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1995-03-10 第132回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月十日(金曜日)     午前九時三十三分開議 出席委員   委員長 三原 朝彦君    理事 小杉  隆君 理事 田中 直紀君    理事 福田 康夫君 理事 松沢 成文君    理事 松田 岩夫君 理事 秋葉 忠利君    理事 前原 誠司君       安倍 晋三君    衛藤 晟一君       柿澤 弘治君    斎藤 文昭君       坂本三十次君    鈴木 宗男君       二階堂 進君    原田昇左右君       赤羽 一嘉君    岡田 克也君       鹿野 道彦君   柴野たいぞう君       高市 早苗君    山本  拓君       吉田 公一君    若松 謙維君       上原 康助君    佐々木秀典君       松前  仰君    古堅 実吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 河野 洋平君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      津野  修君         外務大臣官房外         務参事官    谷内正太郎君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官  林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省欧亜局長 野村 一成君         外務省中近東ア         フリカ局長   法眼 健作君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省条約局長 折田 正樹君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛政策課長   守屋 武昌君         外務大臣官房審         議官      高野 紀元君         水産庁海洋漁業         部国際課長   田中  誠君         通商産業省産業         政策局商務室長 近藤 正春君         運輸省航空局監         理部国際航空課         長       柴田 耕介君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       丸山  博君         海上保安庁警備         救難部管理課長 田島 邦雄君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ————————————— 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   石原慎太郎君     衛藤 晟一君   羽田  孜君     吉田 公一君   伊藤  茂君     佐々木秀典君 同日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     石原慎太郎君   吉田 公一君     羽田  孜君   佐々木秀典君     伊藤  茂君     ————————————— 三月十日  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国政府フランス共和  国政府との間の条約締結について承認を求め  るの件(条約第五号)  原子力の安全に関する条約締結について承認  を求めるの件(条約第七号)  家族的責任を有する男女労働者機会及び待遇  の均等に関する条約(第百五十六号)の締結に  ついて承認を求めるの件(条約第八号)  千九百九十四年の国際熱帯木材協定締結につ  いて承認を求めるの件(条約第九号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中央ベーリング海におけるすけとうだら資源の  保存及び管理に関する条約締結について承認  を求めるの件(条約第一号)  航空業務に関する日本国政府ポーランド共和  国政府との間の協定締結について承認を求め  るの件(条約第二号)  千九百九十四年の国際コーヒー協定締結につ  いて承認を求めるの件(条約第三号)(参議院  送付)  千九百八十八年五月三十一日に総会において採  択された千九百二十八年十一月二十二日の国際  博覧会に関する条約(千九百四十八年五月十日  、千九百六十六年十一月十六日及び千九百七十  二年十一月三十日の議定書並びに千九百八十二  年六月二十四日の改正によって改正され及び補  足されたもの)の改正受諾について承認を求  めるの件(条約第四号)(参議院送付)  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 三原朝彦

    三原委員長 これより会議を開きます。  中央ベーリング海におけるすけとうだら資源保存及び管理に関する条約締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国政府ポーランド共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、千九百九十四年の国際コーヒー協定締結について承認を求めるの件及び千九百八十八年五月三十一日に総会において採択された千九百二十八年十一月二十二日の国際博覧会に関する条約一千九百四十八年五月十日、千九百六十六年十一月十六日及び千九百七十二年十一月三十日の議定書並びに千九百八十二年六月二十四日の改正によって改正され及び補足されたもの)の改正受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前原誠司君。
  3. 前原誠司

    前原委員 新党さきがけを代表いたしまして、四条約につきまして御質問させていただきたいと思います。  まず、日本ポーランド航空協定の件について御質問させていただきたいと思います。  これは、従来航空協定、二国間協定ということで、新たにポーランドとも航空協定を結ぶということでございますが、聞くところによりますと、日本航空協定締結をさらに希望している国が三十七カ国あるというふうに伺っております。今までこれが締結できなかった理由としては、成田空港ほか、他の国際空港というものの飽和状態というものがございまして、昨年関西国際空港関空が開業いたしましてその枠が広がったという観点から、今回のポーランドとの航空協定促進をされた、協定締結に向けて促進をされたということを伺っております。  この航空協定、最近結ばれているのを見ますと、向こうからは乗り入れを希望していますけれども、逆の、我が国からその航空協定を結んだ国に対しての乗り入れというものが余りないような話を聞いております。その理由は別といたしまして、 今希望している三十七カ国の今後の航空協定締結に対する日本国政府としてのお考えをまずお伺いをしたいと思います。
  4. 河野洋平

    河野国務大臣 我が国といたしましては、相手国との間の経済的交流あるいは人的交流促進に資するという観点から、二国間定期航空路路線の開設を目的とする航空協定締結を積極的に推進する、これが基本的な考え方でございます。しかしながら、今議員からもお話がございましたように、物理的な問題もございます。さらに、この航空協定を結ぶということにつきましては、両国間の航空需要、それから両国間の政治、経済、文化などの交流関係我が国空港の事情、相手国ハイジャック防止対策への配慮、こういったようなことをいろいろと考えた上で対処をしていくというのが我が国考え方でございます。  ちなみに、今議員から三十七カ国というお話がございましたが、私の手元にありますのは三十九カ国、いずれにしても相当多い数の国が希望を出している、こういうことでございます。
  5. 前原誠司

    前原委員 今申されましたようなハイジャック防止とか、こちらの物理的な問題等々ございますけれども、人の交流というものがその国との関係を強化するというのはだれもが認めるところでございますので、早急にこの点について御検討をいただきたいと思います。  関連をいたしまして、日本アメリカとの航空協定の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  昨年の三月にアメリカ日本航空の仙台—ホノルル間の認可保留をしたというふうなことで、日米航空協定というものが中断をしている、そして再開めどが立っていなかったということでございますけれども、報道によりますと、何か今月の下旬にでも実務者レベルでの協議再開をするということも聞こえてくるわけでございますけれども、まずその点について、事実かどうかお教えをいただきたいと思います。
  6. 高野紀元

    高野説明員 お答え申し上げます。  現在日米間で話をしている最中でございますので、詳細についてはお答えすることは控えさせていただきたいと思いますが、本年一月、米側から日米航空問題について話し合いたいという意向の表明がございました。我が方より、具体的日程も提案してきているところでございますけれども、米側より現在までのところ回答がないため、この時点では具体的な話し合い日程あるいは段取りは決まっていない状況でございます。
  7. 前原誠司

    前原委員 具体的な日程は決まっていないということでございますけれども、近々に始まるのだろうということを期待も含めてお話をいたします。  それでは、中断した理由というものについて、日本側としてはどういうところが問題だと思っているのか、あるいはアメリカとしてはどういう問題があると思っているのか、そこら辺の政府としての御認識をお伺いしたいと思います。
  8. 高野紀元

    高野説明員 お答え申し上げます。  日米航空交渉につきましては、長い間の交渉の経緯がございます。我が国といたしましては、日米航空関係の均衡ある発展を図るべく、米側との交渉に臨んでいるところでございます。  具体的には、米側指定航空企業三社、ノースウェスト、ユナイテッド及びフェデラル・エクスプレスの増便に関する日米航空協定の現行の運用を是正するということ、それから、日米航空協定上問題のある米国以遠権相手国第三国との間の運用を行う権利でございますが、この行使のあり方について是正を図っていくということを通して日米航空関係の不均衡を是正していきたいというふうに我が国考えておりまして、この二点を中心といたしまして従来も交渉してまいりましたし、今後もし話し合いが始まるという段階になりましたら主要な内容になると考えております。
  9. 前原誠司

    前原委員 大づかみの議論でございますけれども、アメリカはとにかく原則自由にしていこう、しかし日本は、それについては基本的にはある程度制限を加える中で安全性確保なども行っていきたいという考えであると思っております。ただ、そこら辺の問題、今お話がございましたけれども、以遠権の問題についてでございます。  この以遠権の問題については、関西空港関空ができまして、私も初めて耳にしたわけでございますけれども、ハブ空港議論というものがよく言われるようになりました。ハブ空港というのは、要は、その地点目的があるというよりも、その地点を乗り継いでいろいろなところへ行くような利便性の高い空港をつくっていく、その拠点にするということであると思います。そういう観点からすれば、以遠権という問題については日本側もある程度、逆に関西空港ハブ空港にするということであれば、認めていかなくてはいけない部分もあるのではないかと思います。  そこら辺で、日本が求める以遠権アメリカが求める以遠権というものについての質的な違いというものもあるわけでございますけれども、アメリカが求める以遠権、それから、日本がこれから国際空港として、関西空港だけでなくて、ほかの空港もいろいろ地方で名乗りも上げているわけでございますけれども、ハブ空港にしたいという思い、そこら辺は合致するわけでありますけれども、そこと逆に日本政府航空行政というものに違いがあるのではないかと思うわけでありますけれども、その点について御認識伺いたい。つまり、ハブ空港にしていくためには以遠権というものを認めていかなくてはいけないというふうに思っていますけれども、そこら辺の御認識についてお伺いをしたいと思います。
  10. 高野紀元

    高野説明員 とりあえず日米に関連いたしましてお答え申し上げます。  この以遠権の問題に関しましては、先ほど申し上げましたように、長い日米航空交渉の中で最も大きな問題の一つでございます。  この双方の考え方主要点というものをちょっと申し上げますと、米側は、日米航空協定以遠権行使は自由かつ無制限であるという立場をとっております。これに対して我が方は、自国と最終目的地との間の輸送を第一次の目的とするべきであるというのが、その趣旨が日米航空協定の第十二条にございまして、例えば米国日本第三国、一例を申し上げますと、ノースウェスト航空路線としてニューヨーク—大阪—シドニーという路線考えた場合にはニューヨークシドニーの間の輸送が主であるべきだ、それで大阪シドニー部分は従、往の輸送であるべきなどの立場をとっておりまして、ここに日米間の考え方の差が合意を見ないまま今に至っているということでございます。
  11. 柴田耕介

    柴田説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の点は、特にアジア航空市場を念頭に置いたお話かと思います。アジア航空市場は現在世界で最も成長性のある市場だというふうに見られております。このため、諸外国におきましても、多くの企業企業間提携といったことによりましてネットワーク、そして競争力の強化を図り、あわせましてソウル、香港、こういったところで国際空港整備に積極的に取り組んでいるところでございます。  我が国といたしましても、我が国航空企業アジア航空市場において充実したネットワークを構築していくことは、地域間の人的かつ経済的交流を図る上からも極めて重要だというふうに認識しており、また利用者利便観点から、また我が国航空企業の健全な発展という観点からも非常に重視しているところでございます。そういった観点で、各国航空企業とも協力しながら、大きなアジアにおけるネットワーク整備できるように、我が国としても航空交渉等の場を通じて鋭意支援を行っているところでございます。  また、そうした我が国航空企業ネットワークを構築する観点からも国際空港整備が望まれております。こうした要請にこたえるために、第六次空港整備五カ年計画に基づきまして、最優先の課題といたしまして、昨年九月には関西国際空港を開港いたしまして、さらに新東京国際空港滑走路整備につきましても、円卓会議結論に従 い、地域との共生を目指して鋭意努力をしているところでございます。  米国日本以遠権の問題でございますが、やはり今国際航空自由化といった考え方もございますが、昨年に行われましたICAOの場での考え方というのは、やはりお互いの国のそれぞれの航空企業機会均等、公平という原則のもとで航空市場に参入するということが必要だということをうたっております。そういう結論になっております。そういう方向も踏まえまして、ネットワークの形成、そして相互のバランスのとれた権益という中で米国以遠権についても対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  12. 前原誠司

    前原委員 よくわかったような、わからないような話が後になったのですけれども、要は韓国のソウルあるいはシンガポール、台湾、こういったところが、急速に成長するアジアの中で国際空港整備を行っていって、ハブ空港争いをしている部分もあるわけであります。日本もそれに負けないように空港整備を行っていきたいというところまでは大変よくわかるわけでありますけれども、その後の以遠権の問題になった場合については、急に何かトーンダウンをしているような感覚がします。  確かにアメリカ日本のみをとりましても、航空産業、違いがあるわけでございますけれども、現在特に北米、ヨーロッパでは空の自由化というものがどんどん進んでいるわけであります。その中で、例えばこの航空協定なんかはガット・ウルグアイラフウンドの適用除外という形で二国間協議ということになっているわけでありますけれども、しかし、各国の思惑も含めまして自由化が進んでいるという中で、この以遠権という問題につきましては、余り日本が固執をしていると世界流れというものから取り残されてしまう可能性も非常に多いということで危惧をしているところでございます。  今後の交渉に臨むということで最後にお伺いしますけれども、この以遠権の取り扱いについて、アメリカとの交渉をまとめるためにはある程度認める方向考えていかなくてはいけないと思うのですが、外務省運輸省がわかりませんけれども、そこら辺の考え、戦略みたいなものをお聞かせ願えればと思います。
  13. 柴田耕介

    柴田説明員 お答えいたします。  日米間の以遠権の問題につきましては、現在の協定に基づきまして、こういった運航が必要であるということで、その国と相手国との間の需要に対処するというのを第一義的な目的にすべきであるというふうに決まってございます。この中で、世界的な自由化動きというものもございますが、これにつきましては、先ほどちょっとお話しを申し上げましたように、ICAOというところで昨年に加盟国百三十七カ国が集まりまして、性急な自由化というのはいろいろ問題があるのではないかというようなお話もございました。  そういうことも踏まえまして、バランスのとれた運航確保と均衡ある発展というものを目指すために、鋭意努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  14. 前原誠司

    前原委員 日米の大きな経済協議の中の一つとも位置づけられておりますので、ぜひまとめる方向で行っていただきたいし、また日本がそういった国際社会流れから取り残されないように、もちろんバランスが必要でありますけれども、その点についても十分配慮した上で、航空行政を前に進めていただきたいと思います。  次に、ベーリング海のすけとうだら資源保存条約について御質問をしたいと思います。  これは、ベーリング海公海部分におけるスケトウダラのいわゆる捕獲というものを制限していこうということでございます。  そこでお伺いしたいのは、一点目は、基本的に公海での漁業操業は自由であるという原則があるわけでありますけれども、こういったものとの整合性をどのように考えておられるのかという点。  それからあと、便宜置籍船問題に向けて我が国も他の国以上に努力をすべきである。つまり、条約加盟をしていない国がそういった公海ではとれるわけでありまして、そうしたら効果が少ない。また、偽装といいますか、便宜的に船籍を置きかえて操業をするという問題、それを防止するためにリフラッキング防止条約というものの早期発効が望まれているということでございます。  以上、いわゆる公海漁業の自由の原則との整合性、それから便宜置籍船問題を解消するためのリフラッキング防止条約の今の進捗状況、この二点についてお伺いをしたいと思います。
  15. 田中誠

    田中説明員 まず、公海自由の原則との関係でございますが、公海自由の原則というのも、これは適切な保存管理措置を講ずるということを認めないという内容ではなくて、適切な保存管理措置に基づいて漁業を行っていく、適切な資源管理を図るということを否定する内容ではないというふうに考えておりまして、今回のスケソウダラの保存についての条約というのは公海自由の原則に反するものではない、こういうふうに考えております。  それからリフラッキング防止の件でございますが、これにつきましては、便宜置籍船というような方式に基づいて国際的な規制措置を回避しよう、こういう動き防止するための仕組みでございまして、我々としても非常に重要な仕組みである、こういうふうに考えているところでございます。これにつきましては、作成過程におきましても我が国は積極的にこれに参加したわけでございまして、現在まだ我が国受諾はいたしておりませんけれども、我々としては早急な受諾をできるように関係機関にもお願いしていきたい、こういうふうに考えております。
  16. 前原誠司

    前原委員 ぜひその御努力をお願いしたいと思います。  このスケトウダラ資源保存に関連して、鯨の問題について一点お伺いをしたいわけでございます。  要は、野生生物の保護を訴える環境団体などから、商業捕鯨というものがいけない、けしからぬ、そういう話があるわけでございます。しかし、食物連鎖ということで鯨も何かを食べているわけでございますし、そういった自然の生態系の中で営みが行われているというのは、これは本当に有史以来のことでございます。だから、その全体的なバランスというものを考えていかなくてはいけないと思っております。  ある資料によりますと、現在南氷洋鯨類が食糧として消費している海洋生物資源というのは年間一億七千万トンと言われております。さらに、世界の全水域での鯨類の消費する海洋生物資源の量は五億トンとも六億トンとも言われているということであります。では人間、今人口五十五億ぐらいですか、その人間が消費しているのは八千万トンということでありまして、今いる鯨だけでも人間の六倍ぐらいの海洋生物を食べているということが言われておるわけであります。  別に、だからべーリング海スケトウダラはそんなに重要じゃないよということを申し上げるのではなくて、もっと全体的な観点から、では鯨だけ保護してしまえば、ほかの海洋生物あるいは水産資源というものが枯渇をしていって、そして枯渇をすることによって逆に鯨というものが食物連鎖の中で衰退をしていくということでありますので、そこら辺のバランス、だからといって鯨をとり放題でもいいということではもちろんございませんけれども、そこら辺のバランスが必要でないかと思うわけであります。  そういった観点から、私は商業捕鯨再開というものを強く日本政府として求めていくべきだと思いますし、その点について御努力をいただいていると思いますけれども、現在の取り組み状況と見通しについてお伺いをしたいと思います。
  17. 河野洋平

    河野国務大臣 商業捕鯨再開についてのお尋ねでございます。  現状はどうかということをまず申し上げたいと思いますが、昨年、もう御存じだと思いますが、IWCのメキシコ会合南氷洋での商業捕鯨禁止 するサンクチュアリーの設定が採択されるなど、反捕鯨の主張が優勢なために捕鯨をめぐる国際情勢は引き続き厳しく、国際捕鯨委員会において商業捕鯨再開が認められることは極めて難しい状況だというのが現状でございます。  このような状況の中で、我が国国際的な摩擦を最小化しつつ、資源状況が極めて良好であると判明している南氷洋ミンククジラサンクチュアリーによる捕獲禁止の対象とすることに異議を申し立てるとともに、商業捕鯨再開の前提となる監視取り締まり制度などの商業捕鯨再開のための新たな枠組みの完成に目下努めているところでございます。  政府といたしましても、今後とも一層粘り強く我が国立場を説明し、科学的根拠に基づく鯨資源保存合理的利用目的とする国際捕鯨取締条約に基づき捕鯨問題の合理的解決が図られるよう、引き続き努力をしていく所存でございます。
  18. 前原誠司

    前原委員 ありがとうございました。  最後質問をさせていただきたいと思います。最後質問は、万国博に関する条約に関連した質問でございます。  この万国博の取り決めを変えるということ、あるいはいわゆる開催の期間、そういったものを変える、あるいは決めるということでございます。  今回阪神大震災がございまして、その復興に向けて神戸市、兵庫県が中心になって頑張っておられるわけでございます。この間ある新聞に、二〇〇〇年をめど兵庫県、神戸市並びに関経連というか、関西経済界中心となって災害復興のための博覧会を開きたい、そして、それをてこにしていきたいということが載っておりました。これがいわゆる今回の条約にかかわる博覧会であるかどうかというものをまずお尋ねしたいのと、それと前後して、そういった内容についてどの程度政府として話を聞かれているか、また、その点についてどういう支援というものを行っていこうと考えておられるのか。ちょっと話が前後しますけれども、その点について、つまり、神戸で開かれようとしている万国博というものがいわゆる条約に基づく万国博なのかどうか。それから今申し上げたように、政府としてどのような話を聞かれていて、どのような支援をされるおつもりなのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  19. 近藤正春

    ○近藤説明員 お答えいたします。  私どもも新聞記事を大変興味を持って拝見したわけでございますけれども、その後兵庫県あるいは神戸市等に情報を収集いたしましたが、現段階ではまだ具体的に復興博というようなものについて検討しているということではないということで、新聞上だけのお話ということでございます。  仮定の話でございますけれども、二〇〇〇年というものを一つの目標に博覧会というものを考えた場合でございますけれども、御審議いただいております条約に基づく博覧会につきましては、既に二〇〇〇年までもう登録が済んでございまして、したがいまして、二〇〇〇年に国際的な博覧会を開くというのは非常に難しい状況でございますので、私どもとしては、可能性としては国内博という位置づけでの博覧会ということになります。それに対しましては、通産省でもジャパン・エキスポ制度というようなすぐれた博覧会の推進制度を持ってございますので、具体的な話が仮に起こってまいりますれば、通産省といたしましても最大限努力をして協力をしていきたいというふうに考えております。
  20. 前原誠司

    前原委員 終わります。
  21. 三原朝彦

    三原委員長 引き続いて、赤羽一嘉君。
  22. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 新進党の赤羽一嘉でございます。  本日与えていただきました一時間の時間、四条約中心質疑をさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。  まず最初に、千九百九十四年の国際コーヒー協定から伺おうと思います。  まず、コーヒーというのはかなり相場が、価格の変動が激しい商品でございます。実際、一九八六年にもかなりコーヒー豆の相場が急騰したというような事実もございますので、コーヒー豆の変動要因と変動幅ですね、どのくらいぶれる商品なのかをまずお知らせ願います。
  23. 原口幸市

    ○原口政府委員 お答え申し上げます。  コーヒーは御存じのように、植えてから収穫ができるまでに四年ぐらいかかりまして、それから四十年間ぐらい引き続きコーヒー豆を生産するわけでございますので、なかなか供給の調整というのが難しゅうございまして、その結果としてしばしば供給過剰になります。基本的には、コーヒーの価格の変動の一番大きな要因は、供給がうまく需要に調整できないことによって生ずる価格の変動だと思っております。手元に非常にはっきりした数字を持ち合わせておりませんが、私の記憶によりますれば、最近一番大きな価格の変動幅は、低いときと高いときとで約三倍ぐらいの差があったというふうに記憶しております。
  24. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 いわゆるオーバーサプライになりがちだ。逆に、天候の状況で急騰するようなケースもありましたか。
  25. 原口幸市

    ○原口政府委員 どうもありがとうございます。まさにおっしゃるとおりで、最近の例で言えば、ブラジルその他の南米で、たしか水害だったか霜の害だったと思いますね、それで大分やられまして、その結果、今度は急に供給が少なくなって値段が上がったということは確かにございました。
  26. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 私が聞いていることも今御答弁いただいたように三倍ぐらいぶれている。そのために、価格を安定させることをまず第一の目的として恐らくこの国際コーヒー協定というのがこれまで結ばれてきたのだと思うわけです。  前回の一九八三年に締結をしているときの議事録なんかを見ますと、その理由として価格を安定させるということに主眼が置かれているような理由が書いてありますが、今回、一九八三年以後、恐らく一九八九年だったと思いますが、輸出割り当て制度というものが停止された。ですから、今回のコーヒー協定の中には含まれていない。私の知っている範囲では、この輸出割り当て制度みたいなものがないと価格調整というような部分のファンクションがかなり低下するのではないかというふうに思うのですが、それを反映してかどうかは知りませんが、今回の国際コーヒー協定内容についても、どちらかというと価格安定というよりもいろいろな情報を生産国に渡すとか、何かそういった面が出てきて、価格調整が前面に余り出ていないような気もするのですが、その輸出割り当て制度についてまず御説明をお願いできますか。
  27. 原口幸市

    ○原口政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、今度の条約には輸出割り当て制度は消えております。その理由は、コーヒーの種類別に応じてどういうふうに輸出を割り当てていくかということに関しまして、生産国の間で意見の調整がどうしても図れなかったという問題と、それから、加盟国の中の輸出国サイドが加盟国市場に出すコーヒー豆の価格と非加盟国に出すコーヒー豆の価格とには価格の差が生じておりまして、その結果、生産国と消費国の間で理解の一致が図られなかった。そういうことで、基本的にはまさに先生おっしゃるように、輸出割り当て制度というものが生産国、消費国の間でお互いに納得のいく合理的なものとして機能している限りにおいては非常に望ましいものだったと思いますが、今御説明したような事情からどうしてもメンバーの間で合意ができませんでしたから、今回は入らなかったという事情がございます。  その結果として、確かに御指摘のように、これまでよりは理論的には価格を安定させるメカニズムというものはなくなったわけですから、そこのところは難しくなったとは思いますが、他方、いろいろ情報の交換、あるいは研究開発というようなもので、側面的に少しでも価格の安定に資するように努力していきたいというのが我々の考え方でございます。  他方、前にあった時代にどうだったかと言われますと、今言ったような事情がありまして、輸出割り当て制度があった時代においても依然としてやはり十分にうまく機能していけなかったという 側面があったこともあわせて申させていただきたいと思います。
  28. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 生産国、輸出国の加盟国に対しての輸出価格と非加盟国に対しての輸出価格、具体的にはどういった状況が多かったのですか。
  29. 原口幸市

    ○原口政府委員 非加盟国の方に輸出するときに価格が安くなるわけですね。それは、全体的に供給過剰になったときに、加盟国に対しては輸出割り当てがありますから一定の量しかとれませんが、非加盟国に対しては制限がかかりませんので余計出すわけです。その結果として価格が下がる、こういうことでございます。
  30. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 よくわかりました。  それで、アメリカは以前加盟国だったと思いますが、たしか九三年にこの協定から脱退していると思いますが、その事実を……。
  31. 原口幸市

    ○原口政府委員 御指摘のとおり、アメリカは九三年の九月末にこの協定の締約国ではなくなっております。その理由は、一般的な傾向でございますけれども、米国は、市場価格への人為的な介入をできるだけ避けるというのを基本的な方針にしておりまして、価格安定のための経済条項を有する国際商品協定への参加については一般に慎重であるという傾向が見てとれます。ちなみに、九四年の六月に国際ジュート協定からもアメリカは脱退しております。
  32. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今、最後部分なのですけれども、実際はアメリカ加盟国として輸入割り当て制度の中でついた値段で買っていくことにうまみがなくなったから脱退したのではないのですか。
  33. 原口幸市

    ○原口政府委員 これは推測の域を出ないということだと思います。アメリカ自身の口からはそのような説明は聞いておりません。
  34. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 私がなぜこのようなことを言うかといいますと、私の記憶では、ここにあるメモでは、アメリカはコーヒー輸入量の世界の約三割前後を占めている国だと思うのですが、それは間違いないですか。
  35. 原口幸市

    ○原口政府委員 大体二五%ぐらいだろうというふうに思っております。
  36. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 コーヒー豆で算出するのか何かで多分あれですけれども、恐らく世界一のシェアであるということは間違いないのです。その世界一の輸入国であるアメリカ協定から脱退して、世界の四分の一なり三分の一のバイヤーがいない協定の中に日本がとどまってこの協定を続けていくことというのは、本当に実質的な意味というのがどれだけあるのかな、どれだけメリットがあるのかなと私は率直に疑問に思うのですが、どうでしょうか。
  37. 原口幸市

    ○原口政府委員 この協定米国以外の主要な輸入国は我が国、ドイツ、フランス、英国、北欧等十五カ国でございますけれども、これと、現在加入手続を手続中の国、例えばイタリア等合わせますと、消費量の約七割に達するわけでございまして、こうした主要な輸入国の参加状況考えますれば、この協定を通じた生産国と消費国との間の国際協力を有効に維持するには一応十分だろうというふうに我々は思っております。  それから、先ほど先生御指摘になられましたけれども、この協定目的を遂行する上での機能といたしましては、情報の交換とか統計の整備、並びに研究及び調査の活動等が規定されておりまして、米国の不参加によりこうした機能に重大な支障が生ずるとは考えておりません。
  38. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 この協定は締約国がわずか十四カ国で、暫定的適用国としてプラス二十一カ国というふうになっておりますが、何かこの違いはあるのですか。
  39. 原口幸市

    ○原口政府委員 確かに現状はそのとおりでございますけれども、私どもの認識としては、現在暫定適用をしている国も時間的な要因でそういうことでございまして、いずれは徐々に入ってくれるものと期待しております。
  40. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 わかりました。  先ほどの質問に対する御答弁ですけれども、私の感覚ですと、やはりマーケットシェア三分の一なり四分の一の最大のビッグバイヤーのアメリカが欠けている協定がどれだけ実体を持っていけるのかということはちょっと疑問に思うということだけにとどめて、次に移りたいと思います。  日本ポーランド航空協定について、質問をさせていただきたいと思います。  まず、日本航空協定を結びたいという国はかなりたくさんの国があると思いますが、今回ポーランドと、今回というか昨年末大臣がサインをされているわけですけれども、今回ポーランド協定を結ばれたその理由というのは具体的にはどんなことなのでしょうか。
  41. 野村一成

    野村(一)政府委員 お答えいたします。  ポーランドの方から従来より定期航空路線を開設したいという強い要望がございまして、これは最初に希望表明がありましたのは一九七三年ですからもう二十年以上前ということでございまして、何分日本側としましては、十分な航空需要があるかどうかという点について疑問があること、あるいは航空事情が逼迫しているというようなことがございまして、交渉そのものに応じる状況にはなかったわけでございますけれども、その後、ポーランドにおきましても、御案内のような民主化の大きな変化がございまして、現在におきましては経済改革その他が順調に進んでおりまして、ここ数年来そういう両国関係が緊密化いたしてまいりました。それが一つでございます。  それから、もう一つは、先ほども御指摘がございましたけれども、関西国際空港の開港という事情もございまして、何回か予備協議を重ねまして、正式の交渉が昨年十月、東京において行われました。その二カ月後に、ワレサ大統領の訪日の機会に、両国外務大臣の間で署名に至った、そういう次第でございます。
  42. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今の御説明の中で、関空ができてこちらのキャパが広くなったというのはよくわかるのです。十分な航空需要ポーランドの民主化とともに期待ができるといった御発言があったかと思うのですが、一九九〇年からこの五年間の邦人のポーランドヘの入国者数とポーランド人の本邦入国者数というのを見ておりますと、一九九〇年が年間で八千名強、これが毎年かなり少なくなって、大体五千人台に今は落ち込んでいる。我が国ポーランドの貿易、これは通関統計でございますけれども、日本から見た貿易収支などを見ておりますと、かなり減ってきているというような統計を持っておるのですが、どちらかというと、数字的にそんなに航空需要がふえそうだということは何を根拠にされて言われたのか。ちょっと十分な御説明をいただけたらと思います。
  43. 野村一成

    野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  ポーランドとの間におきましては、一時期ポーランドの方からチャーター便を使いまして運航していたという時代がございました。それが一九九一年にやめになったわけでございますが、その後の往来の経過を見ますと、九二年から九三年、それぞれ前年比九・三%、一二・四%ということで、ごくわずかではございますけれども、ふえておるという統計が出ております。  また、先ほどちょっと私の方から、舌足らずでございましたけれども、やはり今後経済改革を進めておりますポーランドという国のヨーロッパにおきます重要性というのを私どもも大きく認識しておるわけでございまして、現在の貿易関係は御指摘のとおりでございますけれども、今後大いにこれが発展していくということもあわせて期待しているところでございます。
  44. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 別に私はポーランドと結ぶなとか、特にポーランドに何か変な思いがあるとか、そういうことを言っているわけではなくて、かなり、航空協定を結びたいとして、ウェーティシグリスト等は使わないでしょうけれども、随分待っている、心待ちにしている数多くの国の中で、たしか今まで既締結国数というのは四十五カ国と聞いております。ですから、四十六番目に今回なぜポーランドが選ばれたのか。こうなったら選ばれますよとか、何か政治的な判断とか、何でもいいんですが、何でもいいんですがというわけではないんですけれども、もうちょっとわかりやすく、悪く 言うと、たまたま出会いがあり、随分いろいろな国を待たせている割にはその辺の根拠というのは余りないのかななんというふうにも思いますので、その辺、もし、大臣が昨年サインをされているそうですので、御所見をいただければと思います。
  45. 河野洋平

    河野国務大臣 今欧亜局長御答弁申し上げましたが、いわゆる東欧と言われる国ですが、こうした国々が、現在、民主化、そして市場経済の導入に非常に積極的である。先般、ポーランドのワレサ大統領もお見えになりましたが、ポーランド日本からの投資についても非常に強く望んでおられるという御発言がございました。ここに至りますまで、先ほど御答弁申し上げましたが、二十年近く航空協定を先方からも強く望まれて、この間議論が続いてきたわけでございますが、昨今の、先ほど申し上げましたような東欧の変化というものを考えまして、ポーランドとの交渉締結すべきものだというふうに判断をしたわけでございます。  ちなみに、東欧の、例えばハンガリーとかそういった国々とも我が国としては航空協定を結んでまいりたいと考えておるところでございます。
  46. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ですから、要するに、具体的な根拠というよりも、そのときの政治的な判断でというような——何か御答弁あるみたいですが。
  47. 柴田耕介

    柴田説明員 お答え申し上げます。  先ほど外務大臣からも航空協定締結についての基本的考え方というのがお話しありましたが、需要というのが一つ極めて大きな要素でございます。さらに、それに加えまして、具体的に運航するつもりがあるかどうか、もしくは、外国の場合でございますと、日本乗り入れてくることを希望して航空協定を結んでください、こういうところもございます。さらに、空港、例えば成田でなければ入ったくないというようなところもございます。そういった個別具体的な要請を踏まえまして、航空当局としては航空協定というものについての考え方を持っております。
  48. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今、日本航空協定を結びたい、しかし、まだかなわないとされている国の数は、わかれば教えていただけますか。
  49. 原口幸市

    ○原口政府委員 現時点で三十九カ国から要望を受けております。
  50. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 わかりました。  それで、路線ができて飛ぶようになれば、赤字路線で、年間ほとんど利用しないという話では余りうまい話ではないわけでございまして、私、ちょっと話が少しずれますけれども、運輸省の方のマターになるかもしれませんが、航空運賃の仲なんですが、日本発券の航空料金と海外発券の航空料金、なぜこうも違うのか。ちょっと最近制度が変わったというふうにも聞いていますが、一ドル百六十円とか、そんな高く、高いというか、安く設定はしていないのかもしれませんが、その辺、もし設定自体に問題があるのであれば、この昨今の急激な円高も受けて大胆に見直しを考えられるようなことは、運輸省としてはどうなんでしょうか。
  51. 丸山博

    ○丸山説明員 御説明申し上げます。  現在各国発の国際航空運賃につきましては、各発地国の経済状況等を勘案いたしまして、各国通貨建て、日本でございますと日本円ということで設定される仕組みになっています。したがいまして、例えばドルを基軸通貨といたしましてドルで設定して、その為替レートで日本の運賃が決まるということではございませんで、日本の運賃は日本円で最初から設定されておる、こういうルールになっております。ただ、ただいま先生御指摘ございましたように、為替レートの変動というものがございますと、どうしても結果といたしまして大幅な方向別の格差というものが生じてくることは避けられない場合がございます。その場合には、適時その是正を図ってきておるところでございます。  なお、先と言われましたことにつきましては、特に格安のチケットにつきまして、二、三年前に外国で買った方が非常に安いというような事例が多発しておりまして、そのことを言われておるんだと思いますけれども、昨年の四月に、私ども新国際航空運賃制度というふうに言っておりますけれども、いわゆる低廉な割引運賃制度を導入いたしました。この割引運賃制度を利用いたしますと、場合によりましては相手国よりも日本発の方が安い運賃というものも出てきておるところでございます。  いずれにいたしましても、方向別格差の是正につきましては、適時適切に運輸省として対処してまいりたいというふうに思っております。
  52. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 私が申し上げたのは別にディスカウントチケットの話ではなくて、フルフェアの料金、これもかなり違いがあるんではないかと思います。正確な情報を今持っておりませんが、北米航空路で多分、ドル換算にはしていないということですが、日本の料金建てと米国からの料金建てですとかなりこちらの方が割高になっているはずです。それを一ドル幾らかというと、たしか百二十七円とか。それが意味があるものかどうかわかりませんが、そのくらいのアンバランスが生じているんじゃないかと思うし、また、今民間企業が海外出張する場合、多くが例えばニューヨーク発券とか、そういった形を利用しているような実態があるように思いますが、それ自体が日本発券の航空運賃は高い、決して日本発券の方が安いという話は余り聞いたことがございませんので、何とかその点を是正していただきたいなというふうに思うわけでございます。
  53. 丸山博

    ○丸山説明員 いわゆる日本発の切符につきましては、どこで買おうとも日本円で世界各国同じ値段でございます。ただ、先生御指摘のように、そのもの自体が高いではないか、方向別として日本発の切符が、例えばドルで換算したときに非常に高いじゃないかということは、為替の変動が急激に進みますと出てまいります。そこの部分につきましては、適時適切に、毎日やれと言われるとなかなかつらいんですけれども、方向別の格差の是正に努めてまいりたいというふうに私ども思っております。
  54. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ちょっと私の言い方が足りなかったかもしれませんが、要するに海外出張する人は片道を買っていくわけです。帰り、ニューヨークで往復を買っているとか、そういったことがあること自体が、日本発券、それは日本発の場合はそうだと思いますが、ニューヨーク発の同じJALの行き帰りで航空運賃が違うのじゃないでしょうかということを御指摘させていただきたいというふうに思うわけです。答弁は結構でございます。  次は博覧会条約改正ということで、国際博覧会の区分が、これまではテーマを基準とした区分に基づいた一般博覧会、特別博覧会というのを、今回は開催規模を基準にした区分になるというふうな内容かと思いますが、ちょっと具体的に御説明いただけますか。
  55. 原口幸市

    ○原口政府委員 先生おっしゃるように、従来の万国博覧会の分類は、広範なテーマを扱う、したがって規模も本来ならば大きいであろう一般博覧会と、それから非常に限定されたテーマを扱う、したがって規模も小さいであろう特定博覧会ということで分類しておりまして、その分類に従いまして開催の期間というようなものもあわせて決定していたわけでございます。  ところが、近年の傾向はそういう前提がだんだん崩れてまいりまして、限定されたテーマのものであってもかなり規模が大きくなってくる、それから、開催の間隔も非常に短くなってきているということで、改めて考え直そうと。そこで、今度は規模を基準にして、登録博覧会、認定博覧会という二つの分類を導入いたしまして、その間の期間というものも、改めて現状に即して合意の上でつくり直す、そういうことでございます。
  56. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今度の改正で、いわゆる登録博覧会と認定博覧会というのですか、この峻別というか区別はどういづふうにされるのですか。何か定量的にあるのでしょうか。
  57. 原口幸市

    ○原口政府委員 お答え申し上げます。  登録博覧会は開催期間が六週間以上六カ月以下、それから認定博覧会は開催期間が三週間以上 三カ月以下、そしてまた会場の面積も二十五ヘクタール以下のものというふうに、一応基準で分けております。
  58. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 わかりました。  また、本改正の、これは一九八八年五月三十一日の博覧会国際事務局総会で一応この内容が整ったと思うのですが、提出まで七年の時間がかかったという何か事情があれば御説明いただけますか。
  59. 原口幸市

    ○原口政府委員 この改正案が採択された後、実は事務局におきまして、この改正にとどまることなく国際博覧会の区分等についてさらに大幅な改正を行うべきではないかという議論がしばらくの間ございました。したがって、多くの国、日本も含めてでございますけれども、その議論というものの帰趨がどうなるかということを見定めようということで時間がかかったわけでございますが、昨年の六月に行われました博覧会国際事務局の執行理事会におきまして、もう新たな大幅改正を目指すということではなくて、まずこの改正早期発効に尽力すべきであるという結論が出たものでございますから、その結論を受けまして、我が国としても早速、早急に受諾に踏み切りたいということで御審議をお願いしている次第でございます。
  60. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 わかりました。  あと、過去の博覧会条約関係の審議をちょっと見てみますと、第四十七回国会、これは昭和三十九年。昭和四十二年の第五十五回国会ではいわゆる大阪の万国博覧会、昭和五十五年の九十一回国会と五十八年の九十八回国会ではつくば万博というのを恐らく念頭に置かれて提出されたのではないかなというふうに思うわけでございますが、今回も、二〇〇五年に愛知県で今万博を誘致しようという動きがあると聞いておりますけれども、これはうがった見方になるかもしれませんが、我が国における博覧会条約の審議というのは、自分の国に国際博覧会を誘致する体裁を整えるために行われているような印象も持つのでございますけれども、その辺はどうなんでしょうか。
  61. 原口幸市

    ○原口政府委員 私どもも愛知県の方で博覧会を誘致するという動きがあることは十分に承知しております。しかし、この改正に対する政府立場は、我が国において国際博覧会を開催するしないという問題以前の問題といたしまして、国際博覧会の区分を現状に適合させて、国際博覧会の乱立に対処するために開催の条件を改めるという、この改正早期発効に貢献することが今後の国際博覧会を通じた国際協力を推し進める上で有意義であるということで御審議をお願いしているというのを第一に強調しておきたいと思います。  他方、おっしゃるように、この改正が発効した場合には、結果といたしまして次のような面で、愛知県がもし本当にそういうことで動き出すのであれば、開催誘致に有利になるという面もあろうかと思います。  その面というのはどういうことかと申しますと、現在の条約におきましては、異なる国において一般博覧会が開催される場合には十年以上の間隔を置くということになっております。ところが、既に二〇〇〇年にはハノーバーで一般博覧会を開催するということが決まっておりますので、伝えられているように、愛知博を二〇〇五年にやるということになりますと、この協定の規定からいうと例外的に短縮することになりますので、これを認めてもらうためには博覧会国際事務局の総会において三分の二以上の賛成を得ないとできないという問題がございます。  他方、この改正が発効いたしますと、博覧会の区分が先ほど申しましたように、登録博覧会と認定博覧会というふうになりまして、私の理解では愛知県は大きい規模のものを検討されている、希望されているというふうに理解しておりますので、そうなりますとこれは登録博覧会となります。登録博覧会の場合につきましては、総会における過半数の賛成を得れば承認を得られるということでございますから、そういう意味におきまして、結果として開催実現の可能性がそれだけふえるということは事実でございます。
  62. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 わかりました。ありがとうございます。  博覧会とはちょっとずれるのですが、万博ではないのですが、サッカーのワールドカップのことをちょっと大臣に伺いたいのです。  先日、政府保証を閣議了解されたということで、いよいよ本格的に日本もワールドカップを開催することに対して始動し始めたという報道がされております。一方、大臣もよくよく御存じだと思いますが、お隣の国の韓国も金泳三大統領を先頭に、お隣の国はサッカーが国技でございますので何としても負けられないということで、大変な構えで、開催しようと、日韓の一騎打ちみたいな報道も出ておりますけれども、私自身は、私もこのワールドカップの議員連盟の一員ではあるのですけれども、日本と韓国の共同開催の方向日本は進めていくべきではないかというふうに思うのです。スポーツを政治に利用してはいけないということもあるかと思いますが、アジア・太平洋の時代、今北朝鮮が構えて云々というときに、日本と韓国、過去のわだかまりもあって、とかく謝罪だどうのこうのという、後ろ向きのと言うとちょっと語弊もありますけれども、そういったことがずっと続いている中で、二十一世紀に向けて日本と韓国が一つのワールドカップというのを共同で開催する。そのときに、決勝戦は韓国でやって三位決定戦は日本でやるような形でもいいと思うのですけれども、そういうようなお考え、そういうような方向考えられないか、大臣に聞かせていただきたいと思います。
  63. 河野洋平

    河野国務大臣 閣議におきましては、サッカーのワールドカップを日本で開催をするというサッカー協会のお考えを支持をするといいますか、政府としてもこれを認めて、所要の支持をいたしますということを決めたわけでございます。これから先、FIFAが、国際サッカー協会というのでしょうか、どこで開催をするかということを判断をする、こういうことでございます。国際サッカー協会からは、誘致したい国は手を挙げろということでございますから、手を挙げたということでございましょう。それについてこれから一体どういう施設設備その他が整っているかということについて、誘致したい国は自国のファシリティーその他を説明をする、こういうことになるんだろう、私も余り細かいことはよく存じませんけれども、そういう段取りになるんだろうと思います。  日本で熱心に誘致をなさろうとしておられる方々は、その条件を満たすべく努力をしておられるわけで、その努力政府としてやるべきものがあれば支援をする、ここまで今決まっているわけでございます。そこから先の話は、議員が御自身の知識でいろいろ考えておられることでございまして、私ども、今それについて明確にお答えをするだけの知識、材料を持ち合わせておりませんが、伺いますところによりますと、例えばFIFAの規約の中には、複数の国で開催をするということを認めるという規約がないとか、そういったこともあるやに聞いております。一方、サッカーのワールドカップというものが大変規模の大きいものになって、試合数もふえる、それから観客数もふえる、あれだけ大きな大会が開催できる国は一体どこにあるかというようなことを心配する人も大変多いというふうにも聞いておりまして、この辺のところはこれからの問題だというふうに私は思っております。  いずれにせよ、それぞれが十分な組織をつくり、十分な施設設備を整えて、FIFAがここならいいだろうという判断を下すのにはまだまだ相当な時間がかかるわけでございまして、そうしたことを日本のサッカー協会の方々がこれから御努力をなさるに違いないと思っております。  ただ、今議員お話しになりました韓国との関係について、これは全くこの話に加わっているという意味ではなくて申し上げれば、日本と韓国との関係は最も親しく理解をし合っていく関係であってほしいと思っておりまして、これを何かこう対峙しているような形でとらえるということは 避けなければならないし、そうではなくて、むしろ一緒に何でも話し合って問題を解決をするということであってほしいという願望を強く持っております。
  64. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。  それでは続いて四つの目の、中央ベーリング海におけるすけとうだら資源保存及び管理に関する条約質問をさせていただきたいと思います。  この背景として御説明いただいているのは、一九八〇年代にベーリング海の沿岸国であるアメリカの二百海里水域における外国への漁獲割り当て量が減少したことに伴って、ベーリング海の二百海里外の公海水域、ベーリング公海での漁獲が拡大することとなった結果、一九九〇年以降ベーリング公海における漁獲対象であるスケトウダラ資源状況は急速に悪化した、ベーリング海の沿岸国であるアメリカとロシアは、同資源が二百海里内外にまたがって分布する資源であることから、ベーリング公海におけるスケトウダラの漁獲は自国二百海里内の資源に対しても悪影響があるとして、強い懸念を表明したことから今回の協定になったという御説明をいただいたかと思うのですが、これは率直に言って、本当にそうなのかなという一つ疑問が実はあるのですね。  一九七〇年代、いわゆる日本米国の東部大陸棚を中心スケトウダラを年間百万トンから百六十万トンとっていた、この割り当てがなくなってから日本がベーリング公海に移って、その後、アメリカは依然百四十万トンぐらいずっととり続けているわけですね。漁獲し続けているわけですね。その辺の、ロシアとアメリカの二百海里内の水域の資源に悪影響を及ぼしたと本当に言えるのかどうか、御説明いただけるでしょうか。数字の上では何か影響を受けているのかどうかよくわからないのですけれども。
  65. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 ちょっと専門ではございませんので、直接先生のお答えになるかどうか自信はございませんけれども、このスケトウダラはこのベーリング海の海盆系群というところで西部ベーリング海と東部べーリング海、今申しました西部、東部という意味は、いずれも二百海里の中に入っておるわけですけれども、その魚の一部がこの今回の協定の対象になっております公海部分におるわけでございます。  他方、アメリカ側の東部大陸棚系群というのがまた別にございまして、こちらの魚は言ってみれば交流していない、別の群に属するわけでございます。したがって、そこの部分ではアメリカは今先生おっしゃいましたような量をとっているというふうに承知しております。
  66. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今続けてちょっと質問しようかと思ったのですが、いわゆる東ベーリング海国際水域に生息しているスケトウダラというのは、今谷内さんの方から御説明いただいたように明らかに種類が違うわけですね、体長、体の大きさも全く違いますし。ですから、米ソが自分の二百海里にも影響があるというような強い懸念を表明したということが、この辺、本当にそうなのかということをちょっと疑問に思うわけでございますが、水産庁の方も呼んでいないので、また改めてで結構です、時間があれですので。  ちょっと大臣に一点だけ聞きたいのですが、先日来日されたロシアのコーズィレフ外相と大臣との会談で、北方領土周辺水域での我が国漁船の安全操業問題について、今月十三日から正式に交渉を開始されることで合意したというふうに聞いておりますが、このコーズィレフ外相が来日される前の記者会見で、朝日新聞だったと思いますが、これまで問題となった日本漁船の操業がロシア領海内でのことである。四日の外相会談でも、私が聞いているところによると、交渉目的は、密漁に終止符を打つことであるというような旨、発言されたというふうに聞いております。  安全操業問題というのは、いずれの法的立場も害してはならないことを基本として、北方領土交渉とは切り離して進めたいとする我が国との間で、交渉の出発点についてかなり認識の差が大きくあるのではないかというふうに思うわけでございますが、十三日から始まると言われているこの正式交渉の前に、両国がその出発点に対しての共通の認識を持つことができるのかどうか、これについて、当事者である大臣に率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。
  67. 河野洋平

    河野国務大臣 日本とロシアの間には、御承知のとおり、北方領土問題という問題が現実にあるわけですから、この問題をどうするかによって、それは物の言い方は、こちら側から見るか向こう側から見るかによって物の言い方は違ってくるのは、現時点では、残念ながらそういう、ロシア側には、今あなたがおっしゃったような言い方というのは現実にはあるわけです。  私どもが、この問題、つまり漁業問題について言っていることは、少なくとも漁民の皆さんの安全というものは大事にしなければならぬ、こういうことだけは話し合いで解決しようではないかということを言っているわけです。しかし、もしその原則をきちっとしてからでなければ話ができないというのであれば、この問題は話のしょうがないわけですから、私は、とにかくここは、何より大事なことは、漁業に従事しておられる方が安心してその漁業ができるという状況をどうやってつくるかということにもう絞って話をする以外にないであろう。もし、そうではなくて、この北方領土問題が解決するまでこの問題はもう手がつかないのだというのであれば、これはもう、漁民の方々は漁業ができなくなってしまうということだってあるかもしれないわけで、双方には現実に、その現実の政治、国際政治の状況、現実というものがあるわけですけれども、しかしそれは、それを認めるということは私は断じてできないが、しかし今、繰り返しになりますが、漁業を営む方々が少なくとも安心して漁業のできるような状況をつくるという交渉をしようではないか、それがお互いの法的立場を害さないということを言って、今月の十三日から交渉を始めよう、私はこう言っているわけです。  確かに、おっしゃるように、その交渉は非常に難しい交渉であろうと思います。難しい交渉であろうとは思いますけれども、だからといって、漁業に従事なさる方の御苦労を考えれば、解決のための最大限の努力をするのもまた当然のことだというふうに考えて、交渉に臨む、その交渉の場をとにかく合意してつくった、こういうことでございます。
  68. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。  きょうは、漁民の皆さんの拿捕された例とかその辺もちょっと聞きたかったのですが、その辺はまた別の機会に譲るとしまして、今大臣おっしゃられるように、本当に漁民の皆さんの生活を確保するという実質をとりながら、かつ看過できないような発言に対しても、強い姿勢で改めていくということをお願いしたいと思います。  これで四つの条約について終わらせていただきたいと思いますが、残り十分弱を、前回質問させていただいたときに時間がなくて聞けなかった点、幾つか質問させていただきたいと思うのですが、ゴラン高原のPKOについて。  これは、二月十七日の本委員会でも同僚の若松議員がかなり、しつこくと言うと隣にいますので失礼なものですから、執拗に、しつこくも執拗にも余り変わらないかもしれませんが、若松議員も私も実は自費で昨年八月に現地に行ってまいりまして、かなり詳しく見させていただいて、やはり日本はこれから国際貢献をしていくんだと言っている手前、どんどんできるところで積極的にやっていかなければいけないという思いから前回の本委員会での若松議員質問になったんだなというふうにも思っておりますし、私も基本的には同感でございます。  ゴラン高原のPKOについては、昨年五月国連から非公式に打診を受けて、カナダや国連当局とも意見交換、情報収集をして、前回たしか柳井総政局長からだと思いますが、技術的にはできそうだという旨を先方には伝えておる、大臣も御答弁の中で、日本は積極的に中東和平に貢献してきた、このUNDOFについても、中東和平に関しても 重要な役割を担っていると、非常に積極的な御発言かなというふうに思っている中で、一方、政府・与党は、ゴラン高原は慎重に、十分な調査検討の上されなければならない、五原則にのっとっているからといって出すわけじゃない、政治的な判断がここに加わるんだ、ということで時間がたっているわけでございます。  前回の若松議員質問からももう既に三週間、昨年の五月からはもう十カ月間ぐらいたっているわけでございまして、私は、慎重に調査検討するというのは大事だと思うのですが、調査団の派遣についても、なぜためらわれているのかな、派遣することがイコール承諾を意味することではないと思います。派遣をすることがイコールオーケーという前提で出すということじゃないと思います、恐らく調査は調査ということで。現地には防衛庁の方もいらっしゃって、当時は駐在もしておりましたし、何がこの障害になっているのかがよくわからない。  けさの新聞では、社会党も派遣には基本的に了解したといった報道も一部の新聞でも出ておりましたけれども、この前回の本委員会での若松議員質問から三週間たった今、大臣から、若干の時間を、決してそう長くない若干の時間が必要だというふうにして、御答弁、保留されていると思いますので、一番新しい、ゴラン高原に対する政府の見解というか、現状を御答弁いただけますか。お願いします。
  69. 河野洋平

    河野国務大臣 与党三党の中で、この問題についての議論が続いております。  先般若松議員にお答えを申し上げました状況から議論が積み重なってきておりますが、まだ結論に至っていないということでございます。もちろん、赤羽議員がおっしゃるように、この問題については、最初に要請、打診を受けてからかなりの時間が経過をいたしております。そうしたことも承知の上で御議論をいただいているわけでございますから、先般申し上げたように、この結論が出るまで、私どもとしては待機をしているという状況でございます。  先般も申し上げましたとおり、ゴラン高原のPKOは、いわゆる伝統的なPKOで、五原則も満たしておるというふうに私どもは承知をいたしております。しかし、一方、もし仮に調査団を派遣するということになるとすれば、かなり詳細な調査をしていただかなければならないものも残っているというふうに思います。  いずれにしても、調査団の派遣について、与党三党の御議論の決着を待って、私どもとしては、調査団派遣に、よしという結論が出れば、最終的な判断を下したいというふうに思っているところでございます。
  70. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 結論が出ない理由はいま一歩よくわからないのですが、新聞報道によりますと、社会党が結論を先送りにした理由一つに、いわゆるゴラン高原のPKO、UNDOF本体はPKO法で凍結中のPKFに当たり、PKFに当たれば、後方支援であっても自衛隊を派遣するのは問題があるとの指摘が社会党党内で出ているから、これがかなりひっかかっているのではないだろうかと。きょうの新聞も見ますと、一応、与党調査団の派遣は社会党も合意した、ただし、自衛隊派遣を前提としないというような、ちょっと私よくこの部分が理解できないのですが、私たちの理解ともちょっと違うのですけれども、いわゆるコンゴの国連軍とか旧ユーゴのUNPROFORとは違っているUNDOFの後方支援に出すことが、今PKO法に対して法的に触れるのかどうか御教示を、きょうは内閣法制局いらっしゃってい、ただいていますか。
  71. 河野洋平

    河野国務大臣 ちょっと私から先に御答弁をさせていただきたいと思います。  私は、社会党内の議論について御答弁を申し上げる資格も能力もございませんが、少なくとも今議員が新聞の記事その他を引用してお話しになりましたようなことがあるというふうには私は聞いておりません。  もう少し申し上げれば、国際貢献というものが重要だということを私も考えております。しかし他方、そのために例えば自衛隊の諸君を派遣をするということであるとするならば、そのことについては十分慎重な調査あるいは慎重に考える態度というものはこれまた当然必要であろうというふうに思います。  これが、例えばザイールに行っていただいたルワンダの難民救援のように一刻を争う、非常に緊急事態だという状況、そういう状況と今回のゴラン高原の場合には少し状況は違うというふうにも思います。私の申し上げているのは、だからゴラン高原は時間をかけていいのだということを申し上げているのではありませんけれども、食べ物がない、飲む水がない、とにかく人道的な支援という、人道支援に行くということと今回の場合とは少しケースが違うというふうに思っておりまして、少し慎重過ぎるではないかといっておしかりをいただいているように思いますけれども、私は、議論もせずに寝ておるのかというおしかりなら、もし寝ているならそれはまことに申しわけないと言わなければならぬと思いますが、私どもとして十分慎重にいろいろなことを考え議論をしているわけでございますから、これは納得のいく結論が出るまで若干の時間をかしていただきたい、前回申し上げたとおりのことをまた申し上げているわけでございます。
  72. 津野修

    ○津野政府委員 お答えいたします。  お尋ねの点は、現在ゴラン高原のPKOで予定されている業務、それに我が国が参加するということがPKO法上、法的に問題があるのかということだろうと思いますが、当局といたしましては、このゴラン高原に展開しておりますPKO、UNDOFでございますけれども、それに派遣することとした場合にいかなる業務に従事することになるのか、どういう業務に従事するのか、その具体的内容等いろいろございますけれども、そういうことを詳細にまだ聞いておりませんので、それがどういうような法的問題点を生ずるかというようなところまで具体的にお答えすることはできないという状況でございます。  一般論を若干申し上げますと、いろいろ従来の国会議論等を拝見しておりまして、議論されておりますのは、一つは、PKF本体業務が現在凍結されておるということで、それに対する後方支援業務がどういう関係になるかというような点が若干問題になっていたかと思います。  基本的に後方支援業務との関係をお答えいたしますれば、国際平和協力法の第三条第三号には国際平和協力業務といたしましてイからレまでの業務、これにそれぞれ附帯する業務を含んでいるわけですけれども、それを定めているわけでございます。このうち、自衛隊の部隊等が行う業務でありまして、一つは停戦の監視、武器の搬出、搬入の検査など同号イからへまでに掲げる業務、それから第二にこれらの業務に類するものとして同号レの政令で定めるもの、第三番目にこれらの業務にそれぞれ附帯する業務、これらにつきましては、附則第二条によりまして「別に法律で定める日までの間は、これを実施しない。」ということにされているわけでございます。  御質問の後方支援業務にもさまざまな業務があるわけでございますけれども、一般論として申し上げますと、これが今申し上げました実施しないこととされている業務、すなわちいわゆる凍結されている業務のいずれにも該当しないものであって、いわゆる凍結されている業務以外の業務、すなわち国際平和協力法第三条第三号トからレまでの業務のいずれかに該当するものであれば、国際平和協力法の他の条件を満たせば法律上はそれに参加することは可能であるというふうに考えているわけでございます。
  73. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 要するに、PKO五原則にのっとれば認められるということですね。それは確認させていただいただけでもよかったと思います。  時間になりましたのであれですけれども、要するに、PKOというのは本当に戦わない部隊だなということを私も実際ゴラン高原に行って、本当に実感してまいりました。現地のカナダ部隊も、 本当に早く来てくれるということを望んでもおりますし、もうしばらくもうしばらくというのがいつまで続くのか、本当に歯がゆい思いをしているのは私たちだけではないと思いますし、これから日本の外交が顔の見える外交、そして積極的な国際貢献に関与していく外交を推進するのであれば、できるだけ早い時間に御決断をしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  74. 三原朝彦

    三原委員長 古堅実吉君。
  75. 古堅実吉

    ○古堅委員 わずか十分しかありませんので、大急ぎで質問いたします。  最初に、国際コーヒー協定について一点だけ伺います。  商品協定の最も大事な価格安定条項である輸出割り当て制度が昨年のココア協定に続いて廃止されることになりました。政府は、この輸出割り当て制度の廃止に賛成されたのか、それとも反対されたのか、明らかにしてください。
  76. 原口幸市

    ○原口政府委員 お答え申し上げます。  基本的には、輸出割り当て制度はうまく機能すれば意義があると思いまして、有意義だと思っておりまして、支持したかったわけでございますが、先ほど御説明したように、幾つかの問題点がございまして、最終的には加盟国の間でどうしても合意ができなかった、そういう状況を踏まえまして、今後改善した上で復活の可能性の余地も残すという条項を入れた上で、こういう形で政府としてはその改正案を支持した、こういうことでございます。
  77. 古堅実吉

    ○古堅委員 支持したということは結局割り当て制度の廃止に賛成したということを意味します。  次は、すけとうだら保存条約に関連して伺います。  我が国漁業は、遠洋漁業も沿岸漁業もともに深刻な事態を抱えています。私は、さる三月三日と四日に長崎対馬に行きまして、林紀子参議院議員とともに、南朝鮮や中国の漁船による不法操業、密漁などでのトラブルや被害状況などを調査してまいりました。時間が少ないので全般的に論議することはできませんが、対馬北部のアワビ漁場の問題に限って海上保安庁に単刀直入に伺いたいと思います。  南朝鮮の密漁船の領海侵犯操業によって、対馬北部沿岸のアワビ漁場が頻繁に荒らされております。漁協によるレーダー探知や管理船でのパトロール、そういうものがなされておりますけれども、そういう程度では十分に有効な対処策ということにはなっていないのが現状です。現地の厳原海上保安部や比田勝海上保安署が有効な手が打てるように、取り締まり船や人の配置などによって漁民の深刻な被害が現実に防止できるように思い切った対策をとるべきではないか、そういうことを痛感してまいりました。そういうことをなさるおつもりがあるかどうか伺います。
  78. 田島邦雄

    ○田島説明員 先生、先週現場を見ていただきましてどうもありがとうございました。みんな元気で頑張っております。  海上保安庁の巡視船艇の整備、増強という問題につきましては、既に現在耐用年数が到来した巡視船艇が相当数累積しておりまして、これらについての整備が急がれておるところでございます。厳しい財政事情の中ではございますけれども、巡視船艇の代替整備を最重点事項としまして、計画的な代替整備を推進しているところでございます。  この代替整備に当たりまして、高速化を当然大きな要件として入れておりますけれども、高性能化を図りまして、各海域の業務需要に応じた適切な配備ということで、順次配備計画を進めておるところでございます。今先生が言われました対馬周辺海域につきましては、当庁が持っております外海で対応できる高速巡視艇の相当数、厳原に五隻、比田勝に二隻を配備しまして対応しておるところでございまして、さらに沖合につきましては、常時大型の巡視船も配備するという体制で望んでおるところでございます。  今御心配の高速密漁船、これについては現地でも聞かれたと思いますけれども、小型の密漁船、高速船ということでございまして、静かな海面のときしか恐らくやってこれないというものだと思いますけれども、外海で対応できるうちの高速巡視艇を複数同時に投入するということで取り締まりをやっておりますし、また、二十四時間体制でしいておりますので、情報があれば直ちに出かけていくという形で対応しております。すぐに増強ということはなかなか難しい状況でございますけれども、どうしても足りないということになれば、最寄りの保安部署等にあります船艇も投入するという形で対応するように考えておるところでございます。
  79. 古堅実吉

    ○古堅委員 厳原海上保安部では、第一線で働いておられる皆さんが荒波の中で命がけで取り締まりに関与しておられる、そういうビデオも見せていただきました。改めて対馬海域の厳しさ、その仕事の御苦労を認識させられた、そういう思いです。  ところで、現地に何とかしなさいというふうなことでは解決しないなということを痛感したものですから、今要望を含めて伺ったわけなんです。密漁船は夜、小型船で、四十ノツト以上も走るであろうと思われるような、そういうものでやってくる。乗っているのは大体二人ぐらい。しかも、本当に島陰までやってきて、浅瀬におりたりなどして密漁を繰り返す、そういう状況です。ところが、海上保安部には小型のこういう高速の船を取り締まりをするのが実際上は配置されていない。しかも、漁協の管理船は発見しても取り締まりはできないわけですから、通報するだけなんです。通報するのは比田勝海上保安署、そこにやるのですけれども、その保安署は夜間の宿直も置かれていない。そこをめぐって海上保安部の方に回っていくということになるわけです。その通報を受けて取り締まりの船がやってくるのは、相当の時間がたつ。一時間ないし一時間半たって来ても間に合いませんなどという話もあちこちで聞かれました。  そういうことなものですから、大型の巡視船などをそこへ配置しても取り締まりには役に立たないですよ。浅瀬も行けるような、小型の高速の取り締まりのできるそういう船、人、それを配置する体制が必要ではないか。そういう面で見直しして、それができるような検討をいただけないかどうか、そういうことなんです。もう一度。
  80. 田島邦雄

    ○田島説明員 今先生がおっしゃられます海岸線、岩場あたりの取り締まりに当たりましては私ども日ごろから非常に苦慮しているものでございますけれども、そういう海域に入っていって直接取り締まるというのは、なかなか現場の状況から、あるいは船の操船の立場からも非常に難しいものがございまして、直接中に入っていくということになりますと、現在では、今の配備している船が持っている搭載のゴムボートとか、あるいは高速の搭載艇を持っている、巡視船は高速の搭載艇を持っておりますけれども、これらを派遣して取り締まるという形をとっております。小さい船をその場に配備するということは非常に私どもの体制としては難しい状況にございますので、今のような形でできるだけ現場の漁協からの情報等をうまく伝えていただくように考えながら対応していきたいと思っております。  今比田勝に連絡して厳原にという、ちょっと御心配な点がございましたけれども、巡視艇はそういう蓋然性の高い、あるいはそういう違反が起こる時期、あるいはそういう情報があるときにはできるだけその付近で哨戒させるようにしておりまして、厳原に来ればすぐ連絡が入るという格好で対応しておりますので、今後ともできるだけ現場で漁協の方に心配かけないように頑張っていきたいと思います。
  81. 古堅実吉

    ○古堅委員 もう時間がないですから、これで終わります。
  82. 三原朝彦

    三原委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。
  83. 三原朝彦

    三原委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、 直ちに採決に入ります。  まず、中央ベーリング海におけるすけとうだら資源保存及び管理に関する条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 三原朝彦

    三原委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、航空業務に関する日本国政府ポーランド共和国政府との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  85. 三原朝彦

    三原委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、千九百九十四年の国際コーヒー協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  86. 三原朝彦

    三原委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、千九百八十八年五月三十一日に総会において採択された千九百二十八年十一月二十二日の国際博覧会に関する条約(千九百四十八年五月十日、千九百六十六年十一月十六日及び千九百七十二年十一月三十日の議定書並びに千九百八十二年六月二十四日の改正によって改正され及び補足されたもの)の改正受諾について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  87. 三原朝彦

    三原委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 三原朝彦

    三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  89. 三原朝彦

    三原委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男君。     〔委員長退席、福田委員長代理着席〕
  90. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 河野大臣、三月三日、四日の日ロの定期外相協議、御苦労さまでした。おととしの十月、エリツィン大統領が来たとき東京宣言で、少なくとも年二回は外相会談をやるべきだということが付されているわけでありますけれども、それに沿っての一年ぶりの日ロの定期外相協議なわけであります。  大臣は、ナポリ・サミットでも、さらにはニューヨークの国連総会でも、またASEAN拡大外相会議でも、ゴズイレフ外相とはお会いをし、会談をしておりますけれども、今度の会談は聞くところによりますとトータルで七時間から八時間の長い会談をされて、極めて有意義であった、また同時に、定期外相協議がしっかり行われたところにまた意味がある、こう私は思っておるのでありますけれども、大臣として率直にこの会談を終えての感想、評価をお聞かせいただきたい、こう思います。
  91. 河野洋平

    河野国務大臣 コズイレフ外相とは、今議員御指摘のようにこの半年間ぐらいの間に三回ほどお目にかかってはおりますが、テーブルを挟んでじっくり話をしたということは初めてのことでございます。しかし一方、ロシアの現状というものが、チェチェン問題というものがございまして、これはロシアの国内問題ではございますけれども、国内問題とはいえ人権上これは我々極めて強い懸念を持っている問題でございます。こうした問題を抱えてコズイレフ外相は訪日をされたわけでございまして、私としては、幾つか話し合わなければならない問題のうちの一つはこのチェチェン問題だ。それは、チェチェンで一般市民を巻き込んだ戦闘状態が続いているということに対する懸念と同時に、ロシアの政府がこうした問題解決のために力をもってするという政策あるいは意思決定を行っているという状況はロシアの民主化というものにどうもブレーキがかかる、あるいは逆の状況に行っているのではないか。我々は、ロシアというものが世界の中で、ロシアの民主化というものが進んでいくことは世界の平和とか安定のために非常に意味があると考えてロシアの民主化に対して支援をしているわけでございまして、もしその民主化に逆回転が起こるということであればこれは非常に問題だ、そういう認識一つございます。  それから、日ロ二国間には、もうこれは言うまでもなく領土問題がございます。先ほどもちょっと御意見がありましたが、その領土問題の陰に漁業問題もあるわけでございます。こうした二国間関係についても十分話をしたい、こう思って臨んだわけでございます。  チェチェン問題にも相当時間をかけました。私は、OSCEの意思決定もあって、ロシアは平和的解決にもっとまじめに取り組んでもらいたい、もしロシアの政治というものが民主化と逆な方向に行こうとするなら、我々は支援できないということも申しました。それは、ただ単に我々の意思だけではなくて、恐らくG7はみんなそう思っているに違いないということも含めて申し上げまして、コズイレフ外相は、自分たちは民主化への方向性を失ってはいないということをしきりに説明をされました。この説明について私は、態度で示してほしい、一日も早くチェチェンの問題を平和裏に解決をしてもらいたいということなどを申し上げたところでございます。  漁業の問題につきましては、漁業の枠組み交渉を十三、十四の二日間行おうということを決めさせていただいたわけでございますが、さらに四島交流についても、その枠組みを拡大する方向で、これは事務的に検討をしてほしいということなどを言いまして、相当内容のある議論が行えたと思っております。  残念ながら、領土問題が一遍で解決できるというわけにはまいりませんし、具体的に何が決まったかと言われれば、それはなかなか十分なことではありませんが、両国の外相が忌憚のない話し合いが十分できだということは次へ向かっての大きなステップではなかったか、こんなふうに思っております。
  92. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 今大臣がおっしゃったとおり、私は、外相同士が会談をするところに意味があって、そこにまた信頼関係も生まれてくる、またそこが両国のより緊密な関係にもつながっていく、こう思って、評価をするものでありますが、その会談の中で、三月の十三、十四と例の北方四島周辺での安全操業問題が本交渉に入ることが約束されました。これは大きな前進であると思って、私は高く評価をするものです。特に、この問題につきましては、おととしの十月十五日、この外務委員会で私が提起をいたしましてから動き始めた問題でありますので、ぜひとも早急に解決をしていただきたい、こう思います。  そこで大臣、この十三、十四の日本側の団長、メンバー、さらにはロシア側の団長、メンバー等、わかる範囲で教えていただきたい、こう思います。
  93. 河野洋平

    河野国務大臣 代表団の構成は、我が方は、西田欧亜局参事官を団長として、水産庁及び海上保安庁関係者が参加する予定になっております。ロシア側は、ドブロヴォリスキー外務省第二アジア局第一次長を団長として、漁業委員会及び国境警備長が参加をする、こういう予定と聞いております。
  94. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 第一回目の本交渉でありますか ら、日本立場日本立場で主張をする、またロシア側からはロシア側の立場の主張等があろうかと思います。一回で解決するべき問題ではないと私は思っておりますが、そこで大臣、交渉は間断なくやるべきだ、特に水産業の場合は漁期の問題がありますから、間断なく進めていくべきだ、こう私は思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  95. 河野洋平

    河野国務大臣 議員はもう十分御承知のとおり、この交渉はそう簡単な交渉ではございません。領土問題という大変な問題を横で見ながら交渉をしていかなければならないわけでございます。しかし、双方ともにこの交渉の重要性というものを認識して、誠心誠意の交渉をしてもらいたいものだと思っております。一度で結論が導き出せない場合には二度、二度でだめなら三度という、とにかくテーブルに着いて話し合いで問題を解決するということが必要だと私は考えております。
  96. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 私は、今の大臣のスタンスで結構かと思いますけれども、これは日本としてはやる気があるのだ、まとめたいのだという姿勢はやはり明確に示しておくべきだと思うのです。  同時に、これは外交交渉ですから、相手のある話でありますからまたその出方も見なくてはいけませんけれども、大臣、エリツィンさんが来たときの東京宣言でも、少なくとも年に二回は大臣の定期協議はやるということでありますね。しからば、今度は日本側がモスクワに行く番なのですね。私は、そのときの一つの課題としては、この安全操業の取り決めで大臣が行くというのは名目的にも大変いい話だと思っているのです。同時にまた、行きやすい姿だと思うのですね。そういった意味でも、少なくとも一週間置きぐらいにこの会談を日本は希望してまとめたい、このくらいの姿勢で臨んでほしいと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  97. 河野洋平

    河野国務大臣 鈴木議員の迫力をひとつ大いにかがみとして努力をしたいと思っております。
  98. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 大臣、昨年の十二月ハバロフスクでポドプリゴラ・ロシア連邦院国際問題委員長日本でいう外務委員長ですか、この方の主宰の極東会議がありまして私行ってきました。そこで帰りにユジノサハリンスクに寄ってきたのです。  御承知のとおり、今ユジノと函館は直行便がありまして、プロペラですけれども二時間ですね。今滑走路を延長してジェット化しようという動きも出ています。そうしますと、一時間で函館とユジノはつながるのですね。今大変に人の往来も多くなってまいりました。同時に、サハリン州の関係者にお会いしましたところ、日本に行くのにビザをとるのが二カ月も三カ月もかかる、しかもウラジオまで行かなければいけない、不便だという話があって、サハリン州側の方からも、何とか外交的な事務所あるいはそういったビザ発給ができるような体制をとってもらえぬかという話もありました。同時に、ユジノにおられる日本人からも、早く領事館を設置してもらいたい、こういう話がありましたけれども、この問題について、大臣どうお考えでしょうか。
  99. 河野洋平

    河野国務大臣 議員御指摘のとおり、近年我が国との間の人的、経済的交流が極めて活発になってきております。  そこで、昨年より外務省の課長級の担当企画官をして現地に頻繁に出張をさせまして、政治経済情勢の把握のための情報収集の努力をいたしております。  他方、我が国が総領事館を設置するという場合には、一般的な方針といたしまして、相手国における在留邦人の状況、世論対策の重要性、我が国との経済関係、情報入手基地としての重要度、地方分権の程度、最寄り公館との距離、主要諸国の公館設置状況相手国よりの要望、こういった問題を総合的に考えまして判断をするということになっておるわけでございます。  御指摘のサハリンにおきます総領事館の設置問題を検討する場合には、今申し上げましたような諸点を含め、さらに種々の要素を十分に勘案する必要があると考えております。議員の御指摘も踏まえまして、なおよく検討したいと思います。
  100. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 大臣、そのなお検討したいというのは、設置に前向きで検討していると理解してよろしいですか。  例えば、総領事館というものならば相手のこれはまさに承認が要りますね。しかし、テクニックとしてはいろいろあると思うのです。例えば、外務省の職員の長期出張滞在でもその役目を果たすこともできます。同時に、出張駐在団事務所でも、予算的な措置としてはより軽微で済む話なのですね。日ロ関係をより充実させたいとするならば、まずサハリン州の理解を得ることも大事なのです。戦略的にもあそこに何がしかの出先を持った方が私はいいと思っているのですね。しかも、北方四島、今はサハリン州の一部になっているわけでありますから、特に州の関係者の理解を得るためにもやはり日本の正しい情報というものを入れた方がいいと私は思っているのです。同時に、向こうのニーズもあるわけですから、それにこたえることも大事だと思っているのです。ですから、やはり早急に置くことが日ロ関係にとっていいことだ、こう私は思っているのですけれども、前向きにきちっとやるかどうかということもお答えをいただきたい、こう思います。
  101. 河野洋平

    河野国務大臣 今議員がいろいろお述べになりましたことは、十分我々も考えているところでございます。  前向きか後ろ向きかということを申し上げるのもなかなか難しいわけでございますが、今議員御指摘のような問題は極めて重要なものだという認識を私持っておりますので、そういう認識の上で部内の議論をしたいと思っております。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 大臣、日本としてこう考えているのだということをきちっと明確に相手に伝えない限りこれは進まない話なのです。ですから、そういった意味で、外務省としてはこのサハリンのユジノサハリンスクに領事館の設置を希望しているのだ、同時に、これはもう十分検討に値する問題なのだ、そのことを私はお答えいただきたいのです。
  103. 河野洋平

    河野国務大臣 領事館の設置については、世界各地のバランス考えなければならないわけでございまして、優先順位その他もよく見て判断をしなければならないというふうに思っております。  議員のお考えはよく私理解をいたしておりますということだけきょうは答えさせていただきたいと思います。
  104. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 大臣、おわかりのとおり、ことしは戦後五十年です。戦後五十年で解決してない民族の悲願はこの北方領土問題なのです。この問題を私は動かすためにも、このサハリン州との関係というのは重要であるということ。しからば、その配置の問題等よりもやはり日本にとって極めて大事な場所であるという認識の中でこれはぜひとも進めていただきたい。もう一度大臣の決意といいますか、前向きなお話をいただきたい、こう思います。
  105. 河野洋平

    河野国務大臣 議員の御指摘は十分理解をいたしました。
  106. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 大臣、さきの日ロ会談で日本の安保理常任理事国入りの問題につきまして、報道によっては、コズイレフさんは支持をしたと言っている表現もあれば、いや慎重であったという表現もあれば、いや条件つきであったというような話もありますけれども、正確にどういう表現になっておるのかお知らせをいただきたい、こう思います。
  107. 野村一成

    野村(一)政府委員 会談におきましては、日本がそのような希望を有しているのは当然である、そういう趣旨の発言があったというふうに理解をしております。
  108. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 野村局長、今極めて短いのですけれども、もう少し正確に、それだけじゃないと思いますので。
  109. 野村一成

    野村(一)政府委員 失礼いたしました。  この問題につきまして、コズイレフ外務大臣の 発言でございますけれども、日本が国連等の場でより積極的な役割を果たしていることを歓迎するということ、それから日本が安保理常任理事国となるという希望は当然の希望であると思う、その後、世界の中では孤立主義的な傾向も見られるけれどもマルチの協力が重要である、安保理の改革につきましては特別委員会で審議されており、その審議は困難なものであるけれども作業を続けることが重要である、自分は、自分はというのはコズイレフ外務大臣ですけれども、その委員会の審議で日本考え方を最大限考慮するよう指示を出している、そういう趣旨でございます。
  110. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 わかりました。  また、今のこのコズイレフさんの話をやはりもっとより国民にわかるようにアピールというか、表明をしてほしいな、こんなふうに私は思っています。  時間がありませんから、最後に、KEDOが日米韓でスタートしましたね。そこで大臣、この日本の拠出金について千億が妥当だとか、いや四分の一を出してくれだとかという話がありますけれども、これは数字がひとり歩きをしている嫌いもあります。同時に、国会の承認については、今は、これは行政取り決めであって国会の承認はとらないというのが外務省考えだというふうにも聞いておりますけれども、この点、現時点における資金の拠出はいかほど日本に話があるのか、同時に、どの程度考えているのか、さらには、大平三原則との絡みの中でこの国会承認の問題はどうなのか、お答えをいただきたいと思います。
  111. 河野洋平

    河野国務大臣 後段のお尋ねの、KEDOの設立協定を国会に承認を求めるか、こういうお尋ねについては、現在もKEDOの設立協定は行政取り決めであって国会に承認を求める必要はないというふうに我々考えておりますことをまず申し上げます。  それから、KEDOに対します私どもの分担金と申しますか拠出金と申しますか、お尋ねでございましたけれども、KEDOの設立に関する協定では、加盟国に対して何らかの資金負担を行うことを義務づけてはいないわけでございまして、各加盟国はみずからの判断に基づいて任意の拠出を行うことというふうになっているわけでございます。我が国としては、軽水炉プロジェクトの全体像のもとで意味のある財政的役割を果たす用意があるが、かかる軽水炉プロジェクトに対する財政貢献の具体的内容については、今後この軽水炉プロジェクトの全体像がはっきりしてから検討をするということにしております。  ただ、まずKEDOの活動を適宜に開始するとの観点によりまして、七日の閣議において、日本として平成六年度予算より、KEDOが立ち上がりにおいて必要とされる経費のうち現地調査費三百万ドル及び事務局経費二百八十万ドルを拠出するということを閣議の了承を得ております。この事務局経費二百八十万ドルというのは、ニューヨークに事務所をつくる、そのために必要な資金などでございます。目下のところ、この現地調査費の三百万ドルと事務局経費の二百八十万ドルの拠出を平成六年度の外務省予算から出したということが、現在まで決めていることでございます。
  112. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、では現時点では、軽水炉とあるいは重油だとか燃料棒の負担の話については、数字はひとり歩きしているけれども、今のところは決まっているものはないという理解でよろしいかと思います。  大臣、日本外交のために大臣のさらなる活躍を期待すると同時に、安全操業問題だけは大臣も督励してよろしくお願いしたい、こういうことを希望して終わります。
  113. 三原朝彦

    三原委員長 引き続いて、山本拓君。
  114. 山本拓

    ○山本(拓)委員 時間がありませんので、端的に質問させていただきます。  鈴木宗男先生の後の質問の関連で行かせていただきますが、今お話の中で、KEDOの設立に当たって、これは外務省からいただいた要旨の中で、「全体像の下で、意味のある財政的役割を果たす」ということが書いてあります。これは新聞によりますと、総理が日米首脳会談でお約束になったということですが、この「意味のある財政的役割」というのは、いわゆる軽水炉建設について応分の負担をするということで理解すればよろしいのでしょうか。
  115. 川島裕

    ○川島政府委員 そのとおりでございます。
  116. 山本拓

    ○山本(拓)委員 そうすると、KEDOの設立協定案、先ほどいただいたものですが、これには、韓国型の原子力発電所様式二基ということですね。これはもう金額出ていますよね。幾らと認識しておられますか。
  117. 川島裕

    ○川島政府委員 韓国側の説明によりますと、ラフな数字として四十億ドルというふうに言っております。  ただ、実際問題として、それは韓国でつくればラフに言ってその程度ということで、より正確な数字というものは、これからまさに実地調査といいますか、現場に入っていろいろなことを調べないとわからないというふうに承知しております。
  118. 山本拓

    ○山本(拓)委員 そのラフな数字の四十億ドルというのは、立地調査によって幾らか安くなるのでしょうか。
  119. 川島裕

    ○川島政府委員 ちょっとそこは申しかねますけれども、その可能性もあろうかと思います。ただし、それはやってみなければわからないということではないかと思います。
  120. 山本拓

    ○山本(拓)委員 原子力発電所については、軽水炉は日本にもいっぱいあるわけですよね。私の選挙区なんかには十五基もありますから。だから、それはいわゆる日本標準型の原子炉なんですね、軽水炉。これは正直な話、もう設計図が決まっているわけですよ。韓国側だって設計図が決まっていて、この形ならば幾らと決まっているわけですね。単価だって、日本型だったら、日本資源エネルギー庁に聞けば、単価一キロワットアワー二十 一万円とか金額が決まっているわけです。だから、今のお話の韓国型ということでもう決まっているのならば、これはラフと言わずに、設計図が決まっているわけですから明確に幾らという数字は出るわけでありまして、その金額というのは、例えば、立地調査でやらなければわからないというお話でしたけれども、その立地調査というのはいわゆる地盤がやわらかいかかたいか、それに幾らかかるかということで、安くなることではなしに倍に、極端な話、その四十億と言われる設計図よりも金額が上回るわけですね。  だから、私が申し上げたいのは、四十億かかる、日本でいうと四千億円ですか、四千億円かかるという品物に対していわゆる日本が応分の負担をするということを約束したということで結構なんですか。
  121. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  私も建設の具体的な話になるとちょっとよくわからない部分があるのですけれども、やはり私どもの了解しているのは、現地調査によっておのずから建設費とかいうものについてもう少し具体的なものが得られるのではないかという考え方はあると承知しております。  ただ、いずれにしましても、私どもが聞いておるのはラフに四十億ドルということでございまして、より正確な数字というものは、作業の前提としては、KEDOの作業としては今のところないということでございます。
  122. 山本拓

    ○山本(拓)委員 ということは、恐らく四十億ドルというのはラフではなしに、それだけかかるのですね、設計図がそうなっているわけですから。現に韓国にあるものですから。それをこっちに持っていくわけですから。多少コストは安くなるでしょうけれども、そんなものはごくわずかですよ。だから、四十億ドルに対して日本は応分の負担をする、意味のある財政負担をするということは、その四十億ドルの中で負担をするということをこれは国際約束したということでよろしいんですか。
  123. 川島裕

    ○川島政府委員 意味のある財政貢献と申しますのは、ことしの一月の日米首脳会談のときの総理の言われた表現ぶりでございます。これは政治的 な意図表明でございます。  それで、法的な話ということになりますと、これはいずれ仮にプロジェクトの総額というものが、今ラフに四十億ドルという数字について話がございますけれども、それが確定されて、それに対して日本がどういう資金スキームでどういうふうに出すということを決断した段階で、そこで財政的ないろいろな整理をする、そしてその出し方として、多年度にわたる財政的な約束になるものでございますれば、そのときは国会の承認をいただく、そういうような形で、そこで初めて法的な約束というものができる、今の段階では法的な約束というものは全くないという整理でございます。
  124. 山本拓

    ○山本(拓)委員 そうすると、日本の総理大臣が大統領にじかにお約束したことは法的ではないということで理解すればよろしいのですか。
  125. 折田正樹

    ○折田政府委員 総理大臣の御発言は、政治的には非常に重要な発言だと思いますけれども、国際法的にいきますと、日本とある国の間の法的な権利義務関係をつくるというような約束ではないということでございます。
  126. 山本拓

    ○山本(拓)委員 そうすると、今度KEDOの、協定があれか知らぬけれども、一応国際的約束事ですよね、日本にしてみれば、公式な機関ですから。だから、その機関に入るに当たって日本の総理大臣が、最低四十億ドルかかるものに対して応分の負担をする、これは私はもう当然財政支出を伴う国際約束だと思っているわけですが、そうでないということであるならば、これは外務省の予算枠の範囲の中で要するに四十億ドルかかるというものに対して出すということでよろしいですか。
  127. 折田正樹

    ○折田政府委員 このKEDOの設立協定それ自身は、先ほども御紹介のありました大平三原則に照らしてみますと、いわゆる第二カテゴリー、財政事項を含むかどうかという点でございますが、ここの財政事項を含むということは、既に予算または法律で認められている以上に財政支出義務を負う国際約束の締結は国会の承認を得なければならないということでございますが、今回の設立協定は、第十条(b)というところに財政関係の規定があるわけでございますけれども、そこでは、各加盟国は機構に対し任意の拠出を行うことができるということでございますので、この文章によって日本が財政的な義務を負うということにはならないわけでございます。
  128. 山本拓

    ○山本(拓)委員 私が申し上げたいのは、この国際協定、いわゆるKEDOというものを国会承認なしでやられるのは、それは御勝手にやればいいのですが、その結果、日本の安全と平和のために、軽水炉を建設するために幾らか、例えば今伝えられているような一千億円を拠出するという話になったときに、全体像で認知していれば、それはそうかなと思わぬでもないところもあるかもしれません。しかしながら、全く関係なしで、それだけ取り出して、軽水炉を建設するのに協力しろという話になりますと、それは軽水炉だってプルトニウムは出ますからね。我が福井県でつくっているものも、あれはプルトニウムが出ているわけですから、東海村で。日本は平和利用していますから。だから、それだったら、二百万キロワット必要なら、民生のために必要ならば、火力発電所二百万キロワット提供した方がずっと建設コストは安いわけですから、だからそういう議論になってしまいますよ。  だから、私が申し上げるのは、全体像の中で、あくまでも言い逃れではなしに、四十億ドルかかるというのはもう間違いないわけですよ。これはあいまい数字、誤差は基盤整備とかごくわずかですから。明らかにかかるというものに対して応分の負担をするという約束を総理大臣はしているから、これは私は、私は政治家ですから、事務方と違ってこれはもう正式なものだという認識をいたしております、大臣、そう思いませんか。
  129. 河野洋平

    河野国務大臣 この問題は、もう十分御承知の上の御質問ですから私もくどく申しませんけれども、北朝鮮の核開発疑惑に対してどういう対応をするか、それが国際社会の中で核拡散の問題、あるいは朝鮮半島及びその周辺国が直接的に受ける非常な脅威、そういった懸念をどうやって払拭するかという問題で、我が国としても自分自身の問題としてこの問題をとらえてきたわけでございます。  ただ、北朝鮮が直接の交渉相手にアメリカを指名するということから米朝会談というものが行われて米朝合意ができた。その米朝合意を、米朝の交渉が合意に達するまでの間、我が国も韓国もアメリカに対して十分緊密な連絡をとりながら、ぜひこれは話し合いによってこの交渉を合意に持っていって、そしてその問題を解決をしていくべきだということを言った。その交渉の過程において、アメリカ支援する、あるいはアメリカ交渉能力を高める、そういう意味からも、我が国は、まず応分の負担を我々もしますよ、前提条件はありますけれども、こうした前提条件であるならば我々は応分の支援をいたしますよということを言ったわけです。これは、アメリカの北朝鮮に対する交渉能力を高めるということにも役立っているというふうに私は思うのです。  それが、そうした経過をたどって交渉は合意に達して、いよいよその合意が実践に移されるということになりました。その段階で日米首脳会談は行われたわけでございまして、そこで村山首相はクリントン大統領に対して、これまた前提条件はございますけれども、こういう前提条件のもとに我が国は意味のある財政的支援をいたしますということを言ったわけです。これは政治的に非常に重い日米間の政治的な約束だというふうに私は思います。ただ、先ほど来事務方が申し上げておりますことは、金額が、数字が幾らかということまで入った、いわば国際取り決めというものではありませんよということを言っているわけで、両国首脳のこのやりとりは非常に重要な政治的な約束であるというふうに私は受けとめております。  ただ、これから、それでは実際問題としてどういうものをつくるか、どこまでがこのKEDOの仕事であるかというようなことについては、これから交渉が始まるわけでございますから、これまでも交渉はやっているわけですけれども、さらにKEDOができて、いよいよどういうやりとりになるかということがこれから始まるわけですから、その交渉を踏まえてどういう契約というのでしょうか、約束事をするかということはこれからの問題だ。そこで日本が担うべき財政支援の具体的な数字、具体的なものがこれから決まってくるのだ、こういうところに今あるということを申し上げているわけです。
  130. 山本拓

    ○山本(拓)委員 私が申し上げたいのは、そういう経過の中で、結局もう出す金額が決まっているのです、かかるものは。言いかえれば、原発というとちょっとわかりにくいけれども、ジャンボ機の何機をここへ上げますみたいな感じなのですよ、早い話が。これはもう金額が出ているわけですから。設計図があります。だから、そういう中で応分の負担をするということを、重い約束をしている中で、いわゆる国会承認を経ないということは、当然のことながら、国会に承認をかける必要がない範囲の中での応分の負担だという約束としか受け取れないのですね。そういうふうに理解せざるを得ないです。  だから実際、後で、今伝えられているような一千億だとかいろいろなものがあるならば、これは当然国会承認が必要ないわゆる決め事でございまして、だから大臣が今おっしゃったような政治家の口約束、口約束と言ったらおかしいですけれども、約束というのは、事務方が、要するに一切そんなものは関係ない、裏を返せば、最低四十億ドルかかるものに対し外務省の従来の枠組みを超える範囲を出すという約束ではないということでよろしいのですか。
  131. 河野洋平

    河野国務大臣 議員は御承知の上で言っておられるのだと私は思いますけれども、先ほど来鈴木議員の御質問にも私はお答えをいたしましたが、KEDOの設立協定は国会承認を受ける必要はないだろうということを申し上げているわけです。 KEDOの設立協定というものは、こういうKEDOという機構をつくりますよということであって、このことについて国会の承認を得る必要はなかろう、こういうことを先ほどから申し上げているということをぜひ御理解をいただきたい。
  132. 山本拓

    ○山本(拓)委員 だから、そのKEDOの目的がもう決まっているわけですよ。四十億ドルの韓国型のものをつくりますと、もう決まっているわけです。それ以外にないわけですから。それを限定しているわけですから。それに対して総理大臣は応分の負担をしますという、いわゆる意味ある財政負担。ということは、もう四十億ドルに対して幾ら出すか。向こうは喜んでいますからね。やはりそれは財政的な負担を伴う国際約束の締結ではないか。確認しますけれども、じゃこれは財政支出義務を伴う国際約束ではないと。例えば、明確に、これは四十億ドルかかる、最低四十億ドルかかるものに対して応分の負担をしますという、これは政治的に非常に重い約束事だと大臣もおっしゃっておるわけですし、私もそう思います。それならば、これはもう明らかに財政支出義務を負う国際約束ではないですか。まだ何を上げるかわからない、全くの雲をつかむようなものならば金額が出てこないですけれども、これはもう何型と決まっているわけですから、これに対して出すということは、財政支出というものは伴います、それは約束しているのですから。  これは、じゃ逆に言うと、もう余り時間がありませんから、財政支出義務を負う国際約束ではないとあくまでも断言されますか。
  133. 折田正樹

    ○折田政府委員 KEDOの設立協定自体は、先ほども申し上げましたけれども、各加盟国は機構に対して任意の拠出を行うことができるということでございまして、これ自体で日本が財政支出義務を負うものではございません。  他方、いろいろ軽水炉の議論が進みまして、資金規模も明らかになってきて、我が国自身軽水炉に関する資金協力に関する国際約束を締結するというようなことになりました場合、仮にこれが多年度にわたる財政支出など、既に予算または法律で認められている以上に財政支出義務を負う国際約束ということになりますれば、これは国会の御承認が必要な先ほどの大平三原則の第二のカテゴリーに属する約束事となるわけでございます。
  134. 山本拓

    ○山本(拓)委員 そうすると、今の御説明だと、具体的にその時点で国会承認が要ると。じゃ、そのときの説明が、今回KEDOに対してはそっちで勝手にやられた、僕はもうセットだと思っていますが、だからそっちでやられる場合に、これはもう、こういうKEDOをつくりました、KEDOでつくったことで決まりましたから、それが原因でこういうものを認めてくださいという、KEDOの約束事を理由としたことで国会承認は求めないということは断言できますね。
  135. 折田正樹

    ○折田政府委員 そうなりました時点で、我が国として財政負担を伴う大平三原則に言う第二のカテゴリーの国際約束を締結するという、そうなった時点で国会の御承認考えるということでございます。
  136. 山本拓

    ○山本(拓)委員 そうすると、その時点でということは、私の考え方は、もう僕は政治家の発言は日本においては重いと思っていますし、外国でも重いと思っていますが、日本はどちらかというと、政治家、総理大臣が約束したって、その解釈で事務方が契約しなければ、総理大臣の方は実質的に大平三原則に抵触しないという解釈ならば、これはもう総理大臣の約束事も全く軽いということで、今の時点の解釈でいきますと、総理大臣が向こうの大統領に意味ある財政的負担をするというその中身は、日本国内では、いわゆる国会承認を求めないという判断でありますから、これはもう従来の、今回の事務経費で出したような二、三億ぐらいの枠組みのものを考えているというふうにとられても仕方ないというふうに理解してもいいですか。
  137. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、まずKEDOという機構をつくって、その機構には幾つの国が参加をするかということはこれから、これまでもやってまいりましたけれども、二十カ国前後の国が参加をするのではないかと今予測をされておりますが、その中にはお金を出す国もあれば、技術を出すよという国もいろいろあると思いますが、何カ国でKEDO全体が構成されるかということもまだわからないわけでございます。  今私どもがしております作業は、KEDOという機構をつくるという作業をしているわけで、この機構をつくるということから万事が始まってくるわけで、これから先どういうことになるかは、先ほど来から御説明を申し上げておりますように、もし議員がお尋ねになりますように多年度にわたる財政的な約束をするということであれば、それは当然国会の御承認をいただくということになるであろうということも一つ考えられるわけでありますが、現在はまずKEDOという機構をつくるという作業をいたしておるわけでございます。  これは、よその国のことを申し上げるのはどうかと思いますが、アメリカだって韓国だって、KEDOをつくるということをそれぞれ議会に承認を求めるということにはなっていないと私承知をいたしております。それはよその国と仕組みが違うといえばそれまででございますが、私どももKEDOという機構そのものをつくるという作業を今いたしておりますということを申し上げているわけです。
  138. 山本拓

    ○山本(拓)委員 アメリカとか韓国はよその国ですし、逆に言うと、アメリカは、何かきのうの新聞によりますと、議会は勝手に北朝鮮に対して出すことに歯どめをかける法案を成立させておりますし、要するに議会の承認をとれということで決議をいたしております。私が申し上げるのは、その機構そのものをつくるということは、それはそれでいろいろな考え方がありますけれども、それそのものは国会承認を得なければ、これは逆に言うと、それをほったらかして、大体もう米朝合意だって今までの核疑惑の検証が完全に済んでいない、今これでいくと五年先送り。軽水炉だってプルトニウムを後からどんどんつくれるわけでありますから、そんなものはちっとも日本の安全に寄与しない。北朝鮮がエネルギーがないのなら、単なる民生上の発電力が必要ならば、それならKEDOのものを切り離して原発だけのことを考えるなら、火力発電所二基上げた方が費用はずっと安く済むわけです。そういう議論になってしまいますよ。  もう時間ですからこの辺で終わりますけれども、私が申し上げたいのは、外務大臣、最後一つ、過去のいわゆる核開発の検証についてどのように米朝合意の面で評価されておりますか。そして、北朝鮮の核脅威についてどのような認識を持っておられますか。大臣。
  139. 河野洋平

    河野国務大臣 議員いろいろとおっしゃいますが、この問題は、二国、アメリカと北朝鮮という二つの国が相当厳しい交渉をした結果これで合意をしたものであって、それはもっとこの方がいい、もっとあっちの方がいい、もっとこうやるやり方があったではないかと我が方にいろいろな意見があったとしても、それは先方がそれで合意をしなければ何もできないのでございます。  これは、双方がそれぞれぎりぎりの議論をした上で導き出した結論がこれであって、これでないというならば、じやほかにどういう方法があるのかということを考えなければならないわけで、これはだめだからこの方がいいんだという議論はもちろん議論としてはあると思いますけれども、今この場面でその議論を言ったとしても、いやそれならもうこれはやめて、もう一度国連の安保理へ戻って制裁で何をするかという議論が、今ほとんどそういうことをおっしゃる方がおられないと私は思っておりまして、少なくとも、朝鮮半島のあの問題を解決するためにそれぞれが最善の努力をして導き出されたこの結論をどうやって誠実に実施をしていくかということが今我々の前にある問題なんではないでしょうか、私はそう実は思っているんです。  それで、例えば今議員がおっしゃるように、じゃ過去の検証ができないじゃないか、過去の検証ができないなら、それじゃもうこれはやめた方がいいということに果たしてなるかどうかというふうに思うのです。その過去の検証も、この米朝合意によれば、やらないのではなくて、これから作業をしていくプロセスの中で過去の部分についても検証をすることになっておりますし、少なくともこの合意ができたために、この合意ができなければもっと黒鉛炉が動いていって、さらに多くのプルトニウムが北朝鮮にどんどんとたまっていくという状況を、じゃどうするかという問題を考えなければならないわけでございます。  私は、少なくとも、この合意を大事にして、この合意を誠実に双方が実施をしていくことが今我々に与えられている最もいい道ではないか、少なくとも今日考えられるいい道ではないかというふうに私は思っております。
  140. 山本拓

    ○山本(拓)委員 一言だけ申し上げておきますが、いわゆる米朝、アメリカアメリカなりの国益を考えてやっています。韓国も考えております。日本考えております。それぞれ思惑が違うところがあります。だから米朝がそのまま日本にとっていいだろう、いいだろうと言われても、いいところもあるし、そうでないところもあります、国民の税金を使いますから。だから、このKEDOの枠組みが決まってしまえばその方向で行っちゃうわけでありますから、我々国会の承認というものを前提に当たることによって我々自身がそこで議論をする、その議論をする必要なしという今回の決断というのは私は異議がある、そういうことを強く申し上げておきますし、これだけKEDOで、国会承認を求めないところで、初めから幾らかかるとわかっているやつを、一千億だとかKEDOで決まったからといったって、私自身の考え方は、そんなものはちょっと違うんじゃないかというふうに思っておりますので、ちょっと発言させていただきました。済みません、時間を超えまして。
  141. 三原朝彦

    三原委員長 続いて、若松謙維君
  142. 若松謙維

    ○若松委員 今山本議員から国会承認という観点からの質問がされまして、私も引き続きその点に集中して質問をさせていただきます。  まさに今回のこのKEDO設立に当たって、行政取り決めで処理をする、そういう回答でありますけれども、一方、先ほど山本議員が明快に述べられましたように、将来の金額はほぼ決まっている。ですから、少なくとも日本は、一千億円以上の負担はこの設立協定の発効日以降ある意味でもう確定しているわけなんですね、確定債務的な。そういう巨額のお金が、一千億円ですから国民一人当たり千円、これをそういう国会承認なしで、実際に行政取り決めだけでやっている。じゃ、国民は何なんだと。民主国家である以上、国会の場で設立協定承認する、それに、以降かかるであろう何千億というお金、かつこれは集団安全保障に大変影響のある話ですので、それを行政の取り決めだけで行った。じゃ、果たして大臣、この協定案は——もう協定案じゃありません、きのう署名したわけですから。この協定案を国会で審議する以上に国民の理解を得るいい方法がありますか。あったら答えてください。
  143. 河野洋平

    河野国務大臣 どうも先ほどから、私の答弁が下手なのがどうかわかりませんが、御理解をいただけないことが非常に残念でございます。  今申し上げておりますことは、KEDOの機構をつくることを申し上げているのであって、今後お金を出すというときには、それが多年度にわたってこの約束をするということになれば、それはその場面で国会での御承認を得るということになるでしょうということを申し上げているわけで、その部分の御理解がいただけないのは非常に残念に思います。
  144. 若松謙維

    ○若松委員 それでは、きょう例えば航空協定を通しました。国会承認です。これから一千億以上かつ日本の安全保障に関係する問題、これは行政取り扱いです。これはバランス感覚ですと完全におかしいですよ。いかがですか。
  145. 折田正樹

    ○折田政府委員 国際約束を締結しまして、その締結した国際約束がどういう内容のものであるかで判断しているわけでございます。その判断につきましては、先ほど来申し上げております大平三原則という原則で厳重に見ているというわけでございます。航空協定の場合は、法律事項を含む国際約束ということで、国会の御承認を求めているわけでございます。
  146. 若松謙維

    ○若松委員 私は重要性を聞いているんです。その法律の解釈、手続の解釈じゃなくて、この時点においての重要性を聞いているんです。大臣、どちらが重要ですか、国際協定航空協定と。
  147. 河野洋平

    河野国務大臣 航空協定は、航空法を維持しなければならないという法律的な義務があるわけです。KEDOの場合には、その設立協定をお読みいただくとおわかりだと思いますが、国内に法律的な拘束があるということにはなっていないわけです。ですから、先ほどから申し上げておりますように、大平三原則の第一、第二、それぞれごらんをいただくと、この協定がそこに抵触しないということがよくおわかりいただけるのではないかと思います。
  148. 若松謙維

    ○若松委員 それでは、大変重要なKEDOの設立、さらにこれからかかわってくるであろう支出、これについて今後国民の理解として最も適切な方法、どういうふうにお考えですか。
  149. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、国民の皆さんが、北朝鮮にある核疑惑あるいは核開発というものに対する懸念を大変持っておられて、そしてこうした心配をどうやって未然に防ぐかということについて御理解はいただけるというふうに思います。
  150. 若松謙維

    ○若松委員 理解をしてくれるだろうということですけれども、当然、そのお話の前提には外務省としてこの今回の協定、設立上、いわゆる日本の主張、これが十分に反映されている、そういうことで言われているわけですか。
  151. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどからそれも御答弁申し上げたつもりでおりますが、米朝合意を実施するということのためにこのKEDOという機構は設立をされているわけでございます。米朝合意の中身もこれまた、議員はよく御承知だと思いますが、核開発に対する疑惑を払拭するということにとどまらず、米朝合意の中にはアメリカと北朝鮮との間の事務所の交換でございますとか、南北の対話でございますとか、そしてさらに、恐らく、これは推測でございますが、副次的あるいは結果的に朝鮮半島の安定とか平和とか、そして朝鮮半島をめぐる情勢というものにもいい結果を及ぼすに違いない、そして北朝鮮がさらには、国際社会の中で相互依存という状況の中に身を置くことになるに違いない、そういうことまで含めて私どもはこの米朝合意というものを評価をしているわけでございます。  昨年十月に米朝合意ができましたときから終始私どもはこの米朝合意に対する評価とそれから期待というものをずっとして、国会でも何度か御議論をいただいてきたところでございまして、そういうことについてはぜひ御理解をいただきたいと私どもは常々考えているところでございます。
  152. 若松謙維

    ○若松委員 質問にストレートに答えていただいてないようですので、じゃ、ちょっと観点を変えて、外務大臣は今月の七日の委員会におきましてこういうふうに述べられております。「北朝鮮の核兵器開発問題は、国際的な核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であるとともに、我が国自身が直面する安全保障上の重大な懸念であります。」こうおっしゃられました。ですから、外務大臣がこのような認識を持っていらっしゃるということは、当然、この問題は我が国にとって大変重要な問題である、そういうことでいいわけですね。であるならば、この我が国の安全保障に全く直接関係するような問題に対して政府サイドだけで処理するというのは、まさに国民を軽視、さらには国会をないがしろにする、そういうものじゃありませんか。いかがですか。
  153. 河野洋平

    河野国務大臣 安全保障とか外交問題については、行政が責任を持って行うというものはあるわけでございます。もちろん、支出その他について国会の御承認をいただくということはございま す。しかしながら、外交政策を遂行してまいります中にはこうしたこともあるわけでございまして、それは議員にはよく御理解をいただけるものと私は思っております。
  154. 若松謙維

    ○若松委員 そうであるならば、例えば今回の米朝合意、当然核問題が中心となっております。いわゆるエネルギー供給をする核問題が中心となっておりますが、核以外の問題もあるわけです。例えば、三十八度線の前方配置とか、化学兵器はどうするか、ミサイル開発はどうしているか。いわゆる我が国立場から見た安全保障の確保というのですか、こういったところもしっかり米国に、当然米国交渉の当事者ですから、そういったほかの点もしっかり主張をされている、米国を通して主張してくれというふうには要求されてきたわけですか。
  155. 河野洋平

    河野国務大臣 私ここで申し上げたことがあると思いますけれども、日米首脳会談では、村山総理からアメリカ大統領に対して何点がそういうことについてお話を申し上げております。
  156. 若松謙維

    ○若松委員 申し上げているということです。  では、先ほど大臣が御答弁になりました御説明に従って質問をさせていただきますと、支出が伴う、そういうことでこれが多年度にまたがる、そういったときに国会承認を求めますとおっしゃられました。これは具体的にどういうことですか。どういう状況になったら国会承認を求められるのですか。額ですか、時期ですか。
  157. 川島裕

    ○川島政府委員 まず具体的な資金の出し方というものがまだ決まっていないということ、特にこのプロジェクトは有償と申しますか、一応貸し付けというものを想定しておりますので、一般会計という話なのか、何らかの金融をつけるということなのか、その辺の資金スキームの詰めをしなければならない状況でございまして、まだそこが決まっていないわけでございます。  ただ、プロジェクトは二〇〇三年を目途に完成ということで、長い年月にわたるものでございますので、そこは多年度にわたるものとなる可能性は大いにあるのではないかという感じはしております。  ただ、今の段階でこういうふうなスキームになるので、したがってこういう形での承認をお願いするとか、そういうふうに確たることを申し得る段階になっていないということでございます。
  158. 若松謙維

    ○若松委員 先ほど局長は、任意の拠出かつ貸し付け有償だ、そうおっしゃいました。かつ、任意の拠出で年度ごとの予算を国会の承認を得ている、こういうお考えではないかと思います。  では、有償だとした場合には国会の承認は必要はない、そういう判断でよろしいわけですね。
  159. 川島裕

    ○川島政府委員 任意と申しましても、要するに本体の金の出し方でございますけれども、これは可能性といたしまして多年度にわたるものになろうと思いますし、有償と申しましても、約束がそういうふうに多年度にわたるものになりますと恐らく承認をお願いするということにならざるを得ないのではないかという感じがしておりますけれども、出し方のスキームが決まっていないものですから、どういう形の承認をお願いするかということは今の時点では確たることは申せないということでございます。
  160. 若松謙維

    ○若松委員 要は、まだスキームが決まっていない、でも有償は原則である。ところが、まだ北朝鮮側は有償に同意したというふうには決まっていませんよね。
  161. 川島裕

    ○川島政府委員 北朝鮮に対して有償ということが想定されているわけでございますので、そういうことから、日本から貸し付けということも一つ可能性としてあり得るのではないかということでございまして、その辺日本の出し方あるいはその意味で中心的な役割を果たすとされている韓国の出し方、現物で出すのだという韓国内の声とかいろいろあるものでございますから、その辺のスキームの整理を急がなければならないとは思っております。  その前に何が起こるかといいますと、まずKEDOが立ち上がって北朝鮮と供給取り決めというものを詰める必要がございます。そこで北朝鮮側のいろいろな義務というものが法的に整理されて、その取り決めができて、そこで資金のスキームの詰めというものがより具体的に詰め得る状況になるのだろうと思っております。その供給取り決めにおいて初めて法的に北朝鮮側の義務というものがいろいろ詳細に確定するという段取りでございます。
  162. 若松謙維

    ○若松委員 今の局長のお話ですと、基本的に日本は、日米韓、これが基本的な参加国になると思うのですけれども、こういった原加盟国としていわゆる有償を求めていく、これが政府の基本的な方針、こういう理解でよろしいわけですか。
  163. 川島裕

    ○川島政府委員 今の段階で申すとすれば一つ可能性としてそういう可能性があるということでございまして、確定いたしましたとか決定いたしましたというようなことは述べ得る状況にございません。
  164. 若松謙維

    ○若松委員 今例えば民間の日本の商社とか企業が北朝鮮にいろいろ輸出して、債務不履行がかなりあると思います。今幾らぐらいあるか御存じですか。
  165. 川島裕

    ○川島政府委員 突然のお尋ねですので具体的な数字は持っておりませんが、私の記憶では三、四億ドルぐらいではなかったかと記憶しておりますが、間違っているかもしれません。
  166. 若松謙維

    ○若松委員 私が聞いているのは七億ドル前後ということで、これはたしか北朝鮮の国家予算が二十一億ドルぐらいですか、その三分の一ぐらい。実際かなり巨額のデフォルトがあるわけなんですね、債務不履行。こんな状況で有償を検討していくというのは何か絵にかいたもち。今の現政権、現政府というものはそういうものなんですか。いかがですか、実現可能性。有償でできるのか。無償だったらまた別の議論をしなくてはいけませんよ。
  167. 川島裕

    ○川島政府委員 確かに御指摘のとおり経済的に厳しい状況にあることは事実でございます。そして、デフォルトがあってそういうところに貸せるのかというお話とか、それから本当に返ってくるのかというお話、これは仮に有償にした場合、当然のことながら行く行く詰めなければならない話であると思いますけれども、今の段階では有償の可能性も含めて資金スキームをいろいろ検討しているところでございます。
  168. 若松謙維

    ○若松委員 交渉ですから先のことを予想するわけにはいかないのでしょうけれども、やはり危機管理として無償の可能性も現実として否定できないですよ。  無償の場合にはどういう手続をされるのですか。今危機管理議論をしております。
  169. 川島裕

    ○川島政府委員 無償の場合でも、多年度にわたる支出に仮になりますれば、それはまさに支出について何らかの形で承認をいただくということだろうと思いますけれども、無償のどういう金でどうかというお尋ねでありますれば、ちょっとそこまでとても詰まっていないという状況でございます。
  170. 若松謙維

    ○若松委員 これは大事な問題ですから、これから万が一を考えて、そういうこともやはり議論の延長線に出てくる。だからこそ、当然北朝鮮は国交を樹立していないわけですよ。それで無償。非常に不自然な外交関係ができるわけですね。  そういう国交の関係、さらに先ほどの安全保障の関係、こういうことを考えると、やはり今回のKEDOの設立の状況、これはパッケージですよ。単年度に分けないでパッケージですよ。こういうふうに国民は見たいのじゃないですか。大変重要な問題であるからこそ、きょうもマスコミの方、大勢来られている。  もう一度聞きます。これはパッケージじゃないのですか、この設立協定に署名するということから二〇〇〇三年まで。いかがですか。
  171. 川島裕

    ○川島政府委員 大臣から既に御答弁申し上げた次第ですけれども、KEDOはあくまでも軽水炉供与、あるいはそこは軽水炉供与だけを進めるということではなくて、実はその見返りと申しますか、その条件として北がいろいろな義務を果たす ということは当然の前提であるわけですが、そういう物事を動かしていく受け皿といいますか、そういうものをつくったということでございます。  法的な整理として申せば、そういう受け皿ができたという話と、行く行く日本が仮に多年度にわたる財政的な約束をする場合に、そこの時点でどう整理して国会承認との関係考えるかという話は、法的に言えば別物だと考えております。
  172. 若松謙維

    ○若松委員 では具体的に、今後単年度で予算をとるとしても、当然予算は国会承認ですけれども、例えばODAの活用ということも考えられるわけですが、その点についてはいかがですか。
  173. 川島裕

    ○川島政府委員 まさに先生も御指摘のとおり、国交がないわけでございます。それから全体の、先生パッケージと言われましたけれども、要するに核疑惑を晴らし、それから非常に重要なポイントは、プルトニウムを大量に産出する黒鉛原子炉を凍結し、行く行くは廃棄するという取引と申しますか、合意でございますが、これはいわゆるODAで日本がやっている種類のプロジェクトとは性質が違うのではないかという気がいたしております。  ODAの金になるのかどうかというお尋ねでありますれば、先ほど申しましたとおり、今の段階でそこまでスキームについて詰めてないものですから確たることは申せませんけれども、現段階で申せば、これは私どもがよく知っているいわゆるODA、その一環としてという話ではないのではないか、これは安全保障にかかわる全然別系統の話ではないかという感じがしております。
  174. 若松謙維

    ○若松委員 やはりODAの四原則がありますので、局長のおっしゃられたことは適正ではないかと私も思います。  では、こういった観点からいかがでしょうか。例えば、今北朝鮮というのは人民をランクづけしているわけですよ。五十二ランクというのですか。それは御存じないですか。
  175. 川島裕

    ○川島政府委員 ちょっと五十二というところは承知しておりませんで、もしお示しいただければ幸いです。
  176. 若松謙維

    ○若松委員 要は、北朝鮮はああいう古い体質ですから、人権問題、当然多々ありだと思います。その中でも、国内的には五十二にランクづけて、食糧とか着物とか身分とか、それを全部色づけているわけなのですよ。  そういったところに、非常に人権に、ある意味で正義のアメリカが資金を出す。当然国民の理解が必要だ。そんな動きもあって、昨日の新聞報道じゃないですけれども、上院の議会として予算を承認する、そんな観点なのですが、日本のKEDO支援に対して、こういった人権にどういうふうに配慮されますか。
  177. 河野洋平

    河野国務大臣 これは議員支援支援とおっしゃいますけれども、これはいわゆる支援とは少し性格の違った支援ではないでしょうか。  つまり、まさに議員がおっしゃった、危機管理とかいろいろおっしゃいましたけれども、これは冒頭に申し上げましたように、核不拡散とか、あるいは我が国自身の安全というものに関するものであって、一方的に北朝鮮の国民の生活を向上させるために支援をするという性格のものとは少し違うというふうに考えていただきたいと思います。我々はKEDOという機構を通して、これはあくまで窓口と言ってもいいのかもわかりませんが、このKEDOという機構を適して北朝鮮に軽水炉プロジェクトというものを完成させるために作業を行うわけでありますが、他方北朝鮮は北朝鮮で、それに見合う北朝鮮なりの作業もするわけであります。これを一方的な支援のように考え議論することは間違いだと私は思います。
  178. 若松謙維

    ○若松委員 それでは、支援という言葉は使わないで、安全保障という言葉から議論させていただきますと、今回の、ある意味で我が国の安全保障を確かなものにするためにKEDOへ拠出をする。支援ではなくて拠出をする。これは我が国の安全保障のコストだ。これがうまくいけば、二、三千億ぐらいで済むかもしれない。万が一それがうまくいかない場合には、当然日本としてのさらなる安全保障を考えなくてはいけない。そうすると、やはりTMDをどうするのか。  そういった安全保障の観点からKEDOにかかるコスト、さらにその先を行くTMD、これはやはり一つのシナリオとして関係してくると思うのですけれども、今KEDOに拠出をする、これは安全保障のコストの面から何としても成功させたい、そういった御理解なのですか。
  179. 河野洋平

    河野国務大臣 米朝合意は、まさに北朝鮮にあります核開発に対する疑惑を解明しようということが大きな目的でありますけれども、それ自体はかなり包括的で、もっと大きな、つまり北朝鮮に国際社会の中に出てきてもらうという意図まで考えて作業に取り組んでいる部分もあると思うのですね。それは、南北の対話を進めよう、あるいは米朝で事務所の交換をしようといったさまざまな約束事が米朝合意の中に入っている。それは、ただ単にミサイルの脅威というものをこれで終わりにするというだけにとどまらず、いろいろなことを考えているんだというふうに私は思います。  失礼しました。今ミサイルと申しましたのは、日米首脳会談で、両国首脳が北朝鮮のミサイルについて大きな関心をお互いに有するというやりとりをしたことでございまして、これは、我が国首脳からアメリカに対しまして、ミサイルについても十分今後話し合ってほしいということを申したということをつけ加えたわけでございます。
  180. 若松謙維

    ○若松委員 実はそのほかにも、KEDOができることによって、今までの米朝交渉から、当然今後KEDOと北朝鮮との交渉になるのではないか。ところが、北朝鮮は相変わらず、KEDOじゃない、アメリカだ、こういうふうに言っているわけですね。今後の交渉の見込みですか、それはどういうふうにお考えですか。
  181. 川島裕

    ○川島政府委員 まさにこれから供給取り決めというものの詰めの作業が始まりまして、御指摘のとおり、これからはKEDOと北朝鮮のやりとりということを想定している次第でございます。ただ、直近で供給取り決めについてまた北朝鮮とのやりとりが想定されておりますけれども、それについては供給取り決めの準備作業を米国が既に相当やっておりまして、KEDOの事務体制としてちょっと間に合わない可能性がありますので、今後最初に行われる北朝鮮とのやりとりは、引き続き米朝ということになる可能性が多いと承知しております。  ただ、そこで今後の見通しなのですけれども、実は私どもは心配しております。それはまさにこの取り決め、KEDOの取り決め自体にも書いてあるわけですけれども、韓国型炉というものを大前提としているわけですけれども、それにつきまして北朝鮮は、公式な表明として韓国炉は受け入れられないということを言明しているわけでございます。韓国炉を提供するという前提のもとに韓国が中心的な役割を果たすということでございますので、韓国炉でないということになりますと、そもそも米朝合意、あるいはKEDOの全体の枠組みが全部動かなくなってしまうものですから、私どもはあくまでも韓国炉というものが大前提であると考えておりますけれども、それをめぐって北とKEDOとの間で相当緊迫したやりとりになってくる可能性があるものでございますから、そこを注意深く見ていかなければならないと思っております。
  182. 若松謙維

    ○若松委員 もう時間ですからやめますけれども、いずれにしても、今回のこのKEDOを通しての拠出は、まさに人権問題多々ありの国、さらには今後の米朝からKEDOに移行しての交渉のあり方、さらには安全保障の問題、そして国の予算、さらに解体費、これはだれが持つのかというのもまだ決まっていない、非常に疑問がまだ多い中でやむを得ないと思いますけれども、やはり事の重要性から考えて、これはKEDOの設立協定からやはり国会承認をすべきだ。これは、私は国民の意見を代表して政府にそう主張しまして、時間の関係上終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  183. 三原朝彦

    三原委員長 古堅実吉君。
  184. 古堅実吉

    ○古堅委員 米国防総省が三月一日に発表した日米安保関係に関する報告書に書かれている合同計画委員会と合同相互運用調整委員会について伺います。  その任務、性格、参加者、会議開催期日などは報告書のとおりかということが一つ。また、昨年はいつ、どういう内容で話し合われたか。その二点について最初にお答えください。
  185. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 ただいまお尋ねの合同計画委員会、相互運用調整委員会でございますが、概略この報告に書かれているとおりだと思いますが、ただ、念のために申し上げますと、先生御承知のとおり、日米防衛協力のための指針に基づきましていろいろな研究が行われている。共同作戦計画についての研究とか、その他もろもろの研究作業、これが防衛庁と在日米軍の間におきまして、統合幕僚会議事務局と在日米軍司令部が中心となって実施しておる、こういうことでございまして、このような研究を実施するに当たりまして、在日米軍及び防衛庁の関係者が必要に応じ、適宜参集して会議をしている、こういうことでございます。そして、こういう会議につきまして、今回のアメリカ政府の報告書に記述されている名称、名前を使っている、こういうことでございます。  議論内容いかんというお尋ねでございましたが、ただいま申し上げましたように、そこで行われている作業というのは共同作戦計画についての研究等々、こういうことでございまして、事柄の性質上、その内容については公表を差し控えさせていただきたいと存じます。
  186. 古堅実吉

    ○古堅委員 ガイドラインの第三章の、日本以外の極東における事態で、日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力、それについても合同計画委員会で検討、研究がされておるのですか。
  187. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 第三項につきましては、メンバーは日本側から外務省北米局、それから防衛庁の内局、統幕事務局、米側からは在日米軍、それから在京の大使館、こういうことで、ちょっとただいま手元に正確な資料がございませんが、かつて研究を行った、会合を持って行ったということでございまして、目下、現時点においては進行しておりません。したがいまして、この研究は今回の報告書に言われているところの場で、そういう場で行われているというものではございません。
  188. 古堅実吉

    ○古堅委員 合同委員会が検討、研究するその対象にはされているわけですね。
  189. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 私が申し上げましたことは、ガイドラインの第三項の問題、これはこの報告書に言っておりますところの場においては議論の対象にはなっていないということでございます。
  190. 古堅実吉

    ○古堅委員 もう一度確かめますか、対象になることはないということですか。
  191. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 そのとおりでございます。
  192. 古堅実吉

    ○古堅委員 合同計画委員会での検討、研究内容については、物品役務融通協定に関連する内容も含まれるかどうか、その内容の説明をお願いします。
  193. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 先生がおっしゃいましたいわゆるACSAでございますが、これについては現在政府部内でいろいろな問題点を検討中でございますが、この検討は今の日米防衛協力のための指針に基づく研究ではございませんで、無関係でございます。
  194. 古堅実吉

    ○古堅委員 報告書は、合同相互運用委員会について、研究の範囲には作戦上の運用性と装備の運用性が含まれると書いています。今どういうことが協議されているのか、また、物品役務融通協定内容検討やPKOにおける日米協力もここで検討、研究されるのかどうか。
  195. 守屋武昌

    ○守屋説明員 お答えいたします。  この日米共同作戦計画の研究は、あくまでも日本に対する武力攻撃がなされた場合に、自衛隊及び米軍が日本防衛のために整合のとれた作戦を円滑かつ効果的に行うという観点から研究しているものでございまして、そのような日本の防衛のための研究という性格でございますから、御理解をいただきたいと思っております。
  196. 古堅実吉

    ○古堅委員 委員長理事会で御検討願いたいと思いますが、日米安保関係のすべての協議機関と参加者、それから任務、性格、それを一覧表にして当委員会に提出してほしいと思うのです。外務委員会、その資料の提出てきますか。
  197. 三原朝彦

    三原委員長 それは後刻また、理事会のときにあなたの要請は話し合いたいと思います。よろしいですね。
  198. 古堅実吉

    ○古堅委員 以上で終わります。
  199. 三原朝彦

    三原委員長 次回は、来る三月十五日水曜日午前十一時五十分理事会、正午委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十九分散会