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1995-02-21 第132回国会 衆議院 規制緩和に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月二十一日(火曜日)     午後三時三十分開議 出席委員   委員長 塚田 延充君    理事 亀井 善之君 理事 橘 康太郎君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 武山百合子君    理事 西川太一郎君 理事 土肥 隆一君  理事 五十嵐ふみひこ君       安倍 晋三君    池田 行彦君       栗本慎一郎君    七条  明君       御法川英文君    太田 誠一君       岡田 克也君    須藤  浩君       西村 眞悟君    後藤  茂君       輿石  東君    吉井 英勝君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君  出席政府委員         行政改革委員会         事務局次長   河野  昭君         総務庁長官官房         審議官     土屋  勲君         総務庁行政監察         局長      田中 一昭君  委員外出席者         国土庁防災局防         災企画課長   平川 勇夫君         国土庁防災局防         災調整課長   伊藤 和敏君         法務省民事局参         事官      升田  純君         大蔵省銀行局特         別金融課長   五味 廣文君         厚生省健康政策         局医事課長   今田 寛睦君         厚生省生活衛生         局企画課長   高尾 佳巳君         厚生省老人保健         福祉局老人福祉         振興課長    河  幹夫君         通商産業省産業         政策局流通産業         課長      斉藤  浩君         中小企業庁計画         部計画課長   鷺坂  正君         運輸省運輸政策         局貨物流通企画         課長      磯田壯一郎君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       丸山  博君         労働省職業安定         局雇用政策課長 青木  功君         労働省職業安定         局業務調整課長 井原 勝介君         労働省職業安定         局民間需給調整         事業室長    森山  寛君         建設省都市局都         市計画課長   澤井 英一君         建設省都市局都         市再開発課長  小笠原憲一君         特別委員会第三         調査室長    佐藤  仁君     ————————————— 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   河合 正智君     須藤  浩君 同日  辞任         補欠選任   須藤  浩君     河合 正智君     ————————————— 本日の会議に付した案件  規制緩和に関する件      ————◇—————
  2. 塚田延充

    塚田委員長 これより会議を開きます。  規制緩和に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土肥隆一君。
  3. 土肥隆一

    土肥委員 私は、連立与党を代表するということで質問をさせていただきたいと思います。  私は、兵庫一区、中選挙区では神戸市全域の選挙区から出ているものでございますけれども、いろいろなことが出てまいりまして、これからいろいろと今回の大震災の経過あるいは行政措置などなど、一つ一つ検証して、今後の大災害時の、どこで起きるかわかりませんけれども対応の一環にしなければならないのじゃないかと思っております。  その中で、ここは規制緩和特別委員会でございますので、この規制に関する大震災直後のいろいろなどたばた劇を少し紹介いたしまして、大臣、今回の大震災の後、規制緩和の中身についてもいろいろと参考になることがあるのではないかと思いますので、総括して御答弁をいただきたいと思うのであります。  例えば、私が経験しましたものでも、ロサンゼルスから二十二名の医療チームが突然やってまいりました。外務省は入国ビザを出しているわけでありますけれども厚生省直近になって知る、あるいは県も市も直近になって知る、二十二名の医療チームでございまして、これはNGOでございます。ロス地震でノースリッジで非常に活躍した医師団看護団でございまして、それが来たときも、結局、人は要らない。人を受け入れて何かお世話をする、あるいは任務を伝達する余裕はないから、これは一月二十二日でございましたけれども受け入れ状態にはない。一緒に水とか物資を持ってまいりましたけれども物資はいただく、こういう話でして、そんなことはおかしいということで、いろいろと私も中へ入りまして、やっとそのまま来てもらうことにいたしまして、二十二日夜遅くに着きまして、その夜は何と巡視船に泊めてもらったというわけでございます。  彼らは自己完結型で、もうどこでも、雨露さえしのげればどこでも寝ますという、医者九名とあと十三名の看護団でございました。しかし、それから二、三日してでしょうか、五十嵐官房長官の、外国人医師でも診察して構わないという談話が出まして、少しよくなったというふうに聞いております。これについてもいろいろと反省をしなければならない。  その翌日、今度はイギリスから救助隊レスキュー隊が来ました。これもNGOなんですね。そうしたら、地元消防局は、もうとにかくてんやわんやなんですけれども消防庁に聞いてくれ、消防庁に聞きましたら、いやそれはNGOだから関係ないというようなことで、大変不愉快な思いをした二つのグループのことに私かかわりを持ちまして、何とも情けない思いをいたしました。  そのほか、例えば神戸スーパーは、非常にうまく、翌日くらいから店をあけてくれまして、随分助かったのですね。いろいろとスーパーの裏側の危機管理というようなものも見るにつけ、非常に印象深い、素早い対応というものを今記憶しております。このことについてもまた、スーパーというのは時間外にあける場合には許可を得てやらなきゃならないというような規制があるのだそうでございまして、事後届けてもよいという通達を出したというわけでございます。  それから、もうとにかく、ガスが今でも二〇%弱でございますから、要するに町じゅう携帯こんろが出回っているわけであります。これは膨大な量なんですね。これも、LPガスの保管の三百キロ以上はまとめて置いておいてはいけないというような規制があるそうでございます。それから、やや落ちついてまいりまして、炊き出しをすると、どうしてもそんなものではできませんから、十キロ、二十キロのLPボンベを手に入れようとしましたら、今度は絶対手に入らないんですね。そういうものを持ち回ってはいけないことになっているそうでございます。等々、医療流通あるいは日常生活で急に間に合わせなければならないことなどについても、それが規制ということで二、三日、四、五日おくれたというふうなケースもいろいろございました。  大臣、どうでしょうか、この規制緩和というものを今後見ていくわけでありますけれども、いよいよあすも政府の方である程度の指針が出ると思いますが、しかしながら、今回の震災においていろいろと出てまいりました問題の中で、どういう感想、そして今後どういうふうに規制緩和についての対応をしていこうとしておられるか、御答弁いただきたいと思います。
  4. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  土肥委員阪神淡路大震災に遭遇いたしまして、地元におきまして非常な御努力をいただいたことを、本当に心から敬意を表したいと存じます。  そういった御活動の中から経験されたこと、またお考えになったことについて今お述べをいただきました。確かに、御指摘ございましたような医療チームの問題とか、あるいは御指摘ございませんでしたが犬の問題でありますとか、あるいは大店法の営業時間延長の問題でありますとか、そういった問題がさまざま規制対象であり、それに対して政府といたしましてはなるべく速やかにという気持ちで対応したことは間違いないと思いますが、国民の皆さん方から、それでもやはり少し遅かったのではないかという形で御批判をいただいておりますことは、私ども率直に耳を傾けなければならないと考えておる次第でございます。しかし、そういった混乱の中にも、できるだけ被災民皆さん方のために、あるいは地域皆さんのために努力いたしました点は、これはひとつお認めをいただきたいものと考えております。  規制の問題につきましては、個々についてどうかということは別といたしまして、私どもとしては、経済的規制につきましては原則自由とする、また社会的規制につきましては最小限のものにしていくというつもりで今対応いたしております。規制緩和検討委員会で今、民間皆さん方からさまざま御意見をいただいておるわけでございますが、その結果につきましては近く行革推進本部に御報告をいただき、年度内に五年間の規制緩和推進計画を樹立する、そういう中でこの規制緩和問題については私どもとして取り組み、対処をいたしたいと考えておる次第でございます。
  5. 土肥隆一

    土肥委員 さて、今神戸では、あるいは京阪神では、復旧から復興へと急ピッチに進んでおりまして、もうもうたる砂煙の中で、目もあけられないような状況の中で復興が進んでおります。しかし、静かに進行しているのが実は失業の問題であります。  いろいろな数字が出ておりますけれども、今回の大震災で七万から十万ぐらいの人が職を失ったのではないか、あるいは休業状態になっているのではないかというような意見、あるいは中小企業と大企業被災を比較してみますと、被災額についても、中小企業の方が一兆九千二百億円、大企業が一兆四千億円、中小企業の方がはるかに大きいわけですね。もちろん大手の神戸製鋼所であるとか麒麟麦酒、アサヒビールなどなど、あるいは住友ゴムども被害を受けまして、何百人単位で雇用問題が浮上しております。  そうした中で、とにかく復旧復興ということで、神戸市民あるいは阪神地区皆さんがみずから立ち上がってもらわなきゃいけないわけでありますけれども、特に中小企業関係者皆さんからもいろんな要求が出てまいりまして、私自身もさばけないくらいでございまして、その辺をきょうは集中して、融資立ち上がり資金神戸地場産業等々、中小企業中心にして今後どう立て直すかということについて、政府に問いただしてみたいというふうに思っております。あの有名なケミカルシューズ業界でございますけれども、大体インサイダー、アウトサイダーといって、中心的にやっている方と、それからその周辺、また下請の孫請くらいのところの会社も入れますと四百五十社、そしてこの関連を含めますと一千六百八十社ございます。それが、八二・三%が全壊半壊焼失でございまして、外観上被害はないけれども内部崩壊が一七・七%、現地に行ってみましても、この建物は使えるのかなと思ってちょっとのぞいてみると、もう中は大変な状態だ。要するに、全壊半壊焼失は九〇%に及びます。このケミカルシューズ業界だけで約三千億円の被害が出ております。  ちなみに、普通の状態でありますと、例えばケミカルシューズ生産数は年間五千万足、一兆二千億円の生産額を誇っていた業界でございますの資料によりますと、再開を始めたのは、現在では二十五社だけでございます。四百五十社中二十五社だけ。何とか立ち上がれるのじゃないかというのは六十五社ございまして、再開のめどが全く立たないというのは百社ございます。  この事務局長といろいろ話してみますと、大変深刻でございまして、そういう意味では、このケミカルシューズだけでなく、灘五郷を中心とします酒造業界も壊滅的な被害を受け、立ち上がりが本当にできるかどうかということでございまして、やはり立ち上がりについては全面的に政府も力を注がないと、ちょっと吸収し切れないほどの失業者阪神の町にあふれるということを心配いたします。  そこで、いろんな労働行政を見てまいりますと、職業安定法というのがあるわけでございますが、有料職業紹介事業、第三十二条にいたしましても、無料職業紹介事業、第三十三条にいたしましても、極めて制限的な職業紹介になっております。制限的というのは、ある意味では、公共職業安定所中心にして公平にということでございますし、また労働者に対する保護ということもあろうかと思いますけれども、何と申しましても、雇用というのは、職業安定所に全部集中するわけではございませんで、町の中でさまざまな人手が足りたり足りなかったりということがあるわけでございます。  どうでしょうか、今のこの職業安定法で本当にカバーし切れるのだろうか。例えば三十二条で、「何人も、有料職業紹介事業を打ってはならない。」と、また無料職業紹介でもこれは大臣許可を得なければならない、こうなっておるわけでございまして、職業流通といいましょうか職業調整と申しましょうか、雇用のミスマッチングなどが言われておるわけでありますが、今職業紹介事業の中で、職業安定所中心で果たしてよき職業的マッチングが行われるのかどうか、その辺の労働省の見解をまずお聞きしたいと思います。
  6. 井原勝介

    井原説明員 先生お尋ね震災の件にも関連いたしまして、お答えをしたいと思います。  労働省といたしましては、震災地域雇用の安定を図るということが今後非常に重要な課題になるというふうに考えておりまして、まず、被災地域雇用の維持を図ろうとする事業主への雇用調整助成金支給、あるいは被災地事業所休業や一時的離職により賃金を受けられない労働者に対する失業給付支給等の特例的な措置を講じているところでございます。こういった措置によりまして、まず被災地域における雇用の安定を図っていきたいというふうに考えております。  さらに、やむを得ず離職をされる労働者につきましては、地元における雇用というものを第一に考えながら、全国公共職業安定所のネットワークを活用いたしまして、広域的な職業紹介を実施していくということで、雇用の安定に万全を図っていきたいというふうに考えているところでございます。  なお、民間職業紹介事業あり方等につきましては、現在、我が国におきましては、ILO九十六号条約等にもかんがみまして、従来から国が主体となって職業紹介を実施しているところでございまして、こうした職業紹介事業あり方につきましては、職業紹介中立性公共性労働者保護といったような観点から、十分慎重に対処すべき問題ではないかというふうに認識しております。
  7. 土肥隆一

    土肥委員 公平性安定性というのはわかります。しかし、地場産業にいたしましても、あるいは神戸では港湾労働者が非常に多いわけでありますけれども、港で働いている人は、復興事業でも自分の港のその場所で働きたいとか、やっぱり海に、港にこだわる。それから地場産業では、もうずっとケミカルシューズ関連で働いてきたので、そのあたりで今後も働いていきたい。職安に一々行ってやるよりは、もうその場で即決した方がいい場合もあるわけでありまして、そういう職業紹介などというものは日本では非常に限定されております。  ちょっとお聞きしたいのですが、労働者派遣事業制度というのがございます。これも御承知のように、極めて限定された十六業務に限って労働者派遣できるというふうに制限されておりまして、職業安定法もそうでありますけれども、この労働者派遣事業もそうであります。ところが、ソフトウエア開発とか何とかということはいいのですが、建築物清掃業というのがございます。しかし、これには建築物解体とかあるいは運送とかというのはございません。今もうありとあらゆるところで解体作業が進んでいるわけです。そこへ労働者派遣しようと、自分会社は今動いていないけれども自分のところの常雇いの労働者派遣しようと思っても、派遣事業対象になっておりませんし、それから今後はいろいろな、各家庭における家事あるいは介護看護というような部分についても、それをボランティアとかというのではなくて、もう労働者として、お金を払ってでもいいから派遣してほしいというようなニーズもあるわけであります。そういうようなことを考えますと、この労働者派遣事業というのは、一体今後どうなるのか、一体先行きどういうふうに考えたらいいのか。  それからもう一つ、そのほかの労働需給バランスとしては、請負というのがあるわけですけれども、これは制度になっておりません。請負という関係民民で行われるわけでありますけれども、ここに「適正な請負」ということで、参考にこの資料に出ておりますけれども、「決定、指示、管理」と、非常に厳密に言うわけですね。そうなりますと、今、大震災の後でどんでん返っている中で、今すぐ来てくれとか、あしたの朝来てくれというようなことにはほとんど間に合わない労働需給状況じゃないかというふうに思うのですが、この労働者派遣制度見直し考えておられるのかどうか。それとの関係で、請負というのは一体どういうふうに労働省考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  8. 森山寛

    森山説明員 最初に、派遣関係でございますが、派遣適用対象業務につきましては、先生案内のとおり十六業務が定められているところでございます。この適用対象業務につきましては、規制緩和をすべきであるという意見があることは十分承知しておるわけでございますが、このあり方につきましては、派遣労働者保護等福祉の増進といった観点にも十分留意しながら、この制度運用の実情や関係労使意見を踏まえて、多角的な観点から検討をしていく必要があるというふうに認識をしております。このために、労働省としましては、昨年の十一月より中央職業安定審議会民間労働力需給制度小委員会におきまして、この派遣制度全体の見直しというものを現在進めているところでございます。  また、先生おっしゃいました在宅介護サービス関係でございますが、これも先生案内のように、在宅サービス関係につきましては、先ほど先生おっしゃいましたような職業紹介事業、それからまた請負という形がございます。請負につきましては、職業安定法あるいは労働者派遣法上の特段の規制というものはございません。このどちらをとるかは事業主判断等に任されているわけでございまして、労働省としましては、これらの職業紹企業あるいはシルバーサービス業それぞれの活用というものを、今後とも高齢化社会におきます施策の推進のために積極的に活用してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  9. 土肥隆一

    土肥委員 厚生省にお聞きいたしますけれども、今介護看護家事援助、要するに在宅サービスでございますけれども、これはシルバーサービスと言ってしまえば、職業として、業として位置づけられるものでありますが、一面、福祉的な側面を十分持っているわけでありまして、私は、例えば社会福祉法人というものとそれからその周辺事業社会福祉法人を持たなくても、十分社会福祉事業と同等の仕事ができるのがこの在宅介護援助事業じゃないかというふうに思うのであります。例えば、訪問看護ステーションであるとかあるいは在宅介護支援センターであるとか、今は非常に先端的な福祉事業が展開されておりますが、そういうものも民間事業として、それはある意味で御婦人方雇用の機会でもあるわけであります。今、京阪神で問題なのは、男性は何とか雇用調整助成金雇用保険などでカバーされますけれども、パートタイマーのようにして働いておられた壮大な婦人の数が、全部今はとまっているわけですね。  そういう意味では、今後の震災復興に当たって、市民生活あるいは身辺介護看護も含めたそういう事業が展開されないと、到底行政サービスだけでは間に合わないというふうに考えておるのですが、そういう、今福祉の部門であるものを業として定着させるというふうなお考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
  10. 河幹夫

    河説明員 お尋ねの、民間在宅福祉サービスに関する私ども考えを若干御説明させていただきます。  高齢者生活福祉ニーズというのは、多様化しており、また高度化しております。また、今おっしゃいますように、阪神地区でもいろいろな需要が発生しておるわけでございまして、このような多様化したニーズに柔軟に対応できるのが良質な民間シルバーサービスの長所であるというふうに、私どもは認識しております。  昨年末にいわゆる新ゴールドプランが策定されたわけでございますけれども、その中におきましても、公的サービスに加え、「民間サービス積極的活用によるサービス供給多様化弾力化推進する。」あるいは「民間サービスの質を確保する観点から、シルバーマーク制度普及等サービス評価体制の確立を図る。」ということがうたわれておりまして、今後とも関係市町村等の御協力も得ながら、例えば市町村事業委託というような方法で、これらの民間在宅福祉サービス活用をお願いできないかというようなことを進めてまいりたいと思っております。
  11. 土肥隆一

    土肥委員 また議論を、個人的にもしたいと思います。時間がありませんので、少し飛ばしまして、融資関係に移りたいと思います。  今、先ほど冒頭に申しました壮大な失業者あるいは職を失った人たちのみならず、今まで商売をしていた人たち中小企業皆さん中心にして、どう立ち上がってもらうかということが最大の課題ではないかと思うのであります。それで、政府系中小業者対象の四公庫といいましょうか三公庫といいましょうか、国民金融公庫中小企業金融公庫、商工中金、環境衛生金融公庫と四つございますが、今現地でこれら政府系貸出機関はどういう活動をしてどういう対応をしておられるのか、まずお知らせください。
  12. 五味廣文

    五味説明員 政府系中小企業金融機関は、現在、一月二十日の閣議決定と二十四日の激甚災害指定を受けまして、貸付金利ですとか貸付対象あるいは貸付期間、こういったものを通常の融資よりも非常に優遇をした形のもので、罹災なさった中小企業の皆様が少しでも早く旧に復していただけるようにということでやっております。  また、こういった御相談が大変たくさん寄せられておりますが、それぞれの支店においても受け付けをいたしておりますけれども、同時に金融相談ということを、利便を図るために、臨時に政府系中小企業金融機関も参加した形の中小企業総合相談窓口というのを設置をいたしております。金融保険あるいは従業員対策経営計画事業計画、こういったものを含めまして御相談に応じられるようにということで、国、県、市町、商工会議所、また中小企業関係金融機関ということで、現在、神戸、西宮、津名、これは淡路でございますけれども、この三カ所でこういった総合的な相談センターを設けております。  また、公庫だけに限りますと、中小企業金融公庫国民金融公庫、商工組合中央金庫、この三機関合同災害対策融資相談窓口、これをやはり三カ所でございますが、明石、尼崎、洲本ということで設けまして、御相談を承っているところでございます。
  13. 高尾佳巳

    高尾説明員 環衛公庫につきましても、先ほど大蔵省課長が申し上げましたとおりでございますが、追加して申し上げますと、先生案内のとおり、環衛業という非常に中小零細業者が多い業種でございます。そういうことで、これまで私ども、低利、無担保等弾力的運用、これができる限りの努力をしているところでございます。  神戸におきましても、厚生省環境衛生金融公庫、それから全国環境衛生営業指導センターという形で合同調査団派遣いたしまして、被災状況でございますとか融資の希望等を聞いてきているところでございますし、またあわせまして、先ほどお話ございました相談窓口で融資相談をしているところでございます。
  14. 土肥隆一

    土肥委員 率直に言いますと、窓口の数は足りませんね。それから、とにかくいろいろな人が被災したのですから、今まで国民金融公庫などの借り入れや融資でやってきたような人とか、通常利用していらっしゃる方はいいのですけれども、全くそんなものは知らない、どうしていいかわからないといって途方に暮れている人がいっぱいいるわけでございます。私は、もう窓口は全部一本にして、この四つを一緒にして、何でも来たらぱっとその場で振り分けて、この額ではどうですか、足りるか足りないかというようなことも含めて、それくらいのことをやっていただかないと、市民皆さんは、みんなそうしょっちゅう中小企業金融公庫と取引をしているわけではございません。そういう意味では、窓口をふやしていただきたいというのと、わかりやすく、手っ取り早くやっていただけるようなシステムをつくっていただきたいというふうに思います。  もう一つは、今度は逆に、この中小企業系の公的な金融公庫などを利用するとすると、自分のやらなければならない災害復興の資金に間に合わないという意見が非常に強いわけです。結局、この中小企業の枠内にいるのだけれども額が全然見合わないという人たちの声は、政府系のもう一つの日本開発銀行の融資は受けられないのかということでございますが、開銀の今の立場から、この中小企業者の中でも中規模の方への融資というのは全く考えられないのかどうかについて、お答えいただきたいと思います。
  15. 五味廣文

    五味説明員 復旧の費用が大変大きくかかるという意味では、ライフラインの系統でございますとか、あるいは非常に大きい企業で従業員の数の多いというようなところが代表になろうかと思いますが、おっしゃいますような、規模が必ずしもそれほど大きくないところでも、政府系中小企業金融だけではなかなか賄い切れないという部分も確かにおありかと存じます。  こういった場合、政府系金融でございますから、基本は民間金融の補完というところにございますので、民間金融機関も、今回災害ということでいろいろと工夫をしてくださっております。まずは中小企業金融という非常に有利なものと、こうした民間金融皆さんの御努力とをあわせまして、できるだけその復旧ということで、足りないものかと思いますがあわせまして、開発銀行につきましては、被災地域全体で早期の復興ということに資すると思われる事業者、非常に下請が多いとか取引関係が多いとか、こういったところにつきまして、震災からの復旧をできるだけお助けするようにということで特別な融資制度を設けるということを決めたところでございます。この制度は、特に企業の大小にかかわるということではございませんので、いろいろ御相談をしてみていただけたらまたよろしいかと存じます。
  16. 土肥隆一

    土肥委員 ありがとうございました。終わります。
  17. 塚田延充

  18. 西川太一郎

    ○西川委員 私は、規制緩和関連して、まず阪神淡路大震災関連事項と、また、明日行革推進本部へ報告を予定されている規制緩和検討委員会の報告書等にかかわる、いわゆる規制緩和推進五カ年計画に関連してお尋ねを申し上げたいと存じます。  通告をしてございますので、順次お尋ねをしてまいりたいと思いますが、質問に入ります前に、まず個人的な体験を一つ申し上げたいと存じます。  先般、発災時に、私はちょうど日本航空のサンフランシスコ発の便に乗りまして、アラスカ上空あたりにいたころに震災が起こったというふうに思います。飛行機の中には何らその情報は流れず、考えてみますと、これはある種のパニック状態のようなことになってはいけないという一つの配慮もあってそのようなことになっているのだろうと存じますが、問題は、午後の三時十五分に成田に着きましたとき、たまたま小沢一郎新進党幹事長と同行しておりましたので、迎えの方からその時点で五百名を超えるとうとい人命の犠牲があったという報告を、ハッチがあいた途端に私ども受けたわけでございます。  そのことについて、私は航空会社に翌日、もう少しきめ細かな情報の提供があり得なかったのかということを申しましたところ、実はその航空会社の方々のお話によりますと、まことに申しわけなかったけれども、実はもっと具体的な問題が発生している。それは、その飛行機に当該地域の、後に御遺族になられたような方々が、御関係の方が大勢乗っておられた。ところが、その方々に何の情報の提供も到着後なく、一部の方はいろいろな御都合で新幹線にお乗りになるので、東京駅に着いて初めて不通になった由を聞き、まことに残念な思いをされた。なぜなら、長官も御案内のとおり関西空港は無傷でございまして、成田から直行便が飛んでおりまして、それを利用したならば、いろいろな意味で、焦燥感とかいろいろな気持ちを抱いて不安のうちに一夜を送らないで済んだ、こういうお怒りがたくさん日航本社に寄せられたということであります。  私は、これを規制緩和とこじつけたくありませんが、空の玄関でございます。世界に開かれた日本の玄関口に、そのような未曾有の大災害についての情報が一片も届けられなかったということはまことに残念なことであるというふうに思い関係の省庁の皆さんに、こういう点についてもこれから十分な対応をしていただきたいな、こんな感じを持った次第であります。  ところで、その数日後に、医師八名と看護婦二名、千人分の肺炎防止の薬を持って、私はお医者さんのお供で当該地域に参りました。そして、夜っぴて、一睡もせずに被災に遭われた町をずっと歩いて見てまいりましたけれども、まことにその惨状は筆舌に尽くしがたい。私は東京の下町の選出でございまして、一番震災危険度の高いと言われております墨田区京島を選挙区に持っている者として、人ごどのような気がせず、本当に一日も早い復興ということと同時に、とうとい五千三百人を超える人命を、ただ亡くなったということだけで終わらせては申しわけない、これからの我が国の危機管理も含めて、私どもはいろいろなことに大いにこの方々のお気持ちを酌み取らなければいけない、そんな思いできょうは質問に立たせていただくわけでございます。  ところで、私は、もう言うまでもなく一年生議員でございますが、東京都議会議員を十六年経験いたしておりまして、この質疑に際して各省庁の方に通告を申し上げ、国会ではレクと言うのだそうでありますが、部屋に大勢おいでをいただいたのでございます。とのお役人も大変熱心に御協力をいただいたのでございますけれども、ただ、残念なことに縦割り行政ということを痛感せざるを得ない感じでございまして、きょうもこれからいろいろお聞きをいたすわけでございますが、総務長官には、私は、ベテランの政治家として長い御経験に立って、御所管を超えて、総務長官という言ってみれば内閣のかなめにいらっしゃるわけでございますから、いろいろな御意見を伺いたかったのでありますけれども、これは総務長官の所管ではありませんというのがほとんどでございまして、そういう意味では、この問題については長官からは一、二しか御答弁をいただけないのは残念でございますが、ひとつ意のあるところをお酌み取り願いまして、所管の大臣にも折を見てお伝え願えればということを冒頭に希望しておきたいと存じます。  早速質問に入らせていただきますが、先ほど土肥先生からもお話がございましたように、今回は海外からたくさんの温かいお申し出があったわけでございます。その中に、医療救援隊の申し入れがございましたけれども、これについて立ち上がりが大変ぎくしゃくしたことは御承知のとおりであります。結果的には医師法の適用除外という通知を行いました。  そういう議論の中で、アメリカでは一切そういうものを受け入れてないよ、訴訟社会であるアメリカでは、もし医療過誤のようなものが発生した場合にはえらいことになるから、アメリカではそういうことはしてないんだ、だから我が国もその見合いで国内のお医者様にしていただけばいいじゃないかというようなことが議論としてあったようでございますが、こういう点についても世界に開かれた日本ではないなという感じを与えてしまったことは否めないわけでありますけれども、これがなぜおくれてしまったのか。今後はこういう緊急時に対してはもっと自由にそういうものを受け入れるべきではないかという意見がございますけれども、この点については担当の厚生省としてはいかがお考えか、お尋ねをしたいと思います。
  19. 今田寛睦

    ○今田説明員 今回の阪神淡路大震災におきまして、外国の医療救援隊によります医療行為につきましては、先ほど御指摘いただきましたように、「国民の健康な生活を確保する」という医師法の趣旨に照らしまして、このような緊急事態において外国の医療救援隊が被災者の生命身体を守るために必要な医療行為を行うことは差し支えないと判断をいたしまして、地元自治体に連絡したところでございます。  今後、今回のような緊急事態が不幸にして生じた場合には、外国からの医療救援隊の派遣申し出に適切に対処していくことが重要と考えておりまして、このような観点から必要な検討を行っていきたいと考えておるところでございます。
  20. 西川太一郎

    ○西川委員 これはこれ以上お尋ねしませんが、ぜひひとつ果断な判断、クイックレスポンスをこれからも期待したいと思います。  次に申し上げます問題は、予算委員会でも取り上げられましたから、簡略なお尋ねに終わらせていただきますが、先ほどもお話がございましたとおり、スイスから二十数頭の被災者の捜索犬が派遣をされたわけであります。ところが、日本の受け入れが、言葉は悪いのですがもたついたために、スイスの飛行場に出発を期待して待機していた部隊は、一たん解散して、日本の決定を待って再度結集して訪日した、こういうことでございます。  一分おくれれば一人亡くなる、こういうふうに言われる状況の中で、私は現地神戸の助役さんから伺いましたが、東京の警視庁が持っておりますファイバースコープという、長官も御案内の胃カメラのようなものでございますが、あれがいかに効果があったか、こういうことでございまして、そういう意味では、私はこのスイスの捜索犬も一刻も早く来ていただいていたら、もっと人命救助が進んだのではないかという気はいたすわけでございます。  伺いますと、国土庁と農水省の間に若干の見解の相違があったために時間が経過をしたというようなことも漏れ承っておりますが、御関係の説明員の方で結構でございますから、この辺についても、これからのことも踏まえて、もし反省すべき点があれば反省もし、御見解を承れればと存じます。
  21. 伊藤和敏

    ○伊藤説明員 今先生指摘のスイスの被災者捜索犬につきましては、スイス側の申し出につきまして、地震発生当日の十七日の夜に外務省から私ども国土庁に連絡がございました。その後、先生指摘のように、確かに被災直後の現地との連絡、それから現地でのニーズ把握に時間を要しましたが、翌十八日の夜、現地の意向を踏まえまして受け入れを決定いたしました次第でございます。なお、動物検疫につきましては、救援活動に支障を生ずることのないよう、農林水産省におきまして特例措置が適用された次第でございます。さらに、十九日の午前、スイスの被災者捜索犬は我が国、関空に到着いたしまして、早速午後一時ごろ神戸現地で救助活動に入っております。  それから、先生指摘の今後の体制でございますが、私ども、ただいま防災基本計画を見直しておりまして、これは基本計画を踏まえまして地域防災計画の見直しに入っているわけでございますが、このような計画にこのような外国の救助隊等をきちんと位置づけて、このようなある程度の手間がかかるといったようなことがないように処してまいりたい、このように考えております。  以上でございます。
  22. 西川太一郎

    ○西川委員 今二つの問題をお尋ねしたわけでありますけれども、今回震災規制の現状というものが浮き彫りにされた。いろいろと規制があらゆる分野でこの日本国内にあるということについて、震災を契機にこれが明確になってきたということは、何人も否定し得ないことではないかと思います。  今の二点につきましても、これからもし万に一つそういうようなことがあった場合、先ほどの御答弁のように、法の体系をきちっとされて素早い対応ができるように、そしてそのことがとうとい人命を一人でも余計救うことになるということを肝に銘じていただきたいと、現地の惨状を見てまいりましてつくづくと思った次第であります。  小さいお子さんのお人形が亡くなられたであろう地点に置かれて、牛乳瓶にお花が生けてあって、そしてお線香をどこで手に入れたのか、それが束で燃えた、そんな跡も見ますと、ああ、つらかったろうな、苦しかったろうなという気持ちでございまして、そんなときに早く自衛隊の出動があればよかったという御意見もありますし、いろいろこれはずっと国会で議論を見たところでありますけれども、ただいまのような点につきましても、ひとつ緊急時の規制の問題についても十分な検討をしていただきたいと存じます。  そこで、お尋ねをいたすわけでございますけれども、緊急時のこのような特別の措置、これが各省庁からばらばらに打ち出された、そういうふうに承知をしているわけでございます。総務庁としては、すべてを既にこの時点では把握しておられるというふうに存じますけれども、これは総務庁にお尋ねするのではなくて国土庁にお尋ねをするわけでありますが、一体どんな特別措置が出されているのか、その辺をひとつつまびらかにしていただきたい。これをお尋ねするゆえんは、それによって、いかにこの規制というものが多いかということがある意味ではわかるわけでございますからお尋ねするわけでございますが、いかがでございましょうか。
  23. 平川勇夫

    ○平川説明員 今回の震災に関し、これまでに打ち出された特別措置ということでございますが、今回の震災、大都市型の未曾有の災害ということでございまして、政府としても、復興事業等いろいろな分野におきまして特別な措置を講じたところでございます。  このうち、法律の制定あるいは改正による措置ということでは、検討中のものも含めまして申し上げますと、所得税の雑損控除の前倒し、あるいは被災地の面的整備を図ります特例的な措置、また公共土木あるいは社会福祉施設等の災害復旧に関して補助率を引き上げますような措置、さらに中小企業関係融資あるいは無担保・無保証保険、こういったことの措置、さらに住宅金融公庫災害復興貸し付けの据置期間の延長などの特例措置、あるいは医療保険におきます一部負担金の免除、こういった措置を法律の改正を伴う措置として実施あるいは実行の準備に入っているという段階でございます。  それから、法律の改正等を要しないものといたしまして、幾つか代表的なものを挙げさせていただきますと、生活福祉資金の特別措置として小口の資金貸付制度を設けております。また、中小企業への融資の特例といたしまして、利子補給により金利を実質、借りる方のベースで二・五%に引き下げるというようなことをやっております。あるいは、損壊した家屋の瓦れき等の処理につきまして、これを新たに解体も含めまして公費で負担するという方向で実施をいたしております。  こういったことが、さまざまな措置の例として挙げられます。
  24. 西川太一郎

    ○西川委員 今御答弁をいただいたのは、法律もしくは法律にかかわらない問題も含まれておりましたけれども、もう少し砕けたといいますか、一般的な問題としてはもっとたくさんあるわけですす。  このたび、例えば流通では、被災地のデパートやスーパー営業時間の延長を事前届け出から事後承認に変えたとか、それから屋外の販売に対して食品衛生法上の許可を不要にしたとか、枚挙にいとまがないわけでありますけれども、そういうようなことを緊急時であるから行ったということでございますけれども、私は、もう少し後で具体的にお尋ねをしていくわけでございますが、こういう措置を単に緊急時のものとしないで、これからの復興の過程の中で、兵庫県の各地方自治体等において、社会的規制地元住民が必要としないというような判断が自治体で起こった場合には、これを一つの実験的なものとして、総務庁としてはごらんになっていて、これはいけそうだと思ったら、それをひとつ全国的に広めるなどのそういうこともこういう機会には必要なんじゃないかな、こんなふうに思うわけでございます。もうちょっと具体的にお尋ねしてから、この点について長官の御見解を、これは予告編で恐縮でございますけれども、そんなふうに思っております。  そこで、緊急時に臨時の特別措置または超法規的な措置というのは、ただいまの御答弁のようにあったわけでございますけれども、これを少し踏み込んで、広く危機管理の一環として検討したらどうか、こういうふうに私は思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  25. 平川勇夫

    ○平川説明員 緊急時の特別の措置をかなり踏み込んで平常時から検討するようにというお話でございますが、現在も緊急の事態に備えまして、今回の反省も踏まえてさまざまな政策を検討しておるところでございますけれども、今後、緊急時と申しましても、災害につきましてはさまざまな態様がございます。  そういうことで、いろいろな場合を考えながら私ども検討していきたいと思っておりますが、まずは今回のいろいろな措置についての条件ですとかあるいは現実の効果、こういったことをいろいろ調査分析しながら、各省庁とも十分お話し合いをし、制度の改正を含め今後いろいろ検討してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  26. 西川太一郎

    ○西川委員 ぜひそうしていただきたいと思うのです。それは、緊急時の臨時特別措置決定する場合においても、各省庁がばらばらに行うのではなくて、迅速かつ的確に判断できる危機管理体制というものを検討するべきだ、こう思うからでございます。  例えば、逆に規制の緩和ばかりではなくて、このたびは各マスコミさんの取材のヘリの騒音が何か救助活動を阻害したなんということもあったと聞いておりますし、物価の統制というとちょっと古い言い方になりますが、監督もきちっとしていただいて便乗値上げを防いていただきたいとか、それから私も行きましたけれども、交通規制がままならず、本当に路上に不法駐車がたくさんございまして、そのために緊急車両も通れない、二百メートルぐらいのところを一時間もかかったなんていうケースもあるわけでございまして、そういう交通規制、こういうものも、実は緩和とは逆に強化もしなきゃならないということもあるわけでございますから、そういう体制づくりというものをぜひやるべきだというふうに、これは意見として申し上げさしていただきたいと思います。  次に、通産省にお尋ねをするわけでございますが、先ほどちょっと私が申し上げたのでございますけれども震災の翌十八日に、被災地の仮店舗を大店法の臨時販売として扱って、事前届けが必要な閉店時間の繰り下げとか休業日数の削減を事後報告でも受理する、こういう通達を出されたわけでございますけれども、私はそれは大変、やらないよりもやられて結構だと思うわけでございますが、大災害のときも事後でも届け出が必要というのは、これはちょっとお役所主義に過ぎるような気がいたすわけでありますけれども、この辺について通産省の御見解を承りたいと思うのです。  あわせて、実はダイエーの中内さんによりますと、典型的な大店舗を一つ設置しようといたしますと大変な届け出が必要だ。建築関係を除いた営業関係だけでも十九の法律、四十二の許認可事項に基づいて、二百種類近い申請書を提出しなければならない。このために、流通コストはアップして業界全体の規制コストは五百億円を超える、こういうことをある書物の中で書かれているのでございます。  これに関連して伺うわけでございますが、緊急時でこういうふうな姿勢でございますから、通常はこのぐらいがんじがらめなんですね。ここらのところも含めて通産省は、これはまた後の段階でお聞きをいたしますが、規制緩和というものが市場アクセスを容易にして、国民生活を豊かにし、経済の活力を大きく上げていく、そういう国民的な命題を持ってこの規制緩和に取り組むわけでございますから、そういう観点で、やはり通常時もこういう問題についてはもっと踏み込んで規制緩和をしたらどうかなと、ついでにお尋ねして恐縮ですけれども、そういうふうに思います。  予定外の質問を急にしたので、御迷惑であったら最初の部分だけで結構でございますから、御答弁をいただきたいと思います。
  27. 斉藤浩

    斉藤説明員 大店法の関係について御説明申し上げますと、大店法は、御承知のとおり、大規模な小売店について一定の規制を行っているわけでございますが、一方で、今回の被災地におきまして、流通業が地元の住民の方にさまざまな物資を供給する重要なキーステーションにもなりました。したがいまして、今回住民に対する緊急の物資の供給という観点から、大店法の条文及び趣旨をできる限り弾力的に解釈しい運用することによりまして地元への供給に支障が出ないようにということで検討いたしました。基本的に、例えば壊れてしまったお店を急に建て直すとか、駐車場を使って急場をしのぐための仮営業を行うというようなものにつきましては、法律の条文をかなり弾力的に運用しまして、大店法上の規制の外側に置くということで処理をいたしました。  御指摘の閉店時刻、休業日数の点につきましては、実は実際上これがかかりますのは、壊れてしまったというよりはまだその震災地区で生き残った店舗、しかも既に大型店として大店法の手続を終了したものでございます。これは、条文を読みますと明らかに届け出が必要であるという規定に実はなっておりますので、その届け出義務そのものを法律上免除してしまうということは不可能でございます。ただ、実際上は夜中まで地元の住民のために物資を供給するケースもございますので、そこにつきましては、どうぞまず実態としてやっていただいて結構ですということでございまして、事後の届け出というのも実は期限を設定しておりません。十分企業として震災対策、応急の処置が済んで実際の届け出が出せる時点になりましたら、これは法律上の義務ということでございますので、その時点で、事態が落ちついたところということになろうかと思いますが、届け出をすればそれで法律上の義務を満たしたものというふうにみなそうというところが、今回の弾力的な運用状況でございます。  それからもう一つ、関係します大型店もそうですが、含めまして小売店がいろいろ営業するに当たりまして、そのほかの物資に関する許認可がございますが、これらにつきましても多くの省庁で今回特例措置、弾力的な運用を行う特例措置が行われたというふうに聞いております。  なお、一般的な措置につきまして、私どもはもちろん大店法を所管しておりますが、今回の政府としての規制緩和検討の中で、流通業界のいろいろな規制緩和の要望につきましては関係省庁にもお願いをいたしておりまして、その全体としての御検討の中で、大型店が出店できて消費者の利益が増進されるようにということで、いろいろお願いをいたしているところでございます。
  28. 西川太一郎

    ○西川委員 先ほど少し申し上げましたけれども、これにつきましてはまた後刻詳しくお尋ねをすることとしまして、次に進ませていただきます。  私どもは、新進党の政権準備委員会として、兵庫県に対しまして規制措置復興対策に支障を来さないように希望する事項があったらぜひ私どもにも教えてほしい、もちろん政府にもこういうものは出ていると存じますけれども、そういう中で幾つか出てまいりました。たくさんございますが、その中で二項目ほどと申しますか、二分野といいますか、お尋ねをしたいと思っております。  一つは、建設にかかわると申しますか、都市計画にかかわる問題であります。  これは建設省、法務省等にお尋ねをいたしますが、震災復興に当たって、兵庫県、神戸市等が策定する復興計画案をベースに、復興委員会の答申を得て、復興対策本部において早期に復興策が具体化されていくというふうに存じますけれども、防災モデル都市を建設したり、神戸港等の拠点物流ルートの早期回復などを図るということが喫緊の課題であります。地元住民、関係機関等の理解を得ながら、必要な場合には私権の制限にも踏み込んで、その一方で必要な規制の緩和というものも図りながらモデル都市づくりを進め、震災に強い町をつくっていくということは、単に兵庫県だけの問題ではなくて、これからの危険防止のための再開事業の促進ということからも、全国的に示唆するものが多いだろうと私は思うわけであります。  そこでまず、よく言われることでありますけれども、容積率をこういう機会に緩和をして、広いオープンスペースをとるのですから、その分、建てるところについては高さの問題であるとか、こういうものも少しボーナスを与えて、やっていくためには、防災都市建設というものには容積率の緩和が必要なのだ、こういう考え方がございますけれども、まずこの点、建設省はどのようにお考えでございましょうか、お考えをお聞きしたいと思います。
  29. 澤井英一

    ○澤井説明員 ただいま委員指摘の、オープンスペースを確保してその分容積を割り増すという点につきましては、容積率規制制度そのものが、いい都市環境を実現する場合に一定の割り増しを行いながら、一般的には交通発生量との見合いで全体として環境を担保していく、こういう趣旨でございますので、例えば現在でも再開発地区計画制度あるいは総合設計制度といった制度の中でまさに御指摘のような趣旨、つまり通常以上にオープンスペースを確保した場合に、そういう優良なプロジェクトについて容積を割り増す、こういう仕組みについては大いに活用してまいりたいと思っております。  あわせて、こういった地域では今後、区画整理を代表とする市街地整備が進んでいくと思われますけれども、道路等が整備されれば、その進展状況に応じて全体の容積率を見直すということもあり得ると思っております。  いずれにしても、こういう都市計画、建築規制制度も大いに趣旨に従って活用いたしまして、災害に強い町づくりを進める、これに対して建設省としても万全の支援をしていきたい、こう考えております。
  30. 西川太一郎

    ○西川委員 実際に現場を見ますと、古いおうちがかなりつぶれました。建築基準法なんかは、さかのぼって古いものには適用されませんよね。これから建てるものについてはこの強化をということでございますけれども、こういう機会に、私は、これは規制の緩和とは逆行するかもしれませんが、かなり築後年を経ている建物については、逆の意味で強化していく必要もあるのかという感じは実際いたしました。それはちょっと参考までにと申しますか、私見を申し上げました。  そこで、兵庫県から出ております要望の中に、続けて三つほど申し上げますが、市街地再開事業を行う際の施行地区要件等の緩和をしてほしい、それから住宅地区改良事業の要件の緩和をしてほしい、さらにこれは、今までは大きな公共事業、大型公共事業に適用されております特定公共事業の要件、これをひとつ緩和をしてほしい、こういうようなものが出ておりますけれども、三点まとめてひとついかがでございましょうか、こういう要請については。
  31. 小笠原憲一

    ○小笠原説明員 多くの建物が倒壊または焼失した市街地におきましても、市街地再開事業がより活用できるよう施行区域要件の緩和、二点要望があると承知しております。それぞれ次のように緩和をすることとしております。  まず、いわゆる耐火建築物要件の緩和でございますが、これにつきましては、現在審議をお願いしております都市再開発法等の一部改正案で、現行要件の耐火建築物等の建築面積の合計が全建築面積の合計のおおむね三分の一以下という要件に加えまして、または耐火建築物の敷地面積の合計が全宅地面積のおおむね三分の一以下であるということを加えることとしております。これによりまして、空地を含む地区におきまして市街地再開事業の施行が可能になるものでありまして、震災によりまして建築物等が倒壊または焼失し、更地となりました地域につきましても市街地再開事業の施行が可能となるものであります。  次に、買収方式で実施いたします第二種市街地再開事業の施行要件の緩和でございますけれども、現在あわせて審議をお願いしております被災市街地復興特別法案で、防災上問題のある建築物が非常に密集している区域などに限定されている現行の施行要件を緩和いたしまして、新たにこの法案で設定いたします被災市街地復興推進地域内で実施できるようにすることとしております。これによりまして、比較的大規模な区域におきましても迅速に事業実施ができる第二種市街地再開事業が、建築物の多くが倒壊いたしました被災市街地におきましても積極的に活用できるようになることと存じております。
  32. 西川太一郎

    ○西川委員 続いて、運輸省にお尋ねをいたしますが、このたびは神戸港を初めいわゆる物流拠点が大分破壊をされました。こういう問題は、一阪神地方に影響を与えただけではなくて、日本経済全体への影響が大きいわけでございますが、物流コストの増大を招くのではないか、そのことが物価の問題にも影響が出るのではないか、こういう心配が国民の間にあるようでございますが、これを払拭していただけるような対策、御答弁をいただきたい、こう思います。
  33. 磯田壯一郎

    ○磯田説明員 先生指摘のとおり、神戸港というのは日本全体の外航コンテナの三割を扱いますような大変重要な港でございまして、この港が能力を失ってしまったということで、現在のところ、この港に揚がっておりましたコンテナは、東京港、横浜港等の他の港湾に一応シフトをしておる、そこから荷主のところまで、ありとあらゆる手段を使って、とにかく料金のことは問題にしないということで運ばれておる、これが実態でございます。したがいまして、結果として横持ち経費が増大する、それから横持ちに伴う時間の増というものがあるということで、とりあえずシフトをして、手近な手段を、ありとあらゆる手段を使ってシフトしているというのが実態でございまして、全体としてまだ安定した輸送ということになっておりませんので、これが安定した輸送の状況になりますとかなり影響が出てくるのではないか、こういう懸念を抱いております。  このために、私どもといたしましては、各港に関係者から成ります協議会をつくりまして、従来ですと、例えば夜間とか日曜の荷役はしないような港でも夜間、日曜の荷役をしていただくというような形で、効率的な荷役をすることによって、できるだけこれを引き受けて、荷主に適時適切に着くようにということで、今鋭意努力をしていただいているというところでございます。
  34. 西川太一郎

    ○西川委員 横持ち経費というのは我々ちょっとよくわからないのですが、スマートに言えばいわゆるマーケティングコストの一環であると理解していいわけでしょうけれども、そういうことが物価に悪い影響が出ないようにひとつお願いをしたいと思います。  聞くところによると、たくさん積んで持っていきたいけれども、これも規制があるそうですね。二十五トン以上はいけないとか、何か高速道路は二十五トンはいいけれども橋は二十トンはいけない。そうなると、二十五トン積んでいったトラックは橋の手前で五トン荷物をおろさなければいけないのかなんという、そんな話を私ども聞きますけれども。しかし、運輸省も大変英断を下していただいて、例えばフェリー船などを活用して大変迅速にやっていただいた。ところが海上保安庁は、そんなことやるなら知らせてほしかった、こういう話があるとか、規制に絡むいろいろなことが出てまいりました。  それはそれとして、次に法務省にお伺いしますが、きょうは升田参事官が来ていただいていますけれども、私は実際に行ってみましたら、マンションがみんなこんなになって、あれ建てかえるのは大変だろうなと思いました。そして、住めそうなのはあるわけですが、崩壊してしまって、それから、四階部分あたりがぐしゃっとつぶれているのもあれば、全壊半壊というものをどこで線を引くのかということは、非常に難しいのではないかと思いました。  ところで、後日、その点に注目を払っておりますと、いわゆる区分所有者等の議決要件を、全壊については緩和するけれども半壊については五分の四の条項は今回は適用しないとか、そういうような話を聞きます。また、建てかえではなくて、マンション等の共有に関する特例措置の創設もぜひしてほしい、こういうふうに兵庫県、神戸市からは出ているわけでございますが、この点につきまして、法務省の御見解を伺いたいと存じます。
  35. 升田純

    ○升田説明員 ただいま委員指摘のように、兵庫県の方からは、マンション等の再建に当たっての建物の区分所有等に関する法律の規定による議決要件の緩和及び全壊時等における民法特例措置の創設という点につきまして、要望が参っております。  ところで、マンションの法律関係といいますと、一棟の建物の中に例えば百戸、専有部分、区分所有権の対象となる建物が入っておりまして、多数の者が権利関係を持つという複雑な構造になっております。したがいまして、マンションなどが損壊いたしました場合の復旧あるいは建てかえにつきましては、権利関係の問題だけではなくて、区分所有者の資力の問題あるいは少数意見者の保護など種々困難な問題がございまして、区分所有者間の利害の調整という観点からも、非常に難しい問題を含んでいるというぐあいに考えております。  現行法上、建物の一部が滅失した場合の復旧あるいは建てかえにつきましては、現在、建物の区分所有等に関する法律の六十一条ないし六十四条に規定がございまして、先ほど御指摘の区分所有建物の一部が滅失した場合において建てかえする場合につきまして、どういうぐあいにするかという点でございますけれども、従前はこの点につきましても全員の合意によるということとされておりましたけれども、昭和五十八年の法律改正によりまして、五分の四以上の多数決によって建てかえをすることができるというぐあいにされたものでございます。  このような改正につきましては、建てかえの必要性とか資力がないなどの理由で反対する人々の利害を調整するという観点から、そういう多数決の要件というものが導入されたものでございます。実際に、この規定を適用いたしまして建てかえるという場合につきましても、非常に多くの費用が必要である、あるいは多数の方の合意がある場合でなければ、なかなか実際上、実行は困難ではないか、こういうぐあいに思われるわけでございます。  ところで、建物が全部滅失した場合にはどうなるかという点につきましては、建物の区分所有等に関する法律には規定はございませんで、これは民法の原則にまいるわけでございますけれども、民法の原則によりますと、これは土地の共有者あるいは準共有者が全員合意の上で建てかえなければならないということになっておりまして、現在、そういう全員の合意が必要であるということになりますと、建物の再建を容易にするという観点からは、大きな支障が生ずるというようなことがございまして、先ほどの兵庫県の要望も、そういう点につきまして要望がなされておるのではないかというぐあいに考えられるわけでございます。  現在、法務省の方におきましては、そういう点を中心にしまして検討を急いでおりまして、早急に結論を得たいと考えております。
  36. 西川太一郎

    ○西川委員 この点は何回も報道されましたし、また大勢の方々から同じような御質疑があちらでもこちらでもあったことを私も承知しておりますが、ぜひひとつ政治が、行政が、国民にとって今それを一番必要としているわけでございますから、力を発揮して大いに頑張っていただきたい、これはぜひ前向きの検討をしていただきたいというふうに思います。  さて長官、お出ましをいただきながら、大変長い時間お尋ねを保留してまいりまして、まことに恐縮でございますが、今私、約五十分にわたってお尋ねをしてまいりましたが、今回の阪神大震災は未曾有の犠牲者を出してしまい、これへの反省に基づいて、これから安全な国土をつくっていくということで、総務庁長官としては、もう内閣の本当にかなめにおいででございますから、ひとつ御所管を超えて、冒頭お願い申し上げましたように、各省庁にわたる特に規制をこの機会に緩和することによって、一日も早い復興が保証できる分野がたくさんございますので、どうぞ先頭に立ってこれをしていただきたい、こう思うわけでございます。  長官のこの点についてのお覚悟と申しますか、御所見を承りまして、この阪神淡路大震災関連する規制緩和の項目についてのお尋ねの最後にしたい、こう思いますが、ぜひひとつ御所見を賜りたいと存じます。
  37. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  西川委員が成田に到着をいたしました際の問題点の御指摘、それからまた、直ちに現地に赴きまして、救援活動に参加をされる中から経験された数々の問題点の御指摘、傾聴いたしておりました。この間の委員の御活動、御労苦に対しまして、心から敬意を表したいと存じます。  さて、お尋ねの点でございますが、私どもとしては、官から民へ、それから国から地方へという形で、一つは規制緩和推進する、そしてまた地方分権を推進する、このことに村山内閣として今全力を挙げている次第でございます。規制緩和につきましては、年度内に五カ年間の規制緩和推進計画決定をいたしたいと思っておりますし、それからまた、地方分権につきましては、今国会、なるべく早く地方分権推進の法律を提案をいたしまして、皆様方の御論議もいただきたいと思っている次第でございます。  規制緩和でお話がございましたが、私は、経済的な規制につきましては、これは原則自由ということで、できる限りこれを進めていくことは当然であると思います。また、社会的規制につきましては、これはやはり必要なものは守っていかねばならぬ。委員も御指摘ございましたが、国民の安全を守るという観点での規制というものは、場合によっては、例えば高速道路の耐震基準等々の問題については、これを強めなきゃならぬということもあろうかと思います。やはり国民の生命財産を守るという観点から、この点についてはきちっと見直しをしていく必要があるのじゃないかと思っております。  また、お話のございました市街地再開事業の問題は、御指摘の点は、建設大臣が都道府県知事あるいは市町村長に対して委任しております、いわゆる機関委任事務、これにかかわる問題が多いのではないかと思います。私ども、地方分権を推進するに当たりましては、この機関委任事務、これは当然整理合理化すべきものというふうに思っております。  すべての機関委任事務を廃止するということは、私は不可能だと存じます。必要なものについては残す必要もありますけれども、整理合理化できるものについては整理をしていくという過程の中で、今御提起いただいたような市街地再開事業の問題については、まさに住民の身近な自治体が住民の要望にこたえて事業推進していく、国は一定の基準をお示しをする、また支援をするということにとどめまして、細かい一々の規制というものをできるだけ整理合理化をしていくということが、私は、今回の阪神大震災の教訓を踏まえたあり方ではないだろうかというふうにも思っている次第でございます。  そしてまた、御指摘のございましたように、規制緩和については、民間各方面の意見を聞くことも必要であるが、できれば神戸市なりあるいは兵庫県なり、地域の自治体の意見を十分聞いたらどうか、こういう御提起もございました。まさにそのとおりだろうと思います。今、規制緩和検討委員会におきまして、各方面の皆さんの御意見を承って作業をいたしているわけでございますが、私ども総務庁は、各ブロックに行政監察局というものを持っております。また、各県には行政監察事務所を持っております。この局、事務所におきまして、懇談会等を通じまして、地域皆さん方規制緩和に対する御要望は、できる限りこれを吸収するように、そしてこれを総務庁に伝達するように今いたしているわけでございます。  私も、幾つかの行政監察局に出向きまして、各界の皆さん方から、規制緩和に対するその地域、ブロックとしての御要望を承るという機会もございました。そういう意味で私は、今度の阪神淡路大震災、この中の教訓というものは大変とうといものだと思います。そうして、この教訓にこたえるということが、五千数百名に上るとうとい犠牲者の皆さん方のみたまにこたえて安全な日本をつくっていくという意味で、不可欠なものではないだろうかというふうに思っておるわけでございまして、ただいまの委員の御指摘につきましては、そういったことも総務庁として踏まえた上で規制緩和を進めるということで御理解をいただきたいと存じます。
  38. 西川太一郎

    ○西川委員 予算委員長のときの山口長官は、僕は余り好きじゃなかったのですけれども、きょうは総務庁長官としてただいま御答弁をいただいて、何か大変立派な方だな、こんなふうに敬意を表して、大いに頑張っていただきたいと思っておりますが、仲よくばっかりしていては野党の立場がありませんから、ここから先、ちょっと厳しくなりますが、失礼をお許しいただいて、規制緩和の五カ年計画に関しまして、残された時間で質疑をさせていただきたいと思います。  ところで、規制緩和が鳴り物入りで喧伝をされ、過大な期待とも言えるような、国民的に規制緩和規制緩和と、こういうような声が起こっておりますと言われておりますが、私は、そうではなくて、規制緩和というのは、我が国が新しい時代に歴史的に突入する、その一つの必要な関門である、そう思います。  戦争に負けてかれこれ五十年。石灰石と米、野菜以外はみずからの民を充足することのできない無資源国家、しかし、働き者で非常に優秀な国民がいるこの国は、株式会社日本、日本株式会社。通産省を初め、いろんなところのかいたグランドデザインの中で、追いつけ追い越せということで、第二の開国、第三の開国ということで努力をしてきたという経過は、もうお互い、その成功、失敗も含めて、よく承知をしているわけであります。  そして、世界はポスト冷戦の新秩序を模索しながら、同時に平和の代償も求めながらやっていく中で、我が国が、いわゆるリーディング産業と言われるものの力を徐々に失いつつあり、また産業の空洞化という深刻な問題もございます。そして、円高は何次かにわたって我が国を襲い、せっかく息を吹き返そうとする不況からの立ち上がりに水をかける。我が国が置かれている経済情勢は非常に厳しいものがあることは、お互い認識を一にしているところでありまして、こういう中で我々がいかにして活力を呼び戻していくかということに、この規制緩和というものが大変資するところ大であるというふうに、お互いに、長官も私も認識をひとしくしているだろう、こういうふうに思うわけであります。  その指針でもあり、またこれをつかさどる組織でもございます規制緩和検討委員会、これは言うまでもなく行革推進本部のもとに置かれているわけでございますけれども、最近の報道、例えば本日の報道を見ますと、まず驚きました。こういうことは間々あるわけでありますけれども、この間は、守秘義務を課せられている東京都の例の二つの信用組合の示達書が新聞にもう入手をされているような報道もございましたけれども、それと同じようなことで、きょうはどの新聞もみんな、政府検討委員会の議事録を入手した、こういうふうにございまして、その中には、明確に意見の対立がある、特に官と民の対立が深刻である。また、民の中では、学者、経営者、産業界の代表者と消費者団体の側から立っておられる方の間には意見の食い違いもある。そして、十項目もしくは十三項目、分け方によりますけれども、個別の問題については両論を併記しながら報告をしなければならない、こういうことであります。当初の計画では、たしか中旬にこれを提出する予定だったのが二十二日にずれ込んだということも、憶測をたくましくする原因にもなっているわけであります。  報道をベースにして質問をいたしますことは少し順序が逆かと存じますけれども、事が事でございますからお許しをいただきますと、けさの朝日新聞によりますと、「検討委員会が議論を始めてから約二ケ月間、各省庁の官僚が訪ねてきた回数は合計百回、延べ五、六十時間にのぼる」、検討委員会のメンバーの一人はこういうふうにお話しになった。そんなに熱心に時間をかけて御議論をしてきた割には、このたび出てくるものは極めて玉虫色と想定されるものであって、官僚側の抵抗が最後まで強かったことを物語っているというような趣旨の報道が、きょうはあっちからもこっちからもあって、事務局を担当しておられる皆さんとは申しませんけれども、いわゆる必要論を官界は繰り返し、そして民間との立場の差が、もう結局両論併記という形で出さざるを得ない。  これでは、一体何のための規制緩和検討委員会なのか。それならば、最初からもっと大胆なものができる常設の監視機関のようなものを設置して、本格的な議論に入ってしまった方が早かったのじゃないかというようなことも考えられるわけでありますが、まずこの点について、きょうの報道について御答弁をひとつお願いします。
  39. 土屋勲

    ○土屋政府委員 規制緩和検討委員会は、内閣審議室が事務の中心になっていただいておりまして、総務庁はそれに協力するという立場で参画をいたしているところでございます。  私、規制緩和検討委員会開催のたびに出席をさせていただいておりますが、最初の二回が各省庁からの規制の要望に対する考え方を説明し、各委員からそれに対する質疑が行われた。以後の会合は、第一グループ、第二グループに分かれまして各四回、これは委員さんたちだけでの討議でございまして、非常に熱心に討議が行われております。  報告期限が当初の予定よりも若干おくれておりますのは、検討項目が非常に膨大であるということ、それから各委員先生方の中でそれぞれ意見が分かれておって、委員会としてできるだけそれをまとめたいなという努力をしているためにおくれている、こういうふうに見ております。
  40. 西川太一郎

    ○西川委員 私は、残念ながらこの議事録というのを見ていないわけでございますけれども、この議事録というのは、新聞社が入手したいといって入手できる性質のものなのですか。
  41. 土屋勲

    ○土屋政府委員 議事の内容につきましては、各委員会が終了の都度、審議室長が非常に丁寧な記者レクをしているというふうに承知いたしております。
  42. 西川太一郎

    ○西川委員 「議事録を入手」と書いてある。けさの産経新聞です。
  43. 山口鶴男

    山口国務大臣 私、今日まで、例えば国会等移転に関する法律などの提案者となりまして、衆参両院で答弁をいたしまして、成立を図りました。この調査のための委員会設置というのが、その法律の中にございます。このような審議会あるいは調査会というのができますと、議事録を公開せよということがしばしば問題になるわけでございます。  昨年できました行政改革委員会、これも規制緩和に対して監視あるいは勧告、意見を申し述べる、重要な権限を持った委員会でございます。この法案の審議の際にも同じような御意見がございました。問題は、こういった委員会ができますと、その際の会議を公開するか、議事録を公開するかどうかというのは、やはり委員会独自の判断の問題になるわけです。  ただ、私としましては、こういった法律を私の責任で御提案申し上げ、審議をいただいておりますときにいつも言ったのですが、運営の仕方は委員会が独自にお決めになることです、しかしやはり国民に関係がある委員会につきましては、できるだけ中身を国民の皆さんにもお知らせするという努力が必要ではないだろうか、したがってこの法案ができましたら、ひとつできる限り委員会論議の中身を国民の皆さんに知っていただくような努力をすることが必要だということについては、法律の提案者として御意見を申し上げましょうということで対処いたしてまいりました。  ですから、私は、先ほど申し上げた国会等移転の調査会も、会長の宇野収さんが委員会のたびに非常に丁寧な記者会見をやっておられるそうでございますし、それから行政改革委員会も、会長さんが大変親切な記者会見をやっておられると聞いております。したがって、こういうものは、議事録を公開するということはほとんどないと思います。要は、その中身を委員長さんなり会長さんなりができるだけ国民の立場に立って詳細に記者会見で御報告を申し上げている、それがたまたま会議の中身の問題というような形で報道されることがあるということではないだろうかと、私は思っております。  私の経験の中から申し上げた次第でございます。
  44. 西川太一郎

    ○西川委員 私は、なぜこの問題についてしつこくお尋ねするかというと、私どもは、国会でこの特別委員会を設置して、そしていろいろなことをお尋ねしようとすると、関係のお役人の皆さんが私どもに来て、あした発表することでございますから本日お尋ねになっても何も答えられませんということをはっきり言うわけですよ。現に、私は昨日言われたわけです。私が怒っているのは、自分が昨日これについてお尋ねをしたいと言ったら、担当の方が、まことに恐縮ですがあしたこれは発表になりますから、今回はできればそのことについて触れないでほしいみたいなことまでお話があったわけですよ。ところが、けさになって新聞をあけてみたら、「議事録を入手」として、どの新聞も全部この中身をつまびらかにしているのです。  こういうことは間々あるのですよ。私も地方議員が長かったから、そういうことはあるのです。だから、そのことについてどうこうじゃなくて、こういうふうなマスコミに先にこういうものが流れて、そしてこの委員会では、恐らくここに御出席の諸先生も、議事録について、大臣御自身が御存じないということであれば、なお委員長初めみんな知らない。ところが、新聞ではこういうことが出ている。それならば、最初からもっとオープンにして、国民がむしろ関心を持つのですから、公開した方がいいのじゃないかというふうにお尋ねをしたかったわけでありますが、長官に先回りされて答弁をされましたから、それはひとつ厳重に受けとめておいていただきたい、こういうふうにも思うわけであります。  そこで、時間もあと七分ほどでございます。私、盛りだくさんに通告したのですけれども、時間がなくなってまいりましたから、また後日機会をいただいて残りのものについてはお尋ねをしたい、こういうふうに思います。  今申しましたように、国民は大変期待しているわけですね。ところがどうも、きょうの報道もそうでございますけれども、数日、この二月に入ってからの報道を追いかけますと、両論併記ということが出てくる。規制の緩和を推進してほしいという人と、いや必要なんだという、特にこれは官僚側の御意見だそうでありますけれども、役所側の御意見だそうでありますけれども、こういうトーンダウンが最初からあっていいのでしょうか。私はこの辺、長官の御認識を承りたいと思いますが。
  45. 山口鶴男

    山口国務大臣 先ほどお答えございましたように、規制緩和検討委員会は内政審議室が事務局を担当いたしております。それで、委員皆さん方は、アメリカの関係者の方もお一人含めまして全部で十四名でございまして、いずれも各界の有識者の方々で構成されているというふうに私は認識をいたしております。  したがいまして、こういう方々ですから、率直な意見交換があるのは当然ではないかと思います。それで、この事務局の方も、一方に偏ってこの報告書をつくるなんということになれば、かえって不公平のそしりを免れないわけでございまして、私は、委員会で議論をして一致した方向が出ますならば、それはそれできちっとした報告をまとめるのは当然ではないかと思います。ただ、委員会の中におきまして、活発な御意見があって両論があったという場合は、事務方としてはその状況を素直に報告書の中に書かざるを得ないということも、これまた当然ではないだろうかと思うのです。  したがいまして、それではその報告を受けた後どうするか、政府としてはどうするかという問題ですが、これは行政改革推進本部におきまして、その報告をもとにいたしまして、それではどのように規制緩和を具体的に決めていくか、どのような閣議決定をするかということで議論をいたしまして、年度内にこの閣議決定に持ちこむということであろうかと思います。  私どもは、検討委員会の御意見状況、議論の経過というものは十分尊重いたしまして、そういう中で、経済的規制については原則自由なんだ、社会的規制については、これは国民の安全を守るという観点から必要最小限にしていくという点を物差しにいたしまして、具体的には閣議決定に持ち込みたい、かように考えておりますし、そればかりではなく、昨年できました行政改革委員会があるわけでございます。この委員会が、それではこの規制緩和で十分かどうかということは十分御議論をいただきまして、その結果については十分な監視のもとに勧告もするし意見の申し出もいただくということになっているわけですから、私は両々相まって、委員の御指摘については十分尊重をされる方向で解決をされていくのではないだろうか、またそのために政府としては努力しなければならぬ、こういう決意でございます。
  46. 西川太一郎

    ○西川委員 もう時間がございませんからこれで最後のお尋ねになるわけでありますが、一月十八日に各省庁の見直し状況の中間の取りまとめを発表されました。五百項目の例のものであります。しかし、それに対して内外の評価は極めて厳しいのですね。長官、内外の評価は極めて厳しいのですよ。  こういうものについての長官の御見解を承りたいことと、そして、最終取りまとめの段階がいずれ来るわけでありますけれども、その段階で、仮に盛り込まれなかったもの、もしくは実施の期間が未定のものについては、場合によっては理由も公表する、こういうふうに園田さんがきのうはおっしゃっているようでございますが、長官としてはこれについてどういう御見解をお持ちなのかお尋ねして、とりあえず今回の質疑はこれで終わらせていただきたいと思います。
  47. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  去る一月十八日公表いたしました各省見直しの中間検討状況では、平成七年度から十一年度の間に各省庁が規制緩和を予定している事項は、御指摘ありましたように五百項目ということでございます。この中には、既に閣議決定に基づく推進事項のほか、新規のものが約三百ございます。  それではこれだけでいいのかといいますと、決してそうではございませんで、今後とも私たちは、各面からの規制緩和の御要望というものは十分承っていく。それで、今年度内に決定いたしますものについては、それまでにこの御要望のございました点について、規制緩和の方針をどうするかということで決めていくわけでございますが、年度内に五年間の計画を立てたらそれだけかということではございません。毎年やはり見直しを絶えず行っていくということが当然必要だろうと思いますし、それからまた、先ほど申し上げたように行政改革委員会という、監視及び勧告、意見を述べる大きな権限を持った委員会もあるわけでございますし、それからまた総務庁としては毎年毎年、先ほどお答えしましたが、行政監察事務所あるいは監察局におきましてその地域皆さん方の御意見を聞いて、それを総務庁に集約をするという形の中で、絶えずこの規制緩和の問題については見直しを続けていくべき課題である。  この問題については、絶えず着実に推し進める問題であるというふうに思っておりますので、決して一月十八日公表されましたものだけで、それで終わりということではないということは明確にしておきたいと思いますし、それからまたその事項について、これは規制緩和できます、これは難しいですという点もあろうかと思います。その場合は、どういう事情でこれは困難であるのかということについては、総務庁はきちっとした報告はいたしたい、公表はいたしたいというふうに考えております。
  48. 西川太一郎

    ○西川委員 規制緩和は、子供が大人になって、あれをしてはいけない、これをしてはいけない——子供時代には、子供の安全のため、教育のため必要であった。しかし成長しておつき合いも広くなって、いろいろな意味で能力もついた、まさに日本はそういう時代に差しかかって、規制が足かせ手かせになってはいけない、こういうことであります。潜在的能力を大いに発揮させる。どうぞひとつ、きょうはこれで終わりますが、大いにこれからは、新進党としてはこの問題について、時には厳しく時には御協力を申し上げながら完成を見ていきたい、こう思います。  せっかく通告を申し上げ、労働省中小企業庁等お出ましをいただきながら、御答弁の機会を得ませんでしたことをこの機会におわびを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  49. 塚田延充

    塚田委員長 須藤浩君。
  50. 須藤浩

    須藤委員 新進党の須藤と申します。  同僚議員から、規制緩和について、震災も含め、さまざまな角度からただいま御質問がありました。私も幾つかの観点から、この規制緩和に関して、推進をして国民のいわゆる福祉の向上に、あるいは日本の硬直している経済構造や社会構造、そういった点をいかにスリムなものにしていくか、そういうことのためにぜひ質問をさせていただきたい、このように考えます。  規制緩和そのものは、今や行政改革の一環としてとにかく急務であり、重要事項です。現内閣においても、この規制緩和をいかに進めていくかということで法的な措置や組織というものをつくられている。そういう意味では、国民が既にこの問題に関してはぐずぐずするなと、いかに早く進めるか、そういう観点から国民は注視している、このように私は思います。  内需の拡大や輸入の促進を図ること、あるいは国民生活の質の向上を目指して、新規事業の創出または消費者の選択機会の拡大、内外価格差の縮小等を期する観点、こういった観点から規制緩和推進を図ることが、私たち日本の国の急務であるということであろうと思います。そういう意味では、総論は既に大賛成、あとはいかに各論を進めていくかということに私は焦点を絞って進めていくべきであろう、このように思います。  例えば、価格破壊という言葉はもう既に使われております。それによって経済構造にさまざまな構造変換や、それぞれの事業者あるいは消費者、そういった立場を変動させるといいますか、そういったことも起きています。こういった言葉に象徴されていますように、現実の経済の方が政府の遂行する施策よりもやはり一歩先に進んでいる、こういう状況が私は見てとれるんじゃないか、このように思います。こういった価格破壊が生じることは、恐らく内外価格差の是正に何らかの形で寄与をしている。もちろん、急激な価格破壊が生じることによって、デメリットといいますか困ることも一時的には起きるかもしれない。しかし、内外価格差の是正という大きな観点から見れば、それはその方向を推進する要因になっている、このように思います。  そこで、まず最初に総務庁長官に、この規制緩和に対する基本的な考え方、そしてその方向性、こういったものをまずお聞きしたいと思います。
  51. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  ただいま価格破壊のお話がありましたが、確かに内外価格差を解消するためには、規制緩和が大きな力になるということは御指摘のとおりだろうと思います。ただ、内外価格差は規制緩和だけでそれでは解消できるのか、そうは私はいかないと思います。商習慣の問題もございましょう。法律的な規制の問題ではない、いわば商売上の長い間の慣習でありますとか、あるいは総代理店、ブランドに関する問題でありますとか、幾つかの問題があろうかと思いますが、しかし私どもとしては、規制緩和を進めることがやはり内外価格差を解消する一つの大きな力になるということは、そのように認識をいたしまして、進めていきたいと思っております。  規制緩和の必要性については、委員が御指摘されたとおりであります。これからは、戦後のあの廃墟の中から立ち上がった当時とは違いまして、世界第二の経済力を持つ国でもあります。そういう中で我が国にふさわしい状況をつくり出していくということが必要だろうと思いますし、そのためには、今までの規制というものは一つの解消していかなければならない課題であることも当然だと思いますし、そういう意味で、今までの、みんなで渡れば怖くない式の船団方式というものにいつまでも甘んじているということはよくないと思います。そういう意味では、規制緩和を進める中で、やはり世界の中の日本、そうして今までとは違った新しいベンチャービジネス等を育成するためにも経済に活力を与える、そういう意味での規制緩和の意義というものも極めて大きいと思いますし、委員指摘の点を十分踏まえた上で規制緩和を進めていく。  具体的には、年度内に規制緩和推進五カ年計画を策定いたしまして国民の皆さん方の期待にこたえたい。しかもそれが、決めたからそのままというのではなくて、今後五年間、絶えず見直しということを行って国民の皆さんの期待にこたえるという決意でもあるということを申し上げて、お答えにかえたいと思います。
  52. 須藤浩

    須藤委員 長官もみずから旗を振る人としてそういう御決意であるということは、あとはいわゆる規制緩和のための事務といいますか、そういったものを消化することによって規制緩和は間違いなく前へ進んでいく、このように私は思います。  そこで、その他の規制緩和に対する具体的なことについて、幾つか御質問いたします。  まず最初に、航空産業関係についてですが、内外価格差に関連しては、プラザ合意前として一ドル二百三十円台、現在は大変円が高騰しているということがあって一ドル九十円台ということになっております。こういった問題、それからさらには景気が現在低迷しているということも加えて、飛行機におけるファーストクラスの利用率というものが大変減少しております。こういった状況が出ているところで、ファーストクラスが減少した分、当然のことながらエコノミークラスへと利用客が移っている、シフトしている。同時に、国際線そのものの各国の航空企業の競争というものは年々増加をしている。ハブ空港の問題もありますが、日本においても、国際空港ができることによって、さらに航空のいわゆる競争がどんどん激化をしている、こういう状況にあろうかと思います。  こういった近年の急激な円高の進行、それから国際競争の激化、こういう環境の中で、日本における航空企業の競争力そのものが相対的に今低下をしつつあるということが言えるかと思います。当然、各航空会社の収支というものは全体的に悪化の傾向にある、このように思います。この状況が仮に続いていくとすると、日本における各航空企業が国際競争に負けてしまうということになる。これは航空産業という観点から見てゆゆしき問題であろう、このように思います。  航空市場が専ら外国航空企業に占められてしまうと、恐らく日本における人の流れやあるいは物の流れ、そういったものが外国の事情、つまり外部環境、要因によって日本国内で左右されてくる、こういうことが一つあろうかと思います。そして、供給そのものが不安定になり、さらには広い目で見れば日本の国益、利用者の利益が損なわれる、国益まで及んでしまうということであろうと思います。さらには緊急時の輸送手段、こういったものの確保や雇用等の面での経済効果の確保、トータルシステムとしての航空輸送技術の保持、こういった面からも、大げさに言えば国の安全保障といった観点からも重大な問題が私は生じる、このように思います。だからこそ、現在こういう低迷傾向にある航空会社を存続あるいは育成していくということが大変必要であろう。  そこで、航空産業の状況について私はこう考えるわけですけれども、日本の航空企業の国際競争力の強化というものが今必要であろう。航空企業事業効率化のための努力も当然必要でありますけれども、当事者の努力と環境の改善、こういったものが今必要である。まずこの点に関して、運輸省の基本的な考え方を最初に伺いたいと思います。
  53. 丸山博

    ○丸山説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生から御指摘いただきましたように、我が国の航空産業を取り巻きます環境は非常に厳しいものがございます。急激な円高の進行それからバブルの崩壊という景気の後退の影響を受けまして、平成六年度に入りましても、航空事業の収益の回復の兆しというのはなかなか足取りが重いものがございまして、依然として厳しい状況にございます。  顧みますと、一九八○年代につきましては、我が国航空企業は、急激に国際航空市場が特に膨張したということもございまして、量的な拡大に対応する必要があった。したがいまして、その供給力の確保という面に専念いたしまして、合理化という面につきまして不十分な面があったということにつきましては、否定できない面があろうかと思います。先生からただいま御指摘いただきましたように、このまま競争力が低下してしまえば、我が国航空企業さえなくなってしまうのではないか、こういうような危惧さえ抱かれるわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、安定的な輸送力の確保という観点から考えまして、我が国航空企業が存在することが必要であろうというふうに考えております。このため、生き残りをかけまして、各航空企業必死の努力が必要であるというふうに私ども考えております。基本的には、日本航空も民営化されておりますし、規制緩和という世の中でございますので、航空会社のイニシアチブで合理化が行われるべきであるというふうに私ども考えておりまして、費用面では一層のコストの削減、なおかつ外貨化できるコストにつきましては外貨化する、なおかつ収入面ではサービスの改善を図っていくことによりまして、現在非常に厳しい状況にございます収支の改善を図っていくことが必要なのではないかというふうに考えております。
  54. 須藤浩

    須藤委員 航空会社自体が自助努力、リストラですが、そういったことでより一生懸命頑張っている。恐らく、どこが限界ラインかわかりませんけれども、それなりの努力はかなりしているというふうに私は見ております。  と同時に、今若干触れられましたけれども、運輸行政における規制緩和をどう進めていくか、この双方が相まって恐らく国際競争力がついてくるということであろうと思いますが、運輸省として、恐らくこの規制緩和についてもろもろのことを考えられていると思いますけれども、その具体例を少し挙げていただきたいと思います。
  55. 丸山博

    ○丸山説明員 ただいま先生から御指摘いただきましたように、航空事業の自助努力の環境整備という意味から、規制緩和というものが必要であろうというふうに考えております。私の所管しております範囲、航空事業課長という立場からいたしまして、適時適切な規制緩和というものが必要であるというふうに考えております。  最近の規制緩和の例といたしましては、私ど。も、五〇%以内の営業割引につきましては、従来運賃というものは認可制でございましたけれども、これを届け出制にするという緩和をいたしまして、十二月一日から関係法令の施行をいたしたところでございます。この五〇%以内の営業割引の届け出化という制度を受けまして、航空業界から多種多様の創意工夫にあふれた新しい運賃制度というものが出てくることを期待しております。
  56. 須藤浩

    須藤委員 航空運賃については、国際線については特に相対的に日本が大変高いということは、もうこれは周知の事実であろうと思います。ちなみにアメリカの航空運賃は、日本と比べると大体日本の七割という金額であろうということだと思います。この部分に関しましては、やはり規制というもの、運賃設定が融通性に欠けるのではないかな、私はこう思うわけですけれども、ただいまの五〇%営業割引は認可から届け出制に変わった、これは一つの前進であろうというふうに思います。これが事務的に、届け出ですから従来よりも簡素になったわけです。  この数字というものは、実は国際競争力において果たして諸外国に勝てるものであるかどうか。一つには、国際運賃における競争の激化によって国内の運賃そのものにもかなり影響が出ている、こういう状況があろうと思います。この点に関しては、運輸省としてはどういうような判断といいますか認識を今持たれているか、伺います。
  57. 丸山博

    ○丸山説明員 ただいま、日本の航空運賃は諸外国に比べて非常に高いのではないか、その原因としては、規制が行われていることによって融通性がないためではないかという御指摘でございますが、国内運賃、一応外国との関係をちょっと捨象して話をさせていただきますと、実は昭和五十七年度以来値上げしたことはございません。その間二回値下げを行っておりまして、消費者物価指数と比較いたしますと、実質的には約二〇%の値下げということになっております。また、ただいまアメリカなどの運賃との比較のお話がございましたけれども、普通運賃というもので比較いたしますと、欧米諸国との比較におきましても、おおむね日本の国内運賃の方が安いという状況になっております。  ただ、御指摘のとおり、アメリカにつきましては、いろいろ安い運賃があるのじゃないか、その運賃と比較した場合に日本の運賃が高いのじゃないか、こういうお話があろうかと思います。御指摘がありましたとおり、アメリカの中には、使用条件について非常に厳しい条件がついておりまして、例えば週末に必ずかからなければいけないとか、いろいろな条件がついておりますけれども、非常に割安な運賃料金があるのも事実でございまして、普通運賃は安いかもしれないけれども、そういう運賃と比較した場合に我が国の運賃が高いのではないか、こういう御指摘はつとにいただくところでございます。  先ほど申し上げましたように、平成六年の十二月から五割以内の営業割引については認可制から届け出制というふうにいたしましたので、この制度を使いまして、航空会社が諸外国に比較いたしましても多様性という面でも負けない、水準という面でも負けないような、多様な割引運賃を設定していくということを期待しておるところでございます。
  58. 須藤浩

    須藤委員 規制緩和という観点で、一つ私は忘れてはならないと思うのは、法律によってしてはいかぬ、規制をするという部分に対する、いわゆる数値であらわされる部分と、それから日常生活上実感として感じる部分、これがあると思うのですね。  例えば、外国に行くのに、当然のことでありますけれども、よほどお金があり余っている人以外はなるべく安い方法をとる。飛行機しかなければ当然飛行機を使って、その中でも経済的なものを選択するということになるのじゃないかと思います。今、総務庁長官、後ろで若干苦笑いをしておりましたので、恐らくこの規制緩和の中に、今の点も十分考慮した結果が今後出てくるのじゃないかということを私はひとつ期待して、この質問においてはそこまでにとどめておきたいと思います。  先ほど同僚議員の質問の中からも出てまいりましたが、行政改革委員会、これが民間人の構成員によって設置されました。この行政改革委員会というものが規制緩和に果たす役割、これについて、もう一度総務庁長官から御答弁をお願いします。
  59. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  昨年、行政改革委員会設置法を衆参両院で御議決を賜りまして、行政改革委員会が発足をいたしました。行政改革委員会は、規制緩和を初めとする政府の行政改革に対して、その実施状況を監視をする、そうして必要に応じて総理大臣意見を具申する、場合によっては勧告も行い得るという大きな権限をお持ちの委員会でございます。  現在、行政改革委員会におきましては、鋭意御議論をいただいておりまして、近く国民に対するところのメッセージというものを発表いたしまして、行政改革委員会が行政改革に取り組む姿勢というものを国民の前に明らかにしたいというふうに考えておられることを承っております。
  60. 須藤浩

    須藤委員 今の御答弁の中で、勧告であるとかあるいは意見具申、こういったことが出ておりました。規制緩和というのは、今までの私たちの経験則からいうと当事者、まさに行政官庁における当事者の自助努力ですね、それ以外で、どうしても恐らくでき得ないところ、これが規制緩和対象として今議論になっていることではないかと思います。そう考えると、この行政改革委員会というようないわゆる第三者機関、外から問題点を指摘して、それをいかに効率よくしかも短時間に実行していくか、成果を上げるかということが私は大切であろうと思います。  その中で、今出ましたように行政改革委員会から出る勧告であるとか意見具申、こういったものが実は本当に反映をされるのかどうか。勧告はしました、意見具申はしました、しかしそれは意見であります、勧告であります。勧告という意味はそれほど軽いものだということは私はあり得ないと思うのでありますが、そういったものが実質的に反映される、そういった担保といいますか仕組みというものがあるのかどうか伺いたいと思います。
  61. 山口鶴男

    山口国務大臣 法律の中で、内閣総理大臣行政改革委員会意見、勧告、これを尊重しなきゃならぬと、尊重義務が明記されております。
  62. 須藤浩

    須藤委員 最近とまでは言わなくても、国会における議論というものがいつの間にか形式的になってしまい、そこで発せられる言葉というものがどうも言葉としての重みがなくなってしまう。本来国会は、議論をし、そして十分な審議の結果決まったものを行政が執行していく。そういう意味では、国会における一言一言というものが実は想像以上に意味の重たい、言葉としても重たいということであろうと私は思います。  ですから、尊重という言葉が国語辞典を引いてどういう意味になっているかということよりも、やはり尊重するというのであれば、それは前向きな尊重であり、改革委員会から出た勧告であるとか意見というものをいかに実施するか、そういう観点に立つ尊重という言葉であろうと私は思います。ぜひ、そういう観点からの実施をされることをひとつ期待をいたします。  続きまして、規制緩和五カ年計画、これは三月末までに提出をされるということに伺っております。この規制緩和五カ年というものを今後、もう既に二月下旬に入りました。三月というともう一月余りしかありませんが、大体何日ごろに公表をされるか、また国会に提出されるのか、その辺についてのタイムスケジュールが決まっていましたら、御答弁をお願いします。
  63. 土屋勲

    ○土屋政府委員 規制緩和の五カ年計画につきましては、昨年の十二月末の行革の閣議決定におきまして年度内に作成をすると書かれたところでございまして、年度内に作成すべく今鋭意努力中でございますのできました時点では、閣議決定をし、公表をいたしたいというふうに考えております。  また、その規制緩和の中で法律改正を要するものも出てこようと思いますが、それにつきましては、逐次関係省庁におきまして所要の改正案を国会に提出し、御審議をいただくことになろうと思っております。
  64. 須藤浩

    須藤委員 年度内という期限つきのスケジュールであろうと思います。よもやこれがずれるというようなことは決してないものと私は思いますので、その期限内に成果を得るような、そういった計画というものをぜひ提示していただきたいと思います。  次に移ります。いわゆる公的な規制というものについては、先ほども出ておりましたが、目的によって経済的規制それから社会的規制というような分類の仕方があろうかと思います。経済的規制については、これは既に周知のように、電気、ガス、そういった公益事業のように、市場の自由な働きにゆだねておいては財やサービスの適切な供給や望ましい価格水準が確保されないおそれがある、こういった場合に、政府が個々の産業への参入者の資格や数あるいは設備投資の種類や量、生産数量や価格等を規制することによって消費者の利益と産業の発展を図る、見方としてはこういうようなことが言えようかと思います。  この経済的規制についてでありますが、これまで行政改革推進審議会の答申あるいは経済改革研究会報告において、原則自由、例外規制、こういった基本的考え方というものが明示されております。先ほども長官はこの言葉をお話しになり、答弁をされていましたが、重ねてもう一度お伺いいたしたいのは、この考え方を長官自身支持をされている、肯定されるのかどうか、伺います。
  65. 山口鶴男

    山口国務大臣 経済的規制につきましては、原則自由、例外規制ということだと思います。原則的に自由にするということで進めるように、事務当局には指示をいたしております。
  66. 須藤浩

    須藤委員 この経済的規制について、原則自由そして例外規制だということは、今御答弁あったとおりだと思います。  とすると、まず最初に方法論として、例外規制の具体的な一つ一つの事項というものをまず第一に検討する、当然やっておられると思います。そして例外ですから、例外以外のものはイコール原則は自由だ、こういうことに論理的になろうかと私は思います。だとすると、速やかにこの作業を進行させれば結果はおのずと出るのではないか、このように思いますが、どうも私たちから見るとそのような進みぐあいにはなっていないんじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  67. 土屋勲

    ○土屋政府委員 現在、規制緩和五カ年計画の策定に当たりまして、各省といろいろな議論を展開しているわけでございます。先ほどの大臣のお話のように、経済的規制は原則自由という立場で議論をしているわけでございますが、ただ、個々の規制緩和の中身をどうするかという話になりますと、何が経済的規制であり何が社会的規制であるかということがはっきりしないものがかなりございまして、経済的規制の中にも社会的規制の側面を持っているものというものがあるわけでございまして、結局、先生今お話しの、何が例外規制に当たるのかということを特定するためには、やはりすべての規制について見直しをし点検をしなければ議論が進まないという状況になっているわけでございます。
  68. 須藤浩

    須藤委員 三月末、年度内までにそういった作業を全部進めるということになろうかと思いますが、果たしてそれでよいのかどうか。当然、現在ある規制の中ですべてを精査して、その結果これは自由であり、これは規制があるものだと分けることはできる。しかし、それを分ける段階において、ほとんどのものがこれは例外だという結論が仮に出たとすると、原則自由であり例外規制ということは、では一体何なのかということになろうと私は思います。つまり、ここで言っている原則自由、例外規制という趣旨そのものは、どうしても外せないものが例外であって、それ以外はすべて原則は自由なんだ、この原則自由というところに力点を置かないと、調べれば調べるほど、これは例外だ、例外だ、例外だという結論が必然的に導き出されてしまうというふうに、私は危惧をするわけです。  しかも三月末、年度末までにこれを行う。今、阪神大震災復旧から復興へというところで、政府関係者あるいは行政も含めてエネルギーの大半をそちらに注いでいる状況にあろうと思います。しかし、国の運営というものはそれだけにすべてを投入するわけにはいかない。従来から課題、懸案事項となっている行政改革やあるいはその一環としてのこういった規制緩和も、一つとしておろそかにすることはできないはずだと思います。この原則自由であり例外規制という考え方、先ほど長官はそのとおりだということを言われましたが、その基本理念、あるいは長官として断固これを推進していくという考え方が先頭に立って示されない限り、事務当局、事務レベルでこの規制に関する精査をしていけばいくほど、やがてはすべてが例外となってしまう、こういう結果が出るのではないかと私は思います。  三月末までの期間内に何としてでもこれを出すということは、これは一政府や、今の国会の議論は当然大切ですが、その段階ではない、今後の日本をどういうふうにスリムにして国家運営ができるような状況にするかという重要な問題だと私は思います。長官の所見をお伺いします。
  69. 山口鶴男

    山口国務大臣 先ほどお答えいたしましたようなことを原則にいたしまして、規制緩和検討委員会の報告も行政改革推進本部でお受けをいたしました上で、政府として規制緩和に関する五カ年計画を年度内に決めるということでございます。  それで問題は、これを決めたらそのままということでないことは、もう先ほど来お答えしてまいったところでございます。毎年毎年この計画に対して絶えず厳しい見直しを行っていく。さらには、お答えいたしましたが、行政改革委員会がその実施状況を監視し、意見を内閣総理大臣に申し出る、あるいは勧告を行うという中で、政府としてはこれを尊重してさらに見直しを行っていくという手続もきちっといたしている次第であります。  それから、私はこういう問題は、やはり透明性を確保することが必要ではないかと思うのです。この問題については規制緩和ができます、この問題については規制緩和は難しいという場合、なぜこれについては難しいのかという内容を国民の皆さん方にお示しをしていくという中で、国民的な議論の中でその当否を明らかにしていくということも必要ではないでしょうか。  ですから私ども、先ほどからお答えしておりますように、毎年毎年この見直しをしていく。行政改革委員会のいわば監視、勧告もいただく。そして、その決定された中身について、やはり国民の前にこれを明らかにしていくことによってこれは国民の監視を受けていく。そういう意味での情報公開ということもきちんと私どもは進める中でこれをやっていきたいということで、ひとつ政府の決意というものをお認めいただきたい、かように考える次第でございます。
  70. 須藤浩

    須藤委員 何回も同じようなことを伺うということになっておりますが、やはりそれほどこの規制緩和推進については現在急務のことであるということを、しっかりと受けとめていただきたいと思います。  経済的規制については今、私も御質問をさせていただきましたが、もう一方の規制として社会的な規制というものがあろうかと思います。この社会的規制は、経済的あるいは社会的な活動、そういった活動に伴ういわゆる社会的な副作用を最小限にとどめるとともに、国民の生命や財産を守り、そして国民の福祉の増進に寄与する、こういう見方が可能かと思います。  この論理でいきますと、社会的な規制というものはもしかしたら緩和する必要がないのかな、こういうことも一つ考えられるのですが、実はそうではなくて、時代の趨勢とともに規制というものはやはり常に検討し見直すことが必要である、社会情勢の変化ということであろうと思います。この社会的な規制について、その緩和というものをどう考えておられるか、お伺いします。
  71. 土屋勲

    ○土屋政府委員 規制緩和を進めるに当たりまして、経済的規制のみならず社会的規制についても見直しをするという必要性は、十分認識しているつもりでございます。ただ、社会的規制の中には、国民の生命財産の安全確保等のために行われているものがかなり多いわけでございまして、その性格に十分配慮してやる必要があるというふうに考えております。
  72. 須藤浩

    須藤委員 経済的規制それから社会的規制、どちらも規制であるという点には変わりがない。それをいかに、不必要なものは規制を解き、そして当然のことであろうと思いますけれども状況の変化によって新たな規制ということも場合によっては出てくる。不思議と、新たな規制をつくると、それがいつの間にか規制をした当初の意思とは少しずつ離れて、規制そのものが現存してしまう、こういう傾向があろうと思います。やはり不断の見直しというものが必要であろう、このように私は思います。  こういった公的な規制をなぜ行うかということがありますが、私が考えますに、まず第一に、国民や企業の競争すべてを自由競争に任せていては、安全の確保とかあるいは環境の保全、そういったものが図られなくなる危険性というものがある。そういった状況を回避するために規制を行うという場合が一つあろうと思います。例を挙げて言うならば高圧ガス取締法、こういったものの安全規制というものがあります。さらには大気汚染防止法、環境をいかに守っていくか。企業の自由とは言いませんが、あるいは排ガスにしても、そういったものが常に野放しの状態になっていては、大気は当然汚れてくる、オゾン層の破壊につながってくる。そういったものを自由競争に任すのではなく、一定の制限を加える、こういったものが一つの目的であろうと思います。  二つ目に、財やサービスを生産、提供する側の情報、こういったものが消費者に十分迅速に伝わるかどうか。こういう情報が伝わらなければ、当然消費者は不利益をそこでこうむってくる、こういう現象が生じます。その不利益を解消する目的で政府規制を行う場合、例えば家庭用品品質表示法、どういうものが売られているかということが外見表示でわからなければ、消費者は安心して物を買うことができないということであろうと思います。あるいは消費生活用製品安全法、そういった商品の安全性や品質の表示に関する規制、こういったものもあろうと思います。  三つ目として、規模の利益が存在する場合、自由競争に任せていては最終的に市場というものが独占をされてしまう、価格設定やサービス提供の面で消費者が不利益を結果的にこうむる。こういったものを避けるため、政府が特定の事業者のみ参入を認める一方、価格やサービスの提供等について規制を行う場合、具体例を挙げれば電気事業ガス事業、そういった規制があろうと思います。  四つ目、幼稚産業、なかなか足腰が十分でないために自立していかない初段階の産業、そういったものの育成や、あるいは現在の大変厳しい競争社会においては、産業というものあるいは事業企業そのものも永続的に存続することは大変難しい、そういう中での衰退産業というものがあろうかと思います。こういったものの円滑な構造転換をどう図るか。恐らく今この日本においては、経済改革という言葉に象徴されるように、これも急務の課題であろうと思います。こういった産業の健全な育成を図るために政府が参入の規制を行う場合、こういったものがあろうと思います。  こういった合理的な理由があって設けられる規制、こういったものであっても、常に総合的、根本的にその規制というものを見直す、検討することが必要であろうと私は思います。いざ動かなくなってしまってから、さあ規制緩和だ、これは必要であるか不必要であるか、こうなりがちであります。今、国会で議論されているように、はっと気がついてみたら、高度経済成長のときに大きく日本を発展させていった企業その他社会のあり方、そういった構造が今の日本を逆に縛ってしまっている。そのときに見直すといいますか、常に検討しろと言っても、これは一面では難しいところがあろうと思います。  しかし、やはりそういった不断の見直しといいますか、注意の目を光らせておくということが必要であろう。これができていれば、何も今、行革推進委員会とか規制緩和のためのこういった議論というものをしなくても済むと思います。ただ、現実にはそういう歴史的な経過を経て現在のような状況になっていることを考えると、ここは断固としてこの規制緩和というものを推進していかなけばならないと私は思います。  そこで、最後に長官にお聞きをしたいのは、規制の方法やこういった内容等に合理性を欠くようになる場合があり得るんだ、そして本来の目的からそれてしまう規制が存在し得るということ。先ほど申し上げましたように、規制は目的を持って設置をしているんだから、当然目的からそれればそれを軌道修正していかなければならないということが必要であろうと思います。現在では、私たちは国会において議論をして、不必要なものは合理的に廃止をしていく、あるいは緩和もしていくという立法化にかかわる作業を行います。そして、新産業創出のような新しい産業を育成をしていく中であっては、その中において新規規制というものも生じてくる。当然いろいろな議論をするし、基本的な考え方を持って将来どうするかということ、その過程の中で不必要になれば当然修正していくということが十分その視野の中に入っていなければいかぬ、私はこのように思います。  最後に長官にお伺いしますが、私は改めてここでの言質をとる云々ということは思いません。ただ、国会における行政推進役、そして規制緩和の旗振り役である長官の一言一言、その言葉の重みというものは、先ほど長官がおっしゃられたように、透明性を高くして、この規制緩和推進をさらに推進力をつけていくためには、何といってもそれを実行すること以外にないと私は思います。そういう意味での長官の答弁の言葉の重みというものははかり知れないものがあるというふうに思いますので、最後にぜひ御決意をお伺いしたいと思います。
  73. 山口鶴男

    山口国務大臣 経済的規制にいたしましても社会的規制にいたしましても、それぞれ法律で決められているものであります。その法律をつくりましたときは、その必要性があってこのような法律ができ、あるいは法律改正がなされたというふうに思っております。しかし、つくられたときは理由がございましても、長い間経過する中でその必要性が薄れる、あるいはなくなるというものがあることは、これは当然のことだと思います。そういう意味で、今規制緩和をしなければならぬ。  そうして、当時は日本を経済的に発展させるための一つの有力な手だてであったかもしれないけれども、現在はそれはかえって我が国の経済を縛る足かせになっているではないかというような御指摘の問題もあることは、事実だろうと思います。そういう中で、できましたときの必要性というものはあったとは思うけれども、しかし現在、これをやはり厳しく見直していくということが日本のために必要なわけでございますから、そういう意味で、政府といたしましては、お約束いたしました計画をきちっと年度内に決定をいたしまして、これを着実に進めてまいりたいと考えております。  私も国会生活約三十年になるわけでございますけれども、大部分はといいますか、三十一年になりますが、三十年間は野党でございました。そういう意味で、国会の権威ということを私は絶えずこの国会活動の中で言い続けてまいりました。そういう意味では、国会でなされました御議論というものを私どもはきちっと尊重して、そしてそれに立って政府は施策を進めていく、これが議会制民主主義ではないか、私はこう思っておるわけでございまして、そういった考え方で今後対処いたします。
  74. 須藤浩

    須藤委員 終わります。
  75. 塚田延充

    塚田委員長 吉井英勝君。
  76. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、最初に特殊法人見直し問題から長官に伺っていきたいと思いますが、村山内閣は、行革は内閣の最重要の課題であると言ってきました。  本来、行革と言えば、手をつけなければいけないのは、公共投資をめぐる政財官の癒着とか大手ゼネコンの不正談合問題、軍事費拡大など、そういう肝心なところにまずメスを入れなければいけないと思うのですが、それを特殊法人の統廃合に矮小化してしまうということになれば、これは私は筋が違うことになると思います。行革というのは、本来、国民の立場に立って行政のむだと浪費にメスを入れるということですから、この点は恐らく総務庁長官と本来なら一致していいところだと思うのです。  そういう点から、特殊法人問題について最初に質問したいと思うのですが、高級官僚の天下り、渡り鳥官僚の高額退職金問題というのが長い間問題になっております。しかし、これは前進がありませんね。これをどう、こういう問題については必要な規制も行えば、見直しの実を上げていくか、この点について、まず大臣考えを伺いたいと思います。
  77. 山口鶴男

    山口国務大臣 村山内閣として今進めております行政改革、先ほど来お答えしておりますように、規制緩和あり、地方分権の推進あり、さらには行政の透明化としての情報公開あり、それから簡素にして合理的な政府をつくるという意味政府機構自体もこれをスリム化していく努力もする、同時に特殊法人の整理合理化もやっていくということだろうと思います。  特殊法人の整理合理化だけが行政改革の目玉であるということは、私は言ったことは一度もございません。今申し上げたこの行政改革の各項目を着実に実施をしていく、これが村山内閣の行政改革の方針であるということで御理解をいただきたいと思います。  そして、そういう中で、御指摘のございますように、この高級官僚の方々が特殊法人の役員になる、そしてそれが一カ所ではなくて、二カ所、三カ所という形で、いわゆる渡り鳥といいますか、そういう現象もある、御指摘のとおりだろうと思います。私どもといたしましては、特殊法人の役員は、天下りと申しますか、官僚OBの皆さん方は半数以下にするということを閣議了解として今日までやってきているわけでございますが、なかなかこれが実行されていないという現実がございます。  したがいまして、今度特殊法人の整理合理化について閣議決定を近くいたしたいと思っておりますが、その際に、改めて官僚OBの皆さん方を役員の半数以下にするための努力を行うとか、あるいは渡り鳥というような形で国民の皆さん方から御批判をいただいている問題について、これをどのような形で解消していくかということにつきましても、ある程度考え方をお示しする中で特殊法人の整理合理化をやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  78. 吉井英勝

    ○吉井委員 どうも、もう一つ今のお答えだけでは進みそうにないんですが、次に、ゼネコンとの癒着を断ち切るために何をするか、どういう仕組みをつくるかということも大事な点だと思うのです。  特殊法人には国家から巨額の資金が流れているわけですから、それが国会の審議、承認なしに、特殊法人の理事たちの手で左右されていく、そこがやはり本当にメスを入れなきゃいけないところで、国会への経理の詳細な報告など国民の監視を強めていく、そういう見直しというものをどう進めるか、この点についての大臣の見解を伺いたいと思います。
  79. 山口鶴男

    山口国務大臣 特殊法人の整理合理化を進めるに当たりましては、与党三党の皆さん方の間におきましても真剣な御議論をいただきました。そういう中で、政府・与党一体となってこの問題を進めるということで今日まで対処してまいったのでありますが、特に今御指摘のございました特殊法人の財務内容を明らかにすべきである、こういったことが与党の皆さん方の間からも強く御指摘がありました。  確かに、予算を決定いたします際に、提出されます各資料の中に特殊法人の財務内容についても触れております。そういう意味では、国会にも報告をいたしております。また、官報に財務内容を掲載するということもいたしておりますし、また、特殊法人の窓口にその経済諸表を置いておいて国民の皆さんの閲覧にも供するということもやっておるわけでありますが、どうも十分でないようであります。これらの問題につきましてはより徹底する、特殊法人の財務内容を明らかにする。  それからさらに、特殊法人には子会社、孫会社みたいなのもございまして、こういったものについてもやはり明らかにしなきゃならぬ、こういうような御指摘もございます。行政監察局長もおるわけでございますが、総務庁といたしましては、特殊法人さらには特殊法人の子会社等に対しましてしも、必要に応じて監察をきちっといたしまして、そして国民の皆さん方に対してその内容を明らかにする努力は、きちんとやってまいりたいと考えておる次第であります。
  80. 吉井英勝

    ○吉井委員 国民の利益を守るという点からしますと、特殊法人はすべて統廃合にだけ目を向けるのではなくて、内容の充実の必要なものもあるわけです。  例えば低廉で良質な住宅を含めた町づくりなどということを考えますと、住都公団などで行っているニュータウンづくり、これは民間ディベロッパーよりもかなり質の高いものを供給したりとかあるわけですが、もうけ中心民間ディベロッパーではできないというもの、そういう点では都市公園とか防災施設とか公共公益施設などを十分張りつける、そうして今回の阪神大震災の教訓を酌み取ったような町づくりというものは、これはやはり民間ではコスト中心、もうけ中心になりますと困難ですから、住都公団に防災の取り組みを強化させるというふうな特殊法人本来の見直しというものについて、やはりこれもきちっと進めさせていくというのも、私は特殊法人見直しの中の大事な視点の一つだと思います。これについても、大臣の見解を伺いたいと思います。
  81. 山口鶴男

    山口国務大臣 今回の特殊法人の整理合理化につきましては、特殊法人を統合する、民営化する、あるいは廃止する、そういうところにマスコミ等の視点も向けられているようでございますが、私ども、今回の特殊法人の整理合理化は、決してそういうものだけを対象にしたのではございません。九十二ございます特殊法人、わけても、そのうち八十の公社公団等の特殊法人に対しましては、すべての特殊法人に対してその組織、機構等を徹底的に見直すように求めてまいりました。  御指摘の住宅・都市整備公団につきましては、分譲住宅については民間でも実施可能なものからは撤退する。しかし、質の高い住宅市街地をつくり出すために必要不可欠な社会的ニーズ、これに対しては先駆的に取り組む必要がある。そして、そのような仕事に重点を移していくということも明確にいたしておるわけでございますし、それから、都市開発事業につきましては、単独の工業用地開発からは撤退するけれども、多機能都市づくりに重点的に対応していくとか、さらに、公団が出資する団地の維持管理に関する関連会社につきましては、民間と競合する大規模修繕工事からは段階的に撤退して、関連会社への公団の行う発注については、契約関係の競争性の向上を図るというような形で、御指摘のありましたような点に住都公団の重点を移していく。そうしてまた、関連会社等についても、これは明朗な対処をさしていくということに私どもとしては目を向けて今回の整理合理化をやったということを、ひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  82. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、私は規制緩和の問題についても触れたいと思いますが、国民にとって古臭くなってしまったもの、あるいは障害になるような規制というのは当然取り払わなきゃいけないものだと思います。同時に、国民の立場からしてもっと必要だという規制もあるわけです。こちらは強化を考えなきゃいけないわけですから、単純に規制緩和一本やりというのはうまくないと思うのですが、阪神大震災からどのような教訓を規制緩和の面で導き出すかというのは、なかなか大事な問題だなと思っております。  総務庁行政監察局の「都市防災に関する調査結果報告書」というのをいただいておりますが、「震災対策を中心として」という中で、災害想定をしていない地域防災計画のことなどが指摘されております。震度幾らの地震を想定するのか、それに応じて地震被害を最小限に押さえ込むためにどんな町づくりをしていくのか、これは深い検討が必要ですし、指摘のしっ放してはだめなわけで、私は、今こういう点でも総務庁の果たしてもらわなきゃいけない役割というものがあると思うのです。  その中で、少し具体的的にお聞きしておきたいのは、現在、これまでの不十分な基準でさえそれが実施されていない、絵にかいたもちのようにになっているという問題があります。例えば、中央防災会議の大都市震災対策推進要綱、昭和四十六年五月に定められたものですが、これに基づく公共建築物等の耐震点検整備の状況について、総務庁は一九九二年十月に都市防災に関する調査報告書を出されたわけですが、その中で、例えば道路、第五次震災点検に基づく対策の進捗状況というのを見ますと、事業費にして、九四年度で三七・四%、九三年度は二二・四%とか、それから事業費ベースで見ると、九四年度で四〇・七%とか、いずれにしても半分いかないわけです。そのうちの橋梁で見れば、進捗率が直轄の国道でも四八・九%、有料道路で三二・七%。港湾施設の液状化に係る耐震点検の実施というのも行われておりますが、これは必要と指摘されながら、改修率は二三・二%しか進んでいない。  ですから、総務庁の方としては、実際に調査もされて、そういう実態をつかんでいらっしゃるのですが、なぜ進まないのか。私は、総務庁がせっかく調べて指摘をしているのに無視してかかるとか、言うことを聞かないというのはけしからぬ話だと思うのです。これをどういうふうに進ませていくのか、この点、大臣の見解を伺ってみたいと思います。
  83. 田中一昭

    ○田中(一)政府委員 今、委員指摘のとおり、総務庁は、平成四年十月の都市防災に関する調査結果に基づきまして、道路、橋梁等の道路施設につきましては耐震点検結果に基づく改修の推進を御指摘し、また港湾施設につきましては、液状化に係る耐震点検の実施及びその結果に基づく計画的改修の推進を勧告したところであります。  どの勧告もそうでございますけれども、私どもは、勧告しました後、これは物によって若干差はございますが、通常、勧告の後三カ月ないし半年ぐらいで改善状況について報告をいただくことにしております。その後、また半年あるいは一年たった段階で報告を改めていただくということで、一応のフォローはしておるわけであります。そこで、この問題につきましても、勧告後、二回報告をいただいておるわけですが、それによりますと、順次改善の推進は図られておるというふうに承知いたしております。  道路施設につきましては、平成三年度の耐震点検結果に基づきまして計画的に改修の推進が図られてきておる。ただ、これは予算の関係もあると思いますが、平成五年度末で、三年度の耐震点検結果箇所二万五百二十八カ所のうち改修済みのものは四千五百九十五カ所でありまして、まだ指摘したものについて二二%の状況にとどまっております。六年度末は、予想でありますが、ややこれよりもといいますか、一五%くらいは伸びるのじゃないかと思っております。  それから、港湾施設につきましては、平成五年四月の運輸省港湾局の課長通達によりまして、「港湾施設及び海岸保全施設の液状化対策について」という通達を出しておりますが、これに基づきまして改修の推進を図ってきております。これも五年度末で申し上げますと、対策の必要な港湾三十一港湾、対策の必要な岸壁百九十二バースのうち、十三港湾といいますと四二%に当たりますが、それと三十六バース、これはわずか一九%でございますけれども、それを改修しております。  以上であります。
  84. 吉井英勝

    ○吉井委員 すべてのものではなくて、限られた幾つかを調べてこういう状況ということでの数字、パーセントでありますから、絶対量でいえば物すごいものなんですね。それを一〇〇%に早くしなければいけないのが今の状況ですから、後で御紹介いただいた数字も、私、建設省と総務庁で事前に確認して今申し上げたものです。  ですから問題は、なぜ進まないのかというところをどう突破するかが一番の問題点だということを指摘しておいて、さらに伺いたいのですが、消防庁は地区別防災アセスメントと個別の地区別防災カルテをつくるように指導する、これは報告書でなっておりますが、それが進んでいないとしているわけですね。総務庁は、具体的にどのようにこれを進めさせる体制をつくらせてきたのか、これを伺いたいと思うのです。
  85. 田中一昭

    ○田中(一)政府委員 ちょっと今お話の件につきまして、具体的に現在の状況、承知しておりませんが、通常、その問題につきましても勧告の後、私ども消防庁に対してフォローアップしまして、その状況を把握しておるはずであります。ちょっと現状についての実態を、手元に資料がございませんので恐縮でございますが、フォローは十分しておるはずであります。
  86. 吉井英勝

    ○吉井委員 現状の数字はいいのです。今進んでいないということを皆さんの方の報告書が書いているわけですから、問題は、やはり進めるきちっとした体制といいますか、それなしにはいかないわけです。  次の問題に移りたいと思うのですが、「東京都における防災都市づくりの概要」というのが昭和五十八年六月に東京都都市計画局から出されておりまして、例えばその中で、オープンスペースというものが避難者の安全確保そして火災の延焼阻止を図る上で非常に重要だ、開発行為の許可、宅地造成の規制が必要だということを、当時から指摘しているわけですね。都市への急激な人口の集中で「無秩序な市街化を招き、環境を悪化させ、災害に対する危険性を増大させる一因となっている。」これは昭和五十八年の指摘なんですが、全国的に都市部は大体こういう状況なんです。  そこで、そういうことがあるから、全国的に実は宅地開発指導要綱であるとか、日照等指導要綱であるとか、必ずしも国の法律がなくても自治体の独自の指導要綱などで乱開発を規制する、そのことでオープンスペースを確保し、防災のために防災の町づくりを手がけるということもやってきたわけです。ところが、規制緩和と言ったり、あるいは逆に指導要綱などが攻撃されて、過密化とか人口急増、危険要因の集積、そういう事態を招いてきてしまったというのが、八〇年代のいわゆるこれまでの行革と言われたり民活路線と言われてきたものの果たした役割の実体であるということを言って、大体外れていないと思います。  そこで、災害に強い町づくりを進める上で、乱開発や防災抜きの過密化を規制する、そういう点で私は、今、阪神大震災の教訓に学ぶならば、そういう意味での震災対策上は規制の強化というものが考えられていかなければいけないと思うのですが、この点について伺いたい。  あわせて、監察局の報告の中でも、その点では、生産緑地法による指定地区を避難地などに使うことを述べているわけですね。実は、これはけさの読売ですが、「都市の農地は防災に役立つ」ということを、農業委員を務めていらっしゃる東京都江戸川区の方が投書で出しておられるのも、大体そういう御趣旨のお考えです。実はこれは随分、都市農業に携わっている方からは、また都市農業に携わる方だけじゃなくて都市住民からも、農地に対して農地並み課税をすることで、農地として守られることで、保全されることで、防災空間あるいは避難広場とか避難緑地というものが、これは防災用の都市公園というのが物すごく金がかかり、時間もかかりますが、今あるものの保全というのは非常に効率よく防災空間を守れるということがあるわけです。  私は、こういう点では、これは大臣の方に、やはり内閣挙げてそういう意味での規制の強化と、そして逆に都市農業の見直しというものが今求められていると思うのですが、これは大臣に、政治家としてのお答えをいただいておきたいと思います。
  87. 山口鶴男

    山口国務大臣 今回の阪神淡路大震災の教訓の中から、耐震構造をもっと強化しなければならぬというようなものもあると思います。そういう意味では、安全性確保のために規制をさらに厳しくしていくというようなものがあってしかるべきであるというふうに考えております。それから、総務庁が行政監察をいたしまして、各省庁に対してその調査結果に基づいて勧告をいたしましたもろもろの事項のうち、なかなか実施されていないものというものがあることは事実だと存じます。  今こういう大震災のときでございますから、そういうことについていろいろ申し述べることはちょっと控えたいと思っておりますが、これから復興委員会がつくられ、そしてまた復興本部が設置をされて、そして災害のない都市づくりに向かって、兵庫県、神戸市等の自治体の意見も十分踏まえた上で、立派な復興計画をつくっていこうというときには、総務庁として今日まで行政監察をいたしましたものについて、各省庁が対応が不十分なものについては、事安全確保の問題についてはもっと真剣に対応すべきであるということは、私は推進本部の中できちっと意見として述べようと思いますし、また政府としてその方向をきちっと進めていくようにしてまいりたい、かように考えております。  農地の問題につきましては、御意見承りました。この問題につきましては、私もかつて地方行政委員会で、農地の宅地並み課税の問題についてはさまざま論議をいたしました経験もございますが、そういった経験も踏まえまして、どうすることがより安全な都市づくりになるか、真剣な検討をすべき課題であると思っておる次第でございます。
  88. 吉井英勝

    ○吉井委員 神戸のように既に過密になったところで再び農地を復活させる、これはとてもできる話ではありません。しかし大都市部で、まだまだ市街化区域内で農業をやっていらっしゃるところもあるわけで、そこは、これからの町づくりの中では、本当に防災空間として検討をしていかなきゃいけない課題だと思いますし、宅地並み課税をやられたのでは、これはとても続けられないですから、これは内閣としてもぜひ検討していくように働きかけていただきたいと思うのです。  最後に、時間があと五分というふうになってまいりましたので、少し飛ばして、いわゆる内外価格差是正のための規制緩和論といいますか、経団連が昨年十一月十五日に文書でも出しておりますが、この文書などを読んでおりますと、規制緩和をすれば消費者に利益があるかのような主張というのが見られるわけです。  そこで、委員長にお許しをいただいて、もしよろしければこの資料を配付させていただきたいと思うのですが。これは政府資料なのです。
  89. 塚田延充

    塚田委員長 どうぞ。
  90. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは、物価安定政策会議内外価格差問題研究委員会報告書に出ている資料でありますから、何も私が自分で作成したペーパーではありませんが、大和総研の資料が紹介されております。  これは缶ビールの例、まあほかの例だっていいわけですが、大和総研の例を御紹介しておきますと、三百五十ミリリットル缶、缶ビール一本の原価は、日本で二百二十円。アメリカのバドワイザー三百五十ミリリットル缶一本は為替レート換算だと百十円ですから、確かに二倍の価格差となります。ここから、酒税、消費税ですね、税額も違いますので、税を引いてコストを比較するということにしますと、日本が百四十一円でアメリカが九十円、一・六倍というふうになります。しかし、購買力平価で換算して比較をしますと、アメリカはコスト百五十七円で一・四倍。これを税抜きで比較してみると、アメリカは百二十八円で、日本の百四十一円と比べれば一・一倍、大差がない。  ここで長官に伺っておきたいのですが、このコスト構造の比較検討を行えば、購買力平価では大差ないのに二倍に近い価格差が生まれてくるというのは、これは異常円高に原因があることは明らかだと思うわけです。この点についての長官の見解を伺いたいと思います。
  91. 山口鶴男

    山口国務大臣 内外価格差は、単に規制緩和だけではないと先ほど来お答えいたしましたが、商習慣の問題もあるでしょうし、あるいはさまざまな問題があるというふうに思いますので、このビールの問題につきましては、御指摘の点も十分踏まえました上で、どこに問題があるのかということは検討させていただきたいと思います。
  92. 吉井英勝

    ○吉井委員 実は、アメリカを一〇〇としたときの我が国の物価水準の推移というのを見ていきますと、これは産構審の出した資料などでもあるのですが、一九八二年から八五年にかけては、アメリカを一〇〇としたとき日本は九一とか九五とか、そういう値を示しているわけです。GDPベースで比較して、当時、日本の方がアメリカより物価は安かったのです。それが急速に逆転していったのが一九八五年のプラザ合意以降、円高ドル安政策が進められた、その結果であることは明白です。それは各種データを見ればすぐわかるわけです。実際、ドルとの関係で見ますと、ポンド高とかフラン高を招いていないイギリス、フランスで見れば、アメリカを一〇〇としたときの物価水準の推移はほとんど変わらないわけです。  自動車、電機など、一部の輸出産業が猛烈な人減らしをやったり下請いじめをやって徹底したコストダウンを図る、それで輸出競争力をつけて輸出すると貿易黒字がたまって円高となる、円高だからまたコストダウンだということで、同じように人減らし、合理化とかあるいは下請いじめをやってきたということは、これはほかの委員会でもやりましたが、実はトヨタへ行きましたら、最近、スーパーコストダウンということを会社の人が言っていましたから、並のコストダウンじゃないやり方をやって、輸出を減らしても利益はうんと上げていくという、黒字を出すという、そういうことがやられておりますが、まさにそうしたやり方について、野村総研の研究員は、そのやり方は悪循環を招いている、悪魔のサイクルだということを指摘しました。私は、この悪魔のサイクルを断ち切って、円高を是正することなしに、幾ら規制緩和だなどと言ってみたところで、内外価格差をなくせないのは当然だと思うわけです。  この点について、これは総務庁長官に、まあ経済政策担当じゃありませんが、しかしこれは内閣を挙げて、この悪魔のサイクルを断ち切っていくという、そして本当の意味での円高を是正して、そして内需を高めて日本経済を前進させるという、そこへ路線を切りかえないといけないと思うのですが、大臣の見解を最後に伺って、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  93. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  貿易黒字の解消のためには、円高を進めたらこれでもって解消するというような議論をする人もありますが、決してそうではないという議論をいたす方も、私もよく承知をいたしております。したがいまして、今御指摘の点につきましては、これは経済専門家の間ではさまざまな議論があることは承知をいたしておりますが、一面的に円高、これを進めることが日米の貿易黒字解消の道であるというふうに短絡的に決めつけることは、やっぱりいかがであるかというふうに私も考えております。やはりさまざまな意見というものを十分踏まえた上で国の方策というものは打ち立てるべきではないか、こう思います。
  94. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。
  95. 塚田延充

    塚田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十九分散会