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1995-03-15 第132回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月十五日(水曜日)     午前九時二十分開議 出席委員   委員長 自見庄三郎君    理事 佐田玄一郎君 理事 住  博司君    理事 虎島 和夫君 理事 遠藤 乙彦君    理事 金子徳之介君 理事 河村たかし君    理事 田中 昭一君 理事 小沢 鋭仁君       荒井 広幸君    岸本 光造君       佐藤 剛男君    斉藤斗志二君       坂井 隆憲君    宮崎 茂一君       山下 徳夫君    神崎 武法君       小坂 憲次君    古賀 一成君       佐藤 守良君    高木 陽介君       高橋 一郎君    中島  衛君       日笠 勝之君    大木 正吾君       横光 克彦君    吉岡 賢治君       高見 裕一君    前原 誠司君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大出  俊君  出席政府委員         郵政政務次官  鹿熊 安正君         郵政大臣官房長 木村  強君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省放送行政         局長      江川 晃正君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川口 幹夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事・技師         長)      森川 脩一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   中村 和夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     安藤 龍男君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     齊藤  曉君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     中井 盛久君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     菅野 洋史君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室〔経         営計画局長) 慶田 敏紀君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   石渡 和夫君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   高見 裕一君     前原 誠司君 同日  辞任         補欠選任   前原 誠司君     高見 裕一君     ――――――――――――― 三月十三日  電気通信事業法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第八  五号) 同月十五日  郵便振替法の一部を改正する法律案内閣提出  第六〇号)(参議院送付)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第七一号)(参議院送付)  簡易生命保険積立金の運用に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第七二号)(参  議院送付) 同月十四日  車いす常用者がすべて使用可能な電話ボックス  の整備に関する請願(岩田順介君紹介)(第三  二七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十五日  情報通信基盤整備推進に関する陳情書外一件  (  第一一五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 自見庄三郎

    ○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 自見庄三郎

    ○自見委員長 まず、趣旨説明を聴取いたします。大出郵政大臣。     ―――――――――――――  放送法第二十七条第二項の規定に基づき、承認   を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  5. 大出俊

    大出国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会平成七年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣意見を付して国会提出するものであります。  まず、収支予算につきまして、その概略を申し上げます。  一般勘定事業収支におきましては、阪神淡路大震災被災者を対象とする受信料免除期間延長などにより減収が見込まれることから、事業収入は五千七百七億円、事業支出は五千七百三十四億円とし、事業収支における不足額は二十六億円となっております。この不足類及び債務の償還に必要な資金三十九億円の手当ては、前年度までの繰越金五百二十二億円をもって充てることとしております。  一般勘定資本収支におきましては、資本収入は七百三十一億円、資本支出は七百四億円となっており、放送番組設備整備など建設費に六百二億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、公正な報道と多様で豊かな放送番組提供に努めること、国際放送については、欧米向け映像国際放送の開始及び海外中継の拡充を図ること、受信契約増加受信料の確実な収納に努めることなどを計画しており、これらの実施に当たっては、経営全般にわたり一層効率的な業務運営推進し、視聴者に信頼され、かつ、創造性活力にあふれた公共放送を実現していくこととしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等につきまして、おおむね適当であると認めた上で、事業計画などの実施当たり配慮すべき事項として、阪神淡路大震災被災者への配慮並びに今後の災害時に備えた報道取材体制充実及び保有施設耐震性の点検、強化、豊かな放送番組提供と公正な報道を通じた放送番組充実向上などを指摘した意見を付することといたした次第です。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。  ありがとうございました。
  6. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長川口幹夫君。
  7. 川口幹夫

    川口参考人 ただいま議題となっております日本放送協会平成七年度収支予算事業計画及び資金計画について、御説明申し上げます。  平成七年度の事業運営当たりましては、公正な報道に徹するとともに、多様で豊かな放送番組提供し、視聴者に信頼され、かつ、創造性活力にあふれた公共放送を実現してまいる所存であります。  業務推進当たりましては、経営財源確保のため、受信契約増加受信料の確実な収納に努め、あわせて経営全般にわたり効率的な業務運営を徹底してまいります。  平成七年度の主な事業計画について、御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、老朽の著しい放送設備の更新を取り進めるとともに、非常災害時等における緊急報道機能確保を図るための設備整備放送番組充実のための設備整備を行うほか、衛星放送ハイビジョン放送設備整備及び放送会館整備等実施することとしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  国内放送におきましては、視聴者の意向を積極的に受けとめ、番組充実刷新を図るとともに、公共放送の使命に徹し、公正な報道と多様で豊かな放送番組提供に努めてまいります。特に、地震災害について徹底的に検証し、これにどう対処するか多角的に考える番組を年間を通して編成いたします。  国際放送におきましては、国際間の相互理解国際交流に貢献するとともに、海外在留の日本人に多様な情報を的確に伝えるため、映像による国際放送を開始するとともに、音声による国際放送受信改善に努めます。  契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度周知徹底を図るとともに、効果的、効率的な営業活動を行い、受信契約増加受信料の確実な収納に努めてまいります。  調査研究につきましては、新しい技術研究開発を初め、放送番組放送技術向上に寄与する調査研究推進し、その成果放送に生かすとともに、広く一般にも公開することとしております。  以上の事業計画実施当たりましては、経営全般にわたり業務の見直しを一層徹底し、要員については、年度内五十人の純減を行い、総員一万三千百十三人とし、給与につきましては、適正な水準を維持することとしております。  これらの事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定において、事業収支収入総額五千七百七億八千万円を計上し、このうち、受信料については、五千五百三十四億七千万円を予定しております。これは契約総数において二十三万三千件、衛星契約において八十五万三千件の年度内増加を見込んだものであります。なお、阪神淡路大震災被災受信者に対し、受信料免除基準にのっとり、期間を定めて受信料免除を行います。  これに対し、支出は、国内放送費など、総額五千七百三十四億六千万円を計上しております。  事業収支不足二十六億七千万円につきましては、前年度以前からの繰越金の一部をもって補てんすることとしております。  次に、資本収支につきましては、支出において、建設費六百二億六千万円、出資十三億五千万円、放送債券償還等に八十八億八千万円、総額七百四億九千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源及び事業収支不足を補てんするための財源として、前期繰越金減価償却資金及び借入金など、総額七百三十一億七千万円を計上しております。  なお、受託業務等勘定におきましては、収入五億円、支出四億三千万円を計上しております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金需要及び調達を見込んだものでございます。  以上、日本放送協会平成七年度収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営当たりましては、協会事業受信料により運営されていることを深く認識し、多様で豊かな放送番組提供するとともに、効率的な業務運営を行い、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。  委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  8. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
  10. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございます。  まず、いよいよ震災から二カ月を迎えようといたしておるわけでございますが、亡くなられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、被災されました方々、本当に大変だったと思います。心よりお見舞い申し上げ、私ども国会議員む一生懸命やりますので、どうか一生懸命頑張っていただきたいと思います。  それでは、NHK予算に関連いたしまして、私はこういう角度から御質問させていただきます。一つ放送番組番組編成の問題、それから片っ方で受信をする、こういう面での両者の重要性の問題について、私は質問いたしたいと思います。  今回の災害報道につきましては、NHK災害対策基本法指定公共機関でございまして、兵庫県の、たしか二十チャンネルあると思いますが、七チャンネルNHKが持っておられる。それで、スキップバックレコーダーというのですか、国民が皆印象を持っておられると思いますけれども、神戸局の、泊まっている記者がベッドにたたきつけられるあの姿から始まった。そういうことで、その報道初動の行為についても、私は十分よくやっておられるのじゃないかと思っておるわけであります。また、震災直後に局長さんあるいはしかるべき人たちがすぐに集まって、そして司令塔となって放送番組を出せた。これは非常にいい、私は運もあったと思いますけれども、よかった行動だということで、敬意を表しているわけであります。  そして、いろいろな番組が流れました。最初の第一日目、第二日目、一週間目、流れてまいりました。そういう番組を通じまして、今まで教科書にない、こういう災害に対する新しい立法というようなものもでき上がったことは事実であります。そういう意味で、私は、NHK災害対策基本法における指定公共機関としての貢献を評価するものであります。  ただ、重要なことは、いい番組をつくりましても、受ける方、まず最初には、テレビはもう映らないわけでありますから、まず最初にどこに行くかといったら逃げるところに行くわけでありますから、公共施設のところに出かけていく。そして、ラジオというようなものを持っていければ、これが一番いいわけでありますけれども、そこまでまず時間がない。自分の体だけで出かけていく。こういう状況だと思うわけですね。  そうしますと、アメリカあたり状況を見ますと、ラジオというのはライフラインそのものなんだ。つまり、ラジオというのは電話と同じ、あるいは水道と同じ、電気と同じである。災害が起きれば停電になるんだから、そういう意味においてラジオ重要性というようなことが言われて、これを配ったりいたしているわけでありますが、私は、そういう面に非常にこれは教えられる、またこれからやらなければならない。  そして、NHKが七つのチャンネルを使えるわけですから、これをどのような形で、七チャンネルを活用した一種の、マニュアルといいますね、英語でマニュアルというのですが、手引書手引、こういうようなものについて、番組編成マニュアルと、同時に今度は受信する方、聞きたいことは山ほどあるわけです、被災者の方は。被災者以外でも、あの親戚はどうなったのか安否を気遣う、そういう情報というものも必要であります。そういう面で、どのような形のマニュアルをおつくりになっておられたのか。  また、私は、そのマニュアルというのは、これは最初の数日のマニュアルと一週間後のマニュアルと一カ月後のマニュアルと、これからいよいよ二カ月を迎えようとしているわけですが、そういうマニュアルとはまた違っている、また違わなければならない番組のものだろうと思っているわけでありますが、その点についてNHKよりお話をお伺いいたしたいと思います。
  11. 中村和夫

    中村参考人 今先生が御指摘のように、あのような今まで経験のない大震災ということで、我々は、保有のメディアをどういうふうに使うかということについても臨機応変に考えて対応したというのが率直なところでございます。  あのような場合には、複雑なマニュアルがあってもなかなか、大量の人間が取材当たりますので、そのマニュアルを一々読んで対応するというわけにはいきません。波の使い方その他についても相当臨機応変にやったつもりでございますが、最初はどういう被害状況なのかということ、それを重点に初動の段階ではやって、次第に被災者側にスタンスを置いて、被災者側の立場に立った報道をということを心がけて二百数十時間の放送を行ったということで、ただいま御指摘ありましたように、時間がたつに従って、生活関連情報だとか、きめ細かな被災者のための情報提供に心がけたということでございます。
  12. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございました。  これから必要なのは、私は、不動産情報、特に法律関係情報。二十万近い人たちが、家が倒れる。そうしますと、賃貸借問題はあるわ、片っ方で区画整理がある。そういう中での公の権利と私権の問題とのぶつかり合い。こういう面は、いろいろ番組編成の中において、どこどこの番組でこういうことをやります、法律問題をやります、そういうようなことを広く知らしめる。各避難所にポスターなり、ポスターといいますか、一つのチラシでいいのです、いついつ何局は何をやりますというようなことを、私はやっていく必要があると思っておりますし、その点、郵政省、そういう面でひとつお考えいただきたいと思います。  郵政大臣、その点について、私は、一つは先ほど申しましたラジオの備蓄の問題、それからもう一つ編成におきます生活情報とか、それぞれの違う、これからは私は法律情報だと思っていますが、そういう問題についての御見解を伺いたい。
  13. 大出俊

    大出国務大臣 前段の、佐藤さんお話しのラジオでございますけれども、確かに御質問の中にもございますように、なかなか、こういう時期に持って出るなんというようなことは、通常ではできないわけでございます、そこに気がつきまして、十八日、つまり災害の翌日でございますけれども、この問題で相談をいたしまして、一万五千くらいは何とかなるんじゃないかと。ところが、びっくりしたのは、トランジスタラジオ式のものは国内で生産してないんですよね。これは非常に驚きましたけれども。  で、いろいろなメー力ーお願いをして、在庫であるというものですから、できるだけ集めようということで、結局スピーカーがついているのが一万三千、レシーバーで聞くのが二千。これが五千到着いたしましたのは、私が神戸に参りました、神戸市役所に寄った日でございまして、二十一日にやっと五千着きまして、その翌日にもう五千という、結局一万二千。非常にこれは喜ばれました。  ですから、この間の補正予算のときもいろいろ意見を述べましたけれども、公的な機関等々に何とかこれを備蓄する、全く御指摘のとおり、やりたいと思っております。  それから、いろいろな生活情報などなどについてマニュアルが、関西テレビさん初め、ございまして、見ますというと、こういう災害が起こったら次々にこうしなければならぬと、いっぱいあるのですよ。あるのですが、そこのところがそのように行われているかどうかというところが問題でございますから、これまた御指摘のとおりなのですけれども、検討委員会をつくりまして五十嵐局長のところでやっておりますけれども、できるだけ広範にとらえて、いい結論を早く出していただきたい、こう思っているところでございます。
  14. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 質疑時間が終了いたしますので、大臣の今の力強いお話を承りまして安心いたしまして、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
  15. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、荒井広幸君。
  16. 荒井広幸

    荒井(広)委員 皆様おはようございます。また、大臣川口会長、ありがとうございます。  早速ですが、私は、NHK放送技術技術革新といいますか、NHK放送技術研究所、この存在の重要なこと、以下四点についてその重要性を申し上げ、御所見を承りたいと考えております。  一つは、いわゆる技術研究技術革新に対する予算にも当然引き続き盛り込まれておりますけれども、この技術研究に対する投資の重要性を御指摘申し上げたいと思います。  二点目は、NHK技研、大変多くの特許を取っております用意外とわかられておりません。そのような特許取得社会還元をしていただいておりますが、この問題、重要なことでございます。  三点目が、限られた経費、人材、こういう中で効率的に研究開発を進めるために、共同研究開発重要性。  そして四番目は、私は、これからマルチメディア時代、しかもNHKの本当の重要な役割という意味は、高齢者の方、障害者の方に手軽に、本当に気軽に使っていただけるような、そのような研究技術開発ということが重要なのだろうと思います。  この四点について、NHK放送技術研究所は大変重要な役割を担っておられるということでございまして、その点について御所見を承りたいと考えている次第でございます。  阪神淡路大震災の画面をハイビジョンニュースで、先日、NHK放送技術研究所で拝見をさせていただきました。まさに、私は、マルチメディア時代というものをこの技術によって雄弁に物語っていたと思うのですけれども、それは非常に精細度、細かい、本当にクリアである。世界最高のそういう技術開発されておられる。そして、それを分析していけば、これからの大震災あるいは災害に対しての原因究明にもつながる。これは非常に、記録としてあるいは分析として新たな分野を、NHKのこの技術研究所開発していると言っても過言ではないと思います。こうした技術革新というものがどんどん進んでいって初めでそのような調査研究にも資することができるという時代に入ってきた、これを私は大いに評価したいと思うのです。  そこで、NHK技研での一人当たり研究費は一体どれぐらいなのだろう。比べるのはちょっと無理があるかもしれませんけれども、通信白書等々でNTTKDD調査費というのも、一人当たり、出ているのですが、それと比べましてどのような感想をお持ちになるか。この二点を御質問させていただきたいと思います。
  17. 森川脩一

    森川参考人 お答えを申し上げます。  放送技術研究所の七年度の予算としましては、人件費を除きまして、およそ六十四億円を計上いたしております。この研究所要員の数は約三百人でございますので、一人当たりにしますと約二千万円ということになります。  それから、他の、NTTKDDとの比較はどうなっているかという御質問でございますが、通信白書というところで、五年度の各研究機関経費が出ております。ただ、この経費は、今申し上げました数字のほかに、人件費とかあるいは純研究以外の開発的な要素だとかいうところを含んでおりますので、これをNHKに引き直しますと約三千万円になりまして、この数字は、NTTKDDに比べますと、約半分ないしそれ以下ということになっております。
  18. 荒井広幸

    荒井(広)委員 少し言いづらいところもあるのだと思います、NHK全体の予算でございますから。  そういうような意味で言うと、自分技術研究にということばかりは言えないかとは思いますけれども、まあ一概には比較できませんが、NTTKDDもあるいはNHKも、マルチメディア時代に対応するという意味では、基礎研究そして応用技術、さまざまな技術革新というものが、私は、放送番組の質の充実と、もう一方の、車の両輪であろうと思います。そういう意味では、私はもう少し、まあ川口会長になって、二%台から二・八%、こう伸びてきてはおりますけれども、リストラできるところはリストラし、合理化できるところは合理化をして、番組の質と、この基礎的な研究、こういったところに力を注いていただきたい、このように感想を持っておる次第でございます。  それから、非常に多くの特許を取得されておられるわけなのです。そういった特許をどのように社会還元をされているのか。公共放送NHK役割はまさにそこにもあったと思うのです。この点、お聞かせをいただきます。それからもう一つは、その特許による特許料収入があるわけでございますが、現在との程度の規模なのか。この二つを御質問させていただきます。
  19. 森川脩一

    森川参考人 技術開発成果でございます特許技術のノウハウにつきまして、NHKは、特許実施の許諾あるいは技術協力という形で、適切な条件のもとに、公平に無差別に社会の皆様に還元をし、有効に活用を図っております。特許実施許諾の数は大体年平均百三十件、技術協力は大体年平均六十件でございます。  それから、所有の特許のことですけれども、NHKの登録特許の件数は、現在、国内特許が約五百七十件、それから外国特許が約四百七十件ということになっております。  この収入についてでございますが、平成五年度では約一億円、六年度では八千万円の見込みでございます。それから、技術協力による収入は、平成五年度で約一億円、六年度では約一億五千万円と見込んでおります。  以上でございます。
  20. 荒井広幸

    荒井(広)委員 そのようにいろいろ出していただいているわけですけれども、例えばハイビジョンのミューズ方式、こういったものは、私、拝見しまして大変すばらしい特許だなと。それから、ちょうど壁がけのテレビというのですか、プラズマディスプレー、こういうのだそうですが、それを今盛んに、また特許を取られて、さらに高度化している。それから光の伝送技術、こういった部分が、多大に放送技術で、内外に、海外にも大変な貢献をしている。こういったところを、私は、NHKの大いなる役割だなと思って、改めて認識したわけでございます。  どうぞ、そのような特許料収入とか、あるいはその特許、そういうものを、まあ収入NHKに還元して、さらに高度化の部分に使っていただくようにお願いして、また特許もどんどんと、先ほどの御指摘のように、幅広い、平等に使える機会を提供していただきたいと考えております。  こういうふうな研究開発をする場合にも、NHK技術研究所のみではやはりなかなか厳しいところもあるのかもしれません。そういう場合に、関係するほかの研究機関であるとかあるいは専門のメーカー、こういったところと一緒になって共同研究開発をする、これもまた経費とかあるいは人材、こういったものを補っていくものであろうと思いますので、積極的にこうした外部との共同開発研究というものを進めるべきではないかと考えておりますが、この件につきまして、今後に向けた積極的な姿勢をお伺いしたいなと考えております。
  21. 森川脩一

    森川参考人 放送技術研究開発というものは、先生今お触れになりましたように、単独の研究所で全部行うということは大変難しい時代になってきております。そこで、NHKといたしましても、共同開発をいろいろな形で進めております。  今お触れになりましたように、例えばミューズの受信機の開発あるいはハイビジョンの壁がけテレビの開発、そういうものが共同開発の事例かと思われます。それからさらに、基礎研究や特定のテーマにつきましては、株式会社国際電気通信基礎技術研究所、あるいは株式会社次世代衛星・通信放送システム研究所というような研究開発会社がございますけれども、そこへ出資したり、あるいは研究要員を派遣したり、そういうこともいたしております。さらに、内外の研究機関、あるいは大学等々との人材交流というものも近ごろ大変活発に行われておりまして、例えばメーカーとの共同研究でございますとか、それから大学の先生を研究所の客員研究員に委嘱をするということとか、あるいは海外との間で研究者の派遣をし合うというようなことも行っております。  先生今最後におっしゃいましたように、NHKは今後とも共同研究、共同開発を積極的に推進しまして、効率的、効果的な研究開発を行ってまいりたいというぐあいに考えております。
  22. 荒井広幸

    荒井(広)委員 そのような御努力を積極的に続けていただきながら、マルチメディアと言われる時代の中で、それの今ちょうど入り口に入っている段階として、これからの放送のあり方、特にNHKのあり方ということを考えますと、マルチメディア時代の中でも基幹的なサービスを担っていく放送である、そしてNHKであるというふうに私は考えております。  そうした中で考えてまいりますと、非常に、一時期というのかあるいは永久に続くのかもしれませんが、一時期にしていただきたいのですが、受信機を含めて、さまざまなサービスをとるために、複雑になってくる、扱いが難しくなってくるということも想像にかたくありません。いろいろな機能がついてきたということが考えられるわけです。そうなりますと、その操作を簡単にするということは非常に重要なポイントになってくる、これはもう言うまでもありません。  ただ、私は、NHK、そしてNHK技術研究所だからこそ言えることだと思いますけれども、高齢者の方、障害者の方、この方々が、なるほどすばらしい、自分たちに本当に生きがいを与えてくれるし、同時に自分がそこに参加できるというような、そこにある意味において小さな生きがいの社会がつくれるような空間を提供するという役割NHKがまさに担っていると思うのです。公共放送NHKとしての役割を私はここに重要視をしております。今のような技術開発というのは、最終的にはお年寄りや障害者方々こそが喜んでいただけるという技術開発技術革新でなければならないと私は思います。  その意味におきまして、目や耳の御不自由な皆さん、御高齢の皆さんにも同じように放送を楽しんでいただけるような工夫、簡単に操作ができる研究開発、こういったものについて大変に期待をしておりますが、この点についての基本的な取り組み姿勢、積極的な姿勢を確認させていただきたいと思います。その点、お願いいたします。
  23. 森川脩一

    森川参考人 体の御不自由な方々あるいはお年寄りあるいは子供の方々、こういうあらゆる人たちに公平で豊かな放送サービスを提供していくということは、私ども公共放送の大きな使命であると考えています。  先生今おっしゃいましたように、NHKでは、将来のマルチメディア時代に向けまして、操作がどうしても複雑化する受信機につきまして、子供からお年寄りまでだれにでもわかりやすく、それから操作が簡単なということを目指して技術開発を進めてまいります。それから、例えば希望する番組とか情報を指定するだけでたくさんのチャンネルの中から欲しいものを自動的に選び出す技術でございますとか、あるいはテレビのリモコンを使わなくても視聴者の声でチャンネルを選ぶという操作ができるような技術開発も目指しまして研究を進めてまいります。また、目や耳の御不自由な方に放送を楽しんでいただくための研究開発もあわせて行っておりまして、例えば番組の音声を聞き取りやすくするために、音声の品質自身は変えないでゆっくりと再生することができる話速変換というような技術研究も進めております。  NHKといたしましては、この長年の研究開発成果と、それから最新のテクノロジーというものを組み合わせることによりまして、さらに視聴者に優しい技術開発にこれからも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えています。
  24. 荒井広幸

    荒井(広)委員 時間がございません。  今のようなお話がありましたが、会長そして大臣、どうぞ、障害者方々、そしてまた高齢の方々、この方々にこそすばらしい放送提供できるNHK、そのための技術開発そしてNHKの技研であるということでの、うなずいていただきまして御確認をさせていただいて、大いにこの研究分野、頑張っていただきたいと思いますし、お願いいたします。  ありがとうございました。
  25. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、岸本光造君。
  26. 岸本光造

    ○岸本委員 私は、テレビにおける文字放送についてお伺いをいたします。  文字放送放送され始めてことしで十年目であるというふうにお伺いをしておりますが、なかなかこれが、普及という点につきましては思ったほど進んでいないとも聞いております。受信機がなかなか売れないとか、あるいは放送する方の側にもさまざまな問題があって伸びていない、こういうふうに聞いておりますが、文字放送実施している事業者が今どれぐらいあって、伸びない理由は何であって、そしてこの文字放送を今後どうやって普及していくか、この三つについてまずお伺いをいたします。
  27. 江川晃正

    ○江川政府委員 現在文字放送実施しております事業者は、NHKを一と数えまして、あと民間放送会社が十四ございますので、合計十五社になります。大体トータルで三十数億、三十三億ぐらいの営業収入を得ているところでございます。  郵政省といたしましては、これについては普及するようにいろいろな手を打ってまいりましたが、例えば財投による低利融資、こういう設備を入れて放送を開始しようとする事業者に対する財投の低利融資の制度であったり、それから字幕番組の制作費に対する助成金を出すということをやったりしております。  そういうようなものにあわせて、放送事業者自身、テレビ放送事業者と受信機メーカーから成る文字放送普及推進協議会というものをつくって、郵政省も入りまして協力体制を構築しつつ、ハード、ソフトの面からの検討を行ってきているところでございます。徐々に出荷台数もふえてまいりまして、平成五年度から六年度にかけましては約八万台ぐらいになったな、そう承知しているところでございます。なお一層努力してまいりたいと考えております。
  28. 岸本光造

    ○岸本委員 障害者、特に耳の不自由な方にとりましてこの文字放送というのは知る権利でありまして、知る権利というのは、これは人権の一部であります。したがいまして、非常に重要なことである、こう私は認識して、そういう立場から、NHK公共放送機関でありますがら、文字放送に対して、ほかの民放は十四社と今お答えがありましたけれども公共の方は一社、NHKだけでありますから、この人権の問題との触れ合いで文字放送を積極的にやはり普及させなくちゃいかぬ責任と義務があるんではないか、こう思うわけですけれども、NHKとしてはこの文字放送放送十周年記念のことし、平成七年度はどのように取り組んでいこうとしているのか、お知らせいただきたい。
  29. 中村和夫

    中村参考人 NHKは、従来、文字放送の中でも字幕放送に年々力を入れておりまして、例えば今年度ドラマを全部字幕放送実施しているというようなことをやっておりますが、独立利用番組としての文字放送について言いますと、十八番組中十一番組を来年度は新設、新設といいますか番組の名前を変えるとか、いろいろな形で衣がえをいたしております。一つは、「ヘッドラインニュース」とか「地域ホットライン」「日本一周二〇〇秒」それから「クイズ日本人の質問」、これは独立利用の文字放送としてそういう形でやっておりますが、字幕放送については、夜の八時台を中心に三つの番組を字幕化する。「生きもの地球紀行」「コメディーお江戸でござる」、これは新番組でございます、それから「NHKスペシャル」を、かねてから御要望がございましたので月一本ぐらい字幕化するということで、今年度に比べまして来年度は三時間九分、字幕放送がふえることになります。全部で十五時間十八分ということになります。
  30. 岸本光造

    ○岸本委員 頑張っていただきたいと思います。  それから、テロップかなんかでちょっと私は見たことがあるんですが、阪神淡路大震災のときに、関西地方は特に在日外国人が多いわけですが、ああいう危機のときに、文字放送とは言えないかもわからないけれども、いろいろな形で在日の方々情報提供された。ちょっと一部私も見た記憶があるんですが、全体としてはどうであったのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  31. 中村和夫

    中村参考人 確かにそういう放送をいたしました。大使館等々からの要望もございまして、外国人向けの安否に関する連絡先とか、七カ国語で音声では放送したり、あとテロップとかパターンで連絡先をテレビで放送したり、いろいろな形で外国人向けのサービスを行いました。
  32. 岸本光造

    ○岸本委員 それから、文字放送とも関係するわけですが、高齢化社会になって、人生が八十年時代と言われるようになって非常にみんなが高齢後の余裕の時間があるということで、生涯教育なんかのニーズが社会的に非常に高まって、公民館など、地方においてはさまざまな生涯教育の展開がされているわけですが、こういうものに対して、公共放送機関であるNHKがやはり何らかの形で参加していく必要があるし、また、たくさんの資料を持っているわけですから、教育放送なんかで普及していく、還元していくということが必要であろうと私は思うのですが、そういう問題についてはいかがなものでしょう。
  33. 中村和夫

    中村参考人 御指摘のような趣旨で、教育テレビは生涯教育波としても極めて重要であるという認識のもとに毎年中身の充実を行っております。今年度も昨年度もそうでしたけれども、一つは世代別ゾーン編成というのを促進しておりまして、女性、子供、高齢者、それから今御指摘ありました障害者等々、視聴対象を極めて明確にしたゾーン編成でもって御要望に応じよう。それぞれの個々人の方々自分に合った学ぶ楽しさ等々これから身につけていかれるわけですから、そのお助けになればいいということで、ゾーン編成を来年度も一層拡張していく方針でございます。
  34. 岸本光造

    ○岸本委員 ぜひ充実をさせていただきたいと思います。  それから、この文字放送というのは、聴覚障害者に対しましては、福祉メディアでありますし、知る権利という意味では人権の問題でもあります。したがいまして、これはワンパターンではなしにいろいろな、多くの種類のメディアであってほしい、またメディアでなければならない、こう思うわけですが、そういう取り組みというのはNHKとしてはされているのかどうか。もしされていないのだったら、してもらうように、これはお願いをしたい。どんなものでしょうか。
  35. 中村和夫

    中村参考人 障害者向けのそういうサービスについては、年々できる範囲で充実させてきているというのが現状でして、先ほど申しました文字放送、それから解説放送、それから副音声を使った外国人向けのいろいろな形の言語による放送等々、充実を年々努めて行っているわけでございます。中長期のこれからの方針でも、そういうマイノリティーサービス等々、計画的に一歩一歩充実させていくという方向で努力しております。
  36. 岸本光造

    ○岸本委員 文字放送というのは、障害者方々にとりましては本当にありがたい存在でありますから、これは鋭意努力をしていただきたい、こう思います。  特に、耳の不自由な方については文字放送の多様化、充実化で対応していただきたいのですが、テレビにおける目の御不自由な方に対する対応というようなものについては何か研究をされておるわけでしょうか、簡潔にお答えください。
  37. 中村和夫

    中村参考人 目の不自由な方に対するサービスとしましては、今申しました解説放送というのがございまして、テレビの場合では、銀河テレビ小説等々、副音声で今どういうシーンかということを解説して聞いていただく。ラジオの第二放送でもそういう方々への番組というものがございます。
  38. 岸本光造

    ○岸本委員 よくわかりました。  さらに、これから二十一世紀に向かって、光ファイバーとかマルチメディアとか、いろいろな放送をめぐる状況というのが大きなうねりになるなという感触はあるのですが、具体的にどうなっていくのかという確たるものがまだ目に見えていないというのが私であり一般国民ではないか、こう思うわけでありまして、それでは二十一世紀に向かって、もうあと五年しかないですから、どういうふうにこの電波行政を展開していくのか、大まかな方向を大臣からでも御答弁いただければ。
  39. 大出俊

    大出国務大臣 先ほど来、荒井さんと岸本さんとお二人から、御不自由な方についての放送に力を入れろというお話がございましたが、どこかで言おうかと思って遠慮してきているのですけれども、実は今の文字放送、字幕放送、これは原理は一緒なんですね。  例えば、「水戸黄門」の番組をするときに、ここにこの字幕放送を入れる、初めから組み込んでしまうのです。ですから、これはその意味の受像機を内蔵するなりアダプターを持ってくるなりしなければ、せっかく入れても見えないのですよ、テロップなら上に入りますからどれでも見えますが。ですから結局、文字放送、字幕放送、テロップ、手話しかないのですから、聞こえない方にとっては。  阪神震災のときに、非常に心配しまして調べてみたのですよ。そうしたら、アメリカが一九九一年から、十三インチ以上のテレビですけれども、その受像機を内蔵することを義務づけているのです、そういう法律を通しまして。その場合、どのくらい販売価格に影響があるのかと思って調べたら、いろいろな工夫があってほとんど影響ないのです。  ですから、日本でもできないかなという気があって、どこかでそういう意見が出てくるかと思って予算委員会その他ずっと座っておりましたけれども、その意見がとうとう出てきませんが、アメリカの場合に、調べてみますと二千万以上の視聴者がいるのですよ、つまり手話なり、字幕なり、文字なりという意味の。日本の場合を調べると、手帳を持っている方が、九一年のデータですが三十四、五万人、高齢化してきてだんだん聞こえなくなってくる方々を入れておおむね三百万人、あれから四年たっていますから、ひょっとすると三百五、六十万人いるのかもしらぬと思うのですが、ここらも含めてきめ細かにやらなければならぬなと私は思っております。  今のマルチメディアですが、この間ブラッセル会議にも行ってみまして、いろいろな議論がございました。申し上げたいことが山ほどありますが、時間の関係がございますので。有線・無線、通信・放送、非常な広い分野で大きな問題になってまいります。したがって、通信と放送の融合という問題についての今細かい議論をしていただいておりますが、まずここでいい結論をひとつ早く出していただいて、そこからまた研究していけるように、議論していけるようにしたい、まずこう思っております。  いろいろございますけれども、長くなりますので、また次の機会に岸本さんと議論でもしたいと思っておりますけれども、とりあえず……。
  40. 岸本光造

    ○岸本委員 どうぞ御活躍ください、御検討ください。  ありがとうございました。終わります。
  41. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、佐田玄一郎君。
  42. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 それでは、質問をさせていただきます。  前回のときには震災につきまして集中的に審議をさせていただきましたけれども、今回は、郵政省ということではなくて、NHKに対する危機管理と申しますか、その点につきましてひとつ御質問させていただきたい、かように思っているわけでございます。  実を申しますと、私も二月の初めに党の代表ということで阪神地区に行ってまいりました。この状況は大変な状況で、私も三宮といういわゆる繁華街の方を歩かせていただきましたけれども、国道に面した方はいいのでありますけれども、中に入りますと、いわゆる架空線というのでしょうか、架空線が全部倒れておりまして、通信は完全に途絶えておりまして、なおかついわゆる救援の妨害にもなっておる、こういうことを考えますと、そういう状況の中で一番頼りになるのは無線だな、そしてまた放送だなと私もつくづくと感じたわけでございます。  そういう中におきまして、放送事業者の皆様方も競ってこの報道をしていただいた、これに対してどうのこうのではありませんけれども、その中で非常に冷静にそしてかつ迅速にNHK方々が地域に対する情報を流していただいた、そういううわさを聞いたものですから、やはりそういうことを考えますと、NHK方々のこれからの危機管理、こういうこともしっかりと今回を踏まえて検討をしていただきたい。この点につきまして、どういうふうな御検討をされているのか、まずもってお聞きしたい、かように思っております。
  43. 中村和夫

    中村参考人 ああいう大災害、初めてでございましたので、我々できるだけのことをやったつもりでございますが、今になって、改めて初動の時点からいろいろ反省すべきはないのかどうか、検証を行っています。  検証の結果、初動態勢、連絡体制、それから今回の場合には神戸放送局から放送が出せたということが非常な力になっておりますけれども、応援体制等々も含めて今検証をやって、一体危機管理をどういうふうにやっていったらいいのか、東京を初めその周辺からの応援体制というのはどういう形でやっていったらいいのか、バックアップ体制はどうなのか、今詳しい検証をやっておりまして、今後のそういう危機管理に備えたいということを行っております。
  44. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 こういう事態というのは非常に緊急かつ大変な事態で、日本人が経験した歴史的にも初めてではないか、私もそういうふうに感じておるわけでございます。しかしながら、そういう事態を想定して、私は、その中でも放送のあるべき姿、そして何といってもNHKが中心になって、その中で地域の方々に対して正確な情報を流していく、こういうことが大事なのではないか、かようにも感じたわけでございます。  それと同時に、外国なんかを検証させていただきますと、これは政府機関でありますけれどもFEMAというような、本当に中心になってそういう災害時を想定したような組織もあるというふうなことをお聞きしております。  これはもちろん放送だけではありませんけれども、しかしながら、これからのいろいろなことを考えた場合に、やはり放送事業者全体をそのときにそういう危機管理の一つとして指導していくというか、非常に迅速にそしてかつ効率的に情報を流していく、そういうふうなバックアップというか体制をつくっていく必要があるのではないか、私はそういうふうに感じたわけでございます。  それともう一つは、今回、予算でありますから、そういうことを考えまして、神戸放送局そしてまたNHKの被害というものもまたこれは大変だったのではないか、そういうふうにも感じておるわけでありますけれども、この点が今回の予算に及ぼす影響というか、この辺もひとつ御説明を願いたい、かように思います。
  45. 中井盛久

    ○中井参考人 お答えいたします。  NHKの場合、神戸放送局が昭和四十六年建設したわけでございますが、この四階建ての建物が生田地区周辺でやはり相当な被害を受けました。四階建ての建物、四十本ぐらいの柱があれば、そのうちの十本ぐらいが損傷するという被害を受けました。鋼材による応急的な措置を施してはおりますけれども、非常に危険な面もありますので、近くの山手小学校跡地にプレハブの放送局を臨時につくらせていただいて、今その部分で放送を行っております。  そういうようなことで影響が、予算上、受信料の免除というか、あるいは解約ということもございまして収入が減る、あるいは一万ニュースの取材体制の強化でかなり予算が必要である、あるいは先ほど申しました放送局の機能移転によりまして、移転費など含みますと、七年度予算に及ぼす影響額は約六十八億円に上る予定でございます。そのために、七年度予算が単年度当初黒字でできるかと思ったところが、多少単年度で赤字になるような結果になりました。しかし、六年度末、今年度末で五百二十二億円と見込まれる財政安定化資金というものを一応持っておりまして、その中を有用に活用させていただき、あるいはさらに今後の平成七年度予算の中で経費の節減に努めてまいりたい、そういう考え方でございますので、長期的にはそんな大きな影響は受けないで何とか乗り切れるのではないかというふうに思っております。
  46. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 ということは、今回の被害によって、具体的な話でありますけれども、受信料の値上げであるとか、そういうことにつながるということはないというふうに理解してよろしいわけですね。
  47. 川口幹夫

    川口参考人 七年度については値上げは絶対いたしません。それはもう予算の中でちゃんと言っております。八年度についても、現在のところ値上げの必要はないと見ております。九年度でございますけれども、これから後いろいろな新しい事業が当然入ってまいります。それから、来るべきマルチメディア時代への対応も迫られておりますので、どのような形になるか若干わからない部分がございます。しかしながら、九年度もできるだけ引き締めた経営をやることによって受信料値上げにはつながらないように、できるだけの努力をしたいと思っております。
  48. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 ぜひ、そういうふうな形で料金の値上げにつながらないようにしていただきたい、かように思うわけでございます。  今マルチメディアというふうなお言葉が出たわけでありますけれども、話は変わりますけれども、前からの国会にも懸案で上がっていることでありますけれども、先ほどの御質問にもありましたように、研究開発の方向でありますけれども、私も先般外国等に視察で回らしていただきましたけれども、その中で、いろいろな三マルチメディア、そしてまたディジタルに対する標準化、こういうことをいろいろ研究されておるわけでありますけれども、まだまだ私は正直言って世界的な統一はないと思うのです。そして一方においては、グローバルネットワークということで全世界を網羅したような、そういうふうな多メディア時代を迎えようとしておるわけであります。しかしながら、私はそれをごっちゃにしちゃいけないと思うのですね。  というのは、NHKの立場というのは基本的に放送放送を中心としてやはり情報を配給していく、こういうことにけじめというか、きちっとした壁をつくっていかなくてはいけないのじゃないか、私はそういうふうに思っておるわけでありますけれども、これからの要するに技術的な、ハイビジョンとディジタル化の問題、この辺についての御認識を最後にお伺いしたいのですけれども、よろしくお願いいたします。
  49. 森川脩一

    森川参考人 先生今おっしゃいましたように、新しいさまざまな放送メディアの開発に向けましてNHKでも研究に取り組んでおります。例えば、映像や音声を能率よくディジタルに変換する技術でございますとか、あるいはディジタル電波で家庭へ伝送する技術でございますとか、あるいはマルチなサービスに対応できるディジタルの受信機でございますとか、そういうものにつきまして積極的な研究開発を行っております。  NHKの考えるディジタル放送と申しますのは、現行の放送やハイビジョンの電波を単にディジタル化するというのではなくて、ディジタルの方式の持つ拡張性あるいは柔軟性を生かした、ディジタルのディジタルたる特徴を十分に生かしたそういうサービス、私たちはこれをISDB、統合ディジタル放送と呼んでおりますけれども、こういうものの実現に向けてさらに、まだ研究開発の課題が大変多いものですから、この先努力を傾けてまいりたいというぐあいに考えております。
  50. 佐田玄一郎

    ○佐田委員 それでは、今のお言葉をお聞きしまして安心いたしましたので、とにかくしっかりとしたスタンスを持って、むだのないような技術開発、経営に邁進していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  51. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、坂井隆憲君。
  52. 坂井隆憲

    ○坂井委員 一月十七日の阪神淡路大震災、死者が五千五百人から出ました。家屋の倒壊も全壊が十万以上ということで非常に大震災だったわけでありますが、NHK教育テレビ、FMを見ておりましたら、例えば大出俊さんはどこにいらっしゃいますか、こちらに御連絡ください、そういう放送が流れていました。これは安否情報ですね。私は、非常におもしろい役に立った情報を流しているなというのが実感でございました。NHKの御努力に心から感謝するわけでございますが、いろいろ調べてみましたら、この安否情報はもともと新潟地震のときに、テレビ時代でしたから最初に始まった。最初は、そういう個人の尋ねをするということは電波法違反じゃないか、新潟放送の人の中でそういう気持ちを持った人があったということですが、これは、戦後やったNHKの尋ね人と同じようなものだからということでやり始めた。阪神大震災を見ていましたら、今回になってそういうのに非常に役立っているなという気がいたします。  そこで、今回の阪神淡路大震災においてNHKの安否情報、どういうように取り組んでどのように安否情報を流していったのか、何人ぐらいの人から問い合わせがあったりしたのか、そういうところの実情をいろいろと教えていただきたいと思います。
  53. 中村和夫

    中村参考人 御指摘のありました安否情報は、十七日十時半からFM放送で全中で、全国向けに始めました。通算百六十二時間三十分放送いたしました。それから教育テレビで同じ十七日の午後一時から始めまして、百五十八時間四十五分行いました。安否情報の内容は、被災地以外の人が被災地にいる人に対して連絡を欲しいというメッセージを伝えるものがほとんどでございます。中には自分は無事だという連絡を寄せてきた方もいらっしゃいます。情報の受け付け件数は五万四千 件、放送した件数が三万一千件。このうち、確認できたというフィードバックがあったものが千件余りということになっております。
  54. 坂井隆憲

    ○坂井委員 NHK放送文化研究所が「放送研究と調査」という本を出しております。私もいただいて毎月できるだけ読むようにしておりますが、たまたま三月号に「あすへの道標を求めて~放送七十年と「阪神大震災」」という論文を書いておりまして、大臣が読まれたかどうかわかりませんが、この本を読んでいますと災害対策、災害の処理、それからマスメディアの関係の歴史が非常によく書かれておられます。  関東大震災がありました。関東大震災ラジオ放送開始に先立つ二年前に起こったということでありますが、そのラジオ放送が開始されました翌一九二六年、当時の逓信大臣安達謙蔵さん、大出俊現郵政大臣よりさかのぼる何代前がわかりませんが、その安達謙蔵大臣が「放送事業とその将来」と題して放送した。「もし関東大震災の際にラジオがあったら、災害の実態が速やかに報道され、生活物資の配給は円滑に進み、国民の動揺は非常に軽減されたことであろう」。  この論文を読んでいますと、先ほど言いましたように新潟地震のときに安否情報というものが発足した。そして災害対策基本法ができて、NHK指定公共機関になった。あるいは新潟地震のときにその安否情報があって、それから室戸台風のときに非常用発電装置の設置をしたとか、いろいろな災害のたびにマルチメディア、放送をどういうふうに生かしていくかということが検討されていたわけでありますから、私は、今回の阪神大震災が終わった後に、安否情報だけでなくて、どういうことをNHKとしても果たしたのか、あるいはこれから果たす余地がもっとあるのか、マルチメディアの時代に向けていろいろと検証していただきたいと思うわけでございます。  そこで次に、阪神大震災の被災地についての受信料でありますが、今回、NHKは六カ月の受信料免除を行うと聞いております。そもそも受信料は、私が聞いた範囲では二カ月免除というのが普通の場合だったと思うのですが、どういう場合にどういうような基準で今回六カ月ということでしたのか。あるいはいろいろお話を聞いていますと、NHK受信料は基本料金と衛星付加料金と両方NHKの料金というのがあるわけですね。収支を見てみますと、基本収支が五十三億七千万の黒字から平成七年度には赤字の八十二億七千万になっている。衛星の方が九十一億の黒字が五十五億九千万の黒字になる。したがって、総トータルの事業収支では平成六年度の百四十四億七千万の黒字が平成七年度では二十六億七千万の赤字になるということでありますから、いわばこれだけ収支が悪化してくる。  そういう状態の中で受信料免除を行っている。いいことですよ。もちろん阪神大震災の被災地の方々に対しては非常に善政を施したと思うのですが、その場合に、基本料金だけでなくて衛星料金も同時に免除しているわけですね。どういう考え方に基づいているのか、そしてこれからどのようにしてその赤字は埋めるつもりなのか。先ほど佐田理事からも、将来NHK料金の値上げはするのかしないのかというお話がありましたけれども、こういうような受信料免除と赤字の関係で、どういう考え方に基づいて免除していったのかとか、そういうことについてぜひ御説明をいただければと思います。
  55. 菅野洋史

    ○菅野参考人 お答え申し上げます。  先生今お尋ねの衛星料金のいわゆる付加料金部門について、これを免除にする考え方ということでございますが、受信料免除は、受信料の公的な性格に照らしまして、社会福祉的あるいは教育的な見地からこれまで実施してきております。郵政大臣の認可をいただいた受信規約それから放送受信料免除基準というものに基づいて実施しておるわけでございますけれども、災害免除につきましては、免除基準第一項第十一号によりまして、災害救助法が適用された区域内で、半壊・半焼又は床上浸水以上の程度の被害を受けた建物に受信機を設置している受信契約」について、「災害が発生した月とその翌月」、二カ月の受信料を免除するということに通常なっているわけでございます。  さらに、今回六カ月としたことでございますが、今回の阪神淡路大震災では被害が極めて甚大であるということ、それから復旧に要する期間が長期にわたることが想定されるということを考慮いたしまして、免除基準の第一項第十二号に基づきまして、郵政大臣の御承認をいただきまして、そして免除期間を二カ月をさらに延ばして六カ月に延長したということでございます。  その免除の中で衛星付加料金を免除するのはなぜかということでございます。衛星放送の料金は、地上放送の千三百七十円に九百二十円を付加いたしまして二千三百円というものを受信料の額としております。この千三百七十円と九百三十円という関係は、例えばNTTは基本料金を実は免除しておるわけでございますけれども、NTTの基本料金とそれからダイヤル通話料というようにお互いに性格の異なるものではなくて、NHK事業運営を支える特殊な負担金として二千三百円という、一体のものというふうに私どもとしては考えでございます。したがって、衛星料金二千三百円を千三百七十円と九百三十円に分けて、その一部の九百三十円について免除を行うのは適当ではないというふうに考えて、そして付加料金も含めた衛星料金を免除対象といたしたものでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  56. 坂井隆憲

    ○坂井委員 今回の大震災、非常に未曾有のものでありますから、私は、結果的には基本料金、衛星料金、両方とも免除するというのはやむを得ざる措置であり、あるいは当然すべき措置であったかと思いますが、今回、NHK予算の中でも基本収支と衛星収支を別掲してくれるようになりました。そういう意味では非常に予算自身も見やすくなったのですが、先ほどの基本料金と衛星料金の基本的な料金の性格について、私はもっともっと詰めて考えていくべき時期に来ているのじゃなかろうかなというふうに思うわけでございます。今回の免除は当然の措置として、通常、免除するときに、基本料金と衛星料金というものをやはりよく性格づけを今後検討していくことが必要じゃないかなという気がいたします。  質問時間が終了いたしましたのでこれで質問を終わらせていただきますけれども、冒頭に申し上げましたように、こういう大震災を契機に、放送が果たした役割、それをよくもう一度検証していただいて、今後の日本のいろいろな諸問題に対応できるようなNHKとして頑張っていただくことを心から望みまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  57. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、斉藤斗志二君。
  58. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 斉藤斗志二でございます。  NHKに関しまして質問させていただくわけでございますが、まず最初に、このたびの阪神淡路大震災で、NHKの方も含めまして多くの方が亡くなられました。心からお悔やみ申し上げます。同時に、大きなダメージを、これもNHK関係を含めまして招いたわけでございます。心からお見舞い申し上げまして、一日も早い復旧、復興、そして新たな生活へのスタートを切っていただきたいことを切に願うところでございます。  NHKにおかれましても、収入減、同時に支出増という大変厳しい環境に見舞われたわけでございます。先ほどからのお話によりますと、鋭意努力してこの困難を乗り切るという会長さんのお話もございました。ぜひ努力いたしまして経営の安定にも努めていただきたい、お願いをするところでございます。  時間の関係で、余りないものですから、早速中に入りたいと思いますが、神戸支局がございますね。私も拝見させていただいたら大変なダメージを受けているわけでございまして、その中で新しい支局をどういうふうにしていくのか、数十億ないしそれ以上金額がかかるのではないかというふうに聞いております。一方、神戸市は新しい町づくりをしたいということもございまして、より緑を多くとる、こういったような町づくりも考えられているやに聞いておりまして、例えば緑地を大きくとる場合、そんな場合は、NHKさん、協力してくださいというような話があるかもしれない。そのようなときにはどのようにNHKさんは対応されていくのか、神戸市の町づくりの一環との関係を、会長さん、お考えがあったらお伺いしたいと思います。
  59. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 まず、最初にお尋ねの神戸放送局の現状について、簡単に申し上げます。  先ほどもお話がございましたが、今回の震災によりまして、二階部分を中心にかなりの被害が出ました。そのために、放送機能を付近の小学校の跡地に、緊急措置としてプレハブの施設を建設して対応しております日それから管理部門につきましては、臨時に賃貸ビルを借り上げて業務を遂行しているという状況でございます。  業務が二カ所に分かれておりますので、放送機能を含めて、神戸局の全体機能を収納するビルを借り上げていくことにいたしました。その手当てもつぎましたので、必要な設備工事などを行いまして、近く移転したいと考えております。当面の設備工事とそれから借り上げ経費、大体四・四億ぐらいかかります。それからその後の借り上げ料として二・四億程度毎年かかるということになります。  それから、現金館を建てかえるかどうかということにつきましては、耐震基準に見合うような補強をいたしますと、これもかなりの経費がかかります。大体十七億程度かかると見込まれておりますが、一方、全面建てかえということになりますと二十五億程度の建てかえ経費がかかる、こういう状況でございます。この辺は、現在借り上げておりますビルの環境が大変いいものですから、その辺の状況ともにらみ合わせて、今後、建てかえるかあるいは補強して現在の会館を使用するのか、総合的に判断したいというふうに思っております。  それから、今後神戸市の都市計画の動向も見きわめまして、協会として協力できる範囲内で御協力することも含めまして、いずれにしても、長期的な視点で今後の神戸会館のあり方については検討していきたいというふうに思っております。
  60. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 依然として被災された方が御苦労されている中、番組づくりにも配慮してやっていただいているというふうに聞いておりますが、一方、明るさもというようなことで、民放関係でもいろいろな番組がつくられてきております。しかしながら、残念ながら、二、三日前の新聞報道によりますと、民間の放送番組収録中に女性七人が急性アルコール中毒、こういうようなことが報道されておられました。大変残念だなと私は思っておるわけでございます。  きょうは、政務次官、せっかくお越しいただいたので、ぜひ、放送をつくる側に対しまして、収録中に事故が起きるというようなこと、特にアルコール中毒事件が起きたということにつきまして、所管される政務次官としてどのような感想をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  61. 鹿熊安正

    ○鹿熊政府委員 お答えいたします。  本件については、民間放送事業者が番組の収録中に、一部の出演者が急性アルコール中毒を起こしたものであり、まことに遺憾なことと思います。  したがいまして、番組を制作するに当たっては、社会常識を十分踏まえ、このような事故のないように取り組んでもらうよう指導してまいりたいと考えております。  以上であります。よろしくどうぞお願いします。
  62. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今政務次官からも強い決意が述べられたわけでありますが、私は、この件につきましては、視聴率を稼げばいいんだ、こういった安易なことではいけないのだというふうに思っておりまして、過激に走らないようにということを、きちっとそちらでも注意をしていただきたいと思います。  時間がないので次に行きたいと思いますが、NHK会長さんにお伺いをいたしたいと思います。  今国会で、放送法改正ということの中で、放送番組の保存期間を、従来放送後三週間以内ということといたしておりましたけれども、三カ月間に延長しようということで法案を提出準備しているところでございますが、これについて、NHKさん、どのようにお考えになるのか。  この趣旨は、放送によって受ける被害者に対して、より救済しやすいようにするという内容でございますし、記録性の確保というようなことでもぜひやらなければいけないのだというふうに私は思っておりますが、会長さん、いかがお考えでいらっしゃいますか。
  63. 川口幹夫

    川口参考人 訂正放送の請求期間、それから放送番組の保存期間、それを三カ月に延長する理由というのは次のようなことだという御説明を受けております。  それは、権利を侵害された人が訂正放送を請求できる期間としては十分な期間がなければいけない、それから番組保存に要する放送事業者の負担も考慮しなければいけない、そういうことからいうと、例えばイギリスでは九十日、ドイツでは二ないし三カ月というふうになっておりまして、こういうふうな面からいっても、三カ月に延長することは妥当ではないかという御説明を受けました。  こういう理由をしんしゃくをいたしますと、この三カ月という期間放送事業者に対して過度の負担ということにはならないと思います。また、これによって放送事業者の自主自律が損なわれるというおそれもないと思います。権利を侵害された人に対する救済の改善としては適切な措置でもあるというふうに理解をしております。
  64. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 時間がないので次にまた進みたいと思いますが、今話題の中にハイビジョンというのがございます。私も電器屋さんに行ってみると、ハイビジョンと同時に、今横長テレビというのが大変宣伝をされておりまして、売れ行きが好調だというふうに聞いております。  横長テレビというのはそれなりの新しい需要を起こしてきて、かなり売れてきているという背景の中で、形だけでいうとハイビジョンも横長テレビと一緒なのですね。しかし、高画質、そして美しい画面ということが、より高いものを求めたのがハイビジョンだというふうに思っておりまして、ぜひともこれはもっと進めてもらわなければならないというふうに思っておりますが、今横長テレビですと、例えばダブルウインドー、いわゆる画面が二つつくれるというふうに、これはハイビジョンでもそのようなことが可能かどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  65. 森川脩一

    森川参考人 お答えを申し上げます。  ハイビジョンのようなワイドの画面のブラウン管に複数の画面がいろいろな形で提示できるのではないかということにつきましては、大変いろいろなやり方がございまして、まず、送り側といいますか、放送局側で画面をたくさん入れていく、マルチの画面を入れていくという方法でございますが、現在、例を挙げますと、ハイビジョン放送で「週刊ハイビジョンニュース」というのを放送しておりますけれども、これをごらんになりますと、十六対九の画面の中に幾つかの映像を同時に出しています。こういったことは、この番組に限らずいろいろなことで可能でございまして、それが特にハイビジョンでございますと、たくさんの画面を同時に入れ込みましてもそれぞれの画面が依然としてくっきり、きちっと見えるという特徴も持っているわけでございますから、そういうメディアの特徴を生かしたような番組の制作といいますか、演出上の工夫と申しますか、そういうものが今後たくさん可能になるというふうに考えています。  それからもう一つの事例といたしましては、これは受信機側でのいろいろな工夫でございまして、これもやはり例えば複数の放送、これを画面に同時に出して、分割の形で同時に出して見ることができるというようなことも可能でございまして、その他さまざまな画面上の表示の工夫といったものがこれからいろいろな形で出てくるのではないかというふうに考えております。
  66. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 今ハイビジョンのことでお尋ねいたしたわけでありますけれども、新しいニーズがどんどんできている、また、それにこたえる技術開発ということで、ぜひともこの研究開発を進めていただきたいとお願いを申し上げます。  時間がなくなってまいりましたので次に参ります。  NHKは、将来二十四時間放送に向けてということで、放送時間の延長を平成七年度から進めるわけでございます。非常に結構なことだなというふうに私は思っておりまして、より充実した番組編成をしていただきたいというふうに思っております。  それが一つと、それに関連して、実は今政治改革が行われ、そして国民の政治に対する認識は上がっている一方、無関心層も多い、そういう状況が今日だと思います。そんな中で、政治改革の突破口として、また情報公開の先鞭として、NHKはずっと頑張ってきたわけでありますけれども、さらに政策中心の政治をより多く国民の皆さんに聞いてもらう、見てもらうということで、国会テレビが国会並びに臨調などで議論されているわけでございます。  しかしながら、私は、なかなか採算性に合いにくい性質のところもあるというふうに危惧をいたしておりまして、そういう点では、公共放送であるNHKは、今まで奏会議予算委員会、また重要委員会等々、ずっと国民に対して中継をするなり放映をしてきた、そういうノウハウがあるわけでございます。また、二十四時間という新たな取り組みの中での時間配分もやりやすいのではないかなというふうに考えておりまして、今後さらに、そのようなことを通じて国会からの情報充実できないかというようなことをやるべきではないかと私は思っておるわけでございます。総合テレビでできない場合でも教育テレビもあるじゃないか、こういう意見もあるわけでございます。  この国会並びに政治に対する国民の関心を上げ、また、より正しいニュースを国民に掌握してもらう、そのような意味でのNHK役割は一段と高まるという中で、会長さん、もし御意見あったら、そのようなことは前向きにやってもいいということがおっしやられるかどうか、お答えいただきたいと思います。
  67. 川口幹夫

    川口参考人 NHK国会審議に対する取り組み方というのは、国民の知る権利にこたえるという意味から、これまでも非常に積極的にやってきたつもりでございます。特に昨今はいろんな問題が続いておりますので、これに対しては、これまでになかった多数の時間をかけて放送しているところでございます。今後とも一定の原則の中できちんと対応したいと思っております。  ただいま先生お話しになった国会テレビにつきましては、NHK国会放送とは別に国会テレビというものが存在することについては、私は別に異議はありません。それは、例えば映像による速記録というふうな面もあるかと思いますし、意義は十分に認めるものでございます。  ただこれは、NHKの中で取り上げるかどうかというものについては、またおのずといろんな考え方があります。それからNHK編成自体の問題もございますから、十分検討してまいりまして対応したいと思っております。現在のところでは、まだ細かいところまで検討はしておりませんので、そういうところも検討を進めたいと思っております。
  68. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 時間がなくなりました。  今お答えいただきましたけれども、国民への期待という観点の中から国会情報公開に御協力いただければ、NHKの存在理由もさらに上がるのではないかなと思っております。  もう一言だけ。昨年末、川口会長は奥様を亡くされました。大変お気の毒なことだというふうに思って、お悔やみを申し上げる次第でございます。お聞きいたしますと、多くの方からの御芳志をいただき、その中で、阪神大震災の方にお見舞いをされたり、NHK厚生文化事業団の基金に御寄附いただいたり、そのようなさまざまなことをしていただいている。奥様が大変心優しい方で、「花うつすひと」という例えをされるような大変心優しい方だったというふうに聞いておりまして、どうぞその奥様の心優しい気持ちでこれからも番組づくりに取り組んでいただきたいことをお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  69. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、横光克彦君。
  70. 横光克彦

    ○横光委員 横光克彦でございます。よろしくお願いいたします。  これまでの各委員質問阪神淡路大震災の問題に集中されているわけですが、それほど災害時における放送の持つ重要性そしてまた責任に関心が強いというあらわれだろうと思っております。  今回の七年度の予算の中で、減収につながります、この被災者を対象とする受信料免除期間延長、二カ月を六カ月にされた。この措置は、私は英断であり、そういった意味では敬意を表したいと思うわけですが、これからの状況いかんによっては、この問題もさらにまた検討される対象ではなかろうか、そのようにまず認識いたしております。  私もまた、この災害時における放送の中で、特に障害者に対する報道、この問題についてちょっとお尋ねいたしたいと思っております。  今回の阪神淡路大震災では、視覚障害者また聴覚障害者向けの番組重要性が改めて浮き彫りになったのじゃないか、私はこのように思っております。先ほど岸本委員が文字放送重要性というものを切々と訴えておられましたが、私は、もう一つ、手話放送、これもやはり聴覚障害者にとりましては非常に頼りにしている番組であろうと思っております。  一月十七日の地震発生の日に、1チャンネルではすぐさま現場の状況、被災地状況の生放送に切りかえ、そしてまた教育テレビでは、先ほど御説明がございましたが、一時から安否情報中心の放送に切りかえた。これはこれでもちろん重要であるわけでございますが、一時三十分から通常番組としてNHKの手話ニュースの番組があるのですが、そのときにこれがカットされてしまった。特に手話ニュースを頼りにしている人は、先ほど大出大臣から御説明がございましたが、聴覚障害者が約三十五万八千人ですか、そしてまたテロップあるいは文字放送、手話、こういったものを必要としているのが三百万人近くいらっしゃるのじゃないか。こういう状況の中であの番組がカットされたということは、私はそれを聞いたときに、もう少し配慮というものが欲しかったなという気がしたわけでございます。  特に今回のような大災害の場合は、現地の人たちのみならず、その周辺、近県また全国の聴覚障害者にとっては、ある意味では手話ニュース番組だけが貴重な情報の入手手段だったわけですね。私たち健常者でさえも情報の入手が不足のような状態であったわけですから、ましてその情報の入手方法が少ない人たちにとっては、それさえもカットされたということは、あの人たちは大変厳しかっただろうな、不安だったろうな、こういうふうに思うわけでございます。ですから、これは一つの教訓とすべき大事な問題ではなかろうかと思っております。  災害時にこそ社会的弱者に対する優しい放送を行うことがNHK一つの社会的責務であろうと思っておりますので、今後ともひとつよろしくお願い申し上げます。  ただ、その中で、ではこれからどうするか。これは一つの私の提案といいますか提言といいますか、恐れ多いのですが、要するに、現在NHKでは七つのチャンネルを持っておるわけですね。七つのチャンネル放送している。今回のような大災害が二度と起きてほしくないわけですが、やはりこれからも、もしものことを考えなきゃいけない。もし今回のようなことがあった場合に、大災害のときには、七つのチャンネルのうちの一つチャンネル災害放送専門チャンネルとして活用すべきではなかろうか。それは健常者以外にですよ。公共放送だったら、いわゆる障害を持つ方々あるいは在日外国人の方々、そういった人たちのために一つの専門チャンネルをやるべきではないか。  ここに、公共放送の使命に徹し、公正な報道提供に努めてまいると書かれているわけですね。やはり公正なという意味を考えますと、それぐらいのことはやるべきではなかろうか。それは大変でしょう。一つチャンネルをそういった方々の専門のためにやるということは大変であろう。そうしたら、できるところまでやる必要がある。一日が無理なら半日でもいい、あるいは定時だけでもいい。それぐらいのことをすれば、どれだけ障害を持っている方たちの情報源になるかと思います。  そしてまた、聾唖者の方たちに聞きますと、普通の番組のときに分割画面として手話を入れてくれていますね、それを生のときにも、常時とまではいかなくても、定時、定時ぐらいには分割画面を入れて、生で同時にやるぐらいのことをしなければならないのではないか。あれは技術的にもそんなに難しい問題ではない。生番組の中にスタジオを一つ、小さいスタジオでいいわけですから、手話をやってくださる方の絵が入るコーナーがあればいいわけですから、それを組み合わせてやるということはそんなに難しいわけではないので、その生の情報のときのことがどうなっているか。絵だけではわからない。そういったところまで踏み込んでもらえないか。  要するに、今回の大災害を教訓にして、障害を持つ方たちのための番組構築を今から考えなければならないと思っているのですが、その点に関してどのようにNHKさんの方はお考えか、お聞かせください。
  71. 中村和夫

    中村参考人 御指摘ありました、安否情報で手話ニュースがつぶれたということについては、配慮が足りなかったというふうに思っております。関西でそういうことがあったわけで、各ローカルの放送局がどういう放送をやっているのかということについても、もう少し配慮、目配りが大事だなというふうに反省をいたしております。  それから、先ほど御指摘ありました、マイノリティーサービスに波を使ったらどうだという御意見ですが、御指摘がありましたように、マイノリティーサービスというのを十分にやろうといたしますと、なかなか大変な部分がございます。精いっぱいやらせていただきますが、御承知のように毎年毎年少しずつ解説放送なり字幕放送等々をふやしているのが今現状としては精いっぱいというところで、そういうものを災害の場合にはどうまとめて放送するかということは研究させていただきたいというふうに思います。
  72. 横光克彦

    ○横光委員 確かに難しい問題ではあろうと思いますが、お答えのように前向きに取り組んでいただきたいと思っております。  障害者の方たちの問題もそうですが、今、日本は相当数の外国人が日本に入ってきて働いている、住んでいる。そういったことを考えましたときには、今回の大震災の場合、このこともやはり一つ問題になるわけですね。やはり外国人の方たちには、今回の災害のときに本当に情報を入手する手段が少なかったであろう。まあ外国人向けの情報が、今、ラジオ・ジャパンでもさまざまた言語で大震災の様子を報道したとは聞いておりますが、国内ではそれは聞けないわけですね。国内の在日外国人のために、ラジオ・ジャパンの各国の放送を録音してちょっと定時のときに各国の放送を、ここにも書かれておりますが、国際社会の中での放送役割の大きさを書かれているわけですので、やはりこれから日本もそういったことにも取り組むべきじゃないか。  要するに、在日外国人の情報入手、日本語でやられているいろいろなニュースではわからない。そしてまた複合音声が英語しかわからない。そういった中で、ラジオ・ジャパンの放送をやっているわけですから、それを、時間も世界各国と日本は違うわけですから、その日本の中で、きょうは韓国人のため、次の日はブラジル人のためとか、イラン人のためとか、それぐらいのことを五分か十分ぐらい通常放送の中に盛り込むとか、そういうことによって外国人の人たち情報入手が非常に楽になる、そしてまた交流も深まっていく、それが大きな国際関係の友好につながっていく、そこまで考えられると思うのです。  そういうことはどうでしょうか。ちょっと無理でしょうか。
  73. 中村和夫

    中村参考人 今御指摘国際放送のニュースなりいろいろな言葉の情報国内で利用したらどうかという御提言ですが、来年度、国際放送の英語ニュースとポルトガル語のニュースを第二放送で定時番組として登場させます。  それから、在日外国人に対する情報提供ですが、御存じのように「ニュース7」、七時のニュースはバイリンガルで今放送しておりますし、衛星放送はあらゆる外国から入ってくるニュースを、副音声ではその言語のまま放送しているということもございますし、来年度新たに夜九時のニュースを同時通訳でバイリンガル化するということで、テレビ、ラジオ等々で在日外国人に対するサービスはさらに一層充実させるということになっております。
  74. 横光克彦

    ○横光委員 最後にちょっと、地域の活性化の意味放送の持っ意味も大きいわけですが、今、日本は、特に東京は全国からの人たちが集まっているわけですね。ある意味では寄せ集めの共同体みたいなものです。そうした場合、長い間あるさとを離れている人たちにとっては、地域の情報というのはなかなか入ってこない。そういった意味で、地域放送の全国発信といったこともやはり必要ではなかろうか。今少しやっていますが、やはり量は少ない。そういったこともやはりいろいろとこれからは考えなければいけないのではないかと思うのですが、一週間に一回ぐらいは地元の県、あるいは九州なら九州、東北なら東北、そこまででもいい、あるいはもっと細かく県のことまでわかるような、そういった番組もこれから提供していくべきではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  75. 中村和夫

    中村参考人 現在も地方発の全国向け番組というのは随分ふえてまいりましたけれども、来年度は、名古屋なり大阪なりがそれぞれつくる、それで全国向けに発信する番組が新しくできます。それから、日常的には「列島リレーニュース」とか、衛星放送でも各地を結んでの地方からの情報番組が毎日流れておりますので、地方からの情報発信というのはこの二、三年相当ふえてきていると思います。
  76. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。どうもありがとうございました。
  77. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、吉岡賢治君。
  78. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 阪神淡路大震災がありまして、私は現地にいち早く入ったということもございます。そういう立場から、大震災時におきます報道のあり方についてお尋ねをしたいと思います。  私は、十七日に伊丹に飛びまして、十八日、三田から自動車で西宮に入りました。西宮から国道二号線を、自転車で神戸まで到達をしたのであります。そして、その上で県庁にも行きましたけれども、NHKに、夜の七時前だったと思いますが、行かせていただきました。そして、神戸放送局の塩見局長お話をし、とにもかくにもラジオで正確な情報を出してほしい、そのためには県庁もしくは市役所、そういうところで取材に力を入れてというように申し上げたところであります。といいますのも、少しの情報の間違いがこういう大災害のときには大変な影響をもたらす、こういうように感じたからでございます。  NHKの方は、大変早い立ち上がりでございました。行きましたら、既に十台の中継車を配置した、さらに四十人のカメラマン、それに二人ずつつけておりますから百二十人の体制で、報道取材、それのみならず記録をして、このことが今後に役立つようにということを考えておりますとい うふうにきっぱり言われたところでございます。私は感心をさせられながら、とにもかくにも、この大災害が再び起こってはならないけれども、その起こったときにどのような対応ができるのかということの根源をつくり得るというように確信をしながら、公共放送の重要さというものを認識させていただいた次第でございます。  さて、そういう状況でございますけれども、放送のあり方というのは、ともすると被害情報中心になりがちであります。問題は、その被害が起こった、災害が起こった、被災者がどうするのかということに力点を置いた放送をしていただきたいということをつくづく感じているわけであります。  なぜそういうふうに申し上げるかといいますと、家をつぶされました、そしてやっとの思いではい出しました。その人が一番最初に求めるのは何でしょうか。何でもないのです。安全なところはどこか、こういうことなんです。とするなら、避難場所はどこですよ、こういうことをきちんと流してもらう。あるいは、災害のことを考えますと火が大変でございますから、ガスは閉めましたか、電気はとめましたか、水道はとめましたか、この情報。さらに、自動車は問題ですよ、乗らないでください、交通遮断をしますから。あるいは電話の見舞い呼は制限してください、後で確認してください、今緊急な電話を優先させるんですとか、あるいは応急処置はこうですよ、あるいは子供たちはこうしてくださいよ、マイノリティーの方々にはどうですよ、あるいは外国人についてはこうですよ。こういうことが一番大事ではないかということをつくづく感じたのであります。  したがいまして、NHKが今回報道されました基本的な姿勢というのはどこにあったのかということについて、まずお聞きをしたいと思います。
  79. 中村和夫

    中村参考人 御指摘ありましたように、我々の一連の報道は、被災者の側に立っての報道ということを一貫してやったつもりでございます。
  80. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 民放とNHKを比較すると、民放の方がこの災害はおもしろいわ、NHKの方はおもしろくないわという市民の話もありました。極力、今おっしゃったように、被災者の立場ということをお考えになっての報道であったと思いますけれども、今申し上げますようなことは不足しております。  例えば、この災害で、私は西宮のNTT最初に入りましたけれども、三百五十人の職員の中で十七日に出勤していたのは八人なんです。どこにも、市役所であろうと県庁であろうと少なかったというような実態があるわけでありますから、そうなりますと、職員の人たち、待機している人もいるでしょう。そして、どうしても瓦れきの関係を、あるいは建築物の確認を、危ないよというように判定しなければならぬようなこともあるでしょう。そういう人たちは来てくださいよとか、あるいは先ほど申し上げました、待機中の職員はこうしてくださいよというようなことをもできるような方向をとらないことにはということを、つくづく感じているわけでございます。  私は、なぜそんなことを申し上げるかといいますと、無力な被災者像をマスコミによってつくってはならない、このように思っているからであります。残された力、あるいは財、あるいは情報、こういうことに、何を救援したらいいのかというところに視点を当てていただきたい、このように思うところでございますが、いかがですか。
  81. 中村和夫

    中村参考人 どういう報道をしたらいいのかということについては、いろいろまた研究させていただきますが、火の始末だとか電話をかけるのを抑えるとか、基本的なそういうことについては、地震発生当初アナウンサーが、マニュアルがございまして、それは必ず言うということになっておりまして、相当な部分は行っております。現場、現場でどういう情報が必要かということを、被災者の親身になって放送するということが何より大事だというふうに思っております。  神戸放送局の場合は、職員が夕方までに七十数%出勤してそれに当たったわけですが、応援体制がすべて整うまで、自分たちのやることについての優先順位を一つずつつくって当たらないと、少ない人員で網羅的にすべてができるということではございませんので、そういう面でも、緊急時にはどういう体制なり仕事の順序をつくったらいいのかということを、今研究しているところでございます。
  82. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 NHKは、ヘリコプターの取材もされたと思います。一月十七日から五日間ぐらいの間に何回ぐらい飛ばれたのか、このことを聞いておきたいと思います。  私は、現地に入りまして一番感じたのは、一生懸命救援活動をやっておられますけれども、被災している、例えば家屋の倒壊で下敷きになっている人が、声を出すとか物をたたくとかということで信号を出す、その信号を頼りに救援に入るわけであります。となりますと、一日じゅう空にヘリコプターが舞っているわけであります。私は、そのことを考えたときに、ヘリコプターの取材というのは、大事かもしれないですけれども、その轟音によって救われる今も救われないという現実をつくっている、こう感じたところであります。  したがいまして、偵察以外にはヘリコプターは飛ばさないくらいのことをやって人命を尊重すべきではないのか。そういう意味で、今回、NHKだけではないですが、それぞれの報道機関のあの取材合戦、ヘリコプターによる取材合戦ということについては、少し慎むべきではないかという考え方を持っておりますので、NHKのヘリコプターの取材回数ということを一応聞いておきたいと思います。
  83. 中村和夫

    中村参考人 十七日から初動の五日間で見てみますと、合計二十九回、延べにして五十四時間余り飛行しております。ただし、「航空取材に関する方針」という新聞協会の取り決め、これを厳守いたしておりまして、それで決めている、運輸省で決めている高度よりも二百フイート高い、千二百フィートでNHKのヘリコプターは取材をしているということでございます。高い位置からでも撮れるような装置を積んでおりますので、下におりなくても撮れるということで。自衛隊の救援機が通る空路については千五百フィートを守るという形で取材当たりました。
  84. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 NHKとしてはそうでありますから、これは、民放も含めますと大変多い回数と長時間を飛んでいると思っていただくと、もう四六時中飛んでいると理解していただいたらいいのですね。このことについて、郵政省として今後お考えがあればお聞かせいただきたい。
  85. 江川晃正

    ○江川政府委員 先生御指摘のような問題点は、当時から既にたくさん声が上がってまいりまして、それで、私たちといたしましても、NHK、民放、郵政省が入りまして、こういうのをどうやっていったらいいだろうかというような検討会を設けて、これは今も続いておりますが、週一遍やっているところでございます。  あわせまして、民放自身も、先月の未になりますけれども、そういう場合の代表取材と申しましょうか、あるいは役割分担、協力体制をどうしたらいいかというようなことを考えようとか、それから、NHK自身が、ラジオでございますけれども、在京のラジオ局を集めて、どうやっていこうかということを検討しようということを、今から始めようとしている。  郵政省自身も、そういう中身に入りまして、放送の自主性、自律性をできるだけ確保するということに配慮しつつ、どうしたらいいかということを検討していこうとしているところでございます。
  86. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今、検証を行うということでございますけれども、ぜひ総合的な検証を行っていただきたい。NHKとしてもぜひ実施していただきたい、こう思うところであります。  もちろん、危機管理意識の問題、これを高揚していく、こういうことも重要でありますけれども、ライフラインを担当する公益企業、あるいは県や市町村、こういうところとの連携というものも非常に重要になってくるだろうというように思っています。  また、今お話にも出ましたけれども、民放とNHK役割分担であるとか、あるいはNHKの中の波の役割であるとか、こういうことについてもきちんと検討をしていただきたい、こういうように思っているところでございます。  外国人向けの問題であるとか、マイノリティーの問題であるとかということも含めて、事前にそういう約束なりができておれば非常に有効に動くというように思っているところでございます。ぜひその辺のことを、NHKのみならず、郵政省としてもお考えいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、ミニFM放送局を、行政、兵庫県に認可されました。これは大変重要なことだというように思うのでございます。運営がどうなっているのか、その費用負担はどうなのか、そこら辺、少し聞いておきたいと思います。
  87. 江川晃正

    ○江川政府委員 御指摘のミニFM放送局といいますのは、FM796-フェニックスという呼び名で、兵庫県に開始されたFM局でございます。  これは基本的には、機材から人から、いろいろなものをボランティアでやっていただいておるというところが中心でございます。今、そういうことで、大体地元の人たちとか、NHKアイテックというところが、NHKの関係会社でございますが、そういうところから人が行ったりして、ほとんどがボランティアで行われている、ぞうお考えいただいてよろしいと思います。
  88. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 これからもずっと続くわけでありますから、長期にわたるというように思っておりますから、私は、こういうことこそNHK協力させるべきではないのかというように思っておることを申し上げておきたいと思います。  時間がございませんから最後に移ります。  NHKの代替機能についてお尋ねしたいと思います。  神戸放送局は壊滅的な打撃を受けましたけれども、災害報道公共放送としてできたのは、大阪局が生き残っだからではないか、こういうふうに私は思っているわけです。  したがいまして、例えば東京がやられたときを想定して横浜であるとか浦和であるとか千葉であるとか、あるいは大阪がやられた場合には神戸、京都、奈良とかいうように、互いに相互補完機能を持たす、あるいは独自で放送できる局という機能を持たすべきだというように思うのですが、いかがですか。  それから二つ目は、大阪局が整備計画に入っておりまして、平成十二年完工というふうに聞いております。このときに東京の代替機能を持たすことがこれから可能だと思いますので、その点についてぜひひとつ検討いただきたいということで、御回答いただきたいと思います。
  89. 森川脩一

    森川参考人 お答えを申し上げます。  放送センターの災害対策については、もちろんふだんから万全を期しているわけですけれども、万が一災害などで放送センターが使えなくなったという場合には、NHKが部内で定めております災害対策規程に基づきまして、東京以外の放送局、今先生もちょっとお触れになりましたが、大阪あるいは仙台というところからラジオやテレビの番組の送出ができるような、そういうことを考慮しながら、平常の設備計画でいろいろな整備を行っております。  それから、衛星放送につきましては、電波を打ち上げる設備はやはり放送センターの中にございますので、これに万一のことがあった場合には、東京以外の局、大阪、それから札幌、福岡、こういった全国五つの放送局から衛星に対して電波を打ち上げることができる設備、これはもう現在もございますけれども、そういうところから電波を発射して衛星放送を継続するということが可能でございます。  それから、さらに申し上げれば、この千代田区の国会のそばの紀尾井町にございます千代田放送会館というところのスタジオは活用可能でございますし、またそこへ中継車を横づけしましての放送、そういったことも可能なことになっております。  それから、大阪の会舘の整備に当たって東京の代替機能を検討しているかというお話でございましたが、会館の建設そのものの基本的な方向がついせんだって定められましたわけでございますが、その中の設備の規模をどうするとか、あるいはレイアウトをどうするとか、あるいは今度の地震にかんがみて、そういう対策をどの程度、どういうぐあいにやっていくかというようなことは、今の先生の御指摘も受けまして、部内でこれから検討、研究をしてまいりたいというふうに思っております。
  90. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 終わります。
  91. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、田中昭一君。
  92. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 大変御苦労さまでございます。  私は、重複を避けまして、短い時間ですが、二点にわたって見解をお聞きをいたしたいと思います。  その第一は、国際映像放送の開始にかかわる問題でございます。  今回、国際映像放送の開始によって、国際放送関連の経費が十七億円ぐらいふえておるのではないかと思います。今日、国際化社会と言われておりまして、政治や文化や経済、すべての点で、国際化あるいはグローバル化の問題を抜きにして、いろいろな問題については解決ができない。こういう意味から考えまして、国際放送というのは極めて重要である、こういう認識については全く一致をするわけだと思います。  特に、日本の実態、実情というものを外国の方に早く正しく伝えるという役割なり、あるいは国際間の相互信頼を促進するという問題なり、あるいは海外にたくさんの日本の方が行っておられまして、そういう方に早く適切な情報を伝える、いろいろな面でも今後この国際映像放送というのは充実をしなければいけないのではないか、こう思います。こういう基本については、全く私は異議がございません。  しかし、これらの問題について、日本の政府という立場、NHKという立場では、何のための国際放送が、あるいは目的は一体何なのかという問題などについて、やはりもう少しきちんと合わせておいた方がいいのではないかな、こういう気がいたします。日本をよく理解をしてもらう、こういう位置づけだけでは、外国から見た場合にプロパガンダというような受けとめ方になるおそれもあるのではないかな。あるいは情報侵略という言葉なども使われておるわけでありまして、そういう意味では、海外の邦人に向けての情報の伝達であるとかあるいはビジネスのために必要な人への情報提供であるとか、これは有料にするとか無料にするとか、そういう問題などを含めまして、もう少し位置づけというものをきちんとすることが必要ではないか、こういう観点から、三つの点について御質問をしたいと思います。  一つは、今申し上げましたように、国際放送国際映像放送におけるNHKとしての役割をどういうふうに認識をされるかという問題と、もう一つは、郵政省としてどこまでこれらの役割NHKに求めるのかという問題について、少しお考え方をお聞きしたい、こう思います。  それから、国際放送国際映像放送においては、受信料を払っている国内視聴者、いわゆる直接の受益者ではない方の料金で賄っていく、こういう関係がございます。そういう意味では、受信料を払っている視聴者、国民の皆さん方の理解を得なければいけないという点があると思います。受信料の問題については極めて微妙な問題がございますから、したがって、この国際放送国際映像放送に使う経費については、やはり二足の枠などがきちんとなされておかなければいけないのじゃないか、こういう観点について、もう少しお聞きをしたいと思います。  それから、三つ目の問題は、今との兼ね合いから、民間放送とかとの共同体制の問題とか、あるいは資金の導入の問題などについて、何か新しいお考え方があるのかないのか、この三つの点につ いてお聞きをしたいと思います。
  93. 中村和夫

    中村参考人 映像国際放送については、冒頭お述べになりましたように、その目的は、日本の情報を世界に向けて発信して諸外国の正しい日本の理解を促す、それから在留邦人への情報提供をやっていくということでございまして、これは公共放送としてNHKがやるべき責務というふうに考えております。  それから、映像国際放送については、受信料との兼ね合いではおのずから一定の限度があるというふうに認識しておりますが、一年間に千三百万の旅行者が海外に行く、その人たちがホテルで日本の情報を見聞きしているというようなこと、それも一つ念頭に置いておかなければというふうに思っております。  それから、四月から始めるわけですが、文化侵略というようなことの起こらないように、アジア向けの配信では、放送会社、CATV会社、そういうところへの配信ということで十二時間番組を発信いたしますけれども、それもこれも、一挙に個別受信放送ということがどういうことになるのか、ABU総会、去年の十一月、ABU総会がございましたが、そこで国境を越えるテレビの発信についての共通のコードが一応できましたけれども、それにしても、我々のそういう発信がどういう影響を与えるかということをよく見きわめてから放送に切りかえるべきだというようなこともありまして配信という形にしたわけですが、今基盤整備の段階でございますから、民間放送とどうやって一緒にやっていくのか、公的資金を導入した方がいいのか、そういうことについてはこれから研究するという段階でございます。
  94. 江川晃正

    ○江川政府委員 郵政省としてNHKにどれだけ期待するのか、求めるのがということでございますが、予算の額で幾らとか時間で幾らとかというふうになかなか申し上げにくいところでございますが、考え方としては、このように考えているところでございます。  NHKというのは、もう先生も御質問でございましたが、公共放送機関として、従来の短波国際放送と同様に映像国際放送というのにおきましても、我が国の文化、産業その他の事情を紹介して、我が国に対する正しい認識を培い及び普及すること等によって、国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するとともに、海外同胞に適切な慰安を与えるという重要な役割を果たしてもらうだけの放送をしてもらおうということを期待しているところでございます。
  95. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 私が質問した趣旨についてはNHK郵政省も御理解をいただけると思いますから、そういう立場で今後充実について御努力をいただきたいと思います。  時間もございませんので、次に、ハイビジョン関係について二、三点お尋ねをしたいと思います。  ハイビジョン関連の経費について、過去の国会審議の中で、二%程度とするという約束といいますか発言があったと記憶をいたしておりますが、九五年度の予算の中ではハイビジョン関連の経費がこの二%を超えているのではないかな、私が誤りなら御訂正をいただきたいと思いますが、そういうふうに思います。同時に、出されております中長期計画の中では、ハイビジョン放送公共放送の先導的な役割を担う、こうなっておるわけです。  それで、ハイビジョン放送経費というのは、今受益者ではない現行うレビ受信者による受信料で賄われておる、こういうのが実態だと思います。したがって、ハイビジョンに係る経費というのは当然やはり公共放送の責務の範囲の中で考えなければならないというのが実態ではないかな、こう思います。その範囲をどこまで見るのか、その基準は一体どういうふうに考えていくのかというのは、やはり私は、きちんとしておくことが受信料徴収との関係では必要ではないかな。ハイビジョン放送というのは今日まだ国民生活の必需品ではないわけですから、そういう意味では公共放送の責務というのはあまねく公平に安いサービスで提供する、こういうことを考えるとするならば、ハイビジョンの経費というものと、それから、三年間は据え置きだけれども、その後の受信料の問題については今のところ不明確という、その受信料との関係ではもう少しきちんとしておいた方がいいのではないかな、こう思います。これが一つです。  関連をいたしまして、今も申し上げましたけれども、中長期計画の中では、三年間は受信料の値上げはしない、こうなっていますが、その後は一体どうなるかというのが極めて不鮮明だと思っているわけです。出されておる内容については、例えば二十四時間放送の問題であるとかハイビジョンの推進であるとかあるいは総合ディジタル化の問題とか、相当お金もかかるという計画がかなり出されておりまして、これはNHKの将来、日本の放送の将来を考えた場合において、決して否定されるべきものではないと思いますけれども、そういうのは、中長期の計画と財政計画との関係では、今後どういうお考え方を基本的にお持ちなのかという点について、二つ目にお尋ねをしたいと思います。  それから、ハイビジョンの関係で三つ目の問題ですが、大臣所信表明が一月でしたか二月でしたか、ありまして、その際にも私は、NHKが努力をして推進をしてきたミューズ方式の、アナログですね、このハイビジョンと今後のディジタル化の関連について質問をいたしまして、これについて江川局長は、マルチメディア時代における放送の在り方に関する懇談会の中で十分議論をしておる、こういうふうに御回答をいただいたわけです。  きのうの新聞ですけれども、朝日の一面に、郵政省マルチメディア時代における放送の在り方に関する懇談会の報告内容が載っているわけですね、記事が明らかになっているわけです。一面トップで「早期デジタル化へ道」ということになっているわけですね。これでいきますと、郵政省放送政策を軌道修正した、こうなっておりまして、いわゆるディジタル化の時期について、二〇〇七年以降とする従来の政策に加えて、一九九九年に打ち上げを予定している放送衛星から開始するということで、相当繰り上げる、こういう記事になっているわけです。これを両論併記で答申をするという記事になっているわけですが、いわゆる郵政省がこれらの問題について軌道修正をする、政策転換をするというふうに書かれておるわけですけれども、この点については一体どういうふうに我々としては理解をしていいのか、この三つですね、お尋ねをしたいと思います。
  96. 中井盛久

    ○中井参考人 先生お尋ねは三点ございますが、一、二点についてまずお答えさせていただきたいと思います。  一点目のハイビジョン関係の経費についてでございますが、御指摘のとおり、今までNHK事業支出の大体二%をめどとして支出を図ってきたというところがございます。今回、平成七年度、今提出させていただいている予算では、これが二・四%、金額にして約百三十九億円予定いたしております。これは御承知のように、昨年の十一月二十五日から実用化試験放送という、新たなハイビジョンが実用化に向けて一歩動き出したということを踏まえまして、一日五時間、水曜日だけはNHKの場合は十時間でございますが、そういう放送を、民放の場合も同じような形で乗っかって一緒にやっている。そういう形で、より実用化に近づいたという形で今回は二・四%の支出を見込ませていただいております。  しかしながら、これがじゃどこまでいくがということにつきましては、先生御指摘のとおり、これがまだ実用化の段階でもありません。先導的役割という形で、新たなる二十一世紀に向けて次の一つ映像の新しい形ではないかということで、少しずつ先導的な役割を果たさせていただきたいな。その中で、より普及することによっていろいろな機材とか物も安くなってまいります。そういうことと相まちましてやっていきたい。そして制作側も、今までのNTSC式の五二五の方式でやっている放送とハイビジョンを一体化することによりまして、ハイビジョンでつくったものを五二五でも放送できるというようなことが非常にできますので、そういうことを踏まえながら極力経費の効率的な使用に努めてまいりたい、こう思っております。  それからもう一点、二点目のこれからの経営方針の中でのお話でございますが、これにつきましては、NHKといたしましては、平成二年から六年にわたる五年間にわたりましておかげさまで経営が非常にうまくまいりまして、ただいまのところ五百億円を超える安定化資金を抱えて、繰り越しております。その中で、この運用資金を利用させていただくことによりまして、先ほど会長が申し上げましたように、平成七年、平成八年、これはそのまま値上げせずにやっていけるという見通しも立てております。平成九年度についても、非常に緊縮した経営に当たれば何とかやっていけるというめどのもとに、中長期の経営計画の中には一応グラフでそのことをお示しさせていただいております。  したがいまして、当面長期的に見たら、このハイビジョンの開発も含めて、それから一方では二十四時間放送、これもお金も労力も余りかけないでうまい知恵を出しながら安心テレビという形で持っていきたい、それから先ほど先生御指摘国際映像も、これも確かにお金はかかりますが、そういうことは一応計算の中に入れて、今言いましたように三年間ぐらいは大丈夫だろうという見通しを持っております。
  97. 江川晃正

    ○江川政府委員 第三番目のお問い合わせでございますが、昨日の報道内容に関しましては、懇談金において検討されているものが何らかのルートで新聞に出たものだと思いますので、ここでのそれに関する発言は控えさせていただきたいと存じますが、一般論でございますけれども、かねてから先生からも御指摘いただいておるとおりでございますが、どういうような放送が、サービスが望ましいのか、また、それらがどのように提供されるのがよいのか等につきまして、国民において誤りのない選択が行われるようにということ、そのために正しい情報提供することが国としての重要な役割であると考えているところでございますが、マルチメディア時代における通信と放送の融合の進展という中で、放送のディジタル化ということにつきましては、もうほとんど異論はないのではないかなと思われるところでございます。  また、最近におきましても、ディジタル画像圧縮方式の国際標準の決定とか欧米等での事業化の動き、我が国における事業化の構想、そういったものも踏まえまして、電気通信技術審議会での技術基準づくりの進展などもございます。放送のディジタル化が今や目の前の現実の動きになりつつあるということも十分に認識して具体的な政策決定を行っていくべきことではないかなと考えているところでございます。
  98. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 どうもありがとうございました。  終わります。
  99. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、大木正吾君。
  100. 大木正吾

    ○大木委員 最初に、この逓信委員会NHKを初め郵政、NTT等、大きな職員を抱えておりまして、特に震災問題につきまして、私たちは、被害者であって同時に公共事業の従業者、こういった立場でもって対策に大変苦労してきたわけでございますが、きょうの席の場合には、何といいましても情報関係の中心のメディアを持っていますNHK方々、現地の方々を中心といたしまして大変な御苦労といいますか、そういったものにつきまして、大きな役割を果たされたことにつきまして、冒頭に感謝申し上げておきたいと思います。  さて、問題は震災関係でなく、新しい予算事業計画について伺いますが、最初に、実はこれはちょっと意味があるかないかもはっきりいたしませんが、平成七年度の収支予算事業計画に対しまする郵政大臣意見が出ておるわけでありますが、この冒頭二行目に、予算並びに事業計画資金計画が「おおむね適当なものと認める。」こういう言葉がございまして、「おおむね」というのは一体どういうことの意味なのか、そこのところを、少し理屈っぽくて申しわけないのですが、大臣なり郵政当局とあるいはNHK会長と双方から伺っておきたいと思います。
  101. 江川晃正

    ○江川政府委員 なかなか百点ですということが言いにくいというのが世の中一般じゃないかなと思っておりまして、本当は今度のNHK予算でも、随分努力していい予算ができているのではないかなと私たちは考えてはおります。しかし、にもかかわらず「おおむね」というのがつきましたのは、例えばこういったような問題、数字が到達しないという部分が幾つかございます。  例えばでございますが、営業経費卒というのを、これは今度一三・六%というところで見込んでございますが、本当はできれば目標を一二%ぐらいに圧縮したいという希望を持って動いてきているわけです。ところが、いろいろな事情があってそこに達しなかったとか、それから契約率、これは衛星を中心にやっているところでございますが、実際には七二%ぐらいの程度に見込まれる。希望は九〇ぐらいに持っていきたいわけです。あるいは要員のことで申し上げましても、減員率が一九%程度に見込んでいるところですが、できることならもう一ポイント、二〇%ぐらいまで持っていきたいというような、経営からくる幾つかの希望、ウィッシフルなフィギュアというのがございます、希望的数値がございます。そういうものに到達できなかったが、そこを目標に向かってさらにやはり努力していくというようなところがございます。  必ずしもそれが達成されるという確証もないのですけれども、そういう努力のもとにいろいろやっているというところを、一層努力すべき課題が残っているぞという意味において、先生おっしゃいます「おおむね」という言葉を使わせていただいた次第でございます。
  102. 川口幹夫

    川口参考人 収支予算についての郵政大臣の御意見の中に「おおむね」という言葉があるのは、私もよく承知をしております。  NHK自体も常に高いところを目指して、中身の充実だとか経営の健全化とかいうことを図っていきますけれども、少なくとも現段階ですべてが十分にできるわけでもございません。だから、この七年度予算提出する段階で、種々の条件等を勘案して「おおむね」という言葉が使われた、こういうふうに解釈しております。  私どもは今後、おおむねが出ないような、そういう努力を続けていくようにしたいと思っております。
  103. 大木正吾

    ○大木委員 会長の御意見で、ぜひそういった努力を続けてほしいことを希望いたしておきます。  次に、新しい計画放送時間の延長問題が出てきまして、先行きは二十四時間体制、こういう話もありますが、とりあえず平成七年に深夜と早朝一時間ずつ延ばす、こういう話が出ておりますが、これにつきまして、一つ放送番組、結局延ばした時間帯についてどういう番組をお考えになって放送されようとされているのか、その問題についてちょっと伺ってみたいと思います。
  104. 中村和夫

    中村参考人 来年度は、総合テレビで朝一時間、夜一時間、放送を延長いたします。  朝は五時から始めますが、朝はニュースと気象情報がメーンになると思います。それから、十二時から一時まで放送を深夜延長しますが、これの中身は、現在教育テレビでやっております「ETV特集」それから海外ドキュメンタリー等々の好評の番組の再放送になると思います。  従来、統計をとってみますと、これまでも一日当たり一時間の延長ということは実質上やっておりまして、緊急報道と海外でのスポーツというものを総合テレビで臨機応変にやってまいりまして、これは統計で見ますと毎日一時間ぐらいの放送延長をやっているという現実もございまして、一時までそういう形で放送を延長しよう、何よりも緊急報道に万全の体制で臨めるということが第一の眼目でございます。
  105. 大木正吾

    ○大木委員 ちょっと十七日の震災が起きましたのが五時十七分ですか、十七日の五時ですね。  そうしますと、今NHKは六時からたしか放送を始めていますね。ということになりますと、一時間早めますとちょうどNHK放送開始直後ぐらいにぶっかってくるわけですけれども、そういったようなお考え方も背景にはあるわけですか。
  106. 中村和夫

    中村参考人 現在、五時五十分から放送を始めておりますが、この前、十七日の場合も五十分の頭のところで放送に入ったわけですけれども、夏になりますともう四時半から明るいということと、海外の情報が朝に集中するというようなこともありまして、それから人が活動する朝の時間にやはり気象情報は非常に大事だということで、気象の情報の演出等々も工夫して、気象情報とニュースということで五時からということを考えたわけでございます。
  107. 大木正吾

    ○大木委員 私どもでは、むしろたまに民放の一時過ぎのものを見ることがあるのですが、やはり余りこれはという番組はありませんね。ですからそういった面で、今おっしゃられたとおり、教育放送関係の問題でございますとか、海外の立派なものとか、さらにやはりスポーツ問題とか、要するにニュースとか、そういったものに絞りましてやっていただくと、大分これは役に立つ、こう考えておりますので、そういった番組の工夫、ぜひこういった問題についてはしておいていただきたい、このことをお願いしておきます。  それから、要員問題関係ですが、これについてNHKの従業員の方々の労働時間が現在二千四百時間前後していますね。やはり平均時間千九百時間内ですから、ちょっとこれは長過ぎるといいましょうか、要員をずっと絞ってきた経過がございますから、そういった問題と比較いたしまして、将来これをだんだんふやしていくのでしょうけれども、一体どういう状況になっていくか、下手をしますと宿泊体制なんということもできてきましょうか、要員問題についての放送時間延長問題の関係についてお答えください。
  108. 安藤龍男

    ○安藤参考人 御承知のように、協会は今要員の効率化を実施をしているところでありまして、なかなか二十四時間放送に向けての放送時間の延長ということで増員をしたり要員の手当てをするというような状況ではございません。なるべく人と経費をかけないで緊急報道対応をしていきたいというふうに思っております。  そうはいいましても、早朝とか深夜に対する対応でございますので、労働条件の低下ということについては十分配慮をして、そういうことが起こらないようにしていかなければいけないというふうに思います。  今先生NHK職員の労働時間二千四百というふうにおっしゃいましたけれども、平均はもっとずっと少なくてございまして、二千時間切っているぐらいのところでございます。ただ、上限として二千四百時間を超えないというふうな目標で今やっておりますけれども、そうはいいましても、そういう早朝、深夜の勤務に対しての対応として、勤務ローテーションの一部の変更とか勤務体制の見直しというようなことを行って、十分労働条件の問題については配慮をしていきたいということで、現在も労働組合と話し合いをしているところでございます。
  109. 大木正吾

    ○大木委員 NHKに対してやはり放送マンとして社会的な責任等も考えながら就職した方々が多いと思うのですが、しかしいずれにしましても、余りひどいとこれはちょっと良質の労働者を失いますから考えていただきたいことでございまして、労働組合があるはずですから、よく十分に話し合ってほしいことをお願いしておきたい。私は、参議院の逓信委員長時代に中に入ったことがありまして、ぜひこういったことについて労使間の話を十分にしてほしいことを申し上げておきます。  それから、もう一つだけ伺いますが、実は現場の方からきのう駆け込み的に話がございまして、これは郵政省関係だと思いますが、集中排除の問題なんですね。集中排除原則の場合の問題です。  これについて、多チャンネル・多メディア時代に入ってきますと専門の放送局ができる、こういう話が現場にありまして、そして結果的にいえば競争も激しくなりますので、こういった局がつぶれてしまっては気の毒だ、こういったこともありまして、ぜひ集中排除原則について緩和をしてほしい、こういうことがございますので、これはきょう即決してそうしましょうという返事は要らないのですけれども、そういった方向で考えていただくことができるかどうか、これは行政局長の分野だと思うのですが、お願いします。
  110. 江川晃正

    ○江川政府委員 チャンネルがふえまして専門放送局ができますと、おっしゃいますような意味での集中排除を緩和してくれないかという声は必然的に上がってくると私たちは承知しております。  その意味で、集中排除の原則について、チャンネルがふえる話とのかかわりにおいて我々検討してみなければいけないなと思っているところで、きょうここで直ちに緩和します、しませんと申し上げるのはいかがかと思いますので、検討するということでお許しいただきたいと思います。
  111. 大木正吾

    ○大木委員 ちょっと時間が一分残りましたので、もう一つだけ、最後にこれは確認したいのですが、要するにマルチメディア時代に入りまして、大変なハードな投資が、基盤整備、あした委員会でやりますが、こういった中でNHKの場合にハイビジョン問題に懸命に取り組んでおりますけれども、コンバーターを使えばいいんだという話もありますが、結果的には通信情報関係全部マルチに入ってきますから、そういった中でもって依然としてアナログ関係で、技術問題としまして本当に支障がないかどうか、これは確認しておきたい問題なんですがね。
  112. 森川脩一

    森川参考人 お答え申し上げます。  毎度申し上げているとおり、NHKは来るべき二十一世紀になればいろいろなメディアがディジタル化していくだろうというふうに予測を立てまして、その方向に向かいましてただいまは技術開発面を中心にいろいろなことの努力をそこを中心に傾けている、こういう現状でございます。アナログからディジタルヘ移るということは、つまり放送の方式が変わっていくということでございますから、放送の方式を変えていくということは過去にはそう例がございません。したがって、受信者の方々になるべく負担のかからないような、それから新たなディジタルのメディアというのも、受信者がそのメディアをぜひ見たいのだというふうな魅力あるものに内容面でもつくり上げていくというようなことをあわせまして、これからも来るべきディジタル時代に向けましていろいろな努力を重ねていきたいというふうに思っています。
  113. 大木正吾

    ○大木委員 終わります。
  114. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、小沢鋭仁君。
  115. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 新党さきがけの小沢鋭仁です。NHK予算に関連して御質問をさせていただきます。  まず第一番目に、さきの委員の方からも質問がございましたが、阪神淡路大震災関係、災害放送の観点から御質問をさせていただきたいと思います。  今回、逓信委員会所管といいますか、関連する郵政省さん並びにNHKさん、この大震災において大変奮闘努力をいただいたわけであります。私はそれを高く評価させていただくわけでありますが、しかし同時に、国民の目から見たときに、一般報道なんかにありますように、政府は何をやっているんだという、そういう声があるのも事実であります。私は、身近でそういった皆さん方の活躍をよく承知しておりますから、そういう意味で最大限の努力をしていただいているとわかっているわけでありますが、同時に、こういう大衆社会といいますか、国民の皆さんが情報を共有している時代は、それをしっかり伝えていくということがこれまた極めて重要であります。  政府が一体どういう方針で何をやったのか、それをしっかり国民の皆さんにわかっていただくという、まさにその理解と認識があって初めて災害地の皆さんたちも安心できますし、そしてまた、 その方針を国民の皆さんも支持をしていただけるわけでありまして、私はそういった活動というのは極めて重要だと思うわけであります。  また同時に、今回、これはさきの質問でもありましたが、生活情報がやや不足していたのではないかという御質問もございました。そういったことを総合して考えまして、私はこういうことをお尋ねしたいと思います。  まず、そういった話をしっかり国民に伝えるために、現在の放送法第六条の二、これは災害に関する放送規定でありますが、そこを改正して、そうした緊急事態が発生した、政府が必要だと認識をした、そういった場合には、NHKに対して政府の主導、政府放送、政府による災害放送をさせていただくことができないか、そういったことを政府としてお考えいただくわけにはいかないだろうか。政府が直接国民に向かって語りかける、当然NHKの皆さんたちの御協力は一〇〇%仰ぐわけでありますが、ここは政府の放送だという放送をしていただくお考えはないか。これは同時に、法律的に言っても、例えば国際放送実施の命令というのが放送法第三十三条にございます、そういったことと組み合わせて考えれば、私は十分にやれると思うわけでありますが、大臣の御所見をいただきたいということと、それに対してNHK川口会長を初め皆さん方のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  116. 江川晃正

    ○江川政府委員 多少法律的にややこしいところがございますので、私の方から事務的に御答弁させていただきたいと存じます。  災害時における放送が国民生活に必要な各種情報提供するという大きな役割を果たすということは先生御指摘のとおりでして、NHK等の放送事業者に対しまして、放送法の六条の二というところで、災害の発生を予防し、またはその被害を軽減するために役立つ放送を行うことを義務づけているというのは御案内のとおりでございます。今回NHK及び民間放送事業者が、この規定に立ちまして、放送法規定に沿ったいろいろな放送をしてくれたなということにつきましては、この委員会におきましても、先生方高い評価を与えてくださったなというふうに私は承知しているところでございます。  そこで、もう一歩突っ込んだ話として、いざというときに国が乗り出してすべてやっていくという、すべてと申しましょうかやれる仕掛けをつくるのはどうなのかという、そこまで話が行くことについては、正直言いまして、公共放送機関としてのNHKの位置づけとか、それから放送が持つ自主自律というものをどこまでどういうふうに尊重し、配慮して確保していくのかというような問題とか、そういったようなものとの非常に大きなかかわりが出てまいります。  それでぱっと気がつくのは、憲法上の認められた自由というか、基本的人権に当たるような自由と国が出ていって仕切るという形の拘束とどういうふうにバランスをとるのかというところで、ある人たちからいいますと、自主自律を損なうからだめだという議論も当然あると思います。しかし、また一方において、例えばの話で恐縮ですが、大災害が大都市に起こったときに、日本国はつぶれた、しかしNHK放送の自主自律は守られたという姿が日本国にとって不幸なのか不幸でないのかということについては、また別の視点から考えなければいけない部分はあろうと思います。  そういうことをこもごも深く広く考えていかなければいけないと思いますので、一応先生の御指摘の部分につきましては、そういう問題もあるから検討をしてみる必要はあるのかなというふうに考えているというところでお許しいただきたいと存じます。
  117. 大出俊

    大出国務大臣 私からも一言触れておきますが、これはこの席で出てきただけじゃないのでございまして、予算委員会などでも何人もの方からそこを一遍検討したらどうかという御意見が出ているわけでございます。これはどうしてかといえば、今御指摘の第六条の二、放送事業者は、国内放送を行うに当たり、暴風、豪雨、洪水、震災、大規模な火災その他による災害が発生し、または発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、またはその被害を軽減するために役立つ放送をするようにしなければならないという、これは義務規定なんですね、ある意味では。そうしますと、ここに何がしかのことを加えられないかという意見は当然出てきて不思議じゃないのです。しかし、今局長が答えているような側面があることも事実なんです。  そういう意味で、いろいろな検討をする機会、検討委員会その他が今できておりますから、そこらの議論をしばらく聞かせていただいて、一番いい方法はどうすればいいのかということを考えさせていただきたい、そういう意味で検討させていただきたい、こう思っております。
  118. 川口幹夫

    川口参考人 今のお考えに対して、NHKはこう考えるということを申し上げます。  大きな点で二つ論点があると思います。  一つは、NHK自体が災害基本法によりまして、指定公共機関として何よりも災害報道に当たらなければいけないという規定があるわけです。したがって、もうこれは公共放送としてのNHKに課せられた義務である、責任を全うしなければいけないということが前提になっておりますから、そのことについて、私は、もう十分NHKがその役を果たせばまずこの問題はそれでいいのじゃないか、こう思います。  それから、二番目の問題は、いわゆる放送法との関連ですが、NHKの場合は放送法によっていわゆる報道の自由あるいは言論の自由ということを自主自律でやるということを決められております。したがって、その考え方でいきますと、災害が起こった場合、それに対する放送自体もNHKの自主的な判断で最大の努力をしてやることが一番法の精神を生かす道ではなかろうかというふうに思っております。
  119. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 この問題に関しましては、今御答弁をそれぞれいただきましたように、いろいろな問題を抱えているのはよく承知しておりますから、本日はこれでこの問題は終えさせていただきますが、しかし同時に、私は、一言申し上げておきますが、これでNHKの皆さんの経営権を束縛するとか、そんなような観点は全くございませんし、報道の自由を云々ということもございません。ただ、大事な話は、国民生活にとって何が重要なのかという観点から御検討をいただきたいとお願いをするわけであります。  続きまして、時間もございませんので、実はスキップバックレコーダーの話もお聞かせいただきたいと思ったのですが、前の方の御質問がございました、まさにスキップをさせていただいて、私の最後質問をさせていただきたいと思います。  今回、予算をおつくりになる、またそのベースになる考え方としてNHKの方では「中長期経営方針」をお立ていただいているわけでございます。その観点で御質問させていただきたいと思いますが、一言で言いますと、進展したマルチメディア社会において放送と通信というのは融合すると言われております。そういった時代がこれから来るわけでございまして、当然のことながら「中長期経営方針」の中でもマルチメディア社会には触れられていただいているわけでありますが、やや認識がまだ踏み込んでいないといいますか、あるいはまた今のところはそこまで語ってはいけないということなのかわかりませんが、私にはちょっとぴんとこなかったわけであります。  と申しますのは、放送と通信が融合する時代ということは、まさに放送にとってはパラダイム転換であります。これはある意味では物すごく劇的な変化であります。ですから、それが到来するのだ、その場合にどういうふうに対応するんだということは、まさにNHKの中長期方針で、そこに書く書かないはともかくとして、かなり御議論をいただいていると思うわけでありますが、そういった中で、放送放送と通信の融合の時代にどういう役割を果たすのか、今と同じでいけるのか、違うとしたら何が通信と放送の違いなのか、そこのところを一点御質問させていただきたいと思います。NHKさんにお願いいたします。
  120. 中井盛久

    ○中井参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、NHKがこの「中長期経営方針」をまとめる際の議論の一つというか大きな柱は、そのことでございました。しかし、マルチメディアというものの定義が、先ほど来のお話にありますように、まだ確たるものがどなたにもわかっていない。それぞれの理解がそれぞれ違う。かなり固まってきてはいますけれども、まだ確定的なものはございません。  その中で、我々が放送はどういうふうになっていくんだということを議論したことも事実なんですが、放送は、今までやってきたことは、総合的なサービスを通じまして、広く多数の人々に共通するさまざまなニーズに幅広くこたえて、日常生活に欠かせない情報番組をだれもがひとしく受信できる、より安いコストである、あまねく提供するというような、非常に広い意味でのやすいということとか、一度に情報が伝えられるとか、そういう利点が非常にあったわけで、この放送役割というのが融合社会になってきても基本的には残っているのじゃないか。  幾ら議論しても、やはりそこには一人一人、一対一、一対n、n対nという関係があって、マルチメディア時代にはもう本当にさまざまなことが、先ほど言いましたように、わかりませんけれども、その中にあっても何かジャーナリズム精神のあるようなものとか、そういうようなものの基本的な情報というのは何かあって、それが分解されていくということはあるかもしれませんが、そういう基本的なものは何か変わらないのじゃないかという議論が我々の中では多数を占めました。  今のところわかりませんが、そういうマルチメディア時代になって、双方向のサービスとか、いろいろなサービスが付加されていくことも事実でありますけれども、そういうものはNHKとしては今までやってきているサービス、無線系のサービスによる現行のサービスを補完するものになってくるのじゃないかというふうな感じで、その辺のさらなる可能性を追求していきたいというところが、まだ我々、お答えにはちょっとなっていませんけれども、本当のことを言って、わかりません。  ただ、将来の放送・通信の法制度の方向だとか、それから技術開発が本当にどこまで行くんだとか、それからコストの問題もあります。それから、いわんやNHK業務範囲がどこまでその場合にやったらいいのかということも大きな問題であります。それから、それに付随する関連事業がいろいろな仕事をやっておりますけれども、その辺についてもどういうあり方がいいのか、非常にそういうのは多面的かつ総合的に検討する必要があるということで、その辺をこれから、視聴者の意向というのが非常に大事ですし、その辺の中で放送というものが生き残っていくような社会を我々構築したいなと思っておりまして、ただ、具体的にそれが視聴者の中に受け入れられるかどうかはこれからであります。
  121. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 時間でございますのでこれで終わらせていただきますが、今の放送と通信の融合の時代、中井理事の御答弁の中で、それを見きわめていきたい、そういうお話もございました。どうぞこれは前向きに受けとめていただいて、NHKとしても攻めていっていただかないといかぬわけですね。放送が生き残っていくというお言葉がありましたが、別に放送は生き残らぬでもいいわけであります、国民生活にとって必要なものが残ればいいわけでありますから。しかし、NHKの皆さんの今の人的な資源だとか、そしてジャーナリズム精神とおっしゃいましたけれども、そういったものをどうやって生かしていくかということで生き残っていっていただければいいわけでありまして、そういった観点では、どうぞこれは前向きに積極果敢に受けとめ、攻めていっていただきたい、お願いをするところでございます。  最終的に大事なのは、国民生活に対してどれだけの利便を提供できるかというところにあるということだと思いますので、どうぞそういった御活躍を期待申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  122. 自見庄三郎

    ○自見委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  123. 自見庄三郎

    ○自見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について質疑を続行いたします。日笠勝之君。
  124. 日笠勝之

    ○日笠委員 午前中の審議で田中委員の方からも御質問がございましたが、もう少し私は観点を変えて御質問を申し上げたい件がございます。  それは、昨日の朝日新聞の一面トップの「衛星放送 早期デジタル化へ道」ということで大きく報道されております。郵政省が私的諮問機関でつくりました衛星放送のディジタル化の懇談会、マルチメディア時代における放送の在り方に関する懇談会でございますが、昨年の五月に設置されたわけですが、この三月末ぐらいにはその結果報告が取りまとめられるということでございまして、その記事が出ておるわけでございます。  そこで、お聞きしたいのは、私の理解は、平成五年五月の電監審の答申では、いわゆる裏を返して言えば、二〇〇七年ごろまではディジタル化じゃないんだ、今のミューズ方式を進めるんだ、こういう理解でおりましたが、今回の懇談会の報告書はそれを軌道修正する両論併記が述べられておると聞いておりますが、まずこの懇談会の報告、両論併記、これはこのとおりなのかどうか、お聞きをしたいと思います。
  125. 江川晃正

    ○江川政府委員 先生御指摘の懇談会は、三月の末に最終報告書を提出するべく、専門委員会あるいは起草委員会というのが今動いているところと承知しております。  昨日の朝日新聞に載りました記事は、そういう起草委員会あるいは専門委員会における検討資料として事務的に配られているものが、何らかの理由で出たのではないかな、新聞に載ったのではないかな、そう承知しています。  したがいまして、両論併記になるであろうとかなんとかということは私も承知しておりますが、一応まだ出ている話ではございませんので、そのこと、報告書という視点に立ったお話というものはちょっと避けさせていただきたいと存じます。
  126. 日笠勝之

    ○日笠委員 取りまとめがまだ少し先ということだそうですが、もしこの報道のとおり、報告案に、九九年にハイビジョン導入、ディジタル化を進めるんだというふうなことになりますと、電監審との整合性というもの、もしこのとおりの、記事どおりの報告が出た場合、電監審の答申との整合性、電監審の答申はまだ二年もたってないわけですね、それの整合性はどういうふうに考えておられますか。
  127. 江川晃正

    ○江川政府委員 報告書とのかかわりにおける御説明というのは避けさせていただきたいと存じます。  したがいまして、整合性の話につきましては何とも申し上げられないところでございますが、違う答えが出るかもしれないということにつきましては、それなりに、何か物事が決まって、これは一般論でございますけれども、物事が決められた前提条件といいましょうかフレームワークというものに急激な変動、変革があれば、そういうものを見てもう一度物事が変わり得るということは、一般論としては間々あることではないかな、そう考えておるところでございます。
  128. 日笠勝之

    ○日笠委員 NHK会長は、この点について、もし報道のとおりの報告となりました場合、今NHKとして進めておられる方向を相当これは軌道修正をしなければいけない、こういうように思うのですが、NHK会長としてはどういうお考えでしょうか。
  129. 中井盛久

    ○中井参考人 会長への御答弁要求でございます が、私の担当のところでやっておりますもので、かわってお答えさせていただきます。  今、江川放送行政局長からもお話がありましたように、この報告書の内容についてはまだ審議中というふうに伺っておりまして、もちろんNHK会長もこのメンバーになっております。三月の未に最終的な答申ということで、今起草委員会でああいう案が練られていることは事実のようでございますが、その途中段階でございますので、内容についてのコメントはちょっと避けさせていただきたいな、こう思います。  ただ、一般論で言えば、衛星放送について、NHKは今までの国の既定方針に沿って、まずハイビジョンによる高画質な放送というものを普及させることが、将来のマルチメディア時代の基盤を築くことになるのじゃないかというふうに考えておりまして、中長期のあの基本方針の中でも、もちろんディジタル化も進めるけれども、同時にハイビジョンというものをまず取り組んでいきたい、ここ数年は特に、それでそれを立ち上げることが、結論的に言えば、ハイビジョン、ほとんどのところはもう全部ディジタルですから、そのディジタルのものに移行するのに一番いい方法じゃないのかという考え方ております。  また、それを同時にやることによって、完全ディジタル化になってもうまくつないでいける、受信機とか、あるいはそのほかの開発要素というのもだんだん開けてきておりまして、そういう見通しも立っているという形でそういう方針を打ち出していっております。
  130. 日笠勝之

    ○日笠委員 私、個人的な意見なのですけれども、電監審の委員というのはこれは五名しかいない、国会の同意人事でありますね。電波法九十九条できちっと規定されたいわゆる八条機関でもある。そこで一つの方向性を出した、その後のこの懇談会、私的諮問機関が、二年もたたないうちにカーブを切るというか軌道修正をする、こういうことでは、朝令暮改といいましょうか、いわゆる一生懸命やっている方々が、じゃ一体全体どちらを見ながら進めていけばいいのか、研究開発を踏まえて進めていけばいいのか、戸惑うばかりなのですね。  ただ、急速な技術開発云々ということがありますし、現在の世界的な情勢というものもこれは頭に入れておかなければいけないと思うのですが、そういう意味では、懇談会の内容、報告と電監審の答申とが食い違うような場合は、これはもう一度きちっとオーソライズして、この方向に行きますよ、NHKさんも当然、またいろいろな業界、団体の方も入っていただいて、こういう方向で行きますということを明確に指し示さないと、これは放送行政局の、いわゆる放送の政策をつくるというポジションから見れば、何か二年前と今度と違ってしまうということになれば戸惑うばかりですね。  そういう意味では、懇談会の報告というものがまだはっきりしないということでありますので何とも言いようがないのですけれども、いずれにしてもびしっとハイビジョンの問題は近々に決着をつける、一つの方向を見出して、そしてみんな協力し合っていく、こういう方向へ持っていかないと、これは本当に、私たちも新聞を見るたびに、いろいろな話を聞くたびに戸惑うばかりでございますので、この点、どういう報告が出ようと、電監審の答申と今度は両方整合性を持たせてきちっとした方向を見出す、こういうことをやはり大臣、これはリーダーシップをとらないといかぬのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  131. 大出俊

    大出国務大臣 日笠さん、まさにポイントをお突きになっての御質問なんですね。ただ、私は私の考えがございまして、委員会で、御質問の中身によったわけでございますけれども、実は私の考えを申し述べたこともあるのです。それは非常な心配をしているからなんですよ。しかし、大臣というのは、もう日笠さん先輩だから御存じのとおり、長くやっているわけではありませんから、混乱を招くような言い方も避けなければならぬという心配をしているのですが、というのは、相当な投資をしているのですよ、民間企業の皆さんは。世に言う一兆円という言われ方もありますけれども。NHKさんが幾らと言うが果たしてそれだけかいなという意見も出てくるぐらい相当な金が投入されていると見なければならぬ。四万足らずの受像機しか今売れてないとなると、これは果たして回収できるのかなと。  確かに、国際的に、私も懸命に調べてみましたが、今度ブラッセルへ行きましたから聞いてもみましたが、調べてみて、そして確かに、完全なディジタル方式でハイデフィニションテレビというものをやっている国はどこにもない。そうすると、今お話しの二〇〇七年というところ、しかし片っ方では、アメリカのFCCの言い分、つまり連邦通信委員会の言い分は何と言っているかというと、段階的にということになっていますけれども、二〇〇八年というところまでに全部のテレビを未来型のテレビにかえるという方針を出しているわけですよ。  片っ方で、確かに限られた研究機関ではありますが、マサチューセッツ工科大学と、ここにございますがGI、ゼネラル・イシスツルメントなどの合同研究で、完全な、オールディジタルなハイデフィニションテレビの実験放送に成功しているというデータも、去年の三月ですが、ございます。  そうなると、ここらが実用化に向けてこれから何年かかってどう動くのだろうか。これに対して、ではミューズで三十年もやってきた日本というのはどういうふうにするのだろうか、投資したものの回収も含めて。そこら全部頭にあるから、前の五人の委員の中心でおまとめになった方に、私古いつき合いだから直接物を言って聞いてもみた事情もございます。  しかし、せっかく今、片っ方でやっておられるわけですから、こういう新聞記事が出ましたけれども、もう少しそこのところは慎重に考えて、全体がうまく進めていけるような、政策的に軟着陸のできるような方向をでき得れば考えなければいけないなというのが今の気持ちなんですよ。  日笠さんの御質問の中で、私がいろいろNHK予算について幾つか御意見を申し上げていることについてもあるいはお触れになるのかもしれませんけれども、今のところはこれでお答えにさせていただいて、必要であればまた後からお答えをしたい、こう思っております。
  132. 日笠勝之

    ○日笠委員 いや、それはいろいろな状況が各企業あることは十分承知しているわけですね。ただ、企業は企業として、投資したものは全部回収できるということを前提に投資しているわけでありませんし、ハイリスクということもあるわけですね。  ただ、何回も申し上げるように、行くべき方向が一年、二年の間に朝令暮改のように変わったのではみんな困るし、定める方向をきちっとしないとちゅうちょするばかりなんで、三月末に懇談会の報告が出たらば、電監審の答申と突き合わせて、突合させて、もう一度あるべき姿というものを、これは大臣がリーダーシップをとり、江川局長もリーダーシップをとり、もちろんNHK川口会長も懇談会のメンバーに入っておられるわけですから、きちんと言うべきことはおっしゃって、日本のあるべき将来の姿というものをぴしっと明示すべきだというふうに申し上げているわけで、その方向はいいんでしょう。
  133. 大出俊

    大出国務大臣 時間がなおございますので、御指摘の点よくわかっておりますから、相談をさせていただきます。
  134. 日笠勝之

    ○日笠委員 では、NHK予算の中身に少し入っていきたいと思いますが、NHK予算につきまして大臣意見というのが五項目ほど具体的に出ております。その中で五番目の、「マルチメディア時代に向けた、統合デジタル放送等の先導的技術開発への取組の強化」というのがございます。これは、大臣は具体的にどういうことを想定してこういう意見をつけられたのか、また、NHKがどういう対応をすることを望み、期待をしてこういう意見を付されたのか、お聞きしたいと思います。
  135. 江川晃正

    ○江川政府委員 五項目めに、先生おっしゃいましたことを「記」としてつけているところでございますが、二十一世紀に向かいましては、ディジタル技術等の技術革新や国民の情報ニーズの多様化というのはどんどん一層進みます。それから、有線とか無線、通信とか放送、そういったもののそれぞれの分野で情報メディアの多様化、高度化ということが行われますとともに、いわゆる通信と放送の融合も進んでいくと考えているところでございます。  そういう中でNHKは、公共放送としてこういうものに的確に対応して、我が国の放送全体の発展のために先導的役割を果たして国民の信頼にこたえていく必要があるものと考えておりますし、またNHKにそうなってもらいたい、そういうふうに期待しているところでございます。そのような視点から、郵政大臣意見として第五項めにそのようなものを書いたというところでございます。
  136. 日笠勝之

    ○日笠委員 では、今度NHKの側にお聞きしますが、NHKはこういう大臣からの意見を受けて、先導的技術開発への取り組み強化をしなさい、こういうことですが、具体的にどういう先導的技術開発していこう、進めていこう、こういうふうにお考えなのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  137. 森川脩一

    森川参考人 お答え申し上げます。  NHKは、今先生おっしゃったように、あるいは今、江川局長がお答えになったように、公共放送として先導的な役割を進めていく、このことはもちろんディジタル技術開発の分野でも例外ではございません。  具体的に申し上げますと、映像や音声をできるだけ効率よくディジタル信号に転換する技術でございますとか、それからゴーストに大変強く、また自動車などの移動体受信に適した伝送技術というのはどういうものか、あるいは多様なマルチのサービスを簡単に受信できる受信装置というものはどういうふうにあったらいいか、こう申し上げますように、そういうさまざまな研究を幅広く、今までも進めてまいりましたが、これからも一層積極的に進めていきたいというぐあいに考えております。
  138. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひひとつ積極的に進めていただきたいことを要請しておきたいと思います。  阪神大震災のこともちょっと触れざるを得ないのですが、というのは予算上いろいろ、阪神大震災受信料の免除であるとか、また支出の方でもいろいろと計上されておりますが、私がお聞きしたいのは、NHK放送設備また放送局といいましょうか放送会館、建物、こういうものの耐震基準というのは独自のものがあるのでしょうか、まずお聞きしたいと思います。
  139. 森川脩一

    森川参考人 御説明申し上げます。  まず、放送局の建物でございますが、これにつきましては建築基準法施行令に耐震基準というものが定められておりまして、この建築基準法の施行令に従ってNHK放送会館も設計し、建築をしているわけでございます。特に、NHK非常災害時の指定公共機関に指定されていることでもございますので、公共建築の中でも非常に規格の厳しい、例えば病院でございますとか、それから学校でございますとか、こういう最重要建物と同じ程度の耐震強度にしております。  それから、電源の関係の設備につきましては、震度六以上の地震に耐えられるように設計をしております。今回の阪神淡路大震災に際しましても、神戸放送会館の非常用発電機は正常に作動いたしました。  それから三つ目に、アンテナとか鉄塔とか、こういう構築物でございますが、こういうものは元来地震よりも台風というか、風に対して非常に大きな力を受けますので、それに耐えるように設計はしておりますけれども、もちろんいろいろな形の鉄塔もございますので、地震の力についても十分考慮して設計をしております。  以上でございます。
  140. 日笠勝之

    ○日笠委員 時間がありませんが、端的に申し上げると、そういう耐震基準できちっとクリアできるなら神戸の支局は半壊しないわけですからね。そうではなくて、ああいう神戸のような大震災でも耐え得るような建物であり、機器でなければいかぬということですから、これを奇貨として、全体的に放送関係、特にNHKの建物とか機器、そういうものをもう一度総点検をする。そして、そういうものに耐え得るような基準をつくり直す。先日ここで質問させていただいたのは、電気通信システムも安全・信頼性向上ということでいわゆる基準があるのですが、これは相当な地震に耐え得るものという基準でございまして、これは大体震度五、せいぜい五ぐらいだ。それを六ぐらいまで今度はさらに強化をしていくことを、基準を出すと郵政省さんはおっしゃったわけですから、NHKさんもそれに耐え得るような、相当の地震じゃなくて、強震の地震にも耐え得るような建築であり、設備をきちっとしなければいけない。そういう意味で、今後見直しをしていくということを一つ申し上げておきたいと思いますし、その方向で進んでもらいたいと思います。  次に、半壊の住宅は受信料が六月までは一応免除になっていますが、私どもが現地へ行ったり、また行った人に聞くと、まだ半壊の家に今もって住んでいる方もいるわけですね。半壊という定義は難しいのですけれども。六月以降の受信料はどうなりましょうか。そういう半壊の家のままでまだ残っている、取り壊しができていないという場合は、六月以降はどうなりますか。
  141. 菅野洋史

    ○菅野参考人 お答え申し上げます。  免除は災害救助法の適用を受けて、半壊あるいは半焼、それから床上浸水以上という程度の被害を受けた世帯に対して適用するわけでございまして、その基準の考え方にのっとって適用するとすれば、六カ月経過後は、もしテレビを見ておられるということになれば、それは受信料をいただくということになりますが、全壊とか半壊とかということで、その中で生活ができない、住んでおられないということになれば、当然受信契約は廃止状態というのですか、そういうことになると思います。
  142. 日笠勝之

    ○日笠委員 ですから、半壊の定義が難しいのですよね。ちょっと壊れたぐらいでも住んでいる方もいらっしゃるわけで、六月以降、百年に一遍の大震災ですから、これはそのときの状況をよく善意に解釈してあげていただきたいな、このように思いますから、そのことは要請を申し上げておきたいと思います。  それから、受信料収入でございますが、一生懸命営業努力されていることはわかっておりますし、敬意を表するのですが、実際の住民台帳から見た世帯数とか、国税庁なんかよく発表します事業所数とか、こういうものから見た現実の契約率との乖離というものが実際は相当あるんじゃないかな。BSじゃなくて、カラーなりの契約卒でございますが。そういう意味では、どのくらいの乖離があると理解されておられますか。これが一点。  それから、BSのチューナーつきのテレビが相当出荷され、販売されておりますが、そのBSの衛星契約ですね、これの契約率との乖離がどの程度あるのか。以上、二点を端的にお伺いしたいと思います。
  143. 菅野洋史

    ○菅野参考人 三点お尋ねいただいたと思います。  まず、住民基本台帳の世帯数と受信契約数との乖離の問題でございます。  受信契約の対象とする世帯については、基本的には住居及び生計をともにする集まりを一世帯というふうに考えておりまして、これは、住民基本台帳の世帯の考え方よりは、国勢調査による世帯の考え方をとるべきではないのかなというふうに考えております。したがって、国勢調査は毎年わかるということでもございませんので、わかった時点からその傾向値を毎年毎年私どもで推定して考えていくということを今やっておるわけでございます。  国勢調査は平成二年にございまして、今度は平成七年の十月にあると思いますが、この調査の結果から推定するところによりますれば、平成六年三月未で四千二百七十八万の世帯があるというふうに考えております。そのうち、受信料の免除の対象になるのが百三十三万ほどございまして、有料契約の対象が四千百四十五万でございます。これらの世帯の中で、受信契約の対象は結局テレビを所有しているか否かということでございますので、テレビを所有している世帯を三千六百二十万と推定をいたしました。これに対する同時点の世帯契約数が三千二百四万でございますので、その差は四百十六万というふうに考えております。  ただ、この世帯数の推定については、単身世帯のテレビ所有率という問題がございまして、私どもはそういう課題意識を持っておりまして、単身世帯のテレビ所有率というものの統計が社会的に存在しないことから、現在、民間調査会社に調査を進めてもらっているところでございます。それからさらに、七年度になりましたら、全国の営業現場の職員を使ってその調査を行い、より実態を正確に反映したテレビ所有率の把握をしたいなというふうに思っております。  それから、事業所と受信契約数との関係でございます。  事業所については、これは総務庁の事業所統計調査報告、これは平成三年度、次は平成八年度になると思いますが、その結果から、平成五年度末では六百七十八万程度というふうに推定しております。この六百七十八万に対して、五年度末の一世帯の受信契約数は百七十七万でございます。これを単純に引き算しますと五百一方でございますが、この事業所六百七十八万には、従業員四人未満の小規模な魚屋さん、パン屋さんとか、そういったところも実は入っておりまして、そういうところは実は世帯契約の方で契約をいただいているということでございます。そういうところを引きますと、五年度末で、いわゆる事業所の契約対象としては百九十六万になります。その百九十六万に対して百七十七万の受信契約でございますから、十九万というのがこの差になると思っております。  なお、世帯の場合と同様、さらに詳細なデータに基づいた推計をしなければならぬということで、現在民間の調査会社にお願いいたしまして、事業所のテレビ所有実態についても調査を進めているところでございます。  それから最後に、BSチューナーの出荷台数と衛星契約数についてでございます。  BSは、BSチューナーはこれまでの累計で約二千二百万近く、二千百八十万の出荷台数になっております。これに対して、平成七年一月未の衛星契約数の見込みは六百四十三万でございます。ただし、BSチューナーの出荷台数というのは、私のうちでもそうでございますが、内蔵化されたテレビが何台がある、それから私のところでもビデオを持っている、これは全部チューナー数としては一台一台と勘定いたしますので、そういうことから出荷台数と契約数との差をとるのは適当ではないなというふうに私ども思っておりまして、社団法人中央調査社が毎年二回実施いたします耐久消費財所有実態調査の調査結果をもとに推定をしたところ、平成六年九月末の衛星普及数は八百五十万、これに対する衛星契約数は六百二十万で、契約卒は七三%でございます。この七三%は、私は十分であるというふうには思っておりません。これからもさらに努力をしていきたいと思っております。
  144. 日笠勝之

    ○日笠委員 さらに努力されることを強く要請を申し上げたいと思います。  いろいろ言いたいことがあるのですが、時間があと三分だそうでございますから、じゃ最後二問、簡潔に申しますから簡潔にお答えいただきたいと思います。  一つは、バリアフリーという立場から、先ほどから同僚委員からも御質問があります視聴覚障害者向けの番組でございます。いろいろと努力されていることはよくわかるのですね。少しずつ手話であるとか字幕放送、解説放送伸びておりますが、これ、少しずつ伸びるんじゃなくて、何年、平成何年まではどこまでやるというのを、年次計画をきちっと立てないといかぬのではないかなと思います。そういう年次計画をきちっと策定する用意があるかどうか、これが一点。  もう一つは、NHK障害者雇用ですね。法定雇用率が決められておりますが、現在どうなっておるか。また、どういうふうに今後障害者の方の雇用を考えていくかということ。  三つ目は、細かい話ですが、NHKのニュースを見ていますと右の肩の上に三角パンチというのが出てきまして、非常にこれは私たち見て見苦しい。民放は一切ありません。これは技術的にもクリアできているはずなんですが、NHKの画面に出てくる、特にニュースのときのこの三角パンチを消すことを早急にやっていただきたい。  この三つを端的に、時間がありませんからお答えください。終わります、それで。
  145. 中村和夫

    中村参考人 障害者向けの番組については、「中長期経営方針」に基づいて、七年から九年度は夜間八時の時間帯……(日笠委員「ですから、年次計画をつくるかどうかだけでいいです、もう時間がないものですから」と呼ぶ)そういう方向で努力します。(日笠委員「年次計画をつくるということですね」と呼ぶ)そうです。(日笠委員「はい、わかりました」と呼ぶ)
  146. 安藤龍男

    ○安藤参考人 NHK障害者の採用状況でございます。  現在二百十二人、雇用率が一・四四%ということで、最近一年間で大体六、七名採用しておりますものですから雇用率が上がってきております。ただ、それでも法定雇用率一・六に達しておりません。引き続き採用に努力していきたいと思っております。(日笠委員最後、三角パンチ」と呼ぶ)
  147. 森川脩一

    森川参考人 今先生おっしゃいましたように、NHKは、ニュースの中で地方の局発の項目がおる場合に、東京から地方に対してVTRを回せという指示を出すための三角パンチ、画面の隅に白く出ますが、そういうマークを送出しております。この理由は……(日笠委員「消すかどうかだけで、時間がありませんから」と呼ぶ)それで、最近はVTRの性能が大変向上してまいりましたので、これに順次置きかえてまいりますとそういうことを全国的にいたす必要がなくなります。したがって、その機材の更新というものを積極的に進めていって不要にしよう、こういうことです。(日笠委員「なくなるということですね。はい、わかりました」と呼ぶ)
  148. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、金子徳之介君。
  149. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 まず初めに、大臣そしてまたNHK会長以下各理事の皆様方、数多い質問にお答えになりながら、きょうは真剣にそれぞれお答えをいただいておりますことに敬意を表したいと存じます。また、災害に当たって大変な御尽力を郵政省御当局またNHK取材に当たられまして、報道一生懸命やっておられる姿に胸が熱くなる思いでおります。心から敬意を表したいと存じます。  質問通告制でありますからそれぞれ申し上げてきたわけでありますが、ほとんど先輩、同僚各位の御質問で尽きてしまいました。したがって、この予算に関する範囲内で、直前になりましたが、それぞれ通告をいたしました。御了承いただきたいと存じます。  初めに、NHK予算の中で一番、映像をつくる、その制作費の費用というものが、全体の予算の占める割合からいいますと、これは一部補正の数字が入っておりますので変わっているかもしれませんが、七一・八%が放送番組製造にかかわる経費でございます。こうした中で、人件費がここの中でどれぐらい占めているのか、製造に必要とする人件費、経常費以外にどれぐらい占めているか、これを伺いたいと存じます。事務方で結構です。
  150. 安藤龍男

    ○安藤参考人 NHKの総予算の中で人件費、これは給与費だけで見ますと二五%ということでご ざいますが、このほか退職手当とか厚生費を含めまして人件費トータルとしますと、総予算の中の大体三分の一、三三%になってきております。これは、長い間の効率化の中で、人件費の占める比率がここのところずっと下がってきておりまして、十数ポイントの減少になってきているかと思います。
  151. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 人件費の点はそうしたことで大変な合理化を進めておられる、そしてまた新しい年度でも五十人ですか減員をされる、そして一万三千百十三人にされるということでありますが、恐らく経営的に収支のバランスをどういうふうにするかということについては、営業的にいろいろな観点で御苦労なさっているだろうと思うんです。  そうした中で、この番組製造の中で、系列会社とかあるいはそのほか民間の方に委託制作をさせる、そうした部分もかなり出ているんじゃないかなと思うわけですけれども、制作全体からいって、おおよそで結構ですから、大体どれくらいの割合のものがそういう番組製造に、下におろされているかおわかりに、即答できなければ後で資料御提供いただきたいと思いますけれども、何社に対してどれぐらいということでお教えいただければ幸いなんですが。
  152. 中村和夫

    中村参考人 正確な資料、今手持ちございません。
  153. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 結構です。  NHK受信料収入によって、収納によって賄われているということで、毎回附帯決議等では厳しくそうしたことも指摘されてきておるところであります。しかし、今回大震災がございまして受信料収入が減少し、そしてまた徴収も困難な面がこれはあるということを、先ほどのそれぞれの質疑応答の中で肌で感じたわけであります。  何といっても公共放送でありますから、これは受信料で成り立たせなければならないと同時に、受信者に対して、より理解を深めながら公平な負担をお願いしていく必要があるだろうというふうに思っております。  そうした意味では、私は、受信料収納のいわゆる経費率という、ここに出て、先ほども同僚議員の御質問にありましたけれども、一三・六%、これは上がってきているのか下がってきているのかということの問題でこれを評価することについてはいかがなものかなということで私は考えておりますが、会長に伺いたいと思います。現行の受信料収入体制の確保、これを図っていくべきであり、そしてまた受信料収納経費率は余り気にしないで頑張ってほしいな、そう思うわけであります。所感のほどをお聞かせいただきたい。
  154. 川口幹夫

    川口参考人 営業、つまり、視聴者からどうやって契約をしていただき、どうやって受信料を払っていただくかということは非常に大きな問題でございます。NHKの死命を制すると言ってもいいぐらいでございます。我々は、公平負担ということを大原則にして、そして快く契約をしていただきお払いいただくような形をとりたいと思っている。そのためには、どうしても手足が必要でございまして、地域スタッフと称する方々が、いわゆる最前線で受信者の方々お話をして、そしていただいてくるわけですけれども、そのバックに営業関係の職員がおりまして、これが今一丸となって新しい営業のあり方を目指して取り組んでおります。  営業経費卒、つまり総収入に対してどのくらいの営業の経費がかかるかというようなことが、これまで大変高うございましたので、平成二年の、この審議に入る前でございますけれども、経費率をうんと低く抑えよう、一二%台を目標にしようというようなことを当時お約束もいたしました。私はその後に就任したのですけれども、実際上は、それからますます収納契約が難しい状況になってまいりました。それを突破するためには、そして公平負担の原則を貫くためには、ある程度経費をかけなければいけないというようなことがございましたので、いろいろお話し申し上げて、そして現在は一二%台のところでやっているわけでございます。  今後、やはり私どもがどうやって的確に契約しそして収納するかということをもっと工夫をいたします。ただ、ある程度の人手を使い、そしてお金をかけるということはどうしても必要になってまいります。そこのところを、ぎりぎりの状況に詰めて最大限の努力を払いたいというふうに思っておりますので、先生方にも御理解をいただきたいところでございます。
  155. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 ただいま川口会長の決意を伺いまして、まさにそのとおりだと共感をいたします。それと同時に、今後単に経費率のみにこだわることなく、勇気を持って放送法に基づくNHK公共放送役割、これを果たしていただくように御期待をいたしたいと思います。  ほかの質問になりますが、いつも、NHKに就職したいな、NHKはいいところだな、よく聞いてみると、給与が非常にいいんだそうだ、こう聞くのですね。果たしていいのだろうかということをいつも疑問に私は思っておったのですが、これ大変聞きにくいことですけれども、東京都内の民間放送テレビ会社と比較して、大体どんな位置づけになっているのか。これも即答できるならばお願いをいたしたいと思います。
  156. 安藤龍男

    ○安藤参考人 NHKの職員の処遇といいますか、給与でございますけれども、残念ながらマスコミ同業他社と比べますと若干の開きがありまして、この差を少しでも埋めようということで私ども努力をしてまいりました。先ほども申し上げましたように、長い間協会は効率化を実施をしておりまして、その成果ということで職員の処遇改善にも努力をしてきたわけで、その結果、若干改善はされておりますけれども、それでもまだ幾分差がございます。大手の新聞と比べますと、これは月例給与も賞与もいずれも一割から一割五分ぐらい低いわけですし、それから民間放送局とですと、大体月例給与ではほとんど差はないぐらいのところへ来ていますが、賞与で若干差がございまして、年収レベルでも一割ぐらい差があるかというふうに私どもは理解しております。  引き続き適正な処遇改善というものに努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  157. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 大変な誤解があったということに私自身も気がつきましたけれども、一割から一割五分低いということは、いい人材が果たして集まるかどうかということにかかわってくるのですね。これは大変なことだなと思います。  これは経営陣、大変だと思いますけれども、やはりマスコミ人として誇りを持って現場でやっている、今度の阪神大震災のあの現場の人たちの苦労というものを考えるときに、総体的にNHKも率先して飛び込んで、しかも国際時代を迎えて、今度はPKOにだって随行していく時代がこれ必ず来るわけですから、もうCNNからいつももらってはかりおれないのですよね。そういった場合に、やはりしっかりした手当を出すのが本当だと私は思います。決して私はNHKの職員の方々を応援するために言っているわけでも何でもない。  これは、給与というものは公正に配分されるものだという意味から申し上げているので、何もこれは視聴者からお金をちょうだいしているから少し安くしようなんということの遠慮は全く必要ないだろう。これは私見ですが、しっかりと公共放送の責任を果たすという意味で、ぜひ工夫をしながら、その給与の面は遠慮すべきではない。それだけのジャーナリストとしての高い誇りと責任を果たしていただくということで申し上げておりますので、誤解のないようにしていただきたいと思います。  それと、一般給与関係ですね。一般職関係、ちょっとしつこくなりますけれども、年間賞与関係とか年収なんというのは、比較すれば、パーセンテージで結構です、私ども、頭の数字一般の会社の給与や何かわかっていますから、大体想像いたします。もしわかれば、お願いします。
  158. 安藤龍男

    ○安藤参考人 ちょっと聞き漏らしましたけれども、賞与のことをお尋ねかと思いますが、月例の 基準賃金の大体五・五カ月を基準にして賞与を年に二回支給しております。
  159. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 一般、民間の一般職といいますか、現業以外、一般職ではその賞与等についてはどれぐらいの差がありますか。まず、高いですか、安いですか。
  160. 安藤龍男

    ○安藤参考人 先ほど私が一割から二割協会の方が低いと申し上げましたのは、一般職の平均でございます。マスコミ他社との比較を申し上げましたので、ほかの一般企業との比較というのはなかなかちょっと難しいわけでございますけれども、先ほど申し上げましたのは一般職の平均、それから、モデルでとりましても大体同じような差が出ているということはつけ加えておきます。
  161. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 それでは話題を少し変えたいと思いますが、私はNHK公共放送としての役割というものは、もうホワイトも、それから現場をブルーカラーと言っちゃいけないのだそうですが、これは差別用語だそうですが、現場におられる方も、民間放送テレビとのそれぞれ役割分担みたいなものが自然にできつつあることは否めない事実だと思います。これは、国が認める特殊法人としてのNHKというのは、それだけ映像文化についてのリーダーシップをとっておられるわけですから、あるいは電波文化についての。そしてまた最近では活字文化のリーダーシップをとっておられる。  そうした意味で、この阪神淡路大震災、これに関連してちょっと伺っておきますけれども、ラジオ等について、ニッポン放送とかTBSそれから文化放送NHKが発起人となって、来る十七日、あさってになりますか、ラジオ防災会議、これは仮称ですが、この準備会を開くことになっているそうでありますが、この実務者が定期的に集まって、災害時の報道役割分担等について話し合っていくことは非常に重要なこと、これはいいことだと思うのですよ。また、関東甲信越のAM、FM二十局にも参加を呼びかけているようであります。これらの役割分担、どのように考えているか、こういう事実がちょっと報道されているのを目にしたわけでありますけれども、内容について教えていただきたいと思います。
  162. 中村和夫

    中村参考人 阪神大震災をきっかけに、ラジオの方で、もし阪神以上に大規模な災害が起こった場合にはどう対応すればいいのかという声が起こりまして、在京の四社でそういう場合に機能の分担ができないかという話があって、まず何ができるかということを話し合ってみようということで、あさって会合をするということです。実際にはどの分野でどういう形でできるかということは、これからお互いに話をしてみて、お互いの情報収集力とか、それからお互いに緊急報道の場合、どういう連絡体制ができるのかとか、細かい部分が、詰めの部分が相当ありますから。  ただ精神としては、本当に大規模な災害が起こったときにどういうふうに役割分担をしたらいいのか、できるのか、NHKで安否情報をやりましたけれども、五万四千の電話が寄せられて、三万一千しか放送できなかったということもこれまたございますので、そういう場合には安否情報のメディアとしては音声が非常にいいということも言われておりますので、そういうことも踏まえてどういうふうにお互いに協力できるのか、まずは話し合ってみようということで開かれるわけでございます。
  163. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 ぜひ充実した会合を継続してやっていただくように御要望申し上げておきたいと思います。  このNHKに期待されるところは、やはり信頼関係が一番厚い公共放送だということだと思います。そうした意味で、先ほども身体障害者に対するそれぞれの年次計画の御指摘が先輩議員からございました。御回答もありました。私も子といたしますが、社会的に恵まれない方々に対する単なる便宜の供与ということではなくて、あまねく福祉的な立場ではなくて、同じ人権を持つ者として身体障害児者がこれを享受できなければ、本当のマルチメディア時代は迎えられないだろうというように思います。  そのためにはまだまだやらなければならない山ほどの、これは整理していく一つ放送理念、それからこれから国として何を中心に取り組んでいかなければならないかという問題も、これもあると思います。いろいろと学者の説や何かをトーダライズしますと、ニュース性というものについての迅速かつ正確、公正な報道はもちろんであります。どのように国民にそれを伝えるかということ、それと同時に、アメリカのマクルーハンという評論家がかつておりました。人間を分類するのに活字的人間と触覚的人間というふうにこれを二つに分けて、理事方々恐らく、これはマスメディアのはしりですから、御記憶にあるかと思いますけれども、そんなことを一生懸命説いた方がありました。  それから言いますと、とにかく活字媒体だけではなくて、耳から鼻から入ってくるものすべてが一つの文化をつくり上げ、創造する。それといま一つは、新しく創造するもの、クリエーションの分とそれから人類がつくってきた、あるいは自然がつくってきたそういったものを温かく守って伝えていくという構成、この二つの役割、相矛盾しながら並行して、これをいわゆる情報社会の中では歴史的につくっていかなければならないという、そうした一つのセオリーでありますけれども、そういったことも紹介があったわけであります。  これらについて、これからのNHKの運営をすべての国民に対しましてどのような姿のものにしていくかということの一つの理想図があれば、もうこの点については非常に造詣の深い大出大臣の御所感と、それから川口会長の理念をひとつお聞かせいただければと思います。
  164. 川口幹夫

    川口参考人 NHKが今どのような方向に行こうとしているのか、そのことについて私は三つの点を考えております。一つは、組織体として常にバイタリティー、活力のあふれるものにしたい、そして職員一人一人がそれこそやる気を持っていろんなことに取り組んでいく、そういうはつらつたる組織体にしたいというのをまず一番に考えております。  そして二番目は、内容です。放送の中身でありますけれども、報道を初めとして教育、教養、娯楽に至るまで、視聴者方々がまさに享受して、よかった、信頼できる、将来ともそういう考えで受けとめていただけるようなものをつくりたい、特に災害報道については今まで以上に遺漏なきを期したいと思っておりますし、それから少数者に向けての放送障害者方々を含めた少数者に対する放送というのも手厚くやっていこうと思っております。これが二番目の問題ですね。  それから三番目の問題は、これから先マルチメディア時代になってどんどんテクノロジーが進歩していきます。そのテクノロジーの進歩を少しでも的確に早く自分たちのものとして、それで新しい時代になおかつNHKが常にその存在をはっきりと認識していただく、あるいは信頼していただく、そういうものに持っていきたいと思っております。そして同時に、経営をできるだけスリムにして受信者の方々に御迷惑をかけない、そういう形の経営をやっていこうと思っております。
  165. 大出俊

    大出国務大臣 先ほど来のお話は二つあるんだろうと思うのですが、一つは障害を持たれる方が、つまり障害を持っておられるからというのじゃなくて、健常者の皆さんと同じような、社会復帰というのじゃなくて、一緒に生活をしていけるような、そういう環境づくりを私どももNHKもみんなで一緒になってっくっていかなければいけないのじゃないかなということなんですね。  先ほどちょっと私が答えましたのは、いろんな計画が五年に立てられて進んできているわけですけれども、本当を言えば、実は今度の阪神災害のときに、字幕放送あるいは文字放送、手話がどうしても足りない、テロップは、これは簡単に張ればいいわけだけれども、中身がない、そういう中でどうするんだということで、随分メーカーの方にお願いしたりいろんなことをして受像機を徐々に徐々にふやしながら配っていったわけですよ。  しかし、受像するための、普通のテレビでない、それに付加して買おうとすれば十万ぐらいになるというのですね。調べているうちに、アメリカなんかでは、九一年からなんですけれども、十三インチ以上のテレビには受像する機器を内蔵することを義務づけるという、値段はどのくらい高くなったのかというのを調べてみると、幾つかのチップを開発して、日本流に言うと何百円というそんな高い金額じゃないというわけですね。  しかし、この話はなかなか出てこないし、いろいろなメーカーの皆さんの関係もあるということで我慢しながら来ましたが、そこらまで含めて、御指摘のように、トータルで眺めたときに、障害があるからじゃない、つまり環境を整えて丈夫な人と一緒に生活できるようなつくり方をしていく必要がある。そういう意味で、さっき申し上げたのは、初めて私はああいう答えをしたのですけれども、徐々にその気になったからなんです。  それから、例のマルチメディア問題で一つだけ申し上げておきたいのは、トランスポンダーを一つ借りてきて使ったために、今度の阪神大震災で見事に動いて何の障害もなく受信ができたという企業もある。私は非常に仲よくしているのですけれどもね。しかし、トランスポンダーは高過ぎるのですよ、年間何億というのですから。そうなると、これはやはりディジタル化をどんどん進めていって、フントランスポンダーで一チャンネルなんということになっていれば高いのだけれども、そうじゃなくて、この技術が進んでいって、四つとれる、八つとれるとなってく札ば四分の一、八分の一になってくるわけですね。二十とれれば二十分の一になるわけです。  そういう意味で、例えば携帯電話もそうですけれども、これはハーフレートを使ってなんといったって、今の三百五、六十万あるのが八百万ぐらいになってしまえば一遍でぶつかってしまうわけですから、そういう意味で、やはり技術的な前進のさせ方にどれだけ力を入れていくかというもう一つ大きな視点があるだろう。  その二つぐらいを中心に一生懸命この分野を前に進めるようにやってみたいな、こんなふうに思っております。
  166. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 どうもありがとうございました。
  167. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、河村たかし君。
  168. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしてございます。  去年もよう似たことをしゃべりましたけれども、私も、名古屋の出身でございまして、名古屋をこよなく愛しておりますものですから、NHKの新しい時代公共放送役割という視点に絡めまして、ちょうど福島の香りのする金子さんの後でございますので、なかなか順番もええ思いますので、ひとつその辺をお聞きしたい。それからもう一つ、CATVとNHKの関係をひとつお聞きしたいな、そんなふうに思っております。  まず、今ちょっと金子さんの質問最後にもございましたけれども、NHK公共放送としての役割です。よく、あまねく日本全国に受信できると言いますけれども、これは、あまねくといったって、戦後の「りんごの唄」がNHKの電波から聞こえてきたころは、そういうこともこれからということだったと思いますけれども、今となれば、衛星もありますし民放も発達しましたということで、NHKの意義はちょっと弱いのじゃないか。豊かでよいといいましても、多チャンネルということになりますと、そういうのは専門チャンネルがそれはそれでできればいいじゃないかということになって、たった今、川口会長が言われた三つのお話活力あふれる組織、信頼できる番組、それからテクノロジーの進歩を早くつかむということですけれども、これも必ずしもNHK公共放送を裏づける理屈にはならぬのじゃないかという気もするのですね。  ですから、これは多分悩んでおられるところだろうと思いますけれども、これだけ巨大なメディアになって、どういうふうに自分のところの公共放送というのを位置づけられるのかということをお聞きしたいということでございます。  会長と、大臣にも理念をひとつお願いいたします。
  169. 川口幹夫

    川口参考人 おっしゃるとおり、メディアの世界がこれだけ広がって大きくなってまいりますと、その中で公共放送はどういう位置づけを考えるべきか、非常に難しくなります。しかし、私は、その中で将来ともやはり公共放送の存在というものは依然としてなくならない、むしろ重要になってくるというふうな考え方もしてみました。  それは、例えば多メディア・多チャンネル時代になりますとサービスが一層多様化します。そして、豊かでよいという番組も出てくるかわりに、一方では市場競争原理というのが働きますから、競争が激化してサービスが画一化する、あるいは質が低下するというふうなことも当然起こってくるだろうと思います。そういう一種の、多くなるがゆえに考えられる危険性とか低劣化に対する考え方をやはりまとめておかなければいけないなと思うのですね。  そうなったときに公共放送の存在というものがやはり大事なことになるのではないか。むしろそういうことに目を向けて、新しい時代公共放送というのはいろいろな目標を立てなければいけないと思うのですが、今私どもが考えている中で四点ぐらいございます。  一つは、マイナス面というのをどうやって補うのか。多数の人々の要望にこたえながら質の高いものを出していくということをやる必要があると思います。  二番目は、受信者の多くの方々の中にいわゆる情報格差というものが生じてはいけないだろうと思っています。障害者を含む少数者向けのサービスを強化するというのもその一つでありますけれども、情報の格差が国民の間に起こらないような配慮をすることも公共放送としてはやはりやるべきであろうかと思います。  それから三番目には、国際化がどんどん進展していきます。その中で、諸外国の正しい日本理解を促進するということのために、あるいは外国にいる在留邦人に対して日本の情報をいかに伝えるか、そういうふうなこと、これが三番目に必要だと思っています。  それから四番目は、先ほども言いましたけれども、新しい技術革新成果を取り入れながら新しいサービスを積極的に展開する、そういったことは、公共放送の立場であればやはりやらなければいけないことの第一ではなかろうか。  こういうことを目標にして進めば、多様化、多メディア化の中でも公共放送の存在意義は十分にあるというふうに私は思っております。
  170. 大出俊

    大出国務大臣 非常に難しい問題でございますけれども、確かに、今日までのNHK、つまり公共放送役割といいますか、一つは、放送の普及という問題が放送法上ございます。そして、豊かでよい放送番組提供する、これが二番目にございます。三番目に、放送技術開発というのがございます。そして四番目に、国際放送充実。ここが基本的役割とされてきたわけですね。  今のお話にございますように、あまねくというのも、いろいろな分野があってあまねくできるじゃないか。豊かでよい放送番組というのも、つくればほかでもできるじゃないか。放送技術開発国際放送、こうあるのだけれども、大分世の中変わってきたのだから、その中で公共放送の意義はどこにあるんだ。こういうことなんですね、今おっしゃっていることは。  NHKというのは特殊法人ですから、特殊法人を見直すというときに大分真剣な議論がほかからもありまして、二十五年に放送法ができたのだけれども、あの時代はほかに何もなかったから、放送法という、法律の中に日本放送協会なんて書いている法律は世の中じゅうないじゃないかという話も出てくるわけですよ。だから、それをみんな取ってしまったらどうなるかというと、NHKは民放並みになってしまうということですね。そういう議論も実は出てきたりしたのですよ。  しかし、やはり詰めていくと今の四点に戻ってきちゃうのですよ。いろいろなことがあるけれども、やはり放送の普及という面で公共放送NHKが果たさなければならぬ分野というのはまだいろいろある。ここで長い議論をする時間はありませんが、いろいろな議論の結果そこにまた戻ってまいりました。  二番目に、もっともっと豊かでいい放送公共放送NHKにつくってもらわなければ困るじゃないかというところにやはり議論の結果戻ってまいりました。  三番目の放送技術開発。だから、私は、意見をつけた五番目に、さっき日笠さんがおっしゃっておりましたけれども、「マルチメディア時代に向けた、統合デジタル放送等の先導的技術開発への取組の強化」というのをくっつけたという理由は、もうちょっとNHK技術的に先導的な役割を果たしてもらいたいという気が極めて強くあるということなんです。ちょっと前の金子さんの御質問のときに二つばかり申し上げましたけれどもね。ですから、これはオールディジタル化の方向で進んでいる国々もあるわけでありますから、そういう意味で、そういう技術的な面でもっと先導的役割を果たしてもらいたい。これが三番目の問題でございます。  国際放送は、これは当面はNHKの仕事でございますから、やはりその辺に問題は戻ってまいりまして、その辺でNHKに頑張っていただこうということになったというのがつい最近の経過でございます。
  171. 河村たかし

    ○河村(た)委員 時間がにゃあものですから、余り的確にというか、一々聞いておるといけませんので、自分意見をちょっと行きたいと思いますけれども、そういうことですが、多分、多チャンネル時代というのはそれぞれかなりできるのではないかということになると、やはりあまねくというのは結構大きいのですよね、結局のところは。  それで、もう一つの問題として、よくマルチメディアなんと言いますけれども、マルチメディアというのは何かという問題もありますが、いわゆるディジタルによる非常に広範なメディア活動ができるということだろうと思いますけれども、そういうのが一面では、そういうのは画一的な情報をばらまくという危険性が非常に高いということなんですよね。そういうマルチメディア時代というのはどういう社会をつくっていくのかということが、一つ本当は論議されにゃあいかぬので、何となく産業政策の面からとらえられますけれども、実はもっと多様な、いろいろなところのいろいろな文化があって、今まで多様な文化というのは、大体多様性というのはけんかが起こるということですから今までは危にゃあ文化だったのですけれども、それが情報を共有することによって安心できる多様性というのか、そういうふうに持っていくというのが一つの大きい意義だろうと思うのですね。  そういうときにおいて、NHKのようなズーパーメディアというのがありますと、ここの調整が非常に重要だということで、私が望みたいのは、やはり強力な力を持っておるだけに、地域の文化を育てるということをよほど熱心に、かなり踏み込んでやらないと、だからあまねくというとらえ方も、あまねく国民に受信させるという、上から、お上から下という考え方もありますけれども、あまねくいろいろなものを取り上げるというような、法文はそういう書き方はちょっとしてありませんけれども、そういう解釈も十分成り立ち得るので、公共放送の公共とは何かというのは、結局は時代の要請だと思うのですね。  時代の要請というのは、一時は上からの公共性だったし、今度は、そういうマルチメディア時代というのは画一的な文化を押しつける可能性があるから、やはり多様なものを育てていく、そういうところに大いに力を尽くしてほしい。  それについて、やはりジャーナリズムですから、心とか精神性を扱う分野でございますので、これは言葉というのは言霊ということでございますので、言葉を大事にするということにおいては、やはり地方の、方言というよりはお国言葉というのですが、名古屋弁、名古屋弁とすぐ言われますけれども、これもいかぬのよ、名古屋言葉と言ってちょということを去年言いましたけれども、そういうことを重要視してもらいたい。  ところで、NHKは、番組基準一の十の二というのがあるのですが、ここの中で、「放送のことばは、原則として、標準語による。必要により方言を用いるときは、慎重に取り扱う。」こういうふうに書いてあるのですよね、これは。実は、文部省というか、国語教育も、昔はやはり画一的なことを要請する時代ですから、何となく方言みてやあは使うなということだったのですけれども、最近は両方全く共存していけるようにというふうになってきておるのですよね。ですからここは、ぜひ会長、この文言、「原則として、標準語による。」それから方言は「慎重に取り扱う。」という、何か差別扱いというのですか、何かこれは使って悪いような気のするような、こういう表現は改めて、やはり同時に言葉が、共通語とお国の言葉と、両方育てていこうじゃないかというふうに改めることは、これはできぬですかね。どうでしょうか。
  172. 川口幹夫

    川口参考人 私も実は方言が大好きな人間でありまして、鹿児島の出身ですから、日本語以上に鹿児島弁が非常に使いやすい男であります。  その番組基準に書いてある項目は、実は方言というものが非常に軽視をされた、あるいは方言を使う人が軽べつされたという時代のものだと思ってください。もう今は、私はそれは要らないと思います。  実際上、私の故郷でも、集団就職で関西方面にたくさんの子供たちが行くわけですね。そうしますと、鹿児島方言でしゃべるとみんなにばかにされて、結局就職することが嫌になって帰っていく、そういうことがあって、鹿児島の中学では全部方言を使わないという教育を一時やったことがあります。そして、方言を使わないというのを大原則にしてやった時代は、確かにそういう方言を使うことが、かえって大方の、何といいますか、軽べつされるというのか、そういうふうな形になって、そういうふうにとられると困るので、番組基準の中で、慎重に扱いなさい、こういうことを言っているのですね。  ですから、今はもう全く、私は、方言については国民感情として違ってきていると思います。したがいまして、この項目については、解釈の仕方を含めて、検討させてください。
  173. 河村たかし

    ○河村(た)委員 一遍、これは大臣にもひとつそこら辺の哲学を、時間がにゃあものですから簡単にお願いいたします。
  174. 江川晃正

    ○江川政府委員 ちょっと事務的な扱いをさせていただきたいと思いますが、NHKが、ただいま先生御指摘の基準によって、標準語を使うということを書いているのはそのとおりでございまして、郵政省もそれを承認しているところでございます。  番組に使われる言葉というのは、北から南から、いろいろな人が同時にそれを聞くわけでございますので、一応標準とされている言葉、方言が悪いという意味ではございません、そういう、みんなが標準とされている、その言葉を使って理解しようというのはやはり一つ放送の仕方ではないかな、郵政省はそう考えているところでございます。  ただ、番組の中によっては、ある部分によっては、どこかその地方の言葉を使い込む方がその番組が盛り上がるし、いい内容になってくるということは幾らでもあるわけでございます。そういうところで使うのは大いに結構ではないか。しかし、なべて通して、もう全部どこか地方の言葉のみでやってしまうことをよしとするということは、郵政省としてはいかがなものかなというふうに考えているところでございます。
  175. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これはぜひ大臣に哲学をひとつ。
  176. 大出俊

    大出国務大臣 せっかくの御質問でございますからお答えいたしますが、原則的にはやはり江川 局長が言っているようなことになると思うのでありますけれども、しかし、やはり私も方言というのは非常に好きでございまして、鹿児島の会長が今あんなことを言っていましたけれども、鹿児島へ行きますと、「泣くよきゃひっ跳べ」という言葉があるんですね。これはどういうことかというと、がけへみんな餓鬼ともが集まって、おい、おまえ跳んでみると言って、怖いというのでめそめそしてる、そんなめそめそしているよりは目をつぶって跳んじまえという言葉なんですよ。これなんか使い方によっては非常におもしろいんですね。  大分なんかへ行きますと、「うちんポチはうちを出るときついちきち」、うちのポチはうちを出るときついてきて、「うってんうってんついてくる」、幾ら追ってもついてくる。「ポチのやつはざまあねえええらしい」。かわいらしいやつやなという意味のことを「ええらしいやっちゃのう」と言うんですがね。つまり、大分弁で、本当の大分弁でいろいろな話が出てきますと、これもまたおもしろいんです。秋田なら秋田にもおもしろい言葉がありますね。ですからそういう意味で、方言というのは、私は使い方だと思っているんですよ。  だから、番組をつくっていく中で出てくる方言で、いいなというのもございますよ。だから、一般論としては確かに江川局長のおっしゃるとおりだろう。しかし、いいなという方言が山ほどあって、これは消えてなくなると困るわけでございますから、そこらのところはやはりそれなりに使っていく方途を考えるべきだろう、日本という国は文化のない国じゃないですから、そう思っております。
  177. 河村たかし

    ○河村(た)委員 まあ言いたいことは、方言はおもしろいというようなこともそれは言われるんですけれども、そうではなくて、やはりNHK公共放送の使命として、そのくらいのレベルの話なんだということをぜひとらえていきたい。  それプラス、繰り返しますけれども、このマルチメディア時代というのは多様な文化を守ることが実はその基幹であって、一般的にディジタルで全部同じようなのが送れるというのは単なる手段だというところをしっかりわきまえていただいて、NHKはそういう、あまねくをもう一回解釈し直して、あまねく上から下へ電波で行くという、プラス下からいろいろな文化をあまねく吸収するんだというようなところにひとつ視点を置いていただきたいということについて、やはり言葉というのが本当に中心になるだろう。  今、国会、本会議でもこの間地方分権基本法ですか、出ておりますけれども、やはり心というか、言葉の問題を取り扱わずに、権限だけ分けるといっても、これは僕は本物にはならぬと思うのですね。だから、もっともっとNHKがやりますとやはり全体的に盛り上がっていきますよ、この雰囲気は。  民放でも、全体を調べてみますと方言を取り扱う番組というのは減っているようですけれども、減っているというのはどういう意味かというと、方言の番組というのじゃなくて、いろいろなトークショーとかDJとか、いろいろなものが自然にもっとどんどん食い込んできているということでございますので、ぜひその辺の傾向もNHKはさらに後押ししていただいて、多様性を守るNHKというんですかね、そういう意味での公共放送のスタンスをしっかり固めていただきたい、その辺のところが私の言いたいところでございます。  それで、余り時間もございませんので、次はCATVとNHKの関係ということでございますけれども、まあCATVを見るとNHKがただで見れるよということでして、ある意味ではCATVとNHKというのは、どういうのですかね、競合関係というのか敵対関係というのか、そんな関係にもあるやもしれませんけれども、反対に言えば、NHKからすればCATVで一緒に受信料を集めてもらえる、それは結構なことだということにも一面なると思うのですね。  それで、どうもほかのベイチャンネルなんかはかなりバックをして、同時に集めてもらった分については四〇%から五〇%をこのCATVの事業者にバックをしてやってもらっておるということなんですけれども、NHKについてはなかなかその辺のバック率がけち臭いということがあって、なかなかどうもうまいこと乗ってこぬなというお話があるのですけれども、その辺いかがなものでございましょうか。
  178. 菅野洋史

    ○菅野参考人 お答え申し上げます。  NHKとそれからCATVの事業者の皆さんとは、日本CATV連盟を仲立ちとしまして、共存共栄ということでこの五年ばかり一生懸命お互いに連携を密にする努力をしてきたところでございまして、特にこの一年、私どもとしてはさらに踏み込んだ形でCATVの皆さんとは連携を強くし、そしてNHKにとってもプラス、CATVにとってもプラスというふうになってもらいたいというふうに思っておるところでございます。  今お話のあった部分でございますけれども、私どもとしては、二カ月払いの一世帯当たり四百円程度の協力謝礼というものを今CATVの皆さんにお支払いしようかなというふうなことで話し合いを進めようかというふうに思っておるところでございます。
  179. 河村たかし

    ○河村(た)委員 その四百円がほかと比べるとパーセンテージとしては少ないということで、二千三百円ですね、NHKの場合は。そうすると一七%になるのですかね、一七%で、ほかのペイテレビの場合、四〇から五〇%ということで、それでは一向にいかぬぞという話もありまして、それと、せっかく払い戻すなら、その分幾らか見ている人にもちょっと戻してみたらどうだという話もあるのですよね。ただ、それはCATVの人だけ安くなるのだからどうかという話もありますけれども、ぜひ、時間もありませんから、その辺のところ、ひとつせっかくこれCATVも全体で盛り上げなければいかぬと思いますので、応援してあげてほしいなと思います。  それから、これは郵政省の関係になるかと思いますけれども、タワーから電波を引くのが、直接引いてはいかぬということになっておりますね、CATVの場合。一たん地上波で来て、それからということになっておるわけで。だけれども、都市部ですと、タワーとその間にいろいろなビルもできて、CATVの基地局を動かさなければいかぬということで非常に苦労しておられるようなので、これはぜひ、NHKはどうもかなり好意的であるということなんですけれども、何か話が出るとすぐ著作権の話が出てきて、それはいかぬということになるようなんです。ですから、ここはひとつ郵政省が熱を入れてCATVを応援するということもあって、この辺のところはお金のことですから、著作権というのは多分。ですから、そこらで前向きにとらえていただいて、早く直接受信ができるようにお力添えいただけませんでしょうかね。
  180. 江川晃正

    ○江川政府委員 CATV事業者とNHKとがタワーを使うことについて話し合いをしているということについては私たちも承知しておりまして、大体CATVからの要請にこたえられる方向で答えがまとまりそうだというふうに承知しているところでございます。もう一つ、民放とCATVとの話もやはりそこにもございまして、これはまだ交渉中のようでございます。  先生おっしゃいましたように、よいことならば応援したらいいじゃないかという趣旨がと思います。私たちもそういう意味では、いわば民民の話し合いになっているところでございますが、我々もできる応援を惜しまずに、環境づくりのためにもやっていきたいと考えておるところでございます。
  181. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これは最後にしますけれども、前も災害のときに一つ大臣に御提案というか御意見具申し上げたことですけれども、いろんなことを言いますけれども、本当に災害のときの通信というので、全然使わないものを突然千年に一遍使おうという方が無理があるのでして、僕は、本当に小学校の放送室を、もっとあそこを活用して、あそこにテレビカメラも入れて、そういう面ではNHKさんなんかも教育テレビを持っていますし、そこを一つのセルというか基地にして、そこから発信型の画像も出るようなシステムをぜひつくったらどうかと御提案申し上げたと思いますけれども、その後何もありませんですかね、愛想なしてございますか。
  182. 大出俊

    大出国務大臣 これは、省内いろいろな集まりがございますから、いろいろな機会に河村さんから、学校の中はほとんどが今避難所になっている、そうすると、そこをとらえて教室のどこかを決めてそこに基地局を置いてやれば全部伝わるじゃないかというお話がございましたから、随分そのお話は紹介しているのですよ、方々に。検討会とかいろいろな会合ができていまして、どこもまだいろいろな議論の結論は何も出ていないわけでございまして、ですから、こういうお話があったから検討してくれということは何遍もいろいろなところに言ってあります。
  183. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そんなことでございまして、ぜひNHKさんも含めて、教育の問題もありますので、小学校のああいう放送室が、本当に身近に使えるところからもっと使って、これは地域からというか、下から育てていくという放送文化をぜひ育てていただきたいということでございます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  184. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、小坂憲次君。     〔委員長退席、虎島委員長代理着席〕
  185. 小坂憲次

    ○小坂委員 ことしNHK放送開始七十周年、「NEXT10」というCIを導入されまして各種の事業計画され、また、国際映像放送の元年とも言える大変に意欲的な事業計画を組まれまして、まずまずの充実でありますので、心から敬意を表したいと存じます。  そういう中で、まず最初に、私は災害対策の方も委員会もやっております関係から、若干今回の阪神淡路大震災に関連しまして、今後の防災対策上こういうことが考えられないかな、持てる国の資産はできるだけ幅広く活用をしたらという意味から一つ御提言を申し上げたいと思うわけであります。  今回の大震災初動態勢といいますか、その中で、国土庁、官邸の情報不足というものが指摘をされております。とりわけリアルタイムの映像情報の強化が必要だというふうに私は考えるわけでありますが、災害対策基本法におきます、NHK指定公共機関ということになっておるわけでありまして、その五十一条にありますように、情報の収集及び伝達を担っているわけであります。  そんな意味から、いろいろ今回調査をしてみましたら、自衛隊の活動というものがいろいろ言われましたが、自衛隊は現在ヘリコプターで映像を撮って流すいわゆる映像情報装置を一機だけしか持っていないのですね。ところがお聞きしますと、NHKは十一機ヘリコプターを保有している。全国各地に配置をされているわけでありまして、今回もNHK報道の中ではスキップバックレコーダーの映像が何度か報道され、発生時の生々しい報道もありました。また、ヘリコプターからの映像報道を繰り返しされまして、この震災被害状況が的確に報道されたと思うわけですが、官邸及び国土庁等のいわゆる非常災害対策本部あるいは緊急災害対策本部というものが設置された場合ですが、こういったところに対して情報の伝達、収集という意味からこのヘリコプターが活用できないか。  今の状況ではなかなかこれは放送法上の制約もあるかと思うのですね。なかなか難しいのですが、十一機もあるわけでありますし、取材に活用する部分を除いて、それ以外の部分で生の映像を直接対策本部の方に流すというようなことができれば、これはもう大変に対策上も有効ではないか、こう考えるわけであります。そういった意味で、大出郵政大臣の御見解をひとつお聞きしたいと思います。
  186. 大出俊

    大出国務大臣 さっきちょっと触れましたが、予算委員会その他でいろいろな御議論が出まして、もう少しNHKの皆さんなどに、これ取材という意味なんですけれども、御協力願えぬかという意見が三人くらいの方からですか、出まして、仏そのときにすぐ頭に浮かびまして、災害基本法の例の五十一条です、今お話しの。指定する公共機関。総理なら総理が本部長になりまして、これは中央防災会議をつくれるわけですから、私は五十一条を見ると、ただ単に放映するだけの責任と義務じゃなくて、放映するのには情報収集しなきゃできないんだから、しかも中央防災会議川口さんとNTTの社長の児島さんと二人座っているんだから、座っていて、うちは自主性を持っていて放送する機関でございますから、情報収集に責任ありませんから何にも申し上げませんと座っているなら、中央防災会議に出てくる意味はないんです、一つも。  だからという意見を実は私があるところで述べたら、今の放送法の解釈や災害基本法の解釈が延々と出てくるわけですよ、片方から。大出さん、そうおっしゃるけれどもと、それも一つの論理だかと。つまり、この法律の解釈、いわゆる本来の、この法律をつくるときに、こうこうこういうことだというのが明確でないものだから、私のような意見があっても不思議じゃないという議論も出てくるから、結論が出ないんですよ。ただし今の法律のままではという意見が出てくるんですね。  ですから、そこらを含めて、まあ少し私は言い過ぎた気もあったんだけれども、ある集まりのときに。やはりそこらは、御指摘の点、私と同じ考えなんですが、一遍これは、今の法律がいけなきゃどうするんだということにもなるんだから、私自身は検討してみたいなと思っているところでございます。非常に重要なところだろうと思っております。古くなっているんだから、法律は変えたっていいんですからと思っているわけなんです。
  187. 小坂憲次

    ○小坂委員 大臣の大変に前向きな御回答、御意見を聞きまして、大変力強く思います。おっしゃるとおりでありまして、この法律の解釈はいろいろあるわけであります。また五十三条の被害状況の報告と誤解をされて議論がかみ合わなかったりすることもありまして、五十一条の言っているところは、情報の収集及び伝達を指定公共機関は担うということになっておるわけで、この範囲は特に定められておらないわけですね。ですから、これはどういう形ででも協力はできるわけでありまして、そういう意味で解釈に疑義があるんであれば、そこを正すような法律改正をしてでも、ぜひとも将来の災害に備えて、NHKの持てる力をフルに発揮して活動していただきたい。これが国民の期待するNHKになる、こうも思いますので、ひとつ郵政大臣の前向きな今後の取り組みを期待したいと思います。  次に、私は、最近のNHK番組を見ていて、特に大型企画番組、「NHKスペシャル」のような番組を見ますと、非常に感動を覚えます。質、内容ともに大変に充実して、影響力あるいい番組をつくられているというふうに思っておりますが、そういう意味で、ぜひとも再放送してほしいなとよく思うんですね。だれか知っている人に見せたい、ビデオを撮っていなかったが見せたい、あるいは人から話を聞いて、そんないい番組だったらぜひとも見てみたい、こう思うんですよ。ところが、いつやるのかなかなかわからないんですね。そしてまた、放送されない場合もある。  再放送について、どういう基準でこれを運用されているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  188. 中村和夫

    中村参考人 再放送については、語学番組みたいなものについては、時間帯を変えて視聴者番組を見る機会をふやそうというそういうもの、学校放送、語学、趣味や講座番組等々はそういうジャンルに入りますが、視聴者の生活パターンに合わせて再放送して利用度をふやそうというもの。それから、電話やはがき等で、放送が終わるとすぐ再放送の希望が寄せられる、「NHKスペシャル」とか、ドラマもございますが、そういうものが一つある。それから、月に一本の大型番組みたいなものを一年間かかって放送したものについて、連続編成でアンコールの放送を帯でやってみる、毎日。そういう三種類ぐらいの再放送のやり方がございます。  今度、深夜一時間延ばしますけれども、そこで「ETV特集」とか海外ドキュメンタリー等々放送する予定ですが、これも再放送がやはり希望が多くて、そういうものを並べてみようということです。現在、総合テレビでは来年度二一・八%の再放送率、教育テレビで四〇・二%になる予定です。
  189. 小坂憲次

    ○小坂委員 先ほどの説明を聞きましても、本年は地震災害を考える番組を企画中である、こういうことでありますので、その内容もまた期待したいところでありますけれども、番組の再利用という意味でビデオも出されておりますね。関連事業としてビデオを出されますが、先ほどの視聴覚障害者と申しますか、そういう不自由な方のために私は、大出大臣も先ほどおっしゃっていましたけれども、アメリカのビデオを買いますと、アダプターをつけると画面にテロップといいますか、せりふが全部出てきますね、あれと同じように、そのすばらしい番組、全部手話でというわけにいきませんし、ですから、ビデオを発売する際には、アダプターを通すと画面にすべてその説明とかせりふが全部出てくるというようなビデオを発売していただくと、これはまた聴覚障害者のためには非常に大きなメリットがある、こう思います。  こういう点について川口会長も、再放送についてもいろいろ御意見が特にあるかもしれませんので、会長自身がこれはいいから再放送しようというようなこともおっしゃるのかどうかも含めて、ひとつ御意見、言いただければ……。
  190. 川口幹夫

    川口参考人 再放送の基準については、先ほど中村放送局長が申し上げたとおりでございますけれども、いろんな形があります。内部から、これは非常によかったから再放送しようという積極的な意見が出てきて、そして再放送の時間が組まれるということも当然ございます。しかし、一番やはり大きいのは視聴者の方からの反響ですね。物によっては何十という、放送した後はっとかかってくる。それから、それを見損なったというのでかかってくるというケースがございまして、そういう視聴者の御要望というものをまず第一にやはりいたしております。  ただ、それだけではやはり抜けるものがございますから、いろんな形で我々は、例えばモニター報告を寄せるとか、それから放送文化研究所がやっている調査の結果で決めるとか、そういう科学的なデータ等も駆使しながらやってまいります。ですから、再放送が大事なことはもう先生おっしゃるとおりでございますから、これからもより一層、再放送のあり方については視聴者の御期待に沿えるように努力してまいりたいと思います。     〔虎島委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 小坂憲次

    ○小坂委員 期待しておりますので、よろしくお願いをいたします。  次に、若干先ほど日笠委員の方からも話が出ましたけれども、ハイビジョンについてお伺いをしたいと思っております。  過日の三月十四日の朝日新聞の報道の中にありましたように、マルチメディア時代における放送の在り方に関する懇談会で、両案併記ということで一九九九年と二〇〇七年、両案併記になっているということもありまして、これは先ほど同僚議員の指摘のとおりに、できるだけ早く調整をしていただきたいと思うところでありますが、この早い方の一九九九年というものがもし現実になったとしますと、現実的にどういうふうな流れになっていくのかな。まず、この移行期の対策について、簡単で結構ですので、こういうことを考えているということをちょっと教えていただけますか。
  192. 森川脩一

    森川参考人 お答え申し上げます。  放送の方式が、ある一つの方式から全く両立性のない別の方式に移る場合には、例えば、まずあいているチャンネルヘ新しい方式のものを流し、従来の方式はしばらく継続をしという形で、受信者の保護を図りながら、一定の時間を確保した上で新しいものに漸次移っていくということが基本ではないかというふうに考えておりますし、外国で、かつてイギリスあたりで古いタイプの白黒テレビから今のカラーテレビに移行したときもかなりの時間をそれにかけたというぐあいに聞いております。
  193. 小坂憲次

    ○小坂委員 ハイビジヨン放送平成二年の開始以来、試験放送としての実績を積み上げまして、現在では十時間以上、昨年十一月からは待望の実用化試験放送の段階を迎えて大変充実してきたことは大変に喜ばしいことでありますし、私も大変に期待をいたしております。  また、私の郷里の長野で一九九八年、平成十年に開催をされます予定の長野冬季オリンピック、これに向けてハイビジョンの放送を本格的にやりたい、また、壁がけの大型のプラズマディスプレービジョンといいますか、これを開発されているということでありまして、これが開発されますと、切符が買えなくても、いながらにして迫力ある、臨場感あふれるオリンピックの実況中継というものが見られる。私も大変に期待をしているところであります。  そういう意味で、期待は大変にあるのでございますが、今申し上げたところのハイビジョンの開発というものがNHKの技研の技術力をもってやっていただいたわけですが、今どきの技術開発は大変テンポが速くなっておりまして、すぐに別の方式が出てくる、あるいはそれを上回るチップの開発等によって飛躍的な進歩が来る。それに追いつくためにまたさらに英知を結集して、そして技術を結集してそれを克服しなければいかぬ、そういう悩みが多いことは私も十分に理解をしているところであります。  しかし、実際にこの移行期、どうなるか頭で描いてみますと、まずは衛星の空きチャンネルで同時並行で放送を流す、これはいいですね。これはハイビジョンの施設を持っている方だけが受信をする。しかし、それが今度ある程度普及してきたので衛星第一、第二のどちらか、まあ第二の方を切りかえてこちらにしていく。そのときにはMNコンバーターを買っていただいて、MNコンバーターでBS放送受信できるようにしましょう、こういう話ですね。ところが、MNコンバーターを買う、そしてそこまでに、かなり普及するという時間的経過があるのですね。技術の進歩との追っかけっこになってくるわけですね。  そうすると、今の話で、一九九九年にディジタル放送が開始をされるということになりますと、今から計算していくとMNコンバーターというのは数年の寿命ではないかなというふうにも考えられるのですね。この辺、何かいいアイデアはないですかね。ちょっと今、何かこの点についてお考えがありましたら。
  194. 森川脩一

    森川参考人 今先生おっしゃいますように、技術革新のスピードは日進月歩でございまして、だんだんそれも加速されていくという時代にはございますが、私どもの考えている新たなディジタル放送と申しますのは、今までの放送とは全く側面を異にした、新しい機能で高画質な統合型のいわゆるディジタル放送サービス、ISDBというものでございます。これは、現時点での技術でそのまま自然にこれが時間とともに完成するということではなくて、これを実用化していきますためにはまだいろいろな克服すべき課題が残されております。  それから、放送にとって一番大事なことは、先生十分御存じのように、受信者の方々が安い受信機で、安いコストでそういう放送が、いい番組が楽しめるというのが基本でございますから、そういう面に向かってのさらなる技術開発に一定の時間を要するというふうに考えておりまして、今私たちが目指しておりますISDBというものは、二十一世紀に入ってしばらくたってからそういう段階に達するのではないか。  しかし、いずれにしましても、いずれ新しいサービスが今のとは別に出現していくときに、先生今おっしゃるようにMNコンバーターが短時間でむだになるのじゃないかということがございますが、それは今申し上げましたように、第一点は、そういう新しいディジタルサービスが出現するまでにまだ相当時間がかかるということと、もう一つは、仮にそれが出現いたしましても、やはり受信者の保護というのを放送局としては第一点に考えていく必要がある。つまり、今のハイビジョン放送を楽しんでいただけるような放送をきちっと継続していくということが一方で基本であるというぐあいに考えておりまして、そういうことが言われる限りは、そういうコンバーターというのはむだにならないというふうに考えております。
  195. 小坂憲次

    ○小坂委員 ですから、放送としては現在のBS放送、そしてミューズのハイビジョン、ディジタルのハイビジョン、こう段階を踏んでいくんだ、こういうことですね。  二つ質問したいのですが、一つは、そういう段階を経るにしたがって、今のそのディジタル、統合ディジタル放送をおっしゃったんだと思うのですが、二十一世紀の割と早い時期であろう、現在からその段階を追って、大体それぞれのステップは何年くらいを今予想されているのか。そのときの移行のきっかけになる普及台数、先ほど計算の方法にはいろいろあると。八百五十万台、これはビデオもあるしテレビもあるし、それぞれ各家庭へ行けば両方とも持っている、だから世帯数としてはどういうふうに把握するのか難しい部分がある、これもわかりました。それを踏まえながら、大体どのくらいの普及率のときに切りかわっていくのかということをひとつお答えしていただきたい。  もう一つは、今その話の、各家庭にはBS受信装置のついたビデオ、BSの受信装置のついたテレビ、こういうものがいっぱいあるわけですね。MNコンバーターというのは、それぞれにそれを買ってつけなければだめなものなのでしょうか。それもちょっと教えていただきたいと思います。
  196. 森川脩一

    森川参考人 まず普及率の推定でございますが、今のところ私どもは、まず衛星については現在八百五十万、去年の九月で八百五十万という付近に達しておりまして、これが今後一年余りのうちに一千万に達するだろうと。それから、ハイビジョンの方は、今推計しているのは、九七年の次の衛星の時点で大体六十万台くらいになるだろうと。ちょっと数字は今定かに最終的に持ち合わせておりませんが、大体オーダーとしてはそのくらいだというふうに記憶しております。それから、二〇〇〇年の段階では四百万から五百万程度に出ていくだろうというふうに推定をしております。  それから、ISDBにつきましては、今のところ、こういう交代期の新しいサービスが可能な時期としましては、可能性としましては、あるいは手段の実現する、何といいますか、出てくる時期といいますか、そういうものを申し上げますと、二〇〇七年というのが一つあります。これは国際的にそういう高画質の放送が可能な周波数の使用が解禁になるという、国際的に合意された線が二〇〇七年になっておりますので、まずそれがターゲットの一つかというぐあいに思っております。  それから、MNコンパーターについてでございますが、これは先生御承知のように、ハイビジョン受像機では走査線の非常に細かい、いわゆる純ハイビジョン、純粋のハイビジョン受像機ではなくて、今の五二五の四対三の受像機でもハイビジョンの番組が見ることができるような、そういうコンバーターでございます。それで、先生おっしゃるように、ハイビジョンがだんだん普及してまいりまして、衛星放送チャンネルにハイビジョンを転換していこうということになりますと、そういうものがどうしても必要なことになってまいります。  それで、そういう時代になってきますと、このMNコンバーターによって衛星放送、つまり衛星放送に移った後のミューズ放送が見えるということになってまいります。これは、いずれ非常に製作コストが安くなればMNコンを内蔵した受像機、今でもそれが多いわけですけれども、そういうものがさらに普及していくだろうということを期待しています。MNコンバーターの普及の度合いは、先ほど申し上げましたハイビジョンの受信機の数と、やや大き目ですが大体同程度の規模でこれも普及していくであろうというぐあいに予測をしております。  そういうことによりまして、ハイビジョン放送というものを純粋のハイビジョン受像機と同時にMNコンを通して、したがって多少画質はハイビジョンほどではありませんけれども、番組の中身を十分楽しんでいただくことができるというぐあいになる、そう考えております。
  197. 小坂憲次

    ○小坂委員 若干まだ疑問も残りますが、ほかのテーマに行きたいと思います。  先ほど再放送のところでもお話をいたしましたけれども、NHK視聴者に対するいろいろな各種調査があります。いわゆる放送世論関係調査というのですか、あるいは総合世論関係の調査、編成世論関係の調査、いろいろと資料をいただきまして見させていただきました。例えば、国民世論調査に関しては、ボランティア社会についての調査だとか、あるいは現代日本人のライフスタイル、こういったものの調査をされておられます。  私は、これだけ時代の変化が激しくなってきますと、どこかで定点観測をしていないといけない。その時代の流れをずっと定点観測をしていく。番組それぞれを記録しておいても一種の定点観測になっておるわけですが、視聴者に対する調査も、それからまた世論調査も、政治の面からも行政の面からも大変に有意義なものだろうと思います。若干コストはかかりますけれども、NHKのそれぞれの組織を活用しながら、コストを抑えた形で各種の世論調査の企画というものができるのではないかと思っておりますので、その辺についても今後検討していただいて、ひとつ前向きにこういうものの開発をしていただいて、私どもにもそういった面の情報提供していただくようにお願いをいたしたいと存じます。  どなたか御意見があればいただきたいと思いますが、なければ、以上で質問を終わりたいと存じます。
  198. 川口幹夫

    川口参考人 世論調査は非常に大事なものだと思っております。  現在、放送文化研究所の世論調査部がやっております調査は、日本の各種調査の中でも信頼感が非常に高いという調査でございますが、それは、一つはやはりデータの集積と調査に当たる人たちの質が高いということにあると思います。ですから、今後ともこういうデータの集積はより正確に、より真実に迫るものを追い求めていきたいと思います。  そして、おっしゃるとおり定点観測をしませんと、標準が絶えずぐらぐらしては困りますので、そのような方向で持ってまいります。
  199. 小坂憲次

    ○小坂委員 ちょうど時間となりましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  200. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、古賀一成君。
  201. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 新進党の古賀一成でございます。  私、新進党の方で外交担当というのもたまたま仰せつかっておりますので、今回のNHK予算一つの柱でもあろうかと思います国際化あるいは国際放送の問題につきまして、それに絞りまして御質問申し上げたいと思います。  この資料を見ますと、平成七年度一般勘定事業収支予算国際放送費が六十三億六千百万円ということで、三七・〇%の対前年度の伸び率で断トツでございます。事業費全体が三・九%という中で約十倍近い伸び率を示しておるわけですが、これはこれで、今の放送が置かれた立場、あるいは日本が置かれた立場、あるいは国際化のあらしといいますか、この現状を見たときに、本当に時宜を得たものだと、私はある面では深く敬意を表するわけです。  問題は、やはり国際化の流れに今後もっとNHKも組み込まれていく。そのワンステージ上がったのがこの平成七年度の予算ではなかろうかと思います。したがいまして、初年度と言ってもいいこの年の予算の内容、誤りなきようということで、そういう期待も込めながら質問を申し上げたいと思います。  この資料を見させていただきますと、これまで各年の予算案につきまして附帯決議も付されておりますし、あるいは大臣意見、常に国際化というのがかなりの優先順位で述べられております。そういう面で、今回、さっき言いました三七%というのは一つその流れにこたえたということだろうと思うのです。  まず第一点、今年度から、NHK史上と言ったら大げさですけれども、歴史始まって以来、海外向けの映像国際放送を始めるということでございます。これはどういう地域にどういう規模、どういう形態あるいはどういう趣旨で開始されるか、まずその点、NHKの方からお答えをいただきたいと思います。
  202. 中村和夫

    中村参考人 放送法の昨年の改正によりまして、映像国際放送というものを開始いたします。四月三日から開始することになります。北米で五時間、ヨーロッパで三時間程度の映像放送になります。  この映像放送国内映像波田波の中から番組を抽出しまして、ニュース及びニュース関連番組を中心に放送をいたします。国際衛星回線を利用して欧米の現地法人に映像を送って、そこから先は現地の法人が放送をする、現地法人に委託するという形で放送いたします。放送はスクランブルをその部分だけ外すということになります。  それから、十二時間分アジア各地に配信をいたします。パンナムサット2という通信衛星を利用しまして、フットプリントは相当アジア・太平洋地域をカバーいたします。人口にして約十九億人の地域をカバーいたしますけれども、これは配信という形で現地の放送局またはCATVの事業者向けに番組を十二時間配信するということでございます。
  203. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今の十九億人というのはアジア向けの、それだけでございますね。(中村参考人「そうです」と呼ぶ)わかりました。  そうしますと、これまで実はテレビ・ジャパンという事業が既に欧米で行われておるわけですが、今回こうして新しくノースクランブル方式によりまして国際放送が新たに別の形で開始される、こういうことになりますと、テレビ三ジャパンヘの影響といいますか、当然あると思うのです。しかも、テレビ・ジャパンにつきましては、なかなか現状が厳しい、当初予定しました有料契約者が予定より相当下回っておるという話も聞くのでありますが、この点、テレビ・ジャパンの現状、そして今般の映像国際放送との関連といいますか、そういうものはいかがお考えでございましょうか。
  204. 中村和夫

    中村参考人 先ほども申しましたように、ノンスクランブルで放送する時間は五時間とか三時間という部分でございます。アメリカのテレビ・ジャパンの場合には一日十五時間放送を行っておりますから、ノンスクランブルでない部分が残り、十五時間の中に五時間分のノンスクランブルが入っているということです。そこに入るソフトもNHKはこれまでと同じように供給をいたします。向こうのサブスクライバーからお金をいただいて、現法がそこの部分をやるということになっております。ヨーロッパでは、一日十一時間放送いたします。ですから、十一時間の放送の中で三時間分がノンスクランブルになるということでございます。  テレビ・ジャパンが今放送している主なものは、「おはよう日本」、それから大河ドラマ、連続テレビ小説、「ニュース7」等々放送しております。相撲も一部放送いたしております。  有料加入世帯は、一月末現在で、アメリカの場合は二万五千世帯、ヨーロッパの場合は七千三百世帯というふうになっております。
  205. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 わかりました。  そうしますと、先ほども若干答えが既に出たわけでありますけれども、ヨーロッパについては、今度の映像国際放送プラステレビ・ジャパンということで、二本立てといいますか、二本立てという言葉がいいのかどうかはわかりませんが、スタートする。  それから、アジアにつきましては、先ほどのお話のように、番組提供ということで当面、今もあるし、平成七年度は今までどおりということのように受け取れますが、今後、アジア地域へのこの映像国際放送というものはどういうふうにお考えでございましょうか。むしろアジア、民族も多様である、言語も多様、価値観も多様ということで、いろいろ問題はあるのだと思いますが、アジアヘ向けての映像国際放送につきまして、NHKの今後の方針をお答えをいただきたいと思います。
  206. 中村和夫

    中村参考人 アジアヘの発信については、去年の十一月京都で行われましたABU総会で、一つのガイドラインが設定されました。  欧米からの圧倒的な国境を越えるテレビというものに対抗して、アジア各国それぞれ国境を越えるテレビを今発信しておりますが、何しろ文化の多様なアジア各地にそういう国境を越えるテレビが降り注ぐことによっていろいろ問題が起こる。宗教上の問題だとか、民族の多様性を許容しないような番組が出たり、それから性についての扱いとか、犯罪とか暴力についての考え方もそれぞれ違うということで、そういうことについては共通のガイドラインを一応つくろう、その中で自由な放送をお互いにやろうということでガイドラインができました。  ただ、それができたからといって、直ちに直接受信国際放送をやってみるというわけにもいきませんので、基盤整備として、配信という形で我々がこれから十二時間放送する、配信する放送番組を実際に見ていただいて、それでそういうガイドラインに沿った番組を実際にお示しじよう、それから次のステップに進むべきだろうというふうに考えております。
  207. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 そうしますと、そのガイドライン、文化摩擦とか、あるいは言語の問題もあるでしょう、むしろそういうところに問題があって、あとの、ほかの技術的条件というものは、あるいは相手の受け手、そこは全然問題ないわけですか。今御答弁になりましたその点だけが、アジアについて映像国際放送じゃなくて番組提供ということで今とどめておるのはその一点でございますか。
  208. 中村和夫

    中村参考人 パンナムサット2で借りているトランスポンダーが、放送事業者とか放送局向けといいますか、Cバンドで借りておりますから、Kバンドで、小さなアンテナで受信できるという形をとっておりません。Cバンドという直径三メートル以上のアンテナで受信ができるというような形になっておりますので、やはり放送事業者、そういう人たちが中心になって受信するという、受けようと思えば受けられますけれども、そういう形になっております。
  209. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私、実は昨年、東アジアばかり六回訪れる機会がありまして、行くたびに驚くのは、東アジアの経済的な勃興でございますけれども、もう一面で、あれは恐らくNHK衛星放送をとるためのアンテナじゃないかと思うのですが、中国・北京等にも、日本よりはるかに大きいものが林立しておりまして、現に、中国外務省等もNHK衛星放送を見ている。  実は、これは一回私この委員会で、もう四、五年前になりますか、質問したことがございます。何かといいますと、ちょうどあれは湾岸戦争が勃発したその日に、ある団の訪中団で中国に参ったわけですが、そのときに、まさか会えないと思っておりました李鵬首相ほかそうそうたる幹部に会っていただきまして、そのときに、十数回となくテレビも、つまり湾岸戦争勃発後初めて外国からのミッションが来たということでとりわけ注目されて、そういう接待を受けた、接待というか、会見等もあったわけであります。そのとき彼らが言うには、これはNHKのニュースをソースとしてやっているということを聞きまして、全部フォローしているわけですね。  だからつまり、これから国際放送時代が来ることは間違いない。その中で、問題は二つあると思うのです。  一つは、今後映像国際放送NHKが日本から主体的に、これまで番組提供等々は、あるいはテレビ・ジャパン等はどちらかというとあっちがセレクトする、あるいは注文をつけられるということですが、映像国際放送になると、NHKが主体的に判断をして流す、こういうことにもなってくる。逆に言うと、それだけ責任も重くなるという問題もあります。つまり、映像国際放送についてもそれがあるし、もう一点は、いわゆる国内放送向けの衛星放送、これのいわゆるスビルオーバーということで、外国が、近隣諸国がしっかりとそれをとって見ている、この二つの問題があるのではないか。  ことし、戦後五十周年でございまして、いろいろなイベント、ハワイでどうだとか、中国で何があるかわかりませんけれども、そういう年でもあり、いわゆる価値観、歴史観、民族観、宗教観の違いというものが、漏れて届いたときに、いろいろ今後国際化すればするほど、逆にそういう問題が、ギャップが明らかになってくるのじゃないか、そういう心配を私はかねがねするわけであります。  大臣、これからの放送行政のトップとして、こういう国際時代、とりわけ技術がこれだけ発展して、他国、隣国の人たちが、日本が何を考えて国内放送でああいうことをしゃべっているというのが漏れて聞こえてくる時代、そこにあって、放送の内容といいますか、そういうものについて考え直す一つの段階にもあるのではないかという気もしますが、その点についての大臣の御所見といいますか、お考えをお聞かせ願えればと思います。
  210. 江川晃正

    ○江川政府委員 スビルオーバーという言葉が今先生の御質問の中に出ました。スビルオーバーといいますのは、かなり技術的な議論でございまして、国家主権の尊重等の観点から、国際条約上一定の技術基準を定めまして、各国があらゆる技術的手段を用いてスビルオーバーをできるだけ低減するように求められている。御案内のように、スビルオーバーというのは要するに電波が漏れてしまうということでございます。  我が国といたしましても、国際条約の定める技術基準を遵守するとともに、送信アンテナの指向性の向上など、技術的に可能な手段を最大限活用してスビルオーバーを低減しているところでございますが、そういうことで一度でき上がりますと、このような手段を用いてなおかつこぼれてしまうというものがあるといたしますと、そこの部分はそれぞれの国が容認すべきもの、受忍すべきものというふうになっているところでございます。国内放送がその限りにおいて漏れるということはあるわけでございまして、そのことが他国への文化的な支障を起こすことのないようにしようということと絡めますと、国内番組がいかにあるべきかということになってしまいまして、ちょっと問題がややこしくなってまいります。  しかし、今話題になっております、国際的な意味情報を外へ流すというときの番組の発信国の危惧と申しましょうか、その辺につきましては、先ほども答弁にございましたが、幸いにも、アジア・太平洋地域で昨年からことしにかけまして、APTという組織のもとにいろいろな研究会を郵政省が入ってやっております。これはたまたまの話でございますが、ことしは先週の未に日本国でその会合が行われまして、かなりよいガイドラインが合意されたところでございます。  例えば、不道徳な素材とか過度な暴力の描写の回避、未成年者を保護する扱い、それから当該地域の社会的、政治的、文化的あるいは伝統的な価値を尊重するとか、いろいろ何項目かにわたってそういうものを尊重してやっていこうじゃないかという合意ができ上がったところでございます。そういうようなものに立って映像国際放送をやっていくという形になろうと考えております。
  211. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 前半のスビルオーバーの件ですが、それでは、最大限のそういう技術的措置を施してなおかつ漏れるものは、内容がどうであれいわゆる免責されるというルールがあるように聞こえましたけれども、それは実際にあるのですか。
  212. 江川晃正

    ○江川政府委員 私が申し上げましたことは、最大限に活用してスビルオーバーの低減に努めまして、各国のオーケーをとりますね。衛星で上げる場合には、各国に日本国はこういう衛星で放送をやるからという照会をかけますから、それで我が国の方にそれが漏れるのか漏れないのかといういろいろな御議論がありまして、アンテナの角度を変えたり何かするという形で行かないようにする。それが、スビルオーバーがなくなるようにする、最低限になるということでございます。  そういうことでオーケーということになりますと、長くなりましたが結論的に申し上げますと、そういうものはそれぞれの国がこの基準の範囲内におけるスビルオーバーであるならば受忍、容認すべきものというふうにされているところでございます。
  213. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 わかりました。されているということでございますので、後ほどまた追って、ゆっくりお聞かせ願えればと思います。  それでは、あとわずかですので最後質問に移りたいと思います。  これはちょっと通告していなかったのですが、放送法三条の三に「番組基準」という規定がございます。これは単純に読みますと、国内放送のみ番組基準をつくって公表する、こういう仕組みになっておるのです。これだけ国際放送が問題になってきますと、国際放送についてはどういう取り扱いといいますか、国内放送についてのみ番組基準を、郵政省令ですか、これに基づいてつくって公表を義務づける、こういうあれになっておるのですが、国際放送、今後むしろこういうところが一番重要になってくるのじゃないかと思うのですが、この点、基準はないのでありましょうか。ちょっと済みません、突然のお尋ねで。
  214. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  今行っている海外放送、海外発信というのは、既存の国内映像四波の中からの番組の抜粋で構成しているということですから、その番組にサブ音声で英語をつけたり中国語をつけたり、そういう形でやっておりますから、オリジナルで映像をつくっているわけではございませんので、当面のところはよろしいかというふうに解釈しております。
  215. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 当面は国内でしっかりと基準にのっとってやったものだから国際的にもということで、恐らく当面は大丈夫であろうと思います。その点、よくわかりました。  最後ですが、もう質問ではございませんけれども、外国に行ったときに、日本の文化あるいはテレビを通じての文化的影響というのは本当に及んできたなという感じを強く持ちます。  今回国際放送ということで主体的に、既につくった国内番組とはいえ、それをセレクトしてこちらから一方的にといいますか、発信をするという制度がスタートしたわけであります。私は、これが別にNHK事業というだけでなくて、日本から日本の文化なりあるいは考え方、そういうものを発信するという、ある面では今まで歴史的に下手だ、何やっているんだと言われたその分野をこれが担うこともできるのではないかという期待を持っておるわけでございます。  今後、予算なり体制はできたわけでありますけれども、日本の文化を伝える、あるいは国際交流にとって非常に戦略的な意味を持つという視点で、先ほど小坂委員がおっしゃいましたけれども、すばらしいドキュメントあるいは番組もたくさんあるわけでありまして、そういう基準で発信をして、日本のこれからの国際化、国際社会での評価を少しでも高めるように、私はぜひその点を配意して努力をしていただきたいとお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。  以上です。
  216. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、高木陽介君。
  217. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 新進党の高木陽介でございます。  きょうは、朝からずっと長時間にわたり、私を含めてあと三人ということで、もう少しですから頑張っていただきたいと思います。  まず、ディジタル放送というか、特に逓信委員会の場合、またNHK予算関連の話になりますと、これからマルチメディア社会ということでいろいろな方々からも御意見、御質問等々もあったと思いますが、これからのマルチメディア時代を迎えるに当たって、放送のディジタル化ということがやはり重要なキーワードというか、形になってくると思います。そんな中でハイビジョン等も、ディジタル、アナログ、いわゆるミューズ方式との問題等々、昨年来いろいろと話題を醸し出してまいりました。  まず、現状の地上波、これは衛星も含めてなのですけれども、欧米諸国はかなりこれの研究開発は進んでいると思われるのですが、日本、特にNHKを中心にして、ディジタル放送技術開発の現状、あと今後の取り組みについて、NHKの方からちょっとお伺いしたいと思います。
  218. 森川脩一

    森川参考人 お答えを申し上げます。  NHKは、ディジタル放送技術開発に向けまして、できるだけ画像や音声を効率よく圧縮をしましたり、あるいは電波に乗せて限られた電波の幅の中できちっと家庭に送り届ける技術であるとか、受信機の技術であるとか、各般にわたって研究を進めております。それから、ディジタル技術はこういう送信ばかりではございませんで、番組制作機器の方でも非常に研究を深めております。というのは、ディジタル技術を取り入れますと、同じ機械が、例えばVTRといったものがより小型で値段も安くなるという可能性も十分秘めておりますので、そういう局内における番組制作機器のディジタル化ということにも取り組んでおります。  このようにして、ディジタル研究の範囲と申しますのは、今の我々の研究所の扱っております研究テーマの隅々までこのディジタルというテーマがしみわたっていると申し上げても過言でないぐらいの勢いで研究を進めているわけです。  それから、今後につきましては、我々の考えるディジタル放送というのは、非常に柔軟性のある、あるいは付加価値のついた統合ディジタル放送、ハイビジョンを含むそういう放送というのを一つの究極の目的に据えておりまして、その実現に向けての開発というのを進めてまいりますし、それから、地上放送のディジタル化あるいは音声放送のディジタル化、こういうものはどういうぐあいに進めていけばいいか、どういうぐあいにあったらいいかというのも今後の取り組みの中での大きな課題になっております。  以上です。
  219. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 まさにNHKが核となって放送のディジタル化を進めていかなければいけないと思うのですけれども、放送の場合はNHKだけではなくて民放各局もありますし、そういった観点から、郵政省としてはこのディジタル化、その放送技術への取り組みということで、今現状はこうなっていて、今後こういうふうな方針で取り組んでいきたい、そういった考えをお聞かせ願いたいと思います。
  220. 江川晃正

    ○江川政府委員 ディジタル技術の細かい要素につきましては、ただいま御説明ございましたので省略させていただきますが、大きな流れといたしましては、諸外国においても、技術開発あるいは放送方式の規格化、放送の実用化と、活発にディジタル化ということについて行われておりまして、いわば世界的な大きな潮流になっていると認識しているところでございます。  そして、ディジタル放送の要素技術につきましては、今後技術開発を進める必要がある地上ディジタル放送技術というのを除きますと、衛星放送とかCATVのディジタル化を行うためた必要な技術というのは、現在実用化の段階に至っていると承知しております。  それで、通信衛星を利用する衛星ディジタル放送につきましては、先週の十日、この三月十日に暫定方式というのが取りまとめられまして、今週の頭からそれを使った実証実験というのを開始しているところでございます。この実証実験が順調に終了いたしますと、早ければ本年の夏ごろからでも、電気通信技術審議会という権威ある審議会がございますが、そこから一部答申が得られることになっていくのではないかなということでございます。そういうようなことも含めまして、ディジタル化について対応しているところでございます。
  221. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 今、江川局長の方からも衛星を使ったディジタルという話がちらっと出たのですけれども、このディジタル化がどんどん進んでまいりまして、キー局が衛星を使ってディジタル放送をばっと流すようになる。そうなりますと、ことしの一月二十六日付の毎日新聞の夕刊にこんな指摘があるのですね。「キー局が衛星を使ったデジタル放送に踏み切れば、地方局を経由しなくても全国放送ができる。地方局はキー局から流してもらっていた売り物の番組を失う。その結果、広告収入が減って、経営が成り立たなくなる可能性がある。「地域に密着した情報を流すか、キー局の子会社となる以外に生き残る道はない」」、こういった指摘がなされておりました。まさにこれは、メディアが巨大化していってしまうというか、地方局が子会社となってしまうだとか、地方局、各県にそれぞれありますけれども、そういった放送局が今後こういったディジタル化が進むことによってそんな影響を受けてしまうのか、そういった不安等々もあると思うのですね。  世の中今、規制緩和の流れでもってなるべく規制は外していこう、そういったのはどんどん自由にやらせていこうという方向があるのですけれども、これはそのままにしてしまいますと本当に大変な問題になってしまうな、本当に巨大なマスメディアが登場してしまって、これがいろいろと世論も形成していってしまうという可能性もなきにしもあらずかな、こんな危惧を抱いているのですけれども、この辺について、キー局、地方局との関係等も含めて、郵政省の御見解、考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  222. 江川晃正

    ○江川政府委員 衛星を用いました放送を東京のキー局から全国に流してしまうという問題は、実はディジタル放送にするしないにかかわらず、共通の問題でございます。ですから、一月二十六日でございますか、その毎日新聞に載っていたという、今先生が読み上げられましたコメントにわたる部分は、むしろ、ディジタル放送だからそうなるというよりは、衛星を使う中央のキー局が放送を流すと地方の放送会社が、いわばネットワークでぶら下がっている部分がおかしくなるのではないかという御指摘ではないかなというふうに思います。  そういう部分は確かに昔から、衛星放送が登場してくるときには指摘されていた課題でございまして、必ずしも十分な解決が得られているところではございません。しかし、そこの答えは明快にできているとは限らないまでも、ちょっと誤解かなと思われますのは、ディジタルがそれを促進するというよりは、むしろ、ディジタルの技術ができ上がりますと、地方局は逆にこれを積極的に取り入れますと番組づくりが比較的低廉でできるようになるということで、より一層自分たちの番組づくりがしやすくなるということがございまして、むしろうまく使えば地方局の活性化につながってくるという一面もあろうと思います。そういう一面なども加味しながら、これから郵政省としては、衛星放送と地方とのかかわりというのを考えていかなくてはいけないなと思っているところでございます。
  223. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 今局長のお答えのように、それをうまく生かせば地方局もある意味ではキー局と競合しながらやっていくという可能性、これこそまさに規制緩和、自由競争の時代、これが必要がなとは思うのですが、それを本当にしっかりと郵政省が見ていくというか、指導するというふうになると規制緩和に逆行するかなと思うのですけれども、そこら辺のところもしっかりやっていかないと、本当に一歩間違えば巨大メアィアの誕生になってしまうし、これをうまく生かせば本当にいろいろな多角的な局というか番組というものが出てくるな、そういうふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  あと、ハイビジョンの問題というのはきょうもずっといろいろな方々から御指摘がありましたので、これはちょっと省略させていただいて、続いて、国際放送、海外向けの、いわゆるアジア向けのテレビ番組ということで質問をさせていただきたいと思います。  放送法が改正されまして、アジア向けというか、そういうのもNHKの方としてもかなりいろいろと意識をされてやっていると思いますけれども、このアジア向けについてのテレビ放送の現状及び今後についてお聞かせください。
  224. 中村和夫

    中村参考人 まず現状ですが、現在は、アジア・太平洋地域へ十三カ国・地域、二十三放送機関に一日一時間四十五分、「ニュース7」「ニュース9」「トゥデイズ・ジャパン」等々を配信いたしております。これから配信いたします十二時間の中にはそういうものがすべて入って、なおかつドラマ、それから経済番組、スポーツ、日本の伝統文化等々も入っておよそ十二時間。現在いろいろなところからその番組が欲しいという引き合いが、関連会社を通じて、または直接参っておりますが、ベトナム、モンゴル、ラオス等の放送機関受信する意向でございます。アジア・太平洋地域の各地で、日本の情報を邦人の方々もこれから視聴できるというふうになると思います。
  225. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 そういった現状の中で、今度、著作権の問題、これをちょっとお伺いしたいのですが、例えば欧米向けのテレビ一ジャパン事業、これに関しては著作権者からいろいろと権利を得ているというか……。ただ、アジア向けについてはそういった承認を得ていないという話をちょっと聞いているのですけれども、そこら辺の実情。さらに、例えばいろいろな各国共同制作の番組、それをもし放送する場合の権利問題、これについてはどのようにクリアしていくのか、そこら辺をお願いします。
  226. 中村和夫

    中村参考人 テレビ・ジャパンの場合は、御指摘のとおり、国内番組をつくったときに著作権料をその分少し上乗せしてやっているということですが、今度のアジア発信については今交渉中でございます。我々がねらっているところを御理解いただいて、協力を要請しているという段階でございます。  それから、スポーツ等々についてもなかなか放送権のクリアは難しくて、相撲等はスタートにはちょっと間に合わないのかなという感じです。  それから、国際共同制作については、共同制作の相手がそのソフトをどういうふうに売ろうとしているのか、そういういろいろなことが絡んでいますので、国際共同制作についてはなかなか権料のクリアというのは難しい、権料をクリアしても非常に高いものになるというのが現実でございます。
  227. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 まさにアジア向けの放送というか、本当にいろいろと日本のものを知ってもらおうだとか、そういった意図もあると思うのですね。そういった中で、著作権問題を早急にクリアしていただかないと、せっかくの放送を流しても一体何なんだ、こういったことになると思うので、よろしくお願いしたいと思います。  もう一つ、アジア向けの問題で、配信料金の問題ですね。これは、国によって経済事情等々も違って、料金設定というのがなかなか難しいのじゃないか、こう思うのですね。そんな中で、ただ単にただでどっと流す、これはいかがなものかなというのはあるのですけれども、やはり相手国の事情等々も考えてそこら辺は検討しなければいけないと思うのですけれども、それについてはどのように対応されているのか、お願いいたします。
  228. 中村和夫

    中村参考人 相手の国によって本当に千差万別でございます。私どもは、取材協力の協定とか、お互いの便宜供与とか、その国に取材に行った場合の向こうからの技術提供だとか、そういうものとの見返りに配信するということもございますが、経営的にしっかりしているところは関連会社経由で料金をいただいて配信するという形になっております。
  229. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 続きまして、NHKの関連会社についての質問をさせていただきたいと思います。  聞くところによると、NHKエンタープライズとクリエイティブ、これの統合問題というのがあると思うのですけれども、島さんのときに、いろいろと関連事業NHK本体としてはお金もうけできませんから、とにかくそういうので独立してどんどんやっていくのだ、こういう方針でいっぱいつくられたと思うのです。それで拡大をしてきた。ところが、ここに来て、それ自体がかなり厳しい状況になってきているというのも耳にはしております。  そういった中で、今回のエンタープライズとクリエイティブの統合の理由、それと今後の関連団体のあり方、これをどうしていくのか。いわゆるそれをさらに縮小するのか、統廃合していくのか、整理していくのか。今国の方では特殊法人の統廃合、整理合理化という話がありますけれども、NHKの方としては、そういった関連会社、関連団体の問題を今後どうしていくのか、これをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  230. 斉藤斗志二

    ○斉藤参考人 両社の合併につきましては、主に二つの理由で合併を考えたわけです。一つは、当面の課題にNHKとしてまず的確にこたえる、それから今後のメディアの環境の変化に対応する体制を整備する。主としてこの二つから両社の統合を考えたわけであります。  現在のNHKは、地上放送充実はもちろんでございますが、衛星放送あるいはハイビジョン放送の普及拡充、いろいろな課題を持っております。同時に、今後の多メディア・多チャンネルなど将来のメディアの激しい変革が予想されます。こういった中で、NHKとしては、多様で高品質の放送番組確保して、公共放送に対する視聴者の期待にこたえていく、そういった責務があると思っております。  このためには、NHKグループ全体が番組制作力を一段と高める必要があるというふうに考えておりまして、NHKはもちろんですが、関連団体の担う役割自身もますます重要になるというふうに考えております。そのために、まずNHKグループ全体としての制作体制を強化する、それから、今後増大が見込まれます。務を効率的に運営する体制を構築する、そういうことで新しい時代に向けた基盤を整備する、こうした第一歩としてエンタープライズとクリエイティブの統合を行うことにしたということでございます。  これまでエンタープライズは、ドラマあるいはエンターテインメント番組のソフト制作のほかに、ハイビジョンやあるいは放送番組を核として非常に多角的な展開力を発揮してきました。一方のNHKクリエイティブにつきましては、Nスペを初めとする大型企画番組あるいは衛星放送番組等の企画・制作力で、良質なソフトの提供に貢献してきたということでございます。この両社のそれぞれの個性を生かして、これを統合することによって両社の人材やノウハウを結集して、それによって一層発想の豊かないろいろな番組をつくりたいということで両社の合併を考えたということでございます。  今後の関連団体のあり方はどうなんだという御質問でございますけれども、今申し上げましたように、メディア環境がますます変化する中で、視聴者のニーズが一層多様化、高度化してまいります。したがって、ますます多様で高品質の番組への期待が高まっているということでございます。こういう状況の中で、公共放送NHKの存在価値は、あくまでも豊かでよい放送サービスをいかに実現するかということにかかっていると思います。このために、関連団体は、NHK協力しまして、各団体の役割分担に基づいてそれぞれの専門性を発揮し、そしてNHKグループならではの多様で高品質なサービスの提供事業の重点を置く、そのことがますます重要であると考えるわけでございます。  したがいまして、今後の関連団体の統合あるいは見直し等につきましては、メディア状況の動向あるいは関連団体のソウハウの蓄積状況、こういったことを総合的に考えながら、NHK事業展開に即して不断に見直しをしていくという考えております。
  231. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 今長々とお話しをいただきまして……。  これもまた新聞記事で申しわけないのですけれども、二月五日付の朝日新聞です。エンタープライズの遠藤利男社長の言葉なんですけれども、「島さんの商業化路線は、すべて間違いだった。ただいま苦しいのは他の企業も同じ。われわれは利益は出している。合併はあくまでも製作力の強化が目的だ」、まさに制作力強化していい番組つくる、これはもういいことだと思うのですね。  そんな中で、やはりだんだんだんだんその利益が出なくなってきて、そのツケ払いというか、その負担が結局NHK本体が出す委託料にはね返ってくる、これが最終的に受信料というか、いわゆる視聴者の側に回っていく、これだけは避けていただきたい。島さんの時代がよかった、悪かった、これは抜きにして、今そういう現状の中で切り抜けていかなければいけないし、それを最終的に視聴者にまで、受信料にまで転嫁するような、そんな流れには絶対にしないでいただきたいということをお願いしておきます。  時間も大分来ましたので、きょうも多くの委員方々震災関連についてお話または質問、御意見あったと思います。そんな中で、私も一点だけ。  まず、今回の阪神大震災のときに、やはりNHK、本当に頑張られたと思います。そして、特にテレビ放送という以上に現地の被災者方々ラジオでもってかなり情報を得ていた。また、全国各地の人も、安否情報だとかそういった部分でかなりためになったというか、そういうことがあったと思います。  そういった中で、今後心配されるのは、今度は関東大震災、東京直下型というか、そういったときの報道というよりはラジオ放送のあり方。東京都の場合は、防災センターをあのでっかい都庁の中に設けて、ライフライン復旧のために東京電力やまたは東京ガスやNTTや、こういった席も設けて、また中央防災会議もそのような形で、いろいろとそういったライフラインの方はやるんですけれども、一体、その情報を集めてそれを流す、本当に避難所に逃げた人たち、または被災に遭った人たちが、とにかく情報欲しい、ところが、NHKだけ頑張ってNHKラジオ二波で流すだけでは、これは東京どでかいですから、これは民放もかなり一緒にやっていかなきゃいけないのではないのかな。  ただ、これが事前に打ち合わせをできればいいんですけれども、やはり民放というのはそれぞれ独自の報道姿勢を持っておりますので、それを前もってできれば話し合いをする。例えば、オリンピックのときには一緒に共同制作、そしてこの時間帯はこの放送局がみたいなことをやっていますけれども、ラジオ放送ということで、このことを、例えばNHKが音頭をとるなりまた郵政省が音頭をとるでも結構でございます、そうした中で本当に被災者のためになる報道放送を、特にラジオを中心にやっていけないものかな、そこら辺のところで、これはできれば郵政省に御意見、その考え方をお伺いしたいと思います。
  232. 江川晃正

    ○江川政府委員 全く先生がおっしゃるとおりでございまして、最中、震災の起こった直後から今日に至るまでですが、民放、NHK郵政省が三者が集まって検討会を週一遍開いている、申し上げたとおりでございます。それから、そういう中で、報道のいざというときのあり方はどうしようかということも問題提起しているし、先生方あるいは地元から上がってくる声もそこに出して、どうしようかということで諮っているところです。  そういう中で、大変ありがたいうれしいことなのですが、今月の十七日と聞いておりますが、NHKラジオ、在京民放のラジオ集まりまして、どういうふうにやっていこうか、分担をどうしようかみたいなことも含めて議論をしていこうというふうに動いているということで承知しております。それから、ラジオだけじゃなくてテレビの方につきましても、民放が、これは先月の後半ですけれども、集まりまして、どういう取材体制ていこうかとか、放送体制でいこうか、そんなことも議論を始めているということで、いい結論を結実させていきたいと考えているところでございます。
  233. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 時間が参りましたけれども、今申し上げたように、自分報道記者出身なんですけれども、やはり現場に行きますと、それぞれの、民放だったらその社の特だねをとらなきゃいけない、とにかく現場を報道しなければいけない。それを事前に、あなたはこっち、あなたはこっちなんということをできるわけがなくて、しかも、行ったときに、そのドラマを映像でとらえた、でもここはNHKさんですから、じゃ民放のTBSさんはこちらへだとか、じゃここはフジテレビさんですからNHKの人はここは取材しないでください、こんなことは絶対無理だと思うのです。無理だけれども、やはり一番大切なのは、被災者の側に立った放送ということがこういうときには一番重要ではないかなということをあえて強調させていただきまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  234. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、遠藤乙彦君。
  235. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 私、新進党のしんがりとして質問をさせていただきます。既に多くの方から多数の論点が出尽くしまして、なかなか質問難しいのですけれども、重複をあえて避けずに、やや総括的な視点から質問をさせていただきたいと思っております。  NHKについての質問の恐らく一番重要なポイントの一つは、今後のマルチメディア社会における公共放送としてのNHK役割いかん、存在理由いかんということが一番大きなことかと思います。既にこのことにつきましては先ほど河村委員質問にも答えられておりますので、同じ質問は繰り返しませんが、別の視点からちょっと申し上げたいのですが、私は、これから今急激な形でマルチメディア社会が到来しつつある、NHKはやはり非常に重要なその担い手として役割が期待されているわけであって、ぜひともしっかりこの役割を果たしてもらいたいということがあるわけでございます。  マルチメディアがどうなるかということはなかなか、いろいろな不確定性があって、だれ人も予測しがたい面があるわけですけれども、私の今感じている一つの点は、現在我が国におけるこのマルチメディア論議というのが、やや技術論あるいはハード論が先行し過ぎているのではないかということ。それに比べて、国民のニーズが那辺にあるのか、このマルチメディア社会における国民の情報ニーズ、文化のニーズ、どういうものがあるのかという把握が必ずしも十分でない。さらに、それに沿ったソフトをどうするかという点を、もっともっとこれを進めなければならないのじゃないかと思っております。  もちろんこのハードの開発技術開発、さらに重要な側面でございますので、ぜひNHKにもその点はしっかりやってもらいたいのですが、それ以上に、国民のニーズを正確に的確に把握をしてそれに沿った質の高いソフトをつくる、その模範を示すことによって他のメディアにも刺激を与え、また、より好ましいマルチメディア社会の到来を推進するということが、公共放送としてのNHKに特に課せられた重要な役割であるということを私は感じております。  それからさらに、私の感じなんですが、これから特に日本の社会、文化的な意味ではますますこれから発展段階に向かうであろう、非常に成熟した、より創造的な文化の段階に向かうであろうという感じを持っております。経済的にはなかなかつらい面が出てきまして、高度成長時代終わって、ある意味では経済的なピークは過ぎたという見方もある。ますますこれから困難な経済問題に直面するであろうということはよく言われておりますけれども、文化的にはますますこれからいい時代に入ると私は感じております。  特に、二十一世紀に向けて、社会のトレンドとしてよく三つ挙げられます。高度情報化であり、国際化であり、高齢化。私は、この三つのトレンド、いずれも文化という点には促進要因、プラス要因として働くんであろうというふうに考えております。高度情報化はもちろんさまざまな技術的な可能性をこれは提供するわけでありますし、それから、国際化ということは、先ほども議論が出ておりますけれども、幅広い世界との交流を通じて、より日本文化の発展に対してよい刺激を与えるであろう。それからさらに、高齢化という点も、これは非常にプラス要因であると私は考えておりまして、高齢化というのは、決して単に将来財政負担がふえるということだけではなくして、むしろ非常に知的水準の高い、また人生経験に富んだ、あるいは非常に目の肥えた、文化に目の肥えた人々がたくさんふえてくるということであって、そういった意味では、やはり文化の発展に非常に大きな促進要因になるという位置づけが重要ではないかと思っております。  そういった意味で、NHKの、特に公共放送としての役割、ハード面、技術面に加えて、あるいはそれ以上にニーズの把握それからソフトの開発というところに特に重点を置いていただきたいと考えております。  同じ質問は繰り返しませんけれども、今私の申し上げたNHKに対する期待という点に関して、会長及び大臣、御意見があれば伺いたいと思っております。
  236. 川口幹夫

    川口参考人 高度化、国際化、高齢化、まさにそのとおりです。私ども放送がなすべきことも、そちらの方向に向かっていろいろな考え方を集めていくことだろうと思っています。  私は、特に今スローガンを挑戦と前進というのにしたのですけれども、挑戦というのは、いかに新しいテクノロジーをうまく使っていくのかということであり、それから未知の社会に対してどのようなチャレンジをすべきかということだと思うのです。そういうことを旗印にして私の二期目の任期を全うしたいと思っております。おっしゃるとおりで、放送が持っておる文化性の高さというものをできるだけ生かすように、そういう努力を続けてまいりたいと思います。
  237. 大出俊

    大出国務大臣 先ほど来お答えをいたしてまいりましたけれども、二十一世紀に向けまして、大変なディジタル技術の進展をしていく状況が生まれてくると思っております。そういう意味では、有線・無線、通信・放送、全部これは大きな意味でマルチメディアという分野に入ってくるということになると思うのでありますが、それだけに、さっきも申し上げましたが、NHKは先頭に立っていただかなければならない。その意味では、視聴卒にとらわれない、まさに豊かで、もう一遍言い直して申し上げますが、豊かでいい放送番組、これを国民の皆さんに提供していただく、文化水準の向上という意味でそういう番組編成をお考えいただきたい。  二番目に、ディジタル放送など今後の放送技術の高度化、これはあくまでもNHKが先頭に立って進んでいっていただかないと困るわけでございまして、存在意義ということも含めて、これはぜひお願いをしたい。  三番目に、諸外国の対日理解の促進、在留邦人への情報提供、これは、放送法の改正もございまして、NHKの大きな使命でございますから、そういう意味で、国際情報の発信源としてのNHKの存在というのを明確にしてこれから進んでいっていただきたい。  その辺のことを考えております。
  238. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 NHKとして「中長期経営方針」を出され、またその以前に、平成五年には「二十一世紀への展望とNHKの課題」というのを出されておりまして、私もこれをよく読ませていただきましたけれども、今も申し上げましたように、マルチメディア社会の到来に対して大変重要なことは、やはりニーズを把握するということだと思うのですね。ハード面とか技術面は比較的予測しやすい面がありますけれども、他方、ニーズというのは言うはやすく非常に把握が難しい点がありまして、これの把握を誤るといいかげんなものになってしまう可能性があるわけです。それで、ぜひともニーズの把握、特に日本の社会がこれから何を求めていくのが、国民が何を求めているかを適切に把握をしていただきたいということがNHKに対する期待の大きなものでございます。  そういった意味で、NHKは、恐らくいろいろな形で国民との接触があり、さまざまな機関を通じてそういうニーズの把握をされておるでしょうし、また分析、予測をされておられるでしょう。特にこういった「中長期経営方針」とか「二十一世紀への展望」といったものについてはそういった認識が前提となっていると思いますので、文章にはそれほど十分には出ておりませんけれども、この前提となる日本社会の今後の変化、特に「中長期経営方針」では今後十数年を対象期間に置いておりますけれども、今後十数年、さらにそれを超えて日本の社会がどう変わっていくのか、特に放送文化へのニーズがどのようになっていくのか、これについてのNHKの基本認識をお伺いしたいと思います。
  239. 川口幹夫

    川口参考人 まさにニーズがどう動くかということが私どもいつも考えなければいけないことだと思うのです。ですから、幾らネットワークを多く張りめぐらしても、実際上お客様が何を必要とされているのか、どういう放送を出したら一番信頼していただけるのか、満足していただけるのかということは、我々の念頭を離れないことだと思います。  そういう意味では、放送は大きな意味で文化だと言いますけれども、やはりその文化の中にいろいろなものが入っていると私は思います。単なる事件、事故が起こった、それを知るということだけじゃなくて、まさに日本人がどう生きてきたかということを知ること、それから、これからどう生きるべきかということをはっきりとお示しできるような形で放送をつくっていくということ、そういうことが基本的にはNHKのなすべき使命ではないかと思っておりますので、一万三千人の職員と一緒になって、新しい方向にこれからも一生懸命頑張ろうと思っております。
  240. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 その原点を忘れることなく、今後のマルチメディア社会の推進にぜひ頑張っていただきたいと思っております。  続いて、NHKと政治という角度からお聞きをしたいわけなんです。これは、取り上げ方によっては非常にデリケートな話にはなりますけれども、そもそも、今の日本の国民あるいは有権者が、政治についてあるいは政治家について情報を得るほとんどはメディア、特にテレビであるということだと思います。国民がどういう意見を形成し、あるいは投票行動についても、メディア、特にテレビの決定的な影響があるわけでございまして、そういった意味で、メディアと政治というのは分からがたい関係にあると言うことができるか。と思います。  他方、NHKの場合には不偏不党という大きな原則があるわけでございまして、これは当然のことでございますが、ただ、だからといって、それは政治から距離を置くとか政治から逃げるということを意味しない。むしろ、政治をどんどん掘り下げて、国民の欲する政治に関する情報あるいはさまざまな角度からの意見というものを今まで以上に伝達するのが大事じゃないかと思っております。  そういった意味で、公共放送としてのNHKとして政治にどうかかわるか、あるいは政治に関する報道番組をどうしていくかということの基本的な考え方、スタンスについてお聞きしたいと思います。
  241. 中村和夫

    中村参考人 NHKは、いろいろな形で政治番組をやっております。政治問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにして、国民みずからが判断できる材料を的確に提供する努力を続けるという方針にのっとって、いろいろな番組をつくっております。  今我々がどういう形でやったらいいのだろうかという問題意識を非常に持っているのは、世界的に見ても、先進、参加型の国、日本も含めてあらゆる選挙で投票卒が低下しているということとか、二大政党の形がやはり崩れているというようなこと、そういうことを我々はどう受けとめたらいいのか、先進国各国が、参加型の民主主義を標榜しでやってきた国が軒並み投票卒が下がって、政治に無関心になっていくというようなことをどうとらえたらいいのか、そういう抜本的な問題を今度真剣にやってみようということで、今準備を進めているところです。
  242. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 NHKと政治という点に関して、私自身の個人的な見解、こうあってほしいという一つの要望なんですけれども、私としては、NHKが国民のシンクタンクであるべきという意見を持っております。といいますのは、これからだんだんイデオロギー対立の時代は終わって政策論議が非常に重要な時代になってきておりますけれども、国民の側から見ると、何が問題で、どういう選択肢があって、だれが何を考えているかということは必ずしも明確ではないわけであるし、我々政治家としても、有権者と接するのは非常に限られた範囲でしかないわけであって、そういった意味ではメディア、特に公共放送としてのNHKが大変重要な役割を果たし得るのではないかと思っております。  要するに、その時々のどういう政策課題があるのか、かつその中にどういった問題点があり、分析があり、さらにどういう選択肢があるか、その可能な選択肢を提示して、さらにそれぞれの選択肢の利害得失も含めて十分に国民に情報を与える。さらに、それに関連したディベートを行ったり、幅広い情報を集約して、何しろ国民が自分で決断できるだけの十分な素材を与えるということが、これは恐らくNHKの最も重要な役割一つではないかと私は考えております。  また、日本のそういった政策論議のことを考えますと、本来、こういったシンクタンクがあっていろいろなこういった作業をすべきなんですが、残念ながら、現在の日本にはそういうシンクタンク、若干ありますけれども、それだけの機能を果たしているものはまだないわけでございますし、まだ非常に発育不全という状況でありますし、NHKがそういう役割をむしろ積極的に果たすということは、これからの日本の政治の高度化、質の改善などに大変重要なことではないかと思っております。  例えば今までも、税制改革の問題とか土地住宅問題あるいは政治改革とかで、NHKとしても非常に力を入れて取り組まれた番組があるわけですけれども、これからもっともっといろいろな政策課題をピックアップして、満遍なく、幅広く、しかもコンパクトな情報提供を行って、決断は国民に任せる、有権者に任せる。そういう意味で、中立性を貫きながら、不偏不党を貫きながら、十分な政治的役割を果たすということは可能でございますので、ぜひともそういう方向で努力をしていただきたいと思っております。この点につきまして、会長のお考えをぜひお聞きしたいと思います。
  243. 川口幹夫

    川口参考人 今おっしゃった、国民の判断の材料になるもの、そういう資料になるものを提供する、これは政治的な問題、経済的な問題に対するNHKの姿勢の根本だと私は思っております。したがって、いろいろな番組を通じまして、そういう判断の材料になるものを、時には分析をし、時には系統立ててこれを検索をしながら提供をする。そして、国民の皆様の御判断が正確になされていくようにしたいと思います。そのことは私どもが国民に対して持っている大きな責任である、このように思っております。
  244. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 会長がそういった御意見であることを大変心強く受けとめたわけでございまして、そういったNHK役割を果たすこと自体が政治改革の大きな一つの要素であるし、また日本全体の政治の、ある意味では高度化の大変重要な要因でございますので、ぜひとも今後ともその方面での御努力をお願いをしたいと思っております。  続いて、番組編成という観点からお聞きしたいわけなのです。  国民の立場からしますと、どういう番組がつくられるかということが一番関心のあるところでございますけれども、この番組編成にどのような形で国民の意見がフィードバックされているのか、NHKとしてはどういった努力をされているのかということを伺ってみたいと思います。  さらに、具体的な話としては、例えばなぜ今、徳川吉宗なのか、こういった設問も可能だと思います。非常に視聴卒も高く、好評であると聞いておりますけれども、どういう角度から、どういう理由で徳川吉宗を取り上げているのか。あるいはまた、今後の大河ドラマの、徳川吉宗以降はどんな計画があるのか、まだ決定していなくても結構ですから、どんな候補が挙がっているのかも含めて、御説明いただければと思います。
  245. 中村和夫

    中村参考人 毎年度の編成をやるに当たって、我々どういう番組がいいかということをいろいろ検討いたしますが、その基礎となる資料は、毎日、電話や投書で来る意見、要望。それから、番組審議会、各地に、東京のほか八地方に番組審議会というのがございますが、番組審議会での番組に対する御意見、それから視聴者会議等々で出される御意見、こういうもの。それから、先ほど来何回か出されましたけれども世論調査、放送意向調査、全国視聴率調査等々、編成当局はそういうものを参考に、どういう編成がいいだろうかということに基づいて、全国にどういったぐいの番組が来年度は欲しいという提案募集をいたします。NHKの場合は、関連会社関係も含めまして三百数十本の提案が出てきますが、その中から、ねらいにかなったものを開発していく。オーディションをつくって新年度に並べる。  それから、継続番組で、ことしも続ける、未年も続けるという番組についても、どこをどう変えていくのか、さらに検討を加える。世の中の動きを無視した番組というのはなかなか受け入れられませんので、世の中をよくにらんだ、敏感に今の時代というものを感じるような番組をどうやって並べるか。  それから、よく言われることですが、似たような番組ばかりテレビを見ていると並んでいるじゃないかということに対して、非常にオリジナリティーのある番組を並べましょうということで、新年度はそういう番組が幾つか並んでおります。新しい番組開発というのはなかなか難しいのですが、そういう形で吉宗も生まれてきたというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。  この次の大河ドラマは、一応秀吉でやるということになっております。
  246. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 大河ドラマは大体日本の動乱期の素材が多いですね。幕末、明治維新、それから戦国時代、さらに源平時代ということだと思いますけれども、一つの私の、国民の一人としての要望を申し上げると、古代史をちょっとやってみたらどうかという気もいたしております。  というのは、六世紀、七世紀あるいは三世紀、四世紀というのは非常におもしろい。今古代史ブームが非常に起こっておりますし、また時代から見ても大変国際化している時代だったのですね。大陸からの渡来人の人たちが非常に活躍した時期であるし、また日本という国家を創成する時期であったわけで、大変創造性にも富んだ時期であったわけであって、そういった意味では、これから二十一世紀に向かって、日本が本当にもう一度国際化し、創造性を発揮しなければいけないという時期にあるものですから、そういう古代史というのは大変おもしろい素材になり得るのではないかと思っております。恐らくこれも余りまだよく知られていないことと、それから適切な作品がないこともあるかもしれませんけれども、古代史というものを取り上げることによって、もう少し日本の文化の多面的な発展にぜひ貢献をしていただきたい。これは国民の一人として要望をしておきたいと思っております。  それから、もう一つ番組編成との関連なのですが、今NHKは地上系と衛星系を合わせて七波を持っております。特に、テレビ放送における地上総合と衛星第一それから衛星第二の編成にどのような特色を持たせているのか。あるいは今後どういう方針でそれぞれの個性を振り分けていくのかという点ですけれども、この点についての方針をお聞かせいただきたいと思っております。
  247. 中村和夫

    中村参考人 一言ずつ言いますと、総合テレビジョンは基幹的な総合サービス波ということで、国民生活に必要不可欠な情報や文化・教養、娯楽番組の調和ある編成。教育テレビジョンは文化・生涯学習波。衛星第一テレビジョンは内外総合情報波と大型スポーツ。それから、衛星第二は第一級のユンターテインメントとカルチャー、あわせて難視聴解消。それから、ラジオの第一はニュース、生活情報波を中心、ラジオの第二放送は生涯学習波として語学を中心とする体系的な講座番組等々、それから在日外国人向けのサービスも今回は行います。それから、FM放送は音楽波としてクラシック中心にやるということでございます。
  248. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 もう一点。天気予報の自由化ということが今言われております。平成七年の春から気象業務法の一部改正に伴いまして、気象庁だけじゃなくて民間気象会社も天気予報が出せるということを聞いておりますけれども、こういう多角的な気象情報が出ることもあって、NHKとしては気象番組、気象関連の情報について、今後どういう編成方針であるか、お聞かせいただければと思っております。
  249. 中村和夫

    中村参考人 実は現在新しい気象の番組開発を行っておりまして、来年度は朝五時から放送を開始いたしますものですから、それに適したプレゼンテーション、演出をどうやったらいいのか、今開発の最中でございます。気象庁がどれだけの準備が整うかということの兼ね合いでやっておりますが、多分新年度は新しい気象情報提供ができるというふうに思っております。
  250. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 あと、もう一点。この平成九年度から二十四時間体制で放送が始まると聞いておりますけれども、この今までしてなかった部分の番組、どういう形でどういうもので埋めていくのか、あるいはどういったニーズがあるのか、この点につきまして御説明をいただきたいと思います。
  251. 中村和夫

    中村参考人 平成九年度までに二十四時間放送を目指して、来年度朝一時間、夜一時間放送を延長いたしますが、朝の部分はニュースと気象情報が中心、夜の零時からの部分はかねてから再放送希望が寄せられております「ETV特集」と海外ドキュメンタリー、ウォーターゲート事件等々いいドキュメンタリーがあって再放送いたしましたけれども、海外からのいいドキュメンタリー等もございますので、そういう再放送を希望されるいい番組を再放送で並べようというふうに思っております。
  252. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 最後に一点だけお伺いしますけれども、川口会長、昨年再選されまして今回二期目になるわけですけれども、いよいよ本格的に川口カラーというものを出すのではないかと期待をしておりますけれども、具体的にどういった形でこの川口カラーというのを出していかれるのか、抱負ということでひとつお答えいただければと思っております。
  253. 川口幹夫

    川口参考人 率直に申しますと、私は川口カラーという自分の名前がついたカラーを出すのは嫌でございます。むしろNHKというものが新しいイメージで生まれ変わってくる、そういうものを目指したいと思うのです。余り個人が活躍する時代というのはよろしくないと思っております。  その中で、組織全体が常に生き生きと前向きでいろいろなものに挑戦をして、そしていいものを創造するというふうな組織体を目指したいと思っています。それができましたら、おのずとニュースは活性化し、番組は豊かになってくるというふうにつながっていくのではないかと思うのですね。これがまず一つ大きな目標でございます。  それから、次は、NHK自体がいわゆる商売でやっている放送局ではない、受信者からの受信料でもって成り立っている放送ですから、そのことをより強くイメージをしながら、NHKがそういうものに十分こたえていける形をつくりたいと思っております。そして、それにこたえるためには、できるだけ経営上の工夫もして、余り御負担をかけない、そういうスリムな組織体を目指したい、このように思っております。それが、言ってみれば私が今思っているNHKのあるべき姿でございます。
  254. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  255. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、矢島恒夫君。
  256. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私が最後でございます。よろしくお願いいたします。  既に阪神大震災における災害時の放送のあり方、こういう問題についてはけさからたくさんの委員から出されておりますが、私も一、二最初にその問題についてお聞きしたいと思います。  あの大地震と大混乱の中で、神戸放送局やあるいは大阪放送局などを初めといたしまして、NHKの職員の皆さん方が大変な御奮闘をされた、このことにつきまして、私も現地を含めてあちこちでお聞きしております。また、いち早く情報を、混乱の中でFMやあるいは教育テレビを使って安否情報、これを提供したということは極めて適切な判断であったと思います。その上に立って、けさから例えば障害者あるいは外国人に向けての情報提供のあり方等いろいろ出てまいりました。  いずれにいたしましても、戦後最大の災害ということであり、関東大震災のときにはラジオ放送すらなかったわけでございますから、放送としては初めての経験ということになるわけであります。この経験やあるいは教訓というものを今後にどう生かしていくか、これが極めて大切なことだと思うわけです。  先ほど、反省すべきことの検証をしている、こういう御答弁がありました。そこで私は、国民や視聴者にとっても今度の大災害の中における放送というのは初めて体験したことだということ、そういう点から考えてみますと、国民の生命やあるいは財産、これを守る上でどのような役割放送が果たさなければならないか、こういう問題を、放送事業者の側はもちろんのことですけれども、同時に国民やあるいは被災者、こういうレベルでの一体となった検討ということが非常に基本にならなければならない、このように考えます。NHKは「メディアは今」という番組などでそうした方向を一定度進めておられるわけですけれども、もっと大規模にしかも時間をかけて進める必要があると私は思うわけです。  大阪放送局のある管理者の方、事前に準備された災害マニュアルは全く役に立たなかった、こうおっしゃっていますけれども、確かにそういう状況だったと私も思います。局内はもちろんですけれども、視聴者レベルで、放送での情報提供、何が不満だったのか、また何を求めていたのか、こうした点を幅広く拾い上げること、これが大切ではないかと思うわけです。ぜひ被災者あるいは視聴者を含めてこの経験を積み上げて、そして災害報道のあり方を見直すべきは見直し、発展させる、こういうことが必要だと思いますが、その点についてお考えをお聞きしたい。
  257. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  御指摘のように、何しろ初めての経験でございますので、我々は思いついてできることはすべてやったつもりでございます。手話放送、字幕放送、解説放送等々、これも特別番組等々特設いたしまして震災情報を伝えました。  ああいう大災害でございますから、それでああいう時間に起きたものですから、初動のときの泊まりの人間の動ける時間もちょっと限られて、いろいろ制約されます。そういう中で、こういうサービスも欲しい、ああいうサービスも欲しいということはなかなか網羅的にはできませんので、準備ができ次第取りかかったということで、多少外国人向けのサービスとか、外国人向けの安否情報についての放送がおくれたとか、そういうことはございましたけれども、我々できる範囲でのことはすべてやったつもりでございます。
  258. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私、NHKの対応というのが非常によかったという点で申し上げたので、それを今後の教訓にしていくためには、ぜひひとつ広いレベルでいろいろな意見を検討の対象にしてもらいたい、こういう意味で実は申し上げたわけであります。  被災地では、今も仮設住宅、避難所、あるいは自分で建てたテントの中、あるいは壊れた家の片隅、いろいろなところで大変な生活が強いられているという状況にあります。NHK報道によりますと、長期にわたるこの避難所生活の中で百十三人の方が亡くなられたと、まさにこの地震後二カ月を経過しているわけですけれども、現在も未曾有のことが起こっているというのが状況だと思います。そういう意味震災は終わっていないし、また震災報道も過去のものではないと私は思うわけです。  NHK阪神大震災の検証番組を「NHKスペシャル」で継続的にやっていくと聞いております。これは大切なことだと思います。同時に、現在もこの未曾有の災害は継続しているという点での報道もまた大切なものだと思います。被災者の立場に立った報道をぜひ進めていってほしいと思うわけです。  そこで、会長にお聞きするわけですけれども、こうした場合に、やはり震災後の政府やあるいは国会あるいは地方自治体の対応のおくれとか、あるいはまずさ、こういうことも問題になるだろうと思うのです。権力から独立した放送機関として、ジャーナリズムの精神に立った確固とした報道を望むわけですが、こういう面も含めて、公共放送としての災害報道のあり方について、会長の御見解を承れればと思います。
  259. 川口幹夫

    川口参考人 災害報道は、NHK指定公共機関として指定されているぐらいですから、これはNHKの本来負わなければいけない第一の責務だというふうに自覚しております。  あとは、起こったときにどう迅速に対応するのか、事柄の起こった状況をどのような形で把握するのかということがまず第一でございますね。それからあと、それがどのような影響を及ぼしたか、そして被災者はどのような状況にあるのか、それを被災者の立場でお伝えしたい。そしてあとは、その被災状況の中にどのようにお役に立つのかという観点で、例えば生活情報的なもの、安否情報的なものを入れていこうというふうに思っています。  そして、そういうものと並行しながら、震災の原因になったことをできるだけ科学的に把握する、検証する。そういう形で次なる、この震災そのものはやはりなくならないと思うのですね、今後も起こってくる、だから、そういうときに、どのような役立て方をするのかという意味で検証する番組をやっていくことが必要だと思います。これから後「NHKスペシャル」でやります検証番組は、それを大いに意識してつくるつもりでございます。
  260. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひ国民の立場に立って遠慮なくやっていただきたいと思います。  そこで、NHKの「中長期経営方針」では、二十一世紀の新しい放送に向けていろいろな方向を出されておりますが、その中で、「NHKは、文化を創造する事業体として、また、コマーシャリズム、センセーショナリズムに走ることなく政治的公平を確保しつつ、社会の諸相を多角的に伝えるジャーナリズムとして、引き続き、民主主義社会の発展と文化の向上に寄与していきます。」としています。これは、当然ではありますけれども大切なことだと思います。これを建前とするだけじゃなくて、日々の放送の中でぜひ具体化していただきたいと思うのです。  その点で、多くの視聴者、国民のNHKに対するイメージとして、国営放送とか政府寄りとかというイメージがある。これは例えば一九九〇年にNHKが行った「NHKに関する世論調査」、これでは、NHKの性格を「特殊な公共的事業体」とした人は二九%、三割を割っているわけであります。これに対して、「国営の機関」というふうに答えた方が二五%、「半官半民の団体」が三一%、両方合わせますと五六%になるわけです。つまり、六割近くが国の影響下にあるという認識をしているというのがこの世論調査の結果にあらわれでいるわけです。  NHKはもう何十年も、国営放送ではありません、公共放送ですと、一生懸命やっておられるわけですが、なかなかこのイメージが払拭できないでいる。その要因はどこにあるとお考えか、お聞きしたいと思います。
  261. 中井盛久

    ○中井参考人 お答え申し上げます。  その原因はどこにあるかということでございますが、一つには我々の努力がやはり足らないというところはあるかと思います。御指摘のように平成元年の九月に行った「NHKに関する世論調査」、それによりますと、「特殊な公共的事業体」というのは二九%で、三分の一以下であったということは事実でございます。  ただ、私たちも、あくまでNHK受信料を基盤として視聴者の皆さんの理解と支持のもとに成り立っている公共放送事業体である、国営の機関でもなければ半官半民でもない、ある方はゼロ官金民だという言葉を使っておられますが、そういう組織でありますが、その辺のところをできる限りいろいろな形の、印刷物等ではお知らせはしているのですが、それが浸透していないというのが実情だと思います。  それから一方、テレビのメディアを使っても、そういう組織体のあり方というのは余り宣伝したことはございませんが、もちろんNHKの本来的使命とがあり方とか、そういうことは、「テレビ自由席」だとかあるいは「金曜プラザ」というような番組を通じましてやらせていただいております。しかし、世論調査の結果は確かに今のところはまだそういう状況であります。
  262. 矢島恒夫

    ○矢島委員 視聴者はやはりNHK放送を見てNHKに対するイメージを形成していくと思うのです。政治的公平を確保しつつ、また、ジャーナリズムとして民主主義社会の発展に寄与するということを日々の放送の中で貫いていく、これが国営放送だとかあるいは政府寄りだとかいう、そういうイメージを国民の中から払拭できる方法だろうと私は思うわけです。  その点で、最近、NHKの前会長の島桂次氏が「シマゲジ風雲録」という本を出版されました。多分御案内だと思いますけれども、こういう本であります。これを読んでみますと、佐藤栄作氏やあるいは田中角栄氏など歴代総理の名前が次々と出てまいります。その中には、経営委員会長などのNHKの重要な大事に時の政府の実力者から呼び出されたとかあるいは電話があったとか、番組内容への介入もこの中に出てくるわけですね。また、歴代総理の中には、島民自身が、私のポンユーだ、こういうふうに言っている人もありますし、私邸で酒を酌み交わした話なども出てまいります。  こうした政治家とのつき合いという面でも、NHKの幹部としてのつき合いという線をはるかに超えている、今風に言いますと度を越えたつき合いと、こういう印象を持ったわけですが、ここに書かれていることがすべて真実だとは思いたくありません。ただ、NHK会長まで務めた方が書いたものですから、これでこの「政治的公平を確保しつつ、社会の諸相を多角的に伝えるジャーナリズム」たり得るかという疑問はだれでも持つのが当然だと思いますけれども、この点についてのお考えは。
  263. 川口幹夫

    川口参考人 私の前の会長ですから、私自体も割と詳しくあの人の性格を知っておりますけれども、今回書かれたことには、非常に一方的な、自己中心的な、あるいは自分だけでそう思っていたというところがいっぱいあるような気がします。ですから、まあ「風雲録」という題名からしてもちょっと興味本位に書かれているのかなと思うのですが、あれを全部お信じにならないでいただきたいということをお願いいたします。
  264. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そういう内容だということだとするならば、私は、いろいろな、そのことを読んだ人に与えた誤解といいますか、こういうものを解くかぎは、NHK放送報道姿勢にあると思います。それで払拭していくということだろうと思います。この「中長期経営方針」にもありますように、政治的公平を確保しつつジャーナリズムとして切り込んでいく、そういう放送姿勢を断固持ち続けてほしい。会長の決意をお願いしたいと思います。
  265. 川口幹夫

    川口参考人 NHKがそういう存在でなければいけないということはもう当然です。私は、わき目も振らないで真っすぐ、公正、中立な、しかも皆さんに信頼していただける報道機関であり続けるNHKをつくっていきたいと思っております。
  266. 矢島恒夫

    ○矢島委員 次に、受信料の問題でお聞きしたいと思います。  同僚委員質問に、七年度、八年度は現行どおり、九年度についてはできるだけ値上げしないよう努力する、こういう答弁が既にございました。ところで、平成九年には、NHK経営にとっても重大な外部的要因があるわけです。それは、消費税の税率アップということであります。この影響をどのように考えておられるかということ。「中長期経営方針」では、このことには触れておりません。できるだけ努力する、こういうことは、消費税率アップ分も含めてのことなのか、それとも受信料への転嫁は別問題と考えているのか、その点についてご意見をお聞かせいただきたい。
  267. 齊藤曉

    ○齊藤参考人 受信料につきましては、会長が何度も申し上げておりますけれども、平成九年度までは何とか財政安定に向けて頑張るというふうにたびたび申し上げているとおりでございます。  消費税との関連でございますが、消費税の受信料への転嫁ということにつきましては、受信料NHKを維持運営するための負担金であるという受信料の特殊な位置づけがございます。そういった意味で、いわゆる放送の対価という性格でないのではないかという議論もございました。しかし、対価に類するものとして、法律、政令の定めることにより課税されることになったということでございまして、元年度から消費税を含む受信料でございます。  今後の消費税への対応でございますけれども、これまでと同様、法律に基づいて行うことになるというふうに考えております。
  268. 矢島恒夫

    ○矢島委員 NHKはできるだけ努力するとしておりますけれども、消費税の税率アップ分は少なくとも値上げになる。これだけにとどまらずに、いわばこれが引き金になる可能性もなきにしもあらず。  そこで、今答弁の中にもありましたとおり、そもそも受信料に消費税を課税することの問題、これを再度検討していく必要があるのではないか。このことは消費税導入時に本委員会でも大分論議されたことであります。  当時の議事録を見ますと、やはりNHKとしては「あくまでNHK受信料は消費税の対象にならないという考え方で当初おりまして、これは関係各方面に私どもは強く働きかけました。しかし、こういう法律ができました以上、私どもはそれに従う」、こういうような、先ほどの御答弁と同じようなことが出ております。政府は、受信料を、サービスの対価ではないが資産の譲渡等の対価に類するものだとして消費税の対象にしたわけであります。  私も、なぜそうなったのかということについて、いろいろ当時の議事録を読ませていただいたのですが、どうもさっぱりわからないのですね。消費税の第二条は「資産の譲渡等」とありますけれども、その中で、「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう。こう定義しております。会議録を読みますと、郵政省は、受信料は「役務の提供に類するものとしての範疇に入ります。」こういう答弁も出ております。  そこで、サービスと役務はどのように違うのか、私いろいろ読んだのですが、わかりにくいので、ぜひこの点について答えてほしいと思います。
  269. 江川晃正

    ○江川政府委員 私が答えるべきところかどうかわかりませんが、役務とサービスの違いにつきまして、消費税との関係における定義の違いは私には御説明できません。
  270. 矢島恒夫

    ○矢島委員 なかなかこの問題は、当時のやりとりを見ましても非常に無理があるのじゃないか。  そこで大臣、これは極めて政治的な問題なんですね。というのは、大臣も消費税の導入のときのいきさつ、経過をよく御存じだと思います。当時私も大蔵委員であり、また税制改革特別委員でありました。消費税の前の売上税のときに、課税品目とそれから非課税品目をつくりました。これがどうも失敗の原因だったというように当時の政府や大蔵省は考えた。あっちは非課税なのにこっちはなぜ課税になるのか、課税品目になるのか、こういうような不満があちこちから出てきたわけであります。そこで、この失敗を繰り返してはならないということで、消費税のときには、全部に課税する、非課税品目は出さない、これが大原則になったわけです。  そこで、本来サービスの対価でない受信料も、これに類するというような中で課税対象にしてしまった。いわば受信料は犠牲にされてしまったようなものだと私思うのです。当時、NHKだけではなくて郵政省も抵抗された。しかし大蔵省に押し切られた。それは、郵政省も公式には言えないだろうと思いますが、よく御承知のはずだと思います。私は、このボタンのかけ違いといいますか、受信料はいわゆる放送サービスの対価ではないが役務に類するものだという非常にわかりにくい、わけのわからない状態を是正すべきだと思うのです。まさに政治的な問題だと思うのです。  そこで、大臣にお聞きするわけですが、法令や政令を変える必要はないし、また私、当時の消費税法の取り扱いの通達集だとか政令などを見まして、どこを見ましても受信料という例は挙がっていないわけです。例えば、役務の提供の意義というところがありますが、土木工事だとか修繕だとか運送だとか保管だとか印刷だとかずらっと並んでいるのですけれども、実際にこの中のどこを見ましても受信料という言葉は見つかりません。  そういうことですから、政治的な判断で、課税しないということにすればできるんだと思うのです。税率アップまであと二年ありますし、見直し条項というのも入っております。ぜひこの基本的な間違いを正す努力を今後すべきだと思うのですが、大臣のお考え、いかがですか。
  271. 大出俊

    大出国務大臣 お話ございますように、売上税のときも私が党の国対委員長でございましたし、竹下さんの時代に、元年に決まるときも私が国対の責任者でございますし、参議院の方で四法案を出して、廃止が参議院としては決められたわけでございますが、このときも私が責任者でございます。その後、両院の税制問題に関する協議会をつくったのも私でございまして、二十四回各党間議論をいたしましたが、このときに党代表で出ていた一人がまた私でございますから、何もかも全部わかっております。  結論を一言で申し上げますが、平成元年の四月の消費税導入時に、消費税分を転嫁して受信料の改定を行うということになりまして、改定を行いました。したがいまして、法的にここで転嫁したということでございます。以来、ずっとそれで今日まで来ているというのが現状でございまして、これから先どうなるかは、先般お決めいただきましたあの筋道に従ってやっていくということでございまして、それ以外の何物でもない、これ以外ないわけでございます。
  272. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いろいろな面から検討されると思いますので、私は、基本的な間違いだと思いますので、正す方向でぜひ御検討を願いたいと思います。  最後に、ことしは放送七十周年、記念事業としてNHKは、民間伝承の日本の心というのですか、消滅寸前の日本の民俗、民間伝承だとかあるいは地域固有の生活形式、こういうものを映像記録として残すということを一つ事業としてやろうとしております。非常にいい事業だと私は思います。  そこで、ぜひ提案し、お願いしたいのですが、同時にことしは戦後五十年、被爆五十年という年に当たります。ちょうど三月十日の東京大空襲の前日の三月九日付の朝日新聞の「声」の欄に、作家の早乙女勝元さんが「大空襲の記録証言を映像で」と、こういう投稿が載っておりました。早乙女さんは、東京大空襲の記録という面で多くの仕事をされてきた方であるということは御存じだろうと思います。全部は紹介できませんが、その投書の中で「後世代が戦争を追体験するには、資料が、素材がいる。」「当時二、三十代の方たちの戦争体験の話り継ぎは、もはや残り時間が少ない。」「活字による記録のほかに、映像による記録もきちんと残しておかなければ」ということで「今のうち東京大空襲のそれぞれの直接の証言が、せめて十人でも二十人でもビデオで集大成できたらこと、こういうような内容の投書であったわけであります。私もこの投書の指摘のとおりだと思います。  今すぐ放送する、しないとか、そういうことは別として、戦争体験あるいは広島、長崎の被爆体験、これをそれぞれの地方の放送局が映像で記録するということは、素材という面でも大変重要だと思いますし、これが戦後六十年というときではもう間に合わないという状況になろうかと思います。七十年記念事業では、日本の民俗の映像記録をデータベース化して保存、活用するとしているわけですが、こうした映像の記録もぜひNHKで取り組んでいただげたらと思います。もし何か御感想がありましたら御答弁いただければと思います。
  273. 中村和夫

    中村参考人 戦後五十年に関しましては、「NHKスペシャル」で、十一回シリーズで「その時日本は」というのもつくりますし、日中共同制作ドラマで「大地の子」、これを七十周年記念番組として六回シリーズでつくる予定でございます。それから、来週の土曜日からスタートするはずですが、NHKとアメリカABCの共同制作の「映像の世紀」、二十世紀の初めから映像がどういうふうにこの一世紀を伝えてきたかということをつづる膨大な映像記録を込めた「映像の世紀」というのが十一回シリーズで始まります。それから、広島で、被爆五十周年を契機にドラマを今制作する予定でございます。そのほか、終戦関連番組は今詰めているところでございます。
  274. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひひとつ、そういう方向での御努力をお願いして、私の質問は終わります。
  275. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  276. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決をいたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  277. 自見庄三郎

    ○自見委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  278. 自見庄三郎

    ○自見委員長 ただいま議決いたしました本件に対し、住博司君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。住博司君。
  279. 住博司

    ○住委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対します附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一 放送の不偏不党と表現の自由をより一層確保すること。  一 放送の社会的影響の重大性を深く認識し、公正な報道と豊かな放送番組提供に努めるとともに、災害時に備えた放送体制の一層の充実を図ること。  一 マルチメディア時代における放送を取り巻く環境の変化に適切に対応するため、デジタル放送、ハイビジョン放送放送技術研究開発の促進を図ること。  一 視聴者ニーズの多様化、高度化に応えるとともに、高齢者や身体障害者等にもあまねく対応した新しい放送サービスの開発に努め、あわせて衛星放送の普及状況やハイビジョン放送の動向等を踏まえ、保有メディアの在り方についても検討を行うこと。  一 協会は、その経営基盤が受信料制度によることをさらに自覚し、視聴者・国民に対して経営内容を積極的に開示するとともに、負担の公平を期するため、受信料制度の理解の促進を図り、衛星放送を含む受信者の確実な把握と料金収納確保に努めること。  一 協会は、映像国際放送について、国際間の相互理解を図るため、今後、放送対象地域、放送時間の拡大に努めるなど、その在り方についても検討し、充実を図ること。    また、短波による国際放送充実にさらに努めること。  一 協会は、地域放送の一層の充実・強化を図るとともに、その実施に当たっては、地域社会の発展に資するよう各地域の特性に応じた編成を積極的に推進し、その全国発信番組の拡充に努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び日本共産党の五派共同提案に係るものでございまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでございます。各項目についての御説明はこれにて省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  280. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  281. 自見庄三郎

    ○自見委員長 起立総員。よって、本件に対し、附帯決議を付することに決しました。  この際、大出郵政大臣及び日本放送協会会長川口幹夫君から発言を求められておりますので、これを許します。大出郵政大臣
  282. 大出俊

    大出国務大臣 ただいま、日本放送協会平成七年度収支予算などにつきましては、慎重なる御審議の上、御承認いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)
  283. 自見庄三郎

  284. 川口幹夫

    川口参考人 日本放送協会平成七年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして、厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを外しまして、執行の万全を期したいと考えている次第でございます。  なお、阪神淡路大震災への対応につきましては、今後とも、被災者の皆様への配慮を初め、被災地の復興に向けて、協会としてできる限りのことをしてまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  285. 自見庄三郎

    ○自見委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 自見庄三郎

    ○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  287. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次回は、明十六日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十二分散会      ――――◇―――――