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1995-02-15 第132回国会 衆議院 科学技術委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月十五日(水曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 野呂 昭彦君    理事 臼井日出男君 理事 栗本慎一郎君    理事 原田昇左右君 理事 上田 晃弘君    理事 上田 清司君 理事 笹木 竜三君    理事 今村  修君 理事 渡海紀三朗君       小野 晋也君    小渕 恵三君       塚原 俊平君    平沼 赳夫君       近江巳記夫君    斉藤 鉄夫君       鮫島 宗明君    藤村  修君       秋葉 忠利君    辻  一彦君       吉井 英勝君    大谷 忠雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      田中眞紀子君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     石井 敏弘君         科学技術庁科学         技術政策局長  落合 俊雄君         科学技術庁科学         技術振興局長  工藤 尚武君         科学技術庁研究         開発局長    沖村 憲樹君         科学技術庁原子         力局長     岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   笹谷  勇君  委員外出席者         文部省学術国際         局研究助成課長 霜鳥 秋則君         通商産業省環境         立地局保安課長 天野 正義君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全企         画審査課長   藤冨 正晴君         運輸省鉄道局施         設課長     藤森 泰明君         参  考  人         地震予知連絡         会会長         測地学審議会         委員         日本大学生産         工学部研究所         教授      茂木 晴夫君         科学技術委員会         調査室長    吉村 晴光君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 野呂昭彦

    野呂委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として地震予知連絡会会長測地学審議会委員日本大学生産工学部研究所教授茂木清夫君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野呂昭彦

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  4. 原田昇左右

    原田(昇)委員 このたびの阪神災害の被害は想像を絶するものでありました。亡くなられた方々は、まことにお気の毒な限りでございます。御冥福をお祈り申し上げ、遺族の方々へお悔やみ申し上げますとともに、罹災された方々にお見舞い申し上げたいと存じます。  この大震災機会に、今までの政府対応体制など見直すべきことは山積しておりまして、我々もいろいろな場で議論しておるわけでございますが、当科学技術委員会に関する重要な課題として、地震予知の問題があると思います。これについては大臣所信表明の中で触れられておられます。そして、この地震予知に対する国民の関心が今日ほど高まったことはないと思いますし、この機会に、ぜひともこの地震予知ということについて明確に問題点を認識し、そして対策考えていかなければならぬと思うわけであります。  そういう見地から私も御質問申し上げたいのですが、特に最近新聞等を見ておりますと、地震予知研究者は一千億円以上も予知研究に使っておる、そして、地震が起こってから言いわけばかりしているというような厳しい批判もあるわけですね。大変誤解もあろうかと思いますが、ここで、地震予知研究について、まず地震予知はできないのだという意見があります。私どもが承知しておるのは東海大地震を想定しての議論のときですね。  私は、実は東海地域の出身でございますから、この対策をやらなければいかぬということで、大規模地震対策特別措置法をつくるのに一生懸命尽力した一人でございます。そのとき、予知前提にこの法律をつくったわけですが、我々はマグニチュード七以上について予知をしてもらいたい、こう思っておりましたら、地震学者方々は、マグニチュード八以上の海溝性のものでなければだめだよ、そして、測定網をしっかりとやってもらわなければいかぬというような御意見で、結局そういうことになったというように記憶しております。したがって、マグニチュード八以上なら、そして、ある程度観測網がしっかりしておれば予知ができるけれども、それ以外はできないということなのか、もう地震予知なんというのは無理だということなのか。  そして、茂木先生は、たまたまこの前、これも新聞で拝見したのですが、いや、予知で黒白をはっきり言うことは難しい場合もあるよ、注意報というのを出したらどうだ、こういうことも言っておられるように伺いますが、これらについて、まず予知ができるのかできないのか、できるとすればどういうケースであるか。さらに、予知というのは、私は、いつどこでどのくらいの規模ということにならなければ予知にならないと思うのですが、その辺について茂木先生はどういうようにお考えになっておられるか、ぜひ伺わせていただきたいと思います。
  5. 茂木晴夫

    茂木参考人 お答えいたします。  地震予知はできるかできないかということをまず最初にお答えいたしますが、一口に地震予知はできるかできないかというのは、がんは治せるか治せないかということと同じでありまして、地震によっては前兆現象が非常にはっきりしている場合もあるのですね。浜田地震とか伊賀上野地震とかいうよう地震は、これはマグニチュードその地震ですけれども、非常に顕著な前兆現象がありましたから、そういう場合は今でもできます。ただし、そういう地震の数はまだ少ないのでございます。  それで、マグニチュード八クラスが可能性が高いといいますのは、領域が広うございますので、観測点がそれほど密でなくとも前兆現象を比較的つかまえ得るということで、八は現状では予知できる可能性が高い。しかし、マグニチュード七になりますと、もっと非常に高密の観測をいたしませんと、領域が狭くなりますので前兆現象をとらえる可能性が低くなります。  それで、私ども前に試算したことがございますが、マグニチュード七だとどのぐらいの領域である、そうするとどのぐらいの密度で観測網を展開しなきゃいけないかということになりますと、これは膨大な数でございまして、ただいま私どもいただいております地震予知のための事業費ではとてもそれはカバーできないということで、一般論で言いますと、マグニチュード七クラスの地震はなかなか難しい。しかし、場合によっては、そういう運のいいケースですね、そういう場合は予知できる場合もあり得るということで、その辺は全国的に網を張って、なるべくできる場合はそういう情報を提供したい、こういうふうに思っております。  続いて注意報の問題にまいりますが、地震予知は、御存じのよう地震というのは地殻破壊現象でございますので、不確定な部分が非常にあるんですね。それから、場所によってもいろいろ違うということで、東海地震について、東海地震マグニチュード八の地震を想定しているわけですが、東海地震は必ず予知できるかということになりますと、現在の大震法では一応予知前提としておりますが、マグニチュード八といえども、大きいから必ず前兆現象があるというものではないんですね。  例えば、この前起こりました北海道南西沖地震日本海中部地震、それから北海道地震、そういった地震はほとんどマグニチュード八近いわけですが、ほとんど明瞭な前兆現象はなかった。日本海中部地震は前震がありました。それで十二日後に本震がございました。いろいろ前兆現象あらわれ方は複雑でございまして、そういうことは私ども前から申していることですが、一律にいく問題ではない。  それで、東海地震についても、これはマグニチュード八の地震だから、もう必ず大きい前兆現象が出て、そして警戒宣言を出せる。今の警戒宣言ではシナリオができておりまして、新幹線をとめる、高速道路をとめる、あるいは郵便局銀行もとめる、それからお医者さんまでとめるというような、もうほとんど一〇〇%地震が起こった場合のシナリオだけでございますね。  こういうことをやりますと社会がどういうことになるか。それだけの確実性はないわけでございますから。それで、それを最近民間のシンクタンクが、社会的なコストですね、これは経済的なコストだけでございますが試算しました結果によりますと、社会的コストが一日七千二百億円。これは東京首都圏とそれから関西圏名古屋圏を全く分断いたしますので、物流が途絶えるわけでございます。そういう非常に大きな社会的コストを伴う。そうしますと、それが何日続くのか、これも非常に不確定でございます。今の予知の人でそういうことに耐え得るか。  それで、地震予知というのは大体経験によっておりますが、今の駿河湾から御前崎にかけての地域で起こった東海地震というのは、これまで起こった例がないんですね。いつも駿河湾から紀伊半島までで起こっておりますが、まず一つそういう地震であるということ。ですから、言ってみれば前例がないわけでございます。  それで、隣で起こりました一九四四年の東南海地震、それから一九四六年の南海道地震、これが我々大いに参考になる地震でございますが、そのときは一応かなりはっきりした前兆と思われる現象がありましたので、それをもとに我々判定をしようと思っているわけですが、ただ、これも同じ場所でございませんので、かなり不確定がある。  そういうことで、私が注意報ともいうべきものを出したらというのは、つまり地震予知というのは、白か黒か、一かゼロか、そういう一刀両断でできるものではない。天気予報でもそうですね、何%とやっているわけでございますので。もっと気になるよう変化、いつもと違う異常な、これはおかしいというよう変化が起こった場合は、そういうことではなくて注意報というべきものを出して、そして皆さんに注意を呼びかける。それから、これは全く個人的な意見ですが、例えば新幹線ならば速度を減速するとか、高速道路もそうするとか、それから郵便局銀行等は閉めなくともいいんではないか。それで、なるべく社会的コストを少なくして、そのかわり頻繁に出せる。そうしないと見逃し、空振り、これを避け得ないということで提案しているわけでございます。
  6. 原田昇左右

    原田(昇)委員 はい、わかりました。  大変貴重な御意見だったと思いますが、今の注意報の問題ですね。黒か白かじゃなくてグレーゾーン、そして社会的コストを少なくするという、これはどうですか、長官
  7. 田中眞紀子

    田中国務大臣 基本的な私の認識を申し上げたいと思いますのですが、今、茂木先生も御専門で、いい御意見をおっしゃってくださいまして、私も先日、茂木先生以下ほかの三人の先生もいらっしゃいまして、各省庁も来て予知対策勉強会をやりましたけれども、この予知ということについてですが、余り期待し過ぎちゃいけないと思うのですね。  と申しますのは、つまり、社会的コストにまで、果たして地震予知専門先生方がそこまで気を払われる必要があるのかどうか。私どもが本当に知りたいのは、私の理解では、この間の勉強会でも、正確にいつどの規模でということは難しいんだということがわかったことでして、ただ、過去の文献とか地震の経緯を振り返ってみて、ここの地域は極めて起こりやすいということはある程度御判断できるということを伺ったように思っているのです。  そうであれば、予知というのは、そういう知識をそういうものについて社会的に還元する。それに対して、これは予算委員会等でも何度も申し上げておりますけれども日本はもう地震国ですから、これは逃れようがない宿命なわけですから、それに対してどのよう防災とか避難訓練をするかというための予知であるべきで、社会的コストまで計算していただいたり、パニックが起こったら困るとか、そこまで言ってしまうと予知情報がなかなか流れてこないということがあるのではないか。私はそのことを今回の地震で個人的に非常に学んだことなのです。ですから、どの辺のことまでを予知学者の方に期待するかということも、今回のことを契機として整理をしていく必要があるのではないかと思います。
  8. 原田昇左右

    原田(昇)委員 長官のおっしゃるのもごもっともだと思うのですね。しかし、今、茂木先生から伺ったのは予知前提にした大規模地震対策の方の議論でして、そっちの方からいえば、いつということについて判定会を催して、そして、危ないときは内閣総理大臣から警戒宣言が発せられる。そういうときは新幹線も交通も遮断されるのだ、こういうことの話です。これは今の法律がそうなっているのですから。  それに対して、警戒宣言でなくて注意報ぐらいを出したらどうだろうか、ちょっと危ないなというときに。しかし、本当に地震があれば、ぱっと警戒宣言を出してもらわなければなりませんがね。多少空振りでも、それはやった方が、大変な災害と引きかえなのですから、そこの判断はやはり政治の判断だと思いますが、予知学者の良心的な立場からいえば、そういう御意見だったと私は理解するのです。それについてひとつ、これは現行法でもうできている、現行法の運用の問題ですから、ぜひ御検討おきいただきたい。大変貴重な御意見だと思う。  それから、今長官のおっしゃった、もう社会的な面では、いつということをそんなに問題にしなくてもいいじゃないか、活断層がとにかく町の真ん中を走っておるのだ、それでほっておいていいわけがない。大体いつどのくらいの規模だということまで言わなくても、起こった場合に大災害が起こるということがはっきりしておれば、そこを一つ地域として防災をあらかじめやっておく、いろいろ訓練をやったり、いろいろな対策考えておくという必要があろうという御意見は、全く私も同感なのです。  そこで、先生どうでしょうか。茂木先生にお伺いしますが、活断層地域等で、どこがより可能性が高い、そして、起こった場合大変な災害が起こるよというところを特定することはできますか。
  9. 茂木晴夫

    茂木参考人 私ども考えからいたしますと、時間を考えないで、ここは活断層があるから危ないから注意した方がいいというのでは不十分で、どの程度切迫しているかということ抜きでそういう対策というのは、私としては余り賛成できない。  といいますのは、海溝沿い巨大地震は百年に一回必ず起こるのですね。それで千人以上の死者がたびたび繰り返し起こっておるわけでございますが、内陸活断層があるというところは、一番活動的なところでも千年に一回、それからもっとあれなところは一万年という。いつ起こるかわからない、しかし活断層はある、そういうところは注意しましょうというのは、ちょっとバランスを失している。やはり時間を考えないといけない。  アメリカ活断層というのはございます。しかし、アメリカ活断層というのはサンアンドレアス断層といいまして、アメリカではカリフォルニアでございます。主たる地震がほとんどこれに沿って起こるのですが、その活断層は、ちょうど日本のそういう海溝沿い巨大地震、百年に一回ですね、それと同じ活動度なんです。だから極めて危険なんです。日本活断層とはわけが違うのです。その場合は非常に適当だと思います。  ところが、日本は、むしろ地震を起こす主力はそういう海溝沿い巨大地震でありまして、それの影響として内陸地震が起こる、活断層も起こっているということでございますので、やはりウエートは、そういう海溝沿い巨大地震、そして時間、そういう間隔ですね、それを考慮した上ででないと、活断層偏重ではバランスを失する。  それから、アメリカの例で申しますと、そのアメリカでさえここ四十年で一番大きい地震が起こったのが、実は活断層として余り注目されていなかったところで、マグニチュード七・五というここ四十年で一番大きい地震がその断層の外で起こっているのですね。ですから、もちろん活断層は注目すべきですが、それに余り偏らない方がいいと私は思って、日本地震予知計画というのは面的に進めるべきであるというふうに思っております。
  10. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今お話しのとおり、活断層というのは、いつ起こるかというのについて、千年、一万年というインターバルがあって、なかなか特定しにくいのですね。一万年先のことを一生懸命やっておく必要は何もないのですが、その辺をもう少しウエートをつけることはできないでしょうか。  というのは、都市直下活断層が走っているよう都市が全国に幾つかあるのですね。そういう方々にとっては、私は何もしないでいいというわけにはいかないと思うのです。それをひとつぜひ何か、いや、こちらの方がインターバルはもうあと少ししかないよとか、ポテンシャルの測定というのですか、そういうものを考えていただくわけにはいかないでしょうか。
  11. 茂木晴夫

    茂木参考人 まことにごもっともで、たくさん活断層は網の目のごとく日本列島にはあるわけでございますので、やはりそれのウエート、それでどの程度切迫しているかというようなのは、例えばトレンチといいまして、掘りまして過去どのくらい動いたかということからおおよそ見当をつけられますので、そういう切迫度、そういうことは都市直下などではぜひこれから推進すべきであろうと思います。  ただ、ウエートはそれが最優先とは限らなくて、海溝沿いの例えは南海道地震なんかはあと五十年で必ず起こると言っていいわけでございますので、その辺バランスをとりながら進めていくのがいいのだろうと思います。
  12. 原田昇左右

    原田(昇)委員 予知体制についてちょっとお伺いしたいのですが、大変わかりにくいのですね。文部省測地学審議会があり、科学技術庁長官本部長地震予知推進本部というのがあり、それで国土地理院予知連絡会があって、このどこが一体本当に責任を持って情報を集め、あるいは予算を配分しているのか、大事なところに予算をつけてやっておるのかということが我々としては大変わかりにくいのです。  例えば、今度の阪神地域の大地震についても、そもそも特定観測地域として何か予知連絡会では指定しておったその端っこにあるということであります。  では、その特定観測地域で何をやっていたのか。特別に何か余計予算をつけて観測をやったのかというと、地震が終わってから大学とか方々から来て地震計を設置した。余震を見るために来たのでしょうが、終わってからの話なんですね。余りどうも特別に観測網を整備したという跡が見られない。私は大変遺憾だと思う。  やるのなら、国民にわかりやすい形でしっかりした体制のもとにやり、しかも、その結果が少なくともみんなが共有してわかるような仕組みをつくって、そして評価をするという体制にしなければ、本当にこれでは予知体制というのは、予知ということまでいかないにしても、先ほど茂木先生お話トレンチで少し調べたらどうかというお話もありますし、少し体系的にきちっとやられることを考えていただかなければいかぬのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  13. 田中眞紀子

    田中国務大臣 私も原田先生に全く同感でございます。  今回の震災で、それぞれ研究は各省庁気象庁でありますとか国土地理院、科技庁、それぞれ担当は別に研究はしているかもしれませんけれども、こういうことが起こったときに機能していなかったのではないかという気持ちは否めません。ですから今、三月末からはインターネットで情報交換をして、気象庁に一括して集めるという計画もございますけれども、それだけで果たして十分かどうかわかりません。  それから、特定観測強化地域につきましても、それがそこだけ観測していればいい問題ではないと思います。日本じゅう全体が断層の上に、活断層の上に成り立っているわけですから、そういうことも全体的な観測をして一カ所でもって判断をしていく、そして、それを知らしめていくというようシステムづくりは急務だろうというふうに思っております。
  14. 原田昇左右

    原田(昇)委員 もう長官のおっしゃるとおりで、我々も大いにバックアップさせていただきたいと思います。  それから、観測網整備計画というのを、少なくとも科学技術庁推進本部であるのなら、しっかりしたものをあれして、そして予算もそこからつける。そして、結果の利用は予知連絡会なりどこかでやっていただくとか、ちゃんとしたものは要ると思うのですね。そして、そこが責任を持ってその観測の不足を、足らざるところを整備していく。そして予算措置も、これは今度生活枠ようなものがありましたね。公共事業生活枠、あれをああいうことでひとつ大量にきちっと十分な観測網のための予算の裏づけをしていただくということが私は大事ではないかと思います。答弁は要りません。まあともかく時間がございませんので、要望しておきます。  そして、さらに一つだけ申し上げたいのですが、これは茂木先生にお伺いしたいのですが、地震波とか地電流というのが、最近ギリシャはその方で国際会議をやるというように伺っております。何かそれだと、前ぶれがあったとかいろいろ新聞なんかで拝見するのですけれども、この方をもう少し調査に活用できないかな。これはやってもむだなのか、やる価値があるのか、やるとすればどうすればいいのか、その辺について最後に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  15. 茂木晴夫

    茂木参考人 新聞等ギリシャでは地震予知に成功したという記事が報じられておりますが、地震、私どもはあらゆる方法、使えるものは何でも使うという考えです。ですから、地電位でも電波でも地下水、そういった地震観測地殻変動だけじゃなくて、実際そういう電気地電位とか地磁気、そういったグループもございますのでやっておりますが、確かに力の入れようが必ずしも十分ではなかったと思いますので、もっとそういう方面を強化したいと思うのです。  それで、ギリシャの話でございますが、成功したと申しますが、実は精度が、一つギリシャでは電気ノイズが非常に少ないのですね。ところが日本は、特に都市部では電気ノイズが物すごく大きくて、とてもあのままでは日本では適用できません。  それから、予知に成功したと言っておりますが、場所にして百キロぐらい違っても成功したと言っているのですね。それから、マグニチュードにして〇・七ということは、エネルギーにすると十何倍違う、そういうようなこと。それから、期間にしても二十日ぐらい、そういう非常に大ざっぱな話でございまして、日本ようなこういう経済活動の盛んな国でそういった大ざっぱな予報は、恐らくとてもできない。だから、直ちにギリシャ方法が使えるということはないのですが、そういう方面での研究は僕は大いに賛成でございます。
  16. 原田昇左右

    原田(昇)委員 どうも先生、お忙しいところありがとうございました。
  17. 野呂昭彦

    野呂委員長 茂木参考人には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  小野晋也君
  18. 小野晋也

    小野委員 まず、質問に先立ちまして、先日、一月十七日の阪神・淡路の大震災に際しましては、田中長官初め科学技術庁皆さん方が早急に対応を進めていただきまして、地震各種研究への取り組みの指示、ないしはまた、今後の取り組みについて万全を期せられた対応をしていただきましたことに心から敬意を表したいと思います。  また、田中長官におかれましては、早速に国民が非常に不安を持っておりました浜岡原発の方への視察もいただきまして、国民に原発の安全性を印象づけていただいたことに心から感謝を申し上げたいと存じます。  今先ほどの原田委員の御質問にございましたとおり、日本列島全体が活断層と言われるような国でございます。地震予知の問題、また不幸にして地震が起こった場合の災害を極力小さくする技術開発の問題等、科学技術庁を初めといたしまして、技術開発の舞台に求められる問題は随分多いだろうと思います。今後のそれぞれの部署におきます御活躍を心からお願いを申し上げたいと存じます。  さて、きょうは時間が少し短くなってしまったのですけれども、二十一世紀という時代を展望する中におきます科学技術のあり方ということについて、私見を交えながら御質問をさせていただきたいと考えている次第でございます。  実のところ、私自身も子供時代、二十一世紀という時代を夢見ることが多々ございました。科学技術の力によって生活が豊かになり、そして、この社会がバラ色に輝いた未来という印象でとらえていたものでございます。  しかしながら、もうあと六年というところまでやってまいりましたことしになりまして、では、その私たちが子供時代に夢見た二十一世紀の姿が展望できるかといいますと、残念ながら、現状で見る限り、国際社会には多くの問題が山積もいたしておりますし、人類の未来を展望いたしますと、科学技術の発展と裏腹に、人類の活動が活発化したことに伴って、地球環境問題を初めといたしまして、多くの地球問題と言われるような深刻な課題が投げかけられているところでございます。  こういう中で、私たちの国日本がこれからどうなっていくのだろう、そして人類の未来は二十一世紀の時代においてどういう姿忙なってくるのだろう、こういうような根源的な問いが私たちに次々と突きつけられているところでございます。  私は、未来社会を展望するとき、胸の中にこんな言葉が去来するのでございます。著名な民俗学者でございます柳田國男先生皆さんも御存じかと存じますけれども、この方の言葉でございます。「美しい村など初めからあったわけではなくて、そこに住む人が美しく住もうと努めて初めて美しい村になるのである。」至って単純明快な言葉でございます。現在を生きる私たちが、今何を思い、そして何を考え、何を夢見ていくかということによって、私たちの未来はつくられていくものでございます。何者かによって未来社会というものが与えられるのではなくて、今現在を生きる私たち自身が未来というものをつくっていくのだということを再確認させられる言葉だと私は考えているわけでございます。  巨大な国際社会の中にあって、ややもすれば忘れられがちな言葉でございますが、この視点に立ち返りましたときに、過去の歴史を振り返りつつ、私たちは科学技術というものの持っている意味をここに再確認をする必要があると考える次第でございます。  過去の人類の歩みは、まさに科学技術に伴って発展してきた歩みであったと私は考えております。単に、ある技術が開発されて、その技術によって人類が今までできなかった新しいことができるようになったというのみならず、その技術というものは大きく大きく社会全体にさまざまな影響を及ぼしてまいりました。その技術を生かせる社会をつくろうと努力していけば、法律を含め、社会のさまざまな仕組みがつくり変えられてまいったのでございます。そしてまた、人間はいかに生きるべきかという思想まで含めて、科学技術の進歩とともに人類は移り変わってまいったのでございます。  このあたりのことを考えてまいりましたとき。に、今大きな時代の転換点と言われる意味をもう一度考えてまいりますと、私は、実は技術自身の転換点でもあるのだろうという気がしてならないのでございます。  田中長官は、今回の方針発表の中におきましても、みずからのことを未来担当大臣と言っておられました。そして、平成六年度の科学技術白書を拝見しておりますと、「科学技術による新しい価値の創造」ということを掲げられて、独創的な技術に基づく新産業の創成の必要性ということを幾たびも幾たびもこの一冊の白書の中に述べておられるのでございます。私は、このような姿勢というものを非常に高く評価いたしますと同時に、これからまさに科学技術庁というこの官庁が、この大きな難局に立ち向かっているところに遭遇しているのだということを心新たに取り組みを進めていただきたいと念ずるのでございます。  すなわち、科学技術そのものが、今までの流れの延長線上にその未来の姿があるのではなくて、それと同時に、科学技術をつかさどってこられました科学技術庁の仕事自身も、これまでの延長線上をただ駆け続けていけば、それで事足りるのではないということを再確認する中に、これからの二十一世紀の日本社会、ひいては人類社会を切り開いていく非常に重要な役割を担う省庁としての自負を持っていただいてこれからの取り組みを進めていただきたい、こう思っている次第でございます。  細かいことをもう少し申し上げようと思ったのですが、時間の都合がありますので、これを前段の話とさせていただきまして、質問に移らしていただきたいと思います。  まず第一点目でございますけれども田中長官は御就任早々に、科学技術のあり方について、単に高級な、ハイレベルな科学技術だけではなくて、もっと国民の生活面を重視した科学技術という問題に光を当てて、その部分の取り組みを進めていかなくてはならないということをおっしゃっておられました。私自身もこの点非常に同感の部分がございまして、昨年は若者の科学技術離れという問題が随分あちこちで語られた一年であったわけでございますけれども、その若者が科学技術を縁遠いものと感じさせている原因というのも、実は、自分たちの身近な部分にその技術が感じられなくなっているというような要素もあっただろうと考えている次第でございます。  このあたりをいろいろと考えてまいりましたときに、科学技術は、戦後ここまでの間においては、先導的な役割をひたすら果たしながら日本の先端部をつくってきた。この役割は非常に高く評価するものではございますけれども、それと同時に、もう一方の、田中長官がおっしゃっておられるよう国民にわかりやすい、国民の生活レベルにおりた技術の存在というものももう一度確認しなくちゃならないんではなかろうか、こんなことを思った次第でございます。  例えば、医療の現場で例え話を申し上げますと、象牙の塔というふうなことが言われた時代がございました。高級な医療技術を研究開発する、そういう研究者の集まった場が白亜の殿堂としての象牙の塔と言われる研究所であったと思いますけれども、それだけで国民の病気が克服できるかというと、そうではなくて、やはりはだしになって国民の中に入り込んで、病人がいればその病人のところにみずから足を運び、その病状を問いただし、そして適当な薬を与え、注射をする、相談に乗っていく、こういうような医者が一方におられて、そして初めて高級な医療技術開発というものが生きてくるのだという教えがあったと思うのでございます。これをはだしの医者と呼んだ国もありました。  ですから、科学技術庁に私自身この時代転換の中で一つ御要望を申し上げたいと思いますのは、このはだしの姿勢を持った科学技術庁という部分をどうこれからつくっていかれるかということだろうと思います。  現実に、いろいろと聞いておりますと、宇宙少年団というような財団法人を設けられて子供の科学啓蒙に取り組んでおられたり、発明教室を各地に持たれて、そこで子供の発明意欲を喚起されたりしておられるということでございますけれども、こういう活動も含めまして、今後このはだしの科学技術庁というものを志向していかれるというような姿勢について、長官はどういうふうにお考えになっておられるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  19. 田中眞紀子

    田中国務大臣 小野先生が大きなお体で大きなお声で熱情あふるる演説をしてくださったので、圧倒される思いでございますけれども、まさしく科学技術は象牙の塔にこもったものではなくて、人間の未来とか夢とか、それから温かさとか、無機的なものではなくて、生きている人間というものが携わっていくものである。そして、もちろん将来に対する投資でもありますけれども、自分たちの生活やらすべての環境、幸せに結びつくものであってほしいという思いを専門語をたくさん駆使しておっしゃったんだろうというふうに理解いたしまして、すばらしい御発言であったというふうに思います。  今、はだしの科学技術ということをおっしゃいましたけれども、私が今回言っていますことも、確かに科学技術は非常に振興しておりますけれども、現実に医療の面ですとか環境、医療と申しましても例えば身障者の器具の改善でございますとか、そういうこともあります。単にエイズとかがんとかいうことはもちろんございますけれども、それ以外のもっともっと身近なものもあると思います。  合しょっちゅう言われておりますけれども、環境、防災、それからいろいろな新エネの問題、和しょっちゅう申し上げていることですけれども、農業でのバイオの問題とか肥料とかあるいは土壌の改良とか、そういうふうな私ども実際に生活に役立っていって、どんな方でも恩恵をじかに感じることができる、そして、そのことに感謝ができて、より専門的な分野で開拓なさっている方にも協力したり感謝できるような科学、それが今おっしゃったはだしの科学でしょうか、というふうなものだろうというふうに思っております。  新しい産業の創出というふうなことも次にお聞きになるのかと思いますけれども、こういうふうなことも考えますと、環境関連の産業でありますとかあるいは高度情報化の問題とか、そういうふうな面でも具体的にまた企業化していくというふうなことも、またより身近なビジネスの面で還元されるのではないかというふうに思っております。
  20. 小野晋也

    小野委員 長官の方から幸せとか温かさだとか、人間ということにつながる技術のあり方を模索していかなくてはならないと言われたのは、私も全く同感なんです。  技術の歴史をまた振り返ってみました場合に、昔の技術というと、人間が歩くとわずか時速四キロメートルでしか歩けないけれども、自動車が発明されたら六十キロメーターで走れるとか、飛行機が発明されたら時速八百キロメーター、九百キロメーターで飛べるとか、だから足の機能を拡充する。また、手の面で申しますならば、小さな部分を扱おうとしたらマジックハンドみたいなものを使いながら扱わなければやれないとか、人間の手ではやれないことを機械ならばやれるとかいうようなことで、かつての一番古い時代の技術というのは、人間の体の機能を拡張する技術だったような気がいたします。  それがここしばらく、制御技術だとか情報技術だとが入ってきますと、これは何かというと、実は頭の技術になってきたと思うのですね。  ところが、これから先の技術体系のあり方ということを考えていくと、やはり長官が言われた人の幸せというものをどう技術の中に織り込むのか、人が生きがいという問題を感じられるような技術というのはどういうものなんだろうというような、ある意味ではこれまでの技術が取り扱えなかった心の問題というものを、この技術体系の中にいかに盛り込んでいけるかということが問われる時代になってきているだろうと思っております。ですから、先ほど言われましたような視点から、またこれは恐らく世界じゅうで模索している段階だと思いますけれども科学技術庁の姿勢の中においても、ぜひ追求をしていっていただきたいなと思っている次第でございます。  引き続きまして、もう先ほど長官の答弁の中にもございましたけれども、この科学技術白書を拝見させていただいておりまして非常に数多く出てくる言葉というのは、実は「新たな産業」という言葉なんです。恐らく十数カ所この白書の中に出てきていると思うのですね。ですから、今、時代が閉塞的な状況の中に入ってきて、特に、経済社会の中においても新しいブレークスルーを行うような技術がなかなか生まれてこない中で、世界経済も成長の道をどこへ求めていいかよくわからなくなってきているというような状況の中で、科学技術が先導役を務めながら新しい時代を切り開いていこうじゃないか、こういう非常に力強い気概がこの白書の中にこもっていると思います。  例えば、こういうふうに紹介されているのです。  先進諸国では、成長著しいアジア諸国をはじめとした開発途上国の追い上げ等を踏まえ、経済成長、競争力確保、雇用創出が共通の大きな政策課題となっている。このような状況のなかで、我が国を初めとした先進諸国には、基礎研完の成果をも踏まえた技術革新を進め、独創的な新しい技術に基づく新産業の創成を継続的に行っていくことが求められるが、そもそも、新たな産業を創出し、雇用を確保していくためには、企業家精神の発揮とともに、基礎研究から応用開発にわたる、幅広く、総合的な厚みのある、持続的な科学技術力が必要とされる。  これがまさにこれからの科学技術庁が目指しておられる方向だろうと私は思います。  これを読みながら一点気になった点を申し上げるとするならば、新しい、新しいという言葉を随所に込めながら、実はその新しさが、何が新しいのかということについて具体的な絵が描かれていない部分がこの白書の中にあるということでございます。これは、恐らく皆さん方の英知を傾けて、いろいろと議論をされた上でもまだ不明確なものが残られるために、それを表現されておられないと思うわけでございますけれども、イメージだけで結構でございますから、どのような産業分野を想定されながらこれを描かれてこられたのか、そしてまた、そのイメージに基づいて、今後科学技術研究の内容の方にいかなるフィードバックをかけながらその方向づけを行っていこうとしておられるのか、この点についてのお尋ねをさせていただきたいと存じます。
  21. 田中眞紀子

    田中国務大臣 確かに「新たな」という言葉があちこちたくさん出てきておりますけれども、今先生が既に御指摘なさいましたように、やはり新しい面で開拓していかなければいけないという意欲は非常に前に出てきているのですが、なかなか現実的に十二分にまだ検討が詰め切っていない。意欲だけがこの白書の中に盛り込まれているという段階かというふうに素直に認めざるを得ません。  が、具体的な例で申し上げますならば、先ほども触れましたけれども、例えば放射線利用でありましたら環境関連の産業でありますとか、あるいはソフトなんかの高度な情報社会を目指していくというふうなことは具体的に今後の課題でございますけれども、できるだけ早急にそういうテーマ別に挙げまして、そして、それが先ほど先生もおっしゃったような経済的な効果を生むようなブレークスルーになるようなもの、そういうものも勘案しながら具体的に今後早目に詰めていきたいというふうに思いますし、具体的な例がございましたら、ぜひまた御指導いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  22. 小野晋也

    小野委員 この点につきましては、ぜひ皆さんの力を集めていただいて、今後のお取り組みをいただきますようにお願いを申し上げたいと存じます。  それから、私自身の一つの提言でございます。実は、これから私たちが遭遇する社会、向かっていくべき社会ということについて、私もいろいろな関心を持ちながら検討してまいりました。その中で、恐らくこうではないだろうかと思える社会というのが、私の造語でございますけれども、インフォエナジー社会ということになるのでございます。  これは何かと申しますと、もう皆さん賢明な方々でございますからおわかりいただけますとおり、インフォメーション・プラス・エナジーというのを二つくっつけて、ごろを合わせればこういう言葉になってくるんではないかというものでございますけれども、それはどういう社会をイメージしているかと申しますと、古代から人類は一日二千キロカロリーのエネルギーを使えば生活ができるということが言われてまいりました。これは端的に申しますと、人が一日に食べる食物の量プラスアルファなんですね。  ということは、食べるものさえあれば原始時代の人たちは生活ができていたんだ。それがだんだん火を使い、水の力を使い、家畜の力を使って、どんどん生活の幅を広げてくる中で、産業革命前にはどのくらいになったかというと、一日当たり二万四千キロカロリー程度のエネルギーを使っているというふうなことが研究されております。ところが、産業革命を契機といたしまして急にこのエネルギー使用量が伸びるわけでございまして、私たちの周辺を見ましても、電気を使っているとか、いろいろな動力を使っているとか、自動車を走らせているとか、こういうふうなところにそれぞれエネルギーを使ってまいりますことを通して、実は今、先進国では、一日一人当たり二十数万キロカロリーのエネルギーを使っているだろうというようなことが言われるわけでございます。  これは振り返って要約してみますと、人間が求めてきた文明の姿というのは、物理的なエネルギーの使用量がどんどん伸びるに従って、私たちは豊かになるんだという文明だったような気がしてならないわけでございます。現実に今、世界各国をずっと比較していただきまして、産油国等の特殊な例を除けば、先進国と言われる人々はたくさんのエネルギーを使っているということなんですね。後進国と言われる人たちはエネルギーの使用量が少ない。ですから、このエネルギー使用量みたいなものが一つの物差しになりながら、文明の発展度みたいなものがはかられてくるよう社会を私たちは追い求めてきた。  しかしながら、先ほども少し触れましたように、私たち人類が直面する大きな課題として、人類の生存をかけた地球問題というものを今目の前にしていることを考えましたときに、この路線をいつまでも私たちは歩み続けることができないんだということが厳粛なる事実として目の前に迫ってきているわけでございます。  しかしながら、それならば後退すればいいのか。我々日本人が原始生活に戻っていこうじゃないかということを唱えてみても、これも不毛の議論でございます。やはり人類というのは、人間というのは成長する過程の中に社会を築いていかなきゃならない、そんな特質を持っているように私は思うわけでございまして、ならば、今までの物理的エネルギーの使用量を物差しにする社会から、もっと違う物差しを当てながら、この社会の成長発展を考えていかなきゃいけない社会になるんではなかろうか、これが私の問題意識でございます。  現実的な物理的なエネルギー使用量はたとえ変わらなくても、むしろこれが減少に転ずるとしても、エネルギー・プラス・インフォメーションという物差しがどんどんまだ人類社会の中で伸びていくとするならば、日本社会の中で伸びていくとするならば、我々はこれからも成長の過程を歩み続けることができるのではないかという意味で、この物差しを置きかえることを通して技術体系も変えて、そしてまた社会のあり方も変えて、人間の考え方も変えていけるんではなかろうか、こういう非常に大きなものを含んだ考え方がこのインフォエナジー社会という考え方なのでございます。  具体的なところを申しますと、物の輸送にいたしましても、かつてならば、情報がきちんと整備されていなければ、もうあちこちに物を持っていって、ようやく届けたいところに届いていく。むだなエネルギーをあちこちに使いながらようやく目的地に到着したというものが、情報がきちんと管理さえできれば、必要な最小限のエネルギーで相手のところに届けられる。そうすると、同じことをしているにもかかわらずエネルギー使用量が減る。これは情報の働きによってそういうことが可能になったわけでございます。  加えて、先ほどの心の問題、幸せの問題、生きがいの問題というようなものを考えてまいりましたときに、必ずしも私たちは物をたくさん持つことによって幸せが得られるのではなくて、その幸せを感じられる情報空間が提供されさえすれば、それである幸福感というものが得られる社会というものがこれから考えられるのではなかろうか。  だから、インフォメーションというものが単に補完をするのみならず、新しい人間の幸福を創造する可能性を持ち始めてきているということを考えましたときに、こういう考え方を当てはめることを通して、日本社会を二十一世紀に向けて転換できるんではなかろうか、また、人類社会に新しい可能性を切り開いていくことができるんではなかろうか、こういうことを今考えている次第でございます。  なかなかこれは答弁の難しい質問だと思いますけれども、どういうふうにお考えになられるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  23. 田中眞紀子

    田中国務大臣 要は、価値観の転換ということをおっしゃったと思います。  私の率直な個人的な思いですが、高度経済成長の時期は、みんな西欧に追いつけ追い越せで、一生懸命品物を求めて、目に見えるものを求めてきました。そして、原子力政策等を考えますときもいつも思うんですけれども、じゃ一体どこまでエネルギーがあればいいのか。要するに、人間はどこで満足して、どこで達成感を持つのかというようなことがやはり問われているんではないかなと思うことがございます。  ですから、今おっしゃったインフォエナジーですか、インフォメーション・エナジー・ソサエティーというのは大変含蓄のある言葉だなと思って伺っておりましたけれども、やはり目に見えないもの、それから、前の世代から私たちが受け継ぎ、それをまた次の世代へと申し送りをしていく立場にある人間として、謙虚に、どの辺で達成感を持ち、何をもって幸せとするか、豊かさとは何かということを先生が問うていらっしゃるような気持ちがいたしましたので、科学技術の振興はもちろん重要でございますけれども、極端に走るのではなくて、そうした視点も加えながら今後一生懸命やっていきたいというふうに思いました。  よいアドバイスをありがとうございました。
  24. 小野晋也

    小野委員 この議論は、まだ随分いろんな検討をしていかなきゃならない議論であろうと思いますけれども科学技術庁で単なる機械的な技術、また電気の流れを追いかけるような技術ということのみならず、先ほど来長官が言ってこられましたような心を含んだ技術のあり方というようなものに取り組む中に、何らかの、私自身も研究を続けていきたいと思いますが、検討をいただきながら、ともに論じ合っていければと思っている次第でございます。  いよいよ時間がもう残りなくなりましたので、最後のことになりますけれども、実は昨年六月、私、この科学技術委員会出席をさせていただきまして、一つ提言をさせていただいたものがございます。  それは何かと申しますと、若者の科学技術離れ問題に関連いたしまして、科学技術庁を初めといたしまして、文部省ですとか通産省ですとかいろんな分野で取り組みが進められているけれども、どうもインパクトが子供たちの目から見ると薄いような気持ちがしてならなかったわけでございます。  それを見るにつけまして、かつてアメリカにおいては、ケネディ大統領が一九六〇年代に人類を月に送るというふうに高らかに宣言をして、それを一九六九年の夏、アポロ十一号で達成いたしました。そのプロセスにおけるアメリカにおける科学技術フィーバーというのは大変なものであったということをお伺いするにつけましても、何かシンボル的な取り組みがなければならないんではなかろうかということを考えまして提唱いたしましたのが、その当時は名前をつけてなかったんですけれども皆さんのお手元に配付させていただきましたこのロボリンピックということでございます。  これも造語でございますけれども、ロボットオリンピックということでございまして、一八九六年、クーベルタン男爵がアテネの地において第一回のオリンピックを始めて、当時ヨーロッパがさまざまな民族紛争等に揺れている中で、古代ギリシャにおいては、オリンポスの神殿の前で競技を行っているときにはその争いをやめて、平和にスポーツで競い合ったという伝説に基づいて、民族融和の祭典をやろうというのがオリンピックであったということでございます。  この流儀に倣えば、今の国際社会も決して平穏な国際社会ではございません。そして、二十一世紀の我々に求められるものは何かということを考えてまいりますと、技術と人間というものがどう融和し合いながら生きていけるのかという時代になってくることを考えますと、まさにこのオリンピックが当初持っていた思いと同じよう考え方で、人間、技術が一体になって競い合う場をつくってみたらどうだろうというのがこのロボリンピックの発想でございます。  現実に日本社会の中においても、高専の生徒におきますロボットコンテスト、これはNHKで放映されていますから皆さんも御承知だろうと思います。ほかにも、昨年の暮れにロボットの相撲大会というのも拝見させていただいたりもしたんですが、いろいろな形で技術者の皆さん方を集めながら、取り組みが進められてきております。そのときの子供たちの顔を見ていると、喜びにあふれ、その戦いに集中し、観客みんなが興奮の渦の中に巻き込まれながらその争いを見ているわけです。  この姿を見まして、やはりこういう晴れ舞台を技術を志向する子供たちにぜひ与えてやりたい。与える以上は、これは日本の国だけの問題ではなくて、世界じゅうが同じような時代の中に生きているわけでございますから、世界じゅうの人にこの興奮を与えてあげたいというふうに考えまして、ロボットのオリンピックを行ったらどうだろうということを提唱させていただいた次第でございます。  細かいことはこの中に書いていますから、委員皆さん、また理事者の皆さん、ごらんいただきたいと思うわけでございますけれども、この点につきましてのお考えをお聞かせをいただければ幸いでございます。
  25. 田中眞紀子

    田中国務大臣 できるだけ早く実現をさせていただきたいというのが私の結論でございます。もう何の異存もございません。  機械と人間が共存をしていって、それによってまた、若者の科学技術離れなんという言葉はもう既に使い古されていると私は思っておりますけれども、本当に子供の興味を引き出して、それがまた科学の進歩につながっていく、また人類の幸せにフィードバックされてくる。ソーラーカーのカーレースもありますし、ロボットのお相撲もおもしろいと思いますし、実現をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  26. 小野晋也

    小野委員 どうもありがとうございました。  なお、一点だけお断りさせていただきたいのは、昨年六月、当委員会質問いたしましたときに、オリンピック発祥の年を一九〇〇年と申しましたのが、実は一八九六年でございました。私の思い違いの発言をいたしましたので、この点だけここで修正させていただきたいと思います。  田中長官を初めといたしまして、人類の未来、日本の未来は皆さんの双肩にかかっているわけでございますから、ぜひとも御立派なお仕事をしていただきますようによろしくお願い申し上げまして、質問を終えさせていただきたいと思います。
  27. 野呂昭彦

    野呂委員長 上田晃弘君。
  28. 上田晃弘

    上田(晃)委員 新進党の上田晃弘でございます。時間にも限りがございますので、何点か端的にお伺いさせていただきたいと思いますので、明快な御答弁をよろしくお願い申し上げます。  まず、地震予知関連でございますが、総論といたしまして、大臣にまずお伺いをさせていただきたいと思います。  阪神大震災がございまして以来、先ほど原田先生の方からも御指摘がございましたとおり、地震予知というものに対しまして国民各層の期待が大変高まっておるのは事実だと思います。しかしながら、一部マスコミ等の報道を見ておりますと、特定の学者さん、また特定の研究手法を集められまして、だれだれさんの予測は当たったとか、この手法の方がすばらしかったとか、このような一部報道もございます。これはやはりマスコミも含めて、国民の皆様が地震予知というものに対してちょっとミスリードされているのではないのかな、このような危惧も感ずる点がございます。  そこで、今回の問題を奇貨といたしまして、地震予知というのは、もう長官も御存じのとおり、正しく言えば地震予知研究という段階であろうと思います。大変手厳しい学者さんは、こんなふうに申しております。予算獲得の技術として研究という文言を取り去って、事業費としてスタートした、研究段階なのに実用段階を装うのはもうやめた方がよいのではないのか、このような辛口の御意見を出されておられる専門の学者さんもおられます。  したがいまして、ここでやはり地震予知研究の現状、そしてまた今後の可能性というものを正直につまびらかに国民の皆様に提示をされ、その上で、場合によりましたら、地震予知というよりは地震防災研究の方にもう軸足を移すべきときなのかもしれない、こんなようなことも含めまして国民議論をしなくてはいけない時期なのかな、このように思う次第でございます。  したがいまして、先ほど長官も、地震予知については余り過大な期待はできないというような御発言もございました。したがって、まとめてお尋ねしますが、地震予知研究というよりは、むしろリアルタイム地震防災システムとでも申しましょうか、このよう研究の方に軸を移すべきなのかどうなのか、このような点も含めまして、地震予知推進本部長といたしましての大臣の御所見をお伺いいたしたい、このように思います。
  29. 田中眞紀子

    田中国務大臣 私ども地震予知というものに対しまして、今回の阪神・淡路大震災が起こる前と後では随分認識が変わったのではないかというふうに思います。  今回のことが起こってから、予知研究とは何ぞやというふうなことが随分出てきましたし、先ほどの茂木先生の御意見もお聞きになったと思いますので復唱はいたしませんけれども、要するに、各省庁が分かれていろいろ専門別にやっていて、気象庁で一括してつないで、今後もインターネットでつないでいく云々と言っておりますけれども、結局は、予知というものは、いろいろの専門家の話を聞いてもなかなか難しいということだと思いますね。  ですから、観測強化地域というものを設置しても、それはいろいろシステマチックにやったのですけれども、現実に、隔靴掻痒であるというのが一般の人たちの感じだろうと思うのです。ですからこそこれだけ質問が衆参両院の委員会でも出ているわけでございますし、本日、上田先生のお問いかけもそこにあると思います。  私も、まさしくそれをないがしろにはできませんし、予知予知でもって研究はしていただくことは、それはいいかもしれませんが、それをみんなが口をあけて待っているのではなくて、むしろ防災とか避難訓練でありますとか、それから、その地域がある程度わかっているのであれば、それがたとえ千年スパンであったにいたしましても、耐震構造物をつくるとか避難道を優先的につくるとか、そういう現実的な対応をするように、私、とにかく今回のことを奇貨として、むしろ展開を変えていくべきではないか、認識を変えていくことが自分たちを結果的に守ることであろうというふうに考えております。
  30. 上田晃弘

    上田(晃)委員 それでは次に、具体的な点を何点がお尋ねさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  今長官も御答弁いただきましたとおり、予知研究予知研究としてこれは粛然と進めると同時に、防災関連のシステム開発、これもしっかりやっていかなくてはいけない、このような御答弁だったと思います。一応、今日まで十年来、地震予知については進めてきたわけでございますので、引き続き予知研究を強化していくという視点に立ちまして、何点かちょっとお尋ねさせていただきたいのです。  かなり細かいことになって恐縮ですが、いわゆる衛星を利用いたしましたGPSシステムによります地殻観測ですね、また、さまざまな観測されたデータを解析し、その情報をよりスピーディーに交換するためのコンピューターシステムの開発、こういうふうな部分の整備計画は今後どうなっていくのか、これが一点でございます。  それから、先ほども原田先生も御質問されておりましたが、観測強化地域、また特定観測地域、この辺の問題について、今回を奇貨として、指定を拡大をされていくおつもりがあるのかないのか。また、観測強化地域特定観測地域として指定されても、現在のところ法的根拠がないので、特段、別に観測を強化するという担保がないというこういう問題がございますね。したがいまして、今後の具体的な観測網の強化計画等ございましたらお示しいただきたい、このように思うところでございます。
  31. 田中眞紀子

    田中国務大臣 専門的なことでございますので、人工衛星を用いたことなどにつきましては、研究開発局長からお答えを申し上げます。
  32. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 先生今御指摘いただきましたGPS、人工衛星を用いました観測システムでございますが、これは一センチ単位でわかるという非常に精度の高いシステムでございまして、国土地理院におきまして、飛躍的にこの観測地点をふやすということで、今増強を進めているところでございます。特に、昨年は補正予算を用いたりいたしまして、この観測強化をいたしております。  それから、特定観測地域につきましては法的な担保が現実にはないわけでございますけれども、この地域につきまして今後どういうふうに取り扱っていくかということにつきまして、大臣本部長になっております地震予知推進本部、ここにおきまして、これは具体的には国土地理院にございます地震予知連絡会の方で検討されておりますので、前向きな検討を関係省庁としていきたいというふうに思っております。
  33. 上田晃弘

    上田(晃)委員 前向きな検討という御答弁でございましたが、具体的に、先ほど茂木会長お見えになっておられました。一月十八日だと思いますが、地震の翌日、いわゆるゆがみが満期になっていると考えられる活断層の例といたしまして何カ所か指摘されておられます。長野県の伊那谷断層、静岡県富士川断層、神奈川県国府津・松田・神経断層、また、京都、駿河湾周辺、このように数カ所指摘されておられます。  実は、十九年前なんですが、今、席におられませんが、近江委員が十九年前にやはりこの科学技術委員会で、京阪神地域が大変活断層の活動が活発になっているということで心配である、こう指摘をされておりました。当時、大臣は、三木内閣は、がん、地震予知、核融合の三つが中心テーマである、一生懸命頑張る、このような御答弁もされております。まあ十九年たってこのよう大震災が起きてしまったわけでございます。  確かに日本じゅうすべて観測強化するというのは、予算の関連からいっても大変難しいわけでございますが、権威ある地震予知連の皆さんが具体的に数カ所、これはもうかなり満期だよ、こうおっしゃっておられますが、ここについて具体的に早急にどのような手を打たれるか、この辺の御計画がございましたら、お願いします。
  34. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 今先生御指摘になりました活断層、近江先生からも十九年前に御指摘いただいたわけでございますが、活断層につきましては、文部省あるいは通産省の地質調査所等で調査を続けてこられまして、大体千五百から二千の活断層が我が国にはあるということでございます。この活断層のうち、どの活断層が緊急に調査を要するかということにつきまして、九州大学の松田先生でございますとかいろいろな先生方、いろいろな御意見がございます。  先週、二月十日でございますが、大臣も御出席いただきまして、松田先生からいろいろ御意見をいただいておりまして、科学技術庁といたしましては、通産省地質調査所、大学先生とも相談をいたしまして、緊急を要するものにつきましては、振興調整費を用いましてなるべく早くこの調査をやっていきたい。ただ、膨大な量でございますし、技術的に難しい面もいろいろございますので、全体につきましては時間もかかることだと思いますけれども、緊急を要するものにつきましては、関係方面と相談して早急にやっていきたいというふうに考えております。
  35. 上田晃弘

    上田(晃)委員 ぜひとも早急によろしくお願い申し上げます。  続きまして、新聞報道でございますけれども防災科学技術研究所、防災研の研究官の方が今回の阪神地震の発生前に電磁波の異常を観測していたとされる、このよう新聞報道がございます。これが事実であるのかどうかということと、最近の防災研の中での電磁波研究の状況、この辺についてお尋ねさせていただきたいと思います。  あわせて、火山噴火と地震の関連、この辺についての研究等は今どのように進んでおるのか、ここもお聞かせください。
  36. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 防災研の研究者が電磁波の研究を行っておりまして、それにつきまして新聞報道がされまして、そのとおりでございます。  この点につきましては、先ほども原田先生の御質問がありまして、茂木先生からもお答えがございましたけれども地震研究につきましていろいろな手法がございまして、これにつきましては幅広い取り組みをしていきたいというふうに考えておりますし、防災センターの方でも火山研究、いろいろなことをやっておりますが、関連をつけまして今後ともそういう研究をやっていきたいというふうに思っております。
  37. 上田晃弘

    上田(晃)委員 次には、技術的な問題ではなくて制度的な問題でございますが、予知連、これにつきましては、やはりいろいろな御意見があるわけでございます。  ある方は、例えば仮称第二予知連とでも申しましょうか、このような場を設けまして、現在以上にさまざまな研究者の意見を持ち寄って、もっとオープンに、ある意味では、クローズドの中での議論ではなくて、先ほども会長もおっしゃっておりましたが、さまざまな注意予報も含めまして、研究状況を国民に広く公開してしまった方がいいのではないのか、こういう場を設定すべきだ、このような御意見もかなり出ておられるかと思います。この辺のいわゆる予知連の制度改革と申しましょうか、制度強化と申しましょうか、この辺のところは今回の地震にかんがみまして検討の余地があるとお思いですかどうか、この辺をお願いいたします。
  38. 田中眞紀子

    田中国務大臣 私は、大いにあるというふうに考えております。  それと申しますのは、先ほど原田先生のお尋ねのときもお答え申し上げましたけれども予知の学者の方も法律自体に縛られているといいますか、御本人が地域についてはかなり特定できるというふうな話を、この間、二月十日のときは直接伺ったのですけれども、あの後また少し発言も慎重を期しておられるやに私はお見受けしているのです。  そうであったら、やはりそういう情報を公開して、それを生活者みんなに還元していく。国会はもちろんですけれども。そうでなければ何のための予知連なのか、予知学者なのか、こう言うと申しわけないのですが。そういうことを今回みんながよくわかったと思いますね。今までは、多分専門家がやってくれと言うんじゃないだろうかと思っていたのです、これは占いじゃありませんので、やはりもっと情報を公開にして、共有することによって、避難にしろ防災なり考えていくべきだろうというふうに思っております。
  39. 上田晃弘

    上田(晃)委員 大臣から大変明確な御指摘をいただきましたので、どうかその方向で、予知連の制度改正をすべき点があれば鋭意お進めいただきたい、このように思うところでございます。  次に、先ほども少々触れさせていただきましたが、リアルタイム地震防災システムと申しましょうか、最近は地震情報の収集、解析、このスピードはコンピューター時代で大分アップしてきたわけでございますので、地震が起きて、いわゆる災害を極小化に抑えるためには、さまざまなシステムの運用によってはかなり可能であるというところまで来ていると思います。  地震予知推進本部本部長であられる大臣といたしまして、また科学技術庁長官といたしまして、いわゆる地震が起きた、被害を極小化に抑える、そのための情報から避難誘導からさまざまな問題も含めましてのトータルなシステム開発と申しましょうか、この辺はぜひとも科学技術庁でひとつしっかりリーダーシップをとってお進めいただいた方がよいのかな、このようにも思いますが、御決意のほどはいかがでございますか。
  40. 田中眞紀子

    田中国務大臣 これこそまさしく縦割り行政の弊害もかなりあるのかなと思っておりますので、科技庁中心がよろしいのか気象庁中心が、これはまた専門の皆様の御意見もよく聴取いたしまして、そういう方向に持っていければというふうに思います。
  41. 上田晃弘

    上田(晃)委員 大分時間も少なくなってまいりましたが、あと一、二点お尋ねさせていただきます。  これも新聞で報道されておりましたし、またパンフレットをその後私も見ましたら、確かにそのように書いてあるのですが、防災研で大型の耐震実験装置が用意されておりまして、実物または実物大の模型まで耐震実験ができる大変すばらしいものがある。これは私も拝見させていただきましたが、どうやら水平方向の振動実験しかできないというのが実情だそうでございまして、水平方向の実験しかできないということは、つまり、直下地震が来たときの縦揺れというものについては実験されていないという。これは私も正直申し上げて唖然としたのです。  直下地震というのは大変予知しづらいということは、当然自明の理でございます。ならば、直下地震が来た場合の防災という意味においての耐震実験、これはどこがやるのかといえば、当然これは防災研なのかなと思っておりましたので、この縦揺れ実験がされていない、こういうことは今回、私も不勉強でございましたが、初めて知った次第でございます。今後この辺につきましては、予算措置も含めましてどのように改善されていかれるおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
  42. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 防災研究所に現在大型の耐震実験装置がございまして、今先生御指摘のとおり、横揺れに対応した装置でございまして、今までそういう研究を重ねてまいりました。  縦揺れにつきましては、今後の問題としてぜひ検討させていただきたいというふうに思っております。
  43. 上田晃弘

    上田(晃)委員 今後の問題として検討されるということは、具体的に予算要求等を今後しっかり科技庁として進めていくということを意味されていますか。
  44. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 縦揺れの耐震装置につきましては、どういう装置になるのか、どれだけお金がかかるのか、いろいろな問題を含んでおりますので、検討させていただきたいというふうに思います。
  45. 上田晃弘

    上田(晃)委員 ぜひその検討は早急にお願いいたしたいと要望をしておきます。  最後に一点だけ、ちょっと原子力施設の関連のことでお伺いさせていただきます。  予算委員会でも、地震と原子力施設の問題については大分御質疑が活発に行われたようでございますが、その中での質疑応答で、圧力容器また格納容器は大変安全な岩盤の上にある。これはもう再三いろいろ大臣の方からも御答弁がございました。ただ、冷却水の配管、こういった系統については、一次冷却水以外のものは、いわゆる岩盤の深いところまで接地されていないというようなことも指摘されておるようでございます。  したがって、直下型大地震がもしあったとして、原子炉本体、また一次冷却水系は何とか大丈夫だが、それ以外のものはちょっとどうなるかわからないというようなことでは不安なわけでございますが、その点につきましてわかりやすく御答弁いただければありがたいと思います。
  46. 田中眞紀子

    田中国務大臣 メカニズムにつきましては原子力安全局長からお答え申し上げますけれども、それぞれの原子力施設は、再三申し上げておりますけれども、岩盤の上に耐震構造を持ってつくられておりますので、そのような心配はないし、また事故もなかったということは申し上げられますが、メカニズムのことにつきましては安全局長からお答え申し上げます。
  47. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 お答えいたします。  基本的には、ただいま大臣からお答えがありましたようなことで安全を確保しております。  結論から申し上げますと、耐震設計に当たっては、指針では、施設、いわゆる建物、それからそれに伴う設備、先生御指摘のありました配管系、こういうものもすべて含めて耐震設計、動的解析あるいは静的解析を行っておりますので、安全には、耐震性については問題ないものと考えております。
  48. 上田晃弘

    上田(晃)委員 では、時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
  49. 野呂昭彦

    野呂委員長 斉藤鉄夫君。
  50. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 新進党の斉藤鉄夫でございます。きょうは、大臣所信の中にございます「若者の科学技術離れ対策等に一層力を入れるとともに」ということにつきまして、ちょっと細かい話になりますが、科学技術庁が所管いたします技術士制度、これに注目しながら質問をさせていただきたいと思います。  この大臣所信の中にもございますように、青少年の科学技術離れということが言われている。科学技術立国としての日本の将来が危ない、こう危惧をされているわけですが、どうしたら優秀な科学技術者を確保して、二十一世紀の日本が科学技術の面でも世界の平和と繁栄に貢献できるか、その点が問題だと思うわけです。  ここに、社団法人日本技術士会が科学技術庁の委託を受けて行ったアンケート調査がございます。これは、企業に勤める五千人の科学技術者にアンケートをとったものでこざいまして、いわば現場の科学技術の第一線で働いている技術者が、将来の優秀な科学技術者確保をどう考えているかという生の声だと思うのですけれども、将来優秀な技術者を確保するためにまず何が一番大事か、今何が足らなくて何が一番大事かという質問に対して、断トツの第一位が、技術者に対する処遇ということが挙げられております。  端的に言えば、技術者の報酬が少ない、サラリーが少ないということだと思うのですけれども、高校の同窓会に行きましても、大体技術者というのは、お医者さんに比べると年収は二倍、三倍のオーダーで少ない。それから同じサラリーマンでも、銀行や金融、保険、商社に行った人と比べると、五割方違うという声がよく聞かれます。大学時代は一生懸命遊ばずに実験、演習をやって、会社に入って非常に国際競争力の厳しい現場で必死に働いて、かつ報酬は文科系の人よりも少ない。文科系の人は、大学時代大いに楽しんでサラリーは非常に高い。これでは自分の息子を技術者にしようという気にはさらさらならないというのが現実がと思います。  青少年の科学技術離れ、非常に大所高所から論じなければいけないのですが、これは現場の生の声として無視できない問題だと思います。これは非常に日本社会構造、産業のあり方、国際競争力、また規制の問題ということと関係ありますので、きょうの主題ではありませんので論じませんけれども大臣、技術者の処遇が今日本では非常に低いという生の声を技術者が持っているということに対して、何か御感想ございますでしょうか。
  51. 田中眞紀子

    田中国務大臣 世に言われております若者の科学技術離れの原因も幾つかあって、その中のかなり大きな部分が、今先生おっしゃったように、処遇の面でよくないんだということが、幾ら勉強しても、努力してもというふうなことが評価されないということだというふうに思います。  今、最初におっしゃった技術士制度は、昭和三十二年に発足して以来、約三万人ぐらいの方がいらっしゃるというふうに伺っておりますし、先生ももちろんそのお一人でいらっしゃるわけですけれども、産業の振興も、それから科学技術の進歩も、そういう技術者の御努力があって、培われた大きな蓄積があってあるんだということに気づかないような意識構造に今の日本社会がなっているのではないかと思うのですね。  言いかえると、文明とか技術の進歩は当然だ、電気がつくのも便利なテレビを使うのも当たり前じゃないか、ちょっとお金を足せばいいテレビが買えるとか、便利なものが手に入るとか、そのよう考え方をするような、そういう思考回路といいますか発想といいますか、そういうものがやはり変わっていかないと、人間の発想が変わらないと、人に対する、技術者に対する評価というものも変わっていかないのではないかと思いまして、基本は人づくりではないかと思います。  ですが、やはり三万人を超える皆様がいらっしゃるわけですから、そういう皆様の制度が社会に定着していくというようなことをするのは当然私どもの役目だろうと思いますので、その面では大いに御支援といいますか、私どもがやるべきことは大きいというふうに思います。
  52. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ありがとうございます。  そのアンケートで、優秀な科学技術者確保のために二番目に挙げられたのが、科学技術者の社会的ステータスという項目が挙げられております。  一般に、御存じのとおり、技術者というのは出世をしません。主な社会的ステータスのある地位は文科系出身者にすべて占められてしまう。勉強して努力して、一生懸命国際競争力の激しいところで頑張って、最終的には地位をすべて文科系出身者に奪われて、報酬も少ない。非常に哀れなものなんですけれども、そういう技術者の社会的ステータス、能力を社会で認知させる、そのために技術士制度が科学技術庁の所管で昭和三十二年に生まれたのだと私は認識をしております。  この技術士制度、実質的には非常に実のある制度だと思います。試験も公正厳格、そして、本当の科学技術の力を持った人を非常に客観的な尺度で認知をしている非常に実のある制度だと思いますが、社会的な認知がほとんどされていないという現実がございます。  科学技術者の社会的認知の物差しとしては博士がございますが、私自身、博士よりもこの技術士の方がはるかに客観性のある物差したと思います。博士というのは、大学制度の中で教授との人間関係でもらえるという部分もありますが、技術士には一切そういうものが入ってくる余地がございません。しかし、それだけ実のある制度でありながら、社会で全く認知していない。名刺に技術士というのを書いていろいろなところへ出しても、ほとんどみんな知らない。蛍光灯をかえるのに国家資格が要るんですかとまで言われてしまう。そういう現状がございます。  そういう意味で、この技術者、恵まれていないと言うとちょっと語弊がありますが、技術者の社会的認知をさせるためのこの技術士制度を拡充していく必要があるかと思うのです。大臣御自身、まあ今は所管の大臣になられたので、制度を御存じだと思いますが、大臣になられる前はこれを御存じだったか。また、技術士制度を今どのように認識をされているか。また、その社会的認知を高めるためにどのようにしなくてはいけないか、それについてお考えをいただければと思います。
  53. 田中眞紀子

    田中国務大臣 率直に申しまして、存じませんでした。今回、一生懸命教えていただきました、私が知らなかったということもあるわけですけれども。  ですから、現実に、今博士のこともおっしゃいました。それから、社会で技術者がなかなか評価されないということは、多分、役所なんかが本当に典型で、科学技術庁なんかは局長さんになられますけれども、ほかの役所を見ますと、運輸省の一つの局長さん以外はほとんど文科系なんだと、それが既得権みたいな形で文科系の出身の方が占めておられるということも現実なわけですね。  そういう中にあって、むしろ違った価値観というけれども、やはりそれだけの努力をなさって、テクニカルなことをマスターなさって、そして資格を持っておられるのだから、そのことをわからせるためにはどうすればいいのかなと、私もかなり頭が痛いとこれは思っておりますけれども、例えば技術士という名前も、レッテル、名前、ブランドといいますか、言い方ももう少し変えるとか、時代に合っているのかな、ちょっと古めかしいのではないかと思ったりしますね。  それから、こういう試験であるというふうな広報活動ですとか、それによって例えばこういうふうな貢献をなさっているとか、そういう具体例をマスメディア等を通じてもっとパブリサイズしていくというような努力も、私どもの方もむしろ積極果敢にやっていくべきではないかというふうに思っております。  私なんか以上に斉藤先生がたくさんそういうことを御存じでいらっしゃると思いますので、これもあれもと具体的にぜひ御指摘、御指導いただければありがたいと思います。
  54. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 今、大臣から技術士の名前、それからパブリシティーの問題、御所見いただきました。大変心強い思いでございます。ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  それから、この技術士制度が社会で認知されない、また国際的にも通用しないということが言われておるのですが、国際的に通用していないがゆえに、また技術者として技術士を取ろうというモチベーションにもならないわけでございますが、日本には技術者の実力を評価する物差しがないとか、日本には技術者資格がないというふうなことが、まことしやかにいろいろな国際学会や技術者の国際的な集まりの中で言われているわけです。  しかし、厳然と日本には技術士という制度があるわけで、この点はもっともっと国際的な認知を得るような努力をしていかなければいけないと思うのですが、私は、国際的な認知、社会的な認知を得ていないその一つの原因として、技術士の性格がいろいろ誤解をされているといいましょうか、技術士の性格についての混乱が社会の中にあるのではないか、また技術者の間にもあるのではないか、このように思います。  今の技術士制度は、技術士試験に合格する、合格した人が事務所登録をする、そして初めて技術士になれる、こういう制度です。したがって、事務所登録をするということで、いわゆるコンサルタントの職業としての登録をするというふうにも見られるわけでございます。いわゆるコンサルタントの集まり、コンサルタントの仕事をする人が技術士だという認識がございます。しかし、私はそうではなくて、これだけの科学技術的な能力を持った人の資格としての技術士制度だ。社会が、また国が、この人はこれだけの能力を持っているんだということの資格を証明する、それが目的の制度だというふうに私は認識しております。  このコンサルタントをする人の集まりなのか、それともこれだけの能力を持った人、これを技術士と呼ぶということを目的にしたものなのか。私は、その後者に絞って技術士を社会にPRすることが必要ではないかと思いますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  55. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 お答え申し上げます。  今先生がまさにおっしゃいましたとおりでございまして、後者の意味の、そういう能力を持った資格を証明するというのがこの制度の本質でございまして、そういう方向でさらにPRしていくべきであろうかと考えております。  他方、若干補足させていただきますと、先ほど社会的な認知を高めるということを御指摘いただきましたけれども、実質的に社会的ないろいろな場で認知されていくことがやはり非常に重要でございまして、そういう観点から、いろいろな国の資格制度に、この技術士を持っていればその資格を獲得できる、あるいはいろいろな資格制度を得るための試験の科目を一部免除する、そういった形で有利な取り扱いがいろいろな方面でなされるような努力もする必要がございます。  そういう努力もこれまで技術士会を中心になされてきてございまして、現在までに十九の国の制度で、そういう技術士を持っていればその資格を得られる、そして十二の制度で一部試験の科目免除がなされる、そういった実績を積み重ねてきておりますので、そういう実績に認知を高めるような努力も今後続けていきたいと考えております。
  56. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 アメリカにはプロフェッショナルエンジニア、PEということで、非常に社会的にも、また国際的にも認知された制度がございます。アメリカの大体の技術者は名刺にPEと書いて配っております。また、イギリスのチャータードエンジニア、それからフランスのインジェニュア・ア・エタ、いずれも社会的な認知のある、いわゆるコンサルタント業をするという意味ではなく、これだけの能力を持った技術者だということを国が認定する、そういう資格がございます。そういう国際的にも認知された制度にこの技術士制度がなるように、なお一層の御努力をお願いしたいと思います。  そのために一つ提案があるのですけれどもアメリカのPE、プロフェッショナルエンジニアの制度、これは国際的にもかなり通用しますので、その制度とこの日本の技術士制度の相互乗り入れといいましょうか、そういうことは考えられないか、こう思うわけでございます。  ただ、私自身いろいろ向こうのPEの問題とか試験のあり方、合格率、持っている技術者のレベル等を見ますと、日本の技術士の方がはるかにレベルが高いわけですが、日本には技術士補という制度がございます。技術士を補佐するというふうに私は理解しておるのですが、そういう制度、その技術士補のレベルとアメリカのPEが大体同じレベルになるのかなという気もいたします。  だから、技術士補とPEを相互乗り入れする、そして日本の技術士はなおかつその上に位置されるものだ、こういうふうにすれば、日本の技術士を持っている、また技術士補を持っているということが技術者にとって非常に大きな励みになって、若い人もそのために一生懸命努力をし、科学技術を目指すということになるのではないかと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  57. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 お答え申し上げます。やや技術的なことでございますので、私から答えさせていただきます。  技術士の国際的な評価を高めるということは非常に大事でございまして、その手段といたしまして、先生御指摘になりましたようアメリカのPE制度との相互乗り入れ、これにつきましては、PE制度がアメリカの州によりまして業務独占が可能かどうか等いろいろ異なっている面もございますし、試験の難易度等もございますので、いろいろ勉強してみる必要があろうかと思いますけれども、やはり国際的な評価を高めるための有力な手段として、前向きに勉強してみたいと考えております。  それから、そういった相互乗り入れ以外にも、実際に日本の技術士が国際的な場で活動する場を広げるということが非常に大事だと思うわけでございますが、そういう観点から技術士会におきましてもいろいろ努力をしてございます。例えば、海外業務が可能な技術士を登録をいたしますとか、そういうディレクトリーをつくりましてそれを開発途上国を中心に配布いたしますとか、そういう努力もしてございますし、そういった現実的に技術士が海外で活躍できるような努力も並行して行っていきたいと思っております。
  58. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 青少年の科学技術離れに対する一つの、非常に具体的な、細かい問題かもしれませんが、非常に重要な問題だと思いますので、前向きな御努力をお願いしたいと思います。  最後に、大臣、今の技術士制度にかかわる御議論をお聞きになって、科学技術離れに対する一つの方策として、小さいものかもしれませんが、これが一つの有効な手段になると私は考えるわけですが、大臣の御所見、それから今後の技術士制度に対するお取り組みについてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 田中眞紀子

    田中国務大臣 私も本当に啓発された思いでおりますし、社会的に認知されていないのではなくて、気づかれていないということの方がむしろ正確ではないかと思いますので、やはりパブリシティー、それから海外との相互乗り入れも、先ほど工藤局長お答え申し上げましたけれども、あらゆる方法で知らしめていくということはすごく大きなことだと思いますので、そういうふうな努力も、先ほど申し上げましたけれども、鋭意やっていきたいというふうに思います。
  60. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。質問を終わります。
  61. 野呂昭彦

    野呂委員長 笹木竜三君。
  62. 笹木竜三

    ○笹木委員 新進党の笹木竜三です。  では、質問を始めさせていただきます。短い時間で、できれば大きく三点についてお伺いをしたいと思います。  一つ目は、核不拡散、NPT体制にかかわることなんですけれども、関連の質問なんかもさせていただいているわけですが、旧ソ連での核兵器の解体ということで、旧ソ連にだけ、ロシアにだけ任せていると非常に時間がかかる。その解体したプルトニウムの管理ですとか液体燃料の処理ですとか、そういったことについて協力をしよう、こういったプロジェクト、対ロシア核兵器廃棄支援のプロジェクトがもう始まっております。  あるいは、科学者、研究者の流出、そういった軍事の開発にかかわっておられた方々、今、職がなかったり、あるいはなかなかモチベーションのある仕事につけなかったりということで、亡命とかそういった研究者の海外流出というおそれもあるということで、国際科学技術センター、これも既に科技庁は六百万ドルですか、日本全体で二千万ドルのうち科技庁は六百万ドルを分担されているということです。  非常にいいプロジェクトだと思うわけですけれども、もう始まっているこのプロジェクトで、特に二つ目の国際科学技術センター、非常に問題だと思うのは、三千人の研究者を対象として二年分、一人の研究者、科学者当たり年間の所要資金額一・五万ドル。一・五万ドルで一体どういうプロジェクトをやっているんだろうか。最先端で軍事技術の開発研究にかかわっておられた方々、その方に新たな平和プロジェクトをつくって流出を避けようという目的で始まったわけです。  それで、まず最初に事務局の方で結構です。このプロジェクトをつくるに当たって、資金は出しているわけですけれども、科技庁としてどういうようなかかわり方をしておられるのか、あるいはこの科学技術センターに対してどういうようなかかわり方をされているのか、簡潔にその質問に対してだけ教えていただければ結構です。お願いします。
  63. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 お答え申し上げます。  日本の拠出の全体が二千万ドルのコミットをしてございますけれども、そのうち科学技術庁が六百万ドルのコミットをしてございます。
  64. 笹木竜三

    ○笹木委員 例えば、日本の科学者、研究者と共同のプロジェクトをつくったりということも聞いておるわけですけれども、どのようなプロジェクトをつくっておられるのか。それをつくるのに当たってどういうかかわりをされているか。
  65. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 この国際科学技術センターを用いました日本とロシアを中心とする共同研究につきましては、今大変数多くのプロジェクトが進みつつございます。例えば、廃棄物に関する挙動の解明であるとか、あるいは理論的な解明であるとか、そういった問題から、場合によりましては核融合の材料の問題とか、あるいは安全性の事故評価の研究であるとか、数を挙げますと大変数多くございます。それぞれは、具体的に研究施設を使うものもございますれば、あるいは理論的な研究、あるいは今までロシアで蓄積されたそういった研究の成果を活用していく、非常に多面的に行われております。  その研究を進めるに当たりましては、まずそれぞれの研究者が実際にどのようなポテンシャルを持っているかということをお互いに話し合った上で、理事会等という形式的な意思決定機関に持ち上げていく、このような形で進められておるところが現状でございます。
  66. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひお願いしたいことなんですけれども大臣にも特に御意見を聞きたいわけです。これは非常にいいプロジェクトなわけですけれども、もちろん日本単独じゃなくて、ヨーロッパですとかアメリカとの共同ということもございます。そういう関係があります。あるいは、外務省がどちらかというと音頭をとっている面もあると思います。  しかし、せっかくいい目的で始められたわけですから、ぜひもっと、見直しか来年というふうに聞いておりますから、資金の増額、そして、必ず日本の国内には、共同のプロジェクトで魅力的なプロジェクトを提案する能力のある方、科学者がたくさんおられると思いますから、そういう方が、この程度のプロジェクトではということで結局ロシアの研究者が流出してしまわないように、魅力的なプロジェクトをつくっていくということに対してぜひ音頭をとっていただきたいと思います。特に外務大臣と連携して、これはG7の話題の中にも入ると聞いておりますから、ぜひそういったことをお願いしたいと思います。  それと、カットオフ条約、これはことしから検討されて、締結に向けて進んでいくということです。これがもし実現すれば、NPTに非加盟の国あるいは核兵器を既に持っている核兵器国に対する査察ということも、これは新規についてだけ査察の可能性が出てくるわけです。そうしますと、IAEAの人とかお金のより一層の充実、これも科技庁に非常に関係の深い問題だと思います。  例えば、先ほどのロシアでの、かつてそういった軍事の開発にかかわっていた技術者の方々の一部には、IAEAの査察官とか、そういったことに転職の可能な方々も恐らくおられると思います。そういったことも含めて、このIAEAに対するお金、人手の充実、あるいは今言った研究センターに対する日本のイニシアチブをぜひとつていただきたいわけです。大臣の御意見、御決意をお聞きしたいと思います。
  67. 田中眞紀子

    田中国務大臣 ソ連の頭脳流出につきましては、これは本当に大きな問題で、ソ連だけの問題ではなくて、これがどんどん進んでしまえば核拡散になっていくわけでございますから、それを民生用にどのように生かしていくかということは、皆が英知を働かせて魅力的なプロジェクトをつくっていくべきだろうと思います。  また先生がおっしゃったように、三千人に対して一人当たり一・五万ドルとおっしゃいましたか、それが多くないということは事実だと思いますけれども日本も拠出国の一翼を担っているからには、やはり外務省マターだけではなくて、まさしく笹木先生がおっしゃったようにみんなで知恵を出して、IAEAの中でもイニシアチブをとっていくようなそういうスタンスを日本がとらないと、いつもいつも分担金を国際社会の中で持たされていくという受け身ではいけないと思いますので、本当に核不拡散が大事と思うのであれば、こういう面でも強力に発言をしていくように、私ども外務大臣にも、また担当の審議官にもお話を申し上げます。
  68. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひお願いしたいと思います。  二つ目の質問で、昨日もちょっとお話しした件ですけれども、今回の震災の経験で危機管理の大切さ、特に、あらゆる危機を想定してそれに対する対処の仕方、厳密なマニュアルも含めた、あるいは政治家の決断のあり方、いろいろな議論が続いているわけですけれども、原子力発電所に対する事故の場合の対応についてお聞きしたいと思います。  地域防災計画、これが原子力施設立地の地点から八キロから十キロ圏内の自治体のみになっている問題。あるいは、これは事故の場合ですけれども、近隣自治体同士の協力等の取り決めが非常に乏しいということ。もちろん県単位でもありますから覆えるという理屈もあるかと思いますけれども、例えば本当に危機的な事故、これはあってはいけませんけれども、あらゆる場合を想定するべきだと思いますから、危機的な事故があった場合に、当然交通麻癖ということが考えられると思います。あるいは安定性の沃素、これは三、四時間後に服用しても非常に効果があるということですけれども、避難してから隣の県に移って安定性沃素を服用したい、そういったニーズも当然考えられるわけです。  いろいろな事態が考えられるわけです。素人の私が考えてもいろいろなことがあると思うわけですけれども、そういった地域防災計画を実施をしているところがごく限られた距離の圏域のみという問題、近隣自治体同士の協力、そういったことについての取り組みが非常に乏しいということ、これについてぜひ改善をお願いしたいわけです。大臣の御意見をお願いします。
  69. 田中眞紀子

    田中国務大臣 昨日の予算委員会でも笹木先生がこの点を聞いていらして、あのときに、防災地域が、範囲が八から十キロとしているが、それで十分かというお尋ねがあったのですが、時間切れでお答えできませんでしたので、今それも含めてお答えしてよろしゅうございましょうか。  もう防災の問題は、原子力施設というのはもちろん極めて重要であるという、重要といいますのは災害対策でですね、意識は高く持っていなければいけないということはもう十二分に議論されていますから、繰り返しもいたしませんし、またその立地も、もう何度も何度も国会で言っていますから、時間の関係でいっぱいは申しませんけれども、十二分に検討され、地質調査等もされて、岩盤であって地震の耐震構造で云々ということでありますけれども、原子力施設だけではなくて一般の風水害等も含めて、今回のこの阪神・淡路大震災があってから、随分自治省も国土庁も、これは部分的なことではいかぬ、トータルにやっていかないと、地方公共団体の連絡はもちろん、それから沃素の提供、今おっしゃいましたけれども、そういうことも含めて、何で八キロか十キロか私もわかりません。何で十一キロじゃいけないのか、何で七キロじゃいけないのかという問題もあると思うのですね。  ですから、そういうことも含めまして、細かいセクショナリズムではなくて、トータルにどうやって対応していくのかという視点で国土庁もなさっていると思いますし、またこの点は私ども大変関心事項でありますので、担当の大臣にお尋ねをして、必要であれば事務当局から先生の事務所にお返事をさせていただきます。
  70. 笹木竜三

    ○笹木委員 それと、国際条約で原子力事故の早期通報に関する条約、昭和六十二年ですか、あるいは原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約、これも昭和六十二年ですね、こういった条約は日本も結んでいるわけです。  これも本当に可能性としては起こる可能性は低いにしても、こういった緊急事態の場合に、外国との関係で、もし日本で事故が起きた場合に通報するあるいは外国から援助を受ける、あるいは逆に外国で起こった場合に通報を受けるあるいは援助をする、いろいろな場合が想定されると思うわけです。そういったことについてどの程度細かい真剣なマニュアルができているのか。ガイドライン等は読んでおりますけれども、今度の地震の場合でも、外国との関係、援助の受け入れの問題ですとか非常に混乱をしていたわけです、これは原子力じゃありませんが。そういったことを想定してどの程度細かいマニュアルができているのか、そのことについて、役所の方で結構です、事実をお願いしたいと思います。
  71. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 先生御指摘のとおり、我が国は二つの条約に加盟しているわけでございますが、原子力防災は、基本的には我が国の災害対策基本法に基づく地方自治体に対する国の支援ということを基本に、体制あるいは緊急時の措置等定められているわけでございます。  国際条約でそういう事故の通報あるいは援助ということができ上がっておりますが、我が国としては、先ほど申しましたように国内の対応を充実させるということでやっておりまして、現在までのところ、詳細な援助を受けるあるいは通報するというようなマニュアルは、まだ完全なものとして整備されておりません。また、今回の地震というものを踏まえまして、そういう点も検討させていただきます。
  72. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひお願いしたいと思います。  今回の場合でも、危機管理に対して想定されていることが非常に能天気というかお粗末だったわけですけれども、もし原子力の事故があった場合に、これは国境がないわけです。これは別に日本だけじゃなくて、もし近隣の外国で起こった場合、これは国境がないわけですから、厳密なマニュアル、いざというときに対処ができるよう対応をぜひお願いしたいと思います。大臣にこのことについて最後に一言御意見をいただきたいと思います。
  73. 田中眞紀子

    田中国務大臣 スリーマイル島のことやらチェルノブイリやら、だんだんと身近に感じてきている中で今回の地震日本でも起こったわけでございまして、原子力施設は本当に安全にできておりますし、今回の地震発生後もすべての原子力施設の総点検をしていただきましたが、結果として何も異常がなかったことは大変幸いでありました。  しかし、やはり不安というものを払拭するために、私どもも外国から援助をお願いしなければいけないような事態にならないように最善を尽くしておりますが、私どもがむしろ外国にお手伝いをさせていただくようなマニュアルづくりというものは、これは当然だろうと思いますので、担当の方々とよく相談をいたしまして、早急につくれるように努力をさせていただきます。
  74. 笹木竜三

    ○笹木委員 それと、この原子力発電所に関する最後の質問で、これは事実について一言役所の方からお答えいただけば結構です。  立地についてなのですけれども、私は素人で余り詳しくわかりませんが、文献で読んだ限りでは、アメリカの場合には、活断層じゃなくて断層、動く可能性のある断層を含む敷地は原子力設置場所として不適当、あるいは動く可能性のある三百メートル以上の長さの表面断層が八キロメートル以内にある敷地は不適当、こういった指導というかガイドラインがあると聞いております。これに比べて日本は、これは国土も狭いですから、アメリカと一緒にしろということが言いたいわけじゃないですけれども、事実として、やはり立地についてはアメリカに比べれば結果的には甘くなっているのかということについて。  もう一つは原子力発電所の耐震の指針、最初に出たものが一九七八年ですか。それ以前に設計されたものが二十基ほどある。これについて、本当に耐震は大丈夫なのかどうか、この二点について、事実についてお答えいただきたいと思います。
  75. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 お答えいたします。  アメリカの立地についての考え方、先生御指摘のあった内容等でございます。結果として、我が国はそれより距離とかあるいはその他の要素を見ると甘いのではなかろうかという御指摘でございますが、私ども繰り返し御説明いたしておるとおり、その立地地点に即した耐震設計あるいは対策をやってきておるということでございまして、一概に距離あるいはその他の条件で比較するのはどうかなと思っております。今の基準で厳重なチェックをしていけば、安全上問題はないものと考えておりますが、今回の地震にかんがみまして、安全委員会に検討会を設置しておりますので、その辺で詳細な調査を踏まえまして、必要であれば指針等の検討をさせていただきたいと思います。  それから、古い施設二十基について大丈夫かという御質問でございますが、これは新指針を設定した場合、その都度過去に設置された原子力発電所についてチェックをいたしておりまして、物によっては安全委員会でも確認いたしております。  以上でございます。
  76. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひ詳細に検討、チェックを加えていただきたいと思います。また関連で次の機会に御質問をしたいと思います。  最後の質問、もう余り時間がないので慌てて質問をさせていただきますけれども、先ほど上田晃弘委員からも質問がありました。地震予知研究、非常に大事だと思います。一層の充実をお願いしたいと思いますけれども、先ほどから何度もお話があるとおり、震災とかいろいろな場合のこれからの原則として、官房長官も言われていますが、なるべく早い段階の、初期の段階での被害の把握、これをどれだけ早くやるか、これが非常に大事だということ。それと、先ほどから大臣からもお話があった情報の共有をいかにやるか、あるいは科学技術の実用というお話も何度かありました。  そういうことを考えまして、先ほどリアルタイムで被害を把握するというお話がありましたけれども、本当にそのとおりだと思うわけです。地震予知研究にも増して非常に大事なことで、国の予算を見ましても、地震予知関連では昨年度で大体全省庁合わせて百億円余り、これに対して防災は九千億円余のお金を使っているわけです、これは全省庁ですけれども。科技庁管轄でも防災研がある。ぜひこの防災ということについて充実をしていただきたいわけです。  それで考えた場合に、南カリフォルニアのテラスコープ、これはやはり非常に注目すべき点を持っていると思います。一つは、今気象庁でやっているシステムとしては、震源ですとかマグニチュード、これについては早く情報が入ってくるわけですけれども場所によってその地震度の分布はどうなのかというようなこと、あるいはそういった情報が、役所はもちろん、役所の情報の共有も非常にお粗末だと思うわけですが、民間も含めてその情報がどれだけ共有されているのか。  日本の民間は非常に優秀で、頑張っておられますから、例えばJR東日本はユレダスというシステムを持っている。揺れを早く把握して新幹線を早くとめよう、こういうシステムがあったり、東京ガスでは、なるべく早く把握をしてリアルタイムに近い形でガスをとめるシステム、これは実際にかなり時間がかかりますけれども、そういったことは確かにあります。しかし、これも今回の反省を見ても、実際にJR西日本とか大阪ガスで、やっていたとしても、やはりかなり問題点があったと言われております。  このテラスコープの場合には、ガス会社、電気会社、交通関係の会社に対して、情報が共有できるように、二十の会社に対してそういった地震度の分布を大体二分半から四分の間に即座に送るようになっている。共有がなされているわけです。これが非常に大事な動きだと思います。さらに注目すべきことは、これを二分半から四分を数秒に縮めようとしていって努力している。数秒以内にガスとか電気とか交通関係の会社にも情報が表示されるでしょう。もちろん自治体は当然です。  さらに、ノースリッジで今やろうとしていることは、EQEという会社と組みまして、断層あるいは活断層についての情報地域によって地盤がかたい、やわらかいがあります。地盤のかたい、やわらかいの情報、あるいはその上に建っている構造物がどうなのか、耐震の設計はどうなのか、こういった情報のソフトを組みまして、これと今言ったテラスコープ、これはQUBEシステムと組んで、要するになるべく早く、まだ分析に時間が一時間とか長いときでは四時間かかったりしているといいますけれども、なるべく早く、要するにどこが一番被害が大きいんだ、民間がその情報を受けた場合にはどこで最初にとめたらいいんだ、それを把握する。非常にいい動きだと思う。まだ完全に完成しているとはもちろん言えませんが、いい動きなわけです。  こういったことがあるわけで、決して日本地震予知研究のレベルが落ちているとは、劣っているとは思いません。こういった情報の共有ができていない、あるいは民間も含めてできていない。民間は民間で任せている面がある、防災ということについて。こういったことについてぜひ打破をしていただきたいわけです。  さっきも言ったように、国全体としては九千億円余の防災予算がある。これが一体何に使われているのだ。もっと科技庁が今言ったリアルタイムで被害を把握するということで、ぜひ大臣がイニシアチブをとっていただいて、リーダーシップをとっていただいて、こういったことをぜひ日本でも実現していただきたいと思うわけです。  私も、ここだけではございませんけれども、ぜひ近いうちにこのテラスコープのことも、もう一カ所のことも見学をしてみたいと思っております。大臣も、そういう危機管理のシステムという面では日本はまだまだ劣っておりますから、ぜひそういったことも実際に見ていただいて、そういったイニシアチブをとっていただきたいと思います。ぜひ御決意を最後にお願いしたいと思います。
  77. 田中眞紀子

    田中国務大臣 テラスコープのこともQUBEのことも、予算委員会で笹木先生がおっしゃってくださったおかげでよくわかりましたし、もう今先生がすべておっしゃったので、私が繰り返し言う必要もないと思うほどでございまして、やはり電気、ガス、水道のことが、ポケットベルの端末みたいな形からすぐばっとやって配管をとめるとか、あるいはすぐに別なシステムでもって水を出せるようにするとか、そういうふうな機能的なことができるのであれば、まさしくそれが、予知とか防災ではなくて、実際にすぐ役立つことなわけですね。  そういうシステムづくりがどこまでできているか、私は現在まだ掌握できておりませんので、こういうことは多分新しい提言になるのだろうと思いますので、そういうことを今回の防災のチiム、内閣だけではなくて各省庁におろしまして、そういうメカニズムづくりをしたいと思います。  ところが、何度も何度も繰り返しますように、日本地震活断層の上にある国ですし、それから都市が集中化していますので、私たち議員はみんなでもって知恵を集めて、余り都市の集中化は避けていく。そうしないと、結局幾らそういうシステムができ上がっていたにしても、水道管が破裂してしまえば、かわりの水も水の配管も、簡単に言えば破裂してしまえば送水できなくなってしまうわけですから、どうやって町づくりをしていくのかという、自分たちの日本という列島のこの中にある日本人が、どうやって自然と人生を少しでも被害を少なくして生きていくのかということのためにも、いろいろな英知を集め、さらにシステムづくりをしていきたいと思いますし、笹木先生がもしも視察にいらっしゃったら、ぜひその結果を教えていただけるように期待をいたしております。  ありがとうございました。
  78. 笹木竜三

    ○笹木委員 そのノースリッジの研究者は日本人の方が中心になってやっておられるわけです。金森先生がやっておられるわけですし、ぜひそういったことを検討をお願いします。  それで、今度のこの震災に対するお粗末な結果を見ても、先ほどからお言葉はありますけれども、縦割り行政の打破、これをやはり政治家が本気でやっていくしかないと思っているので、ぜひそういったことをお願いしたいと思います。  質問を終わります。
  79. 野呂昭彦

    野呂委員長 鮫島宗明君。
  80. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 新進党の鮫島でございます。  今回の阪神大震災は、ただ阪神地区に物理的な衝撃を与えただけではなくて、日本がなれ親しんできたシステムの脆弱性を明らかにしたという意味で、大変大きな意識的衝撃を多くの人たちに与えたというふうに私は認識しております。行政情報の流通にしても、あるいはその管理、意思決定のシステム、これまで日本がこれでよかれと思って組み上げてきた世界ががらがらと音を立てて崩れた一日本の構造的欠陥あるいは制度的欠陥というものが、地震一つのきっかけとして、次々と明らかにされているのではないかというふうに思います。  我々、やはり政治に携わる者としては、五千三百人を上回る犠牲者の方々の霊に報いるためにも、今回の地震で明らかにされた日本の構造約欠陥あるいは制度的欠陥を直視して、それを乗り越えるために努力しなければいけないのではないかというふうに思います。  地震で破壊されることによって社会不安を引き起こす施設として、先ほど来、原子力発電施設の問題が取り上げられておりますけれども、広い意味での放射性物質の取扱施設、あるいは、それとやや質は違いますけれども病原性微生物、あるいは微生物に限りませんけれどもバイオセーフティーを必要とするような施設、こういう施設というのも、やはり破壊されることによって社会不安が引き起こされる施設として、我々は特に注意しなければいけないのではないかというふうに思います。  多くの大学病院あるいは大学の医学部、国公立の研究機関、それから民間でも製薬会社を初めとして生物産業関連の研究機関については、バイオセーフティーを必要とするような施設というのが多々あると思いますけれども、そのような施設が今回の震災によってどのような破損を受けて、本来ですと封じ込めが必要とされているような病原性の微生物等が環境中に放出されたというようなことがなかったのかどうか。  マスコミ等では報道されておりませんので、多分大きなインパクトを与えるような事故はなかったんだと思いますけれども、もし文部省の関係で、大学の病院あるいは大学研究施設等で、最近では組換えDNAの実験も一般化していて、そういうための特別な施設も多いと思いますけれども、それを含めて、バイオセーフティーを必要とするような施設の破壊がなかったのかどうか、環境中に放出がなかったのかどうか、お調べの範囲でお願いしたいと思います。
  81. 霜鳥秋則

    ○霜鳥説明員 先生お尋ねの件でございますが、今回の震災におきまして、神戸大学等関係大学に問い合わせてみたところでございます。  一部病院の中で棚が壊れ、シャーレとか試験管というのが壊れたということがございましたが、震災後、直ちにその部屋を立入禁止として消毒を行っております。したがいまして、病原菌等が外へ漏れるという事態はございませんでした。  大学全体におきましても、人体に有害な影響を及ぼすおそれのある微生物等が環境中に放出されたという例はないというふうに聞いております。
  82. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ありがとうございます。不幸中の幸いだったと思います。  今まだ上水が完全に復旧しておりませんけれども、今度の震災の後の政府の復興対策を見ておりますと、先の事態を判断して復興の手を打つということが非常におろそかになっているのではないか。  例えば、食品を緊急輸送して運べば、当然その排せつ物は出てくるわけですし、今度上水の復旧に伴って問題になってくるのが、下水管の破損あるいは廃水槽の破損というのが恐らく次に問題になってくる。特に病院あるいはそういうバイオの研究施設等からの廃水は、放射性物質の取扱施設の場合には希釈槽が必ずその施設の下に用意されていて、一定のレベル以下に希釈して下水に流すことになっています。それから病院とかバイオの研究施設の場合では、そこで一次消毒して、滅菌処理をしてから廃水槽に流すことということになっております。  そういう一次処理槽の破損により、上水が復旧して水が潤沢に使えるようになってきてからしみ出していることがわかったり、下水管が恐らく各所でずたずたになっていると思いますけれども、そういうことが上水が復旧をしてまた数日後に明らかになる、こういうことは最初からわかっているわけですから、上水の復旧にあわせて下水の点検あるいは廃水槽の点検というのもきちっとやっておかないと、いつになってもばたばたした復旧対策になるのではないかという気がいたします。  このようなバイオセーフティーを必要とするような施設についてですけれども、つい最近も北大の方で、日本で初めてある特定な酵素の欠損症の患者の方の治療に遺伝子治療が応用されることが決まりましたけれども、この分野については、科技庁がリーディングエージェンシーとして、組換えDNA実験の普及あるいはその社会的認知の問題といいますか、パブリックアクセプタンス、社会的受容性といいますか、その問題については主導的役割をとってきたわけです。  長官も御存じだと思いますけれども、いわゆる組換えDNAの実験指針というのが一九八九年の八月二十八日に科技庁から出されて、それと同じような組換えDNAの実験指針は文部省でも持っておりますし、それから実験段階を超えて応用段階のところについては、それぞれの産業省庁が独自にまた組換え体の取扱指針というものを用意しているわけです。当然こういう指針をお持ちだということは長官も御存じだと思いますが、この実験指針をつくっていく段階で、日本の制度的欠陥というか、開発途上国的構造というのが実は明らかになった面があります。  それは、こういう組換えDNAの実験指針は、基礎技術はアメリカで開発されて、それが将来社会的に大きな影響を及ぼす、あるいは夢の技術として遺伝子操作実験というのは大変大きな注目を浴びて、ただ、それについては、とにかく自然界に存在しない生物をつくり出したり、神様の設計図とも考えられるような遺伝子を人間がいじるというわけですから、やはり世界的に共通のシステムあるいは共通の安全基準によって行おうという機運が高まって、OECDの場で各先進国が共通のガイドラインづくりを行ったわけです。  そのときに、実は日本には病原性の微生物なり、いわゆる病原体を扱うための安全指針がない。これは先進国の中で日本だけでして、ほかの国はみんなベースとして、まず病原体等の管理規定なり安全システムについては既に国として持っていて、それを土台にして、さらにそういう微生物の遺伝子をいじる場合には、特別にもう一段規制の強い施設が必要ですということで、組換えDNA実験指針のフレームというのができ上がっているのですけれども、そのときに、日本にはなぜ病原性の微生物を含む病原体の取り扱いについて、国としてのシステムがないのかというのが大変問題になったのです。このような経緯については長官は御存じでしょうか。
  83. 田中眞紀子

    田中国務大臣 細かい経緯につきましては承知しておりませんので、事務当局からお答えを申し上げますが、基本的な認識といたしましては、世界共通の安全基準、ガイドラインというものをつくらないといけないということはもう基本だろうと思っております。  今お尋ねの基本的な細かい面につきましては、事務当局からお答えを申し上げたいと思います。
  84. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 細かい点は別によろしいのですけれども、今実態がどうなっているかといいますか、科技庁がつかんでおられる情報、多分一番大きいのは文部省関係の大学の病院あるいは大学の医学部、もちろん科技庁は科技庁で生物系の実験施設をお持ちでしょうけれども、そういうところで、組換え体の実験指針じゃなくて、いわゆる一般の病原体の取扱指針についてどうなっているかということです。
  85. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 先生御指摘のとおり、病原性微生物につきましては一般的な安全指針がございませんで、国内におきましては厚生省、農水省あるいは研究所単位でそういう安全指針をつくりまして対応しているというふうに聞いております。  大学につきましては、大学の方からお答えいただきたいと思います。
  86. 霜鳥秋則

    ○霜鳥説明員 先生お尋ねの大学関係でございますが、例えば、お話にございますように組換えDNA実験につきましては、文部省におきまして大学等における組換えDNA実験指針というのを定めておりまして、また、各大学におきましても、この関係の安全委員会というのを設けて実施してございます。  一般的に病原体等の安全管理という面につきましては、国立予防衛生研究所におきまして代表的な規定というものが制定されております。また、ウイルス研究に関しましては、日本ウイルス学会が一昨年にウイルス研究におけるバイオセーフティー指針というのを定めたところでございます。したがって、大学等におきまして関連の研究を行おうというときには、これらの規定とか指針というものに準拠しながら、安全かつ適切な実施を図るということで行っておるわけでございます。  病原体を含む微生物等の研究に当たりましての安全確保につきましては、文部省における指針の制定のほか、研究者による自主的な規制等に従って行われておるところでありまして、私どもといたしましては、その安全性の確保につきまして、今後とも関係者に注意を促してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  87. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 もちろん、厚生省の予防衛生研究所が自主的な安全管理規定をお持ちなことは私も存じ上げております。それから、農水省でも家畜衛生試験場は恐らくお持ちでしょうし、大学の方でも、ウイルスについては今バイオセーフティーのシステムが提言されているということでしたけれども、この組換えDNA実験の指針のように、病原性の微生物を中心とするような病原体を扱う施設あるいはそれを扱う研究者については、当然一定の指針が国として示されるべきです。  予防衛生研究所の場合はアメリカのNIHのシステムに準じておりますけれども、病原体を扱うところには全部こういう、放射性の危険物のマークと違いますけれども、バイオハザードのマークというのを必ず打って、厳重な保管、そしてそれを実験として使う場合あるいは治療用のワクチンをつくるために使う場合でも、すべて取扱責任者の許可のもとに番号のついた検体を取り出して、またそれの処理の仕方、捨て方についても、特に病原性の強いものについては隔離施設の中で行わなければいけないとか、大変厳密なシステムを先進国の場合は持っているのが一般的。  これは、まだ明治以来近代化の歴史が浅いと言ってしまえばそれまでですけれども、残念ながら日本としてはまだこの分野については国家的な安全性の取扱指針というのができておりませんで、私は、これは今回の震災が教えた一つの教訓として、科学技術会議等でぜひこの問題を真剣に討議していただいて、日本の制度の充実に資していただきたいというふうに思いますけれども長官の御意見は。
  88. 田中眞紀子

    田中国務大臣 鮫島先生の御趣旨、大変今よくわかりました。  要するに、DNA研究というものの重要性、それから危険な面もあるという基本的な認識を十二分に持てば、今のよう文部省であり、農林水産省であり、厚生省であるというふうなことではなくて、政府でトータルに指針を示すべきであるというお考えは当然のことであると思いますので、また今現在がかわっている関係省庁ともよく連絡を密にとりまして、そのような方向づけを打ち出せるように閣内でも発言していきたいと思います。
  89. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 ちょっと今長官の御発言、組換えDNAの実験指針についてはできているのです。ところが、一般の病原体についての取扱指針ができていない。普通はそれが一階にあって、二階部分として組換えDNA実験の指針ができているのが一般の先進国の構造ですけれども日本は、一階の部分がなくて、いきなり空中楼閣のように二階だけが存在している。これはやはり制度的には脆弱な構造で、不備と言われてもしょうがないのではないかということです。ぜひこれは前向きに御検討いただきたいと思います。  この組換えDNAの実験施設でも同じですけれども、そのような非常に取り扱いに慎重を要するような病原性の微生物等を扱う場合には、どうしても日本研究所の構造の場合には、サポート部門が弱いということが常に言われております。専門研究者はいるのですけれども、海外で言ういわゆるテクニシャン、しかも、特にこういう病原性の微生物なんかの取り扱いについては、その分野に習熟したテクニシャンの整備がぜひとも必要だというふうに長い間研究サイドからは指摘されております。  今度、科技庁の方で、そのことに関連しまして重点研究支援協力員制度、サイエンス・スペシャリスト・バンクという制度を新しくお考えだというふうに伺っておりますけれども、ただ、この説明の一枚紙を見ますと、サイエンス・スペシャリスト・バンクという名前にもどうも私はぴんとこないところがあるのです。むしろシニア・テクニシャン・バンクと言った方がいいのかもしれません。  この説明紙にも「研究者OB等高度な知識、技術を有する重点研究協力員」というのが例示として挙がっていまして、どうもねらいとしては、定年退職した研究者をスペシャリストとして認定して、ある特殊な技術を必要とするよう研究分野のサポーターとして配置しようというお考えように見えるのですけれども、そういうふうに考えてよろしいのでしょうか。
  90. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 ちょっと実務的な問題を含みますので、私からお答えさせていただきます。  今先生御指摘のように、この重点研究支援協力員制度、これはまさに先生がおっしゃいましたような基礎研究研究者が専念できるように、スペシャリスト技術者の助力が必要である、そういうところに着目いたしまして、一つの試みといたしましてこういう制度を設けたということでございます。したがいまして、決しておっしゃいましたようなOB対策としてというふうにその運用が流れないように、まさに制度の本旨に沿った運用をしていきたいと考えております。  ちょっと細かくなりますけれども、そういう方々の供給面からのフィージビリティーが本当にあるのかどうかというようなことも、この制度を企画するときに考えたわけでございますけれども、幾つかの国研にいろいろとアンケートをとってみますと、まさにOBの方というよりもポスドクの方々とか、あるいは結婚退職された女性の研究者、そういった方々を非常に多く推薦してきておられるようなところもございます。もちろんOBの方もおられるかとは思いますけれども、そういう実態を踏まえて、制度の趣旨に沿った運用をしてまいりたいと思っております。
  91. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 多少それを聞いて安心いたしますけれども研究者のライフスタイルを考えるときに、大学を二十二で出てから、私は現役は大体五十までと思っていますけれども、今の国の試験研究機関でも四十から四十五歳ぐらいで研究室長になって、十年ほど研究室長をやってから、部長とか所長というもっと高度な管理職にかわっていくわけです。  そういう研究職のライフスタイルを考えますと、六十歳で定年したときは、その前十年間は少なくとも手と目を使った精密な実験に携わるということはないわけでして、その十年間には、例えば同じ電子顕微鏡といえどもすべてコンピューター制御に変わるとか、固定・包埋のシステムも変わるとか、十年間の技術の研究の世界における変化というのは大変激しいものがありますから、十年間管理業務についていたOBの方が実験室に実際に配属されても、手よりも口が動くという方が多いようになったり、これは別に研究の世界は特殊というふうに余り考えていただかない方がいいのじゃないか。  むしろ行政の場でも、例えば最近は行政も高度化し、あるいは国際化しているから英語の読みこなしも大事だ、そういう書類がたくさん来るから、じゃ、去年やめた隣の課の課長さんをスペシャリストとして来ていただこうかということが蔓延したら、恐らく役所は大混乱するのじゃないかと思います。  それと同じことが研究所でも言えるわけですから、やはりOB対策としてこの制度を使うということは本来の趣旨に反しますので、今おっしゃいましたようにポスドクの人もかなりの人数でおりますし、それから、これは長官も同意してくださると思いますけれども、本当に研究がやりたくても、結婚、子育ての間でどうしても一たん研究を外れて、そのことによって職を失っているような高度な技術を持った科学者もたくさんおりますので、そういう方々に門戸を開く制度としてぜひ運用していただきたいというふうに思います。  次に、ちょっと行政改革のことについて簡単に触れたいと思いますけれども、私は、はっきり言って、今政府がおやりになっている行政改革については余り理解できない。つまり、どういうことかといいますと、今表面的に私どもから見えております村山内閣の行っている行政改革というものは、言葉は悪いかもしれませんけれども、特殊法人のねらい撃ち、九十二の特殊法人の数をとにかく減らすんだというところに力点があるのが、今の村山内閣の行政改革というふうにとられてもしょうがない状態ではないかと思います。  本来でしたら、今度の震災の教訓を受けるまでもなく、まず地方と中央の関係がどうあるべきか、どこまで地方に行政権限を与えるべきか、本当に防災機能に富んだ都市をつくるために、あるいは町づくりをするためには、恐らくかなり大胆に、特に土地利用の権限を中心として地方政府に与えない限り、有効な防災対策は根本的には私はできないのではないかと思っておりますけれども、そういう地方政府と中央政府の見直しかあって、そしてコスト感覚に富んだ、しかも機動的な中央政府のあり方が決まった上で、現在の官僚組織といいますか、中央政府を点検して、そして省庁の統廃合がどう必要か、あるいは現在の中央省庁が抱えている現業部分をどうするか、そういう議論を経た上で、行政の補完部門としての特殊法人のあり方なり公益法人のあり方が問題になってくるのではないか。  あくまでも全体構造の中で特殊法人を位置づけない限り、これをきっかけとして本格的な行政改革を行うと言っても、特殊法人をある意味では余りにも特殊化して、その分野はとにかく絞り切るんだということを最初にたがをはめてしまいますと、むしろ今後の本格的な行政改革の展開を縛るのではないかというふうに私は個人的に考えております。  科学技術庁においても直轄の研究機関、いわゆる国立の研究機関として、航空宇宙技術研究所を初めとして五つの研究機関を持っておるわけです。それに加えて、特殊法人として、日本原子力研究所、理化学研究所という二つの特殊法人としての研究機関をお持ちだと思います。  私は、特殊法人として研究所を運営する場合と国立機関として運営する場合と、おのずから考え方に違いがあるはずでして、この理化学研究所と原子力研究所を特殊法人にしているのは、特殊法人とすることのメリットが恐らくあるからそうしているんだというふうに考えるんですけれども長官としては、特殊法人あるいは国立機関として持つことの違いといいますか、むしろこの二つについては特殊法人にすることによって一層の機動性、効率性が図られるというふうに御認識なのかどうか。いわゆる特殊法人としての研究機関のメリットについての長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  92. 田中眞紀子

    田中国務大臣 先生たくさんのことをおっしゃったので、十二分にお答えができるかどうかわかりませんが、冒頭におっしゃった、今の内閣の行政改革が、何といいますか、数合わせのようにおっしゃっているかと思いますが、これは今の与党とか内閣という仕分けはしなくても、随分前から行政改革の重要性が言われてきたことはもう御案内のとおりでございますし、特殊法人だけを数合わせでやっているわけではございません。  それはもう村山総理が衆参両院で再三にわたって繰り返しおっしゃっておられますし、今またまさに行政改革をしようとしている途中の段階でありますから、そこでもって結論も全部トータルで出たわけでもございませんので、こうだ、ああだという評価はまだできないと思います。  それからまた、私の個人的な考えでございますけれども、行政改革は、今特殊法人を統廃合とかあるいは民営化とかすれば、それで全部終わってしまうというものでは決してなくて、まだまだ三十年も五十年もかけて、いろんな面でその時代に合わせたようなむだの見直しという意味からいっても、やらなければいけないことというのが次々出てくると思いますので、今の状態だけをショートレンジでごらんになって、これはおかしいんだというような評価づけをしていただくのは、ちょっと当たらないんじゃないかなというふうに思っております。もっと先々、長い目で、いろいろな政権で、その時々に合わせた改革というものはしていかなければいけないんではないかというふうに思います。  それから、科技庁に関連しておっしゃっていますが、特殊法人というものにおいては、国の機関と比べて財政上、研究者の身分上の制約が少ないことから、弾力的な運用ができて、研究者の裁量を生かして創造的な研究開発を推進し、あるいはこれらの支援を行うことが可能であります。また、民間等との連携協力も行いやすいという長所も有しているわけでございますので、いろいろな矛盾もはらんでいると思います。  今、私どもも二つの特殊法人の統廃合というふうなことを提案をさせていただいておりますけれども、それがベストであるとは思っておりませんし、また、理研には理研なりの存在理由がありますし、むだな面とかほかのところと競合しているような部分、同じような機能をしているところであれば、そこはそこで内部的にまた調整をしていこうという途中でございます。
  93. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 行政改革は総括的、長期的な立場で臨むべきだという長官の御意見には、全く私も賛成でございます。  そういう流れの中で、特殊法人というのも、一つの行政の補完的な機関として上手に使えば、非常にそれは生かしようがあるわけです。ですから、今後の審議のしようによっては、あるいは全体構造の再設計という流れの中では、一時的に数がふえたり、必ずしもその数が少なきゃいいという話ではなくて、今まで国の機関としてやっていたものを特殊法人として一段落として、さらに、それがもうちょっと効率的な運用ができるようになったら民間に落としていくというよう変化をとらえれば、特殊法人はとにかく少なくなければいけないのだと、それがないことを願いますけれども、そういう考えがあるとしたら、それは非常に行政改革の可能性を狭めるものだという心配で私は申し上げております。
  94. 田中眞紀子

    田中国務大臣 ですから、数の問題ではなくて要は質の問題。どれだけ公正に、そして有効に効率的に機能しているか、そして、むだがあればそれを見直していこうという視点は、どなたの考え方も同じだろうというふうに思います。
  95. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 御承知のように、今直轄研究機関というか国の研究機関、全部で九十ありますけれども、性格的に大きく二つに分かれて、基礎的・先導的研究を専ら担う機関と、それからその産業領域の応用技術を開発する研究機関と、性格的には二種類あると思います。  特に前者の方、基礎的・先導的研究を担う機関については、これはむしろ特殊法人として考えた方が、国際的な対応なり、あるいは民間との交流研究を進めるという意味では、国の機関としてそういう基礎的・先導的機関を縛りますと、例えば海外からノーベル賞クラスの方がセミナーを開いても、謝金が二万円しか払えないとか、あるいは民間との研究交流というのは、お金の問題で国には一銭も入らないとか、運営が硬直的で、効率的な運用を大変妨げている面があるということを考えれば、むしろ理化学研究所の先例に倣って、現在ある国の研究機関の中でも幾つかのものは、もしかしたら特殊法人にした方がいいということもありますし、現場からもそういう希望はかねてより出ているということも、ちょっと頭の片隅に置いていただけるとありがたいと思います。  時間もありませんので、嫌な質問ばかりして恐縮なんですけれども、ちょっと高レベル廃棄物の輸送の問題で、一点だけお伺いしたいと思います。  予算委員会社会党の今村議員の方から、一昨日ですか、質問があったというふうに聞いております。前回のあかつき丸によるプルトニウムの輸送のときに、大変大きな国際問題になったことはもう長官も御承知のことと思いますけれども、その後、江田長官のときに、今後そういうプルトニウム類似の高レベルの物質を運ぶときは、ルートと日程の事前公開を原則とすると言ったか、とにかく事前公開するように努力するというふうに答えていると思います。  今度、今月の下旬にも高レベルの廃棄物が日本に運ばれることになっていますけれども、いまだにどういう船で運ばれるのか、あるいはその日程はどうなのか、ルートはどうなのかということが明らかにされていなくて、既に昨年末から、このことについてはさまざまな国々から不安を表明する声、あるいは幾つかの国は反対を表明しております。こういう流れの中で、私は、公開の原則からいって、特に今度の場合、プルトニウム本体ではなくて高レベルの廃棄物ですから、余り神経質にならずに、やはり使う船体とルート、日程については明らかにした方が、むしろ国際的な関係を考えるとよろしいのではないかと思うんですけれども長官の御所見を伺いたいと思います。
  96. 田中眞紀子

    田中国務大臣 あかつき丸の件は、あれは日本独自のことで、日本の船で輸送をいたしましたのですから、そのときの江田先生の御発言はそれでよろしいと思いますし、私も同感です。  今回は、今鮫島先生がおっしゃいましたように、プルトニウムではなくて高レベルの廃棄物でございますが、これはフランスのコジェマに依頼してありましたものをイギリスの船会社で輸送するというのが実情でございます。  そして、私ども政府といたしましては、再三再四、輸送ルートの公開等、情報公開ということはぜひしていくべきだということはお話はしておりますのですが、輸送主体でありますイギリスの船会社が、いろいろな国際的な妨害等で何かがあるといけない、輸送の安全確保という視点からルートについては公開はしたくないという意思を持っておられます、残念ながら。ただ、船名でありますとか期日につきましては直前に公表する。フランスも同じような立場でおられます。  ですから、私ども日本の出先の大使を通じまして、イギリス、フランスに私どもの趣旨を何度か働きかけはしておりますけれども、今のところは、フランスとイギリスはルートの公開はしたくないという立場を持っておられるようでございますから、そうであると、受け入れ者としての日本だけの、私どもは運搬をする当事者でないだけに、国際関係でありますから、相手の方の立場、安全に対する認識というものも尊重せざるを得ないというのが実情でございます。現在の状況でございます。
  97. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 フランス、イギリスがむしろ事前公開に消極的ということで、イギリスといった場合にイギリスのどこが、あるいはフランスといった場合にフランスのどこが消極的なのか。イギリスの場合、今、船会社というふうにおっしゃいましたけれども、もうちょっとその辺わかったらお教えいただきたい。  なぜ私がこういうことを聞いているかというと、せっかく科技庁が、江田さんの発言をきっかけにして、なるべく事前公開という姿勢をとりたいというふうに思っているのに、私は、イギリス、フランスも恐らく自分たちの国がやる場合は事前公開するんじゃないかと思いますけれども、今回、だれがその情報公開を阻んでいるのかということをある程度国際的に明らかにしないと、また日本の科技庁が公開を阻んでいるというふうに誤解されかねませんし、むしろそこのところは、どこがどういう不安で公開を逡巡しているのかというのを明らかにする必要があるのじゃないかというふうに思うのです。
  98. 田中眞紀子

    田中国務大臣 繰り返しになりますけれども、輸送をする方が全責任を持っておられるわけです、輸送中につきましては。ですから、そのときに事故あるいは何かトラブルがあってはいけない。安全ということを考えておられるわけでございますから、それは私ども依頼者が自分の船で運ぶわけじゃありませんので、先方の立場を尊重するというのは当然のことではないかというふうに思います。
  99. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 今回の輸送は、最終的な輸送の全責任はフランスの核燃料会社、コジェマと称しておりますけれども、その会社が責任を持ち、具体的な船によります輸送は、このコジェマとの契約に基づきましてイギリスの核燃料会社、BNFLという会社が担当する、このような形になっておるわけでございますが、今回このような輸送の関係の情報の公開につきましては、単に事業者だけではなくて、それぞれの政府も関係をいたしまして、この問題について話し合ってきたところでございます。  個々のそれぞれの主張点について、今まだ協議中でございますので、余り細かく申し上げるのは適切じゃないかもしれません。しかしながら、大臣も御説明申し上げましたとおり、この輸送に直接責任を持っておりますそれぞれの関係機関あるいは国が、航行の安全という点を中心に、特にルートの公開については大変慎重である、このような状況であろうかと思います。
  100. 鮫島宗明

    ○鮫島委員 おっしゃっておられることの趣旨は理解いたしました。ただ、私がちょっと気になるのは、もちろんさっき長官がおっしゃったように、あくまでも輸送の直接責任者はイギリスの船会社で、その船会社が情報の事前公開を困ると言っている以上は、それを尊重するのが当然だということですけれども、むしろそれについては、科技庁のお考えになる、少なくとも今後はなるべく情報の事前公開に努めるという姿勢を保つとおっしゃっているわけですから、その哲学といいますか、なぜ公開が必要だと思っているのか。  まあ、きょうはこれ以上聞きません。またいずれ、もうちょっと質問時間を長くいただけるときにゅっくりしたいと思います。事前公開の必要性をなぜ必要だと感じておられるのか、それによって相手の船会社との交渉の仕方あるいは相手国政府との交渉の仕方も変わってくるのではないかというふうに私は思いますけれども、この点については、また機会を見て再質問させていただきたいと思います。  きょうは、とにかく一番私が申し上げたかったことは、前半の部分でいたしました病原体を含む病原性微生物の取り扱いについて、ぜひ国として国民が安心できるような取り扱いの指針を、共通的なものをつくっていただきたいというのが私のきょうの質問を通じての一番のお願いでございます。よろしく。  どうもありがとうございました。
  101. 野呂昭彦

    野呂委員長 午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時開議
  102. 野呂昭彦

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田清司君。
  103. 上田清司

    上田(清)委員 新進党の上田清司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  長官所信表明を一読させていただきましたら、大変文学的な表現の中にも意気込みを感じまして、なおかつ、未来志向の前向きな姿勢に高く敬意を表したいというふうにまず申し上げたいと思います。  そこで、科学技術政策の中でも、とりわけ先をどうするかということに一番大事なお金をかけなきゃならない。成るか成らないかわからないものとはいえ、とにかく先を見通した政策の実現を図らなきゃならないという意味において、創造的な基礎的な研究についての開発費用、これを惜しむべきではないというふうに考えるものでございますが、どうもそれぞれの資料を見ていきますと、随分弱いのではないかなというところで、この点について基本的な御所見を承りたいなと思います。  例えば、日本はすべての研究費総額の中での政府負担額が一八・二、アメリカでは四三・五、ドイツ三四・一、フランス四七・五、英国三五・八と、要するに、政府が思い切ってそうした研究開発にお金をかけていないという一つの証拠でもあるわけですが、そうした点についてどんな形で踏み込んでいけばいいか、御所見を承りたいと思います。
  104. 田中眞紀子

    田中国務大臣 お答え申し上げます。  科学技術庁全体に対します予算は、十四年ぶりに今回たくさん予算をつけていただけたというふうに思っておりますが、そのこともまた、世間の科学技術の重要性に対する認識が高まった証左だろうというふうに思って評価をいたしております。  数字から申しますと、ここに平成五年度の数字等がございますけれども、本当に上田先生が御指摘なさったとおりの結果でございますので、今後より一層政府研究開発投資の拡充をするよう、それには社会の認識、理解というものが高まらないとなかなか難しいかと思いますので、そのように努力をしていきたいというふうに思います。
  105. 上田清司

    上田(清)委員 そこで、研究者の人の部分に関しては、私は、諸外国と比較しましても相当数優秀な方々がおられるというふうな判断をしておりますのでは、その人にお金をかけることができているかどうかというところに大きなポイントがあるんじゃないかなというふうに思います。  端的に、ノーベル賞がすべてを代表するわけではないんですが、これも一つの目安ということであれば、日本に自然科学部門で五人しかいない。もうアメリカなどは百六十人、ドイツ六十人、こういったところを見れば、天才、奇才をこの日本の教育あるいはまた研究者の中で育てていくという志向が十分ないんじゃないかなということで、これをもう少しきっちりやれよというようなことを言うつもりでありましたら、その後、資料を私なりにそろえさせていただきましたら、結構いろいろな制度ができ上がっておりまして、独創的個人研究育成制度であるとか、科学技術特別研究員制度であるとか、あるいは基礎科学特別研究員制度だとか、さまざまな形で人に対しての育成、あるいは研究開発費を重点的に振り向けるという仕組みもでき上がってはおりますが、いかんせん、全体の中での費用が少ないということだけは否めない事実だと思いますし、人の部分にお金をかけている以上にその他の物価が上がってきていて、予算面についても現実的には逼迫している。  それで、もう一つだけ私どもの方から特に御提言したいことは、多分、書類審査だとか人物評価だとか、そういうところの部分で相当な書類を積まなければならないという部分がございますので、例えばそうした書類選考の部分を二分の一にすれば二倍の成果が出るのではないか、三分の一にすれば三倍の成果が出てくるんじゃないかなというふうに思っております。  といいますのは、先の見通しについて、十分な見通しかつかなければお金が出ないとか研究員になれないというような形でありますと、独創的な部分についていま一歩の踏み込みが、ある日突然ひらめくというのもおかしいんですが、先が全部見えるわけではありません。そこの部分をぜひ事務方の皆様方には、大変口幅ったい言い方で恐縮ですが、これからの一つのそういう選抜の仕組みも、もし書類が二十枚あるんだったら十枚、五十枚あるんだったら十五枚にしていくような仕組みが、多分これからの日本の独創的な科学技術の発達を促すものになるということをあわせて提案したいんです。  こうしたアイデアも含めて、人についての育成体制、そういうものについての長官の御所見もあわせて承りたいと思います。
  106. 田中眞紀子

    田中国務大臣 今御指摘なさいましたような仕組みの硬直性といいますか、そういうものは前から指摘もされておりますし、これはもう現実的に組織的なもの、構造的なものを改革していく以外にないというふうに思いますし、そのような努力をさせていただきます。  ですが、人材育成というグローバルなポイントでいきますと、私は入り口論と出口論というふうに自分で勝手に名づけておりますんですが、本当に人材育成ということは、科学技術庁だけではなくて、文部省やら、それから社会教育、家庭教育、すべての面で広範に長期的にとらえていかないと、よい人材は得られないのではないかと思います。  その入り口論と申しますのは、初等中等教育の辺での学校教育、あるいは家庭での母親とのかかわり合いなんかもあるかと思いますけれども、不思議に思うとか、おもしろく思うとか、そういうふうな知的な好奇心を上手に引き出して、それを育ててあげるような教育が今の日本の学校教育の中であるだろうか。知育偏重といいながらも、個人が持っている素朴な疑問とか喜びとかいうものを引き出すようなものがないと思っています。その辺が、私は文部省に何度も手紙を差し上げたり、大臣に伺ったりしておりまして、これは時間がかかることですけれども、人材育成には基本になることと思います。  出口論と申します方は、大学研究室等での予算がないために、特に国立の大学なんかでございますけれども、環境が整備されていないということは言えると思いますし、同時に、今度は社会に出ましてからも、先ほどの午前中のお尋ねにもございましたけれども、職場での待遇が恵まれないということのために、そちらの方向に伸びていく方が少なくなってしまうということもあると思いますので、前段申し上げたこととあわせまして、今後できるだけ早くに何か体制づくりをしていかなければいけないというふうに思っております。
  107. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  ODAの予算をある時期から特別枠の考え方で、国際貢献に対する日本一つの姿勢ということではっきり示してまいりましたが、この科学技術分野においても、ある意味では国際的な貢献の一つとして基本的に考えていいという立場からも、ぜひそうした意味での研究開発費にかける大臣の意気込みというものを、私どもも協力させていただきますので、次年度予算についても、また今年度も含めて、これから補正も含めてお力添えを賜りたいというふうに申し述べさせてもらいたいと思います。  続きまして、阪神・淡路大震災における科技庁の対応について幾つか御質問をさせてもらいたいと思います。  とりあえず二月七日の「平成七年兵庫県南部地震への対応について」、これが初期レベルにおける一つの報告というふうに承っております。ここで大変申しわけありませんが、「科学技術庁としての対応」、「地震予知研究の促進 地震予知推進本部幹事会一十八日(水)において、今後の観測研究の進め方について、中長期的な観点から、地震予知連絡会とも協力しつつ、検討を行っていくこととされた。」この後の②、③は何を言いたいのかはよくわかるんですが、この①なんというのは何のことかさっぱりわからない。多分、普通の方が読めば、何かやっておるけれども、何のことかよくわからないというような御判断になるんではないかな。これは大臣でも多分そうではないかなと思うんです。  まさに全国民がメンタリティー的には本当に被災者になったような思いで取り組んでおられる中、こうしたものは余りよくないな、こんなふうに実は考えておりまして、こういった点については、これからもこのようなことも出てきますから、ぜひ反省をしてもらいたいなと思います。基本的にはこういうことはよくないよ。何のことかわからないことを書くな、何もやっていないのと同じだというふうに私は受けとめます。  それで、これはちょっと御注文だけにさせてもらいますが、②の「科学技術振興調整費による緊急研究を実施する(八省庁の十機関が参加)。」私は、この部分については大変重要だなと思っておるのは、実は火災と消防あるいは交通対策、土木建築対策については、火災消防はほとんどの仕事が地方自治体レベルになっております。したがって、八省庁十機関が緊急に研究した成果を早く出せば出すほど、三月議会の予算の部分に間に合うことも可能でありますし、それから交通対策についても、県警レベルが中心になっておりますので、これも基本的には県という一つの単位の自治体でございます。そういう部分についても、十分な緊急的な研究成果を出すことによってそれなりのまた対応ができる。あるいはまた土木建築についても、市町村、県レベルでも相当な公共事業がございます。さらに、民間レベルでも大変多くの建築土木関係の仕事もございます。  そういう意味において、この緊急の研究がどれだけ早く出るかによって、あるいはこれからも常にそうした地震を含めた災害に遭う可能性もないとは言えないわけですから、ぜひこの研究チームの成果というものを早く出せるようにしてもらいたい。もし正式にいつまでにできるのだというようなことがわかるのであれば、その辺のことについて今どういう状況であるかを中間報告していただければありがたいと思います。
  108. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 今先生御指摘いただきました「科学技術振興調整費による緊急研究」でございますが、これは本年度の予算で一月末に取り急ぎ始めさせていただいたものでございます。この調査結果をもとにさらに必要な調査研究が出てくれば、大いにやらせていただきたいというふうに思っております。  このタイミングでございますが、本年度でございますので三月いっぱいかけて調査するわけでございますけれども、取りまとめ等ございますので、四月あるいは五月ぐらいには調査報告ができるように、至急取りまとめたいというふうに思っております。  それからもう一点、先ほど先生からおしかりをいただきましたこの資料の「地震予知研究の促進」のところでございますが、ちょっと趣旨を御説明させていただきたいのでございます。  まず、この地震は一月十七日に起こりまして、その翌日に地震予知推進本部、これは大臣本部長になっておられるのでございますが、まず事務方で会合を開催いたしまして、今の予知研究体制でいいかどうか、三陸はるか沖地震もございましたので、これを改める必要があるのではないかという議論をとりあえず進めさせていただいたわけでございます。  二月十日には大臣に御出席いただきまして、けさ御出席いただきました予知連の茂木会長、それから測地学審議会の古在会長、九州大学の松田先生、東京大学の深尾先生等にも御出席いただきましていろいろ御議論いただきまして、これをさらに大いに進めようじゃないかということを御議論いただきますと同時に、活断層につきましては取り急ぎ振興調整費で来年度始めようということも、この場で御議論いただいておるところでございます。  そういうことでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  109. 上田清司

    上田(清)委員 わかりましたけれども、いま一つ個人的には気に食わないのは、何を検討するのかということを明確にこうした文書の中に入れていかなければ、意味がないのではないかなというふうに私は思います。長官なんかはこういうのはどうですか。①の部分などは、読んですっと頭の中に入ってきますか、何をやっているのか。     〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕
  110. 田中眞紀子

    田中国務大臣 私は自分で参加しておりますものですから、中身は自分なりに理解しておりますが、ただ、予知ということがいかに掻痒隔靴であるか。それから、余りこういうことだけに乗りかかっていてはいけなくて、今回の震災で一番学んだことは、午前中も再三繰り返して申し上げたことなんですけれども、やはり防災とか避難訓練とか、そういうことにむしろ具体的に、省庁の枠を取り払って、地方自治体、中央関係なく、すぐ機動的に対応できる体制づくりということを、現実的に即応できるものをつくるべきであろうというふうに思っておりますし、そういうような指導もしていきたいというふうに思います。
  111. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございました。  先ほど、三月末までにやって、あるいは四月、五月になるかもしれないというお話ですが、各地方自治体関係者などは、そうした緊急報告の成果というものを早目に取り入れることが可能なところについては当然取り入れていくと思いますので、中間報告みたいなものでも出れば、ぜひ早目に出す努力をしていただきたいなということをあわせてお願いしておきたいと思います。  次に、同じ③の「航空宇宙技術研究所が所有する航空機「ドルニエ228」を活用して、航空写真等による現地上空からの調査を実施した。」その後、この「活用の申し出を、国土庁、消防庁等の関係省庁に行っている。」という御提案が次のページになされております。  とかく午前中の話の中にも縦割り行政の弊害が言われておるわけですが、こうした点についての活用のぐあいも含めて、どんな状態で国土庁や消防庁などは科学技術庁の持つ大変機能的な航空機について活用されているか、あるいは申し出はしたものの全然活用はされないとか、そういう実態についてちょっと御報告いただければと思っております。
  112. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 この航空調査でございますが、地震が起きまして、二十日から二十一日にかけて科技庁ができることといたしまして取り急ぎ行いました。この写真でございますが、上空からかなりメッシュをかけまして、詳細に写真を撮って調査をしたつもりでございます。  この成果につきましては、関係方面に差し上げたところでございますが、それが今どのように利用されているかというところまでにつきましては、関係方面も今こういう事態で非常に忙しゅうこざいまして、申しわけありませんが、ちょっとそこまでまだ把握しておりません。また調査いたしまして先生に御連絡させていただきたいと思います。
  113. 上田清司

    上田(清)委員 結構でございます。  それでは、実は私も二十七日に震災地区、阪神地区をずっと回りまして、ガソリンスタンドが意外にがっちり残っているというのでしょうか、周りは全部崩壊していてもきちっと残っておる。しかも、天井があって柱が余りないような構造物ですので、非常に安心したというのでしょうか、あの地震に耐えられるような耐震構造の仕組みができているのかなと、そんなことで非常に感銘を受けたのです。  反面、羽田から飛行機で入っていきますと、臨海地区にでっかいガスタンクがあちこちございますね。そうしたものは何か頭が重そうだなと思いながら、大丈夫なのかしらと。当然大丈夫という御返事でありますが、しかし、その大丈夫と言われた構造物が意外におっこちていることも事実であります。  それこそ以前の建設省の説明員のお話によりますと、「マグニチュード八クラスの大変まれな大地震に対しましても橋脚の破壊等の被害が生じないように措置をいたしておりまして、さらに、落橋防止対策を講じまして万全を期しているところでございます。」と、地震対策についての関係委員からの質問に対しても、こんなふうにうまくやっておりますと明々白々に言っていて、しかもこれは八クラスと言って実は阪神地区は七・二。  そうしますと、必ずしもそうした安全対策というのが過去の部分だけで十分いいのかどうかということについても、あわせて点検する必要があるのじゃないかなと思いますが、臨海地区におけるそうした危険物についての再点検作業というのでしょうか、そういうものがなされているかどうか。これは通産になるのでしょうか、御答弁をお願いできればと思っています。
  114. 天野正義

    ○天野説明員 先ほどの先生の御質問、ガスタンクの耐震基準のお話かと思います。  ガスタンクの耐震基準につきましては、高圧ガス取締法及びガス事業法等に基づきまして規定しておるわけでございますが、全国ベースで関東大震災並みの地震の発生にも耐え得る基準ということになっておるわけでございます。ただ、今回大地震があったということでございまして、私ども、まず阪神地区のそれらのタンクの状況はどうなっているかということについて調査をさせていただいておるところでございます。  まず、都市ガスのタンクについてでございますが、地震後、異状のないということが確認されております。その他の高圧ガスタンクにつきましても、今般の震災を踏まえ、大阪府及び兵庫県を通じて高圧ガスタンクを有する事業者の点検を実施しておるところでございます。現在までのところの報告によりますと、ガスタンク自体からの漏えいがあったという事例はないということでございますが、先ほど先生の方からお話もございましたように、私どもといたしましては、今回の調査を踏まえまして、今後とも耐震対策のあり方につき、十分前広に検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
  115. 上田清司

    上田(清)委員 東京湾周辺は再検討されたのでしょうか。
  116. 天野正義

    ○天野説明員 私ども、まず具体的に地震の生じた地域でどういう状況があるかというのをフォローしているところでございまして、それらの結果も踏まえまして、全国的に検討する必要があるということであれば、当然調査はさせていただくということになろうかと思います。
  117. 上田清司

    上田(清)委員 よくわかりました。ぜひ全国的にフォローしていただければありがたいと思います。  ちょっと主に長官にお願いしたいと思います。  私は、エネルギーの歴史が、木材、石炭、石油あるいは天然ガスという大きな流れの中で、基本的にはクリーンの方に進んでいるような気がいたします。森林を燃やすよりも石炭、石炭を燃やすよりは石油、石油よりも天然ガスという、人類が使った大きなエネルギーの歴史の中でクリーンな方向に行っている。  原子力についても、CO2のロス、その他のロスも基本的にははるかにすぐれている部分があるというふうに思いますが、ただ残念なのは、私の持論ですが、原子力というのは、近寄れない、さわれない、触れられないという、ちょっと普通の方々が手にできない、ある意味では異質のエネルギーだというふうに思っております。  しかし反面、エネルギーの八〇%を海外に依存する我が国にあって、電力の三〇%を原子力発電で担っているという現実もある。なおかつ、その原子力発電によって我々の生活を支えているという現況の中で、やむを得ざる選択というふうに私なりに理解をし、これも平和的に、しかも安全に高度な利用をしていかなければならないというふうに考えております。  しかし、基本的には、廃棄物の問題も含めて、早晩どこかど行き詰まるというふうに危惧している者の一人なのです。できるだけ代替エネルギーの早期開発こそが私は絶対的に必要ではないかなという考え方を持つものでございますが、原子力利用も含めて、長官エネルギーに関する基本的な考え方について御所見を賜っておきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
  118. 田中眞紀子

    田中国務大臣 エネルギーは、石炭、石油などの化石エネルギーから始まって、御案内のとおり、ウラン、そして今は核融合、ITERの開発研究がされている段階でございます。  その中で化石エネルギーも枯渇していきます。そして、ウランももちろんなくなっていく。その中でもって私たちが最低限のといいますか、今これ以上のことは望めないのかもしれませんが、文化生活を営んでいくにはどうすればいいかということになると、今世界じゅうが目を向けている新エネルギー、太陽の熱やら光あるいは燃料電池等、そのほかいろいろ国によって波力エネルギー、風力エネルギー等もありますけれども、将来の展望としては、やはり子孫に対してこういう化石エネルギー等を大事に残していくということも考えまして、今からどの部分では新エネルギーを使い、どの辺では原子力を利用し、化石エネルギーはどの部分で使うかというような比率も、自分の国だけではなくて、世界の人口の膨張ぐあいとかいろいろな国の国情を分析しながら、合理的に有効に使っていくような知恵を働かせていくべき段階だろう。  ただウランを使っていて、核燃料サイクルができるからいいとか、そういう問題では決してないと私は思っておりますので、新エネルギー、クリーンエネルギーの開発ということは、まさに急がれることであろうというふうに思っております。
  119. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、時間も迫りましたが、最後に高レベル放射性廃棄物の海上輸送について若干の御質問をします。  今話しましたように、どこか限界があるなどいう部分は実はその部分でございまして、とりあえず冷却期間の間、青森県六ケ所村にいわば保管をするという形をとっていきますが、最終処分地をどこにするかという問題についても、一種の大迷惑施設みたいな部分がございまして、日本国じゅうどこで受け入れていただけるだろうという問題も、早晩私たちが解決しなければならない問題になってまいります。  いわんやフランスで処理をされています部分が、一体どのくらいの年月で、どのくらいの量でこの日本に帰ってきて保管しなければならないのか。私はその中身が、まだ勉強不足で調べていないのですが、いずれにしても大変な量になることだけは、量そのものよりも、それをカバーするでかさが大変なでかさになってしまいますので、結果的には大変な量になってしまうというふうに認識しているのです。  この部分について大変危惧しておりますので、ぜひそういう意味でも早期に代替エネルギーの開発というのは大事だと思いますし、なおかつ高レベル放射性廃棄物の海上輸送について万全の体制がとられているかどうか、御確認をさせていただきたいと思います。
  120. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 海上輸送の万全の体制ということで御質問でございましたので、簡潔に御説明いたしますと、放射性物質の輸送に関しましては、IAEA、国際原子力機関でございますが、そこにおいて放射性物質安全輸送規則というものが決められております。日本も含めまして、各国ともこの規則で輸送を実施しているわけでございます。  輸送するに当たりまして、輸送物、すなわち高レベル固化体と、それを収納いたします輸送容器、この安全性、さらにその輸送容器を運搬いたします船の安全性、この三点だと思いますが、これらにつきましてもすべて国際基準等がございまして、それによりまして厳密に設計の段階からチェックし、また輸送の段階でも実物を確認するというような手順をとって行っておりますので、先生御指摘のありました輸送の安全性については、万全の体制で臨んでおります。
  121. 上田清司

    上田(清)委員 もう一点、今後、青森県の六ケ所村に再処理されたものが船で何回送られてくるのか、わかれば教えていただきたいのです。
  122. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 本件の高レベル放射性廃棄物の返還につきましては、我が国がイギリスとフランスに再処理を委託した結果として発生します廃棄物を輸送するものでございますけれども、今後十数年間にわたりまして、ガラス固化体で申し上げますとおおよそ三千数百本になろうかと思います。これがおおよそ年一、二回程度日本に返還される、このよう計画と承知しております。
  123. 上田清司

    上田(清)委員 もう時間もありませんので、外務省の方に後で、申しわけありませんが、周辺国の政府レベル、民間レベルからの反対を含めた反応を、資料で結構でございますので、お届けいただければありがたいと思います。  ありがとうございました。
  124. 笹木竜三

    ○笹木委員長代理 辻一彦君。
  125. 辻一彦

    ○辻委員 阪神大震災が起きて亡くなった方に、まず私は心から弔意を表したいと思います。  そこで、昭和二十三年の六月の二十八日に、私は田舎におったのですが、福井の大震災がありました。水田の水がばちゃばちゃ音をたてて揺れる、農道がくらくらする、これは大変だなと思った体験がありますが、そのときには福井県には原発は一基もなかった。今は十五基ありますから、ああいう大きな地震が来たら一体どうなるかな、こういう懸念を持ちます。あの当時は三千七百人が亡くなったのですが、対象人口二十万ぐらいについて三千七百というのは一・二%に当たりますから、神戸等でいえば二万人以上の死者が出ることに該当するので、福井の地震も非常に大きかったという感じがします。  そこで、そういう状況の中で、過日は大阪で「もんじゅ」についての意見を聞く会が開かれて、田中長官を初め科技庁の皆さんもたくさん出ていただいて、住民側と初めて率直な六時間にわたる論議が行われたということは、大変意味があったと思います。  その後、きのうは私の方の粟田県知事が長官にも会っていますが、地震の後の対策、安全性等、県民の不安を代表して、基準の見直しや公表等々をやってくれ、再検討して心配がないのなら公にしてもらいたい、こういう申し入れに来ております。また、きのうは、同じような時間に、関西電力、日本原電、動燃の三者が福井において記者会見を持って、地震には心配がない、こういう記者会見をやっている。そういう意味で、福井県では非常にこの問題について、まあ全国同じでありますが、関心が深くなっている。  それで、新幹線も絶対倒壊等は心配がないと言われておった。しかし、現実には倒壊をしている。アメリカのロサンゼルスのあの大地震のときには、日本の高速道は心配がない、こういうことを言い切っておりましたが、その高速道路が倒壊をしている。  こういう状況を見ると、私は、まあ日本地震国でありますから、かなりレベルが高いことは理解はしておりますが、それだけで心配がないとは言い切れない。そういう面で、審査基準あるいは設計基準の再検討、見直しをして、心配がないなら心配がないとするべきでないかと思います。従来の方針を再確認する程度ではいかないと思うのですが、これについて長官のひとつ御見解をお伺いいたしたい。
  126. 田中眞紀子

    田中国務大臣 基準の見直しにつきましては、先日、日曜日、福井県から、まあ福井以外の二十三都道府県から集まられましたけれども、八十万署名を持ってこられた代表の方々との会合でも、そしてまたきのうも、今先生がおっしゃいましたように粟田知事も上京してくださいまして、要望書の中にもそのような御指摘がございまして、これはもう一度また詳しく検討をさせていただかなければいけないというふうに思っております。  その中身につきましてもさせていただきますが、基準の見直しということの以前に、もうこれは再三再四申し上げておりますが、福井県はもちろん集中立地をしていただいておりまして、今先生がおっしゃった十五基ありますし、千百四十五万キロワットもお願いしているわけでございますから、福井県の方々、特にこの問題には関心をお持ちでいらっしゃるというのは当然のことだと思います。  それだけに特別に、何度も何度ももう繰り返し委員会等で申し上げていますけれども活断層がないスポットであって、そして岩盤までしっかり掘って、そこで耐震構造物をつくり、何かの場合には緊急的な対応ができるようにしているわけでございますけれども、それでもさらにそういう専門的な説明を越えて住民の方に不安があるという現実でございますから、その基準の見直し等については、もう一度事業体とも話をする機会を持たせていただきたいというふうに思います。
  127. 辻一彦

    ○辻委員 設計基準や審査基準の審査の指針に最強地震と限界地震という表現をもってそれをあらわしておりますが、ごく端的に、簡単にその意味と、それから最強地震、それから限界地震は震度でいえば大体どれぐらいを考えておるのか、言っているのか、簡潔にちょっとお答えいただきたい。
  128. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 お答えいたします。  安全委員会で決めております耐震性の指針の中で、先生御指摘のありましたような限界地震とそれから最強地震、これについて決めております。設計用最強地震といいますのは、過去の地震、それからその立地付近の活動性の高い活断層、これは活動性の高いといいますと誤解を受けがちなんですが、一万年以内に動いた形跡のあるもの、また一万年のサイクルで動く可能性のあるもの、そういうものでございます。さらに、建築基準法の三倍、この三者のうち一番大きいものを設計用最強地震として考えております。  それから、設計用限界地震でございますが、活断層の活動性の低いもの、具体的には五万年以内に動いた形跡のあるもの、あるいは五万年の周期でありそうなもの、こういうものでございます。それから、地震地体構造、これはちょっと専門的で恐縮でございますが、プレートテクトニクス上で日本を幾つか分けまして、最大の地震を決めたものがございます。そういうもの。あるいは、すべてこういう地震等、地質調査で行うわけでございますが、それでもなお何らかの見落としかあってはいけないというようなことで、マグニチュード六・五の地震も想定いたしまして、それぞれ周波数でとりまして(辻委員「簡単にしておいてください」と呼ぶ)ええ。その一番大きいところをとったのが設計用限界地震でございます。中身が専門的で恐縮でございます。  それで、それぞれ立地地点によって固有の数字が決まってまいりますので、一般的には震度幾つという表現はできません。このサイトであれば幾らとか、そういう数字になるものでございます。
  129. 辻一彦

    ○辻委員 それは地域によって個性があるとは思いますが、限界地震というのは大体震度七ぐらいを指しているのではないのかどうか。ちょっと簡単でいいから。説明は聞いたことだけで結構です。
  130. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 震度階でいいますと、震度七は四百ガル以上かと思いますが、岩盤上での強度地震ということで決めておりますので、やはりそれより上回るものもございますし、それより下回るものもございます。  ただ、先生、震度階というのはあくまでも地表での揺れを指しているものでございまして、先ほど申しました二つの地震動は基盤面でございまして、これはまあ一概に言えないのですが、通常これは地表で計測されるものの二分の一とかあるいは三分の一になるようなものでございます。
  131. 辻一彦

    ○辻委員 まあ詳しい論議をやっている時間がありませんから、簡潔に聞きます。  それで、審査基準の中に、限界地震の場合はA特、スペシャルですね。いわゆる施設や建物が耐え得る限界を、限界地震の場合には地、それから最強地震の場合にはAとかB、Cというぐあいになるんですが、まず伺いたいのは、本体はわかりますが、端的に言って補助電源等はASかAかBかCか、どれに入りますか。
  132. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 安全上重要な施設につきましてはランクづけされております。先生御指摘のありました補助電源は、ASということでランクづけされております。
  133. 辻一彦

    ○辻委員 位置づけは、それは最近のはそうでしょうし、それから、例えば福井における十五のあれがあるんですが、初めてやったのは随分前ですが、以来全部地に位置づけになっているか、ちょっと確認したい。
  134. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 お答えいたします。  指針の古いものにつきましては、Aクラスの中で鮎という概念は設定してございません。しかしながら、指針の古い段階におけるものは基本的には今の地に相当する考え方で審査をしてきておりまして、現在の新しい指針というのはそういうよう考え方をまとめたものでございます。
  135. 辻一彦

    ○辻委員 ASでやっているというのなら、それは確認できれば結構です。  そこで、本体の方は、随分日本もかなりいろいろ頑丈にやっていますから、まだまだ懸念がありますが、一応その説明を伺っておきますが、補助電源。いわゆる大地震が来れば大体電源が切れてしまう。それからその次に補助電源、いわゆるディーゼルによって電気を起こして、それをもって緊急冷却装置、ECCS等々に全部電気を配電しなければ大変なことになるわけですから、この補助電源が一体限界地震等の状況の中においてそれに耐え得るものであるかどうかということ、これは私は非常に大事なことだと思うのですね。それはもう大丈夫ですか。
  136. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 指針におきましては、施設またそれに付随する設備、この両者をこの指針で定められた基準で耐震設計するということになっておりますので、設備についても、すなわち先生がおっしゃいました非常用電源についても、同じ兆で設計されております。
  137. 辻一彦

    ○辻委員 じゃ、一つの例ですが、たくさんいろいろありますが、補助電源に関する審査資料の内容を提出をいただきたい。それを一遍確認させてほしいのですが、できますか。
  138. 藤冨正晴

    藤冨説明員 お答えいたします。  先生御指摘の補助電源につきまして、安全設計の設計審査書に出ておりますので、美浜、どこのサイトにいたしましょうか、あの若狭湾地区の代表的なプラントの例でお示ししたいと思います。
  139. 辻一彦

    ○辻委員 じゃ、後で結構ですから、それにかかわる十五基の補助電源についてどういう審査がなされたか、それを資料として提出をいただきたい。それはいいですね。大丈夫ですね。いや、それでいいです、出せるんなら。  それから、日本原産会議が、ちょっと前ですが、いろいろな報告書を出しておりますね。その中を見ると、二つの非常に大事なことを指摘しております。それは、日本原子力産業会議が九四年の八月に出している報告書ですが、一つは、千葉の発電所等の例を見ても、補助電源が非常に弱点になっているということですね。このことを指摘して、この対応が大事であるということを日本原子力産業会議が報告書で指摘をしている。それからもう一つは、その中にありますが、地震が大きなときには、運転員が動転して、誤操作やそれから必ずしも正常な操作ができない場合がある。その点で非常に地震の場合の対応が重要であるということを明確に指摘しております。  私も、チェルノブイリの事故後、六十三年に見て、その年にスリーマイルの原発を見てきましたが、事故を起こしたスリーマイルも、四百五十の警告灯が一遍に電気がつきっ放しになって、もう運転する人はどうしていいかわからなくなったという。これは別に地震が起きている中でなくても、そういう事故が起きるとそういう心理状況になる。まして、ぐらぐらするような大地震が来たときには、これは運転員が非常に動転する懸念がある。そういう点で、地震にはもっと十分な対応が必要だということを原産会議が報告書の中で指摘しておるのですね。地震学会や地質学会、建築学会等の検討によって新たな知見が入った場合には、十分検討する必要があるということを当時みずから認めております。  そういう意味で、私は、補助電源等における審査はきちっと心配ないようになされているのかどうかということも、資料をもって確認をさせていただきたいというふうに思いますし、それと同時に、地震の場合には、今申し上げたような非常なほかと違った状況が出てくるので、ぜひ対応する必要があるだろうと思うのですね。  欧州は地震が余りないから、確率は非常に低い。アメリカは、太平洋側には地震層というか活断層等があって、だからアメリカは、二基ロスの近郊に前に原発をつくって以来、たしか太平洋側にはつくっていない。ほとんど東の方に持っていっていると思いますが、これはやはり地震を警戒しておるのだ。  日本は、日本じゅうどこにも地震の懸念があるわけですから、なかなか難しいわけでありますが、そういう懸念と、それから、普通の事故は十万年に一回とかいうような確率があるわけです。それで、十万年に一回の割合なら、まあそう心配はないというような見方もありますが、大地震は、日本では大体百年から二百年に一回大変な地震が来ているのは事実ですから、私は、今のこの安全審査については、時間があればいろいろ指摘をして論議をしたいと思いますが、その時間がないので、十分見直しの努力をすることが必要じゃないか。  第一は、日本の建築学会や地震学会等がいろいろ実態を明らかにしつつあるわけでありますから、それらの結論を待って基準についての検討をすべきで、そうそう心配ないというような安易な結論は出すべきでない、こう思います。それが一つ。  それからもう一つは、限界地震ような大きなのが、仮に震度七が限界地震の大体前後であるとすると、関西はもう地震は余り心配ないところだ、こう言われておったあの関西に七という震度を持って激震が来たわけですから、これは懸念は十分に私はあると思うので、そういう災害時における事故における対応について評価をして、審査の基準の中に入れるべきだと思います。  これは大体そういう大きな地震は起きても心配がないというよう考え方がありますから、地震災害時における評価はなされていないと思いますが、これについてやる必要があるのではないか。長官もこの間の大阪のシンポジウムで、地震災害時における災害評価についてはやるべきであるというような御発言をなさっておりましたが、その二点についてどうお考えであるか、最後にお尋ねして終わりたいと思います。
  140. 田中眞紀子

    田中国務大臣 災害の評価は必要であろうと思います。これだけの震災がありまして、そこから何を得るのかということは、やっぱり人間が英知を働かせて今後のためにやるべきことと思いますので、それはもう私の考えに変わりはございません。  前段でおっしゃいましたことは何ですか。安易な結論――何とおっしゃいました。初めにおっしゃった質問は何でございましたか。(辻委員「初めのは基準です」と呼ぶ)それにつきましても先ほどお答えしたとおりでございます。
  141. 辻一彦

    ○辻委員 じゃ、ちょっと舌足らずで残念ですけれども、また別の機会にいたしたいと思います。  終わります。
  142. 笹木竜三

    ○笹木委員長代理 今村修君。
  143. 今村修

    ○今村委員 社会党の今村です。  フランスから返還をされる高レベル放射性廃棄物の問題についてお伺いをしたいと思います。  青森県民の多くは、国によってだまされたという意識を持っています。その最大の理由は、電事連から青森県に核燃の要請があった際に、三点のセットだけだ、低レベルとウランと再処理工場だけだ、その要請しかなかった。それが、いつの間にか今度は海外返還の高レベル廃棄物の施設まで青森県に持ち込まれた。私どもも県議会でこの問題を何回か議論しました。確かに電事連から要請があったのは三つです。ところが、説明をしていく際に、だんだん説明を聞いていくと、再処理工場の要請書の中の隅の方に一行だけ、海外返還の製品・廃棄物も受け入れると一行書いてあったわけです。要請をした際にはそのことが全く議論されなかった。こんなことで県民はだまされたという意識を持っています。  もう一つ、最終処分場になるのではないか、こういう危惧を県民の多くは持っています。県の知事は、国は最終処分場にしないという確約書を回答した、だから安全協定を結んでも青森県は最終処分場にならない、こう県民に説明をして安全協定に判を押しました。しかし、長官の名前で青森県に返された回答書、質問主意書を提出いたしましたが、どう見ても国が青森県に確約したという内容になっていない。最終処分場をつくらないといった保証書になっていないような気がします。  時間もありませんから端的にお答えをいただきたい。あの回答書は青森県民に対して最終処分場はつくらない、そのことを約束した保証書ですか。そのことだけをお聞きします。
  144. 田中眞紀子

    田中国務大臣 先日の北村知事さんからの要望についてでございますが、私どもの認識は、事業体と地元の方々の理解、協力がなければ、最終処分地というものは決定できない、しないということになっておりますし、青森県を最終処分地にはしないという旨の回答を現段階では差し上げていると思います。  誤解を生むといけませんので、ちょっと書いたものを読ませていただきますが、処分地の立地の手順や地元の明確な意向が示されている状況などを踏まえて、このような状況で青森県が処分地などということはないという認識をいたしまして、そのような回答をさせていただいたわけでございます。  このほか、回答内容に沿って、関係機関の協力を得て、処分対策の着実な推進に今後努めてまいりたいというふうに思っております。
  145. 今村修

    ○今村委員 いろいろな前提条件がついておりますね。電力から来た回答書、どう書いていますか。ちょっと読み上げますけれども、青森県の意向を重く受けとめ、青森県の御意向が十分踏まえられるように努めます。これは電力の回答です。国は、この電力の回答や日本原燃の回答を尊重して、そうならないようにしますと言っていますね。ですから、それは保証書じゃないのでしょう。そこだけ答えてください。
  146. 田中眞紀子

    田中国務大臣 この交渉に直接携わりました岡崎局長がおりますので、当事者からじかにまたお話をさせます。
  147. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 先生も十分御承知のとおり、昨年六月に改定いたしました長期計画の中でも、最終処分に至りますいろいろな手続を明確にいたしたわけでございます。今後実施主体をきちっと設立していくとか、そういった手順を明らかにしておりますが、その手順を関係者が誠実に踏んでいく、このことを電気事業者あるいは私どももその立場を明確にお示しをいたしたわけでございます。
  148. 今村修

    ○今村委員 いや、県民のあれは、県が説明をしたのは、国が保証した、だから安全協定を締結する、県民にこう説明しているのです。それは違うということですか、そうだということですか、そこだけです。
  149. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 青森県知事は、電気事業者あるいは私どもの回答の文書を踏まえて、そのように認識をされておられます。したがいまして、私どもは、青森県知事にお答えをいたしましたその内容に沿いまして誠実に実行をしていきたい、このように思っております。
  150. 今村修

    ○今村委員 いや、誠実に実行するやつはいいのです。知事が県民に、あれは国の保証書ですと説明をした。ですから安全協定を締結いたします。この理解はそのまま理解していいということですか。
  151. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 繰り返しになりますけれども、国の回答文書等を踏まえられて青森県知事が発言された、このように理解をしております。
  152. 今村修

    ○今村委員 ちょっとかみ合わないのですね。  また、私どもが危惧しているのは、青森県がまた最終処分場になるな、最終処分場にされてしまうのじゃないか、まただまされるな、こんな気持ちを県民の多くが持っているのです。ですから、国は、知事が言うように保証書です、こう説明するか、あるいは保証書ではありません、国の見解を述べたものだけです。どっちなのです。
  153. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 私どもの文書の中にも、青森県知事の意向は十分踏まえられるように努力していきますということを明確に書いてあるわけでございますので、私どもの認識と青森県知事が持っておられる認識との間には何ら差はないと私は認識をしております。
  154. 今村修

    ○今村委員 それじゃ、保証書だということで認識していいということで理解していいわけですね。
  155. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 お言葉で、保証書という認識がよろしいかどうかということについて私は申し上げる立場にはないと思いますけれども、少なくとも科学技術庁考え方であるとか、あるいは今後の方針というものを明確にお示しをしたもの、このように御理解をいただければと思います。
  156. 今村修

    ○今村委員 いや、電力の回答は、最終処分地にしないなんと回答していませんよ。ですから、また不安に感ずるわけです。  それから、日本原燃と電力会社が結んだ返還廃棄物の輸送・受入・貯蔵管理に関する契約書というのがあるそうですね。この契約書の中に「貯蔵管理期間は、五十年間とする。」国は三十年から五十年だという話をしてきましたけれども、五十年間だ。三十年から五十年と書いてないそうですね。  それからもう一つ、「管理期間の満了までに、最終処分地等へ搬出する」、こういう書き方になっているそうですね。「最終処分地等へ搬出する」、最終処分地に搬出すると書いてないそうですね。これは事実ですか。こんな内容があるから、またこれは何かされてしまうんじゃないのかな、こんな気持ちを持っているんです。ですから、保証したんです、国はそのことを約束したんです、こういうのであれば、約束しました、こう言っていただきたいと思うのです。
  157. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 まず、貯蔵期間の件につきましては、先ほども引用いたしました原子力委員会の長期計画におきまして、三十年間から五十年間程度冷却のための貯蔵を行った後に、その後、地下の深い地層中に処分することを基本的方針としておりますということを明確に示しておるわけでございます。  これを受けまして、電気事業者が青森県からの御照会に対しまして、その貯蔵期間について同じような立場を明確にし、さらに、貯蔵期間終了までに、日本政府の方針に従って、ガラス固化体を最終処分地等へ搬出するものとするという電気事業者の立場は、その点に関しましては明確に述べているものではないかと思っております。
  158. 今村修

    ○今村委員 電力と原燃が結んだ契約書、電力が青森県にした回答、それはあなたが言う内容とは違うんですよ。電力は、青森県を最終処分地にしないなんという話はしてないですよ。青森県の意向を踏まえるように努力します、これだけですよ。それから、原燃と電力が結んだ契約書、これはあくまでも三十年から五十年と書いてないそうですね。「五十年間とする。」それから「最終処分地等へ搬出する」、何で最終処分地に搬出するとなってないんですか。  こういう内容があるから、あなたは長計でどうこうという話をしますけれども、電力の中でやりとりされているのはそうでないそうですよ。ですから、そのことを言うんです。ですから、県に対して最終処分地にしないということを国が約束すれば、これらはどんな約束をしようがなくなる話ですから、そのことだけお聞きします。
  159. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 先生御引用されておられます昨年の青森県からの照会というのは、確かに当事者である日本原燃、それから廃棄物を持っております電気事業者、それから国、この三つの文書が出ておるわけでございます。それぞれの文善につきましては、それぞれの立場から、日本原燃あるいは電気事業者の立場からお答えをしておるわけでございます。  その限りにおいて、貯蔵期間の問題あるいはその後の搬出の問題等についてお答えをされておるわけでございますが、特に御懸念の最終処分地の問題につきましては、それらを総合した形で科技庁長官の名前で、先ほど来るる御説明申し上げていますとおり、青森県知事の最終処分地に大変な懸念を持っておられる、してほしくない、そういった意向が十分踏まえられるよう対策が講じられていくということが明確に書かれてあるわけでございますので、御指摘のような懸念であるとかあるいは不安があるということについては当たらないんではないかな、こう思います。
  160. 今村修

    ○今村委員 それじや、何も回りくどい言い方をしなくてもいいんですよ。ですから、そうであれば、あれは青森県民に対して最終処分場にしないという約束をしたんです、その答え一言してもらえば、それでいいんですよ。なぜそう言えないんです。
  161. 岡崎俊雄

    ○岡崎(俊)政府委員 お答えがイエスかノーかでできれば、確かにそれはいいというのは私もわかりますけれども、くどくど御説明になりますけれども、最終処分の問題というのは、まさに今後二〇〇〇年の実施主体の設立に向けてであるとか、あるいは研究開発等を踏まえながら今後進めていく問題でございますので、現時点において、しないとかするとかということを述べる時期ではないし、そういう立場ではないということだけはぜひ御了解をいただければと思います。
  162. 今村修

    ○今村委員 その答えには納得できません。約束してないということじゃないですか。  そして、私は、全国の都道府県知事に最終処分地を受ける気がありますかと問い合わせをしました。どこの県も、最終処分地を引き受けるという県は一県もないですよ。一たん入ったところが最終処分地に結果的になるということじゃないですか。ですから県民が不安に思っているのです。この点については、これからまた見解を問うていきたいと思います。  二つ目は、搬入されるガラス固化体の安全性の問題です。  先日、質問主意書を出しました。その答弁書の中で、五十年以上の安全性と健全性はフランスから出された仕様書の中では示されていない、こう回答されていますね。安全性と健全性が示されていないガラス固化体、これを青森県に持ち込むのですか。  それから、このガラス固化体はフランスの政府が保証するものではない、あるいは日本政府が承認を行う法令や制度はない。フランスの国も日本のこのガラス固化体について保証しないという内容になっているのですよ。これはだれが保証するのですか、その点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  163. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 ガラス固化体の安全性につきましては、簡単に申し上げますと、日本の国内法の規制によって日本が安全を確認するということでございまして、フランス国政府が保証するとか、そういうような形には規制体系上なっておりません。  具体的には、今青森県で施設が建設終了いたしました廃棄物管理施設、これの安全審査の中で、そこに収納されるガラス固化体と、それからそれを収容する施設と、その両者の一体性という観点から安全審査をしているわけでございまして、ガラス固化体そのものの仕様が保証されているとかいないとかという観点での安全規制は行っておりません。
  164. 今村修

    ○今村委員 これも県民が不安に思っている一つなんです。具体的につくられたガラス固化体が本当に仕様書どおりつくられているのか、安全なのかどうか、この確認を行うところがないというのです。  基準以下につくられているだろうから、その基準を満たしていれば、その基準はどういう確認をするのかわかりませんけれども、多分その基準以下だろうから、施設そのもので確認すれば、施設がそれに耐え得るという内容であれば、個々のガラス固化体は確認しなくてもいい、こういう論法になっていますね。このガラス固化体一つ一つについて第三者が確認をして、国がそれを大丈夫だと確認する方法はあるのですか。そこをお聞きします。
  165. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 電気事業者がこの高レベル廃棄物を事業所外廃棄、今回の場合は青森県の管理施設に廃棄する場合でございますが、この廃棄をする場合、安全上保安の措置を講ずることという規則になっておりまして、私ども、そういう観点から、収納されるものが管理施設の安全審査時に事業者から提出されたガラス固化体、そのガラス固化体に合致するものかどうかということを具体的に確認いたします。放射能量あるいは発熱量というものについて、具体的に安全審査の際に提出されるスペックについて確認をするということでございます。
  166. 今村修

    ○今村委員 私が聞いているのは、一つ一つのガラス固化体、この安全をどこで確認をするんですか、こう言っているんですよ。施設が安全だとか、入れ物が安全だとか、輸送が安全だとかという話を聞いているのじゃないのです。ガラス固化体一つ一つが、フランスの政府もそれを保証するという制度にはなっていません、日本の法令や制度でもそういう制度はありません、こう言っている。  すると、実際につくられたガラス固化体一つ一つの安全性をどこで確認するんですかという、そのことを聞いているんですよ。だれがそこを保証するんですかということです。
  167. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 安全性の確認は、先ほど申しましたように、そのガラス固化体そのものを収納する施設と一体になった形での審査を行うわけでございます。したがいまして、その審査の段階では、これこれこういう固化体を収納いたしますというスペックを出してまいります。  先ほど申しましたように、一方、事業所外廃棄の場合は、保安上の措置を講じた施設に廃棄するということになっております。これは六ケ所の管理施設でございます。その際、規制当局は、管理施設の安全審査を行う際提出されたガラス固化体であるかどうかということについては、これは確認いたします。  先ほど申しましたように、具体的には、現地で放射能量が規定のものであるかどうかということを計測いたしますし、そのほかのものについても確認いたします。なお、念のためコジェマがつくっているそのガラス固化体について、電気事業者が、その固化体が電気事業者としての仕様を満たしているかどうかということをビューロ・ベリタスという、これは検査専門会社でございますが、そこの検査結果も私どもとしては勘案いたしまして、ガラス固化体そのものについての安全も確認するということでございます。
  168. 今村修

    ○今村委員 これで終わりますけれども、ガラス固化体一つ一つの安全性については、どこも確認するところはないということでしょう。どこかフランスの会社、ここがやる。やる検査の方法だって、全部やるわけじゃないでしょう。指定された範囲だけの確認ですよね。このものをだれも確認しない。確認しないものを持ち込んで、なおかつ国は約束をしない。こんなことで青森県民に納得せいと言ったって、それは無理だということだけ指摘して、終わりたいと思います。  終わります。
  169. 笹木竜三

    ○笹木委員長代理 渡海紀三朗君。
  170. 渡海紀三朗

    ○渡海委員 大臣の所信に対する質疑ということで、限られた時間でございますから、いろいろと基本的な姿勢といいますか、お伺いをしたいと思っておったわけでありますが、この時期、きょうも各委員から質問が出ておりますように、阪神・淡路大震災に触れないというわけにはいかないというふうに思っております。  既に御承知と思いますが、私も実は兵庫県出身の議員でございまして、我々地元の議員といたしましても、今回のこの問題について、やはり単に一地域の問題ということではなく、国家的見地から対策なり今後の対応なりに取り組んでいただきたい、そのような思いでいっぱいでございます。  きょうも、実は与党のプロジェクトチームというのができておりますが、最終的な結果も聞かせていただいたわけでございますが、昨日まで確認されたところでも、既に御承知のように五千三百名を超える亡くなられた方がいらっしゃるということでありますし、家屋の倒壊戸数も既に十四万四千戸というふうな、こういう報告がされておるわけでございます。  私自身、実は神戸市に約十年間住まいもしておりました。昔の仲間といいますか友達にいろいろと話を聞くときに、本当に町を歩いていて何とも言えない気持ちになる、思わず何か涙が出てくる、そんな話すら聞こえてくるわけでございます。  大臣も去る一月二十九日に実際に現地を御視察をされておるわけでございますけれども、率直な印象として、大臣がその目で御確認になって、今回のこの災害についてどのような印象をお持ちになったのか、まず田中長官の率直な感想をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  171. 田中眞紀子

    田中国務大臣 このたびの科学技術委員会での所信表明でも申し上げましたけれども、大都会というものがいかに震災にもろいものであるかということを感じました。テレビ、報道等で見ているのと全然違いまして、本当にライフラインとか言われますけれども、一番切実なのは、上下水道いずれもがあんなに壊滅的な状態になって、本当に人間が生活できるのかと思いましたし、そういうことの復旧のために、予算措置はもちろんですけれども、どこからどう手をつけたらいいのだろうかというような印象を持ちました。  その後、閣議でもずっと、起こったその日から動き出しているわけですが、最善を尽くして各閣僚が頑張っているんですけれども、次から次へといろいろなテーマが出てきまして、なかなか対応し切れないでいるということ、最善をこんなに尽くしているのに、なかなかそれでもまだまだ全然手が届かないんじゃないかという思いに駆られております。
  172. 渡海紀三朗

    ○渡海委員 先ほど、具体的な中身についても上田委員からも御質問があったわけでございます。科技庁としても既に対応をされている点もあるわけでございますが、現在、この間御報告いただいた以降、また新たに何か新しいことを考えておられるのかどうか、また、将来の中長期的な課題として一番科技庁としてやれることは一体何だというふうにお考えなのか、その点をお聞きをしたいと思います。
  173. 田中眞紀子

    田中国務大臣 直接は、先ほど来お話し申し上げましたけれども、放医研が持っておりますラセンCTの車を派遣いたしました。それから、航空機やら船やらいろいろと、あるいは持てる物資の提供等をさせていただきまして、随分具体的なお役に立ったという結果報告も、現地に行った方々が帰ってこられてじかに聞いておりまして、それはよかったなと思います。  今後は、やはり予知ということが科技庁としては観測研究等含めまして必要だろうと思いますが、それも単に縦割り行政ではなくて、それから、先ほど来、午前中にもいろいろな学者の先生の御意見のことも総合的に申し上げたと思いますけれども、単に自己満足的なことに終わらないように、法律の弾力的な運用ということも必要ですし、生活者に還元するよう予知でなければならないわけですから、それが役所なりあるいは予知の学者のところでとまるのではなくて、それを防災とか避難に役立てるようなものにするために、科技庁が中心になって働くべきだろうというふうに考えております。
  174. 渡海紀三朗

    ○渡海委員 率直に、今回の対策、いろいろ我々も各省庁と折衝しながらやらせていただいております。  その中で、これは要望でございますが、今回、例えば激甚災という災害の適用がされております。従来の法律の枠組みの中で最大限のことをやるんだということもやられておるわけでありますし、また同時に、その災害で適用されない範囲まで拡大をしていろいろな対処をしよう、こういうこともお願いをしておるわけでございますが、激甚災というものも、考えてみますと、ある範囲の、そして、かなり災害としてはひどいけれども限られたことに関して、そういう想定のもとで実は現在の法律がつくられているのではないかな、そんな気がしてなりません。  今回、あえて言うならば、新しい概念として、超激甚災とでもいいますか、そういった観点で、人間の体でいいますと、単に足を骨折したとか、例えば病気できついのががんだとしますと、胃がんだって今は手術で治るわけですね。だけど、そういうことだけじゃなくて、内臓一つを取り上げても、胃も悪ければ膵臓も悪い、肝臓も悪い、そういった災害なんだということをぜひ御認識をいただいて、今後とも大いに対策に力を注いでいただきたいというふうに思います。  今、今後の対策ということで地震予知というお話が出ました。午前中、原田先生からも質問があったわけでありますが、この予知という問題を考えるときに、ある意味、素人として考えるのは、この地震予知の有効性みたいなものが果たしてどこまであるのだろうか、こんな気持ちを持つわけでございます。  きょうもいろいろと議論をされているようでございますから、重複は避けたいと思っておりますけれども、要は、あるケースの、ある一定の条件でなければ今のところなかなかわかりにくい、こんな会長のお話もあったように思います。そういうことだとするならば、今後の予知というものについて、一体どういう姿勢で臨んでいったらいいかということを早急に見直さなければならない。  現実に日本の近辺でいろんな地震が起こっているわけでありますから、そういうことを考えますと、むしろ、大きなことばかりやるのではなくて、例えば、今回たしかマグニチュード七・二だったと思いますけれども、そういった現実に起こっているものの周辺の範囲をとらえて、より集中的に物事も考えていくといったようなことも必要でございましょうし、先ほど縦割りを超えてというふうなお話もあったわけでありますけれども、この全体をどういう形で総合的に調整をして、そしてまたデータなり、また今回いろんな調査をしておるわけでありますから、そういう結果もあわせて総合的に取り組んでいくのか。  また同時に、科学技術庁は本来調整官庁としてある面スタートしたところもあるわけでございますから、その中で科学技術庁としてどういう役割を果たしていくのか。そういうことについて、私はこれから科学技術庁が果たす役割というものも大変大きいなというふうに率直に考えておるわけでございますけれども取り組みの姿勢なり、さっきもお答えをいただいたわけですが、改めて私の意見に対する感想も含めて、お聞かせをいただければというふうに思います。
  175. 田中眞紀子

    田中国務大臣 このようなときにこそ、本当に科学技術庁が総合調整官庁として機能しているかどうかの真価が問われるわけでございまして、していない面が多々あるなということは私自身も実感したわけでございますが、それで反省をしていて、それだけにとどめるのではなくて、具体的にアクションをとるための方策を早速に講じてもおりますし、そのために、また先生方からいろいろな具体的な御指導、アドバイスもぜひいただきたいというふうに思っております。
  176. 渡海紀三朗

    ○渡海委員 繰り返して申し上げますが、ぜひこれから、起こったことは不幸であるというふうに思いますけれども、やはりこれから我々は心して、今後このよう災害が、これは自然災害でございますから、起こらないとは言えないわけでありまして、起こったときにも、より被害が広がらないように、そういったことに全力を挙げて取り組んでいただきたいということを改めてお願いをさせていただきたいというふうに思います。  さて、大臣は就任時に未来担当大臣だということを言われました。そして、今回の所信の中でもそういう位置づけをしておられるということも言っておられますし、また国民に密着したといいますか、生活に密着した科学技術の重要性ということを強調されておるというふうに理解をしております。  人間社会に役立てるという意味からしますと、はっきりと目的を想定をして研究開発を進めていく、これはもちろん必要で、なおかつ重要であるというふうに考えるわけでありますが、同時に、基礎科学といいますか、科学技術の振興のためには、ある面、結果を予測しない研究、例えば一つ例を挙げさせていただきますと、アメリカでSSCという研究をやっておりましたね、ブッシュ政権時代に。陽子加速器だったと思います。今残念ながら、新しい政権になって少し計画がストップしているようでございますけれども。  その当時、実はある方といろんなお話をしておりますと、とにかくこういうものをつくるんだ、テキサス州に大体山手線ぐらいの大きさの加速器をつくる。そこで陽子と陽子をぶつけて実験をするんだ。果たして一体それをぶつけるとどうなるんですかと聞きましたら、実は返ってきた答えが、やってみなければわかりませんという答えだったんですね。ただし、そのときに瞬間的に、何だ、そんなことかと思いながら、しかし、そういうことが一つの大きな未来につながる、こういったこともあるのかなというふうに実は私は感じたわけでございます。  さまざまな技術開発の歴史を見てみますと、目的を設定して、それに向かって、とにかくその結果を出すために一生懸命やっていくという研究開発もあれば、同時に、今申し上げましたように、何かあくなき探求心といいますか、そういうものを求めていくことによって得られる結果が、実は間接的に非常に我々の生活に役に立つような科学技術の振興につながったんだというふうな、そういったこともあるのではないかなというふうに考えておるところでございます。  そして、これも繰り返して申し上げますが、先ほど縦割り行政というお話をされました。研究開発というのはいろいろなジャンルで行われているわけでございまして、実は、例えばライフサイエンスということを取り上げますと、省庁で言うと農林省もやっている、厚生省もやっている、もちろん科技庁もやっておられますね。あの理化学研究所、私も何度も見せていただきましたけれども、まあそういうことであろう。  そして、最近一番気になっておりますのが高度情報通信という分野でございます。まあGIIとかNIIとかいろんなことが言われておりまして、今度またサミットが行われるわけでございますけれども、どうも去年の予算の編成時に、いろいろ見ていますと、各省庁はこぞってこの新しい分野に研究開発という名目で予算を計上されているわけでございますね。こういうことを考えますと、果たして国全体として効率的に、また、ちゃんと総合調整をされた形で研究開発というものが進められるのかなということを実は非常に危惧をしております。  先ほどの地震予知のときでも総合調整官庁というお話をさせていただいたわけでありますが、そういった面も含めて、科学技術庁として、研究開発というものについて哲学としてどんな考え方をしているのか、また、これからさまざまな省庁との間のいろいろな問題について、どういう役割を果たしていくのがいいというふうに長官がお考えなのか、その点をお聞きをしたいというふうに思います。
  177. 田中眞紀子

    田中国務大臣 御指摘のとおりの面がありますのですが、それぞれ役所間のまた縦割り行政の弊害もありますけれども、同時に、受け持っている分野といいますか、専門としている、得意としている分野があって、それぞれ知恵を出し合うという効果もあると思います。  足引っ張りになったり、予算のむだ遣いにならないように、よいエネルギーを出していけるような方向で、必要なものは一緒になってできるというようなメカニズムをつくっていくべきだと思いますし、そのためにこそ、私ども一人ではとても何もできませんので、あらゆる政治家、皆さん専門家の皆様の英知を結集していただければありがたいと思っております。
  178. 渡海紀三朗

    ○渡海委員 もう少し詳細に入らせていただきたいと思うのですが、科学技術庁設置法には、たしか国立大学を除くという項目があったと思います。  それで、確かに学術研究大学という分野というのは、ある面、守られた世界でなければいけないというお考えもあるようでございますが、この研究開発ということを考えた場合に、国立大学なり文部省所管の研究所、こういったところと緊密に連携をしながら、いろいろな施策を進めていかなければいけないというふうに私自身考えておるところでございます。  具体的な分野についてはあえて申し上げませんけれども文部省が所管をしている大学研究ですね、これは予算から見ましても、例えば科研費というふうに取り上げてみますと、平成七年度で九百二十四億円という予算が実はこの文部省の科研費に計上されているわけですね。そして科学技術庁は、取り上げれば、あえて言えば振興調整費がな、そんなふうに思います。百八十五億ということなんですね。  近年、この振興調整費というものは、科学技術庁もたしか大変力を注いでおられまして、私自身も何度かかかわらせていただいたのですが、非常に科学技術庁らしい予算である。ある意味、その段階では余り目的を決めないで、各省庁から出てきたいろんなメニューに対して、ある種の判断をして有効に研究開発に役に立てていこう、そういう予算であるというふうに思いますが、この九百二十四億円という額からすると大変小さいわけですね。そんなことも含めて、毎年いろいろと予算の折衝をしておりますと、この科研費と横並びということがよく実は議論として出てくるのですね、財政当局と。  こんなことも考えましたときに、一体、大学だから守られているということだけでは、これからの日本研究開発というものはなかなか総合的な力を発揮できないのじゃないかな、こんな印象を持っておるところでございまして、そういった点について大臣はどんな印象をお持ちか、率直にお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  179. 田中眞紀子

    田中国務大臣 本当に科研費が大きいので、いつもうらやましいと思っているし、実際にこの実態をもう少し時間があったらよく勉強させていただきたいというふうに思っているのが私の気持ちでございますが、私は、予算、今回一回しかかかわらせていただいておりませんので、もっと詳しい経緯を知っております事務方から、ちょっと御説明申し上げてよろしゅうございましょうか、短時間で。
  180. 落合俊雄

    ○落合政府委員 先生御指摘のとおり、文部省の科学研究費補助金でございますが、七年度要求で九百二十四億円を計上しております。  これは御承知のとおり、大学等における独創的・先駆的な研究を発展させるという目的で研究費を助成しているという形でございますし、私ども科学技術庁計上になっております科学技術振興調整費、これは七年度の現在御審議いただいている予算案では百八十五億円を計上いたしておりますが、科学技術の振興のための総合調整の観点からの重要なテーマ等について、産学官の力を結集しつつ総合的な推進を図るということで、どちらかといいますと、私どもの調整費の方は、各省庁が従来の予算の中でなかなかやりにくいような先導的な分野の研究ですとか、それから最近、学際的なもの、境界領域研究というのが重要になっておりますが、そういうようなテーマ、それから国際共同研究というようなものを中心に取り上げているところでございます。  先ほどからの御質問でございますが、科研費補助金と調整費、実は私どもといたしましては、両々相まって基礎研究の強化を初めとした科学技術の振興の観点から極めて重要なもので、おのおのが役割を果たしているという理解をしているところでございます。     〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕
  181. 渡海紀三朗

    ○渡海委員 多分そういうお答えが帰ってくるんだろうなというふうには実は思っていたわけでございますが、先ほども縦割りというお話をされたわけであります。  大臣が今回の行政改革、特殊法人の問題、この所信表明の中にも触れておられますが、果敢にいち早く対応されたということは、大変私ども高く評価したいと思っておりますが、形の問題だけではなくて、ぜひこれからそういったお互いの中身の問題で障壁を乗り越えて、いろいろな研究開発の分野で科技庁が大いに総合調整官庁として役割を果たしていただくことによって、全体としてしっかりと行政改革の一環につながるんだ、そんな気持ちで頑張っていただきたいということを要望させていただきたいと思います。  最後に、もう余り時間がございませんが、宇宙開発について少し質問をさせていただきたいと思います。  来週、新たに委員会できく六号の問題についてやるということになっておるわけでありますが、このところ宇宙開発で多少事故が目立つな、こんなことだと思います。きく六号のケース、また宇宙研のケース国民から見ると、日本の宇宙開発というのは本当に大丈夫なのかというふうな気持ちも持つわけでございますし、当然、この事故が起こったということについて原因を徹底的に究明をして、そのための委員会でもあるわけでございますけれども、適切な対策をこれから講じていくということは、これは言うまでもないことでありますが、同時に、先ほど申し上げましたように、国民から見るとという観点からすると、やはり新しい宇宙に対するチャレンジというものの意欲がそがれてしまうんじゃないかな、こんな心配もしておるわけでございます。  日本は、言うまでもなく科学技術立国と言われておるわけでありますし、今後とも、私自身も、これを国是として新しい日本の未来を切り開いていかなければいけないと考えておるわけでありますけれども、いろんな意味でチャレンジをしていかなければいけない。失敗の起こるケースもあるだろう。そういうことを考えますと、失敗を恐れるが余り、余りにも消極的になり過ぎて、かえってそういった研究開発が後退をするというようなことにもならないかなということも、実は同時に心配をしておるわけでございまして、今後この宇宙開発等についてどういうふうに取り組んでいかれるのか。  また、宇宙開発というものの日本における意義ですね。例えばアメリカとかソ連が、ある意味で先行したわけであります。そして、一生懸命後から追いついて、HⅡというすばらしいロケットを独自で開発をした、これもよく承知をいたしております。しかしながら、やはり日本日本独自の一つの開発姿勢があってもいいだろうというのも同時に言えるわけでございまして、そういった日本における宇宙開発の意義も含めて、お答えをいただければというふうに思います。
  182. 田中眞紀子

    田中国務大臣 質の高い生活のための宇宙開発とかあるいは環境保全とか、そうしたことは世界共通のことかと思いますけれども日本でいいますならば、午前中のお話にもありましたけれども、例えば新しい産業の創出でありますとか新しい技術をつくり出すとか、そういうふうな面で日本の独自性を出すようなことも、この宇宙開発との関連でできるのではないかというふうに思います。  それから、むだが必要であると、渡海先生御理解を示してくださいまして、大変ありがたいんですが、この間のきく六号のように失敗といいますかふぐあいが生じますと、額がやはり大きいものですから、技術者たちはそれから学ぶことも大きくて、大きな飛躍のもとにしよう、肥やしにしようという判断もできるんですが、一般の人たちから見ていますと、期待が大きいだけに、ふぐあいが生じるときには、非常に予算のむだ遣いではないかというような声が起こることも事実でございます。  厳しいこの財政状態の中で、いろいろ宇宙開発のための予算もいただいているわけでございますけれども、やはり現場の皆さんも非常に緊張してやっているということも御理解をいただきたいし、未来への先行投資であるということの最も典型的な例が宇宙開発ではないかと私は思ったりしております。ですから、ぜひ御理解もいただきたいですし、また御支援もいただきたいと思っております。  そして、宇宙開発以外の、先ほどの話に戻りますけれども、本当に科技庁のことを大変御理解いただいて、まことにありがたいと思っておりますけれども、本当に一科技庁だけではできませんで、先ほどの文部省との関係にいたしましても、日本人全体が幸せになって、有効に科学技術を進めて、みんなの幸せ、幸福に資するように進めていくという観点からいきましたならば、一官庁だけではなくて、ぜひ先生方皆さんが応援団になってくださってあちらこちら、私も随分文部省にはこういうことで語りかけをして、ドアをたたいているのですが、なかなかドアがかたいのです。きょうは文部省の方、帰ってしまわれたかもしれませんけれども、なかなか厳しい状態の役所だなと思っております。  ぜひ同じ目的意識を持っている議員同士が、与野党とかいうことではなくて、あらゆる先生方のお力をかりて、協力をしていただきたいということをこちらからぜひお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  183. 渡海紀三朗

    ○渡海委員 もちろん、大事な国民の税というものを使っていろんな研究開発をやるという立場からすれば、より慎重で、より効率的にやるということは、これは大原則でございます。  しかしながら、研究開発ということを考えましたときには、実はリスクもあるわけでございますし、また、むだでないむだと言うと単に言葉で遊んでいるというふうに思われるかもしれませんが、そういったことがあるんだということをぜひ勇気を持って時折いろいろなところで、わかりやすく発言をしていただく必要もあるんじゃないかな。そうでないと新しい未来というのはなかなか生まれてこない。  もう一点、最後につけ加えさしていただきますけれども、これは私の意見ですが、例えば国際貢献という点から考えましても、我が国は、例えば応用技術という点では非常にすぐれているけれども基礎研究で余り貢献していない、こういうことも言われるんですね。  日本はこれまで、確かに、どちらかというと、いわゆる海外の先人が切り開いてきたさまざまな、先ほども言いましたいろいろな探求心から生まれたそういった基礎的な研究をベースに、それを生活に役立てるという点では、非常に応用技術というものが育ってきた国だというふうに思っておりますけれども、ノーベル賞が少ないとか多いとかいうことだけじゃなくて、そういったチャレンジ精神を持って大いなる未来にチャレンジをしていくということに関して言うならば、いささかやはり消極的であったかな。これは戦後の経済状態なりいろいろなことを考えますと、やむを得ない時代もあったと思うのですけれども、今世界からいろいろな期待が寄せられているわけですね。  その中で、当然環境の問題、また先日来いろいろ議論になっておりますが、人口の問題なりエイズの問題なりいろいろなテーマがあるわけですが、やはり科学技術というテーマも非常に大きなテーマだと私は思います。人類共通の幸せにつながるような未来を切り開いていく研究開発、特に基礎研究開発に今後とも科学技術庁が大いに中心になって、そして我々も、大臣からも要請があったわけですから、大いにそういった点では党派を超えて、省庁を超えて努力をさせていただきたいと思いますので、今後とも大いに本音で活躍をしていただきたいということを最後にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  184. 野呂昭彦

    野呂委員長 吉井英勝君。
  185. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、きょうは地震観測予知体制の強化の問題を最初に伺いたいと思うのですが、実は先日、京大の防災研へ行きまして、地震学を初めとする学者の皆さんから、地震のメカニズムなど初歩的なところから、地盤とか構造物の地震応答、耐震性、その他なかなか興味ある問題、分野について見学したりレクチャーを受けてきました。  私が日ごろから思っております一つは、地球の四十六億年ほどの歴史の中で地震など自然現象というものをとらえていくということが大事な視点の一つだと思っているのです。ですから、一万年に一回の割合ということになれば、人間の歴史では気の遠くなるような話ですが、地球の歴史からすれば頻繁に地震が起こっているということになりますし、まして千年、百年、五十年に一回ということになれば、もうそれこそいっしゅく地震が起こっている、こういう感じになるわけです。  ですから、それだけに、地震予知などの研究を進めるという上では、非常に長い将来を見通して、継続性、連続性のある精密なデータをできるだけ数多くのポイントでとっていく。そして、今の我々にも必要ですが、将来の人類にもそれを残していくという、それは非常に大事なことだと思うのです。  ところが、少し予知連本部の方の事務局の資料をいただいて見てみますと、気象庁の測候所九十七カ所の半数以上が夜間閉鎖、無人化となってみたり、国土地理院予算は横ばい、地質調査所の予算は十年間で半減というふうに、基礎的データの収集が必要なときに事態はあべこべという非常に残念な思いをしました。  それで、午前中の他の委員の方からの質問の中でも、京阪神特定観測地域に指定していたのに、特別の体制をとっていたようには思えないという指摘がありました。首都圏のように、自動車などのノイズが多過ぎて正確なデータの得にくいところというのは、これまでは深井戸を掘って測定器を設置しなければならぬということでやってきたわけです。  そこで、最初にちょっと確認の意味でお聞きしておきますが、現在、首都圏だけで三千メートル級三本だけだったのが、今建設中のものが一本、二千メートル級六本へとふやすということで取り組んでいらっしゃって、このほかに二千メートル級六本が計画中ということで伺っているのですが、これだけでいいのか、さらにほかにも計画があるのか、確認の意味でまずこれを伺いたいと思います。
  186. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 今先生御指摘ございましたように、首都圏におきます予知研究の重要性というごとで、科学技術庁では、従来、防災科学技術研究所を中心といたしましてこの整備に努めてきております。  それで、まず三千メートル級の深層観測施設、これにつきまして三カ所、岩槻、下総、府中と施設を設けまして観測をやってまいりました。平成三年からこれをさらに強化したいということで、三千メートル級観測施設一カ所、二千メートル級観測施設十二カ所、それからケーブル式海底地震観測施設というものを平塚の沖約百二十キロに敷設する計画にしています。そのほか、先ほど来お話がございます人工衛星、GPSによる精密観測地点十二カ所、こういう施設を整備をいたしまして、従来より広域かつ深部にわたる微小地震前兆現象をきちんとつかまえたいということで整備をさせていただいております。  この計画は平成八年度で完成の予定でございまして、全体百五十億ということで、公共投資重点枠等もいただきまして、順調に今整備させていただいておるところでございます。
  187. 吉井英勝

    ○吉井委員 実は、阪神地震を契機にして、特定観測地域なのに、強化地域ではないということで、京阪神では深井戸を掘った観測というのはないわけですね。しかし、自動車等ノイズの多い地域であることはもうはっきりしているわけです。  そこで深井戸式の測定器が必要だということは言われているのですが、これは地震のメカニズムの解明、それからプレート、断層等を含めた地下構造の解明にとって不可欠のものですし、とりわけ地殻とか上部・下部マントル、核の構造の解析等、こういったことがやはり必要になるわけですね。それが地震予知にも生きてくるわけであって、そういう点で最低三地点必要だけれども、とりあえず一本からでも深井戸を掘った深層観測が必要だ、これは学問上、研究上の要請から、私、防災研の教授の方などからも強くそういう訴えも聞いてきました。  午前中、茂木予知連会長からも、ギリシャ測定値は精度がいいというお話があって、それはノイズが少ないからだというお話がありました。私、担当の衝に当たられる序としては、大都市部ではこの深井戸を掘って、そしてノイズの入らない測定が必要だという認識は、京阪神といえども持っていただいていると思うのですが、この点はどうでしょうか。
  188. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 先生御案内のように、地震予知研究につきましては、防災科学技術研究所は首都圏、東海担当ということで、先ほど申し上げましたよう計画を進めさせていただいているところでございますが、これはまた縦割りとおしかりを受けるかもわかりませんけれども、北は北海道から南は九州までいろいろございまして、各大学の担当でございますとか、いろいろ地域を集中して研究をいただいているところでございます。  それで、今の微小地震で深井戸が必要かどうかということでございますが、関東につきましては、非常にローム層が厚いということでやらせていただいているところもございまして、関西につきましては、今後地震予知推進本部等で議論をしていきたいというふうに思っておりますが、関西は基本的には京都大学等が中心にやっていらっしゃるところだということも御承知おきいただきたいと思います。
  189. 吉井英勝

    ○吉井委員 今のお話にもありましたように、関西は比較的に浅いということで、科学技術庁の方でお話ししますと、いろいろな説もあるけれども、千五百メートルぐらいで大体がたい岩盤に当たるのじゃないか。ですから、三千メートル級で一式二十二億円ほどですか、二千メートル級の深井戸で一式六億円と、うんと安くなるのですね。千五百メートルでいいのか二千メートル必要かとか、これは専門家の議論に譲りたいと思いまして、私、勝手なこと申しませんが、いずれにしてもそれほど高いものじゃないですね。  そこで、私は、やはり京阪神にも、今回の地震の教訓も踏まえて、学者の方々からの訴友もありますし、予知連の方でも検討したいというお話ですが、そういう専門家の検討等ももちろんあるとしても、これは大臣、どうでしょうね。こういう大都市部ノイズが非常に入って精密な測定がやりにくいというところについては、ちょうどあれは名古屋から京阪神にかけての特定観測地域なんですが、こういうところで深井戸式の観測を行うということを国としても積極的に検討していく、そういう点はぜひ大臣としてもお考えいただきたいと思うのですが、この点だけ一言伺っておきたいと思います。
  190. 田中眞紀子

    田中国務大臣 深井戸は、確かに今おっしゃいましたように、二千メートル級、三千メートル級、東京、首都圏中心にやっておりまして、ほかの地域はどうかというふうな御指摘でありまして、予算その他のことから考えて、それは可能であればもちろんやらないよりもやった方がいいわけでございますけれども、この深井戸のほかでもまた予知する方法があるのかどうか、私もすべての情報を持っておりませんので、先生からの御提言は貴重なものとして受けとめさしていただきます。
  191. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、これは予算的にも、事前に伺いまして、二千メートル級で一式六億円ぐらいなんですね、一本掘って。千五百メートルでいいかどうかわかりません。仮に千五百メートルとするともっと安くなるわけです。ですから、科学技術庁全体の予算からすれば、これは本当にそれほど大きなものではなくて、しかも、それが日本全体の今後の地震学の進歩にとっても大きく貢献するものでありますから、これはぜひ大臣の方で考えていただきたい、積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思うのです。  くどいようですけれども大臣、そういうこと、よろしいですね。額も大したことないから、ちょっと検討してもらえますね。
  192. 田中眞紀子

    田中国務大臣 これは、よろしいかどうかわかりませんけれども、はい、わかりました。
  193. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、原発事故の緊急時対策の方に入りたいと思うのですが、阪神大震災の中で、新幹線高速道路、石油化学コンビナート、原発などの安全神話が打ち砕かれてきたというのが国民の中での思いだと思うのです。耐震基準の見直しとか全国的な総点検が必要になっておりますが、きょうは、私、事故時の対策の方を聞きたいと思うのです。  例えば、事故が起こったときにどういう対応をするかということで、九州電力の玄海原発のある佐賀県ですと、沃素剤が百四十五万二千百十五錠、これは大体十万三千七百人分あるわけですね。鹿児島の方の川内原発のあるところでは六十一万錠、大体四万三千五百人分あるわけです。十キロ圏のということになると、川内市だけでも人口六万人、二十キロ圏の市町村を合わせますとさらに多くなるわけですが、そうすると、地域によってはこの保管する量的な問題ということも出てくるわけです。  きょうは、その量的な方はちょっと置いておいて、今これがどこに保管されているかというと、市役所とか町役場に保管されているわけです。せんだっての阪神大震災のときのように、地震で道路が寸断される、火災の同時多発とか、いろいろなことも考えていかなきゃならない。もちろん、原発事故というときに、原発事故で放射能汚染から避難する人のことも考えなきゃいけない。  そういうときに、市役所、町役場に保管されているものが、短時間にこの沃素剤が確実に配布されていくのかどうか、これが問題になると思うのですが、この点について、まず事務方の方で検討されたかどうか、伺っておきたいと思います。
  194. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 先生今御指摘のありました沃素剤の配布でございますが、各立地市町村におきまして、御指摘のように保管しているわけでございます。また、この沃素剤を原子力災害時、私どもそういうことにならないように努力はしているつもりでございますが、不幸にも万々が一そういうことが起きた場合には、この沃素剤を含めまして緊急時対応地域防災計画の中で決めてございます。  そういうことで、迅速な対応ができるような形での配布計画をつくっておるわけでございますが、道路が災害時に遮断されるとか、いろんなことが想定されようかと思います。確実に住民に沃素剤が届くことがやはり一番大事だと思っておりますので、先生御指摘のような点も踏まえて、私どもとしては、基本的にはこれは地元の市町村がお決めになることなんですが、我々、防災につきましては、原子力災害の特殊性にかんがみまして、地方自治体にいろんな角度から支援をしておるわけでございますので、そういう中の一環として、確実に、的確に配布できるような形を今後とも検討してまいりたいと思います。
  195. 吉井英勝

    ○吉井委員 今は、確実に短時間に配布されるという保証はないという状態なんです。ここのところを大臣、よく聞いておいてほしいのです。なかなか大事な問題なんです。  それで、これはスイスの方で出しているものですが、スイスではゾーン分けをしまして、大体三キロから五キロぐらいの原発にうんと近いところは各家庭に渡しておかないと間に合わない、そういうふうな対応をしているんです。ですから、これからぼちぼち、どうして短時間に配布するか考えましょうというんじゃ本当は遅いということで、少し認識を改めていただきたいと思うのです。  次に、放射能汚染時の除染施設というのがあります。福島の原発は第一原発から五キロのところにあり、浜岡原発では二キロのところ、島根原発は六キロのところ、伊方原発は二キロのところというところにそれぞれ除染施設があるのです。スイスなどは、大体半径二十キロ以内を第二ゾーンとして、この外への避難を考えようにということになっているんです。  日本は、大体これまで十キロということを基準にしてこられたわけです。ですから、その不十分な半径十キロのところから、放射能汚染を考え、避けるという、外へ出るという立場に立ってみても、実はこの今挙げたところは、除染施設が十キロの範囲内にあるわけですね。これはだれが考えてもすぐわかるように、範囲内にあるわけですから、除染して、きれいになった体でシェルターに入るか、それとも改めて十キロ以上離れたところへ逃げていかなきゃいけない。逃げる途中でまた汚染されるわけです。出た先に除染施設があるかというと、実はないんですね、最初に除染してしまうと。  こういうふうな問題が現実に日本の除染施設についてはあるわけです。しかも、一台とか二台というふうなわずかな単位ですから、一遍に大勢の人が浴びた汚染を洗い流すということはできないという状態です。  ですから、私は、今この除染施設についても、場所についても、台数その他についても、これは沃素剤とともに、今回の大震災を契機に根本的に見直しをまず事務方の方でもきちっとして、それを大臣の方に進言していくとか、そういうことが必要なんじゃないかと思いますが、どうですか。
  196. 笹谷勇

    ○笹谷政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、除染施設等の状況を見ますと、かなり原子力施設に近いところに設置されているということは事実でございます。災害時にいろんな状況が想定されるわけでございますが、必ずしも近いからといって、確かに先生今御指摘されたようケースですと、この施設については妥当性に欠ける側面もございますが、必ずしもそこまで一気に災害が広がるということも想定しづらいという側面もございます。  この配布の状況につきましては、災害時に最善の形になるというような検討は従来からも行っておりますし、今後ともその数も含めまして、今度の地震災害ということもございますし、安全委員会の方の防災対策専門部会で幅広く検討を開始しておりますので、その中でその妥当性等についていろいろ検討さしていただきたい、こう考えております。
  197. 吉井英勝

    ○吉井委員 スイスなどでも、あなたのおっしゃったようなことなども皆検討しているわけですね。  要するに、おっしゃりたいことは、放射能で汚染されたクラウドという、要するに雲状に広がっていく、それは風向きによって違うのだ、大体百二十度の角度ぐらいのところで考えたらとか、だから、風向きが違ったら必ずしも当たらないというのがあなたの言いたいところだと思うのですが、防災考えるときにそういうことは余り意味ないのですね。  防災というのは、最悪の事態を考えてこそ防災が成り立つのです。いつもこの安全がいいようにいいようにとらえて考えていくのならば、何も心配要らないのです。大体、原発は事故がないという発想に立ては、もともと災害の話は出てこないわけです。しかし、災害というのは、いつも最悪を考えて備えてこそ国民の生命と財産を守ることになるので、我々政治にある者が一番考えなければいけない安全保障というのはそこなのですよね。そういう立場に立ったときに、私は、今の局長さんのお考えというのは、余りにものんきなお話だなと伺いました。  実は、一九七八年に大規模地震対策特別措置法が成立したわけですが、震源域の上にある浜岡原発では、通常の災害対策基本法に基づく地域防災計画の一環としての原発防災編はあるのです。ところが、この特別措置法に基づく原子力防災というのはまだつくられていないのですね。私はそれを、それは地方の問題だ、地方の責任だということでやるのじゃ、地方自治体はそれほど、どの自治体だって専門家を持っているわけじゃないし、余りにも気の毒だと思うのですよ。やはり基本的なところについては、国の方でもきちんと国民の生命と安全を守る、財産を守るという立場で私は考えていただかなければいけないというふうに思うわけです。  阪神大震災よう地震時の原発事故をまともに想定した緊急時対策というのは、実はないということがはっきりしましたが、私は、阪神大震災から教訓をしっかり酌み取って、深い検討を行って、緊急時対策のマニュアルをつくるなどの取り組みが今求められていると思うのです。この点は大臣の方に政治家としての決意を伺って、時間が参ったようですから、質問を終わりたいと思います。
  198. 田中眞紀子

    田中国務大臣 確かに、原子力施設は安全であるという、安全でなければまたいけませんし、そのためにあらゆるサイトがそれぞれの条件を満たしながら立地をしているわけでございますけれども、先ほど吉井先生がおっしゃいましたように、最悪の事態、何が起こるかわからないという中で防災のあらゆる施策を講じていくのが政治家だろうというふうに私も思います。今おっしゃった特別措置法もそうですが、やはり現実対応をしなければ、幾ら法律をつくっても、幾ら防災訓練をやっても、避難路をつくってもどうにもならないわけですから、最悪の事態、起こってはいけないけれども、もしも起こった場合に対応できるシステムづくりということを現実の目標として努力したいと思います。
  199. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。
  200. 野呂昭彦

    野呂委員長 大谷忠雄君。
  201. 大谷忠雄

    ○大谷委員 大谷でございます。  質問に先立ちまして、さきの阪神・淡路大震災における被災者の方々、またお亡くなりになりました方々に心からお見舞いを申し上げる次第であります。  先ほどの地震の発生というものは、社会にとりまして、あるいは経済にとりましても大変な影響があるということは、もう既に議論が尽くされたところであります。したがって、私ども、この日常生活において地震予知というようなものは、この委員会でけさから大いに議論されたところでありますけれども、大変に重要な役割を持つものだというふうに感ずるところでございます。  さきに参議院本会議で田中科学技術庁長官は、いわゆる東海地震につきましては予知はほぼ可能であると申し上げられると思いますというような御答弁をされたところでございますが、いわゆるこの東海大地震予知についてどのよう体制がとられておりますか、お伺いをしたいというふうに思います。
  202. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 現在、予知が可能であるという地域東海地域であるということは、大臣御答弁されたとおりでございます。  この地域でどういう体制がしかれているかでございますが、まず気象庁に関係機関の地震計等の必要なデータが集中をするようになっておりまして、気象庁はこのデータをもとに常に異常がないかどうかというようなことを観測しております。この観測データに基づきまして異常値が認められた場合には、気象庁に置かれております、地震予知の学識経験者で構成されております地震防災対策強化地域判定会を直ちに招集いたしまして、専門家の方に御議論いただきまして、異常現象が大規模地震前兆であるかどうかという判断をすることになっておるわけでございます。  仮にここで大規模地震が発生するおそれがあるという結論が出されますと、気象庁長官内閣総理大臣地震予知情報の報告を行いまして、内閣総理大臣はこの情報をもとに閣議にかけまして、警戒宣言を発令するとともに、気象庁からは地震予知情報等の関連の情報が関係方面に連絡あるいは発表されるということになっておるわけでございます。
  203. 大谷忠雄

    ○大谷委員 ただいま気象庁が常時監視をしておるというお話でございましたけれども科学技術庁といたしましては、その監視の中でどのような役割をしておられるかということについてお伺いをいたします。
  204. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 先ほどから御説明申し上げておりますが、科学技術庁防災科学技術研究所で、東海地域におきまして微小地震計あるいは傾斜計等を設置しまして、微小地震観測研究を行っておりますが、このデータにつきましてはオンラインで気象庁に差し上げて、先ほどの判断の材料にしていただいているところでございます。  また、先ほど申し上げました地震防災対策強化地域判定会が招集されましたときには、職員を派遣しまして、防災科学技術研究所のデータの説明あるいは判断といいますか、そういうことの御説明をさせていただくというようなことも行っておりまして、いろいろな面でこの判定に御協力をさせていただいているところでございます。
  205. 大谷忠雄

    ○大谷委員 今回の地震災害では活断層に大変に関心が集まりまして、活断層が話題になっておるわけでございますけれども地震対策の基本的なものといたしましては、土地の地形でありますとか地質でありますとか、そういったものの研究も必要だというふうに私は思います。  特に、表層地層でありますとか古い埋立地等も含んだ沖積層の研究、こういったものも必要ではなかろうかというふうに思うわけでありますし、また海洋プレートの地震につきましても、これまでの研究の成果も踏まえてさらに研究が必要ではないかというような感がいたすわけでありますけれども、こういったことについてどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
  206. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 活断層についてでございますが、活断層につきましては、大学あるいは工技院の地質調査所、そういったところで長年にわたりまして充実した調査が行われておりまして、日本全国にどれくらい、どこに活断層があるかといったようなことは大体わかってきておるわけでございます。  ただ、この活断層地震にどういう影響があるかといったような評価につきましては、この活断層トレンチ調査とかボーリング調査とかいろいろな調査を行った上でなければわからない、あるいはやってもわからないといった面があるわけでございます。  これにつきましては、大変なお金と人手がかかりますものですから、午前中御説明申し上げましたが、この二月十日に、大臣本部長になっております地震予知推進本部におきまして、とりあえず取りかかれるものから、科学技術庁におきまして科学技術振興調整費をもちまして調査に着手しようというふうに思っておりますが、全体非常に膨大な調査になりますので、これにどういう考え方で取りかかっていくかということを整理した上で、至急そういうことをやってまいりたいということで、関係省庁とも御相談しているところでございます。  それからもう一点、海洋プレート型地震お話がございました。午前中、茂木先生からもお話がございましたが、活断層地震というのは千年単位ということだそうでございますが、海洋プレートによる地震、海溝型の地震の方につきましては、数十年から百年ぐらいの単位で必ずやってくる地震でございます。そして、一たん地震が起きますと、非常にマグニチュードが大きい、津波があるといったようなことで、この研究は非常に重要であるというふうに考えております。  科学技術庁におきましては、防災科学技術研究所はもちろんでございますが、海洋科学技術センターとかの調査能力も活用したり、あるいは海上保安庁を初め関係省庁とも協力しまして、東海地震以外の海溝型の地震調査研究、これを大いに進めさせていただいているところでございます。
  207. 大谷忠雄

    ○大谷委員 今回の地震で交通網が大変に分断されたわけでございますけれども、私は愛知県の出身でありますが、愛知県も新幹線が大体百キロほどございます。その百キロの中にトンネルが五つ、橋が、川にかけてありますもの、陸上のものを合わせますと二百七十ほどございますし、沖積層の上を六十五キロ走っておるわけであります。また、人口の大変に集中しておりますところが十四カ所というふうに走っておるわけでございます。  昭和三十九年に新幹線ができて、東京-大阪間、当初より一時間三十分も時間が短縮されたということで、猛スピードで走っておるわけでありますが、この二百七十キロというスピードで走っております新幹線、もし地震が起きたらというふうに考えますと懐然とするわけでございます。  地震の方は、大体、初動から主要動まで数秒から十秒ぐらいというふうに聞いております。新幹線の方は、二百七十キロで走っておりますと、もし感震器がその地震を感知したとしても、とまるまでに大体二キロないしは三キロ、時間にして二分弱ぐらいかかるんじゃないかというふうな感がするわけでございますけれども、こういったところの対応というものはどういうふうに研究されておるか、お伺いをいたします。
  208. 藤森泰明

    ○藤森説明員 「のぞみ」あるいは「ひかり」が停止するまでに要する時間でございますけれども、ただいま先生が申されましたとおり、七十秒から九十秒、その間、停止するまでの距離が大体二キロから四キロ必要になるというふうになっておるところでございます。したがいまして、その間、少しでも早く地震を感知いたしまして列車をとめるということが重要でございますけれども、東海道新幹線におきましてはユレダスという装置を整備しておりまして、今後この設置範囲が拡大されていくというふうに思われておるところであります。  また、今回の地震で、山陽新幹線におきましても構造物の方で大変な被害を受けたわけでございますが、まずは何よりも構造物の耐震性の強化ということが改めて重要な課題でございまして、現在有識者によります検討委員会というものを運輸省の方では設置いたしまして、耐震構造のあり方というものにつきまして検討をしていただいておるところでありますので、この結果を踏まえましてさらに耐震構造について検討を深めてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
  209. 大谷忠雄

    ○大谷委員 あと五分ということでございますので、情報通信技術の問題についてお伺いをいたそうと思いましたが、ちょっと時間がございませんので、割愛をさせていただきます。  けさからいろいろと話題になっております子供たちの科学技術離れということでございますけれども、科学技術教育、これは大変に重要だということは私どもも認識をいたしておりますが、どうしても子供たちにとってなじみ深くないということで離れておるというふうに思うわけであります、ただ、本当に必要でありますから、その科学技術教育の中に、例えば思いやりでありますとか情感でありますとかというものも含めた、人間的な教育というものが必要だというふうに思うわけであります。  才能教育で有名なバイオリンの鈴木鎮一先生が「人は環境の子なり」というふうに言っておられますし、そういった環境をつくることこそが必要であるというふうに感ずるわけでありますが、そのことについて未来担当大臣長官、いかがでございますか。
  210. 田中眞紀子

    田中国務大臣 未来担当大臣と少し大げさなことを言ってしまったかなと思っておりますが、本当に人づくりというものがいずこの国にとりましても最大の資源になることだと思いますし、国の将来、世界の平和に貢献していけるかどうかということにかかっていくと思います。  ですから、平和、すなわち、それは自分たちの人類の幸福ということにつながっていくと思うのですけれども、そのためには、きょう午前中も申し上げましたけれども、素朴な疑問とか喜びとか、そういうものがすごく大きな成果を生む。そういうものにつながっているのだということで、決して特殊視しないで、日常の中から一人一人を大事にするような教育をして、その中で自然な形で、ぶつぶつと学年とか何かで切るのではなくて、ずっとライフワークとして、きれいな絵を見たらいいと思ったり、音楽を聞いたらいいと思うと同じように、おいしいものを食べたらおいしいと思うと同じように、不思議だと思うこと、それからすばらしい発見とか、それが宇宙やら海洋やらエネルギー問題やらいろいろなものに直結しているんだ、それが自分の最も身近なものだということを気づかせるような教育、人づくり、システムというか、そういうふうなものを私たちみんなが自分のこととして、政治家としての視点とか、役人としての視点とか、教育者ということではなくて、一人一人の視点で、自分のこととしてどうとらえていくか、それを素直な形で政策に生かしていくという努力をしていくべきだろうと思いますし、そのためのまた御助言もいただきたいと思います。
  211. 大谷忠雄

    ○大谷委員 ありがとうございました。このことに関しまして、例えば文部省には学習指導要領でありますとかカリキュラムがございますが、そういった他省庁との勉強会でありますとか連絡会というようなものはございますかどうか、お伺いしたいと思います。
  212. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 お答え申し上げます。  こういった青少年の科学技術離れとか人材育成のために、他省庁と協力してそれを進めていく、どういう施策をやっていくかということも相談してやっていく場といたしまして科学技術会議というのがございまして、これは総理大臣が議長を務めておられるものでございますけれども、そういう場におきまして、関係各省だけではなくて各界の学識経験者も含めまして検討していただいて、実は昨年の十二月にそういう方針が出されたところでございます。
  213. 大谷忠雄

    ○大谷委員 最後でございますけれども科学技術庁が取り組むべき研究分野、今の教育の問題もそうでございますけれども、高度情報化に向けてのさまざまな取り組みが必要だというふうに思います。大変積極的に取り組んでいただいていることは理解いたしておりますけれども、欧米に比べると大変におくれておるというようなことも聞いております。この高度情報化に向けて具体的にどのようなことをされるか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
  214. 田中眞紀子

    田中国務大臣 科学技術庁は、省際研究ネットワークの運用を本年度より開始したところでございます。そして、そのネットワーク上を流れます情報の量だけではなくて、質を高度化していくために、いろいろな省庁専門家の皆様と協議をしていきたいと思っております。  より詳しいことは局長からお答え申し上げます。
  215. 工藤尚武

    ○工藤政府委員 それでは、事務的にちょっと補足させていただきます。  今大臣から申し上げましたように、各省の研究所あるいは大学研究所を結ぶ情報ネットワークが非常に重要ということでございまして、平成六年度、今年度からその整備にかかってございます。そして、現在までに十一省庁の試験研究機関、約八十機関と結ばれるようになってございますし、またアメリカとも接続が可能になったところでございます。  今後は、この省際ネットワークをさらに充実させていくとともに、そのネットワークの上を流れますデータベースの整備が急務と思っておりますし、また高性能のコンピューターを利用いたしました計算科学技術、これも研究を推進していく必要があると考えてございます。そういう分野で鋭意取り組んでまいりたいと思っております。
  216. 大谷忠雄

    ○大谷委員 時間が過ぎましたので、要望をさせていただきます。  明治二十四年に濃尾地震がございました。このときの地震マグニチュード八・四でございまして、内陸直下地震でございます。死者が七千二百七十三人、家屋全壊が十四万二千百七十七戸ということで、この地震を契機にいたしまして、国を挙げて地震対策に取り組むという展開がされたというふうに聞いております。  そのときに震災予防調査会というものができまして、その会長に理学博士の菊池大麓さんという方がなられたのでありますが、その報告書の緒言に書いてありますことは、「本会調査ノ事業ハ着々歩ヲ造ムト雄猶創業ノ際二属スルヲ以テ諸般ノ準備二日子ヲ要スルコト砂カラス且此事業タル概ネ短日月ノ間二於テ其成績如何ヲ観ルコト能ハサルモノナリ」というふうにあるわけであります。要するに、科学的、技術的に調査をしても、かなりの日数がかかるということであります。  明治二十四年でありますから、ちょうど今から百四年前でございまして、百四年たちましたことしに同じよう規模の大地震があったということであるわけであります。どうか田中長官初め科学技術庁方々におかれましては、さらに研究をされて、国民生活を安心できるものに一日も早くしていただくことに大努力をしていただくこと、我々もお手伝いをさせていただくということで要望とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  217. 野呂昭彦

    野呂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十三分散会