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1995-05-18 第132回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月十八日(木曜日)     午後三時四十四分開議 出席委員   委員長 尾身 幸次君    理事 石原 伸晃君 理事 金子 一義君    理事 村上誠一郎君 理事 新井 将敬君    理事 北側 一雄君 理事 村井  仁君  理事 早川  勝君 理事 五十嵐ふみひこ君       大島 理森君    大原 一三君       岸田 文雄君    熊代 昭彦君       小泉純一郎君    中谷  元君       中山 利生君    根本  匠君       福田 康夫君    堀之内久男君       松下 忠洋君    宮里 松正君       茂木 敏充君    山中 貞則君       青木 宏之君    井奥 貞雄君       石田 祝稔君    上田 清司君       竹内  譲君    谷口 隆義君       中田  宏君    中村 時広君       藤井 裕久君    宮地 正介君       大畠 章宏君    永井 哲男君       濱田 健一君    日野 市朗君       渡辺 嘉藏君    田中 秀征君       佐々木陸海君    小森 龍邦君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 武村 正義君  出席政府委員         大蔵政務次官  萩山 教嚴君         大蔵省主計局次         長       伏屋 和彦君         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁課税部長 堀田 隆夫君  委員外出席者         警察庁刑事局刑         事企画課長   篠原 弘志君         国土庁防災局防         災業務課長   大野 慎一君         厚生省社会・援         護局保護課長  松尾 武昌君         通商産業省貿易         局輸入課長   上野  裕君         通商産業省産業         政策局国際企業         課長      永谷 安賢君         中小企業庁計画         部計画課長   鷺坂  正君         建設省住宅局住         宅総務課長   藤田  真君         自治大臣官房参         事官      陶山 具史君         大蔵委員会調査         室長      中川 浩扶君     ————————————— 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   塩崎 恭久君     根本  匠君   中山 利生君     松下 忠洋君   平田 米男君     石田 祝稔君   中村 正男君     大畠 章宏君 同日  辞任         補欠選任   根本  匠君     塩崎 恭久君   松下 忠洋君     中山 利生君   石田 祝稔君     平田 米男君   大畠 章宏君     中村 正男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成七年度における公債発行特例に関する  法律案内閣提出第九八号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第九九号)      ————◇—————
  2. 尾身幸次

    尾身委員長 これより会議を開きます。  内閣提出平成七年度における公債発行特例に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を課題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。武村大蔵大臣。     —————————————  平成七年度における公債発行特例に関する   法律案  租税特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 武村正義

    武村国務大臣 ただいま議題となりました平成七年度における公債発行特例に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成七年度における公債発行特例に関する法律案につきまして御説保明申し上げます。  今般、さきに決定されました緊急円高経済対策を受けて、阪神淡路大震災からの復旧復興事業等を盛り込んだ平成七年度補正予算提出し御審議をお願いしておりますが、当該補正予算における阪神淡路大震災に対処するための措置地震等についての防災のための事業を緊急に実施するための措置、急激な外国為替相場変動等に伴う最近の経済情勢に対処するための措置等に必要な財源を確保するため、平成七年度における公債発行特例に関する措置を定める必要があり、本法律案提出した次第であります。  その内容について御説明申し上げます。  平成七年度の一般会計補正予算において見込まれる租税収入の減少を補い、及び当該補正予算により追加される歳出財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定等による公債のほか、当該補正予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債発行することができること等としております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  政府は、最近における社会経済情勢にかんがみ、輸入促進税制を拡充するとともに、中小企業事業展開促進を図るための措置を講ずることとし、本法律案提出した次第であります。  以下、その内容について御説明申し上げます。  第一に、輸入促進税制について、輸入額増加した場合の税額控除制度等における輸入製品増加割合が一〇%を超える場合の税額控除割合等を、その増加割合に応じ、例えば税額控除割合については現行の百分の五から百分の十までとする等、最大現行の二倍まで引き上げることとしております。  第二に、中小企業事業展開促進を図るための措置として、特定中小企業者の新分野進出等による経済構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措置法の一部改正に伴い、同法の承認事業展開計画実施する特定中小企業者が取得する一定機械装置を、事業基盤強化設備を取得した場合等の特別償却または特別税額控除制度の対象に加える等の措置を講ずることとしております。  これらの改正は、四月十四日に決定された緊急円高経済対策に関連し、税制上の措置実施するためのものであります。  以上が、二つ法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 尾身幸次

    尾身委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 尾身幸次

    尾身委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村時広君。
  6. 中村時広

    中村(時)委員 新進党の中村時広でございます。  まず初めに、ただいま御提案がありました平成七年度における公債発行特例に関する法律案に関しましてお伺いをいたしたいと思います。  本予算審議におきましても、大蔵大臣は、財政危機的状況であるとか、あるいは尋常ならざる事態であるとか、およそ最大級の危機的な状況をあらわす言葉を使われてその厳しさを表現されておりました。本予算におきましては、国債費定率繰り入れの停止であるとか、NTTの株式売却収入による無利子貸し付けについての繰り上げ償還であるとか、一般会計から国債整理基金への繰り戻しの延期であるとか、各種特別会計とのやりとりであるとか、およそ考えられるさまざまなやりくり算段をされておったわけであります。  さて一方、今回の提案されました補正予算総額歳出の方は二兆七千二百六十一億円、歳入の方は、公債金発行二兆八千二百六十億円でありますから、全額公債金、こういうふうに言ってもよろしいでしょう。うち特例公債は五千六百三十八億円。借金借金を重ねるという状態から抜け切れないままに組まれていることは明らかでございます。  さてそこで、まず最初にお伺いしたいのですが、今回のこの歳入やりくり全額公債で賄う今回の措置最善とお考えになられているのかどうか、まず大蔵大臣にお伺いいたします。
  7. 武村正義

    武村国務大臣 最善とは考えておりません。御指摘のような厳しい財政環境の中で今回の補正決断でございます。  当初予算、まだスタートしたばかりでございますし、この予算も、説明を申し上げてまいりましたように、絞りに絞ってといいますか、徹底した重点化を図りながら編成をさしていただきました。  したがって、この予算を大きく組み替えることは考えられないということが一つございますし、今後の行方を見ましても、当初で想定いたしました税収を上回るような明るい予想ができる経済情勢ではありません。むしろ今回の輸入促進税制は、逆に既存税収見積もりをいささか削らざるを得ない状況でもありまして、そういう中で、まさにやむを得ない目下の経済財政環境の中で今回の補正予算を組まざるを得なかった、そのことが公債発行決断をせざるを得なかったということであります。
  8. 中村時広

    中村(時)委員 最善とは考えていないといきなり言われると拍子抜けしてしまうんですが、それだったらさらなる最善の方策というのはあるのかなとも思うわけですけれども、まあそれはいいでしょう。  今の御答弁の中に、組み替え考えていない、こういうお話がございました。二月十五日の本委員会におきまして大臣はこういう答弁をされております。一つは、震災復興のための財源をめぐってはありとあらゆる努力をする決意である、これは当然のことであります。同じ日にいま一つ答弁がございまして、既存予算切り詰めも含めて、ありとあらゆる努力をする、こう明言されていたわけであります。  組み替え、大変難しいということでありましたが、この答弁から類推いたしますと、当然切り詰め検討というのは言葉からとらえれば行われていたんだろうと思うわけでありますけれども、そのあたり経緯というものは一体どうなったんでありましょうか。
  9. 武村正義

    武村国務大臣 震災に対する財源考え方は今も変わりはありません。今回の公債による措置平成六年度の第二次補正予算における措置を含めて、今後経済情勢等を見ながら、これまで繰り返し申し上げてまいりましたようなあらゆる可能性について真剣に検討を続けていきたいというふうに思っております。  なお、当初予算につきましては、これも三月の国会で申し上げてまいりましたように、公共事業、約五%ぐらいを重点的にこの地震あるいは全国的な防災対策に振り向けたいと。いわば既存予算重点化ということでございますが、そういう考え方を持っておりまして、この考え方もぜひ基本的には実施をしてまいりたいというふうに考えております。
  10. 中村時広

    中村(時)委員 何か余りされていないのかなという感じでもあるんですけれども、もう一つ同じ日にこういう表現もされております。あのときは、先ほど四つばかり示させていただいたように、いろいろな特例措置、あらん限りの知恵を絞り尽くしてやりくり算段をされたということでありましたが、そういった特例措置国家財政の中でのやりくり、話であるから公債発行よりはよほどまじめな手法である、こういう御答弁をされております。  とするならば、公債発行というのは極めてふまじめな、最もふまじめな手法というふうに認識されているのかなと思っていたんですが、ちょっと振り出しに戻りますけれども、今回こうした公債金全額による歳入の調達ということ、この表現をかりるならば、最もふまじめな方法というふうに思われているんでしょうか。
  11. 武村正義

    武村国務大臣 いわゆる当初予算における財源の、やりくり措置とも言われておりましたが、さまざまな特例措置を講ずることになりました。いわば当初予算は、かなり大規模公債発行プラス特例措置ということを基本にして成り立っているわけであります。  その特例措置公債論議におきまして、公債は長い年月をかけて償還をしていく、しかも金利を覚悟しなきゃならないと。一回発行いたしますと、償還の歳月が大変長いわけでありますから当分その全額について償還考える必要はないことに比べますと、多くの特例措置というのは、一定の短い時間を設定してその中でやりくりをさしていただいておりますから、その時期が来れば無条件で目をつむって返さなきゃならないと。財政の中のやりくりでございますけれども、そういう宿命を背負っているわけであります。  そういう意味で、償還姿勢という意味では特例措置の方が締まっているということをそう申し上げたわけであります。
  12. 中村時広

    中村(時)委員 まあ、ふまじめだ、まじめだというお話は御回答いただけないと思っておりましたけれども、いずれにいたしましてもその他の検討というのができなかったことは明らかであるわけでありまして、ただ、例えば歳出予算切り詰め等の問題については、既得権であるとか過去の予算いきさつであるとか慣習であるとか、こういうしゃくし定規で物事を進めていくと、そこから出てくる答えは、もう既にむだは一銭もないんだ、精査し切った数字だから手をつける余地はない、こういう答えになってしまうわけであります。いわばこの問題というのは、既得権、過去のいきさつ慣習というのを乗り越えていくことによって初めて可能であるわけでありまして、そろそろ、財政状況なんかを踏まえますと、その定規、物差しというものを多少変えていく時期に差しかかっているんではなかろうかと思うわけであります。  今後、そういうふうな変革の流れというものを十分踏まえてこの財政改革に真摯にお取り組みいただきますように、その姿勢をいま一度ここでお示しいただきたいと思います。
  13. 武村正義

    武村国務大臣 おっしゃるとおりであると思います。  今回は、何といいましても予想しない事態が重なりました。大都市、近代都市における直下型地震ということでありますし、また円高も、たびたび経験はしておりますが、三月、四月のこの状況はまさに急激な為替変動の中で円の高騰が進んだわけであります。このことが日本経済にもさまざまな影響を与えてきているわけでございまして、こういう非常事態でありますだけに私どもも目をつむって今回の補正決断もせざるを得なかったわけでありますし、したがってまた財源措 置についても、もう迷わずといいますか、公債発行決断をせざるを得なかったという状況であります。  一刻も早く日本経済が本格的な回復に乗って明るさを取り戻していくことを期待をいたすわけでありますし、そういう状況が早く来ることを願いながら、この一段と悪化した日本財政状況を見て、どう健全化を図っていくか、いつからどういう具体的な姿勢財政の均衡を図っていくか、そのことに一段と真剣に目を向けていかなければならないと思っております。  おっしゃるような、あるいは私どもが今まで申し上げてきたような姿勢をより一層具体的に示していかなければならないときが近づいているというふうに認識をいたしております。
  14. 中村時広

    中村(時)委員 財政の立て直しのために具体的な案を示す、検討する、この言葉は前にもお聞きしておりますけれども、先般の本会議におきましても村山総理は、巨額の公債償還に係る国民全体としての負担あり方について検討が必要という表現をされておりました。  しかし、それをさかのぼること三カ月、二月七日の本委員会におきまして既に大蔵大臣の方から、ありとあらゆる財源について可能性検討すると。もう三カ月、四カ月前のお話であります。そのときに一つだけ、消費税五%移行の話ですが、消費税引き上げ国民負担あり方の中で考えてはいないという指示を受けている、こういう話を二月七日の時点でされているわけであります。  それから現在まで三カ月間の月日が流れておりますけれども、当然三カ月もあれば何らかの検討作業には着手されているものと思いますし、この国民全体としての負担あり方について、少なくとも柱、方針、このぐらいのことは、三カ月の期間があるわけでありますから当然お示しいただけるものと思いますので、お伺いをさせていただきたいと思います。
  15. 武村正義

    武村国務大臣 先ほど申し上げた、この非常な事態の時間的な経緯を思い起こしていただきたいと思います。  震災は一月十七日でございました。その直後から財源議論も始まったわけであります。急激な円高が起こってきましたのがたしか三月二日ごろからだと思います。それも、初期の段階はこんな八十円まで上がるということまではとても想像できなかったわけでありますが、ほぼ三月、四月いっぱいにかけて円高が進行をいたしました。  ですから、決して弁解で言うわけではありませんが、地震財源論を真剣にこの場で議論をしておりましたところへ、もう一つ急激な円高という事態が襲ってきたわけであります。そういう中で今回の補正予算決断をせざるを得なかったということでありまして、私どもは、ここではもはや特例公債も含めて迷ってはいけない、目をつむらなければいけない、こういう考え方になった次第であります。  問題は、まずはこの円高を乗り切って、景気が明るさを取り戻すことが基本であります。  幸い地震対策は、きょうも予算委員会で御説明申し上げておりますように、応急対策緊急対策、そして復旧対策はおおむね予算化を終えることができました。あとは復興という前向きの新しい事業が残ってくるわけでございますが、そういう状況の中で、補正予算に絡まるこの二つ財源をどうするか、この公債償還をどう考えるかということを今後、国会も含めて幅広く論議をいただきたいと思いますし、私どもも当初から申し上げておりますような、ありとあらゆる可能性について真剣に考えていかなければならないというふうに思っております。
  16. 中村時広

    中村(時)委員 背景はよくわかりますけれども、ちょっと残念なのは、これがあるからこれができない、これは二兎を追う者は一兎をも得ず、そういう発想からくるお話でありまして、そういうお答えというのは私はちょっと残念だなという気がいたします。  この事態過渡期でありますから、重要な時期というものを踏まえて、ぜひとも英断を持って進んでいっていただきたいことを強く要望させていただきたいと思います。  さて、もう一点。ことしの五月の連休、一日から七日まで、与党訪米団が要人と会談するためにアメリカに行っております。日経新聞あるいは共同通信にも活字が飾りましたけれども、この席上で、団長は自民党の総務会長武藤さん、「カンター米通商代表部代表ら米政府に対し、十月をメドに編成する予定の九五年度第二次補正予算案総額十兆円規模に上るとの認識を伝えた」、あるいはゴア副大統領に同様の趣旨内容を伝えた、こういうニュースが紙面を飾りました。  これらの話というのは予算にかかわる問題。この武藤発言というものは、大蔵大臣、打ち合わせをした上での発言なのでしょうか、それとも全く無視された上での発言なのでしょうか、そのあたりいきさつを教えてください。
  17. 武村正義

    武村国務大臣 その前に、先ほどの御質問の関連でございますが、今景気が、円高国民の間に非常に不安がある状況でございますから、少なくとも財源論については、増税につながるような、におわすような発言は抑えているということも事実でございますし、さまざまな知恵があり、皆さんからも提案もいただいたこともありますが、そのことは今具体的に政府としては表に出すべきでないという考え方についてもぜひ御理解いただきたいと思います。  それから、今の訪米団の十兆円の補正発言でございますが、政府とは全く関係がありません。訪米団参加メンバーに聞きますと、団長さんがおっしゃった、団員全体でも合意したものではないということでございました。団長さんの御発想だという認識でおります。
  18. 中村時広

    中村(時)委員 関係ないとするならばお伺いしたいのですけれども、国内的にはそれで済むかもしれませんが、事は対外的な問題で、ましてや通商代表部代表あるいは副大統領クラスの方に与党第一党の総務会長発言をされた重みというものはあると思います。これは大蔵大臣軽視と言っても過言ではない。  大蔵大臣として、この武藤発言武藤総務会長に対してどういう思いをお持ちか、あるいは何らかの申し入れを当然行っているものと思いますけれども、されたのかどうか、お示しをいただきたいと思います。
  19. 武村正義

    武村国務大臣 これは政府与党首脳会議でも団長からも報告がありまして、私どもは御本人からそういう説明を受けておりまして、今私が申し上げたような、訪米団武藤さんの考えとしておっしゃったということであります。  政府与党関係は、間々意見が食い違うことがあるわけであります。そんな中で今回の発言も行われておりまして、政府と全く関係のない発言でありますだけに、これは私どもが一々、与党であるから発言はすべて政府とぴったり一致しなければならないとは思っていないわけでありまして、一つ発言として伺ったという考えてあります。
  20. 中村時広

    中村(時)委員 そんなに軽視すべき問題ではないと私は強く指摘をさせていただきたいと思います。およそ責任ある立場の方でありますから、その発言に対して大蔵大臣として何らかの申し入れを行うのは当然だということを指摘させていただいて、この件に関しては終わらせていただきたいと思います。  時間もありませんので次に移らせていただきますが、通産省からお見えになっていただいておりますので、一括して御答弁いただきたいと思います。  租税特別措置法の一部を改正する法律案。まず初めに輸入促進税制について。  これは、輸入増加率一〇%を超えるものに対しては、卸、小売業者の場合は準備金積立額製造業者の場合は税額控除額が今までは一律であったものをよりインセンティブが働くような仕組みへと変更するものでありますが、これに伴って、初年度百億円の税収減、平年度百四十億円の税収減を見込まれているそうであります。  この税収減見込み額が出ているということは、当然輸入増加予想、目標という裏づけになる数字があると類推できますので、その数字をお示しいただきたい。どの程度の規模輸入増大を見込んでいるのか。あるいはもしわかるならば、どの分野の業種、製品にそれが見込まれるのか、お示しいただきたい。  もう一点、中小リストラ法、これについても同じような趣旨で、今回の措置に伴っでどのような利用状況増加予想されるのか、お示しいただきたいと思います。
  21. 上野裕

    上野説明員 初めに、輸入促進税制についてお答えをさせていただきます。  今般の拡充案でございますけれども委員指摘のように、準備金積立率の上限の引き上げにより卸、小売業者による輸入拡大を図る、また税額控除率及び割り増し償却限度割合引き上げにより製造業者による輸入拡大を図ろうということで提案されているものでございます。  その輸入拡大効果についてのお問い合わせでございますけれども、今後の経済情勢、それから日本側だけではなくて輸出側努力に左右される側面が非常に多いという事情がございます。このため、定量的な効果を正確に示すということは極めて困難でございます。しかしながら、円高によります輸入コスト低下による輸入環境の好転、機動的な内需振興策実施規制緩和推進計画前倒し実施などと相まちまして、卸、小売業製造業ともに相当の輸入拡大効果が上がるというふうに考えております。
  22. 鷺坂正

    鷺坂説明員 お尋ねの中小リストラ法実施状況、それから今後の法律改正後の見通しについてお答え申し上げます。  現行中小リストラ法平成五年十一月から施行されておりまして約一年半になりますけれども、この間、この三月末までの新分野進出等計画承認実績は千三百三十八件というふうになっております。  今回の法律改正に基づきまして事業展開計画というのを今度推進するわけでございますけれども、これは、円高の急激な進展によりまして影響を受けております中小企業の方が行います新分野進出等準備のための事業活動といった、何らかの前向きな事業活動を支援するというものでございます。このため、個別の中小企業者の生産額等の減少要件というのを新分野進出等計画よりも緩和しておりますので、円高影響を受けております中小企業の方々に幅広く活用していただけるものではないかと思っております。
  23. 中村時広

    中村(時)委員 税収減が見込まれているから、当然それに伴う数字というのは出せると私は思うのでちょっと納得できないのですが、時間がありませんのでこの点についてはまだ個別にお伺いさせていただきたいと思います。  次に、若干の残りの時間、オウム関連でお伺いしたいと思います。  日本列島全国津々浦々に大きな社会不安の種を落としているこの事件でありますが、先般の教祖保逮捕により新たなる局面を迎えております。新聞報道等々で見ても明らかなように、この教団につきましては周辺に多くの営利企業が存在しているわけでありますが、税務当局は、この営利企業が一体何社存在しているのか把握されているのでしょうか。それといま一つは、宗教法人法にのっとって、それら関連企業や収益事業に対して税務調査を入れられているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  24. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 オウム関連企業についてのお尋ねでございますけれども、個別にわたる事柄につきましては従来から答弁を差し控えさせていただいておりますので、御理解をいただきたいと思います。  一般論で申し上げますけれども、宗教法人を含めまして、その中心となる法人、それからその法人と代表者を同じくする法人、あるいは出資関係を有する法人など関係が深いと認められる法人につきましては、私どもは、その申告書の記載内容とか各種資料、情報等によりましてその関係を把握するように努めておりまして、その把握した関係法人につきましては、同一の法人グループとして管理しているということでございます。  それからもう一点、税務調査を行っているのかというお尋ねでございますけれども、これも一般論で申し上げさせていただきたいと思います。  私どもは、あらゆる機会を通じまして課税上有効な資料、情報の収集に努めまして、これらの資料と納税者から提出されました申告書等を総合検討いたしまして、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなどによりまして、その課税の適正化に努めることとしているところでございます。宗教法人とその関係の法人についても同様の考え方で対処しているということでございます。
  25. 中村時広

    中村(時)委員 個別案件だから言えないということでありますが、今回は個別案件で片づけていいものかどうか大変疑問に感じております。  あの大規模な化学工場の存在であるとか、あるいは大量の薬品購入であるとか、そういう客観情報から判断しても、およそ宗教団体としての目的を著しく逸脱しているのではないかというのが国民の一般認識だと思います。また、資産と収入のバランスだってどう考えたって腑に落ちない。一万人ぐらいの信者のお布施だけであれらの施設あるいはさまざまな高級マンション等々が全部購入できるのか。どう考えてもバランスが合わない。これは一般論として国民の中に蔓延している疑問だと思います。  すなわち、このことを個別案件として片づけて、公表できないという姿勢は、国民の不安感を存続させることにもつながりかねない。だから、今回は個別案件ではなくて特別なケース、そういう認識をとって積極的にオープンにしていくべきではないかと私は思います。特に税務調査については、入れていた場合は問題ないのですけれども、もし入れていないとすれば、今後の対策上これは検討する課題になってまいりますので、一般論として、せめて入れたか入れないかくらいは言っていただくのが筋ではないかと思います。  この二点についてお伺いするのと、最後に、今後の宗教法人に対する税制上の制度について、存続をするのか、あるいは何らかの改革を検討していくのか、大蔵大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  26. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 ただいま先生からお話しございましたように、このオウム真理教につきましては、現在各種容疑によりまして警察当局の捜査対象となりまして社会的に大きな関心を呼んでいるということは、私どもももちろん十分承知をしているわけでございます。  ただ、私どもが税務調査をやったかやらないかという調査の有無を含めまして個別の納税者のことにつきまして答弁を従来から差し控えさせていただいておりますのは、私どもに課せられました守秘義務というものが税務行政に対する納税者の信頼の基礎となっている、私どもの申告納税制度のもとにおける税務行政の適正な執行を保障する、そういうものであると考えておるということでございます。私どもといたしましては、この守秘義務を遵守いたしまして、税務行政への納税者全体の信頼を維持することが重要であると考えている次第でございます。
  27. 小川是

    ○小川(是)政府委員 制度的なお尋ねでございますが、現在宗教法人は、他の例えは慈善、学術、技芸、教育その他の公益法人に対する課税の中の一環でございます。これは、我が国の民法三十四条が公益法人を規定しておりますので、こうした公益法人につきましては、一般の株式会社等の収益を目的とする法人とは別の性格を持つところから、異なる課税、他と競合する収益事業活動を行う分に限って課税を行っているわけでございます。  これまでもこうした公益法人に対する課税についてはその時々に応じて検討をいたしてきておりますが、宗教法人を含める公益に関する団体に対する課税問題一般として今後とも常時検討を行っていくべき課題であろうかと思っております。た だそのことは、何か特別に宗教法人を公益法人の中から取り出してというのは、公益法人の中での一般法の扱いいかんによることであろうかと思っているわけでございます。
  28. 中村時広

    中村(時)委員 納得できませんけれども、時間が参りましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
  29. 尾身幸次

    尾身委員長 次に、中田宏君。
  30. 中田宏

    ○中田委員 新進党の中田宏でございます。  今回の公債発行特例に関する法律案、この法案に関しまして私は御質問をさせていただきたいというふうに思っています。  今般の補正予算があって、そしてこの特例公債の法案があるわけであります。これは当然ながら、緊急の円高対策、経済対策、それから阪神淡路大震災復旧復興事業、それからオウム真理教の事件等ございまして、こういった治安上、警察行政上の事業を盛り込んでいるというふうに理解をしておるわけでありますけれども政府が今回お出しになっているその補正予算総額が二兆七千二百六十一億円ということでございます。  我々も、新進党としても既に動議を出させていただいて、そして先ほど否決をされたわけでありますけれども、十三兆二千八百九億円の私どもの案を出させていただきました。まずは今回の補正予算があって、そしてこの赤字公債特例法案がある。  まず補正予算の二兆七千二百六十一億円、大臣として、全体像、阪神震災、オウム、そして円高不況対策、これらを盛り込んだものとなっているかどうか、簡単な御所見をまずお伺いしたいと思います。
  31. 武村正義

    武村国務大臣 私ども今回二兆七千二百六十一億円の補正提案させていただいておりますが、まず地震対策としては、地震の現場から上がってきた要求はほとんどと言っていいぐらい予算化をさせていただいているつもりでございます。先ほども申し上げましたように、そういう意味では、現場から出てまいりました、各省庁を通じて上がってまいりました要求項目はおおむね、瓦れき対策のようなまだ残っております緊急対策応急対策、プラス港湾とか鉄道とかあるいは高速道路等の復旧対策、おおむねこの予算で要求を盛り込ませていただいて、応急対策復旧対策はこれでほぼ終わると言っていいぐらいの状況であります。  加えて、この地震を教訓にして全国的にも防災対策に目を向けさせていただこうということで、こうした分野予算を組ませていただきました。そして円高、広い意味円高、目下の経済に対する対応策であります。  新進党の方から先ほど、今お話しのように十三兆数千億ですかの御提案がございましたが、私どもは、この場でも申し上げてきましたが、一つは、今平成七年度の年度当初にあります。お認めいただいた七十兆余の大きな予算が執行の段階で、スタートを見たばかりでございます。この予算基本にして、地方財政あるいは財政投融資全体を入れますと大変巨大な予算が合成立をしていよいよ執行に入っていくわけでございますから、少なくともこの予算を早い時期に積極的に執行をしていこうという姿勢景気対策の基本であります。あるいは公共投資対策の基本であります。  非常に大量の予算が存在をしている。公共投資基本計画のレベルでいうと、四十四、五兆円ぐらいの予算規模でありますから、これをどんどん執行することによって、この時期のやや低迷しているといいますかマイナスの影響を与えかねない今の日本経済に大きなてこ入れをしていこうというのが基本でございまして、それにプラス二兆七千億の第一次補正予算を加えたという考え方基本であります。  先ほど中村委員からも厳しい御指摘をいただきましたが、新進党さんは十三兆三千八百億円余の公債をこれまた大きく目をつぶって提案をいただいているわけでありますが、この時期にこれだけの大量の公債発行するということをめぐっては、いろいろの見方があろうかと思います。少なくとも政府としてはこういう考え方には、今第一段階で申し上げた大量の、巨額の予算が存在しているという状況の中では納得ができないわけでありますし、またこの十二兆余の公債こそ一体どう償還していくのか。  私自身の最近の記憶でいきますと、平成七年度の当初予算を編成したときに、二百十二兆にまた大幅に年度末の公債残高がふえました。またふえたなという印象でした。それが残念なことに、平成六年度の第二次補正予算でまた一兆余の公債発行する補正予算提案させていただいた。また一兆円ふえたから二百十三兆。今回政府提案しておりますこの二兆七千億で三光弱またふえるわけですから、今現在では、この予算が通りますと二百十六兆円と、ぐんぐんふえているわけです。  そういう状況でありますだけに、やはり極力絞っていきたい、あるいは有効な財政対応をしていきたいということが基本にあるわけでございまして、そういう意味でそんな感想を持たせていただきました。
  32. 中田宏

    ○中田委員 今、我が党が出した十二兆の案につきましても御所見をいただいたわけでありますけれども、赤字国債、公債発行につきましては、私、後ほど大蔵大臣にぜひ改めてお聞きをしたいと思いますが、公債というのはやはりプレッシャーがかかるものであります。次の世代に対してどんどんとその財政の機動性を失わせる可能性が高いわけだし、また先般本会議で代表質問を大臣にさせていただいたときにも、本当に私営にこの公債に関しては憂慮をいたしておる世代として、そのときにも御指摘をさせていただきました。  これに関しては後ほどもお聞きをさせていただきますが、これは最後に必ずもう一回やるのですが、その前に、日本の今抱えている景気状況考えると、当然積極的な財政支出をしていかなければいけないし、あわせてそういった姿勢がこれから、今急激に進んでいる円高に対する一つ日本姿勢を見せて、そしてこの円高に対する逆のメカニズムを働かせる要因になっていこう、こういうふうに考えるわけであります。  そこら辺のことを考えると、新進党が出している十三兆という金額、これに関しては、与党政府が安易にすぐに二次補正というようなことを考えておられないのかどうか。十三兆という、我々はこのくらいの機動的な、そしてインパクトある補正予算というものを組むべきではないかということを検討して出しているわけでありまして、自民党の方からは既に十兆なりという声も聞こえてきていますけれども、そこら辺に関して、安易にそういったことを考えていないで政府が二兆という御見解であるならそれは一つの見識であるわけでありますが、そこら辺はいかがでございますか。
  33. 武村正義

    武村国務大臣 どちらがいいんであろうかという議論は避けたいと思いますが、財政当局の考え方もそうでございますが、与党三党の考え方も、真剣に議論をいただいてこういう結果になったし、これがベストだという結論になったわけであります。  そもそも円高対策も、いろいろ議論をいただきましたように単純ではありません。これは伝統的なケインズ経済学かもしれませんが、景気が悪くなれば財政が出動するという形を我が国も繰り返しているわけでありますが、ましてや一般的な公共事業でどれだけの例えは輸入増の効果があるのか、したがって円高に直接有効なのかという議論を真剣にしなければなりませんし、円高そのものはむしろ経常収支の黒、このことが本質ではないか、貿易のギャップをどう埋めていくのか、このことが基本ではないかという見解も強いわけであります。  公共事業を出動させて内需を振興する、これはもちろん一本の大変大事な柱ではありますけれども、これは景気対策として非常に大きな柱でありますが、円高対策ということになってきますと、これはオールマイティーではありません。むしろ、より身近なこの貿易ギャップなり経常収支のギャップをどう縮めていくか、日本の黒字を減らしていくかというところにも真剣に目を向けてい かなければならない。そのことは何も政府のさまざまな措置というよりは、むしろ民間の輸入拡大に対する御努力をどう喚起していくかということも大変重要なウエートを占めてくる問題だと私は思っております。  なお、今の時期と第二次補正という言葉がございましたが、政府としましては、今こうして初めて第一次補正提案をして真剣に御審議を賜っているところでございますから、その中で、仮定で早々と第二次補正のことを云々させていただくことは、これは慎んでいきたいというふうに思っております。  ただ、一般論で言えることは、こういう措置を講じながら一生懸命対応していっても、なお今年度の後半、日本経済が低迷しているような状況が続きますと、その時期には改めて財政の弾力的な運営の問題について論議をしなければならないという認識は持っております。
  34. 中田宏

    ○中田委員 今回の特例公債を出してやっていく事業の中で、阪神震災復旧復興対策に充てていく、そういった部分に大きなウエートがございます。ここのところいろいろな事件が相次いだりしまして、ちょっと阪神震災の影が薄くなってしまったと言ったら非常に被災者の皆さんに対して申しわけが立たないわけでありますけれども、ここについてこれからちょっとお聞きをしていきたいと思っています。  まず、国土庁と、そして厚生省の方にきょうはお越しをいただきました。阪神震災の被災の現況について、簡単にこれは確認だけさせていただきたいと思いますけれども、被災された方々の今日までの数字や、そして推移、それから被災住宅の内訳と数、これをちょっと国土庁に確認をさせてください。
  35. 大野慎一

    ○大野説明員 まず初めに、去る一月十七日に発生いたしました阪神淡路大震災によります被害の全般的な状況でございますが、死者は五千五百二名、行方不明者が二名、負傷者が四万一千五百二十一名となっております。  また、住家の関係でございますが、全壊戸数が十万二百九棟、半壊が十万七千七十四棟、一部破損が十八万三千四百三十六棟、合わせまして三十九万七百十九棟となっておりまして、戦後最大、最悪の被害となったところでございます。  なおこのほか、ライフライン関係あるいは交通関係にも甚大な被害が出たところでございます。が、ライフラインの復旧につきましては、電気は一月二十三日、水道は二月末、ガスにつきましては四月十一日までに仮復旧をいたしております。  なお、この震災によりまして、昨日の五月十七日現在でございますが、約三万五千人強の被災されました住民の方々が避難所で避難生活を送っているところでございます。
  36. 中田宏

    ○中田委員 厚生省の方にお答えをいただければと思いますが、今の数字があって、そして被災された方々のための仮設住宅、応急仮設住宅でありますけれどもその数、どれほどでき上がったのか、そして既に入居されている人数、それから仮設住宅に関しては、被災されてまだ避難所生活の方もおられると思いますからその人数もちょっとお教えをいただいた上で、これからその避難所生活の方々が入っていく予定についてちょっとお教えをお願いしたいと思います。簡単で結構です。
  37. 松尾武昌

    ○松尾説明員 兵庫県におきます仮設住宅につきましては、これを必要とする被災者全員に供給できるよう、約四万戸の設置計画のもとに、できる限り被災地の近くに用地を求めまして、国、地方公共団体、関係業界一体となって全力を傾注しております。五月十六日現在で約三万九千戸の完成を見ておりまして、三万二千四百三十戸を入居決定をしております。そのうち二万八千百九十二ログについてかぎをお渡ししているという状況でございます。  避難所の状況でございますが、兵庫県におきましては、五百カ所の避難所に約三万五千二百八十人の方々が避難されております。この中で神戸市が最大でございまして、三百六十一カ所、三万一千百三十二人の方が避難されております。  仮設住宅の今後のことでございますが、先般兵庫県から設置計画の追加要望を受けたところでございますが、これから建築いたします仮設住宅は、この避難所の解消を図るための最終的な必要数を確保するものでございます。完成した仮設住宅の入居状況及び避難世帯の住宅の必要性等を十分把握した上で、設置場所を含め、最終必要戸数を協議されたい旨兵庫県に指示したところでございまして、この協議を受けまして適切に対応していく考えでございます。
  38. 中田宏

    ○中田委員 御努力をいただいているわけでありますけれども、仮設住宅に入って、今度はその後はいよいよやはり自分たちの家をしっかりと再建をしていかなければいけないというぐあいになるわけであります。  そこで、私は先般、もうこれは三カ月前になりますけれども、二月七日の本委員会におきまして、被災された方々の住宅の再建、これに関して大蔵大臣に御提案をさせていただいたわけであります。この住宅に関しては、とにかく被災された方々の最大多数の方々の関心事であって、そして一番これから長く尾を引いていく問題だろうというふうに考えたからであります。  大臣も御記憶があるかもしれませんけれども、ローンを抱えて家をなくしてしまった方々、この方たちがもう一軒家を建てていかないと生活がしていけない。この二重ローンというものをやはりできる限り公が応援をしていければ、そういうことで御提案をさせていただきました。  幾つか数字を挙げて私の方で言わせていただいて、端的に言うならば、実質この金利を何とかゼロに近づけられないか、ゼロにしようというような提案をさせていただいたわけですが、これに関しましては、三月の初めに、政府と兵庫県で実質金利がゼロとなるような被災住宅の再建対策事業をお決めになってくださいました。  私の趣旨が実行に移されるということで、これは大いに結構であるわけでありますけれども、この事業の骨格につきまして、ちょっとどういう仕組みに最終的になりましたかお答えをいただいて、そして本補正予算との絡みの中で、そして本法案との絡みの中でどういうかかわりになっているか御説明をいただければと思います。
  39. 藤田真

    ○藤田説明員 お話のございました金利の件でございますけれども、住宅金融公庫からの低利の融資、それから国、公共団体からの無利子の貸し付けによりまして、最大限五カ年間におきまして金利をゼロにするという措置を講じておるところでございます。  この具体的な仕組みでありますけれども、まず住宅金融公庫から災害復興住宅貸し付けによりまして、これは激甚災の指定がされておりますので、当初五カ年におきまして金利が三%になります。さらに、国が被災住宅再建対策事業といたしまして県に無利子の金を助成をいたしまして公益法人から貸し付けるという形で、この三%の金利をさらに二・五%に下げるという仕組みがございます。さらに、県からの利子補給といたしまして、県の基金から、これは面的整備事業に協力をされた方とかあるいはマンションの再建、建てかえ事業、こういう方々に対しましてこの二・五%をさらに無利子にする、こういう形で、公庫、国、県のそれぞれの協力によりまして、実質最大五カ年間無利子、こういう仕組みをつくっておるところでございます。  また、今回の補正予算に当たりまして、ひょうご住宅復興三カ年計画、地元の公共団体が恒久住宅の建設のための計画をつくっておりますけれども、これに対しまして最大限の支援をしていくということで、この三カ年の間に新規に十一万戸を建設する、こういう計画内容になっております。このうち公的な支援をもとに建設する住宅が七万七千戸ありますけれども、今回の補正予算までにおきまして、この七万七千戸のうち三万八千五百戸、二分の一でございますけれども着工するという予算をお願いしておるところでございます。  また、自力建設のための、今お話を申し上げました特に住宅金融公庫を通じての支援になるわけ でありますけれども、これにつきましても、事業規模として七千億円、これは補修も含めますので約六万戸の戸数に相当いたしますけれども、この事業規模の追加をお願いしておるところでございます。
  40. 中田宏

    ○中田委員 被災をされた方々がもう一回よしやってやろうという元気が出てくるように少し整備をされたかなというふうに思っています。その中で、既にこの住宅金融公庫の特例を受けて、特例を受けてというか申請が出て、そして着工されている、こういった現況についてはどのように把握をされておられますか。
  41. 藤田真

    ○藤田説明員 四月末までの住宅金融公庫への申し込み、そして貸し付けを開始した件数でありますけれども、約二千五百件、こういうふうになっております。二月が二百件、三月末が千二百件、四月末で二千五百件ということで、落ちつくに従ってこの戸数がふえてきておる、こういう状況でございます。
  42. 中田宏

    ○中田委員 こうしたプランが出ることによってますますその件数も多くなっていくと思いますが、今御説明いただいたように、実質的に金利がゼロになるというこの仕組みでありますけれども、その仕組み、兵庫県と神戸市が共同で出資をしまして基金をつくるわけでありますね。その基金が最終的に二・五%という利子補給をして金利ゼロという状態になるわけでありますけれども、この基金の規模等最終的にどうなったかそれから、これに関してはもう準備万端整ってきたのか、自治省の方でおわかりになることをお願いしたいと思います。
  43. 陶山具史

    ○陶山説明員 阪神・淡路復興基金の仕組みについてでございますが、阪神・淡路復興基金は、大震災による被害が極めて甚大であることなどにかんがみまして、復旧復興への各般の行政施策を補完し、機動的、弾力的な施策を推進することを目的といたしまして地元の地方公共団体が設置するものでございますけれども、地元の地方公共団体から六千億円の基金を設置したいという要請がございました。この要請を踏まえまして、自治省といたしましても、基金に対する地方公共団体からの出資金二百億円、それから長期貸付金五千八百億円でございますが、それに対しまして地方債の発行につきまして措置をするということをいたしております。  また、地方債の発行から生じる元利償還金につきましての地方交付税措置でございますが、地方交付税が地方公共団体の共通の一般財源であるということを踏まえまして、これらの施策のうち被災者の救済及び自立の支援、それから被災地における復旧対策等として標準的なものを対象とすることとしておりまして、県、市の基金に対する無利子長期貸付金に係る地方債のうち、五千億円に係る利子について普通交付税措置をすることとしておるところでございます。  なお、この措置を踏まえまして、地元兵庫県、神戸市ではこの四月一日に基金を設立いたしまして、被災者住宅の再建支援など、基金により実施する事業の概要を決定、公表いたしておるところでございます。
  44. 中田宏

    ○中田委員 この二重ローンの救済策に関しましては、住宅ローンを完済しないまま家を失った人たちに対する措置ということでありまして、二月七日の段階で大蔵委員会でお聞きしたときは、私がこの提案をさせていただいたとき、大臣は、大変具体的かつ真剣な御提案と受けとめますということで検討をいただくお約束をいただいたわけでありますけれども、しかしいろいろと、別にローンを抱えている人たちだけでもないし、そのほか要因もあるしということでおっしゃっていましたけれども、最終的に実現をしていただいたわけであります。そういう意味におきましては、これに関しましては、建設当局でありますとかそれぞれの自治体に御協力をいただいた上でこうした措置を速やかにおとりをいただいたのは、私は大変よろしかったというふうに考えます。  もう時間もなくなってきました。今の件は終わりにしまして、警察庁の方、来ていただきましたので、今回のこの補正公債にかかわってくるわけでありますが、今大変に大きな社会問題となっているオウム真理教の問題であります。  きょうは事件の内容については聞きますかと言うから、それに関しては決して捜査の邪魔をするつもりはございませんので、お聞きをするつもりはないというふうにお答えをしたわけでありますが、一方で今回の補正の中に、装備品といいますか、こういったオウムの問題を踏まえた補正に関して、どういったものが盛り込まれているのか。単なる社会事件でなくて、これは本当に公安問題というふうに思うわけでありますから、そこら辺ちょっとどういった点なのか、お願いをしたいと思います。
  45. 篠原弘志

    ○篠原説明員 緊急犯罪対策の関係でございますけれども、御案内のように、いわゆる地下鉄サリン事件などオウム真理教に絡みます一連の重大事件につきましては、サリンといった毒物を不特定多数に使用するということなどかって例を見ない犯罪でございます。今回の補正予算につきましては、その捜査活動に万全を期するとともに、国民の安全と公共の秩序を維持するために緊急に構ずるべき犯罪対策に必要な活動経費や装備、資機材等の整備充実を図ることとしております。  その主なものといたしましては、まず県域を超えた広域捜査活動に有効な手段となっております警察通信のワイド通信システムのサービスエリアの拡大でございますけれども、特に大都市における地下街対策を図るなど、その機能の拡大を大幅にアップすることができるようになって、今回の一連の事件の犯行現場となっております地下街におきます警察活動をより容易にするといった点がございます。  また、従来にはないサリンといった毒物使用犯罪への迅速かつ的確な対応をするために、ガス検知器や防護服などの特殊装備を備えました現場鑑識車を整備いたしまして、現場での毒物の特定や採取を即時に行わせるなど初動措置に万全を期しますとともに、科学警察研究所におきまして高度な鑑定機器を整備することによりまして、毒物の特定などを容易にするということで犯罪捜査への対応に万全を期するなど、鑑定、鑑識活動の整備充実を図ることができるようになっております。  また、今回の補正予算により措置されますものにつきましては、私ども、今後の犯罪捜査や同種犯罪の再発防止に大きく寄与するものと考えておるところでございます。
  46. 中田宏

    ○中田委員 あっという間に時間がなくなってしまいました。冒頭申し上げたように、国債の件に関して大臣にぜひいろいろお聞きをしたかったのでありますけれども、実は新進党も十三兆という補正組み替え動議を出させていただいた。いずれにしても、今回の政府の案に関しまして、阪神淡路大震災関係とそれから一般的な防災関係円高対策、緊急犯罪といったところをいっぱい盛り込んで、そして、我が党の十三兆も同じでありますけれども、こういう緊急事態というのはある意味で国債を出すのは当然だと私は思うのですね。  これはもちろん、国債を出すことに対しては、これから先返済をしていく、償還をしていくという意味では非常に不安を持っているわけであります。平成二年以降特例国債が出されたケースを見れば、湾岸支援だとか平成六年から八年にかけての減税の先行、それから今回の震災対策ということになるわけですから、こういう国家の危機的なときにはむしろ赤字国債を出す。そうなると、日ごろ、こういった非常時じゃないときにいかに健全な財政を運営をしていくかというところが重要だと思います。  時間がないですから、それに関して最後に一点だけ簡単に大臣に御所見をいただいて、そして今度大蔵委員会で私質問させていただく機会に大臣とぜひ、別に国債に関してはすぐに効く薬があるとも思っていませんが、ただ、この状況をいかに改善をしていくのかということに関して議論をしたいと思っています。  ひとつ御参考までに申し上げておくと、景気がよくなっていけば国債も返していけるわけです ね。一般的にそう考えるのですが、大蔵省、これは試算でもう既に出ているわけですけれども平成景気の八五年から九〇年ぐらいの間に税収は六十三・五兆円累計で伸びているのですね。伸びているけれども税収のうち貯蓄、すなわち国債の返済と隠れ借金の返済、これに充てられたのはわずか十五兆円だけなんですよ。  ですから、健全に、景気がよくなっていったときに返すという道筋を今から発行しているときにしっかりつけていかないと、いざ、では景気が回ってきた、そしてそのときに返済をきちっとやっていこう、償還していこうと思ったときには、結局あっちからもこっちからも財政支出してくれと要求が出てきて、まずそれに対してつけていく、結局できないというぐあいになってしまっては困るわけでありまして、今回出すのは私は十分結構なことだと思うけれども、逆に今からそういった道筋というものをそろそろ考え始めなければいけないと思っていたわけであります。  そこら辺の議論をまたの機会にさせていただきたいと思うのですが、大臣の御所見をちょっと次回以降の参考にお聞かせをいただければと思います。
  47. 武村正義

    武村国務大臣 基本的に、状況が明るくなったときに積極的に償還をしていくことが一番望ましいと私も思っております。こういう文字どおり財政の大きな危機的な状況でございますから、与野党の枠組みを超えて今後とも真剣に御議論を賜りたいし、私どもも真剣に考えさせていただきたいと思っております。
  48. 中田宏

    ○中田委員 終わります。
  49. 尾身幸次

    尾身委員長 次に、北側一雄君。
  50. 北側一雄

    ○北側委員 新進党の北側一雄でございます。  今回の補正予算震災対策及び円高対策でございまして、その震災及び円高対策の財源として、大半を公債によっているわけでございます。今回の補正予算でございますと、二兆八千億余りの公債財源となっておるわけでございます。また、先般の平成六年度の二次補正予算、これもやはり震災対策でございまして、その財源も同様に公債金によっているわけでございます。これが一兆五千九百億でございまして、こうした大変な緊急な事態の対処でございますので、また今の我が国の財政が置かれている状況からは、公債発行やむなしと私も考える次第でございます。  そこで、この平成七年度における公債発行特例に関する法律案についてまずお聞きをさせていただきたいと思うわけでございます。  この法案の五条に「政府は、第二条の規定により発行した公債については、その速やかな減債に努めるものとする。」このような規定があるわけでございます。これは、先般の平成六年度の二次補正の際の公債発行特例法案においても同様の趣旨の規定があるわけでございます。  まず、この特例公債の減債に努める旨の規定でございますが、この規定の趣旨、また「第二条の規定により発行した公債」、これの意味、ちょっと御説明をお願いしたいと思います。
  51. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答え申し上げます。  今委員の御指摘にありましたように、この法律の第五条におきまして「政府はこ「速やかな減債に努めるものとする。」という規定があるわけでございます。これは、特例公債につきましては、利払い費等の負担だけを残すなどの問題がございまして、したがってその発行の回避に全力を尽くす必要があるとともに、仮に発行せざるを得なくなった場合も、できるだけ速やかに減債に努めることが必要であると従来から考えております。  先ほど委員が言われましたように、六年度の第二次補正予算の際の震災特例公債についても同様の規定があったわけで、今回の七年度特例公債法第五条の規定は、このような特例公債の減債に係る基本的な考え方を規定したものでございます。  いま一つの、特例公債法の第二条でございますが、これは、そこにありますように、今回七年度補正予算において見込まれます租税収入の減少を補い、また補正予算により追加される歳出財源に充てるため、国会の議決を経た金額の範囲内でまさに特例公債発行できることとするという規定をお願いしているわけでございます。
  52. 北側一雄

    ○北側委員 特に特例公債についてのみ早く減債しなさいよ、そういう努力をしなさいよという規定でございます。  これは、六年度の二次補正の分と今回の分を合わせますと一兆三千七百億余りの赤字公債特例公債発行するわけでございますが、大臣、この第五条に政府は速やかな減債に努めるとあえて規定があるわけでございます。今回の、二次補正の分も含めまして一兆三千億余の赤字公債発行も、これはやむを得ないわけでございまして、そこを議論しているわけじゃございませんが、やはり減債をどうしていくのか、その財源をどうするのか、その辺の大臣基本的な考えをぜひ聞かせていただきたいと思います。
  53. 武村正義

    武村国務大臣 今伏屋次長のお答えしたことが特別にこういう規定を設けている背景でございますが、とにかく資産を残さないと言ってもいいですね、そういう公債でありますし、いわゆる垂れ流しといいますか、歯どめがなくなるという性格を持つ公債でございますだけに、これはきちっと償還に対しては対応をしていかなければならないという考え方を述べているわけであります。  先ほど中村委員との質疑で申し上げておりましたように、当時は地震対策全体で議論が進んでおりましたし、今御質問は、この特例公債一兆三千億余をどうするかということでありますが、いずれにしましても、この時期に何らかの償還の具体策を提案することも形の上では不可能ではありませんが、今回こういう経済情勢でございますので、そこから考えますと、やはり経済情勢が好転した時期というとらえ方をすべきではないかと思いますが、その時期にやはりこういった公債については真剣に、まさにあらゆる償還可能性検討をさせていただき、国会提案をさせていただかなければならないという気持ちを持っております。
  54. 北側一雄

    ○北側委員 今の大臣お話が極めて大事な話であると思うわけでございますが、今回また前回の特例公債発行分についての償還方法、また償還財源、これについて、いつごろまでに決めないとだめだ、これも何年も先延ばししてはやはりまずいと思うのですね。いかがでしょうか、いつごろまでにこれは出さないといけないなと、もちろん何月とは決められないと思いますけれども大臣の今の御所見で結構でございます、またこのころまでにという大臣の思いで結構でございますので、御答弁をお願いしたいと思います。
  55. 武村正義

    武村国務大臣 まさにこれは景気の動向との相関で決まってくると私は思っているわけでございますが、一番早くて来年の予算編成の時期。ですから、ことしの後半、私たちが期待しておりますように、景気が今のような状況でなしに少し明るさをはっきり示していることが大事でございますが、そういう前提に立って、そんな期待を持っております。
  56. 北側一雄

    ○北側委員 以前の大蔵委員会でもお話しさせていただいたのですけれども国債整理基金が極めて枯渇をしている現状でございます。厳しい状況にある現状でございます。七年度末の基金残高が約一・六兆円しかないような厳しい状況で、なおかつ従来やってきたようなNTT株の売却収入による貸付残もないわけでございまして、繰り上げ償還というようなこともできない。こういう国債整理基金会計自体が極めて厳しい中で今回の赤字公債特例公債償還検討していかなければいけないわけでございまして、これは大変厳しい話ではございますが、今大臣がおっしゃったように、来年度の予算編成の時期ぐらいまでにはやはりしっかり詰めていかねばならない議論であろうというふうに私も思っておるところでございます。  そこで、次の質問に入らせていただくわけでございます。  今回の補正予算円高経済対策でもあるわけでございます。緊急円高経済対策政府からことしの四月十四日に発表をされました。この中に金融機関の不良債権の早期処理の問題についても触れられておるわけでございます。  まず、不良債権の早期処理の問題で二点。  一点は、「早急に金融機関の実態に即した十分な経営内容の開示」を行うのだという点と、もう一点は、「金利減免等を行っている債権をも含め、従来からの発想にとらわれることなく概ね五年の間に積極的な処理を進め、問題解決の目処をつける」これは極めて大事な部分だと私は思うのですけれども、このような二つの対策が打ち出されているわけでございます。  まず、このディスクロージャーの問題、経営内容の開示の問題でございますが、先般も金融制度調査会の作業部会で取りまとめがあったようでございますが、これについてどのように今検討されているのか、その状況の御報告をお願いしたいと思います。
  57. 西村吉正

    ○西村政府委員 金融の自由化が進展している中におきまして、金融機関の経営内容のディスクロージャーは、金融機関の自己規正を促すことにより経営の健全化に資するという効果を持ちます。また、預金者が自己責任に基づいて金融機関を選ぶ前提といたしましても、十分なディスクロージャーが要請されているわけでございます。  このような観点から、先ほど御指摘いただきましたように、金融制度調査会の作業部会におきまして、先般、今月の十五日に「金融機関の資産の健全性に関する情報開示範囲の拡大について」という報告が取りまとめられたところでございます。  その報告におきましては、都銀、長信銀、信託等につきましては、従来の破綻先債権それから延滞債権の額の開示に加えまして、いわゆる金利減免債権の開示を行うことが望ましいと指摘されております。  また、地域金融機関のうち、少なくとも海外に支店や現地法人を設けまして銀行業を営み、国際的にも経営の透明性確保の要請が強い金融機関につきましては、平成八年の三月期から開示内容を拡大いたしまして、従来の破綻先債権額に加えまして延滞債権額の開示をも行うことが望ましいとされております。  さらに、協同組織金融機関につきましても、平成八年の三月期からその実態に即した資産の健全性に関する情報開示を行う必要があると指摘をされておるわけでございます。  私どもも、そのような報告の趣旨を踏まえまして、今後この問題に積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  58. 北側一雄

    ○北側委員 これはぜひ推し進めていただきたいと思うわけでございます。  今の金利減免等債権の開示を明年からしていこうというお話でございますが、この金利減免等債権についても、もう少し具体的に、どういう内容のものを想定されておられるのか御答弁をお願いします。
  59. 西村吉正

    ○西村政府委員 金利を減免するという場合にどれくらい減免したものを公表するのかということは、この作業部会においてもいろいろと議論があったわけでございますが、やはり客観性を有する必要がある、各金融機関が同じ考え方をもとに処理をする必要があるということで、この報告では、その時期における公定歩合以下に減免した債権を金利減免債権というふうに定義をして開示をしよう、こういう考え方になっております。  現時点、七年の三月末における二十一行合計の金利減免等債権額は十兆円強と見込まれますので、破綻先及び延滞債権の合計額十二兆五千億を若干下回る程度の額になるのではないかなと考えておりますが、詳細は来年三月の各金融機関の決算を待って集計をしたいと存じております。
  60. 北側一雄

    ○北側委員 これは極めて大きな改革であるというふうに思います。  もう一点、ここに不良債権の処理の問題についても出ておりまして、「概ね五年の間に積極的な処理」を進めるんだというふうに、ここはかなり具体的に「五年」という数字を規定されておられます。また「従来からの発想にとらわれることなく」と、ここが非常に意味深いものがあるなと思っておるのですが、これは具体的にどのようなことをお考えになろうと、これからだと思いますがどういうことを検討されていこうとされておられるのでしょうか。
  61. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、先般の緊急円高経済対策におきまして、この不良債権の早期処理につきましては三つの点を述べているわけでございます。  一つは、先ほどディスクロージャーに関して申し上げました、金利減免等を行っている債権をも含めて考えていこうという点であり、もう一つは、「概ね五年の間」、すなわち今世紀中に積極的な処理を進めようということでございますし、もう一つは、「従来からの発想にとらわれることなく」という考え方で取り組もうという点でございます。  さて、その「従来からの発想にとらわれることなく」ということは具体的にはどういうことであるかという御指摘でございますが、従来からも金融機関は、徹底した経営努力を行いつつ各種の措置を十分に活用し、資産内容の実態に即した適切な対応に努めてきたところでございます。特に最近では、不良債権の積極的な処理のために、例えば金融機関が赤字決算を行う、積極的な意味におきまして赤字決算を行うとか、あるいは関連ノンバンクを清算するといった、従来からの発想にとらわれない不良債権処理を行う例が見られるところでございます。  私どもといたしましては、今後とも民間金融機関におきまして、このような従来の発想になかったようないろいろな工夫が行われることを期待しておるところでございますし、また当局といたしましてもそのような気持ちでこの問題に取り組んでまいりたい、そういう心構えで取り組んでまいりたいということを示したつもりでございます。  具体的には、不良債権の処理に取り組みながら対処してまいりたいと考えております。
  62. 北側一雄

    ○北側委員 きょうはもう時間がないので余り詰めてやりませんが、また別の機会にこの不良債権問題をぜひやらせていただきたいと思うのです。  いずれにいたしましても、現況の日本経済の極めて大きな問題がこの金融機関の不良債権処理問題だと思います。この問題が解決の方向に向かっていかないと、またその絵が見えてこないと、株も上がってこないでしょうし、日本経済景気もなかなか浮揚できないのではないかというふうに思うわけでございまして、この金融機関の不良債権処理の問題、ぜひしっかり頑張ってやっていただきたいというふうに思うわけでございます。  最後に、有価証券取引税の問題についてお聞きをさせていただきたいと思います。  政府の出しました緊急円高経済対策の中に、有価証券取引税について触れられておるわけでございます。「株式譲渡益課税を含む証券税制全体の中で、そのあり方検討する。」というふうに一文入っておるわけでございますが、私は、なぜ円高経済対策の中にこの一行がこのような表現で盛り込まれたのかな。この表現だけであれば、従来から主税局長がおっしゃっている答弁どおりでございまして、どうして有価証券取引税についてのこの表現がこの対策の中に含まれたのか、それはどういうことなのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  63. 小川是

    ○小川(是)政府委員 有価証券取引税の問題がこの対策の中に今言われたような形で入りましたのは、この円高対策あるいは緊急経済対策論議をいたしておりましたときに、その対策の一環として、有取税の廃止によって取引コストを引き下げる、そのことが市場の活性化につながるのではないか、これは証券市場の活性化の項目の中に入っているわけでございます、こういう議論がございました。また一方、昨今の証券市場の状況というのは、取引コストの要因というよりは、今御指摘のような問題あるいは最近の急激な円高の進行といったような先行き不安感に起因するのではないかといったような議論もございました。  そういった議論を背景といたしまして、やはり有価証券取引税というのは、証券取引の背後にある担税力に着目して課税する一種の資産課税であ るというところから、我が国の税体系における資産課税のあり方についての議論も踏まえながら、また譲渡益に対する課税のあり方も踏まえて議論をしていかなければならない、こういったことから証券税制全体の中で検討を深めていくことにしたい。この時点でもこの問題を議論した上、従来のとおりこういう形で検討課題にいたしたいということから御指摘のような文言になったものでございます。  こういう問題意識をずっと抱きながら、今後とも検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  64. 北側一雄

    ○北側委員 この有価証券取引税の問題について、ちょっと私からも意見を言わせていただきたいのですが、まずこれは、有価証券譲渡益課税、これとの関係一つ大きなポイントだと思うのです。有価証券取引税の方は、昭和二十八年に有価証券に係る譲渡所得が非課税にされた際に導入されたわけでございます。そして、有価証券譲渡益課税の方は平成元年に原則課税になった。原則課税になったのだけれども、取引税の方は、税率は低くなりましたけれども残された。こういう経過があるわけでございます。  一方、有価証券譲渡益課税の方は、源泉分離課税が現実はかなり多いわけですね、この中で。そうすると、源泉分離課税になっているものがかなりの部分を占めるこの譲渡益課税、これは所得の有無にかかわらず保課税をされる、そういう意味では取引税と全く同様のものであるという考えもあるわけでございます。二重に課税をされているという側面もございますし、また、きょうは詳しくやりませんが、海外での有価証券取引税の取り扱いがおおむね軽減の方向に今向かっている。やはり国際的に調和のとれた証券税制を構築するという要請もありますし、一方では、今よく言われております金融の空洞化の問題に対応するためにも、証券市場の国際的な競争力を向上していく必要がある。  こういう観点から考えていくと、この有価証券取引税につきまして、これをどうしていくのかということをしっかりと検討していくべき時期がやはり来ておるのかなというふうに私は思うわけでございます。そういう中で今回の対策の中にもこのような一項が入ったわけでございますので、ぜひことしの税制調査会の主要なテーマの一つとして位置づけて検討をしていただきたい。  ただ現実的には、この取引税の税収が五千億ぐらいあるのですか、近いのですか、大きな税収でございます。だからそういうことも考えなければいけないわけでございますが、ただ流れからいうと、この有価証券取引税について軽減の方向でやはり出すべきじゃないのかな。これをしっかりとテーマとして、今後の税調で積極的に検討をするべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  65. 小川是

    ○小川(是)政府委員 前回の税制改革におきまして、有価証券譲渡益の課税を当時の非課税から原則課税に直しましたときの議論といたしましては、全体として分離課税にしてはどうかという議論もございました。そういたしますと、損が出ようが得が出ようが一律でございますから、まさに取引税そのものというようなものに近くなってくるわけでございます。そこで、源泉分離選択課税としまして、申告課税と両立させるという形になったわけでございます。  その際の議論といたしましても、譲渡益課税を充実する際には、あわせて有取税の税率を引き下げていくべきであるということから、当時いろいろ議論をいたしまして、昭和五十年代に有取税を増税してまいりましたその前の、万分の三十というところまで引き下げて、譲渡益課税とあわせて改正をいたしたという経緯があるわけでございます。  したがいまして、有取税の課税の理由は背後にある資産の担税力と言ってございますけれども、現実にこれを動かしますときには、どうしてもキャピタルゲイン課税の問題を避けて通れない。しかし一方で、委員の御指摘のような問題も、税制調査会でも十分議論の対象になっておりますので、これからそういった問題を含めて検討をしてまいりたいと思っているわけでございます。  平成八年度に全部を解決しろということをおっしゃられますと、そこはまた無理があるわけでございますが、いつもそういった問題を認識した上で検討していただきたいと思っております。
  66. 北側一雄

    ○北側委員 もう終わりますが、有価証券の譲渡益の課税のこれまでの実績を見ますと、ちょっと調べていただきましたら、平成五年分で二千八百億ぐらいあるわけなんですね。そのうち源泉分離課税分というのが一千九百億を超えているわけなんですね。そうすると、実態としては、一般投資家から見ますと、利益の有無にかかわらず、利得の有無にかかわらず、一方で譲渡益課税がかかる、一方で取引税がかかるという実態にあるのは間違いないわけでございまして、ぜひ積極的な御検討、特にこの対策にもございます証券市場の活性化というのは極めて大事なことであると思いますので、前向きな御検討をお願い申し上げまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  67. 尾身幸次

    尾身委員長 次に、佐々木陸海君。
  68. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 大変大事な法案が二つかかっているわけですが、私の質問時間は非常に限られておりますので端的にお答えを願いたいと思います。  最初に、赤字国債の発行法案についてですが、一月に例の大震災が起こりまして、それから九五年度予算案の審議が始まったわけですが、私たちはこの未曾有の大災害が発生したという事態にかんがみて、その発生前に組んだ今年度予算を抜本的に組み替えよということを再三にわたって要求をいたしました。  しかし、これに対して大蔵大臣は、例えば二月三日の予算委員会ですが、「成立前に予算組み替えるか、成立後の補正で早い時期に実質組み替えに当たる修正を行うかという道があるわけでこということを言って、総合判断で補正するという方の道を選ばせていただきたいというふうに何度も答弁をしております。  そこで、今度の補正を見ますと、当初予算内容には全く手を触れずに単に経費を上積みしただけ、財源は最も安易な国債増発。したがって、実質的な組み替えに当たる修正の努力の痕跡も見当たらない、約束違反ではないかとまで言いたくなるような内容であります。  少なくとも赤字国債の発行をしない、つまり今提案されている法案を必要としないで済むような、その程度の組み替えをやるくらいの検討があったのかなかったのか。すべきではなかったのかと思うのですが、大臣の見解を伺いたい。
  69. 武村正義

    武村国務大臣 先ほどもお答えいたしましたが、まずは平成七年度の当初予算の中で、公共事業については約五%を目標に、これは予算そのものは組み替えいたしませんが、執行の方針でございますが、極力阪神・淡路地域に重点配分をしていく方針を打ち出しておりますのと、あわせて全国的な防災対策にも重点を置いていこう、こういう方針を既に打ち出しております。かけらもないとおっしゃいましたが、そういう意味では、そういう姿勢、執行のレベルでそういう方針を出していることは御認識いただきたいと思います。  平成七年度の予算編成も、徹底して切り詰めながら重点化、効率化を目指してまいりました。そんな意味では、共産党の御提案のように防衛費を大幅に削るとか公共事業を削減するというふうな姿勢をとれば確かに数字の上では公債発行しない適があることはわかりますけれども、私どもはそういう意味でこの予算組み替えることは考えない。結果として、大変残念でありますけれども公債発行を前提にした補正予算提案せざるを得なかった状況であります。
  70. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 阪神復興対策とか全国的な防災体制とか、そういった面での支出を私たちは否定するものでは全然ありませんし、今度の政府提案してきたものも不十分だ、もっとやるべきだということを当然言っているわけです。  しかし、こういう本当に大きな事態が起こった 際に、それらを従来の政策や路線、その集中的なあらわれが予算なんですけれども、その上積みをやるだけでいいのかという問題は、当然大きな問題として国民の中でもあるはずの問題なんです。  武村大蔵大臣自身が、二月十五日の本委員会でこういうふうに言っているのです。「言ってみれば優先順位。」「プライオリティーの度合いに応じて、これを削ったらたくさんの人ががっかりするし怒るだろうな、しかしこっちの方がはるかに国民の声は大きい、じゃ、これはこの際削るか半分にするかしてこっちの方をふやそう、こういう選択を我々政治家がしなければいけないところへ来たのではないか」というふうに大臣は言っているわけですね。  つまり、今度の大震災とかあるいは円高とか、こういう日本社会の大きな出来事のもとで、そういう選択をやはり積極的にしていくという方向がなければならない、少なくともその片りんくらいは見せるべきだったというふうに私は思うのです。その問題は、時間がありませんからこれ以上言いませんが。  今、大蔵省がこういうきれいなリーフを出しています。「みんなの財政ミニ情報 そのこ「その二」「その三」というようなものが出ています。  で、「その二」「ご存知ですか。国の抱える大きな赤字」というので、この時点では公債残高が二百十三兆円になっているということをきれいなグラフで示しながら「子供や孫の世代に大きな負担を負わせていいのでしょうか?」というふうに国民に問いかけています。  それからまた、最近新聞で伝えられているところによりますと、大蔵省が財政の危機を訴えるビデオをつくった、そのビデオはこういうふうに言っていると。「景気対策で国債発行を続けた結果、残高が二百兆円を超えた」「毎年利息だけで関西空港が八つできる」などと続けた上で「借金は六十年消えない。こんな無責任なことでいいんでしょうか」というふうに結んでいるというのですが、一体だれに対して無責任と言っているのかということが問われると思うし、国民に対してこういうキャンペーンをして国民に何を求めているのか、それを聞かせていただきたいと思うのです。
  71. 武村正義

    武村国務大臣 私どもはそういうキャンペーンを今後積極的にしていかなければならないと思っております。やはり国家財政は一億二千数百万の国民の皆さんの台所そのものであります。今日まで毎年予算編成を重ねる中でこういう結果を生んでいるわけでございますから、少なくとも現状は、これまでもPRはしてきたわけでございますが、正しい情報を国民の皆さんに積極的にやはりお届けをしなければなりません。  そういう中で、国民的な論議を踏まえて、この国の財政、大変脆弱になった、不健全になってきているこの財政をどうしていくのか論議をして、結論を見出していかなければならないと思っている次第であります。
  72. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 まさにこういうキャンペーンを増税の下準備というようなことにするのじゃなくて、プライオリティーがどこにあるのか、支出の中心をどこに据えていったらいいのかということを本当に国民とともに考えていくというような指導性を、我々これから発揮していかなければならぬということを言いたいと思うのです。そういう意味で我々は、この赤字国債の発行法案には当然反対であります。  それから、租税特別措置法の一部改正についてですが、この内容のすべてに反対というわけではありませんが、製品輸入促進税制の問題は到底賛成できない重大なものであります。  そもそもこれは五年前の九〇年に当時の海部内閣が、アメリカとの約束に沿って輸入拡大税制で保障すると称して創設したものであります。当初三年間の時限立法でしたけれども、九三年春に適用のハードルを低くしてさらに二年継続して、ことしの春それをまたさらに二年延長ということをしてきたものですが、我々は創設の当初から、世界に全く類例のないもので、大企業に利益をもたらすことによって逆に輸出拡大にさえつながるものであるということで反対をしてまいりました。  この法案の一番の問題点の典型的なものが逆輸入の問題にあるのではないかということで、きょうちょっと時間もありませんので資料を用意してお配りをさせていただきました。  当然この法案は、日本の企業が海外に拠点を移転してそこでつくったものを輸入するという逆輸入にも適用されるわけですが、表一をごらんいただきたいと思いますけれども、これは通産省にお聞きしますが、これは通産省の資料です。一番上の欄は、八八年度が逆輸入額がこういう数字が挙がっておりますが、それが九三年度にこういうふうにふえてきている。この経過、どのくらいふえてきているのかということをちょっと通産省、確認していただけませんか。
  73. 永谷安賢

    ○永谷説明員 今先生おっしゃっておりましたように、日本企業が海外につくった現地法人からの日本への輸入、これを通常いわゆる逆輸入額と申しておりますけれども、この逆輸入額についてオフィシャルな統計というのはございません。唯一のよりどころとして、私どもが毎年実施しております海外事業活動に関する基本調査もしくは動向調査というのがあるのですけれども、これはアンケートで実施しているものでございますが、この調査で一定の仮定を置いて推計したものが今先生がここにお示しになっていらっしゃる数字でございます。  申し上げるまでもないのですけれども、この数字を見ていただきましたらわかりますように、年々かなりのフラクチュェーションがあるということも認識していただければと思います。
  74. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 八八年度の一兆二千五百五十億円から九三年度は二兆五千四百三十億円、おおまかな数字でありますけれども、ほぼ二倍にふえてきている。そして、もちろんもとの数字が今おっしゃられたようにきちんとした数字ではないわけですけれども、輸入総額に占める割合が、八八年度は五・一%、九三年度は九・六%、そして製品輸入額に占める割合は、八八年度の一〇・二%から九三年度は一八・一%、それぞれこの間に二倍程度にふえてきているということも事実だと思うのですが、間違いありませんか。
  75. 永谷安賢

    ○永谷説明員  「対輸入総額」の部分というのは私どもが試算したものと同じでございます。ただし、「対製品輸入額」のところは、括弧の中で暦年と年度の違いがあるということを明示をしておられます。恐らくジェトロからパブリッシュしているものをお使いになって計算されたのだろうと思いますけれども、これによりますとこういうことになるのではないかと思います。
  76. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そのジェトロの資料も、去年のものが表2、それからことし発表したものが表3、ちょっと形態が違うのでそれぞれを掲載してありますが、ことしのジェトロの発表によりますと、  九三年から九四年にかけての動きをみると、かつての日本の主要輸出品目であったカラーテレビは三七・八%から五四・三%、VTRは一一・六%から二五・二%と一年で一〇ポイント以上浸透度が伸びている。つまり、日本の国内の市場で占める割合が伸びている。また、電子レンジ、アイロン、電卓、静電間接式複写機も浸透度が一年で大きく上昇し、家電製品はものによっては、国内市場の過半が輸入品で占められるようになってきた。これらの品目の輸入相手先はほとんどアジアNIES、ASEAN4、中国で、日系メーカーからの逆輸入品が中心であると推量される。   この輸入浸透度が大きく上昇した要因には、輸入の急増と国内生産の縮小が同時に起こったことがあげられる。ここで紹介した品目をみると、いずれも数量ベースでは国内生産の減少が起こっている。それが表2でいいますと右の欄ですし、表3でいいますと下の欄ですけれども、八八年に比べまして九四年はもう本当に、電卓などは二九・六%ぐ らいまで落ちている。  なかでも国内生産の減少が著しいのが電卓で、九四年には前年比五一・五%減と前年の二分の一以下に落ち込んでいる。さらに、九〇年から比較すると、三割以下の水準まで低下している。  特に、九四年に生産が大きく落ち込んだ背景には業界最大手のカシオ計算機が中国で九三年十二月より自社生産を開始したことが影響している。また、カラーテレビ、VTR等も国内生産は数量ベースで九〇年と比較し大きく低下している。 そういうようなことが述べられているわけですが、こういう逆輸入の増加、大まかな計算でいいますと製品輸入額の二〇%を逆輸入が占めるというような事態になってきているもとで、今回の法改正というのは、こういういわば逆輸入というものにも一層恩典を与える、促進する、そして逆輸入をしているような電機とかあるいは自動車とかいう大企業はそれをまたてこにしながら輸出ドライブに突き進んでいくという結果、国内の関連の中小企業や下請中小企業を一層苦境に追い込む、そういう側面を本当に色濃く持つ税制と言わざるを得ないわけであります。  五年前にこの税制が導入される以前に、現在の政府税調会長の加藤寛さん、当時は政府の税調委員でしたけれども、「海外投資をしたものがどんどん日本に入ってくることも考えられるのではないか。だから、これはむしろ企業優遇税制になってしまう。」ということまで言ったのです。たまには彼もいいこと言うのですが、まさにそういうものになってきてしまっているわけで、本当に事実の問題として、こういう税制円高対策などと称してやってくるのは大変問題じゃないかということを指摘しておきたいと思うのですが、大臣何かありますか。
  77. 武村正義

    武村国務大臣 お話しのような状況日本の企業の海外進出が進んでおりますし、したがってまた逆輸入の数字もおっしゃるとおりであります。しかし、それでも輸出の方がまだ多い。そのことが国際的に問われているということも認識しなければなりません。
  78. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 こういう税制がさらに日本の大企業の輸出も促進するような側面まで持っているんだということを先ほど申し上げましたけれども、私は、こういう税制では今の円高に対処するものとしてはむしろ逆行するものだということで、到底賛成はできない。円高の問題は、円高そのものを本当に是正するというここに踏み込んでいかなきゃだめだということを指摘して、質問を終わりたいと思います。
  79. 尾身幸次

    尾身委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  80. 尾身幸次

    尾身委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに両案について採決に入ります。  まず、平成七年度における公債発行特例に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  81. 尾身幸次

    尾身委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  82. 尾身幸次

    尾身委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 尾身幸次

    尾身委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  84. 尾身幸次

    尾身委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十九分散会      ————◇—————