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1995-02-02 第132回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月二日(木曜日)     午後六時五分開議 出席委員   委員長 川崎 二郎君    理事 塩谷  立君 理事 中馬 弘毅君    理事 穂積 良行君 理事 粟屋 敏信君    理事 山名 靖英君 理事 米田 建三君    理事 北沢 清功君 理事 田中  甲君       石橋 一弥君    栗原 裕康君      田野瀬良太郎君    谷  洋一君       西田  司君    蓮実  進君       平泉  渉君    平林 鴻三君       愛野興一郎君    上田  勇君       岡島 正之君    富田 茂之君       永井 英慈君    吹田  愰君       吉田 公一君    池田 隆一君       加藤 万吉君    畠山健治郎君       穀田 恵二君    川端 達夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     野中 広務君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       菅沼 清高君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁生活安全         局長      中田 恒夫君         警察庁刑事局長 垣見  隆君         警察庁警備局長 杉田 和博君         自治大臣官房長 秋本 敏文君         自治大臣官房総         務審議官    二橋 正弘君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 佐野 徹治君         消防庁長官   滝   実君  委員外出席者         内閣官房内閣内         政審議室内閣審         議官      矢野 進一君         総務庁行政管理         局管理官    福井 良次君         国土庁防災局防         災企画課長   平川 勇夫君         国土庁防災局防         災調整課長   伊藤 和敏君         法務省民事局参         事官      升田  純君         大蔵省主計局主         計官      石井 道遠君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   三本木 徹君         建設省道路局国         道第二課長   吉岡 和徳君         地方行政委員会         調査室長    前川 尚美君     ――――――――――――― 委員の異動 二月一日  辞任         補欠選任   富田 茂之君     大口 善徳君 同日  辞任         補欠選任   大口 善徳君     富田 茂之君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第七号)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 川崎二郎

    川崎委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穂積良行君。
  3. 穂積良行

    穂積委員 当委員会は、地方行政及び警察行政についての一般質疑をこれからいたすわけでありますが、何をおいても、今回の兵庫南部地震につきましてまずは私から、大臣お疲れでしょうが、若干のお時間をちょうだいして質疑をさせていただきます。  大臣初め関係行政機関皆さんは、自衛隊消防庁警察庁その他、国の機関として本当に最善努力を尽くそうとされているということ、また並行して、被災地の各地方公共団体がもう全力を挙げて本来の地方公共団体としての役割を果たしつつあるということ、私は、こうした状況を拝見しておりまして、関係者の本当に御苦労なことを痛切に感じておるところでございまして、改めてこの皆さんの御努力に敬意を表し、速やかに罹災者に本当に安心した生活の再建が達成されますように祈る次第でございます。今後とも御努力をいただきたいと思います。  この震災発生以来、ああすればよかった、こうすればよかったというようなことは、それぞれの方々みんな思っているかと思うのでありますが、起こってしまったことについては、これは、今後に向けて、類似の重大災害発生した場合にどう取り組んで、被害を最小限に、最善措置をとるかということが課題であろうと思います。ただ問題は、その関係機関が、地方行政機関も含めて最善を尽くす気持ちがあっても、その最善の結果を出すような体制にあるかどうかということでありまして、これは、今回の貴重な体験を今後に向けて生かす必要があると思います。  実は私自身も、一月十七日朝五時過ぎに起床しまして、六時にはテレビをつけておりました。地震情報のテロップが流れまして、兵庫県の方に地震があったということはわかりましたけれども、その前に続いておりました三陸はるか沖地震情報が頭にありまして、今度は西の方か、どういう地震かなというような程度の認識でありました。ところが実際には、次々と情報が明らかになるにつれて、容易でない事態ということがわかったわけであります。多くの方が私と同様な事態認識だったのではないかと思いますが、まあこれは、夜になって火災が拡大して、本当に大変な被害に拡大したということでありますが、このような重大な災害発生時に向けての有事体制をどのように構築するかということが課題であると思います。  私は実は、国政に転ずる前に国土庁に在籍したことがありまして、現在の防災局の設置にいささか関与した者でございます。そういう立場で、実は多少は事情を知っているつもりでありますが、現状についてまず簡単に、国土庁防災局はどのような組織人員としてスタートし、現在、調整官庁という立場防災センター的機構になっているわけですが、防災局が、現在の組織人員、それから霞が関の庁舎に、私は防災大本営というような言葉を使っているのですが、防災センターを設置している、それと、気象庁情報把握、それから官邸への情報連絡、これらについて、防災局センターはどのような連絡体制になっているか、これについて簡単にまず御説明いただきたいと思います。
  4. 平川勇夫

    平川説明員 ただいま国土庁防災局の現体制についてということでございましたが、現在防災局は、現在と申しますか、従来から三十七名の体制でやってきたところでございますが、今回の地震発生後、これに対し、庁内及び各省からも応援を得るという形で、現在約六十名の体制で機能しております。  なお、その中で先生からお話のありました気象庁との連絡等でございますが、夜間あるいは休日におきまして大規模な地震発生した場合でございますが、これは気象庁から地震情報が入ることになっておりますので、二十四時間体制で待機しております情報連絡要員が、直ちに一斉情報伝達装置、これを使いまして防災関係職員伝達をするということになっております。  今回の兵庫南部地震の場合も、防災関係職員に対しまして速やかに情報伝達がなされたところでございますが、何分このような激甚な被害発生したということで、さらに初期対応には万全を期していきたいということで、実は、国土庁防災局当直制をしくということで導入したところでございます。  以上でございます。
  5. 穂積良行

    穂積委員 皆さんごらんになったと思いますけれども、NHKが、あの地震発生した五時四十数分の時点で、ぐらっと来た、そして寝ていた職員が起き上がろうとしてなかなか立ち上がれなかったというような映像がありましたね。あの映像で見るような状況が起こったときに、気象庁がその状況瞬時にどのような被害想定されるような地震かということを把握して、それを防災局瞬時連絡して、さらにはその状況に応じ、官邸に、お休み中であっても、総理大臣状況によっては側近からすぐに状況連絡を申し上げるというような体制が今後必要ではないかと思うのですが、防災局で、二十四時間体制といいながらも、要員として三交代制か何かで、そうした非常時への体制を組むというようなことを組織要員としてもこれは今後とるべきではないかと思うのですが、この点についてはいかがでしょう。
  6. 平川勇夫

    平川説明員 今後の当直等を含めました防災体制でございますが、現在、当面、先ほども申し上げましたような当直体制行政部門でもしこうということで、国土庁防災局内に必ず当直が一名以上いるという形でとっております。  そのほかに、もちろん、先ほど申し上げました情報連絡要員が、一斉情報伝達装置、ここのところで待機をしておりまして、気象庁から同報系で入ってきますファクスによりコンピューターを使って各防災関係機関及び総理官邸にも第一報が入るということになっております。
  7. 穂積良行

    穂積委員 この霞が関センターへの備えとして立川防災基地整備が進んでいると思うのですが、要するに、霞が関センターとそれから立川基地の備え、こちらが壊滅しても、向こうに官邸機能やら防災局機能がちゃんと移せるというようなことについて、状況はどうなっているか、簡単に御説明下さい。
  8. 平川勇夫

    平川説明員 ただいま先生指摘立川防災基地でございますが、これについては数年かけて立川整備をしてまいりまして、現在立川防災基地におきましては、仮にこの霞が関国土庁の本部が使えないという状態になった場合におきましては、そちらに関係職員、これは各省庁職員も含みますが、移動をいたしまして指揮命令等を行っていくという体制をとっております。  ちなみに、当該防災基地には、自家発電のために必要な燃料、あるいはさまざまに必要な水、あるいは食糧、こういったものを必要分蓄積しておるという状態にございます。
  9. 穂積良行

    穂積委員 こうした防災に限らず、実は自衛隊の本務にかかわる防衛問題や何やで、有事の際にいろいろとこれは官邸が本当にそのときに瞬時対応するかということが問題にならなければならないと思うのです。そういう意味では、官邸の方も、総理がいかなる状況であるか、どこにいても、それこそ有事発生の際にきちっと総理大臣連絡を申し上げられるような体制はどうなっているか、これはどうですか。
  10. 矢野進一

    矢野説明員 ただいま御指摘の、官邸中心といたします内閣において、どのような事態が起こりましても迅速かつ的確に対応するという観点から、災害に関する情報を初めといたしまして、いろいろな情報を的確に早くつかむということが極めて緊要であるということは、御指摘のとおりでございます。  当面、今回のような災害に関する情報をいかに早く集め、また、それを総理はかの幹部にいかに早く伝達するかということにつきまして、去る一月三十一日に、災害即応体制検討プロジェクトチーム、これは仮の名前でございますけれども、こういったものを開いておるところでございまして、これは官房長官をヘッドといたしまして、政務、事務の両副長官等と、それから内閣からは情報調査室内政審議室、ほか関係省庁幹部が集まりまして、ただいま御指摘のような点につきまして早急に結論を得るという方向で一生懸命検討を始めたところでございます。今後とも一生懸命やってまいりたいと思っております。  以上でございます。
  11. 穂積良行

    穂積委員 以上の重大災害時、それから国際的にも有事の際、それぞれにこれは今後本当に我が国家が有事対応という体制をきちっとしていくべきだと思います。  この場合、災害については、やはり国土庁防災局中心関係省庁が本当に、単なる調整官庁で事後にいろいろ相談していくということ以上に、組織もきちっと自覚し、そして必要な整備もしていく必要があると思いますし、また、有事の問題についても同様の、その場合にはどこがセンターになり、どうするかということをきちっとやるべきだと思います。  この辺について、自治大臣国務大臣としてどのようなお考えかを、この際所信を明らかにしていただきたいと思います。
  12. 野中広務

    野中国務大臣 このたびの大震災に対しましてさまざまな反省点があるわけでございます。今穂積委員から御指摘がございましたように、国土庁防災局が設置されて以来、局長以下三十数名のスタッフでやってまいったこと、それが、もうそのほかに手足を待っておらないところが防災の中枢として活躍しなければならなかったこと、このような問題点を残しましたし、官邸危機管理等についても、いろいろ私どもも反省するところ大なるものがあるわけであります。まして今回は、北海道やあるいは青森県の地震と異なりまして、その県庁所在地がすべて破壊をされ、そして知事初め、市長、あるいは市役所、県庁職員消防職員警察官、すべてが被災者となる中から、あの瞬時の直下型大地震となったわけで、かつて経験したことのない震度七を記録される大地震に私どもは直面をしたわけでございます。  大変な、五千名を超える死者を出しましたこと、謹んで私どもはお悔やみを申し上げますとともに、今回の災害の多くの教訓を、私どもが所管する消防庁防災計画を初め、さまざまな反省点をこれから教訓として生かして、そして大きな震災に備えてまいる体制を早急につくってまいりたい、このように存じておる次第であります。
  13. 穂積良行

    穂積委員 今回、国と関係地方公共団体との連携というのが、改めてこれは今後どうするかということがもうはっきりしたわけですから、大臣以下、これについては、今後本当にこの経験を踏まえてきちっとした体制をとっていただきたいと希望する次第でございます。  それから次は、こうした事態発生したときに、人心動揺の中で、国、地方公共団体などの組織が毅然たる方針早期に出して人心を安定させるということが、やはり何よりも肝要だと思います。そういうことでいろいろ御苦心もいただいているようでありますが、私は、まず今次の災害については、とにかく壊滅的な被害を受けた神戸中心とするこの地域に国は本当に全力を挙げて新しい町づくりに取り組む。それには非常に懐ぐあい、いろいろ問題はあっても、国が果たすべき責任は果たすというふうなことをはっきり表明する、それがまず第一。  そしてその上で、新しい町づくりに当たって、これは従来のそこに住む人たちのいろいろな所有権借地権借家権などの私権をどうするか。公権との調整をしながら町づくりをしなければならないということは明らかでありますから、これはとにかく、まずは被災地皆さん罹災対策はもちろんでありますが、町づくりについて確たる方針を早く出していただくべきではないかと思うわけであります。  そこで、例の罹災時の借地借家についての臨時処理法の発動、明日ですか、これを閣議決定されるという話ですが、これなど、とにかくきちっとした方針を早く罹災地皆さんに示すということが必要だと思います。これが本当に、学校や何やに泊まっている人の今後どこに住みかを求めるかという、大変お気の毒な状況皆さんに国の姿勢をきちっと出していくということ、これをぜひやっていただきたい。場合によっては、そうした方針早期に決めたら、これをあらゆるメディアを使って、特にテレビですけれども所管大臣などがはっきりと皆さんにお示ししていくというふうなことも必要ではないかと思うのですが、これについては関係の法令、省庁、いろいろありますけれども、この臨時処理法所管法務省、法務局の仕事が膨大な話になるおそれがありますが、これなどについてどのような姿勢で取り組むか。  それから建設省都市計画、それから、新たな、震災に強い住宅建設ということなどについての方針を明示するということなどについて、法務省、それから建設省のお考えをお聞きいたしたい。
  14. 升田純

    升田説明員 ただいま御指摘のように、今回の地震によりまして多くの建物が滅失いたしましたために、借地人あるいは借家人方々借地関係あるいは借家関係というものが一体どのようになるのかということで非常に不安を与えているというぐあいに思われるところでございます。  そこで、早期にこれらの方々の権利を保全いたしまして、その不安感を解消する必要がある、それが非常に重要なことであるという観点から、これまで罹災都市借地借家臨時処理法適用につきまして建設省などの関係省庁と緊密に協議を続けてまいったところでございますが、あすの閣議での決定を得るべく現在作業を進めているところでございます。  罹災都市借地借家臨時処理法適用につきましては、その法律というものの意味、内容というものを関係方々に周知していただくというのが非常に重要であり、また必要であるということでございますので、この点につきましても、法務省だけではなく関係機関と緊密に連絡をとって対処してまいりたい、このように考えております。
  15. 穂積良行

    穂積委員 それから、今回、道路、鉄道、港湾等重要施設が非常な損害を受けているわけでありますが、この復旧については、建設省当局はもちろん、関係の業界、これは本当に深刻な事態の受けとめ方をしていただかなければならない状況ですね。これについて、さあどうするという話。例えば、それぞれの設計基準とかあるいはその見直しした設計基準に基づく施工管理体制など非常にいろいろな問題が絡んでくると思います。そういうことはあっても、国は本当にこれらについて早く結論を出して、応急措置、それから恒久的措置、それぞれに全力を挙げていただきたい。  そういう中で、お聞きすると、新幹線の復旧はJRが急ぐというような話が出ておりますけれども、あの高速道橋脚強度や何やについて、この話が、実は、もたもたしていると何年先に本当に阪神高速道復旧するかという話があると思うのですが、これは二年先だ、三年先だということにならぬように全力を挙げて取り組んでいただきたいと思いますが、これについて、関係当局はいかがでしょうか。
  16. 吉岡和徳

    吉岡説明員 お答えいたします。  我が国道路橋につきましては、従来から、関東大地震新潟地震等経験を生かしながら地震に対する技術基準を定めてまいったところでございます。今回の地震では、震度七という我が国未曾有の大きな揺れが生じたとはいえ、高架橋が落橋するという大きな被害発生したことを重く受けとめているところであります。そのため、地震工学橋梁工学専門家から成る道路橋震災対策委員会におきまして、被災原因の徹底的な究明を図り、必要な対策を講じていくこととしております。  道路地域において重要な役割を果たしている施設でありますので、早期復旧を図る必要があると考えております。このため、対策委員会の方向づけをできるだけ早く取りまとめていただき、これを踏まえ設計施工を行うとともに、体制の強化を図りながら全力を挙げて復旧に取り組み、できる限り早期に供用を図ってまいることとしております。よろしくお願いいたします。
  17. 穂積良行

    穂積委員 次に、あの震災が起こった後、諸外国がこの状況ごらんになっていて、日本の社会は略奪行為などが出ていないということなどで、一面では感心されたというような報道がありましたね。ところが、聞くところによると、その後、この罹災地によそから入り込んで火事場泥棒みたいなことを行うやからが、残念ながらどうもいるようだという話も聞きます。このような犯罪行為に対しましては、これは警察庁の御方針に絡む話と思いますが、断固たる姿勢で、特にこうしたとんでもない時期にとんでもないことをやる人たちに対する断固たる方針での検挙あるいは処断ということをすべきではないかと私は思います。  このようなことを、これも、こうした時期における犯罪については厳しい方針で臨むぞということを、現地テレビや何やらでもしかるべき人がきちっと表明される方がいいのではないかと思いますが、警察庁長官、いかがでしょうか。まあ、裁判については、これは裁判所の問題でありますが。
  18. 垣見隆

    垣見政府委員 お答えいたします。  ただいま委員指摘のように、被災地における事件発生でございますけれども、数的には平常より少ない状況で、しかもその大部分はオートバイ等ではございますけれども、御指摘いただきましたように、地震による混乱に乗じて物品を盗むなどの犯罪行為を行うことは大変悪質なもので、厳しい姿勢で臨むべきものと考えております。  これまでも、地震で壊れた店舗に侵入をして手提げ金庫を盗もうとした音あるいは駐車中のライトバンから商品や現金を盗んだ事件等の犯人を検挙しているところでございますけれども、今後とも、この種の犯罪の予防のための活動を活発に行うとともに、捜査体制整備して被災地における犯罪防圧検挙を図ってまいる所存でございます。  また、この種の犯罪について厳しい対応をする点については、現地幹部等からも積極的に広報するように指導してまいるつもりでございます。
  19. 野中広務

    野中国務大臣 今局長から答弁申し上げましたけれども、今度の震災の後の犯罪状況を私見まして、実は、一つには、兵庫、特に神戸市の市民の皆さん方が沈着冷静に対応をしてくださっておる。したがいまして、通常の窃盗等犯罪は一日当たり十八・二件でありますけれども発生いたしました十七日から去る三十日までは四・七でありまして、三分の一以下の犯罪であります。  ただ、残念ながら、オートバイとか自動車とかの窃盗は多いのでありまして、これはその当時の異常な交通事情のために交通手段として使われたのではないかというように思うわけでございますが、警察といたしましては、現在、事件発生以来百台のパトカーを出しまして、夜間を主体にいたしまして、避難所等、それぞれ県庁職員三名、警察官二名、一台に同乗いたしましてパトロールを続行中でございます。地域皆さん方も、自警団組織をされまして、自分たちの町を守ろうという立ち上がりを見せていただいておりますことを付言をいたしておきます。
  20. 穂積良行

    穂積委員 最後に申し上げますけれども村山内閣は、発足早々人に優しい政治を実現するということを言われてきたわけであります。この震災時に本当に人に優しい、気配りのある震災対策復旧対策を進めていただきたいと思いますが、そういう意味では、早く住宅復旧させ、例えばプライバシーもちゃんと守れるような、仮設住宅中でもいろいろ配慮するというようなことも含めて適切な行政を進めていただきたいと思います。  これらについて、最後大臣の御決意を表明いただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  21. 野中広務

    野中国務大臣 事件発生以来、村山総理は、地方財政被災住民避難活動あるいは復興、復旧にいささかも影響を与えないような地方財政措置を講じてくれということを私どもに申されております。私ども、そういう認識のもとに、それぞれ被災兵庫県及び関係市町村財政が悪化しないために応分の処置をしてまいっておるところでございます。  第一には、内閣で決定いたしましたように、私有財産である建物につきましても、これを解体し、運送し、処理することを市町が行った場合は、それの二分の一を国が負担し、その残額を地方債処置をいたしまして、その地方債につきましては元利補給をするという、従来にない決断をいたしたわけでございます。あるいは、近隣府県等応援をいただいたものにつきましても、交付税処置をすることといたしたわけでございます。  現在、鋭意応急住宅建設にかかっておるわけでございますけれども近隣の各府県からも多数の提供をいただいております。昨日現在で約二千三百人の方々近隣府県に住居を移していただくことを御理解いただきましたけれども、何としてもやはり自分が生まれ育ったところで住んでいきたいという非常な愛着がございますし、勤務条件等避難所から離れていただくことがなかなか困難でございますので、けさほど総理から、そういう中においても、なお、御老人とかあるいは障害者とか生活弱者の皆さん方には、一時的にでも民宿やら旅館やらホテルを借りて、それを市町村で家賃も食費も持って、そしてそれを地方財政で補っていく手段を講じてくれ、こういうことを言われました。私ども関係府県にもそれをお願いし、あるいは兵庫県及び神戸市等の被災地域にもお願いをしたところでございます。  さらに、特別交付税は三月が交付する時期でございますけれども被災いたしました兵庫県及び被災関係市町につきましては、繰り上げ支給をすることにいたしまして、来るべき二月六日に兵庫県の被災市町につきましては特別交付税の繰り上げ交付を決定したところでございます。
  22. 穂積良行

    穂積委員 御苦労さんですが、頑張っていただきたいと思います。終わります。
  23. 川崎二郎

    川崎委員長 中馬弘毅君。
  24. 中馬弘毅

    ○中馬委員 当委員会地方行政を所掌するものとして、そして委員各位、それぞれ地方の声を受けて地方分権を何としてでも実現してもらいたいというのが多年にわたってこの委員会の一つのテーマでございました。しかし、ようやく一昨年国会決議がなされ、そしてまた、暮れには地方分権の推進に関する大綱も出まして、本内閣は地方分権を一つの重要課題だとしてこれに取り組んでおられます。そして、大臣も、所信表明において強い決意でこれに取り組んでまいるということを表明されております。心強い限りでございますが、きょうその中身のことを議論しようとは思っておりません。  ここでお聞きしたいことは、今国会中に何としてでもこの成案を得て、そして推進の委員会を発足させることに大きな意義があろうかと思います。そのためには、やはり早く法案を提出して、私たちも、慎重審議をすると同時に、早く委員会を発足させることに向けてやっていかなければいけないと思っております。まず、総務庁の方から、法案提出の段取り等をお伺いしておきたいと思います。
  25. 福井良次

    ○福井説明員 お答え申し上げます。  昨年十二月二十五日の地方分権大綱方針におきまして、この国会にこの大綱方針の基本的方向に沿って地方分権の推進に関する法律案を提出するということを政府として決定したわけでございます。  現在、総務庁を中心としまして、自治省の協力を得つつ、この大綱方針の基本的方向に沿った法律案検討を進めているところでございます。中馬先生の御指摘のとおり、なるべく早くこの国会で御審議いただけるよう、現在鋭意検討中でございます。
  26. 中馬弘毅

    ○中馬委員 大臣からももう少し具体的にお聞きしたいと思いますが、それよりも、先ほど申しましたように、この中身のことよりも、やはりここはいかに委員会に強力な権限を付託して、そして、この大綱を出すに当たりましても各省庁からかなりの総論賛成、各論反対的な動きもあったことを私たちも実感をいたしております。そういう中で、この委員会にどれだけ強い権限を付託するのか。そしてまた同時に、その委員会は、やはり人だと思うのですね。責任を持ってもらう委員長にいかに決断と実行力を持った方を任命するかどうか、これが一つの大きな勝負になってこようかと思います。そのことにつきまして、自治大臣、具体的な成果を上げるべく、強い決意とおっしゃっているのですから、そのことを大臣からも強く御決意のほどをお願いを申し上げます。
  27. 野中広務

    野中国務大臣 先ほど総務庁から御説明がございましたように、十二月二十五日閣議決定いたしました大綱に基づきまして、今総務庁を中心にいたしまして、それぞれ法案の作成にかかっていただいております。その中には今委員指摘のような問題ができるだけ織り込まれるように、そして各省庁間の理解が得られるように、せっかく総務庁を中心に御努力をいただいておるところでございまして、私どもも、総務庁長官とともに強い決意で、この法案がもうまたとない地方分権への最大の機会であると考えて、その成果を期して、できるだけ早く国会に提案し、皆さん方の御審議を賜りたいと存じておる次第でございます。
  28. 中馬弘毅

    ○中馬委員 その委員会委員長の任命その他につきましての御構想といいましょうか、お気持ちはいかがでありましょうか。
  29. 野中広務

    野中国務大臣 私といたしましては、委員会委員は国会の承認を得る大事にいたしていただきたいと念じております。
  30. 中馬弘毅

    ○中馬委員 そういうことで、そのことは本当に一生懸命進めていただきたいと思います。  あと、きょうは中身の話をするのじゃなくて、この地方分権はそういう形で中央の権限が地方におろされるということの前提に立ちまして、やはり自治省がやるべき仕事がかなりあるのじゃなかろうかと思っております。いわゆる受け皿論議でございまして、幾らそういうことで権限をおろしたとしても、受け取る側の体制も能力もないじゃないか。そういうことで、そこにおろしたら、住民は困るだけで、逆に住民の福利が大きく阻害されてしまう、だからだめなんだといったような議論にもなってくるわけでございます。  しかし、私は、やはりこれは鶏が先か卵が先かという議論にもなりましょうけれども、やはりそれでも権限はおろせという立場でございます。権限や責任を与えれば、一時的には戸惑いとかあるいはまた混乱があっても、やがて住民の声や批判のもとでだんだんとそれが是正されて、そして責任を全うできるような体制にできるものと私は確信しておりますから。そういうことで、そのようないわゆる受け皿論議でそれが阻害されるのではなくて、まずは権限をゆだねるということが先決だと私ども認識いたしております。  ただ、受け皿としての自治体の大きさの問題があるのですね。これだけはやはり自治省としても、また自治大臣としても責任を持って、一つのそれが受け入れができる形をつくっていくことが必要じゃなかろうか。今国会におきましても、また市町村合併の法案も出てまいりますが、あのような、ただ精神規定のような形ではなくて、具体的に強権を持ってというのじゃなくて、おのずとそこへ持っていくような形ができるのじゃなかろうか。そのことを考えておりますから、少しそのことで御提言、要望を申し上げます。  今三千三百の自治体のうちで一万人に満たないところが町村で千五百町村ぐらいございますね。一万人といいますと、大体一万人あれば小学校が一つ持てるわけでございますし、いろいろなそれなりの一つの自治体としての自治行政ができる最低の範囲じゃないかと思います。それを割ってしまいますと、これは病院一つ経営ができない。もちろん小学校も生徒数が足らないといったようなことになってまいります。しかし、その一万人に満たない自治体が干五百町村もあるわけですからね。  それで、大都市でありますと、一万人といいますと、まだ市会議員一人が出せないぐらいの範囲しかございません。ところが現実には、町村ですと、そこには町長もおれば、助役もおれば、職員もおれば、また何人かの、十数人の議会の議員もいるわけですね、村会議員さん、町会議員さんと。これはおかしいのじゃなかろうか。それが果たしてそこに権限を与えたとしても、建設省あるいは厚生省が権限を与えたとしても、ほとんど何もできない。それであれば、一つの自治体、自治集団であるかもしれないけれども、自治体ではあり得ないのじゃなかろうか。  ちょうど我々も、今の国会におきましても政党法というのをつくる、政党の一つの単位を決めましたけれども、それは二人でも政党じゃないかなんということじゃやはりだめなんだ。政党のていは、これだけの大きさでこれだけの立候補者がなければならないといったことをちゃんと規定しました。それが民主主義に反するという議論にはならないと私は思います、一つのルールでございますからね。  そうすると、今言ったような形で、例えば一万人以下のところではいわゆる自治体ではあり得ないのだ。そういうところでは議会を持つ必要もなければ、村長を決める必要もない。そういう役場を持つ必要もない。そういうところは、逆に皆さん方のあれで一つの代表を選ぶことはあっても、それは村長的な仕事をするだけの役割であって、逆にそのことは、ちょうど昔の幕府直轄領のような形で、県が、一つの県の地方課か何かがそこを所掌している。そこのいろいろな行政は、そこが完全に代行する。  そして、どうしてもそれじゃ困るというのであれば、じや、隣の町村と一緒になって一つの一万人以上の単位にしていくといったようなことを決めなかったら、これはいつまでたっても一つの形になってこないのじゃなかろうか。これも完全にその住民の人たちの自由意思に任せるわけですから、しかしルールは決めてしまう。そういう形で、何か最小単位をつくるある程度の規模以下は自治体とは認めないという形をしないと、ここで地方分権で権限を移譲したとしても実効が上がらないということになるのじゃなかろうかと思っておりますが、その点、大臣はどのような御見解でございましょうか。
  31. 野中広務

    野中国務大臣 中馬委員がおっしゃる意味は私も十二分に理解するわけでございまして、やはり府県、特に市町村がその受け皿としての体制を整えていくというのは重要な課題でございます。  今回、三月三十一日をもちまして市町村合併促進法が期限切れを迎えるわけでございまして、したがいまして、第二十四次地方制度調査査会に答申を求めておりまして、その答申もいただいたところでございますけれども、やはり市町村の合併については、地方主導で、地域の実情に基づいて関係市町村がそれぞれ自主的にやらなくてはならないという方針が貫かれて答申を受けておるわけでございまして、私どもとしても今日、あの人口八千人と決めました昭和二十八年の合併促進法を思いますときには、あれから随分道路、交通、通信網の整備が促進されておるわけでございますから、そういうことを踏まえて、大胆な市町村合併が行われるべきである、こう考えております。  しかし、今申し上げたように、あくまで自主的な市町村の合併を促進することが基本であることを思いますときに、一律的に人口でこれを決めるというかつてのような状況は今できないということから、今度の答申におきましては、従来と異なりまして、住民の発議ができるという答申をいただいております。  したがいまして、今回お願いを申し上げます合併促進法の新たなる法律には、この答申に基づいた住民の発議権というものを入れて、より市町村合併の促進を促してまいりたいと考えておる次第でございます。
  32. 中馬弘毅

    ○中馬委員 いずれにしましても、ある程度の規模がなければ、せっかく権限をおろしたとしても、それは住民の福利につながらないわけですから、やはり一定規模に満たない町村は自治体と認めないといったような何か一つの形をつくっていくことが必要じゃないかと思っておりますので、ひとつ自治省におきましても検討をお願いを申し上げておきます。  続きまして、もう一つの受け皿でございますが、これは一つは住民の自治意識だと思うのですね。やはりもう、お上に頼っておればいいんだというようなところに幾ら権限をおろそうと、そこでは一つも分権をした実効が上がらないわけですから、やはりいかにして自治意識を高めていくか、醸成させていくかということが大事だと思うのですが、しかしそれは、これもまた精神論で言っておっても仕方がございません。   やはり中央集権というのは若干日本人の甘えの構造を醸成してしまった点があろうかと思います。自分たちの身近なところに権限があるのであれば、自分たちがそこに文句を言って、果たせなかったら、自分たちが、じゃ税金を余分に出してでもいいから、そのことをやろうじやないか、あるいは、そういうことだったらけしからぬから、その市長をやめさそうじゃないか、こうなるんですけれども、今ですと、結果的に、補助金がもらえないから、あるいは交付金が少ないからといったようなことで、全部責任を上に転嫁してしまって、市議会議員あるいは市長も何ら責任を感じないといったようなことになっております。  思い切りこれを今度おろすわけですから、おろしますと、住民の不満、不平のはけ口は自治体に向かってまいります。そうすると、自治体が自由にそれがまた受けとめられなければこれまた何にもなりませんのでね。といいますのは、これはやはり財源の付与も含めて、もちろん全国をシビルミ二マム的に平準化する地方交付税というのは必要ですけれども、それを超えて何かを要求する場合には、アメリカの各自治体のように、余分に小売税を払いましょう、そのかわり、これだけの図書館を、立派なものをつくろうじゃないか、あるいは、自分たちの町は税金は安い方がいいんだから、少し町が汚れておっても二%隣の町よりも少ない方がいいんだ、こういうことになるかもしれません。  ともかく、そういった課税の自主権までも、いろいろな税目や税率まで含めて、かなりの権限を自治体に与えて、そして自分たちで物事を決めてその責任を果たさせる、こういったことが、やはり一つの自治意識、分権を実効あるものたらしめるためには、そのことが必要じゃないかと思っております。  と同時にまた、今回の神戸のあの大震災でも、皆様方も実感されたと思いますが、いかにボランティアというのがその町のこういったことを、町を自分たちでやっていくということに必要であるか、そのボランティアの組織を、いわゆる何といいましょうか、自治会とかあるいは町会とかいっただけではなくて、もう少し自主的な形で何かができる。  西ドイツなんかでは、民間防衛の中でそういうシステムができておりますけれども、そういったボランティアの組織をちゃんと組み立てておいて、そして自分たちで自主的に物事を進めていく、こういったことも、これからの地方分権が制度的に、権限がおりてきたときの自治体のあり方としては必要だと思っておりますが、そういうことについての、これまた要望でございますから、そういう形をひとつ今後のこととして組み立ててもらいたい、そういったこともあわせてお願いを申し上げておきます。御意見を……。
  33. 野中広務

    野中国務大臣 お説のとおりでございまして、これからも地域のそれぞれ個性あふれる町づくりというのが重要な地方分権の柱になってこなくてはなりませんし、単に権限をおろすだけでなく、これを賄うだけの税財源を満たしていかなくてはならないわけでございます。  けれども、今先生おっしゃいましたように、そういう中において、住民がみずから参加してみずからそれを負担していくという、そういう地域づくりというのが重要な要素を占めるわけでございまして、先ほど私、兵庫南部地震に触れましたけれども、隣は何をする者ぞという神戸市の中で向こう三軒両隣という地域連帯感が生まれてきたこと、これはやはり、地域人たちがお互いにあの廃墟の中から立ちあがって助け合おうという、そういう何か日本の新しい芽が、私は都市の中に芽生えてきたような気がするわけでございます。  それぞれの地域におきましても、今回の、地方分権に大きな教訓としながら生かしていくべきであると私は存じております。
  34. 中馬弘毅

    ○中馬委員 終わります。
  35. 川崎二郎

    川崎委員長 塩谷立君。
  36. 塩谷立

    ○塩谷委員 大臣、連日大震災のために大変な予算委員会等、御苦労さまでございます。  大臣の所信について、短い時間でございますが、何点かお伺いをしたいと思います。  ただいまも中馬先生から地方分権のお話がありましたが、やはりこれから、大臣が御指摘のとおり、生活に密接に関連した社会資本の整備、あるいは少子化・高齢化社会に対応しての福祉政策、地域の特色を生かした自主的、主体的な地域づくりというものがなされなければならない。それが真の地方自治の確立てあるということで、我が国がこれから発展していくためには、まさに一極集中から地方分権へということであるわけでございまして、その点においては、もう各方面でその認識は強まっているところであり、また、これから地方分権法の問題も具体的に出てきているわけでございます。  そういう意味では、地方公共団体の責任は大変重大になっているということであるわけでございますが、しかしながら、大変厳しい経済環境にあるわけでございまして、これは国も地方も、税財源の伸びもなかなか望めない、そしてこの厳しい中であるからまた税制改革の中で減税も進めていくという状況にあるわけでございまして、昨年の税制改正の中でも大変な議論をしたわけでございます。そして、平成六年度末には、いわゆる借入残高、地方においては百三兆円に達するという見込みがあるわけでございます。  この厳しい財政状況の中で、今後ますますその大きな役割を担っていく地方公共団体、この財政のあり方というものを根本的にまた見直さなければならない。今までの延長でいいのかどうなのかということ、そして、これはもちろん平成九年から地方消費税の創設ということもありますが、そういうことも含めて、昨年の税制改革特別委員会でも議論があったところでありますが、いま一度この根本的な地方財政の見直しについて考えなければならないと思っておりますので、将来的な見通しを大臣からお考えをお伺いしたいと思います。
  37. 野中広務

    野中国務大臣 現在の地方財政は、先般も申し上げましたように、また今委員指摘のように、交付税特別会計の借入金を含めますと、平成七年度末におきまして約百十六兆円の借入金残高となる見通してございます。なお、地方税や地方交付税が伸び悩んでおるという状況で、まことに環境は厳しい状況にあるわけでございます。  一方、地方団体は、公共投資基本計画等の考え方に沿った住民の身近なニーズにこたえるために、そして社会資本の整備、自主的、主体的な活力ある地域づくりや、今お述べになりましたように少子、高齢化等に対応した福祉施策等山積した課題があるわけでございます。これに積極的に対応をされることが要請をされており、財政の需要はますますふえていくわけでございます。  こういう中にありまして、地方団体が十分な役割を果たしつつ円滑な行財政運営を行っていきますためには、委員指摘のとおり、自主財源である地方税を中心とする安定的な、伸長性のある地方の税財源を充実強化するとともに、地方交付税の拡充など地方一般財源の充実強化が極めて重要でございます。  今後とも、地方財政にいわゆる支障が生じないように、毎年度の地方財政計画の策定等を通じまして必要な地方一般財源の確保に十二分に適切に対処してまいりたいと考えておる次第であります」。
  38. 塩谷立

    ○塩谷委員 大変厳しい中で、ぜひともその点についてはこれから具体的な議論を続けてまいらなければならないと思っておるところであります。  そういう中で、特に地方分権、そして地方公共団体がやるべきことがますますふえてくる中で、ただ単に地方行政が肥大化になっても、これもまたおかしな状況になってくるわけでございまして、そういう面では、経費の全般的な徹底した節減合理化ということを所信の中でうたっておられるわけでございますが、これは具体的に何かお考えになっているのか、この合理化等について何かその方策がありましたら、お答えいただきたいと思います。
  39. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  平成七年度の地方財政計画でございますけれども、総枠としては八十二兆五千億余でございまして、形式的な伸び率からいいますと、前年度を二・〇%上回るという率になっておるわけでありますが、ただいま委員指摘のように、経費全般について徹底した節減合理化を図るということを一つの基本方針として策定をいたしたつもりでございます。  具体的にというお話でございましたので、若干申し述べたいと思いますが、一つは、給与関係経費については、国家公務員の定員削減方針に準じて職員数を削減をいたしまして、前年度に対して約七千余人の減という定則でございます。新規職員の増加が四百人弱ございましたが、そういった影響で、全体としては六千九百四十八人の城となったということでございまして、給与関係経費自体の伸び率が、全体としては一・六%の低い率にとどまったということが一つございます。  それから、一般行政経費の、いわゆる単独で行います施策でございますが、一面では、地方団体が当面する諸課題に的確に対応するための必要な経費、額を重点的に計上しなければならないわけでありますが、節減合理化にも努めまして、全体としては昨年度の地方財政計画の伸びが四・六%増でございましたが、それを下回る四・二%であったということ。それからもう一つは、投資的経費の単独分でございますが、前年度一二%という非常に高い、これは景気対策という観点もありまして、大きな伸びであったわけでありますが、公共投資基本計画が改定をされた、その伸び率等も勘案しまして、五%の伸びにとどめたというようなことで、全体として経費の抑制に努めたつもりでございます。  以上でございます。
  40. 塩谷立

    ○塩谷委員 行政の合理化については、ぜひ今後も努めていただきたいと思いますが、やはり先ほどもお話出ておりましたが、行政保改革等も含めて、市町村合併、これが何よりも行政の合理化になるのではないかな、また、効率的な政策の運営になっていくのではないかなと思っているところでありまして、今度特例法の、いわゆる期限切れに伴って、新しく住民発議、あるいはさまざまな支援策も講じて行われるということでございますが、やはり昭和二十八年ですか、促進法が、あのときは、先ほど大臣、促進法という名前を出しましたが、私も名前もそのぐらいにしろということを思っておりまして、特例に関する法律ということになっているのですが、法律をつくってもこれはやはり国策としてかなり強力な指導がないといかぬではないかなという気がするわけでございます。  地方分権の受け皿としても、先ほどお話があったわけでございますが、そういう点で、国としてのこの特例法の改正に伴う意気込みといいますか、そういうものをいま一度大臣からお伺いしたいと思います。
  41. 野中広務

    野中国務大臣 今、委員も御指摘になりましたように、私も、現在の市町村の規模が、進んだ情報化時代あるいは国際化時代、そういう時代に適合するのか、あるいは少子・高齢化の深刻な課題を持った中において、適応する組織になり得るのかと考えましたときに、より強力にこの合併が推進をされなくてはならないと考えるものでございますけれども、一方、やはりこれは強権力でできるものではありませんし、地方がみずから分権を果たそうとするなら、地方の自覚において自主的にそれぞれの規模を拡大するための努力をやってくれなければ、地方の熱心ないわゆる地方分権への熱意が反映されてこないと私は考えるわけでございまして、今後こういう面において、地方分権を受けるに足るそういう地域づくりというものについて、地方公共団体に積極的に啓発をしていきたいと考えておる次第であります。
  42. 塩谷立

    ○塩谷委員 次に、情報化時代、マルチメディア時代ということで、さまざま国としても本格的な取り組みが始まっているところであります。光ファイバーの敷設とか、ソフト関係とか、これはこれからの時代、どうしても我々の中心的な一つの生活の基盤になるはずでございます。  そういう意味において、やはり地方公共団体も大きな役割を担ってくるのは当然でございまして、特に、国民がひとしく、いわゆる情報を得られる、公共サービスとして、やはり地方公共団体がこの点において大変大きな役割を担っていかなければならないわけでございまして、その点で今回自治省として、特に私はソフト面が非常に大事だと思うのですね。そういう面で、何か具体的な方針といいますか、地方公共団体に対して指導といいますか、そういう点においての方針があるのかないのか、そこら辺をぜひお伺いしたいと思うわけでございます。  例えば、私の地元、浜松市等でもそういう、いわゆる地域ネットワーク的な指定があるということをちょっとお伺いしているのですが、自治省として、やはり地方自治体にぜひともこの点を力を入れて、また推進役をぜひやっていただきたいと思っておりますので、その点についてお考えがありましたら、ぜひお伺いしたいと思います。
  43. 野中広務

    野中国務大臣 自治省といたしましても、マルチメディア時代に向けまして、住民サービスの向上を図るという観点から、地域情報化施策の一環といたしまして、平成三年度から、地域情報ネットワーク整備構想に基づきまして、公共の施設の案内、予約システム、図書館等の情報ネットワークシステム、地域カードシステム等の開発を進めておるところでございます。既に一部の団体では運用が始まっておりまして、これらのシステムは開発が終わり次第、標準システムとして地方公共団体に一層広く公開をしていきたいと考えておるところでございます。  特に、そのうち、図書館の情報ネットワークシステムは、地方公共団体の区域を超えて、公立図書館間の蔵書の公開というような取り組みをいたすシステムとなっておるのでございまして、自治省といたしましては、今後におきましても、地方公共団体情報化の推進状況、あるいは住民のニーズに応じた自主的な取り組みができますよう、財政面を通じ、両面から支援をしてまいりたいと考えております。
  44. 塩谷立

    ○塩谷委員 特に、各省庁で、その情報化について取り組みがなされているわけでありますので、そういうものを取りまとめる形で自治省が主導的にやっていただきたいな、そしてできれば一つのモデル地区といいますか、そういうものを早く目に見える形で見せていただくことが、ただ単にマルチメディアと言われていますが、全く実感として国民がわかっていないところだと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  最後に、警察庁にちょっとお伺いをしたいと思いますが、やはり国民の生命の安全という点では本当に大変な御努力をいただいているわけでございますが、昨年特に銃器犯罪が頻繁にふえた、特に一般の人たちがかかわる犯罪がふえたと思います。  そういう点で、まずその状況というのが、過去の経緯からどの程度具体的に発砲事件等がふえているのかどうなのか。あるいは銃器の押収、これ自体が具体的に取り締まりによってふえているのかどうなのか。銃器全体の数というものはなかなか難しくて把握はできないと思いますが、そういった具体的に今までの発砲事件の数、それから押収の数、これが暴力団関係とかあるいは民間で流れているのが多いとか、そこら辺の実態をぜひ教えていただきたいのと、特に取り締まり強化という点では強く言っているところでありますので、具体的にどのような強化内容になっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  45. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答えいたします。  平成六年中の銃器の発砲件数でございますけれども、二百四十九回でございまして、前年の二百三十三回に比べまして十六回増加しておるわけでございます。平成四年以降、二年連続して増加しております。  発砲回数のこれまでの推移を見てまいりますと、かつては暴力団の対立抗争事件の増減と連動しておりまして、したがいまして、対立抗争が多発した昭和六十年前後をピークといたしまして、対立抗争が減少するのに伴いまして全体的には減少傾向にあったわけでございます。しかしながら、昨年は対立抗争事件が減少する中で、対立抗争に伴うものではない事件、その事件での発砲回数が増加しておりまして、これが全体の発砲回数を押し上げたわけでございます。  こういった数的な傾向もさることながらでございますが、最近注目すべきは、委員指摘のとおり発砲事件の内容でございまして、銃口が市民生活あるいは企業活動、言論活動等に直接向けられるという事件が目立つことであります。多くの国民の方々に不安を与えているところだというふうに認識しております。このように、これまで暴力団社会内部のものでありました銃器の発砲というものが一般社会に広がっているということは、銃器犯罪の質的な変化の兆しとも見られるわけでございまして、我が国の安全で安心な社会の根底を揺さぶる事態として我々としても大変懸念をしておる、深刻に受けとめておるところでございます。  一方、けん銃の押収でございますが、警察の重点に掲げ、私ども懸命の努力をしているわけでございます。ここ数年、暴力団以外の者からの押収丁数が増加をしております。昨年は全体の二八・九%に達しておるわけでございまして、暴力団以外の者にもけん銃の不法所持が広がっているということがうかがわれます。  こうしたことの背景でございますけれども、最近の厳しい暴力団取り締まりに伴いまして、暴力団関係者によるけん銃の処分が増加しているというようなことがうかがわれること、あるいは国民の海外渡航の機会がふえておるというようなことなどから、暴力団以外の者がけん銃を入手する機会がふえたということがあるのではないかと考えております。  そこで、このような銃器犯罪に的確に対処するためにどうしていくかということでございます。御案内のとおり、昨年末に政府におきましては関係省庁一体となった対策を取りまとめておりまして、その着実な推進を図る必要があるというふうに考えております。私ども警察といたしましては、具体的には銃器摘発の中核となる専門的な捜査員の育成、増強、それから取り締まりのための資機材の整備充実等に努めまして、取り締まり体制を一層強化した上で的確な内偵捜査を推進するなどいたしまして、けん銃の徹底的な摘発を図るということを考えております。  また、水際対策につきましては、個々の事案に対して、税関なり海上保安庁等関係省庁との連携をより緊密化していく、さらに銃器情報の交換のための国際協力を推進する、さらにまた、けん銃対策に対する国民の理解と協力を得るための広報、啓発活動を引き続き展開するというようなことを考えております。  なお、平成七年度の予算案におきまして、警察庁の銃器犯罪関連の経費につきましては、前年度予算額に比して三・三倍に当たる三十四億円を計上させていただきまして、御審議をいただいておるところでございます。
  46. 塩谷立

    ○塩谷委員 引き続き取り締まり強化のために御努力をいただきたいと思います。  これで終わります。
  47. 川崎二郎

    川崎委員長 山名靖英君。
  48. 山名靖英

    ○山名委員 新進党の山名靖英でございます。  地方行政委員会として阪神大震災の後の初めての委員会でもございます。先般の野中大臣の所信表明のうち、この震災対策に限って何点かの質問をさせていただきたいと思います。  私自身兵庫の出身でございまして、今回の被災者の中には私の友人、数多くおります。極めて大変な被害をこうむったわけでございまして、心から亡くなった皆様、そして被災を受けられた皆様にお悔やみ、お見舞いを申し上げる次第でございます。  震災より十七日目、今神戸を含む近辺の被災地は復興のためのつち音が響いているように感じておりますし、また、兵庫県民の皆さん、淡路の皆さん、本当に整然と、そしてなおかつ希望を一方で持ちながら、国を挙げての対応に今大きな期待を寄せているところでございまして、そういう意味からも、今後の十分なる対策対応をまず心からお願いをする次第でございます。  さて、今回の震災以来多くの問題が提起をされておるわけでございますが、私は、一点目に何といってもこの政府の危機管理の問題を取り上げざるを得ないのでございます。少なくとも、最高責任者である村山総理が秘書から連絡を受けたのが七時三十分、災害から相当時間がたってからの第一報であったわけでありますし、また、地元県知事の要請を受けずして自衛隊のヘリが偵察をいたしましたけれども、それが十分な報告がなされてないという実態もございますし、発生後四時間たってやっと政府として災害対策本部が設置をされた。  村山総理自身は本会議等で、初めての経験であり、早朝の出来事であり、混乱があった、こういった発言もされておるわけでございまして、また、初動のおくれで五千人の死者を出しながら、今回の措置最善の策だったと、こういった答弁を聞くにつけ、極めて残念な思いを持っている次第でございます。  ところで、こういった十七日の事態を踏まえて、まず野中大臣は、最初にいつどこでこの被害状況をお知りになりましたか。
  49. 野中広務

    野中国務大臣 私は、当日高輪の宿舎で午前六時四十分ごろ担当秘書官からの連絡震災を知りました。すぐテレビをつけて実情を知ったわけでございます。その後、消防庁次長及び警察庁長官から相次いで状況の報告がございました。
  50. 山名靖英

    ○山名委員 その報告を聞かれまして、そして真っ先にどういう行動を起こされましたか。何を指示をされましたか。
  51. 野中広務

    野中国務大臣 報告の際には、既に消防庁におきましては、直ちに六時五分に関係府県被害状況の把握及び体制整備等をファクスで伝達をしたという報告やら、さらにはそれぞれの大都市が持ちます消防本部にヘリの救援の準備態勢に入ってくれるようにという要請をしたということがございまして、直ちに震災対策対策室を設置するということでございましたので、その対応を敏速に進めていただくよう要請をいたしました。  警察庁におきましては、午前六時に既に全国の機動隊に出動要請をしたという報告がございまして、間もなく、午前八時に全国それぞれ警察本部に対しまして、機動隊の出動を命じたという報告に接した次第であります。
  52. 山名靖英

    ○山名委員 今回の政府のとった初動段階での措置につきまして、マスコミ等がいろいろな世論調査を行っておりますが、やはり五〇%以上の人が首相や官邸対応が非常に鈍かった、あるいは政府の対応については評価をしないという人が六割近くある。こういう、世論の見る目も極めて政府――またこれは我々政治家としての責任を感じるわけでございますが、厳しい目が向けられているわけでございます。  大臣として、今回の政府がとった初動段階での対応、今振り返ってどのようにお感じですか。
  53. 野中広務

    野中国務大臣 私は、所管する消防及び警察につきましては早くから連絡を受け、さらに私ども予期以上の態勢で全国の警察への出動要請等をやってくれておりましたので、その初動態勢に十分な配慮が加えられておったと存じておりますけれども、全体として振り返ってみますときに、いわゆる危機管理について多くの反省点を持っておるわけでございまして、特に通信情報の手段方法について、もっともっと多面化した二重、三重の放送連絡網を完備すべきであるし、我々はこれについて即応した態勢をやるべきであるということを認識いたした次第でございます。
  54. 山名靖英

    ○山名委員 ところで、災害があってから六日後に大臣は青森県知事選挙の応援に行かれております。災害後六日目といえば、火災は鎮火したものの、被災された皆さんは三十万人を超え、一千五百カ所近い避難所で大変な避難生活を余儀なくされ、あるところではお握り一個で三人の家族が分け合うという、こういった事態のときでもあったわけでございまして、そういった中で、いわば地方公共団体を預かる立場大臣が、党務といえども、そういった知事選挙に、この事態の中で応援に行くことは道義的にもどうかと私は率直に思うわけでございますが、そのときの件について大臣からお考えがあればお聞きしたいと思います。
  55. 野中広務

    野中国務大臣 先日、予算委員会でも御指摘をいただいたところでございますけれども、実は私、十二月十日に知事会のところで、今候補者であります青森県北村知事とお出会いをいたしました。  その前に、大体山名委員御承知のように、県会議員から副知事になるというケースは珍しいわけでございまして、現在の北村知事さんも県会議員から副知事になられ、私も同じ道を踏んだ人間でございますので、非常に親近感を持っておつき合いをしておりました。ぜひ、選挙に入ったらひとつ応援に来てくれというお話をいただいておりました。あらかじめ、一月二十二日の日曜日ということをお約束をしておりました。  けれども、今御指摘のような地震災害が起きたわけでございまして、災害の翌日、私は現地に飛びまして、被災状況を見、そしてそういう状況の中からいろいろな自治省としてとるべき手段について協議を進めたところでございますけれども、たまたま二十二日、日曜日でございますけれども、この震災の中で出るべきかどうかを迷いながら、前日の二十一日に現地連絡をとりまして、何とかやはり思いとどまりたいということをお願いをしたわけでございますけれども現地は既にその日程を予定して、三会場の会場を予定しておるということでございまして、いろいろ苦慮いたしまして、私はそれでは一カ所にしていただきたいということで、一カ所にお願いをいたしまして、そして一カ所二十分、そのうちにおりまして、直ちに取って返しまして、その間も自治省本省と連絡をとりながら、その事実の刻々の報告を受け、そして午後五時からの官邸におきます災害対策本部の会議に事前に帰りまして出席をした次第でございます。  が、振り返ってなお思いますときに、こういう御審議をいただきます地方行政委員会や予算委員会で御指摘をいただくことは、まことに私にとって慎重を欠いたことであったと反省をしておる次第であります。
  56. 山名靖英

    ○山名委員 この問題についてくどくど私は言う気持ちはございません。やはり大変な事態の中で的確な判断というものが我々には要求をされるわけでございますし、ぜひともその辺をわきまえながら、今後の行動をよろしくお願いしたいと思う次第でございます。  ところで、この初動段階での立ちおくれ、いみじくも大臣から総合的にそういうことであったとお認めになったわけでございますが、やはりその大きな要因は縦割り行政にあるという、ここにこの緊急事態に即応できなかった一つの原因というものが言われておるわけでございます。  災害が起きますと、各関係省庁が個別に会議を開き、対策を練るわけでございます。例えば、警察消防は自治省、道路、橋梁は建設省、電気、ガスは通産省、水道は厚生省、電話は郵政省、こういった、それぞれ個々の災害対策本部等ができるわけでございまして、このこと自体、縦割りの中での弊害を言われながらも、私は一定の即応性というものについては否定できないものがあるかと思いますが、やはりこのシステムでは、何といっても総合的な観点から見えない各省庁間の調整というものが大事になるわけでございます。会議をやっている間に二次災害も起きる、それが拡大しながらまた救援隊や援助物資の現地到着がおくれていく、そしてその間に貴重な人命が失われていく、こういうことは当然予想されるわけでありまして、やはりそういった面から総合的な機能というものを考えていかなければいけないし、かつ、この縦割り行政の弊害というものを今しっかり立て直していく、見詰め直していく、改革していくということがやはり行政に課せられた一つの使命ではないかと私は思っておる次第でございます。  まだいまだに私がわからないのは、村山総理が、緊急災害対策本部を一時はつくると言いながら、おつくりになっていない。少なくとも、緊急災害対策本部というのは災害対策基本法百五条に基づきまして設置をされるわけでありまして、これはいわゆる法律に基づいて臨機応変に十分な対応ができるわけでありまして、たとえ国会が開かれてなかったとしても、そこに法規的な対応というものが十分可能になる、また上位官庁の許可を待たなくても必要な方途というものを、手段というものを実務者が講じることができるわけであって、今政府としてもいろんな機関を設け、二層、三層的に対応されているわけでありますけれども、その立ち上がりの部分でこういった緊急災害対策本部というものの設置が的確に打ててないというところに、今なお疑問を持っておるところでございます。  ともかく災害というものは予想しないときに予想しない規模でやってくる、そこにどう敏感に対応するか、何よりも情報を的確にキャッチして素早く手を打つ、ここにやはり危機管理の大きな礎があるわけでありまして、今回のこの初動態勢、立ち上がりの大きなおくれ、あるいはそういった態勢の問題をいま一度見直しながら、今後の大きな教訓にぜひしていただきたい、このように思う次第でございます。何か御答弁ございましたら……。
  57. 野中広務

    野中国務大臣 総理がたびたび答弁をいたしておりますけれども、山名委員今御指摘の、災害対策基本法に基づきます百五条、百六条、百七条に関連をするものにつきましては、表現が適切かどうかわかりませんけれども、経済問題に対するいわゆる戒厳令的なものでございまして、この間の神戸状況というのは、今も物価がそんなに上がっておりませんし、統制をかけなければならないような状態でもございませんし、そういう点では経済的に、百五条以降の緊急災害対策本部を設置をし、布告をし、国会の承認を求める、いわゆるそういう重みを持った、刑事罰を科す、そういうものであるから、この法律適用というものについて非常に慎重を期さなくてはならないということでございまして、しかも総理を本部長としますけれども、あとは各省の局長クラスでございます。  今回の、村山総理を本部長として各閣僚が全員参加をしておる非常災害対策本部というのは、そういう意味におきまして、私はより効率的に災害対応ができるシステムであると考えておる次第でございます。
  58. 山名靖英

    ○山名委員 今私権の問題もいろいろと出ておるわけでございまして、今後の経緯の中で、そういった経済統制あるいは物価の問題等、かかる必然性が出てくる、私はこういうように思うわけでございまして、次に参りたいと思います。  いわゆる防災計画の問題でございます。  この防災計画につきましては、中央防災会議防災基本計画を策定し、都道府県防災会議や市町村の防災会議地域防災計画を定めることになっておるわけでございます。この地域防災計画というのは、いわゆる四十年前になりますか、三十五年前ですね、伊勢湾台風のときに制定された災害対策基本法に基づいて定めることとしておるわけでございますが、国の防災計画がどちらかといいますと縦割り的なのに比べまして、地方自治体の計画というのは、予防から避難、救助あるいは消火、非常食の備蓄、こういった防災に至るまでの極めて横断的な内容となっておるわけでございます。  全国三千三百の自治体が何らかの計画を今策定をしておりますけれども、この地域防災計画、これは毎年一定の改定を行うこととしているものの、その自治体ごとの防災会議の中での計画の再検討というのはほとんど行われていないというのが実情保でございます。  特に、地震対策という観点から考えまして、ほかの災害と区分をして計画策定をしているという、こういうところは極めて少ない。今回の地震で全国の各地方自治体が目覚める思いをしたわけでございまして、その中でも、いわゆる直下型の地震を想定しているというのは、全国四十七都道府県のうち、わずか八府県なんですね。埼玉、長野、滋賀、京都等ですね。それからあと、東京と京都市の二市ぐらいであります。それも大部分の他の自治体というのは、直下型ではなくて、いわゆる海洋型、内陸型というそういった地震を想定をしているわけでございます。  そこで、今回の大きな事態教訓にしながら、今後、国の防災計画そのものの見直し、これは当然必要であろうかと思います。その国の防災計画に基づいて、それを指針として各地域防災計画というのが存在をするわけでありますし、そういった意味でも、今の地域防災計画というのはたかだか震度五を想定している、それもいわゆる海洋型、内陸型、それも地震を特別区分して想定して計画を練っているところはごくわずか、こういう事態の中で、やはりここで中央自体がしっかりとした防災計画を早急に策定する必要があるのじゃないか。いつごろ、どういう内容で防災計画を練られるおつもりなのか。
  59. 野中広務

    野中国務大臣 自治省、消防庁といたしましては、毎年、地震災害対策に関します諸検討を行っておりまして、地域防災計画震災対策編を作成いたしまして、改正するに当たっての留意点を報告書として通知を毎年いたしておるところでございます。  地域防災計画の見直しにつきましてでございますが、御指摘兵庫県においても防災計画は立てられて、そして防災無線等は他の府県よりも整備をされておったわけでございます。がしかし、その防災計画震度七などと予想することもございませんでしたし、お説のように、直下型地震を予想することもなかったわけでございまして、ここが私どもの想像を超えたところでございまして、そういう点で、消防庁といたしましては、この地域防災計画の見直しについて、去る一月十九日に早速全国消防防災主管課長会議を開催をいたしまして、今回の地震災害の総点検を含め、直ちにその地域防災計画の見直しに対する作業を開始するように要請をしたところでございます。  今後も、地域防災計画がより地域の実情に即した実戦的なものになるよう、そして今回の多大の犠牲を払った教訓がこの地域防災計画に生かされるように地方公共団体を指導してまいりたいと存じております。
  60. 伊藤和敏

    ○伊藤説明員 御説明申し上げます。  この検討のスケジュールでございますが、スケジュールにつきましては、防災基本計画、特に震災対策につきましては三、四カ月後をめどに改定してまいりたい、このように考えております。もちろん中央防災会議での御決定等、各関係省庁との御協議もございますが、三、四カ月後をめどに改定いたしたい、特に震災対策でございます。それで、早速にも私どもは二月九日に中央防災会議の専門委員会を設置いたしまして、二月九日に第一回会合を実施する予定でございます。  次に、先生の方から概要といいますか、今後の検討方向ということでお話がございましたが、それにつきましては、まず第一点は、何よりも先ほどから先生指摘のように、災害の初動段階の対応、これを総合的、全体的に検討してまいるということでございます。これにはもちろん迅速な情報収集等も含まれるわけでございます。  次に、交通路の確保、ライフラインの確保、耐震構造物、液状化、ボランティアの活用、海外からの援助の受け入れ等々の諸問題につきまして検討する予定でございます。  以上でございます。
  61. 山名靖英

    ○山名委員 三、四カ月というめどを立てて策定をするということでございます。ぜひ今回の事態を踏まえてしっかりした計画をひとつおつくりをいただきたいと思っております。  大臣がおっしゃったように、計画を練っていたってそれ以上のものが来るという、これはそのとおりでございまして、しかし防災計画というものは、そういうものを想定しながら、シミュレーションをつくりながら、いかに住民の生命財産を守るかということにあるわけでございますし、その防災計画の見直しに関連をいたしまして、どうも従来この計画そのものが、一部の関係者と言えば語弊がありますけれども、いわゆる県民、市民の中に余り関心が持たれていない。今なお何かあったときに自分がどこに避難するか、その指定の避難地すら知らないという方が大半であるわけでございまして、地域防災計画を含めてやはりこのいわゆる計画そのものが広く市民に普及されるように、あるいは防災知識というものが啓発をされるように、極めて大事な問題だと思いますので、その辺も含めてひとつお取り組みをよろしくお願いしたいと思います。  もう一つ、防災計画に関連いたしまして、今回の災害救援活動の中で問題になった一つに自衛隊との問題がございます。自衛隊の出動がおくれたとかどうのこうのという問題ではありませんで、いわゆる救済の活動の中で自衛隊皆さんのやはり占める割合といいますか、活動の中身といいますか、それからやはり避難民の皆さんの見る目として非常に信頼感を持って受けとめられている、これは大変すばらしいことではないか、こういうように思いますが、この一つの反省点の中に、いわゆる防災訓練の中に自衛隊との共同訓練というものが今まで行われていないという反省点が一つ挙げられておるわけでございます。  それで、防災訓練に自衛隊が参加している府県というのは、大阪府を除きましてはぼ全都道府県に参加をしているというふうには聞いておりますけれども、その中身が極めてばらばら、ある県では、単なるセレモニー的に、とにかくヘリコプターを飛ばしてくれ、それだけでいいというところから、いわゆる橋梁の建てかえ、あるいは災害復旧訓練、航空偵察、こういったところまで踏み込んで共同訓練をやっている県もございます。  やはりここは、こういった自衛隊との連係プレーというものは、今後の災害復旧のためにも救済のためにも極めて大きな今回指針を与えたわけでございます。私は、防災計画の中に、まず中央の防災計画の中に自衛隊とのそういった連携強化というものをきちっとうたうべきである、そのように考えておる次第でございますが、御見解をお伺いしたいと思います。
  62. 野中広務

    野中国務大臣 最初に御指摘のございました災害時におきます各組織の連携あるいは避難場所等の周知徹底等につきましては、今回の教訓をも踏まえながら、今後さらに地域の実情に即した実践的な活動震災時に発揮されるように地方公共団体を積極的に指導してまいりたいと思うわけでございます。  また、自衛隊との共同訓練の問題でございますけれども、これは地域防災計画におきまして自衛隊の参加をうたっておるのでございまして、さらに地域防災計画の中におきます防災会議におきましては、その構成員としていわゆるその地域の部隊長あるいは駐屯地司令、こういう人が委員として、総監を含めて入ることになっておるわけでございまして、それぞれその地域におきます防災会議には自衛隊の責任者が入っていただいておるわけでございます。  また、極端な例を除きましては、ほとんどの府県、政令市におきまして、それぞれ地域の、いわゆる九月一日の防災の日を中心といたしまして防災訓練が行われ、あるいはブロックごとの訓練も行われ、これにも自衛隊が参加をしておるわけでございます。  したがいまして、振り返って考えてみますときに、訓練として行っておるときにはそのマニュアルどおりにいっておりましたけれども、今回の場合を考えますときには、これが通常の訓練のときと同じような、連動した行動が残念ながらとることができなかったということが被害の増大にも結びついたことを厳粛に反省をしながら、今後さらに連携を保ちながら、この被害がさらに減っていくように私どももこの防災計画のあり方というものを、濃密な連携がとれるようになお連絡協調を進めてまいりたいと存じておる次第であります。
  63. 山名靖英

    ○山名委員 したがって、防災計画そのものに自衛隊の連携強化という文言をきちっと明記すべきだ、こういうふうに思っておりますが、それについての御見解、いかがですか。
  64. 野中広務

    野中国務大臣 これは地域防災計画の中に、自衛隊を参加せしめることを明記しておるわけでございます。そして、自衛隊の派遣をここに入れておる、要綱に入れておるわけでございます。そして、防災会議には、いわゆる地域における方面司令あるいは総監あるいは駐屯地の司令等が委員に入るということまで決めておるわけでございますけれども、そうして入っていただいておるわけでございます。  この点についてそごがあったわけではないわけでございますけれども、しかし実際の面について、運用上今度のような結果をもたらすことになった、このことを厳粛に踏まえながら、この要綱に問題があったのか、あるいは今日までの連携のあり方に問題があったのかを今よく精査をいたしまして、防災計画の見直しを含めて検討をしてまいりたいと考えておる次第であります。
  65. 山名靖英

    ○山名委員 時間もありませんので次に行きたいと思いますが、今回の震災によって大量の災害廃棄物といいますか、瓦れき等が出ておるわけでございまして、その量一千百万立米とも一千二百万立米とも言われております。十トントラックにして百十万台というわけですから、相当の量でございます。  この瓦れきの処理というのが今後の復旧のまた大きな課題として残っておるわけでございますが、今現実問題として、この廃棄物処理の問題、フェニックス計画というのがございまして、近畿二府四県百四十九市町村と四つの港湾管理者が共同出資をいたしまして進められている準国家的プロジェクトでございますが、そのフェニックス計画に持ち込まれている全体の残余容量というのが今三千四百万立米でありまして、この一千百万立米なり一千二百万立米、およそ残余の容量の三分の一が今後フェニックス計画のところへ処理をされていくということになりますと、それはそれなりに受け入れとしては極めて大事なことではありますけれども、この二府四県の、あるいは関連市町村の今後のごみ処理のやはり計画そのものの見直しというものに大きく影響を与えていくんじゃないか、見直しをせざるを得ないんではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  まず、コンクリート片だとか倒壊したビルのそういった瓦れきについては持ち込めても、今回はいわゆる古い木造住宅の倒壊が激しいわけで、そういう木片、木くずというのは、これはフェニックス計画の中には持ち込めない、むしろ焼いて灰にしなければ持ち込めない、こういうことでございます。したがって、こういった事態をどのように考え対応されようとしておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  66. 三本木徹

    ○三本木説明員 ただいま先生指摘の処理計画の見直しの件でございますが、現在フェニックスセンターは、この一月の二十四日から二月一日まで、約二万五千トンの不燃物、コンクリートがらのたぐいの受け入れを行っております。さらに、これが本格化いたしますと、確かに従来見込んでいた以上に容量が減少していくわけであります。その意味で、既にこれまで次期処分場整備計画などについての基本計画の改定作業を進めておりましたけれども、この事態を踏まえまして、早期にこれの計画策定あるいは施設整備に努めてまいるということでございます。  さらに、庭木材でございますが、御指摘のとおり、そのままの形ではフェニックスセンターに持ち込むわけにはまいらないわけでありますが、これについては、できるだけ焼却をするということで今その先を探しておりますし、また、各都市の近隣都市の焼却炉の復旧状況、確実に進んでおりますので、これに応援を依頼し、これとともに仮置き場を増強する、そういったことで対応してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、庭木材等の焼却残滓についてはフェニックスセンターで受け入れていく、そういったことを考えておるところでございます。
  67. 山名靖英

    ○山名委員 当然、二〇〇〇年、あと十年、十五年には満杯になるわけでありますし、今回、それに加えてこの震災の廃棄物処理ということになりますと、大変な影響を与えるわけでございます。いま一方で、第二フェニックス計画があるようでございますが、その計画をぜひ急いでいたただきたい、私は、こういう問題について極めて敏速な対応というものを打っていただきたいことを要望しておきます。  それから、瓦れき処理の費用につきまして、予算委員会でも出ておりますが、処理費用の半額を国が負担する、こういうことでございますが、残りの二分の一の五七%ですか、だから全体で約八割近い国庫補助というものの負担というのが決められておりまして、もう少し国庫負担を上げられないものか、こういうふうに考えておるところでございまして、時間がございませんので要望にとどめまして、これも含めて今後ぜひ御検討いただきたいと思います。  次に、警察及び消防関係でお伺いをしたいと思いますが、今回の災害発生直後火災も発生した、しかし実際、ビルが倒壊し、家屋が倒壊して道路がふさがれ現地に行けない、こういう事態もありますし、現地に行っても実際水が出ない、こういった本当に泣くに泣けない事態があったわけでございまして、近代国家日本の何か恥部を見るような思いを私はしたわけでございますが、少なくとも瓦れきの処理、倒壊のある程度の処理をできるぐらいの装備というものを警察あるいは消防体制の中で私は整備していいのじゃないか。  そういう点で、警察及び消防設備の大型重機といいますか、例えばショベルカーなりユンボなり、あるいは削岩機なり、こういったものも、そういう災害に備えての保有としてあっていいのではないか、こういうふうに率直に考えておるところでございまして、簡潔に今後の方向性についてお示しをいただたきたいと思います。
  68. 野中広務

    野中国務大臣 消防警察を含めまして、今回の地震におきます災害活動において、特に委員指摘のように倒壊家屋や瓦れきの中から被災者等を救出する、あるいは救助するに当たって御指摘のような重機の必要性を強く認識をしたところでございますし、関係者からもそのことを指摘されたところでございます。  このため、各種装備、資材、機材の活用に加えまして、クレーン車、ショベルカー等数十台を借り上げてきたわけでございまして、現在消防あるいは警察が救助工作革の標準として装備しておるものに比べまして、それぞれ重量物の排除の器具とか切断器具とか破壊器具とか装備をいたしているわけでございますけれども、とてもこれでは対応できるものではありませんので、いわゆる現地の借り上げを、あるいは全国からの応援をいただきまして対応したところでございます。  今後こういう教訓を踏まえながら、なお地域社会の連帯感を進め、あるいは関係の事業所が保有する重機等の活用を図っていく上で、私どももみずからこの装備を行っていくことと両方相まってこの災害に備えるようにしてまいりたいと考えております。
  69. 山名靖英

    ○山名委員 人の命と財産を守るためには金を惜しまず、別に警察庁消防庁の味方といいますか、するわけじゃありませんけれども、十分なそういう装備をぜひお願いをしたいと思います。  最後に一点、被災市町村の統一選挙への対応の問題でございます。今回被災をされた兵庫県会、あるいは神戸、西宮、伊丹、宝塚、こういった関連の市について、県市について統一選挙が迫っておるわけでございますが、とても選挙ができる状況ではない。ましてや死者をたくさん出して台帳そのものの整理も大変な状況でございまして、この統一選挙の実施についてどうするのかという問題でございます。  率直に、この統一選挙の日程等については、臨時特例法の改正あるいは特別立法で期日を定めたり延長したりすることは、法的にも可能なわけでありまして、地元の選管等との協議にもよると思いますけれども、この統一選挙の考え方について、大臣からお伺いしたいと思います。
  70. 野中広務

    野中国務大臣 今回の災害におきまして災害救助法が適用されました市町のうち、兵庫県で七市二町、大阪府で四市が統一地方選挙の対象となっております。これらの選挙が予定どおり実施できるかどうかにつきましては、現地事情を把握することが先決でございますので、自治省といたしましては、兵庫県選挙管理委員会さらに大阪府選挙管理委員会連絡をとりまして、選挙管理委員会では市町の選管との連絡をいたして状況の把握に現在努めておるところございます。  現時点におきましては、県の選管によりますと、選挙の実施に向けまして鋭意努力はしておるけれども、一都市町で具体的な点検課題が残っておる。すなわち、投票、開票の事務が、あるいは場所を確保することが可能かどうか、あるいは要員が可能かどうか、諸物資の調達が可能かどうか、あるいは被災住民が分散しておる中で選挙が可能かどうかといったようないろいろな諸点を点検をしておるようでございまして、現時点ではその見通しを決断するに至らない状況にあるわけでございます。  今後、事情の許す限り、速やかに実情の把握に努めますとともに、関係地方公共団体の意向をも踏まえた上で、必要が生じました場合には、法的な特別措置、すなわち、任期の延長、選挙期日の繰り延べ等の法律を国会にお願いせざるを得ないかもわからないと存じておるところでございます。
  71. 山名靖英

    ○山名委員 終わります。ありがとうございました。
  72. 川崎二郎

    川崎委員長 米田建三君。
  73. 米田建三

    ○米田委員 政府の危機管理体制の今のあり方にいろいろと不備があるといろいろな角度から指摘をされているわけでございますが、三十一日の予算委員会におきましても、我が党の草川議員が、初期段階の国土庁情報というものが、警察消防、防衛など、政府部内からの系統立った情報ではなく、テレビ情報だったということを指摘されました。その他、いろいろな観点から草川議員が質問をされ、国土庁の初動の態勢の不備の追及をされたわけであります。  それに対して、小澤国土庁長官あるいは村山総理、そしてまた五十嵐官房長官らがそれぞれに、大変残念であった、遺憾に思う、二十四時間体制が必要であるな、あるいはまた反省をしておるといったふうな答弁もあったわけでございます。  私は、これまでの国会審議で、政府の対応にこの大災害対応するシステムという意味におきまして、やはり不備があった、百歩譲っても万全ではなかった、このことはやはり明らかになったのではないかと思うわけでございます。そこで、先ほどの山名議員の質問に対する野中大臣の御答弁でも、全体としてやはり足らざる面があったというお答えがございました。まことに率直なお答えで、私は評価したいと思うんです。  そこで一つ気になることがあるわけでございます。それは、横浜市長の記者会見における発言に対して、大分大臣がお怒りになったという報道がございました。この横浜市長の記者会見の発言というのは一月十八日のことでございました。要約してみますと、中央政府がとにかくきちんと指揮をとって、方針を決めて、各自治体に救援体制を指示すべきである。例えば近畿周辺には相当な能力を持つ自治体がたくさんあるわけでございますから、こういった各自治体の力を総動員をする際にも、中央政府というものがしっかり総合調整機能の元締めとしてやってもらわなければ困るんだ、また無論言うまでもなく、自衛隊の派遣というものももっと早くできなかったのかと、こんなことも指摘をされて、記者会見で市長は発言をされたというふうに私は理解をしておるんです。  私これは至極当然だと思うんですね。三百二十万の市民を抱える大都市の長として、同じ港湾都市である神戸があれだけの惨状に見舞われたわけでありますから、私は当然の発言だと思うんですが、報道によりますと、一月二十一日の記者会見で大臣は、高秀市長の批判は心外である、憤りこそ感じておるんだ、そういう御発冨を大臣がされたというような報道があるわけでございますが、先ほどいみじくも大臣が山名議員の質問に対して、やはり体制としては万全ではなかった、そういう意味の答弁をされておるわけでございますが、今の段階でもまだこの横浜市長の発言にお怒りですか。それとも大臣の二十一日の記者会見の報じられておる発言が事実ならば、それを撤回されますか。
  74. 野中広務

    野中国務大臣 私は新聞で高秀横浜市長の記者会見の模様を知りました。今委員が御指摘のような報道がなされておりました。けれども、その後、地震対策についていわゆる本会議が持たれました席上で、二階議員からこの高秀市長のいわゆる怒りに満ちた中央政府に対する不満の質問が指摘をされました。正式に国会の場に出たわけでございますので、私は、自治省の自治大臣ということじゃなく、国務大臣の一人として、あるいは地方分権を今進めようとしておる自治大臣としても、その怒りを記者会見で申し述べました。  なぜかと申しますと、中央政府から何一つ連絡がなかった、そして神戸市から毛布やらその他の救援を頼まれて初めて動かざるを得なかった、こんな言葉が高秀市長から出るということは、高秀市長自身が市の管理体制に問題があったと言わざるを得ないのであります。  なぜなら、私ども消防庁は早くから、先ほど申し上げましたように、政令指定都市である横浜市にヘリコプターの出動要請をし、出動の準備をお願いをしておりました。そして、正式に兵庫県知事から午前十時に消防庁に対して要請がありましたので、十時過ぎ、直ちに横浜市に出動をしていただくように要請をいたしました。一月の十七日の朝であります。そして一月十八日には、政令指定都市を含めた全国総務部長会議を開催をいたしまして、当面する諸課題はもちろん、地震災害について、詳細に消防庁長官並びに事務次官からその協議に付した次第であります。  したがいまして、私どもとしては、政府としてとるべき手段はとったつもりでございますけれども、こういうことが何一つ市長に伝わらなかったということは、むしろ横浜市長の指揮監督に問題があるのではなかろうかという気持ちは今も変わっておりませんし、御承知のように横浜市長は建設省のトップをきわめ、国土庁にも勤務をして我が国地震災害対策にもかかわった一人であります。それだけに、なぜこの人が、このような地方分権が言われるときに中央政府のあり方についてこのような発言をするのかは、私もよく知っておる一人として、まことに残念に思っておる次第であります。
  75. 米田建三

    ○米田委員 まあ細かいやりとりは実際どうだったとかああだったとかなんてつつくつもりはありませんが、要するに、その市長の発言の本当の骨子の部分ですよ。やはり中央の体制というものがもうちょっとしっかりしていてほしいということを言いたかったのではないかと私は思うわけでございまして、その部分についての大臣の御理解はいただけているのかなという、そんな気持ちでお尋ねを実はしたわけなんです。  この問題をやっていたら持ち時間がなくなりますので先へ進みますけれども、とにかく大臣も所信保表明の中で、やはり今後の地方公共団体応援活動というものですね、全面的にバックアップをしていくんだというふうに述べておられます。全国の大都市にとりましては、神戸事態は他人事ではないわけでありまして、あすのみずからの姿であるという大変な危機感を持って私は各自治体がこれからの対策について今悩んでいるところだろうと思うわけでございますね。  今度の神戸で見ましても、経済的に大変重要な、国の中でも大きな位置を占める一つの大都市がああいう形で大変な被害を受けたときに、どれだけ国の経済その他の分野に大きな被害を与えるかということを我々はまざまざと目の当たりにしたわけでございます。神戸にしても、この太平洋地域のハブ港湾として新たな二十一世紀に向けての活路を開こうと着々と努力をしていたさなかの大震災でございました。そこで、この大都市の防災というものは、神戸市そのものの復旧と同時に、日本の大都市全体の防災というものが私は急務である、大変大きな課題であるというふうに考えるわけでございます。  やはりいろいろ考えてみますと、今度の大震災はもちろん天災でありましょう、基本的に天災です。しかし、私は、半分以上これはやはり人災じゃないかと思うんですね、大臣。つまり、かねてから急いで解決すべきである、やるべきである、きちんと手を打っておいた方がいいというようなことをやはりいろんな面で手を抜いてきた。  例えば簡単な話が、木造密集住宅は危ないよなんということは大昔から言われていたわけですし、道路が狭いのもまずいよ、これも大昔から言われていた。例えば電柱一つとったって、あれはいろいろ調べますと、日本の都市のこれからの問題は、恥部は、電信柱がにょきにょき立っていることだと、これは明治の初めのころの新聞にもう出ているのですね、こういう論調が。だから、こういうことを今まできちんとやってこなかったこの責任というものは非常に大きいのじゃなかろうかと私は思うわけでございます。  そこで、まず基本的なことでございますが、たとえ私権を一部制限してでも日本の大都市の防災化をきちんと図っていく。そのためには、今日のような縦割りの、各省庁が毎年予算の分捕り合戦を展開するようなこんな予算配分のあり方も根底から改めて、国家的優先課題だというふうに大都市の防災対策を位置づけるならば、それに予算を集中するといったぐらいな大胆な施策も含めて、大都市の大改造計画に乗り出していくんだ、国家的事業として乗り出していくんだというその必要性を私は考えているわけですが、野中大臣国務大臣のお一人としてどうお考えか、基本的なところをお尋ねしておきます。
  76. 野中広務

    野中国務大臣 先ほどの問題に関連いたしまして、政令指定都市には政令指定都市の消防本部相互間で救助協定というのがございまして、どのような事態になっても政令指定都市の消防本部は機動的に救護するという協定ができておることも市長は御存じなかったのではないかということを付言させていただいておきます。  今米田議員から御指摘のありました、非常に貴重な、いわゆる防災都市づくりということについて国家的な事業として進めていくべきではないかという御提言に対しましては、私は全面的に賛成でございます。地震、風水害等、各種災害から住民の生命財産を守るためには、それぞれの予算に優先してその地域の特性に応じた災害に強い都市づくりということを最大の課題として進めてまいらなくてはならないと思います。  私ども自治省といたしましても、万般にわたりまして、それぞれの施策について財政的な援助を行ってまいりたいと考えております。
  77. 米田建三

    ○米田委員 大都市の防災対策という観点で幾つか具体的に伺いたいと思いますが、まず第一に、先ほど来からの論議の中にも出てまいりましたが、今日の日本の大都市の抱えている一つのネックというものは、コミュニティー意識の欠如、これが一つ挙げられるのだろうと思うのですね。これが大都市のこれからの防災対策を充実させていく上で大変大きなネックになってくるのではないかというふうに私は考えているわけでございます。  まさに隣は何をする人ぞということでございまして、都市部等で、きちんと各自治体等で定期的に防災訓練等が行われているわけでございますが、実際、私自身がみずから見聞したところによりましても、参加をする人が限られておるのですね。限られておる。大体、地域の町内会活動だとか自治会活動だとか、そういうことに日ごろから熱心な方が参加をまたこういう訓練にもされるわけでありまして、大多数の一般の都市住民、こういう皆さんはほとんど無関心である、これが実情ではないかと思うわけでございます。  そういう中で、一人の市民が防災知識がないために、災各時の行動によって単なる個人的な被害だけでなく、その被害が非常に広く大きなものになるというふうなケースもあるでございましょうし、いずれにしましても、防災意識の徹底、そして災害時の行動のあり方についてなるべく多くの方にそのノウハウを身につけていただくという意味でも、私はもはや啓蒙だけでは足りないのじゃないか。一種、場合によっては防災訓練に参加することを例えば義務づける等、単なる啓蒙を超えた徹底的な対策というものが必要ではないかというふうに思うわけでございます。  自治体を指導する自治省として、今後各自治体とも協議をしながら、一歩進んだ、単なる呼びかけではなく、市民全体に参加をしてもらうことが個人の利益にもつながり都市全体の安全にもつながるんだということを、やはり急ぎそういうきちんとした制度をつくっていくべきだというふうに考えておりますが、大臣いかがでしょうか。
  78. 野中広務

    野中国務大臣 今委員指摘のように、大規模の災害の際に、電話が不通になったり、道路が寸断されたり、そういう悪条件のもとでは、防災関係機関活動は著しく制約を受けることが予想されるわけであります。今回の兵庫南部地震においてもそのことが如実に証明をされておるわけでございます。  このような状況のもとで、今委員が御指摘になりましたように、地域住民が自分たちの町は自分たちで守るんだという意識のもとに、出火の防止や初期消火あるいは避難誘導、被災者の救護等の防災活動に携わることが被害を最小限度に食いとめる必要不可欠の条件であると考えるわけでございます。そのためには、いざというときに備えて防災の意識を高め、防災時に迅速かつ効果的に対応が図られるような訓練を積み重ねることが第一だと私も存じております。  自治省、消防庁では、年間を通じまして、今もテレビ番組等を活用いたしまして防災意識の高揚に努めておるわけでございますし、今日、過疎地域では男性が消防団に参加することが少ないために婦人消防隊等が組織をされてまいりましたし、都市部におきましても、消防署の組織は拡充されておりましても消防組織が非常に少ない状況のもとから、それぞれ企業が自警団を持ちましたり、あるいは消防団員を組織できないところではいわゆる町内会の自警団ができるといったような新しい地域の自衛手段が講ぜられるようになってまいりました。  私ども自治省といたしましても、ふるさとづくり事業等をこれに入れながら、そういうみずからの町をみずから守るという体制ができ上がって、非常の場合に備えられる訓練がより濃密に行えるような状況ができるように一層支援をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  79. 米田建三

    ○米田委員 ぜひ御努力をお願いをしたいと思います。  次に、大都市の公園の整備ということも大変重要な課題だろうというふうに思うわけでございますが、大都市の公園整備の水準は、我が国は欧米に比べて著しく低いわけでございます。例えばニューヨークが一人当たり二十三平米、比較的欧米で少ないパリでも一人当たり十一・六平米、これだけの広さというものが諸外国にあるわけでございますが、じゃ我が国はどうかといいますと、平成四年度の資料を見ますと、全国平均が六・五平米、首都圏では四・六、東京圏に絞ると四・〇、東京都区部に絞ると二・七平米、こういう実はありさまでございます。  大震災時の避難場所確保等のためにも整備を促進する必要があるわけでございますが、これが実は地方にとってはなかなかきつい状況になっております。例えば第五次都市公園整備五カ年計画を見ましても、地方の単独事業費が一兆九千五百億円、一般の公共事業費が二兆二千三百億円、合計四兆一千八百億円に対する比率が四七%なんですね。地方自治体の財政に過度の負担ではないかというふうに考えるわけでございます。また、国費の割合を見ましても、平成五年度では総事業費九千三百三十八億円のうち国費が二千百九十五億円程度でございまして、総事業費に対する割合はわずか二三%なんです。この地方の負担が非常に大きいことが公園整備をおくらせる一因となっているというふうに思うわけでございます。  さてそこで、自治省に関連する問題としまして、この公園整備に関しまして、地方単独事業に対して起債を認めているわけでございますが、自治体の公債費比率は大変今高い状況にあります。この起債の償還条件を大幅に改善しない限り、地方の単独事業を拡大できない状態にあるというふうに考えられるわけでございますが、自治大臣の見解を伺いたいと思います。
  80. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、公園整備は非常に重要なことだと私ども思っております。公園につきましては、国費の関係等もありまして、地方団体で最近は単独事業で実施するケースが非常に多くなってございます。  したがいまして、御指摘のような償還条件の点もございますけれども、地方団体が単独で実施いたします公園の整備について、公園緑地事業債あるいは地域総合整備事業債の特別分、あるいは都市生活環境整備特別対策事業債、こういった起債の対象といたしまして、この元利償還金に対しまして交付税で、三〇%から物によっては五五%まで元利償還金の交付税措置をするということによって、一般の事業債よりも有利な条件となるように措置をしているところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  81. 米田建三

    ○米田委員 時間が参りましたので、質問を終わります。
  82. 川崎二郎

  83. 畠山健治郎

    ○畠山委員 このたびの兵庫南部地震によってお亡くなりになられました方々、また負傷されました方々、あるいは貴重な財産を失われた方々に心から哀悼とお見舞いを申し上げたいと存じます。一刻も早い復興を願ってやみません。また、大臣を始め関係者方々の日夜にわたる御奮闘に心から敬意を表したいと存じます。  極めて限られた時間でございますので、震災対策震災も混乱から復興の時期に入ったのではないかというふうに考えまして、特に復興に要する財政支援について御質問をさせていただきたいと思っております。  そこで、まず第一にお伺い申し上げたいと思いますことは、震災による自治体の行財政の基本問題について自治大臣にお伺いを申し上げたいと思います。  現時点で被害額を十分把握するのは極めて困難と思われますが、兵庫県の独自の現時点での調査によりますと、被害総額はおよそ十兆に近いとされ、このうち自治体が直接復旧しなければならない公共公益施設、例えば文教施設では二千六百三億円、下水道一千二十五億円、公共土木施設二千九百二十六億円等々となっておりますし、これに大阪府下の被害自治体分を加えますと優に十数兆円を超す規模になるのではないかと推定されます。  これに対して、激甚災害の指定によって法的補助あるいは予算補助がなされ、また自治体の裏負担について、災害債の発行、その償還にかかわる交付税措置がなされることになろうかと存じます。さらに、被災地域の個人、法人にかかわる税の減免等もございますし、いずれにしても、高度に人口と産業の集中、集積した大都市での震災であれば、被害額のみならず被害内容も予想しがたいものであると推定されます。総理も十分な支援措置を講ずると言明しておりますが、復旧対策中心となる自治体の財源対策につきましては万全の措置を講ずる必要があろうかと存じます。  そこで、自治大臣の決意のほどをお伺いさせていただきたいと思います。
  84. 野中広務

    野中国務大臣 委員、今御指摘になりましたように、今回の被災地域の兵庫県、神戸市ほか関係市町の被災者の援助あるいは災害復旧事業、さらに防災を目指しての強力な、いわゆる災害復興を含めた財政負担は、多大な財政負担になると見込まれておるわけでございます。  その実情を早急に調査をいたしまして、被害状況及び財政状況を勘案をいたしまして、災害復旧債、歳入欠陥債等の地方債の配分、さらに、先般申し上げましたが、本年の特別交付税も繰り上げ交付をすることにいたしたわけでございますが、後年度の特別交付税の配分など、適切な財政支援を講じてまいる決意でございます。  また、私も直接大阪に参りまして、近隣府県、政令指定都市の関係自治体の皆さん方にも、この避難住民の受け入れ、あるいは家賃、食費、光熱水費等の自治体における負担等もお願いをいたしました。そういう市町村における、あるいは府県における財政負担についても特別交付税で措置いたしますと明言をして、今日御協力をいただいておるところでございますので、さような点を含めまして適切に配慮いたしまして、一刻も早く、この被災関係皆さん方が力強く立ち上がっていただけるような支援措置を講じてまいりたいと存じております。
  85. 畠山健治郎

    ○畠山委員 あってほしくない災害、しかも災害ですから、いつ、どこであっても不思議でない。それだけに、復興対策は国民の最大の関心事になっておるわけでございますしっかりと万全の措置を講ぜられますよう、重ねてお願いを申し上げたいと存じます。  次に、災害対策基本法の基本問題について、国土庁にお伺いを申し上げたいと存じます。  確かに、災害対策基本法を見ましても、法制度上は決して欠陥があるとは思いません。しかし、この法律が想定している災害が、今回のように大都市の直下型のような地震によって、しかも五千百四人ものとうとい人命が失われ、また、ビル、高速適、鉄道、果ては地下鉄にまで損壊をもたらすとは想定しなかったのではないかと思われます。現実的には、時や場所がある程度予測される風水害が基本法の認識であったのではないかとも思えてなりません。また、地下鉄に被害が及ぶなどということも余り想定していなかったのではないかと考えられます。  こうして見ますと、法制度上は十分であっても、想定と現実との間に大きな乖離があったと考えます。国土庁の率直なお考えを承りたいと存じます。
  86. 平川勇夫

    平川説明員 ただいま委員指摘のとおり、災害対策基本法につきましては、法律上はすべての災害、すなわち地震はもとより、水害、暴風雨、火山噴火、土砂災害など、あらゆる形態の災害に対して規定をいたしております。  しかしながら、今回の災害が極めて甚大な被害をもたらしたという事実を私どもは厳しく受けとめておりまして、見直すべき点は見直すことといたしており、現在、防災に関していかなる体制、制度が最善であるのか、真剣かつ積極的に検討を行っている段階にございます。
  87. 畠山健治郎

    ○畠山委員 このとうとい痛ましい経験を、先々の災害に十分対応できるよう、立場やメンツにこだわらず、率直に見直すべきは見直して、十分検討していただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、地方公営企業に対する財政援助について、大蔵省、自治省にお伺いを申し上げたいと存じます。  これまでの地震被害の中にありまして、地方公営企業についてどのような予算援助を行ってきたのか。また、今回の災害は従来の予算補助程度のもので十分とはとても考えられないと思います。その点につきまして率直にお伺いをいたしたいと思います。
  88. 石井道遠

    ○石井説明員 今回の地震によりまして、ただいま先生が御指摘になられましたように、公営企業施設等を中心に全体的に甚大な被害が生じておる、これらの施設につきまして早急な復旧が必要であるということは、十分に私どもも承知をいたしております。現在、関係省庁におかれまして全力を挙げて復旧対策に取り組んでおられるところでございますけれども財政当局としましても、これに支障がないように財政的にも必要な措置を適時適切に講ずる所存ております。  その一環としまして、目下各省庁の要望も十分踏まえまして二次補正予算の準備作業というようなものにも取りかかることといたしておりますので、そういう中で関係省庁とも十分協議をさせていただいて対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  89. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 お答えをいたします。  地方の公営企業につきましては、今回の地震神戸市を初めとしまして、水道、地下鉄、病院、市場、港湾等大変多くの公営企業の施設に甚大な被害をこうむっているところでございます。これの災害復旧の事業費も大変膨大な額になると私ども思っておりまして、これらの施設については、まず早期復旧を図って住民生活の支障を一日も早く解消をするという必要があると考えております。  一方で、公営企業というような理由で自力復旧ということになりますと、これは当然料金にはね返ることになりますので、今回の場合は国庫補助を初めとして特別の対応が必要であると考えておりまして、関係省庁と早急に協議し、適切に対処してまいりたいと考えております。
  90. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、災害対策基本法、激甚災害に対処するための特別の財政援助法について、国土庁並びに大蔵省にお伺いをいたしたいと存じます。  今回の地震被害の大きな特徴の一つに住民のライフラインの損壊があろうかと存じます。水道、電気、ガス、鉄道、電話等がそれでありまして、このうち水道、病院、地下鉄を初めとする地方公営企業の損壊は現在も住民生活に大きな犠牲を強いております。  御案内のように、災害対策基本法が制定されましたのは一九六一年でございます。この当時、地方公営企業は事業数で四千九百四、決算規模で四千九百四億円、対普通会計比二〇・五%でございました。これが、一九九一年度になりますと、九千二百八十二事業所、決算規模では十七兆七千六百十七億、普通会計規模比では二一・二%と膨れ上がっております。この間、事業数では一・八九倍、規模では三十六・二倍となっております。もちろん、これら事業の中には観光施設、駐車場などもありまして、必ずしもライフラインとは言えないものがありますが、逆に、港湾機能あるいは市場なども加わってまいり、地域生活や経済の重要なライフラインとなっておることは明らかでございます。そこで、今回の災害災害対策基本法等との関連についてお伺いをいたしたいと思います。  まず、災害対策基本法第九十六条では、国の負担及び補助について、法律補助あるいは予算補助をすることができるとなっております。また、第百二条におきましては、国の補助を伴わない災害復旧事業については、別に法律で定めるところにより、特別の措置を講ずることができると規定しておりますが、この規定に基づく激甚災害に対処するための特別の財政援助法では、下水道を除いて全く補助対象とはされてございません。この点でも災害対策関連法と現実との乖離は明白と考えます。  その意味で、激甚災害に伴う援助法の改正あるいは今回の災害実態に対応する特別法の制定は不可欠と考えますが、国土庁、大蔵省のお考えをお聞きいたしたいと存じます。
  91. 平川勇夫

    平川説明員 まず、激甚災害法の関係でございますけれども、今回の地震による災害に対しましては、まず現行制度を十分に活用することによりまして、被災自治体の復旧、復興を円滑に進めるための対策を講じることがまず肝要と考えておりますが、いずれにいたしましても、今回の地震による被害の甚大性にかんがみ、被害状況を踏まえつつ適切な対応を行ってまいりたいと考えております。  また、特別立法についてでございますが、現在政府は一丸となって対策を講じているところでありますが、兵庫南部地震による被害の甚大性にかんがみ、施策によっては従前の制度や枠組みにとらわれない弾力的な対応が必要になる場合もあると考えております。このため、兵庫南部地震に係る復興対策に関し、内閣に緊急立法プロジェクトチームを発足さ世、鋭意検討を進めている段階でございます。
  92. 石井道遠

    ○石井説明員 先生から今御指摘がありました法律の改正あるいは特別立法という問題につきましては、ただいま国土庁からも御答弁がありましたが、今回の被害が非常に甚大であるということで、被災地方公共団体の実情を踏まえまして、こういう法改正あるいは特別立法が必要かどうか、これから早急に検討されるべき課題であるというふうに考えておりまして、現在内閣で緊急立法の検討プロジェクトチームというものが設置され、検討が鋭意進められているところでありますけれども、大蔵省もこれに参加をいたしておりまして、精力的に検討を進めている最中でございます。
  93. 畠山健治郎

    ○畠山委員 過去との対比とか前例とかということにこだわらず、ひとつ大胆に見直しを含めた検討を強くお願いを申し上げたいと存じます。  次に、今後の地方公営企業会計について、自治省にお伺いを申し上げたいと存じます。  仮に、高率補助がこれら地方公営企業になされたとしても、企業会計で復旧費の一部を負担することになれば、それは当然のことながら今後の料金値上げにつながり、住民にとっては、災害被害に加え、新たな負担を背負うということになります。  その意味で、補助対象、補助率についての政府の財政支援を実態に即して十分行う。と同時に、一般会計と企業会計との関係についても、企業会計が新たな負担を余儀なぐされることのないように措置すべきであると考えます。と同時に、既往の企業債の返還の延長等についても当然行うべきものと考えておりますが、お考えを承りたいと存じます。
  94. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 公営企業施設復旧については、まず、この国庫補助についての特別の配慮が行われるように、先ほど御答弁しましたように、関係省庁にも強く働きかけているところでございまして、主要の地方財政措置とあわせて早急な復旧全力をまず挙げていきたいと思っております。  さらに、御指摘のように、今後の課題として、各公営企業の経営上の問題というものも当然出てまいります。したがいまして、この点も含めて適切な措置を今後講じてまいりたい所存でございます。  いずれにしましても、今後、地元の地方団体からいろいろ御要望もあると思いますので、そういった御要望も踏まえながら、被災地方団体の公営企業が早期復旧し、かつ経営が安定するように適切な財政措置を講じていきたい、このように思っております。
  95. 畠山健治郎

    ○畠山委員 企業会計とはいえ、営利を追求する業務ではございません。どうかひとつこの点に十分配慮をして、対応に誤りのないようにしていただきたいと存じます。  最後になりますが、住民負担について、自治省の所見を伺いたいと存じます。  自治体の水道条例で、今回のような状況に対しどのように規定しているのか問題でございますが、現実に給水がない状況にある中で、基本料金の徴収については、これはあり得ないことだと思いますが、もしそうなっておるとしても、徴収は不可能に近い状況ではないだろうかというふうに考えます。  しかし、一方では、地方公営企業の立場からいたしますれば、こうした災害のあるなしにかかわらず、投資費用の償還にこれら収入を充てるわけでございますから、自治体の判断によっては、一般会計からの繰り出しによる収入補てん措置も認める必要があるのではないかと考えます。その点についての御見解を承りたいと存じます。
  96. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 御指摘のように、地方公営企業の料金につきましては、さまざまな問題があろうかと思います。地元の地方公共団体からも意見が当然あると思いますので、こういった意見をよくお聞きしながら対策を講じてまいりたい、このように思っております。
  97. 畠山健治郎

    ○畠山委員 基本料金みたいな、大変目立たない部分ではあるかもしれませんが、徴収現場からすれば、まさに人に優しい行政の典型かと言ってもいいかと思うのです。ぜひひとつ、この点に適切に対応していただきますように、重ねてお願いを申し上げたいと存じます。  まさに非常時ともいうべきときでございます。しかも、日本経済全体を動かす大震災でもあろうかと思っております。さすがと言われる復興策を、早期に、適切に、そして事後の災害対策に結びつく法律上の改正、見直しを含めて、重ねて対応していただきますようにお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  98. 川崎二郎

    川崎委員長 田中甲君。
  99. 田中甲

    ○田中(甲)委員 さきがけの田中甲でございます。  理事委員の皆様方の御理解をいただきまして、質疑の時間をちょうだいいたしました。心から感謝を申し上げます。と同時に、阪神大震災、お亡くなりになられた皆さん方被災者の皆様方に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第であります。  私は、今回の所信表明の中から、十一ページ目、警察行政の「犯罪情勢と対策」、この部分に絞って質問をさせていただきたいと思います。前段で塩谷議員がもう質問をされておりますが、重複するなど失礼のないように、また、前段の質問を受けて少しでも掘り下げて質問をさせていただければ、そんな思いを持たせていただいております。  最初に、内容はこのようなものでした。五行程度のものですが、  我が国の良好な治安は、銃器に対する厳格な規制に負うところが大きいのでありますが、最近、一般市民が銃器犯罪の対象となる痛ましい事件が多発するなど、銃器情勢はまことに憂慮すべき状況にあります。警察としては、けん銃取り締まり体制の拡充及び国内外の関係機関との連携強化を図り、暴力団等の武器庫を直撃する取り締まりと国内に流入拡散するけん銃の摘発に最大限の努力をいたしているところであります。今後とも、銃器犯罪の根絶、暴力団の壊滅に向け、各種施策を強化してまいる所存であります。  一九九二年に暴力団新法が施行されました。これはもう既に御承知のことと思いますが、この一年後、九三年に同法が改正、強化されまして、これによりまして暴力団同士の抗争は激減したように私は認識をしております。これは本当に、警察当局の皆さん方や、その御努力ということを評価さしていただきたいという思いであります。  しかし、暴力団同士の抗争が少なくなればなるほど、抗争に欠くべからざるチャカ、そういう表現を、専門用語といいますか、隠語で使うそうでありますが、けん銃の必要性が少なくなってきているということになります。そうなりますと、けん銃を所持している必要がなくなってくるわけであり、けん銃を所持している暴力団員はこれを手放す。既に一般のけん銃マニアに売却されているのが現状となっています。その結果、それらのけん銃が犯罪に使用されている実例が多いことなどが、新聞の報道によって明白となっております。  御存じのとおり、日本国内には十万丁以上のけん銃があると予想されています。このほとんどが海外からの密輸によるもので、当初価格では輸入価格は五万円から十万円、それが国内市場、日本国内で売却される際には、一丁大体三十万から五十万円、さらに、バブルの時代や暴力団抗争が盛んなころには一丁百五十万円から三百万円という、その価格で売りさばかれていたということも聞かれているところであります。  けん銃が暴力団以外に流出し犯罪に使用されるようになったことは、一大社会問題と言わざるを得ません。銃の社会であるアメリカに批判をする、あるいはその様子を見守るというような段階ではなく、もう既に自分の足元に火がついている。一刻も早くこれの対策を立てて、国民の不安を一掃すること、これが私たち政治家及び警察当局の使命である、そんな認識をさせていただいているところであります。  そこで、けん銃の不法所持の摘発、取り締まりに対して、今回私は、三つのポイントを挙げて質問をさせていただきたいと思います。  まずは、密輸の取り締まり、つまり水際での取り締まりについてであります。発砲事件を引き起こしているけん銃すべて密輸によるもの、そう言っても過言でないほど、改造けん銃も一部はありますが、量からいえば圧倒的に密輸が多い、これが現状であります。最近のけん銃事件で多く使われている旧ソ連製や中国製のトカレフ、大半は漁船やコンテナを使って密輸するものと私は聞いておりますが、これらの水際の対策というもの、水際規制というものは、先ほども答弁の中に含まれておりましたが、警察、海上保安庁、税関と幾つもの省庁にまたがっておりますので、それゆえ縦割り行政をやっていたのでは対策ができないという現状があるやに思われます。  この件について、まず何らかの対策あるいは今後新しいお考え対策というものがおありでしょうか。この点をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  100. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答え申し上げます。  水際での銃の流入対策についての御質問でございます。  御指摘のように、我が国で押収されますけん銃については、そのほとんどが外国製の真正けん銃である。ということは、外国から密輸入された以外に考えようがないわけでございまして、そのような意味合いから、けん銃の供給を遮断する上での水際対策の強化というものは重要な課題であろうというように考えております。  このため、昨年の暮れ、関係省庁が集まりまして申し合わせをしたわけでございます。これは平成四年にも実はやっておりますが、さらにそれを精密にしたといいますか、より実効あらしめるための申し合わせをしたわけでございまして、こういうようなものも踏まえまして、私ども都道府県あるいは海空港等を単位といたしまして、より現場に近いところでの関係の取り締まり機関の実務者の連絡協議会の機動的な開催を実行しようというようなことを一つ考えております。  あるいはまた、洋上での取引というようなものが予想されます。こういったものの対策のために、例えば、海上保安庁の舟艇に警察官とかあるいは他の取り締まり機関の者が一緒に乗り合ってもいいじゃないかというようなことも考えております。あるいは個々の事件について、今回は初めての試みになりますが、共同のタスクフォースといいますか、摘発班をつくろうというような申し合わせもしております。こういうようなことで、関係省庁が連携の方法をさらに緊密化していくということでこういうことを克服してまいろうということを考えております。  またそのほかに、けん銃の流入を水際で阻止する上で、入国時のチェックなども大事だろうと思います。そこで、昨年の暮れのこの会議で、けん銃の密輸入に関与していることの可能性の高い者に対する通関手続時の重点的な検査とか、あるいは上陸審査の強化というようなことを申し合わせておるところでございます。こういった点についても着実な実施に努めてまいりたいというようなことを考えております。  それからまた、広い意味での水際対策になろうかと思いますが、外国の取り締まりその他の関係機関がございます。こういうようなところとの協力関係も大切なところでございます。これにつきましては、従来はICPOのルートでありますとかあるいは外交ルートを通じまして捜査協力をやっておったわけでございますけれども、これに加えまして、特に我が国で発見されることの多いけん銃の製造国とか、あるいは仕出し国といいますか、との間でより緊密な二国間の協力関係というものをつくるべく、関係各国への働きかけを行っております。  昨年暮れにもこうした取り組みの一つとして、第二回の国際会議を開きました。こうした場での働きかけに基づきまして、関係国との間で電話なりファクスなりで直接的な情報交換も活発にやられるようになっておるというようなことで成果を見ておるところでございます。
  101. 田中甲

    ○田中(甲)委員 それでは二点だけ、再質問と申しますか、まず水際対策の中の出入国のときの荷物のチェック、これはいろいろなもので、船から入ってくるとかコンテナで入ってくるということがありますから、すべてとは言えませんが、私たちが出国する際には、ハイジャック防止ということでエックス線で荷物を検査されたり、あるいはボディーチェックをされたりということがありますが、日本には入国の際には、音から「入り鉄砲と出女」と言われますが、入ってくる際のけん銃のエックス線での調査ということがされていません。この辺はやられても私はいいのじゃないかと思います。  海外との連絡をよく密にとり合うということですけれども、やはり日本が強化しているその姿というものが直接形となってあらわれてくる、そういうことを一つ形としてしるされるということは、私はかなり密輸をしようとする方に警戒心を与える、日本の場合にはかなり厳しくなっているぞ、対応してきているということを感じさせる一点ではなかろうか、そのようなことを思います。これが一つ。  二点目は、後ほど大臣に御答弁をいただければありがたいのですが、時間がないものですから、後でまとめて聞かせていただきますが、自衛隊や海上保安庁や税関や警察がお互いに連絡を密にとり合ってやっていても、その指揮をする司令塔が一本にまとまっていませんと、なかなかこれは責任を果たせない。権限というものを、責任を果たせるような状況をつくり出していく、これが組織的に必要かと思います。  生活安全局の銃器対策課、中田さんに御答弁をいただいておりますが、やはりけん銃の取り締まりはけん銃の取り締まりとして独立してきちんとやる、これが、生活安全局と別個に分けて進めることによってより効果が上がるであろう、そんなことを考えておりますが、ぜひ後ほど最終に、おまとめの段階で御答弁をいただければありがたいと思います。つまり、けん銃強盗とこそ泥を一緒に取り扱おうとしても、これは無理だということを私は言いたいのであります。  次の質問は、銃刀法の強化ということを私はぜひとも指摘をしたいと思います。  現在、けん銃を持っている方は一年以上十年以下の懲役ということになります。これは銃刀法の罰則の部分ですが、それと同時に、実弾、弾薬を持っている場合には三年以上有期懲役ということになりまして、十五年ということになっておりますが、私は、この一年以上ということでは生ぬるいということを感じます。なぜならば、けん銃は持っているだけで一般市民に大変に大きな脅威、恐怖を与えるものですし、それをあえて持つということは相当悪質だということだろうと思います。けん銃は持っているだけで、預かっただけでもえらい懲役を食うんだということを一般の国民に周知徹底させるということが、私はPRという面も含めて必要になってくるのではないかと思います。  中国においては、窃盗ですら死刑ということになるそうであります。まして、今のような現状で銃器を保持しているということは、極めて厳しい罰則というものがあってしかるべきだと私は思います。例えば懲役を二十年にする、あるいはけん銃を発射した者については無期、そのくらいの思い切った措置をとらなければ、今エイズやあるいは薬物が蔓延して、さらに手のつけられないほどの状況になったとき、銃も全く同じだと思います。そこではもう対応のしょうがないという社会になってしまいますから、私は、大げさではなく今が正念場だと思います。このことについてぜひとも御見解をいただきたいと思います。銃刀法の強化ということに、簡潔にお答えをいただければありがたいと思います。
  102. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 三点ほどお尋ねでございました。  一番最初の問題でございますけれども、出国の際にエックス線のチェックがあるのに、入国の際にと。このエックス線の目的は、確かにハイジャック防止というようなことで出国の際でございまして、入国の際に必ずしもエックス線はやられておらないことは、御指摘のとおりでございます。  そのようなことでございまして、先般の申し合わせの際にも、水際阻止のために入国時のチェックということについて今後強化していかなくちゃならないということから、通関手続時に重点的な人のチェックをやる、あるいは上陸審査の強化をやるというようなことを申し合わせたところでございまして、このやり方につきましては、いろいろ方法はあろうかと思いますが、またその中で考えてまいりたいと存じます。  それから二点目に、銃器犯罪については専門的な観点の捜査官を養成するというような意味かと思いますが、そういう物の見方が大事じゃないかという御指摘、まことにそのとおりでございます。正直申し上げまして、我が国で暴力団犯罪捜査とか薬物捜査という分野の捜査に比べて、銃器犯罪捜査という専門分野の確立について、ややおくれていたところがなかったとは言えないところでございます。  そのような観点で、私ども、けん銃摘発に向けまして、けん銃捜査、けん銃の流れを追えるというような、そういう専従捜査官をつくる必要を痛感しておるところでございまして、そのような捜査官の確保育成に今全力を挙げておるところでございます。  それから、銃刀法の改正の関係で御指摘がございました。委員の御指摘は、人殺しの道具であるようなけん銃につきましては、不法所持なり密輸入については厳しい態度で臨む必要があるというような御趣旨かと理解いたします。  私どもといたしまして、まことに同感でございまして、そういった観点から、現在私どもは不法所持者等の悪性の立証に努めるというようなことで、適正な科刑の実現といいますか、すなわち重刑の獲得でございますね、こういうものに努めておるところでございまして、そのようなことでけん銃不法所持事案の根絶に努めてまいりたいと努力をしておるところでございます。
  103. 田中甲

    ○田中(甲)委員 銃刀法の件で私は大変に感心したところがあります。それは、平成五年の改正の際に、銃刀に関する法律は自首したら刑を軽くするという条文が書き加えられた。これは信賞必罰、あめとむちという兼ね合いでしょう。とにかく、国内のけん銃保持という数を少なくすることが目的ですから、私は、こういう措置は大変にいい法律、条文をつけられたなということを考えております。  ただし、その効果というものがどのくらい上がったかということが大変に疑問でありまして、もしこのような信賞必罰をはっきりさせるのでしたら、尋問を受けて、けん銃のルートとか、その取り調べを受けるようなことすらも私は除外した方が、一般の方でけん銃の処分を困っている人に対しては、銃を捨てに来るといいますか、これをこのまま持っていることはできないという考えで銃の放棄に来る数が実際には上がるのではないかな、その辺の御検討もぜひされていただきたいと思います。  最後に、せっかく大臣がいらしてくださいましたから、私は、銃の規制や取り締まりは警察だけの責任ではない、政府がどれだけ本腰を入れて、マスコミや国民を含めた国全体でどのように取り組んでいくかという問題だと考えておるのですが、ぜひ大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  104. 野中広務

    野中国務大臣 今委員がそれぞれ御指摘になりましたように、また局長から御答弁を申し上げましたように、最近のけん銃を使用した凶悪な犯罪、それが市民生活にまで入ってきたというのは、まことに今日、治安がいいということが我が国の貴重な財産であり、また誇れるものでありましただけに、私ども、市民生活に与える影響あるいは事の重大さを深く認識をしておるところでございます。  警察といたしましては、けん銃の摘発を徹底いたしまして、この種事犯の防圧に最大限の努力をしてきたところでございますけれども、今日の情勢はさらに深刻でございますので、関係部門が結集をいたしまして、そして、特に私も先般閣議でお願いをいたしまして、関係閣僚会議関係省庁連絡会議をお願いをいたしまして、政府各関係機関挙げて、この種犯罪あるいはけん銃所持の対策について政府一体となって取り組んでいくということをお願いし、今強力な諸施策の推進に当たっておるところでございます。  先ほど来、組織の問題あるいは法のあり方の問題等、貴重な委員からの御提案もいただきましたので、その問題を含めて、今後この種犯罪の防止のために一層の努力をしてまいりたいと存じます。
  105. 田中甲

    ○田中(甲)委員 一層の御努力をお願いいたしまして、終わります。
  106. 川崎二郎

    川崎委員長 穀田恵二君。
  107. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、きょうは消防の問題に絞りましてお伺いしたいと思います。  つい先日の予算委員会でも問題にしましたが、今度の大震災の際の災害を大きくした問題は、水の十分な蓄えがなかったという問題が指摘されたことは、御存じのとおりです。大臣も、耐震性貯水糟が決して十分とはいえないというふうにおっしゃっていました。  私ども、今どうしてもこの耐震性貯水槽を抜本的に強化する、そして国の責任でどんどんこれを推し進めるということが必要かと思うのです。そういう意味で、大臣の御見解をお聞きしたい。
  108. 野中広務

    野中国務大臣 もう申し上げるまでもなく、今回の震災におきまして一番問題でありましたのは、消防水利が消火栓中心であったということでありまして、御承知のような状況に至ったわけでございます。今回の教訓にかんがみまして、震災時におきます消火用水の確保のために、消火栓のみならず、ため池、河川あるいは海水の利用等の多くの問題について、多面的な消防水利を確保する必要があることを認識をいたしております。  耐震性の貯水槽につきましては、初期消火を行うのに極めて重要な役割を果たすわけでございますので、今後一層の普及に、地方公共団体とともに努力をしてまいりたいと存じております。
  109. 穀田恵二

    ○穀田委員 今お話ありましたように一層の普及ということで、本当にこれは力を入れてほしいのですね。先ほど答弁の中にもございましたように、こう言っていますね。今回の教訓が生きるように、そして特に防災対策地方自治体における見直しの中で、防災、特に震災対策をしっかりした形で計画を持たせたい、こうおっしゃっていました。私は、そのことをしっかり実行していただく必要があろうかと思うのです。問題は、どういうテンポで、しかもどのぐらいの期限でもってやっていくのかということを、この前も私ども日本共産党は主張しましたが、国として基準を持っていかなければこれは進まないのじゃないか、そのことを特に指摘したいわけですが、その点はいかがでしょうか。
  110. 野中広務

    野中国務大臣 今日までの耐震性貯水槽につきましては、その面積が大きく要ること、あるいは経費が大変な額を占めること等で、それぞれ地方公共団体の要求も非常に少なかったわけでございます。ただ、今回の兵庫南部地震を通じまして、大変認識を新たにされたところでございます。  私どもは、これからは公園の建設や、あるいは学校の校庭等にも、昨年の渇水時における飲料水等の不足等も含めながら、多様な面についてこの耐震性貯水槽の根本的な見直しを行い、そして充実強化を図っていきたいと存じておるところでございます。
  111. 穀田恵二

    ○穀田委員 そのとおりやっていただきたいのですが、特に消防庁が発行しています「南関東地域地震防災対策に関する調査研究平成四年度報告書」によりますと、そのおくれの原因はということで特に二つ書いていまして、今大臣おっしゃいましたように、用地の問題で非常にしんどい面がある。同時にもう一つの問題は、「整備基準の取扱い」で、やはりその辺が自治体任せに結果としてなっているという向きを書いているところがあるのですね。つまり、読みますと、「各市町村の実態に基づいて消防長の判断で計画されることとなっている。このため、一部の地方公共団体にあっては、独自に具体的な整備基準等を設け整備を推進しているところもみられるが、反面整備基準が不明確な地方公共団体も多い。しつまり、国としての基準がないがゆえに、確かにつくったらいいんだけれども、結果としてはほかのところにいってしまう。どうしてもこの場合、強力な指導が必要だと思うのですね。ここをぜひ、私は改善していただいて、おくれの原因となっている、全体としてはやはり地方団体、公共団体任せになっているというところを打開する必要があるんじゃないかと思うのですが。
  112. 野中広務

    野中国務大臣 私どもは、やはり地方公共団体の自主性ということを考えて今日までやってまいったつもりでございます。今後、今度の地震災害を含めまして、神戸におきましても耐震性とは申せ震度七を想定してこの貯水槽をつくっておったことではないと考えられておるわけでございまして、現在その貯水槽の破壊の状況等を調査しておるところでございます。  そういうところをも十分私ども調査結果を踏まえて、そして関係府県とも協議をし、そしてどの程度のものが要るかは、基準を示すということではなく、これからの防災対策のために自主的に市町村が取り組んでくれる目標としてお互いに共通点を見出すよう、あるいはそれができやすい環境づくりのために努力をしてまいりたいと存じております。
  113. 穀田恵二

    ○穀田委員 自主性に任せるという、確かに言葉自身はそうなんですけれども、例えば消防の問題について言うならば、若干違うと私は思うのですね。つまり、消防組織法第十九条にあるように、確かにお話しのように自治体消防が基本です。同時に、その後の二十条では、消防庁長官の助言や勧告、指導を規定しているわけです。しかも、今もお話ししたように、この報告書には現実にそのおくれが、地方自治体任せになっているとやはり大変だということを改めて指摘し、例えばこの五ページ目にはこんなことも書いているのですね。「消火栓を含めた水道の被害が懸念されているところである。」ということで、消火栓だけではだめだということを再三にわたって強調しているのは、大臣もおっしゃるとおりなんです。  問題は、結果としてそういうものが地方自治体任せになっていた、その結果としてやはり大災害の要因の一つとなった。これは一つのある意味での教訓だと思うのです。したがって、馬力をかけてやると大臣おっしゃいますけれども、例えばことしの予算でも全体の計画でいいますと十一億四千九百万円なんですね。これは昨年度と同様の予算額なんです。こうなりますと、やはりだめなんですね。  しかも、二つ目に、じゃ、どういうところがそういうものを受けることができるか、補助を受けることができるかということでいいますと、実は一千九団体ぐらいが自治体としてその補助を受けることができるという実態なんですね。これは御承知のとおりです。しかも、現実にどれだけの補助を受けたかという実数を見ますと、昨年段階では百ちょっとなんですね。こうしますと、三千三百以上ある地方自治体の中の補助のいわば対象が三分の一、受けているのが百何ぼ、こうなるわけなんですね。  それを根本的に打開するということになりますと、やはり消防庁が持っているそういう意味での勧告、指導、助言、こういうものを、権限を生かした形での抜本的な強化が必要じゃないかということを私は特に申し上げているわけなんです。
  114. 野中広務

    野中国務大臣 したがいまして、市町村の自主性を基本としながらも、やはり現在の教訓に学びまして私ども多面的な検討をやって、今委員指摘のようなことを含めて、この貯水槽の充実に努めてまいりたいと申し上げておるわけでございます。
  115. 穀田恵二

    ○穀田委員 多面的問題でいいますと、私は、例えば動力のポンプの問題だとか、それから組織の自主性の問題だとか、いろいろある、それは存じ上げております。問題は、きょうは耐震性の問題に絞って言っているものですから。  そこで、なぜ私、国の基準と言うかといいますと、先ほどありましたように、防災対策を見直すということを指示しているわけですから、多くの団体がそれぞれ見直していただいて、なおかつ、その防災の見直しに当たってこのことを重視しなさいよということぐらいの指導の内容が必要だということを私は言っているのですよ。そういう形で本当に耐震性の貯水槽をつくる、そういう機運を大きく盛り上げていくという指導と助言が必要だということを言っているだけで、そのことを頑張っていただきたいと思うのです。  それで私は、今度の場合重要な問題は、やはり何といっても、十一億四千九百万円というものを、これから見直しを先ほど報告ありましたように三、四カ月かけてやると言っていましたね、防災計画を。そういう計画が上がってくるということが当然予測されるし、また、そうあらなければならないというのが今の大臣のお気持ちだと思うのです。そうしますと、十一億四千九百万円という額を本来もっとふやさなくちゃならないと思うのですが、その点の二つの点はいかがでしょうか。
  116. 滝実

    ○滝政府委員 私から今までの経緯について若干申し上げたいと存じます。  現在まで防火水槽の問題については、私ども消防庁としてはかなり指導力を発揮して地方団体におつくりをいただいてきた、こういうふうに思っております。  この問題につきましては、釧路の地震の際に、あのときも水道施設が破壊されまして消火栓がほとんど働かなかった、こういうような反省がございまして、釧路地震のときにもこの問題が改めて認識されたわけでございます。したがって、消防関係者としては、釧路地震教訓としてこの防火水槽についてはやはり大事がな、こういうような感じを持っていたやさきでございます。その中で今回の教訓を得たわけでございますから、私どもは従来以上にこの問題については真剣に取り組んでいただける、こういうふうに感じております。  したがって、私どもは、地方団体がみずからこの問題はむしろ積極的に自分の問題として取り組んでいただける、またいただかなければならぬ、こう思っておりますし、今の補助金の金額についても、私どもはそういうような観点を目指しながら、この問題については補助金の確保について格別の努力をしてまいりたいと存じます。
  117. 穀田恵二

    ○穀田委員 格別の努力をしてまいるということは、ふやすということですね、端的に。
  118. 野中広務

    野中国務大臣 先般来総理並びに大蔵大臣が申し上げておりますように、今回の震災にかんがみまして、平成六年度の補正予算、さらには平成七年度の補正予算をお願いすることにいたしております。その二つの補正予算を通じましても、私ども重要な課題としてこれを考えていきたいと存じております。
  119. 穀田恵二

    ○穀田委員 ということは、私も、来年度の予算だけじゃなくて、当然補正予算を含めてこれはどうしてもふやしていただく必要がある。  先ほど長官からお話がありましたけれども、かなり指導力を発揮しているというのは、私は、それじゃお聞きしたいのですけれども、実際に大都市における耐震性のそういうさまざまな予算というのは、実は八一年度の十五億円程度から、この間調べてみるとずっと低下しているのですよ。それでちょっと大見え切ってこの間指導力を発揮してきたというのは、ちょっとそれは語弊があると思うのですね。私は、その指導力を発揮した結果が、指導力というのは括弧つきですが、発揮されて依然としてだめだということを言っているのですよ。  問題は、そういうふうに自負されるのであれば、まさに見事にその耐震性のことに対してこれだけ予算をやるから積極的に応じなさいよ、私どもはいつでも応じる準備がありますよということを示すことが、逆に言えば、そういう方々の期待にこたえてさすがだということになると思うのですが、そういう意味での決意をお聞きしておきたいと思うのです。
  120. 滝実

    ○滝政府委員 これは予算委員会でも大臣から申し上げていると思いますけれども、耐震性の防火水槽の問題は、国の補助金だけではなしに防災まちづくり事業という格好で財政力に応じて三三%ないし五五%ですか、これの交付税算入を伴った起債事業ということで、これでかなりの数をカバーしている、こういうものも片やあるわけでございます。これだけを、国庫補助金の数字だけをごらんいただきますと、そう大したことではない、こういうふうに御判断をいただくと思いますけれども、全体として、私どもはそういう意味でのこの設置についてそれなりの努力をしてまいりました。  指導力を発揮してまいりましたというのは、要するに、この問題はどうしても、先ほど大臣が申し上げましたように、用地の問題等でおくれがちでございます。そこを私どもは、とにかく何とか今年度の予算で消化するようにとか、そういう意味で最大限の努力をしてまいったつもりでございます。
  121. 穀田恵二

    ○穀田委員 最後に一言。  私は、じゃ、そういう経過の中で耐震貯水槽が指導力を発揮してこの十年間に幾ら出てきて、結果として毎年それじゃふえたのかという数字をよく見てみる必要があると思うのですね。そんなにふえてないのですよ。この十年間でいうならば少し減って、下げどまりでそのままきているのですよ。そういう実態に実は指導力が発揮されたとなると、耐震貯水槽が幾らできたのかという結果で、先ほど自治大臣からお話ありましたように、結果としてどうだったかということをよくおっしゃいます。つまり、結果としてそういうことがなされなかったということがあるからこそ、こういう報告書まで出して頑張ろうということをやっているわけですよ。  そういうことからいいますと、消防庁自身が指摘してきたのに改善できていないという実態がある。それから、総理が、今回は現行法の中で解決できる問題は万全を期してやるし、それを上回ってやりたいということを言っておられるわけですから、今度はどうしても予算という形で事実でもって明らかにしていただいて、補正予算なり第二次補正なりの中でこの項目が本当にふえたという結果をつくっていただけるものと確信して、発言を終わります。      ――――◇―――――
  122. 川崎二郎

    川崎委員長 次に、内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。野中自治大臣。     ―――――――――――――  地方交付税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  123. 野中広務

    野中国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算により平成六年度分の地方交付税が七千百九十億四千万円減少することとなりますが、地方財政状況にかんがみ、当初予算に計上された地方交付税の総額を確保する必要があります。このため、交付税特別会計借入金を七千百九十億四千万円増額し、この額については、平成九年度から平成三十八年度までの各年度において償還することといたしたいのであります。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  124. 川崎二郎

    川崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る七日火曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時二十一分散会      ――――◇―――――