運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1995-03-27 第132回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月二十七日(月曜日)     午後一時三十一分開議 出席委員   委員長 鈴木 宗男君    理事 金田 英行君 理事 松下 忠洋君    理事 宮里 松正君 理事 今津  寛君    理事 仲村 正治君 理事 矢上 雅義君    理事 上原 康助君 理事 荒井  聰君       赤松 正雄君    伊藤  茂君       永井 哲男君    鉢呂 吉雄君       古堅 実吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 河野 洋平君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君  出席政府委員         外務大臣官房領         事移住部長   畠中  篤君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省欧亜局長 野村 一成君         外務省条約局長 折田 正樹君  委員外出席者         北方対策本部審         議官      中川 良一君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      吉村 正機君         特別委員会第一         調査室長    田村 勝美君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 鈴木宗男

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件についで調査を進めることとし、本日は、河野外務大臣及び山口総務庁長官の所信に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮里松正君。
  3. 宮里松正

    宮里委員 私に与えられました時間は二十分でございますので、二点ほど河野外務大臣にお伺いをいたします。  最初の第一点は、沖縄問題に対する政府の基本的なスタンスについてであります。  御承知のように、ことしは戦後五十年という節目を迎えました。沖縄県にとりましては、沖縄戦が終結しでからちょうど五十年ということになるわけであります。  ちなみに沖縄戦は、三月二十三日に米軍が侵攻してまいりましで、ちょうど五十年前のきのう、初めて沖縄本島南西の地にあります慶良間列島に上陸をいたしました。私はちょうどあのころ中学の在学生でございまして、二十年三月二十五日、緊急動員令を受けまして沖縄戦に参加いたしました。沖縄戦に動員された米軍は、空母二十九隻、戦艦十八隻、重巡洋艦十二隻、軽巡洋艦十五隻、駆逐艦七十一隻を含む米国の艦船千四百五十九隻と、空母四隻を含む英国の艦船二十二隻の合計千四百八十一隻でありました。したがいまして、五十年前の今ごろは、ちょうどその艦影沖縄本島を十重二十重に取り巻いておりました。物々しい姿でありました。  四月一日には沖縄本島に上陸いたしました。終結いたしましたのが、それから九十日後の六月二十二日でありました。六月二十三日、御承知のように、沖縄の守備に当たっておりました第三十二軍の軍司令官牛島満中将軍参謀長勇少将が、ともに自決いたしました。これをもって我が軍の組織的な抵抗は終わりました。沖縄県では、以来、その日を平和祈念の日として毎年慰霊祭が行われていることは御承知のとおりであります。  ちなみに沖縄戦犠牲になりました人たちは、日本側軍人軍属死者が約九万八千人、うち沖縄出身者が二万八千人でありました。犠牲となった民間人が約九万、合わせて日本側は十八万八千人であります。米軍死者が約一万二千人でございましたから、合わせて約二十万人の犠牲が出たわけであります。  約九十日にわたる沖縄戦は、これは熾烈なものでございました。自決された参謀長長勇少将は、このことを漢詩に託して、  醜敵停滞す南西の地  飛機空を覆い艦海を圧す  敢闘九旬一夢の裡  万骨枯れ尽くして天涯に走ると詠じました。私どもは、当時現地におった者として、実感を持ってその詩の趣旨がわかるわけであります。  あれから約二十七年間、沖縄アメリカ施政下に置かれました。その間アメリカは、御承知のように広大な基地を構築いたしました。そして、沖縄のこの基地かなめにいたしまして、アメリカアジアにおける軍略体制が構築されてきたわけであります。  昭和四十七年五月十五日、念願の沖縄祖国復帰が実現をいたしました。その際、米軍が構築した広大な基地をそのまま残すことになりましたので、その点から、沖縄県民に多くの不満が残りました。  以来、歴代内閣はそのことに思いをいたされて、日本安全保障政策の上でもあるいは外交政策の上でも日米安保体制を堅持しなければならない、そのために沖縄基地も必要であるから提供していかなければならぬ、結果として沖縄県民には多くの迷惑をかけてきた、だから政府としては引き続き、立ちおくれておる沖縄社会資本整備を初め地域振興のためには可能な限り全力を挙げていきたい、こういう姿勢を示してこられました。少なくとも復帰のときの佐藤内閣から宮澤内閣に至るまでは、そのようなことが毎回鮮明にされてきたわけであります。  ところで、今の自民、社会新党さきがけ連立内閣はこの点についてどのようにお考えであるのか、そのことをお示し願いたいと思います。
  4. 河野洋平

    河野国務大臣 まず結論を申し上げますと、村山内閣におきましても、従来とってまいりました考え方をそのとおりと考えておりまして、引き続き努力をしてまいりたい、これが結論でございます。  沖縄戦の記憶を交えて先生からお話をいただきましたが、まさに五十年前、沖縄の島で、また海で、空で多くの激しい戦闘が繰り広げられて、その結果、お話にございましたように双方合わせて二十万になんなんとする方々が亡くなられたということを思い起こして、まことにつらい気持ちでいっぱいでございます。今日、我々が平和を享受し、また経済的にも極めて、当時からすれば信じられないような状況に今なっているということを考えれば、あの当時亡くなられた方々に対していろいろ思いをはせるものでございます。  今日の状況は、今議員からお話がございましたように、東西の冷戦は終わったとはいえ、まだまだ不安定な要因は我々の周辺にもございます。こうした不安定な要因をいつの日かなくして、本当に平和な世界をつくるということのためにもっともっと努力をしていかなければならないという思いがございますが、今日の状況を考えれば、日米安保体制というものが引き続き我が国の安全を確保する上で重要だという認識を持っておるわけでございます。そして、日米安保体制がその目的を達成するために基地というものが重要であるということもまた、否定できないところでございます。  ただ、その結果、沖縄県民方々に、あれだけの悲惨な状況を体験をされた沖縄方々に、また引き続き、基地を抱えで長い間、半世紀にわたって御労苦をいただいているということを我々すべての日本人が考えなければならぬと思いますし、とりわけ政府として忘れてはならない――忘れてはならないという言い方は非常に消極的で、非常に強く考えていかなければならないものだというふうに思うわけでございます。沖縄県民の皆様から御要望がございます、さらには、政府としてかねてからいろいろ申し述べてまいりましたことを考えれば、基地問題についても積極的に取り組んでいかなければならないのは当然だろうと思います。  この正月早々に行われた日米首脳会談におきましても、両国首脳がこの点についても言及をいたしまして、村山総理日本に帰られて直後に、私及び防衛庁長官を呼ばれて、この問題について努力するようにという指示があったところでございまして、私といたしましても従来よりさらにこの問題について努力をしてまいりたい、こう考えているところでございます。
  5. 宮里松正

    宮里委員 基地整理縮小に対する姿勢も示していただいたわけでありますが、改めてそのことについてお伺いをしておきたいと思います。  沖縄米軍基地について地元としてどう考えるかということは、日米安保条約の維持を容認するか、日米安保体制を容認するか否かによって大きく異なります。しかし、かといって、私どものように日米安保体制を容認する立場に立ちましても、現在の米軍基地をそのままいりまでも残していいという意見にはなりません。それには二つの大きな理由がございます。  その第一は、国土の一%にも満たない沖縄本島に全国の七五%に及ぶ広大な米軍基地があることであります。二番目は、沖縄米軍基地はもともと地域住民平穏裏に共存共生じていけるような状況にはなっておりません。したがいまして、可能な限りこれの整理縮小を図って地元人たちが安心して生活できるようにしてほしい、これが地元の切なる願いであります。先ほど大臣も触れられましたように、三つ事案日米間で今検討されているところでありましで、私はその具体的な進展を心から期待するものであります。  そして、方向といたしましては、私は復帰のころから絶えず申し上げてきたわけでありますが、せめてハワイ並み基地にしてもらえぬだろうかということであります。ハワイには太平洋軍のヘッドクオーターがあるわけでありますから、非常に強大な基地機能がございます。しかし、あそこはアメリカの国内であるというところから、基地のそもそもの計画から、地域住民生活にそれほど影響を与えないように、地域住民生活の分野と米軍基地とはセパレートにされているわけであります。ハワイに参りましても、強大な米軍基地があるという感じは全くいたしません。  それに引きかえて沖縄は、那覇の飛行場におりた途端から米軍基地がずっと続いているわけであります。なぜかといいますと、沖縄戦で全域を米軍が占領し、最初は対本土作戦を遂行するために、米軍が使いたいところ、使いやすいところを勝手気ままに使って基地をつくったわけであります。そして、二十六年の対日講和条約、そして日米安保条約が当初提起されましたそのころから、アメリカの極東における軍略体制かなめとしてどんどんこれを拡張してきて、そしてそれが復帰後もそのまま引き継がれてきた、こういう経緯があるからであります。  大臣、これからは、今検討されております三つ事案検討とともに、今すぐとは言いません、多少は時間がかかりましょう、日米間で少なくとも協議をされて、整理縮小を図って、地域住民米軍基地とが平和裏に共生共存していけるようにせめてハワイ並み基地にしていただきたい、こう思うのでありますが、ひとつそのことについて一言お答え願いたいと思います。
  6. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄におきます米軍基地は、長い間に件数で言えばかなりの件数は減ったわけでありますが、占有面積ということになりますとたしか一五%程度が縮小したという状況というふうに報告を受けております。  この問題については県民の強い要望というものがあることを、私どもも先ほど申し上げましたように十分承知をしておりまして、日米首脳会談でもこの問題が特別取り上げられて言及されるという状況でございます。アメリカ側もこの点については十分承知をしているというふうに、私は陪席をしてうかがい知ることができました。また、村山総理もこの問題については極めで熱心に議論をされたわけでございまして、この両首脳気持ちというものは県民気持ちを非常に正確に受けておられるというふうに私はお見受けをいたしました。  先ほども申し上げましたように、総理からの御指示もございます。また、委員からの御指摘もございました。私は私なりに、県民気持ちというものを大切にしながらこの問題解決のためにできる限りの努力関係者とともにいたしたい、こう考えております。
  7. 宮里松正

    宮里委員 時間がなくなりましたので、私の具体的な質問はこの二点で終わるわけでありますが、村山総理を私ども心から信頼を申し上げております。また、外務大臣は我が党の総裁でもありますから、沖縄の問題については既にもう御承知のとおりであります。これから、沖縄にあります米軍基地整理縮小につきましては、心を込めでといいますか、ひとつぜひ積極的に取り組んでいただいて、その県民願いがいずれかの日に順次実現していけるように御尽力を賜りたい、そのことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
  8. 鈴木宗男

  9. 金田英行

    金田(英)委員 私にも与えられた時間はわずか二十分でございますので、北方領土の問題につきまして、またそれに関連する若干のことについてお尋ねしたいと思います。  北方四島ビザなし渡航というような形で、毎年毎年相当島民日本の旧島民との交流が進んでおります。毎年双方から大体四百人ないし多い年で六百人くらい、四島との交流が進んでおります。ビザなし渡航、こういう交流によりまして、向こう島民日本を見る目というのが大分やわらかくなってきている。ああ日本もいいところだな、日本にも戻ってきてもらってもいいのかなというように、島民の感情というのは大分やわらかくなったというふうに仄聞してございます。  今まで北方領土問題に関しては、政経分離なんだ、島を返してもらうまではいろいろと経済交流はやらないんだというような一時期がございました。しかし、この四島問題を議論していくにも、だんだんそういった形で交流を通じていろいろと相互の信頼関係を醸成する、あるいは法と正義という形で原則いろいろやっておられる御努力は多としますけれども、これからやはり経済交流あるいは地元人材交流等々を進めていくことが基本的に必要なんだろうなというふうに考えておる次第です。  ところが、前回の地震に四島が直撃されましで、島民相当島から避難するというか、離島しているというふうに聞いております。外務省がいいのか総務庁がいいのかわかりませんけれども大分減っているというふうに聞いているのですが、そこら辺の実情を若干お聞かせいただきたいと思います。
  10. 野村一成

    野村(一)政府委員 お答えいたします。  北方四島地域におきますロシア住民の移動についで公式なデータというのはなかなか難しいのでございますけれども、長い目で見ますと、九三年ぐらいからロシアは非常に経済的な困難に直面いたしておりまして、北方領土からの人口流出がやや顕著になっておるのではないかというふうに承知しております。さらに先生指摘の、北海道東方沖地震の後、まさに経済的な困難に加えで生活そのものが難しくなってきているということから、人口流出が一層顕著になっているというふうに推測されます。  それで、これは去年の末でございますけれどもロシア非常事態省というのがございまして、その発表によりますと、地震の発生当時は大体二万二千四百人程度がいた、その後一カ月の間で二千四百人が離れたというふうなことでございまして、その後も、公式なデータはございませんけれども、引き続き離れでいっている人がおられるのではないかなというふうに推測しております。
  11. 金田英行

    金田(英)委員 北方四島は、大分人口の減少が続くというような形になりますと、島の経済がなかなか成り立たなくなる。ほとんど水産加工あるいは水産に依存している四島でございます。ロシア軍がほとんど主力を占める人口比であろうかと思いますけれども、そういったことについて、経済が成り立たなくなることによって返還の機運もますます盛んになってくるというようなことも考えられないかなというふうに考えておるわけでして、よろしく今後の返還交渉について積極的な取り組みをお願いしたいというふうに思う次第であります。  関連するわけですけれども、四島についてはビザなし交流というような形で、北海道近隣市町村、根室市を初め四町の皆さん方が、早く返ってほしいという形で  旧島民大分高齢化しております、また子供たちも、だんだん島のことなんかというような感じ大分年月がたつにつれて、我らが四島、父祖の地、固有の領土という意識もだんだん少なくなってきておりますので、そういった運動の展開についても一層の御尽力をいただきたいというふうに思います。  ビザなし渡航に関連してでございますけれどもロシア日本の間では、交流にはどうしてもビザが必要だというふうになっております。ところが今回、御尽力いただきまして、小樽とユジノサハリンスク、それから稚内というような形で定期航路がことしの春から開かれることになっておりまして、本当に北海道民みんな喜んでおります。  北海道につきましては、エネルギー問題あるいは木材、それからいろいろな天然資源、魚、そういったような形でサハリンあるいはロシアとの交流地域発展を期待するという向きも相当ございます。中小企業方々もあるいは北海道経済界人力も、ロシアとの交流を通じでいろいろと北海道発展方向を展望したいというような動きもあります。中央段階でもそうなんですけれども北海道といたしましても、ユジノサハリンスク(社)北海道貿易物産振興会ユジノサハリンスク事務所を新たに開設したりしまして、交流を深めていこうというような努力を進めでございます。  ところが、新しく四月に定期航路が開設するというような状況の中で、問題は、ビザの発行に時間がかかり過ぎで、船に、その定期航路に乗れるのか乗れないのか皆目見当がつかないというような状況で、交流支障を来しております。  例えば、ロシアビザは一週間ぐらいでおりるのですが、日本ビザということになりますと六十日からそれ以上かかるというような状況がございまして、果たしてその定期航路の船に乗れるのか乗れないのかというようなことになりますと皆目見当がつかなくなってしまっでいるというような形で、これを何とか少し早目ビザ日本から出るような状況というのを考えていただかないと、人材交流あるいはいろいろな交流支障が生じてまいります。地元航路開設ということで喜んでおるのですけれども、こっちから行くのはすぐ出るんだけれども向こうから来るのがなかなか出ないという状況にございますので、何か検討をしておられるのかどうか。地元から強い要望がございますので、その点について若干コメントいただきたいと思います。
  12. 畠中篤

    畠中政府委員 今、定期航路開設に伴いますビザ発給ついでお尋ねでございますが、私どもといたしましても、地元方々といろいろお話をしながら、どんな工夫ができるかということを検討はしております。  しかしながら、一般的な状況を申し上げますと、ロシア査証申請につきましては、近年入国者数が非常にふえておりまして、来られる方々の内容もいろいろな方が来られるようになりました。そういうこともありましで、御質問にありました四十日-六十日というような日数がかかりますのは、特に例外的にその手続が、例えば保証人との関係とかいろいろなことで問題がある場合にはそのぐらいかかりますけれども、現在のところ、一般のケースで申しますと大体三十日ぐらいを要しております。  旧ソ連時代につきましては来られる方が約一万人ぐらいでございましたけれども、今は約三倍の三万人ぐらいの方が来られております。なおかつ、旧ソ連時代には来られる方が、大体学術交流姉妹都市交流あるいは国営企業関係者商用といったようなものに限られておりましたけれども、最近は、ロシア側渡航の規制が非常に緩和されまして、興行目的で来られる方とかあるいは就学生目的で来られる方々とか、いろいろな方が来られるようになりました。このこと自体は結構なことでございますけれども目的外のことで、日本不法就労するとか不法滞在するとかいう方々もふえておるのが実情でございます。  そういうことを踏まえまして、私どもといたしましては、査証申請そのものについては、先ほど定期航路お話がございましたけれども、いかにしてその必要な方と申しますか、問題のない方にできるだけ早くビザを出すかということを常々工夫しております。例えば商用国際会議学術交流姉妹都市交流といったような不法就労不法滞在とつながることの可能性の少ない方々につきましては、特別にいろいろな方法を講じまして今は約十日間ぐらいでビザが取得できるようになっております。  しかしながら、全般的に申しますと、先ほどのようにいろいろな方々が来られるようになっておりますので、一般的なそういうある範囲に属さない方々につきましては、やはり平均三十日ぐらいはかかっているのが現状でございます。  繰り返しになりますが、定期航路の件につきましては、地元方々ともいろいろお話をしながら、どういうことができるか、これから検討してまいりたいと思っております。
  13. 金田英行

    金田(英)委員 お尋ねしでみますと、領事館から――どこの領事館が、ウラジオストクかハバロフスクかの領事館から毎週一回航空便外務省の本省の方にビザ申請書が上がってきて、そしてそれを審査して落とすというようなことになると、やはりそれぐらいの時間、四十日や六十日かかってしまうわけでありまして、今の文明の機器が進んでいる中ではもう少し短時間に処理ができるような方法を考えていただきたいというふうに思う次第であります。  あと、領事館のことでございますけれども、いろいろと中小企業など、サハリンとの交流も頻繁になってきますと、これからの経済交流あるいは人材交流等々を考えまして、やはり領事館の一つぐらいサハリンに置いておきたいというような、そうするとまた随分早くなるのかなというような期待もありますので、外務省におかれては、領事館サハリンへの設置等についてもひとつ前向きに御検討いただけたらなというふうに思います。お答えは要りません。また後ほどいろいろと担当の者からお聞かせいただきたいというふうに思います。  問題は、この定期航路ができて国際航路ができたというような形で地元人力が随分喜んでおりますけれども防疫に関しましては、四月一日から動物関係については取引場所として指定していただけるというような形で、この点につきましては農林省さんにも本当にありがたくお礼申し上げたいと思います。ただ、動物はいいのですけれども植物関係でなかなか、そこに植物は一切持ち込めないというような状況がまだまだ続くというふうに聞いております。  やはり人が交流いたしますと、果物をもらってきたとかあるいは苗をもらってきたとか、お土産関係で、土が運んだりいろいろなことが出てまいります。やはり、植物関係防疫を一切シャットアウトするというような形になりますと交流が滞ってしまいますので、そこら辺につきまして、植物関係防疫についてどう考えておられるのか、現況を御報告いただけたらというふうに思います。農林省さんかな。
  14. 吉村正機

    吉村説明員 御説明申し上げます。  御承知のように、現在稚内港は、植物検疫上は木材のみの輸入ができる特定港という扱いになっております。昨年初めて稚内港には夏季に限って定期フェリーが寄港することになりまして、当初、計画では十便程度が寄港するというふうに私ども承っておったわけですが、航行予定の実績はわずか二便にとどまったということがございまして、予想される植物輸入量につきましても極めて少ない状況にございます。  すべての植物輸入が可能な指定港に指定いたしますためには、検疫施設整備でございますとか、そこで検疫に従事する人員の配置等体制整備が不可欠でございまして、このような状況下稚内港を直ちに指定港に指定することは困難と考えますが、今後フェリー運航状況等を見守りながら、将来の問題として考えてまいりたいと思っております。
  15. 金田英行

    金田(英)委員 前向きに取り組んでいただきたいのです。同じ農林省内であって、動物はいいよ、植物はだめだよというような対応がどこから出てくるのかなというふうに思いますし、今指摘ありました、年間十往復ぐらいだよというようなお話でしたけれども、実態は違いましで、ことし四月二十八日から九月まで二十二往復というようなことで計画が進んでおります。便数もふえておりますので、そこいら辺、もう一回検討し直していただけたらなというふうにも思う次第であります。  また、留萌等々から――確かにいろいろな検査の施設が大変でございましょうけれども、やはり植物を一切持ち込めないというような形になりますと、交流が滞ってしまいます。何とかそこいら辺前向きに御検討いただけるように、よろしくお願いしたいというふうに思います。  それからまた、外務省に関連でお尋ねしますけれども、いろいろな貿易関係交流がだんだん出てきます。そうすると、ロシアの船が稚内の港に、あるいは稚内港を経由してとか稚内港の沖合を通るというようなことが頻繁に出てくるわけですけれども、座礁船が去年だけでも相当出ております。三隻か四隻ぐらい、稚内沖に座礁したままロシア船がほうり投げられているというような状況がずっと続いてきております。一隻につきましては、いろいろと自治省さんの御配慮もいただきまして特交の措置などもしていただいたのですけれども、こんなに頻繁に出てくるというようなことについて、ロシア側に対して厳しい対応をしていただかないと本当に困るなというような感じを持っておりますけれども、そこいら辺について、外務省さんとしてどんな対応になっているのか。
  16. 野村一成

    野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりでございまして、座礁事故のため現在も三隻が座礁、放置されたままということでございましで、これは早急に撤去するよう外交ルートで累次ロシア側に申し入れているところでございます。  二隻は根室半島沖、一隻は稚内沖でございますけれども、根室沖のものにつきましては二月七日ロシア外務省に対して、稚内沖につきましては三月二十四日ロシア外務省に対して、これは最近の申し入れでございますれども、やっております。ただいま先生の御指摘の点も踏まえまして、引き続き外交ルートで折衝してまいりたいというふうに思っております。
  17. 金田英行

    金田(英)委員 結局、日本の領海内で座礁するわけでして、漁具が被害を受けるとか漁場が被害を受けるというようなことで、地元の漁民があるいは漁組の代表がというような形でロシアとやってもなかなからちが明かない、そして、多大な負担をこうむるような形で、しょうがないなというような形になっているのが実態でございます。やはりそこいらは毅然としてやっていただかないと、地元の声が相当厳しくなっておりますので、よろしくお願いします。  やはり厳しいところは厳しいところを見せておかないと、ロシアというのはなかなか難しい体制の中であって、また、経済的にも政治的にも混乱しているさなかにあります。いろいろな文化交流だとか人材交流だとか、そういったことを言っていっても、なかなかルールがない国でございまして、外務省は厳しいなということをロシア政府にぎちっと思い知らせてやっていただきたいというふうに思う次第であります。  時間もなくなってきておりますので、きょうは若干表面だけのさわりでございましたけれども植物防疫所の問題あるいは新たな領事館サハリンへの設置の問題等々について、ぜひとも前向きの御検討を進めていただくようにお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  18. 鈴木宗男

    鈴木委員長 今津寛君。
  19. 今津寛

    ○今津委員 本日の委員会に少し議題外だとは思うわけでありますけれども、昨今マスコミで報道されて、今日本で最も関心のあることの一つでございますので、外務大臣が御出席でありますから、事前に御通告申し上げていないものですから私も何かとちょっと迷ったのでありますが、やはりこの機会に質問をさせていただきたいと思いまして、非礼をおわびしながら御質問させでいただきたいと思います。  それは、自民党、社会党、さきがけの三党が北朝鮮を訪問するということでありますが、聞くところによりますと、二十八日から、明日から三十日まで三党の代表団が訪問するというふうに伺っております。わかる方で結構なんですが、主な日程と、それから対談する相手はどなたなのか、それから渡航する目的は何なのかをお知らせいただきたいと思います。
  20. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  党の行事と申しますか、代表団ですので、行政府として全部を自分で準備してという行事でないことは御理解いただきたいと思いますが、私ども承知しておりますところでは、明朝チャーター機で立たれて、今のところ、三十日にお帰りになるという日程と承知しております。  それで、会談の相手は、先方北朝鮮側は朝鮮労働党の全容淳書記になるということを一応想定しているというふうに承知しております。  それから、渡航目的というものは、まさに政治レベルでの、高いレベルでの対話を行う、いろいろKEDOを中心として動きがある時期に日朝間でやっていただく、こういうことになろうかというふうに承知しております。
  21. 今津寛

    ○今津委員 これは政府の方にお聞きをすることでないので、自由民主党総裁としての河野外務大臣にお聞きをいたすわけでありますが、北朝鮮から招聘状が来たのでしょうか。それは自由民主党に来たのでしょうか、社会党に来たのでしょうか、さきがけに来たのでしょうか。お知らせいただきたいと思います。
  22. 河野洋平

    河野国務大臣 御理解をいただきたいことは、私は自由民主党の総裁職をお預かりをいたしておりますが、同時に、外務大臣という外交の責任者として、政府の人間でもございます。今回の訪朝はあくまでも党をベースでやる。これは、御承知のとおり国交がないわけでございます。国交不正常な状況下でのこの問題についての作業でございますので、政府としてはこれはさわらないということもございますので、この点はぜひ御理解をいただきたいと思います。  私の聞き及んでおりますところによりますと、自由民主党、日本社会党、新党さきがけそれぞれに案内状が、何といいますか、招請状が来たというふうに聞いております。
  23. 今津寛

    ○今津委員 そこで、国民側の素朴に疑問に思っていることを率直にお聞かせいただきたいと思うのですが、金丸先生が代表で訪朝されたときの三党合意、これに対する解釈が自民党と社会党と全く違う、それによって、訪朝する時期もその調整のために手間取っておくれたというふうに私ども新聞では拝見をしているわけであります。その新聞報道どおり、実はいまだに三党合意については自民党と社会党とのいわばとらえ方というのは違うのか、同じになったのか、あるいは違うのであれば、それはどのような整理をしてこのたび一緒に訪朝されるのか、そこら辺のことをお聞かせいただきたいと思うのです。
  24. 河野洋平

    河野国務大臣 この話はすぐれて党の話でございまして、三党の政策責任者などが集まっていろいろと打ち合わせ等をしたというふうに聞いておりまして、私この中身、詳細についてはタッチをいたしておりませんので、しかも委員会の場で、外務大臣としてここに出席をして御答弁を申し上げるということは適当でないというふうにも思いますので、この問題についての御答弁はお許しをいただきたいと思います。
  25. 今津寛

    ○今津委員 確かに大臣のおっしゃるとおりなんですが、しかし、何といっても大臣が詳細御存じなわけです。大臣が了解をしなければこのことは前へ進まないわけです、何といっても自由民主党の総裁でありますから。ですから、一番知っている方といいましょうか、一番権限を持っている方に、だってそうじゃないですか、政調会長等に自民党の総裁として指示をなさるわけです、当然最高責任者なわけでありますから。そこのところが国民がわからないから、一体どうなっているのだろうという疑問を持っているわけでございましで、ぜひお聞かせをいただきたいと思うわけであります。  今回の訪問団は確かに政党レベルで行かれるということでありますが、これは万が一と言ったら、たらとか、ればとかという話はしない方がいいと思うのですけれども、前回は三党合意、今回は四党、朝鮮労働党を入れて、さきがけが入りましたから四党、例えば、そういう政党間で話がなされたものについては、これは日本政府外交というものとはどういうかかわり合いを持ってくるのでしょうか。束縛を受けるのでしょうか、受けないのでしょうか。尊重するのでしょうか、しないのでしょうか。全く関係ないものでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
  26. 河野洋平

    河野国務大臣 いよいよあしたから出発をするという前日にこの手の話について私がコメントをすることは十分注意深くするべきだろうと思いますので、その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。  今津議員も十分御承知、御記憶のことだと思いますが、国交が正常化していないあるいは国交のない地域とのやりとり、例えばかつて日中国交正常化前の日本と北京政府との間をつないだのも、民間あるいは政党人がいろいろと苦心して努力してその間をつないで、理解を深める努力をして、それが最終的には国と国との交渉になるというプロセスがあったことを、我々は、我々の先輩の努力というものをよく承知をしているわけでございます。  日本と北朝鮮との間もまた、国交が正常化していない、そういう関係を正常化させるためのいわば地ならしといいますか、環境整備といいますか、そのために政党人が努力をされるということについての意味はあるというふうに私は思っているわけです。しかし、あくまでもそれは党人の作業ですから、オフィシャルな交渉ではないのはこれまた当然のことだと思います。  それで、政治家が政治家同士話し合って、これはこういうふうにすることがいいのではないかとか、こういう認識だなというような認識の一致点を見つけて、そして地ならしをしてという過去の我々の先輩の努力というものを私は思い出しながら、党から今回北へ旅立たれる方々にも、そういう気持ちを持って見ているというところでございまして、それ以上のことを私は今申し上げるべきでない、むしろこうした方々が無事に先方に着いて、政治家の立場で胸襟を開いて話をなさるということに意味があるというふうに思っておりまして、そのお話し合いを我々としては見守りたいというのが今の私の立場でございます。
  27. 今津寛

    ○今津委員 きょうの新聞で、外務大臣が近くユーゴの方へお渡りになる、そういう記事が載りまして、僕はよかったなと思いました、率直に言って。私も二、三年前に戦地へ飛びました。  いろいろな国、何か外国文字なんで私あれなんですけれども、クロアチアとかセルビアとか、あの人たちと話し合って、ぜひそういう面では、緒方女史のこともありますから、積極的な外交を展開していただきたいと思うのですが、事この北朝鮮の問題については、やはり日本国民の感情からしてみれば、核査察を受け入れない、受け入れると明確にしていない中での、いわば米朝交渉の中での軽水炉転換の費用の負担の問題、あるいはスカッドCというミサイルが、当たるか当たらないかわかりませんが、もし当たれば日本にも大きな被害が出るということ、それからノドン一号がもう実験をしておるということなど、やはり非常に心配なんです。  そこで、アメリカ日本、韓国という、これは三つの特に親しい同盟国がお互いに連絡をとり合って、そして基本的に合意をして行っていただきたい。  それから、竹下先生が御発言なさったようですけれども、韓国の意向をきちっと確かめなさいよということですから、当然それはおやりになっていただいていることだというふうに思うわけであります。  心配しますのは、自民党と社会党と、これは全く北朝鮮に対する外交の姿勢、哲学が違うのですから、今までずっとそうだったのですから、それを整理しないままに北朝鮮へ行って、そしてお話しなさったことが、金丸先生のときも随分その後問題になったのですけれども、その後日本外交の幅を縮めることになってしまうのではないか、影響を与えることになってしまうのではないかというふうに、もちろん座して黙っているよりは動いて打開をするということも一つの方法なんですが、そこら辺は日本の国民がみんなが真実、本当に心から心配をしているということを私は代弁して言ったつもりでありますが、大臣の御感想だけお聞かせいただきたいと思います。
  28. 河野洋平

    河野国務大臣 日朝関係というものは、その国交を正常化するために双方がテーブルに着いた時期があるわけですね。恐らく今から四年ほど前には、日朝の国交正常化あるいは日朝関係について話し合おうといってテーブルに着いたことがあるわけです。それで七、八回話し合いが行われたわけですが、今から二年半ほど前にその話し合いが中断をしたきり、もうこの二年半、何にも話し合いかないという状況でございます。  私は、やはり我が国にとっては極めて近いところにあるいわば隣国、海を隔てた隣国、この国ととにかくテーブルに着いて話し合うこともできないという状況、さらにはこの半世紀近く正常な交渉、国交もないという状況を考えれば、テーブルに着いて話し合おうという努力をすることは当然のことであろうと思うわけでございます。これは、今議員もお話しのように、我々外務当局としても何もしないということであってはならないというふうに思います。したがって、この日朝関係というものをどういうふうに考えるかということについて我々も真剣に、深刻に考えてきたわけでございます。  今回の三党の訪朝団の皆さんは、お顔ぶれを拝見すると、もうそれぞれ練達の人たちですから、この政治家として練達の方々が十分先方と話し合われるということは意味のあることだというふうに思いますし、自民党と社会党がと御心配をいただきましたが、社会党も日韓議連の一員として最近では大変御活躍をしておられますし、自民党も御承知のとおり北朝鮮に対していろいろと勉強をしておられる方もたくさんおられるわけで、この二党、新党さきがけを入れて三党が全く違った意図を持って訪朝するというふうには思えないのでございまして、恐らくそれぞれいろいろと御相談の上なさるということであろうかと思います。  いずれにしても、繰り返しになりますが、このお話し合いは十分注意深く見守らせていただきたいというふうに思っております。
  29. 今津寛

    ○今津委員 余り違わないのじゃなくて、それはもう大臣がよく御存じのように、大分違うからこれだけ時間がかかったのじゃないですか。それはそうだと思いますよ。これは本題でないので……。  電気通信大学の西尾幹二という先生が、自民党と社会党、さきがけとは、危機管理のときに結局合意できなくなるんだ、その手法はできなくなるんだ、そこで、私はかかわりはないのですが、旧連立の人たちはやはり社会党と一線を画する決意をしたんだというようなことを書いてあるわけです。  その中で、山口先生には申しわけないのでありますが、本に書いてあるものですから、内閣の中枢に今までの社会主義思想をお持ちの方々が入っていますと情報が筒抜けになる、アメリカ側から見れば。また、韓国から見ても。それで、そのまま読みますと、「米国のこれまでの警告からみて、今後、米国政府は北朝鮮に情報が筒抜けになることを恐れて、最重要の機密情報は絶対に日本に洩らさないであろう。これが、いちばん恐ろしい。」などと書いてあります。  私はそんなことないと思っで発言しているのでありますが、やはり政党は理念と政策で一致するべきだと私は思いますし、連立もそうあるべきであると思います。自民党と社会党の方の幹部の方々は、今の形というものは何も間違っていないとおっしゃるようでありますが、やはり若い人たちの中には本来の姿に戻って理念で政党の枠組みをつくっていくべきではないかという考え方が私にも寄せられでおりますので、そのときは私も参画させていただきたいと思っておりますが、どうぞ、大臣に御英断をお願い申し上げるところであります。  さて、もう時間が余りなくなったのでありますが、北方四島の領域、海域で日本の船が拿捕されているわけでございます。そこで、このことについては大臣も大変御努力をいただきまして、昨年十一月二十七日にサスコベッツ・ロシア第一副首相と会談をされておりまして、そして、このことについて日ロ政府間で正式交渉を開始することが合意されたというふうに私は資料でいただいているのですが、そのときの中身、簡単に、概略で結構なのですが、お教えいただけませんでしょうか。
  30. 野村一成

    野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  この北方四島水域のいわゆる安全操業の問題につきましては、これは領土問題にかかわる非常に難しい問題でございますけれども、何とか双方に一致点が見出せないかということで、昨年の九月以降でございますけれども、非公式に外務省の間で意見交換をやってまいりました。それの二回を経まして、ソスコベッツという第一副首相、ロシア政府の幹部が来られる機会でございますので、非公式な意見交換からさらに一歩進めた正式の交渉に持っていけないかということで、大臣の方からその点を非常に強く指摘していただきました。それにソスコベッツ第一副首相が応じだというのが経緯でございます。
  31. 今津寛

    ○今津委員 プチーナ94、プチーナ95、これはロシア側による密漁船、それから、向こうからいえば日本の違法操業、これの取り締まり強化活動、プチーナというのは漁期という意味だそうですね。  プチーナ作戦について、私はこれはやはりおかしいと思いますのは、我々は北方四島を日本国有の領土だと言っているわけでありまして、そこで、日本国有の領土の水域で、根室を中心とした漁業の人たちが魚をとる、しかしロシアから見ればそれは不法操業だということは、むしろそういう難癖をつけているロシアの方に問題があるのではないかというふうに思います。そこのところは日本政府としてははっきり言っておるのですか。
  32. 野村一成

    野村(一)政府委員 ただいま先生密漁という言葉を使われましたけれども、これはあくまでかぎ括弧つきで、向こうが言っている言葉でございます。先般のコズイレフ外務大臣との会談におきましても、日本は、我が国の固有の領土である北方四島周辺水域、そういう認識で対応いたしております。したがいまして、当然その前提で日本の法令に従って漁業秩序を確保する。それは、あくまで日本の固有の領土である四島周辺という認識のもとでございます。  それで、今、漁期、プチーナということがございました。これは北方領土周辺水域についても該当するわけでございますけれどもロシアの、その地域だけではなくて、広く太平洋その他についても操業秩序の維持ということで行っている行動であるというふうに理解しております。  ただし、先ほど申しましたように北方四島水域につきましては、我が国にとっては、密漁というような、そういう認識はあくまで認められないという基本的立場でございます。
  33. 今津寛

    ○今津委員 確認させていただきますが、北方四島水域の我が国の漁船が過去数年間にわたって、平成四年、五年、六年、二隻、十二隻、七隻と拿捕されておりますが、それは捕まえたロシアの方が悪いのであっで、我々は固有の領土で漁業をしておる、こういう判断でよろしいのですか。
  34. 野村一成

    野村(一)政府委員 御指摘のとおりでございまして、北方四島周辺水域におけるいわゆる拿捕という、彼らが言う言葉でございますけれども、それにつきましては、その都度外交ルートを通じてその点をきちんと申し入れております。
  35. 今津寛

    ○今津委員 これは報道で読んだので確認していないのですけれども、例えば、ロシアの方では、日本の漁船を拿捕しますと何かカラーテレビやサモワールをもらったとか、こういうのですね。だから、水産資源の確保と、それからもう一方、軍の強化といいましょうか、極東のロシア軍というのは量においては減少しつつある。しかし質的には、これはもう何も小さくなってなくてむしろ大きくなっている。そういう状態の中で、国境警備隊やあるいは軍隊が自分たちの存在というものをあらしめるために、むしろそういうことで強化をしておるというような報道も載っているのですが、それについてはどうでしょうか。
  36. 野村一成

    野村(一)政府委員 この漁船の取り締まりにつきましてロシアの正規軍が活動しでいるということは、私ども承知いたしておりません。  国境警備隊につきましては、今先生指摘のようなそういう事実を私ども承知しておりませんけれども、彼らの言う領海の侵犯等につきまして、我が国の基本的立場からしますと認められないわけでございますけれども、いわゆる拿捕が現に行われているというのが実態でございます。
  37. 今津寛

    ○今津委員 これはまた確認で申しわけないのですが、プチーナ94が始まる直前の昨年四月、入漁料の支払いを前提に北方領土周辺海域で日本漁船の操業を認めさせたいという提案が、南クリル地区行政府のポギージン地区長から根室市にあったという報道がありますが、これは事実でしょうか、事実でないでしょうか。
  38. 野村一成

    野村(一)政府委員 この問題につきましてはポギージンが、これは地方自治体の行政の長でございますけれども、云々する話ではございません。あくまで私どもは、先ほど申しました北方四島の安全操業の問題につきましては、中央政府問で話し合っていくべき問題というふうに認識しております。  したがいまして、仮にそういうことを彼が発言いたしたとしましても、私どもはそれをきちんとしたロシア側の、ロシア政府の発言というふうには認めておりません。
  39. 今津寛

    ○今津委員 政経一致あるいは拡大均衡-北方四島、我が国固有の領土に対して、我が国民の悲願であって何としても日本に早く戻ってきてほしい、取り戻さなければならないという運動の中で、政府も大変な努力をして今日まで来ています。しかし現実に、ロシアとの友好関係を保つことによって、あるいは経済関係を支援することによって、我が国の考え方もより早くより的確に理解をしてもらえるのではないか、こういうことで大臣も御努力をいただいているわけでありますが、これからの北方領土返還運動に対しての基本的なお考えを一言お聞かせいただきたいと思います。
  40. 河野洋平

    河野国務大臣 我が国としては、領土問題を解決して平和条約を締結するということが日ロ関係にとって最も重要な問題であるというふうに認識をいたしております。  他方、ロシアという国が経済的にも政治的にも不安定になるということは、これは国際社会にとっても極めて大きな問題であるし、いわば隣国である我が国にとっても決して好ましいことではないわけでございましで、こうした点にも十分配慮をする必要があるというのが私どもの考え方でございます。
  41. 今津寛

    ○今津委員 終わります。
  42. 鈴木宗男

    鈴木委員長 赤松正雄君。
  43. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 さきのお二方に続きましで、私も、北方領土問題を中心に河野総理兼外相、また山口総務庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  今、今津代議士から最後にお話があったこととも関連するわけですけれども、戦後五十年に当たる本年は、この北方領土問題というテーマにとっても極めで重要な節目にしていかなければならないと私は思う次第でございます。  私は昭和二十年、戦後、第二次大戦が終わった直後に生まれたわけですけれども、今回、こういう重要な委員会の場で質問をさせていただくということで、従来から今日までのこの問題についての経緯をおさらいをさせていただきました。  こういう流れの中で、ソ連の崩壊、ロシアの誕生というこの三年前後の近過去の期間というのは、かなり返還交渉の進展が期待された時期でもあった、そして現にかなりそういうムードも高まった、そういうときでもあったと思います。  ただ、先般の河野外務大臣とコズイレフ・ロシア外務大臣との会談などを私なんかは新聞でしか見られない。残念ながら、外務省から明確な、こういうことをやったという結果の報告はいただいておりませんので、この委員会で質問するに当たりまして、欧亜局のロシア課から若干の資料をいただきましたので、後ほどそれに基づいて質問をしたいと思うわけですけれども、そういうものを通じて見ますと、結局余り進展をしていないと言わざるを得ない。遅々として進まない現状に非常にいら立ちを覚えるというふうなことが率直な感想でございます。  交渉当事者の最高責任者の河野外務大臣は、実は今申し上げた期間の一番最初のころ、宮澤政権のときの官房長官をなさっておる、いわば大きな変動を期待された時期の最初と最後の大事なときを外務大臣は担当しておられるということで、まず冒頭に、ソ連がロシアになってからのこの近過去における日本ロシアとの外交交渉をどう御自身は認識しておられるか、自己評価しておられるか、この辺のところから聞かせていただきたいと思います。     〔委員長退席、松下委員長代理着席〕
  44. 河野洋平

    河野国務大臣 領土問題というものは、それなりにそれぞれの国においては大変大きな問題であると思います。この領土問題に決着をつけるということは、それぞれの国が政治的にも安定をして、政権が国民からの信頼を十分得ているということが必要ではないだろうかという気がするわけでございます。  共産党政権時代のソ連というものは、領土問題の存在をなかなか認めない、鳩山内閣あるいは田中内閣、幾つかの内閣で相当いろいろ激しい議論をやって、渋々といいますか、不承不承といいましょうか、そのときには認めるけれども、すぐまた認めないかのごとき発言をしてみたりというようなことがあったわけでございます。  しかしながら、それはそれで実績になっていて、ロシアになって一番最近では、エリツィン大統領の訪日を機会に東京宣言というものができて、この東京宣言では明らかにこの領土問題、両国間には四島の問題があるということを双方が認めて、この問題は解決しなければならない問題だということをお互いが確認するという状況になってきたということは、これは当然のことではありますけれども、我々とすれば、この領土交渉をやるという上ではまず最初の一歩を進めることができたと言ってよろしいかと思います。  さらに、法と正義に基づいでという、これはゴルバチョフさんの発言であったと思いますが、こういう法と正義に基づいて国際問題を処理するということもまた東京宣言で踏襲をされているということを考えますと、我々は、日ロ両国間にある四島問題という領土問題を法と正義に基づいて解決をするという一つのフレームはまずできたという思いは持っているわけでございます。  さて、先般のコズイレフ外相との会談をどういうふうに見るかということでございます。残念ながら、その枠組みを確認したというにとどまっで、具体的にそれではどうするという明示的なものがなかったことは甚だ遺憾でございますが、私としてはコズイレフ外相と個人的な信頼関係をつくり上げることができた、これは十分お互いが知り合わなければこうした交渉はなかなかできないということもあろうかと思いますので、個人的問題ではございませんけれども、交渉の責任者同士がお互いの信頼感というものを持ち得たかどうかということはやはり大事なことだと思いますから、八時間近い議論をするということができたということは、私は、そういう意味では収穫があったというふうに思うわけでございます。  さらにもう一つ、コズイレフ外相の口から、我が国にも世論がありましてという御発言がございましで、これは、ソ連時代には世論などという言い方があっただろうかどうだろうかという気が私にはいたしますが、そういうことがございました。ああ、これはやはり民主化への、何といいますか、気持ちがあるのだな、少なくとも民主化へ向かって少しずつロシア社会がシフトしで、世論とかあるいはマスメディアとかというものが動き出しているなということを思ったわけです。そのことが領土交渉にプラスかマイナスかということは、これはまた別のことでございますが、そんな気持ちを持ちました。  私は、コズイレフ外相に対して、東京宣言というものをエリツィンさんがしっかりと東京で確認をして帰られたのだから、大統領の権威、責任、そういったことも考えて、エリツィンさんのおっしゃったことは一歩一歩着実に進めてもらいたい、進めるべきではないかということは申し上げたわけでございます。  私さっき、法と正義をゴルバチョフさんの発言と言いましたが、エリツィンさんの発言と訂正をさせていただきます。私の思い違いであったかと思います。  私は、先ほど申し上げましたように、両国が少なくとも政治的に安定をしているということがやはり必要なのであって、我々も自分自身の、日本の国内の政治的安定を図りながら、ロシア国内の政治的な安定度合いというものも十分見きわめてこの交渉を進めるということでなければならないのではないかというふうに思っているわけでございます。
  45. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今外務大臣の方からるる、基本的な姿勢といいますか、私の聞きました近過去のロシア日本との外交交渉をどう見るかということについて、フレームワークができたということは、まあ簡単なことではあるにせよ、従来の経緯から見れば大変大事なことだというふうなこと等の御返答、御回答がございました。  私はそれを踏まえました上で、ぜひここで、これまでの当委員会あるいは外務委員会等の議論の蒸し返しになるので恐縮ですが、単なる蒸し返してはなくて、もう一遍この時点で、私自身整理をさせていただく意味でちょっと御質問申し上げるわけです。  この期間の日本ロシアに対する外交交渉の方針ということにつきまして、宇野外務大臣のときですから一九八九年で、もう随分前、六年前ですか、それぐらいの間、いわゆる政経不可分の原則と、それから拡大均衡、拡大均衡の原則という言い方はされていないと思いますけれども、政経不可分という行き方と、それから拡大均衡という行き方についての議論が長々とされてきているということを私も承知しております。大筋、この議論について日ロ間の外交問題の専門家等の意見を聞かせていただきますと、やはり日本の対日交渉の原理は変わったのだ、基本的な姿勢というものは変わっているというふうに見るのが一般的だと私は感じている次第です。  ところが、これについて外務省としては、変わったのじゃないと。  例えばこういう表現があります。ゴルバチョフ時代以降、ソ連邦側が領土問題の存在を認めるようになってきて、先ほども外務大臣お話にもありましたが、それ以来この考え方の延長として、政治、経済両面での動きが相互によい影響を与えながらともに前進をしていくという意味合いで拡大均衡という言葉を使うようになった、今申し上げたような感じの答弁がずっと基本的に、いろいろ内閣がかわりましでも、外務大臣あるいは欧亜局長の方から答弁されているということは、私は議事録を見て承知をいたしております。  しかし、近過去の平成五年の武藤外務大臣は、私が調査室の方からいただいた資料では一番最近のお答えになると思いますが、「私どもは、政経不可分の原則は守りながら、表現としては、拡大均衡という表現で」いく。表現としては拡大均衡という表現でいくという答弁をされておりますけれども、これからは政経不可分という言葉は使わない、表現としては使わないということは、やはり原則が変わったんだなという印象を強く受けるわけでございます。  要するに、政治と経済は分かとうと思っても分けることはできないもの、そういう意味合いでは変わっていない、延長線上だろうと思います。しかし、拡大均衡という言葉をあえてしばしばいろいろな場面で積極的に使う。現実にロシア側に対して日本外交当局は、この「われらの北方領土」の二十七ページにもありますが、「「拡大均衡」の考え方を提示し、ソ連側の基本的理解を得ました。」こういうふうに書いてあるところを見ましても、やはり従来と違うニュアンスを強く押し出そうとしている、こういうことは指摘せざるを得ないわけでございます。  そのあたりにつきまして、今申し上げたようなことは今までも繰り返されておるわけですが、ただ、河野外務大臣になってこれについての答弁はないと私は思っております。  昨年十一月二十八日、先ほどまでそこに座っておられた鈴木宗男当委員会の委員長が、外務委員会の場で、私が今申し上げたと同じような趣旨の質問をされました。河野外務大臣に対して、日本の世論、ロシアに対する北方領土返還交渉についての世論を喚起するためにも、日本姿勢というもの、ロシアも変わってきたけれども、こっちも変わっているんだということを鮮明にさすべきじゃないのかという質問鈴木さんはしておられますけれども、私も実はそれについては全く同感でございます。  その際、河野外務大臣は、その質問に対して明確にお答えになっていない、違う趣旨のことをお答えになっておられます。真っ正面からお答えになっておられないので、あえてこの場でこのテーマにつきましてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  46. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、日ロ関係というのは二つの問題があると思っているわけです。  一つは、領土問題を解決して平和条約を締結しで二国間関係を正常なものにする。正常なものといいますか、本当の姿にする。これは、我が国にとって極めて重要な問題でございます。  そのことと同時に、私は、国際社会の中におけるロシアというものの存在をどういうふうに見るかということもまた重要だと思います。  これは赤松議員もよく御承知のとおり、国際社会の中におけるロシアの存在というものが不安定で、言ってみればまたどういう状況になるかわからないということでは、やはり我々にとってそれは好ましい状況ではない。やはりロシアが国際社会の中で依存関係も持ち、願わくは民主的な、そして市場経済を進めていく。そういう、ついせんだってからロシアがとり始めた方向に沿って着実に進んでくれることがやはり国際社会にとったはいいことだというふうに多くの国々が考えているということであれば、そのことにも我々は意を配らなければならないということがあると思うのです。  それでは、ロシアに対して経済的にもどんどん援助をする、技術的にもどんどん援助をするということでいいかといえば、そのことがまた二国間関係の正常化、領土問題の解決のために果たしていい方法であるかどうか、またそれだけでいいかというと、そうでもないのではないかということもあるわけですね。ですから、我々としては、日ロという二国間関係をどうやって正常化するかという命題と、それから国際社会全体にとってロシアというものがどういうふうになっていくことが望ましいかという問題と、二つを抱えている。  したがって、G7の会合などへ出ていきましてロシア問題について議論をすると、日本だけが、ちょっと待ってくれ、我が方には他の国と違う事情も抱えているのですよということを必ず言うわけです。そうすると、ああそうだったな、日ロ間には領土問題、まだ国と国との関係が完全に正常な関係ではないのだなということを他の国々もわかっていて、ああそうだそうだということになるわけです。  そこで、政経不可分といって、向こうがこの問題を解決するまでは経済は全部抑えてしまうということでいいかというと、必ずしもそうではない。さらばといって、では経済だけどんどん進んでいけばいいかというと、それもそうではないということがあって、しかし一方で、先ほども御答弁申し上げましたが、領土問題の存在を認めているという状況を考えれば、これはただ単に政経不可分というだけではなくて、両方進んでいくように努力をしていくべきではないかというふうに思っているというのが現状でございます。
  47. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今の河野外務大臣の御発言は、極めて率直でわかりやすかったと思います。要するに、従来の政経不可分という路線だけに固執していたのでは新しい時代における日ロ関係というのは新しい展開ができないという意味で拡大均衡という言葉も使っているのだというふうに解きせていただきます。  具体的な問題に入りたいと思いますが、去る三月二日から四日のコズイレフ外相との会談について、先ほども申し上げましたけれどもロシア課からいただいたペーパーを見ながら質問をさせでいただきます。  まず、時間も大分追ってきましたので手短にお願いしたいのですが、「チェチェン問題の平和的解決とロシアの改革継続」という点で、この外務省欧亜局の文章によりますと、「改革路線は堅持されることを確認した。」とありますけれども、改革路線という言葉の中身をどう考えていらっしゃるのか。
  48. 野村一成

    野村(一)政府委員 先生から非常に重要な点を御指摘いただきました。私どもロシアの改革と簡単に一言で申し述べておりますけれども、それは三つの重要な点から成っておりまして、一つは市場経済化、いわゆるマーケットエコノミーへの移行、もう一つは政治の民主化でございます。さらには、三番目に外交の面でございますけれども、法と正義に基づく外交、これらがいわば三位一体となりまして改革というのを構成している、そういう基本的な考え方でございます。  したがいまして、特にチェチェンの問題につきましては、二番目に申しました政治の民主化という見地から、日本のみならず国際社会で大きな懸案である、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  49. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ということは、今の三つのいわば判断基準を持っておられるのだけれども、今回のチェチェンの情勢については、二項目めの部分でかなり際どいというふうな認識を外交当局は持っておられるということでよろしいのですね。
  50. 河野洋平

    河野国務大臣 チェチェン問題は、今政府委員が御答弁申し上げましたように民主化という意味でこれは若干――私が個人的に二つ心配をしておりますのは、一つは、少なくとも一般市民を巻き込んで力による問題解決を進めているという現実ですね。相当な死傷者まで出しながらやっているという方法について、我々としては非常に憂慮にたえない。もう一つは、そういうやり方がいいよという決め方がどういう決め方であったのかということに対して、我々とすれば疑問を持っているわけです。つまり、民主的な方法によっでそういう力で問題を解決しようという決定をしたのだろうかということに対する疑問を私は持っているわけで、コズイレフ外相にはこの問題を率直に申し上げたところでございます。
  51. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私も今の点は非常に大事なことだと思います。コズイレフさんは、法秩序の回復のために必要な措置をとった、むしろ遅過ぎたぐらいだというようなことを、今回はどうか知りませんが、ほかの場でおっしゃっている。こういうことは極めて危険な部分をはらんでいると思います。  引き続き、その欧亜局の文章を見ますと、極めてわかりづらいといいますか、「日本としては、ロシアの改革路線が継続されていく限りにおいて、ロシアにおける改革支援の立場に変更がないことを改めて明確にした。」要するにロシアの言うままという部分が強いのかなという印象を持たざるを得ない表現になっております。  これはあえでこれ以上聞きませんけれども、引き続きいろいろな場面で強くロシア側に、先ほど挙げられた日本としての判断基準というものを明確に示し、同時にそういった主張を展開していっていただきたい、そういうふうに思います。  次に、領土問題の解決のために、河野外務大臣は環境整備の一環として二つのことを挙げられております。一つは、先ほども金田代議士から出ておりましたが、四島交流の拡大、それから四島からのロシア軍の撤退の実施を求められた、こういうふうにありますけれども地震についてさっきは、二万数千人のうちの二千人ほどが一年の間にと、こういうふうな欧亜局長からの御答弁がございましたが、今回の交渉の場面で、交流拡大を言われましたが、地震については全くお触れになってないのでしょうか。  現地に強い関心を持っている人たちお話を聞きますと、人道支援ももちろん大事だ、人道支援も日本としてされているようですけれども、何らかのインフラに対する支援といいますか、そういう部分がないと、あの四島は単に交流なんて言っていても人間の存立基盤そのものが危うくなってくる、こういうふうな指摘をする向きもありますが、その辺についてどうかということが一点と、もう一点は、ロシア軍については撤退どころか一個師団はど拡充しようというふうな話があるやに聞いております。この二つについて。
  52. 野村一成

    野村(一)政府委員 お答えいたします。  地震につきましでのインフラ整備でございますけれども、既に北方四島の住民に対しまして、現地のニーズを踏まえながら、緊急人道支援といたしまして食料品、医薬品等の供与を行ってまいりました。これは緊急、人道の見地から行っているものでございまして、北方領土問題についての日本の基本的な立場にかんがみまして、日本としては緊急、人道の枠を超えまして無原則にインフラ整備のような大規模な支援を行うというのは困難を伴うということはぜひ御理解いただきたいと思います。  それから、二番目の御質問ロシア軍につきましてでございますけれども北方四島につきましては、かつて、コズイレフ外務大臣だったと思いますが、七千名ぐらいというふうに言っておりましたけれども、現実に駐在しているロシア軍北方四島だけではございません、極東におけるロシア軍は全般的に規模を縮小する傾向にございます。かって三十五万人と言われておったのが、現在二十四万人とも陸上兵力は言われでおりますけれども、これにはソ連邦の崩壊、ロシアになってからの経済の困難等がございます。したがいまして、つぶさにはいたしておりませんけれども、先ほど申しました数字よりは少ない規模、むしろ縮小の方向にあるというふうに理解いたしております。  今ロシア軍全般に改革ということが言われております。どういうふうにするかということも、我々よく注目していかないといけない点でございますけれども、その中でも兵力、つまり兵員数につきましては、一般的にそれを少なくしていくという方向が基本的には出ているというふうに見ております。
  53. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 先ほど今津代議士からの質問にもありましたが、例の密漁、相手側が密漁と言った問題ですけれども、それに対して河野外務大臣が、私が見ました新聞等ではこういうふうに反論されたというふうに解しております。  例えば、北方領土に帰属する地域であり、国内の法令に従い秩序ある漁業が行われるよう対処したい、これは読売新聞です。毎日新聞では、秩序ある操業へ日本も国内法に従い厳しく対処する、こういうふうに反論されたという報道があります。  これは、外務大臣が密漁を認めでおられるわけじゃもとよりないわけですから、日本も相手方、ロシア側の行動を逆に領海侵犯として対応するんだぞという強い意思を示した、こういうふうに私は新聞を読んで見たわけですが、それでよろしいでしょうか。
  54. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、この四島周辺水域は我が国固有の領土である北方領土に接続する水域であって、我が国としては、あくまで日本の国内法に従い秩序ある操業が確保されるよう厳しく対処していく方針である、こういうふうに申した。これはメモが残っておりますので、それは正確な私の発言だというふうにおとりをいただきたいと思います。
  55. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ですから、それはよくわからないわけですよ。読みようによっては、密漁的なことが行われているから日本としてそういうことがないようにしたいとおっしゃっているようにもとれるし、そんなことを外務大臣がおっしゃるわけはないのだろうから、おたくの方がそういうことをするんだったらこっちもやるぞ、こういうふうに言っておられるのか、どっちなんだろう、こういうふうな疑念が出てきたということであります。
  56. 野村一成

    野村(一)政府委員 先ほど大臣が答弁したとおりでございますけれども向こうが密漁なんという言葉で言うものですから、これは基本的に日本の固有の領土である北方領土に接続する水域であって、したがって当然日本の法令に従って対処する、そういうことを言っておるわけでございます。  したがいまして、向こうが密漁と言うからには、領土問題について、それは自分の領域に接続する水域である、そういう視点から言っておるわけでございましで、そこは、まさに先ほど大臣が答弁いたしましたように、日本はそれとは基本的に違った、領土問題についての基本的立場を踏まえて対応している、対処するのである、そういう趣旨を述べたというのがこのやりとりでございます。
  57. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 時間が参りましたので、終わります。  山口長官に聞けなかったのが残念ですが、また次の機会にさせていただきます。
  58. 松下忠洋

    ○松下委員長代理 上原康助君。
  59. 上原康助

    ○上原委員 私も、きょうは外務大臣総務庁長官、両大臣の所信に対するお尋ねということになっておりますので、最初北方領土問題、いわゆる北方領土を取り巻く若干の問題についてお尋ねしたいと思うのです。  そこで、まず両大臣に、先ほど来いろいろ議論というかお尋ねがありましたように、北方四島というか領土を取り巻く情勢は極めて厳しい。政経不可分あるいは拡大均衡といってもなかなか思うようにいかない。一時期よりはロシアの政治状況も不安定かつ、経済を含めて容易ならぬというか、厳しいと思う。  そういう環境下で、領土問題が基本的に片づかないとなかなかその他の諸課題は進展しないということは、もう従前指摘されてきたとおり、また、政府の外交の基本としてそういう立場で進めてきておりますのでわかるわけですが、これだけいろいろ変化をする中で、なお北方問題が大変難しいという状況で、従来のような対日交渉あるいは北方返還交渉、漁業交渉その他、環境あるいは地震対策等いろいろありますね、で、私はちょっといかがなものかという不安というか、懸念を持つ一人なんですね。  そういう意味で、両大臣にまず、これからどうすればロシアとの関係、特に北方領土返還に向けての明るい展望が開けでいくのか、そのために政府はどうなさるのか、それぞれお聞かせを願いたいと思います。
  60. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほども申し上げましたが、領土問題ということになりますと、これは国家の主権にかかわる問題でございますから、それぞれ極めて重大な認識を持っていると思います。  私どもからロシアに期待をいたしたいと思いますことは、この問題が、歴史的に見てもそれから国際的な世論から考えてみても、間違いもなく、疑いもなく日本の領土であるということをロシアの国民の皆さんに理解をしてもらわなければならないわけでございます。やや迂遠な方法であろうかと思いますが、さまざまなレベルでこの問題についての討議が行われて、どの角度から見でも明らかに日本の領土であるということをロシア方々に知っていただくということが重要かと思います。  とりわけ、北方四島に現在おられるロシアの軍でございますとかその他の方々につきましては、この四島の帰属がはっきりと日本のものであるという状況になったときに、今いる人たちがどういうことになるかという、例えば不安があるとか疑問があるとかということがあれば、そうした疑問や不安というものがきちんと一掃されるということもまた必要であるかもしれません。  私どもとしては、そうしたことを、ロシア政府方々だけではなくて、国民、とりわけ関連地域方々にも十分理解をしていただく、そういう努力が必要ではないかというふうに思っております。
  61. 山口鶴男

    山口国務大臣 私、国会対策委員長をやっておるときでしたが、一九八六年だったと思いますが、当時の衆議院の坂田議長と一緒に、各党の国対委員長と一緒にソ連に参りました。坂田議長が、下田における日露和親条約以来、北方四島は我が国固有の領土であるということを強調し、私もまた、国権の最高機関である国会が何回もこの返還を求める決議をやっている、一日も早くこれにこたえてほしいということを強調したのであります。当時、ソ連のグロムイコ最高会議幹部会議長でございましたが、ミスターニエットと言われるだけありまして、全くそれに対しては答えがないという状況でした。  しかし、その後、ゴルバチョフさんが日本を訪問する、エリツィンさんが日本を訪問するという中で、北方領土の存在は認めで、いずれにせよ、こういう話し合いのルートができたということは当時から見れば前進であるというふうに認識をいたしております。  外交当局が全力を挙げで努力をいただいているわけですが、私ども総務庁としては、国民世論を喚起をして、北方四島が我が国固有の領土である、返還が当然であるということを国民の総意として盛り上げていきますと同時に、いま一つは、北方四島とのビザなし交流等を通じましで北方四島の住民の皆さん方にも、なるほど日本という国はこういう国か、北方四島が日本返還されても我々は心配はないなということを理解をいただくような、そういった努力を地道に積み上げていく必要がある。また、若い皆さん方北方四島に派遣する努力をことしからいたしたいと思っておりますが、そういうことを通じまして広く国民の間の世論を高めてまいりたい、これが我々の任務である、こう思っておる次第であります。
  62. 上原康助

    ○上原委員 それぞれ両大臣のお考え、その立場は私も理解をいたします。  私がなぜこのようなお尋ねをしたかといいますと、やはり北方四島の問題というのはすぐれて領土問題であると同時に、戦後の冷戦構造下で日本外交というか日本の政治の上で最も困難な課題だったという、ここいらの認識をもう一遍、政府全体、国会も含めて、日本側は持つべきじゃないかという感じを私は持っているからお尋ねしたわけですね。  ですから、領土問題は外交専権ですから、それは外務省が中心になるのは当然でしょう。だが、返らなかった最大の理由は、やはり安全保障の問題が旧ソ連邦と米国を中心とする西側との対立軸としてあったがゆえに進展しなかった。今のように外務は外務、防衛は防衛、総務は総務、まあ日本の縦割り行政の特徴でもあるわけなんだが、それも結構なんだが、包括協議をするような外交というものをお考えになったらどうかというのが、私がきょう両大臣にお願いしたい点なんです。  私がなぜその点を考えたかといいますと、北海道開発庁長官を私は八カ月ちょっとやりました。そのときに私は、北海道開発庁が北方問題に相当コミットメントできると見ておったのだが、できないのですね、機構上も、権限の上でも。正直申し上げて、それはおかしいと思う。  私は、北海道振興計画の中に北方領土返還された時点を想定をして青写真でもつくったらという提案をしようとしたら、役人の皆さんおったまげて、野村さんなんか色青ざめて私の事務所に飛んできて、大臣、今そんなことを言ったら困りますよ、相手を刺激したら困りますよと言われた。  車ほどさように、難しいのはわかるけれども、ここは実力ある両大臣ですから、まずはロシア信頼醸成措置をどうつくるか、領土問題、漁業問題あるいは環境問題、地震がある場合には緊急人道対策で相互信頼関係をつくる、そういった何か新しい発想で困難な今の状況を打開をしていくという、発想の転換と外交のリーダーシップというものを求められているのじゃないかと私は思います。  これは、きょうは具体的なことは聞いたって、いろいろそれは相手も言い分はあるわけで、その点、どうか外務大臣が中心になって、もう少し包括的に、北方四島を返還させる日本側のいろいろの方針なり計画なり考えというものをまとめて、それを逐次相手側とやっていく。また国連、国連というよりも西側陣営で、日本との友好国、両国間でやらなければいかないようなことを考えてみたらもっとうまくいくのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう、今私が申し上げたような点。
  63. 河野洋平

    河野国務大臣 領土問題は一部局でできるほど簡単なものではございません。これは国、政治の力を一つにまとめて対応しなければならないものだというのは、まさに経験に照らしで先生おっしゃるとおりだと思います。  国際交渉をやって一番困るのは、我が方がばらばらになって相手が一本になっているなんというときには、これはなかなか成功の確率はないわけでございまして、やはり何といっても我が方は我が方で一つにまとまって主張をする、要求をするということでなければならぬのは、これは交渉のまず第一歩であろうと思います。  一つにまとまらなければならぬことと同時に、議員おっしゃるように、包括的にさまざまな部分について意見を聞くということもまた必要だという点は、私は御指摘のとおりだと思います。そうしたものの意見を聞いて、そして一つにまとまって相手に当たるということが何より肝心というふうふうに思っております。
  64. 山口鶴男

    山口国務大臣 北海道では毎年毎年ヨーロッパ各国に使節団を派遣をいたしまして、北方四島がこういう経過で我が国固有の領土であるということを知っていただくキャンペーンをやっているというお話も聞きました。北海道は横路知事を初めとして大変御努力をなさっているなということで、私も敬意を表しました。我が国の外交当局もそういう意味での努力は大いにやっていただいていると思うのでございますが、やはりこれを政府全体として、北海道努力をいただくし、政府全体としても同じような努力をする。  そうして、これは河野外務大臣が強調されて、なるほどと思ったのですが、先ほどの政経不可分の問題についても、ロシアという国が世界の中で占める重みというものを考えれば、ソ連が改革の方向で前進をしていただく、このことがやはり重要だという意味で、政経不可分ということにかたくなに固執しているのではなくて、政経不可分という方針もあるけれども、同時に、ロシアという国が国際社会の中で果たしている役割というものを考えて、ソ連の改革の方向日本初め世界の国々が支持していくという考え方を出していく、それを実行していくということがやはり重要ではないか、そういう意味で内閣としてそのような方向努力をしたらどうかなというふうに思います。
  65. 上原康助

    ○上原委員 きょう今すぐ御回答をいただくのは、大変これは大きな問題ですから簡単にいかないと思うのです。  私は、例えば北方領土返還対策閣僚会議とかをがちっとつくる、きちっとね。そうすれば、それだけ相手にも緊張感というか、ああ、なるほどと、国際的にも日本は本気になったのかいと思うかもしれませんよね。残念ながら今までそういうあれがないんですよ。漁業なら漁業だけやる、農林水産省、水産庁とか外務省。核廃棄物なら科学技術庁とか通産とか。そういうふうにやっているでしょう。防衛庁は、きょうは呼んでいないけれども、旧ソ連時代はてこにしたわけだ、我が方の防衛力整備の増強路線のためにも対ソ脅威論をあおって。僕なんかもさんざん議論をしたけれども、いつも負けておった。車ほどさように、いろいろあるのですよ、本当は。  だから、今日新しい国際秩序、社会、冷戦が崩壊、崩れたという時代になって、日本がそういった過去の延長線で外交とか領土とか経済を考えるのではなくして、私は、大胆な発想と手法でやればこういう問題は前進する可能性はあると見ている。またそうしなければいけないわけでしょう。  ぜひひとつ河野大臣、ここはそういったことも考えでみていただいて、やはり信頼醸成措置をきちっと向こうにやるということですよ、領土を返す場合に。さっきおっしゃったように、向こうにおられるロシアの住民の皆さんが、もう戦後五十年ですからね、それは簡単ではありませんよ、そういうのをどうするのか。あるいは、地震の場合どうするのか。  インフラにしてももう少し本当に、ビザなし交流もやっているのだから、日本経済力というか技術力というものを、相手側と協力ができるならばそういうものを投入してもいいんじゃないかという話を内緒にやったことがあるのですよ、北海道開発庁長官のときに。しかし、とでもそういう雰囲気じゃないということであれしてますが、どうぞひとつそういう考えで、包括的協議を日本側はどうするのか、そのためにはやはり、さっき自民党と社会党はまだというお話もあったのだが、村山政権下で今私が言ったようなことをすれば、これは一番のヒットになりますから、ひとつ参考にして実現するようにお願いしたいと思います。  そこで、北方問題はこの程度にとめて、外務大臣にお願いとまたお尋ねを二、三しておきたいと思うのですね。  それは、一つは、歴代の外務大臣は、残念ながら沖縄基地視察をやったことが一遍もないのです。私と何回も約束した方々がいらっしゃるわけです。だが、その都度ほとんど実現をしておりません。そういう意味で僕は、ここに外務省というか日本政府沖縄基地の問題に対しての、真剣さが足りないというと失礼になるかもしれませんが、何かいま一つ消極的な姿勢感じ取らざるを得ないと思うのですね。  二月二十八日に公表された東アジア戦略報告とか、あるいは、三月二日の国防総省が議会に提出した日米安保報告書などを見ますと、どうも三事案を解決して沖縄基地整理縮小を促進するということとは裏腹に、新たな日米安保の定義というものを日米間で考えているのではないかと思ったりするんですよね。また現に、モンデール駐日米大使は、新たに日米安保条約定義というものは双方で真剣に考えるに値するということを講演かどこかで言っておられるのを私も読んだことがあります。こういうことについてどういう御認識をお持ちですか。
  66. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 ただいま先生が言及されました最近の国防総省が出しました報告、これにおきましてアメリカ側の認識として言っておりますことは、引き続き日米間の安保体制を維持しこれを円滑に運用していくということが、日米両国あるいはアジア・太平洋地域の平和と安定にとっても重要だ、こういう認識を言っておるということでございます。  モンデール大使の発言にも言及がございましたけれども、そういう認識を日米間において改めてよく認識する必要があるということは、つとに米側の関係者も言っていることでございますし、私どもも、それは基本的な認識において日本側と同じであるなというふうに思っております。  ただ、そういうことと、それから先生おっしゃいました沖縄におきますところの基地、施設・区域のあり方、あるいはこれの整理統合の問題、これは日米安保体制が重要であるということと、矛盾をすると申しますか、別にそういうことであるというふうに私どもは思っておりませんで、むしろ、安保体制を堅持していくためにはやはり国民の皆様の理解も必要だ、不可欠である、こういう認識に私どもは立っておるつもりでございます。そういう認識も踏まえて、沖縄のもろもろの基地にかかわりますところの問題には取り組んでいきたいというふうに考えております。
  67. 上原康助

    ○上原委員 では、短い時間では今私が指摘をした二つの報告書などの中身を議論することは難しいので、これもいずれ機会があればやりますが、日米間で日米安保条約について新たな定義なりあるいは内容を見直すというか補強する、皆さんの立場からいうと。まあ僕の立場からいうとこれは強化する懸念を私は持っているから質問するのだが、そういう作業は進んでいないと理解していいね。  クリントン大統領が十一月のAPEC大阪会議に来るときに日本側が何かそういうものを新たに提案をするという、いろいろのレベルでの検討がなされているという、相当確かではないかと思われる見解なり報道がなされているが、そういうことはないと理解していいのかどうか。あるいは、あるならあるで国会にもその内容を言ってもらって、このことは議論をしないといけない。その点は、これは大臣からひとつ明らかにしておいてください。
  68. 河野洋平

    河野国務大臣 日米安保条約の重要性というものは、昨今、日米関係経済の側面にスポットライトが当たって、ともすれば日米関係経済的な利害が対立しているかのごとく報道されて、それが結果として日米関係が十分信頼関係を持ち得ていないのではないかというふうにとられているという状況から考えて、ことしの一月の日米首脳会談では、両国は、日米安保条約あるいは日米安保体制によって双方が強い信頼関係で結ばれていて、その日米安保体制というものが日本の安全に寄与しているところは極めて大きいということを、それぞれみずからの認識を述べ合ったことがございます。  私、同席をしておりまして、日米安保体制というものが改めてその重要性というものに言及されたのは、冷戦が終えんして世界戦争の危機というものはなくなったけれども、しかし周辺には不安定な要素が全くないわけではない、そういう状況下で引き続き日米安保体制というものは重要なものであるという認識、この点について両首脳は一致をしているというふうに私は感じた次第でございます。日米安保条約が見直されるというようなことを私は聞いておりません。
  69. 上原康助

    ○上原委員 若干疑問なしとしませんが、今はっきりおっしゃらないから、それは推移を見ざるを得ません。  なぜ私がそのことをお尋ねするかといいますと、この間も河野大臣には強く要望とお願いをしてあるわけですが、どうもこれまでの二十三事案、あるいは今時に注目を集めている三事案にしても、みんな条件がついているわけです、多くは。それではなかなか基地整理縮小県民の期待する基地からの重圧の解消にはほど遠い結果になりはしないかということを思っているさなかに、こういった米側からの動きがあるという報道がなされますと、さらにいろいろ政治的にも考えざるを得ない面があるという点を申し上げておきたいと思うのですね。  そこで、外務大臣、ぜひ沖縄基地を視察してもらいたい。これは後でお答えいただきたいのです。  最近、沖縄を訪問した米国の非常に権威のあるお二人の博士がおっで、一人はリチャード・リバースさんというようですが、元米国通商代表部の次席代表をなさって、米国の法律協会ですかの事務所の事務長もやっているという方で、外交、防衛問題に詳しい方だともいう。もう一人はジョージ・パッカード博士で、ジョンホプキンズ大学の国際問題研究所長をやっている。大田知事の要請で来たようですが、このお二人が、沖縄基地問題についてこうおっしゃっでいるのですね。  両博士とも沖縄を訪ねるのは初めてだが、「普天間や嘉手納基地など民間地と隣接しており、騒音の厳しい現状にショックを受けた。多くの米国人が同じ印象を持つだろう」、クリントン大統領が人道主義を標榜している立場から「これは人権の問題であることを訴えていくのが得策だ」などと、沖縄基地視察後の感想を述べでおられるのですね。  私は、まさに人道問題だと思うのですよ。人権問題だと思う、これは。県道一〇四号を挟んでのあの自然破壊、激しい炸裂の音。だから、米国の学者が見でもそういう印象を持つのが沖縄基地なのですよ、河野大臣。これは安保を認めるとか認めないとか以前の問題で、戦後五十年こういう環境にいるわけですからね。今私が指摘したことについての大臣の御見解なり感想があれば、ひとつ聞かせてください。
  70. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄基地問題は、先ほども宮里議員からもるるお話がございまして、そのときに申し上げましたが、沖縄県民の皆様方に大変な御迷惑をおかけしているということを私は正直、率直に感じております。もちろんこの沖縄基地問題と沖縄県民の皆さんとのかかわり合いというものに心をいたして、日米首脳会談でも両方の首脳がこの問題に特に言及をされたわけでありまして、そうしたことはクリントン大統領も村山総理も認識をしているということであろうと私は思っております。
  71. 上原康助

    ○上原委員 それで、アメリカの専門家も上下の議員もしばしば沖縄に行くのですね。これは本来的な日本の外交問題、アメリカよりは日本政府に問題があるというのが私の持論でもあり、今の見解なのですが、もう少し日本政府が本気になってもらえば、解決できるものは解決できると私は思う。現に私が開発庁長官をやって、三省庁の連絡会議を局長レベルでつくって相当ぐいぐいやろうとしたのだが、途中で挫折した。挫折というかやめざるを得なかったから、その後もうしり切れトンボですよ。やはり政治家なりにやろうという意欲、この人々の熱意がないとこういう問題は役人もやらないのですよ、私の経験上は。  これは後で山口大臣にもちょっと御協力を含めて御見解を聞きたいが、そういう意味で、伊東正義さんが外務大臣をしておられるころかな、沖縄に行くと約束をしてとうとう行けなかった、重大な内閣の事情があって。おわかりかもしらぬ。その後もほとんどの人が約束したのですよ。  今総務会長をしておられる武藤さんも、途中で外務大臣になられたのだが、私が平成五年四月二十七日の沖特で、武藤大臣沖縄基地を一遍見てくれと言ったら、こうおっしゃっている。「アメリカと話をするにも自分の目で見て判断するということは大変大切だと思います。」と。あと、たくさんあるから省きます。そういう意味で、ゴールデンウイークに無理ならば、六月か七月か、その辺には一度ぜひ機会を見て、日帰りでも行けるのですから行きたいと約束したのです。その後、選挙になったのかな、できなくなった。  その後、中山大臣初め多くの皆さんが約束したが、一遍も実現していない。  この間防衛庁長官が行って、空から二、三十分ヘリコプターだけで見ても、わかりませんよ。嘉手納基地、偉い人が行くときはあの爆音はやめてしまうので余り被害の実感がないでしょうが、私なんかはいつも実感しているからね。  そういうことは別として、戦後五十年のこの時期まで、担当の外務大臣沖縄基地も視察をしないで日米間で話し合ってみたって、アメリカの方がそれは実感は知っていると言われたら、困る。これは河野大臣、この際、お忙しいでしょうが行ってごらんになって、三案を含めやっていただくという決意をぜひここで明らかにしていただけば、少しはあるいは前進するかもしれない。いかがでしょう。
  72. 河野洋平

    河野国務大臣 三事案の解決について、村山総理から、私と防衛庁長官が呼ばれて解決のために努力をするようにという御指示がございました。その直後、防衛庁長官沖縄に飛ばれでいろいろな方にお目にかかってお話を聞かれたりしでいるというふうに承知をしております。私も、もちろんチャンスがあれば伺いたいと思います。
  73. 上原康助

    ○上原委員 ぜひ、五月十五日、せんだって申し上げました六月二十二日、いろいろ節目節目がありますから、御多忙の日程でしょうが、今私が申し上げたようなことを御理解の上、御自分の目で確かめて、基地問題の解決に努力をしていただきたいことを重ねて要望しておきます。  これは山口大臣も閣議の中で、沖縄問題には大変これまで御協力いただきましたので、今私が申し上げたようなことについてちょっと所見を聞かせておいてください。
  74. 山口鶴男

    山口国務大臣 私、社会党の書記長時代、しばしば沖縄に参りましで、嘉手納の軍事基地を上原さんと一緒に手をつないで取り巻くというような行動にも参加をいたしました。その後、党の沖縄対策特別委員長もずっとやっておりまして、現在は上原さんが非常に御努力をいただいておると承知をいたしております。したがいましで、沖縄県民皆さん方がこの基地の問題に対して抱いております気持ちというものは私としてもある程度理解をいたしでいるつもりでございます。  したがいまして、閣議後の懇談会等ございましたときに、必要とあらばこの問題については政府としての対応について私なりの考えを申し述べ、御注文もいたしていきたいというふうに考えております。
  75. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつ、一層の御努力を閣内においてお願いを申し上げます。  そこで、時間がわずかになりましたが、最後に一つ、これは外務省としてあるいは政府としてやろうと思えばすぐできることを提起をしますので、ぜひ実現してください。  さっき引用しました米国の博士のお二人の言葉ですが、実に人権、人道問題だ、騒音というのは。しかし、横田基地や在日米軍基地について日米合同委員会で協議をし、取り交わしできた協定というか、その取り交わしが、沖縄の嘉手納基地や普天間基地にはなぜ適用できないのですか。本当に疑問でならない。このことももう何回かこれまで国会で私も取り上げてきたのですが、いまだに実現していない。  例えば在日米軍基地横田飛行場の騒音規制措置に関する日米合同委員会の合意というのは、河野大臣、一九六四年、昭和三十九年四月十七日にやってあるのですよ。そして、最近これが改定された。  我々は、なぜこの程度のことが沖縄基地にも――皆さんは安保、地位協定は本土並みにと言ったのだからやれということを、沖縄返還交渉時代からやったのだが、いまだに実現していない。最近地元の四軍調整官も、ようやく二年半ぶりに三者協議を持って、いや、それは実は本土並みにやりつつあるんだと言っているのだが、しかし、相手というのは、政府との、国対国の取り決めがきちっとなされない限り、緊急事態だといって夜中であろうがいつでもやってしまうのですよ。  したがって、河野大臣、これは本土でできているわけだから、しかもこれには、在日米軍基地のことを考えてこういうことをしていると書いてある、一々言いませんけれども。これはぜひ早急に、沖縄の嘉手納基地、普天間基地についても同様の取り扱いをするということは、外務大臣がその気になればすぐ答弁しで結構な話だ。この点だけはお約束ください。
  76. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 ただいま先生指摘のとおり、嘉手納の飛行場につきましては、騒音規制に関する合同委員会の合意がないということは事実でございます。しかしながら、何らの措置もとられていないということではもとよりないわけでございまして、米側の自主的な対応が行われておりまして、騒音軽減のためにアメリカ側としてももろもろの措置をとっておる、こういうことでございます。  私どもといたしましては、もちろん騒音問題の重要性ということは認識しているつもりでございまして、地域の方への影響を最小限にする、こういうことのために、今後も引き続き米側の配慮を求めていくということにいたしたいと考えております。
  77. 上原康助

    ○上原委員 大臣、こういうのを北米局長レベル、レベルというのは失礼だが、そういう段階に任せていたらだめですよ。これこそ政治家の話なんですよ。何を言いますか、あなた。そういう答弁は野党時代からたくさん聞いてきた。  嘉手納基地の昨年一年間の騒音発生件数は実に三万七千二百七十二回ですよ。特に零時から午前七時までの深夜、早朝に二千二百十六回もあるのですよ。  私だって与党の一員として、軍隊の持つ性格やいろいろなあれからして、国際情勢なり、何か緊急やむを得ない非常事態に値するようなことが起きた場合にはそれはあるかもしらない。だが、あなた、今はノーマルな状況ですよ。そういうときに、横田の基地や厚木や三沢あたりはできるのに、何で嘉手納は、普天間はできないんだ。これは差別じゃないですか。こういうところに沖縄県民は、政府に対する不信感やなぜかという疑問を持つのですよ。外務大臣、これは検討して実現してくださいよ。これはぜひお答えください。おかしいですよ、これは。こんなのはやってください。
  78. 河野洋平

    河野国務大臣 どういう方法をとることが周辺住民にとって、さらに日米安保体制のもとで日本の安全を維持する上で最もいい方法であるかということについて、これまでも真剣に議論をされてきたことであろうと思いますが、なお真剣に考えたいと思います。
  79. 上原康助

    ○上原委員 もう時限ですから終わりますが、私が与党の一員という立場で質問をして、これは非常に合理性があるし、私、せんだって大使館の方にもお会いする機会があったし、在日米軍のしかるべき人とも会いましたが、日本側の提案があり、本当に協議をしてやろうというものはやると言っていますよ。相手はメモランダムを交わしていいと言っていますよ。そのぐらいのことをやってもらわぬと困りますよ。そのことを強く指摘をして、終わりたいと思います。
  80. 松下忠洋

    ○松下委員長代理 荒井聰君。
  81. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 新党さきがけの荒井聰でございます。  私は、戦後五十年問題を今担当しでおりますけれども、戦後五十年問題の最大のテーマの一つは、あるいはある意味では最大のテーマだと思いますけれども北方領土の未返還ということだろうと思います。そこで、北方領土問題を中心に両大臣にお聞かせを願いたいわけです。  私は、役目柄、道庁にいたことがございまして、その際に、ビザなし交流を担当をいたしました。外務省にも勤務をしたことがございましで、外務省の人員の態様というものが、各国と比べで非常によくやっているな、あの少ない人数でよくやっているなというのは、私はかねがねそう思っていたわけですけれども、その際思ったことは、もちろん外務省体制を整えるということも大事でございますけれども、もう少し外務省にかわる機能を備えた機関、そういうものをもっと利用していくべきではないか。  その一つに、地方自治体外交という言葉が一時はやりまして、まだ今でもそういう言葉を使っているところもございますし、そういうのに大変御関心の知事さんもおられますが、その地方自治体外交を積極的に展開するべきではないか。例えば、文化面でありますとか技術協力の面でありますとか、あるいはまだ外交案件に立ち至っていないようなもの、ビザなし交流というのはそういうものだと私は思うのです。  政府間交渉では一応モスクワと東京との間で覚書が交換されて、ビザなし交流をやるということが決着されたのですけれども、残念ながら、当時のサハリンの知事の性格もあったのかもしれませんが、サハリン州との間でうまくパイプが通じていなくて、ビザなし交流が思うように進んでいなかった状況がありました。そのときに、北海道から交渉団を出そうということで、これは非常にまれな例だと思うのですけれども北海道からたまたま私が団長になって、外務省の職員が顧問としてついでいっていただきました。それで、サハリン州と交渉をしたわけです。サハリン州の方も、こちらのミッションの態様を見て、向こうもモスクワの外務省から担当官を派遣してくれて、サハリン州の知事との間でビザなし交流の細部にいで詰めることができたわけです。  こういうような案件というのは、外務省同士で正規になかなかできない、あるいは細部の詰めについては、自治体外交といったようなことをもっと積極的に利用していくということが、日本の外交を分厚くしていく、幅を広げていくという意味で大変有益なのではないかと私は思います。  ところで、ビザなし交流ももう三年が済んで、ことしで四年目になるのでしょうか。最近の実績とその評価を両大臣はどのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。最初のころは大変混乱もあったようでありますけれども、最近の状況はいかがでございましょうか。
  82. 野村一成

    野村(一)政府委員 実績の方だけちょっとお答えさせていただきます。  三年に及んでおりまして、現在まで、四島側から訪問いたしましたのが、合計十九回で九百八十名に上っております。またこちら側から訪問いたしましたのは、回数で申し上げましで合計二十二回でございますが一千十名、約二千名の往来が行われているというのが実績でございます。
  83. 河野洋平

    河野国務大臣 議員御指摘のように、この三年間のただいま御報告申し上げましたような実績というものは、やはりそこに住んでおられる方々の中に理解を深める意味で、非常に意味のあったものだというふうに思っております。私は、実はこの点に注目をいたしまして、先般、コズイレフ外務大臣との会談の中でも、この問題をさらに質量ともに拡充していってはどうかという提言をいたしました。先方もある程度の理解がございまして、事務レベルで少し詰めようではないかということになっているところでございます。
  84. 山口鶴男

    山口国務大臣 昨年の十月一日、二日、北方領土の視察に参りました。そうして、高等学校、中学の生徒諸君と対話をしたのですが、そのとき、私が四島へ行って話したロシア語が通じてうれしかった、そしてそれが契機になって現在も文通をしているというお話がありまして、そういう意味で、私は、北海道が従来から北海道独自として青少年の交流をやってきたことに大変な意味があったなというふうに思いました。  自治体外交というお話がありましたが、例のコンスタンチン君の治療等で北海道が果たした自治体外交、私も書記長時代、沖縄の知事選挙の応援に行きまして、ぜひ大田さんも積極的な自治体外交を展開したらどうかということを申したこともありましたが、そういう意味で自治体外交の意義というものは痛感しております。  私が地方行政のときにそのことも問題にいたしまして、そういった自治体外交についても相当自治省が交付税で見るということにも、この二、三年来なったというふうに思っております。
  85. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 そのとおりでございますね。最近の自治省の方針も、国際交流センターを積極的につくっていくとか、あるいは地方自治体の職員を国の派遣法に準じた扱いで積極的に技術協力などで海外に派遣しようということをサポートしていこうという体制がとられでいるように思います。また、この方向は自治省を中心に政府全体として後押しをしていただけるようにお願いをいたします。  ところで、私もサハリンに行って、初めて四島の人たち、四島のリーダー的な人たちと話し合いをしたわけですけれども最初、彼らは大変な危機感というかあるいは警戒感で私に接したわけですね。しかし、話を進めていくに従って、ああ日本人というのは全部ウルトラコンサーバティブな男だけじゃないのだな、おまえみたいに親しいのも日本にはいるのだなという話をされました。随分四島の人たち北海道の人やあるいは日本人というものを誤解しているのだなという思いをいたしました。  また、四島の人たちビザなし交流でたまたま札幌を訪ねたときに、私のところに来ました。そして、彼が歌を歌って遊んでいったのですけれども、そのときに、荒井の家を見せると言うものですから、いいよど見せました。そうしたら、一番最初に台所へ入って、台所の冷蔵庫を開けまして、おまえのところは余り冷蔵庫に物が入ってないな、荒井は余りお金がないのだな、こう言いますから、いや野菜や肉は全部そこのスーパーマーケットにあるから何も買わなくていいのだ、そう言いましたら、そうがな、ロシアだったら、おまえぐらいの役目柄だとこのぐらい大きな冷蔵庫の中にびっちり食べ物が入っているのだというような話をしておりました。  それから、青少年交流向こうから小学生が参りました。小学生が来で、日本のスーパーマーケットとかそういうところを見せて歩いたわけです。そうしましたら、その子供が帰るときに、日本は、北海道は、私たちのために大変丁寧な歓待をしてくれた、スーパーマーケットを見せてもらって、この地域のすべての物資をそこに集めでくれるというような大変な歓待をしてくれたという誤解をしているのですね。向こう地域がいかに物がないか。歓待というのは、物を集めて、そこを見せてあげて、幾らでも買いなさいと言うことが最大の歓待だというふうに、小さな子供でさえも思っている。  そういうところの人が日本に来たときに、自由社会というのはこういう社会なのか、日本というのはこんなに自由な社会なのかということを実感として島の人たち感じ取るということは、これは今まで会話がなかっただけに、大変大きな効果があると思うのですね。  ですから、今ビザなし交流で、向こう人たちが千人ぐらいと言っておりますけれども、島のすべての人たちビザなし交流北海道あるいは東京を見せてあげる、日本人との間の交流をさせてあげる、あるいは子供たち同士で交流をするということを進めていく、そういう地道な活動が最も効果があるし、また一番早い近道ではないかなというふうに私は思っている次第でございます。  ところで、私もビザなし交流の実務を体験した観点から少し御指摘させていただきますと、まずビザなし交流を進める上で一番問題になりましたのが、四島から受け入れるときの交通機関というものが向こうでは非常にないというのですね。第一回目のときは、今もそうかもしれませんけれども、三十人から四十人運んでくるのに一万トンクラスの船をサハリンからわざわざ回航してきて、それを使ってあの目の前の島から根室に着いた、そういうことをやっているわけです。  それから、北海道の方でもまたそういう交通機関が非常になくて、小さなある民間の船をわざわざ東京から回航しで島へ行く。回航賃の方がうんと高いという状況があるわけですね。  外務省は随分人道援助をされております。この四島に対する人道援助の中に適当な船、千トン未満の船で十分だと思うのです、あるいは中古船で十分だと思うのです、貨物船でも結構だと思います、そういう船を先方に援助物資として与えて、それを使って交流事業を進めていくということを考える時期に来ているのではないだろうかというふうに私は思います。それが第一点でございます。  それから第二点目が、これはこちら側から行く場合の問題点なのですけれども、こちら側から行く場合に、やはり日本人の生活レベルが上がっているものですから、トイレがないとかあるいは水道がないといったようなところでは、なかなか宿泊ができません。向こう人たちは一生懸命民宿を勧めてくれて、ホームステイを勧めてくれるのですけれども、なかなかそれがうまくいかないという例もございます。そのために、日本はそろそろ向こう交流のための施設を、これも援助の一環として施設をつくっていく、そういう時代に来たのではないだろうか、それが交流事業を進めることにも、拡大をすることにもつながっていくのではないかというふうに思っております。このあたり、両大臣、いかがでございましょうか。
  86. 野村一成

    野村(一)政府委員 お答えさせていただきます。  いわゆるビザなし交流につきましては、基本的には領土問題についての立場を害さないという中で、人の拡充及び実際の交流の円滑化のためのいろいろな措置をとっていくべきであるというふうに考えております。これが基本的な考え方でございます。  ただ、今御指摘がございました人道支援として、例えば船をということでございますけれども、確かに先生指摘のとおり、交通手段というのがこの交流にとって非常にネックであった、現在もあるということは御指摘のとおりでございます。これは、要するに交流の円滑化という中できちんと日本側が予算措置を講ずるなりして、四島側に困難があればそれを助けていく、そういうことで対応すべきものであろうというふうに考えております。  それからもう一つは、宿泊と申しますか、現に向こう日本側が行ったときの施設、プレハブ的なものでございますけれども、これにつきましては、既に人道支援、物資の保存、あるいはそれに加えましで、訪問する際に、例えば現地の四島住民との対話とか、あるいは休憩、宿泊というようなことにも利用できるプレハブ倉庫を国後、択捉、色丹の三島に施設してございまして、この辺のところを、さらに今後何か工夫しでまいりたい、そのように考えております。
  87. 河野洋平

    河野国務大臣 今政府委員が御説明を申し上げましたことで、私も、今の段階はそういう対応でよろしいのではないかというふうに思っております。  先ほど来議員がお話しのように、できるだけ多くの人の交流が必要だという御意見には私も共感いたしますが、しからばどういう方法をとっていくかということについでは、目下のところ、政府委員が今御説明を申し上げたようなことでできればなというふうに感じでおるところでございます。
  88. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 手段はどのような手段であっても構いません。かつて私、交通手段の問題が一番ネックにあるということで、当時の官房副長官の近藤元次先生のところにお伺いをしましたら、近藤先生がその場ですぐ、そういえば佐渡汽船の船をちょうどかえるときだなということで、佐渡汽船に問い合わせをしていただいたことがありましたけれども、その中古船の方は売却をしてしまって利用できないということで、残念な思いをしたことがございます。  日本の場合、中古船というのは大変処理に困っているという事情もございますので、その点、よろしく今後御検討願いたいと思います。  ところで、戦後五十年が経過をしてしまって、北方領土に住んでいた一世の方が大変お年を召してしまっている。しかし、北方領土の対策協会が行っているいろいろな事業、融資対象の事業とか、そういう問題は一世に対してだけの融資関係事業でございます。あしたでもあさっででも北方問題が解決するなら別ですけれども、まだしばらく時間がかかるのかなという、こういう状況の中では、一世だけを対象にしたこういう事業ではもう限界があるというか、対象者がどんどんいなくなって、問題としては残っているけれどもその対象者がいなくなってしまうという変な制度になってしまう。これはやはりどこかできちっと考え直していくべきではないか。領土問題と絡めて、二世、三世、あるいは権利問題の継承とかそういうものを絡めできちっと整理をしていく、そういう時期に来たんではないだろうかなというふうに思います。そのあたり、いかがでしょうか。     〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
  89. 山口鶴男

    山口国務大臣 今委員が御指摘のような御要望は、昨年、北方領土の視察に参りました際にも承りました。  現行法におきましても、単に世帯主だけではなくて、昭和二十年八月十五日まで引き続き六カ月以上北方四島に生活の本拠を有しておった方々はこの要件として認めることにいたしでいるわけでございましで、その方の配偶者や子を含む世帯員すべてを融資対象としておりますので、相当範囲は広がっているのではないだろうかというふうにも思っておる次第でございます。  問題は、この融資制度は、北方四島からの引き揚げを余儀なくされ、生活の基盤を失った元居住者の生活の安定を図るという趣旨で創設されたという事情もございますので、今申し上げましたように、八月十五日、六カ月以上そこにおったということになれば相当範囲が広がるわけでございますので、これを直ちに拡大するということにつきましてはやはり慎重に対処する必要があるというふうに考えております。  ただ、元居住者の皆さんの要望もございますので、平成四年度から融資枠を二億円増額いたしまして十四億円にいたしますと同時に、平成六年四月には貸付限度額の引き上げ、利率の引き下げ等を行いまして、ある程度の御要望には応じたということで御理解を賜りたいと存じます。
  90. 荒井聰

    ○荒井(聰)委員 この問題については、元居住者を含む関係者の意見を十分聴取をして、きめの細かい対策をぜひお願いいたしたいと思います。  最後に、ことしは戦後五十年であります。戦後五十年というそういう年に、私は、ぜひ総理大臣北方領土を視察していただけるように希望をいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  91. 鈴木宗男

    鈴木委員長 古堅実吉君。
  92. 古堅実吉

    ○古堅委員 沖縄米軍基地問題について、二十分ばかりお尋ねしたいと思います。  那覇防衛施設局は、三月三日、復帰後四度目となる契約拒否米軍用地に対する強制使用の手続を開始いたしました。対象施設は十三施設で、この中には、現在返還に向けて日米協議が進んでいる那覇軍港、読谷補助飛行場も入っており、政府のこうした二律背反の態度を県民は厳しく批判しています。しかも、過去三度の強制使用では明確に反対の態度をとっていた社会党の総理のもとでの手続なだけに、県民の中には裏切られたというふうな声も多く出ております。  これらのことについて、外務大臣の見解を最初伺いたい。
  93. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 申し上げるまでもございませんけれども、私どもは、日米安保体制が、我が国の安全を確保する上で、あるいはアジア・太平洋地域の平和と安定にとって不可欠の要因である、こういうふうに認識をいたしております。  したがいましで、政府といたしましては、このような意義と重要性を有する日米安保条約を堅持し、その円滑かつ効果的な運営を確保することが重要だというふうに考えておりまして、日米安保体制目的達成のために必要な施設・区域の確保、これは一般的に申し上げまして条約上の義務でございます。したがいまして、防衛施設庁において進められている手続もそのような施設・区域を提供するためのものである、こういうふうに認識をいたしております。  ただ、一方におきまして、沖縄県にありますところの整理統合の問題、この問題につきましては、私どもは、安保条約の目的の達成と地域の住民の方々要望との調和を図るということをしつつ、この問題について引き続き努力をしていく考えでおります。
  94. 古堅実吉

    ○古堅委員 戦後五十年です。このもとであえでこういう強制手続がとられている、そういうことについで大臣から御所見を伺いたい。
  95. 河野洋平

    河野国務大臣 ただいま政府委員が御答弁申し上げましたように、日米安保条約の条約上の我が国の義務ということでございます。  さらに、安保体制が円滑に機能するような努力というものはやはり必要でございます。しかし他方、住民の皆様の気持ち要望というものもでき得る限り踏まえて対応するということが必要であろうと思いますが、でき得べくんば、円満かつ双方にとってよりよい方法で処理されることが望ましいことは当然であろうと思うわけでございます。
  96. 古堅実吉

    ○古堅委員 最近発表されたアメリカの東アジア戦略や日米安保報告では、「ソ連の崩壊は、歴史的脅威を基礎にした日本の安全保障の根拠を消滅させた」としています。安保条約が「東アジアにおけるアメリカの死活的な国家的利益のかなめ」であると述べております。アジア米軍が駐留するのは、このような報告が指摘しておりますように、まさに米国の国益、経済的利益のためであるということなのであります。  沖縄米軍基地は、戦後のアメリカの占領下で、言われておりますように、銃を突きつけ、ブルドーザーを出して野蛮な方法で取り上げていった、そういう多くの基地で構築されています。  戦後五十年たった今日、施設庁長官は、安保反対などという態度をやめてアメリカ基地との共生共存を求める、そんな発言をして県民から糾弾されました。言うことを聞かなければ、今度は法律を盾にして強制使用の手続に踏み切る、そういうことなのであります。日本の外交はそういうことを基礎に置いています。これが今沖縄が安保堅持のもとで受けているところの仕打ちなのですよ。我々はそういうことをもう絶対に認めることはできぬ。そういう強制的な手続を直ちに取りやめて、要求どおりに土地所有者に返還すべきであることを厳しく指摘しで、次の質問に入ります。  次は、いわゆる沖縄米軍基地返還事案のうち、県道一〇四号越え実弾砲撃演習についてであります。  日米安保報告では、県道越え実弾演習について「大幅に縮小されている」というふうに述べています。最近五カ年間の実態及び沖縄の演習と在日米海兵隊の全体の演習の割合について、政府の把握している内容について説明を求めます。
  97. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 日本にあります米海兵隊による訓練につきましては、御指摘の県道一〇四号線越えの実弾射撃訓練のほか、さまざまな態様のものがございます。日米共同訓練への参加というような態様のものもございます。そういうこともございましで、必ずしも私ども全体像の詳細を承知しているわけではございません。したがいまして、沖縄における訓練が日本全国での訓練の何割ぐらいかということについては、私どもは把握をいたしておりません。  沖縄県で行われております御指摘の訓練について申し上げれば、平成六年には十回、三十二日行われたというふうに承知をしております。ことしは現在までのところ三回、十日行われているというふうに承知をいたしております。
  98. 古堅実吉

    ○古堅委員 こういう質問もしますよということも伝えで、それなりに調べてくればわかるものを、そういう調べもしない、よく実態をつかんでおりませんなどとふまじめきわまるですね。  沖縄での演習の実態は、昨年時点で見ましでも、十年前の一九八五年に比べて回数で約二倍、日数で約四倍にふえているのが実態である、そういうことは指摘しておきたいと思います。  二月に防衛庁長官が三事案の件で沖縄に行った際の長官の提起では、訓練の廃止は困難だというふうに述べておられます。一方、日米安保報告では、米側は条件を示しながらのことでありますけれども、訓練の中止を前提にした日米の協議をしていることを明らかにしています。廃止は困難というのは、米側との協議が成立しても廃止は困難、そういうことを意味するのか、お答え願いたいと思います。
  99. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 在日米軍、これも申し上げるまでもないことでございますけれども、軍隊としてその構成員の技能の維持向上を図るということは当然にして必要なことでございます。いざという場合に備えて即応態勢を維持しておくという軍隊の機能の一環として、そういう構成員の技能の維持向上を図るということは不可欠だということでございまして、そのために訓練ということが必要不可欠なことになるというわけでございます。  ただいま先生お話しの、一〇四号線越えの実弾演習訓練、これにつきましてもそういう重要な訓練の一環というふうに米軍では位置づけておる、そういうことでございまして、したがいまして、私どももこれを一切廃止するということは困難だというふうに認識をいたしております。  ただ、沖縄におきまして、この問題の解決ということが非常に重視をされているということでございまして、今おっしゃいますように、三事案の一つとして私どもも何とかしてこの問題の解決の方途を見出したい、こういうことで米側とともに努力をいたしておる次第でございます。
  100. 古堅実吉

    ○古堅委員 県道を封鎖しでその県道越えに実弾砲撃演習をやる、しかもそれが核、非核両用の許せないこういう兵器による射撃演習なのです。県民がその都度挙げて抗議をしてきました。ですから、それについて戦争屋ともも、これをそのまま進めていいのかということで何らかの形で検討せざるを得ないような、そういう方向に至って今日ロ米間の話がなされる、そういうようなことにもつながった問題なのです。  今おっしゃる立場からすると、練度を高めるためにその演習が必要だなどということを理解にして廃止は難しいということは、日本政府があの欠陥きわまりない沖縄における県道越えの実弾射撃演習、それをやめさせてはならぬ、やめろということを要求してはならぬ、政府の立場がそうなのかどうか、そこをはっきりさせでください。アメリカがそう言っているのか、政府がそう言っているのか。
  101. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 これも繰り返し国会で御答弁を申し上げてきていることだと思いますが、私どもは、日本の安全保障のためにも日米安保体制というものを維持していくことが必要だというふうに考えているわけでございまして、そのために、日米安保体制目的の達成ということと、それから地域の住民の方々に与える影響というものをどういうふうに調和させ、あるいは地域に対する負担というものを軽減するか、こういう立場からいろいろな問題の解決に取り組んでいるということでございます。
  102. 古堅実吉

    ○古堅委員 質問にまともに答えなさい。アメリカは、条件つきだとはいえ中止を前提にして日米間の協議をしているというふうに報告にあります。それを廃止ができないというのであれば、廃止すべきでないという日本政府の考えなのか、そこをはっきりさせてほしいということなのですよ。
  103. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 米側との協議の具体的内容につきましては、目下のところ公にすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもが現在米側と話しておりますことは、この訓練そのもの、これを廃止するということは難しいということでございますけれども、どうすれば沖縄におきますところの問題を解決できるかという観点から協議をしておるということでございます。
  104. 古堅実吉

    ○古堅委員 私は、実弾射撃一般のことを言っているのではないのです。県道一〇四号越えの実弾射撃演習、それを、条件つきなのだけれども中止を前提に話し合いが進んでいると報告にある。それができないというのであれば、あの欠陥演習場における実弾射撃演習はこれからも引き続き続けられてよろしい、そうすべきだ、日本政府の側がそう考えているのか。アメリカが演習の中止などとかいうふうなことではない、そういうふうな立場からのことを言ってきているのか、アメリカが中止ということは考えないという交渉を持ち込んでおるからそれはできませんと日本政府が考えでおるのか、そこをはっきりさせてください。
  105. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 おっしゃいましたことをちゃんと正確に理解したかどうかちょっと私わからないのですが、私が先ほど来申し上げでおりますことは、一〇四号線を越えるということが沖縄地元において大変な問題ということで認識されておるということでございます。他方において、この訓練そのもの、これを廃止するというわけにはなかなかいかない、こういうことでございますので、この二つの条件下において、どういう解決策があるのかということを私ども米側とともに探っているということでございます。
  106. 古堅実吉

    ○古堅委員 次に進みます。  米軍は、県道一〇四号越え実弾射撃演習訓練を他に移すための条件として、部隊の移動費の半額負担を提案しでいることがこれまで報道されてきています。  二月二十七日の外務委員会で、米軍の訓練、演習そのものの経費は米軍が負担すべき経費であるとしながらも、大臣は、具体的ケースを踏まえて考える余地がある、そういうふうなことを含みを持たせて言われました。なぜ明確に海兵隊の実弾演習の移動費の負担はできないというふうに言い切ることができないのか。大臣のお考えを確かめておきたい。
  107. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 先ほども申し上げたのですけれどもアメリカ側との協議の内容について申し上げる段階には至っておりませんものですから、その点は御容赦をいただきたいと思いますが、そのことを離れましで、若干一般的な御質問としてお答えを申し上げますならば、この前も申し上げたと思いますが、個々の経費の項目について、何が米軍を維持することに伴う経費に該当するのか、何が該当しないのか、これは個々の具体的な経費の内容に即して判断をしていきたいということを繰り返し私どもは申し上げているわけでございます。  ただ、いわゆる在日米軍経費にかかわる一般論を申し上げますならば、地位協定二十四条のもとで、我が国は、施設・区域などを地位協定の存続期間中米国に負担をかけないで提供する義務を負っている、米国はそれ以外の日本国に米軍を維持することに伴うすべての経費を負担する義務を負うこととされているわけでございます。したがいまして、地位協定上、日本側負担の経費以外の経費であって、在日米軍の維持に伴う訓練、演習そのものの経費に当たるようなものを我が国が負担するということは想定されていないということでございます。
  108. 古堅実吉

    ○古堅委員 大臣に重ねてお聞きします。  海兵隊の実弾演習の移動費の負担はできないということを言い切ることができますか。
  109. 河野洋平

    河野国務大臣 私どもとしては、ルールをきちっと守りながら、なおかつ私ども要望、すなわち県民要望に沿った答えがどうやったら出るかということを真剣に考えでいるわけでございます。  今そうした状況でございますということだけ申し上げて、これ以上のコメントは控えさせでいただきたいと思います。
  110. 古堅実吉

    ○古堅委員 日米地位協定ではできないことが明確であります。そういうことをいろいろな理由をつけて、あたかも何かその道があるかのような含みを持った御答弁を、先ほど申し上げた二月二十七日の外務委員会に続いて、今もそういう立場で表明しておられます。これはもう、おっしゃるようなルールに従ってというふうなことにもなっていないことを、今大臣はあいまいにして言われているだけのことなんですよ。  米国から見れば、米軍への気前のいい受け入れ国、これは報告の中に出てきますよ、である日本に一層財政負担を求めることは、もう明らかです。米軍は、実弾演習場を東富士へ移すことに絡めて、将校宿舎や武器弾薬庫を新たに日本に要求し、さらに最近では、米艦船や航空機の修理費や、NLPの硫黄島移転に伴う経費を新たに要求するという状況です。  沖縄県民の、実弾射撃演習やめろという要求が、米軍演習移動費の日本負担に新たに道を開く、そのために利用されることは断じて許すわけにはまいりません。県民の切実な要求を逆手にとって、そのような形で利用する、そういうことになるもので、こういう危険きわまりない欠陥演習場における実弾射撃演習は、条件をつけることなしに直ちにやめるべき、そのように考えます。  それにもかかわらず、政府が今進めているのは、今言ったような形で負担をして何らかの形でこの問題を解決したというふうに持っていけないか、そういう方向での検討になっているのではないかというふうに思うのですが、大臣、もう一度その点について確かめておきたい。
  111. 河野洋平

    河野国務大臣 どうも県民要望を逆手にとって云々という御発言は、私としては受けとめかねます。我々としては、日米安保条約に基づいて我が国の安全というものをしっかりと守るということと同時に、長年大変な御苦労をいただいている沖縄県民要望というものもできる限り尊重して問題を解決したいというふうに考えて努力をしているところであるということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  112. 鈴木宗男

    鈴木委員長 時間が過ぎておりますので。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十六分散会