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1995-05-31 第132回国会 衆議院 商工委員会厚生委員会農林水産委員会環境委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月三十一日(水曜日)    午後一時開議 出席委員  商工委員会   委員長 白川 勝彦君    理事 逢沢 一郎君 理事 額賀福志郎君    理事 河合 正智君 理事 古賀 正浩君    理事 増子 輝彦君 理事 大畠 章宏君    理事 鳩山由紀夫君       小此木八郎君    梶山 静六君       金田 英行君    熊代 昭彦君       野田 聖子君    青山  丘君       小池百合子君    武山百合子君       豊田潤多郎君    西川太一郎君       星野 行男君    山田 英介君       吉田  治君    佐藤 泰介君       松本  龍君    和田 貞夫君       吉井 英勝君    海江田万里君  厚生委員会   委員長 岩垂寿喜男君    理事 衛藤 晟一君 理事 鈴木 俊一君    理事 網岡  雄君 理事 荒井  聰君       荒井 広幸君    熊代 昭彦君       佐藤 静雄君    住  博司君       高橋 辰夫君    竹内 黎一君       戸井田三郎君    根本  匠君       山口 俊一君    青山 二三君       岩浅 嘉仁君    鴨下 一郎君       坂口  力君    福島  豊君       横光 克彦君    高見 裕一君       岩佐 恵美君    土肥 隆一君  農林水産委員会   委員長 中西 績介君    理事 二田 孝治君 理事 倉田 栄喜君    理事 小平 忠正君 理事 錦織  淳君       赤城 徳彦君    岸本 光造君       栗原 博久君    栗原 裕康君       七条  明君    徳田 虎雄君       浜田 靖一君    松下 忠洋君       三ッ林弥太郎君   御法川英文君       山本 公一君    石破  茂君       鮫島 宗明君    実川 幸夫君       千葉 国男君    増田 敏男君       矢上 雅義君    石橋 大吉君       藤田 スミ君  環境委員会   委員長 阿部 昭吾君    理事 小泉 晨一君 理事 福永 信彦君    理事 山口 俊一君 理事 石破  茂君    理事 大野由利子君 理事 長浜 博行君    理事 宇佐美 登君       逢沢 一郎君    金田 英行君       斉藤斗志二君    野田 聖子君       持永 和見君    田端 正広君       岩佐 恵美君    中村  力君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 井出 正一君         農林水産大臣 大河原太一郎君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 宮下 創平君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       大西 孝夫君         環境庁企画調整         局長      石坂 匡身君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         厚生省生活衛生         局長      藤原 正弘君         農林水産省食品         流通局長    鈴木 久司君         通商産業大臣官         房審議官    太田信一郎君         通商産業省環境         立地局長    齊藤 眞人君         通商産業省生活         産業局長事務代         理       石丸 雍二君  委員外出席者         厚生委員会調査         室長      市川  喬君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君         商工委員会調査         室長      石黒 正大君         環境委員会調査         室長      工藤 桂司君     ————————————— 本日の会議に付した案件  容器包装に係る分別収集及び再商品化促進等  に関する法律案内閣提出第九七号)      ————◇—————
  2. 白川勝彦

    白川委員長 これより商工委員会厚生委員会農林水産委員会環境委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出容器包装に係る分別収集及び再商品化促進等に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口俊一君。
  3. 山口俊一

    山口(俊)委員 それでは、お許しをいただきまして、四委員会連合審査のトップを切って質問をさせていただきます。  私は厚生委員にもあるいは環境委員にも所属をいたしておりますので、きょうは厚生委員会というふうなことになっておりますが、両方の立場から質問をさせていただきたいと思う次第でございます。  今回のいわゆる包装廃棄物リサイクル促進法ですが、今回相当難産であったというふうに聞かされておるわけでありまして、事実、いろいろな新聞を取り寄せて拝見をしていますと、相当やゆされておる記事も多々出ておるわけであります。いわゆる各省庁綱引きだ、いわゆるコップの中の争い云々でありますが、ただ、ある意味で、そうしたいろいろな綱引きがあったということはむしろ議論を深める契機にもなったのではないか、そうしたプラスの部分もあるのではないかというふうに私考えておるわけであります。  事実、各省庁のいろいろなその当時の意見というのが出ておりますけれども、例えば農水省は、容器などを製造する業者にも負担をさせることでむだなく再利用しやすい容器をつくろうというふうな動機づけにもなるのだというような主張であります。これに対して厚生省は、そうしますと際限なく責任が分散をしてしまう云々、あるいはまた農水省は、一部にだけ負担を課すと、負担のない紙やプラスチック容器類がふえてごみ減量化に逆行することにもなりかねない云々、そうしたいろいろな議論がなされてきたわけであります。  そうしたことを踏まえて今回の法案提出というふうなことになったわけでありますが、私としても、今回確かに各団体からもいろいろな意見が出ております若干の問題点も否定し切れない部分もあろうかと思いますが、ともかく新たな一歩、しかも画期的な一歩をしるす法案であろうというふうに理解評価をいたしておるわけであります。  そうしたいろいろな経緯を踏まえて今回こういうふうに法案提出をされました。この法案に対する各省庁のそれぞれ基本的なスタンス、考え方あるいは感慨も含めて、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 では通産省からまず申し上げたいと思います。  我が国におきまして、家庭などから排出される一般廃棄物が非常に増大をいたしておりまして、最終処分場逼迫化しておりますことは、よく御承知のとおりであります。しかもその一方で、主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国にとりましては、廃棄物再生資源として利用していけるかどうかというのは極めて大切な問題であります。  このために、消費者市町村及び事業者の適切な役割分担のもとにおきまして、一般廃棄物のうち大きな割合を占めており、かつその利用が技術的にも可能な容器包装というものにつきましてリサイクルの抜本的な推進を図るために、今回この法律案提出させていただきました。  今委員からも御指摘がありましたように、政府内におきましてはさまざまな角度からの論議が交わされ、この法律案をまとめてまいりましたわけでありますが、これによりまして、国民全体がリサイクル社会の担い手となっていただきますように、そうした廃棄物減量化資源有効利用が進められることを心から願っております。
  5. 井出正一

    井出国務大臣 ただいま通産大臣の御答弁にありましたように、最近一般廃棄物の量が大変増加し、その最終処分場も極めて逼迫状況にございます。この法案は、この一般廃棄物増大最終処分場逼迫の問題を解決し、国民生活環境保全を図るために、一般廃棄物の多くを占める容器包装廃棄物について、消費者また市町村及び事業者役割分担によってその減量化リサイクルを進めるものでございまして、廃棄物を単に燃やして埋める処理から循環型の処理への転換に向けて大きな一歩を踏み出したものと認識しております。  この法案は、市町村を初めとする関係者の皆さんの大変熱い期待にこたえるものだと考えておりますから、ぜひとも早急に成立をさせていただきたいと思うものでございます。
  6. 宮下創平

    宮下国務大臣 本法案に対する基本的な考え方を申し上げますと、委員承知のように、昨年の十二月に環境基本計画というものを策定いたしました。これは包括的、総合的な閣議決定レベル計画でございまして、我が国最初の画期的なものだと存じます。その中で、循環とか共生とか参加とか国際的取り組みという四つのキーワードを設けておりますが、その循環型社会を構築するという意味で本法案の位置づけを考えております。  特に、廃棄物リサイクル対策というのはそういう意味環境政策の重要な柱でございまして、本法案におきましても、第三条でございますか、基本方針を策定する主務大臣環境庁長官がなっておりまして、この基本方針の策定を通じまして本法案環境保全に十分な効果が発揮できるように努めてまいりたいと思っております。  そしてなお、環境基本計画の中におきましては、この廃棄物リサイクル対策の基本的な考え方として四つの点を挙げております。すなわち、一つ発生を抑制するということ、それから二番目はリターナブルだとかあるいはリユースという再使用、それから三番目がリサイクル、四番目が適正処理ということで、そういう原則に沿ってより一層の対策を講じてまいりたいと思いますから、本法案に対して私どもは全面的に賛意を表し、この実効性のある実行を期待したいと思っておるところでございます。
  7. 山口俊一

    山口(俊)委員 十分ということでもうほとんど時間がなくなってしまいましたけれども、先ほど申し上げましたように、今回いろいろな議論の中で相当問題点も明らかになってきたのではないかと評価をいたしております。ただ、そうしたいろいろな問題点がございますので、やはり今からいかにきちっと運用していくか。それだけに是が非とも監督官庁としてきちっとフォローアップをしていっていただきたい。お願いをいたしたいわけであります。  もう一問しかできませんので、あと一問だけお伺いいたしたいわけであります。  御案内のとおり、各地方自治体それぞれもうごみ処理にはほとほと参っておるわけであります。新しい施設をつくろうにもなかなかこれもできない等々で、今回のこの法案に対する期待も非常に大きい。しかも、御案内のとおり、いわゆるごみの容量の約六割程度は包装廃棄物であろうというふうに言われておりますが、それだけに、ごみ減量化といったことにも相当大きな期待が寄せられておるわけであります。  ただ、各団体から、本当にごみが減るのかこれでリサイクルということは確かに定着する可能性はあるが、結局大量消費大量生産大量リサイクルに終わってしまうのではないかというふうな話もあるわけであります。  そこで、この法案成立によって、あるいは十分なる施行によって果たして本当にごみは減っていくのか。どのようにお考えになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  8. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 本法律案によりますリサイクルシステム実施をされますと、市町村により分別収集されました容器包装廃棄物事業者により再商品化されることとなります。これによりまして、直接埋め立てされるところの容器包装廃棄物が減少すること。二つ目に、これまで焼却処理されていました容器包装廃棄物が減少することにより、焼却能力に余力が生じてまいります。それによって、これまで直接埋め立てられていた廃棄物が焼却できることになるということでございます。これによりまして一般廃棄物最終処分量も削減できます。  こういうことで、分別収集率が九〇%になったときどうなるかという積算をしてみますと、最終処分量は現在量より約五五%減少するものと推定いたしておるところでございます。
  9. 山口俊一

    山口(俊)委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきますが、まだまだ言いたいこと、聞きたいことがあったわけであります。  いずれにしましても、やはり先ほど申し上げましたように、大量消費社会大量生産社会、これをいかに省資源、省エネあるいは循環型に変えていくか大変大事な時期でもありますし、大事な法案でもあります。それだけに、十分なフォローアップをしながら正すべきところは正す、指導すべきところは指導していく。是が非ともそれぞれ所管の大臣の大いなる御活躍を御期待をさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  10. 白川勝彦

  11. 小泉晨一

    小泉(晨)委員 小泉晨一でございます。  私は、この法案根底には二つの潮流があると理解をいたしております。一つは、市民参加資源化の仕組み、もう一つは、もうこれ以上お金をかけないごみ処理の仕組み、これらのことをよりダイナミックに社会システム化し、ごみゼロ社会を目指すんだ、こういうことが根底に流れていると確信をしている一人であります。今までは、燃やす、埋める、要は目の前からいち早く片づけることが行政の一番の方法でありましたけれども、これらの方法が、一見安いようだけれども気づいてみたらコスト高になってきた、こんなことを我々は今気づいているというふうにも理解をしているところであります。  さて、これらを解決する方法は、一番大事なことは、市民に確かな情報を伝えることだというふうに私は思っています。  そこで、まず最初環境庁二つ質問をいたしたいと思います。一つは、環境基本計画に沿って環境庁がこの法律施行に当たり具体的にどんな施策にかかわっていけるのかこの一点でございます。  もう一点は、ごみ所有権、その意識の拡大、私はこのことが国民運動にとって大変大事なことだろうと思っています。それで、さきの環境委員会では、缶とか弧とかPETとかパックとか、いろいろの容器包装廃棄物包装として使うそれぞれのコスト国民の前に表示して明らかにしたらどうなんだ、そのことによって、国民はこの容器を使い続けた方がいいのか使わない方がいいのか、あるいは買った後どうしたらいいのか、そういう選択をみずから判断基準に置ける、そんなことが大事だということを御質問させていただきました。もしその復そういう調査環境庁でされているとしたら、何品かについて一体この容器は幾らでできているか、そんなことをもお伺いをいたしたいと思います。
  12. 石坂匡身

    石坂政府委員 お答え申し上げます。  この法案に基づきまして環境庁としてどういうふうな対応をしていくかというお尋ねでございます。  先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、基本方針というものを策定してまいります大臣の一人に環境庁は加えていただいておりますので、そうした基本方針作成参加をし、そうした中で発生抑制あるいは再使用リサイクル適正処理、そういった廃棄物リサイクル対策考え方を明らかにするというふうなことで、本法の運用方針というものに参画してまいりたい。また、いろいろな形で再商品化等促進の意義に関するいろいろなPRをしてまいりたい、あるいはエコマークの活用等々に努力をしてまいりたいと考えております。  それから、もう一つお尋ねでございますが、先般委員から環境委員会で御指摘がございました。これはなかなか調査が難しゅうございまして、網羅的な調査ができないのでございますけれども、必ずしも平均的あるいは代表的あるいは最新のものとは言えないかもしれませんが、委員の御指摘もございましたので、早速二月から三月にかけまして当たりをつけて調べたわけでございます。  幾つか数字を申し上げさせていただきますが、これは中身メーカーが製品を卸売に卸す際の容器の値段というふうに受けとめていただきたいと思いますけれども、例えば飲料用紙パックでございますと一リットル入りで十円、それからアルミ缶、三百五十ミリリットルでございますと二十八円、スチール缶、三百五十ミリリットルでございますと二十八円、それから飲料用PETボトル、一・五リットルでございますと四十七円、二リットルでございますと六十二円、食品白物のトレーでございますと中身が二百グラム用のもので四円、柄物で中身が百五十グラム用で十五円等々の調査をしたところでございます。
  13. 小泉晨一

    小泉(晨)委員 今各委員にもお聞きいただいたわけでありますけれども、我々の想像を超えるコストが実は容器にかかっている、こういったことを適宜的確に市民に知らせる、実はこのことがこの法案をより効果的に運用する一助になるだろうという観点を持っているわけであります。  そこで、通産大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、これらのことをさらに進めて、現場という作業の段階で考えますと、私は、むしろ通産省は、ワンウエー瓶については白色のみ生産いいよ、リターナブル瓶については色つきでもやむを得ない、あるいは缶についてはスチール缶だけにしたらどうなんだと。また逆に、リターナブル瓶については規格の統一、こういったことを図る、こんなことをこの準備期間中に検討課題としてお持ちになったらどうだろうかと思うのですが、大臣、どうでしょうか。
  14. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ガラス瓶リサイクルするという立場からいきますと、これは確かに透明な瓶をリサイクルする方が色のついておりますものに比べて経済的にも技術的にも有利ですから、私は、この観点からは委員の御指摘のような考え方もあり得るのかなと思います。  しかし、どんな色の瓶を使うかというのは、これは一義的には実は中身製造事業者商品戦略として判断すべきことだと思います。政府が介入すべきことではありますまい。と同時に、これは私、物によってはむしろ内容物を光から遮るために遮光性の瓶を使う必要がある、そのために色つきの瓶を採用しなければならないといった商品もあるんじゃないかと思います。そういうものがもしあるとすれば、これは透明な瓶では代替できないのじゃないでしょうか。  私ども、この法律案考えましたのは、容器包装利用する事業者及び容器包装を製造する事業者容器包装廃棄物を再商品化するその負担を求めるわけでありますから、色つきの瓶につきましてもリサイクルが担保されるわけです。そして、コスト差によってより再商品化費用の低い透明な瓶の利用促進も当然ながら想像されるところでありまして、私どもは必ずしも規制的な手法を用いるのではなくて、本法律案を円滑に運用することによってリサイクル促進されると思います。  また、色つきガラス瓶につきましては、ガラス瓶としてのリサイクルに加えまして、骨材でありますとか路盤材など新規の用途開拓によりまして順調に再商品化可能性は増加していくもの、そのような見込みも持っているわけであります。
  15. 小泉晨一

    小泉(晨)委員 いみじくも今大臣最後の方にお話をされましたけれども、私は今まで、物をつくるという動脈産業、片づけるという静脈産業、そのバランスが、健全で快適な国家、それが大事だというようなことを主張してまいりました。今の最後の御答弁、私流に解釈すれば、腎臓肝臓を持った社会をつくっていく、このことだと思っています。  私は、自分では肝腎産業をこの法案契機に日本はもっと推進すべきだという考えでありますけれども、この肝腎産業という名前と、それらの大臣の存念をお伺いいたしたい、こう思います。
  16. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 おもしろい言い方を発明されたなと申し上げては失礼でありますが、私は、その静脈産業という言い方自体リサイクルというものを言い得て妙だ、そう感じておりました。それだけに、今肝腎産業という言い方をされましたが、ほかの臓器も同じような役割を持つ人体の構造からいきますと、必ずしも肝臓腎臓にだけ限定する必要はなかろう、そんな思いもしないではありません。しかし、むしろまさに静脈産業という言葉があらわすその仕組みというもの、これは大事にしたい、そのように思います。
  17. 小泉晨一

    小泉(晨)委員 私は、そういう方向公共投資のあり方が進んでいく、そのことこそがこの法律運用に当たっては重要だと思っているんですけれども、往々にしてこういった法の運用に当たっては、当初意図した方向とは逆の方向に結果が出てしまわないとも限らないことがあろうかと思うんですね。  私は、この法案、国を挙げての原料供給恒常的システムの構築だという観点からすると、事業者にとってはこれほどよいシステムはない。その結果、末端の回収業者等への影響ははかり知れないものが逆に生まれてくるのではないだろうか。そういった点で、逆に育成等という観点からどのような施策を今考えられているのか。  そして最後に、この法案、いよいよ実行されてまいりますと廃掃法質的転換が生じてくる、このことだと思うんですけれども、この法案の導入によって市民暮らし方は一体どう変わっていくのか。むしろこの法案によって市民暮らし方がどう変わることを厚生省は望んでいらっしゃるのか、その辺を夢ある答弁をお聞きしたいと思います。
  18. 井出正一

    井出国務大臣 お答えをいたします。  本法案によって、今後は産業界において再商品化のための施設設置等を行って再商品化事業拡大していく、あるいは再商品化事業に新たに積極的に参入するという強いインセンティブが働き、再商品化事業拡大、発展していくものと考えております。  また、本法案に言ういわゆる再商品化は、廃棄物処理法上の廃棄物再生に当たるものでございまして、厚生省としても、よき包装廃棄物の再商品化を行う再生事業者に対する積極的な支援に努めていかなければならぬと思います。  例えば、本法案の円滑な実施のためにその普及が最も期待されているプラスチック油化技術につきましては、実用化のための調査に今取り組んでおるところでございます。廃棄物研究財団なんかが非常に活躍をしてくれておるわけでございますが、今後はこの成果を活用して、通産省の御協力を得ながら油化施設整備促進にも努めていかなければならぬと思っております。  また、廃棄物処理法におきましては、登録廃棄物再生事業者という制度も設けておりまして、税制上の優遇措置等により優良な再生事業者育成を図っていきたいと考えておりますし、本法案において重要な役割を担っていただく再生事業者に対しては、環境保全に配慮しながら適正な再商品化事業が行われるよう、その健全な育成振興に努めてまいるつもりでございます。  そして、その結果、我々のともすれば大量生産大量消費大量廃棄という生活スタイルが、今までのようなことはもう地球の環境あるいは資源有限化から考えて到底これから長く続くはずはございませんから、もう少し今までとスタイルの変わったような人間の生活に結びつくことを期待しておるところであります。
  19. 小泉晨一

    小泉(晨)委員 質問を終わります。
  20. 白川勝彦

    白川委員長 次に、海江田万里君。
  21. 海江田万里

    海江田委員 きょうは連合審査会でございまして、橋本通産大臣それから井出厚生大臣農水大臣はお見えになっておりませんが、環境庁農水省それぞれお見えになっておりますので、最初一言お話をしておきたいのは、今回の法案作成に至る過程で、通産省厚生省、それと例えば農水省との間で意見対立があって、そしてその意見対立というのも、新聞報道なんかによりますと、いわゆる省益、縄張りの争いがあって、それで場合によっては今国会での法案成立ができなくなってしまうんじゃないだろうか、そういうような報道が行われていたということがあるわけでございます。  これは、この新しい法案成立、そしてそれが実際に施行されていくのには国民こぞっての協力が必要なわけですから、そういう国民こぞってのこの法律を本当に血肉化して、そして実際の生活の中できちっと位置づけていかなければいけないというときに、そういう報道がされるということは大変残念なことでありまして、私は、今回のこの法案作成に至る過程で、いわゆる官僚の縄張り争いというものがどうしても前面に出てきてしまったということについて、まず反省といいますか、そういうことがあってしかるべきではないだろうかという考え方を持っておるんですが、どなたかその問題について御答弁いただけたらと思います。
  22. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 委員から御指摘を受け、大変恐縮でありますけれども、私は必ずしも委員意見一つにいたしておりません。なぜなら、例えば私は昨日カンター・アメリカ通商代表に返書を出しましたけれども、これを書くにいたしましても、例えば外務省と我々の間で随分議論をして出しました。そして、私は、一つずつの問題について各省庁がそれぞれ自分の主管する範囲から意見をぶつけ合い、その上でまとめた考え方をつくり上げていくことは決して悪いごとではないと思います。  そして、確かに事務方同士の議論は長く続きましたし、中には、あるいは委員が御指摘になりましたように省益といった考え方からの議論があったかもしれませんが、私は、結果としてはよりよいものをつくり上げるために全力を尽くしたと考えておりますし、そのように今後も運用してまいりたい、そのように思います。
  23. 海江田万里

    海江田委員 そういう印象を与えておるということは御記憶にとどめておいていただきたいということでございます。  そこで、具体的な質問に入りますけれども、先ほどもお話が出ました去年の十二月の環境基本計画、これは閣議決定がしてあって、これが一番大きな今回のこの法案の前提になる話だろうと思います。環境基本計画の中で一番うたわれておりますように、いわゆる廃棄物となるものの発生をできるだけ抑制をしていこう、大量生産大量消費それから大量リサイクルであってはだめなんで、それをできるだけ大量生産から適正な生産に、適正な消費に、適正なリサイクルにという方向性が打ち出されなければいけないと思うんです。  今回のこの法律第一条で、「目的」として「この法律は、容器包装廃棄物分別収集及びこれにより得られた分別基準適合物の再商品化促進するための措置を講ずること等により、一般廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通じてこ云々からありますけれども、私は、この法律全体を読んでみまして、あるいは今回のこの議論を通じて得る印象というのは、やはり大量生産大量消費大量リサイクルからの決別というものがどうも十分にできていないんではないだろうかという考え方、そういう印象を持っておるんですね。その点はどうでしょうか。
  24. 井出正一

    井出国務大臣 先ほどの御質問にも私お答えしましたが、おっしゃるとおり、戦後我々は高度経済成長のもとで大量生産大量消費大量廃棄という生活スタイルを随分長い間続けてきてしまいまして、その結果、ごみの問題が深刻化し、あるいはまた地球環境が大変汚れ、さらに、資源有限化考えた場合に心配されるという状況になったわけでございますから、これとは本当にもうこの辺で決別しなければならぬ時期に来ておるということでございまして、この法案もそれに向かって大きな一歩を踏み出せるんじゃないかな、こう考えているところであります。
  25. 海江田万里

    海江田委員 もう少し業者に対して使い捨ての商品や過剰包装の自粛ですとか、あるいは製品の寿命の長期化など、そういうような、やはりはっきりとこれによってその大量生産大量消費大量リサイクルから決別できるんだという方向性がもう少し見えてもよかったのではないだろうかという気が私はしております。  それから、やはり今回の法律問題点としまして、中小企業に対する特例と、それから零細企業、小規模事業者に対する法の適用除外というものがしてあるわけですけれども、私は、これは消費税なんかの減税措置とかなんとかと全く違う性格のものでありまして、やはりこの環境の問題については、汚染者負担でありますとか排出者負担でありますとか、こういう原則は貫かれていなければいけないと思うのですね。  この中小企業に対する特例ですとか零細企業に対する適用除外ですとか、こういうことがどうして出てきたのかという、その一番基本的な考え方が私は理解できないので、その点をもう一度御説明をいただきたいと思います。
  26. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 今回の法案におきましては、中小企業については、中小企業基本法に該当する中小企業でございますが、平成十二年の三月三十一日まで義務猶予をすることになっております。これは、中小企業については、情報へのアクセスとかあるいは人材という経営資源において、やはり大企業に比べて劣るということも踏まえて義務猶予をするわけでございますが、その間においても、任意で同じような形で再商品化するということは我々促進していきたいと思っております。  それから小規模企業については、中小企業基本法二十三条によりまして、政府施策を講ずるときに特に特段の配慮をするということになっておりまして、小規模企業の経営資源は非常に劣るわけでございます。その全体の手続面での負担あるいはその行政効率等を考えまして、適用除外とさせていただいたわけでございます。
  27. 海江田万里

    海江田委員 通産省はそういう理屈でいいかもしれませんけれども環境庁、もしお見えになっていたら、今の理屈をそのまま認めてしまっていいことかどうなのか、御答弁願いたいと思います。
  28. 白川勝彦

    白川委員長 環境庁は、通告がなかったので、さっきまでいたのですが、ちょっと席を外しているようです。
  29. 海江田万里

    海江田委員 ああ、そうですか。いや、いていただきたかったのですが。  それでは、今回指定法人を特別に定める、そしてこれは公益法人にするということでございますけれども、やはり行革の流れからいきまして、この指定法人というものを、指定法人といいますか公益法人をこれからどんどんつくってもいいのかどうなのかという議論はございますけれども、この指定法人の規模ですとか役員の選出方法、これが一体どういうふうになっておるのか。  私はやはり、かりそめにも、公益法人をつくって、役所の天下りの人たちがそこの役員を占めるというようなことがあってはいけないと思うのですね。そういう役所の天下りが一切ないというお話なのか、それとも、やはり実際にその指定法人を運営していくのには、役所の方が何人か重要な役割を占める、役員になるおつもりがあるのかどうなのかそのことをお尋ねしたいと思います。
  30. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 この指定法人をつくります理由は、もう既に委員よく御承知のとおりでありまして、委託先が実際に再商品化を行ったかどうかを担保、確認する必要のない、義務履行をかわって行う法人というものの必要性から考えられたものでございます。  しかし、この指定法人というものは、当然ながら、民間の発意によって設立されるべき公益法人でありますし、その申請によって主務大臣が対応するわけでありますから、その役職員等はこれを設立した民間が決定すべきものであります。  そして、私は先般商工委員会の御審議の際にも申し上げたことでありますが、ここの役員あるいは職員に国家公務員の経験者が全く入らないというお約束はいたしません。なぜなら、専門的知識を買われて、公益法人から請われて人材を派遣したことは、今までにも私自身が体験がございます。しかし、いわゆる天下りと言われるようなものは、厳にこれは排除すべきものだと考えております。人材の派遣が全くないという保証は、この公益法人がつくられてからその役員の方々がお選びになることでありまして、そこを私は保証することはできません。
  31. 海江田万里

    海江田委員 時間も来ておりますのでお願いにいたしますが、今通産大臣がおっしゃったように、やはりでき上がったときの見た感じで、大体これは常識から考えまして、また天下りの機関ができてしまったとかそれとも、これは本当に仕事をやるための陣容、陣立てたということは当然わかるわけでありますから、そこのところはくれぐれもやはり、何だ、天下りのための機関をつくったんじゃないだろうかということを言われないような人員配置をお願いしたいと思います。  私の質問は以上で終わります。ありがとうございました。
  32. 白川勝彦

    白川委員長 次に、網岡雄君。
  33. 網岡雄

    ○網岡委員 私たちが豊かで快適な市民生活を営む上で、今日大きな社会問題にもなりつつあるごみ問題を解決し、我が国の経済と環境問題を調和させながら、高度成長を遂げた日本経済を今後とも継続、発展させていくためには、ごみに強い社会システムを構築することが今日ほど強く求められているときはありません。容器包装リサイクル法案は、このごみに強い社会システムを構築すること、すなわち循環型社会をつくるための大きな第一歩になるのではないかと感じているところでありますが、この観点から、以下数点にわたって御質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、容器包装を初め資源化に向けての分別収集は、既に中小の市町村を中心にかなり実施されているところでありますが、そのやり方は市町村ごとに千差万別であります。非常に労力をかけて逆有償なしで引き取ってもらっているところから逆有償を負担している市町村まで、そのやり方にはさまざまな差があるというのが今日の実情でございます。  これが今回、容器包装リサイクル法ということで施行されると、厚生省令により分別基準が決められ、その水準までに合わされればよいことに理屈上はなるわけでございます。そうなりますと、逆有償分については指定法人が補てんをしてくれることになっている関係から、現在逆有償でないところまで労力を加えているところと厚生省令の水準までのところと同じ扱いにするという、高い水準で分別収集をしている市町村の努力がこのことによって後退する可能性があると思うのでございます。  この点について、そのようなことが起きないように何らかの対策を講ずべきである、こう思うわけでございますが、政府としてはどんな対策を講じておられるのか、まず第一にお尋ねをさせていただきます。     〔白川委員長退席、岩垂委員長着席〕
  34. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 先生御案内のとおり、先進的な市町村におきましては、一般廃棄物減量化またリサイクルを進めるために、缶、瓶等の資源ごみ分別収集に取り組んでいらっしゃるところがあります。現在では約四割の市町村が何らかの分別収集をされていらっしゃるわけでございます。このような先進的な取り組みについては、厚生省としてもまず高く評価をしているところでございます。  しかしながら、素材によっては、市町村分別収集しても引き取り手がなく、市町村がお金を支払って引き取ってもらういわゆる逆有償のケースが生じていることも先生御案内のとおりでございます。またプラスチックなどでは、そもそも引き取り先がなく、市町村分別収集に取り組みにくい状況にもございます。  今回の法律案は、このような市町村の状況に対処するため、市町村分別収集した容器包装廃棄物については、特定事業者の責任において再商品化が行われる仕組みを導入するものでございます。すなわち、市町村は逆有償がなくなる状態まで選別などの行為をする必要はなく、一定の基準を満たすまで分別を行えば特定事業者が再商品化する義務を生ずるものでございます。市町村が本法律案による特定事業者の再商品化義務が生ずる分別基準を上回って分別することは自主的な取り組みとして評価されるものであり、また、そのもの自体は有償で実際には市町村から利用者の方にお渡しするわけでございます。  したがいまして、今回の法案自体はこれらのものを何ら規制をするわけでもなく、本法案考え方とそういう事業というのは一向矛盾をしないもの、このように思っております。
  35. 網岡雄

    ○網岡委員 今の御答弁によりますと、結局今度定める水準がこの位置にある、ある市町村のところではこの位置にある、高いレベルに。そうなると、この法律によってここまでいってもやむを得ぬのだという御答弁のようですが、これはリサイクル法の制定の出発点でございますから、今の御答弁のような内容がある意味では私どもはやむを得ないという感じもいたしますけれども、しかし、そのようなことでこれからずっと進んでいくということになれば、先進的な取り組みをした市町村は財政的に出し分がふえていくわけですから、水準はどんどん低下していく。低いところに合うということになるわけです。このリサイクル法を制定した制定の本旨からいくと後退するということになるわけですので、私は、この辺は十分踏まえながら次の段階に向かって一層の対応を厚生省としてはやっていただきたいということを述べて、次の質問に移ります。  二つ目は、今回の容器包装リサイクル法によって、自治体の分別収集の分については事業者に回収責任があるので問題はないが、子供会や婦人会による自主的な集団回収の分がどうなるのか、ここが心配でございます。もし持っていってくれないと、いわゆる自主的な集団回収の分がどうなるのか。もしこれを持っていってくれないということになれば、せっかく市民の善意によって集められた、集団回収して集められたものがお金を払わないと持っていってくれないということになれば、やめようということになってしまうのであります。  集団回収は、ヨーロッパにもない、諸外国にもない日本独自のシステムで、廃棄物の回収、再資源化に大きく寄与しているところでございます。リサイクルには市民の主体的な行為を大切にすることがこれからの社会では特に大切であり、この点について厚生省はどのように配慮していくのか、これは厚生大臣の所信を伺いたいところであります。
  36. 井出正一

    井出国務大臣 ごみ問題への関心の高まり等を背景に全国各地で、今先生御指摘のように、子供会あるいは婦人会、自治会等の自主的な活動による集団回収が行われております。厚生省といたしましても、このような自主的な活動の高まりを高く評価しているところでございます。このような自主的な取り組みが盛んに行われるようになったことがこの法律の制定を進める大きな要因となったと申し上げても過言ではない、こう思うのでございます。  したがいまして、この法案におきましても、このような自主的な集団回収につきましては市町村分別収集の一環と位置づけることができることとしております。したがいまして、今後ともこのような自主的な集団回収を積極的に評価し、その推進のためさまざまな努力を進めてまいりたいと思うところでございます。
  37. 網岡雄

    ○網岡委員 それでは、次の質問に移ります。  容器包装リサイクル法では、分別収集市町村が受け持つことになっております。市町村分別収集した量よりも事業者の再商品化義務量が少ない場合、再商品化義務量を上回ったものは次年度に繰り越すことになっているのでありますが、市町村分別収集したものについては当該年度に全量を引き取ることを原則とすべきではないかと思うのであります。この点について政府の御見解をお聞きします。
  38. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 本法案におきましては、委員指摘のように、市町村分別収集計画と分別基準に従って収集されました容器包装廃棄物については、再商品化能力を上回り再商品化されなかったものは、義務対象者の義務履行の対象ではない部分を除き、後年度の再商品化義務量の算定に繰り入れられまして、最終的には全量が再商品化されます。しかしながら、特にプラスチック製の容器包装は再商品化施設の面でまだ大きな制約がございます。再商品化施設の整備、再商品化可能量の拡大促進する必要があると思っております。そういう観点から、今後積極的に財政金融上等の措置を検討するとともに、例えば現行再生資源利用促進法等の活用を図っていきたいと考えております。
  39. 網岡雄

    ○網岡委員 今の御答弁のような形で、さらに残された問題を、プラスチックなどの残った問題を解決するために、厚生省としてはさらに全力を挙げて対処していただきたいということを要望します。  次に、容器包装リサイクル法では、市町村はそれぞれの市町村域において分別収集、選別、圧縮、そして保管をしなければならないのですが、通常収集に比べて分別収集だけでも倍近い経費がかかっており、その上、次年度繰越分が出ると長期保管をしなければならず、余りにも負担が大き過ぎるので、保管場所は幾つかの市町村、特に小さい市町村ではまとめて保管することが望ましいと思うのであります。この場合、廃棄物処理センターを活用することが有効だと思うのでございますが、その位置づけについて厚生省はどのようなお考えを持っているか、お聞かせください。
  40. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 現在でも一部事務組合の形で幾つかの市町村が共同して一般廃棄物処理を行っていることは先生御案内のとおりでございますが、このことは、効率的な保管のためにも市町村間が協力を図られるので我々は望ましい、このように考えております。  保管場所につきましては、今後は市町村が単独で設置することのほかに、複数の市町村が一部事務組合を設立して共同の保管場所を設けることも当然認められるものでございまして、市町村間の協力を積極的に指導をしてまいりたいと思います。また、市町村が地方公共団体の第三セクターである廃棄物処理センターたる公益法人を活用することも十分想定されるところでございます。
  41. 網岡雄

    ○網岡委員 ぜひひとつ、一部事務組合の設立あるいは第三セクターの役割を果たす廃棄物処理センターなどの対応を十分やっていただきまして、本法律の趣旨に合うような条件整備をぜひ整えていただきたいということを要望します。  それから次に御質問申し上げますが、第十条四項において、分別収集促進するために、廃棄物処理法第六条の二第六項に規定する手数料を必要に応じて措置するよう求めているが、現在、市町村一般廃棄物処理費用負担は、市民は無料ではなく、税金を通じて既に負担をしているのであります。市町村一般廃棄物処理費用は市民は無料のような誤解があるのでございますが、市町村ごみ処理費用は決して無料ではありません。  ごみ国民すべてが一定量を排出しており、一人当たりの量はそんなに変わらない。その上、公衆衛生上、環境保全上から、適正に処理されるためには、住民に直接負担させるよりは、公共団体がいわゆる地方自治体の固有の事務として公共サービスをした方がよいという考えのもとに、ある一定量は税金で負担して無料にしているだけであって、大半の市町村が一定量を超える排出者からは既に重量による有料制を実施しているところであります。さらに、第三十四条において再商品化に要する費用の価格転嫁が認められており、最終的には容器包装リサイクル法の事業者負担消費者に転嫁される公算が極めて大きいと私は判断をいたしております。  したがって、市民にこれ以上の手数料の額を設定をして、画一的に負担を押しつけるべきではないと考えるのでございますが、この点についてお伺いをいたします。
  42. 藤原正弘

    ○藤原政府委員 一般廃棄物処理市町村の固有事務でございまして、したがいまして収集に際し手数料を徴収するか否かまた手数料を徴収するとしてもその額を幾らにするかというふうなことにつきましては、地方自治法や廃棄物処理法の規定に基づきまして、市町村の条例により定められることになっておるわけでございます。  本法案第十条第四項では、住民が分別排出を適正に行うことを促進するための措置を市町村が講じるよう努めることを定めたものでありまして、その方策の一つとして、手数料を徴収する場合には廃棄物の排出量に応じた徴収の仕方を定めることが分別排出の促進にとって望ましいものであることを示したものでございます。これらの法律の規定に従いまして、例えば一定量を超える排出者からその排出量に応じた手数料を徴収するなど、各市町村で創意工夫をしていただき、分別排出を促進するようにしていただくというようなことがこの法律の趣旨であると考えておるわけでございます。  なおまた、厚生省といたしましては、住民の分別排出を促進するためのさまざまな取り組みにつきまして、市町村の参考になるような事例を紹介するなど必要な支援をしてまいりたいと考えております。
  43. 網岡雄

    ○網岡委員 この法案は自治体、消費者、それから容器メーカー、製造メーカー、販売業者、輸入業者など多数の業界に関係しているのであります。また、関係省庁も五省庁にまたがっておりまして、このようなことから、法案運用に当たっては関係省庁が緊密な連携をしつつ、多岐にまたがる関係者意見を聞いていくことが極めて重要と考えておるのでございますが、取りまとめに当たりました厚生大臣の決意をお伺いいたしたいと思いますし、さらに、産業界を指導する立場通産大臣の決意もあわせてお伺いしたいと思います。
  44. 井出正一

    井出国務大臣 この法案は、我が国にとりまして前例のない画期的なものであると自負をしておるところでございます。分別排出を行うことになる消費者、収集を行う市町村、再商品化義務を負う事業者等、非常に多くの方々の理解と協力を得ることが不可欠でありまして、ひとり厚生省のみでは円滑な実施は困難であります。  このため、本法の施行に当たりましては、消費者の皆さん、事業者の皆さん、地方公共団体関係者の意向を適切に反映してまいらなくてはならぬと考えております。また、通商産業省のほか農林水産省、大蔵省、環境庁にも法律上の主務省庁として参加していただくとともに、地方財政を所掌する自治省、その他の関係省庁とも密接な連絡をとる必要があると考えております。  いずれにせよ、政府が一体となって本法の実施に万全を期してまいりたいと思います。法案取りまとめの厚生省といたしましても、その幹事役として積極的な役割を担ってまいりたいと考えております。
  45. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今厚生大臣からもお述べになりましたように、政府、五省庁が緊密に連携をとりながら万全の対応をしてまいる、これは当然のことと私どもも思います。  また、義務対象事業者であります中身メーカー容器メーカー、さらに再商品化されたものを利用されるメーカー、容器包装の製造・販売事業者など多数の関係する事業者から、中身メーカー容器メーカーの義務量の分担割合などの決定についても、その意見は十分に我々は聞いていかなければなりません。  本法案を有効に機能させ、廃棄物減量化資源有効利用の実を上げますためには、これら関連事業者がその担うべき役割を果たしていただくことが大変重要でありまして、私どもも現行再生資源利用促進法を活用いたしながら最大限努力してまいりたいと考えております。
  46. 網岡雄

    ○網岡委員 終わります。
  47. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 石橋大吉君。
  48. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 最初に、今網岡委員質問にもちょっとありましたが、本法の主管大臣、主管省庁、そうでなくても縦割り行政でいろいろ言われている、ちゃんとした法の目的が実現をされるように運用されなければいけない、こういうことを考えるとこの辺が非常に私は問題だ、こう思っているわけであります。  第四十三条によりますと、さっきもお話がありましたように、この法律における主務大臣は、基本的には厚生大臣通商産業大臣、大蔵大臣及び農林水産大臣とする、ただし問題によっては環境庁長官主務大臣に加わる、こうなっているわけであります。  この法律を制定する過程でも各省庁間でいろいろあったようでありますが、後々またそういうことがあってはいけませんので、この主務大臣、主務省庁の中でも、ごみ問題について全体を統括をしながら一番中心になって責任を持たなければいかぬ、これは私は厚生省ではなかろうか、こう思っています。この点について、まず念のために、大変初歩的な話ですが、確認をしておきたいと思います。
  49. 井出正一

    井出国務大臣 本法律案によるシステムにつきましては、容器包装分別収集から再商品化まで多数の関係者の協力により運営されるものでございます。そのため、主務省庁も今石橋先生御指摘のように五省庁にまたがっているものでございます。  この分別収集及び再商品化につきましては、厚生省廃棄物処理に関する観点から主務大臣役割を担うこととしております。一生懸命頑張るつもりでありますが、本法案の趣旨を生かしていくためには、厚生省だけでは到底無理でございまして、各省がそれぞれの立場から協力していくことが不可欠と考えております。関係省庁と密接な連携も図っていくことが重要だと思います。
  50. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 一応お答えがありましたが、お互いに責任転嫁をするようなことがあってはいけませんので、厳にひとつそういうことがないように厚生大臣中心に頑張っていただきたい。このことだけ念を押して申し上げておきます。  続いて、農林水産省に対して一言、私も農林水産委員会を代表して出ていますから、念のために質問をしておきたいと思います。  さっきもちょっと言いましたが、この法律作成する過程では通産省厚生省が中心になって立法作業が進められまして、その一方で農林水産省も独自の立場から法案の準備作業を進めてきた、こういうこともありまして、各省庁間の調整に若干手間取ったと言ってはなんですが、ごたごたしたところもあったように漏れ聞いているわけであります。しかし、こういう法律が現在重要だという点では基本的に認識は一致をしていた、こういうふうに思っているわけです。  いよいよ各省の合意ができまして本法の成立が実現をするということになれば、消費者、自治体はもとよりでありますが、中身のメーカー、容器メーカー、素材メーカーなどの関係業者みんなで廃棄物減量化リサイクル促進に取り組まなければならない、こういうふうに考えておるわけでありますが、改めてこの法律施行に関連して農林水産省としての対応、決意のほどをちょっと伺っておきたいと思います。
  51. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 農林水産省としましては、制度が円滑に機能し、効果を発揮するためには、制度の公平性、透明性を確保する必要がある。また、このことによりましてリサイクル促進廃棄物発生抑制に寄与するものとなること、こういった基本的な考え方で関係省庁と調整をしてまいりました。  この法律案におきましては、消費者、自治体についてはそれぞれ分別排出、分別収集役割を果たしますし、容器包装利用者である中身メーカー容器製造メーカーにつきましては再商品化義務を課しますし、また素材メーカー等につきましては再商品化によって得られたものの利用の義務等を課す、こういうようにされておりまして、消費者、自治体、関係事業者が適切に役割分担を行うことによりましてリサイクル促進廃棄物減量化が適切に図られるものというように考えております。  私どもとしましては、この制度の周知徹底を図るなど、所管事業者の適切な義務履行を確保することによって、本法律案の円滑な実施を図ってまいりたいというように考えております。
  52. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 もう一つ農林水産省に、さっき一緒に申し上げればよかったのですが、簡単につけ加えて質問しますが、特に食品産業分野における環境問題への対処の問題などについてもちょっとこの際伺っておきたいと思います。
  53. 鈴木久司

    鈴木(久)政府委員 食品産業分野におきましては、廃棄物減量化、再資源化リサイクル体系づくりに向けての食品の製造、流通、消費の各段階を通じた食品産業環境対策の総合的な推進事業を平成五年度から実施してきているところでございます。  具体的には、食品産業環境対策総合推進理念、食品産業各分野における行動規範の策定を初めとしまして、リサイクル対策の確立、廃棄物再生利用技術の開発等、環境対策を総合的に推進しているところでございまして、今後ともこれらの施策の拡充を図ってまいりたいというように考えております。
  54. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 次に、不法投棄の防止あるいは環境汚染防止体制の確立について、この際ちょっと伺っておきたいと思います。  御承知のとおり、一般廃棄物の収集については、全国各地の市町村の業務として自治体に働く職員、労働者によってその仕事が主として担われているわけであります。そういう現場からの切実な声でありますが、今日廃棄物による環境汚染は、産業廃棄物を中心に不法投棄、不適正処理が後を絶たない。また、その不法投棄の方法もだんだん巧妙になりまして、リサイクル実施するように見せかけながら廃棄物処理法の規制から逃れて不法投棄をするというケースが多発をしている、こう言われているわけであります。例えば香川県の豊島事件ですか福島県の常磐炭鉱廃鉱跡事件などもあるようです。これらの不法投棄現場はいまだに放置されたままであると聞いておりますが、こういう不法投棄は未然に防止することが何よりも重要であります。  今回の容器包装リサイクル法の制定に伴いまして、後でもちょっと具体的な事例を引いて申し上げますが、自治体における廃棄物処理に係る業務量もかなり減少するのではないかという面も考えられるわけであります。そういうこととも関係をさせながら、この際、廃棄物処理法によって廃棄物による環境汚染が規制されているにもかかわらず必ずしも実効が上がっていない現状にかんがみまして、法的な規制に合わせでそういう不法投棄などをさせないような、環境汚染を防止するための業務体制を確立をする、そういうことについて切実な要望があるわけであります。ぜひ私の方からもそういう検討をお願いしたいと思っておりますが、この点どうでしょうか厚生省
  55. 藤原正弘

    ○藤原政府委員 分別収集した容器包装廃棄物の再商品化を行う事業者につきまして、本法案により、主務大臣による再商品化の認定や指定法人への監督を通じまして、当該再商品化を行う事業者の事業の適正な実施を担保しておるところでございます。  また、容器包装廃棄物の再商品化施設につきましては、廃棄物処理法に定める一般廃棄物処理施設に該当する場合には都道府県知事の許可を得る必要があるわけでございますが、当該許可制度の運用に当たりましては、廃棄物処理法に定める環境衛生指導員の適正な配置を初め、生活環境保全観点から適正な運用がなされるよう都道府県に対する適切な指導に努めてまいりたいというふうに考えております。  これらの措置によりまして、収集した容器包装廃棄物が不法投棄されることのないよう万全を期してまいりたいと考えております。
  56. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 今現状について説明があって、それに基づいて十分そういうことがないように措置したい、こういうお答えでしたが、私の質問は、現状の体制では非常に不十分だ、だからこの際体制の強化を考えてほしい、こういうことでありますから、これ以上申し上げませんが、ひとつこの機会にあわせて検討をしていただきますようにお願いをしておきたい、こう思います。  次に、通産大臣にちょっと伺いますが、関係事業者の中で素材メーカーが再商品化義務を免れた理由は何なのか。この点が農林水産省や通産省厚生省との間でかなり争点になった一つ問題点ではなかったかと思っておりますので、この点を改めて伺っておきたいと思います。  それから、こういうことによって素材メーカーがリサイクルに無関心になってリサイクルが阻害されるようなことがないのかどうか、あわせて伺っておきたいと思います。
  57. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 この法律案におきましては、基本的には容器包装利用事業者容器包装の選択、決定を行っているわけでありますし、また容器製造事業者も技術的な側面から選択、決定をしておりますので、再商品化の義務を課したわけであります。したがいまして、ただ単に容器包装の素材を生産し、提供しているだけの素材メーカーというものは、再商品化義務者には含みませんでした。  この法律案におきましては、再商品化の円滑な拡大を図るために、例えば現行再生資源利用促進法を活用し、再商品化されたものの利用が可能な事業者に対しまして、再商品化によって得られたものの利用の義務などを課す予定でありまして、素材メーカーなどもシステムの中では適切に役割を分担いたしております。  また、今委員から御指摘のありました後段につきましては、技術開発等も含めまして、そのような御心配をいただかずに済むように努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  58. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 御承知のように、事前に討議過程で配付された資料などを見ると、三〇%の分別収集ができる段階、成熟段階で必要なコストは約一千億、そのうちプラスチック関係が九百億を超えていたと思います。そういう状況を考えると、素材メーカーを完全に免責するということは非常に問題があるのではないかと私は思っておりますので、ぜひひとつ後々御検討いただきたい、こう思います。  次に、プラスチック容器包装廃棄物処理について伺っておきたいと思うのであります。  再商品化義務履行に要する費用の見通し、さっき言いましたが、全体合計千五十一億円のうち九百四十二億円をプラスチック関係が占めているわけであります。  そこで、容器包装のすべてについて同時実施か段階的実施かこれも省庁間で一つの大きな争点になったところでありますが、最終的には段階的実施に落ちついた、こういうことであります。なぜ段階的実施になったか、こういうことについて、理由を仄聞するところによりますと、プラスチック処理についてまだ完全な処理技術が確立していない、こういうところに最大の理由があるようであります。これは間違っているかもしれませんが、もしそうでなかったら訂正していただければと思うのですけれども、そういうふうに私は仄聞しているわけであります。  ところで、私の出身地は島根県の安来市でありますが、この市では、人口三万余の小さい市ですけれども、平成三年十一月から分別収集実施して、プラスチック、ビニール、ナイロン、ポリ容器、発泡スチロールトレーなど石油製品を分別収集し、それを民間業者リサイクル処理委託をして、灯油に還元をして、非常に大きな成果を上げているわけであります。既に満四年近くの実績を持っているわけでありますが、結果、従来埋立処理をしていた廃棄物の九割減に成功した、こういう結果が報告されているわけであります。九割減ったら、これは大変なことです。  このプラスチック類の油化還元装置は、兵庫県芦屋市にある日本理化学研究所の倉田大嗣という人が開発したものでありまして、倉田式廃プラスチック油化還元装置、こういうふうに言われているわけであります。このプラントは松江市の上幹総業という廃棄物処理業者の工場内に設置をされておりまして、プラスチックの破砕、投入、油化還元がすべてオートメーションで行われ、一回に約五十キログラムの三センチ角以下に破砕されたプラスチックごみがホッパーに投入される。五分で五十キログラムのプラスチック処理をしているそうでありますから、一時間で六百キログラム、八時間稼働させて一日に約五トンの廃プラスチック処理が可能だ、こういうことであります。  さっき言いましたように、安来市は人口三万三千人ぐらいの小さな町でありますが、分別収集は、一つは鉄、金属類、二つに瓶、ガラス類、三つ目にビニール、プラスチック類、四つ目にその他の埋立ごみ、埋立ごみは例えて言うとコンクリートの破片などのようですが、こういう四つに分けて分別収集をしているわけであります。問題のプラスチックは、各家庭で洗った上で透明な袋に詰めて月一回収集する、こういうことでそう問題がないようであります。  さっき言ったように、量的には今まで埋め立てで処理しておったごみを九割減らした。経費的にどうかといいますと、廃プラスチック油化還元装置による処理費は、一立方メートル当たり三千五百円、埋立ごみ処理経費、これは処理工場の総工費も含めていますが、一立方メートル当たり一万八千円、こういうことですから五分の一以下の経費節減になっている、こういうふうに言ってよかろうと思うのです。  こういう実態を見ると、素人ですから余り専門的なことはわかりませんが、プラスチック処理についてはほぼ技術的に完成をされている段階ではなかろうかと思いますけれども、ここら辺について、専門家の意見はどうでしょうか。
  59. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 お答えいたします。  プラスチックの油化につきましては、いろいろな試みがなされております。そういう中で、今先生がおっしゃいました安来市が使っております油化還元設備につきましては私ども必ずしも十分に知っているわけじゃございませんが、一般的に申しますと、分別回収といいましても、プラスチックの種類ごとに分けるわけじゃございません。PETボトルを別にいたしまして、その他のプラスチックを分けるということでございます。それが第一点でございます。  それから第二点は、これはいわゆる分別して出していただくときの状況とも関係するわけでございますが、かなり異物がまじってくるというのが通常でございます。例えば私どもも支援してまいりました桶川での実験というのは、何年もやってきたわけでございますが、その場合には、二、三〇%いろいろなものがまじってきたりということで、手を使ったりしまして異物を取ったりというようなこともやってきた例がございます。  そういうことで、私どもが比較的知っております桶川の実験の例で申しますと、油化します際に、炭素、カーボンが機械にひっついてまいりましたり、あるいはそういう不純物がまじったりする関係もございまして、連続運転がなかなか難しかったりというようなことがございます。そういうことで、小さなプラントでございますから、必然的に処理コストというのも高いわけでございます。  その中で、私どもは今、プラスチックの技術のより高度化、より安いコストでもって処理できるようにしようというような技術開発を考えております。そういうような技術開発をやるための準備期間というのはどうしても必要だということで、今回の場合は、PETボトルを除きまして、その他のプラスチックというのは若干おくらせていただいたという次第でございます。  ですから、物理的に見ますと、先ほど先生がおっしゃいましたような例があるわけでございます。さらに、産業廃棄物から出てまいります比較的組成が統一されているようなものといいますのは、また処理が非常に簡単だというようなこともございます。  そういう技術的なことを背景といたしまして、さらに再資源化を進めます際には、いわゆる油化設備の整備というのが必要になってまいります。ですから、さらにそのための時間も必要だということでございますが、若干時間をいただくことによりまして、より経済的なリサイクルの仕組みというのが構築できるだろうと考えております。
  60. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 今もちょっと話がありましたが、まず第一のかぎは、やはり分別収集がいかにうまくできるかどうかというところだと思うのです。  今いろいろと異物がまじっておるというような話でしたが、私が言いましたように、安来市の場合は、私もちょっと現場を見る機会がなかったものですから、さっき言いましたように絶対の自信はありませんが、洗って透明な袋に詰めて分別収集しているということですから、他のまじりものがあって処理に非常に問題がある、こういうことでは余りないようであります。そういう意味で、分別収集がちゃんとできるかどうかということが大変大きなかぎじゃないか、こう思っておりますので、ぜひひとつそういうことをちゃんと自治体に対して指導をしていただきたい、こういうことをお願いをしておきたいと思います。  次に、そういうことに関連をいたしまして、リサイクル施設の整備等に対する助成というか、手当てというか、こういうことについてどういうふうにお考えになっておるか、お聞きをしたいと思うわけであります。今の安来市の例で言うと、プラスチック類一トンを処理するのに一億円と言うたかな、それぐらいの施設をしなきゃいかぬ。実際にはもう少し下がるようですが、どっちにしてもそういう処理施設の整備にそれなりに金がかかると思うわけであります。そういう意味で、そういうことについて本法の施行に伴いましてどういうふうな措置を考えられておるのか。  あわせて、民間主体にこれをゆだねることの是非について。さっき不法投棄の話もちょっとしましたが、やはり民間業者だけにゆだねるということは非常に問題が出てくるのではないかということを心配しておるわけですが、この点についてどういうふうにお考えになっておるか、承りたいと思います。
  61. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 先ほども申しましたことの続きでございますが、油化技術の開発といいますのはいろいろな人が今手をつけております。プラントメーカーあり、エンジニアリングメーカーあり、さらにこういうような再資源の専門のメーカーあり、そういう方々に実際には設備をつくっていただくというようなことになるわけです。  特に今ここで話題になりました油化について申しますと、通産省では、ことし、来年にかけまして、要素技術というか、触媒とかいろいろなそういうような技術の開発を進めてまいります。その技術をベースにいたしまして実用化規模でのプラントといいますのをつくっていただくというか、自治体とかその辺と協力しながらつくってまいりたいと思っております。それをもちまして、いわゆる実用化のための実証実験というのがやられることになります。これをほぼ三年ぐらいと考えているわけでございます。ですから、三年経過しますとプラント自身は現実に実用化プラントとして使うわけでございますが、そういう技術といいますのがさらに広がって、ほかでもプラントが建設されるというような手順になっていくわけです。  先ほど先生おっしゃいましたように、トン当たり一億円弱というように、結構資本装備率の高いといいますか、値段の高いプラントになってまいりますから、そのためにはいわゆる政府の財政的な支援というのが必要だろうなと思っておりますし、現在そういうようなリサイクルの設備につきましては開銀の融資とかいろいろな手だてをしております。ですから、そういうようないろいろな手段、政策といいますのをより手厚くやっていく必要があるだろうと思っております。  さらに、民間でやることにつきましての問題でございますが、こういうような立派なプラントをつくって、そこのプラントを使わずに不法投棄するなんて、これはもってのほかでございますから、その辺は厚生省と一緒になりまして、決してそういうことのないようなことを考えていきたいと思っております。
  62. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 もう時間が来ましたので、あと二つほどまとめて質問します。  まず一つは、輸入品と国産品の扱いについてどう考えられておるのか。円高を背景にしまして、食品などを含めて今非常に輸入品が増大をしているわけであります。そういう輸入品と国産品との公平な扱いがちゃんとできるのかできないのか。いろいろな問題がありますが、その辺どうか。それから、輸入品は、少人数というか、小さい規模でも物によっては大量に輸入することもあるわけでありまして、そういうことを踏まえながら公正な扱いができるのかできないのか、扱いをするためにどうしようとしているのか。その点をまず一つ。  それからもう一つは、農林水産委員会の代表ですから、農家、農協の扱いはどうなるのか。法文上は余り明確でありませんが、農家や農協なども当然、法第二条第十一項第四号の一定の小規模事業者の適用除外、附則第二条の中小企業者の三年間の適用猶予の対象となると考えてよいかどうか。この点を最後にお伺いしたいと思います。
  63. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 最初の御質問でございますが、輸入され販売される商品につきましては、容器包装商品を入れる等の行為を行う事業者、あるいは容器包装を製造する事業者は国内に存在いたしません。ということで、本法案では、輸入品について国内品との不公平が生じないよう、容器包装に入れられた商品等や容器包装そのものを輸入する事業者に対して再商品化義務を課しております。  それから、小規模企業者の適用除外については、輸入業者を含め中小企業基本法に定める小規模企業者であって、一定の売上高を超えて大きな売り上げを上げている事業者、例えば小規模企業ですと、定義上は販売業者ですと五人以下となっておりますが、仮に三人ぐらいの従業員で非常に大きな売り上げを上げている輸入業者については対象となりませんので、そういう意味で制度上不公平が生じていない。対象とならないという意味は小規模企業として適用除外にならないという意味で、制度上不公平が生じておりません。  それから、二番目の御質問でございますが、本法案においては、今御説明しましたように、中小企業基本法に定める小規模企業者等であって、一定の売上高以下の者についてはその事業内容にかかわらず適用を除外、それから中小企業については義務猶予ということでございますから、農家やあるいは農協につきましても、この要件に該当する限り対象事業者にはなりません。
  64. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 時間が来ましたから終わります。ありがとうございました。
  65. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 高見裕一君。
  66. 高見裕一

    ○高見委員 厚生大臣にお伺いをいたします。  前回、五月二十六日に商工委員会質問をさせていただきました際に、我々の危惧をしておりました部分について明快な御答弁をいただきました。例えば、市町村分別収集計画に従って収集した分別基準適合物はすべて再商品化されるということや、市町村分別収集計画を策定する際には国がそれ以上集めるなという指導を行わないこと、油化施設やストックヤードについても整備を進めるなど、政府としても真剣に資源循環型社会、持続可能な社会に向けての取り組みを行おうとする姿勢が十分に感じ取れたと私は思いました。  今回の法案にはさまざまな背景があり、調整にも御苦労されたと思うのですが、取りまとめを行われた厚生大臣に今回の法律の背景と所信、いわばこの法をもって何をなさんとしておられるのか。この法に込められたビジョンや思想というふうなものをお聞かせいただきたいと思います。
  67. 井出正一

    井出国務大臣 本法案に対しての御評価、この間の商工委員会で御質疑くださったそうでありますが、ありがとうございます。  一般廃棄物減量化に向けた市町村等の努力にもかかわらず、生活様式の多様化や消費者意識の変化等に伴って、今や一般廃棄物の排出量は年々増大してきております。平成三年度では約五千百万トンに達しております。また、一般廃棄物最終処分場の容量の残余年数は大変逼迫してきております。平成三年度現在、全国平均では八年未満、首都圏では五年未満であります。加えて、新たな最終処分場の確保というのが大変困難にもなってきておりまして、一般廃棄物減量化、またリサイクルは急務となっております。  一方、限られた資源有効利用という観点から見ますと、平成三年度現在、一般廃棄物リサイクル率は、産業廃棄物が三九%であるのに対して、わずか三%という低い段階にとどまっており、リサイクル促進を図ることが資源有効利用といった国民経済の発展のためにも極めて重要であるわけでございます。  今回のこの新しい法律は、これらの背景を踏まえて、関係審議会の検討や公共投資基本計画、さらには、昨年末に制定されました環境基本計画に示された方針を具体化したものでございます。  この法案消費者、それから地方公共団体事業者参加していただき、三者の役割分担のもとに、今までのような大量生産大量消費大量廃棄といった生活システムを変えて、二十一世紀に向けた廃棄物循環型社会の構築に取り組もうとするものでございまして、市町村を初め関係者の熱い期待にこたえるものだと考えております。したがいまして、ぜひとも早期に成立をさせていただきたいと思うところであります。
  68. 高見裕一

    ○高見委員 通産省お尋ねをいたします。  前回の質問でも取り上げさせていただいたのですが、今回の法案のかぎとなるのは、その他プラスチック処理がどのような形で進むかにあるのではないかと思います。前回も御答弁をいただいたのでありますが、そのあたりがいま一歩言葉として明快ではなかったので、もう一度質問をさせていただきます。  その他プラスチックに関しては、単にそのまま燃焼させるということではなく、再商品化義務量を全量油化するということで間違いないのか。端的にかつ明確にお答えをいただきたいと存じます。
  69. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 従前より市町村において行われてまいりました他の可燃性廃棄物とともに、また分別して、プラスチック容器包装廃棄物を燃焼させ、必要なエネルギーを回収利用するということは何ら制限されるものではございませんが、本法案におきます義務履行形態としての再商品化ではございません。  本法案における特定事業者の義務履行形態としての再商品化につきましては、今回御質問のその他プラスチックでございますが、そのプラスチックを使いまして、そのままプラスチックに戻して使用するという場合も考えられます。ただ、一般家庭から出てまいります。その他プラスチックといいますのが分別されて排出されるのは現実的に非常に難しいことでございますから、その中心になりますのは油化を想定しているわけでございます。
  70. 高見裕一

    ○高見委員 もう一度お尋ねいたしますが、要は、サーマルリサイクルではなくて、基本的には油化であるということですね。それを進めるのだということですね。
  71. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 基本的には油化でございます。
  72. 高見裕一

    ○高見委員 そこを担保したいと思います。  今回の法案では、小規模事業者に関しては、徴収コストの関係や零細企業に負担させるのが適当かどうかという観点から義務免除ということになっておりますが、その要件については政令で定めることとしておられるようであります。現状ではどのラインを義務免除のラインとして想定しておられるのか、お答えをいただきたいと存じます。
  73. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 本法案におきましては、義務の対象から除外する中小企業基本法第二十二条に規定する小規模企業者その他の政令で定める者であって、政令で定める売上高以下の者については適用除外ということにしておりますが、今、先生の御質問にありましたように、今後政令を策定する段階で確定したいと思っておりますが、小規模事業者のうち販売業については、現在のところ、売上高を年間約七千万円程度にしたいと考えております。これは今後精査して確定したいと思っております。その他製造業等についても、今後いろいろと小規模企業の売上高等を見ながら検討してまいりたいということでございます。
  74. 高見裕一

    ○高見委員 七千万円程度を想定されておられるというお答えでございましたが、これではいわゆる零細企業だけではなく、そこそこの規模の企業も含んでおるのではないかと思います。確かに、家族で細々と経営しているようなところにいきなり義務を課するということは問題が起こる可能性がございましょうが、一方で、公平な負担の見地から、できるだけ多くの方々にこのシステム参加してもらうということも必要かと存じます。例えば、環境問題で水質汚濁の問題を考えても、すそ切り部分について余りに甘い基準を設けたがゆえに後々問題が生じてしまうというようなことが実際に起こっておると認識をしております。  したがって、この法案の場合にも、ごみゼロ社会を目指す一環として制定をされる、資源循環型社会を目指す一環として制定をされるのであれば、一度にすべての事業者を完璧な義務者に加えるのは不可能であるとしても、徐々に対象を拡大する必要があるのではないでしょうか。そのあたりの考え方あるいは方針というものを通産省からお答えいただきたいと存じます。
  75. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 小規模事業者を本法案の義務の対象にした場合の小規模企業者の手続面での負担、あるいはその行政効率の観点から費用対効果を考慮した結果、一定の小規模事業者を本法案の義務の対象外としたところでございますが、ただいま先生御指摘のように、本法案の義務の対象となる小規模企業者の範囲については、将来的には費用対効果を考慮しつつ売上高基準を漸次引き下げ、本法が適用される範囲を広げる方向で段階的には見直すことを考えたいと思っております。
  76. 高見裕一

    ○高見委員 大変よいお答えでございますが、重ねて通産省にもう少しお尋ねをいたします。  今後のごみゼロ社会資源循環型の持続可能な社会を目指す場合には、市民や企業が自主的に参加して廃棄物を減らすということも必要になってくると思います。というか、今もそうでございます。その意味で、義務免除を受けている零細企業も積極的にこの法律システム参加をしてもらうということが必要かと存じます。  この法律は、そのような義務免除者が任意に私はやりたいと手を挙げた場合、任意にこのシステム参加する者を拒むものであるのかどうかという点と、義務免除者に対して国としてどのように任意での参加を呼びかけるおつもりなのかをまとめて簡潔にお答えをお願いいたします。
  77. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 お答えいたします。  本法案においては、義務免除となる小規模企業者がみずからの判断で任意に再商品化を行うことを決して妨げるものではございません。したがって、仮に設立が予定されている指定法人が独自の事業として、特定事業者以外の者から再商品化の委託を受けることを行う場合には、指定法人を小規模企業者利用して再商品化を行うことも可能であります。国としては、関係事業者、地方公共団体に対し周知徹底をし、小規模企業者が任意で再商品化へ取り組むことを促進するよう努めたいと考えております。
  78. 高見裕一

    ○高見委員 私は、こういうシステムができたならば参加をしたいという小さい事業者の方々、心ある事業者の方々も大変多いかと存じます。その方たちの誠意、熱意というものを受けとめられる仕組みづくりをしっかりと御用意いただきたい、そのように存じます。  さて、続きまして環境庁お尋ねをいたしますが、ごみを減量するためには、ごみを出す消費者が意識を持って分別することも重要ではありますが、ごみになりにくい製品をつくることもまた重要ではないかと思います。その意味で、製品設計の段階から使用された後の処理処分に至るまでのことを考慮する製品アセスメントを実施することは、ごみ減量化する上での有効な手段であると思います。  LCAあるいはトータルエコバランスに対しては、国際的にはどのような取り組みがなされ、どのような研究が行われているのか。環境的な視点も含めて、環境庁に研究の成果を御答弁をお願いいたします。
  79. 石坂匡身

    石坂政府委員 ライフサイクルアセスメントのお尋ねでございます。これが一つの有力な手段であるというのはおっしゃるとおりでございます。  国際的に今どういう状況にあるかということでございますが、アメリカ、オランダ、スイスといったところが積極的な取り組みを行っておるところでございます。例えばアメリカでございますけれども環境保護庁、EPAでございますが、これが民間の研究機関と共同でLCAのプロジェクトを実施しておりまして、一九九二年にはLCAを実施するためにどのようなデータが必要かということにつきましての考え方をガイドラインとしてまとめるというふうなことをしております。  また、オランダにおきましては、環境省の支援のもとに、一九九一年からライデン大学の環境科学センターが中心となりまして、LCAの方法論に関するマニュアルを順次取りまとめるというふうな作業に取り組んでおりますし、また環境負荷を計算するために必要な資源使用量でございますとかエネルギーの使用量でございますとか、あるいは水質汚濁物質の排出量とか大気汚染物質の排出量、酸性化の原因物質の排出量などに関するデータベースの整備を行っておるわけでございます。またスイスでは、連邦内務省の環境局におきまして、容器包装材のLCAの手法の研究とデータベースづくりを行っておるという状況にございます。  また、委員も御案内かと思いますけれども、国際機関におきましてもいろいろな検討がなされておりまして、ISOにおきましては、一九九八年を目途に国際標準化の検討が行われておりまして、早ければ、九六年の秋には一般原則と手続、九七年にはインベントリー分析、九八年には環境影響評価、また九七年には改善評価といったものにつきましての規格を作成をしていくというふうな形で、さまざまな検討がなされておるところでございます。
  80. 高見裕一

    ○高見委員 海外の情勢をお尋ねをいたしました。  次に、国内の情勢について考えますと、例えば家電業界は家電製品アセスメントを実施することを平成三年に決定するなど、さまざまなところで製品アセスメントに対する取り組みが開始されていると聞き及びます。とにかく製品の設計・製造の段階において、処理の容易化及び再生資源として利用しやすい材料の使用、構造の採用、分別を容易にするための表示などを行うことによって資源有効利用を図ることはぜひとも必要になってくると思います。  環境基本計画の中でも、「リサイクルが容易な製品づくり」「製品の設計・製造段階で配慮」との記述もあり、日本でも製品アセスメントの検討を進めている部分は多いのではないかと思います。日本では、製品アセスメントやLCAあるいはトータルエコロジーバランスの検討はどのように行われているのか、お答えをいただきたいと存じます。
  81. 石坂匡身

    石坂政府委員 我が国の状況でございますけれども委員がただいま御指摘になりましたように、昨年十二月に閣議決定をいたしました環境基本計画におきましても、製品等の原料採取から廃棄に至る全段階での環境への負荷の評価の手法について調査研究を進めるということを一つのテーマとして掲げてございます。  環境庁におきましては、平成五年度にLCAの基本的な考え方を整理いたしました「考え方」というものを取りまとめまして、これを各方面に広く配布をいたしまして、考え方の普及を図っておるところでございます。これは、LCA制度の概要でございますとか基本ステップ、つまり基本要件の設定、データ調査環境負荷影響評価環境負荷改善評価といった事柄の考え方を紹介したものでございまして、そうしたPRに努める一方、現在ケーススタディー等を通じまして具体的な手法の検討、調査研究を実施しておるところでございます。  今後、さらにこの手法の確立に努めますとともに、データの整備につきまして検討を進めてまいりたいと思っておりますし、また、エコマーク制度というものが現在ございますけれども、その中にもなるべくLCAの考え方を取り込んでいきたいということで、ただいま検討をしておるところでございます。  また、産業界や大学におきましても、LCAの調査研究といたしまして、製品、製法等の変更、改良に伴います環境負荷の増減を評価いたしますケーススタディーを、さまざまなものを行っております。そうしたいろいろな取り組みがなされておりまして、鋭意いろいろな角度から努力しておるところでございます。
  82. 高見裕一

    ○高見委員 もう六年ほど前になりますか、スイスで牛乳パックの新しいものを見て、塩ビでつくってあったのでどうしてだと聞くと、こちらの方がトータルエコロジーバランスにすぐれていると言われまして、あっと思ったことがあります。現状でLCAの考え方をいきなり広範に導入するのはまだまだ困難な部分があるかとは思いますが、環境負荷をできるだけ少なくするための努力、例えばごみになりにくい製品のあり方、つくり方を模索するという意味で製品アセスメントを実施するとか、今できることを少なくとも推進することは必要でしょうし、LCA、ライフサイクルアセスメントに関しましても、現在の導入はすぐには困難であるとしても、将来的な課題としてたゆまざる研究を続けていくことは当然重要なことかと存じます。  世界の趨勢に取り残されないためにも、また今後の日本のアイデンティティーをしっかりと確立をしていくためにも、研究体制をどのように充実させていくのか、環境庁にお答えをいただきたいと思います。またあわせて、通産を初め他省庁との連携も当然重要になるかと思いますが、そういった研究成果を共有していかれるのかどうかもお答えください。
  83. 石坂匡身

    石坂政府委員 この問題につきましては、委員指摘のように、政府内部、それから研究機関あるいは産業界、これが連携をして研究を進めていくことが大変大切であると思っております。  私どもといたしましては、今後、LCAの手法の検討、マニュアルの整備等をやってまいりたいと思いますし、データベースの整備といったいわばLCA実施基盤の整備ということ、これの努力をしてまいりたいと思っております。また、普及方策あるいは消費者への情報提供、環境保全商品の推奨、そういったことにも意を注いでまいりたいと思っておるところでございます。  また、環境庁の研究機関として国立環境研究所がございますけれども、ここでもしCAの研究を一層推進するとともに、この情報の交流を通じまして、研究機関や産業界における研究の促進にも努めてまいりたいと思っております。なお、国立環境研究所では、従来、製品中心のLCAの研究をやってまいりましたけれども、来年度あたりからはいろいろな、例えば輸送システムとか、そういったシステムまで含めました検討を始めてまいりたいというふうに考えております。     〔岩垂委員長退席、阿部委員長着席〕
  84. 高見裕一

    ○高見委員 この法案成立によって、容器包装廃棄物については一定の方向性が示され、ごみゼロ社会に向けて大きな壁を破り、画期的なスタートを切っだということが言えるかと存じます。  しかし、家庭から排出される一般廃棄物は、容器包装廃棄物だけにとどまらず、紙、家電製品、さまざまなものがあり、それらの問題も今後解決するべき課題となってくるのは当然でございます。しかも、遠い未来の話ではなく、本当に目前の課題ということは間違いなく言えるのではないでしょうか。したがって、この法律案成立をもって満足するべきではなく、積極的に他の一般廃棄物に関しても対応策を今のうちに考えておく必要があるのは当然かと存じます。ドイツにおいても、包装材を皮切りに、自動車、電気・電子製品を続けて制度化するという政策プログラムが既にでき上がっております。  その意味で、厚生省として、容器包装廃棄物以外の一般廃棄物、特に紙や家電製品など暮らしに身近なものに関して今後どのように対応していくおつもりなのか、できるだけ具体的に御答弁をいただきたいと思います。ショートタイムでお願いします。
  85. 藤原正弘

    ○藤原政府委員 今回の法律案は、一般廃棄物最終処分場逼迫状況にかんがみ、最も効果が大きい容器包装を対象としたものでございます。  それ以外の廃棄物対策について御質問でございますが、例えば厨芥につきましては、これを堆肥とするコンポストというようなことを進めていくというようなことも必要ではないかということで、その施設整備等につきまして努めておるところでございます。  また、新聞、雑誌等の古紙につきましては、これが廃棄物として排出されるようになってくる場合につきましては、生活環境審議会から、事業者市町村の協力による新たなシステムの導入を検討する必要があると考えられるという報告書がまとめられておりまして、このような報告書も踏まえつつ適切に対応してまいりたいというふうに考えております。  さらに、電化製品等のごみの件でございますが、廃棄物処理法に基づきまして、指定一般廃棄物という制度がございます。これはいわゆる適正処理困難物というものでございますけれども、この指定一般廃棄物に、例えば廃大型冷蔵庫だとか廃大型テレビというようなものが指定されておるわけでありますが、この指定一般廃棄物の制度によりまして事業者の協力義務が定められておるところでございます。したがいまして、当面この制度の有効な活用等によりまして対応をしてまいりたい、このように考えております。
  86. 高見裕一

    ○高見委員 より一層広範な、そして深い取り組みを強く希望するものでございます。  時間がなくなってきたので、通産省はちょっと置いておいて……。  この法案のもとに基本方針が策定をされ、その主務大臣として環境庁長官も入っておられると思います。環境庁長官お尋ねいたしますが、基本方針では「排出の抑制のための方策」や「環境保全に資するものとしての分別基準適合物の再商品化等促進の意義に関する知識の普及に係る事項」を定めることとしており、環境的視点からの環境庁長官の果たさなければならない役割は重要であると考えます。  また、昨年閣議決定をされた環境基本計画においても、廃棄物リサイクル対策考え方として、第一に廃棄物発生抑制、第二に使用済み製品の再使用、そして第三に、回収されたものを原材料として利用するリサイクルを行い、それが技術的な困難性、環境への負荷の程度などの観点から適切でない場合、環境保全対策に万全を期しつつエネルギーとしての利用を推進するとしており、今回の法律環境負荷を軽減させるシステムになるような配慮が必要になってくることは確実ではないかと思います。  基本方針の策定に関して環境庁はどのような形で取り組もうとしているのか、どのような点を具体的に主張していこうとしておられるのかお聞かせをいただきたいと思います。
  87. 宮下創平

    宮下国務大臣 御指摘のように、今回の法案は、廃棄物リサイクル対策として、私ども環境基本計画の中で循環型社会をつくるために非常に重要なものだと位置づけて、評価をいたしております。  この法案の三条にもございますように、基本方針の策定について環境庁長官主務大臣ということになっておりまして、この点は何項目かに分けて基本方針が定められると存じますけれども、今委員の御指摘のように、主として、私どもとしては、容器包装廃棄物の排出抑制、あるいはリユースの問題、そういうことに関する事項とかあるいは分別基準適合物の再商品化促進の意義に関する知識の普及とかあるいは啓発、そういうことを主たる項目にすると思います。  そういった面を通じまして、今委員の御指摘のように、発生抑制、あるいは再利用、再使用、あるいはリサイクル適正処理というような原則に沿って、それが実効が上がるようにしていきたいし、基本方針を一たん定めたからもう定めっ放していいということにならないので、基本方針に適合しないような現実があれば、やはり基本方針の精神に沿って実効性ある措置を私どもは適宜勧告、勧告といいますか申し出て、そしてその運用を全うしていきたい、このように私は考えております。
  88. 高見裕一

    ○高見委員 時間がございませんので、三大臣それぞれにお尋ねをいたします。まとめてお尋ねすることをお許しくださいますようにお願いいたします。  まず、通産大臣お尋ね申し上げます。  この法案が持続可能な社会構築へ向けての第一歩を踏み出すためにも、法律成立後の運用リサイクル産業をいかに育てるかが重要になってくるのでありましょう。その意味で、資源循環型社会の構築に向けて通産省の果たすべき役割はますます大きくなってきていると存じます。この法律が円滑に施行されるようにあらゆる施策を講じて、バックアップをお願いをしたいと思います。通商産業大臣のこの法案の円滑な施行についての御決意をお伺いをいたします。  厚生大臣にお伺いいたします。  さらに、この法律は基本的に廃棄物の減量、究極的にはごみゼロ社会を目指す法案でありますから、ごみ資源として使えるようにどのように回収を行うのか、市民ごみに対する意識をどのように高めていくか自治体に過大な負担をかけないため、リサイクル業者育成廃棄物再生設備の整備をどのように行っていくのかなと、まだまだこの法律施行されるまでに講じなければならない施策も数多くあるように思います。  この法案をまとめる際に、私たちも随分主張をさせていただき、厚生大臣には取りまとめに御苦労をおかけいたしましたが、それもこの法案を本当に環境負荷を低減し、資源循環型社会を目指す法律にしたいという強い信念と意志があったからであります。大臣も同じ思いを共有されていると確信をしておりますが、御決意のほどをいただきたい、このように思う次第でございます。  最後に、環境庁長官お尋ねを申し上げます。  私は大学時代からずっとリサイクル運動をやってまいりました。その間、日本の廃棄物はふえ続け、環境問題は一向に減少する気配を見せませんでした。私も大量生産大量消費大量廃棄社会転換させようと市民レベルで尽くしてきたつもりでありますが、残念ながら、我が国全体の意識の変革には至っていないというのが現実であります。しかし、この法律によって、この国の国民の価値観を変革をしなければいけない。この国を真の意味での環境負荷の少ない、持続可能な社会にしなければならないと強く感じております。環境庁には、この法律がそのための足がかりになるように、しっかりと御尽力をしていただきたい。  ちょうど昨日、環境白書が発表されました。実に感動的に私は読ませていただきました。これで環境行政の座標軸がはっきりしてきた。土の命というふうなことまでしっかりと書き込まれている実にすばらしい白書ができたなというふうに思っておりますが、長官のこの法案施行に当たっての御決意をぜひいただきたい、そのように思います。よろしくお願いいたします。
  89. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先般商工委員会で申し上げましたことは、重複を避けたいと存じます。  しかし、この法律案が、産業構造審議会あるいは生活環境審議会を初めとして、多くの関係者の非常に緻密な議論の成果として、消費者市町村及び事業者役割分担考え方に基づいて取りまとめられましたその経緯を考えますとき、私は、本当に消費者市町村事業者という国民全体がそれぞれ自分の役割というものについて思いをはせながら、みずからの発意と工夫に基づいて積極的かつ具体的に行動していただくことが何より大事だと思います。  広報活動等も私どもも積極的に行っていきますが、本法律案の趣旨、内容について国民に対し一層の御理解を求めるとともに、リサイクル型の社会というものが確立されるように全力を挙げてまいりたい、そのように考えております。
  90. 井出正一

    井出国務大臣 これまでの廃棄物処理は、廃棄物を燃やして埋めることを基本としてきたところでございますが、二十一世紀に向けて、御案内のような深刻化する地球の環境問題、さらには限りある資源考えましたときに、人類の持続といいましょうか、あるいは存続のためにも、これからは廃棄物をできる限りリサイクルしていく循環型の社会の構築を目指していかなくちゃならない、政府もそういった目標を掲げているところであります。  この目標の達成に向けてこの法案は大きな効果をもたらすと考えておりますが、円滑なかっ確実な施行を図らなくちゃなりません。そのためには国民の皆さんの理解と協力がまず何よりも大事だということを十分認識しておりますから、広報活動その他を通じましてその面での努力に万全を期すとともに、市町村あるいは事業者の皆さんに対してもできる限りの応援をしてまいりたいと考えております。
  91. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員の御指摘のように、私どものこの工業化社会、現代の文明社会は、大量生産大量消費大量廃棄ということでございまして、今問題になっているのは、やはりこうしたライフサイクル等を通じまして環境への負荷がこの地球あるいは自然が消化し得る能力を超えつつあるという点に最大の問題点がございます。したがって、私どもはそういう意識で環境問題に取り組んでいきたいと思います。  本法案はその有力な一つの手法を提供するものだと存じておりますが、これだけで経済循環型社会が完成するわけではございません。少なくとも包装廃棄物という我々の生活に密着したものを通じてコントロールすることによって、我々の生存基盤である地球環境保全あるいは生活基盤を保持していくということでなければならないという強い決意を持っておりますことを申し上げておきます。  それから、委員から昨日閣議決定いただきました環境白書について高い評価をいただきまして、心から私もお礼を申し上げます。  環境庁としては大変意欲的に取り組んだつもりでございます。そして、古代文明と環境との関係、そして、その環境の状況を無視した文明が廃墟に帰しているというような歴史的事実もございますので、これを現代社会に適用した場合にどうなるかという問題意識を強烈に訴えたつもりでございます。  なお、特色としては、アジアにおける環境問題、これはもう最大の問題でございますから項目を設けるとか、あるいは、今我々の資源である土の問題についても今までにない分析を加えるとかいろいろの工夫を凝らしてございます。  問題は、環境白書ができたからこれでいいということではなくて、この環境白書の内容をより具体的にいかに展開するか。これは環境庁だけではできません。環境庁の企画調整能力をもってして各省の御協力を得なければできないことでございますから、私どももそうした視点で真剣にひとつ取り組んでいきたい、かように思っております。
  92. 高見裕一

    ○高見委員 ありがとうございました。実に確実で深い御答弁をそれぞれの大臣にいただいて感謝を申し上げます。新しい、本当に大きなパラダイムシフトのきっかけになる法律かと思います。ぜひ各省庁一丸となって、より一層の御研究をお願いをいたします。  ありがとうございました。
  93. 阿部昭吾

    ○阿部委員長 鴨下一郎君。
  94. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 昨日、五月三十日というのはごみゼロの日だそうでございまして、その中で、今環境庁長官がお触れになりましたように、環境白書が発表になりました。その中の一文に、我々の社会ないし文明が地球的規模での限界が見えつつあること、そして、それを乗り越え人類が存続していくためには、限られた資源及び環境の中で持続可能な活動を行っていく必要があるということについては、持続可能な開発という言葉をかぎとして国際的な合意を得るに至っている、こういうようなことがございます。問題はその考え方を具体化し、行動していくことである。そのことによって、我々の文明が人類共通の生存基盤である有限な地球環境を将来にわたって維持し、環境の恵沢を将来の世代が享受できるようにしていかなければならない。  この持続可能な開発の概念は地球サミットに引き継がれ、行動計画としてアジェンダ21が採択されたわけでございます。現在、国際社会はアジェンダ21に盛り込まれた幅広い行動課題を着実に実行していくべき過程の中にありまして、そのフォローアップのために設置された持続可能な開発委員会、いわゆるCSDと言われておりますが、それが国連で毎年開催されています。これらを受けて、我が国においても平成五年の十一月に、地球環境時代の新たな我が国環境政策の理念を定めた環境基本法が成立したわけでございます。  私はこのちょうど一年前の五月二十五日から開催されました国連の持続可能な開発委員会、いわゆるCSDに、羽田内閣の政府代表として出席してまいりました。この会議上で、地球環境と持続可能な開発という観点では、先進国は既に過剰生産、過剰消費であり、ライフスタイルを早急に変えるべきであるとの意見が各国の大臣から出されまして、非常に私自身、印象深く感じたわけでございます。  持続可能な開発の推進と実践こそが国際社会から尊敬される日本への道であり、環境分野での日本の国際的なリーダーシップの発揮がすぐれて平和的な国際貢献の方策であるというふうに私は考えます。日本政治の資質が今世界から問われているわけでございますが、これら持続可能な開発をみずから実践することが日本のあり方なんだろうと思います。  アジェンダ21の項目に「廃棄物発生をできる限り少なくすること」という項目がございます。「社会は、山のように大量に廃棄される製品や材料を、いかに処理するかという問題に効果的に対処する方法の開発を求めている。各国政府は、産業界、家庭及び国民とともに、以下の方策によって廃棄物を抑制するために一致協力すべきである。」一つには、「工業プロセス及び消費においてリサイクルを奨励する。」二に、「製品の無駄な包装を少なくする。」三に、「環境上より適正な製品の導入を奨励する。」  この行動計画の日本国内における一つの具体化が本法案の趣旨であると私は考えておりますが、この問題につきまして、このような世界の潮流の中で本法案をどのように位置づけているか、そのことに関しまして環境庁長官通産大臣、厚生大臣、それぞれの御意見伺いたいと思います。
  95. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員の御指摘のように、地球環境問題が全世界的な問題として包括的に討議されたのは、ブラジルのリオにおける一九九二年の地球サミットでございました。そしてその間の詳細は委員が今御指摘のとおりでございます。アジェンダ21がつくられ、そしてそのアフターケアをやるためにCSDが行われております。委員も昨年御出席されたようでございますが、私もことし第三回目のCSDには出席してまいりました。  各国のこの地球環境問題に取り組む姿勢というものほかなり真摯なものがございます。そして、私どもはこうした大きなグローバルな視点に立つと同時に、国内における行動計画をきちっとしなければならないと存じます。温暖化防止の締約国会議もベルリンで四月の初めに行われましたけれども、それも国内の行動計画は先進国でそれぞれ果たさなきゃならぬということが前提になっております。  そういう意味で、地球環境問題はいろいろな面で非常に多岐にわたっておりますが、この循環型社会の構築という意味では、本法案は極めてその具体化を示したものとして私は高く評価をしていきたいと存じております。  そういう意味で、ぜひこの法案を早く成立させていただき、そして、実施についてはまだまだいろいろ考慮すべき問題点が、あるいは実施上の細目を詰めたりして我々の市民社会の中でこれが実効性あるためにはかなりいろいろ問題があると存じますけれども、この問題を処理していくことが地球環境につながるんだ、そして同時に我が国の平和的な地球環境問題についての貢献につながるんだということを国民の皆さんが、各主体がやはり認識していただけるように私どもとしても努力していきたい、かように思っております。
  96. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先日同様の御質問商工委員会で受けましたとき、私は昭和四十五年秋の、今俗に公害国会という呼び名で記憶されております臨時国会を顧みて、みずからの先見性のなさを恥じるという御答弁を申し上げました。この国会は、ある意味では我が国環境行政に大きな転換点を来した臨時国会であり、現在の環境関係の法律の大半はこのときに整備された国会であります。  しかし、私は実はその当時、厚生省の政務次官でありましたが、当時厚生省の公害部の二人の課長から、ごみの問題を公害問題として、環境問題としてとらえるべきだという提起がありましたことを、その当時マスコミも学者も行政の大半も、そして世間全般も黙殺したこととあわせて、その先見性に改めて深い敬意を表するということを申し上げました。もしこの公害国会の時点におきまして、当時厚生省の二人の課長さんが提起をされたようにごみの問題というものを、廃棄物の問題というものをきちんと位置づけておったなら、恐らく我が国は大きく変わっていたと思います。  しかし、その翌年我々は環境庁を創設して、まさに公害問題というものに真正面から取り組まなければならなくなりました。環境庁創設二十周年の年、その年の環境白書は、二十年前を振り返り、その当時我が国が行いました投資というものが一体我が国経済にどのような影響をもたらしたのかを分析をいたしました。そして、これは非生産的経費でありながら、結果として成長のマイナスにはならなかった、むしろ新たな産業需要を創出した部分もあるという指摘がなされたところであります。  そして、その翌年の環境白書においては、環境庁の諸君の作業により、それは一体どういうインセンティブで、例えば企業を引きずり込んでいったのかそして企業はどういう形で環境という問題をとらえ、これを試作品から製品に移しかえていったのかそのプロセスにおける国の役割は何だったのかこうしたことを分析されました。私はこの分析の中に我々が学ぶものが多くあったことを今も記憶をいたしております。  そして今回、このリサイクル法というものを世に問うことによりまして、私どもはもう一歩新たな時代に踏み出そうといたしております。この法律を円滑に生かして使ってまいりますためには、国民にも、もちろん事業者にも自治体にも御協力をいただかなければならないわけでありますが、これを運営していきます上で将来何らかの工夫を必要とするならばその答えは我々の過去の経験の中にある、そのように考えておりますし、その教訓は日本ばかりではなく他の国々にも生かされていくもの、そのように考え、私自身この通産行政というものの中でも将来に向けての取り組みを続けてまいりたい、そのように考えております。
  97. 井出正一

    井出国務大臣 鴨下委員指摘のようなアジェンダ21以来の流れ、またこの法案の位置づけ、私も同感でございます。この新しい法律は、一般廃棄物の多くを占める容器包装廃棄物リサイクルを進めることによって廃棄物の焼却処理を減らすとともに、最終処分場を必要最小限のものとすることでありますが、そのことは、結果的には環境への負荷の低減とかあるいは地球環境保全に著しく寄与するはずでありますし、またこのことを通じて、今までの大量生産大量消費大量廃棄という生活システムからの転換国民全体で意識し、また転換を図っていくことが強く期待されると思うのであります。
  98. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 三大臣はそれぞれのお言葉で、環境志向型の国づくりをしていきたいというようなことをおっしゃったのだろうと思います。当法案の「目的」の中に、分別基準適合物の再商品化促進すること等、一般廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用などを通じて、廃棄物の適正な処理及び資源有効利用の確保を図りというようなことがございますが、その中にさらに、事業者の責任、それから一般廃棄物発生抑制、それから資源やエネルギーの有効利用というような観点でまだ十分でない部分があると私は思います。  本案は、分別収集と再商品化を目的としているわけでございますが、本来の重要な目的は、先ほど三大臣がお答えいただいたように、環境負荷をどう少なくしていくかということであろうというふうに考えています。そもそもこの法案厚生委員会環境委員会で審議されずに、商工に付託されたということの中には、環境問題であるべき取り組みが、再商品化促進というような、従来からの言ってみれば経済至上主義的な産業政策にウエートがかかっていたのではなかろうかと、ある種勘ぐらざるを得ないわけでございます。  先ほど通産大臣は、産業の育成とともに環境が重要だというふうにお答えになりましたが、重ねて申し上げたいと思いますが、日本はエネルギー、資源などすべての分野において過剰消費のライフスタイルがもう既に存在するのだろうというふうに思います。本法案で問題になっています中身メーカー、特に中小事業者の保護も重要であることは重々理解するわけでございますが、環境志向型の国づくりを今や国民生活者の立場で望んでいるのだろうと思います。  自然や環境は未来の子供たちからの預かり物である、こういうような考え方がございますが、山歩きがお好きで自然をこよなく愛する一人の政治家として、どの程度環境負荷の少ないライフスタイルをつくっていき、より自然に恵まれた豊かな日本を子孫に残す、こういう目的において私はこの法案、若干産業優位に振れているんではなかろうかというふうに懸念しているわけですけれども、お考えをお聞きしたいと思います。
  99. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、今の委員の御質問を大変残念な気持ちで拝聴をいたしておりました。先ほど来厚生大臣から御答弁がありましたように、我が国の最終処分地自体が新たな場所を求めるのが非常に困難な中で、首都圏等は五年弱と言われる状況にあります。その中におきまして、廃棄物の中に占める割合として非常に大きな容器包装というものを取り上げ、技術的に可能な分野からこれをリサイクルしていこうという考え方が産業優位という視点で委員の目に映りましたなら、この視点は変えていただきたいと私は思うのであります。  もしこれを放置してこのままの状態を続けますならば、我が国の最終処分地は、八年弱と言われているものが、恐らくそれだけの期間はもたないかもしれません。逆にフェニックス計画等は、私が厚生大臣のころから議論の対象になりながら、なお海洋汚染との絡みあるいは海洋資源の保護、自然保護という視点から実行に移せずにいる問題であります。そして私は、資源再生というものが産業保護という視点からとらえられるということは、これは間違いだと思います。むしろ、資源を有効に利用し、将来に少しでも自然を残していく上でも、私は、再生資源を活用するという方針は今後ともに持ち続けるべき考え方だと思います。  私は、もともと日本という国はそういう考え方のあった国だと思います。少なくとも古紙回収において、これは現代の日本だけではなく、むしろ徳川時代からこの仕事というものは定着をしておりました。そして再生紙は、再生紙といったような言葉ではなくて使われていたことは委員も御承知のとおりであります。また、金属回収といったものも一つの業として成立していた国であります。第二次世界大戦後において、そうした国民の意識にどこで変化が生じたのかはわかりません。しかし、いつの間にか大量生産大量消費大量廃棄という社会をつくってしまった責任というものは、我々すべてにあろうかと存じます。  そして、理想を追求するならば、今回のこの法律案においても中小企業すべてを対象にする方が望ましいのかもしれません。しかし、それは同時に、中小零細の企業者生活を破綻に追い込むことにもなりかねません。先ほど審議官から御答弁をいたしましたように、できる状態になり次第、徐々に我々はこれを広げていこうといたしております。  しかし、大気汚染防止法の歴史をお調べいただいてもおわかりのように、我々は、やはりまず多く発生する部分をとらえてこれに対策を講じ、順次次のステップを踏んでまいりました。今、移動排出源としての自動車の排ガス規制というものが現実のものとして着実に実行されるようになったことを、私は環境庁という役所が生まれます前から環境行政に携わってきた一人として、それだけの時代の移り変わりというものをかみしめております。しかしそれだけ、例えば自動車の一台一台の排ガス規制は行われましても、残念ながら都市における大気汚染というものが減少しない、問題はそれだけ変質をいたしました。  我々は時代の移り変わりに、そのときそのときに応じて、将来に向けての対策をつくっていく努力は必要であろうと思います。そのような視点から今回のリサイクル法は、できるぎりぎりの時点をとらえて我々としては国会に御提案をいたしたつもりでありまして、これが産業育成という視点でとらえられますならば、その視点は変えていただきたい、心からお願いを申し上げます。
  100. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今大臣がお答えいただいたように、私も、今まさに価値観そのものが変わりつつある時代なんだろうと思います。ですから、もちろん中小事業者等の方々を保護するというような観点通産省に必要な部分はもう重々理解しているわけですけれども、今まさに価値観を変えようとしている時代でございますので、今大臣がお答えになったように、これからある意味で産業よりも環境が必要な時代が来つつあるんだという御認識のもとに産業政策も進めていただきたい、このことをお願い申し上げたいと思うのです。  次に厚生大臣に申し上げますが、厚生省として、最終処分場が数年先に満杯になることを含め、ごみリサイクルの必要性が迫られているということを聞いておりますが、単なるごみリサイクルということだけでなく、全体的なごみの削減が問題なんだろうと思います。例えば仮に、最終処分場が過去にふやせる状況にあったときにはリサイクルをせずに処分場へ廃棄してきたわけでございますから、そのときには、例えば自然の状態の海岸が埋め立てられたり、結果的に自然を壊し、言ってみれば豊かな自然の一部が少なくなってきた、こういうような観点から見ますと、大きな意味では、目に見えない負のコストを大変多く払ってきたんだろうと思います。  この法案によってリサイクルが法制化されるわけでございますけれども、それによってごみの減量、最終処分場の将来計画に対してどのように寄与し得るのか、その点についての見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  101. 井出正一

    井出国務大臣 御指摘のように、今回の法案は、最終処分場の問題を解決し国民生活環境保全を図るため、一般廃棄物の中で多くを占める容器包装廃棄物について、消費者市町村及び事業者役割分担によってその減量化リサイクルを進めようとするものでございまして、今までの、単に燃やして埋める処理から循環型の処理への転換に向けて大きな一歩を踏み出したものと考えております。  確かに、最終処分場に、場所に困らなければこういうところまで来なかったということも御指摘のとおり事実であります。そういった意味では、こういう関心をもっと早くにみんなが持つべきだったという気持ちは私も持っております。  そしてまた、この法案成立してうまく施行されればそれで十分だとは決して思っておりません。今後さらに、生活環境保全を重視しつつ循環型の廃棄物処理体制の確立を図るためには、消費者あるいは地方公共団体事業者等、関係者意見を幅広く聞きながら、容器包装廃棄物以外の廃棄物についても、例えば廃棄物処理法に基づく電化製品その他処理困難なものについては事業者の引き取り等の協力を求める指定一般廃棄物制度の有効な活用を図るとか、あるいは、まだ具体的には固まってはおりませんが、いわゆる使い捨て製品といいましょうか、こういったものの対策も講じなくてはならぬと思っております。そういったさまざまな対策を講ずることによって減量化リサイクルの方策をさらに一層進めていかなくてはならぬと思います。  また御承知のように、昨年の秋には公共投資基本計画で、廃棄物循環型のごみゼロ社会を目指すということが目標として掲げられたわけでございまして、この法案もそれに向かって大きな一歩となるよう積極的に取り組んでいきたいと思います。  それから、具体的にどの程度減るんだというお尋ねでございますが、まずは、直接埋め立てされというか、各国が受け入れ準備を始めているところです。  時間の関係で細かくは申しませんけれども、結論から申し上げれば、いわゆるJIS規格制度、JISマーク認定制度というのは、御案内のとおり工業標準化法ですか、これに根拠を持つ。一定の物、一定の製品というものを品質的に一定のレベルを保証するあるいは担保するという一つのJISマーク制度というのがあります。ただ、それは日本におけるJISマーク、規格ということですよね。ところが、国際標準化機構、ISOが9000シリーズということで今それを国際規格にしようとしている、各国がそれに積極的に反応している。対応しているそれは、生産された最終果実としての物、製品、これがJISなんです。物の品質。この物をいわゆる生み出してくる生産システム、品質管理という言い方をしているのですよ。  ちょっと取っつきにくいのですけれども、工場があって、原料を仕入れて、加工して、成形して、それでいろいろあって最終的な完成品ができる。完成品そのものの品質を見るのがJISなんです。これができるまでのいわば工程、プロセスというかシステム、これが国際的に一つの規格を標準化しようというのがISO9000の試みなんです。システムを標準化しよう、国際規格として統一していこう。これに対する対応が日本は大分おくれているのです。  それで、こういう話になるのですね。それは強制じゃないのですよ。EU、あるいはイギリスでもいいです。日本の企業が取引してますよね。EUとか英国はISO9000という国際規格には非常に熱心に取り組んでいるものですから、強制ではないのですが、日本の供給業者あるいは輸出事業者が英国の企業と取引をしたい、そのようにオファーした。ところが、英国のバイヤーといいますか、契約の相手方からは、ISO9000とっていますねと、取引の条件でこれが出てくるわけです。とってなかったらISO9000規格とってください、そうすれば契約しましょう、おたくの産品を買い付けましょう、契約結構です、とってなきゃとってください、こうなるわけですよ。任意なんですけれども、結局とらざるを得ないのです、これは。ISO9000の国際規格をとらざるを得ない。  現にシンガポールとか台湾とかこういうNIES諸国、そこでは台湾、シンガポールの政府が公共事業を発注する場合には、ISO9000規格をとっているかというのを条件にしています。任意だからといってはかにしていますと、任意だからといって甘い対応をしていますと、既存産業のリストラやりました、ベンチャー育てました、ソフトウエアクライシス、クリアしました、しかし規格のところでやられるのです、今度は。規格のところで産業空洞化をクリアできなくなってくるおそれがあるのです。  それだけじゃないのですよ。これは環境管理の話で、来年発効するのですけれども、ISO14000シリーズというのがあるのです、そういう規格が。来年発効です。これは今度は環境管理なんです。環境をその企業がどういうふうに取り込んで、一つの国際規格としてそれがマニュアル化されていきますから、そうすると、それもやはり任意なんですけれども、取り組みがおくれますと、環境管理・監査のISO14000という規格をおたくの企業はとっていますか、とっていれば取引しましょう。とってなきゃとってくださいといったって、その場からとろうといったって、そんな簡単にいかないのです。手間暇かかります。人手もコストもかかるのです、資金も。ただ、先進諸国やあるいは経済が目覚ましく発展、成長し、躍動しているそういう地域、国々、これは真剣に対応しています。日本は大きく準備がおくれています。  産業の空洞化を論ずるときに、私は、アプローチの仕方はいろいろあると思います。ただ、このソフトウエアクライシスのクリアと、しかもそれをクリアしたと仮にしても、国際規格、標準の問題で対応を誤りますと、我が国の産業は全体的に物すごいダメージを受けますよ。これは問題提起をきょうはさせていただきます。時間があったら二時間でも三時間でも議論させていただきます。これは大変なことになります。  しかも、それは通産省の工業技術院が対応しているのですよ。工業技術院がここを所管しているのです。ところが、大臣、ボランタリーなんです、この国際規格とか標準という話は。強制力がないのですね。ないものですから、ちょっとこれ弱くなって今までいたのだろうと思うのです。  もう一つは、ボランタリーであるがゆえに、民間の、失礼な言い方になりますけれども、民間のいわゆるダイナミズムというか、活力というかあるいは創意工夫というか、あるいは言葉としていいかどうか、もうかるかもうからないか、事業体組織として生き残れるかどうなるか、サバイバルの次元ですから、これは各国ともみんなそういう感じでやっているわけですよ。  要するに、そのベースがないところで、このISO9000、ISO14000、これはステップと読むんだと思うのですが、STEPという、これまたこれとはまた別にあるのですよ。これらも非常に弱いです、対応が。背筋が寒くなるほどの対応です。一週間あれば国際標準規格とれるという話じゃないものですから。ある意味では、ソフトウエアクライシスの、ソフトウエアエンジニアが質量ともに足りないというところとベース、根っこのところは重なってくるような気も実は私は最近しているのですけれども、きょうは問題提起だけに、失礼ですがとどめさせていただきます。  産業空洞化をどうクリアするかという話になった場合には、私は、この四つの代表的なアプローチの仕方があるだろう、あるいはクリアをしなきゃならないハードルがあるだろう、こういうふうに理解をしているということを問題提起として申し上げさせていただきました。いずれ機会を改めまして、また、必ずしもこういう委員会の公な場所だけではなくて、ぜひいろいろ論議させていただきたいというふうに思っております。  残り時間を使いまして、経済外交について何点か御所見をお述べいただければ、こう思っております。  今申し上げましたお話の中にも若干触れられていることでございますが、これも最低三十分がけてと思っていたのですけれども、これもちょっと問題提起ということになりますでしょうか、最後に、あるいは一、二点通産大臣からお答えをいただくということになるかと思います。  まず私は、通商外交の基本、経済外交の基本についてちょっと自分の所見を簡単に述べて、大臣の御所見も聞かせていただければと思っているんですが、いろいろな細かいところは省きますけれども、WTO体制の確立、そしてこれを強化、推進をしていく。一言で言えば、これこそが今後の我が国の通商外交の、貿易外交の基軸になるのではないかという考え方、視点です。  それで、一つは、やはり具体的に言えば黒字を縮小していく、経常黒字、貿易黒字をやはり縮小させていく努力が今後ともに不断になされるべきであろうと思います。これを放置しておきますと、釈迦に説法で恐縮でございますが、対日貿易赤字を抱えている国々が、具体的にシンガポールにしてもあるわけですけれども、アメリカもあるんですけれども、赤字国が我が国に対して貿易障壁を新たにつくってしまう、あるいはまた管理貿易につながる例えば数値目標とか、あるいはまた通商法三〇一条あるいはスーパー三〇一条などを振りかざした形でバイラテラルな具体的な個別分野における交渉を迫ってくるということが考えられます。  この黒字というのは、何というんでしょうか、ある意味では我が国の経済構造、それから歴史的な経済体質というところから来ているわけですから、こうやれば黒字がトラスチックに縮減するというのがないわけですよわ。ただしかし、トラスチックな激減ということは無理にしても、十億ドルでも二十億ドルでも三十億ドルでも減らしていこうという真摯な取り組みというものが、やはり収集を行うことになっておるわけでありまして、これは、住民あるいは地方議会の監視のもとにおきまして清掃行政全体の効率化を図りながら、なるべく費用増を招かないように分別収集を行うことが求められる、そう思います。分別収集による費用増のためにあるいは増税でありますとか手数料の徴収が図られます場合には、これが住民等の排出抑制につながると思います。また、特定事業者に対しては、分別基準適合物の再商品化の義務が課せられているわけでありまして、この義務に係る経費も最終的には排出者たる国民全体が負担されることになるわけであります。  したがいまして、この法律案におきましては、分別収集からリサイクルに至る全体について効率化が図られる仕組みとなっておりまして、排出者負担原則は貫徹されているものと思います。
  102. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 それでは、続きまして、指定法人のことについてお伺いしたいと思います。  この法案では、施行当初は全国を統括する指定法人を新たに設置するというようなことになっています。私は指定法人設置というシステムそのものに大きな疑問を持っておりますが、仮に指定法人を容認したとしても、全国統一の機関であることのデメリットもたくさんあると思います。国は、民間の活力が効率的に発揮される土壌づくり、ルールづくりに徹するべきだと考えています。国や役所が主導して産業育成するのではなく、もっと自由な競争に任せた方がより効率的で適性のある産業、企業が生まれるというふうに考えるからです。  福岡正信さんという「わら一本の革命」という本を著した人は、自然農法の創始者でありますけれども、ある畑にどんな作物が適しているかということを我々が予断を持って判断するだけではなく、例えばクローバーを植え、麦を植え、米をまくと、それぞれが季節に応じて気候に応じて発芽し、その畑に最も適応した形で収穫ができると言っています。さらに、できるだけその間は余計な手を加えず、それぞれの作物の特徴が生きるように手伝うことが極意なんだ、こういうふうに言っているわけですけれども、私は、今回のリサイクルについても、新産業創出という観点からは同様のことが言えるのではないかというふうに考えます。  つまり、国や役所が従来の行政的な経験則で主導して、一元化された評価で産業育成するのではなく、もっと官僚の価値観とは違う民間の独創的創意工夫が自由に成長できるような土壌づくり、ルールづくりが必要なんだろうと思います。はっきり言えば、すなわち役所が余り余計なことを言わずに民間の活力に任せた方がより効率的で適性のある産業が生まれるのではなかろうか、こういうふうに考えます。  つまり、一つの指定法人が全国を統括し、一つの枠を全国的にかぶせる方法は、かえって民間の創意工夫を阻む結果になりはしないかと懸念しておりますが、通産大臣は、新規の静脈産業育成やベンチャービジネスを育てるという、こういう観点からどのようにお考えになるか、お答えいただきたいと思います。
  103. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 このリサイクルの過去の歴史をひもといてみますと、例えば、浜松市を中心とした地域で、地域全体が非常に積極的な取り組みをされ、それが中途で挫折をしたこと、また、特定メーカーの名前を挙げて恐縮でありますけれども、昭和四十年代の半ばぐらいであったと思います、ヤクルトが、自分のところの容器を全面回収し、それを再生利用することを考え、そのための特殊な車両までつくり、結局これが挫折したこと等がございました。  私は、そういうことを振り返ってみますと、今委員が御指摘になりましたようなことよりも、やはりこの指定法人というものが、法制的に指定法人への委託をもちまして事業者の義務履行とみなす、こうした点に意義がありますし、委託された再商品化義務の履行に必要な実際の再商品化事業というものは、これは競争入札によって再商品化事業者に委託されることになるわけでありますから、既存の再商品化事業者の圧迫とか排除になるものではありませんし、むしろ、この指定法人を持つことによりまして、新規の事業者でありましても、効率的ですぐれた再商品化事業者を積極的に活用し、育成できると考えております。  そうした視点からいきますと、今新規の産業の創出という視点からも委員議論をされたわけでありますけれども、私は同様の視点から、むしろ、この指定法人というものが公益法人として民間の発意で生まれましたなら、これが活用されて、かつて幾つかの挫折を見たようなケースを繰り返すことなく、私は、静脈産業に当たる部分で新たな事業分野が創出されることを期待したいと思います。  そうした意味では、私どもとして、この法人というものが、仮に複数の法人をつくろうという声が民間にあるならば、そうしたことも考えに入れながら今後に対処していきたいと考えておりまして、必ずしも私はそれが問題だとは考えておりません。
  104. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 静脈産業を育てるというようなことは、これから我々は環境志向型の国家をつくっていこうというようなことでもあるわけですから、通産主導でも結構ですから、その静脈産業に関しての例えは民間のすぐれた技術それから発想をうまく吸い上げる、こういうようなシステムをぜひおつくりいただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。  続きまして、厚生大臣にお伺いしたいのですが、本法案の中では分別収集の責任は行政にあるというふうにされていますけれども分別収集にかかる莫大な経費を市町村負担させるということは、各市町村の財政を圧迫することになりはしないかというふうに懸念しているわけです。最終処分場議論は先ほどいたしましたけれども最終処分場を、言ってみればパンク寸前のものを幾ばくか延命するということに関しましては貢献するのだろうと思いますが、消費者の使い捨て意識そのものはこの法案ではなかなか変えるのは難しいのだろうと思います。  また、汚染者負担の原則が私は貫かれていないというふうに考えるわけですが、各市町村で税金で負担するということになりますと、消費者で、例えば環境に優しい生活、持続可能な生活をしているようなごみを余り出さない方々と、それから、便利さを優先して、使い捨て容器包装廃棄物を大量に出すライフスタイルをしているような方々との間には不公平が生じるのではなかろうか。さらに、量販店などが独自に行ってきたトレーだとか紙パックなどの回収を、市町村が分別するというようなことになるとこれを中止してしまうような企業ができて、せっかくの自己責任の動きが、言ってみれば停止してしまうのではないか。こういうようなことで、厚生大臣にその件をお聞きしたいということ。  それから、厚生大臣はもともとさきがけに所属されておりますけれども、さきがけは行政改革を党の重要な政策としてお持ちなわけです。今回の特殊法人の統廃合を含めて、行革の中での成果が私は甚だ不十分だというふうに考えていますが、国民がこぞって行政組織のスリム化を願い、余計な特殊法人とか公益法人を整理していくことを望んでいく中で、今回の指定法人の新規設立という行政の手法に関してどういうふうにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  105. 井出正一

    井出国務大臣 大変難しい御質問を幾つからょうだいしたわけでございますが、一つは、今回のこの指定法人が行政改革の折、官主導じゃないかこれは問題だぞというような意味合いが含まれていると考えていいわけですね。  指定法人がどうしても必要だということは先ほど通産大臣の御答弁のとおりでありますから、これはあえて繰り返し言いません。ただ、ほうっておきますとなかなか、例えば考えられるのは商工会議所なんかで、各地にございますからそれぞれのデータは仮に流せたにしても、やはりきちっとした監視もしたり、いろいろな有機的に働けるような法人はなかなか民間だけからは出てこないんじゃないかな。そういった意味では、もちろん民間の発意により設立をされる事業者の再商品化義務をかわって行う法人を何とか立ち上がるようなお手伝いは政府の方でする必要はあるじゃないかこれを決して官主導と言う必要はないんじゃないかな、こんなふうに考えております。  それから、具体的には、市町村が回収を行うとなると、例えばきっとスーパーなんかで行っている店頭回収なんかと矛盾を来しちゃって、そういう動きを抑えることになるんじゃないかなといった御質問がと思いますが、私どもはこの店頭回収のリサイクルへの取り組みは大変望ましいと評価しております。そして、店頭回収によって回収された容器包装につきましては、特定事業者の再商品化の義務量の算定に当たっては控除対象とすることとしておりますから、現行システムに比べて店頭回収が衰退しちゃうといったことにはならないんじゃないかな、こう考えております。
  106. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 環境白書の五十五ページに、  我々現代人、特に環境への負荷の増大に大きな  責任を有する先進諸国は、開発途上国との格差  是正に努めるとともに、これ以上の環境への負  荷の増大を厳しく抑えて、持続的発展が可能な  社会を構築していく必要がある。そのような社  会を築くためには、大量生産大量消費、大量  廃棄型の現代文明を見直し、自然と人間とが共  生じて、循環を基調とする経済社会システムを  持つ持続的発展が可能な文明に変えていくこと  が必要なのである。こういうふうに結んでいるわけでございます。  環境庁長官にお伺いしますが、本法案に関しまして、やはり私は環境庁がある意味で企画調整的な役割を十分に果たすことが必要なんだろうと思いますが、この法案のこれまでの経緯と今後の中で、そういうような企画調整的な役割を果たしてきたのか、そしてこれからどういうふうに果たそうとしているのか、そのお考えをお伺いしたいと思います。
  107. 宮下創平

    宮下国務大臣 本法案の取りまとめに当たりましては、通産省あるいは厚生省、また農林省、大蔵省、実態的に物流を管理したり監督している省庁がかなり精力的に取り組んでいただきました。私どもとしては、今先生のおっしゃられたように、循環型社会をつくるという意味で、そして費用の負担も各事業者が先ほどのお話のように負担していただけるというような趣旨で取りまとめることが必要であろうということでいろいろの御連絡を申し上げ、また意見も申し上げてきたところでございます。  そういう意味では、当初いろいろな経過がございましたけれども、例えば中身を扱う業界にだけ負担させるのではなくて、容器の方も最終の形で費用負担をするとか、あるいは実施形態についても、そうばらばらであってはいけませんので、実施時期、統一的な基準を求めたりいたしました。そういう意味でかなり各省庁との連絡調整には当たらせていただきました。  ただ、ここで一言申し上げておきますと、環境行政というのは非常に難しい面がございまして、実施官庁がやはり業界その他を監督しております。しかし、私どもは企画調整機能を持っておりますから、その兼ね合いをやはり尊重していかなければなりません。私どもが全部業界を監督して指示できる筋合いではございません。企画調整機能といっても現実にそういう問題があることも事実です。これは率直に申し上げさせていただきます。  それから、今後の問題でございますけれども、先ほどの質問者に答弁を申し上げましたけれども基本方針をつくってそれでいいということではなくて、その基本方針に従って本当に循環型社会一つの手法がここで確立されるわけでございますから、実際面におきまして環境基本計画に基づくようなリサイクルあるいは抑制、それから再利用とか、また廃棄物の適正な処理というような方針に基づきまして、よく連絡をとり合って、そして基本方針にいやしくも背馳するようなことがあれば環境庁としても意見をいろいろ申し上げていかなければいかぬなというように思っておるところでございます。  いずれにしても、各省庁とよく連絡をとって、この法律が本当にこの目的どおり稼働するようにひとつ努力をしていきたいと思っております。
  108. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 この法律をきっかけに日本の社会がさらに環境志向型の、国際的に模範となるような国づくりのために環境庁長官、しっかり頑張っていただきたい、このことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  109. 阿部昭吾

    ○阿部委員長 鮫島宗明君。
  110. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 広島県の因島というところに私の知り合いのユニークな老人が住んでいまして、ちょうど二十年ぐらいのつき合いなんですけれども、十年ほど前に会ったときには、ある日大発見をした、社会を見たり家の中を見ているとすべての製品は素材からできているということを発見して、だったら道もできるはずだ、製品から素材ということに挑戦してみようという大変ユニークな老人がいて、大型の粉砕機をつくって、初めは扇風機とかいすとか自転車を投げ込んで、とにかく粉砕して、それを分別ルートをつくってどこまで素材化できるかということをライフワークにして挑戦している人がいます。  もう今八十四歳ですけれども、だんだん大きなものを投げ込むようになってきて、洗濯機それからオートバイ。三、四年前には、もう随分お年で無理じゃないかと思っていたんですけれども、軽自動車に挑戦するというのでだんだん機械も大型化してきて、山の上で大音響を立てて、とにかく粉砕して製品を素材にする。軽自動車についてどうでしたかと聞いたところ、やはりまだ機械の方が壊れてしまうという返事でした。  その老人も、ただもう自分も八十四歳でやはりリサイクル社会の建設は君たち次の世代に任せるしかない。その方は上海の特務機関に昔お勤めになっていて、やはりさきの大戦も日本が資源がない国だという自覚が弱かったことが一つの誤った方向へつながったんだという、そのような考えから製品を素材にしていくということをライフワークにして生きてこられた方です。  今回のこの法律は、一般的にはそういう世界的な流れに沿った大変いい法律だ。やはりごみを出す方に全く責任がなくて、自治体だけに処理を任せていたのではどんどんごみがふえてしまう、少しでもごみの少ない社会をつくりましょう、あるいは省資源、省エネということを具体的に生かしていこう、そういう意味ではこの法律は大変評判がよろしいかと思います。  しかし、実は中身についてはほとんどわからない。この法律を読んでみてもわからないし、きょう傍聴の方たくさん来ていますけれども、どこまで具体的なイメージがこの法律から読み取れるかというと、恐らくほとんど読み取れない。大体、具体的内容の多くがすべて政省令にゆだねられていて、先ほど小規模事業者は売り上げ七千万以下だという御答弁もありましたけれども、そんなことこの法律案にはどこにも書いていない。  それから、一つ一つ伺いしていきますけれども、こういう中身が全く想像できないのは、法律よりもむしろ行政命令の色彩が強いのではないか。立法府の裁量を初めから制限して、具体的なことは全部行政で決めますよというのは、法律としていかがなものかという気がいたします。大変国民の多くを巻き込んで、みんなで協力しながらリサイクル社会をつくっていこうという流れの中で、中身がほとんどわからない、具体的なことはみんな官僚の裁量で決めますという法律をつくるのはやや抵抗があります。  そもそも、これが連休前までなかなか省庁間の折り合いがつかなくて、四月二十八日にやっと法律案の形になって、実質的な内容の検討は連休明けから始まったわけですから、正味二十日くらいしか我々としても中身を検討することができなかった。国民一人一人に協力を要請して、それで初めて成立する法律ですから、本来でしたらもっとゆっくり、この永田町の場ではなくて、もっと国民的論議を巻き込んで、どういうリサイクル社会が理想なのかという話をしながら詰めていくべきものだという気がいたします。  中身がわからないので、どういう効果を生むかもなかなか評価しがたいのですけれども、本法案提出理由をちょっと厚生大臣にお伺いしたいのです。提出理由はもちろん法文案の最後に書いてありますから、そこに書いてある部分については結構ですけれども、特に成立を急ぐ理由についてお答えいただけないか。  これは、大変急ぐんだと言いながら、一方では、九八%の事業者を含む中小企業事業者のこの舞台への参加は平成十二年からでいいですよ、こう言っているわけですけれども、急ぐ理由と十分な猶予期間をとる理由、つまりこの法律成立をこれほど国民的論議を捨象してまで急ぐ理由は何なのかというのを厚生大臣にお伺いしたいのです。
  111. 井出正一

    井出国務大臣 先ほども答弁申し上げたのと若干重複しますけれども一般廃棄物の排出量は年々増大しておりまして、今や年間約五千百万トンという膨大な量に達しております。また、その最終処分場の容量の残余年数も全国平均で八年未満、首都圏については五年未満と著しく逼迫しておりまして、さらに新たな最終処分場の確保も困難な状況になっております。  したがいまして、一般廃棄物減量化リサイクル化は喫緊の課題となっているわけでございますし、また一方、市町村の収集した一般廃棄物のうち再資源化される量はわずか三%にとどまっておりまして、限りある資源有効利用という観点からは、再生資源利用促進を図ることは国民経済の健全な発展のためにも極めて重要だと考えているところであります。  こうした状況のもとで、この法律案は、一般廃棄物の中でも容量あるいは重量の面で大変ウエートの高い容器包装廃棄物について、一方でまた、これは技術的に再生資源として利用が可能になってきておるわけでございますから、これらについて市町村による分別収集事業者による再商品化等促進するシステムを構築することによって、廃棄物の適正な処理資源の有効な利用を図ろうとしたわけであります。  そんな中で猶予期間を置きましたのは、これはやはり、大変全国で膨大な数の零細事業者も一方であるわけでございまして、こういった皆さんにも参加をしていただくにはそれなりの準備がどうしても必要だという現実的な面を配慮して、猶予期間を設けたところであります。
  112. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 私がお伺いした趣旨は、やはり多くの事業者参加してもらうのには、それは五年くらいの猶予期間は要ると思います。五年の猶予期間があるのですから、もうちょっとゆっくり、国民的論議を踏まえた上で、この法律の成否について検討してもよろしいのではないか。わずか商工委員会で一日半、そしてこの連合審査で一日、あと参考人質疑で一日というだけで、ある意味では文明史の転換につながるようなこの重要法案がそのようなこの場だけの話し合いでいいのかという疑問を感じているものですから、そういうお伺いをした次第でございます。  少し具体的な内容について政府委員の方にお伺いしたいのですけれども、第二条にある分別基準適合物にアルミ缶スチール缶は入るのでしょうか。
  113. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 今先生、法律第二条の分別基準適合物の中にはアルミ缶スチール缶が入るかとのおただしてございますが、これは実際に市場価格で取引をされるものですから、この適合物には入りません。
  114. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 私のところにも、きのうこの黄色い衆議院商工委員会調査室の「法律案の要点及び問題点」というのが来まして、これを見ると、具体的にはどんなふうな姿になるのかというのが大分はっきりして、この中にも、既に市町村分別収集した段階で有価物やあるいは無償で譲渡できることが明らかである物、例えばアルミ缶スチール缶等は本法案の再商品化の対象から除外するというふうに書いてあったので、そういうことかというのが初めてわかるわけです。  この第七条でありますが、まず主務大臣が再商品化について基本方針を定め、次に再商品化計画を定めるというふうになっていますね。これは物別に定めるのだというふうになっております。このときに、私どもは当初から指摘しておりますけれども、まず分別収集の総量というのを把握する必要があるのではないかそれから再商品化の見込み量を把握し、両方の数量を勘案してこの再商品化計画を定めるのが自然だろうというふうに判断しております。  ところが、この第七条には、ただ主務大臣は再商品化計画を定めるというふうになっていて、逆に後で出てくる市町村の方が分別収集計画作成するに際しては、主務大臣が決めた再商品化計画を勘案しなければならないというふうになっていますが、なぜこの再商品化計画をつくるときに市町村分別収集計画を勘案しなくてよろしいのでしょうか、厚生省政府委員。     〔阿部委員長退席、中西委員長着席〕
  115. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 再商品化計画は、基本方針に即して、再商品化施設の整備状況等を踏まえ主務大臣が定めるものでありますが、基本方針においては、容器包装廃棄物分別収集促進のための方策に関する事項も定めることといたしております。したがいまして、再商品化計画分別収集促進されることを前提として定められるものでございます。  また厚生省では、基本方針及び再商品化計画を定めるに当たりまして、各市町村における容器包装廃棄物分別収集状況あるいは今後の分別収集実施の意向等も十分把握しておくために、あらかじめこれらについて調査をしていくことを予定をいたしておりまして、初年度の再商品化計画についても市町村分別収集の意向を織り込んで策定をしてまいる、こういうふうに考えております。
  116. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ですから、実態的にはその市町村でどの程度の分別収集が行われているかその内容と量については把握した上で再商品化計画をつくるということだと思いますけれども、この法律中にそういうふうに書くことについてなぜ反対するのか私はよくわからない。ある意味では、国のメンツだけの問題ではないかという気がいたします。  恐らく厚生省の方では、分別収集の総量がどの程度我が国の中であるのかということを把握しながらこの法律案もつくっておられると思いますけれども、直近の分別収集総量を特定分別基準適合物別に、大まかな数字で結構ですので明らかにしていただきたいと思います。
  117. 藤原正弘

    ○藤原政府委員 平成三年度における市町村資源ごみとして分別されております量は、一般廃棄物の排出量全体では五千七十七万トンでございますが、そのうち百六十九万トンでございます。このうち容器包装廃棄物に当たるものの内訳を申しますと、ガラス瓶が三十八万トン、金属缶が二十三万トンでございます。
  118. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ガラスと金属缶については把握しておられる。プラスチックについてはどういうことになっているのでしょうか。
  119. 藤原正弘

    ○藤原政府委員 委員案内のように、プラスチックはなかなか難しい、現状がそういうことでございまして、ほとんどやられていない状況でございます。
  120. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 プラスチックについてはちょっと後ほどお伺いいたしますけれども、これはしかし、再商品化計画作成するに際しては、本来でしたらやはり各市町村でどのような実態になっているかがあって初めて再商品化計画が現実的なものになるのだと思います。  先ほどガラスで三十八万トン、金属二十三万トンとおっしゃいましたけれども、実態として分別収集が継続されているということは、この量については、逆有償も含めてですけれども、今既に一応再商品化ルートに乗っているというふうに判断しておられるのでしょうか。
  121. 藤原正弘

    ○藤原政府委員 そのとおり、再商品化のルートに乗っておるということでございます。
  122. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 そうしますと、スタート時で少なくともそれほどのミスマッチはない、分別収集されているものはその量がそのまま再商品化がほぼされていくだろう。今後インセンティブをつけていくわけですから、分別収集の総量は恐らくだんだんふえていく、それに見合って受け入れ能力もふやしていく必要があるというふうに考えますけれども、受け入れ能力の整備確保を図っていくということについて、通産大臣としては、せっかく市町村分別収集しても受け入れ能力がそれに追いつかなくて分別収集がむだになるというようなことがないような御措置をどんなふうにおとりになるおつもりか、お伺いしたいのです。
  123. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず、ガラス瓶でありますとか紙箱などにつきましては、分別収集されましたものの再商品化可能量に限りがございますけれども、建設資材などの用途開発に目途が立ちまするなら、これはその円滑な拡大が可能であります。  一方、その他プラスチック製の容器包装、これは再商品化施設の面で制約がございますので、再商品化施設の整備とそれに基づく再商品化可能量の拡大が必要になるわけであります。この制度におきましては、実際に再商品化を行う事業者は減価償却費も含めた費用補てんが受けられることになっておりますので、原料となるプラスチック廃棄物の安定的な供給の見込みが立ちますなら、これら主体による再商品化施設の整備が進むと思います。  さらに、通産省といたしましては、再商品化施設の整備が円滑に行われますように、積極的に現行の再生資源利用促進法を活用すること、また、財政金融上の措置を検討すると同時に、その他プラスチック製の容器包装が適用対象となりますまでの期間におきまして、実用規模におけるプラントによるモデル事業を実施するということとしておりまして、これが油化施設の整備の先鞭となることを期待しているところでございます。
  124. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ほかの方が既に質問してあること等々がございますので、初めにそちらにお届けしてあるのと順序が大分変わることをお許しいただきたいのですけれども、今ちょっと油化施設の話が出ましたので、ちょっとお伺いいたします。  通産大臣は多分まだジェッドラグがあって、おきついのではないかと思いますので、第二条の再商品化の定義の中で燃料に関する規定がありますが、これは具体的に何を想定しておられるのか、通産の政府委員の方、お願いします。
  125. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 お答えいたします。油化を考えております。
  126. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 RDFというのがあると思いますけれども、これはレフューズ・ディライブド・フュエルの略でして、アメリカでは七種のカテゴリーに定義されていて、廃棄されたままの形で燃料として利用されるものがRDFの1、あるいは例えばペレットのように固められているものはRDFの5、それから液体状に加工された廃棄物というのはRDFの6というように七つのカテゴリーがありますけれども、今のお答えですと、このRDF、アメリカ流に言う七つのカテゴリーの中で、RDFの6、液体燃料に加工された廃棄物だけを想定しているということでしょうか確認したいのです。
  127. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 お答えいたします。現在のところ、おっしゃるとおりでございます。
  128. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 プラスチックの油化技術については確かにまだ完成度は低いものかもしれませんが、原理的には多分、現在行われているのも、プラスチックをじわじわ温めてまず揮発成分としての塩素分を塩酸として飛ばし、その後、四百度くらいまでに加熱、溶融してガス化していく、それで、ゼオライトと金属触媒のもとで分子量を小さくしながら冷却し、油にしていく。恐らくこの原理は今後通産省が想定している油化のプロセスではないかと思います。このプロセスによると、約百キロの廃プラスチックから五十キロ、約半分の油になる。しかし、このプロセスを動かすために二十キロの油が必要になる。  油化プラスチックを燃料にするなら、プラスチックを固めたもの、あるいはさまざまなカテゴリーがあります。細かく粉砕して固めたものとかからからに固めたものとかいろいろあります。しかし、このRDFの方がエネルギーコストからいって当然効率的であるというふうに思いますけれども、なぜこのRDFは対象にしておられないのか、その理由をお伺いしたいのです。
  129. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 現在の油化の技術、さらに燃焼させたときの技術というのを比較するわけでございますが、いわゆるエネルギー効率の観点から比較いたしますと大体同じような状況でございます。将来、技術開発が進みますとまた状況は違ってくるだろうと思います。このため、油化の方が専焼設備の立地上の制約が少ない、さらに需要先が、油ですから非常に加工が容易だとか、あるいは運搬、貯蔵の可能性というので非常に拡大していく、こういうようなメリットを考慮したわけでございます。
  130. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 もちろん油化のメリットがあることは認めます。ハンドリング性能は向上しますし、従来型のボイラーが使える、それから、間で塩素分を抜きますから、塩素が少ないというようなことがメリットとして挙げられると思いますけれども、RDFはRDFで、加工の過程で一切エネルギーが要らないとか今後ふえつつあるボイラー型の燃焼炉だったら非常に効率よく燃えるとかこの分野こそまさに技術革新の大変進んでいる分野で、今では新しいボイラー型の燃焼炉では、空気を吹き込みながら二次燃焼して、その後バグフィルターで排ガスを処理して、さらに活性コークスで汚染成分を吸着するというようなことによって、もうほぼ完全に塩素由来のダイオキシンを含めたガスは吸着できるような技術ができている。一方でそういうことがあるわけですから、RDFの方も、今、燃料として認めることについて何らおかしい理由はないと思うのです。  油化にこだわるというのは、私どもが邪推すれば、油化のためのある種の団体、油化技術促進協会とか、名前はよくわかりませんけれどもプラスチック油化協会とか、そういう団体をつくって、少しでも公務員の第二の人生に資するというお考えがあるのではないかと思いますが、通産省はいかがですか。なぜこだわるのか。
  131. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 先生御指摘ごみの固形燃料化の場合でございますが、油化されました油と違いまして、できましたRDFの汎用性というのがどの程度だろうかいわゆるマーケットというのをどう考えたらいいのだろうか。さらに、社会システムとしまして、RDFにつきましては、既存の設備を利用して市町村がっくり市町村等が利用することと、市町村が分別、運搬した上でRDFの製造を事業者に行わせることを比較しまして、いずれが社会的なコストから見て効果的なのだろうか。さらに、可燃性廃棄物を固形化しますRDF化といいますのが事業者に課します義務として適切なのだろうか。そういうようなことを総合的に評価していく必要があるというふうに私ども考えております。  それから、質問の後段につきましては、油化につきましては、私ども自身まだ技術といいますのが完成品ではないと思っておりますし、まさに今鋭意そのための技術開発をやりつつあるということでございます。ですから、そういうような圧力団体あるいは既存の団体というのができ上がっているわけでもございませんし、私ども自身そういうことを全く考えておりません。
  132. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 私、別に圧力団体のことを言ったわけじゃなくて、通産省がお得意の、例えば技術研究組合法に基づくプラスチック油化研究組合というようなものをおつくりになれば天下り先が一つできるのではないかという意味で言ったわけです。  今、RDFを押しつけるのもいかがなものかというような御発言でしたけれども、どういう形で再商品化をするかは、先ほど鴨下委員も言いましたけれども、まさに民間の創意工夫、発意に任せるべきで、役所の側で、こうじゃなくちゃいかぬとかああじゃなくちゃいかぬとか、そういうことはなるべく言わない方がいいのではないかという気がいたします。  通産省としては、そもそもこのリサイクルの多様性、つまり再商品化の多様性を許容するお気持ちがあるのか。リサイクルについては、大きく言って三種類に分けられるかなという気がしています。原点回帰型の完全リサイクルといいますか、リターナブル瓶のように、形を変えずにぐるぐる回る。それから、だんだん質が悪くなりながら再商品化されてくる、ある種のらせん状のリサイクル、スパイラルリサイクルとでもいったような形。それから、今言った、エネルギー源として利用するエネルギーリサイクル、またはサーマルリサイクル、熱源として利用する。こういう多様な形態を認めるべきではないか。  これはもちろん、民間の静脈産業育成するあるいは再商品化促進するという観点からも多様な形態を認めるべきではないかと思いますけれども、基本的な問題ですので、大臣にお答えいただければと思います。
  133. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、この法律はそういう方向で認めておると考えております。
  134. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 確かに、大臣おっしゃるとおりで、通産省は、もう一方で、新エネルギー大綱の中で、新しいエネルギー利用の形態を大変促進しておられます。そのための調査事業とか実際の建設についても一五%の補助というようなことをやっておられて、廃プラスチックRDF発電とかあるいは廃プラのRDFコジェネ発電というようなものを奨励し、各地でもう既にそれが実施されているものもあるというふうに把握しておりますけれども、廃プラ発電というものを再商品化と認めないという理由がよくわからない。  プラスチックの再商品化は、必ず一回油にして、油化をしてやらなければいけませんと一方で言っておきながら、同じ通産省が他方で、新エネルギー大綱の理念に基づいて、廃プラスチック発電あるいは廃プラスチックコシェネを奨励しているという、この整合性はどうなるのでしょう。政府委員でも結構です。
  135. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 市町村が行いますごみ発電につきましては、エネルギー政策上も非常に重要な分散型電源と考えておりまして、先生おっしゃいましたように、私どもはこれは支援しておるわけでございます。  さらに、昨年の電気事業審議会の報告を踏まえますと、ごみ発電に伴います余剰電力を電力会社が購入する場合の購入単価を、ごみ発電の環境特性にかんがみまして、他の電源よりも高く設定するような方向考えておるわけでございます。この発電を特定事業者に課す再商品化義務履行の一形態として考えるべきであるというような御指摘だと思いますが、それにつきましては、私ども必ずしも適当じゃないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  すなわち、分別の上専焼させても、他の可燃性廃棄物とともに混焼させても、得られるエネルギーは余り変わらず、分別する必要性というのは乏しいのじゃなかろうか。第二の理由でございますが、ごみ発電は市町村ごみ処理して行う焼却に伴う余剰利用として行われておりまして、これを特定事業者の義務というふうにするのは適当じゃないのではなかろうか。  以上が理由でございます。
  136. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 まさに余計なお世話としな言いようがないといいますか分別収集をしなさいと言っているわけですから、専焼しても混焼しても変わらないというようなことを言うのは何かちょっとおかしいような気がします。これからは分けなさいと言っているわけですから、つまり廃プラスチックを専ら燃すというルートをこの法律案自身が奨励しているわけですから、政府としてはそういう方向を奨励なさるのでしょうけれども。  例えばある熱心な市町村が、この廃プラはまだ油化技術もできないし、今一番確実な技術はやはり粉砕して固めてというのが一番いい、しかも、電気事業法も改正されて、いわゆる売電事業が規制緩和で参入が容易になったという流れを受けて、第三セクターで例えばそういうプラスチック専焼炉を備えた発電をやりたいというのは私は一つあると思う。  どうせ電力を得るためには石油を燃したり、処女資源といいますかパージンマテリアルを消費するわけですから、それよりも一回、二度三度と人の手を経て、役に立ったものがまた粉砕されて、それが電力という商品に生まれ変わるというルートがあっていい。私は特にプラスチック処理に関しては、油化については余計なエネルギーも食うとか、まだ技術開発の見通しがないとかあるいはドイツでも最近油化についてはやや疑問も出ているというふうに聞いておりますので、やはり廃プラ発電というものにちゃんと市民権を与えていくということがリサイクル社会を充実させていく上で重要でして、そういうのが、非常にルートを狭くするというようなことがよく言われる官僚的思考ではないかと思います。  そのことと関連して、この法案の中では初めから指定法人を設立することになっている。この説明書によると、オールジャパンの団体を、公益法人を一つというふうにこの説明書には書いてありますけれども、一方で、中小企業者は平成十二年からでいいですよと。ですから、最初の五年間は三千の事業者、つまり大企業だけがこの世界で義務を課せられるわけですが、なぜ最初から指定法人をつくる必要があるのか当初からこの指定法人がないとこの法律実効性が確保できないのかどうか。これはどこにお伺いしたらいいのかわからないのですけれども
  137. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 この法案では特定事業者に再商品化の義務をかけております。各特定事業者に義務があるわけでございますけれども、その義務を履行するために、我々法案作成の段階でスキームでいろいろ検討いたしまして、そして検討の結果、指定法人がなければシステムとしては動かない、こう判断をして法律に書いたところでございます。  具体的にどんなことをやるかといいますと、特定事業者との再商品化契約の締結、容器包装使用量等の申告受理、再商品化費用の受け入れ、市町村からの容器包装廃棄物の受け入れ、分別状況の調査……(鮫島委員「それは書いてあるからいいです」と呼ぶ)いいですか。そういう仕事がたくさんございまして、我々としてはどうしても必要であるということでこの法案に記載したところでございます。  ただ、先生がおっしゃられますように、大企業等がこの法人によることなく別の機関でもってこれに対応するという大臣認可の方法もあるようにつくってありまして、例えばこの指定法人に頼むと経費が高いとかということで、その一つの法人だけで対応させようとしたならば確かに先生御心配の点があろうかもしれませんけれども、この法案では、まず最初リターナブルで、企業みずからが自分の容器包装を回収するものについてはその推進を図るように規定を設けたり、また今言いました指定法人以外の法人でも対応できるように、第三の道と我々称しておりますが、そういうものも法案に書いてございまして、それは各企業が選択できるようにして、決して不要なものをつくったと言われるようなことのないように調整をしてあるものでございます。
  138. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 それは大体書いてあるからわかるわけですけれども、ルートが三本ありますね。まずリターナブル。このリターナブルも、先ほど鴨下委員質問にもありましたけれども、八〇%以上のリターナブルをやっているところはリターナブル業者と認定しますよ。しかし、それ以下だと認定されないということですと、合せっかくこのリターナブルをやりつつある者にとってはディスインセンティブになるのではないかという気がいたしますけれども、そのルート。それから指定法人を通すルート。それから独自ルートといいますか、事業者がその責任分を市町村から受け取って回収業者に渡す、この独自ルートという三本になっております。  特に、リターナブルはちょっと除いて、指定法人を通すルートと独自ルートのどちらが本来あるべきルートと考えておられるのか。事業者がまだ最初は大企業の三千社だけですからどうなるかわかりませんけれども事業者からの要請がないのに最初からこの指定法人をつくるというふうにお考えなのかどうか、この二点。どちらが本来のルートと考えておられるのかそれから事業者の要請がなくてもつくる気なのか、この二点についてお伺いします。
  139. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 今の、指定法人経由が、または大企業が独自にみずからつくる別の第三ルートかどちらが本筋かと言われますが、これは複数あって、どちらが本道だとかどちらが本筋だということではございません。  それから指定法人の方ですが、これはあくまでも民間の発意で法人ができるわけですから、民間の発意がなければ、この法律では個々の企業が再商品化の義務を負うという形になるわけであります。
  140. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 指定法人が何をするかという具体的内容を見ると、指定法人自身はある種のあっせん業といいますかこれから参入してくる全体で十九万の事業者が、それぞれみんなその義務量を果たすのに回収業者を探したり、地方自治体のどこからどれだけ何をもらったらいいのかというのを個々に判断するのは大変だから、そこのところをこの指定法人で仲人といいますか紹介をしてあげましょう、それでしかるべき手数料をいただきますよということでしょうけれども、こんな仕事は別に公益法人でなくても、例えば商工会議所の中にリサイクル情報センターを設置し、そこが事務代行する仕組みではだめなのか。なぜ最初からこの指定法人にこだわるのかというのがもう一つ明らかではない。  これは厚生省の所管になるのか通産省の所管になるのか私よくわかりませんけれども、例えば厚生省がこの十年でこういう公益法人をどんどんつくってきているのです。昭和六十年、一九八五年には四百四十その公益法人があったのが去年で五百六十五、つまり百二十ぐらいふえているわけです。ですから、国民の監視の目が緩いと公益法人はどんどんふえてくる。この十年間に百二十もふえているわけですから。しかも、この公益法人の常勤役員のうちの一割は厚生省の出身者。  これは厚生省の例で、通産省も——ちょっと私、主務官庁がよくわからなかったものですから、厚生省のしか持ってこなかったのですけれども、これは井出厚生大臣に、行政改革を旗印として掲げるさきがけの厚生大臣として、まだ法案も通っていないわけですから、今の段階で多分事業者からの要請もないはずだと思いますし、なぜ最初からこの指定法人をつくるものだというふうに決めてあるのか。行革を志向するさきがけの一員としての厚生大臣の御所見をお伺いしたい。
  141. 井出正一

    井出国務大臣 再商品化能力を持っている事業者ならば結構なのでありますが、必ずしも全部の事業者がそういう能力を持ってはおられないわけでありますし、また、独力で適切な再商品化事業者を見出すことが困難な多くの特定事業者にとっては、例えばドイツなんかではDSDとか、フランスではエコアンバラージュといった指定法人があるわけでございますが、こういった事業者に代行して義務を履行する指定法人というものはやはり必要じゃないかな、こう考えるわけであります。  地域別にリサイクル事業者等の情報を提供する、今、例えば商工会議所を利用したらどうだという御提案でありますが、こういうセンターを設置して対応することにつきましては、特定事業者にとっては、各地のセンターから情報が得られるものの、各地のリサイクル事業者と個別に契約を締結しなければならず、大変煩雑であります。また、各地の市町村から個別に容器包装廃棄物を再商品化しなければならず、これまた煩雑に相なります。  また、多数の特定事業者またはその委託を受けたリサイクル事業者が、それぞれ各市町村から容器包装廃棄物を再商品化することといたしますと、市町村にとっても事務処理が極めて煩雑なものと相なります。特定事業者がそれぞれリサイクル事業者に個別に再商品化の委託を行った場合には、適正に再商品化を行っているか否かのチェックもまた十分に行えるかどうか極めて疑問な点が出てまいりますし、不法投棄等の不適正処理が行われたり、生活環境保全上取り返しのつかないような事態が生じ得ないとも限りません。  これらの問題があることを考えましたときには、リサイクル事業者と一括して契約を締結して、主務大臣の公的な関与のもとに、環境保全に配慮しながら再商品化を行う指定法人の制度が必要だと考えるわけであります。  なお、こういう行革の折に公益法人をそうどんどんつくるのは自粛しようじゃないかということは、去る三月の末の閣議でも決定を見たところでありますし、各省の連絡会議の決定にも、「国又は特殊法人等から委託される事業を主たる事業とすることを予定している新規の公益法人に対する設立許可は、真にやむを得ない場合を除き厳に抑制するものとする。」というような申し合わせもありますから、今度のこれが民間の発意でどうしても必要だということに相なった場合は、この「真にやむを得ない」というところに該当するのであります。  もちろん、厚生省、ふえていることは事実でありますが、たくさんありますから、中にはあるいは考えなくてはならぬものもあるかもしれませんが、それだけ、ある意味では厚生省の行政分野が大変今、時代の要請といいましょうか、必要な時期に当たったからかなりのふえを示しているのじゃないかな、こんなふうにも思っておることを申し上げておきたいと思います。
  142. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 私は、商工会議所が使えないかと言ったのは、思いつきで言ったわけじゃなくて、やはりこの説明書の中にあるように、指定法人は全国ネットで多分一個しかできないのですよね。それは、似たような機能を持った公益法人をもう一つ認可するというのは認可の精神からいっておかしいですから、一種類の機能を持ったものを恐らく一個つくる。ところが、全国の三千六百市町村から出てくるごみの量を把握したり、十九万事業者に情報をあっせんするにはこのオールジャパンの一個の組織ではとても足りないから、この説明書には、例えば地方の商工会議所をさらにその下請機関として利用するということも書かれているわけです。  だったら、商工会議所だって全国商工会議所もあるわけですから、こんな指定機関がなくても、情報あっせん業は別にその商工会議所でもできるわけですから、最初から、発足時から指定法人を組み込んでおくというのは、これはどう考えても天下りをつくるための仕掛けだというふうに考えるのが自然じゃないかと思います。  私、最初に、この法律が非常に中身があいまいだ、全部政省令で具体的なことを決めてあると言いましたけれども、これは天下りをつくる典型的な手法でして、まず法律の規定をあいまいにしておいて行政側に裁量権を多く与える、その行政事務を行うためにどうしても公益法人が必要です、それで天下りをするというのが、これは典型的な天下りづくりのパターンでして、行革を旗印とする井出さんがそのパターンにすっぽりはまるというのは、私としては非常におかしいなという気がいたします。  先ほど橋本通産大臣は、天下りに関して、その団体からの要請がないのに行くというようなことはしない、ただ、団体から、ある専門的な知識なり技能を持った人をぜひという場合には派遣することもありますというふうにおっしゃいましたけれども、それを普通は天下りと言っているわけでして、では、通産省の方では、そういう団体からの要請がないのに通産省の職員をその団体の役員として派遣したということがおありなのでしょうか。
  143. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変言葉じりをとらえたような言い方をされますけれども、よく天下りと言われておりますのは、天下り白書というものが人事院から公表されておりますようなケースを申すのだと私は思います。そして、私自身、他の閣僚をいたしておりました時期に、既存の団体から本当にそういう専門的な知識を欲しいということで請われて職員を割愛した記憶を持っておりますから、そのとおりのことを申し上げました。その言葉がお気に召さないのでありましたならば取り消しますけれども、そういうケースは現実に今までにもあったのです。  そして、天下り白書のようなケースだけが公務員が民間に知識を請われて出ていくケースではございません。また、逆に、発足当初、人間を貸してくれということで、いわば一定の期間経過したら帰していただきますよということで派遣をしたこともございます。そうした現実のケースがあることを承知しておりましたので丁寧に申し上げたつもりでありましたが、天下り白書のようなケースを私は頭に置いて御答弁を申し上げたと、改めて答弁のし直しをさせていただきます。
  144. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 私も、野党だからといってそれほどむちゃくちゃなことを言う気はなくて、こういう公益法人を一切っくってはいかぬのだとか専門家なり行政経験のある人を一切派遣してはいかぬのだなどということを言っているわけではなくて、この指定法人が本当に必要なのか。今の御答弁を聞いても、少なくともかなりの準備期間があるわけですし、まだいろいろな創意工夫も民間からも出てくる可能性もある、情報サービス業だったらほかにもできる組織はあるでしょうという意味では、最初からこの指定法人をつくっておくというのはおかしいのではないか。  本当に必要なものについては公益法人をつくるのも結構ですし、今橋本大臣がおっしゃったように、専門的な知識、技能を有する者を請われて派遣するということもあって当然だと私は思いますけれども、これがそうなのだと言われると、少なくとも今の情勢から見て、あるいは平成十二年まで猶予期間があるということを見れば、最初からこれをつくるのだというふうになっているのはいかがなものかというのはごく自然の判断ではないかと思います。したがって、私どもとしては、この指定法人についての規定が含まれている第六章については全文削除を要求するものですが、恐らく数の力でそれは通らない。残念なことだと思いますけれども最後一つだけ。  この指定法人をつくるということは、実は副次的な作用を及ぼして、指定法人にとにかくお客さんが来なくちゃいけないから——まあ先ほど、独自ルートが本来あるべき姿か指定法人が本来あるべき姿か明確な……
  145. 中西績介

    ○中西委員長 まとめてください。
  146. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 明確な御答弁いただけませんでしたけれども、私は、この独自ルートというのも十分に動くようになっていなくちゃいけないと思います。これが、十五条で決められているこの独自ルートのための申請書というのが大変ややこしくなっていて、大体、全国の市町村で自分の商品がどうなっているかを届けなくちゃいかぬ、それを書き込めというふうになっているのは、これは独自ルートを認可しない理由としか思えないんです。この第十五条二項の五という部分ですけれども、これは削除された方がよろしいんじゃないかと思いますけれども政府委員のお考え、いかがでしょうか。
  147. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 今、大変書類等が多くて認可しにくいのではないかというおただしてございますが、この認定基準は、以下に述べますように全く覊束性でございまして、申請の内容も明確でありますし、また簡潔なものとして我々は考えておるところでございます。  一つは、廃棄物処理法の許可取り消しなどの前歴がないこと、それから禁治産者等でないこと、それから欠格要件に該当しないこと……(鮫島委員「十五条の二項の五について」と呼ぶ)ちょっとお待ちください。——済みません。第十五条第二項第五号は、認定を受けようとする特定分別基準適合物の量と、その特定分別基準適合物がどこの市町村へどの程度あるかの量を記載するのみでございます。しかも、その市町村別の量は認定申請者がみずから合理的方法により推計した値で結構です、こういうことでございます。
  148. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 もう時間なのでやめますけれども、具体的にこの申請をしようとする者にとってはこれはもうほとんど不可能な数字で、これは各市町村別の積み上げが来て、それを都道府県でまとめて、厚生省に全部上がってくる、厚生省はそれで発表するというふうになっていますけれども、この十九万の中小企業の人たちが市町村別にどんなふうに何が上がってきているのかを一々厚生省に聞いて知るということは現実的には不可能でして、つまり、こういうことを入れて独自ルートが動かないようにしているというふうにしか思えない。  したがって、そういう意味でこれは大変欠陥の多い法律で、しかもこういう内容が、少なくとも細かいところはきのう初めて我々に対しても明らかになったという話で、全く国民的論議が不足しておりますし、もっと時間をかけて、本当のリサイクル社会の建設のために慎重に審議すべきだというふうに私は思います。  時間を超えましたので、ちょっと何人かの大臣の方々に質問を予定していたものができなくて、まことに申しわけありません。  以上で終わります。
  149. 中西績介

    ○中西委員長 大野由利子君。
  150. 大野由利子

    ○大野(由)委員 新進党の大野由利子でございます。  既に同僚議員から多方面にわたってこの容器包装リサイクル法案について質疑がございました。できるだけ私はダブるところは排除いたしまして質問をさせていただきたい、このように思っておりますが、若干ダブるところもあるかと思います。その点御容赦いただきたい、このように思います。  初めに、私は環境委員なものですから、環境庁の長官にお尋ねをいたします。  この法案質問に入ります前に、実は昨日、九五年版の環境白書を閣議決定をした、このように報道をされておりましたけれども、このことしの環境白書の目玉と申しますかメーンテーマはどういう内容になっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  151. 宮下創平

    宮下国務大臣 御指摘のように、昨日環境白書を閣議決定さしていただきました。副題としては「豊かで美しい地球文明を」ということになっております。  今回の報告の特色は、環境と文明との関係を取り上げまして、人類の進化や古代文明などを環境の面から振り返ってみまして、現代文明が持つ歴史的な意味合いあるいは問題点を探りまして今後の社会のあり方を考えるということでございまして、これは、従来こういう手法といいますか記述はございませんでした。私としても、やはり今日の地球環境時代、やはり文明と環境との関係、基本的な事実認識が必要だろうということで特記さしていただいておることは、第一の、最大の特色であります。  それから二番目は、アジア・太平洋地域につきましても環境保全観点から非常に重要な地点でございまして、これについて取り上げをいたしております。これも、我々が地球環境問題あるいは環境保全を全地球的な規模で取り上げる場合に非常に大きな視点でございますので、強調さしていただきました。  それからもう一つは、従来、環境面の大気とか水とかいろいろ取り上げておりますけれども、土につきまして多面的な考察を加えることは少なかったわけでございますので、土についての基本的なあるいは基礎的な認識を記述をいたしております。  そういうことで、環境基本法の制定あるいは昨年の末の環境基本計画策定後の我が国環境政策という視点を十分に踏まえまして、持続可能な開発、そういうことを達成するための方途をいろいろ考えておりますし、それからまた費用対効果の問題、その他いろいろな問題点についても取り上げております。  全体を通じたメッセージといたしましては、今までいろいろ我々の発展が環境に種々の負荷を与えることの多かった文明とは質的に異なる、最初に申しました豊かで美しい地球文明の構築というような視点を強く主張したのが今回の環境白書の特色でございます。
  152. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今長官が御答弁をしてくださいましたように、今回の環境白書は、今までの文明を環境の視点から問い直すという大変画期的な内容になっているのではないか。少し読ましていただきますと、今のままでは文明が滅びてしまう、これまでとは質的に異なる、豊かで美しい地球文明を構築していかなければならないという、文明の視点から問い直された画期的な白書になっているのではないかこのように思うわけですが、しかし、果たして今回のこの容器包装リサイクルがそういう観点からの法案になっているのかどうかという、そういうことについてお尋ねをしたい。  今回の法案は、とりあえず、ともかく最終処分場逼迫をしているものですから、ごみ廃棄物を減らさなきゃいけない、ともかくリサイクルをふやそうという、そういう観点からつくられた法案である。しかし、先ほど申しましたような文明そのものを見直していこうというところの視点は弱いんじゃないか。  廃棄物と申しましても、廃棄物は固体だけじゃございませんで、液体もございます、また気体もあるわけでございます。今回のこの法案で私、環境という言葉がどれだけ出てくるか調べてみたんですが、まず第一条で、「目的」のところに「生活環境保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」生活環境保全というものを目的としている法案である、そういうことはうたわれておりまして、まあ確かにそういう法案なのかなと思います。それで、第三条の二項にももう一つ環境という言葉が出てくるのですけれども、でも、この基本方針を定める中に、「環境保全に資するもの」としての今回の法案である、環境保全に資するものだからその知識の普及にしっかりと努めなさいよ。環境環境という言葉なんですが、そういう内容の環境なんですね。  それで、地球環境という視点がこの法案にないな、そのように感じております。今回の法案を進めることによって、場合によってはかえってCO2の排出がふえてしまう、かえって地球温暖化を利することになってしまうとかまた、リサイクルのために大量の水を使って水を汚染してしまう、そういうようなこともございますでしょうし、フロンの排出抑制とかというようなことにも全く触れられていないとか、地球環境という点からの視点がこの法案には全くない、そう言えるんじゃないかと思っております。  環境庁長官は、主務大臣の一人として基本方針の策定に携わられるということですが、どういう内容の基本方針になさりたいと思っていらっしゃるかについて伺いたいと思います。
  153. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員の御指摘でございますが、一条の「生活環境保全」ということが「地球環境」という言葉になっていないではないか端的に言えばそういうことだと存じますけれども、我々の生活環境自体が地球環境と非常に裏腹の関係に全生活がなっておることは、委員承知のとおりだと思うのですね。そういう意味で、今回、生活環境という言葉を使っておりますが、この法律は、やはり広い意味では地球環境に影響することは間違いございません。私どもは、廃棄物処理場が狭くなったからこの法律をつくったというように、直接的な誘因はあるいはそこにあることも否定できませんけれども、私どもの見る見方といたしましては、リサイクル社会循環型社会をつくるための一つの手法として非常に有益だというように私はとらまえております。  それからまた、「環境保全に資するもの」としての第三条の御指摘がございましたけれども、私ども、この基本方針をつくるときの主務大臣でございますが、ここには「分別基準適合物の再商品化等促進の意義に関する知識の普及」ということに限定されていますが、しかしこれは非常に広いです。今申しましたように、やはり我々の生活それ自体が地球環境とつながっているということを、私どもは、いろいろの広報その他活動を通じて国民の間に知っていただくことが必要だというような広い認識のもとにこの位置づけをしていることを申し上げさせていただきたいと思うのです。
  154. 大野由利子

    ○大野(由)委員 昨年の十二月にEUの包装廃棄物指令が可決をされました。このEUの包装廃棄物指令の中で、欧州では既にマテリアルリサイクルを原則優先とするわけですけれども、LCA、先ほど高見議員の質問にもございましたライフサイクルアセスメントが明確になり次第、このライフサイクルアセスメントを基本とするEU包装廃棄物指令にするんだ、そういうものを基本とするんだというのが明確になっているわけです。それで、全世界的にもこのライフサイクルアセスメントというものの考え方をまだまだこれから煮詰めていかなければならないということもあって、これについて全く触れられていないのではないかな、今研究途上にあるから無理もないなとは思うわけです。  しかし、後で質問もさせていただきたいのですが、今回の法案施行後十年目に見直すという法案になっているのですね。今からいいますと十二年後に見直すという大分先の話なのです。ということは、もうそれまでに十分このライフサイクルアセスメントの考え方というものが、研究がもっと発達もし、そういう視点で物を見ていかなければいけない、地球環境というものを見ていかなければいけないということがあると思うのですけれども、この点、今回の法案には入っていないのです。  これについて、大臣は、今後こういう考え方をどのようにこの中に盛り込もうというか、こういう考え方を基本に置こうとされているのかについて伺いたいと思います。
  155. 宮下創平

    宮下国務大臣 ライフサイクルアセスメントにつきましては、今委員指摘のとおり、これはまだ完結したものではないのですね。また、実際上、部分的には実施されておりましても、体系的にこういうシステムが実行されているというわけではございません。これは諸外国の例もそうでございます。したがって、LCAの手法の開発あるいはその前提となる資料の整備、情報の整備等々が今各国で行われているわけでございますね。したがって、そういうものの結論を待って私どもも積極的に、このことは非常に必要だと存じておりますから、開発研究を進めてまいりたいと思っております。  同時に、十五年後にそれではどうなるかということですが、私は、十五年もたちますと、かなり経済と環境の問題が大きな問題になってくることは間違いないと存じておりますから、その一つの手法としてのLCA、これも大きな課題になってくるでしょう。  しかし、今回の法律というのは、あくまで容器包装廃棄物に限定をいたしまして、リサイクル循環型社会を構築するという視点で構成されているものでございますから、あらゆる地球環境問題をこの中に包含するわけにもまいらないわけですね。それはもう言うまでもないことでございます。したがって、私は今直ちに十五年後にこの法律がどうなるかというようなことを申し上げる立場にもございませんし、また予測もできないところでございますが、基本的な背景としては、地球環境問題というものの重要性を頭に置きながら、この法律運用もきちっとしていきたいというように今考えているところでございます。
  156. 大野由利子

    ○大野(由)委員 最終処分場逼迫していて、とりあえず容器包装を見直そう、リサイクルをしっかりやっていこうという法案であるという感じを、やはり今の大臣答弁を聞いておりましても改めて感じるわけでございまして、私は、もっともっと地球環境というものの本当の理念というものをバックボーンにきちっと据えた法案にするべきではないかな、目先のものであったらやはり一つ一つがすぐ行き詰まってしまうという状況になってしまうのではないか、もっとそうした理念というものをしっかりうたい込んだ法案に本当はしてほしいなという思いがいたします。  それから、現在、ISO、国際標準化機構でございますが、ここでも、企業活動等による環境負荷を削減をしていくために、各種の環境管理に関するシステムの策定をしようという研究がなされております。その中で中心となるのが企業の環境管理システム環境監査とも言われておりますけれども、自分の会社の工場がどれだけ直接的な環境負荷をもたらしているかというだけではなくて、製品の輸送、それから製造、廃棄、そして再商品化、すべてにわたって企業の環境負荷、その工程すべてを視野に入れた環境負荷というものを選び取っていかなければいけないという、この研究というものはやはりしっかり今していかなければいけない。  既にいろいろ行われていると思うのですが、いつごろこれは具体化されて、そしてある程度ガイドラインなりなんなりで実用化されるようになるのでございましょうか。
  157. 宮下創平

    宮下国務大臣 先ほどの委員の御質問の中で、ちょっと誤解があるといけませんので申し上げておきたいのですが、今回の法律は、地球環境全体の法律ではないわけですね。したがって、私どもとしては、私どもの意識としては、環境基本計画がそういった包括的な問題指摘をしてございます。個々の法律によってそれらがそれぞれの分野で、例えば自然との関係はまた別個の法律がございますし、それから循環型社会の問題であれば今回のような法律にもなりましょう、あるいは他の法律もあり得るかもしれませんね。そのように、全体としての環境基本計画の中におけるあるいは地球環境問題の意識の中における一ブランチだと考えております。  しかし、便宜的に廃棄物処理施設がないからやるんだというだけの意識じゃ全然なくて、先ほど来申し上げておるように、循環型社会を構築するために非常に有用な手法であるというように評価しておりますから、その点は接点が十分ありますし、背景にそういうことがあるということを申し上げさせていただきます。  それから、環境監査あるいは管理システムのISOとの関係でございますが、これは、今ISOにおきまして非常に研究がされております。また、EUその他でも研究がされております。各国でかなり研究がされておりますが、特にISOの提言は、私どもが聞くところによりますと、時期については、正確を期するために後で政府委員から答弁させますが、来年ぐらいまでにはきちっとしたものが出てくるのではないかと思っているのですね。  それは各国で受け取り方は違うと存じますけれども、私どもはこれを積極的に評価して、そして経済と環境の問題の重要な視点でございますから、各企業の行動計画として反映させていきたい。どのような形になるかは別問題として、そのような意識を持っておるところでございます。  時期については、ちょっと政府委員から答弁させます。
  158. 石坂匡身

    石坂政府委員 ただいま大臣が御答弁申し上げたことを若干補足させていただきますが、ISOの環境管理につきましては、平成五年から専門委員会を設置いたしまして、標準化の検討を行っておるわけでございます。現在この環境管理システム環境監査につきまして、それぞれの部会の案が作成され、さらに検討中でございまして、来年の夏前にはISO規格というふうなものが成案となってくるのではないかというふうな状況でございます。
  159. 大野由利子

    ○大野(由)委員 続いて、通産大臣お尋ねをしたいと思います。  この法案質問に入ります前に、通告をしてなかったのですが、実はけさのニュースを拝見いたしまして、青島都知事が世界博の中止を決定したという報道がなされておりました。これについて、最も関係の深い橋本通産大臣の御感想、そしてこれが景気に与える影響、また中小企業に与える影響があるとお考えなのかまたないとお考えなのか、この点について伺いたいと思います。
  160. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 全く突然のお尋ねでありますので、私のわかる範囲内でお答えをさせていただきたいと思います。  この博覧会は、もともと東京都が計画をされ、政府に対しても協力の要請を受け、政府は、閣議了解の形であったと思いますが、これを支援する体制をとりました。そして、この博覧会の実行に向けて、各省庁施策の中にも当然のことながら税制等を含め支援の措置が講ぜられてきたと承知をいたしております。  今回、東京都がこれの開催を取りやめられるということでありますならば、内閣としてどのような手続を必要とするのか。これは、東京都がおやりになろうとしたことに対する支援でありますから、閣議としての手続がどういうものを必要とするのか、こうしたケースに私は今までぶつかったことがありませんので、手続的にはよく存じません。ただ、当然ながら、関連する支援のための予算等がありますならば、その執行は中断をすることになろうと存じます。  また、私どもといたしましては、東京都の計画を支援する中で、海外の諸都市に対しましても出展の要請等をいたしておるところがあるのではなかろうかと思いますが、そういうものがあるといたしましたなら、当該国並びにその構成される市に対しましての外交上の礼を失するという問題を生ずると存じます。  また、この博覧会のために工事等が行われておりましたものは、当然ながらこれは中断するでありましょうから、当然、関連する業者の方々には影響を及ぼすと存じます。  また、出展の計画を持っておられ、その準備をしておられた企業はその計画を中断されることになるわけでありますから、今日までの間にどの程度の投資をしておられたのか、私は存じませんけれども、当然ながら、そこに損害を発生させるという意味では、経済に影響もあろうかと存じます。さらに、その出展のための資材等々を供給されることになっておった業者は、これにおいての影響を受けるでありましょう。  当然ながら、さまざまな経済的な影響は発生すると存じます。また、工事に従事していた下請等においての労務問題が発生しなければよいが、とっさにそのような印象を持っております。
  161. 大野由利子

    ○大野(由)委員 続いて、今回のこの法案質問に入らせていただきたいと思っております。  容器包装リサイクルにつきまして、私は、製品をつくった側、そして利用した消費者、両方にやはり責任があるのであって、今回、市町村分別収集の責務を負う法案になっているわけですけれども市町村はこの分別収集に協力をするもしくは代行をするというのが本来の筋ではないか、このように思っております。そういうふうに本当は明確にしなければ、ごみを減量し、リサイクルしていくというインセンティブが非常に弱い。一歩前進という面はあるかと思いますけれども、その辺がまだまだ大変弱いのではないか。このように思っておりますが、通産大臣はこれからどのようなリサイクル社会を構築しようと考えていらっしゃるのか。  また、第七条で、基本方針に基づいて「再商品化に関する計画を定めなければならない。」とありますが、この計画は具体的にはどのような計画をつくられる御予定なのか伺いたいと思います。
  162. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、大変委員お尋ねに対して困惑をいたしておりますのは、廃棄物処理というものが、廃棄物処理法におきまして市町村固有業務と定められております点を委員がどう理解されておられるかの点についてであります。  確かに委員のおっしゃるように、製造した、いわば製造の責任者、それを使用した消費者、そういうとらえ方で廃棄物というものを考えられる、そうした考え方もあるいは成り立つのかもしれません。しかし、我が国におきましては、従来から廃棄物処理行政というものが市町村固有業務として定められ、それがかって、例えば産業廃棄物等の処理におきましてもさまざまな論議を生んでまいりました。そうした中で、私は、現行の廃棄物処理法の法体系の基本を崩すことなく容器包装リサイクルというものを形づくるとすれば、このような形態をとることは非常に素直な形ではなかろうかと存じます。  そもそも、先ほど来理念のお話がございましたけれども、私どもは、環境行政の理念というものは、環境基本法の中に尽くされているものが理念であり、その理念を受けて個別の法体系が存在すると考えております。そして、この法律は、一般廃棄物の中で、容積ベースでは約六割、重量ベースで約二割を占めております容器包装というものを体系的に処理していくことによりまして、一般廃棄物リサイクル促進というものを大きく進めていこうという位置づけから構成されていると考えております。  同時に、リサイクル社会ということから申しますならば、この容器包装以外に家庭から排出をされます一般廃棄物について申し上げますなら、新聞あるいは雑誌等につきましては、世界最高水準の古紙のリサイクルシステムというものが我が国においては既に確立いたしております。これを活用していくことによって対応していかなければならないと考えておりますし、重量ベースで約三割を占めております生ごみにつきましては、コンポスト化に向けた取り組みというものが重要な今後のかぎを握ると思っております。  さらに、大型の電気冷蔵庫でありますとか大型テレビでありますとか、市町村による処理が困難とされてまいりましたものにつきまして、本年三月から廃棄物処理法に基づく事業者の協力制度がスタートをしているところであります。また、産業廃棄物につきましては、排出者たる事業者がその責任により処理しなければならないこととなっておるわけでありまして、排出量の約四割が既にリサイクルの体系に乗っていると承知をしております。  そうした意味では、この法律案は総合的なリサイクルを進めていく大きな役割を担う一本の柱、重要な柱ということで私はとらえておりまして、リサイクル社会の構築を図る上で欠くことのできないものと考えております。  なお、事務的に補足をさせることをお許しいただきたいと存じます。
  163. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 御質問のありました再商品化計画法案の第七条の再商品化計画でございますが、三年ごとに五年を一期とする再商品化計画主務大臣が策定することになっております。  具体的に申しますと、特定分別基準適合物ごとに、例えばその他プラスチックとかPETボトルとか紙箱とか適合物ごとに大きく分けて三点のことを再商品化計画に盛り込むことになっております。一つは、各年度において再商品化がされる特定分別基準適合物の量の見込み、二番目が再商品化をするための施設の設置に関する事項、例えば油化設備が何年ごろにどういう形でできるか、場所等も記されることになると思います。三つ目に、当該特定分別基準適合物の再商品化の具体的方策に関する事項ということで、例えばガラスであれば再使用であるとかカレットであるとか、その他プラスチックであれば油化にするとかそういう方向を書くことになるかと思います。
  164. 大野由利子

    ○大野(由)委員 厚生大臣伺いたいと思います。  廃棄物処理が地方行政の固有の業務になっているということは私もよく知っているわけでございますが、うんとたくさんごみを出す人、ごみを出さないように一生懸命努力している方、そういう方さまざまあっても払う税金には何らその辺は影響を受けない、一律に税金で処理をされるというのであればごみの減量に対するインセンティブが弱いのではないか、そういう観点質問をさせていただいたわけでございますが、将来このごみの減量、今回の法律によって、一般廃棄物の三・四%が今リサイクルされている、それが一体どこまで進むのか、さらに今後ほどのようになさろうとしているのかについて伺いたいと思います。
  165. 井出正一

    井出国務大臣 今回のこの法案施行されるにつけて、何としても国民の皆様方の理解と協力が必要であります。そのための努力を我々当然、総力を挙げてするつもりであります。その理解、協力の結果、もう理想とするところは一〇〇%なのでありますが、いろいろな推定は今のところ九〇%まで、なかなかそう簡単に短期間ではいかないと思いますが、この容器包装に関しましては、リサイクル分別をとりわけ一〇〇に近いところまで持っていきたいな、こんなふうに思っております。  それから、分別収集の費用負担をむしろ市町村よりは事業者消費者の方に移していく方がいいのではないかというようなお考えの御発言もあったというふうに受けとめたのですが、それでよろしいですか。
  166. 大野由利子

    ○大野(由)委員 市町村負担じゃなくて事業者の責務、このようにした方がインセンティブが働くのではないかそういう気持ちがあって質問したのですが。
  167. 井出正一

    井出国務大臣 そうですか。わかりました。  今回の法では、従来のように市町村のみが一般廃棄物に関する責任を負うのではなくて、市町村ももちろん負っていただきますが、消費者事業者のそれぞれが責任を分担するシステムを構築しようとしているものであります。  具体的には、市町村容器包装廃棄物分別収集消費者はそれへの協力、分別排出と申し上げてもいいと思います。事業者は、市町村分別収集した容器包装廃棄物をみずから、または指定法人やリサイクル業者に委託して再商品化するという役割分担を行うものでございまして、事業者に対してこのようなやり方でインセンティブは十分働くと私は思いますし、この役割分担のあり方については最もバランスのとれた適切なものであると考えております。
  168. 大野由利子

    ○大野(由)委員 第八条で市町村分別収集計画のことが書かれておりますが、この中で市町村は七項目にわたっていろいろ計画を立てる、このようになっております。しかし、分別収集を今よりもこの法律に従ってしっかりやるとなると、収集にかかる費用も今の二倍、三倍かかってくるわけでございますし、やはり一般廃棄物と一緒くたというのじゃなくて、きちっと分離して、これだけの経費がかかって、これだけの分別をやるのですよというのが目に見えるような形にした方がいいのではないかということで、この分別収集計画の八番目に、どれくらいの費用がかかるということを想定しているのかということを明記した方がいいのじゃないか、このように思っておりますが、御意見伺いたいと思います。     〔中西委員長退席、白川委員長着席〕
  169. 井出正一

    井出国務大臣 分別収集計画分別収集に要する費用を盛り込んだらどうだ、こういう御質問でございますが、この計画は財政計画ではございませんで、どういう種類の容器包装廃棄物をどの程度の量を集めるかが計画として最も重要でありますこと、また将来の分別収集に要する費用を算定することは実際問題として大変困難な問題があるということ、また一般廃棄物処理は、先ほど来話題になっておりますように市町村の固有事務とされておりますことや、毎年度の市町村の予算編成ともしたがって関係してくること、さらに市町村分別収集の基本となる廃棄物処理法に基づく一般廃棄物処理計画においてもその収集費用は記載事項とはされておりません。そういうこと等々から、分別収集に要する費用について定めることをこの計画の必須事項とすることは無理といいましょうか、困難だと考えます。
  170. 大野由利子

    ○大野(由)委員 なぜこのように申しましたかといいますと、やはりこうしたことがきちっと情報公開というのでしょうか、今まで以上に二倍、三倍の分別収集に費用もかかるわけでございますし、市町村負担は当然税金で住民の皆様に負担をしていただくわけでございますので、さまざまな計画を立てるときには、当然費用の裏打ちがなければこの計画もできないわけでございますし、私はある面では当然ではないかまたこの辺が明確になったときに、この市町村負担をしている分別収集の費用をどこがどういうふうに負担するかということも今後の検討課題に生まれてくるんじゃないかと思っております。  一つの参考といたしまして、ドイツのDSD社は全部事業者負担をしておりますし、フランスのエコアンバラージュ社は地方自治体がやっておりますけれども、その費用の一定額はエコアンバラージュ社がお金を負担しているという、そういう経緯もございますので、日本もドイツやフランスのまねをする必要はないと思いますけれども、まずどれだけ費用がかかっているのかということがわかれば、将来その費用はだれがどういうふうにして負担をし、それを減らすためにはどういう努力がなされるべきかという、そういう努力も当然行われてくるのではないか、このように思っておりますので、この辺も今後の検討にぜひ入れていただきたい、このように思っております。  それから、附則の第三条に、さっきもちょっと申しましたが、この法律施行後十年を経過した場合において、その再商品化実施項目や指定法人等々について検討を加え、その結果について必要な措置を講ずるとあるのですが、これだけ変化の激しい時代でございます。十年を経過、もちろんその前でもいいんでしょうけれども法律で十年というのは余りにも遠い将来過ぎてしまうんじゃないかもうちょっと短いものにすべきではないのか、このように思っております。  それともう一点、この附則の第三条の二項に、分別収集に要する費用の負担のあり方についても検討条項を設けるべきではないか。今は地方自治体になっておりますが、これについても将来検討を要するという、そういう項目を入れるべきではないかこのように思っておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  171. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 十年後の見直し規定と申しますものは、これは現在の規制緩和の流れの中におきまして、規制関連の条項に関連して設けられたものでございます。社会経済情勢、環境の変化に応じて、それは必要があれば私は検討を加えられるべきものであろうと思います。
  172. 井出正一

    井出国務大臣 市町村消費者事業者のそれぞれが責任を分担する今回のシステムが、私どもといたしましては、役割分担の最もバランスのとれたあり方だ、こう考えておりますから、先ほどの繰り返しになりますが、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  173. 大野由利子

    ○大野(由)委員 第二条の「定義」のところで、特定容器は主務省令で定める、このように書かれておりますが、どういうものを想定していらっしゃるか伺いたいと思います。
  174. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 特定容器とは、商品容器であって、当該商品が費消され、または当該商品と分離された場合に不要になるものということで、具体的にはアルミ製食缶、ガラス製酒瓶等が該当することになると思います。いずれにしても、主務省令で定めることになると思います。
  175. 大野由利子

    ○大野(由)委員 スーパーでいただくビニールのレジ袋、それも入るのかどうか。それから特定包装、これも「容器包装のうち、特定容器以外のものをいう。」このように法案に書かれておりますが、特定包装というものはどういうものを想定していらっしゃるか伺いたいと思います。
  176. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 スーパー等で使われるレジ袋は特定容器に含まれます。特定包装については、例えばデパート等の包装紙あるいはフィルムとかラップ等が考えられるところでございます。
  177. 大野由利子

    ○大野(由)委員 では、デパートでもらう紙袋は一体特定容器なのか特定包装なのかどちらになるんでしょう。また、特定包装というのは再商品化の義務が課せられるのでしょうか、課せられないのでしょうか、その点も伺いたいと思います。
  178. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 デパートの紙袋は特定容器に含まれます。それから特定包装についても、当然のことながら、包装を使う中身事業者の方は再商品化義務が課せられるということでございます。
  179. 大野由利子

    ○大野(由)委員 特定包装を扱う中身メーカーじゃなくて、特定包装のメーカーそのものはこの義務化がかかるかどうか、伺いたいと思います。
  180. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 今回の法案の趣旨が、容器包装を使われる方あるいはつくる方に一度費用を負担していただく、再商品化義務をかけさせていただくことによって、素材の転換等、あるいは重さとか大きさ等を変えていただくインセンティブが働く、そういうことを通じて社会的費用をミニマイズするという趣旨で義務者となっていただいたわけでございます。  先ほど申しました包装紙等については、包装紙をつくる方はおられるわけですが、御案内のように紙自身は文房具に用いられたり、あるいは場合によっては家庭で壁紙等に用いられたりということで、それ自身、包装という最終的には役割を果たす部分ができるわけでございますが、そういう方々に義務をかけたとしても、素材の転換等を期待することはできないということで、特定包装については、包装を使われる中身事業者のみに義務がかかることになっております。
  181. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今お話を伺っていますと、デパートでいただく紙袋、またスーパーで受け取るレジ袋が特定容器になる、特定包装じゃなくて特定容器になるという、こういう御答弁だったと思うのですが、これはなかなか一般市民の皆さんにわかっていただくのは難しいのじゃないか。どこがこれ容器がな、包装じゃないかというようなむしろ気持ちを持ちますし、特定包装は今回義務化から外されているということで、この辺の基準が何かもう一つよくわからないなという、そういう感じがいたします。  私は、実は家庭の主婦でもございますので、この法案が通ったときに、じゃこれはリサイクルしなければいけない、これはリサイクルしなくていいんだという、その辺の識別というのが非常に難しいな、とってもそれを感じるのです。市町村でどういう分別計画を立てるかということにももちろんよると思いますが、一番まじめに一生懸命、法案が通ったら分別しようとする市町村に住んでいるとした場合に、どういうふうに分別することになるか家庭の主婦はどういうふうに分別をすればいいのかについて伺いたいと思います。
  182. 藤原正弘

    ○藤原政府委員 市町村でどういうふうに分けるかということでございますが、その基準は厚生省令で定めることにしております。現在のところ、アルミ、鉄、ガラス、プラスチック、紙などの種類ごとに分けることに加えまして、缶のプレスやガラスの色選別もあわせて行うことを考えております。  また、各家庭での排出方法につきましては、これはそれぞれの市町村において、地域の実情により異なってくるものでありまして、各家庭でどの程度まで分別排出するかにつきましては、市町村がその基準を定めて、住民に広報をし説得をしてやっていただく、こういうことになるわけでございます。
  183. 大野由利子

    ○大野(由)委員 家庭で一緒くたに出して、市町村でまた分けるということもないわけではないと思うのですが、その分税金がかかるわけですし、市町村負担をできるだけかけないで、できるだけ家庭で最初から分別をして出すというふうにしなければいけないのじゃないかと思っております。  先ほど瓶、缶とお話がありました。当然、瓶も弧としてまとめて出すのではだめなのだろう。白い瓶、茶色い瓶、その他の瓶というふうに、瓶も色別に分けなければいけない。また、缶はアルミ缶スチール缶と分けて出すのか分けて出さないのか。それから、今お話があったデパートの包装紙も、燃えるから、紙だからといって、燃える一般ごみに出さないで、リサイクルする方に出さなければいけない。また、スーパーのレジ袋もちゃんとリサイクルする方に出さなければいけない。こういう実情ではないかな。ポリ容器はポリ容器、全部分けなければいけない。  そういうことで、大変煩雑な、大変なことを協力してもらわなければいけないわけですが、国民の皆さんに協力を呼びかける、本当にどういうふうにこれをなさるつもりかな、私はこのように思っております。何か当たり前みたいな感じではとても皆さんの協力は得られないので、しっかりお願いしていかなければいけないと思うのですが、どういうふうに今後考えられるのか、伺いたいと思います。
  184. 藤原正弘

    ○藤原政府委員 委員指摘のように、きちっとやるということはなかなか大変なことではあるのですが、現行でも、三千の市町村のうち約四割、千三百の市町村が何らかの分別をやり、それに住民も協力をしてやっておるわけでございます。  したがって、今回こういう法律が通りましてそれに基づいてやるということになりますと、今まで以上の丁寧さといいますか分別をやらなければいけないということは事実でございますが、先ほども言いましたように、実態としてもうそういう取り組みが進んでおるわけでありますから、これをより進めていくということで厚生省も、また全国の市町村も頑張っていけばやっていけるのではないかというふうに思っております。
  185. 井出正一

    井出国務大臣 国民の皆さんの理解と協力を得るべく一生懸命、行政あるいは我々が頑張らなければいかぬと思いますが、また一面、国民の皆さんにも、こういう時代の国民としての責務といいましょうか、必要なことを十分わかっていただかないとまた大変困るわけでございまして、その辺の御理解もぜひいただきたいと思います。
  186. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今、政府委員答弁で、三千のうち千三百が既に分別をやっている、そのような御答弁があったわけですけれども、それはちょっと私は正確な答弁じゃないと思うのですね。  分別といったって、そんなに細かく分別をしているところはほとんど皆無じゃないか。私の住んでいるところも非常に細かくやっておりますが、瓶は瓶だけ。そんなに三種類の色別に分けるところまでやっておりません。それから牛乳パック等の紙パック、これも今スーパー等へきれいに洗って、開いて持っていっておりますが、全家庭がこれをきちっと洗って、はさみで開いて、すごい力が要ります、牛乳パックを開くのは。  そういうことをお願いするのは大変なことですから、これはもう既に三千のうち千三百が実行しておりますなんという感覚でこの法案に取り組まれると、とんでもないことになるのではないか。私は本当にもっともっと真剣にこれは考えていただきたい、このように思っております。  それから、だんだん時間もなくなってきたので、はしょりたいと思いますが、先ほど鮫島議員から指定法人の問題についてもいろいろ質問が出ました。私もこの指定法人については大変疑念を持っているわけでございます。指定法人を経由しないで事業者が独自ルートで再商品化できる、こういう道も開かれておりまして、これは大変いい案ですし、これをしっかり育てる必要はあると思うのですが、主務大臣が認定をするというふうになっているのですね。この主務大臣が認定する基準は、何をもって認定されるのか。  私は、これが、例えば鹿児島の隅の村の方であっても一々霞が関の主務大臣の認定を受けるなんというのは大変な官の指導じゃないかな。これは、ある面ではもっと緩やかに、せいぜい県知事の許可でできるとかいうふうにすべきじゃないかなとも思いますし、指定法人のルートを経るよりもこっちの方が厳しいとなると一向に進まないわけでございますので、この辺の基準について伺いたいと思います。
  187. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 まず、容器包装廃棄物といってもやはりごみでございまして、このごみが今までいろいろなことで国民の皆さんに迷惑をかけてきた。といいますのは、集めたごみがどこかに離散をしてしまうとかというようなことがあってはいけないわけでございまして、そういう意味で、例えばどこかの企業が第三ルートでもって、自分たちの出した容器包装廃棄物に見合った量を処理する、リサイクル、再商品化をすると言われましても、その許可業者についてはやはり野放しということではなくて、それがきちっと再生をされていくということが大変大切なわけでございます。そういう意味で要件をかけているわけでございます。  ただし、要件をかけるにつきましては、覊束性を大切にしてありまして、恣意的な判断にならないようにということで三つの条件を今つけておるところでございます。  それは、まず一つとして、廃棄物処理法の許可取り消し尊前歴のないこと、それから準禁治産者などでないこと、それから欠格要件に該当しないこと。二つ目に、一般廃棄物処理施設の設置許可を要する施設であっては同許可を取得していること。三つ目に、例えば認定を受けて行う再商品化量が当該認定申請業者の義務量の五〇%以上の場合、再商品化を行う分別基準適合物の都道府県別のウエートが実際に販売されている都道府県ごとのウエートと一致するといった一定の基準に該当していることということでございまして、それはあくまでも廃棄物の管理という観点と、きちっとリサイクル、再商品化していただくという観点から、こういう覊束性の高い要件が定められているところでございます。
  188. 大野由利子

    ○大野(由)委員 時間もありません。最後一つ伺いしたいと思うのですが、DSD社では、このシステム参加している製品にはグリューネ・プンクトというグリーンのマークがついているわけでございます。それから、フランスはエコアンバラージュが組織化されていて、やはりロゴがつけられた包装を回収しているわけですが、今回、法案では、マークをつけられるのかつけられないのか。マークについてどう考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  189. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 本法案に基づく義務を履行される方がみずからの義務履行のあかしとして付するマーク、これを付することを強制すべきものではないと考えております。また、虚偽のマークや類似のマーク等については商標法で規制することが可能と考えられるため、本法案で位置づける必要もないと考えております。いずれにしても、マーク制度については本法案で位置づけられなければならないというものではございません。  ただ、今後、指定法人と特定事業者の間、主としてそういう関係事業者の間で付するか否かも含めて検討が行われるというふうに考えております。
  190. 大野由利子

    ○大野(由)委員 先ほども申しましたように、家庭の主婦が、これは一般ごみなのか、それとも分別の方なのかという判断に非常に苦しむということもございますので、これは分別のものですよということが識別できるということが必要ではないかと思いますし、また、リサイクルの費用がこれは転嫁されているんですよということがわかるかわからないかという意味での色分けみたいなものも必要かと思いますので、このマークについてはどういうマークが一番いいのか、ぜひ御検討をお願いをしたいと思っております。  以上で終わります。
  191. 白川勝彦

    白川委員長 次に、岩佐恵美君。
  192. 岩佐恵美

    岩佐委員 法案審議に先立ちまして私、先日、栃木県内のPETボトルリサイクル工場を見てまいりました。  まず驚いたのは、工場敷地内に未処理PETボトルが山のように積み上げられていました。この工場は、年間処理能力五千トンから八千トンだそうであります。一昨年の九月から運転を開始したそうでありますけれども、九四年度の回収量は一千三百六十六トン、PETボトル生産量のわずか〇・九%です。このように回収量が少ないのは、PETボトル分別収集している自治体が九十団体程度、そういうふうに少ないからだということです。  また、未処理PETボトルが山積みになっているのは、アルミキャップの除去が困難だとか、あるいは塩化ビニール製のボトルが入ってきて、それを分別しないと最終商品が品質が悪くなるというようなことで除去をする、これも大変だ。それから、いわゆるラベルの除去、これも結構大変な作業だそうであります。これはイタリア製の機械だそうですけれども、当初計画のように十分稼働していない、それで処理ができていないということです。これは当面解決しなければならない技術的な課題となっているそうであります。  今回PETボトルを再商品化するわけですけれども、再商品化に困難なアルミキャップや塩化ビニールなどを利用したPETボトル、これは製造しないなど、PETボトルの問題に限らず、私は、廃棄物を減らしていく、そのために再生利用の容易な製品を開発をする、あるいは製造する、こういうことが容器製造業者に求められているのではないかというふうに思います。その点について、まず通産大臣にお伺いしたいと思います。
  193. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 この法律案におきましては、消費者が分別排出をしていただく、市町村分別収集を行う、事業者が再商品化を行うという適切な役割分担を行うわけでありまして、事業者につきましては、容器包装利用事業者及び製造事業者には再商品化の義務があるわけであります。また、再商品化によって得られたものを利用できる素材メーカーなどにはその利用義務がございます。そして、容器包装を用いる事業者及び容器包装の製造販売を行う事業者等にはリサイクルしやすい原材料、容器包装の開発、使用、販売といった義務が課されるわけであります。  私は、今委員が現時点においてごらんになりました工場の実態は恐らくさようであっただろうと想像するにかたくはありません。これは恐らく、PETボトルばかりではなく、例えば鉄製の缶にアルミの金具がつけられているといったような、金属の場合にも同様の問題があるわけでありまして、私は、この法律案施行されました場合、事業者がそれぞれその適切な負担を果たしながら、再商品化拡大というものに寄与しなければならないことから考えますと、この法案施行してまいりました段階におきまして、今御指摘のような状態が少なくとも減少していくであろう、そうした方向に動いていくことを期待いたします。
  194. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に塩化ビニールの問題なんですが、PETボトルや廃プラスチックの再商品化を困難にしております。さらに、ダイオキシンの発生の源ともなっているわけです。これまで塩化ビニール等塩素系プラスチックも含めて、ごみを全部焼却をしてきました。しかし、ダイオキシン汚染の実態から、当面、少なくとも塩ビ等の排出物は徹底して分別収集をする、メーカーの責任において回収する、このことを義務づけて処理をしていく、そのことが今求められているというふうに私は思うのですけれども、その点、厚生省いかがでしょうか。
  195. 藤原正弘

    ○藤原政府委員 委員指摘のように、この塩化ビニールを含めまして、プラスチック製の容器包装につきましては、本法案のスキームに従いまして、できる限り市町村において分別収集を行い、特定事業者の責任により再商品化を進めていくことが基本であるというふうに認識いたしております。  プラスチック類の再商品化につきましては、熱分解による油化が中心的方法になるというふうに考えておりますが、油化プロセスにおける脱塩素技術というのはおおむね確立されておるということであります。通常、家庭から排出される程度のプラスチックの組成でありますと塩化ビニールの混入も一定の率でありますので、そういうぐあいでありますと特段の支障は生じないというふうに承知しております。  このように、塩化ビニールを含め、プラスチックの再商品化につきましては相当技術も進んできておりますことから、規制的手法によるよりも、このような、この法案で提案しておりますような経済的手法を基本とする措置によりましてその減量化を図っていくということが必要ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  196. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は非常に認識が甘いというふうに思っております。焼却炉からかなりダイオキシンが出ている。これは調査をして、なかなか公表されてないのが今実態ですけれども、情報公開ということでだんだんこういう資料がどんどん出ていくことになると、本当に大きな問題に今もなっていますし、もっと大きな問題になっていくだろうというふうに思います。  塩化ビニールのそういう製品について適切に対処をしていくということが今求められている。そんなに進んだ、バグフィルターまでつけた非常に進んだ焼却炉ばかりではないわけですね。なかなかおくれているものもあるわけですから、私は認識が甘いというふうに思っています。  塩ビ製品を分別収集するためにも、例えばPETボトルの場合にはこうしたマークがあるわけですが、こういうようなマークをつけると分別収集しやすいというふうに思うのです。やはり消費者にとって、マークをつけていく、表示をしていくということが分別収集の手がかりになっていくわけですから、そういう点で表示をするということを検討すべきだというふうに思いますけれども、その点、通産省いかがでしょうか。
  197. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 先ほど来厚生省の藤原部長から申し上げましたように、塩素分を含むプラスチックを油化して再商品化します場合、塩素分が問題になるということでなくて、塩素といいますのは三百度ぐらいでちゃんと吹き飛んでとれますから、そこまで、いわゆる容器包装というか、そこに消費者の注意を喚起するようなために塩ビ製品だという印をつけるまでのことはないんじゃなかろうかと考えております。
  198. 岩佐恵美

    岩佐委員 私が言っているのは、再商品化の問題もありますけれども、現時点で全部塩ビは丸ごと焼却炉に行っているわけですから、そういう点からしても、塩ビについてはそういうマークをつけて、そしてきちっとメーカーに、現時点でも問題があるわけですから、処理をさせるというような方向が望ましいということを申し上げているわけです。その点についてどうでしょうか。
  199. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 厚生省の先ほどのお答えと前提がダブるわけでございますが、いわゆる焼却します際に、先生の方はもう既に外に害が出ているんだよというような話でございますけれども、現在、環境の基準というのは十分満足されているというふうに私どもは認識しておるわけでございます。ですから、そこまでやる必要はないと思っております。
  200. 岩佐恵美

    岩佐委員 そこら辺、私は納得がいかないので、ぜひきちっと対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  PETボトルの協議会は当初、二〇〇〇年までの再資源化率を五〇%まで高める。そのためには、二〇〇〇年までに再処理施設五カ所程度の設置を推進するとしてきたわけですけれども、実際は思うようには進んでいないわけです。しかし、容器包装廃棄物減量化するためには、達成年限と達成量をはっきり規定をしていくことが重要であります。事業者の都合に合わせて再商品化義務量を設定することになると、再生利用の容易な製品の開発や製造、再商品化のための技術開発が進まないというふうに思います。  ドイツでは、再資源化率を九五年までに、例えばガラス、ブリキ、アルミで九〇%、紙、段ボール、プラスチック、複合素材で八〇%達成しなければならないとしているわけであります。  事業者の再商品化義務量については、容器包装廃棄物減量化を進めるためにも、常に高い水準の義務量を設定するということが必要だというふうに思います。いわゆる業界の都合に合わせて安易な方向に流れるのでなくて、高いところに設定して、そして絶えず引き上げていく、そういう設定の仕方が必要だというふうに思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  201. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 現行の再生資源利用促進法におきまして、特定業種に該当するものとして、紙製造業あるいはガラス製造業等を指定して、政府として最大限の目標設定を行いながら再生資源利用率向上を促してきたことは、もう委員が御承知のとおりでございます。そしてその結果、やはり再生資源利用の工夫などが行われた結果、再生資源化率というものは大幅に上昇いたしました。これは一々紙あるいはガラスといって御説明を申し上げる、長々時間をかけるつもりはありません。  これら以外の業種につきましても、この法律案におきまして、現行再生資源利用促進法に定めるところによりまして、再商品化によって得られたものを利用することができる事業者に対しては、その利用義務を課すことになっているわけでありまして、私どもとしては特定業種について、今後ともに再生資源利用拡大が図られるように政府として最大限利用可能な目標を設定していきたい、そのように思います。
  202. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほど申し上げたように、事業者にとって都合のいい数字でなくて、本当に環境のことを考えて厳しい水準、そういう義務量を課していくべきであるということを申し上げておきたいと思います。  次に、リターナブル容器使用拡大事業者が積極的に進める、そのための環境づくりの問題であります。生活環境審議会報告書では、包装廃棄物減量化再生利用の推進のために、リターナブル容器使用拡大を第一位に挙げ、これらの取り組みを支援していくとしています。法案の第十八条でも、先ほどからも議論がありますが、特定容器または特定包装の回収率を達成するための自主回収の認定制度を設けています。  しかし、リターナブル瓶そのものは五年間の出荷量で、ビール瓶が一六・四%、一升瓶が一一・八%、牛乳瓶が二四・六%減少しています。炭酸飲料に至っては、八一年の五〇%から九一年の一〇%まで落ち込んでいます。その上、今回の分別収集と再商品化システムが導入されますと、一層缶やワンウエー瓶PETボトルなどにシフトをされて、リターナブル瓶が激減する、そういうことになるのではないかと危惧をされているわけです。リターナブル容器環境資源保護への積極的役割評価をする、位置づける、むしろこれを減少方向ではなくて応援してふやしていく、そういう方向が今求められているというふうに思います。この点について環境大臣のお答えを伺いたいと思います。  また、市町村分別収集計画や自主回収の政省令にこの問題をしっかりと位置づけるべきだと思います。この点について厚生省からお答えをいただきたいと思います。
  203. 宮下創平

    宮下国務大臣 リターナブル容器利用の問題は、もう言うまでもなく、使い捨て容器に比べまして、自然から採取した資源を繰り返し使用するということによりまして、資源の消費による環境への負荷を少なくすることができます。また、廃棄物に伴う環境負荷の削減につながるものでございまして、私どもといたしましては、環境基本計画の中におきましても、この容器等の再使用を行いやすいような規格の統一化を推進する、あるいはデポジット制度の活用の検討をする、あるいは商品の流通経路等を利用した回収システムの充実等を挙げでございます。  そういった方向で今後取り組ませていただきますけれども、今委員の御指摘のように、使い捨て容器利用増大に伴いまして、再利用容器が相対的に減少しているのも事実でございます。メーカーサイドで出荷量に占める再使用瓶の割合などを見ましても、これは低下をしてきています。それからまた逆に、利用者のサイドから見た例えばガラス瓶の回収率、こういうものを見ても低下をしている現状でございます。  この低下は、相対的に総量が多くなったり、あるいはガラス瓶から他の容器へ移換したりというようないろいろな現象がございますから一概には言えませんが、傾向としてはそういう傾向がございますから、リターナブル容器利用というものを、やはり方向としてはきちっと政策上も生かし得るようにしたいと思うのでございます。ただ、いろいろ経過的な問題等の困難性もございますから、一律に直ちにというわけにはまいりませんけれども環境庁としてはそういった方向考えていきたいと思っております。
  204. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 リターナブル容器の自主回収を促進するような施策についてのおただしてございますけれども、先ほど環境庁長官がお答えになられましたので、法律上の手当てだけについて補足させていただきます。  本法案の第四条におきまして、容器包装廃棄物の排出抑制のため、事業者及び消費者によるリターナブル容器包装使用などにより、容器包装廃棄物の排出を抑制するよう努めることを規定をいたしております。  それから、一定の回収率を達成するために適切な回収方法をとっている旨の認定を受けたリターナブル容器等の自主回収システムにつきましては、再商品化義務を免除いたしておりまして、たとえその一部が一般廃棄物として市町村に排出された場合でも、事業者負担の必要が全くないものと規定をいたしております。  また、この認定の基準に満たないリターナブル容器、努力をして高いリターナブルの回収率を上げようと思ったけれどもそれに至らなかった場合であっても、回収率に応じて再商品化のための負担が低くなるものとしていることから、現行システムに比べると、ワンウエー容器等に比較してリターナブル容器等の自主回収は有利な位置づけを与えておりまして、リターナブル容器の自主回収の分を義務の対象から削除するということをしておりまして、自主回収の推進ができるようにいたしておるところでございます。
  205. 岩佐恵美

    岩佐委員 リターナブル瓶の回収率は、ビール瓶で九七%、一升瓶で八四%と言われているわけですけれどもリターナブル瓶が全体に占める割合というのが、生産量ベースで二五%と大幅に低下をしているわけです。リターナブル瓶そのものの使用、これを拡大していくことが大事だと思います。  ドイツでは、法律で、回収システム参加していない事業者にはデポジット制が実施され、再利用システムを保護するため、再利用瓶の使用率を九一年度より下回ってはならない、全体の七二%を下回ってはならないと規定をしているわけです。こういう厳しい措置が廃棄物減量化する有効な手段になっているというふうに聞いています。  リターナブル容器使用拡大するために、統一規格の積極的な推進、デポジット制度の導入、先ほど環境大臣も触れられましたけれども、こうした導入など、厳しいその回収率を規定をするということが求められているというふうに思います。この点について環境大臣の御答弁をいただいたのですが、通産大臣のお考えもあわせてお伺いをしておきたいと思います。
  206. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、基本的にその容器包装といったものを含めまして、それぞれを製造、販売される方々の販売戦略というものはあろうと思いますだけに、国が余り介入することは好みません。しかし、この法律施行されます結果、再利用の義務を課せられる業者にとりまして、当然のことながら、その負担を軽減する対応というものは経営戦略の中に加わるであろうと思われます。そして、そうした効果をもこの法律がねらっておりますことは、委員承知のとおりであります。  また、それとは別にデポジット制度等、これは環境基本法の論議の際にも、この角度からもまた違った角度からも議論のあったテーマの一つでありますが、今後においてもなお検討の必要のある制度の一つであろうと思われます。
  207. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほどから議論があったのですけれども、私もちょっと確認をさせていただきたいと思います。  今、市町村分別収集を行っています。その分別収集、今度は新しく分別収集計画を立てるわけですけれども、この計画を立てる際に、例えば、再商品化に当たってこれだけの量しか引き取れないよとかいうことで、その市町村分別収集計画が制約される、こういうことがあってはならないというふうに思いますし、また、市町村が例えば分別収集計画以上のものを集めて、そして事業者がそれ以上引き取れないよというようなことが、これまた現実にあってもならないというふうに思うのですけれども、その点について厚生省に確かめておきたいというふうに思います。
  208. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 まず、市町村分別収集計画をつくるに当たって市町村の自主性が損なわれるのではないかというおただしてございますけれども主務大臣の定める基本方針は、容器包装にかかわる分別収集及び再商品化を総合的かつ計画的に推進するために、これらに関する国としての基本的な考え方を示すものであります。  また、再商品化計画は、基本方針に即して、容器包装廃棄物の再商品化を行うための施設設備の見込みを示すものでありまして、市町村分別収集計画を策定するために、再商品化を行うための施設設備がどのように進んでいるのかということを知っておくことも必要なことから、市町村の参考として示すものであります。  このように、基本方針及び再商品化計画は、いずれも市町村分別収集を行うかどうかの判断を拘束するものではありませんで、基本的な指針として市町村の参考として示すものでありまして、市町村の自主性を損なうものではない、このように考えております。  そして、もう一つは、市町村分別収集をした容器包装廃棄物事業者に全量引き取られるのか、こういう重ねての御質問でございましたが、本法案におきましては、市町村分別収集計画に従い、また分別基準に従って収集した容器包装廃棄物については、基本的に全量再商品化が行われることになっております。すなわち、再商品化能力を上回り再商品化されなかったものは、これは基本的に後年度の再商品化義務量の算定に繰り入れられるのであって、最終的には全量再商品化されるものでございます。
  209. 岩佐恵美

    岩佐委員 指定法人に大量の資源物が集められれば、供給過剰になって、既存の資源物を回収している専門業者資源物の流れ、回収専門業者の業界、これが崩されてしまう、そういう危惧があります。そうならないような手だてが当然とられるべきだと思いますけれども、その点について通産省のお考え伺いたいと思います。
  210. 白川勝彦

    白川委員長 岩佐委員、もう時間が過ぎておりますが、これを最後質問でいいですか。いつもちょっと時間が長引きますので。質問があるなら、もう全部やってください、それで最後にしますので。
  211. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 御質問にお答えいたします。  本法案では、義務対象事業者みずからが主務大臣の認定を受けて再商品化を行う道も用意されております。また、指定法人は、指定法人への委託をもって事業者の義務履行とみなすことに意味があるわけでございまして、指定法人自身が再商品化事業を行うわけではございませんで、指定法人は競争入札により既存の再商品化事業者も含めて入札にかける、そういうことを通じてむしろ既存の再商品化事業者の発展が促されるというふうに考えております。
  212. 岩佐恵美

    岩佐委員 では、私の意見を申し述べさせていただいて、終わりたいと思います。  深刻なごみ問題解決の基本は、一般廃棄物の約八倍、最終埋立地でも五・五倍も排出をしている産業廃棄物、及び、東京二十三区内では一般廃棄物の中で六五%を占める事業系一般廃棄物への対応だと考えます。大量生産大量消費の浪費の構造を転換しない限り、ごみ問題の抜本的な解決はあり得ないと思います。  容器包装分別収集し再商品化する今回の法案は、ともすると、分別収集消費者あるいは地方自治体に任せる、あるいは再商品化を指定法人に任せきりで、容器包装事業者が責任を果たさない、そういう危惧もあります。さきのリサイクル法や廃棄物処理法の改正でごみ問題が抜本的に解決しなかった、こういうことから見られるように、今回の法案成立してもごみ問題の解決にはつながらないのかな、そういうような危惧の意見もあります。そういう点から、容器包装事業者の責任や負担、そして、先ほども申し上げました達成年次や達成量をはっきりさせて、国民理解と協力のもとに容器包装廃棄物減量化を実効あるものにすべきだと思います。  同時に、消費者にこみ有料化の負担を課すのではなく、むしろごみ減量のためにリターナブル瓶の普及、あるいは、先ほども答弁の中で何回もありましたけれども、リユースの大切さなど、資源を大切に使い、最終廃棄物を減らしていくための啓蒙活動こそが求められているというふうに思います。  そのことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  213. 白川勝彦

    白川委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後六時二十分散会      ————◇—————