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1995-02-07 第132回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月七日(火曜日)     午後零時四十六分開議 出席委員   委員長 白川 勝彦君    理事 逢沢 一郎君 理事 甘利  明君    理事 額賀福志郎君 理事 河合 正智君    理事 古賀 正浩君 理事 増子 輝彦君    理事 大畠 章宏君 理事 鳩山由紀夫君       小川  元君    小此木八郎君       梶山 静六君    金田 英行君       熊代 昭彦君    田原  隆君       谷川 和穗君    中島洋次郎君       野田 聖子君    青山  丘君       上田  勇君    小池百合子君       笹川  堯君    笹木 竜三君       樽床 伸二君    土田 龍司君       豊田潤多郎君    西川太一郎君       星野 行男君    山田 英介君       吉田  治君    佐藤 泰介君       松本  龍君    吉岡 賢治君       和田 貞夫君    吉井 英勝君       牧野 聖修君  出席国務大臣         通商産業大臣  橋本龍太郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      高村 正彦君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局審査部長 矢部丈太郎君         経済企画庁調整         局長      吉川  淳君         経済企画庁物価         局長      谷  弘一君         経済企画庁総合         計画局長    土志田征一君         通商産業大臣官         房総務審議官  林  康夫君         通商産業省通商         政策局長    細川  恒君         通商産業省産業         政策局長    牧野  力君         通商産業省環境         立地局長    齊藤 眞人君         通商産業省基礎         産業局長    清川 佑二君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         通商産業省生活         産業局長    江崎  格君         工業技術院長  平石 次郎君         資源エネルギー         庁長官     川田 洋輝君         中小企業庁長官 中田 哲雄君  委員外出席者         国土庁防災局防         災業務課長   大野 慎一君         大蔵省銀行局特         別金融課長   五味 廣文君         労働省労働基準         局監督課長   長谷川真一君         消防庁防災課震         災対策指導室長 森村 和男君         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ――――――――――――― 委員の異動 二月七日  辞任         補欠選任   小池百合子君     樽床 伸二君   武山百合子君     笹木 竜三君   吉田  治君     安倍 基雄君   後藤  茂君     吉岡 賢治君 同日  辞任         補欠選任   安倍 基雄君     吉田  治君   笹木 竜三君     武山百合子君   樽床 伸二君     小池百合子君   吉岡 賢治君     後藤  茂君     ――――――――――――― 二月六日  中小企業創造的事業活動の促進に関する臨時  措置法案内閣提出第一八号)  小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部  を改正する法律案内閣提出第一九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件  通商産業基本施策に関する件並びに経済の計  画及び総合調整に関する件(兵庫南部地震に  関する当面の緊急対策)      ――――◇―――――
  2. 白川勝彦

    白川委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  去る一日聴取いたしました両大臣所信及び兵庫南部地震に関する当面の緊急対策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。甘利明君。
  3. 甘利明

    甘利委員 阪神大震災は、死者が五千名を超えるという戦後最大級の惨事になってしまいました。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災をされた方々に心からお見舞いを申し上げます。  まず、通産省所管震災の直近の復旧状況について伺います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず、ライフライン関係から御報告を申し上げます。  電気は、地震発生直後には約百万戸が停電をいたしておりましたが、去る一月二十三日に応急送電体制が整いまして、倒壊家屋などを除いて電気供給ができるようになりました。現在本格復旧に向けて作業中であります。  ガスにつきましては、二次災害防止の観点から約八十五万戸の供給遮断措置を講じまして、その後、他の事業者からの資材、要員支援のもとに約八千三百名を復旧作業に投入し、可能な限り早期の復旧を目指して最大限の努力を図っております。二月六日までに約十四万五千戸の供給が再開され、七十一万二千戸がまだ供給停止状態にあります。なお、供給停止区域外で発生いたしましたガス漏れ事故が約一万九千件ございまして、これらの復旧にも相当の要員をとられたことをつけ加えて申し上げます。  一方、その他の産業関連につきましては、震災我が国第二の大商工業圏を直撃いたしましたこと、また、ケミカルシューズのように地域中小企業集積が全体として崩壊をしてしまっている状況、多くの中小企業を抱えます地域中核企業が大きな被害を受けておりますこと、被災地域企業部品供給に支障が生じましたことなどから全国各地産業にも影響が及んでおりますことなど、にわかには復旧しがたい広範かつ甚大な被害が生じております。  しかし、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等では、神戸などの地区におきまして、現在八五%以上の店舗で営業が開始をされております。また石油スタンドは、西宮、芦屋、神戸市等で八割以上が稼働いたすところまでまいりました。  通産省といたしましては、このような事態の甚大さ、緊急性にかんがみまして、既に中小企業につきましては、一月二十日の閣議決定及び一月二十四日の激甚災害指定によりまして、従来のこうした場合の支援措置よりもさらに踏み込んだ、思い切った災害融資などに関する特別措置を講じるようにいたしております。今後ともに被害復旧状況の適切な把握に努めますとともに、電力、ガスなどのライフラインの一刻も早い復旧及び中小企業を初めとする被災企業復興のため、一層支援を強化すべく、具体的な措置について早急に結論を得るよう真剣に検討を続けているところであります。  なお、既にこの災害の結果、例えば九州地方観光地等におきましても旅行の予約等の取り消しが大量に発生しているといった悲鳴も上がっておりまして、その波及の幅は現在把握し切れておりません。
  5. 甘利明

    甘利委員 この震災から学ぶことというのはたくさんあるのですが、電気仮設復旧が非常に早かった。一週間前後で復旧しましたけれども現場に行ってみますと、現場の声は、地中化が進んでいなかったから仮復旧が非常に早くいきました、全部地下に潜っていたらこういうぐあいにはなかなかいきませんでしたという声でありました。今後は、電線の地中化はこういう災害を想定をしてどの辺までどうすべきか、多方面から検討する必要があると思います。  それから、けさの朝日新聞に、神戸大学による聞き取り調査が出ておりました。それによりますと、判明をしている火災原因の六割が電気ガスによるものと報告をされております。警察と消防による原因究明の結果が出るまでこれは軽々には論ずるべきではないと思いますけれどもガスには、我々が聞いているのは三重の安全装置があるわけでありまして、家庭にはマイコンメーターということで自動遮断装置がある。そして、低圧ブロックというのは、ブロックごとSIセンサー供給遮断をする。中正ブロックは、地震の一定以上の震度を感知すると遠隔操作遮断ができる。こういう安全装置があるから安全なんだというふうに実は聞かされていましたけれどもガス安全神話が吹き飛ばされるような記事の内容でしたので、いずれにしてもちゃんとした調査をして、その後にまたこのことについては伺いたいと思います。  当面の対応の後に何をやるべきかということは、もちろんたくさんありますけれども復興グランドデザインを描くということは非常に大事だと思っております。被災民復興の将来像を示すということは、それ自体が生きていく勇気を与えることにもなりますし、復興エネルギーにもなってくるわけであります。全体像というのはどこが描くかというのは私もわかりませんけれども、さしずめ、持ち場持ち場復興ビジョンなるものを描いて、それを集めて全体像にするということになるのだと思います。差し当たり、通産大臣地域経済復興ビジョンというものを当然策定をされると思いますけれども、この点についてどんなふうに大臣はお考えでいらっしゃいますか。
  6. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今最初にお触れになりました、本日報道されております出火原因調査につきましては現在詳細が不明でありますが、私どもとしてこうした点の問題意識を持っております。そこで、電気及びガス防災対策などについての検討を、資源エネルギー庁長官私的検討委員会としてそれぞれに設置をする予定にいたしておりまして、その結果、必要によりましてはそれぞれの正式審議会報告をし、今後の対応に資してまいりたい、現在そのように考えております。  また、今後、この震災の教訓を生かしながら青写真を描く、その土台には、少なくともまず、災害に強い都市づくりということとともに、地域産業機能復興をいかに進めていくかという二つの視点を欠くことはできないと思います。  地域自体復興に関する構想としては、現在兵庫県が、防災構造を持つ二十一世紀型の都市基盤を整備して新しい都市をつくりたいということから、阪神淡路震災復興計画を策定する旨、先般政府の方にも御説明がございました。現在、地元において具体的な対策づくりを進めていかれると承知をしております。私どもとしても、こうした地元の御努力というもの、状況を踏まえながら、将来の展望を持ち、活力を発揮していただけるような努力をお手伝いをしてまいりたいと考えております。  殊に、港湾都市として非常に大きな機能を持っておりました神戸市が非常に大きな港湾被害を現在抱えております。しかし、これは、我が国全体の物流にも極めて大きな影響を与えるばかりではなく、復興がおくれればおくれるほどその二次的な影響というものは世界的にも広がってくるわけでありまして、私どもとしては、この港湾機能というものにも特に着目をしておるところであります。
  7. 甘利明

    甘利委員 産業復興でいえば、中小企業というのはすぐ全員のコンセンサスが得られて、いろいろな支援策がすぐ整うと思うのでありますけれども、こうした災害復興にはやはり中堅以上の企業中小企業もそれぞれ密接に絡んでおりますから、両方ほぼ同列に立ち上がらせるということが大事だと思っております。ですから、中堅以上の企業に対しても低利融資措置、これは開銀がそれに該当すると思いますが、そういうものとかあるいは投資減税等々、ぜひこれは機動的に運用していただきたい。中小企業だけが独立をして立ち上がるということはあり得ませんから、その辺のことは十分に配慮をしていただきたいと思います。  被害総額が八兆五千億ともあるいは十兆円とも言われているわけでありますけれども、この被害とそれを復興していく復興事業と両々合わせて、景気に与える影響というのはどういうふうなものであると経企庁長官は思われますか。
  8. 高村正彦

    高村国務大臣 これだけの大震災があったわけでありますから、生産物流に当面大きなマイナスがあることは必至である、こういうふうに考えております。しかしながら、今速やかな復興努力が行われつつあるわけでありまして、一部既に復旧しているということもあります。これからさらに本格的な復興努力が期待されるわけでありますが、日本経済全体の大きさはこの復興需要に十分こたえていくことができる、こういうふうに考えられるわけであります。  だから、時期がいつどうなるかということはまだ確定的に見通せませんけれども、当面はマイナス、その後マイナスを少しずつ取り戻して、そして復興需要に確実にこたえていく中でプラスに転ずることもあり得べし、こういうふうに考えております。
  9. 甘利明

    甘利委員 私も現場に先月の二十八日に入りました。通産大臣が入られたのと同じ日で、御一緒できませんでしたが、高速道路の高架が落ちたりあるいはビルが倒壊したり、あるいは一面焼け野原現場に立ってみますと、何かこう別世界に来て、映画の一つのシーンを見ているような感じもしましたし、あるいは戦後の焼け野原というのはこんな状態なのかな、まるで今の日本ではない世界にいるような感じがいたしました。  こういう非常時の後にはいろいろ物資の需給関係が崩れできます。これは、市場原理からいっても通常の価格ではいかないということも当然ありますけれども、こうした非常時悪乗りをして、いわゆる便乗値上げ、足元を見るということが横行してしまってはいかぬと思っておりますし、この便乗値上げ対策については経企庁もいろいろと気を配っていらっしゃることは、ほかの委員会における質問、答弁でも拝聴しているところでありますが、重ねて経企庁長官にお尋ねをさせていただきます。
  10. 高村正彦

    高村国務大臣 神戸市が一月二十三日から二十七日にかけて、食料品日用品価格調査を行いましたところ、物価は総じて安定している、こういうことでありました。ただ、一方では、物価一一〇番等に、防水シート工事だとか家賃等についての苦情、問い合わせも寄せられているわけでありまして、このような動きについて一層、調査、監視を強めていく必要がある、こういうふうに考えております。  今、委員指摘のように、まさに需給バランスが崩れることによって物価が上がる、そして、その上で便乗値上げまでしている人がいるわけでありますから、一番大切なことは、関係各省庁と連絡をとり合いつつ、物の供給を十分にしていく。そのためには何が足りないのか調査をきっちりしていかなければなりませんし、それとともに、仮に一時的に需給バランスが崩れたとしても、それは物流の点で崩れるわけで、日本全国では大抵のものは生産能力があるわけでありますから、そう長い期間需給バランスが崩れたままではいないよという正確な情報を提供する、そういったこともまた大切だ、こういうふうに考えております。
  11. 甘利明

    甘利委員 便乗値上げ取り締まりというのが、取り締まりまで力は及ばないかもしれませんが、便乗値上げと、需給バランスが崩れて必要経費がかかって、ぎりぎりの価格でも上がるということがありますね、その辺の見きわめというのはなかなか難しいと思うのです。ですから、ほかの委員会での質問の中に、部分的な物価統制令をしけというようなかなり勇ましい質問もありましたけれども、これはなかなか難しい話だと思っています。  要は、悪乗りをして、この機会にもうけてしまおうというのをきちっと撤廃できればいいのでありますから、やはりモラルの喚起だと思うのです。人の弱みにつけ込んで悪徳商法をするのは何だということで、まあ経企庁のやれることというのも限界があると思うのです。これは例えば、明らかに便乗値上げたとわかったときには名前を公表するとか、そういうことをされるわけですか。
  12. 高村正彦

    高村国務大臣 場合によっては名前を公表するということもあり得ることだ、こういうふうに考えております。  ただ、現地で、私も入ったときにいろいろ聞いてきたわけでありますが、例えば、かわらが壊れて、屋根が壊れて、そこに防水シートを張るような工事かなり高い値段で契約されてしまっているというようなことがあったそうであります。そういう人は大体地元の業者ではなくて、どこかから来て、ぱっとやってはっと去っていく、こういうふうな人が割と多くて、名前を公表すること自体が打撃を受ける人と、名前なんか公表されたって一向に構わないよという人もいるわけでありますが、ある程度効果を発揮することもあると思いますので、そういうことも考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
  13. 甘利明

    甘利委員 いろいろな手を使って、合わせわざでこういう反社会的な行為は抑えていくということが必要だと思っております。  通産大臣所信の中に内需主導型経済を引き続き推進をしていくというお話がありました。これはなかなか言うべくして難しいことだと思いますけれども内外価格差の是正、規制緩和、いろいろな話がありますが、何といっても内需拡大というのは新産業起こしてあります。今国会にはそれに関連する新法も予定をされておりますし、私も大いに期待するところであります。また、リスクマネー市場ハードルを下げるという作業も具体的に進んできておりますので、大変期待しているところであります。  アメリカベンチャーキャピタルの分析によりますと、今後を担う産業分野というのは三つ挙げてありまして、一つはバイオであり、一つコンピューターソフト、そしてもう一つがヘルスケアというふうになっております。  通産省所管でいうと、コンピューターソフトがこの中では一番大きなところだと思いますが、この間、新聞だか週刊誌だかちょっと忘れましたが、アメリカマイクロソフト社基本ソフト仕様変更日本パソコンメーカーが振り回されたという記事が載っておりました。  御案内のとおり、私もそう詳しくはないのですが、パソコンというのは、ハード機械それ自体にそれをコントロールする仕組みである基本ソフトが組み込まれている、その上でプログラムとしての一般ソフトが利用できるようになるということになっているわけでありますが、このマイクロソフト社基本ソフトウインドウズという有名なものであります。NECのハードというのは組み込まれているこのウインドウズの魅力によってむしろ売れているんだというのが常識になっております。ウインドウズがパージョンアップするときにハード会社も契約の更新を含めてその対応に追われてしまう、だから主導権ソフト会社の方に行く。もう既にソフトハードを支配している時代に入っているわけであります。  ソフト産業というのは、機情局情報処理振興課、昭和四十五年にかなり早く将来を見据えて担当課設置をされて、そこが担当しているわけでありますが、これは業種で分けるとサービス業に入る、製造業かなり近いけれどもサービス業であるというふうに説明を受けております。しかし現実には、コンピューターのソフトハード関連派生商品じゃなくて、実情はハードソフト関連商品になってきてしまっているわけですね。  このままアメリカ基本ソフトが全部押さえられて、その関連商品であるハード日本がつくり続けるということになりますと、日本アメリカ下請会社にこれからはなってしまうということが懸念をされるわけでありまして、コンピューターソフト産業は、サービス業というよりも製造業の新しい形態として中央にどかっと据えて考えていくべきだというふうに私は思うのでありますけれども、この際、製造業中心ソフト産業を据え置くくらいの意識改革があってもいいと思いますが、大臣の所見を伺います。
  14. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、委員が御指摘されるその意味は理解ができるつもりでおります。その上で、私は逆に、ソフトハードもいずれも大切という言い方をせざるを得ないのではないだろうか。なぜなら、ソフトの進歩によりまして新たなハード需要が創出される、そうしたケースも当然ありましょうが、同時に、新たなハード供給に伴って新たなサービスが生ずる、こうしたケースも想定されるわけでありまして、いずれも、その相乗的な発展を遂げてもらうようにどうすれば仕組めるかということが一番肝心なことではなかろうかと私は思います。  その意味では、委員製造業中心にむしろソフトを据えると言われる御指摘意味は理解できるつもりでありますし、その相乗効果をつくり出せるような仕組みをどうすればっくり得るか、また、例えば大学、大学院の教育プロセスの中においてこうした分野にどれだけ有能な人材を供給してもらえる体制教育分野でもお願いできるか、こうしたことについても意を用いてまいりたい、そのように考えます。
  15. 甘利明

    甘利委員 時間が来ました。終わります。
  16. 白川勝彦

  17. 吉岡賢治

    吉岡委員 私は兵庫県出身でございまして、今回起きました阪神大震災、これに絞って質問をさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、人命が五千名を超す、こういうことで失われました。また、倒壊家屋が五万五千戸、さらには被害総額が十兆円とも言われる大災害発展をしたわけであります。いち早く激甚災害指定をされた、このことを見ても、この震災の大きさ、異常さが明らかである、こういうように思うところであります。まさしく戦後最大被害、このように言えると思うのであります。  私は、十七日に伊丹に入りまして、十八日に西宮に入り、西宮から、役所の皆さん方の手を煩わしてはまずい、少数人数でやっておられるからということで、実は自転車で神戸まで二号線を駆けめぐって見てまいりました。そして、十九日にも同様に長田区あるいは兵庫区、こういうところも見てきたところでございます。そういう立場から、何としても現行法の枠を超えることを含めて敏速な実行というものが今求められている、このように思うところであります。そういう立場から以下質問をさせていただきたい、こう思っているところであります。  まず、被災市民生活ということは、寒風の中でございますから大変であります。しかし、兵庫県知事あるいは神戸市長、そのほかのそれぞれの市長にもお会いしてまいりましたけれども、みずからの命をかけても市民生活は守る、こういうように決意をされておりました。そういうことを言い切っておられますので、私は、その次に考えることは何としても、生産手段を失いそして職を失っていく、あるいは流通機構が失われている、こういう状況の中で地元産業に対する対応をしっかりしないと、企業者はもちろんのこと、多くの労働者生活と権利を守ることはできない、このように感じているところでございます。  神戸の中を二十六、七日で行きましたときに、「みんなでがんばろう神戸」、こういう標語が窓に張られておりまして大変力強く思ったところでありますし、また関西電力は大変な御努力をされまして、私が参りました十八日には、九州、中国それから四国電力、ここからも工事車を百数十台並べて十九日から工事にかかれる、こういうことでいち早く明かりをともしてもらったこと、このことは非常に大きかったと思うのであります。なぜかといえば、あの神戸市に一軒の商店もなく夜は真っ暗、こういう神戸市を見た私にとりまして、その明かりがともったことは大変よかったのではないかと思っているところでございます。不眠不休工事をされた関西電力皆さん方に私は心から敬意を表したい、このようにも思っているところでございます。  しかし、そういう中でなかなか難しい問題がございます。今回の災害というのは、中小零細企業、これのみならず大企業も大変な被害を受けているところでございます。例えば、川崎重工あるいは神戸製鋼、さらには三菱電機、そして神戸新聞も今印刷を京都新聞の方に回すなどというような惨状になっているわけでございまして、中小、大企業を問わず甚大な被害を受けているというのが今回であろうというように思っているところでございます。  そういう立場から、私は神戸製鋼を例にとってみますと、二万五千人に達する下請企業等を含めた労働者神戸製鋼の傘下にある、こういうお話を聞きますと、まさしく大企業復興の方針を早く示していく、こういうことにならないと下請企業皆さん方は、手がつけられないというか、どうしたらいいのかわからないという、そういう声をたくさん聞いたところであります。現行法制下では大企業への支援措置というのが極端に言ってない、このように思うところでございますけれども中小企業同様の対応をすべきであるというように私はこの被害を見て感じております。一言大臣の方から見解を求めたいと思うのであります。
  18. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員が御指摘になりました神戸製鋼を例にとりますならば、委員も既に御承知のように、御家族まで含めれば約十万の方々がその回復にみずからの生活をかけておられるわけであります。私自身、現地を拝見しまた関係者のお話を伺いながら、今回ばかりは従来とは異なり、非常に産業集積の高い地域であるだけに、大企業をも対象として国は対策を立てなければならないということを公式にも申し上げてまいりました。そして現在、事務方の諸君とともにさまざまな対応策の検討をいたしております。これは税の世界もありましょうし、また政府系の金融の支援がどこまでできるかといったこともあろうかと存じます。  同時にもう一つ、今その親企業が立ち上がりません限り、仮に作業施設が全く無傷でありましても、下請は仕事になりません。そして、下請の方々はほとんどがそれぞれの親企業復旧に全力投球をしておられる状況であります。これが雇用調整助成金の対象にできないか、こうしたことも今まで政府部内でも御相談をし、関係当局に御検討を願い、御協力をいただいてまいりました。これからもそうした努力を続けてまいりたい、国会としても御協力をいただきたい、この場をかりてお願いを申し上げます。
  19. 吉岡賢治

    吉岡委員 今大臣のお話を聞いておりまして、ぜひひとつそういう方向でお願いしたいというように思いますが、一つだけ具体的に聞いておきたいと思います。  土地譲渡益課税の特例拡充が行えないかということが私の方に来ておりまして、具体的に言いますと、いわば平成六年にできました総合経済対策、こういうことの中で、法人に対して一〇%追加課税を免除するというような方向があるけれども、そういう方向を拡大しながら、いわば企業はこの際復興に資金をつくらなければならぬ、あるいは自治体の方にとりましては、いわば都市計画の種地として用地を求めたい、こういうようなことが一致するようなことがこれから起こると思うんですね。そういうときに対しまして、いわゆる売却への課税の軽減というような問題がちらっと新聞に載ったことがございますけれども、何としても直ちに検討をしていただけないだろうか、こういうことについて一言答弁いただきたいと思います。
  20. 牧野力

    牧野政府委員 今度の震災復興におきまして、いろいろな助成をすべきだという点に関し、大企業に対する考え方はただいま大臣が申し上げたとおりでございます。  今委員の御質問の税制の件でございますが、これも関連の企業から強い要請が出ております。ただ、この件につきましては、他のいろいろな税制の要求もございまして、現在関係当局と鋭意折衝中でございます。
  21. 吉岡賢治

    吉岡委員 ぜひひとつ前進の方向で検討をいただきたい、このように思っているところでございます。  次に、中小企業支援あるいは特別融資についてお聞きをしたいと思います。  政府系金融機関は基準金利四・九%であるというふうにお聞きいたしております。今回そのことを深掘りしていただきまして四・四五%、そして八割以上の被害を受けたというところには三%の低利融資で行いたいというようなことが閣議決定されたというふうに聞き及んでおります。  一方、都市銀行各行では、特別の融資制度をスタートさせた、こういうことも新聞に載っているわけであります。さくら銀行だったと思いますけれども、一年以上取引のある企業を対象に金利は、短期プライムレート、現在三%というふうに聞いておりますが、それ以下にしていきたいというふうな実態も生まれているところであります。  また、一月三十日に、小里地震対策担当大臣は、前例のない三%未満の超低利の中小企業への融資の考え方というものを表明されておりました。  二月一日に兵庫県、神戸市は、中小企業向けに一定期間無利子の特別融資計画を発表し、県は大蔵省あるいは通産省両省と、資金援助や政府系金融機関も同様の融資制度を創設することを実現してほしい、こういうことで調整を県としては急いでいくという方向を出されているところでございます。兵庫県や神戸市、これが決断をしているということでございますので、この方向をぜひ、現行の法制度の適用の中で可能なのかどうかということの検討、できないとすれば特別融資制度の創設をぜひお願いしたい、こういうことでひとつお伺いしたいと思うんであります。
  22. 中田哲雄

    ○中田(哲)政府委員 被災中小企業者の支援につきましては、中小企業者の方々あるいは県、市の方から激甚法によります現在の金利水準を下回る融資につきまして大変強い御要望があることは私ども承知をしているところでございます。  現在、激甚法の法体系との関係あるいは他の大型災害における措置とのバランス等も視野に入れながら、三%を下回る金利水準という点も含めまして、政府中小企業金融機関の融資のあり方あるいは信用補完措置のあり方等々、被災中小企業者の方々の負担が実質的に軽減するための資金供給のあり方全般につきまして検討をしているところでございまして、早急に結論を得たいというふうに考えているところでございます。
  23. 吉岡賢治

    吉岡委員 これは、先ほど申し上げましたけれども兵庫県や神戸市、厳しい中で大変な中小企業被害実情、この上にかんがみて市自身あるいは県自身がそうしないと救えない、こういう判断のもとに起こされたことでありますので、検討だけに終わることなく、何としてもそのことにこたえていくという姿勢を示していただきたい、このように思っておりますので、関係機関と調整をしていただきたいということで、ぜひひとつ大臣の方から一言お願いしたいと思います。
  24. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今長官からもお答えをいたしましたように、現時点では確かに検討いたしているわけでありますが、それは検討で終わらせるつもりである、そのようなことではありません。これは信じていただきたいと思います。  ただ、私自身、実は雲仙・普賢岳の発生いたしましたときの大蔵大臣でありました。そして、そのときも結果的に、使える手段はあらゆる手段を使いながら、さまざまな組み合わせをいたしてまいりました。そして、その場合、地元の長崎県におつくりをいただいた基金と国の仕組みを結び合わせることにより、それぞれの長所を引き出して制度を組み立てたようなものもございます。  現在大変な被害が出ていることを十分承知をし、その復旧を急ぐことも十分頭の中に入れ、仮工場あるいは仮店舗の建設等も御相談をしながらお手伝いをしているわけでありますが、これからそれぞれの企業の立ち上がりに対してどういう手法が必要なのか、これにつきましては、私は一つの手法だけでは必ずしもうまくいかないと思います。企業によっては、資金そのものは当初余り多くを必要としなくても据置期間の長い方が望ましい方、あるいは比較的早く軌道に乗り得る企業ではあるけれども当初資金を比較的多額に要する、さまざまな組み合わせがあるでありましょう。そうしたものを十分検討の中に加えながら答えを出そうとしているわけでありまして、その点はどうぞ信頼をいただきますとともに一層督励をちょうだいしたい、そのように思います。
  25. 吉岡賢治

    吉岡委員 ぜひひとつこたえていただきたい、こういうように被災者の立場で申し上げておきたいと思います。  次に、中小企業の具体的な支援についてお尋ねをしたいと思います。  私は、長田区にもそして東灘区にもさらには兵庫区にも自転車で行ってまいりました。そして、いろいろな方々とお会いをさせていただきました。まさにケミカルシューズ、ゴム業界、それから淡路ではかわらの製造工場、これらがすべて生産手段を失っておる、こういう現状でございます。まさに地震と火災によりまして、すさまじいという言葉、そういう言葉に表現されるような被害の実態であります。  したがいまして、今までの企業集積といいますか、産業集積はゼロというふうに言っていいと思います。自力で立ち上がることは私の見る限り無理と言わねばならない現状がとも思うわけであります。今うわさでは、もう半分以上が倒産するのではないか。あるいは企業主の一人が私に、これから再度やろうと思ったら大変だ、こういうように言い、これでいい潮どきにしようかなどと言われた言葉を聞かせていただきましたときに、本当に大変だということと同時に、企業者も茫然としておられるという現状ではないか、このように思ったところであります。  しかし、そういうことの中でも、ケミカルシューズ機械、一台一台は非常に高いのです。ですから、それを求めて、ほかのうちの工場も、ああ、あれが残っておるなというようなことはやはりささやいていらっしゃる方もいらっしゃるわけであります用意欲を持って立ち上がろうとされる方もいらっしゃる。私は、そういうことを見たときに、何としてもそれは救わなきゃならぬ、このようにつくづく感じたわけであります。  ケミカルシューズは、御案内のとおり、製品が完成するまでに四十工程あります。早く立ち上がらないと、それぞれの労働者が、技術者が散ってしまいます。なおかつ、競争の非常に激しいところでありまして、発展途上国の方からのいわば追い上げもあります。そういう状況の中で取引先を失ってしまうということもあるのだということも聞かせていただきました。今申し上げましたように、一台が一千万円を超す機械というのもたくさん使わなきゃならぬというのも現実のようであります。私は、そういう状況の中で、意欲を持った人、そういう人たちに今早急に対応しなきゃならぬ、このようにつくづく思ったところであります。  聞けば、伝統的に団結をされておりまして、工業組合が非常にうまくいっているところ、このように聞き及んでおります。したがいまして、速やかな生産活動を再開させる、そういう手だてを具体的にとるには、まず仮設共同作業所の建設、こういうことをしなきゃならぬだろうと思いますし、また、貸し工場もつくらなければならぬだろう。それと同時に、機械設備のリース、こういうものもしなきゃならぬであろうというように思うのでありますけれども、今国の方で、中小企業者に対しては災害の高度化資金、これをやるんだというふうに言っていただいておりますけれども、まさしく弾力的運用というものをしていただかなきゃならぬときだ、このようにつくづく思っておると同時に、無利子でやっていただきたい、こう思うのであります。その点についてお答えをいただきたい、こう思っております。
  26. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先般私が被災地を視察させていただき、お見舞いを申し上げに上がりましたとき、県及び市に対して私の方から、早急に使える工場団地等を指定していただきたい、決めていただきたいというお願いを申し上げました。それは中小企業の皆さん、この事業団の高度化事業を活用することによって我々の方から仮設工場、まあ商店の場合には仮設店舗になるわけでありますが、こうしたものを積極的につくろうじゃないですかということを県、市の方にお願いを申し上げました。県の方では、まだその時点では工場団地とこということをお決めになっておられませんでしたけれども、その後そのお話をいただきまして、どんどん今進めております。  そして、なお、お地元のことでありますので、多少申し上げさせていただきますと、私どもの考え方のとおりにまいりますならば、その仮設工場というものは、仮設と申しながら二つの方向になっていくであろうと思います。  一つは、ある程度恒久的にそこで業を続けようと言ってくださる方々のために、相当長期間の使用に耐え得るものを仮設とはいいながらつくり上げよう、そして、一定期間軌道に乗るまではそれは無理ですが、そのかわりに軌道に乗ったら堂々とちゃんと家賃も払っていただこう。しかし、自力で例えば自分の土地に整地ができれば工場を建てたいのだというような御希望をお持ちの方は、その数年間の使用に耐えるようなものもつくろう。二つの方向を考えようということで今進めております。  これからもそうした努力は積極的に進めてまいりますし、それぞれの、今ケミカルシューズのお話だけが出ましたけれども、そのほかにも、繊維もあれば、私は実は、この事件が発生するまで存じませんでしたが、真珠加工についての全国の八〇%のシェアを占める地域、こうした分野のこともありましょう。それぞれのニーズに沿ったものをできる限り我々は用意していくように努めたいと思います。
  27. 吉岡賢治

    吉岡委員 ぜひひとつ、大臣が今おっしゃいましたように、具体的な検討を進めていただいて、早急にということでお願いをしたいと思います。  次に進みますが、市場であるとかあるいは商店街、この災害もひどいのであります。まさしく火急な支援、これを求めておるのは論をまたないところであります。私は、どの商店にもというふうに言いたいですが、とりあえずは特に組合を形成しているところ、商店街であるとかあるいは市場であるとかというところに対しては早急に手を打つ必要性がある、このように思っているところでございます。  したがいまして、災害復旧高度化資金、こういうことでやれるというようなことをも知らない中小企業者の皆さんがいらっしゃることも現実であります。したがいまして、早急に手を打つというのは、言ってみれば相談を待つということではなくて、むしろこういう方法があるよ、高度化資金を使うと九〇%あるいはほとんど無利子になるよ、だから頑張ってくださいよ、こういうようなことを今行政の側から進めていくことが非常に重要ではないだろうかというようなことを思っているわけであります。  ただ、このことにつきましては、法律の中身を私は十分に知りませんけれども、診断であるとかあるいは指導であるとか、手続が非常に複雑だというようなことも聞き及んでおります。何としても弾力的な運用、こういうことで簡素化していただく、このことも含めて、そういう方向をとっていただきたい。たた深掘りをしたからやってくださいよと言うだけではなかなか難しい問題があるのではないかと思いますので、ぜひこの点についても配慮をお願いしたい、このように思っておるところです。
  28. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 もし細部にわたる御説明が必要でありましたら、長官から御説明をさせますが、おおよそで、私の今まで考えてまいりましたことを申し上げてみたいと思います。  私は、ちょうど予算委員会の審議の途中からこの中小企業についての答弁を意識的に変えました。なぜなら、復旧から復興に向かう段階において、同じ中小企業といいましても、工業と商業とおのずから問題が変わってまいります。そこで意識的に分けて御答弁を申し上げてまいりましたが、商業の場合、特にその地域の住民の方々との連携、関係というものが非常に大きくなり、それは、逆に言えば商圏を設定することになります。そうなりますと、私どもは実は、どの地域の商店街ならば立ち上がれるかとかその判断がつきません。  そして、今委員からも御指摘がありましたように、仮店舗等十分準備をする用意をいたしておりますし、また中小企業庁、非常に努力をいたしまして、神戸市ばかりではなく、当初三カ所でありますが、今全地域中小企業に関する総合相談窓口を開設をし、私が参りましたとき、開設後四日後ぐらいでありましたが、既にもう千四百件余りの御相談をいただいておりました。そして、それは商店街だけではなく、住民に身近に密接に設置を必要とする理髪あるいはパーマネント、クリーニングといった業の方も含めて非常に御相談を細かく受けております。  そして、今手続の複雑さといったことも御指摘がありましたが、会議所あるいは商工会、さらに日弁連と税理士会の御協力をいただきまして、ボランティアで、弁護士の方、また税理士さんにもそこに一緒にいていただきまして、すべての相談に乗れる体制をつくっております。  そうした対応はこれからもより細かく努力をしてまいりますし、県、市とも相談をしながら、立ち上がれるところからぜひ手を差し伸べていきたい、そして、一日も早い復興努力をしたいと考えております。
  29. 吉岡賢治

    吉岡委員 今、大臣並びに関係皆さん方の真剣な答弁を聞かせていただきまして、何としても、今、神戸市及びその周辺、阪神地域皆さん方復興に対するつち音というものを一日も早くつくり上げていきたい、こういう気持ちでいっぱいでございます。財政上の問題その他あるかもわかりませんけれども、ぜひひとつここのところは勇断を持って決断をしていただいて、一日も早い復興にぜひひとつ強力な支援あるいは指導を心からお願い申し上げ、今日までの御苦労に対して心から敬意を表して、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  30. 白川勝彦

    白川委員長 次に、鳩山由紀夫君。
  31. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 阪神大震災の対策について通産大臣にお尋ねをさせていただく前に、一言、空知炭礦の閉山問題についてお願いをさせていただきとうございます。  御案内のとおり、空知炭礦、三月三日の閉山という提案を経営者側がさせていただいたところ、実は三日の日と五日の日に、空知炭礦、そしてその親会社であります北炭株式会社が相次いで会社更生法の申請をされたわけでございます。大変に残念な事態になっておりまして、現在、労使交渉中で、特に退職金の問題などについて、今までの、特に閉山にかかわる退職金に比べてはるかに額が厳しいものでありますので、そんな中で会社更生法の申請というもの、新しい事態が生じてきたことによってさらに、特に労働者側の動揺が増しているようでございます。どうぞ、国におかれましても、この閉山問題に対してなお一層の御配慮をお願い申し上げたいと思います。  また、特に、空知炭礦あるいは関連の企業が新規分野の開拓などを心がけておりまして、御案内の歌志内市という市はまさに炭鉱のためのみに存在しているような地形でもございますので、新規分野の開拓は大変に難しい作業だと思っておりますが、ぜひとも御支援をお願いを申し上げたいと思います。  さらに、加えて、関連の特に下請の企業方々にも大きな動揺が現在走っておりまして、関連の倒産などというようなことが起きないような対策もお願いを申し上げたいと存じます。通産大臣に、くれぐれも空知炭礦の閉山問題に対しても御指導を賜りますようにお願いをいたします。
  32. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ちょうど通産大臣就任直後、歌志内市を含め、関係者の方々から、経営が非常に厳しいというお話を承っておりました。ところが、今委員からも御指摘がありましたように、去る三日、空知炭礦から札幌地裁へ、五日は、親会社であります北海道炭礦汽船から東京地裁へそれぞれ更生手続開始の申し立てが行われたと聞いておりまして、円滑な構造調整を図りたいという気持ちから石炭鉱業の経営の安定などに努めてまいりました通産省立場として、この事態を本当に残念に思っております。  今回の事態にかかわらず、今委員からもお話がありましたように、北炭グループの関係会社の新分野開拓計画につきましては引き続き可能な限りの支援を講じてまいりますとともに、地元の関連中小企業の連鎖倒産防止対策には万全を期したいと考えており、関係当局との論議も既に始めさせていただいております。  なお、空知社の今後の事業展開につきましては、基本的には会社更生法の定めるところに従ってその具体的内容は決定されることになるわけでありますが、私ども立場としては、円滑な構造調整を実現するという観点から、閉山問題について引き続いて組合と会社の間で十分な話し合いがなされることを心から願っておりますし、その推移を注視していくことにしたいと考えております。  ただ、今委員が特に御指摘になりましたように、とりわけ更生手続開始申し立てという事態のもとで、仮に閉山の事態に至る場合の退職金の問題につきましては、従業員にとって一層深刻な問題になる、その事態は重く受けとめております。  本日、閣議後の閣僚懇談会におきましても、こうした気持ちを総理初め各閣僚にお聞きをいただき、また労働大臣とも御相談をしながらこの事態に努力していきたいと申し上げたところであります。
  33. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 ありがとうございます。ぜひとも最大限の御配慮をいただくようにお願いを申し上げたいと思います。  それでは、震災の対策について私から質問させていただきとうございますが、まず、日本の国づくりに関してお尋ねを申し上げたいと思います。  橋本通産大臣は、将来必ず国のリーダーとして、その腕をぜひとも振るっていただかなければならない方でございますので、その意味を込めて、思いを込めて質問を申し上げたいと思います。  今回の地震は大変に大きな衝撃でありましたし、私ども一人一人に、日本人すべてあるいは世界じゅうの国の人々の心の中に大きな教訓を残したのではないかと思っております。将来の日本のビジョンというものを、この大きな地震というものを教訓とさせいただいて、新たな国づくりに邁進をしていただかなければならないと思っております。  そこで、大臣にお尋ね申し上げたいのは、確かに災害に強い町づくりとかあるいは復興対策ということも極めて緊急の課題として大事な仕事だと思っておりますが、それと同時に、日本全体をいかに見直していくか、この地震というものを踏まえて、どのように新たに変えていくかということについてのビジョンを教えていただければありがたいと思っています。  私なりに考えさせていただくならば、やはり自然というものはまことに怖いものである、脅威であるということをまず認識しなければならない。私どもは、どうも経済優先主義になっていたのではないか、その中で、割合に安心をしながら、あるいはそれなりの思いを持ってだと思いますが、自然というものを厳しいとは認識しながらも、むしろ経済性の追求の余り、例えば埋め立てなども十分に行っていくようなこともしてまいりましたし、あるいは山を削ったりしたことも相当あったわけでございます。  今後の日本の像というものを築いていくに当たっては、むしろ自然というものは大変に脅威なんだ、何億年かけてこの地球が、日本が存在しているのだということを強く認識して、その中で、例えば埋め立て造成をして工業団地をつくるというような計画に関しても、いま一度一つ一つを再考してみなければならない時期になっているのではないかというふうにも思っておりますが、まず大臣のお考えをお示しいただければと思います。
  34. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変大切なポイントでありますので、事務方の諸君の用意してくれたぺーパーではなく、私自身の印象からお話をさせていただきたいと思います。  今回の地震の後、一番私にとりまして深刻になっておりますのは、国土軸が一本でよかったのだろうかという反省であります。第二国土軸あるいは日本海側への国土軸の造成、さまざまな角度から国土軸というものが議論され始めて、相当な期間がたちました。そして、それなりに大切なものと受けとめながら、私ども九州から北海道まで、太平洋側を中心にした国土軸というものを無意識のうちにすべての中心に置き、今日までの人の流れであれ、あるいは産業の流れであれ、あらゆるものを組み立ててきたと思っております。  それが、今回の地震によりまして、兵庫県の特に神戸中心とした地域で寸断をされました。今、災害復旧という一点をとりましても、また被災者に対する救援という一点をとりましても、全国の方々、大きく言うならば世界じゅうから実は救援の手を差し伸べていただきながら、それが交通が寸断されておりますために、被災地になかなか届けられない、被災地まで届きましても、それが個々の被災者の手元に届けられないという状況が出ております。  今後復興が本格的になりましたとき、この瓦れきを一方では搬出し、どこかに捨てていかなければなりません。一方では、復旧のための資材を各地から搬入しなければなりません。そして、当然ながら、それに伴う人の移動がございます。  先ほど物価の問題が御論議になりましたけれども、私は本当に日本というのはすばらしい国だと思いますのは、この騒ぎを利用しての略奪行為でありますとが、意識的な物価のつり上げという行為を見ないで我々は済んでおります。しかし、今後復興が軌道に乗りました段階で、復興のための資材が全国から搬入される場合、交通のルートの確保ができないために資材供給に滞りを生じるようなことが起こりはしないか、本当に心配です。  そして、そういうことを考えてみますと、我々はこれから先を考えます場合に、やはりこの日本列島という長い国の中で、第二の国土軸、第三の国土軸というものを考えておかなければならないのではなかろうか。それは平時においてもそれなりの効果を当然のことながら持つものでありますけれども、こうした災害等の発生した場合、非常に大きな役割を果たす。いろいろな反省点がございますけれども、この第二、第三の国土軸の造成というものについて、余りにも我々は、問題の所在に気づきながら対応が遅過ぎたのではなかろうか、今反省をいたしております。
  35. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 大臣の今の御答弁は、大変に大事な御指摘ではないかと私は思います。  あえて申し上げさせていただくならば、今回の震災、特に神戸というこの地域のヘッドクオーターがやられてしまい、その影響で、なかなか迅速な手がみんなが努力をしているにもかかわらず打てなかったという事実があろうかと思います。そのことに配慮をされた中で、第二、第三の国土軸をつくれ、もっと迅速に考えていかなければならないという御指摘は、まことに私は当を得たものだと思っておりますが、さらに申し上げさせていただきますならば、情報においてもまた人の流れにおいても、多重のネットワーク的な構造を国じゅうにつくっていくことが必要なのではないか。  日本全体が、今までどう考えても東京に一極集中であり、地域においてはその地域に集中されがちであった。それは当然、経済効果などということを考えてみれば、人も情報も集中した方が利益が出るわけでありますから、どうしても自然に流されればそのようにならざるを得ない。そこをむしろ政治的な力によって、人口もあるいは情報も、集中からより分散的な方向に流れをある意味で強引でも変えていかなければならないのではないか。  そのことを貴重にも教えてくれたのが今回の阪神大震災ではなかったかと思いますが、今の御指摘、第二、第三国土軸という考えと同時に、さらに多重な、あるいは情報と人の流れも含めたあるいは産業の流れも含めたネットワーク型の、分散型の国土をつくるという考えに対してはいかがお考えでしょうか。
  36. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 国会におきましても、首都機能移転、国会移転ということが論議になり、既にそういう検討も始められておる状況であります。その意味するものは、まさに委員が御指摘のように情報あるいは行政機能、人の流れ、さまざまな分野における多重化、分散化を図る、こうした視点から論じられてきているものと私も思います。  そうした視点は今まででも意識しておったつもりでありますけれども、バックアップシステム等を振り返ってみますと、我々が足りないところを随分持っておりました。こうした今の御指摘も非常に大切なこと、そのように思います。
  37. 鳩山由紀夫

    ○鳩山(由)委員 時間が参りましたので、これで終了いたします。  ありがとうございました。
  38. 白川勝彦

    白川委員長 次に、山田英介君。
  39. 山田英介

    ○山田(英)委員 まず、質問に入ります前に、このたびの阪神大震災におきまして多くの方々が亡くなられたわけでございます。心から哀悼の意を表しますとともに、また、それを上回る多くの方々が負傷なされたわけでございます。と同時に、罹災をされました、被害を受けられましたすべての方々に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。  さて、私は最初に、この阪神大震災に関する政府の施策に対し、対応に対し、あるいはまたぜひ早急に手を打つべきである、そういうような観点から幾つかのテーマで通産大臣経企庁長官公正取引委員会委員長のお考えをお聞かせいただいたり、あるいはまた決意のほどをお伺いをさせていただきたい、かように思っております。  まず、その中でも冒頭に指摘をさせていただきたいことは、私は昨日、二回目の神戸入りをいたしてまいりました。先般、通産大臣も現地に行かれました。神戸港の惨状やあるいはまた地中に潜りましたガス管の補修とか、非常に精力的に御視察をなさったということを伺っております。  まず昨日、おおよそ十を超えるでしょうか、被災をされた自治体の首長の皆さんとお話をする機会がございまして、実はたくさんの御要望、御希望というものがございました。その一つずつがそれぞれに非常に大事なことでありますが、冒頭に申し上げますこの点は、各首長の皆さんが本当に頭を痛め、心配をしておられる点でございます。  それは補助金に関することでございます。補助金の交付につきましては、通常、平時といいますか、通常は一定の申請手続、それに伴う認定というものがありまして、そして交付をされる、このように承知をいたしておりますけれども、この非常、異常事態のもとでそのような申請手続みたいなものをしている余裕はない、これはもう当たり前のことだと私は思います。  五千人を超える方々が亡くなり、数万の方々がけがをされ、そして数十万の方々が何らかの形で、何らかの形と言ったらもっと多くなるかもしれません。こういう状況の中で緊急に何をやればいいかということを一番よく知っているのは、被災された地元の市町村長さんたちであろうと私は思うんです。その皆さんがそこに何らかの不安を感じておられるから、私どもにも御相談をされたわけでございます。  もうこれは御案内のとおりでございますが、災害対策基本法第九十条、これには「国の負担金又は補助金の早期交付等」という条文がございます。「当該災害復旧事業に係る国の負担金若しくは補助金を早期に交付し、又は所要の資金を融通し、若しくは融通のあっせんをするものとする。」この条文のとおり読みますと、これは今のケースでこの条文を当てはめた場合には、早期に交付するというここにポイントがあるわけです。  ですから、早期に交付できるのかという観点が一つはありますし、もし早期に交付ができないという制約条件があるとすれば何らかの形で、緊急に手を打ちたい、緊急にしかるべき仕事を被災民方々のためにやりたいという、そういう自治体に対して政府がきちっとした意思というものを表明をしてあげるということが非常に大事です、これは。応援します。あるいは頑張ってくださいというその裏づけは何によって担保されるかといえば、いつもそうだとは思いますが、特段に今の局面なんです、これは。  これは災害対策基本法第九十条では私は対処できないというふうに見ているんですが、そのやり方についてはどうなるんでしょうか。今星野行男先生とも御相談していたんですけれども、市町村長さんの御経験がありますものですから。一つは、「政令で定めるところにより」ですから、この運用次第だろうという角度が一つあると思いますよ、運用。  あるいはそれが何らかの制約条件があってできないということであれば、この法律で対処できないわけですから、特別立法の中にそのことを早急に盛り込むか、あるいはその特別立法そのものが中身がなかなか詰まらないで、早期にこれが政府の意思として表明できないということになれば、これは橋本通産大臣、ぜひ閣議等で注意を喚起をしていただき、そして内閣として、早急に必要なやるべきものは皆さんが一番よく知っているんだ、その地域指定するという前提といいますか、作業があるいは必要なのかもしれませんけれども、早急にこれは政府として見解を表明すべきではないかと私は思うんでございますが、いかがでございましょうか。
  40. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今回この大きな被害が発生をしましたとき、私ども通産省立場でありますけれども、この指定地域を、従来の法的な考え方でありますならば、一つずつの市町村の被害の程度を認定し、それで対象地域を決めておりました。今回そんなことは言っていられない、異例かもしれませんが、兵庫県、大阪府という都道府県のレベルをそのまま指定をさせていただき、対策を講じてきたことは御承知のとおりであります。  たまたま私は、雲仙・普賢岳の爆発の時期、大蔵大臣をしておりましたので、逆に今委員の御指摘になる市町村長さん、さらには知事さんの不安はよくわかるつもりであります。あのときも事態がどのようになるか全くわかりませんでしたために、当時の島原市長の鐘ケ江さんと私は電話でお話をしまして、とにかく現地で思いつくことは何でもやってくれ、そして、ただしレシートだけなくさないでくれ、国としてそれをきちんと自治省との間で振り分けて処理をするから、やれることは全部やってくれ、もし法律をはみ出していたら、後から法の改正でもするからと申し上げました。そして、電話だけではなかなか信じていただけないと思いまして、当時の自治大臣に御無理を言いまして、現地に同じことを言いに行っていただきました。それでも、国が第一回の支払いをしますまで、本当に不安は消えませんでした。  ですから私は、委員の今のお話は非常によくわかりますし、総理初め各閣僚に、そうした不安を現地が今回も抱いておられるということはきちんとお伝えをいたします。そして、そういう不安がどうすれば、これは一回本当にお支払いをするまで消えないと思うんです、私の経験からいっても。しかし、少しでも安心して、思いついて必要なことに手をつけていただけるようにできるか、政府としての対応も考えてみます。御指摘の点はよくわかります。
  41. 山田英介

    ○山田(英)委員 今の答弁は、被災地の方々、特に、みずからのお身内もけがをされたり亡くされたり、またみずからの自宅も全壊、半壊という中で、公人として寝る間もなく頑張っておられる、そういうすべての方々にとって、大臣の今の御答弁は大きな励ましになるメッセージだと私は思っでございます。ぜひ今の御答弁のとおり、特段の御努力を橋本大臣に、また高村大臣にもお願いを申し上げたいと思います。  それから、高村経企庁長官にちょっとお伺いをしたいんですが、これは最新のタイムなんですけれども被害総額四十兆円なんというふうに書いてあるわけです。タイムは書いてある。まあ九兆円か十兆円、十一兆円という、そんなレンジで、兵庫県とかいろいろな試算がなされていることは私も承知はしているわけでございます。一言で結構ですから、この大きな被害というものが我が国経済にどういう影響を与えるのか。経済成長率などの見通しも高村長官のところでやっているわけでありますから、一言ちょっとお答えください。
  42. 高村正彦

    高村国務大臣 当面、生産物流に対してマイナスを与えることは、これは必至であります。ただ、既に速やかな復興努力が始まっておりまして、一部復旧している、そしてこれから本格的復興努力をしなければならない。我が国経済全体の大きさを考えれば十分この復興需要にこたえることができる、こういうことだと思うわけであります。  でありますから、時期がどうということはちょっと明確に言えませんけれども、当面はマイナス、そしてそれにこたえていく間にそのマイナスが少しずつ消えていく、そしてさらに長期的には、マクロ経済のみについていえばプラスになることもあり得べし、こういうふうに考えております。
  43. 山田英介

    ○山田(英)委員 こういう局面は厳しく厳しく、最悪の事態というものあるいは変化というものを見落とさずに、ひとつ御担当を御継続をいただければ、こう思っております。  先ほど同僚委員からも取り上げられましたが、ケミカルシューズの皆さんとも、大臣、きのう実はお会いしまして、いろいろお話を伺ってみました。先ほどの同僚委員の御質問のとおりでございますが、これは大変なんですよね、今ほぼ全滅ですから。大まかに申しまして、我が国のシューズ、靴の大体八〇%ぐらいの国内のシェアをこの神戸、特に長田区のケミカルシューズの皆さんが支えておった。年商大体三千億円から四千億円、全体として売り上げていた。ところが、ほぼ無傷で残った事業所数でいえば約四十カ所、四十工場。あと残りの半分は全焼または全壊、残りの半分が半焼または半壊、これはまさに、文字どおり壊滅的な打撃を受けております。  それで、非常にまた心を痛めておりますことは、この長田区のケミカルシューズの地場産業によって生活が支えられている方々がおおよそ、約二十万人というお話でございます。二十万人がこの地場産業によって生計を立てていた、そういうことでございます。特に、非常に再建の息吹といいますか、意欲というものはひしひしと実は私ども感じてきたのでございますが、やはりこうなってくると金融支援なんですね。金融支援、これが一つは非常に大事です。  一般的に、立ち上がり資金を含めて、事業再興のための低利あるいは無利子の、あるいは据置期間を長くした、貸付期間を非常にまた一層長くした、そういう制度の拡充をしてほしい、あるいは新しい制度をつくってほしいということが一方にあり、このケミカルシューズの皆さんの場合には生産する技術を持っているわけです。それから、かつて経済力も、全国シェア八〇%を押さえるぐらいの仕事を一生懸命やってきたわけですから、そういう意味では非常に自信があるのですね。ですから、通常のいわゆる融資、貸付制度だけでは、この地場産業が立ち上がるかどうかというのは非常に疑問なわけです。また、全部一律にそれに当てはめてしまうということになりますと、別な意味で不公平なんじゃないのか。それはエゴでもって余計に貸してくれという、実はそういう話では決してないのです。  例えば過去三年間の納税額あるいは所得等は、それは徴税当局なり調べていただければ、確認していただければ、事業が再興したときに返済可能な、一人一人というか、そういう事業であるのかどうかということは、客観的にこれは証明していただけるはずです。  したがいまして、結論を急ぎますけれども、例えば、その段階に至るまではいろいろなランクが当然あると思いますけれども、皆さんが言うには、十億なら十億という一つの天井、枠を設けていただいて、そして今までの稼得、稼得というのでしょうかあるいは決算というのでしょうか、その実績を見ていただいて、やはりまとまった資金をしっかり貸し付けをお願いしたいんだというのが一つございます。  ですから、どこでくくるかといえば、それはきっと特別立法という、そういう対処の中に組み込めるかどうかの話になるんだろうと私は思いますけれども、特に神戸、それから長田区、それはまさにケミカルシューズで支えられていたと言っても決して言い過ぎではない地場産業であります。そこに対する立ち上がりを本気でもって国が支援してあげ、そしてまた、どんな音が出るのでしょうか、操業の再開のそのつち音が聞こえてくるということが、直接ケミカルシューズ関係をしない多くの被災をされた方々に大きな勇気とか希望とかをもたらすということになるんだろうというふうに私は思います。  したがいまして、ぜひ特段の金融支援を、先ほど来の大臣の答弁を聞いておりまして、御熱意は伝わってまいりますけれども、特段にまたお願いをしたいと思います。  地場産業でいえば、誤解のないように申し上げますと、例えば灘の清酒とかたくさん実はあるわけです。ケミカルシューズだけではありません。その象徴的な一つの態様としてお考えをいただければと申し上げたわけでございます。これは通産大臣、簡単で結構でございますから、前向きな御答弁をお願いできればと思います。     〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
  44. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 簡単にということでありますから、委員の御指摘は私は基本的にそのとおりだろうと思います。その上限設定の金額についてどうするこうする、これは具体的にはいろいろありましょう。  また、委員の御指摘につけ加えさせていただくとするならば、もう一つは、それぞれの企業が立ち上がります場合、既往の債務の問題がございます。その既往の債務の負担軽減の問題も我々としては意図いたしております。同時に、やはり無担保無保証の場合を想定した信用保証、こうした分野にも今点検の目を広げておりまして、融資、保証、さらに既往債務の返済猶予あるいは負担軽減、こうしたものを組み合わせて我々なりに対応していこうと今努力をいたしております。御支援をよろしくお願いいたします。
  45. 山田英介

    ○山田(英)委員 大臣、そこで、例えば政府系の中小企業高度化貸付制度とかいろいろあるわけでございますが、ぜひこの際、全部を私は無利子にしてもらいたいという言い方は今慎重に発言したいと思いますが、少なくとも無利子据置期間という一つのシステムというものをこの際ひとつぜひ導入をするべきではないのか。無利子据置期間という考え方の導入、そして先ほど大臣の御答弁にもありましたように、大きくなったらあるいはもうかるようになったらちゃんと返していただきますよという、いわゆる据置期間については無利子にするという一つの考え方、それを今回の阪神大震災中小企業そのほか地場産業を含めて、関係する要望の強い一つの制度として、こたえる制度として前向きに実現方を期してぜひ取り組んでいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  46. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 現在、県あるいは市のそれぞれの構想とあわせてさまざまな議論をいたしております。その中には無利子貸し付けがどうなのかという議論もございます。ただ、現在関係の各省庁の中で議論をいたしておりますが、その無利子貸し付けというものについて結論が残念ながら出ている状況ではございません。さらに、例えばはるか沖地震関係者の方々から、あるいは雲仙の関係者の方々から、なぜ神戸だけがという声も一部我々に来ておることも事実であります。  こうしたことも十分に視野に入れながら最善の努力をしてまいりたい。現時点においてはそこまでの答弁でお許しをいただきたいと思います。
  47. 山田英介

    ○山田(英)委員 よくわかるような気がいたします。それはそれとしてというふうに片づけられないのかもしれません。ですから、それはまた財政需要が膨らむという意味で、言い方としてはどうかと思いますが、はるか沖地震で例えば何%かの金利で復興資金を利用されている方々に対しましては、例えば神戸のこの阪神大震災と比較して、それが比較すれば高くなってしまうというようなことになった場合は、むしろそちらの方に阪神大震災で適用する、あるいは創設をする制度の趣旨というものをはね返してあげるというぐらいの、私はこの大震災の場合にはそのぐらいの姿勢があってしかるべきなのではないだろうかということは申し上げておきたいと思います。  それから、今日までの金融支援について、大変御無礼な言い方になるかもしれませんけれども、それは最高限度額とか最低金利とかということはありますが、四・七五%だとか、年四・四五%にするとか、あるいは三%を上回ってもわずかにするとか、あるいは三%にするとか、いや三%を下回る金利にするとか、そういうことでずっと今日まで経緯があるわけですけれども、これは、何というんでしょうか、四%より三%の方がいいわけだし、王より二の方がいいわけですよ。  ですから、ある意味では通産大臣のあるいは政府のやはり決断なんだろうと思うのですね。誤解を恐れずに言えば、バナナのたたき売りみたいな感じ、イメージが、現にそういうふうに、何なんだと言っている方々もいるわけです。だったら、この事態を押さえたならば、激甚災で三%、それ以下にしようといったら特別立法が必要だということであれば、やはりそこのところを腹を決めてやりますということを、被災地の皆さんにも明確にメッセージが伝わるというか伝達するように、激励できるようにやるべきなんじゃないでしょうか。私はずっとこの金融支援の金利の数字がだんだん変わってくるプロセスを見ていまして、そのように思えてなりません。  これは申し上げておくだけで答弁は結構でございますが、それらも踏まえて積極的な御対応を重ねてお願いをしておきたいと思います。  それから、電気ガス、水道、あるいは地下鉄も入ると思いますけれども、公益的な、インフラといいますか、相当ずたずたにやられているわけです。これを復旧するためには企業会計だけではとてもとても賄えるわけないわけです。大臣はしばしば開銀融資に道をぜひ開きたいと、またそういう方向になっているのかというふうにも思いますが、私の理解が間違いでしたらどうぞ後ほど御答弁でお願いしたいのですけれども、私は、こういう企業会計だけではもう対応不可能なことはだれが見たって明らかなわけでありますから、新たな国庫による支援というものがどうしてもこれは必要である、こう思いますが、御見解はいかがでありましょうか。
  48. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これはあくまで個人の意見としてお聞きをいただきたいと思います。  私は、閣僚をもって構成する対策本部の席上、特別立法の検討のためのチームを急いでつくってほしいということを申し出た張本人であります。その時点で想定をいたしますケースというものはさまざまなものがございました。  そして、私自身がかつて自由民主党の行財政調査会長として特殊法人の民営化に踏み切っていきますプロセスの中で手がけましたうち、今回、外貿埠頭公団と旧国鉄、現在のJR西日本、この二つが非常に大きな被害を出しました。そして、私はその当時これを民営化した責任者として非常に悔いておりますのは、こうした大規模な災害の際に公的資金を導入する道を両者ともにとっておらなかったということであります。そして、当然ながら、国際港である神戸港というものを考えますとき、その将来を考えれば、私はこの港湾の再建のために公的資金が必要になるであろうと想定をいたしました。また、JR西日本というものを考えましたときにも、公的な資金がここにも必要であろうと考えております。  阪神高速道路公団の場合は、これは道路特会の中でやれるのかもしれません。しかし、あそこにも一〇〇%の補助規定はなかったはずでありまして、料金改定をせずにこの復旧費を賄うとすれば何らかの工夫を必要とするのではないかと思います。  同時に、これは私鉄にも言えることでありますし、私は、電力及びガスについて、公営企業の責任にかけても、当面の復旧についてはそれぞれの企業努力をもって賄ってもらいたいと願っております。  しかし同時に、当然のことながら、この当面の復旧とは別に、兵庫県なり神戸市なりが新たな青写真をつくり復興に向けての努力を始められる時点で、その計画は二重投資を伴う可能性が多分にあります。その場合には、やはり公的にここに何らかの工夫をしなければならないであろうと私は考えております。  さらに、先ほども御論議がありましたけれども中小企業だけではなく大企業をも対象に今後は対策を考えなければならないとするならば、税について、これは一般にもあることでありますけれども、国税、地方税を通じて特別な対応を必要とするケースが想定されます。そして、都市再開発に伴う新たなルールづくりといったものを考えますと特別立法は相当前広に考えなければならない、そういう意識のもとに対策本部における議論を私はいたしてまいりました。  そして、先ほど委員は開銀融資と言われましたが、私は開銀融資だけに特定して議論をしたつもりはございません。税制もありましょうし、公的な助成制度そのものを必要とするケース、そういう判断の出てくるものもありましょうし、政府系金融機関における支援策を講ずれば対応できるケースもあろうかと思います。  いずれにしても、あらゆる武器を使って我々は復興しなければならないのでありますから、その方法をあらかじめ限定してかかるより、私は、できるだけ前広に、個々のケースに応じて使える施策は何でも使いたい、率直にそんな気持ちを持っております。
  49. 山田英介

    ○山田(英)委員 前広に考えたい、対処したいというのはよくわかりました。ということであれば、例えば、先ほどの同僚委員質問にも御答弁がありましたが、瓦れきの処理ですね。こういうものも、二分の一を国、二分の一を自治体、それで片づけますという話になっているわけでございますが、これはやはり国が全部費用を出して、倒壊家屋等の瓦れき、それらは全部片づける、全部それは国の費用だ、こういう御対応をお願いしたいと思います。  それから今、電気ガス、水道、もろもろ、そういう特に大規模なインフラにかかわる部分につきましては、企業会計ではだめなわけですから、激甚法の適用対象範囲に加えてあげるとか、それでも足りなければ特別立法で措置をするとか、まさに前広にぜひ御検討いただきたい。方向性を早く決めていただきたいのです。こうやって私どもここで議論している同時刻にまだ二十五万人前後の方々が避難所生活をやっている、こういうことでもありますし、産業についても同じです。ここは商工委員会ですから、そういうこともぜひ踏まえて御対処を願いたいと存じます。  今出ました港ですね。神戸の港、これは確かに大変ですよ。貿易のコンテナ貨物取扱量で我が国全体の三割を占めるというような重要な国際的な貿易港である。海からではございましたが、子細に私も見てまいりました。それから、目の届かないところは大きな写真で確認をさせていただきました。  これは、財団法人神戸港埠頭公社、この公社に係る事業で被害額が約一千億円、こういう大きな被害を受けております。それから、民間の施設とかその他の港湾の土木施設の被害など合わせれば、これは兵庫県の港湾局の試算かと思いますけれども、一兆円を超えてその総額の数字が出てきている、こういうことであります。  大臣の今の御答弁にありましたように、この財団法人神戸港埠頭公社、これもやはり国のお金が基本的に入らない、こういう位置づけになっておりますものですから、自力で復旧するなんてことはとても無理な話でありまして、今の大臣の答弁にありましたように、ぜひ神戸港の復旧に全力を挙げなければならないと思いますし、特段にこの埠頭公社の一千億円についても手だてを講じられますようにこれは強く御要望申し上げておきたいと思います。  これは、クレーンなんかも大変ですね。大体コンテナバースが十五全部やられています。そこに大体二、三台の大型のクレーンがありますが、御案内のとおりかと思いますが、外見ではどうなのかなと思うようなものでも、座屈という形で下の方が傾いていたり、外側へ膨らんでしまったり、あるいは滑車が外れてもとへ戻らない。ですから、四十台前後、大型のクレーンが、コンテナをつり上げたりするものが、今のままでは使えるものがほとんど一台もない、こういう状況でもあります。これは非常に大変な話でございます。我々も御協力させていただけるところはもう一生懸命やりますので、よろしく御対処いただきたいと思います。  それから、時間はどんどん過ぎてしまうのですが、ちょっと財源問題について、これは必ずしも通産大臣通産省の御所管である、そう決めつけて僕は申し上げるわけではなくて、橋本大臣としてどういうふうにお受けとめですか、こんなところで御意見を聞いておきたいと思っておるわけでございます。  平成六年度予算の補正予算、この処理がきょうこの後の本会議でされるのでしょうか。そうすると、その次に来るのは阪神大震災。補正予算は、農業補助金といいますか、そっちの方が中心の話になりますので、大震災には全く関係のない補正予算なんです。したがいまして、できるだけ早急に、大震災復旧のための緊急予算措置中心とした、まさにその第二次補正予算を編成して国会に提出なさる、こういう順番になるわけでございますが、この第二次平成六年度補正予算案の中にいろいろ計上していただきたいな、またすべきであるということの一つにODA予算があるのですよ。  僕は、資料全部調べて持っていますから細かい数字まで申し上げませんけれども、平成六年度で大体三百億円弱、通産省がODA予算として持っていらっしゃるのです。初めて、七年度本予算案の中では大体三百億円ぐらいになるのです。幾らかふえているのですね。ODA関連予算全体としては、初めて七年度本予算案の中では二兆円台ということで、初めて二兆円台の大台に乗った額が盛り込まれておる、このようになっております。  それで、このODA予算を、まず平成六年度予算の中に計上されております約三百億円近くの通産省所管のこの部分について、いろいろなやり方がODA執行の場合にはあるわけですけれども、交換公文を交わすとか調印をするとか、あるいは研修生をこっちに迎え入れる費用とか、いろいろな形があるのですが、いわゆる未消化分、あるいは援助としてまだ支出をしていない、そういう部分が少なからず私はあるのではないかと思っているわけでございます。  これは御担当の方で結構でございますが、政府委員の方から、六年度予算の中にある通産省所管のODA予算で未執行分がどのくらいあるのか、ひとつ概算でいいですから、おおよそ十億ぐらいありますよとか三十億ありますよという、その程度でいいです、数字の正確さは。
  50. 細川恒

    ○細川政府委員 お尋ねの件でございますが、突然のあれでございますので、詳細は持ち合わせておりませんけれども、昨年の例に従いまして申し上げたいと思うのです。  当省は、ODA事業として、発展途上国の人材養成に資するような専門家の派遣、あるいは研修生の受け入れなどを実施してきておるわけでございます。それで、ODA予算につきましては、従来からでございますけれども、非常に有効活用がなされております。具体的には、平成五年度の不用額というのは五百万ということでございまして、したがいまして、現在のところ特別な事情が生じない限り未消化となるものは想定をいたしておらないという状況でございます。
  51. 山田英介

    ○山田(英)委員 特別な事情がなければという今のお話でございますが、これは一つの判断、決断の問題ですからね。しかも、未消化分が五百万円しか残っていないというのは、それは平成五年度の話ですから、それてきようが二月七日ですからあと約二カ月あるわけで、それなりの規模のこういう異常、異例な非常事態というものが一方に起きているわけでありますから、それは一回ぜひ精査していただきたいと思います。  それで大臣、これは一方においては、外国に対する援助よりかまず阪神大震災復旧ではないのかという声が実は国民の中にあることは事実なのです。そういう意見が一方にあるのです。他方、とはいっても、日本経済的に力があるのだから、大きな災害に不幸なことだけれども見舞われたとしても、自力で当然復旧できる力があるのだと。したがって、それにある意味では非常に大きなそれぞれの国の成長や発展をかけている、また期待をしている、その額を削ってしまうのですかという、こういういわゆる国際的な信頼というものを傷つける要素も一方にあることは事実なのです。  それを私は両方踏まえた上で、やはりそれはバランスということではないのかと。ODAというのは、今お話がありましたように、非常に我が国にとってもこれは大事な予算であります。したがいまして、このODAが多くの国民の理解と支持を長く獲得しながら、から得ながら、そしてそのことがODAの一層の発展につながるということもまたあるわけでございまして、国民の率直な気持ちの中に、その一部分というものを大震災の方の復旧あるいは救援に回せないのかという気持ちは、私は軽々に無視をすることはいかがかなという感じがしてなりません。  したがいまして、私はそういう意味で、第二次補正予算にまず方針を、聖域はないんだと。行政既定経費を節減していく、その中で幾らかでも多く大震災の救助、救援、復興のために、また緊急措置で使っていこうという大方針というものをひとつしっかり踏まえて、その上であとは、不要不急とは言いませんけれども、未消化分、平成六年度予算分においてぜひこれは御決断を、あるいはそういった方針というものを明確にして、回せるものはそのうちの何%か、何十%かわかりませんけれども、あるいはこれはもう金額の多寡じゃないですね、金額の多寡じゃないです、被災民政府の信頼関係に係る次元の話です。大臣の御所見を伺います。
  52. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 既に平成六年度の第二次補正予算の準備作業に事務当局としては当然のことながらかかっている時期であります。そして、そのプロセスの中におきまして、先日の大蔵大臣の御発言によれば、予備費は一千億ちょっとしか既に残っていないということでありますから、各省の六年度予算の中におけるぎりぎりの、もうあと二月足らずのところに来ているわけでありますけれども、不用があれば、当然ながらその不用額というものがその原資に充てられていくであろうことは、私も当然のことだと思います。  ただ、今、個々の歳出項目、委員はODAを挙げられましたけれども、個々の歳出項目について議論をすることが望ましい環境だとは私は必ずしも考えておりません。ただ、委員のお考えの基礎になる部分、国民感情等を踏まえられての御議論というものは私も確かに承りました。そして、それは大蔵大臣にきちんと委員の御意見としてお伝えを申し上げたいと思います。     〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
  53. 山田英介

    ○山田(英)委員 それで、一つの予算についての考え方なんですけれども、補正予算をここで処理する、第二次補正予算で震災緊急対策措置をしなければなりません。そこで、ODAと今私は例を挙げましたけれども、いろいろな個々の項目を集積して計上していくという作業が当然なされるわけです。  その次は、今度は今審議している平成七年度本予算案、これについても、例えば公共事業をとってみても、あるいは公共事業を含めたあらゆる事業予算というものは、事業予算に限らずこの七年度予算案そのものが大震災が発生する以前に編成されたわけですから、それに対応した予算案でないことは事実でございまして、そこでもやはり本予算を組み替えていくということがやり方として正しいのではないか、当然そうすべきではないか、私はそう思う一人なんです。  ですから、全部を最初から組み立ててしまう、組み立て直すという意味においては、これは大変な作業であり労力ですから、そういうことを僕は申し上げるわけではないんですが、例えば公共事業費ですね。さっきの神戸港の例でいえば、大体港湾関係の予算というのは年間六千億円ぐらい計上されているわけですから、その中には例えば新規事業があるんだろうと思うのです。神戸港とは別のところに港湾を整備するための基礎調査費だとか工事費だとかというものが計上されている場合があるわけですよね。  例えばそういうものを優先的に、今莫大な甚大な被害を受けて、我が国経済をある意味では揺るがしかねないというような大きなインパクトを持つこの大損傷、この復旧のために、一定のルール、原則のもとに、こちらに優先的にこの部分は回させてもらいますよという、仮に組み替えが重点的になされたとして、そのことを非難する国民は多くないのではないか。また、その港湾を期待をしていた、そういう地域方々あるいは業界の方々にとって、それは相ならぬ、けしからぬということにはならないのではないか。  一つの例でございますが、そう考えていきますと、第二次補正で緊急対策を盛り込む、そして平成七年度の本予算案でつなげていく、予算の組み替えというものが筋として正しいのではないか、そして、それでまだ足らざるところは、七年度の補正予算、七年度の第二次補正予算ということでフォロー、対応していく、こういうことに私はなるのじゃないかと思うのですね。  それで、これは耳に入ってくることなのですけれども、七年度の本予算を成立させたら、もうほとんど間髪を置かずに平成六年度の第二次補正予算を出して、二、三日の審議でもって上げてしまうのだ、ともかく地震対策だがらというような声も聞こえてくるわけですよ。聞こえてくるのですよ。それはおかしいのじゃないか。そういうことをもしやろうとしたら、大臣、これはおかしいですよ。そうしたら、本予算の審議をやめて早く補正予算、七年度分の補正予算をつくって、それを先に審議しなきゃならないという話になるわけですよ。  ですから、そういうふうに考えていきますと、それは異例なことですよ、本予算を審議しているときに補正予算のことを口にすることすら非見識だと今まで言われてきたのですから。ところが、この大震災の大被害、惨状ですから、本予算で足りないところは補正予算でという話ができるわけですよね、今。だけれども、言葉を選ばなきゃなりませんが、だけれども本当の筋というのがあるのじゃないのかな。それを、大変だからという、大震災で惨状が大変だという、そんな中でその筋というものが曲げられてしまう、あるいはゆがめられていくということは、私は好ましいことでは決してないというふうに思っているものですから、前例がないほど、したがって前例のない大被害だということなのですよ、この震災が。いかがでしょうか。
  54. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ちょうど私は、湾岸危機から湾岸戦争というプロセスの中で、自分で編成した予算を組み替えたその当人であります。しかし今回の場合、委員が御指摘をされましたような、補正予算、災害関連だから短時間でというような議論は、これは論外だと私も思います。それを前提にして、平成七年度予算の組み替え、提出のし直しということには私は賛成をいたしません。  むしろ、二十四、五日とたしか大蔵大臣言っておられたように思いますが、この災害を踏まえた第二次の平成六年度の補正予算案というもの、これは本当に私は一日も早く成立をさせていただきたいと願っております。同時に平成七年度予算も、七年度の年度開始から施行できる状態の、きちんと間に合う期間にぜひ予算の成立は国会においても御協力を賜りたい、本当にそう考えております。なぜなら、それによりまして、平成七年度のまず予備費がいつでも使用できる状態になります。  そして、私は、この災害影響を実際に数字として把握をすること、そのうち、例えば平成七年度内にどれだけを復旧でき得るかという事業量の試算、さらに、それ以降どれくらいの年月と費用を予測しなければならないかといったこと、こうしたことを確定するには、私は一定の時間は必要であろうと思います。今委員が想定をされ、そんなことがあってはならぬと言われたように、年度がかわりましてはたばたと平成七年度のこの災害に対しての補正予算が編成され、国会に御提案ができるという状態にこぎつけるという自信は、私は、自分の守備範囲からいきましてもそう簡単には持てません。  この災害影響というものは非常に幅が広いものでありますし、被災地域以外のところにも今順次影響を及ぼしつつあります。そうなりますと、私は、平成七年度予算の成立、とりあえず予備費が使える状態というものはぜひつくらせていただきたい。そしてその中で、当然のことながらその予算の弾力的な運用をし、時間をかけながら被害額を確定し、七年度における復旧の量を確定し、そういった手順をきちんと踏ませていただいて、むしろ、平成七年度の補正予算という形で復興予算を国会に御提案を申し上げますときには、その後における青写真までを踏まえたものにして提出するのが本意であろうと思います。  その中には、今委員港湾で例をとられましたように、七年度事業として予定をしておりましたものがまさに組み替えられるケースもありましょう。あるいは、ODAを例にとって論じられましたように、七年度予算編成時においては優先度が高いと判断をされました政策目標において、復旧復興の事業に比してその優先度は低いという判断のもとに、当初の判断を変える項目もあるいはあるかもしれません。さらに、それぞれの事業の優先度を判定した上で組み替えて財源を他に転じられるものもあるのかもしれませんし、そうしたものがないとなれば、その財源をどうするかということもまた御議論を願わなければなりません。  いずれにしても、私は、この兵庫南部地震復旧から復興に至るプロセスの青写真を描きながらでなければ、七年度の補正予算というものは提出してはならないと思っておりますし、提出をする時点ではある程度の将来への青写真をつくっておくべきものと考え、その青写真とあわせて御判断を願うべきものと思います。そうした作業の時間を確保する意味からも、七年度予算は年度内にぜひ成立をさせていただきたい、心からそう願っております。
  55. 山田英介

    ○山田(英)委員 要するに、今御答弁なすったのは二つあるのですよね、大臣のは。一つは、青写真がどうつくられていくかということとこれは関連する。もう一つは、これはちょっと重要なのですけれども、七年度予算案の、あるいは七年度本予算の予備費を要するに早く使いたいという、そういうふうに私は今……(橋本国務大臣「使う必要があれば使います」と呼ぶ)使う必要があれば使う……(橋本国務大臣「使う状態にしたい」と呼ぶ)ですから、そういうことでいいのかと僕は申し上げているわけです。  予備費というのはどのぐらいなんですか。何兆円も予備費というのはあるのですか。
  56. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは、もし誤解を生ずるような言い方をしたとすれば私はおわびを申し上げて、そこは訂正をさせていただきますが、予備費というのは三千五百億ぐらいだったと思います。しかし、三千五百億円の国の資金というものは、地方負担等合わせますと相当大きな効力を有するものであることも御理解いただけるものだと思います。  同時に、平成七年度予算の成立していない状態において仮に平成七年度予算を組み替えてということになりますならば、これが四月以降に入る部分についての暫定予算の作業といった、非常に余分な作業がここにまた一つ入ります。しかも、これは既定された経費だけに対応するものでありますから、暫定予算というものの性格上、異常な状態を解消するためにはこれは使えないものではなかったかと私は思います。  そういたしますと、やはり七年度予算は七年度予算として成立をさせていただき、四月一日から使える状態にさせていただく。これは被災地の方々にも安心をしていただきながら事後の対策を練る時間的な余裕も持てる。予備費と申し上げたのは一つの例示を申し上げたつもりでありましたが、私は、七年度予算が使える状態にしておいて、基本的な将来に向けての方向とともに復興のための予算というものは編成すべきものだと思います。
  57. 山田英介

    ○山田(英)委員 橋本通産大臣はそういうお考えであるということが明らかになったわけです。私はるる申し上げたとおりの見解であります。  それから、やはり復興に関する点ですが、先般アメリカの緊急事態管理庁、FEMAのジェームズ・ウィット長官ら調査団一行が来日されまして、橋本大臣はお会いになられたのでしょうか。
  58. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 残念ながらお目にかかる時間はありませんでした。
  59. 山田英介

    ○山田(英)委員 被災地を非常に御心配なされて、熱心に調査して回られたと伺っております。  それで、実は私は友達とここ二、三日ぐらい前に、このままだと神戸の町が空洞化しちゃうな、そういうおそれがあるなと。甚大な被害を受けた。復興ももう本当にある意味では気の遠くなるような労作業が待ち受けている。しかし、国際経済我が国経済は瞬時もとどまるところはない。ということになると、企業名前は出しませんけれども、幾つも調べて持っています。  設備に対する被害が余りにも深刻で、そこを補修してそこでもって生産活動をやるんだったらもう新規に立地しようというところも現実にあります。それから、丸々神戸から脱出してしまうということではなくて、本社機能だけは別のところへこの際移そう、そういう計画をされている企業も少なからずあります。あるいは野ざらしのコンテナ、動かないクレーン、エプロンが海中にのめり込むように突っ込んでいるあのコンテナハース。物流の世界的な拠点としてのかつての神戸港の姿は余りにも無残であります。荷揚げも移送も荷さばきもできませんというようなところで、本当に神戸の空洞化というのがこれは心配されます。  それで、一つは、これは実はちょっとまた難しいところもあるのかもしれませんけれども、そんなことを友達と話をして議論していったところ、これは兵庫県知事さんの御要望事項として、何か小里地震担当大臣が要請を受けたというふうに報道に書かれております。要するに、復興の公共工事、大きなインフラ再興のための公共工事が今後本格化するわけですけれども復旧公共工事であっても外国の建設会社、それらの方々の受け入れと言うと語弊があるのですが、そういう方々にも広く、まさに前広に対応して、そして日本企業復興工事に当たる。比較をして優秀な技術を持つ、そういう担当できる外国の組織があれば、またそういうところにも仕事をしてもらう。そういうようなことも、一つ神戸というイメージですね、国際都市、貿易都市というようなことから考えても、それはひとつ考えていく必要があるのじゃないか、こんなように思っていたわけです。  それから、中国に幾つかある経済特区という考え方、その特別区域の中で加工・製造業を営むという場合には、輸入する部品については当然関税がかかりますけれども、そこで組み立てて海外に輸出をするというその段階では課税はしません、その安企業はメリットを受けられる、そういういわば経済特区的な発想、そういうものも神戸復興というものを考えた場合に国としても後押ししていくべきじゃないかと私は思うのです。  それで、この点についてはちょっと今資料一枚手元に見当たらなくなったのであれですが、そういう一つの構想ですね。そうしましたら、もう一回また、けさの新聞でしょうか、ちょっと何新聞か忘れたのですが、ああきょう質問だなと思いながら朝刊見ていましたら、またその話が出ている。改めて兵庫県知事さんの御要望だということで、そこには三点ぐらいあったのです、今のことも含めましてもう一点は、建築基準法の緩和を通して町づくりを復興していきたいという趣旨の要望事項一つあります。それはまさに恐らく、優秀な技術を持つ外国の企業にも復旧の仕事をやっていただけるようにという、そこのところにつながる話だろうと僕はちょっと見ていたのですけれども。  いかがでございましょうか、神戸復旧ということを考えました場合に、今までも別に外国の建設会社とかそういうものに法的にとか意図的に門戸を閉ざしていたということではないのだろうと私は思うのですが、ただ、基準とか標準という部分で実質的にいわば非関税障壁みたいな部分が恐らくあるのだろうと思うのです。通産大臣、そういうところも神戸復旧については特段の支援を、そういう角度、またそういう要望に対する支援というものもぜひ政府として真剣に受けとめてあげるべきではないか、あるいは支援をしていくべきではないのか、こう思いますが、御所見はいかがでしょうか。
  60. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは一部一般論としてお答えすることをお許しいただきたいと思いますけれども、一定金額以上の工事に対して外国企業の参入について既に日本は道を開いているわけであります。そしてそれは、私は当面の復旧工事に海外の業者といってなかなか間に合うものではないと思います。しかし、先ほども御紹介いただきましたように、既に兵庫県自身が将来に向けての青写真をかこうとしてそのスタートを切っておられるわけでありますから、その青写真を実現する段階になりまして、当然のことながら外国企業の参入といったものは視野に入れておられるでありましょうし、それに問題があるとは私思いません。  そしてまた、フリー・トレード・ゾーンについてのお話がございましたけれども、現在の関税法のもとにおいて、私はその保税制度は随分ニーズに対応ができる状態になっていると思います。観念的な話は別です、実態論として非常に変わってきておりますから。ですから私は、現行制度にもし支障があるとすれば、具体的にどんなところを問題視しておられるのか、お地元の方のお話も伺いながら考えていきたいと思います。  いずれにいたしましても、こうしたことを国が押しつけるということは私は基本的に避けるべきだと思います。そして、兵庫県及び神戸市の御意見というものを踏まえながら、現行制度で足りない部分がありますならばそれを是正していくといったことも当然考え、努力をしていくべきことであろう、そのように思います。
  61. 山田英介

    ○山田(英)委員 橋本大臣、前向きな御答弁であると私は理解をいたしました。おっしゃるとおり、国からこうしなさいというような押しつけは、これは基本的によくない、これも私は同感でございます。  物価とかその被災者、災害でもって大変な痛手をこうむっている被災者に追い打ちをかけるようないろいろな具体的な犯罪行為まがいの事件も多発をしておるようでございます。これは極めて重要な話でありますから、私は災害関係で一時間というふうに予定していたのですけれども、もうちょっと時間をかけさせてもらいます。  考えておりましたら、またけさかきのう新聞に出ているのですけれども兵庫県警が「震災商法摘発へ」「物価統制令も適用」、こう出ているのです、ごらんになったと思いますけれども。まず物価統制令とかそれから国民生活安定緊急措置法、もう一つありますね、物価三法と言われるやつが。生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律、これは高村さんのところで所管しているわけです、この法律は。これで、兵庫県警は、この記事によれば物価統制令を適用して強い決意で検挙するというのですよ。警察庁はそれを全面的にバックアップします、こうなっておるのですね。長官、どうですか。  その前に、いろいろあるのですよ。屋根のふきかえが百六十万です、通常五十万円ぐらいなんです。本当は二百五十万ぐらいかかるのですけれども百六十万で結構です、これでお金を徴収している。屋根のシート三枚で二十三万円取られた、通常二、三万円だそうですよ。水道の漏水修現代三万から四万二千円取られる、通常は一万円ぐらいなんですって、これは。いろいろあるのですよ。タクシー、これは運輸省かもしれませんが、きょうは一人一律五千円です、荷物一個乗っけたらそれは一律千円プラスになりますというような。  私は、極めてレアケースだと思って、実は恥をさらすようで申しわけないのですけれども、レアケースだな、不心得者がいるな、そんなふうに実は思っていたのですが、何とレアケースじゃないのですね、これは。県警、県生活科学センターそれから神戸生活情報センターなどには五百件もの苦情が寄せられているのですよ。  高村大臣、どういうふうにこれは経企庁として掌握されていますか。掌握というと大げさになりますから、どういうふうに御認識をされておられますか。私はレアケースだと思っていたのです。長官、どうですか。
  62. 高村正彦

    高村国務大臣 先ほど甘利議員の質問にお答えしたわけでありますけれども神戸市が一月二十三日から二十七日にかけて、これは食料品日用品価格調査でありますけれども、したところによると、物価は総じて安定している、こういうことでありました。それから、経企庁が一月二十五日に物価モニターに対し調査を実施したところ、被災地では「一部の商品で価格の上昇がみられる」という回答が約三割、二七%だったと記憶しておりますが、物価は「全般的に安定している」もしくは「従来よりも安く販売しているものもある」と回答した方が約七割を占めたわけであります。  全般的に言えば、日本経済は十分な生産能力を持っていますし、供給体制が整備されつつある。そういうことで、引き続き安定的に推移している、私はこう見ているわけでありますけれども、先生おっしゃるように、例えば物価一一〇番等に防水シート工事家賃等についての苦情、問い合わせが、当初は日用品について多かったのですけれども、しばらくしてから苦情の内容が変わってきた、こういうことであります。  先ほど警察の取り締まりのお話をされましたけれども、これは物価統制令における不当高価契約等の禁止の条項等の適用について選択肢の一つとしている、こういうことでありまして、現時点が物価統制令の統制額の指定についての要件である物価が著しく高騰するおそれのある場合の要件には、少なくとも現時点では該当していないという認識を持っております。
  63. 山田英介

    ○山田(英)委員 前段のお話は、長官、私、全然そういうお話をしているわけじゃないのです。後段のそこの話なんですよね。これは甘く対処しますと大変なことになりますよ、経企庁も。この苦情、詐欺まがいの一つ一つの出来事、相当緊張して対処しないと政府の信頼問題ですから、これは。  被災者の皆さん、もう悲しみのどん底でしょう。ある意味では絶望のどん底ですよ。そこにつけ込んでやるのですからね。相当の決意で、長官、これ見守り、手を打たないと、失礼ですけれども、軽く見ていると大変なことになりますよ、これは。いいです、まだ答弁は。だから、物価統制令まで動員してそれを何とかしようというのが地元の警察の決意なんですから、警察庁はそれをバックアップするというこういう体制、じゃ、経企庁被災民のために物価三法等でもって何をやろうとしているのかというところですよ、問われているのは。  それで、物価一一〇番も、それはそのとおりかと思います。ただ、許せないのですよ、そういうのは。一罰百戒、強い姿勢が必要ですよ、経企庁だって。  それから、もう一つは、被災民方々に安心感を与えることですよ。政府に対する信頼感をきちっとつなぎとめておく、あるいはそれを助長させるという極めて大きなこれは問題なんです、テーマとしては。通産省と農水省と経企庁だったですか、やみカルテルとかいわゆる買い占め、売り惜しみ、これは品目を六、七十指定して価格動向を追っかけるよというべた記事で私はちょっと拝見しましたけれども。そういうレベルのあるいは本質の話なんです、これは。  それから、刑事訴訟法には、二百三十九条の第二項で、有名な条文です、公務員は、違法行為を探知したときには告発義務があるのです。御案内のとおりです。そういう個々の事案というものを軽く扱わないで、物価三法を統括をしている、所管する経企庁として、そういう個々の事例というものを知ったときにはという話になるわけですから。それが被災民に対するすべてとは言いませんよ、経企庁のできる仕事としてすべてとは当然言いませんが、経企庁という一つの役所として、官庁として被災者の方々にやってあげられる重要な一つなのですよ、またやるべき一つなのですよ、これは。  それで、警察の方ではまだちゃんとやると決めたわけでもないとか要件を構成するまでに至っていないとかいう趣旨のお話が今高村大臣からあったと思いますけれども、実際に事例としてはいろいろあるのです。実は最高裁の決定、最高裁の判決まで出ているのです。伊勢湾台風のときに、法外な価格でトタンを売ったのがいたのです。これは官庁が告発したということではないと思います。売られた者が、売りつけられた者が告発をして、そして最高裁まで争われて、物価統制令を根拠として有罪判決を食らっているのです。  ですから、この兵庫県警の記事を見ますと、入場券を通常の倍で売りつけたといういわゆるダフ屋と言われるものが戦後二件だけだというマスコミの記事になっていますけれども、僕に言わせればそれだけじゃないのです。伊勢湾台風のときにやっているのです。この法律が発動されているのです。まあ数字は正確ではないですけれども、同じようなケースなのです。災害直後、被災して打ちひしがれている者に、トタンを二百円するところを百何十円でまけてやってあげます、実はそれはわずかな数十円の代価であった。これは物統令を適用して摘発されているのです。  要するに、それまで緊張しているわけですよ、緊張しているのです。もう肌で伝わっできますよ、当時の伊勢湾台風の被災地の惨状と人々の緊張感というものが伝わっできますよ。ないとは私は申しませんけれども、そういう姿勢で、物価とか買い占めとか売り惜しみとか、あるいは詐欺まがい、犯罪まがいのこういうものは、物価統制令でも何でも動員をして、経企庁被災者のために全力を尽くすべきだ、少なくともその姿勢は明確にすべきだと思います。
  64. 高村正彦

    高村国務大臣 申し上げましたように、警察は物価統制令における不当高価契約等の禁止の条項等について選択肢の一つとして検討しているということは私も承知をしております。  摘発するのは経済企画庁が摘発するわけではなくて、経済企画庁の仕事とすれば物価統制令の統制額の指定等について行うわけでありますが、物価が著しく高騰するおそれのある場合の要件には現在のところ該当していない、こういうふうに今判断しているわけであります。そういうふうに今判断しているということは、常にそういう判断についてやるかやらないかということを検討しているということだというふうに御承知いただきたいと思います。  ただ、著しく高騰するおそれがある場合ということをやみくもに認定するということは必ずしも適当でないと思うのです。この間私が記者会見した際に、先ほど申し上げた物価モニターを通して調査したところ、約三〇%の人が一部のものについて値上がりが見られると回答したことを記者会見で申し上げましたら、たった一つの新聞でありますが、現地で流している新聞に、三〇%が便乗値上げしている、三〇%の商品に便乗値上げがある、こう書かれた。これは大変困るんだと言って神戸市から抗議がありました。私はその新聞社に話して訂正記事を出していただきましたけれども、今物価がべらぼうに上がっているんだ、上がっているんだと宣伝することはまだ困ったことだと神戸市も言っておりますし、私たちもそう解釈をしているわけであります。  私たちは緊張感を失っているわけじゃなくて、常に私たちが持っている伝家の宝刀に該当するか該当しないか緊張感を持って検討している、そして、現時点ではそれにまだ該当していないという判断をしているということに御理解いただきたいと思います。
  65. 山田英介

    ○山田(英)委員 ぜひひとつそういう決意で引き続き頑張っていただきたいと思います。  公正取引委員会委員長さんには長らくお待たせをいたしましたけれども、私は今るる申し上げました。公正取引委員会委員長としてはこの阪神大震災被災者の方々関係する方々に対して何をどうしてあげることができるのですか、これを教えていただきたいと思います。また、どういう対応をなさっておられますか。
  66. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま、今回の大震災につきまして大きな被害を受けられた、特に被災地の住民の方々の大変な御苦労、これについての政府対応をめぐる御議論をいろいろ承ってまいりました。私ども公正取引委員会といたしましては、簡潔に申し上げたいと思いますけれども、今回の震災によりまして阪神地区における生産活動あるいは物流機能が大変大きな被害を受けまして、生活必需品を初めとする物資の需給に相当な混乱が生じているということを伺っておりますし、また大変心を痛めております。  したがいまして、もしこういう事態に便乗いたしまして、生活必需品あるいは復興資材等に関して、先ほどちょっとお言葉がございましたが、例えば価格カルテルなどの独占禁止法違反行為による不当な価格引き上げが行われるようなことがもしあるとすれば、私ども公正取引委員会といたしましては、当然のことでございますけれども、これらの行為に対して厳正に対処をしていく所存でございます。このために情報収集にこれまで以上に努めますとともに、相談窓口を整えるなど、あるいは他の関係諸官庁と連携をとりながら、情報の収集に特に意を用いまして、適切に対処をしていきたい、そういう所存でございます。
  67. 山田英介

    ○山田(英)委員 ぜひそれぞれの部署部署におかれまして、事は政府と国民、政府被災者の信頼関係にかかわる極めて重要な事柄でございますので、引き続き一層の御奮闘を高村経企庁長官にも、また公取委員長にも、そして橋本大臣にも、ぜひよろしくお取り組みをいただきたい、かように思います。  さて、私は、産業の空洞化問題につきまして、先般の橋本大臣所信表明の中にもありましたように、これを一つのテーマとしてきょう議論をさせていただこうと思っておりました。と同時に、もう一つは、世界の自由貿易体制、新しい巨大な自由貿易体制というものがWTOという組織の発足によりまして新しい世紀へ向かって船出をした、こういうことでありますので、経済外交、通商外交について議論をさせていただきたい、こう思っていたわけでございます。  ただ、両方まともに議論をさせていただきますと、あと三十分ほどしかないかと思いますので、中途半端、しり切れトンボに終わってしまう危険性を感じておりますので、真ん中の空洞化問題については折を改めて、ぜひ橋本通産大臣高村経企庁長官と議論をさせていただきたい、論じさせていただきたいというふうに今思っております。  ただ、一つだけ、私のとらえ方といいますか、視点といいますか、こういうことなんです。産業の空洞化現象というのは、急激な円高によりまして非常に強く意識をされるようになってきている。本当の意味日本産業が空洞化をしてしまったらこれは大変なことになります。いかにして空洞化させないようにしたらいいのかということが論点の極めて大事な部分をなすのではないか、こう私は思っております。  それで、幸いにといいますか、もうちょっと早く御提案なさっていただいてもよかったかなと率直に思っているんですけれども、この常会に幾つかの空洞化対策関連法案が提案される予定でございます。  その一つは、私の理解では、既存の製造業中心とした産業について、これをいかに高度化、あるいは競争力を回復させ、あるいは維持させ、あるいは向上させていくか。そのための新しい事業分野への進出とか、丸ごとという場合もあるでしょうし、その企業の一分野がベンチャー的に新しい事業分野のフロンティアを求めて出ていくという場合もあると思いますが、そういう中で技術力の維持、向上を図るとか、あるいは技術革新とか改革というものを期待できるように国が支援をしていく、この角度が一つあるんだと思うんです。本当の意味の空洞化に我が国をさせないために、産業をそういうところへ陥落させないためにやるべきことの幾つかの中の一つだと思っています、これは。これはこの常会に提案がされます。  もう一つは、今ちょっと言葉として言いましたが、いわゆるベンチャーの育成を含めた新しい事業を、いかにしてたくさん優秀な企業を創造していくか、生み出していくか。それは、ひっくるめてベンチャー支援というふうにくくってもいいのかもしれませんけれども、それが一つあるんです。  これは、先ほど甘利先生も、ソフトウェアあるいはハードウエアとの対比において日米の競争力が今逆転しちゃったんじゃないかという角度からの、競争力がかなり厳しいんじゃないかという趣旨の角度からの御質問があったかと存じますが、そういう意味で、アメリカなんかはベンチャー企業が、株式とか有限とかという法人化したのも含め、してないのも含めて事業が始まったというそのレベルでとらえると、百万を超え百五十万になんなんとする新しいベンチャー企業というものが年間で誕生している。我が国のそれを見てみますときに、非常にこれが話にならないほど、というのは数の意味でですよ、創業という数の比較からすれば、比較にならないほど縮小というか小さくなっている現実がある。  したがいまして、このベンチャーをいかに育てていくか、誕生させていくか、そしてそれを、店頭公開基準の緩和とかそういういろいろな条件整備を国が、政府が図っていくか。そのベンチャー支援というのが、我が国の空洞化を真の空洞化にさせないための政策選択としてもう一つあると思うんです。  もう一つソフトウェアですね。ハイテク技術、エレクトロニクス産業、コンピューター、半導体あるいはソフトウエア、このいわゆる技術あるいはその力、技術力というものが、検証しますと、九二年を境に――八〇年代までの我が国のハイテク産業のあるいはエレクトロニクス産業の旭日のごとき成長の勢いから比べますと、九〇年代に入って、成長率、伸び率が九二年にはマイナスになるという極めて衝撃的な局面を迎えるに至り、今日までその状況で来ているわけでございます。  私はそういう意味で、かつてこの商工委員会だったでしょうかあるいは予算委員会でありましたでしょうか、記憶では五年ほど前になるかと思いますが、私は、当時の通産大臣とまた政府委員方々と、コンピュータークライシスということについてやりとりをさせていただいたことを覚えております。そのとき私のイメージの中には、いわゆるコンピューターについてのソフトウエア、こっちの技術者、エンジニアが非常に少ないという、そういう認識で質問に立たせていただいたことがあるのです。  その後ずうっとまたそれなりの関心を持っていたものですが、今ではコンピュータークライシスではなくてソフトウエアクライシスだと。半導体もあるいはコンピューターもパソコンもワークステーションも、それらを含めて、やはり我が国の先端産業、リーディンク産業と目されているあるいは目されてきた電子工学応用のハイテク先端エレクトロニクス産業の競争力を急速に今失っていく姿というものを見ていまして、コンピュータークライシスは正確じゃないなと、それを含めてもうちょっと広い概念でソフトウエアクライシスなんだ、こういうふうに今は理解をいたしております。  それをじゃあどうしたらいいのかというところが一つあるんです。ここでやはり競争力を回復させなければならない。それがある意味では、ある意味ではというか、私は誤解を恐れずに言えば、それこそが、我が国のすべての産業の蘇生、すべての産業の要するにその競争力、あるいは別の言い方をすれば、高付加価値化あるいは高度化というものを達成するそこのところが核心部分なんじゃないかという実は理解をいたしておりまして、したがって、ソフトウエアクライシスをいかにして着実にそして速やかに克服していくかということが、我が国産業の空洞化を食いとどめる三つ目の大きなテーマではないのかという角度です。  それからもう一つは、これはちょっとなじみのない方もあるいはおられるかと思いますけれども、リストラ等を踏まえて既存産業がいわゆる高付加価値生産可能なそういう企業に生まれ変わっていく、あるいは新規の、それは社会ニーズ対応型の、構造審議会が御提案なさった十二の事業分野ということにも関係しますけれども、新分野に展開をしていって成功していく、雇用を吸収する、失業問題はフォローしていくという、これはぜひ実現しなきゃならないことです。これが仮にできたとします。  それから、いきなりアメリカみたいに、といって、アメリカのやり方が我が国においてすべて当てはまるとかすべてが参考になるとかそんな乱暴なことは私は申しませんが、少なくとも、ベンチャー分野がもう本当に若々しい、そして新しい何かを生み出していこうという活気にあふれたそういう一つ分野として成長してくる、させなきゃなりません。  それができたとして、そして本当に大変な努力をして、そしてまた通産省もリードしてあるいは支援をして、規制でもって保護するということじゃなくて、規制でもって何するということじゃなくて、むしろ規制は緩和とかそれから自由化という方向へ向けての、通産省のそういう一つの、ハイテク、エレクトロニクスを初めとするそういうソフトウエア機器というものをリードしていく、サポートしていく、あるいはいい意味で誘導していく、支援していく、これは大事です。早急に競争力を回復しなきゃなりません、そうしなきゃなりません。  できたとして、四つ目、これは基準とか標準に係る部分なんです。規格、標準。国際標準化機構、ISOに対する対応です。いわゆる国際規格としてISO9000という規格が、今世界的に国際規格としてこれがもうひたひたと押し寄せているというか、各国が受け入れ準備を始めているところです。  時間の関係で細かくは申しませんけれども、結論から申し上げれば、いわゆるJIS規格制度、JISマーク認定制度というのは、御案内のとおり工業標準化法ですか、これに根拠を持つ。一定の物、一定の製品というものを品質的に一定のレベルを保証するあるいは担保するという一つのJISマーク制度というのがあります。ただ、それは日本におけるJISマーク、規格ということですよね。ところが、国際標準化機構、ISOが9000シリーズということで今それを国際規格にしようとしている、各国がそれに積極的に反応している。対応しているそれは、生産された最終果実としての物、製品、これがJISなんです。物の品質。この物をいわゆる生み出してくる生産システム、品質管理という言い方をしているのですよ。  ちょっと取っつきにくいのですけれども、工場があって、原料を仕入れて、加工して、成形して、それでいろいろあって最終的な完成品ができる。完成品そのものの品質を見るのがJISなんです。これができるまでのいわば工程、プロセスというかシステム、これが国際的に一つの規格を標準化しようというのがISO9000の試みなんです。システムを標準化しよう、国際規格として統一していこう。これに対する対応日本は大分おくれているのです。  それで、こういう話になるのですね。それは強制じゃないのですよ。EU、あるいはイギリスでもいいです。日本企業が取引してますよね。EUとか英国はISO9000という国際規格には非常に熱心に取り組んでいるものですから、強制ではないのですが、日本供給業者あるいは輸出事業者が英国の企業と取引をしたい、そのようにオファーした。ところが、英国のバイヤーといいますか、契約の相手方からは、ISO9000とっていますねと、取引の条件でこれが出てくるわけです。とってなかったらISO9000規格とってください、そうすれば契約しましょう、おたくの産品を買い付けましょう、契約結構です、とってなきゃとってください、こうなるわけですよ。任意なんですけれども、結局とらざるを得ないのです、これは。ISO9000の国際規格をとらざるを得ない。  現にシンガポールとか台湾とかこういうNIES諸国、そこでは台湾、シンガポールの政府が公共事業を発注する場合には、ISO9000規格をとっているかというのを条件にしています。任意だからといってはかにしていますと、任意だからといって甘い対応をしていますと、既存産業のリストラやりました、ベンチャー育てました、ソフトウエアクライシス、クリアしました、しかし規格のところでやられるのです、今度は。規格のところで産業空洞化をクリアできなくなってくるおそれがあるのです。  それだけじゃないのですよ。これは環境管理の話で、来年発効するのですけれども、ISO14000シリーズというのがあるのです、そういう規格が。来年発効です。これは今度は環境管理なんです。環境をその企業がどういうふうに取り込んで、一つの国際規格としてそれがマニュアル化されていきますから、そうすると、それもやはり任意なんですけれども、取り組みがおくれますと、環境管理・監査のISO140〇〇という規格をおたくの企業はとっていますか、とっていれば取引しましょう。とってなきゃとってくださいといったって、その場からとろうといったって、そんな簡単にいかないのです。手間暇かかります。人手もコストもかかるのです、資金も。ただ、先進諸国やあるいは経済が目覚ましく発展、成長し、躍動しているそういう地域、国々、これは真剣に対応しています。日本は大きく準備がおくれています。  産業の空洞化を論ずるときに、私は、アプローチの仕方はいろいろあると思います。ただ、このソフトウエアクライシスのクリアと、しかもそれをクリアしたと仮にしても、国際規格、標準の問題で対応を誤りますと、我が国産業は全体的に物すごいダメージを受けますよ。これは問題提起をきょうはさせていただきます。時間があったら二時間でも三時間でも議論させていただきます。これは大変なことになります。  しかも、それは通産省の工業技術院が対応しているのですよ。工業技術院がここを所管しているのです。ところが、大臣、ボランタリーなんです、この国際規格とか標準という話は。強制力がないのですね。ないものですから、ちょっとこれ弱くなって今までいたのだろうと思うのです。  もう一つは、ボランタリーであるがゆえに、民間の、失礼な言い方になりますけれども、民間のいわゆるダイナミズムというか、活力というかあるいは創意工夫というか、あるいは言葉としていいかどうか、もうかるかもうからないか、事業体組織として生き残れるかどうなるか、サバイバルの次元ですから、これは各国ともみんなそういう感じでやっているわけですよ。  要するに、そのベースがないところで、このISO9000、ISO14000、これはステップと読むんだと思うのですが、STEPという、これまたこれとはまた別にあるのですよ。これらも非常に弱いです、対応が。背筋が寒くなるほどの対応です。一週間あれば国際標準規格とれるという話じゃないものですから。ある意味では、ソフトウエアクライシスの、ソフトウエアエンジニアが質量ともに足りないというところとベース、根っこのところは重なってくるような気も実は私は最近しているのですけれども、きょうは問題提起だけに、失礼ですがとどめさせていただきます。  産業空洞化をどうクリアするかという話になった場合には、私は、この四つの代表的なアプローチの仕方があるだろう、あるいはクリアをしなきゃならないハードルがあるだろう、こういうふうに理解をしているということを問題提起として申し上げさせていただきました。いずれ機会を改めまして、また、必ずしもこういう委員会の公な場所だけではなくて、ぜひいろいろ論議させていただきたいというふうに思っております。  残り時間を使いまして、経済外交について何点か御所見をお述べいただければ、こう思っております。  今申し上げましたお話の中にも若干触れられていることでございますが、これも最低三十分がけてと思っていたのですけれども、これもちょっと問題提起ということになりますでしょうか、最後に、あるいは一、二点通産大臣からお答えをいただくということになるかと思います。  まず私は、通商外交の基本、経済外交の基本についてちょっと自分の所見を簡単に述べて、大臣の御所見も聞かせていただければと思っているんですが、いろいろな細かいところは省きますけれども、WTO体制の確立、そしてこれを強化、推進をしていく。一言で言えば、これこそが今後の我が国の通商外交の、貿易外交の基軸になるのではないかという考え方、視点です。  それで、一つは、やはり具体的に言えば黒字を縮小していく、経常黒字、貿易黒字をやはり縮小させていく努力が今後ともに不断になされるべきであろうと思います。これを放置しておきますと、釈迦に説法で恐縮でございますが、対日貿易赤字を抱えている国々が、具体的にシンガポールにしてもあるわけですけれどもアメリカもあるんですけれども、赤字国が我が国に対して貿易障壁を新たにつくってしまう、あるいはまた管理貿易につながる例えば数値目標とか、あるいはまた通商法三〇一条あるいはスーパー三〇一条などを振りかざした形でバイラテラルな具体的な個別分野における交渉を迫ってくるということが考えられます。  この黒字というのは、何というんでしょうか、ある意味では我が国経済構造、それから歴史的な経済体質というところから来ているわけですから、こうやれば黒字がドラスチックに縮減するというのがないわけですよね。ただしかし、ドラスチックな激減ということは無理にしても、十億ドルでも二十億ドルでも三十億ドルでも減らしていこうという真摯な取り組みというものが、やはり例えば日米両国にとってもそれはいいことなんだという一つの、何というんでしょうか、合意というか理解というか、そういうものは私はあるんだろうと思うんです。  いずれにしても、黒字縮小の努力、それは規制緩和とか市場開放政策を一層着実に進める、全部なくせばいいという話じゃないんです。大臣がおっしゃいますように国民の安全を守るそういう規制もあるんだ、それはもうおっしゃるとおりだと思います。それから内需拡大というものをしなければいけない。  それから二つ目は、やはりWTO原則、マルチルールですね。多国間交渉というこのいわゆるマルチルールというWTO原則を我が国は基本にしますよということについての我が国の強い主張、それから粘り強い説得、これが二つ目に求められるのではないか、これからの我が国経済外交の軸というのを考えた場合に。マルチルールを基準にあるいはマルチルールに依拠して我が国は通商、貿易外交、経済外交をやりますという強い意思、強い主張それから粘り強い説得。  それからもう一つは、敗戦後本当に焼け野原に立って、そこから実は始まって今日の世界最大規模の経済大国に、これは恐らく奇跡だと言われておるわけですね。そういうことですから、すべての資源を失ったところからすべてを手に入れた、戦後五十年たって、という歴史の流れがあります。ですから、ある意味ではあらゆる局面というものを我が国経済は、我が国産業はあるいは政府一つの継続性の中から体験をしているわけです。体験をしている。したがって、発展途上国の悩みとかあるいは焦りとかあるいは喜びとか、何が問題なのか、こうすればここはこうなるんだというようなノウハウは我が国はこの戦後五十年のプロセスの中で全部ノウハウを持っている、こう言うことができます。  したがって、そういう発展途上国の方々、あるいは本当に一生懸命ダイナミズムという形で発展をしている国々に対して、そういう国々の意見というものを我々が尊重してあげる、配慮してあげるという姿勢が大事だと思います。真剣で的確な支援、先ほど冒頭お話出ましたODAなどを通して。  これは具体的に言えば、マルチルール、WTO体制の確立とかあるいは強化、推進、これが今後の我が国経済外交の基本であるというところからすれば主軸である、基軸である、こう置けば、要約して私は以上申し上げた三点の角度が大事なんじゃないか。  三つ申し上げましたけれども、そのいわゆるバックボーンになければならないのは、背骨として一本入ってなければならないのは、私は細かい精緻な議論というのは、きょうはもうあと五分しかありませんので、こちらへ置かしていただきますが、そういう考え方の基本のベースにあるものは、私はやはり貿易立国日本ですから、世界の安定とか平和の枠組みの中で、そして自由貿易の原則の中で世界で最大の裨益国が我が国であるという事実からすれば、私は戦後五十年そして二十一世紀を目指して、今まさにWTOという世界的な自由貿易推進のための組織が機能し始めた、歯車が回り始めたというこの段階でありますから、やはり我が国が貿易を担いあるいはWTO体制を推進していく中核の一つの国として基本的に世界の範となる、世界の範を示していく、これがやはりバックボーンになければならないんだろうと思っております。  世界に範たる日本、国際通商分野における。それはアンフェアじゃなくてフェアに、あるいは不透明でなくてより透明に、あるいはマルチルール依拠の原則をしっかり堅持し、なおかつ強い主張と粘り強い説得、時には現実的には妥協も必要、柔軟性が求められる、当然だと思います。しかし、現実的に妥協をする、柔軟的な対応をするという場合であっても、大方針というものがないと、大方針というものが明確になってないとこれは問題が出てくる、私はそんなふうに理解を実はいたしているところでございます。  ですから、世界に乾たれ、こう申しましたけれども、具体的に一つだけ言えば、私は、産業構造審議会が発刊をされた不公正貿易慣行に関する本を読ませていただきました。そこで、実に明快です。我が国の通商外交の、何といいますか、こうあるべきだというのが実に、あれ、これ通産省が書いたのかなと思って僕はびっくりしたのですけれども産業構造審議会、これは大臣の諮問機関、そちらが実に明快に問題点をえぐり出している。  しかし、私から、大変御無礼ですけれども、ここはもうちょっとこうだなというのはあるんです。ただ、非常によく問題点を指摘されております。ですから、各国から共通して指摘されている点については、やはり速やかに是正するという、例えばそういう対処が必要だ。何でもかんでもという意味ではありません。それが、さっき申し上げました、世界に範たる日本という、そこのところが、大方針というか、一番大事なところじゃないかと思っております。  委員長、済みません、時間が経過いたしました。通商産業大臣に一言、私の問題提起に対しましてお言葉、言葉といったらこれはおかしいですが、御見解を伺って、私はきょうは質問を終わらせていただきます。お願いいたします。
  68. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これだけ長い御意見に対して一言というのは大変不公平だ、これこそ不公平是正をお願いをしたい感じであります。  私は、前半委員が述べられた御意見に異論のあるものではありません。ただ、それにつけ加えていただきたいと感じましたことを二点、感想として申し述べたいと思います。  一つは、我が国教育制度の中における情報通信というものにより結びつき得るようなシステムをぜひ構築したいものということであります。  現在、慶応義塾の藤沢キャンパスが一つの例としてよく挙げられておりますけれども、私は自分の母校である慶応義塾を振り返ってみまして、三田のキャンパスと日吉のキャンパスと藤沢キャンパスとにおいては、有意の差が生じております。私の出身の法学部と藤沢キャンパスで、例えば環境情報学部、総合政策学部、マルチメディアの活用一つをとりましても大差があります。こうしたものは、しかし他の大学と比較した場合にはより大きな差があるという現実がありまして、私は、高等教育並びに特に大学院教育をいかに振興していくのか、その中において、日々刻々変化する技術というものをいかに取り入れていくべきなのか。それが委員の強調されたソフトに対しての人材の育成といったものに必ずつながる分野として、問題意識を持ってまいりました。  同時に、これは中小企業庁長官に大変昨年苦労をかけまして、東京都のある区画を調査してもらった結果であります。非常に中小、心といいますより零細に近い業者の方々のたくさんある地域でありますが、技術のレベルは、特化された部分について非常に高い水準を持つ地域であります。そして、この為替の状況の中でこの地域がどうかと気になりまして、調べていただきましたが、その中で非常に積極的に対応しておられることには私は非常に感激をいたしました。しかし、そこで出てきたもう一つの問題点、それは、その非常に特化された技術を伝承すべき後継者に非常に問題を抱えているということであります。  例えば、どんな青写真でもいい、持ってきてくれ、おれ試作品づくってやるという、その腕の自慢の方、あるいは、どんな金型でもつくってみせるというだけの特化された技術をお持ちであり、現に国際的に評価を受けておられるような小企業、押しなべてその技術を伝承すべき後継者に悩んでおります。  こうした分野にどうすれば人材を供給できるのか。これは一通産省の問題ではなく、我々として真剣に考えなければならない問題を含んでおると考えておりまして、私は、委員が述べられました方向にこの二点を追加したいという感想を持ちました。  また、ISO9000及びISO14000について御研究の成果をお述べいただきましたことにも敬意を表します。そして、工業技術院の諸君が、特にISO14000の方については積極的に国際的な検討の中にも入って努力をしておることもこの機会に申し上げたいと存じます。  そこで私は、一点、これにつきましても、たしか一九九一年版の環境白書であったと思いますが、環境庁創設二十周年を契機として、ちょうど昭和四十年代の半ば、公害列島日本と言われた非常に不名誉な状態の中から環境庁が生まれ、公害問題の解消に取り組みました結果を分析いたしたものが載っております。  そのポイントは、民間企業がどういうスタンスから環境というものに取り組み、公害防除の技術の開発に取り組んでいったか。同時に、そのプロセスにおいて政府の施策はいかに関与したか。殊に、実験段階で成功したものを製品化するについて政府の施策はどのような点で有効であり、どのような部分では効果を発揮しなかったのかを分析いたしたものがございます。  私は、このISO9000、あるいは今作業中のⅠSO14000というものがボランタリーなものであればあるだけに、委員が御指摘になりましたように、民間企業が敏感に対応してくれることは非常に大事だと思います。その民間企業の敏感な対応に行政の立場からどのような施策を用意すればその方向に向かうのか、今後ひとつ工夫をしてみたいところ、そのような印象を持ちました。  また、WTO体制が確立した今日、これからの我が国の行方、経済、外交のあり方ということについてお述べになりました御論議というものにも敬意を表します。殊に、不公正貿易白書を評価していただきました点は大変ありがとうございます。  しかし同時に、委員がマルチの立場日本が主張していくべき、そのとおりでありますけれども、いかんせん相手のあること、必ずしもそうとばかりはまいりません。しかし、いずれにいたしましても、日本のスタンスというものをはっきりしていかなければならない。それはまさに、自由貿易体制というものをより強化していくためにも多国間の話し合いの場というものを大切にしろという御指摘については、私は非常にうれしい御意見として拝聴しました。  こうした御論議がこれからもさせていただけますことを楽しみにも、また幸せにも思います。ありがとうございました。
  69. 山田英介

    ○山田(英)委員 ありがとうございました。
  70. 白川勝彦

    白川委員長 次に、吉田治君。
  71. 吉田治

    吉田(治)委員 阪神大震災、非常に大きな震災でございまして、それについて質疑のほどをさせていただきたいと思います。  本当にこれ、先ほど吉岡先生も触れられておりましたように、その復旧におきまして、関西電力それから大阪ガス、NTTを初めとする民間企業努力というのは大変なものであった。これはこの場において十二分に感謝すべきものであるし、まだまだ復旧復興で大きな力になっていただかなければならないということについては、正直に激励を申し上げなければならないと思っております。また、県庁、市役所その他の官公庁の皆さんも十二分に頑張られていることはもちろんで、言わずもがなのことではないかと思っております。  その中におきまして、もうあちらこちらで大震災の質疑がございますので、私は、特に私ども地元大阪のことについてある程度絞らせていただいてお話をさせていただきたいと思います。  震災が起こったその日に、大阪市消防局から二十小隊が出発しております。大阪市は毎日五百人の職員を延べ一万人、神戸市の方ヘボランタリーで出しておりますしかるに、マスコミ報道等では一切そういうことは触れられず、大阪は何もしていない、大阪の人は何を考えているんだ、ネオンちらつかせてというふうな声があるのは非常に残念なところでございます。  また、兵庫におきましては、これは激甚の指定がすぐ受けられまして、これから復興においても各種融資の低利融資、また政府からの補助、また政府からの予算措置というのはさまざまつけられていくのでしょうけれども、大阪は横で無事だったから。しかしながら、数字を御承知かと思いますが、大阪自身でも十四名の方が亡くなられております。けが人が千数百名、全壊された家屋も二千数百、一部損壊を合わせますとおよそ三万に近い家屋が何らかの被害を受けている日ついこの間まで一千人近い人たちが避難生活をしていた。果たしてこれをだれが知っていたのか。だれも言わない。送られてくる映像はすべて燃え盛る長田区のかいわいの映像ばかりだった。  本当に、その中におきまして、今復旧の中において、特にまた言われておりますのが、では神戸がああいう状況になってこれからいろいろ施策がされるけれども、今まで大阪が取引のあった会社、今地元から言われておりますのは、では売掛金が回収できるのか、手形の決済がどうなるのか。また、大阪府から来ております要望の中には、あの長田区のかいわいのケミカル関係の原材料が大阪に入ってこなくて、大阪の業者が音を上げている。  先ほど大臣の答弁にございました、できるだけそうならないように、高村長官は、いや日本的に見たら、全国的に見たらそんなことは余り大した影響はないよ、数字的にはないよと言いますが、阪神間はGNPで大体日本の二割を生産しているところでございます。ほぼ二割のところでこういう状況が起こっているということに関しまして、大阪の被害の認識と、それからまた、これからの通産の取り組みというものをまず通産大臣にお答えいただいて、その後国土庁の方にその認識のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  72. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 近畿通産局は大阪にございます。そして、あの十七日の朝、近畿通産局の職員も十数%が出勤のできない状況でありました。その中で、近畿通産局は独自の判断で午前八時には対策本部を設置し、被害状況を九時過ぎには本省に次々に送ってまいりました。当然のことながら、その中で大阪府の中の被害についても報告を受けてまいりました。そして私どもは、所管の関係上、ガス及び電気状況等で大阪府下においても被害がありましたこと、当然のことながら存じております。  また、当初激甚災の指定をいたしますときに、地域を限定せず、大阪府、兵庫県というとらえ方をして対応いたしましたのも、そうして直接の被災者ではなくても、その被災を受けられた業者の方々との取引のために影響を受ける中小企業者を対象にとりましたのも、委員が御指摘になりましたような問題を、その時点ではまだ把握まではいっておりませんでしたが、想定してとった対応でありまして、被害状況等につきましてはそれなりに存じ、対策もとってまいるつもりであります。
  73. 大野慎一

    ○大野説明員 今回の地震によります大阪の震度は四でございましたが、委員指摘のとおり、昨日の二月六日現在で、大阪府におきましては、人的被害といたしまして、死者十四名、負傷者千五百十三名、合わせまして千五百二十七名。また、住家被害につきましては、全壊が六百棟、半壊が三千三棟、一部損壊が二万百二十六棟、合わせまして二万三千七百二十九棟など極めて甚大な被害になっております。  こうした中で、いち早く兵庫県の要請にこたえまして、大阪府下の関係方々が救援などさまざまな態勢をおとりをいただいたことに対しまして敬意を表する次第でございます。  そこで、政府といたしましては、先ほど通産大臣から御答弁ございましたように、激甚法の関係指定でありますとか、さらに災害救助法につきましては、豊中市、大阪市、池田市、吹田市、箕面市の五市につきまして適用をいたしたところでございますし、また、豊中市の区域につきまして、罹災者公営住宅建設事業に対する補助の特例等につきましても適用いたしまして、各般にわたる災害対策を講じているところでございます。
  74. 吉田治

    吉田(治)委員 先ほどから、神戸の場合倒産が起こるかもしれない、大変なことになりそうだということですけれども、この状況でいきましたら、大阪もそれに関連した連鎖倒産ですとか震災倒産というものが広く、特に中小企業において、また、大企業の立ち上がりが遅くなりますと、やはり大阪もたくさん取引している企業、そういうふうなものの影響も多々あると思うのですけれども、その辺に対する取り組みというものは大臣いかがなものでしょうか。
  75. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今私どもが心配をいたしておりますもの、大阪に限って申し上げますならば、貿易関係神戸港に依存しておられた企業において他港へのシフト、あるいはこれに伴う物流のコストアップの懸念のあるものとして、繊維、一般機械電気機械、卸売、商社といったところが想定をされます。  また、これから兵庫県内の復旧が本格化いたしますにつれて、道路などの交通事情の悪化がどうしてもこれは予測をされるわけでありますが、こうした交通網の影響から、製品あるいは原材料等の搬送、物流面での影響というものが心配されておりますのは、化学関係、鉄鋼関係、非鉄金属あるいは輸送用機械、小売の皆さんもそうでありましょう。  また、被災現地の企業に部品調達あるいは原材料の手当てを依存しておられることから、製品の生産そのものに影響が出てきそうなものとして、靴の製造あるいは電気機械といったものが心配をされるところでありまして、私どもは、被災状況だけではなく、日本経済全体への影響、当然その中における大阪への影響というものを多面的な把握に努力をして対応していきたいと思っております。
  76. 吉田治

    吉田(治)委員 本当に、現実に今大臣述べられた中の靴の問題とかではもう影響が出ておりますので、できるだけ柔軟に地元の通産局等々対応するようにお願い申し上げたいと同時に、きょう大蔵の方、おいでいただいていると思います。こういうふうなことになった場合に、先ほど言いました掛売金の未収ですとか、さまざまな問題で融資の問題が出てくると思います。  大臣も触れられました、神戸港が使えなくなってほかの港へ行く。例えば私の知り合いの企業でしたら、横浜へ持っていく。横浜からまた大阪へ持ってくる。じゃ、その輸送費のコストアップをどうするのか、だれが見てくれるのか。やはりこれも融資していただかなくてはちょっと立ち行かないなというお声も聞いております。  この辺の中小企業の融資、特に緊急融資、特別融資というようなものに関して、兵庫県のことは相当聞かれているでしょうけれども、間接的というよりも、ほぼ直接と間接のまた中間くらいの影響を持つ大阪の企業に対してどういうふうに取り組まれるのか。お考えのほどを述べていただきたいと同時に、やはり大企業あっての中小企業という部分もございます。先ほどからさまざまな委員の意見の中で、大企業の開銀融資の問題等が出てきております。大企業のようなところからも、とにかくまず開銀融資を早く、その後でいい、ほかのことはという声も出ておりますが、この二点どういうふうにお考えでしょうか。
  77. 五味廣文

    ○五味説明員 まず、お話のありました間接的な被害の件でございますが、大臣からのお話にもございましたように、政府系の中小企業金融機関特別措置の対象者を、今回は大阪府及び兵庫県全域ということで被災地を指定し、かつ、大阪、兵庫以外の地域の方でも、被災地域の中の事業者の方と一定の取引関係があった方、こういうことで損失をこうむられた全国の中小企業者の方、これも特別措置の対象ということで、間接被害を広くとる措置をとっておるところでございます。  具体的には、これら被災中小企業復旧のためにということで、特別措置といたしまして、例えば金利につきまして、一千万円まで当初は三年間につき四・四五%の低利、あるいは特に被害の著しい方は三%、貸付限度につきましても通常の限度額を上乗せする、あるいは既往の返済の猶予や弾力的に対応する。さらには、信用保証協会の保証を推進いたしますために中小企業信用保険公庫の保険限度額を拡大するなど、迅速に、また弾力的な対応を行ってきております。  それから、開銀の融資の関係でございますが、今回の地震災害では、冒頭にもお話がございましたが、電気ガス、こういったいわゆるライフラインの早期復旧がまず第一ということで、現在、開銀はこれらのライフライン復旧のために資金の集中投入をするということでその確保をしているところでございます。大企業中小企業の区別なく、それぞれの被害をこうむった内容、度合いに応じまして適切な政府系の機関の支援措置を弾力的に発動するということが大切だと思います。  いずれにいたしましても、今後またいろいろな震災復旧関係の対策ということが検討されてまいりますけれども、激甚法の規定との関係ですとか、あるいはほかの災害で既に措置を受けられている方との公平とか、こういうことにも配慮いたしまして、真剣に検討いたしまして、適切な対応を図ってまいりたいと思っております。
  78. 吉田治

    吉田(治)委員 いろいろしていただけるということですけれども、ここで一点、この地震において私どうしても触れておかなければならないのは、五時四十六分に地震が起こりました。大阪でも震度四。小さなマンションに住んでおります私のところも上の物が落ちてまいりました。子供をかばうだけが精いっぱいでございました。  その後何が起こったかといいますと、どこからも、だれからも何ら連絡が私どもに来なかった。国会議員だから連絡しろというのではございません。現場でどうなっているのか、どういうふうなことが起こっているのか。とりあえず夜が明くのを待ちまして、服を着がえまして、服を着がえても、防災服というのは私ども貸与されておりませんので、何で行くべえかな、スーツで行くのかな、ジーパンで行くのかな、どうなっているのかなという中で、たまたま私どもの秘書が電車の動いている地域に住んでおりますので、彼がやってきまして、じゃ車でとにかく地域を回ろうということで回りました。地元の市会議員さんのところも回りました。そこは、五時四十六分に地震が起こったらすぐに消防署から第一報があったそうです。先生、地震が起こりまして、今調査中ですと。区役所はすぐに職員が緊急出動してまいりました。落ちついてまいりましたら情報が入ってきたそうです。  私、その日一日、どこからか何かあるのかなということを待ちに待っておりましたが、どこからも何らなかった。唯一お昼前に大阪府の東京事務所から私どもの国会の事務所に、現状こういう状況ですよという連絡があった。また、後ほど聞きましたら、村山総理の耳に入ったのが七時半で、よっこらしょと動き始めたのが昼前後だという状況の中ではむべなるところかなと思います。  これは先ほど大蔵の方もライフラインという言葉を言われましたように、ライフライン復旧でしたら例えば大阪ガス関西電力、それぞれトップがどういうふうに最終判断をしなければならないか、どういう連絡システムができているのか。国土、それから自治、それから通産の方でそれぞれ、じゃ例えば国会議員がいざというときにはどういう活動をするのか、どういうふうに取り上げられているのか。地方議会においては地方議員の人たちはどういう位置づけになっているのか、そういう指導をしているのかどうか。また、ライフライン関係する企業の最終的な判断者に対するネットワークというのはどうなっているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  79. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変失礼でありますが、私は、衆参両院議員への連絡体制というものは全く自分の頭に描いたことがありませんでしたので、お答えの方法を持ちません。  しかし、電力会社及びガス会社、これは電気事業法及びガス事業法によりまして規定されておりまして、また、通産大臣への届け出が義務づけられております保安規程というものがございまして、災害その他非常の場合にとるべき措置について規定することになっておりまして、この中において、企業内及び通産省を含む関係行政機関との連絡体制を定めております。また、電力会社及び大手のガス会社につきましては、災害対策基本法により防災業務計画を策定することになっておりまして、この中でも、保安規程と同様に非常時においてとるべきルールというものを規定いたしております。  その内容として、細かいことまで申し上げるつもりはありませんけれども、例えば防災体制及び災害体制の組織あるいは非常災害対策本部の設置など、あるいは災害が起きました時点の応急対策として関係行政機関等への通報、連絡あるいは被害情報等の収集、報告復旧状況等についての広報活動、あるいは対策要員の確保、復旧資材の確保等々が定められております。  なお、通産省自身もこうした場合の規定、ルールというものは持っておりまして、それにのっとりまして、現地通産局すなわち近畿通産局は、職員のうち十数%が出勤のできない状況でありましたけれども、当日午前八時には対策本部を設置し、既に九時前には私どものところにも連絡が次々に入っておりました。
  80. 森村和男

    ○森村説明員 地震発生時のときの知事、市長並びに地方議会議員に対する連絡体制について御説明申し上げます。  各地方公共団体におきましては、地震発生後、関係部局より、地域防災計画に基づきまして、知事、市町村長に対して、被害状況、応急活動状況等について報告が行われることになっております。特に夜間、休日についても連絡体制を確立するよう指導しているところであります。また、地方議会議員への連絡については、各地方公共団体の実情に応じてなされているものと考えております。  各県におきましては、例えば災害対策本部要綱というものを設けまして、その中に、本部要員の中に議会事務局というのが一つの構成要素として入っております。したがいまして、災害が起きた場合には、その構成要素の議会事務局に対して第一報が入るという形になっております。
  81. 大野慎一

    ○大野説明員 地震が発生いたしますと、気象庁の方から私ども災害関係省庁に対しましてファクスで震度情報が参るわけでございますが、これを受けまして、私ども国土庁が関係機関に対しまして情報伝達をするという仕組みになっているところでございますが、国会につきましては具体的な災害対策を講ずる省庁に入っておりませんものですから、連絡をするというシステムは現在ございません。  なお、国会も含めまして、首相官邸、関係省庁間におきましては、災害に強い中央防災無線網というのがございまして、万が一NTTがダウンした場合でもこの無線網によりまして連絡ができるシステムにはなっております。
  82. 吉田治

    吉田(治)委員 時間がないので一言だけ。ですから、国会議員、ここへお集まりの皆さん、もしも地震があって倒れてもどなたも安否を気遣ってくれる省庁はないということも言えるのではないかなと思っておる次第でございます。  そして、最後に一点。大臣、これは言いっ放しになるかもしれませんが、防災モデル都市を今、神戸阪神間でつくっていこうということですけれども、ぜひとも、ここに産業の一言が入って、防災モデル産業都市、本当にこういうことが起こっても産業はどこかでちゃんとバックアップができていくというものができるようなことを御提案申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
  83. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 委員、大変恐縮でありますが、防災モデル都市という言葉を私どもは使っておりません。むしろ兵庫県の方で提案しておられるのがその言葉でありまして、私どもは、当然ながら、産業をも含めて神戸という町を生き返らせたい、そう考えておりますことだけは御承知おきを願いたいと思います。
  84. 吉田治

    吉田(治)委員 はい、ありがとうございました。
  85. 白川勝彦

    白川委員長 次に、吉井英勝君。
  86. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、一昨年来、予算委員会また商工委員会等におきまして、産業空洞化と雇用、リストラ問題について取り上げてまいりました。最近、NHKや民放などでも特集番組がよく見られますが、今日、雇用不安それから失業、卒業即就職浪人と、非常に深刻な社会問題が生まれてきております。既に完全失業者は二百万人を超えてきておるというふうに言われております。  その中で永野日経連会長は、非効卒部門の効率化が必要だとして、「その効率化の期間を通じて、かなりの雇用の減少が起きる」「数百万人あるいは千数百万人といった規模のものになると思われます」「アメリカ並みに生産性を上げれば二千万人が余剰となる単純計算も成り立つわけであります」「今のままの円高傾向が続くとなると、日本製造業は急速に空洞化し、雇用を大幅に削減することになることは必至であると思われます」「日本は今後、大規模な余剰雇用の発生、もっと端的な言葉で申し上げますと、「大失業の発生」という事態に直面していると言わざるを得ません」と、これは財界トップの認識であります。  そこで通産大臣に伺っておきたいんですが、あなたはどういう認識を持っていらっしゃるかということ。大企業が今日行っている猛烈な入減らし、産業空洞化、失業と雇用不安について、このまま放置しておいていいとお考えかどうか。この辺のところから質問に入らせていただきたいと思います。
  87. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、日経連の会長がどう御発言になろうと、それを金科玉条にするつもりはありません。むしろ、いかにして企業には国際競争の中で十分にその雇用を維持していけるような経営をしていただけるか、そして、それだけの従業員を雇用し続けられるような製品開発にどう取り組んでいただけるかということをお願いしたい気持ちであります。  しかし、委員が御指摘になりましたように、我が国企業が、バブル崩壊後の経済不況、さらに、ここしばらくの為替の状況の中において競争力を急激に低下させつつある、その中においてみずからもリストラ等で努力を続けておりますことはそのとおりでありますし、その結果として雇用の問題が生じていることも私は認識をいたしております。  そして、ただ単にそれだけが原因ではなく、こうした状況が出てくるについては、一つは、やはり企業の海外進出というものが当然のことながら国内における空洞化に一つの要因をなしている部分があると私は思いますし、同時に、国内産業の成熟化というものが新しい美への挑戦意欲をだんだん低下させていること、また、技術開発において研究開発が少しこのごろ低調になっている、こうしたいろいろな問題があることも事実であります。そして、こうした状況が続くことは我々として非常に心配なことでありますし、産構審のいわゆる十二分野という、次の時代におけるリーディングカンパニーを模索する動きも既にいろいろな角度から提起をされている中であります。  私どもとしては、それこそ税制あるいは公共投資基本計画等を最大限に活用しながら我が国経済を回復基調に完全に乗せていこうとしているやさき、今回の兵庫南部地震という災害にぶつかることになりました。ここから出てくる影響というものも我々は視野に入れながら今後の努力をしていかなければならない、今そのような思いでおります。
  88. 吉井英勝

    ○吉井委員 きょうは少し深めた議論をしたいと思うのですが、今お話ありましたリーディングカンパニーという、これ、昨年の秋にもこの議論をしたときに大臣からお話がありました。八〇年代の半ば、ちょうど今リーディングカンパニー、新規産業の創出と、こういう大きなPRと同じように、八六年六月の「二十一世紀産業社会の基本構想」の中でもやはり今と同じように、情報産業、バイオテクノロジー、それから新素材などの分野が急成長して雇用も確保できるというふうにしておりました。  基本構想を見ますと、一九八〇年、関連市場規模が約六十一兆円から、二〇〇〇年になると、試算ですが、二百三十兆円になると。その内訳も入っておりましたが、雇用機会の創出で百十七万人の雇用増となる、こういう試算も示されておりました。二〇〇〇年に市場は二百三十兆、マイクロエレクトロニクス化によって雇用機会の減少を上回る新しい雇用が創出されるんだと、それが期待されるということを示しておったわけでありますが、また当時、情報処理需要の急増で、プログラマーやソフトウエア技術者が九〇年度には六十万人、二〇〇〇年度には九十七万人の技術者が不足すると、かなりバラ色のビジョンを描かれていたのです。  少しこの機会に伺っておきたいのですが、やはりこれからのリーディンクカンパニー等を見る上でも、八〇年代半ばに言ったこの分野で急成長し、雇用が確保されることになったのかどうか。この点を少し歴史的に押さえておきたいと思うので伺います。
  89. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、基本的な流れとしては、今委員が御指摘になりましたような分野に、より活力を持って時代を引っ張ってもらいたいという気持ちは大変強く持っております。しかし同時に、先ほど山田委員との議論の中で私は、我が国教育制度、殊に大学から大学院に至る部分における教育のあり方についての一つの問題を提起させていただきました。私は、今委員が触れられましたもの、あるいは今回の産構審の答申を含めまして、技術の流れからすればその方向はおおむね間違っておらないものと、目標として正しい方向と考えております。  しかしそれは、例えば教育の方向というものもおのずからそうした分野に人材が供給され得るような形態でなければなりませんし、それは、今委員がお触れにならなかった医療、福祉の分野等において今切実に人材を必要としておることは委員もよく御承知のとおりでありますが、こうした分野に対する人材供給についても同様の問題があると私は思っております。
  90. 吉井英勝

    ○吉井委員 まず歴史的に少し押さえておきたいと思うのですが、データの上で見ると、ソフトウェア生産自動化システム、シグマシステムヘの開発に二百五十億円の投入をいたしましたが、開発は成功していない。ソフトウエア業は、今不況業種に指定されて、雇用調整助成金が支給されているという状態です。  マイクロエレクトロニクスの関係で見ますと、八五年と九三年で比べてみたときに、実は従業員で期待されていたのはふえる方だったのですが、逆に二万五千六百四十四入減少している、これは通産省の工業統計から出てくるのですが。電子工業の生産額では、八五年から九三年にかけて、九一年のバブル崩壊までは少し伸びたわけですが、その後減少もあり、二十五%の伸びと。とても基本構想で描いたようなものになっていないというのが実態であります。  そこで、新規産業の創出、ビジネスチャンスなどということが今盛んに言われておりますが、八六年の基本構想が現実に大きな雇用創出にはつながらなかったということ、こういうことをきちっと踏まえて今日の雇用の問題をよく見ておかなければいけないと思うのです。  雇用機会が大きく生まれるという見通しは今日厳しい状況にありますが、一方、自動車、電機などでは入減らしが進んでいるというのが実態です。これに今歯どめをかけなければいけない。ところが、生首は切られるのですが、失業状態の恒常化とか、フリーター、パート、派遣労働者という不安定雇用の増大が今見込まれてきております。私は、こういうあり方、こういうときに雇用をまず守る、社会の安定を守るというのが政治の務めであるというふうに思うわけです。この点について大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  91. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、今委員が述べられました御意見の大半に共感をしつつ、一点、意見を異にするところがあるなという感じを持ちました。  というのは、私は、人材派遣業というものは、むしろ労働省が従来割合に限定的にこれを運用してきました壁を払って、もっと積極的に育成していくべき分野であると思っております。そして、人材派遣業には、より広範な分野においてそれだけの教育をした人々を派遣し得るだけの力をつけてもらいたいと思っております。そうした意味では、この人材派遣というものそのものが一つの今後育成していくべき分野の業態という考え方を私は持っておりまして、この点はどうも委員と少々意見を異にするようであります。
  92. 吉井英勝

    ○吉井委員 私自身は科学技術をやってきたものですから、研究開発そのものについては非常に重要な分野と思っておりますが、この雇用の問題に関しましては、これからの研究開発の問題に入っていく前にやはりまず考えなければいけないのは、昨年秋の国会でも悪魔のサイクルの問題を取り上げましたけれども、ここのところに今メスを本当に入れていかなければいけないところへ来ているということを政治は真剣に考えていかなければいけないというふうに私は思うわけです。  昨年、日本最大企業であり、経団連会長企業でもあり、日本型経営のいわば代表例として、愛知のトヨタヘ調査に行って、取り上げました。下請や労働者の実態をお話ししましたが、ことし我が党の志位書記局長も、愛知のトヨタヘ行って労働者の皆さんから詳しい話を聞いてきました。昨年は下請いじめの実態等を取り上げましたが、きょう私は、労働者の実態についても少し御紹介し、議論を進めたいと思うのです。  実は、ここの従業員は二年間で三千六百九十三入減少して、期間工というのは、三千人ばかりいた人が今はゼロという状態です。ですから、六千七百人の人が減っているわけです。その分、もちろん生産台数は減ってはおりますが、職場は超過密労働になってきております。その中でサービス残業が毎日の生産に組み込まれて、常態化、体制化しているという実態があります。  少し御紹介しますと、自動車の組み立てを見ると、朝の八時のチャイムと同時にラインが動き出す。だから、作業準備のために八時より前に出勤しなければならないし、ある組み立て工程では大体一時間前に出勤して、三十分ぐらいは部品の供給などの準備をする。昼休みやわずかの休憩時間も半分は準備作業に充てる。仕事が終わっても、また部品供給の準備をして帰る。こうした時間外の準備作業に充てる時間は、一直で見れば大体三十分から四十分。ところが時間外手当はつかない。すべてサービス残業という扱いです。今、日本は長時間労働に対する国際的批判を回避するために、ともかく形だけは年間労働時間二千時間を切るという形をとっておりますが、しかし、実態はこういう状態です。  そこで、きょう労働省に来ていただいておりますから少し労働省に先に聞いておきますが、労働基準法を踏み破るようなこういうサービス残業というもの、いわば労働時間の盗み取りというのは私は許せないと思うのですが、これについてはまずきちんと調査をしていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  93. 長谷川真一

    ○長谷川説明員 先生お尋ねのサービス残業でございますが、サービス残業につきましては、労働基準法の観点から見ますると、その多くは労働基準法第三十七条で定められている割り増し賃金の支払いが適正になされていないものであると考えられます。労働基準監督署など監督機関におきましては、通常、労働基準法の適用事業所に対しまして監督指導を行っておるわけでございます。その際、法律に定められました割り増し賃金が適正に支払われているかどうかについても確認を行いまして、必要な指導を行っているところでございます。  ちなみに、平成五年に労働基準法三十七条違反では約九千件の件数が挙がっておるところでございます。
  94. 吉井英勝

    ○吉井委員 働いているのに労働とみなされていない部分のことを言っているんです。始業時間と同時にラインが動き出して、終業の場合は、たとえ三十センチでもラインをはみ出していると、その工程が終わるまでラインは動き続ける、こういう形になっているんです。私は本田技研も行きましたが、ここでは、始業のチャイムが鳴って、まず部品をそろえたりミーティングをやったりという準備作業に約五分とって、それからラインが動くんですね。それで、終業のチャイムが鳴る大体五分前にはラインがとまって、後片づけとかやるわけです。日産の村山工場でも、始業後にそういう準備作業とかミーティングで大体十分から十五分時間をとって、それからラインが動き出すわけです。  ですから、その準備作業というのは労働時間なんですね。そういうものがきちんとカウントされない、これがいわゆるサービス残業と言われるものですが、これは直ちに調査をして、そしてやはりサービス残業というあり方については、きちっと労働がなされている部分については賃金を支払うという当たり前のことがなされるように労働省としてやっていただきたいと私は思うんです。  なお、少し御紹介しておきますと、二十四条違反がわかれば、当然さかのぼっての二年間の未払い残業代金の支払いということが必要になってきますが、組み立てラインの従事者約八千人、これに一人当たり三十分掛けると、五百人の労働者が働いたということになるわけです。これにトヨタの平均賃金約三十九万四千円で十二カ月掛けますと、約二十三億六千万円。つまり、五百人が二十三億六千万円ただ働きをしたという計算になるわけです。ですから、労働省としては直ちに調査をして、きちんと対処をされたいと思うんです。一言で結構ですから、御答弁を求めます。
  95. 長谷川真一

    ○長谷川説明員 サービス残業の御質問でございますが、個別の事業所におきまして労働時間あるいは割り増し賃金の取り扱いについて問題があるケースがあるわけでございます。所轄の労働基準監督署に具体的に御相談をいただきました場合には、労働基準法に照らして問題がありますものにつきましては、私どもとして必要な対応を行うことになるわけでございます。
  96. 吉井英勝

    ○吉井委員 きちんと対処されたいと思います。  きょうは労働委員会じゃありませんので、なぜこれを少し御紹介したかといいますと、実は、車ほどさように日本の代表的な企業の中でサービス残業等が行われているわけです。その金額たるや、合計すれば莫大なものになるわけです。  間接部門の合理化の部分を少し御紹介しておきますと、職制を別の職制がストップウォッチを持って監視するという体制がありまして、トイレ、電話、あらゆる行動を一週間にわたって一メートル以内にぴたっとつけて監視し続けて、どこにむだがあるかを調べる。フォルクスワーゲンなどでは標準作業時間の中に余裕時間というものを入れているわけですが、そういう時間はもともとむだだと。その上に、さらに徹底したむだの排除ということがやられております。  それから、トヨタではみんな走って仕事をするという表現がされますが、かってチャップリンの「モダン・タイムス」の時代からもうさらに進んでいるわけですね。メーンのラインと部品が流れてくるベルトコンベヤーの間は走りながらの仕事で、ある作業工程は、一工程のサイクルタイム四十四秒、その間の動作回数は五十回、歩行距離は二十七メートルという状態です。ですから、これは一日の繰り返し回数が七百回ですから、これは計算すればすぐわかるように、一日で延べ三千五百動作をやるわけです。一日歩行距離は十九キロメートル。これが実態の一部なのですが、まさに生理的限界のぎりぎりまで働かせるという事態で、人間を部品とか機械のように扱うような徹底した人間性の排除というものが、代表的な日本型経営の特徴として見られるわけです。  なお、ここのところを通産大臣、よく見ておいていただきたいのは、こうした世界に例を見ない超過密労働と、それから前回御紹介しました下請いじめ、この二つでスーパーコストダウンというのを図って輸出競争力をつけたわけですが、これが貿易摩擦を引き起こして、そして円高を招く、円高だとなると、また大変だということで、またこういう入減らしや超過密労働あるいは下請いじめということでコストダウンを図るという、この循環のことを野村総研の研究員は悪魔のサイクルというふうに名づけているわけです。今、この悪魔のサイクルを打ち破ること、超過密労働を規制して人間性を取り戻すこと、雇用をふやすということが、私はこれが日本産業政策の中で非常に大事になってきているときだと思うのですが、産業政策の面で大臣の御所見を伺いたいと思います。
  97. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 別に私、委員の調べられた中身を疑うわけではありませんけれども、今素朴に私の頭にありますのは、組合は一体どうしているのだろうということであります。私も短い期間でありましたが、労働組合に所属をしていた時期がございます。もし委員の言われるような実態であり、同業他社との間にそれだけの開きがある場合、労働組合はどういうお気持ちでおられるのかな、これはちょっと率直な疑問を生じました。  しかし、それはちょっと本当に余計な感想かもしれませんが、私は、やはり企業としてその従業員とともに、それぞれの企業が営利を目的として生存していけるだけの努力というものは当然払われるだろうと思います。その中において、しかし、それが従業員の福祉を破壊するようなものであってはならないわけでありますし、無用な労働者への、例えば解雇でありますとかいった措置がとられる、そうした状況をつくることは決して望まれるものではありません。労働行政として、当然のことながら、そうした点には私は十分なチェックが払われておるもの、そう思います。
  98. 吉井英勝

    ○吉井委員 実は、ソニーの盛田前会長が「日本型経営が危い」という中で、これは私だけが特別何か変わったことを言っているのじゃなくて、日本企業は競争に勝ち抜くことばかり追求して、効率ばかり追い求めてきた、欧米企業の常識とは異なったやり方、ルールが全く通用しないやり方をそのまま市場に持ち込まれた彼らにしてみると、侵略、我々の首を絞めるのかという批判が起こっているということを指摘して、欧米と整合性を持った競争ルールの確立が必要だということで、長過ぎる労働時間、低過ぎる賃金、下請との不平等な関係など改善する必要がある、こういう指摘を彼は論文の中で述べております。  異常円高をもたらしたというのは、これは決して中小企業日本の農業がもたらしたわけではなくて、一部の巨大企業が、本日紹介しましたような、この超過密労働や下請いじめで異常に強い国際競争力を身につけて、輸出ラッシュをかけ、円高へとまさにこの悪魔のサイクルの道を進んでいったという、こういうところに大きな問題があるわけで、今、悪魔のサイクルを逆転させるというところへ転換をし、雇用をふやし、国民の消費購買力を高めることで下からの不況打開の道というものを考えていかなきゃいけないときである、この点を申し述べまして、時間が大分たってまいりましたので、もう一つのテーマの方に入りたいと思うのです。  実は私、図面をつくったのですが、これはお昼の理事会に間に合いませんでしたので、配付するわけにはいかないので、ただ、できたら大臣だけ、議論を進める上で見ていただけたらと思いまして、これは委員長の御了解をいただけたら、大臣のところへお願いします。
  99. 白川勝彦

    白川委員長 どうぞ、結構です。
  100. 吉井英勝

    ○吉井委員 実は、これはせんだっての阪神大震災のときに、震源から約三十五キロ離れている堺・泉北臨海コンビナートでは、十九カ所の震度計の測定値で約二百から三百ガルというのを記録したわけです。大臣の県の方には水島コンビナートがありますが、堺・泉北コンビナートも大体人口が二つを合わせて九十万くらいの人口稠密のところに隣接してあるところだけに、これは国民の生命や財産の安全ということを考えたときに、大変大事な問題を教訓として投げかけていると思うのです。  この図は、コンビナートの企業で測定された測定値を通産省の方に確認をしていただきました。私の方でそれを書いておきましたが、多いもので二百九十四ガルとか、それからゼネラル石油なんかでは百五十ガルとなっているのですが、実はメーターが振り切れてしまったのですね。幾らを測定したかさっぱりわからないと、私はその間行きまして伺いました。こういう中で、危険物タンクなどについては、最大三十六センチ沈む、一・三度傾いて、見に行きますと、この間浮き上がった方、私の手がずぼっと入るくらいタンクが浮いてしまっているのですね。これは三菱石油の水島のコンビナートでのあの重油流出事故以来、こういう不等沈下というのは大変なことだということが指摘された問題ですが、現に今回の地震でもそういう事態が起こったわけです。  そこで、私、ゼネ石でも伺ってわかったのですが、タンクの設計値というのは、鉛直地震動については国の基準がなかったのですね。だから考えていなかったわけですが、水平地震動三百ガルについて、最近のものについてはやっているのですが、以前のもの、約八割のタンクは全部以前の基準でやった。実は測定値の中に二百九十四ガルを記録したりとか、つまり八割のタンクは実測された地震には耐えない設計のものであったということもわかったわけです。これはまだ淡路島の沖だったからよかったのですね。まさに直下型でやってきておったら大変な事態になったと思うのです。  そこで、質問でありますが、まず耐震設計の基準の見直し等この機会に、通産の皆さんも今はとりあえず阪神で手をとられているときだと思いますが、全国のコンビナートの総点検をやはりまずする必要があると思うのですが、最初にこれを伺いたいと思います。
  101. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、旧基準を新基準に直した、そういうふうに今までも努力を進めてまいりました。そして、どう申し上げたらいいのかわかりませんけれども、やはり現状の対策というもので終われりとするのではなくて、常に安全確保に対する努力というものは当然ながら払っていかなければなりません。  今回の地震に伴いまして各方面でさまざまな角度からの調査が行われております。また、通産省自身としても調査をいたしておるわけでありますが、その結果として得られる知見をもとにして、高圧ガス施設などコンビナート施設の安全性について、またこの言い方は、委員にこの間もしかられたのですが、参考とすべき視点が存在するかしないか確認を行うなど関係省庁との連携を図りながら努力をしたい、そして、引き続き高圧ガス施設などコンビナート施設の安全確保に万全を期してまいりたい、そのように思います。
  102. 吉井英勝

    ○吉井委員 まず、直下型についての鉛直地震動について基準がなかったわけです。それから、現行基準に近い値が三十五キロ離れたところでも記録されたというのが実態です。ですから、もう時間が大分たってまいりましたので、彼ほどあわせて、基準の見直しというものとそれからコンビナートの総点検というものをきちっとされるように、この点についてもう一度伺っておきたいと思うのです。  それとあわせて、これは通産省所管になりますが、石油化学のプラントというものは、大体百ガルから百五十ガルで、シャットダウンといって、停止操作に入るということになっているのですが、実はゼネラル石油では、百五十ガルで針が振り切れたということもありますが、通産省の基準を超えてもシャットダウンをしないで操業を続けておりました。これについては、所長の方から、これは大きな反省材料ですという言葉もありました。  同時に、シャットダウンをしても、これは一遍にとめてしまうと危ないわけで、何しろ高圧と真空があり、高温と低温があるというのがあの装置の特徴ですから。ですから、徐々に安定して停止に持っていかなきゃいけないということがあるわけですが、そのときに、この間の神戸のように、たくさんの石油、ガスそれから蒸気とが、パイプラインが切断されたときに、実はそのときのマニュアルをどうするかということは全くないというのがこれも明らかになって、それらがこれからの検討課題です、これはゼネ石の現場を預かる所長の言葉でした。  そこで、大地震、火災時を想定した爆発、火災、有毒ガス流出から被害を最小限に食いとめる、そのために、地震時のシャットダウンの基準、パイプライン切断という状況下での緊急停止のマニュアルと、もう一つは、最悪を考えた市街地との保安距離を、あそこは大体二百メートル以上とっているところなんですが、それでも不十分だということが研究等で出ておりますが、その保安距離の確保などについて私は真剣な検討が今必要になっていると思います。  これらの取り組みについて通産大臣所信を伺って、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
  103. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは専門的な知識を必要とする分野で、私に答弁能力がありませんので、局長から答弁することをお許しいただきたいと思います。
  104. 齊藤眞人

    ○齊藤政府委員 今回の地震によりまして、今からいろいろ調査してまいりたいというふうに考えております。さらに、有識者の意見も入れまして、今後の保安の確保というのをあらゆる面から検討していきたいと思っております。
  105. 白川勝彦

    白川委員長 これにて質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十二分散会