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1995-06-01 第132回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年六月一日(木曜日)     午後一時五十五分開議 出席委員   委員長 日野 市朗君    理事 稲葉 大和君 理事 浦野 烋興君    理事 村上誠一郎君 理事 赤羽 一嘉君    理事 小池百合子君 理事 小坂 憲次君    理事 石橋 大吉君       安倍 晋三君    衛藤 晟一君       小此木八郎君    久間 章生君       小泉 晨一君    佐藤 剛男君       七条  明君    住  博司君       中谷  元君    根本  匠君       野田 聖子君    松岡 利勝君       松下 忠洋君   三ツ林弥太郎君       横内 正明君    石田 祝稔君       長内 順一君    工藤堅太郎君       古賀 敬章君    佐藤 茂樹君       白沢 三郎君    千葉 国男君       二階 俊博君    西  博義君       弘友 和夫君    増田 敏男君       宮本 一三君    山名 靖英君       池田 隆一君    佐々木秀典君       佐藤 泰介君    山元  勉君       前原 誠司君    穀田 恵二君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 小澤  潔君         国 務 大 臣 小里 貞利君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官         兼阪神淡路復         興対策本部事務         局次長     角地 徳久君         国土庁防災局長 村瀬 興一君  委員外出席者         警察庁長官官房         総務課長    黒澤 正和君         警察庁交通局交         通規制課長   伊藤 哲朗君         防衛庁長官官房         防衛審議官   平沢 勝栄君         外務大臣官房外         務参事官    西田 恒夫君         厚生省社会・援         護局保護課長  松尾 武昌君         建設省建設経済         居宅地課民間宅         地指導室長   竹村 昌幸君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      保科 幸二君         特別委員会第三         調査室長    佐藤  仁君     ――――――――――――― 委員の異動 六月一日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     中谷  元君   塩崎 恭久君     根本  匠君   三ッ林弥太郎君    野田 聖子君   金子徳之介君     佐藤 茂樹君   古賀 敬章君     工藤堅太郎君   畑 英次郎君     二階 俊博君   山名 靖英君     西  博義君   田口 健二君     山元  勉君   濱田 健一君     池田 隆一君 同日  辞任         補欠選任   中谷  元君     衛藤征士郎君   根本  匠君     塩崎 恭久君   野田 聖子君     三ッ林弥太郎君   工藤堅太郎君     古賀 敬章君   佐藤 茂樹君     金子徳之介君   二階 俊博君     畑 英次郎君   西  博義君     山名 靖英君   池田 隆一君     濱田 健一君   山元  勉君     田口 健二君     ――――――――――――― 六月一日  災害対策基本法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇二号) 四月二十五日  地震に対する総合的な防災対策の確立に関する  請願(桜井新君紹介)(第九〇〇号) は本委員会に付託された。 五月九日  阪神淡路大震災復興対策に関する陳情書外  二十五件  (第二四一号)  災害対策充実強化に関する陳情書外七件  (第二四二号)  雲仙岳噴火に対する災害対策に関する陳情書  (第二四三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策基本法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇二号)      ――――◇―――――
  2. 日野市朗

    日野委員長 これより会議を開きます。  ただいま付託になりました内閣提出災害対策基本法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。小澤国土庁長官。     —————————————  災害対策基本法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 小澤潔

    小澤国務大臣 ただいま議題となりました災害対策基本法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、阪神淡路大震災に対処するため行われた災害応急対策に係る車両通行が著しく停滞した状況等にかんがみ、災害時における緊急通行車両通行確保するため、都道府県公安委員会による災害時における交通規制に関する措置を拡充するとともに、車両運転者義務警察官自衛官及び消防吏員による緊急通行車両通行確保のための措置等を定めることとするものであります。  以上が、この法律案提出する理由であります。  次に、この法律案要旨を申し上げます。  第一に、都道府県公安委員会による災害時における交通規制に関する措置を拡充し、都道府県公安委員会は、当該都道府県またはこれに隣接しもしくは近接する都道府県地域に係る災害発生し、またはまさに発生しようとしている場合において、区域または道路区間を指定して、緊急通行車両以外の車両道路における通行禁止し、または制限することができることとしております。  第二に、通行禁止等が行われた場合の運転者義務として、車両運転者は、速やかに、当該車両通行禁止等に係る道路区間外または道路外場所移動しなければならないこととし、当該移動が困難なときは、できる限り道路左側端に沿って駐車する等緊急通行車両通行妨害とならない方法により駐車しなければならないこととしております。  第三に、警察官は、通行禁止区域等において、緊急通行車両通行妨害となる車両その他の物件所有者等に対し、当該物件移動等措置をとることを命じ、当該措置がとられないとき等は、みずからその措置をとることができることとしております。この場合において、警察官は、やむを得ない限度において、当該車両その他の物件を破損することができることとするとともに、当該破損については、損失補償対象とすることとしております。  また、警察官がその場にいない場合に限り、自衛隊法第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた部隊等自衛官または消防吏員は、それぞれ自衛隊用緊急通行車両または消防用緊急通行車両の円滑な通行確保するため必要な措置をとることを命じ、またはみずから当該措置をとることができることとしております。  第四に、国家公安委員会は、関係都道府県公安委員会に対し、通行禁止等に関する事項について指示することができることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 日野市朗

    日野委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 日野市朗

    日野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋大吉君。
  6. 石橋大吉

    石橋(大)委員 私は、法案改正点に即して忠実に幾つか質問をしたいと思うのですが、大きく言いまして、この法律改正目的を達成するために本当に実効性のある措置がとれるかどうか、これが全体の問題意識であります。  この法案は、今提案理由説明にもありましたように、「阪神淡路大震災に対処するため行われた災害応急対策に係る車両通行が著しく停滞した状況等にかんがみ、災害時における緊急通行車両通行確保するため、都道府県公安委員会による災害時における交通規制に関する措置を拡充するとともに、車両運転者義務警察官自衛官及び消防吏員による緊急通行車両確保のための措置等を定める必要がある。」こういう認識に基づいて所要の法律改正が行われるものであります。  提案理由を拝聴する限り、まことにもって時宜にかなった法律改正だと考えるわけでありますし、改正点も非常に限られた単純な改正であります。しかし、実際問題として果たしてどうか、こういうことを考えると、いろんな疑問や困難が生ずるのではないかと予想されるわけであります。  質問に入る前に二つだけ前提を置かせていただきます。  一つは、この法律改正案は、「災害発生し、又はまさに発生しようとしている場合」の車両通行規制について規定するものでありますが、私は、災害発生が予知できて、それが発生する前の交通規制であれば、この法律改正目的を実現できるような規制が比較的可能だ、こう思っていますが、災害発生後ということを前提にしますと、そう簡単ではない、こういうふうに思うわけです。そういう意味では、第一に、災害発生後ということを前提にして質問をします。  二つ目には、今回の兵庫県南部地震のように、早朝五時四十六分、人々日常的な社会生活経済活動を始める前に大地震災害に見舞われた場合と、関東大震災のように、午前十一時五十八分、昼前ですが、人々が非常に活発に日常活動経済活動を行っているさなかで大震災に見舞われた場合とでは非常に大きく違う、こういうふうに思うのです。  したがって、災害発生後ということ、そして日常経済活動社会活動が非常に活発な状況の中で大災害発生をした、こういうことを前提にして以下の質問をします。  まず一つは、都道府県公安委員会の指定する車両通行規制範囲についてですが、法第七十六条によって都道府県公安委員会が指定する車両通行規制範囲は、法文の規定を読む限りかなり限定的なものに思われるわけでありますけれども、実際の態様は災害規模範囲によって当然異なってくるわけであります。その実態によっては、例えば神戸市の一区域内ということもあるでしょうが、神戸市の全域あるいは阪神地区全域、こういう広範囲にわたる場合もあると思います。東京の例でいえば、東京の二十三区の中だとか、部か全域だとか、あるいは首都圏全域にわたるとか、災害状況によっては非常に広範囲にわたることが考えられます。そういうふうに当然考えられておると思いますが、その辺はどうか、こういうことが一つであります。  二つ目に、そういう場合に、規制対象広範囲にわたったときには現在の警察消防対応だけでは法改正目的を実現することは非常に難しい、こういうふうに思われるわけですね。  関東大震災の例などを見ますと、地震は御承知のように大正十二年九月一日の午前十一時五十八分に発生しているわけですが、当時、警視総監は直ちに、警視庁、各警察署の焼失などによって災害地の治安を残存警察官のみで維持することは不可能だ、こういうふうに考えまして、当時は軍隊がまだありましたから、東京衛戌司令官出兵を要請し、その依頼にこたえて、衛戌司令部では、九月一日夜に近衛師団そして第一師団に命じて要所に兵を派遣して警戒に当たらせる、こういう措置をとっております。そして、九月の二日には当時の東京市と府下五郡に戒厳令をしき、さらに三日には戒厳区域東京府、神奈川県全域に、そして四日には埼玉、千葉二県にも拡大して関東戒厳司令部を設置し、司令官参謀長を任命しながら、地方からの師団出兵もあわせ求めまして、その総兵力は約五万に及んだ、こういうふうに言われているわけであります。  古い言葉ですから戒厳令というのはわからない若い方が多いかもしれませんが、戒厳令というのは、非常事態に対して行政権裁判権軍隊にゆだね、兵力によってその地域を警備する、こういう布告でありますが、それでも流言などによって百数十名の朝鮮人などが惨殺をされた、こういう悲惨な状況が起こっているわけであります。  直ちに軍隊を動員するという状況には今ありませんけれども、いずれにしましても、災害がこういう広範囲にわたって、予想されるいろんな異常事態の中で果たして法改正目的警察官を中心にして実現することができるかどうか、大変疑問があるわけでありますが、この点についてまず伺っておきたいと思います。
  7. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、大規模災害が生じました場合は、災害応急対策に必要な人員、物資等相当程度遠距離から輸送する必要が出てくるかと思います。また、災害一定の広がりを持った地域の全体にわたり発生したような場合におきましては、災害現場付近区域及びこれらの地域へ通じる道路緊急通行のために確保することが必要になってくるわけでございます。また、今次の阪神淡路大震災の教訓からも、緊急通行路の円滑を確保するためには多くの警察力が必要になってくることと考えております。  そこで、警察といたしましては、被災地等におきます交通規制要員等の速やかな投入のための全国の警察から成ります広域緊急援助隊の設置、またそのための車両装備資機材整備や、実践的な訓練の実施を行うこととしておりますし、また、適切な広域交通規制実施、あるいは広域的な交通管理のためのシステムの検討を進めるとともに、警察力を補完する交通管理施設整備に努めているところであります。  また、今回の法改正におきまして、警察官現場にいない場合におきましては、自衛官及び消防吏員が、それぞれの自衛隊及び消防用緊急通行車両通行確保のために権限を行使することができるよう措置しているところでございます。
  8. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今の答弁の後半は今度の法律改正提案理由説明でありまして、私の質問に対する答えには十分なっていない、こう思います。いずれにしましても、相当困難に直面すると思いますから、十分ひとつ研究して、法改正目的が実現されるようにあらかじめしっかりとした検討をし、対策を講じていただきたい、こう申し上げておきます。  時間がありませんので次に進みますが、二つ目に、住民への周知徹底措置方法についてどう考えているか、こういうことであります。  法第七十六条の二項によりまして、都道府県公安委員会車両通行禁止または制限を行ったときには、直ちに関係区域内の住民にその他必要な事項を含めて周知徹底させる措置をとらなければならない、こうなっているわけであります。今回の阪神地区の大地震の経験に照らしましても、電力の供給はとまってテレビはストップをする、当然電話線の切断も随所に及び、連絡が不能になる、道路はふさがれていて宣伝車広報車は動かせない。とすると、無線電話携帯電話しかないか、こういうふうに考えますが、この場合の周知徹底は、一部の点ではなくて、ある広範囲にわたる面に対して徹底されなければいかぬ、こういう性格を持っているわけです。そういう意味で、広範囲区域内に可及的速やかに周知徹底させるということが必要になるわけですが、この方法、手段もこれまた非常に難しいのではないか、こう思っているわけであります。  例えば、あとはもう空からヘリコプターでやるしかないかな、こういうことも考えられるわけですが、ヘリコプターのあの爆音というか騒音ではスピーカーで空から呼びかけるというわけには恐らくいかないのではないか、こう思うのですね。そうすると、商業宣伝で時々やっているようにセスナ機でも使って、よく音声が通るような飛行機を飛ばさないと空からの呼びかけはできない。ビラやチラシは、平穏であれば、何にもなければいいのですが、火災が起こっていたら物の役に立たない。さっき本会議では立て看だとかいろいろなことを公安委員長は言っていましたが、そんなものはそう簡単に大災害が起こったときには立てられない、こう私は思うのですね。  そういうことを考えますと、この周知徹底方法も大変難しい事態に直面するのではないか、こう思うのです。その辺についてどう考えますか。
  9. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 具体的な周知徹底方法につきましては、災害状況に応じまして各都道府県公安委員会が判断していくことになろうかと思いますけれども、御指摘のような場合におきましては、テレビ、ラジオによる広報のほか、例えば規制区域入り口付近当該道路での立て看板垂れ幕道路交通情報板、あるいは警察車両による広報現場警察官広報等を行うことを考えております。もちろん、いつ起こるかわからないということがございますので、いつ発生しでもそうした体制がとれるように、そうした立て看板垂れ幕広報準備等につきましてはあらかじめ行っていきたいというふうに考えております。
  10. 石橋大吉

    石橋(大)委員 これも、平穏無事、比較的静止状態にある中ではできるけれども、家屋やビルが倒壊し、道路は車でごった返している中では、今言われたような措置はそう簡単にとれない。私は、残念ながらそう言わざるを得ないのではないか、こう思っているわけであります。  三番目に、車両運転者義務についてただしておきたいと思います。  運転者義務については、まず一つは、「道路区間に係る通行禁止等が行われたときは、車両運転者は、速やかに、当該車両当該道路区間以外の場所移動すること等をしなければならないこととすること。」二番目に、「区域に係る通行禁止等が行われたときは、車両運転者は、速やかに、当該車両道路外場所移動すること等をしなければならないこととすること。」三つ目に、「(一)及び(二)にかかわらず、車両運転者は、警察官指示を受けたときは、その指示に従って車両移動し、又は駐車しなければならないこととすること。」この三つ義務が課されることになっているわけであります。しかしこれも、平穏無事である平時ならともかくとして、大災害発生時には、またまた容易ならざる事態に直面をしてほとんど不可能になるのではないか、こう心配されるわけであります。  第一に、大都会の交通渋滞地域では、車が殺到していてほとんど車を動かす余地がない事態が十分予想されるわけであります。左側や右側に寄せろといったって、みんな押しかけていったらとてもそういう余地はない。こういうことは十分予想されるわけですね。  第二に、大災害時を想定すると、車両渋滞の上に、地震による揺れなどによってハンドル操作が不可能になったりして、あちこちで玉突きが起こったり、両側の家だとか分離帯に衝突をしたり、ひっくり返ったり大破したり、中には火を吹いて燃え上がる車が出てきたり、これは十分考えられるわけです。そういう状態が続出をすることは十分想定されるわけですね。こうなると、全く手がつけられない事態になって、幾ら運転手がこういう義務を守ろうと思っても事実上不可能になる事態が想定されるわけです。  まあ一応それが可能だとしても、一つは、適切に車を移動させるためには、あらかじめ相当量の車を移動させる場所を決めてふだんから周知徹底をさせておくことが非常に重要ではないか、こう思うのです。それなしにはできない。  二つ目には、空き地という空き地には大災害時には避難民が恐らく殺到するだろう、こう思うのですね、特に火災などが起こったときには。そういうときに、避難場所と、自動車を緊急に相当数駐車させるような場所をちゃんと区分けをして処理することができるかどうか。これは非常に難しい。どっちにしても、そういうことをするならちゃんと区分けをできるようにしておかなきゃいかぬ、こういうふうに思うのですね。避難所自動車の駐車するところとを区分けをして、一定空き地確保していくことが必要ではないか。  三番目に、レッカー車などで強制移動させるとしても、さっきも言いましたが、そういう異常事態のもとでは、警察消防の車だけではとても処理不可能、こういう事態も予想されるわけです。  これらの点についてどういうふうにお考えになっているか、承っておきたいと思います。
  11. 村瀬興一

    村瀬政府委員 最初の方の御質問について、私の方からお答えさせていただきたいと思います。  先生おっしゃいますように、空き地等確保しておくということができればその方が非常にベターだと思いますけれども、御承知のように都市部でそういった空き地を十分に確保するということはなかなか困難な面もあろうかと思います。その場合に、先ほど本会議国家公安委員長がお答えになっておりましたように、左側端に寄せてとめさせるということによりまして必要最小限通行のスペースが確保できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  12. 石橋大吉

    石橋(大)委員 これは繰り返しませんけれども、さっきも言いましたように、朝の東京通勤ラッシュを見ていてもわかるでしょう。もうとにかく全部車が信号を手前にしてずらっと動きがつかぬ状態というのは幾らでもありますよ。そういう意味では、言葉説明としては可能であっても現実問題としては非常に難しい事態が十分起こり得る、こういうように私は思いますので、問題点指摘だけして、次に進みます。  次は、通行禁止及び制限適用除外に関連して聞いておきたいと思うのです。  今のような、国家公安委員会通行禁止措置あるいは規制措置に従って車を移動するとき、あるいは警察官指示に従って車を移動するとき、その場合に限って通行禁止制限を解くわけですね、移動しなければいかぬ。そういう規定が第七十六条の二第五項のところにある。  しかし、これもよっぽど考えておかないと、異常災害が起こってみんな殺気立っている、あるいは事故が続出しているような状況の中で、運転手がそういう措置をとろうと思っておっても、ほかのドライバーなどからすれば、おまえ何で勝手に車を動かすのだというようなことになって、けんかになったり、つかみ合いになったりしかねない状態幾らでも出てくると思うのですね。やはりその場合には、これは公安委員会の指定に基づいて緊急避難措置をとっている車だということが一目瞭然すぐわかるような措置をとっておかないと、これも簡単ではないのじゃないか、こう思うのですね。  余り時間がありませんから先を急ぎますが、その点とう考えているのかをちょっと聞いておきたいと思います。
  13. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 法第七十六条の二第一項の規定によりまして区間以外の道路移動する車両というのは、その道路以外ということですので、直近交差点等から直ちに区間以外へ出る場合がほとんどだろうと考えております。また、同条第二項の規定によりまして道路外移動する車両につきましても、直近空き地等への移動を行う場合がほとんどであろうというふうに考えております。そうしますと、法第七十六条第一項の規定に違反して移動している車両との識別にそれほど大きな困難を生ずることはないだろうと思っております。  また、警察官が法第七十六条の二の第四項の規定に基づく指示を行って車を動かすというような場合におきましては、運転者に直接現場付近の支障のない道路などへの移動駐車等指示するような場合がほとんどと考えられますので、御指摘のような、それ以外の車両、違法に走っている車両警察官指示で動いている車両というものについての識別の困難さというものはそれほどないのではないかと考えております。
  14. 石橋大吉

    石橋(大)委員 この区域公安委員会が決定したときには、全部が全部警察官指示によって動くことを前提としておるのじゃないでしょう。警察官指示によっても動かなければいかぬが、運転手の自主的な判断によって動かなければいかぬ場合だって、あるいはその方が多いと思うのですよ。今の答弁は一応わからぬこともないけれども、現実対応答えにはなっていない、こういうふうに私は思いますが、次に進みます。  違反者に対する措置をお聞きしたかったのですが、時間がありませんから次に進みまして、次は、被災住民の側の要求にどうこたえるかという問題です。  この車両通行規制は、警察だとか消防だとか、そういう災害救助のための緊急車両通行確保するためにこういう規制措置がとられるわけですね。当然それはわかる。しかし今度は、大災害に遭っているわけですから、当然住民の側にも非常に緊急性を要するのっぴきならない要求が出てくる。大けがをした人をすぐ病院に運ばなければいかぬ、あるいは急病人を何としても病院に運ばなければいかぬ、こういう住民の側の要求が当然出てくるわけです。  この前私のところにだれか警察庁の専門家の人が来たときに、私がそんな質問をしたら、そんなものを認めておったら全部この法規制目的が達成できないからそれは認められません、こういうような話だったと私は思っているわけです。ここで改めて聞いておきたいのは、本当にそういう住民の側からの要求が起こったときに、警察としては断固拒否するのか、あるいは、何らかの方法一定の条件をつけて認めるような措置をとるのかとらないのか、この辺ちょっと聞いておきたいと思います。
  15. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 いろいろな住民のニーズというものがあろうかと思いまして、例えば負傷者を病院へ搬送したいというような場合もあろうかと思います。この法律におきましては、一般車両につきましてはたとえ傷病者の搬送に用いられるものでありましても緊急通行車両には該当しないだろうというふうに考えられますが、混乱した被災地におきまして、真にやむを得ない傷病者の搬送を行っているような車両というものを排除することは、かえって御指摘のように妥当でない場合というものも出てこようかと思っております。  したがって、実際の運用におきましては、改正法案の第七十六条一項の通行禁止規制公安委員会が行います場合に、いわゆる意思決定の中で、社会通念上特に通行させる必要があると認められる車両といったものにつきましては通行禁止等対象からも除外していくということがあろうかと思いまして、そうした車両につきましては通行可能とするように配慮していきたいというふうに考えております。  また、こうした通行禁止対象から除外する車両につきましては、除外車両としての識別が可能となるような標章等を交付していきたいというふうに思っております。
  16. 石橋大吉

    石橋(大)委員 この前説明を聞いたときと違いまして、十分配慮するということですから、これはこれでそういうふうに承っておきたいと思います。問題は、ちゃんとした識別ができるということが非常に大事ですから、その辺の処置をちゃんとやっていただきますようにお願いしたいと思うのです。  残された時間が余りありませんが、次に、一般の被災住民をどう規制するか、被災住民の動きをどう規制するか、こういうことについて伺っておきたいと思うのです。  作家の吉村昭さんが文芸春秋の三月号に、「歴史はくり返す 関東大震災の「教訓」を忘れてしまった日本人」という一文を、神戸大震災に関連して寄せておられるわけです。その中で吉村さんは、関東大震災後に出版された「震災予防調査会報告」なるものを引用しながら、こういうことを指摘されているわけであります。簡単に要点だけ申し上げます。  関東大震災は、甚だしい家屋の倒壊をひき起したが、それによって起った火災が猛威をきわめた。  東京市の四三・五パーセントにあたる千四十八万五千四百七十四坪という広大な地域が焼きはらわれ、全戸数四十八万三千戸中三十万九百二十四戸が焼失、死者・行方不明者(圧死・溺死をふくむ)は六万八千六百六十名に及んだ。報告書でこの火災について取り組んだのは、理学博士中村清二という人でありますが、まず火災発生原因について、中村博士は、薬品の落下によるものが四十四個所もあると指摘している。学校、試験所、研究所、製造所、工場、医院、薬局等にあった薬品類が、棚等から落下して発火した。これはここでは本題でありませんから省略をしますが、そういう薬品の落下による火災発生、これが一つ。  第二に中村博士は、延焼をうながした最大の原因は、避難者の携行する荷物であったと指摘している。  人々は、家財を荷馬車や大人車に載せたり背に負うたりして逃げまどい、路上はそれらの人と荷物によって、充満した。火がそれらの荷物に引火し、人々は荷物や大人車等に逃げ道をぶさがれて焼死。火勢はさらにつのって延焼していったのである。こう言っているわけであります。  東京は江戸時代にもしばしば大火に見舞われておりまして、幕府はその対策に腐心をし、結局、最も危険な物は、火事の折に避難する者が家財その他を積んで引出す大人車と断定した。  それらの大人車は、道路をふさいで火消しの動きを阻害し、避難する者を身動きできなくする。  さらに積んだ荷物とともに大人車に引火し、それが延焼の媒介となっている。  幕府は、出火時に大人車を引出す者を厳罰に処すると警告し、宝暦十年(一七六〇)の大火の後にも、「出火之節 建具並諸道具等大人車ニテ積候儀有レ之候ニ付 往還通路之妨ニ相成候。前々モ相触候処不届至極ニ付 自今見付次第召捕」として、当人はもとより家主も処罰すると通告している。こういう通告を出しているわけですが、それでもなかなかおさまらぬわけですね。  今回の法律改正は、現代の大人車ともいうべき、車を大人車に例えるのはちょっとよくないのですが、車両規制対象にする。しかし、ガソリンを積んでいますから、車は大人車の何倍も危ないわけですね、これは説明するまでもないと思います。どっちにしましても、車はこの法律改正によって規制をされる。しかし、これは車が対象ですから、荷物を背負う人はなかなか現代にいないかもしれませんが、どっちにしても、人間の通行規制は一応対象外になる。  私は、関東大震災だとか江戸時代からの数々の大火の経験などに照らして、車だけ規制をして万全だということは言えないのじゃないか。人々通行についても一定規制をしないと、やはり緊急車両通行確保できないのじゃないか、こういう感じがしておるわけであります。  最後にこの点はどうかということだけお聞きをして、時間が来ましたから、終わります。
  17. 村瀬興一

    村瀬政府委員 今回は、今先生もおっしゃいましたように、車両通行緊急通行車両通行妨害になるという可能性が非常に大きいということから、車両についての規制をしようということでございまして、歩行者につきましてはそういう意味対象にはいたしておりません。  ただ、最近ではそういう人はいないかと思いますけれども、自転車、荷車あるいは原動機付自転車といったものに荷物を積んで移動するというような場合には、これらはいずれも車両でございますので、そういった場合にはこの法律規制対象になる。ただ、歩行者が荷物を持って移動するという場合には対象にならないということでございます。
  18. 石橋大吉

    石橋(大)委員 野党質問じゃありませんからこれぐらいで終わりますが、どっちにしても、問題が数々あることは否定できないと僕は思うのですよ。ぜひひとつ、万全の措置を十分検討してやってもらうようにお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  19. 日野市朗

    日野委員長 次に、二階俊博君。
  20. 二階俊博

    ○二階委員 阪神大震災発生以来、きょうでちょうど四カ月と十五日が経過しました。まさに悪夢のような大惨事は、かつて私たちほとんどの国民が経験したことのないような最大級の大地震でありました。直接この被害を受けられた方々にとって、心の傷は、四カ月を経過したとはいえ、たとえ幾千万の同情の言葉を費やしたとしてもそれをいやすことはできない。今改めて、不幸にして亡くなられた五千五百二名のとうといみたまに対し、謹んで哀悼の意を表するものであります。  去る五月十四日の母の日に、震災で失ったお母さんの遺影を前に、焼け跡にカーネーションの花を供える娘さんの姿が報道されておりましたが、悲しみを新たにする思いであります。私たちは今、与野党問わず、なし得るすべてを尽くして復旧、復興に努めることは当然のことであります。自然災害のみならず、明らかに人災ではないのかと思われる部分について大きな反省を込めて、国は可能な限りを尽くして、被害を回避できるものは何としても回避するという訓練と努力を常に怠ってはならないのであります。  私は、災害発生以来、一月二十日の本会議における緊急質問、一月二十六日の予算委員会の集中審議、二月十七日の本会議における復興本部設置に関する質疑、去る三月十七日の本委員会において、新進党の阪神大震災の復旧、復興に関する提言や要望を重ねてまいりました。先般の補正予算において、相当部分我々の提言を実行されようとしている御努力は多としたいと存じます。  本日提案されました災害対策基本法の一部改正案でありますが、今回の大災害に対する初動対応のおくれなど、厳しい反省の上に立って提案されたものと存じますが、政府は特に何を反省すべきであると考えておられるのか。危機管理、防災、援助物資、医療、輸送、住居、復興計画など、政府の認識についてまずお尋ねをいたします。
  21. 小澤潔

    小澤国務大臣 政府といたしましては従来から災害対策に全力を挙げて取り組んでまいりましたが、阪神淡路大震災においては極めて甚大な被害が発生をいたしたところであります。私はこれを厳しく重く受けとめ、初動期における被害規模の把握がおくれたこと、官邸への情報連絡体制が十分に確立していなかったこと、災害発生時における緊急通行路確保に困難が生じたこと等を反省すべき点としておるところであります。  これらの点を踏まえまして、今回、災害対策基本法の一部を改正するとともに、現在、政府において災害対策全般にわたってその見直しを行っているところであります。
  22. 二階俊博

    ○二階委員 今回、それらの問題点の中で、それではなぜ警察道路交通に関する部分だけを改正するのか、その理由について明確にお答えを願います。
  23. 小澤潔

    小澤国務大臣 災害対策基本法において見直しを検討すべき項目の多くは、防災体制の基本的なあり方にかかわるものであり、防災問題懇談会での討論を踏まえた十分な検討が必要であります。  こうしたことから、今回は、再び大規模災害発生した場合に直ちに人命救助等に影響が生じるおそれがありますので、緊急に対応すべきものとして、道路上の放置車両等に関する規定改正を行うこととしたものであります。
  24. 二階俊博

    ○二階委員 今回の阪神大震災を顧みて極めて残念に思うことは、昨年暮れの三陸はるか沖地震、ちょうど一年前の一月十七日のアメリカ・ロス地震、先ほども石橋議員から御発言のありました関東大震災の教訓がほとんど生かされていないということであります。  三陸はるか沖は年末の御用納めの後に発生した地震であり、官邸も国土庁も自衛隊も対処できる状態ではありませんでした。その後、この反省の上に立って、国民に対する当然の義務として政府はいかなる対応をなされておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  25. 小澤潔

    小澤国務大臣 地震災害に対しては、災害対応できる平素からの取り組みが何よりも重要であり、極めて甚大な被害が発生した今回の災害を教訓といたしまして、国、地方公共団体等による万全の防災体制のあり方を早急に検討し、必要な見直しを行うことが国政上の重要な課題であると考えているところであります。  このため、既に、大規模災害発生時の第一次情報収集体制の強化と内閣総理大臣等への情報連絡体制の整備に関する当面の措置について閣議決定を行い、また、防災基本計画の見直しも鋭意行っておるところであります。さらに、広く各界からの有識者の方々から成る防災問題懇談会を開催し、具体的には災害情報の収集及び伝達体制のあり方、消防、救急、警察、医療、自衛隊等に係る緊急即応体制のあり方及び広域連携体制のあり方などについて御意見をいただくことといたしました。  政府といたしましては、この懇談会の検討の成果を踏まえて、速やかに万全な防災体制の確立に取り組んでまいる考えであります。
  26. 二階俊博

    ○二階委員 昨年アメリカ・ロスを襲った地震も都市直下型の地震であり、電気、ガス、水道のライフラインのもろさ、逃げ惑う住民の悲鳴を伝える新聞やテレビ、当日はまたキング牧師の記念休日に当たり、交通量は通常の半分であったことがやや幸いしたなど、都市型災害は私たちに生々しい教訓を与えてくれました。  しかし、この教訓は、今回の同じような都市型災害に生かされていないのであります。しかも、一年も経過して発生した今回の災害に、朝が早かったから、初めての出来事だから、これを繰り返すだけで、真心のこもった政府の反省の弁は何ら聞かされていないのであります。しかも、その責任をとる者も一人もいない。  阪神大震災後初めて政府が提出された災害対策基本法の一部改正案審議するに当たり、今改めて、政府の責任と、防災に対する日ごろの怠慢とも言える政府の姿勢、国民の生命財産を守るという責任感の欠如について、国務大臣にもう一度お 尋ねしたいのであります。
  27. 小澤潔

    小澤国務大臣 政府といたしましては、災害対策を国政の最重要課題と認識し、災害情報の収集及び伝達、消防活動そして救助活動等の応急対応や復旧対策等が迅速かつ円滑に行われますよう防災体制の整備に努めてまいったところであります。しかしながら、今次災害により極めて甚大な被害が発生したことを踏まえ、防災体制全般の見直しについて検討を進めているところであります。  今後とも、これらの検討を踏まえつつ、災害対策の一層の充実に万全を期してまいる所存であります。
  28. 二階俊博

    ○二階委員 関東大震災は、御承知のとおり今から七十二年前の出来事でありました。その生々しい記憶をいまだ体験として持っておられる方々も現存しておられるのであります。  復興に指導的役割を果たされた後藤新平、また、「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増すという事実がある」こう喝破された、これは寺田寅彦が大正九年十一月のある雑誌に書いておられるのであります。  また、東大の地震研究所の玄関に、同じく寺田寅彦の撰文による銅版が掲げられ、その中に、地震研究所永遠の使命とする所は地震に関する諸現象の科学的研究と直接又は間接に地震に起回する災害の予防並に軽減方策の探究とである。この使命こそは本所の門に出入する者の日夜心肝に銘じて忘るべからざるものである。    昭和十年十一月十三日  地震研究所と書かれておるのであります。  賀川豊彦は、十一時五十八分、関東大震災発生を知るや、午後四時、神戸港に浮かぶ山城丸に乗り込んで、救援ボランティア活動のために東京に向かっております。  今、後藤新平、寺田寅彦、賀川豊彦等、歴史に残る先人の当時の御活躍をしのぶものでありますが、こうした教訓が政府の災害対策上ほとんど生かされていない。三陸はるか沖の地震の際、総理は、いつ、どこにおられ、だれから第一報を伝えられたのか、私は確かめておきたいのであります。
  29. 村瀬興一

    村瀬政府委員 総理は、三陸はるか沖地震発生いたしました昨年の十二月二十八日、大分県に滞在しておられたわけでございます。私どもといたしましては、関係機関から必要な情報を収集した上で、当日の午後十時五十五分ごろには総理秘書官に連絡を行ったところでございまして、秘書官から総理にも情報が伝達されたというふうに承知をいたしております。
  30. 二階俊博

    ○二階委員 新進党は、三陸はるか沖地震発生の翌日早朝より、政府より早く党本部に海部党首、小沢幹事長、西岡総合調整担当と私が集まり、三陸はるか沖地震対策本部を設置し、直ちに調査団を出して、十二月三十日、政府の調査団が東京にお帰りになる前に、七項目に及ぶ緊急申し入れを国土庁に提出させていただきました。総理はこのことを承知しておると本会議答弁されていますが、いつの時点でこのことを総理に伝えられたのか、その際の総理の指示はいかなるものであったのか。今後危機管理のあり方を検討する上でこれまた極めて重要でありますので、お答えを願います。
  31. 村瀬興一

    村瀬政府委員 今お話がございましたように、十二月三十日に新進党から三陸はるか沖地震について申し入れをいただいたとこちでございます。その日のうちに、総理秘書官を通じまして総理にその内容を伝えたところでございます。総理からは、申し入れのありました事項を含めまして、対策に万全を期すようにという指示をいただいたところでございます。
  32. 二階俊博

    ○二階委員 七項目めに、例えば休日であるとか、あるいは選挙の真っ最中であるとか、過去の災害では内閣の交代時に当たるとか、ややもすれば総理大臣が官邸にいない、東京にいない、関係の責任者が東京におられない、そういうときに地震発生しておるわけでありますから、国家の危機管理を含め、これらの問題点について留意し検討すべきであるということを厳重に申し入れをしておるのであります。  にもかかわらず、それらの申し入れをまじめに受け取っておったかどうかということが、一月十七日の地震発生時に、あの後の総理の本会議における答弁等をあわせて、甚だ疑わざるを得ないのであります。この点についてもう一度御答弁を願います。
  33. 村瀬興一

    村瀬政府委員 今の先生のお話でございますけれども、十二月三十日にいただいたような今の七項目めの趣旨等も含めまして、総理も当然念頭に置きながら一月十七日の災害にも対処されたというふうに承知しておるところでございます。
  34. 二階俊博

    ○二階委員 あなたは職掌柄そのような答弁しかできないかもしれませんが、何分初めてのことでとおっしゃいましたが、初めてのことではないのですよ。過去の災害の事例もあれば、みずからが内閣総理大臣を担当するようになって既に昨年の末に三陸はるか沖地震発生しておるじゃありませんか。そのときに何ら総理大臣としての指揮命令を行っていないために、今回のときには何ら対応がとれなかった、こういうことではないのですか。
  35. 村瀬興一

    村瀬政府委員 先ほども申し上げましたように、総理からは対策に万全を期すようにという御指示をいただきまして、私どもといたしましては、現地に調査団を派遣する等、あるいはその調査団の報告を待ちまして関係省庁の連絡会議を開きまして、五項目、余震に対する厳重な警戒でございますとか、被害状況の的確な把握、水道、ガス等のライフラインの早期復旧、鉄道、道路、港湾、農林水産業施設、文教施設等の被災施設の早期復旧、被災地方公共団体に対する適切な地方財政措置をするということを申し合わせて対処しておるところでございます。さらには、一月十二日には国土庁長官が現地を視察しているというようなこともございます。  それから、申し入れの中にもございました激甚災害の指定でございますが、平成七年の二月一日でございますけれども、八戸市の区域につきまして、中小企業関係について局地激甚の指定をしているところでございます。
  36. 二階俊博

    ○二階委員 先般の補正予算を加えますと、阪神災害の復興関係の関連予算は約二兆五千億円となっております。今回の被害総額は合計幾らであって、その復旧に要する費用の中で政府が予算措置をすべきと考えておられる額を御説明願いたいと思います。つまり、政府がなすべきことは何がどの程度残っているのかということをこの際国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
  37. 村瀬興一

    村瀬政府委員 阪神淡路大震災につきましては、被害が極めて甚大かつ広範なものであることに加えまして、一口に被害額といっても技術的に把握が困難なものも多いというような事情もございましたが、二月の時点におきまして、民間部門の被害も含めまして、被害額の概算を九兆六千億と推計したところでございます。  被害額の内訳でございますが、住宅、店舗、事務所、工場、機械等の建築物等が約六兆三千億円。それから、道路、港湾等交通基盤施設が二兆二千億円。電気、ガス、上下水道等ライフライン施設が約六千億円。その他が五千億円という内訳になっております。  これまで政府といたしましては、阪神淡路大震災等の関連経費といたしまして、平成六年度の第二次補正予算におきまして一兆二百億円余、それから平成七年度補正予算におきまして一兆四千二百億円余の、計二兆四千五百億円余を計上する等の措置を講じてきたところでございます。  被害額の概算と予算措置額を単純に比較するということは適当でないかとは思いますけれども、平成六年度の二次補正予算、それから今回の補正予算によりまして、公的施設の応急復旧施策はおおむね完了させることができるような予算措置をしたというふうに承知をいたしております。
  38. 二階俊博

    ○二階委員 私が申し上げたいのは、阪神の復旧、復興については、政府の説明を聞いておりますと、もう何もかも手を打ち終えた、万全の対策を講じた、このような認識に立っておられるでしょうけれども、現場は一体どうなんですか。三万人からの人がまだあの避難所におられる。あのころは肌を刺すような寒い日が続いたのです。もうそろそろ夏じゃありませんか。あの避難所の生活の真夏の夜を思うときに、だれも好きこのんであんなところにおるのではないのですよ。それを思うと、災害復旧に関する政府の姿勢は、万全だとかなんだとか口ではうまいことを言うが、実際は行われていないということを私は指摘しておきたいのであります。何か答弁することがあったら答弁してください。
  39. 村瀬興一

    村瀬政府委員 ただいま先生御指摘ございました避難所におられる方のことでございますけれども、御承知のように、避難所におられる方を完全に解消すると申しますか、仮設住宅等に移っていただくということのために、さらに兵庫県知事から私どもの小里大臣の方に申し出がございまして、八千三百戸の仮設住宅を追加するということにいたしております。これによりまして、現在避難所におられる方々を完全に解消できるというふうに兵庫県知事も確言しておるところでございます。
  40. 二階俊博

    ○二階委員 そこが我々と認識の異なるところであります。つまり、仮設住宅はあくまでも仮設住宅なのです。彼らの生活をもとどおりにしてなお、神戸がよみがえった、兵庫がよみがえったということを世界に発信できるようにならなければ、災害の復旧、復興にはならないじゃありませんか。そのことを指摘しているのです。大臣、どうですか。
  41. 小澤潔

    小澤国務大臣 ただいま局長からも申し上げたとおり、小里大臣、県知事並びに神戸市長さんの御意向を承り、万全の態勢でとにかくやるということで先般の閣議におきましても報告があり、了承されたところであり、政府一体となって早期に、避難所の生活をされておるお気の毒な皆さんに対しましても万全の態勢でこれからもやってまいる決意であり、その旨の小里大臣からの報告も承っております。
  42. 二階俊博

    ○二階委員 災害を受けた人々の立場に立って、あくまでも心の通う対策を講じていただきたい。万全であるとか、あるいはこのことにもうすべてをなし尽くしたような御発言を政府からたびたび伺うわけですけれども、現場を知る者として極めてむなしい響きで我々に伝わるわけであります。後に兵庫県選出の議員からもこれらの問題について御発言があると思いますので、それに譲りまして、本論に入ります。  災害対策基本法改正で、道路交通規制について、今回の経験に基づき警察庁が積極的にこれを提案されるようにしたことは、私は率直に敬意を表したいと思います。また、新進党としては基本的に賛成であります。しかし、今回の災害の反省の上に政府が早急にやらなくてはならないことは山ほどあるではありませんか。これだけでいいのかという思いは、私は、良識ある役人ならだれもそんなことは思っていない、そう信じたいのであります。  自衛隊の出動に関しましても、国民が常識的に考えていることと現実には大きなギャップがあるではありませんか。もう一日早くあなた方が来てくれていたなら隣の人は助かっていたのに——これに対して若い隊員は、早く助けに来たかったが命令がないから出てこれなかったと。このことに関し、災対法の見直しや自衛隊法改正等について政府は今後いかに考えておられるのか、国務大臣としての御判断、御見解をお聞かせ願いたいのであります。
  43. 小澤潔

    小澤国務大臣 災害対策を行うに当たって自衛官がいかなる権限を有しているべきかについては、災害対策全体の中における自衛隊の役割のあり方についての検討前提とするものと考えられ、災害時の自衛隊の役割のあり方については現在防災問題懇談会において検討されていることから、当該議論の結果を踏まえた災害対策基本法全体の見直し作業の中で今後さらに検討を進めていく必要があると考えております。  なお、自衛隊法につきましては、このような論議を踏まえつつ、必要があれば防衛庁において検討が行われるものと考えております。
  44. 二階俊博

    ○二階委員 防衛庁がたまりかねて、昨日の新聞ですか、震度五以上の場合は自主出動を検討されておるということが報ぜられておりますが、このことは法制上どのような解釈によるものか、お聞かせ願いたいのであります。
  45. 平沢勝栄

    ○平沢説明員 災害派遣について規定をしておりますのは自衛隊法の第八十三条でございますけれども、これによりますと、都道府県知事等からの要請による災害派遣、これが原則でございまして、自主派遣については例外的に規定されているわけでございます。この理由は、地方公共団体が災害対策に第一次的責任を有しているということ、それから都道府県知事等が被害状況等を全般的に掌握し得る立場にある、こういったことから、自衛隊部隊等の派遣の要否等の判断についても都道府県知事等に任せた方が災害救援活動の効果的かつ効率的な実施確保すみ上で最適である、こういう判断に立っているわけでございます。  しかしながら、今回の大震災の経験から明らかになったわけでございますけれども、突発的な大災害発生した場合には地方公共団体が早期に全体状況を把握することが困難な場合がありまして、そうした場合には自衛隊に対する災害派遣要請が遅延する場合があり得る、こういったことが明らかになったわけでございます。  私どもとしましては、こうした経験に基づきまして、今後自衛隊災害派遣を円滑に行うべく現在いろいろと検討を進めているわけでございますけれども、その一つといたしまして、自衛隊法第八十三条二項ただし書きに規定しております自主派遣につきましては、被災状況把握のための情報収集活動、あるいは人命救助活動、こういったことを念頭に置きまして、このただし書きの規定の活用で派遣が弾力的、スムーズに行うことができますよう、現在、自主派遣に係る基準の作成について検討を進めているところでございます。
  46. 二階俊博

    ○二階委員 そういうことは国民や私どもも極めて当たり前のことに思っておるわけでありますから、防衛庁におかれては、せっかく検討の上、しっかり頑張っていただきたいと思います。  次に、緊急災害対策本部の設置について改めてお尋ねをいたします。  私たち新進党はあれほどその必要性を訴えてまいりました。本来、野党である私たちが、総理にすべての権限を集中することなど主張すること自体おかしいわけですが、事は国民の人命、財産が失われようとしているとき、避難所であの寒さの中に不安な夜を迎えようとしている三十万人近い方々に速やかな対策が総理自身の指揮命令でやれるようにしてはどうかという提案に、四日も五日も行きつ戻りつの議論の結果、緊急対策本部、現地対策本部など、極めて紛らわしい名称の本部を幾つも設けて、効力と効率が上がるであろう緊急災害対策本部の設置をあくまで拒み続けた最大の理由は何であったのか。私はこのことを、大臣に対して、政治家の良心に従って明快な御答弁を願いたいと思うのであります。
  47. 小澤潔

    小澤国務大臣 災害対策基本法では、非常災害発生し、対策を推進するため特別の必要があると認めるときに、内閣総理大臣が閣議にかけて災害緊急事態の布告を行うことができるとされ、その場合には内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部を設置することとされております。このような災害緊急事態の布告を行うかどうかを決めるに当たっての最大のポイントは、災害対策基本法第百九条に基づく緊急措置を必要とする状況になっているかどうかということであります。  今回の災害の場合には、社会的、経済的にこのような緊急措置を必要とする状況に至ってはいないとの判断のもとに、緊急災害対策本部を設置しませんでしたが、閣僚メンバーによる緊急対策本部を設置して高度な判断を要する事項を取り扱い、非常災害対策本部がこれを具体的に推進、調整することによって、効率的かつ効果的に災害対策を推進してまいったところであります。
  48. 二階俊博

    ○二階委員 緊急災害対策本部の設置の要件として百九条に論及されましたが、私は、その判断は誤っておると指摘しておきたいのであります。あれ以上社会的、経済的に大きな問題、あるいはまたあれほどの大災害、即刻この緊急災害対策本部を設置して対応を図っていたならば、あんなにまで大きな被害に進まなくても済んだのではないかという思いがあるからであります。  もうこのことに対しては何回となく本会議や予算委員会でも申し述べてまいりましたが、今さらその必要があったということを言うわけにもまいらないでしょうから今のような答弁がなされるわけでありますが、私は、この判断は歴史に問うて大きな誤りであったということを改めて指摘をしておきたいのであります。  私たち新進党の調査団の第一団は、災害発生当日の一月十七日午後、ヘリコプターで上空から調査の後、伊丹空港に向かい、伊丹空港から車で神戸に向かいました。午後五時ごろであったと記憶しております。伊丹から神戸へ向かう道路は、まさに縦の駐車場という感じで、前にも行けなければ後ろへも戻れない。あれでは救急車も消防車も警察の車も全く動けないという状況を私は現場承知いたしております。  しかし、これとて、緊急災害対策本部を設置して、総理がすべての権限を掌握して国家公安委員長に命令をすれば現行法でも対処できたはずであり、さらに、このような非常事態に対しての訓練が日常からなされていたとすればもう少し方法があったはずであります。  道路交通問題については公安委員会に大きな権限が付与されておりますが、国家公安委員会は、阪神大震災発生の日、開かれていたのかどうか。危機管理の面から、この点についてもお答えを願います。
  49. 黒澤正和

    ○黒澤説明員 お答えいたします。  一月十七日の地震発生当日には、警察庁から各委員に対しまして個別に報告をいたしております。国家公安委員会は一月の十九日に開催されております。
  50. 二階俊博

    ○二階委員 それは定例であったのですか。定例の会議ですか、このために開かれたんですか。
  51. 黒澤正和

    ○黒澤説明員 お答えいたします。  一月十九日は定例の国家公安委員会でございます。
  52. 二階俊博

    ○二階委員 公安委員の重要性というものは、極めて高い責任を担っていただいているはずでありますが、このような災害に対しても的確に判断を下さなければならない法律上の義務もあるわけであります。全国の公安委員の人選に際し、私は、ややもすると名誉職的な人選の仕方がされていないのかどうか危惧するものでありますが、心配がなければそれで結構です。今後一層果敢な行動を要求される現場警察官を管理される立場の、重要な任務を担う国及び県の公安委員会及び公安委員のあり方について、この際御検討をお願いしておきたいと思います。要望しておきます。  政府は、抜本的な見直しを十月ごろ行うと先ほども本会議で総理からのお答えもありましたし、ただいま国土庁長官からもお答えがありました。しかし、今度の法律が、警察ならできることを、ほかの省庁は一体何を考えておられるのか。さらに、政治家は一体何を考えておられるのか。審議会をつくってもっともらしい人を任命して、役人が実際の作文をつくるというパターンは、もうみんな国民が知り尽くしているのであります。  今回、五千五百二人のとうとい命が失われた。しかも、お互いが国会議員として現役で活動しているときに起きた大事件であります。政治のリーダーシップが問われている今日、私は、政治を担当する者の責任において、災害対策について政治家みずからの手で検討がなされるべきものであって、審議会の答申を待っているだけでは責任を果たしたことにならない、こう言わざるを得ないのであります。  しかも、このような重要な法案として先ほど本会議でも提案理由説明などがなされたことを審議をする与党の、この国会の状態は、一体これは何ですか。委員長、私は、これ以上質問を続行しても実りある答弁を期待することもできなければ、本当に委員長も野党の時代に常にそういう思いがあったと思いますが、これでは審議できないじゃありませんか。私はこのことを委員長に申し上げます。
  53. 日野市朗

    日野委員長 このことは常に国会で問題になることでありますが、当委員会において現在こういう状況であることはよく私も認識しております。これから委員の出席を促すように早速措置をいたします。  質問を続行してください。
  54. 二階俊博

    ○二階委員 質問を続行してくださいって、こんなことで質問して意味がありますか。
  55. 日野市朗

    日野委員長 これは委員長としても厳重に注意をいたしたいと思っております。  質問を続行してください。
  56. 二階俊博

    ○二階委員 じゃ、呼び出しなさいよ。
  57. 日野市朗

    日野委員長 じゃ、速記はちょっととめてください。     〔速記中止〕
  58. 日野市朗

    日野委員長 速記を起こして。  質疑を続行してください。二階君。
  59. 二階俊博

    ○二階委員 新進党としては、新災害対策プロジェクトチームをつくり、約八十時間の時間を費やして検討してまいりました。去る三月三十日に中間報告を行い、5−UP作戦なるものを公表し、あわせて全国の知事及び三千三百四の市町村長にアンケート調査をお願いいたしました。回答率は約四割であります。  アンケートの回答を参考までに読んでみますと、「「災害対策基本法」の改正について」は、現行法の大幅改正を希望するものが四五・四%で五百六十一通であります。二番目の現行法の一部手直しを主張する市町村が四二%でありまして、五百十八通あります。  次に、「災害対策強化のため、役割・機能を強化すべき関係機関」はという問いに対しまして、第一位が国土庁防災局などの行政機関、これが千十五通で八二・二%であります。二位の広域連合等の広域行政体制、これが九百九十八通で八〇・八%であります。三番目が都道府県知事、四番目が総理大臣及び官邸、五番目が市町村長、六番目が内閣、七番目が自衛隊となっております。  「災害対策で、今後強化すべき項目」として、このベストテンは、一番が初動時の情報収集体制、二番目が警察消防自衛隊等の協力体制、三番目が情報伝達指揮系統、四番目が災害対策本部等の連絡組織、五番目が広域的な防災体制、六番目が電気・通信・水道・ガスなどのライフラインの耐震設計、七番目が地域の自主防災組織、八番目が地方公共団体の防災関係行政組織、九番目が自衛隊の活用、十番目が道路建築物の耐震設計となっております。  次に、「救助・救援体制の強化に関して、これまで以上に必要と考えられるもの」についてのお尋ねでありますが、一番が救急医療体制、二番が食糧・飲料水の備蓄、三番目が住民への情報伝達手段、四番目が災害時通信システム、五番目が消火栓及び貯水槽となっております。  次に、「災害発生時の救助・復旧活動のため、新たな法律に一時的な私権の制限規定が必要か」、このお尋ねに対しまして、必要と答えたのが千七十四通、八七%でありました。不必要と答えられたのが百二十六通、わずか一〇・二%であります。  以上のような回答が寄せられておるわけでありますが、私はこれを読んでおりまして、今後の新災害対策検討する上で問題点が見えてきたような感じがするわけであります。  近く新進党として新災害対策基本政策を打ち立て、立法化を目指しております。その際、場合によっては臨時国会を開いてでも、一日も早い成立を期してまいりたいと考えております。政府は、野党の提案であっても耳を傾ける用意があるのかどうか、この際伺っておきたいと思います。
  60. 小澤潔

    小澤国務大臣 阪神淡路大震災の経験を踏まえまして、現在、政府は災害対策全般についての見直しを検討しているところであります。その際、国民の災害対策に対するニーズをでき得る限り取り入れるべく、関係方面から意見を承ることとしておりまして、各党からの御提案につきましても、十分に参考にしてまいる所存であります。
  61. 二階俊博

    ○二階委員 昭和十二年から十年間、当時の尋常小学校において五年生の教科書に「稲むらの火」というのがあります。国土庁長官は我々の先輩でもありますので、このことを御存じかどうか、お尋ねをいたします。
  62. 小澤潔

    小澤国務大臣 正直に申し上げまして、いろいろな観点で村を救った等々のお話があったことは頭に若干残っておりますが、この点につきましては「稲むらの火」の物語のそのとき頭に入った一部がとも思っておるところでありますが、知っているかどうかと言われると、知っているとは答えられません。  しかしながら、御指摘の「稲むらの火」につきましては、地震による津波の襲来を予想した庄屋さんが自分の稲むらに火をつけて村人の命を救ったという、あの物語と承知をいたしております。この物語は、災害発生時において的確な判断により貴重な人命を救ったという点で非常に重要な教訓を持つものであり、私も身にしみておるところであります。
  63. 二階俊博

    ○二階委員 これは私の郷里和歌山県の広川町における実話であり、リーダーの資質と責任の大切なことが小学校の教科書に出ているのであります。  今大臣からお答えになられたとおりでありますが、この教科書の「稲むらの火」は、最初に、長いゆったりとしたゆれ方と、うなるやうな地鳴りとは、老いた五兵衛に、今まで経験したことのない無気味なものであった。つまり、地震の後、津波が来るなということを察知したこの村のリーダーは、直ちに、取り入れるばかりになっていたみずからの稲の束が積んであるその場所に火を放って、「もったいないが、これで村中の命が救へるのだ。」と、五兵衛は、いきなり其の稲むらの一つに火を移した。とあるのであります。  山寺では、此の火を見て早鐘をつき出した。そして住民たちは、みんなその火事の現場の方へ走っていったわけであります。  そして間もなく、みんなが非常な早さで山の上に集まったころに津波がやってまいりました。村を一のみにするような大きな津波であったわけでありますが、  高台では、しばらく何の話し声もなかつた。一同は、波にゑぐり取られてあとかたもなくなつた村を、ただあきれて見下してみた。  稲むらの火は、風にあふられて文もえ上り、夕やみに包まれたあたりを明かるくした。始めて我にかへつた村人は、此の火によって救はれたのだと気がつくと、無言のまま五兵衛の前にひざまづいてしまった。こう書かれておるのであります。  どんなマニュアルをつくり、いかなる法律をつくっても、近代的な防災、通信等の機材を整えようとも、指導者たる者の自覚がなければ何にもならないということを今回の災害は我々に痛いほど教えてくれたのであります。  さきの東北大学の卒業式において、有名な東北大学の西澤潤一総長は、三千七百八十名の卒業生を前にこのように告辞を行っております。「阪神大震災のように、何をなすべきかとっさに判断。実行しなければならないことが世の中では起こるが、平素とこまで考えていたかによって、対応できる人と対応できない人が出てくる。試練を糧として大を成すよう期待します」とはなむけの言葉を贈られたのであります。阪神大震災について、極めて示唆に富んだ告辞であります。このことに対し、大臣はどのようにお感じになられるか、お答えを願いたいのであります。
  64. 小澤潔

    小澤国務大臣 ただいま先生が紹介された西澤東北大学学長の告辞は、まさに示唆に富むものであり、私も同感であります。そのような趣旨を踏まえ、災害対策のうち、緊急にその見直しを要するものについては、今回の災害対策基本法の一部改正において対応を行うところであります。このほか、ハード面においてはヘリコプター整備地震防災情報システムの整備、各種施設の耐震性の向上等、地震災害等の防止のため緊急に対応すべき事業に対応すべく、補正予算措置を講じたところであります。
  65. 二階俊博

    ○二階委員 いかなる総理大臣がその席にいようとも、再びあのような被害を拡大しないため、答申が十月に出るなどとのんびりしたことを言っていないで、あの大震災の被害を受けられて無念の思いをしてこの世を去った仏様が、間もなく新仏になってお盆に帰ってこられるのであります。私は、少なくともこのころまでをめどに、政府も与党も野党も抜本的な対策を構ずべきだと考えております。国土庁長官及び政府関係の御列席の皆様から、それぞれ、このことに対するお考えを伺っておきたいのであります。
  66. 小澤潔

    小澤国務大臣 災害対策基本法につきましては、緊急災害対策本部の組織、機能や情報伝達の見直し等が想定をされております。しかしながら、これらの項目の多くは防災体制の基本的なあり方にかかわるものであり、防災問題懇談会での論議を踏まえた十分な検討が必要でございます。一方、制度改正を行わなければ再び大規模災害発生した場合に直ちに人命救助等に影響が生じるおそれがあるようなものについては、速やかな対応が必要と考えており、今回、この考え方に基づいて法改正をすることといたしたものであります。  先ほども申し上げましたが、先生の「稲むらの火」等々を肝に銘じて、私もこれからの震災対策等々に前向きの姿勢で取り組んでまいりたい、かように考えております。
  67. 二階俊博

    ○二階委員 災害対策に対する抜本的な対応を政府が防災臨調に期待をしておるというのは、しばしばそういう御発言や報道があるからよくわかるわけでありますが、これは防災臨調からの答申を受けて政府がやる。しかし、政府自身が何をなすかということをやはりしっかり持っていなくてはいけない。  これは新聞の報道でありますが、先ほど申し上げました「自衛隊 震度五以上で自主出動 防衛庁改善案 噴火や津波警報でも」。私はこのことに対して、国民はこういうことは当たり前のことのように考えておるはずだということを先ほど申し上げました。この記事の中に、「災害対策基本法などについては防災臨調に改正を求めていく方針も決める。」などと書いてあります。これはちょっと本末転倒ではないかと思うのですが、これについて防衛庁からお考えがあればお示しをいただきたいし、後に国土庁長官からも御答弁を願いたいと思います。
  68. 平沢勝栄

    ○平沢説明員 私どもとしましては、今回の震災から反省すべき点がいろいろとあるということで、防衛庁庁内におきましても災害派遣検討会議というものを設けましていろいろと検討を進めているところでございます。  こうした中で、庁内限りでできるものにつきましては直ちに実行していきたいということで考えておるところでございますけれども、政府レベルでも防災問題懇談会というのが現在開かれているわけでございまして、政府レベルで災害対策基本法全体の見直しの中で行われるものにつきましては、そういった検討の結果を待ちまして直ちに実施に移していきたいと考えているところでございます。
  69. 二階俊博

    ○二階委員 私ども新進党で検討しております対策の中の一つ自衛隊の出動要請の問題でありますが、先般、あの災害発生してまだ幾日も経過していないときに海部党首以下私ども明日の内閣のメンバーが現地に参りまして、災害を受けた現地の市長並びに町長の皆様と意見の交換を行いました。  その中で、特に地元の市長さん、町長さん方は、我々にも自衛隊出動要請ができるように法律改正してもらいたい、我々にも権限を与えてもらいたいと。私はその話を伺いながら、あの神戸大震災状況、知事及び市長の当日の行動等を考え、あの海の向こうの淡路島における災害状況等を思うときに、兵庫県があのとっさの際に淡路島の状況をいかほど把握しておられたのかどうか。つまり、淡路島でも自衛隊の皆さんの救援を要請する声がちまたにあふれておったはずであります。それを町長があるいは市長が要請する権限を与えてもらいたい。私はこれは極めて当然のことだと思うわけでありますが、これに対する防衛庁のお考え方、また防災に対しての全責任を担う国土庁長官から、それぞれ御答弁をお願いしたいと思います。
  70. 平沢勝栄

    ○平沢説明員 現行法では災害派遣の要請権者は都道府県知事等となっているわけでございまして、その「等」の中に市町村長は含まれていないわけでございます。  現実問題といたしまして、災害というのは一市町村で限られて起こるということはまずないわけでございます。かなりの多くの市町村にまたがるケースが多いわけでございまして、いろいろな市町村からそれぞれ要請が参りますと非常に要請が錯綜しまして、私どもとしましても具体的にどこにどういった部隊を派遣していいかというのは必ずしもわからない。したがって、災害派遣が効率的に行われるかどうかわからないということにもなるわけでございますので、私どもとしましては、現行の、都道府県知事等が現場を正確に把握した上で私どもに要請する、こうした建前がいいのではないかと考えているところでございます。
  71. 小澤潔

    小澤国務大臣 ただいま防衛庁の見解を申し述べたところでありますが、我々国土庁を中心とする中での関係省庁との検討がこれから必要であり、ただいま臨調でもいろいろと検討いたしておるところであります。この問題についても検討の課題にのるのではないかと思いますが、いろいろとこれからの検討課題を踏みながら、各関係省庁並びに防衛庁とも調和のとれる点等々あらばということで検討してまいりたいと思います。
  72. 村瀬興一

    村瀬政府委員 若干補足させていただきますと、私どもの災害対策の立場という見地からの検討、今国土庁長官が申し上げましたとおり検討するわけですが、それ以外に、先ほど防衛庁の方から答弁がありましたように、自衛隊の運用自体の効率性といいますか、そういった見地からの立場があるのだろうと思いますので、そこら辺面々相まって検討すべきものというふうに考えておるところでございます。
  73. 二階俊博

    ○二階委員 先ほどの防衛庁の御答弁は、私は極めて不満であります。というのは、県が一括して情報を把握して防衛庁に云々ということでありますが、今回の災害自衛隊の出動等に対する反省があなたの答弁からはみじんも感じられない。つまり、あのように被害が大きくなったということに対して、法律がどうだとか命令がどうだとか要請がどうだとかと言う前に、なぜ自衛隊が積極的に出れなかったのかと国民は思っておるのですよ。  しかし、それは別といたしまして、朝六時、防衛庁長官に役所の方から災害状況を伝えたわけですね。そう前の委員会答弁したじゃありませんか。六時に伝えた内容は一体どういうことなのか。つまり私が言わんとするのは、本当にそのときに災害状況を把握できておったのかどうか。知事から要請があったとかなかったとかと言うが、それは十時過ぎでしょう。時間の開きが大き過ぎるのですよ。この間にみんなが死んでいったのですよ。このときに対応しておれば何らかの対応がとれたはずです。  私は、地震のときに大阪におりました。自分でもかなりこれは大変な地震だなということが、私のような素人の者でもわかりました。自衛隊はもっと震源地の近くに、もっと被災地の近くに存在しておるではありませんか。それがあんな時間に出ていって、これでは国民の期待にこたえられないという思いがあるから言っておるわけなんですよ。それに対してもう少し真剣に検討されたらどうですか。それから、被災地の市長村長の意見などをもう一度聞いてあげたらどうですか。
  74. 平沢勝栄

    ○平沢説明員 先ほど申し上げましたとおり、私どもとしては、今回の震災から反省すべき点は多々あるということでいろいろ検討しているわけでございまして、今後の災害派遣のあり方につきましては、先ほど申し上げましたように円滑に派遣したいということでいろいろな方策を検討しているわけでございます。  今回の反省点の一つは、現場状況が必ずしも正確に把握できなかった。現地の自衛隊の部隊も、地元の自治体あるいは警察等と頻繁に連絡をとったわけでございますけれども、必ずしも情報を正確に把握できなかったということでございます。今後現場の正確な状況を迅速に把握するにはどうしたらいいかということにつきましては検討を進めてまいりたいということで考えておりますけれども、災害派遣の要請が市町村長に移ったらこういった問題が直ちに解決するかどうかということについては、私ども必ずしもそうは考えていないわけでございまして、私どもとしては前向きに検討を進めてまいりたいという点については全く変わりませんので、その点についてはぜひ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  75. 二階俊博

    ○二階委員 六時に報告した内容は。
  76. 平沢勝栄

    ○平沢説明員 六時に長官に報告した内容は、こういった震災が発生したというものでございます。長官の方からは、それでは状況を把握して適切な指揮をとるようにということの御指示を受けたところでございます。
  77. 二階俊博

    ○二階委員 本当なんですね。  それでは、時間が参りましたから、終わります。
  78. 日野市朗

    日野委員長 次に、佐藤茂樹君。
  79. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 新進党の佐藤茂樹でございます。当委員会新参者でございますが、よろしくお願いいたします。  まず最初に、私は、現地時間の二十八日未明にロシアのサハリン州で起こりました直下型大地震につきまして御見解をお聞きしたいと思います。  本日の正午の段階でも、死者が五百五十九人、また、生き埋めになっている方が二千人近くはいるのじゃないか、そういう報道で、大変な大惨事となっております。犠牲者には心からお悔やみ申し上げますとともに、被災者の皆様にお見舞い申し上げるものでございます。地震の怖さを痛いほど感じた私たちにとって、今回の大地震発生は、改めて防災というものの緊急性を認識させられたわけでございます。  九三年七月の北海道南西沖地震以来、この日本の周りというのは大変地震が多く発生しております。昨年の北海道東方沖地震、また三陸はるか沖地震、ことしの阪神大震災、日本列島周辺でこういう地震が相次いでいるのは本当に気がかりでございます。地震学者の間では、列島周辺は地震の活動期に入っている、今後も同じような地震が起きるのではないかとの警告が出されております。  このサハリン北部地震につきましても、一部報道では、北大の地震予知観測地域センターの研究者の意見では「北海道や東北地方が乗った北米プレートとロシアの乗ったユーラシアプレートの境界線付近が起きたと見られる」、そういう判断を下しているわけでございますけれども、このようなサハリン地震の原因及び、このサハリンの大地震が四十キロの宗谷海峡を隔てた日本列島の本当にごく付近が起きたということも含めまして、日本列島へのこれからの影響、関連につきまして、防災の所管大臣としての御所見をまず最初にお伺いしたいと思います。
  80. 小澤潔

    小澤国務大臣 先月二十七日に発生をいたしましたサハリン北部の地震は、内陸の直下で発生し、マグニチュードは七・六であるとのことであります。この地震により住宅等が多数倒壊をし、既に確認された死者は五百五十人を上回り、さらに多数の方が行方不明となるなど、甚大な被害が発生をしておることは周知のところであろうと思います。  我が国の北海道、東北地方におきましても、一昨年七月の北海道南西沖地震、昨年十月の北海道東方沖地震、十二月の三陸はるか沖地震など大きな地震発生をいたしておりますが、北海道、東北地方周辺の地震活動が活発化の段階に既に入っているとの指摘や、西日本の地震活動が活動期に入った可能性があるということは承知をいたしております。  政府といたしましても、地震観測体制の整備、観測データの集中化による監視体制の強化、観測データ等の評価に関する情報の提供等の施策を進めているところであります。  国土庁といたしましても、今般の阪神淡路大震災の経験を踏まえまして、関係省庁と密接な連携をとりながら、安全な町づくりを初め、災害応急対策災害復旧・復興対策等への備え等の震災対策充実強化を行ってまいる所存であります。
  81. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今回のサハリン大地震につきましては、私どもが一月に経験した阪神淡路大震災と非常に共通点があるのではないかというように言われているわけです。一つは、震源地が非常に浅い直下型大地震であったということ、もう一つは、未明の時間帯であったがゆえにそれぞれ住民が就寝中を襲われたという点からいきましても、我々がこの一月に経験したその教訓というものが十分に生かされるのではないかな、そのように思うわけです。また、地理的にも最も近い隣国でございます。  既に政府は、きょうの先ほどの村山総理の答弁でも、国際緊急援助隊の派遣を決められるとともに、第一次、第二次と救援物資を送ったと報道されておりますけれども、問題は、ロシアから肝心の援助要請があるのかどうか、そういう問題でございます。  きょうの朝刊が一斉に報道しておりますけれども、エリツィン大統領が、このサハリン州北部で起きた大地震の被災者への日本の援助について、「「ロシアは地震の傷を癒す能力を持っている」と自力復旧の可能性を強調するとともに、「日本人は後になってから島を求めるかもしれない」と述べた。」これはインタファクス通信がそういうように伝えていると報道されております。  もしこの報道が真実であれば、隣国の誠意を本当に踏みにじる大変残念な発言だと思うわけですが、まず外務省の方にお聞きしたいのは、このことの真相がどうなのかということと、また、ただロシアの返事待ちだけではなくて今どのように外交折衝で努力しているのか、そのことを明確にしていただきたいとともに、一番最初に申し上げましたけれども、阪神大震災で学び取った具体的な災害対応のノウハウとか経験を生かした援助を実施されたのか、また実施される計画をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
  82. 西田恒夫

    ○西田説明員 お答えいたします。  まず、先生御質問の先般の阪神大震災等の経験を踏まえて援助を行っているのかという点でございますが、これにつきましては、今回の地震規模等々極めて近似している面もございますので、まずは速やかに初動で対応することが大事だということでございまして、今回の日本政府による対日支援につきましては特に初動で迅速に対応するということに意を用いた次第でございます。  したがいまして、御案内のように具体的には地震発生しました翌日、二十八日には支援の用意がある旨をロシア側に通報いたしましたし、三十、三十一、さらにきょうの二時には第三次の支援の飛行機が現地に赴いたところでございます。また、御案内のとおり昨三十一日には、十六品目、総額一億二千五百万円の支援物資を供与することも正式に決定をしております。  それから第二番目の御質問でございますが、エリツィン大統領の発言に関します報道でございますが、これにつきましては現在外交ルートを通じまして照会をいたしております。渡辺駐ロ大使みずから直接先方ロシア外務省の高いレベルにこの点の事実照会を行っております。もし仮にそのような発言があったとすれば、まことに残念だというふうに考えております。  ちなみに、ただいまほんの少し前、二時過ぎに、河野外務大臣と先方サスコベッツ第一副首相との間に電話会談が行われまして、河野大臣の方から、日本政府のお見舞い、それから支援の気持ちを改めて伝えるとともに、先方からは、日本側のかかるお見舞いの気持ち及び支援に対して深甚なる感謝の意の表明がございました。  以上でございます。
  83. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 ぜひ事の真相を国民の前に明らかにしていただきたい、そのように思うわけでございます。  そこで、いよいよこの災害対策基本法改正の本題に移らせていただきたいと思うのですが、先ほど二階委員からもありましたように、私ども新進党は、この三月にまとめました「新災害対策基本政策 中間報告 防災のための5−UP作戦」の中でも、昭和三十六年に当時の伊勢湾台風などの頻発した風水害を想定して成立した現行の災害対策基本法や、従来の地域防災計画には、阪神大震災に見られるような災害の突発型また都市型、大規模化そして長期化等が考慮されていないため、抜本的に見直すべきであるという主張を続けてまいりました。  今回、災害対策基本法の七十六条を中心とした改正案が、五千五百人にもなろうという犠牲者を出した阪神大震災後の最初の改正点として、果たして本当に十分なのかどうなのかという疑問の残るところでございます。ある面から見れば、三十四年間できなかった改正の突破口を開いたという意味では評価できるわけでございますけれども、全体から見ると本当に枝葉の部分の改正を今回扱おうとしているのではないか、そういう感が否めないわけでございます。  そこで国土庁長官にお尋ねしたいわけですが、災害対策基本法のさらに必要な改正点ほどこにあるとお考えなのか、また、今後の災害対策基本法改正の方向性というのはどうなっているのかというのをお伺いしたいと思います。  また、先ほどの本会議では、十月ごろに防災問題懇の結論が出るのを待ってというお話もございました。しかし、十月まで災害は待ってくれないわけでございまして、この一部の改正だけで果たして、起こるかどうかわかりません、しかし、また同規模災害が起きたときに本当に対応できるのかどうか、そういう不安を持たざるを得ないわけでございます。  また、先ほどの二階委員質問と重なりますけれども、なぜ今国会でこの七十六条の部分だけの改正を急がれるのか、そういうこともあわせまして、長官の御所見を伺いたいと思います。
  84. 小澤潔

    小澤国務大臣 政府におきましては、阪神淡路大震災を契機として防災体制の見直しを検討いたしておりますが、その一環として、災害対策基本法についても総合的な見直しを検討することといたしております。しかしながら、検討すべき項目の多くは防災体制の基本的なあり方にかかわるものであり、防災問題懇談会での討論を踏まえた十分な検討が必要であります。こうしたことから、今回は、再び大規模災害発生した場合に直ちに人命救助等に影響が生じるおそれがありますので緊急に対応すべきものとして、道路上の放置車両等に関する規定改正を行うこととしたものであります。  今後はその他の項目につきましても検討を進めることとしておりますが、阪神淡路大震災での経験を踏まえまして、緊急災害対策本部の組織、機能や情報伝達体制等について、その見直しを検討してまいる所存であります。
  85. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今の長官の答弁からは、十月までにもし災害が起きたときに果たしてこの一部改正で本当に対応できるのかどうかという質問も加えたのですが、それに対しての御答弁がなかったわけです。原稿になくても結構でございますので、その辺についての決意をちょっと述べていただきたいと思うのです。
  86. 村瀬興一

    村瀬政府委員 十月までにもし災害が起きた場合にどうかということでございます。  それは、かなり大規模な基本的な改正をするといたしますと検討には所要の一定の時間がかかるということは御理解いただけると思いますが、その間に、検討中に起きたらどうかということは常に起きる問題ではございますけれども、先ほど大臣からも申し上げておりますように、防災問題懇談会ということで基本的な事項を御議論いただくことにしております。一方で、十月まで私ども何もしないでおるかということは必ずしもそうではないわけでございまして、並行いたしまして事務的にもいろいろな検討をしたいと思っております。  いずれにいたしましても、防災問題懇談会のある程度の結論を見ながら、事務的な作業は並行してやりますけれども、そういったことで進めさせていただきたいと考えておるところでございます。
  87. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 一条一条はまた別の機会にしっかりとやらせてもらいたいと思うのですけれども、今回の阪神大震災で大きな問題点を政府の方も感じられ、既に変えようとされている部分が幾つかあるのですね。その一つが第三章の防災計画の部分でございます。三月の当委員会での防災局長の御答弁でも、防災基本計画を検討中であり、五月をめどに何とか見直せるのじゃないか、結論を出せるのじゃないか、そういう御答弁をされているわけです。  この防災基本計画というのはなぜ大事かというと、災害対策基本法の四十条、四十一条などを見ますと、実は今、都道府県地域防災計画を変えようとずっと取りかかっているのですけれども、その中に、都道府県地域防災計画というのは国の防災基本計画に基づいてつくらないといけない、また修正しないといけないということで、国の大もとの防災基本計画がどういうように変わるのかというのを地域の方も非常に待たれているわけでございます。ところが、五月中、もうきょうは六月に入ったわけですけれども、それに対しての何らの結論、答えも出てきていないわけです。  今の進捗状況、また、五月と言われておくれているわけですけれども、いつごろまでに防災基本計画の修正部分について結論を出されるのか、明快な答弁をいただきたいと思います。
  88. 村瀬興一

    村瀬政府委員 今先生がおっしゃいましたように、防災基本計画の見直しにつきましては、少なくとも震災対策につきまして五月を目途に改定したいというふうに申し上げております。それがおくれておりまして、まことに申しわけないというふうに考えておるところでございます。現在、中央防災会議に防災基本計画専門委員会を設置いたしまして、御検討をいただいておるところでございます。  新しい計画では、このたびの阪神淡路大震災の経験や近年の社会経済情勢の変化に十分配慮しつつ、実効性の高い計画とするために、必要な施策を可能な限り具体的に記述したいというふうに考えておるところでございます。それから、少なくとも震災対策について五月を目途にというふうに最初に申し上げましたけれども、震災対策以外に風水害対策、火山災害対策につきましてもこの際取りまとめを一緒にしたいというふうに考えております。  したがいまして、現在は政府部内での調整を鋭意やっておるという状況でございまして、その作業を精力的にやりまして、六月の下旬ぐらいまでには成案を得たいというふうに考えておるところでございます。
  89. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 先ほどの質問でも言いましたが、都道府県が待っておりますので、六月の下旬といわず六月の中旬でも上旬でも早急に作業を進めていただきたい、そのように思うわけでございます。  それで、災害対策基本法に対する今の政府の基本的な考え方をお聞きする意味で、災対法について一問だけお聞きしたいのです。  一月十七日の午前十時に、閣議において基本法の第二十四条に基づきまして非常災害対策本部が設置され、本部長にここにいらっしゃいます小澤国土庁長官がつかれたわけでございます。そして午前十一時十五分、三十分という説もありますが、第一回非常災害対策本部会議が国土庁防災会議室で開催されているわけです。このまま災害対策基本法に基づいて今回災害対応がフル回転するのかな、そういうふうに思っておりましたらそうではなくて、二日後の十九日の十九時五十分には、私どもも初めて聞いたのですが耳なれない緊急対策本部、そう称するものの設置を閣議決定され、二十時には緊急対策本部会議が開催され、現地対策本部の設置が決定されたわけです。  この緊急対策本部と称するものは、基本法の百七条の緊急災害対策本部とは似ておりますけれども全く権限が異なり、法的根拠もない、そういうものであると私は認識しておるわけでございますけれども、どういう法的な根拠のもとに一月十九日の時点になって緊急対策本部というものを設置されたのか。もしそのような緊急対策本部と称するものが今後の災害に対して本当に必要であるということであれば、明確にこの災害対策基本法の中に規定されなければいけない、そういうふうに思うわけですけれども、この辺についての御所見をお伺いしたい、このように思います。
  90. 村瀬興一

    村瀬政府委員 今先生がおっしゃいました緊急対策本部でございますが、これは閣議決定によって設けたものでございます。したがいまして、具体的な個別法の根拠を有するというものではないわけでございます。  具体的に、なぜそういうものを設けたかということでございますが、これにつきましては、前々から申し上げておりますように、今回の災害が非常な災害であるということから、総理大臣を初めとして全閣僚が直接その問題を緊急に処理しようということで、総理大臣が長になりまして全閣僚をメンバーとする今申し上げました閣議決定による本部を設けまして、基本的な方針はそこで決めていただく、それを受けまして非常災害対策本部、あるいはその中の小里大臣の特命室といったところで具体的な処理をするという体制で作業を進めたわけでございます。こういった、総理が長となって、あるいは全閣僚がメンバーとなるような法的な制度がいいのかどうかということにつきましては、今後の災害対策基本法検討課題の一つにはなろうかと思います。  それから、先ほどの二階先生の御質疑の中にもございました現行法の緊急災害対策本部でございますが、これは設置の判断基準として、経済統制等を行う必要があるかどうかということが判断基準になっておりますので、そういったものを外してそういった事態ではなくても総理が長となる本部というものを設置するということにするかどうかということは、立法論として今後の検討課題の一つであるというふうに考えているところでございます。
  91. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、その今回の対応の中で、緊急対策本部がほとんど主導権を持って機能したということが本当に今の災害対策基本法の限界を示しているのではないか。その件については、きょうは時間が限られていますのでやりませんけれども、ぜひ今後徹底的に追及していきたいな、そのように思うわけでございます。  それで、今回の法改正実効性を伴うものにしなければいけないという御質問が一番冒頭の石橋委員の方からもありましたけれども、その関連で警察庁に二、三お聞きしたいわけでございます。  私は、今回の法改正については、災害時の緊急通行車両渋滞を解消するために、どこまでも制度上の必要条件であって、今回の阪神淡路大震災対応の反省に立って見るならばもっともっと比重を大きく、運用上の改善を求められる部分が大きいのではないかな、そのように認識しているわけでございます。  その一点が、現行法であっても、七十六条の交通規制実施されたのは何と災害が起きてから二日後の十九日の午後八時なのです。発生から六十二時間が経過して初めてこの七十六条に基づく交通規制が発せられているわけでございまして、その二日間、基本的に道交法に基づく交通規制はあっても、基本法に基づく交通規制というのは行われなかったわけです。その件についてはなぜなのか、まず警察庁にお聞きしたいと思います。この件については質問で言ってなかったのですけれども、お答え願いたいと思います。
  92. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 ただいま御指摘がありましたように、災害対策基本法に基づく交通規制が行われましたのは一月十九日の午後八時でございます。そして、一月十七日は何を行っておったかと申しますと、現場警察官による通行不能な道路通行禁止通行規制というものを行っておりました。これは道交法に基づくものでございます。そして、翌一月十八日でございますけれども、これは道路交通法に基づく規制という形で、いわゆる災対法の規制と同じルートにつきまして、緊急輸送ルートということでそこを通行制限通行禁止規制をやって、そのルートをいわゆる緊急輸送車両通行のためのルートとして確保したところでございます。  この違いは何かということでございますけれども、災害対策基本法に基づく規制によりまして全国的にいわゆる標章が発行できるというのが一つ大きな違いでございます。道交法の場合は現場規制の入り口あたりでいわゆる通行証を発行をしておりましたけれども、災害対策基本法の場合は、全国的に緊急輸送物資が出てきたということで、これに切りかえまして全国的な標章の発行を行ったということの違いで、規制の効果につきましては一緒でございます。
  93. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、今回の法が例えば通ったといたしましても、どれだけ迅速な法の適用が行われるかというのは一つの運用上の大きな問題になってくるのではないか、そのように思うわけでございます。  もう一つは、現場の今回の対応を現地の県警の方なんかに聞いておりますと、また兵庫県庁なんかも言っておりましたのは、どういう指示が出されていたのか、ともかくまず人命救出また救援が最優先だったのだ、だからそのために交通規制に要員が割けずに対応が追いつかなかった、そういうように述べておられるわけでございます。今後、災害時においてそういう交通規制要員の確保の問題をどうしていくのかということは、非常に大きな問題ではないかな。報道によりますと、警察庁は今後、広域緊急援助隊を四千人の体制で創設される、そういうお話も伺っておりますけれども、それが創設されれば、その分交通規制に相当な要員が割けるとお考えなのかどうかお聞きしたい。  そういう要員の問題と、もう一つは、日常的な設備面で、可能な限り早期に渋滞状況を把握するためのカメラの活用とか、また広域的な交通管理のシステムというものが今後どんどん整備されていかなければいけないのではないかな。ある意味でいったら、要員の確保と設備面でのきちっとした整備、そういう運用上の改善があって初めて今回の七十六条の改正は生きてくるのではないか、そのように思うわけでございますが、警察庁が今どのように検討されているのかお伺いしたいと思います。
  94. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 ただいま御指摘のように、今次の阪神・淡路の大震災の教訓からも、緊急通行路の円滑を確保するためには多くの警察力確保していくことが必要であるというふうに考えております。  そこで、今も御指摘がありましたように、警察では、被災地における交通規制要員、あるいはどこが通行可能な道路がということを確認するための要員を確保するために、全国で約四千人から成ります広域緊急援助隊を設置することとしております。このうち約千五百人が交通規制部隊として最初に投入されまして、通行可能な道路を確認し、そしてその道路をいわゆる緊急輸送ルートとして設置しました後に、この規制を担保していくための要員として投入していこうというふうに考えております。また、そのために必要となります車両装備資機材等につきましても今回の補正予算で措置していただいたところでございます。  また、適切な交通規制あるいは広域的な交通管理のためのシステムの検討というものも進めていく必要があると思いますし、また、警察力を補完する交通管理施設といったものの整備にも努めていきたいというふうに思っておるところでございます。
  95. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 もう一つ警察庁で終わるのですが、申しわけないのですが防衛庁はまた安全保障委員会で続きをやらせていただきたいと思うのです。  私は十七日の週に、トラック二台に救援物資を積んで、大阪の難波というところから神戸の、がけ崩れが起こると言われていた東灘区まで行くのに実は十二時間かかったわけです。横を見ますと全部、マル緊という緊急車両用のマークのついた、そういうものを我々もつけておりましたけれども、全部つけていたのですけれども、大渋滞で十二時間かかったわけです。  今回の災害対策基本法のようなすばらしい法改正が行われても、実際に運用する警察の方が——聞くところによりますと、これは財団法人国際交通安全学会の発表の資料によりますと、既に二月の初頭の段階で緊急車両等のマークのステッカーが十五万枚発行されていたのです。これでは渋滞して当たり前ですし、また、その団体の人たちが二月四日に実施した道路の調査によりますと、緊急車両マークをつけて走っている車両の四〇%が偽造ステッカーであった。そういうことも発表されているわけでございます。  そういう意味でいうと、これから何ぼこういういい法ができても、交通規制の徹底の仕方をやはり警察としてまずしっかりと検討していただきたいとともに、今回の法改正運転者にいろいろ義務づけなければいけないところが非常に多いわけでございまして、災害時における車社会における対応について、車を運転する人たちに、教習所を初めとして、しっかりと教育していく必要があるのではないかということを最後に警察庁にお伺いしたいと思います。
  96. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 災害時におきます道路交通状況は、災害の種類、規模等によりましてさまざまでございますけれども、今回の阪神・淡路の大震災のように、都市高速を初め主要道路が軒並み通行不可能になるというような事態も今後十分に想定されるわけでございます。  したがいまして、災害応急対策のために、そうした道路につきましては、真に必要な車両のみが緊急通行車両として通行できるように緊急通行車両というものが限定されなければならないという面もございますし、また、本当に必要な車両だけが通るような形の規制というものをやっていく必要があるだろうというふうに考えておるところでございます。  また、先ほど、偽造された緊急輸送車両標章があったということでございましたけれども、そうした事案につきましては、今後、法律改正の後になりますけれども、緊急通行車両標章を偽造しにくいようなものに、様式とか色彩等についても考えていきたいというふうに思っておりますし、規制に当たりまして、偽造事案の防止のために、やはり取り締まりというものも厳格にやっていく必要があるだろうというふうに考えているところでございます。  また、運転者義務につきましては、今後、運転免許試験場等におきますいわゆる新規免許取得者に対する講習であるとか、あるいは更新時講習等におきまして、その義務について十分周知、広報を行っていきたいというふうに考えております。
  97. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
  98. 日野市朗

    日野委員長 次に、小池百合子君。
  99. 小池百合子

    ○小池委員 質問させていただきます。  今回の緊急車両改正案でございますが、私も一月十七日現地におりまして、あの渋滞に巻き込まれた一人でございます。  一センチも進まない渋滞というのは、もはや渋滞とも言えないわけで、停止状態ということで、先ほど質問させていただきました二階議員とともに一つのワゴンバスに乗りまして、伊丹から神戸に向かおうとしたわけでございますけれども、とにかく一センチも進まないという状況でございました。とにかく市民の方々の状況を、伊丹もかなりひどい状況ではございましたけれども、神戸に少しでも早く到着しようというはやる気持ちと、そして全く動かない軍と、あのときの本当に焦りと申しましょうか、四カ月半前のことではございますけれども、それをきのうのように思い出すわけでございます。  そこでまず、この緊急車両等の今回の改正案でございますが、いろいろと現実を考えますと、今回のこの法律もどれぐらい機能するのかということにつきましては若干疑問も感じます。先ほど同僚の議員の方からも、そういった現実面の、具体的な面での御質問もあったと思いますけれども、このところを一つ一つ詰めていきたいと思っております。  その前に、こういったパニックの状態のときというのは、強力なリーダーシップ、そこからの指導ということが最も肝要かと思われます。その意味で、新進党は、緊急災害対策本部を設置すべきではなかったかという旨のことをかねてより主張させていただいているわけでございます。そうすると常にお答えでいただくのは、これは経済統制も含む非常に広範囲なものであるからということでございまして、このお答えを何度か伺ってきたわけでございます。ただ、ここはむしろ、災害対策基本法、まさに基本法でございます。よって、こういった一番大きな部分の問題というのを本来できるだけ早く、問題点とそれから現実面、それを考えていくべきであって、本日の法案というのは大変重要ではございますけれども、一番枝葉の部分からやってきているな、そういう感じを抱いている一人でございます。  そこで、災害対策基本法の中での緊急災害対策本部、経済統制という非常に大きな枠組みではめてしまうがためにかえってこれが使えなくなってしまうという問題。ですから、この緊急災害対策本部、そして非常災害対策本部、その中間に何かないのかというような議論もぜひとも具体的にしていかなければ、また早急にしていかなければならないのではないかというふうに思っております。  緊急災害対策本部の性格と申しましょうか、これについて、国土庁長官、どうお考えになっておられるのか、改めて伺わせていただきます。  また、そういった、余りにも強い薬ですと効き過ぎるという部分でのおそれがあるわけで、結局それを使わないでいってしまう。人間の体の場合はそうかもしれませんけれども、こういう災害、危機ということに関しては、むしろ強過ぎるものも使わないと助かるものも助からないのではないかといった考え方もございます。御所見を伺います。
  100. 村瀬興一

    村瀬政府委員 緊急災害対策本部についてでございますが、これは、激甚な被害の及ぶ範囲が非常に広範にわたるような災害、そういった災害につきましては、経済的な混乱も起きるでございましょうから、経済的な統制も必要になる蓋然性が高いというようなことでございます。念頭に置いておりますのは関東大震災のような災害関東大震災のようなものはしばらくの間は起こらないのではないかというふうな学者の説でございますけれども、切迫していると言われております東海地震につきましても緊急災害対策本部をつくる蓋然性が非常に高いのではないかというふうに考えております。  それから、先生もおっしゃいましたように、経済統制の必要があるかどうかというのが緊対本部をつくるかどうかの一つの判断基準にならざるを得ませんものですから、そういった必要がないようなケースには非常に使いにくいということもございます。  そういったことで、先ほども申し上げまして今先生もちょっとお触れになりましたように、立法論として、そこの部分を切り離した制度にする。経済統制をする場合とそうでない場合、そうでなくても総理が長となる緊急災害対策本部といったものをつくり得るような制度というものを検討する必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  101. 小池百合子

    ○小池委員 私は、今回の阪神淡路大震災というのは、関東大震災、そして非常に危惧されております東海地震規模的にも、また今回の被害を考えますと大変重大な、広範囲な被害であった。よって、緊急災害対策本部を十分機能させるにふさわしいといいますか、ふさわしいという言葉はそれこそふさわしくないのですけれども、必要な措置ではなかったかというふうに思っているところでございます。  それでは、緊急車両のことについて、早速伺わせていただきたいと思います。  三番目に措置命令がございますが、ここについて、自衛隊の緊急車両の円滑な通行確保するために、自衛官交通措置命令等の実施ということがございますけれども、これはいかがなものでございましょうか。現実に考えまして、自衛隊の車が通るときのみこの法律が適用されるのか、また消防車が通るときのみこの交通措置が使われるのか。つまり、自衛隊の車が見えた段階でそれができるのか、もしくは、それが通るということで広く法律解釈によって自衛隊または消防の方々が交通整理などを行うことができるのか。これについて伺わせていただきます。
  102. 村瀬興一

    村瀬政府委員 今回の改正案におきましても、交通規制対象となります道路における緊急通行車両全般の通行確保のための措置命令につきましては警察官の権限としております。自衛官または消防吏員措置命令等を行いますのは、それぞれ、自衛隊または消防の任務の遂行上必要な緊急通行車両通行確保する場合ということに限定をいたしているところでございます。
  103. 小池百合子

    ○小池委員 自衛隊の車そして消防車が通るときのみということでございますが、それは、そういう混雑している道に自衛隊の車そして消防車を通すという目的を持った時点からそれが発生するのか、それとも、消防車もしくは自衛隊の車がそこへ来て、これじゃだめだからというので今回の法律を適用して車を除外させたりするのか。これはどの時点でこの法律の適用になるのでしょうか。
  104. 村瀬興一

    村瀬政府委員 例えば、自衛隊災害地に向けて進行してまいりまして、その進行してきた時点に通行妨害になる車両あるいは物件が現にあるという場合に、警察官がいない場合でございますけれども、それに対して措置命令をするということでございます。
  105. 小池百合子

    ○小池委員 そうすると、通行のどのぐらい以前から交通措置というのが実行できるものなんでしょうか。
  106. 村瀬興一

    村瀬政府委員 以前からといいますか、通行できればやる必要はないわけでございまして、進行してまいりまして、現にその車両あるいは物件自衛隊等の車両通行を妨げるという事態発生しておりました場合に、それをどける、排除するための措置命令ということでございます。
  107. 小池百合子

    ○小池委員 そうすると、現実的な解釈といたしますと、今回の阪神大震災の場合にもあちらこちらでこういった車による通行の妨げということが見られ、それがために消防車の到着がおくれ、そして自衛隊の到着がおくれということが起こったわけでございます。よって、ここでこの措置を行う場合というのはすなわち、例えば緊急災害対策本部が設置されたときとか、もしくは非常災害対策本部が設置されたときとか、その地域全体にそれが全部適用されるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  108. 村瀬興一

    村瀬政府委員 非常災害対策本部あるいは緊急災害対策本部の設置ということは要件といたしておりませんで、公安委員会災害対策上、緊急通行車両通行の支障になるような事態発生しているという判断をいたしました場合に、まず交通規制をする。交通規制をいたしました区域あるいは地域におきまして、自衛隊等が出動して、現に通行の妨げとなる車両または物件がありました場合に、先ほど申し上げましたような警察官がいない場合でございますが、その場合に措置命令等をする。あくまで警察官にやってもらうということが基本でございます。
  109. 小池百合子

    ○小池委員 これも現実でございまして、実際には警察官交通整理等をしているよりもむしろ人命救助に当たっていた。むしろ交通整理などしていたらしかられるというような空気になっていたわけでございます。よってこれは現実的に、今後またこういった災害が起こらないことを祈りつつ、もしこういった大規模災害が起こったときには警察官を全国から大量に投入するということをまず一つ行わなければならない。そして、第二の点として本日のこの法律の適用ということになろうかと思いますが、そういう認識でよろしゅうございますか。
  110. 村瀬興一

    村瀬政府委員 前段の部分は警察の運用の問題でございますので警察庁の方からお答えしていただいた方がよろしいかと思いますが、先ほどから御議論ありますように、要するに単純に言いますと、交通規制をいたしますためにも相当数の頭数が必要だと思いますので、まず必要な警察官をしかるべく動員をして、しかるべき場所に配置するということからスタートすべきものというふうに考えております。
  111. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 御指摘のように、災害発生しました場合には交通規制確保するための大量の警察官の投入というものが大変大事だと思っておりますし、そうした計画を現在進めておるところでございます。
  112. 小池百合子

    ○小池委員 それでは、次の点について伺いたいと思います。  損失補償の点でございますけれども、車を除外するというときに、現在でも駐車違反などでレッカー車で引っ張っていかれるわけでございますが、そのときにその車に傷がついてしまった、地震のさなかに車の傷云々というのもどうかとは思いますけれども、しかしそれも一つしっかり法律面でも押さえておかなければならないということでここにも規定がされているわけですが、この損失補償について、一体だれがこれを支払うのか、これについて明らかにしていただきたいと思います。
  113. 村瀬興一

    村瀬政府委員 損失を負担するのは都道府県であるというふうに考えております。それは、警察官都道府県に所属しておりますし、自衛官あるいは消防吏員が行いました場合につきましても都道府県公安委員会が指定した通行禁止区域内について行う場合でございますし、また、先ほどから申し上げておりますように警察官がその場にいない場合に限りまして自衛官あるいは消防吏員が行うというふうなことでございますので、いずれの場合も損失補償の主体は都道府県であるというふうに考えております。
  114. 小池百合子

    ○小池委員 本日のこの災害対策基本法の一部を改正する法律案につきましては、後ほど新進党としての態度をあらわさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、今回は基本法の一部を改正するといいましても本当の一部の一部であろうと思います。なぜこの法案だけが、時間的な意味等々もあったのでございましょうけれども、これから次から次へと一部改正、一部改正というふうに出てくるのか。  私どもは、もっと基本的な根幹の部分をまずしっかりと、見直すべきところは見直して、そしてそういった大きな幹のところから片づけて、片づけてといいますか、見直しをしていくべきではなかろうかと思いますが、今どこまでそれが進んでおり、そしていつごろまでにどうしようとしておられるのか。総理の審議会等々もございますけれども、そのタイムスケジュールをもう一度新たにお聞かせいただきたいと思います。
  115. 村瀬興一

    村瀬政府委員 まず、次々一部ずつやるのかということでございますが、今後はそういうことは考えておらないところでございます。  先ほどから申し上げております、大臣からも申し上げておりますように、防災問題懇談会を開催いたしておりまして、十月までに御結論をいただくということになっております。その中で災害対策基本法改正の問題についてもいろいろな御議論があって、結論としてもいただけるのではないかというふうに考えております。私どもとしてはその結論を待ちまして、一方では先ほども申し上げましたように事務的な検討を並行してさせていただきますけれども、最終的には防災問題懇談会の結論を待って全般的な災害対策基本法改正の作業に取り組みたいというふうに考えておるところでございます。
  116. 小池百合子

    ○小池委員 秋まで大地震が再来しないことを祈るのみでございます。懇談会に任せる、そしてその結果を待つ。これも先ほど同僚議員の方から指摘させていただきましたように、その中で本当の議論になるのか。そして、それを聞いて、その答えを待って政治が判断するというのか。それでは遅いのではないか。むしろ政治の側から、もっともっと基本的なところ、早急に見直すべきところ、特に、細かい部分も必要でございますけれども、大きな幹のところを直していくべきではないかと思うのですが、国土庁長官のお考えを伺わせていただきます。
  117. 村瀬興一

    村瀬政府委員 おっしゃるように、基本的な部分をまずやるべき、当然そういうことであろうかと思いますが、ただ今回、基本的な部分といいますか、交通規制の問題に絞って提案させていただいておりますのは、何分、基本的な部分といいますのは幅広いいろいろな角度からの検討が必要であるということで、成案を得るのに非常に時間がかかるということが一方でございますものですから、成案を得られた交通規制の関係に絞って提案をさせていただいているところでございますけれども、これは先生おっしゃいますように、基本的な部分を早急に成案を得るということは当然必要なことであろうというふうに考えております。
  118. 小池百合子

    ○小池委員 私は、局長の御意見よりも、国土庁長官が政治家としてどのようにお考えかということでお尋ねしたかったので、ぜひともお答えいただきたいと思います。
  119. 小澤潔

    小澤国務大臣 ただいま防災局長がお話をしたとおりでありますが、とにかく今回の提案は、防災臨調で十月ごろ結論が出る、それを根本にして万全のものをつくりたい。しかしながら、その間にいつまた災害が起きるかわからない。その場合は、阪神・淡路の震災に見習っても、とにかく交通規制が一番大事である。この点に立脚をして、今回は交通規制の一部改正。  とにかく、基本的なものをここで提案をして、皆さんの御賛同を得て、防災臨調で検討して立派な案ができるまでの間に起こったら大変でありますから、その間の一つ交通規制の一部を改正する法律だけはやっておきませんと、いつ大きな震災が起きてもこれに対処できませんので、基本的な、根本的なものを今回提案したところであります。よろしくお願いいたします。
  120. 小池百合子

    ○小池委員 一番重要なのは交通の問題であるというのも一つでございましょうが、しかし、自衛隊出動依頼の問題につきましても大変な時間を要し、それをめぐりまして議論百出というような状況でございましたし、また、私は何よりも官邸の危機管理能力、体制、この両方の問題の方がむしろ今早急に整えるべきではないかというふうに思っております。  ここの官邸の発信機能というのがしっかりしておりますと、この交通問題にいたしましても、その他の救助、そしてその後の復旧、復興ということについても同様のことが言えるわけで、私は、第一の問題とすれば官邸の危機管理能力の問題、そして危機管理体制の問題。最近では国土庁の方々等が二十四時間の当番をなさっておられるということでございますけれども、これまでなかった方が不思議でございまして、そういった危機管理の体制そのものをもっとシステム的に、すぐやれることはたくさんあるわけでございます。  ですから、私が大変懸念しておるのは、この災害対策基本法の一部を改正する、一部を改正する、結局その積み重ねで、いつも今お話しになったようなお答えをいただくのではないかというふうに思っております。いずれにいたしましても早急にこの根幹の部分の結論を、そして、それを審議する時間をできるだけ早くとっていただきたいいうのが私どもの主張でございます。  続いて、現在の復旧、復興に関しましての住宅地の問題について伺わせていただきたいと思います。  と申しますのも、最近はゴールデンウイークでも大変な長雨が続きましたし、これからはいよいよ梅雨入りということでございます。四カ月半たって、あちこちに予算もつけた、これでよしというのは永田町だけでございまして、地元におきましては雨が降るたびに、裏山は大丈夫か、自分の庭は大丈夫か、庭というのはすなわち御自分の住宅の基盤にも通じているわけでございますが、そこが大丈夫かということで、まだまだ冷や冷やしながらお住まいの方がたくさんおられるわけでございます。  今回、平成七年度の補正予算の中で、二次災害防止のための土砂災害対策ということで六十七億円が計上されたわけでございます。私どもは、これではまだまだ足りない、その箇所が大変多いというふうに認識いたしておりますが、いずれにいたしましても、地すべり対策事業として二十カ所、急傾斜地崩壊対策事業として五十カ所、そして砂防事業として三十五カ所ついているわけでございますが、このほか、宅地の擁壁対策として、災害関連として百五十カ所となっております。この百五十カ所というのは地域としてどのところを指しているのか、現時点でわかる範囲でお教えいただきたいと思います。もちろん、百五十カ所全部言ってほしいということではございません。
  121. 保科幸二

    ○保科説明員 お答え申し上げます。  ただいま百五十カ所、宅地で五百カ所程度を見込んでいるわけでございます。この百五十カ所の一カ所一カ所につきましては、今現在調査中でございます。百五十カ所と申しますのは、全体の中で大体この程度の箇所がこの事業に該当するのではなかろうかという推定値でございます。したがって、一カ所ことについては現在まだ調査中ということでございます。
  122. 小池百合子

    ○小池委員 調査中ということでございますが、この程度のというのはどういう程度を指すのでしょうか。具体的にお教えください。
  123. 保科幸二

    ○保科説明員 現在、宅地の擁壁につきまして、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業というのがございます。従来、災害関連緊急急傾斜地対策事業と申しますのは自然斜面を対象としていたわけでございます。この事業の中で、採択基準を大幅に緩和いたしまして、宅地の擁壁をも取り込むことといたしました。さらに、その高さにつきましても、従来十メートルといった基準でございましたが、これも三メートルまでに採択基準を緩和するというふうなことで取り上げたわけでございます。したがって、そういった箇所について現在調査をしておるということでございます。
  124. 小池百合子

    ○小池委員 申しわけないのですが、この程度のというところのお答えにはなっていなかったように思います。十メーターから三メーターに対象を下げたということでございますが、例えば、何センチのひび割れが入っているとか、その深さがどうなのかとか、そういった判断基準というのがあるのでしょうか、ないのでしょうか。
  125. 保科幸二

    ○保科説明員 これは、現在擁壁が損壊しておって、この次の降雨によってこれが崩れるおそれがある、土砂が崩れることによって周辺の人家に、五戸以上でございますが、被害を及ぼす影響のあるものということでございまして、具体的に亀裂の幅が幾つとかいったようなことではございません。
  126. 小池百合子

    ○小池委員 そうしますと、現実的にはそこの地質の違いというのもございましょうし、それから地形の違い等々、それを総合的に判断してこの程度のところでは危ないということを判断なさるわけですね。そうしますと、今調査中というのは、むしろそういう非常に総合的な判断でおくれているというふうに理解してよろしいんでしょうか。それとも、もしおくれていないならばいつまでに、今回のこの百五十カ所ということについての限定と申しましょうか、予算措置の決定はなさるんでしょうか。
  127. 保科幸二

    ○保科説明員 今現在、県あるいは市におきまして精力的に調査を行っておるところでございます。正直に申し上げまして調査そのものが、宅地と宅地の間の擁壁ということで、大変狭いところに入っていくわけでございます。そうすると、写真等を見ていただいてもおわかりのとおり、損壊した擁壁をどういうふうに復旧するのか、あるいは損壊しているその擁壁そのものをどう処理するのか、あるいはその擁壁を持っていらっしゃる方、土地の所有者、そういった方の意向、それはどういうふうな意向でいらっしゃるのか、そういった調整、あるいは復旧工法の具体的な内容ですね、それについて調査するのに大変時間がかかります。県の職員あるいは市の職員、土曜日曜も惜しまずに、その辺、連日現地の方を関係方面からの応援を得ながら調査をしているところでございます。  それで、それではいつまでかかるのかということでございますが、現在私どものところにももう既に幾つか具体的な申請の箇所についての書類等が上げられてきております。順次申請が上がってくるものと思っているところでございます。
  128. 小池百合子

    ○小池委員 県の職員、市の職員の方々は、最初の被害、震災直後のケア、それから今はこの復興に対してのケアと、本当に御苦労の絶えないところだと思います。また、この点について私も何度もお伺いさせていただいているのは、六甲山系というのは非常にこういった地域が多いということです。今回の地震によって地割れであるとか地崩れがさまざまなところで起こっている、そして今梅雨を迎えようとしているということで、私自身も何か消防車の役を地元でやらせていただいているというようなことなんです。  県の人が見てくれない、市の人が見てくれないということで、今作業がいかに大変かということも伺わせていただきましたけれども、いずれにいたしましても、梅雨が来るのをとめるわけにはいかないわけでございます。ですから、予算面でも、ハードの予算だけでなくて、こういった調査員をできるだけ早く送ってあげて、そして、ちょうど震災が終わった後に、全壊とか半壊とかいう形、これも結局、むしろ急いだがために随分不公平であったり客観性がちょっと問題であったりということもあったことは否めないのですが、被災地の方々というのはまだまだ心理的に不安定である、それは、何か自分がほうっておかれているのではないかというような心理がまず働いてしまう。そういったことで、この調査というのをできるだけ早く、また、各自治体の足りないところに人的な、バックアップといいますか、そういった面でも努力していただきたいというふうに思っております。  それでは、そういったことを踏まえまして、各地の急傾斜地の被害というのもまだまだ復旧、復興に至っておらないわけでございますが、災害対策特別委員会の中でこうやって質問させていただくうちに、急傾斜地に対する法律と地すべり対策に対する法律と、さまざまな法律があるわけでございますけれども、この急傾斜地の対象となる土地、それは一体どういうものなのか、ちょっとまず定義づけから伺わせていただきたいと思います。
  129. 保科幸二

    ○保科説明員 お答え申し上げます。  急傾斜地崩壊対策事業は、急傾斜地の崩壊による災害から人命を保護するために、急傾斜地の崩壊を防止し、民生の安定と国土の保全に資することを目的としておりまして、事業主体は都道府県でございます。ここで急傾斜地とは、斜面の角度が三十度以上である土地を言います。都道府県は、崩壊するおそれのある急傾斜地で、その崩壊により周辺の人家等に被害が発生するおそれのある区域において事業を実施しております。国は、急傾斜地崩壊防止工事の費用の二分の一を補助しております。  具体的な急傾斜地崩壊対策事業の採択基準でございますが、急傾斜地の高さが十メートル以上で、移転の適地がない、また、人家がおおむね十戸以上に倒壊等の著しい被害を及ぼすおそれがあって、全体事業費が三千五百万円以上あるものである、これらを満たす場合に公共事業で急傾斜地崩壊対策事業として実施しております。
  130. 小池百合子

    ○小池委員 今回はこの急傾斜地でもさまざまな被害が出ているというふうに申し上げましたけれども、それでは、この法律に適合する地域でございますね、今回の震災によってこの法律の適用を受けたところ、箇所といいましょうか、お手元にある数字で結構でございます、何カ所ぐらいがこの対象になっているのかお知らせください。
  131. 保科幸二

    ○保科説明員 一月十七日の震災が起こってから、私どもでは現地に緊急支援チームを送り込んで、危険箇所の点検調査を実施いたしました。また、そういった点検調査等をもとにいたしまして、二十六カ所について予算措置をいたしまして、現在工事を行っているところでございます。
  132. 小池百合子

    ○小池委員 急傾斜地、今定義づけといいますか、法律に書いてあるわけでございますけれども、その対象地の原則として、三十度の勾配ということでございました。  一方で次に地すべり対策ということでございますけれども、今度は、急傾斜地と地すべり対策と、その対象地というのはどこがどう違うのかお教えください。また、その対策にかかる費用の分担についてもお願いします。
  133. 保科幸二

    ○保科説明員 地すべり対策事業につきましては、地すべりによる被害を除去し、また軽減するため、地すべりを防止し、もって国土の保全と民生の安定に資することを目的としておりまして、地すべりが発生またはそのおそれの極めて大きい区域で、公共の利害に密接な関連を有する場合、県等が排水施設あるいはくいの設置など地すべり防止の工事を行うものであります。国は、地すべり防止工事の費用の二分の一を負担しております。  具体的な地すべり対策事業の採択基準でございますが、まずは、河川等に被害を及ぼすおそれのあるもの、鉄道、国道等に被害を及ぼすおそれのあるもの、また、官公署、学校、病院等に被害を及ぼすおそれのあるもの、また、人家十戸以上に被害を及ぼすおそれのあるものなどでありまして、これらを満たす場合に地すべり対策事業として実施しております。
  134. 小池百合子

    ○小池委員 今回、急傾斜地も、そして地すべりの発生した地域も、さまざまでございまして、一般の住民の方には、これが急傾斜地対応なんですよ、これが地すべり対応なんですよと言ってもなかなかわからない。全体を包み込むような法律がまだないのではないか、そのすき間に入ってしまっているような案件などもあるのではないかと危惧しているわけでございますけれども、例えば、今はまだ地すべりが起こっていない、もしくは急傾斜の崩壊が起こっていない、ただ、今回の震災が原因ということが後々はっきりして、そして何年後かに崩壊が実際に起きた、地すべりが起きたといった場合にはどのような対応がされるのでしょうか。先ほど費用の分担を伺いましたけれども、これは、平時といいますか、今回の震災いかんにかかわらず適用されるわけなのでしょうか。
  135. 保科幸二

    ○保科説明員 例えば宅地にクラック等が発生した場合等を先生御指摘ではないかなと思うのですが、その場合につきまして、まず現地の方から、そういうクラックが入ったという報告が市役所あるいは現地の土木事務所等に入るかと思います。地方公共団体におきましては、その報告に基づいて現地の状況を調査いたします。このクラックが、単なる表面のちょっとしたクラックでなくて地盤の深部にまで達していて、地すべり面がそこにあるぞという場合、かつ先ほど申し上げたような公共性に関しての一定の要件を満たすものについては、地すべり対策工事として取り組むことになります。
  136. 小池百合子

    ○小池委員 今回そのほか、液状化の問題等これまでの法律ではカバーできないような部分も多々出てきております。今造成宅地にお住まいの方々で、家は壊れていないけれども、地割れ、クラックが大きく入っている。そして、公共の道路の部分は修理が行われてもいるし、また裏山の地すべりの部分などについても応急処置なども徐々にとられ始めているというような状況でございますけれども、ただ、公共の部分だけ直してもまだまだ、何と申しましょうか、御自宅のクラックについてはまだ住民の手が回らないというような状況であったりする。  そうすると、この後梅雨が来て、梅雨の中で住宅地の方も地割れが進んでしまって、また公共の道路を越えて次の下のお宅の家までもそれが進んでしまうというような状況、これも大変懸念されるところなのですけれども、そういった場合に地割れが起こったお宅に対しての措置というのは、これは以前から取り上げておりますようにさまざまな融資を受けるしかないというような状況なのでしょうか。
  137. 竹村昌幸

    ○竹村説明員 今の先生御質問の各個人のそれぞれの宅地のクラックの復旧でございますが、基本的には今先生御指摘のとおり、種々の融資制度を活用して復旧していただくというのが基本だろうと思います。  ただ、現在地元の公共団体におきましては、降雨期を迎えて、特に人命保護などの観点から、土砂の除去ですとか雨水の浸透を防ぐシート張りですとか、そういうような当面の応急措置について日夜努力をし、二次災害の防止に万全を期すよう努めておるというような状況でございます。
  138. 小池百合子

    ○小池委員 宅地については個人の私有地であるという観点からそういった融資に頼らざるを得ないという問題点もあるわけでございますが、この七月にいよいよPL法が施行されるわけでございます。PL法というのは基本的に動産に対しての適用ということでございますが、さまざまな土地に関連した形でこのPL法が今後適用されるような状況があるのかどうか、これについての考え方を伺わせていただきたいと思います。宅地指導室長、いかがでしょうか。
  139. 竹村昌幸

    ○竹村説明員 私どもが聞いている話の範囲内で申し上げますが、いわゆるPL法の対象に土地は含まれておらないというふうに認識しております。
  140. 小池百合子

    ○小池委員 宅地の場合、PL法は、不動産ということでそぐわないという認識を伺ったわけでございます。  宅地と申しましても、いろいろな届け出があったり登録があったり、そして許認可の対象になっている。そうしますとその中で、特に県等のかかわりがそこにいろいろとあるわけでございます。PL法ではございませんけれども、これまでのさまざまな判例を見ておりますと、県が、これもまた兵庫県の判例でございますけれども、西宮で起こったがけ崩れというか、擁壁が壊れてその後民家を襲った件につきましても、兵庫県の県知事の方からの勧告及び改善命令を怠ったということから、これは結果的に県の方が負けているという判例もございます。  というようなことから、土地の問題、日本じゅうがこれでPL法を適用したならばどうなるのかと考えますと少々恐ろしいところもございますけれども、しかし今土地をめぐって、特に日本人の土地神話ということもございまして、土地に対しての思いというのは大変強うございます。その意味で、さまざまな観点からの訴えというものが今後出てくるのではないかということを現地で私は非常に強く感じているところでございます。  さて、いずれにいたしましても今回、災害対策ということで幾つもの災害対策法というのに接してきたわけでございます。しかし、そのいずれもが大規模地震災害を想定したものではないのではないか。つまり、先ほどから伺っている地すべりの定義であるとか急傾斜地の定義であるとか、それからこれは定義を伺いませんでしたけれども宅地造成のときのさまざまな法律がございますが、これもどこか部分部分の被害でございまして、今回のような大規模地震災害を想定した法律になっていないのではないかというふうに感じるわけでございます。  こういった大災害に向けた法律の必要性を強く感じるところでございますけれども、地すべり法、急傾斜地災害防止法、そのすき間に入っている人たちというのが非常に多いわけでございまして、そして砂防法、宅地造成等規制法、これなどを総合的に一度見直す必要があるのではなかろうかと思います。これはだれに伺っていいのかちょっとわかりにくいところでございますけれども、ぜひともそういう大きな観点でのチェックと申しましょうか、それを進めて、私どもも進めていきたいというふうに思っております。  この災害対策基本法につきましては私どもも改正案の準備もさせていただいているわけでございますが、より大きな問題として、先ほどからも何人かが指摘しておりましたけれども、自衛隊法の見直しということも必要になってくると思っております。この災害対策基本法、先ほど佐藤議員に六月下旬までに大きな見直しを進めるというふうにお答えになっていたと思うのですが、それでよろしいのでございましょうか。
  141. 村瀬興一

    村瀬政府委員 今先生がおっしゃいましたのは、基本計画でございますね。  基本計画は、五月中に震災対策については成案を得たいと申しておりましたけれども、作業が若干おくれまして、六月下旬ぐらいまでには成案を得るようにしたいと考えておるところでございます。
  142. 小池百合子

    ○小池委員 そうしますと、それは震災対策のみということになっているのでしょうか。     〔委員長退席、石橋(大)委員長代理着席〕
  143. 村瀬興一

    村瀬政府委員 震災対策以外に、風水害対策でございますとか火山災害対策、そういったものは今回一緒に取りまとめたいと思っております。ただ、災害の中でも若干特殊でございます原子力でございますとか航空機の事故といったようなものにつきましては、ちょっと今回間に合いませんでしたので、引き続き検討させていただきたいと思っております。
  144. 小池百合子

    ○小池委員 今回、サハリンで巨大地震があったばかりということでございます。そしてまた専門家の、日本周辺のプレートは地震活性期に入っているという指摘もございます。ということで、起こらない方がいいのですけれども地震は待ってくれないし、梅雨も待ってくれないということで、法律はつくらなければいけない、復旧、復興に努めなければいけない。大変忙しいといいますか、作業的にも仕事的にも大変大きくて忙しいとは思いますけれども、しかし、それをしなくて何が政治か行政かというふうに思います。できるだけ早く、また私どももそれに対応して、対応というか対抗して、よりよい法律改正案を準備させていただきたいと思っております。  最後に国土庁長官に伺わせていただきます。  震災発生以来この四カ月半、非常に御苦労も多かったと思います。そしてまた、実際に御担当になっておられて、今私が申し上げました災害対策基本法であるとか建設関係のさまざまな法律もございます。もちろん国土に関係した法律も多岐にわたってたくさんあるわけでございますけれども、そのいずれを見ましても大規模災害に対処するのは非常に難しいのではないかという感覚を私は持っているわけでございます。  大臣も東京の選出議員のお一人でございます。東京と申しますと、何か大きな問題が起こったときにはそれがまさに大被害につながっていくということで、さまざまな法律、きょうの基本法の一部改正もそうでございますけれども、こういった法律面での不備であるとか物足りないところであるとか、どういうふうな実感を持っておられるのか伺わせてください。
  145. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生御指摘のとおりであり、私も東京出身でありますから、関東大震災規模地震がいつやってくるかわからない。南関東地震につきましてはおおむね百年から二百年の間ぐらいとは言われておりますが、直下型はその間に数回ぐらいは来るであろう。こうなりますと、いつ来るかもわからない、あす来るかもということに相なりますと、やはり大変なことだなということも実感をいたしております。そして、ただいま先生御指摘のとおり、法的にまだまだいろいろやらなければならない不備なところも出てくるわけであります。それらを踏まえて、阪神淡路大震災を契機として、我が国の災害対策について多様な議論が展開をされておることは先生御承知のとおりであろうと思います。  政府におきましても、災害体制全般にわたってその見直しを検討しておりますし、災害対策基本法の見直しを行うことはもとより、災害対策に関連する多様な法律についても、見直しが必要な事項があれば検討を進めてまいりたい、かようにも考えておるところであります。
  146. 小池百合子

    ○小池委員 法律整備、これも早急にやらなければなりませんが、しかし、どんなに法律を整えたとしても、それをちゃんと正しく機能させる指揮官が必要になってくるわけでございます。今回、官邸の危機管理ということが強調されたわけでございまして、国土庁の皆様方も、官邸の中で、また官邸をバックアップして二十四時間態勢をとる、当たり前の姿に戻ったと言うこともできるかと思いますけれども、長官におかれても、危機に対しての備えと申しましょうか、これに対してこの四カ月間で何が変わられたのか、伺わせていただきたいと思います。     〔石橋(大)委員長代理退席、委員長着席〕
  147. 小澤潔

    小澤国務大臣 何が変わったかということでありますが、きょうの本題である交通関係での一部を改正する法律案、ただいま局長等々も答弁した基本計画の見直し、これは五月が多少六月にずれ込むが必ずやりたい。また、先ほども申し上げましたように、日本全土、大きな震災がいつどこに起こるかわかりませんから、臨調にお願いをしてあるのが十月ごろにはでき上がりますので、これを踏まえて、立派な、危機管理を含めた防災体制の確立をしてまいりたい。  しかしながら、それが決まるまでの間にいつ震災が起きても初動態勢、危機管理体制ができるように、一つには今回交通関係の改正をして、今まで局長がいろいろと答弁したように、交通規制警察官がやるべき仕事でありますが、目的を持って行動しておる自衛官消防吏員がその場に、災害に遭遇したときには警察官にかわって交通規制実施できる、車を移動する場合にどうしてもできない場合にはガラスを割ることもできる、破損した場合には都道府県が責任を持つ等々の交通規制法案をお願いしておきませんと、いつ大惨事が起こるかわかりませんので、こういった一部改正を本日お願いをしたところであり、四カ月、五カ月の間にいろいろと、いつあるかわからない大震災災害に向けて万全の構えをするための一部として対処してまいりたい。これらを感じたところであり、きょうお願いをしたところであります。
  148. 小池百合子

    ○小池委員 ありがとうございました。法律というのは、神経のような非常に細やかな部分と、太い脊椎のような背骨のような部分と、その両方が組み合わさってようやく機能するものであると思っております。いずれにいたしましても、災害のみならず、今世界の情勢というのは東西冷戦のときとまた違った意味で大変流動的でございます。その意味でも、広い意味での危機管理体制というのをできるだけ一刻も早く構築していくために、懇談会の結果を待つのではなく、むしろお互いに政治家同士の話し合いでもって、そしてまた行き過ぎた形ではない体制をぜひとも一日も早くとりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思っております。  時間が参りましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  149. 日野市朗

    日野委員長 次に、赤羽一嘉君。
  150. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 新進党の赤羽でございます。本日は、与えていただいた時間内で、災害対策基本法の一部改正案につき質疑いたしたいと思います。  今回、一月十七日の阪神淡路大震災では、御指摘のように確かにひどい交通渋滞発生直後から起こり、そして、いわゆる緊急車両の車がなかなか動けなかったことによって、災害規模、被害規模が拡大していってしまった。これに対しての反省の上に立って、新しく法改正することは基本的には賛成でございます。  しかし、本日第一番バッターで立たれました石橋委員の御指摘にもありましたように、それがいかなる立派な法律法改正であっても、実効性を伴わない法改正ではまさしく意味がないのではないか。今回のような大都市直下型地震の直後から対応して緊急車両を通すことが本当にできるような法改正なのかどうか、そのように運用していけるのかどうかというのが非常に重要なキーファクターであるというふうに私は思っております。  まず、渋滞渋滞といいましても、私現場におりまして、時系列的にもかなりその交通渋滞の質が違っていたと思うわけでございます。発生直後、そしてある程度三日四日たった以後、あのときは国道二号線だけでございましたから、国道二号線の東向き西向きに関しても、その渋滞の質が違っていたと思います。  私は中で駆けずり回っておりましたので明確な分析をしておるわけではございませんけれども、時間時間、その日その日、あのときを思い返しても、あのときは東向きが込んでいた、こんな車だった、あのときは西向きの市内に向かう方が込んでいたいこんな車が多かった、そういうような交通渋滞の質に対する分析の上に立った法改正でなければ余り意味がなくなるのではないかというふうに思うわけでございます。  まず初めに、今回、一月十七日の発生直後から、細かい分析というのはなかなか難しいこともあると思いますが、大ざっぱで結構ですので、発生直後と三日目とか四日目以後どの交通渋滞状況分析を警察庁の方からお願いしたいと思います。
  151. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 今回の阪神淡路大震災におきます被災地域における交通渋滞に関する御質問でございますけれども、いわゆる午前五時四十六分に発災した後、当日の交通渋滞状況ですが、発災直後というのは早朝ということもありましてそれほどの渋滞ではなかったわけでございますが、道路損壊が非常にひどかった。それで、通行可能な道路が極めて限られていたというようなことがございました。それで、警察官による通行禁止あるいは制限等を行ったわけでございますけれども、午前遅くなったころから、大量の避難車両であるとか家族の安否を気遣う車両、あるいは、被災地の被災状況がわからずに、いわゆる神戸というのは通過交通道路になっておるわけでございまして、そういったところを通過しようとした車両移動があったということで、大変道路が込んでまいりました。  今回、特に大阪と神戸を結ぶ路線のうち、当日は約八割以上の道路通行不能であったということで、道路容量から見ましてもほんの二割程度の容量しかなかったのではないかというふうに考えておるところでございます。また、当初はほとんどの警察官が被災者の救援を第一義として活動していたことなどによりまして、市内各地で交通渋滞発生したものと考えております。  国道二号を例にとりますと、大阪府境から神戸市役所まで約七、八時間を要しておったというふうに見ております。まだこの時点では緊急輸送ルートとしての規制を行っていなかったわけでございますけれども、翌十八日の午前六時を期して、国道二号線を、一部迂回したところもございますけれども、緊急輸送ルートに指定して交通規制を行いました。この時点になりますと時間的には大阪の府県境から神戸市の中心部まで約四、五時間に短縮はできたわけでございますけれども、その他の道路においては依然として渋滞があったというふうに見ております。  十九日でございますけれども、各県からも応援部隊が増強されまして、午前八時には、パトカー、白バイ六十台を含みます交通規制部隊約六百名をこの二号線を中心に配置いたしまして、神戸市内への緊急輸送ルートの確保に努めたわけでございます。この段階で、国道二号の大阪府県境から神戸市役所まで、時間によって違いますけれども、約二時間半から四時間程度で行けるようになったということでございます。また、このころから、全国から救援物資を輸送する車両神戸周辺への流入が本格化しておるわけでございます。  その後、被災地内の通行可能な道路がふえるに従いまして、緊急輸送ルートにおきます所要時間も十九日以降は短縮されてきておるという状況でございました。
  152. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 交通渋滞を起こした車種についてもう一度確認しますが、当日は家族の安否を気遣った車とか通過交通車両、二日目の夕方とか三日目ぐらいからは救援物資を運ぶ車というようなことが交通渋滞の主な原因だったという分析でよろしいのですか。
  153. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 当日最初の段階ではまだ救援物資の車両というものはほとんどなかったということでございまして、いわゆる域内の車両、いわゆる地域内の被災者の車、あるいは被災者を気遣って安否を尋ねた車、あるいは事情を知らずにその地域に入ってきた通過車両というものが中心であったと思います。  二日目以降は規制をしておりますので、二号線に限った話ではございますけれども、その場合、近県からの緊急物資の輸送車両、三日目以降は全国的な地域からの緊急物資の輸送車両というふうに変わっていっております。
  154. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それと、先ほどの御発言の中で、二十一日ぐらいから、いわゆる兵庫県の県境から神戸市役所に入っていくのに二時間から二時間半程度、それ以後は大体二時間ぐらいというような御説明があったと思うのですが、先ほど同僚の佐藤議員の発言の中に、大阪から神戸に緊急物資を持たれて向かわれた。私も実はそれを受けて待っておったのですけれども、たしか神崎川を渡ってから、神戸の一番東の東灘区に入ったときには約十時間かかっているのですね。私もずっと待っていたから、これは間違いじゃないはずです。警察庁の今の御説明だと、もうそのときにはかなり渋滞はおさまっていると。  先ほど二時間というお話がありましたけれども、今でも二時間で来れるのかなと思う。ましてや県境から神戸市の一番東側だと、そこからまた市役所までというのはかなりの距離があるわけでありまして、まず、この法改正をする大前提のコンジェスチョンに対する認識というのがこれだけ大きく違っているということは、本当に正しい、適切な法改正ができているのかどうか。そんなような認識なんですか。私は、今御説明いただきましたけれども、二十一日、二十二日ぐらいに県境から神戸市役所まで二時間で行けているなんということはとても信じられないのですけれども、どうでしょうか。
  155. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 私の方の説明でございますけれども、まず当日でございますが、七、八時間はかかっているということでございます。そして、十九日、部隊を配置した以降のことでございますけれども、先ほど私申しましたのは、二時間半から四時間という時間がかかっておるというふうに報告を受けているところでございます。そして、二十日、二十一日に至りましてはそれが大分短縮されまして、二時間から二時間半ぐらいの間で行っておるというふうに報告を受けております。
  156. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ですから、その二十一日ですよ。二十一日に佐藤議員、久保議員、大阪から出てきて、待てど暮らせど来ない。携帯電話を鳴らして神崎川を渡ってから、十時間かかっているんですよ。これは事実ですよ。私の記憶では、あのころはほとんど全く動かなかった。そんな時間なのに、何を根拠に二時間とか二時間半とかという数字が出てくるのか。この数字はちょっと信じられないし、失礼ですけれども、現実と、実態と離れているようなこんな分析の上で法改正をしてというのは、どうなんですか。この時間は確信を持たれている数字なんですか。
  157. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 私どもが時間を調査しましたのは、兵庫県警を通じて行ったわけでございますけれども、いわゆる救援物資車両が三宮の神戸市役所に来る、その際に運転手等から聞き取りをしまして、大阪府県境通過時間あるいは到着時間というものを確認して、大体このくらいかかったということを兵庫県警を通じて聞いておる時間帯でございます。
  158. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 伊藤課長説明はわかりましたが、しかし、これまでの四カ月の間に、予算委員会、各種委員会等々の正式な議事録を見ても、三キロ進むのに六十時間以上かかったとか、それはみんなうそを言っているわけじゃないわけですよ。警察庁の分析と、我々議員が、また被災者の現場で体験している時間が余りにも乖離があり過ぎる。これはもう一度県警なり何なりで調査分析していただきたいなというふうに要望しておきます。それが一点です。  それと、たしか前に災害特で小池委員質問がありましたけれども、そのお答えの中で伊藤課長の御説明があったかと思うのですが、シャットアウトするというのは、高速道路をシャットアウトするというのはよくわかりますよ、平場の中でシャットアウトできるのかどうか。  それと、あのとき課長の御説明もあったかと思いますが、市内の道路状況が混乱して、どの道路がどうだああだという情報を把握するのに時間がかかった、だから一日後の翌日の朝六時に道交法で交通規制をし、六十二時間後の夜八時に災対法による規制ができた、今回はそこまで時間がかかったわけでしょう。しかし実際、交通渋滞というのは災害直後から、午前中からぼんと始まっている。ではどうやって、今回できなかったことがきょうの法改正をすることによってできるようになるんですか。  石橋委員が心配して御指摘があったことと私は全く同感なんですよ。情報収集するのに、この新しい法改正と今までのと全く変わっていないわけですよ。だから、いつを想定してのこの災害基本法の改正なのか僕は非常に疑問なんですが。その点、情報収集、どこの道路区間を指定して規制をかけるか、これに対する時間をどう考えているのか、御答弁ください。
  159. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 御指摘のように、今回の地震でございますけれども、確かに災害発生の初日、どのルートを通れば神戸の中心部の方に緊急輸送ルートを確保できるかということについての情報収集というものに時間がかかったわけでございます。これは一つに、警察官というものが本来、緊急輸送ルートを探そうとしておったわけでございますけれども、人命救助等の要請がございまして、そうした警察官が人命救助に従事せざるを得なかったというような事情もございました。  そこで今後でございますけれども、この法律というものではございませんが、いわゆる緊急援助隊というものを早期に現地に派遣する、その部隊の中にはいわゆるモトクロス等に乗った部隊がおりまして、一体どの道路が被災地へ通れる道路なのかということを、周辺の県境から被災地に向かって走っていくという中で、いわゆる緊急ルートというものの捜索といいましょうか、探査に当たるといった形も考えておるわけでございます。
  160. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それで仮に確保したとして、平場で−神戸なんかは比較的、神戸に入る道は限られておりまして、ある意味では神戸というのは山が迫って海があってかなり特殊な地域だったと思いますが、そうじゃないところで、その市内に入る道をすべて遮断するということは物理的に可能なんですか。
  161. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 今回、すべて遮断するというわけではございませんで、いわゆる被害に遭った地域を中心に、大変な被害があるところにつきましてはいわゆる通行禁止をかける。しかし、被災地に向かう道路については、緊急輸送ルートとして選定した際には、それを通行禁止にして、緊急通行車両以外の通行規制するという形での規制を今後考えているわけでございます。
  162. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それでは、緊急通行車両以外を通行禁止にする、その緊急通行車両とはいかなる車がという話になると思うのですが、消防車とか自衛隊の関係の車とか救急車とかというのは出てくると思いますが、救援物資の車というのはどう考えるのですか。
  163. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 緊急通行車両の定義でございますけれども、基本的には、道路交通法で言います緊急自動車、これに加えまして、いわゆる災害応急対策を行う車両ということでございますので、救援物資というものが災害応急対策に必要な物資であるということであれば、これは緊急通行車両に当たるということになります。
  164. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それでは、例えば世帯主の人がその日たまたま東京かどこかに出張して、例えば今回でもそうですが、神戸地震があったと朝聞いて駆けつける。そして車で入ってきた場合、そこでシャットアウトはされるのですか、されないのですか。
  165. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 今回の阪神淡路大震災では、通行禁止が行われている道路に大量の避難車両や家族の安否を気遣う一般車両が大量に流入しまして、交通渋滞の大きな原因となったという実態がございます。こうした実態を踏まえますと、一般車両につきましては、原則として、通行禁止等対象から除外されるべきものではないというふうに考えておるわけでございます。  災害応急対策の迅速な実施ということを行うためには、緊急通行車両の円滑な通行が重要でありますから、交通規制が行われている道路におきましては、緊急通行車両の運行が第一に優先されるべきだろうというふうに考えております。したがいまして、家族の安否を気遣う車両や自宅へ戻ろうというような方の車両につきましては、通行禁止規制が行われている道路を避けていただくということになろうかと思います。
  166. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ここはどうなんでしょう。世帯主が自分の家族を心配して帰ってくる、そこでシャットアウトされる。シャットアウトするからには、そこの世帯の安全保護が担保されるんだったらそれはいいと思いますが、今回のような場合にはとてもそんなような状況にはないと思います。それはどうなんですか、シャットアウトされて構わないんでしょうか。大臣、この点どうですか。
  167. 小澤潔

    小澤国務大臣 その場合、家族には非常にお気の毒だと思います。しかしながら、やはり大きな震災そのものを考えた場合には、やむを得ないと言うと大臣として本当に恐縮な発言になるかもわかりませんが、家族のことを心配するその気持ちもわかりますが、災害基本法の一部を改正することによって、災害時における、自衛隊の草なり消防の草なりがその目的を持っている現場に行くための措置をするための一部改正でありますので、その方々にはお気の毒ですが、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  168. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それはちょっと問題があるのではないでしょうか。皆さんが、自分の家が被災を受けた、飛んで帰らなければいけない、しかしそこまで来たら入れない、それはしょうがないとしてあきらめろということですか。
  169. 小澤潔

    小澤国務大臣 ただいま発言をさせていただいて、非常に、大臣としての発言にしてはということのおしかりもいただきましたが、先ほど申し上げたとおりを御理解いただきたいと思います。
  170. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 いや、私は別に大臣としての発言でしかったつもりはないのですが、今回の法の運用で、各家庭の世帯主がいないときは、通れないということでいいのですねということを確認をしたわけでございます。  先ほどの救援物資の車ですけれども、今回はとにかくこれまでのような救援体制ができていなかったということもあり、全国からの心あるボランティアの人たちが一斉に救援物資をみずから運んできたという例があって、先ほど佐藤議員からの御指摘では十五万枚のステッカーが出た。結果としてそれでかなりの交通渋滞になったということは、これは事実であると思うのですね。それに対してすべてをカットするということもまた同じようにできない問題ではあると思いますけれども。ですから私が思うには、今回のように交通規制のこの部分だけを手をいらっても、なかなか実効ある形というのは難しいのではないかなというのが私自身の実感でございます。  例えば救援物資であれば、神戸に隣接している市の中で、まずそこですべてワンクッション受けとめる。そこが司令塔になって、そこから被災地の中に救援物資の車を出すというようなことでなければ、みんな全国ではすごく良心を持って何とかしてあげたいということで出したことが、結果において消防活動の足かせになったりとかということ。こういった国民の皆さんの良心が結果として足を引っ張ってしまうような残念な結果というのは、何としても今後政治の力で変えていかなければいけないというふうに私は思うわけでございます。  災害対策基本法のこの部分をいらうのではなくて、全体を見直して、いつ今回のように大都市直下型大震災みたいな一番対応が難しい災害が起きたとしても、何としても機能的に効率的にスムーズにその救援活動ができるようにするべきであるというふうに私は思うわけでございます。ですから、何としても一日も早い災害対策基本法全般の見直しということに対して前向きに取り組んでいただきたいと思います。大臣、その点について御決意のほどを伺います。
  171. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生御指摘のとおりであろうと思いますが、やはり今、臨調にお願いをし、十月には案がまとまります。それに基づいて立派な法案をつくりたいと思っておりますが、それまでの間にもし大きな災害が起こった場合の措置一つとして、本日の基本法の一部改正ということでお願いをしておりますので、もちろん先生御指摘のようにいろいろな角度からの盤石揺るぎない体制をつくることは私も大賛成でありますが、それができるまでの間の大災害に対する一つ目的がありますので、御理解をいただきたいと思います。
  172. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それでは、仮設住宅の件でちょっと伺いたいと思います。  小里大臣もいらっしゃいます。今回、政府の御決断で神戸市内の仮設住宅にクーラーをつけていただけることになりまして、本当に地元では大変喜ばれております。ありがとうございました。  今回、同時に約八千五百戸前後の増設建設も認められたということでございます。自宅の近くにという要望にこたえていただいた措置だとこれも本当に深く感謝しておるところでございますが、聞き及びますところによりますと、今回の増設分八千五百戸前後のほとんどが、大きさが二Kではなくて一Kになる。これまでも、非常に狭いとか、余り広いとは聞かないこの狭い居住空間の中で、一Kになぜあえてするのか。  私が認識しておりますのは、今までは独居老人の方とか母子家庭の方たちが優先的に入られて、残っているのは働き手のある四人家族、五人家族というケースが多いと思います。そこであえてこの追加分だけワンルーム、二十七平米を二十平米にされるということはいかがなものなのか。その御真意と、まだ決定でなければ、何としても従来どおり、大きいとは言えなかったですけれども、今までどおりのサイズで建設をお願いしたいというふうに思うわけでございますが、御発言をいただきたいと思います。
  173. 松尾武昌

    ○松尾説明員 追加いたします応急仮設住宅は八千三百戸でございます。  この八千三百戸につきましては、神戸市等地元市におきまして、避難世帯の世帯類型、人員等について悉皆調査を行いました。この悉皆調査によりますと、一人世帯あるいは二人世帯が七割を占めております。こういうような状況を踏まえまして、兵庫県は世帯の実態等を十分勘案した上で設置をするということでございまして、全戸を一Kにするということではございませんで、その世帯の状況に応じてこれから建設をしていきたいというふうに聞いております。
  174. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今そのアンケート調査について、私もよく理解しかねるのですけれども、今のところ何か三百戸が二Kで、残り八千戸がワンルームになるというように聞いております。二人世帯でも二十七平米といったらそんなに大きくないわけでありまして、せっかく特段の措置をしていただいても何となく不公平感が残ってしまうようなことというのは本当に得策なのか。せっかく、政府の決断でつくりました、ここですっきり終わるものを、またあえて小さいものをつくって何なのだというような話というのは本当にいかがなものかなというふうに思うわけでございます。  これは最後になりますけれども、前回予算委員会で、仮設住宅の居住空間の設備ということで、ひさしとか簡易舗装のこと、街灯のことについてお願いをいたしました。そのときに小里大臣からは、金曜日に地元といろいろ仮設についてのお話がある、会議を持たれる、総理の御答弁でも、地元の要請があれば前向きに考えたいという御答弁をいただいたわけでございますが、金曜日の会議についてどのようなお話があったか。これからの展望についても、恐れ入りますけれども、教えていただきたいと思います。
  175. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先生からお話がございました。そしてまた、ただいまお話がございましたように、その後市当局及び県、県は副知事でございますが、具体的に打ち合わせをいたしました。厚生省の方におきましても松尾課長を中心にその対処をやっていただきまして、街灯あるいは道路の舗装関係等々、これはおおむね処理を進めておる、そういうような報告でございます。もし不十分な点があればこれは徹底しなければならぬ、さように思っております。
  176. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。それでは、仮設についてはかなり居住空間がレベルアップするものというふうに理解させていただきます。  最後に、もう時間がございませんので、これも一点だけ御要望なのですが、雇用保険について。  今、失業保険を受けている人たちがかなり、三万とか四万人の単位で県内におると思います。最も短い失業保険給付期間が三カ月プラス今回の措置で六十日ということで百五十日、六月の中下旬にはその失業保険の給付期間が終わるということが目の前に来ております。恐らくこれからその段階で雇用対策、失業対策についてかなり真剣な社会問題となって出てくると思います。その点についても何とか、口で言うほど簡単ではないと思いますが、雇用機会の創出ということに心配りをぜひともしていただきたいということを要望いたしまして、三十分の時間を終了させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  177. 日野市朗

    日野委員長 次に、穀田恵二君。
  178. 穀田恵二

    ○穀田委員 小里大臣が出席されているということで、最初に端的に一つだけお聞きしたいと思います。  四月十五日、四月二十日、兵庫県からは要望書が参っております。いろいろな要望がございますが、私が見るところ、その中で、「今なお、五万人の人々が不自由な避難生活を余儀なくされている中にあって、一日も早く従前の生活を取り戻す復旧対策が急がれております」と書かれています。  私は、生活再建というものなしには復興はあり得ないということを、予算委員会でもまたこの席上でも何度も訴えてきたつもりです。ですから、この従前の生活を取り戻す復旧対策、復興だけじゃなくて復旧それ自身の対策はいまだ必要だ、そしてその道はいまだ遠しという話を再三申し上げてまいりました。そういう点で、従前の生活を取り戻すという意味での対策にどうこたえてきたのか、今後どうしようと考えておられるのか、そのことについてだけお聞きしたいと思います。
  179. 小里貞利

    ○小里国務大臣 ただいまお話しの趣旨は、私ども今日、緊急あるいは復興対策を打つ上におきまして、最も大事に心得ておくべき要請だと思います。  今お話しのように、従前の生活を取り戻す復旧・復興対策、そういう一つのお話でございますが、私ども責任を有する行政あるいは政治の立場といたしましては、従前の生活を取り戻すことは当然のこと、やがてこれが、復旧・復興対策をみんなの力で全知全能を絞って総当たりをいたしまして、結果としては従前の生活以上のものを取り戻さなければいかぬ。そういう高い志、あるいはまた忍耐強い集中的な努力をしていかなければならない、さように考えておるところでございます。  さきに予算措置等におきましても、平成七年度の第一次補正予算でも御相談申し上げたところでございますが、今せっかく地元におきましても復興計画を策定中でございます。政府といたしましても、復興委員会等におきまして地元の意見も取り入れながら、国として考えなければならぬこと、とり行わなければならぬことを目下策定中でございます。  とりあえず、四月二十八日でございましたか、当面講じなければならない措置あるいはその方策等については、先刻御相談申し上げましたように、今それが具体化を急いでおるところでございますが、先ほど申し上げましたような信念で一生懸命ひとつ知恵を絞って進めていかなければならぬと思っておりますので、各位の御理解をお願い申し上げる次第でございます。
  180. 穀田恵二

    ○穀田委員 今、政治の立場としては従前の生活を取り戻すのは当然のことだというふうにお話がありました。私は、復旧対策のために、引き続き以下の四点を言っておきたいと思うのです。  きょうも総理は、「可能な限りの対応」「前例にとらわれない措置」ということをお話しになりました。先ほど小澤国土庁長官は、万全の対策ということをしばしばお使いになられました。そして今度は特命大臣は、当然のことであり、従前以上のものを取り戻すための高い志。志だけ高くても現実がどうかという問題はあるわけですが、現実に生かしていただきたいということを特にお願いするわけです。  一つは、やはり大量の公営住宅を建設する必要があるだろうと思うのです。災害復興住宅に対して、用地費の補助についても検討すべき時期に来ていると私は思っています。それが一つです。  二つ目は、やはり、この間いろいろ問題になっていますダブルローンを初め、個人住宅、マンションの補修・再建に、無利子融資などの制度を創設するとか軽減措置を講ずる必要がある。つまり、住宅再建という問題に対しての抜本的な体制をとる必要がある。  それから三つ目に、中小企業に対しても本格的な援助がこれから必要だと思っています。ついせんだっても問題になっているのですが、七月末に実は災害復旧融資が打ち切られることになっています。これはもともと、県や市が利子補給で二・五%を負担し、国が〇・五%負担する。私はこれは逆さまだと思うんですね。つまり、被災地で一番財政的にも苦しくて大変なところが、二・五%持つのが大変なのでもう打ち切らなければならない、したがって国も打ち切りますよでは、私はだめだと思うんですね。今まさに中小企業の立ち上がりを促進するためには、この融資を引き続き続ける必要がある。それだったら、国が二・五山してでも、県や市が〇・五で、反対にしてやるべきだ、こういうことを初めとして行うべきだろうと思います。  四つ目に、先ほども同僚の議員が問題にしておりましたが、危険宅地の補助の問題についても抜本的に考える必要がある。確かに補正予算で百五十カ所でした。しかし、ではそれ以外の地域は安全なのかというと、危ない。そうすると、五軒だとか三メートルだとかという要件がなければならないということで、その人たちの生命、安全は大丈夫なんだろうかと思うわけです。私は、その当時何をおいても人命救助ということでお話あった総理のことからいいますと、今どうしてもこれを、新しい補正予算を組んででも、そして予備費を使ってでも拡大をして、助けていかなければならない。  こういう四つは、今最低でも必要ではないかと考えているところです。  今、政治の立場というお話がありました。私は、従前の生活を取り戻すために何とかしてほしいという要望に対してこたえるのが政治の立場であろうと思っています。ですから、土台を再建してこそ自立があるのであって、自立の基礎が失われている段階でのそういうところに対する温かい政治の光を注ぐ必要があるんじゃないか。この四点を提起しておきたいと思うんですが、御決意だけ伺っておきたいと思います。
  181. 小里貞利

    ○小里国務大臣 この復旧、復興に対する政府あるいは政治の対応の基本について、今、心情、その姿勢をお聞かせいただいたのでございますが、まさにそのとおりでございます。あらゆる政策手段を最高に駆使する。そしてまた、既存の、あるいは可能な一つの現実のレベルをはるかに超えて、私どもは飛び越えて、そして新しい政策手段というものも知恵を絞らなければいかぬ。そういうひとつ旺盛な気持ちで取り組んでいかなければならぬと思っております。  殊に、ただいまお話がございましたように住宅の問題等々、もう時間の関係もありますから申し上げませんが、公的供給住宅等、御案内のとおりさきの補正予算におきましてトータルで三万三千戸、約半数に達するものを措置いたしたつもりでございます。あわせまして、ただいま地すべりの問題等もお聞かせいただいておりますが、これらも、率直に申し上げまして新しい知恵あるいは皆さんのそのような強い要請によりまして構築されてまいった問題ではなかろうかとも思うのでございますが、これで決して油断することなく、きちんとした気構えで対処してまいりたいと思っております。
  182. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、今大臣からお話あったような趣旨を生かすためにも、お話ありましたね、あらゆる既存の可能なレベルを超える、こういうふうなことが本当に行われるとすれば、例えば百五十カ所では済まないはずなんですね。そこまで広げたんだったら、逆に言えばそのことを本当にすべての地域、といってもおよそ必要な箇所数、がけの問題、民間宅地の問題でいいますと千二百カ所ですよ、八倍ですよ。ですから、四十億円の八倍、三百二十億円ですよね。このぐらいはやはりやってほしいということを希望して、この件についてはまだ議論をしたいと思います。  次に、法案に即して、簡単にこれも少しやっておきたいと思います。  一つは、時間もありませんので条項はもう言いませんが、罰則の適用に当たって、悪質な運転者に限定する必要があるんじゃないかと思います。駐車車両を含めて、発災時においては、当該通行禁止区域等に既にあった車両運転者や避難しようという人に対しては安易に罰則の対象とするべきではないんじゃないかと私は思うのです。したがって、こういう点では強権的な対応をすべきじゃないと思うのですが、この点についての見解だけ最初に簡単にお願いします。
  183. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 災害時の交通規制のあり方につきましては、災害状況によりまして随分異なってくるだろうというふうに考えております。例えば、噴火があった、そのふもとの道路通行禁止を行ったというような場合におきましては、山ろくの道路を通る車についても通行どめをしている。それをあえて入ってくるような車がありましたら、これは罰則の適用によりまして交通規制を担保できるというような場合もありますでしょうし、今回の阪神淡路大震災時のように、違反車両に対して現場で検挙を行っていったのでは緊急通行車両通行確保という本来の目的を達し得ない場合もあるだろうというふうに考えております。  このため、今改正におきましては、緊急車両通行確保という目的は必ずしも罰則によって担保されるものではなくて、七十六条の三に規定されております警察官指示あるいは措置命令等によりまして担保することが可能となっていくのだろうというふうに思っております。実際には災害状況に応じて対応していくことになりますけれども、罰則を適用するまでもなく、いろいろな措置等対応できるのではないかというふうに思っております。
  184. 穀田恵二

    ○穀田委員 そうなりますと、結局第七十六条の三関係になってくるんですよね。では、措置命令を受けた者が命令に従わないときというのはどんな場合を想定するのですか。そして、そういう場合でもそうだと思うのですが、強制措置というのは厳格に適用しなきゃなりませんよね。ですからその二つの関係、ちょっとお話しいただけますか。
  185. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 措置命令と申しますのは、例えば通行禁止になっておる、そこで通行している車両がありましたときに、道路の左端に寄りなさいというような形で、本来寄るべきなのに寄らない車に対して寄っていただくというようなケースもございますでしょうし、あるいは、駐車はしたけれども道幅が狭くて、ここにとまったのではなかなか緊急通行車両が通れない、こちらの路地に入ってとまりなさいというような形での命令を行うような場合もあろうかと思います。
  186. 穀田恵二

    ○穀田委員 ですから、強制措置についての厳格な運用が必要じゃないかということを私は言っているのですね。つまり、何でもかんでも強制措置だというようなことにいかぬのではないか。今あったように、この場合、この場合、この場合という形でしっかり厳格な適用をどうしてもやっていただきたいと思うのですね。  それはそういうことだと思うのですが、次に、先ほどありましたように損失補償、その対価についてはどのように判断していくのかということを聞きたいのです。私はやはり、十分な対価を補償するということが、先ほども車にちょっと傷がついたという話がありましたが、そんなのじゃなくて、基本的考え方としてどうなのかということについて、そういう例を具体的に出すまでもなく、考え方の根本についてまず聞いておきたいと思います。
  187. 村瀬興一

    村瀬政府委員 損害を生じた場合には、通常生ずべき損失というのを補償するということになろうかと思います。ただ、実態的にどういうことがあり得るかといいますと、車そのものをめちゃくちゃに壊すというようなこと自体は余り考えられないと思います。例えば、ブレーキがかかっているのを解除して動かしやすくするために窓を壊すとか、動かしているときにバンパーがぶつかるとか、そういった程度のことが多いのではないかというふうに考えております。
  188. 穀田恵二

    ○穀田委員 次に、緊急物資の輸送の問題や、いろいろな車両が入ってくるということに関連をしてちょっとお聞きしたいのですが、先ほど同僚議員に対する答弁の中で、被災者だとかが避難をする場合について言うならば、公安委員会の告示の際に社会通念上通行可能となるよう配慮するということがありましたね。私はそこは大事だと思うのです。ここはどうしてもやっていただきたいわけですが、そのときに、その問題それ自身について周知し切れるのか。といいますのは、告示しているという間がなくて事態が起こっている場合があるわけです。ですから、必ず可能とすべきだとあらかじめそういうことについては明確にしておく必要がある。先ほどの質問の関係で悪いのですが、そういうことが必要じゃないか。  あわせて、どういう範囲でそういうことが適用されるのかということを明確にしておかないと、告示をするというようなことを言っても間に合うのかということもあるので、これは大事な点だと思うのですが、その辺はいかがお考えですか。
  189. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 社会通念上必要な車両ということについて告示をするわけでございますけれども、その際の具体的な判断というのは、その除外車両としての標章を交付する場面におきまして、警察署で実際に行う場合が多いと思いますけれども、その場面で本当にこれが必要な車両かどうかということの確認を行っていくということになろうかと思います。
  190. 穀田恵二

    ○穀田委員 いや、それはちょっと違うと思うのですよ。というのは、まず一つは先ほどあったように公安委員会が告示をするということになるわけですね。ところが実際は、現場ではどうかとなりますと、警察官現場には当然いるわけだから、では、とめた警察官がこれはだめだと言った場合に、それはそういう判断を、例えば車が搬送している場合なんかについて判断をするということになりますよね。だから、判断は二段あるのですよね。つまり、公安委員会が判断する、現場が判断する。そうなりますとこれは、現場でいえば当然標章を持っていなければならぬとなるわけですよね、そこで配るということもあるわけですから。そういう関係をどう考えておられますか。
  191. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 緊急通行車両につきましては、ある程度、例えば緊急通行車両という標章を交付するわけでございます。それで、いわゆる除外車両というものにつきましても標章を交付していくのが原則であるということでございまして、基本的にはその標章の交付というものは警察署の窓口等で行っていくことになりますが、もう一つ、やはり現場警察官が判断して、これは標章はないけれども通っていくのはどうしてもやむを得ない事情があるなというような場合も実際にはあろうかと思います。そういったものにつきましては現場の運用というものもあり得るのだろうというふうに思っております。
  192. 穀田恵二

    ○穀田委員 これは正確にしておきたいのです。つまり現場の中で、先ほど、病人その他の被災者だとかそういう方々の搬送、障害者も含めて、搬送をする場合、それは本来的にそういうことがあり得るということで明確にするということですよね。公安委員会自身として、こういうことはあり得るんだと。では、現場においては標章なしでもそれは可能だよということにするということですね、そこだけははっきりしてほしいのです。  つまり、公安委員会は判断するわ、現場は判断するわで、二段で判断しなくちゃならない事態がつくられて、実際はそこでとめられる。標章もないからまた二回も三回もとめられるというようなことが起こって、実際、搬送その他で病人の段取りが狂うなんということがあったらえらいことなんですね。  しかも、なぜ私がこんなことを言っているかというと、厚生省の関係でいいまして、「震災時における医療対策に関する緊急提言」ということをまとめているのですが、そこでも実は「災害時搬送システム及び広域搬送システムの確立」という中に、厚生省自身は、「消防署の救急車、病院所有の救急車の使用法、自家用車の活用等について明らかにしておく必要がある。」と言って、これは自家用車でやるんだということを言っているのですね。そうなりますと、片や厚生省は運ぶためにはこれは使うんだと言っている、現場ではとめられるというようなことがあったりすると、これは事命にかかわる問題だから、はっきりしておきたいわけですよ。どうですか、大丈夫ですか。
  193. 伊藤哲朗

    伊藤説明員 先ほどの御質問のように、組織的に自家用車を使って傷病者を運ぶというような場合におきましてはあらかじめ警察署の方から標章をもらっていくということも可能だと思いますが、現実になかなかそういういとまがないという場合におきましては、現場におきまして確かにこの自動車通行は必要であると判断された場合には通ってよい、標章がなくても通れるという形になります。
  194. 穀田恵二

    ○穀田委員 これは大事な問題なので、本当にそういうことをきちんとやっていただきたいと思うのです。  その場合に今度の法案との関係で大事なことは、交通規制の強化だけで−交通規制の強化というのはああいう方々が流入してうまくいかないということであって、本来、人の命を救うところに主眼を置いて考えるべきですよね、それが基本なんですよね。そうしますと、被災者の安全を確保するという場合に交通規制の強化だけでできるだろうかということは、皆さんこもごもお話あったとおりだと思うし、私もそうじゃないと思うのです。だから、今度そういう被害が起きた場合にどんなふうに行動するかということで、私は各地のマニュアルを若干持ってきました。  私の京都でいいますと、こういうふうに「防災のてびき」とありまして、「地震から身を守るための十カ条」ということで、地震発生のときはどうしたらいいかということを書いているのですね。それから、何もこの市が悪いという意味ではなく、たまたまいただいた資料で「国土庁防災局」と書いてありまして、「鎌倉市防災マップ」というのがあるのです。その中にも「”ぐらっ”ときたら」と書いてあるのですね。ぐらっときたら、それから地震が起きたら、それから津波、全部あるのですが、しかしその中に、車に乗っていってはだめよという話はまだ書いてないのですよ。  だから、これは今回決められつつあるものだからそういうことなのかもしれないが、こういう周知の内容の中自体に避難をすべき手だてについてあらかじめ書かれていなければだめだと思うのですね。しかもこれは国土庁の防災局なんです。そこの中には、車に乗ってはだめよとか、人が避難するときは歩いていきなさいよなんて一言も書いてないのですね。これではやはり、こういうものの改正に当たって、これは必要だよということを本当にお考えなのかどうかということを一つ聞きたい。  確かに津波に関連しているところはこの前ありましたよね。津波があって、車に乗っておること自身がさらわれるということがあったので、それは「避難に車は使わない」とやはり書いていますね。各地のマニュアルとの関係で、そういうものはどうするつもりかというのが一つです。  二つ目に、なぜそんなことを言っているかといいますと、私は前にも一度訴えたことがあるのですが、「全国市町村の防災活動と住民の防災意識について」という京都大学の防災研究所の方々の調査結果が出ているのです。その中に実は、危険指定地域について、これは水害の例ですが、水害危険指定地域住民に知らせている市町村は、関東地方では三二・二%と低いのです。そして、全国平均で見ると周知実行率は五二・一%、半数をわずかに超えているというのです。その上にさらにひどいのは、サイレンだとかで避難だというときにどう合図するかということを住民に周知している市町村は、全国平均で二四・六%だというのですね。わかりますね。つまり、やられている内容がこういうふうに残念ながら即応されていないということと、実際に周知されていないという二つ目の問題がある。  三つ目の問題は、こういうものを生かそうと思いますと、先ほどの話じゃないですけれども、結局のところ、住民が自分たちで参加をして、こういう形で避難をしようじゃないの、そして自主防災で訓練したりしてこうやってやっていくのよというふうな形での住民参加に基づく避難計画や避難のあり方についての検討が血や肉にならなければ、絵にかいたもちになるということなんですね。  この三つが私は極めて大事なことだと思うのですが、その点、いかがですか。
  195. 村瀬興一

    村瀬政府委員 今回の災害の経験によりまして、車を使うというようなことがありますと非常に渋滞があるということで、救急活動等の災害応急活動に非常に支障が出てくるということは非常にはっきりいたしましたので、今後、避難のときに基本的には車は使うなというようなことを徹底して周知しなければいかぬというふうに考えております。  それから、二番目と三番目の問題でございますが、今後、それぞれの地域にどういう災害の危険があるのかというようなことについて、これまでもある程度は努力しておりますけれども、それぞれの公共団体において住民の皆さん方に、自分の地域にどういう地域があるか、例えば地震の危険がどの程度あるのか、あるいは水害がどうなのかというようなことについて十分御理解をしていただいて、しかも先生おっしゃいましたように、実際の避難の行動、あるいは災害弱者がいらっしゃったような場合にどうやって避難所まで連れていってさしあげるかというようなことまで、実地に即した体験といいますか訓練をした上でないとなかなか徹底しないということはそうだと思いますので、そういった方向で公共団体にも努力していただきたいというふうに考えておるところでございます。
  196. 穀田恵二

    ○穀田委員 そこで、自治省・消防庁防災業務計画というものの中に「地域防災計画等の作成の基準」とありまして、そういう基準がずっと設けられているのですが、その基準自身の中に——例えば今実態的に言いましたように、被害が起きたないしは被害が全国調査をして知らされている実態、それから、いざ避難という場合のサイレンのやり方だとかを知らせている実態が少ないと言いましたね。実はこの消防庁の防災業務計画自身の中にやはり住民への周知という実態が余りないのですね。だから私はそういう点も、この防災計画自身を周知徹底させていくということからしても、肝心かなめのトップのところ、上の方も改善をしないとだめなんじゃないかということを改めて提起したいのです。  しかし、肝心なのは実際にやっていく方ですから、皆さんが避難する上で、地震の場合、それから災害の場合、弱者をどうするか、隣近所をどうするかということが本当に大事なんですね。結局その方々が動かないことには、車だけ規制して後はだめよなんて話じゃなくて、そういうものを規制する前段の肝心なところは、住民がどうしてみずから避難をするかという、計画自身に参加をして実行するという訓練がないとだめなんですね。そこを重視してほしいと思うのです。  そこで最後に、なぜこんなことを言っているかといいますと、今度見ますと、建設省は「震災に強いまちづくり構想」というのを発表していまして、そこでは建物の関係で大体こういう建物をつくらなければならぬということをずっと言うのですね、安全なものをつくらなければならないと。郵政省はと見ますと、大地震対応の通信ネットワーク体制に関する検討会で、防災行政無線のガイドラインを策定しなくてはならぬと。  文部省はと聞きますと、今度の「公立小中学校施設の防災機能整備について」という方針の中に、空き教室、余裕教室ですが、そこに備蓄の体制をとらなくてはならないと言っているのですよ。ところが一方、今度の阪神淡路大震災で問題になった例えば学校給食用のガス供給方式の併用化というのは先送りなんですよ。あわせて耐震性の問題でプールを強化したらどうだという話が出たのですね、これも来年送りなんですね。こういうふうになっている。  建設省も、そして郵政省も文部省も、ほかの省もそうですが、いろいろ具体化するのですね。ところが肝心かなめの問題は全部それが縦割りでやられて、各省任せにやっておったのじゃだめなんだ。だから私は、ここで国土庁がいわば調整をし、全体として今何が問題かという柱を設定して、そういう中でイニシアチブを発揮してやっていく必要があるのじゃないかというふうに思うのですね。そういうことをまとめ、防災基本計画としてやらなくてはならない。  そういう角度から見た場合、やはりこういうものについて、各省庁ばらばらに、やっていいことは当然いいのですよ、だけれどもむだが重なる場合も当然あるでしょうし、さっき言ったように厚生省はそういうことをやっているわけですから。だから、そういうものをいわば統括すみ省庁としての役割を今本当に果たさなくてはならない。そういうことだと思うのですが、これは大臣、どうですか。
  197. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生御指摘のとおりであろうと思います。国土庁、各関係省庁とよく調整をしながら行ってまいりたい、かように考えております。
  198. 穀田恵二

    ○穀田委員 それは当然なんですよ。ただし、本当にこれは一つ間違えば、さっき言いましたように、片方では自動車で運ぶということを言う、こっちはこっちでだめよと言うというような矛盾なんかも出てきているような現状があるわけですから、よく見ていただいて、これとこれをどうするかということについて、人命救助を基軸にする、それから耐震性の建設を基軸にするとか、やはり柱をきちっと設定しないとだめだと思うのですね。そういう点についてのしっかりした決意をやっていただかなくてはならぬと思うのです。  そういうことを希望して、また議論をしたいと思います。
  199. 日野市朗

    日野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  200. 日野市朗

    日野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  災害対策基本法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  201. 日野市朗

    日野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  202. 日野市朗

    日野委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、稲葉大和君外三名から、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。小池百合子君。
  203. 小池百合子

    ○小池委員 私は、この際、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの四会派を代表いたしまして、災害対策基本法の一部を改正する法律案に対し、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。    災害対策基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は本法施行に当たり、次の事項について速やかに善処するとともに、運用に万全を期すべきである。  一 近年大規模災害が多発している現状にかんがみ、災害対策基本法及び各種防災計画などわが国の防災体制を抜本的に見直すことは、現下の緊急かつ最重要課題と認識し、政府は可及的速やかに抜本改正の作業に着手すること。  二 災害時における緊急通行路確保のため、防災の観点から道路交通ネットワークのあり方について検討を行い、交通管理体制の適切な運用に努力するとともに、住民に対する防災教育を徹底すること。  三 災害対策基本法の抜本的改正に当たっては、今回の緊急通行路確保のほか、救急医療体制の整備、消火機能の強化、災害時通信システムの整備地震予知体制の強化等を災害対策として緊急に整備拡充すべきことを念頭において早急に検討を始めること。  四 大規模災害発生時において被害規模を早期に把握するため、情報収集・伝達体制の一層の強化を推進するとともに、国、地方公共団体、消防警察及び自衛隊などの広域的な協力体制を含めた防災体制の確立を図るよう努めること。  五 予測が難しい突発型の大規模災害発生に対しては、政府及び地方自治体の初動対応が極めて重要であることを確認し、国民の生命と安全と財産を守るという政治の原点に立ち、非常災害時の政府の体制等国の危機管理体制のあり方について抜本的な検討を加えること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をよろしくお願いいたします。
  204. 日野市朗

    日野委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  205. 日野市朗

    日野委員長 起立多数。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について、小澤国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。小澤国土庁長官
  206. 小澤潔

    小澤国務大臣 本委員会におかれましては、本法案につきまして熱心な御審議をいただき、ただいま全会一致で議決されましたことに深く感謝を申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体して努力する所存でございます。  ここに、本法案審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対して深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。     —————————————
  207. 日野市朗

    日野委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 日野市朗

    日野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  209. 日野市朗

    日野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十六分散会