○竹内(猛)
委員 先日に引き続いて
参考人の皆様には御
出席をいただき、ありがとうございました。
私は、先日の皆さんからの御指摘のあった農産物を中心とする
内外価格差の問題について、関係者の皆さんあるいはまた各省庁に対しても御質問をしたいと思います。多少失礼に当たる言葉が出るかもしれませんが、それはひとつお許しをいただきたい、こういうふうに思います。
委員長が今度のこの質問で取りまとめをされると思いますけれ
ども、その取りまとめに、農業に関連しては
価格の面だけで考えることはできないというような方向をぜひ取り入れてもらいたいということを先に主張しておきたいと思います。
その件に関して関係の皆さんにいろいろな考えを交えてただしたいと存じますが、私は、先日も経団連と連合の御
意見を聞いておりまして、いろいろとお話をする時間が十分にありませんでしたから、そのときに若干の
意見を保留しておきましたけれ
ども、この際はその点についても明らかにしていきたいと思います。なお、きょうここで十分に理解がいかないと思いますから、いずれ別の機会にでもまた話をしていきたいと思いますが、大体七点にわたって一遍に問題を提起いたしますから、この点についてそれぞれお答えをいただきたいと思います。
先日、環境庁が膨大な環境白書を発表され、また農林水産省は農業白書を発表されました。その中心を構成するものは、
産業としての農林水
産業は、安全で新鮮な食料を一定の
価格で確実に
消費者に
供給すること、同時にまた、
日本型食
生活を確実にすることとともに、国民の
生活環境を守るということと、国土を保全し、きれいな水あるいは緑、それから自然の景観を保持する環境保全土地利用型の農業を家族経営を中心として持続発展させるということだと思います。そういうふうに理解をします。これが第一です。
第二の問題は、
参考人各位の御指摘や、六月二日、経団連の永野前会長は、新聞に発表した中で、食料に関連をして、自由化を促進しなければ、
価格の据え置きをするなどとしておったならば
日本の農業はやがて壊滅するであろう、こういうようなことを強調されました。したがって、
規制緩和をし、それから
競争の原理を取り入れて大いに努力をしなければならない。
日本の農村でも農水省の指導によって大変努力をしてまいりましたけれ
ども、
海外と
競争するような面積なりあるいは地価なり労賃なりというものがそれぞれの国々とは違っているというところで非常に難しい問題がある。
米はタイ、
アメリカに比して何倍高いとかいうようなことを挙げております。そして、
日本の農業は過
保護であるというようなことも言われておりますが、こういう点に関連をしてもなかなか理解のできないところがあります。
例えば
日本の米価は、やがて七月になると米価の季節に入りますけれ
ども、昭和五十一年の米価を今でもそのまま持続をしている。米価というものはもう二十年間動いておりません。麦の
価格でもかなり前の
価格というものを持続しているわけです。その間に農家自身は十何%にわたるところの
生産的な努力をして、
価格の引き下げあるいは合理化を進めているにもかかわらず、
円高・ドル安というような農業との関係については大変な問題が起こってきて、そのために今日いろいろな世論が形成をされている、こういうのが事実だと思います。
その次の点は、経団連の会長の御
意見で先ほど申し上げたようなことがありまして、これに関連をして、六月六日に全国農協中央会から文書によって経団連に申し入れをしている。財界と農業団体が真っ向から対立をするというような
状態が出ております。
私はこの間ドイツへ行ってまいりましたが、ドイツでは、農業
政策の中で第一が減反、それから減収、それから景観の保持、そして、農業で取れない部分については工業の
輸出の利益の一部を農業に還元をしていく、こういう形で、これはドイツの農林省あるいは農業連盟、
日本でいえば農協ですね、こういうところ、あるいは
経済界もこれに対しては一体となって進んでいるというのが実情であります。にもかかわらず、
日本の場合においては、これが対立をするという甚だ悲しい
状態が
現実に起きている。
その次の問題は、本年二月三日の読売新聞の
調査によると、一九六五年、三十年前の
生活は、中の上、中の中という答えをした者が五八%あります。中の下以下が三二%。ところが一九九四年の
調査においては、前者は七二・六%、後者に至っては二三・一、この残りが上ということになりますが、そのように中流の実感が定着をしている。将来は快適な環境の保全にひとつ努力をしてもらいたい、こういう
生活環境ということについて要求をしているのが現状であり、意識としては中流という
考え方に定着をしているというのが新聞が報道するところであります。
農業白書は、食料支出は総額六十八兆、これと同時にまた食料関係の市場、
労働力は一千二百万人を雇用する大きな市場になっている、こういうふうな発表をしておりますし、食料の
供給の質的な変化に伴って、米から油脂、畜産物への移行が行われているとも指摘しています。
そういう中で、食料の需給構造は外国依存型という形になっておりまして、
輸入は、
日本の農地でつくると現耕地の二・三倍、一千二百万ヘクタールの耕地がなければできないほどの
輸入の量になっている。こういうような
輸入をしている国は、
世界各国、近代国家を含めて
日本だけてあります。
それにもかかわらず、財界あるいは一部のマスコミ、評論家の皆さんはなお、外国に安いものがあるから買え、こういうようなことを言うことは、私は非常に残念であり、甚だ遺憾だと考えております。今、カロリーベースで四七%、それから穀物にして三〇%を割っております。後継者が少なく、高齢者が多く、このままでいけば
日本の農業は壊滅をしてしまうのではないかという心配さえある。
きのうも長野県の雪深い飯山の市長に来ていただいて、あの山の中でどういう農業をやっているのかということを聞きましたが、大変厳しい中で創意工夫をして大いに努力をしていると、その形が見えました。農林省の指導にもやや問題がありますけれ
ども、ぜひその点について、主要食料は自国で自給する、そして節度ある
海外からの
輸入をするという、今から数年前のジュネーブ宣言の趣旨というものをやはり生かしていくことが必要ではないか、こう考えております。
なお
世界は、中国は十二億の国民がおりますけれ
ども、ここはもう食料に対して非常に心配な状況にある。ロシアもそうであります。北朝鮮も大変米に不足をしている。そういう中で
日本はこれから一体どういうようにこの農業というものを持続し、発展をさせるのかということは大変な問題だと思います。
早く整理をしろと言うから整理をしますけれ
ども、言いたいことは全部ここで言って、それから各省からお答えをいただきたいと思いますから、もうしばらく聞いてほしい。
情報公開という問題が言われておりますけれ
ども、先般も申し上げましたが、情報公開ということが私は意味がよくわからない。農家というものは最終
価格で物を買っておりますが、鉄の基礎
価格について、あるいは肥料、農業等の基礎
価格について、基本
価格については、これをはっきりしろと言っても、いまだにこれは
企業秘密だから言えない。
企業秘密というものを残しておいて最終
価格で売買をする。これは対等、平等ではない。公正ではない。
企業秘密ということがあるならば、これはやはり理解をしてもらわなきゃ困る、こういうふうに私は考えます。
最後に私は、農業が持っている
二つの側面を主張したい。
一つは安全な食料、これを
消費者に確実に一定の
価格で
供給する。もう
一つは
社会的
役割、水や緑や国土の保全あるいは環境の整備、こういうようなことについては、これは
一つの側面であります。食料
生産というのは、これは
日本の
GNPからいえば二%か三%。ところが、客観的、
社会的な水の保全あるいは環境、こういうものについて計算すると三十六兆円ぐらいになると言われている。水田だけでも七兆と言われておりますように、大変な
生産をしていることになる。それが無償で
供給をされている。
そういう農家が努力をするそのコストというものをお互いに分け合って、そして都市も農村も共生じ共存する、こういうことがこの国の政治としては大事だと思いますが、きょう御指摘の中から、ぜひこの点についてはまず
最初に農水省、その次は環境庁、
経済企画庁、その後で御
出席の
参考人の方々へ私の方からお答えをお願いしますので、ひとつよろしくお願いします。