その会社がどうなったかということはもちろんないわけでありますが、これで、万一それが引き金になって、そういう放送がなされるということはある程度そういう、経営的にも問題を抱えているというような若干の背景があったからそういう放送にもなったのかもしれません、そうしますと、なおさらのこと、それが最後の引き金を引くといいますか、そんなような話にもなるわけでありまして、そういった意味において、そういった報道における権利侵害の影響は極めて大きいということを、これはまず郵政省の皆さんはもとより、いわゆるマスコミ、ジャーナリズムの皆さんたちが本当に心していただかにゃいかぬということなんだろうと思うのですね。いわゆる報道の責任感、そういったものをしっかりとやはり心にとめなければいかぬのではないかというふうに私は思っています。  若干脱線しますが、私は最近の風潮の中で一つの大事なキーワードというのは責任感という言葉なのかなということを最近感じるようになっておりまして、逆に言えば責任感の欠如というような話が社会風潮の中でだんだん大きくなっているのではないか、実はそんな危惧を前回の選挙等々含めまして感じているところなものですから、この際一言言及をさせていただいたわけであります。  そういった観点に立ちまして、二番目の御質問は、これはいわゆる一般論として御答弁をいただいて結構でありますが、いわゆる報道の自由と基本的人権というものをどう位置づけて考えるのかといったことを質問させていただきたいと思います。  これは私自身考えでありますけれども、報道の自由は、当然のことながら基本的人権を達成していくための大きな役割を持っているというふうに思っています。放送法は、御案内のように、第一条の「目的」のところには「放送による表現の自由」という言葉があるわけですね。「表現の自由」ということになっています。今、私は「報道の自由」という言葉を使わせていただいたのです。  なぜそこを使い分けたかといいますと、いわゆる放送番組の中にいろいろな種類があります。例えばバラエティーと呼ばれている番組、これはある意味では、表現の自由の中で本当に楽しくていいのですね。あるいはまたいろいろな批判を、ある意味では、ジョークというのですか、そういうものに変えてやっていただいても、これは私は許される表現の自由ということに入るのだろうと思うのです。ただ、そういうバラエティーとそれから報道番組というのはもうつくり方が違うんだと。ややもしますと、報道番組がバラエティーのいわゆるおもしろさ、そういったものを逆にかなり取り入れてしまっていないかというふうに思うのですね。  ですから、バラエティーと報道は基本的に違う、そこのところの境界線が、境界線というか、それはしっかりつくるのは難しいかもしれませんが、そういったところを少なくとも考えていかないと、そういう意識を持っていないと、報道自体が極めておもしろければいい、受ければいいという話になってはしないかという危惧があります。それは私は報道の自由からの逸脱だというふうに思っているわけでありまして、そういった意味において、真実である報道、それがまさに報道番組の使命であるし、それを越えてさらに基本的人権に及ぶというような話は、これは断じてあってはならないという思いがするわけであります。  そういう発言をしますと、すぐに御批判を浴びるのですね。いわゆるこういう発言をしますと、それによって報道の自由を侵すみたいな話になるのです。そうじゃないのですね。それがすぐ国家権力だとか、そういう話になるのですね。そうではなくて、ここのところは、報道の自由はしっかり守っていただきたい。しかし、同時に基本的人権という大事な価値もあって、そこのところが、両方大事にしていこうという思いを持つことが必要なのではないですかという話だと私は思っているのですけれども、これはすぐにもう国家権力が云々だという話になりがちであります。  何言おうという話を申し上げませんけれども、今世相で起こっているまた別の分野の話も、何々の自由ということと、それからいわゆる生命、財産、身体の安全を守るということの両立てはなくて、どちらかが行き過ぎているというふうに感じてならないのですが、そのあたりの御見解をいただけたらと思います。
  30. 江川晃正

    江川政府委員 大変根本にわたる御議論でございまして、憲法の中における基本的人権としての表現の自由、他の基本的人権との調整、調和というものをどうするという議論につきましては、私、とても申し上げられる能力もその立場にもないところでございますので、そのことにつきましてはちょっとこっちへ置かさせていただきまして、それからおりてきております放送法の世界での議論で我々が考えていることを申し上げさせていただきたいと存じます。  報道の自由というのは、我々は淵源は憲法二十一条の表現の自由にたどり着くというふうに考えておりますが、放送法の世界ではそれを「番組編集の自由」という言葉で表現していると理解しております。それが三条でございます。それで、その「番組編集の自由」というのは、無限定にすべてが、その自由がどの場合でも通るのかというと、その三条自身の中に制約条項を書き込んでいるのは先生御案内のとおりでございます。  そこは何と書いておりますかというと、三条におきましては、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」こう書いてございます。制約を与えるに当たっては法律で制約するんだということを書いているわけでございますが、まさに制約を承認しているわけでございます。その制約の一つ法律で定めてある制約の一つがここで言う訂正放送にもなっている、そう我々は理解しているところでございます。そういう意味における番組編集の自由であり、その淵源をたどれば表現の自由になるな、そう思っているところでございます。  そういう意味で、放送法四条では、真実でない事項放送により権利侵害された者に対する訂正放送制度を認めているわけですが、これは、第三条に言う、法律で定める権限に基づき番組編集の自由に一定の制約を課しているというふうに我々は理解しております。  したがいまして、放送における番組編集の自由に含まれる報道の自由というのは、真実でない事項放送により視聴者権利侵害する場合には一定の制約を受ける、これはその意味では当然のことではないか、そう考えているところでございます。
  31. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 時間がなくなってきましたので、最後の質問を取り急ぎさせていただきます。  今回の改正のところは、期間を延長したり、そういった工夫をしていただいているわけでありますが、そこの根拠になっているものとしていわゆる放送法四条があるわけであります。そこのところは、最後のところで、訂正放送のことですが、「相当の方法でこという記載になっているわけですね。この「相当の方法」というのは一般用語じゃないですね。いわゆる法律用語の中で社会的相当性というような言葉があって、それからのこういう表現がなというふうに思うわけでありますが、この相当という話は、私も学生時代からずっと思っているわけでありますが、物すごく便利で、しかし、要はよくわからないことなんですね。  先ほど訂正放送の例もありましたけれども、当然、間違った放送をしたら、その影響がゼロになる、間違ったことをした人は少なくてもその程度のきちっと義務を果たすべきだ。さっき申し上げたそこまでの責任があるというふうに私は思うわけです。ですから、そういった意味において、権利侵害をされた場合に、それはもうとにかく、私自身は、侵害された事実の影響がゼロになる、それが十分になる程度のことを行うべきだというふうに思っているわけでありますが、その救済策に関しまして御見解をいただきたいと思います。
  32. 江川晃正

    江川政府委員 救済策そのものは、考えてみますと、段階的に最低限四つのことがあろうと考えております。一つは、請求期間の合理的な設定でございます。二日や三日じゃだめ。今まで二週間になっておりますが、これを今度三カ月にするわけでございますが、一定の合理的な長さが必要である。二つ目には、その番組が合理的な期間保存されていなければならないという保存義務を課してあることです。三つ目には、そういう請求された事案に対して客観的な判断ができるような仕組みができていることでございます。四つ目に、先生のおっしゃる相当の方法による訂正放送の実施ということになろうかと思います。  そこで、その相当の方法といいますのは、先ほど来私二つ実例を申し上げたところですが、私たちはそれは相当な方法だったなと考えているわけでございますが、それはその放送をやってしまった時間と同じ時間を使って、時間数は少し短くなるかもしれません、長く言ったものが間違ってましたという程度になりますから短くなるかもしれませんが、同じ影響を与える時間帯にきちっとやる。それが二度、三度であればなおいいかもしれませんが、そういうような形で、言ってみれば同等の時間帯、同等の番組の種類で訂正放送が行われるということが相当の方法の重要な一つではないかな、そう考えているところでございます。
  33. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 以上で終わりますが、この問題はこれからもぜひ詰めていっていただきたい。まだ残り、課題があるということを御指摘して、終れらせていただきます。ありがとうございました。
  34. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、高木陽介君。
  35. 高木陽介

    高木(陽)委員 放送法改正ということで、改正項目は余り多くないのですけれども、基本的な、今もずっと各議員の質問でもありましたように表現の自由、さらには人権の問題、大変重要な問題が含まれております。そんな中で、今回の法案の提出の背景、ここら辺のところをちょっと明確にしていきたいなと思うんです。  まず、法案提出の理由説明においては、「真実でない事項放送により権利侵害された者に対する救済措置の改善を図るためこれは文章だけで読みますと、なるほど大切なことだ。ただ、これがどういう論議、どういう過程を経てきたのかというのがあいまいなような感じもするのです。特に、内容の規制にかかわるもので、本来放送機関の自主的な対応、これが原則だと思うんです。ところが、今回は郵政省のイニシアチブというか、そういうのが感じられるような気もしますし、また肝心の当事者、今回の場合には放送事業者であり、さらに権利侵害を受けた市民、視聴者の方、そこら辺のところの徹底的な合意事項というか、そういう論議がなされたのか、こういう疑問がちょっと出ているのです。  そんな中で、これは民間放送連盟が「月刊 民放」の九五年三月号の「焦点」という、「背景見えない放送法改正」、こういうタイトルでこんな文章が載っています。ちょっと読まさしていただきますと、まず、  放送事業者自身が自主的なレベルにおいて必要な体制を整えこれが十分機能しており、したがって現行法の枠内で十分対応が可能なことを物語っていると考えられる。そうであるならば、逆に、現時点での法律改正の有効性・必要性について疑問が生じ、既に一部報道に見られるように、真の目的はほかに存在するとの受けとめ方が出てくるのも不思議ではない。郵政省が“学識者等の要望”を具体的な数値や事例によって明らかにしていないこと、“諸外国事例”が直ちに改正の理由とならないことなど、改めて問うてみることも必要と思われる。  加えて、今回の法案提出にはいかにも唐突感がつきまとう。調査会の設置や関係者への意見照会など近年郵政省法律改正時に通常用いてきた手続きがとられておらず、形式的にせよ利害関係者および第三者を含む議論の場は設定されてこなかった。どのような背景があってここに至ったのかについても、曖昧なままである。  「真の目的」をめぐる一つの有力な見方が、ここはちょっと聞いてくださいね。  今回の改正が契機となって放送番組関係規定の全面的な見直しへと進むのではないかとするもの。こういうような、ある意味じゃ疑問を呈しているわけであります。これは民間放送連盟の方から出しているものなんで、当事者の方ですよね。こういうような疑問についてどのような見解があるか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  36. 江川晃正

    江川政府委員 長くなるかもしれませんが、ちょっと御説明をさせていただきたいと存じます。  今回の放送法改正に当たりましては、これは先ほどちょっと大臣から申し上げたところでございますが、この訂正放送ができたのは昭和二十五年で、そのときは二チャンネルしかなかったことは御案内のとおりです。今はもう先ほど申しました二百四十七チャンネル、百九十三社が出てきているわけでございます。来年はディジタル放送が五十チャンネルふえると思いますから、三百チャンネルになろうというところです。そういう中で、放送のありようというのがもう全く質的に変化しているということが一つございます。  二つ目には、国民の権利意識が非常に高まってきておりまして、権利侵害の訴訟という事案で見ましても、この十年間を調べますと、昭和六十年に六件だったものが、平成五年には五十七件になっているというふうにやはり漸増しているわけでございます。  それからもう一つ、これは重要なことかと思いますが、二十五年から三十年、その当時の、訂正放送の規定を設けた初期のころは、保存するといっても、ビデオがございませんから、台本というんでしょうか原稿といいましょうか、それを保存してやっておくというようなのが中心だったそうで、大変物も時間も空間もかかる。それが、今やビデオでどんどん残せるということで、しかも一月分のというか、一年分のと言ってもいいのですが、それはほとんどこのテーブルぐらいの大きさでもって全部賄えるぐらいの量でカバーされているわけでございます。そういう技術進歩等々もありましたことから、学者先生などもいろいろなところで今の訂正放送制度については欠陥があるということをいろいろ言われているところでございます。  そういう中で、我々郵政省が勝手に考えたわけではございませんで、そういう声などを背景にしますと、先ほどちょっと申し上げました四つの段階的なステップがございますが、請求期間、保存期間、それからだれがどうするということがございますが、そういうものをやっていく中で、検討が十分にいかなかったかもしれない部分については残すけれども、一番大事な、直接物にかかわる部分だけを今とりあえずやっていこうというふうにしたわけでございます。そのことは、勝手に我々が考えたのではありませんで、放送事業者、それから学者の先生あるいはそのほかの、弁護士さんとか、何人もの方にいろいろと話を聞かせていただきました。集合ではなくて、一人に聞いたり、こちらに行って聞いたり、そういうことでいろいろやりました。  そういう中で、今先生が御引用なさいました本の中に書いてあります、調査会をやらなかったのはという質疑がございますが、確かに調査会をやってございませんが、調査会をやるかやらないかは手法の一つでございます。しかし、我々としては、非常に多くの人の意見を聞いだということは、自信を持って言えるところでございます。そういうやり方をして、今回の法改正にたどり着いたというふうに考えているところでございます。
  37. 高木陽介

    高木(陽)委員 今局長の方からも御説明がありましたけれども、いろいろ聞かれたと思うのですね。ただ、特に今回の問題に関しては、別に放送事業者を擁護するだとかそういうことじゃなくて、いわゆる表現の自由だとか、本当に基本的な原則の部分にかかわってくると思うので、でき得れば、いろいろ聞いたという、またはその過程を絶えず明らかにして、そして今回の法案改正に提案された方がよかったのではないかな。逆に、その裏に何かあるんじゃないかだとか、こうやって指摘されるような、そんなことのないように、この問題というのは、この改正部分だけではなくて、今後さらに大きな問題が含まれていると思うのですね。そういった中での論議のあり方、ここら辺のところも慎重にというか、ある意味ではオープンにやっていった方がいいのではないかな、こんなふうに思っているのです。これは結構です。  続いて、番組審議会の活用ということでちょっとお伺いしたいのですけれども、これも新聞の記事をちょっと引用させていただいて申しわけないのですが、これはことしの二月八日の朝日新聞の朝刊なんですが、タイトルは、「TV局に「人権ご意見番」 郵政省方針 番組審の役割広げる」というのが載っていました。  実際問題、その過程でどうだったのかということをちょっとお伺いしたいのですけれども、ここには、「「テレビ報道が名誉を傷つける内容を流した」などの理由で訂正放送を求める訴えが増えているため、郵政省放送法改正し、学識経験者らで構成している各放送局の「番組審議会」に人権問題の「ご意見番」の役割も持たせる方針を固めた。」結局、なっていないですから、そこまではいかなかったのでしょうけれども、実際問題、せっかく番審があるにもかかわらず、これがなかなかうまく活用されていないのではないか。  こうやって訂正放送請求という問題に関しまして、この番審のかかわり、それを入れなかった理由、または今後どういうふうにしていくのか、それをお伺いしたいと思います。
  38. 江川晃正

    江川政府委員 私は新聞とか雑誌とかを批判する意味で言うわけではございませんが、そういうところの方々がどう書くかについて、私は手が届かない、何を書かれても仕方がない、仕方がないではなくて、訂正も何もできないという意味で無力なわけです。そういう意味で、新聞に書かれたりしたこと、雑誌に書かれたりしたことが、それが真実がというと、まさに訂正放送ではありませんが、私は真実でないことが物すごく多いというふうに、自分自身の経験からいっても大変よく思っております。  そういう意味で、今御批判の例として新聞、雑誌のことを取り上げられましたが、それについてのお答えというか、それは差し控えさせていただきたいと思います。  今回、放送番組審議会をこの法案の中に入れようとして入れられなくなったのは本当でございますが、入れなかった理由は何かということだけに限って申し上げますと、非常に基本的な問題がそこに介在することは当然です。最低限三つのことがあります。  一つは、今の放送番組審議会は、放送事業者がその審議委員を任命するわけでございますが、言ってみれば自社の中にあるわけでございます。その自社の中にあって、私が任命するその人によってその番組の公正さを見てもらうということで、それでいいのかなという問題がございます。ということは、任命のあり方まで問われてしまう問題も出てくると思います。  二つ目には、裁判官といいましょうか、事が真実であるかどうかを見定める専門家でない方かもしれない人たち委員によって真実性判断ができるんだろうか。  それから三つ目には、そういう審議機関意見拘束力を持たせるんだろうか。それが一と言ったら一の答えで動かなければいけない、三と言ったら三で動かなければいけないという拘束力を持たせるんだろうか。それを持たせる場合に、言論の自由との関係はどう整理するんだろうかなどなど、その審議機関のことを、苦情処理と申しましょうか、訂正問題との関係で絡ませできますと、非常に大きな問題があるということは言うまでもないわけです。  率直に申し上げますと、それが十分尽くせられなかった。そこで、先生おっしゃいましたように、そういう問題もあるだろうからいろいろ研究検討するようにしろ、それは多くの人の意見を入れてと、おっしゃるとおりでございまして、我々としたらば、そういう問題を含めまして先ほど来申し上げていたら、おしかりを受けてしまったところでございますが、懇談会とでも申しましょうか、多くの識者の御意見をいただけるような場を設けて、そういう問題も含めて検討していき、今回のこの中でいわば積み残しになっているとでも申しましょうか、そういう審議機関の問題などについても、今後研究検討して取りまとめていきたいと考えている。そのことは、広く多くの人に御意見をいただきますから、かなりオープンにできると思います。一々議論を全部さらけるという意味ではございません。懇談会でやることは、必ず最後にオープンにいたしますから、その意味では決して密室的な仕事になろうとは考えておりません。
  39. 高木陽介

    高木(陽)委員 そうしますと、今局長は三点おっしゃられましたが、その第一点目の、番審で任命をする、自分の社の中でそういうのがあるという言い方でしたよね。実際問題、今回の法案も、前からそうだったのですけれども、訂正を請求する、訂正放送というかそれを請求しますよね、請求したときに、それを調査するのは、今回の法案でも、じゃ、だれなのかとなると、それは放送事業者、当事者ですよね。  こうなりますと、今のお答えですと、その辺は矛盾というか、それは自分の社の中で任命をしたりするから、これは今回活用しなかったんだというふうなことをもしおっしゃられるなら、今回も、まさに当事者が調べなければいけないという、ここら辺にもこの法案自体が欠陥があるというふうに、だからこそそういう懇談会等々をつくってやっていこうという今後の姿勢というのは理解できるのですけれども、まだまだ不十分なのかな、そんな気もしているのですが、どうでしょうか。
  40. 江川晃正

    江川政府委員 私は矛盾があることは申しておりません。  最初に、今御指摘になりました任命権を持つ番組審議機関によって十分公正さが確保できるのかということ自身については、そういう問題があるということを言っているのでありまして、そのことは率直に外部の第二者が入る必要があるかないかという議論とつながってきますし、それから、そうすると任命の仕方もどうなんだという問題につながるということを申し上げているわけです。  その問題性があることを承知の上で、それじゃ今何もしないのかというと、その基本的な問題を次の検討課題として残しながら、とりあえず国民との関係で一番重要な請求権の期間と保存の期間を今回定めていこうというところにあります。  それから、もう一つ大事なことは、今までは確認の手法について何も書いてございませんでしたが、今回の法律では「視聴」と、見る聞くという言葉を入れました。それは訴える人も視聴できますし、向こうも、彼らもともに視聴できるということで、一歩手法において前進したものと私は考えております。百点ではありませんが、やはり前進したものだ、そう思っております。
  41. 高木陽介

    高木(陽)委員 この論議でずっといきますと堂々めぐりになってしまうと思いますし、逆に言えば、本当にこれからマルチメディア化して放送と通信も融合してくるだとか、そういった問題の中で、この訂正放送請求の問題だけじゃなくて、これは広く検討をしていただきたいと思いますし、またこれは郵政省という主管官庁だけでやるのじゃなくて、本来は報道だとか、携わっている当事者がもっともっと自主的に自分たちを自己チェックしていく。  実際問題、マスコミ、いわゆる報道機関等々は権力をチェックするという役割がありながら、ではマスコミなり報道機関をチェックするのはだれなのか、これはまさに国民であり、市民であるわけですけれども、そういうシステムというのはまだ日本には確立されていないというのが現状だと思うのですね。これは郵政省に言ってもどうしようもないと思うのですが、自分も報道出身なだけに、この問題ずっと考えてまいりました。そんな中で、いろいろ機会を通じて意識を高めていかなければいけないかな、そんなことを痛切に感じています。  続いて、今回の人権救済、いわゆる「真実でない事項放送により権利侵害された者」、これはなかなかうまい言い回したなと思ったのですけれども、では真実であればいいのか。これはよく言われるプライバシーの侵害ですね。さらには一昨年ですか、椿発言だとか、そういう報道の公正、公平性ということでいろいろと論議されましたけれども、特にプライバシーの侵害においてそういうところで被害を受けた人は、この今回の法律には救済措置としてはないと思うのですね。ここら辺のところをどういうふうにしていくのか。これは今さっき申し上げた、まさにそれぞれの放送事業者報道に携わる当事者たちが真剣に考えなければいけない問題なんですけれども、この点について郵政省としてはどうお考えなのか。
  42. 江川晃正

    江川政府委員 まさに先生今御指摘なさいましたように、この訂正放送という制度、仕組みに乗っかってプライバシーの侵害を救済できるかというふうに尋ねたらば、これは問題が違います、できませんというお答えをせざるを得ない状況だと思います。そこは先生も御承知の上でそういう御質問をなさっていらっしゃいますので、それ以上申し上げませんが、しかし、ではその訂正放送とは違うけれども、放送によってプライバシーが侵害されたときにはどうしたらいいのだ、今は民法上の不法行為でもってやる以外にないというふうになっておりますが、では放送の世界ではどうするんだというふうに、特別法でこれを考えるということも問題としてはあり得るわけでございます。  そういう意味では、今ここでにわかにああします、こうしますというよう議論は軽々に申し上げられませんが、先生のおっしゃいます意味でのプライバシー侵害とのかかわりを民法だけにゆだねておいてよいのかという問題意識を持って放送法の世界にこれを置きかえたらどうかということも、先ほど申しました識者を集めた懇談会と仮に申し上げるならば、その懇談会などで課題として議論していただき、道を探っていきたいな、そう考えているところでございます。
  43. 高木陽介

    高木(陽)委員 結局は今の民法上の手続でやるしかない、いわゆる訴訟ですよね。先ほどからも、ほかの委員の方の御質問の中で、いわゆる人権侵害訴訟の推移だとか局長の方からもお答えがあったみたいで、やはりふえているのは事実だと思います。  ただ、多くの人たちというのは、例えば侵害された、どうしようと思っても手だてを知らないという、これがまだ日本が本当に訴訟社会、アメリカみたいな形になっていませんし、そんな中での救済策というのは、それは考えていかなければいけないし、またこれが逆にいわゆる国家権力というか、郵政省なりそういう免許を発給する方ですから、そちらの方がいろんな注文をつけてしまうと、逆にその報道の自由なりというのが狭められてしまうという、これは本当に微妙な関係かなという感じもするのですね。そんな中で、せっかく今回こういうふうに期間延長だとか法改正をするに当たって、今回のこの五条なりを生かしていかなければいけないと思うのですね。  それなのに、また次の例を引いてしまってちょっと申しわけないのですけれども、これは雑誌の「世界」ですね。余り雑誌だとか新聞を取り上げると、局長の方からまた、いろいろと信用できないと言われるかもしれませんが、そんな中で、これはさらに引用したもので「放送レポート」、メディア総合研究所が出したレポートらしいのですけれども、そんな中にこんなことが書いてあるのです。  東京のマンション販売会社がフジテレビなどを相手にする損害賠償請求訴訟で、東京地裁は昨年一一月テレビ局側に三三〇万円の支払いを命じる判決を言い渡した事例である。問題となった番組放送後、マンション販売会社は「テレビ局に抗議、問題の個所を手直しして再放送することを求めた。しかし、局側は訂正や再放送に応じなかったので、やむなく裁判に踏み切った。(その販売会社は)訂正放送が法定されていることは知らず、それについて局側は何も言わなかった」とこのレポートは伝えている。こういうのがありまして、さらに実際私も、そういう訂正放送があるというのを今回の法案を審議するに当たって知りました。  多くの国民、市民というのは、これは知らないというのが現状ではないかな。別にこれを宣伝しろ、どうのこうのということじゃなくて、やはり権利を守っていくということにおいて、せっかくこうやって法改正しながらそれが伝わらない。これは放送法だけじゃなくて、本当に国会でいろんな法律ができた中でそれが伝わらない。ただ、人権という、当事者が国民という、そういう問題においては何らかの措置を講じなければいけない、いわゆる社会的な認知させる作業というのは必要じゃないかな、そんな気がするのですが、そこら辺はどうでしょうか。
  44. 江川晃正

    江川政府委員 たまたま私、御質問があったらこの例を挙げようと思って用意したのが先生がおっしゃいましたその例と同じでございまして、三百三十万円の話でございましたから、これは本当に三百三十万円の損害賠償が認められたのですけれども、認められまして、控訴されず確定したというところでございますが、先生おっしゃいます、そうはいっても、知っている人はやるけれども、知らない人は全然やれないではないか、そういうことについてどうなのかということにつきましては、まさに私たち怠慢であってはいけないと思います。いろんな機会をとらえて、こういう仕組み、制度があるということを多くの方に周知することが必要だろうと思います。  具体的には、今回法律が幸いにして通りますと、六月、そのときに通っているかどうかわかりませんが、六月には情報通信月間というのが郵政省主催でやります。そういう中で、これは一カ月やりますから、ぜひそれまでに通していただければありがたいと思いますが、通った後でセミナーなどを開いて、訂正放送、今回こうなった、ああなったという、国民のためによくなったという部分のことの周知をいろいろなセミナーその他で図られるようにしていきたいと考えております。これはたまたま六月のそういうことでございますが、そればかりではありませんで、我々の地方の局の担当の者を集めたりして、地元における周知もこういうことをやってくれなどなど、いろいろやっていきたいなと考えているところでございます。
  45. 高木陽介

    高木(陽)委員 続いて、先ほども出ていましたが、具体的な訂正放送のあり方というか、形態ですね。局長の方は「相当な方法」というのを、同じ時間帯だとか、同じ時間ということをおっしゃられて、これはまさに重要なことかなという気もするのですね。  というのは、私も新聞記者出身だったもので、新聞もよく訂正、おわび記事というのが載ります。ただ、多くの場合はでっかく載っても、それで抗議等が来て、または間違いに気がついて直すときは、新聞の片隅に訂正という小さな形で載るというのが大半ですね。余りにも社会的影響が大きい場合は囲みにしたり大きな形で扱うのですけれども、いまだにそういうよう傾向があるのではないかなという気がするのですね。  これは新聞なんですけれども、テレビの場合もよくあるのは、訂正放送という形ではなくても、何となくその放送中に、最後キャスターなりアナウンサーなりが、ただいまの放送時間でどうのこうのと、ちょこちょこっと言って終わらせてしまうみたいな、そういうのがあって、今回の場合は、ちゃんとした訂正放送という形で規定されていますので、そこら辺のところがまあ「相当の方法」、同じ時間またはそういう時間帯ということを意識されたのかなという気がするんです。  ただこれも、あくまでもその放送事業者、それぞれの放送局の独自の判断というのが原則なのかな、こういう気がするんですが、ここら辺のところはどうでしょうか。
  46. 江川晃正

    江川政府委員 放送事業者の自由な原則という状態ではございません。これは放送法四条にはっきりと、条文の言葉で読みますと、放送をした事項真実でないことが「判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法でこ云々と、こう書いてございます。そういう意味では、原理原則というようなものを事業者の自由に任せて立てさせているという形ではございませんで、これだけの枠を法律がきちっと事業者に課しているところでございます。  その意味では、「その放送をした放送設備と同等の放送設備」という設備の面に着眼しているところでございますが、これは、その放送の広がる範囲と、それから出力の大きさと、みんなそういう技術論で書いているわけでございますし、また、「相当の方法でこというところが、先ほど申しましたように、午後七時のニュースだったら、やはり人が見る同じ時間帯でというふうにやるということで、具体的にはそういうふうにやっているわけでございます。そういうところがここで言う「相当の方法で、」。  それが新聞だと確かに、確かにと言ってはいけません、新聞ではこういうふうにやって、小さく訂正するというのを間々見かけるところでございますが、ちょっと新聞と比較するのも私どうもできかねるところですが、一応我が放送の世界では、こういう条文のもとに、その時間帯を利用して、先ほど来例を申し上げましたが、訂正放送をしているということで、まあ相当の方法でやっているんではないかなと私たちは評価しているところでございます。
  47. 高木陽介

    高木(陽)委員 時間も大分なくなってきましたので、最後の質問というか、考え方をちょっとお伺いしたいなと思っているのですね。というのは、ずっと先ほどからも述べています報道の自由、表現の自由、こういうものと、公正な報道関係性というか、「真実でない事項」というのはすごく私の場合こだわっていて、真実って一体何だろうという、これはすごく難しい問題だなと思うんですね。  実際問題、私も記者をずっとやっていた中で思ったのは、真実と事実というのはやはり違うなと。例えば、ここにコップがあります。例えば目の不自由な人がこのコップをさわります。これは冷たいなと感じる。これも事実ですよね。でもこれは全部をあらわしているわけじゃおりません。  新聞だけじゃなくて、放送記者、いわゆる放送における報道番組等もそうなんですけれども、ある側面はあらわしていると思うのです。ただ、そういうような中で、では十取材したから十分部報道しているかというとそうではありません。自分自身の体験からいっても、十取材したらその中の象徴的な一を取り上げます。その一を取り上げたときに、それがもうそこで主観が入っているわけですね。そうなりますと、公正な報道というのは一体なんだろう、こういう疑問がずっとあって、あの椿発言以来この一年半、自分も考えてまいりました。  そんな中で今回、「真実でない事項放送」という、こういう規定の中で、一体真実というのはだれがわかるんだとか、放送事業者に訴えた、請求をした、放送事業者は、いやこれは真実なんですと。いろんな調査はするのでしょうけれども、客観的な真実というのはなかなかだれもが証明できないというのが、報道の現場にいても、またはそれを見る側、聞く側、いわゆる市民の側においても、それはなかなかわからないというのが現実ではないかな。そんな中でも、でもやはりここで言われているその基本的な人権を守っていかなきゃいけないというのは大原則ですから、その上でいろいろな方法を駆使しながら一つ出てきた今回の期間延長だとか、そういったでき得る限りの保護のあり方だと思うんですね。  そういった中で、今後さらに、先ほどもちょっと申し上げたマルチメディア化していく、いろいろ多チャンネル化していく、本当にメディアがふえていく。そして放送局の中においても報道局があり、情報局というのがあるのかどうかわかりませんけれども、例えば、ワイドショーといわゆるニュースと違うメンバーが取材をする。いろんな形で本当にごちゃごちゃになってきているというのが今の現実じゃないかと思うんです。  そんな中で、今後の、いわゆる人権を守っていく、また報道、表現の自由を守っていく、そして公正な報道というのはどういうふうにしてやっていってもらうか、ここら辺のところ、総合的ですごく抽象的なことなんですけれども、大臣にお伺いして終わりたいと思います。
  48. 大出俊

    大出国務大臣 今お話しの、椿発言の例を挙げておられましたけれども、最終的に報告書も出てきて、決着をつけなければならないということになりまして、そのとき私はこの席にいましたので、大変苦労して予算委員会質疑の中身、逓信委員会の中身、議事録ですが、証人喚問議事録、ほとんど読んでみたんですよ。それでしみじみ考えるのは、今の公正という問題も真実という問題も、質問者個々の主観がほとんど入っている公正であり真実なんですね。あるいは椿さんに言わせれば、やはり同じようなことがあると思うんですよ。  そうすると、これ今お話ございましたように、放送法三条の二項に、  一 公安及び善良な風俗を害しないこと。  二 政治的に公平であること。  三 報道は事実をまげないですること。  四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。この四つしかないのですね。いろんなことがあるから、こう書いておけばいろいろ主観があっても大体ここに集約されている、こういうことになるのですね。ですから、今の御質問について申し上げれば、つまりそういう、今申し上げた放送法にございます三条の二項、いや失礼しました、三条の二でいいのですね。  放送番組編集の自由を保障する、番組編成の自由を保障する、こういうことなんですが、また他方で、放送が、言葉で積極的に視聴者に語りかけて、また映像という非常に強烈な印象を与えるメディアであるという、そういう特徴を持っている。ということになりますと、今申し上げた三条の二という枠があるんですよ。自由なんですけれども、この中で放送業者は番組編成その他をやって放送をしてくださいよというこの枠を設けている。だから、この自由というのは、この枠の中における自由だということに法律的にはなるのですね。  しかし、さて、この項目について、そこから先の基準が何もないのですね。そこで、実は私は、できることかできないことか、郵政省というだけでやったら僭越なのかもしれない、しかし、江川さんに、できるだけこの際いろんな方を集めて、衆知を集めて、これしかないんだけれどもそこから先どうしたらいいんだという、それがどこにつながるという意図でなくて、そこから先どうすればいいのだろうかということをテーマにして、一遍たくさんの方の意見を聞いてみてくれということをお願いしたのですよ。  それがずっと流れてまいりまして、さっきの、多メディアの時代にこうするんだという、懇談会をつくろうということに、初めてこれはきょう申し上げるのですけれども、きょうからそういうことにしてくださいというのが江川局長の言い分ですが、そういう流れで来ておりまして、だからそこで、いろんな今の御指摘ごもっともなんですが、この中でひとつ、これから詳細に今度少し突っ込んで議論をしていただこう、こう思っております。
  49. 高木陽介

    高木(陽)委員 もう時間が来ましたので以上で終わりますが、本当にこの問題は三十分だけでは解決できないような問題なので、今後もこの委員会等を通じてしっかりと論議をしていただきたいと思うし、自分もしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。
  50. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、金子徳之介君。
  51. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 マルチメディア元年と言われてから三年目を迎えております。世界の流れの中で、日本が決してそれにおくれるようなことがあってはいかぬというようなことで、各般にわたる御尽力をいただいている中での今回の放送法の一部を改正する法律内容でありますが、二、三について御質問をいたしたいと思います。  、江川局長、大変お疲れのようでございます。もう毎回答弁にお立ちになっておりますが、私は、その放送法内容に触れる前に、一つの前提の状況を把握しておきたいということで、きょうは文部省から金森青少年教育課長さんに御出席をいただいているわけであります。  まず最初にお尋ねをいたしますけれども、昨年来より全国でいじめの報道の問題が大分出ておりました。その中で東北地方でも、例えば運動用のマットにくるまれて亡くなった子供が実際いじめに遭ったというような問題等の報道がありました。これは、ニュース報道されている分野ではよかったわけでありますが、後でのワイドショー等のいろいろの問題の中では大変なショッキングな大きな影響というか波及というか、そういうインセンティブを与えるような事件であったろうと思いますし、また、私どもの身近な県内のそういった事故等がいじめかどうかということの報道の選択の仕方に随分悩んでおったようであります。  それだけではありません。最近の深夜放送、これを見られた方はどうでしょうか。それぞれこれは考えが違うと思います。私はちょっと行き過ぎの面があるかな、絶えずモザイクでもって前張りにしなきゃならないようなああいうエログロ放送というものが、果たして青少年教育にどんな影響を与えるのかなというようなことを心配しているわけでありますが、どうせそうならスウェーデンやデンマークのようにもう全部見せたらどうだ、あんなモザイクだから余計興味を持つということなのですが、まず、この点について金森課長の所感のほどを伺っておきたいと思います。
  52. 金森越哉

    ○金森説明員 お答えを申し上げます。  今日の情報化社会の進展の中で、子供たちの周りには、先生指摘ようテレビを初めとするいろいろなメディアがあふれておりまして、こういうメディアが子供たちに与える影響というのは大変大きいものがあると考えております。特に、テレビにつきましては、ほかのメディアに比べまして子供たちがこれに接する時間が長く、また子供たちへの影響力が大きいという指摘もあると承知をいたしているところでございます。  御指摘のございましたいじめの問題につきましては、その原因とか背景、それぞれのケースによってさまざまであろうと思いますけれども、私ども、この問題の解決のためには学校や家庭、地域社会がそれぞれの役割を果たして、一体となった取り組みを進めていくということが重要であると考えているところでございます。  それから、いじめの関係テレビなどの各種のメディアが子供たちに与える影響というのも大変大きいものがございますので、文部省ではいじめ対策緊急会議が本年の三月に「いじめの問題の解決のために当面取るべき方策について」という報告を取りまとめましたが、その中でも、メディアが子供の成長発達に極めて大きい影響を与えているということを指摘いたしまして、その内容が不適切なものにならないよう関係者の理解と協力を呼びかけたところでございます。
  53. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 今、深夜番組の方にはお触れになりませんでしたが、これは文部省の教育的な見地からは当然だろうと思いますけれども、私が本当に伺いたいのは、例えばいじめが出て自殺者が出る、一種のマスメディアによるこれはマスヒステリアというか、まあ集団ヒステリー状況になって、どこかに事件が発生すればそれと類似した行為でもって、流行という言い方は変ですけれども、そういうものが次から次へと発生してくる、あるいは発見されるのかもしれませんが。  そうした面で私は、文部省、これは教育の現場でマスメディアに対して何か言い分があるはずだと思うのですが、その言いたいことを率直におっしゃってください。
  54. 金森越哉

    ○金森説明員 お答えを申し上げます。  テレビ番組などのマスメディアの内容の問題につきましては、いろいろな意見考え方があろうと思いますが、いずれにいたしましても、テレビなどが子供たちに与える影響というのは大変大きいものがございますので、それらを十分踏まえまして、学校や家庭、地域社会、それぞれの立場で子供たちの健全育成に努めていくということが大切であるというふうに私ども考えておるところでございます。
  55. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 課長、大変苦しんで御答弁なさっていることはわかります。これ以上はお伺いしません。  私は、逆に今度は放送法に戻りますが、実は放送法改正という目的は、先ほど先輩・同僚委員がそれぞれ御質問されましたが、全部重複いたします。したがって、その話題の外にあるものを、大変通告外にわたるかもしれませんが、失礼はお許しいただいて、お尋ねをいたしたいと思います。  まず第一点でありますが、いろいろとこの訂正放送のあり方について、請求期間あるいは番組の保存期間、これを三カ月といたしたわけでありますけれども、三カ月というふうなめどを持った理由もレクチャーの中で聞かさせていただきました。先ほど、それぞれ各国で行われている、先進国の事例等の説明があったわけでございますけれども、とりわけ質問の中で一番大きな、今後の訂正放送のあり方についてどうするかということの対処、対応の仕方、それが反論権の保障ということでやっているドイツの事例が出ましたし、あるいはまた、イギリスようにBCC、放送苦情処理委員会、そういったものをつくるべきじゃないかという御意見もあったわけであります。  その中で、今度のこの放送法の一部を改正する法律が出されると同時に、各マスコミの反論がありました。具体的には申し上げませんが、これは去年の十二月十七日の朝刊メディア欄「郵政省放送法改正に着手」ということで、NHK以外の在京の民放テレビ各社の延長措置に対する見解が紹介されたわけであります。いずれも、現行法の期間で問題ない、あるいは人権侵害番組保存期間の関係を厳密に検証してからやるべきだというよう意見、そしてまた、大幅に延長すれば名誉回復につながるという単純な議論にはならぬという、そういったもの。  それから、もう既に江川局長のところでこういった感想等は把握されておられると思いますけれども、この三カ月としたのは経過なのか、将来はまた延ばしたり縮めたりというようなことまで柔軟に対応しようとするのか、その考え方をまず聞かせてほしいと思います。
  56. 江川晃正

    江川政府委員 この訂正放送に関しましては、先ほど来申し上げましたが、四つの段階で、直すというか、手を入れるべきものがあるなと考えている、その最初のところに請求期間、保存期間というものがあるわけでございますが、学者先生とか放送事業者とか、それから世の中のいわゆる識者みたいな方々にも、たくさんの方にいろいろ話を伺いました。  その結果、その場合には話としては抽象的に出るわけです。今の二週間ということでいいますと、それは余りにも短くて、もっと長くすべきだ。その方に、じゃ、どこまでにしましょうかと聞いたときに、直ちに三という数字が出る人ばかりでは必ずしもないわけです。確かにもっと長い方がいいよというのが、中には一年と言う人もいらっしゃいましたけれども、それは別としまして、要するに、伺っていきますと、今の姿ではだめだというのだけは大体共通でございます。長くしようというのが一点。  それからもう一つは、そういう意見の中で、余り長いと放送事業者に過度な負担をかけさせてしまうから、それはいかぬよという、言ってみれば方程式を言うわけです。方程式の中で、じゃ、余り長いというのはどのくらいなのかということをまたいろいろと聞いてみると、その人は必ずしも意見は出ません。しかし、世界はどういうふうになっていますというようなことを、先進国の権利に対して非常にセンシティブな国々がこうなっているという話を事実として申し上げますと、ああ、それは大体いいかもしれないねと。かつ、放送事業者の目で見ますと、それくらいならば、いわゆる今申しました過度な負担にはならないと判断するというようなやりとりがありまして、これは決して我々がリーディングクエスチョンを出してやっているわけではございませんで、対等にお話を伺いながらやっているわけでございまして、そういうようなことの結果として、ヒアリングのどなたがどう言ったかということはいっぱいございますけれども、要するに大体今申し上げたようなことがヒアリング結果となっているところでございます。  そういうことで、ヒアリングの結果としては、まずは三カ月程度が妥当ではないかという意見が大体、そうなったということが一つございます。二つ目に言うと、三カ月ぐらいならば過度な負担にはならないという事業者側の判断がありました。それから三つ目として、先進国において三カ月を超えているところはございません、私たちの調べた範囲では。最長と言ったら最長でしょうか。九十日というような言い方をしたり三カ月と言ったりしておりますが、大体三カ月。そういうことから、大体この辺が世の中の、日本国における落ちつきどころだなということで、三カ月ということが妥当だという結論を得た次第でございます。
  57. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 バランス的にということであります。まあそれは一応の納得はするわけでありますが、ここで確認しておきたいことが二点ほどありますが、これが民事問題になった場合ですね、その場合のいわゆる番組請求権等をどのように措置、また担保されているのかということ、この番組を提供せいという、証拠物件としてですね。  それからいま一つは、著作権との問題が当然あるだろうと思うわけですが、そうした場面でもきちんとクリアできるのかどうか、その辺をお聞かせをいただきたい。簡単で結構です。
  58. 江川晃正

    江川政府委員 二つございます。  証拠物件という点では、本件、証拠保全の申し立てをした場合は、三カ月を経過した後でも引き続き保全が可能になります。  それからもう一つ、著作権との関係では、これを三カ月にしたというのは、余り、余りというか、例えば六カ月ぐらいとなりますと、著作権上の他の問題が絡んできまして、そのオーケーをとらなければ置いておけないというような問題も出てくると承知しておりまして、そういう意味で三カ月が一応限度がなという形でやっておるところで、三カ月以内でしたらば保存することに著作権上の問題はないと理解しております。
  59. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 先に進めたいと思いますが、さきの質問答弁の中で、将来は本当に第三者機関といいますか、放送法三条の二、これにかかわることなく第三者機関によってやるべきではないかというような印象を私は受けとめながらその答弁を伺っておったわけですが、特に大臣の御答弁の中で、これからそういった幅広い意見を徴しながらというお話が、御答弁がございました。  既存の各事業者が持っておる、しかも事業者がそれぞれ第三者委員を委嘱してつくっております放送番組審議機関、番審と言うのですか、この番審だけでは信頼が置けないということであれば、それじゃ一緒にこの番審機関の活用、第三条の四についてもあわせて、この番審のあり方について法を改正すべきではなかったかと思うわけであります。  私は基本的に、この問題を取り上げて、そしてこの放送法の内部に直ちに結論をぽんぽん出すというような形のものには、非常に重要な要素がこれからいっぱい出てくるんじゃないかと思います。また反論も出てくるだろうし、それから先ほど真実報道とは何かという、真実という、そのあり方、哲学的なといいますか、単なる修辞学的な問題だけじゃなくて、そういった場面までこれは及んでいくわけですね。そうした中でどんな組織をつくろうと、どんなやり方を、第三者機関をつくろうと、これは未来永劫に平行線の部分というのがあるだろうと思います。  そうした意味で、今回、この放送番組審議機関の活用に関して、この法改正が見送られた理由がもしあったのであれば、大臣の御所見をお聞かせ願います。
  60. 江川晃正

    江川政府委員 放送番組審議会といいますのは、放送番組の適正化を図るため、放送事業者の内部に設置された機関で、外部の学識経験者によって構成されているのは先生御案内のとおりでございます。  今回の改正で、真実性判断の公正さを確保するためこの番組審議機関を活用するということも検討をいたしましたが、御案内のようにただいまの法律にはこの部分は入ってございません。その理由は、この問題で審議会を活用するとなると非常に大きな根本的な問題が出てきて、その整理が今回はつかなかったというところが結論として言えるところでございます。  どういう問題があったのかというと、一つは、その番組審議会で公正さが十分確保できるのだろうかということについての客観的評価がございます。それは、社長である私が任命し、私の会社の中でつくられた審議機関でございますから、その私がやった放送についての公正を判断するというのはいいんだろうかな、そういうふうに問われるという本性必然的な性格上の問題がございます。  二つ目は、その道の専門家でない委員によって真実性判断ができるのだろうかということが、委員に対しては大変失礼な言い方かもしれませんが、一般論としてあるわけでございます。  三つ目は、番組審議機関意見というものに、判断してもらう以上は、拘束力を持たせることが必要になるのだろうか、あるいは拘束力を持たせなくてもよいのだろうか、持たせないとしたらどうなんだろうか、持たせるとすれば、番組編集に対するある種の変更を強制するわけでございますから、そういうことがいわば番組編集の自由とのかかわりにおいてどう評価されるべきなんだろうかというよう部分が深く出てくるわけです。その辺の議論も十分我々はいたしました。何もしないできょうここへ来たわけじゃありませんで、いたしましたが、大変深い問題があって処理し切れなかったというのが現在の姿でございます。  そこで、訂正放送における先ほど申し上げました四つの段階における最初の二段階、請求期間と保存期間、とりあえず被害を受けた人たちに即救済の手になり得る手法としてこれだけは延ばそうということでやったというのが今回のことでございます。  さらに、あえて申し上げますならば、積み残したそういう問題につきましても、先ほど来申し上げております多くの識者の方々の御意見をいただく姿の中で、今申し上げたような問題の深さについてもいろいろ御議論いただこうかと考えているところでございます。
  61. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 大変御苦労なさって二十一名余に及ぶ方々からヒアリングをとられた、その労を歩といたしておるわけであります。しかし、ここで私は非常に危惧をしておるのは、内部機関である各局が持っておるこの番審、これは、みずからを真実かどうか裁く、そうした組織については機能しないのだ、マンネリ化してしまってもうやっていないのだという判断の前提で物事を進めるとすれば、これはやはりもうマスコミ界の堕落と言われてもしょうがないのじゃないかなと私はあえて申し上げますが、こういう事例があるのですよ。  これは時間がありませんから簡単にやりますが、一昨年になりますか、いろいろ政界再編のうねりの中で、私はまあある人と表現するかと思ったけれども、あえて自分の事例で申し上げます。  一つの派閥が解消しました。そのときに、もうテレビを担いだマスコミの皆さん方がどっと押し寄せて、私は、ノーコメントだ、しかも、この派閥を解消することは、新しい政策集団として生まれ変わりたいからそうなんだと言ったのですよ。映った番組を見ましたら、これはワイドショーで、夜中にみんなからしかられたのですがね、支持者から。彼は派閥の論理で云々ということで別な解説がなされているのです。私の言ったことは全く報道されていない。  それから、再編の中で、やはり我々にとっては命がけの不幸な出来事あるいは未来にかけた出来事と言ってもいいかもしれませんけれども、あったときに、テレビ、民放、ある会社でありますが、ぱっとライトを照らす。私は眼鏡をかけていますからまぶしいです。その上の方が毛がありませんからなおまぶしい。さっとこう手をやったのですがね、何と解説者が言ったか。女性のキャスターですよ、なぜ顔を隠すのですかという、こんな無礼なことを言った。私は怒りに震えました。これが本当のもし真実ということで、ここで解き明かされるならば、私は敢然と今うつぼつたる思いでそれに抗議したい、まあそのような気持ちがあったということをまず申し上げておきたいと思うのです。  よく選挙で誤報がありますわね。当確出てから消えるのです。昭和六十二年なんか、もうこれは民放の方で大変いろいろやってくれまして、私は二回落選させられました。そしてようやく三度目に上がってきたというようないわくつきでありますから、なおさら真実報道というものは何か、プライバシーの侵害や人権侵害ということにアンタッチャブルというような形で目をつぶっていいのか。みんな怖がっているのです。後でやっこさんあんなこと言うとみんなマスコミの皆さんにたたかれるからざまを見ろと思っているかもしれない。この表現、大変雑駁になりましたが、お許しをいただきたい、まあこの辺にしておきます。  そういったことで、これから第三者機関をでは設置するという方向になった場合の、逆に言うと今度はその裏腹の問題で私は非常に危惧を感じるのです。憲法第二十一条表現の自由、言論の自由といいながら、第三者機関ということで独立機関をつくって、それが完全に今度は機能した場合どうか。これはやはり言論の抑圧であり、また報道の自由に対して手かせ足かせをはめることになる可能性がある。そうした面で、私はやはり最もいい方法というものは、今の番審というものを改正をすることででき得る限りの、このあまねく公平なということにこたえていくべきだ。報道の自由、そしてまた真実をいつもニュースとして報道するという姿勢、基本的な姿勢というものも守っていかなければならない。  それから、私は、今視聴率優先の時代になって、視聴率を上げるためならば手段を選ばずということがもしあるとすれば、それは四月は新入社員をどこでも採用する時期ですから、そういう教育を何らかの形で報道界にもやってもらわなければいかぬな。これは活字媒体も含めて、先ほど同僚委員からのお話にございましたとおり、間違った場合には修正は小さく虫眼鏡で見るほどしか出ない活字媒体もあるわけですね。  そういった事例を挙げていくならば、やはりもろ刃のやいばとしての放送法改正、極めて慎重かつ時間をかけた論議が、議論が今後も必要であるし、また、これで改正は終わりだということにはならない。法制上の問題を云々するだけではなくて、やはり今後の国民の民度を高め、文化的な本当のマルチメディア時代にふさわしい多チャンネル化あるいは内容のあるこれからの主権国家としての日本の国民の需要に真の意味でこたえていく、そういったものをぜひ実現してほしいな、いろいろと問題が山積されているところであります。  そうしたことでぜひ、今、例えば戦争の反省一つについても議論がされている最中でありますから、放送法との絡みで私は云々は申し上げません。やはり自由で闊達で本当にやすらぎのある国民生活が、例えばドイツ等ではこれは各州ごとにそれぞれの基準が決められておりますけれども、娯楽として国民が楽しめる部門も提供しなさいよということをイギリスもやっている、フランスもやっている。そうしたことをきちんと、単なる興味本位でもってプライバシーを暴き、目を覆うようなことがあの松本サリン事件等ではありましたね。結果的には、今また新しい展開を見せている。そういうことを繰り返してはいけないのだろうなというふうなことから私は申し上げるわけでありますが、その件について、今後審議機関のより独立性の高い第三者機関を設置すべきとの意見が多少出たように私は受けとめましたので、大臣からの御所見を伺いたいと思います。
  62. 大出俊

    大出国務大臣 金子さん、先ほど申し上げましたのは、今後多メディア・多チャンネル時代における放送をめぐる諸課題について懇談会を設置する、懇談会、こう言っているわけでございまして、実はこれは非常に複雑な背景がございまして、例えば災害基本法について五十一条、その他NHKにかかわる問題などございまして、私の答弁放送法改正と受け取れるということで、たくさんいろいろな方からお話があるという、そういうことですから、今お話のございました憲法二十一条ございます。公正、公平とは一体本当のところどういうことなのか、あるいは真実とは、つまり主観的にではなくて、第三者から見て公平な真実とは、あるいは公平、公正とは、いろいろな問題がございます。  ですから、古い法律でございまして、さっきから申し上げているようなNHKのラジオ二波の時代でございますから、私自身は個人的には、もうこれは何とかしなければいけないなというふうにずっと思ってきているわけでございます。しかし、これはよほど慎重に、しかもよほど時間をかけてやる腹を決めないと、そして、その法改正に触れるという正当性が皆さんの意見として出てきて、こういう正当性があるからということに、一般的に通用する正当性、そういうものが出てきてからでないと非常に混乱をするという心配をしながら、しかし、手をつけなければいけないなという気がして、椿発言のときに、実は徹夜みたいなつもりで議事録を全部読んだ経験があるのです。その結果として、懇談会でも何でもいいけれども、やはりこの問題については衆知を集めるということが必要だな、時間をかける必要もあるなと思っているということでございまして、考え方はそう違ってはいないのですけれども、慎重にと思っております。
  63. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 時間が参りました。  通告以外の分野まで含めて御答弁をいただいたわけでありますが、この放送法改正はまだ緒についたばかりであるというような認識を私自身も持ち、また、大臣答弁、あるいは政府側も、郵政省もそのような認識に立っておられるだろうというふうに推測、あるいは確信と言いたいところですが、を持って、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  64. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、矢島恒夫君。
  65. 矢島恒夫

    ○矢島委員 訂正放送請求期間を延長するという改正案、基本的に賛成でありますけれども、その上に立って幾つか質問させていただきたいと思います。  まず、法案についてですけれども、いわゆる三カ月という今回の改正先ほど論議されました。その経過については既に局長の方から説明がありましたが、まだ不十分だという意見もあるわけです。  それで、これまでの訂正放送の実例を聞きますと、例えば顔写真を間違えだというような単純なミスというものについてはさほどの期間は必要ないだろうと私も思います。しかし、後日になって事実が判明して、放送が事実でないということが明白になる場合もあるだろう。  例えば、今サリン事件がいろいろ報道されております。昨年の夏に松本サリン事件というのがありましたけれども、事件直後、警察の初動捜査のミスもあって、第一通報者である方が、いわゆる被害者なのに容疑者扱いをされたという。本人は一貫して否定しておりましたけれども、当時もしこの方が訂正放送請求されても、では、しましょうということにはならなかったろうと思うのです。一般的に、その後の事実の発展によってぬれぎぬが明らかになるといいますか、そういうことは今後もあり得ると思うのです。  訂正放送請求期間と放送番組のいわゆる義務的な保存期間の関係では、先ほどもお話ありました著作権法との関係、これも考慮する必要があると思います。  それで、先ほどお答えがあったのですが、著作権法で放送番組の一時間定は最長六カ月となっていると思うのですけれども、この範囲までは請求期間を延長することは可能ではないだろうか。今までのいろいろな御説明の中で、確かに多くの事例が三カ月あれば大丈夫という御判断、また、そういう御意見をいろいろと学識経験者そのほかから聞いて決めだということですが、事実でない放送により人権が犯された場合に、もちろん被害者の救済はできる限り措置しておく、九九%救済されたとしても、残り一%の救済ということも十分考慮する必要があるのではないか。  期間の問題で何かお聞きしたいと思います。
  66. 江川晃正

    江川政府委員 期間の延長につきましては、著作権法とのかかわりのみで事を決めているわけではございません。世界がどうだからということは必ずしも決定的な要因というわけではございませんけれども、人権に関する先進国である国々がこの点をどう扱っているかというのは大変参考になるところでございます。そういうところが三カ月あるいは九十日というふうになっているということが一つと、それから、我々国内におきましても、現実に識者の御意見とか放送事業者意見とか、方々の意見で、三カ月というのはまあ合理的ではないかというふうにいただいておりますから、そういう意味で三カ月というところに落ちつかせたといいますか、落ちついたわけでございます。
  67. 矢島恒夫

    ○矢島委員 その経過につきましては、先ほど質問者の答弁で私も聞きました。今後も、これが固定的なものではなくて、いろいろ検討されると思いますので、いろいろ御考慮いただきたいと思います。  その次に、訂正放送は、放送真実でなかったことが判明したときに行わなければならない、こういうことになっているわけですが、先ほど質問にも出ていますように、事実であったかどうかの判定は放送事業者が行うと。この点で、第三者機関というものをつくって判定したらどうかという議論も行われます。  ただ、この第三者機関というのは、放送の自由あるいは表現の自由との関係で確かに問題をはらんでおります。放送内容へのお日付機関というものができれば、憲法上の問題になってまいります。郵政省も、そういうことも含めて検討を行ったと答弁がございました。また、この法改正に当たって、学者や法律家、あるいはマスコミ関係者など、聞き取り調査を行ったとお答えになったわけです。  この聞き取り調査検討の中で、第三者機関の設置についてどのよう議論が行われたか、余り細かいことは結構ですから、大まかなその傾向だけでもお伺いしたいと思います。
  68. 江川晃正

    江川政府委員 先ほど先生の御質問の方で、私がこの三カ月という期間について今後検討するというふうに御理解するようなまとめ方をなさいましたけれども、私は、この三カ月を今後検討すると申し上げているわけではございません。三カ月がベストだと考えております。  それから、第三者機関につきましては、いろいろなことをお尋ねいたしました識者の御意見では、率直に言うと二論あります。それがよいというのと、やはりそれは問題じゃないか、この二つがあるということが結論でございます。
  69. 矢島恒夫

    ○矢島委員 江川局長、私がまとめたのは、三カ月を検討するというふうにあなたが言ったと言ったのじゃないのですよ。よく聞いていていただきたい。私は、三カ月が、これが今後固定的なものじゃなくて、御検討いただきたいと要望を言っただけであって、いや、これは検討するのだとあなたが言われたなどということは、私は一言も言っておりませんから、その点誤解ないように。  その次、質問します。  この第三者機関、こういう問題や放送の政治的公平などを含めて、放送番組の諸課題検討する懇談会をつくっていく、こういうお話があったわけですけれども、放送番組の問題で郵政省がこうした懇談会をつくるのほかってないことだと思いますけれども、いつから何をどのよう検討ようとしているのか。
  70. 江川晃正

    江川政府委員 まだお答えできるほど具体的にはなっておりません。
  71. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほど大臣の方からもこの懇談会、御説明がありました。それで、言うまでもなく、放送番組という問題は、放送の自由あるいは表現の自由と直接かかわる問題であります。ですから、行政が放送内容に口を出すことがあってはならないのは当然でありますし、間接的にせよ、放送の自由に介入できるような道を開くことがあってはならないと思います。  また、言論の自由にかかわる議論はやはりオープンにしていく必要があるということで、各省庁がつくる懇談会とか研究会、こういうものを見ますと、報告という形で結論だけで、どのよう議論がされているか、あるいはされたのか、必ずしも明らかになっていない傾向があるのですけれども、局長は同僚委員への答弁の中で、オープンにしていく方向の答弁が、たしかこれはあったと思います。  大臣にお聞きしたいと思いますけれども、放送番組についての議論関係者や国民の前に広く公開されていくべきものだと思いますけれども、この点についてどうお考えか。
  72. 江川晃正

    江川政府委員 懇談会議論の中身というのは、最終的には報告書、呼び名は何と言ってもいいのですけれども、そういう形で冊子にして世の中に出します。それはどなたでも見られるようになっております。その意味においては、自由に、オープンになっているところでございます。しかし、懇談会そのものがそういう結論に至る途中の議論論議というのは、通常は一々それを外に出すということはいたしておりません。それは郵政省だけではなくて、どこもそうだと思います。  なぜそうしているかといいますと、自由に闊達な御議論をいただく、忌憚のない意見をいただくということのために、そういうことを一々外には出さない。あえて言うならば、要するに秘密にするといいましょうか、秘密という言葉が嫌でしたら使いませんが、そういうことは一々外に出さないという約束に立って懇談会というものが開かれるわけでございます。そういういろいろな、右左にわたる、前後にわたる議論を経た上でまとまった結論、それが懇談会の意思でございますから、それは報告書としてきちっとまとめて世の中に出す、オープンにするというのはそういう意味でございます。一々を全部世の中に出す、そういうことを申し上げているわけではございません。
  73. 矢島恒夫

    ○矢島委員 大臣のお考えを私はお聞きしたのですが、やはりこの問題は言論の自由にかかわる議論ということになりますので、今までの傾向局長答弁されたとおりだと思いますが、可能な限りのオープンということが必要じゃないかと私は思うのですが、その点について。
  74. 大出俊

    大出国務大臣 ただいま江川局長から申し上げておりますように、結論は、これはもう明らかにしておりまして、その過程は、これはお願いをしていろいろその役割をお引き受けいただいて、忌憚のない御意見をということで進めてまいりますから、これはちょっと表に出すことはできなかろうというように思っておりますので、その意味では局長答弁と全く同じ考え方でございます。
  75. 矢島恒夫

    ○矢島委員 可能な限りという面で広く公開されることを希望したいと思います。  法改正の対象となった訂正放送はこの六年間で十六件ということでございました。訂正放送が新聞などと比べて非常に少ないという御意見もありました。その理由として、放送事業者が免許の関係で失点になるのを恐れてなるべく訂正しない、こういう指摘もあるわけです。実際に、いわゆるやらせ問題で訂正放送というのは過去何回かあったわけですけれども、そのたびに放送法違反という議論が出てまいります。郵政省が再免許に当たっていろいろと注文をつけるということもありました。  それで、このように上からの規制を恐れて訂正の必要を認めないんだというふうなことは、本末転倒だろうと思うのです。第三者機関という議論もありますけれども、お目付機関ようなものをつくっても同様なことが起こりかねないと思います。問題が起きればなるべくうやむやにする、放送局としての責任ではなくて個人や下請プロダクションの責任なんだ、こういうよう傾向に進む危険性もあるわけです。  それで、今最も必要なことは、放送に対する視聴者権利を明確にすることだ。訂正放送請求権も放送法上の視聴者権利でありますけれども、現行法ではプライバシーの侵害などには対応できません。そういう点で、先ほど反論権の問題がいろいろと論議されました。ドイツやフランスなどの例が挙げられておりますけれども、例えばニーダーザクセン州の放送法では第十八条でこの問題が取り上げられておりますし、バーデン・ビュルテンベルクのメディア法ではやはり五十五条にそういう規定がございます。  そういう中で、我が国でも市民運動の中で、公共の電波を使用している放送に対して視聴者権利を明確化しようという運動が起きております。御存じだと思いますが、FCT市民のテレビの会、そこが「テレビ視聴者権利憲章」というものを発表しております。全体は紹介できませんけれども、「視聴者権利」ということで、「言論・表現の自由はテレビ事業者や制作者のみならず、個々の視聴者にも等しく保障される基本的権利である。」とか、あるいは「知る権利」の問題では、「視聴者テレビ局の番組及び広告の制作や編成に関して説明を受け、広くテレビのあり方に関して情報公開を求める権利を持つ。」とか、あるいは「反論する権利」としては、「テレビによる人権侵害、プライバシーの侵害や攻撃的態度に対して視聴者は反論する権利を保障される。」とか、こういうようなことが出ております。  放送番組への規制という発想ではなくて、公共の電波である放送に対する視聴者権利を明確化するという基本的な立場が必要であろうと私は考えるわけですが、この点について郵政省の見解をお聞きしたい。
  76. 江川晃正

    江川政府委員 具体的に放送に対する視聴者権利がどういうものなのか、先ほど先生が引用なさいましたものについて私存じませんので、そういうことについてはお答えできませんけれども、一応我が放送法の世界におきましては、放送事業者番組編集の自由というものを与え、かつそれについての一定の制約を課してやっているわけでございます。  そういうことの前提としては、先ほど来いろいろ出ておりますが、携わる方々に対して二つの資質が求められているのだなと私は思います。  一つは、報道に携わる人たちの高い識見と見識ということでございます。これはもう、今の人たちがそういうものでやっていると思いますから、何も問題はないと思います。二つ目には、昔の言葉を使わせていただいて恐縮でございますが、その筋の神経はよりか細くなければいけないという言葉が行政法の中でございますが、要するに、力を持っている者は非常にナイーブに物事に当たって表現しなければいけないぞということです。先ほど来出ておりますいろいろな事柄の表現に当たって、それで相手を傷つけてしまうことになるかならないかということについても人一倍神経を使ってやれということだと思います。  そういうことを私は思いますが、そういう、資質と言っては失礼ですが、そういうことを持って今のジャーナリズムの人たちはやっていると信じますから、そういう意味では、それと市民の、視聴者権利との調和というのは、抽象的には調和したらいいと思いますけれども、市民の何とかの権利というのはよくわかりませんので、そこについては私は何とも申し上げようがございません。
  77. 矢島恒夫

    ○矢島委員 FCT市民のテレビの会といいますから、後でぜひ参考にしていただければと思います。  視聴者権利と同時に放送番組の問題で必要なのは、制作者の内部的自由の保障という問題だろうと思うのです。番組制作に当たって、局内でいわゆる制作者の自由が保障されていなければ表現の自由というのは保障されない、こう思うのですが、これも、放送に限らずマスメディア全体の問題として提起されているものだと思います。  その一つとして、ドイツの北部ドイツ放送番組制作者綱領というのがございます。ここでは「番組制作者は、すべて、権限を有する上司の指揮権とは独立に、各人の報道人としての責任を果し、それぞれに委託された編集上の責務を、各人の具体的に根拠のある見解にしたがって遂行する。番組制作者は、自己の信念に反する意見を、自己の意見として表明したり、自己の情報収集に反する事実を正確なものとして表示したり、包括的にし真実に忠実な報道である意見又は事実をさしひかえることを要求されてはならない。」などとしているわけです。いわゆる良心条項と言われるものですけれども、同時に編集者の代表の編集者委員会が組織的に内部の自由を保障するというようになっているわけです。  さきのNHKの予算の審議のときに、私「シマゲジ風雲録」をちょっと取り上げてみたのですが、この本で島民は、「ニュースセンター9時」で企画したロッキード特集がつぶれた経過を、与党からの圧力がかかり、当時の会長、副会長の意見を受けて、嫌々ながら自分が矢面に立って現場を押し切った経過を書いています。これが事実かどうかは別にいたしまして、上司による理不尽な番組つぶしに関連する規定、この綱領にはこう書いているのですね。予定していた番組が中止されたり、ゆがめられた場合には、原稿執筆者または番組制作者の求めに応じて、その決定を下した者は、番組制作者が投票によって選出したところの編集者委員会で理由などを説明しなければならない。  放送の基本はやはり自主自律であり、それを保障するには、こうした番組の制作に当たって内部的自由が保障されるということが必要であるわけです。その自由をもとに、ジャーナリストとしての責任において番組編成される必要があると思うのです。これらの問題について見解をお聞きしたい。
  78. 江川晃正

    江川政府委員 先生指摘外国についての事情を私存じておりませんが、我が国におきましては、放送法で、放送事業者放送番組編集原則を遵守することを義務づけておりまして、放送事業者放送番組編集の自由を規定しているわけでございます。  放送事業者放送法趣旨を組織的に内部的にどのように体していくかは、個々の放送事業者が責任を持って当たるべきことでありまして、御指摘ようなことを我が国の法律では定めておりません。
  79. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間になりましたが、最後に大臣に、いわゆる上からの規制という発想ではなくて、視聴者権利、あるいは番組制作者の自由、これをどのように保障していくかという点でこれから当たっていくべきだと思うのですけれども、その点について。
  80. 大出俊

    大出国務大臣 先ほどもお答えしているのですけれども、今、現行の放送法からいたしますと、番組制作者の皆さんはもちろん自由であるわけですが、やはり第三条の二、「放送事業者は、国内放送放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。」と義務づけているわけですから、そういう意味で「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という四つの義務づけ、これを前提にして、あとは放送事業者のまさに自由な発想で進めていただく、それを信頼するということだと思うのです。  そして、今お話しの反論権、これも随分いろいろな国のいろいろなものを見ておりますけれども、やはりこれは、これから大きな検討課題だろうというふうに思っておりますので、勉強させていただこうと思っております。
  81. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  82. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  83. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  放送法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 自見庄三郎

    ○自見委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  85. 自見庄三郎

    ○自見委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、虎島和夫君外三名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。金子徳之介君。
  86. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 ただいま議題となりました放送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 訂正放送制度の改善について、その周知徹底を図るとともに、真実でない事項放送により権利侵害された者の権利を保護する観点から、訂正放送請求期間及び番組保存期間について必要に応じ検討を行うこと。  一 放送事業者が訂正又は取消し放送を実施するに当たっては、真実でない事項放送により権利侵害された者が十分に救済されるよう放送が確保されることとなるよう努めること。  一 放送の持つ社会的影響力の大きさにかんがみ、放送番組審議機関の機能の活用、放送法を遵守した放送番組の確保等放送番組の一層の適正向上を図るための方策について、幅広く意見を求め検討を行うこと。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの四派共同提案に係るものでありまして、案文は当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かさせていただきます。  何とぞ委員各位の御理解ある御賛同をお願い申し上げます。  以上です。
  87. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  虎島和夫君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  88. 自見庄三郎

    ○自見委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、大出郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大出郵政大臣
  89. 大出俊

    大出国務大臣 ただいま放送法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。     —————————————
  90. 自見庄三郎

    ○自見委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 自見庄三郎

    ○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕
  92. 自見庄三郎

    ○自見委員長 内閣提出参議院送付郵便振替法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付郵便貯金法の一部を改正する法律案及び内閣提出参議院送付簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。大出郵政大臣。     —————————————  郵便振替法の一部を改正する法律案  郵便貯金法の一部を改正する法律案  簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  93. 大出俊

    大出国務大臣 初めに、郵便振替法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、利用者の利便の向上などを図るため、口座への受け入れに関する事項を証明した書類を当該口座の加入者に交付しまたは送達する取り扱いなどの特殊取り扱いを実施することとするとともに、国税または電波利用料について、これらを納付すべき者の郵便振替口座の預かり金から払い出すことにより納付することができるようにすることなどを行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、特殊取り扱いとして、口座への受け入れに関する事項を証明した書類を交付しまたは送達する取り扱い、口座からの払い出しに関する事項を通知する取り扱い及び口座への受け入れに関する事項を払込書の用紙に表示する取り扱いかできることとしております。  第二に、払出金額に相当する現金を受取人に交付する方法による現金払いにおいて、払出証書を発行してする方法または現金を送達する方法による払い渡しの取り扱いに変更することができることとしております。  第三に、省令で定める期間を経過しても払出金をまだ払い渡していないときにその旨を加入者に通知する取り扱い及び加入者の口座の預かり金から払い出された払出金のうち省令で定める期間を経過してもまだ払い渡していないものについて、省令で定める期間ごとに、当該加入者に通知する取り扱いができることとしております。  第四に、国税及び電波利用料について、現在、窓口による収納を実施しておりますが、これに加えまして、これらを納付すべき者の郵便振替口座の預かり金から払い出すことにより納付することができることとしております。  なお、この法律の施行期日は、平成八年一月四日からといたしておりますが、郵便振替口座の預かり金から払い出して電波利用料を納付する取り扱いについては、電波法の一部を改正する法律附則第一項ただし書きの政令で定める日からといたしております。  次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、金融・経済環境の変化に適切に対応し、郵便貯金事業の健全な経営の確保に資するため、所要の改正を行おうとするものであります。  その内容は、郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金の運用の対象に先物外国為替を加えることとし、先物外国為替に運用する場合には、証券会社に委託する方法によらなければならないこととするものであります。  なお、この法律の施行期日は、公布の日からといたしております。  次に、簡易生命保険積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、金融・経済環境の変化に適切に対応し、簡易生命保険の加入者の利益の増進を図るため、所要の改正を行おうとするものであります。  その内容は、簡易生命保険特別会計の積立金運用の対象に先物外国為替を加えることとし、先物外国為替に運用する場合には、証券会社に委託する方法によらなければならないこととするものであります。  なお、この法律の施行期日は、公布の日からといたしております。  以上が、これら三法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  94. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十四分散会      ————◇—————