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1995-02-07 第132回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月七日(火曜日)    午後一時十五分開議 出席委員   委員長 川崎 二郎君    理事 塩谷  立君 理事 中馬 弘毅君    理事 穂積 良行君 理事 粟屋 敏信君    理事 山名 靖英君 理事 米田 建三君    理事 北沢 清功君 理事 田中  甲君       石橋 一弥君    栗原 裕康君      田野瀬良太郎君    西田  司君       蓮実  進君    平泉  渉君       平林 鴻三君    山口 俊一君       愛野興一郎君    上田  勇君       岡島 正之君    富田 茂之君       永井 英慈君    吹田  愰君       山崎広太郎君    吉田 公一君       池田 隆一君    加藤 万吉君       畠山健治郎君    穀田 恵二君       川端 達夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野中 広務君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       菅沼 清高君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁警備局長 杉田 和博君         自治政務次官  小林  守君         自治大臣官房長 秋本 敏文君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 佐野 徹治君         消防庁長官   滝   実君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    前川 尚美君     ――――――――――――― 委員の異動 二月七日  辞任        補欠選任   谷  洋一君    山口 俊一君  辞任        補欠選任   山口 俊一君    谷  洋一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第七号)      ――――◇―――――
  2. 川崎二郎

    川崎委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田公一君。
  3. 吉田公一

    吉田(公)委員 まず、阪神大震災につきまして若干伺いたいと存じます。  まず、自治省消防庁の一月十七日の地震発生時からの行動を時間を追って御説明いただきたいと存じます。
  4. 野中広務

    野中国務大臣 消防庁といたしましては、当日一月十七日の六時五分に気象庁から地震情報を受理いたしました後、当直の職員が、あらかじめ震度四以上につきましては関係府県に対しまして万全の体制被害状況指示するように定められておりますので、直ちにただいま申し上げました関係府県に対しまして万全の体制被害状況報告を、指示したところであります。なお、被災県から連絡を待つだけでなく、消防庁からも情報収集に努めたところでございます。  また、兵庫県に対しましては、消防組織法第二十四条の三に基づく他府県からの応援要請につき数回にわたりまして連絡をいたしますとともに、並行して、他の都道府県あるいは政令指定都市に対しまして出動可能な調査及び出動準備について指示を行ったところでございます。  さらに、八時に消防庁災害対策連絡室を設けまして、九時に災害対策本部を設けまして、それぞれ、室長の場合は消防庁次長とし、九時に設けました災害対策本部本部長消防庁長官として設置をいたしまして、情報収集を行いますとともに、十時になりまして兵庫県からの応援要請を受けましたので、それぞれあらかじめ出動要請を行っておりました都道府県政令指定都市消防本部に対しまして消防庁長官から応援要請を行ったところであります。
  5. 吉田公一

    吉田(公)委員 地震発生いたしましたのが五時四十六分ということでございますが、その後現地対応等報道機関対応等あるいは神戸気象台から大阪気象台への連絡不通等がございまして若干対応がおくれたのではないか、まずその段階報告がおくれていたのではないか、そう思っているわけでありますが、気象台につきましては運輸省の所管でありますから、そのことについては触れませんけれども大臣はまずその大災害であるという御認識を持たれたのは何時ごろであって、自治大臣に正式な機関から、こうこうこういう事態発生をいたしておりますというような報告は何時ごろに大臣のお耳に届いたかということをお願いいたします。
  6. 野中広務

    野中国務大臣 先日もお答えしたところでございますが、午前六時四十分に自治省警察庁それぞれ秘書官から私に、関西方面において相当な被害を伴う地震発生したようでございます、詳細につきましては後刻連絡をいたします、そういう連絡がございました。七時前後であったと思いますが、消防庁次長及び警察庁長官から、事態は非常に広がりそうな状況で、地震規模も大きいという連絡を受けました。
  7. 吉田公一

    吉田(公)委員 そうしますと、正式な機関から大胆のお耳に事態発生が正式に御報告ありましたのは、災害発生から約二時間たってから消防庁なり警察庁から大胆のところへ報告があったということでよろしゅうございましょうか。
  8. 野中広務

    野中国務大臣 六時四十分が最初でございます。一時間足らずであります。
  9. 吉田公一

    吉田(公)委員 そこで大臣は、消防庁警察庁等から、あるいは府県から連絡をいただき、そして消防庁警察庁に対しまして、先ほどもちょっと御答弁いただきましたけれども、具体的にどういう指示をされましたか、伺いたいと思います。
  10. 野中広務

    野中国務大臣 消防庁警察庁とも、あらかじめ想定されました事態に即応できるように万全の体制を、措置をとってくれるようにということを要請いたしました。
  11. 吉田公一

    吉田(公)委員 そこで、自治省消防庁大臣指示をいただき、その後の行動について御説明をいただきたいと存じます。
  12. 滝実

    滝政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、八時に震災対策室連絡室を設置すると同時に情報収集を開始いたしまして、各県の状況あるいは各政令市、最寄りの政令市が何といっても一番の機動力を持っているものですから、そういうようなところとの交信を開始いたしまして、例えばヘリ出動が可能かどうかとか、準備はどの程度できているか、そういうようなことから始めて状況把握を開始したところでございます。
  13. 吉田公一

    吉田(公)委員 状況把握をして、神戸消防局には具体的な指示を出されたのでしょうか。
  14. 滝実

    滝政府委員 基本的には、神戸市との連絡は早い段階ではやっておりません。神戸市の消防局は基本的には現地との対応で精いっぱいでございますから、当該消防機関には直接私どもから交信するということはとてもできない状況でございますので、やっておりません。
  15. 吉田公一

    吉田(公)委員 次に、警察庁でありますが、警察庁大臣指示をいただいた後、どのような対応現地指示されたかということについて伺います。
  16. 杉田和博

    杉田政府委員 警察庁におきましては、六時十分の段階機動隊の待機を指示いたしまして、六時半の時点警備連絡室を設置いたしたところでございます。その後、ただいま大臣か御答弁なさいましたとおり、六時四十分ごろ、秘書官を通じて御報告して指示を受けまして、以後、次第に状況が明らかになってきた段階で、八時半の時点で私を長とする対策本部をつくりまして、その時点で、待機しておりました全国機動隊、これは二千五百名ほどでありますけれども、これを直ちに現地に向けて出発するように指示いたしました。同時に、近隣の府県警に対しまして、可能なヘリについては飛んで状況把握するように指示いたしまして、逐次状況把握に努めたところでございます。  以上でございます。
  17. 吉田公一

    吉田(公)委員 次に、地方分権でありますが、御承知のとおり、戦後自治法ができまして約五十年たつわけでありますから、本来、今さら五十年たって地方分権分権と言うこと自体が既に遅いわけであります。したがって、本気に地方分権推進していくためには、まず財政を、地方自治体自主財源を拡大しなければいかぬ。もう一つは、国からの権限ということを言われますが、その権限、そしてもう一つは、よく各都道府県並びに政令指定都市等に各省庁から派遣されます国家公務員、それらの大事について。  三つの大きな柱があるわけでありますが、これらについて、特に今度消費税平成九年から五%になる。その際に、五%のうちの約二〇%は地方消費税として自主財源となる、こういうことでございます。しかし、徴税事務につきましては、国の税務署でやるということで「当分の間」こういうことになっておりますが、その「当分の間」というのは一体何のために「当分の間」にしたのか、一当分の間こというのは大体何年ぐらいのことを「当分の間こと言っているのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  18. 野中広務

    野中国務大臣 委員今御指摘のように、地方分権につきましては、長い間の懸案でございましたが、一昨年、衆参両院において満場一致の決議がされ、さらに昨年、地方制度調査会あるいは総理を長といたします行政改革推進本部専門部会、その他地方団体等のそれぞれの意向を踏まえまして、去る十二月二十五日「地方分権推進に関する大綱方針」を定めたところでございます。これによりまして、事務配分に応じた地方税財源を安定的に確保していかなくてはならないという一環から、委員今御指摘がございました税制改正におきましても、地方自主財源として地方消費税を確保することになったわけでございます。  委員は二〇%とおっしゃいましたけれども、五%のうちの一%でございます。五%のうちの二〇%とおっしゃいましたけれども、一%でございまして、これが十分とは考えないわけでございますが、今後の地方分権の果たしていく上におきまして、非常に法人税の比重の高い都道府県の税を考えますときに、安定した税源伸長性のある税源を確保できたというのは私は地方分権の大きな弾みになったと考えておるわけでございます。  そこで、一つには、委員か「当分の間こというのをおっしゃったわけでありますけれども地方の税でありますので、地方みずからが賦課徴収するのが基本であります、しかし、納税者事務手続等を配慮しますときに、行政改革の叫ばれておる今日、地方みずからの税であるからといって地方がこのために賦課徴収事務を別に行うというのは今日の課題に道さないことであると考えまして、その賦課徴収税務署に委任することにいたしたわけでございます。  従来、いわゆる消費譲与税のときには、国に入った税が地方譲与税として国を経由して入ったのでございますけれども、このたびは、税務署からあるいは税関から各都道府県に入るというところに大きな意義があると思うのでございます。  この地方の税は地方賦課徴収するという原則を考えて「当分の間こと定めましたので、今後また幾つかの税財源を確保していく上で、この「当分の間、」は十分配慮していかなくてはならないと考えておるわけでございます。  以上でございます。
  19. 吉田公一

    吉田(公)委員 本来なら、地方自主財源でありますから、徴税事務が仮に複雑になっても、あるいは行財政改革の逆行という立場から考えれば複雑になるわけでありますから、それはそれなりの理由があると思いますけれども、例えば複写式にして、都税事務所県税事務所へ払いに持ってきてくれる人には報奨金を支払うというような形にしてやるべきだ。そうしないと、実際の地方分権にはならないで、あくまでも一たん国税事務所徴収をして、それを分配してやるというような考え方に固定化してしまうのではないかという点を、私は実は大変心配をいたしているところであります。  それでなくても、後ほど触れます起債許可についても、当分の間といって約五十年たっているわけでありますから、そういう点では役所の当分の間というのは余り信用できないので、ぜひひとつその点は、本当の意味での自主財源にするということであれば、「当分の間こというのは三年か五年にしてもらいたい、こう思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  20. 野中広務

    野中国務大臣 今回の場人口委員のような御指摘もあろうかと思いますけれども、しかし、消費税をそれぞれ納めていただく納税者事務的手続等を考えますときに、その利便性からいえば一斉に税務署及び税関等で納付するというのは、これは私ども地方、国の立場に拘泥しないで行革の道を行くのではなかろうかというように考えておるわけでございまして、そのためにまた新たに地方事務量がふえていくということは避けるべきではなかろうかと考えてこの選択をした次第でございます。  ただ、これから地方分権が進んでいけば、単にこの税だけでなく、私ども地方税財源の拡充にいわゆる権限とともに努めていかなくてはならないわけでございます。そういうときには、委員が御指摘になりましたような方向性で、その賦課徴収を含めたあり方というものを十分考えていかなければならないと存じております。
  21. 吉田公一

    吉田(公)委員 次に、権限移譲ということかよく言われますが、権限移譲はいいんですけれども整理統合もしないでそのまま地方権限移譲いたしましても、結論からいけば、同じ権限が国から都道府県市町村に移っただけの話でありまして、国民、県民、市民にとりましては、下へおりたとはいえども、同じような権限のもとに行政が行われるということでありますから、この権限移譲につきましては、整理統合した上で各都道府県なり各市町村権限移譲をしていただきたい、こう思うのでありますが、その点はいかがでございましょうか。
  22. 野中広務

    野中国務大臣 地方分権推進に当たりましては、地方がその実情に沿った個性のある行政を積極的に展開できるように国と地方役割分担を本格的に見直す、そして権限移譲や国の関与等の廃止を行って、あるいはまた緩和を行い、先ほど申し上げましたように、地方税財源充実強化を進めて、地方公共団体自主性自立性を強化していくことが一番必要であると考えておるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、去る十二月二十五日の閣議決定をいたしました地方分権大綱に沿って地方分権推進していくわけでございますし、また、今その大綱に従いまして国会の御審議に付すべく法案の詰めを行っておるところで、総務庁において鋭意御努力をいただいておるところでございますけれども、そういう中におきましても、行政簡素化及び規制緩和の観点から行政事務そのもの必要性を十分検討しますとともに、国から地方公共団体への権限移譲等推進することといたし、また各省庁出先機関についても、地方分権推進に伴いまして、地方出先機関を初め省庁組織についても一定の見直しが進めていかれることと私どもは存じておるわけでございます。まさしくこれは、法が定められた中において推進の手順を進めていき、あるいはその委員会等がそれぞれ機能していただく中で具体的な構図をつくっていかなくてはならないことであると考えております。
  23. 吉田公一

    吉田(公)委員 それからもう一つ地方分権にとりまして大事なことは、地方事務官制度もそうでありますけれども、これは何回も当委員会議論がされてきたのだろうと思います。しかし、一向に地方事務官制度というものは改まりませんで、これら地方事務官制度そのものも抜本的に改正をしなければ地方分権にはつながらない。  同じ都道府県庁の中で、厚生省側から派遣された国家公務員労働省側から派遣された国家公務員地方事務官制度としてあるわけでありまして、したがって、そこの都道府県知事の一般的な命令には服さなければいけないとは思いますけれども、しかし、行政そのものは国の機関での業務でありますから、知事命令ができないのではないか、そう思うのであります。地方事務官制度というのを抜本的に改めていかなければいけないと私は思っておりますが、大臣のお考えがあればひとつお願いします。
  24. 野中広務

    野中国務大臣 私も委員と同じ考え方でございまして、それぞれ労働事務官あるいは社会保険関係職員も含めまして、いわゆる地方事務官制度というのは長い足取りをたどっておるわけでございますけれども、しかし、一応都道府県知事の範疇に入りながら、身分は国家公務員でございまして、それだけに一時期は、地方公務員国家公務員と同じ知事部局にありながら給与の格差もできてまいりましたし、それぞれ一時、プラスアルファなどを支給された時期は非常にそういう間でのあつれきもございましたし、また、なかなか転勤ができない、人事が固定するという面もございました。  そういう実情を思いますときに、こういう機会に地方事務官制度あり方というのは抜本的に見直さなければならない重要な事項であると考えておる次第でございます。
  25. 吉田公一

    吉田(公)委員 それともう一つは、国家公務員の人が地方公共団体へよく管理職として出向くわけでありますが、例えば農林省は農林水産部長でありますとか、自治省総務部長だとか財政課長だとか、通産省は商工部長だとか、そういう国から各地方公共団体人事配置をするわけでありますが、そうすると各都道府県人たちがそういうポストが埋まってしまうとなかなかなれないというような弊害がある、こう私は思うのであります。  各省の人たち地方に行く場合には、商工部長だとか農林部長とか総務部長とかというポストへつくのではなくて、どうしても行かさなければしょうがないというのであれば、地方行政を勉強しに行くということであれば、例えば参事だとか理事だとか、そういう肩書で県政全般にわたっての勉強をしに行くのならいいんですけれども、本来ならそこの県出身人たちが占めるポストをこちら側から行って占めてしまって、また二年で帰ってきてしまう。そうすると、一貫性ということからかんがみても、責任ということから見ても、まことに私は県にとっては、地方自治体にとっては不都合な話ではないか、そう思っているわけでありますが、地方分権推進に当たってはこのことも大事なことだと思いますので、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  26. 野中広務

    野中国務大臣 私は、過度にわたってはいけませんけれども、それぞれ中央省庁地方公共団体との人事交流というのは、一定の節度を踏まえながら行われていくことがいいことだと考えておる一人でございます。  また、自治省について考えますときに、今総務部長とか部長級が行っておるように言われましたけれども自治省の場合は、採用されまして、間もなく各都道府県に見習いとして出ていきます。そして、再び帰りまして本省での仕事を行いまして、そしてまた都道府県要請やあるいはそれぞれ市等の要求をも受けながら課長として出かけていきます。そしてまた、二年ほど勉強いたしまして帰ってまいりまして、また主要な課長として出、あるいはその後総務部長等部長職をもって出ていくのでありまして、相互に出ていくわけでございます。  二十代の終わりごろから各都道府県や市の議会答弁に立ったり、特に二十代の後半からはもう都道府県議会常任委員会等答弁に立ったり、三十歳余りではもう総務部長等をそれぞれやるようになりますと、本会議等答弁も立つようになりまして、選挙で選ばれた方々の生の声を都道府県議会やあるいは市議会において肌で感じるというのは、中央地方自治仕事をしていく上で非常に大きな収穫になってきておると、私自身、それぞれの経験を通しながら考えておるわけでございます。  私ども、とかくいろいろ見方はあろうと思いますけれども、それぞれ中央におる国家公務員地方に出かけていって、地方の非常に深刻な状況を自分の体で体験をし、そして、先ほど申し上げましたように、それぞれ国民から選ばれた、住民から選出された人たちの意見を議場で聞き、答えていく、それを政策に生かしていくという経験は、国政を行っていく上にも非常にとうとい経験になっていくのではなかろうかと私は思っております。  自治省といたしましては、単にこちらから送るだけではないのでございまして、現在自治省関係では、本年一月一日現在で百七十名の職員が出かけております。そして、地方からはほぼ百四十名が入ってきておりまして、相互に研修に努めておるところでございます。
  27. 吉田公一

    吉田(公)委員 このことについてはいろいろ異論があるところでございまして、時間の関係から次に移らせていただきますが、やはり同じように地方分権推進する上で前から問題になっておりますのは、地方債許可制度であります。  地方自治法第二百三十条では、地方自治団体は、予算の定めるところによって地方債を起こすことができると明記されておりますが、次の同法二百五十条では、光分の問、最初内務大臣だったようでありますが、その後、内務大臣というのはいませんから、自治大臣許可を受けなければならないとされているわけであります。  しかし、例えば東京都なんかの例をとれば、交付団体になったことはありませんで、ずっと不交付団体でいるわけであります。そういう不交付団体としている東京都を初め――今では東京都だけになったようでありますが、地方起債許可について今後どうされていくのか伺いたいと思います。
  28. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  当分の間ということで、いつも問題になるわけでございますが、これは法令の用語上は不確定の期間を示すということでございまして、必ずしも時間的に短期間でなければならないということではないというように考えているところでございます。  この地方債許可制度につきましては、委員もおっしゃっておられますように、さまざまな御議論がございます。私どももそういったことは十分承知をいたしておるわけでございますけれども、今の地方財政につきましては、豊かな団体もありますれば、財政の弱い団体もある、むしろ財政の弱い団体の方が数としては非常に多い。そういうような中で、私ども地方財政計画というものを立てて、全国地方団体財政運営上困らないように財源を全体として保障していくという中で地方財政制度つくっているわけでございます。  そういった意味からいいますと、地方債の元利をきちっと地方団体が返していく、その財源をまた地方財政計画の中で保障していくというのが非常に重要な要素になっているというようなことがございまして、そういったことを考え、また、国と民間との資金需要の調整の問題、それから個々の地方団体の適正な地方債発行規模の問題といったものを考えたときに、やはり地方債許可制度は必要だというように思っておるわけでございます。  御指摘のように、それでは非常に財政の豊かな団体ではそういうことをする必要はないのではないかということでありますけれども、先ほどたまたま御質問の中でおっしゃられましたように、従来四つあった不交付団体が、よもやと思われたのですが、今はただの一つになって、他の三つの不交付団体命交付税交付を受けているというような状況でございますので、そういった全体の財政状況を考えたときに、この不交付団体も含めて起債許可制度というのは残していただきたいというように考えております。  ただ、起債発行手続等の運用の問題、これについては弾力化簡素化というものを一層努力していきたいというように思っております。
  29. 吉田公一

    吉田(公)委員 最後に一つだけ。  御承知のとおり、地方にはその都道府県なり市町村から選ばれた議会があるわけでございます。つまり、その議会があらかじめ起債予定見積額を入れた額で予算を可決、成立をしているわけでありまして、そういう意味では、ただ単に都道府県知事だけではなくて、行政都だけではなくて、議会についても無視をしているのではないかというような考え方があるようでありまして、いずれこれはこのことだけに時間をとって改めて質問させていただきますが、そういう意味地方には議会もあるということをぜひ御承知をいただきたいと思います、  終わります。
  30. 川崎二郎

  31. 上田勇

    上田(勇)委員 新進党の上田勇でございます。私たちが直面いたします現下の最大の課題は、去る一月十七日に発生いたしました阪神大震災への対応でありますので、まずこのことについて御質問をさせていただきます。  初めに、この大震災発生後、自治省消防庁並びに全国地方自治体の皆様、連日大変な御努力をされていることに対しまして、心から敬意と感謝を申し上げるものであります。  さて、二日の当委員会におきまして同僚議員の米田委員の方から、高秀横浜市長のコメントに対する大臣の御見解についての質問が行われました。大臣の御答弁の中でどうも十分に納得のいかない面もございますので、再度この点について言及をさせていただきたいと思います。  私自身は、横浜市長のコメントは地震発生直後の政府の対応あり方について率直な意見を述べたものであり、多くの国民の声を代弁したものであり、私自身も共感を覚えるものであるというふうに感じております。  しかし、大臣、また内閣のスポークスマンとも言える五十嵐官房長官は大変御立腹のようで、記者会見等で不快感をあらわしておりますが、五十嵐長官は記者会見ではこのように述べられています。「国の指示がなければ何もできないというが、やる気があればできるだろう。だから、地方自治体はダメなんだ。あんたの所は何をやっていたのかといいたい」このように言われているようですが、これは地方分権を重視する内閣のスポークスマンとして、だから、地方自治体はダメなんだ。」というのは、これはもう本当に驚くべき発言であるというふうに思いますし、また現に十九日までには各自治体とも大変な協力をしている、そういう事態の中で極めて失礼な、もう暴言とも言えるような発言であるというふうに私は感じました。  また大臣は、一月二十一日の会見並びに二月二日の当委員会答弁の中でも、腹を立てられた理由として、まず第一点目としては、消防庁からは十七日、発生当日でありますが、十時過ぎには既に自治体に出動要請をしている、かつ、翌日には全国総務部長会議を緊急に開催して災害救援の協力を要請している、そのように迅速に対応しているのが市長の方に的確に伝わってないのではないかという点。  二つ目としては、大都市間の相互応援協定に基づいて自発的に行動すべきではないかというようなことだったというふうに承知しておりますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
  32. 野中広務

    野中国務大臣 今委員おっしゃいましたように、先般私が米田委員の御質問にお答えをいたしましたとおり、高秀横浜市長が、中央政府は何の指示もしなかった、こういう発言をされて、もっと適切な指示があってしかるべきだというのを、いやしくも政令指定都市の市長が中央政府の指示がないから災害対応ができない、こんなことを発言することが、私どもお互い地方自治を一緒に担ってきた人間として、現在地方分権が言われておるときに、なぜそんな発言が出たのかというのを悲しく思いました。  もう一つは、私は、消防庁といたしましては、横浜消防本部に対して、兵庫地方地震で甚大な被害を受けつつあるので、あらかじめヘリ出動準備しておいてほしいということをお願いいたしまして、そして十時過ぎには兵庫知事からの応援要請がございましたので、直ちに出動をお願いしたいということを申し上げたわけでございます。兵庫県からあるいは神戸市から毛布の要請がなかったら出ないなんて、そんなことをなぜあの人が、建設省のトップとして働き、国土庁のまた非常なポストで働いた、粟屋理事もいらっしゃいますけれども、そんな人がなぜそんなことを言ったのか、私は理解に苦しんでおるのでございます。お互いにこれから地方分権を一番大きな壁を破りながら進めていかなくてはならない政令指定都市の首長として、私はむしろ残念に思っておる次第であります。
  33. 上田勇

    上田(勇)委員 ただいまの大臣の御答弁で、確かにこういう緊急事態において国が果たすべき役割、それから地方公共団体が果たすべき役割、そういったことがあるべきであるというふうに感じます。そういう中で今の大臣の御答弁を伺いますと、何か国の対応のおくれ、まずさ、そういったものの責任を地方に押しつけているような感じがします。  まず、確かに消防庁からは十時十五分ごろに東京都、神奈川県等、ヘリコプターの出動要請を行っている。先ほど、その前にかなり事前調整を行ってきたというふうに御答弁がありましたけれども、実際にそういった調整が調って出動準備ができたのはもう十時過ぎ、地震発生後五時間近くが経過しておるわけであります。これは果たして迅速な対応であったというふうに言えるのか、政府としてももっと素早く情報の収集や分析を行って各自治体への協力を要請していれば被害をより少なくすることができたのではないだろうか、そういった疑問を感じるわけでありますけれども、その点についての御見解を伺いたいと思います。
  34. 野中広務

    野中国務大臣 私は、中央政府の対応が万全であったなどとは考えておりません。今度の地震災害の想像以上の大きさを思いますときに、やはりまだまだ私どもは多くの反省をし、そしてこれから予想以上の、震度七を超える震災に対して対応できるもののすべてを見直して対応していかなくてはならないと考えておるわけでございます。  けれども、今申し上げた以上に、政令指定都市というのは、政令指定都市相互間の消防救援活動のいわゆる協定を結んでおるわけでございます、それは、直ちにそういうことが把握できたらみずから飛び立たなくてはならない、そういうものを持っておるわけでございまして、私はそういう点で、どうして対応中央省庁指示がなかったということになったのか。消防庁は事前にお願いをし、そして正式にも要請をしておるわけでございます。  今委員から御指摘ございましたように、たまたま十八日に全国総務部長会議を行い、横浜市も政令指定都市として出席をし、地震災害について取り組むべき省の問題について、事務次官及び消防庁長官からも現地へ行ってきた状況を含めて話をしておるわけでございます。  そういうことを考えますときに、どうして横浜市長からあのような発言が出てきたかは、私は納得できないものでございます。
  35. 上田勇

    上田(勇)委員 ただいまも御答弁にありましたし、また前回の委員会でも、十八日に全国都道府県総務部長会議を開催した、災害の協力を協議し要請を行ったというふうに伺っております。  私自身もその話を聞きまして、具体的にどのような協議が行われたのか非常に関心がありましたので、自治省の方から会議の次第、それから配付資料等を御提示いただきました。  この会議の主要な議題というのは、この会議次第並びに資料を見る限りにおきまして、平成七年度の予算であるとか税制改正自治省の施策、制度等の説明、いわば定例の総務部長会議だったというふうに理解できます。たまたまこの会議が非常にタイミングよくセットされていたということで、それ自体は非常にいいことだったというふうに考えておりますが、会議次第の中にも使われた資料にも、震災関係のものというのは御提示いただいたものには一切ないのです。会議の議事録等についても御提示をお願いしたのですが、作成していないということでありました。  この会議では、震災救援についてはどの程度の時間をかけて、どのような内容について協議され、政府からは具体的にどのような要請指示が行われたのか、大臣にお伺いしたいと思います、
  36. 滝実

    滝政府委員 まず、大臣から御答弁申し上げる前に、十八日に直接私が申し上げましたので、その概略だけ申し上げたいと存じます。  私は十八日に、現地状況をまず申し上げました。そして、各消防関係機関がまず全面的な支援をしていただいていることについて触れまして、今後ともさらに広域的な応援をお願いすることになろう、したがって、その際にはよろしくお願いしたいというのが第一点。  それからもう一つは、その段階ではいろいろな問題は出てきていませんけれども、いずれはいろいろな問題が出てくるであろう。例えば、ひつぎの問題とか斎場の問題を初め、余り言いたくない問題でございますけれども、現実問題としてはそういう事柄を含めて、とにかくこれだけの大災害でございますから、ただ単に火を消すとかあるいは救急をするとかという以上にいろいろな問題が出てくるであろうことが予想されますので、そういうこともあらかじめ予想しながら、各県であるいは各市でどういうことが協力できるか、そういうこともあわせて皆さんのところであらかじめ十分に検討し、あるいはこういうことが協力できるということがあったら私どもに申し出てもらいたいということも添えて、これから広く協力をお願いすることになろう、こういうようなことで申し上げた次第でございます。
  37. 野中広務

    野中国務大臣 委員がおっしゃいましたように、これはたまたま平成七年度予算編成を前にいたしましての全国総務部長会議を招集しておったわけでございます。その点では、震災の翌日に開催できたというのは、御指摘のように非常にタイミングがよかったと私も思っておるわけでございます。  この会議には事務次官か出まして、今消防庁長官が申しましたけれども、被災地の消防本部関係機関あるいは全国から多くの応援をいただいておるわけで、これからも救急救助活動や消火活動等に出動をいただかなくてはならないし、消防、医療、救援物資等の御協力をさらにお願いしていかなくてはならない、とにかく各都道府県、桁町村の十二分な応援をお願いいたしたいということを申し上げまして、地震発生後、今後即時即応、現地にも我々の事務所を置いてやっていきたいので十二分な対応をお願いしたいということを申し上げました。  なお、消防庁長官からは、今申し上げましたように、現地に行ってまいりました状況を御説明申し上げますとともに、官房総務課長からも、要員の確保や物資の調達といったようなきめ細かい問題をお願い申し上げた次第でございます。  さらに、翌一月十九日、全国消防防災主管課長会議を開催いたしまして、これまた消防庁長官及び消防庁総務課長、震災対策指導室長よりそれぞれ対応策をお願いしたところでございます。
  38. 上田勇

    上田(勇)委員 今の御説明で、結局はこの翌日、十八日の段階になって、たまたまその日に会議が設定されていたので、その場で何が対応できるのか準備をしてくれ、考えてくれということを要請した、もうそれで的確で迅速な対応であったというふうにお考えでしょうか、その点をお伺いいたします。
  39. 野中広務

    野中国務大臣 私は、的確で迅速な対応をしたなどと申しておりません。それは、いち早く消防庁は六時五分に気象庁から連絡を受け、直ちに行動を起こし、警察庁は六時に既に行動を起こしておるわけでございます。その点では消防、警察を含めて大変適切な対応をしたと私は考えておるわけでございます。それにつけて、横浜市長の発言というのは、私は、中央省庁指示がなければ動けないなどと政令指定都市の市長が言うことがむしろ今日的課題としておかしいということを申し上げたのでございます。  私どもとしては、十七日という地震発生した日は消防庁長官が交代した日であります。けれども消防庁長官に辞令交付するとともに、新消防庁長官現地に飛んだわけでありまして、直ちに被災状況調査して、そして帰りまして私ども及び官邸に状況報告し、翌日、それぞれ企国から集まりました総務部長に、その状況についてきめ細かくお願いをそれぞれの部署から申し上げたわけでございまして、当日はまだ我々が現地対策本部をお願いする状況まで至っておらなかったと思って、私自身が大阪に出かけてお願いしたわけでございますけれども、十七、十八を振り返りますときに、なし得る可能なことはできるだけさせていただいた、  けれども、それは現地の被災状況から見ると、現地の皆さん方のお心を和ますことにはならない状況であったことは私も十分理解しておりますけれども、また、その人たちの心をいやすことはできなかったと思いますけれども、私どもとしては、できる限り現地の救援あるいは救助等に万全を尽くしていきたいという気持ちで努力をしてきたつもりでございます。
  40. 上田勇

    上田(勇)委員 国の指示がなければ何もできないというようなことを今大臣の方からおっしゃいましたけれども、いろいろ新聞等で見る限りにおいて、各自治体とも、国から明確な要請指示がない中で神戸市と直接連絡をとりながらいろいろな要請に積極的にこたえてきた、そういうのが現実じゃないかというふうに思います。  そうした中で、この地震発生後、初動段階で救助や救援について政府の対応は遅い部分もあった。全般的に遅かったのじゃないかというのは、この国会の場でも、また各方面からも指摘されているとおりでありますし、総理もおおむね認められていることじゃないかというふうに感じております、特に、人命救助のための自衛隊の出動が極めて遅かった、このことも各方面から指摘されている。  政府全体としてのこうした危機における総合調整能力、そういったものが欠如しているのではないかという批判ではないかと思うのですが、それについて、むしろそうした中でも最大限の努力をして救肋に当たっている自治体に対して大臣からは、感謝の言葉があるにしろ、そういうような立腹するというような態度というのはまことに納得のいかないものでありますか、その点についていかかでしょうか、
  41. 野中広務

    野中国務大臣 私は同じ地方自治を考えておる一人として、今地方分権が言われておるときに、中央政府の要請がなければ何もできないがごとき発言をして、その中央政府から要請がなかったことに憤りを感じるなどという発言をした市長発言に対して、私自身怒りを感じたと申し上げたわけでございまして、私は今日、今回の地震災害を振り返りますときに、幾つかの教訓もございます。  私は一昨日も兵庫県庁、神戸市役所、芦屋市役所、淡路島、それぞれ現地に行って生の声も聞いてまいりました。そういう中で自衛隊の出動についても、これはもっとマニュアルを考え直さなければならないということも知ってまいりました。  あるいは、自衛隊あるいは警察、消防等のヘリを含めて、マスコミのヘリ等を含めて、現地におられる皆さん方からは、あそこに消防で出かけていって、声が聞こえるから救助しようと思ったけれども、上でヘリの甘ががあっとして救助できる声が聞けないで救助することも不可能であった、だから救援時におけるヘリというのはもっと考えてもらわなければ、あのヘリが往来することによって被災者がどこにおられるか本当にわからぬ、声がかき消されて聞こえなかったという晦しさを聞かされたりして、やはりそういう緊急時における防音対策等のあり方も我々は謙虚に考えなければならないし、また、マスコミ等についてもお願いしなければならないし、時には法でこれを考えなくてはならないのかな、そんな気持ちも現地で、ヘリの音でかき消されて救助できなかった川貝の悔しさというものを私は耳にしてまいりました、そういった面を今後は十分考えていかなくてはならないと思っておるのでございます。
  42. 上田勇

    上田(勇)委員 何か御答弁が質問した内容と大分食い違っていたようでございますけれども、こうした今回のような非常に緊急な大災害、もちろん、先ほど大臣がお話しになったように、十三大都市災害相互応援に関する協定というのが平成五年に神戸市を含めまして十三の政令都市間で締結されております。大臣指摘されたように、つまり、この相互応援協定があるのだから、国の指示などは頼りにせずに、各自治体がそれぞれ連携をとって独自の判断で自主的に行動すべきであるというような御発言であったと思います。  もちろんこの協定は、見てみますと、災害を受けた都市が独自では十分に応急措置が実施できない場合に、被災都市の要請にこたえ、いろいろな救援協力をするという内容になっております。これも、あくまで被災都市からの要請にこたえるというのが原則であるということでありますし、これは、消防庁応援要請知事からの要請が前提となっているということと全く同じ考え方ではないかというふうに思います。  今回の震災の場合は、被災した兵庫県や神戸市は町の中心部、心臓部が被災するといった状況の中で、それが大変な混乱があったことも予想されますし、これも無理からぬことだというふうには思います。しかし、そういうときにこそ国がリーダーシップを発揮して、被災した自治体としっかりと連携をとって応援態勢を迅速につくっていくこと、これが国としての本来の使命と責任なのではないかというふうに思います。  大胆がおっしゃるように、協定があるのだから自主的に応援すべきである、また準備すべきであるというようなことを言っても、それぞれの自治体では現地の情報を十分掌握できないという現実があると思いますし、適切に判断し行動するのは無理な面もあるのではないかというふうに思います。ましてや、こういう状況では、最も現地状況をしっかりと掌握できるような国の機関がリードして、各自治体に協力の、要請指示を的確に行っていかなければいけないことじゃないかというふうに考えます。  大臣、ただいまの御答弁で、同の本来果たすべき役割が何であるか、認識が極めてあいまいな感じがいたしました。国の不手際の責任を実は地方に押しつけている、そういうような御答弁というふうに受けとめられますけれども、このことについてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  43. 野中広務

    野中国務大臣 私は全くそんなことを考えておりません。いやしくも私も、地震発生以来、翌日から三回も入ってきております、余りにも私自身に対する失礼な言い方だと私は考えております。  少なくとも私どもは、そういう中において、あなたが御指摘になったのは、横浜市長の発言に関して私の怒りがあるということからこの論議はスタートをしたわけでございます。したがいまして、私は、横浜市長の発言については、消防庁としては、要請をする前に、事前に、兵庫において大きな地震発生災害が予想されるから出動準備を整えてほしいということをお願いし、そして政令指定都市の支援協定の中でも、それは確かにそれぞれ当該市から要請があって出るものであります。しかし、横浜消防本部消防庁等の連絡を受けて、あらかじめ給油を行ったりエンジンをかけて、いつでも飛び立てるように用意しておったのです。そして兵庫県庁から消防庁要請がありましたから、十時過ぎに要請をいたしましたら、直ちに飛び立って救援、救護にかかってくれたわけでございまして、私どもは横浜市消防本部のやってくれたことは非常に感謝をしております。  また、翌日、それぞれ全国総務部長会議をやり、十九日には防災主管課長会議をやってお願いをいたしましたが、市長がああいう発言をするに至ったことは、横浜市のそれぞれの部署から市長に上がっておらなかったのじゃないか、だから市長がああいう発言をすることになったのではないかということを、むしろ私は横浜市の危機管理を問題にするぐらいでありまして、私ども中央における省庁対応地方の責任に押しつけるなど、そんなことはみじんも考えておりませんし、兵庫県へ行きましょうが、神戸市へ行きましょうが、各市に参りましても、それぞれの被災住民の救援、救護あるいは復興について財政上いささかの支障があってもいけないから、私は何回も総理の命を受けてきておりますから、十二分の仕事をやってくださいということをお願いをしております。
  44. 上田勇

    上田(勇)委員 私がこれまで問題とさせていただいたのは、前回の委員会あるいは記者会見等の大臣の御発言の中で、国の責任、役割、使命、そういったものに対する認識がちょっと大臣御自身不明確、あいまいなんじゃないかということを感じたから御質問させていただいたわけでありますが、依然としてその感はぬぐい切れません。  こうした緊急事態における国の危機管理体制について、大臣からも改善を図っていかなければならない点は数多くあるということを今お話がありました。私も全く同感であります。被災された多くの皆様には大変申しわけないことではありますが、この事態における対応、そういったことを教訓として、やはり改善すべき点は至急改善していかなければならない、このことはもう共通の認識であるというふうに思います。  そのためにも政府としては、いろいろな立場の意見、批判を謙虚に受けとめて参考にしていかなければならないのではないでしょうか。現内閣のように、少しでも政府のやり方に対して批判めいたことがあると、何か今も感情的に発言を封じ込めるような姿勢というのはとても理解に苦しむものであります。そのような多くの幅広い意見を、批判を受けとめていく中で、改善や進歩といったこともあり得るのではないかというふうに考えるものであります。  当然、この作に関しては、新聞の投書欄なんかにもいろいろな投書が寄せられています。きょうはちょっと時間がありませんので割愛しますが、今回の対応についてこうした国民の厳しい批判があることは事実であります、これを受けとめて、政府の今回の対応について、やはり反省すべきところは激虚に反省し、これからの復興に全力で取り組んでいっていただきたい、このことを切に願うものであります。大龍、御所見を伺いたいと思います。
  45. 野中広務

    野中国務大臣 委員の御指摘が、横浜市長の発言に対する質問が端緒でありましたから、横浜市長の発言について、私自身、議員と役人でありましたけれども、長い間おつき合いした心許せる人でありますししかも、彼の選挙には私も一生懸命、連日行った一人であります。それだけに、今地方分権で一生懸命やっておるこのときに、何で政令指定都市の市長が、中央政府の方針が出て指示がなければ動けないんだみたいな発言をするんだと、悲しく思う余りに申し上げたことでございまして、他の一般都道府県市町村は私どもが頭の下がるような協力をしてくださっております。それぞれの府県から毎日毎日、救援物資や水を持ち込んで一生懸命努力をしてくださっております、私どもはそれには、都道府県からの、あるいは市町村からの支援についてすべて交付税で措置をいたしますまで申し上げて、そして、神戸市や兵庫県のみならず、被災地域だけでなく、他の府県からの支援に対してもそれぞれ交付税措置をして万金を期したいと考えておるわけでございます。  初動的な問題等、長い間これは、国土庁発足、そして防災局発足来、我々、時々の政権がずっとこの方針できましたけれども、しかし、その方針の中に、防災局は三十七名という弱小な防災局でありまして、手足を持たない中にこういう十分対応できない問題があったのではなかろうかと思いますだけに、私どもは、今回のことを大きな教訓として、そして犠牲になられた皆さん方の霊を少しでも慰めるためには、これ以上大きな災害を出さないための最大の努力をしなければならないと謙虚に考えておる次第であります。
  46. 上田勇

    上田(勇)委員 もう時間でありますけれども大臣自治大臣として地方行政を所管される立場の方が、前々から仕事をしたことがあるとか選挙の応援に行ったことがあるとか、そういった個人的な感情に基づいていろいろな御発言をすることも大変な問題があるというふうに感じます、今後、そういう対応については慎重を期していただくことをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
  47. 川崎二郎

    川崎委員長 穀田恵二君。
  48. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、法案の質疑の前に、今回の大震災に対する財政的な支援について大臣の基本的な考えをお聞きしたいと思うのです。  きょうの新聞でも報道されていましたが、被害を受けた自治体への特別交付税の繰り上げ配分が行われました。さらに特交の増額などが言われておりますし、私も本当にこれでやっていただきたいなというふうには思うのです。  ただ、それでは、そういうときのやり方として、どんなふうに最終の結末といいますか、借入金でやるのだろうか、そういう形が想定されるわけですが、その償還は結局のところ通常のやり方ではなくて、今回の場合はその償還自身を国の責任で行うようにしていただけないか。そうしないと、やはりその償還が地方財政全体の負担として残ることになるのじゃないだろうか。ですから、今回の場合は異例の、本当に大きな災害被害が及んでいるわけですから、地方財政も大変な折に、そういった措置が本来的に望まれるのじゃないだろうか。その辺の所見をまずお聞きしたいと思うのです。
  49. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 事務的な面について、私から御答弁させていただきたいと思います。  特別交付税の繰り上げ交付につきましては、二月六日に、災害の非常に大きかったこと、それから、災害救助法の適用を受けた地方団体が非常に大きな現金の支出を必要とするというようなことから、総額百六十億程度でございますけれども交付をしたところでありまして、これは考え方としては、現在の交付税の総額、九千億円余でございますが、それの中の三月分の交付額が七字億ほどありますので、それの繰り止け交付という形で処理をいたしてございます。  しかしながら、お尋ねは、それでは不足があるのではないか、その不足分をもし追加するのであれば、それは国の責任において追加すべきではないかというお尋ねだと思います。  この点につきましては、私ども今、実際に各被災団体について、今年度の支出がどの程度になるのか、二月の補正予算を各地方団体でも組む予定にいたしておりますので、各財政当局と緊密な連絡をとって、どの程度になるのかということを把握し、それの状況いかんによっては、この特別交付税の総額についても増額をするということも頭に置きながら、そこら辺の状況判断をするための資料を集めているという段階のところでございます。  結局その財源をどういう財源にするかということは、具体的な金額等が固まったときの話でございますので、その段階で国庫当局ともよく調整をしていきたいと思っているところでございます。
  50. 穀田恵二

    ○穀田委員 例えばきょうの東京新聞によりますと、「被災自治体への特別交付税増額」こういうふうに書いていますから、今お話があったように、それはある意味で当然なわけです。  問題は、今度の補正の場合でも、交付税が補正で借り入れ七千百九十億円ですね。これに見られるように、問題は、先ほど言いましたように、それはそれでやっていただくわけだけれども、率直な話、どこから借りるのか。お話があったように、額は確かにこれから検討して、財政をどのくらい支出するのかという、地方自治体の御意見をお聞きして、それはやっていただかなくちゃいけませんよ。それは当然の作業だと思うのですが、問題は、先ほどお話ししましたように、どこから借りてどこが返すのかという、そこが大事なんだと思うのです。そこを端的にひとつ財政局長に御答弁いただけますか。
  51. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 実は、財源問題についてまだ確定をいたしておりません。それは、具体的に特別交付税の増額をするかどうかということを決めるときに具体的な類とその処理方法というものを決めるわけでございますので、その段階になってよく国庫当局と処理をしていきたいというように思っております。  ただ、特別交付税でございますから、これは基本的には交付税の一部でございます。交付税というのは、委員承知のとおり、国税五税の一定割合が交付税の総額で、そのうちの六%が特別交付税ということになります。私どもは、この国税五税の一定割合というのは、これは地方の共有の固有財源であるというように思っております。したがって、あるいは後ほど御質問があるかもしれませんけれども、今回の補正措置の問題につきましても、借り入れ措置をして後年度の交付税から返還をするというのは、あくまでも国税血税の枠の中で処理をするという考え方の中で生じてきている問題でございますので、地方交付税の一部をふやすということになれば、やはり国税五税の一定割合、地方団体の共有財源の中からどうするのかというのか交付親処理の基本ではないかというように思っておる次第であります。  ただ、それではすべてそうかという話になりますと、過去の例では必ずしも、国からの特例加算があってそれは後年度精算しないという場合もあり得るわけでございますから、すべての可能件を否定する必要は今はないだろうというように思っている次第であります。
  52. 穀田恵二

    ○穀田委員 そこなんですよ。私は、先ほど言いましたように、自治大臣もこの間本当に万全の策、最善のということを繰り返しお話しありました。ですから、今度の場合には、地方財政のところに負担が行かないように、もちろん、地方分権ということと、それから国が一定の責任を持ってこういう事態のところで援助してやるというのは、これは当然のことでして、それが矛盾するという話はないわけですよ。だから問題は、起債の発行を認めるとか、さらには交付税で償還を見るとかということは当然のことなんです。  私は、例えば兵庫県南部地震に関する緊急要望書ということで、きょうなどは市議会の皆さんが末でおられて、各省庁に行っておられるのですね。そういう中にございますように、例えばそういう関係のところで言いますと、激甚災害法での特別の財政援助の対象となる事業の拡大ということで、例えばですよ、上水道復旧見込み額について現行の二分一を少し何とかしてくれとか、それから公立病院の復旧見込み額についてもう少ししてくれとか、地下鉄だとか、いわば我々に、我々にというとあれですけれども、そういう意味で、広い意味での関連するところでいいますと、やはり補助対象を拡大するとか補助率を抜本的に引き上げるとか、そういうことが財政支援の中心にならなければ現実は立ち行かないのではないか。そこの点の決意を、これはやはり政治問題として大臣のところでお聞きできればと思います。
  53. 野中広務

    野中国務大臣 今委員指摘のように、被災地域におきますそれぞれ災害救助あるいは救援、そして災害復興、復旧、こういう問題につきましては、各省庁で国庫負担あるいは国庫補助のあり方について財政当局と今詰めておるところでございます、けれども、いやしくもそのことによって被災した地方公共団体財政運営に支障を来さないように、自治省としては十二分の努力をしてまいりたいと存じております。
  54. 穀田恵二

    ○穀田委員 今の決意がございましたから、私はそこで、重ねて言うわけじゃないですけれども、例えば大蔵省などでいいますと、何といいましても結局交付税で見ればいいんじゃないかというようなことで、結果としてはなるような気配が必ずこれは出るのですよ。ですから、そういうことが、今大臣お話があったように、結果として被災地のところで、地方自治体にさらに一定の大きな負担がかかる、後世にそれが残っていくというようなことがないような形でぜひ処理をお願いしたいと思うのです。だから、ぜひその点での御援助をお願いしたいと思っています。  最後に、あと時間もありませんから、法案の問題ですけれども、今度例の特別会計の借入金がこの法案によって全体として合計しますと七兆四千億円を超えるというふうになります。今回でいいますと七千百九十億円の借り入れを行っているわけですか、何度も私ここでお話しして、財政局長とも、また当時の自治大臣とも議論をしたわけですが、その都度、こういう特別会計の借り入れについては特別だ、異例中の異例だということをずっと言ってきたのですね、昨年もそうだったし、一昨年もそうだったし、今度は当初予算までなってくる。特別なんじゃなくて、いつの間にか原則になっているんじゃないかなというぐらい私は感ずるわけです。  そこで、八四年度からはもともと交付税特別会計の借り入れはしないことになっている、そういうことがあったわけですが、その時点で例えば、調べてみますと、借入金は地方負担分はたしか五兆六千九百四十一億円なんです。今は既に、年度末の交付税の借金はそれを上回る七兆四千億円となってしまうのですね。こういうことに対して、本地にいいのかということを端的にお聞きしたいと思うのです。
  55. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えを申し上げます、  確かに御指摘のとおり、今回の措置によりまして交付税特会の借入金が七兆四千億円にもなる。全体として地方財政の借入金残高が百四兆円を超えるというような状況なので、財政状況はまことに厳しいということも当然のことでございます。  今回の措置とそれから昭和五十九年度における法改正との関連でございますけれども、確かに五十九年度においては全体の交付税特別会計における借入金が、国庫負担も含めてでございますけれども、十一兆円を超えるというような巨額になってきたというようなことから、国、地方とも財政構造を一層悪化させないためには特別会計の借入金依存というのは今後別な方法で、特例加減算をしていこうではないかということを考えて、五十九年度の制度改正に踏み切ったところでございます。  しかし、その後の財政状況は、一時途中でバブル期がございましたので、その期間は非常に順調に推移した期間もあるわけでございますけれども、バブル期の崩壊後の地方税収の落ち込み等に非常に大きなものがある。国税も同様であるというようなことから、国、地方とも非常に大きな財源の不足状態に陥ってきたというようなことが背景になっておったわけでありまして、私ども、この附則三条の規定がございますので、借入金で処理するということから交渉を始めるわけではないわけでありまして、附則三条を盾にとって、やはり地方交付税が足りなくなったときには特例加算というのが本筋ではないかということで国庫当局と当たるわけでございますけれども、国庫当局の方がそれだけのもう体力がないということになるわけでございまして、最終的には補正予算における国税の減に対応する交付税の減を特別会計の借り入れで処理するようになるとともに、当初の地方財政計画における財源不足額についても同様の措置をとらざるを得ないということになっておるわけでございまして、これは従来、財政局長及び大臣答弁いたしておりますように、やはり特別、異例の状態が続いているということを私どもは申し上げなければならないというように思う次第でございます。
  56. 穀田恵二

    ○穀田委員 それは私は、必要な異例の措置だ、異例が続いているというような話は成り立たぬと思うのですね。当時も借り入れ依存の財政体質を抜本的に改善することのためにこれはやめたのですね。だから、やはり今大事なことは、しないと言ったことをやっておいて、さらにその負担を地方に押しつける、ここが問題だと私は何回も言っているのです。もうそれは御承知のとおりだと思うのです。  しかもその際に、今お話があったように、国の方も体力がないのだと言うのだけれども、それじゃということで調べてみると、国の場合の公債残高は八四年当時で百二十二兆円ですよ。そして現在で言うならば、九四年度で言うならば二百二兆円相度だということは、これはそっちの試算で出ている。地方の借金は八四年当時は五十五兆円で、今は、九四年度百二兆円。この十年間を比べてみますと、結局国のふえ方一・六六倍に対して地方は一・八五倍ということで、国も地方財政は苦しいと言うけれども、結果としては地方の借金を相対的にふやしてきたというところが問題だと私は言っているのですよ。  そういう意味で、本来一般会計で特例補てんをきちんとしなさいということを言っているのであって、そういう角度から我々としては今のやり方は認められないということを改めて言っているわけですから、そのことだけ再度主張して、質問を終わります。
  57. 川崎二郎

    川崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  58. 川崎二郎

    川崎委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸群の起立を求めます、     〔賛成者起立〕
  59. 川崎二郎

    川崎委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました、  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし。」と呼ぶ者あり〕
  60. 川崎二郎

    川崎委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  61. 川崎二郎

    川崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十八分散会