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1995-02-10 第132回国会 衆議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月十日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 阿部 昭吾君    理事 小泉 晨一君 理事 福永 信彦君    理事 山口 俊一君 理事 石破  茂君    理事 大野由利子君 理事 長浜 博行君    理事 竹内  猛君 理事 宇佐美 登君       逢沢 一郎君    金田 英行君       斉藤斗志二君    野田 聖子君       松岡 利勝君    持永 和見君       斉藤 鉄夫君    田端 正広君       松沢 成文君    田中 昭一君       山崎  泉君    岩佐 恵美君       中村  力君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 宮下 創平君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       大西 孝夫君         環境庁企画調整         局長      石坂 匡身君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野村  瞭君         環境庁自然保護         局長      奥村 明雄君         環境庁大気保全         局長      大澤  進君         環境庁水質保全         局長      嶌田 道夫君         通商産業大臣官         房審議官    太田信一郎君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局放射線         安全課長    矢野 周作君         環境庁企画調整         局地球環境部長 澤村  宏君         国土庁計画・調         整局計画課長  牛嶋俊一郎君         国土庁計画・調         整局計画官   高橋 賢二君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 山中 保教君         大蔵大臣官房審         議官      長谷川正榮君         大蔵省財政金融         研究所研究部長 加藤 秀樹君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       石川  明君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 高原 亮治君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 森田 邦雄君         厚生省生活衛生         局水道環境部計         画課長     金子  洋君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   浜田 康敬君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   三本木 徹君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄物対策室長  木下 正明君         農林水産大臣官         房参事官    中川  坦君         農林水産大臣官         房総務課環境対         策室長     柘植 茂晃君         農林水産省構造         改善局農政部就         業改善課中山間         地域活性化推進         室長      笹谷 秀光君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課長   廣井 和之君         農林水産省畜産         局畜産経営課長 信國 卓史君         農林水産省食品         流通局企画課長 井澤 俊正君         資源エネルギー         庁公益事業部技         術課長     杉原  誠君         建設省河川局水         政課水利調整室         長       小林 好實君         建設省河川局河         川計画課河川環         境対策室長   鈴木藤一郎君         自治省財政局調         整室長     北里 敏明君         環境委員会調査         室長      工藤 桂司君     ――――――――――――― 二月十日  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第三一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第三一号)  環境保全基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 阿部昭吾

    阿部委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田聖子さん。
  3. 野田聖子

    野田(聖)委員 おはようございます。自由民主党の野田聖子でございます。  早速質問に入らせていただきたいと思いますが、冒頭でございますので、さきにございました阪神大震災、これは未曾有災害になったわけですけれども、重ねて申し上げるならば未曾有環境破壊でもあると言われております。廃棄物の問題、そして、いろいろな公共施設破壊されたことによって河川汚染とかまた大気汚染等も伝え聞くところでございますけれども環境庁としての取り組みは、さき長官所信表明では現地を視察されたということと、一月の新聞発表ではこれについて環境庁調査を今月から始めるということは承っておりますが、現在の状況というか、環境庁がまさに今取り組んでおられることについて、概略で結構でございますのでお話しいただきたいと思います。細かいことにつきましては午後にまた同僚委員からの質問があると思いますので、簡単に概略お願いいたします。
  4. 宮下創平

    宮下国務大臣 お答え申し上げたいと思います。  今回の大震災は本当に戦後かつて経験したことのない大きな震災でございまして、私も一度行って現地を視察してまいりました。  それでまず、大変肝要なことは、この破壊によってストックされている有害な化学物質等が流出したり漏出したりして二次災害が出るのではないかという懸念を最初から非常に私は心配しておりまして、現地に問い合わせをしたりいろいろしておりましたが、例えば硫酸が流れるとかアンモニアガスが多少出るとかいうような小さな問題はございましたが、幸いに大きなそういう問題はございません。  今のところ二次災害と言われるものは発生はいたしておりませんが、しかし、今廃墟を片づけるためのいろいろな作業が急ピッチで進められておりまして、アスベストの飛散があるのではないかとか、あるいはその粉じんによる健康被害に影響はないのかというような問題、また、大気、水の汚染状況は進んでいるのかどうか、まだわかっておりませんが、そんなような問題が提起されておりますので、私も先般行ってまいりました。そして、そういうことを県、市の市長さんそれから知事さん初め知事部局の方々にもお話を申し上げ、いろいろお話を承ったわけですが、今のところ二次汚染と言われるような大きな問題の発生はございません。  しかし、今問題になっているのは、例えば大気汚染のことで言いますと、廃棄されたものをぶっ壊したり、半壊のものを取り壊したりいたしますと、アスベストがあると言われておりますね。これは確かに古い建物等ではアスベストはかなり使用しておりますから、アスベスト対策は私の方で早急に、やはりがんの発生源のおそれありと言われるものでございますから、建設大臣にもまた労働大臣にもお願いをいたしましてその防止策を講じておりますが、今度の瓦れき処理等は御案内のように公費で負担することになりますから、当然瓦れき処理業者等は届け出をしてまいりますから、その際にアスベスト粉じんの問題の処理を的確に行うように指示を、私から大臣に直接お願いし、おろしていただきまして、また県、市にも連絡をして対応をしているところであります。  そして同時に、環境庁としては、なおこれから問題がまた発生しては大変でございますから、大気それから水質土壌等の、特に大気水質にはモニタリング調査を今実施をいたしておりまして、まだその中間報告はございませんが、特別な状況発生したという報告はございません。  いずれにいたしましても、そういった点で、二次災害防止していくということが大変重要だと存じます。そういう視点対応を考えておる。  それから、環境庁としては、あとは環境事業団によりまして建設譲渡事業をやった企業がつぶれたのがたくさんございますし、その返済がまだ滞っておるというような問題。あるいは、公害防止施設破壊されておる、それの復旧をどう支援していくかというような問題。それからまた、大気汚染関係公健法に基づく賦課金を徴収して患者に給付をいたしておりますが、その患者の所在がまだはっきりつかめないような状況もございます。したがって、その把握に努めると同時に、二年ごとにその受給者が更新してまいりますから、それの法律改正をしておきませんと失権をしてしまいますから、法律的な手当ても考えて、きょうの閣議公健法改正も提案をいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、環境庁としては、これからが気の離せない、大きないろいろな問題が発生するおそれもありますから、十分注意をしてまいりたい。  それからまた、町づくりに当たりましては、震災に強い都市ということは、同時に環境に優しい都市でなければならぬと思うのです。例えば、道路を拡張する、公園を広げる、緩衝緑地帯を多くする、国際都市神戸でございますから、そういった復興面でも今後配慮をしながら、これはきょうの閣議でも本部がつくられることが決定しておりますから、参画して適切な対応をしてまいりたい、このように考えております。
  5. 野田聖子

    野田(聖)委員 長官、ありがとうございました。  私も、環境委員会に籍を置きまして二年目を迎えます。この仕事を通じまして感じますことは、環境庁のする仕事というのは非常にもどかしいところがある。目の前にあるものをいじるのでもないし、例えば大気土壌河川汚染といった話も、やはり長い期間かけて進んでいくものもあれば、直接の被害が今ここにないから緊急性を要さないということでややもすると外に置かれがちだと思いますが、結局は二次災害というのは、一週間後、十日後に起こることも二次災害かもしれませんけれども、やはり五年先、十年先に起こることも二次災害だと考えなければいけないと思います。ましてや環境庁が所管するそれらの災害というのはかなり多くの被害者が想定されるということで、早急にお取り組みをされ、いろいろと具体的に行動を進めていただきたいと思います。  それで、質問の方に入らせていただきたいと思います。本日は、せんだって長官所信表明をいただきましたので、その内容の中で二点お尋ねさせていただきたいと思います。  まず初めに、所信表明で、環境基本計画を掲げ、そして四つの長期的な目標に向けて具体的に進めていくというお話の中で、まず最初に取り上げられたのが大気環境をめぐる取り組みなんですけれども大気汚染というのは今も申し上げたとおり、国民一人一人というのはみずからが汚していることも気がつきにくいですし、どう防いでいいかという具体的なやり方もわからない。つまり、やはり国、政府みずからが規制をして、そして指導することによって初めて大気汚染というのは防げるのであろうと私は信じております。今、世の中規制緩和規制緩和というコールが華やかであるわけですけれども環境庁に至ってはその逆をいかなければいけない。むしろ、環境を守るということは、より厳しく環境規制していかなければいけないということを感じております。  実はそれを裏づけるような形で、じゃ国民は何もかも規制緩和を求めているかというのは、そうではなくて、「世論調査」によりますと、国に対しての要望の中で、生活環境に対して何を要望するかという一番多数の答え、四五%を占める答えには、国民は「公害などの環境悪化防止するための規制を強化する」ということを望んでいる。つまり、ややもすると世の中すべて規制緩和で、規制をしてはいけないという中で、私たち環境庁環境委員というのは、逆に規制を強めていくことによって国民生活の安全や幸せを守っていかなければいけないという使命がございます。  そこで質問は、実はその取り組みの中で大気汚染を減らすためにどうするかということを掲げられているのですが、大気汚染というのは国内的には例えばぜんそくとか、今では肺がんも誘発するのではないか、ディーゼルの排気ガス肺がん誘因材料になるのではないかという話も出ている中、そういうことを防ぐと同時に、グローバルな視点では、地球温暖化防止を世界でやらなければいけない、そして、先進国日本はもちろんだれよりも先んじてこれをしていかなければいけないということを決めておられます。  そこで、この所信表明の中には、「ガソリンなどの石油製品輸入自由化による自動車燃料の質の低下を防ぎ、自動車排出ガス対策を着実に推進するため、大気保全上必要な自動車燃料品質確保等のための大気汚染防止法の一部改正案を提出する」予定にしておられるということですが、これは、実は私は環境委員会委員でもあり、かつ商工委員会委員でもあるわけで、同時進行でやっている部分が多いのですけれども、せんだって資源エネルギー庁からあるお話が提案されまして、これはもう皆さん御承知のとおりだと思うのですが、今国会において、昭和六十一年に十年間の時限立法として施行された特定石油製品輸入暫定措置法特石法と言われている法律廃止して、新たに石油製品の安定的かつ効率的な供給の確保のための関係法律整備等に関する法律案を上程するということが言われていまして、それに関連してお話を進められているのかどうかというのを確認したいと思います。  と申しますのは、特石法廃止というのは何をいうかというと、今まで石油製品というのは、この法律によって輸入して国内に普及できる業者というのが暗黙のうちに十一の大きな石油会社に限られていたわけです。そこで何が行われていたかというと、確かにそういう規制があってほかのいろいろやりたい商社とかそういう人たち石油製品を売りたくても売れなかったという規制がある反面、その規制をしていることによって、通産省が厳しい行政指導のもとでその十一の会社に対して、きちんとしたものを出してよ、絶対悪いものは入れてはだめよ、そういうようなことが厳しく言えてきた。そしてまた同様に、全国で十一しかないわけですから、その会社たち責任を持ってやらなければ大変国民に迷惑をかけるということで、この十一の大きな会社自己規制というか自己責任のもとでそういう石油製品に関してはギャランティーをしてきた部分がある。ところが、これがなくなりますと、いわゆる内外価格差とか国際化によって規制緩和することによってそのルールが破られる。そしていろんな人が参入してくるというと、かなり通産省としても行政指導の範囲が広がるわけですし、網羅できない部分も出てくる。  問題は、これを本当に通産省資源エネルギー庁がつくる法律だけで任せていいのだろうか。もはやこういう流れの中で、片や規制緩和を進める役所あり、片や申し上げたように、この時代に環境庁のように規制を強化していかなければいけない役所があるということは別に悪いことではないわけで、これに対してどのくらい積極的に、また具体的な取り組みを考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  6. 大澤進

    大澤政府委員 委員指摘のように、今、自由化過程の中で、これまでコントロールされておった石油製品が自由に入るということから、品質悪化等によりましてそれが大気汚染に影響するのではないか、私どもも非常に強い関心を持ってフォローしてきているところでございますが、御承知のように依然として大気汚染は改善されていない、特に都市においては自動車排ガスによって相当厳しい状況にあるということから、私どもとしては、この特石法時限立法で八年三月に廃止されるという過程の中で、これらの品質悪化にどう対応するかということで専門家意見も聞きまして、昨年の十一月に中央環境審議会から専門家にいろいろ御検討願いまして、そこでこういう動きの中で今後石油製品に係る大気保全上必要な品質確保について、幾つかの点について意見の具申がございました。  具体的には、ガソリン等について鉛あるいは硫黄その他の成分について一定のレベル以下に抑えていく、つまり現行よりも悪くしないようにするという意見がございまして、私どもはこれらの意見を踏まえまして、関係省庁で、つまり通産省において今この特石法廃止流れの中で新たな対応をされているのを私ども承知しておりまして、関係省庁とも調整しながら、協議しながら、自動車燃料品質確保するための必要な規制について現行大気汚染防止法改正しようということで準備しておりまして、そういう調整が成り立った上で今国会に提出しようとして今準備しているところでございます。
  7. 野田聖子

    野田(聖)委員 実は、この法律廃止されることによって、確かに消費者は安いガソリンを手に入れることができるということは考えられるわけです。実は、現在ガソリン値段というのは、一リットル当たりの各国調査、これは毎日新聞なのですけれども、東京は百二十四円、ニューヨーク三十七円、ソウル七十四円、ロンドン七十六円、バリ百三円、つまりガソリン価格は大変高い。この法律廃止されることによって恐らく消費者、ユーザーに供給されるガソリン価格は下がるであろうという喜ばしいことがある反面、逆に今御指摘のように、これは読売新聞なのですけれどもガソリン輸出元として有力な東南アジア各国では規制が甘く、そういう硫黄とかを日本の五倍も含むような製品がある。そういうものが、こういう言い方はどうかわからないのですけれども、安いけれども品質は保証できないものは、もう自由競争の中では十分流れ出てくるわけです。残念ながら消費者は安いから買ってしまうというけれども、それが結果として大気汚染につながるという意識まではまだまだ我が国では至っていないし、それを教育しなければいけないということがあると思うのです。ですから、そこで国が頑としたものを持ち出さない限り、やはり国民意識が変わっていかないのではないかという心配があります。  大気汚染を防ぐのに一番いい手だてというのはやはり省エネに尽きると言われています。省エネというのは大変古い言葉で、一時オイルショックのころは随分もてはやされたのですけれども、どうやら最近、平成に入ってから余り省エネという言葉は使われなくなりました。自由競争によって、省エネというのがむしろ、たくさん安いものが入ってくるからたくさん消費しようという動きになってくるとこれは大変なことになるのだ。そういった意味で、関係省庁も大切ですけれども、これだけは環境庁が絶対にやるのだという意気込みでどうか立派なものをつくり上げていただきたい。また、私たちも一生懸命努力して意見をさせていただきたいと思っております。  そこで、大気汚染の抜本的な解消で、環境庁大気保全局検討会というのをされておられまして、最終報告書というのがここにある。平成六年三月に提出されているのですけれども、これは何かというと、低公害車普及させればいいのだ、ガソリンをまき散らさない車ではなくて、電気とか天然ガスを使った車が世の中にどんどん普及していけば、それはおのずとよくなってくる。それは当然なことなのです。ここに、所信表明にありますように、長官みずから「低公害車普及促進に努める」と明言されておられます。これはやらなければいけないことだと私は理解しています。  そこで、私がお尋ねしたいことは、この低公害車というのは余り世の中では知れ渡っていないと思うのですが、例えば低公害車について、どういうものがあるかとか、その目的とか、普及させる方法とか、現在の実態について簡単にお聞かせください。
  8. 大澤進

    大澤政府委員 低公害車普及というのはまさに今御指摘のように大気汚染防止する手だての重要な手段の一つでございまして、私ども大気汚染防止についていろいろな総合的な対策が必要だと思うのですが、とりわけ都市部、大都会においては自動車による汚染の比重が大きいものですから、これに対する対策が大変重要だと思っております。  そういう中で、物の流れとか人の流れ、あるいは交通の流れ等も当然改善していかなければならぬわけでございますが、特に低公害車についても、これは平成五年一月にいわゆる自動車NOx法に基づいて自動車排出窒素酸化物に係る総量削減基本方針というのが閣議で決定されておりますし、さらに平成六年十二月には環境基本計画が策定されましたが、その中でも低公害車普及というものも規定されておりまして、私どもはこういう基本方針あるいは基本計画に基づいて低公害車普及に努めていかなければならぬと思います。  その中でも特に、まず隗より始めよというか、私ども自身が率先してこれの普及といいますか利用を考えなければいかぬと思っておりまして、環境庁も含めて中央省庁にもそういう普及についていろいろお願いやら要請もしておりますし、また地方自治体においてもできるだけやはり普及に努めていただきたいというようなことも機会あるごとにお願いしておるところでございます。  しかし、なかなかこれは御承知のように値段が高い。低公害車もいろいろありますが、いずれの低公害車も高い。特に、ゼロエミッションというか排ガスがゼロである電気自動車は殊のほか高いものですから、それから一回の充電でなかなか距離が伸びない、こんなこともございまして、正直言って思うように伸びていないというところでございますが、そうはいっても、大量生産、大量消費すれば価格の問題も解決するわけでございますし、私ども自身は、もちろん運輸関係業界とか民間も含めてこれらの普及についていろいろな機会にPRをやっておりますし、さらに毎年、低公害車フェアというのも全国七、八カ所において行っておりまして、そこで普及に努めておるというようなことを考えております。  そうはいっても、なかなか効果的な方法がないものですから、今国会お願いしております来年度予算でさらに抜本的に低公害車普及のための方策について検討するよう、今準備しているところでございます。
  9. 野田聖子

    野田(聖)委員 これは所信表明に明言されておられます。所信表明というのは夢を語るわけじゃありませんで、具体的に国が国民に対して何をするかという政策です。ですから、これは言いっ放しじゃまずいと思うのですね。  実は、私の調査によりますと、政府は二〇〇〇年までに日本に低公害車を三十万台導入する予定というふうになっております。後ほどお聞きしたいと思うのですけれども、現在何台導入されているかということと、実は今の局長の話に重複するかもしれませんけれども、私自身も低公害車、特に電気自動車を購入しようといろいろ計画してみました。私自身免許を持っていますし、運転ができますので、少しでも、一人でも始めればいいのじゃないか。ここで、実際買おうと思ったときに、三つの問題点があった。  一つは、先ほどおっしゃったように価格が大変高いということ。例えば、軽自動車級であると普通百万ぐらいで私たち買えるのですけれども、こういうのになると三百万。聞くところによると、クラウンクラス公用車とか、私たちも使わせていただいているのですけれども、大体二千万円ぐらいという話を聞いています。これはとても、国会議員は買えるかもしれませんけれども……(「買えない」と呼ぶ者あり)買えませんか、買えないとおっしゃっていらっしゃるし、これは普通の、一般の人はとても買える金額ではない。  それと二つ目には、PRが全然行き届いていない。というのは、これは新聞から抜粋したのですけれども電気自動車の一回の走行距離というのがどのくらいかというのは大体わからないわけですよ。それで、朝日新聞を読むと四十キロから百キロだ、読売新聞は充電一回で四十キロしか走れない、でも日本経済新聞だと百キロ前後。結局、私たちの方に届いてくるPR自体あいまいなのですね。それはやはりおかしいということ。  三つ目にはインフラ。先ほどおっしゃったように、例えば電気自動車を私が購入して、永田町、国会かいわいを乗り回すとする。大した距離ではありません。だけれども、やはり充電をしなければいけない。じゃ、どこで充電するかというと、そういうステーションは霞が関、永田町にはまだないわけですね。ないものを、エネルギーを補給できないのに車を買えと言っても、鉄の箱を置いているようなものであって、それはちょっととても無理なのじゃないか。そういう三つの問題点を早急にクリアしなければいけない。  これはちょっとお尋ねしたところ、例えばステーション関係にしますと通産省とか、そういうほかの省庁が関係しているからということもあるわけですけれども、それはちょっと次元が違うのじゃないか。例えば環境庁にそういう電気自動車用のステーションを一台設置する自体は環境庁長官の決定でできるわけで、そこに一台置くこと、現実に私たちが見ることによってやはりPRしていく、そういう具体的な動きをしていただきたいということ。  価格が高いというのはどういうことかというと、要は注文がないからラインに乗せられないということですね。やはり大量につくることになればコストが下がっていく、これは当然なのです。  そこで、実は私、トヨタの人に、トヨタ自動車に聞いてみたのです。そうしたら、今私たちの乗っている普通自動車、これの販売目標というのは大体どのくらいなのですかと聞いたら、それを売り上げれば会社としても経営が成り立つその価格が、いわゆる私たちが買える価格で抑えられるという目安だと思うのですけれども、月に五千台から八千台、これは車種によって違うそうなのですけれども、売ればいいという目標が立っている。例えばカローラですと、低価格車ですが、カローラの場合はやはり月一万台売りたい。つまり、あのカローラという非常に普及されていて低価格の車を手に入れるためにはやはり一万台ぐらい売る。つまり、つくれなければ元が取れないということが現実問題だと思うのです。そこで、じゃどうしたら売れるようになるか。それは乗る人がふえていかなければいけない。でも、今の価格は高くてとても消費者には手が届かない。じゃ、官公庁が率先垂範してこれをやらなければいけない。にもかかわらず、今おっしゃったように、環境庁は各省庁にお願いしておられるそうですけれども、全くのところ反応が悪い。これについて長官でもよろしいですし、局長、お答えいただければと思います。
  10. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員の御指摘の低公害車普及ということは大変重要な視点だと思います。特に大気汚染、特にCO2とかNOxとか温暖化現象の原因防止のためにも、また省エネ等の見地からも重要だと思いますね。  今委員の御指摘のように、価格の問題とか三点御指摘がありましたが、いずれもまだまだクリアされる状況にはありません。私もこの問題については大変関心を持っておりまして、先般ある自動車メー力ーを訪ねました。そして、そこはディーゼル車等を中心にした大型車でありますが、ハイブリッド車の生産をしておるのですね。これを聞きますと、これで完全にNOxの排除ができるわけではございませんが、かなり、七割くらいまでに低減できるということだったのです。  したがって、実用化のめどはついておりますし、現に私が訪問した、上高地へ行くあの沢のところからの輸送にはハイブリッド車をもう配置して、そして今言われたような充電設備もちゃんと備えてありますね。したがって、用途によってはかなりこれから大きく前進をすると私は思います。我が長野県のオリンピックも選手村と競技場を結ぶのは道路のいいところですから、そういうハイブリッド車とか低公害車を大いに使ってもらいたいということも組織委員会では県庁に申し上げておるのです。  今委員のおっしゃったように、やはり需要がない。悪循環だと思うのですね。需要がなければ研究開発も進まない。そしてまた、価格が高くなる、インフラの整備も進まぬということですね。ですから、これは一朝にして今の便利なガソリン車にすぐ交代はなかなかできませんけれども、三十万という目標も確かに示してあります。しかし、なかなかそういくかどうか。技術革新に大いに力は入れて、そしてできるところからどんどんやはり採用していくということがぜひ必要だと思いますね。  環境庁は、局長車は電気自動車だそうです。私も乗りたいのだけれども、警備上の問題があってなかなか使ってはいけないというようでございますけれども、そういうようなことであってはだめなのですね。もうちょっとやはり走行距離も長く、そして本当に利便性と低公害というあらゆる面を兼ねていないといけませんから、我々としては、研究開発を通産その他に要請すると同時に、需要開拓もできるところからどんどん進めていくということを考えていきたいと思っております。
  11. 野田聖子

    野田(聖)委員 確かに今長官がおっしゃったように、私も調べてみましたところ、この低公害車を進めている環境庁も一台という大変残念な状況であります。お願いする側が一台ではまさに説得力がないわけです。例えばトヨタの社員はトヨタの車を売るためにトヨタに乗るわけです。例えばビールであれば、キリンの社員はキリンのビールを売るためにキリンのビールを飲んで、そうやって普及促進をするわけです。自分たちが乗ってまずいと言われるものを世間に勧めるのは非常識でありますから、ぜひそこら辺の改善をしていただくことと、時間になりましたので、最後に長官お願いしたいのは、私は大変環境庁に対して心配をしています。  というのは、どうしても長官初め、環境庁の役割自体が、事業がないということで、各省庁にお願いすることが多い。指導をお願いするとか勧告をお願いする。そうじゃなくて、やはりみずから決めたことに対して、命令とまではいかないけれども、やはりこれは国の方針だから、運輸省十台買いなさい、通産省十台買いなさいと言えるような権限を環境庁が持たなければ、これは下手すると統廃合の一つになってしまうと思うのですよ。むしろ、これから環境基本法に基づいて、本当に世界での環境立国ナンバーワンになるためには、私たちはこの環境庁環境省にしなければいけないと思う。ところが、今のままではどんどんしりすぼみで、通産省や厚生省やすべての人に吸収されてしまう。そこら辺を長官としてはぜひ、みずからの権限を強化するという意味でも、こういう低公害車という小さな話かもしれませんが、そういう柱を閣議なりそういう役所にぶつけていっていただいて、本当に環境をやっているのだという意思表示を世界各国にしていただきたいと心よりお願い申し上げまして、質問時間が終わりましたが、もし何かあればお願いします。
  12. 宮下創平

    宮下国務大臣 御激励をいただきまして、感謝申し上げております。  ことしは、環境基本計画所信表明でも申し上げましたようにつくりまして、環境行政を大いにひとつ力のある、実効性のあるものにしていきたいと思っています。  ただ、実際の事業はやっておりませんから事業を通じてというわけにはまいりませんが、各省庁がやっている施策なり計画なりが、環境にかかわり合いのあるものがすごく多いわけですね。したがって、環境庁の企画調整機能というものを十分果たして機能するように、ひとつあらゆる面で工夫していきたいと思います。  今たまたま委員の言われた低公害車は、技術的な問題等ございまして、なかなかこれを各省に何台買えというようなアドバイスをできるまでの段階にまだなっておりませんが、これからの地球環境問題を初め都市生活公害、その他万般にわたって大変各省庁の協力をいただき、環境庁が指導調整していかなければならない面が多いですから、これはもう張り切ってひとつやるつもりですから、どうか御支援をお願いしたいと思います。
  13. 野田聖子

    野田(聖)委員 よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  14. 阿部昭吾

    阿部委員長 小泉晨一君。
  15. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 この第百三十二回国会環境庁長官所信表明を受けまして、私は持ち時間の中で大きく二点について御質問をいたしたいというふうに思います。  第一は、最近とりわけ新聞紙上にいろいろニュースが流れてまいります包装廃棄物のリサイクルの推進について、そして第二番目は、多自然型の川づくりと取水の方法、あるいは環境アセスについて、この二点についてひとつ御質問をしたいというふうに思っています。  私も早朝七時に毎朝国会の事務所に入りまして、いろいろ資料を読んで勉強しているわけでありますけれども、前回、前々回、百二十九国会からのいずれの長官所信表明を読みましても、環境保全活動を推進するためには経済的手法がとりわけ必要だというような言葉がいろいろ出てまいります。しかし、必ずしも環境保全のために経済的手法のみが有効な手段とは思いませんけれども、この視点も重要な点だというふうに私自身も認識をしているのです。  昨年十二月から、延べ七回にわたりまして二十八名の国会議員の皆さんの参加を得まして、循環型国づくり勉強会というのを続けてまいりました。また、地球環境問題とごみ問題を考える市民と議員の会というのを九〇年六月から毎月、第一議員会館の会議室を使いまして勉強してまいりました。ここでは市民と議員四十四名の方々の御参加をいただいているわけであります。つい先日も、一月十九日でございましたけれども、第一の第一会議室で二百名を超える方々の御参加を得まして、循環型あるいは包装廃棄物について勉強したところであります。  きょう、私は、会場に持ち物を持ち込みました。これはPETボトルでありますけれども、これは買うと二百五十円、中身はお水であります。全体の上代価格はわかるのでありますけれども、この入れ物は一体幾らかかっているかという情報はこのどこを見てもないのですね。前回リサイクル法ができました。そのリサイクル法の中で、スチールにはスチールと一目でわかるようにつけような、アルミ缶にはアルミ缶と一目でわかるように記号をつけような、いろいろ我々も工夫と努力をしてきたのですね。これはすべて、リサイクルを推進するための住民要求の中から生まれてきたというふうに思っているわけでありますけれども、この買った二百五十円、実はこの入れ物代も自分で買った料金の中に含まれていることは事実でありますけれども、容器そのものが幾らであるか、我々国民には伝わってこない。むしろ買ったものですから、こうして自分で所有したわけであります。自動販売機に百十円入れますと、このジュースが飛び出してくる。出てくるときにはコロンコロン、投げ捨てますとカランカラン。以前にも申し上げましたけれども、このコロンコロンからカランガランへのカ行変格活用の間に私たちは随分意識の欠落をしているのですね。欲しくて買ったジュースなのに、邪魔になった缶からは役所が片づけろ、こういう単純思考であります。ここに私は、自分で買ったのだからこれも財産だ、そういうインセンティブを国民に提案する方法こそ経済的手法の一原則だというような立脚点に立つわけであります。  そういう観点から、環境庁、いろいろ工夫をされて国民にPRもされてきましたし、いろいろな法整備もされてきました。その結果、現在の認識はどこにあるのか、ひとつまず最初にお伺いをしたいというふうに思います。
  16. 石坂匡身

    ○石坂政府委員 ただいま先生から大変含蓄のある御指摘をいただいたわけでございますけれども、この現在の大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会という中で、廃棄物が増大しておりますし、また多様化しておりますし、また最終処分場の残余の容量というものも逼迫しているという事情にあるというわけでございますから、この廃棄物・リサイクル対策による物質の循環ということは極めて大切な問題であるというふうに私どもも認識をしております。  先生の御指摘の中にもございましたように、リサイクル法が平成三年にできましたし、それから、廃棄物処理及び清掃に関する法律改正も行われたわけでございます。また、環境庁としては、エコマーク制度等の取り組みを行っているところでございますけれども、いずれにいたしましても、廃棄物の排出量が増大をしているという現実は存在をしておるということを認識しております。  そうした認識の中で、昨年十二月に閣議決定をされました環境基本計画におきまして、政府全体の基本方針をこのように定めております。  基本的な考え方といたしまして、第一に、廃棄物発生を抑制すること、第二に、使用済み製品の再使用を促進すること、第三に、回収されたものを原材料として利用するリサイクルを行う、そして、それが技術的な困難性、環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合、環境保全対策に万全を期しつつエネルギーとして利用を行うこと、最後に、発生した廃棄物の適正な処理を行う、今後は、この対策責任やコストのうちでも、必要なものについては各主体で適切に分かち合うということを定めておるわけでございます。  こうした基本的考え方に立ちまして、先ほど御指摘のございました包装廃棄物につきましては、「廃棄物の減量化を図り環境への負荷を低減するため、市町村が包装廃棄物を分別収集し、事業者が引取り・再生利用を行う新しいシステムの導入を検討し、必要な措置を講ずる。このため、事業者がそれぞれの引取り・再生利用に要した費用を価格に適切に反映させる形での経済的措置の活用を含むシステム等について幅広く検討する。」ということを計画で定めたわけでございます。  こうした基本計画の方向に沿いまして、ただいま関係各省庁とも連携をとりながらこのリサイクル対策に積極的に取り組んでおりますし、これからも取り組んでまいりたいと考えております。
  17. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 現状認識はそのとおりかと思いますけれども、だからよかったか、だからまだこれからなのかという、そこに後ほど言及をしていただければというふうに思います。  今回、この一番目で質問する包装廃棄物については、各省庁それぞれの立場から研究を重ねられているというふうに思うわけでありますけれども、これから逐次、通産、厚生、農水、大蔵等々に私の方からまとめて御質問をいたしますので、その順序でお答えをいただけたらありがたいというふうに思います。本来なら一問一答でお願いしたいところでありますけれども、そういう方法をとらせていただくということにいたします。  まず、通産省でありますけれども、一月二十日付でリサイクル法の一部改正の法案につき法案登録をされたと聞いております。その事実について確認をし、また、その中で品目指定等も行われているようでありますけれども、なぜそうなのか、またそうなった場合の運用についての見通しがあるのかないのか、その辺について通産にお伺いをいたしたいというふうに思います。  二点目につきましては、厚生省でありますけれども、厚生省は、いわゆるごみと環境、そしてまた包装廃棄物、いろいろな観点から研究を重ねられているわけでありますけれども、この包装廃棄物は、十年、二十年前から比べればまさにごみ全体に占める割合のボリュームは大きくなっている、これは事実であります。私もトラックに乗ってごみ収集をすることがあるわけでありましたけれども、今までですと二トン車にこれだけの量が積めた、重量ベースで。しかし、最近は同じ容量の車に量が少ない、目方として。しかし、それはまさに包装廃棄物の質の変化を物語っているにほかならないわけであります。  厚生省は、ごみゼロ社会を推進するということで、環境庁とともにつくった環境基本法の精神に照らして包装廃棄物全体についてリサイクルがされるべきだという観点から、役割分担を主張され、利用促進を図るべく法案を準備されているというふうに今聞き及んでいるわけであります。その現状と、どうして包装廃棄物全体を意味するのか、その辺についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  次に、三番目に大蔵省でありますけれども、これも容器を使ういろいろなところと大変関係の深い事業体があるわけであります。そういった関係から、お酒あるいはたばこ、お塩も含めて、いろいろ包装材という観点から見れば関係が深いわけでありますけれども、そういった分別、収集、利用という提案に対して、現在のところどこまでが一致し、どこが今問題点となっているのか、現在の状況を御報告いただきたいと思います。大蔵にそれをお伺いをしたいというふうに思います。  農水にあっては、ジュース類等々いろいろあるわけでありますけれども、これまた関係事業体が大変多い分野でもあります。それについても同様の質問をいたしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
  18. 太田信一郎

    ○太田(信)政府委員 お答えいたします。  御質問の登録とかなんとかの前に、私どもが進めているリサイクルに関する認識等をちょっと御紹介させていただきたいと思います。  リサイクルは、近年の深刻化する廃棄物問題の解決という観点からも、また非常に貴重な資源の有効利用という観点からも大変重要であり、我が国はリサイクルを目指した経済社会にできる限り早く転換していかなければいかぬという認識を我々持っております。  このため、当省としては、平成三年十月、再生資源の利用の促進に関する法律、いわゆるリサイクル法により、古紙とかガラスカレット等の利用促進、それから家電製品自動車について製品設計段階でのリサイクル容易化のための工夫促進、それから、先ほど小泉先生がおっしゃられたアルミ缶とかスチール缶とかPETボトルに分別のための表示をする、そういうことで積極的に取り組んでいるところでございます。  それから、御質問の一般廃棄物のうち、缶、ガラス瓶、それからプラスチック容器等のいわゆる包装材は、また後ほど御説明もあるかと思いますが、容積比で可燃ごみの五、六割、それから不燃ごみの約七割と、大変大きな比重を占めているわけでございまして、このリサイクルの促進がとりわけ重要な課題になっていると思っております。  私どもとしては、平成二年十二月に取りまとめられた産業構造審議会のガイドライン、それから先ほど申しましたリサイクル法により、ガラス瓶、スチール缶、アルミ缶等の再資源化率の目標等を事業者に示してリサイクルの取り組みを促すとともに、平成五年六月には、いわゆる省エネ・リサイクル支援法ということで技術開発等に関して金融支援等を行う法律を施行しております。  さらに、一層のリサイクルを推進するため、去年の七月に産業構造審議会の意見具申をいただきました。空き缶、空き瓶等の包装材については新しいリサイクルシステムの構築が必要であるという提言をいただいておりまして、当省としては、関連の技術開発を進めるとともに、事業者が一層の責任を果たすべきとの観点から、本当に実効性のあるリサイクルシステム、具体的には市町村が分別回収した一定の包装材について事業者にリサイクル義務をかけるという仕組みを現在関係省庁と鋭意検討中でございます。  そういうことで、とりあえずこの世界でC登録ということでリサイクル法の改正ということを登録しておりますが、具体的にどういう法律の形式になるか、それから具体的中身としてどういう品目が対象になるかとか、それは今鋭意検討中でございまして、また成案がまとまったところで御紹介、御報告させていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
  19. 金子洋

    ○金子説明員 御説明いたします。  現在、一般廃棄物の排出量が大変増加をし続けてきております。その一方で、最終処分場の受け入れ能力というものが減少をし続けておりまして、また、新しい最終処分場の確保ということが大変困難でございます。このため、最終処分場が逼迫をしているという大きな問題にぶつかっているところでございます。  このため、廃棄物の減量化、それからリサイクルを図ることが現在緊急の課題になっているというふうに考えております。この減量化とリサイクルを推進して、先生御指摘のごみゼロ社会を実現していくためには、廃棄物を減らせば経済的メリットが生じて、逆に廃棄物をふやしていくと経済的負担がかかるような、そうした仕組みを社会的にビルトインしていくということが大変重要であると考えております。  特に、御指摘の包装廃棄物でございますが、容積比で一般廃棄物の約六割、重量で三割近くを占めております。この包装廃棄物についてリサイクルの推進を図るということがぜひとも必要になってきております。このため、今回、環境基本計画にのっとりまして、包装廃棄物について、市町村と消費者、そして事業者のそれぞれが廃棄物に係る責任を分担していくという新しいリサイクルシステムを構築をしていくために、そのための必要な法律案をこの国会でぜひとも提出をしたいということで、現在関係省庁調整を行っております。  この法案の中で、私ども制度を公平なものとしていくという観点と、また、廃棄物の減量効果を十分確保していくということのために、缶、瓶、PETボトル、これはもちろんのこと、プラスチック、プラスチックの包装、それから紙箱、紙の包装、すべての包装廃棄物を対象とした制度にしていくことが必要であるというふうに考えております。  なおまた、これらの素材につきましては、現在リサイクルの技術がすべて実用段階に達しておりまして、分別や再生に係るコストを社会的に公平に負担する仕組みを設ければ、リサイクルはすべて可能であるという状況でございます。  このような考え方に立ちまして、現在関係省庁と精力的に協議を重ねているところでございます。
  20. 長谷川正榮

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  まず、私どもの包装廃棄物についてのリサイクルに関する現状認識ということと、それから取り組み状況、今後の対応ということでお話ししたいと思いますけれども、現状認識でございますけれども、ただいま各省庁からお話がございましたことと変わりはないのですけれども廃棄物の減量化、再生利用を推進することが昨今の国民的な課題になっている、そのために社会経済活動とか生活様式のあり方を問い直し、生産、消費のパターンを持続可能なものに変えていく努力が国民各層に求められているという認識でございます。  また、先ほど来お話がございました環境基本計画において、包装廃棄物の分別収集、包装材の再生利用の推進を図るための記述がございますので、これを当省としても強く認識してございます。  私ども取り組み状況でございますけれども、これまで包装廃棄物関係で最も関係の強い酒類業界におきましては、既に瓶についてビール瓶とか一升瓶のように優秀なリターナブル容器が存在してございますけれども、これに加えまして、さらにリターナブル化をワンウエー容器についても図るように、小容量瓶の分野におきましても、五百ミリリットルの規格統一瓶、俗称アールびんと言っているのですけれども、こういうものを投入し、普及啓発に努めているということとか、それから、大手の酒類メーカーが中心となりまして、カレットのうち、込みカレットと言うのだそうですけれども、そういうものを原料にしたタイルとか建設用骨材へ再資源化する技術を開発し、企業化を進めるというようなことをやって、酒類容器のリサイクルの促進に取り組んでいるところでございます。さらに、このリサイクルを推進するため、現在、中央酒類審議会におきまして勉強会を設け、具体的な方策等について検討中でございます。  今後の対応といたしましては、当省といたしまして、環境基本計画指摘する方向に沿いまして関係省庁との連携調整を図りつつ、先ほど御指摘になられました、私どもの所管業界の意見も踏まえながら、我が国の経済実態に合ったよりよいシステムの構築を目指して検討してまいりたいと思いますが、その際、消費者、市町村、事業者間の役割の明確化、それから公平かつ透明な負担のあり方等が重要であると考えております。
  21. 井澤俊正

    ○井澤説明員 お答えいたします。  私ども農林水産省の中では食品流通局が、いろいろな食品産業に関します環境問題、ごみ問題も含めまして検討をしている部署でございます。  三年前の地球環境問題への高まり、それからまたごみ問題の深刻化といった現状の中で、廃棄物の減量化、再資源化の推進は、先ほど来いろいろ先生の御指摘、そしてまた関係省庁からの御説明がありますように、食品産業界、そしてまた農林水産行政を進めていく立場の者にとりましても非常に重要な課題であるというふうな認識をいたしております。  食品業界におきましても、従来から廃棄物の減量化、再資源化のための努力が行われてきておりまして、よく言われる数字でございますが、空き缶、空き瓶等につきまして、リサイクル率六〇%ということで、かなりの成果が上がってきているのじゃないかと思っております。しかしながら、プラスチック類のようにリサイクルがまだ緒についた段階のようなものもございまして、今後ますます減量化、再資源化の努力が非常に必要だというふうに考えております。  農林水産省として一番力を入れておりますのが、昨年の三月に策定されました「食品産業環境対策総合推進理念」、これは廃棄物対策を主眼といたしまして、食品産業界全体として環境対策をどう推進していくかという考え方、そしてあり方をまとめたものでございますが、これの普及推進等、各般の施策の着実な実施に努めているところでございます。  先生の御指摘の包装材の問題につきまして、現在、厚生省初め関係省庁において新しいシステムづくりということで検討が進められておるところでございますが、農林水産省といたしましては、市町村それから食品関係業界も含めた関係業者、それから消費者、この三者の役割を明確にして、公平な責任、そして透明性のある負担、このようなあり方につきまして、産業界の意見も踏まえながら関係省庁と協議、検討していきたいと考えております。
  22. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 四つの部署の方々からいろいろ現状をお伺いしたわけでありますけれども、省庁によっては技術的な見通しが立ったという答えもあったし、また省庁によっては緒についたばかりだという言葉もございました。言いかえてみると、一致しているようで、ある意味では一致していないところがあるのですね。ここで環境庁の出番ではないかというようなことも考えるわけであります。  さき阪神大震災でも、それぞれが力を持ちながら対応の統括がうまくいかず残念なことが起きたこともあるかもしれない、そういう認識に立ちますと、この包装材をめぐるいろいろな問題も環境庁の中にそういう統括本部的機能をしっかり確立していくことこそ重要ではないかというふうにも思ったりするわけであります。長官に後ほど重ねてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  私は、今心は一つのようだけれども、手法についてはいろいろ違っているこの現状を踏まえますと、四省庁の考え方を全部やめていただきまして、新しい環境庁視点から問題提起ができないだろうか、こう思ったりもするわけであります。必ずしも法的にクリアできるかどうか、私自身も自信がありませんけれども、先ほど申し上げた、このスチール缶、アルミ缶のところに記号を入れ、PETボトルに記号を入れるにも五年、六年、七年という長い歳月がかかってようやく実現してきた。しかし、容器代が幾らかはだれもわからないのですね。  例えば二百五十円で買った、この容器代これ自体が私の調査ではおおむね五十五円程度かかっている。もしここに、この容器は五十五円かかっています、捨てるのも結構、利用するのも結構、あなたに選択権がありますという新しい提案がこの容器に書かれたとしたら、包装廃棄物をめぐる国民意識はかなり変わってくるのではないだろうかと思うのですね。  お刺身のトレー、ちょっと大き目なのは一枚三十円、五十円する。もう家族でそのまま出せるようなお皿のようなトレーは一枚百円以上もする。考えてみると、それを知らずに買ってくるから、私のじゃないとぽい捨てするわけでありますから、そういうような、せっかくアルミやスチールと書けた我々でありますから、容器代が幾ら、あるいは一リッターにつきこの容器は幾らにつく、そういうような観点から環境庁が音頭をとったらどうかと思うのですが、長官、どうでしょうか。
  23. 宮下創平

    宮下国務大臣 最初の、環境庁の各省庁に対する調整機能の問題でございますが、全般的に申しますと、今度の環境基本計画の中でそのことも重視をされておりまして、早速省庁別の局長クラスの連絡会議を持つようにいたしまして、昨年の十二月十六日に基本計画ができましたが、その年末には第一回の会合を開いておりますが、極力そういうものを頻繁に開いて、そして環境基本計画に沿ったやり方はどうなのかということを徹底を期してまいりたいと思うのでございます。  それで、今の包装廃棄物につきましては、私どもリサイクルということを言っておるのですが、まず何といっても、この物の循環の中ではそういう廃棄を大量に出すような物の生産を抑制していくということがこれは第一ですね。  それから、第二は、やはり再利用する。全PETボトルのお話がございましたが、酒瓶でもそうでございますが、再利用する。再利用できないものはリサイクルのプロセスに乗せていくということだと存じます。  それで、このリサイクルにつきましては、ヨーロッパにおきましても、デポジット・リファンドがつくられるというようなことで、メカニズムとして確立された点もございます。しかし、今先生のお話を聞いておりますと、そのPETボトルが五十五円だと表示されておればこれは大変だな、やっぱりどこかで引き取ってもらえないかという問題に消費者意識は必ずなると存じますね。  したがって、やはり今包装廃棄物の引き取り義務をどこにさして、どの負担でどうするかということが、各省、今の答弁の省庁間で協議されておると存じますけれども、これは重要なことでございますから、私も早速指示をいたしまして、環境庁がイニシアチブをとって各省庁に積極的に、法律まで出すということを予定しておるわけでございますから、ひとつ話し合いを精力的に進めてほしいということを指示してございます。そういう成果をまた得たいと思っております。  なお、あとの問題は容器代の問題でございますが、この表示は、環境庁がじかに業界を指導するというわけにいかないことが多いわけでありますが、これはぜひその表示だけでもやるということがさらに一歩前進だと思いますので、よくひとつ先生の御意向を体して検討させていただきたいなという感じを持ちました。  以上でございます。
  24. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 リサイクル法制定後、物質回収にあっては、国民はむしろ従順に、リサイクルすれば何とかなるんだ、そう思って一生懸命やってきた。しかし、集まってはみたけれども、その利用がいまいちだというところで、リサまで行ったけれども、またクルが抜けてしまっているんじゃないだろうか。そういう意味では、国民は一生懸命頑張ったけれども、何か期待をそがれたというようなことを思っているのじゃないでしょうか。その辺はしっかり我々も認識をしていかなければならないと思うのです。  私は、集めた物は、あるいは集まった物は、もっと言えばつくった物は再利用の道をしっかり考えていく、これが見通したというふうに思うのです。今回のこの包装廃棄物をめぐることで私なりに総括あるいは考え方を述べさせていただければ、つくり得あるいは売り得、捨て得の、これらの流れを根本から問い直す、これが今回我々に突きつけられている問題だろうというふうに思っているわけであります。そのためには、少し厳しいかもしれないけれども、全体的に新しい制度を大胆に取り入れるというような観点から環境庁も力を出してほしいということを要望いたしたいなというふうに思います。  さて、次の問題でありますけれども、次は厚生省と建設省にひとつお願いをいたしたいと思うのですけれども、私もつい先日、秋葉議員とともに建設大臣にお会いをいたしまして、神奈川県厚木の、そこを流れております相模大堰について請願をする席に立ち会いました。  その請願理由というのは、既に建設省の方にも届いているとも思うわけでありますけれども、まず最初に厚生省に対しまして、相模大堰、これが大堰でなければならない、取水の方法にもいろいろあると聞いておりますけれども、大堰に決めた経緯等を簡単に御説明をいただきたい。建設省におきましては、直接請願を行った内容については既に御存じだと思います。その内容について、一体きよう現在、建設省としてどう対応してきたか、そのようなことについて答えを求めたいと思います。
  25. 浜田康敬

    ○浜田説明員 相模大堰から水道の原水を取水するという事業につきましての先生のお尋ねでございます。  一般的に水道の取水方式は、大きく分けますと、取水堰といって、川をせきとめて取水する方法、それから川あるいは湖の中に塔を建てまして、そこから水を取り入れる方法、あるいはその他取水門、取水管渠といった比較的少量の水を取る場合の方法もございます。  一般的に言いますと、この取水堰あるいは取水塔の特徴でございますけれども、これらはいずれも比較的多量の水を取り入れるのに使われる方式でございますけれども、その中で、取水堰方式は、流れ状況が比較的不安定な川からでも大量の水を安定して取り入れられる。それに対しまして、取水塔方式は、流れ状況が安定している川から大量の水を取水するのに適しているというふうに整理されております。  こうした中で、この相模川から水道の水を取り入れるというために、ここの相模大堰の事業主体でございます神奈川県内広域水道企業団は、今申し上げました各種の取水方式を比較検討したわけでございますけれども、この相模川が、水面の高さでありますとか流路といったものがかなり不安定な状況にある河川であるということを考えますと、最大毎秒十五立方メートルというような多い水を取り入れるためには、安定した取水が可能であも取水堰方式を採用することが最も適切であるというふうに判断されたわけでございまして、厚生省としても、この考え方は妥当なものというふうに考えているところでございます。
  26. 小林好實

    ○小林説明員 先ほどお話しございましたように、先生が秋葉先生と御同行の上で、一月十九日に私ども大臣のところに市民団体と一緒にいらっしゃいまして、請願がございました。  建設省といたしましても、いろいろ考えました結果、二月一日に、先生御存じだと思いますが、先生等を通じまして市民団体に、神奈川県と、この事業を行います企業団が市民団体と誠意を持って話し合うようにということ、そして、現在、取水堰が設置される周辺あるいはその影響地域の中に、貴重な植物とかあるいはアユの産卵地があるというようなお話もございますので、そういったことにつきまして、きちっと科学的な知見に基づきまして誠実にお話し合いをしなさいということを指導いたしました。私どもといたしましても、早速二月二十二日に行われる予定でございますが、科学的な知見に基づきまして誠実にお話し合いが行われることを期待しているところでございます。
  27. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 この大堰について、建設省、また神奈川県等々で話し合った結果、私も見ましたけれども、その回答書によりますと、一番から四番まで分けてございまして、その一の⑤に「取水方法」についても「誠意を持って話し合う」という項目が入っておりますけれども、そう理解してよろしゅうございますか。
  28. 小林好實

    ○小林説明員 御説明申し上げます。  取水方法も話し合うようになってございます。
  29. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 ありがとうございます。  大臣、そこで、最後になりますけれども、今、包装廃棄物、それから河川からの水を取る、また建設省が平成二年十一月六日だったでしょうか、多自然型川づくりの推進等々について、これは通達を出されているわけでありますけれども環境庁としても、この河川をめぐる国のあり方、こういったことについてどうしても環境影響評価、アセスの問題がクローズアップされてくると思うのですわ。片方では、自治体によってばらばらでありますけれども、私どもでは一生懸命やったと言われますけれども、いよいよ見ていくと、長期調査にもかかわらず、逆に市民からの指摘によって気づく現象もある。そういったところを考えますと、環境庁、このアセスのことについて、言葉では出てまいりますけれども、省庁としてどういう感想をお持ちか、最後にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  30. 宮下創平

    宮下国務大臣 開発と環境の問題は、これは大変重要な課題でございまして、従来アセスメントにつきましても、閣議決定あるいはそれぞれの事業種目によって、いろいろ根拠は別でございますが、アセスをやっている例が多いように承知しておりますが、このたびの環境基本計画におきましても、来年の夏ごろまでに、これは所信表明でも申し上げましたとおりでございますが、調査研究を今進めておりますから、諸外国の例あるいは各省との調整その他調査研究をやりまして、それを取りまとめた上で法制化を含めて精力的に取り組みたい。環境基本計画でこのことを明記してございますから、その方向で取り組まさせていただきます。
  31. 小泉晨一

    ○小泉(晨)委員 どうもありがとうございました。ぜひその方針でやっていただきたいと思います。
  32. 阿部昭吾

    阿部委員長 長浜博行君。
  33. 長浜博行

    ○長浜委員 新進党の長浜博行でございます。  阪神大震災で被災をされました皆様に心からお見舞いを申し上げるとともに、現在、環境委員会に所属している委員の一人として質疑の機会を得ましたこのときに、若干私なりの視点から確認をさせていただきたい、そのように思うわけでございます。  小さいころに、大きなタンカーが沈むような光景に接したときに、船長さんとか船員さんの命は大丈夫だろうか、こう感ずるのと同時に、流れ出た油を一体どのように回収をしていくのか、こういったことにも随分小さいながら心を痛めた記憶がございます。昨日から、復興といいますか、倒壊家屋の建て直しといいますか、まず取り壊しですね、始まったようであります。芦屋とか西宮、六カ所から七カ所ぐらいからまず始まったようにも伺っておるのですが、その情景、壊される家屋を見ながら被災者の方が涙を流されて、大変痛ましい光景ではありましたが、それが積み込まれてトラックで搬送をされていく、これはある意味で建築廃材といいますか、ある種の産業廃棄物となって、その最終処理の段階にまで国が責任を持っていかなければ、あるいは市や県が、でも最終的には国が責任を持っていかなければならないような問題であると思います。  災害の特別委員会とか予算委員会の質疑をこれもまた拝聴させていただいておりまして、復興対策、どうして復興していくのか、被災された皆様に対する援助、こういった議論ももちろん大変大切でありますが、その一方で、あるいはその延長線上において、復興計画をするに当たっても、いわゆる取り壊された建築物、廃材の最終的な処置はどういうふうにしていくんだろう。もちろん予期せぬ大震災でありますから、当初の地方自治体におけるところのいわゆる廃棄物の埋立処理やなんかを含めての計画には入っていない分野のように認識をしてもおりますものですから、こういったことを含めまして、いわゆる環境への影響、これを環境庁としては各省庁に指示を与えながらどのように復興計画の中で環境視点を生かしていくのか、こういう問題についてまず御質問を申し上げます。
  34. 宮下創平

    宮下国務大臣 私も神戸に行ってまいりましたが、環境庁としては、いろいろこの悲惨な状況の中でなし得ることを、万全の対策を講じなければいかぬということで、これはやはり二次災害、二次汚染防止ですね、これがやはり中心になろうかと存じます。  いろいろ子細に聞いてみますと、例えば、アンモニア水が出て、それは大したことなくて始末できたとか、あるいは硫酸が流出したとかいろいろ多少の問題はございますが、全般としては二次災害のおそれは今のところはございません。しかし、今委員の御指摘のように、廃棄物処理その他粉じんの問題あるいはアスベストの問題等々も指摘もされておりますので、私どもとしては、二次汚染防止の立場からまずモニタリングをやるということを今やっております、一般論として。これは大気と水についてやっております。そして、アスベストにつきましては問題が早期に提起されましたので、建設大臣あるいは労働大臣の方に問題を提起いたしまして、そして労働省の方は労働基準局で現場指導、あるいは建設省の方は、今委員の御指摘のようにこの処理の問題は公費負担でやるということが既に予算委員会等で表明されておりますから、処理業者が必ず届け出その他でやってまいりますから、その粉じん処理アスベスト処理について万全の対策をとるように指示をいただきたいということで、連携をとって今やらせていただいております。  それから、大量の廃棄物の廃棄場所等については、いまだ私どもも、関心は持っておりますが、これはまた各省、建設省その他実務を行われるところ、あるいは県、市でも大変大きな問題だと存じます。コンクリートの廃材であればあるいは埋め立て可能かもしれませんが、木造の廃材を埋立地に持っていくわけにはまいりませんから、そうした問題の処理も検討していかなければいかぬというような感じでございまして、環境庁としては、これからがいよいよ問題が発生するおそれがあるのではないかという感じを注意深く持って対応するということで、とにかく現場で今モニタリング調査をやらせております。そして、次の町づくりに向けての環境庁の支援し得ることは何かということまでひとつ考えていきたい。  また、工場の倒壊をした、あるいは復帰に当たっては、公害防止施設を伴わなければいけないような工場等もかなりございます。事業団の融資事業もあります。譲渡事業もあります。そういった点の復興への支援の問題でありますとか、あるいは公健法に基づく賦課金を徴収しながら患者に給付する事業を行っておりますが、これもまた対象人員を明確に、現在どうなっておるかという把握のできない面もございますが、更新時期も来ておる方もおりますから、法律改正をしてこれが失権しないようにして給付の万全を期していくとか、いろいろ環境庁としてなし得ることは広範に今対応を指示をして、現場に環境庁職員も派遣しておりますし、また県、市と連携を保って対応しているところでございます。
  35. 長浜博行

    ○長浜委員 今お話にございましたように、いわゆる災害直後に発生したものから生ずるところの二次災害に関しては、私は今御答弁いただいたところでよく理解をするところでありますが、先ほど御質問をしたところの、いわゆる倒壊家屋の撤去の産廃の処理の問題で、例えばあそこの場合でありますと、仮に埋め立てをするというような場合は瀬戸内海環境保全特別措置法との関連がどのようになってくるのか、あるいはこれが一年以上続くような場合、こういった長期にわたるところの最終処理の現状計画の中でもうキャパシティーを超えてしまっている部分においては、これをその地域から外へ出すことがあるのかとか、こういう現実的な問題に関してもう少し補足をしていただければというふうに思います。  私自身も、現実に三市ぐらい歩いてみました。長官がおっしゃられるように、例えば高速道路が落ちたところも、コンクリートあるいは鉄筋とか、それに木材がまじっているとか、分別から始まって、単純に収集しただけでは素人目から見てもおさまらないなという状況を認識しておりますので、御答弁を願えればというふうに思います。
  36. 三本木徹

    ○三本木説明員 お尋ねの災害廃棄物理事業の今後の見通しということでございますが、厚生省としては、政府方針として公費決定をしたその背景、公費でもって家屋等の災害廃棄物の始末をしていくということを決めたわけでございますが、これは廃棄物処理法に基づいて市町村事業として実施していくその背景としては、各種の環境問題あるいは個人負担の問題等々いろいろ考えたことでありまして、その上で市町村事業として公共事業として実施していくのが適当であろう、こういう考え方をとったわけであります。したがいまして、見通しという点についても各市町村あるいはそれを指導する県、こういう地元の地方団体が各種今検討しております。  当面は、現在瀬戸内海における近場の処分場の容量が、フェニックスセンターを中心といたしまして、海陸合わせて約三千万立米以上の残余容量がございます。現在の私どもの見通しては、災害廃棄物事業として、各種公共工事あるいは生活系のごみ、あるいは廃家屋、そういったものを合わせましてもほぼ八百万立米から、上方修正されると思いますけれども、その程度を見越しておりますが、この三千万立米の容量で当面可能であろうという判断をしております。  ただ問題は、輸送の問題がございまして、輸送あるいは庭木材とコンクリートがら、あるいは鉄筋を分けるということをやらなければなりません。そのための仮置き場の整備に今努力をしておるところでございまして、これを十数カ所の仮置き場で分けながら、現在の埋め立て可能な処分場へ持っていく量あるいはさらに庭木材についての扱い、こういったところを今検討しておるところでございます。
  37. 長浜博行

    ○長浜委員 先ほどの特別措置法との関連は何かございますか。
  38. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 瓦れき等の廃棄物処理の問題、容量との関係は今厚生省の方から話があったわけでございますが、あと県、市の方が現在ありますフェニックス処理場との関係もあって、仮の話でございますが、あとどれだけ埋め立て等の必要があるかどうかというような場合、これはまだ私どもの方としましては具体的な計画を聞いているわけではございません。  ただ先生言われましたように、瀬戸内海につきましては特別措置法がございまして、環境上特に配慮しなければならない地域でございます。いろいろ規模の問題もございます。もし新たに処分場をつくるというような場合でもありましても、その規模の問題によりましてまたいろいろ環境上の問題も違ってくるかと思いますので、もう少しそういう話が具体化した段階で我々としましてはいろいろ意見を申し上げたいというふうに考えております。
  39. 長浜博行

    ○長浜委員 わかりました。  今総量に関してもちょっとお話がありましたようですが、いずれにしましても具体的になった場合に対応がおくれないように、この点に関しては長官にぜひ御配慮をお願いをしたいと思います。  それと同時に、あの大震災以降、関東地方で震災が起きた場合にはどうするか、あるいはそれを予知するにはどうするかというような議論が随分出てきたようでありますが、同じように関東地方であのような地震が起きた場合における、今るる質問を申し上げている延長線上の話でありますが、いわゆる倒壊家屋の処理等に関する総量の見通し、あるいはどういうふうな形での最終処理をするかということについて、何か具体的なプランと申しますか危機管理、これも一種の危機管理だと思いますが、そういううことについてお考えがございましたらお教えを賜れればと思います。
  40. 三本木徹

    ○三本木説明員 御指摘の関東地区で万に一つもあった場合ということでありますると、結論から申し上げますと、現在の最終処分場の関東地区における容量を見ますと、かなり厳しい状況というふうに言わざるを得ないだろうと思っております。したがいまして、現在関東あるいは首都圏ということで区切りますと、約四千万立米弱の容量しかございません。これは家庭のごみ、日々出てくるごみも含めてここで処分をするということになります。瓦れき等の処理については、したがいまして、市町村以外の関東地区では千三百五十五万立米ほど産業廃棄物処分場の残容量がございますが、この規模で来ますと、多分ここでは収容し切れないというふうに考えなければならない状況だと思っております。  今後の具体的ビジョンというものは、これは地方公共団体あるいは民間が中心になって確保しておりますので、極めて不確定な要素が多いわけでありますが、したがいまして、そういう状況のもとで、厚生省としてはその処分場確保ということをどういう視点で、災害視点も踏まえて実施していくのかどうかということは、今後大変重要な検討課題だろうと思っております。  さらに、私ども今回の現場の反省という点も含めて申し上げるならば、実際必要なのは、当面必要なのは、やはり仮置き場をどこにどのような規模で配置しておくかということ、ここは真剣に考えなければならないポイントではないかと思います。幸い今回の神戸におきましては、仮置き場として使えるオープンスペースがかなり数多くあったということが、当面ここ一、二カ月の対応としては救われているというふうな考え方を持っております。したがいまして、今後の災害廃棄物理事業を適切に行っていくということに当たりまして、このオープンスペースをどこにどのように確保していくかということを十分検討していきたいというふうに考えております。     〔委員長退席、石破委員長代理着席〕
  41. 長浜博行

    ○長浜委員 ありがとうございます。  今のは本当にあってはならない仮定の質問でありますが、しかし、いずれにしましても、危機管理の観点から環境庁が主導権をとって考えなければならないものの一つであるように感じております。今御答弁いただきましたように、後ほどまた産業廃棄物のことに関しては御質問申し上げますが、私自身も身近で、関東でございますので、その最終処理のキャパシティーの問題を常日ごろ危機感を持って感じているものでありますから、御質問をさせていただきました。  次に、環境基本計画について御質問を申し上げるわけでありますが、長官の所信を大変注意深く聞かせていただきました。私自身も、昨今の流れとしての、ある種の環境問題への流行的な取り組みということではなくて、町づくりを新しくするとか、あるいは住民参加型の社会をつくるときに、今までの成長一辺倒という路線ではなくて、むしろ都市の場合なんかは特に成長管理的な色彩がアメリカ等からも入ってきているようであります。私自身もそのように認識をするわけでありますが、そういった一つ視点の中において、昨年の十二月に政府環境基本法に基づく環境基本計画閣議決定されて、そしてさっき同僚委員質問にも御答弁がありましたように、年末に環境基本計画推進関係省庁会議を設置されております。その後のわずかな期間でありますが、その活動、そしてこれからの方向性について少し教えていただければと思います。
  42. 宮下創平

    宮下国務大臣 先ほど御答弁を他の委員に申し上げたとおりでございまして、省庁会議を随時これから開催をしていくつもりでございます。  そして、まず何よりも第一に必要なことは、「循環」とかいうのが第一のキーワードになっておりますので、国も地方公共団体も、公的主体もやはり消費者であり一種の事業者的な側面がございますから、まずできることは、官庁で使う用紙その他をリサイクルでやったらどうかとか、あるいは官庁の省エネ化を率先して具体化したらどうかとか、あるいは文部省でいいますと、国定教科書ではございませんが、これは全額国費で五百億近い金で毎年給付しているわけですから、そのリサイクルを考えたらどうかとか、国としてできることをまず率先してやろう。  私ども環境基本計画の中にも「参加」ということがありますが、国民一人一人に環境問題を考え、対処していただく上において国がまず率先してモデルを示していく、そのことが非常に重要だと考えておりますから、これはことしなるべく早く策定をして、そして各省庁にお示しをして実行してもらいたい。それから各省との意見も十分すり合わせた上で成案を得たい。できればまたそれを公共団体にも及ぼしていきたいということで、事業者消費者としての権力主体という面だけではございませんから、そういう面を重視してまず率先してやっていきたい、このような取り組みを考えている次第でございます。  環境庁としては、環境基本計画をつくった、ことし最初の年になりますから、できることをどしどし実行していくということが環境基本計画の精神でもあろうかと思いますので、そのように取り組まさせていただくつもりでございます。
  43. 長浜博行

    ○長浜委員 今お話にもございましたように、事業者消費者としての国という位置づけ、これは「すべての主体の参加の実現」というところにも関係をしてくると思うのですが、こういった視点を定められたということは大変特筆に値すべきことだと思います。  それと同時に、環境保全に向けた行動計画というものを夏までにつくられるというふうにもおっしゃられておりましたが、この点についても少し例えればと思います。
  44. 石坂匡身

    ○石坂政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げたことを若干補足させていただきます。  今大臣が申し上げました、消費者あるいは事業者としての国の活動についての計画をつくるというのを、正式な名前と申しましょうか仮称でございますけれども、それは所信の中にも述べておられます国における環境保全活動の率先実行計画そのもののことを指しておるわけでございます。これは、夏ごろまでを目途に関係局長会議の場を通じまして各省庁とも協議をしながら取りまとめてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  その内容は、ただいま大臣もお触れになりましたが、財やサービスの購入、使用に当たっての環境保全への配慮という観点から何ができるか、それから建築物の建築、管理等に当たっての環境保全への配慮の観点からどうすべきか、その他、エネルギー使用の抑制でございますとか、ごみの分別ですとか廃棄物の減量でございますとか、あるいは職員に対します研修でございますとか、そうした事柄、どういう項目をどういう範囲でとってこの計画をつくっていくかということについての協議をただいま開始をしておるという状況でございます。
  45. 長浜博行

    ○長浜委員 夏の策定を注意深く見守っていきたいなというふうに思っております。  経済と環境、開発と環境の両立ということも非常に大きなテーマであるように思います。私も、二十代のころ東南アジアで二年間ほど生活をしまして、そのときも、経済発展を願うために企業誘致をしよう、いわゆる日本企業も盛んに入ってきたわけでありますが、それと同時に、同じように日本の民間のボランティア団体が環境を保護しなければいけないというようなことで、両方とも大きな活動を身近で見た記憶があるわけであります。  そういうことからしますと、二十一世紀になれば新しいシステムの中において経済と環境の両立が図られるのかもしれませんが、少なくとも二十世紀においては永遠の課題として、公園のシーソーというのですか、経済が進めば環境破壊される、環境を守ろうとすれば経済の発展段階はおくれるというような二十世紀型においては、随分この問題で行政だけではなくて個人もあるいは一般の企業も悩んでいるような課題だというふうに思っております。  所信の中においても、あえて「経済と環境、開発と環境の両立」ということを述べられておりますが、この点についてのお考え方を伺いたいと思います。
  46. 宮下創平

    宮下国務大臣 経済と環境問題はこれからも最大のテーマだと存じます。そして、経済発展すなわち大量生産、大量消費、大量廃棄というような我々の工業化文明が進めば、環境に負荷は大きくなることは避けがたい面があります。  しかし、それだけで地球の資源を使い果たしてしまったり、汚染を残して我々は地球を子孫に渡すわけにはいかないわけですから、やはりそこの調和といいますか統合を図っていかなければならないわけでございまして、UNCEDにおきましても持続可能な開発ということが言われているのもその趣旨であろうかと思います。環境基本計画におきましても、その点については十分注意がされて記述をされておりますので、経済と発展の問題は十分これからも両立できるような方向で対処していきたい。  それから、大きな目で見ますと、経済の発展は我が国だけの問題ではありませんで南北問題等も非常に大きな影響があると思うのですね。特に、開発途上風等においては人口が爆発的に増加しておる。そして、その生存のためのいろいろな食糧の確保とか、あるいは南の国も先進国のような工業化社会を理想として努力しておられるというようなことがございますから、全地球的な規模でこの問題が議論されることは間違いないと思いますね。  そこで、今度WTOの機関がつくられましたが、その中で環境と経済に関する委員会等もつくられておりますから、国際的な視点でもこれが取り上げられることは間違いございませんから、我が国も積極的にそれらに参加して意見を述べ、議論に参加して、有効な政策手段を見出していくということに国内のみならず国際的な面でも努めてまいりたい、このように思っておるところでございます。
  47. 長浜博行

    ○長浜委員 それともう一点、「地方公共団体との関係」の中で、「先駆的な事業に対する補助制度」の創設をおっしゃっておられます。地方分権を推進する中においても、いわゆる環境の問題においてそれを執行するための予算的なもの、こういったものもはっきり申し上げまして大分これから改善をしていかなければならないなという部分でもありますので、この「先駆的な事業」というようなものに関する一つの、今は具体化していないと思いますが、イメージとか何かございましたら御示唆を願えればと思います。
  48. 石坂匡身

    ○石坂政府委員 お答えいたします。  環境基本計画で四つの長期目標を掲げてありますのは御案内のとおりでございます。「循環」、「共生」、「参加」、「国際的取り組み」ということでございますが、この四つの長期的目標に向けまして、地方における環境政策の展開を支援するという目的で新しく予算要求をして今の政府の予算の中に盛り込んでいただいたわけでございます。十億円という金額でございますが、これはこの四つの目標に沿いましてそれぞれ地方からアイデアを出していただいて、その先駆的な事業を助成していこうということでございます。  例えば、「循環」というのは捨てずにということでございましょうけれども、例えばこれは頭の中でこんなものかなということでございますけれども、例えばのことでございますが、ソーラーエネルギーとか雨水の利用でございますとかリサイクルでございますとか、そういったものを総合的に進めているある町内会があるとすると、そうしたものを助成をしていくというのも一つの考え方かなというふうな気がいたします。  あるいは「共生」というのは、生き物と分かち合う共生、自然との共生ということでございますから、そういう意味では、例えば調整池や休耕田に生き物のすみか、これにこれを活用する、いわゆるビオトープとでもいうのでしょうか、そういうふうなものもあるいはあるのかなと。  あるいは「参加」としては、みずから汗をかく参加という意味で、例えば河川の下流の人が上流のいわば水源地、そこでの農業使用を減らして保全型の農業になっていただくというために例えば草むしり援農をするというふうな、流域交流とでもいうのでしょうか、そういうふうな考え方もあるなど。  これらは、それぞれの地方公共団体から今私どももヒヤリングあるいは打診等が私どもにあるわけでございまして、そうした中から、金額に限りがございますから最もそうした目的にフィットするものを選んで助成をさせていただきたいと思っております。  今申し上げたようなことは例えばの一つの例示でございますけれども、そうした形で地方団体からいろいろな要望が出てくることを大いに期待しているというところでございます。
  49. 長浜博行

    ○長浜委員 次に、「長期的な目標の実現」というところに入らせていただきますが、「循環を基調とする経済社会システムの実現」の中に「水環境の保全について」ということがございました。また、「自然と人間との共生の確保」というところで、「水辺環境の再生整備」ということにもあえて触れられておりますが、長官、今「長期的な目標の実現」のところの質問でありますが、一般論として、ある川とか他とか湖とか、二十年間以上にわたって日本水質が汚濁をしているというのが二十年一貫してあるという問題についてはどのようにお考えになりますか。     〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 宮下創平

    宮下国務大臣 具体的なケースを御明示になりませんでしたが、恐らく手賀沼、先生の選挙地盤になりますか、手賀沼等の汚染の現状は私も前から聞いております。非常に汚染状況が進んでおる。これは一部干拓地でもあったわけでありますけれども、しかし周辺地区はもう都市化されておりまして、都市生活雑排水その他の流入その他が大きいんだろうと思いますね。  やはり、二十年間も同じ状況が続くということは、これは、もしもそういうことであれば、大変放置できないことだと思いますね。いかに都市化が進もうと、今都市型のそういった雑排水の処理は公共下水なり、また農村集落排水なり、合併浄化槽なりその他で生活雑排水は処理をされておりますから、また工場等における排出規制も厳重に行われておりますから、そういうことは本当はないわけなんですけれども、具体的な御指摘でございませんから、一般論としてはそういうことがあってはならぬことだというように考えております。
  51. 長浜博行

    ○長浜委員 ありがとうございます。  おっしゃられたとおり、手賀沼が二十年間ワーストワン。二十年といいましても、一九九三年時点でありますから、もう二十年を超えているというふうに思うわけであります。国会議事堂前から千代田線で五十分ぐらいの距離であります。乗りかえもなし。そこに柏、我孫子というところがございまして、あと沼南町という町があるのですが、その二市一町に囲まれたところが手賀沼でございます。  二十年間、今おっしゃられたようなことで、特に工場があるとかいうことではなくて、新興住宅地を初めとして、東京都にお通いになるいわゆる千葉都民が大変多いところでありますが、現実に二十年以上も改善をされないというような状態が続いている。地域の問題あるいは千葉県の問題かもしれませんが、国としても看過できない問題のように思えてならないわけであります。  広く言えば下水道の普及率の問題。政令指定都市なんかでは九四%ぐらいでありますか、一般都市は三七%、ならしても多分四九%ぐらいしか、数字的に余り間違いはないと思いますが、平成五年の建設省の資料によるとそのようになっております。イギリスにおいては九六%、ドイツは八六、アメリカ七三、フランス六八ということで、いわゆる欧米先進国においては下水道が普及をしている。そういう中において、単に政策だけではなくて、いわゆる文化的な違いも、下水道というものに対する認識から違いが生じた、そして結果としてこうなっているのかもしれませんが、今申し上げましたように、ある地域で二十年以上もその状態のままに、決して取り残されているわけではありません、努力はされているんだと思いますが、現実に、結果としてそのような地域が存在をしているということをぜひ長官も認識をしていただきたい、そのように思うわけであります。  それから、廃棄物・リサイクル対策に関しましても、「新しいシステム」ということを言及をされております。私がちょっと気になりましたのは、特に産業廃棄物について、再生利用率は五〇%に達していないように思います。これも数字が間違っていれば御訂正を願いたいのですが、約一年間で四億トンぐらい出る、一般廃棄物の八倍ぐらいになっているんじゃないか。先ほども関西の地震に関連して御質問をしたときに、いわゆる最終処分場の問題というのは解決がされてない状況で日々推移をしているわけであります。そして、廃棄物その他の投棄による海洋汚染防止に関する条約、いわゆるロンドン条約も、これは直接この廃棄物とは関連をしてこないかもしれませんが、来年の一月一日より、産廃の海洋投入処分は原則として禁止をされる、こういうような一つの世界的な規制も加わってくるものでありますから、重ねてお聞きをして恐縮でありますが、この廃棄物・リサイクル対策であえて「新しいシステム」とおっしゃられたところでございますが、この問題についてお教えをいただければと思います。
  52. 石坂匡身

    ○石坂政府委員 この環境基本計画につきましては、一つは、廃棄物・リサイクル対策につきましての政府全体としての基本的考え方、これをお示ししている。これは先ほど御答弁申し上げましたので省略をさせていただきますが、それが一つでございます。  そして、その中で、包装材につきまして、「市町村が包装廃棄物を分別収集し、事業者が引取り・再生利用を行うシステムの導入を検討し、必要な措置を講ずる。」ということを、いわば環境基本計画というレベルで決定をさせていただいたわけでございます。  この「新しいシステム」につきましては、先ほども質問、御答弁がございましたけれども通産省、それから厚生省、両省におきまして今具体的な案を検討しております。これは調整をしていかなければならない問題等もあると思います。法律的な枠組みあるいは包装材の範囲、そういった仕組みにつきまして、今鋭意、両省含めまして政府部内で検討を進めておるところでございまして、鋭意努力をしてまいりたいと考えております。
  53. 長浜博行

    ○長浜委員 続きまして、私は一番伺いたい分野でもあるのですが、「すべての主体の参加の実現」というところで、環境教育、環境学習、あるいはいわゆる普及広報活動、啓蒙活動のようなところがあります。  これも一番最初に申し上げたところでありますが、いわゆる安いものをいっぱい買う、要らなくなったものは捨てる、こういうような一つの今までの考え方、あるいは、私の質問の前に小泉委員質問をされていたような新しい一つの、今までの考え方とは違う考え方でありますが、環境における教育というのが現場においてどのぐらい行われているのかどうか。  非常に粗い議論でありますが、私は、ある意味で、法律を整備するとか、あるいは行政指導をするとか、そういったことよりも、二十一世紀に大人になっていく今の子供たちに、環境というものはどうして守らなければいけないものなのか、あるいは、先ほども質問しましたが、決して経済発展と環境を守るということは両立しないものではないんだ、矛盾をしないんだというようなことを含めて、環境教育と言ったらいいのか環境学習と言ったらいいのかわかりませんが、これが幼少のころから大人になるまできっちりと血液の循環の中に組み込まれれば、今言われているような問題は将来においては解決をされてくる、そのような楽観的な考え方も持っているわけであります。逆に言えば、環境教育が正しくなされていないと、従来型の、さっきも申し上げましたように、二十世紀型の教育の中において、環境なんて二の次だ、自然を守るなんて二の次だというようなことであってはこの問題は解決をしないというふうに思うわけであります。  何も大きな問題だけではなくて、けさも車を運転をしておりましたら、前の車から突然たばこが投げられてしまう。それから、日曜日になると、時々でありますが、JC、青年会議所の仲間と空き缶拾いをします。これも多分車からぽいと投げてしまうのかもしれない。企業の中においても、廃水の問題、ばれなきゃいいじゃないかということで流してしまう。すべて人間の心の中に潜むところの甘えであり、ある意味で、ちゃんとした教育がなされていなかったのかな、こういうことを思う次第であります。  もし御答弁いただけるのであれば、幼稚園、小学校、中学校、高校、こういったところで現実に環境教育なるものはどのようになされているのか、お教えをいただければと思います。
  54. 石川明

    ○石川説明員 御説明を申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、環境問題というのは人類の将来の生存と繁栄にとって大変重要な問題でございまして、また二十一世紀に生きる幼児、児童生徒に対して正しい理解を深めさせ、責任ある行動がとれるようにするというようなことは大変重要なことであると私ども考えております。  このような観点に立ちまして、学校教育におきましては、従来から幼稚園、小学校そして中学校、高等学校を通じまして、児童生徒の発達段階に応じまして、社会科や理科、その他の教科等を中心に指導しているところでございます。  少し具体的に申し上げますと、各学校で作成をされるカリキュラムの基準としての性格を持っております学習指導要領、これは文部省の方でお示ししているわけですけれども、こういった中でも、この環境問題の重要性にかんがみまして、その内容の一層の充実を図っておるところでございます。  例えば、幼稚園におきましては、「環境」という領域を示しまして、「身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。」というようなことを言っております。また、小学校におきましては、社会科の第五学年において、新たに例えば「森林資源が大切であることに気付くようにする。」ということとか、あるいは「環境保全のための国民一人一人の協力の必要性に気付かせるよう配慮する必要がある。」そういったようなことを言っております。また、中学校では、理科におきまして、「自然環境を保全することの重要性について認識すること。」あるいは「自然環境の保全に関する態度が育成されるようにすること。」このようなことを言っております。さらに、高等学校におきましては、例えば公民科の現代社会というような科目につきまして、新たに「環境と人間生活」というような項目を設け、「環境と人間生活のかかわりについて理解させるとともに、環境にどうかかわって生きるかについて考えさせる。」というようなことを示しているところでございます。また、こういったことに基づきまして、具体的には小学校、中学校、高等学校あるいは幼稚園もそうですが、さまざまないろいろな体験も含めました学習活動、教育活動が行われているということでございます。  また、文部省におきましても、教師用の指導資料の作成ですとか、あるいは教師に対する講習会の開催、それからいろいろな環境教育推進のための、例えばモデル市町村事業ですとか、また環境教育について考える環境教育フェア、こう言っておりますけれども、こういった催しですとか、さまざまな施策を講じておるところでございます。  今後とも、このような諸施策を通じまして、学校における環境教育の一層の充実を図ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  55. 長浜博行

    ○長浜委員 ありがとうございます。  今の、特に最後の部分でおっしゃられたような、先ほど私が先に申し上げなかったのですが、子供たち環境の重要さを教える人、つまり教師の方々ですね。その教員の方々が十分にこの問題を理解をしておらない。いわゆる普通のカリキュラムと言ったら語弊があるかもしれませんが、何となく、これは教えておけばいいやというようなセンスではこの環境問題というのは、少なくとも先ほど申し上げている二十一世紀型の環境問題には対処する、感知する能力といいますか、感性を養うことが子供たちができないわけでありますから、教師の方に対する御認識も、長官ぜひよろしくお願いをしたいなというふうに思います。  その普及、広報活動の一つの例といいますか、エコマーク商品というのがございます。これは六年前ですか、一九八九年二月から環境庁の指導助言のもとに財団法人日本環境協会がエコマーク事業としてやられている。六年前においては十四品目の二百六十五点しかなかったものが、現在では、九三年末では五十七品目の二千五百九十九点にまで及んでいる。十倍ぐらいの数に上っているわけであります。  正直に告白をしますと、私も余りこのエコマーク商品の身の回りの存在を意識したことは実はありませんでした。一九九三年の二月に実施をした調査によっても、四七%の方が知らないというふうにお答えになっている、これは環境保全に関する総理府の世論調査であります。委員諸兄の中におかれても、まだ買ったことないという方もいらっしゃるかもしれません。エコマーク商品を購入したことがあるとお答えになったのは一七%の方しかいらっしゃいません。そしてこのときは、二十から二十九歳の女性においては八二%の方がエコマークを知っておられますが、三十から三十九あるいは四十から四十九歳のちょうど私どもと同じぐらいの男性においては、その比率は五割であります。  そしてそういう中においてこういうエコマークというのは、もちろん御承知のように、自然に優しいとか環境に優しいとかそういう商品を選別して選んでいっているわけでありますけれども、今こういった商品の中において、これまた調査の中には実は、エコマークというのをどんどん宣伝をして商品品数をどんどんふやしていってほしい、そういう要望もあるかと思えば、いや、これはある種の権威のあるマークであるのだから、だれにでもかれにでも出すのではなくて、競合商品があったらそれをよく、環境庁ではなくて日本環境協会から委託された審査員の方々が審査をして厳選をして出したらいいのじゃないか、こういうような議論もあるわけであります。  また、一部においては、このマークをつけておけば売れるな、要は販売促進のためにこのマークをつけておけばいいからというような考え方を持っておられる業者の方もいる。ちなみに、エコマークの使用料は二年間で、千円未満の商品については八万円。それから高額、一万円以上になっても、二年間でその一品目に関して十六万円というような、これが高いか安いかは別にして、そういう金額であります。  ですから、このエコマーク商品というものを、一つ環境教育というよりは、環境というものを大事にしなければいけない、そのためにはこういう商品がありますという広報、普及活動の中においてとらえられておられるのだと思いますが、今後このエコマーク、どういった方針で、あるいはどういった御指導をされていくのか、この点について例えればと思います。
  56. 石坂匡身

    ○石坂政府委員 エコマークでございますけれども、これは環境基本計画の中でも、環境ラベリング事業の適切な指導ということで計画の中の位置づけも与えておる施策でございます。先ほどおっしゃられましたように一九八九年から始まったわけでございまして、国際的な連携も図られつつあります。また、ISOという国際標準化機構というのがございますけれども、ここで実施方法等についての標準化の検討もなされているという状況にございます。同時に近年、製品の揺りかごから墓場までといったらいいのでしょうか、ライフサイクルアセスメントというふうな手法についても内外いろいろな方面で検討が行われているというふうな状況にございます。  そうした状況から、このエコマーク製品というものにつきまして、私どもといたしましては、実は部内に、企画調整局でございますけれども検討会を設置いたしまして、昨年の十一月から検討を開始しております。中身は、このLCAというものの導入をどう考えたらいいのだろうか、それからこのエコマークをさらに普及させていかなければなりませんが、そのために積極的な方策としてどういう方策があるだろうかということをことしの六月を目途に検討結果を取りまとめたいというところで検討を行っておるところでございまして、こうした成果を踏まえまして、エコマーク制度の一層の充実と拡大というふうなことに努めてまいりたいと考えております。
  57. 長浜博行

    ○長浜委員 ありがとうございました。  「国際的な取り組みの推進」の中で、先ほどもちょっと自分の経験を踏まえて申し述べたところでありますが、「国際社会に占める地位にふさわしい国際的取り組みを積極的に推進」をされていくということであります。  特に、アジア、中国沿海部からベトナムにかけての昨今の経済状況、あるいは日本の企業の進出状況日本だけではなくて、欧米各国、製造業の分野においても盛んでありますが、経団連においては、平成三年の四月に地球環境憲章というものを制定をされて、海外進出に際しての環境配慮事項なども実際にまとめられております。ですから、日本の企業の中においては、もうこういった問題に関しても先進的に自主ルールをつくってやっていかなければならないということを、民間においても既にやっているようでありますが、私は、これからの、いわゆる国際協力に関しての大きな問題としては、特に、環境分野においては、国際協力を円滑に進めるだけの人材の育成が必要ではないかなというふうに思っております。  いわゆる、先ほどの学校教育における一般の環境教育とは別に、環境というものに取り組む国際的なスペシャリスト、こういった者を我が国でどのくらい育てられるがが、世界から日本環境にどのくらい熱心なのかということが注目されるポイントであるようにも思いますので、この点について御所見を伺います。
  58. 澤村宏

    ○澤村説明員 ただいま先生御指摘ございましたとおり、環境分野での国際協力を推進するに当たりましては、技術協力を担います専門家の役割は極めて重要であると考えております。  我が国は、激甚な公害を克服した歴史と経験を有しております。そして、開発途上国が必要とする環境分野の技術を持つ技術者の層は厚いものと考えております。一方で、環境問題に対処しようとする開発途上国から、我が国の技術協力に対する要請は極めて多くなっている状況にございます。したがいまして、我が国の環境分野の技術者を技術協力の専門家として養成していくことは、我が国にとりましても喫緊の課題である、そのように認識しているところでございます。このため、環境庁におきましては、平成六年度より国際環境協力専門家養成研修を実施いたしまして、技術協力を行う人材の養成を行っているところでございます。  さらに、平成七年度の予算案におきましては、環境分野の専門家等の育成や途上国での有効な教材の開発など、途上国を支援するに当たっての基盤整備を行うことを目的といたしまして、持続可能な開発支援基盤整備事業費というものを計上して取り組んでいるところでございます。
  59. 長浜博行

    ○長浜委員 ぜひ、地味な分野ではありますけれども、着実な積み重ねの中においてしか人材は育ってきませんので、この点もお忘れなきようにお願いをいたしたいと思います。  それから、環境影響評価の問題であります。いわゆるアセスメント、これも法制化が図られるような事態もありましたが、現在の状況ではそこに至っていない。方向性としては、平成八年の夏に向かっての取りまとめというようなことも伺っておりますが、この環境影響評価という概念も大変大事な分野であるように思います。  関連というわけではないのですが、西山公調委委員長のこの間の御説明の中にも、全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた平成五年の苦情は七万九千件と、昭和五十八年度から上昇傾向を示しているが、特に重要な点は、いわゆる典型七公害に分類されない苦情が約四六%、つまり、従来型の典型七公害に属さないものがその半分を占めるようになってきている、こういうのも一つの新しい展開でありますから、そういう今までのノウハウといいますか、ストックを積み重ねながらも、この環境影響評価、いわゆる事前にどう対処するか、こういう問題が起きないようにするためにはどうしたらいいかという概念がぜひ急務だというふうに私自身は認識しておりますが、その点に関して御答弁を願います。
  60. 石坂匡身

    ○石坂政府委員 環境影響評価、アセスメントでございますけれども、これは今委員が御指摘になりましたように、環境汚染を未然に防止環境の保全を図るという上で極めて重要な施策でございます。  五十九年八月に「環境影響評価の実施について」という閣議決定を行いまして、この閣議決定に基づきまして現在実施をしておるところでございます。  今後の取り組みでございますけれども、この今後のあり方につきまして、平成六年度から学識経験者によります環境影響評価総合研究会、これを設けまして、国内、つまり各省庁で今アセスメントをやっておりますが、この各省庁で実行しております。その実行の状況、それから地方公共団体でもアセスが行われておりますので、そうした実態というものをまず網羅的に調査をする。それから、諸外国におきましてもいろいろな制度がございます、法制もございます。これもこの際、悉皆的に調査をしてみるという調査を行う。同時に、この環境影響評価のいろいろな技術的な手法という問題もございます。そうした問題も調査をしてみるということで、これは各省が関係しておりますので、ただいま関係各省一体となりまして、この調査研究の実施に取り組んでおるところでございます。  先ほど委員が御指摘ございましたように、この調査研究を、平成八年度の夏を目途に取りまとめたいということで取り組んでおるわけでございまして、その結果等を踏まえまして、法制化も含め所要の見直しを行う所存でございます。
  61. 長浜博行

    ○長浜委員 同僚議員からも指摘がありましたように、環境庁が、あらゆる省庁にまつわるこの種の問題の、後ろに回りながらバックアップをするのではなくて、むしろ先頭を切って、その持つ調整機能を発揮されることを切に希望するところであります。  最後に、村山内閣が、行政改革の諸課題、行政改革をしなければいけないということを一つの大きな命題として掲げられる中、長官があえて環境庁も「その推進に最大限の努力」を発揮するとおつしゃっておられますが、具体的に何か意図するところがあるのか、お教えをいただければと思います。
  62. 宮下創平

    宮下国務大臣 内閣といたしましては、本日までにこの特殊法人の見直し問題に結論を得るということになっておりまして、きょうしゅうには決着が図られるものと存じますけれども環境庁所管の特殊法人は今、環境事業団とそれから公害健康被害補償予防協会という二っがございますが、いずれも、それぞれの環境行政上必要な面を持っております。  つまり、健康被害補償予防協会の方は、強制徴収権でもって事業者から賦課金を取り、そして患者にこれを給付するという問題でございますから、これはどうしても我々の環境行政上欠かすことのできない問題でございますし、環境事業団の方も、建設譲渡事業でありますとか公害防止の融資事業をやっておりますけれども、これもやはり、それでは普通の一般の金融機関でいいのではないかという議論もないわけではございませんが、公害防止とかあるいは環境保全の特殊な技能とか技術とかあるいは配慮が非常に必要でございますし、セットとして、建設譲渡事業なんかは、一社でなくて集団としてそういう事業を行って、助成を図り、そして経済の発展と保全とを図る組織でございますから、私はこれは絶対必要なものだと思っております。  したがいまして、これをどうのこうのということではございませんが、今度の行革は、それぞれの法人の内部のあり方についてはみんな見直すということがもう大前提になっておりますから、私どもとしては、常にこの合理化と効率化を図っていくということは当然でございますので、そういった面で努力をさしていただきたいと思っております。
  63. 長浜博行

    ○長浜委員 るる質問をしてまいりましたが、二十一世紀に向けて、建設行政とかあるいは運輸行政とかあらゆる行政を環境行政が一歩先でリードをしていく、そして方向性をつけていくというような心構えでぜひ対応していただきたい、そのように思うわけです。  質問を終わります。
  64. 阿部昭吾

    阿部委員長 この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩。      ――――◇―――――     午後一時五十二分開議
  65. 阿部昭吾

    阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。福永信彦君。
  66. 福永信彦

    ○福永委員 今回の阪神大震災では、亡くなった方が五千二百九十六人、昨日現在でありますが、また、今現在、家などを失われて避難所生活を強いられている人が約三十万人もいると伺っております。まことに悲しむべさ事態が起こってしまったわけでありますが、それがゆえに、エコシティー、エコポリス、環境自治体など、自然と共生する町ということをこれからの町づくりの主流にしていかなければならないということを私どもは忘れるわけにはいかないと存じます。むしろ私は、今回の惨禍を目の当たりにし、環境保全型の町づくりの重要性をますます強く感じているところであります。  神戸などで被災された方々に対し、緊急に必要な短期的支援策は当然早急に進めていかなければなりませんが、一方で、長期的な視点から環境保全型の都市計画、これは防災面から見ても非常に重要だと思うのでありますが、これを行っていくことの必要性を今こそもっと積極的にアピールすべきではないかと思います。  今回の地震について、主に環境保全の立場から、幾つかの質問をさせていただきたいと存じます。  三十万にも上る避難者を中心に、食糧に不自由している人たちが現在百五十万人いる、こう言われております。そして、こうしたことから、食糧備蓄の重要性について今回改めていろいろ議論されているところであります。  ところで、一月二十六日に発表された農水省の資料によりますと、平成五年度の我が国の食糧自給率は、過去最低の三七%となっております。この数字は、先進国の中でも最も低い数字であります。人口増加、土壌侵食などが原因で世界的に食糧不足の時代が早晩やってくると言われておりますが、そういうときに今回のような震災発生したとき、一体どうなるのだろうか。現在の食糧輸出国がそのときも食糧輸出国であるという保証は全くありません。食糧備蓄の必要性が今回盛んに指摘はされておりますが、我が国全体の危機管理体制を考えるとき、日本全体の食糧自給率を上げておくということは非常に重要なことと思います。  このことに関して、農林省及び環境庁として、この三七%という自給率をどう受けとめているのか、具体的にこれからどうしていこうというお考えがおありなのか、まず両方からお聞きしたいと思います。
  67. 中川坦

    ○中川説明員 食糧自給率についてのお尋ねでございますが、我が国の食糧自給率の推移を中長期的に見てまいりますと、国内での自給が可能な米の消費量が年々減少しているということ、また、畜産物消費の増加に伴いまして、えさ用の穀物の輸入がふえてきているといった状況がございまして、こういった国民の食生活の多様化、高度化を背景として低下傾向にあるわけでございます。  また、平成五年度の食糧自給率につきましては、大幅に低下をいたしておりますけれども、これは、冷夏、長雨といった記録的な異常気象の影響によりましてお米の生産量が大幅に落ち込んだことによるものでございます。  食糧の安定供給という視点からいたしますと、国土条件に制約のあります我が国におきましては、国民の食生活に必要なすべての食糧を国内で自給をするということは困難な面がございます。したがいまして、国内生産に加えまして、輸入や備蓄といったものを適切に組み合わせることによりまして、国民に対する食糧の安定供給に努めることが重要ではないかというふうに思っております。  その場合の国内生産についてでありますけれども、我が国の自給率は、先ほど先生が御指摘されましたように、他の先進国と比較をいたしましても低い水準にあるわけでございます。こういった実態を踏まえまして、水田を初めといたします我が国の国土資源の有効利用によりまして、可能な限り国内生産を維持拡大をし、自給率の低下傾向に歯どめをかけることを基本にして政策展開に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  68. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。  農地や森林などは、農林業の生産の場でありますとともに、美しい田園景観の形成でありますとか自然環境の重要な場所となっておるわけでございます。また、トンボや水生生物など、水田を中心とする豊かな生態系の形成という面でも大きな役割を担うものと認識をしております。  先般策定をされました環境基本計画におきましても、自然と人間との共生の確保という観点から、森林や農地、水辺などの自然環境の維持形成を基本的な方向として掲げているところでございます。  先生御指摘のように、自給率が低下をし、それが農地が減少するということにつながってまいりますとすれば、それが担っていた自然環境の保全機能にも大きな影響を及ぼしてくることになってまいります。そうした意味で、私ども環境庁といたしましても、農山村などの地域社会が、関係省庁の施策と相まって今後とも維持されていくということが重要であると考え、基本計画の方向に沿って努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  69. 福永信彦

    ○福永委員 今回、道路や鉄道といった交通網が至るところで寸断されてしまいました。こうしたことからも、都市の近郊に食糧の供給地を確保していくということは、都市の安全装置としてやはり非常に重要なことだと考えるわけであります。  復旧ではなく復興だということであります第二次大戦後の東京の戦災復興の際には、生鮮食料品の確保という観点から、農地に緑地という意味合いを持たせながら、東京の区分の四三%を緑地地域に指定しようという考え方が打ち出されました。  現在、都市部では農地の宅地化が大変な勢いで進んでおり、またさらに、現在三大都市圏の後背地にある耕作放棄地を、遊休化しているからということで積極的に都市的土地利用を図るような計画が進められております。全国的には、農地はこのわずか十年間に、実に琵琶湖の四倍の面積に当たる二十七万ヘクタールも減少しています。  来年度は国土利用計画の改定期に当たるわけですが、第二次国土利用計画の目標が全く達成されていないわけであります。食糧備蓄の視点からも、また市街地を取り囲む緑地としての機能が農地にはあることからも、都市近郊部の農地や雑木林をしっかり保全していく必要があると考えますが、いかがでありましょうか。また、農地は潜在的緑地であるという視点から、農林省及び環境庁の双方に明快な御答弁をお願いいたします。  さらにまた、第二次国土利用計画が全く無視されているという現状を国土庁はどう受けとめていらっしゃるのかということでありますが、昭和六十年の国土利用計画、この中でも「地域類型別の国土利用の基本方向」、その中の「都市」という中に、「オープンスペースの確保、自然条件や防災施設の整備状況を考慮した土地利用への誘導等により、災害に対する安全性を高め、」云々、こう書いてあるわけであります。そうしたいろいろな国土利用計画があったわけでありますが、第三次国土利用計画が間もなく始まるわけでありまして、こうしたいろいろなことを考えますと、単に過去十年間の事実を追認して、それだけに終わって新たな国土計画がなされてしまうのかどうか、国土庁さんにもお伺いをしたいと存じます。
  70. 廣井和之

    廣井説明員 御指摘されましたように、今回のこの震災におきましては、道路、鉄道などの交通網が寸断され、被災地への食糧供給に影響を与えたところでありますが、加えまして、都市の過密が災害による打撃を大きくした面があるといったことを踏まえますと、近郊に食糧の供給基地や美しい緑地空間といいますか緑のオープンスペースとしての機能を果たす農地を確保していくことが重要であるというふうに考えております。  大都市の近郊を見てみますと、これは都市の拡大に伴って農地に対する転用ニーズが高いものとなっております。いわゆる転用圧力といったことでありますが、その一方で、この地域は巨大な農産物のマーケットに隣接をしており、隣接するだけでなく包接しているとも言えます。多様な農業を展開することのできる可能性にも恵まれております。今後とも、この地域の農業の多彩な発展とも相まって農地の確保に努めてまいりたいと考えております。  また、昭和六十年の国土利用計画におきましては農地面積の目標が五百五十万ヘクタールとされておりますが、今申しましたような都市的土地需要の増加やまた農用地造成面積の減少などによりまして、農地面積は、平成四年で五百十六万ヘクタールとなっておるわけでございます。しかし、農地といったような資源は一たん壊された場合には、その回復には非常な困難を伴いますので、御指摘を踏まえまして、今後とも優良農地の整備確保により一層努めてまいりたいと考えております。
  71. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 先生御指摘のように、戦災復興都市計画においては緑地を大幅に確保するということが考え方として盛り込まれていたわけでございます。そうした意味において、緑地保全ということを計画的に進めていくということは大変重要であろうと考えております。環境基本計画においても、政府全体として都市地域における緑地保全への積極的な取り組みを盛り込み、その考え方を明らかにしておるところでございます。  建設省におきましても、昨年の七月に緑の政策大綱を取りまとめまして、二十一世紀初頭までに道路、公園などの公共空間における樹木を初めとする緑のストックを三倍にする目標、それから市街地における緑地の割合を三割以上確保しようという、二つの目標を掲げて積極的に取り組む体制をとっているところでございます。  環境庁といたしましても、環境保全の立場から、国土利用計画などの策定に当たりましてより積極的に緑地保全が図られるよう努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  72. 高橋賢二

    ○高橋説明員 国土利用計画についてでございますが、現在、昭和六十年に策定されました第二次計画でございますが、この目標年次が平成七年ということになっておりまして、本年中に新たな計画を策定することにしております。このため、現在、土地政策審議会に設置されました計画部会におきまして、国土利用をめぐる諸情勢の変化等さまざまな角度から調査審議をお願いしているところでございます。  御質問の、農地等の土地利用区分ごとの将来のあり方ということにつきましては、この計画部会におきます調査審議の結果等を踏まえまして、また都道府県の意見も踏まえつつ、今後具体的な内容の検討を進めることとしておりますが、その際、御指摘のような趣旨につきましても十分配意してまいりたいと思っています。  また、その適切な計画という中身とともに、実効性の確保ということもあろうかと思いますので、その点につきましても、この十年間の反省も踏まえまして十分検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  73. 福永信彦

    ○福永委員 ありがとうございます。  たまたま震災というかこうした大きなことがあったわけですから、それぞれの立場でしっかりお願いを申し上げたいと存じます。  大臣がお見えになったので、ひとつ大臣にお伺いしたいのでありますが、大正十二年に関東大震災という大変なことがあり、当時の東京市は面積にして四五%が焼失してしまったという大惨事でありますが、このとき、時の内務大臣の後藤新平さんが、いわゆる復旧ではない、もとに戻せば、当たり前ですがまた同じことを繰り返してしまう、したがって復興だということで、帝都復興計画というのをお立てになったわけであります。  かなり立派な計画ですが、すべてがそのとおり実行されたわけではない、種々の事情でだんだんだんだん縮小されたとはいえ、大変な大きな評判で、いまだに立派な計画であった、こう言われているのですが、ここに一枚の写真といいますか、これがあるのですが、これは実は、当時大きな公園を三つ、さらに小さな公園を五十二カ所、これは実行されたそうでありまして、大きな公園といいますと隅田に錦糸、浜町、この三つだそうですが、錦糸、浜町というのは、私今どこにあるかよくわかりませんが、隅田というのはちょうど隅田川の川の両わきだそうでありまして、ずっと長く大きな公園をとっている。ところが、今は実際はその上に高速道路が走ってしまっている。皮肉な現象でありますが、この図は小さい方ですね、五十二カ所、いろいろな小さな公園を持ったその一つの例なんですけれども、ここに小学校がある。すぐ隣にこうした公園もある。いろいろな意味で役に立つ大変いいものであろうかと思うわけであります。  さらに、第二次世界大戦後の昭和二十二年に戦災復興計画というのがなされまして、先ほども質問申し上げたのですが、東京の四三%を緑地化しょうなんという、これはすばらしい構想であります。これが東京のそのときの図なんですが、後でごらんいただきたいと存じますが、この緑の部分がみんな緑地というこれほど大きな、ないしは道路の側道といいますか並木をつくってみたり線路の周りにずっと引いたり、大変いろいろな計画がなされて、これは実際にいろいろな事情でこれまたなくなってしまったのです。  そこで、大臣も施政方針演説の中で「自然と人間との共生の実現」、こう強くおっしゃっていただいているわけであります。まさに大物大臣をいただいている環境庁でありまして、これからこの復興はどうしていこうかと、長期的にいろいろなことをお考えになろうかと存じますが、ぜひ力を発揮していただいて、かつて五十年以上も前にみんながいろいろなことを考えた立派な例もあるわけでありまして、これから将来を考えて、阪神地区もこうした緑とかいろいろなものをおとりをいただくようにぜひ関係各省に働きかけをお願いしたいと存じますが、このことに関して。
  74. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員が、関東大震災、それから戦後復興に向けての計画の中における緑地あるいは公園の必要性につき言及されたわけでございますが、基本的に私も全く同感でございます。  そして、神戸を今度もう一回町をつくり直すわけでありますが、震災に強い町づくりということになろうかと存じますが、同時に、それはやはり緑地地帯を多くするとか公園を多くすること、道路を広げること、そういった面の配慮が大変私は重要ではないかと存じますので、これから復興についてのメカニズム、枠組みもきょう閣議決定をいたしてスタートするわけでございますから、環境面からもこれは耐震に大変影響することであるということは申し上げて、十分意見を反映させていきたい。そして、国際都市神戸にふさわしい耐震の町であると同時に、環境に優しい町づくりという意味で努力をさせていただくつもりでございます。
  75. 福永信彦

    ○福永委員 ありがとうございます。ぜひひとつ頑張っていただきたいと存じます。  先ほど我が党の野田委員の方から粉じんについていろいろお聞きをしたところでありますが、私は瓦れきの方についてちょっと一つだけお聞きしたいと存じます。  今申し上げた、第二次世界大戦後の戦後復興事業では、余りにも経費を節約するということによって、終戦直後ですから船運の衰退によって不要になってきた河川や運河に当時大量の瓦れきが実は投棄されてしまいました。あるいは埋め立てをされて、今から見れば江戸時代からの豊かな水辺空間がこうして東京からだんだん、もちろんそればかりでございませんがかなりなくなってしまった。  今回の震災でも大量の瓦れき処理が大きな問題になっておりますが、特に環境保全の観点から、投棄すべきでない場所に投棄が行われるといったようなことが絶対ないように、環境問題につながるような処分方法は、事が緊急であるとはいえ将来的にはそれでは必ずまた問題が起きます。環境保全ということを十分考えてそういうことがないように政府として徹底して監視していく必要があろうと思いますが、この点についてお答えいただければ。
  76. 宮下創平

    宮下国務大臣 大量の瓦れき処理ということになりますれば、その廃棄場所が問題になります。まだ県ないし神戸市等においてどこにどれだけ投棄できるかという具体的な計画は承っておりませんけれども、フェニックス計画の一部も当てられるとかいろいろ言われておりますが、私どもとしては、今委員の御指摘のように環境汚染されるという、これは短期的にも中期的にも長期的にもそういうことがあってはならないわけでございますから、投棄の場所その他具体的な計画がつくられるときには、十分私どもも連絡をとり合って環境面の配慮が十分行き渡るような対応を側面的にしていきたい、こう思っております。
  77. 福永信彦

    ○福永委員 最後の質問になりますが、六甲アイランドやポートアイランドなど埋め立てによる臨海開発地域では、液状化現象によって今回至るところで大きな地割れや陥没が発生しております用地震による液状化対策が不十分だったということよりも、自然の立地条件から余りにも離れた開発そのものにやはり問題があったのではないかと思うわけであります。  運輸省においては、人工海浜や人工干潟など自然環境の復元に最近取り組んでいるようでありますが、東京湾のように、もう自然の干潟が埋め立てによってほとんどなくなってしまった湾もあるわけてあります。防災的な観点、環境保全の観点双方から、液状化対策の強化云々というよりも、埋立事業そのものを再検討する必要があるのではないでしょうか。  環境保全という観点から、今回のことを契機に、埋め立てによる自然環境への悪影響、さっきお聞きしたとおりでありますが、そうしたこともこれから一生懸命頑張っていただきたいと思う次第でありまして、もう時間がありませんので、このことをちょっとお答えだけいただきたいのです。
  78. 宮下創平

    宮下国務大臣 御趣意は委員のおっしゃるとおりでございますから、そうした方向で今後とも努力させていただきます。
  79. 福永信彦

    ○福永委員 終わります。
  80. 阿部昭吾

    阿部委員長 斉藤鉄夫君。
  81. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 新進党の斉藤鉄夫でございます。  新進党では明日の内閣、トゥモローキャビネットというのをつくりまして、私はその環境担当の政務補佐官ということになりました。ちなみに、大臣に相当するのが担当、これは参議院の高桑先生がされまして、政務次官に相当する副担当、これはこの委員会理事でございます石破先生、大野先生がされます。私はその下で政務補佐官ということでございまして、トゥデーズキャビネット、本当の内閣の宮下長官に対して今後論戦を挑んでいきたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。  きょうは、主に土壌汚染土壌環境について質問をさせていただきたいと思っておりますが、最初に、その問題に入る前に、阪神大震災に関連した、ちょっと細かい問題になりますが質疑をさせていただきます。  午前中、同僚の長浜議員の方から、瓦れき処理、またその処分に関しての環境的な課題について総括的な質問がございました。私は、ちょっと立ち入りますけれども一つはいわゆるアスベストの問題でございます。  私も現地に行ってまいりました。ビルの鉄骨がそのまま倒れている、その鉄骨に吹きつけられている耐火被覆、アスベストの中でも発がん性が特に高いと言われているクロシドライト、これが子供さんたちが歩く道路に放置されているという現場も私は見てまいりました。この点、被災者の方の大きな健康問題、環境問題だと思いますので、この点について環境庁としてどのような対策をとられているのか、まずお聞きさせていただきます。
  82. 宮下創平

    宮下国務大臣 アスベスト問題は、先月の末ぐらいに問題提起されておりまして、私どもアスベスト自体は発がん性の強い物質である、おそれの強い物質であるというように認識をいたしておりますから、早速私、建設大臣並びに労働大臣お願いをいたしまして、その対応策を協議したところでございますが、つまり建設大臣の方としては、あの瓦れき処理その他半壊の建物を全部壊して処理することは全部公費でやるということになりますから、必ず処理業者が申請をしてまいりますね。そのときに徹底的な指導をしていただきたいということ、それから労働省では現場において労働安全の問題もございますから、そういった面から指導していただきたいということを直ちにお願いをいたしまして、それぞれの対応をいたしていただいておるところでございます。しかし、これから一千万立米以上に及ぶと言われる瓦れき処理の中に、古い建物等ではアスベストをかなり使っておると思われる節もございますので、なお注意をしていく必要がございます。  環境庁としては、今職員を派遣いたしまして、大気と水のモニタリング調査をやっておりますが、特に大気のうち、十八ばかりの町村につきましてはアスベストの濃度の測定等をやっておりまして、こうした状況を見ながら適切な対応をしていきたい。  どういう対応策があるかということでございますけれども、なかなか聞いてみましても、水で飛散する状況防止しながら処理するとか、あるいは覆いをするとかカバーを使うとかいろいろあるようでございますが、いずれにいたしましても市民の人たちにもそういったことをよく知らしめて、そして健康被害に影響のないような形で、これは実施業者もまたそこらを通られる方々に対しても注意を喚起しておいた方がよろしいかなというように思っております。  なお、これはアスベストだけの問題ではございませんが、アスベスト粉じんの問題それから風邪の予防のために三十万個のマスクを環境庁として供与はいたしておるところでございます。  アスベスト問題、大変重要な問題でございますから、今後も引き続きウォッチングしてまいりたいと思っております。
  83. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 よろしくお願いいたします。  それから、これは環境庁に直接関係ないかもしれません、通産省関係した問題かもしれませんが、私も現地を見たときに電柱がたくさん倒れておりました。現地の人から、倒れた電柱の上にあるトランス、変圧器ですけれども、あの中にはコンデンサーが入っております。昔のコンデンサーにはPCBが使われておりました、今はもう使われておりませんけれども。そのPCBの問題は大丈夫かというふうに現地の方から聞かれました。  トランスが飛散している例はないので、電力会社がそのトランスを一つ一つ回収していけば全然問題ないかと思いますが、何かブルドーザーで廃棄物を全部一緒くたに処理するときにそのトランスと一般廃棄物が一緒になって、中に古いトランスがあって、中にPCBが残っていて廃棄物として一緒に処理されて、それが将来の土壌汚染なりそういう問題につながらないかとか、またそのときにトランスが壊れて、そういうことはないと思いますが、空気中にそれが出てしまう、それでの環境、健康問題は生じないかというふうな心配をされている方がいらっしゃいましたので、その点についてどういうふうな処置をされているかお聞きしたいと思います。
  84. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 お答えをいたします。  御指摘のトランスは絶縁油に微量PCBを含んだものでございますけれども通産省が関西電力を通じまして把握したところでは、電柱が倒壊したものでトランスの容器が破損したものはないということでございますけれども、これらのトランスにつきましては現在分別回収中というふうに聞いております。  なお、先ほど大臣から申し上げたことでございますが、環境庁におきましては、今回の地震によりまして、有害物質を取り扱う工場や有害物質を含む機器が被災をしまして有害物質の漏出等による環境汚染が生じていないかどうかを確認するために、PCB等を含みます二十八項目につきまして河川及び地下水のモニタリング調査を行うことといたしておりまして、今後、関係省庁とも連携をとりながら、環境保全上遺漏のないように適切に対処してまいりたいと存じております。
  85. 杉原誠

    ○杉原説明員 御説明申し上げます。  今回の地震災害によりまして、関西電力の数千本の電柱に被害があった模様でございますけれども、これらの電柱数本に一個の割合で柱上変圧器が設置されております。この柱上変圧器の絶縁油の中には数十ppm程度の微量のPCBが含まれているものもございます。また、委員指摘のコンデンサーにつきましては、柱上には設置されておりませんので、その旨御了解いただきたいと思います。  柱上変圧器につきましては、鉄製でふたはボルトによりまして強固に封印されておりまして、一般的には倒壊等による衝撃で柱上の絶縁油が漏れ出すようなことはないと考えられております。今般の災害による被害の詳細についてはまだ十分把握されておりませず、現在調査中でございますが、先ほど環境庁の方から御説明がございましたように、関西電力によりますれば、これまでの調査では、電柱の倒壊により絶縁油が漏れ出したものはないということでございました。  私どもとしては、通産局を通じまして、PCBを含めて有害物質を使用している設備につきましては、電力会社を含めまして適切な取り扱いをするよう指導しているところでございます。倒壊した電柱のトランスの絶縁油につきましても、倒壊したトランスの回収を含めまして今後とも適切な取り扱いがなされますように、引き続き指導してまいりたいと考えております。
  86. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 地元の方も心配されていらっしゃる方もいらっしゃいますので、よろしく対処方お願いいたします。  それからもう一つ、私学生時代、放射性物質を使って実験をしておりましたので、こういう地震がありますと、放射性物質が紛失したりなくなったりした事件、こういう事例があるのじゃないかというのがすぐ頭に思い浮かぶわけですが、特に阪神地区は工場がありまして、その工場の非破壊検査等で大きなRI、ラジオアイソトープが使われております。その放射性物質が今回の震災で紛失したり、またそれによって一般の方が被曝する、そういう心配がないかどうか、私も気にかけているのですが、その点についてはいかがでございましょうか。
  87. 矢野周作

    ○矢野説明員 お答え申し上げます。  地震等によりまして放射線障害のおそれがあるなどの際には、私どもが所管をいたしております放射線障害防止法に基づきまして、その旨を科学技術庁に連絡するということを事業所に義務づけておるわけでございますが、今回の地震に関しましては、科学技術庁にそのような連絡はございませんでした。  一方、科学技術庁といたしましては、安全確認のため、今回の地震後直ちに当該地域の事業所に電話連絡を行ったところでございますが、どの事業所からも放射線障害のおそれがない、こういった連絡を受けております。  これらのうち地震の影響が大きいと思われます地域の事業所につきましては、さらに念のため直接出向いて調査を行ったところでございます。その結果でございますけれども、一部の事業所の放射線施設には亀裂等の損傷が見られておりますけれども、先生御指摘のような、放射性物質が紛失いたしましたとか瓦れきに埋もれてわからなくなったとかあるいは環境中に放出された、そういったことはございませんでした。  以上でございます。
  88. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 よくわかりました。放射性物質が紛失していないというのは、本当に不幸中の幸いだと思います。  阪神大震災に関連して最後の質問ですが、いわゆる有害廃棄物の最終処分場、多くはコンクリート遮断槽による最終処分場だと思いますが、そのコンクリートの壁にひびが入ったり、また何らかの衝撃で壊れたりして有害物質が外に漏れ出したりしている、そういう事例はないか。有害廃棄物処理保管施設の被害について把握をされていれば、お答えを願いたいと思います。
  89. 木下正明

    ○木下説明員 御説明いたします。  今回の地震の被災地には、有害廃棄物の処分場でございます遮断型の廃棄物最終処分場が神戸市及び明石市の両箇所、それぞれ一カ所ずつ設置されてございます。しかしながら、今回の地震におきまして、両処分場とも被害は生じておりませんという報告を受けているところでございます。
  90. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 わかりました。阪神大震災関連の質問は、これで終わりにさせていただきます。  本題に入りまして、きょうは土壌環境土壌汚染について、ここで議論をさせていただきたいと思います。  環境行政といいますと、大気それから水、この二つが主だと思うわけでございます。土壌、土質、土というのは、余り環境行政の中で語られることがない、このような気がするわけでございますが、私は、この土壌、土地というのは非常に重要な環境要素である、このように思っております。  昔、この世界を構成する元素は、地、水、火、風、空の五元素だという話がございました。よく考えてみると、元素というよりも、私はこの地、水、火、風、空というのは、環境要素なんじゃないかなというふうな気がします。その最初に地、大地が出てきているわけでございます。次が水、次が火ですからエネルギー、太陽エネルギーでしょうか、風が空気、空が空間、こういうことで、まさに環境庁が所管すべき環境の五大要素というふうに考えてもいいかと思うわけです。  その最初に地、大地、土壌が出ている。私たちが踏み締めているこの大地に、足の、靴の下に何億という生物が潜んでいると言われておりまして、生態系の中で非常に重要な要素を占めております。大地から植物が成長する、それを動物が食べる、またその動物を動物が食べる、そして動物は死んで大地に返る、その大地にいる無数の微生物がそれを分解して、それをまた植物が栄養分としながら成長する。まさに生態系のかなめにあるのがこの土壌、大地であるというふうに私は思うわけです。  また、水という問題に関連しましても、降った雨を浄化するのはやはり大地ですし、その降った雨を浄化しながら涵養し、保水をするのも大地でございまして、水という観点からもこの大地、土壌というのは非常に大事ではないか、こう思うわけでございます。  何億年という極めて長い年月をかけてつくり上げられてきた土壌、それに対して今まで余り環境行政の目が、環境行政の光が当てられていなかったというふうに私は感ずるわけでございますが、大臣、この土壌というものに対して、環境行政の責任者の立場としてどのようにお考えか、漠然とした質問で申しわけないですが、よろしくお願いいたします。
  91. 宮下創平

    宮下国務大臣 我々の存在する地球は、大気、水、土壌等々でありまして、今委員指摘のように、土壌というのは確かにおっしゃるとおり我々の食糧を生産してもらえるし、またいろいろな森林資源を大地が育ててくれたり、また今御指摘のように、水の浄化作用その他も持っております。大変基礎的な我々の生存の基盤であることは間違いございません。  従来、ややもしますと、環境行政としては大気とか水とか個別な化学物質等々に重点が置かれてまいりました。これはまたそれなりの工業化過程における歴史的な必然性があったと存じますけれども、これからはやはり大気、水、土壌、これを全体としてとらえていく。そして私ども、今度の環境基本計画の中で「循環」ということを申しておりますけれども、これは広い意味で、地球の生態系自体が健全な循環関係になければならぬということを私は根底に持っていると思うんですね。よく循環といいますと、大量生産、大量消費、大量廃棄の廃棄物の循環みたいに狭くとられがちでありますが、地球のこの生態系の循環体系、これがやはり急速な工業化あるいは工業文明によって侵されつつあるということが、識者の間でも非常に危機感を持って見られております。私もそのとおりだと思うんですね。  したがって、大気でいえば温暖化、国境のない世界の防止策。水でいえばそれの浄化等々。大地も、工業化過程で有害な化学物質等が浸透したりすることは間々ございました。今、絶無とは言えません。そういう意味で、土壌汚染の問題は、これは農村地帯もさることながら、都会地における、この我々の住む土壌の問題等々、注意深くひとつアプローチしていかなければならない領域だ、このように思っております。
  92. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 まさに大臣おっしゃるとおり、土壌環境にも今後力を入れてやっていただきたいと思います。  今の御答弁の中にもありましたけれども、このような大事な土壌、我々の安全な生存になくてはならない健康な土壌というものが最近むしばまれつつあるということがわかってまいりました。農地につきましては農用地土壌汚染防止法があって、かなり前から規制がかかっていたと思うんですが、いわゆる一般の土地についてはほとんど何も今まで目が向けられていなかった。  これはちょっと古い資料ですが、環境庁水質保全局土壌農業課の調査によりますと、これは平成五年の十月の発表ですから、ちょっと古い資料になりますけれども調査した「百十八の地方公共団体のうち、五十九の地方公共団体から、合計百七十七件の土壌汚染事例が報告された。」という報告がございます。汚染物質としては、鉛、六価クロム、水銀等の重金属、そして最近はトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、いわゆる半導体の洗浄に使う物質ですけれども、こういうもので土壌汚染されている、こういう報告がございます。汚染事例百七十七件のうち七十五件、半分に近い七十五件が、「土壌汚染に伴い土壌以外の周辺環境に影響を及ぼしている」。つまり、地下水汚染であるとか伏流水汚染、表流水汚染というものを引き起こしているわけでございます。  こういう我々の安全な生存にとって非常に大事な土壌がこのような形で汚染されている。ゆゆしき問題だと私は考えるわけですが、現在この土壌汚染規制する法体系、法律はどのようになっているのか、法的な枠組みについて御質問をします。
  93. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 今言われましたように、農用地につきましては農用地土壌汚染防止法という法律がございまして、その法律に基づきまして対策が行われているところでございますが、市街地の土壌汚染につきましては、農用地のような法的な枠組みは現在設けられておりません。  しかしながら、近年、地下水の監視などを通じまして市街地の土壌汚染が判明する事例が多くなってきておりますことから、環境庁内に学識経験者から成ります七壌環境保全対策懇談会というものを設けまして、制度のあり方なども含めまして幅広い調査検討を行ってきているところでございます。  ただ、この問題につきましては、アメリカなんかでもスーパーファンド法がございますが、いろいろ難しい点がございます。このような制度の検討とあわせまして、市街地土壌汚染の的確な把握がまず必要でございますので、その把握と対策の推進ということで、昨年の十一月、このための技術指針というのを策定いたしまして、これを都道府県に対しまして指導しているところでございます。今後、これを参考に各地におきまして対策がなされるよう、鋭意指導に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  94. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 そうしますと、法体系はないけれども行政指導で何とか対応している、こういうことではないかと思います。  空気には大気汚染防止法がございますし、水には水質汚濁防止法がございます。しかし、土壌汚染については、また土壌環境については、水質汚濁防止法に関連した地下水との関連で先ほど御答弁がありましたように基準があるだけで、調査の権限もありませんし、汚染が見つかったときにその汚染を除去する費用負担を規定する担保もございません。  先ほどアメリカのスーパーファンド法の話が出ましたけれども、欧米では調査権、また汚染が見つかったときの除去の負担者、それは汚染をした人だけではなく、汚染をした企業に融資をした銀行まで責任を問われるという非常に厳しいものだそうでございますが、こういう欧米の状態を見ますと、日本は甚だ土壌環境においては後退したといいましょうか、後進国だと言わざるを得ないわけでございます。  今後、先ほどの質問とちょっとダブりますけれども調査権限また費用負担、そういうものもきちんと明記した法的な体系、ある意味で大気汚染防止法水質汚濁防止法に匹敵するような強制権限を持った法体系をつくるおつもりがあるのかどうか、できれば大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  95. 宮下創平

    宮下国務大臣 農地につきまして、今水質保全局長の答弁のとおりでございまして、法律がございます。しかし、都会地の工場跡地でありますとか住宅地の跡地等々の土壌がどういう状況にあるか、二十五の物質くらいを規制をして基準値だけは決めておりますけれども調査の問題も聞いてみますと技術的に非常に難しいようでございます。しかし、明確になっているような場合はきちっと対応をしなければなりません。しかし、なかなかそれを明確にできないという問題も技術的な問題としてあるようでございます。  いずれにいたしましても、有害な化学物質であることは、基準値を環境庁は定めておりますから、基準値以上のものが存在することは好ましいことではございません。今局長の言われたように懇談会等で検討中でございますから、それらの手法を含めてひとつ検討してまいりたいと思います。  ただ、今何にもできないかというとそうではございませんで、基準をつくりまして、地方公共団体等におきましてこの指針に基づきまして一定の調査報告を行っていただけるように指導をいたし、またそういった指導は当然環境行政の一環としてできるわけでございますから、それを進めつつ、今後どういう形で土壌汚染にアプローチしていくか、技術的な問題を含めて解明をすべき問題だと考えております。
  96. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ぜひアメリカのスーパーファンド法に匹敵するような日本土壌環境を守る法体系を整備するべく御努力いただきたい、このように御要望申し上げます。  それで、アメリカはスーパーファンド法という法律ができて法体系が整備された。法体系が整備されたのに端を発して技術開発が非常に進んだと言われております。それは、土壌汚染が見つかったときにその汚染をどういうふうに除去していくか、その技術でいろいろな種類があるそうですけれども、こういう技術開発が非常に進んでいる。  しかし日本は、そういう法体系がないがゆえにモチベーションがないといいましょうか、モチベーションフォースがないからといいましょうか、技術開発が進んでいない。土壌汚染が見つかると全部それを掘り出してどこかへ持っていく。どこかへ持っていくといいましても、汚染された土壌が移動しただけでございまして、地球全体から見れば何ら変わっていない。人間がいないところに持っていくというだけの話でございますので、それをもっと根本的に解決するような技術開発というものも必要かと思うのですが、日本はその技術開発も非常におくれている、こう言われております。  今後、環境庁がリーダーシップをとってそういう技術開発が行われるように、そのために私は法体系をきちっとすることがまず先決だと思いますが、それを待っていますと非常に遠い先の将来になりますので、その技術開発について国がリーダーシップを持って取り組んでいくべきだ、このように考えます。  そうはいいましても、すべての技術開発を国がやるというのもおかしな話でございます。国と民間が役割を分担しながら研究開発を進めていくべきだと思うのですが、その研究開発の現状といいましょうか、現状がどうなっているのか、それに対して環境庁がどういうイニシアチブをとり、リーダーシップをとっているのか、また民間と国の研究開発の役割の違い、こういうことについて御質問をいたします。
  97. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 まず、法的の方で、スーパーファンドの方につきましてちょっと申し述べたいと思うのですが、先生言われたようにかなりトラスチックな法律でございまして、いろいろ問題が生じてきているのも事実のようでございます。そういうことで、ことし改正法案も出したところでございますが、これは廃案になったというような事情もありまして、要はやはり費用負担の問題と実施主体の問題が一番問題であろうということで、私どもも、それにつきまして十分そういう事例も踏まえながら今後調査検討していきたいというふうに思っておるところでございます。  それから、技術開発の問題でございますが、汚染土壌の封じ込めだけではございませんで、無害化に関する技術につきましては、アメリカなどにおきまして有機塩素系化合物の汚染対応した土壌ガス吸引法でありますとか、汚染物質の微生物や加熱処理によります分解技術など、多様な技術が開発されてきておりまして、実用化されているものもございます。  我が国におきましては、これらの技術の導入などがなされておりまして、今回、昨年の十一月ですが、発表いたしました技術指針におきましても、国内で実用化段階にあるものとして有機塩素系化合物の汚染対応しました土壌ガス吸引法が採用されているところでございます。  このように、新しい無害化の技術の開発や普及を促進していくためには、その技術の有効性や適応性などを評価していく必要がございまして、現在微生物や加熱処理による汚染物質の分解技術などにつきまして評価、検討を行っているところでございます。  なお、今後一層の新技術の開発、普及を促進していくために、このような新技術の評価、検討とあわせまして、環境庁といたしましても、来年度から新たに汚染現地でその技術を実際に適用することにより、その技術がどのような条件のもとで効果を発揮できるのか、それから技術を用いる際の留意すべき点は何かといった点を総合的に検討していきたいと考えておりまして、その結果を踏まえまして技術指針をさらに充実していくということで反映させていきたいというふうに考えております。
  98. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 国と民間の役割分担についてちょっとよく理解できなかったのですが、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。  技術開発の主体はあくまでも民間だ、しかし民間が個々ばらばらに技術開発するのは非常にむだが多いから、ある程度の組合なりコンソーシアムみたいなものをつくって一つ委員会のようなものをつくり、そこで全体の研究計画を立てる、そこでリーダーシップを発揮するのが環境庁だ、こういう理解でよろしいのですか。
  99. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 概要は今先に言われたようなことでございまして、要は、やはり民間が中心に新技術を導入していく。それで、その導入されました新技術につきまして、それを実際に適用するに際して、今申しましたように、どのような条件のもとで効果が発揮されるのかとか留意すべき点は何であるか、そういう点を我が方がまとめまして、それを広く知らせていきたい。それで、実際に技術指針という形で知らせていきまして土壌汚染技術というものを確立していくということでございます。
  100. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 よくわかりました。  具体的な事例にのっとって、ちょっと議論を進めていきたいのです。  実は最近、広島市の埋立地の公園の地下で砒素化合物が基準の三百五十倍、土壌汚染をしているという事例が見つかりました。この砒素化合物は、大久野島で戦争中つくられていた毒ガスの中間材料でございますジフェニルアルシン酸というものだそうです。それが百二十トン、ドラム缶にして千数百本、コンクリートの遮断槽に二十年前に埋設処理をしていたものだそうですが、これが何らかの原因で遮断槽が機能しなくなって、砒素化合物が周辺土壌に漏れ出した。たまたまそこに道路をつくる計画がございまして、その土壌調査をした、それで判明をしたという事例がございました。  これは、いろいろな問題を提起しているのではないかと思います。この問題、実は広島県が三十億円の予算をとって、初年度は十二億円だそうですが、コンクリート遮断槽も含めて汚染土壌を全部そこから撤去する。どこへ持っていくかはまだはっきりしておりませんけれども、そういう計画がございます。  そこで、一つ土壌汚染が判明したときの国と地方自治体の役割分担ということでございますが、事例によってもちろん違うと思います。しかし、この場合は毒ガスでございまして、せんじ詰めれば原因者は国でございます。その国が原因者の土壌汚染が判明したときに、現実には今広島県が対応している、県の費用負担で何らかの処置をしようとしているわけでございますが、そのときの国、環境庁もしくは厚生省、その役割分担がどうあるべきかということについての基本的な考え方は今あるのでしょうか。
  101. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 国と地方公共団体の役割分担でございますが、私ども考えておりますのは、国といたしましては、先ほど申し述べましたように、昨年の十一月、技術指針を出しまして、土壌汚染調査対策に活用してほしいということで地方公共団体を指導している。ひとつの方針を出すというのは国の役目であろうと考えております。また、地方公共団体はこの指針を参考にいたしまして、土壌汚染のおそれがあります土地について事業者に対して現地状況に応じた調査を指導する。その結果、土壌環境基準に適合しない土壌の存在が明らかになりますれば、その汚染の程度や広がり、影響の態様等に応じまして適切な対策の実施を事業者にとらせるということで、国といたしましては基本的な指針を示す、地方公共団体はその指針を参考にして事業者に対して適切な指導を行うということであろうと考えております。
  102. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 今回の広島県の場合のような、原因者が国である、国がつくった毒ガス。経緯を調べてみますと、戦争終了後、原材料は民間に払い下げられて、民間の倉庫でずっと野積みされていた。それを県が、見かねてという表現がいいかどうかわかりませんが、県が所有権を譲り受けて処分をした。そういう意味では、今回も非常に複雑な事例で、国に責任があるということはなかなか言えないのですけれども、しかしもともと国がつくった毒ガスである、一たん民間に行ったとはいえ、それが野積みされていた状態で、それを何らかの処置をしなければいけないと考えるべきなのは国であったのではないか、こういうふうな意見もあるわけです。  この点について、特に物が毒ガスだ、旧陸軍がつくった毒ガスだ、こういうことを考慮したときに、今回国が果たすべき役割というのは、何もしなくていいのでしょうか。
  103. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 今先生が申されたように、広島県の方から事業者の方に払い渡されたという経緯がございます。ただ、旧陸軍のものでございまして、それがどういう経緯で広島県の方に行ったか、その辺の経緯は定かではないわけでございます。はっきりしておりますのは、昭和二十六年に広島県から広島市内の事業者に対しましてこのジフェニルアルシン酸の払い下げが行われた、それでその事業者が有効利用しないで野積みにしていた、そういうことで広島県の方が事業者から所有権を放棄させて引き取った、それで県が埋め立て処理を行ってきた、そういう経緯があるわけでございます。  そういうことで、私どもも実はこのことを知りましたのはつい最近でございます。そういう意味で、国の責任というこの問題についても、ちょっと他の問題とは違うのではないかというふうに考えております。
  104. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 この毒ガスについて、多量のそういう廃棄物といいましょうか、最終製品である毒ガスそのものも、またその中間材として存在するいろいろな砒素化合物も、かなりの量がいろいろなところに処分をされている、こう言われております。今後、重大な土壌汚染なり環境汚染をもたらす可能性があるわけですけれども環境庁としては毒ガスのそれらの廃棄物がどこにどのようにあるのか、どれだけあるのか、そういう点を把握されておりますでしょうか。
  105. 大西孝夫

    ○大西政府委員 御説明申し上げます。  古い話になりますが、昭和四十七年、当時の佐藤総理のときにこの毒ガスの問題が大変大きな問題になりました。関係省庁がいろいろ協力しまして、環境庁と内閣官房がお世話役になりましてこの調査をいたしたことがございます。ただ、その当時、既に極めて高度の機密に属しておったということもありまして、その書類等はもう処分されておりまして、どこにどれだけあるのだというのはなかなか把握が難しかったというのが実態でございます。  ただ、その調査の結果わかったことは、終戦時に毒ガス弾等で保有していたとされる地点が全国で十八カ所ございました。焼却破壊あるいは海洋投棄という方法によって処理されたというふうに見られております。  それで、海洋投棄された八海域につきましては、五海域では非常に深いところへ埋めましたので問題はなかろう、三海域は掃海をした、二海域は実地探査がなされて安全上の措置が講じられていたという結果を得たということでございます。  その後、一応そういう環境庁を世話役とする組織は残っておりますが、個別のケースとして、例えば富津沖で網にひっかかって出てきたというようなケースのときに対応はいたしておりますが、それ以外にどこに何があるのかということは正直言って把握できておりません。  以上でございます。
  106. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 そうしますと、どこにどれだけあるかはわからないし、したがって、何の管理もしていない、わからないから管理していないのは当たり前ですけれども、という御答弁だったのではないかと思いますが、非常に大きな問題だと思うわけです。今後、何らかの調査なりをされる予定があるのかどうか。今回の広島県のような問題も、今後大きく出てくると思います。たくさん出てくると思います。今後の予定調査をするおつもりがあるのかどうか。  私としては、他の関係官庁、これは環境庁だけで対応できる問題ではないと思います。戦後問題にも関係しできますので、他の関係省庁に働きかけて何らかの体制をつくるべきではないかと思いますが、その点についてお伺いします。
  107. 大西孝夫

    ○大西政府委員 先生御指摘の点が大変重要な問題であることは私ども承知しておりますが、その四十七年の調査当時の状況からいいまして、なかなか新たにいろいろ結果を出せるかどうかは自信がございません。ただ、せっかくの御指摘でございますし、私どもは、これでおしまいということではございませんので、引き続き関心を持ってこの問題については留意をしてまいりたいと思いますが、今すぐ調査をするということは近日中の予定にはございません。  せっかくの御指摘として、承っておきたいと思います。
  108. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ちょっと質問が前後して申しわけないのですが、今回の広島の事例について、環境庁はこれをどのようにして知り、だれから報告を受けたか、またどのような処置を下されたか、その点について、ちょっと質問が前後しますが、お願いします。
  109. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 この件でございますけれども、私どもに広島県から報告がありましたのは二月の一日でございます。  これからの話でございますけれども、具体的な処理計画につきましては現在広島県で策定中であると聞いておりまして、環境庁といたしましては、この処理を行うに際しまして、周辺環境に悪影響を及ぼさないように必要なモニタリングが行われますとともに、環境保全上、適正な処理がなされるように、県に対しまして必要な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
  110. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 広島県民の中には、国が原因でつくった毒ガス、今回のその処置についても国が責任を持って国の費用でやるべきではないかという意見がございます。非常に端的な指摘ではないかと思いますが、それに対してどのようにお答えになりますでしょうか。
  111. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 先ほど御答弁申しましたように、本件につきましては、一般のものと違いまして、経緯からいいまして、県が業者に払い渡し、それをまた県が所有し、なおかつ県の責任でもって今まで管理してきた、そういう経緯があるものでございますから、なかなか一般論としての国の責任というのは難しいのではないかというふうに考えております。
  112. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 そうしますと、今後、毒ガス、いろいろな毒ガス原材料による土壌汚染というものが見つかった場合、今回は県が関与してきた、そういういきさつがございましたけれども、そうでない場合、一般的な場合は、その土壌汚染はだれが費用負担をして、どのように処理をするのか、その点についてお伺いします。
  113. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 先ほど先生が言われましたように、アメリカのスーパーファンド法などでは、負担者といいますのは、過去の所有者並びに発生者、現在の所有者並びにお金を貸しました金融業者まで、非常に幅広いものになっているわけでございます。  現在、そういう法的な枠組みがないわけでございます。ただ、こういう旧陸軍の問題につきまして、だれがどのような負担をするかという問題、これは関係する省庁も多うございますし、ちょっと私ども環境庁だけでなかなか答えにくい問題でございます。先生のお話を承りまして、その辺は検討したいと思っております。
  114. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その点、よろしく御検討をお願いいたします。  環境行政に直接関係ないのですが、きょうの朝日新聞の三面にも、旧日本軍が中国大陸に放置した毒ガス弾の話が出てきております。これからはちょっと大臣に、環境庁長官というよりも政治家としてどのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。  今国会で化学兵器禁止条約が予定されておりますが、これが発効しますと、過去に他国に遺棄した化学兵器については、条約の発効から十年以内に遺棄した国が廃棄しなければならない。また、中国においても、いろいろな土壌汚染を引き起こしている、その原材料なり毒ガスが土壌汚染を起こしているという事例も報告されているそうでございます。  ちょうどことしが戦後五十年という区切りにもなります。この戦後五十年、戦後処理という問題も絡めて、この大久野島の毒ガス弾、それがもたらしている土壌汚染、またこの中国大陸の毒ガス弾、それがもたらしている土壌汚染、これに対して日本としてどういうふうにしていかなければいけないか。環境庁としてはなかなか答えにくいんだというふうに環境庁の方がおっしゃっていましたけれども、政治家としてというふうに言うと大変御無礼になりますが、お考えをお聞かせ願えればと思います。
  115. 宮下創平

    宮下国務大臣 まず第一の、広島の出島東公園内の問題は、今局長からるる経過その他の説明をいたしましたように、これは広島県が二十六年に民間業者に払い下げ、四十八年には所有者に所有権を放棄させまして、埋立処理をやっております。  これは恐らく中間的な、最終製品ではないようでございますが、くしゃみ性ガスの中間製品だと思いますが、そういったこともございまして処理をし、そしてまたモニタリング等をやって特に異常を認められなかったということでございますが、今回、六十三年に港湾計画を立てまして、その地域が道路の予定地になるというような問題等があって顕在化したものでございまして、先ほど申しましたように、今月の当初に連絡がありまして、私としては、こういう問題はやはり環境行政としてもゆるがせにできませんから、早期に実地に行って調べてこいということを命じてあります。いろいろ都合で今あれですが、これは、早期に一回現地を見て対応措置を検討したいと思っています。  それから、国内におけるいろいろな諸問題についてのさっきの調査の問題がありましたが、四十七年に各省庁の調査を一応やって、大筋では先ほど説明したとおりのことだと存じます。しかし、その後十年以上も経過いたしておりますから、地域ではそういうものがあるんじゃないかなということは、あるいは県あるいは市町村あたりは薄々感じておるケースもあるのかもわかりませんね。ですから、これは調査をどういう形でやるかはともかくとして、そういう状況を把握することも環境行政上やはりこれは必要なことではないかと思いますから、ちょっと工夫をさせていただいて、伝聞による証拠等々に多少はなるかと存じますが、そういうものがあるかないか、照会等をある程度行ってみたいなという感じを持っております。  それから中国の、旧日本軍の使いました毒ガスの残留物が中国にかなりあるということは言われております。これはもう環境庁長官ということでなしにということでございますから、率直にお話し申し上げますと、防衛庁長官のときにその問題が提起されまして、専門家を一回派遣したことがあります。これは環境というよりも、国際的に見ても、やはり中国で日本軍がそういう毒ガスを放置して敗戦になったわけでありますから、その処分については責任なしと私はしないと思うのです、個人的に考えて。したがって、この問題の処理は、放置された毒ガスその他の状況にもよりますけれども、まず日本がその究明に手をかすというか協力をして、そしてその実態を明らかにしていくということがまず必要かと存じますし、また、国際間の問題でありますから、適切な、日本として応分の対応措置をやはり検討しなければならぬ問題がなというように私は今感じておるところでございます。
  116. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 率直な御答弁ありがとうございました。  私も、この中国の毒ガス遺棄問題、日本責任を持って対応しなければいけない、その毒ガス問題がもたらした環境問題についても、きちんと日本が技術開発をしてその技術を中国へ持っていって解決をしなくてはいけない、このように考えておりますので、どうかよろしく御対処の方お願いしたいと思います。  今回、コンクリート遮断槽、広島の場合はコンクリート遮断槽が多分ひびが入ったんだろう、こう思います。それが、ひびから地下水が入ってその地下水に乗って砒素化合物が流れ出て周りを汚染してしまった。こういうコンクリート遮断槽というのは有害廃棄物の処分方法として全国で使われているわけでございますが、この例を見ますと、たった二十年でもうその遮断槽の機能をなくしているということがわかったわけでございまして、これはゆゆしき問題だな、このように思います。  この点につきまして、今後これまで建設されたコンクリート遮断槽についてもう一度検査なり点検をして見直す用意があるのか、その点につきましてお聞きしたいと思います。
  117. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 本件のコンクリート槽でございますが、これは現在の廃棄物処理法に基づく構造基準、これは昭和五十二年にできておりまして、それができる以前の昭和四十八年に建設されたものでございます。このようなことで、現在の構造基準でありますとか、昨年公表いたしました重金属等に係る土壌汚染調査対策指針で、コンクリート槽の強度、遮水性とも本件の場合に比べますとより安全な構造のものとなっております。  それから、封じ込めに当たりましても、原則といたしまして、産業廃棄物汚染土壌をあらかじめ水に溶け出さないように処理する、例えばセメントで固めるとか、それから重金属が安定化して溶け出さないようにするというようなことをいたしまして、その処理をしてなおかつコンクリートの方に埋めるということになっておりまして、現在の基準からいってこのような問題はないものというふうに考えております。
  118. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その基準は五十二年につくられたということでございますので、五十二年前に建設されたコンクリート遮断槽についてはいかがでしょうか。
  119. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 確かにこの広島のような事例がございますので、このような事例が全国にほかにあるかもしれません。今のところ私ども把握しておりません。こういうこともございますので、できるだけ把握するよう努力してみたいと思っております。
  120. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 この広島の場合も、二十年前に県が絶対安全だからというふうに住民を説得してつくらせたというふうに住民の方が言っていて、結局二十年たったら漏れ出していたということでございますので、行政の信用にかかわる問題でございます。五十二年以前に建てられたコンクリート遮断槽につきましても、今後大きな問題になってくると思われますので、環境庁の前向きな対応お願いしたいと思います。  最後の質問ですけれども、基本的に私、この有害廃棄物、トリクロロエチレンだとか今回の砒素化合物だとか、そういういろいろな有害廃棄物については、処分場で土壌汚染を起こさないためには、やはり毒性そのものをなくして捨てる、処分するということが根本的な解決になると思うわけです。この毒性そのものをなくす技術開発という点につきましては、環境庁それから厚生省、それぞれどのような技術開発努力もしくは技術開発のための行政指導をされておりますか。その点をお聞きしたいと思います。
  121. 木下正明

    ○木下説明員 御説明いたします。  厚生省におきましては、廃棄物の適正な処理の推進という観点から、従来より有害廃棄物処理技術の面につきまして調査研究を行ってきております。例えば、平成三年度からは、財団法人廃棄物研究財団に委託をいたしまして、特別管理産業廃棄物の指定、処理基準の策定に関する調査研究を実施しております。具体的には、平成四年度には、四塩化炭素等の有害な廃油につきまして、適正な焼却温度あるいは燃焼時間等に関しまして研究を行ってきたところでございます。  こうした成果は、昨年の九月に特別管理産業廃棄物の追加指定がございましたが、そういうところで活用をしております。また、このほかにも、専門家等の知見を活用しながら、有害廃棄物等の処理技術につきまして各種の研究を行ってきております。  今後ともその一層の推進を図りまして、有害な廃棄物の適正処理の推進を図ってまいりたい、このように考えております。
  122. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 汚染土壌の無害化に関します新技術でございますが、これは先生の方がよく御承知だと思いますが、アメリカなどにおきましては、土壌ガス吸引法、これは汚染地に井戸を掘りまして、それで井戸の中を減圧して気化した汚染物質を地上に吸い上げるというような方法でありますとか、あとは、PCB農業等に使われております土壌の加熱処理、それから、微生物による分解ということで、バイオレメデーションというような方法もいろいろあるわけでございます。  このような方法が、先ほど申しましたように民間等におきまして技術導入されてきているというような状況にございまして、環境庁といたしましても、そのような技術につきまして、実際に適用した場合の留意事項は何かというような、先ほど申し上げましたようなことでございますが、そのようなことを行いまして、技術指針というのを出しておりますので、そういう中に反映させていきたいというふうに考えております。
  123. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 私は、土壌環境問題、今後三つの点が重要だと思いますのでできるだけ早く土壌汚染の箇所、まだわかっていないところがたくさんありますのでそれを判明し、できればその場所で解決する、つまり、それをどこかに持っていってそれでおしまいということにしない、その場で解決をする、そしてそのために住民の理解を得る、この三本柱が非常に重要ではないかと思います。そのためには、やはり最初に申し上げましたように、新たな土壌環境にかかわる法律、立法をすべきではないか、そうすることによって技術開発も促進される、このように考えております。どうか前向きな対応をよろしくお願いいたします。  これで質問を終わります。
  124. 阿部昭吾

    阿部委員長 竹内猛君。
  125. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、去る一月十七日に発生した兵庫県南部地震における五千余名を超える亡くなられた方、そして傷ついて今治療中の方々、並びに大変な倒壊で今避難をしている方々に対して心から哀悼の意を表しつつ、また、治療中の方々については一日も早く御全快ができるように心からお見舞いを申し上げたいと存じます。  この異常な、不幸な災害について、村山総理を初め各閣僚が、挙げて人命の救済と財産の保護のために、そしてまた復活のために努力をしていることに対し、さらにまた各閣僚が全員一致となって頑張ってこられたことに対して、そしてまた海外からの御支援、国内におけるところの多くの物心両面の協力に対して、あわせて心から感謝と敬意を表したいと思います。  さて、三週間前の出来事でございますが、環境庁としてはこの現状についてどういうふうにとらえて、これからどのような方針によって現地に対する復興の協力をしていくのか、こういうことについて、私はこの際、長官からお尋ね申します。
  126. 宮下創平

    宮下国務大臣 今回の大災害に際しまして、今委員指摘のように、内閣を挙げてこれに取り組むという態勢で現在取り組まさせていただいております。被災された方々の仮設住宅への移行問題等々、なおいろいろな問題を精力的にやっておりますが、なおかつ二十二、三万人の方々が避難生活を余儀なくされているということはまことに心痛ましい問題でございまして、このことは何よりも政府として取り上げていかなければならぬ問題だと思っております。  同時に、環境庁といたしましても、この災害によって二次災害が起きることを私は非常に心配しておりました。つまり、あの地域には中小企業あるいは大企業もございますが、有害な物質を扱っている企業等々も、硫酸とかアンモニアとかいろいろありますから、それの流出、漏出によりまして健康被害発生するようだと、これはもう大変なことになるという意識でおりまして、災害が起きてから直ちに二次災害防止については県当局と市に連絡をとらせましてその把握に努めましたが、幸いにして、硫酸の一部が流出するとかアンモニアの一部が流出するとかいうようなことはございましたけれども、今のところ二次災害発生が大きな事柄として出現しているという状況にはございません。  しかしながら、大量に崩壊した住宅あるいは工場の跡地処理あるいはコンクリートの瓦れき処理等々、これから多くの問題がございまして、直接的にはアスベスト等の問題の指摘もございました。したがって、このアスベストの問題だけについても、これは発がん性のある物質であると言われておりますから、私どもとしては直ちに労働省それから建設省にも御連絡を申し上げまして、特に労働省は職場の安全と市民の安全ということ、それからまた建設省は、今度瓦れき処理等はすべて公費で負担するということになりますから、廃棄業者は当然届け出をしてやるわけですから、その際厳重にこのアスベスト粉じんの問題の処理について適切な対応をとるように御指導をお願いし、大臣から直接御連絡をいただきました。  そういうことでありますが、なおかつ、これから復興に向けて瓦れき処理等も行われるわけでございまして、粉じんの問題あるいはアスベスト粉じんの問題等々ございますので、私どもとしては、また汚染物質の流出等が行われると困りますから、大気と特に水、あるいは化学物質等の流出につきましてモニタリング調査を今実施しております。  私も現地に参りましたが、そういうことで県当局あるいは市当局、環境関係の当局者とよく連絡をとって、そして二次災害防止には最善の努力を払っていきたい、かように思っているところでございます。
  127. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これからが大変ですから、挙げて地元の皆さんが安心できるようにひとつ御努力を願いたいということをつけ加えておきます。  さて、本年の十月二十三日から二十七日の五日間、つくばと土浦両市において第六回の世界湖沼会議が開かれることになっております。その内容は、持続可能な湖沼と貯水池の利用という形になっている。それが中心テーマでありますけれども、地元の私としてはそのことは大変結構だと感謝をしております。  既に知られているように、世界湖沼会議は、一九八四年に我が国で琵琶湖から出発をして、その次には八六年にアメリカのミシガン、八八年にはハンガリー、九〇年には中国の杭州、そして九二年にはイタリーで開かれておりますが、ことし十月の霞ケ浦での会議は六回目となっております。この会議は、主催者は県が中心となっており、環境庁と建設省が協力をし、関係団体も協賛をしておりますが、私は、次のことを質問したいと思います。  第一、今まで十年間の歴史がありますが、その成果と反省についてまず伺いたい。
  128. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 今言われましたように、世界湖沼会議は、世界の湖沼の浄化、保全の状況や新たな対策につきまして、研究者、行政担当者と市民など世界の湖沼にかかわる関係者が参集しまして討議する国際会議でございます。今言われましたように、これまで世界各地で五回開催されてきているところでございます。  本会議は、第一回、滋賀県の琵琶湖畔で開催されまして、そのときに、この会議を定期的に開催することと、もう一つは、国際的な連絡組織を設置することが提案されました。これを受けまして、自未定期的に開催されているということと、また、国際的な取り組みを推進する組織といたしまして財団法人の国際湖沼環境委員会、ILECと言っておりますが、これが昭和六十二年に設置されているところでございます。  本会議は、北米の五大湖におきます毒性物質汚染の影響並びにヨーロッパにおける湖沼の酸性化など、湖沼に関する科学的知見の向上に大きく貢献しておりまして、なお、中国、イタリアなど、開催各国におきます行政担当者、市民などの湖沼環境保全への関心を呼び起こすなど、振り返ってみますと大きな成果があったものというふうに考えております。
  129. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 湖が汚れているということは、何も会議をやらなくとも地元はみんな知っているので、やることはいいけれども、やっただけで、イベントで終わってしまったのでは何も意味がない。会議だから、運動体じゃないから、学者が集まり、地元の名士を集めて会議をし、それから論文を集めて演説をするという形では、これは持続的な、自然と人間と環境を結びつけるような美しい緑や水をつくり、そしてその地域に対して本当にしっかりした展望を与えるということには僕はならぬと思う。  琵琶湖は十年前にやって、一体その後どうなりました。
  130. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 琵琶湖につきましては、もうこれは既に琵琶湖条例初めいろいろ、ヨシ条例、アシ条例ございまして、こういう会議一つの契機といたしまして、県民全体として琵琶湖を守っていこうという運動が生まれたものだろうというふうに考えておるわけでございます。  なお、この世界湖沼会議は、当初、確かに研究者、科学者だけから成っている会議でございましたが、第四回会議からこれは市民参加、なおまた行政も参加するというようなことで、非常に広がりを持ってきておりまして、そういう意味では、湖をみんなで守っていこうという運動になっております。そういう意味で、三回までとはちょっと違った格好になっておりまして、これがこの会議の最近におきます大きな意義ではないかというふうに考えております。
  131. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 構成にもちょっと言い分があるけれども、ここではそういうことは言わないことです。  霞ケ浦の問題についても、CODを三ppmまで下げようという、そういう目標でありながら、いろいろ努力をしていますよ、地元は。我々も努力をしているんだ、本当に。努力をしているけれども、今八・四でしょう。約三倍、目標の三倍ですよ。これは大変ですよ。建設省もかなり骨を折っているけれども、ちっともそれは下がらない。こういうふうなことは、琵琶湖、霞ケ浦、長官の選挙区である、私の郷里ですけれども諏訪湖、それから印旛沼、手賀沼、ここらあたりが日本で五つの汚れた湖という形で、名誉じゃありませんけれども、どうにもならないじゃないですか。どうですか、これ。
  132. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 確かに、言われますように、霞ケ浦の水質環境基準をなかなか満たさないという状況になっております。この原因、いろいろあると思いますし、先生も御承知だと思いますが、例えば、畜産物の排水の問題、なおかつ生活排水の問題、いろいろございます。各湖沼計画に基づきます計画、各所におきます事業、いろいろやっているわけでございますが、なかなか目に見えた改善がなされてないというのは事実でございます。  しかし、さはさりながら、こういう下水道の整備でありますとか、それからそのほかの水質浄化のための努力を引き続き行っていくということは非常に大事でございますので、そういう努力、関係各省とも連絡をとりながら、環境庁といたしましてもその努力を一層今後行っていきたいというふうに考えています。
  133. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 建設省、これは一級河川だから建設省も関係がありますね。建設省はどういうふうに考えている。
  134. 鈴木藤一郎

    ○鈴木説明員 ただいま環境庁の方からもお話ございましたが、建設省といたしましても、湖沼につきましては、特に閉鎖性水域である、一度汚しますとこれはなかなか水質の改善が困難であるというようなことでございます。通常の河川の、いわゆる公共用水域の水質改善、これは皆重要でございますが、特に湖沼という点につきましては、今申しましたように、閉鎖性水域であるというようなことから、流入する汚濁負荷を未然に防止する、入らないようにする、これが基本でございますが、入ったものについてもさまざまな努力によりまして、例えばしゅんせつをしますですとか、あるいは植生による浄化をしますですとか、いろいろな総合的な取り組み。  それから、委員指摘のように、これは市民の参加というようなことが大変大事でございます。私どもの方では、現場の出張所で市民の方々に食用の油を持ってきていただく。それを持ってきますと、私どもの方でそれを石けんにするプラントみたいなものを用意しておりまして、そういった、影響はまだまだ小さいわけでございますが、もとをただせば小さな人間一人一人が水を汚している、それがたくさん集まりますから大変な影響を及ぼしているということでございますので、そういう小さな取り組みといったものも大事にしていく必要があるだろう、このように考えております。
  135. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 我々も琵琶湖の方に行ったことがありますが、今の大蔵大臣知事のころ、あそこに琵琶湖条例、アシ・ヨシ条例というものをつくって、それで自然浄化ということを琵琶湖はやっていますよね、二百三十キロぐらい。ところが、霞ケ浦、私は地元だけれども、何遍条例をつくってやれと言ってもなかなかそれが踏み切れない。それで、それは建設省、あれを水がめにして、そして都市用水にでも使おうという魂胆があるかもしれないけれども、しかし、五十数本の川が流れてくるわけだから、その流れてきて湖に入るところぐらいはアシやヨシを植えて、そこにいろいろな虫や魚が集まってきて自然に浄化をするというような、そういう二本立ての方式をとったっておかしくはない。こういうことについては琵琶湖の方が一歩進んでいますね。霞ケ浦、大変おくれていて恐縮ですが、両省からの御指導をひとつ、これは県の方へ指導してもらいたいということを要請します。  それから、霞ケ浦の浄化のために四千立米、ヘドロがあるものについて建設省が九年間で七百二十立米を取る、七百二十というと後楽園のドーム、あれ六つ分ぐらいの量があると言われていますね。それを今取りつつありますけれども、それにしてもまだまだCODは全然減っておりませんね。さっき言ったような調子で、目標の三倍ぐらいまだある。こういう点では依然として回復をしていない。  そこで、筑波大学や茨城大学の学者の人たちに話を聞くと、やはり霞ケ浦に入ってくる水の上の方に山がありますよね、三十キロ、五十キロに。山に木を植えるという。そしてきれいな水が常に入ってくるように。汚すのだけは専門に汚すけれども、きれいにするのには余りきれいにしていない。ゴルフ場についても、茨城県は日本で二番か三番のゴルフ場の多いところですから、木を切って草を生やしてそこに農業をまけば、そいつがまた流れてくる、これが汚染になりますから。  そういう点については、これは林野庁の仕事になるのか、国有林、民有林、公有林というものを活用して、そして木を植える。県会で我々の仲間も盛んにそれを主張しているけれども、これもどうも余り活発にいっていない。これは、木を植えるのは林野庁の仕事じゃないか。
  136. 柘植茂晃

    ○柘植説明員 いわゆる森林の公益的な機能に関する御質問かと思いますけれども、先生御承知のように、森林につきましては、渇水とか洪水の緩和、こういった問題につきましては、その緩和はもとよりといたしまして、濁水の流出を軽減したり、あるいは良質な水を供給する水質保全の機能等も有しているわけでございまして、今お話のございましたような霞ケ浦の水質の保全に資する上につきましても、これらの森林の有する多面的な機能を適切に発揮していくことが重要と考えております。  造林事業等の推進によりまして、流域の森林につきましてその整備、育成を図っているところでございますけれども、今後とも関連諸施策のいろいろ適切な実施を通じまして、流域の森林整備の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  137. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この国際会議というものを契機にして、何か一つ霞ケ浦をきれいにするために持続的な運動がなければ、会議だけやってそれでおしまいじゃこれは意味がない。三億六千万が泣くわ、これ。やはり三億六千万という金を有効に使うためには、会議会議でいいですよ、それは。学者の先生が集まっていろいろ討論するのは結構だ。そんな会議が何ぼでも、僕ら幾ら聞いても、それはそれだけでは、やはりみんなが動かなければだめなんだよ、これは。地元の人たちが、よし、やろうと、せっかくいろいろな省庁が集まっているのだから、いいと思ったことはやるように指導してくださいよ。  それで、僕は四、五年前、環境委員会で、県から県の環境局長をここへ呼んだ。そしていろいろなことを要求したのですね。つまり、加害者と被害者が会うのですよ。ところが、あいつが悪いという悪を求めるために自分はいいと言うんだね。ところが、加害者が被害者であり、被害者が加害者である場合が多いですね。そしてそこに常陸川水門という建設省か何かが管理しているのがある。これも悪いと言っている。悪いやつばかり探して自分たちのことは――それを別々にしないで、一つ会議場に集めてとことんまで議論し合う。そして議論が平行になるかもしれない。なったときにそれをどうするかということをしなければ、それは会議をやっただけでは意味がないです、本当に。無数とは言わないけれども何十という市民団体があるのですから、その団体の人たちが、おれはいいけれどもあいつが悪いんだ、こういうことばかり言っているから、それをやらせるために県の、今は環境局になったかな、やるようにそれはぜひ指導してもらいたいと思う。  この前竹内知事にその話をしたら、成瀬というのが局長で、あれはすぐ、近くやめるからというような、すぐどこか行っちゃったですよ。だから、そういう余り熱のないる長じゃこれは意味がない。地元の人は熱があるのだから、その熱を酌み取ってもらいたいということをここでは要望したいと思います。  それから、霞ケ浦周辺には、鳥やあるいは水生の植物でなかなか得られないものが非常にたくさんありまして、自然を守る会の人たちは、これをこの際ラムサール条約に登録をして守ってもらいたい、こういう声が強い。特に、高浜入という干拓がありまして、私は昭和四十七、八年からそれは反対派ということで、高浜入干拓はつぶしちゃった。それが今度は国定公園になっているのだから、そういうものは残して、これはやはり都会の憩いの場として、霞ケ浦、筑波山というものは一体のものとして活用した方がはるかにいい。それで、そういう鳥類やあるいは草木を残してもらいたいということについては、これは要望です。よろしいですか、これはどこかな、環境庁、建設省だな。
  138. 鈴木藤一郎

    ○鈴木説明員 ただいまの件は、建設省の直接の所管ではございませんが、私どもの方で県の方からそのことにつきまして聞いておりますことを御報告申し上げますと、この霞ケ浦のラムサール条約の登録指定の件につきましては、霞ケ浦全域を鳥獣保護区とする必要があって、設定に当たっては多くの利害関係者の理解と協力が必要である、そういったようなことでいろいろ検討中であるというふうに伺っております。  これは建設省の直接の関係ではございませんが、御指名でございますのでお答えいたします。
  139. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 霞ケ浦は一級河川であって、建設省が管理をしているんですからね。これは建設省によほどしっかりしてもらわなきゃだめだ。  それで、環境庁はそれに対して協力をする。それでは、環境庁
  140. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 先生御指摘の霞ケ浦でございますが、昨年の十二月、地元の団体からの要望に対して知事から、これから調査をする、それから鳥獣保護区を霞ケ浦全域へ拡大する方向で検討する、こういう回答が示されております。  私ども、茨城県のお考え方が出ましたので、今後茨城県ともよく相談をしながら、適切に対応してまいりたいと思っております。
  141. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それでは、この二つの要請をして、次に移ります。  農林水産省見えていますね。農林水産省、特に中山間地帯の社会的位置づけと人間と生活環境保全との関係について質問をしたいと思います。  私は、昨年の八月に衆議院の農林水産委員長の立場で、委員の皆さんと調査をするために、フランス、カナダ、アメリカに行ってまいりました。そしてその中で、農山村地域において、特にフランスのグルノーブルに行きまして、相当綿密な、いろいろな話し合いをしてまいりまして帰ってきたわけです。そのときに、中山間地域というものを、フランスの場合には農業政策という立場よりはむしろ社会政策、地域政策それから国土政策という立場に重点を置いて、農業政策というものは自給率を高めたり海外に輸出をしたり、あるいは跡取りを残したりいいものをつくったりという形で、まさに農業政策だ。条件不利の問題については、社会政策的意味が強いということでかなり前からそういうことをやっていて、それがデカップリングというような方式になる。日本では、デカップリングの話をすれば、そんなことはだめだということで一顧だにしないような状態ですけれども、これはやはりかわいそうですよ、大いに考えてもらわなくちゃいけない。  そういう中で、これは国土庁、自治省、農水省に聞きたい話ですが、これは特に国土庁に関係しますが、中山間地域というような名前も最近急激に出てきたわけだけれども、以前には、過疎対策あるいは山村振興、こういうような法律によってそれぞれ団体ができてきた。それはもう二十年、四十年という歴史を持っているけれども、今のような状態になってしまったのですね。そこで、今度は特定農山村の振興のための新法がおととしつくられたけれども、依然として中山間地帯はなかなか振るわない、こういう状態が依然として続いているわけです。  そこで、十四万ある集落がだんだんなくなってしまって、集落の機能が失われてしまうというような状態でありますから、何とかして中山間地帯というものをもう少し温かく抱えてもらいたい、こういうような感じがするのです。この点について、国土庁それから農水省、それからもう一つは自治省、その三つの方から答えてください。
  142. 牛嶋俊一郎

    ○牛嶋説明員 先生御指摘のように、中山間地域につきましては、国土や自然環境の保全あるいはゆとりある余暇空間の提供といった多面的な機能を有するというふうに私どもも認識しているところでございます。  一方で、近年、農業従事者の高齢化の進行でありますとか農業後継者の減少等から、この地域が非常に厳しい状況にあるということも十分に認識をいたしております。このため、今後ともこの地域の有する多面的機能が適切に発揮されるように、その振興に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。現在、新しい全国総合開発計画の策定の作業を進めているところでございますが、御指摘のような趣旨も踏まえまして、今後とも検討を進めていきたいというふうに考えております。
  143. 笹谷秀光

    ○笹谷説明員 農林水産省といたしましても、条件が不利な中山間地域等につきましては、まず第一に多様な農林水産物等を供給するという役割のほかに、国土・環境保全、それから水資源の涵養、自然環境に恵まれた居住空間それから余暇保養空間の提供、またさらには伝統や文化の継承等、国民全体にとって多様な役割を果たしてきていると認識しております。  また、これらの地域におきましては、農林業が地域の基幹的産業として位置づけられることから、これまでも農林業の活性化を基本といたしまして、各般の施策を総合的に講じてきたところでございます。  先般のウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱等におきましても、農林業の振興のほか、多様な就業機会の確保ですとか、それから生活環境の整備、それからさらには医療、福祉水準の向上等、各種の施策を総合的に展開することが必要という考え方のもとに、各般の施策を今後とも各省庁の連携を通じまして実施してまいりたいと考えております。
  144. 北里敏明

    ○北里説明員 自治省といたしましても、中山間地域を含みます農山漁村の振興を考えておりまして、さきのウルグアイ・ラウンド農業合意の関連施策といたしまして、平成十二年までの六年間におきまして、ソフト、ハード合わせまして一兆二千億の単独施策を拡充するということにしたわけでございますが、平成七年度におきましては、前年度に比しまして二千億円程度の地方単独事業の拡充を図るということにしております。中山間地域を抱えます地方公共団体におきまして、これを活用して、環境保全を初め創意工夫を凝らした自主的、主体的な地域の活性化に積極的に取り組んでいただきたいと考えております。  柱としては、三つの柱から成っておりまして、一つは、農山漁村ふるさと事業ということで、中山間地域を含みます農山漁村地域の活性化を図りますために、農山漁村の振興、また自然環境や伝統文化の保全、承継など自主的な地域づくりを推進するためのソフト事業に要します経費につきまして、都道府県分で五十億、市町村分で五百億を措置をすることにしております。  第二の柱は、農山漁村対策ということで、中山間地域を初めといたします農山漁村地域の農林道の整備、あるいは環境保全に役立ちます農業集落排水緊急整備事業、あるいは藻場・干潟の環境保全整備事業など、平成七年度で五千五百億程度の措置をすることとしております。  また、第三の柱は、森林山村対策でございまして、林道の整備事業の拡充あるいは保全すべき森林の公有化の措置など、平成七年度におきましては二千百六十億程度の措置をするというふうなことにしておるわけでございます。
  145. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それぞれ前向きな方向に来ているわけだから、ぜひこの際、縦割りじゃなくて、後でちょっと注文しますけれども、一緒になって環境保全しながら地域を守っていくという方向に努力してもらいたい。  この際、宮下長官にちょっとお願いをしたい。これは、すぐ答えるのは難しいと思いますね。世界湖沼会議というのは、十年前にいろいろな人が集まって世界湖沼会議をやった。この間グルノーブルに行ったときに、山村経済連盟という、やや民間の圧力団体みたいなものでして、非常に熱心な団体ですね。この人たちと話をした。そうしたら、そこへOECDに派遣をされている農林省の参事官がおりまして、こんなに熱心なんだから、これはひとつ。それで、ことしの十月にはポーランドで国際会議をやるという。日本はそれに入っていないのですね。  これだけ日本も中山間、中山間と一生懸命各省庁頑張っているのだから、湖の方だけはイベントを十年ばかり前にやったけれども、中山間の方もこの際ひとつ研究して国際会議をやるように、長官、少し研究してもらいたい、こう思うのですよ、関係の省とね。すぐできなくても、そういうものを研究をして国際会議をやる必要がある。ポーランドじゃことしの十月にやるのですから。それからOECDの参事官は、よくそこへ一緒に行って知っていますからね。これは一緒についていったのは、農林省の総務課長あるいは課長補佐あるいは国際関係、そういうのがついていったわけだから、よく知っていますから、この点はどうですか、長官、ひとつしっかり進めてください。
  146. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員の御指摘の会合等はちょっと私もまだ初めてお聞きしたわけでございますので、よく実情を調べまして、ヨーロッパにおける中山間地帯の対策というのは大変力点を置いていることも承知いたしておりますから、それぞれの国、それぞれの地域で多様性はあるかと存じますけれども、やはり視点は同じものもあるだろうと思いますから、研究させていただきます。
  147. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、先ほどちょっと申し上げたのですけれども、今の行政組織というのは中央分権なんだよ。地方請負なんですね。これは地方分権と言うけれども、地方には権利なんかありはしない。中央が幾つかに分かれていて、それで地方は補助金もらったり、許認可権もらったりして請け負っているわけだ。中央の仕事を一生懸命やっている。いい税金は全部中央が吸い上げてしまって、それで余りよくない税金は自治体でとってくる。そして、そのうち金が足りなければ交付金、交付税で、中央の言うことを聞けなければおまえらにはやらないぞ、これじゃ地方がよくなるはずがないんだ。こういうことだから、中央分権、地方請負という形だ、これは。この形を変えない限りは、これはよろしくない。  そこで、そういうことを前提にして、何とか地域を活性化するためには、縦割りではなくて、省庁が集まって、そして一つの地域においてまとまった運動をしていかなきゃ、あれもこれも省庁でやったのではどうにもならない。その中心になるのが農水省であり、自治省であり、まあ川や何かあれば建設省でしょう。それから環境を保全するのは何といっても環境庁であり、国土の全体を面倒見るのは国土庁ということになるから、それぞれの省庁が一つ集まって地域を活性化する。     〔委員長退席、石破委員長代理着席〕  そのために、私どもは過般、水と緑と安全な食糧を守るための議員連盟もつくって、そして去年の十月二十八日に宮下長官と、全国農業会議の提案した、これを大河原農林大臣に要請をした、この食糧環境会議というものをやろうと。これは自主的なものですから、その運動と我々も一緒になって、政策の方は受け持つけれども、運動はそこがやる、こういう形について今進めてきているのです。予算の方も、いろいろ悪口は言われましたけれども、予算もかなり確保したというのにはちょっとぐあいが悪いけれども、ちゃんとあるのですから、あれをうまく使って、そして本当に目的を達成するために、これはひとつ長官、あの十月二十八日の後の考え方をちょっと述べてください。
  148. 宮下創平

    宮下国務大臣 臨時国会における当委員会において竹内議員から中山間地帯の重要性について指摘され、そして、当時の農業会議所の提案もそのときお伺いいたしました。私も大変前向きに受けとめたいということで答弁させていただきましたが、率直なところ、そういう話はおいおい申し上げてはおりますが、まだ形になったものとして出てまいりません。しかし、全体として組織的にきちっとなっていなければそういうものはスタートできないというものでもございませんから、委員のたびたびの御指摘であり、また大変貴重な御意見でございますから、私の方から農水大臣にも呼びかけ、農業会議所の会長、これは桧垣徳太郎さんでございますが、呼びかけ、あるいは農中の会長等を含めて、環境と中山間地帯の問題、それから食糧と環境の問題、こうした問題について一回フリートーキングの機会でもまず持って、そして先生のおっしゃるような意味でのスタートラインでもできればなという感じを今持っておりますから、また御相談を申し上げて、先生方、水と緑と食糧を守る議員連盟の竹内先生は会長でいらっしゃいますから、ぜひ御参加をいただいた上で、そういったもろもろの問題についての話し合いをしたいと思います。  なお、付言させていただきますと、先ほど各省庁から、いろいろな施策についてそれぞれございました。そして、それを総合化してやることが必要だという御指摘はごもっともであります。それには、私はやはり中山間地帯の持つ多元的な機能についての共通の認識をまず持つということが大切だと存じます。このことはよく言われますけれども環境問題一つとりましても、環境と中山間地帯の農林水産業の果たす役割というのは非常に大きなつながりを持っておりますから、中山間地帯はただ食糧の供給基地だ、あるいは林業の供給基地だという観点をさらにこれからは踏み越えて、そして、中山間地帯の持つ環境保全的な、あるいは水資源の涵養としてのそういう地域の価値観というものをやはり認めて、そしてスタートすべきだと私は考えているのです。  ですから、そういう共通認識を持つためにも、ひとつそういう会をぜひ一回開催させていただきたいと思いますので、この際、申し上げさせていただきます。
  149. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今長官がおっしゃられましたように、去年の十月二十八日の質疑というものは、これは議事録にして、私は各うちに何千部かを配布していますから、相当なあれになっていますから、これはうそを言うわけにいかない。何としてもこれは実現しなくちゃならないですから、進めていきたいと思いますから、きょうの今の前向きの答弁を、さらに前進をするようによろしくお願いをしたいと思います。  私は、いつも地域で述べていることは、地域の活性化、中山間の活性化というものは、まず人づくり、地域づくり、物づくり、金づくり、そしてそこに定住するというのが順序だと思っていますね、この五つが満たされればいい。そこで、農水省がこの間新農政で言ったのは、標準農家で一千八百時間働いて年間八百万の所得を与える、そして四十年間で二億四千万になるのだ、こういう夢みたいなことを農水省は新農政で言っているけれども、それは一体どうしてやるのか。現在のような、要するに中山間じゃなかなかできない。そこで、やはり地域の特徴に沿って、面積は狭くともそこをどう使うかという問題については、これは各省庁が一緒になって研究していかなくちゃできないことなんだ。それを考えると、どうしてもそれは中央分権、地方請負ではだめなんです。こういうことについて、これは、きょう御出席の皆さんに私は強く要請をして、答弁は要りません。  その次に、国土庁、一極集中から多極分散という形で四全総が終了して、これはやがて二十一世紀を目標にして五全総というか、そういうものをつくろうとしている。その中心が、地方の自主性の重視、国際交流それから自然環境の保全、こういう三つのことを目標にしておりますね。これについては大体間違いないですか。
  150. 牛嶋俊一郎

    ○牛嶋説明員 先生御指摘のとおり、昨年の十一月に国土審議会におきまして、今の第四次の全国総合開発計画にかわる新しい全国総合開発計画の策定を進めるということになりまして、現在平成八年度中を目途に、来るべき二十一世紀にふさわしい国土づくりの指針を示すために、新しい全総計画の策定作業を進めているところでございます。  御指摘のように、それぞれの地域の主体性、あるいは、現在では世界各国間の相互依存性が非常に高まっているというような状況、あるいは地球環境問題の広まりといった、そういう大きな時代の変革への対応という観点から検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  151. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 四全総の延長ではだめだということは有力な新聞が論説で書いてある。御存じのとおりですね。それじゃだめだというんです。  私は筑波研究学園都市の近くに住んでいて、年じゅう学園都市に行くんですが、あれができてからもう三十年ぐらいたちますよ。木は大きくなったし、それから建物は傷んだし、いろいろありますね。ところが、人口は女性が男性よりも六千人少ないというのは今でも変わりがないのです。なぜか、こういうことなんです。それは、交通の不便であったりいろいろなショッピングの都合があったり、問題がある。  一番問題は、やはり教育ですよね。特に、一万三千三百二十人移ってきた公務員、その中で約六千人というのが、これは行(1)、行(2)の高卒です。この人たちは、東京にいると、全部じゃないけれども、志ある者は昼働いて夜の学校に来て、しかるべき資格を取れるのです。ところが、あそこにいたのではそれはできないですね。  だから、本来であれば国土庁というのは、あれだけのものをつくるときにはその人たちの勉強の場所を考えたり、まだほかにも火葬場とかいろいろ今問題になっているのがありますけれども、そういうものをつくる準備をしなきゃならないけれども、それはできていない。僕はそこのところを周辺の人たちと話をして、今現在ある専門学校を昇格をさせて、それで夜間部も含めた文科系の総合大学をつくろうということを文部省と話をしている。オーケーということになっている。  国土庁についてはそういうことに対しては関心はなかったのかな、ないとしたら少し国土庁は頭がおかしい。
  152. 山中保教

    ○山中説明員 筑波の周辺は、土浦とつくば、牛久という町を一つにいたしまして、首都園整備上、業務核都市という位置づけをいたしております。業務核都市と申しますのは、東京の住宅問題でございますとか通勤問題を解決することを目的といたしまして、東京の一極集中依存を是正をいたしまして、多核多圏域のバランスのとれた都市構造をつくるということで、横浜とかあるいは川崎、千葉ともにこの地区を業務核都市として整備をいたしております。  それで、この中では、今先生が言われました交通網として、常磐新線でございますとかあるいは首都圏中央連絡自動車道の整備、それから土地区画整理事業とか、さらには市街地再開発事業といった面整備でこの地域を精力的に今整備を進めております。  それから、御指摘の大学の件でございますが、この地には四年制の大学といたしまして、先生も十分と御存じだと思いますけれども、筑波大学、それから図書館情報大学というのが国立て二つございます。それから私立といたしましては、平成六年、本年度の四月でございますけれども、つくば国際大学というのが開校いたしております。また、短期大学といたしましては四つございまして、国立のものあるいは私立のもので合わせて四つございます。それから、当地の隣接地域には本年の四月に、これは県立てございますけれども、医療大学が開校するというふうなことで、学校につきましても逐次整備が進んできている状況にあろうかというふうに思っております。  私ども、高等教育機関というものの存在が地域の活性化に果たす役割につきましては十分認識をいたしておるところでございまして、その充実につきましても、今後とも関係者ともども相談をして整備を進めていきたいというふうに思っております。
  153. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういうことを言っているからだめなんだよ。大学といったって、官立の大学なんかあれでしょう、教授が六十一歳か六十三になったら、やめたらもう帰れないというので単身赴任になるんだ。それから医科大学、看護婦をつくるような大学にそれは行けないじゃないか、そんなところに。それから国際大学だって、あれは夜間部はないし。それで茨城県の大学は、八四%ぐらいが東京へ通っているのですよね。三百万人の人口を持っている茨城県に、民間の自由にやれるおもしろい大学というのはないんだ。  だから、竹内知事は開発中心で教育や福祉に余り力を入れなかったから、何ぼ言ってもだめだから、国土庁もひとつしっかりしてくれ、頑張ってもらわなければだめだよ、これは。今のような答弁はだめですよ、そのような答弁は僕は賛成できないんで、もう少し前向きにやらなければ、官立大学があることは知っているよ、それは。筑波大学だって図書館情報大学だって、あれは官立じゃない。そうじゃなくて、民間で夜も勉強できる大学が必要だ、こう言っている。だから、まあいいや、それは後で。  今度は厚生省。厚生省は、先ほど福永先生から食糧自給率の問題があって、どんどん自由化で入ってくるわけだ、安全性の基準というのは一体どうなっている、何を基準にあれをつくる。
  154. 高原亮治

    ○高原説明員 先般批准が行われましたWTO協定の中には、先生御懸念かと思われますが、確かに衛生植物検疫措置の適用に関する協定というふうなものがございまして、「加盟国は、」「国際的な基準、指針又は勧告がある場合には、自国の衛生植物検疫措置を当該国際的な基準、指針又は勧告に基づいてとる。」というふうに出ております。しかしながら同時に、「加盟国は、科学的に正当な理由がある場合」、中略いたしますと、「国際的な基準、指針又は勧告に基づく措置によって達成される水準よりも高い衛生植物検疫上の保護の水準をもたらす衛生植物検疫措置を導入し又は維持することができる。」ということになっております。  それで、日本のように、米やミカンといった日本人の摂取量が多い、食習慣が違うというふうなものは、この協定で申します「科学的に正当な理由がある場合」というふうなものに該当しておるところでございまして、そういうふうな点につきましては御懸念には及ばないというふうに考えております。  こうしたことから、そういうふうな食料品の問題につきましても、日本人の食生活を前提といたしました食品の安全確保、これを図っていくことができるものでございまして、国民の健康確保に支障を及ぼすような基準の緩和を行うような考え方は全く持っておりません。  以上でございます。
  155. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは法案が出るから、今のことはよく覚えておきますがね。日本には、日本型の食生活を進めるということは農水省が一生懸命言っている。アメリカの肉やバターやチーズや、ああいうものを食って体が恐ろしく大きくなっていろいろな病気が出る、ヨーロッパもそう。日本でも今は非常に食生活が変わって、みそと漬物と野菜というものからほかに変わってしまって、いろいろな病気が子供のころから出ている。  日本型食生活というのを農水省は言っている。厚生省は、それでもしその日本型食生活をアメリカ型食生活に切りかえるようなことがあったら、この法律はちょっと通すことが難しい。ガットのときにはそんな議論は余りしなかった、その時代は。ガットのときはそういう話は余りなくて、そうっと隠しておいて、いよいよ今度は入ってくるとなったらそういうものを出した。まあいいや、それは。だから、そのことだけはよく注意しておきますよ。  それからその次は、食鳥の検査の問題だ。この食鳥の検査の問題は平成二年にいろいろやって、三百万羽以上は手数料を取って三十万羽以下は取らない。それはなるほど、九五%が三百万羽以上で五%だけが三十万羽以下だ。数は少なくても、それでそのために、物すごい環境基準をするためにいろいろな建物については、それを建てかえろという形で金を借りて、金利を払って、そして今度は毎日五円の検査料を払っている。高利貸しみたいなものだよ。毎日来て検査をするとそういうふうに持っていっちゃう、金を。それで一方では、今度は建てかえるために公害防止だ、当然の話ですよ、それは。そのために、今度は金借りて建てかえて金利を払う。往復びんたじゃないか。それについて今裁判やっているね。前の方のものも裁判になっているけれども、そのことは言わない。これはだめだよ、あんなのは。法律はあれは直さなければ。
  156. 森田邦雄

    ○森田説明員 御説明いたします。  食鳥の処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律、いわゆる食鳥検査法は、先生お話ありましたとおり平成二年に成立した法律でありまして、この法律は食鳥肉の安全確保を図ることを目的としているわけでありますが、先生今御指摘になりましたとおり、三十万羽以下の食鳥処理場につきましては、都道府県知事の検査を要しないとしておりますが、これは小規模な食鳥処理場、小さい食鳥処理場に対する配慮が必要だということから、そこにつきましては、都道府県知事の検査ではなくて、みずから検査をして異常のある鳥を排除していく、そういうようなことによって小規模のものでも都道府県知事が行う検査と同等なものを、そういう安全確保を図れるということから設けられた制度でありまして、この三十万羽を超えるものについてはやはり都道府県知事の検査によって安全確保を図る必要があるということになるわけでありますし、また、都道府県知事が検査するとなれば、それに要する経費につきましては、これは地方公共団体手数料で上限を定めまして、それに受けた形で都道府県がその実態に応じて手数料をつくることになっております。  これは、衛生検査というのは、すべからくこういう手数料、受益者負担ということで手数料をいただいておりますので、食鳥だけ検査手数料を取らないということは、これはなかなか難しいかと考えている次第であります。  以上であります。     〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 検査をするのは結構だけれども、最高は五円で、三円のところもあるしいろいろある。それはもういろいろな差別があるんだよ。だから、そういうことについては、きょうはちょっとほかのことを言わなければならない、時間がないから、この次は今度物特でまたやるから。そんなものは直るまでこれはやらなければおさまりがつかない、そんなの。ここでもって政府委員が答弁して、ああそうですかなんて、そんなこと冗談じゃない。  今度は、悪臭防止というような問題です。先ほど土壌の問題が出て、大変いい御質問だったと思う。最後は大久野島の問題にいったけれども、僕は全国の話をしたいと思う。  今、今度も悪臭の問題で法案が出ますけれども、特にぶん尿処理の問題ですね。この問題は大変困っている。今日の社会で古くから農家にいる人たちが少数派になってきちゃった。そうすると、豚を飼ったり鵜飼ったり牛を飼ったりするとにおいが出る。けしからぬと言って今度は投書をする。そうすると、今度は役所の方からそれはやめろとこうやっておどかし、先に住んでいた者がおどかされて、後から来た者が威張るなんというこういう世の中だから、今ね、少数派ですよ。  そこで、例えばこの間新潟の安塚の町長が来まして、矢野さんが来ていろいろ話をした。その生ごみやそういうふん尿というものを集めて、これをある作業をして肥料に変える。質を変えていく。においもない。それは有機質になる。そうなると、今度はもう野菜も何もかも非常にいいぐあいにできてくる。そのかわり金がかかります、いろいろね。そういうことをやっている。宮崎県にもそういう例がたくさんあるわけですね。  私のところは豚の産地ですから、まさにこの問題が霞ケ浦の汚染とも関連しているから、この問題について農水省の筑波研究学園に来ている家畜衛生試験場へ行って何をやっているかと聞いたら、いやふん尿の研究だ、それは結構だと。それならもう少し地域の人たちと一緒になってその研究をやって、そして本当に安塚の町長さんが言うように、生ごみもふん尿も含めてそれを全くにおいをとって、有機質の肥料に変えて、野菜やそういうものをつくるための、そこに一定の補助というか、そういうものを出す。これは大事なことですよ。その点についてどうです、農林省、何か考えておられますか。
  158. 信國卓史

    信國説明員 畜産環境問題は、これを放置いたしますと、畜産に対しまして大変マイナスイメージをもたらす、そのことが後継者の確保難の一因になるといったようなこともございまして、今後の畜産の健全かつ安定的な発展のためには、その主因となっております家畜ふん尿処理というものを適切に処理する必要があるだろうと考えているところでございまして、その場合、家畜ふん尿というのは多くの有機物を含んでおりますので、これを堆肥化するといったようなことで土壌還元に努めるというのが基本がと思います。  そのような観点から、私ども共同利用の家畜ふん尿処理施設の整備に対します助成ですとか、個人施設につきましては低利融資あるいはリース事業といったようなことを行っております。また、先生御指摘のような低コストで家畜ふん尿処理をどうやって進めるかという処理技術の開発といったようなことの対策も講じてきているところであります。  なお、これらの対策に加えまして、そういうものができた後どう使うかというようなことも非常に重要だろう、これをスムーズに流通あるいは利用していただくためには、畜産農家のみならず耕種農家と一体的にやる必要があるというようなことで、平成七年度予算におきまして、いわば需要側と供給側一体になってこういう問題に当たっていただく、そのための情報交換ですとかシンポジウムといったようなものを開いていただくための事業を取り進めたいと思っているところでございます。
  159. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 たくさん、いろいろ申し上げて、要望もしたし、意見も言いました。  そこで、最後ですから、今の問題は、これは非常に大事な問題でして、ぜひ農水省も環境庁や自治体と一緒になって、このふん尿処理の問題というのは、これは外国から農業に漬かったような食糧が入ってきて、都会の消費者人たちは安全性を求めているのですよ。少しぐらい高くても安全なものがいいと言っている。それをやるには有機農業しかない。有機農業をやるためには堆肥、その肥料が必要なんです。農水省でも有機農業を研究しているわけですから、厚生省の方々にはよく聞いておいてもらって、これは一緒だから、別々にしちゃ困る。一緒にしてもらうということがぜひ必要ですから、そのことをあえて質問しました。  長官は、大変難しい問題を二つ出しましたが、山の方のこと、それから桧垣徳太郎さんが提起した農業会議の問題、これは二つ大きな問題ですから、よろしくひとつお願いしたい。  以上で終わります。
  160. 阿部昭吾

    阿部委員長 宇佐美登君。
  161. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 新党さきがけを代表いたしまして、環境問題全般につきまして御質問をさせていただきたいと思います、  まずは、阪神大震災お話からやはり私も始めさせていただきたいと思います。  一昨日、私も被災地の方に伺いまして避難所等をめぐりながら、本当に未曾有災害という言葉がよく使われますけれども、目を覆いたくなるような惨状を見てきたわけでございます。これまで築き上げられてきた文明というもの、もちろんその中には建築物やそして人々の生活も入っているわけですけれども、その築き上げてきたものを一瞬にして、表現がよくないのかもしれないが、こっぱみじんと言ってもいいくらい、特に古い家が中心だったのかもしれませんけれども、崩れている惨状を見てきたわけです。  その中で、文明というものと自然というもの、自然の前にありましては文明というものがいかに小さいものであるか、人間の存在というものがいかに小さいものであって、それに対して何かもう環境問題と文明というもの、自然と文明というものを相対する二つの問題としてこれまで扱ってこられたことが多かったかと思いますけれども、そんなものではないのだということを非常に強く感じたわけです。  もう環境庁長官の方からも幾度となくこの大震災の問題の御答弁をいただいているわけですけれども、今申し上げたような自然の前における人間の小ささというものをどのように今考えておられるか、これは突然の質問なのですけれども、御認識をちょうだいできればと思います。
  162. 宮下創平

    宮下国務大臣 今度の大震災は戦後初めての、本当に私どもも予想しないような大被害でございました。  今委員の御指摘のように、我々の生活というのは文化、文明、農耕文化から始まって工業化文明になって、そして生活水準が上がってきて、都市も形成され、集落も形成されるというようになってきているわけですが、ああした自然の猛威のもとでは、今おっしゃるように壊滅的な破壊を受けたわけでございます。したがって、この問題は、自然のそうした破壊力に対してこれから人間の我々の文明社会をどうやって対応するものにしていくかという視点が大変重要だと思うのです。そういうことと、私は今環境庁長官でございますが、自然と我々の生活をやはりいろいろ考え直さなくちゃならない原点というものがあるのじゃないかと思うのですよ。  私は、文明社会の中で、古代文明の中でも、結局文明が栄えて、そしてその後は砂漠化しているというような現象もありますね。現在はまた近代文明が非常に盛んでありますが、しかし、またやがてそういう歴史は繰り返さないとも限りませんから、我々は謙虚に、自然との共生ということを言っておりますが、広い意味で地球と我々の生存という問題の根本に返って謙虚に受けとめて、いろいろな町づくりその他も考えていかなくちゃいけないなという思いでございます。
  163. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 ありがとうございます。  これから大蔵省の財政金融研究所が昨年七月に発表というか取りまとめた報告書についての質問をさせていただいた後で、それにかかわりましてまた哲学的なものも含めて長官には後ほど御質問させていただきたいと思います。  きょうは、今申し上げましたように昨年の七月一日に大蔵省の財政金融研究所、大蔵省がこのようなレポートというのは不思議なんですけれども、「環境保全型の経済発展の在り方に関する研究会報告書」というものが発表されておりまして、これがそうなんですけれども、その後、九月には本として「環境保全と経済の発展」という形で、この研究会の座長をやられていた輸出入銀行の保田総裁等が取りまとめた本も出されているわけです。  これまで環境問題といいますと、比較的産業に対してマイナスの部分が取り上げられたり、また経済面からしても余りプラスのイメージでとらえられにくい部分があったわけです。そんな中で、今回大蔵省の研究所が環境問題を十二分に取り上げたということは、それだけでも評価されるべきですし、その内容に関して言えば、一つ一つを明快な論旨のもとで議論されているわけです。  そんなわけで、その中で財政金融研究所といいますと余り外に出てこないのかと思っておりますけれども、どんな業務を行っていて、これまでどのような研究を行ってきたのかというのを、今回このようなテーマを扱った理由も含めて、その背景としてもお伺いしたいと思います。
  164. 加藤秀樹

    ○加藤説明員 財政金融研究所の主な業務につきまして、事務局員としてお答えいたします。  今なかなかこういう場所では余りお褒めいただくことはないのですが、大変過分なお言葉をいただいてありがとうございます。  まず、財政金融研究所でございますけれども、主として財政金融の基本的なあり方について中長期的な研究を行うということで設立されました。あわせて、部内職員に対する研修ですとか、法人企業統計調査あるいは財政史の編さん等を行っております。  そのうちの研究活動についてですけれども、これもさまざまな形がありますけれども、主に民間なりあるいは大学の研究者等の学識研究者に研究会というものをつくっていただきまして、それの運営を中心にして行っております。そこで自由な意見を出していただき、その結果を事務局が報告書として取りまとめるという、こういう形が一番ポピュラーな形であります。この環境問題についてのレポートもそういうことで取りまとめられたものであります。  それで、通常一年間に大体三つぐらいのテーマに取り組んでおりますが、平成五年度においては、今後我が国が二十一世紀に向けて直面していくであろう非常に大きい問題は何かということで幾つか取り上げました。そのうちの、例えば国内においては人口構造の変化の問題であろうということでこれを行いまして、また、グローバルに、地球規模で見た場合にはやはり環境問題であろうということでこの問題を取り上げた次第であります。
  165. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 これからの二十一世紀を考えた上で、国内では人口構造の変化、国際的にはこの環境問題を取り扱ったという今御答弁をいただいたわけです。  この本の中を見ますと、腰帯というのですか、「大蔵省財政金融研究所の英知を結集した本格的な「環境提言」の書。」というような広告もついているわけですけれども、本来ならば環境庁が率先してこのような研究報告書を出していただきたいところなんですけれども、実際には幾つも幾つも、非常に勉強になる、評価されてしかるべきレポート、本等が出ているわけですけれども、やはり大蔵省がやり出したということに対して、国民は、いよいよ日本政府という立場からしても環境問題を本気で取り上げるんだと思う契機になるかと私は思っております。  我がさきがけとしましても環境問題を党の政策理念の一つとして取り上げていて、党の理念として取り上げている政党は唯一だと自負している次第ですし、また、現在たまたま我々の代表が大蔵大臣を務めているということもあって、タイミング的にも、環境保全型の経済発展というものに関しての報告書がまとめられたということに対して、一政治家として、一環境問題を研究している者として、非常に評価をさせていただきたいと思っております。  続きまして、この論文を一つ一つ取り上げさせていただきたいと思っているわけですけれども環境問題といいますと、この主要な対象を、特に地球環境問題をこれはメーンに扱っているわけですから、地球公共財として考えているというような基本認識から始まっております。そんな中で、「環境問題とは、人間の経済活動が量的拡大や質的変化により、環境に対し、その容量を超えて負荷を与え、その結果、環境の劣化・破壊が生じている現象である」という分析をこの報告書ではしていただいております。  私ももともと大学時代ストレスの研究をしておりまして、人間にとって、例えばストレスというものが全くない状態というのは永眠についた状態でありまして、生存していることは不可能なわけです。地球というものも、その自然というものを考えたときには、ある程度の負荷というものが与えられながら地球全体が、ガイアという考え方もありますけれども、発展していくわけでございます。ただそれが、この百年、二百年の中で余りにも量的な拡大が進んだり質的な変化があるわけでございます。そんな中で、地球環境問題においてこの経済活動というものをどういうふうに取り上げていくかというのが非常に重要な問題であり、その視点からこのレポートが、まさに大蔵省が研究した価値があるかと思っております。  これまで、先ほど申し上げたように、自然の前では文明というものが非常に小さい。経済成長というものと国際協力との関係をどう考えるかという問題と例えば環境保全と二者択一的に考えられてきたわけですけれども、先ほど宮下長官がお答えになったように、自然というものと我々の人間の生活というものをいかに共存していかなければならないかという問題が重要になってくるわけでございます。  宮下長官は、こちらのこの研究会報告書そのものをごらんになったことはございますか。もしあられれば、認識等を教えていただければと思います。
  166. 宮下創平

    宮下国務大臣 私もその本を読まさせていただきました。委員と同じょうに、環境庁でこういう本を出したらよかったのかなという感じすら持ちましたが、ただ、非常に体系的に書いてあります。そして、大体全般においてはもう環境庁の考え方そのものです。そして、後半に特に私が感じたのは、やはり経済官庁の研究所の問題であるだけに、経済と環境の問題、これにかなり焦点を合わせているなという感じを持ちました。これからの経済社会はやはり物を大量生産したり大量消費したり大量廃棄しておくだけでは済まされないという基本的な認識があって、経済の中にも環境を組み込んでいかなくてはいけないという意識が非常に強く感ぜられました。  したがって、これからの問題としては、従来は環境問題というと規制措置を中心にしてきたと思うのですね。こうしてはなりませんよ、これをするとペナルティーを科しますよということが非常に多かったと思いますが、その中では経済的手法についてもかなり述べられておられますね。そして一定の結論的なものも方向づけはなされております。したがって、これからの我々の社会というのは、いわば高度の工業化社会、経済社会でありますから、工業製品あるいは我々の使用する日常の製品についても環境の負荷の少ないものでなくちゃなりませんね。そういう意味で、リサイクルの問題なんかも、これはまずメーカーが、経済行為をやるときには、やはりリサイクル率も考えて、そして回収率も考えて、そして、ただ廃棄だけ、大量廃棄するようなシステムでなしに、循環過程をメーカー自体が、経済社会それ自体が考えなくちゃいけない、それにはどういう手法がいいかというような視点を強く感じました。非常にまとまったものだと存じます。  しかし、子細に検討すれば、いろいろの見解についてまだ私なりの意見も持ち得る項目もあるかなという感じはいたしましたが、大変よくできた本だと思います。
  167. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 今、長官のお答えの中で、やはり研究所というものが経済部分について非常に熱心にやっているということなんですが、経済的手法の導入というのが、環境基本法ができるときにも、その条文の作成のときに非常に問題になったわけですけれども、事実として、経済的手法の導入が世界的な動向として今どうなっているのかというのを企画調整局長の方から教えていただければと思います。
  168. 石坂匡身

    ○石坂政府委員 お答えいたします。  環境基本計画の中にも今のこの経済的手法の世界的な流れというふうなものの記述がございます。これは、「製品・サービスの取引価格環境コストを適切に反映させるための、環境に係る税、課徴金、預託払戻制度などの経済的負担を課す措置については、多数の日常的な行為から生ずる環境への負荷を低減させる点で、有効性が期待されるとともに、資源の効率的配分にも資する」そして「OECD、G7サミット、国連環境開発会議などで国際的にも推奨され、欧米諸国等においても様々な活用事例が見られる」ところであるという記述がございまして、そして、この経済的措置につきましてさまざまな角度から勉強すべきであるということが環境基本計画にも盛られているわけでございますが、お尋ねは、ただいま世界でどういうふうなことになっておるかということでございます。  これは大変範囲が広いので、非常にかいつまんだ御説明になるかと思いますけれども、例えば今申し上げました税の話でございますが、炭素税という構想がございます。これは現実に、オランダ、これは一九九〇年ですが、スウェーデンが九一年、ノルウェーが九一年、フィンランドが九〇年、デンマークが九二年に炭素税を、これらは一般財源として導入をしておるわけでございます。水準はさまざまでございまして、オランダやフィンランドは極めて安い税率になっておりますが、ほかのところでは、大体統一いたしましてガソリンに換算いたしますと一リットル十円程度というふうな税制をとっておるところでございます。  それからもう一つ、先ほど申し上げました中に課徴金という言葉がございましたけれども、課徴金もいろいろな形の課徴金がございます。その国その国によりまして、それぞれの流れによって扱っておるわけでございますが、例えばフランスやドイツなどでは排水課徴金というのを徴収をしております。  フランスでありますと、粒子状物質でありますとかあるいは酸素の消費物質、あるいは窒素化合物、塩類、有害物質というふうなものが一日どれくらい出ているかということによりまして流域を指定して、そして幾ばくかの課徴金を取る。その課徴金を取るのに流域ごとに財政公社をつくりまして、そして取ったお金で水質汚濁防止対策をするというふうなことをしております。  ドイツは、これは連邦としてCODとかあるいは重金属についてこうした課徴金を取りまして、これを水質の維持改善の支出に充てているというふうな例がございます。  そのほか課徴金としては、スウェーデンの課徴金でありますとか幾多の例がございますが、日本におきましても、代表的なものは硫黄酸化物、SOxにつきまして課徴金を取っておるわけでございまして、これによって我が国の硫黄酸化物は劇的に減少したというふうな過去の歴史をたどっておるわけでございます。  また、課徴金と若干違いますけれども日本におきましても、最近、地方公共団体で廃棄物の有料化という動きが出ております。つまり、ごみの代金を取る、有料の袋を配ってごみを有料化していくというふうな動きがかなり広まってきているというふうな状況があります。  それからデポジット制度、これもございます。これは、地域的にはデンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、オーストリアといった、主として北欧の諸国がとっておる制度でありまして、やはり地域的な何らかのそういう経緯というふうなものがあるのだろうと思います。  そのほか、これはアメリカですけれども、電力会社、発電所ごとに出しますSO2につきまして、排出権売買というふうなシステムをアメリカはとっておるわけでございます。  いろいろな制度がございまして、それぞれの国でいろいろな歴史を積み重ねながらそれぞれの国に適した制度を採用しつつあるというふうなことで、さまざまな工夫が世界的になされているという状況でございます。
  169. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 わかりました。  世界でさまざまな経済的手法がとられておりまして、まあデポジット制度等は私の地元である大田区等で今酒屋さんを中心にさせていただいたりするわけでございます。  またこのレポートに戻りますけれども、加藤研究部長にせっかく来ていただいておりますので、先ほど、環境問題を国際的な問題として取り扱うんだということは拝聴しました。ただ、それでもいろいろな、比較した問題があるのでしょうし、また、この環境問題を取り扱って今回レポートを取りまとめたときに考えたこと、感じたことが幾つもあるかと思います。その点を、もう少し詳細に、どうしてこのようなテーマを扱ったのかということがあれば、お答えいただきたいと思います。
  170. 加藤秀樹

    ○加藤説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、基本的には、環境問題というのが、地球規模で見た場合の、二十一世紀に向けてのやはり最大の問題であろう。これは、経済あるいは社会の基本のところに位置する問題であろうということです。  それに加えまして、環境問題といいますのは、これはもう言うまでもございませんけれども、経済なり社会のあらゆる活動にかかわっている問題でございます。したがって、これは本来は、個人がボランタリーな活動として、あるいは企業が社会貢献活動として行う、それにとどまるべきものではないのであろう。日々の生活なり企業活動のすべての面において配慮すべきものであろう。また、政策ということで考えましても、政策の一つとして行うということではなくて、すべての政策において配慮していくものであろう。  これは言いかえますと、経済なり社会のシステムの中に環境という要素をどう組み込むかということを考えないといけない、そういう問題であろうという認識がございまして、したがって、そうであれば、やはり大蔵省としても、経済政策を担当する一官庁として大いに勉強しておく必要があるでしょうし、また、経済社会のシステムをどう変えていくかということになりますと、財政なり金融政策というのが政策手段として非常に有効であることもあるだろうというようなことでこの研究会を設置した次第であります。
  171. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 今お話があったように、環境問題というのは、ありとあらゆる政策にかかわってくる問題であるわけです。ですから、先ほど諸先輩の委員質問の中にも各省庁をお呼びしてお答えをいただかなければならない問題が重なっているわけでございます。  先ほど、政策手段として直接規制、経済的手段、教育啓発の三つが挙げられておりまして、それに加えて今加藤部長の方から、財政金融政策、伝統的と言ってもいいのかもしれません、そんな役割もあるんだというお話があったわけです。  そんな中で、今申し上げた規制なり経済的手法なり教育啓発などの政策の整合性というのが非常に重要であるはずでございます。この整合性をとっていかない限り、これは恐らく全省庁またがった形、ですから調整官庁としての環境庁が今あるわけでございますけれども、この問題についてどのように考えているのか、これは環境庁長官からお答えをいただきたいと思います。
  172. 宮下創平

    宮下国務大臣 このたびっくりました環境基本計画は、まさに政策のあり方として、総合的であり、そしてまた調整的でなければならぬという発想に基づいております。  そして、環境行政それ自体が、結果として、各省庁がそれぞれ環境負荷を少なくするための各種事業をやっておるわけでございますから、各省庁のそういった面における環境配慮をより強く求めていくということが求められると思います。そういう意味で、政策の整合性というものを求めながら、環境庁が上位の官庁とかいうことではございませんけれども、少なくとも環境基準その他環境プロパーの問題については、これは環境庁が一元的に処理いたしますし、環境に関する各種の、ほかの社会資本の整備その他の目的を持ったものでも環境的配慮が十分必要なものは、いろいろ計画をつくる段階その他においても物を申して、そしてそれを、環境的配慮をそういう計画の中に織り込んでいただくということがぜひ必要かと思っております。  なお、この本の中で、経済的手法の中で、例えば私が感心したのは、銀行業務と環境というのは一体関係あるのかなと普通の人は思われますけれども、銀行が融資をするときには、やはり環境的配慮をやるということがとても重要だと思うのですね。これは、今経済界においても地球環境憲章みたいなものはつくられておりますけれども、経済界自身がそういう配慮をしておりますから、当然だと言えば当然なんですが、もっとグローバルに、やはりあらゆる領域で環境問題についての配慮と行動が求められている時代だと私は思います。  そういう意味でも、いろいろな面で示唆に富んだ指摘があったわけでありまして、感想もつけ加えさせていただきます。
  173. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 次の質問にさせていただこうと思っていた、そのことをまさに今長官が感心した事項として挙げられたわけですけれども、大蔵省が考えたときに、当然財政当局としての考え方もあるかと思いますけれども、今おっしゃったように、銀行業務を行っていく上でも、環境に対してどんな貢献をしているか、その企業をチェックする、もしくはその融資したプロジェクトによってどんな環境的な問題が起きているかというのを考えていくという点についても、非常に明らかにされているわけでございます。  同時に、企業が物事をするときに、経済活動をするときに、その中にどっやって環境問題への対応を入れていくかということが非常に重要であるかと思います。  アメリカにおきましては、「グリーン・コンシューマー」なり「ショッピング・フォー・ザ・ベター・ワールド」というような形で、買い物客がその本を参考にしながら、これが環境に優しいんだ、この会社環境に優しいんだということをチェックしながら物を購入することも多々ございます。  日本におきましても、幾つかの会社環境庁を含めた各省庁がそのような取り組みをしているとも伺っておりますし、これからは消費者が物を買うときに、いかに環境に優しい会社なのか、商品なのかということがチェック項目の一つであるかと思いますし、午前中の質問で長浜委員からの指摘があったエコマークに関しても、その取り扱われ方というのがそういう意味で非常に重要ではないかと考える次第でございます。  続きまして、このレポートをさらに追求していきたいと思うのですけれども、この中で、事業活動として企業が環境への配慮を経営判断に組み込む、今申し上げたようなことを考えながら、同時に情報開示を行うことも重要であると言われているわけです。今申し上げた、商品を購入するときに、どんな状況なのかという情報がなければ全く取り組むこともできないと思うわけです。金融機関もしくは経済法人が、企業がどのように考えていくかということをこれからもぜひ環境庁としてもどんどんインセンティブを与えながらやっていただきたいと思います。  この点について、情報開示ということについて、長官、何か御意見ございましたら教えてください。
  174. 宮下創平

    宮下国務大臣 ヨーロッパのOECD等におきましては、この問題についてかなり進んだ研究と結論が、中間的な結論も出されております。私は、企業活動をやるについて、環境面にどういう影響を与えるか、例えば自動車一つとっても、この車は何年すればNOxはこれだけ余計になりますよというような情報を、それは客観的にわかるわけですから、そういう開示義務というか情報公開義務を製品に課していくということによって消費者に安心感を与えるとか選択の余地を与えるという時代に私はなってくると思うのですね。そういうことがヨーロッパ等でも行われておりますので、これからの国際貿易というのは自由貿易を前提といたしますから、環境に対する配慮というものはやはりインターナショナルなベースで行われなくてはならないと思うのですね。  エコマークの話なんかも、これはJISマークとかJASマーク等はかなり普遍的になっております。しかし、エコマークは任意のものでありますし、そういう問題についても、スタンダードについてどうしたらいいかというような国際的な研究もなされていますから、我が国は我が国としてあるべき姿を模索すると同時に、世界のそういう国際的な研究成果というものもよく見きわめながら、この環境行政というものを経済との関係では広く深く考えていかないと、これからの国際社会の中における我が国の経済の発展というものもあり得ないのじゃないかなというような感じを私は持っております。
  175. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 加藤研究部長にお尋ねしたいのは、先ほどの金融の問題を引き続き考えるならば、この問題を取り上げることによって、環境に対しての視野を融資等の中に含むことによって、国際的に世界をリードするような金融機関をつくっていくことができるのではないか、そんなような内容も書かれているわけですけれども、その点についての調査会での議論等がございましたら教えていただきたいと思います。
  176. 加藤秀樹

    ○加藤説明員 今の点にお答えいたします。  研究会におきましては、それほど具体的に、日本の金融機関はどういう行動をとるかといったようなことについて詳しい議論が行われたわけではございませんが、ただ、ヨーロッパなりアメリカなり、アメリカにはスーパーファンド法というのがあり、結果的にということではあるのだと思いますが、やはり金融機関がかなりの程度環境というものを念頭に置きながら融資等を行っている。あるいはヨーロッパでは、これはすべての金融機関ということでは必ずしもないかもしれませんけれども、主要な金融機関というのは、むしろかなり積極的に環境というものを念頭に置きながら融資の審査等を行っている。そういう事例が、これは世界的な潮流として強くなってきているのではないか。  そういうことを考えた場合に、日本の金融機関も、それが世界の流れとして最後にくっついていくということではなくて、日本の金融機関というのはやはりその分野においては世界のリーダーとして活躍しているわけですから、むしろこの環境という面においてももっとそういうことを考えながら行動するべきではないのかといったような議論がございました。
  177. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 非常に心強く、大蔵省の方がそういうふうに金融関係の話をなさると、すぐにでも、あしたからでもなるのじゃないかという期待を私はしてしまうのですけれども、現実は非常に難しくて、一歩一歩の部分もあるかと思いますけれども、少なくともその方向性に従って財政当局としても指導等を考えていただきたいと要望させていただきたいと思います。  同時に、財政当局として、公共投資の問題もこの報告書の中ではございます。環境に悪影響を与えてきた政策を見直し、公共投資の配分を是正すべきである、環境保全的な都市構造や交通体系を整備したらどうかというような、厳しい批判とでも言っていいような議論が書かれているわけでございます。  公共投資の問題というのは、環境問題をやっていると常に議論されているわけですけれども、私の知る限りのデータでは、残念ながらこの三十年余り公共投資の配分というものはほとんど変わらずに来てしまっているわけです。しかしながら、中でも環境問題や国際貢献の比率というのは、少しずつではありますけれども上がってきているわけでございます。公共投資に関してのこの見解というものを加藤部長の方からいま一度詳しく御説明をいただきたいと思います。
  178. 加藤秀樹

    ○加藤説明員 お答えいたします。  今の点につきましても、公共投資の一つ一つについて、この点についてはこうすべきだといったような詳細な議論が行われたわけではございません。しかしながら、例えば一方で先ほど先生の御指摘のような経済的な手段というものがとられて、これはいわばフローの面で人なり企業なりを誘導していく手だてだと思いますけれども、そちらで環境保全的な政策をとる、一方で、公共投資、これはストックにかかわるものだと思いますが、そちらでいわば整合的ではないことをやっていくのでは全体としてのバランスでよくないのではないか、まさに先ほど先生御指摘の全体として整合性のある体系ということに反するのではないか、そういう観点から、フローの面だけではなくストックにおける公共投資についてもよく考えていくべきだというような議論が行われておりました。
  179. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 このレポートの結びの部分でどきっとするような文章が出てくるわけです。「人間は地球を必要としているが、地球は必ずしも人間を必要とはしていない。我々は、自らの手で持続可能な道を見出していかざるを得ないのである。そのための自制心と英知が今求められている。」そんなような文章でございます。  「地球は必ずしも人間を必要とはしていない。」というところには、恐らく何らかの提案というか提議というものを考えてお話をしているのかと思いますけれども、事務局の当事者として、加藤部長、これはどのような真意があったのか、お答えいただきたいと思います。
  180. 加藤秀樹

    ○加藤説明員 お答えいたします。  その報告書の意味するところは、ややきざなせりふではあるかと思いますが、これは当たり前のことだと思います。人間は地球上における生態系の一部である。人間が自然環境と別個に保護する対象として自然環境があるのではなく、別個に存在するのではない。したがって、自然環境が劣化していけば、人間活動なり人間の存続自体が危うくなるのではないか。地球に優しいという言葉が使われておりますけれども、それは何も地球のことを考えて地球に優しくということではなくて、やはり我が身のことを考えた場合に、自然環境というものを大切にしていく必要がある。このことを基本に立ち返って改めてよく認識して、持続可能な人間社会のあり方というものを考えないといけない、こういう趣旨であると思っております。
  181. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 先ほど冒頭部分でストレスの話をさせていただいたのも、人間というものと地球というものの存在が自然環境という調和の中で生まれているわけです。人間でいえばホメオスタシスという一つの補完的な部分があるわけですけれども、地球と人間がお互いに助け合うというよりも、共生じていく部分が非常に重要ではないかと思っております。  このレポートに関してはこの程度で終わらせていただきまして、残り三分でなんですけれども、その自然をある意味で壊してしまうのではないかという問題がございましたので、きょうはその点の説明だけしていただきたいと思っております。  というのは、どこかと申しますと、東洋のガラパゴスと言われている小笠原の問題でございます。  これは、東京、こちらの方から大体千キロ離れたところでございまして、私の選挙区でもあるわけですけれども、そちらの方に空港建設というものが持ち上がっております。これは、一昨年がたしか返還二十五周年ですから、もう二十何年間の小笠原の島民の皆さんの悲願でもあると言われております。実際に私、昨年五月に建設予定地と目されていた児島のところにも山を登りまして拝見しに行きました。小笠原は現在のところ、船で大体片道二十八時間、週に一便しかございませんので、一週間かかって往復することになるわけです。確かにその不便さはあるものの、そこに存在する環境というもの、自然というものは本当に驚くほどの美しさがあり、これから問題にしようとしている兄島の空港建設地と父島、兄島には人が住んでいないわけですけれども、父島につなぐロープウエーの部分の瀬戸の部分というところが恐らく日本でも一番きれいだと言ってもいいような、海底のテーブルサンゴが広がっている非常に美しい部分なわけでございます。  そんな中で、東京都が今回二月六日ですか、最終結論というような形で小笠原諸島への空港設置を無人の兄島にするということを決定されたわけですけれども、それに対して環境庁が都に説明要求をしているという記事を二月八日の毎日新聞で拝見いたしました。現在までの小笠原空港の経緯と、今どのような説明を要求しているのか。私は、環境問題に対してというか、この空港建設に対しては非常に慎重な立場をとっているわけですけれども、恐らく環境庁とともにこの空港建設を考えていく立場がとれるかと思っております。その点について端的に御説明ください。
  182. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 お答えを申し上げます。  小笠原諸島の復帰以来、東京都において空港整備構想が検討されてきたわけでございますが、具体的な計画として、平成元年に兄島に千八百メートルの飛行場を建設するという計画が公表されております。この発表に対しましては、日本生態学会や日本自然保護協会などから反対の意見表明が出されておるところでございます。  その後、平成三年十一月に第六次空港整備五カ年計画が策定をされた際に、自然環境へ配慮した位置や規模の検討、それから航空需要の見通し、費用負担などの三課題が解決した段階で新規事業に組み入れる予定事業という位置づけがされているところでございます。先生御指摘の本年二月、東京都がこれまで行ってきた各種の調査などの結果をもとに、東京都の方針として兄島ということに決定をしたというような発表がされたところでございます。  私どもといたしましては、小笠原諸島は風致景観や野生動植物の保護の観点から重要な地域であると認識をしておりまして、慎重に検討していく必要があると考えてきたところでございます。今般、東京都における発表をお聞きしたものでありますので、都の行った各種調査の結果をどのように評価し今回の決定を行ったかについて、お話をお聞きしているところでございます。  今後、私どもとして、空港整備計画への位置づけなど、各種の段階があるわけでございますが、慎重に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  183. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 もう時間が参りましたので、これ以上の質問は遠慮させていただきますけれども、先ほど竹内先生の方から茨城県の知事の話もありましたけれども、我が東京都におきましても、やめると決めている人が小笠原に空港をつくりましょうということを言い出します。それも直前になりまして、十二月末に調査結果を発表して、この二月にあっという間に、環境庁との相談もないままにいきなり決めてしまうわけです。これまでの施策に関しても非常に問題点があると東京都に対して問題点指摘してきたわけですけれども、この点についても、以後、この国会の場をかりながら追及させていただきたいと思っております。  本日は、どうもありがとうございました。
  184. 阿部昭吾

    阿部委員長 岩佐恵美さん。
  185. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 本日は、阪神大震災関連で質問をさせていただきたいと思います。  阪神大震災は、死者五千二百名以上の本当に大惨事となりました。いまだに二十五万人近い皆さんが非常に不便な避難所生活を強いられております。この大惨事は、高速道路の倒壊、新幹線の橋脚落下、あるいは耐震防火水槽や消防力の圧倒的な不足がもたらした大規模火災、海岸埋立地域の液状化現象による崩壊など、まさに天災が引き起こした人災である、あるいは政治災害である、そういうことを指摘しなければならないと思います。  神戸市など被災地では震災復興に急ピッチで取り組んでいますけれども、復興に当たっては何よりも震災による災害の多くは人災であるという前提に立った町づくり、防災対策が必要だと考えます。災害に強い町づくりというのは、同時に環境面で安全な町づくりをしていく、そういうことでもあると思います。  今回の災害を通して、環境庁長官として、どういう観点で今後町づくりを進めるべきだというふうにお考えになられたか、先ほどからいろいろとお話が出ているところでありますけれども、改めてお伺いをしておきたいと思います。
  186. 宮下創平

    宮下国務大臣 私も神戸に行ってまいりまして、その悲惨さに本当に痛ましい感じを受けました。そしてまた同時に、瓦れき処理を初め、いよいよ復興への道行きもつけられようとして、その緒についておることも事実でございます。  私どもは、今直ちには二次汚染防止とか、そういう点に十分な配慮をやろうということで、大気あるいは水のモニタリング調査を今職員を派遣してやっております。幸い、今二次汚染の問題は、アスベストの問題等若干ございますが、基本的にはございません。したがって、モニタリング調査をやりながら、しかし、これから町づくりの段階でもっともっと震災の深部にまでいろいろ原因究明がなされたりしてまいりますと、これからの都市づくりに当たっての問題点というのは出てくると思うのですね。  それは、今委員のおっしゃったように、震災に強い町づくりをやろうということは、これは第一義的に重要なことでございます。しかし同時にそのことは、緩衝緑地をつくったり、公園広場をつくったり、道路を広げたりという町づくりと全く相反するものではございません。そういう意味で、環境保全震災への対応というものは非常に密接な関係がございますから、環境庁としても、私としても、あとう限り、これから復興へのプランづくりその他がなされるわけでありますから、そういった意向を反映して、震災に強い、そして同時に環境に優しい国際都市神戸、あるいは復興に向かって努力をさせていただきたい、こう思っております。
  187. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 公害健康被害補償法に基づく認定患者の皆さんのことですけれども、神戸市では千七百四十一名、尼崎市では四千三百二十四名おられます。震災被害が最も大きかった灘区から長田区のJR神戸線南側の地域に多く住んでおられると伺っておりますけれども、先ほど大臣が答弁の中で触れられましたけれども、その罹災実態については現在のところ十分把握しておられないということであります。認定患者の方々の被災、避難、入院状況など、早急に消息を把握して対策を講じるべきであるというふうに思います。地元神戸の公害患者の皆さんから、患者会からお聞きしたところ、現在十六名の方が亡くなられ、七十名以上の方が避難あるいは入院生活を送っておられるということであります。  また、認定患者が被災によって公害医療手帳を焼失をするあるいはなくすということで、認定患者の証明が困難で医療機関にかかれないとか、あるいは他都市に避難した場合に、手帳があっても避難先の医療機関で診療が拒否をされるのではという不安を持っておられるようであります。そういうことのないようにすべきだと思います。  これらの対策についてお伺いしたいと思います。
  188. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 お答えをいたします。  まず、認定患者の方々の被災状況についてでございますが、私どもといたしましては、一月二十五日及び二月の三日の二回にわたりまして担当官を派遣をいたしまして、市役所や患者会とも連絡をとりながら把握に努めておりますけれども、今御指摘もございましたけれども、多くの避難所に分散をしておるというようなこともございまして、極めて把握が困難な状況にございます。しかしながら、私ども環境庁といたしましては、今後政府広報や自治体の広報、それからテレビ、ラジオなどで認定患者の方々に呼びかけまして、兵庫県及び大阪府の指定地域、九自治体ございますが、これに、公害健康被害補償予防協会の大阪支部に設ける公害患者相談窓口に御連絡いただくようお願いするなど、今後状況把握に手を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。  それから、公害医療手帳をなくした場合の御心配のことがございましたけれども、私どもといたしましては、患者の方々が安心して医療を受けられるということが重要な課題であると認識をしておりまして、被災によりまして公害医療手帳をなくされた場合においては手帳がなくても通常どおりの医療が受けられることといたしまして、既に一月二十日にこの取り扱いについて関係市それから医師会及び薬剤師会に連絡をしたところでございます。また、先ほど申し上げました相談窓口に手帳を紛失したことをお知らせいただければ、速やかに手帳を再発行するような体制も整えているところでございます。
  189. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 環境庁は、認定患者が被災により認定期限内に申請できなくなった場合、二カ月以内の申請延長を認める特例措置をとるというふうに伺っているわけですけれども災害救助法が適用される地域内での一月から三月までの更新予定者、こういう方々が確実に更新できるように手だてをとるべきだと思いますけれども、その辺はいかがですか。
  190. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 今御指摘ございましたように、私どもといたしましては、認定更新の手続を仮にとられなくても猶予期間を二カ月設けまして手当てができるような公健法の一部改正案を用意させていただいておりまして、後ほど大臣の方から提案理由説明を申し上げるところでございますけれども、これによりまして、もちろん被災された今回の方々に対しても適用されるよう、さかのぼって適用するということになりますし、また今後、恒久的にこのような場合においても手当てをするということになろうかと存じます。
  191. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 その際、認定患者の中には避難生活を強いられ、役所に手続に行くのもままならない、そういう方々もおられると伺っています。だからこそ環境庁が被災実態を十分把握して、避難生活をしておられる認定患者に合った救済対策をとることが大事になっているというふうに思います。  また、更新時の医学検査、これは神戸の場合、市立中央市民、西市民病院で実施をしているわけですけれども、西市民病院は半壊をしている、中央市民病院も対応できない、そういう状態であるというふうに聞いています。更新時に患者に過重な負担にならない、そういう配慮をすべきだというふうに思います。  また、公害医療機関でのぜんそく用のお薬あるいは医療の体制、十分確保することが求められていますけれども環境庁として、なかなか現地は大変でありますけれども、そういう特別な措置を指示しておられるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  192. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 まず、認定更新のための検査が、神戸においては市立病院が半ば機能を失っているので御心配というお話があったわけでございますけれども、病院の機能が失われているだけではなくて、ポートアイランドにこの市立病院があるものですから、交通の便が現在では十分でないというようなこともございますので、神戸市でその点も十分配慮をいたしまして、認定更新をされる患者さん方に対しまして柔軟に検査ができるような仕組みをつくられるものと考えておるところでございます。  それから、患者さんの方々に対する医薬品のお話がございました。これまで被災地の医療機関に対する医薬品の供給につきましては、一般的に、厚生省の要請によりまして兵庫県内の卸売業者が安定供給をしておるというように聞いておるところでございます。私どもの職員による現地調査等を通じましても、被災地の医師会あるいは病院、救護所からも聞いておるところでございますけれども、現在のところぜんそく等に用いる医薬品の不足は特に起きてないとにうことは聞いておるわけでございますが、今後その必要が生じた場合には厚生省に対しましてその旨を伝えまして、今後とも認定患者さんの方々の治療に支障が生じないような配慮をしてまいりたいと考えております。
  193. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 現在でも二十五万人近い被災者の皆さんが避難所で集団生活を行っておられます。私も、長田区役所の避難所、一、二階が避難所になっているのですけれども、行きまして、その実態のひどさに本当に驚きました。ドアがあくたびに冷たい風が吹き込んでくる、そのすぐわきに、避難をされておられる方々が、それこそ下に畳があるわけでもない、本当に薄い毛布や何かでくるまって寝ておられるというような、そういう光景でした。そしていろんな、崩壊した家屋の撤去の手続だとかいろんな区役所に手続に行かれる方がいらっしゃるのですけれども、そういう方の通り道になっているんですね。本当にひどいというふうに思いましたけれども、他の避難所もがなり大変なところがほとんどだということを聞いています。  実は、その認定患者の方々の中には、せきやたんがひどくて、当然ですけれども、皆さんと一緒に寝ていられない。この寒いときに、夜になると発作が起きるというかせきが出るわけですね。ですから屋外に出ていって、そして屋外で震えていなければいけない、そういう状況もあるというふうに聞いています。  それで、北野小学校に避難しておられる六十五歳の女性の方は、避難生活の中でぜんそくがますますひどくなって直ちに保護しなければならない、そういう状態だということです。このような認定患者の方はかなりおられるということで、保護、入院待ちという状況です。認定患者は、先ほど申し上げた最も震災がひどかった長田区、東灘区に住んでおられるわけですけれども、そういう方々に対して、早く住宅が確保できるようなそういう手だてを私はとるべきだというふうに思います。障害の状況に応じて仮設住宅に一日も早く入れるというような優先的扱いをするのと同時に、そういうひどい患者の皆さんに対しては何らかの住居の確保などの手だてをとっていかれる必要があるんじゃないかというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  194. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 現実的になかなか難しい面もあろうかと思いますけれども、被災者向けの仮設住宅や他地域の公営住宅への入居者の選考というのは、それぞれ被災地の市当局において行われているわけでございますけれども、その際、高齢者の方々それから障害をお持ちの方々また病弱な方々等、いわゆる弱者の方々が優先的に入居できるよう配慮をして行われておると聞いているわけでございます。当然、認定患者の方々につきましてもこの中に入っておるわけでございまして、私どもとしては適切に対応されるものと理解をしておるところでございます。
  195. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今、実態調査をされておられるということですので、ぜひとも気にかけて、積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、先ほどからずっと話が出ていることですけれども震災復旧作業に伴う大気汚染の問題であります。  私も、長田区の瓦れきの山を見てまいりましたし、また震災復旧による倒壊ビルの取り壊し現場のわきも通ってまいりました。もう普通の被災されている皆さんだって水がないわけですから、ビルを壊すという場合に、水をかけて作業をするというようなことがないわけですね。もう本当にすさまじい限りでした。現地の皆さんもすごいなとか言ってそのそばを小走りに駆け抜けていくというようなことでしたけれども、実際、ビニールシートで囲うとかそういうことはもちろんやられていなかったわけです。  その際気になるのが、やはりそこで働いておられる皆さんの健康と同時に、そばを通る市民はもちろんですけれども、その近辺におられる皆さんの健康状態ということも大変心配になるわけです。まさに、命は助かったけれども、また二次災害、三次災害を受けるということになってしまいます。とりわけ、先ほどから話に出ている認定患者の皆さんの場合、呼吸器に障害を持っておるわけですから、こういう環境に置かれれば、症状が非常に悪化をしていくということになります。兵庫県は、解体工事に際しては粉じん対策を発注の条件にする、そういう指導をしているというふうに聞いていますけれども、今大事なのは、現場でやはりどうなっているのかということをきちっとつかんで、それで粉じんに対して対応していくということだと思うのです。厳しく指導をしていくことだというふうに思います。この辺、環境庁として機敏に対応をされるべきだというふうに思うのですけれども、その点、お伺いをしたいと思います。  あわせて、震災大気汚染の自動測定所が被害を受けたという例があるようですけれども、その改修だとか、あるいは粉じんが大量に発生する繁華街ですね、そういうところについては新たに測定所を設置するというようなことも考えていかなければいけない、対応していかなければいけないというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  196. 大澤進

    大澤政府委員 おっしゃるとおり、家屋の倒壊あるいはビルの解体等で粉じんが大変問題になっているところでございますので、環境庁といたしましても労働省、建設省及び地元兵庫県に対しまして適切な粉じん対策を実施するように要請したところでございまして、それぞれの機関において直ちに関係団体等の指導徹底が図られたところでございます。  また、中小ビル等の解体撤去につきましては、御承知のように公費負担とされているわけでございまして、地元自体体から解体業者に個別に粉じん飛散防止対策を徹底するよう指導を行っており、また建設業界全体に対しても地元県から同様の趣旨の指導が行われて、そういう飛散防止が徹底するようそれぞれのところで努めているところでございます。  また、大気汚染環境状況を監視する方の機器にも相当の被害が出ておりまして、現在県、市においてその復旧に向けて全力を挙げているところでございますが、私ども環境庁といたしましても、これらの機器の再整備に財政的な面から支援してまいりたい、かように考えております。その間、環境状況を把握していくという必要性から、この二月六日から一週間かけて現地に人を派遣して緊急のモニタリングを地元と連携をとりながら実施しているところでございまして、いずれにしましても、大気汚染の実態の把握それから粉じんによる飛散の拡大防止等に最善の努力をしてまいりたいと考えております。
  197. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 また、大気汚染の中でも先ほどから議論がされております、とりわけ今深刻な問題になっているのがアスベストの飛散です。神戸市の東灘区の五階建てマンションの崩壊現場では、アスベストの中でも最も発がん性の強いと言われるクロシドライト、これがむき出しの状態で吹きつけられているというふうに報じられています。解体工事現場では、粉じんの場合と同様に十分な飛散防止策がとられていないわけです。兵庫県は、緊急を要する工事については弾力的な対応を認めるということで、事実上アスベストについての特別な対応がされていない、野放し状態であるということで、マスコミ等でもこれは今非常に大きな問題になっているということは御承知のとおりであります。  神戸市などは、解体撤去作業を行う際の発注書にアスベスト対策に留意をするよう明記をする、ビニールシートなどで飛散を防ぐというふうにしていますけれども環境庁としても従来の通達に従ってきちんと指導していくべきだというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  198. 大澤進

    大澤政府委員 御指摘のように、私ども先ほども粉じんの点について申し上げましたが、このアスベストにつきましては、昭和六十二年に環境庁の通知がございまして、「建築物の改修・解体に伴うアスベストによる大気汚染防止について」という通知が出ておりますが、当然これを基本として現地においても対応されなければならないし、また労働省、建設省においても関係機関を通して、労働現場とかあるいは建築現場でありますので、そういう関係機関からも厳しい指導をお願いしているところでございして、私もつい先日現地も見てきたところでございますが、県、市にも改めてそういう要請をしてきたところでございます。
  199. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 大事なことは、アスベストの場合解体前に撤去をするということですけれども、倒壊してしまっているわけですから今はそれができないということになる。そういう場合でも、アスベストの値が規制基準よりも高ければ作業を一たん中止して水をまくとか、あるいはシートで囲うとか、そのくらいの本当に現場に応じた対応をしていかなければいけないというふうに思うのですけれども、そういう指導もきっちりとされるということでしょうか。
  200. 大澤進

    大澤政府委員 その通知に基本的な方法は書いてあるわけでございますが、当然シートをかけてカバーできるところはカバーしてもらわなければならない。しかし、たくさん倒れておったり、ビルが斜めになっておって危険なところもございます。そういうところについては、やはり何といっても散水といいますか、水をかけることが一番有効ではないかと思います。  幸いといいますか、最近の時点で神戸市においても七〇%台ぐらい給水が回復しつつあるというようなことを聞いておりますので、危険があって囲い等ができないところについては、放水によって散水する等によって飛散を十分防止していただくということを、これも重ねて要請してきたところでございます。
  201. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 兵庫県はアスベストを使用している高校や総合庁舎など六十五カ所を確認しているということですけれども、民間の建物については把握していない実態だと聞いています。  阪神大震災で損壊して解体、撤去しなければならないビルが一千軒とも二千軒とも言われているわけですけれどもアスベストの飛散問題というのは、これは既に八九年のサンフランシスコ地震でも、倒壊した建物などによるアスベスト飛散が米国環境保護局の調査でも報告をされていて、もう大きな問題になっているわけです。このような過去の災害からきちんと学んでいれば、今回の大災害でも事前にそういう民間建物でのアスベスト使用箇所をつかんで、そして飛散防止対策を機敏にとることができたはずだというふうに思います。  これは、ビル等の建設の際には地方自治体の建築許可を受けるということになっていて、アスベスト使用の実態は把握できるわけですし、建設省とも協力をして、事前に使用実態調査をきちんとしておけば、こういう事態に対応するということができるというふうに思うんです。こういう対応というのは非常に大事な問題だと思いますので、ぜひ大臣、地方自治体あるいは建設省とも協力して、この神戸の阪神大震災から学んで、アスベスト問題についてはどこにどういうふうに使っているのか事前に把握して、そういうことになったときにも緊急に対応できるというような体制をとっていく必要があるというふうに思いますので、ぜひ他の大臣にも働きかけ、省庁にも働きかけていただきますようにお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  202. 宮下創平

    宮下国務大臣 アスベストは発がん性のおそれがある物質であると言われておりますが、今のところ使用禁止にはなっていないと存じます。したがって、今後の建築物の構築に当たって、アスベストを使用すべきかどうかということを含めて、これは検討さしていただく必要があるんじゃないかなと思います。有害であることは間違いないわけですから、できればそういうものを使わないでこれからの建築が行われることが一番望ましいと思いますが、どうしても使わざるを得ないときは、今委員おっしゃったような意味で、十分検査のときに状況把握していくことも必要だと思います。  今回の実際の実情、私も見ましたけれども、なかなかどの建物がどうなっているかということはほとんどこれはわかりません。率直に言ってわからないだろうと思うんですね。したがって、現場で復興のための廃棄をやらざるを得ない、取り壊しをせざるを得ないという現実がございますから、アスベストのそういう問題のある箇所は、早く市で通告していただいて、そしてきちっとした業界に対する指導をやっていただくように、なお神戸市並びに県庁にも私の方からもお伝えをするようにいたしたいと思っています。
  203. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 大臣、それもぜひやっていただきたいのですが、今私が申し上げたのは、要するに今古い建物についてはアスベストが使用されているんですけれども、いわゆる公共的な建物については結構各地方自治体でもっかんでいるんですけれども、民間の建物についてはつかんでいないのですね。ですから、こういう天災ですから、災害ですから、いっ起こるかわからないということですので、全国的にやはり地方自治体なり建設省なりと協力されて、アスベストを使っているような建物についてはもう事前につかんでおく、二次災害、三次災害にならないようにする、そういう実態調査をぜひ行っていただきたいということなんです。
  204. 宮下創平

    宮下国務大臣 他の所管大臣とも相談をさしていただきまして、趣旨はよく伝達をしていきたいと思っています。
  205. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 先ほどこれもお話に出てまいりましたけれども、市民用の防じんマスク三十万枚配布を決めたというふうに伺いましたけれども、被災地では現在解体、撤去作業が急ピッチで行われています。何か防じんマスクがとても足りないという実態にあるようですけれども、ぜひ市民にマスクが必要だということを広く注意を呼びかけるということと同時に、また公健法の認定患者の皆さんなど呼吸器系に障害のある市民には、一刻も早く十分な数量が行き渡るようにする必要があるというふうに思いますけれども、その辺の対応を伺いたいと思います。
  206. 野村瞭

    ○野村(瞭)政府委員 経緯も若干申し上げたいと思いますけれども、私どもの担当職員を現地に派遣いたしましたところ、御指摘もございましたけれども粉じんが大量に発生をしておりまして、また寒さと生活環境が厳しくなっておるということもございまして、風邪が多発をしておるという状況でございました。このため、地元自治体の要望も踏まえまして、被災地に対する支援策の一つといたしまして、防じん及び風邪の予防に役立つ、またぜんそく等の予防にも資するといった観点から、公害健康被害補償協会の健康被害予防事業の一環といたしましてマスクを配布することといたしたものでございます。  具体的には、兵庫県並びに神戸市、西宮市及び芦屋市あてに二月三日から約二十万枚、それから二月八日から約十万枚を追加送付をいたしておるところでございます。  なお、マスクの配布につきましては、それぞれの市の担当から行うことといたしておりますけれども、配布に当たりましては、本当に必要な方々に渡るようお願いをしているところでございます。今御心配の向きをおっしゃいましたけれども、その点は大丈夫だろうというように考えております。
  207. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、災害廃棄物対策の問題です。一千百万トンにも及ぶということですけれども、この災害廃棄物は当初尼崎沖と泉大津沖にある大阪湾フェニックス計画に運び込む予定になっていたわけですけれども、そのうちの四割近くが木材の瓦れきということで投棄ができなくなっています。神戸市内にある七カ所のごみ焼却施設も、三カ所が震災で使用できなくなったということで、四カ所の焼却施設でフル稼働していても、ごみは山積みにされる、生活ごみも山積みになる。私も道路に山積みになったごみを見てまいりましたけれども、大変な事態になっています。  神戸市や宝塚市などでは、市街地で大量の建設廃材を違法に野焼きをする、そういう状況発生して、周辺の皆さんが大変だということで今苦労しておられるわけですけれども、野焼きというのは周辺に環境汚染を引き起こすことは明らかであります。環境への影響の監視ということを十分行っていくべきだというふうに思いますけれども、この点についてもどう対応されるのか伺っておきたいと思います。
  208. 大澤進

    大澤政府委員 このたびの震災に伴って大量に発生した廃材等の処理において、一部の自治体において緊急避難的に一時的に野焼きが行われたというぐあいに承知しておりますが、環境庁としては、直ちに関係の厚生省に対しまして、地震に伴う廃棄物処理に当たっても、大気汚染防止に配慮し、適正に処理されるよう申し入れたところでございます。  厚生省においては、被災地の近隣市町産業廃棄物処理業者等の焼却施設の活用等により適正処理に最大の努力をなすこと、及び環境保全上の問題が生じることがないよう措置すること等を直ちに関係自治体に指導したと聞いているところでございます。
  209. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今度の地震の中でいわゆる水道施設が破壊をして、そして水道が機能を全く停止をしてしまった。頼りになるのは河川の水だとか地下水だとか井戸水だとか、そういうものだったということです。  やはり地下水の、特に井戸水については従来から本当に大事にしながら日本人は長いことおつき合いをしてきているわけですけれども、先ほどお話にも出ていましたが、有機塩素系化合物等に係る土壌・地下水汚染調査対策暫定指針、これを環境庁が総務庁の勧告も受けて策定をしているわけですけれども、今大事なことは汚染源を特定する、そして同時に、汚染の立入検査を強化をして排水基準に違反した業者に対して厳しい措置をする、つまり浄化をしなさいということを義務づけるとかそういうことが必要であろうというふうに思います。  私は、昭和電工の秩父工場に行ったのですが、ここはクロム汚染があるということで行ったわけですけれども、昭和電工は汚染源であるということは認めたわけですね。そういう中で、埼玉県に、じゃ井戸水はどうなっているのですかということを聞いたら、いや全部上水道にかえたので大丈夫ですというふうに言っているのですね。私は、まだ阪神大震災の前でしたけれども、井戸水というのはまさかの場合に大事だし、おいしい井戸水を飲むという権利も市民にはあるのじゃないですかということを言ったわけです。  こういう井戸水が利用できるような汚染対策ということをきちんと環境庁としてやっていかれる、このことも私は今度の災害から本当に学びとるべき大事な教訓じゃないかというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  210. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 今先生言われましたように、昨年の十一月、有機塩素系化合物に係ります土壌・地下水の対策暫定指針というのを出しておりまして、これは汚染源の究明や対策の手順を示した技術的指針が必要であるということで昨年都道府県に通知しまして、今指導しているところでございます。環境庁といたしまして、都道府県に対しまして、この技術指針を参考といたしまして地下水汚染調査対策がなされるように指導を行っているところでございます。  今後とも、地下水汚染調査対策についての新しい技術の開発及び地下水汚染の機構解明などの調査研究を進めまして、この成果を順次この暫定指針に反映させまして充実したものにしていきたいというふうに考えております。
  211. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 汚染源を特定する調査には一カ所約三千万円かかるということです。  君津市の場合は、私も君津の東芝コンポーネンツの地下水汚染問題については何回か現地に行きましたし、また国会でも環境委員会で取り上げたのですけれども、これは調査改善に十二億円かかっているわけです。でも、汚染原因者負担ということで、そういう原則を貫いて解決をした、そういうケースとしては全国で初めてということでありました。また、神奈川県の秦野市では、地下水汚染防止・浄化条例というのを持っているわけですわ。それで汚染対策を進めています。  そういうふうに個々にはいろいろ出てきているわけですけれども、これをやはり国として本当に積極的に今進めていくことが求められているというふうに思います。先ほども議論があったところですけれども、ぜひ環境庁としてこの問題に積極的に取り組んでいただきたいと思います。大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  212. 宮下創平

    宮下国務大臣 御指摘のとおりでございまして、先ほど局長の答弁にもございましたように基準を一応つくっておりますけれども、地下水等は利用水の六分の一を占めているとか相当我々の生活と密着した関係にございますから、ひとつ十分な検討を重ねていきたい、こう思っております。
  213. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この問題というのはなかなか抵抗も強いですね。だからこそ今まで延びているわけですけれども、ぜひ積極的に取り組んでいただきますように申し上げまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  214. 阿部昭吾

    阿部委員長 大臣所信に対する質疑は終了しました。      ――――◇―――――
  215. 阿部昭吾

    阿部委員長 次に、先刻付託になりました内閣提出公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府より趣旨の説明を聴取いたします。宮下環境庁長官。     ―――――――――――――  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案    〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  216. 宮下創平

    宮下国務大臣 ただいま議題となりました公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  公害健康被害補償等に関する法律は、公害の影響による健康被害者の迅速かつ公正な保護を図るため、補償給付の支給等を行うものであります。  今回の改正は、公害の影響による健康被害者の保護の一層の充実を図ることを目的として、近年における高い高等学校進学率の状況等にかんがみ、死亡した健康被害者の子等に支給する遺族補償費を一般に高等学校を卒業する時点まで支給できることとするとともに、健康被害に係る認定の更新の申請について、災害その他やむを得ない理由がある場合の特例措置を設けるために、所要の改正を行うものであります。  次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。  第一に、公害の影響による健康被害者の遺族に支給する遺族補償費の支給対象として、子、孫または兄弟姉妹については、十八歳に達した日以後最初の三月三十一日までの間にある者を含めることといたします。  第二に、公害の影響による健康被害に係る認定の更新について、災害その他やむを得ない理由により認定の有効期間の満了前に更新の申請をすることができなかったときは、その理由のやんだ日から二月以内に限り、更新の申請をすることができることといたします。  この法律案は、認定の更新に係る改正規定は公布の日から、遺族補償費の支給対象に係る改正規定は平成七年四月一日から施行することといたしております。なお、認定の更新に係る改正後の規定は、先般の兵庫県南部地震による災害についても適用することとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  217. 阿部昭吾

    阿部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十九分散会