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1995-03-15 第132回国会 衆議院 厚生委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月十五日(水曜日)     午後三時三十二分開議 出席委員   委員長 岩垂寿喜男君    理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君    理事 持永 和見君 理事 井上 喜一君    理事 石田 祝稔君 理事 山本 孝史君    理事 網岡  雄君 理事 荒井  聰君       荒井 広幸君    熊代 昭彦君       近藤 鉄雄君    佐藤 静雄君       塩崎 恭久君    住  博司君       高橋 辰夫君    竹内 黎一君       戸井田三郎君    長勢 甚遠君       根本  匠君    藤本 孝雄君       堀之内久男君    茂木 敏充君       山口 俊一君    青山 二三君       粟屋 敏信君    岩浅 嘉仁君       江崎 鐵磨君    鴨下 一郎君       川島  實君    久保 哲司君       坂口  力君    福島  豊君       宮本 一三君    保岡 興治君       柳田  稔君    五島 正規君       土肥 隆一君    横光 克彦君       枝野 幸男君    岩佐 恵美君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 井出 正一君  出席政府委員         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房審         議官      和田  勝君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省社会・援         護局長     佐野 利昭君         厚生省老人保健         福祉局長    阿部 正俊君         厚生省保険局長 岡光 序治君         厚生省年金局長 近藤純五郎君  委員外出席者         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     茂木 敏充君   鈴木 俊一君     持永 和見君   田名部匡省君     江崎 鐵磨君 同日  辞任         補欠選任   茂木 敏充君     近藤 鉄雄君   江崎 鐵磨君     川島  實君 同日  辞任         補欠選任   川島  實君     田名部匡省君 同日  理事鈴木俊一君同日委員辞任につき、その補欠  として持永和見君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月十五日  鍼灸マッサージ健康保険適用に関する陳情書  外一件  (第四八号)  医療・看護・福祉充実に関する陳情書外一件  (第四九号)  被爆者援護法促進に関する陳情書外二件  (第五〇号)  がん征圧施策早期実現に関する陳情書  (第五一号)  骨髄移植医療体制拡充整備に関する陳情書  (第五二号)  骨粗鬆症対策充実に関する陳情書  (  第五三号)  結核対策充実促進に関する陳情書  (第五四号)  らい予防法抜本的見直しに関する陳情書  (第五五  号)  国立病院療養所拡充・強化に関する陳情書  外一件  (第五六号)  食品衛生法改正に関する陳情書  (第五七号)  廃棄物対策に関する陳情書外二件  (第五八号)  漢方製剤保険薬価削除または負担見直し反対  に関する陳情書外一件  (第五九号)  障害者のための施策の推進に関する陳情書  (第六〇号)  小規模障害者作業所に対する国庫補助制度の拡  充等に関する陳情書  (第六一号)  新ゴールドプラン・エンゼルプラン早期策定  に関する陳情書外十件  (第六二号)  高齢者保健福祉対策計画的推進に関する陳情  書外十三件  (第六三号)  社会福祉施設整備促進に関する陳情書  (第六四号)  在宅福祉における時間貯蓄制度に関する陳情書  外一件  (第六五号)  老人保健医療費拠出金にかかる老人加入率二  ○%上限枠撤廃に関する陳情書外一件  (第六六号)  児童館児童センター運営補助に関する陳情  書  (第六七号)  保育所措置制度の堅持・拡充に関する陳情書外  二件  (第六八号)  少子化対策充実に関する陳情書外五件  (第六九号)  国庫負担の増額による国民健康保険制度抜本  的改善に関する陳情書外二件  (第七〇号)  入院給食費の助成に関する陳情書外一件  (第七一号)  在日外国人高齢者及び障害者に対する国民年金  制度の改善に関する陳情書  (第七二号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第一一号)      ――――◇―――――
  2. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  理事鈴木俊一君が本日委員辞任されたのに伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事持永和見君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 内閣提出国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口俊一君。
  5. 山口俊一

    山口(俊)委員 それでは、国民健康保険法等の一部改正に関しまして、まずトップを切って質問をさせていただきます。時間も余りございませんので、概略的にお伺いをしていきたいと思っておる次第でございます。  御案内のごとく、国保の構造的問題が指摘をされ議論をされて久しいわけでありまして、今回の改正は、そうしたいろいろな議論を踏まえて行われるわけでありますが、いかなる趣旨で行われるものなのか、まず最初にお伺いをいたしたいと思います。
  6. 岡光序治

    岡光政府委員 今回の改正趣旨でございますが、御指摘がありましたように、国民健康保険制度には、低所得者がふえておるとか、あるいは規模が小さい保険者がふえているとか、いろいろ構造的な問題を抱えておるわけでございまして、これに対応する必要があるわけでございます。  そもそも、制度抜本的な見直しを行うようにということがまた求められているわけでございますが、それを行うまでの間、当面必要な措置を講ずるということによりまして、制度の安定的な運営を図ろうというものでございます。  また、あわせまして、老人医療費拠出金の算定に用いられる老人加入率につきまして、その上限を上回る保険者数が著しくふえておりますので、これに対応しまして、老人保健制度の安定を図るため、上限となる割合引き上げなど老人医療費拠出金制度見直しを行いたいというものでございます。
  7. 山口俊一

    山口(俊)委員 仄聞するところによりますと、当初、国保改正というものは、今御答弁もあったわけでありますが、低所得者がふえただとか、あるいは小規模保険者がふえた。あるいはまた格差がどうもいろいろあるんじゃないか等々、そうした構造的問題に着目をした抜本的な改革というものを考えておられたように思うわけでありますが、今日の前にある改革案というのは、どう見ても暫定的と言わざるを得ないわけであります。  今、当面の措置というようなお話もあったわけでありますが、ただ、前の改正のときでも、実は当厚生委員会においてもいろいろ議論がありました。時の丹羽厚生大臣は、平成六年にも抜本改革について国会で審議を願いたいというふうな御答弁をなさっておられたわけでありますが、そうしたいろいろな経緯、これがあったにもかかわらず、結局、今回も暫定的色彩の強い改正になってしまった。そこら辺の背景、経緯についてお話しいただきたいと思います。
  8. 岡光序治

    岡光政府委員 国民健康保険制度抜本改正のためには、既に医療保険審議会等からもいろいろ問題を御指摘していただいておるところでございます。また、並行して老人保健福祉審議会においても、新しい介護システムあり方かも議論になっているわけでございまして、国と地方公共団体役割分担なり負担あり方などにつきましてさらに議論を要するというふうに考えております。  このためにやはり時間をいただきたいと思っておりますが、それで放置をしておくわけにもまいりません。したがいまして、先ほど申し上げましたような構造的な問題に対応した当面必要な措置をぜひとも行いたいということで関係者でいろいろ御議論いただいたわけでございますが、関係者の合意を得たものにつきまして、今回、そういうことで当面の措置を行わせていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  9. 山口俊一

    山口(俊)委員 前回の改正当時の議事録を読ませていただきましたけれども、実は、あのときの議論と今回いろいろな場所で行われておる議論、ほとんど同じなわけですね。やはり抜本的改革へ向けて云々というふうな議論ばかり続いておったわけでありますが、人は変わっても事態は変わっておらないというふうな感を実は強くいたしたわけであります。  今御答弁いただきましたけれども、今現在の厳しい経済状況とか、あるいは税収が続けて落ち込んだ云々財政状況等、やはりそこら辺もあろうかと思うわけでありますし、同時に、これも御答弁にございましたいわゆる介護システムをどうやっていくのかというふうなことも、これまたあろうかと思うわけであります。  これも、聞くところによりますと、九年度にスタートを予定しておられるこの介護システム、いわゆる公的介護保険導入というふうなことを聞いておるわけでありますが、これも御承知のとおり、高齢者介護費用かなり部分医療保険で見ておるというふうなことであります。資料を見てみますと、国民医療費二十四兆円のうち約四兆円というふうに見込まれておるようであります。  確かに、公的介護保険、この導入には、いわゆる医療保険制度全体の見直し、大改革といったこともあるでありましょうし、また実は、よくよく考えてみますと、この介護保険制度というものが果たしてオールマイティーなのかどうかというふうなことも考えてみなくてはいけないのではないかと思うわけであります。  例えば、財源にしても、そうした医療保険の各制度、あるいは各保険者から例えば拠出金を取るというふうなことになってしまいますと、また同じようなアリ地獄みたいなところへ入ってしまうのではないか。そうしたおそれもあるわけでありまして、いずれにしましても、国保視点から十分介護保険というものを注視をしながら、あるいは国保視点からのいろいろな意見の反映というふうなことも大事であろうかと思っておるわけであります。そこら辺、皆さん方の大いなる御努力期待をさせていただきたい。今回の当面の暫定措置というふうなことは、そうした意味合いからもやむを得ないのかなというふうな感じを持っておるわけであります。  続きまして、今回の改正のねらい、いろいろなところに出ておるわけでありますが、国民健康保険国保におけるいわゆる負担公平化、あるいは国保財源をいかにいましばらくの間安定をさせていくかというふうなことがよく言われておるわけでありますが、そのそれぞれについて、いわゆる平準化公平化についてと国保財政安定化、この二つについてどのような対応を行っていくおつもりなのか、それをお伺いをいたしたいと思います。
  10. 岡光序治

    岡光政府委員 まず、保険料負担公平化の問題でございますが、今回、保険料軽減制度拡充をいたしまして、応益割合を五〇%前後にしようという努力をする保険者支援をしたい。こういう誘導をすることによりまして、保険者間、あるいは同じ保険者の中での被保険者間の保険料負担公平化ということをより進めていきたいというふうに考えております。  それから、財政安定化の問題でございますが、特に規模の小さい保険者中心高額医療費共同事業拡充いたしまして、規模の小さい保険者中心高額部分共同負担をするということによりまして、安定の確保ということを図りたいと思っております。また、適切な医療費適正化対策推進をしていただくということによりましても運営安定化が図れるのではないだろうか、こう思っております。  それから、あわせまして、病床数が多いというふうな、当該保険者の責任を問うことのできないような理由で医療費がふえておる部分もあるわけでございまして、そういう事由を前提にいたしまして一般会計から繰り入れを認める国保財政安定化事業というのがございますが、これをもう二年間継続するということにいたしまして、これでもって、あわせて財政安定化に資するということにしたいという考えでございます。
  11. 山口俊一

    山口(俊)委員 ただいまいろいろと御答弁いただきましたけれども、いわゆる公平化につきまして、同じ保険者の中での平準化云々というようなお話に力点が置かれておった御答弁であったかと思いますが、これは御存じのとおり、いわゆる同じ保険者の中での一つ不公平感、これがあるのは、もちろん御案内のとおりであります。  同時に、いわゆる保険者間、市町村間の格差、これまた大きな問題になってきておるというのも御承知のとおりでありまして、さらに言いますと、同じ医療保険の中で、国保と他の例えは組合健保とのいわゆる不公平感というか差があるじゃないか。負担にも差がありますし、同時に給付も差がある。そこら辺も一元化の議論とも相まっておろうかと思いますが、いわゆる公平化ということをとってみても、そうしたいろいろな面があるわけでありまして、これもまた国保の抱える構造的問題かな、そんなふうな気がいたすわけでありますが、先ほども御答弁いただきました。いわゆる国保が抱える構造的問題ですね。先ほどお話があったのですけれども、今回の改正に当たって、国保が抱える構造的問題をどのように認識をされておられるのか、これをいま一度明確にお示しをいただきたいと思います。
  12. 岡光序治

    岡光政府委員 特に認識をしております構造問題としましては、低所得者増加をしておるということ、それから小規模保険者増加をしておるということ、それから保険料地域格差がより生じておる、こういうふうなことを構造問題として認識をしております。  具体的に申し上げますと、まず低所得者関係では、高齢化の進展もございまして、加入者のうち、いわゆる所得のない人の割合平成年度では二〇・八%に達しておりまして、このことによりまして、所得がないということで保険料負担が困難でございますので、それが他の被保険者負担がいわば過大になる傾向になっておる、こういう問題意識でございます。  それから、小規模保険者の問題でございますが、被保険者数が三千人未満の市町村平成四年では全国市町村のうちの三六%、千百六十四という市町村に急増しておりまして、余り規模が小さくなりますとその保険規模が小さくなるということで、いわゆるリスク分散が図れない、保険制度が十分機能しないという問題が出てくるのではないか、あわせて事業運営が不安定になるだろう、こういうふうに意識をしております。  それから、医療費地域格差でございますが、これが大きな差がございまして、そのことが結果として保険料地域格差問題につながっているのではないだろうか。現在、市町村レベルで見ますと、一番高いところと一番低いところの保険料の差は約六倍でございまして、これは余りにも差が大き過ぎるのではないだろうか、こういったものの是正が必要であろう、こういうふうなことを問題として意識をしております。
  13. 山口俊一

    山口(俊)委員 いろいろお話がありましたが、その中でまず低所得者層増加をしておる、二〇・八%にもなってきているということで、これは具体的にどのような層がふえておるのか、これを御説明いただきたいと思います。
  14. 岡光序治

    岡光政府委員 まず、所得なしの世帯が今申し上げましたようにふえておりますが、この所得なしの世帯につきましての年齢を見てまいりますと、六十歳以上の世帯主で構成されている世帯が四五%を占めておるような状況でございまして、結果としまして、退職をして国民健康保険の対象になってくるわけでございますが、そういう人たちの中で、特に高齢化がどんどん進んでおるということで、低所得者層が結果としてふえているという状況ではないかというふうに認識しています。
  15. 山口俊一

    山口(俊)委員 いわゆる低所得者層増加というのは、これは国保が抱えるどうしようもない、ある意味で一番重大な問題であろうかというふうに考えておるわけでありますが、今回の一部改正にしても相当公費導入するというふうなお話も聞いておるわけでありまして、それだけに事実をきちんと分析をして、きちんと把握をしておく必要があろうかと思うわけであります。  御承知のとおり、いわゆる地方税制によって捕捉をされた所得に対して国民健康保険保険料というものがかかってくるわけでありますが、ではこれが果たして正確に捕捉をされておるのかどうか、これはもう低所得者層に限らず言えることでありますし、あるいはまたいわゆる分離課税とか、あるいは控除される所得というものは出てこないというふうなこともあるわけでありまして、では、本当にそうした中で例えば可処分所得というのはどうなのか等々のいろいろな調査検討といったことも、抜本的改革をもしやるのであればやっておかなければいけない。そこら辺をきちっとやっておかないと、公費導入に対して私は国民の御支持がいただけないのではないかというふうな気持ちもいたすわけでありますので、恐らくおさおさ怠りはないと思いますけれども、さらにそこら辺の話も煮詰めておいていただきたい、そんなふうに思うわけであります。  同時に、これも先ほどお話にございました一人当たりの保険料地域格差及び応益割合地域格差についてもお話しいただきたいわけでありますが、これももう御案内のとおり、国保に対する不満の中でもパーセントとしては非常に大きい部分であります。所得が同じなのに町を変わったら急に保険料がでかくなった。これはどうしたことだ云々お話もあるわけでありまして、そこら辺をもう少し詳しく御説明をいただきたいと思います。
  16. 岡光序治

    岡光政府委員 保険料地域格差でございますが、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、最高市町村最低市町村では約六倍の格差がございます。  それと、応益割合につきましては、全国平均で約三五%の応益割合でございますが、最高のところでは七一%、最低のところでは九・五%ということで、応益割合につきましても大変大きなばらつきがございます。私どもは、この状況につきまして、やはり標準である応益割合五〇%というものにできるだけ近づけていただくというのが全体の負担の公平ということにつながっていくのではないだろうかというので、今回は、負担の公平につながるべく応益割合を五〇%にするような誘導策をこの際講じたいというふうなことを考えておるわけでございます。
  17. 山口俊一

    山口(俊)委員 今回そのような格好での誘導策というふうなお話でありますが、今御答弁をいただいたとおり、今現在、全国平均では応益割合と応能の割合が三五対六五、しかも各保険者といいますか市町村で物すごいばらつきが出てきておるわけであります。基本的には五〇対五〇でお願いしますよというのが厚生省の姿勢だというふうに聞いておるわけでありますが、現実にいわゆる市町村政を預かる町村長さんあるいは市長さんにとってはこれはもう実は大変な問題であるわけでありまして、やはりひとつおらが町だけこうしますよといったことではなかなか住民の皆さん方の理解を得にくいというふうな部分も出てこようかと思います。それだけにやはり厚生省としてきちんとそこら辺の基準を示して、同時にきちんとした誘導策というのをとっていく、インセンティブを高めていくというふうなことをやっていただきたいと思うわけであります。  ただそこら辺で、いわゆる応益割合を高めるというふうなことになりますと、やはりどうしても低所得者皆さん方負担がかかっていくのではないかというふうな話も出てくるわけでありますので、今回の改正案にもありますけれども、いわゆるそこら辺の軽減措置をきちんとやっていく、これも大事なことであろうかと思っておりますので、そこら辺の御努力期待をいたしておきたいと思います。  それと、やはりこれも出ておりましたいわゆる小規模保険者増加をしてきておるというふうなことでありまして、御案内のとおり、余りに規模が小さいがために次年度のいわゆる医療費の予測さえできないというふうな町村がふえてきておるわけであります。このことに関しては、いわゆる広域化がどうだ、あるいは都道府県がもう少しやったらいいのではないか等々、いろいろな議論が出ておりますけれども、これに対しての今回の改正における配慮というものをお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 岡光序治

    岡光政府委員 まず、御指摘のように規模が小さい保険者になりますと、まさに事業安定化しない、当該年度保険料と翌年度保険料かなりのぶれがあるというふうなことにもなるわけでございまして、非常に安定化しないわけでございます。そういう意味では、医療費のうち高額な医療費につきましてはその保険者保険料負担にはね返させないような、いわゆる高額医療費共同事業ということをやっておりますが、そういった共同事業拡充をすることによって、結果として保険料ばらつきが生じないように持っていこうではないかということをまず考えております。  それから、規模が小さい保険者では担当者確保がなかなか難しいということもございますので、国保連合会等によります支援を行いまして、事務的な面、いろいろな事業を展開する面でもそういった具体的な支援策を講じていこうではないか、こういう両面から小規模保険者運営安定化に資するように持っていきたい、こういうことを考えております。
  19. 山口俊一

    山口(俊)委員 それと、これも先ほど若干お話を申し上げましたけれども、いわゆる応益割合地域格差であります。このばらつき、若干お話がありましたけれども、今回の暫定措置にとどまらず、今後どういうふうに対応していくおつもりなのか。今回の保険料軽減制度見直しだけでは私はどうも不十分ではないか、そんなふうに考えますのでその点と、またこれも申し上げましたけれども、そうした応益割合引き上げに当たってはやはり何といっても低所得者層への配慮といったことが大事になってこようかと思いますので、そこら辺の二点につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  20. 岡光序治

    岡光政府委員 まず低所得者への配慮でございますが、先生よく御存じのとおり、現在は所得状況によりまして六割軽減、それから四割軽減ということをやっておりますが、応益割合が五〇%に近いところにつきましては二割軽減という新しい範囲の低所得者軽減の層をこの際設けたいというふうに考えて、なだらかな保険料負担になるように、所得状況に応じながらそういうことを全体的に公平になっていくように配慮したいというふうに考えております。  いずれにしましても、こういった措置はそれぞれの市町村保険者の判断にゆだねられておるわけでございまして、いかにこれを標準割合に近づけるかということがもう一つの課題になってくるわけでございます。そういう意味で、標準割合に近づけるように保険者指導を行っておるわけでございますが、それぞれの自治ということとこの誘導ということとのまさにせめぎ合いになってくるわけでございますけれども、私どもは、できるだけこういう誘導策を講じて、応益割合標準的な割合に近づくように全体的な指導に一層徹底をしていきたいというふうに考えております。
  21. 山口俊一

    山口(俊)委員 そうしたいろいろな措置というのはいわゆるとりあえずの暫定的措置というふうなことで十二分に理解はできるわけでありますが、ただ、概括的にいろいろお伺いをいたしましたけれども、やはり今回の改正というのはどうしても暫定的改正というふうな性格であろうかと思います。やはり遠からず医療保険制度全体の抜本改正、これはもう避け得ないのではないか。しかも今回、御案内のとおり二年後に見直すとかあるいは三年後に見直す云々というふうな条項も入っておるわけであります。そうしたことから、いつごろまでにどのような方向で抜本改正というのを行っていかれるおつもりなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  22. 井出正一

    ○井出国務大臣 今回の改正は、山口委員指摘のように高齢化の進展あるいは低所得者層増加小規模保険者増加といった国保制度の抱える構造的な問題に対応するための当面必要な措置を講じようとしているものでありまして、保険料軽減制度拡充国民健康保険運営を一層安定化させるための措置を講じようとしておるわけでございます。  今回の改正事項のうち、今御指摘のように国保制度における保険基盤安定制度にかかわる国庫負担の特例等は二年間の暫定措置とされておりますし、また老人医療費拠出金の算定方法については三年以内を目途に見直せ、こういう御指摘もちょうだいしておるところでございます。したがいまして、現在、老人保健福祉審議会において議論されております新介護システムあり方にも大変関係してまいりますから、これらの御審議を踏まえた上で、できるだけ速やかに国保制度抜本的改革を含めた医療保険制度全般における給付と負担公平化に向けてさらに努力をしてまいる所存ております。
  23. 山口俊一

    山口(俊)委員 今お話がありました介護保険にしても、やはり保健、福祉医療全般にわたる改革といったことが必要になってこようかと思います。そして、今策定して、やろうとしておられます新ゴールドプラン、これをやはり着実に実行していって、いわゆる介護サービスのレベルを上げていく、きちんと定着させておくといったことも公的介護保険導入に関しては大事であろう、そんなふうに思います。今、二年延長、三年延長というふうなお話もございました。考えてみますと、平成年度には消費税が見直しをされる、そこら辺が目途だろうなというふうに感じておるわけでありますが、御承知のとおり、年金の一元化にしても平成七年にやるというふうに言いながら、やはり難しい問題はなかなかクリアできずに先送りになってしまったというふうな経緯もあるわけであります。  この国保制度にしても、いつもこうして部分改正、その場その場を取り繕うというんじゃなくて、きちっと方向は出ておるわけですから、やはりきちっと抜本改正をやるべく御努力をこの二年間お願いいたしたい、心から御期待をさせていただきまして、時間が終わりましたので、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  24. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 網岡雄君。
  25. 網岡雄

    ○網岡委員 私からも国保法の改正法案について、若干の御質問を申し上げたいというふうに思います。  まず第一に御質問を申し上げたい点は、今回の国保法の改正は、保険料軽減制度かなり大幅に拡充されたという点では私ども評価をいたしているところでございます。しかし、若干の問題があると感じますので、以下御質問を申し上げたい、このように思う次第でございます。  この国保法の改正一つの大きなねらいというのは、応益と応能を、理想的に言えばフィフティー・フィフティーにするということが、今回の改正に当たりまして将来の一つの方向として行われたというふうに感じられるわけでございます。  この制度の中におきましては、例えば応益が四五から五五のところにおきましては新たに二割軽減の創設をされた。そして平成八年におきましては、六割軽減のものを一割上げて七割、それから四割軽減のところを五割にするということで、応益部分の四五から五五というところについてかなり改正が行われたという点では、私ども評価をする次第でございます。  もう一方に、三五%のところにおきましては、これは将来一つの方向づけを強力に推進していくという意味があると思うのでございますが、平成七年におきましては、現在六割の軽減を一割下げて五割、そして四割のものを三割、こういうふうに下げていくという一つの方法がとられようといたしておるわけでございます。  しかし私、この対応について若干矛盾があるのではないかという気がいたします。各市町村保険者状況というものを踏まえたとも思われるわけでございますけれども、このペナルティーとしてやった。平成八年におきます六割軽減を五割にする、それから四割軽減を三割、こういうふうにされるようなことについては、これは当分の間、六割、四割、こういうことで対応していくということが言われておるわけでございます。  こういうことになりますと、基本的に方針として入れました応益負担それから応能負担五、五ということの基本線がこれによって崩れていくという矛盾を感ずるわけでございますが、ペナルティー的な割合というものも決めておきながら、「当分の間こということで六割、四割を継続をしていく、こういうことになれば、この改正趣旨に少しずれが出るという感じがしないでもないわけでございます。  したがいまして、暫定的な措置として六、四にしていくということは、その見直しの着地点といいますか、見直しか行われる時期というものは「当分の間こということになっておりますが、いつやるかということを、恐らくこれは、この法律をつくったときには厚生省内部において検討されているところだと思うのでございますが、その時期についてお示しかいただけるものならば明らかにしていただきたいというふうに思うわけでございます。  以上です。まず第一点です。
  26. 岡光序治

    岡光政府委員 結論的に申し上げますと、「当分の間こといたしましたが、具体的にこの時期というふうに考えているものではございません。  私どもは、御指摘がありましたように、現在の応益割合につきまして、平均が三五でございますので、それを五〇に近づけたいというので、そういういわば五〇へ近づけるためのインセンティブを考えれば、今御指摘がありましたような全体的に傾斜をつけていくというのが一つの手かなというふうに思ったわけでございます。  それにしても、現在六割、四割を五割、三割というふうに軽減割合をきつくするということは、それはイコール低所得者への負担増ということになるわけでございますので、やはりそれは、理念で示したものの、現実は非常に難しいんじゃないだろうか。全体の負担の公平ということを考えて物を考える必要がございますので、そういう市町村の理解であるとか全体の動きというものを十分考える必要があるだろう。そういう意味で「当分の間ことやったわけでございまして、具体的にいつ五割、三割にするよというスケジュールを考えているものではございません。
  27. 網岡雄

    ○網岡委員 今の御説明でございますが、まことに理解に苦しむところでございます。  まず、基本的に、こういう具体的な内容というものを法律の中できちっと明示をするならば、やはり「当分の間こという表現は、法律の中にもあるわけでございますからそれはいいんですが、しかし、「当分の間こということは、これは未来永劫ということではないわけでございますから、どこかで改正をするということになるわけでございますから、この法律改正をやる作業の段階では、恐らく厚生省のところにおいては、大体いつやっていくかということが想定されていなければならぬと思うのでございます。  それが、きちっと時期が言えないというようなことは、やはり法律改正を出す厚生省として、これは極めて不備な法案を我々に出してきたということも感ずるわけでございまして、今答弁がありました。この問題を取り巻く状況というものにつきましては、各保険者が抱えている深刻な問題というものにつきましても私どもは全然無理解ではございません、理解をしているわけでございます。そうであるならば、やはりこの法律を出した以上は、そういう財政的にも困っているような保険者が踏み切っていけるような、実行に移せるような何かのそれこそインセンティブ的な手だてというものをやって法律を出すというのが、私は政府としてやらなければならない責務だというふうに思うわけですが、その点では基本的な骨格部分というものが極めて不明瞭な形で提案をされているというようなことは、私どもちょっと理解に苦しむ点でございます。  しかし、反面、深刻な状況があることも私ども理解をいたす次第でございまして、ぜひひとつ、これは本来のあるべき姿でスタートを切っていくための道筋といいますか、道程というものをこの際明らかにすべきであると思いますが、その点についての考え方をお示しいただきたいと思います。
  28. 岡光序治

    岡光政府委員 そもそもは国民健康保険制度をどのように持っていくのか、それから、もっと広い観点からは、医療保険制度をどういうふうに持っていくのかということとかかわっているわけでございます。  医療保険につきましては、一元化ということが従来からのテーマでございまして、そこでは、医療保険全体を通じての給付と負担の公平ということが具体的なテーマでございます。そういう観点から、国民健康保険税(料)の現在のありようにつきまして、やはりいろいろと基本から考え直さなければいけないんじゃないかと思っております。そういう意味では、医療保険抜本的な見直しをする際に、国保保険料も含めて、負担の公平という観点から現在のような保険料のシステムでいいのかどうか、こういう検討をすべきではないかと思っております。  そういう先生の御指摘にこたえるということからしますと、とりあえず、現在の国民健康保険制度を前提にして当面の安定化策を講じようとしているものですから、そういう意味で、極端な負担増につながるようなことのないようにという配慮が「当分の間こという表現であらわれたわけでございまして、私どもの気持ちとしましては、これはいわばつなぎの措置でございますから、抜本見直しというんでしょうか、医療保険のありよう全体についての議論の中で国保負担あり方議論されていくべきではないか、その中では、今の保険料負担のシステムとは随分と違ってくる、そういう一面もあるのではないだろうかというふうに予測もしているところでございます。
  29. 網岡雄

    ○網岡委員 一応お答えをいただきましたので、三年後の見直しということもあるわけでございますが、早急にそのあるべき姿というものを、それこそ負担の公平というものの原則の上に立って明らかにしていただく努力をしていただきたい、このように思う次第でございます。  次に、二つ目の問題でございますが、小規模保険者対策として、今回の改正におきましては高額医療費共同事業拡充をされるということになったわけでございますが、これは私は、大変小規模保険者が多くなっているという我が国の状況からいいまして、非常に適切な措置がとられたものだというふうに思うわけでございます。しかし、保険者規模広域化、これは、小規模保険者一つ一つ単独で存在しておるということになりますと、負担と給付というような関係、それから保険者事業の内容というものから見ましても、極めてこれはやはり十分なものにならないわけでございますから、将来の一つの方向として今から考えていかなければならぬと私は思うのでございます。保険者規模広域化というようなことは、この小規模保険者の問題を解決をしていく一つの課題であるというふうに、具体的な策でもあると思っておるわけでございますが、この広域化についての抜本的対策というものが厚生省の中で検討がされているのでしょうか。もし検討されているとすれば、その検討されている中身というものはどういうものがあるか、この際、明らかにしていただきたいと思います。
  30. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のように、この規模のありようにつきましては、課題の一つだと思っております。  現状を申し上げますと、市町村保険者になってもらっているというのでメリットという面では、地域の保健医療活動と連携が保てる、あるいは被保険者の把握なり保険料(税)の徴収がより.容易である、それから地域の連帯感が維持できるというふうなメリットがあるわけでございますが、御指摘のように、規模が小さい状況ですと、医療費の変動に左右される、そのことによって経営が不安定になるとか、あるいは、そのことの反映でございますが、著しい医療費なり保険料格差が生ずる、こういう話があるわけでございまして、そういう意味で、今のままではこれは大変だろう、こういうふうに考えております。  しかし、そのことがイコール規模の拡大という格好につながるかどうか。いわゆる広域連合というふうな発想も、地方自治法の改正の後いろいろ議論もされておりまして、具体的に関係審議会でそういうふうな御指摘もいただいたりしておりまして、問題意識は持っておるわけでございますが、具体的な問題になりますとなかなか関係者の意見の一致を見ておらないというのが現状でございます。  先ほども申し上げましたが、国民健康保険のありようにつきましては、その基本から見直していく必要がございますので、その中では課題の一つということで認識をしておりまして、既にこれは関係審議会でもそのような御指摘をいただいているわけでございまして、この辺十分煮詰めまして、また皆さん方のコンセンサスを得るべく、そして結果として運営安定化が図れるようなそういうふうな格好で議論を集約していきたいというふうに考えております。
  31. 網岡雄

    ○網岡委員 次にお尋ねをいたしますが、国保におきます保険料地域格差が非常に大きいことは、もう御案内のとおりでございます。この大きな要因として考えられますものは、医療費の地域の格差というものがあるというふうに思うわけでございますが、この地域格差の是正ということについて、厚生省は今どのように取り組んでおみえになるのか、お尋ねをいたします。
  32. 岡光序治

    岡光政府委員 国保制度の中におきましては、極端に高い医療費市町村につきまして安定化計画というものをつくって、その当該市町村医療給付費の適正化が図れるように、そのような措置を講じているところでございます。今回の見直しではこの高医療費市町村の指定基準を見直しまして、その対象を拡大するということを予定をしているところでございます。  そのほかの関連の施策としましては、レセプト点検の充実であるとか、いわゆるヘルスの、保健事業推進、あるいは在宅医療、各種福祉施策の推進など、地域における医療費が高くなってくるであろう要因に応じた対策に取り組んでいるところでございます。  それから、都道府県におきましてもこういった市町村の取り組みに助言指導をしてもらおう、それから都道府県では医療機関に対しての指導監査体制を強化してもらおう、あるいは保健、医療福祉の各分野の連携を図るように、あるいは市町村間の連携がうまく図れるようなそういう調整をするように、こんなふうなことを実は考えているわけでございます。  あわせまして、高齢者の問題がいつも問題になるわけでございますので、ゴールドプランの推進であるとか、あるいは老人保健福祉計画の策定、こういったことによって、結果として医療費の適正化にもつながっていくというふうにしてまいりたい、こういうことを考えているわけでございます。
  33. 網岡雄

    ○網岡委員 次にお尋ねをいたしますが、国保財政安定化というのは今日最も重要な課題だと思うのでございます。制度面における対応に加えまして、各保険者事業運営努力というものが重要な要素を占めると思うのでございますが、厚生省としてはこの点についてどのような考えをお持ちになっているのか、この際、お尋ねをいたします。
  34. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のとおり、保険者の経営努力の強化が肝要でございまして、一つ国保の審査体制の強化をする、それから市町村のレセプト点検を充実をする、こういうふうなことをまず図ろうとしております。それから、保険料の収納率向上に向けまして種々の対策を講じたいということでございます。あわせて、健康審査など被保険者の健康の保持増進を図る、こういった保健事業充実ということを考えております。  端的に言いますと、国保三%推進運動というのをやっておりまして、収納率を一%上げようじゃないか、あるいは医療費の一%以上適正化を図っていこうじゃないか、あるいは保険料収入の一%を保健事業費として確保しようじゃないかとか、こういうふうな三%運動というのが一つの象徴でございますが、こんなふうなことを現在進めているところでございます。  今回の改正におきましても、医療費の適正化という観点から、先ほどもちょっと触れましたが、高医療費市町村における運営安定化のための安定化計画、こういったものの見直しをするということと、それからヘルス事業の保健事業、あるいは医療費適正化の取り組みに対しまして、国保連合会なり国保中央会の支援を一層強化しようということで、それを法律上位置づけまして、保険者支援努力をするようなそういう規定もあわせお願いをしているところでございます。
  35. 網岡雄

    ○網岡委員 国保三%運動ということで積極的におやりになっていることについてはそれなりに評価をいたしますが、ぜひひとつ国保財政安定化に向けて、一層の御努力をいただきたいということを要請いたします。  それから、次の五つ目の御質問でございますが、今回の改正における老人加入率上限の段階的引き上げについてお尋ねをいたします。被用者保険サイドは老人医療費拠出金負担がふえることとなるのですけれども負担が過重とならないような手だてをするべきだと思うのでございますが、この点についてどのようなお考えを持っているか、具体的にはどういう手だてをされようとしているのか、御説明をいただきたい、お答えをいただきたいというふうに思います。
  36. 岡光序治

    岡光政府委員 まず被用者保険各制度は拠出分がふえるという立場に立つわけでございますが、こういった財政影響につきまして、それが保険料率の引き上げに直接つながらないように激変緩和措置を講ずるべく、財政支援を個別にしていこうとしております。千分の一の保険料率の引き上げにつながらないように、それぞれの保険者状況に応じて措置を行いたいと考えております。  それから、あわせまして、今回の老人保健制度改正におきましても、医療保険保険者財政に与える影響等にかんがみまして、老人医療費拠出金の持ち出し額が著しく過大となる場合には特別調整をする、こういうふうなこともあわせ配慮しているところでございます。
  37. 網岡雄

    ○網岡委員 次に、観点を変えまして、公的介護システムのことについて御質問を申し上げたい、このように思います。  公的介護システムの問題につきましては、老人保健審議会で今検討中というふうにお聞きしておりますが、近くその介護のシステムについての結論が出るというふうにお聞きいたしておるところでございます。その審議会の審議状況について御説明をいただきたいと思いますし、そのことを受けて、厚生省としては、まだ審議会の結論が出ていないところでございますから、これは非常に難しい質問でございますけれども、基本的にはやはり高齢化社会に向かっていくに当たりまして、ゴールドプランを新ゴールドプランに見直すとか、いろいろな施策というものが進んでいるわけでございますが、こういう状態におきまして、公的な介護システムというものを早急に国の責任において構築をしていかなければならぬということは、まさに目下の急務だというふうに思うわけでございます。  したがって、これらの点について、厚生省はまずどういう手順を踏みながらこの公的介護システムというものを制度的にきちっと構築していく手順というものをお考えになっているのか、この辺についてお示しをいただきたいと思います。
  38. 井出正一

    ○井出国務大臣 昨年の十二月に、学識経験者による高齢者介護・自立支援システム研究会というものがございますが、そこから報告をいただきまして、介護を必要とする高齢者を、福祉サービスばかりではなくて医療サービスによって対応してきた面も多いと指摘をされたわけであります。  その研究会報告では、高齢者の自立支援を介護の基本理念として、既存の介護に関する福祉医療等の制度を再編成し、新しい高齢者介護システムを創設することを提言されております。また、新たに策定された新ゴールドプランにおきましても、公的介護システムの検討を進めることになっておりますことは先生御案内のとおりでございます。こうした観点を踏まえ、従来、高齢者介護を担ってまいりました老人福祉あるいは老人保健制度等について見直しを行い、国民だれもが身近に必要な介護サービスをスムーズに利用できるような新しい高齢者介護システムの構築を図る必要があると考えております。  高齢者に対する新介護システムにつきましては、実は先月から老人保健福祉審議会において御審議を開始していただいたところでございます。今後、審議会における審議状況等を踏まえつつ、鋭意検討を進めてまいりたいと考えています。
  39. 網岡雄

    ○網岡委員 今大臣から御答弁をいただきましたが、そういうことで国民期待にこたえるような介護システムというものをぜひ実現をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  最後に、公的介護システムを構築していくに当たりまして、特にこういう点を原則的に、基本的な検討の課題と申しましょうか、基本的検討事項ということでぜひ考えていただきたいというふうに思うわけでございます。  それは、まず第一に、高齢者が必要なときに必要なサービスがいつでも受けることのできる体制。二つ目には、高齢者に対して保健、医療福祉を通じて総合的なサービスが提供されること。三つ目は、高齢者の介護に要する費用については公平な負担とすること。この負担というものは、大体において高齢者というのが対象になるわけでございますから、一般的に言いまして経済的負担に耐えられる能力というものには限界があるわけでございますから、したがって、その負担についてはできるだけ低額といいますか、負担に耐えられるようなものにする。こういうことが、この介護システムを検討していく場合の三大条件だというふうに思うわけでございますが、この点について厚生大臣としてどういうお考えをお持ちになっているのか、お尋ねいたします。
  40. 和田勝

    ○和田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣が申し上げました高齢者介護・自立支援システム研究会の報告におきまして、高齢者を対象といたします新介護システムについての基本的な論点あるいは考え方の整理が行われているところでございます。  この報告の中でポイントとして挙げられておりますのは、まず第一に、高齢者みずからがその意思に基づいて利用するサービスを選択できるようにすること、第二に、保健、医療福祉を通じ介護サービス体系を一元化し、利用手続、利用者負担格差の解消を図ること、第三に、個々の高齢者の生活と心身の状態に応じ、きめ細かなサービスを提供するケアマネジメント方式の確立、第四に、社会全体で介護リスクを支え合う社会保険方式の導入といったことが挙げられております。  ただいま先生が御指摘なさいましたポイントというのは、この研究会報告で指摘されておりますことと基本的には通ずるところがあろうかと思います。  先ほど申し上げましたように、本年二月から老人保健福祉審議会審議が始められたところでございますけれども、今後、私どもこの問題について検討をするに当たりましては、この研究会の報告なども参考にいたしながら、各方面の御意見もよく伺いまして、鋭意取り組んでまいりたいと思っております。
  41. 井出正一

    ○井出国務大臣 今政府委員がお答えいたしましたが、昨年十二月のこの研究会の報告と、先生御提言の三大基本柱という点、本当に共通なところが多いと思います。この二月から始まっております老人保健福祉審議会議論を踏まえて、これから私どもも鋭意検討を進めてまいりますが、先生の御意見も十分参考にさせていただきたい、こう考えております。
  42. 網岡雄

    ○網岡委員 終わります。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 荒井聰君。
  44. 荒井聰

    荒井(聰)委員 ただいま保険局長さんから、今回の国保制度及び老人保健制度見直しというのは暫定的な措置であるというお話がございましたけれども、それでは、この暫定的な措置によって国保保険料負担に与える影響というのをどの程度に見込んでいるのか、お聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席、網岡委員長代理着席〕
  45. 岡光序治

    岡光政府委員 まず、保険料軽減制度見直し、それから高額医療費共同事業拡充の影響、こういうことによりまして、市町村国保保険料は約二百四十億円の負担減になるというふうに見込んでおります。それから、老人加入率上限二〇%問題につきまして、上限の段階的な引き上げをいたしまして、平成年度には現在の二〇%を二二%に引き上げる、こういう予定をしておりますが、これによりまして、市町村国保保険料は約二百八十六億円の負担減、こういうふうに見込んでおります。両者合わせまして約五百二十七億円の負担減、こういうふうな数字で見込んでおります。
  46. 荒井聰

    荒井(聰)委員 私は、制度改正というのは二つの側面から見ていかなければならないだろうと思うわけです。それは、一つは、制度自体が持っている現状でのいろいろな矛盾点、問題点、そしてそれが将未来すであろうさまざまな問題点、それをどういうふうに分析し、そしてそれをどうとらえて制度的な改善をするかという点が第一点でございます。  今回の場合、制度改正における問題点というのは、一方では低所得者層増加していった。これが中間所得者層へのしわ寄せとして保険料負担が過重になっていった。昭和五十五年には低所得者層、無所得者層割合が一三%だったのが、既に二〇%を超えている現状にあるという分析結果がありましたけれども、こういう問題。あるいは市町村が過疎化している、高齢化しているということから、小規模保険者増加しているといったような原因。まだもう一、二点あるのかもしれませんけれども、このような原因から、現在国保の持っている構造的な問題としてとらえざるを得ないというお話だったと思うのです。  それでは将来、例えば五年後、十年後、このような要因はどの程度に見込んでいるのか、全体としてどの程度過重な形になっていくのかといったような点を議論する必要があるのではないか。私は、そのような点について御見解があればお伺いしたいと思います。
  47. 岡光序治

    岡光政府委員 現在の日本の経済社会の動き方からいたしますと、まず、人口の都市集中というのはなお進んでいくのではないだろうか、こう見込まれるわけでございます。かつ、就業状況につきましても、第一次産業がもっと減って、いわゆるサービス業を中心とした第三次産業に移っていくのではないだろうか。そういう意味では、就労構造も大変変わってくるというふうに考えられます。  一方では、高齢化がより大きく急速に進むというトレンドもあるわけでございまして、そういうことからいたしますと、小規模保険者の今後の推移ということは、なお規模の小さいところが膨らむと同時に、都市部にまた人が集中するのではないだろうか、こういう予測も成り立つわけでございます。そういたしますと、小規模保険者の問題というのは、これからもなお大きく続くのではないだろうかということが大きく予測できます。  それから、現在のように被用者保険が独立て存在しておりますと、その被用者から退職をして無職者なり自営業者になる、こういうことになりますと、それを国保が受ける、そういう受け皿的な国保制度でありますれば、やはり低所得者と言われるこういった層はなおふえていくであろう。そういう意味では、現在この法律改正におきまして私ども認識しておりますような、そういう構造問題はなお続くのではないか、かつ、今のような経済社会の動きからしますとなお大きくそのトレンドが進むのではないだろうか、そう予測をしているわけでございます。
  48. 荒井聰

    荒井(聰)委員 今回の国保改正では、財政措置については二年間の暫定措置としたものが多いわけですけれども、今御指摘国保の抱える構造的問題についてさらに抜本的な解決を図る必要があると考えられるわけであります。その意味で、早急に国保を含めた医療保険制度全体の大幅な見直しというものを行わざるを得ないと思うわけですけれども、これに取り組む決意をお聞かせ願いとうございます。
  49. 井出正一

    ○井出国務大臣 先ほども申し上げましたが、今回の改正は、高齢化の進展あるいは低所得者層増加小規模保険者増加といった構造的な問題に対応した当面必要な措置を講じるものでございまして、保険料軽減制度拡充国民健康保険運営を安定させるための措置であると認識しておりますが、決してこれでいいわけでございませんで、今荒井委員がおっしゃるように、国保を含めた医療保険制度抜本的な見直しかもう緊急に必要だという認識は持っております。  現在、老人保健福祉審議会において議論をされております新介護システムあり方等も踏まえ、国保制度抜本的改革を含めた医療保険制度全般における給付と負担公平化に向けてさらに努力をしてまいりたいと考えております。
  50. 荒井聰

    荒井(聰)委員 ありがとうございます。  私最初に、制度改正というのは二つの側面から考えなければならない、将来の見通しか第一点。もう一つ私思いますのは、その制度が生き生きとして、本当に目的を遂行する上で、人の顔が見えるというか、あるいは生き生きとした形になっているかどうかということが私は制度として大変重要だと思うのです。  国保というのは、これは何のためにあるのかというと、私は、健康な老人をたくさんつくっていく、あるいは病気にならないようにしていくということがこの制度の本来的な趣旨なんだろう。万が一病気になったときにはこの制度の手助けをかりざるを得ないけれども、基本的に私は、元気な老人だけではなくて元気な町の人、そういう人がたくさんあふれるような、そういう地域にしていくということがこの制度の私は本来的な意味であり、かつそこに制度としての生き生きさというものを求めなければならないのではないかというふうに思うわけです。  これは北海道のある町村なんですけれども、そこの町村で保険負担料が大変かさんでしまって、町財政を圧迫してしまった。町長さん大変困ってしまって、どうしたらいいか、町立の病院をつくったり保健所をつくったりして努力をしたわけですけれども一向に改善されないという状況の中で、彼はある保健婦さんを町の職員にいたしました。その、町の職員となった保健婦さんが、どうやったら元気な老人をたくさん町の中にあふれさせることができるだろうかということで、町の中を一生懸命見て回ったりあるいは病気の人たちといろんなお話し合いをさせてもらっているうちに、これはやはり老人の生きがいを与えるような、そして元気な活力を引き出すようなそういうものが必要なんだということに気がつき、片一方ではちょうどそこはトマトの特産地でもありました。  トマトジュースをつくるところで有名だったんですけれども、そのトマトを食べたら大変おいしい完熟トマトであった。この完熟トマトを老人の方、町の方にたくさんつくってもらって、そのトマトをたくさん食べてもらう、余ったトマトは特産品として町外に売ろう、そういう発想をいたしました。これが大変当たりまして、北海道でも有名なオオカミの桃という特産品となって、北海道外にもたくさん売りに出されて、とてもおいしいトマトジュースですけれども、この売り上げと同時にだんだん国保が改善されていったというのです。どの程度改善されたのか、私はそこまで聞き及んではおりませんけれども、恐らく健康食品の普及と、そしてそれを、老人の方が一生懸命トマトをつくったりトマトジュースにするために汗をかくということを通じてその地域の活力が戻ってきたのではないだろうか。  こういうことを国保の中でも恐らく健康事業として取り入れている例がたくさんあちこちにあるんだろうと思うんですけれども、こういうことを積極的にこの国保の中でインセンティブを与えるぐらいな気持ちで普及させていくということが大事なんではないだろうかというふうに私は思いますけれども、いかがでございましょうか。
  51. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のとおりでございまして、随分とそういう成功事例もあるわけでございます。そういう成功事例を私どももいろんな書き物にいたしまして、そういったことを参考にしていただいて、国保事業、特にいわゆるヘルス事業、保健事業運営充実に充てていただきたいというふうなことを考えているわけでございます。  それで、国保の施策の中では、保険料収入の一%以上をそういった保健事業に計上するように指導もしておりますし、来年度年度の予算の中では、これはお認めいただけますれば、在宅療養のための必要な用具の貸し付けなんかの事業を新たに助成対象にしようとか、今やっております保健事業をより膨らましていきたいと考えております。  しかし、平板的なそんな話ではありませんで、やはり地域におけるいろんな事業と連携を図る。それから、もっと、先生が御指摘ありましたが、生きがいの問題、心の問題にやはり入っていかなければいけないと思います。行政はそこは限界があろうかと思いますが、やはり地域における連帯感を維持しながら、みんなで社会をつくっていくんだという、社会参加を促すようなそういう施策も市町村では展開できるわけでございますので、市町村国保のいいところは、そういったところと連携できるわけでございますから、そんなことをぜひとも進めたいと考えております。  それで、具体的には、私ども、いい事例をそうやって紹介をいたしますが、今回制度改正では、国保連合会などにおきまして具体的にその市町村保険者をこういうふうな保健事業をしたらいいじゃないかというふうな支援ができるような、そういうことも法律上規定をしていただきたいというふうにお願いをしている次第でございます。
  52. 荒井聰

    荒井(聰)委員 私は、市町村が果たす役割というのは非常に大きなものがあるし、ますます地域の医療あるいは国保全体あるいは老人介護の問題で市町村の果たす役割というのは大変大きくなろうと思います。  しかし、一方では過疎化が非常な急速度で進行しておりまして、町村の人口で、五千人とかあるいは三千人とかといったような町村さえ出てきている。それが、老人、六十歳以上あるいは五十五歳以上の率が六割を超えるといったような高齢化地域が過疎地域にたくさん出ているのが現状であります。そういう地域において国保を正常に保っていくというのはやはり物理的に限界が来ているんではないだろうか。ここは事務的にも、事務処理能力としても非常に難しい状態になっているので、負担という面だけではなくて、そういう地域においてはやはり、最近議論されております地方分権推進法の中でも議論されておりますけれども、広域行政、市町村の広域行政といったようなことを積極的に導入していかざるを得ないのではないだろうかというふうに考えております。  地方分権推進法の議論の中でも、厚生省所管の福祉関係の行政については地方分権の推進を積極的に図るべきだといったような指摘も識者から出されております。こういったような点から、私は国保だけではないのですけれども、広域行政といったような面をもっと積極的に福祉行政の中で活用していく、そういう時代になっているのではないだろうかなというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  53. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のとおりだと思いますが、具体的にそれでは国保の世界におきまして保険者をどういったところに設定をするのか、こういう話になりますと、なかなか関係者の合意が得られておらないというのが現状でございます。  具体的には一部事務組合を形成をしておる保険者も日本の中にはあるわけでございますが、それは非常に地域的に限られた。かつそれまでの歴史的な流れの中で特異なものでございまして、どうも一般化するわけにはいかないんじゃないか。そうすると、どうも市町村の責任というのでしょうか、地域とのかかわりを維持しながら一方で保険運営安定化させるという、いわば二律背反の課題にこたえなければいけないわけでございまして、そこのところについてはなかなかまだ関係者の意見が一致しておりません。関係審議会でもその辺は御議論いただいておりますが、課題として残されておるわけでございまして、もう少しこの辺は具体的な規模の問題、構成の問題として議論を煮詰めさせていただきたいと思っております。
  54. 荒井聰

    荒井(聰)委員 恐らく広域行政化で非常にネックとなっている難しい点というのは、保険料地域格差の面が大変大きな阻害要因になっているんだろうと思います。先ほど地域間の格差が六倍ぐらいだというようなお話をされておりましたけれども、恐らく私の北海道なんか非常に高い水準の地域がと思うのですけれども、これは現実としてなぜ六倍にもならざるを得ないのか、どういうところにその原因があるのか、そんな点、何かお気づきの点がありましたら、お聞かせ願いとうございます。
  55. 岡光序治

    岡光政府委員 医療費格差がなぜ生じるかというのは、いろいろ要因があると思っております。いろいろな要因の中で非常に端的に言えておりますのは医療供給体制、もっと具体的には人口規模、例えば一万対比のベッド数がどの程度かというふうなそういう医療供給体制との関係が非常に大きく相関関係があるというふうに分析できております。しかし、それは非常に一面的でございます。その地域の健康レベルの問題もあると思いますし、それから構成している人の年齢構成で高齢化が進んでおれば、やはり医療費が高くなると思います。それから所得状況もやはり原因があろうかと思います。そういったことでそれぞれの原因がございますので、その原因ごとに分析をしまして対応をせざるを得ないのではないかと思っております。  一番相関関係が明確に出てまいります医療供給体制の問題につきましては、一方では地域医療計画でその地域においてどういう医療体制を整えるかということを今議論をしているわけでございますし、具体的にまたその計画が設定されているわけでございます。それで、しかもその医療サービスの受け方として病院に期待をするのか在宅に対応するのか、それから、先ほど先生からも御指摘がありましたが、なお、その病院とか医療施設に頼るのではなくて、みずから積極的に健康づくりをするというふうな構えにするのか、そこはいろいろそれぞれの市町村における取り組みあるいは住民の考え方、いろんなものが作用しているのだと思っております。そういう複合的な中でこの問題を考えていかざるを得ないのではないかと思っておりまして、そういう意味では、単純に割り切れないので悩ましい問題の一つだと思っております。  繰り返しになりますけれども、問題、要因ごとに分析をして、それぞれにふさわしい対応を一つずつ積み上げていくしかないのではないだろうか、そう考えております。
  56. 荒井聰

    荒井(聰)委員 ぜひ高負担の問題については検討を重ねていただいて、保険料地域格差の問題に抜本的なメスを入れていただきたいというふうに思います。  最後に、この予算の際に新ゴールドプランが設立されました。この新ゴールドプランの設立に際しては、この予算の時期、予算の際に大変議論になって与党・政府間で最後までもめたというか、決着を見なかったテーマでございまして、それだけに、財政負担に絡んでこの新ゴールドプランについて財政問題として大変な問題だという指摘もある一方、これに期待する点も大変大きなものがあったというふうに思っております。  特に新ゴールドプランが利用者本位・自立支援といったような点、あるいは普遍主義、総合的サービスの提供といったような点、それから地域主義といったような点、この四つの大きな理念を初めて掲げたのではないだろうかというふうに思います。そういう意味で、この四つの理念を新たに提示したという点で私は大変高く評価するわけでございますけれども、今後これをどのように具体的に推進していくのかといったような点についてはまだまだ国民の中に幅広く深く根づいていないように思うわけでございますけれども、この推進体制、推進にかける決意を最後にお聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  57. 阿部正俊

    ○阿部(正)政府委員 ゴールドプランを見直しまして、新しく七年度から、いわば後半五年の計画としてスタートをさせていただいているわけでございますけれども、先生御指摘のように、やはりこれからの日本の地域社会を考えますと、その基盤整備というものがどうしても一番喫緊の課題になっていると思っておるわけでございます。  そのためには、まずそれぞれの市町村中心にした地域の中で具体化していかなければ、やはり国が幾らかけ声をかけてもだめなわけでございますので、そういう意味市町村の老人保健福祉計画、県の計画というものをつくっていただきまして、それを前提にしてもう一度将来を展望しますと、今までのゴールドプランでは量的にも質的にもやはり足らざるところが多々あるということで、手直しをさせていただいたわけでございます。  その過程の中で、先生今お話もございましたように、所要の財源をどうするのかというのが大きな議論になったわけでございますけれども、来年度予算の中に盛り込ませていただきましたように、一定の財源確保しまして、何とかスタートさせていただいたというふうな状況でございます。将来的にも、平成年度以降になりますが、消費税の導入というのと合わせまして、一定の財源確保されたというふうな状況でございますので、何とかこれを具体化するために、市町村の御協力を得ながら基盤整備にさらに努力を続けていきたいというふうに思っております。  その中で、先生今お触れになりました新ゴールドプランでは、新しく基本理念という四つの理念を掲げまして、それに向けて対応をしていきたいと思っておるわけでございますけれども、率直に申しまして、現在の仕組みではこの基本理念から見てまだ少しそこまでいっていないという点があることも承知の上で、あえてこういった理念を掲げまして運用面なりあるいは市町村なりの意識改革といいましょうか、こういうことにも資していただきたいということで、あえてこういった理念も掲げているわけでございまして、そういったような点についても理解を得ながら、さらに基盤整備に努力していきたい、こんなふうに考えております。
  58. 荒井聰

    荒井(聰)委員 ありがとうございました。終わります。
  59. 網岡雄

    ○網岡委員長代理 石田祝稔君。
  60. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 私は若干お時間をいただきまして、厚生行政並びに国民健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず最初にお聞きをしたいのは、昨日福団地裁で判決が出ました生活保護法の生活保護世帯に関する問題でありますけれども、昨日の判決につきまして、その裁判の概要をまず御説明いただけますか。
  61. 佐野利昭

    ○佐野(利)政府委員 お答え申し上げます。  なかなか内容がいろいろあるものですから、非常に簡単にちょっと御説明させていただきたいのですが、高校進学を目的としてという名目でございましたのですけれども、生活保護費の一部を積み立てて学資保険を掛けていたというケースの場合でございまして、そのような形で学資保険の保険料を納めていくということが生活保護上適切であるかどうかということで、生活保護のケースワーカーの方はそのような保険を掛ける必要はないということで保険の解約を指導いたしました。その保険を解約をいたしたために、それまで掛けていた学資保険の解約金が入ってきた。それを収入認定をして、その収入認定したおかげで生活保護費が減額になったということにつきまして、そのような収入認定は違法ではないか、生活保護の最低基準を維持する経費としてはそのようなものは収入認定すべきではないのではないかということで争いになったということでございます。  たまたま、裁判を提起された方がお亡くなりになっておりまして、実際にその該当者になりましたお子様が裁判を継承されたわけでございますので、一つはその裁判を継続するいわゆる訴訟当事者としての適格性があるかどうかという問題と、それからそのような結果を出したことに対して、それは国家賠償法の違反になるのではないかということで、国賠法によるいわゆる損害賠償請求、この二件が問題になっておりましたが、前者につきまして、裁判の適格性につきましては、これは当事者が既に亡くなっているということで、これは適格性がないというふうに判断をされましたし、また国家賠償法上の問題といたしましては、そのような収入認定が、実際の使途に照らしてみれば、これはいろいろな別の用件で使用されているということから、収入認定した行為については違法性はないという結果になっております。  ただ、その中で、一部高校進学をあたかも認めないようなことになるのは生活保護上問題ではないか、あるいは学資保険を、保険料を掛けることについて、それが適切に学資保険の目的そのものに合致していればそれは差し支えないのではないかというような裁判官の意見がその判決の中に述べられていた。こういうことでございます。     〔網岡委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今概要を御説明いただきましたが、きのうの裁判には二つ論点がございまして、一つは訴訟を起こされた人そのものにかかわる問題点と、もう一点はいわゆる学資保険というものを認めるのか、学資保険をすることを認めるのかどうか、これは高校進学にも大きなかかわりがあるということで、いわゆる一般の部分と裁判そのものの部分とを分けてやられております。裁判そのものの部分についてはさっき局長も御答弁いただきましたが、厚生省が勝訴という形になっておりますけれども、それ以外に、高校進学まで禁ずるのはどうかという趣旨の、実質的に禁ずるようなことになる、貯金を禁止するのはどうか、こういう趣旨のことも述べられているわけです。  ですから、私、生活保護法を見てみますと、「この法律の目的」というところで、「自立を助長することを目的とする。」こういうことも書かれているわけですね。ですから、この裁判の中で裁判官が言われているのは、現在の日本においては、やはり自立を助長するということは、これはすなわちもう就職をすることである。そして、その就職に関しては、やはり今の世の中、学歴ということも大事な要素であるから、その自立を助長するという目的にかなうものであれば一概にそれを禁止するというのは裁量権の逸脱ではないか、こういう趣旨の判決だったわけですね。  それで、私お伺いしたいのですが、この生活保護法では生活保護世帯には高校進学というものを禁じているのかどうか、この点はどうでしょう。
  63. 佐野利昭

    ○佐野(利)政府委員 決して高校進学を禁じているわけではございませんで、高校へ進学した場合でありましても、生活扶助の対象として世帯の認定をいたしておりますので、決して禁じているわけではございません。
  64. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 私は、今局長答弁いただきましたけれども、高校進学といってもそれの準備ももちろんあるわけですね。お金が全然なしで高校進学というのはこれは非常に現実問題として厳しいことだろうと思います。我々は空中に浮かんで生活をしているわけではなくて、やはりそれなりに地面に足をつけて生活をしております。ですから、高校進学を禁じていないですよ、こう言われたときに、じゃ、それを担保するものとして、ある程度学資保険なりなんなり、一つの生活保護基準の中で、要するにすべてが税金ということですから、そういう決められた基準の中で、毎日毎日の生活の中でやはりそれなりに将来のことを考えて一生懸命積み立てられる、ある意味では学資ということ、いわゆる将来の自立自助に役立つという明確な目的があってそれに使われるということであれば、私はもうこれは余りしゃくし定規に考えるのはどうか、こう思うわけであります。  実は、この法律ができたのは昭和二十五年ですから、その当時と今、高校進学率も物すごく違うわけですね。現在、高校進学率が大体九五%になってきておりますから、当時が何%か詳しく調べたわけではありませんが、その立法されたときの状況と大きく変わってきているだろうと思うのです。それで、生活保護の給付の原資自体はこれは税金ですから、やはり私は、国民がひとしく、この程度ならこれは生活保護世帯の方にも認めてもいいのではないか、高校進学あたりはもうそろそろ私は入ってきていると思うのですね。いろいろな保護世帯の方のお家の個々の事情というのはこれは踏み込むことはもちろんできませんけれども、私の記憶する範囲では、もう今テレビとか電話、こういうものも認められてきているのですね、これは世の中の動きにつれて。  ですから今回、私はこれは一つ提案も含めてお話をしたいのですが、例えば学資保険ですね、こういうものに関しては明確に学資、いわゆる将来の進学のために積み立てるものだ、そういうことがはっきりして、なおかつそれが満期になったりその時々に払い戻される場合それが明確に進学等に使われるということであれば、私はこれはもう認めてもいいのではないか、このように思うわけでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  65. 佐野利昭

    ○佐野(利)政府委員 生活保護法で認めております最低限度の生活ということの一つの基準をどの程度にセットするかというのが争点の一つになろうかと思うわけでございます。現在の生活保護法におきましては、いわゆる教育につきましての最低限度は一応義務教育という形に法律上はなっております。そういうことからいきますと、生活保護で完全にその支給の対象とするその問題は、いわゆる最低限度の生活、こういうふうに言われるものにつきましては、これは義務教育の年限ということにせざるを得ないと私どもは判断をいたしております。  また、先生がお話しになりましたように、確かに昭和二十五年当時と現在とは相当変わってきている。確かにその変わってきた状況を具体的にあらわすものとしましては、今お話のございましたような最低限度の義務教育の関係も、昭和二十五年当時は義務教育年限を過ぎましたらすべての方に働いていただく、それを自立助長に充てていただくという形でこれは指導いたしておりました。ですから、高校へ進学された場合には、生活保護そのものを切るという形にも昭和二十五年当時は運用されていた。  それが逐次対象が変わってまいりまして、途中におきましては、例えばその高校進学の該当者だけを世帯分離をして、その世帯から切り離して個別処遇を考えるというような形も、途中で経過がありまして、それで昭和四十五年には、いわゆる高校進学の人力につきましても、これはその生活保護世帯の中で処遇ができる。ただ、その高校進学のための経費は御本人のいろいろな御努力確保していただく。その御努力というのは、例えば社会的にも育英資金、奨学資金の制度もございますし、それからまた義務教育を過ぎれば、これはなかなか厳しい道でございますけれども働く道もございます。それから、実際、生活保護を補完するような形で、かつての世帯更生資金、現在では生活福祉資金と言っておりますけれども、そういう生活福祉資金で資金をお貸しするという形で高校の進学経費あるいは就学支度資金をお貸しするということも手を打ってございますので、そういうほかの手だてで高校進学の道は開いていただく、ただ、生活保護の中では、その方の生活費そのものは見させていただく、こういう形の取り扱いに現状はなっておるところでございます。このような形の取り扱いが、私どもといたしましては限界といいますか、限度ではなかろうかと今判断をいたしているところでございます。
  66. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 そうしたらもう少し言わせていただきますけれども、判決文でもこう書かれているんですね。「生活保護家庭の子弟の具体的な高校進学の可否を検討しても、世帯内高校修学が認められているが、現実には修学は費用的に極めて困難な状況にあ る。」こういうふうなことが明確に述べられているわけですね。そして、この高校進学ということは自立助長の目的にも資する、こういうことなわけですよね。  それと、いろいろと基準を決めて生活保護の保護費を出されていると思いますが、ここの例えは母子加算にしても、子供さんも、今までだったら十八歳になったらもうすぐ切られておったわけですね。ですけれども、これは高校進学ということを前提とした議論があって、児童福祉手当ですか、そういうものも含めて、十八歳になった年度の三月三十一日までというふうに変わりましたよね。これはある意味で言えば、年金の世界もそうですけれども、高校進学をして、高校三年在学中だ、十八歳というのは。ですから、十八歳になったら切るんじゃなくて、その年度の最後まで、いわゆる高校を卒業するまでという考え方が入ってきているんですね、いろいろなところに。ですから、この生活保護の支給基準にしても、やはり十八歳から十八歳の属する年度の三月三十一日まで、これは高校進学をある意味で言えば裏から認めているということなんですね。  ですから、そこのところで、最初に申し上げましたように、空中に浮かんで生活しているわけじゃありませんから、地べたに足をつけて我々も生活をしているし、そういう方々も生活しているわけですから、実態的に高校進学を禁じていないと言ってもお金も必要なわけだ、受験料も要るし、入学のときの支度もしなければいけない。そういうことを考えたときには、一定の保護基準を認められているわけですから、その中でやはり毎月幾ばくかを将来に向かって積み立てていこう、それが自立自助に資するいわゆる学校に行くんだ、こういう明確な目的のもとにやられて、なおかつそれが明確な目的に使われるという担保があれば、これは私は認めてもいいのではないか。余り昭和二十五年当時の、しゃくし定規なことはもう言わないで、これは私は、こういうことを認めたとしても、税金を負担する国民の側からしてもけしからぬ、こういうことには決してならぬと思うんですね。  ですからこれは、今回福岡も出ました。その前に秋田もこれに似たような判決も出ておりますから、そろそろ保護行政も見直すべきときではないのか、このように再度提案を申し上げて、御答弁をいただければと思います。
  67. 佐野利昭

    ○佐野(利)政府委員 今先生のお話にありました判決の内容で私どもが一番納得しかねる点は、生活保護でこれを認めなければ実質的に高校進学の道を断っているという点でございまして、実態的に申し上げましても、実際に生活保護を受けていらっしゃる方のうちの七五%の方は高校進学をされている。高校進学をすること自体は、まさしく自立助長の意味からいっても大変望ましいことであり、それを決して否定しているわけではございませんので、そういう面におきましては、決して生活保護で高校進学の道を閉ざしているということではないというふうに私どもは考えておるところでございます。  ただ、生活保護で見るべき最低限度の生活というところに、その範囲内にどこまでの経費を入れるかということにつきましては、今もいろいろとこれは異論のあるところだろうと思いますけれども、あらゆる手だてを講じて最低限度の生活を維持するための御本人の方の努力をまず要求しておりますので、その要求している点が、ある意味でいいますと今回の裁判の争点の一つになっておる点もございますので、そういう点につきましては今ここで、どうこうするということまでは、まだ裁判が決着ついているわけでもございませんので、そういう点ではちょっとお答えは差し控えさせていただきたい、こう思うわけでございます。  少なくとも私どもは、生活保護は決して高校進学の道を閉ざす形にはなっていない、それは、現実に高校進学の道が十分開かれた形で運用されているのであるということを考えておるわけでございます。
  68. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 局長、お答えを差し控えるといったって、どこで答えるんですか、そうしたら。我々、国民を代表して選ばれてきているんですよ。ここでお答えしなくてどこで答えていただくんですか。いや、いいです、いいです。ちょっともう時間がないから、この問題はまた改めてやるとして、大臣にひとつ最後に、今までのやりとりをお聞きになって、お考えを伺います。
  69. 井出正一

    ○井出国務大臣 生活保護制度は、最低限度の生活を保障するものでありまして、その保障に当たっては、利用し得る資産とかあるいは能力その他あらゆるものを活用することを要件としております生活保護法第四条、いわゆる補足性の原理というんでしょうか、この規定から見て、従来の生活保護取り扱いの方針には誤りはなかったと私も考えますが、しかしながら、今石田委員おっしゃるように、最低限度の生活の水準というものは時代時代によって変化するものでございまして、絶えずその見直しを行う必要があることは当然だと考えております。  昨年の夏、あれは埼玉県でしたか、クーラーの問題もありまして、やはり周囲がほとんど、あのときは七割ぐらいでしたか、そういう基準以上になれば、今まではぜいたくと言われたものも、もういいんじゃないかというようなあれがなされたわけでありますが、したがいまして、今度のこの義務教育との関係でどう考えたらいいのかなと、私も実は昨日の判決結果を受けながら、私なりに考えておるところであります。このような観点から、このたびの判決内容をよく勉強して、今後のあり方見直しを含めてさらに検討するよう、実は事務当局に指示をしたところであります。
  70. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それでは、国民健康保険制度についてお伺いをしたいと思います。  まず、厚い本をきょう持ってまいりましたが、国民健康保険法の第四条に「国及び都道府県の義務」というところがありまして、「国は、国民健康保険事業運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」こういう義務規定を設けておりますが、この国の義務、国の責務について、大臣はこの国民健康保険制度についてどのようにお考えでしょうか。
  71. 井出正一

    ○井出国務大臣 お答えいたします。  国民健康保険制度は、国民皆保険体制の基盤をなす制度として大変重要な役割を担っております。そして、国民健康保険事業の健全な運営は、国民生活の安定向上のために極めて重要であると考えるものであります。  このような趣旨から、国としても、保険者である市町村による健全な制度運営支援するため、医療給付費の二分の一という、ほかの医療保険制度にはない高率な国庫負担を行うなどしてきているところでありますが、今後とも国民健康保険制度の安定的な運営が行われるように努めていかなければならぬと考えております。
  72. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それについてちょっとお伺いしますが、必要な財源については市町村とか都道府県ではなくて国が責任を持つ、こういう考え方でよろしいのでしょうか。都道府県の部分が地方交付税とかありますから、もちろん厚生省の枠内だけという話ではないだろうと思いますが、ここの「運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」この部分は、やはり最終的にはお金の話になるだろうと思いますが、ここのところ、財政についての責任だというふうに大臣が御答弁された。こういう理解でいいですか。
  73. 井出正一

    ○井出国務大臣 いろいろな問題がありますし、またそれぞれの保険者努力していただかなければならぬ点も多々あろうと思いますが、そういう努力をした結果、最終的にはやはり国が責任を持たなければならぬと考えております。
  74. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今回のこの改正案は当面の改正、このように言われておりますが、それで三年後に抜本的な見直しをする、こういうことでありますけれども、三年後は抜本的な見直しかされる、こういう理解でよろしいですか。
  75. 井出正一

    ○井出国務大臣 このたびの改正は、当面必要な措置を講ずることにより、制度抜本的な改革を行うまでの間の暫定的な措置だと位置づけられております。したがいまして、この間、二年の期間とか、あるいは老人保健関係では三年を目途に見直しをというような御指摘もいただいておりますから、この期間内に抜本的な改正を行わなければならぬ、こう考えております。
  76. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 きのうですが、参考人の方々にお見えをいただきまして、いろいろと御意見をいただきました。その中で、国保制度は非常に重要だ、皆さんがそれはおっしゃっておりまして、私は、国保はその持つ制度の宿命と申しましょうか、その性質からして小規模なものが多いとか高齢者が多いとか、いろいろなことがあろうと思いますけれども、この国保制度の将来のあるべき姿、これは大臣、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  77. 井出正一

    ○井出国務大臣 国保制度は、先ほども申し上げましたように、国民皆保険体制の基盤をなす制度として大変重要な役割を担っているわけでございますから、今後の高齢化の進展の中にありましても、安定した制度運営を図っていくことは不可欠であります。  今後の国保制度あり方につきましては、医療保険制度全般における給付と負担公平化について幅広い観点から議論をしていく中で、現在老人保健福祉審議会において議論されております新介護システムあり方等も踏まえながら、鋭意検討をしてまいり保たいと考えております。
  78. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 国保制度は、ほかの保険と違って、地域で区切られているという非常に大きな特徴があろうかと思います。これは今後私も勉強させていただいて、また議論をさせていただく機会もあろうかと思い、ますが、これから在宅医療等を進めていく場合、皆さんそれぞれ地域に住まわれているわけですから、いろいろな保険に加入されている方であっても、最終的に治療を受けるところ、在宅という流れを大きく進めていきますと、これはやはり最後は地域医療ということにたどり着かざるを得ない。ですから、そういうこともございますから、地域医療、地域保険という大きな特徴を持っておりますから、これはぜひ今後御検討いただいて、存続はスムーズな形でぜひお願いをしたいというふうに思います。  それで、時間もございませんが、保険料軽減制度についてお伺いしますけれども、今度二割軽減を入れられる制度をつくられるということですが、これは、なぜこの二割だけ申請主義になっているのですか。
  79. 岡光序治

    岡光政府委員 まず、この二割軽減制度の対象として考えておりますのが住民税の所得割の非課税の水準を参考にしておりまして、例えば三人世帯でいいますと、現在、住民税の所得割の非課税で、所得ベースでございますが、三人世帯では百三十二万円でございます。こういったものを念頭に置きまして、私どもは二割軽減対象の世帯としては、所得ベースで、三人世帯で申し上げますと百三十五万円というふうなものを考えておりまして、これ以下の層の世帯を念頭に置いて二割軽減の対象にしようとしているわけでございます。  こういうことでございますので、その住民税の所得割の非課税水準以下になるかどうかというので実はぶれがあるわけでございまして、いわばそういう限界線上に属するような人が対象になっているわけでございますから、保険料の賦課時点における所得状況を見まして、それでその軽減対象になるかどうかという判断をせざるを得ないわけでございます。その判断をしてもらった上で、軽減を必要とする場合の申請をしていただくというふうな、そういういわば対象の世帯所得がぶれるということを念頭に置きましての前提で申請ということをしていただくような仕組みにしようと考えているわけでございます。
  80. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 六割、四割は、これはそのまま認めるというふうに聞いておりますが、そうすると、この二割の世帯の人ですね、これは要するに、二割の減額を申請されても場合によっては認めないという前提で申請主義をとられているように私は聞けるわけですけれども、この二割軽減ということを決めるのは、結局その保険者である市町村なわけですね。そうすると、市町村というのは、前年の収入によって地方税というのは全部わかるわけですよ。ですから、動くとか揺れるとかいう話ではなくて、一番よくわかっているのが認定するという、そこの市町村が一番よくわかっている数字なんですよ。国が認定するんだったらその数字がつかめないとかいうのはありますけれども市町村でやるのですから、市町村でその税金を決めるわけでしょう、地方税というのは。幾らですよと、あなたの前年の収入はこれだけですよと。ですから、一番わかりやすいところがやるのですから、そんなあやふやなことをする必要はないと私は思うのですよ。  これはどっちかというと、二割というのは、制度はつくったんだけれども申請してくださいよ、しないものはもともと認めませんよ、ですから漏れるものも出てくる。また、申請してきたものもカットする、こういうふうなことを考えているのかな。ちょっとうがった見方かもしれませんけれども、これは局長、どういうふうになりますか。
  81. 岡光序治

    岡光政府委員 基準をつくりまして、その基準の運用に当たっては恣意的にこの人を外すとか対象にするとか、そういうことではございません。あくまでも今申し上げましたような住民税の所得割の課税になるかどうかという、そこのところが一つの基準でございますので、その基準運用に当たりまして、例えば事業をやめていたのを再開するとか、あるいは資産について火災に遭うとか、何かそういう特別の状況変化はないかとか、そんなふうなことを一応把握する必要がありますので、それで申請主義にしているわけでございます。
  82. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 最後に申し上げますが、全国の国民健康保険主管課長会議で、認めない場合もあるんだ、こういうことをおっしゃっているじゃないですか。ですから、そこのところを数字で割り切るのでしたら、ちゃんと数字をからっと決めて、そこの住民の収入について一番よくわかっているところが判断をするわけですから、せっかくつくられるのでしたら、余りそういう申請主義とか、そういうことは私はしない方がいいんじゃないか。最後に意見を申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  83. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 青山二三君。
  84. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。発言の機会をいただきましたので、何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、国保制度と地方財政についてお伺いをしたいと思います。  今回の改正は、国保制度における高齢化の進展、低所得者小規模保険者増加に対応して国民健康保険財政安定化を図るということが目的でありますが、こうした改正によりまして地方の負担が大変大きくなっておりまして、地方財政を圧迫いたしております。  国と都道府県と市町村の費用負担額は、平成年度に国が五百四十億でありました。都道府県が二百七十億、市町村が二百七十億。こうしたものが、平成年度改正によりまして、国が百億、都道府県が二百八十億、市町村が七百四十億。平成年度には、国が百億、都道府県が二百九十億、市町村が七百六十億となりました。  国の負担を二分の一の定率から百億円の定額にしたことによりまして、市町村負担が二百七十億円から五年度には一挙に七百四十億、六年度には七百六十億円へと三倍弱にふえております。すなわち、国の負担は五〇%からたったの九%になったわけでございます。  私の住んでおります人口十七万人弱の足利市を例にとりますと、この制度改正により人件費の約三億円を一般財源から捻出したということであります。  国は地方交付税で不足分を賄うということでありますけれども、国のこの財政措置は保障されたものではないわけでございます。特に、急速な高齢化の進展により低所得者が急増して、もう税だけではやっていけないところに来ている。しかし、市町村で税率を上げるわけにはいかないと悲鳴を上げている状態でございます。  国保財政の安定を図るということは、裏返せば地方財政負担がふえるということでもあり、ここ数年来市町村の苦しみが続いております。現実、国保財政は単年度ではもう賄えずに財政調整基金から繰り入れており、もうそれも底をつくところに来ているということでございます。  この対応策として、現行の市町村単位を都道府県単位にしてほしいという要望が大変強いのでございますが、こうした地方の要望に対し、大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。
  85. 岡光序治

    岡光政府委員 大臣の御答弁の前に、数字の点を私ちょっと御説明をさせていただきたいと思います。  御指摘がありましたのは保険基盤安定制度のことでございまして、これは低所得者の多い場合には保険料軽減をすることになっておりますが、その分、穴があきますので、その軽減分を国、県、市町村が補てんをする、こういう仕組みでございます。  御指摘がありましたように、本則では国が二分の一、都道府県が四分の一、市町村が四分の一、こういうふうに補てんをすることになっておるわけでございますが、平成年度と六年度は国の財政がとても厳しかったものですから、この二分の一を定額の百億ということにしたわけでございます。御指摘がありましたように、平成年度は五百四十億でございましたが、平成年度は百億にしたわけでございまして、その分のしわ寄せが市町村の方に回ったわけでございますが、それは全額地方財政措置を講じたわけでございます。  七年度と八年度をどうするかということでございますが、どうしても現在の国の財政状況は厳しいものですから本則に戻すわけにはいかない。それで御提案をしておりますのは、この七年度、八年度も定額負担でお許しをいただきたい。そのかわり百億の据え置きではなくて、国は七年度は百七十億、それから八年度は二百四十億ということで、できるだけ国の負担としてはふやしていけるものはふやしてまいります。しかしながら、結局、そのしわ寄せ分は市町村に回りますので、それは全額地方財政措置を講ずるということで、これは当該市町村一般会計負担ということではございません。その補てん分はちゃんと地方財政措置をして穴埋めをするということでございまして、当該市町村負担にはならないという仕組みでございますので、その点は御理解をいただきたいと存じます。
  86. 井出正一

    ○井出国務大臣 今回の改正におきまして、事業運営の不安定な小規模保険者増加に対応いたしましては、高額医療費共同事業拡充とか、あるいは国民健康保険団体連合会等による保険者支援について所要の措置を講じておるところでございます。  先生今御提言といいますが御指摘保険者規模広域化でございますが、私も、大変苦しいということを漏らす町村長さん方を存じ上げておりますけれども、しかし現実問題として、全国町村会の要望といった形ではなかなかまとまらないことも現実でございまして、これはやはり保険者ごとに保険料格差があることなどからなかなか難しい面があるのだと考えております。  今後、厚生省といたしましても、医療保険審議会における議論等を踏まえながら国保制度抜本的見直しの中でさらに検討を重ねてまいるテーマだと考えております。
  87. 青山二三

    ○青山(二)委員 昨日の参考人の方もお話をしておりましたけれども、現在市町村単位ということで、同じ県内に住んでおりましても保険料が異なる。例えば、違う町に引っ越したときには保険料が多くなったり、また大きな市へ移りましたときには保険料が安くなる、そういうことがありまして、もう選挙のときには大変だ、こんなお話がございました。ですので、何とか広域化促進すべきと思うわけでございますので、どうか今後検討していただきたいと思います。  次に、市町村国保財政を圧迫している要因に滞納者の増加がございます。先ほどの足利の例で見ますと、徴収率が八〇%、滞納額が十億円を超えているということでございます。滞納しているのは特に所得なしのひとり暮らしの方々が多く、また医者にかからないから納めないという、問題のある滞納者も大変多いようでございまして、その徴収には頭を抱えております。そうした方々については、保険証にかわって資格証というのを発行いたしまして、医者にかかった時点で払ってもらうとか、あるいは分割で払ってもらうというようなことで四苦八苦している状態だということでございます。  また、昨日の参考人の陳述にもありましたように、払いたくても払えない生活困窮者もおり、医者に行けず薬も買えないで苦しんでいるという人もいるということでございます。  厚生省としてはこうした地方の実態をどのように把握し、どのように対応しているのかをお伺いしたいと思います。
  88. 岡光序治

    岡光政府委員 まず滞納の関係でございますが、御指摘がありましたように、平成年度市町村国保保険料の未収額は、全体では約一千五百億、保険料調定額の七%弱でございます。収納率は平成年度では九四・六九%という状況でございます。  御指摘がありましたように、この収納率を向上するということは国保運営上必要不可欠でございますので、まず、徴収体制を整備をする、夜間あるいは休日に戸別に訪問いたしまして、納付の指導をするあるいは徴収に当たる、口座振替の制度を拡大する、広報活動を強化をする、日曜、休日に納付相談窓口を開設する、納付組織を育成強化する、こんなふうな取り組みをしておるわけでございます。  御指摘がありました滞納者のうちで、特に保険料を長期間滞納して、特別な事情もなく故意に保険料を滞納しているような方につきましては、小ろいろ御相談、御指導いたしましても御協力をいただけないというケースについては、御指摘のありました被保険者資格証明書というものに保険証を返していただいて切りかえるということもしているわけでございます。  これは、いろいろな指導の結果やむを得ない措置としてやっておるわけでございますが、私ども、そういうことでいろいろ努力をして、被保険者の御理解もいただきながら、できるだけ収納率向上に努めたいということでございます。  一方では、御指摘のように低所得者も多くなっているわけでございますので、その点につきましては、今回の改正では、低所得者につきましては保険料軽減制度がございますので、その軽減制度拡充をするという方向で低所得者に対しては過重な負担にならないような配慮を講じているつもりでございます。
  89. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは次に、老人保健法の一部改正についてお伺いをしたいと思います。  一九八三年に導入されました老人保健制度は、老人医療費を、まず国、地方自治体の公費と、それから各保険の拠出金、そして患者の負担、この三本柱で賄っております。  制度導入当時は、老人の加入率が二〇%を超えるという団体はほとんどありませんでしたけれども、この例のないスピードで進む高齢化の進展によりまして、三千二百団体の国保のうち五割以上が二〇%を超え、分担割合が大変にふえております。  国保財政の悪化の背景にあるのは、この老人医療費負担の急増によるものであり、このため国保は、一昨年秋から、割り増し分の撤廃を国に要求しておりました。一方、老人加入率が低い健保は、全国平均老人加入率がふえたために、拠出金額が支出全体の三割以上を占める団体も出ており、不公平などの不満が大きく、国保の撤廃要求は健保の一層の負担増になるということで、大反対をしておりました。  そこで今回、老人保健福祉審議会の答申を受けて、この割り増し分の対象となる加入率を二二%に上げることになりましたが、厚生省の資料によりますと、この改正による財政影響額試算は、政管健保が三百一億の増、健保組合が八十八億の増、市町村国保が五百七十一億の減、共済組合が五十四億の増、国保組合が三十八・五億の増となる見通しでありまして、どちらにも強い不満を残す結果となっております。  また、老人医療費の拠出制度あり方については、先ほどお話がございましたが、三年以内に見直すとしておりますけれども、介護制度とか予防医学の充実による老人医療費の伸びの抑制、そういうことを考え、老人医療制度抜本的改革を進めない限り、問題の先送りということになってしまうと思うわけでございます。  ですから、今後どのように対応していくのか、大臣にお伺いをしたいと思います。
  90. 井出正一

    ○井出国務大臣 今先生お話しくださいました。双方が不満を残したまま合意、確かに、それぞれの財政を考えた場合、片方はもう少し拠出してくれというお立場ですし、もう一方は余り出したくない。したがって、そういう相反する状況で合意をしていただくという難しいテーマなわけでございますが、もともとこの老人保健法スタートのころ、国民ひとしく親孝行とかいうキャッチフレーズでスタートした。こんなふうにも聞いておりますから、やはり余裕のある方には少し我慢をしてやっていただかなくてはならぬ筋合いだと思います。  それはそれといたしまして、今回の老人保健制度改正は、老人医療費拠出金の算定に用いられる老人加入率上限の二〇%を超える保険者が大変ふえてきたことにかんがみまして、財政影響額が過大とならない範囲で老人加入率上限引き上げを行わせていただくことを内容としたものでございます。  ただ、今回の改正に当たりましては、老人医療費拠出金あり方をめぐってさまざまな考え方や御意見があったこと、また今後、公的介護制度の問題の検討に関連して、老人保健制度についても基本的な見直しを行う必要があること等から、法律の施行後三年以内を目途として老人医療費拠出金制度あり方について基本的な検討を行うこととするとともに、この検討に基づく措置が講じられるまでの間の当面の措置として、老人加入率上限の段階的な引き上げ等の措置をとることとしたものでございます。  公的介護システムあり方中心とした検討がこの二月から老人保健福祉審議会において開始されておりますから、今後はその動向等も踏まえながら、老人医療費拠出金制度あり方に関する基本的な検討に取り組んでまいるつもりでございます。
  91. 青山二三

    ○青山(二)委員 国保の厳しい状況を考えますと、制度の構造的問題を抜本的に解決するために、医療保険制度全体の見直しか早急に行われなければならないと思うわけでございます。  そこで、制度全体を見直す上でも考えなければならないのが高齢化社会の問題でございます。全国の六十五歳以上の高齢者割合がもう一四%を超えておりまして、昨年、厚生省が介護を要する高齢者数を集計したところ、百万人に達しております。また、生活上の援助が必要な高齢者も百万人あり、合わせて二百万人。この数は、西暦二〇○〇年には二百八十万人、二〇二五年には五百二十万人になると見ております。  昨年、総理府が三十歳から六十歳の国民に行った調査では、九割が高齢期に不安を感じ、最大の不安は、自分や配偶者が病気になったとき、あるいは介護が必要になったりすることであります。介護に不安を感じているのは高齢者だけではないということがわかりました。家族の数も減り、家族、特に女性による介護はもう限界に来ております。国民の不安を取り除くことは国の責務であると私は考えます。  そこで、厚生省の介護計画、特に、九七年度実施を目指していると聞いておりますけれども公的介護保険導入について、昨年の十二月には研究会の報告書もまとめられて、先月審議もスタートしたところでございます。基本的には、審議を見守っていくということは大臣としては当然のお言葉のようには思いますけれども、大臣という最高責任者の立場で、この介護保険に対しましてどのような御見識をお持ちになっているのか、お伺いしておきたいと思います。
  92. 井出正一

    ○井出国務大臣 御指摘のように、昨年の十二月に研究会から御報告書をちょうだいして、それを今老人保健福祉審議会の方へお諮りしておるところでございます。  これから高齢化社会を迎えるわけでして、迎えるというよりも、入っているわけです。介護の問題は大変大きな問題ですし、やはりそれなりにお金もかかるわけでございますから、これをどういう形で捻出するかというのは喫緊の課題でございます。その中の有力な選択肢の一つとして公的介護保険があるわけでございまして、今審議会で御検討いただいておるわけでございますが、厚生省の方にも勉強会を設けて、例えばドイツの状況ども、あちらへ行ったりあるいはいろいろな資料を取り寄せて研究をしておるところであります。
  93. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいまの介護保険導入につきましては、加入者の範囲を何歳にするかとか、また家族介護に現金給付を行うのかどうかとか、いろいろな検討すべき課題が山積しておりますので、かなりの時間がかかるであろうことも予想されるわけでございますが、介護を社会的労働ととらえて、その介護費用をみんなで広く薄く負担しようということで、高齢者の介護を社会全体の問題として考えていくということは画期的なことであり、期待をするところでございます。  そこで、その介護保険導入に伴いまして、少し気がかりな点についてお伺いしたいのでございます。  研究会の報告では、介護手当よりも介護サービスの支給が主であります。保険あって介護なしの状態にならないために、導入されるまでに十分な数のホームヘルパーを養成する必要があると思います。  国と自治体は、一九九九年を目標にゴールドプランを進め、この春折り返し地点に差しかかりますが、市町村の必要数は計画を大幅に上回ることがわかり、改めてホームヘルパーの目標数を二十万人に倍増するなどの新ゴールドプランが作成されたところでございます。しかし、残念ながら、昨年暮れの予算折衝ではヘルパー数を十七万人とするということで決着されてしまいました。昨年の十月、大臣よりホームヘルパー確保に関して積極的な御答弁をいただいたところでございますので、財源不足とはいえ、予定されていた数より三万人も少ないという決着に大変残念な思いをいたしました。  ヘルパー専門の養成施設での研修や、あるいは処遇の改善にも努力くださるとお約束をいただいておりますが、現在の状況では、介護の人材確保かなり難しいのではないかと思われます。いま一度マンパワー確保について、単に頭数をそろえるのではなくて、質の向上の面からもこの取り組みについて具体的にお伺いをしたいと思います。  また、ヘルパーに対する研修ですが、今回の震災を教訓として、緊急時の対応をマニュアル化し、研修しておく必要があると感じましたが、この点もあわせてお伺いをしたいと思います。
  94. 阿部正俊

    ○阿部(正)政府委員 平成年度からスタートいたします新ゴールドプランにおきますヘルパーさんの数でございますけれども、先生、誤解いただいてはちょっと残念なのでございますが、昨年の夏以降、私どもが二十万人というふうに数字を出したことがございますけれども、それと、市町村がつくりました老人保健福祉計画の集計をしたものとは違っております。そもそも集計では十七万人というふうな計画になっておるわけでございますので、今回ゴールドプランの数値目標として出しました十七万人で市町村の老人保健福祉計画に算定されておりますヘルパーさんの数は十分吸収できると私は思っておりますから、今回出した数値目標によって、まだ足りないので市町村が計画しているヘルパーさんの数の予定を低目に抑えなければいかぬということは一切ないというふうに考えております。  もちろんそれを実際に現実問題として、五年先の数値目標でございますし、それぞれの市町村の集計した結果が例えば十七万人をはるかにオーバーしたら、それはそれでまた必要な財源措置なり計画なりというものは考えなければいかぬだろう、こういうふうに思っております。  それからヘルパーさんの研修といいましょうか、質の向上の点でございます。  確かにそのとおりだと思いますし、相当な数の方々を確保しなければいかぬということで、言ってみれば質の向上と量の確保という難しい問題を、一見矛盾するようなことをこの五年間やっていかなければいかぬので、なかなか十二分といくかどうかちょっとわかりませんけれども、私どもとしても、現在研修制度、ヘルパーの講習会というものを、各都道府県かなり力を入れてやっていただいておりますし、かなりの数の方々が受講されております。  その研修の中身につきましても、現在研修制度の中身をもう一度見直ししております。もう少し質の高いサービスができるような形での研修にしていきたいということで見直しをして、近く新しいカリキュラムといいましょうか、講習内容の見直した結果を各都道府県に指示いたしまして、質の向上を図っていきたいと思っております。あわせまして、これからの社会でございますので、例えば衛星放送等を使いましたより質の高い講習が小さな都道府県などでも受けられるような、マスメディアといいましょうか、情報機器を活用した研修ということも改めて取り入れていくように努力したい、こんなふうに考えております。
  95. 青山二三

    ○青山(二)委員 期待をいたしておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  大臣も御答弁いただけますか。
  96. 井出正一

    ○井出国務大臣 後の方のことを私からお答えをいたします。  阪神・淡路大震災におきましては、あの困難な状況の中であったにもかかわらず、ホームヘルパー等の在宅福祉サービスの担い手の方々が、在宅高齢者の安否確認あるいは迅速なサービス提供に大変御苦労をくださったことに感謝しております。  しかし、いかんせんあの大変な災害でございましたから、なかなか行き届かなかった。混乱したことも、一方また事実であります。したがいまして、これを重く受けとめて今後に対処していかなければなりません。災害時に在宅の要援護者の状況を迅速に確認できる体制はいかにあるべきか、あるいは行政や民生委員等の福祉関係者との間、さらには民間のサービス事業者あるいは地域の住民の皆さんとの間にどんな提携がなされることができるのか、こういった点を検討していくべき課題だと考えておりまして、防災基本計画の見直しの検討も今進めておるところでございますから、これらの問題もあわせて、常に数多くの高齢者障害者の方々がおられるのだという認識のもとに検討を進めていきたいと思っておるところであります。
  97. 青山二三

    ○青山(二)委員 まだ何点か質問を用意いたしましたが、また次回に回すことにいたします。  これで終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  98. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 鴨下一郎君。
  99. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 大臣、お疲れさまでございます。  きのう参考人に対する質疑等が行われまして、国民健康保険制度財源論を中心審議がされたというふうに理解しているわけですけれども、それぞれの立場で大変な御苦労をしながら国保制度を支えようとしていることは、これは敬意を表したいと思います。  ただ、私がきょう質問させていただくのは、幾ら財源確保しても、出る方がきちんとチェックできてないと幾ら財源があっても足らない、こういうようなことになってきやしないかということを強く私は懸念しているわけでございます。いずれにしても、医療サービスを含めていいサービスを提供する、それを受けるのも国民ですけれども、結果的にそういうサービスを供給するための負担をするのも国民でございます。そうすると、医療サービスを受けていく側が余り過剰にいろいろな形でサービスを、現状以上なことが行われていくと、結果的にはそれは国民負担に降りかかるというようなことで、そこの交通整理をするのはまさしく行政だろうと思うのですが、その辺のことで幾つか質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、これは予防接種の話なのですが、予防接種が集団接種から個別接種に変わることに当たりまして、厚生省がガイドラインを出しました。これが実際の現場の現状とかなり部分で乖離しているように私は理解しているのですが、その実際の運用に当たって現場の医師が困っている部分がたくさんございます。  これは、昨年の六月九日、参議院の厚生委員会におきまして、予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案に関しての討議が行われましたが、ここで、国の責任について当時の谷保健医療局長が「国として市町村に予防接種の実施義務を課し、また実施体制の整備を図り、また予防接種の健康被害に対し国の責任において救済を図るということにおいて何ら変更はない」、こういうようなことで「予防接種についての国の責任が後退したということは全くない」と答弁されています。これは、この「予防接種ガイドライン」に沿って行われたらという大前提なのだろうと思いますけれども、国の責任をとるということは、このガイドラインどおりに接種を行った場合ということなのだろうか、このガイドラインからどれほどずれた場合にはその限りではないよというようなことなのか、この辺のことについての御見解を伺いたいと思います。
  100. 松村明仁

    ○松村政府委員 予防接種を取り巻きます環境の変化に対応いたしまして、平成六年十月より新しい予防接種制度がスタートしたところでございます。これは、より安全な予防接種を実施するために、接種対象者のかかりつけ医師による個別接種を原則として、その体制の整備を推進しているところでございますが、今委員指摘の予防接種のガイドラインというものは、今回厚生省といたしましては、予防接種の実施に際しまして十分な予診を尽くしていただいて安全な予防接種を実施するために、予防接種の実施主体でございます市町村及び都道府県に対して予防接種の実施要領を提示しておるところでございます。  これは主として市町村あるいは都道府県の事務方に予防接種のやり方について説明をしておるものでございますが、これと並びまして、接種の担当医の方々に技術的な面をお示しする、技術的な実施のやり方の細かい点について予防接種のガイドラインというものをお示ししておるところでございます。これはいわば一つのモデル、こんなふうに考えていただいて、こういったことを参考に予防接種を実施していただきたい、このような考えでございます。     〔委員長退席、山本(孝)委員長代理着席〕
  101. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 そのガイドラインのことなのですが、現状の診療現場からはかなり乖離している部分が実際にございます。例えば、そのとおりに従ってやらなければいけないというようなことになりますと、開業医のほとんどがなかなかそれを実施できないというようなことを私は懸念するわけです。  実際どういうようなことがあるかということを申し上げますと、例えば「予防接種ガイドライン」の八ページに「個別接種を実施する医師は、予防接種時間又は場所を一般外来とは分けて実施し、一般の受診者から接種対象者が感染を受けないように十分配慮しなければならない。」というふうにあります。実際に院内感染を防ぐという意味においても、予防接種外来と一般外来を分けるということは、これはある意味で理想ではありますけれども、接種医の立場に立ってみますと、だれでもが心がけていることでありますけれども、具体的にガイドラインでそれをきっちりと義務づけられたような形になりますと、なかなか現状にはそぐわないというようなことがございます。  第一に、大学病院とは違いまして、第一線の開業医、かかりつけ医は大概は一人の医者がやっておりますし、診療所も一つでございます。それから、同行の付添者、母親とか保護者の都合によって一般外来に食い込んで接種をしてくれというような依頼もあるわけでございますので、そういうようなときに、その個別の接種をかかりつけ医の手によって行っていく利点ではありますけれども、具体的には、そのガイドラインそのものをきっちり実施するというのはなかなか難しくなります。ということは、これに沿ってやれというようなことになると、大半の開業医やかかりつけ医は現実には接種ができなくなってしまうというようなことで、理想と現実のバランスをよく考えた上で、接種に協力しようとする意欲のあるお医者さんたちが本当の意味で現場に即した形で安心して接種できるようなガイドラインをつくっていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  さきに引用した八ページの文言を、例えば「個別接種を実施する医師は、予防接種を比較的一般外来の少ない時間に実施し、なるべく別室において行うが望ましい。」というくらいに変更していただけたら、実際にそぐうのではないかというふうに思いますが、その辺に関しましてはいかがでございましょうか。
  102. 松村明仁

    ○松村政府委員 個別接種ということでこれを実施する際の問題点ということでございますが、通常の診療時間帯と同じ診療時間帯に、同じ診療室において一般の診療と予防接種が行われた場合には、一般の患者の中には感染症の子供さんもいるわけでございまして、健康な接種対象者の乳幼児が別の疾病に感染するおそれがある。こういうところから、予防接種の安全性を最大限確保しようということで、一般診療と予防接種の時間帯あるいはまた場所を別にすることが望ましい、こういう趣旨でこのガイドラインが書かれているわけでございます。したがいまして、比較的一般患者の少ない時間帯に予防接種の時間帯を設ける等の配慮をお願いしたい、こういうふうな趣旨でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  103. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 そういうようなことでしたら大変現場の医師はみんな喜ぶだろうと思います。  あと、個別接種の方の流れになっているというのは、ある意味で、接種を強制するのではなくて、家族の方々のいろいろな価値観、それから個人の健康観等に関して尊重をするという意味では、私は一定の評価をするものでありますけれども、このガイドラインの九ページに「「予防接種と子どもの健康」や市町村の配布した予防接種の説明書を読み、保護者又は本人が予防接種の必要性を理解したかどうかを質問する。」質問せよということですね。「必要性を理解していない場合には、あらかじめ説明書を用意しておき接種施設で読ませる必要がある。」と、医療機関でのさらなる説明が義務とされています。  そして、さらに、再度の検温も別箇所で義務づけられているというようなことでございます。これは、医者が必要と判断した場合には当然行われることですけれども、個別接種においては、これをガイドラインで余りきっちりと規定するのじゃなくて、接種医の判断に任せるべきだろうと思います。  それから、もう一つ。これも私もどうかと思うのですが、同じく九ページに「一時間に対象とする人員は四十名程度に設定する。」そして、「医師一名で実施する場合には、一時間の対象人員は二十名程度とする。」と、接種人数の制限や規定がされています。これも医師の力量や裁量によって行われるべき話で、本来強制されるべき話ではないと思うのですが、その辺についてももう一度伺いたいと思います。  それから、もう一つ。結論的なことでございますけれども、医師そのものは、国家試験を通った国家資格を持つ人間でございますので、その医師に対してこのガイドラインというのは、非常に何か徴に入り細に入りうるさいことが書いてあるわけですけれども、これを実施しろということは、大体、一人の医者が一時間に二十人しか注射してはいけないなんという話は、そもそも現場とはかなりずれている話でございますので、このようなガイドラインどおりに接種を行わなければいけないというようなことに関して、もう一度、柔軟な厚生省の御見解をお伺いしたいと思います。
  104. 松村明仁

    ○松村政府委員 いろいろ、幾つかの点につきまして御質問でございますので、順次お答えを申し上げます。  まず、保護者の方に説明書を読んで理解を求めなさいということでございますが、これは、今お話しのように、今回の予防接種というものが、義務接種ということから、接種を受けるように努力をしなさい、こういう努力義務というふうに変わりました。それで、接種対象者及びその保護者がみずから進んで接種を受ける環境整備というものが非常に必要になってくる、こういうことでございます。  このために、各予防接種会場には、前もって情報の盛り込まれたもの、冊子が用意してございます。これを先に、接種前によく読んでいただく、こういうことになっておりまして、この情報をよく理解した上で、それから進んで接種を受ける、こういうことにしたいということで、やはり比較的簡単な冊子でございますし、予防接種の意義ですとかその他重要なことが書いてございますので、ここはひとつ保護者の方には必ず読んでいただくように御指導をお願いを申し上げたいと思います。  それから次に、体温をはかるということでございますが、これにつきましては、専門の先生に御説明するのもいかがかと思うのですが、往々にして小児の場合に、朝家庭ではかってまいりまして、予防接種会場に参りまして予防接種をいざしようというときにはかなり体温が変わっているというようなこともあると言われております。そこで、予診ということを十分に尽くしていただくために、やはり接種直前に体温をはかる、こういうことを私どもはお願いをしておるところでございます。  それからさらに、一時間の接種人数のことでございますが、ここのところはやや一般の接種医の先生方に誤解があるのではないかと思うのですが、私どもが一時間に医師一人で二十名ということをお示しいたしましたのは、市町村の事務職員が予防接種を実際に計画をする場合に、お医者さん一人当たり一時間二十名ぐらいが適当ではないか、こういうことで、私どもは、市町村の事務当局が予防接種の計画を立てるときに二十人ということで計画を立てていただきたい、こういう指示をしておるところでございます。  したがいまして、非常に有能な先生が、よく知った患者さんといいましょうか、接種対象者の方をごらんになって、自分はそんなに時間はかからない、こういう場合があれば、それはその個別の場合として、十分に予診等がとれれば、この数は目安でございますから、これを超えるということもあってもいいかなと思っております。ただ、私どもは、全国的に標準を示すという意味で二十名ということを示したわけでございます。  それからもう一つ、最後に、予防接種のガイドラインの性格づけについて再度の御質問でございますが、私どもは、これをよく理解をしておる専門の先生、こういう先生ばかりではない広く地区の医師会のメンバーの先生方に予防接種というものに御協力いただく、そういうチャンスも多いということで、専門の先生方にお願いをいたしまして、かなり細かいところまで注意という形をとらせていただいた。それが、非常によくなれておられる先生から見れば、こんなことまで書かなくてもいいよ、こういうふうなことになっておるのかと思いますが、あくまでもこれは一つのガイドライン、目安ということで、これを参考にしていただきたい、このように思っております。
  105. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 二十人でよくて二十一人でだめだということではないというふうに理解させていただきたいと思います。  それから、やはり一般の開業の先生方が一番心配しているのは、厚生省がこういうことを言っているのにこれに従わないで、万が一医療の事故のようなものが起こったときに、果たしてこれは自分の責任だけでやらなければならないのか、この辺のことを一番心配をしているわけでございますので、その辺について、ぜひ厚生省なりの御配慮をいただきたい、こういうふうに申し上げたいと思います。  次の質問でございますけれども、きょうの、これは三月十五日の花粉の飛散予測というところで、東京は非常に多いということなんですね。特にことしはもう歴史始まって以来ぐらいの、杉の花粉が多く飛散しているようでございます。  例えば、杉の花粉症というものの症状としては、目やそれから鼻の、くしゃみや鼻水が出るというような症状がありますけれども、これが、都市部なんかでは国民の約二〇%ぐらいが何らかの形で花粉症症状を訴えるというような疫学調査、これは厚生省の一九九一年の保健福祉動向調査の中でも言われているわけでございます。  この花粉症というのは、一般的にはくしゃみだとか鼻水だとか鼻詰まりだけではなくて、目もかゆくなりますし、それからのどもかゆい、それから空せきが出るというようなこともありますし、それに伴って眠りもうまくいかなくなりますから精神・身体症状も出ますし、それから不定愁訴というような形で体がだるいとかというようなこともございます。それからさらに、程度の差はあっても、頭が重いとか、頭痛だとか、それから体のほてりだとか、熱感だとか、いらいらだとか、胃腸のぐあいが悪い、極めて多彩な症状を訴えるわけですけれども、これはもう御専門家じゃない立場で大臣に伺いたいのですが、こういうような症状で花粉症で悩んでいる方が一体どこの科に行ったら一番適切なのかというようなことをお答えいただきたいと思います。
  106. 井出正一

    ○井出国務大臣 私は、幸いなことにこれまで花粉症にかかったという自覚がないものですからよくわからないのですが、実はことし、ちょっと最近目がこそばゆい、あるいはそうかなというふうに思っているのですが、目の場合は眼科、鼻の場合は耳鼻科へ行く以外にないのじゃないかな、こんなふうに思っております。
  107. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 大臣おっしゃるとおり、実際に国民の多くの方々は花粉症の症状に応じてさまざまな病院に行くわけですね。例えばくしゃみ、鼻水を主体とする場合には耳鼻科にいらっしゃいます。耳鼻科へ行って点鼻薬とそれからアレルギーの薬をもらいます。それでも目のかゆみはよくなりませんから、それじゃといって次に眼科に行きます。眼科に行って点眼薬をもらいます。眼科でも、これはもしかするとアレルギーかもわからないといって、大概の方は耳鼻科へ行ったということを余りおっしゃらないので、そこでまたアレルギーの薬をもらうことが多いわけですね。そして、鼻と目はそこそこ解決したのですけれども、実際にはせきが出る方もいます。そうすると、今度は、せきのことを治してもらおうと思って内科だとか呼吸器科に行くわけですね。またそこで同じようなアレルギーの検査を受けたりアレルギーの薬をもらったりというようなことで、大変重複して検査や投薬が行われて、国保財政破綻しそうなんて言っていますけれども、ある意味では二度手間、三度手間で、患者さんも大変困りますし、さらに医療費そのものの中でもそういう大変なロスがあるという、こういうようなのが現状でございます。  この辺に関しまして、現実には標榜科といいまして、どの科に行ったらいいかというのは国民がなかなかわからない。耳鼻科の先生の中にだって、アレルギー専門じゃなくて、むしろ喉頭がんだとかそれから舌がんの専門家もいらっしゃるわけで、アレルギーというふうなことで花粉症で行ってもなかなか適切な治療をいただけない場合もございます。そういうようなことで、本来でしたらアレルギーの病気はアレルギーの専門家に行きたいわけですけれども、それがなかなかわからないので耳鼻科へ行ったり、眼科へ行ったり、呼吸器科へ行ったり、内科へ行ったり、ある人は皮膚科へ行く人もいるかもわからない、こういうふうなことで大変なロスがあるわけでございます。  それからもう一つ、そういうような意味で言いますと、これは、阪神・淡路大震災のときの甚大な被害に対しまして、日本医師会の村瀬会長が村山富市総理大臣に対して、それから厚生大臣に対しても、二月の一日に要望書を出しました。これは、日医ニュースの号外の中にも、要望書を出しましたという報告があるのですが、その中で「現地の医療は、地震発生直後の救急救命医療から風邪・インフルエンザ等の一般的急性疾患や慢性疾患の継続的医療に変わりつつあります。」その後のくだりなんですが、「とりわけ、被災の精神的ショックによる心身症に対する対応の必要性が強まりこういうようなことが書いてありますけれども、被災者の心身症の増加が懸念されていますというようなことで、厚生大臣は心身症という言葉を御存じだったか、もしくは御存じだとすれば、こういうような病気、病態に関してどのような科で受診をしたらいいかというようなことで、これは専門的なことじゃなくて、もちろん御存じなくても構いませんので、お答えいただきたいと思います。
  108. 井出正一

    ○井出国務大臣 今回の大震災が起こるまでは全く知りませんでした。こういう災害の起こった後、最初は外科的な治療が大変緊急だ、続いて内科、やがて心理面のケアが大変大事だよというような御議論の中で知るようになりました。
  109. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 少し御説明をさせていただきたいと思うのですが、心身症というのは、精神的なさまざまなショックとかストレスによって起こってくる体の症状、体の病気でございまして、確かに阪神・淡路大震災のときも、避難所で避難されている方々の中にはそういう精神的なストレスによってだんだんと潰瘍、胃潰瘍がふえたりとか、そういうようなことがあるということを聞いています。そういうような意味で、心身症というようなことが、ストレス社会と言われている現代の中で、実際には今非常保にふえているわけです。  例えば、これは一つ私が拝見していたケースなんですが、二十八歳の女性でして、心臓がどきどきする、それから時々脈が乱れるというようなことでいらしたわけですけれども、その患者さんは、それまでに心臓の病気じゃないかということを心配して近所のお医者さんに行きまして、心電図をとったり、それから心臓の精密検査を受けたりして、とうとう最後にはどこも異常がなくて私のところへいらしたのです。そのときにこの方は、そういうようなストレスによって起こってきたということに気がつかないで、医者を転々としまして、そのときに行われた検査が、例えばホルター心電図という二十四時間の心電図、それから負荷心電図、心エコー、それからアイソトープ検査、腹部エコー、胃カメラ、脳のCT、全身CT、心臓カテーテル、胃透視、その他血液学的検査をさまざまというようなことで、しかも病院は四カ所を転院して、重複して受けた検査もたくさんあるというようなことなんです。  そういうようなことで、言ってみれば患者さんがぴったりの、自分がかかっている病気の専門のお医者さんに出会うまで実に転々としなければいけないという、こういうような事実がございまして、患者さんにとってもこれは精神的、それから肉体的な負荷も多いですし、検査そのものがきつい検査もありますから、それによって症状が悪くなるということもあります。それからさらに、患者さんの経済的、時間的負担も多いですけれども、それにも増して、医療費そのものに及ぼす。影響というのははかり知れないものがございます。  そういうようなことで、私は今二つの例を申し上げましたけれども、例えば杉の花粉症というのは大変多い病気ですし、それから心身症という病気もストレスに関連して、決して大震災以降のことだけじゃなくて一般的なサラリーマンの方にも多い症状、病気なわけでございますけれども、そういうようなことを、例えば大臣は、花粉症に関してどこに行ったらいいかというのは耳鼻科じゃないかとかとおっしゃっていましたし、心身症はそれまで余り御存じなかったというように、実際には今の時代の流れの中でふえている病気というのはたくさんあるわけですけれども、それを適切に診てくれる医者というのはどこにいるのかということを国民がなかなかわからないのが現状なんです。  それはどういうことかといいますと、国民が、どの人がどういうお医者さんなのかということを標榜されている科を見つけ出すために、例えば内科だったら内科、小児科だったら小児科、産婦人科だったら産婦人科ということはありますけれども、この標榜科目についての適切な情報が今十分でない、あるいは専門性を開示できないというようなことがございます。それをきちんとすることによって、重複する検査だとか治療だとか、投薬による医療費のむだ遣い、この辺のところがかなり是正されるのではないかというふうに私は考えるわけですけれども、この辺に関して、標榜科を広げるというようなことが患者さんにとっても、医療費削減にとっても大変メリットがあるということを私は考えるわけですけれども、大臣はその辺に関してどうお考えになるか。
  110. 井出正一

    ○井出国務大臣 実は私もいろいろな方から、例えばリューマチ科とかあるいはアレルギー科は厚生大臣に前に要望書が出ていることも承知しております。そういったいろいろな専門的な、我々が従来考えていたよりはずっと狭いといえば狭いかもしれませんが、そういう御希望があるんだなということは、最近こういう立場になりまして理解もしつつあるところであります。  あとは局長の方から。
  111. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 先ほど来、先生るるお話ございました標榜科ということでございますが、現在の医療法におきましては、御承知のように、広告できる診療科名というものにつきましては、厚生大臣の諮問機関でございます医道審議会並びに医学医術に関する学術団体の意見を聞いた上でこれを定めるという形になっているわけでございまして、医道審議会の中に診療科名の標榜専門委員会というのを設けまして、議論を始めたわけでございますが、現状を申し上げますと、先ほど先生もお触れになりましたいわゆる専門医あるいは認定医という制度と言っていいと思いますが、これが各学会を中心といたしまして非常に活発に議論が行われ、かつまた、既に幾つかの学会では認定医、専門医、あるいは指導医という形で認定をされてきているという現状がございます。  一方、現在の標榜科というのは、御承知のようにいわゆる自由標榜制という形で、標榜する医師の資格ということについては何ら定めといいます。か、そういうものがないわけでございまして、そういう観点、そういう現状の中で新たな標榜科、先ほど来お触れになりましたようなアレルギー科あるいは心療内科というようなことかと思います。が、そういうことについてのいろいろな学会からの要望があるわけでございます。そういう現状の中でこれをどのように取り扱うかということで、今海外の状況、主たる外国の状況についても調査をしておりますが、こういったようなことを踏まえて、私どもとしては、この検討委員会においての検討を進めさせていきたいというふうに思っております。     〔山本(孝)委員長代理退席、委員長着席〕
  112. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今そういうお答えでしたけれども、現実には、昭和五十三年の標榜科目を新規に認定したというようなことから、一切標榜科目がふえていないわけですね。  ちなみに、そのときの標榜科目名について申し上げますと、美容外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、矯正歯科、小児歯科というようなことの六科目なんですが、大臣がさっき、専門的で範囲は狭いかもわからないというようなことを、例えばアレルギー科、心療内科に関しておっしゃいましたけれども、むしろ、これなんかを見ますと、疾患の広がり、もしくは疾患の患者さんの数からいいましても決して多くはない科が五十三年には認められているのですけれども、それ以降そういうような動きがないということに関して、私は非常にその辺のところは、厚生省が今の医療ニーズに即した形での標榜科目を本気で考えていないのではないか、この辺のことを思わざるを得ないわけです。  現実に、これは昨年の十月十九日の厚生委員会で、矢上雅義委員の質問に対しまして当時の寺松政府委員が、「広告できます診療科名につきましてはこ「平成四年の医療法の改正におきまして、医学医術の進歩や国民の要望というふうなものに柔軟に対応できますようにということで、政令で定めることになった」というふうに答弁されています。また、それに引き続きまして、医道審議会のもとに診療科名標榜専門委員会を設置し云々、認定基準の検討、それから十月十九日現在、「今各国からの診療科名の状況につきまして資料等を取り寄せているところでございます。」こういうふうにおっしゃっているわけですけれども国民の要望に柔軟に対応を期した改正からもう既に三年たっていますし、それからさきの、今取り寄せている最中ですというふうにおっしゃってから五カ月余りたちました。この間の医道審議会の審議、それから調査内容及び検討状況等についての進捗状況を具体的にお示しいただきたいと思います。
  113. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 海外の状況につきましては、その委員会からの指示のありましたイギリス、ドイツ、フランス、アメリカについて調べておりますが、既にアメリカ、フランス、ドイツの結果は概括的に入手をいたしております。ただ、イギリスについては、まだ引き続き調査を行っている段階でございます。  この検討委員会につきましては、そういったような状況でございましたので、今お触れになりました昨年の秋以降、今のところまだ開催をいたしておりません。この海外の調査もほぼ終わっておりますので、できるだけ早く、この結果を含めて御議論を再開をしていただきたいというふうに思っております。
  114. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 結局は、国民は病気になったときに一体何科に行ったらいいのか、どんな病院に行ったらいいのかという情報が十分わかってないで、現に花粉症の人がこんなにいるわけですけれども、大臣も含めて、幾つかの科に行くというようなことになってしまったら、これはもう大変な混乱になってしまうわけですね。現にきょう、あるクリニックに、大体今の段階で、きょうの段階ですよ、どのくらいのパーセント、花粉症の人が来ていますかという話を幾つか聞いてみたのですけれども、二〇%から三〇%の人がきょう、きのうあたりは花粉症の人だというふうに言っています。ということは、そういう人たちが実際に困らないように、標榜科名につきましてはぜひ早く対応していただいて、原則的に私は、広告規制というのは余り意味のないものも多いわけですし、今まで五十三年までに認められた標榜科目が必ずしもそれでベストだということではないわけですから、それ以後の時代の要求に応じて早急に対応するように強くお願いを申し上げたいと思います。  それからもう一つ、次に薬価のことについて少しお伺いしたいと思います。  薬価というのは医療費に占める割合が大体三〇%から三五%ということで、国民医療費の中ではもう七兆円を超えるようになっているわけですけれども医療費の中に占める薬価の割合というのは非常に高くなってきているわけです。それを厚生省がある意味で薬価をある程度コントロールして、できるだけ薬剤費の比率を下げようということで薬価を切り下げていくということをここずっとやってきたわけですね。それで、では結果的に薬剤費は減ったかというとそうでない部分がございまして、これはどういうことかというと、一つの薬の薬価を切り下げていくと、あるところで、例えば診療所の先生もしくはメーカーが損益分岐点を割るような事態になってくると、違う高い薬に乗りかえる、こういうようなメカニズムが働きまして、せっかく厚生省がある薬の薬価を切り下げでできるだけ安く使おうと思っているのですけれども、現実にはそうなっていないということなわけですね。  つまり、一つの薬の薬価を切り下げると、医者にとっては、次第に薬価差がなくなるということでその薬を使う魅力がなくなりますし、それから、メーカーにとっても利幅が少ない商品に対しては売る価値が低下しできます。そこで、例えば若干の化学構造の変更をして効能を少しよくした新薬を本当に莫大な開発費と時間を投入してつくり、以前よりも高い薬価で市場に出すというようなシステムになっているわけです。ですから、結果的には、薬価の切り下げによって医療費の削減になるどころか高い薬に乗りかえさせるということで、総薬剤費がどんどん高くなってしまうということになります。  まあこれは一つの例で、これは別にこの薬をやり玉に上げるということではございませんけれども、ある会社のケフレックスという薬がございます。これは、薬価収載になったのは一九七〇年ですけれども、そのときに二百五十ミリのカプセルが三百六十七円五十銭だったのですが、それからずっと薬価が切り下げられて、現在、九四年の四月現在で四十円です。そういう意味で、実に約十分の一、九分の一ぐらいになっているわけですけれども、そうすると、これは八一年ぐらい、例えば百四十七円ぐらいの時点でこの会社は新しい薬としてL—ケフレックスという薬を出しているのですけれども、これは五百ミリグラムの顆粒で四百三十五円五十銭という薬価がついています。そうすると、一日量でいいますと、ちょうど八一年のときに、ケフレックスだと五百八十八円なんですけれども、L—ケフレックスを使いますと八百七十一円というようなことで、どっちかというとそっちの薬を使うことの方がインセンティブが働くわけでして、そうなりますと、せっかく厚生省が、薬価差を切って、そして薬の値段を下げていくというようなことで一生懸命やるのですけれども、現実にはその薬はもう既に使われなくなって新しい薬というようなことになってしまっているわけですね。  そういうようなことで、私は、ある薬、非常に有効ないい薬の場合は、どんどん薬価差を切っていくのじゃなくて、あるところでとどめておいて、お医者さんにとって使いやすい、メーカーにとってはつくりやすいという、こういう基準というものをある程度厚生省が考えて、そこを守るということの方が、むしろトータルの薬の費用を削減するという意味においては効果があるのじゃないかというふうに思うのですが、その辺についての御意見を伺いたいと思います。
  115. 岡光序治

    岡光政府委員 医薬品の処方は、価格に関係なくて、あくまでも医学的な観点から行われるべきだというふうに考えております。薬価差を志向しての処方というのはあるべきではないというふうに考えております。  先生御指摘の開発の経過を見てまいりますと、いわばマイナーチェンジをして、そして従来品よりも幾らかは新しい要素が入っているというので新薬の承認をとってというのは、そういうケースは多々あるわけでございまして、御指摘のようなそういうことをおっしゃる方も相当いらっしゃるのは事実でございます。私どもは、その辺は、医薬品については適正に使用してもらうべきではないだろうかというので、適正使用ということをまずお願いをしておりますのと、それから、医薬分業が一つの手ではないだろうか。医師は薬を処方するといういわば判断をしていただくので、実際の薬を患者に与えるのは薬剤師に担当してもらうという、いわば医薬分業を推進して、その辺の考え方の整理をきちっとしたらどうだろうかというのが私どもの基本的なスタンスでございます。  もう一つ申し上げたいのは、それでは医療保険における薬価基準、薬の値段の算定方式についてどうだろうかというので、これも議論になっているわけでございますが、先生よく御存じのとおり、平成四年の段階から算定方式を改めまして、従来のいわばバルクライン方式から、一定幅方式というのでしょうか、いろいろ医療機関によって同じ品物でも納入価格が違っておりますが、それについて一定幅については許容しようというそういう方式に改めたわけでございまして、そういう意味では、ややリーズナブルな売り方をするならば薬価はそう変動しないというそういう方式に変わっていったわけでございまして、その辺はこれからまた状況が違ってくるのじゃないだろうか、そんなふうに見ているところでございます。
  116. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今までこれ、例えば自動車に例えるなら、まだ乗れる車が、モデルチェンジして少し高くていい車が出ると、せっかく乗れる車なんですけれども、それを廃車にして新しい車に乗りかえる、こういうようなことが薬ではある種あったように私は思っているのですよ。  これも固有名詞出さないとわかりませんから申し上げさせていただきますけれども、例えばサワシリンという薬がございますけれども、これは発売当初、一九七五年の一月の段階で百九十七円という薬価なわけでございますけれども、それがどんどん薬価が下がっていって、九四年の四月には十九円五十銭になっているのですね。そうすると、局長おっしゃっているように、薬は薬効で使うのであって薬価では使わない、もちろんそうですけれども、ただ、やはり十九円の薬を使うよりはむしろ二百円の薬使いたいという方も多いわけでして、現実はそうだろうと思います。そうすると、私は、そのサワシリンとか、もう一つパセトシンという薬もありますけれども、パセトシンは七四年の九月の六日に収載されているのですけれども、そのときは二百六十八円だったのですね、一粒がですよ。それが今や十八円七十銭。  二十年というのが大体今まで抗生物質の寿命だったのですね。だけれども、では抗生物質として使えないかといったら、二十年だったから抗生物質に対する細菌は全部その薬に対して耐性を持っているかというと、そういうことではないわけでして、むしろ、これは医療の行政の中で薬価を切り下げていくということがこういう薬の命を短くしているというふうに私は思えてならないわけでして、ぜひその辺のところをお考えいただきたいということです。  そして、医療費が限りなく増大していくという中で、今おっしゃっているように薬剤の占める割合は徐々にこれから是正されていくのだろうとは思いますのですが、やはり適正な価格帯で薬価の切り下げをやめるということが、ある種いい薬を息長く使っていくということにもなるのだろうと思いますので、薬価を切り下げ、十円台になっちゃって、そのかわり少しリフォームして新しい薬もしくは服用の方法が違う薬がそれの十倍、二十倍の値段でまた出てくるという、こういうようなスクラップ・アンド・ビルドのシステムというのを何とか是正できないかということで、最後に申し上げたいのは、安くて安全な薬を上手に使う知恵というのを厚生省もぜひ持っていただきたい、こういうことをお願いしたいと思います。  それからあと、最後に、医療費を抑えなければいけないということは、いろいろな意味で至上命題なわけです。それは、だって最終的には国民負担するわけですから。ですから、良質な医療確保しながら、なおかつ医療費を削減していかなければいけません。そうすると、例えばこれは病院の経営の話なんですが、全国公私病院連盟が平成六年の六月に実施した病院経営実態調査報告によりますと、中小の病院、特に百床以下の医療法人の病院は、実に五四・三%が赤字というようなことなんですね。現在経営が切迫した状態で、現実には施設そのものも老朽化していく、ところが、診療報酬の中から病院施設の設備投資費用を捻出しようとしても、なかなかそれは難しい。それでも患者さんはやはり病院に対してもある種アメニティーを要求しますので、それにこたえなければいけないというようなことで、なかなか、言ってみれば経営者にとって非常に苦しい状況なのですね。  そうすると、それで例えば規模拡大もしくは病院を改築しようなんということになりますと、それをある程度回収する意味で、過剰な投薬だとか余計な検査だとかそれからターミナルのときの非常に濃厚な治療だとかということが、一種ドライブをかけるというようなことにもなりかねません。そうすると、このことは病院経営者が悪いとかいいとかということではなくて、システムそのものに問題があるのかなというふうに私は思うわけで、一生懸命やってアメニティー部分充実しようとしている医師、それからそれなりにいい医療を受けようとしている患者、そういうような双方にとってこれは大変不幸な結果になるわけで、なおかつ医療費、診療報酬は膨大に膨らんでいく。こういうようなことで、厚生省にお伺いしたいのですが、診療報酬の中に設備投資部分を見込んでお考えになっているのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
  117. 岡光序治

    岡光政府委員 資産の償却部分医療経済の中ではちゃんとカウントしておりますので、おっしゃるような設備投資経費については診療報酬で見ておるという理解でございます。
  118. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 ただ現実は、設備投資をしますとなかなか、それを返済するためには、診療報酬の中では人件費も高騰していますし、それからこれはよくないのかもわからないけれども、薬価差益というものがほとんどなくなっていく現状の中で、非常に中小の病院は苦しい状況なわけです。そうすると、例えば今回の阪神・淡路大震災の中で被災した民間医療機関に対して政府は復旧のために公的補助をも考えているようなことも聞いていますけれども医療のサービスを提供するというのは、地域にとっても非常に公共的なものだろうというふうに考えるのですね。  そうすると、今このままほっておきますと中小の病院はもうだんだんじり貧状態、それでそれを支えている院長はもう本当に疲労こんぱいしている、こういうような状況ですので、そういうふうなことでつぶれてしまってもしょうがないのかということを厚生省がどういうふうに考えているのだろうかということを私は伺いたいということと、それから、そういうようなサービスを提供していく上で、公共財としての民間病院ということを考える上では、例えば診療報酬以外に資金調達の方法、例えば具体的には病院債だとかなんかも含めた広範な資金調達の方法について厚生省のお考えはどういうことなのか、それから、いろいろな知恵があるのかどうかということを教えていただきたいと思います。
  119. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 我が国の医療におきましては民間病院が八割を占めているという実態でございます。そういう意味で、具体的にお触れになりました民間病院、具体的な中小病院ということも含めて、これの育成と申しますか、あるいは経営の安定化ということについては重要な課題だというふうに認識をしております。  その資金調達の手段として病院債ということについて先生具体的にお触れになりましたけれども、これにつきましては、既に昨年の一月になりますけれども医療機関の経営健全化の対策のための検討委員会ということで、その中で医療機関におきます資金調達の方法という資金確保対策の一つとして、病院債ということについても議論をしていただいております。  ただ、その際の病院債についての委員会での結論でございますけれども、我が国では、御承知のように政府金融機関としての社会福祉医療事業団におきまして、財投資金を使いました低利融資というものが機能しているわけでございます。そういう中で、仮に病院債というようなものの発行を考えた場合に、低利の金融商品として流通し得るような優良な債券市場というものの形成が可能かどうか、要するに、簡単に言えば債券が売れるだろうかというようなこと、それから、償還財源というものをどのように考えるのか、あるいは債権者保護のための制度的な担保が可能かどうかといったような種々の問題点がむしろ指摘をされておりまして、現時点におきますこの制度化というのはなかなか難しいのではないかというふうに私どもは考えております。  この病院債の問題は別にいたしまして、厚生省として、こういったような民間の医療機関に対します資金調達手段あるいは助成策ということにつきましては、先ほどもちょっと申し上げました社会福祉医療事業団の融資というもので政策医療あるいはその他の医療について対応しているところでございまして、融資制度充実ということに努めてきているところでございます。またそのほかには、医療機関に対する、民間に対します補助といたしまして、医療施設近代化施設整備事業というものを平成年度から創設をいたしておりまして、七年度の予算額は百二億円ということでございます。  また、先ほど申しました社会福祉医療事業団の融資につきましては、平成年度の融資枠が千六百十億円、七年度につきましては千九百十億円を予定をいたしております。
  120. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 時間になりましたので、きょう触れさせていただいたことは、要するに、財源をどんなに皆さんが工夫なさっても限度がございますので、最終的には入るところばかりではなく出る方をどうコントロールして、そして質を下げないで良質な医療サービスを効率よくとう提供するかという、この知恵がまさしく厚生省の皆さんが考えていただきたいことでございますし、いいサービスを金に糸目をつけずにやるのだったら、これは最終的に負担するのは国民ですから、国民はある意味で逆に負担で苦しんでしまう。こういうことで、ぜひその辺のことを、標榜科目なんかも含めて、情報を開示しやすいような状況。それから薬価等についても、ただ新しい薬、医学の進歩ということだけで高い薬価をつけてそしてそれを野方図に使うということではなくて、うまくコントロールしていただく、これが大変重要なことなのだろうと思いますから、その辺をお願いいたしまして、質問を終えたいと思います。  どうもありがとうございました。
  121. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 福島豊君。
  122. 福島豊

    ○福島委員 新進党の福島豊でございます。  先ほどからさまざまな委員からなされました御質問と重なるところが多々あろうかと思います。が、財政的なことを中心にお聞かせいただきたいと思います。  私が地元に戻りまして地方自治体の議員の方とお話をしますと常に出てくる話が、自治体における国保財政が非常に大変だ、何とかなりませんか、何とかしてくださいよという話が、これは必ずと言っていいほど出ます。国保制度そのものの抜本的な見直しということが必要である、これは多くの人にとって共通した認識であると思いますし、現在持っている国保のさまざまな制度的な矛盾というものを改革する大きな制度改正というものを私はなし遂げていただきたい、そのように念願いたしております。それを前提としまして、今回のこの法改正についてお聞きしたいと思います。  まず、保険基盤安定制度における国庫負担の抑制についてということをお聞きしたいと思います。国保財政状況の悪化というのは地方自治体の財政にとって大変大きな負担となっているということは先ほど申し上げましたが、平成年度国保財政状況報告では、一般会計からの繰入金は、法定分が二千九百九十四億円、そして法定外が二千三百十八億円、合計しますと五千三百十二億円になります。この五千三百十二億円というのは対前年度比で一五%の伸びになっている。これは収入合計の伸び、また支国会計の伸びがそれぞれ三・四%、三・六%ですから、それに比べると一般会計からの繰り入れが大変に大きく伸びているということが指摘できると思います。地方自治体におきましても、この平成不況下で財政状況というのはどこも大変厳しいと思います。それは国と同じ状況なんだと私は思います。したがって、一般会計だけ極端に突出する伸びを示しているということは、地方にとっては大変大きな負担であるし、また地方の財政の健全性を損なうおそれがあると私は感じております。  自治省もかつて「地方財政運営について」という文章の中で、「事業勘定に対する一般会計等からの繰出しは、一般住民を対象とする保健施設に係る経費の一部を除き、その性質上行うべきものではない」そのように述べておりますが、この五千三百十二億円にも上る一般会計からの繰り入れは、主に赤字の補てんということが一番大きな目的ではないかと思います。ですから、自治省がかつて述べていたような地方財政を考えたときの運営の方針から現状というものは大きく隔たっている、そのように私は感じざるを得ません。  また、国民健康保険の決算状況の推移、十年分のデータをいただきました。これを見ていて思いました。保険料はこの十年間、昭和五十九年度から平成年度で一兆五千六百六十六億円から二兆五千八十二億円、このような伸びを示しております。国庫支出金というのは、二兆一千六百三十五億から二兆四千二百二十四億とわずか三千億弱の伸びでしかない。それに対して、一般会計の繰入金というのはこの十年間で千二百七十一億から五千七百十四億と四倍以上の伸びを示しているわけです。これは明らかに国保財政運営というものを国から地方にしわ寄せするような経過ではなかったかと私は思います。  この点につきまして、国として基本的にどのように考えているのかということにつきましてお聞かせいただきたいと思います。
  123. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のありましたように、国民健康保険財源は、国庫やそれから法定の一般会計繰り入れで賄われるべきだと基本的に考えておりまして、御指摘がありましたように、法定外の一般会計繰り入れというのは私どもはできるだけやってほしくないという考え方でございます。  しかし、御指摘がありましたように、高齢者が多いとか低所得者が多いとか固有の問題を抱えており、財政基盤が極めて弱いものですから、どうも法定外の一般会計繰り入れを行う結果になっておるというふうに理解をしていまして、その辺は市町村におけるいろいろな実情と絡み合っておる問題ではないだろうかなと考えております。  その辺については、自治省ともども国保あり方について今後とも適切に対応していくように私どもも考え、また市町村ともどもそういった努力をしていきたいと思っております。  なお、国民健康保険国庫負担の推移でございますが、ずっと過去からの推移を見てまいりますと、数字的には今おっしゃったとおりございます。が、それに当たりましては、単に国庫負担を削ったというわけではございませんで、その間、老人保健制度を創設するとか、あるいは退職者医療制度を設けるとか、老人の拠出金に対する国庫負担を変更するとか、実はいろいろな制度改正を行っておるわけでございますし、また平成年度、六年度は保険基盤安定制度については定額でお許しをいただいておるとか、国の財政状況が厳しいものですから、そういうふうなやりくり算段をしているという一面も御理解をいただきたいと思います。
  124. 福島豊

    ○福島委員 確かにさまざまな努力をしておられるということは認識いたしております。しかし、地方もまたやりくり算段をしているのは同じことではないかと私は思っております。  また、保険基盤安定制度でございますが、これも先ほど委員から指摘があったところでございますけれども、この国負担分は、当初二分の一の定率でございましたが、定額負担になりました。平成年度には、国が七十億増額しまして百七十億円、都道府県が二十五億増額して三百十一億円、市町村は六億の増額で七百六十五億円、そのように承っております。国の負担を七十億ふやしましたと言いましても百七十億、これは計算しますとわずか一三・六%でしかない。当初五〇%と言っていたものから比べると、焼け石に水といいます。か、そのような感を持ちます。国としましては、いろいろと頑張っておるし、また一律に国の負担を減らしてきたわけではない、そのように今お答えでございましたけれども、しかし、保険基盤安定制度の国の負担あり方を見ていると、これは国の負担を削減し続けているとしか思えない、私はそのように感じますが、どうでございましょうか。
  125. 岡光序治

    岡光政府委員 原則的なルールは、御承知のとおり必要な経費の二分の一を国が持たなければいかぬわけでございまして、そのところを、財政状況が厳しいものですから、定額負担ということでとどめさせてもらっているというのが平成年度、六年度状況です。  七年度とうするかということで検討いたしましたが、どうも財政状況の厳しさには変化がない、この点については何とか定額で対応させていただきたい、しかし、考え方の上では市町村の分が少しでも減るようにという発想で、許される範囲でこの定額をふやしていこうではないかというのが今回予算でお願いをしていることでございますし、また法律改正の中でもお願いしている定額制の暫定的な措置の延長でございます。繰り返してお話を申し上げておりますが、市町村の方に回っていった分、国庫負担の縮減分が回っていくわけでございますが、それにつきましては、全額地方財政措置を講じて市町村負担にならないようにということをやっているわけでございまして、その最終的なツケは市町村に回らないというところをぜひとも御理解をいただきたいと思っております。
  126. 福島豊

    ○福島委員 交付税措置によって対応するんだという話は種々聞くわけでございますけれども、しかし、十分な対応が本当にされているのか。さまざまな、例えば福祉の対策等も今地方は一生懸命やらなければいけません。いろいろな財政需要があります。その中で、交付税措置をしましたということで本当に十分な対応になっているのか、私は甚だ疑問に思わざるを得ないところでございます。  基本的な考え方として、国保財政、国はどのような負担を持つべきなのか、地方自治体はどのような負担を持つべきなのか。先ほど委員から御指摘がありましたけれども国民健康保険法の第四条で「国は、国民健康保険事業運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」そのように定められておるわけでございますけれども、この国保制度の中で国の持つ役割、地方自治体の役割、この点について厚生省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  127. 井出正一

    ○井出国務大臣 医療保険制度における国あるいは地方公共団体の役割でございますが、まず被用者保険につきましては、政府管掌健康保険で一定の国庫補助が行われているほかは、基本的には保険料によりその財源を賄うこととされております。  一方、国保制度では、市町村保険者となって運営する地域保険でありますし、また国民皆保険体制の基盤をなす制度として、国民生活の安定あるいは向上のため極めて重要な役割を果たしておるわけでございます。このため、国は、国民健康保険事業の健全な運営確保のために医療給付費の約二分の一を国庫負担するなど、市町村に対する必要な措置に努めているところでございます。  都道府県も都道府県民の福祉を増進すべき一般的な責務を負っておるわけでございまして、こうした観点から、必要な国保保険者指導等を行っているところであります。  なお、国と地方の役割分担あるいは費用負担あり方につきましては、近年の社会経済情勢の変化等により国保を取り巻く環境が大きく変化してきていることを踏まえまして、今後、国保制度抜本的見直しについての議論を進めていかなくてはならぬわけでございますが、その議論の中で、大変大事な検討をしなくてはならぬ大きな課題だと考えております。
  128. 福島豊

    ○福島委員 国民の健康を守る最終の責任は国にあるのだという観点から、しっかりと検討していただきたいというふうに私は要望をいたします。  続きまして、今回の応益割合引き上げについての御質問でございます。  今回、御説明を受けましたときに、これは保険料負担平準化を図るために応益割合というものをふやすのだ、そのような御説明をいただきました。この応益割合をふやして応能割合を減らすということは、いわば所得税を減税して消費税を増税するというような考え方に基本的には近いのかなというふうに思って理解したところでございます。保険料の総額そのものが一定であるとすれば、応益割合をふやすということは、単純に言えば低所得層の負担がふえる、と同時に、中間所得層の負担が減るということになるのだろうというふうに思います。  それで、保険者もさまざまな保険者があるわけでございますけれども、それぞれの応益割合の率によってちょっと分けて考えてみたいと思います。  応益割合が四五%から五五%の保険者、この場合には既に低所得層の負担は大きくなっているわけでございます。したがって、新たに二〇%の軽減率を設けるようにした。また、六割、四割の軽減率は、平成年度以降には七割、五割に拡充するというのが今回の改正であろうかと思います。したがって、総体としては、この四五%から五五%の保険者では、低所得者に対しての負担軽減が図られるということは事実だというふうに思います。  この四五%から五五%の保険者状況については、厚生省は次のように述べております。四五から五五%のところでは医療費が相当かさんで、繰り出しどころではない。相当高い保険料を設定して徴収にも四苦八苦で懸命に運営をされている市町村である、そのような保険者であるというふうに述べられております。  それで、このような状況で、なかなか保険料の徴収にも苦労しているということであれば、やはり低所得層に対しての軽減率を拡大するということで対応するということはやむを得ない状況であろうというふうに思います。  そしてまた次に、この三五%から四五%に相当する保険者、この場合にはどのような状況かというと、また厚生省の御意見ですが、これは、保険料引き上げようか、一般財源から繰り出そうか、この選択を迫られている市町村である、このような御意見がございます。なかなか大変厳しい。しかし、保険料を上げると言うと、また地元の市民のさまざまな御意見があろうかというようなところで悩んでいる。しかし、財政状況を考えると、一般財源からどんどん繰り入れるということよりも、何とかして保険料を上げたいということになるのかなと思うのですが、単純に引き上げますと、やはり中間所得層の負担がふえるということで抵抗が強い。そうなると、やはり応益割合をふやすというところに一つの道を見出そうという考え方になるのかなと私は思います。  ただ、問題は、この場合に低所得層の負担はやはり増加せざるを得ないだろうというふうなことでございます。  厚生省からいただいた資料では、例えば応益割合を四〇%から五〇%へ移行させた場合、ふやした場合、これはどうなるのかといいますと、例えば六割軽減世帯は、これはモデルでございますけれども、三万円から三万七千円になる。七割軽減拡充して初めて二万八千円。同じような水準に戻ってくる。また、四割軽減世帯であったとしても八万二千円から九万三千円にふえる。これがさらに七割軽減にされることによって八万四千円の水準まで戻ってくる。二割軽減世帯、これは除きます。  いずれにしましても、以上のように応益割合をふやすということは、保険料軽減されていたとしても、やはり一時的に負担がふえるということは事実だと思います。それがかなり大きいと感じる人も私はいると思いますし、そしてまた保険料の徴収ということに対して困難を増大させる可能性もあるのではないかというふうに思います。  三五%未満の保険者のことにつきましては、時間が余りありませんので、省かせていただきます。  ですから、今回の改正そのものが三五%から四五%の保険者をターゲットにして、そこのところを応益割合引き上げて、保険料を単純に引き上げたときにかかるこの中間所得層への負担増加を緩和するというようなことが一番大きな目的なのかなというふうに私は認識いたしております。  ここで、私の要望なのでございますけれども、この応益割合引き上げということを保険者がしたとして、実際にその低所得層の人の保険料がふえるということは一時的にでも事実だと思うのですね。それで、平成年度から軽減割合拡充するというふうになっておりますけれども、それをさらに前倒しして、どうせするのであれば、平成年度改正の時点からこの軽減割合拡充したらどうか、そのように提案したいわけでございますけれども厚生省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  129. 岡光序治

    岡光政府委員 そういう急激な変化というのは、私どもは避けるべきであろうというのが基本スタンスでございまして、今までの軽減状況からしますと、住民税の所得割非課税世帯と今まで四割軽減の対象になっていた世帯との間に相当の幅がございますので、まずその部分について二割軽減を先行させた方が全体のバランスがとれるのじゃないだろうかというのが発想でございます。  そして、今先生おっしゃいましたように、六割軽減、四割軽減のところは、とりあえずは平成年度はいじれないわけでございますので、そういったことを配慮いたしますと、できるならば八年度にそういう保険料の操作をする。七年度はそのまま、保険料引き上げは行わないで二割軽減対象だけで対応して、とりあえずなだらかなバランスをとっていく。こういうふうに段階的にやっていってもらったらどうだろうか。もちろん、個々の市町村で考え方はいろいろ違うと思います。が、今回段階実施という私どもの考え方はそんなことで、まず穴の大きくあいているところに二割軽減の層を創設をして、その上で、体制を整えた上で八年度に七割軽減、五割軽減、二割軽減、こういうねらっておる姿に持っていったらどうだろうかというのが考え方でございます。
  130. 福島豊

    ○福島委員 これは通告しておりませんが、今回このような制度改正をすることによって、保険者保険料応益割合に対してどのように行動するというふうに厚生省認識しておられますか。
  131. 岡光序治

    岡光政府委員 一概に申し上げられませんけれども、私どもは今申し上げましたような趣旨保険者によく御説明をして、やはり応益割合を五〇%に近づけるように御尽力をいただきたいということでお話をしていきたいと思います。  個別のケースでございますが、そういう方向でやっていこうかな、それについておまえの考え方はどうだという個別の御相談は、若干今受けつつあるところでございます。
  132. 福島豊

    ○福島委員 続きまして、小規模保険者増加に対する対応についてお聞きしたいと思います。  小規模保険者の問題というのはサイズの問題ですから、これはそのサイズをどうするのかということの改革がなされなければ根っこのところでは変わらないということは、もうこれは否定できないことだと思います。  人口構造も変わってきた。そしてまた都市部への人口の集中、そういう大きな社会の変化の中で、国保制度の成立当時とは社会状況そのものが違うわけです。また、この変化は二十一世紀に向かってさらに続いていくというふうに考えられる。そうしますと、現在の市町村自治体を基盤とする保険制度そのものが構造的にやはりそれに耐え得ることができない、そういうことなんだろうと思います。  国保制度改正改革ということを厚生省では考えておられるようでございますけれども、この小規模保険者の問題について、どういう角度で、どのような方向で改革を進めるおつもりであるのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  133. 岡光序治

    岡光政府委員 市町村でやっていただいておるメリットはいろいろあるわけでございますが、一番のデメリットは、財政的な規模が小さいということによって国保運営が不安定になるというところでございます。  したがって、メリットを生かしながらいかに財政的に安定をさせていくかというのが一つの焦点でございまして、私ども単に、例えば都道府県営にするとか、あるいは広域連合方式をとるとか、そんな短絡的な方法で考えるべきではないんではないだろうか、こんなスタンスを持っております。が、それも含めまして、医療保険審議会において御議論をいただきたい、そんなふうな考え方をしておるところでございます。
  134. 福島豊

    ○福島委員 ぜひしっかりと検討していただきたいと思います。  続きまして、時間も余り残されておりませんので、基準超過医療費共同負担制度の基準の改定についてお聞きしたいと思います。  これは、今回の改正に先立ちます医療保険審議会の意見で、次のような意見が記されております。「市町村や都道府県には高医療費対策を行うための有効な手段がなく、また、老人保健福祉計画も緒についたばかりであり、その財源確保が課題となっている現状から、基準超過医療費共同負担制度見直しを行うことは適当でない」のではないか、そのような意見が記されております。  この指摘の中で大切な点は、私は二点あろうかと思いますけれども制度の基準を厳しくしたとしても、自治体に高医療費対策を有効に行う手段がなければ、単に負担を大きくするだけではないかということが第一点。それから第二点目は、そうした財政負担を負わせることは、将来的に国保財政を改善するためには福祉のシステムを充実することが不可欠だろうというふうに私は思いますけれども、そういう福祉システムのインフラづくりそのものを妨げるようなことに結局なりはしないかというような思いがいたします。  さまざまな資料を厚生省の方からいただきました。この制度導入によってだんだん改善してきているんだという資料でございます。それを見ると、確かになるほどそうかなというふうに思ったりもするわけでございますけれども、しかし、この負担市町村数は減少しておりますけれども、当初に比べてやはり八割ぐらいは依然負担市町村のままとどまっているということも事実ではないかと思います。それをさらに基準を厳しくするということが、本当にそれを減らすことになるのか、それとも負担をふやすだけなのか。  そして、いろいろな手段があるというふうに、資料をいただきました。いろいろな対応が自治体でできますよと。ただ、いろいろなことが挙げてあるのですけれども、どの程度これは有効なのか、一つ一つ、例えば運営安定化のために診療報酬明細書等の点検の充実強化とか、健康意識の高揚であるとか、健康づくりであるとか、さまざまなことが挙げられておりますけれども、どの程度有効なのか、御説明いただきたいと思います。
  135. 岡光序治

    岡光政府委員 住民の意識改革をしまして健康志向にして、具体的にまたそのような行動につながっていくというのは、大変時間のかかることでございます。幾つかの市町村でそのような健康教育を実施をしているところがありますが、相当時間がかかっておるのが現実でございます。それから、それが成功しているのは、いわば農村部でございまして、こういった東京のような大都市部ではなかなかその辺はうまく進んでいないというのが、私ども正直なところでございます。  したがって、どういうことをやればどの程度医療費が削減するのかというのを数量的に実証するだけの能力は私どもはございません。いろいろな過去の具体的な市町村の取り組みの事例を見ながら、その結果、こういうケースではこうでしたよということを言える程度でございまして、そこは先生の御指摘にうまくこたえられないのが現実でございますが、それぞれの市町村の置かれた状況が違っておりますので、その実情に応じて、それにふさわしい、それからまた、やらなきゃいけない最も優先順位の高いところからそういった医療費適正化のいろいろな努力をしてもらうということではないだろうかなと思っている次第でございます。  といいますのは、医療費が高いというのも、いろいろ地域によりまして理由が違います。端的に申し上げますと、非常に入院期間が長くて医療費が高いという地域もございますし、それから、一件当たり非常にコストが高くて医療費が高いというところもあるわけでございまして、そういった地域の医療費の高さの要因の違いというふうなものも念頭に置いた上で適切な医療費適正化策を打っていかなきゃいけないんじゃないか、こんなふうに考えているからでございます。
  136. 福島豊

    ○福島委員 なかなか地域差もあり難しい、こういうお話であったかなというふうに思いますけれども、そうしますと、あえて今回この基準を改定する必要があるのかなという認識もあるのですけれども、いかがでございましょうか。
  137. 岡光序治

    岡光政府委員 大幅に考え方を変えたつもりではございません。基準給付費という全国平均医療費を念頭に置きまして、それがどの程度オーバーをしておるかという考え方で見直したわけでございます。  それは、今医療費が全国的に動いておりますので、この制度を創設した以降との程度医療費が動いたかということを念頭に置いて、基準のレベルをどの程度に置くと従来どおりの対象範囲になるかというそういう微調整をしたところでございまして、やたらに基準超過医療費共同負担制度の対象市町村をふやすという発想ではないわけでございまして、あくまでも現実の国全体の医療費の動向を念頭に置いた徴調整というふうに私どもは考えております。
  138. 福島豊

    ○福島委員 わかりました。さらに引き続き国保制度改正のためにしっかりと努力をしていただきたいと思います。  時間が終わりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  139. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 柳田稔君。
  140. 柳田稔

    ○柳田委員 まず、医療費の動向についてお尋ねいたします。医療保険制度が基本的に医療給付費を保険料等で負担する仕組みである以上、医療費の動向いかんが保険料等の負担水準を決める最大の要因であるということは論をまちません。  この医療費は、私の承知するところでは、年々国民所得の伸びを上回るような勢いで急増しており、最近では毎年約一兆円増加しているような状況にあるとのことでございます。その増加要因としてはいろいろ考えられますが、やはり最大の要因の一つとして考えられるのは、高齢化の影響でありましょう。そうだとすると、今後高齢化の一層の進展により、老人医療費中心医療費はますます増大することが予想されます。また、被用者保険よりもはるかに高齢化の進んでおる国保医療費、ひいては保険料負担への影響はより深刻であると言わなければなりません。  そこでお尋ねしますが、こうした医療費の動向は近年どうなっておるのか、また、今後ますます。高齢化が進展する西暦二〇〇〇年、さらには西暦二〇一〇年には、その伸びがどのような状況になっているものと予想されるのか。まずそういった点についてお答えを願いたいと思います。
  141. 岡光序治

    岡光政府委員 最近の動向でございますが、平成年度、九二年度の実績では二十三兆五千億円でございまして、前年に比べまして約一兆七千億円、伸び率で七・六%の増ということでございます。  それで、将来推計でございますが、どういう推計をするかによって随分と医療費が違ってまいりますが、私ども、とりあえず平成年度から四年度までの三年間の実績を基礎にいたしまして、将来の人口構造の変化、御指摘がありましたように人口全体が膨らむ、それから高齢化が進展する、この要素でございますが、そういったものを織り込んで推計をいたしますと、二〇〇〇年度には約三十八兆円、二〇一〇年度では約六十八兆円、これはいずれも名目値でございますが、そのように見込んでおります。  なお、この平均の伸び率は、平成年度から二〇〇〇年度まで六・五%、二〇〇〇年度から二〇一〇年度までは六・○%というふうに見込んでおるところでございます。
  142. 柳田稔

    ○柳田委員 大変な伸びだということが今のお答えでわかるわけでありますが、医療費、したがって医療保険制度で支払うべき費用も急速に増加してきているわけであり、これが各保険者財政を圧迫する大きな要因となっているわけでございます。  特に国保制度は、制度の性格上、高齢者や低所得者といった保険制度になじみにくい方々も受け入れざるを得ない制度であることから、財政基盤もほかの医療保険制度に比べて脆弱であり、高齢化の影響も一番強くこうむっております。このため、これまでも数年置きに国保に関する累次の改正を行ってきているわけでありますが、いまだ、国保の抱える構造的問題の抜本的解決が図られたとは言いがたい状況にあります。  また、国保制度以外の、ほかの医療保険制度につきましても、高齢化等による医療費増加の問題は、程度の差こそあれ遠からず大きな課題として直面することになるはずであります。  さらに言えば、医療保険制度においては、これも従来から指摘されてはおりますけれども、給付率や負担構造がばらばらであり、これをどのように公平化していくかという問題もございます。  医療保険制度はこのように種々大きな問題を抱えており、また、医療に要する費用も急増してきているわけですが、それにもかかわらず、喫緊の課題であるはずの国保を含めた医療保険制度抜本改正を今回先送りにしたという理由はいかなるものなのか。大臣の御所見を賜りたいと思います。
  143. 井出正一

    ○井出国務大臣 国保制度抜本改正のためには、現在老人保健福祉審議会において議論をしていただいております新介護システム国保制度への影響も考えなくちゃなりませんし、また、国保制度における国と地方とのかかわり等につきましてもさらに議論をする必要がございます。これは、過般の医療保険審議会においても同様の御意見をいただいているところでございます。  したがって、残念ながらこの時点で抜本改正に着手するわけにはまいりませんが、かといってほっておくわけにもまいりません。したがいまして、今回の改正におきましては、低所得者層増加あるいは小規模保険者増加等に対応した当面の措置を講じようとしているものでございます。
  144. 柳田稔

    ○柳田委員 昨年、年金の改正抜本改正が行われました。そのときに我々も、今後年金の負担というのも大変大きなものに上るな、それと同時に、医療に関する負担というのも相当大きくなると。これは先ほど御説明を願ったとおりであります。  この二つを考えたときに、今の大臣の答弁は、審議会で議論がされております、さらなる議論が必要であります、今回はこういうことをさせていただきました。それは余りにも無責任過ぎるのではないか。今後ふえる負担を考えますと、三年先に結論を出しますという悠長なことは言っていられないのではないか、そう思うのでありますが、大臣、どう思いますか。
  145. 井出正一

    ○井出国務大臣 二十一世紀の本格的な高齢社会においてすべての国民が安心して医療を受けることができるように、医療保険制度の長期的な安定を図っていくことは極めて大切なことでございます。したがいまして、そういった意味でも、御指摘医療保険制度の一元化の問題は、全国民を通じた給付と負担公平化を図ることと理解しております。これに向けて、これまでも医療保険制度やあるいは老人保健制度改革を逐次進めてきたところでもございます。  しかし、医療保険をめぐる状況は今日大変大きく変化しておりまして、この給付と負担公平化あり方につきましても、あるいは医療保険制度の将来の構想につきましても、関係者の間にさまざまな考え方がございまして、まだ遺憾ながらと申しますか、残念ながら意見の一致を見ることができません。したがいまして、現在医療保険審議会において、制度全般について、給付と負担の公平など幅広い観点から審議が進められているところでございます。  厚生省といたしましては、こうした議論や、あるいは国民医療ニーズの高度化あるいは多様化している状況等を踏まえるとともに、新介護システム導入とかあるいは国保抜本的改革、さらには老人保健制度見直しといった課題を検討する中で、給付と負担の公平が図れるよう一層努力していくつもりでございます。
  146. 柳田稔

    ○柳田委員 お気持ちは我々も同じ気持ちなんです。ただ、今、年金の問題なりこの医療負担の問題なり考えますと、ことしやらなきゃ間に合わないんじゃないか、そういう気持ちでおるんです。  じゃ、ちょっと見方を変えてもう一つ質問させてもらいますが、医療保険制度の一元化というお話抜本改正のときにはよく持ち上がってまいります。大臣も御承知だろうと思いますけれども、この一元化問題の経緯は改めて申し上げるまでもないことかもわかりませんけれども、昭和五十九年に、厚生省としての医療保険制度に係る中長期ビジョンにおいて「昭和六十年代後半に医療保険の給付率を八割程度で統一する」と打ち出されて以降、いいですか、「昭和六十年代後半」ですからね、さらに関係方面でも活発に議論がされております。もう御承知のとおりであります。  また、昭和六十一年にも厚生省からは、「一元化の時期は昭和六十年代後半のできるだけ早い時期に実施する」、これも「六十年代後半のできるだけ早い時期に実施する」という報告がされております。その後、老人保健法及び国民健康保険法、いろいろな改正が行われました。昨年も給付の範囲の大幅な見直しか行われたわけでありますが、しかし、今までのいろいろな改正を見たとしても、厚生省さんがおっしゃっておる一元化というものにはまだまだほど遠いという感じがしてなりません。  としますと、一元化を「六十年代後半のできるだけ早い時期に実施する」とおっしゃっているんですよ、厚生省さんは。いいですか、もうことしは昭和七十年ですよね。これは厚生省さんがお約束をしたことであるわけですね、ある面で言いますと。ところが、今大臣のお答えですと、まだ審議会では議論の最中です、まだ抜本改正は出せません、もう少しお時間をくださいという御答弁なんですが、そうすると、今までおっしゃったことはほごにされてやられるということなんでしょうか。もう一回、その厳しさも十分厚生省はわかっている上で質問しておるのですが、いかがでしょうか。
  147. 井出正一

    ○井出国務大臣 確かに御指摘のとおり、昭和五十九年四月に中長期ビジョンといたしまして、「昭和六十年代後半に医療保険の給付率を八割程度で統一する」、あるいは六十一年の四月に高齢者対策企画推進本部の報告におきまして、「一元化の時期は昭和六十年代後半のできるだけ早い時期に実施する」、こういう報告をしたことは事実でございます。  その実現に向かって厚生省も、そしてまたいろいろな審議会の先生初めいろいろな方面の皆さんも御審議もくださいましたし、御努力もいただいたわけでございますが、残念ながら、給付と負担の公平のあり方を初めとする医療保険制度の将来構想につきましては、関係者の間にまだ意見の合意を見るに至っておりませんし、これはやはり国民各層の大勢の皆様方の同意なくしては、いかに気持ちだけあっても進めることができないことも、これは事実なものですから、御理解をいただきたいと思います。
  148. 柳田稔

    ○柳田委員 おととし細川政権を、大臣も一緒になって我々つくりまして、大変難しいと言われていた年金の抜本改正を我々行いましたね。そのときに、大臣も御記憶があるかと思うのですが、大変厚生省も困っていましたよね。そして、国民のいろいろな意見もあって、大変な苦労をしてつくり上げた御記憶があるかと思うのですよ。  今回のこの医療保険制度審議会で幾らやったって、やはり同じようにいろいろな意見が出てきて大変難しいと思うのですよ。とすると、やはり最終的には、与党である皆様が責任を持って議論をされて、国民の合意をとってこの通常国会に出すことが、従来からの方針を守って国民の信頼にこたえることにはなりませんか。よく総理大臣おっしゃいますよね、与党の議論をしております、与党の調整に任せておりますというお話をされますが、今回与党の中でこのことは一切議論されていないのですか。抜本改正をしよう、これはもう審議会に任せていても本当に難しい課題だ、これはもう政治がリーダーシップをとってやるべきだということで、相当議論されたことはないのですか。
  149. 井出正一

    ○井出国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、審議会の方でもうしばらく議論をしていただいて、そしてそれを、まあ時期にもよりますけれども、参考にしながら厚生省として意見をあるいは考え方をまとめながら、もちろん並行して、与党の皆さん方だけではなくて、この問題は野党の皆さん方の御意見も大いに聞かなくてはならぬ、こう思っておるところであります。
  150. 柳田稔

    ○柳田委員 先送りをしているということをどうしても認めたくなさそうなんですが、では聞き方を変えます。抜本改正をいつまでにやり、一元化をいつまでにおやりになるのですか。
  151. 井出正一

    ○井出国務大臣 ただいま申し上げましたことの繰り返しに相なりますが、関係者の間にさまざまな考え方がありますから、この考え方の合意を得るべく目下医療保険審議会において御論議をいただいておりますから、これを踏まえながら、できるだけ早い時期に一元化ができるように努力していきたい、こう考えているところであります。
  152. 柳田稔

    ○柳田委員 今までは約束をされたんですよね。そして目標を定めてやってこられた。できなかった。しかし、一番最初に御質問したとおりに、大変急速な伸びで医療の給付費というのは伸びているわけですよね。審議会でまとまりませんので先延ばし先延ばしとやっていますと、どんどん後世に負担が残るんですよ。大臣、おわかりになりますよね。とすると、できるだけ早くやらなければならないというのは真実なんですよ。審議会で幾らやっても難しいというのは僕らも十分わかっていますよ。そうすると、やはり政治がリーダーシップをとるべきではないんですか。そうすると、大臣、やはり厚生省の立場を離れられないかもわかりませんが、この辺ははっきりと言わなければ今後のビジョンも立てにくいのではなかろうかなと私は思います。  また答弁を聞いても同じ御答弁をされるのかもわかりませんので、それぐらい強い意思を持たなければ人ごとですよということだけは十分認識をしてもらって、いつ閣議があるかわかりませんが、早くやろう、早くやらないと人ごとだよということを、大臣、村山総理に言っておいてくださいよ。人に優しいとおっしゃっているんですからね。自分たちに優しい政治じゃないんでしょう。だから、自分たちは責任を持ってやってほしいな、そう思っております。  一元化の問題が出たのでもう一つ聞いておきたいのですが、公的年金制度の一元化についてお尋ねします。  公的年金制度、いろいろございます。民間サラリーマンを対象とした厚生年金、国家公務員や地方公務員の共済制度、旧三公社にかかわる共済制度、農林漁業団体関係職員や私立学校教職員の共済制度、全部で八つ制度があります。このように各制度が業種ごとに分立している状況にあるわけでありますが、このために産業構造や就業構造の変化による影響を受けやすく、現に、日本鉄道共済組合のように、独立した財政運営が困難な状況になっている制度もあらわれております。年金制度の安定的な運営という面で懸念が生じているところでございます。  年金制度財政を長期的に安定したものとしていくことは、年金制度に対する国民の信頼にこたえていく上で不可欠なことであり、また、年金各制度間での給付や負担面の著しい不均衡をなくしていくことも、公的年金制度にとって必要なことであります。その意味で、公的年金制度の一元化を進めることはぜひとも必要なことと私自身も考えております。  政府においても、既に十年前、昭和五十九年二月、閣議決定が行われております。ことし、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了するという閣議決定を行っておりまして、政府としての目標を示しております。ことしは、先ほど申し上げましたように、その目標の平成七年に当たるわけでありますが、現在までのところ、一元化の具体的な姿は全然見えてきません。政府としては、平成七年を目途に完了するという目標を立てていた公的年金制度の一元化について、いつまでに行うお考えでございましょうか。ことしは平成七年でございます。
  153. 井出正一

    ○井出国務大臣 平成七年、当時の閣議決定は、「昭和七十年を目途に」という閣議決定がなされまして、公的年金制度の一元化に関する懇談会が設置され、検討がなされてきたわけでございます。が、なお検討すべき課題が多いことから、昨年末にこの懇談会で中間的な取りまとめが行われ、引き続き検討することとなされたところであります。その際、今柳田委員指摘の日本鉄道共済組合の状況は大変でございましたし、平成年度末で現行の支援の仕組みが切れてしまいますから、一元化の仕組みについての検討や新制度の実施に向けた準備期間に配慮いたしまして、二年間は現行の支援の仕組みを継続することといたしまして、年金の支払いに支障が生じないようにしたところでございます。  このような経過でありますから、二年後の実施に向けて一元化懇談会においてできるだけ速やかに結論をまとめていただき、政府としてそれを踏まえた必要な措置を講じなくてはならない、こう考えております。
  154. 柳田稔

    ○柳田委員 懇談会で議論をしております、二年後を目標にまとめますというお答えでございました。閣議決定は、平成七年を目途に一元化を完了するであります。これも、この約束もほごにされるわけですね。
  155. 井出正一

    ○井出国務大臣 目途でございますから、歴代政府は大変なそれだけの努力はなさったと思います。が、完了をできなかったことは事実であります。が、引き続き努力をしてまいります。
  156. 柳田稔

    ○柳田委員 この問題も大変難しい問題です。懇談会でいろいろ議論されても、そう簡単に結論が出るとは思えません。今大臣、二年後という年限を一応口にされたわけでありますが、この問題も先延ばしすればするほど厳しくなるのですよ。  この問題は一応この閣議決定に従って与党の中で相当議論しているはずですが、その議論した経過があるのかどうか、その与党の中で議論された答えはどういう答えだったのか、ちょっと教えてください。
  157. 井出正一

    ○井出国務大臣 まだ、与党のいろいろなプロジェクトチームたくさんございますが、この問題についてしっかりした検討が進んでいるとは聞いておりません。
  158. 柳田稔

    ○柳田委員 しかし、閣議決定は七年、ことしを目途に完了すると書いてある、もう皆さん発表されているのですね。ところが、何も議論していません。これも厳しい問題ですよ。答えを出すのに大変だから先送りしていますというだけじゃないですか。さっき言った医療の問題も先送り、年金の一元化も先送り、答えは出せませんでした。これじゃちょっと与党として、国民に対して申しわけないのではないでしょうか。相当議論して、よくリーダーシップ、リーダーシップとおっしゃるじゃないですか。安定多数の与党の政権を持っていらっしゃるのですから、もっとまじめにやってもらわないといけないのじゃないか。これはゆゆしき問題だと私は思いますよ、国民生活にとっては。大臣も、こんな先送りされたら国民の生活も大変厳しくなるな、そういうふうに思いませんか。
  159. 井出正一

    ○井出国務大臣 まさにほっておけない、大変早くに結論を出さなくちゃならぬ問題だということは私も十分認識しておりますが、しかし、柳田委員も御理解いただけるように、大変難しい問題であることも事実でありますから、十分それぞれの専門家あるいは関係各界の御意見を御論議していただく中で結論を見出していくべき問題だと思います。
  160. 柳田稔

    ○柳田委員 おととしの年金の抜本改正、あのときも難しい難しいと言っていましたけれども、井出先生も当時与党で、一生懸命みんなで頭を突き合わせて、相当長い時間議論をして答えを出しましたね。あのときを思い出していただきまして、与党の中のリーダーシップをとって、一日も早くこの答えを出していただきたい、あのときのことを思い出して努力をしていただきたいとお願いをしておきます、国民のために。  最後に、あと時間が少しありますので、国保の問題について、国民健康保険保険者規模についてお尋ねをしたいと思います。  最近、小規模町村がふえてまいりまして、運営の不安定な小規模保険者が増大しております。例えば、被保険数者が三千人未満の小規模保険者は、昭和四十年には全体の一〇%であったものが平成年度には三六%近くまで達し、被保険者数が千人未満といった非常に小さな保険者も、平成年度には百八十八保険者と、全体の約六%弱となっております。このような小規模保険者におきましては、事業運営が非常に不安定となり、保険財政の面でも非常に問題があるほか、職員がほかの仕事とかけ持ちとなったり、専門的な手腕を発揮することができず、事務的にもいろいろと不都合が生じているところであります。  こうした中、既に、高額な医療が発生した場合に一定のプールしておいた金額を交付する高額医療費共同事業によって、小規模保険者が小規模なゆえに運営が不安定となっていることについては一定の支援策が講じられているところであり、また、町村合併法により行政体の規模自体を大きくしていこうという動きもあるものの、小さな市町村においては、もはや事業運営は限界に達していると言わざるを得ません。  こうした小規模保険者化に対応していくためには、現在市町村単位で行われている国保保険者単位を広域化していくことも一つの有効な手段というふうに考えますけれども、どういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
  161. 岡光序治

    岡光政府委員 保険者広域化の問題でございますが、御指摘のような問題があるのは十分承知をしておりまして、大きな課題の一つだと思っております。ただし、単に広域化をするといった場合には、運営の効率化であるとか、保健活動との関連であるとか、あるいは保険者ごとに保険料格差がある、こういうことでございますので、直ちにうまく動かないのではないだろうか、こう考えております。その辺を踏まえながら、いろいろな方策もあるわけでございますので、当面何ができるのか、それから抜本的な見直しの中でどのような対応ができるのか、面構えで対応を考えていきたいと思っております。
  162. 柳田稔

    ○柳田委員 局長がおっしゃるように、すぐにするというのは大変難しいかと思いますが、方法としてはなかなか有効な方法なんだなというふうに考えているようにニュアンスをとらせていただきました。  それで、大臣、最近地方分権の推進法というのが国会に提出されましたですね。我々新進党も提出したのでありますが、その中の内容を見てみますと、我々新進党の方は、広域的な行政需要に対応する体制の整備ということで、このことも含めて法案の中に明記しているのです。ところが、政府案にはそれは全然書いてないのですよ、そういうことは。大臣もさきがけに所属されておりまして、こういうことを常日ごろ言っておる面もあるわけなんですが、どうでしょうか、政府の地方分権推進法をちょっと修正しでこのことを入れることを、総理の方に御進言していただけないでしょうか。
  163. 井出正一

    ○井出国務大臣 政府案に対して野党案が提出されたことも承知しておりますし、少し私も勉強してみたいと思います。実りある議論が国会でなされることを期待いたします。
  164. 柳田稔

    ○柳田委員 終わります。
  165. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 岩佐恵美君。
  166. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 生活保護世帯の学資保険の問題について、まず最初にお伺いをしたいと思います。  昨日の福団地裁の判決は、進学のための貯蓄を認めないことは、憲法二十六条にも、生活保護法が定める自立助長の目的にも反すると指摘をしています。厚生省のとった措置は、私はまともな教育を受けていないから、子供たちだけでも出してやりたいと生活を切り詰めて貯蓄をした母親の切なる願いを、無残にも踏みにじるものでした。  厚生大臣は、保護の基準は時代に沿って見直していくべきもので、検討を指示したと先ほど答えられました。再度お伺いしたいのですけれども、秋田地裁の判決でも、保護費を切り詰めて将来に備えて蓄えた預貯金について、ある程度認めざるを得ない、是認せざるを得ない、こういう判決でございました。従来の厚生省の、保護費からの預貯金は認められないとの方針は、私は時代おくれであると思うし、また時代に合わなくなってきている、そう思います。高校進学のための学資保険の必要性を認めた判決の趣旨に沿って制度を改善すべきだというふうに思います。  再度大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。
  167. 井出正一

    ○井出国務大臣 先ほど石田委員の御質問にお答えしたこととダブるわけでございますが、生活保護制度最低限度の生活を保障するものであり、その保障に当たっては、利用し得る資産あるいは能力その他あらゆるものを活用することを要件としている生活保護法第四条の規定、いわゆる補足性の原理でございますが、その規定から見て、従来の生活保護の取り扱いの方針には誤りはないものと考えております。  しかしながら、最低限度の生活の水準というものは時代時代によって変化するものでありますし、絶えずその見直しを行う必要があることは当然と考えております。このような観点から、このたびの判決内容もよく勉強し、今後のあり方についてさらに検討をするよう事務当局にも指示しましたし、私ももう少し勉強してみたいと思っております。
  168. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 医療保険に対する国庫負担の削減と医療費抑制による医療のゆがみが拡大をして、制度を改善すべきだ、そういう認識は一致しているわけですけれども、問題は、これをどう解決をしていくかということだと思います。  元厚生事務次官の幸田氏は、医療関連サービス振興会のセミナーで、「医療保険制度そのもの、国保も健保もいずれも空洞化してきており、大手術が必要な時期に来ている。」としながら、「必要最低限のものは公的保険で賄い、それを超えるものは私的にという方向は昨年の健保改正医療費改定で出ているが、全体計画をつくり順序立てて進める必要がある。比較的安い経済的な負担で容易に医療機関にかかれればいいという時代はもう過ぎ去っており、政策の軸足もやや違う方向に置き直す時期に来ていると思う。」と言っています。医療政策に大きな影響力を持っている人物だけに、無視できない発言であります。  ここに言われているように、公的保険は最低限に抑え、安い負担医療を受けられないようにということになると、よい医療を受けられるのは金持ちだけ、低所得者はだめだということになってしまい、いつでも、だれでも、どこでも十分な医療をという、医療が目指してきた目標を大きく変えるものになりかねません。  厚生省はこのとおりおやりになるつもりなのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  169. 岡光序治

    岡光政府委員 そのような御意見は一つの御意見であろうと思っておりまして、私どもは、医療保険制度見直しに当たりましては、大勢の皆さん方の御意見、ひいては国民のコンセンサスが得られなければなかなか改正はできるものではないというふうに認識をしております。  それで、おっしゃいますように、現在の経済社会は大変変革をしてきておりますので、今までの制度のままでいいとは認識をしておりません。これからのそういった社会全体の変化を展望しながら、国民が安心をして良質な医療を受けられるように、そのように公的な医療保険制度は役割を果たすべく、その体制を整えていかなければならないというふうに認識しております。
  170. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 国保加入者状況を見ますと、無職が四割近くで、六十歳以上の六割が国保に加入をしておられます。その結果、二四・五%が所得ゼロで、百万円以下の世帯が四五%を占めております。それだけに低所得者対策が求められてきたわけでありますけれども、政府は国庫負担を減額をするということだけで、結局は低所得者をいじめるだけに終わってしまった。そういうふうに考えざるを得ないわけですけれども、その点についていかがお考えですか。
  171. 岡光序治

    岡光政府委員 そもそも国民健康保険制度の置かれております位置づけは皆保険制度のいわば下支えでございまして、被用者保険の加入者を除くすべての国民が対象になるわけでございます。そういう意味では、高齢化が進み、そしてまた現役の被用者から退職をして年金受給者になっていく、こういった人たちを受け入れるわけでございますので、結果として所得の低い人たちとかあるいは高齢の人たちがこの制度の対象になってくるわけでございます。  そのトレンドというのは十分認識をしておりましたので、私どもも、老人保健制度をつくるとかあるいは被用者OBの退職者医療制度をつくるとか、そういったそのトレンドに応じた制度の創設なり制度改正をやってきたつもりでございまして、対応してこなかったとおっしゃるのは、私どもとしては極めて残念なお言葉だというふうに受けとめております。
  172. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 国保の体質を考えるならば、思い切った国庫負担をしない限り財政的に成り立たないのは明らかです。ところが、一九八四年に国庫負担を四五%から三八・五%に引き下げました。また、制度改悪を行って国庫負担を削減をして、その分を被用者保険と加入者負担をさせる、そういう道をとってきました。ですから、国民医療費は大きく伸びているにもかかわらず、国保に対する国庫負担は、昭和五十五年に二兆円台になって以来十五年間も二兆円台にとどまったままであります。  そこで伺いますが、今回の改正によって国の負担はどうなるのでしょうか。
  173. 岡光序治

    岡光政府委員 今回の改正に伴う国庫への影響でございますが、前年度に比べまして九十億円の増となります。しかし、これを保険基盤安定制度につきまして本則の二分の一というふうに戻ったということで比べますと、差し引き額で四百三十三億円の減ということになります。  それから、老人保健制度改正に伴う国庫への影響額は、約二百八億円の減ということになります。これにつきましては、別途、負担増になる保険者、特に被用者保険グループでございますが、そういったグループに対する予算措置を講ずるということにしておりますので、トータルの国庫負担の減少額はより少なくなるというふうに見ております。
  174. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今の説明にありましたように、国保だけで四百三十三億円もの国庫負担が減るということになります。保険基盤安定制度は、九三年及び九四年の暫定措置でありますから、継続の法改定がなければ国は保険基盤安定制度の総額千二百四十六億円の二分の一つまり六百二十三億円を負担をするはずだったわけですけれども、それが暫定措置の延長によって定額負担となって、この定額負担分百七十億円を差し引いても四百五十三億円、そして高額医療費共同負担事業のふえた分二十億円を引いても四百三十三億円の国庫負担の城となるわけです。そもそも保険料軽減負担金として全額、国が負担するものとして発足したこれが、八四年に八割に減額をされる、八八年には保険基盤安定等負担金と変えられて国の負担が五割となり、さらにそれが定額負担となったわけです。  今話がありましたけれども国庫負担金を定額にして地方交付税に切りかえたということは、結局は負担市町村に押しつけるもので、国庫負担削減のための措置だったのではないですか。
  175. 岡光序治

    岡光政府委員 お話にもありましたように、国庫負担の縮減相当分については地方財政措置をしているものでございまして、国の負担市町村に押しつけるものではないわけでございます。これは、いわば国の財政状況が非常に厳しい状況での緊急避難的な対応でございまして、本則二分の一というのは十分承知しております。国の財政状況が戻ればその本則に戻すのが当然であるというふうに認識をしております。
  176. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 東京・八王子市の例ですけれども、地方交付税の不交付団体であります。このため、平成四年から七年までの四年間で、事務費負担金、助産費補助金、保険基盤安定の一般財源化によって補助金がもらえなくなった金額は、合計で十三億六千二百五十万円にもなるわけです。地方交付税化すると、結局こういう問題が出てくるわけですね。不交付団体は影響をもろに受けるということになってしまうわけです。その点についてどうお考えでしょうか。
  177. 岡光序治

    岡光政府委員 これは、国と地方との負担関係をどういうふうに考えるかということと深くかかわっておると思っております。今申し上げましたように、マクロの姿では、国の負担すべきもので縮減せざるを得なかったものにつきまして地方財政措置をしているわけでございますが、おっしゃるように地方財政措置についてはそれぞれの公共団体の財政力に応じてその措置をしておるわけでございますので、結果として不交付ということになるケースもあります。そこのところは、国と地方との負担関係について、当該年度の予算においてどうするかということで個々に対応しているわけでございます。  八王子のケースを今引かれましたが、それは八王子の財政力がたまたまそれだけ余裕があるということの影響でございまして、私どもとして国レベルで対策を考えるときには、やはりマクロとしてどう対応するのかということで対応させていただきたいと思います。  なお、国保運営に当たりまして、そういったところが財政的に非常に影響を受けるということになりますれば、国保の世界では財政調整交付金の制度がございますので、その辺は国保財政状況に応じながら個別対応は可能であるというふうに考えております。
  178. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 たまたま数字があったので私は八王子の例を申し上げたのですけれども、不交付団体だからといって富裕である、財政的に余裕があると決して言えないことはもうわかった話でありまして、これらの影響というのは結局はその住民が、保険を払う人が負担をするか、あるいは税金で、地方税で何とか賄っていくかというような、地方の住民の負担にまたなっていくかというようなことになるわけで、国が責任を持ってやっていればこういう事態にならなかったということであります。  国保加入者にとって保険料が今非常に高いものになっているわけです。これも周知の事実であります。新潟市の例ですけれども、市長は約二千万円の年収があるけれども、地方公務員共済のため年間保険料が二十七万四百二十円ということだそうです。国保加入者は、年間収入三百五十万円で保険料が二十九万三千五百円と、市長を上回ってしまいます。  勤労者が退職した場合、国保に移ると保険料が高いため、事業負担分まで払っても任意継続にした方がいい、これはもう今当たり前のことになっているわけです。全商連婦人部というところの実態調査では、保険料の支払いについて、三人に一人が苦労をしたり、おくれてしまっている、あるいは払えないと答えているわけです。このうち保険料軽減を受けているのは七・五%であります。四六・八%が減免してほしいと願っているわけですけれども、それがかなわないという実態であります。  国保料を上げれば上げるほど滞納者がふえて、結局は制度が破産への道をたどるのではないか。昨日の参考人質疑でも、小山参考人から、今円高不況、そういう中で、本当に支払い者は大変なのだ、保険料が払えないのだというようなことを言っておられましたし、これはもう構造的な問題なのだという指摘もされておられたわけですけれども、その点について厚生省はどうお考えでしょうか。
  179. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘がありましたように、国民健康保険の中では、いわゆる中間所得者層、平均的な所得者で見てみますと、政府管掌健康保険の被保険者分と比べても、平均所得レベルで年収三百万強ぐらいでございますが、そこで倍ぐらいの保険料負担になっている状況でございます。したがいまして、今御指摘の新潟のようなケースも出てくるのではないかと思っております。したがいまして、中間所得者層のこの保険料の過大な負担をどうやって軽減させるのかというのが実は当面の課題だというふうに考えております。  それで、今回の改正におきましては、国保見直し、それから老人保健の見直しによりまして、トータルで国保保険料負担は五百二十七億円の軽減につながるというふうに考えております。もちろん医療費がふえますので保険料は増傾向にあるわけでございますが、トータルとしては五百億余りの軽減になりますので、今回の改正は結果として保険料引き上げを少しでも減ずるということにつながるというふうに考えております。
  180. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 厚生省は、国保料の応益割をふやして応能割との比率が五対五になるようにしようとしているわけです。東京都区部の場合で応益割五割にしたとして試算をしてみますと、低所得者は一・五倍もの保険料引き上げとなります。  また、東京都日野市の例ですけれども応益が現状で一五・六%、かなり低い方ですね。これが仮に五〇%になったとすると、低所得者にとっては三倍以上もの保険料引き上げになります。保険料軽減率拡大ぐらいではとてもこれを補うものとならない。しかも、中間所得層の負担が減るのはごくわずかで、すぐ上限にかかってしまう。上限が五十万から五十二万に引き上げられることによって結局負担増になりかねない、そう思いますけれども、その点どうでしょうか。
  181. 岡光序治

    岡光政府委員 一般論で申し上げますと、応益割合が非常に低い市町村におきましては、相対的に低所得者保険料が低いわけでございます。東京都区部でというお話でございましたので、二十三区で申し上げますと、二十三区は応益割合が二八・七%、一人当たりの応益割額は一万七千円でございます。これは、全国平均応益割合が三五%、一人当たりの応益割額は二万四千円でございまして、そういう意味では、確かに応益割合を仮に二〇%台を五〇%台、二倍に上げるということでありますと上がっていくわけでございます。が、私どもはそんな急激な変更を望んでいるわけではございません。  いずれにしましても、保険料負担の公平という観点から当該市町村でどういう対応ができるのかということで、住民のコンセンサスを得ていただかなければならぬわけでございます。それで、私どもは、今申し上げましたように、応益割合が低いところの市町村では結果として応益割額も低くなっているわけでございますので、そういう意味では、これを少しは引き上げても低所得者負担は可能ではないだろうか、過重な負担にはならないのではないだろうかというふうにまず考えておるわけでございます。いずれにしましても、そこは住民のコンセンサスがどの程度で得られるかということでございまして、低所得者と言われる層の保険料負担をどの程度引き上げられるのか、それによって中間所得者層がどの程度減るのか、そのどちらを選択するのかという、市町村に実は回答が求められようとしているのだと考えております。  私どもの気持ちといたしましては、全国を通じて保険料ができるだけ標準化していくということを望んでいるわけでございまして、応益割合を五〇%に持っていきたいというのは目標でございますが、個々の市町村においては、そういうことで住民のコンセンサスがまず第一であるし、それから急激な負担変化というのは、それは恐らくコンセンサスが得られないであろう、こんなふうに理解をしております。
  182. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 国保の減免基準、これは非常に低く定められているため、収入が生活保護基準を下回っていても減免が受けられません。生活扶助基準との比較で見ますと、六割減額の対象世帯は保護基準の五四・四%です。生活保護世帯の半分近い収入でないと、六割減額を受けられません。また、四割減額世帯は六七・四%、二割減額世帯は九三・一%。いずれも生活保護世帯以下のそういう家庭でないと減額を受けられない、こういうようなことになっています。  六割、四割減免を七割、五割、二割と減免割合を上げても、減免基準そのものが低い、こういう中では大きな効果を上げることはできません。減免基準を改善する、そういうことが必要なのではないかと思いますけれども、その点についていかがでしょうか。
  183. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のように、現在の六割軽減、四割軽減は、今おっしゃったような生活保護の扶助基準額との関係では、数字的にはそうなります。したがいまして、私どもは、住民税の所得割の非課税ライン、これを考えまして、四割軽減以上、住民税所得割非課税以下のこの層に二割軽減という新しい軽減割合を創設をしたいということで、それでもって恐らくなだらかな負担関係になっていくのではないだろうか、こう願っているわけでございます。
  184. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 しかし、今言ったようなそういう実態から見て、減免基準を上げていかなければ、やはり生活保護基準以下の収入、そういうところでこれだけの減免措置しか受けられない、そういう実態が改められないわけですから、効果が上がらないというふうに思います。ぜひこの減免基準を改善すべきだ、そういう検討というのはされるべきだというふうに思いますけれども、その点はどうなんですか。再度伺いたいと思います。
  185. 岡光序治

    岡光政府委員 国民健康保険保険料をどう持っていくのかということでございまして、これは先生よく御存じだと思いますが、いわゆる住民税の本文方式をとっているところ、あるいはただし書き方式をとっているところ、非常にばらばらでございます。それから、応益割、応能割といいましても、いろいろなやり方をとっておりまして、いわばその標準化ができておらないというのが現実でございます。  したがって、私どもは、負担の公平とは一体何なんでしょうかということを問いかける中で、国保保険料あり方について議論をしていくべきだというふうに認識しております。そういう中で、一体所得の低い人に対してはどのような保険料であるべきなのか、これについてもあわせ議論は行うべきだと考えております。
  186. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 現実にはしかし、所得の低い人が大変な思いをしている、それで保険料がなかなか払えない、こういう実態になっているわけですから、そこのところをきちんと解決をしていかなければ、私は、この国保制度というのは破滅していくのじゃないかというふうに思います。そこは、先ほどから言っているように、払う人に負担を強いるのではなくて、国が補助をちゃんとしていくということしかないのだろうというふうに思います。  そこで、保険料が高くてもう払えない、高くて払いたくても払えない、こういう状況があるということは再三訴えられているわけですけれども、これに対して、厚生省指導なのですけれども、払わない人に対しては資格証明書やあるいは短期保険証を発行します。病院の窓口で全額を払わなければならない、そういうようにして、医療機関にかかりにくくする、全くかかれない、そういう状態をつくり出しているわけです。ですから、よく自営業者の中では手おくれになって命を落としてしまう、そういう例が結構後を絶たないという実態にあるわけです。  さらに、収納率が向上しない、そういうところに対してペナルティーを科して、市町村が夜討ち朝駆けで保険料を取り立てざるを得ない、そういう状況に追い込んできています。保険局長がことし二月の全国主管課長会議で、東大阪市の例を引いて、こういう収納率アップをすべきだ、取り立てを美化をするといいますか、そういうことをおっしゃって奨励をしているわけですね。払いたくても払えない国保加入者に対して、これは余りにも非人間的なやり方なのじゃないか。今、国保を払っているそういう方々の中から抗議の声が上がっているのです。このような奨励はすべきではない、そういうふうに思いますけれども、どうですか。
  187. 岡光序治

    岡光政府委員 誤解をいただいては困りますのでやや詳しく申し上げますが、東大阪市という名前でありますから、これについて申し上げますと、累積赤字が非常に累積をしておる、いわば財政的に非常に状況の悪い市町村国保の代表例の一つでございます。  それで、ここでの市長さんがどういうことをやったかということを申し上げますと、市長さんは、自分の対象の地域を定めまして、そこへ勤務時間が終わってから、あるいは土曜日、日曜日に出かけていって、その滞納している人たちお話をして、それで収納率を、理解をしていただいた上で協力をいただいておる、こういうことをされているわけでございます。それから、東大阪市の全職員に、そのような担当地域制を設けて、何しろ市を挙げてやっていこうよということを言われたわけでございます。  これは、私があえてそういう事例を申し上げましたのは、首長さんが先頭に立って努力をされておる、そういう市もありますよと。それは国保の経営を本当に情熱を持って健全化しようとしているそういうケースとして、経営努力一つのケースとして、私は申し上げたのでありまして、被保険者に対して、非人間的な、問答無用で保険料を召し上げてこいというふうなことを言ったつもりはさらさらございません。  今の市町村においても、個別の被保険者に対しまして納付相談をして、あなたはどういう状況なのですか、どうすれば保険料をうまく納められるのでしょうかね、こういう相談をまず前提にしているわけでございます。そして、その相談をした上でいろいろ協力を願えば、そこでもう変な、今御指摘いただきましたような被保険者資格証明書の発行なんということにはつながっていかないわけでございます。  これはあくまでも、保険料を長期間滞納して、特別の事情もなく故意に保険料を滞納している人に、しようがなく被保険者証の返還を求めて、これにかわるものとして資格証明書を渡しているわけでございまして、それは非常に極端なケースでございますのと、それから、相談にも見えない、極めて非協力的な方に対してやむを得ずとっておる処置でございまして、そういったことをもって私ども国保運営全体をやっているつもりではございません。住民との対話の中で国保という制度を育て上げていかなければいけないわけでございますから、そこのところは十分認識した上で大切に国保運営をやっていきたい、そういう気持ちのあらわれでございます。
  188. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 市長、助役あるいは各部課長が土曜、日曜あるいは夜間に訪れる、このことだけでも庶民はびっくりするわけですね。それで払ってくれと言われると、借金しても払わなければいけない、こういうケースも出てくるわけですね。だから、一般論として、企業も一生懸命営業努力でいろいろ経営を変えていくんだ、改善していくんだと、そういうふうにすんなりとは聞けない、あるいは受けとめられない実態というのがあるわけですから、過度のそういう取り立てみたいな収納の仕方というのはやるべきではないということを再度申し上げておきたいと思います。また、そういうことは行われないというふうに期待をしたいと思います。  国保は主に保険料国庫負担で賄われています。保険基盤安定繰入金等以外、市町村一般会計からの繰り入れは原則として認められていませんでした。国保財政安定化支援事業の法制化は、国保に対する地方自治体の負担を固定化するものでございます。このような事業は地方交付税で手当てをするのではなくて、国保国庫負担金の率を引き上げる、あるいは国庫負担金で措置をすべきだ、そう思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  189. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のありました国保財政安定化支援事業と申しますのは、病床が多いとか低所得の人が多いとか、いわば保険者の責めに帰することのできない特別の事情がありまして、国保財政がどうしてもうまくやっていけない、こういうケースにつきまして、一般会計からの繰り入れを認めて、その一般会計からの繰り入れに対しまして地方財政措置を講ずる、こういうことを考えたわけでございます。いわゆる法定の一般会計繰入分でございまして、法定外の一般会計繰り入れはできるだけすべきではないと思っております。が、今申し上げましたように、個々の保険者の責めに帰することのできないような事由に着目した一般会計の繰り入れは、当該市町村の判断でございますが、やむを得ないのではないだろうか。それをそのまま放置しておきますと、完全にその市町村一般会計負担になってしまいますので、その点につきましては、地方財政措置を講じて一般会計負担軽減していく、こういう措置はやむを得ないのではないだろうかと思っております。  なお、国保国庫負担のありようにつきましては、先生御指摘のように、いろいろな御意見があるのは承知しておりますし、過去いろいろ御議論の上で現在の国庫負担制度になっているわけでございまして、将来の国庫負担のありようにつきましては、国民健康保険抜本的な改正を行う際に、どのような対応をすべきなのか、そういう場で論ずるべきではないだろうかと認識しております。
  190. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 基準超過医療費共同負担制度のことですけれども、一人当たり医療費の高い市町村に対してペナルティーを科して医療費抑制に努力するようしむける制度でありますけれども、発足当時、対象市町村が七十六だったものが、平成四年には六十に減少してきていました。基準給付費の一・二倍を一・一七倍に引き下げると、対象市町村がまたふえることになります。医療費抑制のツケが当該市町村の住民に及ぶことになります。  この制度を、医療費抑制のアリ地獄として、私どもは発足から反対をしてきたわけですけれども、結局、倍率の引き下げというのはこの性格を一層強めることになったのではないでしょうか。医者にかかりにくくなる等の医療費抑制のゆがみを拡大することになると思いますけれども、その点どうでしょうか。
  191. 岡光序治

    岡光政府委員 この基準超過医療費共同負担制度は、もう先生よく御理解いただいておるところでございますが、医療費が平均よりも著しく高いような当該市町村に、国、県、市町村、それぞれ応分の対応をして、その負担をしながら安定化をさせていこうではないかと。国民健康保険の経営努力という点についていろいろな要請があるわけでございまして、私どもは、こういった基準超過医療費共同負担制度というふうなものも経営努力につながるものではないだろうかというふうに認識しているところでございます。  今回の係数の見直しは、全体の医療費が変動しておりますので、その変動に応じてもう一度算定し直したということでございまして、改めて対象範囲を拡大するという意図のもとにやったわけではなくて、実態に合わせてその基準値を見直したというものでございます。
  192. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 その点についてはどうもそうではないというふうに思いますけれども、時間もありますので……。  最後に、保険基盤安定制度あるいは国保財政安定化支援事業、いずれも「安定」の文字を使って施策を行っているわけですけれども国保制度は安定とはほど遠い状況になっています。これは、国庫負担を削減し続けたところにこの原因があると思います。  現行国民健康保険法の発足に当たって、国民健康保険事業を行うことは市町村の固有の事務であるとする旧法の考えを改めて、国民医療保障を行うことを国の責務とし、これを市町村に団体委任するという考え方を基本とした結果、国庫補助金に比べて国の責任がより重い国庫負担金にしたものであります。制度発足時に戻って、国が責任をきちんととるべきだというふうに思います。  財源がないないということがいつも言われます。この点について私どもは、財源はちゃんと考えればあるじゃないか、軍事費を削減したらどうだ、あるいは不要不急の公共事業をカットしたらどうですか、あるいは大企業の優遇税制の是正、こういう方法があるではありませんか。お金がないからないからと言って、国民に冷たいそういう政治を行うべきではないというふうに思います。  最後に、大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。
  193. 井出正一

    ○井出国務大臣 今回の国民健康保険制度改正は、制度運営安定化を図るため当面必要とされる措置を講じるものでございます。  このうち、保険料軽減部分公費で補てんするいわゆる保険基盤安定制度にかかわる国庫負担につきましては、国の財政状況等にかんがみまして当面定額負担としつつも、その額を増額し、市町村負担分の軽減を図ることとしておりますし、この市町村負担分の全額については地方財政措置を講じているところであります。  また、病床数が多い等一定の場合に一般会計からの繰り入れを認め、これを地方財政支援するいわゆる国保財政安定化支援事業につきましては、国保財政安定化に対する効果が大きく、地方団体からも継続の要望があったことから、二年間継続することとするものでございます。  このように今回の改正は、国保制度抜本改正までの間当面必要な措置を講ずるものであります。が、制度の基本的なあり方については、今後、医療保険制度全般における給付と負担公平化の幅広い議論の中で検討をしてまいりたいと考えております。
  194. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今回の改正によって、国が国保で四百三十三億円、そして老人保健法で二百八億円負担を軽くする、こういうことについては厳然たる事実であります。そういう点を改めない限り、なかなかこういう大きな問題は解決することができない、そういうふうに思います。そのことを指摘をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  195. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  196. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。岩佐恵美君。
  197. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私は、日本共産党を代表して、国民健康保険法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。  今回の改正は、三年以内の見直しを前提として今までの制度を延長したものが大部分となっていますが、いずれも医療保険国庫負担を削減して国民負担と地方負担をふやすという従来のやり方を踏襲したものとなっており、到底認められません。  以下、反対の理由を述べます。  第一に、国民健康保険料の応益割合引き上げは低所得者への負担増となります。東京区部で試算すると五割もの引き上げとなり、二割軽減措置の創設程度では到底緩和されません。  第二に、保険基盤安定制度は、保険料軽減負担金として全額国の負担で発足したものです。それが八四年に八割に減額され、八八年に保険基盤安定等負担金となって、国の負担は五割となりました。さらに、暫定措置として国の負担を定額とし、市町村負担増分を地方交付税で措置することにしました。まさにこれらは国庫負担削減の歴史そのものであります。その上、国庫負担金を地方交付税に切りかえ、負担市町村に押しつけることは許されません。  第三に、国保財政安定化支援事業は、国保に対する地方自治体の負担を固定化するものです。このような事業国庫負担金で措置すべきものです。  第四に、国民健康保険料の限度額の五十万円から五十二万円への引き上げは、国保加入者負担増を押しつけるものです。  最後に、基準超過医療費共同負担制度は、一人当たり医療費の高い市町村に対してペナルティーを科して医療費抑制にしむける制度であり、共同負担の算定基準を基準給付費の一・二倍から一・一七倍に引き下げると対象市町村がふえ、医療費抑制のツケが当該市町村の住民に及ぶこととなります。  また、老人加入率上限引き上げは、健保組合加入者負担増となります。  以上の制度改悪により、国民健康保険法で四百三十三億円、老人保健法で二百八億円の国庫負担が削減されることとなります。保険基盤安定制度国保財政安定化支援事業と、いずれも「安定」の文字を使っていますが、国保制度は安定とはほど遠い状況であります。まさに、国庫負担を削減し続けたところにこの原因があります。軍事費の削減、不要不急の公共事業のカット、大企業の優遇税制の是正を行い、財源国民の命や暮らしを守るために使うべきです。国がきちんと責任を持つべきことを要求して、討論を終わります。(拍手)
  198. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  199. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これより採決に入ります。  国民健康保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  200. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  201. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 この際、本案に対し、衛藤晟一君外三名から、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。山本孝史君。
  202. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。  私は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけを代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     国民健康保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう努力すべきである。  一 今回の制度改正暫定措置であることにかんがみ、構造的問題を抱える国民健康保険制度の長期的安定を図るため、その抜本的な改革を早急に行うとともに、医療保険制度全体の給付と負担公平化のための一元化に向けた取組みを進めること。  二 国民健康保険制度については、医療費の地域間格差を是正するため、地域の実情に応じた医療費適正化対策等を進めるとともに、レセプト審査の充実保険料の収納率の向上等に努めること。また、保険料負担平準化に継続的に努力すること。  三 二十一世紀が高齢者が健やかに安心して生涯を過ごせる長寿社会となるよう、新ゴールドプランを積極的に推進すること。その際、健康診査、機能訓練等老人保健事業の一層の充実を図るとともに、国民健康保険においても、新ゴールドプランの積極的支援等保健事業拡充を図ること。  四 老人医療費拠出金制度あり方の三年以内の見直しに当たっては、新たな公的介護システムの検討等を踏まえ、適切に対応すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  203. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  204. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、井出厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井出厚生大臣。
  205. 井出正一

    ○井出国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。     —————————————
  206. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  208. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十七分散会