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1995-05-17 第132回国会 衆議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月十七日(水曜日)     午後四時五十七分開議 出席委員   委員長 白川 勝彦君    理事 逢沢 一郎君 理事 甘利  明君    理事 額賀福志郎君 理事 古賀 正浩君    理事 増子 輝彦君 理事 大畠 章宏君    理事 鳩山由紀夫君       小川  元君    小此木八郎君       奥田 幹生君    梶山 静六君       金田 英行君    熊代 昭彦君       田原  隆君    谷川 和穗君       中島洋次郎君    丹羽 雄哉君       野田 聖子君    青山  丘君       石破  茂君    小池百合子君       白沢 三郎君    武山百合子君       豊田潤多郎君    西川太一郎君       山田 英介君    吉田  治君       後藤  茂君    佐藤 泰介君       沢藤礼次郎君    土肥 隆一君       松本  龍君    和田 貞夫君       吉井 英勝君    牧野 聖修君  出席国務大臣         通商産業大臣  橋本龍太郎君  出席政府委員         経済企画庁物価         局審議官    井出 亜夫君         通商産業大臣官         房長      中川 勝弘君         通商産業大臣官         房審議官    河野 博文君         通商産業省貿易         局長      広瀬 勝貞君         通商産業省産業         政策局長    牧野  力君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         中小企業庁長官 中田 哲雄君         中小企業庁次長 鈴木 孝男君         中小企業庁計画         部長      安本 皓信君         中小企業庁小規         模企業部長   小川 忠夫君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   福田  進君         国税庁長官官房         総務課国税企画         官       余田 幹男君         運輸省自動車交         通局技術安全部         整備課長    下平  隆君         労働大臣官房参         事官      井口  治君         労働省職業安定         局雇用政策課長 青木  功君         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十一日  辞任         補欠選任   西川太一郎君     熊谷  弘君   吉井 英勝君     穀田 恵二君 同日  辞任         補欠選任   熊谷  弘君     西川太一郎君   穀田 恵二君     吉井 英勝君 同月十二日  辞任         補欠選任   牧野 聖修君     大矢 卓史君 同日  辞任         補欠選任   大矢 卓史君     牧野 聖修君 五月十七日  辞任         補欠選任   笹川  堯君     石破  茂君   星野 行男君     白沢 三郎君   後藤  茂君     土肥 隆一君   前島 秀行君     沢藤礼次郎君 同日  辞任         補欠選任   石破  茂君     笹川  堯君   白沢 三郎君     星野 行男君   沢藤礼次郎君     前島 秀行君   土肥 隆一君     後藤  茂君     ――――――――――――― 五月十五日  特定中小企業者新分野進出等による経済の構  造的変化への適応円滑化に関する臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出第一〇〇号  ) 同月十六日  官公需の印刷物の入札制度改善に関する請願  (中島武敏君紹介)(第一〇〇四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月九日  円高に関する陳情書  (第二一〇号)  資源再利用処理工場設置リサイクルシステム  の確立に関する陳情書  (第二一一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  特定中小企業者新分野進出等による経済の構  造的変化への適応円滑化に関する臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出第一〇〇号  )      ――――◇―――――
  2. 白川勝彦

    白川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定中小企業者新分野進出等による経済構造的変化への適応円滑化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。橋本通商産業大臣。     —————————————  特定中小企業者新分野進出等による経済の構   造的変化への適応円滑化に関する臨時措置   法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 特定中小企業者新分野進出等による経済構造的変化への適応円滑化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  特定中小企業者新分野進出等による経済構造的変化への適応円滑化に関する臨時措置法は、経済の多様かつ構造的な変化影響を受け、または受けるおそれのある中小企業者新分野進出等を行う際に各般支援措置を講ずるものとして、平成五年十一月に制定されたものであります。  現在、中小企業者は、最近の円高の急激な進展により事業活動に支障が生ずるなど深刻な問題に直面しております。  このように中小企業者を取り巻く環境が一層厳しくなってきている中、中小企業者が前向きに事業活動に取り組み、こうした環境適応していくことが強く期待されているところであります。本法律案は、以上のような観点から、かかる中小企業者に対する各般措置を講ずることを目的として立案されたものであります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  最近の急激な円高進展という国際経済事情の急激な変化が、工業その他の特定業種に属する中小企業影響を及ぼしていることにかんがみ、その事業がこれらの変化による影響を受け、または受けるおそれがある中小企業者が行う新分野進出等、新商品または新技術の開発その他の新たな事業活動及びこれらの準備のための事業活動を行う中小企業者に対して、中小企業近代化資金等助成法特例措置及び課税の特例措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 白川勝彦

    白川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 白川勝彦

    白川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川太一郎君。
  6. 西川太一郎

    西川委員 早速、提出をされております中小企業リストラ法一部改正法律案中心に、橋本通産大臣中田中小企業庁長官初め御関係局長の皆様にお尋ねをしてまいりたいと存じます。  今般のこの法律改正提出がきょうの主たるテーマでありますけれども、しかし、この時期に通産大臣にじきじきにお尋ねができる絶好の機会でございますから、先般、日米包括経済協議自動車の部品問題を中心とされて大変御苦労さまでございましたが、本日の朝刊、夕刊を通じて大臣の御真意の断片を私どもは知るわけでございますが、せっかくの機会でございますから、御苦労のお話、また交渉結果が今後どういうふうに、見通しと申しますか、そんなものをまず概括的に冒頭お伺いをしたいと存じます。
  7. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変力足らず決着を見なかったこと、みずから恥じております。今回、残念ながらウィスラーにおきまして日米自動車及び同部品分野における交渉決着を見ることができませんでした。  これは、まず第一に申し上げたいことは、昨年の十月以降、本年の一月に交渉を再開するまでの間、すなわち、補修部品市場に対してアメリカ通商法三〇一条を適用いたしましてから中断をしております期間に何回か議論をいたしました。その時点で、いわゆるボランタリープラン、すなわち、個別の自動車企業がそれぞれ自主的に部品調達計画を公表している、この改定というものは政府の関与の外であり、そもそも包括協議の対象の外であるという原則が今回アメリカ側によって踏みにじられたからであります。この一点がなければ、ディーラーシップにおきましても補修部品市場におきましても、殊に補修部品につきましては運輸省諸君が非常に積極的な努力を払ってくれましたので、決着ができる一縷の望みを私は持っておりました。しかし、初日の会合から、七割までがこのボランタリープランへの積み増しの話に終始をする状況でありまして、残念ながらこの点によりまして私は全部が崩れていったと思います。  そしてアメリカ側は、このボランタリープラン積み増し日本政府が応じないということを確認いたしました段階で、ディーラーシップ並びに補修部品につきましてもまとめないという方向に作戦を変更し、どうしても食い違う部分を数え上げる態勢に変わったと思います。  そして、例えばディーラーシップの場合には、要するにメーカー日本ディーラーに対して影響力を行使し、ビッグスリーの車を取り扱わせないようにしているというアメリカ側議論に対し、独占禁止法の徹底、そしてメーカーがそういう行動をとった場合にきちんと政府として対応のできる体制、その窓口通産省に用意する、こうしたことまでを提示しておったわけでありますが、アメリカ側はそれだけでは信頼ができず、自動車メーカーそのものの中にもそういった苦情を受け付ける窓口をつくるべきだということを主張してまいりました。私は、それでもしまとまるものならメーカーを説得してこれを設けるという返事をいたしましたが、その返事をいたしました途端に、彼らはダウンペイメントという言葉を使いましたが、簡単に言えば頭金を出せ、すなわち、近い将来における外国車を取り扱うディーラーの数を明示せよ、それは販売台数の約束ではないから数値目標ではない、こういう議論を展開するに至り、私も、断念せざるを得ない状況、そのように判断をいたしました。  ちなみに補修部品につきましては、整備検査が一体であることがすべての問題点の根源であるというのがアメリカ側最後につけたクレームであります。  ところが、これは一九九〇年七月のアメリカ会計検査院報告の中に、二つの州の具体的な例示を挙げまして、検査整備を分離した結果、その州における検査制度が崩壊したという実例が掲載されております。  また、本土に復帰いたします前の沖縄で、一時期同じような、検査と分離をしておった時期があったようでありますが、これが結局ペーパー検査の横行という事態になり、本土復帰後、当然のことながら本土と同様の制度に改められるといった実例もあったようでありまして、アメリカ側の求めがいかに無理なものであるかということは説明を繰り返しいたしました。  最後に、カンター通商代表言葉をそのままにかりますならば、円高であろうと円安であろうと、あるいはドル高であろうとドル安であろうと、そしてアメリカの乗用車が性能がよかろうと悪かろうと、すべては日本市場閉鎖性が問題であると。これではどうにもならないというのが私の実感であります。  そして、昨日の夜十一時、アメリカ側としては彼らの言う制裁リストを公表いたしました。本日、我々は、ジュネーブにおいて正式にWTO提訴をする決定をいたしておりまして、ちょっと時差の関係で、もう済んだかどうか、私、今正確にはわかりませんが、いずれにいたしましても、本日中、これは提訴をいたします。  これからは国際世論の中で協議が行われることになるわけでありますが、四極通商会議の席上、EUあるいはカナダのこれについての反応を見ますと、彼らは補修部品市場あるいはディーラーシップについては日本がより市場を開放してくれることを求めております。しかし、それはアメリカにのみ開くのではなく、最恵国待遇をもって各国にその市場は均てんされるべきという主張を当然のことながら持っております。ボランタリープランについては明確にEUカナダも反対であるということをアメリカに通告したということを私にも申しておられました。  これからは、ある意味では、来週のOECDの閣僚理事会から始まりまして、両方のPR合戦という色彩が濃くなると思います。私は日本主張が国際的に通用しないものであるとは思いません。しかし、日本市場閉鎖性という宣伝が余りに強く行き届いており、一部日本のマスコミでもそうしたことを不用意にお使いになる方がありますために、この誤解を解くのには相当な苦労が要るであろうと思います。同時に、真正面から論議をいたします以上、我々は自分の前庭はできるだけきれいに掃除をしておかなければなりませんし、その意味におきましても規制緩和重要性は一層強くなっていると感じておりまして、党派を超えてハウスの御協力を心からお願いを申し上げる次第であります。
  8. 西川太一郎

    西川委員 大変御苦労さまでございました。  そこでもう一問だけ、時間の関係がございますから簡単にお尋ねして、次の問題に移ります。  ガットのドンケルさんが、日本は肝心なときになるといつもアメリカと直取引をして、せっかくのガットの機能を利用しないというようなことをかつておっしゃったことがあります。今度はWTOに改組されて、そこに初めて、初めてではな   こめい、米の問題がありますけれども、しかし、両国間で提訴するということになりますと、これはある意味ではWTOの初土俵で、日米ががっぷり四つに組んで戦うわけでございますが、アメリカ通商代表部法務担当者などはこれはもう勝てるという自信を持っているというようなこともあり、議会筋も支持を強めているなんという報道を聞きますと、日本輸出関係の者は大変心配をいたすわけでございます。  これは先のことでございますし、相手のあることですから、なかなか簡単にはお答えしにくいと思いますが、通産大臣、この問題の責任者として、WTOへの提訴自信を持ってやれるという御判断がどうか、重ねてお尋ねをしたいと思います。
  9. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 もし、ことしに入りましてアメリカ大使館の主要メンバーが、日本自動車メーカー一つずつを繰り返し訪問をされ、アメリカ側の要請を伝えられ、そして各社が、その経営判断の中で、到底ボランタリープラン積み増しができないということを明確に答え、その上で日本政府に何らかの上積みを求められたのではなかったら、あるいは私も妥協の道を模索する方法があったかもしれません。しかし、少なくとも一国の大使館、言いかえれば政府であります。これが、他国の民間企業に再三再四確認をし、経営判断が変わらないことを確認した上で、相手国政府にその経営判断を変更させろというようなことは、私は引き受けることのできないことであります。この一点に関しては、私は何と言われましても譲れません。  ただ、心配は、この二十日から制裁は現実に動き出すと申し上げることも可能なわけであります。その影響は、決してメーカーのみにとどまるものではなく、下請の皆さんあるいは部品メーカー等にも波及するわけであります。現在、事務当局諸君は、そうした事態が起こっても対応できるような、どうすれば政府としてこれらの業界に対しての支援の手を差し伸べることができるかを検討をいたしておりますが、まさに本日御審議をいただいておりますこの法律も使わせていただきながら、我々は万全の措置を講じてまいりたい。その上で、譲れない主張というものはきちんと国際場裏においても述べてまいりたい、そのように考えております。
  10. 西川太一郎

    西川委員 私どもも、これは単に政府・与党の問題であるとは考えておりません。国民ひとしく、この重要な問題を、英知を結集して事の解決に当たっていく努力をしなければならないというふうに私も考えております。  そこで、残された時間でリストラ法改正中心お尋ねをしていきたいと思います。  最近出ている雑誌に「いまさら人に聞けない円高の謎」という特集が載っておりまして、円高原因について諸説紛々としている。「複合円高」などという言葉も出ているわけでございます。  今回のこの法律改正を意図された背景には、当然、この急激な三月以来の円高が、我が国景況のせっかくの回復に冷や水を浴びせ、そして中小企業、なかんずく零細企業を大変厳しい状況に追い込んでいる、こういう認識があるわけであります。  そこで、政策当局としては、この円高原因というのを、いろいろ複合的にありますけれども、これはもう時間がありませんから、私から申し上げるまでもなく、もう共通の認識としてまずそれはあるとして、通産当局としては、また中小企業庁としては、どちらでも結構ですけれども、この円高についてどういう御認識を持ち、またこれをとめる方策は何なんだと、ずばりお聞きをしたいと思います。
  11. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、今回の円高引き金を引きましたのは、直接的にはやはりメキシコ経済通貨事情、そして、これに対するアメリカ対応措置というものが引き金を引いたと考えております。  しかし、それ以前から為替は問題になっておりました。そして、その中で、中小企業創造法等国会でも御協力をいただき、関連の法律整備させていただきながら対応を考えておったわけであります。ところが、このメキシコの通貨問題に引き金を引かれた形で、それがアメリカ対応等と相まちまして、私は、当初は完全にドル安全面安と申し上げるのが正確な状況であったと思います。しかし、そこに投機資金が流れ込むに至りまして状況は変わり、一時期は円の独歩高といった状況にもなりました。そして、そういう中で我々としては、今回御審議をいただきますこのリストラ法改正も含めまして、全力を挙げてこの事態対応してまいろうとしております。  しかし、本質的には、やはり私は、経常収支黒字の重みというものが、いろいろな場面でこの問題には影を出してくることは間違いないと思います。それだけに、この六百三十兆円の公共投資基本計画の前倒しというものを私どもは強く主張してまいりました。そして、大変不幸な事件でありましたが、阪神淡路大震災の教訓の中から、ただ単に阪神淡路地域の復旧、復興ということだけではなく、この機会に——この東京でもそうです、委員がよく御承知のようにゼロメーター地帯もあります。災害に強い都市というものをもう一度つくり直す、そうした目でこの公共投資基本計画を思い切って前倒ししていきたいということを私ども主張してまいりました。  そして、それに対して、私は本来、大蔵大臣経験者として、建設国債でも国債依存度が高まることは好きではありません。しかし、今回の事態の中では、思い切って赤字国債の発行に踏み切ることによって、国際社会に対して経常収支黒字意味のある縮減に日本政府が立ち上がったというサインを示す、これがやはり一番基本的な部分で大切なことであると思います。その上で、輸入の拡大でありますとか、さまざまなものを組み合わせていくこと、さらにその中において中小企業の本来持っております創造的な力を、その活力を生かしていけるような対応準備を進めていくこと、これがこの時期を乗り切るために必要なことである、そのように考えております。
  12. 西川太一郎

    西川委員 本日、午前中から午後四時半ぐらいまで、衆議院の規制緩和に関する特別委員会は、兜町の証券業界の視察に行ってまいりまして、実際に場立ちのフロアにまで我々は立たせていただいて、貴重な体験をしてまいりました。  その際、証券業界皆さん初め、証券取引所山口理事長など皆々様と意見の交換を超党派で活発に行いました結果、やはり共通して御心配になっておりますのは、せっかく底入れが九三年十月、十一月にあって回復を見ている、そして、多分二五%ぐらいの企業今期利益を計上できるであろうというやさきにこの痛烈な円高である、大変深刻であるということを伺ってまいりました。各種の陳情があったわけでございますが、大変私ども、実際の経済界御苦労を身にしみて承知をして帰ってきたわけであります。  話がちょっとくどくなりますけれども、昭和四十六年の八月十五日にニクソン・ショックがあったその直前に、当時の代表的な経済評論家であります高橋亀吉先生は、この円とドル関係、特にドルの円に対する切り下げ、信用不安、ドル不安、こういうものを解決するには、根本的にはドルの威信を回復する以外にない、キーカレンシーとしての自覚をアメリカが持つべきであって、日本がそれに対してできることは、各国政策的な協調を行うことと、もう一つは利下げであるということをおっしゃっているのですね。これは、今そのまま我が国がおやりになっているそれと同じことをおっしゃっている。つまり、先ほど来大臣がおっしゃるとおり、ドル円、この問題、特に円高円高と言いますけれども、今回のドル原因でという、こういう問題は、非常に歴史の長いといいますか、アメリカ自身が大いに反省をしていただくといいますか、体質を強化していただかない限り、なかなか根本的な解決はできないというふうに私ども思っております。  そういう意味では、今次のこの法律改正も、ある意味では対症療法ということになるのではないかという感じで、根本的な体質改善ということにまでつながっていけるのかどうか。いかなければいけないと思いますけれども、そこのところを中心に私としてはぜひお伺いしたい、こう思っているわけでございます。  そこで、ただいま大臣からかなり的確な御答弁をいただいておりますけれども、先回りをされて、黒字削減効果についてお尋ねする前に御答弁をいただきましたから、これは省略をして、次に、このまま為替レートがこの水準で推移したという場合には、雇用不安というものがどうなるのだろうかということは大変心配でございます。  そこで、労働省課長さんにおいでいただいておりますから、この雇用の不安とそれに対する対策いかんということでお尋ねを申し上げたいと思います。
  13. 青木功

    青木説明員 お答え申し上げます。  労働省といたしましては、最近の円高為替レートの変動にかんがみまして、三月末でございますが、ちょうど一ドル九十円程度からそれを切るという時点でございましたけれども、全国の千社ほどの企業に対しましてヒアリングを実施いたしました。その結果によりますれば、当時のその九十円程度水準でございますが、これで推移すれば雇用面での調整を実施せざるを得なくなるというふうに御回答いただいた企業が七%ほどでございました。さらに、今後さらに円高が進めば雇用面での調整を実施せざるを得ないというふうに回答をいただいたところが三割ぐらいというふうな結果になっております。  労働省といたしましては、このような中で、やはりこれが失業とか雇用不安につながることは避けていきたい、これが大切であるということを考えておりまして、去る四月十四日に決定を見ました経済対策閣僚会議決定を受けまして、円高などにより雇用調整をせざるを得ない業種に対します失業の防止を初めとする雇用対策、さらに、国内産業の高付加価値化を担う人材の養成、そういったことに重点を置きまして、さまざまな対策を推進してまいりたいというふうに考えております。  また、今国会におきまして特定不況業種雇用安定法改正をいただきまして、いわゆる失業なき労働移動というものを確保するための手だてもお決めいただいております。  そういったものをフルに活用しながら、今後生ずるあらゆる事態に対処してまいりたいというふうに存じます。
  14. 西川太一郎

    西川委員 先ほど大臣の御答弁の中で、規制緩和は非常に重要である、こういう御認識をお示しになりました。私も同感でございます。  まず御関係の方にお尋ねするわけでありますが、新分野進出が可能になる、そういう規制緩和にはどういうものが考えられるか、お示しをいただきたいと思います。
  15. 河野博文

    ○河野(博)政府委員 御答弁申し上げます。  先生御指摘のとおり、政府規制の緩和は、技術開発の推進などと並びまして、新規市場の創出を初めといたします我が国経済の活性化のために重要なかぎを握るものだというふうに考えております。私どもとしても具体的な緩和措置を次々と打ち出すということで、政府全体の規制緩和の推進力になってきたというふうに考えております。  先ほど御指摘ありました具体的なものといたしまして、私どもが当委員会で御審議をいただいて実施をしておりますものとして、ガスの供給の自由化、あるいは電力の卸売の自由化、また石油の輸入についての規制緩和などがあるわけでございまして、それぞれ、それぞれの分野に応じた新しい事業形態が誘発される可能性を秘めたものだというふうに考えております。  特に、四月十四日の緊急円高経済対策において、規制緩和推進計画を三年間前倒しで実施するというふうに決められたわけでございまして、私どもといたしましても、いわゆるJIS、日本工業規格あるいは大店法の見直しなどについて三年間の前倒しということで実施をさせていただくということでございます。さらにこれが引き続き実施され、また強化されていくということを希望しております。  個々の分野についての規制緩和もありますけれども、同時に、先ほど先生御視察なさいましたように、例えば株式市場規制緩和ども新規事業の開拓、開発に有効な手段であるというふうに考えております。
  16. 西川太一郎

    西川委員 実は、先々週でしたか、規制緩和に関する特別委員会で、私、総務庁長官に軽いジャブをあれしたのですが、そのときに予告をいたしまして、商工委員会通産大臣にも同じ質問をする、こういうふうに申し上げました。これは通告していないのでちょっと失礼でございますが、大臣の能力をもってすれば全く問題ない質問でありますから、お尋ねをさせていただきます。  純粋持ち株会社の問題でございます。  これは、独禁法の規制では、現行は、いわゆる同種の事業をやっている場合には持ち株をしていいということで、リストラの対象としてはそういうことで一生懸命現行法の中で企業はやろうとしておりますけれども、限界がある。したがって、この際、ただいまもお話にございましたが、河野審議官はそれを意図されておっしゃったのではないと存じますけれども、いわゆる株式の純粋持ち株会社、こういうものは欧米ではもう認めているわけでありますからどうだろうかということについては、橋本通産大臣は前向きに御答弁されたという当時の報道がございました。それに対して公取や総務庁長官は、戦後経済民主主義の最も牙城である、よりどころであるこの問題については、系列化を促進するという意味で望ましくないという御趣旨の反論をされた。そこで私は、総務庁長官に、閣内不一致ではないかということをお尋ねしたわけなのです。  私個人は賛成の立場で、いわゆる純粋持ち株会社、一定の基準を決めて節度ある方法でいくならば、こういう時期にはそれくらいしないといけないのじゃないかという感じを持っておりますから、どちらかというと大臣の御説に近いものを持って私としてはお尋ねを申し上げたわけでありますが、その際に総務庁長官は、決して閣内不一致ではない、違う意見があることは民主主義だからやむを得ない、むしろそれを蔵にしまってしまうのではなくて、そういう表現はされませんでしたけれども、もっとオープンに議論をするのだ、こういうことをおっしゃっていました。  さすれば、私どもとしては、規制緩和の五カ年計画の三年前倒しということを政府・与党は主張され、我々新進党側は、即やれ、こういうことを言っている中で、この問題を先送りにするということはいかがかというふうに思うわけでございまして、これにつきましてもひとつ大臣の御見解をこの際御開陳願えれば、こう思います。
  17. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに、一時期総務庁並びに公正取引委員会と私ども通産省との間で、この問題について意見を異にしていた時期がございます。しかし、その結果として、規制緩和五カ年計画の中に、純粋持ち株会社の問題については公正取引委員会が検討を約する、検討するということを明記いたしました。そしてこれは、当然のことながら、前倒しになりました三カ年間で結論が出されるものと私は期待をいたしております。そして、私は、純粋持ち株会社の制限は少なくとも緩和すべきであると思っております。  ただ、たまたまそれだけが今よく世上をにぎわせておりますけれども、同様のものとして私どもが求めておりますものはほかにもございます。例えば、社債の商品性の多様化でありますとか、今回の規制緩和五カ年計画の中では全く見送られましたコマーシャルペーパー、CPに関する規制でありますとか、さらにソブリン債を初めとする円建て外債の問題、そして短期国債市場、こうした分野におきましては、私は日本のこれからの経済を考えますとき、当然のことながら緩和をしてもらう部分というものは多数あると思いますし、それが民間の、殊に立ち上がりの時期における資金調達の道を開く、容易にするという意味でも、きょう御視察をいただきました証券市場、店頭市場等、随分活性化を大蔵省も努力をしてもらいました。次のステップとしてはこうしたものもあろうかと考えておりまして、こうしたものが相まって企業の活力を生んでいく、その方向に少しでも努めてまいりたい、私はそのように考えております。
  18. 西川太一郎

    西川委員 そこで、円高で苦しむ中小企業者に対する経営安定策というものが押しなべて必要であるというふうに思います。これを今次の法律改正の中でどういうふうに意図されておるのかということをお尋ねしたいと思います。
  19. 中田哲雄

    中田(哲)政府委員 円高対応いたします中小企業の経営の安定につきましては、私ども、いろいろアンケート調査等も実施しておりますけれども、先行きにつきまして中小企業の方々が大変な不安感を抱いている、かつまた、この三月の倒産の状況を見ましても、倒産の件数あるいは負債総額というものがふえてきておるといったようなことで、現下の最重要課題だというふうに思っておるところでございます。  このような観点から、四月十四日の緊急円高経済対策におきまして平成七年度補正予算案の骨格をお決めいただいたわけでございますけれども、この補正予算の中で、中小企業円高対策といたしまして六百七十五億円を計上させていただいておるわけでございます。また、資金供給面での金融対策といたしまして、一兆円に上ります追加的な貸付規模の拡大も予定をしているところでございまして、中小企業の経営基盤の安定強化ということで幾つかの対策を講じようとしているところでございます。  その一つは、政府中小企業金融機関によります新たな低利融資制度の創設でございます。財投金利を下回る金利によりまして七千億ほどの貸付規模の追加をいたしたい。それからまた、府県と一体となって実施をしております体質強化資金という融資制度がございますけれども、これにつきましても一千五百億ほどの貸付規模の追加をいたしたい。またさらに、信用保険につきましても保険限度額が倍額となりますような制度を設けたいといったようなことで、補正予算の御審議をお願いしているわけでございます。  委員御指摘の、今般御審議いただいております中小企業リストラ法におきましても、同様の観点から、円高に対します応急的、一時的な対応策ということで諸般の措置を講じようとしているところでございます。一つは設備近代化資金につきましての償還期間の延長、また税制面では設備投資減税あるいは欠損金の繰り戻し措置といったようなことでございまして、これらによりまして、中小企業の負担を軽減し、経営の安定に資することにいたしたいというふうに思っているところでございます。  これらの措置中小企業の方々に積極的に御活用いただきまして、ぜひ現下の経営危機といったものを乗り切っていただきたいというふうに考えているところでございます。
  20. 西川太一郎

    西川委員 長官の御答弁の細部にわたって、これからちょっとお尋ねをさせていただきます。  今、一般的に金融でございますとかいろいろなことをおっしゃったわけでございますが、私は前にもこの場で橋本大臣に申し上げたのでございますけれども、暇地獄という言葉を使わせていただきましたが、仕事がないのですね。まずそこのところなんですね、問題は。  実は、きょう長官にお尋ねするために、長官御自身がインタビューに答えられております週刊エコノミスト、これを見ますと、この中で唐津一先生が、新潟県の燕の洋食器の町が、今まで円高というと必ず映像資料に、委員長の御地元新潟県のことでございます、使われていたのに、それがこのごろとんと出なくなった。なぜかというと、この町はリストラに成功して有効求人倍率が一・五である。それは、今までのステンレス加工を建築金物に変えてみたり、ことしは流行のスノーボードをつくってみたり、ゴルフのクラブをつくってみたり、大変な御努力をしてこの危機から脱した、こういうのですね。だから、そういう工夫をされるところは本当に立派だと私は思いますし、私の地元の選挙区などは、頑張っているところと本当に今の波に押し包まれて沈没しちゃっているところと明確に出てきているわけですね。  したがいまして、こういう制度をおつくりになるのは結構なんですが、仏つくって魂入れずということわざのとおり、魂が入りやすいようなアクセスを考えてやらないと、いいものはできたけれども、そういうものを使うことすらできないというところに私は問題があるのじゃないか。つまり、いろいろな計画を出せ、例えば事業展開計画を今回は追加として出せ、それから前には新分野進出等計画を出せ、こういうことでございますが、実際にそれの成果は上がっているのでしょうか。数字的にもしお示し願えればありがたい、こう思います。
  21. 安本皓信

    ○安本政府委員 現行の中小企業新分野進出等円滑化法におきます新分野進出等計画等の承認実績は、平成七年三月末現在で千三百三十八件ということでございます。
  22. 西川太一郎

    西川委員 この千三百三十八件の内訳を御説明願えませんか。
  23. 安本皓信

    ○安本政府委員 内訳でございますが、これはちょっと非常に、どういうふうに分類して申し上げたらいいか迷いますが、一つは、地方別にちょっと内訳を申し上げますと、例えば北海道が十二件、それから東北地方、各県いろいろございますが、トータルで六十件、それから関東地方が四百八十八件、中部が三百四件、近畿が三百四十六件、中国地方が六十四件、四国が二十件、九州が四十四件という感じでございます。  また、今度は別の観点から、どういうものに出ているかというようなことを考えてみますと、いわゆる新分野進出と言われているものが合計で千百二十一件でございます。それから海外展開が二百十九件、それから新たな事業開始というのが十一件ございます。
  24. 西川太一郎

    西川委員 この新分野進出というのは、私どもが御説明を伺ったり資料をいただきますと、関連分野というか今までの、さっき申しました燕の例のようなケースが圧倒的に多い、そういうふうに思うわけでございます。私が問題にしたいのは、新たな事業の開始が十一件である、これについてちょっと、もう少し詳しく御説明願えますか。
  25. 安本皓信

    ○安本政府委員 今手持ちの資料、ちょっと必ずしも明らかではございませんが、新分野進出の中には、例えば商品を変えるとか、新しい技術を使って工程を変えてしまうとか、そういうものが新分野進出と分類されておりますが、事業開始はもう少し抜本的な、本当に新しい事業を開始するというもので分類されております。
  26. 西川太一郎

    西川委員 私は野党だけれども、せっかく味方をして質問をしようとしているのに、もうちょっと中身のあるというか、わかりやすい、新事業は新しい事業をやるんだ、当たり前のことじゃないか、こう思うのですが、具体的にどういうことをやるのか。
  27. 安本皓信

    ○安本政府委員 もう少し詳しく御説明しますと、ちょっと私の説明も今不正確でございましたので、訂正させていただきながら御説明しますが、事業開始としておりますのは、いわゆる製造業以外のところ、例えば建設業から例えば木材家具をつくるとかそういうもの、全く違う、製造業以外のところから製造業に入ってくるというふうな、そういうものを事業開始としておりまして、それが合計で十一件ということでございます。
  28. 西川太一郎

    西川委員 何か無理な理屈をつけて申しわけないのですけれども、私、先ほど対症療法に終わらせちゃいけないと申し上げたのはここのところなんですね。中小企業庁は、この法案については、近来にない中小企業政策としてクリーンヒットを打ったようなものだ、こういうことをおっしゃっているわけです。私もそれは認めます。しかし、これをホームランにしていきたいという気持ちがあってお尋ねをしているわけであります。  後ほど触れますけれども、補助金の額も、当初二億少しでしたが、我々がいろいろうるさく言って三億五千万ぐらいになって、その実績というものはだんだん上がってきたんですが、対象の事業数とか組合とかというのは非常に限りがあるんですよね。そこにまず問題が一つある。それから、今の十一件というのは、つまり、ニュービジネスとかそういうものの開発ができていないということの一つの結果なんですね。だから十一件なんですよ。関連のところ、自分が今までやっていたものの、何というんですか、インターディシプリナリーというのか、要するに、周りから起こっていく、派生じていくものについてはたくさん出てきているけれども、しかし、新たに我が国を引っ張っていくベンチャー企業というものが中小企業の一番のかなめなのに、ちょっと少ないんじゃないかな。ここらに私はやはり大事な問題があると思うのですね。そこらをひとつ、長官、いかがですか。
  29. 中田哲雄

    中田(哲)政府委員 現行のリストラ法によりますと、特定業種に属する事業を営んでいない中小企業者が新しい事業を始めるという要件になっているわけでございまして、委員御指摘のように若干入り口が狭くできているわけでございます。先ほど計画部長が御説明申し上げましたように、製造業を営んでいない方が製造業を営むというような、そういうようなケースを想定しているわけでございますので、相当に要件が狭いということでございます。  この辺を実は改善をしようということで、先般成立させていただきました中小企業創造促進法、こちらの方でこれを補ってまいりたい。新法の方では、これまで中小企業でなかった方、サラリーマンであった方が新しい事業を始めるといったようなもの、あるいは業種に縛られずに創業をしていこう、こういったものを支援したいというふうに考えておるわけでございまして、そちらの方で補いながら、両者相まって新しい事業の展開が可能になるように支援をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  30. 西川太一郎

    西川委員 そこで、今間口の問題が出ましたが、製造業と印刷業、情報処理サービス業、ソフトウエア業というふうに限っておりますけれども、このたびの円高で海外から随分安い商品が入ってくる。円高メリット、こういうことを言われているわけでございますけれども、これまで輸入品を扱ったことのない流通業者が不利な立場に置かれるということが容易に想像できるわけでありますね。そこで、なかなか難しいかもしれませんけれども、この円滑化法の対象に流通業者も加えるべきではなかったかという意見を私は持っているのです。  これは、法律的に整備をしたりいろいろすることの難しさということを承知の上での質問ですから、かなり無理を申し上げているという気がしますけれども、しかし、法律的にどんなにきちっと格好よくできていたって、困っている人を救えなければ意味がないので、政治というのはそういうものじゃないわけでございますから、流通業者の苦労を少し考えてあげる必要があるんじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  31. 安本皓信

    ○安本政府委員 新分野進出円滑化法におきます対象業種であります特定業種は、御承知のとおり、海外の地域における工業化の進展等の経済構造的変化影響を受けております。種として、製造業、ソフトウエア業、さらには情報処理サービス業等を指定しているところでございます。  今回の法改正は、御承知のとおり大変大きな円高がありまして、中小企業はこれからどうしたらいいかということで悩んでいるわけでございますけれども、そういう中で新分野進出について、例えば必要があれば行っていただくということがありますけれども、こういった海外におきますいろいろな大きな構造変化を受けている人たちの中には、やはりすぐにはそういう対応ができないという方々もおられまして、この間の息継ぎ、あるいは円高パンチに対して息を整えてから、新しくもっと抜本的なことを考えたいというふうな方々もいらっしゃるわけでございまして、そういう息継ぎの間をぜひということで今回の改正をお願いしているわけでございます。  そういった意味からいいますと、やはり円高によりまして構造的な非常に大きな影響を受けている現行法の業種がこの対象になるのが適当だと私ども考えておりますが、他方、御指摘のように輸入の拡大によりまして中小流通業を中心にして影響を受けておるわけでございますが、これらの者につきましては、従来から、商店街でありますとかボランタリーチェーンという非常にきめの細かいレベルで輸入品フェアというふうなことを実施するとか、あるいはことしの四月から中小流通業業務革新ネットワーク推進事業というふうなものを創設いたしまして、中小流通業者等が共同で行います輸入事業への支援を行ってきているところでございます。  これに加えまして、今般の緊急円高経済対策の中でも、輸入の実務でありますとかあるいは輸入支援施策等について知見を有しますアドバイザーを活用いたしまして、必ずしも輸入等について経験あるいは知識のない中小流通業者がその取り組みを積極的に進めるために、中小流通業輸入アドバイス事業というふうなものを設けたわけでございまして、さらには製品輸入促進税制というふうなものもございますし、こういったものをお使いいただければ十分に対応していただけるものというふうに私どもとしては考えております。
  32. 西川太一郎

    西川委員 今の御答弁もよくわかりますが、ひとつ、一例として申し上げたわけでございますけれども、臨機応変にこれからこの法律の間口を広げていただいて、大いに貴重なツールとして使っていただきたい、こう思うわけでございます。  あと三つほど簡単にお尋ねして、もう残りの九分間でございますので、答弁を簡略にひとつお願いをしたいと思います。  長官に伺いますけれども、このエコノミストのインタビューの中で、金融的側面として、金融機関が不良債権問題などの影響があって物的担保に非常に厳しくなっている、したがって、中小企業者が超金融緩和期にもかかわらず利下げのメリットを何も受けていない、こういう中における政策金融は非常に重要である、こういう御発言なんですね。私も全くそうだと思う。  きょう、銀行協会の橋本会長にそのことを、お名前を出して、これはもう公表されているあれでございますから、中小企業庁長官がこうやって心配しているからという話を申し上げました。なぜかというと、政府系金融機関の問題について余り活発にやられちゃ困るみたいな御発言があったから、私は、そうじゃないんじゃないか、むしろ逆に、政府系金融機関のことを心配するなら、早く一般の金融機関も中小企業、小規模企業に対して窮屈でない金融の実施を行っていただくべきではないかということをお願いを申し上げたのでございます。  そこで、長官、十分な資金供給をしていただくために、先ほど御答弁ございましたけれども、なかなか、代位弁済の問題があったりいろいろ大変だと思いますけれども、今度のことで十分な効果が上がるんだという自信がおありになるかどうか、まずそこをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  33. 中田哲雄

    中田(哲)政府委員 委員御指摘のインタビュー記事につきましては、いろいろお話を申し上げたわけでございますけれども、整理、圧縮されている部分がございまして、活字になってみますと若干意の尽くされていないところがございますので、そこはお許しを賜りたいと存じます。  中小企業金融につきましては、私ども毎日多数の中小企業の方々とお話をしておりますけれども、そのお話の中でよく出てまいりますのが、やはり政府系金融機関の充実をしてほしいという声でございまして、その背景として、民間金融機関から必ずしも十分な融資を受けられていないんだというようなお話があるわけでございます。  このような状況の中で中小企業が構造変革の大変に厳しい時期を乗り切ってまいりますためには、私は三つの面で措置を講じなきゃならないというふうに感じております。  一つは、政府中小企業金融機関によります低利融資の充実でございます。現時点で三機関の貸付残高が約二十九兆ございますし、平成七年度の計画でもさらに七兆を超える新たな貸し付けをやりたいというふうに考えておりますし、先ほど申し上げましたような補正予算でもいろいろな手当てをしているわけでございます。これを今後さらに質、量ともに充実をさせていくということが肝要であろうというふうに思っているところでございます。  それから二点目は、信用補完制度の充実でございます。中小企業信用保険公庫あるいは信用保証協会を通じます中小企業向けの保証債務残高は、約二十七兆円に達しているわけでございます。今後とも担保力に欠けます中小企業に対する民間資金の導入を促進していくというためには、この信用補完制度が極めて重要でございます。本年度の当初予算あるいは補正予算でも手当てをしておりますが、さらに充実を図ってまいりたいというふうに思っております。  それから第三は、民間金融機関からの融資の円滑化でございまして、この点につきましては、去る五月十二日の閣議後の閣僚懇談会におきまして、橋本大臣から大蔵大臣にも適切な指導をお願いをしていただいたわけでございますけれども、事務方としても金融当局と一緒になってこのあたりの手当てをしてまいりたいというふうに思っております。現在の予算措置等で考えますと、現時点での中小企業に対します資金供給のあり方につきましては、当面十分な貸付規模を確保できているだろうというふうに私どもも思っているところでございます。  いずれにいたしましても、中小企業金融の非常に大きな部分を占めております市中金融機関からの資金の流れを円滑化するという点は大事でございますので、今後ともこれに意を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  34. 西川太一郎

    西川委員 最後に、橋本大臣に二問まとめてお伺いして、質問を終わりたいと思います。  今長官からお話がありましたとおり、七回にわたる利下げ、一%に公定歩合がなっても、そして超金融緩和のこの時期に中小零細企業は大変厳しい環境に置かれているわけでございまして、大蔵大臣御経験者として、いわゆる民間金融機関に対しましてもぜひひとつ督励をしていただきますようにお願いをしておきたいと存じます。  最後お尋ねをいたしますのは、国内の製造業対策として、円高メリットを享受して海外から原材料や中間財を安く仕入れることが考えられます。そして、それがうまくいけば内外価格差是正のためにも資する、こういうふうに考えるのでありますけれどもなかなか下がらない、こういう問題が実際にあるようでございます。これに対して通産省としてどういう御指導なりいろいろな政策的な御努力をされるのか、それが一点。  それから、この法律が施行されましてから承認件数約一千件で、先ほど申し上げましたとおり、かなりの成果を上げているというふうに私も思います。そこで、ぜひひとつ補助金の額をもう少し上げていただかないと、東京てたしか一カ所なんですね、組合は。組合として補助金を受けられるところは一カ所しかない。各都道府県、四十七都道府県、企業数にしても一つ、二つなんです。ですから、ここはぜひひとつ、実績を見ながらということもそうでございましょうが、大臣のひとつ御努力で予算もふやしていただきたい、このことを、御決意を伺って質問を終わりたいと思います。  大変な時期でございますが、どうぞ頑張っていただきたいと思います。以上でございます。
  35. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 順番を逆さにしてお答えをして恐縮でありますが、最後の御要望の点は、次年度の予算編成に向けまして十分我々としても勉強させていただきます。  また、私どもは既に民間金融機関における現実の融資体制に非常に危惧の念を抱いております。金融機関にまともに問い合わせをいたしますと、むしろ我々は貸出先を探しているんですという答えが判を押したように返ってまいります。しかし、まさに委員が先ほど御指摘になりましたように担保不足といったものが原因になり、実行に移されておりません。ちょうど先週の閣議後の閣僚懇談会であったと思いますが、中小企業白書の閣議の後、閣僚懇談会の席上、私から大蔵大臣に対しまして、民間金融機関の融資状況についてぜひともチェックを願いたい、そして改善を願いたいというお願いを申し上げてまいりました。同様の御指摘を本日も受けまして、今後ともに金融当局を通じまして民間金融機関の体制に改善が見られるように努力をしてまいりたいと考えております。  また、御指摘を受けました内外価格差の問題につきましては、この急激な為替変化の中で、既に通産省といたしましては、所管いたします関連する業界のすべてに対して要請をいたしてまいりました。そして、四月中に全部の業界に対してその要請をいたしました。政府全体としては、五月の末までに経済企画庁の手元でその状況を全部取りまとめ、そのメリットがいかに還元されているかいないか、その事実を把握し、公表するようにいたしております。その中で少しでもその状況改善されますように一層努力をしてまいりたいと考えております。  ありがとうございました。
  36. 西川太一郎

    西川委員 どうも、委員長、ありがとうございました。
  37. 白川勝彦

    白川委員長 次に、吉田治君。
  38. 吉田治

    ○吉田(治)委員 本当に円高というものが大変な状況になってまいりまして、もう日本で物をつくるなというふうな神の啓示なのかなという気がすると言うある経営者の方もいらっしゃいまして、今般の俗称中小企業リストラ法改正案に関して、この改正案については二年間の時限ということで、緊急的な、また一時的な、ある意味で緊急避難的なものだというふうに承っております。  それでしたら、この二年の間に、先ほどの西川議員の質問の中に為替の安定についての質問があったかと思いますが、為替が安定できずに、残念ながら円高がより一層進んだ場合に、今後の政府対応というのですか、それはどういうふうにお考えになっているのか、その辺の行動の方針と決意というものを大臣の方からお答えいただければと思います。
  39. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 我々は、現在の為替水準がまさに行き過ぎたものであると考えております。その行き過ぎた為替状況でありますからこそ、こうした緊急の法律改正をお願いを申し上げなければならない状態になりました。そして私は、この状況が一日も早く日本経済の実力に合った水準に落ちついてくれることを心から願っております。  と同時に、私は、我が国の産業界というもの、製造業界というものにつきまして、委員ほど悲観的に物を見てはおりません。むしろ緩やかな円高といいますか、日本経済の伸展に応じた為替の推移でありますならば、これを十分吸収し得るだけの能力をお持ちである、私はそう信じております。  なぜなら、昨年の七月にこの中小企業についての調査を行いましたとき、その採算分岐点は百十三円でありました。今回、三月に入りまして急速な為替の変動に私自身も本当に動転をいたしまして、中小企業庁諸君に三月八日時点での調査を依頼したわけでありますが、この時点で、各関連企業中小企業の採算分岐点は百十円にまで改善されておりました。私は、これは大変な御努力であったと思います。  ですから、これだけ急激な為替の変動がなければ、十分に対抗力を持った企業運営をしていかれたでありましょう。それだけに、我々はこうした時限立法をもってこの時期を乗り切るお手伝いをさせていただきたい、そう考えているわけでありまして、私は、この時期を全力を挙げて乗り切っていただきますと同時に、財政当局、金融当局諸君には為替を一日も早く安定させるための努力をお願いを申し上げ、我々の努力とあわせてこの時期を乗り切ってまいりたい、そのように考えております。
  40. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大臣が言われるとおりで、本当に楽観的に考えればそういうことなのかもしれませんけれども、もしも万が一、不幸なことに同じような状況が出てまいりましたら、よくマスコミ等では一ドル五十円まで行くんじゃないか、百円という三けたの数字が割り込んだら、あと二けたは、十円も二けただよというふうな声もあったり、各経営者、また業界の方々というのは、またそこに勤めておられる方も非常に不安におののいておられるのではないかなというのが正直な気持ちではないかと思います。  その中で、この改正案ですけれども中小企業の予算は年間大体二千億だと私は聞いております。前の商工委員会の質問のときにも申し上げましたように、一方、ガット・ウルグアイ・ラウンドで農業対策費、これは性格が違うといえば性格が違うものでしょうけれども、やはり何兆円という金額が紙面をにぎわしました。私ども何度も申し上げますように、中小企業の町大阪へ帰ると、どうなっているんだ、同じ額に汗して働く者が、同じように国際化というふうなものの中で、片一方は何兆円も国から補助がおりるらしい、何かしてくれるらしい、吉田さん、あんた商工委員だったら、中小企業に何ぼ金が使われているの、いやあ、残念ながら二千億なんですよ、どういうこと。吉田さん知っているか、税金がで中学校ではこういうふうに社会の先生が教えているんやで、トーゴーサンだと。サラリーマンが十割、自営業者が五割、農業の方は三割だ。三割しか捕捉されていない農業の人たちにそれだけお金をやる必要があるのかというふうな声も出ております。  これは、大蔵大臣を務められた橋本大臣におかれましては、いやいやそんなことはないという反論というふうなことをされたいのはよくわかりますけれども、それが商工業者、なかんずく中小零細企業の経営をされている方の偽らざる意見ではないかなと思っております。  その中におきまして、先ほどの質問、答弁の中で、前回のリストラ法の中で約一千三百件の申請があったと聞いております。今回この二年間という期間、これからという期間の中でこのリストラ法の件数というのですか、どれぐらい見込まれておられるのでしょうか。
  41. 安本皓信

    ○安本政府委員 現行リストラ法は千三百三十八件でございますが、今回の法改正に基づきます事業展開計画は、既存の新分野進出等計画の申請に比しまして、施策の利用可能者の範囲というか要件が非常に緩くなっているということ、あるいは計画の中の記載内容も、従業員の研修や外部からの指導というふうなものでもいいというふうなことになっているということでございまして、さらに幅広く中小企業者の方々に御利用いただけるものではないかというふうに考えております。
  42. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それに対する予算は十分にとってあると認識してよろしいのでしょうか。
  43. 安本皓信

    ○安本政府委員 今回の措置は税制に係るものが中心でございまして、これとは別でございますけれども、関連対策として、円高対策として別途六百七十四億円という補正予算を措置しております。
  44. 吉田治

    ○吉田(治)委員 そういう中で、一番心配しておるのは、経営者のみならず、勤めていらっしゃる方が自分たちの働く場というのですか、雇用というふうなものを非常に心配されておられると思います。  今から十年前のプラザ合意の後の円高不況、バブルの前でございますね、私も当時研究生活をしておりましたので、現場を見に行くという形で、自動車産業でありますとか鉄の業界とかへ行きましたときに、下請企業の方という言い方はよろしくないのですかね、協力会社の方々のお話を聞くと、本当につい涙が出てしまうようなお話でした。吉田さん、私はここの会社に勤めたら一生ここの町で生活できる、ここで家も建て、子供を育てると思うたら、円高というもので突如、当時は海外進出ということが出ておりまして、親企業が行くから私たちも行かなあかん、私は高校しか出てへん、英語もしゃべられへん、これは海外へ行かなあかんのかな、私の人生は何だったのかなと。  鉄の方もそう言われました。こういう機会に、今で言うならリストラですか、当時合理化という言葉がありまして、よく世上で鉄の会社は合理化すればすぐ利益が出るような企業だよというふうなこともありまして、そういうことをついぽろっと申し上げますと、人事担当の方ですか、涙を浮かべて、お若いからそういうふうなことを言われるのでしょうけれども、そういうふうにされる人間の身になったらどうですか、そんなことでいいのですかと。  私が政治を志したのは、一番そこが原点です。日本の政治家という人が、何かニューヨークのホテルヘ集まって、こうこうこうだよと一つ決めた結果によって私たちの生活がこう変わっていく。本当にこれで日本の政治はいいのですかというふうな、その涙というものを私は今でも忘れることができないのです。  ですから、この円高関係するリストラ法に関しては並々ならぬ関心を私も持っておりますし、ぜひとも早期の成立、そして運用をお願い申し上げたいのですけれども、その中におきまして雇用というもの、働く場ということ、前回千三百件の申請があった、そういう状況の中で、雇用に対して具体的に何か、合理化をしたとか人がこれだけ減ったという具体的報告があるのかどうか。  また、そのときの附帯決議の中にも、「雇用の安定に配慮するよう指導を行うとともに、雇用安定施策の積極的活用を図ること。」というふうな附帯決議が第四項目に出ております。また、本改正案におきましても、新分野のみならず新規の事業を展開する場合には雇用の安定を図るという言葉が出ております。それについて通産省として具体的な何か施策を行ったのか、調査を行ったのか、またトレーニングを含めて今後何らかの施策を行っていこうという計画があるのかどうか、その辺をお答えいただきたいと思います。
  45. 安本皓信

    ○安本政府委員 新分野進出法、通称リストラ法と呼んでおりますので、そのリストラという名前がちょっと印象悪いのかもしれませんが、新分野進出円滑化法の主眼は、やはりまさに新分野進出を支援して中小企業の活力ある発展を図るということ、つまりは雇用機会の安定でありますとかあるいは増大、できれば増大ということを目指したいというふうに考えているわけでございます。  私どもといたしまして、承認を受けた計画につきまして調査いたしましたところ、全部の調査ではございませんが、千三百三十八件のうち百件をサンプリング調査いたしましたところ、その計画の中で雇用者を減らしているという件数は一件もございません。  それから、私どもの実施要領等で、計画を承認する際にはそういった雇用問題が生じないようにということを通達しておりますので、そういった点で承認の際にいろいろ配慮が行われているというふうに考えております。
  46. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでは、通産省として具体的に何かトレーニングですとかそういうふうなものをプログラムしてどうこう、そういうふうな、アドバイスをしたり助言をしたりということはこの過程においてはなかった、そう認識してよろしいんでしょうか。
  47. 中田哲雄

    中田(哲)政府委員 リストラ法の運用に関しましては、これまではそういうことはなかったわけでございます。むしろ、計画上いろいろな記載項目がございますけれども、その中に雇用の項目もございますが、特に問題になるようなことはなかったというふうに承知をしております。  ただ、この従業員のトレーニング等につきましては、雇用の維持の観点からも大変重要でございますので、まさに今度の法改正によりましてそのようなことを計画に盛り込んで実施をしていただく、そういう場を設けたいというのが改正のLつの趣旨でございます。
  48. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでは、雇用の問題というのは労働省の管轄になってまいりますので、労働省の方に来ていただいていると思いますが、じゃこういうリストラ法という法律が出る、雇用問題ということに関して、通産省と労働省の間に何らかのリンクがあったのかどうか。  また、これの問題だけじゃなくて、雇用というものに関して、今よくマルチメディアの時代とか言われております。マルチメディアの管轄はたしか通産の管轄だったと思います。でもそのトレーニングというのは、やはり労働省の方で管轄してやっていかれることではないかなと思っております。その辺のリンクというものはどういうふうになっておるのでしょうか。お答えいただければと思います。
  49. 井口治

    ○井口説明員 ただいまのお尋ねでございますけれども、こういった事態に対処するためのトレーニングはどうなっているかということでございますが、もとより通産行政と労働行政一体となってこの問題に取り組んでおります。  例えば、私ども事業再構築を実施する事業主の方々に対します種々の助成金を設けておりますが、その中で雇用高度化訓練奨励金という制度がございまして、これは労働大臣の方へ申請をいただきまして、その認定のもとに配置転換、出向、再就職のあっせん等を行う場合の労働者、そういった方々に対しまして事業主が訓練をされる、こういった場合の助成も組み込んでおります。  これらの政策は、いずれにいたしましても商工政策と一体となって取り組むべき性格のものでございまして、従前より商工施策と緊密な連携のもとに実施を図っているところでございます。
  50. 吉田治

    ○吉田(治)委員 関連して、雇用調整助成金という制度がございまして、これを使っての企業側のいろんな取り組みというふうなものがあるんですけれども、これに関して労働省の方、いかがでしょうか。どれぐらい昨年度この雇用調整助成金というのが使われたのか、活用されておるのか。その中における大企業中小企業の比率というのですか、その辺数字がありましたらお教えいただけますでしょうか。
  51. 井口治

    ○井口説明員 平成五年度の雇用調整助成金の利用実績でございますが、総額で三百八十五億円でございます。そのうち中小企業の利用でございますけれども、二百十六億円で、全体の五六%強となっておるところでございます。
  52. 吉田治

    ○吉田(治)委員 やはりパーセンテージからしても、非常に中小企業の方が厳しいというのが数字からもわかると思うんですけれども、ただ、一つ、私いろいろな話を聞いておりますと、この調整助成金の制度自身の周知徹底という部分では、よく名前は聞くけれども余り知らないということをよく聞くのですけれども、その辺のPRというのですか、広報活動というのはどういうふうになっておるのでしょうか。
  53. 井口治

    ○井口説明員 雇用調整助成金につきまして、中小企業の方々の利用を促進するということで、企業向けの制度の概要を説明いたしましたパンフレットをつくっております。これによりまして制度の周知を図っております。また、それとあわせまして、私どもガイドブックというものをつくっておりまして、それによりましてこの制度の利用に当たりましての具体的なノウハウ、こういうものを提供いたしております。それから、全国の公共職業安定所におきまして、事業主の方々にお集まりをいただきまして説明会を開催する、こういったことを行いまして、本制度中小企業事業主の方々に対しましてより活用しやすいものとなりますように努めておるところでございます。
  54. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今、そういうふうな広報活動という部分でいいましたら、このリストラ法、先ほどから一千三百三十八件の利用があったというふうに聞いておりますけれども、これは主な目的とする製造業の数というのは全国で八十一万六千事業所がある。その中で計算しますと、その中の一千三百三十八事業所しか、ある意味で使っていない。  カウントの仕方がいろいろあると思うのですけれども、何かその辺に周知の方法、広報活動の仕方というものに問題があるのじゃないかなといつも商工の質問の中で申し上げておるのですけれども、やはり知っておる人と知らない人の違いが出てくる。  それで、どういうふうな周知活動をしているかというと、大体都道府県なり市町村なり、そしてそこから中小企業団体中央会、中小企業団体の関係業種、また商工会議所等というふうな形でおろしていっているというふうなことがよく言われております。それですから、少し発想を変えられて、そういうことをされているかとも思うのですけれども、各市の、市の広報誌に載せていただくとか、そういうふうな活動まで踏み込んでやられているのかどうか。また、今後ともそういうふうな広報活動、周知、皆さんに知っていただくという活動をこれから積極的に進める計画があるのかどうか。  やはり知ると知らないのは大違いというのはこういうことがあると思います。またいろいろ御相談を受けたときも、知っている人は、前回のリストラ法の法案の途中から、どこへ申請しに行ったらいいのか、どこでこれをやってくれるのか、具体的なことはもう法案が通る以前から知られているのですけれども、知らない人に関しては、いろんなところでお話し申し上げたら、ああそんなのがあるのというふうなやはり反応というのが出てくると思います。  やはりできましたら、こういう公の、行政がやるということはどれだけ周知が徹底できるか、その費用もばかにならないと思いますけれども、いろいろ知恵を絞ってしていただきたいと思うのですけれども、その辺の現状、また今後の方針というものをお聞かせいただきたいと思います。
  55. 安本皓信

    ○安本政府委員 PRにつきましてはこれまで、先生御指摘のとおり、都道府県あるいは商工会議所とか商工会でありますとか中小企業団体を通じて行ってきているところでございます。  本件、今回の改正につきましても幅広くPR活動をしたいと思っておりますが、例えば中小創造法のPR、まだやっているところでございますし、そういう中に織りまぜたり、あるいは緊急円高経済対策とあわせて説明会等も今後行っていきたいと思います。また、先生今御提案のありましたようなことにつきましても積極的に検討いたしまして、できるだけ中小企業者の方々に広く知られることになるように努力したいと思っております。
  56. 吉田治

    ○吉田(治)委員 よくわかりました。知らない人がいないようにするのはまず不可能かもしれませんが、できるだけ積極的なPR活動、たしか総理府の方ですか、総務庁の方ですか、テレビ番組、土曜日の朝でしたか、やっていたりしておりますので、そういうところへ通産大臣が積極的に出ていただいて、中小企業のために行政はこれだけしているというふうなことをPRしていただければなと思っております。  次に、先ほどのリストラ法、一千三百二十八件の新分野、先ほど西川議員の質問の中にも、食品関係をやっていらっしゃる方は関連業種の食品関係という形で、なかなか新分野、全然違う分野に行くのは難しいということはあると思いますけれども、数字を見ていきますと、余りにも同じ業種への関連展開というのが多過ぎるのではないかなというふうな気がいたしております。それはそれで結構かと思うのですけれども、中身の問題だと思うのです。  そこで、申し上げたいのは、地元というのですか、いろいろな方、商工業者のお話を聞いておりますと、いや、これは通産の人たちというのですか、商工行政に携わっている方も、次の飯の種というのですか、こういうふうな業種が成長しそうだよと十四項目か十六項目か出されておりますが、あるけれども、それが具体的にお金もうけになるのかどうか、飯の種になるのかどうかというのは非常にわからない。また、先ほどの広報ではございませんけれども、情報ですね。ある方に聞きますと、例えば産業技術総合研究所に依頼して聞いてみても、ちょっとわかりまへんなというお答えが返ってきたりして、どこから探していっていいのか、どこから手をつけていっていいのかというお話があるのです。  その辺のお考えというのですか、次の飯の種、何項目、これがあります、そういうのは結構です。どういうふうなことを考えて、次にそれをどういうふうにまた情報として流していくのかということをお答えいただきたいと思います。
  57. 安本皓信

    ○安本政府委員 御承知のとおり、昨年六月の産構審基本問題小委員会の報告書におきまして、今後さらに発展が見込まれる市場分野につきまして、従来の産業分類にとらわれず、住宅関連でありますとか医療・福祉関係、情報等、十二の新規成長分野を提示したわけでございます。しかしながら、こうした分野だけが成長分野というわけでは必ずしもございませんで、今予測されないようなところに成長分野が潜んでいるということも考えられるわけでございます。  私どもとしては、中小企業が御自分のすぐれた企業感覚といいますか事業感覚でこういった情報収集をみずからやっていただくということも非常に大切なことだと思っておりまして、例えば、そういった情報収集活動あるいは同業者の方でいろいろお考えいただく活動を支援するものとして、活路開拓ビジョン事業というふうなものがございます。そういったものを実施いたしまして、さらに企業者が御自分の感覚あるいは問題意識で新しい成長分野が何かということを探していただく、そういうお手伝いをしたいと思っておりますし、今回、緊急対策事業開拓コンサルティング事業というものを創設いたしましたが、これも大企業等、他の会社で、あるいは研究分野、あるいは別の分野で働いてこられた方々の知見をもとに新たな分野ということを開拓していただくためにそういった事業を設けたわけでございまして、ぜひ御自分たちの感覚で情報収集に当たっていただきたい、それを支援していきたいというふうに考えております。
  58. 吉田治

    ○吉田(治)委員 よくわかりました。  ただ、ちょっと一点気になる数字がありまして、一千三百二十八件の中で低利融資を受けられた方が四百四十四件でございまして、これは何か理由があるのでしょうか。もともと低利融資を求められなかった、もしくは求めたけれども申請が却下されたとか、その間の、三分の一しか低利融資を求められなかった何らかの理由というものがあるのかどうか、あれば教えていただきたいと思います。
  59. 安本皓信

    ○安本政府委員 計画を承認された方々、必ずしもリストラ融資を全員が申し込んでくるというわけではございませんで、リストラ法で用意しております税制上の措置でありますとか、例えば保証、保険といった他のところの措置を求められる方もいらっしゃるということでございまして、大ざっぱに言いますと大体三分の一の方がリストラ融資を申し込んでおられて、全部ではございませんが、大方の方々が融資を認められているという状況でございます。
  60. 吉田治

    ○吉田(治)委員 次に、緊急円高経済対策における中小企業円高対策について質問を申し上げたいのですけれども、それ以前に、どうもこういう円高という話になりますと暗くなってまいりまして、何か悪いごどのような、日本経済がだめになっていく前ぶれではないかというふうなイメージを持ったりするのですけれども、ここでひとつ、円高メリットというのですか、円高によってこれだけよかったよというふうなお話をちょっと私は聞かせていただきたいなと思うのです。  物価でありますとか、さまざまなこと、内外価格差の問題とかあると思うのですけれども経済企画庁の方、その辺、メリットの部分はどういうものがあったのかというふうなものをお聞かせいただければと思います。
  61. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えを申し上げます。  円高進展によりまして我が国の物価の上昇率というのは諸外国に比べまして大変安定的に推移をしております。そういうことで、私ども円高のメリットが物価の安定に寄与をしているというふうに基本的に考えております。  ただし、今回の三月以来の急激な円高、これはファンダメンタルズを反映しているものではなくて是正されるものであるというふうに考えておるわけでございますけれども、仮にこれが継続するといたしましても、その効果というものが消費者物価へ波及するにはかなりの時間を要するのではないかということで、もう少し長期的に見まして、平成五年二月以降に進展をいたしました円高の効果につきましては、これは小売価格に着実に波及をしております。特に輸入消費財等々を中心にしまして、商品の価格というものは下落を示しておるわけでございます。  また、サービス価格の上昇率につきましても上昇率は大変鈍化をしておることから、諸外国でこの間の物価の上昇率というのが大体二%ですとか三%という状況の中で、我が国におきましては大体一%台とか一%を切るというふうなことになっておりまして、そういうことで、円の購買力平価というものに着目をいたしますと、これは着実に改善を示しております。  ただし、為替レートの方がそういう購買力平価の改善を上回って急激に進むものでございますものですから、内外価格差というところに着目をいたしますと、内外価格差の拡大というものが一時的にはやはり避け得ないという状況でございまして、私ども円高差益の還元と同時に、内外価格差の是正ということを一つの大きな政策課題にしてやっておるところでございます。
  62. 吉田治

    ○吉田(治)委員 物価の部分、内外価格差の部分、いろいろお話を聞かせていただいて、思い出すのは、このゴールデンウイークの最終日ですか、どこのニュースも海外からの帰国ラッシュだ。帰国ラッシュでどういうことが聞かれているかというと、みんなマイクを向けて何を聞くかというと、海外へ行って何をしてきましたかと言ったら、物を買ってきました。幾ら買ってきましたかと言うたら、こんな言い方は非常によくないかもしれませんが、普通のOLらしき方が四十万買ってきました、五十万買ってきました。そういう方々が何万人も海外へ出られて物を買っておられる。  これは反対に言いますと、内外価格差があるからというのと同時に、日本の国内からしますとそれだけの消費が海外に逃げでいっている。景気回復においてやはり個人消費の力というのは非常に大きいものがある。それが海外にまで行って、みすみす海外にそれが逃げていっているという部分があるのは非常に残念ではないかなということ、これだけは一言申し上げまして、続きまして、緊急円高対策についての件について御質問申し上げたいと思います。  緊急円高対策、緊急対策並びに構造改革対策というふうなことを銘打たれてされていますが、やはりこの件について、いろいろ地元の方、中小零細企業の方とお話ししますと、まず最初に出るのは、いや、それはよくわかった、それ以前にしてもらいたいことが一つあると言うわけです。  どういうことですかと言うと、バブルという言い方はよくないかもしれませんが、あの景気のよかった時代に高い金利で政府系金融機関からお金を借りた、十年間の契約だ。それを何とか、今安い金利に、借りかえという言い方がよくないのか、そこから借りてきて一括して返してというふうなことをしたい。でも、なかなかこれは認めてくれない。もうそういうふうに約束は約束で仕方がないんだけれども、でも、その高い金利をこの不景気のときにまた払わなければいけない。聞けば、住宅金融公庫、これは性質が違うかもしれませんが、住宅の場合は住宅金融公庫の一括返済というのもあるではないか、なぜ商売をしている者にはそういうふうなことについて厳しいのかなというふうな率直な意見がございます。  それで、こういうふうないろいろな制度でこれだけお金を使うんだというんだったら、いや、それ以前に体質的なものを改善するために、そういう高い金利のものを何とか一括返済でもして安いものにかえたいんだ、何とかならぬのかなというお話をよく聞きますが、これは何とかならぬのでしょうか。
  63. 中田哲雄

    中田(哲)政府委員 金利の高かった時代に融資を受けられました中小企業者の方々から、委員御指摘のような御要望があることは私ども承知をしておるところでございますけれども政府中小企業金融機関の融資につきまして、既往債務の借りかえというものを認めるということは、実質的に約定金利の変更を行うということにつながるものでございまして、大変難しい問題でございます。  御案内のとおり、融資を受けるに際しましては、固定金利と変動金利のいずれが有利かといったような問題があるわけでございまして、いずれも一長一短あるわけでございますけれども政府中小企業金融機関につきましては、景気等に伴う金利変動に対して安定しておる、かつ長期的な資金計画の立てやすい固定金利制をとっているところでございます。これを変更しようといたしますと、貸付原資との関係で、金融機関の健全性に支障を来すおそれもあるわけでございまして、現在の制度では大変に困難な問題でございます。  ちなみに、中小企業金融公庫等におきましては、金利の高かった時代の既往債務につきまして、返済に支障を来しております中小企業者の負担を軽減するために、平成五年六月から返済資金緊急特別貸付制度というものを適用しておりまして、十六億ほどの実績があったわけでございますけれども、昨年十一月からは申し込みが一件もないということで、現在は運用を停止しておるところでございます。  いずれにいたしましても、中小企業者の方々のそれぞれの負担のあり方、あるいはそれぞれの信用力、資金力のあり方については千差万別でございます。私ども、これからも個々の中小企業者の方々の実情に合わせて、償還猶予等々につきまして弾力的な配慮をすることによりまして、御理解を得ていきたいというふうに思っているところでございます。
  64. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その意見はよくわかるのですけれども、たしか中田長官は昔大阪で近畿通産局長をしていただいたと記憶しております。大阪のことは非常によく御理解していただいていると思います。その人たちがどういうふうに言われているかと私がヒアリングした結果をちょっと申し上げたいと思います。  審査のとき、借金が多いというが、国金という名前がいいかどうかわかりませんが、バブルのときは審査せずに貸した、そんなものがかさんでいるんだよ。今そういうところは踏ん反り返って何もしてくれない。頼みに行ったらどう言われるか。府下ではお金は出せない、マル経や銀行く借りに行け。そこへ借りに行けるくらいだったらここへ来ないのにというふうな、ある意味では厳しい意見かもしれません。  私は、片一方の意見だけ言うわけにもまいりませんので、その方々には、いや、そういっても経営者なんだから、そういうときの資金計画だとかなんとかというものはやはり最終的には御自身が責任をとるべきではないかというふうなことは申し上げますが、やはり現状からすると余りにも厳し過ぎる。そのときの、バブルのときの状況、審査をせずというのは言い過ぎかもしれませんけれども、そういう甘いことをして、厳しいときにはきつくなる。  行政の役割というのを後ほど質問申し上げたいと思いますけれども、行政というのは一体全体何なのというふうな、やはり商工業者の意見というのは、私は地元におって、また地元だけじゃございません、いろいろな方のお話を聞かせていただいて、なるほどそうだなというのは非常によくわかります。  また、ちょっとマル経について、マル経というか無保証・無担保という形で、マル経の今度の枠が五百五十万から六百五十万に拡大しますが、どうでしょうか、ひとつそれ以外に、例えば住宅金融公庫では保証料というものを払えば保証人が要らないとかいう話も聞いております。これからの金融の運営に関して、そういうふうな制度もとっていかれる必要があるんじゃないかな。例えば、マル経六百五十万だけれども、保証料を積めばマル経の枠をもう少しふやすとか、保証料を入れればもう保証人がなくても担保があればいいとか、そういうふうな柔軟な対応というものがこれから必要だと思うのですけれども、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  65. 安本皓信

    ○安本政府委員 政府中小企業金融機関につきましては、従来から中小企業の個別の実情に応じました融資が行われるよう指導してきているところでございまして、担保徴求につきましてはできるだけ弾力的に対応しているところでございます。  また、民間金融機関においても、中小企業に対する円滑な資金供給が図られますように、これまで無担保保証等の信用補完制度の充実に努めてきたところでございまして、信用保証協会に対しても、中小企業者の実情に応じました適切な保証等が図られるよう指導しているところでございます。
  66. 吉田治

    ○吉田(治)委員 言われることはよくわかるのですけれども、いろいろな方にお話を聞きますと、例えば、商工中金という名前を出してはいけないかもしれませんけれども中小企業専門の金融機関として我々中小企業の強い味方であるが、都市銀行と比べると金利が数段高い、このことだけで既に大企業と格差がついている。そして、府の企業診断を受けることが設備近代化資金等の借り入れに対しては要件になっている。でも、そんな診断を受けられないような零細企業こそが資金調達困難な企業ではないか。  私は、先ほど申し上げましたように、行政の役割というのは何なのか。都市銀行のように、もうけるという言い方はよくないかもしれません、利益を出すために行うという部分ではない、目に見えない部分、そして税金を使うという一面もありますので、社会福祉という言い方はよくないかもしれませんが、やはり弱者を、機会平等、結果平等ということもいろいろあると思いますが、弱者というのですか、弱い人たちに手を差し伸べるという一面もあるべきではないかな。  ここでもう一度大臣の方から、中小企業政策における行政の役割についての御意見と決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  67. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、今委員が質問をしておられたお気持ちが全くわからないわけではありません。  ただ、委員の御質問の中で一点私が申し上げたいと先ほどから思っておりましたのは、その政府系金融機関の原資になっているものは何かということであります。これは、もう言うまでもなく、国民からお預かりをしております保険料であり、あるいは郵便貯金であり、お預かりをした、そして国民にやがては利子をつけてお返しをするお金であります。そのお金を元にするわけでありますから、一定の限界があることは、私はこれは御理解をいただきたいと思うのです。  そして、むしろそれよりも、私はその場合にもっと問題だと思っておりますのは、我が国の場合に、民間における資本調達の道が比較的厳し過ぎる、狭いということであります。それは、民間金融機関の担保徴求のために、我々から見れば貸し渋りと言いたい現象が、金融機関側からすると、いや担保不足で貸せない、我々は貸せるものを探しているんだけれどもというような言い方で返ってくる、これも一点であります。  ベンチャービジネスが立ち上がりの時点において資金調達に非常に苦労をされ、なかなか新規立地がままならない。NASDAQがよく議論の対象になりますように、こうした立ち上がり時期の資金需要に対して対応できる市場が育っていないということも、これは我が国の問題であります。だからこそ通産省は、ここしばらくの間、随分大蔵当局との間で議論をしてまいりました。そして今回、店頭市場の相当程度の規制が緩和されましたことを私どもとしては喜んでおります。  しかし、そういう意味では、例えば社債の商品性の多様化でありますとかCPの規制は今回全く緩和の対象になりませんでした。さらに、ソブリン債を初めとする円建て外債の問題とか、短期国債市場の問題とか、むしろ民間における資金調達がより容易にできるような市場をつくることの方が、私は今、急務ではないかと思います。  政府系金融機関は当然のことながら、なかなか民間の手の届かないところを埋めていく責任は委員御指摘のとおりあるわけでありますが、その原資はまた国民からお預かりをして運用させていただいているお金、このお金の使い道に一定の限界があることも御理解はいただきたいと思います。
  68. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大臣おっしゃられることはそのとおりだと思います、やはり国民から預かられたお金というものを運用するという部分で。ただ、大臣御理解していただいていると思いますが、景気のいいときと悪いときの、対応ですとか、審査基準という言い方はいいかどうかわかりませんが、それの違いはやはりあったというのは御理解していただいていると思います。  また、先ほど申しましたように、性格は税金と保険、郵貯という形で違うかもしれませんが、一国民、町工場のおやじさんという言い方はいいかどうかわかりません、おやじさんからすると、新聞だけ見ておれば、農業を目のかたきにしているわけじゃございませんが、農業には何兆円というお金を使われるのに、私らはそういう政府系というところに金借りに行ってもけんもほろろなんやなというのは偽らざるところでございます。  だから、その結果として、もっとしろとか言うだけじゃない、やはりその違いはどういうところにあるのかという周知も必要でしょうし、PRも必要でしょうし、それは大事なことだと思いますけれども、やはりその辺のところを、かえって窓口の一社員というのですか、一担当者まで、教育というのですか、トレーニングというのですか、ということも必要ですし、そういう説明を優しくしてあげるということも私はそういう部分においては必要ではないかと思っています。  また、大臣言われましたように、民間でより容易に資本調達と。そうなってきますと議論が分かれてくるんですね、中小企業の方々にとると。いや、それはようわかるんやけれども、現実問題としては行っても相手にされへんのや、そやから政府、何とかしてえなと。ですから、その辺はより決意があってやっていただけるということを理解させていただきまして、あと細かい点、二点ほど質問させていただきたいと思います。  この緊急円高対策の中で、事業開拓コンサルティング事業の創設というのがございまして、これについても、いろいろなコンサルティングということになってきますと、先ほどの答弁の中では、実務についた方をできるだけ登用したいということですけれども、やはり中小企業診断士ですとか経営指導員という、肩書が物を言うと言ったら言い方がいいかどうかわかりません、その方々が中心になっていかざるを得ないんじゃないかな。そうしますと、その人たちに指導を受けられる方にしたら、やはりこれは、あんたら、ねじの一本も回したことあるんかいな、材料の重さ知っているんかいな、キロとトンと、私たちの業界やったら、まだ門やなくて銭まで一個一個の部品、値段がかるんやでというふうなことに対する率直な不満というのですか、そういうのもあるやに理解しております。ですから、そこにおきまして、例えば経営に携わったことがある人、事業に携わったことがある人をどう登用していくのか。  また、一つには、そういう診断士の方、指導員の方のトレーニングというのですか、訓練というのも必要でしょうし、また、等級に分けるというのはいかがかと思いますけれども、例えば実際に事業をやっておられて診断士になられた方には、まあ上級診断士という言い方は適切かどうかわかりません、そういうふうな新たな制度というのですか、そういうのもつくっていく必要があると思うのですけれども、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
  69. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 今般創設を検討しております事業開拓コンサルティング事業につきましては、先生御指摘のように、実際の知識あるいは実務を持っている方が指導をするというのが重要であろうと私ども認識しております。現在、中小企業事業団においてこの制度を運用する場合にどうするかということを検討しておりますが、中小企業診断士のほかに、先生御指摘のように、実際企業経営に携わった方、あるいは技術、実務研究者、そういった専門家の中から、私どもは次のような三点の選定基準を今検討しております。  一つは、中小企業の経営または技術の分野に関する十分な知識と経験を有すること、二番目は、適切な指導助言を行うに必要な時間を確保できること、三番目は、この事業に対しまして熱意を有するとともに、適切かつ円滑な指導助言を行える信用、人望を有する、そういう方々を中小企業事業団に登録いたしまして、中小企業の方々からの要望にこたえたいと思っております。  また、中小企業診断士を活用する場合には、先生御指摘のようなことを十分踏まえまして、実務経験のある中小企業診断士を活用するということも考えてまいりたいと思っております。
  70. 吉田治

    ○吉田(治)委員 非常によくわかるのですけれども、具体的に、例えばこういう人たちの資格を取った後のフォローというのですか、トレーニングという言い方はよくないかもしれません、何か具体的なものをやられているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  71. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 この制度を実際に運営いたしますのは中小企業事業団でございますが、中小企業事業団におきまして登録を受けるような専門家の方につきましては、先生の御指摘のようなことを踏まえましてトレーニング等を行うように考えております。
  72. 吉田治

    ○吉田(治)委員 次に、先ほどの円高という中で、経企庁の方が物価を下げる要素がある、また西川議員の質問の中に、輸入品というものを活用することによって企業の経営というものを少し助ける手だてになりはしないかという中で、輸入アドバイス事業というのですか、こういうふうなものが、中小流通業者等による輸入の促進という施策がありますけれども、一点お聞かせいただきたいのは、これとジェトロとはどういう関係になるのか、同じ税金を使われていく中でどういうふうな関係になっていくのか。  それともう一点は、もう亡くなられたのですけれども、私どもの隣町に、全国商店街振興組合連合会ですかの副会長さんが住んでおられまして、その方が、大店法の問題のときですか、お話をお伺いしましたら、いいことを言われていました。政府というのはなぜ私たち中小小売業者をこの輸入という部分で活用してくれないのかなと。当時、アメリカから大店法の問題が出ておりまして、SIIですか、構造協議のときですか、アメリカ側の言い分は、日本のスーパーだとかそういうふうなので売り場がふえれば輸入商品はたくさん置いてもらえる、そうするとよく売れると。その副会長さんが言われたのは、そんなんだったら、各府に一つ一つ輸入品を、特徴あるものを置いてくれよと。私たちは対面販売で、勧めると言ったらそれを勧めてお客さんに売るじゃないか、それの方がよっぽど効果があるんじゃないか、そういうふうな発想をしてもらえないのかなと。  当時、議員でもありませんでしたので、ああそういうものかなと思っておりましたけれども、やはり輸入というふうなものを考えていきますと、アドバイザーとかジェトロというだけじゃなくて、そういうふうな流通の末端まで含めたような発想が必要になってくるのではないかなと思うのですけれども、その辺についてどういうふうにお考えでしょうか。
  73. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 今般この制度を検討するに当たりまして、事業の目的、趣旨というのは、先生御指摘のように、円高メリットを中小企業、特に中小の流通業者の方々にぜひ活用していただくような環境整備を図る必要があるのではなかろうかと。そういった意味で、中小企業の方々の中で、輸入に対する取り組みの意欲のある方々で実際の輸入の実務を御存じない、あるいは輸入の支援策、私ども政策を御存じないような方々につきまして専門家がアドバイスを行う。  その専門家につきましては、私どもは現在中小企業事業団で登録するということを考えておりますが、先生御指摘のように、輸入に関しましては、ジェトロが輸入促進事業において大変な知見を持っておりますし、またジェトロの中には輸入ビジネスアドバイザー制度というのもございます。この輸入アドバイス事業中小企業事業団の事業を運営するに当たりましても、よくジェトロとの連携、あるいはジェトロのアドバイザーを活用するといったことで、両者が連携いたしまして、中小企業、特に中小流通業者の方々の円高メリットの活用といったことに資するように運営を考えてまいりたいと思っております。
  74. 吉田治

    ○吉田(治)委員 そのお話を聞いておりましたら、昨年の夏に商工委員会で視察に行きました、私ども大阪市のアジア・太平洋トレードセンターというのを思い出しました。ああいうふうなものがジェトロと一緒になり、またアジアの国々ですとかさまざまなところと一緒になって、輸入というものがもっと近づいて、それこそ通産省さんのキャッチフレーズであります輸入で我が家も国際化ですとか、そういうふうなことに一歩でも近づくことを祈ると同時に、本当に、海外へ出て三十万も四十万もお金を使わなくても、日本でそれを買うことによって日本経済を少しでも上向かせるような方法にしていくということが必要ではないかなと思っております。  時間ももう残すところ少しですけれども円高ということで見ましたら一つ関連という形で、きょうの朝刊等に出ております日米自動車の部品協議アメリカの方がいよいよ対日制裁を出してくるということでありますが、まず最初に、補修部品の調達という形で、これは車検制度にも大きくかかわってくるのですけれどもこの辺について、この協議における対応、または今後の方針について、まず運輸省さんの方からお聞かせいただきたいと思います。
  75. 下平隆

    ○下平説明員 お答え申し上げます。  今回の協議におきましても、自動車補修部品規制緩和の問題がテーマに上がっております。我が国におきましては、自動車補修部品の交換は原則自由でございます。また、規制の対象となる部品につきましても、その取り扱いは内外無差別でございます。したがいまして、我が国の規制が外国製部品の輸入の阻害とはなっていないというのが私どもの基本的な認識でございます。  しかしながら、この五月の初めの協議におきましては、こうした基本認識は変わらないものの、協議進展を図るという見地から、運輸省といたしましては、安全の確保あるいは公害の防止ということの支障のない範囲で最大限の提案を行ったところでございます。こうした協議決着に向けての努力を尽くしたにもかかわらず、結果として協議がまとまらなかったというのは大変残念に思っております。  お尋ねの今後の対応についてでございますけれども、今回米国に提案しましたこうした内容につきましては、今後段階的に実施をしていくという方向で検討してまいる所存でございます。
  76. 吉田治

    ○吉田(治)委員 運輸省さん、譲る  譲るという言い方はよくないですね、こちら側がどうもおかしいなと思う部分は積極的に、譲歩というか、譲るべきところは譲って、しかし、守るべきところはしっかり守っていただきたいと思うのですけれども、時間もあれです。  最後大臣に、私はちょっと残念だなと思うのは、これだけ大きな日米間の協議について、この委員会でまだ別途時間が設けられていない。大臣からのお話もテレビですとか新聞を読む以外に聞いたことがございませんので、ぜひとも大臣の口から、この日米協議についてのあらまし、概要、それから今後の見込み、そしてこれに向けての決意を教えていただきたいと同時に、何がおかしいのか、なぜこうなってしまったのかなというふうなところがあると思います。  先ほど次の飯の種というお話を申し上げましたけれども日米関係というのはずっと日本の次の飯の種をめぐっての争いだ、繊維が始まり、カラーテレビが始まり、自動車が始まり、半導体が始まりと。それでまた自動車に戻ったというのは、いよいよ日本もこれは次の飯の種がなくなったのかなという気もしないでもありませんけれども最後に、ぜひともこの件についての大臣の所見と今後の方針と決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  77. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先般バンクーバーにおきまして、USTRカンター代表と、最初の日に七時間を超える論議をいたし、その後ウィスラーに場所を移しましてまた三時間近い議論をいたしましたが、自動車、同補修部品につきましての議論決着をいたしませんでしたこと、力足らずでおわびを申し上げます。  今回私どもとしては、アメリカ側がいわゆるボランタリープランというものに固執をしないのであれば、すなわちディーラーシップ補修部品の問題でありますならば、決着の可能性あり、そういう期待を持っておりました。なぜなら、今運輸省の方から御報告がありましたように、運輸省が非常に大きく姿勢を変え、その規制緩和の流れの中で従来の主張を大幅に譲歩されたからであります。  ところが、現地に入ってみますと、冒頭からボランタリープランの論議が継続をし、恐らく全体の七割までがボランタリープラン足か非かという議論に終始したというのが実感でありますが、ボランタリープラン、すなわち民間の各自動車メーカーの自主的な部品調達計画、購入計画にそれぞれの企業経営判断を超える上乗せがなければこの交渉決着させないというアメリカ側の意思は極めて明瞭なものになりました。しかし、それでもディーラーシップあるいは補修部品市場だけでもまとめることはできないかと考えましたが、ボランタリープランヘの上乗せがなければ他の分野も決着させないというのがアメリカ側の方針でありまして、最終的には決着を見ることができなかったわけであります。  そして、この問題を私は、一自動車産業の問題ととらえた議論は本来なら避けたいことであります。この問題で問われましたのは、一国の政府が他国の個別の民間企業に対し、それぞれの経営方針に基づく経営計画の変更を求め、それぞれの個別企業から経営計画の変更は不可能という返事を受けた後に、今度は政府間の交渉において、他方の政府の意思によってその国の個別企業の経営計画を変更することを求めた、これが今回の問題点であります。この点は、私は、いかに言われましてもそれを約束することはできませんでした。そして、これがいわば了承されないのなら他の分野もまとめないというアメリカ側の意思は極めて強固なものでありました。  そして、昨日、日本時間の夜十一時、アメリカ側は一方的措置としての制裁リストの公表という措置に踏み切りました。これは当初からアメリカ側に私は通告をいたしておりましたが、日本としては本日WTOへの提訴に踏み切ったわけであります。本当なら昨日やりたかったのですけれども、ジュネーブ、既にもう夕方でしたから、きょう改めてこれは行うことにいたしました。今後は、WTOのルールに従って我々は正々堂々と日本主張というものを展開し、各国の、恐らく支持が得られると考えておりますけれども協力を得ながらアメリカの方針を変えていかなければなりません。  ただ、ここで一点私は申し上げたいのは、これはまさにカンター代表の会見とは実態は異なっておりまして、アメリカ自身にも影響の及ぶ措置だということであります。仮にこの十三の車種というものが全部制裁リストどおりに、制裁アメリカが踏み切ったといたしますならば、二千店強、従業員六万人強の、関係ディーラー及びそこに働く方々には大きな影響が生ずるでありましょう。これは全米の中の大体五%から七%ぐらいに当たります。さらに、対象となりました自動車日本国内生産が減少することから、米国からの部品購入は約一割減少することになるでありましょう。これはアメリカの部品メーカーにも影響を及ぼすことであります。さらにそれは消費者にも影響を与えることでありまして、日本への制裁措置というものはアメリカにもはね返っていく性格のものだということであります。ビッグスリーが利益を得るか得ないか、そういうことまでを私は申し上げるつもりはありません。  しかし、一点申し上げたいのは、バンクーバーにはビッグスリーの人々が全部詰めかけておりまして、USTRの方々は常時連絡をとりながら交渉に臨んでおられた、それが実態であります。
  78. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大臣答弁を聞かせていただきながら、当時の細川総理がクリントン大統領と会ってノーと言って帰ってきたときに、一番なぜノーと言ったんだと言われた大臣答弁をお聞きさせていただいたら、時代が変わったのか、与党と野党がかわるとこれだけ変わるのかとふと思ったりもしてしまいまして、この辺で質疑時間になりましたので終わらせていただきたいんですけれども大臣は何か言われたいと思います。
  79. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変恐縮でありますが、その点は一点申し述べさせていただきたいと思います。  昨年の二月時点における包括協議の内容、これは個別の民間企業の経営にまで介入したものではございませんでした。わざわざ今私が申し上げましたのは、本年になりましてから、アメリカ大使館、これは合衆国政府日本における代表でありますが、再三にわたって個別企業をお訪ねになり、ボランタリープラン積み増しを求められ、経営上できないということを確認したその上での措置であったということを申し上げております。これが妥協のできることでありましょうか。昨年とは違います。
  80. 吉田治

    ○吉田(治)委員 改めてこの議論をしたいんですけれども時間がありません。ただ、そういうふうに言われるのであれば、そのときに、もう予見は去年の二月時点でされていたのかもしれない。それはそのときの状況、御本人でしかわかりませんので、これで質疑を終了させていただきますが、改めてこの問題については委員会質疑時間をとっていただきたいということを申し上げまして、質疑を終了させていただきます。
  81. 白川勝彦

    白川委員長 次に、吉井英勝君。
  82. 吉井英勝

    吉井委員 私は、日米自動車問題に絡むアメリカの対日経済制裁リスト発表について最初に質問したいと思います。  カンターUSTR代表が米国通商法三〇一条に基づく対日制裁リストを発表したわけですが、その内容というのは、既に伝えられておりますように、高級車十三車種、二十万台に一〇〇%の輸入関税をかけ、制裁総額は五十九億ドルに上るというものであります。大体、日米貿易摩擦については、これは日米双方の構造的問題にメスを入れることが不可欠でありますが、問題は、アメリカの国内法にすぎない三〇一条による一方的制裁を前提としたこのアメリカの不当性について、これはこれまで繰り返し指摘をしてまいりました。これは日本経済主権、国民主権にかかわってくる大事な問題であります。大臣日本国内の経済の問題などについては随分これまでから議論もしてまいりましたし、当然考え方に違いはありますが、しかし、事は日本経済主権、国民主権にかかわる重要な問題だということをやはり踏まえた上での議論でなきゃならぬと思うわけです。  昨年十一月にも、WTO協定の問題についての私の質問に対して橋本通産大臣は、スーパー三〇一条に疑義ありと述べて、私はスーパー三〇一条を前提とした交渉には応じられないと、はっきり答弁をされました。本日の予算委員会においても、大臣は、アメリカの無法なやり方が通用しないことを理解せしめる必要がある、私伺っておって、若干表現は違うかもしれませんが、大体そういうニュアンスで受けとめました。  来週にはOECD閣僚理事会がありますし、六月にサミットも開催されるわけですが、それらの場において、大臣は、やはりこのアメリカの無法なやり方には屈服しない、毅然とした態度を貫くべきだと思いますし、何といっても日本経済主権、国民主権に立った立場で臨まれる必要があると思うのですが、最初に大臣の決意を伺っておきたいと思います。
  83. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほど吉田委員の御質問で多少言い落としました部分を含め、改めて申し上げたいと思うのであります。  本年の一月一日、WTOが発足をいたしました。そして、従来、通商関係におきますさまざまな紛争について、その処理の手続等、ルール等が明確ではなかった部分まで新たなルールが生まれました。この新しいルールのもとにおいて、世界第一の工業生産国と第二の工業生産国、世界第一位の自動車生産国と第二位の生産国との間に、二国間での紛争が今起こったわけであります。  我々としては、この新たなWTOのルールに従ってこの問題を解決してまいりたい。そしてその手続の中には、WTOのルールの中には、スーパー三〇一条とか通商法三〇一条というものは大半の場合は受け入れられるルールはないはずだ、私はそのように思っております。殊に、最恵国待遇あるいは関税率、それぞれの分野でも問題のある手法であり、一方的制裁を禁じている対応からいきましても、これは妥協のできる種類の話ではない、私はそのように思います。それだけに、私なりに全力を尽くしてまいりたい。願わくは揚げ足取りではなく、皆さんが助けていただけることを心から願っております。
  84. 吉井英勝

    吉井委員 私は、先ほども申しましたように、この交渉というのは本当に、大体一国の国内法でもってよその国に制裁を加えるというのはとんでもない話であって、これはもう世界のルールの中でお互いに経済主権、国民主権を認め合ってこその世界でありますから、私は、こういう点では本当に、無法なやり方には屈服しない、毅然とした態度で臨んでいかれるように重ねて申し上げまして、次に、国税庁に来ていただいておりますから、製品輸入の税額控除の問題について伺っておきたいと思います。  国税庁の出しております「税務統計から見た法人企業の実態」から減税の結果というのを見ますと、一九九一年で百四十一億円、そのうち資本金百億円以上の法人分で百十八億円、率にして八四%。九三年で四十九億円、うち資本金が百億円以上の法人分で四十二億円の八六%であったように思うのですが、まず、この点は間違いないでしょうか。
  85. 余田幹男

    ○余田説明員 お答え申し上げます。  ただいま委員が言われましたように、国税庁の会社標本調査によりますと、製品輸入の税額控除額は、九一年分で総額百四十一億円、資本金百億円以上の法人につきまして百十八億円。九三年分で総額四十九億円、百億円以上の法人につきましては四十二億円ということになっております。
  86. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、八四%と八六%、大体九割近いものだということを今確認していただいたわけです。  あわせて伺っておきたいのですが、従来ベースの減税額試算でいったときの九五年度ですね、これは百九十億円で、今回の税制拡充による減税額試算でいくと、初年度で百億円、平年度で百四十億円ということになってくると思うのですが、この点も大蔵省の方で確認しておきたいと思います。
  87. 福田進

    ○福田説明員 今回の緊急円高対策によります製品輸入税制による減収額、今御指摘のとおり、初年度で百億円、平年度で百四十億円の減収でございます。
  88. 吉井英勝

    吉井委員 それで、今回の税制拡充による減税額試算から輸入拡大効果は幾らになってくるか。これは既に四月二十六日付の日経で紹介されておりますが、大体千五百億から千六百億円の輸入拡大効果になるであろう、従来制度分と合わせると約七千五百億円程度になるであろうというふうに思われるわけであります。その中の大体八十数%、九割近いものが大企業分になるというのが先ほどの大蔵の統計から出てくるわけです。そこで、異常な円高のもとで、自動車部品を初めとして海外からの製品輸入が急増しておるわけです。  大臣は昨日、我が党の正森議員への本会議答弁の中で、製品輸入促進税制は中小企業に対して大企業に対するより手厚くなっていると御答弁をされました。大体わかった上で言っていらっしゃるわけで、こっちも大臣が何をわかって言っているかというのをわかった上でのあれなのですが、制度の仕組みはおっしゃったとおりです。しかし、今数字を出したように、全体としては、この効果がどこに及んでいるかという点では、大企業優遇の税制度になっているということは、これは結果としてやはりそうなっているわけです。  問題は、そこから先なんですね。つまり、この輸入拡大策を進めるということは、異常円高と製品輸入の急増で今苦しんでいる、現に苦しんでいる全国の中小企業、中小業者の皆さんに二重、三重の打撃になってくるのですね。円高が進んで海外へ生産シフトしていく。そこで、企業はそこから逆輸入をしてくると減税を受けられる。大体シフトする企業はビッグビジネスの方になってくるわけです。  そうすると、出ていくときにまず、下請単価をうんと抑え込まれたりとか切られたりとか、泣いているわけですね。出ていったところが逆輸入してくるとまた輸入促進税制で恩恵をこうむる、その結果、中小企業はまた打撃を受けるという形に現実になっているわけでありますが、大臣はそういう実態の中で、全国の中小企業や中小業者の皆さんに二重、三重に打撃を与えるものになっているんだ、実際それで苦しんでいる人たちがいるんだという、この実態そのものについては見ていらっしゃるかどうか、これを伺いたいと思います。
  89. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私自身、大学を出ました直後は紡績会社のサラリーマンでありました。そして、先ほど吉田委員から銭単位のお話が出ましたが、まさに私どもが、例えば繊維工場との間での工賃の設定は、銭単位どころか、当時はまだ厘が生きておるぐらいぎりぎりとした交渉をいたしておりましたので、むしろそうした実態はある程度存じておるつもりであります。  また、昨年の七月、そしてこの三月八日に実施をいたしました中小企業皆さんからの生の声をちょうだいいたしましても、この円高に対する有効な対応策なし二五%、このままいけば転廃業やむなし八・九%という声の重さを深刻にとらえてまいりましたことは、今までもお答えを申し上げてきたとおりであります。
  90. 吉井英勝

    吉井委員 そういうふうに本当に痛みを受けているところに、実は輸入促進税制で九割近いものが大企業が恩恵を現に受けているのです。そして、輸入促進で逆輸入すればするほど、中小企業の方は円高と製品輸入の急増で本当にこれまで以上に、大臣がみずから体験もされて認識していらっしゃる以上に大変な事態が進んでいっているんだ、このことを改めて深く心に刻んで中小企業対策というものを進めていただきたいというふうに思うわけであります。  それで、今もおっしゃいましたが、百円ではやっていけない。これは、きょうの日刊工業などでも、国民金融公庫総合研究所が十六日にまとめた輸出型産地の円高影響調査で、大体採算レートは一ドル百円未満なしとか、そのほか、さっきおっしゃったようないろいろなデータ等で既にもうやっていけないというところに来ているのは明らかです。百円を切れたらやっていけないと言っているのが、今、きょう八十六円ぐらいですか、本当にこれはもう切っても血も出ないぐらい、本当に大変なところへ来ているのです。  それだけに法案による支援策というものが関連の金融対策を合わせても余りにも不十分というか、とてもじゃないがこれではやっていけないところに今来ているというのが実態だと私は思うのです。それだけに融資金利の引き下げなど支援策のもっと抜本的な拡充、そういうものをぜひ検討してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  91. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私どもなりに全力を尽くして今回の事態を乗り切っていくための補正予算を編成し、また、それに対応し、仕組みの上でもただいまこのリストラ法改正案を御審議をいただいております。  我々は、この条件の中で最善を尽くしたいと考えておりまして、むしろその必要がないぐらいに為替状況をもとに戻すといいますか、実態に合うように通貨当局の一層の努力を求めたい気持ちでいっぱいであります。むしろこうした施策を必要としない状況に早く為替が安定してくれないか、今祈るような思いでございます。
  92. 吉井英勝

    吉井委員 為替レートの問題は、せんだっても議論いたしましたし、また改めてあしたも予算委員会でやりたいと思っておりますから。  ただ、為替レートの問題は、三つ問題があるのですね。アメリカの側の双子の赤字の問題、そして日本の側の貿易黒字の問題、そして為替投機の問題ですね。この間は悪魔のサイクルの問題をやりまして、まだこれはこれからも大臣とはずっと継続してやっていきたいと思います。  ですから、当然ここの三つのことをやはり改めて円高是正を図っていかないとこれは成り立たないわけでありますが、しかし、それにしても、今度のこの仕組みによってもまだひっかからないところで苦しんでいる人たちもたくさんいるわけですよ。そこのところで本当に一定の力のある、ある程度あるところの中小企業対策ではなくて、そこはもちろんだけれども、そこにもひっかからないぐらいの、そういう中小企業対策についても本当に拡充をやっていただきたいというふうに思うわけです。  最後に一点、この法律を柔軟に運用して制度をよく知らせて、円高で困っているすべての中小業者に役立つように取り組んでいってもらう、この必要があると思うのです。これは、この前の制度でも、この間もレクを受けますと、都道府県によって随分ばらつきがあるのです。もっと制度が使えるはずなのに十分PRされていないとかありますから、最後に、この今度の法律がすべての中小業者に本当に役立つようにPRも含めて取り組んでいく決意のほどを伺って、質問を終わりたいと思います。
  93. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 せっかくつくりました制度が周知徹底が図れないために活用していただけないといったようなことがあってはなりません。これは、この改正法の内容だけではなく、創造法あるいはその他の金融政策等も含めまして、説明会を各地で開催をしていくだけではなく、都道府県また各種中小企業団体を通じて広く周知徹底を図ってまいりたいと思います。  委員長、一点報告をお許しいただきたいと存じます。  先刻来何人かの方々から予算委員会でも御質問がありましたが、WTO手続の予定がようやく時間的に確定をいたしました。すなわち、アメリカへの申し入れは、日本時間におきましては本日の午後九時三十分、現地時間の午後二時三十分。そしてWTOへの通報は、本日、日本時間の午後十時、現地時間の午後三時。時間が確定をいたしましたので、委員会に御報告を申し上げます。
  94. 吉井英勝

    吉井委員 終わります。
  95. 白川勝彦

    白川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  96. 白川勝彦

    白川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出特定中小企業者新分野進出等による経済構造的変化への適応円滑化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  97. 白川勝彦

    白川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決まりました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 白川勝彦

    白川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  99. 白川勝彦

    白川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十二分散会      ————◇—————