運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1995-02-15 第132回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月十五日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 自見庄三郎君    理事 佐田玄一郎君 理事 住  博司君    理事 虎島 和夫君 理事 遠藤 乙彦君    理事 金子徳之介君 理事 河村たかし君    理事 田中 昭一君 理事 小沢 鋭仁君       荒井 広幸君    岸本 光造君       斉藤斗志二君    坂井 隆憲君       関谷 勝嗣君    宮崎 茂一君       山下 徳夫君    神崎 武法君       小坂 憲次君    古賀 一成君       佐藤 守良君    高木 陽介君       高橋 一郎君    中島  衛君       日笠 勝之君    大木 正吾君       横光 克彦君    吉岡 賢治君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大出  俊君  出席政府委員         郵政政務次官  鹿熊 安正君         郵政大臣官房長 木村  強君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省郵務局長 加藤豊太郎君         郵政省貯金局長 谷  公士君         郵政省簡易保険         局長      高木 繁俊君         郵政省通信政策         局長      山口 憲美君         郵政省電気通信         局長     五十嵐三津雄君         郵政省放送行政         局長      江川 晃正君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   福田  進君         大蔵省証券局証         券市場課長   藤原  隆君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       石川  明君         通商産業省産業         政策局産業資金         課長      小平 信因君         郵政大臣官房総         務審議官    楠田 修司君         郵政大臣官房人         事部長     寺西 英機君         郵政大臣官房建         築部長     尾島  勲君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社理事保         全サービス部         長)      高島 秀行君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ――――――――――――― 委員の異動 二月九日  辞任         補欠選任   矢島 恒夫君     古堅 実吉君 同日  辞任         補欠選任   古堅 実吉君     矢島 恒夫君     ――――――――――――― 二月十三日  受信設備制御型放送番組制作促進に関する  臨時措置法案内閣提出第四一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  受信設備制御型放送番組制作促進に関する  臨時措置法案内閣提出第四一号)  逓信行政に関する件(郵政行政基本施策)      ――――◇―――――
  2. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社理事保全サービス部長高島秀行君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 自見庄三郎

    ○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 自見庄三郎

    ○自見委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
  5. 荒井広幸

    荒井(広)委員 皆様、おはようございます。新しくなる自由民主党の荒井広幸でございます。  郵政大臣の所信につきまして、電気通信行政、そして簡易保険事業、また国際協力について、政務次官初め皆様に御質問をさせていただきまして、若干の御要望も申し上げたい、このように思っております。  では、早速でございますけれども、前置きを外しまして、このたびの予算の中に加入者系光ファイバー網整備ということがございますけれども、そのためにふるさと財団の無利子融資制度を有効かつ効果的に活用すべきと考えておりますが、御所見を承りたいと思います。
  6. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたようなことで、これからは、日本の国に、次の世紀に向かっての情報通信基盤整備ネットワークインフラという意味では、加入者系光ファイバーを引いていくという構想を私ども持っております。そういった意味合いにおきまして、今の日本競争政策の中では民間主体でやっていただくという前提でございますが、この立ち上がり期において国が果たす役割があるのではないか、その他公的な施設がいろいろな意味で果たす役割があるのではないかということで検討してまいりまして、政府原案の中には、この加入者系光ファイバー網促進という観点から超低利融資制度が盛り込まれております。  加えまして、今お話ございましたようなことで、いわゆるふるさと財団を使いまして、これを活用した無利子融資制度、これもあわせて融資として行えるということのスキームが今、予算が認められますとでき上がりつつあるところでございます。そういった意味合いにおきまして、私どもとしては、ぜひこのふるさと財団の無利子融資制度を使ってまいりたいというふうに思っておりまして、現在、関係省庁、例えば自治省でありますとか、そういったところと鋭意検討し、中身を詰めているところでございます。
  7. 荒井広幸

    荒井(広)委員 これに関連いたしましてですが、ふるさと財団の無利子融資制度というものを使いまして、私は、これは大臣初め局長皆様方の大変な御努力だったと思うのですが、離島とかそれから過疎地、こういうところに配慮していこう、まさにこれは委員皆様方同感だと思うのですが、郵政省というのは極めて社会政策省というふうな性格を広く持っているわけです。そういう意味からしますと、私は、やはりその過疎地等々が非常に光ファイバー整備がおくれるという懸念に立った郵政省としての判断があった、このように思うのです。  そういう意味では、これはもう言うまでもありませんが、大都市過疎地との情報格差を生まない、こういう前提に立った郵政省の気持ちというものをきちんと発揮していただきたい、こう思っておるのですが、その点につきまして御説明、御意見過疎地大都市との格差是正をするためにどうするんだ、こういうところを改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 光ファイバー化を進めるという基本的な考え方につきましては、現在の日本の国土の均衡ある発展でありますとか、あるいは産業国際競争力というような観点というのはありますが、ただいま御指摘のありましたとおりに、高齢化社会あるいは社会福祉というような観点情報通信政策展開の上で極めて重要であるというふうに考えております。  今私どもが考えておりますタイムテーブルを申し上げさせていただきますと、二〇一〇年までに加入者系を含めた光ファイバー化を進めて、日本の国の全体としての情報通信基盤整備を進めてまいりたいというふうに考えております。  そういった意味では、当初、二〇〇〇年までは先行の整備期間ということで、人口カバレッジ二〇%、そして二〇〇五年で六〇%、二〇一〇年で全体的に一〇〇%というふうに段階的に考えております。考えておりますが、どうしても、民間主体で引き出していくというようなことから、どちらかといいますと人口が過密な、コマーシャルベースでの要望の強い、ディマンドのあるところから動き出すというのが実態ではなかろうかなというふうに考えております。  そういった意味合いにおきまして、ただいま先生から御指摘がありましたようなことで、いわゆる過疎地というようなことを考えますと、こういう地域こそ時間と距離を克服するという意味情報通信の果たす役割があるのではないかというふうに私ども考えておりまして、ここを、コマーシャルベースに乗りにくいところをどうやって進めていくかというのは、国の均衡ある発展あるいは国民生活というようなことを考えましても極めて重要であるというふうに考えております。  そこで、具体的な進め方といたしましては、医療でありますとか教育でありますとか、そういう公的な情報通信基盤、これを突破口として学校や病院あるいは公共機関、そういうところの利用を確保するためのアプリケーション開発、これは公的な支援でやってまいるということになりますが、そこにアプリケーション開発していく、そこに光ファイバーネットワークを入れていく、こういうタイムテーブルで、過疎地についても、おくれることなく調和ある整備を進めていく必要があるのではなかろうかというふうに考えております。  そういった意味合いにおきましても、先ほどの無利子融資制度でありますとかあるいは超低利融資制度、さらには、平成七年度の税制におきましても加入者系光ファイバー税制も認められておりますので、政府としては、そういう意味支援をしながら進めてまいりたいというふうに思っております。
  9. 荒井広幸

    荒井(広)委員 ただいま御説明いただいて大変同感に思うわけでございますが、特に、先ほどのお話にありましたが、ニュービジネスなどをつくるというよりはむしろ社会福祉である、地域との時間とか距離をどう埋めて、全国どこにいても同じような幸せを共有できるような手段にしていく。それを郵政省がしていくんだということが意外に国民の皆さんにもわかっていただいていないのじゃないか。  百二十三兆であるとか二百四十万雇用であるということは重要な問題であります。ニュービジネスももちろん重要な問題であります。産業空洞化、これをどう防ぐか、これも重要な問題ですが、私は、郵政省視点というのは、幅広く国民皆様方に対して社会福祉社会政策を進めていく省であるという視点で、今の局長さんの御説明、非常に共感を得るものでございます。  ですから、どうぞその基本的認識にあります過疎地方々に、さらに、例えば高齢者とか障害者とか、今医療お話をいただきましたが、遠隔医療、それから地方分権考え方、そういったものをしっかりと考えていただいて、場合によって規制緩和――私、規制緩和というのは非常に誤解を生む言葉だと思うのですが、規制緩和するのと規制をつくるものがあるわけですから、これも世の風潮に我々も流されないようにして、きちんとその辺をつくりながら、ぜひともそのような基本考え方でお進めをいただきたいと思いますし、また応用ソフトといいますか、アプリケーション、そしてネットワークネットワーク、こういったことに格段の御努力をいただきたいというふうに思っております。  また、今の視点で、これはちょっと郵政省政府としては言いづらいことなのかなと思いますけれども、ひとつ委員長、これ問題だと私は思うのですけれども、このふるさと財団の無利子融資を受けるかどうか、使うかどうかというのは極めて地方自治体の問題なんです。地方自治体とか地方方々が、私たちはやはりこれからの将来にわたってこの光ファイバーというものも非常に大きな社会資本であって重要なものだ、それによって、先ほど私が申しましたような社会政策のすべての諸問題の解決の大きな糸口になるという発想がないと借りないんですね。使おうとしません。ですから、これは国民皆様方情報に対する意識といいますか、そして自治体ももっと御関心をいただく、こういうところを我が委員会としても高めていく必要があるのではないか、乱そう思っておるわけでございまして、そのようなところを郵政省皆様にも格段の御努力をいただきたいというふうに考えております。  そして、もう一点今の御説明で感じましたところは、今度の震災にありましていろいろなことを言われております。無線系有効性も言われておりますし、また、圧縮技術の導入によって従来のケーブルでも十分できるんじゃないか、こういう御意見等々もあるわけですね。しかし将来に向けては、これはやはり近未来、もう本当に近い将来、光ファイバーというものの特殊性、これはもうこの評価は揺るぎないものであろう、私はこのように思いますので、どうぞ、いろいろな出来事があってのいろいろな御意見もあると思いますが、この基本線はきちんと御認識をいただいて進めていただきたいというふうに思いますし、問題は、先ほどの御指摘の中で、時間と距離を克服することが非常に重要なことですから、料金のあり方、こういった点についてはこれからの議論にまたなければなりませんけれども、その点もぜひ御配慮をいただきたいと思っております。  続きまして、簡保関係に移らせていただきたいと思います。  今度の震災の場合にも、簡易保険福祉事業団で大変に御努力いただいております。すべての役所の皆様方にも大変な御努力をいただいているわけでございますけれども。例えば、今度の震災郵便局の果たしている役割、この事業団施設の果たした役割、これは、私は感激をして聞かせていただいたり拝見させていただきました。みずからも被災者でありながら頑張っておられる郵便局皆様方を拝見しますと、これをもし民間でやれといったときに、果たしてこういうことが可能なのかと、全国民方々も思っていると思います。それだけに、二重、三重の言葉を引用しますが、社会政策を進めているんですね。私はこういうところの認識というものをまた新たにしたわけでございます。  このようなところで簡易保険事業団の諸施設があるわけですけれども高齢者障害者方々にも安心して保養機会を提供するという、そういうコンセプトといいますか考え方があったとも思うのですね。そうすると、災害になったときに、そういう施設であれば障害者の方と高齢者方々が今度はそこに避難ができるわけなんです。今、厚生省初めいろいろな方々が仮設の住宅ということをしていただいております。私も障害者を持っておりますけれども環境が変わると、例えばおトイレに行ってもなかなか使えないし、また寝たきりでもなかなか用を足せないんですね。そういったことを考えると、この事業団施設ということが、高齢者とか障害者方々にも随分利用していただいているようです。そういう施設をさらに充実すれば、緊急のときにまたいろいろな形で大変な効果を発揮する、こういう二重の意味があると思うんです。  そのようなことで、高齢化社会進展に対応したこの事業団あり方施設の持ち方、こういうことで、高齢者障害者に優しい施設整備充実について、今後さらに積極的にお取り組みだと思いますが、確認の意味で今後の取り組みの方向をお聞かせをいただきたいと思います。
  10. 高木繁俊

    高木(繁)政府委員 簡易保険加入者福祉施設につきましては、従来から、高齢化進展等社会経済環境変化でありますとか、あるいは加入者方々ニーズ変化に対応して整備充実を行ってきているところでございます。  ハード面で申しますと、高齢者あるいは障害者が快適に施設利用できるように、例えば、特に保養センターでありますとか加入者ホームというものを中心にいたしまして、例えば車いすでも利用しやすい客室、段差がないようにするというような客室でございますとか、あるいは車いすでも利用できるような広いトイレにするとか、あるいは玄関ドアを自動にするとか玄関にスロープをつけるとか、いろいろな形での施策を進めてきているところでございます。  今回の大震災に際しまして、地元に有馬と淡路の簡易保険保養センターがございまして、被災者の受け入れですとか、あるいは炊き出しですとか、あるいは入浴施設の開放というようなことでたくさんの方に御利用いただいたわけでありますが、ただいま先生がおっしゃいましたように、私どもが今まで行ってまいりました高齢者あるいは障害者念頭に置いた施策が、現実の今回の震災に際しましても大変役に立ったというふうに私ども自身も実は考えているところでございます。  これからも、私どもの国営の生命保険事業としての使命から、高齢化社会における加入者ニーズに適切に対応いたしまして、高齢者障害者のことを十分念頭に置いて加入者福祉施設整備充実に努めてまいりたい、このように考えております。
  11. 荒井広幸

    荒井(広)委員 局長さんの視点、絶対に必要な視点でございまして、それでないと私はこの施設意味がないと思うのです。しかも今、お亡くなりになった皆様方にお見舞いをしながら今後どう復興していくか、そして、万が一我々のところに来たときどうするかと全国民が思っているわけです。そういうときに、保養とかレジャーというのは実は二重の意味があって、緊急のときの避難所であり、そして疎開地なんですね。疎開先であります。そういう視点からも、ぜひとも、今言っていただきましたような生活弱者方々、このような方々に対して手厚いものを、これは営利の民間ではできないことですから、そこをぐっと力点をさらに置いていただきたいと御要望申し上げる次第でございます。  最後の質問になりますけれども、これは関連でも先生方からも御質問があろうと思いますが、G7情報社会閣僚会議といいますか会合があるということでございまして、間もなくそれを控えて大臣が行かれるわけですけれども、特に、我が国情報通信先進国としましてどういった点をアピールしていくのか、この点をまずお聞かせをいただきたいと思います。政務次官、いかがでございますか。
  12. 鹿熊安正

    鹿熊政府委員 お答えいたします。  環境雇用開発などの地球的規模の諸課題の解決のため、世界的な情報通信基盤整備に早急に取り組むことが必要であると考えております。  このためには、G7閣僚会合においても、世界的な情報通信基盤整備に向け、各国情報通信基盤整備に関するビジョンの共有化を図った上で、各国の協調、協力重要性を主張し、整備を推進する上での原則や実現方策に関してコンセンサスが得られるよう積極的に貢献してまいる所存であります。  また、我が国においては、昨年七月より関西文化学術研究都市において、マルチメディア利用した通信販売実験やビデオ・オン・ディマンドの実験など本格的なマルチメディア実験世界に先駆けて推進されているので、これらの成果も踏まえつつ、各国マルチメディアに関する試験的施設などを高速回線で接続する国際的な共同プロジェクト等の推進に積極的に貢献してまいる所存であります。  さらに、昨年九月のITU全権委員会議機会に開催されました世界電気通信閣僚会合での議論を踏まえ、途上国を含めた世界的にバランスのとれた情報通信基盤重要性についても主張してまいりたいと考えております。
  13. 荒井広幸

    荒井(広)委員 政務次官のその御認識のもとで、さらにこの震災が起きたわけでございます。そうしますと、先ほど申しました、郵政省地域間のバランスをとり、そして生活弱者方々に配慮するという社会政策的な観点で、福祉的な観点でこのいろいろなことを進めておられる。そこに、地震国、災害国日本、あってはならないことが起きてしまいました。その教訓というものは、世界にこれは私は参考にしてもらうべき教訓であったと思いますので、郵政省として、今この大変災害対策で忙しい中で取りまとめられた、今後の世界に発信できる、こんなことをやりなさいというものは、積極的にこの機会を通じてやる。それが私は世界の中での日本そして郵政省の大きな役割だと思いますので、その点につきまして、今回の災害で得た教訓というものを、場合によっては反省の上に立ったというものを積極的に生かすようG7で提言をすべきだと考えておりますが、その中身について、ございましたら御意見を承りたいと思います。
  14. 鹿熊安正

    鹿熊政府委員 お答えいたします。  非常災害時においては、災害状況の把握、速やかな応急復旧活動や住民への情報の正確かつ速やかな提供のために、通信放送といった情報通信の果たす役割は極めて重要であると認識いたしております。今般の地震災害においては、我が国にとってほとんど経験したことのない甚大な被害が発生し、その中で、情報通信に求められる役割とその重要性も従来以上に大きなものとなっているところであります。  今回の地震による障害での教訓は数々ありますが、特に、より災害に強い通信ネットワークの構築のためには、一つには通信回線地中化促進二つには衛星通信など無線利用や多ルート化促進などがあり、また、非常災害時における通信確保方策などについては、一つ、国における携帯電話、可搬型地球局等の配備、それから備蓄、二つには、非常災害時における各種通信ネットワーク総合運用などが考えられると思い、それが有効な認識と考えております。また現在、これらも含めた今後の災害等への対策あり方について検討会検討を進めており、この結果を各種施策に反映してまいる所存であります。  なお、G7閣僚会合においても、我が国における貴重な経験を披露し、災害時における対応にも配慮した情報通信ネットワークセキュリティー対策重要性についてアピールする所存であります。  以上であります。
  15. 荒井広幸

    荒井(広)委員 非常に意味のあるこの震災の中でのG7会合だと思いますので、どうぞ日本国として、そして郵政省としてのその御見識を御提言いただきまして、世界に貢献する、特に途上国、アジアの中の日本情報の位置づけということでの御意見等々もいただくようにお願いを申し上げまして、時間が過ぎましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  16. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、岸本光造君。
  17. 岸本光造

    岸本委員 おはようございます。  この間新聞に、「TV局に「人権意見番」 郵政省方針 番組審役割広げる」という記事が載っておりました。二月八日でございますが、それによりますと、テレビが一方的に人権を傷つけるような放送をした場合に、被害者の側が異議を申し立てることができる、こういうことの条件の緩和をやろうというような意味のことなんです。この記事によりますと、一九八〇年代はそういう人権侵害は大体年間七、八件起こっておったようですが、一昨年の九三年度では五十件近い人権侵害があった、こういうことなんですが、去年なんかどういうものであったのか、だんだんふえてきているのですかな、そういうことを教えていただきたいと思います。
  18. 江川晃正

    江川政府委員 新聞記事の細かいところまでが正確かどうかはちょっと論評を避けさせていただきますが、ふえてきているということは確かでございます。そして、八〇年代に七、八件で、九三年、おととしになりますが、五十七件ぐらいになっているということは我々の調査でも承知しているところでございます。
  19. 岸本光造

    岸本委員 テレビ報道を見ておりますと、例えば今度の阪神大震災のときの罹災者のところへ行って、つらいですかと、つらいに決まっているですよ、テレビがそんなものをアップして。中華航空機の事故のとき、遺族のところへ行って、悲しいですかと、わんわん泣いているのを。悲しいに決まっているよ、そんなもの。それをわざと感情をあおるように、扇動的に、報道本来の事実を伝えるということとは別に、何かあおりみたいなテレビが物すごくこのごろふえておって、ワイドショーというのは私ほとんど見たことがありませんが、このワイドショーなんかがこういうひどく感情的で理性を失うような放送をしておる。  本来、報道というのは公平、客観的、しかも事実をできるだけ伝達するということが任務であろうと私は思うのですよ。そういうものが、事実関係なんかについても物すごく思い違いをさせるような放送をしていることがあります。  私はこれは絶対よう忘れぬのですが、昭和六十三年のたしか春であったと思いますけれども、第一回目のオレンジの自由化が行われたときでありますけれども、そのときに、「ニュースステーション」という番組がありますが、これが和歌山県粉河町、私の住んでおる町ですが、そこへやってきて、農村の方では、ミカンの木なんかかなり古くなりますと、切って植えかえるわけです。それは自由化に関係なしにやるわけです、古木ですから、古い木ですから。そうしたら、そういう株をテレビがわざと大写しに映して、そして、農家は自由化になったので泣いておると、そこだけをピックアップしてやるわけです。それで、それはどこでやったか、現場も私知っているわけですよ。これは何てや、自由化で泣いて切ったんかと言うと、違うよ、これは植えかえせなきゃいかぬから切ったと農家の人が言うとるよ。だから、全くうそを言うわけですな。  それから、町民の人に十人ほどに聞いて、自由化がえらい影響をミカンの町に与えると三人ぐらいが言うたわけです。七人ぐらいはこういう情勢の中だから仕方がないじゃないか、こう言うたのです。そうしたら、その三人だけをとり上げて、もう何か偏見と独断に満ちて、我が町を侮辱するような放送をしたわけですな。  それ以来私は、この「ニュースステーション」というものを余り信用しない、こういううそつきの。うそと思うんだったら、あのテレビ見ていてみなさいよ。時々、こうでしょうとわあっと言って、世論を誘導するような発言をするのですよ。これは非常にけしからぬと私は思っておるのですよ。だから、たまたま私が現場で、昭和六十三年のたしか新春のころであったと思いますけれども、そういう現場に行き合わせたものですから、これはうそっぱちのテレビだ、やらせのテレビだということがよくわかっておるのです。だから、それ以降あのテレビは信用しない。  そういうことでありますから、人権の問題につきましても、かなりこれは気をつけないと、いかれた場合には、個人ですからなかなか反論をようしない、するべき場所もない。そういうことで、この人権に関する放送法を改正するというのですが、具体的にどういうふうに改正するのか、教えてもらいたい。
  20. 江川晃正

    江川政府委員 今検討しております放送法の、先生おっしゃる視点からくる改正内容について、このように考えております。  現行の放送法では、真実でない事項の放送により権利の侵害を受けた本人またはその直接関係人から、一つはその訂正放送の請求をすることができる、その場合に、その請求は放送後二週間以内というふうになっていることが一つございます。二つ目は、その当該放送番組を確認できるようにするために、放送事業者はその放送番組を三週間以内に限って保存すること。繰り返しますが、二週間以内に訂正放送を請求できて、放送事業者は三週間以内それを保存するというふうになっているところでございます。  この制度自体は、権利の侵害を受けた人の権利回復のためにはそれなりに有効に機能しているところではあります。しかし、率直なところを申し上げますと、この制度ができましたのは、訂正放送請求権ができましたのは昭和二十五年でございまして、このときはNHKがラジオを第一、第二という二波、二つだけがメディアとして存在していた時代でございます。それから既に四十五年たってございますから、時間の経過がすごくたっていることが一つと、それから、今日に比べますとメディアが、NHKが二浪、これを二メディアと呼んだとしますと、今幾つあるかといいますと、五十三ございます、というくらいにふえているということがあります。そういうこともありまして、さらに人権に対する国民の要求、要望というのが強くなってきたというようなこともありまして、ただいま申しました、訂正放送の請求期間が短いあるいはその保存期間が短いということが、いろいろな識者の論文などに書かれるようになってきているというのが現実でございます。  郵政省としましても、単純に頭の中で議論するわけではございません。放送事業者あるいは有識者などなどからいろいろ聞き取り調査をしてまいりました。その結果、今申しました訂正放送の請求期間、二週間以内というのを三カ月以内にしてくれ、それから保存期間を三週間以内というのは三カ月間にしてくれという、これが大宗をなす要求でございます。これは放送事業者自身も合理性があるということで認めているところでございます。  これが今度の放送法改正の中心的内容になるところでございます。
  21. 岸本光造

    岸本委員 二週間が三カ月、それから三週間が三カ月ということで、異議申し立て、保存とも三カ月、こういうことそ、この期間があれば大体人権が侵害された、あるいは事実でないことを報道されたというような場合には異議申し立てが可能であるかどうか、もう少し必要であるかどうか、一年間というような、あんなあほな話もないと思いますけれども、やはり適当な期間が必要で、これが適当な期間であるかどうか。  それともう一つ、この番組審が強力な力を持つということになりますと、報道というのは本来、自由な形で放送できることが、これは大事なことだと私は思うわけです。もちろん自由には責任があるわけですが、良識の範囲の自由の中でやるということであれば、これはやはり放送の自由はちゃんと保障しなければいけない、そう思います。番組審が強力な力を持つようになると、逆に番組に介入をするような危険性がないか。事実、被害を受けながらでも私はこういう心配をして発言をするわけですが、そういうことがないかどうか。この二点についてちょっと教えていただきたい。歯どめがあるかどうか。
  22. 江川晃正

    江川政府委員 一点目の三カ月ということで適当かどうかということは、先生おっしゃいましたように、一年という意見もないことはないところです。いろいろ調べまして、世界的に見ますと、明示して三カ月あるいは九十日と書いてあるところが先進国ではございまして、一年と書いているところはございません。大体三カ月が最長のように我々の調べでは承知しております。最長というと変ですが、大体標準だな、それで三カ月を考えているところでございます。  それから、二つ目の番組審が力を持ち過ぎたら介入になるのではないかということですが、先生おっしゃいます番組審というのは、放送会社がそれぞれ自分の中に持っている番組審議会のことと承知いたしますが、それについて特に強い力を与えるというものではありませんで、例えば訴えられて、それが本当にそれに当たるかどうかを見ようというときに、これは相対的だと思いますが、それでは国が、じかに我々が出ていって、そうだこうだと、一かゼロかと判断するのがいいのかということになったときに、やはり審議会だろうと思います。その意味で審議会を使わせてもらおうと考えております。
  23. 岸本光造

    岸本委員 諸外国で人権と自由と権利の問題で進んだ諸国では、自分が傷つけられたといった場合には、自分がテレビに出ていって反論するという権限が保障されておる国家もあるというふうに聞いております。そういうことも参考にする、あるいは今度の番組審の中ではそういうことも考慮の中に入れていくのかどうか。
  24. 江川晃正

    江川政府委員 先生が今おっしゃいました、自分も出ていって反論する権利が認められているという部分は、多分、フェアネスドクトリンという考え方に保障されている部分のその話ではないかと思います。アメリカはそれ自身ちょっとやめましたけれども、選挙になりますとまたすぐ復活してそれをやりますけれども、それは、一つの反論をやったらばこちらにも必ず逆のことを言わせる同じ時間を与えるという義務を放送事業者に課している、あの部分だろうと思います。そういうことと、今回の番組審のそれとは、必ずしも一致はしておりません。
  25. 岸本光造

    岸本委員 将来、今の放送による被害者の反論権、そういうものもやはり思想としては確立していくというような方向が、これからの二十一世紀のメディアの中では必要ではないか、こういうふうに私は思います。  何かありましたら言ってください。余り時間がないです。
  26. 江川晃正

    江川政府委員 御質問かと思って手を挙げてしまいましたけれども先生おっしゃいます。そのことは、まさに、ただいまの日本国の法律では放送法の三条の二で、政治的公平とか、意見の異なるものはいろいろな意見放送報道しなさいと書いてあります。そういう中のありようの、ではどうやってそれを保障するかという一こまとして、先生おっしゃいますような反論権の保障というのも考えていくべきことであろうと承知しております。
  27. 岸本光造

    岸本委員 次に、郵便局の統廃合についてお伺いをしたいと思います。  郵便局は、過疎地を中心に廃止統合というような格好で進められているように聞いております。今どれくらいの状態で、過去数年あるいは五年、十年の間にどのような統廃合の実態があったのか、簡潔に教えていただきたいと思います。  特に過疎地、僻地、そういうところで人と人とのつながり、郵政事業を通じての全国の人と人とのつながり、これを利用することによって行われているわけでありまして、過疎地においては特に郵便局というものは重要な役割を果たしておりますので、私は、これは大都市は簡易にしていってもいいと思うのですが、農山村における郵便局というのは非常に重要視してもらわなければ困る、位置づけとしてですよ、そう思うのですが、今までの推移と現状と将来展望について若干教えていただきたい、こう思います。
  28. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 お尋ねの郵便局の統廃合についてでございますけれども、これにつきましては、設置効果が著しく低下した、つまり利用が著しく薄くなったところの郵便局につきまして、郵政事業の公共性、効率性、それから地域社会に与える影響などを総合的に勘案しまして、一方、地元の理解を得つつ実施しているところでありますが、過去五年間の平均で三十六局ほど、平成五年度、前年度は二十四局ほど、無集配特定局について廃止したところであります。  ただ、郵政三事業は全国あまねく公平にサービスすることを使命としておりますことから、町村につきましては最低一カ所、郵政窓口機関を設置しておるということでありまして、また、無集配特定局を廃止した場合には、地域方々の利便を考慮いたしまして、跡地に簡易局を設置するなどの配意をしているところでございます。
  29. 岸本光造

    岸本委員 つまり、そうしたらあれですな、ようわからぬのですが、あなたの答えていることは私にはよう理解できないのですが、どういう田舎にあっても郵便局は置いておくということですな。そういうことであればいいのです。郵便に貯金に、僻地の例えは学校の先生なんか、お巡りさんなんか給料振り込んでもらうのはここですし、あるいはまた何か支払いするのはここですし、だから、これがなくなったら皆町まで行かなければならぬ。毎日そんなお使いに行ってなんというようなことになりますから、だから、やはりこれはどうしても、郵便、貯金、保険をやっている限り、もちろん公共性の非常に高いものですし、農山村の核でありますから、これはどうしても置いておいてもらわないとならぬ。  だから、むしろ都会は簡易化しでもいいから、大都市は。もう利用者少ないからといって、これは一人のためにというわけにもいかぬでしょうけれども、少数のためにやはりあなた方が頑張ってもらわなければいかぬ、こう思います。ちょっとあなたの答弁で私ようわからぬのですが、私はそういう考えてあります。  もう時間がありませんので、次へ行きます。  こんなものが来たのですよ。「抜本的に見直そう 郵貯・簡保」というようなもの。何が来たのかなと思って読んでおりますと、つまり、もう郵便貯金はやめてもらおう、これは民間金融の方を圧迫して、シェアがこればかりふえていって、しかも利率が普通預金においては高い、こんなものは独占で、規制緩和に逆行しておる、こういう意味のことを書いておりますわ。こんなことが出てきますと――この郵便貯金というのは、庶民にとっては、国民一般にとっては大変ありがたいものであるわけです。  したがいまして、この動きについて当局はどう考えられておるか。このパンフはきれいなパンフですよ。これをみんなに配って、いろいろ読ませて勉強させておるのですよ。どうですか、当局。
  30. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  いろいろなところが、いろいろなパンフレットをお出しになりましたり御意見を述べられたりしておられるようでございますけれども先生おっしゃってくださいましたように、私どもとしますと、私どもの郵便貯金、全国津々浦々で多くの国民皆様から大変大きな御支持をいただいておるところでございます。  いろいろ御指摘の点につきましては、私どもとして、随分誤解もございますので、いろいろな形で、その誤解を解いて、御理解をいただくように努めてまいりたいと考えております。
  31. 岸本光造

    岸本委員 郵便貯金は、子供のころから、子供貯金を全国にやらせてみたり、あるいはそういうことを通じて、国民の健全な勤労意欲を刺激して、大変大きな成果を私はおさめてきていると思うのですね。  ごく最近の報道によりますと、財投との関係でこれは解体しなきゃいかぬというような論議も出てきているように聞くのです。それで、しっかりここでふんどしを締めてかからないといかぬ、そういうふうに思いますので、それについて所感がありましたら、次官でもどなたでも、お答えいただいて、終わります。
  32. 鹿熊安正

    鹿熊政府委員 お答えいたします。  郵便貯金を含む郵政三事業のあり方については、第二次行革審においてさまざまな観点から議論が尽くされ、結論が得られたところであります。また、金融の分野においては、金利自由化が完了し、今後金融自由化が本格化するという節目に当たっているだけに、利用者である国民の利益向上がどのように実現されるかが課題であり、この趣旨は第三次行革審答申にも盛り込まれているところであります。  かかる観点から、官民がお互いの特色を生かし個人金融サービスの向上に努めることが大切と認識しており、国民に最も身近な金融機関として広く利用され、国民生活に貢献している郵便貯金としては、引き続き国営事業として効率的な事業経営に努めてまいりたい所存であります。  以上であります。
  33. 岸本光造

    岸本委員 終わります。
  34. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、田中昭一君。
  35. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 先般、今次通常国会における郵政大臣の所信表明がなされました。大綱的には、私どもはそのことを理解をし、受けとめて、積極的に協力するところは協力をしていきたい、こういう立場でございますが、いろいろ、マルチメディア時代に向けまして、議論もたくさんございます。  そういう意味では、所信表明について、基本となるところについて、いろいろ情報はございますけれども郵政省当局としてきちんとしたお考えをもう少し補足していただきたい、こういう点に絞りまして、私は四点についてお尋ねをしたいと思っております。  ただ、私の与えられた時間は三十分でございますから、一つ大体七分から八分でございますから、簡単に御質問いたしますから、答弁の方もそのことをお考えの上御答弁をいただきたい、こう思っております。  その第一は、災害にかかわる問題でございます。  災害復興につきまして、大変いろいろと積極的に御奮闘されていることについて、まず敬意を表したいと思いますが、私は、この災害に関連をいたしまして二つの点について郵政当局のお考え方をお聞きをしたい、こう思っております。  その第一点は、災害時におけるネットワークの維持活用、それから通信機能の統一化、こういう問題についてやはりきちんとすることが必要ではないか、こう思っております、  別途の場で私たちも、危機管理問題などにつきまして、防衛庁なり警察庁なり海上保安庁なり、その他自治体からの御意見もお聞きをいたしておりますけれども、やはり、自然災害あるいは大規模な火災などの場合に、そういう通信機能が統一的に運用、管理されていくということが極めて必要ではないかということを私は痛感をするわけであります。郵政当局としても非常災害時の通信管理センター構想などについて明らかにいたしておりますが、災害発生から約一カ月たっておりますから、これらの点について、私は、今後こういう全体を束ねる役割というものを郵政省がやはりやるべきではないか、こういう観点から、郵政省のこの点についてのお考え方をまず第一点としてお聞きをしたい、こう思います。  それから、災害時の二点目の問題について、これもお考え方をお聞きをしたいのですが、それは、情報通信ネットワークの耐震あるいは耐災害性の強化についての問題であります。  今回の阪神大災害におきまして、交換機が、商用電源がストップしてバックアップ体制が必ずしも十分でなかった、こういう観点から、二十八万五千加入がストップをした。それから加入者系通信ケーブルも十九万三千回線が断絶した。それから専用回線などについても三千三百四十回線が故障した。これはしかし、その中でも、私は、交換機が設備されている、通信設備が設備されている局舎が破損が非常に少なかったのではないか、そのために復旧も早かった、こういうふうに思うのです。  しかし、今後こういう地震なりあるいは大規模な火災などが発生するということは当然予想しなければいけないわけですから、今回の問題を反省をしまして、今後やはり耐震性という問題、これらの問題については、局舎構造の問題であるとか、あるいはバックアップ体制であるとか、あるいは通信がふくそうする場合の大容量化であるとか、そういう問題にきちんと対応することが必要であるということが一つ。  それからもう一つは、通信の自由化ですから、NTTだけでなくてNCCなどその他も、第一種事業者が参入する、こういうことになりますと、そういう問題については一定のやはり基準を義務づけする、こういう問題が必要ではないか、こう思います。したがって、この二点につきまして郵政省の今日時点の御見解をお聞きをしたい、こう思います。
  36. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 先生お尋ねの二点につきまして、ひとまず手短にお答えをさせていただきたいと思います。  まず、非常災害時におきます通信管理センターというようなことにつきましては、私どもかねがね、いわゆる公的な防災無線あるいは公衆網、こういうものにつきまして総合的にこれをコントロールしたり調和させていく、そういう施設が必要ではないかというような問題意識を持っていたところであります。そういう意味で、私どもは、今回の経験を踏んまえましてさらにこれを検討してまいりたいというふうに思っております。  アメリカの例で見てまいりますと、アメリカに、いわゆる連邦通信システムとでもいうのでしょうか、ナショナル・コミュニケーションズ・システムというのがございます。政府関係の機関が入って緊急管理局が事務局になっているわけでございますが、これも、民間通信事業者もそれに一緒に加わってやっていくという体制でございます。こういったものも踏まえまして、私ども検討してまいりたいというふうに考えております。  具体的には、私ども、今、大地震対応の通信ネットワーク体制に関する検討会というのを二月の八日からいたしておりまして、五月には提言をいただくということで、関係する省庁で、消防でありますとか警察でありますとか、あるいは国土庁というところも入っていただきまして、今検討いたしております。  そういう意味で、私ども今御指摘の問題意識を持っておりますので、関係する省庁あるいは機関もございますので、打ち合わせしながら進めてまいりたいというふうに思っております。  それから、第二点目のいわゆる耐震性のネットワークというような観点でございます。結論的に申し上げますと、今私ども、NTT初め通信事業者の皆さんとこの検討会を軸にしながら検討を進めさしていただいているというのが現状でございますのでございますから、先生指摘のありましたとおりに、いわゆるバックアップ体制が今のままで十分なのか、容量も、今大体日本通信ネットワークは電電公社時代からピーク時の大体一・五割増してできております。これで容量として十分なのか、あるいは新規事業者のあり方がどうなのか、そういうことを含めて検討してまいりたいというふうに思っておりますが、新規事業者につきましても、災害時における重要通信の確保というのは、NTTと同様法律でその要請をされているところでございます。今回もそういった意味で大変御協力をいただいたというふうに思っております。  現実に幾つかの問題点がありますが、例えば通信回線地中化というような問題につきましても、明らかに外に出ている架空線にかけているものより地中化した方が被害がずっと少ないというような観点がございます。それから、現実に衛星が出動したあるいは無線も使ったというようなことをあわせまして、いわゆる公的な体制としても緊急時に全部民間でやっていただくということはできませんので、緊急時に国として、例えば携帯電話の備蓄を考えなくてもいいのかとか、あるいはインマルサット衛星を使ったように可搬型の地球局をどうするのかとか、そういうこともあわせて検討してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  37. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 二点について御見解をいただきました。地震国ですからまたいつ地震が来るのかわかりませんけれども、しかし、十分に検討されまして早急に対応策を立てられるように強く要望しておきたい、こう思います。  続きまして、大臣所信表明の重要施策の中の電気通信行政関係で、一つ情報通信基盤整備の問題が出されております。この点につきまして、私、三点、少し御見解について補足をいただきたい、こう思っております。  その一つは、今後、「二十一世紀の知的社会への改革に向けて」、情報通信基盤のプログラムというのが昨年の五月三十一日に電気通信審議会から郵政大臣に答申をされまして、この内容につきましては、かなり幅の広い内容でございますけれども、大綱的には、私たちとしても将来に向けてこれは十分検討をする必要があるだろう、こう思っておりますが、三つ、少し見解の補足をいただきたいんですが、一つ規制緩和と申しますか、それと、法制や行政の側面でもっと抜本的な改革を大胆に図ることが必要ではないかな。このインフラ整備などについては民間主導ということが柱になっているのではないか。民間主導で官が十分に補完をしていく、こういう立場に立った場合に、この民間主導を生かし切る、それから民間の活力が発揮されていくという、こういう環境をもう少し法制面や行政の側面で考えていくことがかなりあるんではないかな、その検討を急がなければいけないんじゃないか、こう思っておりますが、この点についてのお考え方をもう少し補足をいただきたい、こう思います。  それから二つ目は、かつてニューメディア時代であるとかテレトピア時代であるとか、かなり夢みたいなことがあったわけですが、これらの計画は必ずしも十分に国民全体のものにならずに、成功したとは言えなかったと思うんですが、ニューメディア時代に向けまして今後いろいろ諸施策をとっていくわけですけれども、私は、この失敗の原因の一つとして、ハード面に力がかかり過ぎてソフト面でのカバーがやはり足りなかったんではないかな、こういうふうに思っております。そういう意味では、ネットワーク整備とあわせまして、同時にソフト面、アプリケーションの積極的開発というものが極めて重要ではないか。  マルチメディアというのは、アメリカにおいてもヨーロッパにおいてもかなりテンポが速まってきておりますから、したがって、郵政省も公共的なアプリケーション開発などにつきまして提供されておりますが、これらの問題についてもう少しスピード化していくことが必要ではないか、こういう見解を持つんですが、この点についての郵政省の御見解を二つ目にお聞きをしておきたい、こう思います。  それから三つ目は、これは今回の予算編成の中でも、郵政省も大変御努力をされたと思っております。私も直接大蔵省との折衝にも参りましたが、大蔵省が十分に将来の情報通信社会に向けての予算あり方とかあるいは公共投資のあり方とか、そういう問題などについて必ずしもきちんと合っているかというと、まだまだそういう段階ではないんじゃないか、こういう気が実はいたしました。  したがって、率直にいいまして、やっぱり三十三兆から五十三兆ぐらいの投資が必要だ、こういう状況ですから、料金上の矛盾の解決は当然ですけれども政府として金利負担の減免の問題や税制上の支援の問題とか、官としての役割を積極的に出していく、こういうことが極めて必要ではないかな、こういう感じを実は受けたわけですが、まあゼロではありませんで、無利子融資が超低利融資に変わったといろいろございますけれども、将来に向けまして、この点はもっと郵政省として力を入れるべき点ではないかな、こう思うんですが、この三つにつきまして、もう少し補足的に御見解をいただきたい、こう思います。
  38. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 三点御指摘いただきましたので、二点を私からちょっと御説明させていただきます。  一つは、慣行の問題でございますが、私どもは、高度情報通信社会基盤整備ということが、大変新しい事業を開拓するとかあるいは産業の構造転換をもたらすとか、大変経済フロンティアを拡大するという点での決め手になることだというふうに考えておりまして、私ども大変責任の重要性というふうなことを考えているということでございます。  そこで、先ほどお話ございました昨年の五月にちょうだいいたしました電気通信審議会の答申の中にありましても、この整備に当たりましては、一つ光ファイバーを初めとするネットワークインフラ整備、それからもう一つは、そこで、そのネットワークインフラの上で実現されるいわゆるアプリケーション、この充実を図ること、それを一体的にミックスしてうまく整備していくように、こういう御指摘でございますが、そういうことを進めていく中で一つ大切な点というのは、ただいま先生指摘の諸制度あるいは諸慣行といった従来の社会的な仕組みとは異なった社会的仕組みになるということを考えますと、そういったものを見直していく必要があるという御指摘でございます。  そういったことから、私どもも今お話しのように、こういったものがいわゆる民間活力というふうなものの阻害要因になってはならぬというふうに考えておりまして、速やかにそういったものを是正していくということが必要だというふうに認識をしております。  答申の中で御指摘を受けているような点たくさんございますけれども、例えばホームショッピングをやるんだ、こういうふうなことになりますと、いわゆる商品の役務の提供に関する制限、例えば販売地域が制限されているとか、あるいは取引条件を相対で、面談の方式でやらなければいけないとかあるいは店頭販売が原則だとか、そういったものによって、かなりそれぞれの商品、サービスによって違いますが、いろいろなそういうやりにくい部分というものがございます。そのほか電子取引で契約をするという場合のいろいろな条件がございますし、端的な例といたしましては、今判こをつかなければならぬというふうなことになっておりまして、こういうことも大変マルチメディア化というふうなことになるとやりにくいというふうなこと、大変広い分野に問題がございます。  これらは郵政省のみで解決ができる問題ではないということでございまして、したがいまして、そういったことでは、こういったものを所管されておられます関係省庁と連携を深めて、政府一体という形の中で解決をしていくことが必要がなというふうなことで、今推進本部等もお願いしまして、そういう場でもそういう実を上げられるようにというふうに考えているということでございます。  それから二点目の御指摘で、アプリケーションが重要ではないか、こういうことでございますが、全く御指摘のとおりでございまして、先ほど申しましたように、この答申の中では、光ファイバー網を中心としたネットワークとそれからソフトのアプリケーション開発がいわゆる好循環を持つように、ネットワークを張る、使う、使うとネットワークを張るというこの循環、いい循環でこうやっていくように、こういう御指摘でございますが、そういう御指摘から考えますと、それからまた先生のただいま御指摘もございましたけれども、この二つの車の両輪の中ではかなりソフトのおくれというふうなことをよく我々耳にするわけでありまして、そういったことからすると、相当にアプリケーションソフトの開発というものに力を入れていく必要があるだろうというふうに考えているところでございます。  そこで、一つは、民間の皆さん方にもそういった意識を持っていただく必要があるというふうなことから、一つの試みといたしまして、関西文化学術研究都市で新世代通信網パイロットモデル事業あるいはB-ISDNを使った実用化実験というふうな形を通じまして、そういった民間の皆さん方の開発普及に対する努力支援しようというふうな施策をひとつ展開させていただいているということでございます。  それからまた、もう一つは、我々、公的な分野におきましてもやはりそういったアプリケーション開発をしていく必要があるというふうな観点から、いわゆる公共分野におけるアプリケーション開発の普及というふうなことで、本年、平成七年度の予算の中でもかなり力を入れて予算を確保させていただいているということでございます。これは自治体の皆さん方と力を合わせてアプリケーション開発をしていきたいと考えておりますが、これがうまくいきますと、やはり、先導的と言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういう役割を果たせると思いますし、またいろいろ広くこういうものに対する関心が深まるようなきっかけにもなるのではないかというふうに思っております。  それからまた、そういうものを支えるいわゆる技術開発というのがまだおくれているということでございまして、いわゆる研究開発というふうなものにも力を入れていきたいということで、今回も二十億円ほどこれに充てるような予算も確保しているというふうなことでございます。  ちょっと長くなりましたけれども、以上でございます。
  39. 自見庄三郎

    ○自見委員長 五十嵐電気通信局長。簡潔にお願いします。
  40. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 先生から御指摘いただきましたように、私どもも、情報通信基盤整備につきましては法制度的な面、財政面、税制面、そういった観点からの検討が必要だというふうに考えております。  先ほども申し上げましたようなことですが、私どもネットワークインフラ、いわゆる情報通信機能の分配、さらにはアプリケーションやデータベース、そして国の制度、仕組み、物の考え方、そういうものを一体として情報通信基盤と考えてそれを整備する必要があるというふうに考えているところでございます。  ハードとソフトについては、先生指摘のとおり、ビジネスとしてはコンテンツビジネスという意味で、ソフトの部分においてビジネスが展開していくというのが実態でございます。  ただ、私ぜひこの際御理解を賜りたいというふうに思いますのは、ネットワークインフラ整備するということは大変な時間と莫大な経費を要します。日本の今の電話というのを考えてみますと、明治二十三年以降整備に入りました。百年かかって今の状態でございます。一時期は日清戦争の損害賠償の資金を充てたとか、あるいは第二次世界大戦後は国民の皆さんに借金をするというような形で電電債を出してやるとか、そういう形で今のネットワークはでき上がっております。世界先進国というのは、この次の広帯域ISDNのネットワークを目指してそれぞれある意味の競争状態に入っている。これを私ども十五、六年でやれないかというふうに考えておりますが、ネットワークの構築というのは大変やはり難しいといいますか、大変な努力の必要なことだということもあわせて御理解を賜りたいというふうに思っております。  なお、予算関係で、あるいは税制等で積極的に取り組むべきであるという先生のかねがねの御指導もいただいておりまして、今回の予算原案の中でも、いわゆる加入者系光ファイバー網については三百億円の予算のもとに民間がやることについて二・五%の利子補給をしていくという制度、あるいは先ほど申し上げましたふるさと財団から無利子融資を合わせ貸しするというようなこと、あるいは税制面、これも先ファイバーの加入者系について初めて認められました。それから、さらに加えて産投ということで、ソフトについても債務保証、出資が認められております。今後とも私どもそういったことについて積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  41. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 お考えが一致をすると思います。ミクロの問題は今後いろいろお互いに議論させていただきます。  大臣予算委員会とかけ持ちで大変御苦労さんでございますが、来られましたので、先ほど自民党の方からの質問も若干あったのですが、いわゆる通信自由化でいろいろ日本の電気通信情報通信も充実してきていますが、最近特に、グローバル化、国際化という問題ですね、やはりこれは非常に重要な問題だと思います。  大臣も二月下旬にベルギーのブラッセルで開催の情報社会に関するG7閣僚会議に御参加とお聞きをいたしておりますし、また、京都ですか、ITUで世界電気通信フォーラムの設置も決定をされております。それから、アジアにおける情報基盤整備についても本年APTによるAIIの会合も開かれる、こうお聞きをいたしておりますが、我が国先進国として、特に電気通信分野におきましても国際的な視点に立って国際協調あるいは国際貢献にどう資するか、こういうことが非常に重要ではないかな、こう思っておりますが、ブラッセルに行かれる大臣として、今後の我が国における国際的な視点に立った基本的な立場なり、その中で、日本郵政省として何を中心に発信しようとしておるのかという点などについて、簡単に御決意などをお聞かせいただきたいと思います。
  42. 大出俊

    ○大出国務大臣 田中委員のお時間が十分までですから長いお答えができませんが、今のお話のまず第一点は、環境であるとか雇用であるとか各種開発、これは地球的規模の大きな諸課題がございますので、これを解決するための世界的な情報通信基盤整備、これはもうどうしても早急にやらなければならない課題でございます。これがまず一つでございます。  したがって、G7閣僚会議世界的な情報通信基盤整備するということに向けてまず各国が、聞いてみるといろいろな意見があるのですがね、欧州の中でも。ドイツなどでもドイッチェ・ブンゲスポストテレコムなどという、これは独占ですからね、まだ。フランスのフランス・テレコムというのは独占ですからね。規制緩和といってもいろいろな問題を抱えているのですけれども、ともかくこれは非常に重要な大きな世界の協調の入り口でございますから、何があっても、まず協調して同じ方向を向いてやっていくというふうにどうしてもまとめるべきであるというふうに実は私は思っているわけでございます。  そこで、グローバルな意味での高度情報通信社会のビジョンを示して、これを促進していくために共同プロジェクトをつくろう。十ばかり、一つ二つに分離して一つふえて十一になるのですけれども、まず一つがグローバルインベントリー、インベントリー、明細目録とでもいいましょうか、各国でやっておりますいろいろな情報通信基盤整備その他の、実験どもあるのでありますが、これをインプットしたものをいつでも検索できて、どこの国は何を今やっておるかということがわかるということにしよう。これは恐らく日本の受け持ちで中心になってやらなきゃいかぬプロジェクトでございますが。  二番目は、今お話ございましたBlISDN、けいはんなで実験をやっておりますけれども、これを互換性を持たせて相互接続をするというふうな形で、国際的に結んでいって、それが機能していくような形のものをつくろうというのがテストベッドの相互接続性、これは二番目のプロジェクトでございますが。  以下、遠隔医療その他を含めて全部で十一ぐらいございますけれども、ここらのところを、中心になれるところはもうできるだけなって努力していかなければならない、こんなふうに思っておるところでございます。  あと、もう一つ、ITUの京都会議がございまして、京都宣言も出しておりますけれども、この中に三つテーマがありまして、思い切って規制緩和をする、競争原理を導入する、民間主体でございますから。これを進めようというのが一つ。それから、各国によって情報通信の基盤整備格差がうんとあります、アフリカなどを見ましても。これをできるだけ縮めようという物の考え方。最後に、今お話しのアプリケーションですが、幾らハードの面でネットを整備しても、アプリケーションの面で社会が受け入れない、家庭が受け入れないのではどうにもならない、そこのところを国際協力を行って積極的に進めようという、三つのテーマがありますが、そこらを中心にやっていきます。
  43. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 ありがとうございました。国際舞台での御活躍を期待いたしたいと思います。  あと、もう時間が参りまして、情報通信市場の活性化の中で市内系の競争体制充実がどうされていくかという問題とか、それから高度情報化時代におけるユニバーサルサービスの問題などについて少し基本的な見解をお聞きしたいと思いましたけれども、時間がありませんので、御答弁御用意されたと思いますが、また改めてその点については御見解をいただきたい、こう思います。  最後ですが、大臣所見のここの中で放送のディジタル化の問題が提起をされております。それで、当然、マルチメディア時代に向けまして放送のディジタル化、ディジタル化放送の実用化という問題はやはり早急な重要な課題である、こう思っておりまして、この点について全く異議がないわけですが、ただちょっと気になりますのは、最近マルチメディアの本がたくさん出ておりまして、この中で、やはりハイビジョンの問題、いわゆるミューズ方式、この問題ですね、アナログ方式ですから。これとの関連ですね。それから、特にまたBS4が上がる、これがやはりこのアナログ方式だ、こういう関係どもございまして、いろいろ批判的な意見がたくさんございます。  したがって我々も、やはりこの日本の技術陣を駆使してつくったハイビジョンとかこのミューズ方式、大変な技術だろうと思っておりまして、それを全く高く評価をしておる立場ですけれども、このディジタル化という問題と、このハイビジョン、ミューズ方式、それから打ち上げるBS4はアナログという問題などについては、やはりもう少し国民全体のコンセンサスを得ておく必要があるんじゃないかな。時間がございませんので具体的なことは申し上げませんけれども、この点ひとつ御見解だけお聞きをしたいと思います。
  44. 江川晃正

    江川政府委員 時間がございませんので、簡潔にだけ申し上げさせていただきます。  御指摘のハイビジョン放送あり方につきましては、昨年五月から、マルチメディア時代における放送の在り方に関する懇談会というものを設けまして、識者に入っていただきまして、NHK、民放、メーカー、利用者、いろいろな方に入っていただいておりまして、放送全体のディジタル化についての展望を結構議論いただいている、そのまとめをこの三月にいただける予定にしてございます。先生おっしゃいますように、その報告書をいただきましたらば、放送全体のディジタル化の整合性を念頭に置きまして、おっしゃいますように、国民にきちっと説明ができるようにしていくべきものだと考えているところでございます。
  45. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 これで終わりたいと思いますが、マルチメディア時代に向けまして、大変郵政省役割というのは重要だ、重大だと思っておりまして、御活躍を期待をいたしまして、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  46. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、小沢鋭仁君。
  47. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 新党さきがけの小沢鋭仁でございます。  今、田中先生の方からも、マルチメディア化あるいはマルチメディア社会の御質問がございましたが、私も、まずその点から御質問をさせていただきたいと思います。  マルチメディア化が進展すると、私は本当に生活が一変するというふうに思っております。ただ同時に、先ほどもお話がありましたように、まさにニューメディアとかテレトピア、いわゆる名前は大変広まったわけですけれども、そんなに影響ないじゃないか、このマルチメディア、これも恐らくそういうくらいの話ではないか、そういう議論も一部にはあるわけでありまして、しかし、私はそうではないと確信をしているわけであります。  生活を一変させるということの最も重要なポイントといいますか、点は、要はそれがなければ不可欠だというものにならなければいけない。要は、いろいろな機材ありますけれども、あれば便利だけれども、なくてもそんなに不便は感じないという機材もいろいろございます。しかし、このマルチメディア、これの関連するいろいろな機器がこれから出ていきますけれども、そういったものがもう生活に不可欠だという話になったときに、各家庭に全部広まり、日本じゅうの生活を一変させていくと私は思うのですが、その中で特に、私は最近こういう話を聞いておるわけであります。     〔委員長退席、佐田委員長代理着席〕  いわゆる決済機能がまさに各家庭の端末で行われるようになる。例えばテレショッピングというような話があるわけでありますが、これがもう本当に、同時に決済機能まで付加されていくというような話になれば、これはもう恐らく、各家庭そういったものは不可欠なものになるだろうというふうに思うわけであります。  同時に、今これはイギリスなどでやや実験を開始しているという話も、一部のこれは企業でありますけれども、聞いておるのですが、ディジタルキャッシュという言葉がございます。これは電子貨幣ともいうものでありますけれども、要は、決済機能が延長していくという話になると通常の現金を持ち歩く必要がないというわけでありまして、そうなってきますと、こういう話が進展していきますと、例えば銀行業務などというものは大きく変わるわけですね。銀行がなくなるとは思いませんけれども、しかし、都心の一等地に大きなビルを建てて、大勢の人間を入れて、そして業務を行っていくというようなことは不必要になる、人が来なくなるわけでありますから。  ですから、そのくらい生活、産業、そういうものを一変していく可能性はこのマルチメディア化の進展においてあるというふうに私は思っているのでございますが、そのあたりにつきまして、その具体的な、こんなこともあるぞというような話を、まず第一に郵政省の御所見を聞きたいと思います。
  48. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 大変難しい問題に、示唆に富んだ御指摘を今いただきまして、むしろありがたく拝聴した次第でございます。  少し私ども考えておりますことを御説明させていただきますが、マルチメディア社会というのはどういう社会が、こういうふうに考えますと、これはもちろん技術が、ディジタル化であるとか広帯域だとかいう、その技術の発展というのが大変大きな背景にあるわけでございますが、そういったことに伴いまして、今は電話社会と言っていいと思いますが、電話が非常に、一番通信の中心になっておりますが、そういうものに、さらにデータだとか動画像、まあ将来的には立体画像までと思いますけれども、そういう動画像というものが今の電話感覚で使えるような、そういう社会というものがもたらされる、こういうことだろうと思っております。  そうしますと、電話につきましてももちろんいろいろなアプリケーションというのは考えられるわけでありまして、電話をうまく、どう使うかというそのアプリケーションは考えられますが、動画像ということになりますと、それはもう全く比較できない大きなアプリケーション利用の方法というのが考えられるということでございまして、現在のところ、いろいろ言われておりますし、私どもも力を入れてやっていきたいと思っておりますのは、医療の分野におきまして、病院と病院を結んでいろいろな相互の情報交流を図って技術力を上げるとか、あるいはアシストするとかという問題がございますし、それから家庭と病院を結んで在宅医療をするとかいうふうなことがございます。あるいは病院自体の中の経営の合理化を図っていくというふうなこともございます。それから、教育の分野でも、遠隔教育というようなことで、学校と学校を結んで相互に情報交流を活発にするというふうなこと。それからまた学校とセンターを結んで、センターにある教育上のいいデータベースにアクセスをするという形で、子供の能力に応じた教育ができるようにする。あるいは先生のいろいろ訓練というふうなものにも活用できるとか、あるいは、今お話しのショッピングの分野でも、決済機能とあわせて大変多彩な、能率的なショッピングができるというふうなこと。また、勤務の形態というようなことを考えますと、在宅勤務とかあるいはサテライトオフィスというふうな形で、職場に一々行かなくてもというふうなことも可能になるとか、いろいろなことが言われておりますし、現実にもそれをやろうというふうに考えているところでございます。  そういったことを通じまして、世間で言われておりますのは、そういったことの中から情報であるとか知識というものが大変重要な要素を持つ、そういう社会になる、これを答申の中では「知的社会」こういうふうに言っているということでございます。     〔佐田委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、今先生からお話ございました、そういう社会を実現するのにどういう、戦略と言ってはあれですけれども、どういう手だてを講ずるのが一番早くうまくいくかということが問題だろうと思いますが、今先生は、いわゆるそれがなければ生活をしていく上で大変だ、不可欠だというふうなこと、そういう中で決済機能というふうなものが生活の中に溶け込むということが非常に早めるのじゃないかというお話でございますが、私どももそういうふうに考えております。  ただ、その生活の中に不可欠だというふうに思っていただけるような状況をどうつくるかということが大変重要だというふうに思っておりまして、そういう状況が来たときに初めてこれは爆発的に普及するのじゃないか。まあクリティカルマスとかいろいろな言葉で言っておりますけれども、そういう形のもの。どういうふうに生活の中に不可欠なものとしてこのアプリケーション開発でき、見つけられるかということにかかっているのだろうというふうに思っておりまして、また、私どももそういう観点に立っていろいろなアプリケーション開発を進めていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  49. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 ありがとうございました。  今のようなイメージで進んでいくわけでありますけれども郵政省という役所のことを考えてみますと、同時に郵便局があるわけであります。全国津々浦々あるわけでありまして、そういったマルチメディア社会のときに、この郵便局、これをどう活用していくか、それとの関連をどういうふうにお考えになっているか、これをお尋ねを申し上げたいと思います。
  50. 木村強

    ○木村(強)政府委員 ただいま通信政策局長からお答えがございましたように、日本のあらゆる経済社会、社会活動の中にマルチメディア発展をしていく、郵政省はこういうものを推進していく行政の立場もあるわけでありますけれども郵便局といいます二万四千の国民共有の財産でもあります貴重なネットワークを保有しております。この場で、事業にも使うほか、お客様の、地域の拠点でもある、そういう点を生かしまして、こういったニューメディアになじんでいただくということにも非常にふさわしい立場にあるのではないかというふうに考えておりまして、お客様になじんでいただいております郵便局に、ニューメディアの一つの実践の場として二万四千の拠点でどのようにやっていただくかということが全体の日本の中におけるニューメディアの発展にも非常に資するのではないか、身近なものになるのではないか、このように考えております。  そのようなことで、これまでにも郵便局等千五百の場所に通信衛星で各地の地域番組や経済情報等を提供するといったようなこともやっておりますし、またハイビジョンやBS、CS等のニューメディア機器も率先して設置をしてきたということでございますが、さらにいろいろな技術の発展で新しいネットワークもできてまいりますので、できるだけ事業の中に取り入れるとともに、お客様にも見ていただくというような場で郵便局ネットワークを活用して今後とも率先してまいりたい、このように考えております。
  51. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 今御答弁いただきましたように、まさにネットワークでありますから、そういった意味では本当にこの大事なネットワークを活用していただきたいと思います。  同時に、今郵便局お話を伺いましたので、その観点でもう一点御質問をさせていただきたいと思います。  村山内閣の大きな課題は行政改革であります。そういった行政改革の観点で郵政事業というものを見た場合に、私はこういうふうに思っております。これは、実は先般特定郵便局長さんとお話をしたときに、私はこういう聞き方をしたのです。あなたのところのお仕事は官ですか民ですか、こういうふうに聞きました。そうしましたところ、郵便局長さんは民ですとお答えになりました。私は、それを聞いたときに思ったのは、今、官と民という、こういう区分けがあって議論になっているわけでありますが、この郵政事業というのは官と民が融合した、ある意味では新しい形態をずっとやってきたのではないかということですね。  これは、官の部分は当然あるわけであります、普通局の皆さんたちもそうでありますし、郵政本体もそうでありますから。民の活力を生かしながら、しかし同時に、民だけでは及ばない山間僻地とか、そういった部分のところはいわゆる官の方で補いながらやってきている。私は、だからそういう意味では、この郵政事業というのは、ある意味で極めて日本で誇るべき組織なのではないかなというふうに思っておるのでございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  52. 大出俊

    ○大出国務大臣 今の小沢先生の御質問にお答えをいたしますが、私もつまりその現場の出身でございますだけに全く同感でございまして、自分で郵便も配達をし、貯金、保険、総合服務の時代でございますから両方長いことやってまいりまして、したがって、郵便局という信頼、国民の皆さんのですね、貯金屋さん、あなたに集金貯金でお上げする金は、私はひょっとしたらおかず買っちゃうお金だったという話が出てくるというぐらい極めて身近な関係にございまして、そういう意味では全くお説のとおりでございます。  郵政三事業は、特に九一年、九二年、九三年、三年間、第二次行政改革推進審議会で非常に詰めた議論をしてきた経緯がございます。この詰めた議論をやってきた結果、答申が出されまして、肥大化云々と言われる貯金事業についても、トータルバランスという形で、そういう方向に行かないようにしていこうじゃないか、それから、簡易保険事業というものも大きな使命を抱えている、つまり国民の生活を身近な形で援助していくというですね、そのあり方、本来の目的を果たすように努力しろというところから、三事業についての、九三年の十月二十七日に最終答申が出されておりまして、したがって、その趣旨に従って、御指摘のとおり一生懸命やっていかなければいけない、国民の共有財産として、そういうふうに思っております。
  53. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 ありがとうございました。  ちょっと、じゃ、視点を変えて、先ほど田中先生の御質問と若干重なりますが、グローバルネットワークについて御質問させていただきたいと思います。  どういう議論をなされているのですかという御質問をする予定でありましたが、先ほど田中先生の御質問ございましたので、そこはまず省かせていただいて、このグローバルネットワーク、先ほど一部お話がございました。これはいろいろなプロジェクトをやっていくということでありますが、最後はどういう形でつなぐのか。グローバルネットワークと言われると何となくあるのですが、どういう形でつながっていくのかというイメージがわからないのですね。それはどういう形を想定しているのでしょうか。
  54. 楠田修司

    ○楠田説明員 ちょっとお答えに重なる点はございますが、段階を追って説明を少しさせていただきたいと思いますが、まず、この会合におきましては、世界的な情報通信基盤整備に関する一つのビジョンを共有しようというふうなことを言っております。それから、そのために各国は協調、協力しなきゃならぬだろう。そして、整備を推進する上でのG7の中での原則、これはグローバルネットワークということにつながるわけでありますけれども、例えば既成の枠組みを柔軟にするというような、どういうような原則をするか、あるいはプライバシーの問題はどうするか、それから大事なのはユニバーサルサービスなどをどうするかというようなこと。それから知的所有権というような問題もございます。そういうようないろいろな問題点についてまず議論をしようということが一つございます。  それからもう一つは、同時に、この情報通信基盤のこういう抽象的な議論だけではなく、何か具体的なものを、国際的な関心を高めようということで、先ほどからお話のございました国際的な共同プロジェクトをやろうということで、世界に向けましてグローバルなネットワーク整備についてのイメージ、政治的なメッセージを発しようというのが今回の会議であります。  そういう中で、じゃ、グローバルなネットワークというのは何だろうかということでありますけれども、我々考えておりますのは、こういうふうな国際的な協調、協力を通じましてできるネットワークによりまして、世界じゅうだれもがどこからもオープンに、できれば安価に世界情報にアクセスできるようなシステム、これがグローバルネットワークだと思っております。  したがいまして、それをどうつなぐかということが、やはりこれは標準化を解決する問題、あるいは今申し上げましたセキュリティー、プライバシー、こういう問題を解決したら、そういうものは自然にでき上がって安価にできる、こういうふうなイメージで考えておる次第でございます。
  55. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 その関連でもう一点御質問なんでございますが、これは私は前から考えていて、よくわからない話なんです。情報通信分野はこれからの新しい産業、経済のまさに中核になる分野だ、そういうふうに言われています。この分野でおくれをとることはまさに日本の経済の国際競争力を失うことだというふうにも言われています。そして、やや今の日本の状態が若干そのおくれをとっているのではないかという指摘もあるわけであります。  例えば、自動車とか家電というのは私イメージでわかるのですが、これでいい製品をつくる、輸出をする、外貨を稼げる、まさに国際競争力が強いという話になるわけでありますが、情報通信分野で国際競争力あるいは日本の経済の力、それがおくれをとると国際競争力が低下するという話が、では何を輸出するのか、何で稼ぐのか。もちろん国内に住んでいる人たちの生活の利便性というのが進まないということはわかります。ただ、これが、日本経済のまさに情報分野が死命を決するんだというような話というのがされるわけですけれども、だからそこのところがよくわからないということがございます。御所見を、もしお教えいただければと思います。
  56. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 私どももお教えなんという、そういう立場ではとてもございませんが、ただ、考えていることだけちょっと申し上げさせていただきますが、いずれにいたしましても、今お話しのように、高齢化が進む、そうして欧米はもちろんでありますけれどもアジア諸国からも大変追い上げられて国際競争が激化してきている。こういう中で、持続的な経済成長を維持していくということが我が国にとって大変大事な課題であるということは皆さん共通している問題だと思います。  その際に、これからどういうふうにしてそういう国際競争力をつけていくかという場合に、やはり付加価値の高いものの方にシフトをしていく必要があるのではないかということでございまして、それは端的に言いますと、やはり情報や知識というものが重要な資源となるような、そういうふうな社会構造というものに変えていく必要があるということでございます。  なおかつ、また情報通信分野でのそういう基盤整備というものがなぜ大事かということを申し上げますと、二つの側面があるというふうに思います。  その一つは、いわゆる情報通信分野そのもの、いわゆるマルチメディア市場と言っておりますが、このものが大変大きく成長する可能性を持っているということでありまして、これ自体が我が国の経済の中で大変大きなウエートを持つ、いわゆるリーディングインダストリーとして位置づけられるという大きなものだということでありますが、このマルチメディア市場というのは実はいろいろなノウハウの宝庫のような分野ということでございまして、いわゆる端末でありますとかデータベースというふうなもの、あるいは、いろいろなものがこれから開発されると思いますが、例えば電子出版とかそういったもの等々を考えてみますと、大変いろいろなノウハウ、いわゆる付加価値の高い分野でございまして、こういった分野についておくれをとるということは、やはり国際競争力という点で非常に阻害が起こってくるというふうなことだろうというふうに思っているのが第一点。  それからもう一つは、情報通信基盤というのは、ただその情報通信世界だけではなくて、製造だとか流通だとかいろいろな全産業分野の基盤をなしているということでありまして、こういった分野におきましてもそれぞれが付加価値の高いものへ志向していく、あるいは効率性というふうなものを求めていく必要があるということを考えますと、いわゆる情報通信分野が充実してまいりますと、データベースを存分に活用した研究開発ができるようになりますとか、あるいは、例えば在庫管理というふうなものにつきましても大変な効率化が図れるとか、いわゆるそういう他産業に与える大変大きな影響力もあるという、そういった形で恐らく国際競争力に重大な影響を及ぼすことになるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  57. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 ありがとうございました。質問を終わります。
  58. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、日笠勝之君。
  59. 日笠勝之

    ○日笠委員 大臣、連日予算委員会御苦労さまでございます。私は、逓信委員会は、そちらに座って答弁をしたことはあるんですが、逓信委員会での質問は初めてでございますから、お手やわらかにお願いしたいと思います。  まず、これは郵政大臣というよりは村山総理を支える重要なお一人として、閣僚として所見をお伺いしたいことがございます。それは、いわゆる財政の筋といいましょうか、財政論から見て、今の政府の補正の組み方、我々がいろいろ仄聞している段階では、いわゆる平成七年度の本予算、これが成立した後平成六年度の二次補正を出し、審議をするというのが、何かそういう方向になりつつありますね。しかし、どうもこれは筋が違うんじゃないか。大臣がもし社会党の国対委員長なら、それは筋が違うと言って国会が一斉にストップするような話だと思うのですね、これは。  本来ならば、平成六年度の災害対策を含めた補正予算を先に審議し通過させる。それから七年度の本予算を成立させる。そして、その次に、七年度の本予算がまだいつどうなるかわからない段階で七年度の第一次補正というのは不見識と言われるかもしれませんけれども、五月か六月ごろに出すんだろうとかいう話がございます。平成七年度の本予算には、本格的な災害復旧、復興の予算は何もございませんね。一体そういう筋でいいんだろうかな。一閣僚としてどのように思われますか、御所見をまずお伺いしたいと思います。
  60. 大出俊

    ○大出国務大臣 ごもっともな御質問でございますが、最近は、年度の予算を審議しておりましても、補正の話が質問者からも出てきますし、答弁者からも出てくるというのですね。そういうことは過去にはほとんどない、今お話しのとおりでございまして、そういう一つのルールが歴史的にございました。最近、そのルールをみんなが気にしなくなったという感じがしております。  特に、大震災が起こりまして、もちろんこれを予測していないと年度予算でございますから、そういう意味での内部の議論もございました。しかし、これを組み替えるということになりますと、相当なこれはまた日数がかかる。これはもうよく御存じのことでございまして、私も国対を五年以上もやりましたからわかり過ぎるくらいわかっておりますが、大変なこれは労力と時間がかかってしまう。  そうすると、この七年度予算案の中身からすると、災害に直接関係を持っていないけれどもできるだけ早く上げていただきたいと考えている項目がたくさんあるわけでございまして、景気問題その他含めまして。そこで、この際何とか七年度予算を早く上げていただくというお願いをするよりしょうがないんじゃないか、全体として見て。  そして、特別立法という問題も片っ方にございまして、例えば外貿埠頭公団というのは、本来国で予算が出せるシステムでございましたが、切り離して民営にしてしまっている。港から入ってきまして、外貿埠頭、これを何とかしようとすると、これは民営ですから、法律を別に考えないとこれは手の出しょうがない。では今度、外貿埠頭を何とか資金援助をするとなると、今度は、ではJRはどうしたんだ、切り離して民営ですから。さて今度は、JRをということになると、私鉄はどうするんだということになる。では私鉄をということになると、では通信基盤こんなにぶっ壊れたんだがこれはどうするんだということになる。などなどという問題がございますので、何とか特別立法のめどを早くつけたいというのが目下の急務でございまして、そうなると、当然第二次補正というものは、災害の、復旧という言葉を使っていいかどうかわかりませんけれども、立て直しをやるという意味での大きなかかわりを持つ。ということになると、やはり月の下旬になっていくんじゃないのかな。  そうすると、いろいろなことはあるけれども、法的にはどうなのかということも随分調べてみて、財政法の第二十九条でございますけれども、法的には切り離して物を考えておかしくはないということになると、いろいろな旧来の経緯からする御議論はあるんだけれども、この際御審議いただいていると年度予算をなるべく早く上げていただけないか。そして、第二次、六年度予算の、これは大きく災害に絡んでくるので、片っ方で特別立法があったり何々委員会をつくったりということもございますので、そういう意味で、前後するということになるかもしれませんが、お願いをするより仕方がないんじゃないか。いろいろな議論はしたのですが、そういう結論になっているので、御議論はわからぬわけじゃないのでありますが、よろしくお願いしたいと存じます。
  61. 日笠勝之

    ○日笠委員 ことしは国連では国際寛容年ですから、私たちも寛容な精神は持っていまして、災害復旧とか復興は、これは挙国一致、与野党問わずだ、こういう意識はあります。  ただ、NHKは予算を組み替えたのです。そして提出がちょっとおくれています。そういうことですから、今から言うのも何か恨みがましいような話になりますが、私どもが、当初十日間ぐらいは政治休戦をして、そこでとにかく早く第二次補正などを考えてやってもらいたいと。ところが、私も先日神戸へ行きましたけれども、一体国会は何をやっているのかと。全大臣張りつけ、全政府委員、百何十名いるのですか、全部が張りついて、全然地元のことを思っていないじゃないか、何をやっているんだと。あなた方ここへ一週間泊まってみなさい、下痢はするし便秘はするし大変なんだ、わかっていない、国会は国民から遊離している、こういうおしかりを、視察に行ってかみつかれて帰ってきたわけですよ。  そういう意味で、政治休戦十日間というのも、これは当然与野党一致で、予算は邪魔をしたり云々じゃなくてやりましょう、こういう国際寛容年にふさわしい、野党もそういう手を差し伸べたのですが、どういうところでどうなったのか知りませんが、丁重にお断りをされた。しかし、NHKは粛々と予算の組み替えをやっている。こういうことを考えますと、財政の筋からも私は、やはり本予算を通す前に平成六年度の二次補正が出てしかるべきである、これは財政の筋ですから。  こういうことが今後何回もあったのでは大変遺憾に思いますし、まあイレギュラーな、本当に特異的なことである、こういうふうに理解をせざるを得ないのかなと思いつつも、やはり本予算の前に二次補正を先にやるべきだということを、私は個人的には主張させていただきたい、こう思うわけでございます。  それで、所信に対する質疑の前に、急なことが一件ございますので、これを先にちょっと質問させていただきます。  いわゆる福祉定期郵便貯金でございますが、これの取扱期間が二月二十八日で一応終わるわけでございます。これは郵便貯金法の第十二条を見ましても、「一般の金融機関の預金の利率についても配意しなければならない。」ということですから、郵政省だけ、郵便貯金だけを延長するとか云々というのは確かに難しいかもしれません。しかし、郵政省の所管であるこの郵便貯金、特にこの福祉定期郵便貯金については期限がもう二月二十八日。これから大蔵省またいろいろな一般の金融機関とも相談をして、大臣告示ですかで延長をもしするとなればいろいろな手続があろうかと思いまして、実はこの場で大出郵政大臣にこういう福祉定期郵便貯金についてはどうするか、明確な御答弁がないと、いや帰って検討しますと言っていたのでは、これは三月一日から継続でぜひ私たちはお願いしたい。趣旨とか、一件当たりの金額とか最近伸びておるとか、いろいろ知っていますけれども、全部それは御承知だということで、要は、この福祉定期郵便貯金の延長を郵政省としてはどう考えておるか、また、大臣としてどうリーダーシップをとっていくか、このことについてお伺いをしたいと思います。
  62. 大出俊

    ○大出国務大臣 日笠委員の今の御質問でございますが、私も強烈な印象がありまして、公定歩合がどんどん下がってくるとどうするんだという、預金金利は減る一方という。ちょうど四・二、四・一五ぐらいに下がってきたときに、シルバー金利というようなことで、お年寄りや何かはこれ以上、収入のない人は気の毒じゃないか、ここでとめてしまえという議論が起こりまして、いろいろなシニア団体その他全国から集まって大会が開かれたりしまして、この時期に私も先頭に立って、何とかつくれと言って一生懸命やった一人なのですよ。そういう意味で、これをここでおしまいにしてしまうなんということはできないというのが気持ちで、事務当局の皆さんには続けてくれということを申し上げております。  事務当局の方は、問題はまあ大蔵でございますが、そういうわけで、現在大蔵省と調整に入って詰めている、何とか実施に向けて最大限努力をしようということで今やっている、こういう状況でございます。  私はそれでいってくれと言っているという現状を率直に申し上げたのですが、大蔵と今詰めに入って、実施するという方向で事務当局一生懸命やっておりますので、応援をいただきたいと存じます。
  63. 日笠勝之

    ○日笠委員 先ほど申し上げました郵便貯金法第十二条は、「配意しなければならない。」という条文ですね。この「配意」というのは、附帯決議を私たちがつけると、大臣から、先ほどの決議については配意いたしますという、非常に軽い言葉なんですね、はっきり申し上げると。ですから、郵政省の方はやりたい、やります、大蔵省さんの方は検討してくださいと。それもタイムリミットがあるはずです。二月二十八日で切れるものを、一カ月、二カ月ブランクを設けて五月からやりますというわけにいかないと思いますね。  ですから、大臣のお考えは、郵政省はやりたい、やるんだ、こういうことでよろしいでしょうか、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
  64. 大出俊

    ○大出国務大臣 私はもう、やりたい、やるんだということで、事務当局にもそう申しております。
  65. 日笠勝之

    ○日笠委員 そのように理解をして、大臣の所信表明に対して何点か御質問させていただきたいと思います。  お手元に先日所信表明されたペーパーがあるかと思いますが、いわゆる阪神大震災に関連して、まずその中でお伺いをしたいと思うのですが、この三ページのところに、大臣はこのように表明をされておられます。三ページの終わりから二行目でございますが、「必要な予算措置や法的措置の検討も含め、時機を失することなく万全の措置を講じてまいる考えであります。」こういうふうにおっしゃっております。  もうあれから一カ月近くがたつわけでございます。事務当局の方も、それこそ日夜奮励努力されて詰めてはおられると思いますが、具体的に、この「必要な予算措置」というものは今現在どういうふうなものを考えておられるか。できれば金額等もお聞きしたいのですが、そこまではまだ精査されているかどうかわかりませんので、いわゆる「必要な予算措置」、恐らく平成六年度の第二次補正のことだろうと思います、本予算は組み替えはしないということでございますから。どういう「必要な予算措置」を考えておられますか、項目別に、わかる限りお教えいただければと思います。
  66. 木村強

    ○木村(強)政府委員 お答えいたします。  郵政省といたしまして、今般の大震災に対しましてできるだけの措置をとろうということで、大臣以下精いっぱい努力をしてきたところであります。このような大災害でございますので、私どもも初めての経験でございます。これで十分だということではございませんが、精いっぱいの対応をしてまいったわけであります。  その中で、例えば無線通信機器などは現地にたくさん応急だということで配備をいたしましたけれども、これは役所自身でできたわけではなくて、通信事業者であるとかメーカーであるとか、そういった方々の御協力を得て、携帯ラジオ一万五千であるとか、携帯電話二千七十五であるとか、テレビ受信機四百二十八であるとか、本日からは兵庫県に臨時災害FM局なども免許をしてスタートいたしましたけれども、いわばボランティアといったような形が非常に多い。これではいざというときに国として何ら責任が果たせないのではないかということで、私どもかねてから財政当局には、安全信頼性の問題であるとか、あるいは北海道での地震も既にございましたので、財政当局との折衝は重ねてまいりましたけれども、目に見える成果がなかった。  今回このような事態が起こりましたので、これはもう避けて通れない話だということで、今先生御案内ございましたように第二次補正という中で、財政当局からもどういう問題があろうかというお話もございました。これまでと違った措置もとるべきであるというようなお話もございました。私どもそのような立場で今、災害対策用の移動通信機器等の配備それから情報通信インフラの早期復旧という大きな項目につきまして、この二つでありますけれども、財政当局と折衝しております。  例えば移動通信機器、携帯電話等でありますけれども、これは国が直接物品を持って応急的な対応ができるように、あるいは衛星地球局、威力を発揮いたしましたけれども、こういった機器類などもどもの手で整備ができる体制をつくりたいということで、応急対策として、今第二次補正に向かって財政当局と折衝中でございます。  それから、情報通信インフラの早期復旧、これは他の電力、ガス等の横並びもございますけれども、こういったものに対する応急復旧に対する財政的な措置を図るべきであるといったようなことで、財政当局と折衝中でございます。
  67. 日笠勝之

    ○日笠委員 その携帯用無線というのは郵政本省に備蓄するのですか、それとも全国の郵政局なり電気通信監理局に備蓄というのでしょうか、備えておくということでしょうか。
  68. 木村強

    ○木村(強)政府委員 できれば各地域に分散をして、何か事があった場所に早急に、まず応急的にやって、後から全国から集めるといったようなことで、数が多ければ多いにこしたことはないということで財政当局と折衝中でありますが、具体的にどのような形で決着するかは、まだ今の段階では未定でございます。
  69. 日笠勝之

    ○日笠委員 私たち新進党は、明日の内閣ということで政権準備委員会を海部党首、委員長のもとにつくっておりまして、私、その情報通信政策担当者ということになっております。皆さん集まっていろいろ、第二次補正の、こういうものがやはり考えられるのじゃないかというものをある程度考えました。  その中で、一つは、そういう無線の話もございますが、例えば普通郵便局ですね、これが倒壊したりしていますし、特定局も相当損害を受けています。一般会計、特別会計、これらの復旧費、それからまた、移動郵便車が大変活躍をしておりますが、全国で非常にまだ少ない。こういうものの拡充とか、それから、そのほかにも、今の郵便官舎の防災対策、もっと頑丈にするとか、非常用のバッテリーだとか、こういうものもさらに精査しなければいけないのだろう。いろいろほかにもあるのですが、それらも踏まえて、今、第二次補正ないしは、まあこれは余り言いたくないけれども平成七年度の第一次補正というようなことでお考えになっているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  70. 木村強

    ○木村(強)政府委員 今先生が御指摘をされましたような応急の措置といったようなものにつきましては、郵政事業特別会計でございますので、節約であるとか予備費を使って応急の対応ができるということで、第二次補正として独自のものを挙げるというものはないというふうに考えております。  ただ、これから先の震災対策という意味では、やはり二万四千の郵便局、先ほどから出ておりますように、これを立派な、地震にも持ちこたえる拠点にして、何かあればそこから震災の対応ができる、発信の基地にもできる、あるいは避難の場所にもなり得る、あるいは情報がそこへ行けば聞けるといったようなこともありますので、予算との関係、事業ですから、独立採算ということもございますので、予算との兼ね合いもございますけれども、これから先の震災対策という意味でも、先生今御指摘がありましたようなことも注意をして、留意をして対処してまいりたいと考えております。
  71. 日笠勝之

    ○日笠委員 大臣は所信の中で、「法的措置の検討」ということも同じく言われておりますが、どういう法的措置が考えられるのか、もしお考えがあればお聞かせいただければと思います。
  72. 木村強

    ○木村(強)政府委員 法的な問題につきまして、今省の内部で、中長期的だという意味議論をしておる最中でございまして、先ほど来出ております非常災害ネットワークのセンターであるとか、こういう場合には、やはり郵政省だけではなくて関係省庁とも関係する部分などもございますので、そういった法制度あり方も含めて現在検討中ではございますけれども、今具体的にこういう中身でこうだというところまで至っておりません。
  73. 日笠勝之

    ○日笠委員 その法的措置の中には、いわゆる租税特別措置法、こういうものは念頭にあるのでしょうか。
  74. 木村強

    ○木村(強)政府委員 そういった問題も含めまして、現在検討中でございます。  具体的に項目がまだ、明確にこうだということにもなっておりませんが、税制予算あるいは組織、そういった問題等も含めて、郵政省としては情報通信という立場にメーンを置いて、そういうあり方について検討を始めたという段階でございます。
  75. 日笠勝之

    ○日笠委員 平成七年度の租税特別措置法におきまして電気通信システムの信頼性向上促進税制というものがございますが、いわゆる電子式の回線切りかえ装置であるとか、シールド工法による洞道、道路の下に大きな穴を掘って、そこへ配線をしていく、こういうものの特別償却が、二〇%だったのが平成七年度で一二%に下げられたわけですが、私は、これなんかは当然二〇%、もとに戻すべきであろう、こう思いますね。  先日、災害対策についての当委員会で質疑があった中で、洞道であるとか共同溝であるとか、こういうもののNTTなんかのケーブルは生きておった、〇・〇四とか〇・〇八%の損害率であった、ところが、空中をはわせている線は、焼けたり引っ張られて倒れたりで、後の応急復旧が大変だった。こういうことを考えれば、こういう信頼性向上促進税制を本年度下げるというのは反対で、もとへ戻すかそれ以上にすべきであろう。  それから、電線類の地中化の同じ租税特別措置も、業界の皆さんは、これはコストがかかってかなわない、しかし信頼性向上のために頑張ってやる、しかし、何しろ割り増し償却一〇%じゃインセンティブ働きません。私たちに来ているいろいろな業界の要請なんかを見ても、三〇%にしてくれ。CATV業者もそうですよ。  ですから、大臣、今後の日本の、震災に強い、災害に強い都市づくり、町づくりではぜひともそういうインセンティブを働かすような租税特別措置、これを考えないと、切り下げるようなことじゃいけない、こう思うのですが、まず御所見をお伺いしたいと思います。
  76. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 ただいま先生から御指摘のありましたように、今回の災害ということを考えますと、予備回線をもって多ルート化する、いわゆる信頼性の向上とか、あるいは電源の問題等々も含めて検討していかなければならないというふうに私どもは考えております。  それから、いわゆる地中化につきましても、具体的に見てまいりますと、加入者回線の部分ですが、架空ケーブル、電線にかけてあるケーブルの被災率が二・四%であるということに対しまして、地中化ケーブルの被災率というのは〇・〇三%でございます。そんなことで、この事実から見てまいりますと、地中化ケーブルの方がはるかに被災が少ないということが出てまいります。そういう意味では、私どもは、加入者回線の地中化の一層の推進というのが必要であるというふうに考えております。私どもはこういう認識に立ちまして、今御指摘をいただいたような税制措置の拡充につきまして検討を進めているところでございます。  そういった意味で、今回の震災に関します被災者対策、そういうことでの税制上の対応につきましては、現在税制当局において鋭意検討が進められているという状況でございまして、私どもとしましても、税制上の支援措置の必要について意見を申し上げているところでございます。
  77. 日笠勝之

    ○日笠委員 これは、武村大蔵大臣が、一月二十四日の記者会見で、いわゆる地震防災対策用資産の特別償却制度を復活させる、これは租税特別措置の一種ですよね、こうおっしゃっている。ならば、一緒に、先ほど申し上げました信頼性向上の促進税制一二%を二〇%に戻す、それから、電線などの地中化の同じく税制も一〇%をやめて二〇%、三〇%にする、こういうことをあわせて大臣として大蔵省主税局に言うべきじゃないか、こういうふうに思いますが、その点はどういう御決意でしょうか。
  78. 大出俊

    ○大出国務大臣 御指摘の点、また、いろいろなことがあるのでいろいろな話はしておりますけれども、いずれにしてもまだ煮詰まっておりませんで、さっきちょっと申し上げたように、これをやればこうなる、これをやればこうなる、いろいろなことになりますので、私は、いずれにしても、何とか有利な形に引き戻すものは戻し、お話しのように償却の面でもできるだけやる気になるような形にしていくべきだと思っておりますので、一生懸命やってみようと思っています。
  79. 日笠勝之

    ○日笠委員 きょう大蔵省の主税局からも来ていただいておりますが、我々は、これは大蔵委員会じゃありませんが、もし大蔵委員会で租税特別措置法の審議をするなら、もとへ戻せと、一二%を二〇%に戻せと修正ぐらいは迫ると思うんですよ。私は大蔵委員じゃありませんからわかりませんが、一応大蔵委員ならそのように主張をすると思います。  ところが、なかなかこれが、税制全体のバランスであるとか、租税という特別な措置の勝手からのスクラップ・アンド・ビルドであるとか、税収そのものの問題だとかいろいろあるんですが、きょう大蔵省主税局福田課長来ていただいておるんですが、こういう防災、またはこの災害に対して今後いろいろな方面からいろいろな要求が出てくると思うんですね。それはきちっとやらないと、インセンティブを働かさないと、租税特別措置というのがそういうもともとインセンティブを働かさそう、そして設備投資なんかをやっていただこうというものですから、これは、切り下げじゃなくて切り上げるぐらいの方向でないとなかなかこれは厳しいわけですね。  そういう意味では、主税局とすれば、いろいろな方面から、この通信とか放送関係以外からもいろいろな要望が来ると思いますし、来ていると思いますが、今後、租税特別措置を年度改正のみならず中間で見直しすることもあり得るやもしれませんが、どういう態勢で臨まれようとしておるのか、お伺いをしたいと思います。
  80. 福田進

    ○福田説明員 お答えを申し上げます。  今回のいわゆる阪神・淡路大震災に関します私ども税制上の対応につきましては、まず、一月二十五日に申告・納付期限等の延長措置をとらせていただきました。そして、平成六年分の所得税の確定申告の時期、これ、あしたからということで間近に迫っていること等も踏まえまして、所得税における緊急対応の措置を決定させていただいたところで、現在法律案を準備中でございます。この所得税に係る緊急対応以外の税制上の対応につきましては、地震災害の状況、各方面での取り組みの状況を踏まえながら適切に対応する所存でございまして、現在その中身を鋭意詰めているところでございます。  先生今御質問でございました七年度の租特の改正の作業との関連でございますけれども、御案内のように、租税特別措置につきましては、今回の七年度の税制改正案におきましては、最近の社会経済情勢の変化、現下の厳しい財政状況にかんがみまして、租特の整理合理化を抜本的に行わせていただいております。そして、早急に実施すべき措置を他方でとるということで、今、御案内のように、この一部改正法案を国会に提出して審議をお願いしているところでございます。  御指摘郵政省関係制度につきましても、これも実は昨年来の税制改正の過程で関係省庁とも十分議論させていただいた上で現在の法律案、一部改正案になっているわけでございます。  なお、地震特償のお話がございましたが、兵庫県南部地震、阪神・淡路大震災という非常事態を踏まえまして、当面制度自体をいわばもとへ戻すということで、どういう状況になるのか様子を見ようということで復活させていただいたところでございます。閣議決定をやり直させていただいたわけでございます。  今後、一般的な防災対策につきましては、現時点においてまずなさねばならないことは、まずもって、さっき申し上げましたように、今回の震災に対する対応を検討することが喫緊の課題でございまして、一般的な防災対策の充実といった観点からの措置につきましては、今回の震災を契機といたしまして、御指摘のような情報通信にとどまらず、各分野を通じました災害対策検討が行われることと想定されます。各省で今検討をしていただいていると思いますが、税制につきましても、適切な対応について総合的な災害対策の中で検討を行わせていただきたいと考えております。  なお、租税特別措置、先生指摘のようにインセンティブを与えるものでございまして、防災対策として真に必要であれば、単にインセンティブを与えるような措置ではなしに、もっと具体的な措置で講じられるべきではないかと愚考する次第でございます。あくまでも黒字の企業にしかこれはきいてまいりませんので、そういうインセンティブの政策がいいのか、もう少しより具体的で一般的に対応できるような政策がいいのか。私ども税制改正をいろいろ検討させていただくときに毎年そういった観点で、どこまでこのインセンティブ効果を与える税制で対応するのか、限界も頭に置きながら検討させていただいていることを付言させていただきたいと存じます。
  81. 日笠勝之

    ○日笠委員 最後は神学論争になってくるのですよ、こういうふうにね。要は、大蔵大臣みずから、地震防災対策用資産の特別償却制度を復活する、こう言っておるわけです。これでは黒字企業じゃなきゃ全然関係ないわけですよ。そういう話じゃなくて、郵政省の電気通信システムの信頼性向上促進税制のためにいろいろ要望されることがあるでしょうと、それは正面から受けとめて、大蔵省はスクラップ・アンド・ビルドじゃなくて、国民に安心してライフラインの大きな一つである通信というものが確保されるために、インセンティブを働かす方法、それから歳出の面で補助金を出す方法、それはいろいろあるのはわかっていますよ。ただ、主税局ですから、歳出の話なんかできないでしょう、主計局の話は。  そういう意味で申し上げているのでございまして、官房長、このもとへ戻す話と、それ以外にも、非常用無線設備であるとか、それから、電源が壊れて、大変なあの兵庫県のパラボラアンテナなんかも当初使えなかった、八十億も出したやつが。いわゆる非常用の電源設備であるとか、それから、予備回線をケーブルと通信衛星を両方でうちはバックアップシステムをやります、こういう両方の設備を取得するとか、こういうものを全部よく省内でまとめて、そして主税局の方へ、どういう災害があろうともある程度耐え得るような、そういう、信頼性向上促進税制ですから、信頼性が向上するような税制を厳しく、厳しくというんですかね、強く要請すべきだ、こう思いますが、官房長、どうですか。省内でやると言えばいいんですよ。やらないのは向こうだけだから。
  82. 木村強

    ○木村(強)政府委員 御指名がございましたので私の方から、省全体の話でもございますので申し上げます。  郵政省としての立場で災害対策、全力を挙げるということで財政当局とも折衝したいと思います。最後は内閣の調整でございますが、我々としては精いっぱい先生の御指摘どおりにやってみます。努力いたします。
  83. 日笠勝之

    ○日笠委員 じゃ課長、結構です。よろしくお願いをしたいと思います。  それから、同じくこのペーパーの中で四ページでしょうかね、四ページ二行目です、「大規模災害時の危機管理体制の確立、防災関連の技術開発等、総合的な防災対策の実現に万全を期してまいる所存であります。」こういうふうに大臣、所信でおっしゃっておられます。  そこで、通信白書等々を見ますと、相当郵政省は独自にいろいろな研究会等々を設けて検討結果を取りまとめられたりしておるんですが、どうもそれが生きていない。何か、研究会の報告がまとめられただけという、こういう嫌いもございます。  そこで一つ御提案でございますが、「情報通信ネットワーク安全・信頼性基準」というものがございますね。これ、研究会を設けていろいろ議論されたその結果、去年の十一月に大臣告示で「情報通信ネットワーク安全・信頼性基準」というものを見直された。その基準でございますが、これ、ずっと多項目にわたりますが見ていきますと、これでどうなのかなというところがございます。  例えば「屋外殻備」の「振動対策」という中で、「地震等による振動に対し、故障等の発生を防止する措置を講ずること。」ということで、これは二重丸になっておりまして、これはぜひ実現するべきだ、こうなっておりますが、この地震などによる振動というのは、恐らく震度五、せいぜい六、直下型のそのようなものは想定されていないのだろう、こう思います。それから、「屋内設備」も、「地震対策」というところがございますが、「通常想定される規模の地震による転倒及び移動を防止する措置を講ずること。」また「通常想定される規模の地震による屋内設備の構成部品の接触不良及び脱落を防止する措置を講ずること。」「電源設備」も、「地震対策」では、「通常想定される規模の地震による転倒、移動及び故障等の発生を防止する措置を講ずること。」大体、通常想定されるということでの基準なんですね。これでは先ほど申し上げた直下型の震度六、七には耐えられなかったわけです、今度の阪神大震災。中継器が転倒してみたり、いろいろ故障がありました。  これは、特に過密の都市の、直下型が予想される、活断層があるとかないとか言われていますが、そういうことも踏まえて、この基準をもう一度、神戸のような大震災に耐え得るようなものに基準をもう少し強化しておかないと、また今度の教訓というものは生かされないんじゃないか、かように思いますが、大臣、いかがでしょうか、基準を見直しをするという、どういうお考えなのか。
  84. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 ただいま御指摘をいただきました安全性、信頼性の基準、これにつきましては、今お話のありましたようなことの予想をしながら想定しておりました。そういう意味合いにおきましては、今回の震災というのは私どもの予想をはるかに超える状態、被害もまたそういうふうになったということを踏まえまして、これを見直していく必要があるというふうに考えております。  具体的には、既に二月八日に、大地震に対応する通信ネットワーク体制のあり方についてという検討会を立ち上げまして、五月でひとまず結論を出していこうということでやっております。そういった中でこれを見直してまいりたいというふうに思っております。  当然、安全基準を見直すというだけでなくて、もし国がそういうことを具体的に、義務的に求めるときには、国の支援あり方ということもまた問題になってまいります。そういった観点もあわせ検討してまいりたいというふうに考えております。
  85. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひ、ライフライン、中でも通信放送、大変重要な部分でございますから、基準を見直しをして、ひとつ国民の信頼にこたえていただきたい、こう思います。  それからあわせて、災害対策基本法によりますと、これは四十九条なんですが、防災に必要な物資及び資材の備蓄などの義務というのが県とか市町村にあるわけです。それで、国土庁の方にも電話ですが聞きまして、例えば、郵政マターのもので備蓄するようなもののガイドラインがあるのですかと聞きましたところ、ありませんというわけなんですね。  そこで、どうでしょうか、これから、二月から定例議会が各市町村で始まっておりまして、恐らく阪神大震災のこのことを教訓として我が町では、我が市ではということで、いろいろなことが議論されておるような報道が連日なされておりますね。これは、郵政マターとして、郵政省として、この災害基本法の四十九条にあるような備蓄について、放送とか通信はこういうものを備えたらばいいんじゃないかという一つのガイドラインみたいなものを、ぜひ市町村、地方公共団体に提示をすべきではなかろうか。  これは、先ほど官房長がおっしゃったような携帯無線だとか、今携帯電話だとかいろいろございますね。最近は、FM放送が非常に安否情報でよかったというので、携帯用の小型のラジオもございますよね。それから、私どもが考えているのは、避難場所に行っても電源がないものですから、電気が、ライフラインが壊れてしまっているものですから、テレビがあっても映らない。そういうことを考えれば、せめてテレビが映るぐらいの何か小型の自家発電機を用意した方がいいとか、それから、場合によっては県ぐらいは、FM放送がない県が五県、六県ですか、ありますが、県ぐらいはFM放送の設備ぐらいは備蓄した方がいいよとか、いろいろアイデアはあるのですけれども、何か、放送通信という観点から見たこういうものを市町村また県は備蓄をした方が今回の阪神大震災からの教訓でいいと思いますよというようなものをひとつ提示をする。これは大臣の方からお答えいただきたいのですが、そういう御用意があるかどうか、また検討するかどうか、それだけお聞かせ願えればと思います。
  86. 大出俊

    ○大出国務大臣 お答えをいたします。  省といたしまして、今回の地震大震災に際しまして、携帯電話など情報通信機器、災害応急対策、私も行ってまいりましたが、大変に頼られて喜ばれておりまして、したがって、これは積極的に何とか、四十九条にございますように、痛切にそう思っているのですが、備蓄する方法を考えなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。したがいまして、これから、今の御指摘もございましたが、その辺については詰めた議論をしてみたい、こういうふうに思っております。
  87. 日笠勝之

    ○日笠委員 次に、これはテレビでも新聞でも報道されておるのですが、阪神大震災の当日、消防署に二九番でいろいろ皆さん応援を求めるために電話しますが、無応答の電話が殺到した。かけるのだけれども当然かからない。しかし、受ける方の消防署も、何というのでしょうか、途中で切れたような感じになりまして、故障信号が出たというのですけれども、どうもそれが、北海道南西沖地震での教訓が生かされていなくて、受け手も知らなかった、こういうようなことで混乱をしたというふうに言われております。  こういう震災なんかが起こった場合の、中継器等々が故障した場合、消防署なんかにかける一一九番が無応答では困るわけですよ。どちらも困るわけですね。これについての周知徹底は今後大いに図っていかなきゃいけないだろう、こう思うのですが、どうでしょうか。
  88. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 今回の震災に当たりまして、一一〇番、一一九番というところの、呼び出しは鳴って、受け手側の、具体的には神戸消防署が出ますと全く無言だということが繰り返して行われたというのは先生指摘のとおりでございます。  このシステムをちょっと申し上げさせていただきますと、基本的に、NTTのネットワークが途中で伝送路等に支障が生じて、この一一九番等に入ってくる緊急電話につきまして、もしそういう事態があったら異常を知らせるという意味で呼び出すようになっているわけです。それがわかりますと、消防署の側で配線装置を操作して、それでもう鳴らないようにして、NTTと打ち合わせて、異常音が発しているということで、故障があるからそれを直してくれ、こういうふうにやるのが手順でございます。  今回のことにつきまして私ども反省しなければならないと思っておりますのは、これも先生指摘のとおり、奥尻のときにやはり同じ現象がありました。当時、北海道警察本部等々を通じまして、そういう仕掛けになっているということを警察署あるいは消防署の側で知っておいていただければ、もともとそういうふうにできているネットワークですから、切りかえてスムーズにいくということであったのでありますが、消防につきましては、残念なるかな、遺憾なことでありますが、そういう周知の徹底が図られていなかったという現状がございました。  そういった意味で、現在、このことについての徹底を図るべく、今NTTが、警察はもちろんでございますが、各消防署に対してその周知方徹底を期しているところでございます。今後、そういうことでこの徹底をさらに進めてまいりたいというふうに考えております。
  89. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひ善処方をお願い申し上げたいと思います。  それからひとつ、これは局長要望なのですが、地震が起こってから一カ月たった。それで、メンタルな面のいろいろな悩み、精神的な面のことを今いろいろ言われていますね。それで、全国に「いのちの電話」というのがありまして、そこへかけていろいろ相談したい。しかし、公衆電話はNTTさんのおかげで避難場所には何千台と配置をしていただいておりますが、ボックスがないのですね、ボックスが。こういうものを、私もう死のうかと思いますというような電話をみんなの前でできるわけがないわけですから、そういう場所にもぜひ電話ボックスを早急に設置するように、これは善処方をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  90. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 被災に遣われている方々が、時間の経過とともにストレス、そういうことがあって、ぜひそういう電話で、「いのちの電話」といいますか、相談できる電話の開設をということで、このところそういう取り組みをしまして、無料でやれる仕組みにいたしました。  具体的に、ボックスを設けてプライバシーを確保していこうということで、そういう御要請についても私どもも承っておりますが、現実に土地、場所の提供とか、そういうこともありまして、今NTTにおいてそのことについては具体的に検討をしていただいているところでございます。
  91. 日笠勝之

    ○日笠委員 早急に検討して各避難場所に配置をするように、要請をお願いを申し上げたいと思います。  それでは、所信の方に戻りまして、六ページのところに、「本年は、「情報通信基盤整備元年」」こう銘打ちまして取り組んでいこうということ、よくその決意はわかるわけでございます。その中で、先ほど同僚委員からも御質問がございましたが、ふるさと財団の無利子融資と合わせ融資で財投からの融資を活用していこう、こういうお話があるわけですが、ふるさと財団の無利子融資というのは、これはいろいろな条件がございますね。  その中の条件で、融資要件といいましょうか、その中で、融資対象事業には「新規雇用の増加があること。」というのがあるのですよ。都道府県とか政令指定都市では十人以上で、市町村は五名以上、こうなっています。このことによって新たな雇用がないと、これは条件には入りません。これはなかなか難しいと思いますね。  先ほど同僚委員からもありましたように、過疎地域だとか離島だとかにせっかくの加入者系光ファイバー網を引くについて、このふるさと財団から融資を受けよう、五名の新たな新規雇用があるだろうか、非常にこれはネックになってくるんじゃないかな、かように思うわけです。  この点は大蔵省、自治省とどのような相談をされておるのか。この融資要件はもう全く変わらない、こういうことで交渉されているのでしょうか、緩和をするということで交渉されているのでしょうか。非常に難しいということを私は申し上げているのですが、どういう認識でしょうか、お聞かせを願いたいと思います。
  92. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 ふるさと財団を活用して、特に過疎地、離島等について加入者系光ファイバー網の整備を進めていくことで私ども取り組みつつありますが、具体的なことにつきましては、関係する大蔵、自治省と今詰めているところでございます。御指摘のありましたとおりに、幾つがこの無利子融資を受けることについて条件がありまして、これの緩和について今関係省庁と詰めているという実態でございます。  雇用の問題につきましては、先生指摘のとおり、都道府県あるいは政令指定都市において十名以上の雇用を生むこと、無利子融資を受けると市町村で五名以上の雇用を生むこと、こうなっておりまして、光ファイバー化し、大容量化していくという中で、むしろ、その拠点だけで見ますと、ある意味の効率化が進んで減になる要素があるかと思います。そういう場面もあるかと思います。ただ、現実にそういうネットワークインフラを構築していくことによって、その周辺に違うビジネスが起こってきて、トータルとしてもっと雇用が出てくるということがあるかもしれませんが、そういう意味では、この十名以上とか五名以上というのは、融資を受ける側から見ますと大変厳しい条件に相なります。特に、既存事業体の場合、そうなるのではないかと思います。  例えば、CATV事業者の場合なんかは、新たにそこにネットワークをつくりますと雇用を生む要素があるかもしれませんが、それ以外の既存事業体では、むしろ合理化、効率化に向かうような要素もあります。そういった意味で、私どもとしては、この雇用確保の条件の撤廃ができないものかというふうに思って、今折衝、協議をしているところでございます。  そのほかに、あわせて申し上げさせていただきますと、融資の限度額とか傘とかいうことについてももう少し改善がならないかというようなこと、あるいは手続の簡素化、そんなことも含めまして、今関係省庁と折衝いたしているところでございます。
  93. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひその方向で、せっかくの制度ができても、これが活用できないのじゃ、これは有名無実でございますから、ぜひお願いを申し上げておきたいと思います。  時間があと十分ほどしかありませんから、所信はまた後日やらせていただいて、一、二、私が常日ごろ考えていることについて大臣の御所見を伺いたいと思います。  一つは、NTTの番号案内が二月一日から俗に値上げになったわけです。その中で、私、あれは昭和何年でございましたか、深谷郵政大臣のときに、ちょうど予算委員会で、平成二年四月二十五日でございますが、番号案内が初めて有料化になるというときでございましたが、質問をいたしました。  それはどういう質問がというと、障害者方々、いろいろ配慮をして無料化はするということだったわけですが、ぜひその中に精神薄弱者、精神薄弱児、今これは発達障害者とも言っていますけれども、こういう方々は電話帳を見たって字が読めないわけなんですね。そういう方々でも、何とか市の何とか町の何のたれべえさんということは言えるわけですね。言葉の方は相当じゃべれる。だから、いわゆる視力障害者の一級から六級の方は、当然それは免除といいましょうか、無料なのはわかりますが、精薄の方にもぜひこれを適用してもらいたい、こう申し上げておったわけです。当時、深谷郵政大臣も、これは検討余地は十分あるだろう、こういう御答弁をいただいておったわけです。  それで、今回の値上げになった。ぜひこれは、ちょっと質問する機会がなかったものですから、値上げになってしまってから言うのもおかしいのですけれども、これはひとつやはり一考を要するのじゃなかろうか。せっかく電話帳をいただいても読めないのですからね。療育手帳というのを持っておられるわけですから、それを営業所なり電話局へ持っていって見せれば、わかりましたと、それでこれを登録して電話番号の案内は無料にする、こういう配慮、これが大臣、人に優しい政治じゃないのですか。どうでしょうか。  いや、これはちょっと大臣に。時間がないから、局長、結論だけでいいのですよ、申しわけないけれども
  94. 大出俊

    ○大出国務大臣 結論だけ申し上げますが、精神薄弱者の皆さんの番号案内の免除ということでございまして、これは日笠先生からの御指摘もございまして、番号案内の有料化のときに、この点をNTTに対して検討を省として指示をいたしました。  一つは、電話帳の利用に著しい支障があるかどうかの判定が、今のお話の療育手帳上の障害の程度の標記、これは総合判定結果のみとなっておりまして、これでは難しいこと、それから障害の程度の区分の方法が地方自治体にゆだねられていること、これが一つ。二番目に、他方、精神薄弱者各人ごとに電話帳を利用できるかどうかをNTT自身が判断をするということなどがあって、一事業体としてこれをやっていいのかどうかというので非常に難航している。  したがって、NTTは、検討に時間を要しているのだけれども、さらに検討をいたします、もうちょっと時間を下さい、こういうのが現状でございますので、今の御指摘をさらに付加して申したい、こう思っております。
  95. 日笠勝之

    ○日笠委員 有料道路が精薄の方も割り引きになったのですよ、社会的に大いに活動を広げていこうということで。だから、公団とか地方の道路公社はやっておるわけですから、できないことはないと思います、それに倣えばいいわけですから。ぜひ、これは大臣として、人に優しい政治を標榜されることから見ても、前向きにNTTの方に要請をしていただきたい。これは要請をしておきたいと思います。  それから、最後になりますが、公務員の方々の給与預け入れ、預入の件でございますが、郵政省の皆さんも、地方自治体の皆さんまた自治省ともいろいろ連携をとって御努力をいただいておるわけでございまして、先日いただきました資料によりますと、三千三百の自治体のうち、地方公務員の方々郵便局への振替、給与の適用が千百六十七団体、三五%、約三分の一ぐらいまでいったわけです。ところが、四十七都道府県の県の方は一切、一つもないのですね。  これは、私も実際に地元でも聞いたことがありますが、先ほどどなたかも、同僚委員質問されていましたね。すぐ近くに郵便局があるのにわざわざ車を使って、単車を使って銀行とか、そういうところへ預け入れないしは引き出しに行かなきゃいけない、どうしてですか、こういう素朴な疑問があるわけですね。  ですから、金融自由化にもなったわけでございますし、それから公務員の方々の利便性ということもある。公務員の方だって当然生活者でありますから、そういう方々の立場に立ては、これはそろそろ、郵便局での給与を振り込むことぐらいは、自治省の通達が何かあってそれがネックになっているとか、いろいろ理はあるようでございますが、精力的に協議をして、また地方自治体ともお話し合いをして、地方公務員の方の給与振り込みが郵便局でもできるという、選択の幅ですから、全部強制的に郵便局でやれというわけじゃない、そういう選択もできるという一つの選択肢、バラエティーに富んだ、そういう振り込みもできるということで、これはぜひ、重要なことだろうと思いますが、どのような今取り組み、またされておられるか、お伺いをしたいと思います。
  96. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  地方公務員の郵便貯金を利用しました給与振り込みにつきましては、先生大臣御在任中からいろいろ御指導いただきまして、私ども地方公共団体を含めました関係先と調整を行いながら円滑な導入に努めてまいりまして、市町村につきましては御指摘のような導入状況になっております。  ただ、残念ながら都道府県のレベルにつきましては、なかなか関係先との調整がつかない現状にございますので、現在、この点も含めまして、より円滑に郵便貯金を利用した地方公務員の給与振り込みが実現できますように、具体的な方策につきまして自治省と鋭意協議を行っているところでございます。  御指摘のように、この件は多くの地方公務員の方々にとっても大変便利でございますので、私どもといたしましてもなお一層努力をいたしまして、早急にこれが実現に努めてまいりたいと考えております。
  97. 日笠勝之

    ○日笠委員 大臣、ぜひ野中自治大臣と、閣僚の懇談会など閣議の終わった後あるわけですから、これはぜひひとつテーマに出していただいて、前向きにやっていただける方向で御努力いただきたい、こう思いますが、御決意を最後にお聞きして、終わりたいと思います。
  98. 大出俊

    ○大出国務大臣 野中自治大臣と話してみます。
  99. 日笠勝之

    ○日笠委員 では終わります。ありがとうございました。
  100. 自見庄三郎

    ○自見委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  101. 自見庄三郎

    ○自見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。金子徳之介君。
  102. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 貴重な時間をちょうだいいたしましたので、早速質問に入りたいと存じます。  大出大臣の所信表明の中でほぼその意図するところは理解したつもりでありますけれども、郵政三事業関係につきましては、歴代の大臣から、あまねく公平に、しかも豊かさを実感できるという言葉がいわば一つの慣例句になっておったような気がいたします。  そうした中で、今さら私から御質問申し上げるというのも大変失礼なわけでありますが、全体としては、できる限り、現場を知っている大臣だけにきめ細かな配意があるとは思いますが、この郵政三事業そのものは社会政策であるという同僚議員の御意見の開陳がありましたけれども、私は、生活行政である、国民生活と全く裏腹なものが郵政三事業である、また、そういった形で現在の高度成長経済下における福祉の維持もあったのだというふうな、そうした高い評価をいたしておるところであります。  大臣におかれては、そうした意味で、今後過疎化が進んでいる地域について特定郵便局あるいは特に簡易郵便局の統廃合というものが進められる、同僚議員の質疑の指摘もございました。これらを含めて、あまねく公平にという意味で郵政三事業の、お互い地域的な補完をしながら事業を進めていく、そうした内容からいって、大臣はどのように今後の統廃合についてお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  103. 大出俊

    ○大出国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしますが、あまねく公平にという今お話社会政策的にもと、あるいは国民の生活と裏腹の関係にある三事業という、大変御理解いただいてありがたい御質疑をいただきましたが、まさに御指摘のとおりでありまして、経験がございますけれども、北海道の雪の中で、昔は、今も似たようなものですけれども、そりで運んでいく郵便、しばらく行ってうちがない、やっとうちがあって、熊よけの鈴を鳴らしながら行って、大変喜んで郵便物を受け取るのですけれども、そのときの喜びというのは、三種で運ぶ新聞なんですね。三種というのは一通運ぶと大きな赤字になるけれども、しかしそこにうちがある限りは選ばざるを得ないということになる、  それが非営利、国営という基本でございますから、明治四年に前島密さんが収支対償の法ということで始めた郵便のこれが基本でございますから、それをいまだにあまねく公平にということで続けている。あわせて八年に貯金ができて、大正五年に保険ができたわけでございますが、附帯業務ということでございまして、局舎というものは当初は有力な方が自分のうちを提供してやるというシステムでございました。  その三つの事業の今日に至る長い歴史が今御指摘のございましたような国民生活と裏腹の共通の財産になっているということでございまして、したがいまして、私は、一九九一年、九二年、九三年の第三次行政改革推進審議会、ここであれだけの議論をして三事業についての結論が出ていると思っておるのですが。これは一九九三年の十月二十七日に出ている第三次行革審答申でございますが、ここで、貯金については民間金融機関とのトータルバランスを考えていけ、そして肥大化という懸念を解消しろ、トータルバランスを考えればそうなるんだという答申。それから保険につきましては、簡易保険事業については官業という立場を守っていきなさい、そして適切な運営をやりなさい、そのかわり経営の合理化、効率化に心がけなさいというのが、議論をさんざんやった簡保についての結論でございまして、郵便事業につきましては、「郵便事業については、事業財政の改善に向けて適切に対処する。」ことというのが、いろいろな議論の最後の決着でそういう表現になっておりますがいろいろな御意見がありますけれども、この最終的な答申は三年かかっておりますので、この道筋で一生懸命やってまいりたい、こう思っておる次第でございます。ありがとうございました。
  104. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 大臣から大変勇気ある一つの方向づけを改めてやっていただいたという感を深くしました。私は逆にここで感謝をいたしたいと存じます。  ところで、簡易郵便局の末端における経済、財政優先主義とでもいいますか財政主導型といいますか、そういったことで一部統廃合が行われていることも事実でございまして、それに関連して、それぞれ統廃合すれば、当然残った土地は何に使うかということもあるわけですね。そうしたことで、未利用地がかなりの面積にわたっておることを伺っておりますが、その面積等が地方と政令都市等の大都市圏とどういうふうな割り振りになっておるのか。  また、これらが、本当に未利用地というのは右から左に簡単に処分しなければならない未利用地なのか。これは、行政的に判断するならば、いろいろ多角的にそういったことを配慮、考慮に入れた上での、地域のコミュニティーセンターとしてその場所を使っていくとか、いろいろなことが工夫されるかと思うのですが、生活行政そのものという意味は、私は、そういった意味合いにおいてこの行政財産の使い方、あるいは簡易郵便局等では借りているところとか、特定郵便局も借りているところ、いろいろあるわけですけれども、これらを含めて総合的な行政財産の運用の方針といいますか、これは官房長にお伺いすればいいのですか。
  105. 尾島勲

    ○尾島説明員 未利用地についての御質問でございますが、まず最初に、政令都市とその他の未利用地の状態はどうなっているかと御質問でございます。  現在、政令都市の中にあるのは全国で八十九件の七万八千平米、その他が二百六十二件の十五万七千平米という状況になっておりまして、合計でいいますと三百五十一件の二十三万五千平米が未利用地になっております。  なお、これらの未利用地につきましては、土地の資産の有効、効率的な利用を図る観点から、可能な限り売り払いを行い、郵政事業経営に資するように努めているところでございます。  なお、売り払い処分に当たっては、まず国及び地方公共団体に対し希望取得の有無を照会しまして、できる限り公共の用に供することとしているところであります。それができない場合には一般競争により売り払うということになっております。
  106. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 部長の答弁は、未利用地、必要のない土地の処分ということを中心にお答えいただいたわけでありますけれども、これからそういう生活行政分野の一翼を担って、国民とともにこの伝統ある逓信事業というか郵政三事業を進めていく上での有効、適切な活用の方法ということに積極的に取り組むべきであろうということでお伺いしているわけであります。そうした観点からいうと、単に行政財産といえども国民のいわば共有の財産でありますから、最も効果的な使い方、使い道ということを考えるべきだと思っております。  そうした中で、逆に言うと、今度は利便性の高い場所についてはこの行政財産がもっと有効に、何倍もの効率的な使い方がやはりいろいろと工夫すれば出てくるであろう。それが現在合築ということで、普通郵便局とそれぞれの公共団体が目的に沿った形で、全国で事例としては三カ所出ているわけですが、これからそうした合築等についてどんどんと進められる考えがあるのかどうか。テナント等でこの行政財産を有効に利用すれば、まだまだ国民の利便性が確保できるんじゃないか。例えば障害者方々が、もっと近いところに郵便局があったらいいななんというようなことで、簡易局がそうしたテナントで入るとかいろいろな、多角的に、一般の国民の財産の利用と相互乗り入れをできるような、そうしたことも工夫してしかるべきではないかなと意見をして、伺っておきたいと思います。部長、いかがでしょうか。
  107. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 郵便局の資産の有効活用ということで、先生から今公共施設との合築の三つの例のお話がございましたけれども、私ども先生方の御支援を受けまして、郵便局の公共施設等との合築というふうなものにつきまして、土地の有効活用を図るというふうな観点、それから今御指摘ありましたところの郵便局ネットワークを有効に利用するというふうな観点から進めてまいったわけでありますけれども、私ども、今後、郵便局舎の建て直しの時期などにおきまして、地方公共団体の要望だとか公共施設等の設備の基準それから利用形態等々総合的に勘案しまして、郵便局の業務に支障の生じない範囲でぜひ進めていきたいというふうに思っておりまして、さらにこれを進めてまいりたいというふうに思っております。
  108. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 ぜひそうした効率的な土地利用、できる限り土地は眠らさない、そしてまた、処分に当たっても慎重な処分をお願いをいたしたいと御要望申し上げておきたいと思います。  テレトピアの問題について伺っておきたいわけでありますが、もう既に全国で百三十カ所の地域指定を行われているわけであります。今情報通信基盤整備の中で、イコールではないが、その一番手っ取り早い具現化でき得る可能性の高いものは、せっかく郵政省が渾身の努力をして、そしてテレトピア構想というものをあの当時お立てになった。そして全国既に百三十カ所でありますから、そうなると、これをマルチメディア世界の中に、単に産業化したということのみではなくて、やはり行政タイプ第三セクターとしてのいろいろな、これからのユニークなこの指定地域の展開の仕方というもの、相談に乗っていただかなければいかぬな、そう思っているわけでありますけれども、現状で、いかがでしょうか、そろそろ、もうテレトピアの成果が上がっている指定地区とまだだめだという、それぞれ地域別には明らかになってきているのではないかな。  私、実は四年半前でありますけれども、当逓信委員会でそのことを御質問申し上げましたら、まだ三年目ぐらいでは出ませんから、ちょっと待ってくださいというような御答弁もあったので、その辺のマルチメディアとの関係、あるいは情報産業基盤の整備との関連の中で、今後テレトピアをどのような方向で御指導なさるのか、その辺を伺いたいと存じます。
  109. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 テレトピア構想につきましては、昭和五十八年に提唱されて以来、今お話しのように現在百三土地域が指定をされているということでございまして、各地域の実情に応じた情報通信システムの導入を図ることによりまして、福祉、医療あるいは教育、文化活動、行政支援といった形で活動をして、地域の振興に成果を上げているというふうに我々は評価をしているということでございます。  ちょうどここで十年たってまいりました。そこで、私どもも一度、テレトピア構想というものの今後の展望をどういうふうに持っていったらいいか、あるいは具体的な施策としてどんなことが必要かというふうなことで、実は有識者の方にお集まりをいただきまして研究会を設けまして、ネオテレトピアというふうな名称で言っておりますが、そういうネオテレトピア構想というふうなものを検討していただきました。  今お話ございましたように、一つは十年間の成果というものを踏まえてということになりますが、もう一つは、マルチメディアというふうな新しい情報技術というふうなものが登場してまいりました。世間の皆様方も大変関心を持っていただいているということでございますので、そういったものも含めて、ひとつ展望を開こうじゃないかということでやらせていただいたということでございます。  その中で二、三申し上げますと、一つは、従来のものが第三セクターを主体として行われてきているということから、まあ言ってみますれば、大都市とかいわゆる都市部での事業が中心になって、どうしても過疎地でありますとか、あるいは周辺地域のいわゆる人口密度が低いというようなところが、採算性がとりにくいというふうなことで提供されにくくなっているということでございます。そこで、こういう情報格差を是正するためには、やはり積極的な国の支援というふうなものも必要だろうということで、公共投資等によりまして補助金を出すというふうな形で、地方公共団体がその事業を推進していただくというふうな形で、てこ入れと言ってはあれですが、そういうふうな形での内容の充実を図っていきたい、こういうのが一つでございます。  それからまた、ただいまお話しのマルチメディア技術というものが大変出てまいりましたので、そういったものを十分に活用いたしまして、これまでのサービスというものをよく見直して効率性を考えるというふうなこと、あるいはサービスの内容を高度化するというふうなことを考えていきたいと思っておりますが、これはあくまでもその実施主体の皆様方の御判断もありますので、特に先導的な、意欲的なところから手初めに、少し内容の高度化というふうなことを図っていきたいというふうに思っております。  それからまた、いろいろ御指導申し上げることも必要がなというふうなことで思っておりますが、その具体的内容といたしましては、やはり広域的連携を図るというふうなことも一つ大事なのかということ。それからまた、テレトピアの地域が、自分の地域だけに閉じこもるのではなくて、そこが他の地域への情報発信基地というふうなことを目指すということも大切な点がなというふうに思っておりまして、ちょうど十年ということでございますので、いろいろ皆さん方からもサジェスチョンをいただきながら、地域の皆さん方のために役に立つようなテレトピアにしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  110. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 今、産業興しに利用するためのテレトピアだったのか、あるいは、マルチメディア時代を展望して将来の生活全般のレベルアップを図っていこう、もう世界的なこの情報産業というものがこれだけ急速に言われてきたことは、ほかの事例としてはないぐらいでありますから、その辺が非常に戸惑いがあるのは事実なんですね、テレトピア指定地区では。  例えば、キャプテンシステムでもって日常生活、この程度までやろうやといったところがほとんど実質的に赤字じゃないかな、これは第三セクターですから赤字になりっこないです。それぞれ加盟している市町村等が、赤字が出そうになればみんな補完するわけですからね。出資、出捐をして、全部補完していくという格好ですから赤字は出ませんけれども、実質、本当の意味で、そのキャプテンシステムによりかかった形でその地域の生活がレベルアップしたかというと必ずしも、なかなか難しい問題がいっぱいある。  一番効率的に成果が上がった地域の事例を伺いますと、大体ケーブルテレビ利用しながらの個々の情報サービス提供をした方がむしろ非常に成果が上がっておる。通信メディアとタイアップをしている地域なんかも成功している事例があって、これを伸ばすんだというような意欲的な第三セクターの事務局の話も現場で聞いております。  そうした意味で、これから積極的に、指定しっ放しということではなくて、局長さんのところで大いにこれは、そうした意味での情報の発信基地、例えば、今、地場産業等の売り込みというのは、ほとんどそういう産地の情報発信が成功したところは売り込みに成功する。私のところには、ニットウエア、繊維産業、火の消えたようになっております。そして、いろいろな指定事業あります。これは通産省もおやりになる、例えば通称活性化法や何か。しかし、やってもやっても、世界の、WTOが今度成りましたけれども、そういう関税措置や産地間競争の中では非常に地場産業というのは弱い立場に置かれている。そうすると、どういうふうな方法がいいか。それはマーケット・イン方式だ。需要を予測し、推測し、それに積極的に売り込むという、情報発信をしていかないとこれからはもうやっていけないのだということをようやくみんな決意を新たにしていく。  いろいろそういったことを具体的に展開できるような、いわばメニューといいますか、ノウハウといいますか、そういったものをどんどんと出していただくように、これはある意味では、言い方がちょっと余りにも卑近な表現になりますけれども郵政省そのものがリーディングカンパニーみたいな役割をやってもらわないとなかなか大変だな。  情報産業というのは、私は、個々のハードの面だけでそれぞれ評価される、あるいは有効に生きてくるというものではないのですね。もう双方向性がそれぞれあって、発信する側と受け取る側、そしてそれが交流されなければ効果が上がらないというようなことで、そういった意味から、産業面では特に留意をしながら、本当の意味でこの情報基盤の整備につながっていくような、例えばケーブルテレビのような場合には、もう光ファイバーによるネットワークということをしっかりと進めていただかなければならぬなというふうに思っているところであります。御要望申し上げて、次に移りたいと思います。  大臣の所信表明の中で、「情報通信基盤整備元年」である、そして「公共分野における高度な情報通信ネットワークの先導的な利活用方法の開発・普及の本格的展開こ云々ということになっているわけであります。具体的には、これはどういった意味でということは大体は私ども想定はいたしているわけでありますが、現場に強い大臣でありますから、恐らくこの法案、出される予定であります通信放送共通して支援する制度の創設、今度法律出ますが、そういったこと以外にも、海外との競争もある面ではしていかなければいけないし、また貢献も寄与もしていかなければいけない。APECの中でもそういった問題が出る、G7の中でもこれからそういったことを御主張なさってくるというその決心のほどを伺いましたけれども、いま一度その辺を確認をしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  111. 大出俊

    ○大出国務大臣 テレトピア問題も私も興味が非常にありまして見ているのですが、これは一遍見直してみなければいかぬなという気が、百三十ございます、ここに資料持っておりますけれども、先ほど答えましたから重ねて申し上げるのは時間の関係がありますから避けますけれども、勉強してみたいと思っております。  今の整備元年、ことしがですね。六百六十億の何とかその無利子融資などを考えて、思い切ってひとつこの二〇〇〇年というところまでに進めたいというふうに本当に思いまして、一生懸命やってみたのですが、結局、財投から、財投特利で四・八五、整理基金から無利子の金を持ってきまして、これは三対一つまり四分の三ですね。四・八五に四分の三を掛けますと三・六四になりますが、二十三兆、基金をつくりまして、ここから利子補給を一・一四すると、そうすると二・五になるという、やっとそこまで持ってきて、内心、実は皆さんにお世話になりましたが、委員長にもすっかりお世話になりましたが、何とかこれはお手伝いができるかな。  そこで、二十三兆ばかり予算獲得に片方で努力をしてこっちを何とかしないと、CATVといってみたって、北海道あるいは三沢で一つあって、山形であって、伊賀の上野であってという、福井がございますから、それもできなくなる。これも随分一生懸命やりましたが、公共事業重点化資金云々という、やっとそこまでいけた。それにふるさと財団、さっきも御質問がありましたが、確かに付加される条件というのが厳しいわけでございますから、何とか三月末までに、違った要素から入っていったのだから、だから付加される条件を緩和してくれと自治大臣にも話していますが、個人的にも。  それをまとめて、さて、二〇〇〇年までに人口カバー率でいくと、どうしてもこれは二〇%まで光ファイバー網を敷いていきたい、そして二〇〇五年というところで六〇%、二〇一〇年で一〇〇%という目標ですから、これはどうしてもやりたいということで、こうなると今度は、公共事業を中心にそれはアプリケーションから入っていって、ネットワークはつくったのだが、さっきもお話がありましたが、これは使い勝手がいい、社会が受け入れる、御家庭が受け入れなければ成り立たないわけですから、そこまで国内的に考えて、さて、NTT初め十年間規制緩和をやってきて競争原理を導入してきているわけですから、ここで国際的にGIIというものを受けて、どういうメッセージを我が国はGII構想に対して持ち込むかという、三つぐらいあるのですが、規制緩和というところから入ります。そして、通信格差、つまり基盤整備における国際間の大きな格差があるわけですから、これを何とか埋めていかなければこれは成り立たない。  そして三番目は、つまり社会が、各御家庭がどう受け取るかという意味アプリケーションですね、使い勝手のいいものをできるだけ持っていかなければ、けいはんなでやっているビデオ・オン・ディマンドなんかでも、六つも押さなければ映画が出てこないのじゃ、これはちょっとやはりぐあいが悪い。せいぜい三つぐらいで考えられる映画が出てくるというぐらいにしたいなという気がしているのですけれども、一例を挙げれば。  そこらを、これから国内、国際を含めてどれだけやれるかわかりませんが、短い時間ですが懸命にやってみたい、こんなふうに思っております。
  112. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 G7ではぜひ提案、そしてまた成功するように御尽力を心からお祈りをいたしたいと思います。  「創造的なソフト制作環境整備するためこ云々というような御提案もございました。私も賛成であります。問題は、この予算化の方向で非常に急がなければならないという大臣の今お話でしたけれども、私もそう思うのです。光ファイバーの普及のためにそれぞれ予算化を図っていく、あるいは債務保証をしていく、この額で果たして予定どおりこれから後十五年の間にできるのかいなというような不安、私は持っていないと言えばうそになるので、ちょっとなという感じがいたしております。  これは、大蔵との兼ね合いが当然あると思うのですが、これはもう国家財政として、国家的な産業のストレスをどういうふうにやっていくかということを考えるならば、まず、やはりこれは予算の獲得だと思うのですが、そうした意味では、国家政策としての、私は、評価がマルチメディア産業に対して低いのではないか。単に雇用の創出であるとか、私も昨年、大臣の代理ということでOECD会議に出させていただきましたが、非常に代理で恥ずかしい思いしないわけではなかったのですけれども雇用と新しい成長は、もう光ファイバーには新しいスーパーハイウエーでやっていこうとブラウン長官もそんなお話をされておりました。  そうであるならば、日本が文字どおり世界最大と言ってもいいだけの経済成長を遂げ、経済大国と言われる中で、この二〇%の普及率まで持っていくのが精いっぱいだろうと思いますけれども、これは雇用の創出が二百四十三万人あるいは合わせて百二十三兆円、これはふえる分五十六兆円ということでありますけれども、私は、これだけの評価、実は低いだろうと思うのです。算定の方式はあるだろうと思いますが、インセンティブがどれぐらいあるかということを、これは全然見ていない。  すべての企業が、すべての国民生活が、生活面でも企業活動面でも、すべてこのマルチメディアの恩恵を受けることになったその行政効果、あるいは間接的な経済効果というものをやはりきちんと主張することによって、財布のかたい、財源が不足だ不足だと言いながらも、それこそ見通しがあるものについては赤字国債を出したってきちんと財政措置すべきである。そのことがやがて循環してまた国家財政に寄与するわけです。私は、そういった意味で、ちょっと予算が少な過ぎるということをあえて申し上げたい。  新進党の中でもいろいろと論議がされております。やはりこの予算でできるのかどうかということについては、私は疑問であるということを申し上げているわけであります。どうかこれからそういう面での、現場を知っておられる、すべてを熟知されておられる大臣の大なたを振るっていただきたい。よろしくお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  113. 大出俊

    ○大出国務大臣 金子さん、実は、元年という言葉の使い方をしたのですけれども、これも審議会その他随分苦心していただいて数字をつけているわけです。非常に意欲的なのです。この元年という使い方をして、つまり、西暦二〇〇〇年までにマルチメディア市場という意味で五十九兆という積算をして公にしたわけです。そして、雇用の創出百九十九万人、これも天下に公にしたわけです。そして、いろいろな分野での総費用の節減というのを七千九百億見ているわけです。そして、財政負担の軽減という意味で四千三百億見ているわけです。これは数字ですから、いいかげんに、出しましたがやめましたとはいかないのです、これは。  今現実には、私のところにおいでになる皆さんは、県知事さんや市長さんや町村長さんあるいは町の団体、医療団体、全部もう具体的な話なのですよ。我が県は五年間やってきましたが、ことし、つまり七年から遠隔医療診断を始めますという形なのです。県の医師会長さんが中心で、立派な病院をつくって、専門医をそろえました。だから、医療過疎の地域で病人が出たら、すぐここでいろいろな写真が振れますから、それを送ってくると診断をして、伝送したものを返して、こういう病人ですがここに行ってくれという形にするという、具体的な話ですよ、知事さんも一緒に来られて。これ一つ成功しますと、ほかにもやりたいと思って準備しているところがたくさんありますから、一つ成功すると進むということに間違いなくなる。  CATVなんというのは今、釜石でやっておる私の友人が社長だからですけれども、お年寄りの皆さんのところ、高齢者の皆さんのところに、まず脈拍が入ってきて、血圧が入ってきて、心電図が入ってくるわけですよ、CATVで。ちょっと三千円で高いのですけれども。これは借入金が倍あったものですから、赤字になっていたのが、市がかんでくれて、病院を真ん中にしてようやく今どんとんですよ。百四十あるCATVの会社のうちで十の会社が累積黒字、単年度黒字にやっとなってきたわけです。  ただしかし、それでも百六十三万世帯しか日本は入っていない、全世帯の都市型テレビは四・七%。アメリカは昨年十一月で五千九百三十三万世帯、六三%の世帯が入っているのです。カナダヘ行くと七割、七〇%。これから行きますベルギーなんというのは九割CATVですね。だから、外国からTCIだとかあるいはUSウエストだとかテイネックスだとか、やたら入ってきてというのは感心しないので、やはり主導権を持って我が国でやるという、おくれているわけじゃないのだから、その気になっていただくように、けさも企業の皆さんにお目にかかっていろいろお話ししたのですが、やり方は幾らでもあるので、精いっぱいやる、方向づけをしたい、こんなふうに思っています。やってみます。
  114. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 大変力強いお話をちょうだいいたしました。御答弁というよりは一つ大臣の哲学を伺って、大変うれしく思います。  ところで、間もなく出されます法案の、先ほど同僚議員からもやりとりがあった中で、ふるさと財団の話が出ました。ちょっと細かいことで恐縮ですが、ふるさと財団のメニューの内容は今進められておるところですけれども、一般的には無利子で入るわけですが、そこの中には必ず地方の公共団体が入っておって、そして、その半分はその地方の公共団体が、地公体が負担になっている。実際はそこのうちの七〇%ですか、これは交付税で見るということです。きょうは特に自治省の方の答弁を求めていなかったものですから今までの折衝経過だけで結構ですが、そうは簡単に地方自治でもOKできないのですね、これは。大変ですよ。  例えば、借入上限額を今度なるたけ伸ばしたいという御努力をされておりますが、これは大体どれくらいにされる予定なのか。中には民間雇用を少しでも会計したいと。五人ぐらいはこの金を借りてやれば、これは宿泊施設兼研修施設をつくりたいというような私の選挙区内の事例ですが、五人ところじゃなくて二十人ぐらいは新しく雇用を創出できるがと。しかし、なかなか地元の公共団体が貸してくれない、市長さん、うんと言ってくれないというような悩みを聞くのですね。  よく聞いてみると、やはりあとの、七五%まででしたか、ちょっと数字が間違っていたらお許しをちょうだいしたいのですが、二五%は丸々その市の一般財源から負担をしていかなければいけない。では、二五%分をお前さん寄附しろよと私言ったことがあるのですよ、ひどい話ですが、こんなことを勧めてはいけないのですが、そこまでやはり真剣に、今地方財政というものは逼迫しておるので、これはもっと借りやすい方策の折衝を自治省と強くやっていただきたいなと思っていますが、もし折衝の経過である程度方向が出たものがございましたら教えていただきたいと思います。
  115. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 ふるさと財団の活用によります無利子融資というのは、今先生お話のありましたとおり地方公共団体の負担というのがございます。国の交付税による七五%の支援ということがあります。そういう意味で、私ども今三月末を期限といたしまして、自治省あるいは大蔵省、関係するところと話を詰めているという内容につきましては、先ほど先生お話のありました雇用の問題が一つあります。雇用を創出することというのがあります。それから限度額として、都道府県、政令都市、これにつきましては一プロジェクトにつきまして二十四億まで、それから市町村は六億円、こういうことがあります。もちろん過疎地における例外措置というのはございますが、そういったことがございます。  そういう意味で、私ども、まずは雇用の問題が一つ。これを要件を廃止してもらえないかということが一つあります。それから、この上限という限度額につきましてももっと緩和してもらえないか。それから、事業費につきましても、融資の上限率が通常の場合は事業費の二〇%でございます、過疎地域は事業費の二五%まで、これを緩和してもらいたいというようなことで今話を進めているところでございます。話が具体的に先生に御報告申し上げるような状況にまだなっておりません。  それからもう一つ地方公共団体の負担があるというのは、ある意味でいいますと、この財団を活用するに当たって難しい問題の一つではございます。ただ、昨今の動きを見ておりますと、例えば地域・生活情報通信基盤高度化事業のように、地方公共団体がみずから自分で一定の国の支援を受けて、例えば光ファイバーを引いた、CATVを引きたいとか、随分そういう動きがありまして、そういう意味では、確かに一〇〇%丸々国が出すか何かの仕組みになればよろしいのでございますが、だんだん地方の動きも活発になって、それなりにこのふるさと財団というのは有効な手段になるのではないかというふうに考えております。
  116. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 今、五十嵐局長からの御答弁がありましたので、納得はいたしました。  ということは、今お話しになったのは、地方公共団体が主体性を持ってやる場合には積極的にみんな出てくるのです。私が心配しているのは、第三セクター以外の一般のこのマルチメディアに参入していきたいという企業が地方でもあるのですよ、やろうと。これらがふるさと財団のものを使いたいなんというときに実は公共団体とトラブルを起こすということですので、どうかその辺を十二分に自治省との間の調整を、基準財政需要額の中にむしろすとんと入れていただくような方法の方が安心してやれるんじゃないかなということで申し上げました。ありがとうございました。  マルチメディアの問題については、それぞれハードの面やあるいはまた具体的なアプリケーションの問題や、すべてクリアしながら着実に進んでいるわけでありますが、日本とアメリカの技術格差というか、物事のとらえ方というものが、私は、まだまだ差があって、残念ながら、ちょっとソフトの面を含めて、もちろん、膨大な投資をやっているアメリカとの差というものはそんなに簡単に埋まらないと思いますけれども、かなりあるなという印象を受けているところであります。昨年八月当委員会で同行させていただいて、見れば見るほどということなんですが、ヨーロッパの方は、これは追いつけるなという感じをしないわけではなかったわけなんです。  そこで、どの部分に一番おくれを感じておられるかですね。やはりソフトの分だろうと思うのですが、これは同僚議員からの質問でも何度か出ておりますけれども、もう一度、その辺に力点を置いた形で新しい今度の予算関連二法案が出ておりますので、その辺の判断の材料にも私どもしていきたいということでありますから、もしそうしたことでの御答弁があれば、お願いをいたします。
  117. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 欧米、特にアメリカとの比較というふうなことで考えてみますと、いわゆるネットワーク、ハードの面につきましてはそんなに日本がおくれているということはないというふうなことでございますが、今御指摘のソフトのアプリケーションという分野で見ますと、数字の面で見ましても、ちょっと格差を認めざるを得ないというふうな状況でございます。  例えば、CD-ROMのタイトル数、いわゆるCD-ROMの作品の数というふうなことで比べてみますと、大体アメリカは四倍ぐらいでございますし、それからまた、データベースの市場の売り上げ規模というふうなもので見ますと六倍ぐらいの格差があるというふうなことでございます。それから、よく言われますパソコンの普及率は大体三分の一程度ということでございますので、こういう数字から見ますとやはり差があるというふうなことだろうと思います。  そこで、私どもとしては、やはりこれからマルチメディア社会というふうなものを構築していく際には、ネットワークとそれからアプリケーションの一体的整備ということが非常に大事だということでございますので、かなりこのアプリケーションの分野に力を入れていく必要があるというふうに思っております。  今回法案をお願いしておりますのも、実はそういったソフトの制作者というものが日本ではまだ十分に育っていない、それからまた育てるような環境にもなっていない。と申しますのは、大変この信用力、これは言ってみますと頭の中に対して信用する、その能力を信用するということになりますから、物的担保ではなくてそういったものに対する信用というふうなことになりますからなかなか融資が受けにくいとか、あるいは最先端の機械を使っていかなければソフトの開発ができないというふうなこと、しかもそれが非常に速いスピードで陳腐化していくというふうなことで大変金がかかる。そういうふうな状況がございますので、何とかその立ち上がりだけはそういった部分について政府でカバーをするというふうなことにして、何とかそういうマルチメディアのソフトの制作者たちが軌道に乗るようにしたいということで、今回、特に放送分野というところに焦点を絞ってひとつ成果を上げてみたい、こういうことで法案等でお願いしているところでございますので、またひとつよろしくお願いしたいと存じます。
  118. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 今、山口局長がおっしゃられるとおりだと思うのですね。これは、立ち上がりがおくれたらあと取り返しがつかなくなる可能性がある。先ほど大臣からもちょっと力強いお話がありましたが、アメリカのTCIなり、あるいはソフ十分野ということで、ベル・アトランティックやユニバーサルサービスというようなことで、そういったことがどっと自由化の名のもとに日本に来た場合に、今の状況で果たして日本のNTTが太刀打ちできるのかどうかということがあると思うのですよ。  ですから、もう規制緩和とか行政合理化というようなことを格好よく幾ら言っても、大蔵大臣からよく本会議場で聞くのですが、しかし私はそんな簡単なものではない。これはよほどふんどし締めて、下品な言葉取り消します。緊褌一番というふうに申し上げさせていただきたいのですが、日本の経済というものは本当に空洞化していっちゃう。円、マルクの独歩高、双子でやっているから今のうちはいいとして、やがて物づくりが日本でできなくなる。そのときに残っていくのがこの光ファイバーであり新しい情報産業基盤の整備でありますから、これはそうした意味において、やはり通信政策の中でしっかりと今のこの入り口のアプリケーション部分、もう力点を置いて公共の重点化事業、これをやはり一丸になって進めていただきたい。  私も、わずか二カ月間通産政務次官やらさせてもらいましたから、通産とのすり合わせの問題になりますと、どうもここまでで突っかかるところあるんですけれども、やはり、郵政が一つ情報産業の基盤をつくってもらわなければもうどうしようもないわけですから、くれぐれも強く御要望を申し上げておきたいと存じます。  先に進まさせてもらいますが、実は、依然として放送通信分野で難視聴対策が必要なところが残っております。例えば移動通信電話の分野でも、皆さん方も御経験あると思うのですが、ちょっと山に入るとエリア外。自動車電話であれ、本当に重要な話をしているときにぽーんとなったりする。ところが私どもの方は過疎地で、一生懸命選挙区をお国がえで歩かなきゃなんないものですから、こんな生々しい話をしてまずいんですが、そうするともうエリア外になってしまう。  それじゃこれどうすればいいんだということで、そうしたら、すばらしい計画を今進めておられる。それぞれ難視聴地域については鉄塔を建てて受信中間基地をつくって対応していくということは、まことに私はいいと思うのです。移動通信用鉄塔施設整備事業ですか。ただこれは、何でもかんでも私は国に措置しなさいなんということは言っておりません。三分の一の国の補助があるということ、あるいは、先ほどお話がありました高速道路等のトンネル施設等では四分の一、公益法人が四分の三ということでありますけれども、これらは、呼び水的な形の補助事業は残しておくべきだろうというふうに私は思います。  それと、もっと通信関係についてもNTTなりあるいは第二電電以下それぞれ御指導いただいて、あるいは放送分野、これもひどいものですよ。テレビが何とかケーブルテレビでもってやったら、今度はラジオが聞こえない。そのたびに、我々国会議員何でそこまで、国政よりもそっちの地方対策やらなきゃいけない。これは大変なことです。これは決して野党になったからこんなことを言っているんじゃなくて、これはみんな同じ悩みを持っているから、うちのところはもうさっぱり見えない、いつ直してくれるんだ、あるいは聞こえない、どうしてくれるんだという話がやはりあるんですね。  そうした意味で、これからそういう具体的な面での進め方、この予算化を手抜きしないようにしていただきたい。特に中山間地域のエリア外の対策は、何とかこれは、もしそういった具体的な今進めておられることがございましたら、お願いしたいと思います。
  119. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 私の方から自動車・携帯電話、これの関係につきましてまずお答えをさせていただきたいというふうに思います。  まず現在の状況を申し上げさせていただきますと、携帯電話の、あるいは自動車電話も一緒でございますが、その人口のカバー率は約九五%になっております。面積のカバー率というのは概算ですが六五%と。ここの三五%のところが問題だということではなかろうかというふうに思っております。かねがね、そういう意味での利用者の皆さん方からの声がありまして、平成三年から電気通信格差是正事業という中で、鉄塔を公的な支援で建てながら、これを解消していくという施策に入ってまいっております。  とりわけ携帯電話、移動通信電話ということで考えてまいりますと、今三百五十万台弱になりましたが、これが伸びてきたのが急速に近年でございます。そういう意味でもますますそのカバー率が高くないと、使っている方々にとっては大変不便、こういうことではなかろうかと思います。  でありますが、基本的には民間会社がやっておりますものですから、コマーシャルベースというのが先に立つという側面がどうしてもございます。そういう意味では、公的な支援というのが必要だということで、先ほども申し上げました、平成三年度から過疎地、離島等に対します移動通信用の中継施設、これを補助事業としてつくっていくということを始めております。平成五年度からは地下街につきましても同じような形で始める。さらに平成六年度からは高速道路や主要国道のトンネル、これにつきましてもそういうことで補助事業として始めております。これまでに、平成六年度末現在で、全国三十一の都道府県で六十の施設整備してまいりました。  今回災害等々も絡みまして考えましても、この移動体用の鉄塔施設というのは非常に重要なものだというふうに考えておりまして、この施策をさらに積極的に私どもとしては進めてまいりたいというふうに考えております。
  120. 江川晃正

    江川政府委員 難視聴解消のことについて、ちょっと御説明させていただきたいと存じます。  郵政省は、もちろん、難視聴解消という施策を通じまして情報格差の是正を図って、もって国民生活の豊かな実現を図るということを大目標にしているわけでございます。  具体的に難視聴を解消する手法は何かといいますと、二つございまして、一つは、先生御案内のように、衛星、空から波を降らせるという仕組みが一つと、もう一つは、地上の放送で届かないところに中継局を建てていって、それで見せるようにする、この二つがございます。  最初の空の方は、NHKが中心でやっておりまして、今衛星第一、第二というふうにやっている第一の方でやっているわけでございますが、降らせているわけです。ところが、そうしますと、必ずこれを受ける、いわゆるおわん、小さなパラボナアンテナ、それが必要になってまいります。郵政省施策としては、それをつけるための補助金を出してあげようということで、助成でございますが、助成するという形で進めております。  それから、民間放送で、民放が一波も見えない地域というのがやはりあるわけでございます。そういうところには、今申しました、これは地上波でございますが、中継局を設置するための補助をしていこうというようなことなどなど、いろいろございますが、そういうことをやっています。  私十年くらい前に、ちょっとこれ数字が間違っているかもしれませんが、十年前くらいに同じような仕事をやったときに、約八十万というふうに言われた記憶がございます。今それがどうなっているかといいますと、NHKの関係では五万くらいになっています。見えない地域が五万。それから民放の方では十一万くらいだというところまで、追いついてきたと申しましょうか、見えるようになったという状態でございます。
  121. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 労を多として次へ移りますが、この放送通信分野で、身体障害者に対する具体的な対策というか、人は必ず一度は身体障害者になると私は信じております。超高齢化社会を迎えておりますけれども、亡くなる前には必ずどこか障害が出る。あるいは新しく生まれてくる、少子社会になりましても、生まれてくる赤ちゃんの何らかの障害があるのが、これはある医学誌からとった数字ですけれども、〇・七%くらいあるということになれば、少子社会になればなるほど、その対応、対策ということをしっかりとこの電気通信分野でもお願いをしなきやいかぬだろう、放送通信分野でもお願いをしなきゃいけないな、これが本当の意味でぬくもりのある、あまねく公平にいく施策じゃないかなというような感じがいたします。  そこで、現状、私も通告、お願いをしてありましたのですが、電気通信分野の規制緩和云々はこれは後でゆっくり聞かせていただくことにしまして、今の身体障害者対策ですね、どのようなことで進んでいるのか。午前中の同僚議員の御質問の中にお答えが一部ありましたけれども、例えばブラインドの方々、目の御不自由な、見えない方々に対しては耳から聞かせるいろいろな方策がないものか、うっすらと見えることについてどういうふうに何か手助けしてあげられるか。それから、完全に耳が聞こえない方に何か副音声か何かの方式でもって同じ恩恵を享受してもらえないかとか、いろいろと考えるわけであります。そうした意味で、今取り組んでおられる。  それから、通信。これは放送関係ではそうなりますけれども通信の方になりますと今度は逆に、脳性麻痺の方々車いす方々、口がきけない方々、これはNTTで前にこういう手帳、名前と血液型、病院名、みんな書いて、その中に十円玉コインがずっと入って、どこどこに電話してくださいと書いてあるのですね。その手帳、黄色っぽい、オレンジブックですか、あれは恐らく郵政省で御指導、御相談なさったのだろうと思いますけれども、ああいったちょっとした措置が物すごい勇気を与えて、社会復帰もいいぐあいにいく、スムーズにいくということでありますから、これらについて何かお考えがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。
  122. 江川晃正

    江川政府委員 障害者向けに対する、放送が取り組んでいる実情をちょっと御報告させていただきたいと思います。  目の見えない方に対しては、字幕を出すというのが一番でございまして、いわゆる字幕放送と言っております。これを定時番組、決まった番組で必ずやるという話とか、特別なときに流すとか、いろいろございますが――失礼しました。耳の聞こえない方に対する、身体障害者の耳の聞こえない方に対する字幕でございます。大変失礼いたしました。それぞれ字幕、テロップでやるということをやっておりまして、全体的に申しますと、民放が全部で百二十社くらいあるのですけれども、まだやっている数は十数社というところで、大変少のうございますのですが、いろいろなことをやっているところでございます。失礼しました。
  123. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 電気通信関係について、幾つかの具体的なとっております施策を申し上げさせていただきますと、例えば料金面で見てまいりますと、身体障害者の方に対して加入電話の施設負担金、こういったものについての分割払いを行うとか、あるいは福祉電話機器というのがございまして、例えば音声が大きくなって耳のちょっと不自由な方でも聞こえる「めいりょう」とか、それから耳の不自由な方でもフラッシュのようにぱっぱっと光を出してやる、そういう福祉機器等があったりいたしますが、そういうものについて月額使用料、工事費、こういうものを減額する、あるいは番号案内につきましても、一定の視覚障害のある方についてはこれを免除するとか、そういう施策を行っているところでございます。  そのほか、いわゆる車いすに乗った方、これは公衆電話ボックスをそういう方に適したものとして設置していくとか、それからさらに福祉機器の開発というようなことについてもやっているところでございます。  それぞれ電気通信の事業というのは民間会社がやっているところでありますが、利用者の皆さん方の容認される内容というか容認される範囲という意味では、こういう福祉についての範囲というのは受け入れられるというふうに思っておりまして、今後ともこういう施策を進めてまいりたいというふうに思っております。
  124. 金子徳之介

    ○金子(徳)委員 本当に多岐にわたって各部局からの御丁寧な御答弁いただきましてありがとうございました。また、大臣の力強い言葉をちょうだいしました。  時間が参りましたので終わりますが、最後に一言、特にお願いしておきたいのは、高度情報化社会になりますと、やはり日の当たる部分と同時に影の部分が出てまいります。これは御承知のとおり、最近とみにそういったことを言われますが、通信関係とかあるいはいろいろな面でのセキュリティーの問題がある。これは広い意味で私は申し上げているわけですから、そのセキュリティーの問題についても、これは影の部分として出てまいりますから、並行して、どうかこれからの高度情報化社会、特に産業基盤の整備に当たってはその分も含めて御研究を、官でなければできない研究体制というのもございますので、特に御要望申し上げ、また、予算委員会中、大臣大変ありがとうございました。心から御礼を申し上げ、終わります。ありがとうございました。
  125. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、遠藤乙彦君。
  126. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 大臣の所信に対する質疑を進めさせていただきます。  私もマルチメディア社会の推進というところから入りたいと思いますが、これは既に同僚議員から種々御要望意見がありましたけれども、私も、このマルチメディア社会の推進という問題は、単にもうバラ色の未来予想図を語るという段階ではなくて、むしろ大変急激に進展する現実であり、差し迫った国家的課題であるという認識を持っております。特に二十一世紀に向けての経済活性化の最大のポイントであろうと理解をしております。そして、もし我が国がこのマルチメディア社会推進におくれをとるのであれば、逆に二十一世紀に向けて我が国の経済力の衰退が非常に危惧されるということではないかと思っております。そういった意味で、さらなる力を入れて情報社会化推進に取り組んでいただきたいというのが、私のまず申し上げたい点でございます。  特に、我が国戦後五十周年を迎えておりますけれども、これは単に区切りがいいということだけではなくて、いろいろな意味で戦後のシステムが大きな転換点に来ているということだと思います。特に過般のバブル経済の崩壊、そしてつい最近の阪神・淡路大震災は、我が国の社会のあり方に対して大きな警告であろうと思っておりまして、どうこれを、教訓を生かして二十一世紀に向けた活性化を図るかということが大事であると思います。  特に経済面で見ますと、既にるる同僚議員からも指摘がありますように、大変重要な岐路に立っておりまして、特に在来型産業においては、アジア諸国に急速な追い上げがあり、また空洞化進展をしておりまして、我が国もこういった競争力を失いつつある。他方、いわゆる先端産業マルチメディア産業等においては米国に大きく水をあけられつつありまして、下手をすると我が国も急速な経済力の衰退が予想される。  具体的には、こういった経済力の衰退がいろいろな形で問題が出てきます。特に三つぐらい破局のシナリオがあり得るかと思います。あえて破局という言葉を使いますけれども一つは失業問題、雇用問題ですね、これが非常に深刻な課題として出てくるだろうと私は思っております。  それからもう一つは、金融システムの危機。今でも大変膨大な不良債権を抱えておりますけれども、このままさらに経済が停滞をしていくと、本格的に金融危機が出てくるのではないかという気がいたします。  さらに三つ目には、もう少し時間はかかるかもしれないけれども、社会保障システムの危機ということがあるかもしれません。特に、人類史上初めてのと言えるほどの前例のないような高齢化社会を迎えつつありますし、二〇二〇年ごろは、よく指摘されますように、年金でも今の八倍、医療費でも四倍かかるということでございまして、今のような日本の経済が停滞していったら、果たして社会保障システムがもつかといった問題があるわけでございまして、こういった問題、危機を回避するためにもこのマルチメディア社会を推進して、特に新規産業ですね、育成するということは国家的な緊要な課題であるというふうに私は感じておる次第でございます。  そういった観点から、まずお聞きしたいわけでございますが、このマルチメディア社会化ということについては、悲観論、楽観論それぞれございます。特に、この十年ほど前にニューメディアブームがありまして、その当時は結局空騒ぎに終わってしまったという状況があるわけでございまして、同じようなことにまたなるんではないかといった悲観論もあります。また、このマルチメディア化によっていわゆるホワイトカラーの雇用機会が失われていくんではないかといったことも言われておりまして、こういった悲観論も強くあるわけでございますが、こういった悲観論、慎重論に対する見解を含めまして、マルチメディア社会の全体像に対する大臣の御見解をまずお聞きしたいと思います。
  127. 大出俊

    ○大出国務大臣 私がしゃべり過ぎちゃいけないんだろうと思って気をつけてはいるんですが、おくれている、おくれている、おくれているという局長さんを初め皆さんのそういう認識で、見方によるんですよ、これは。表街道は華やかにアメリカだ、しかし、中身を見ると日本の部品でみんなやっているということだってあり得るんですよ。液晶ディスプレーなんというのは、これはシャープが四〇%、世界の四〇%ですよ。セラミックスなんというのは、京セラが世界の七〇%ですよ。  そういう意味では何もちっともおくれているわけじゃないんで、何が一体おくれているか。一生懸命私も物を読んだり人に聞いたりしてみたんですけれども、アメリカと比較して、さっき申し上げましたけれども、物すごいCATV、有線テレビの普及率ですよ。さっき申し上げましたが、五千九百三十三万世帯というのは昨年の十一月の数字、六三%の世帯がCATVに加入しちゃっているという現実ですね。日本はわずかに全世帯の四・七%しか入っていない。百六十三万世帯しかない。向こうは五千九百三十三万世帯だという、こんな違いですね。  今三百四十八社と言われるアメリカのいろいろな企業が、既成のコンピューター会社を真ん中にしてますけれども、企業提携、企業提携、片っ端から企業提携ですね。なぜかと、これは。パソコンの話がさっき出ましたが、台数にすると自動車をはるかに追い越しちゃって、千六百万台ですよ、昨年一年の年間の売り上げが、アメリカは。  これは、確かに今の二つは、しかし、私は別にそのことについて驚くことはないと思っていまして、おっしゃるとおり、その十一年前にINSという時代ですよ、既に実験をやってきた。三十年前に光ファイバーというものは西沢潤一さんが、今東北大学の学長におなりに、先生の御出身ですが、発明されている。だから、私はこれからの行政の面、民間の皆さんの頑張りでやっていけば、これはもう十分太刀打ちができるというふうに私は思っているんですよ。  だから、みんなで自信を持って百二十三兆円の新しい需要の創出をと。トヨタ自動車が年商売り上げ七兆ぐらいですが、NTTが六兆ちょっと欠けるぐらいですけれども、このくらいの企業がこの十年から十五年の間に十ぐらいできなければ百二十三兆にならないわけですから、みんなで思い切ってそっちに向かって進まなければならない今入り口にある。そして二百四十三万の雇用の創出という、これも、そこまでいこうとすればできるという、そういうことの入り口の前提条件になるのは国際的な協力なんだ三から、そういう意味で、位置づけとしてはブラッセルのG7閣僚会議というのは大事な位置づけがあるというふうに思っているということで、一生懸命やってみようというふうに思っているんで、私は余りおくれている、おくれているというだけをとらえないで、これからひとつ総力を挙げて我が国は進むんだということにしたいと思っているんですが。
  128. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 大臣の大変力強い決意を伺って心強い限りに思っておりますけれども、確かに電気通信審議会の答申、私は非常によくできていると思いますし、細部では異論はありますけれども基本的にはほぼこれでコンセンサスができつつあるんではないかと思っております。問題は、今後どうやって実施をしていくのか、あるいは実施のスピード、これが非常に大切だと思っておりまして、その点、特にこれから一生懸命な取り組みをお願いをしたいと思っております。具体的には、この答申を受けまして、この答申に沿った形で郵政省情報通信基盤整備に取り組んでおられるわけでございますし、また、その他関連官庁を初めとしまして取り組んでおられると理解をしております。  ただ問題は、こういった各省間の縄張り争いとか、あるいは規制緩和に関して、総論賛成、各論反対、こういったことでせっかくのいい計画もなかなか進まない、これが最も今後の問題ではないかと思うわけでございまして、そういった点で、このマルチメディアというのはいろいろな省庁に関連をする問題でございますので、郵政省としての推進計画あるいは関係省庁との連携体制についてお伺いをしたいと思います。
  129. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 お話しのように、高度情報通信社会というものを実現していくためには、まず民間の皆さん方にその気になっていただくということが、まず民間主導型ということが大変大事な点だと思っておりまして、民間の皆さん方に働きかけを積極的にする。そういう意味では、目標を明確に定めるというふうな形で、皆さん方をそちらの方に関心を持っていただくように持っていきたいというふうに思っておりますが、今お話しの関係省庁との関係というのも大変大事な点でございます。  これは、一つは、先ほどからもお話が出ておりますけれども、いろいろな制度、諸制度とか慣行とかというものがこういう高度情報通信社会に必ずしも合ったものになっていない、そういう点について、やはり見直しをしていただくというふうな形での環境整備ということが大変大事でございます。  それからもう一点は、各省におかれましては、いわゆるその利用分野を所管しておられるという意味では、ユーザーという意味で大変深いかかわりがあるということでございます。私ども、今回この元年ということで施策を展開しておりますけれども、厚生省とか文部省の皆さん方にもいろいろお話しをし、そして今回公共投資の予算も確保していただきましたけれども、そういったものを執行していく段階でも、お互いに知恵を出し、協力し合いながら進めていこうということで、現在もいろいろお話しをさせていただいているというふうなことでございます。  それから、推進本部も内閣にできておりますので、これも政府が一体として進めるという体制になっておりますので、こういった場も十分に私どもとしては生かしてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  130. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 特に高度情報通信社会推進本部をベースに進めていると理解をしております。また、この本部は既に昨年八月に設置をされておりますけれども、その活動内容、若干理解はしておりますが、どうも余り活発じゃないんじゃないか。本来期待されているようなダイナミックなそういう役割を果たしているのかという疑念を若干有するわけでございまして、こういった幅広いマルチメディア社会の問題については、縦割りのそういったやり方ではなくて、今般、大震災の件で危機管理能力の欠如が指摘をされましたが、やはりボトムアップではなくて、上から政治的リーダーシップを発揮して、明確な課題を整理し、それからスケジュールを設定してどんどん、本部長ですね総理、あるいは大臣も副本部長をやられているわけですから、どんどんリーダーシップをとるべきではないかと思っておりますけれども大臣、副本部長という立場から、この本部の役割及び活動について、どういう考えを有しておられますか、お聞きしたいと思います。
  131. 大出俊

    ○大出国務大臣 この点は、前内閣のときに既に構想としてありまして、つくるべきかつくるべきでないかといういろいろな議論がいろいろな方面でございました。私はこのときから、やはり一番、二回目に御質問いただいた各省の関係がありまして、まあほかの国に行っても、いきなり、大臣、どこの省との関係はどうですかと相手の大臣が聞くような状況でもありまして、だから、やはり内閣として推進本部をきちっとつくって、有識者の方を集めてたくさんの意見を出していただいて、どっちの省がどうこうということはありますけれども、所管ははっきりしているのですから、そういう意味で、これは進めていく推進力にしなければうそだという気になって、これができた。  私、副本部長を仰せつかっておりますけれども、何もやってないようじゃないかと。いや、もう何回か有識者の方々にお集まりをいただき、私ども出られない、専門家の方々だけでやっている場面も四回も五回もあるのですけれども、やっていただいてまいりまして、これは私が言ってしまってはまずいかもしれませんが、山口局長の所管なんだけれども基本方針ですね、基本的な考え方ですね、これは二十一日になるのですからね、明らかになるわけでございますけれども、ここから、ところが私、うっかりしゃべり過ぎますから、彼に少し答えていただこうと思いますけれども、ちょっと聞いてください。
  132. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 実は、今お話しのように、十二月に有識者の皆様方の御意見を取りまとめたものを発表させていただきました。この二月二十五日、二十六日にブリュッセルでGIIのG7会議があるということでございますので、ここでやはり、政府全体として意識統一をしたものを基本方針としてお示しをする必要があるのではないかということで、現在その作業をさせていただいているということでございます。  今お話しのように、またこれは現在策定作業をしているという段階でございますので、細かい点につきましてはまだ定まっておりませんが、この中ではやはり、高度情報通信社会の意義であるとかインフラ整備の必要性、それから、どういうふうな点に留意をして政府は行動していくのかというその行動の原則というふうなこと、あるいは官民のそれぞれの役割、それからそれぞれの行政分野での取り組みというふうなことを、なるべくわかりやすい形で皆様方にお示しするようにということで、今作業をさせていただいているというふうなことでございます。
  133. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、この本部の活動に期待をするといたしまして、ぜひ強力なリーダーシップを発揮していただきたいということを要望しておきます。  そこで、さらに議論を進めたいと思いますが、特に新規産業の育成という点に関連しますと、いろいろな要素があります。光ファイバーを初めとする情報基盤の整備、それから技術開発、あるいは大胆な規制緩和、あるいはベンチャーの育成、あるいは国民全般のコンピューターリテラシーの向上、こういったようなさまざまな要素を総合的に、同時並行的にやるべきだと思いますけれども、特に私は、このベンチャー企業の役割が大変重要だと思っております。いろいろいな環境政府整備しましても、それを本当に生かして実際の雇用を生み、実際の製品を生み出すのは、これはやはりベンチャーでございますから。アメリカの場合には、言うまでもなく、マイクロソフト社のビル・ゲーツを例に出すまでもなく、さまざまなベンチャーが今や大企業としてアメリカ経済の活性化を引っ張っているわけですから、ぜひ日本も、そのような状況を早くつくるべきだと思っております。  そこで、このベンチャーにつきましてお聞きしたのですけれどもマルチメディア社会の構築に不可欠なこういった、産業界の情報通信利用に関するさまざまな規制緩和、慣行の見直し、あるいはベンチャー企業の育成、援助のための方策について、これはまず通産省に対しまして、どういった施策をされておられるか、伺いたいと思います。
  134. 小平信因

    ○小平説明員 通産省といたしましては、産業の活力の維持という観点から、ベンチャー企業、新規事業の育成が大変重要であるというふうに思っておるところでございまして、これまでにも、資金面を中心にいたしまして、債務保証でございますとか出資あるいは融資というような、いろいろな支援策を講じてきているところでございます。  今またいろいろな、先ほど先生指摘ございましたように、構造変化の中で新しい事業を育成していくということが大変重要になっておりますので、中小企業政策も含めまして、全体連携をとりながら、政策の一段の充実を図っていきたいというふうに考えておるわけでございますけれども、特に、創業からだんだん企業が成長していくわけでございますので、それぞれの段階に応じました債務保証でございますとか出資あるいは融資、あるいは資金面以外でも、人材面等も含めまして、施策の充実を図っていく、あるいはそういうそれぞれの施策の相互の連携を十分に図りながら、効率を高くしながら新規事業、ベンチャー企業の育成を図っていきたいというふうに考えております。
  135. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 同じ質問ですが、郵政省に対してもお聞きしたいと思います。
  136. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 ベンチャー企業の育成というふうなことでございますが、これは先生も御案内のように、放送あるいは通信の分野におきましては、特定通信放送開発事業実施円滑化法というふうなことで、既に、リスクの高い事業をやるベンチャー的な性格の強い事業に対しまして、これを出資であるとか債務保証というふうな形で支援をするというふうな施策をとってきているところでございますが、今回マルチメディアというふうなことで新しい状況が生まれてまいりましたので、特に、そしてまた先ほどからいろいろお話ございましたけれども、ソフトの部分が大変重要であるというふうなお話でございますので、放送の分野につきまして、ベンチャー的な、これでやってみようというソフトの開発制作をするという人たちをぜひ支援をしたいということでございまして、先ほども申し上げましたけれども、こういう人たちがひとり立ちできるような形になるまで何とかその支援をしていきたい、こういうふうなことで今回法律をお願いしているということでございますので、ぜひ御審議をいただきたい、こういうふうに思う次第でございます。
  137. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今通産それから郵政両省からベンチャーの育成に対して前向きな御答弁があったわけでございますが、そういった施策は大変趣旨は結構であると私は評価をしておりますが、ただそれがシンボリックなもので終わってはいけない。もっとインパクトのある、どんどん実際にベンチャーがそれを活用してやっていけるだけのオーダーを持った強い施策にならないといけないということでございまして、特に予算面の充実も含めまして、強力に両省に依頼をしておきたいと思っております。  そこで、次に大蔵省にお聞きしたいのですが、このベンチャー企業の発展の際非常にネックになるのは資金調達の問題だと思います。特に、物的担保を余り有さないケースが多いわけですから、大変資金調達が大きなネックになるわけでございます。  そういった中で、いわゆる店頭登録市場、株式による調達は大変重要な手段でございますけれども日本の場合、この面でいろいろな意味規制が強いということがよく言われております。アメリカの場合にはNASDAQという有名なものがありますけれども、米国の場合、一九九二年の数字では四百三十二社が既にもう登録をしておる。これに比べて、日本はまだ十五社にとどまっておる。また、そのベンチャーがスタートして店頭公開するまでの時間についても、米国の場合には五年ぐらいでやっているのに日本の場合には二十年ぐらいかかっているといったようなことでございまして、これではとてもベンチャー育成の面では太刀打ちができないのじゃないかと思っておりまして、ぜひこういった資金調達、リスクキャピタルの調達の面でも規制緩和を大胆に進めてもらいたいと思っておりますけれども、大蔵省にこの点での見解をお聞きしたいと思います。
  138. 藤原隆

    ○藤原説明員 お答え申し上げます。  大蔵省といたしましても、店頭市場の整備拡充が、ベンチャー企業を初めとします企業の資金調達にとりまして極めて重要であるということは十分認識いたしております。そういうところから、今般、現在の基準では公開が難しいとされております、例えば研究開発型でありますとかあるいは知識集約型のこういう新規事業を実施する企業の資金調達をより一層円滑にするために、店頭登録市場について見直しを行うことといたしております。  具体的には二つございまして、一つは、日本証券業協会における審査体制の整備が整うのを待ちまして、本年の四月から現在週三から五社としております過当なりの公開会社数の制限を撤廃することといたしております。二つ目は、今申し上げました研究開発型でありますとかあるいは知識集約型の新規産業を実施する企業につきまして、投資家保護に配意しつつ、店頭登録基準の特則を設けるということを講ずることといたしております。この特則の対象となります事業の範囲あるいは特則の内容、こういうものにつきまして、日本証券業協会に店頭登録基準検討等懇談会、これが設けられておりまして、これが本年六月を目途に結論を得るべく今現在、既に検討がなされておるところでございます。  以上でございます。
  139. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 大蔵省の方に追加的に御質問をしたいのですけれども、大蔵省がそういった規制緩和への努力をされていることは評価をするわけですが、ただ、つい最近の新聞報道によりますと、店頭公開株式の基準として税引き前利益というのがあるわけですけれども、これについてダブルスタンダードになっているということが報道されております。すなわち、公式基準としては税引き前の利益が二千万円であればできるということになっておりますけれども、他方、世間体基準というのがあるそうでございまして、これは何と三億円ということになっておるということでございます。  ちなみに、この新聞によりますと、今の藤原課長の発言として、この世間体基準というのは行政指導ではなくて業界の自主判断であると説明をされていると新聞報道されておりますが、他方、証券会社の首脳の発言として、大蔵省が持ってきたルールだと言っているというふうになっておりまして、そこら辺の真相はよくわかりませんけれども、いずれにしてもこういった状況はまずいのではないか。  改めてこの点につきまして、大蔵省として、これは行政指導なのかどうか、あるいは税引き前の利益の基準を実際の運用をどうするのかという点につきまして見解をお聞きしたいと思います。
  140. 藤原隆

    ○藤原説明員 お答えいたします。  昨日の新聞にそういうような記事が載っておったことは存じておりますが、いろいろなところでも私どもお答え申し上げておりますように、現在、店頭登録基準といたしましては一つの基準しかございません。それを、それよりも上回る実質基準、こういうものがあるやに言われておりますが、これにつきましては、私どもあるいは大蔵省あるいは証券業協会、そういうところが指導したりしていることは一切ございません。  ただ、では実際にそういうことがないのかと言われますと、実は個別の証券会社ごとにそれぞれの会社による引き受け方針とかあるいは営業方針あるいはリスクの許容範囲、こういうものを勘案いたしまして、それよりも若干高いところでやられていることも事実でございます。  ただ、これは個々の企業の経営方針あるいは実態にあわせてやられているものでございまして、これを行政の方がどうせいこうせいということはなかなか難しいというふうに御説明しているところでございます。
  141. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 ぜひ規制緩和の精神に沿って大蔵省としても強力に緩和を進めていただきたい。行政指導、そういう方向に行政指導としては言いにくいのですけれども、ぜひそういうことが実現していくように大蔵省も努力をしてもらいたいということを要望をしておきたいと思います。  続いてもう一点、マルチメディア社会化に関して重要な要素でございますけれども国民全体のメディアリテラシーといいますか、あるいはコンピューターリテラシーというものは大変重要であると考えております。  戦後の日本がこれだけ急激な目覚ましい経済成長ができた背景には、国民の勤労意欲と、それから特に知的水準の高さといいますか、これが非常にあったのではないかと私は思っております。特に、昔から読み書きそろばんと言われておりまして、日本の一般国民のそういった知的水準の高さは、私は群を抜いている、これが経済成長に非常に大きな要因であったと考えておるわけですけれども、他方、これからのマルチメディア社会化等を考えますと、これに加えてコンピューターリテラシーといいますか、だれでもコンピューターというものを自由に鉛筆や紙のごとく使える、そういったところまで持っていくことが、ニーズも開拓しますし、いろいろな意味でこれからのマルチメディア化の大事な要素であると思っております。  私はよくこれを、読み書きそろばんにかえて読み書きパソコンというふうにしてはどうかと思っておりますし、それに加えてもう一つは外国語ですね、この四つの要素を、国民全般としてこれを高めていくことが今後のマルチメディア化にとって大変重要な要素であると思っております。  この点につきまして、文部省にお伺いをしたいわけですけれども、こういう認識が文部省としてあるかどうか。さらに、もしあるとすれば、どういう工夫をし、どういう政策、措置をとっているのか。その点をお聞きしたいと思います。
  142. 石川明

    ○石川説明員 御説明を申し上げます。  ただいま先生からお話ありましたように、昨今マルチメディアがさまざまな場で議論されるという状況がございまして、今後一層の進展が予想される社会の情報化に対して適切に対応していくということがこれからの学校教育の重要な課題であろうというふうに私どもも考えているところでございます。そして、今後は、このような社会に生きる児童生徒に必要な資質を養うとともに、情報手段の活用による学校教育の活性化を図る、こういうような観点に立ちまして、私ども情報化への対応を進めていく必要がある、このように考えております。  具体的に申し上げますと、例えば学校で作成されますカリキュラムの基準としての性格を持っております学習指導要領というのがございますが、この中にも情報化への対応というのを大きな柱として盛り込んでおります。小学校につきましては、例えばコンピューターに触れ、なれ親しませることを基本とするとか、あるいはまた中学校におきましては、数学にコンピューターの原理等についての内容を入れる。そしてまた技術・家庭科の新しい選択領域として情報基礎というようなものを設けるとか、そしてまた小中高等学校を通じて、各教科等の学習指導に当たってコンピューター等の教育機器の積極的な活用を図る。こんなような内容を盛り込んでいるところでございます。  そして、これを受けまして、各学校におきましても、現実としてコンピューターリテラシーを高めるというような観点などから、作図機能を例えば活用したり、それから絵や図形をかかせたりいたしまして、そういった表現能力の育成を図りますとか、これは算数とか図画工作の時間でございますが、あるいはワープロですとか表計算、図形処理、そういったソフトウエアを活用していろいろな作業をする、これは技術・家庭でございます。こういったような教育活動が盛んに行われているところでございます。  また、文部省の方におきましても、例えばハードウエアの計画的な整備ですとかあるいはソフトウエアの開発、そしてまた、この教育に携わる教員の資質向上のための研修、こういったようなことを今積極的に進めておるということでございまして、来るべきマルチメディア時代を視野に入れながら、今後とも学校教育における情報教育の推進ということに努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  143. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 ぜひその方向で進めていただきたいと思っております。特にパソコン等の導入ですけれども、やはり楽しい授業でどんどんやっていくべきだと思っています。例えばテレビゲームなんかもどんどん学校に導入してもいいんじゃないか。もちろん、授業でまずければクラブ活動とか、あるいはゲームソフトをつくらせるとか、そういったこともどんどんやれば、今の子供というのは大変興味を持っておりますので、恐らく登校拒否は大幅に減るのではないかという気がいたしますので、そういうインセンティブを持ったコンピューターリテラシーの向上についてもっと工夫をしてほしいということをぜひ要望しておきたいと思っております。  そこで、テーマを変えますが、今度、つい昨年の十二月、長い間案件でありましたNCCのいわゆるVPN参入の問題につきまして、郵政省としてNTTに対して接続命令が出たわけでございます。これにつきまして、これは、これからの情報通信サービス分野の発展に大変重要な出来事と私も認識、理解をしておりますけれども、その後のこのNTTとNCC間の交渉状況、それからNCCのVPNサービスの開始予定時期についてお伺いをしたいと思うのです。
  144. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 昨年の末に、新規参入者、NCCの方々からの申請、これを受けまして、NTTとの接続、これにつきまして十二月の末に命令を出すという形で接続を促したところであります。  現段階でどうなっているかということでございますが、年明けまして以降、新規事業者の方とNTT、お互いに接続する側で、数次にわたって分担すべき金額等について交渉中の段階であるというふうに私どもは聞いております。具体的に現時点で、新規事業者、NCCの方々がこのVPNサービスの具体的な開始の予定時期についてめどはまだ立っていないというふうに聞いているところでございます。  私どもとしましては、初めてのケースではあったわけでありますが、郵政大臣の接続命令を出したというこの事実を踏まえまして、新規事業者の方々が早くこういうサービスが提供されるように期待をしているところでございます。
  145. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今の回答ではめどが立っていないということでございましたが、これは、めどが立たないままでいきますと話し合いが調わない。そうなりますと、法令によりますと、今度は郵政大臣の裁定を申請することができるということになっておりますけれども、裁定に持ち込まれることもあり得るのかということをお聞きしたいと思います。
  146. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 法律の手続からまいりますと、接続命令が出た、次のステップで両当事者でその接続をするという前提で協議を行う、協議が調わないというようなことから、あるいは協議をすることができないというような状況が出た場合、当事者は裁定を申請することができるということになっておりますので、もしこの協議が調わない場合にはそういった事態も考えられるというふうに思います。  現在、NTTは既に昨年の二月からこのVPNサービスを提供しております。七千回線の顧客も確保しているという状態でございますので、もし、そういう形で事業者の方が申請をしてくるということになりますと、私どもはそれを受けて法にのっとった対応をしていくことに相なろうかと思います。
  147. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 もう一点、この問題が起こってから接続命令が出るまで五年間という長い時間がかかっているわけですけれども、なぜこのように長い時間かかってきているのか、特にNTT側の言い分はどんなものであったかということをお聞きしたいと思います。
  148. 五十嵐三津雄

    五十嵐政府委員 ほぼ五年間話し合いが続いていたということで、なぜそう長い時間がかかったのかということですが、日本の国の電気通信の仕組みというのは、昭和六十年まで全く独占で、国が公社として提供するという形でやってまいりました。六十年以降、自由化ということで、新規の事業者、NCCの方々が市場に入ってきたということでありますけれども、言ってみますと、現実にサービスを提供したのも六十二年くらいからでございます。もうちょっと先になるかもしれません。そういった意味合いの中で、お互いに初めてのケースであったというようなこと。それから、NTTの方々も当初から全国にネットワークを張っているわけではありませんで、徐々に、ビジネスの進捗に合わせてやってきたというようなこともありまして、話が長引いてきたものというふうに考えております。  どんなことが接続がいがなかった理由なのかということでありますが、途中経過では幾つかのことがあったと思います。  推測も含めて申し上げますと、地域ネットワークというのは、先生御存じのとおり、日本の今のネットワーク構造、あるいは市場構造とでも申し上げた方がいいかと思いますが、これはどうしても、NTTのネットワークしかありませんので、それにつないでいかざるを得ないということがあります。一方NTTの側にありましては、長距離部門も一緒に持っているという意味では、長距離の新規事業者とNTTの間ではいわゆる競争者というような側面もあります。地域ネットワークだけを見れば、そこに乗ってくるという意味では、ある意味の大変な顧客であるという側面もあるのでありますが、そういう意味ではライバルという側面もそこにはあったかというふうに推測しておりますが、現実に接続命令を行うに当たって聴聞をいたしました。  そのときの主張というのは、市内網を持っていないNCC、それにNTTが市内網を提供して、そこだけで完結するサービスというのもVPNではあり得るわけです。そうすればそれは一種と言えるのか、そういう法的な問題を提起して、当時の主張からいいますと、この法律についての解釈を明確にしてもらった上で接続に応じよう、そういう態度になったというところがメーンでございます。
  149. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 この接続命令は、事業法三十九条によりますと「公共の利益」にかなうものであることという条件がかかっております。今回それを満たすから出たのだと思いますけれども、やはりこういった非常に重要な接続命令といった場合には主観的なものであってはならないと思います。やはり客観的なガイドライン、明確な具体的な基準があってやるべきだと思いますので、どういう具体的な基準、あるいはどういうサービスがそれに該当するのかといったガイドラインを御説明いただきたいと思いますが、これは大臣にお伺いをしたいと思います。
  150. 大出俊

    ○大出国務大臣 昨年末に至る間何年か、そこま、でいかないで片がつかぬかということで、局長さん以下皆さんに私の方から、長い懸案なんだからいいかげんこの辺で、どうせ接続を認めるのなら、いろいろな条件があるにしても三十九条を使うというのはやめてくれぬかという意思が私ありまして、何年かそういう言い方をしたのですよ。ところが、二年にも及ぶ、あるいはそれ以上にもなる経過があるということで、やはり決着がつかないというのですね。  結局三十九条、これ初ケースですからね。今、ガイドラインめいたものをつくったらどうかというお話があるのですけれども、初めてのことですから。これは、今までのいろいろな制約の中で、初ケースである場合にガイドラインがないという場合は当然あり得るわけですから、できればそうしたくないと思いながら昨年の暮れぎりぎりになってしまいまして、手続をとってこられたものをけれないわけですよ。万やむを得ず実は三十九条に基づいてということでそれなりの聴聞をやることにしたという経緯がございまして、何しろ初ケースでございますから、そのためのガイドラインを先につくってというわけにもまだいかぬということでございまして、この経過を見た上で考えなければならぬ、こう思っております。
  151. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 ただ、非常に重要な問題でございますので、今後できるだけこのガイドラインは客観的な、わかりやすいものをぜひ出すように、要望をここでしておきたいと思っております。  続いて、郵便事業の方に入りたいと思いますが、これからのマルチメディア時代をにらんだ郵便事業の経営方針ということにかかわるわけでございますけれども、まずその前提として、昨年一月大幅な料金値上げをいたしましたが、それ以降の郵便物の引き受け状況、これを伺いたいと思います。それまで、既にもう数年にわたって郵便の引き受け状況は減ってきているわけでございますけれども、特に、料金引き上げ後どういった状況になっているか、まずこの点を伺いたいと思います。
  152. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 料金改定後の郵便物数の推移でございますけれども、料金改定直後の昨年二月から十二月までの累計で、対前年同期比でマイナス三・七%でございます。新年度に入りましての四片から十二月まで、これが対前年同期比でマイナス二・九%であります。  ただ、経過的に見ますと、料金改定直後、昨年の二月ですけれども、これが対前年同期比でマイナス八・三、それから三月がマイナス七・一ということで大幅な減少になっておりますけれども、昨年の五月期にはプラスになりまして、プラス〇・一ということになりましたけれども、減少幅は今申し上げましたように漸次縮小しておるというふうな状況でございます。  いずれにしましても、六年度の予算を計画したときには、前年実績比でマイナス一・六%というふうに予測しておりました。今これに対応するのが四月から十二月までの累計ということで、マイナス二・九ということでありますけれども、先ほど申し上げましたように、現在回復しつつある状況にある。そういうふうなことで、年度末まで見通しますと、この状況のほぼ我々が予測した範囲内ではないかなというふうに評価しております。
  153. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 この引き上げ以降、かなり減の傾向にあるということは今の御説明にもあったと思います。やはりここで留意しなくてはいけないのは、この値上げによってかなり大幅にほかのメディアに対するシフトが起こりつつあるんだろうということが一つは考えられます。ファクシミリとか、あるいは第三種郵便物につきましてもいわゆる宅配便にシフトしているというような状況があるかと思っております。またもちろん、景気の低迷といったことも背景にあるかと思いますね。  しかしながら、今後の郵便事業の経営方針を考えるに当たって、やはりそもそも郵便事業自体、大変重要なサービスであって、これはぜひとも、もちろん今後とも一生懸命やらなくてはならない分野でありますけれども、いわばマーケットとして見た場合、やはりもう成熟してきている。今後大幅な拡大は見込めないし、成熟市場である。さらにどんどん新しいメディアが、代替メディアあるいは競争相手が出てきているわけですから、そういった意味で、今後の経営としては、もちろんさまざまな営業努力をして開拓するのは当然ですけれども、何といってもコストダウンに努めて、合理化、技術革新によってコストダウンにも本当に力を入れていくということをしないと、営業がなかなか難しくなってくるんじゃないかという気もいたします。  民間では、この不景気の中、大変な血のにじむような努力をしてリストラをやっているときに、公共料金だけ上げるというのは私は非常に強い反発があるわけでございまして、恐らく今後、そう簡単には引き上げということはもうあり得ないと思うわけでございまして、他方のコストの方はほっておけばどんどん膨れ上がるわけですから、経営の重点をこのコストダウン、効率化、合理化、技術革新によるコストダウンに全力を挙げる、血のにじむような努力をしているということが国民にわかるような努力がやはり必要だと思っております。その点、今後の郵便事業の効率化、機械化の具体策と、それによる経費削減の見通しについて御説明をいただきたいと思います。
  154. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 先生まさにおっしゃるように、郵便事業にとりましてこれから一番力を入れなきゃいかぬのは、効率化、合理化であろうと思います。今回の料金改定のときにも、郵政審議会からそういうふうな宿題をいただいたところでもあります。  ところで、郵便事業にとりまして効率化、合理化ということは、郵便事業というものはいわば人手に依存する度合いの極めて高い事業だというふうなことから、とにかく減員に力を入れることだろうというふうに思っております。先生御案内かと思いますが、過去十年間で約八千人ほどの減員をやってきました。これからどうするかということでございますが、今年度におきましては、効率化、合理化に積極的に取り組み、約二千百人ほどの減員を年度末までに実施するというふうなことで取り組んでいるわけですが、中身としましては、郵便物あて名自動読み取り区分機の配備による作業の機械化だとか、それから小包郵便物等の部外委託だとか、それから配置定員の見直し、過疎過密の調整というふうなことでやっていきたいと思っております。  今これから御審議いただくところの平成七年の予算におきましても、約千百人ほどの減員を計上しております。この中身平成六年度とほぼ同じですけれども、自動読み取り区分機の配備による作業の機械化のほか、運送便との授受方法の見直し、それから配置定員の見直し、こういうふうなものをやっていきたいと思います。  特にこれから中期的に一番力を入れていかなきゃいかぬのは、配達部門の効率化施策ということで、これの機械化ということに真剣になって取り組んでいきたいと思っております。
  155. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 さらに追加的にお伺いしたいのは、既に今まで議論をしてきておりますが、やはりマルチメディア社会がこれから来る。当然これは郵便事業にも大きな影響があるんだと思うのですねりそこら辺で、今後の中長期的な見通しとして、このマルチメディア社会における郵便サービスのあり方ということについてどういう見解を郵政省は持っておられるか、御説明をいただきたいと思います。
  156. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 マルチメディアと郵便というのは代替関係にあるというふうによく言われておりますけれども、私どもむしろお互いに補完関係にあるというふうに考えておるのです。  つまり、電話だとかファクシミリが普及した場合にも、領収書の郵送だとかというふうな現物性、それからファクシミリでは礼を失するというような、あいさつ状の郵送とかというふうな儀礼性、郵便はこういうふうな現物性とか儀礼性とかという特性を持っているわけでありますけれども、実はその部分が着実に増加してきております。したがって、機能面では、郵便が単純に電気通信に代替されるのではなくて、お互いに補完し合って情報通信手段を形成していくものと考えておる次第です。  ただ、私ども、これからマルチメディア進展というのが郵便にとって非常に厳しい状況になってくるだろうというふうに思っているわけであります。そこで、私ども今考えておりますのは、先生御案内かと思いますが、現在実施しているコンピューター郵便というのがございます。これをさらに拡充をしていくとか、それから、来年度の予算予算要求しておりますけれども関西文化学術研究都市におけるところの新世代通信網パイロットモデル事業に郵便事業としても参画していくとかというふうなことで、私ども郵便サービスの中に電気通信メディアというものを逆に取り込んでいくということを企図しているわけでありますけれども、こういうふうなものも含めまして、近いうちに、マルチメディア社会におけるところの郵便の機能だとか、それから果たすべき役割だとかというものにつきまして、調査研究会をスタートさせたいというふうに考えております。
  157. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 郵便事業について、大臣に最後にお伺いをしたいのですが、この郵便事業の効率化あるいは料金値上げという話になると、必ずこれに付随して、いつも民営化論が出てくるわけですね。私は決して郵便事業民営化論者ではありませんけれども、そういった議論が出てくる背景というのはやはり考えなければいけないと思うのですね。大臣に、ぜひこの機会に郵便事業民営化論に対する見解というものをお聞きしたいと思っております。
  158. 大出俊

    ○大出国務大臣 先ほど私は、金子さんの御質問だったと思いますけれども、九一年、二年、三年、三年間かかりました第三次行革審の、三年間ですからこれは随分いろいろな議論があるのですが、その最後のところを申し上げたのですけれども、つまり、郵便事業については事業財政の改善、これがキーポイントなのですね。これがなければ、今おっしゃるように民営化論が出てくるのですよ、筋論は別として。ですからそこを重視するということと、もう一つ大きな問題があるのは、では日本のトータルで見る郵便量というのは多いのか、少ないのかという問題があるのですね。  平成四年、五年決算で見ますというと、五年が二百四十五億通ですよ。この二百四十五億通という、日本全体のトータルで見る郵便量というのは、アメリカなんというのは千六百六十四億通あるのですからね、日本の八倍あるのですから。フランスは、人口は半分だけれども、二百二十五億通あるのですよ、日本は二百四十五億通ですけれどもね。一人当たりの年間の郵便量というのは、日本が百九十七通です。そうすると、恐るべきことに、アメリカが六百五十通、日本は百九十七通、スイスが六百十九通、ノルウェーが四百七十六通。日本は百九十七で、世界で十五番目なのですね、年間の通数というのは。  そうすると、事業の将来展望を立てるときに、今マルチメディアの話が出ましたが、互換性を考えて、取り込んでと言っていましたが、どういうふうに物を考えるかによって、ふえる余地を多分に持っておるということなのですよ、私に言わせると。いろいろな、宅急便だ何だありますよ。しかしほかの国の例を見ると、あるところもたくさんあるのですから。だから別に驚くことはないので、そういう意味で全く御指摘のとおりなのですけれども。  とにかく、できる限りのリストラをやり合理化をやって、人は抑えて、その面の経費は減らしながら、どういうふうにすれば、これだけ容量がある各国の例から見ると、日本の百九十七通がふやせるか、マルチメディアに合わせてやっていけばどうなるかという、そこのところをこれから懸命にやらなきゃいけない、真剣にそう思っております。
  159. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 大臣の非常に力強い決意、評価をいたします。  そこで、次の課題に移りますが、今度、郵貯資金、簡保資金の運用につきまして、お聞きしたいことはたくさんあるのですが、時間がありませんので、一つ。  国民の大変大事な資金をお預かりして運用するわけですから、損を出しちゃいけないということなのですけれども、外国債について、特に最近の円高傾向によって含み損が出ているということがちょっと懸念されるわけですけれども、この含み損の実態と、それから今後の運用方針について、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  160. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおりでございまして、私ども大臣が運用することになっております金融自由化対策資金、その外国債への運用につきましては、為替リスクを伴いますために、為替の動向でございますとか内外の金利差、それを注視しながら慎重なスタンスで運用してまいったところでございますけれども、御指摘の、大幅な円高の進行に伴いまして、大変残念ではございますが、平成五年度末現在で約四千六百億円の為替の評価損を生じております。  それで、この外国債への運用の考え方でございますけれども、国際的に分散投資することによりまして保有資産全体の収益の安定化を図ることができるということが一点。それからもう一点は、国内債に比べまして高い利子収入を確保することができるということがもう一点。こういったことから、収益の振れを回避しながら長期的に収益の最大化を図る一環として、これまで行ってきておるところでございます。  今後の運用につきましても、債券市場や為替市場の動向等の運用環境によりまして慎重に判断をしていくということになるわけでございますけれども、内外の経済金融情勢等を総合的に勘案しながら、有利で確実な運用に努力してまいりたいと考えております。
  161. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 もう一点、運用に関して、いわゆる指定単の問題ですね。郵貯、簡保両方にわたって、指定単で運用されている部分があるわけですけれども、これの運用状況、それから簡保事業団からの納付金の納付状況、これについても御報告をいただきたいと思います。
  162. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  郵便貯金の指定単の運用状況でございますけれども、簡保事業団の郵便貯金資金運用勘定におきます平成五年度の指定単決算でございますけれども、経常利益が二千百九十六億円、経常費用が二千百六十億円ということになってございまして、経常利益は三十六億円ということになってございます。  この利益は簡保事業団におきまして全額準備金として積み立てておりまして、その金額は平成五年度末現在累計五十二億円ということになっております。
  163. 高木繁俊

    高木(繁)政府委員 簡保資金関係についてお答え申し上げます。  簡保資金では、昭和六十二年度から事業団を経由した指定単を運用いたしております。現在、運用残高は九兆一千二百億円ということになっております。  事業団からの納付金でございますが、昭和六十二年度から平成二年度までは総額五百二億円の納付金がございました。平成三年度以降、厳しい金融環境の影響を受けまして、納付金は発生いたしておりません。  以上でございます。
  164. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 この指定単の問題は、株式市場が好調なときはいいのですけれども、傾向的に、悪いときは、非常に投機性の強いやり方ですから、やはり安全運転を心がけた方がいいのじゃないかという気がいたしまして、やはり慎重に、こういった運用方針は今後検討いただきたいと思っております。  続いて、ボランティア貯金の件でございますけれども、いわゆるこの国際ボランティア貯金、ODAとして、またNGOの活動に非常に貴重な財源になっておるわけでございまして、非常に好評であると理解をしておりますが、この考え方を、今回の震災の経験にかんがみて、ぜひこれを災害にも適用していったらどうかという一つの提案なわけです。  今回、阪神大震災がありまして、私も二日後に駅頭で募金活動をやったわけですけれども、驚いたことにわずか一時間の間に八十七万円もの実は募金があったわけで、ふだんの募金活動の十倍以上の実は規模だったわけですね。しかも一万円札を入れる人が非常に多くて、また、お母さんが子供の手を引いて、子供さんにお金を入れさせたり、あるいは若い人も非常に積極的に応じてくれまして、少ないですけれどもこれでよろしくということで、大変厳しい、悲惨な被害状況でありましたが、心温まる思いをしたわけでございまして、日本の中にも非常にボランティア意識あるいは人道意識が高まっているなということも感じたわけでございます。  我が国は、そういった意味で、災害大国でもありますので、ぜひ今後、こういった国民のボランティア意識、あるいは、同胞が本当に災害で苦しんでいるときにそれを助けようという貴重な志を促進していく上からも、この国際ボランティア貯金の考え方をぜひ災害にも適用しまして、災害救助を対象としたボランティア貯金を創設をしたらどうかという一つの提案をしたいわけなんですが、これに対して大臣のお考えを聞きたいと思います。
  165. 大出俊

    ○大出国務大臣 これは先般も委員会で御質問、御提案等ございまして、ともかく今日のボランティア貯金を何とか早急にこの大震災に使えないかというお話がございましたのですが、法律の建前だけで申し上げているわけでもないのですけれども、国外にということで皆さんにお願いをして、利子の分の二〇%をいただきたいということでずっとやってまいりまして、年月もたちました。  そういう意味で、今の法律のままで物事を考えるとなると、継続していますから期待感もみんなあって、例えば、ルワンダであれだけの騒ぎが起こった。あそこで、穴を少し余計掘った井戸を掘らぬと伝染病が蔓延するという、その深い井戸掘りのためにどうしても金が要るというようなことで出していますので、したがって、今の御発想のようにもし考えるとすれば、別のやはり法律構成を考えなければ、ちょっと今までの分については無理がある。  それで、とりあえず私ども、一生懸命全国二万四千の郵便局ネットワーク努力をいたしまして、義援金、この義援金も三百億に達しているのですよ、今、郵便局関係だけで。ですから、そこらに当面、ふえるのですから、懸命にひとつ力を入れてやっていこうというふうに考えて、それで、ボランティア貯金の問題は、今申し上げたようなことでございますから、検討はいたしますけれども、今の法律体系で振り向けるというのはちょっと無理だろうという見解を持っております。
  166. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今の質問は創設ということで、今のボランティア貯金を流用するのではなくして、別途新しい発想で同じような仕組みをつくってほしいという、そういう提案でございますので、改めてお聞きします。
  167. 大出俊

    ○大出国務大臣 この間もようやく趣味週間の切手、二十円ずつ五千万枚、初めてなんですけれども、四月になりますので、これは。  それで、今つくれというお話がございまして、前からそういう御意見が二、三ございましていたしますので、検討はしてみようと思っているのですよ、思っているのですけれども、今の体制ではちょっと無理がある。検討させてください。
  168. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、今の大臣の発言を前向きと受けとめまして、ぜひ検討をお願いしたいと思っています。  もう一点、震災関連なんですが、この阪神・淡路大震災復興、大変な巨額の費用がかかるわけですね。さまざまな財源手段が議論されておりますけれども、その一環としてぜひ、阪神・淡路大震災復興用地方債に対してこの郵貯、簡保の資金で引き受けを考える等の資金運用を考えてはどうかという、これも提案でございますが、これもぜひ前向きに検討いただきたいと思うのですが、大臣のお答えをお願いします。
  169. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ちょっと事実関係ございますので、私の方からお答えさせていただきます。  この阪神・淡路大震災復興のための地方債の発行ということでございますけれども、そういった計画、現在のところ具体的に明らかでございません。したがいまして、御提案につきましては現在の段階では明確にお答えするということが困難なわけでございます。したがいまして、そのような震災復興のための地方債の引き受けにつきましては、その計画が明らかになりました段階におきまして、地方自治体ニーズども見きわめながら対処してまいりたいと考えております。
  170. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 時間がなくなってきましたので、あと一つだけお願いをしたいのですが、郵貯の関係で、高齢化社会の到来に備えて生活重視の視点に立った貯金商品の創設が必要と考えております。既に郵政当局は今までライフプラン貯金という形でこれを予算要求してきておりますが、なかなか実現しないという状況でございますが、やはり国民ニーズは非常に高まっておりますし、こういった貯金があると非常に安心にもなるわけでございまして、ぜひ強力にこの生活者の視点に立った新しい商品を実現していただきたい、これは強く要望したいわけでございますけれども、この点につきましてお願いしたいと思います。
  171. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 郵便貯金といたしましても、我が国の大きな政策課題でございます生活重視の社会づくりに貢献していくという観点から、今回、今後急速に進展してまいります高齢化社会に対応した新しい商品開発に積極的に取り組んできておるところでございます。  具体的には、平成七年度の予算要求の段階におきまして、高齢化社会を迎えて国民皆様の老後における多様な貯蓄ニーズに対応するという観点からライフプラン貯金というものの要求をしたところでございます。この貯金につきましては、しかし大変残念でございましたけれども政府内部での調整がつかずに見送りとなりました。しかし、私どもといたしましては、金利の自由化が完了いたしまして、民間金融機関におきまして商品の多様化が図られております中で、高齢化社会に対応した商品というものは官民挙げて早期に提供していくべきものと考えておりますので、今後とも利用者の立場に立った商品サービスの提供ができますように努力をしてまいりたいと考えております。
  172. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 最後に、ライフプラン貯金に対して大臣の実現に向けての決意をお聞きしたいのですが。
  173. 大出俊

    ○大出国務大臣 これは、今お話しのライフプラン貯金は、御存じだと思いますけれども、昨年要求をいたしまして、随分一生懸命やったのですけれども通りませんで、出せないことになってしまいました。そういう経過でございますので、その点だけ申し上げておきます。
  174. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、時間が切れましたので、残余の質問はまた改めてやらせていただきまして、以上をもって私の質問を終わります。
  175. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、矢島恒夫君。
  176. 矢島恒夫

    矢島委員 前回の委員会に続きまして、阪神大震災にかかわる問題でお伺いしたいと思います。  あの震災で、一時三十万回線が通話不能になった、それと同時に、いわゆるふくそうによる通信の大混乱が起きまして、電話を何回かけても通じないという状態が起こった、被災地を中心といたしまして電話に対する信頼が大きく揺らいだ、こういう事態が生まれました。本委員会でも、この阪神大震災教訓をどのように生かして、そして災害に強い通信網を構築していくかということはいろいろ論議された問題ですけれども、大きな課題だと思うわけです。その観点から幾つかお聞きしたいと思います。  まず、この阪神大震災教訓という点で見逃すことができないのが、一月二十五日に行われましたNTTの児島社長の記者会見の報道であります。それによりますと、交換機能の停止による二十八万五千回線について、設備や電源が横揺れを中心にした震度六程度の地震しか想定していなかったためだ、こういうふうに説明されたと報道されているわけですが、この一月二十五日といえば、地震発生から一週間後であり、現場では復旧に全力を挙げている、こういう期間だと思うのです。原因究明に時間をとられているような状態ではなかったわけですね。復旧ということで一生懸命やっていた。  ですから、その段階で社長がこういう発言をしますということは、言外に、予想されていない大地震であったから今回の被害は仕方がないんだと言うようなものではないかと思うのです。高速道路にしてもあるいは鉄道にしても同じようなことが言われております用地震の前までは耐震設計は十分である、こう言っていたけれども地震後になりますと、予想されていなかった、こう弁明するわけです。これでは正しい教訓を引き出すことはできないのじゃないか。  神戸市内で交換機能が停止した八カ所の交換所について、私、児島社長が記者会見した一月二十五日付の郵政省の電気通信局電気通信技術システム課からいただいた資料があるのですが、これによりますと、「長時間にわたる商用電源断のため、非常用バッテリーが枯渇した東灘、葺合の計二カ所の交換設備及び電源系統の障害による長田交換設備以外は、現在、原因を調査中である。」こう報告されております。原因が究明できない段階でどうして社長が震度六しか想定していなかったためだというようなことが言えるのか。この点、非常に無責任な発言ではないか。私、これ、質問通告しておりますので、社長はお見えではありませんが、高島さんの方で聞いていらっしゃるかと思いますので、お答えいただけると思います。
  177. 高島秀行

    高島参考人 先生の御質問にお答え申し上げたいと思います。  NTTの災害対策につきましては、昭和四十三年の十勝沖地震を契機にしまして、過去の災害教訓に改善を加えてまいりまして、関東大震災クラス、すなわち揺れ方でいいますと震度六クラスと言われておりますが、これに耐えるように想定をした対策を実施してきているところでありますが、今回は、それを上回る、まあ超震度七クラスというような言葉も出ているようでございますが、そういった激しさの地域があったために一部の予備電源設備などが損傷したものであります。  したがいまして、社長記者会見での御指摘でございますが、従来からそういった関東大震災クラスに耐えるように想定をしていたところであるが、今回はそれをはるかに超える部分があった、そのために被害が大きくなったことを説明したものでございまして、そのような趣旨でお話を申し上げているわけでございまして、ぜひ御理解をいただきたいというふうに存じます。
  178. 矢島恒夫

    矢島委員 一方では原因調査中、もう一方では、震度六の耐震設計をしていたが今回はそれ以上だったから仕方がない、こういう言い方というのは非常に無責任だと思う。なぜならば、私、十三日付でやはり郵政省の電気通信局の電気通信技術システムからいただいた原因についてという調査報告によると、やっとこの時点で龍野とかあるいは伊川谷だとかあるいは押部谷だとか須磨とか、そういうところの原因がわかったのですね。いきなり、原因がまだわからないうちから、それは耐震設計の関係で今度はそれ以上だから仕方がないという発言そのものがやはり問題があるのではないか。  同時に、私たち現地で調査してきたのですけれども、その過程で、本当にNTTはこういう大規模な地震を想定していろいろと考えていたのかどうか、非常に疑問が生じるような場面にたくさんぶつかりました。  そこで、幾つか私たちが聞いてきたことやあるいは見てきたことを申し上げますが、例えば、長田交換所では緊急用のバッテリーが倒れたのです。それで電力供給がとまった、こういう事態が起きたわけですが、この長田のバッテリーの耐震設備は旧式のものだった。というのは、新式のものは、鉄板の上にバッテリーを乗せて、そして下からボルトでとめるようになっているわけですね。これは、たしか宮城県沖地震後にそういうふうなとめ方をしたと聞いておりますけれども、長田のものは鉄枠とそれからゴムで周りを巻いただけの旧式のものだということをお聞きしました、一つは。  それからもう一つは、地震発生後、職員が点検だとか復旧のために交換設備がある社屋に向かったわけですね、大変な中を。多くのところでかぎがかかっていて入れなかった。NTTは、この間合理化で宿直体制を大幅に減らしてきました。その代替として、いわゆるセキュリティーシステムを導入されたわけです。今回の場合、停電になってしまいましたからそこでかぎがあかないわけです。もちろん中は無人ですし、はしごをかけて二階の窓を壊して、一階はシャッターが閉まってしまっていますから、そして中に入って作業に取りかかる。やはり停電でセキュリティーシステムが動かなくなるということを想定されてなかったのではないかと思うような事態が現地で起きた。この経験をした職員から聞いたのですが、大変苦労してはしごを見つけてきて上ったという感想と同時に、NTTの無人交換設備にはたやすく侵入できるのだなというような、これでいいのかという感想もあったことをつけ加えておきます。  それから三つ目の問題として、自家発電用のエンジンというのは、火事を防ぐために一定の震度があると自動的にストップする仕組みになっている。ちょうど各家庭にある石油ストーブのような装置になっている。この装置の発想としては、人間がそばにいて、揺れが大丈夫になって安全だと確認したら主動で立ち上げることになっているわけですね。ところが、私、前回の委員会でも取り上げたのですけれども、電力関係の保守要員は三宮に一人いらしただけだという状況ですので、立ち上がらせることができないという事態があったということ。  それから四つ目に、災害を想定した訓練が半年前ぐらいにたしか行われたと思うのです。その訓練のときは、電話はすべて異常なく通じている、それから、ふくそうによる規制もない、そういう想定で訓練が実施された。今度の災害時とは大分異なる想定だったということ。  それからもう一つは、NTTの災害対策本部と、それからNTTの電力やビルのメンテナンスを担当するNTTファシリティーズ、ここと、それから線路保守を担当する関西TE、これが一体となって対処するという面でやはり問題があったのじゃないか、分社化あるいは別会社化、これが障害になっているのじゃないかということを見ました。  というのは、電力分野のNTTファシリティーズでは、NTT本体に比べて災害対策本部を設置するのが大分おくれました。その後の指揮系統もばらばらで、同じような報告をあちらこちらから求められたという職員の方もいました。卑近な例ですけれども、現場で作業をしている社員への弁当の問題ですけれども、NTTの方はNTTから、それからファシリティーズはファシリティーズの方から、ばらばらの形で来るために、やはりファシリティーズの方は人数も少なく体制も弱いという関係からなかなか弁当が来ない。現場では、同じ仕事をして頑張っているのだから融通し合おうというので、いろいろ融通し合ってやってきたというようなこともありました。  それから最後に、電報の問題では、NTTは十九日から全国から兵庫県向けの電報の受け付けを中止しました。十七、十八日受け付けた分もかなり配達できなかった、こういう事態になりました。なぜそうなったかというと、電報用の回線を重要通信に指定していなかったために、ふくそうによる通信規制で電報が届かなくなってしまった。電話も電報も通じないという状態になったなどなどあるわけですけれども、まだほかにもありますが、こういうのを一つ一つ答弁を私はしていただきたいということを言っているのじゃないのです。後で調べて、報告していただければと思うのです。調査したら、私の調査とどうも違うぞということがあり得るわけですけれども、また、一面的という部分もあるかもしれません。それはそれで、私たちは現場の方からこういうようなことを聞いてきたということでお伝えしているわけです。  ただ、こうした現場の実情をよく調査した上でこそ、どのような対策を今後立てていくか、どうしたら災害に強い通信網を構築できるか、こういう正しい教訓を引き出すことができるのではないかと思うのですね。耐震設備がどうだったか、あるいは緊急時の対応の体制あるいは訓練が適切だったのか、あるいは人員の配置はどうなのか、こういう全面的な調査と分析、この上に立って、問題を明らかにした上で今後の災害に強い通信網構築というものへ向かってもらいたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
  179. 高島秀行

    高島参考人 先生指摘の個々の問題につきましては、技術的あるいは体制的な点で申し上げたいこともあるわけでございますが、ただ全体的に、私どものNTTファシリティーズあるいはTEあるいはドコモといったようなグループが一致協力して、総力を挙げて復旧に当たったわけでございまして、そういった面では、まあ手前勝手にはなりますが、現下の情勢の中では相当よく、初動措置も含め、復旧できたなというふうに考えております。  しかしながら、先生指摘のように、さらなる改善を目指しまして、今回の事態を教訓にしまして見直し強化を図るべきは図っていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
  180. 矢島恒夫

    矢島委員 NTTやファシリティーズやあるいはTEが協力する中で一生懸命、困難な中で復旧に励んでいらっしゃる。このことは私も評価しているのです。ただ、どうも指揮命令系統といいますか、そういうものがばらばらの状況が当初は続いた、この点も今後の一つ教訓ではないかな、こういうことで申し上げたわけです。  それから、大臣にお聞きしたいのですが、大臣予算委員会で、災害に強い通信として公衆電話というのを挙げられました。七十八万五千の公衆電話は災害時でも規制がかからないから使いやすい、全国の公衆電話が守られれば、災害についても有効に機能できる、こういう趣旨の答弁だったかと思います。実際にあの災害時どういう状況だったかということで調べてみたのですが、この公衆電話が十年間、NTTによって大量に撤去されてまいりました。  資料によりますと、一九八五年末、つまり昭和六十年、このときに公衆電話は全国で九十万九千六百台あった。民営化されてから十年間に、大臣が御答弁されたように七十八万五千台、つまり十二万五千古少なくなったわけであります。率にしますと一四%減ったわけであります。被災地ではどうだったかということを見ますと、関西支社では一六%減っているのですね。それから、神戸支店だけで見てみましても、平成五年度末現在ですが、七百台を撤去しております。西宮とか芦屋とかあるいは淡路島などで、被害地全体の数字はちょっとわかりませんけれども、少なくとも大体一千台近くが減少しているだろう。  NTTが公衆電話の撤去を進めてきたのは公衆電話会計の悪化ということが理由であることは私も承知しております。しかし、いつ来るかわからない災害に備えるということは、やはり経済効率の追求とそれから採算性とは反する面も出てくることはやむを得ないのです。これを確保していくことが公共性ということじゃないか。  そこで、公衆電話の大量撤去ということを考え直すべきじゃないかと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  181. 大出俊

    ○大出国務大臣 確かに、今お話しのように、公衆電話は規制がかかりませんから、五十倍にもなってしまうというような、加入者系で次々電話がかかりますと、自然にただいま込み合っていましてになってしまいますので。しみじみそう思ったのは、公衆網、公衆電話というものを何とか確保する災害対策を立てなければいけないな、これはいろいろな隆路があると思いますけれども。その中に今お話しの点もございまして、ここに私も数字を持っておりますけれども、これはじっくり一遍NTTの皆さんと、私ども直接じゃありませんので、御趣旨のほどはよくわかっておりますので、相談させていただいて、将来これをどういうふうに守っそいくかというふうに考えておりますので。
  182. 矢島恒夫

    矢島委員 地震発生後にNTTが無料公衆電話を急いで設置したということを承知しております。郵政省が、地震発生後毎日、郵政省関係被害状況及び応急対策についてという資料を配っていただきました。十八日の段階のを見ますと、数百台の特設公衆電話を設置予定、こう書いてあります。二十四日の時点のを見ますと、無料公衆電話の設置千百台、こうなっております。  大臣が非常に有効だとされた公衆電話の台数は、ちょうど地震発生から一週間たってやっと十年前の状況になった、取り戻したといいますか、そういう状況だったわけです。その後もちろん二千台を超える、こういう事態になっています。その努力については私も評価するものですけれども。  公共性を守るためのいわゆる第一種公衆電話の設置の現在の考え方というのが距離であり、あるいは平面である。これだけでいいのかなという気がするわけです。というのは、例えば学校や公民館など、避難場所になりました。地域の防災計画などを見ますと、避難場所などに指定されている場所、あるいは災害があれば多分住民が避難していくであろうという公共施設、こういうものには必ず公衆電話があるというような、いわゆる立体的な、平面的にだけじゃなくて立体的な備えをしていく必要があるんじゃないのか。  実は、NTTが公衆電話の撤去を始めたとき、この逓信委員会でいろいろな議論があったんですね。一九八六年の第百七国会ですけれども、我が党の佐藤祐弘議員が公衆電話撤去の問題では「我々の感覚からいいますと、五百メートル、一キロ、そういう地域的公共性ですね、それだけではなくて病院、学校、そういった公共施設、ここに設置されているものも第一種に分類すべきだ。」こういうことを述べておりますし、同じ委員会で、公明党の森本委員も「電話をかけたい、一刻も早く連絡をしたいと思うときにどこを目当てに行くかというと、公共の建物に行けば公衆電話があるという考え方」がある、だから「そういったところに第一種の公共性の電話をきちっと設置して皆さんの便宜を図るべきではないだろうか。」こういう意見もその逓信委員会の中で出されているわけです。  しかし、実際にはこういう論議が無視されて撤去が進められたという経過があるわけですが、改めてこの基準を見直して、いざというときに避難場所に相当するようなところ、例えば学校だとか公共施設、こういうところにはぜひ公衆電話を設置しておくべきだと思いますが、大臣いかがですか。
  183. 大出俊

    ○大出国務大臣 お答えをいたします。  今たまたま御指摘をいただきました基準ですね、第一種公衆電話、これを見ますと、「戸外における最低限の通信手段確保のために設置するもので、次の基準を目安に設置します。」とあって、市街地はおおむね五百メートル四万に一台、その他の地域はおおむね一キロ四万に一台、こうなっていまして、さて設置場所は、全く今御指摘のことなんですけれども、「公共施設・学校・病院・バス停・交差点・公園・トンネルの出入口」という基準があるんですね。だから、そこに行けばあるだろうというのはいつの間にか頭に自然に入る常識になるのかもしれません。  したがいまして、ここらはやはり見直してみまして、私はどうしても、規制のかからないこういうことに備えた公衆電話をどう守るかということですから、そこらはひとつじっくり検討させていただこうと思っていますが。
  184. 矢島恒夫

    矢島委員 私も西宮の避難場所へお伺いしました。学校ですけれども、やはり電話がなくていろいろと苦労されていたという場面にぶつかりましたので、よろしくお願いしたいと思います。  その次に、郵政関係の問題で、この阪神大震災で、普通局では神戸港郵便局が倒壊して使用不能となりました。既に現地は整地されて仮局舎が建てられているというように聞いております。建設中のこの仮局舎では窓口業務が行われていない、こういうことを聞いたんですけれども、なぜ窓口業務をやらないのか、また窓口業務はいつ再開される予定なのか、ちょっとお聞きいたします。
  185. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 神戸港郵便局につきましては、先生指摘のとおり、あさって本局の仮設ができ上がりまして、そこで本局の仕事を再開するというふうなことで今取り運んでいるところであります。  ただ、この本局の跡地にできましたところの仮設は面積的には不十分でありまして、本局の仕事につきましては、今申し上げましたところの仮設とそれから神戸中央の葺合分室、両方使ってやるというふうなことでありますけれども、まだ窓口業務を吸収するだけのスペースがないというふうなことから、現在別の場所を探している、検討しているところであるということでありますけれども、一方で、私書箱の交付につきましては、神戸中央郵便局のスペースで現在実施しているところでございます。
  186. 矢島恒夫

    矢島委員 この神戸港郵便局というのは、まさに三宮のビジネス街のど真ん中にあるということで、いろいろ仮局舎で業務を始めたというわけですが、窓口業務についてはほかのどこかを見つけているということですが、実は、この付近には五つの郵便局があったと思うのですね。JRの三ノ宮の駅の構内に一つ、駅内にありましたね。それから、国際会館の分室にもあったし、市役所の分室にもありました。それから、御幸通りの郵便局もありましたが、これは全部やられたわけです。ですから、通常郵便局としては神戸港局もやられた、結局あの近くで残ったところといえば、貿易センタービル内の郵便局が唯一窓口になっている、こういう状況なのです。そこに非常に長蛇の列ができているわけですよ。神戸中央局まで行くには、JRの駅にしてみれば二駅も向こうですから、これも大変な話なんです。  そこで、これから神戸の復興ということを考えますと、ビジネス街の中心の郵便局の窓口がいつまでも閉鎖されているというのでは、やはり市民の意欲というのも非常に阻害されるのではないか。だから、仮局舎をつくって作業をしていらっしゃる。また、土地の面積の問題がいろいろあるでしょうけれども、ぜひ窓口業務をできるだけ早く開設してもらいたい、これが地域の住民の方々の声なのですが、ぜひそういう方向でやっていただきたいのですが、その見通しはありますか。
  187. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 先生窓口の被災の状況についてお話がありましたけれども、今先生指摘いただいたものも含めまして、無集配特定局、これらが全壊等十五局、それから大幅な修復を要する局十二局、合わせて二十七局。これも窓口を今閉鎖しているところでありますけれども、これらにつきまして、御案内のとおり差し当たり移動郵便車でつないできました。これの早期復旧ということが非常に大切なことだろうというふうに思っております。  そこで、これらにつきまして、実は今申し上げました二十七局は、先ほども先生いろいろ御指摘ありましたけれども、これらの局は私が承知している限りではすべて借入局舎なのです。それで、それにつきましては所有者との調整が必要であるわけで、これらにつきまして所有者とできるだけ早いところ調整して、仮局を設置するないしは修繕して立ち上がらせる、本格局舎の新築に取りかかるというふうなことに大至急取り組んでいきたいと思っております。
  188. 矢島恒夫

    矢島委員 前回の委員会でもいろいろ論議になりましたけれども、これから被災地の復興という場合、やはり国の機関が先頭に立っていく必要があると私は思うのです。そういう意味でも、神戸の罹災した工場だとか会社というのはどこかへ移転してしまうのではないかという心配を神戸の人たちもしている。そういう中で、営業を停止している郵便局が復興していくということは、空洞化を心配していらっしゃる皆さん方にとってはやはり復興に光を見つけることにもなるわけです。そういう意味からも、ぜひ窓口の再開、こういう点を、今再開されていないあるいは被害を受けた郵便局をすべて復興させるんだ、こういう意気込みでやっていただきたいのですが、大臣、ひとつそういう意気込みをおっしゃっていただきたい。
  189. 大出俊

    ○大出国務大臣 できる限り急いで懸命に、みんなと相談してやるようにいたします。
  190. 矢島恒夫

    矢島委員 時間になりますので、最後に一言だけお聞きしたいのですが、前回私も大臣に目配りの問題をお願いいたしまして、積極的な答弁をいただきました。  そこで、もう一つ目配りをということで、特に住宅をなくした職員の方が大変なのです。それで、ローンだけ残ったという報道も出てまいりました。こういう生活を再建していくにはよほどの低利の融資でもないと不可能だと思うのです。  実は郵政共済の問題なのですが、国家公務員などの共済組合の今回の被災者への特別融資というのは、限度額を二倍にした、金利は約一%下げたとはいいますが四・七五%ということで、サラリーマンがもう一度家を建てようというのはなかなか無理な状況もあるわけです。ただ、兵庫労働金庫では、無担保融資で限度額五百万ですが金利は二・五%、有担保ですと限度額三千万円で金利三%、こういう特別の融資を始めたわけです。国家公務員の共済組合については横並びということで、大蔵省がいろいろあるようでございますけれども、ぜひこういう意味では、郵政共済ひとつ大いに金利を下げる、そのための大蔵省への交渉もやっていくということをお願いしたいのです。
  191. 寺西英機

    ○寺西説明員 お答え申し上げます。  郵政省共済組合の共済貸し付けにつきましては、いろいろな措置を現在実施しております。  一つは、既存の貸し付けに対する措置といたしまして、購買とか教育とか結婚等の特別貸し付けでございますけれども、これにつきましては元金の返済を一年間猶予する。それから、従来からの住宅貸し付けにつきましては、元金の返済を二年間猶予いたしまして、その間の金利を一%軽減する。  それから、今回の被災に伴う新規の災害貸し付けにつきましては、先生御承知のとおり、貸付限度額三百四十万を六百八十万円に引き上げましたし、返済期間を百二十カ月から百八十カ月に延長しております。それから、元金の返済猶予期間を一年から二年に延長して、その間の金利を一・一一%軽減している。また、新規の住宅貸し付けにつきましては、共済組合の財政事情等を考慮いたしまして、現在大蔵省と協議をしているところでございまして、今後検討していくということにしております。
  192. 矢島恒夫

    矢島委員 終わります。      ――――◇―――――
  193. 自見庄三郎

    ○自見委員長 内閣提出受信設備制御型放送番組制作促進に関する臨時措置法案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。大出郵政大臣。     ―――――――――――――  受信設備制御型放送番組制作促進に関する   臨時措置法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  194. 大出俊

    ○大出国務大臣 受信設備制御型放送番組制作促進に関する臨時措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、放送の分野における急速な技術革新にかんがみ、国民情報を選択する機会を拡大するため、視聴者が個々の関心に応じて多様な方法で視聴することを可能とする放送番組の制作促進しようとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、受信設備制御型放送番組受信設備制御型放送番組制作施設整備事業などの定義をすることとしております。  第二に、郵政大臣は、受信設備制御型放送番組制作促進に関する基本的な方向及び受信設備制御型放送番組制作施設整備事業の内容などに関する基本指針を定めることとしております。  第三に、受信設備制御型放送番組制作施設整備事業を実施しようとする者は、その実施計画が適当である旨の郵政大臣の認定を受けることができることとしております。  第四に、通信放送機構の業務として、郵政大臣の認定を受けた実施計画に係る受信設備制御型放送番組制作施設整備事業の実施に必要な資金の出資などの業務を追加することとしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日からといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようにお願い申し上げます。
  195. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十分散会      ――――◇―――――