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橋本国務大臣 多少専門性のある部分がありますので、もし私の
説明で足りない部分は事務方から補足をさせていただきます。
まさに今
委員が御
指摘になりました、例えば風評
被害でありますとか、あるいは
検査に伴いまして企業秘密が漏えいする
危険性、さらに産業活動に与える影響、こうしたものは当初からやはり非常に心配な問題点として、私
どもばかりではなく皆がいろいろな工夫をしてまいりました。殊に風評
被害の発生というものを未然に
防止いたすためには、これはただ単に化学業界だけではなく
国民各界各層にわたりまして、
化学兵器禁止条約というものの持つ意義、
趣旨、さらにはその
検査の意味というものを十分に御理解をいただかなければなりません。そして、それが
化学兵器でありますとかこれに用いられる
化学物質の
製造の懸念とは直接
関係がないということを十分知っていただくことが大切だと思います。
そこで、私
どもは従来から、
関係企業を対象とする
条約に関する
説明会を昨年来全国で開催してまいりました。同時に、
中小企業を対象として
条約内容等に係るパンフレットの作成、配布等を地方通産局、さらに
中小企業地域情報センター、業界団体経由でも行ってまいりました。そして、風評
被害を
防止いたすための
中小企業向けのマニュアルを現在作成中であります。また、
関係企業の周辺の住民の
方々に
条約内容についての普及啓蒙を図るために、地方公共団体にも御
協力をいただきながら、一般住民向けのポスター、パンフレットの作成、配布をこれから行おうと
考えております。
また、機密漏えいにつきましては、秘密情報の保護に関する附属書というものがございまして、秘密情報の取り扱いに関する規則、さらに
検査官も含めました
条約機関の職員の守秘
義務、
検査における秘密の保護、さらに守秘
義務違反の場合の手続などが定められておりまして、こうした点での機密情報の保護を図ることにしております。
日本といたしましては、今後、国際
会議において策定されます具体的な
検査手続、また各施設ごとに
条約機関と
条約締結国の間で締結されます施設協定などによりまして秘密情報の保護が十分配慮されるよう努めていくつもりであります。また、
検査が行われます場合、
我が国の政府職員がこれに立ち会うことにしておりますけれ
ども、その政府職員に対しましては、あらかじめマニュアルを配付し模擬訓練などを行う、そして、実際の
検査の場におきまして秘密保護に十分の配慮がなされるよう適切に
対応できるように、その上で機密の保護が十分行えるように
考えていきたいと思います。
また、
届け出、
検査というものが民間企業に大きな負担がかからないように、しかも円滑に実施されることの
必要性につきましては、これは国際的にも共通認識が既に生まれております。現在もそのための必要な方策につきまして、オランダのハーグに設置されている
準備委員会、同時にその専門家会合で議論がなされております。そして、
我が国といたしましても、産業界の実態などを踏まえながらこの議論に積極的に参加をしてまいりました。また、
我が国自身の対策としては、今申し上げてまいりましたような
届け出、
検査を円滑に実施するための
関係事業者が御利用いただけるようなマニュアルの作成、配布でありますとか、特に
中小企業を対象とする情報提供、指導事業などの対策を産業界の御意見を伺いながら講じてまいっております。
今後も引き続いて国際的な検討と
国内対策の両面において適切に
対応しながら、これは
中小企業だけではなく大企業にとっても大変な問題でありますから、
中小企業を初め
関係産業界が過重な負担を強いられることのないように努力をしてまいりたい、そのように今
考えております。