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1995-02-07 第132回国会 衆議院 厚生委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月七日(火曜日)     午後一時三十分開議 出席委員   委員長 岩垂寿喜男君    理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 井上 喜一君    理事 石田 祝稔君 理事 山本 孝史君    理事 網岡  雄君 理事 荒井  聰君       荒井 広幸君    熊代 昭彦君       近藤 鉄雄君    佐藤 静雄君       塩崎 恭久君    住  博司君       高橋 辰夫君    竹内 黎一君       長勢 甚遠君    根本  匠君       藤本 孝雄君    堀之内久男君       山口 俊一君    青山 二三君       粟屋 敏信君    岩浅 嘉仁君       鴨下 一郎君    久保 哲司君       坂口  力君    福島  豊君       柳田  稔君    五島 正規君       土肥 隆一君    森井 忠良君       横光 克彦君    枝野 幸男君       岩佐 恵美君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 井出 正一君  出席政府委員         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         厚生省生活衛生         局長      藤原 正弘君         厚生省社会・援         護局長     佐野 利昭君         厚生省老人保健         福祉局長    阿部 正俊君         厚生省保険局長 岡光 序治君  委員外出席者         労働省労働基準         局補償課長   堺谷 勝治君         建設省住宅局住         宅総務課長   藤田  真君         消防庁救急救助         課長      西村 清司君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
  3. 荒井広幸

    荒井(広)委員 自由民主党の荒井広幸でございます。  まず、今度の大震災について御質問、そして意見表明をさせていただきたいと思います。  亡くなられた皆様方に心からのお悔やみと、そして被災されました皆様方にお見舞いを申し上げる次第でございます。また、みずからも被災者でありながら、さらに被災者皆様方援護救助のために不眠不休の活動を続けてこられました関係市町村、また関係職員皆さんや、在宅施設医療関係福祉事業団方々、また、お聞きいたしますと御自身の宿舎の確保も大変容易じゃない、そういう中で応援のため全国から被災地に集まって御協力をしていただいておりますボランティア皆さん、また関係職員皆さんケースワーカーの皆様方に心から御礼を申し上げ、敬意を表したいと考えております。  災害については予算委員会等々でもいろいろな角度から議論があったところでございますけれども、予知あるいは災害発生の直後の緊急の取り組み、また復旧、復興、こういうような幾つかの段階ということを考えますと、現在は、被災者方々が当分の間それなりに落ちついた生活を営むことができるように配慮しなければならない段階に入っているわけでございます。こういう状況におきまして厚生省の果たす役割というのは、仮設住宅の設置や水道の復旧などを含めましても非常に大きなものがあるというふうに改めて感じた次第でございまして、現地職員派遣し、また本部などを設けて全力で各分野に取り組んでおられますが、引き続き、大変御苦労ではございますけれども、御尽力をいただきますようお願いを申し上げたいと考えている次第でございます。  こうした段階におきまして、私は、五千二百名を超えられた犠牲者皆様方のうちの三人に一人近くは七十歳以上の方であった。こうお聞きいたしております。体の弱いお年寄り皆さん障害者方々、要看護高齢者方々などを含めましても、御自身の身体的な、精神的なハンディと同時に、またこの災害というハンディを二重に、二重の意味でしょったわけでございまして、これらの方々についての施設への緊急入所ホームヘルパー派遣などでできるだけの対応をとってこられている、このようには聞いておりますけれども、いまだに助けを待っている方々もいらっしゃると聞いておるわけでございます。  こうした方々をどのような手段で把握しておられるのかをまず最初にお尋ねし、またどれだけの方々把握して、それをどのように対応されているのか、厚生省で今大変、現地方々を何とかしなければならないというのが最優先ですからなかなか数字的なものはないかもしれませんけれども把握されている限りでこの二点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  4. 阿部正俊

    阿部(正)政府委員 お答え申し上げます。  被災された高齢者障害者介護等援助を必要とする方についての状況把握はなかなか容易じゃなかったわけでございますけれども、現時点で申し上げますと、例えばお年寄りなんかで居宅で生活しておられる方でホームヘルパー派遣を受けておられたような方、これは県で約二千名、それから神戸市で二千名ぐらいおられましたけれども、これらの方々については、ほぼ安否確認といいましょうか、状況把握は終えております。その中で、緊急的に施設に入所された方とか、あるいは避難所におられる方等々おられますけれども、例えばホームヘルパー派遣なんかを受けておられる方については、一応掌握し切れたというふうに思っております。  ただ、必ずしもそういう具体的な在宅サービスに結びついていなかった方といいましょうか、このような方々も結構おられるはずでございますので、そのような方については、率直に申し上げまして、必ずしも全部行政面で掌握し切れているという段階にまだ至っておりません。これからの問題だろうと思っております。  そういう中で、一つ申し上げたいのは、在宅の方でとりあえず近在の特別養護老人ホーム等に一時的に緊急的に入所するといいましょうかという方々も結構おられまして、現在、老人障害者等含めまして約千七百人ほどが、そういったふうな形で特別養護老人ホーム等に緊急に一時入所しているというふうな状況でございます。  それからあと、ホームヘルプサービス等々も市町村対応が徐々に進んでおりまして、大方の被災市町でもホームヘルパー派遣等が再開されておりますが、神戸市の場合は若干おくれていまして、先ほど申し上げた二千人等々の方々全員についてホームヘルプサービスが再開されたというふうな報告にまだ至っておりませんが、この辺については、今後在宅サービス面で早く支援体制を整えるべく県、市と協議中というふうな状況でございます。
  5. 荒井広幸

    荒井(広)委員 重複するかもしれませんけれども、そのように御努力をいただいているわけでございますけれども、こうした看護などのサービスを必要とする方々、こうしたサービス提供現地対応するわけですが、国としてもできるだけのことをやるということはもう当然のことでございますので、どのような支援策を講じていくのか、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 阿部正俊

    阿部(正)政府委員 こうした介護が必要な高齢者障害者等への対応につきましては、まず一つは、先ほど申し上げた施設への緊急入所といいましょうかということで対応する必要があるということで、こういったふうな手当てをいたしますときの手続面やあるいは費用面等で、迅速にともかく実行するのが先だということで、弾力的な取り扱いをするようにというふうなことを指示をしたというふうなことが一つございます。  それからあともう一つは、やはりそういう形で通常の定員をかなりオーバーした形で緊急に入所してもらうわけでございますので、職員、人手が足りませんので、その職員追加派遣といいましょうかということにつきまして、関係都道府県等要請をいたしまして、待機といいましょうか、派遣体制をとるようにというふうな指示をしておりまして、既に、私どもが掌握している限りにおきましては、二百人を上回る数の方々近県等からを中心にして関係施設派遣されておるというふうな状況でございます。失礼しました。今の職員派遣については百三十人ぐらいの要員でございます。ただ、派遣用意があるというふうな体制は約四、五千人を今各県で用意してございますので、派遣要請があれば対応できるというふうな体制になっております。  それから、もう一つは、関係市町村に、特に神戸市等々で福祉事務所職員等大変労働過重になっている面がございますので、市町村職員神戸市への派遣といいましょうかということも要請しておりまして、これも現在のところ百九十人から二百人程度派遣されてきておるというふうな状況でございます。  それからもう一つは、利用者が、今申し上げたようなさまざまなサービスを緊急的に受けるときに、利用料等についての減免といいましょうかということにつきましても、そういったふうな取り扱いをするようにということで指示をしているというふうなところが主な点でございます。
  7. 荒井広幸

    荒井(広)委員 痴呆症のお年寄りの中には、避難所で徘徊をするものですから気を使って転々としている方もいるようなお話も聞きますし、また、まあ私も障害者を持っておりますけれども、環境が変わりますと非常に負担が来ましてぐあいが悪くなったり、例えば痴呆が進んだりとか、場合によっては地震のショックで寝たきりになったりとか、そういう思わぬことも出てきますので、今のように大変な御努力をいただいているわけですが、一層の細かい対応を心からお願いを申し上げたいと考えている次第です。  そういったところで、私は厚生省の方を高く評価をしておるわけですけれども優先入居の扱い、この資料も見せていただきました。弱者方々に対して大変配慮をいただいているわけでございますし、仮設住宅の整備が本当に待ち望まれているところですけれども、今後こうした障害者の方、老人方々を含めて弱者方々に対して、一層の仮設住宅の充実と確保ということを考えていかなければならないと思います。その辺につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
  8. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 お答えいたします。  兵庫県におきましては、今回被災を受けた方々の中で住宅問題というのは大変重要な問題であるということで受けとめていらっしゃるわけですけれども、その中で、自宅の修復なりあるいは公営、公社、公団の住居なりというようなところをできるだけ活用して住居手当てをしていただくといたしましても、どうしても緊急、応急的に仮設住宅でお世話しなければならない方々が大体三万戸というふうに一応推計をいたしまして、その推計に従って今建設計画を進めておるところでございます。二月六日現在で約二万二千戸を発注をいたしまして、その建設を今急いでおります。  ところが、新聞報道でも見られておりますけれども、一昨日の神戸市あるいは西宮市のような非常に被害の大きかったところの仮設住宅応募状況を見ますと、大変な数になっておるということでございますので、ただいま申し上げたような計画が、場合によったらさらに仮設住宅がふえるかもしれないということもあろうかと思います。その際には、私どもといたしましても積極的に応援をしてまいりたい、こう考えておりますし、また、今先生お話のございましたように、その入居に当たりましては、障害者なり、あるいは御老人なり、あるいは幼い子供をお持ちの弱い方々をやはり優先的に入れていただくようにということで、今県や市を指導しておるところでございます。
  9. 荒井広幸

    荒井(広)委員 本当に御努力をいただいておって、私このようなことを申し上げるのも、現地方々、頑張っておられる職員方々には酷なことかもしれませんけれども避難生活が長引きますとそのような弱者方々は非常にストレスがたまっできますし、また疲労も当然二重に重なってまいりますので、どうかそのような方々に対しての温かい配慮というものを、もちろん一般の方にも当然でございますけれども、御要請を申し上げたいと考えております。  最後に、こうした体の弱い方々障害者皆さん、お年寄り皆さんには、自分の地元を、家のところですね、離れたくないため、近くにいたいため緊急入所せずに避難所にとどまる方もあると聞きます。また、今後こうした方々仮設住宅に入られたとしても、生活上、大変御不自由される面というのも想像できるわけでございます。避難所仮設住宅にいる体の弱いお年寄り障害者の方についてきめ細かい、先ほども申し上げましたけれども、さまざまな分野での配慮、こういうことがあると思いますが、もう一度その点について御配慮のほどを伺わせていただきたいと考えております。
  10. 井出正一

    井出国務大臣 先ほど委員指摘のように、今回お亡くなりになられた皆さん方の中に大変お年寄りが多かったということで、私もびっくりしたり、また高齢者対策を力を入れなくちゃいかぬなとつくづく思った次第でございます。  この土日に私、二度目でございますが、現地避難所やあるいはテント村を少し視察をしてまいりました。昼間なものですから、お若い方が壊れたおうちの方のいろんな捜し物やあるいは復旧作業に出たり、あるいはお勤めに出られてしまった方もいらっしゃると思いますが、子供さんとお年寄り避難所に大変大勢いらっしゃいまして、頑張ってくださいとお励ましを申し上げてきたのでありますが、今御指摘のように、援護を必要とする高齢者障害者皆さん方に対する支援につきましては、先ほど担当局長が申し上げましたように、すべての被災市町ホームヘルパー派遣が再開されております。また、デイサービス事業も実施されつつあるところでございまして、こうした事業の実施に当たり、自治体からの要請に応じて、応援のための職員派遣を含め必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  また、今後さらに避難所自宅あるいは仮設住宅生活する要援護者につきましては、積極的にその状況把握し、相談、指導、あるいは在宅福祉サービス提供、今度少し恒常的な取り組みが必要になってくると思いますから、それらに取り組んでいかなくちゃならぬ、こう考えております。この点につきましては、既に福祉事業経営者やあ るいはシルバーサービス事業者、あるいはボランティア皆さん等が独自にこうした取り組みを行っていてくださるほか、県や神戸市等においても、福祉施設経営者の団体とも連絡をとりながら、在宅高齢者等支援を行う仕組みづくりを今検討していてくださいます。  厚生省といたしましても、現地へ三十数名の職員派遣しております。密接な連絡をとりながら、できる限りの支援を行っていく所存でございます。
  11. 荒井広幸

    荒井(広)委員 大臣、しっかりとというよりは、温かくお願いを申し上げたいと思います。そしてまた、いろいろな関係方々がいろいろお手助けをしていただいております。その方々もかなり疲れてきておられます。先ほどお話がありましたそのようなところの御配慮もまたお願いしたいと思います。  村山総理、あるいは内閣、あるいは役所が十分な対応をしてこなかったのではないかというような批判もございます。私は、批判することも大切かもしれませんが、それより先に、非常時に果たして何をすべきだったのか、あるいはそのために平時においては、危機管理システム対応の機構、こういったことをつくることを今議論をしていく必要があると思います。もちろん今の対応を十分にする、幾らし過ぎてもし過ぎるということは、大臣、これはないと思いますが、そのようなことを心がけていただきながらも、問題はどこにあったのか、あるいは真に今どういうふうな対応厚生省がすればいいのか、今後の対応を含めまして、その役割といったものをもう一度見直していくことが必要だと思います。  もし我々批判を受けるとするならば、それは政治全体のシステムとしてそのようなことに対する心がけがなかった。システム全体の問題としていえば、これは我々政治家一人一人の問題に帰するところでもあろうと思います。  そのようなことで、どうぞ厚生省皆さん初め、現地で本当に御苦労いただいて援助援護をしていただいている皆様方にも心から感謝をしまして、政治一体になって、被災者皆様方にも頑張っていただきながら乗り越えさせていただきたいものだなということを申し上げまして、質問とさせていただきます。
  12. 岩垂寿喜男

  13. 石田祝稔

    石田(祝)委員 大臣、大変御苦労さまでございます。  何点か御質問をさせていただきますが、まず、弔慰金についてお伺いをしたいと思います。弔慰金お金のことを出すのは、これはどうかと思いますけれども、非常に大事な問題でございますので、お聞きをしたいと思います。  現在、弔慰金は、生計維持者が五百万、その他の人が二百五十万。これは私も災害対策にかかわっておりましたときに、当時の三百万から、島原の雲仙の災害のときを機に超党派で弔慰金を上げた。こういう経験もございますので、その観点からお聞きをしたいのですが、現在、この支払いをすべき対象者の数と、いつごろまでにそういう方々の手元に弔慰金が行くようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  14. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 済みません、今ちょっと数をまだ正確に把握できておりませんのであれですが、大体五千二百名の死亡者が出ておりますし、この五千二百名がほとんど全部対象になろうかと思うわけでございますけれども障害を受けた方が、まだこれが実態が把握できておりませんので、その五千二百名プラス重度障害を受けた方、こういう形になろうかと思いますが、それはちょっとまだ把握はできておりません。  また、弔慰金の支給の事務手続も、亡くなった方がいた場合だれを受取人にするかということは大変難しゅうございます。特に今回の場合、大きな被害に出会って一家全滅というようなケースもございますので、そうすると受取人一体となたになるかというようなことも大変難しい問題がございまして、現在各市町村で、その該当者を、一体となたを対象にお支払いしたらいいかというようなことをチェックしている最中でございます。  したがいまして、特に被害の集中しました。死亡者の多かった西宮市それから神戸市などはこれからの事務作業がかなり大変なのではないかと思いまして、そういうことから、厚生省からも実は職員派遣いたしましてその事務作業の手伝いをさせておりますし、また、よその県からも応援体制をとって今作業をさせておりますけれども、ちょっと今、いつごろになるかはめどがついておりません。ただ、死亡者の比較的少なかった市町村におきましてはかなり事務作業が進んでおりまして、今月中にでもお支払いのできる市町村幾つかございます。  なお、この弔慰金は、御承知のように、死亡者の住んでいらしたところの市町村ということでございますので、必ずしも事故に遭われた場所、亡くなった場所で支給するのではなくて、例えば旅行者などであれば旅行者住所地ということになりますので、可能性としては、全国に起こる可能性があるということでございます。
  15. 石田祝稔

    石田(祝)委員 現在、対象者の掌握を鋭意進めている、支払いも早いところは今月中からやれる、こういうことですね。  けさもテレビを見ておりましたら、昨日か一昨日ですか、見舞金十万、全国からの善意をそれぞれにとりあえず十万ということでお渡しをしよう、こういうことで、こういうときに本当にありがたい、今は本当にお金がない、こういうことを言っておられた方もいらっしゃいました。ですから、本来この災害弔慰金をもらわないのが一番いいに決まっているのですけれども、こういう不幸な目に遭われたときに、少なくともそういう意味で、そういう部分で一日も早く予算手当てをしてあげるということも私は大事なことではないだろうか、このように思います。ですから、年度を超えていつまでも続くことのないように、これはぜひお願いしたいというふうに思います。大臣もうなずいておられますから、そういうお気持ちであると思います。それで、これは大臣にお伺いをしたいのですが、五百万という金額、これが多いか少ないか、これはいろいろ考え方があろうかと思いますけれども、今回の災害に遭われた方は、御自分の身体、生命が災難に遭われただけではなくて、財産の基盤も失われている方が多いと思うのですね。ですから、この五百万というのを大臣のお考えで増額をするお気持ちがあるのかないのか、この点だけを端的にお聞かせいただきたいと思います。
  16. 井出正一

    井出国務大臣 今回の地震により亡くなられた方々に対しては、本当にお気の毒でございまして、衷心よりお悔やみを申し上げるものであります。  今回のような自然災害によってお亡くなりになったケースにつきましては、原因が天災によるものでございまして、遺族はその肉親の亡くなったことについて気持ちの持っていきどころもなく、どこからの救いもかつては望めなかったわけでございまして、昭和四十八年に、先輩の皆さん議員立法によって、自然災害により死亡した方の遺族に対して災害弔慰金を支給する現行制度が設けられたわけでございます。  当初は何か五十万円だったとお聞きしておりますが、その後何回かの改定がございまして、昭和五十六年には三百万円とされた後、十年を経過したこと等にかんがみまして、平成三年に現行の五百万円に引き上げられたところであります。その後の物価等の安定的な推移や、ほかの類似制度もあるものですからその均衡も考慮しなければならぬわけでございまして、額を引き上げることは、まことに心情としては大変忍びがたいものがございますがなかなか困難ではないか、こう考えているところであります。
  17. 石田祝稔

    石田(祝)委員 私も、五百万円にしたときに、三百万から五百万、これはいろいろございましたけれども行政当局の大変な強い抵抗がありました。四百万にしようという話があって、我々が五百万だと言ったときに、ちょうど中をとって四百五十万と言う政党もございましたけれども、最終 的にはその政党責任者の方の御判断で、五百万で今回は弔慰金を変えよう、こういうことでその決断で決まったわけであります。  ですから、これは五百万に根拠があるとかないとかじゃなくて、もともとスタートしたときにこれだと決めて、それで物価上昇等でずっと来ているわけですから、ある意味で言えば政策的な判断があってもしかるべき話で、別に五百万でなければならぬ、物価上昇がほとんどなかったから上げないという、こういう筋合いのものではないだろう。もともと弔慰金を出すということ自体が、これはある意味で言えば政策判断政治判断の部類の話ですから、ぜひとも、物価上昇率等ということではなくて、もう少し別の観点からもこれはお考えをいただければというふうに思っております。  続きまして、住宅の問題についてお伺いをします。  これはもう随分、何名かの方、たくさんの方が質問されておりますけれども、きょうもお昼のテレビを見ておりましたら、仮設住宅の抽せんの当せん発表をされておりました。幸いにして当たったと申しますか、仮設住宅に入れる人も、また入れない人もいるわけですけれども大臣、これは担当の方でも結構ですけれども必要戸数、いろいろとその後被害状況を調べていくととてもまた住めない、こういうこともわかってきているだろうと思いますが、現在、きょうの時点、一番新しい時点で必要戸数はどのくらいだと御判断されておるのか。また、建設の予定戸数についても、今言われているとおり動いていないのかどうか、ちょっとその数字を教えてください。
  18. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 先ほどお答えを申し上げたとおりでございますけれども、兵庫県の方で幾つを必要とするかということが前提でございまして、現時点におきましては、兵庫県の方ではまだ応急仮設住宅を三万戸というふうに言ってきております。  確かに先生おっしゃるとおり、新聞あるいはテレビの報道では、非常に応募者が多くてこれでは足りないという状況があろうかと思いますが、県の方でまだ計画がそれより先に進んでおりませんので、私どもといたしましては、県の方の計画が、さらに仮設住宅が多数必要であるという形で計画変更して申請をしていただければ、それに応じるような用意はいたしております。
  19. 井出正一

    井出国務大臣 今局長、御答弁申し上げましたが、私自身もこの三万戸で大丈夫がいな、もっと必要じゃないかなという気持ちを持っております。  そもそもこの三万戸がなぜ出てきたかということでございますが、一応兵庫県からの報告によりますと、これを計算した時点で避難者数二十七万で、平均世帯三人と考えて九万世帯というのが基礎になったようであります。そして、全壊・半壊世帯が六万三千戸——九万戸あるわけでございますが、九万世帯、このうち三割ぐらいの皆さんが、水道とか、あるいはガス、電気等が復旧すれば自宅へ戻れるんじゃないか、したがって六万三千戸が必要だ。そして、このうちの七千戸ぐらいが企業の施設や、あるいは親戚のおうちの方へ移っていかれるんじゃないか、そうすると残りの必要戸数が五万六千戸。そのうち公営あるいは公団等、各県、いろいろなところから御提供いただいたあれが二万六千戸、残りが三万戸というようなのが一応の基準になっておるようでございますが、正直なところ、全国から、例えば北海道からも千を上回る公営住宅のあれがいいよと言ってくださっているのですが、なかなか遠くへ離れて行かれることは現実的には難しい面もあろうと思います。  そういった皆さんが今後どんな形で今の場所にいつまでいられるかということを考えた場合は、私も三万戸じゃちょっと足りないという感じはします。兵庫県の方からもっと必要なんだというお話があれば、こちらは積極的に対応していくつもりでおります。
  20. 石田祝稔

    石田(祝)委員 大臣から、三万戸ではどうだろうかという正直な気持ちを持っておる、兵庫県の方からお話があれば積極的に対応していきたい、こういうお話でございました。  確かに、この公営住宅の部分を見ると、一覧表をもらいましたが、北海道は約千五百戸、東京都が二千戸を超えていますね。ですから、全国、遠いところも全部ひっくるめて二万六千戸。ですから、これは数字としては上がっておっても、現実にそういうところに行くのか行かないのかというそこの中身の部分を若干もう少し精査をして、三万戸で事足れりと、これはとてもいかないだろうというふうに思います。ですから、これは積極的に働きかけて、災害救助法というのはもともと厚生省の所管のものですから、ぜひお願いをしたいと思うのですね。  それで、数は確かにとりあえず三万戸というふうにしましても、これは具体的に入居できなければ数としてはあっても避難者の方には全然何もプラスはないわけですから、これはどういうふうな計画で、いつごろ入居できる、いつごろまでに何千人、何万人、これははっきりしていますか。
  21. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 これもそれほど明確に日程を追って建設計画が進められているわけではないわけでございまして、現在、建設資材なんかの調達の部分もありますものですから、現実に発注をいたしておりますのは二万二千戸。ですから、三万戸のうち八千戸につきましてはまだ未着手の状態にございます。  二万二千戸の発注したもののうち、一万一千戸につきましては既にもう着工いたしております。これはもうほぼ一週間ぐらいで大体でき上がるだろう。発注したものにつきましては、今資材の調達で、大体三月中には何とかなるだろうということでございますし、それから追加の八千戸、残っております分につきましても、これも資材の調達がつき次第着手するということで、何とか三月中にはすべてこの三万戸は最低建設をして、四月までにはこれは全部入れるような形に持っていきたい、こういう形で鋭意努めております。
  22. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうすると、三万戸については四月末で全員入れる、こういう御答弁でいいわけですね。大丈夫ですね。
  23. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 その予定で進んでおります。
  24. 石田祝稔

    石田(祝)委員 予定か。確かに予定でしょうけれども、これはぜひお願いをしたいと思います。  そうすると、その後の三万戸にプラスする分は若干またさらにおくれる。ですから、四月、五月、暖かくなってくるころに入ってくる、こういうことになるわけですね。  それで、私ちょっと、大臣、これ御意見なんですけれども仮設住宅について余り厚生大臣の意見が聞こえてこないのですよね。発表しているのは、建設大臣が、うちが幾つやる幾つやると。ですから、厚生大臣が本来もうちょっと、応急仮設住宅についてはこうだああだということはぜひ言っていただかなければいかぬ。
  25. 井出正一

    井出国務大臣 至って声が小さい方なものですから……。しかし、十分相談をしておりますし、特に地震担当大臣の小里大臣に今のような考え方は強く申し上げております。
  26. 石田祝稔

    石田(祝)委員 これはぜひお願いをしたいと思います。  それから、仮設住宅にこれから順次入ったとしますね。そうしたときに、今までは、ある意味で言えば、これは島原でも同じことがございましたが、避難所では朝昼晩と、避難されているということで食事も食事供与事業という形でされておりましたけれども、これから仮設住宅へ入った。住の方はある意味で言えば落ちついた。そうすると、今度はやはり仕事の問題、具体的にはお金を稼いで食事代を稼げるかどうか、そういう問題も出てくるわけですね。このときに、雲仙のときには非常な苦心をして食事供与事業という形で事業を行いました。この食事供与事業というふうなことはお考えになっておりますでしょうか。
  27. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 先生がおっしゃったような形のものを島原の雲仙のときには取り扱っておりますが、これは実は役所の中の問題で大変申しわ けございませんが、災害救助法の枠の外で処理をいたした経緯がございます。災害救助法の体系でいきますとどうしても一時応急的な分野だけということでございまして、一般的な、生活がいわゆる自立過程に入った。仮設住宅に入られた後の費用についてまで災害救助の体系下で支出するというのは、私どもの立場からしますと極めて苦しいわけでございますので、島原の例なども参考にさせていただきまして、また関係省庁と打ち合わせをさせていただきたいと思います。
  28. 石田祝稔

    石田(祝)委員 このことは島原のときにも随分議論がありました。ですから、本当にやれるのか、またやるべきなのか、そういうところまで議論がありましたけれども、ともかくそのままにはとてもできない、こういうことで踏み切っていただいたわけですね。ですから、そういう経過も承知してこの御質問をさせていただいているわけです。  ですから、災難に遭われた当初は食料、水、そして今は住宅と。住宅は徐々に、四月いっぱいでもう全員入れるだろう、こういうことですね。そうしたときに、結局お年寄りの方なんかも、ある意味で言えばもう生活の基盤がなくなってしまっていますから、また逆に食事の部分というのは、仮設住宅に入った人のこれから大きな問題になってくるだろう、こういうふうに私も思います。ですから、ここの部分が検討ということは、もちろんいろいろと打ち合わせしなければいけないでしょうけれども、ここについてはやはりもう少し踏み込んだお考えは出ないのだろうか、こういうふうに思いますけれども、これはどうでしょう。
  29. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 厚生省の立場で申し上げますと、万一所得がなくてどうしても生活をやっていくことが無理な方につきましては、やはりそういうケースの場合には生活保護の適用という形になるのがいわゆる筋だろうと思うのです。そういう形で生活保護の適用範囲というものも今回の災害の場合がなり広がるのではないかということで、現在その態勢も実はとっておるところでございます。  ただ、そうはいいながらも、片一方におきまして、被災された方がいろいろな、場合によっては資産をお持ちの方もいらっしゃるというようないろいろな問題もあるわけでございますので、恐らくそういうことも含めて島原の場合も検討されたのではなかろうか。特に、島原の場合には、現実に資産がその場に残ってある、ところがそこには入れない、こういう事態がありまして、今回の場合は資産が相当、完全にもう失われているというケースというような形もあろうかと思いますので、今申し上げたような形で生活保護で対応した方がいいのか、あるいは先生がおっしゃるような形で対応した方がいいのか、その辺を含めて検討させていただければと思います。
  30. 石田祝稔

    石田(祝)委員 この点はぜひお願いをしたいと思います。  それから、瓦れきの処理について予算委員会でも大臣にも御質問をいたしましたが、あのときはフェニックス計画のところに木造の家屋を解体したものを持っていくと、これは受け入れを拒否された。ですからその木造部分はどうなっているのですか、こういうお話であのときは終わったわけでありますけれども、この処分場の問題、また必要期間。これは、その後、処理場の面も含めて、現在、木造の解体家屋の処理というものが予定どおり進むのかどうか、処分場が確保されているのか。この件はいかがでしょうか。
  31. 井出正一

    井出国務大臣 予算委員会でも石田議員から御質問をちょうだいしたわけでございますが、既に議員御承知のように、建設省、運輸省、厚生省、三省の連絡会で一応推計した瓦れきの量は、住居、建物関係で五百万立米、道路とか鉄道、港湾等の公共施設関係で三百万立米、合わせて八百万立米ということなのですが、去る二月四日に兵庫県の方が公表した推計値は、住居、建物の方だけで六百五十万立米、三省であれしたよりは百五十万立米さらに多いという数字も出ておりまして、いずれにせよ、こちらも推計なのですからまだはっきりしたことはわかりませんが、膨大な量であります。  この瓦れきの処理につきましては、現在被災地では、交通の支障等の生活に与える影響の大きいところ、あるいは倒壊の危険のあるものから順次処理しているところでございまして、過日地元で災害廃棄物処理推進協議会という組織もできまして、ここで相談をしながら進めていただいておるわけでございますが、すべての瓦れきを処理するには、不在者を含めた所有者の同意を得るということがあるものですから、相当長期化することが予想されるわけでございまして、現時点でいつまでという正確な見通しをお示しすることは、残念ながら困難でございます。  なお、被災状況により短期に処理できる市町と長期間要する市町があるものと考えられますが、兵庫県が地元関係市町からの報告をまとめたところをお聞きしますと、処理をすべて終えるには、川西市など三市十町では約六カ月ぐらい、尼崎市など三市では六カ月から一年、神戸市など三市では一年を超えるものと予測しておられるようであります。  厚生省といたしましても、できるだけ早くにこの処理が行われるように、建設省やほかの関係省庁とも連絡をとりながら、地元府県や市町の処理に積極的に応援をしてまいりたい、こう考えているところであります。
  32. 石田祝稔

    石田(祝)委員 大臣、御答弁いただきましたが、この木造の家屋の解体の部分、これはどういうふうにされますか。
  33. 井出正一

    井出国務大臣 まず最終処分場は、この間も申し上げました大阪湾広域臨海環境整備センター、いわゆるフェニックスセンターでございますが、これあるいは神戸市のほかの処分場などによりまして、何とか確保できる見通しは立っております。  ただいま議員御指摘の、庭木材等の可燃物についてでございますが、仮置き場で保管しつつ焼却を進めるとの兵庫県の基本的な考え方がございまして、そのもとに県及び関係市においてごみ焼却施設復旧を急ぐとともに、近隣市に焼却の応援を依頼したり、仮置き場を多数確保すること等によって処理に努力をされているところでございます。  フェニックスセンターそのものにつきましては、現在不燃物及び焼却灰を受け入れているところでありますが、庭木材等の可燃物の受け入れにつきましては、厚生省といたしましては、今後の事態の推移に応じて、兵庫県等の判断がもうやはり入れざるを得ないというようなことになった場合には受け入れができるよう、県及び神戸市等と連絡を密接にしてまいりたいと考えているところであります。
  34. 石田祝稔

    石田(祝)委員 終わります。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 鴨下一郎君。
  36. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 鴨下一郎でございます。  今回の阪神の大震災におきまして、五千数百人というような方が亡くなったわけでございます。そのときに現場の医師、それから看護婦さんを含めて医療スタッフは、大変な献身的な努力をなさってそれぞれの患者さんの治療に当たったわけでございますけれども、そのときに、十七日の五時四十六分に地震が起こり、その後の医療体制を立ち上げる段階で、厚生省がどういった形で情報を得、なおかつそれに対応したのかということを、まず十七日の約六時間から十二時間ぐらいの間にどういうようなことを行ったかということにつきまして、時系列的にもしよければ御説明をいただきたいと思います。
  37. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 災害発生当日の一月十七日でございますが、厚生省におきましては午前九時ごろから、大臣官房の方から各局に対し、現地状況把握及び必要な対応を行うような指示が出されたところでございます。神戸市に災害救助法が適用されました昼には、厚生省災害対策本部、本部長は事務次官でございますが、これを設置をいたしまして、全省的な取り組みを開始をしたわけでございます。  医療の問題につきましては、この間、被災をされました県、市を通じまして、医療機関の被災状 況あるいは受け入れ状況等についての情報の把握に努めたところでございますけれども現地が壊滅的な被害を受け、通信の混乱も加わったということで、初期対応に必要な現地の情報収集ということについては、極めて困難であったということは事実でございます。  こうした中で、政府全体としましては、先生御承知のように、政府の現地調査団が派遣をされたわけでございますが、厚生省といたしましては、災害救助法の担当課長現地入りをさせております。なお、救急担当につきましては、翌十八日に現地派遣をいたしております。なお、十七日には、日本赤十字社、また周辺の国立病院からの医療従事者の応援現地に到着をしているというふうに報告を受けております。  とりあえず、当日の状況について、以上でございます。
  38. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 それなりの対応をなさったということなのだろうと思いますが、現実には五千人の方が亡くなり、なおかつ二万五千人くらいの方が負傷なさっているというようなことを含めますと、三万人の患者さんに対応しなければいけない体制が、そのくらいの物量で成り立ったかどうかというようなことに関しての大臣の御見解をまず伺わせていただきたいと思います。
  39. 井出正一

    井出国務大臣 災害時において、初期の医療の確保が重要な課題であるわけでございますが、今回の地震発生直後におきましては、亡くなった方が大量に出る、あるいは多数の負傷者が生じる中で、輸送・通信手段や、あるいはライフライン等が大きか打撃を受けた結果、迅速的確な医療の提供を行うことは残念ながら困難な状況にあって、三万人に対応する体制がすぐにはしけなかったということはそのとおりだったと思い、まことに残念であるし、今回の教訓を今後生かしていかなくちゃならぬ、こう考えております。
  40. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 私も、数日後に現地に入りまして思ったことなのですが、とにかく現地の医療施設そのものも被災を受けていますし、それから亡くなったドクターもいらっしゃるくらいの状況の中ですから、そのエリアの中ですべての医療を賄うということはまず不可能だということは、これはもうどなたでもわかることなのです。そうなると、今度は、負傷の度合い、それからけがの状況に応じて後方に搬送するとか、それから後方のバックアップの病院の体制を整える、こういうようなことが重要なのだろうと思いますけれども、このことに関して、厚生省はどういうような形で、他府県の病院、それから医療施設要請ないし指示をしたのかというようなことの事実関係がございましたら教えていただきたいと思います。
  41. 井出正一

    井出国務大臣 そういった混乱の中だったわけでございますが、一つには、日赤の組織を通じた活動をいち早くお願いをしました。さらに、国立病院あるいは療養所においては、地震発生直後から、被災地とその近隣にある例えば国立神戸病院あるいは明石病院あるいは明石病院の岩屋分院などで被災患者の皆さんの受け入れを行うとともに、多くの被災者の診療に当たっている国立病院に対しては、周辺の国立病院・療養所から医師、看護婦等を派遣し、診療の応援を行うよう指示し、また現在も行っておるところであります。  また、関係省庁あるいは関係業界に御協力をいただいて、地震発生の翌日からだったと思いますが、ヘリコプター等による医薬品の現地への搬送体制を確立したり、あるいはまたヘリコプターによる受け入れの可能な後方病院のリストを作成して関係方面に送付するなど、可能な限りの初期対応に取り組んだところではございますが、いかんせん大変な大勢の対象者であり、御存じのような混乱の状況下にあったものですから、万全とはなかなか言えない状況でございました。
  42. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 状況としてはそういうような状況でございました。確かにもう本当に大変な混乱の中で、例えば他府県からの救急車が応援に入ってくるわけですけれども、その救急車そのものが走れないようなそういうような状況の中での医療体制を整えるということがどれほど困難であったかということはもう重々私も理解しているわけですけれども、残念ながら、例えば救急車が入ってきた段階で、他府県からの救急車が、その神戸市のエリアの中でどこに患者さんがいるというようなことについて把握が十分でなかったり、それからもし仮にそこが、住所がわかったとしても、その住所にそういうような他府県からの救急車ですとどうやって行っていいかわからない、こういうようなこともあって大変混乱したということも聞いておりますけれども、例えば救急車が相互間にどういった連絡をとり合いながら適正に配置されたかというようなことにつきましてお伺いをしたいと思います。
  43. 西村清司

    ○西村説明員 今回の災害に際しまして、かなりの台数の救急車が他府県から応援に参りました。神戸市内だけをとってみましても、最盛時には五十台の救急車が応援に入ったというふうに聞いております。  これらの救急車は、神戸市の消防局の指揮のもとに、特に被害が集中いたしました都心部の消防署に計画的に配置をされまして、その消防署に入ってまいります二九の通報、これに基づいて出動先を決め、また搬送先の病院につきましても、出動する時点で搬送先病院の確認を行い出動するという体制をとったというふうに聞いております。さらに、毎日の救急搬送の実態を踏まえまして、これらの応援の救急自動車の配置先も、少しずっではございますけれども実際に必要に応じた配置をするというふうな工夫をしたと聞いております。  また、他府県から入ってまいりました車はどうしても地理が不案内ということでございますので、現地の消防署におきましては、現地の救急隊員を応援の救急自動車に一人ずつ張りつけまして、出動するときには搬送先へのルートの確保ですとかあるいは搬送先病院との連絡調整などに当たらせたというふうに聞いております。
  44. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 そのとおりで、徐々に整ってきたんだろうと思いますが、今後の話として、例えば救急革が、他府県同士の救急車の連絡がうまくいかない。例えば周波数が違うとかそういうようなことと、それからあとは、現場をよく知っている救急車の方々体制と、それからそのところに支援に入った救急車は二次病院もしくは後方の支援病院の方に搬送するための役目を演ずるとか、そういうふうに機能分担というのは、今後どうなんでしょうか、考えられるかどうかということをお答えいただきたいと思うのです。
  45. 西村清司

    ○西村説明員 何しろ、今回これだけの多数の応援の救急革が出動したというのは初めての経験でございまして、今回の経験から将来のために学ぶべきことは非常に多かろうというふうに思っております。  現実には、救急自動車は救急無線という専属の無線波を持っておりますけれども、これはふだんは混信を防ぐために、むしろ各消防本部ごとに独立した周波数を持っております。今回の場合は、その救急無線の周波数ではございませんで、全国の消防機関に割り当てられております消防無線という無線波がございますが、これの全国共通波をかなり活用したというふうに聞いております。また、大都市から応援に来ました救急自動車は、ほとんどが自動車電話を装備いたしております。日ごろから病院との間の電話連絡に当たっておるわけでございますけれども、これもかなり今回活用されたというふうに伺っておりますので、今後のこのような同種の事例に対する対応策としては、そのような資機材の活用というものも十分考えていかなければいけないだろうと思っております。  また、先生から今御指摘のございました応援部隊と現地部隊との間の役割分担というようなことでございますけれども現地での実際の出動の割り当てを聞いておりますと、もう一一九がひっきりなしにかかってくるという状態で、いわばそのときあいている救急車をとにかく出動させるという状態がかなり続いたというふうに聞いておりますので、いずれにいたしましても、今回の経験を改めて再点検いたしまして、今後の対策に生かせ るようなアイデアというものを考えていきたいというふうに思っております。
  46. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 救急車のことも含めまして、例えばボランティアの医師がその地域に入って医療活動をしたいというようなことでも、なかなかどこへ行ったらいいかわからない。救急車は救急車で入ってきたけれども、実際に例えば五十合入ったどいうふうにおっしゃっていましたけれども、五十台が本当に五十台分の機能が果たせたのかどうか。そういうことも、後で振り返ってみますと、なかなか難しい部分もあると思いますが、私も現地に入ってしみじみ思ったのですが、そういうような機材、物量、それからマンパワー、そういうものが入ってきているにもかかわらずきちんとつながれてないというようなことで、十分な医療活動そのものが行われなかったという残念なことがあったんだろうと思います。  そこで、大臣にお伺いしたいんですが、例えばそういう災害が起こったときに、全体を見渡す医療に関するそういう統括本部のようなものを直ちに設置して、そしてどなたか専門的な方が指揮に当たるというようなこういうようなことというのはいかがなものでしょうか。御見解を伺わしていただきたいと思います。
  47. 井出正一

    井出国務大臣 確かに医療現場が大変な混乱を来して、ボランティアで入ってこられたお医者さんの皆さんのお力もうまく生かせなかったという面は残念ながらあったわけでございまして、そういった面ではきちっとした司令塔の必要性を大変痛感したところであります。どういうふうにしたらそれがうまく機能できるシステムがつくれるか、まさに今後対策をきちっと検討していかなくちゃならぬ最重要課題じゃないかな、こう考えています。
  48. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 そういうことでは、大変多くの犠牲者を出した今回の大震災がこれから大都市の大きな災害に対してどれだけ有効に生かせるかというようなことが重要なことなんだろうと思います。  ところが、既にもう奥尻島もありましたし、それから三陸はるか沖地震もありましたし、さまざまな教訓は既にもうあったわけでありますから、例えばここに国土庁の防災局が、「震災時応急医療体制の確立に向けて」、こういう小冊子を出しておりますけれども、私これを読んでいて驚いたのですが、全く今回の大震災の状況を予測したかのような記述がたくさんございます。そういうことはもう既に、ある意味で理論的にはああいう事態が起こり得るだろうということは、過去のさまざまな災害の中から教訓として得ているわけです。それから、医師会の雑誌なんかにも「釧路沖地震における救急医療体制の反省と今後の問題点」というようなペーパーもありますし、その中で、緊急情報網の確立が急務である、このようなことも言われています。  それからほかにも、今回のちょうど一年前のノースリッジの地震のときの視察の報告書等にも、その辺の統括本部、それから緊急の医療体制の整備が急務である、こういうふうなことがさまざまなところに書かれているわけですけれども、そういうような教訓が行政の組織の中にきちんと生きてきたのかどうか、この辺のことについて、大臣に伺うのもちょっと酷のような気もしますけれども、御見解をお答えいただきたいと思います。
  49. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今先生お触れになりましたように、平成五年一月の釧路沖地震あるいは平成五年七月の奥尻島の震災等の大きな事故があったということで、私どもといたしましても、昨年の一月に、集団災害時におきます救急医療あるいは救急搬送体制に関しての研究会というものをつくりまして、学識経験者以外に国土庁、自治省消防庁、防衛庁等の関係者にも加わっていただいた研究会でいろいろ議論はしてきたわけでございまして、この間、今回のような大きな震災が出たということで、具体的なその成果がまとまる前ではございましたけれども、大変残念なことだというふうに思っております。  私どもといたしましても、先ほど大臣からも申し上げておりますように、今回の災害によって現実に甚大な被害が生じたという事実を厳粛に受けとめまして、これらの研究会での議論を十分にこれらの経験を踏まえて生かしていきたいと思っておりますし、今回の教訓を踏まえまして、具体的に先ほど来先生がお触れになっておりますような、初期の情報をどのような形で収集をしていくのか、それから救援の医療スタッフの確保派遣の問題、また現地の医療機関に対します医薬品の供給の問題、それから重症患者の転送の問題、さらに、先ほど大臣からも申しております司令塔と申しますか、統括本部というものをどのような形で具体的に考えるべきかというようなことにつきまして、今後真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
  50. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今回の地震が、残念ながらそういう体制が整わないうちに起こってしまったということでございますけれども、例えば今回の地震と同じ規模もしくはそれよりも大きな規模のものが関東にも起こり得ることは、あすにも可能性があるわけでございますので、直ちにそういうようなことを教訓として生かしながら体制を整えるというようなことが重要なことだろうと思いますし、もしできれば、大臣、いつぐらいまでにそういうことについてしかるべき体制を整える準備をしたいというようなことでお考えがあればお知らせいただきたいと思いますが。
  51. 井出正一

    井出国務大臣 ただいま局長から御答弁申し上げました。集団災害時における救急医療・救急搬送体制のあり方に関する研究会なんですが、既に七回開かれておりまして、この一月二十五日に第八回目が予定されておったようなんですが、これが生じたものですからとりあえず中止になってしまっておるということを聞いております。できるだけ、この会の委員の先生方にハッパをかけて急いでいただくということを今考えておるところであります。具体的にいつまでということは、ちょっとこのところではまだ申し上げられません。  それからもう一つ、たまたまと言ってはあれなんですが、この七月一日から国立の立川病院と王子病院が統合されまして、広域災害医療の基幹施設としての東京災害医療センターが開設することになっております。これは七月一日を予定したものですが、このセンターでは広域災害医療の実施とか、あるいは災害医療に関する臨床研究、災害医療に従事する医療関係者の研修等の機能を備えた施設として整備してきております。  したがいまして、今回の状況等も踏まえて、同センターの役割、機能についてさらに検討を進めていかなければと思っておりますし、実はあれは五日目でしたか、二十一日の日、神戸にこの両病院の院長先生も早速入られて、私、県庁でお会いをして御報告を受けたのですが、いかに初動の時期が災害医療のときに必要か、こういった意味では、このセンターを思い切りそういう方向へ充実させていきたい、こんな御決意も伺ったことを申し添えておきます。
  52. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 都会に住む人間はみんな同じ思いでございますので、ぜひその辺の、いざというときに頼りになる医療体制というものの全体の整備を急務としていただきたいと思います。  それからもう一つ、今実際に神戸被災に遣われている方々が、約二十万人の方が避難生活をなさっているというようなことでございますけれども、これはある意味で二十万人の人口の規模の都市そのものに、医療だとかさまざまな都市のインフラそのものが整備されていないような状況の中で生活をなさっているということなわけですけれども、今後の医療の体制を、そういうような避難所生活をなさっているような方々に対してどう整えていくのか、それから、地域の医療機関とどう連携していくのかというようなことの具体的な神戸もしくは阪神地区の医療体制をどう整備していくかにつきまして、考えを伺わせていただきたいと思います。
  53. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 避難所におられる方々に対します医療の確保ということで今最も力を入れていることの一つでございますが、現在、避難所救護センターの設置を進めてきているわけでございま すが、千人以上被災者のおられる避難所については、すべて医師、看護婦が常駐をする。また一部については二十四時間体制で勤務をしていただくというような形で、現在百五十八カ所が設置されております。このように医師、看護婦が常駐されていないところにつきましては、巡回の診療をやっていただくというような形で対応しているわけでございますけれども一つには、引き続きこの避難所救護センターあるいは救護所の医師あるいは看護婦等の医療スタッフの確保ということに努めていかなければいけないと思っております。  ただ、今後の問題といたしましては、先ほど先生もお触れになりましたように、避難所を離れた生活をされていかれる方の、また日常の医療活動をどのように確保していくかということがこれからの当面やらなければいけない緊急の課題だという認識を持っておりまして、具体的に現在、兵庫県、それから神戸市あるいはその周辺の自治体、地元の医師会の方々、そういう方々と、今後どのような形でやっていくかということについて協議といいますか、具体的な計画づくりに入っている段階でございます。できるだけ早急に、今後の体制ということについて具体的な計画をつくっていきたいというふうに思っております。
  54. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 その体制をつくっていかれる段階で、今まで被災に遭った方はけが、外傷だったわけですけれども、だんだんと慢性疾患のフォローアップ、それからあと、今回いろいろと問題視されているのは、例えば子供さんだとかなんかが震災の恐怖によってのさまざまな精神的な外傷体験のようなものを負っている、こういうような話もあるわけで、その辺のところの心のケアの問題についての厚生省のお考えと、時間がありませんので、もう一つまとめて伺わせていただきますけれども、今度は、実際に被災の現場で救助に当たっている方々の心の問題といいますか、一生懸命頑張っている方々が非常にストレスを負ってくたびれ果てている。こういうような事態に関して、例えば万が一のことがあったときの労災の問題、それから、例えば行政関係方々はそれでもある程度法的なガードがあるわけですけれども、地域にボランティアとして入っているような方々に対する労災の問題だとかなんかについてのお考えを伺わせていただきたいと思います。
  55. 堺谷勝治

    堺谷説明員 ただいま先生のお尋ねは、ボランティア活動中の被災に伴います労災保険の補償が受けられるかどうかという点でございますけれども、先生御案内のとおり、労災保険におきましては、雇用労働者の業務中の被災に対しまして補償を行うというものでございます。したがいまして、ボランティア活動中の被災に対しましては、一般的には労災保険の補償は受けられないということでございます。  しかしながら、ボランティア活動の中にはさまざまな形態がございまして、例えばでございますが、雇用労働者が事業主の業務命令によりまして災害復旧等のボランティア活動を行います場合には労災保険の適用がございまして、給付を行う、このように考えております。
  56. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 終わります。
  57. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 山本孝史君。
  58. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 山本孝史でございます。  私も大阪に住んでおります。神戸、阪神間にたくさんの知人、友人がおります。被災して、今避難生活を余儀なくされております。そういう意味合いで、現地に何度となく足を運ばせていただいておりますが、正直申し上げて、今度の災害というのは、ことしは戦後五十年という節目の年ですけれども、いかにこの日本社会というのが脆弱で薄っぺらなものであったかということを私たちに思い知らせてくれた被害であろうと思います。避難所を回りましても、なぜまた弱い人たちに大きな犠牲が強いられるのかということに対して、憤りに近い気持ちを持っております。震災の予測はなかなか難しいでしょうけれども、そこで発生をした後の災害への対応のまずさというものは、これは明らかに人災であると言ってはばからないものだと思うのですね。今の政治対応が、政府の対応が、何か見通しか示せないままで避難者に、被災された方たちに苦しい生活を強い続けているということに対して、どういうことなんだろうという思いを持っております。  きょうは質問時間も短うございますので、一点、住宅に絞ってだけ御質問させていただきます。  先ほどからの御説明で、仮設住宅三万戸という数字の推計根拠ということは大体わかりましたけれども、せんだって神戸住宅への申し込みをしましたら、六万戸の申し込みがありました。全体で何月住宅が必要であるというふうに思っておられるのか、神戸市の推計、あるいは兵庫県がどうだこうだというのじゃなくて、国として何月必要だというふうにお考えなのか、その辺をお知らせいただきたい、まずお答えをいただきたいと思います。
  59. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 これは、先生から今そういうお話ございましたけれども、実際に被災を受けた方の実態を把握するのは県でございまして、私どもの方でそれを何月と推計することは無理だろうと思います。それはやはり兵庫県の方で何月必要であるということを把握していただくということになろうかと思います。
  60. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今全体の応募状況は幾らになっていますか、住宅への応募状況神戸市は六万戸に近かったですけれども、全体としては。
  61. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 新聞報道でしか情報を得ておりませんけれども、九万戸ぐらいの応募状況があったというふうに承知いたしております。
  62. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今御答弁にあったとおり、新聞報道ではということで、厚生省としてみずからどうこうしようということはないというふうに考えられるのでしょうか。被災者皆さんの意向調査、これも担当している自治体の仕事である、そういうところだけ地方分権という話じゃなくて、国全体が、今被災をされて避難されておられる方たちにこれからどういう救済策がつくられるのか、そのもととなる数字が新聞報道の九万戸というところにしかないのでしょうか。
  63. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 先ほど来から御答弁申し上げておりますけれども災害救助では応急的な住宅提供するということになっておりまして、それからまた、災害救助の実務は都道府県知事の実務でございまして、私どもは、県の方から応急仮設住宅幾つつくりたい、こういう御要請を受けて、それに対応するという形になっております。
  64. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 それぞれ地元の知事さんの、大阪も実は大変に被害を受けておりますので、大阪府知事も入るのでしょうが、兵庫県知事が幾ら必要であると言ってくるのを待つ、今回の震災対応、その後の対応を見ていて一番腹立たしいのは、なぜこういうふうに国は待ちの姿勢しか持てないのだ。県の中で、市役所が壊れている中で、しかも職員の身内も亡くなっている、自分も家を失っている、そんな中で一生懸命苦労しておられる、その姿は涙が出るほどの姿ですよ。そういうときに、なぜ国がもっと前へ出ていって、あれだけの被災者の方たちがおられる中で、こういうふうにやっていくということが言えないのか。なぜそれが、県が数字を把握するのが一義だ、意向調査をするなら県が第一義だという答弁しかできないのですか。  大臣、こういう答弁しかできないのですか。厚生省としては、仮設住宅は確かに災害救助法で厚生省の仕事ですよね、どのくらいの住宅がまず必要と思うのか、そういう数字はお持ちじゃないのですか。
  65. 井出正一

    井出国務大臣 三万戸じゃ足りないじゃないかなということで、これで大丈夫か、いいんですかということは県の方へ再三にわたって申し上げております。ですから、県の方から三万戸を上回る必要戸数が上がってくれば、いつでも、もうすぐにその方向で対処すべく関係省庁に働きかけよう、こういうつもりでおります。
  66. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 では、先ほどの御質問でお答えになっておられました。仮設住宅は三月中にはできるだろう、石田委員からの質問に、四月中には入れるんですね生言えば、予定ですというふうに おっしゃいましたよね。仮設住宅、確かに土地の確保あるいはプレハブメーカーのフル生産でいつでも、月に一万一千戸ぐらいしかできない。緊急輸入して、通算大臣は二千戸とおっしゃっていましたけれども、その辺の対応はどうなのかという気も実はするのです。  そうすれば、端的にお伺いします。今体育館であるいは公園でビニールのシートを張って、テントで避難生活をしておられる方たちのああいう状況は、いつまでに国としては解消できるのですか、避難所生活は、いつまでに避難所を閉鎖することができるとお考えなのですか、あるいは目標をいつに置きたいと思っておられますか、教えてください。
  67. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 私どもといたしましては、できるだけ早くそういう状態を解消していただきたいということは、その気持ちはもちろん持っております。それからまた、災害救助考え方からしましても、基本的には二カ月程度を災害救助の範囲に原則としては置いております。  ただ、実態といたしまして、今般の災害は大変想像を絶するような規模の災害でございますので、とても二カ月程度で解消できるというふうに自信を持って申し上げることはできないと思います。
  68. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 雲仙・普賢岳のときの記事をいろいろ読み返してみました。資料もいろいろいただきました。到底二カ月の間に避難所は閉鎖できませんでした。そういう意味で、もっともっと時間が恐らくかかるのだろうと思うのです。避難をされておられる方たちに苦しい生活を強いる、それは今の状況で、確かに二十何万、三十万という状況だから仕方がないのかもしれない。そうであるならば、しばらく、もうちょっと我慢してください、村山さんが言うような、最善を尽くしていますという言い方じゃなくて、一生懸命やっているんだけれども、もうちょっと辛抱してもらえませんかという、せめて見通しだけでも示してあけてほしい。先が見えないというのが、やはりあしたが見えないというのが一番つらい。自分たちのスケジュールの立てようもないと僕は思うのですね。だから、国として優しい政治をします、手厚い政治をしますと言うのならば、仮設住宅は三万ログは三月中に建てます、四月中には入れますと言うならば、避難所生活はいつまでに国としては責任を持ってやるのだ、これぐらい言えなくて何で責任を持った政治と言えるのですか。もう一遍答えてください。
  69. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 お話のような状況がございますので、私どもの方も建設省の御協力もいただきまして、全国で公営住宅などがあいているところをできるだけ提供してもらえないか、こういう御要請もいただきまして、そして大体今二万六千から約三万戸ぐらいの提供を受けておるわけです。ただ、現実を申し上げますと、北海道から沖縄までという非常に幅広いところでございまして、現実に今公営住宅に実際に入られましたのは近県に五、六千人というふうに聞いております。それから、近県の、特に大阪府などにはいろいろとやはり御協力をいただきまして、大阪の地域にも仮設住宅なりあるいは第二次の避難所的なもの、こういうものの設置も大阪の方に用意をしていただいております。大体これも大阪の方では約一万戸分程度は提供できるというふうに申し込みは来ておりますけれども、これも実態を申し上げますと、やはり被災者方々は余り今被災地から遠くへ離れたくないという御希望もあるようでございます。個々の事情もあるようでございますので、なかなかそういうところに行けないという実態もございます。  そういう個人の御都合でどうしても出られないというケースの場合はある意味ではやむを得ない面もあるかと思いますが、そういうような形の応急仮設住宅三万、それから公営、公団は二万六千から約三万、それから大阪の近辺等で公的なショートステイ的なものを用意しているのは約一万程度というような形でいきますと七万程度、そのうちの特に四万程度はいつでも利用できる、こういう状況になっております。ですから、場所さえとやかく言わないということであるならば、一時応急的には大体四月の中ごろぐらいにはほぼ七万戸分ぐらい、当初兵庫県で予想した方々はすべてどこかで避難所生活を打ち切ることは可能でございます。  ただ、先ほど大臣が申し上げたように、まさしく北は北海道から沖縄まで、こういうことでございますので、それを全部利用できるのは実際上は無理でございますので、もう少し仮設住宅の追加発注というようなことも考えなければならないであろうとは思っておりますけれども、数合わせだけでいきますと、ほぼ四月までには大体七万戸分ぐらいはカバーできる、こういう状況でございます。
  70. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 四月中には七万戸まで確保できるというお話なのですけれども、さっきの推計を聞いていて、それはやはり無理だなと思ったのですね。これだけの被災者の方たちがおられる、したがってこれだけの戸数が必要になるだろうという推計を立てた。そこから、全国の公営住宅や公団住宅に二万六千戸確保しだからそれを引いた。残りが三万だから三万仮設住宅を建てたらいいだろう、この推計はやはり無理だ。  ここのところが、二万六千も建てるのはやはり無理なんだから北海道から鹿児島まで行けと言ったって、それは皆さんなかなか行ってくださらないわけですよね。そうすると当然仮設住宅のところの割合がどんどんふえてくる。地元がふえてくる。それだったらもう、三万足りないということは目に見えているではないか。  となれば、なぜ今の段階で四万つくろうという話にならないのだ、それは兵庫県の方は検討していらっしゃるようですけれども。兵庫県が言ってきてからうちはやるのだという話ではなくて、国と兵庫県が一緒になって、それなら四万つくった方がいいのと違うかということで、四万の体制が早くしけないのですかということを僕は聞いているのです。
  71. 井出正一

    井出国務大臣 おっしゃるとおり、私もこの土日に行ってまいりまして、避難所やあるいはテント村にいらっしゃる方、そしてまた、そのお世話をしているボランティア皆さん、それからまた厚生省から現地へ行ってくれている諸君と話をしてきたのですが、なかなか今いらっしゃる避難所から遠くへ行かない。  その理由はいろいろあるようですが、一つは瓦れきの下に埋もれた中から、それを撤去するときにその方にとっては大切なものとかあるいはとっておきたいものを、やはり立ち会っていきたいというお気持ちや、それから遠くへ行ってしまえば、例えば境界線とか何かが大変おかしくなってしまうのではないかというような心配とか、いろいろな事情があるようで、私も、遠くへ仮設住宅ができましたから移ってくださいと言ってもそう簡単に移らない皆さんがかなりいらっしゃるのではないかなと。  そうなると用地なんです。用地さえあれば近くへ何とかなるのですが、用地でも、今十四省、国の方から提供してもいいといういわゆる国有地ですね、それが合計しますと百十カ所、兵庫県内百七十九ヘクタールという数字がまとまっております。これはしかし、例えば三木市みたいな、厚生省でいえば保養センターのあるようなところもお使いください、こういった数字ですから、これをうまく当てはめれば三万四千戸、何か一ヘクタールに二百戸ぐらいの計算だそうですから三万四、五千戸になるのですが、どっこいそうはいかない。  言うなれば近くで、私などが現場でいろいろな方と相談しながら、今小学校とか中学校の校舎がほとんど避難所になっている。そうすれば学校の授業の方もこれは考えなくてはならぬ。そうした場合に、校庭にプレハブの教室をつくろうかというようなお話もあるそうですが、むしろそうだったらその場所仮設住宅をつくって、グラウンドはどちらにしても使えなくなってしまうわけですから、そちらの方はまた少し別の工夫をしていただくというふうなことをした方が、避難されてい る皆さんもすぐそばだということで移りやすいし、いいんじゃないかなというようなことをきのう実は私はメモをして、官房長官や小里担当大臣の方へ報告したところであります。  本当におっしゃるとおり、よほど近くへ、いい場所へつくってあげないと、皆さんがいつまでもいらっしゃるような状況になることを私も大変危惧しております。
  72. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 本当に、百七十人しか生徒がいない町中の小学校に千二百人ぐらいいらっしゃるというところもある。教室がほとんど全部占拠されていて、学校が再開できる見通しかなかなか立ちづらい。  芦屋の市役所へ行ったら、ここで仕事をしている横に毛布が置いてある。寝ているんですかと言ったら、ええ。ここにカウンターがあって、事務の机の横に被災者方々がおられる。そういう情景がもういっぱいあるんです。僕ら大阪で見ていると、梅田の北側に国鉄清算事業団が大きな土地を持っているのですけれども、何でああいう便利なところに建たないのかなと素朴な疑問を持ちます。  今国有地三百二十ヘクタール、二百四十三カ所確保しました。大臣お話で三万から建てれば建つんだけれどもという話になる。だけれども、ではどこでこの国有地を確保していただいているんですかと言うと、なかなかデータを建設省が見せてくださらない。きょう建設省来ていただいているのですが、何か確保した場所を出すと困るのか、あるいは国有地のところに仮設住宅を建てられて、二年の期限、あるいは三年、四年となったら困るという思いで余り国有地を利用することに消極的なのか。その辺、建設省来ていただいているのでお話を聞かせてください。
  73. 藤田真

    ○藤田説明員 今お話のございました国有地を初めといたしまして、住都公団などからも用地の提供をいたしておるわけでございますが、それらの申し出がありました。地につきましては、すべて建設をしても大丈夫なところということでございます。
  74. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 では済みませんが、さっきも要求してA四の紙切れ一枚のデータしか来ませんでしたので、確保している国有地の一覧表を見せてください。  それから次に、今の避難所になっていますところの居住環境の整備についてぜひお願いをしたいと思います。申し上げたような非常にプライバシーのない苦しい状況があります。ほとんどの方が今風邪を引いておられるような状況です。私の友人の一人は、今建てかけの市営住宅の、二階部分が図書館になっているんですけれども、その図書館がただいま建設中で、まだコンクリが打ちっ放しのところ、その上に毛布を敷いて寝ておられる方たちがおられます。それでも公園の野宿からすればましなのかなとは思いますけれども、やはり毛布が湿ってくる、あるいは空気が悪い、風邪がどんどんはやっている。そういう中で、今被災者の方たちが口をそろえておっしゃるのは、せっかく地震のときで命が助かったのに、こんなところで死んだらあほくさくてというのが皆さんのお気持ちやと思うのですね。ぜひともに、こういう人たちにきっちりとしたケアをしてあげてほしい。ストレスから今またどこでだれが死んだという話が来ます。お年寄りがせっかく自宅の畳の上でと思ってはったのが体育館のだだっ広いところで息を引き取らなければいけないというのは、ほんまに悲しい日本の社会の姿やと思うのです。  そんなことを思いながら新聞見てましたら、九一年の六月十四日の朝日新聞に、静岡県の焼津市が八七年に「地震発生時に避難所をどう運営するか」という全国初のマニュアルをつくった。「避難生活運営マニュアル」をつくったという記事を読みました。それでお伺いをするのですけれども厚生省としてこの避難所の運営マニュアルのようなものは持っておられるのでしょうか、あるいは、これからおつくりになるような予定がありますか。そういったところ少し、済みません、事前に質問通告してないので申しわけないのですけれども、教えてください。
  75. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 残念ながら用意いたしておりません。
  76. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 先ほどの鴨下委員の医療制度に対しての御質問もそうだったと思うのですけれども、ここしばらくを振り返ってみても、奥尻がありました。あるいは雲仙の普賢岳がありました。そういったところでたくさんの教訓を実は得てきていると思うのですね。そういう教訓が生かされずに今回また五千百人の方たちが命をなくしたというのは、大変に残念なことやと思うのです。  それで、今回まだ混乱状況にあるのだと思いますけれども、今回の震災の中からつかみ得ている教訓というものをぜひまとめていただいて、私も、別に厚生省の責任を追及するということじゃなくて、厚生省が今回の地震発生をどういう形で報告を受けてどういうふうな対応をしたのか、時系列でぜひ教えてくださいという話をしているのですけれども、これもまた資料をいただいていませんので、ぜひいただきたいのですね。厚生大臣が何時にその地震発生をお知りになったか、あるいはそれをどういう形で厚生省の中は初動態勢をとったのか。別にそれはそれでもって対応が悪いという話ではなくて、そこにきっと、我々も知恵を出しながらもっといい防災システムというか初動態勢、厚生省としての初動態勢あるいは国の態勢をつくり得る糸口があると思うので、ぜひそういう教訓を生かしていく道を我々も考えていきたいし、力をお出しをいただきたいと思います。  それで、質問時間が短いので済みません、少し政府の中の雰囲気というか閣僚の皆さんの今受けとめておられる感覚だけでもいいので厚生大臣にお聞かせをいただきたいのですけれども、震度六とか七という地震が来ました。それで、恐らく何十年に一遍やろうという話になるのかと思うのですが、しかし現地、また余震があるかもしれないという気持ちがあります。閣僚の皆さんあるいは政府の部内の雰囲気として、これほどの大きい地震が来てんからしばらくもう大きい地震はないわという感覚なのか、あるいはあすにでもまたこういう地震が起こるから早く対策をとろうという対応というか、そういう姿勢でおられるのか、その辺の、微妙なニュアンスでしょうけれども、どういうふうに受けとめておられますか。
  77. 井出正一

    井出国務大臣 正直のところ、こんな大きな地震が、しかも神戸を中心に来るとはだれも夢にも思わなかったことは事実でありました。しかし、考えてみれば、ここ数年来もう北海道からずっと、何も東海地域だけじゃない、地震の発生は見ておるわけでございまして、そういった意味では災害への備えはいっどこにおいてもしておかなくちゃならぬ、油断してはならないなということをみんなで痛感しているはずであります。  そして、一度起こっちゃったからもう当分は起こらないだろうなんという雰囲気は全くありません。むしろこの大きな震災に、今はその対応で精いっぱいでありますが、またいつ発生しないともわからないぞ、その備えをきちっとしておかなくちゃまさにならぬな、こういった雰囲気だと申し上げていいと思います。
  78. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 日本が震災列島で、いわば災害王国のような国であるということを思い出したわけですけれども、のど元過ぎれば熱さを忘れるという感じで、災害が終わってしまえばそれでという形にぜひならないようにしてほしいんです。  それで、今おっしゃったようなことであれば多少なりとも安心できるのですけれども、であるならば、ぜひ平成七年度の予算案の見直しをしていただきたい。神戸沖の空港をつくるよりも、あるいは新しい飛行場とか新しい高速道路とか新幹線をつくるよりも、今走っている新幹線、高速道路の安全性を高めるために、補強工事であれ、あるいはその点検なりをぜひしていただきたい。これは厚生大臣の所管じゃないというふうにお考えでしょうけれども、そういう意味で言えば、医療施設だっていっぱい壊れているわけですから、そういう意味で、そういう点も踏まえてぜひ、平成七年度の予算案、まだ見直す時期はあると思います。 不要不急の予算をつくるよりも、一年二年そんな建設がおくれたって、今の被災地の再興の方が先ですから、そういう意味予算の見直しをぜひしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。お答えいただけるようでしたらお答えください。
  79. 井出正一

    井出国務大臣 予算委員会でもそういう御意見は野党の先生の方から出されていらっしゃったことは私も承知しております。しかし、七年度予算案は、これは私どもといたしましては十分に精査した上で盛り込んだものでございまして、それはそれぞれみんな必要なものが入っておる、こう考えておりますから、大蔵大臣もおっしゃっていましたが、見直しは考えておりません。  今度のこの災害対策にも十分配慮しなくちゃならぬこと、これは当然でございますが、それらにつきましては、都市基盤の復旧や復興を地元自治体と一緒になって推進していくべく補正予算で十分なる対応をしていきたいというのが政府全体の考えであることを申し上げておきたいと思います。
  80. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 時間が来ましたので質問を終わらせていただきます。  最後にお願いですけれども、済みません、たくさんの人たちがあそこで苦しい生活をしておられるのを見ていると、ぜひ一刻も早くという気持ちになります。  それで、今のお話聞いていて、やはり避難所がいつまでに閉鎖できるというか、避難所から抜け出せるよという道筋をどうもお示しいただけないようなので、もちろん何月までにはやりますとおっしゃってくださるならそれはそれでいいですけれどもお話聞いていてもその雰囲気はありません。そこは政治の怠慢だというふうに言わざるを得ないと思いますけれども、せめて、今避難所生活が長くなってくるというふうに見込まれるのであれば、例えばマットレスですとか畳ですとかを入れていただきたいし、湿った毛布は暖かい毛布とかえていただきたいし、できれば間仕切りをつくるなり、大阪のインデックスのところは間仕切りつくって、国際見本市の会場でも間仕切りつくってやっていますけれども、そういう間仕切りを使うとか小部屋に動いていただくとか、何かぜひそういう、細かな対応ですけれどもお願いをしたいと思います。  それで、現地の人たちの意向調査をしてあげて、単に激励に行くんじゃなくて、国が何をすべきかということについて皆さん率直にお聞かせくださいということでいっていただくのが一番いいと思うんですね。それで、いつまでに避難所は出られますよというか、いつまでに政府はこんなふうにやりますよという、皆さん生活の見通しか立てられるようなことをぜひお願いをさせていただきたいと思います。
  81. 井出正一

    井出国務大臣 実は、避難所生活が残念ながらかなり長期間に及ぶであろうということから、マットやあるいは畳、またつい立てなんかはできるだけ調えるべきだということを私、先週ですか、指示をしたところであります。現地でまだ、大阪は私行きませんでしたから見てまいりませんでしたが、神戸では大きな講堂とか体育館なんか、つい立てはございませんでしたが、畳が少し入ったりいたしておりました。  ただ、一緒に行ってくれた助役さんにお話ししましたら、正直のところ、神戸の場合はまだそこまで手が回らないし頭もいって一いなかったと。だけれども、これはどんどんこの救助法のあれで手配してくださって構いませんからやってくださいというお願いをたまたま助役さんやあるいは民生部長さん方にしてきたところであることを申し添えておきます。
  82. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 ありがとうございました。失礼しました。
  83. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 福島豊君。
  84. 福島豊

    ○福島委員 まず初めに、五千名を超しました犠牲者の皆様に心よりお悔やみ申し上げますと同時に、現在も大変に困難な避難生活をしておられます被災者の皆様にお見舞い申し上げます。  私は、今までの質問に立たれました委員とは重ならないように心がけまして、質問させていただきたいと思います。  まず第一点でございますけれども、社会福祉施設、さまざまなものがございますが、これも大変な被害を受けられたと思います。その現状について、どのようになっているのかということにつきまして簡単に御説明をいただきたいと思います。
  85. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 今回の兵庫県南部地震によります社会福祉施設被害につきましては、現在もなお詳しく調査中でございますが、現時点で把握している被害状況を見ますと、兵庫県を初め九府県に及んでおります。施設の全壊は八施設、半壊は十五施設のほか、その他の施設では壁の亀裂でありますとか設備品の損壊等の被害がありまして、全部で千六十八カ所の施設被害が生じております。そのうち兵庫県、神戸市は六百三十カ所、多くの施設は保育所でございます。
  86. 福島豊

    ○福島委員 大変に大きな被害が出ているということでございます。  厚生省からいただきました取り組み状況についての資料でございますけれども復旧に関してですが、「災害復旧工事の早期着工に努める。」そのように書いてあります。道路または港湾等も大変に大切な社会のインフラでございますけれども福祉施設というのも、ある意味でやはり大事な社会のインフラだと思います。この「早期着工に努める。」ということでございますが、どのような見通しで、いつごろまでにどうするのかということにつきましてお聞かせいただきたいと思います。
  87. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 これもそれぞれの設置主体の問題がございますので、設置主体の方でどういう対応をとっていただけるかということになろうかと思うわけでございますけれども、私どもといたしましては、まず、各施設災害復旧で国庫補助の必要なものにつきましては、早急に国庫補助対応をさせていただきます。これは、必要があれば補正予算も組んでいただきますけれども、現在のお願いいたしております補正予算の中ででも何とか対応は可能であろうかと思いますが、早急に国庫補助を対応させていただきたい。  また、民間の施設につきましては、そのほかに社会福祉・医療事業団からの融資がございますが、この社会福祉・医療事業団の融資につきましても、融資条件の緩和等の特別の対策を講じたいと思っております。  また、国庫補助につきましても、従来の一般的な国庫補助ですと、国二分の一、地方自治体四分の一、設置者負担四分の一、こうなっておりますが、この国庫補助率のかさ上げにつきましても、何らかの方法でできないかということで、今検討をさせていただいております。
  88. 福島豊

    ○福島委員 今御発言のありました国庫補助の負担のかさ上げのことでございますけれども、これは何としてでも前向きに取り組んでいただきたいと思います。  それから、民間の施設のことでございますが、融資がございますね。社会福祉・医療事業団の災害融資ということでございますけれども、いろいろと、無利子とするとか融資率の引き上げとかございますけれども、しかし、やはり借金をしなければいかぬということになるわけですね。その借金の額ということを考えましたときに、やはり大変なんじゃないか。そこで、何とか公的な資金でカバーできるところがないか、そういう知恵は厚生省にないかというふうに思うのですけれども、どうでございましょう。
  89. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 これも、今申し上げた国庫補助のかさ上げの部分を民間の施設につきましても適用できないかということで、今検討をさせていただいております。
  90. 福島豊

    ○福島委員 ぜひよろしくお願いいたします。  引き続きまして、要介護高齢者、また障害者、要保護児童の皆様等についての対応でございますが、この厚生省にいただきました資料でございますけれども、その中では「援護が早急に講じられる体制確保介護等の専門家を含む巡回チーム による避難所の要援護者の速やかな発見・援護の実施、在宅独居老人障害者等安否確認の措置につき、兵庫県及び神戸市に要請した。」というふうにあります。これはなかなか、現場に行ってみますと、さまざまな福祉サービスが必要な人、これを的確に被災地の全体にわたって認識されているのかどうか。  実際に特別養護老人ホームに行ってまいりましたが、そこに入所要請がさまざまな形であるわけですけれども、具体的には避難所からの要請というのが一番多い。ただ、ではそこにひっかからない人はこれをどうするのか。巡回しているというわけですけれども、どれだけ徹底して巡回できているのか、その体制がどうなっているのか。本当に必要な人が必要なサービスを受けられるような体制になっているのかどうか。そのあたりの点につきましてはどうでございましょうか。自治体に要請したということでございますけれども、やはり国が頑張りますということが必要じゃないかというふうに思うのですけれども
  91. 阿部正俊

    阿部(正)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、今千五、六百人の方々がいわゆる本来的には入所施設緊急入所という形で対応しているケースが一番多いわけでございまして、そういったふうな形にならなかったケースといいましょうか、避難所等でまだ相当な数がおられると思います。あるいは避難所に行かないで御自宅で、いわゆる従来の在宅サービスを受けられぬままの形で、まだひとりでおられるという方も相当おられるのではないかな、こんなふうに思っています。  率直に申しまして、災害発生時から一週間ないし二週間くらいはそういったふうな安否確認までなかなか手が回りませんで、ようやく先月いっぱいくらいの段階で、何とか安否確認がヘルパーさんとか民生委員さんたちを動員しまして一応できておる状態になりつつあるという状況で、先生御指摘のように、これから先避難所生活も長期化するかもしれないというふうな状況、それから、仮に仮設住宅等々に優先的にお移りになっても、そこの中でも従来のような形でのサービスがきちっと展開される状態をつくるというのはちょっと時間がかかるのではないかなと思いますので、そういったふうな方については、もう少し、その避難所生活あるいは応急住宅でのまとまった形での生活ということの場面場面で、何か従来の通常型の在宅サービス、いろいろな相談に乗ったり、あるいは若干の介護的な面での手助けをしたりということが従来型のままでなかなかうまくいかないのではないか。拠点拠点に、何かそういったふうなまとまったサービス拠点のようなものをつくれないだろうかということで、今神戸市、県と協議中でございます。  何というのでしょうか、緊急対応というのは一時的な緊急入所という形でしかなかったのですけれども、半恒常と言ってはなんですけれども、少し、数カ月を見越した在宅サービスの展開の仕方の体制づくりを今急いでやってもらっているというふうな状況でございます。
  92. 福島豊

    ○福島委員 早急にその拠点づくりを行っていただきたいと思います。  続きまして、これは二月六日、昨日の京都新聞でございますが、「老人ホームが満杯」というふうな記事がございました。「被災高齢者続々緊急入所 既に雑魚寝状態」。雑魚寝といいますと非常に聞こえが悪いわけで、実際にはもっとしっかりと対応していただいていると思うのですけれども、特別養護老人ホームに私行ってまいりましたが、定員五十名のところを八十名近くの人を抱えておられる。ですから、会議室であるとか、介護器具の展示ルームであるとか、要するにありとあらゆるスペースを使ってそこにベッドを置きまして、お世話をしている。大変、関係者の皆様に頭が下がる思いで拝見させていただきました。  ただ、この状況というのが、今後どうするのかということを考えたときになかなか厳しいものがあるなというふうに思いました。厚生省としましては、他府県にできるだけ受け入れていただくようにということをいろいろ働きかけておられると思うのですけれども、その状況についてどうなっているのか。  例えば、これは二月三日の朝日新聞の記事でございますが、若干古いかと思いますけれども、「大阪府は福祉政策課の中に「要介護者受入れ対策プロジェクトチーム」を発足。」「一千七百五十人の受け入れ態勢を作っている。」しかし「一月末時点で受け入れが決まったのは百二十一人にすぎない。」  先ほど仮設住宅とも重なってくることでございますが、近隣府県で受け入れ態勢をつくったとしても、それがなかなかスムーズに進んでいないのではないかという認識があるのですけれども、その点についての厚生省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  93. 阿部正俊

    阿部(正)政府委員 例えば老人だけの例で申し上げますと、約千二百名ぐらいの緊急入所という形の中で県外施設分が百五、六十名というふうな域にとどまっていることも事実でございます。これは、非常に遠方までというのはなかなか無理がと思いますけれども、もう少し近県あたりぐらいに考えまして、何とかおわかりいただいてお移りいただけないだろうかというふうにも、正直申しまして思っております。  というのは、避難所緊急入所ということでもうそろそろ大分、先生例を挙げられましたように、別にオーバーフローしているとかそういう言い方は余りどうかなと思いますけれども、ぎりぎりいっぱい頑張ってもらっているような状況でございますので、それも余り長期化もできませんし、かつまた、これから避難所からそこに移りたいという方もおるのかなと思いますので、それはもう少し利用者に御理解いただく、説得をしながら県外施設への御利用というのもさらに進めていくように努力してみたい、こんなふうに思っております。
  94. 福島豊

    ○福島委員 実際に緊急入所された方のお話をお聞きしますと、やはりなかなか兵庫から大阪に移りたくない、そういう方は実際におられるのですね。特に、お年寄りの方はそういう思いが強かろうなという気がいたします。そういう意味では、私思うのですけれども一つは、やはり現地での仮設住宅にできるだけ早く入所させてあげる。これも、優先するという形になっているというふうに報道されておりますけれども、その点具体的にどうなっているのかということを一点お聞きしたいということ。  それからもう一つは、なかなか施設が足りないということはあろうと思うのですけれども、少し規模は小さくても仮設のケア施設のようなものを現地につくれないかということなんですね。先ほど拠点づくりというお話もありましたけれども、拠点ということも含めて考えますと、そういうものをやはりつくっていいのじゃないかなというふうに思うのですけれども、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  95. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 仮設住宅につきましては先ほど来御説明を申し上げていたのですが、現実にでき上がりましたのがまだ百数十戸ということでございますので。ただ、入居はできるだけ優先的に御老人障害者を入れるようにということで指導いたしているところでございます。これは今月中に相当建設が進むだろう、こう考えております。  また、仮設住宅に入るまでの間何らかの形でやはりそういう障害者方々をケアをする体制をつくらなければならないということで、公的な宿泊施設でございますね、あるいは民宿、そういうふうなところにも仮設住宅のような形で対応できるような措置も今講じているところでございまして、これも受け入れはかなりまだあるわけでございますが、今先生がおっしゃられたように現実に住んでいらしたところから余り遠くへ行きたくない、こういう御希望があるようで、余り利用はないようでございますが、逐次その利用も今普及されてきているところでございます。
  96. 阿部正俊

    阿部(正)政府委員 まだ市、県と協議中の段階 ではございますけれども、応急仮設住宅への優先入居は、今申し上げたようにできるだけしていただくということ。それから、例えば避難所への職員派遣等々を通じて何がしかの手助けをしようというふうな構想。それからもう一つは、先生御指摘のように、いわば特定避難所というふうな形で、ある一定の、通常の避難所よりもうちょっとさまざまな手だてを講じた障害高齢者向けの避難所というふうなものの設置ができないだろうかというふうなところを、合いういろな対応幾つかの案を持って市、県と協議中であるということで、できますれば先生御指摘のような形での、言ってみれば特定避難所というふうなことも一つの候補として今協議中であるということだけ申し上げておきたいと思います。
  97. 福島豊

    ○福島委員 ぜひよろしくお願いいたします。  それから、仮設住宅の仲なんですけれども、こういう御意見があるのですね。これは二月三日の朝日新聞ですが、アパートがつぶれちゃって避難してこられたおばあちゃんですけれども、「身寄りもないし、安心できるホームで暮らしたい。仮設住宅に申し込んでも入居期間がたった一年では…」。というふうに、仮設住宅入居期間、これはまあ一年を超えた後はまた考えるというふうな形になっているかと思うのですけれども、そういう不安感というのが随分あるかと思うのです。どうなっちゃうのだろうということですね。そのあたり、政府としましても、一年たってもやはりちゃんと対応します、大丈夫ですよということをしっかりと言っていただきたいと私は思うのですけれども、どうでございましょうか。
  98. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 先ほど住宅につきましていろいろと御意見をいただいておりますが、やはり基本的には、御自分の家を何らかの形で確保していただくという形が本来であろうかと思います。したがいまして、仮設住宅はあくまでも応急的なものでございますが、今先生おっしゃるように、本当に今回のような被害ですとなかなか自分の家を復興するまでに時間がかかる、あるいは公営住宅を待っていてもなかなか時間がかかるというようなこともございますので、その間におきましては仮設住宅対応せざるを得ないというケースもあろうかと思います。  私どもといたしましては、できるだけやはり仮設住宅の期間も短い方がよりいいだろうとは思っておりますが、ただ、できない、移る場所がない限りにおいてはやむを得ませんので、そういう面につきましては、仮設住宅をできるだけ活用していただくという形で対応させていただきたいと思います。ですから、原則は二年以内というような形になっておりますけれども、雲仙の場合にはもう既にそれを超えておりますし、現実問題としては、どうしても移れない場合には何らかの措置を講じざるを得ませんので、その点は弾力的に対応したいと思います。
  99. 福島豊

    ○福島委員 ぜひしっかりよろしくお願いいたします。  それから、被災時の福祉施設支援についてお願いしたいと思うのですが、特別養護老人ホームに伺いましたところ、震災のときにガスも水道も電気もとまってしまった。食べ物もない。たくさんおられるわけですけれども、どうしたかといいますと、他府県にありました被害を受けていないところの関連施設から緊急で食糧を運んできた。深夜までかかったそうでございますけれども。必ずしも福祉施設だけに限らなくて、これは医療機関等でも一緒だと思うのですけれども、公的な、ある程度の人数を抱えているところがありますね。そしてまた、ライフラインの途絶ということが大きな影響を与える施設というのがあるわけですけれども、そういうものに対してもっと迅速にバックアップする体制といいますか、そういうものがないのだろうか、できないのだろうかということでございますけれども、いかがでございましょうか。
  100. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 まさしくそれに対応するための措置が災害救助だと思うのです。ですから、先ほど山本先生からもおしかりを受けましたけれども、県、市ともに実際に被害を受けられて臨機応変の対応ができなかったために、一部の地域におきましてはそういうふうな形が十分にとれなかったのだろうと思いますが、本来的には災害救助でそういう形で実際に食料などの提供がない場合はそこに食料の提供ができるシステムにはなっております。  たまたま今回は司令塔がつぶれてしまったというそういう非常に異例な事態でございまして、今回のそういうようなケースにつきましては、本当にこれからも何か対応策を十分私どもといたしましても考えていかなければならない、こう考えております。
  101. 福島豊

    ○福島委員 今回の経験を非常に大切なものとしまして、司令塔がつぶれてしまう場合に、どう広域で緊急にバックアップするのかという体制をしっかりと考えていただきたいと思います。  それから、ちょっと飛びまして、次に医療機関のことについて、時間も迫ってきましたのでお聞きをしたいと思います。  こういう記事がございます。先ほども鴨下委員の方から御指摘がありましたが、これは一月三十日の朝日新聞です。「リウマチ・ぜんそく・高血圧… 慢性疾患 患者ピンチ」という記事がございます。実際に現地でお聞きしますと、やはり避難生活がだんだん長期化してくるに従って、もともとの慢性疾患が悪くなる方というのがやはり多々おられる。さまざまな慢性疾患があろうかと思うのですけれども、なかなか避難所の医療施設では検査も十分にできない。それから、薬にしましても、やはりなかなか、ありとあらゆる種類をそろえるというわけにもいかないわけですから、どうしてもセレクトしたものになるだろうと思うのですね。  そういうことを考えますと、今後大切なことというのは、やはり現地での医療体制をいかに早く立ち上げるかということである。いかに早く立ち上げて、実際の緊急の医療体制から切りかえていくのかということが大切であるというような御指摘がありました。  その中で、実際回ってみますと、診療所等でも被災しまして、なかなかどうもこうもならぬというところも多々あるわけですね。この医療機関に対して、その機能をまた再開するための支援厚生省としてはどのような形でされていくつもりなのか、予定なのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、網岡委員長代理着席〕
  102. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今先生お触れになりましたように、避難所での医療体制ということでは、救護センターというものを設けて、現在百五十八カ所で医師、看護婦が常駐をしているわけでございますが、だんだんやはり日常の医療体制に切りかえていかなければいけないということは、私どもも、そのことについては緊急の課題だという認識を持っております。ただ一方、二十数万の方が避難所にまだおられるという現実もございますので、避難所におきます医療を継続的に確保していく、医療スタッフを継続的に確保していくということも必要だと思っております。  新しい状況に今対応していくためには、今後の医療提供体制のあり方、具体的には、周辺の病院なり診療所が機能を回復してきているところとまだしていないところとございますので、そういう点についてどういう体制をとっていくのかということについて、地元の自治体、それから医師会が中心になりまして、現地におります私ども現地対策本部の者も加わりまして、現在具体的な協議を続けているところでございます。そういうようなことについて、できるだけ早くそういったような計画をつくってまいりたいというふうに思っております。  それから、診療所等の復旧に対します支援の問題でございますけれども、医療機関の再建、復旧のための社会福祉・医療事業団の融資というものが、一月二十四日の閣議で、通常の貸付利率よりも利率を引き下げた年四・四五%、さらに被害の大きな医療機関には年三%に軽減する特別措置が 講じられておりますけれども、なおこれに加えて、地域の医療機関の復興のためにどのような方策をやったらいいのか、これは現在政府内部で検討しているところでございまして、できるだけ早くその結論を得たいと思っております。
  103. 福島豊

    ○福島委員 最近医業経営が厳しいというのは、これはもう周知の事実でございまして、その中で新たに巨額の借金をしてまた医療機関をスタートするというのは、民間にとっては大変なことだと思います。ですから、一刻も早く検討を進めていただきたい、そのように思います。  時間が迫ってまいりましたので、あと一問だけ質問させていただきます。  医療費のことでございますが、この自己負担分について軽減措置を考える、これは三月以降も考えるということがマスコミでも報道されておりました。その自己負担分でございますけれども、それ以外に私は、例えば地域保険でありますところの国民健康保険の保険料の軽減措置をすべきではないかというふうに思います。この厚生省取り組み状況ということでは、これは一年間の猶予というようなことになっておるかと思うのですけれども、一年たったらやはり払わなければいけない。一年後に被災者の方がもう十分に経済的にも安定した状況を取り戻しておればいいのですけれども、しかし、そのころは、例えば自分の家はまたどうするのかとか、いろいろなことが多分あるだろうと思うのですね。ですから、これは猶予ということではなくて、軽減措置なりにすべきだと私は思うのですけれども、その点についての厚生省、また大臣の認識を聞かせていただければと思います。
  104. 岡光序治

    岡光政府委員 国民健康保険の保険料の減免でございますが、現在国民健康保険法で規定をしておりまして、災害の場合には保険料の免除なり減額の措置を講ずることができる、その場合には市町村において条例で定めるということにしてあります。私どもは、条例でこんなことを規定したらいいのじゃないかということで通知をしておりまして、災害によって受けた被害の程度とか、あるいは所得の多寡に応じて一定の基準を示しております。現在、その基準がこれでいいのかということで、税の方の基準の見直しと並行いたしまして、その見直しをしているところでございます。  一方、保険料を軽減しますと、保険者としては医療費を払っていかなければならぬわけですから財政的には苦しくなるわけでございまして、この財政の措置につきましては、今までのルールですと、減免額の十分の八以内の額を調整交付金、国の負担金で補うということにしておるわけでございます。地元の方からは、減免額の全額を補てんしてくれ、こういう要望が挙がってきておりまして、この点につきましては、できるだけ要望に沿うような方向で、現在政府内部で調整を進めているところでございます。
  105. 福島豊

    ○福島委員 どうもありがとうございました。  大臣に御答弁いただく時間がなくなってしまいました。ぜひよろしくお願いいたします。
  106. 井出正一

    井出国務大臣 今の件ですが、県の方から、また神戸市の方の御要望の中にもトップに書いてありまして、今局長申し上げましたような方向で努力してまいるつもりであります。
  107. 福島豊

    ○福島委員 ありがとうございました。
  108. 網岡雄

    ○網岡委員長代理 五島正規君。
  109. 五島正規

    ○五島委員 まず最初に、今回の兵庫県南部地震災害によりましてお亡くなりになられた多くの皆さん、そして現在もなお避難生活を送っておられる方々に対して、心からの哀悼とお見舞いを表させていただきたいと思います。  そこで、厚生省にお伺いしたいわけでございますが、今回の災害が予想をはるかに超えた大きな災害であったということで、救急救今から始まって、今日に至るまでの一連の厚生行政として任務を課せられていた。その事業を進めていく中において、最も反省すべき点というのは具体的にどういう点が今日出てきているのか、それをまずお伺いしたいと思います。
  110. 井出正一

    井出国務大臣 厚生省の受け持つ分野は、この震災の発生時、まず飲み水から始まりまして、ライフラインの水道がああいう被害を受けました。あるいは炊き出し、さらには仮設住宅、それに伴うトイレ、バスの手配、あるいは遺体の処理、これにはドライアイスとか、ひつぎとか、あるいは火葬場、さらには瓦れき、大変広い分野でございました。  そのほかに、まさに厚生省の最も担うべきもう一つの医療体制、あるいは医薬品の確保、こういった大変広い分野でございまして、ある意味では大変混乱もしたことは事実でありますが、しかし、それぞれの分野でみんな一生懸命頑張ってくれたことは私もありがたいと思っておりますが、やはり初動の時期におきまして、連絡、電話もなかなか通じない、あるいは運搬の手段も大変交通がああいう状況になっちゃって思うようにいかないといった点で、スタート時に大変苦労をしたところじゃないかな、こんなふうに今反省をしておるところであります。
  111. 五島正規

    ○五島委員 こういうような大きな災害が起こった場合に厚生行政として本来準備されていなければいけないことが非常に幅広くあり、そしてそれが結果的に、今回のような大災害になると、それぞれ担当の方の必死の努力努力としながらも、やはり結果として非常に大きな被害になってしまったということは、今後具体的な中において改善していかなければいけないことだろうというふうに考えています。  それで、その中で、具体的に災害が起こった直後においては、災害の発生の時点においては救急救命活動というのが第一義的にやられる、そしてその直後においてはいわゆる衣食住、衣料品、衣服、それから食料、避難所といった衣食住の問題が上がってくるでしょうし、それから一定の時間が経過してちょうど今日の時点になりますと、今度は新しい意味において、医療の医と職場の職と住宅ということが大きな課題になってくるのだろうというふうに思っています。  そういう意味で、今回の災害の中で、とりわけ人命に関係する重要な問題について反省するとしますと、あのように大きな災害が発生し、そして医療機関も非常に被害を受けるという状況の中において救命活動に必死になった。それはそのとおりでございますが、あわせて約三万人ぐらいのけが人も出ておられる、そういう方々に対する治療の体制、あるいは現在もなお二十数万人の方が避難生活をやっておられる中においてさまざまな健康上の問題が発生しているわけでございます。こういうふうな状態に対して、今後の問題として、その医療の体制が今のままでいいのかどうかということが非常に重要なのではないかというふうに思っています。  とりわけ、緊急に収容すべき医療機関がほとんど崩壊している、そして、幸いにして建物の構造が残った医療機関においても実際には医療提供の機能が果たせなくなっているという状況の中において、そうした患者さんをどういうふうに対応していくのか。これは非常に広域的にあらかじめ防災計画の中で考えておかないといけないことではないかというふうに思われるわけですね。今日もまだ、例えば神戸大学の医学部は建物の被害はさほど大きいとは聞いておりません。しかし、なお脳外科等を中心とした医療については、医療機器、検査機器の点検あるいは修理ということができていないという状況で、医療の供給はできていないと聞いています。そういうような状況を踏まえて、その込もう一度、その防災計画が、一自治体を超えて広範囲に、広域的に見直す必要があるのじゃないかというふうに思うわけですが、そのあたりについて、大臣どのようにお考えでしょうか。     〔網岡委員長代理退席、委員長着席〕
  112. 井出正一

    井出国務大臣 五日目だったのですが、先月の二十一日に私も神戸大学の附属病院へ伺いまして院長先生にお話をお聞きしたのでありますが、確かに水は出なくなっちゃっているような状況ですから、建物そのものはどうこうなくても必要な医療は施せなくて、大阪大学とか京都大学の附属病院へ重症の患者さんたちはお送りした。こんな話 をお聞きしまして、国立大学の附属病院同士は割合、混乱の中でもそういう連絡がよくとれておった。あるいは日赤の関係はそれなりに、あるいは国立病院同士、こういったお話をお聞きしますと、やはりそれぞれの組織化というのでしょうか、これがいかに重要がなということを痛感したのであります、今先生のおっしゃるとおり。それを、ほかの民間医療機関を含めて、どうしたらこういうときに機動的な活動といいましょうか、機能を発揮できるか、これから考えていかなくちゃならぬことを痛感したところであります。
  113. 五島正規

    ○五島委員 さらに、現在、今回の地震災害による被害というのは今日の段階でもうこれ以上は広がらないと言えるのかどうかということが非常に大きな問題でございます。  多くの患者さんが避難生活をしておられる中で、全国から数多くの医者が救援活動に、あるいはボランティアとして参加しているわけでございます。私自身が非常に親しくしたり直接関係している団体でも約十の避難所の医療を担当しております。  それで、そうした中からの報告をお伺いしますと、例えば避難生活をしておられるお年寄りなんかの健康状態、基本的にはABCDと、Aは即時入院、Bは老人病院等の一般病院へ入院、Cについては要医療、Dについては要経過観察というふうに仕分けをして、それぞれ避難所の中で診ているようでございますが、この要経過観察と言っている比較的軽症だろうと思ったお年寄りの中からも、次の日にはやはりどうしても入院させなければいけないという非常な病状の急変というものが多いというふうに指摘される。例えば六甲小学校一つとりましても、この三十一日から二日までの間に、そのわずか三日間の間に入院患者、これははとんとがインフルエンザから肺炎になったというケースのようですが、三十人の入院患者を出しているという状況で、避難所の中におけるそういう避難生活という環境に置かれたことによっての健康障害というのがかなり進んでいる。また、避難生活の中で、全く物を言わず、あの密集した環境の中において他人との関係を全く断ってしまって物を言わなくなったお年寄りの数というものが非常にふえておるというふうにも報告を受けております。  恐らくこのインフルエンザ対策の問題、あわせて、こうした大規模な災害が起こった後一月ぐらいたちますと、よくお年寄りを中心としたメンタルヘルス上の問題というものが指摘をされているわけでございますが、これに対する対応というものは急がないと、被害というものはもっともっと広がるのではないかというふうに考えられるわけでございます。  さらにもう一つは、この災害が発生するまでに何らかの基礎疾患を持って医療機関にかかっておられた方々、例えば糖尿病であったり肝臓が悪いあるいは腎臓が悪い等々の理由でもって、基礎疾患を持って医療機関においてコントロールされ、それによって在宅生活しておられた方々、これが、診療所を中心に約半数の医療機関が医療の提供ができなくなったということで、その方々の継続医療ができなくなっている。  それで、外部からの医者が応援体制で入っても、いわゆる新たに発生した急性疾患あるいは外傷ということに対しては対応できたとしても、そうした基礎疾患を持っており、長い経過の中でコントロールされている方々がこの大変な災害の中で治療を中断され、非常に症状悪化しておる。こういう方々に対しては何としても地元のそれまで診ておられた。主治医であった先生方、もうカルテも飛散してなかなか照会もどうもならないという状況では、地元の主治医であった先生方の手において一刻も早く基礎疾患の治療もあわせてやっていくということにしないと、その面からの犠牲もふえてくるというふうに考えられるわけでございますが、こうした三点について、厚生省どのように今お考えがお伺いしたいと思います。
  114. 松村明仁

    ○松村政府委員 規模の大きい避難所にたくさんの方が一緒に住んでおりまして、また暖房もないというような状況下におきましてインフルエンザ様の疾患がはやるという状態、まことに憂慮すべきものがございます。  現在私ども、全部の避難所の発生状況把握しているわけではございませんけれども、一応兵庫県が取りまとめておりますところによりますと、一月二十四日以降でございますが、救護所や巡回診療で治療を受けた方は、一月二十四日から二月四日までの間に八千八百三十名の方が治療を受けました。この中で、風邪を引いておられるという方が四千九百七十六名、それから重症の肺炎というような診断を受けた方も十五名おられた。こういうふうに伺っております。こうした方々につきましては、なかなか難しいことではありますけれども、可能な限り後方の病院に移送をしていただいて十分な医療を受けるように努めているところでございます。  それから、委員指摘のメンタルヘルスの問題でございますが、このような非常に大きな災害の発生を見た場合に、最初は皆一生懸命になって緊急の災害から身を守るということで元気にやるわけなんですが、しばらくたちますと精神的な不安感というようなものが起こってまいります。特に身近な方を失った方、あるいはそれまでに一生懸命築き上げた財産を全部一時期に失ったというようなことで、非常な失意から不安な精神状態になるということが言われております。  こういったことに対応すべく、現在神戸市等の十の保健所におきまして精神科救護所を設置しておるところでございます。また、その一部におきましては巡回診療を実施するというようなこと、さらには尼崎市のように地元の医師会の協力によりまして協力診療所というのを確保して、著しく心の健康を害した被害者の方々対応をとっているところであります。  以上、二点についてお答え申し上げました。
  115. 五島正規

    ○五島委員 時間がございませんので、最後に一つ大臣にお伺いしたいと思います。  今御答弁なかったわけですが、継続医療というふうな問題を考えた場合に、地元の医療機関の立ち上がり、これは今福島議員からも御質問があった点でございますが、非常に重要であるというふうに考えています。  医療機関が今回非常に大きく倒壊した。被害を受けた中において、必死の医療活動にさまざまな形で参加をしていただいているわけでございますが、今回指定されました激甚法の中に医療機関あるいは何よりも重要な水、水道というふうなものが入っていない。これは昭和三十七年の法律でございますから、その当時の経過は私はよくわかりませんが、なぜ入っていないのか。やはり今回の経験から見るならば、先ほど局長が、たった一千万やそこらの金利を四・四五%にしたからと、そんなもので地元の医療機関の立ち上がりができる状態とお考えなのか。これは何よりもやはり激甚法の中に水道とか医療というものをきちっと入れていくべきである、そういうふうに考えるわけですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  116. 井出正一

    井出国務大臣 御指摘のとおり、現在の激甚法の対象には医療施設あるいは水道施設は含まれておりません。私も、どうして含まれないことになってしまったんだかということを大変不思議に思いまして、昭和三十七年ですか、八年ですか、そのころからの経緯を少し探ってみようかなとは思っておりますが、残念ながら現状はそうであります。  医療施設につきましては、公的医療機関に限られるわけですが、これに対しては予算補助によって災害復旧に必要な費用の二分の一の国庫補助が行われてはおります。それから、水道事業及び水道用水供給事業の用に供する水道施設につきましても、予算補助により、災害復旧に必要な費用の二分の一の国庫補助が行われることにはなっております。  そして、こちらの水道関係につきましては、何かマグニチュード六以上の地震とか、あるいはその市町村の財政指数等のいろいろな条件があるようでございますが、それによっては復旧事業費等に応じて補助率のかさ上げ措置も講じられること はあり得るということは承知しております。したがいまして、これらのかさ上げを今財政当局と協議中であります。  もう一つ、今各省それぞれが考えております、また政府全体で考えております特別立法等の絡みもあるものですから、法的な措置をしてやるのか、あるいは予算措置でやるのか、今まさに協議をしておりますが、何とかしなくてはならぬと考えております。  もう一つ、私的な民間医療施設につきまして、正直のところ、これが私一番今頭が痛うございます。いろいろな御要請もちょうだいしておりますが、なかなかこれについてすぐこうすればこうなるということを申し上げられないような状況に今ありますが、特に神戸の場合は半分近くの診療所なんかは大変な被害を受けてしまっていらっしゃるわけですから、この皆さんが立ち上がっていただくためにどうすべきか、これからみんなで考えていかなくてはならぬ大きな問題だと考えております。関係省庁と十分協議するつもりであります。
  117. 五島正規

    ○五島委員 時間が参りましたので、何としても民間の医療機関についても激甚法指定と同等の効果がある措置を講じていただくということをお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  118. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 荒井聰君。
  119. 荒井聰

    荒井(聰)委員 新党さきがけの荒井聰でございます。  まず初めに、阪神大震災でお亡くなりになりました方に心より御冥福をお祈りしますとともに、被害に遭われました方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  さらには、今回の被災復興で政府関係職員が大変尽力をされていると思いますけれども、現在被災民に最も必要な復興策の恐らく八〇%ぐらい、そうはいかないかもしれませんけれども、大半の施策というのは厚生省所管の施策であろうと思います。その意味でも、厚生省職員、大変でしょうけれども頑張っていただきたいと思います。私は、過去に地方自治体の職員だったときに釧路沖地震を、これは職員としてその対策に取り組みました。また、衆議院議員になりましてすぐに奥尻の津波の災害を経験いたしました。このときには二百有余人の方がお亡くなりになり、確かな数字は忘れましたけれども、数百軒の家が火災に見舞われました。  そのときにつくづく思いましたのは、復興というのは単に物の復興ではなくて、かつてあったものの復興ではなくて心の復興、あるいはその地域が持っていた自立と共生といいますか、あるいはコミュニティーといいますか、そういうものの復興である、復活である。みんなで支え合っていたものが、ある大きな災害で一瞬にして建物と同時に心の支え合っていたものもなくなってしまうというのがこの私の経験であります。  恐らく神戸でもそういうパニックがある時期に起きたのでしょうけれども、徐々に、マスコミなどで報道されるように、このコミュニティーの機能が復活しているように思われます。これは、被災地の避難されたところが小学校であるということは、非常に大きな機能を発揮したのではないかと私は思います。多くの場合、生活圏というのは大体小学校が中心でありまして、その小学校の周りで大体コミュニティーが復活してくるというのが私の経験でもあります。そういう意味で、厚生省所管の社会福祉関係関係者がたくさんおられますから、そういう方に尽力を願って、町が持っている自立再生のそういう機能というものをもう一度見直して、この町の復興に役立てていただきたいなというふうに思います。  ところで、私が奥尻で経験いたしましたのは、この方々がショックから立ち直る大きなきっかけは、町の瓦れきがなくなる、あるいは建設のつち音が高くなる、そういうときを見て、はっと気がついたように町の人々がもう一度自分たちでやり直そう、そういう意識に立ち返っているというのを目の当たりに見たことがございます。  今回この被災に遭われた地域の瓦れきというのは、大変大きなものがあろうと思います。関東大震災の際には、横浜の瓦れきが山下公園の建設土となったというふうに聞いております。今回も恐らくそれに匹敵するほどの、またそれ以上の廃棄物が出ているのだろうと思います。一体、どのくらいの建設廃棄物あるいは瓦れきが生じているのか、そして、その瓦れきをどのように処理されようとしているのか、それはいつごろまでかかるのか、そういったような点をまず第一にお聞きしたいと思います。
  120. 藤原正弘

    ○藤原政府委員 倒壊家屋、建築物及び道路、鉄道、港湾等の公共施設などの復旧、復興に伴い発生する廃棄物の量というのを、厚生省などの三省庁で推計したのがございます。これでは、一千百万トン、容積にしますと八百万立方メートルというふうに推定いたしております。この量は相当大きな量でございまして、通常時兵庫県から排出される建設廃棄物の埋立処分量の約七年分に相当するわけでございまして、そういう意味で、相当大量のものでございます。  この処分先でございますが、いわゆるフェニックスセンターの処分場や民間処理業者の最終処分場、また、神戸市等の公共サイドが持っております処分場その他、そういうのを足し算いたしますとかなりたくさん持っておりますので、そういうところで処分は何とかできる。そういう意味で、処分場という点では何とか確保できておる、こういうふうに見ております。しかし、先ほど言いましたような大量の瓦れきでございますし、また運搬というようなことにつきましても、なかなかそのやり方は難しいわけでございます。  それで、処理をすべて終えてしまうにはどれぐらいかかるかということでありますが、交通の支障など生活に与える影響の多いものや倒壊の危険のあるものから順次処理していくというふうなことだとかをやっておりますし、また、瓦れきを処理するためには、不在者を含めた所有者の同意を得るというふうなことが必要でありましたりしまして、今後、相当長期間必要ではないかというふうに見ておりまして、現時点で正確な見通しというのはなかなか難しいわけであります。しかしながら、兵庫県下の地元各市の報告をまとめますと、川西市など三市十町では一カ月から六カ月ぐらいかかる、尼崎市などの三市では六カ月から一年ぐらいかかる、神戸市など三市では一年を超える期間がかかる、こういうふうな見通しを地元では立てておるところでございます。  これからこの災害廃棄物の処理を円滑にやっていく上で、厚生省では、運輸省、建設省及び警察庁と連携を図っておりまして、現地災害廃棄物処理推進協議会を設けておりまして、県及び関係者が協力して、この瓦れき等の仮置き場の確保だとか交通規制等交通体制確保など、こういうふうな対策に取り組んでいるところでございます。
  121. 荒井聰

    荒井(聰)委員 次に、町が復興するために、大変多くの若い人たちが神戸を中心として兵庫県に入り、ボランティアとして活動しているのを見ると、ああ日本の若い人も立派な人がたくさんいるんだな、元気のあるのがたくさんいるんだな、そういう思いを強くいたします。ただ、残念ながら日本の場合には、このボランティアというものの教育というか、あるいは訓練というか、特にボランティアの指導者層の訓練、教育というのが十分ではないというふうに言われていますし、私もまたそのように思います。  現在、どのくらいの人が、どのような分野ボランティアとして参加されているのか、また、その受け入れ態勢はどのような状態になっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  122. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 先生の御質問は今回の兵庫県の災害関係というふうにとらえますと、御承知のように大変自発的な活動でございますので、その実数を把握するような組織もございませんし、また、実際になかなか把握は困難なわけでございますが、先般、大臣神戸市を訪問された際に、兵庫県の社会福祉協議会で聴取したお話では、大体一万八千人ぐらいが兵庫県の社会福祉協議会の傘下で活動をされている。今度の兵庫県全体で 活躍されているのは、恐らくその三倍ぐらいに達するのではないかと推計される。ということは、約五万人ぐらいの方々が活動されているのではないかというお話を地元のボランティアの代表の方からお聞きをしております。  これは、いろいろな活動がございますので、ありとあらゆるものを考えた場合だと思いますが、その中で、特に私どもの非常に関係の深い社会福祉関係ボランティアでございますと、全国の社会福祉協議会が取り組みを始めまして、大阪に拠点を起きまして、大阪の社会福祉協議会が中心となりましてボランティアセンターをつくりました。そして、西宮にベースキャンプを設けてボランティア活動を実施いたしておりますが、それから逐次広がっておりまして、芦屋、加古川、一宮にもそれぞれベースキャンプを置いてやっております。そこに登録されて今実際に活動をされておりますのが、約四千五百名でございます。このような形でございまして、これは社会福祉関係だけということでございます。そのほかにまた、医療関係も相当の数のボランティア活動をされておるというふうに承知をいたしております。  さまざまな活動の分野でございますので、何分その程度のことしかわかりませんが。
  123. 荒井聰

    荒井(聰)委員 若者が誠意を持ってその地域に入るということは、大変美しい立派な行為だと思いますけれども、場合によっては、被災者の中で組織的に仕事をしようとしているところから、ある意味では、その仕事のトラブルの原因になる場合も私の経験からありました。また、こういうような、特に医療関係だと思いますけれども医療関係、お医者さんや看護婦さん、こういうところのボランティアが一番欲しいというか、欠乏すると思います。また、相当疲労がたまっているという情報も入っております。そのような関係者を、ボランティアとしてではなくて、本当に訓練した方として導入するというような御計画は今どのようになっているのでしょうか。
  124. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 ボランティアということの中で特に医療関係ということでお触れになりましたので、そのことに限ってお答えをさせていただきたいと思います。  医療の分野でも、特に医師あるいは看護婦、またそれを補助するようないろいろな職種の方が現地で活動していただいております。ただ、医療の関係では、各都道府県あるいは大学病院ですとか日本赤十字社というようなそういうところから支援をして、現地に来て医療活動に従事しておられる方、これが二月六日の一日現在での数では約千九百人でございますが、そのほかに、先ほどから先生お触れになっているような、本当に自主的に組織を離れて医療活動をされておられる方たちも数多くいると思いますが、ただ、具体的な数自体は私ども把握はしておりません。  ただ、厚生省現地対策本部の中にマンパワーの支援相談窓口というものを設置をいたしまして、そういったような医師としての交代要員あるいは看護婦さんの交代要員というものを求める医療機関からの相談を受け付け、かつまた、みずから現地へ行って働きたいと言われるお医者さんあるいは看護婦さんの受け付け、そういうことをやってきております。  現地の対策本部でそういったような、自分で行きたい人、あるいはそういったようなスタッフを受け入れたい医療機関、そこらの調整をやってきておりますが、現実には、受け入れたいという医療機関、これはただ現地本部で待っているだけじゃなくて、積極的に医療機関にこちらから電話で働きかけているのでございますが、私どもが思っていたほどの数はないというような感じでございます。
  125. 荒井聰

    荒井(聰)委員 ボランティアの方の善意が生きるような方策をぜひ御工夫していただきたいと思います。  ところで、何十万という方がまだ神戸被災者として仮住まいをしているわけです。私は、災害が起きた次の日だったと思いますけれども、与党の院内総務会で、多くの被災者神戸の中で全部対処しようというのは無理ではないでしょうか、むしろインフラがそろっている周辺の市町村なりあるいは周辺の県に引き受けてもらう、そういうところで一時的に被災者の方を受け入れてもらうという方策を考えるべきではないでしょうかということを提案させていただいたんですけれども、札幌でもホームステイとして何人かの学生を受け入れたいというような善意の人たちもおられます。  ただ、そういう人たちが一番心配されているのは、外へ出かけてもいいんだけれども、今ここにある自分の財産はどうするんだろうか、あるいは被災に遭ったけれども、その補償なりそういうものをどうしていただけるんだろうかということに対する不安からなかなか外へ出たがらないということがあるのだろうと思います。これは早く、あなたの被害額はこの程度です、こういう方向で復興する予定です、例えば被災者手帳のようなものを各被災者に配付して、その中で被災というものを確定してあげる、そういうようなことをすれば、皆さんの安心の気持ちというのが助長されて、そういう外の方の受け入れのところに赴くというようなことにもなるのではないかな。こんな点もぜひ御検討いただければなと思います。  時間がございませんので、最後に、何よりも早く復興関係者が元気が出るためには、補正予算でありますとか、二十四日というような話も聞いておりますけれども、補正予算や新しい法律の成立を期するということがこの被災民にとっての一番の元気を復活させる最大の手法だと思います。この点、最後に大臣の御決意をお伺いできればと思います。  私の質問を終わります。
  126. 井出正一

    井出国務大臣 避難されている皆さんが、全国各地からこちらへ来てくださって結構ですよというお誘いは随分いただいておるのですが、なかなか遠くは余り喜んでくださらないという現状はかなり強いものがあります。  その原因は、今荒井議員がおっしゃるようなことや、あるいは、例えば権利関係なんかがいないことによっておかしくなっちゃうんじゃないかといった不安もあると思いますから、ここらを注意しなくちゃならぬということも確かだと思いますが、もう一つ、では果たしてそういうものがきちっといっても、全国津々浦々お申し出のあるところへ皆さんが行ってくださるかというのもちょっと私は自信が持てないものですから、近くにまた用地を確保して仮設住宅をできるだけ多くつくるという努力もあわせてしていかなくちゃならぬ、こう考えているわけであります。  それにいたしましても、これからいろいろな復旧復旧というよりは復興をさせなくちゃいかぬわけでありまして、それにはまた大変なお金も必要なわけでございますから、これは、先ほど組み替えという御提案もありましたが、七年度予算を一日も早く成立させていただいて、そしてまたすぐ地震対策のための七年度第一次補正予算を組ませていただきたい、こんなふうに大蔵大臣予算委員会でおっしゃっていましたし、政府全体として思っておるところであります。  どうかお力添えをお願いしたいと思います。
  127. 荒井聰

    荒井(聰)委員 どうもありがとうございました。
  128. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 岩佐恵美君。
  129. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私、現地に参りまして、壊れた家が重なり合っている、それから火災でもって焼け野原がずっと続いている、そういう場面に遭遇をいたしまして、本当に消防車が足りなかった。あるいは消防車が来ても耐震の防火水槽が足りなくて水がなくて火事で亡くなられた。そうした多くの、五千二百人を超える死者が出たわけですけれども、多くの方が無念の中で亡くなられたのではないか。本当に言葉もありませんでした。  そして、区役所に行ったのですけれども、自動ドアがあいてすぐのところに、もう被災者の方が一階と二階におられて、そしていろいろな区役所への手続があるわけですけれども、その被災者のおられるそこのところをみんなが通路のように 通っておられる。本当に通路といっても人がすれ違えるかどうかぐらいしかあいていない、そこが通りになっているわけですね。ちょうど雪もちらつくときで、外からの冷たい空気がどんどん中に入っているわけですね。  私は、亡くなられた。犠牲になられた方々、そして今被災地で本当に苦しんでおられる方々、そういう方々のことを思ったときに、こういう震災が起こり、そして災害が起こったときに一体どういうふうに対応していかなければいけないのか、そのことを本当にきちんと考えていく必要がある。  先ほどから初動のおくれということがいろいろと言われております。厚生省として、医療、福祉、水道、廃棄物など大震災に対してどういうふうに対応されてこられたのか、そういうことが今問われていると思いますし、とりわけ医療については、本当に初動によってどれだけ多くの方々の命が救われたか、あるいは大きな傷跡を残さないで済んだか、そういうこともあるわけですね。  そういう意味では、医療のおくれということが非常に大きな問題になっていると思いますけれども、例えば災害時における救急医療あるいは救急搬送のおくれ、そして、フランスの医療チームが神戸市に入ったものの、医師免許を持っていない、そういうことを理由に医療行為ができなかったとか、あるいは国際緊急援助隊の医療チーム、これが最近まで、これは厚生省だけの問題ではないと思いますけれども、活用されることができなかった。そういうようなさまざまな問題が指摘をされているわけです。  初動のおくれについて、どういうふうにこれらの問題をひっくるめて考えられ、そして今後どういうふうに対応していかれるのかということについて、先ほどから話が出ていますけれども、改めてお伺いをしておきたいというふうに思います。
  130. 井出正一

    井出国務大臣 先生ごらんになってこられた区役所もそうですし、市役所も、あるいはいろいろな病院あるいは特養の施設のフロアまで本当に避難の皆さんであふれていたというのは、私も目の当たりにしてまいりました。  災害時においては初期の医療の確保が大変重要な課題であるわけでございますが、今回の災害に当たっては、たくさんの犠牲者が生じ、また多数の負傷者が出てくる中で、輸送・通信手段、ライフライン等の大きな打撃を受け、迅速的確な医療の提供を行うことは、残念ながら困難な状況に保あったわけであります。  しかしながら、このような状況の中におきましても、現地の医療機関や関係者の皆様は、それこそ御自分被災されていても、あるいは交通手段がないところを二十キロの道を歩いて駆けつけてくれた看護婦さんの例も聞きましたし、あるいは自転車で六、七時間かけて病院へたどり着いたというお医者さんにもお目にかかってまいりましたが、そういう皆さんの必死の努力や、数多くの近隣の医療機関の皆さんの献身的な御協力によりまして被災者の受け入れが行われたこともまた事実でありまして、深く感謝を申し上げるところであります。  いずれにいたしましても、このような大きな犠牲を出してしまったことを深く反省し、災害時における医療の確保に当たっては、どのような状況にあっても万全の対処を図る必要を改めて痛感したところでございまして、今回の教訓を生かしつつ、自治体や関係省庁とも十分相談しながら、災害の際にも機能できる医療の提供システムの確立に取り組んでいかなければ、こう考えておるところであります。
  131. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 十七日から十八、十九日くらいの初動のおくれ、そういうことももちろんなんですけれども、大体厚生省現地の医療対策本部ができたのがようやくの二十二日なんですね、国立神戸病院に設置をされる。それまでは、兵庫、大阪、京都にある国立病院十八施設被災患者の受け入れ、これが県立病院や私立病院に比べて大変少なかった。国立病院の全国機能が発揮をされてこなかったわけですね。実は、二月五日現在で、国立病院それから診療所から救援センター等への派遣がどのぐらいあるのかということをお伺いしたら、一千二百二名だということでした。お医者さんが二百九十二名、看護婦さんが五百六十四名、薬剤師さん等そのほか三百四十六名であるわけなんですね。ところが、国立病院に比べて規模も格段に小さい民間の医療団体である全日本民主医療機関連合会は、四日までで延べ五千六百九十七名、医師は千百六十九名、看護婦は三千百四十六名、その他千三百八十二名、これだけの数を被災地派遣しているわけですね。  私も、送り出した皆さんから話を聞いたのですけれども、お医者さんの数が、そういう小さい医療機関ですから足りているわけじゃないんですね。看護婦さんだってその他の方々だって、足りているわけじゃないんです。だけれども、本当にこんな急場のときだからとにかく行ってくださいということで、すぐに現場にみんな出しているわけですね。それに比べて、厚生省として総力を挙げたと一体言えるのだろうかということが、この国立病院を中心とした援護の数字にあらわれているんじゃないかというふうに思うのですけれども、その点、大臣いかがお考えでしょうか。
  132. 松村明仁

    ○松村政府委員 国立病院・療養所におきましても、被災者の医療の確保を最重点課題として、可能な限り対応を行ってきておるところでございます。現在、兵庫県、大阪府、京都府などに所在いたします二十八の国立病院・療養所におきまして、三千百四十三名の方々に対して救急対応をいたしまして、重症患者五百六十六名を収容しているところであります。  このように、病院としての機能のほかに、避難所救護センターなどに国立病院・療養所の医師、看護婦等の派遣も行っておりまして、こういった数は全体で千三百六十四名、こういうことになっております。
  133. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私はそういう数を聞いているのじゃなくて、数はもうそれではっきりしているわけですから、大臣に、厚生省が初動がおくれ、そして対策本部の設置もおくれている、そういう中で、やはり現地派遣する国立病院からの派遣者の数だって、こういうふうに民間の機関に比べても少ないじゃないですかということを申し上げているわけですね。ですからそういう点、本当に民間の人たちは、一大事だ、大変だということで総力を挙げてみんなやっているわけですね。私たちはそういうことに対して本当に心から敬意を表しているわけで、それに比べて一体、国立病院が少し数が少ないですね、ちょっと驚きましたということを申し上げているわけで、今後またこういうことがないようしていく必要があるんじゃないでしょうか。  今もいろいろな、多くは言いませんけれども、マスコミ等でも指摘されているように、例えばフランスの医療チームの問題でも何かいろいろ国内法との絡みがあるとか、あるいはさっきの国際緊急援助隊の医療チームについても、これもやはり目的外だからだめだとか、何というか、いろいろな縛りがあってなかなか動きがとれていないというようなことがありますので、これからの対応として、そこらの反省も含めて、きちっと対応していっていただきたいというふうに思っているところですが、大臣のお考えを一言伺っておきたいと思います。
  134. 井出正一

    井出国務大臣 民医連の先生あるいは看護婦さんその他の方が大変な人数、現地へ行っていただ。いたようでありまして、大変、心から感謝と敬意を表したいと思います。  それに比べて国立病院・療養所は少ないじゃないかという御指摘でございますが、国立病院・療養所の方も精いっぱいやったはずでございまして、果たしてこれ以上出す余裕があったかどうかは、私はなかったんじゃないかな、こういうふうに考えておるところであります。  それから、外国のお医者さんが来てくださったのが、なかなかうまく受け入れがなかったという御指摘もありましたが、確かにちょっと最初の数 日間は、現地は戸惑ったようであります。といいますのは、やはり通訳の方をどうするかとか、あるいは宿泊施設をどうしたらいいか、こういったようなことも考えたようであります。そんなのはあれしまして、すぐ厚生省の方は、医師法を厳密にあれすればあれだけれども、こういう緊急な事態だから、そんなことを想定した医師法じゃないんだから必要な医療はしていただいても構わないんだという対処はできるだけ早くにはしたつもりでありますが、当初、数日間の間、ちょっとそんなトラブルがあったことは確かだと思っております。
  135. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 時間が大変限られておりますので、最初の基本的な姿勢のところでちょっといろいろと時間を費やしてしまっているわけですけれども、非常にそこの、何というか、数が、精いっぱいやったと思うということですけれども、現実にはこれだけの差ができているわけですね。それで、政府として精いっぱいこれからもやっていっていただかなければいけないわけですね。ですからそういう点では、先ほど申し上げたように、犠牲者方々に報いる、あるいは今困っておられる方々に対して本当に真摯にその事態を受けとめて、初動のおくれを引きずらないようにきちっと対応していただきたいということを再度申し上げておきたいというふうに思います。  それで、具体的な問題ですけれども、例えば今、避難生活が長引くことによって、先ほどからも話がありますけれども、風邪とかストレス、そういうことでいろいろな病気が広がっていっているわけです。  例えば、これは大臣に出した手紙の中にあるのですが、神戸で震災に遭いながら診療を続けておられるお医者さんですけれども災害で保険証をなくされた患者さんが来られますが、この場合自己負担金はいただいておりません、その一方で倒壊した自宅から持ち出したわずかな現金で無理しても払おうとする患者さんもいらっしゃる、兵庫県に問い合わせたら、待ち合わせのある人からは負担金を取るよう指示された。保険証と現金を持っておられても、被災された方々から負担いただくのは気の毒ですから、被災地では一律に負担を免除するくらいの通達が欲しいところですというふうに言われています。  被災者については、保険証やお金がなくても受診できるということを徹底するとともに、一部負担については、猶予できるのではなくて免除をする、そういうふうにすべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  136. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のように、被保険者証が提示できないケースもありますので、提示なしで受診できるという扱いにしております。  また、一部負担金等についても、とりあえず二月末まで支払い猶予という扱いにしておりますが、御質問にございました猶予したものについて今後どう扱うのかという問題があるわけでございます。これにつきましては、国民健康保険の制度の中では一部負担金の減免制度がございますので、その減免制度を活用して、適切な対応ができるように保険者を指導してまいりたいと思っております。  それからもう一点、健康保険の世界ではこの一部負担の免除制度がないわけでございまして、今回の災害は大変なものでございますから、それにふさわしい対応ぶりをどうするか、そこのところは今現在検討しているところでございます。
  137. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 保険証がなくて氏名、住所等を聞いた患者に問い合わせてみたら該当者がいないとか、あるいは大震災直後の診療というのはカルテもないまま行われていて、レセプトによる請求ができない状況にある、そういう医療機関もあります。さらに、震災によって以前のカルテがなくなっている医療機関ももちろんあるわけですね。そういう診療にかかわった医療機関の負担にならないような特別な措置も考えていかなければいけないと思いますが、その点いかがでしょうか。
  138. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のような事態におきましては、そういう証明する資料がないわけでございますので、過去の診療の実績を基礎としながら概算で支払う、こういうやり方をとれるのではないかと思って、そういう方向で関係機関と鋭意調整をしているところでございます。
  139. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 先ほどから出ております地域医療をどうするか。診療所が非常に大きな被害を受けて、被災六市内における診療所の被害というのは、診療可能が一千五百六十九カ所、診療不可能が九百六十一カ所と全体の四割に及んでいるわけですね。診療をしていても、建物が半壊をしていたり、医療機器が壊れてしまった。そういう医療機関が多くて、しかもお医者さんの平均年齢が六十歳、開業医のお医者さんの平均年齢が。すると、六十歳だからもうそろそろ、この機会にやめようかなというようなそういう気弱なことになってしまう。  そうしますと、非常に地域医療に大きな打撃を与える、地域医療が大きな打撃を受けるということになってしまいます。診療意欲を一方で持ちながら途方に暮れている、そういうお医者さんもおられるわけですけれども、その点、例えば仮診療施設避難所周辺や仮設住宅の一角に設ける、そういうことができないかどうか。  それからもう一つは、先ほどから出ている、希望を持てるような医療にするために支援をする。金利を取るというようなそんな支援じゃなくて、本当に、無利子で長期の貸し付け、貸し付けというか無利子の援助をするというような、そういうことを思い切ってやっていく必要があるのではないかというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  140. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 避難所におきます医療から、今先生おっしゃいますように、地域の日常的な医療に切りかえていかなければいけない、また、だんだんそういう時期が来ているということは私どもも十分認識をしているつもりでございます。  具体的にどういう形でやっていくのか。今お触れになりましたように、診療所のうちの約三八%が現在診療をしていない状況でございます。この数字自体は日がたつごとにかなり改善はされてきておりますが、そういう状況の中で、仮設住宅に入られた方、あるいはまたこれから入られる方、それから避難所にまだしばらく残られる方、そういう方たちの医療をどういう形でやっていったらいいのか。これは現在、地元の兵庫県、それから神戸市等の地方自治体、それから私ども現地対策本部の者も入りまして具体的な計画を検討いたしておりまして、早急に、先ほど触れられましたような仮の診療所というようなことも含めて、計画をつくっていかなければいけないと思っておりますが、もちろんこれには地域の医師会の方の御意見も聞きながらやっていきたいと思っております。それから、医療機関に対する支援の問題につきましては、現在、政府全体でどのような対策をするかということを詰めております。その中で、私どもとしても関係省庁と協議をしながら検討してまいりたいと思っております。
  141. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 時間がちょっと迫ってまいりましたので、質問をはしょってお伺いをいたしますので、適切にまとめてお答えをいただきたいというふうに思うのですが、障害者の問題です。  一つは、障害者の働く作業所、これが授産施設、認可の施設の場合はそれなりに再建の道は、困難ではありましょうけれどもあるわけですけれども、無認可の作業所の場合に、本当に展望がないということでございます。  障害者支援センターからもらった資料によりますと、共同作業所百十八施設のうち、全壊が十一、半壊が十四ですが、そのうち、小規模作業所が二十施設を占めているわけです。再開不能というのが十二施設にも及んでいるわけです。認可の授産施設については再建のための補助、無利子融資の道が開かれているわけですけれども、小規模作業所には何もないわけでございます。その点、無認可の施設についても建設、再開のための補助を思い切って、こういう緊急時でありますので、何か方策を考えていただきたい。そのことをちょっと、 制度上ということじゃなくて、大臣から決意をお伺いをしたいというふうに思うのです。
  142. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 これは、先生せっかくのお申し出でございますけれども、その設立に当たりましても、それから今までの経緯からしましても、補助対象といいますか、国の助成対象としてなってないものを対象とするわけですから、それに対して、こういう災害の事態であろうと、やはりそれに何らかの措置を講ずるということは、それはもう事実上不可能だと思いますので、その点は御容赦をいただきたいと思います。  なおかつ、もしも、この際、今回の非常な災難を契機としまして、一致団結されまして、何か再建の道をこれから考えられる、あるいは一つの法人格を取得されて、新しく授産施設なりデイサービスセンターなりというような形に発展的に改善されるというような道はあろうかと思うのです。その際にはできるだけの御支援をさせていただきたいと思います。
  143. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 小規模作業所というのは、全国に三千を超えるそういう作業所があって、今の授産施設じゃ足りないから、だからみんなが必死になって、身近な地域でもってこういう作業所づくりをしているわけですね。それが、無認可の小規模作業所ほど古い家屋に間借りをするみたいな困難な状況の中でやっていたから被害も大きいわけですね。そこのところを本当に、制度に合わないから法人格を取れとかそういうことではなくて、地域でもって障害者がこういう災害に遭ってもまた本当に人間らしく生きていける、そういう環境を私はつくっていくべきだというふうに思います。  そういう点でぜひ大臣に、制度上ということを言うのではなくて、頑張っていただきたい。そのことを申し上げて、後でちょっとあわせて答弁をいただきたいと思います。  もう一つ、ちょっとこれだけは申し上げておきたいのですが、精神障害者なんですが、精神障害者は御承知のように障害者手帳というのはないわけですね。それで、仮設住宅に申し込む障害者優先があるわけですけれども、精神障害者の場合にはそういう証明がないものですから、なかなか優先対象になれないでいる、そういう事態があります。これを早急に解決をしていっていただきたいというのと、それからもう一つ、精神障害者も、先ほどからグループホーム的な仮設ホームということがいろいろ出されておりますけれども、ぜひ精神障害者の場合に、何人か合わせて仮設住宅なりあるいは借り上げなり、そういう施設でもってケアつきのグループホーム、そういうところに何とか入れるようにしていただきたい。その二点についてお伺いをしたいと思います。  大臣、先に小規模作業所の方を言っていただけたら。
  144. 井出正一

    井出国務大臣 先生、つれない返事はしないでよとこの会議の始まる前におっしゃったことも私、耳にしておりますが、どうもっれなくなっちゃって申しわけないのですが、先ほど局長が御答弁しましたように、どうも無認可の共同作業所に特別の援助というのは、正直のところ大変困難と申し上げざるを得ません。  したがいまして、どうかこの災難を機会に、関係者の皆さんお話し合いの上、身障者の授産施設とかあるいはデイサービスセンターとしての再建を計画していただければ、その方向で県や市とも十分相談して御支援をしていきたい、こんなふうに考えているところであります。
  145. 佐野利昭

    佐野(利)政府委員 また再度大変冷たい答弁になります。  現実問題といたしまして、障害者優先的な取り扱いをしていただくのは県なり市の御当局の方でございまして、私どもの方から通知で障害者なり老人なりを優先的に取り扱いをしてくれるようにということで特にお願いをした経緯があるわけでございます。その場合に、今お話がございましたように、確かに精神障害者はすぐに証明する手段がないということもありまして、対象には入れてございません。  実のところを申しますと、今回そういう通知をやった際に、いろいろと地元ではかなりトラブルがございまして、障害者も一般の健常者も被災を受けた上では同じであるのに、なぜ老人障害者優先にするんだというようなトラブルも一部あったわけでございまして、そういうようなところにまたさらにそういう精神障害者の分も特別な配慮をするようにということで私どもの方から通知をして、果たしてそれが聞いていただけるかどうかというのは、実は私どもの方もちょっと自信がないわけでございます。  とりあえずは御要望の趣旨にあったことを踏まえまして、特に大口の神戸市なりあるいは西宮市なりと少し協議をさせていただきたい、こう思っております。
  146. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  147. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会