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1995-05-12 第132回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月二十八日(火曜日)委員長の指名で 、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  自転車等駐車対策に関する小委員       栗原 博久君    栗原 裕康君       林  幹雄君    松下 忠洋君       山本 有二君    工藤堅太郎君       須藤  浩君    土田 龍司君       山本 孝史君    遠藤  登君       永井 孝信君    宇佐美 登君       藤田 スミ君  自転車等駐車対策に関する小委員長                 栗原 裕康君 ————————————————————— 平成七年五月十二日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 貝沼 次郎君    理事 栗原 博久君 理事 栗原 裕康君    理事 林  幹雄君 理事 工藤堅太郎君    理事 須藤  浩君 理事 土田 龍司君    理事 遠藤  登君 理事 宇佐美 登君       河村 建夫君    茂木 敏充君       山本 有二君    伊藤 英成君       江崎 鐵磨君    近江巳記夫君       高橋 一郎君    山本 孝史君       細川 律夫君    山下八洲夫君       藤田 スミ君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 亀井 静香君         建 設 大 臣 野坂 浩賢君  出席政府委員         警察庁交通局長 田中 節夫君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       井野 忠彦君         運輸大臣官房技         術参事官    澤田  諄君         運輸省運輸政策         局長      豊田  実君         運輸省鉄道局長 戸矢 博道君         運輸省海上技術         安全局船員部長 加藤  甫君         運輸省港湾局長 栢原 英郎君         海上保安庁次長 松浦 道夫君         建設省道路局長 藤川 寛之君  委員外出席者         警察庁生活安全         局地域課長   小野 正博君         警察庁警備局警         備課長     近石 康宏君         運輸省自動車交         通局技術安全部         長       樋口 忠夫君         建設省河川局河         川環境課長   石川 忠男君         特別委員会第一         調査室長    田村 勝美君     ————————————— 四月四日  ハイヤータクシー輸送活性化道路交通の  安全確保に関する請願田口健二紹介)(第  五一五号) 同月十一日  ハイヤータクシー輸送活性化道路交通の  安全確保に関する請願後藤茂紹介)(第五  七三号)  同(緒方克陽紹介)(第六三四号)  同(加藤万吉紹介)(第六三五号)  同(田中昭一紹介)(第六三六号)  同(左近正男紹介)(第六三七号)  同(佐々木秀典紹介)(第六三八号)  同(嶋崎譲紹介)(第六三九号)  同(松前仰君紹介)(第六四〇号)  同(加藤万吉紹介)(第六五〇号)  同(左近正男紹介)(第六五一号)  同(佐々木秀典紹介)(第六五二号)  同(嶋崎譲紹介)(第六五三号)  同(辻一彦紹介)(第六五四号)  同(左近正男紹介)(第六五九号)  同(嶋崎譲紹介)(第六六〇号)  同(左近正男紹介)(第六六六号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第六六七号)  同(田邊誠紹介)(第六六八号)  同(輿石東紹介)(第六八六号)  同(堀込征雄紹介)(第六八七号)  同(松本龍紹介)(第六八八号) 同月十八日  ハイヤータクシー輸送活性化道路交通の  安全確保に関する請願輿石東紹介)(第六  九九号)  同(前島秀行紹介)(第七〇〇号)  同(松本龍紹介)(第七〇一号)  同(輿石東紹介)(第七七五号)  同(松本龍紹介)(第七七六号)  同(吉岡賢治紹介)(第七七七号)  同(松本龍紹介)(第八三三号) 同月二十五日  ハイヤータクシー輸送活性化道路交通の  安全確保に関する請願五島正規紹介)(第  八八五号)  同(日野市朗紹介)(第八八六号)  同(田中恒利紹介)(第九三六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件一阪神淡路大震災に  係る被災地等交通安全対策)      ————◇—————
  2. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  まず、阪神淡路大震災に係る被災地等交通安全対策について、政府の発言を求めます。運輸大臣亀井静香君。
  3. 亀井静香

    亀井国務大臣 阪神淡路大震災復興に当たり運輸省が講じた安全対策の概要を報告いたします。  交特委の委員長初め委員皆様方からいろいろと具体的な御提言、御指導を賜ってまいりましたことを、まずもってお札を申し上げたいと思います。  地震発生から四カ月近くが経過しておりますが、被災地では、鉄道港湾を初めとして、本格的な復興の段階に入っております。こうした復興が円滑に行われるよう、運輸省はさまざまな対策を講じてきたところでありますが、その中でも、安全確保のための施策には特に力を入れて取り組んでまいりました。  その具体的な内容を申し述べますと、まず、鉄道につきましては、当初六百三十八キロに及ぶ不通区間が生じましたが、安全の確保を第一に運転再開に鋭意努めた結果、東海道・山陽新幹線を初め、現在までに六百九キロが運転再開しております。運転再開に当たっては、破損した柱に鋼板を巻き耐震性強化するなど、安全性確保に努めております。残る二十九キロについても、できる限り早期に運転再開に取り組んでまいる所存です。  また、港湾についても、神戸港では、耐震強化岸壁バースを除きほとんどの施設被災いたしましたが、応急工事実施により、現在では公共岸壁約百五十バース中百七バースが暫定利用可能となっております。  今後は、本格復興を進め、おおむね二年をめどに港湾機能全面回復を図ることとしておりますが、耐震ランクの格上げ、耐震強化岸壁の拡充、分散配置により、従来に比べ耐震性を一段と向上させることとしております。  さらに、災害に強い交通システム整備を図る観点から、鉄道港湾、空港・航空保安施設について、専門家から成る委員会を設置し、被災原因調査分析を行うとともに、耐震構造のあり方についての検討を進めております。  今後は、委員会での結論を待って、既存施設の本格的な耐震対策を講じていく所存ですが、緊急対策として、今回提出を予定している補正予算では、鉄道については、整備新幹線地下鉄耐震性強化した工事実施港湾については、耐震強化岸壁等整備海岸保全施設耐震点検実施することとしております。また、航空管制についても、バックアップシステム整備を図ることとしております。  また、海上保安庁では、地震発生直後より、救難活動緊急援助物資等輸送活動を行ったほか、障害物の存在や工事実施に伴う航泊禁止等海上交通安全確保のための諸施策を講じてまいりました。  今後は、ヘリコプター画像伝送システム災害対応型の大型巡視船ヘリコプター等整備により、防災体制のより一層の充実を図るとともに、大都市周辺海域での活断層調査等を進め、地震予知観測強化にも努めることとしております。  さらに、気象庁では、全国百四十四カ所での震度計の増設、震度その計測化や衛星を利用した情報伝達の二重化による観測機能高度化等措置を講じ、地震監視観測体制のより一層の強化を図るとともに、地電流等を用いた地震予知研究の一層の推進に努めることとしております。  以上、これまでに講じた安全対策と今後の取り組みの一端を申し述べましたが、運輸省といたしましては、引き続き、安全の確保を何よりも優先し、対策充実を図ってまいりたいと考えておりますので、委員各位の御理解、御協力をお願い申し上げます。
  4. 貝沼次郎

  5. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 阪神淡路大震災に伴う被災地道路復旧等状況につきまして、御報告を申し上げます。  去る一月十七日に発生した阪神淡路大震災は、我が国がかつて経験したことがない甚大な被害をもたらしました。建設省といたしましては、被災地の一日も早い復旧復興に省を挙げて全力で取り組んできたところでございます。  この地震によって、道路につきましても広範かつ甚大な被害を受け、中でも、高速自動車国道阪神高速道路及び直轄国道においては、高架橋等被災により、二十七路線三十六区間で通行どめとなりました。このため、広域輸送ルート復興物資等輸送ルートを優先的に確保すべく早急な復旧に努め、現在までに、一部区間を除き、順次交通確保を図ってきたところでございます。  とりわけ阪神高速道路につきましては、地域重要幹線道路であり、被災地域経済活動市民生活復興を図るために一日も早い復旧が不可欠であることから、その全線復旧に向けて最大限の努力を払っているところであります。  具体的に申し上げますと、五号湾岸線についてはこの十月ごろに、三号神戸線については、摩耶−京橋間を今年度末までに供用し、平成八年内には全線供用を図る予定としております。  被災した道路橋復旧に当たっては、被災原因究明等を行うために設置した兵庫県南部地震道路橋震災対策委員会の審議を踏まえ、今回と同程度の地震にも耐えられる橋梁を目標とした復旧のための仕様を作成し、関係機関への周知を図ったところであります。  また、今回の大震災教訓として、全国的な防災対策強化を図るため、この四月二十八日に、「震災に強いまちづくり構想」を緊急に取りまとめたところでございます。本構想においては、都市内防災幹線道路整備や広域的なダブルネットワークの形成、道路橋補強等による耐震性の向上などを図っていくこととしております。  建設省といたしましては、本構想を踏まえつつ、全国的な道路防災対策強化全力を挙げて取り組み、道路交通安全確保になお一層努力してまいる所存であります。  終わりに、被災地皆様復興への御努力敬意を表しますとともに、建設省といたしましても、被災地復旧復興総力を挙げ、今回の地震がもたらした甚大な被害と犠牲を貴重な教訓として、さらに一層災害に強い安全な町づくり道づくり全力を挙げて取り組んでまいる決意を重ねて申し上げます。  委員各位の御協力を心からお願いをし、私の御報告といたします。ありがとうございました。     —————————————
  6. 貝沼次郎

    貝沼委員長 本日は、特に阪神淡路大震災に係る被災地等交通安全対策について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。粟原博久君。
  7. 栗原博久

    栗原(博)委員 阪神淡路大震災被災でお亡くなりになられました方々、あるいはまた、サリン事件に遣われてお亡くなりになった方に心から哀悼の意を表し、そしてまた、震災に遣われまして病床で生死をさまよっておられる方々が一刻も早く治癒されることを御祈念申し上げる次第でございます。  また、震災復旧に対しまして寝食を忘れて職務を全うされました関係各位の方、また関係機関に対しても、深甚なる敬意を表する次第です。また、サリン事件解明防止、そして犯人検挙に当たりまして、日夜を分かたず、極めて危険な中で捜査活動に当たられております警察検察、そしてまた自衛隊の皆様にも、心から感謝と敬意を表するところでございます。  今新聞等報道機関によりますオウム真理教の問題でありますが、悩める人を救うのが宗教の使命であると私は思うのでありますが、悪逆無道残虐無比極悪非道、悪鬼の行状、悪行三昧、鬼畜の振る舞い、もう言語に尽くしても足りない。  この中で、大量交通機関をねらってこのようなサリン事件が起きていることについては、本当に遺憾にたえない。交通網のこういう中で、連休には百万人に影響が出ている。あるいはまた、この霞が関、永田町周辺でも、サリン事件では重要路線をねらって、それも我が国中枢機関がある、またそこに通勤している方をねらってこのような行動に出たことは、もはや国家に対する挑戦であると思うのであります。  その前にも、三月十五日ですか、丸ノ内線の霞ケ関の改札口で煙が上がったとか、あるいはまた五日の深夜ですか、新聞では六日となっていますが、京浜急行の中で悪臭が立ち込めたとか、相次ぐ交通機関に対するこのような危険が迫っておるわけであります。そういう中で、また四月の十九日には横浜JR駅構内で、これまた猛毒ガス、ホスゲンの中毒症状があって、被害者は約四百名に及ぶということであるわけであります。  また、今月、このゴールデンウイークの五日には、新宿駅の地下、メトロプロムナードで約一万三千人有余に及ぶ致死量のある毒ガス発生するような状況にあったということになりますと、私はやはり本当に耐えがたい。あるいはまた、いたずらか模倣かわかりませんが、サリンと書かれたJR中央線での不審物騒ぎがあったとか、あるいはまた横浜駅近くでもそのようなことがあったと承っております。  まさしくこれは善良な市民に対する無差別な殺りくの何物でもない。国家を転覆させるようなことでありますから、検察警察当局はありとあらゆる法令を駆使されて、何か聞きますと、四十件に及ぶ罪状の中で検挙に当たられておるようでありますが、国民が最も恐れておりますこの種の無差別テロに対して、交通安全性の中で、その防止監視に対して、警察はどのような対応をとられているかということを、ちょっとでよろしゅうございますが、お聞きしたいと思うのです。
  8. 近石康宏

    ○近石説明員 国民の不安を一刻も早く解消すべく、総力を挙げて犯人検挙に努めておるところでございますが、地下鉄等公共交通機関地下街その他、多数人が蝟集する施設等を中心に警戒強化してきたところであります。  しかしながら、先般の新宿地下街等における事件発生等の情勢にかんがみまして、警察官をより増強配置するとともに、特に地下街につきましては、警戒の死角をなくすために防犯カメラを増設するなど、より間隙の生じない警戒実施することとしております。  また、これらの施設管理者に対しましては、自主警戒強化や、これはガードマンの増強等でありますが、不審物件を発見した際の通報等についてきめ細かな打ち合わせを行うとともに、防犯カメラ設置等ハード面充実についても働きかけるなど、緊密な連携を図っておるところでございます。  今後とも、関係省庁関係機関と一層連携を密にして、再発防止の徹底を期してまいる所存であります。  以上でございます。
  9. 栗原博久

    栗原(博)委員 警察庁長官も大変な目に遣われておるわけでありますし、海外の友人から電話もありますと、東京は世界で最も安心して行ける都市であったと。このサリンあるいはまた警察庁長官のあのような不幸な事件契機といたしまして、諸外国の方々大変東京に対して不安を持っておりますし、この検挙が一刻も早くされまして、そしてまた事件解明によって、この東京にまた友人が来てくれるようにひとつお願いしたいと思います。これは我が国国家の名誉にかかわるわけでありますから、警察当局全力を挙げて当然対応されると思いますが、ひとつよろしくお願い申し上げます。  私は実は新潟でございまして、昭和三十九年、一九六四年でございますが、今から三十一年前に新潟地震に遭いまして、私自身も、大変恐ろしい地震だ、大変言語に尽くしがたい恐怖感があるわけであります。全壊が三千十九戸、半壊が九千七百九十九戸、新潟地震でございました。  この前、せんだっても私の住んでいる村で地震がありまして、今でも余震がどんどん続いているわけです。地域的な地震でございます。  一月十七日五時四十六分、阪神淡路大震災淡路島を震源として、深度二十キロメートル、マグニチュード七・二、これでお亡くなりになった方が五千五百二名、不明者が二名ですか、若干変わっているかもわかりませんが、全壊が十万戸あるいはまた半壊が十万七千戸といって、三十九万戸に及ぶ大変な被災に遭っているわけであります。  先ほど若干触れましたが、私の住んでいるところでも、この四月一日でございますが、十二時四十九分に地域集中型の地震がありまして、全損壊四百五十七戸に及ぶ、約十九市町村被災を受けておるわけであります。特に、新潟県北蒲原郡笹神村の地域では大きな影響を受けておりまして、ちょうど田植え時期でございますが、大変農作業の面においても影響を受けておるわけであります。  今回の補正予算におきましても、特段の御配慮でもって、その残骸等の処理についての経費をつけていただきましたが、ただ、今まで、淡路大震災以前の震災では、倒壊家屋解体費が入っていない。今回特例で解体費が入ったようでございますが、笹神村等の全壊した建物に対する解体費が実は今回認められなかったわけでありますが、こういうことについても今後ともひとつ検討をいただければと思うのであります。  そういう中で、私はまず、地震発生しましたら、最も大事なことは人命を守ることである、あるいはまた被災した方の救助を一刻も早く図ることだ。それにはどうしても交通網確保が必要であるわけでありまして、今回の震災を見ますると、道路では、国関係で五百五十四カ所、公団では四百四十九カ所、市町村関係では二千七百十五カ所であったということを承っておりますが、特にその被害も甚大であるということでございます。  私は、いろいろマスコミ等あるいはまた政府等からの資料提供を見ておりますと、特に、先ほど亀井運輸大臣からも、あるいはまた野坂建設大臣からもお話がございましたが、広域ルート確保ということで、この神戸地域は西日本と東日本を結ぶ重要な道路が通っておるわけでありますし、あるいはまた輸送ルート確保状況から見ましても、復興物資をどうしても緊急に運ばなければならない。貨物輸送ルート大阪から神戸への道とか、あるいはまた生活復興関連物資大阪神戸のほかに岡山から神戸ということで、大変な御努力をされたように伺っております。  しかし、その実態を見ますと、かつて関東大震災の場合は、大人車がどんどん道路にあふれた。そこに火がついて大変なパニックになったということであります。今回も、私はテレビあるいはまた新聞等を見ておりますと、今度はそこに火薬庫を持った車が関東大震災大人車にかわって、さらにもっと危険なものがあるわけであります。あるいはまた、特に逃げるときにキーをかけたまま逃げた方が大変たくさんおられるということ。こういうことで、今後の災害の場合、国民の皆さんにそういう事態に際しての措置というものも教育をしてもらわねばならぬと思うのであります。  その交通網の中で、家具の下敷きになって、ほんのわずかな時間さえあれば何とか命を救えた方もおられると思うのです。ふだん四分がそこらで行けるところが何時間もかかったというような状況も承っております。ですから、救急車の効力を高めるために、緊急時における道路確保というものが何にも増して必要なわけでありまして、そういうことで、今回のこの教訓を踏まえまして、災害時の危機管理プロジェクトがまとめました「災害時の危機管理に関する中間報告」で大きく指摘されているようでありますが、情報収集と的確迅速な伝達がいかに大切であるかということを、私は実はしみじみ思っておるわけであります。  また、自動車運転者に対しては、地震発生時において正しい運転と、そして先ほど申しました、自動車キーをつけて避難していただくということも必要と思うのですが、この中で私は、緊急輸送の円滑を図るためにも、災害に強い緊急システム、何か承りますと、地震災害発生と同時に信号ランプが消えたり、あるいはまた交通情報網システムが壊れて、道路状況の混みぐあい等が知らせしめ得なかったというようなことを承っております。私は、やはり今回の淡路阪神大震災教訓をもとに、今後どのような形で警察として取り組まれるかということをひとつお聞きしたいと思うのでございます。
  10. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘のように、今回の阪神淡路大震災につきましては、災害発生直後からいろいろな形での交通規制実施してきたところでございますけれども情報伝達あるいは交通管制施設の問題等々、いろいろな問題が指摘されておりまして、特に情報につきましては、私どもといたしましては、交通安全施設を通じた情報提供をより完璧にするために、今後いろいろな施策検討する必要がございます。特に、ラジオ等を通じたいろいろな情報提供につきましても、これは真剣に取り組んでいく必要があるというふうに考えておるところでございます。  適切な情報収集と、そしてそれに見合った適切な情報提供により、的確な行動をとっていただくということで、緊急輸送路確保、また被災者の方の人命の安全の確保という点に資してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  11. 栗原博久

    栗原(博)委員 私は、やはりこの交通情報システムは、震災時において本当に堅固なものをつくるのはなかなか難しいと思うのです。ですから、ラジオですね。特に今、FM放送地方自治体のいろいろな行政の広報とかに使っているところもございます。私どもは、新津でも昨年度エフエム新津をつくったわけでありますが、出力は低く、エリアも狭いですが、本当に細かい地域的な情報伝達できるわけでありますから、これからどんどん地方自治体にそういうFM放送というものの、第三セクター等でもよろしいわけですから、そういう設置等について、郵政省の方でもその許認可というものを、あるいはまた周波数を少し高くすることで御検討されているようですが、そういうことも震災に備えて御検討いただければと思うわけであります。  また、高速道路等につきまして、新幹線もそうですが、これはもう完全に、今までの建設技術の常識では倒壊しないと言われました安全神話、これは今回あのように高速道路も、見れば阪神高速道路の三号神戸線ですか、約六百三十メートルにわたりまして五カ所落橋しているわけであります。  こういうことで、私は建設省にお聞きしたいのでございますが、今回の復旧に当たっての基本的な考え方や、先ほど大臣からも復旧状況説明がございましたが、現在のそういうことについて、あるいはまた今回の震災契機にいたしまして、今まで新潟地震を初め秋田沖地震とかいろいろたくさんあるわけですが、今回の阪神淡路は他に類を見ないひどい状況でありますから、それを踏まえて、これを教訓として、今後どのようなことを課題として残しているかということをお聞きしたいと思うのであります。
  12. 藤川寛之

    藤川政府委員 大臣からも御報告させていただきましたが、今回の地震で、道路につきましても大変な被害を受けたところでございます。  今委員の方からも御指摘がございましたが、建設省といたしましても、特に広域ルートが遮断されたというようなことがございましたので、中国自動車道等広域幹線輸送ルートをまず確保しようということで、これの早急な確保に努めましたし、また、救急活動あるいは救援活動をやる上でも、また生活物資あるいは復興物資等を輸送する上でも、やはり幹線道路啓開確保ということが重要でございますので、早急な応急復旧に努めたところでございまして、一部区間を除きまして、ほぼ応急復旧を図ってきたところでございます。  あと残っておりますのが、阪神高速の三号線とそれから湾岸線でございますが、これにつきましても、地域内の幹線道路として大変重要な役割を果たしている道路でございますので、これらの路線の早期復旧に今後とも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  また、今回の地震でいろいろな教訓を得たところでございますが、私ども道路づくりに当たりまして考えていかなければいけない大切なこととして、一つは、いわゆる幹線のネットワークの代替性あるいは多重性というようなもの、そういうダブルネットワークを図っておく必要があるということでございます。  それからもう一つは、耐震性という面でさらに向上を図っていかなければいけない。今回の地震でも、あれだけ高架橋がいろいろな形で損壊等いたしておりますので、損壊のメカニズム等を今具体的に検討しているところでございますが、そういうものを踏まえた新しい知見に基づく耐震性の向上というのも、これは積極的に強力に進めていかなければいけないというふうに考えております。  あと、市街地の中で道路というのが、いわゆる防災あるいは震災対策という面でも大きな役割を果たします。避難路になりますし、市街地の中の救急救援活動を支えることにもなります。また、延焼防止の空間としての役割も果たすわけでございますので、そういう町づくりの骨格となるような道路のネットワークを、やはりきちっと所要の幅を確保してつくってやることが大事だというようなことを痛感しているところでございます。  それから、ライフラインにつきまして、これの被災というのも大変大きかったわけでございます。こういうライフラインの安全性確保というものは大変重要だ。そういう中で、ライフラインを収容する共同溝あるいは電線共同溝につきましては被災がほとんどなかったというような、大変今回の地震に強かったという報告を受けているところでございまして、そういう視点に立った、ライフラインを収容する共同溝の整備につきましても今後強力に進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
  13. 栗原博久

    栗原(博)委員 ありがとうございました。ひとつ全力を尽くして震災復旧に当たってくれますようにお願い申し上げます。  ほかの委員の方が地震関係で御質問されると思いますので、私は、今新聞等を見ましてちょっと思うことがあって、変えて質問させていただきますが、この連休の五日の日に、北海道の支笏湖で水上バイクで御夫婦がお亡くなりになっているということでありますし、また、この二日の日には、市川沖でボートが転覆しまして、二人、恐らく五人だと思いますが、お亡くなりになっておられるということでございます。これは小型プレジャーボートということで、船長は対岸まで泳ぎ着きましたけれども、乗っておった方々は残念なことになってしまったということであります。過去、昨年の水上オートバイ等の事故を見ますと幾つも起きているようであります。時間の関係がありますので余り詳しく事故の内容を申し上げるわけにいきませんが、ちなみに、今我が国のレジャースポーツ事故というものの発生を見ますと、平成五年と平成六年とを比較してみますと——水中でのレジャーあるいはまた空中でのレジャー、陸上でのレジャーということでございますが、特に器具を使った場合のレジャーを私は申し上げているのですが、水上オートバイからモーターボート、あるいはまた空中にはパラグライダー、あるいはまた陸上にはバギーカーまであるわけであります。これがどんどんレジャーの中で、こういう器具を使って、あるいはまた船舶等を使ってのレジャーはふえてくると思うのであります。  私は、その中で特に海上レジャーについてちょっと取り上げてみたいのです。  海上レクリエーションが急速に発展して、我が国は経済が豊かになって、特に関係法令ができた関係で、どんどんできておるわけです。ヨットやモーターボート、サーフィン、ボードセーリングですとかスキューバダイビング、水上オートバイなど大変盛んになりつつあって、ヨット人口は約四十万人いる、サーフィンは約八十万人、ボードセーリングは約三十万人等々あるわけです。  その中で、資料をちょうだいしたのを見てみますと、プレジャーボートの事故が目につく。特に昨年を見ますと、我が国の周辺海域における海難事故に遭遇した船舶は約一千八百隻近いということでありまして、そのうちモーターボート、ヨットなどのプレジャーボート及び遊漁船ですか、これが約五百八十五隻ということであります。海難事故で亡くなった方が二百四人おるけれども、プレジャーボート等の海難に伴う者が約二十四名おる。  しかし、長期的に見れば、海洋レジャーの活発化に伴って、このプレジャーボート等の海難事故はどんどんこれから増していくと思うのであります。今見ますと、我が国のプレジャーボートの保有隻数は大変少ないわけで、一隻当たり人口四百一人だそうだ。ところが、アメリカヘ参りますと一隻で十六人でありますし、ドイツが九十六人、フランスが七十一人等であります。こうなりますと、我が国がこれから、やはり海洋国であるし、来年の七月二十日は今度海洋の日というか、祝日になるわけですから、どんどんプレジャーボート等がふえてくると思うのです。ふえねばならないと思うのです。  そうしますと、今後、海洋国としての爆発的な中で事故の防止等がやはり求められてくると思うのでありますが、その中で、ちょっと法令等を見ましたら、これから健全なレジャーを進めるための、プレジャーボート等について何か法的な、大変私自身まだ不勉強かもわかりませんが、ちょっと疑問に思う点があるわけであります。  それは、事故を起こした場合、道路交通法等においては七十二条で、事故を起こした場合はすぐ知らせねばならぬと。これに違反した、要するに事故を起こしたときは、例えばひいた場合ですね、ひき逃げしたら重罰が科せられるわけですから。道路交通法にのっとって特別規定があるわけですから。刑法を上回る規定があるわけです。要するに、ひき逃げ等については「三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」と書いてあります。あるいはまた飲酒運転をしてはならない。酒を飲んで捕まったら、もう免許証はある場合においては取り消しだ、そういうことであります。  ところが、ボートにつきましては、船舶についではない。船舶職員法によればないわけですね。あるいはまた、プレジャーボートでは免許証がなくても操縦できる。船舶職員法によれば、免許証を持っている者が一人いればいいんだということになっているわけです。ですから、プレジャーボート等については、酒は飲める、あるいはまたぶつけて報告しなくてもこれは罰則規定がないというような、まだそういう法律的な未整備な面があると思うのです。こういう中で、今後こういうことの法整備をしなければならない。  ところが、私ちょっと調べましたら、こういう我が国の法令の中の不備については、海上交通安全法とかあるいはまた港則法とか船舶のいろいろ関係法令がありますが、今、沖縄県を初め福井県や福島、宮崎、兵庫、和歌山、長崎などの七県では、こういう我が国の法令の不足分を条例で実は定めているわけですね。酒を飲んではならないということ、それから、例えば事故を起こしたらすぐ報告しなければ罰則規定もあるわけでありますから、先ほど私が言いました不足分を条例で定めている県もあるわけです。  私は、これから必要なことは、プレジャーボートに対応するために早急にこういう未整備の法律を整備していただきたいということでございまして、それに対して関係省庁がどのようにお考えであるかということをお聞きしたいと思うのであります。
  14. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 幾つか問題点の御指摘を受けましたが、恐縮でございますが担当部門ごとに答えさせていただきたいと思います。  事故の通報の関係、あるいは飲酒運転、免許証の問題という三点があったと思いますが、まず、私の方から飲酒運転関係を御説明申し上げたいと思います。  御指摘のとおり、海という場面で、私ども運輸省としては、安全に海を楽しんでいただきたいということで、かねてから努力を続けてきております。これから海のシーズンに入るわけですが、そういう意味でも、今御指摘のいろいろな点について、私どもとしては関係部門一致協力して対応していきたいと思っております。  まず飲酒の関係でございますが、御指摘のとおり、小さなプレジャーボートとか水上オートバイについては、残念ながら今直接の法的規制がございません。海上交通につきましても、例えば船員法に基づいて船長が乗組員の健康状態を検査するとか、あるいは、多くのお客さんを運ぶ一般の旅客船の場合には、海上運送法に基づきまして運航管理規程というのを設けておりますが、その中では当直業務に当たる者が飲酒等を行ってはならないという規定がございます。  したがいまして、これから盛んになる水上オートバイ等の小さなプレジャーボートについて対応するということでございますが、既に海上保安庁等を中心にして、いろいろな場面の講習会とかいう場面で飲酒の問題について指導を続けてきております。  また、いろいろ法的な規制について、御指摘のとおり小さな水上オートバイ等については直接の規定はございませんが、この法令の規制も含めまして、非常に広大な海域でございますが、実効性のある規制の仕組みというものについて、専門の海事関係者の意見もよくお聞きしながら検討していきたいと思っております。
  15. 松浦道夫

    ○松浦政府委員 海上保安庁でございますが、お尋ねの件のうちの、事故時に通報義務が課されていないのではないかということでございます。  我が国の現在の法体系の中で通報義務が課されているところというのが、海上交通安全法の中に、これは特定の海域に限られるわけですが、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海というふくそう海域に限られている。そこの場合におきましては、海難が発生してほかの船に影響が出る、そういう事態の場合には、応急措置を講じるとともに海上保安庁長官に通報しなさい、そういうのがございます。それともう一つは、港の中で事故が起こった場合の、港内における交通ルールを定めております港則法、これにおきましても定めがございます。  ただし、今先生が御指摘のようなプレジャーボートというのはそんな海域ではございませんので、そういう意味におきましては、一般的には御指摘のとおり通報を義務づけたりしている法令はございません。  そこで、実行上は、今運政局長からもございましたけれども、いろいろな指導を海上保安庁としてしておりますが、その中で特に、やはり御自身の安全のためでもありますし、そんなことで、無線電話などもなるべく持つようにとか、もちろん早く連絡するというときの手段でございますが、そういうのを持つようにとか、そんな指導をしたりなんかしております。  今後、いろいろな形でそういう通信手段の整備だとか、状況を踏まえながら勉強していきたいなと思っております。
  16. 小野正博

    ○小野説明員 警察庁といたしましても、今委員指摘の問題につきまして各種法令を適用して取り締まり等をやっておるわけでございます。  特に、委員から御紹介がございましたように、沖縄県等を初めとしまして、各都道府県の方で酒酔い運転等、つまり操船者に対する規制のみならず、プレジャーボートを提供する業者に対しましても適切な指示をするように、それに違反した場合の措置というようなことを定めるような各種規定を置く条例が最近、業者も指定するものとしては八件ほどできているかというふうに思っております。  そこで、警察庁といたしましても、海上及び内水面におけるこの種の事故を防止する立場にございますので、この種条例につきまして推奨すべきものだろうというふうに考えてございまして、今後とも推奨してまいりたいというふうに考えてございますし、今後、法律の整備等を行うに当たりましても、やはり地方自治体の動向も尊重して行ってまいることが適切ではないかと考えてございまして、当庁といたしましても、この種事故の防止を担う立場から積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  17. 加藤甫

    加藤(甫)政府委員 委員指摘の三番目の問題、プレジャーボートについて免許所持者の操縦を義務づけるべきかどうか、こういう問題でございます。  先生御承知のように、船舶職員法におきまして「船舶職員の乗組みに関する基準」という形で規制を行っております。  小型船舶の場合につきましても、原則として所定の小型船舶操縦士免許を有する者を乗り組ませなければならないという形で規制をいたしておりまして、これは小型船舶の場合でありましても、有資格者みずからが操縦それ自体を行うばかりでなく、資格を持った船長が周囲の状況の確認、船舶の位置の把握、気象、海象の把握、また機関の状態の把握等を総合的に行いながら、適切な操船について判断して操船を指揮する。  つまり、そういうことが乗り組むということでございまして、単に乗っているということではないわけでございます。そして、必要な場合には船長みずからの判断によって直ちに操縦を交代するというような形によりましても、船舶の航行の安全を確保することは十分可能であるというような判断に基づいたものであるというように理解をいたしているところでございます。
  18. 栗原博久

    栗原(博)委員 時間がありませんので、済みません。今の部長の答弁は、ちょっと私は納得できないのですけれども、それはあなた、無免許を認めるようなことでありますから。プレジャーボートは毎日乗っているわけではない。一年に二、三回しか乗らぬわけですから、そういう人が多いわけです。そういう人がやはり事故を起こすわけなんで、そういう考え方は私は訂正していただきたいと思います。  それから、きょう河川関係から、河川マリーナをちょっとお聞きしたいと思ったのですが、時間がなくて申し上げませんが、また次の機会に質問いたします。  どうもありがとうございました。
  19. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、近江巳記夫君。
  20. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず初めに、阪神淡路大震災におきまして亡くなられました方々の心からの御冥福をお祈りしたいと思いますし、また、被災されました皆様方に、心からお見舞い申し上げたいと思います。また、政府、自治体初め多くの関係者の皆様方の今日までの御努力に、心から敬意を表する次第でございます。  今回のこの地震は大変な被害を及ぼしたわけでございます。死者が五千五百名を超えておりますし、負傷された方も三万七千名以上、家屋も二十三万二千戸、ライフラインが寸断される、JR新幹線あるいは在来線、私鉄、港湾交通物流関係も寸断されておるわけでございまして、政府発表では九兆六千億というような被害も出ておるようなわけでございます。  そういう中で、先ほど両大臣から復旧状況につきまして御報告がございました。鉄道に関しましては六百三十八キロ、そのうち六百九キロが再開にこぎつけた、残るのは二十九キロである、こういう御報告があったわけでございます。この二十九キロというのはどの地点でございますか。また、復旧のめどについてお答えいただきたい。
  21. 澤田諄

    ○澤田政府委員 残る二十九キロにつきましては、阪急電鉄神戸線、阪神電鉄本線、神戸交通ポートアイランド線、六甲アイランド線、神戸電鉄有馬線、神戸高速東西線、南北線、山陽電鉄本線、以上の一部が現在不通でございまして、トータル二十九キロでございます。
  22. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、全線の復旧完了は大体いつのめどでございますか。
  23. 澤田諄

    ○澤田政府委員 現在復旧工事に鋭意努力しておりますが、できるだけ早期に復旧ということでございまして、何とか夏ごろまでには開通させたいと思っております。
  24. 近江巳記夫

    ○近江委員 この被災地の皆さんのアクセス、これは本当に一日も早い復旧が望まれるわけでございますが、さりとて、急ぐ余り一番大事な安全性という点におきまして危倶が生じるようなことであれば、これはもう大変な問題であろうかと思います。  そこで、補強をされているわけでございますけれども、これは大丈夫なのかという心配が非常にあるわけでございます。まず、今日まで復旧されてまいりましたその工事等につきまして、これは本当に大丈夫なのかどうか、その点につきましてお聞きしたいと思います。
  25. 澤田諄

    ○澤田政府委員 施設復旧に当たりましては、鉄道施設耐震構造検討委員会委員の意見も踏まえまして、被害状況に応じまして、新しい知見によりまして、今回と同程度の地震にも耐え得る構造として復旧いたしました。  新幹線復旧につきましての鋼板被覆でございますが、実物大の実験を行いまして、鋼板被覆を行うことにより、従前より約二・五倍の耐震性を実験によって確認しております。
  26. 近江巳記夫

    ○近江委員 この被害状況を見てまいりますると、例えば山陽新幹線を見てまいりますと、高架橋あるいは橋梁の落下が九カ所、新大阪−姫路間、五千二百本あるわけでございますが、その支柱の損壊が七百八本、JR西日本の在来線、阪急、阪神電車なども随所で寸断されておるわけでございます。地下鉄も天井が崩落しておる。この被災会社というのは十三社と聞いておりますが、鉄道関係だけでも十二社で、被害額は三千五百三十億というような報告もあるわけでございます。  それで、今、この補強の点につきましては、何回も専門家を入れ、心配ないという答弁があったわけでございますが、念には念を入れまして、さらに問題のないように進めていただきたい、このように思うわけでございます。  そこで、今後の問題でございますが、被災地復旧、これはもう第一義的に総力を挙げてやらなければいけないわけでございます。しかし、考えてみますと、地震はどこで起きるかわからぬわけであります。そうなってきますと、これは古くは明治、大正時代にできておるところがたくさんあるわけですね。地下鉄一つを見ましても、東京はこれだけの大きな地下鉄を持っているわけでございますし、さまざまな点の不安が出てくるわけでございます。  そこで、全国のそうしたいわゆる弱点といいますか、そういう箇所というのはおのずとわかると思うんですね。つくった時期あるいはまた地盤ということも非常に関係してくると思うんです。特に今回は直下型でございまして、あそこに活断層が集中しておったわけですが、全国の鉄道網を見ましても、活断層の上に随分あると思うんですね。  あるいは、地盤の液状化という問題があったわけですが、海岸に近いところあるいは埋立地、河川に近いところ、こういうところは十分心配しなければならぬわけですね。そういう地点であるとか、さまざまな問題があろうかと思いますが、まずそういう点を総点検をし、そしていち早く補強をしなければいかぬと思うんですね。全国的なその辺の取り組みにつきまして、御答弁いただきたいと思います。
  27. 亀井静香

    亀井国務大臣 交通機関にとりまして安全の確保というのが第一義でございますが、私どもも、自信を持っておったにもかかわらず、予想せざるそうした大被害発生をいたしましたことを本当に深刻に受けとめておるわけでございますので、今委員が御指摘のように、復旧復興ももちろん急いでやることが大事でありますけれども、やはり安全を確保する。  いつ地震が起きるかわからない、御指摘のとおりでございますので、といって、天災の上限はどの程度かということは、自然の脅威の前には我々予測しがたい点がございます。そういう意味では、一応この間の大震災を含めて、過去の日本列島を襲った震災、あるいは世界を襲っておる震災の規模等をきっちりと勘案をして、それに十分耐え得るもので復旧復興をしなければならないということに立って実施をいたしておるわけでございますので、今までの各鉄道等の復興というのも、そういう観点から、鉄道施設耐震構造検討委員会の中間的な御検討を常に踏まえながら、御指導のもとで実施をいたしてきたということでございます。  そういうことで、ただ単なる復旧復興だけじゃなくて、先生御指摘のような、非常に昔に建設をしておる新幹線初め地下鉄その他の鉄道につきまして、地震発生後総点検を実施をさせておるわけでございますが、現在、松本委員会の最終の検討結果がまだ出ておらぬわけでございます。これを我々としてはもう総ざらい、時間を切っていつまで出してくださいということじゃなくて、中間報告をいただきながらという形の中でやっておるわけでございますので、まだもうちょっと時間がかかるかと思いますけれども委員会の結論が出ますと、それを踏まえて全国のそうした交通機関についての総点検をさらに徹底的にやりまして、補強すべき点をきっちりと補強していきたい、このように考えております。  そういう点から、今実施をいたしておりますのは、当面、高崎−長野間の新幹線、これは建設に取りかかっておりますので、これについて耐震性をこの際思い切って補強しようということで今取り組んでおります。また、地下鉄につきましても、現在の地下鉄等を補強をする。このたびの第一次補正で百三十九億円お願いをいたしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  また、今後、そうした松本委員会検討の結果が進んでまいりますので、それに合わせまして、場合によっては秋に第二次補正というようなことの中でそうした補強工事をやれる体制をつくっていきたい、このように考えておる次第でございますので、よろしく御協力のほどお願い申し上げたいと思います。
  28. 近江巳記夫

    ○近江委員 前の委員会で、サンフランシスコ等の地震のときに私が質問しましたときに、日本の構造物というものにつきましては絶対大丈夫である、明確に政府から答弁があったわけですね。今回の直下型によって、実にああいうような無残な大変な大惨事ということになったわけでございます。これで日本の地震に対する構造物の安全神話というものは崩れた、これはマスコミでも大きく報道しておるわけでございまして、そのとおりだと私も思うわけでございます。  そういう点におきまして、耐震基準というもの、例えばこれは関東大震災をよりどころにしておるようなものですね。関東大震災というのは、御承知のように小田原近くの相模湾で起きまして、そして震源から五十キロ離れました東京震度六程度の、特にあれば大火災が発生しあれだけの惨事になったわけでございますが、ああいう関東大震災というものが一つの大きな基準になっていたと思うんですね。  そういう中で、こういう直下型に対しまして、直下型というのはまれじゃないかというような気持ちがあったと私思うんですね。例えば、今回は縦揺れ、横揺れ、非常に複雑な震動があったわけでございますが、この縦揺れから守るための基準は一九七一年の改定で削除されておるわけですね。そういう一事を見ましても、いかに甘い観点でその基準というものがつくられてきたかということがわかると思うんです。そういう点で、まずこの基準のつくり方につきまして、本当に見直しをしなければいかぬと思うんですね。この点につきましてお聞きしたいと思います。
  29. 澤田諄

    ○澤田政府委員 基準の見直しに当たりましては、従来の設計基準につきまして、今回の活断層ですとか地盤の条件等きめ細かく検討を進めているわけでありますが、現在、検討の内容としては、構造物にどのような力が働いたのか、その力を受けて構造物がどのように動いたのか、それに対して構造物がどのような耐力があったのかというようなことにつきまして、現在検討をしているわけであります。被災条件等々を見ますと、相当の大きな被害があったことでありますので、地盤条件も一つの要素というふうに認識しておりますし、今後、基準の見直し等に当たりまして、それらの活断層あるいは地盤の条件等についても検討し、適切な基準を作成したいと考えております。
  30. 近江巳記夫

    ○近江委員 この基準の見直しも時間をかけてだらだら、それは慎重にやるということもあろうかと思いますが、今までの蓄積があるわけですから、やはり集中してやっていただきたい、このように思うわけです。  この新基準ができたとしても、先ほども申し上げておりますように、現在も動いている構造物等につきまして、これは本当に補強をしないと、直下型があれば大惨事になることはもう間違いがございません。そういう点で、今大臣も全国的な調査を急いで補強に万全を期すというお話があったわけでございますが、これは重ねて強く要望しておきたい、このように思うわけでございます。基準の点につきましては、そういう姿勢で頑張っていただきたいと思います。  それから、地下鉄安全神話が崩れたんですね。地下鉄は大丈夫だということを言われておったわけでございますが、今回は天井が落ちるとか、大変なそういう被害というものが出ておるわけでございます。そういう点で、地下鉄の今回の状況から、当然見直しといいますか、耐震基準の見直し、そしてまた施工のあり方等を考えていかなければならないわけでございます。その点が一つですね、御答弁いただきたいということ。  それと、特に東京、大都市圏におきまして地下鉄が非常に発達しておるわけでございますが、その地下鉄を開削工事でやっておるところに被害が集中しておる。そうなってきますと、営団の場合に五五%が開削工事なんですね。しかも、銀座線等は関東大震災の後、四年後に開通しているのですね。その当時の工事なりなんなり、実際首都圏で直下型が来た場合一体どうなるかという、これはそら恐ろしい感がするわけでございます。  そういう点で、現在動いております全国の地下鉄等につきましてどういう対策をとられるのか、また今後の基準の見直しを初め、そういう建設につきましての考え方といいますか、それをお聞きしたいと思います。
  31. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども地下鉄についても私ども事態を深刻に受けとめておるわけでございます。  このたびの第一次補正におきましても、地下鉄耐震性の観点から補強する、そうした処置をとることにいたしておりますけれども、先ほども申し上げましたように、松本委員会調査結果を常ににらみながら、委員おっしゃるように逐次、結論が出てから一斉にということも大事でありますけれども、点検の結果、御指摘のように非常に古い構造物だとか、今までの点検の中でやはりここはちょっと問題がなというような点が懸念されるところにつきましては、もう急いでそうした対応をやりたい、このように考えております。  詳細は、技術参議官の方から答弁させます。
  32. 澤田諄

    ○澤田政府委員 既存の地下鉄等補強等につきましては、今回の平成七年度第一次補正予算でお願いする予定になっておりますのは、東京、名古屋、大阪、営団におきます建設年次の年代の古い路線につきまして、開削トンネルの駅部中間柱の補強、あるいは高低のある地下鉄等につきまして、高架橋も一部含まれるものがございますので、それらの高架橋の橋脚の補強等実施することでお願いしたいと考えております。
  33. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に港湾ですね。神戸港湾都市であったわけでございますが、耐震設計でやったところについては、私も見てまいりましたけれども、三バースは本当に……。ほかは何とか若干でも稼働するようになったという御報告大臣からあったわけでございますが、これは本当に全部復旧ということになってきますと一兆円を超すのじゃないか、このように思うわけでございます。  いずれにいたしましても、今我が国周辺諸国も非常に海上輸送等に力入れておりますし、そういう点ではこれは本当に一日も早い復旧をしなければならないわけでございます。今後、港湾施設につきまして、耐震構造といいますか、そういう十分強固なものを築いていかなければいけないと思うのですね。応急にやったからということで、またそれでいけばどうなるかという問題もあるわけでございます。全国の今後の新設につきましても、予算は上回るかもしれませんけれども、十分がっちりしたものをつくっていくということは大事なことじゃないかと思うのです。港湾につきまして、今後の方向につきましてお伺いしたいと思います。
  34. 亀井静香

    亀井国務大臣 港湾につきましても、私どもは、復旧ということではなくて復興という観点から取り組んでおるわけでございまして、しかし、一方では時間との競争という面がございます。やはり荷が他の地域にシフトする危険性がございますので、そういう意味では応急的な復旧と本格的な復興を同時並行して組み合わせながら現在やっておるわけでございます。  一応、めどといたしましては全部で三年から四年かかるかもしれませんが、神戸港につきましては水深十五メートルを十バース、これは世界に例がございません。そうした近代的な大型港として復興をさせる予定でもございます。そういたしますと、大阪が田舎の潜みたいな形になってしまいますので、自治体からの要請もございまして、三バース、ここも水深十五メートルの大型バース建設をするという形で取り組んでおるわけでございます。  耐震性につきましては、先生御指摘のように、このたびは非常に苦い経験をいたしまして、東京横浜につきましてはAランクでやっておったわけでございますが、あそこにつきましてはそれよりか耐震性の弱いBランクの岸壁をつくっておったという反省を踏まえまして、すべてAランクでこれを実施するという予定にいたしております。
  35. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣お忙しいようですから、あと一問だけ。  公共事業、四百二十兆円から二百兆上積みして六百三十兆、こうなっておるわけですが、この中にはいわゆる用地費というものが入っておるわけですね。御承知のように、土地も非常に下落してきておりますし、そういう点におきまして、いわゆる公共事業というもの、まさにこれだけの大震災の後でございますから、復旧復興、さらに全国の公共物の強化、こういう点に本当に重点を置かなければいけない、このように思うわけでございます。その中心にやはり、きょうは野坂大臣もお見えになってございますし、亀井さんもまさにそういう大きな中枢にいらっしゃるわけでございますから、その決意といいますか考え方につきましてお伺いして、大臣は結構でございます。
  36. 亀井静香

    亀井国務大臣 ありがたい御指摘を賜りまして、感謝いたすわけでございます。  六百三十兆の公共投資の基本計画の中に、割合私ども運輸省の分野、陸海空ともすべてこれが盛り込まれておるわけでございます。残念ながら、従来、建設省所管の分野にどうしても予算のシェアが重く配分をされてきたという嫌いがあると思います。しかし、今後の日本列島を整備するというような観点から見ますと、建設大臣の前で申し上げるのは若干あれではございますけれども、やはり私どもの所管の陸海空の社会資本の整備は極めておくれておる、このままでは新しい時代に対応できない、このように考えておりますので、御理解と御協力をいただきまして頑張ってまいりたい、このように考えております。
  37. 近江巳記夫

    ○近江委員 シェアのことは別としまして、とにかくこれは非常に大事なことでございますので、本当に安心のできる公共物の構築に向けて努力していただきたいと思います。それでは、大臣は結構でございます。  次に、野坂先生にお願いしたいと思います。  道路につきましては、本当に高速道路、まさかあそこまで崩壊するとは思わなかったわけですね。一本足の高速道路が六百三十メーターですか倒壊する。これは全世界に向かって発信されたわけでございまして、日本の構造物というものは地震に対して非常に強いのだというような神話が崩れてしまったわけでございます。これは非常に残念なことでございまして、今後、道路、特に高速道路を初めといたしまして本当に基準の見直しを真剣にやらないといけないと思うのですね。  しかも、あの一本足をなぜ採用したか。デザイン的な問題、下部の道路を使っておるからというようなこと、スペースの問題もあったかもしれませんけれども、今後こういう一本足等につきまして、やっていくのかどうか、そういう基準の見直し、設計の見直し、非常に大事だと思います。そしてまた、今後これを補強、復旧復興されるわけでございますが、本当に安心のできる心配のないものをつくってもらわなければならぬわけでございます。そういう点、大臣からお伺いしたいと思うわけです。  まだこれ、全線の開通ということは、先ほど御報告がありましたように非常に少ないわけでございますが、この道路関係につきまして、全部の復旧というものは大体いつをめどとされるのかということですね。  それと、構造物につきまして、その復旧復興をされるにつきまして、本当に心配のないものができるのかどうか。今後、そういう耐震構造について、基準の見直し等についてどういうようにされているか。  また、今回の災害状況を見ましたときに、そこには手抜き工事といいますか、そういうことが大きくクローズアップもされているわけです。それは大きくは影響しなかったというような報告もあるわけでございますが、しかし、あってはならないことでございます。今後の施工監督等の姿勢ということが問われるわけでございます。そうしたことを含めまして、御答弁いただきたいと思います。
  38. 藤川寛之

    藤川政府委員 今お話がございましたように、今回の地震によって大変な道路橋被害を受けたところでございまして、私どもとしても残念に思っておりますし、大変重く受けとめておりまして、今回の地震教訓を、耐震性の向上という形で将来に生かしていきたいというようなことで考えているところでございます。  具体的には、道路橋震災対策委員会というのを設置いたしまして、専門家の方に集まっていただきまして、御審議をいただいているところでございます。その中で、今回の地震の大きさがどうだったか、被災のメカニズムがどうだったかというところを明らかにいたしまして、耐震設計の将来のあり方というようなものを議論していただこうということで審議を進めているところでございますが、とりあえずは復旧というのを急がなければいけないものですから、復旧仕様というのをまずおまとめをいただきまして、今回の大きさの地震にも十分耐えられるような橋梁にしようということを目標にいたしまして、復旧に係る仕様というのを取りまとめて、二月二十七日に関係機関に通知したところでございます。  この仕様では、現行の基準に加えまして、さらに大きな地震力に耐えられるように、構造物の柔軟性とか粘りを向上させるような対策、あるいは地震力を吸収するような対策等を総合的に活用するようにしておりまして、復旧される高速道路等につきましては、十分な耐震性確保できるというふうに考えているところでございます。  また、今回の被災状況を踏まえまして、やはり全国的にも、既にでき上がっております橋梁について点検をいたしまして、補強等実施していく必要がございます。この補強につきましても、とりあえずはこの復旧に係る仕様というのを参照しながら具体的な補強計画を作成していきたいというふうに考えておりますが、大変緊急性の高い阪神高速道路でございますとかあるいは首都高速道路、また高速自動車国道等の主要区間などにつきましては、緊急三カ年計画というようなものをつくって、早急にこの補強をやっていきたいというふうに考えております。  また、耐震の具体的な基準につきましても、今先生の方からも御指摘がございましたが、やはり地域の特性それから地震の大きさ等を踏まえて、また今回の地震被災のメカニズム等を踏まえまして、きめ細かい耐震基準というのをつくっていく必要がございます。これにつきましても、道路橋震災対策委員会で現在審議を進めておりますので、できるだけ早く取りまとめるように、私どもとしても努力してまいりたいというふうに考えております。  それから、復旧の見込みでございますが、現在残っておりますのが阪神高速の三号線それから湾岸線でございます。湾岸線につきましては、十月には六甲アイランドまで復旧したいというふうに考えております。それから、阪神高速の三号線につきましても、大変重要な道路でございますので、復旧を現在急いでおりますが、そのうち、摩耶−京橋間につきましては本年度、七年度末に供用したいというふうに考えておりますし、残ったその他の区間につきましては平成八年内に供用したいということで、現在復旧を急いでおります。  それから、手抜き工事のお話がございましたが、私どもとしても、施工の実態がどうだったかというようなことを調査しております。具体的には、倒壊とか落橋した箇所について詳細に調べましたが、この箇所については具体的な手抜きというのは今のところ認められておりませんが、その他の箇所においてやはり、手抜き工事とは言えないのですが、いわゆる仕様とおり施工されていないようなところが二、三見受けられているようでございます。手抜き工事というのはあってはならないことでございますので、私どもとしては、今 回の施工の実態等も踏まえまして、やはり施工管理体制というのはきちっと充実していく必要がございますので、この施工管理体制のあり方につきまして、具体的な措置を講ずるように公団を指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  39. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、もう時間が来ましたので終わりますが、きょうは警察庁も来ていただいておるわけでございますが、やはりああいう状況のときにおきましては、情報収集伝達、あるいは救難救助体制の整備、あるいは緊急交通路の確保等に力を入れていただきたいと思いますし、こういうサリン事件等を見ますと、鉄道安全性確保のために十分努力していただきたいと強く要望いたしまして、私の質問を終わります、
  40. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、細川律夫君。
  41. 細川律夫

    ○細川(律)委員 社会党の細川でございます。  まず、私の方からは、鉄道復旧と今後の防災対策についてお聞きをいたしたいと思います。既に近江委員などからもいろいろ質問がございまして、重複するところがあるかとも思いますので、その点は御了承いただきまして、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  鉄道に関しましては、今回の地震で山陽新幹線あるいは阪急、阪神、大変多くの鉄道被害が出たわけであります。その復旧がどの程度まで進んだのか、あるいはその復旧の今後の見通しなどについてお聞きをするのですけれども、その復旧事業については大変なお金もかかるわけでございます。そういう点について、事業者に対して国の方はどういうような援助を今までしてきたのか、措置をとってきたのか、あるいは今度の第一次補正予算でこれについてはどういうような援助をされるのか、その点まとめてお答えいただきたいと思います。
  42. 澤田諄

    ○澤田政府委員 お答えいたします。  地震当日、一月十七日でございますが、鉄道の六百三十八キロの区間が運休をしたわけでございます。その後、逐次復旧に努めまして、一月末現在で百八十五キロ、二月末現在で百四十二キロ、三月末現在で百三十三キロというような形で順次減ってまいりまして、四月一日にJRの在来線が開通し、四月八日に山陽新幹線の開通ということで、四月末までで三十キロ、現段階二十九キロが残っておる状況でございます。  残る区間についてできるだけ早急に復旧工事を急いでいるわけでありますが、現在、阪急電鉄につきましては神戸線、区間が二区間ございますが、西宮北口−夙川間が六月下旬の見込み、岡本−御影間が六月上旬の見込み、阪神電鉄本線御影−西離間が七月上旬の見込みということで、できるだけその他の線区についても早急に再開できるよう努めてまいりたいと思っております。  それから。これらの復旧工事につきましての支援措置でございます。これまでとった措置につきましては、平成六年度の第二次補正関連で措置をしておるわけでありますが、鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助ということで、補助率は国二五%、地方二五%ということで、後ほど申し述べますが、災害復旧の融資とあわせて支援するということでございまして、阪神、山陽、神戸交通局、神戸高速、神戸電鉄、北神急行、JR貨物、神戸交通というような形で助成をしております。  また、日本開発銀行からの災害融資といいますものにつきましては、災害補助を受けない事業者、JR西日本ですとかJR東海、阪急、北大阪急行、これらにつきましては、当初金利三・七五でございましたが、金利の低下で、現行は、当初五年間は三%というような融資を行っておるところでございます。それから、災害復旧工事を、先ほど申し述べました補助金とあわせて受ける事業者につきましては、当初五年間三・三五%、当初、補正予算段階のときには四・二五%ということでございましたが、金利の低下ということで現在下がっておりますが、このようなことで支援措置を講じておるところでございます。  それから、この七年度の第一次補正におきましてお願いをしたいと思っておるものにつきましては、現在とりあえず緊急に対応できるものとして、地下鉄整備新幹線耐震対策実施ということについてお願いをする予定でございます。  地下鉄関係では、先ほど申し述べましたが、古い路線であります東京都、名古屋市、大阪市あるいは営団、それらの各路線につきましての開削トンネルの駅部中柱の強化等の耐震工事実施する予定でございます。また、整備新幹線につきましては、現在建設を進めておるところでございます高架橋につきまして、現在建設時に行った方が効率的と思われる耐震対策を行いたいというふうに考えておるところでございます。よろしくお願いします。
  43. 細川律夫

    ○細川(律)委員 防災対策の方までずっと述べていただいたわけなのですけれども、私がお聞きしましたのは、復旧に関しての問題を専らお聞きをしたわけでありまして、その復旧に関して今度の七年度の第一次補正予算でどういう国の援助がされるのかということでございます。
  44. 澤田諄

    ○澤田政府委員 失礼いたしました。  災害復旧につきまして、先ほど申し述べました六年度第二次補正で手当てをした残りということで、国費五十二億、事業費二百八億につきまして要求をしたいと考えております。これらの対象事業者は阪神電鉄、山陽電鉄でございます。
  45. 細川律夫

    ○細川(律)委員 それでは次に、前々から疑問に思っていたところなのでありますけれども復旧に関しての補強工事などでの耐震基準の問題でございます。  その基準を聞く前に、新幹線の橋げたが落ちたり、あるいは橋脚が倒れたり、あるいは地下鉄は安全と言われたにもかかわらず、国内で初めて地下鉄が損壊をした。こういう起こったことについて、そもそも耐震基準を上回るようなのでそういうことになったのか、それとも、施工方法にいろいろミスがあったり、あるいは不良工事があったり、材料が悪かったり、そういうこともあってこういう事態になったのか、そこのあたりをもう一度きちっと、調査結果が出ているならここで教えてほしいのです。
  46. 澤田諄

    ○澤田政府委員 従来の耐震構造につきましては、過去における日本に起きた地震に耐え得る構造ということで耐震基準がつくられ、その後何回となく耐震基準の見直しということも行われてきたわけであります。  私どもといたしまして、今回の地震による被災状況を見ますと、やはり耐震基準のあり方というものについても十分検討しなければいけないということから、被災後直ちに耐震構造検討委員会委員の先生方を任命し設立いたしまして、検討を深めてきておるわけでありますので、今後その検討委員会の中で鋭意検討をし、適切なる耐震指針をつくってまいりたいというふうに思っております。
  47. 細川律夫

    ○細川(律)委員 そうすると、まだ結論が出ていないということですか。
  48. 澤田諄

    ○澤田政府委員 現段階検討中でございますが、中間取りまとめということにつきまして一定の見解を表明はしておりますが、まだ最終的な結論に至る段階ではございません。早急に結論を得たいと思って、鋭意検討をしておるところでございます。
  49. 細川律夫

    ○細川(律)委員 そうしますと、先ほど御説明いただいた復旧工事ども大方終わっているような感じなんですけれども、その復旧工事の耐震基準というのはこれまでの耐震基準とは違うことなんですか。これまでの耐震基準とは関係なくやっておられるのですか。よくわかりませんがね。
  50. 澤田諄

    ○澤田政府委員 今回、耐震構造検討委員会の中で検討し、復旧工事を行ったわけでありますが、当初、復旧工事につきまして耐震構造検討委員会の中での検討は、今回の地震がどのように動いたか、どのような力が働いたか、どのようなメカニズムであのような被災になったのかということがまだ不明の段階でございました。しかしながら、復旧工事を施工しなければならないという問題がございます。  したがいまして、早く復旧しなければいけないが、安全かつ早くという命題をこなすためにはどうしたらいいかということで、当初、従来の知見によりまして復旧構造物について補修し、その後鋼板で巻くという工法につきまして考えたわけであり、各事業者等に指示したわけであります。  それと同時に、その復旧工事と並行しまして、私ども、実験室の中で実物大の模型実験をしまして、その復旧工事が果たして適切なものだったかどうかというようなことを検討いたしまして、三月二十九日でございますが、耐震性の評価ということで、実物試験の結果、「鋼板被覆により柱のねばり強さに相当するじん性率が鋼板被覆前に比べ約五倍になった。」それから「この実験結果をもとに耐震性を評価すると、鋼板被覆により約二・五倍に向上することが想定される。」ということでございまして、相当程度従前の構造物が補強されてあるということの結果をもとに、その他の列車走行上の安全確認ということを行って復旧をさせたわけでございます。  したがいまして、今後の検討は、多少言葉を変えて申し上げますと、どのような力が加わったかがまだ未解明な中で十分にもつものをつくっておるわけでございまして、それで復旧させておるわけでございます。  今後、耐震構造の指針をつくる場合には、効率的な補強策と、どの程度の鋼材を使い、どの程度のものをつくれば少なくとも今回の地震程度のものに耐えられるものになるかという、そういう意味ではより詳細を検討していくという形になろうかと考えております。
  51. 細川律夫

    ○細川(律)委員 そうしますと、耐震基準は大体いつごろつくられるのでしょうか。
  52. 澤田諄

    ○澤田政府委員 現在、検討委員会において、耐震構造の問題が相当重要なことから、とりあえず全国的な過去の構造物の補強をどうするかということについて鋭意検討をしておるところでございます。それを踏まえた上で、まことに恐縮でございますが、時期は何とも言えないわけでありますが、私どもとしてはできるだけ早急に設計指針の骨子ということはまとめていかなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  53. 細川律夫

    ○細川(律)委員 耐震基準をつくるということはなかなか難しいということで、時間もどれだけかかるかというようなことについてもなかなか見通しが立たないということだろうと思います。  先ほど大臣の方も、耐震基準をつくるためには徹底的に検討をするのだ、こういうふうに言われておりましたけれども、耐震基準を作成するためには実験その他いろいろ金もかかるだろうというふうに思いますけれども、そういうことについて、国の方では一体、安全性が確立される基準をつくるために財政的にはどういうような援助をしながらこれをやろうとしているのか。第一次補正予算の中でそれも出ていると思うのですけれども、どうなんでしょうか。
  54. 澤田諄

    ○澤田政府委員 現在、六年度の第二次補正で国費をいただき、それにより調査をしております。数字については今調査しておりますが、七年度については四億ということでお願いしようと思っております。
  55. 細川律夫

    ○細川(律)委員 それでは、今後の鉄道防災対策についてお伺いをいたします。  先ほど同僚委員からの質問の中でも、これまでに鉄道施設の総点検を行っているというような答弁もされていたわけなんですけれども、耐震基準そのものがいつ出るかということもなかなかわからなければ、そうしますと、それが出るまでに何もしないというわけにはいかないと思うのです。それまでに補強工事とかいろいろしなければいけないと思うのですけれども、それを一体どういうようにされていくのか。  先ほどちょっと御説明もありましたけれども、短期間の、例えば今度の補正予算、この補正予算というのは特に震災対策についての補正予算なのですけれども、一体今度の補正予算でどういう対策を考えておられるのか、あるいはもっと長い、長期的にはどういう対策をとられようとするのか、それについて御説明願います。
  56. 澤田諄

    ○澤田政府委員 失礼いたしました。先ほど申し上げました六年度第二次補正は四二一億でございます。今回お願いしているのが四億ということでございます。  これらの費用によりまして実験あるいはシミュレーション等を行っているわけでありますが、従来の解析の結果の中でわかってまいりました事項といいますか、今回は、高架橋につきましては、高架橋の剪断破壊により柱が破壊した。破壊が最初に柱に至ったものですから、その後の震動等によりまして相当程度揺れたといいますか、変形を大にしたということではないかというような推察をしておるところであります。いずれにしろ、高架橋については柱の破壊が先行することが大きな被害にいくということで、高架橋の柱の補強ということは大事ではないかというふうに考えております。  それからまた、地下鉄トンネルにつきまして、地下鉄の中柱の耐力が地震力によりまして劣っていたということで、まず中柱が損壊した。それによります。その後の震動等によりましてトンネルが崩壊していったのではないかということから、地下鉄につきましては、特に大開駅ということで比較的広いところでございますので、そのような中柱の補強ということはまず第一に大事ではないかということから、先ほどから申し上げています対策ということにつきまして、緊急にやるべきものということになってきているわけでございます。  しかしながら、それらのことにつきまして、今後さらに適切な内容といいますか、より詳細な検討というものは引き続きしていかなければならないと思っておりますが、当面そのようなことで作業を進めておるというところでございます。
  57. 細川律夫

    ○細川(律)委員 そうしますと、当面の補強工事といいますか、これをやられるわけですね。そうしますと、耐震基準が将来きちっとしたのが出てまいります。そのときに、今やっておることと耐震基準とが違うというようなことは考えられないのですか。それがちょっと心配があるのですけれども
  58. 澤田諄

    ○澤田政府委員 耐震基準につきましては、基本的には今後つくる構造物をどのような設計で行うかという基準でございます。  現在ある工作物につきましてそれを補強するということにつきましては、実は現実的なことといたしまして、補強の方法といいますものが、その構造物の持つ耐力と同時に、きめ細かな補強方策が現実的にはとりにくく、やはり現実的には鋼板を巻くとかいう形で処理できますので、その点では、補強策としては後々の手戻りということはないというふうに考えております。
  59. 細川律夫

    ○細川(律)委員 わかりました。  それで、時間がありませんから、高速道路復旧のことについてお伺いをいたします。  もう既にいろいろ同僚委員の方からお聞きになりましたので、ちょっと私の方から、今行われております高速道路なんかの補強工事の耐震基準といいますか、二月の二十七日に出されました復旧仕様についてお伺いをいたします。  この仕様によりますと、耐震基準といいますか、それは、「今回の地震に余裕をもって耐えられる橋梁とすることを目標」とするというようにまず書かれているわけなのですけれども、今回の地震というのは、もうこれまで予想もつかなかったような地震なわけなのです。その地震にも余裕を持って耐えられるような橋梁というふうに書かれているのですけれども、これは一体どういうことなのでしょうか。ちょっと説明をしていただけますか。
  60. 藤川寛之

    藤川政府委員 先ほども申し上げましたが、今回の地震では大変な道路橋被災を受けまして、被災のメカニズム等につきましていろいろな調査検討を進めているところでございます。将来に向けての耐震設計基準につきましてはかなり時間をかけて検討しなければいけないというふうに考えているわけでございますが、当面、復旧というのは、これはやはり急いでやらなければいけないものですから、この復旧に係る仕様につきましてはとにかく短期間で緊急にまとめなければいけないということで、現時点までにいろいろな新しい知見が得られておりますので、そういうものをできるだけ取り込んでやっていこうと。  それで、地震に耐える大きさをどうするかということをいろいろ議論いたしたのですが、今回の大きさの地震に余裕を持って耐えるというのは、これは、それぞれの構造物が破壊に至るまで、要するに破壊する力、耐力というふうに言っておるわけでございますが、耐力までいかないような、今回の地震で耐力の手前でとまるように、耐力までいきますとこれは破壊してしまいますので、耐力の手前で、少し余裕を持って耐えられるような仕様にしておこうということで、設計の考え方というものをとりあえず取りまとめたということでございます。
  61. 細川律夫

    ○細川(律)委員 最後になるかと思いますけれども東京の首都高などについても大変心配があるわけなのですけれども、首都高についても補強の工事がこれからなされる、こういうふうにも聞いております。それについては、今の復旧の仕様書、それと同じような基準でこの首都高の方の補強もやっていかれるのか。それから、首都高についてどういうふうに補強をされていくのか、この点の計画と、それについての予算措置というのはきちんとできているのかどうか、できるのかどうか、そこらあたりを説明してください。
  62. 藤川寛之

    藤川政府委員 首都高速道路につきましてもやはり早急に橋脚等の補強を進めていきたいというふうに考えております。当面、緊急に実施する補強の考え方につきましては、今回の地震被災というものを十分踏まえなければいけないということで、先ほど申し上げました復旧仕様というものが今ございますので、この復旧仕様を参考にして首都高速道路の補強についても進めたいというふうに考えているところでございます。  具体的な進め方といたしましては、既に平成三年度に一度震災点検というものを実施しておりまして、それに基づきまして、補強が必要な橋梁が約七百七十基あったのですが、これの補強を平成九年度までにやろうということで実施していたのですが、昨年までに五百七十基終わっているというようなことで、約二百基ぐらい残っております。この二百基は緊急にやろうということで、これを当初の実施計画に組み込みまして、この二百基につきましては平成七年度中に補強したいというようなことで進めております。  それから、首都高速道路全体で七千二百基くらいの橋脚があるわけでございますが、この復旧仕様を準用いたしまして、できるだけ早く調査を行いまして、必要な鋼板の接着てあるとかあるいはコンクリートによる巻き立て等の補強を、私どもとしてはおおむね三カ年くらいで概成させたいというふうに考えているところでございます。  特に平成七年度につきましては、古い仕様書でつくった鉄筋コンクリートの単柱、一本柱の橋脚がかなりございますので、そういうものを最優先ということで実施したいというふうに考えているところでございまして、この補強にも大変大きな事業費が必要でございます。平成七年度の補正予算で何とか追加をいただきたいというようなことで、この首都高速道路の橋梁の補強対策といたしましては五百十億円を何とかお願いしたいというようなことで考えております。これは事業費でございますが、その三分の二を国と地方からの出資金を充当するというような形で手当てしたいというようなことで要求をさせていただいているところでございます。  いずれにいたしましても、首都高速道路につきましても耐震性をさらにアップさせるということは緊急課題だというふうに考えておりますので、私どもとしても、この補強につきましては強力に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  63. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今、サリンとかオウムの事件で、震災の報道などがちょっと少なくなっておるようでありますけれども、この震災対策というのは大変重要なことであり、ぜひ力を入れて取り組んでいただきたいとお願いをいたしまして、私の方は終わります。  ありがとうございました。
  64. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、宇佐美登君。
  65. 宇佐美登

    宇佐美委員 新党さきがけの宇佐美登でございます。  昨日から交通安全週間が始まったわけですけれども震災時の交通対策というもの、特に被災地等交通安全対策というような内容でございます。その関連について御質問をさせていただきたいと思います。  私も、震災から三週間余りたった二月八日に神戸に伺いましてその被災地をお訪ねしたわけですけれども、そのときにもやはり非常に大渋滞というような中で、車が一キロ進むのに、というよりも百メートル進むのに十分、二十分かかるのが常々であったわけですけれども、そんな中で、震災時の違法駐車の問題点というのも非常に大きかったと聞いております。違法駐車だけではなくて、そのまま駐車をされていた方もいるのかと思いますけれども道路が駐車場状態になっているわけでして、それが渋滞の一因にもなったのかと思いますけれども、そのような点についてどんな現状があったのか、御報告をお願いします。
  66. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘のように、今次の阪神淡路大震災におきまして、特に発災直後におきまして大変な渋滞が起きたわけでございます。  この渋滞の原因はいろいろ考えられますけれども道路の損壊あるいは大量の避難車両の移動等もありましたけれども、今御指摘のように、違法、適法ということで一概にその数字は我々持ち合わせておりませんけれども、多数の路上に放置された車両というのがこの渋滞の要因になった、一因であったということは認識しているところでございます。
  67. 宇佐美登

    宇佐美委員 まあ、違法、適法ということの把握は非常に難しいのかとは思いますけれども、恐らく、車に乗っている最中に震災が起きた方、また、車を道路に置いておいた中で例えば仕事をやっている方が、戻ることもできずそのままの状態だったこともあるかと思います。  交通安全週間ということもありますので、一つ御指摘をさせていただきたいのは、教習所の教則の中ではこのようになっているわけです。「大地震発生したとき」ということで、「車を運転中に大地震発生したとき」は「急ハンドル、急ブレーキを避けるなど、できるだけ安全な方法により道路の左側に停止させる」。「停止後は、ラジオ地震情報交通情報を聞きこというような中で、「その情報や周囲の状況に応じて行動する」。また、「車を置いて避難するときは、できるだけ道路外に停止させる」、ここが非常に重要なわけです。同時に、「やむを得ず道路上に置いて避難するときは、道路の左側に寄せて停止させ、エンジンを止めこここもまた非常に重要なわけですけれども、「エンジンキーはつけたままとし、窓を閉め、ドアはロックしないこと。」  重要なポイントが幾つかあると思います。一つは、道路外にまず停止させるように努力するということ。道路の上にそのまま駐車するよりも、できるだけ建物の駐車場等、本来ならば人の所有地になる場合もあるわけですけれども、そのようにとめること。  同時に、エンジンをとめる。これは、あの震災の一両日中にガソリンがほとんどなくなってしまったという方がたくさん出てきたわけです。ガソリンがなくなったと同時に、そのまま道路に車を放置してしまうというようなこともあったと聞いております。  さらにはエンジンキー、ここがまた大事なんです。一部教習所でこのように教えているわけですけれども、盗難等に際してということで、かぎは常に締めるんだという意識が徹底されている中で、かぎを締めてしまった方が非常に多いわけです。せめて窓のロックさえとれていれば、マスターキー等でエンジンを、もしくは直結して始動することも可能なのかもしれませんし、ニュートラルに入れた中で牽引も非常に容易なわけですけれども、エンジンキーを抜いた上かぎまで締めてしまっている中で、移動が非常に困難であったと聞いております。  ぜひともこの点について、今般交通安全週間でもありますし、秋にもございます、その点についてなお一層の広報が必要だと思うわけですけれども交通局長の見解をお示しください。
  68. 田中節夫

    田中(節)政府委員 ただいま委員指摘のように、国家公安委員会がつくっております「交通の教則」、あるいは自動車教習所の教習の際にも、大地震発生時、あるいは大規模地震対策特別措置法の適用される地域につきましては、警戒宣言が発せられたときの措置ということで今委員指摘のような措置を述べまして、また、そういうことを教習生に徹底するようにというようなことで指導しているわけでございます。  しかし、今次の大震災を見ますと、必ずしも今委員指摘のようなことが徹底されていなかったというところが見られるわけでございます。現在、今申し上げましたような教習所等で教えておりますけれども、特に静岡等の大規模地震対策特別措置法のいわゆる強化地域等におきましては相当な広報、周知徹底を図っておりますけれども、それ以外の地域につきましては必ずしも十分な広報、周知徹底が図られていないという実情がございます。  私どもといたしましては、今後は、地域にかかわらず、大地震発生するおそれがあるというようなことで、その大地震に適切な措置が図られますよう、各種の講習を初め、あるいは御指摘のような安全運動というようないろいろな機会もとらえまして、今御指摘のような運転者のとるべき措置についてより一層の徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  69. 宇佐美登

    宇佐美委員 今局長がおっしゃったように、教則の中におきまして、冒頭部分、「大地震などのとき」という中の「警戒宣言が発せられたとき」、これは「現在、東海地震に関連して静岡県の全域と神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知の五県の一部がこその「強化地域として、指定されて」いるという文脈の中で、その方たちだけを対象にした文章になっているわけですけれども、ぜひともその点についても修正もしくは指導の徹底をこれからなさるよう御要望申し上げたいと思います。  同時に、先ほど駐車の問題も出てきたわけですけれども東京都内におきまして、特にこの首都圏におきましてはパーキングメーターが非常に多く設置されているわけです。これはもう御存じのように、道路を駐車場として利用するシステムの一つだと私は認識しているわけです。時間制限駐車区間という形で、例えば朝の九時から夜の七時ぐらいまで、一時間三百円ぐらいのお金を払ってチケットを買って、車の中に張って駐車ができるというわけですけれども、これは道路を駐車場として使っているわけですから、当然渋滞がさらに加速する可能性もあるわけです。同時に、今までだと違法駐車をせざるを得なかったものが、一時間という時間の設定の中ではありますけれども、合法的に駐車ができるということで非常に助かっているという声もあるわけです。  そうやって考えてみますと、やはり首都圏内におきましては時間貸しの駐車場というもの、ある場所に移動したときに移動先での駐車場というものが重要になってきていると思います。  月決め駐車場に関して言えば、私の地元の大田区、品川区等ではもう余っている状態があるわけです。さらには、聞いたところによれば、高級住宅地のある世田谷区におきましても、月決め駐車場は三万円を切るところが出てきている。地方の方からすると、三万円というだけでも高い値段だと感じる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、一時期世田谷区は十万円ぐらいまでした駐車場があったわけです。当時十万円だった駐車場が大体今五万円ぐらいまで落ちてきましたし、五、六万だったものが今二、三万円ぐらいまで落ちてきている。それでも空き駐車場があるというのは、いわば月決め駐車場のためにどんどん租税特別措置などをとっていく中で駐車場が余っていく現状ができたわけです。  で、必要なのは、先ほどから申しておりますように、移動先での駐車場というものですから、このパーキングメーターのあり方というものをもう一度一から考え直して、できるだけ、道路を駐車場として使うんではなく、今どんどん広がっている時間貸し駐車場というものに対して考慮をしていく必要があるのではないかと思います。  私の知っている港区のエリアにおきまして、パーキングメーター一時間三百円のところに、時間貸し駐車場一時間二百円のものがあるわけです。時間貸し駐車場は、当然、土地を借りているのか買っているのかわかりませんけれども、少なくともその土地に対しての費用がかかっている上で、さらに機械を設置して一時間二百円だということですから、その業者に聞いてみたところによりますと、それでペイができるんだと。  そのすぐ出たところに、道路わきにパーキングメーターがあるわけですけれども、がらんとしている。当たり前です。片方は一時間しかとめられないパーキングメーターで、さらに値段が高い。片方は何時間でもとめていられる上に値段が安いわけですから、ユーザーからすれば当然安い方を、どれだけすぐに帰ってこようと思っても帰ってこれないかもしれないわけですから、長時間安心してとめられる方に駐車する。ごく当たり前のことが今起きているわけです。  震災時におきましても、その路上駐車というもの、違法、適法にかかわらずと先ほどくしくも局長がおっしゃったように、この問題点も非常に考えなければならない問題だと思います。本日は指摘にとどめておきますので、ぜひともパーキングメーターのあり方を今後も検討していただきたいと思います。  次に、先ほど申し上げたように、二月八日に私も震災地に行ったわけですけれども、その渋滞の中でも、オートバイ、二輪車というものが非常に活躍していたのを拝見したわけです。また、一部の新聞、テレビ、雑誌等でもバイクの有用性、優便性というものが言われて報道されてきたわけですけれども、その点について何か的確な事例等を把握なさっていらっしゃるなら御指示をいただきたいと思います。
  70. 樋口忠夫

    ○樋口説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のように、阪神大震災発生後、被災地におきましては道路網が寸断されるとか、あるいは交通渋滞が著しいというようなことで、トラックによる貨物輸送は長時間を要するというような状況になったわけでございまして、効率的な輸送というのがなかなか困難であった。こういった状況から、一部宅配事業者が集配業務にオートバイを使用する、あるいはバイク便事業者が積極的に貨物の配達を行うなどしておるという報告を我々は現地から受けてございまして、御指摘のとおり、被災地域における物資輸送にオートバイは非常に有効であったというように私どもも認識しておるところでございます。
  71. 宇佐美登

    宇佐美委員 物資輸送、同時に情報伝達手段としてオートバイが使われたと思うのですけれども、その中でも特に原付と言われる五十cc未満のモーターサイクルに関しては特に規制がないんだというような御説明も承ったことがございますけれども、今回、一部の宅配事業者がオートバイを使って荷物を集めたということに関しても、その点において規制というものは存在していなかったのか、また、恐らく他のトラック等の貨物輸送よりも規制が緩かったのだと思うのですけれども、その点についての御見解がありましたらお答えください。
  72. 樋口忠夫

    ○樋口説明員 ただいま御指摘いただきましたように、原付三輪の五十ccにつきましては無規制ということでございまして、事業者の判断によってこのバイクを調達して利用されたということだと思います。
  73. 宇佐美登

    宇佐美委員 規制がないということが緊急時においても非常に柔軟に対応ができるということの一つの、あくまで一つだと思いますけれども、証明にもなっているんだと思います。必要な規制、必要ではない規制、経済的規制に関しては原則自由だという政府の強い方針があるわけです。ぜひともその点に沿って、運輸省としても他の輸送機関に関しての規制の緩和もしていただけるようさらに強くお願いを申し上げまして、その点については終わらせていただきます。  次に、東京の臨海副都心の問題、特に青島都知事の誕生以来、皆さんの注目を集めているわけです。私個人としては、都市博の中止に対しては賛同をしているわけです。都議会におきましても、我々さきがけのメンバー、数少ないわけですけれども、やる必要性というものに関して疑問を呈していたわけでもありますし、今回、これからの都市博の中止に対して、その都知事の姿勢というもの、本気で考えているんだということがさらに強くわかれば、それを応援していこうと考えているわけです。  何にしましても、都知事、きのうはサイクリングロードとしても使えるんじゃないかということを、恐らく思いつきだとは思いますけれども、そんなことを言われたわけです。これまでの開発が行われてきている中で、少なくとも都民の税金、大きなお金をつぎ込んでいるわけですから、利用していかなければならないわけです。そんな中で、臨海副都心の安全性について疑問を呈する方も出てきているわけです。その点について、現状の御報告をお願いいたします。
  74. 田中節夫

    田中(節)政府委員 お答えいたします。  私ども交通に限っての災害時の備えということでお答えさせていただきますが、臨海副都心地区の開発計画におきましては、業務系あるいは商業系施設のほかに、住宅地につきましても広い用地を割いております。かなり多くの就業人口及び居住人口が見込まれておりますために、警察庁におきましても、当該地区の災害時の交通管理対策につきましては非常に重要なものと認識しております。  現在、その地区の震災対策といたしましては、警視庁におきまして、東京地域防災計画及び臨海副都心防災基本計画にのっとりまして、交通規制の計画を策定しております。警視庁におきましては、現在、阪神淡路大震災教訓を踏まえまして、従来の計画を見直しをして、作業、検討中でございます。御質問の臨海副都心及びそのアクセス道路につきましてもこれらの交通規制の対象となっておりますけれども、避難路、緊急輸送路として検討しております。  ただ、開発計画につきましてはまだ流動的な部分が多いものでございますので、開発の進捗状況等を十分に踏まえながら、関係機関との連携をとりながら、信号機用発動発電機、交通情報板あるいは交通監視用カメラなど、災害対応できる交通管理施設整備、当該地区内の災害応急対策が円滑にできるような交通規制計画の策定を進めるように検討してまいりたいと考えております。
  75. 藤川寛之

    藤川政府委員 臨海副都心におきます道路地震に対する安全性ということでございますが、あの地域では幹線道路としては首都高速道路があるわけでございますが、首都高速道路につきましては、従来から耐震性の向上を図るというようなことで私どもとしても努力してきたところでございます。  今回の阪神地域地震被災状況を踏まえまして、私どもとしては、一つはこの首都高速道路の高架部分の補強という問題があります。これにつきましては、早急に耐震性強化を図るというようなことで取り組んでまいりたいというふうに考えております。  それから、あとは液状化の問題があろうかと思いますが、この問題につきましても、道路橋の耐震設計指針では、もう昭和四十六年からこの液状化の問題が起こるぞというようなことで、設計上盛り込んできたわけでございます。今回の地震では、粒径のかなり大きい地盤でも液状化が発生したというようなことと、あとは液状化に伴う流動化というのが観測されているわけでございます。  こういう点につきまして、現在どういう影響があるかというようなことをいろいろ具体的に検討しているところでございますけれども、それを踏まえて所要の措置を早急に講じてまいりたいというふうに考えております。
  76. 宇佐美登

    宇佐美委員 私も材料力学を学んできた者としましては、当然長い期間使っていくことによりまして疲労というものが出てくるわけです。例えば私の地域でいえば、大田区、品川区、品川区の天王洲アイルというエリアにおきましても、液状化もしくはそれに伴う流動化というものが今問題視されてきておりますので、臨海副都心に限らず、そのエリアの湾岸部分に関しての高架部分等の補強というものを熱心にこれからもやっていただけるよう御要望申し上げたいと思います。  続きまして、緊急時に必要な車の共通性というものを、最後の質問というが御指摘をさせていただきたいと私は思っています。  現在、日米の自動車協議におきまして、部品の規制緩和もしくは市場の拡大というものをうたっている協議が、残念ながらこの前一定の結論が出たわけですけれども、引き続き、テーブルの下もしくは部屋の外ではありますけれども、議論が続いていると言われております。  市場の開放というものに対しては、全面的に私は賛成をしているわけです。しかしながら、自動車そのものに関して、輸入するときに、車の共通性というもの、それは一つの安全性として必要なものだと考えているものがあります。  第一が、ハンドルの位置であります。  緊急時、仕方なく道路にとめられている車を移動しなければならない、移動する必要性が出てきたときに、例えば右ハンドルと左ハンドルですと、運転席からの視野というものが全く別なわけです。当然のことながら、車の種類、例えばワゴンのタイプであったりセダンのタイプであったりすることによる視野の違い等はありますけれども、それを超えた意味で、ハンドルの位置というのは非常に大きな問題になると思います。  例えば、道路を通行中、右折をしなければならない左ハンドル車は、直進車との玉突き衝突というか、出会い頭の衝突というものも非常に多いのだと聞いております。輸入車が毎月毎月多くなっている中で、左ハンドルではない、右ハンドルというものをある意味での規制として、これは社会的規制、安全性による規制だと私は考えるわけですけれども、必要なのではないかと思います。  例えば、ヨーロッパの中におきましても、通常左ハンドルですけれども、左側通行のイギリスにおきましては右ハンドルというものがいわば法制化、規制化されているわけです。日本ではいわゆる左ハンドルとして当たり前の高額外国自動車、例えばフェラーリであったりポルシェであったりしても、日本においては左ハンドルが平気で輸入されているわけですけれども、イギリスでは右ハンドルのみが基本的に販売をされております。  また、これはヨーロッパ全体なのですけれども、ワイパーと方向指示器の位置に関しましては、日本ではワイパーが左側がごく当たり前、方向指示器右側が当たり前になっているわけです。しかしながら輸入車、たとえ右ハンドル車といえども、ワイパーが右側、方向指示器左側と、日本と逆側になっている。これは機械を少しでもわかっている方からすれば、本当に簡単な、電気的接続だけを変えることによって変えられるにもかかわらず、輸入車というものを、そこを変えないでいる。  これはEUにおきましては、規制としてワイパーが右側、方向指示器左側というものがあるわけです。日本においても、その規制の強化というもの、必要な規制の強化というものはどんどんやっていくべきだと思いますので、この点についてどのように考えていらっしゃるのかお答えください。
  77. 樋口忠夫

    ○樋口説明員 ただいま先生御指摘のように、緊急時におきましての車の運転といいますのは、通常右ハンドルの運転をされていた人が仮に左ハンドル車を動かそうというようなときには、なれの問題がございまして、かなり心配するという向きはあろうかと思います。  一般論でお話を申し上げますと、自動車のハンドル位置につきましてはさまざまな御意見があるわけでございます。例えば、対向車とのすれ違い時の安全性確保やあるいは追い抜き時の前方視界確保の観点から、右ハンドルの方が好ましいというようなお考えの方、一方、それに対しまして、左折時の視界確保あるいは運転者の乗降時の安全性確保、こういった観点から見ますと、左ハンドルの方がすぐれているという考え方もございます。  そういったことで、いろいろさまざまな相反する意見があるわけでございますが、我々といたしましては、以上のような観点から考えましても、左ハンドル車は交通安全上問題があると一律に決めつけることは非常に難しいのではないかなというふうに考えております。したがいまして、我が国におきましては、右ハンドルでも左ハンドルでも両方受け入れているということでございます。  先ほど委員から御指摘をいただきました、イギリスの例をとられましたのですが、イギリスにおきましても、確かに日本と同じように車は左側通行でございまして、右ハンドル車が圧倒的でございますが、決して左ハンドルを認めていないわけではございません。  なお、諸外国におきましても、ほとんどの国では自動車のハンドル位置は通行区分と反対側にあるわけでございますが、ハンドル位置を法的に規制している国というのはほとんどないというふうに、我々調査の結果把握してございます。  以上でございます。
  78. 宇佐美登

    宇佐美委員 私もイギリスで車を運転しておりましたので、右ハンドル、左ハンドル両方あることはよく存じているわけですけれども、イギリスにおいてはたしか裁判があったというような話も聞いたことがあります。事実を確認しておりませんのでわかりませんけれども、左ハンドルの危険性というものをとらえた裁判があったと聞いておりますので、その点も御確認いただければと思います。  先ほど、乗降の安全性が高いのだとおっしゃいましたけれども、それはあくまで運転者のことをお話しいただいているのだと思いますけれども、車は運転者だけのものではございません。助手席に座っている方もいれば後ろに座っている方もいるわけですから。そうやって考えたときには、乗降が一概に安全だということも言えないと思います。  また、左折時に左ハンドルによる巻き込みというものが非常に少ないというか、視野の広さというものが御指摘あったわけですけれども、日本で世界に誇る技術として、フェンダーミラーというものがありました。フェンダーミラーにおきましては、左折時の視野というものが的確に把握できたのだという意見もあります。そのようなことも、あわせて考えていただければと思います。  本日、本会議もありますし、まだ時間は余っているのですけれども、この辺にて終わらせていただきたいと思いますけれども、緊急時の交通安全対策というものも、通常のときに考えていかなければならないのだと思います。ぜひとも活発な議論をこの委員会でもこれからも行われるよう委員長に御要望申し上げまして、終わらせていただきます。
  79. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、藤田スミ君。
  80. 藤田スミ

    藤田委員 運輸省にお伺いをいたします。  今回の大震災で、山陽新幹線は、尼崎、西宮、伊丹の各市を貫く高架橋に重大な被害を出したわけであります。とにかく四月八日から再開はされましたが、再開後、沿線地域では、震災以前には経験しなかったような大きな騒音、とりわけ振動が関係住民の間で大きな不安と問題になっております。  三月の二十七日に、地元三市からも大臣あての要望書が出されていると思いますが、この中にも、「単に震災前の状況に回復するのではなく、併せてより一層の騒音、振動対策を推進し、沿線住民の生活環境を保全するよう特段の御配慮をお願い申し上げます。」こういうふうに要望書が出されております。まず、この点について運輸省の御答弁を求めます。
  81. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 今の先生御指摘の沿線三市からの御要望、私どもちょうだいしております。今回の被災についての原因の究明、安全対策をきちっとやれということに加えて、おっしゃったような環境対策等についてもお触れになっておられるというふうに承知しております。  私どもといたしましては、今回の大被害について、片方で鉄道施設耐震構造検討委員会で原因等について分析をいただいておりますし、それからまた、その御意見をいただきながら、安全性第一ということで、被災状況に応じた復旧というのをやってきたわけでございます。  JR西日本では、復旧工事にあわせまして、バラストマットの敷設あるいは弾性まくら本への交換、あるいは従来より吸音効果の高い防音壁の設置といったような環境対策も行っております。  今後とも、要望の御趣旨に沿って、安全対策あるいは環境対策というものを行うように、鉄道事業者を指導してまいりたいというふうに考えております。
  82. 藤田スミ

    藤田委員 私は、その答弁は本当に不満なんです。  私は、実は先日、尼崎市の常松という地域に参りまして、新幹線の高架下の側道に面したお宅を訪問しまして、いわば体験調査をしてきたわけです。民家の中におりましても、新幹線が通過するときに、騒音だけではなく、振動が伝わってくるのですね。それが私の皮膚に何かすごく恐怖感を感ずるような、そういう振動の伝わりを感じました。  それで、皆さんが訴えられるのは、再開されたときに、まるで新幹線が、高架橋ですから上の方に走っているわけですが、家の中に飛び込んでくるような気がした。とりわけ、寝入りばなに最終が走っていくわけですが、そういうときにはもうびっくりして、下で寝ていればまくらを持って思わず二階へ飛び上がったり、二階で寝ていればまくらを持ってすぐ下に逃げてきたりというようなことで、寝入りばなをそれで阻害されて、言っているうちにもう朝一番が走ってきて、本当に眠れない毎日になっているというようなことや、家屋の被害が、全く見た目は隣の新幹線の高架橋と違ってちゃんと家は建っておりますけれども、しかしやはり傾きなどがある中で、一体この二次災害はだれが見てくれるんだというような、非常に切実な声を聞かされました。  これは、私が行った地域だけではなく、尼崎市の食満、さらには西宮や伊丹などの沿線にも共通しているわけであります。しかし、今の御答弁のように、残念ながらこの三市長が出している要望は結局解決されていないということになるわけであります。運輸省として、こういう状況を直接調査をしていただきたいということを私は求めたいわけですが、いかがですか。
  83. 澤田諄

    ○澤田政府委員 私どもで、阪神三市につきましての振動関係状況ということで、市、自治体当局が測定した震災前後の振動値の数値を申し上げますと、尼崎市では今回五十七デシベルでありましたが、前回六十一デシベルということで、四デシベル下がっております。それから、伊丹市につきましては五十三デシベルということで、前回も今回も同じ数字でございます。それから、西宮市でございますが、今回五十六デシベル、前回五十九デシベルということで、三デシベル下がっておるということで、これはJRの測定ではございませんで、市の測定ということで聞いております。
  84. 藤田スミ

    藤田委員 実際に行ってごらんになったら、どういう不安があるかということがわかるはずなんですよ。自治体がはかったらこうだったとか、それからJR西日本がどうだとか、そういうことではなしに、運輸省が要望をもらったわけですから、だからこの要望に基づいて責任を持って対応していくというのは当たり前のことではありませんか。
  85. 澤田諄

    ○澤田政府委員 お答えいたします。  今回の山陽新幹線被害ということが相当程度大きかったものですから、運輸省といたしまして、被災直後から、係官を派遣すると同時に、検討委員会委員のメンバーの現地調査に同行というような形で参りましたし、また復旧工事中につきましても、何回となく現地に赴き沿線の地域を歩いたわけであります。  そのような中で、三月の二十六日でございますが、工事が完成したということから、運輸省の職員八名によりまして復旧構造物に対する躯体の完成確認ということを行ったわけであります。また、その後、JRの社内における実車走行というものを踏まえまして、安全確認ということで現地に赴き、各種の安全確認を行ってきたところでございます。
  86. 藤田スミ

    藤田委員 実際に市が持ってきた、震災前の状況に回復するだけではなしに、生活環境を保全するよう配慮をお願いしたいということにこたえた行動というのは、今お話しの中では考えられないわけです。実際にそこの現地の中へ行ってみてください。そうすれば、どういうふうに言っているかということはよくわかるわけです。だから私は、運輸省が責任を持って、現在起こっているこの騒音、振動問題について調査をしていただきたい。  もう一度申し上げたいわけですが、直接の調査はできないということですか。
  87. 澤田諄

    ○澤田政府委員 今回の一月十七日におきます阪神淡路大震災災害ということにつきまして、山陽新幹線の高架橋が八カ所崩壊したということから、私ども運輸省といたしまして、安全確認をしつつ早期に復旧するという状況で現在対処してきたわけであります。  そのような中で、先生御指摘の環境問題につきまして、先ほど局長が答弁いたしましたが、今回の復旧工事に際しまして、バラストマットの敷設、弾性まくら木の交換、従来より吸音効果の高い防音壁の設置等ということにつきまして実施してきたわけであります。また、それらにつきまして十分JR自身も測定等を行ってきたというようなことの報告を聞いておりますし、私どもとしては、これらの山陽新幹線復旧ということにつきまして、安全確認を第一に、なおかつ、その中でも環境問題というものも意識して対処してきたということでございます。
  88. 藤田スミ

    藤田委員 私は、その答弁が納得できないから言っているのですよ。安全確認をしながら早期復旧に取り組んだ、そして騒音が出ないようにバラストマットなどの対策実施した、JR西日本も測定したということの報告も聞いている。だけれども、実際現地では大変住民が不安を感じているじゃないかということを言っているのに、何度言ったらわかってくださるのですか。
  89. 澤田諄

    ○澤田政府委員 先生御指摘の点につきまして、先ほど先生からも御指摘のありました阪神三市からの要望等もございました。運輸省といたしましては、それらの要望を受けた上で、JRを通じ、地元の皆様方と話し合いをするようにということで、それらにより解決を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  90. 藤田スミ

    藤田委員 私は、民営化されてこんなに運輸省の権限というものは弱くなったのかと、改めてこの問題でも思いますよ。どうしてJR西日本を通じて、住民の方は運輸省に行けばいい、大臣にあてて要望書を出せばいい、それが一番効果的だと思っているのに、受けた運輸省JRですか。そんなものなんですか、今。
  91. 澤田諄

    ○澤田政府委員 先ほどお話しいたしました数値につきまして、五十数デシベルというお話をいたしましたが、環境庁による現在の振動基準といいますものが七十デシベルでございます。したがいまして、環境対策上要するものについては大幅に下回っている数字でございますので、私どもといたしましてこのような措置を講じているわけでございます。
  92. 藤田スミ

    藤田委員 もう全然納得できません。もっと運輸省は責任を持った対応をしていただきたい。  少なくとも、今後住民の皆さんが運輸省にまた改めて要望などしてくると思いますが、そのときはきっちり受けていただけますね。それだけは約束してください。
  93. 澤田諄

    ○澤田政府委員 地元の皆様から私どもに対してお話し合いの御要請という場があれば、十分皆様方の御要望というのは聞く機会は持ちたいと思っております。
  94. 藤田スミ

    藤田委員 次の問題は、新幹線のぞみ号がトンネル通過時に発生する衝撃波の問題であります。  これは神戸市の西区大津和地域でありますが、震災前から衝撃波が原因と見られる振動による家屋へのひび入りの問題などで、衝撃波を逃がす空気穴の設置などの対策検討していたと聞いております。そして、大震災で同地区の大半の家屋が被害を受けているという状態のもとで、一層振動は激しくなってしまいました。したがって、このままでは家屋の被害がさらに拡大して、倒れかけた家が完全に倒れるのではないか、ひび割れが一層拡大するのではないかというような深刻な不安にさいなまれております。  この衝撃波問題について、以前から計画されていたという空気穴等の対策はまず早急に完成させることが必要ですが、いつまでに対策を講じられるのか。さらに、衝撃波の対策がとられるまでは、少なくともそれを和らげるように減速するというような、そういう手だては当然のことだと思いますが、いかがですか。
  95. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 長坂トンネルの微気圧対策ということでございます。短いトンネルではございますけれども、そこに緩衝工をつくるということの効果について調査を進めて、JR総研、JR西日本等で進めてまいりまして、効果があるということでございますので、現在、西日本が準備工事に着手したところでございます。用地問題等がございまして、確定的なものではございませんけれども、なるべく早く完成できるようにということで西日本が努力をしているというふうに承知しております。  また、今までの、大震災以降の復旧関係でございますが、先ほど御説明いたしましたように、四月八日から安全性について確認した上で運行再開をしてきたわけでございまして、その後、線路のなじみ等を考慮しながら段階的な速度の向上というのが図られてきたわけでございます。  運転速度の向上に当たっては、地元の御要望ということも踏まえまして、地元の方々の御理解を得る努力をするようにということでJR西日本を指導してまいりました。JR西日本では、地元でも説明会を開催するといったようなことで、地元の方々の御理解を得るような努力をしてきているというふうに私ども承知しているところでございます。
  96. 藤田スミ

    藤田委員 いつまでにということがおっしゃれなければ、少なくともことしの秋とか暮れとか、今年度中とか、そういうことでは答えていただけませんか。
  97. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 先ほど申し上げたように、まさにこれからやるところでございますが、秋までには何とか完成させたいということで努力をしているというふうに承知しております。
  98. 藤田スミ

    藤田委員 それでは、次の問題に移りますが、高架橋や橋梁の耐震性の向上対策ということについてお伺いいたします。  例えば高速道路の場合は、一九八〇年の耐震基準改定、さらに一九九一年の改定を受けまして、阪神高速道路の場合は、私は十分やられているということで言うわけではありませんが、一定の補修が行われ、あるいは計画を持って進められてきたわけです。  鉄道の高架橋や橋梁では、この補強対策はこれまでにどのように取り組んでこられたか、明らかにしてください。
  99. 澤田諄

    ○澤田政府委員 東海道新幹線につきましては、昭和五十二年から各種の地震対策に取り組んでまいりました。中でも橋梁、盛り土区間につきまして、落橋防止対策、あるいは盛り土区間についてシートパイル等による盛り土補強対策というものを講じてきたところでございます。  そのほか、JR東日本でございますが、南関東地震対策ということで、橋梁についての落橋防止対策等を行ってきているところであります。また、この南関東地震対策と同時に、JR東日本は東海地震対策の範囲がございます。そこにつきましても、橋げたの落橋防止対策ということを講じてきているところでございます。
  100. 藤田スミ

    藤田委員 今の御答弁を伺うと、要するに東海道新幹線の場合は、東海地方が国の地震防災対策強化地域に指定されている関係上、その対応が進められたというふうに私は理解をいたしましたが、その他のことは御答弁なかったということは、それ以外はやっていなかったということになるわけですね。
  101. 澤田諄

    ○澤田政府委員 JR東海、JR東日本の行っている対策について申し上げたわけでありますが、御指摘の東海沖地震対策、南関東地震対策ということで行っておるということでございます。
  102. 藤田スミ

    藤田委員 結局、それ以外はやっていないということなのです。これはもう本当に驚くべき怠慢だというふうに私は思うわけです。老朽化の問題にしても、早くそれを補強しなければいけないよと専門家の皆さんから指摘されてきたはずであります。  私はここに、JR各社が安全よりも営利を最優先させる経営体質と、それを黙認してこられた運輸省の責任ということを問いたいわけでありますけれども、今回破損した高架橋の支柱はなるほど鋼板で覆われまして、そして耐震性が二・五倍になったと言われるわけですが、鋼板で包んだ以外の高架橋の耐震性の向上、これはどうしても急がなければならないものだというふうに考えます。この点が一点です。  それから、少なくとも老朽化した高架橋や鉄橋などは最優先課題にして、今回補正も組まれているということですが、対策を計画的に進めるべきだと思いますが、いかがですか。
  103. 澤田諄

    ○澤田政府委員 現在の耐震性のあり方につきまして耐震構造検討委員会検討中でありますが、御指摘の高架橋、既設の構造物の補強ということにつきまして、今回の地震によりましていわゆる崩壊した高架橋と崩壊しなかった高架橋とが、実は同じ地区でございます。したがいまして、そういう高架橋、壊れたものと壊れていないものの特質というものを整理するというようなことも踏まえまして、今後の耐震基準の補強の考え方ということにつきまして現在鋭意検討しております。早期に、検討結果を踏まえまして、適切な方策をとってまいりたいと思っております。
  104. 藤田スミ

    藤田委員 もう一つ答弁が残っているのですが、老朽化した高架橋や鉄橋などの補強についてです。
  105. 澤田諄

    ○澤田政府委員 今御答弁しました既設の高架橋、構築物の補強につきましての方策というものを検討した上で、対応をとってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  106. 藤田スミ

    藤田委員 そうしたら、今回補正で組まれたこれはどういうふうに見たらいいのですか。
  107. 澤田諄

    ○澤田政府委員 今回の補強、第一次補正でお願いしております高架橋につきましては、現在、先ほど申し上げました検討委員会での検討を鋭意しておるところでございますが、この種の緊急性を要するという課題から、検討委員会での結論を踏まえた本格的な対策に手戻りのない範囲で、今回補正でお願いしたいというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、地下鉄につきましては、東京、名古屋、大阪、営団地下鉄につきましての開削トンネル部の駅部の中柱の補強、あるいは高架部が一部ございますので、高架橋の橋脚の補強ということを考えておりますし、また整備新幹線につきましては、現在建設を進めておるわけでございますので、その建設中に行っておいた方が効率的と思われることにつきまして対策を講じたいというふうに考えておるわけでございます。
  108. 藤田スミ

    藤田委員 さっきの大臣の御答弁では、今この総点検をしている、検討委員会の最終結論を踏まえて総点検をきちっとやって、補強をすべきところは計画的に進めていきたい、こういう御答弁でありました。そして、必要ならばもう一つの方、今回の補正で百二十九億の予算が組まれておりますが、それにさらにつけ加えて第二次補正でも補正を組んで、その面はその面として積極的にやっていきたい。事務当局もそういうことで取り組んでいらっしゃるんですか。
  109. 澤田諄

    ○澤田政府委員 私の御説明が不十分でございましたが、大臣が答弁したとおり、とりあえず今回の第一次補正でお願いしておりまして、検討を早急に行いまして、間に合いますれば、今後いわゆる本格的な適切な高架橋の補強対策という、全般的なものを考えて取りまとめてまいりたいというふうに考えております。
  110. 藤田スミ

    藤田委員 私は、耐震基準の見直しの問題について質問しようと思っておりましたが、先ほどからも取り上げられておりますし、時間がありませんのでそれはやめます。しかし、見直しをすることはもう言うまでもありませんが、見直しに当たっては、十分な検討とともに迅速も求められていると思うのです。現実には、新基準が決められるまでの間にも鉄道建設は進むわけですから、必要な場合は暫定的な耐震基準も考慮して進めるべきであるということを要望しておきたいと思います。  同時に、大事なことは、新基準ができたら、既存の施設についても新基準に準拠した耐震強化工事は計画的にやっていく、その点では、JRの方はコストがどれぐらいかかるかとかというような経営判断がかかってくるわけですから、求められるのはやはり運輸省の非常に強い指導力、そういうことだと思いますので、これは申し上げておきたいと思います。  最後になりますが、鉄道会社は運輸省に種々の規制緩和を要望しています。私が手元に持っておりますリストを見ますと、圧力答器の検査、一段ブレーキ方式によるATCの規定化、絶縁抵抗試験など二十項目を超える要望項目がありますが、平成五年及び平成六年の省令改正で相当数が実施されています。規制の中には、必要以上の煩雑な手続を求めているものもありますので、そういうものまで私は一々全部規制はだめということじゃないです。しかし、事安全に直結する問題、車両や線路の検査周期などは安易に規制緩和をするべきではありません。その点、運輸省の御見解をお伺いしておきたいわけです。
  111. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 私ども、規制緩和は非常に大事な命題であるというふうに考えておりますが、同時にまた、鉄道の安全というのはもう絶対に守るべき点でございまして、そういう安全性を前提にした中で、片方で最近におきます技術の発達といったようなものを踏まえ、技術基準についても適切に見直し、時代に合ったものにしていくという努力を続けてきているわけでございます。  先生の御指摘ございました、車両や線路の検査周期の問題でございます。現在、最近の技術の発達状況等を踏まえまして、電車の検査周期につきましては、現在三年または四十万キロメートル以内に重要部の検査をするということになっておりますのを、三年・六十万キロメートル以内というようなことに延長は可能かどうかということを検討しているところでございます。現在、年内を目途に安全確認のための試験を実施しているところでございまして、その結果を踏まえて対処していきたいというふうに考えております。  なお、線路の検査周期については、当面見直しを検討している状況にはございません。
  112. 藤田スミ

    藤田委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、車両の検査周期の延長の問題については、私は基本的にはやるべきじゃないという立場です。だれが聞いても納得のできる、安全を最優先した立場で今いろいろ試験をしておられるそうですが、その試験を確認の上にも確認をしていただきたい。線路の検査周期の問題なども、本当に今どころか、もっと細かくやっていかなければならぬということを申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  113. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十六分散会