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1995-05-31 第132回国会 衆議院 国会等の移転に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月三十一日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 中山 利生君    理事田野瀬良太郎君 理事 西田  司君    理事 青山 二三君 理事 久保 哲司君    理事 坂本 剛二君 理事 永井 哲男君    理事 玄葉光一郎君       東家 嘉幸君    根本  匠君       古屋 圭司君    堀内 光雄君       井上 喜一君    長浜 博行君       船田  元君    山岡 賢次君       田邊  誠君    中村 正男君       中島 武敏君  出席政府委員         国土庁大都市圏         整備局長    荒田  建君  委員外出席者         参  考  人         (野村証券株式         会社常任顧問) 依田 智治君         国会等移転に         関する特別委員         会調査室長   杉本 康人君     ――――――――――――― 三月十五日  国会等地方移転等に関する陳情書  (第一六  四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国会等移転に関する件      ――――◇―――――
  2. 中山利生

    中山委員長 これより会議を開きます。  国会等移転に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として野村証券株式会社常任顧問依田智治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山利生

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  4. 中山利生

    中山委員長 この際、依田参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、最初に三十分程度意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、依田参考人、お願いいたします。
  5. 依田智治

    依田参考人 御紹介いただきました依田でございます。この重要な特別委員会出席させていただき、意見を述べる機会を与えていただきまして、心からお礼申し上げます。  私、経歴等既にお配りかと思いますが、警察の方に二十七年ばかりおりまして、総理秘書官を三年やっている間に危機管理とか防衛問題担当をしておったという経緯もありまして、役人最後防衛庁に参りまして六年ばかり、最後防衛事務次官で退官して、野村証券に、主として企業危機管理というような立場からアドバイスしようということで、三年半ばかり顧問をしておるという状況でございます。  その間に、内閣では、総理大臣秘書官危機管理担当しておりましたときに大韓航空機事件とかいろいろございまして、総理のこういう危機における役割というか、それを補佐する秘書官としてのあり方というものをつぶさに経験いたしました。防衛庁へ行ってから事務次官になる前に安保室長初代佐安保室長の後を受けまして私二代目でございますが安保室長で、ちょうど海部さんの内閣のときでございましたが、お仕えしたというような状況でございます。  野村証券へ行ってから同友会にも入りまして、主として、国家像あり方とかニューワールドオーダーと我が国あり方とか、最近の阪神大震災では大震災対策タスクフォースというようなことで、今後の我が国のこういう大きな地震等に対してどう対応していったらいいんだろうかというような問題も、直接経済人の中にまじりまして経験させていただいた。きょうは、そんなことを踏まえまして、私の感じている意見を率直に申し述べさせていただきたいと思います。三十分でございますので、ほんの箇条的な形になりますので、あとまた質疑等の中で詳しく意見を交換したいと思っております。  スケルトンとして二枚ばかり配らせていただきましたが、今日の日本で非常に問題なのは、民主主義というのは戦後五十年相当確立しているけれども、危機管理的立場で見た場合には、これが非常に脆弱化している。したがって、いかにして危機に強い民主主義というものを確立していくのか、そして国民安心して暮らせる本当に安全な国家社会というものをどう構築していくかということは、私は、戦後五十年経て、これからの日本なり国際社会を建設していくという意味で大変重要な問題ではないか、こう考えております。これも、ただ単に我が国一国の問題だけではなくて、グローバルな視野に立って、こういう視点から物を考えていく必要があるのではないか。  我が国の場合は、ここにありますように湾岸危機とか阪神大震災、最近のサリン事件、こういうものに関連して、何とか危機管理体制強化しなければいかぬ、特に阪神大震災等の例を見ても、もし東京に大地震が起こったらこれで対応できるのかというようなことから、最近、各方面危機管理問題が大変な関心を呼んでおるわけでございます。したがって、これをいろいろな角度から強化すべきである、この国会等移転問題もそういう中で大きなインパクトとして考えるべき問題であろう、その重要性の認識は高まっているのではないか、こう私は思うわけです。  ただ一方、こういう議論を進めますと、必ず、危機管理に名をかりてまた旧体制に逆戻りする、我が国の確立した民主主義が破壊されるのではないかとか、多少非能率でも民主主義の方がいいんだ、だから多少の代償はやむを得ないというようなことを言う人もいるわけです。しかし、人命の重要さ、国家社会の安全と安定の重要さというものをどこに置くのかということが大変問題だと思いますが、私は、ここに第二項目で書きましたように、国民安心・安全の確保は最大の福祉である、そういう観点に立って、民主主義の確立に努めつつ、かつ危機に強い国家の形成ということを考えていく必要があるのではないか。  それで、こういうことを進める上での大きなインパクトとして国会等移転という問題は大変重要だ。ただ、そこで考えなければいけないのは、国会等移転しても、どこか東京からちょっと離れたところに、提言によれば六十万都市ができたというようなことだけでは、これは何の意味もないわけです。そして、それを動かしていくのは人であり制度であるということも考えますと、まずそういう世紀の大事業というか、大変な長期的視野コストをかけた大事業をやる以上、それが本当に我が国土の分散型の発展に寄与するような、そしてそれが本当に国民安心・安全に役立つような形で活用されるようなシステムというものを確立して、並行して進んでいかなければ意味がないのではないか。  だから、そういう点で、きょうの私の意見としては、まず第一点としては、最近の事例等から見て我が国ではどういう点が危機管理の面で欠如しているのだろうか。私は、内閣その他に勤務した経験で、若干私見でございますが、率直な意見を言わせていただこうと思っております。それからやはり危機に強い都市づくり、こういう二点でお話をさせていただこうと思っております。  私は、最近の事例、特に湾岸危機のときちょうど防衛庁事務次官をしておりまして、あのときつくづく感じたのですが、安全保障というようなものについて、我が国国民政治家皆さんも本当に腹構えができていなかったのじゃないか。ゼロからの出発というか、まず自衛隊は使わずに文民でやろうかと考えたけれども、人が集まらぬ。そういうことから、事務次官どうだろう、自衛官が休職して服を脱いで行くというのはと。だがしかし、自衛官というのはやはり宣誓して、国家のために一たん緩急あれば命をささげるということでやっている集団ですから、それを使う以上、国家としても腹構えを持ってぴしっとシビリアンコントロールのもと活用しなければ、安全保障の一環としての位置づけができないわけです。そのあたりのところはほとんどゼロから出発した。  それを考えますと、今日PKO法等によるカンボジア、モザンビーク、ザイール、そういうところで活躍しておる姿を見ますと、大変な変化だ。ただ、これは国際常識に照らすとまだまだ不十分な点がいろいろあるのじゃないかというような点をつくづく感じております。  阪神大震災につきましては、私も警察庁で警備課長とか警視庁警備部長とかしておりましたが、大震災とか東海大地震というようなことから大震災対策特別措置法というのができて大変にみんな関心が高まっていましたが、どうしてもやはり関東の方に向いておって関西はほとんど関心が薄かった、こういうところに今回の大震災の大きな原因があったのじゃないか。  しかし、予知制度を見ますと、名古屋・京都・大阪・兵庫地区というようなことで、予知連絡会等の八つの重点的な予知観測地域に入っておるわけですね。そうして、十年前ぐらいの新聞を見ましても、当時もう専門家関西でも危ないというようなことを結構警告している。しかし、国民担当役人政治家の方々も、それほどこれを大変だから備えようということがない。やはり焦眉の急は関東だという感じがありますから、多発地帯に対する手当てみたいなのが重点的になってしまう。ここは対策コストの問題が出てきますが、そういうことで、やはり予知というものは、直前予知は難しくても中期予知長期予知等に基づく、それに見合った対策を指導していくというのも、これも私は政治リーダーシップではないかという感じがいたします。  地下鉄サリン事件というようなのは全く予想外のというか、私ども警察極左暴力集団、第一次安保、第二次安保、その他連合赤軍等担当しましたが、彼らの中には一つ節度というものがあって、無差別な大衆を殺傷というようなことはやらないし、それから銃器等による殺傷というものはほとんどなかった。そこには節度があった。  ところが、國松長官狙撃事件なんかを見ますと、全く直接ねらう。日本の現在の民主主義というのは、銃器等によって直接ねらうというようなことについては極めて脆弱というか、防備はゼロというに近いのじゃないか。私も、警視庁警備部長SP等責任者をやっておったわけですが、もし今の日本銃器その他で殺傷しようということで直接ねらわれたら、本当に守り切れない。したがって、そういうことを起こさせないような銃器取り締まりないし社会というものをつくっていかなければいかぬということじゃないかと思います。  そんなことで、結局、それぞれについて国家社会として必要な備えというものをしなければ必ず憂いというかまずい結果が出る、これは当たり前なことではないが、こう思うわけです。したがいまして、我々としては、国民安心・安全の確保のために、今後どう国づくりをしていくかということが大変重要じゃないかと思います。  余り詳しく述べていると時間がなくなってしまいますので、あと項目的に申し上げます。  まず、危機に強い民主主義国家というものをつくる。国会移転して内閣機能移転官庁機能移転して、それが今度は東京大都市圏とも離れ全国をフルに統括するというような形になりますれば、な水そういうシステムというものが必要じゃないか。  私、内閣安全保障室長をしておりましたが、今いろいろ内閣機能強化が叫ばれておりますが、日本の場合はまだまだ縦割り行政というものが徹底しておりまして、私が行ってびっくりしたのは、ここの点は口出しするな、この点は口出しするな、これは口出しするなとなっております。したがって、何か起こったときに新聞記者はすぐ安保室長に飛んできますが、何もすることはないという状態です。  それで、大地震は、御承知のように国土庁所管でございますし、中央防災会議の系列は総理府に中央防災会議があります。内閣内政審議室窓口になっているということです。しかし、これが何か一たん大変な事態になってきたら安保室が引き受ける、こういうことになっているのですが、その事前情報はちっとも来ないわけですね。そこで、私は内調室長に友達があって、ちょっと事前情報をくれないかというようなことを、安保室にはファクスもありません、そんなことで内調から回してもらうということでやっていました。  私は、防災も含めた内閣危機管理機能というのは一本化して二十四時間態勢で、国民生命財産等を中核になって総理のもとで守っていくわけですから、態勢強化して二十四時間のウォッチ態勢をつくるべきじゃないか。この阪神大震災の後、内調で今二人ぐらいいる当直が窓口になってやるという当座制度ができていまして、それはそれで当座としてはいいのですが、国として危機管理をしていくためには、内閣でそういう二十四時間態勢、それで業務統合した、もうちょっと縦割り各省行政を調整できる強力な機能というものが必要じゃないか。それから、内閣情報体制というものは、もう少し強化していく。  それから、閣議によって決められた方針でやるので首相リーダーシップを発揮できないということをよく言われますが、首相が、関係閣僚集まってくれ、安保会議諮問機関だけれども、ちょっと意見聞くから集まってくれと言えば、活用できるのです。しかし、今日のようにいろいろな方が首相になるというような実態を眺めていますと、国家の仕組みとして首相危機においてリーダーシップを発揮できる体制というものをつくっておく必要があるのじゃないだろうか、こう感じております。  安保会議というのは、アメリカなんかは執行権大統領に属するということで、大統領助言する。集まってくれと言ったら、こうこうやるべし、じゃ、こうやろうということになる。日本内閣諮問機関ですから、安保会議の必要はないわけですね。何か中期防をつくるときに長期間かけて諮問して受けるという形になっていますが、私は、この安全保障会議危機における助言的機能というものをもうちょっと強化したらいいんじゃないか。それで首相助言する、首相はそういう助言に基づいて決断して、その方向で実施する。閣議報告は事後になっても、また国会等で後で承認するとか、そういう手続にして、もっと危機に強い、リーダーシップが発揮できる体制をつくっておくということが大変重要じゃないかと思います。  それから、新官邸の建設の問題が今あって、私も最近委員をやっておったわけですが、これは国会等移転をやっても結構長期な問題になりますから、当面、対策をしていくためには、ぜひこういう機能を備えた新官邸を早急につくる。それでまた立川にバックアップとしての防災機能を充実する、こういう危機管理機能というのは複数あるほど結構なので。そして、国会等移転して官庁機能とか国会機能が向こうに移転した場合でも、これはやはり大東京拠点としていろいろな活用の仕方があるのじゃないか、いざという場合はここも一つ現地拠点になり得るというようなことも考えて対応していく必要があるのじゃないか。  あと、時間の関係がありますので後ほどまた述べたいと思いますが、サリン事件等の例を見ますと、これからの犯罪捜査あり方というのも、危機管理民主主義じゃありませんが、基本的人権を尊重する中でいかに広域的な極悪な犯罪というものに対応していくか、そういう捜査体制なり捜査の手法もいろいろ考えていく必要はないかという点をつくづく感じております。  それから有事法制の問題は、これも有事法制をつくるというのは当たり前のことなんですが、こういうのは有事を想定するものですから、最悪の事態を想定して備えておくというのが危機管理の要請なんですが、どうしてもやはり嫌なことは考えたくない。それから、こういうことを考えるというのは、そういうことを考えてそういうことをしようとしているのかという考えになりまして、防衛庁防衛出動に関連しての防衛庁所管法令それから各省庁所管法令のところは、一応こういうことをすべし、こういう点は欠落しているというのが報告になっていますが、一番重要な国民権利義務とかその他に関連するような部分というのは、今安保室が預かって細々と研究はしておりますが、このあたり全くやっておりません。  ただ、これだけでなくてもっともっと重要な有事法制という問題はあるわけですが、これは私は、やはり不備なものは平時に備えておくということで、淡々と命じていただいて、関係方面で研究し備えておくということが大変重要じゃないか。  それで、何としてもこういう危機に強い民主主義体制をつくるためには、最後に書きましたが、国民理解協力と参加。  最近の阪神大震災ではボランティア活動等も脚光を浴びましたが、これもまだまだ日本の場合は未組織というか、非効率的な組織。だからもう少しボランティア活動組織化とか、今度阪神大震災等でも非常に問題になりましたが、どこに人が埋まっているかわからないわけです。それは自主警防組織とか消防組織というものがないと、コミュニティーが崩壊してくると、いかに警察とか消防とか自衛隊というのが出ていっても地域がしっかりとそういう実態を把握していなければ、結局災害があってもどこにおじいさんが埋まっているかということがわからぬわけです。  そういう点を考えますと、私は、こういう防衛関係ではシビルディフェンスなんという言葉が言われておりますが、やはり民間防衛組織というか、そこまでいかなくても自主的な消防組織、また犯罪捜査等にも協力できるような組織というようなもの、そういう地域住民理解協力、こういう体制をどうつくっていくかということがこれからの複雑な社会に対応していくための大きな問題じゃないか。こういう点は、今からでもできるものから逐次整備していっていただくということが大変重要じゃないか。  次に、二枚目の危機に強い都市づくりという問題、これはまさに首都圏移転の問題にかかわってくるわけです。  東京一極集中排除と、言われて久しいわけですが、私役人のときにちょうど国土庁などに呼ばれて、防衛庁としてはどこが動かせるか。いや市谷移転をやっているから、じゃこれを朝霞にやって、その地やる。じゃそれを計画にのせましょうとか、施設庁東京の支局をこっちにやりましょうとか、そういうようなことで名前は挙がっていますが、本当にじゃそれで移転が十分行えるのかといったならば、言うなればほんのちょっと、形ばかりじゃないかと思うのですね。  私は、これから国会等移転してまで目指すというものはもっともっと本格的な分散であるべきじゃないか。岩波新書皆さんお読みと思いますが、建設省の石橋克彦氏「大地動乱の時代」というので、最後の方で首都圏移転問題、東京一極集中排除なくして東京は救えないということを取り上げておりますが、まさにそのとおりじゃないか。  それで、国会等移転するということは、これを強力なインパクトとして、あらゆる安全な都市づくりという問題を並行して進めていく。ただ国会移転して東京をそのままだったら、まだ依然として危ない過密の経済産業都市というか経済都市というものになっているわけですから、この機会にやはり地方分権を徹底する。それから、企業なんかも可能な限り地方に移して、かつ、十分活用する。  それで分散した国土の計画的な発展に資するというような形で、それには教育改革というか、どこで教育を受けても十分やっていけるということがまた大変重要じゃないかと思うわけです。同友会等教育改革委員会にも所属して教育問題もやりましたが、企業の方としても採用の場合に大学名なんというのは書かないところも多くなってきております。そういうことで、全国どこでも同質の教育が受けられるような国土というものもつくっていかないといけない。こういう分散型の国土国民がどこでも平等に幸せを享受できるような社会、しかもそれが安全で住みよい、こういう社会をつくるためには、私は、国会移転というのは画期的なインパクトではないか。  そういう意味で、ただ移転するだけでなくて、移転する以上は今言ったような点も十分徹底した、そういう一斉な構想のもとに都市づくりというものをやっていく必要があるんじゃないか。  時間がなくなってきましたので項目だけ申し上げますが、その場合に、危機管理という視点に立った場合には、何しろ日本はどこに行っても危ない地震列島である。今度の関西の例を見ても、千年に一度か何かのああいうのが起こってしまったわけです。だから、立地条件というものは、地震とか火災とか津波にできるだけ強いところに立地して、千年規模長期的規模国づくり拠点をつくっていくということが重要ですし、危機管理の場合に、何しろ政治経済文化等重要機能が一カ所に固まっているなんということは、まさにこの過密な地震列島の上で、手の施しようがない。要員を集めようとしたって、関西では知事が相当長い時間おくれるぐらいですが、東京だったら担当者なんというものはほとんど集まれないぐらいに分散しているわけです。そういうような問題も考えますと、やはり重要機能というものを分散していく。  それで、企業でもデータベースなんかは今関東関西に分けていて、関東でもし問題があっても関西の方が機能するとか、いろいろそういう対策を講じていますが、そういう代替機能。だからこの国会等移転なんかも、今建設しようとしている東京の新官邸、それから新都市における国会官庁、こういう代替機能があることによって、国家としてもいずれがあれしても安泰の対応ができるというようなことだと思います。  それで、危機管理に強い都市の構築という面では、耐震構造とかインフラその他交通とかいろいろあるわけですが、今度の阪神大震災なんかでも広域体制というのが非常に脆弱であったわけです。それから、そういう体制に基づく訓練訓練の大体半分以下しか実力発揮できない、実力部隊でもなかなか訓練ほどの実力が発揮できないところを見ますと、訓練をしなくて今度自衛隊は出るべきだったなんといったって、出たって何の役にも立ちません。だから、そういう点を考えると、そういう耐震構造とかハード面強化とともに、ソフト面でいろいろ広域的なシステム体制をつくり、訓練を徹底していく。  その場合に、何としても危機管理というのは、どこまでコストをかけるか。徹底してコストをかけてトーチカみたいな都市をつくれば安全ですが、それじゃもうやっていけないわけですが、やはり致命的な欠陥は避ける。何が致命的かということから対策を講じていくということが重要じゃないだろうか、私はこんなふうに感じております。  いずれにしましても、私は、危機管理というのはあらゆる面で総合的に、戦後五十年確立した民主主義の中でいかに国民安心して暮らせるような安全な国家社会をつくっていくか、そしてまた、我が国だけでなく、難問山積している国際社会の中にどういう心構えを持って対応していくのかというような問題、これらも包括的に考えて対策を講じていく必要があるのではないか。  そこで一番重要なのは、政治リーダーシップではないだろうか。こういう問題はちょっとずつやっていたのではなかなかできないと思います。そういうことで、国会等移転というような大きな強力なインパクトを推進すると同時に、そういうものと並行して新しい国づくり都市づくりというものをやっていく、私はそういう意味での政治家リーダーシップというものに大いに期待している次第でございます。  以上でございます。どうもありがとうございました。
  6. 中山利生

    中山委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  7. 中山利生

    中山委員長 これより質疑を行います。  質疑につきましては、理事会の協議によりまして、一回の発言時間は三分程度委員長の許可を得てお願いをするということになっておりますので、委員各位の御協力をお願いいたします。
  8. 玄葉光一郎

    玄葉委員 一点だけ。  大変参考になったのですけれども、先ほど新官邸建設の委員をされておられるということをお聞きしたのですけれども、俗に、官邸を建設するとある意味移転の意義とか熱意が薄れてしまうのではないかというちまたの意見もございますけれども、参考人はこの新官邸建設と国会移転についてどう整理されておられるのか。  先ほど両立するものだ、両方必要なんだというふうにおっしゃられたわけでありますけれども、この点についてどう整理されておられるか、もう少し膨らませて御意見をお伺いできればなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
  9. 依田智治

    依田参考人 実は、第一回の官邸等の建設の懇談会があったときに、私はこの点を発言しました。国会等移転委員会が一方で相当に進んでおる。そこで、相当な金をかけてこれから新官邸をつくる、これとどう結びつけて整理して考えるべきなのか、これを問題提起しました。  今の質問でありますが、答えますと、私自身は、この過密化した東京の中で、今の官邸では、もう全く阪神大震災規模以上の大きなものが起こった場合に、恐らく機能は麻痺してしまうのではないかと思うのですね。そういう意味で、大変急がなければならないという問題だと思います。  これは内調等を中心に各省とも情報収集を強化していると言っていますが、では総理府と官邸との連絡はどうかというと、総理府に当直体制はあるけれども、あの総理府の建物が本当に安全なのか、いろいろ情報機能なんかは大地震が起こっても一〇〇%維持できるのかということを見ましても、必ずしも十分ではありません。したがって、官邸を早期につくるというのは、今やもう大変急がれる問題ではないだろうか。  それでまた、今言いましたように、政府もその後相当強化した対応策を講じていろいろ応急対策を進めておりますが、官邸一つでは不十分とすれば、立川防災基地がいざという場合には防災会議機能が十分果たせるような形でバックアップできるように、この二つは最低限強力に推進していく。  一方、先ほど申しましたように、これはただ官邸をつくるという話ですが、国会等移転という問題は、国会移転を契機に我が国分散国土形成というものを進めよう、しかも危機に強い安全な国家にしていこうという膨大な長期的視野に立った計画だと私は思うのですね。だから、相当時間がかかる。そういう相当時間がかかる計画ですから、これはやはり今の官邸推進等があっても矛盾するものではなく、計画的に進めていくべきではないか。  それでは、こっちが移転になった場合には、これは無用の長物にならないか。それはならないと思いますね。国会等移転していろいろ分散した後でも、東京というのは世界に冠たる過密都市。そうすると、そこにはしかるべく危機管理拠点としての情報センターとかその他いろいろな官庁の集合的なものの部局等もあって結構ですし、そういう形でこれが有効に機能し得る。  それで、先ほど言いましたように、一方があり一方がある、それが相互に機能し合ってまさに有効な危機管理ができるのではないかということで、私は、官邸を新たにつくるということは決して矛盾するものではなくて、まさに早く急ぐべきであって、危機管理上非常に好ましいことで、強力なインパクトとしての国会等移転も遠慮なく強力に進めていただく。コストはある程度かかりますが、これは国家として国民の生命、身体、財産を守るための当然必要なコストである、このように考えておるわけでございます。
  10. 船田元

    ○船田委員 新進党の船田元でございます。  以前に内閣安保室長でありました依田参考人の大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。とりわけ、これまでの御経験の中から内閣機能強化首相リーダーシップのことにつきまして、大変力を込めてお話をいただいた点、これは私も全く同感でございます。  これは、まず質問ではないわけですが、私も最近首相公選論というのを唱え始めまして、これは、現在の議院内閣制のもとでは、その中で相当努力をすればかなり改善をする部分もあるとは思いますけれども、しかしやはりこの議院内閣制というものから少し離れてみて、そして首相総理大臣というものが国民から直接選ばれるような形にしていくというアプローチをすれば、現在のこの内閣機能強化ということ、あるいは総理の権限の強化、こういうことに相当つながるのではないか、こういうことを考えまして、そういう観点からも首相公選論ということを申し上げたつもりなんであります。  しかし、これはいずれにしましても憲法改正なども当然伴う問題であり、十年あるいは二十年かかる問題であるかもしれません。こういう問題、それから今この委員会で当然議題となっております国会移転という問題は、これはいずれにしても十年越しの大きな問題でありますので、いずれも議論の対象として非常に価値のあるものではないか、こういうことで両々相まって議論していきたい、私はこういうふうに思っております。  そこで質問でございますが、二つございます。  一つは、これはなかなかお話ししにくいことかもしれませんけれども、外からの脅威、もちろん国内におけるゲリラということも含めまして、防衛上の観点から見た首都の移転先というのでしょうか、それは具体名を挙げるところまではいかないと思いますけれども、そういう防衛上の観点から見て守りやすい地域はどこか、こういうようなことで、移転先などについての何か物の考え方の基本でも少し御示唆をいただければありがたい、これが一つでございます。  それからもう一つが、新しい首都。これは国会移転ということがまず最初になると思いますが、いずれはさまざまな首都機能というものが移転をしていくわけであります。現在、首都移転調査会などでもいろいろ議論をしているところでございますが、やはり防衛上から見て、あるいは安全という面から見て、この都市の中の内部構造、どこにどういうものを置くのか、あるいはどの程度の集積で置くのか、こういうことについて防衛というような観点から何か御示唆をいただければありがたい、その二点でございます。よろしくお願いします。
  11. 依田智治

    依田参考人 今、防衛という点について御質問があったわけです。私は大変重要な点を時間の関係でちょっと見落としておったのですが、自衛隊の憲法上の位置づけというもの、ちょっとそれを、委員長、よろしゅうございますか。  これは極めて重要な問題なんで、ちょっとあれさせていただきますと、私は実は、防衛庁におりました当時から憲法九条というものに非常に関心を持っておりまして、特に、九条第二項で「前項の目的を達するためこということで、これが自衛権は持てるんだという芦田修正だというようなことになっておりました。そういう意見が結構強い。  そこで、何とか国会の秘密議事録というのは見せていただけないものかと思っていましたところ、日本の場合はまだ公開されていない。たまたましかし、アメリカではGHQに行ったものが公文書館で公開になって、元国会議員、衆議院議員の森清先生が秘密議事録ということで大変貴重な本を出された。  それを実は読ませていただいたところ、芦田先生は、むしろ二項を一項にして、武力は持たないことにしよう、一切持たない、第二項で戦争放棄、こうやる、そうすれば将来疑問の余地がないということを実は言っておった。それに対して、当時の金森国務大臣が、いや、それは政府としては侵略戦争の放棄というのは永久的な問題だから第一項に置く、第二項は、私見だけれども、将来国際連合との関係において、我が国が加盟したような場合には二項は将来国民が考える必要もあるのではないかということで、二項に置いた方がいいんだというようなことで実は二項になったという経緯があるようでございます。  それを見ますと、実際当時つくった人たちは、占領下でもあり、自衛隊を持つ気はなかった、軍隊等は持たない。ところが、結局御承知のように、独立し、国連にも加盟した。少なくとも国家として自衛権を持つのは当然である、憲法も認めるところであるということで、今日の自衛隊も設置された。ただしかし、そういういきさつで来ているものですから非常に限定的な政府解釈になっておって、集団的自衛権の問題等につきましても、国連との関係においても、非常に限定的な形にならざるを得ない。私は、ここのあたりが今日の国の危機管理的観点から見た場合の自衛隊の運用というものを非常に窮屈にしておる問題じゃないか。  そこで、ぜひこれは、戦後五十年たっておりますので、国会等でも調査会等設けまして、こういう問題について真剣に、むしろ憲法全般の問題について真剣に考えていただいて、自衛隊を的確に憲法上位置づけ、そして、憲法の平和主義と国際主義というものは決して矛盾するものではありませんので、私は、国際的な面での安全保障安保理の常任理事国問題、その他PKFの凍結解除とかそういうような問題についても、ぴしっとした対応を講じていただくということが大変重要ではないか、こう感じておるわけです。  今回の阪神大震災等でも、自衛隊が出おくれたとかいろいろありますが、やはり自衛隊と実際上の訓練をほとんどしていない。出たとしても、若干の給水車が出て水を運んだとかヘリコプターがちょっと出たという程度で終わっておるわけでして、そんなことで大部隊が混乱した現場に行って活動できるわけがないわけです。そういう点を考えますと、やはり自衛隊というものを、憲法改正が当面無理とすれば少なくとも政府解釈によって、そういうことがきちっとできるように、最小限自衛隊法等にしっかりと国際的任務等も含めた位置づけをするということが大変重要ではないか、私はこのような見解を持っておるわけです。そうすれば、現行法を改正しなくても、大災害等で十分私は活用できるのじゃないかと思います。  総理の命令による出動とかいろいろ意見も出ております。それは、あればあるで総理リーダーシップも発揮できるわけですが、総理にまつまでもなく、防衛庁長官が必要によったらできるわけですし、そして何よりも、平素国民とともに一体となって訓練し、マニュアルをつくり、常時訓練しておけばできる。そういうことを考えて、いろいろ国家危機管理にいかに有効に自衛隊を活用していくかということが、私は、大変重要な問題じゃないか。この重要な点を一つ述べるのがちょっと欠落しておりまして、どうも失礼しました。  そこで、先ほどの問題ですが、どこが安全かということは、例えば今北朝鮮が相当なミサイルを開発している、こういったものの到達距離というのがだんだん延びできますと、日本の全土を覆うと思うのですね。それで、今アメリカとのこれを何とか成功に持っていっていただいて、核開発というものを断念してもらわなければいかぬ。もしそういうことが不成功に終わるとすれば、日本として安全なところはないと思います。だから、そういう点では、日本列島というのは、どこもそんなにそういう長距離のものから安全なところはありません。  だから、私は、防衛上云々ということは国会等を考える場合に、私見ですが、そう重点を置く必要はないのじゃないか。むしろ、今ある首都とのあれ、それから災害、火山、地震、津波、こういう点、それから安全な都市。昔は、幕府なんかを開くときは、山のふもとに開いたりそういうようなことをやっていましたが、今の時代では、ちょっとそういうのはなかなか無理かなと。  ただ、自衛隊の場合には、基地という問題、私は、ぜひ全国分散しておく必要がある。今、首都圏なんかでも、市ケ谷移転問題があって部隊がちょっと遠くに行く。これは危機管理上問題があるのじゃないかというような意見もありますが、そのために、きょうの新聞等でも何か機動的なヘリコプター等を大いに活用できて空路輸送できるというシステム、どこに都市をつくってもヘリポートというものを有効に活用することは、私は大変重要じゃないかと思います。陸路というのは、我が国のような地震地帯では、どんなに強固につくっておいても支障が生ずる可能性が出ますので、やはり空輸という問題に重点を置く。  それで、そういう空輸して人口過密地帯等に対して救援できるような部隊の配置。自衛隊等は全国くまなく、そういう国防の任務プラス、いわゆる警察等の補助としてのいわゆる公共の秩序維持のための災害対策とかそういうような問題、そういうことで分散しておくということが必要じゃないか。やはり過密都市周辺にはぜひ基地等は設けて、必要な場合には、国民の生命、身体、財産等の維持のために、警察等と一体になって活動できるような体制をつくっておくということが大変重要じゃないかというように考えております。だから、いたずらにただ基地を縮小するということでは問題があるのではないかというように考えております。
  12. 根本匠

    ○根本委員 自由民主党の根本でございます。  私は二点お伺いしたいと思いますが、一つは、このメモで内閣機能強化という点がございますけれども、依田参考人が自分の御経験から、内閣機能強化につきまして制度論的にあるいは組織論的にどのような具体的なイメージをお持ちなんだろうか、この点についてお伺いしたいと思います。いろいろ内政室長とかを事務次官レベルに上げるべきだとかそんな議論がありますけれども、いわゆる制度論的にどういう形にすると内閣機能強化につながるのか、その辺の御意見をお伺いしたいと思います。  それからもう一つ。このメモの二枚目に、政治経済、文化等二重三重にかわり得べき機能を持たせると。要は、いわゆる重都構想というものはこういうものなんだろうと思いますが、特に経済、文化等の重要機能を二重三重に代替するというのはわかりますけれども、政治面ではこれはどう考えておられるのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  13. 依田智治

    依田参考人 内閣機能強化は、やはりその国にはその国の長年やってきたやり方というのがありまして、それをいたずらに外国の模倣をしてもうまくはいかないと私は思います。  ただ、日本の場合は、現在、弊害としては縦割り行政というのが非常に強い、これが非常に大きな点だと思います。内閣閣議の決定に基づいて云々ということで、すべて閣議。私も閣議の前の事務次官会議に参加したことがありますが、事務次官会議で一回私は異議を述べたんですね、ちょっと待ってくださいと。未調整のまま上がっちゃったんです。そこでみんなびっくりして、こんなところで急に異議を述べるのは何だという感じだったのですが、結局、私は、あしたの閣議までには何とか精力的に詰めて調整しますからここでは待ってくれということで述べたことがあったんです。そんなこともありまして、我が国の場合にはなかなか重要意思の決定ができない。  それから、安全保障会議の例を先ほど言いましたが、これは諮問機関なんですね。諮問機関というのは、何か中期防をつくるからどういう意見がいいかちょっと考えてくれ、長時間かけて研究する。長時間かけることはいいんですが、いざ何か緊急に結論を出すときは調整調整になるのです。  一番いい例は湾岸戦争。湾岸危機が起こったときは、私、事務次官だったんです。実は、二日後に富士山に登る計画があったんです。我が故郷富士山に登りたい。ただ、通常の国では、湾岸危機みたいな安全保障が起こったときに次官が富士山に登っているというのはちょっとどうかと思うのですよ。我が国の場合は、いやいや自衛隊は全然関係ない、だから予定どおり結構という空気で、私登ってきたけれども、むしろ褒められたぐらいなんです。  これは何かというと、安全保障会議というものでなくても安全保障会議議員懇談会でもいいから、総理がちょっと集まってくれ、それで原油の七〇%も依存するここでこういう問題が起こった、これは我が国にどういう影響が及ぶか、いずれ戦争になった場合にはどういう問題があるのか、情報等は十分とれるのかとか、我が国としてはどういうことをやらなきゃならぬのかという問題は大変あるわけです。ところが、当時まだ外務省マターであるということで、そういうことをやらないわけですね。  あと、鈴木内閣のときに安全保障関係閣僚会議というのがつくられた。これは経済も含むいろいろな安全保障、広義に安全保障をとらえて、防衛問題以外に問題が生じたときにやる。こういうのも大体やる以上我が国の場合はみんな調整するんですね、閣議じゃないけれども。事前に各省意見を出して、うちはこれは反対、だからこれは出すな、もう開いたときは大体結論が出ている。所要のペーパーを読み上げて終わり、こういう形の我が国内閣調整機能なんです。これでは重要政策は決定できない。だから、もう少しやはり内閣のそういう面での調整権というものを強化することが必要じゃないか。  そして、先ほどの事務次官経験者というか事務次官クラスとかいうことでありますが、これは実際上は、私は官房長を二年やった後行って、帰って事務次官だったんですから、ほぼ事務次官に近い立場で行った。したがって、役所をやめてから行ったら、もうこの人は過去の人ということで情報は上がってこないけれども、場合によるとこの人は事務次官で帰ってくるかもしらぬとなると、情報が比較的よく上がってきたですね、あちこちから。  そういう面はありますが、ただ格式を上げたからといって必ずしもいいものではない。しかし、確かに格式を上げることによって調整権というか調整機能を発揮できるという面があるし、今内政、外政、安保室というのは相当高い格付になっていますが、非常に重要な情報とか広報官、こんなのは局長クラスの格付になっています。これはやはり一体として同質のレベルに上げて、もうちょっと個人的な調整権も発揮できるようにする必要があると私は思っています。  やはり私は、内閣としては、首相リーダーシップを発揮できる、首相の判断に資するような情報が上げられるようなそういう多少の助言機能的なものも加味できるような、単なる諮問機関だけでなくて各省庁の事項を調整して助言できるような機能というものも緊急時なんかに付与したらどうなのかというのが実は私の内閣機能強化についての考えです。  そうしますと、先ほどの危機管理なんというような問題についても、災害とその他は分かれておる、これをむしろ一本化して、必要な場合には助言機能を有するような安保会議を招集してすぐ首相に進言するというような形の運用ができるようにしたらどうか。そしてもうちょっと広範に、各省がこれはだめですよ、これはだめですよなんて一札ばかりみんなこんなに上がっているようなことでは内閣はあれですから、必要なことは全部調整できるというようにしておく必要があるんじゃないかと思います。内閣の各機関が、必要なことは全部首相命令で調整できるということが大変重要じゃないかというのが第一点です。  あと一つは、分散関係ですね。政治は中央集権ほど効率的ではありますが、分散国土をつくっていくためにはやはり大幅な地方分権をやって、司法、行政、立法を含めて、必ずしも一カ所になくてもいいようなものはもうちょっと分散していくということの方がやはり危機管理的にも有効じゃないか。能率は多少落ちても、今やもう相当衛星とか通信とかその他いろいろ発達していますから、そういう連絡は全国でテレビ会議ぐらいやれるというのが普通になってきていますから、そういう機能も十分加味すれば、もうちょっと地方分権の徹底等必要なものは各地に分散しておくということが大変いいんじゃないか。効率は若干低下しても、しかし今の情報通信等の発達で十分カバーし得る、こんな感じを持っております。
  14. 久保哲司

    ○久保委員 きょうは貴重な意見を拝聴いたしまして、大変ありがとうございます。  そんな中で、二枚目のところに参考人国会等移転は画期的なインパクトというふうに書いていただいておりますけれども、ちょっとさまざまな御経験の中から、この東京というところを見てこられた、またその中で仕事をなさってこられた経験から、国会等移転というのは、先ほど来非常に長い、長期間な事業だというおっしゃり方もありましたけれども、一つのタイミングとして、いつごろから事業に着手し、言うならばいつごろまでに完成しなければならぬというふうにお考えなのか、御感想で結構でございますが、それをひとつお教えいただきたい。  それともう一つは、移転が画期的なインパクトだというふうに書いておられますけれども、そのインパクトの最大のものというか、どういう部分に最大の効果をもたらすというか、分権であるとかさまざまなことがあると思いますけれども、その辺について何点がお示しをいただければというふうに思います。
  15. 依田智治

    依田参考人 まず、いつごろかという問題は、やはりどういう適地があるかというような問題が大変重要だと思うのですね。ただ地域の繁栄のためにじゃなくて、これから東京は危ないからといって移すという要素も大変ありますし、いろいろな、先ほど船田委員から防衛上の配慮というような話もありましたが、そういうものも含めてあらゆる点から、危機に強くて新都市に最も理想的なところはどこかというものの選定が、相当国民のコンセンサスというか、これも大変重要だと思うのですね。  それで、ここの委員会では必要だと言っても、国民に、こういう形でやるんだからぜひ必要だ、そして金もかかることですし、だからビジョンを示して納得してもらうということの手続も結構要るんじゃないか。ただ国会を移すだけという説明じゃだめなんで、やはり私は、第二の問題にもなるのですが、インパクトとして東京の過密をどうやって解消するかということが最大の問題だと思うのですね。このままでは到底無理だと思うのですね。  だから、国会移転する、国会が行ったならみんなついていこうというので新過密都市ができるのじゃ困るので、それがやはりできないような、しかし必要最小限、また新国会、新都市を中心に企業拠点みたいなものがつくられるとすれば、そういうところには場合によったら多少バックアップ機能みたいなものを備えたものを加味するということは私は重要だと思っていますが、それくらいが限度です。それ以上は、むしろこれをインパクトとして、もう国会なり行政が離れた場合には、場合によったら別に東京になくても、もっと立地条件のいい安全なところでできるところがいっぱいあると思うのですね。  それで、建築基準法を見ていただければわかりますように、耐震建築というのは、これは本当に東京なんて既存不適格物件がごろごろしているわけでして、もう基準は改正した。宮城地震、新潟地震で、これは今度危ないから。しかし既存のものは直せない、せめて道路とか公共物は直してもらいたい。直し切れないでひっくり返るというものもあるわけですが、そういうことを考えると、国会移転インパクトとして、先ほどの地方分権は大きな重点ですが、私は、最大の眼目はこの過密の都市をどう解消していくかということじゃないかと思うのですね。  それには、今言ったような適地を選定し、そして国民にビジョンを示し、それから着手するということになると、どのくらいの時間がかかるのか、それでどういう手続が要るのか、まさか国民投票というのはないのだろうと思うのですが、やはり百年、二百年どころか、千年の国家の大計だと思うのですね。だから、これはやはり相当な手続が要るのじゃないかなという感じがするのです。国会決議だけでできるのかなという感じも実は持っているので、相当時間がかかるのじゃないでしょうか。  でも、できるだけ早くそういう方向で進んでいくということは大変重要だ、これは全くの個人的、素人の見解でございます。
  16. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 坂本でございます。御苦労さまでございます。  ちょっと乱暴な話になりますけれども、どうも日本の対応、もろもろの対応が後追い的な感じがしてならないのですね。地震が起きればその地震の対応、今度の一連のサリンにしてもそうですが、どうも危機管理というのが後追いでは意味がないのじゃないか。  例えばアメリカなんか、ロス地震ですか対応が迅速だったし、この間のビル爆破、あの対応も本当に素早かったですね。何かの本にちょっと書いてありましたが、アメリカの危機管理というのは、起こり得ないものを、例えばスターウオーズ、そういうものを対象に行政も政治国民もボランティアも対応しているという。したがって、あの程度の、ロス地震程度なんというのは全く簡単に処理できるほどの危機管理を日ごろ検討している。  日本の場合は、過去に起こったことを参考にして、それを上限にしながら何か後追い後追いで、もっと大きな地震が来たときにどうするのか。関東大震災東京ばかり皆さん見ておったというけれども、これも関東大震災というものを参考にして、首都圏地震が来たらと、そんなことはかり追っかけてきたような気もしてならないし、どうもその辺の発想ですね。もっとその置くところ、見方を変えて危機管理というものを、例えば軍事的な危機管理も必要です。それもありますね。何かそういう視点で、もっと大きなそういうものでとらえていかなければ、日本は何か出るたびに騒ぎに騒いでいるのですね。てんやわんやしているのですね。  この辺を何かもっと一歩先にぐっと大またで、二歩も三歩も先をまたいだ中で振り返ってぐっと構えるというような、そんな対応ができないのかな、こう思うのですが、いかがなものでしょうか。
  17. 依田智治

    依田参考人 今御発言のように、危機管理というのは後追いではだめなんで、やはり予防、あらかじめあらゆる事態を想定して、特に最悪の事態を想定して手を打っておくというのが鉄則ですね。そして、もしそれで十分に用意していたけれども予想不可能なことが起こったという場合にも、それに対して最大の迅速な措置を講じて被害を最小限に食いとめる。同時に、その教訓を生かして二度と再び同じことは起こさない。これが三つの段階で、少なくとも前提だ。ただ、その最大の、予想して予防するという部分、ここのところが非常に難しいところなんですね。  備えあれば憂いなしという言葉がありますが、例えばここにおられる先生方で災害の予防のために自宅には必ずあらゆる防災用品を懐中電灯の電池なんかすぐ切れてしまう。水も置いておいたらすぐ腐ってしまう。私も実は警察警備課長をやっていた当時は、全国に指令したものですから、絶えずやっていたのですが、そのうちだんだん乾パンがもう古くなってきたとかなっている。そういう自分の家庭一つとっても、身近に起こる問題に備えて予防しておく、お互いに何かが起こったら、地震が起こったらこうしようというようなことを絶えず家族で話し合っておくことも、だんだん時期がたては忘れてくるというようなことになってしまうわけですが、そういう身近な問題でもそうです。  国家的な問題、先ほど有事法制の問題も話をしましたが、これなんかはつくって全く何ら支障ない問題ですね。でも、できないというのです。憲法でそういう危機的な感じで参議院の緊急集会というような言葉がありますが、ほとんど日本の憲法ではそういう危機管理的な観点に立った国家の規定というのはないわけですね。これなんかもまさに大きな問題です。  そこで、国民に迷惑かけなくて備えておく部分というのはやはり大いにやるべきですが、先回りして、例えば治安なんか、私も警視庁とかその他で捜査をやったり警備をやったりしましたが、予防のためにちょっとやること自体が結果としては国民のためになるのですが、ちょっと先走ると批判が物すごいですね。  例えば、過激派がどうも近くどこか爆破計画がある、したがって都内では皇居をねらって迫撃砲を設置するおそれあり、だから警戒を要すなんという情報があったとしますね。そうするとこれ、通る車全部、ちょっととまってくださいとトランクまであけてやったら大渋滞。それで、路地がいっぱいあるからそこの路地も全部調べる、そして駐車車両で皇居側へ向いているのは全部とめさせないというようなことまで徹底しなかったら、それでしかもこの射程距離が延びて五キロとなっていると、東京、円にかいた五キロ以内を完全にやらなければいかぬ。それで車両をやったところ、今度はアパートを借りてアパートにセットして、ミッテランさんが来たときには、迎賓館の行事のときに実は撃ったやつが延び過ぎちゃってカナダ大使館のところに落ちたというのがあったのですね。  だから、こういう点を見ますと、これは徹底しようとしたらもう切りがない。それで結局、私も警備部長で腹をくくりまして、ある程度までやろう、協力を呼びかけよう、しかし、先ほど言いましたように致命的な欠陥だけは起こさないようにしよう。多少批判されて、何だ、警察だらしないぞなんて言われても、そんなことは気にしない。ただ、もうこれをやられたら絶対だめだというのを、成田の管制塔みたいなのを、あれやられちゃったのはもうゼロ点ですよね。  それで、私はその後、開港警備で成田警備局の責任者として千葉県警へ派遣されたときに最初考えたのは、どこをやられたら困るかということをまず考えて、そして、例えばレーダーサイトなんか幾つもあっても、このレーダーはここをやられてもここで代替できるというところは、一カ所守って、守ったふりしているというぐらいにしたのですね。そのぐらいやらぬとだめ。  そういうこともありまして、警備というもの一つとりましても、事前に手を打っても手を打ち切れないという問題が実はありまして、それで、致命的でない欠陥がむしろ一度くらい起こる。一度二度起こると、今度のサリン事件みたいなのは、国民が本当に不安を抱くような事件は一度でも起こってはいかぬのですが、起これは、今度こういう事件が発生しましたので御協力願いますと言ったら、大変に皆さんもう自発的に、今度の場合でも、サリン事件が起こった後の国鉄なんかにおける、新聞は置かないこと、東京駅なんかでも飲むジュースとかその他、缶が全部封印されていてもみんな文句言わない。あれはみんな協力しているわけです。事件が起こったから協力しているという要素があるわけです。  そこで、やはり危機管理事前に徹底するほど結構なのですが、銃器取り締まり一つとっても、じゃどこまで徹底したらいいのかということになると、国民の権利との関係において非常に難しい。  ただ、制度的な面は、やはり法制の整備とか災害対策等のために必要に備えた訓練をしておくというようなことはぜひやっておく必要があるのではないのか。そういう多々ますます弁ずという部分ですね、国民に大きな迷惑をかけることなく、関係機関なりなんなりで徹底して備えることによって十分対応できるというものはできるだけ事前に手を打っていくということが大変重要ではないかと思います。危機管理というのはそういう点が非常に難しいのではないか。  ただ、あらゆる事態を想定して、少なくとも最悪の事態に対しては備えるということが大変重要なので、そういう心構えで企業にしても国にしても社会の治安にしても考えていくということが大変重要だ、こういう認識を持っております。
  18. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三と申します。  ただいま参考人から、安心して暮らせる安全な国家社会視点に立ってということで、首都機能移転の語るる聞かせていただきまして、阪神大震災とか、また過日はサハリンの大震災など、あのニュースを見まして、本当にこの過密した東京を何とかしなければならないのではないか、この一極集中を何とか分散していかなければならないのではないかという、そんな思いが深く頭の中をよぎるわけでございます。  そういうことで、この国会移転の問題はもう随分前から議論されてきて、浮かんでは沈み、また浮かんではと、こういう繰り返しをしてきましたけれども、いよいよこれはもう本気になって取り組んでいかなければならない問題だというふうに思うわけでございます。  そういうことで、今参考人からいろいろとお話のあった中で、新しい首都に機能を移して、経済分散、また教育改革を進めて教育分散していくというようなことで、これは大変理想でございまして、そのために地方分権を進めていくということですけれども、さて、この地方分権のスピードと国会移転のスピードがうまく合致するのかどうか。させなければならないのですけれども、そのあたり一つ大きな問題がなと思います。  それと、この過密した東京を何とかしなければならないという思いで首都を移転する、こういう機運のところに、東京都では首都を移転するのは反対だというような声も聞かれるわけなのでございます。ですから、そういう国民的合意をどのように取りつけていくのか、このあたりが一番難しい問題ではないかと思うわけですけれども、参考人のお考えをお伺いしたいと思います。
  19. 依田智治

    依田参考人 最初の、地方分権のスピードと国会移転のスピード、私は個人的には、やはり国会移転するというときには少なくとも画期的な地方分権政策をとって、新しいところはスリムな中央の行政体制をとらなければ意味がないと思うのですね。このままやっていって、それから今度分けようといったって、なかなかこれは無理だ。だから、政治の方でここはぴしっと決断して、国会移転する以上、あるべき地方分権の形というものをとるということが大変重要ではないか。  あと国民的合意ですが、結局国民も非常に危ないところに住んでいるという形に賛成するはずないのですよね。哲学で、地震なんていうのは災難だから起こったら死ねばいいのだ、だからできるだけ金もかけずに普通に住んで、下敷きになって死んだらそのときだというようなことを言う人がよくいるのですね。そういう哲学に徹して住めばあれですが、しかし、それは自分個人の問題で、国家社会経済を維持し、それでまた日本がつぶれれば世界に大変な波及をしていく。大都市東京の世界経済に及ぼす影響というものはもう大変だと思うのですね。  だから、そういう点も考えますと、安心して住める安全なゆとりある都市づくりというか、そういうことに東京都民もやはり反対するはずないと思うのですね。できるだけ隅々まで緑地をつくり、道路ももうちょっと本当は広げ、あらゆるガス、水道その他の地下溝なんかも徹底して安全なものにするとか、そういういろいろな対策を講じた、世界的商業の中心都市としての安全な都市づくりということに反対するというのは本来ちょっとおかしいわけですが、目先を考えますと、今まで地域にあったものが今度地方に行って、そこの地域は廃れるというような問題が出てくる。しかし、そのあたりが今度は緑地になったりいろいろすれば、それだけゆとりある社会になるわけです。そこのところをどう国民皆さんにビジョンを示して納得いただくかということだと思うのです。そこはどういう形になるのか、ビジョンを示して、これは国民投票などというのもあるんですかね、どうもそこのところはわかりません。
  20. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 日本社会党の永井哲男です。  危機に強い民主主義国家の構築というところで、自衛隊の憲法上の位置づけを明確化すればある程度のことができるのではないかというふうに先ほどおっしゃいましたが、一方では、縦割り行政というところでいろいろな問題がある。例えば、自衛隊の災害出動というようなレベルで考えた場合に、自衛隊自身を明確化するということだけでは十分にその機能というものが発揮できないのではないか、そういうふうに思うのですね。  そういう中で、今、災害出動なりなんなりというものが十分に機能するというようなことで考えた場合、どういうところが問題なのかを御教示いただきたいと思います。特に参考人は、警察もやっておりますし、秘書官とか、それから防衛という点でいろいろ幅広い知識があると思いますので、そういう点でお聞きいたします。
  21. 依田智治

    依田参考人 自衛隊を十分に機能させるためにどういう方策があるかということでございます。  私は、そこへ項目を挙げましたのは、もとをたどると、日本の場合は自衛隊というものの設置が、西ドイツのグルントゲゼヅツというのですか基本法改正のように、国民的議論を経て憲法を改正し、NATOの一員として加盟して地域の平和維持に復帰したという過程をとらずに、先ほどの私の発言にありますように、秘密議事録等では芦田さんは逆に反対で、むしろ完全な軍備廃止という意見を持っているというくらいな占領下で憲法がつくられていながら、国が独立し、国連に加盟しても、政府解釈で結局やってきた。  そのために今日に至っても、社会党は自衛隊の合憲性を認めていただいていますが、しかしなお、やはり国民的議論、経済界などで新しい国家像委員会とか私も参加していろいろしましたが、まだまだこの日本国憲法、例えば九条を改正してきちっと自衛隊を設置したり、国連の役割というのを、少なくとも平和維持活動は国連に加盟している以上当然じゃないか、それは改正するべきではないかというような意見に対しては、非常に慎重論もあります。そういうような点から、自衛隊というものがまだ社会の完全な一致したコンセンサスとして設置されていないというところに大きな問題があるのじゃないか。  したがって、第一前提としては、少なくとも自衛隊の任務というものを、自衛、それから国連に加盟している以上国連活動等の平和維持活動には一員として参加するのは当たり前のことですから、そういう点について明確にする。段階としては、調査会等を設置して広範にわたる憲法議論をするとともに、場合によったら自衛隊法の改正によって、改正をするとすれば恐らく三条の改正ということになるのでしょうが、それで明確にする。それももし時間がかかるようならば、せめて政府の憲法解釈でそのあたりについての疑義が生じないようにきちっと明確にしておくということがまず一つ。これがありますと自衛隊というものの任務が明確になりますから、後の活動は国民のコンセンサスのもとに割合やりやすくなる。  それから第二点は、結局、自衛隊を平素もっと国民の財産として活用する、こういう認識が大変重要じゃないのか、こう思います。  関西の例を見てすぐ調べたところでも、先ほど言いましたように、本当にほとんど訓練をやっていないのですね。東京等で訓練していても、これは関東大震災に対応できるような訓練で、警視庁、東部方面総監部とか、その他国土庁を初め関係のところとの密接な連携のもとに首都圏等は相当やっています、静岡等も。しかし、なお徹底した訓練が必要じゃないか。  残念ながら青島さんは都知事になって、自衛隊は違憲というような意見を持って、まあしかし災害には必要に応じて使うというようなことを言っていましたが、それでは、命を的にして果たして大災害で活動できるのだろうかという懸念を私は持っております。都知事として重大な発言だ。  都民の生命財産を守る、国民の財産としての自衛隊というものに本当に活躍してもらうとすれば、このあたりをきちっと明確にして、そして徹底して訓練する。何しろ訓練というのは、私も防衛庁教育訓練局長というのをやったのですが、訓練を徹底していれば相当に役立つという例は、掃海艇をペルシャ湾に派遣したときに、実は日本はおくれて行って批判されましたが、最初、浮かんでいる十七個の機雷を掃海した。あと、ペルシャ湾沖というのはアンタッチャブルで、どこの国もできなかった。ところが、日本は比較的外交関係をうまくやっていましたから、日本ならやってくれるということで、実はヘドロに埋まった機雷を、あのペルシャ湾のイラン沖の機雷を同じく十七個掃海したのです。  ヘドロに埋まっていてあらゆる電波を送ったりしてもできないような掃海を、決死的な形で潜っていって爆薬を仕掛けて帰ってきている。全く無傷でなし遂げて帰ってきた。私はビデオ等を見まして、本当に涙の出る思いがしたわけです。これはまさに実践はしたことがないのですよ。日米共同訓練、機雷掃海訓練ということで、昭和三十年代以来、海上自衛隊が本当に地道な訓練をして積み上げてきた。それが、いざ行ってくれというときに生きたわけですね。  だから、こういうことを考えますと、まずしっかりと自衛隊国民の財産として位置づけ、そして彼らに誇りを持たせ、そして訓練を徹底して非常時に備える、そういう体制をとることが重要です。  自衛隊法改正とか、任務をもっと積極的に与える。例えば今、間接侵略、直接侵略等に対して我が国を防衛するとともに、必要に応じ、公共の秩序維持に当たるとなっているが、必要に応じじゃなくて、もう公共の秩序維持も必要だ、そういう意見も一部にありますが、これは間違いだと思うのです。国内の公共の秩序維持というのはやはり警察が第一義的にやるべきものであって、私は警察出身だから言うわけじゃありませんが、自衛隊というのは国民を相手に治安を維持するというような仕事は不向きで、一切やっていません。だから、天安門事件にしても、ソ連の議会棟でエリツィンさんが戦車を出して攻撃したなどというのも、これはもう全く考えられない事態でございます。日本では考えられない。  そういう点から考えますと、私は、自衛隊の任務というのはあくまでも国防が第一、しかし、その持てる力をどう国内の治安というか、特に災害等に生かすか。そして、これからは大規模な戦争というものが起こる可能性は少なくなってきているわけですが、そうかといって国の防衛というのはやはり一たん手を抜いたら、それこそジェットパイロット一人育てるのでも五年かかり、私がいたころでも一人育てるのにいろいろ積算すると五億、今はもっとかかっているのですね。  それで、今度のサリン事件でも大宮の化学防護隊が、あれも国会では、何だ、あれは核の研究をしているのじゃないかなんていって当時いろいろな党から攻撃を受けた。しかし、ああいう研究の積み重ねが国民の生命、身体、財産を守って、ああ日本にもこういうのがあったのかということで安心感を与える、こういうことがあると思います。  やはりこれからの自衛隊というのは、世界情勢の変化の中で、国の防衛に穴があかないようにぴしっとした防衛体制というものを整えるとともに、国際的事象並びに国内の災害事象にも十分対応し得る装備とか訓練、こういうものを徹底し、それもまた国民のしっかりとした支持を得る。PKOで本当に危険なところに不十分な態勢で出かけるときに、家族は涙で送っているのに、反対デモで送られるという自衛隊員の心情というものを考えると、私も当時防衛庁におりまして本当に残念だったのです。  ボランティアもそうだと思うのですね。シビルだったら行ってくれなんていったって、世界は本当に危険がいっぱい、そういう中にシビルのボランティアとして出ていく。それにはやはり場合によったら国としても報いる。ましてや、公務員として国の命令によって出ていく自衛隊員、警察官、その他消防官等も災害緊急援助隊とかいろいろあります、お医者さんだっていろいろあるわけですが、そういう方々に対しては国としてもしっかり面倒を見る体制というものも政治の方でしっかりやる。そういう中で自衛隊というものが国民のためにしっかりと活動できる体制が整うのじゃないか、私はこんな感じを持っているのです。
  22. 永井哲男

    ○永井(哲)委員 私がお聞きしたかったのは、特に災害救助というような国内的な場合を考えた場合、縦割り行政というか、例えば自衛隊警察との関係自衛隊消防との関係、またいろいろ都道府県なりなんなりとの連絡調整、そういうような関係、いろいろな問題があるわけですね。そういう中で十分に機能していくためには特にどういうようなところがネックになっているのか、その点で何か御教示をいただければというふうな思いで質問したのですが。
  23. 依田智治

    依田参考人 どうも失礼しました。  今、関西なんかは自衛隊が余り活用されていなくて、訓練もあれですが、東海地区とか東京地区のように地震の差し迫っているところは関係機関が極めて一致して協力体制をとっておりまして、特に支障があるということは聞いておりません。  それで、今回の事件で反省点として考えられるのは、ちゃんと災害対策基本法を読めば、それぞれ地域防災組織というのも県単位とか市町村単位でつくって、それぞれ関係者はみんな入って、方面総監とか本部長とか入って横の連絡体制もできておる。だから、もっと身を入れてそういう連絡体制をつくれば、現体制でも、縦割り行政というか、そういうものの弊害なく十分できるのじゃないか。  よく専門組織をつくるという話がございますが、これはアメリカにFEMAという、フェデラル・エマーシェンシー・マネジメント・エージェンシーというのですか緊急危機管理庁というような形のものがあって、今度ロス地震では大分活躍した。あれは全国十カ所ぐらい支部を持ち、三千ぐらいの組織、さらにいざという場合には、ボランティアの災害被害の認定とかそういうのをやる組織等も含めて数千人が動員されてやる。  ところが、これだってつい最近までは無用の長物、FEMAの存在が危機であるなんて言われていたのですね。というように、ああいうものは組織をつくっても、結局それを動かすのは人であり、たまたまクリントンさんが自分のアーカンソー州で防災局長をやっている局長さんを連れてきてあそこの長官にした。この人が熱心で、全国を駆け回って態勢をとっておったので、いざというときにクリントンさんにぱっと報告して手を打ったという形であって、ではこれをまねて日本が三千ぐらいの専門組織をつくってうまくいくかといったら、細長いところにちょっぴりずつ置いておいても、そんなのはどこで災害が起こるかわからぬということを考えますと、私は、先ほど言いましたように、内閣の調整機能みたいなものを強化してコントロールシステムを大きくする。  それから、今の国土庁中心の、しかも府県との連絡体制防災システムというものがいいのかどうか。これは、今官邸等でも防災関係の懇談会みたいなものを設けて研究して、臨調ですか設けているから、それの結論にまちたいと思いますが、やはりこのあたりはもうちょっと工夫して、都道府県の消防警察、中央官庁というものと一体になった、一本の太い線でつながれるようなシステム、必ずしも一つのFEMAみたいなものをつくらなくても、中央のしっかりした組織、指令をできるところがやれば、平素の訓練なり平素のいろいろな連絡会議等によって十分機能できるようになるのじゃないかと私は思います。そういう形で、自衛隊もその中にはめ込む。そして、特に今回私が実に残念だったのは、自衛隊のヘリコプターは割合早く自発的に出たのですね。七時過ぎに二機も出た。それで、当時のビデオを撮っていた撮影者の話では、これは大変だ、撮っている者の足がすくんだと書いてあるのですね、朝雲新聞に。何で足がすくんだというその情報が、たとえ電話でもいいから、総理の耳に入るようにぱっと来なかったのか。まだ残念ながら防衛庁はヘリテレビを、警視庁なんかは持っていますが、ずっと中央に送ってすぐ現地の状況が見られるというようなものを今度補正で金をつけていただいて、今東部方面しか持っていないのを今度は関西でもやっと持てるようになった、やっとそんな段階です。  あれなんか惜しかったのですね。情報をぱっと、そうしたら官邸の方も、スケジュールに従って昼過ぎまで消化する、死者は十時時点でもまだほんのちょっととかいうような、実際はふたをあけたら五千数百という大犠牲者が出たなんということはないと思うのです。だから、情報のあれを何でもうちょっとぴしっとできなかったのかというのは、私、残念でならないのです。  だから、そういう点は今でも、何も都道府県知事の依頼がなくても、自衛隊自身がやはり任務を持っていますから、自衛隊の独自判断で情報なんかできる。ただ、やはり平素の訓練なり打ち合わせ、場合によったら法規によって、自衛隊は一時的に警察と一体となって情報をとる、情報をとる任務くらいは、もしやるなら一時的に与えていただいてもいいのじゃないか。それで平素の横の連絡をぴしっとして、まず現地本部とか国に情報を入れるシステムなんというのができる。そういうことを考えますと、平素の会議なり今の体制、それで多少今の防災組織的なものを手直しすれば十分縦割り行政の弊害は克服できる。  ただ、重要なのは、もうちょっと広域的な目で今の防災体制を見直していく必要があるのじゃないか。例えば、今回警察は、救助等に当たる兵庫県警と、五千以上の全国から応援に来ている応援部隊の面倒は大阪府警本部が見たということです。全然関係ない隣のところがそういう救助本部を設けたという形になっていますが、もっとこれは推し広めて交通規制みたいなものも、兵庫県警だけでなくて、もっと周辺のところといち早くそういうマニュアルなり広域交通規制計画というようなものが、先ほどの久保先生の質問じゃないですが、事前の措置としてできていたならば、もうちょっと交通渋滞等の発生も免れ、多少の生命の救助ができたのかなという感じも持っていますので、広域的な対策というものを関係機関でマニュアル化しておくということが必要じゃないか、こんな感じを持っております。
  24. 中島武敏

    ○中島(武)委員 日本共産党の中島武敏でございます。  私、ちょっと途中からやむを得ず抜けておった部分がありますけれども、自衛隊について大分論議があったのですが、これは申し上げるまでもなく、違憲の存在ということで、参考人立場を異にしております。きょうそこをお聞きするわけではないのですけれども、二、三ちょっと伺いたいと思うのです。  最初の発言のときに内閣機能強化首相リーダーシップという問題についてお話がありました。私、伺ったのですけれども、これは官房を中心として、国として二十四時間の業務統合をできる機能強化するべきであるとか、あるいはまた首相閣議で決められたことしかできないというけれども、もっとリーダーシップを発揮できるようにするべきではないか、それからまた日本総理はアメリカの大統領とは違う、なかなか言葉を選んで発言をしておられるのかなとは思うのですけれども、ちょっと何というのですか、閣議で決められたことしか総理はできないというのは、参考人のお気持ちとしてはどうやら残念なことだなというふうに僕には聞こえたのです。  それで、参考人に申し上げるまでもないのですけれども、憲法七十二条、そこで総理の指揮監督権が規定されておりまして、それを具体化したものとして内閣法四条、内閣法六条というふうに具体化されているのですね。それで、さっきのお話は、この辺は変えた方がよろしいというようなお気持ちなんですか。そこは、率直にと先ほどから随分言っていらっしゃるので、お気持ちとしてはどうなんですか。やはり内閣法の方は変えた方がよろしいとか、どうなんですか。そこをまず一つ
  25. 依田智治

    依田参考人 私の個人的見解は、私の行政にタッチした経験で、まず閣議にかけるためには事務次官会議を経るのですね。その前に各省の調整という大変に長い時間がかかる。やっと事務次官会議に上がってきた。そして閣議というのは全く、まあ多少の意見が出ることもあるのですが、大体がかってきて判こを押すというような形なんですね。だけれども、その調整のために物すごい時間がかかるという問題がありまして、危機に及んで、閣議で全会一致の結論を得なければ何もできないということならば、やはり間に合わない場合があり得るのではないだろうか。  そういう点を考えますと、やはり危機に及んで国民の生命、身体、財産を守っていくためには、そこのところを多少、もっと迅速に首相リーダーシップを発揮して方針を示すようなことができる程度の改正は憲法に違反するものではなかろう、こういう考えを持っています。
  26. 中島武敏

    ○中島(武)委員 御存じだと思いますけれども、災害対策基本法の訂五条、それから百七条などで、緊急な事態が発生したときには緊急事態発生の布告を発して、そして緊急災害対策本部を組織することができるというような規定もあるわけですね。率直にきょうは言っておられると思うのだけれども、現在の規定でなおかつ緊急事態に対してあれこれできるということを、災害対策法だけではなくて警察法の七十一条、七十二条とか、あるいは自衛隊法の七十八条とか、いろいろできることを規定しているのですね。だから、私はそれに従ってできるんじゃないかと。だから、そこからはみ出す、何か首相リーダーシップとか、あるいは官邸、官房の強化とかということじゃなくてもいろいろ対処できる方向があるのではないか、何かそこばかり強調するのはどうかな、私はこういう意見を持っているのですよ。  それで、もう一つ言えば、危機といいましてもいろいろな危機があるわけでして、災害の問題だとかあるいはテロだとか、いろいろなものがありますから、それに応じての体制強化というようなことは必要なんだと思うのですけれども、今申し上げたように、どれもこれも全部一緒くたにして官邸強化というところはいただけないなという気があるわけなんです。これは私の意見として申し上げておきます。  もう一つ、伺わせていただきたいなと思っておることがあります。  それは、さっき有事法制についての発言がありました。ここで、私の聞き間違いでなければ、国民権利義務については安全保障室でしょうか細々とやっている、このあたりはまだ完成していないという趣旨の御発言があったのですね。それで、さっきのお話では、有事法制の問題にまで言及されて、最悪の事態に備えるということが大事なんだという考え方でこの問題を述べていらっしゃるのですけれども、実は、端的にちょっと伺いたいと思うことがあるのです。  それは「関東大震災から得た教訓」という文書が昭和三十五年三月、陸上幕僚監部の第三部から発表されておりますね。発表されているといいますか、つくられておりますね。それで、この文書を見てみますと、関東大震災の軍隊の行動を研究して、現在の自衛隊の治安維持行動や災害救助活動の参考にするものということでつくられているようですね。これを実際にやっていきますと、この中ではやはり治安ということを名目にして有事立法がやられて、国民の基本的な権利が奪われるのではないか。  それからまた、こういう立法をつくっていくことが戦時の国内警備体制にも役立つ、そういう考え方が述べられておって、そして警察に期待すべき事項は次のとおりだといって一から十まであります。  私、これを見て、研究とはいえ、すごいことをやっているなということを率直に思いました。といいますのは、警察に期待する事項というのは何かというと、一は「不穏、騒じょう行動等の探知及びこれが未然検挙及び封止」こういうことですが、「(検問を含む。)」とあります。それから二番目が「流言、飛語者特に不穏せん動、宣伝者等の検挙及び小規模な騒じょうの制圧」こうなっておるのです。それから三番目に「要注意人物の監視、警戒」、要注意人物とは一体だれのことをいうのかということもあるのです。それから「自警団等の取締」、これは四番目ですね。それから「新聞、出版物その他の報道機関等取締」、こんなものまで挙げている。  この間、阪神の大震災で、御承知のとおり、どこの情報で我々はあの実際を知ったかというと、NHKのテレビの報道で刻々の様子がかなりわかったという残念な事態だったのですけれども、こんなの報道統制をやられちゃったら、これは大変だなというのは、私が率直に思うところなんですね。それから「集会及び言諭の取締」、随分すごいことを、これはもう憲法違反だと私は思うのです。それから「焼残品、救済品等に関する特殊犯罪の予防、検挙」、それからその次に「自衛隊に対する犯罪の予防、検挙」、これは何なのか、こんなことを私は思いますけれども、こんなことも書いてある。それから「行方不明者、死傷者等の捜索、収容、処理」、それから十番目に「事態に便乗する暴利取締」。  参考人もいろいろ率直に言っておられるから私も率直に言うのだけれども、危機に名をかりてこんなことをやられたら、これはもう危機に強い民主主義国家どころか、民主主義そのもののじゅうりんになっていくのじゃないかという気が私はするのですよ。私は、今一から十まで挙げましたけれども、これについて参考人は一体どうお考えになっているかなということを率直に聞きたいのです。
  27. 依田智治

    依田参考人 それを直ちに現在のあれで実施するというよりは、当時の状況下においてはそういうことが非常に重要であったということだと思うのです。当時の、いろいろですね。  今日の社会で、今日の事態の中では、この民主主義国家の中で学ぶべきものというのは、やはり危機に強い民主主義国家として、そういう中では例えばどういう点が学ぶべき問題だろうかというような点を取捨選択して、実際に生かすときは生かしていく。今例えば自衛隊が本当に、いわゆる関東大震災のときの軍隊の動きというのはどうだったのだろうかということを研究すること自体は私は悪くはない。しかし、軍隊としての権限も当時と全く違いますし、国家体制も違うわけですので、そういう中でどういう点は学ぶべきものがあるのだろうかという形で取捨選択して、民主主義体制の中で生かすべきものは生かすという考えが大変重要じゃないかと私は思うのですね。今の自衛隊というものはやはりしっかりそういう考えを持ってやっておるし、我々としても、シビリアンコントロールとして、当時、現役のときにもそういう考えでやっております。
  28. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ですけれども、ここの文書には過去のこととして書いてあるのではなくて、過去から学ぶもの、現在自衛隊危機管理の場合警察と一緒に行動するようなことも多いので、ぜひ警察にこういうことを期待したい、そういうふうになっておりまして、その具体的なこととして書いているわけなんで、過去のことを述べてこれから取捨選択じゃなくて、過去のことの研究をやったあげくにこれを出しているんだ。出していると申しますか、陸上幕僚監部第三部ではそういう立場でこれを書いていらっしゃるのだという点は申し上げておきたいと思います。  それから、もう一つ伺いたいと思うのは、先ほど申したように、危機にもいろいろな危機があるわけですね。ですから、それぞれの危機に応じて危機管理を考えなければいかぬということじゃないかなと思うのですね。私は、幾ら情報が入ってきましても、この間もそうなんですけれども、もう消防自動車が行って火を消そうと思ったって水が出ないとか、いや、その消防自動車も少ないとか、こういう事態ですね。こういうのをどんどん、きちっとふだんから整備をしておくということが一番大事なんじゃないかなと思うわけですね。  この間の場合でいえば、一月十七日に地震が発生した、現地に共産党の国会議員が入って、そこから連絡を受けて、実は私は、十八日の朝、国土庁自衛隊のヘリコプターも含めてヘリコプターを緊急動員してほしいという申し入れも行ったのです。そこで非常に感じたことは何かというと、やはりふだんから備えるということは大事なんですけれども、ふだんから備えるのは、危機管理首相官邸とか内閣体制とかという問題もあるかもしれませんけれども、もっと現実的な、今度の阪神・淡路の大震災だったら、それに応じてのことをふだんからやっておく必要があるのじゃないだろうか。  例えば、これは例えばですけれども、消防力だって国が決めた基準に充足してないのですね。消防ポンプ車もそうだし、はしご車もそうだし、それから化学消防車もそうです。それから、消防水利の問題もそうです。それから、人間ということになってきますと、現有車両に対する消防職員だって七〇・六%ですよ。これを一〇〇%にする。車両も一〇〇%にする、人間も一〇〇%にするということだったら、現在の消防力、十四万人をもう十万人ふやさなければならない。二十四万人にする。これは消防ということに関しては専門の人たちですから、そういうことこそ強化しなければならないのじゃないかと思うのです。自衛隊の発動という問題もあります。私も、そういうことを含めて、何も否定しているわけではない。ないし、申し入れにも行った。しかし、やはり一番大事なのは、専門職をちゃんと養う、強化しておくということが大事じゃないかなと思うのですけれども、どうでしょうか。
  29. 依田智治

    依田参考人 これは全く同感です。  だから、今度警察も機動隊の中に緊急的に展開できるようなものをつくろうということで警察庁も予算とりをやっておるようですが、これは当然なことで、まず一義的には警察消防が中心になって、相当な災害ならできるという体制をやはり国としてつくる。しかし、それでもなおかつ予想をし上回る不測事態というのが出てくると思うのですね。そういう場合にやはり自衛隊がその後押さえとして行って活躍できる。それも、いざというとき初めて頼まれてもこれはだめですから、やはり消防警察強化するとともに、その補充機能としての自衛隊というのもそれだけの心構えを持って、いざ、よろしく頼むというときは行かなければいかぬ。  そしてまた、警察消防がいないとき、現にあの伊丹地区なんかでは交番が壊れて警察官が一人下敷きになっている、自発的に地元の自衛官が出かけていって、一人救出したのですね。それで、國松長官に会ったら、いや依田さん、自衛隊に助けていただきましたというのもあるのです。  だから、結局、今先生の言われた、まさに専門の警察消防、これがしっかりと大概の事案は守れるくらいの体制をとっておくと同時に、不測の事態に対しては自衛隊国民の守りとしてバックアップできるという心構え、これが大変重要じゃないか、こんな感じを持っております。
  30. 中山利生

    中山委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人に一言御礼を申し上げます。  依田参考人には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。     —————————————
  31. 中山利生

    中山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、来る六月十三日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 中山利生

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る六月十三日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十九分散