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小野委員 ぜひ橋本
大臣のこの社会の安定を願う強いお気持ちとリーダーシップのもとに、
通産省の皆さん方がこの化学兵器の問題に対して毅然と立ち向かっていただいて、解決の道を求めていただきますように私の方からもお願いを申し上げておきたいと存じます。
さて、本題に戻らせていただきたいと思うわけでございますけれ
ども、それに先立ちまして、現代の時代ということを考えてみなくてはならないと私は思っているのでございます。
かの明治維新は、
日本の国にとりましては厳しい自己改革への闘いの期間であったというふうに私は考えております。その自己改革の必然性を与えたものは、外部からの圧力のみならず、
日本の国自身が内部的にさまざまな矛盾と問題を抱えていたということであろうかと思います。江戸幕藩体制の中における社会的な問題、身分
制度等の矛盾の多い社会形態等もございましょうし、それに加えてやはり
経済の問題というものを抜きにして考えることはできないというのが私の考え方でございます。
元来、江戸幕藩体制が組み上げられた当初は、藩単位の自給自足
経済が主流になる
日本の国の中の
経済の流れでございました。しかしながら、江戸の数百年の年月の間に自由
経済が発達し、貨幣
経済が伸展してくるというような流れの中に、既に自給自足体制をもとにする
経済体制が成り立ち得ない
状況に置かれる中にあって、貧富の格差の
拡大ですとか藩単位における、裕福な藩もあれば一方には貧乏な藩が生まれてくるというような
課題も生じてきたわけでございまして、この社会における
経済的な必然性というものによって突き動かされながら変革というものがあの時代に
日本の国に起こらざるを得なかった、そしてその変革を引き起こす上にペリーの黒船というのがやってきたことが国民の危機意識に一気に火をつけてこの動きを進めていった、こういうふうに私は考えているのでございます。
それならば、今の時代を考えてまいりましたときに、国際
経済の荒波の中に
日本経済がさらされているわけでありますけれ
ども、このさまざまな荒波を江戸時代末期に訪れた黒船と考え、自分の、この社会自身の内部改革を本気で進めていかなくては時代から取り残されてしまう、さまざまな社会の内部矛盾というものを解決する道が見つからなくなってしまう、こう考えるわけでございます。
今回、
電気事業法改正案並びに
石油製品の安定的かつ効率的な
供給の
確保のための
関係法律の
整備等に関する
法律案というのがこの
委員会に付議されているわけでございますが、この趣旨に基づく
規制緩和と自由競争を旨とする改革案であろうと私は評価をするものでございます。しかしながら、ここで私が気になっております点が数点ございます。
それは、第一には、また明治との比較になるわけでございますけれ
ども、明治の初頭、先人たちがとったのは和魂洋才という
政策でございました。決して外国のものをすべて無条件に受け入れるということではなくて、外国のいい点はいい点として評価しつつも、
日本の国が伝来持っていたすぐれたものは決してそこから手放さないという
決意のもとに、両者の融合に知恵、才覚を使って取り組んでまいったわけでございまして、今回の
自由化問題、
規制緩和問題につきましても、単に
規制緩和という言葉や
自由化という言葉がスローガンとして使われて、単細胞的な考え方で無批判にすべてを受け入れるようなことがあっては大変なことになってしまうという点でございます。
それから、第二点目といたしまして、いかなる
政策を取り入れるにいたしましても、必ず
政策というのは、日の当たる人を一方につくれば、もう一方には日陰に入ってしまう人をつくってしまうものでございます。そういう企業もあれば、そういう業界も生まれてくるわけでございまして、一律に理念で割り切ってしまうのではなく、その日陰に置かれる人たち、企業たち、業界を十分な配慮のもとでその影響を弱めていくという御尽力をいただきたいと思います。
そして、もう一点申し上げますならば、今回のこの
議論の中で欠けておりますのは、
日本自身がすぐれたものを
海外に持ち込もう、持ち出そうという
努力が余り感じられないという点でございます。
日本のこの
経済的な成長の背景には、これは自慢ではございませんけれ
ども、やはり
日本のシステムのすぐれたものがあればこそこのような発展を遂げてきたというのは事実であろうと私は思います。ならば、外国と
日本との間のいろいろなギャップを埋めるに際して、
日本だけが外国にすり寄っていくのではなくて、外国にみずからの知恵を伝えながら、その両者が歩み寄りながら、この
日本と外国の間の通商摩擦と言われるような
課題について、また国際的なルールの
整合性を求めるということについて、両面からの
取り組みを進めていくという部分もこれから必要ではないかと私は考えております。
もとより、戦後のあの焼け跡の中からこの
日本の国をここまで復興させてきた大いなる力となった通商産業省でございますから、その知恵を絞っていただいて、またその誇りに立っていただいて
日本の国の今後の産業の
あり方、
経済の
あり方ということを真摯に問うていただきたい、このような
視点をぜひ
大臣持っていただきたいと私は念願させていただきたいと思うわけでございます。
そこで、質問に移らせていただきたいと思うわけでございますが、今回の諸法案につきまして幾つか気になる点がございますので御
指摘をさせていただいて、御
見解をお尋ねさせていただきたいと思う次第でございます。
まずは、電力業法の問題でございますけれ
ども、今回、即
発電というものに入札
制度を
導入するという新しい施策が
導入されてまいりました。しかしながら、これを子細に読ませていただきますと、電力の買い取り条件というところが必ずしも明確になっておりません。つまり、今この
日本の国の中において電力が極端に不足するのは夏の電力消費ピーク時だけでございまして、これを
緩和するためにこのような
政策の
導入を図られだということが述べられているわけでございますけれ
ども、それがどういう条件で一般民間電力
発電を行う企業から買い取る条件としてなってくるのか、これはかなり大きな幅を持っているように思うのでございます。
それから、電気託送の問題でございます。この電気託送に関しましても、
電気事業者は不当にこれを拒むことはできないという条項が入っておりますけれ
ども、ならばこれがどういう
状況が不当な条件になるのかということがこの法案の中には書かれておりません。さらに、
太陽光発電、風力
発電、水力
発電、地熱
発電と言われるような、普通で考えますと営業ベースに乗らない、一般競争入札のもとでははじき飛ばされてしまうというような
発電方式について、原価の積み上げによる、原価主義に基づく購入を原則とするというようなこともこの中に書かれているのでありますが、この部分が果たして一般
電気事業者の受け入れるところとなるのかどうか。ある
程度の指導のもとにおいて初めて実現できるような
項目でございまして、このあたりに混乱する要素はないのかという危惧もございます。
そしてさらに、特定
電気事業という
一定地域への電力
供給についてでございますけれ
ども、バックアップを一般
電気事業者にお願いを申し上げるときに、それがどういう条件になるかによって特定
電気事業が成立するかしないか、非常に微妙な問題をこれもはらんでいるところがあるわけであります。
いろいろと問題を
指摘させていただいたわけでございますけれ
ども、このようなことをいろいろと考えてまいりますと、この
法律を
運用しようとした場合には恣意的な要素がかなり入ってくる部分があるなというのが率直な気持ちでございます。それならば、この
法律におけるそのあいまいな部分というのを一体どの機関の責任において調整をされようとしておられるのか、そしてまた、その調整された結果というものが妥当な結果なのかどうかということを評価する機関は、一体どういう機関がそれを担うことになるのか、この点についてお伺いをさせていただきたいと思います。