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1995-05-26 第132回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月二十六日(金曜日)     午後二時六分開議 出席委員   委員長 白川 勝彦君    理事 逢沢 一郎君 理事 甘利  明君    理事 額賀福志郎君 理事 河合 正智君    理事 古賀 正浩君 理事 増子 輝彦君    理事 大畠 章宏君 理事 鳩山由紀夫君       小川  元君    奥田 幹生君       金田 英行君    熊代 昭彦君       谷川 和穗君    中島洋次郎君       野田 聖子君    青山  丘君       上田  勇君    小池百合子君       笹川  堯君    豊田潤多郎君       西川太一郎君    吉田  治君       佐藤 泰介君    前島 秀行君       和田 貞夫君    高見 裕一君       吉井 英勝君    海江田万里君       後藤  茂君  出席国務大臣         通商産業大臣  橋本龍太郎君  出席政府委員         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         厚生省生活衛生         局水道環境部長 藤原 正弘君         通商産業大臣官         房審議官    太田信一郎君         通商産業省通商         財政局次長   伊佐山建志君         通商産業省貿易         局長      広瀬 勝貞君         通商産業省環境         立地局長    齊藤 眞人君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         通商産業省生活         産業局長    江崎  格君  委員外出席者         環境庁企画調整         局企画調整課長 金井 照久君         自治大臣官房企         画室長     森元 恒雄君         自治省財政局調         整室長     岡本  保君         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十六日  辞任         補欠選任   星野 行男君     上田  勇君   鳩山由紀夫君     高見 裕一君   牧野 聖修君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   上田  勇君     星野 行男君   高見 裕一君     鳩山由紀夫君   海江田万里君     牧野 聖修君 同日  理事鳩山由紀夫君同日委員辞任につき、その補  欠として鳩山由紀夫君が理事に当選した。     ――――――――――――― 五月二十六日  容器包装に係る分別収集及び再商品化促進等  に関する法律案内閣提出第九七号)     ――――――――――――― 同月二十三日  フロン等放出禁止法制定に関する請願(山花  貞夫紹介)(第一一四八号)  同(山元勉紹介)(第一一四九号)  同(川端達夫紹介)(第一一七三号)  同(山元勉紹介)(第一一七四号) は本委員会に付託された。 五月二十六日  廃棄物減量化再生利用促進のための法制定  に関する請願岡崎宏美紹介)(第六六号)  同(東家嘉幸紹介)(第六二四号) は去る二月二十八日及び四月十一日厚生委員会に 付託されたが、これを本委員会に付託替えされ た。     ――――――――――――― 五月二十六日  容器包装新法早期制定に関する陳情書外五  件  (第一九五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  容器包装に係る分別収集及び再商品化促進等  に関する法律案内閣提出第九七号)      ――――◇―――――
  2. 白川勝彦

    白川委員長 これより会議を開きます。  ただいま付託になりました内閣提出容器包装に係る分別収集及び再商品化促進等に関する法律案を議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。橋本通商産業大臣。     —————————————  容器包装に係る分別収集及び再商品化促進等   に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 容器包装に係る分別収集及び再商品化促進等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国においては、近年の経済成長国民生活向上等に伴い、家庭等から排出される一般廃棄物の量が増大し、その最終処分場が逼迫しつつある等廃棄物処理をめぐる問題が深刻化しております。その一方で、主要な資源の大部分輸入に依存している我が国にとっては、これらの廃棄物から得られたものを資源として有効に利用していくことが求められております。このような状況において、我が国における快適な生活環境と健全な経済発展を長期的に維持していくためには、関係者の適切な役割分担のもとで、一般廃棄物減量再生資源としての十分な利用を図っていくことが重要であります。  このため、一般廃棄物の大宗を占め、かつ、再生資源としての利用が技術的に可能な容器包装について、市町村による分別収集及び事業者による再商品化等促進するシステムを構築し、もって廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図るため、今般、本法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、家庭等から廃棄物として排出される容器包装について、市町村による分別収集及び事業者による再商品化等を総合的かつ計画的に推進するため、その分別収集及び再商品化促進に関する基本的な方向等について、主務大臣基本方針を定めることとしております。  第二に、事業者によって行われる再商品化基本方針に即して円滑かつ確実に促進されていくように、主務大臣事業者の行う再商品化の量の見込み、施設の設置に関する事項等について再商品 化計画を定めるとともに、市町村及び都道府県においては、その区域において廃棄物として排出される容器包装の量の見込み、そのうち市町村分別収集により得られるものの量の見込み等について、分別収集に関する計画を定めることとしております。  第三に、容器包装利用及び製造等事業を行う者は、毎年度容器包装利用量製造量等に応じて、市町村分別収集により得られたものの再商品化義務を負うとともに、関係事業者は、その再商品化促進するための措置を講ずる義務を負うこととする等事業者義務について定めるとともに、国、地方公共団体消費者の責務を定め、関係者それぞれの立場で果たすべき役割を明らかにしております。  第四に、事業者の負う再商品化義務履行を円滑かつ容易にするため、指定法人に関する事項を定めることとし、当該指定法人への再商品化の委託により、その再商品化義務履行されたものとみなすこととしております。     〔委員長退席額賀委員長代理着席〕  第五に、容器包装に係る分別収集及び再商品化等促進の意義、事業者負担する再商品化に要する費用商品価格への適切な反映の重要性等について、国は、国民の理解と協力を得るよう努めることとしております。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。     〔額賀委員長代理退席委員長着席
  4. 白川勝彦

    白川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 白川勝彦

    白川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、日時人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 白川勝彦

    白川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。     —————————————
  7. 白川勝彦

    白川委員長 次に、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  ただいま審査中の本案に対し、厚生委員会農林水産委員会環境委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 白川勝彦

    白川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、公報をもってお知らせいたしますので、御了承願います。     —————————————
  9. 白川勝彦

    白川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高見裕一君。
  10. 高見裕一

    高見委員 それでは、大臣も御帰国すぐで、お疲れのところ恐縮でございますが、質問をさせていただきたく存じます。  本法律案は、大量生産大量消費大量廃棄型の社会から資源循環型の社会へと日本を変革させるためには、極めて重要な法律であると考えます。容器包装を付した事業者にも一定責任を負わせることにしたことは、外部費用を内部化するという意味で画期的でございます。また、市場経済のひずみを是正し、環境調和型の社会、持続可能な社会を今こそ構築しなければ、資源輸入国である日本の未来は暗いものとなるでありましょう。その意味で、この法律案は今国会でぜひとも成立させるべきであると考えますが、なお若干の疑問点もございますので、その点につきお答えをいただきたいと存じます。  まず、本法案の第八条三項におきまして「再商品化計画勘案」ということになっておりますが、分別収集計画を立てるかどうかについては市町村の裁量であり、地域の実情に合致した形での分別収集計画を自由に立てるべきであり、そう考えることが地方分権の時代にも合致するものと思います。市町村はこの規定の存在によって再商品化計画に拘束されることになるのかどうかをまずお答えいただきたいと思います。
  11. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 お答えをいたします。  再商品化計画当該計画年度における容器包装にかかわる再商品化可能量を示すものでありまして、例えばこれを著しく超えるおそれのある分別収集計画策定することは、結果的に当該計画策定した市町村当該年度の再商品化可能量を超えることによる容器包装保管を生ずることから、このような事態を考慮した上で市町村分別収集計画策定されるようになると考えております。  このように、再商品化計画市町村分別収集計画策定するに当たって市町村が自主的に勘案すべきものであり、市町村分別収集計画を立てるか立てないかはもとより、その計画の内容についても拘束するものではございません。
  12. 高見裕一

    高見委員 分別収集計画を立てて積極的に分別収集を行っていこうとする市町村に対して、逆に、分別収集をとめさせるとは言わないまでも、ブレーキをかけるというふうなことが起こり得るということが懸念をされるのでありますが、市町村に対して分別収集をやめさせるような指導を国は行うのかどうか、今のお話で非常に気になりますので、お答えをいただきたいと存じます。
  13. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 市町村分別収集計画策定するか否かは、あくまでも市町村自体によって判断されるべきものであります。国としては、分別収集計画策定をやめさせようとする指導を行うことは考えておりません。市町村が同計画策定するか否かを判断する際に、これに資するよう必要な情報の提供や、近隣の市町村との連携を図るよう指導するなど、市町村分別収集計画策定を援助するための指導を行ってまいりたい、このように思っております。
  14. 高見裕一

    高見委員 次に、大臣お尋ねを申し上げたいと思いますが、分別収集されたものが確実に再商品化されるシステムでなければ、市町村分別収集をしても自分で処理せざるを得なくなり、あるいはずっと持ったままでいなければいけなくなり、リサイクルが一向に進まないということにもなりかねません。市町村分別基準に適合した形で収集されたものに関しましては確実に全量商品化されるシステムにこの法案がなっているのか否かを、明確にお答えをいただきたいと存じます。  さまざまな市民自治体がこの法案の成立をきっかけに分別収集に取り組むということにならなければならない、この法案はその大きなインセンティブにならなければいけないと考えておりますが、ともすると、集めたはいいけれども、実際には持って行き場所がないんだ、国も事業者も最終的には受けとめてくれない、やれ三年待て、五年待てということになってしまうと、大変つらいものが出てくるかと思います。ぜひその辺をお答えいただければと思います。
  15. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 この法律案におきましては、市町村分別収集計画に従いまして、また分別基準に従って収集いたしました容器包装廃棄物につきましては、基本的に全量商品化が行われることになります。すなわち、再商品化能力を上回り再商品化されなかったもの、これは、義務対象者義務履行対象ではない分を除きまして、後年度の再商品化義務量算定に繰り入れられます。ですから、最終的には全量が再商品化されるものとなります。  また、再商品化可能量拡大促進すべく、積極的に現行再生資源利用促進法を活用し、あるいは財政金融上などの措置を検討する予定にいたしておりまして、委員御指摘の方向で当然のことながら進めてまいります。
  16. 高見裕一

    高見委員 大変明快にお答えをいただいてありがたく存じます。  続きまして、最終的には分別収集されたものはすべて再商品化されるということはよくわかりました。しかし、短期的には、分別収集量と再商品化計画量とのミスマッチは必ず生じると思われます。特に、その他プラスチックなどに関しましては、分別収集された量に対して再商品化計画量が少ないという事態になるおそれが大きく、その場合に、分別収集されて再商品化がなされなかったものの保管はどのような形で行われるのか、お答えをいただきたい。
  17. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 各年度において分別収集計画量が再商品化計画における再商品化可能量、すなわち現実施設能力を超える場合ですが、その場合は、超過分は市町村において保管をいたしまして、そして、先ほど通産大臣がお話しされましたように、翌年度の再商品化義務量に加算をされるということでございます。
  18. 高見裕一

    高見委員 今の御答弁では市町村保管を行うということでございますが、今回の法案のスキームでは、基本的に市町村収集を行って事業者リサイクルを行うということでございまして、分別収集したものの保管についてはどちらの責任にすることも十分に可能であり、事業者保管させる方が再商品化促進する、そのインセンティブになる、再商品化をしなければもう身動きとれなくなる、こういう意味でございますね。どうして事業者責任ではなく市町村保管をすることにしたのか、お答えをいただきたいと思います。
  19. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 再商品化計画における再商品化可能量、すなわち現実施設能力を超える部分についてまで事業者義務対象とすることは、産業廃棄物不法投棄が頻発しているのと似たような事態が生ずることも考えられまして、公共の場で一時的に保管する方が生活環境の保全の観点から適切であると判断したものであります。
  20. 高見裕一

    高見委員 市町村がとりあえず分別収集したものを保管するとすれば、ミスマッチが生じた場合に、どれだけ市町村ストックヤードリサイクルセンターが確保できているかが、今回の法律が実際に運用された場合に、資源循環型社会に向かうかどうかのかぎになると思われます。その意味で、市町村リサイクルセンター保管のためのストックヤード整備に対して国は積極的に支援を行うことが必要でないかと考えますが、いかがでございましょうか。また、具体的なことも想定をしておられるならば、ぜひお答えをいただきたいと存じます。
  21. 藤原正弘

    藤原政府委員 容器包装廃棄物種類ごとに選別する施設としまして、リサイクルセンターとかリサイクルプラザというようなものがございます。また、分別収集された容器包装廃棄物を再商品化に回すまでの間一時的に保管しておく施設、これはまあストックヤードというようなことで呼ばれておりますが、こういう施設につきましては、市町村による分別収集保管を円滑に進めるために不可欠の施設である、こういうふうに考えております。  厚生省といたしましても、市町村による分別収集等支援するために、先ほど申しましたような施設につきましてより一層重点的な整備を図りたい、このように考えておりまして、国庫補助制度も準備しておりまして、それによる積極的な支援を現在もやっておりますし、今後も一層やっていきたい、このように考えておるところでございます。
  22. 高見裕一

    高見委員 結局、分別収集したものと再商品化計画とのミスマッチ、通常我々が想定しているのは再商品化計画量の方が少ないという場合でございますが、それが生じた場合にはその調整が必要になると思われるのでありますが、法案では一方的に、分別収集計画は「再商品化計画勘案」するということになっております。しかし、現実リサイクル促進するためには、再商品化計画の方も分別収集計画を反映させてつくらなければならないと考えますが、実際に再商品化計画をつくるときには分別収集計画の結果を反映させるのかどうか、明確にお答えをいただきたいと存じます。
  23. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 お答えいたします。  容器包装廃棄物のうち、例えばガラス瓶あるいは紙箱その他の紙容器については、本法案に基づきまして分別収集されたものの再商品化可能量、現在ただいまは限りがございますが、例えばコンクリートの型枠等建設資材を初めとする用途開発にめどが立ては、その円滑な拡大が可能だと考えております。したがいまして、そのような場合には、基本的には、事実上分別収集計画に沿って当該年度義務量が決まってくる、市町村分別収集されたものが後年度に繰り越されることなく吸収される、再商品化されると考えております。  一方、プラスチック製容器包装につきましては、再商品化施設の面で制約がございますので、再商品化施設整備とそれに基づく再商品化可能量拡大義務量を決定することになります。このため、分別収集が予想以上のペースで進んでミスマッチが生じたような場合には、それを反映いたしまして、再商品化施設整備と再商品化可能量拡大促進するべく、先ほど大臣答弁申し上げましたように、積極的に現行再生資源利用促進法を活用し、あるいは財政金融上等措置を検討することといたしたいと思っております。  これらの措置を踏まえ、再商品化計画は、次の再商品化計画策定時、あるいは、可能であれば当該商品化計画そのものを変更して、再商品化可能な見込み量拡大することといたしたいと考えております。
  24. 高見裕一

    高見委員 また、再商品化能力を向上させなければ、分別収集されたものはストックヤードに集積される一方で、市町村負担ばかりが大きくなる結果となりかねませんが、分別収集に合わせて再商品化能力を高めなければならないし、特に、新しいシステムが立ち上がっていく時期に十分な整備を行わなければ実際の運用に支障を来すことになります。  今の審議官の御答弁で、大変わかりやすくお答えをいただいたと感じておりますが、いま一つ、再商品化能力を高めるために国はどのような支援を行うつもりなのか、できるだけ具体的に、大変このことを心配している自治体に、わかりやすく、整理してお答えいただけませんか。
  25. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 ただいま申し上げましたように、市町村により分別収集された容器包装を再商品化するためには、再商品化可能量が限られている容器包装、例えばプラスチック等について再商品化能力を高めることが大変重要だと我々基本的に認識しております。このため、例えば現在、これはPETボトルの方でございますが、中小企業事業団の補助金等を活用し、また、プラスチック油化設備についてもいろいろな形で助成措置を講じております。本年度以降、二年間かけて実用化のための技術開発補助をしていきたいということを考えております。その後、これはまだはっきり決めたわけではございませんが、三年ぐらいかけて油化設備実用規模のものを支援して、運用していきたいというふうに考えております。  いずれにしても、再商品化施設整備が円滑に進むよう、財政金融上の措置をしっかり講じていきたいというふうに考えております。
  26. 高見裕一

    高見委員 ボランティアに関してちょっとお尋ねをいたします。  現在でもボランティアによる集団回収、スーパーや生協などが店頭回収等を積極的に行っておりますが、そのような現在の市民ベースあるいは小売店ベースなどの先進的な取り組みが生きるような法律でなければならないと考えます。本法案においてそのような取り組みがどのように評価され、あるいは支援されようとしているのかをお聞かせいただきたく存じます。
  27. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 ごみ問題への関心の高まり等を背景にいたしまして、住民の自主的な活動によります集団回収やまた事業者による店頭回収活動が行われておりまして、厚生省といたしましても、このような自主的活動高まりを高く評価をいたしておるところでございます。このため、このような集団回収につきましては、市町村の分 別収集の一環として位置づけることができることといたしております。  少し詳しく申し上げますと、法案の第八条第二項第五号においては、市町村が作成する分別収集計画において「分別収集を実施する者に関する基本的な事項」を定めることといたしておるところでございます。また、店頭回収により回収された容器包装につきましては、特定事業者の再商品化義務量算定に当たって控除することといたしております。このように、今回の法案は、容器包装店頭回収を行えば特定事業者の経済的な負担が少なくなる仕組みとなっておりまして、店頭回収についても積極的に位置づけているものと考えております。
  28. 高見裕一

    高見委員 大変よいお答えかと思いますが、この法案とは直接の関係はないのですが、デポジット制度に関して一言申し上げたく存じます。  デポジット制度は、住民リサイクル意識を向上させ、リサイクル率を上昇させるという意味では極めて有効な制度であると考えます。この法律が将来デポジット制度を排除するものなのか、また、デポジット制度について現在どのような評価をしておられるのか、お聞かせをいただきたく存じます。
  29. 藤原正弘

    藤原政府委員 このデポジット制度につきましては、現在でもビール瓶や牛乳瓶の一部に使われておりまして、既にかなりの効果といいますか、機能を発揮しておるというふうに理解しております。リターナブル容器回収率を高めるという点で有効な方法であるというふうに考えられております。一方、あらゆる容器包装に対して有効であるかというふうなことになりますと、例えばカップラーメンというような例をとって考えてみますと、そういうものにつきましてはなかなかデポジット制度対象にするのは難しいのではないか、こういうふうなことでありまして、全国的、標準的な制度として導入を行うことは困難であるというふうに考えております。  このため、事業者自主回収を積極的に行う、デポジットを行うことは廃棄物減量及び資源有効利用観点から望ましいということでありまして、本法案におきましてもデポジット制度が有効に働くように措置したところでございます。  少し詳しく申しますと、本法案では、一定回収率等基準を満たす容器包装につきましては再商品化義務を免除し、たとえその一部が一般廃棄物として市町村に排出されたとしましても、事業者負担の必要が全くないものとしておるということ、それから、この基準を満たさない容器包装につきましても、回収率に応じて再商品化のための負担が少なくなるというふうなことにしておるというふうなことから、現行システムに比べますと、自主回収される容器包装につきまして特別な位置づけをしておる、こういうふうなことでございます。  このように、本法案は、現行システムに比べますと自主回収される容器包装というものを推進するという制度であります。そういう意味から、デポジット制度の芽を摘むというふうなことはないというふうに考えております。
  30. 高見裕一

    高見委員 また今後も、デポジット制度日本は大々的に社会システムとして導入していない数少ない国の一つでございますので、厚生省としましても引き続き御研究をお願いをしたいというふうに思います。  この法案資源循環型社会をもたらすか否かは、その他プラスチック処理がうまくなされるか否かにかかっていると私は思います。その他プラスチックリサイクルは具体的にはどのような形でなされるのか。例えば、単に燃やして熱回収するということであれば、サーマルリサイクルですね、大量廃棄型の社会と何ら変わりがないのではないか。再商品化義務の課されているプラスチックに関しては、燃やして熱回収を行うということは絶対に避けるべきだ。これは市民意識の啓蒙のためにも避けるべきであると考えますが、実際にはどのような処理がなされるのか、具体的にお答えをいただきたく存じます。
  31. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 可燃性廃棄物を焼却しましてエネルギーを回収利用いたしますサーマルリサイクルは、エネルギー政策上からも重要な政策でございまして、従来より市町村におきましては、プラスチックなどの可燃性廃棄物を燃焼させまして、電力あるいは熱源というようなエネルギーの活用を推進してきているところでございますが、今後とも市町村におきましてはこういうような動きが推進されるというのも考えられるわけでございます。  他方、こうした焼却施設の立地上の制約というのがあるのも事実でございます。このため、プラスチックにつきましては、これを分別して再商品化していくというのが非常に重要になってきているわけでございます。具体的には、いろいろな種類の異なりますプラスチックの用途というのがあるわけでございますが、こういうようないろいろな種類のプラスチック製の包装容器につきましては、油化いたしまして、その油化した油を燃料として活用していきますマテリアルリサイクルというのを考えておるわけでございます。その手順につきましては、先ほど太田審議官からステップを御説明したところでございます。
  32. 高見裕一

    高見委員 油化ということで計画を進めていただける、そう受けとめました。よろしくお願いをしたいと思います。  大臣お尋ねをいたしますが、資源循環型社会への変革というものを行うためには、企業に一定費用負担させるというだけではなく、ごみを排出する者、一般消費者や企業、小売店などすべての者がごみを減量しなければならないという意識や分別排出を徹底しなければならないという意識、資源には限りがあるのだから大切に使わなければならないというふうな考え方を高めることこそが必要であると考えます。また、市民一人一人が積極的に資源循環型社会の担い手として活動することができるようなシステムを構築することが重要であると思います。  この法案は、事業者にも消費者にも一定責任を課するという点で画期的な法律であると考えますが、さらに、ごみ全体を減量するスケジュールを確立することも、資源輸入国日本としてはぜひとも行わなければならないことであると思います。今後のごみ全体の減量に向けて国民のコンセンサスをどのように得ていくのか、また国民の意識をどのように高めていくのか、国民の参加をどのように求めていくのか。具体的に、一人の市民が自分がごみ減量に立ち上がりたいと思っても、そのための受け皿というのは現実問題としてはなかなか用意されていない。大きな自治体の方針転換がなければ、一人一人の努力を生かす場がないというのも現実にございます。  この今回の法案自治体分別収集への動きというものを加速させる大変大きな動機づけになるのではないかと期待をしておりますが、反面、先ほど大臣に最初にお尋ね申し上げましたように、まだ油化の工場ができていないから少々分別収集も待ってねというふうなことが万が一にも起こってはいけない。しっかりとした市民や各自治体の努力というものが、国や事業者にきちっと受けとめられなければいけない。また、この法案のもともと最初の発想の原点でございますが、単にこみ処理場の不足の解消というような志の低い動機ではなく、今から我々が可決しようとしているこの法案というものは、基本的に我が国資源循環型の国に進化させていく、そういうきっかけになる法案でなければいけない、そんなふうに感じております。  橋本大臣はずっと環境問題にも御造詣深く御活躍をなさってこられたとお聞きをしてございますが、その辺を踏まえていただきまして、ごみの全体の減量やあるいは市民の意識の高揚あるいは国民一人一人の資源循環型の国づくりへの参加、参画というものを受けとめていかれるおつもりかをお聞かせいただければありがたく思います。
  33. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今この法案審議が始まりましたことを私は大変複雑な思いで受けとめております。そして、今の委員の御質問に対し、昭和四十 五年の秋、今、公害国会としてお互いの記憶に残っております臨時国会の論議を思い起こしておりました。  この当時、公害問題というものが非常に深刻な論議になりましたときに、公害対策基本法を初めとして一連の法整備が行われました。その時点において、当時の厚生省公害部の二人の課長さん、庶務課長と公害課長のお二人だけが、廃棄物というものをこの公害対策基本法の体系に取り込むべきだという極めて熱っぽい議論を展開をされました。しかし、厚生省もそうでありましたし、厚生省ばかりではなく他の各省庁、学界、マスコミも含めまして、当時このお二人の意見というものはほとんどだれも取り上げる者がありませんでした。今振り返って、四半世紀前に廃棄物というものに対する目を我々が変えておったら今どのような状態が生まれていたか、そう考えますとき、当時の関係者としてざんきの至りであります。  そして、こうした問題を取り上げていきます場合において、国民の意識、国民の協力というものがなければ、どれだけ先覚者が問題を指摘いたしましてもこれは地についたものにならない、私は今振り返って実感を持っております。  その後、四半世紀の間には、例えば浜松市が市を挙げてのシステムを開発しようとしたり、あるいは、特定メーカーの名前を挙げて恐縮でありますけれども、ヤクルトがみずからの容器回収のために特別な車両設計を行い、リサイクル計画をつくったり、さまざまな試みがなされました。しかし、それは皆中途で挫折をいたしました。  今通産省としては、毎年十月をリサイクル月間として定め、講演会でありますとか表彰事業でありますとか、さまざまな記念行事を実施するなど重点的な広報活動を行うことを初めとし、リサイクルに対する国民の意識の啓発に積極的に取り組んでおります。  この法律案におきましても、国民に対して、再商品化をして得られたものなどの利用促進でありますとか分別収集に対する御協力を求めることとしておりまして、政府も、本法案趣旨や内容について国民に対し積極的に広報活動を行うなど、国民の御協力が得られるように積極的な努力を払ってまいりたい、そのように考えております。委員におきましても、どうぞ御協力をよろしくお願いをいたします。
  34. 高見裕一

    高見委員 これで質問を終わらせていただきますが、この国の価値観の問題が問われていると思います。大臣もぜひ御健闘くださいますようにお願いいたします。  ありがとうございました。
  35. 白川勝彦

    白川委員長 次に、逢沢一郎君。
  36. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 自由民主党の逢沢でございます。  限られた時間でございますが、どうぞよろしくお願いをいたします。  橋本大臣、パリでのOECD、IEAの閣僚理事会、まことに御苦労さまでございました。きのう帰られたばかりで、早速きょうは夜に及ぶ委員会ということでございますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  バリの閣僚理事会そのものあるいはその舞台裏につきましては、連日橋本大臣のめり張りのきいた御活躍、あるいはカンター代表もそれなりに行動される等々、日本にも大きく報道がなされまして、きのう帰られたばかりということでございますので、お許しをいただきまして、リサイクル法につきましては時間が許せば後ほど質問させていただくとし、早速そのことについて二、三お伺いをさせていただきたいというふうに思います。  OECD加盟二十五カ国、どの国も一様に日米自動車分野の交渉がこれからどういう道筋をたどるのであろうか、大変興味を持ち、関心を示していたということでございますが、大臣初め日本の代表団も、日本の自動車貿易に対する基本的な立場、正当性、そういうことについて正々堂々の論陣をお張りをいただいたようでございます。  アメリカが日本に一方的に制裁リストを突きつける、管理貿易的な手法をとろうとしている、あるいは数値目標を掲げさせようとしている、そういうことについては、加盟各国から一様に断固そういう姿勢は許すべきではない、日本に対する強い賛意が示された、こういうことを報道によって知ることができたわけでありますが、一方では、アメリカの主張する日本の市場の特殊性、あるいは必ずしも十分開かれていない、いまだに閉鎖的である、そういう議論にも一定の理解が各国から示された。  新聞の活字等によると、この日米のいわゆるOECDを舞台にした説得工作は、まあ言ってみれば痛み分けなのかな、そういったような活字も躍っていたわけでございますが、実際にパリにおかれて各国の閣僚、責任者と会われた、そして会話を交わされた大臣がどんなやりとりをなさったのか、あるいはどういうニュアンスを大臣御自身が得られたのか。そのことをお伺い申し上げ、そして同時に、最後の共同声明の部分でございますけれども、その大半、アメリカを除くすべての国がWTOのルールを守っていこう、あるいはWTOの原則を壊すようなことはとるべきでない、そういったことをぜひ共同声明に盛るうと努力をしたわけでありますが、どうもルールで一国だけ反対するとそうもいかないという取り決めがあるようで、必ずしも我々が満足するような内容になり得なかったという認識を私自身も持つわけであります。あの共同声明の内容、大臣御自身がどのように評価をされたのか、そのことについて所見を承りたいと思います。
  37. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私自身が率直に感じて帰ってまいりましたものは、大きく分けて、以下申し上げるような点になろうかと存じます。  一つは、今回の自動車並びに補修部品における日米交渉の経緯というものを説明する中で、アメリカが三〇一条を発動すること、そして一方的に制裁候補リストを公表し、仮に六月二十八日までに日本が妥協しない場合は五月二十日にさかのぼってこれを施行するとしたことに対しましては、すべての国が非常に厳しい批判を浴びせております。  同時に、本当にこれは実は具体的な話ではなく、漠然と日本の市場の閉鎖性というものに焦点を当てましたアメリカの論議というものに、シンパシーという言葉を使われた国がありますが、シンパシーを感じるという空気は漠然とどの国にも共通をいたしておりました。  そして、我が国の規制について一層の緩和を求めるという声はどこにも存在をいたしたと思います。ただ、その規制緩和として求められるものは、国によりましては金融サービスの分野でありましたり、あるいは情報通信の世界における相互接続の問題でありましたり、あるいは、これは多分に誤解に基づいておりましたが、補修部品市場についての自動車に直接関連するものでありましたり、さまざまなものがございました。  こうした問題については、できるだけ精緻な説明を申し上げると同時に、端的な幾つかの数字を引いて説明することにより、理解を相当程度まで得ることはできたと思っております。  例えば、ちょっと恐縮でありますけれども、一、二の例を申しますならば、EUの皆さんは、日本の市場が閉鎖的だというアメリカ側の主張に対して、やはりシンパシーを覚えると発言をされたグルーブであります。ところが、EUから日本に対して輸出されている自動車、EUからアメリカに対して輸出されている自動車、この数字を比較いたしました場合、最近EUに加盟をいたしましたボルボまで計算に入れまして、アメリカの乗用車市場におけるEU車の占有率は三・六%であります。日本の市場における占有卒は五・四%です。三・六%しかない市場が開かれた市場であり、五・四%のシェアを持っている国が閉ざされた市場と言えるのかというと、これはそう言われればそうだという感じになるのですが、それでもなかなかぬぐい切れません。  非常にわかりやすい例としてもう一つ私がよく引きましたのは、自国で全く自動車の生産をいたしておりませんシンガポールの数字であります。シンガポールにおきましては、日本車のシェアは 六二・四%、ドイツ車を初めとする他国の車が三六・八%、アメリカ車のシェアは〇・八%であります。しかし、だれもシンガポールを閉ざされた市場とは申しません。  こういう数字を繰り返し説明することにより、誤解はある程度まで解けたとは思います。しかし、完全に解けたというところまでは、残念ながらまいりませんでした。そして、引き続き規制緩和に対して積極的に取り組むという日本の姿勢については、非常に歓迎をもって受けとめられたと思います。  そして、コミュニケの問題につきましては、実は我々は、非常に強いコミュニケ、すなわち一方的制裁はけしからぬといった文句を入れたコミュニケを書かせたいと思って、最後まで粘りました。ところが、OECDルールというのは、委員がお話しになりましたように、一カ国でも反対がありますとその部分全部がコミュニケから脱落してしまいます。それは我々としてどうにも割に合わない話でありまして、本当に事務当局あるいはEU、特にイギリス、ドイツ、フランスといった国々が、保護主義に対する非常に厳しい批判でありますとか、WTOの紛争処理メカニズムを尊重して事態の解決に当たるべきであるといった原則、こうしたものを貫くことに積極的な協力をしてくれまして、その結果としてある程度のものを私どもは得ることができた。少なくとも根幹として残したいものは完全に残すことができたと思っておりまして、こうした各国の協力を得られたことを非常に幸せに思っております。
  38. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 詳しい御報告ありがとうございました。  我々は橋本大臣に全幅の信頼と期待を寄せておるわけでありまして、引き続きどうぞよろしくお願いをいたしたいと思いますが、しかし、この日米自動車分野の交渉も、最終的には合意を見るといいますか、決着をやはりつけなければならぬ、そういうふうに思うわけでありますが、さて、その道筋をつらつら頭の中で想像するに、なかなかこれは困難なことだなと言わざるを得ないように思います。  もちろん、現状の日米の相対関係の中で、やはり二国間の話し合い、協議というものは、機会を得て、またその環境を整えながら努力をしなければならぬということでありますが、しかし、このOECDの議論の中で、EUから、民間企業が、政府の関与なくいわゆるボランタリープランの上積みを決める、そういうふうなことが仮にあるとすれば、それは我々として黙っているわけにはいかない、場合によってはWTOにそのことをもって提訴しなければならないかもしれないと一つくぎを刺された、そういうやりとりもあったということを耳にいたしております。そうなれば、いわゆるWTOの手順、手続に従ってこれから物を進めていかざるを得ないのかな。そうなれば、先ほど大臣から御答弁をいただきましたように、まさかその五社十三車種に対しての一〇〇%関税がそのままの形でというふうには、私も個人的には想像ができない、多少おりてくる部分もあるのではないかというふうにも思うわけでありますが、しかし、国民としては大変その辺を心配をいたしているというふうに思います。  大変難しい質問になりまして恐縮でございますけれども、これからの道筋について大臣御自身がどう頭の中で物事を組み立てられておられるのか。そしてあわせて、このWTOが本当に機能してくれなければならぬというふうに思いますけれども、パリの議論の過程で、筋論ではあるけれども、これ以上アメリカを追い詰めると場合によってはWTOから外れてしまうのではないか、そういう心配さえささやかれたというふうなことも一部報道がされたわけでありますが、そのあたりについてどんな御所見を大臣がお持ちであるか、御質問いたしたいと思います。
  39. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 仮にアメリカが今公表いたしております制裁候補のリストをそのまま実行に移した場合には、当然のことながら、我が国の自動車メーカー、さらにそれに関連する部品産業等には雇用問題すら発生するであろう。これに対して政府として何をして支えることができるか、私は一方では苦慮いたしております。しかし同時に、この措置をそのとおり実行しました場合に、これはブーメランのようにアメリカをも直撃するわけであります。アメリカの消費者日本の自動車を買えなくなることは当然でありますが、結果として、約二千のこれら日本からの輸出車を扱っておりますディーラー、これは約六万人強の従業員を持っておりまして、アメリカのこの業界における五ないし七%のシェアをそれぞれ占めております。これは経営が困難になる。そして、当然のことながら大量の離職者を出すような事態になるでありましょう。  さらに、カンター通商代表の発言の中ではここは全く落ちておりましたが、これら十三車種に組み込みますためにアメリカから輸入をいたしておりますアメリカ製の部品の総量は、金額にいたしまして二億四千三百万ドルに上ります。これは当然不要になるということでありまして、部品購入の上積みを求めるアメリカが、制裁措置によって逆にその部品輸出の減が立つ、そうした矛盾した状態を惹起いたします。  ちなみに、日米間の部品の日本側の輸入数量は、九三年度の数字で申し上げるならば総額が二十六億ドルでありました。ですから、一割近いものが打撃を受けるということでありまして、こうした事態は極めて双方に不幸なことでありますし、私は、アメリカが、日本として譲り得ない、民間企業に対しその経営方針を政府の力で変更させて自主購入計画の改定を求めるといった、すなわち数量目標を求めるやり方を変えてさえくれるならば、政府の関与の範囲内においては全力を挙げて打開の道を模索することにやぶさかではありません。現にパリにおきましても、ブラウン商務長官から会いたいという御連絡があり、喜んでお目にかかるつもりでありましたところ、向こうの日程が変わったためにお目にかかることができませんでした。非常に残念でありますが、今後もそういう努力の道は我々として閉ざしておるつもりはございません。  ただ、現実に五月二十日をもってこれら十三車種の輸出は非常に大きな影響を受け始めております。そして、我々はWTOの手続に従って五月二十九日から交渉を開始したいとアメリカに申し入れておりますが、少なくとも本日の昼までの時点、役所を離れます前にはアメリカ側から具体的な回答はございませんでした。  今後はこのWTO手続に従って我々としては淡々と論議を進めていくことになるわけでありますが、委員が御指摘になりましたような懸念は、パリにおいても口にされる方々がありました、報道機関等の中に。しかし、どこの方々も、アメリカがそのような行動をとるとは思わない、WTOをつくることにあれだけ積極的に努力をしてきたアメリカを信じたいという思いは持っておられましたし、同時に、新生WTOにとって荷が重過ぎるという御意見は、今回取りまとめられましたOECD閣僚理事会コミュニケの中に「十分に機能し尊重される紛争処理機構を備えた強力で効果的な世界貿易機関を確保する。」と明記されておりまして、世界がWTOに期待するものは非常にはっきりとあらわれておりますし、その期待に比して荷が重過ぎるものとは私は思いません。国際ルールに基づいて客観的、冷静な判断が行われるということを期待をいたしております。  また、繰り返して恐縮でありますけれども、私自身、国際ルール、市場メカニズムに沿った解決を図るという基本的な立場をアメリカ政府が共有されるのであれば、いつでも交渉に応じる用意を持ち続けているということだけは明らかにしておきたいと存じます。
  40. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 わずか十五分の質問時間がもう終わったようでありますので、これで終わりたいと思いますが、橋本大臣から改めて冷静で的確な御答弁をいただきました。大変力強く思わせていただきました。私どもといたしましても精いっぱい大臣の姿勢を支えながら頑張ってまいりたい、そ のことを申し上げさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  41. 白川勝彦

    白川委員長 次に、和田貞夫君。
  42. 和田貞夫

    ○和田委員 橋本通産大臣には、OECDで非常に御活躍されまして、お帰りになって早速委員会出席ということで御苦労さんでございますが、お疲れのところ、若干の時間をおかりいたしまして本法案について質問をさせていただきたいと思います。  今回提案されました容器包装に係る分別収集及び再商品化促進等に関する法律案というのは、従来廃棄物行政を主管されてまいりました厚生省に加えて、通産省、農林水産省、大蔵省、環境庁等がかかわって作成された法案であると思います。  この法律は、分別収集の推進と再商品化促進することを通して廃棄物処理量を軽減する、環境に与える負荷も軽減化することをねらっておるのであります。事業者責任を明確にして、再商品化義務費用負担制度として導入した点に大きな意義があると思いますし、現在、地方自治体ではこの法案の早期成立を大きく期待をしておるところでございます。  そこで、まず御質問申し上げたいのは、このシステムは、住民による廃棄物の分別、特定事業者市町村による収集特定事業者指定法人から委託を受けた再商品化事業者による再商品化の三つのパターンが存在すると思うのであります。この仕組みをうまく回転させるためには、一つは、容器包装廃棄物が分別、再商品化しやすい形態や材質であること、二つ目には、再商品化のコストや環境負荷が低いこと、三つ目には、再商品化された製品が広く市場で受け入れられることが重要であると思います。  この三つの観点からさらに解決すべき課題があるとして、紙製品、プラスチック製品は五年を超えない範囲内で実施が猶予されているところでありますが、一日も早くこの二製品を含む容器包装廃棄物リサイクルの輪に乗せるために、物の生産を所管する通商産業省としてどのような対策を講じようとしておるのか、お聞かせ願いたいと思います。  また、分別、リサイクルしやすい容器包装の形態や材質づくり、プラスチック等リサイクル技術の研究開発と実用化、再生紙などのリサイクル商品の開発や販路拡大について、現状と今後の対策をどうお考えになっておるのか、この際お聞かせをいただきたいと思います。
  43. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 今おっしゃいましたように、リサイクルを順調にやっていくということに関しましては、分別しやすい、リサイクルしやすい容器というのをつくるのが非常に重要なわけでございます。  その中で、今回、その他プラスチック及び紙製品につきましてリサイクルのスタートというのを若干猶予しているわけでございますが、まずその理由を申しますと、プラスチックにつきましては、プラスチックを再商品化する技術もまだ開発段階でございまして、設備ができていない段階でございます。そのため、鋭意プラスチックの再商品化のための技術開発を進めるとともに、その設備が導入されるというのを促進していくということにしております。  さらに、紙につきまして申しますと、先生御存じのとおり、古紙のリサイクルといいますのは約一千五百万トンのリサイクルがされております。ここに新しく紙の容器リサイクルというのが入ってきた場合、箱とか紙の容器につきましては、紙の質というのが非常に悪いこともございまして、新しい用途の開発というのもやる必要がございます。その用途の開発の問題、まあ建設資材とかいろいろな用途を今やっている最中でございますが。さらに、マーケットに入ってまいりました際に、既存の紙のリサイクルの仕組みの中にどういう影響が出てくるんだろうか、その辺も私ども確かめる必要がございます。そういうことで若干の猶予をいただくわけでございます。  さらに、再商品化されました製品というのは、みんなで使っていただくというのが非常に重要なわけでございます。それにつきましても、現在再生資源利用促進法という法律がございますが、その法律を活用いたしまして、そういう材料を原材料として活用するような方々、あるいはその容器の素材の開発に関係する方々、そういう方々がリサイクルしやすい素材を開発するとか、あるいは、リサイクルされた、再商品化された原料を使っていただくというような義務をかけようということを考えております。
  44. 和田貞夫

    ○和田委員 今、プラスチック処理について技術もまだ進んでおらないというように言われましたけれども、もう既に技術が進んで、一部活用しているところもやはりあるわけなんですね。要は費用がかさむ、そういうことが一つの難点になっておるんじゃないか、このように思うわけですね。あるいは、食器用に使うようなプラスチック容器等々は、特に夏場になりますと、非常に腐りやすい時期であるので、においがして、再利用するということもなかなか難しい。液化するにも一々洗ってやらにゃいかぬという難しさもある。そんなことしておるなら、燃した方が、燃料にした方が早道だというように考えるところもあるわけなんですね。  あるいは、今、紙の点を言われましたけれども、これも、古紙を使うよりもパルプを使った方がかえって安くつくというような面等もございますので、今後、技術の開発ということだけではなくて、やはりできるだけ再利用しやすいように安価に提供ができるというような、活用ができるというような、そういう方法も、方途も考えておく必要があるんじゃないかと思います。  あるいは、再生化した商品が積極的に各業界を通して使いこなせるような販路の拡大というのも、五年間の猶予があるわけですから、この間にやはり準備態勢を怠らないようにやってもらわぬと、せっかく技術を開発したけれども、せっかく再生化した商品が使いこなせないというような結果になりかねないわけでございますので、その点もあわせてぜひとも大きな検討課題に入れておいてほしい、こういうように思いますが、どうですか。
  45. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 まさに先生のおっしゃったとおりでございます。  先ほど技術開発ということも申したわけでございますが、要するに今、例えばプラスチックをとりましても、いろいろな種類のプラスチックが原料として入ってくるわけでございます。さらに、その原料の中にはいろいろな不純物も入っているわけでございます。そういうのを例えば油化という技術を使いまして再商品化します場合、かなりタフな技術である必要がございます。弱々した技術では連続運転が難しかったり、あるいはコストがかかったりということがございます。そういうために、できるだけ経済的に上がるような技術というのを鋭意、実証試験等を重ねながら開発していくということでございます。  さらに、開発されました製品といいますのが広く使われますように、先ほども申しましたが、法的な義務を使う人にかけたり、あるいはこういう製品はここまでできていますよ、どうぞ使ってくださいということにつきましてもあわせてPRしていく必要があるだろうというふうに考えております。  まさにおっしゃるとおりでございます。
  46. 和田貞夫

    ○和田委員 ぜひともひとつその点について御尽力を賜っておきたい、このように思います。  その次は、今回の分別収集、再商品化の考えておられるこのシステムは、住民の皆さんから再商品化事業者への物の流れを見てまいりますと、大きく三つのパターンに分かれると思うのであります。  その一つは、ビール瓶だとか酒瓶だとかいうようなものでございまして、販売店を通じて特定事業者一定の回収卒をクリアする自主回収ルート。二つ目には、主務大臣からルート全体を認可をしてもらった特定事業者が自分で委託する独自 ルート。さらには、新たに設置される指定機関を通じて特定事業者が委託する指定法人ルート。この三つのパターンであると思うのであります。  市町村分別収集された容器などが途中でごみとして不法投棄されたり、保管中という名目で野積みをされておるということが起こってはならないと思うのであります。また、事業者責任のもとにある産業廃棄物処理の世界でも、現実の問題として、資源物の保管を名目とした不法投棄が横行しておることはあちらこちらでございます。五年前にも香川県の豊島事件、これは五十万トンに及ぶ不法投棄がされて、社会問題化したことは御記憶のとおりであろうと思うのであります。  今回のシステムは、指定法人が非常に重要な役割になろうということになっております。特定事業者から委託料金の徴収ということだけではなくて、再商品化事業者への委託契約を結ぶことになっているのであります。この指定機関の運営や業務の実施に当たりましては、特定事業者だけでなくて、ごみを分別排出する消費者あるいは容器包装廃棄物分別収集する市町村、これらの意見がきちっと反映されることが必要だと考えるのであります。  とりわけ自治体におきましては、実際の物の収集保管、運搬に直接かかわるだけでなくて、この法律の運用に当たりまして、負担金が免除される中小企業者の方々の費用負担も、結局的には自治体が肩がわりをする可能性も非常に強いと考えられるのであります。  そこで、指定機関の運営や業務の実施に当たって、自治体市町村住民消費者、そして分別収集の現場で働く自治体の労働者、これらの代表の意見が反映されるような仕組みにすることが非常に重要だと考えるわけであります。このことについて、ひとつ橋本通産大臣の方からお答えいただきたいと思います。
  47. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 もう委員が御承知のように、指定法人は、この法律案によりまして再商品化義務を負う事業者義務履行の代行機関として、民間の発意によって設立されるものであります。  私は、この運営に当たって関係者の意見が十分反映されるように仕組まれることは当然だと思いますし、例えば指定法人の中に評議員会のようなものを設けていただく、そしてそこに地域、消費者事業者の代表などに御参加をいただいて、その意見、ニーズを踏まえていただくことを検討することも一つの考え方、そのように思います。  また、義務対象事業者からの義務履行の受託、再商品化事業の委託のための入札情報の提供でありますとか、再商品化事業者の応札の受け付けなどを既存団体の活用などによって行って、地元の事業者などの便にきめ細かくこたえ得る体制をつくることも必要だと思います。  いずれにいたしましても、この法律案を成立させていただきました後、その指定法人の具体的な内容や体制につきましては関係者の間で本格的な検討が行われることになるでありましょう。関係者の創意と工夫によって再商品化事業を円滑かつ適切に遂行し得るものになることが必要だと考えておりまして、御指摘のような諸点は非常に大切な部分、そのように思います。
  48. 和田貞夫

    ○和田委員 ぜひとも、今大臣お答えになりましたように、評議員会制度をつくっていただきまして、そこで、自治体の代表あるいは消費者の代表、現場で働く労働者の代表、これらの意見を酌み取れる場をぜひともひとつつくってもらいたいと思います。  さらには、指定法人の問題でございますが、この指定法人の職員が全国の三千三百の自治体と連絡をとって、そして全国各地に存在する再商品化事業者と委託契約を結んで再商品化業務を行うということは実際問題として不可能ではないか、こういうように思うわけでございます。  そこで、指定機関の代行者、指定機関の業務の代行先として、例えば数県の自治体を束ねる事務所、ブロック単位でも結構です、四国は四国、九州は九州、中国は中国、近畿は近畿というように、そういうような事務所を全国にブロック単位につくっていく必要があるんじゃないかというように思うわけでございます。そうすることの方が、よりこの業務の推進に当たって遂行しやすいやり方でないかと思うわけでございますが、これもひとつ大臣の方からお答え願いたいと思います。
  49. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 今委員御質問の点でございますが、法律の二十三条で、指定法人は、主務大臣の認可を受けて、委託契約等に関する業務の一部を政令で定める団体に委託することができるとなっております。ということで、特定事業者の方、それから市町村との関係、それから再商品化事業者の皆様の便宜ということもあり、これは今後、法案が成立した後でございますが、施行までの間に、既存の地域の団体等を活用しながら、先ほど大臣申し上げましたように、きめ細かな業務運営ができるように努めてまいりたいと思っております。
  50. 和田貞夫

    ○和田委員 指定機関が一つであって、それが直接自治体関係を結んでいくということは非常に私は難しいと思うのですよ。現実の問題として、やはり、後ほど申し上げますが、各県にセンター的なものを、都道府県がかんだ第三セクターをつくっていく、その上でブロックごとに指定機関の出店をつくっていくというようなやり方が、より具体化したこの法の推進に当たって可能な方法じゃなかろうか、このように思いますので、その点はひとつ法の施行に当たりまして検討してもらいたいと思います。  次に、廃棄物処理は、これまでは包装廃棄物も含めて市町村処理責任者としてやってまいったところであります。生活環境の保全に万全を期しながら行ってまいっておると思うのであります。今回のこの法律によりまして、容器包装廃棄物は指定機関の再商品化事業として進められることになります。しかしながら、これもその他の廃棄物と同様に、生活環境の保全に万全を期しながら取り扱わなければならないことは当然であると思うのであります。  事業者責任のもとで行われる産業廃棄物処理では、現場で悪質な業者の不法投棄、先ほど申し上げましたような不法投棄が起こっておるわけであります。あるいは、再処理をするんだということで野積みにしたままに放置されて、ごみになってしまうということが後を絶っておりません。家庭から分別収集された容器包装廃棄物が途中で不法投棄される。したがって、確実に再商品化されるためには、実際に運搬、保管、再商品化する再商品化事業者である者がきちんと業務を遂行することが必要だと思うのであります。  そこで、厚生省お尋ねいたしますが、廃棄物を再生処理する施設を含めて、容器包装廃棄物が途中でごみに逆戻りしないよう、廃棄物処理法の許可制度の運用をより強化することが必要でないかと思うのであります。  また、同じ観点から、例えば指定機関からの受託者として、先ほどもちょっとお話しいたしましたように、各県に、県もかかわる第三セクターのようなものができておるところもありますし、また、今現在検討中のところもあるわけでございますが、これを各県ごとに設置をさせて、その第三セクターを活用するなどによって、業務を確実に実施するための現実的な仕組みをつくることが必要ではないかと思うのであります。  廃棄物行政を所管する厚生省として、こうした観点を確保するためにどのような対策をお考えになっておられるのか、この機会にお聞かせいただきたいと思います。
  51. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 お答えいたします。  まず、先生が御心配の点は、私どもも心配をしていることでございまして、それに対してはきちっと対応していかなくてはならぬと思います。  少し子細に御説明を申し上げますと、容器包装廃棄物の再商品化施設につきましては、廃棄物処理及び清掃に関する法律に定める一般廃棄物再生施設に該当する場合には都道府県知事の許可を得る必要がございますが、当該許可制度の運用に当たっては、生活環境の保全の観点から適正な運 用がなされるよう、都道府県に対する適切な指導に努めてまいりたい、このように思っております。  また、再商品化を行う事業者については、本法律案により、主務大臣による再商品化の認定や指定法人への監督を通じて、当該商品化を行う事業者事業の適正な実施を担保しておりまして、御指摘のように、分別収集された容器包装廃棄物が途中でごみに逆戻りするような事態は万が一にも生じないように、適正に指導してまいりたいと考えております。  次に、指定法人からの業務の受託につきまして、第三セクターである廃棄物処理センターとの関連についてのおただしてございますが、市町村分別収集と連携をとっていくことが大変重要であると考えております。したがいまして、地方公共団体の第三セクターのような形で施設整備が図られることは、制度の円滑な定着にとって重要なことと考えております。  なお、指定法人はできるだけ効率的な再商品化を行うという観点から、基本的には競争入札により再商品化事業者を選択していくことになりますが、その際、このような地方公共団体の第三セクターである廃棄物処理センターたる公益法人等が委託先として活用されることも想定しているところでございます。
  52. 和田貞夫

    ○和田委員 検討しておるところが今十数カ所あるというふうに聞いているのですが、全国的に各都道府県がこのような第三セクターを設置しようという動きはないですか。
  53. 藤原正弘

    藤原政府委員 廃棄物処理センターにつきましては、原則としまして四十七都道府県に一つずつっくってもらおうという方針でございます。現在はまだたしか七つぐらいであったと思いますが、どんどんこれはふえておりますので、今後は厚生省の先ほど言いましたような方針に沿いまして全国各県につくってもらおう、こういうことでございます。
  54. 和田貞夫

    ○和田委員 私は、資源というのはやはりごみの範疇である、廃棄物全体がごみの範疇である、そうして、再生利風化するところから資源になる。というのは、これは再商品化されるまではやはり廃棄物処理として責任を持つ必要がある、そのためにやはり市町村が、公共団体が、ごみの処理を直接所管をしておる自治体がこれに何らかの形でくみするということが私は大事な点ではなかろうかと思うのであります。  そこで、私はお願いを申し上げたわけでございますが、できるだけ各県に第三セクターを自治体がかんでつくらせていって、そしてこの第三セクターにこの法律の運用、活用をぜひとも託していくというようにやってもらいたいというように私は思っておるところでございます。答弁はなくてもあってもよろしいですが、どちらか。
  55. 藤原正弘

    藤原政府委員 廃棄物処理センターができるだけ指定法人の仕事を委託を受けてやれる方向にしたらどうかという御質問でございますが、先ほど局長答弁いたしましたように、委託先の一つとして位置づけておりまして、そういうところがたくさん名乗りを上げてきて仕事をとっていただく、こういう方向になっていくことが望ましい、こういうふうに考えております。
  56. 和田貞夫

    ○和田委員 望ましいようにひとつ指導をしてもらいたいと思います。  その次に、この法律の作成に当たりまして、厚生省を中心に各役所の皆さんが非常に御苦労されて、調整調整を重ねて取りまとめられたというように認識をしておるわけであります。ところが、それらの過程におきまして、最初はボトラーなど中身の製造事業者に、最終的には価格転嫁をするわけでございますけれども、消費者が最終的に負担をするということになるわけでございますが、一時ボトラー等が費用負担するということに限定した形でこの案をつくられてまいったと思うのであります。ところが、途中で容器メーカーにその負担が重なってきた。容器メーカーは法律を作成する過程で何の意見を言う場もなかった。ところが、ボトラーの意見がどこの意見かわからぬけれども、途中で容器メーカーにも負担がかかってきたわけでありますので、法案の作成に当たって非常に不公平が生じておるのではないかというように私は思うのであります。  私もその言い分を言っておった人たちの意見を知っております。中身の製造業者は、例えばジュース等をつくっておる業者、小さい業者だ。ところが容器のメーカーは大きいメーカーだ。大きいメーカーに負担をかけるという議論だったと思うのです。それはアルミメーカーとかあるいはスチール缶のメーカー等を頭に描いて言っておるのです。ところが、容器メーカーの中にもそういう缶メーカーだけではなくて、発泡スチロールのトレーをつくっているような業者、あるいは食品容器に使われるようなプラスチック容器をつくっておる業者、これは中小企業に多いのですよ。家内工業で、粉を型に入れて足で押してそして一枚ずつつくって、それを卸屋が集めに来て納品するというような製造メーカーが非常に多いわけであります。  そういうような方々は非常にこの法律の施行に当たって心配をしておるわけです。また、そういう業者は食品を売っておるようなダイエーだとかあるいはヨーカ堂だとかいうような大規模店舗には非常に弱い。したがって、コストの価格への転嫁がされるかというような不安を抱えておられますし、あるいは一回始まるとずるずると負担が増大するのではないかというような心配もこれあり、非常に不信感を持っておるというようにも聞いておるわけでございます。  こうした経過を踏まえて、容器メーカーなどの声を受けとめて、今後政省令をつくる際に、あるいは費用負担率の決定をする際に、あるいは再商品化義務量算定に当たって通産省としてどのように対応していこうと思っておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
  57. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 御指摘の特定事業者義務者の件でございますが、先生御指摘のように、当初容器の中身事業者、中身を入れる方々に義務者になっていただくということで検討していたわけでございます。その理由は、最終的には国民の全体が費用負担することになりますが、一たん容器の中身事業者費用負担していただければ、それによって容器の材質を変えるとかあるいは厚さを変えるとか重さを変えるとか、そういう工夫をしていただいて、社会全体としてのコストが最小限になるという考え方で検討していたわけでございます。  その後政府の中でいろいろ議論をし、かつ関係事業者の方からもお話を伺い、容器自身をつくっている方々、容器メーカーの方も、容器の中身事業者の大きな選択の枠の中ではありますけれども、同じようにいわば選択権というものを持って容器の材質なり大きさなり厚さなりを決めておるということで、そういうことを踏まえまして、最終的に法案では、容器の製造事業者も加えた形での特定事業者になっております。  その間、実は私ども、産業構造審議会、昨年七月に答申をいただいたわけでございますが、容器のメーカーに係る委員も御参加いただいておりまして、その答申の中で、関係事業者間の適切な役割分担のもとに包装材についての新しいリサイクルシステムを確立することが望まれるというふうにうたわれておりまして、そういう意味で適正な手続を踏んでいるものと考えております。  いずれにいたしましても、今委員御指摘のように、今後中身事業者容器メーカーの間の費用負担比率あるいは義務量算定方法等々定めていくわけでございますが、その際は、必要に応じてこれら事業者が参画している審議会の意見を聞くこと等によって、事業者の皆様の意見を適切に反映させていきたいと考えておるところでございます。
  58. 和田貞夫

    ○和田委員 最初は、厚生省と通産省で案をつくったときは、あなた、こんな容器メーカーに目をつけるということもなかったわけです。ところが、どこかで横やりが入ってこうなってきたので す。その横やりを入れた人というのは、先ほど申し上げたように、容器メーカーというのはアルミメーカーとか鉄鋼メーカーとかということだけしか頭になかった。家内工業で粉を入れて足で踏んで一枚つくる、そういう容器メーカーもあるわけですよ。そういうようなことを考えてもらって、そういう不満が出ないように、これから運用面でぜひとも最大限の努力をお願いしたいということをこの機会にお願いをしておきたいと思うわけであります。  時間も参りましたので、最後に、今回のこの法案は、これから二十一世紀に向けて環境保全を重視した資源循環型の廃棄物行政を進めるための第一歩であると考えます。廃棄物処理問題では、産業廃棄物問題だけでなくて、他の適正処理困難物、そしてあちらこちらで放置され、投棄される電化製品の古いもの、あるいは自動車の古いもの、道路に置き捨てられ、乗り捨てられておるものの姿というのはあちこちで見ますが、こういうようなものについても再生利用を中心とした処理体制を早急に確立することが問われていると思うのであります。リサイクルの推進を通じたごみの減量化と環境負荷の低減、資源循環型経済への移行に向けて、今後とも消費者である市民の皆さん、事業者の皆さん、自治体関係者の皆さんの間で議論を進めていくことが重要だと思うのであります。  そこで、二十一世紀初頭にこみゼロ社会を実現するというように宣言をしておられる厚生省の担当局長さん、産業政策、エネルギー政策を所管をして、リサイクルを推進しようとしておられる橋本通商産業大臣の二十一世紀ごみゼロ社会実現に向けた決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  59. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 今回の法案は、廃棄物を単に燃やして埋めるという処理から循環型の処理への転換へ向けての大きな一歩を踏み出したものと認識をいたしております。先生の御発言にありましたように、さらには循環型の廃棄物処理体制を確立するために、消費者地方公共団体事業者関係者の意見を幅広く聞きながら、電化製品その他の粗大ごみなど、容器包装廃棄物以外の廃棄物について、廃棄物処理法に基づく指定一般廃棄物制度の有効な活用を図るとともに、その廃棄物の特性に応じた減量化リサイクルの方策の検討を進めてまいりたい、このように考えております。  また、昨年十月の公共投資基本計画においても、廃棄物循環型のごみゼロ社会を目指すこととされており、本法案を第一歩として、ごみゼロ社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  60. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 本年一月十七日に発生いたしました阪神・淡路大震災は、我々にさまざまな教訓を投げかけております。そして、その一つとして、瓦れきの処理をめぐりまして、我々は改めて大量生産大量消費大量廃棄社会というものへの反省を迫られております。この瓦れきを、当初は全部埋め立ての原料に使おうという計画がございました。しかし、この中には多くの金属材料も含まれております。これを取り除かなければならない。また、その中に含まれております木製品、これは腐敗すれば地盤沈下を起こすということで、そのままでは瓦れきが処理できないというような現状が現に発生をいたしております。  私どもは、こうしたことを考えましたとき、非常に多様なごみというものを発生させている今の社会の中で、持続可能な開発ができる社会、これはまさに委員がお述べになりましたようなリサイクルを中心とした社会に組みかえていかなければならない、どうすればそうした方向に向けていけるかということを必死で考えていかなければなりません。この場合、当然のことながら、消費者としての国民にも、また国、地方公共団体事業者、それぞれがおのれの役割を分担しながら、国民的な合意をいかに形成していくかが何よりも大切なかぎとなります。  こうした観点から、この法律案は新たなリサイクル社会の構築に向けての大きな前進をなすものと私どもは考えておりまして、その方向に向けて廃棄物リサイクル政策というものに万全を期してまいりたい、そのように考えております。
  61. 和田貞夫

    ○和田委員 終わります。
  62. 逢沢一郎

    ○逢沢委員長代理 次に、西川太一郎君。
  63. 西川太一郎

    ○西川委員 我が国経済は、敗戦から雄々しく立ち上がって、あの有名な経済白書のもはや戦後ではないというフレーズが言われてから極めて長い時間が経過をいたしました。高度成長が当たり前の時代、そして、それが減速期に入って、その前の昭和四十八年のオイルショック、成長の限界、ローマ・クラブなどというのを懐かしく思い起こします。  当時、最後の職場をコロラド大学に奉職をされましたケネス・ボールディング博士は、宇宙船地球号という概念を世に問うて、この地球は人口の爆発的増加と限界のある食糧供給、マルサスの人口論的な発想もありますけれども、加えてエントロピーの問題やいろいろな資源の枯渇の問題が議論されました。  そして、あのオイルショックのときには、この地球を一メートル差し渡しの地球儀に見立てるならば、人間が採掘可能な石油資源は一センチの深度のところである。そして、それの限界はもう三十年であると当時言われて、もう随分これも時間がたつわけでありますが、皮肉な人は、石油の限界三十年説は毎回三十年だ、こういう不思議な数字であるとおっしゃる方がいます。  そういうような流れの中で、私たちは環境問題を絶えず成長問題の裏返しとして見てまいったというふうな思考の習慣が我が国にはあった。先ほど本会議で我が党の増子議員が橋本通産大臣お尋ねを申し上げました際にも、私たちは、そうした環境問題を議論するのは特別な人たちであって、少し言葉を恐れずに言えば、何か極めて少数派の、寂しい思いをして、環境族というレッテルを張られた時代もあった。しかし、今日みずからをエコロジストと自称する人がいかに多いことかというようなくだりがございました。  通産大臣は自由民主党きっての環境政策通であるということも私はよく承知をいたしておりますけれども、その大臣にきょうはお尋ねをさせていただくわけでございます。  まず第一に私がお尋ねしたいのは、今回のこの包装容器の分別と再製品化の法律案リサイクル社会をつくっていくマイルストーン、一里塚になり得るものなのかどうかということが法案審議をする立場としては大変重要なポイントだというふうに私は思っているわけでございます。いきなり完璧な法律案をつくることは、この種の問題では難しかろう。理念の追求にはこれは限りがない範疇の問題であると私個人は思っております。  新進党にもどこの党にもいろいろな認識をお持ちの議員がおいでになる。そういう中で、先ほど参考人の招致を決め、また厚生、環境、農水、こういう委員会との連合審査も予定されている中でございますから、私は特定の問題に具体的に限って以下お尋ねをいたすわけでございます。  それに先立ちまして、ただいま申し上げましたとおり、これはどんなリサイクル社会をつくっていくのかという理念の裏打ちがなければ、一時をしのぐ拙速な法律になってしまうという心配を私どもは持つわけでございます。  そこで、大臣お尋ねを申し上げたいのは、重なって恐縮でございますが、本会議でもお尋ねをし、また先ほど来の御質疑の中にそれらのことが散見されるわけでございますけれども、改めまして、提出者として、どういう理念、またどういう必要性、この法案提出の背景につきまして概括的なお考えをお述べいただければありがたいと存じます。
  64. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先刻も本委員会におきましてただいまの感懐を申し述べたところでありますが、私は本当に、この法律案を提出するに当たり、昭和四十五年秋、公害国会として今も記憶されております臨時国会の審議を改めて思い起こしております。  当時、私は厚生省の政務次官として答弁の側に立っておりました。そして、当時としては相当思い切った施策を世に問うたつもりであります。しかし、その時点で、今本当にみずからを省みてざんきにたえない思いがいたしますのは、廃棄物というものを環境保全あるいは公害という視点から考える視点が全く欠落しておったことであります。  今振り返ってみると、それはすべての人がそうだったわけではありません。当時厚生省の公害部、これは今の環境庁の前身でありますけれども、その公害部の庶務課長、公害課長のお二人は世間から本当に、むしろ黙殺されたと言ってもいい、孤立した意見でありましたが、ごみというものを環境という視点からとらえなければ必ず将来悔いが来るということを力説されました。しかし、その厚生省の上司の方ですらこの主張には耳を傾けませんでした。私どももそうであります。そして、学界あるいは報道界にこの意見を支援する声は当時はございませんでした。しかし、今振り返ってみますと、もしその時期におぼろげながらにでも廃棄物というものを環境問題の一部としてとらえておりましたなら、その後大きな変化を社会は生じておったであろうと私は思います。  なぜなら、そのころ既に、例えば浜松市とその周辺の町村が一体となりまして、生態学的に連携のとれたリサイクル社会を構築しようという試みが存在をいたしました。あるいは、先ほども挙げましたので、お許しをいただきまして特定メーカーの名前を挙げさせていただきますと、ヤクルトが自分のところの容器を回収するために特別な車両を設計し、そしてその回収いたしましたものをリサイクルいたしまして、例えば文房具でありますとかいろいろな製品に再利用しようという試みはその当時も存在をいたしました。しかし、結局これらは世間の支援が得られないままに半端な形で終わりました。  そして、プラスチック製廃棄物が一般家庭からの廃棄物の中にふえていくにつれまして、各自治体の焼却炉の炉内温度が上昇し、焼却炉の寿命が短縮され、これを全部巻きかえるといった作業すら必要な時期を私どもは経験してきたわけであります。  そして、その間に二回のオイルショックを我々は体験をいたしました。そして、省資源ということが真剣に叫ばれ、省エネルギーということが叫ばれ、今その上にリサイクル型の社会構造というものが求められております。  私は、この法律案はまさにこうした時代の中において、今委員はマイルストーンという非常に適切な言葉をお使いになりましたけれども、私もそのマイルストーンという言葉を許されるなら使わせていただきたい、大きな前進の第一歩である、そう思います。なぜなら、一般廃棄物のうち非常に大きな割合を占めておりますし、さらにその利用が技術的に可能な容器包装についてのリサイクル、この抜本的な推進を図るための法律案でありますから、私は、国民全体がリサイクル社会の担い手となって廃棄物減量化資源有効利用というものが図られることを強く願い、この法律案にその夢を託しております。     〔逢沢委員長代理退席、甘利委員長代理     着席〕
  65. 西川太一郎

    ○西川委員 私のつたない経験を申し上げますと、まず私の選挙区、今の立場をお与えいただきました旧選挙区と申しますか、いわゆるごみ戦争の発祥の地でございます。そして、私が東京都議会議員をさせていただきました時代にこれらの問題がかまびすしくなり、そしてごみ工場を、自区内処理の原則ということで、東京都内に建設をしていく過程の中で、排煙の濃度を説明する着地濃度、これは十畳敷きの部屋でマッチ一本をするぐらいですからどうぞ心配しないでくださいと、都民を説得しながら清掃工場建設に努力をしていた時代であります。  しかし、大臣も御承知のとおり、今、東京に限って申し上げましても、その処分地は完全にもうタイムリミットが来ておりまして、新たに検疫錨地を国からお許しをいただき、そこに第二の海面処分場を建設をせざるを得ないというのが東京の実態でございます。少しでもその処分地の延命を図るために、先ほど大臣はさすがにお詳しいと思いましたけれども、いわゆる地盤沈下を起こすようなことを逆に利用しまして、汚水を抜いて、上から圧力をかけて、野積みのごみを少しでも低くして、いわゆる関係法令に抵触しないようにしながら東京都はその最終処分地の延命策を講じていることも御案内のとおりでございます。  そういう中で、私はやはり、まぜればごみ、分ければ資源という標語を今新たに思い起こしながら、この法案審議をするに当たって、この目的というものが、ただいま大臣のおっしゃるようないわゆる地球の環境保全というものを、そして、一日も、一刻も長くこの地球を私どもが快適に、大切に、神様からの恵みとしての環境というものをきちっと節度ある享受をしていくということを私どもは学習をしていかなければならないというふうに考えております。  そこで、理念は、さはさりながら、現実にこれらの廃棄物を出すのも私たちであり、汚染者であり、同時にそれを処理をしていくのも私たち人間でございます。したがって、ここから話がかなり短小化してまいりますが、現実的になりますけれども、このたびの法律で、古紙の問題についてまずお尋ねをいたすわけでございます。  既に古紙業界というのは世界に冠たるリサイクルシステムを持っているというのが、俗に静脈産業と呼ばれる回収業者の方々の自負心でございまして、その確立をしている現状、それに対しまして、本法案の施行によってこれが悪い影響を受けるのではないかという大変素朴な心配を持っておられるのでありますが、このことにつきましてまず簡単に御答弁をいただきたいと思います。そして、追ってもう少し詳しくお尋ねをいたします。
  66. 江崎格

    ○江崎政府委員 お答えいたします。  古紙の再生利用でございますけれども、これまで私ども政府、それから産業界が積極的に取り組んでまいりましたわけでございますが、その結果、古紙の利用量は年々増大してきておりまして、平成六年度では千五百三十八万トンに達しております。これは、製紙原料に占める割合、いわゆる古紙利用率で見ますと五三・四%ということでございまして、今委員御指摘のように、まさに世界に冠たる水準と言っていいと思います。  これには、古紙の回収業者によりますいわゆる民間の回収システム、それからもう一つが、学校ですとかあるいは町内会などによる、ボランティアによる集団回収といった既存の回収システムが大変大きな役割を果たしたわけでございます。私どもとしましても、この既存の回収システムの果たしております役割の重要性にかんがみまして、今後紙箱など、こういったものをこの法案の適用対象にする場合に、既存のシステムヘの、需給面等への影響を十分調査する必要があるというふうに考えております。  このために、今回の法案でも最大限三年間の適用猶予期間というものを設けております。その上で、現在千五百万トン余りに上っております既存の回収システムに悪影響を与えることがないようにして、いわばその上乗せとしまして、この法案に基づく市町村費用負担によります分別回収システムというものが円滑に行われるように考えていきたい、このように思っております。
  67. 西川太一郎

    ○西川委員 古紙回収業者の方々は、ただいま江崎局長の御答弁にありますとおり、およそ千五百万トンの古紙のリサイクルに携わっております。現有の処理能力をもってするならば、あと二、三百万トンほどの余裕はあるという現状のようでございます。  そこで、これらは長い間苦労されて設備をしたり、また、長年の経験から古紙の市況等についての十分な知見をお持ちでございまして、こうした方々の力といいますか、経験といいますか、御苦労、こういうものを、指定法人の運営に関する、参加といいますか、指定法人からこういう方々に対して、委託が受けやすいような形というものが 保証されないだろうか。つまり、各自治体における分別収集の委託でありますとか、分別収集計画策定というものにこの方々の経験や知見を活用するということが、リサイクルの動き、機能というものをより効果的にしていくものではないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。  先ほどお尋ねしましたとおり、長い間かかって投資もしてきた、苦労もしてきた、そして産廃業者や一般廃棄物業者と違って、古紙回収業者は許可業ではございませんから、需給関係によってひどい目に遭ったときもあった。町の中で古新聞、古雑誌、うるさいくらい回収に来ていた人がぴたっととまった時期がございました。もう新聞紙が余ってしまう。そういう需給の調整ができないがためにごみが増大をしたという事実が実際問題あるわけでございます。  そういう苦しい体験を経て今日この方々が、このリサイクル法に賛成をしていこう、通産省や厚生省の御説明を、最初のうちはいろいろ不安もあったし不満もあった、しかし、私どもに対するいろいろな御意見を伺いますと、これからの政省令の決定の中に少しでも我々の意見を反映してもらえないかなどというところまでもう現実的になっておられる方々がいるわけでございます。  そこで、くどいようでございますけれども、先ほどとは少し観点を異にいたしますが、そうした方々が、いわゆる指定法人等に参画をして、またいろいろな計画に、その立案、策定に参与をする、そういうチャンスをひとつつくってあげていただきたい、こういうふうに思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  68. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 お答え申し上げます。  指定法人は、民間事業者である特定事業者の再商品化義務を代行するという役割を担う法人でございまして、その運営については、基本的には民間主導で行われるものと考えております。  ただ、その場合、例えば評議委員会みたいなものが指定法人の中に設けられて、恐らくは事業者消費者あるいは地域を代表する方々がメンバーとして入られる。そのような場合に、今委員御指摘のように、高い知見と経験を有される再商品化業者の代表の方、古紙関係の方も含めて、当然そういうメンバーの対象の一人として、なられる可能性は十分あるというふうに考えております。
  69. 西川太一郎

    ○西川委員 太田審議官に重ねてお尋ねをいたすわけでございますが、実は、この指定法人制に関する規定をここに盛り込んだことについて、これが問題なのだ、こういう意見があるのですよ。その意見についてどういうふうに思われますか。
  70. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 特定事業者の方々、恐らくは十九万からの人数になるかと思いますが、そういう方々が義務履行するというためには、もちろんみずから再商品化事業者の方を見つけてくる、あるいはみずから再商品化をやられるという道も当然ございますが、多くの方々、特に中小企業の方々は、そういう指定法人に業務を委託することによって義務履行を果たすという観点からすると、指定法人は、やはり今回の容器包装リサイクルシステムの中では必要不可欠なものというふうに考えております。  ただ、当然のことながら、その指定法人が非常に独占的な運営をするとか、非常に排他的あるいは不公平な運用にならないように、これはそもそもが先ほど申しましたように民主導の公益法人でございますから、まずその法人の中できちんとしたルールを決めて運営されることになると思いますが、私ども政府としても、きちんとそういう弊害が起こらないように監督をしていかなくてはいかぬと思っております。
  71. 西川太一郎

    ○西川委員 今十九万という数字を挙げられましたが、中小企業基本法二十三条の、製造業で従業員二十人以下とか、売り上げ一定割合以下とか、そういう小規模企業者を入れて十九万でございますか。
  72. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 今回の法案では、特定事業者は小規模事業者を適用除外とすることにしております。中小企業の場合は、平成十二年の三月三十一日まで義務猶予をするということでございます。  先ほど申し上げました十九万というのは、義務猶予をされた中小企業も含めた数字でございまして、小規模企業は入っておりません。ちなみに、小規模企業は恐らく百十万ぐらいの数字になるかと思っております。
  73. 西川太一郎

    ○西川委員 そうすると、確認をいたしますと、ちなみにと審議官がおっしゃった百十万という数字、この方々は今回適用除外ということであるということがわかったわけでございます。  さあそこで、そうしたこの指定法人制に対する既存の業者の方々からの不安、果たしてそこに入れるのだろうか、何か特別な官の力が働いて、規制が強化されて自分たちは排除されてしまうのではないかというような心配を持つ人たちがいるのですね。そして、その根拠を聞いてみますと、地方自治体収集を行う、ここのところに大変な懸念があるのだ。つまり、その許可、認可という武器を使われて、今までの既存の業界の方々が排除されてしまうのではないかというような心配を持っておられる方々もいるわけでございます。  そういうようなことも私どもは懸念をして、ただいまお尋ねをしたわけでございますけれども、民間の方々が参画をする余地は十分あるといいますか、むしろ逆に本会議の御答弁では、大臣は商工会議所の具体的な名前も挙げられたりしておられますし、私どももいろいろと勉強会を重ねる中で、いやしくもそうした官の介入が不当な形であるということは、そんな指摘をされることすら情けないことであるというようなお話も伺ったような記憶がございますから、その辺につきましては、やはり私どもとしてはぜひひとつ、こうした法案のできる前に、それがたとえ業としてではあっても、リサイクル社会の推進のために努力をしてこられている方々を大切にしてあげてくださいということを申し上げたいわけであります。  そこで、牛乳パックでございますとか、最近ではジュース、ウーロン茶、お茶のたぐい、清涼飲料水、またミネラルウオーター、飲料用の紙器、また段ボール、紙箱、こういうものについてどういうリサイクルをイメージしておられますでしょうか。
  74. 江崎格

    ○江崎政府委員 古紙のリサイクルを進めるためには、今までのシステムをより一層効率化するとか、あるいは経済的には現状のままではなかなか再生利用がしにくいものまで対象を広げるということが必要なのですけれども、何といいましても、最大のポイントは品種ごとの分別回収だというふうに思っております。このため、この法案に基づきまして分別基準を定めまして、これによって飲料用の紙容器、紙パックですが、これですとかあるいは段ボールですとか、あるいは紙箱等に分別して回収、利用するということを検討しております。  今先生御指摘の飲料用の紙容器、紙パックですが、これは古紙の品質が極めていいわけでございますので、リサイクルが比較的容易に行われるというふうに考えておりまして、その意味でこの法案の施行と同時に法案の適用対象にしていいのではないかというふうに考えております。  ただ、紙箱ですとかあるいは段ボール、こういったものにつきましては、既存の回収システムヘの影響を十分見きわめる必要があるということと、製紙原料以外の新しい用途を開発する必要があるということで、これは技術開発の問題なのですが、こういったことに時間がかかります。したがいまして、法施行後最大限三年間の猶予期間を置きまして、今申し上げましたような問題を十分見きわめてから対象にしたい、このように考えております。
  75. 西川太一郎

    ○西川委員 私も、今局長の御答弁の中で再商品化の具体例を幾つか挙げていただけるかな、こう思ったのでございますが、そういう御研究も当然なさっておられると思いますし、いろいろな形で紙として再生をする以外に、ほかの用途で随分研究をされているというふうに伺っておりますけれども、例えばこれから分別されて回収されて、そ して再商品化をしていく中で、紙以外、紙として、再生紙として使われる以外にどんな用途があるのか教えていただけますか。
  76. 江崎格

    ○江崎政府委員 紙箱といったような比較的低質な古紙につきましては、製紙原料の中でこれを使うということになりますと非常に用途が限定されてしまいます。したがいまして、こういったものが大量に回収されますと、なかなか消化しにくいという問題がございまして、今委員まさに御指摘のように、紙以外の新しい用途を開発する必要があるということでございます。  私ども通産省では、既に古紙をコンクリートの型枠として使うということを実は研究をしておりまして、既にこれは平成五年の予算をいただきまして、二億七千万円ほどですが、そういう研究をしております。それから、業界におきましても独自にいろいろな研究がなされておりまして、例えば住宅用の断熱材ですとか、あるいは農業用のマルチシートといいまして、雑草が生えないように土を覆うようなシートがございますが、こういったような研究がなされております。  私ども、これだけではなくて、いずれにしてもこういう古紙の新規用途の開発にこれからも努めていきたい、このように思っております。
  77. 西川太一郎

    ○西川委員 ここで今急に変なことを思い出したのですけれども、私の家の商売は布団屋なのですよ。寝具会社なのです。それで、いろいろな建設会社の現場に布団を買ってもらった時期があって、私が学生のころ、おやじが、おまえも苦労しなきゃいかぬからと言って、現場で働けと言われて布団を運んでいったことがあるのです、横浜の先の文化住宅の建て売り住宅の現場に。そうすると、当時はひどいもので、見えないところのトントンぶきというものは全部段ボール、つまり今言うのと逆なのですよ。本来ベニヤ板を使わなければいけないところを段ボールを使って手抜きをして、少しでも利を上げようとしていたのですけれども、今急にそれを思い出したのです。  逆に言うと、こういう廃棄物利用して、まさかそういうものに使えということを奨励するということではなくて、つまり木材の伐採がこれによって少しでもセーブをされる、スローダウンするというような、代替資源として活用されれば、これは環境保全に資するところ大である。そういう意味で、今の例などは、先ほどの和田先生のプラスチックと同様、大いにひとつこういうものは研究開発をしていっていただきたいと思うのですね。  なぜこんなことをお尋ねするかといいますと、先ほどいわゆる牛乳パックであるとかティッシュペーパーの箱であるとかそんなものはどうするのだということをお尋ねしたのは、今の古紙業界は、二〇〇〇年には古紙の混入率といいますか利用率を五六%にしようとして努力をしているわけでございますが、先ほどの御答弁の中にあったとおり、本当は六年度は五五%を目標にしていたのですけれども、五三・六しか達成できていないという実情にかんがみて、余剰なんですね、もう既に。  ですから、古紙として再生利用する以外の道をどんどん開発をしてあげないと、どんどん分別されて、収集されて、そしてそれが結局は野積みになってしまうということも考えられるわけです。そんなに詳しいわけではございませんから余分なことは申し上げませんけれども、そういう例が外国ではもう既にあったというふうに聞いておりますから、ぜひひとつ川下のはけのいいような仕組みをやはり考えていただかなければいけないというふうに、私はこの機会にお願いを申し上げておきたいと思うわけでございます。  そこで、今この円の急騰の中で、実は私は当然諸外国からのパージンパルプなどは値下がりをしているのだろうと思って、勝手にそういう質問を組み立てて、円高でパージン原料価格の低下が生じているがというふうに断定的に質問をつくってみたのですが、幸いなことにこの委員会が始まるちょっと前に、専門の人にちょっと聞いてみたら、とんでもありません、逆ですと言われたのですね。この間まで三百ドルだったものが、今は八百ドル台になっていますよ。つまり、円高なのに輸入の紙原料は値上がりしているというのですね。値上がりしている。  そうならば、私の最初の質問の予定は、こういう状況下で古紙のリサイクルは進むのか、こう逆にお尋ねする予定でおったのですが、進めなければいけない、このチャンスに。しかし、輸入品を市場開放しろ、黒字体質を減らせという場合にもパージンパルプだとかこういうものは当然その対象になるのでございましょうから、大変苦しいですね。どうしたらいいのでしょう、こういう問題は。漠然としたお尋ねですけれども。
  78. 江崎格

    ○江崎政府委員 紙製品をつくる場合に、すべて古紙でつくるというわけにはいきませんで、紙のある程度の品質を保つためには一定量のパージンパルプというものはある程度まぜていかざるを得ないということだと思いますが、ただその中で、品質の許される範囲でなるべく古紙を使っていくということが我々大切だと思っておりまして、現在の中では、先生御指摘のように、円高下ではありますが、むしろ世界の需給が非常に逼迫しておりまして、パルプとかあるいはチップの値段が非常に上がっております。したがいまして、むしろ古紙を非常に選考するという状況に幸いなっているわけでございます。ただ、それはたまたま今の需給がそうなっているだけでございまして、将来の需給いかんでは、場合によってはまたパルプの価格が低下して、そうすると古紙よりまた新しいパルプを選考するというときが来ないとも限らないということでございます。  私どもは、いずれにしても、再生資源利用促進に関する法律というのがございまして、今委員御指摘の古紙の再生利用卒の目標を定めて、みんなそれに向かって努力をするというのがございまして、今まさに御指摘のように平成七年の三月末に五五%達成しようということで努力をしてきて、若干そこに満たなかったのですが、そういう方向にかなり進んでまいりました。  現在実は二〇〇〇年目標の計画づくりをしておりまして、そこでどのぐらいにするか今計画をつくっている最中ですが、そういうものを通じまして、需給に余り影響されずに古紙の利用率を今後も高めていきたいというふうに私ども努力しているつもりでございますし、業界にもそのように促していきたいというふうに思っております。
  79. 西川太一郎

    ○西川委員 仄聞いたしますと、アメリカ合衆国などでは、各五十の州のうち幾つかは、自州で発行、販売される新聞の古紙混入率を州法で定めている州まであるというようなことも伺っております。我が国はそれぞれの購読者数、販売部数が極めて高いために高速輪転機を多用せざるを得ない。その引っ張る圧力に、張力に耐えかねて古紙の混入率を上げることができないなどということを聞いておりますけれども、そういう問題もいろいろと工夫をしていただく必要もあるな、こういうふうに思います。  こういう質問をしながら、私は矛盾するのは、きのう規制緩和の特別委員会でペーパーレス社会をつくらなければだめだという質問をいたしまして、そうなると紙の使用量がまたどんどん減ってきて、それはそれでトータルの環境にとったはいいことだと思うわけでございますけれども、余談はさておきます。  そこで、リサイクルが進んでいくためには、分別をして出してくださる御家庭、一般の皆さん、そしてそれを収集してくる自治体と、仮にそれを引き取っていいよということで入札をして買っていただく業者との間がやはりきちっとかみ合っていかないと、ぎくしゃくしてはまずいと思うのです。ぎくしゃくするのは値段とかそういうことではなくて、形状、形でありますとか質でありますとか、そういうことが大事だろうと思うのです。  そこで、ガラスの瓶の業界の方々に伺いますと、ガラス瓶の原料を再生利用するための必須条件は、色をごちゃまぜにされたらもうこれはだめなんだ、こういうことなんです。理想は四種類に分けることなんだそうです。しかし、できました ら三種類ぐらいに分けてもらうのが助かるんだ、こういうのが業界の皆さんの声なんです。茶色いビール瓶のようなもの、それから透明の瓶、それ以外の瓶です。こういうことをぜひやってもらいたいというのがあるのですが、これについてこれから市町村にぜひひとつ指導していただきたい、徹底をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  80. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 ガラス瓶の分別基準につきましては、ガラス瓶をどのようにリサイクルしていくかということを考慮しながら決めていくことが必要だと思っております。  それで、白い瓶それから茶色の瓶というのはまたそのまま瓶に。ただ、その他の色についてはなかなかそれが難しいというような現状にあるわけでございまして、現在でもガラスの分別収集は大体三つぐらいに分けるというのが六割の市町村で実際に実施をされているところでございます。それで、我々といたしましては、この市町村の実態を踏まえまして、ガラス瓶につきましては、白、茶色、それからその他のグループの三色に分別することが適当であると今考えておるところでございます。
  81. 西川太一郎

    ○西川委員 ぜひひとつそうした方向でお願いをしたいと思います。  そこで、ガラス瓶の工場がそうした原料を遠方から収集を行った場合、当然分別でございますが、運搬コストというのはかなりになるわけでございますね。市町村保管施設から引き取るケースの場合、こういうものを無償にするというようなことは考えられるのかどうか。  つまり、これは、簡単にお尋ねして恐縮なんですが、後刻、連合審査の場合に、分別収集処理処分の経費のコスト等の透明化といいますか、こういう問題に関心を強く持っておられる同僚もおりますので、そういう観点からまた詳しくお尋ねをすると思いますが、私は、ビジネスとしての収集業者の、特にガラス工場がじかに原料としていただいてくる場合の、コストにかかわる問題でございますから、遠隔地からこれをとってくる場合には、その運賃については御考慮をいただけるものなのかどうなのか。こういう一つのルールというものができるのかどうか、こういうことなんでございますが、いかがでございましょうか。
  82. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 分別収集されたものをまずどこで保管するか。これは、社会的に不効率で過大な費用の発生はやはり避けた方がいいということで、例えば一部事務組合等を活用した広域的な保管が重要。こういうことで、本法においては、一定の人口を対象保管し得ること、あるいはその再商品化施設、工場等への輸送距離が効率的なものであること等を保管施設基準として定めます。  ということで、委員御指摘のような御懸念はないかと思いますが、いずれにしても、本法案においては、再商品化を行われる分別基準適合物は、当然に市町村からの引き取りの際は無償となるものでございます。それでもなお、例えばカレット業者の方が赤字になる、輸送費等々で、カレットの加工代とかいうことでなる場合には、その部分がまさに特定事業者負担をするということで費用補てんが行われることになり、再商品化が進むというシステムになっているところでございます。
  83. 西川太一郎

    ○西川委員 くどくて済みませんが、わかりやすく言うと、最大消費地である東京、大阪のような大都市周辺は比較的そういうものの集荷がたやすい、しかし、過疎的なところでも廃棄物は出るわけでございまして、そういう、ここに規定をされている町村という単位のところである一定の量が排出をされた場合に、これのコストも業者持ちだということになりますと、これは経済の原則で、どうしてももうからないところには行かなくなる、こういうことですよね。そういうことを私どもとしては心配をするわけです。そこでお尋ねをしたわけでございますが、ただいまのような心配は、懸念は要らない、こういうことでありますから、その辺はひとつよい方法を考えていただきたい、こういうふうに思います。  私は紙とガラスについてお尋ねをしてきたわけでございますが、あと時間も少しございますから、他の点についてお尋ねをしたいと思います。  実は、去年の夏でございましたけれども、自由民主党の奥田幹生先生を団長とされる衆議院環境委員会の欧州視察団の一員に幸福にも加えていただきまして、ドイツのデュアルシステム、グリューネ・プンクトの仕組みを実際現場で見、また関係消費者団体、環境団体、また有限会社の社長さん等にもお会いをしてまいりました。なかなか御苦労をされているようでございます。  そこで、国際的な流れの中で、一般的なお尋ねで恐縮でありますけれども、諸外国ではこの容器包装リサイクルについてどういう方法をとっているのか。ドイツ型のグリューネ・プンクトの方式または違う方式、いろいろな方法があろうかと思いますけれども、この法案審議の参考に資するためにひとつ御教授をいただきたいと思います。
  84. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 先ほどドイツのシステムをおっしゃいましたが、こういうような包装容器廃棄物の総括的といいますか、包括的なリサイクルシステムといいますのは、欧州、ヨーロッパでスタートしておるわけでございます。  特に、一九九〇年代に入りましてからこういう方式というのは導入されてきておりまして、具体的に申しますと、先ほどおっしゃいましたように、ドイツでは九一年の六月からこういうような制度が導入されて、デュアルシステム・ドイッチュラントという仕組みで動いているわけでございます。さらに、フランスでは九二年の四月に同様な仕組みが導入されまして、エコアンバラージュというような会社を中心にリサイクルシステムが構築されつつございます。  そういうのを背景にいたしまして、ヨーロッパ連合では昨年の十二月、EC統一指令というのをつくりまして、ほかの国でもこういうような仕組みを導入しなさいというようなことになっております。ですから、ほかの国でも国内法というかをつくったりしながら、仕組みの導入というのを検討しているというところでございます。  今回の私どものこの提案しております方式といいますのも、まさにそういうような考え方を下敷きにいたしまして考えたところでございます。
  85. 西川太一郎

    ○西川委員 もう少し伺いたいのでございますけれども、例えば、今回我が国のこの法案は包装容器に限られたわけでございますね。産業廃棄物とか一般廃棄物とか、いわゆる再生資源として使用できるものというのは、包装容器に限ったわけじゃなくて、ほかの廃棄物も当然含まれるだろうと私は思う。理想は、そういうものも包括してやる方がよかったんじゃないかと私は思います。しかし、それには相当時間がかかりましょうから、まず一般の家庭で協力してくださり、また廃棄物の量としても圧倒的に比重の大きいものを中心にやっていこう、こういうことだろうと思いますし、また、私たちの習慣、暮らしの習慣、こういうものを変えていかなきゃいけないですね。  私は、そういう意味で、学校教育がこれはとても大事だというふうに思っております。きょうは質問の用意がございませんから、私の意見を、まことに勉強もしておらず思いつきで申し上げて恐縮でございますけれども、私は、子供たちにいかに使い捨てということが罪悪であるか、私たちのおじいちゃんやおばあちゃんが物を大切にして我々を育ててくれたように、例えばPETボトルも何回でも使えるように、実際外国では傷ついたようなものも何回も使っておられるわけですね。  そういうようなことをしませんと、かつてうそみたいなことをある論文で読んだのですよ。何百年かたって島原の普賢岳のように、もし富士山が、または三原山の火山が爆発をしたら、富士山が爆発するかどうか私ちょっとよくわかりませんけれども、その降ってくる灰の中に、ヤクルトの瓶があったり、瓶というか容器があったり、要するにPETボトルがたくさん火山弾とまじって飛んできたり、そういうことになりますよ。処理しないで、再利用しないで何でも埋めちゃって、そ してこれでいいんだというようなことをしていたら、とんでもないことになりますよ。  やっと私たちはそういう愚かさに気づいたのですね。有限の資源を何回も繰り返し繰り返し使いながら、多少のリークしていくエネルギーは補充しながら、私たちは大切にこの資源利用していこう、そういう社会をつくるべきだ、我が国としてはここにその第一歩を、先ほど来申し上げているマイルストーンを打ち立てるのだ、こういうことで私はこの法案審議をさせていただいてきたわけでございます。  通産省サイドとすれば、こういうような業界をいろいろ指導され、また協力を仰ぎ、日本の経済の活力をそがないようにしながらバランスをとって、環境と経済の発展というものをきちっとバランスをとっていく、こういうことに意を用いながら努力をされるのだろうと思いますが、ここに一つ新しく派生じますのは、環境ビジネス、こう一括して呼べるような範疇のものがこれから育ってくるであろうということは十分予測されるわけであります。  リサイクル事業者を育成強化をするということが極めて大切でございます。そして、それ以外に市民団体の方々の御苦労や、また、さっき申しました学校教育を通じてこの資源の大切さ、リサイクル社会をつくることの意義というものを教えていくということも必要でありますけれども、それと同じぐらい重い意味で、新たなビジネスとしてこの環境というものをコマーシャルベースに乗せていくことが通産省としては一つ大事な役割ではないか、私はこう思うわけでございますけれども、この点についての御意見を伺いたいと思います。
  86. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 今回システムができますと、今まで有償で回らなかったものが補てんを受けて再商品化リサイクルされるということになると思います。当然のことながら、そういうリサイクルをする方々は事業者の方ということで、まさに創意工夫が最も発揮されるべきところ、されることを我々強く期待しているところでございます。今まで費用補てんがされなかった場合でも、例えばPETボトルについて、工場が建つとか、いろんな動きがありました。今回このシステムができればその分、まさに費用補てんをされる分大きなインセンティブというか、まさに期待が高まるところでございます。  そういうことを踏まえて、いろんな形での、先生言われましたような環境ビジネスが生まれてくることになりますが、我々としてもそういうものを側面的に支援するために財政金融上の措置、あるいは現行リサイクル法で義務を課すとかということで環境整備を図ってまいりたいと考えております。
  87. 西川太一郎

    ○西川委員 時間でございますので、質問を終わります。
  88. 甘利明

    ○甘利委員長代理 続いて、吉田治君。
  89. 吉田治

    ○吉田(治)委員 容器包装リサイクル法ということで、私は昭和三十七年の生まれでございまして、たしか小学校三年生か四年生のときに万国博覧会というのが私の地元の大阪で開かれまして、その後、大量生産大量消費と、今の言葉で言うとそういう世代でございます。大きいことはいいことだと言っていましたらこんな大きな体になってしまったというのは余談ですけれども、しかしながら、大きいことはいいことだ、大量に物をつくる、大量に消費する、そして捨ててしまうというふうなことを言われたというのですか、私どもの教育がそういう教育だったと言ったら言い過ぎかもしれません。  今も忘れられない光景がございます。私が小学校五年生のときだったと思います。図画工作の時間というのがございました。先生が画用紙、色用紙をたくさん持ってきまして、これで好きな塔をつくりなさいというので、そうですね、多いものでしたら三十枚も四十枚も紙を筒にしまして、ホッチキスなり糸なりそういうふうなものでとめまして、高い高い塔をつくった記憶がございます。それを終わったらどうするのかというと、そのまま捨てに参りました。捨てたものを家に持って帰って、ばらして何かに使ったという者は多分いなかったのではないかなと思っております。ある意味で私たちの世代というのは、そういうふうなものにならされてきたというのですか、そういうものが当然だという世代であるとも言えると思います。  そこで、先ほど大臣が言われましたように、オイルショックがございました。小学校五年生の秋口だったと思います。町じゅうが真っ暗になりました。えらいこっちゃな。灯油がなくなりました、ストーブがたかれへんのと違うかというふうになってまいりました。それからほぼ二十数年がたち、リサイクルという言葉が生まれてまいりました。  今般、この法案ですけれども、私はここで大臣にそのリサイクルの必要性というのですか、きょうの本会議、また今までの各要員の御質問の中で何度も申されていて、おまえはわかってないのかと言われるかもしれませんが、なぜ今この時期にこういうリサイクルというものが必要なのか。  この法案が出てきたときにいろいろな方々が来られました。リサイクルされることによって、例えば今までの瓶の自主回収システムというものはどういうふうになるのかな。一升瓶なんかは、新しい瓶を大手の酒造メーカーが使って、それをリサイクルして、しようゆだとか小さなメーカーがその瓶を使っていた。リサイクルリサイクルと言われると、これは新しい瓶を使わずに、リサイクルの瓶の方が安ければそっちに移してしまう、私たちの仕事は果たしてそのまま続くのかな。また、先ほどの西川委員の質問の中で、円高ということが出てまいりまして、円高によりましたらさまざまなものがやはり安くなってくる。安く入ってくるのだったら、わざわざそんなリサイクルという手間暇をかけて、お金もかけてそういうものをつくる必要がどこにあるのかな。そんな邪魔くさいことをせずに、また今までのようにあるものを買ってきて使って、消費というのですか、捨てるという言い方がいいかどうかわかりませんが、そうする方がよほど日本の今のこの経済的な閉塞状態の中においては必要なことではないかなというふうな率直な感想を私は申し上げたいと思います。  大臣、もう一度、なぜ必要なのか、業者の中にはあすの自分たちの仕事がなくなるかもしれないと危倶を抱いているこういう法律をなぜ制定していかなければならないのか、その辺の意義のほどを教えていただきたいと思います。
  90. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変地についた視点から御議論をいただいたわけでありますが、多少古い話からお答えをさせていただきたいと思います。  先ほども私は、環境庁が生まれる前、昭和四十五年の公害国会と言われた臨時国会を例に引いて私自身の所感を申し述べました。そして、この昭和四十五年の臨時国会の論議の中から環境庁というものが昭和四十六年七月一日に発足する糸口が生まれたわけであります。それから二十年たちまして、一九九一年の環境白書がその二十年前を振り返り、当時行った公害防除の投資というものが経済の上でどのような影響を果たしたのかを分析をいたしました。  その結果出てまいりましたことは、一つは、この投資を行わなかった場合、環境破壊はより一層進み、非常に大きな社会負担を生じていたであろうこと。同時に、非生産的な経費でありながらこの公害防止といいますか、環境回復のために投入された経費は、実質的な経済成長にマイナスを生じなかったこと。そして、むしろその非生産的経費と思われて投入をされました経費の中から、今日振り返ってみますと、新たな産業分野が創造されたこと。これらがその環境白書の中で行われた分析の結果であります。  私は、リサイクルの必要性というもの、これはいろいろな角度から議論はできると思うのですが、先ほど西川議員が御自身の御地元の状況の中から説かれましたように、東京を初め大都市が、既にみずからのエリアの中においてみずから排出 する廃棄物処理に限界を生じている。しかも、他の地域において、例えば過疎の地域であるからといって大都市の廃棄物の処分場にされることは好まないという空気は、国内にどの地域にも共通するものであること。さすれば海洋投棄、海面埋め立てといった手法のみでこれに対応できるかといえば現実にはできない状況でありまして、大量の廃棄物を何とか減少させなければならない、減量化という問題があろうかと思います。同時に、その減量化とあわせて資源有効利用という観点も、当然ながら我々としては捨てることはできないと存じます。  ただ、それと同時に国民経済の健全な発展との調和を図ることは、委員がお述べになりましたように、決して必要でないと思っているわけではありません。例えば、廃棄物の処分につきましては、製品の原材料として利用するマテリアルリサイクルを進めるというものもありましょう。焼却によってエネルギー回収を図るサーマルリサイクルにふさわしいものもありましょう。将来、生分解性プラスチックといったようなものが中心になってくれば、おのずからまた新たな対応が可能になろうかと思います。  我々は適切な手段をどう組み合わせていくかということを今考えなければならなくなっていると思っております。直接、今委員からの御指摘に答えることになるかどうかわかりません。しかし、この法律案を実施いたしました場合、容器包装廃棄物というものを分別収集し、再商品化をするためにどのぐらいのコストが考えられるかといいますと、例えば今、回収率三〇%という時点で、市町村負担する分別収集費用としては約千二百億円というものが想定されております。一方、事業者に一たん負担される再商品化費用というものは約一千百億円程度であります。  廃棄物減量化によりまして処理費用が低減すること、最終処分費用の高騰というものを考慮いたしました場合、私は、この法律案によって社会的な費用が大きく増大するようなことはない、そう思っておりますし、何よりも、我々の社会が既に廃棄物を処分する場所すら得られなくなっている状況の中で、リサイクルという概念を国民に持っていただくこと、そしてそれを仕組みとして組み上げていく努力を我々が払っていくことは当然必要なことではなかろうかと思います。
  91. 吉田治

    ○吉田(治)委員 微に入り細に入りで、大体質問はこれで終わらせていただきたいと言ってもいいようなお答えをちょうだいしたかとも思いますけれども、大きな環境行政の中でこのリサイクルというふうなものをどういうふうに意義づけているのか、役割というものを環境庁の方はどうお考えなんでしょうか。
  92. 金井照久

    ○金井説明員 環境庁といたしましては、環境問題の中でもリサイクルは極めて重要な課題であると認識いたしております。  先ほど先生の御質問の中にもございましたように、今日の大量生産大量消費大量廃棄型の社会経済活動や生活様式等によりまして、廃棄物の量の増大、最終処分場の残余容量の逼迫等に伴う環境への負荷が高まっておるところでございます。このため、廃棄物リサイクル対策を進めることによりまして物質の循環を促進いたしまして、環境への負荷を低減することが重要な課題となっておると考えるものでございます。  このような認識のもとに、環境庁において取りまとめまして昨年十二月に閣議決定されました環境基本計画におきまして、廃棄物リサイクル対策を環境政策の重要な柱として位置づけたところでございまして、その中で具体的には、まず第一に、基本的な考え方といたしまして、廃棄物の発生を抑制すること、次に使用済み製品の再使用を促進すること、三番目に回収されたもののリサイクルを行うこと、そして最後に、発生した廃棄物の適正な処理を行うこととしているところでございます。  特に包装廃棄物につきましては、計画の中に、「廃棄物減量化を図り環境への負荷を低減するため、市町村が包装廃棄物分別収集し、事業者が引取り・再生利用を行う新しいシステムの導入を検討し、必要な措置を講ずる。」こととされておるものでございます。  本法案はこのように環境基本計画を踏まえたものであると認識しておりまして、環境庁といたしましては、引き続き廃棄物リサイクル対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。     〔甘利委員長代理退席、大畠委員長代理     着席〕
  93. 吉田治

    ○吉田(治)委員 通産また環境の本当に御熱心なお話、よくわかるのですけれども、では一方、これを担う国民の意識というのですか、やはり分別という形になってきますと、きょうはちゃんとこうして出さないと、ごみの日やから出さないとあかんな、こういうふうに分けとかないかぬなという気持ちに果たしてなれるのかどうか。  例えば、この法案一つとりましても、では新聞にどれだけ載ったのか、マスコミがどれだけ取り上げたのか。国民がこういう法案審議を今しているということをどれだけ理解しているのか、そしてそれがどういうふうに自分たちの生活に影響を及ぼすのかといいますと、これは正直言って、ああそういうのが出ているのと知っている人がまずまれでしょうし、一部の方々は非常に、傍聴に来られて聞かれたりと熱心ではありますけれども、では一般国民のレベルになった場合に、先ほど私が大臣にお聞きしました必要性ですとかまたその認識ですとか、では結果として自分たちがどういうふうにこれを自分たちの生活の中で活用していく、使っていくというふうなところまでなかなか至りづらいのではないかな。  その中において、法案は通りました、システムは始まりました、そして主務大臣による基本方針が決まりました、市町村でこういうのができました、市町村の方から住民に対しまして、こういうふうに決まりました。何やこれ、何でこんなことが突然決まったんや、今までごみはまとめて捨てたらよかったのに。  私どもの住んでいる大阪市の例を言いますと、環境におくれているのかという意味になるかもしれませんが、やはりごみは全部ごみ箱にほうり込んで一緒に出すのですね、ついこの間まで。便利ですもの、それの方が。わざわざ新聞に分けて、瓶に分けて、瓶は別に持っていきますけれども。  やはりそういうふうな、素直に国民がどこまでそれを認識し理解し、そして決まったことに従っていくか、また、自分たちから意思を持って、それをよりよいものにしていくというふうになっていくかというのは極めて重要なことではないかなと思っておりますが、この辺についての周知ですとか広報の仕方、また今後の運営の仕方についてどうお考えなのか、お答えいただきたいと思います。     〔大畠委員長代理退席、委員長着席
  94. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 リサイクルを推進しますためには、まさに住民の方々がごみを分別して出すということで、市町村が行います分別収集に協力していただくというのがまず出発点でございます。さらに、リサイクルをして得られました製品の購入ということを通じましてリサイクルの輪がより太くなっていくということもまた必要でございます。こういうような国民の高い意識のもとで取り組んでいただくというのが必要なわけでございますが、他方、今先生がおっしゃったような感じというのがまだあるのかもしれません。  通産省といたしましては、先ほど大臣も御説明申し上げたことでありますが、毎年十月をリサイクル月間といたしまして、その間、講演会あるいは表彰事業といったような事業を実施しておりまして、リサイクルについての広報というのを重点的に取り組んでまいりますとともに、国民の意識の啓発にも取り組んでいるわけでございます。  本法案につきましても、何度も新聞等で取り上げられたわけでございますが、その間、リサイクルの本質というのにぴったり焦点を当てて書いていただいたのもございますけれども、役所間の権限争いをおもしろおかしく書いておられた新聞も あったりしまして、私ども非常に残念に思っている次第でございます。  この法案が通りました場合、再商品化をして得られましたものの利用促進、さらに分別の収集への協力ということにつきましても、さらに私どもは努力していきたい、そして国民の皆様方の理解を得たいというふうに考えております。
  95. 吉田治

    ○吉田(治)委員 通りまして実際に分別が始まりましたら、大臣が率先して分別をしている姿を国民の前でアピールしていただく、そういうふうなこともぜひともしていただきたいなと思っております。  そして、先ほど大臣答弁の中にもございましたように、リサイクル自身の今後の展開というのですか、まず最初リターナブルからマテリアル、そしてサーマルと。また、かねがねパーセンテージで出てきておりますリサイクル率二〇%という目標、果たしてその三〇%という目標がクリアできるのかどうか、また三〇%という目標だけでいいのか。リサイクルの今後の展開、この法律自身、先ほどのお話の中で一里塚という言葉が出てまいりましたが、なるほど一里塚でございます。じゃ、その後、二里三里、長い道のりをどういうふうに今お考えなのか、お答えいただきたいと思います。
  96. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先般、時間の余裕がありましたとき、私は工業技術院の各研究機関をしばらくの時間をかけて見せていただきました。その中には、まさにリサイクルに関連するような多くの研究が行われております。そしてその中には、例えば汚泥にバクテリアを繁殖させることによりこれを油化し、燃焼させ、クローズドシステムで汚泥を処理するといったような仕組みすら研究がされており、実用試験に一部は既に入っております。  私は、委員の今のお話に対して一つ本当に感じますことがありますのは、あれは昭和四十年代の後半から五十年代にかけてのころだったと思いますが、プラスチック製廃棄物が家庭廃棄物の中に非常に多く含まれるようになりました時期に、全国の各ごみ焼却場の能力が一斉に低下をいたしました。なぜなら、その燃焼温度を上げなければ無害なものとしてこれを燃焼させることができない。低温で燃しました場合、有機塩素等を発生する。そして、その炉の本来の燃焼温度よりも上げて燃焼させた結果、焼却炉の寿命が大幅に低下し、一斉にこの中の耐火れんがの巻きかえを必要とするといった、全国民的な投資を必要とする事態が起きたことがございます。  私は、このリサイクルという問題に、委員は大阪の御自身の体験を踏まえて、国民はそういう不便なことはやらないかもしれないよという御指摘でありましたが、これは委員にもぜひお手助けをいただきたいと思いますし、政府広報としても全力を挙げて、国民の御協力を得られるような広報活動には努力をいたしますが、分別収集というものが定着するような御協力をぜひともお願いを申し上げたい、そのように思います。
  97. 吉田治

    ○吉田(治)委員 どうも大臣お答えの方が先へ飛んでしまったようで……。  私がお聞きしたかったのは、リサイクル法案ができた、じゃ、このリサイクル法案ができたことによって、先々、パーセンテージですとか、今三〇%と言われたのがいつ四〇%、五〇%になるのであるとか、先ほども言いましたように、リターナブル、マテリアル、サーマルと、リサイクルの段階がどういうふうな順序でされていく予定があるのか、その辺のことをお聞きしたかったのですけれども。
  98. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 この容器包装廃棄物分別収集について、先ほどいろいろな答弁の段階で三〇%という数字が出てまいっておりますが、これは三〇%に達したときの状況をいろいろ考えるために、例えば試算をするときに使っているのでありまして、政府としては、この容器包装廃棄物分別収集及びリサイクルが三〇%段階でとどまるとか三〇%が目標であるということについては、私の承知している限り、どなたもないと思います。政府といたしましては、分別収集が進み、リサイクルが進めば進むほど、これはいいことでございます。  ただ実態として、では、我が国、一〇〇%になるのかと申しますと、市町村の中でも離島があったり僻地があったりして、実施をしても実際上収集にも回れないようなところがある。そういうようなところもありますので、一〇〇%になるということを考えているわけではありませんけれども、今回私どもは、国民の御理解をいただいて、できるだけ分別収集及びリサイクルが進むことを念願してこの法律を出しているということでございますので、御理解をいただきたいと思います。  ただ、具体的に、じゃ何年でどのぐらいになるのかというところをよく聞かれるのでありますけれども、それについては今のところ、私たち、何年になったらどのぐらいになるということを明確に申し上げるだけの自信がないということは御理解いただきたいと思います。
  99. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大臣せっかくお答えいただきましたので、その質問を申し上げたいと思いますが、本当に、新しい技術というのはリサイクルに関しては非常にたくさん出てきていると思いますし、今後もまた活発に、今言われましたように工業技術院等々で出てくると思います。  先ほど私、大臣、誤解を招いたら申しわけございません。普通、人間というものはより楽な方向へ行きたがる。そうしますと、こういう分別というのはちょっと手を煩わしますから余りしたくないなというのが人情ではないかというお話と、やはり大臣言われましたように、私たち自身が率先垂範やるということに関しましては、大臣と同感でございます。  私自身も、いつも東京駅から新幹線に乗るとき、お弁当とウーロン茶を買っていくのですけれども、新大阪でおりるときには、やはりお弁当はお弁当のごみ箱に、そして缶につきましては缶の捨てるところにということぐらいしかまだできておりませんが、お互いそういうふうにさせていただければと。ただ、国民の意識を高いレベルにどう持っていくかというのは非常に問題ではないかなということでございます。  そして、本論に戻りますが、そういう中で新しい技術等々が出てまいります。また、一番最初の質問の中で申し上げましたように、たしかプラスチックに関しては二年間の猶予が法案で認められていると思います。そうしますと、こういう容器をつくられている業者さん、先ほど十九万また百十万というお言葉が出ましたが、コストを支払う側といたしましては、容器のコスト、できるだけ高いものは避けたい。また、プラスチックと瓶でありましたら、プラスチックは二年先だから、この二年間どんどんプラスチックの方にシフトというのですか、そういうことはあり得るかどうかわかりませんけれども、そういうふうな危惧も持っていると思います。コストの高い容器の淘汰という可能性がありますが、そうなってきました場合に業者というのはどうなっていくのか、また、それに対する対応を考えていらっしゃるのか。  素材メーカーというものも、ある意味で申し上げましたら、コストを負担はしておりませんが、どこかでコストを負担していただきたい。それは新しい素材を出していただくということでしょうけれども、出した場合にはまたそれを使う業者の間でさまざまな問題点も出てくるのではないかなと思うのですが、その辺を含めて、そういう業者対策というのですか、特に中小が多いと聞いておりますが、どういうふうにお考えなのでしょうか。
  100. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 お答えいたします。  今回の特定事業者義務負担する者は、中身事業者容器をつくっている者ということでございます。そういう方々に一たん費用負担していただくわけですが、最終的にはそういう費用国民全体が負担するということでございます。一言で言うと転嫁が行われるわけでございますが、転嫁自身は市場メカニズムを通じて行われるものでございますので、どういうタイミングでどれだけ転嫁をされるかというのを我々が申し上げるわけ にはいかないわけですが、国としては、法案の中にも、国の責務として今回のシステムがどういうシステムなのかというのを国民へ周知、広報する、あるいは事業者等に対するガイドライン等を提示するということを通じて、市場メカニズムの中で再商品化に要するコストを円滑に転嫁し得る環境を整備していくことを考えております。  あわせて、今回例えば三〇%の回収率になったときに、例えばPETボトルでいつでも一円強ぐらいの負担になるかと思います。こういう負担を中身事業者と答器メーカーが負担していただくわけですが、負担負担ではございますが、それほど事業そのものに大きな打撃を与えるほどの負担というわけではないと思っております。  それから、素材メーカーについての御指摘ございました。素材メーカーは今回は義務者にはなっておりませんが、当然のことながら、素材メーカーとして、例えばリサイクルしやすい素材の開発をしていただくとが、あるいは製品の原材料として、先ほど来出ておりますが、現行リサイクル法上義務をかけて、なるべく原材料として多くの再商品化製品を利用していただくということ等を我々は考えているところでございます。
  101. 吉田治

    ○吉田(治)委員 もう一点、先ほど申しましたように、瓶とプラスチックの二年間のタイムラグがございますが、これに関してはどういうふうにお考えでしょうか。
  102. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 プラスチックについて、PETボトルは施行時から対象とする予定でございますが、その他プラスチックについては最大限施行から三年おくれるということで、その間に、例えば瓶だとか紙容器がそういうところに転化というか、需要がシフトするのじゃないがという御指摘もお聞きすることもあるわけでございますが、必ず三年以内には、公布から五年以内にはやるということがはっきりしておるわけでございます。  そういう中で、果たして、今までつくっている容器をガラスからプラスチックに変えるとこれはまた大変な投資が必要ですから、そういうことが起こり得るか。全部がそろったときには、御案内のように、プラスチックに関する費用負担が圧倒的に多くなるわけでございますから、そういうことも踏まえて考えますと、委員御指摘のような御懸念はないかと思っております。
  103. 吉田治

    ○吉田(治)委員 本当に杞憂に終わればいいなと思っているのですけれども、先ほどの大臣答弁の中で、リサイクル率が三〇%とした場合に自治体は約一千二百億円ぐらいの費用がかかるということですけれども、それについて何らかの財政的な措置というのですか、そういうものはもう自治省の方で考えておられるのでしょうか。
  104. 岡本保

    ○岡本説明員 本法の施行に伴いまして、現在リサイクルを行っていない市町村では、本制度に参加しようといたします場合に、分別収集費用、それから保管施設整備費用というのが増すことになります。一方、既にリサイクルを実施されております市町村にとりましては、再商品化に係ります事業者負担の導入によりまして、市町村負担が軽減されることになります。  さらに、基本的には、先ほど来お話ございますように、分別収集促進によりまして、今後の収集量でございますとか最終処分量が減りますとともに、最終処分場の建設費用も減ることになりますので、本法律案の実施により、市町村一般廃棄物経費の大きな増大をもたらすものではないというふうに考えておりますけれども、分別収集を新たに行うところもございます、そういう費用、それから保管施設整備費用等の所要額も出てくると思いますので、それにつきましては、市町村の動向を見きわめながら適切な地方財政措置を講じていきたいというふうに考えております。     〔委員長退席額賀委員長代理着席
  105. 吉田治

    ○吉田(治)委員 こういうコストの話、企業負担、先ほど一千百億ぐらい、三〇%の段階であるという大臣答弁ございました。審議官の方では、できるだけ消費者の方へこれは転嫁するようにしているんだということですけれども、先ほど言われましたように、業者の皆さんにおかれては一円ぐらいだ。これは一円の取り扱いから考えますと、消費者側からすれば、一本一円ぐらいだったら業者が面倒見るよ、業者側からしましたら、いや、一本一円といってもこれは十個二十個じゃなくて、何万、何十万、何百万とロットが大きくなるからというふうな、この辺の両者の間の考えというのですか、そういうのが起こってくると思うのですけれども、この辺どうスムーズに転嫁していくかということが必要だと思うのですが、それは特に何かお考えになっておられるのでしょうか。
  106. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 御指摘のように金額的に大きいか小さいかというのは、それはまたお立場によって御判断あろうかと思いますが、価格にそのままずばり一円転嫁、例えば一円の場合、転嫁するか、あるいは内容物を少し減らすとか、あるいはラベルについて工夫するとか、いろいろな形で事業者は工夫ができるのではないかと思っております。  いずれにしても、今回のシステムのメリットを享受されるのは我々国民全体なわけでございますので、そういうものは国民全体で負担するという環境づくりを、先ほど申しましたような広報活動あるいは事業者団体に対するガイドラインの提示等を通じて行ってまいりたいと考えております。
  107. 吉田治

    ○吉田(治)委員 先ほどから同じ質問ばかりになってしまうかもしれませんが、リサイクルという形になってきますと、新しい技術も開発されてまいります。その技術開発によってコストの高い容器というのは自然に淘汰されていきますし、もしもそういう技術しか持っていない業者というのは淘汰される運命に、こういう中だから仕方がないと思うのか、いや、それらに対してもやはり新しい技術というものを積極的に提供する、情報提供するというふうなことまで通産省の方としては考えているのかどうか、その辺、いかがなんでしょうか。
  108. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 リサイクルの発展にとって新しい技術の重要性というのはもう言うまでもございません。先ほど申しましたように、いろいろな形で我々、技術開発等応援していきたいと思っておりますし、そういう技術ができたときに、関係事業者情報を提供するなり、いろいろな形で利用していただくようなシステムをつくっていきたいと考えております。
  109. 吉田治

    ○吉田(治)委員 よくわかりました。一つの法律ができることによって不利益をこうむる業者、それがえてして中小零細企業というのがよくある例がと思います。ぜひとも、今度の法律が通ることによってその業者が泣きを見るようなことがないようにしていただきたいと思います。  続きまして、このリサイクル関係基本方針主務大臣策定するということですけれども、ここで少しお聞かせいただきたいのは、その基本方針というものがどれだけの、拘束力というのですか、一応市町村レベルで計画をつくる、そして都道府県に集約して中央へ持ってくる。しかしながら、基本方針というものがあるんだよというふうになってまいりますと、これは地方分権という言い方が適切かどうかわかりませんが、そういう地方の独自性、地方の主体性を生かそうという中において、基本方針というふうなものがひょっとして、中央主導というのですか、今までのようにある意味での平均値というのですか、そういうふうなものをつくってしまう縛りになるのではないかなという危惧の念を持っておるのですけれども、その基本方針について、どういうふうに考え、どう運営し、そして実際どう各市町村、行政主体に反映させていくのか、お答えいただきたいと思います。
  110. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 主務大臣の定めます基本方針は、容器包装に係る分別収集及び再商品化を総合的かつ計画的に推進するため、これらに関する国としての基本的考えを示すものであります。  また再商品化計画は、基本方針に即して、容器包装廃棄物の再商品化を行うための施設設置の見込みを示すものでございまして、市町村分別収集計画策定するためには、再商品化を行うため の施設設置がどのように進んでいくのかということを知っておくことが必要であることから、市町村の参考として示すものでございます。  このように、基本方針及び再商品化計画はいずれも、市町村分別収集を行うかどうかの判断を拘束するものではなく、基本的な指針として市町村の参考として示すものであり、地方分権の精神に反するものではない、このように考えております。
  111. 吉田治

    ○吉田(治)委員 参考のとらえ方がやはり違ってくると思うのです。参考はあくまでも参考と考えるのか、やはりそれに沿った形にせないかぬのかなというふうな部分で、これは地方分権との兼ね合いもあって、これから五年間、地方分権推進委員会で議論されている中でもかかわってくる問題ではないかなと思いますが、できるだけ地方の声を反映していただきたいと思います。  これは確認ですけれども、市町村がこの計画をしたくない、分別は、分別したくないという言い方はよくないですね、自分のところはそういうふうな捨てる場所が十分あるからこういうことはしたくないよ、そういうノーと言える権利というのがあるということを御確認いただきたい。  それからもう一点は、後の指定法人というふうな部分で、これから指定法人が国会で論議されていくと思いますが、指定法人をつくるからかえって指定法人を動かすために、結果として指定法人がやはりこれだけ仕事していますよというためにかえって、基本方針を使ってということはないでしょうけれども、地方にせめて何%は計画を出してくれとか、そういうふうな押しつけと言ったら語弊があります、ノルマと言ってもちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そういうことは決してないということだけ御確認いただきたいと思うのです。
  112. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 まず、市町村長さんの方で、この容器包装廃棄物分別収集をやるやらないは市町村独自の判断でやられることでございまして、やらないという自由も十分あるわけでございます。  それから、指定法人の育成のためにこの分別収集を進めるということではなくて、先ほども通産大臣がお話しされましたように、容器包装廃棄物分別収集して適正に処理し、そしてリサイクルに結びつけていくという、国としてこれは大切だということを言っているわけでございまして、それへの御理解を求めるということはあっても、その指定法人のためにこれをどうこうするということは全く考えておりません。
  113. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それをお聞かせいただいて安心いたしましたが、では、市町村段階で策定する場合、今までリサイクル法等々で各市町村とも随分実務にはなれていらっしゃると思いますが、新しいこういう法律に基づいての策定ということに関して、厚生省並びに自治省さん、特に危惧の念とか、こういうところを注意しなければならないとか、こう考えているということがございましたら、お答えいただきたいと思います。
  114. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 先生既に御案内だと思いますけれども、一般廃棄物処理は、従来より市町村が固有事務として主体的に進めてきていらっしゃるものでございまして、廃棄物処理法においても、市町村一般廃棄物処理計画策定し、その計画に基づいて適切な処理をされてきたところでございます。今回の法律案における分別収集計画策定も、一般廃棄物処理計画の一環として行われるものでございまして、分別収集計画策定に当たって特段の実務的な問題はない、そのように考えております。  なお、厚生省といたしましても、市町村における分別収集計画策定が円滑に進められるよう、都道府県及び市町村に対して必要な技術的助言、指導等の支援をしてまいりたい、このように思っております。
  115. 森元恒雄

    ○森元説明員 今回の法律に伴います計画策定につきましては、ただいま厚生省局長の方から御答弁がありましたとおりでございまして、本法律制定につきましては、これは最終処分場の残余量が逼迫しているあるいは新規立地難というような状況の中で地方団体としても大変切望している問題でございます。  従来から廃掃法に基づきまして計画的な事業を既に実施しておるところでございますし、また住民の方々の御協力をいただきながら、既に全国でも千三百余の団体が何らかの形で分別収集を行っているところでもございますので、今回の法律制定に伴います新たな計画策定あるいは分別収集の体制の整備等につきましても、私ども自治省といたしましてもさほど問題ないかと思いますが、関係省とも十分連携をとりながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  116. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その中で、ちょっとお聞かせいただきたいのですけれども、再商品化するときに、特定事業者が独自のルートでやるという一つの方式があると聞いております。その独自のルートで再商品化する場合に、特定事業者というのは主務大臣の認定というものが前提になるやに聞いておりますが、この認定がえてして厳しくなって、指定法人のことばかり言って恐縮ですけれども、指定法人経由でないとやりづらいとかそういうふうな、この認定についてどういうふうにお考えなんでしょうか。
  117. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 委員御指摘のように、今回の法案では、特定事業者義務履行する方法として、一つは指定法人に委託するというやり方、もう一つは、事業者がみずからあるいは再商品化事業者を見つけてきて、そこに委託して義務履行するということでございますが、その場合は、自由で効率的な再商品化事業の実施と生活環境の確保のバランスを図る観点から主務大臣が認定する。  ただ認定と申しましても、例えば廃棄物処理法の許可取り消し歴がないとか、そういう欠格要件に該当しないこと、あるいは一般廃棄物処理施設の設置許可を要する施設にあってはその許可を取得していること、あるいは認定を受けて行う再商品化量が義務量のある一定割合以上であればいろいろな地域から集めていただくというようなことで、この認定自身極めて覊束的というか定型的なものでございまして、申請も書類のみということで、地域の企業の方でも、例えば郵送等で認定の申請を行うことが可能で、不利益はないというふうに考えております。
  118. 吉田治

    ○吉田(治)委員 よくわかりました。その辺のあんばいというのは難しいところですけれども、できるだけ政省令等で、大阪弁で言うと、あんじょう頼みますわと申し上げておきたいと思います。  次に、このリサイクル事業者というふうなもの、これが先ほどから静脈産業であるとか、また私どもの立場からしましたら、新規雇用という部分から、これの基盤整備というものが非常に重要になってくると思うのですけれども、その辺の施策、そういうふうなものをどうお考えになるか。  また、重ね重ね恐縮ですけれども、万が一この法律によって競争に負けて苦しくなるような企業が出てきた場合には、いかなる措置をとろうと今考えているのか、考えていないのか、考えているのではどういうことなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  119. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 リサイクル事業者を育てていかなくてはいかぬということは、もうそのとおりでございまして、我々も従来から、俗称でございますが、省エネ・リサイクル支援法というものに基づきまして、いろいろな形でリサイクル事業あるいはリサイクル技術の発展、進展のために施策を講じてきているところでございます。特に中小企業については、中小企業金融公庫あるいは保険公庫等の特例を設けまして全面的に支援しているところでございまして、今後ともそういう形で努力していきたいと思っております。  万が一というお話もございましたが、我々はそういうことのないように考えたいと思っておりますし、特に小規模企業については、この特定事業者の方でございますが、適用除外をする。また、中小企業については義務猶予をするということで、いろいろな角度から特定事業者に対する支援 というか配慮、それからリサイクル業者に対する支援ということを講じているところでございます。
  120. 吉田治

    ○吉田(治)委員 先ほどから一千億ですとか一千二百億ですとか、いろいろお金が使われるということでございますので、いろいろなお金としてもできるだけむだにされないように。  それから、事務方に先日お聞きしましたら、これによって幾らぐらいの経済効果があって雇用が何人ふえるのかといいますと、なかなかそういう計算しづらい。大臣もよく海外でカンター代表とかと交渉されるときに非常に数字をよく使われると聞きますし、また、CNNですとかCBSとか、今ケーブルテレビとか見ておりましたら、やはり諸外国、何か数字を言うときには、裏づけには、これによってこれだけ雇用がふえるんだとか経済効果これだけあるんだよという言葉が出てまいりますので、かねがね委員会で申し上げておりますが、これだけ国の予算を使ったら結果としてこういうものが出るんだよというふうなものを、なかなか細かい数字は無理でしょうけれども、大ざっばなものがこれからは出るようにお願い申し上げたいと思います。  あと二点ばかりこの件に関してお聞きしたいと思います。  法律上はこれ十年で一応見直しという形ですけれども、やはり技術の進歩ですとかまたさまざまな社会状況の変化、より一層の円高等々を考えた場合に、この法律自身の見直しというふうなものを私は柔軟に進めなければならないときが来るのではないかなと思うのですけれども、その辺についてどういうふうにお考えなのか。また、これは事前予告しておりませんが、輸入品でございますね、輸入のウイスキーですとか輸入のビールですとか、そういうふうなものについてのこの法の適用についてはどういうふうにされていくのか。  この二点、お答えいただきたいと思います。
  121. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 今回の法案の中で、十年後の見直しという条項がございます。これは国全体の規制緩和の流れの中で、規制関連の条項に関して設けられているものでございます。そういう趣旨でございますが、委員御指摘のように、技術の進歩というのはまさに日々、日進月歩でございます。そういうものを反映しながら今回のリサイクルシステムがより円滑に進むように、先ほど来申し上げておりますように、いろいろな形での技術開発支援等を行っていきたいと思っております。  輸入については、当然のことながら、輸入される容器包装については、国内で生産、利用されているものと同じように義務がかかることになります。
  122. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大体以上で終わらせていただきますけれども、最後、ちょっと時間がございますので、きょうの本会議等々で大臣お答えいただいております日米の自動車の包括協議、またWTO提訴の件でございますが、大体きょうの本会議大臣の見通しというのをお聞かせいただきまして、なるほどそのとおり、もっともだ。また、この過程における大臣以下事務方、皆様方の御苦労というのは並々ならないものだと思います。また、本日はこうしてOECDで本当に日本のために働かれて帰ってこられた、その疲れた体を押しての委員会参加というのを本当に頭の下がる思いでございます。やはり、体力勝負ということもあるかもしれませんけれども、それ以上にそれに対する交渉の忍耐力、また交渉力というようなものも大変だと思います。  そこで大臣にお聞かせいただきたいのですけれども、WTOの見込み等々につきましては少しさらりと教えていただいて、あとOECDに行かれたときの出張の何というのですか、結果というのですか、諸外国、ヨーロッパの国々等々のこの件についての反応等をお聞かせいただければと思います。
  123. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 御承知のように、五月十六日にアメリカ政府は通商法三〇一条に係る制裁候補リスト十三車種を挙げての公表を行いました。そして六月二十八日を期限といたしておりますが、その効果は五月二十日にさかのぼるという公表をいたしました結果、現実の状況は、我が国からのこの十三車種の輸出は完全な影響を受けている実態にあります。  日本政府としては、五月十七日にWTOの手続に係る協議をアメリカ側に申し入れ、五月二十九日を第一回の協議の日取りとして要請をいたしております。しかし、現時点におきましてもなおアメリカ側からこの日取りについての回答は旦ハ外的には参っておりません。そして、既に状況は被害が出始めているという中でありますので、緊急案件としての取り扱いを要請いたしておりますが、アメリカ側がこれに応ずる可能性は少ないと思われます。ただ、この場合には、アメリカ側はその理由というものを国際社会に対して説明しなければなりませんし、私どもとしては、国内に対する影響を最小限度に抑える工夫を一方で行いながら、淡々とこの協議を進めてまいりたい、そのように考えております。  また、各国、各機関との対談の中で共通いたしておりました第一項は、今回のアメリカ側の一方的な制裁措置というものがWTOのルールに照らして違法であり、また求めていることは最恵国待遇に反することである、同時に、この一方的制裁措置そのものも最恵国待遇に反することであり、一〇〇%の関税というのは関税譲許に対しても問題のあること、この認識は各国、各機関ともに一致いたしております。  ただ問題は、これとともに日本の市場の閉鎖性というものに対して漠然たる共感がヨーロッパ勢の中にはございます。そしてそれは、その国によりまして問題と思っている部分は必ずしも一致いたしておりません。例えばイギリスにとりましては、しょうちゅうとウイスキーの税率が非常に今頭に上っておることでありますし、自動車の部品生産に非常にウエートの高い国は補修部品市場というものに漠たる疑念を抱いている。さらには金融サービスにおきまして、通信、情報の世界におきましては接続性の問題につきまして、それぞれ違いはありますけれども、そうした意味での日本の市場が閉ざされているのではないかという漠然たる不安感、これは共通をいたしておりました。  そして、アメリカ側は今後この部分に焦点を合わせてPR活動をするであろうと予測をいたしております。それだけに、私どもは現実に開かれている実態を最大限PRいたしますとともに、各国が具体的に挙げてきておりますような日本の規制緩和についての要望は、国の安全とか国民の安全に係るようなもの、環境に係るといった特殊な問題を除いてはでき得る限り規制緩和に努めていくことが今後における日本にとっての必要なことではなかろうか、そのような認識を持って帰国をいたしました。
  124. 吉田治

    ○吉田(治)委員 時間もありませんので、三点だけちょっと大臣の所信と、またもしも事務方で施策があるんだったらお答えいただきたいと思います。  一点は、六月二十八日で日本の十三車種で報復関税という形になっていきましたら、日本のメーカーは大体二十万台輸出していると聞いておりますが、自動車メーカーへの影響、またそこで働いている人たちへの雇用の影響、そしてそこへ商品を納入している部品メーカーへの影響というもの。何らかの予防というのですか、対策というのですか、今つくられているのかどうかということ。  そして二点目が、これは大臣かどなたかお答えいただきたいのですけれども、WTOという衆人環視、世界じゅうが見ている中へ日本とアメリカが提訴をした。大臣が言われますように、日本はこれだけ開かれた国だというふうなことを説明なされる。しかしアメリカが、いやいやそんなことはないよ、あの国はこんな国だよと。要するに、世界じゅうが見ている中で、けんかという言い方はよくないかもしれませんが、お互いが交渉するという中において、先ほど逢沢委員の質問か何かのときに大臣がシンパシーという言葉を使われた と思います。それがますます増幅しはしないかな。世界第一と第二の経済大国がそういう衆人環視のもとで、言い争いというか、口汚く、ののしりとまで言ったら言い過ぎかもしれません、そういう姿というのは果たして健全なのかなという気がいたしております。  できましたら大統領と総理との会談にでもよっていま一度この事態の打開を、それが不可能でありましたら橋本総理大臣の出現を待たなければならないのかもわかりませんけれども、そういうふうなことを考えなければ、日米関係というもの、また世界の中の日本、アメリカを考えたときにちょっとどうかと思っております。  また、これは余りにも杞憂過ぎるかもしれませんが、この件が議会においても支持を集めている。そうしますと、日本の安全保障という部分と絡められて、何だ、日本はフリーライダーじゃないか、ただ乗りしているんじゃないか、その上でそんなことまで言うのかいというふうな意見がかつてよく聞かれておりましたが、そういう声にまた火をつけるということがなきにしもあらずかなと。その辺いろいろつらつら考えておるのですけれども、その辺について大臣の御所見と、事務方のお答えをいただきたいと思います。
  125. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 事務方にお問い合わせの部分も現時点におきましては私からまとめてお答えをさせていただきたいと存じます。  現在、我が国の自動車メーカー各社におきまして、当面はやはり様子を見た上、今後具体的にその生産、出荷の計画を検討しようとしているところでありまして、各社及び関連企業が、仮にその制裁措置現実のものとなりまして、影響を本格的に受けるとすれば今後のことでありますし、現時点におきましては、各社ともに具体的に影響を推測するのは非常に困難な状況であります。今のところ、非常に冷静な受けとめがなされておりまして、実はパリでも私はこの点は心配になりまして、通産省の方に電話を入れたこともございますけれども、非常に冷静な対応をしてくれておりました。  先般の補正予算措置を含めた既存施策を活用し、事態が悪化いたしましたときには、少なくとも当面、対応させていただきたい。また、そういう意思は十分に表明をしておりまして、私どもとしては、影響を十分に注視しながら適切な対応というものに努めていきたいと考えているところであります。  それで、私は、今回のWTOの手続によってこの問題を交渉することが、いろいろな御議論はありますけれども、基本的にののしり合いといったような状況になるものではないとかたく信じております。また、少なくとも日本側からそのような言辞は弄しておりません。そして、本院における御答弁に際しましても、私はそのような言葉を使ったことはないと思います。  問題は、基本原則として、一国の政府が他国の民間企業の個々に対してその経営方針、経営計画の変更を求め、それに対してそれぞれの企業が拒否をする、言いかえれば、変更不可能ということを確認した上で相手国政府に対してそれぞれの企業の経営計画の変更を求めるよう要請するということが国際的なルールとしてあり得るかという一点であります。  何遍も申し上げてまいっておりますように、補修部品市場について、これは政府の関与の範囲内でありますから、我々は最善の回答を行ったつもりでありますし、アメリカ側が拒否をしてもこの措置は逐次実行に移していくつもりであります。  問題は、各自動車メーカーが昨年の三月に発表いたしました自主的な部品調達計画にアメリカ政府が上乗せを求める、しかも、個別企業がそれぞれに拒否をした、それを確認した上で日本政府に対してなおかつ上積みを求めることが正当かどうかという議論であります。  私は、これを、二国間が議論をしているよりもまさにWTOという新しいルールのもとで、衆人環視の中において、また、意思のある国はこれに、協議に参加する道を開かれた場所で双方の議論を闘わせることが日米関係に悪影響を及ぼすというようなことはあってはならないことだと思っております。そして、そういう悪影響を及ぼさないためにこそ、国際ルールに基づいた議論を我々はしようといたしております。  今委員はちょっとお触れになりましたけれども、例えばハリファクス・サミットの前後に行われるであろう日米首脳会談におきましても、あるいはそれ以前におきましても、アメリカ側が個別民間企業の経営計画の変更を政府に対して求めるといった、まさに数値目標そのものの要求に固執しないのであれば、また外国車種を取り扱うディーラーの数の明示といった数値目標にこだわらないのであれば、我々は今すぐにでも協議に応ずる道を開いておりますし、その意思はアメリカ側に伝えております。逆に、これがなければ、むしろ日米首脳会談で議題にすること自体がふさわしくない話題であろう、私はそのように思っております。
  126. 吉田治

    ○吉田(治)委員 もう時間もありませんので、最後に一つだけ申し上げたいと思います。  大臣の言われることは、なるほどごもっともで、よく理解できますが、日米関係というのは私はあえてどこかにまた道を求めなければならないものではないかなという認識をしております。  この間読みました中で、日露戦争が始まったときに伊藤博文は、アメリカのセオドア・ルーズベルト大統領の同級生である金子堅太郎を戦争が始まった時点でもうアメリカへ送り出していた。始めたときにもう戦争の終結というものを、結果のために働き出したということを思い出しております。  大臣におかれましてはそういうふうな努力をもなされているとかたく確信いたしまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
  127. 額賀福志郎

    ○額賀委員長代理 上田勇君。
  128. 上田勇

    上田(勇)委員 大臣初めお疲れのところ、長時間にわたりまして恐縮でございますが、引き続きまして、今回の容器包装リサイクル法案について質問をさせていただきます。  これはもう周知のことではございますけれども、我が国は世界有数の経済大国であると同時に、一方では、やはり世界有数の資源を消費する消費国でもあります。  先般環境庁のまとめたある資料を見ていたところ、マテリアルバランスというのでしょうか、すなわち、金銭ではなくてマテリアル、物質による輸出入の収支を見ると、我が国輸入される物質というのは年間約六億トン。それに対して、出ていく、輸出される物質というのは年間九千万トンにすぎないということですから、すなわち、五億トン以上の大幅な入超、この量が環境を汚染し、また廃棄物として国内に蓄積されているわけであります。  一般廃棄物の年間の排出量は五千万トンということでありますし、先ほどから各委員も指摘しているとおり、これは最終処分場の問題等を含めて全国的に大変深刻な問題になっているということは、もう周知の事実であります。やはりこれから資源の浪費をできるだけ抑制し、現在非常に行き詰まっている状態にあるこのごみ問題に対処し、さらには環境保全にも資する、そういうことからこのリサイクルの推進というのは非常に緊急重大な問題であるというふうに考えております。  今度の法案対象となっております缶や瓶、紙容器といったような包装容器というのは、これも厚生省の資料によると、容積比で一般廃棄物の約六割ということでありますし、またこうした包装容器というのは一般廃棄物の中でも比較的リサイクルになじみやすいということでありますので、リサイクル社会に向けてのスタートとして、この法案趣旨というのは十分理解できるところでありますし、私自身としても賛同するものではあります。  新進党におきましても、これまでこの問題の重要性についてはいろいろと議論が行われてきまして、党内にプロジェクトチームを編成いたしまして、関係各方面、事業者の方、自治体市町村、 環境団体あるいは労働組合、そういった方々の幅広い意見を伺って、また一方で党内での議論も重ねてまいりました。こうしたことを踏まえまして、この法案が本当の意味リサイクル社会の実現に向けての正しい方向への第一歩とならなければならない、またそうした点で、いろいろ議論を重ねていくうちに疑問が残る点もあり、そうした事柄について、本日ちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず初めに、この法案では、消費者は分別排出を行う、市町村が分別回収して選別する、そして事業者がその再商品化を今後負うということで、これは本当に国民各層、全体の理解と協力が前提となっている法律であります。ところが、これまでいろいろ各方面から御意見を伺う中で、これはやはり賛否を含めて非常に多様な意見があるというのも事実でありますし、私の感じたところでは、また先ほどから何人かの委員がいろいろな形で指摘しているように、本当に国民的なコンセンサス、とりわけ最も協力を必要とする一般消費者の理解が、現段階において必ずしも十分とは言いがたいという面も感じるものであります。  新聞記事などにも、これは最近出た記事ですが、この容器包装リサイクル法案について、「減量効果に疑問も」とかというような記事もあります。その中でも、いろいろな方の意見が幾つが出ているのですが、例えば「机上の空論に過ぎない」、これは新聞によると首都圏の自治体の意見だということでありますし、「家庭でそれだけの分別が徹底できるのか」という疑問、あるいは「リサイクルコストが消費者に転嫁されるだけで、本来の目的であるはずのごみの減量化が進むかどうかわからない」と指摘する市民団体もあるというようなことも書いてございます。  そこで、これまで国民、とりわけ一般の消費者の理解を得るために、またこの法案をつくる過程において、消費者の声、意見を取り入れるために政府としてどのような方策を講じてこられたのか、大臣に御見解を伺いたいと思います。
  129. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 この法律案、議論が始まりましてから、私の知る限りでも随分長い時間が経過をいたしたように思います。  環境基本法の制定の時点におきましても、この問題は、環境税の問題あるいはアセスメントの法制化の是非等と並びまして一つの論点でありました。そして、少なくとも私の存じております限りにおきましても、審議会等の議論を経まして二年余りの間がたっておるように思います。ちょうど平成五年の秋以降、二年にわたります議論の末に、産業構造審議会、生活環境審議会の両審議会の場所で、消費者の代表の方々、学識経験者、市町村の代表者、さらに関係事業者の参画のもとに議論がとり行われた、そのように私は承知をいたしております。また、さまざまなそのプロセスの中におきまして、こうした問題に活動しておられる市民グループ、団体等の御意見も伺い、また説明の機会を与えていただきましたところにも参上して努力をしてきたように存じております。  報道される頻度も比較的私にはしばしばあったように思いますが、残念ながら、国民全体に十分これが熟知されているかと言われれば、私も必ずしも自信はございません。むしろ、今後この法律案が成立いたしまして、政府広報ばかりではなく、民間のこうした問題に関心をお持ちの方々にもお力添えをいただきながら、いかにして一日も早く国民に周知徹底を図っていくかが我々の責務であろう、そのように考えております。
  130. 上田勇

    上田(勇)委員 今の大臣からの御説明があったように、これまでのいろいろな経過を見てみますと、確かに審議会で各方面からの意見を聞いていて、それは市民団体もあれば消費者団体もあるし、事業者もある。そのとおりであると思いますが、今大臣の御答弁にもありましたように、確かに一般の消費者国民全体ということになると、まだまだその理解、またこの法律がこのように国会で議論されていること自体についても、そういう周知がまだ十分行き届いてないのではないかというようなことが懸念されるわけであります。  ところが、やはりこの法案を実効あるものにするためには、まずは家庭から出るごみ、これを分別してもらわなければ始まらないわけであります。そういう意味では、一番重要なのが一般の家庭、消費者の人たちにこの計画の中身、法律の中身、またその目的、そういったものを十分承知、理解した上で協力してもらえなければ、このスキーム自体が始まらないということじゃないかというふうに思います。  先日も自治体のそういうごみの行政を担当している方からちょっと伺った中で、分別収集といっても、これは実行してもやはり家庭の一般の消費者の方の理解がないと、今度は分別してあると思っても、瓶などでも少しでも違ったものが入っているとわざわざ分別した効果がなくなって、それをまたそこで選別という作業をしなきゃいけないというようなことでもありまして、そういった意味では、特にこの法案国民生活に本当に直結した、台所に直結した問題でもあります。そういった意味では、もっともっと国民的な議論が必要なのではないかというふうに感じる次第であります。  特に、今度の法案を見ていますと、やはり政令で定めるものであるとか、あるいは主務大臣が定める方針、計画など、そういった趣旨、内容がもうちょっと具体的にならないと、なかなか一般の消費者としてイメージ、理解というのが進まないのではないかというような気もいたします。  そこで、この法律の施行というのはこれから約二年後ということになっておりますけれども、私がいろいろ勉強させていただき、いろいろな方の御意見を伺わせていただいた中で感じたことというのは、そうした法律の内容や今申し上げた方針や計画、そういったもののイメージをやはりもっと明らかにして、周知させていくということが先決であって、施行までの期間、これは準備のための期間が約二年間あるわけですから、それを十分周知すればむしろそこは短縮できるのではないかというような気もしなくはないわけであります。  そこで、こういう中で、もちろん先ほどから非常に緊急なことということであったのですが、まず政府としてこの法律を、今現在非常に重要な問題であるという認識は私も共有しているわけではございますけれども、この法律の成立を大変急がれているわけでありますが、その理由について、今のいろいろなことを考えますと若干理解に苦しむ面もあります。むしろ、もっとこの法律の中身、あるいはこれから主務大臣が決めるもののイメージだとか、そういったものをもっと明らかにして、そしてそれに対するちゃんとした理解を得た上で法律を成立させるといった方がいいのではないかと思うのですが、政府が今法律の成立を急がれる理由について、ひとつちょっと御説明をいただければと思います。
  131. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 詳細なお尋ねについては政府委員から答弁をさせますけれども、私どもが急ぎます理由ということは、メリットとかそういうものはちょっと外しまして、一投廃棄物の排出量が増大する傾向というものは否定できません。その中で、首都圏の一般廃棄物最終処分場の残余の年数は既に五年弱となっております。そして、その最終処分場の確保というものは非常に困難な情勢にございます。  一方では、その中には、技術的に利用が可能な再生資源というものが利用されないままに廃棄されているという状況もございます。このため、実はリサイクル率一般廃棄物のうち三%程度にとどまっているわけでありますけれども、容積ベースで六割を占めております容器包装廃棄物リサイクルが本当にできれば、この首都圏における最終処分場の残余年数もより効果的に活用できるわけでありますし、資源という視点からも非常に大きな成果を上げることができます。  我々としては、この一般廃棄物のうち容積ベースで六割を占めております容器包装廃棄物リサイクルの推進というのは、喫緊の課題であると考えておりますし、本法案を可及的速やかに成立をさせていただきたいと願う理由も、まずこの点に ございます。  さらに、仮に容器包装廃棄物の三割が分別収集されました場合には、現在の四倍強に当たる、三百万トンぐらいにはなりましょうか、容器包装リサイクルをされるということになります。そして、仮にほぼ全国の市町村がこのシステムを導入してくだすった場合には、約九百万トンぐらいがリサイクルされるでありましょうし、これは、一般廃棄物の最終処分量が現在より約五五%程度減少するものと見込まれておりまして、このメリットは極めて大きいものがあります。
  132. 上田勇

    上田(勇)委員 もちろん、問題の深刻さ、緊急性については異を唱えるものではございませんけれども、この法案の施行が約二年後であります。しかも、これは実際に意見を異にするのかもしれませんが、最も理解と協力が必要である一般消費者の方々の理解というのが必ずしも十分じゃないのじゃないか、またその意見といったものがそこに本当に反映されているのかどうか、その辺のことには若干疑問を感じるわけでありますのであれば、やはり逆に、同じ施行される期日だとしても、法律を決めてしまう前に、本当にどういう計画になるのか、その辺をもっと一般の消費者も含めて議論を深めて、理解を得られた上で法律をつくって、むしろ、そこで理解が得られるのであれば準備期間としてとっている期日は短縮もできるでしょうし、そうすれば実際の効果としては変わらないのじゃないかという感じもいたします。  ただ、それは見解の相違があることかもしれませんけれども、そういう意味で、私の考えとしては、やはりこれは法律を成立させるという前に十分な議論をして、一たん決まったらばすぐ実行できるような体制をとった方がいいのじゃないかという考えも持っておりますので、その点ちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。  今非常に緊急で急いでやっているということでありましたけれども、実際にこの法案が国会に提出されたのは連休明けでありました。報道によりますと、法案提出までには、政府部内でもいろいろな意見があって、その調整に手間取った。とりわけ、義務を負わせる対象とする事業者の範囲についての意見の調整が難航したというような報道があります。この新聞によると、厚生、通産対農水、国税だとか、あるいは別の新聞でも、省庁間で制度の骨格について意見の相違があったというようなことが書かれているわけであります。  こうした新聞記事なんかを見てみますと、大体これは報道がすべて正しいというふうなことではないかもしれませんけれども、概略は、政府部内でも農水省等は、義務を負わせる事業者の範囲について、中身事業者それから容器メーカー、素材メーカーが適当なんじゃないかという主張であったというようですし、また通産省等においては、これは中身事業者のみを対象とすべきだという議論であったというふうに承ります。  提出された法案は、これは対象が中身事業者容器メーカーという形になっております。先ほどの新聞の記事の中にも、「「妥協の産物」色濃く」というような表現もされておるのですが、確かにこうした議論の経過を踏まえていくと、折衷案というような感じもいたします。  確かにそうした議論の中で、素材などについても、リサイクルしやすい素材を研究開発して、それを提供していくというようなことが、メーカーにも責任があるのじゃないか、そういう意味では公平な負担という考え方も考えられるでしょうし、こうしたことも一理あるような気もいたします。  そこで、最終的にこういういろいろな議論を経てきたことなんでしょうが、なぜ対象となる事業者が中身事業者容器メーカーと。容器メーカーを含めて素材メーカーを除外したのか。そういったことも含めて、責任を負わせる対象とした事業者をこのように決定した理由についてお伺いしたいと思います。     〔額賀委員長代理退席、逢沢委員長代理     着席〕
  133. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 お答えいたします。  今回の容器包装リサイクルシステムで、特定事業者には、今回の法案では中身事業者容器メーカーになっていただいておるわけです。  その理由は、中身事業者それから容器メーカーが一たん費用負担してリサイクルをする、その負担をなるべく軽くするという意味から、容器包装の素材を変えたり、あるいは形状なり重さを変えて、全体としてリサイクルのコストが小さくなる、社会費用を小さくするというためには、中身事業者及び容器メーカーに義務負担していただく、義務者になっていただくということが最も適当かという判断に立ったわけでございます。  委員御指摘のように、当初私ども、中身事業者のみに義務者になっていただくという案で政府内でいろいろ議論をいたしました。妥協とかなんとかということではなく、より実効性のある制度ということでいろいろな点について議論したわけでございます。  義務者の点については、先ほど申しましたように、容器包装の素材の転換なり形状なり重さなりをいろいろ工夫して、よりリサイクルしやすいものにするという意味では、基本的に中身事業者がそういう大きな役割を担うわけですが、その中身事業者の担う役割の中で、容器メーカーも一緒になってそういう工夫をしておるということを、我々は議論の過程、それから関係事業者のお話を聞きまして認識をいたしましたものですから、両方を義務者として位置づけることにしたわけでございます。  一方、素材メーカーについては、素材メーカーとしてはどこに売っているか、ひよっとしてわかる場合もありますが、販路がほとんどわからない。例えば、容器包装のための紙とかプラスチック、それが文房具のために全く同じように用いられるような場合もあるわけでございまして、そういう意味では事業者を特定できない。あわせて、そういう素材メーカーに義務をかけたとしても、そういう容器包装としてのリサイクルのしやすさとか、そういうものについて全く関与できない。全くの受動的な意味ではそういうことがあり得るかもしれませんが、主体的な意味ではあり得ないということで、素材メーカーは義務者といたしませんが、一方で、現行リサイクル法に基づきまして、よりリサイクルしやすい素材をつくる、あるいは原材料として利用する義務を課するとか、そういう義務をかけることにいたしまして、容器メーカー、中身事業者、素材メーカー、それぞれ役割分担をしていただいたということでございます。     〔逢沢委員長代理退席、委員長着席
  134. 上田勇

    上田(勇)委員 いわゆる再商品化義務を負わせる対象事業者の範囲、これはこの法案の中において非常に重要なことだというふうに思います。政府部内においてもそうした骨格部分、非常に重要な部分についていろいろな議論があった、これも今御答弁にあったとおりだと思います。そういった意味では、この法律について、その必要性、目的については多くの方に御賛同いただけるものの、中身についてはまだまだいろいろな御意見やいろいろな考え方があるのも、これまた事実じゃないかというふうに思います。そういった意味では、当然国会においても十分な議論が必要でありますし、同時に、一般消費者国民の方々を巻き込んだそういう議論を今後とも行っていくことが、まずもって重要なことじゃないかというふうに思います。  それで、この法案が今国会中に成立したと仮定いたしまして、そういう意味で、まだいろいろな周知も十分でないし、細かい部分も決まっていないというような点もあると思うのですが、施行までの期間は二年間程度でございますが、この期間にさらにどのような努力をしていく必要があるのか。また、これから決めていく政令であるとか方針や計画、そういったものについても速やかに決めて、それを周知、理解をさせていく必要があると思いますが、どのように対処されていくのか、御所見を伺いたいと思います。
  135. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 公布から施行まで二年間、 二年以内ということで、基本方針等は当然なるべく早くつくる、それから市町村あるいは都道府県の分別収集計画も一年以内につくる、それから全体として分別収集が始まるものは二年以内ということになっておるわけでございます。その過程で、先ほど大臣も御答弁申しましたように、我々はあらゆる手段、政府広報、それから関係省庁のいろいろな広報手段、あるいは審議会等の場を通じて、今回のシステムの周知徹底を鋭意図ってまいりたいと思っております。  それから、政省令は当然のことながらはっきり外に出ていくわけでございますが、御案内のように、今回の法案では、なるべく法律でいろいろな要件を書き込む努力をしております。それでも一部政省令に落ちている部分は、今申しましたように、はっきり中身を具体的にわかるように定めていくことになると思います。それから、主務大臣がいろいろな率等を決める場合、それから指定法人事業計画を認可したりする場合においては、法律上も関係者の意見を聴取することになっているわけでございまして、そういういろいろな形で幅広く消費者事業者関係者の皆様方の意見を聞いて、まさにより実効が上がるシステムにしていきたいと思っております。
  136. 上田勇

    上田(勇)委員 その点はぜひよろしくお願いしたいと思います。  それで、今のこととも関係いたしますが、今度の法案事業者リサイクル義務を負わせた、これは汚染者負担の原則ということで新しい考え方でありまして、その意味ではこの法案の特筆すべき点だというふうに思います。  これは外国の事例、今資料で拝見したところでは、ドイツ、フランス、デンマーク等の事例でもそういう考え方が導入されているわけでありますが、ここで、今度の法案というのは、事業者義務というのは再商品化に限られております。収集については市町村役割としているわけでありますが、この点はドイツやフランスの制度とは若干異なっているというふうに思いますけれども、このように事業者義務を再商品化に限った理由をお伺いしたいと思います。
  137. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 今収集まで事業者負担を課するという考え方についてはどうかというおただしてございますが、生活環境審議会の答申や産業構造審議会の意見具申等において指摘されておりますように、容器包装減量化リサイクルについて、製造事業者負担の大半を押しつけるべきものでなく、直接の排出者たる消費者、それから一般廃棄物処理に関する責任を有する市町村、それから答器包装の選択者たる事業者責任分担により実施されることが適切である、こういうふうに考えております。  それに、全国の市町村のうち約四割が何らかの分別収集を現に実施をしているという背景も、こういう判断をすることに関連があると私も思っておるところでございます。また、事業者から見ますと、再商品化コストも相当の負担になるものでありまして、事業者に対する減量化インセンティブとしては、再商品化に要するコストを負担させることで十分効果がある、このように考えております。
  138. 上田勇

    上田(勇)委員 今御答弁の中にもありましたが、収集にまで事業者義務拡大すべきだという意見も私もいろんなところから伺いました。もちろん、それにはいろいろな考え方、異なった見解があるのだと思いますが、確かに、収集、再商品化双方に事業者義務拡大した場合に、やはり事業者にとってはダイレクトにそのコストがかかってくる。そういう意味では、廃棄物減量化へのインセンティブというのはより強くなるというのもこれは指摘されているのですが、これもまた事実じゃないかというふうに思います。  また、この収集のコストというのは、リサイクルシステム全体の中ではこれは相当な割合を占めているというふうにも聞いております。これは収集のコストを自治体の行政経費で負担するということになると、結果的には一般の国民が税金の中で負担しているわけでありますが、幾らそこにコストがかかったのかなかなかダイレクトにわかりにくいという面があって、そういった意味では、消費者にとってまたその事業者にとっても、排出した廃棄物処理の全体のコストがどのぐらいかかったのかわかりにくいし、実感しにくい面もあるんじゃないかというふうに思います。まあ確かに、そういった意見にはもっともな面もあるというふうに考えているわけでありまして、また諸外国でも、多分ドイツやフランスでもそういう見解に基づいてそういう制度を取り入れているんしゃないかというふうにも思います。  そこで、現在においてはいろいろまだその辺が合意が十分できていない、あるいはもう自治体で既に分別収集を開始しているという実態もあるというようなことでございまして、今後しかし、これはリサイクルをどんどん進めていくと自治体負担、したがいまして、これはいわゆる消費者、一般国民が税金として負担する部分というのがだんだんふえてくるんじゃないかというふうに思います。  そこで、将来的にこの分別収集にかかる費用の全部または一部について、事業者義務拡大するとかまた費用負担をお願いするとか、そういったことについて検討をしていくべきではないかということも考えられますけれども、それについて御所見を伺いたいと思います。
  139. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 ちょっと質問の意味を間違えてとっていましたら再質問していただければと思いますが、先ほどもお答えを申し上げましたように、今回のシステムは、住民それから市町村事業者、それぞれが負担をしていくという仕組みでございまして、先ほど通産大臣お答えにもありましたように、住民負担についてはどのぐらい経費がかかるというのが出てまいりませんけれども、市町村の方では約一千億ちょっと、事業者も一千億ちょっとの負担がかかる。そして、みんながお互いに負担をし合ってこのシステムを動かしていこうということでございまして、先ほど申し上げましたように、今回の法案の案分というのですか、おのおのの負担の仕方というのが私どもは適切だ、こういうふうに思っておるところでございます。
  140. 上田勇

    上田(勇)委員 もちろん現状においては、これはもうそれぞれが負担を伴うことなので、いろんな利害の調整、大変な調整があったんだというふうにも思いますし、その結果としてのこの法案の中身なのかというふうに思います。  ただし、将来を考えたときに、これは今の負担の仕方が必ずしも固定されたものというふうには考える必要はないと思いますし、そういった意味で、何というのでしょうか、汚染者負担の原則、あるいはやはりダイレクトにコストが事業者にかかるといったことの方が減量化に対するダイレクトなインセンティブになるんじゃないかというようなことも考えられますので、これは将来的にももう大体今の枠組みは固定した考え方でいくのか、それとも、もっと廃棄物全体の減量化を考えて事業者義務拡大、あるいはその負担拡大していくといったことも検討される余地があるのか、その辺についてどうお考えでしょうか。
  141. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 今おっしゃった議論には二面あると思います。一つは、事業者に全部背負わして、そこのコストを高くしたら容器減量化に努力するんじゃなかろうかというお話でございますね。いわゆるサプライサイドから見た議論でございます。他方、ディマンドサイドから見たらどういうことになるかといいますと、消費者がある程度負担することによって、いわゆるよりエコノミーな容器、よりリサイクルしやすい容器を選択する。要するに、生産者というか販売する人は、需要に対応しながら物をつくったり売ったりするわけでございます。  そこの両面を見ていただければ、一方からの議論というんじゃなくて、今の、両方が負担しながらいわゆるフィードバックといいますか、お互いに努力しながらやっていく方法というのが私としましては一番ベストな方法じゃなかろうかと信じております。
  142. 上田勇

    上田(勇)委員 ちょっと私の理解が違っていたのかもしれませんが、今度の法案では収集までは市町村が行うあれですね。そうすると、これは消費者にはダイレクトな負担としてはかかってこない、間接的な負担であります。他方、事業者負担を強いた場合でも、これは価格の中に転嫁されるという意味では消費者負担、ですから、むしろ消費者負担が明確になるという意味では、これは価格に転嫁するという方がより明らかになる。税金であれば、それがいろんな財源に使われている。公共投資もあれば文教予算もあれば福祉予算もある、この環境衛生事業もあるということなので、そういうことを考えれば、今の消費者にとってもそういう意味でコストを意識させるということであれば、むしろこれは事業者の方の負担拡大するという方が理にかなっているんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  143. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 そういう考え方も、聞いていてあるのかもしれませんけれども、私自身は逆になかなか頭に入りにくい議論でございます。  確かに、直接自分のポケットから払うのと税金で払うのとじゃ痛みが違うということからそういう議論が発生するんだなと思っておるわけでございますが、ただ、負担するというか、より直接的に負担するという方が効き目があって、事業者がその場合に負担になるという議論を展開されているわけですけれども、先ほど申しましたように、いわゆる使う人もこのリサイクルの輪の中の一環におるんだということを強くやはり認識していただくというのがこのリサイクルの輪を築く大きな点でございますから、その点ひとつよろしく御理解いただきたいと思います。
  144. 上田勇

    上田(勇)委員 リサイクルを進めるといっても、何で今リサイクルが思うように進まないか。政府のいろんな資料でもリサイクルが伸び悩んでいるというのは指摘していることでありますので、そういう認識であるというふうに思いますけれども、やはりこれは、なかなかそういうインセンティブが働かないからということじゃないかというふうに思います。どうしても今は、リサイクルをするよりも新しいものを使った方が経済的なメリットが大きい、そういった意味でのインセンティブが働かないということじゃないかというふうに思うのです。  それを今回は事業者義務という形でそこを補完しよう、あるいは、ある意味では今の経済原則だけではかなわない部分義務という形で法律で定めるという趣旨じゃないかというふうに思いますけれども、そういうことであれば、もちろん法律でこういうふうに定めだということも非常に重要なことでありますが、同時に、やはりこれは、なるべく事業者にとっても消費者にとっても、新しいものをつくるよりもリサイクルを進めた方がメリットがあるのだということを実感できるような体制が必要なんじゃないか。  そういう意味で、これは非常に感じ方、見解の分かれたところでありましたけれども、私自身は、やはりダイレクトに一つのコストが固まってあった方が、本当にリサイクルあるいは環境のためにこういうコストが必要なんだなという実感ができる。あるいは、だから、できるだけそういう廃棄物減量化を進めていこうというインセンティブが働くんじゃないかなということでちょっと御質問させていただいたわけでありますけれども、どうもその辺はちょっと見解を異にしたようでございます。  これについてはいろいろな考え方があるのかもしれませんが、また、より法律による規制ということもさることながら、経済的にもリサイクルを進めた方がメリットがあるのだというような制度の枠組みになるように、ぜひとも御検討を今後ともお願いしたいというふうに思います。  それで、ちょっと次のことに移らせていただきますが、この法案では、分別収集の方はこれまでどおり市町村が実施することとなっております。つまり、この法案で考えているスキーム、これが十分な効果を発揮するかどうかというのは、この市町村がこれを活用できるか、市町村が全体のリサイクルの仕組みを活用できるような分別収集を実施するかどうか、実施できるかどうかということにかかっていると思います。  そこで、現在、全国いろいろな市町村分別収集、ごみの減量化に取り組んでいると思いますが、分別収集が行われている実態について、データがあればお伺いしたいと思います。
  145. 藤原正弘

    藤原政府委員 分別収集の実態でございますが、平成五年六月の時点におきまして、資源ごみの分別収集を実施しております市町村は、缶につきましては千九十二市町村、瓶につきましては九百八十三市町村、古紙につきましては五百九十市町村でありまして、何らかの資源ごみの分別収集を実施している市町村数ということになりますと、千三百四十二市町村でございまして、全国の全市町村の約四割に当たるわけでございます。
  146. 上田勇

    上田(勇)委員 現状では全市町村の約四割、これはいろいろな評価があると思うのですが、私はむしろ四割にしかすぎないのかなという感じを受けました。しかも、これは何らかの形での分別収集を行っているということでありますので、そういう意味では余り高い数字じゃないという印象を受けたわけであります。  それで、こういう現状では、そういう意味ではリサイクルの全体の計画、スキームが本当にきちんと効果が発揮できるのかどうか、それは疑問があります。もちろん、その施行までにもうちょっと、約二年間の期間があるということでありますので、それまでにもっと分別収集を実施している実態を高めていかれる考え方なのか。まず、どの程度を目標とされているのかとか、そのための方策、政策について御見解をお伺いしたいと思います。
  147. 藤原正弘

    藤原政府委員 先ほど言いましたような、現状は約四割の市町村がやっておるということでございますが、これは今の新しく提案して導入しようとしておりますシステムがまだ導入されていなくても、その程度分別収集をやっているわけであります。  今度はこういうシステムが導入されますと、市町村にとりましては、この分別してしまった後の廃棄物が、リサイクルが円滑に進むようになってまいります。そういう意味では、今まで分別収集して問題のあったというところ、そこが解決するわけでございますから、一層こういうことを採用する市町村がふえてくるというふうに思っております。厚生省としては、できるだけそういうことが進むように、財政的、技術的な支援をしてまいりたいというふうに考えております。  具体的に、財政的な支援ということで申しますれば、リサイクルセンターとかリサイクルプラザとか、またはストックヤードだとか、こういうふうなものは分別収集リサイクルにとって大変重要な施設でございますが、こういうものを市町村が設けようとするときには、それに対しまして国庫補助で重点的に支援してまいりたい、こういうふうに考えております。
  148. 上田勇

    上田(勇)委員 今の御答弁にもありましたように、当然のことながら、今まで行っていなかったところで分別収集を行うこととすれば、これはいろいろなコストがふえてまいります。これは、分別して収集を行うための手間もかかりますし、今お話のあったいろいろな施設整備も行わなければいけないということがあると思います。  先般、厚生省の方の試算だと、分別収集率を三〇%までにするには年間約一千億円のコスト増が見込まれているというような話も伺いまして、もちろんこれは、リサイクルが進めば焼却だとか最終処分、そういったコスト減の要素もあると思うのですが、それでも相当なコスト増になるというような試算でありまして、そうしたコスト増が市町村の財政に対して過度な負担を与えることがないのか、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
  149. 藤原正弘

    藤原政府委員 この分別収集をやりますと、分別収集に関しますコストというのは確かにその分増加するわけでございますが、一方、そういうことをやることによりまして焼却や最終処分に要す 部分が減ってまいりまして、したがってそのコストも減少してくるわけでございます。  それで、どの程度の費用になるかということでございますが、これはその条件をどういうふうに設定するかによって変わってくるわけでございます。最終処分にかかる費用につきましても、現状の費用というのをベースにして考える考え方もございますが、今後はますますその部分はコストがかかってくるということが当然考えられるわけであります。  それで、現状のところでとりあえず想定して算定したというものもございますが、やはり将来を見通しますと、最終処分というのはますます大変で、コストもかかってくる。そういう前提でその最終処分のコストをはじいてみますと、最終処分にかかる経費というのは、これは分別収集が全素材一律で三〇%になったという前提のときでございますが、そういうときに最終処分にかかる経費の減としまして、約一千八百四十億円が減になるという計算をいたしております。収集、運搬にかかる経費の増は約九百三十億円というようなことで、差し引きいたしまして、トータルで約九百億円ぐらいは市町村の経費は減少になるんじゃないかということであります。  もちろんこれは、先ほど言いましたように、今後かなり最終処分が難しくなる、大変コストもかかるというふうな前提で計算しておりまして、いろいろな前提が考えられるわけでありますが、そういう前提で考えたらそういうことになるということでございます。
  150. 上田勇

    上田(勇)委員 今の御答弁で、このシステムが導入されれば、自治体にとって、市町村にとりまして、ネットでは非常に負担の減少につながるということでありましたので、それは大変評価できることじゃないかというふうに思います。  先ほどの質問の中でも、自治省の方の御答弁だったと思いますが、それはやはり、もう既に行っているところ、またこれから行おうというところで、もちろんそれぞれ個別に違うという事情なのかもしれません。そういうことで、ネットでそれだけのコスト節減に資するということであれば、これはもうあとはそれぞれの自治体に対する個別的な対応ということで済むことだと思いますが、例えばこれまで実施していなかったところでこれから実施しよう、そういったところはコスト増になります。もちろん将来的に、中長期的に考えればそれもネットでは減になるのかもしれませんが、仮に一時的にしろそういう支出をふやすということでありまして、今市町村の財政事情が非常に厳しい中で分別収集を実行させるために、場合によってはそういう財政支援が必要なんじゃないかというふうに思います。  今後は、特にそういう財政事情の厳しい市町村、またそのシステムの導入によってコスト増が著しいと思われるような市町村に対して、助成措置あるいは地方交付税の算定に当たって配慮する等、そういう措置が重要だと考えますが、この辺についてお考えをお伺いしたいと思います。
  151. 岡本保

    ○岡本説明員 先ほど来御議論もございますように、本法律の施行に伴いまして、全体としては市町村一般廃棄物処理経費の大きな増大をもたらすものではないというふうに考えておりますが、御指摘のように、市町村の今後の動向が一番基本にあるわけでございます。したがいまして、分別収集費用でございますとか保管施設整備等、所要の経費につきましては、適切な地方財政措置を講じたいと思っておりますので、具体的な方策につきましては、ただいま御指摘の地方交付税措置も含めまして、今後検討してまいりたいと考えております。
  152. 上田勇

    上田(勇)委員 地方財政の大変厳しい折、やはり十分な配慮をお願いしたいというふうに思います。  一番最初の議論と重なる部分もあるのですが、やはりこの分別収集を円滑に行っていくためには、その廃棄物の排出者である消費者の理解と協力が不可欠であります。ある廃棄物処理の業者の方の試算だと、その分別するという作業を請け負うとすると、トン当たりこれは九千円程度の負担だ、だから、それをやはり一般の家庭でやっていただくというような形になるのじゃないかというふうに思います、これは換算するとということでありますが。であれば、やはりそういう仕事をしていただくためには、どうしても御理解をいただく必要があるわけであります。  その理解と御協力をいただく上で、分別収集、再商品化、このリサイクルシステムを推進していくことにどういうメリットがあるのか、これはやはりコスト面も含めて十分に周知をさせていく必要があるのじゃないかというふうに思います。  この法案の中で、第九条で都道府県分別収集促進計画を公表するというような規定があるのですが、一般家庭、国民にとってもっと知りたいのは、むしろこの市町村別の分別収集計画ではないかと思うのです。これは特に法律の中では公表するというふうには書いてないのですが、その辺の考え方についてお伺いしたいと思います。
  153. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 分別収集する際に、一般消費者の理解を深めるために市町村計画について公表すべきではないか、こういうおただしてございますけれども、先生のお話の中にその費用についても云々という一節がありましたので、まずその点に触れたいと思いますが、市町村が定める分別収集計画は財政計画ではなくて、どういう種類の容器包装廃棄物をどの程度の量集めるかが計画として最も重要なことと考えておりまして、将来の分別収集に要する費用算定することは困難であるということもありまして、分別収集に要する費用について計画に定めることは、必須事項とはしなかったところでございます。  また、都道府県の分別収集促進計画についてその公表を義務づけたのは、再商品化義務を課される事業者などにどの地域において分別収集が行われるかを了知させるためのものでありまして、この目的のために、個々の市町村分別収集計画まで法律で公表を義務づけることは必要ないものと考えております。  一方、容器包装廃棄物を排出する住民にとっては、どのような分別基準によって容器包装廃棄物を排出させたかが最も重要な事項であるため、この基準を周知徹底させるために必要な措置を講ずるよう、こっちの方は市町村義務づけておるわけであります。  このように、本法案関係者にとって最低限必要な公表を義務づけたものでありまして、このほかに、市町村分別収集計画について公表を行うか否かは、市町村の固有事務との関係もありまして、市町村の独自な判断にゆだねたものでございます。  なお、一般廃棄物処理計画も、その公表を市町村の自主的な判断にゆだねております。
  154. 上田勇

    上田(勇)委員 次に、この法案の第六章で触れられております主務大臣が指定する法人、指定法人について定められているわけでありますが、この指定法人の目的、それからその指定法人に想定されている構成であるとか業務の区域あるいは業務の概要等について、想定されている概要を御説明いただきたいと思います。
  155. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 委員御指摘のように、今回の法案でまさに大きな役割を果たすものとして指定法人が位置づけられております。指定法人主務大臣が指定できることになっておりますが、指定法人は民法三十四条に基づく財団法人、これは、財団法人がみずから自分の発意、民間側の発意で主務大臣の指定を受ける、その申請により主務大臣は指定ができるという規定になっております。  具体的にどういう業務をやるかというと、まさに義務を負った特定事業者がみずから再商品化義務を果たすことがなかなかできない場合に、その義務履行の代行機関として役割を担う法人というふうにお考えいただければと思います。  具体的には、特定事業者、全体として十九万おりますが、そのどれだけが指定法人に委託するかは別にしまして、その委託を受けて委託料金を徴収し、かつ、その委託の集まった量を踏まえなが らそれを再商品化する。まさに委託を受けて、さらに競争入札によって再商品化するという両方の業務を担うということになるかと思います。  ということで、この指定法人は、特定事業者にとっても、また再商品化事業者にとっても非常に重要な役割を担うわけですが、特定事業者にとりましては、なるべく委託単価が安い、あるいは手続が簡便であるというような要請が当然指定法人に対してはあるわけでございます。再商品化事業者の方からすれば、競争入札でみんながなるべく参加できるようにしてほしいという要望があるかと思います。  いずれにしても、そういうことも踏まえながら、指定法人の運営、これはまず民主導でございますから、理事会なり評議員会、すべて民間の方が運営されることになるかと思いますが、必要に応じて主務大臣として監督をしていくということになるかと思います。
  156. 上田勇

    上田(勇)委員 この指定法人が果たす役割についてはこれまでも御説明いただいておりますし、また今の御答弁の中でも理解するわけでありますが、この法案の仕組みを見てみますと、再商品化義務はあくまで特定事業者が負っておりまして、その意味では責任は非常に明確になっているんじゃないかというふうに思います。その上で、それぞれの事業者が自主的な考え、自主的な発想で、どういうルートでリサイクルを進めるのか、再商品化を進めるのかを工夫すればいいんじゃないかという感じもいたします。  現に法案の中でも、別ルートでも認められているわけでありますし、もちろん事業者がそれぞれの判断で、必要であれば民法法人を設立する、そういう道もあるわけでしょうから、わざわざ法律の中で指定法人を設置、これは指定することができるという規定にはなっておりますが、これを法律上わざわざこういうふうに定めている理由がちょっといま一つはっきりしないわけでありますけれども、この指定法人法律の中で位置づけなければいけない理由、その辺をお教えいただきたいと思います、
  157. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 今委員御指摘のように、義務を負った特定事業者の中には、いろいろな創意工夫をもってみずから、あるいは同業の特定事業者と語らい合ってみずからリサイクルする、あるいは再商品化事業者を見つけてきてやるというルートも開かれているわけでございますが、一方、やはり情報力がない、あるいはいろいろな意味で再商品化能力を有する事業者へのアクセスが難しい中小企業者等の特定事業者が多くおることも予想されるわけでございます。そういう方々にとって、やはりそういう自分の義務を代行してくれるという指定法人がぜひとも必要だという声がございます。そういうものを踏まえまして、今回法律指定法人制度を設けているわけでございます。  先ほど申しました特定事業者、まさに義務を負っている者は特定事業者でございます。特定事業者義務履行しない場合には、勧告、公表、最後は罰則にまでいくわけです。そういう制度になっているところを、仮に、特定事業者のうちだれかが全く指定もない法人に義務履行を頼んで、それが本当に十分リサイクルされたかどうかというところはなかなか確認しょうがないわけでございます。そういう意味で、委託先が実際に再商品化を行ったかどうかをやはり担保、確認するという意味でも、指定法人というものは法律上位置づけることが必要であるというふうに考えておるところでございます。
  158. 上田勇

    上田(勇)委員 公益法人、財団法人を想定されるということでありますが、今新たに法人を新設するということについては、とりわけ世論、国民の目も大変厳しい見方をしているというのもこれまた事実であると思います。  ある新聞によると、第三者機関は天下り先だなどというような記事も載っている。先ほどから本会議を含めこの委員会でも種々御答弁があったように、これはもうあくまで民間主導で行うということなので、そういう懸念はもう既に御答弁していただいているとおりであるのですが、今どうしても行政改革の大きな流れの中で、もちろんこれは特殊法人とは異なるわけでありますけれども、やはり行政の肥大化あるいは利権をつくっているんじゃないかというような批判もあるのもこれまた事実であります。  もちろんこれがすべて正しいということではありませんが、このリサイクルコストも一千億円を超えるような莫大な金額であります。そういう意味では、これはもちろん全部がこの指定法人を経由するというわけではないのですが、当然のことながら、この指定法人が扱う取引というのは、これはかなりな金額になることはそのとおりだと思います。  もちろん、この指定法人の運営に当たって、仮にも特定の業者のグループを利するとか、また閉鎖的、排他的であったり、あるいは利権化してしまうというような批判があってはならない。これは政府も同じ考えであるというふうにもう既に承っております。したがいまして、この指定法人の業務、これはやはり常に開放的、オープンで透明性の高いものでなければならないというふうに思います。  同時に、やはりこれはリサイクルコストが全体で一千億円を超えるという大きな金額でありますので、可能な限り効率的な運営を図って抑制していく、これもまた重要な課題であるというふうに思います。そういう意味で、果たしてそういう公益法人にそうした業務の効率化を進めるというようなインセンティブというのが十分働くのか、これもまたいろいろなところで指摘されている点でもあります。  このような指定法人の運営が透明でかつ効率的であるために、そういう透明性、効率性を確保していくためにどのような方策を講じられていくのか、その辺の方針についてお伺いしたいと思います。
  159. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 御指摘の指定法人は、あくまでも民主導でできる公益法人でございます。国が設立する特殊法人等とは全く違うものでございます。まさに特定事業者が語らって、みずからの義務履行、代行してもらう機関としてつくるわけでございますから、そういう意味で全く民主導の機関でございますが、御指摘のように、そこに多くの事業者が委託する、委託の料金とかなんとかを徴収して、これをまた競争入札にかける等、かなり重要な役割を担うわけでございます。  そういう役割をきちんと公平、公正に果たしていくために、例えば指定法人の業務規程の認可あるいは事業計画書の認可等に当たっては、これは主務大臣がやるわけでございますが、関係事業者から意見を聴取する等の、まさに公明さ、公正さが確保される措置を講ずることにしております。  また、御指摘のあった天下り等々、私どもそういう御意見を聞いて全く不本意というか、残念だという感じがいたしますが、国民や産業界から批判の起こるようなことは厳にないように注意していきたいと思っております。
  160. 上田勇

    上田(勇)委員 先ほど別の委員からも言及がありましたけれども、透明性あるいは効率性を確保していく上で、一つの案として、第三者、市民代表とか関係自治体だとか、そういった幅広い第三者がこの指定法人の運営を管理できる制度、こういったものもやはり考慮していかなければいけないのじゃないかと思いますけれども、そういうことについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  161. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今審議会という言葉を使われましたが、私余り審議会というのは好きじゃありません。しかし、それぞれの分野を代表される方々にお入りをいただく例えば評議員会のようなもの、先ほど私はそういう表現を用いました。そういったものは当然必要であろうと思いますし、つくられるであろうと思います。そして、その中でより開かれた運営というものに当然資していかれる、私はそう考えております。  なお、先ほど来政府委員から答弁を申し上げましたが、一点私からも補足をお許しいただきたいと思います。  私ども、今までいろいろなケースに遭遇する中で、公益法人の側から、公正な裁定者として官僚出身者の派遣を求められたことがございました。私は、これは通常言われる天下りとは違うと思います。これにこういう人材を欲しいという要望を団体側からもらったケースがあります。ですから、私は、今後そういうケースも全くない、必要な人材を派遣してほしいと言われて派遣を拒否するというわけにもいかないと思います。  要は、今評議員会のような形を私は想定いたしておりますが、そうした中にそれぞれの代表者がおられ、いやしくも天下りの温床と言われるような批判を受けないような運営のできる体制をつくること、これが根幹であろう、そのように考えております。
  162. 上田勇

    上田(勇)委員 大臣からも御答弁いただきましてありがとうございます。  それで、やはりどうしても公益法人、今非常に世論、国民の目が、厳しい目が向けられている中で、いかにそれが透明で、しかも効率的な仕事をしていくということを確保していく、これが非常に重要なことである。これはもう政府としても認識は共有できるものだというふうに思います。  今評議員という形で、広く第三者の意見も指定法人の運営に反映させていくということでございました。ここで、この法律の中に「意見聴取」の項目がございます。これは法律の第四十四条でしょうか、「意見聴取」といったところがあります。また、この法案の二十四条、第二十五条、これは指定法人の運営にかかわるところであるというふうに思います。それについて、主務大臣が必要と認められるときは、「関係事業者その他利害関係者の意見を聴くものとする。」というふうに定められているわけでありますが、ここに定められている「関係事業者その他利害関係者」といったものはどういう範囲を想定されているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  163. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 四十四条の意見聴取につきましては、特定事業者の方々、義務を負われる方、それから市町村自治体の方あるいは消費者の方々を想定して、関係事業者その他利害関係者として、必要があると認めるときは意見を聞くというふうに考えております。
  164. 上田勇

    上田(勇)委員 先ほどの、ちょっと前のこの質問の議論の中で、指定法人の必要性の一つとして、現在不法投棄の問題であるとかそういったことに対する、そういうことを防ぐという意味での目的も含まれているというようなお話があったというふうに思いますけれども、これは、私が理解しているところでは、この指定法人というのはあくまで仲介的な役割というふうに思いますけれども、そういう意味では、指定法人を経由したからそういう懸念がなくなるということなのでしょうか。それともやはり、そういうしっかりした責任のある業者を指定法人が選定できるということにおいてそういう効果があるということなのか。  その辺、確かに今、これは産業廃棄物が多いのかもしれませんが、不法投棄の問題も非常に深刻な問題でもあると思います。指定法人から実際のその再商品化あるいは処理についての作業というのは、またさらに業者に委託するということになると思うのですが、この辺についてはどういう考えで業務を行うお考えか、ちょっと所見をお伺いしたいと思います。
  165. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 指定法人は、おっしゃられるように、特定事業者の委託を受けて、さらにいわゆる特定分別基準適合物、容器包装、ガラスとかPETボトルとか、そういうものを再商品化のために委託するということで、競争入札を考えておりますが、指定法人が委託した場合においてはこの法律でも廃棄物処理法の特例になっておりまして、委員御指摘のように、どこかでまた捨てられたりなんかして環境を汚したりしないように、そういう意味で、しっかりした指定法人をやはり指定するということに大きな意味があると考えております。
  166. 上田勇

    上田(勇)委員 次に、この法案の中で小規模事業者、これが適用除外ということになっております。これは中小企業基本法の規定に基づく売上高で決まるということでありますけれども、その適用除外される事業者の割合というのでしょうか、これはどの程度なのか。  また、その除外される、多分これは事業者の数からいうとかなりの割合になるのじゃないかと思うのですが、それによってその除外される廃棄物が例えばこの法案の目的を十分に達成できないようなところまで除外されてしまうのじゃないかというようなことも懸念されるわけですが、適用除外になるものというのはどのぐらいなのか、その辺をちょっとお教えいただきたいと思います。
  167. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 今回の法案に基づく新しいシステムに基づく特定事業者は約十九万社でございますが、今回の法案で適用除外となる小規模企業者の数は約百十二万社になります。この百十二万社の事業者の使用する容器包装の量は、約一割強というふうに試算しております。
  168. 上田勇

    上田(勇)委員 ということを考えれば、一割程度であれば私もこの法律の目的を損なうというような割合ではないというふうに思いますし、逆に数は多いということを考えれば、ある程度のそういう適用除外をするということについて、その趣旨は十分理解するものであります。  ただ、他方、いろいろな方の御意見を伺う中で、規模が小さい大きいにかかわらず、どうしてもリサイクルの問題、環境の問題についてはある程度のちゃんとした責任を負わせる必要があるんじゃないか。もちろん、実際にかかった費用を徴収するということは、これはもう費用対効果のことも考えれば実際的ではない面もあるのかもしれませんが、であれば、適用除外ではなくて適用猶予、あるいは、ここの中でも中小企業についてはある程度の期間、適用が猶予、延期されているわけでありますので、そういう形で最初からこのリサイクル計画スキームから外すんではなくて、やはり責任はあるという上で、実際上の問題で除外ではなくて延期、猶予というようなことの方が適当なんじゃないか、そういう意見も多く伺ったわけでありますが、その点について御見解をお伺いしたいと思います。
  169. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 中小企業一般については、中小企業基本法に基づき、経済的、社会的不利益を是正するということで政策をいろいろ講じているわけですが、中小企業基本法二十三条によりまして、小規模企業については特段の配慮をするということで位置づけられていることも踏まえ、かつ、百十二万の事業者、確かにお金の多寡ではないというところはあるかと思いますが、非常に手続的な負担等がかった場合にいかがかということで適用除外にしているわけでございます。  定義として、中小企業基本法上の定義、製造業は二十人以下、小売、卸は五人以下、あわせて政令で定める一定の販売額以下ということで、販売額をまた施行までに検討いたしますが、その販売額、すそ切りの販売額を将来にわたって下げていくということは考えていきたいと思っております。
  170. 上田勇

    上田(勇)委員 次に、この法律の非常に重要な部分というのが、この法律の中で主務大臣が定める基本方針、それから再商品化計画、この二つが具体的にこのシステムの中で非常に重要なことであるというふうに思います。また、これがなかなかはっきりしないとある意味では具体的なイメージが描きにくい、そういう性格があるんじゃないかというふうに思います。  この基本方針それから再商品化計画、これは主務大臣が定めるという形になっているわけでありますが、これは廃棄物に関する事情というのは非常に地域性がある、地域ごとによって事情も異なるというようなことであります。これは先ほどから、こうした基本方針あるいは再商品化計画を、国で定める、あるいはどっちかというと、とり方によっては一方的につくったというようなことでは、今の地方分権方向と相入れないんじゃないかというような議論もこれまでこの委員会でも行ってきました。  この法律の中で、市町村分別収集計画を定め るときには、国で定めた基本方針に即し、再商品化計画勘案して定めるというふうになっているわけであります。これはちょっと実態はどうなのかわかりませんが、どういうふうに運用されるかということは別といたしまして、この法律を見ますと、やはりどうしてもトップダウンというような感じがいたします。  例えば逆の発想をして、市町村が非常にごみの処理に困って、分別収集をどんどんしたいといったときに、逆にそうした要求が上がってくれば、その再商品化の技術の進歩も促進されるということになるでしょうし、何か設備をつくったときの運転効率なども高まってより経済的にも見合うものができる、そういうことも考えられるわけであります。  そういう意味で、もちろんこれは法律上のことで、実際の運用に当たっては双方向という、情報交換が欠かせないことではあると思うんですが、この法律の中で、国が定める再商品化計画について、市町村の分別計画あるいは都道府県の促進計画ですか、こうしたものをやはり勘案してというような形を含めるべきじゃないかというふうにも思いますが、それについて御見解を伺いたいと思います。
  171. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 主務大臣の定める基本方針は、容器包装にかかわる分別収集及び再商品化を総合的かつ計画的に推進するため、これらに関する国としての基本的な考え方を示すものでございます。また、再商品化計画は、基本方針に即して容器包装廃棄物の再商品化を行うための施設の設置の見込みを示すものでありまして、市町村分別収集計画策定するために、国全体で再商品化を行うための施設がどの程度設置されていくのかということを知っておくことも必要であることから、市町村に参考として示すものでございます。  このように、基本方針及び再商品化計画は、いずれも市町村分別収集を行うかどうかの判断を拘束するものではなくて、基本的な指針として市町村の参考として示すものであり、地域の実情を無視するようなことはないものであるというふうに思っておるところでございます。
  172. 上田勇

    上田(勇)委員 もちろん地域の実情を無視するということではないと思うんですが、ちょっとさっきも申し上げたんですが、やはり再商品化計画、こう再商品化できる、例えば法律で書かれている設備の容量だとか技術の度合いだとか、そういったことでもって定められるというような形に受け取れるわけであります。  これはいわゆるサプライヤーからの提案で、それに基づいて、じゃ、市町村がどういう形で収集をするかを決めるというようなことになっていると思うんですが、これはむしろ——そういった面も確かにあります。集めたけれども再商品化できなければもっとひどい状況になるわけでありますけれども、逆にただ、集めたいというそういう需要、そういったものがどの程度あるのか。あるいは、その設備に投資する、技術を開発するために投資するということも、そういったいわゆる市町村での分別収集についての考え方というのがそういう再商品化の設備投資、技術開発等においても重要な判断材料になるんじゃないかと思うんです。  そういった意味で、主務大臣が定める再商品化計画についても、これはやはり下から、市町村あるいは都道府県の集計したもの、そういったものも勘案してという形が望ましいんじゃないかというふうに考えたので、御質問をさせていただいたところであります。  ごみ問題は非常に深刻な問題でありまして、一般家庭、一般消費者の協力を得なくちゃいけないことであると思いますので、そういった意味では非常に重要な法案であるというふうに思います。そういう意味で、ちょっときようはもう時間でございますので、これで質問を終わらせていただきますが、さらにやはりでき得る限り幅広い意見を吸収し、それからまた国民各層に対しても、この法律の目的あるいはその内容、どういうふうに行っていくのか、そのイメージについても、十分周知をしながら検討していかなければいけないことだというふうに思う次第であります。  そういう意味で、来週連合審査ということで、いろいろ幅広い委員会からの御意見も承ることが決定しました。これは非常にいいことではないかというふうに思います。その意味で、ぜひとも国会の場においても、またさらに幅広く国民的な議論を起こして、この法律の目指しているリサイクル社会の実現に向けて取り組んでいかなければいけないということを強く感じるものであります。そういう意味で、ぜひともさらなる議論を当委員会また連合審査においても行えるように期待している次第でございます。  時間でございますので、これで質問を終わらせていただきます。  大変にありがとうございました。
  173. 白川勝彦

    白川委員長 本日の質疑は、以上で終了いたしました。      ————◇—————
  174. 白川勝彦

    白川委員長 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 白川勝彦

    白川委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事鳩山由紀夫君を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十一分散会      ————◇—————