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1995-02-17 第132回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月十七日(金曜日)     午前十時十分開議 出席委員   委員長 井上 一成君    理事 武部  勤君 理事 古屋 圭司君    理事 村田 吉隆君 理事 江崎 鐵磨君    理事 奥田 敬和君 理事 高木 義明君    理事 緒方 克陽君 理事 高見 裕一君       衛藤 晟一君    大島 理森君       亀井 善之君    橘 康太郎君       林  幹雄君    平林 鴻三君       堀内 光雄君    松下 忠洋君       森田  一君    横内 正明君       赤羽 一嘉君    北橋 健治君       古賀 敬章君    坂本 剛二君       須藤  浩君    樽床 伸二君       二階 俊博君    米田 建三君       土肥 隆一君    山崎  泉君       寺前  巖君    大矢 卓史君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 亀井 静香君  出席政府委員         運輸大臣官房長 黒野 匡彦君         運輸大臣官房総         務審議官         兼貨物流通本部         長       永井 隆男君         運輸省運輸政策         局長      豊田  実君         運輸省鉄道局長 戸矢 博道君         運輸省自動車交         通局長     高橋 伸和君         運輸省海上交通         局長      平野 直樹君         運輸省海上技術         安全局長    小川 健兒君         運輸省海上技術         安全局船員部長 加藤  甫君         運輸省港湾局長 栢原 英郎君         運輸省航空局長 土坂 泰敏君         気象庁長官   二宮 洸三君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   小池 登一君         大蔵省主計局主         計官      増井喜一郎君         大蔵省主税局税         制第三課長   竹内  洋君         国税庁課税部法         人税課長    田中 正昭君         厚生省保険局企         画課長     辻  哲夫君         労働省職業安定         局業務調整課長 井原 勝介君         自治省行政局選         挙部選挙課長  大竹 邦実君         自治省財政局財         政課長     石井 隆一君         自治省税務局固         定資産税課長  板倉 敏和君         運輸委員会調査         室長      小立  諦君     ————————————— 委員異動 二月十日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     中山 太郎君   大島 理森君     村田敬次郎君   橘 康太郎君     村山 達雄君   横内 正明君     若林 正俊君 同日  辞任         補欠選任   中山 太郎君     衛藤 晟一君   村田敬次郎君     大島 理森君   村山 達雄君     橘 康太郎君   若林 正俊君     横内 正明君 同月十四日  辞任         補欠選任   佐藤 敬夫君     奥田 敬和君 同月十五日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     高鳥  修君   大島 理森君     中山 太郎君   橘 康太郎君     若林 正俊君   横内 正明君     稲葉 大和君   寺前  巖君     志位 和夫君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     横内 正明君   高鳥  修君     衛藤 晟一君   中山 太郎君     大島 理森君   若林 正俊君     橘 康太郎君 同月十七日  辞任         補欠選任   村岡 兼造君     平林 鴻三君   横内 正明君     松下 忠洋君   樽床 伸二君     大口 善徳君   福留 泰蔵君     赤羽 一嘉君   赤松 広隆君     土肥 隆一君   左近 正男君     山崎  泉君   志位 和夫君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   平林 鴻三君     村岡 兼造君   松下 忠洋君     横内 正明君   赤羽 一嘉君     福留 泰蔵君   大口 善徳君     樽床 伸二君   土肥 隆一君     赤松 広隆君   山崎  泉君     左近 正男君   寺前  巖君     志位 和夫君 同日  理事佐藤敬夫君同月十四日委員辞任につき、そ  の補欠として奥田敬和君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  船員雇用促進に関する特別措置法の一部を  改正する法律案内閣提出第二七号)  陸運海運及び航空に関する件等運輸行政の  基本施策)      ————◇—————
  2. 井上一成

    井上委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井上一成

    井上委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事奥田敬和君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 井上一成

    井上委員長 陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村田吉隆君。
  5. 村田吉隆

    村田(吉)委員 本日は、運輸大臣に対しまして今国会冒頭大臣所信に対します質疑をお許しをいただきまして、まことにありがとうございます。  昨年来、予算をめぐりまして、私ども、与党のメンバーの一人として、整備新幹線問題について大変長い間議論をさせてもらいました。マスコミ等によりますと、あたかも三線五区間あるいは五線についてはもう建設を進めないんだというようなことでありまして、私どもがこの財源難の中にありながらどうやって地方あるいは地元の要望にこたえて新幹線建設を進めていくかという中で、まあむだなことはやめろというような風潮がありましたのは、まことに私どもプロジェクトチームの一員として残念な誤解であるなというふうに思いつつやっておったわけでございます。  今回震災がございまして、例えば東北につきましても、青森と盛岡が地域的につながっている、それが新幹線でつながっている、だから互いに連絡ができるというような交通インフラの基幹ができているということは、私は、国土の安定した、そして均衡のとれた発展のために大変必要なことであるというふうに考えておりまして、特に、来年度の予算において大臣新幹線建設大変意欲を持たれたということに対しまして、深い敬意を表しているわけであります。  ただ、財源問題、これはお金がたければ何事もできないわけでございまして、大変難しゅうございまして、この問題については、八年中にこれも含めまして結論を得ていくということで閣議でも決定されたわけでございますが、今後整備新幹線につきましてどういうふうな考え方大臣進めていかれるのか、まずそれについてお伺いをさせていただきたいと考えております。
  6. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員御指摘のように、新幹線の問題につきましては、極めて残念なことでございますが、この数年間、基本計画を策定をしながら、その基本計画については、もうすっかりあるのかないのかわからないような状況計画自体が置かれてもおりますし、整備新幹線についてすら、これについて残念な状況が御承知のように続いてきたわけでありますけれども委員非常に積極的にこの問題に昨年の夏以来お取り組みをいただき、連立三党の中で、また、野党皆さん方との間でのコンセンサスづくり等について大変建設的な御尽力をいただいたということを私は大変感謝をいたしておるわけでありますが、私は、基本計画を含めて、日本列島が均衡ある発展を遂げるためには、新幹線、これを日本国土基本計画どおり将来にわたって敷設をしていくということを堅持をしたい、このように考えておるわけであります。  ただ、物事には順序がございますから、一挙にそこまでやるわけにはいきませんので、当面は、整備計画、これについて毎年着実にとにかく進展をさせたい、このように考えておるわけでございまして、連立三党の皆さん、また野党の方々の御理解もいただきながら、このたび三線五区間以外につきましても、御承知のように、事業認可を行い、新規着手をするということに踏み切ったわけでございますけれども、着実に八年度以降についてもそれを滞ることなく進めてまいりたい、このように考えております。  新幹線問題というと、財源ということをよく言うわけであります。特にマスコミの方、若干私は不勉強だと思うわけでありますけれども新幹線整備とか空港整備というのは公共事業枠外だみたいな、何か妙な先入観が働いておるようでありまして、公共事業費以外に特別た財源を何かつくらたければそれを推進をしてはならぬという、そういう姿勢というのは無責任だというような論調もあるわけでございますけれども、私は、これはもう基本的に間違っておる、このように思うわけでございまして、新幹線整備は、河川、道路の整備と同じように、公共事業としてこれはきっちりと位置づけていくべき問題である。  そういうことでは、財源につきましては、六百三十兆という新たな公共投資十カ年計画におきましての総枠を合意をいたしたわけでございまして、その中でこれは高速鉄道というのをかっちりとはっきりした文言で規定もいたしておるわけでありまして、まあ例えばの話でありますが、今度コンセンサスをつくらなげればなりませんが、その二%を使ったって十三兆円程度はあるわけでございまして、そうした公共投資の総枠の外に新たな財源をつくらなければ整備新幹線なり基本計画を、それも先の話でありますけれども、進めてはならぬということにはたらぬというふうに私は基本的に考えておるわけであります。  さらに、これにつきましては現在のJR各社協力ももちろんいただくということが大事でありまして、私がJR東日本それから東海、西日本等にも言っておりますことは、北海道、九州、将来は四国を含めて、そうした新幹線整備については三社ともやはり協力をしていく責務があるということを言っておるわけであります。もちろん、民営化いたしたということは各社の経営上の判断を尊重するということでありますけれども、民営・分割化されていった経緯等からいいましても、やはり三社がそうした意味での協調体制をとることは当然の二とである、私はこのように考えておるわけでございまして、そのようにも言っておるわけでございます。  以上、総体的に申し上げますとそういうことでございますので、財源というのは特別にどこかがつくらなければいかぬという固定観念自体が間違っておる、このようにひとつ御理解をいただきたいと思います。
  7. 村田吉隆

    村田(吉)委員 ただいま大臣から大変明確なお答えをいただきました。新幹線建設のための特定財源がなければ一切できないんだというような考え方がそもそも間違っておると、だから公共事業の枠の中にきちんと据えて今後もやっていきますよという大臣の御答弁をちょうだいいたしましたので、私どももそういった観点から整備新幹線のこれからの建設、できれば八年までにもうちょっとしっかりとしたスキームをつくっていただくということをお願いをいたしたいというふうに思っております。  これと同じような問題がこの運輸省所管プロジェクトにあるわけでありまして、大臣の御答弁の中でもちょこっと出てまいりましたが、空港、それから、今度震災大変被害を受けました港湾の問題もございます。  飛行場につきましては、正月に私どもアジアの新空港を見てまいりました。ソウルの仁川沖と、それから香港のランタオ島のところに建設しているチェク・ラップ・コック空港ですか、ここを見てまいりました。それからシンガポールに行ってまいりました。なかなか進んでいるなということでありまして、日本よりも数段恵まれたところに準備されているなということでありますが、しかし、アジアもこれから飛行場建設が大切であるということでやっているわけでありまして、ちょうど折しもことしは第七次空整、この年に当たるわけでありますから、これをつくっていかなきゃいけない。  財源問題にその中で踏み込むというのは、その枠外かもわかりませんけれども、やはりお金がどう、財源の内容かどうなるかということは、着陸料との関係ではね返ってくるわけですから、利用しにくくなるということもありますから、どうか全体のスキームの中で三大プロジェクトはしっかりやっていく、成田もいろいろ解決していくような兆しも見えるようでありますし、関空それから羽田、成田含めて、日本表玄関、空の表玄関建設は今度の七次空整でしっかりと位置づけるんだというような気持ちで、かつまた財源ということについても踏み込んでいっていただきたい、心からお願いをいたしたいと思っております。  それから、港湾の方につきましても、一生懸命予算のとき走り回ったのですが、何せ財政審議会で何かCランクというのがついたようでございまして、去年は〇・七%の伸び、そしてことしはやっと一・〇くらいということで落ちついたわけであります。結局今度の震災を見ても、これからだんだん生活にもいろいろな影響が出てくるのだろうと思いますが、どうかひとつ港も忘れないで、港は主に最近は荷物が通りますので、物を言わないものですから、飛行場と比べても、港も大変だから国の方もしっかりやってよという声が上がってこないのですが、どうかひとつ港、飛行場新幹線交通インフラの非常に大事なところは、大臣しっかり整備促進方お願いをいたしたいというふうに考えております。  それから、震災の方に移ります。きょうでちょうど、不幸にして一月に震災が起こりましてから一カ月を経過するわけであります。昨年は復興委員会も発足しているようでございますが、運輸省も、交通の問題だけではなくて、かかわるところが大変多いのでございますが、私は、日本人というのは割合復旧とか復興というのは得意な分野に入るのではないか。だから、私もこの前、大変迷惑をかけないかなと思いながら、現地お見舞いかだがた視察をさせていただきました。私どもが参ったときは、もう既にだんだん電車も動いてきておったときですから、何となく活気づいてきたなという雰囲気が被災地にも漂っておりまして、そういった意味交通というものが本当に大切だなということをよくわかりました。どうやって直していくかということについての技術的な検討もある程度だんだん出てまいりまして、そういう意味で、復旧の工事にも拍車がかかっているような状況だと思うのであります。  ところで、復旧はともかくといたしまして、一番初めに気象庁役割といいますか、地震が起こったときにどうやってその大変さというか、そういう事態を伝達するかということ、これが果たして今回の震災にかんがみて大丈夫だったのかなというふうな気がしてならないのであります。  新聞にも出ておりますけれどもファクスが落っこっちゃったり、何か機械が落っこっちゃったりしまして、気象庁の予報というか伝達の初動においてちょっと反省する点があったのではないか。あるいは、自分たちの得た情報というか、それをどこに伝達するか、だれが伝達するかというようなシステムの問題、ハードソフトを含めたそういう問題について、気象庁において反省点があれば、まだまだこれから検討されるのでしょうけれども、この時点反省点があれば、お伺いをいたしたいというふうに考えております。  それから、もう一つですが、震度階級というのがございますが、これが一体どういう意味なのかということがわからないのですよ。七というのは後でつけるみたいでございますが。  もろもろ含めまして、地震が起こった、そのときに、その大変だという、政府なり行政側がどういう対応をとらなきゃいけないという、その伝達ハードソフトシステムを含めまして、反省点を御答弁願いたいと思います。
  8. 亀井静香

    亀井国務大臣 多岐にわたって御質問いただきましたけれども、簡単に、まず空港整備につきましては、委員大変予算獲得の過程でも御尽力をいただきましたが、七年度予算編成におきましては、運輸省といたしましては実は思想の大転換をやったわけでございます。従来この空港整備については空港特会ということで、ユーザーの懐を当てにして空港整備をするという基本的な考え方でやったわけでありますが、現在はもうぜいたくな乗り物でも何でもありません。国際化時代においてはげたと同然でございますので、国がこれを責任を持って公共事業として取り組むべきだということで、そういう意味では、空港特会が中身は細っても、その分を公共事業からとってくればいいということで方向転換をいたしたわけでございます。  ただ、残念ながら本年度は財政事情が憩うございますから、水路をつけかえたわけですから、ざっと流すわけにいきませんので、ちょろちょろと、関空につきまして御承知のようにあのような措置をとり、ジャンボ機で大体四万ちょっとだと思いますが、着陸料を減らす措置をとった。これは額としてはわずかでございますが、そういう形で思想転換の第一年度としてこれを実施をしたわけでございますので、今後は空港建設につきまして、私どもとしては、公共事業という観点から新幹線と同じように取り組んでいくということで、財政当局とも議論をいたしてきたという経緯がございます。そのようにひとつ御理解いただき、また、関空成田整備はもちろん今後強力に推進をしてまいりたい。  ここに奥田理事がいらっしゃいますが、運輸大臣のとき成田問題についても大変な御苦労をいただきまして、私どもの現在取り組んでおります。その路線をきちっとおつくりをいただき、私どもはその路線に従いまして現在鋭意努力をしておるわけでございますが、私は国が間違いであったことはもう率直に間違いを認める、その中で、日本国のそうした交通インフラをどうすればいいかということを一緒に考えていただくということの中で、今後この問題は解決しようということで進んでおるわけでもございます。  また、関空につきましても、官民一体の実を上げる象徴的なやり方ということで関空株式会社ということで実施をしたわけでございますけれども、もちろん民の積極的な取り組みがないところではこうした膨大なプロジェクトは完成するわけにはまいりません。今後とも民のそうした、自治体を含めて強力なあれをいただきながら国が責任を持って実施をしていきたい、このように考えておりますので、いろいろと御指導も賜りたいと思います。  それから、震災に際しての、特に気象庁役割についてのあれがございましたが、御承知のように、気象庁日本列島、海洋を含めていろいろた災害に対応するということで、日夜を分かたず大変な努力をしてくれておるわけでございます。このたびの阪神・淡路大震災の発生時における状況でございますが、あと詳しく長官にお話しさせてもいいと思いますが、気象庁として二点、これは気象庁責任というよりも、我々がそういう面で予算的に努力が足りなかったということを反省をしなければならぬわけでございますが、洲本の測候所、それと神戸観測所、この二カ所におきまして、神戸の方につきましてはNTTの回線がだめになったということ、それから洲本におきましては震度計がちょっと故障したというようなこともございまして、正確なデータを即刻、四十六分の時点であの二カ所からは入れることができなかったということは大きな反省点であります。しかし、それぞれ六時若干過ぎておった時点、六分ごろですか、には他の方で通報、また体感で、体で感じた揺れに基づいて所員が報告等をいたして補完措置を講じておるわけでありますが、二カ所そういうことであったことは大きな反省点でございまして、今後機材等についてきっちりとした整備をしなければならないと思います。  しかし、他の測候場所につきましては完全に機能をいたしておりまして、それが送られて、それが御承知のように自動的に、地方におきましてはファクスで流された。しかし、御承知のように、今の体制ではこれは警備会社が請け負って、それをそれぞれ官邸その他のところには連絡をするという形にたっておりますが、このあたりも将来改善をしていく一つの問題ではないかなということも感じております。  一応気象庁からの連絡等は、私に対することを含めまして運輸省内部においてはきっちりなされておりまして、現地におきましては、第五管区において対策本部が午前七時に設置をされ、大阪の気象台におきましても七時に本部設置をされるという形の中で、いち早くその後の余震のフォローアップ、また被災現状把握、またそれについての救援対策、その他について運輸省の現場は非常に早い時期から活動を開始をしたという状況がございますことを申し添えておきたいと思います。  気象庁長官からもし補足することがあったら言ってください。
  9. 村田吉隆

    村田(吉)委員 大臣からの御答弁で尽きておりますから、長官、結構でございますが、一番大事なのがスタートのところですから、ひとつ今後とも改善すべきところがあれば今のお話のように改善をしていただきたいというふうに思います。  先ほどから、要するに今までのユーザーの懐を当てにして整備を進めたりする、そういういろいろな施設につきまして、今後震災が起こってどうするかということが一番大きな問題なんだろうというふうに思います。しかし、そうした問題について、財政的な援助をどうするのか、あるいは法律的に不備なところは特別立法で対処するというような話も政府側でだんだん進んできておるようでございますから、そうした問題についてどうかひとつ遺漏のないように、時間がなくなりましたのでこの点は申し上げませんが、ひとつよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。  あと雇用の問題ですよね。倉庫がつぶれたりあるいは直接的な被害はなくても、自民党の交通部会でも議論がありまして、新幹線ががらがらになっちゃったものですから、博多の駅弁屋が売り上げが九割ぐらい落ちちゃって大変困っているんだ。それから私の地元でも、近畿地方からおいでになる旅行者が多いわけで、とたんに閑古鳥が鳴きまして、私のところにも旅館環境衛生組合から陳情書が来ております。税制面とかあるいは融資の面で特段の配慮をしていただきたいという陳情まで来ているくらいで、直接的なあの地域以外にも間接的に、例えば倉敷に来なくなればバスガイドさんがあぶれちゃうとかそれから旅館があぶれちゃうとか、あるいは九州でもそういった影響が出ているということでございますから、いろいろな意味税制面も含めまして対応をしっかりやっていただきたいというふうに思います。  それから、関東大震災のときに、瓦れきを集めて山下公園というのをつくったわけですよ。だから、瓦れきの処理なんかもきのうの復興委員会でもどうするかということが議論になったようでございますが、横浜のあの立派な公園もそういったことを経緯にしてつくっている。だから、今回の反省のもとにひとつ立派な復興を、復旧だけじゃなくて、復興をなし遂げてもらいたい。  運輸という、交通というこの施設に関しては、やはり早く復旧しなければいけない。神戸なんかでも、早くやってもらわなければお客が逃げて新たなシステムができてしまうということですから、早くやっていただきたいということが一点。しかし、安全にやってもらわなければ困るという二つの矛盾するような、対立するような要請がございますけれども、阪神地域というのは、あの地域だけじゃなくて、全日本に対して重要な影響を持つ地域でございますから、難しいところもございましょうけれども運輸大臣、本当に交通が動いていく、復旧していくというのは目に見えて活気を与えるものでございますから、どうかひとつ今後とも御努力をよろしくお願いをいたしたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わります。最後に大臣、もし何かございましたら、一言。
  10. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員御指摘のこと同感でございまして、これは村山総理からも、とにかく財源の問題はあるにしても、金に糸目をつけないで、また人手にあれをつけないで当面の被災者の救援措置を万全にやると同時に、とにかく復旧というよりも新たな町づくりということで復興に取り組めという強い御指示をいただいております。  今委員御指摘の中に、現在の法律では交通機関、カバーできない点がございます。この埠頭公社の問題また鉄軌法の適用の問題、これは省令改正、新しい立法をやることで今もう準備をいたしておりまして、それぞれ事業者と事務方が緊密な連絡をとって、事業者の要望にこたえるという形でやっておりますが、今の状況では、私ども今の段階で満点と言うわけにはいきません。しかし、我々は、財政当局のあれを受けてやるんじゃなくて、そうした被災地の事業者の意向を受けてそれで財政当局を説得をしてやるという姿勢で今徹底しておりますので、委員今後とも、今までもいろいろ御指導をいただいておりますが、細かい御指導、こういう場じゃなくとも結構でございますから、ひとつお申しつけをいただきたいと思います。
  11. 井上一成

    井上委員長 緒方克陽君。
  12. 緒方克陽

    ○緒方委員 社会党の緒方でございますが、きょうは大臣の所信表明に対して質問をいたしますが、内容的にはかなり技術的な面がありますので、局長答弁というのが多いかと思いますが、質問させていただきたいと思います。  まず、今回の兵庫県南部大震災、言い方はまた最近は変わっているようでございますが、このときも、早速大臣現地に行かれて、いろいろな状況も把握をされた上で諸施策を積極的に進めていただいておりますが、ぜひこれからも今とっておられます積極的な姿勢をとり続けて、この震災復興と新しい交通体系、安全も含めたことで取り組んでいただきたいというふうに思うわけでございます。  それで、具体的に質問をいたしますが、まず最初に、今回の大震災で鉄道も大変な被害を受けたわけでありまして、その後、被害額も多少概算から変わったようなことがありますが、しかし大変な額でございます。私も現地に行かせていただきまして、鉄道というのが非常に経済活動なりあるいは市民生活、通勤を含めて、もう本当に大変な影響を持っているなとつくづく思うわけでございまして、一日も早い復旧が必要だというふうに思うわけでございますが、まず、鉄道の被害状況状況は簡単で結構ですけれども、それと今後の復旧の見通しについて、要点的で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  13. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 先生御指摘のとおり、本当に今回の地震、大変大きな被害を鉄道は受けておりまして、山陽新幹線あるいはJR西日本の在来線、阪神、阪急といったようなことで、大規模な被害がございました。地震発生当日中に運行できなかった区間が六百三十八キロございます。本日、二月十七日の九時現在では、百五十一キロの区間が不通という状況になっております。  被害の見積もりでございますけれども、先ほど先生がおっしゃいましたが、今の時点で、約三千五百億程度に上るというふうに見込まれております。私どもといたしましてはこの復旧に、まあ事業者は不眠不休で取り組んでいるわけでございますし、私どもも可能な限りの支援をするということでやっております。  また、復旧の見込みでございますが、現在のところ、山陽新幹線の新大阪−姫路間につきましては、事業者の方は五月の連休過ぎの開通というのを見込んでおります。また、在来線でございますが、東海道線については五月の連休過ぎ、阪急の神戸線については八月末の開通というのを見込んで、今全力を挙げて復旧に取り組んでいるところでございます。
  14. 緒方克陽

    ○緒方委員 それぞれ状況を報告いただきまして、とにかく一日も早い復旧に一生懸命取り組んでいただくということでありますが、それに向けては大変莫大な金がかかるわけでございます。マスコミでも一部報道されておりますが、その災害復旧の事業費について、いろいろな要望が鉄道事業者からされていると思いますが、どういう要望がされているのか、お答えいただきたいと思います。
  15. 亀井静香

    亀井国務大臣 これは今鉄道局の方で各事業者と詰めておる最中でございますが、一応の状況を申し上げますと、国の補助金で処理できる部分と、それでなくて低利融資によって措置をしていく分、それと地方自治体が直接、間接これに加わっていくという三つであろうかと思いますけれども、現在、大まかに申し上げますと、JR西日本と阪急につきましては、低利融資でお願いしたいということが来ております。それに対して、阪神それから地下鉄、また新交通システム等につきましては、これは鉄軌法に基づく補助金と低利融資の組み合わせをお願いしたいということが来ておりますが、これは省令を改正をいたして対応したい、このように思います。今の省令ではこれは対応できません。鉄道についてはそういう状況でございます。  ついでに申し上げますと、埠頭公社につきましては、これは特別立法を用意いたしまして、財政当局と、異例の措置でありますが、八割は国の補助、それであとを起債、自治省における交付税措置等、今これは自治省とうちの方で協議をいたしているところでございます。
  16. 緒方克陽

    ○緒方委員 鉄軌道法に基づく補助とそれから低利融資ということでありますが、融資の問題でも、中小企業その他含めて、いろいろだ復興基金の果実を利用してできるだけ低利でというようなこともありますが、鉄道事業についても、やはり低利といいましても実際にはいろいろ影響もある。しかし、片や鉄道事業者としては、補助というよりも、みずからの力でやりたいということがあるようですけれども、その辺についてもできるだけ、低利融資もいろいろな知恵を絞ってやっていただく必要があるのじゃないかというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  17. 亀井静香

    亀井国務大臣 これはおっしゃるとおり、今考えておりますのも非常に低い、まあ二・五とかそのあたりのところをあれしておるわけでありますが、これについて自治体レベルでこれをさらにどう補完していけるかというようなことを含めまして、委員御指摘のように、できるだけこれを下げていく努力を自治体とも協議をしながら今後やってまいりたいと思います。
  18. 緒方克陽

    ○緒方委員 その辺、ぜひよろしくお願いしておきたいと思います。  さて、今回の問題で、建設省のものは、きょうの新聞ですか、耐震構造基準について報道がされておったわけでありますが、鉄道についても、このことについては大臣からも発言があって、見直しを検討されているというふうに聞いておりますけれども、その鉄道の耐震構造基準の検討状況とこれからの見通し、一体いつごろどうなって、どういう形でやっていくのかということがあるわけでございますが、その見通しについてお答えをいただきたいと思います。
  19. 亀井静香

    亀井国務大臣 その前に、ちょっと私、頭が混乱しておりまして、中小企業の二・五とちょっと混同しました。三・七五でございますので、この点訂正いたします。  今御指摘の点につきましては、陸海空とも検討委員会をそれぞれ設置をいたしておりまして、現在、それぞれの委員会、精力的に現地に入っていただきまして検討を続けておるわけであります。特に鉄道につきまして、復興工事との関係がございますので、松本委員会におきまして、現地三日間の調査を踏まえて、連日検討を重ねております。これはいつまでに出していただきたいというわけにはまいりませんですが、JR西日本復興工事につきましても、検討委員会の結論にたえ得るものでなければいかぬわけでありますので、その検討委員会で出てくるであろう、確定的には予測ができませんけれども、震度その若干上程度のところでも耐えられる非常にレベルの高い復興工事をやるということで今実施をしておるわけでありますが、その過程におきましても、検討委員会との密接な連絡をとりながら実施をしておるところでございますので、いついつまでとは申し上げられませんが、精力的に取り組んでいただいております。
  20. 緒方克陽

    ○緒方委員 復旧復興とそういう耐震基準の見直しというのは並行していっているわけですから、後でまた二重の手間というのですか、そういうことがないようにしなければならぬということでは、今言われましたように、十分連携をとりながらやるということがお金のむだ遣いをしないという意味からも大事ですので、今大臣言われましたように、日常的な連携をとって、ぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思う次第であります。  さてもう一つ、今度は代替バスの問題でお尋ねしたいのです。鉄道がずたずたになりまして、近郊からもバスに来てもらって応援してもらって動き出したのですが、結果的にはいろいろな救援物資とかたくさんのものが入って、結局はそのバスも必ずしも効果を上げなかったという面もあります。道路がちゃんと確保されれば鉄道にかわる輸送代替手段として、バスはいつも移動できるわけですから、非常に有効だというふうに思うのです。  聞きますと、制度的には連携を取り合うような協定とかそういうものはなくて、随時業界で、運輸省の要請がどうか知りませんが、そんな中でやられたというふうに聞いておりますが、実際に代替バスをいろいろ準備されて、効果が上がらなかったこと、あるいは問題点、反省協力体制というのは一体十分であったのかどうかということなどがあると思うのですが、その辺についてはどうでしょうか。
  21. 亀井静香

    亀井国務大臣 これは民間のそうした運送業者と私どもの方がばらばらでやったということではございませんで、そういう意味の御質問じゃないと思うのですけれども、私ども対策本部からバス会社等と緊密な連絡計画段階におきましても詰めをやって代替措置をとったわけであります。ただ、委員御指摘のように、計画したのと、いざ実行してみますと、道路の混雑状態から、例えばJR新大阪から姫路まで中国縦貫道を横断してというようないいアイデアでやったのですが、実際は途中でにっちもさっちも動きがつかないというような状況のため、これは結局は意味をなさなかったということもありますし、また阪神、阪急、JR等が代替バスを切断されている区間について、私も現地を見ましたけれども、利用者が大変おられるという中で、私が見ておりましても非常に整然とやっておったと思います。  また、専用レーンを設置いたしまして、相当時間もスピードアップしてやったとは思いますけれども、何しろ私が行ってみましても、利用者の物すごい長蛇の列ということもございまして、もっとバスをふやせという要望もございました。バス会社として私は精いっぱいのバスの動員をして要員も確保してやってくれたと思いますが、なかなか十分要請に応ずることはできなかった今度の経験を、こんなことが二度とあっては困るわけでございますけれども、生かす意味でも今後検討してまいりたいと思っております。
  22. 高橋伸和

    ○高橋(伸)政府委員 代替バスの件でございますが、今大臣がお話し申し上げたとおりでございますが、若干補足させていただきます。  神戸と大阪方面を結びます鉄道の代替バス路線、道路の復旧状況を踏まえまして一月二十三日から運行を開始いたしております。その後、一月二十八日に国道四十三号線の復旧がなされまして、ここにバスの専用レーンを設定してもらいました。これにあわせましてシャトルバス、ノンストップのバスを運行したわけでございますが、先生今御指摘のように、地元のバス事業者だげではなかなか車両の手配が十分ではございませんでした。  そういったことから、例えば阪神で申し上げますと、阪神自身は自分でバスも四十一両持って運行しておったわけでございますが、さらに、そのほかに九社の協力を得まして四十七両調達をいたしております。阪急につきましては、十社百十五両、JR西では五社百両、合計いたしますと二十五社で三百三両を使用いたしまして、現在一日約十七万から十八万人を輸送いたしております。これも近隣の大阪、京都だけではございませんで、愛知とか広島、福岡、さらには本社ベースで申し上げますと東京のバス事業者の協力も得ております。  さらに、これだけで不足であるということに備えまして、既に延べ二十八社につきましていざといったときの協力要請をいたしております。  今後、こういった災害に備えた協力体制をあらかじめとっておくべきではないかという御指摘でございますが、今回の代替輸送は私どもは非常にスムーズに各社協力を得てできたと思っておりますけれども、より一層迅速、適切な代替バス輸送を確保するに当たりまして、バス事業者におきましても今回の事例をもとに十分検討させたいと思っております。
  23. 緒方克陽

    ○緒方委員 対策本部の指導に基づいていろいろされたんだけれども、実際にはやってみるとなかなかうまいこといかないというのがたくさんある。私も現地でシャトルバスで行こうかと行きましたけれども、これはもうとても大変だ、たくさん並んじゃって、だから、別のルートで回ったのですけれども。  そんな意味を含めて、バスの確保、道路、多方面にわたって全体で検討して、交通規制まで含めてやらないと、せっかくバスは準備したけれども、これが生かされないということが今度起きたという意味で、結果的には何か運輸省の方にも十分でなかったということにとられかねない面もあるのですが、総合的にこれは検討すべきじゃないかというふうに思っておるところです。  さてそこで、災害が起きたわけでありますが、関係現地では復興計画を立てられておりますし、それぞれもう名称も出ております。都市再建計画を立てるわけでありますけれども、バスとかタクシーの専用レーンですね、特にバスの専用レーンはだんだん全国的にも広がってきておりまして、交通渋滞の緩和に一定の役割を果たしているわけであります。そんな意味で、この復興計画の中でやはりちゃんとしたものをつくって、これからの交通渋滞がなくなるように、あるいは交通安全が確保されるように、抜本的な改革ができるようにやるべきではないかということで、これは地方自治体に対する指導とか助言とか話し合いということになろうと思うのですが、そのことについてぜひ指導助言をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  24. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、いよいよ復興委員会復興本部、始動もいたすわけでございますので、ただ旧に復するということじゃなくて、今おっしゃいました交通の利便と安全、こういう観点から運輸省としてはどんどんと提言をしてまいりたい、このように考えております。
  25. 高橋伸和

    ○高橋(伸)政府委員 バス専用レーン等につきまして、私ども昨年の九月から、建設省、警察庁、三者で渋滞対策協議会、これを各都道府県で設置をいたしまして、バス専用レーン、優先レーンを含めた交通渋滞対策を現在鋭意進めているところでございます。  今回の再建計画につきましても、私ども、バスを中心としました公共輸送機関というものを適切に位置づけていただけるように、現地対策本部等を通じまして積極的にお願いをしてまいりたいと思っております。
  26. 緒方克陽

    ○緒方委員 今一生懸命計画がされている状況でしょうから、ぜひ十分連携をとって、具体的にそういう施策が確立されるようにお願いをしたいと思います。  震災関係は一応これで終わりまして、私は当委員会で、なかなかほかの委員会に出られないものですから、身体障害者問題をずっと取り上げてまいりました。運輸省でもエスカレーターとかエレベーターに対するいろいろな新しい施策も今年度からスタートしたということもあるわけでございまして、これからもぜひ取り組んでいただきたいと思うのです。  きょうは、警察庁の方に、身体障害者の人から警察の交通取り締まりの中で非常にある意味でいうと不愉快なことがあったというような面も含めた指摘がありまして、かといって、その人が言っていることが必ずしも正当かどうかという面もありますけれども、やはり公の場で少し考えも聞きながら、みんなで交通事故をなくすという観点も含めまして、ちょっと質問させていただきたいと思います。  それで、道路交通法施行令では、第二十六条の三の二で、座席ベルト装着義務の免除ということで八項目があるわけでありますが、身体障害者の場合にはその第一項に当たるというふうに聞いておりますけれども、しかしその基準はなかなか明らかではないということで、一体その基準はどういうことになっているのかということを示していただきたいと思います。
  27. 小池登一

    ○小池説明員 お答えをいたします。  先生御指摘のとおり、法文上は、疾病もしくは障害のため座席ベルトを装着することが療養上または健康保持上適当でない場合ということになっておるわけでございまして、これの具体的な運用の問題になってまいると思いますけれども、実際に運転をされたりあるいは助手席に同乗されている方がこの適用除外の基準に該当するのかどうかということにつきましては、これらの方々から実際に現場で取り締まりに当たっている警察官が個別に事情をお聞きすることなどを通じまして、現場において判断を行っておるということでございます。
  28. 緒方克陽

    ○緒方委員 現場において判断を行っているということですね。そこで、身障者の方からは、そこでいろいろ対応が違う場合もあるのじゃないかというようなことで、所轄の警察署などから着用免除の許可証を発行してもらいたい、そういうことはできないのかという声があったのですが、このことについてはどのようにお考えでしょうか。
  29. 小池登一

    ○小池説明員 身障者の方々に装着義務を免除する許可証を発行してはどうかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、身障者の方々に例えば許可申請の手続等でかえって新たな負担をしていただく必要が考えられます。また、場合によっては、治療等によりまして障害が軽減された場合、果たしてその許可証の取り扱いをどのようにするのか、いろいろ問題点がございますことから、私どもといたしましては慎重に検討してまいるべきものだと考えております。
  30. 緒方克陽

    ○緒方委員 最後になりますが、一に関連しますけれども、結局現場の個々の警察官の判断でいろいろ事情を聞きながらということでありますが、やはり私は、シートベルトというのは必要だという観点で、一人でも事故をなくするという観点でいえば、エアバッグですか、あれも含めて必要だというふうな認識であります。しかし、いろいろトラブルが起きるということは好ましいことではないという意味で、そういった身障者のシートベルト装着の問題についての対応、そのことについてはやはり慎重にあるいはいろいろ配慮しながらやられるべきではないかというふうに思いますが、その点についてお尋ねいたします。
  31. 小池登一

    ○小池説明員 お答えをいたします。  冒頭お答え申し上げましたけれども、この法令の趣旨でございますけれども、つまり運転をされる方あるいは同乗される方につきまして個別にシートベルトの装着を義務づけておる、こういう制度でございますので、この法令の趣旨を十分踏まえまして、身障者の方の場合につきましても、それぞれの障害の内容に配慮しまして、適切な判断が行われますよう現場の警察官を指導しておるところでございます。今後ともさらに一層十分な指導をしてまいりたいと考えております。  先生御指摘のとおり、シートベルトの装着というものは、交通事故が実際に起こった場合に、自分自身もそうでございますけれども、同乗者の命を守るためにも大変大きな効果がございますので、身障者の方々におかれましても、可能な限り装着をされた上で、安全運転に心がけていただきたいというのが私どもの気持ちでございます。
  32. 緒方克陽

    ○緒方委員 どうもありがとうございました。  あと五分ほどありますけれども協力する意味で、きょうはこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  33. 井上一成

    井上委員長 高見裕一君。
  34. 高見裕一

    ○高見委員 それでは質問をさせていただきます。鉄道復旧の問題に関して若干お尋ねを申し上げます。  今回の地震では鉄道に大きな被害が生じました。そのため被災者が全く、陸の孤島状態といいますか、孤立状態になってしまいました。被災者にとっては一日も早く鉄道が復旧することを、特に大阪から神戸の中心部までの復旧、当然のことでございますけれども、これが強く望まれております。鉄道が復旧すれば道路の渋滞も少しは解消されますでしょうし、そうなれば物資輸送などが円滑に進むとも言えます。したがって、大阪と神戸を結ぶ鉄道を早急に、神戸の中心部まで復旧する必要があった、あるいは現在もあるわけでございますが、現行ではJR、阪急、阪神それぞれが独自に、言ってしまえばてんでんばらばらにといいましょうか、復旧を行っております。  実際物理的に難しい問題というのも多々あるかと思いますが、一本でもいいから先に通そうとそこに力を集中して、阪急でも阪神でもJRでも、一番工事がやりやすい部分からまず通していこうというふうなことができないものかな、あるいは当初からそういうふうな指導が必要だったのではないかなというふうな気がいたします。  こういう災害時には、運輸省の強いリーダーシップによって復旧の方針あるいは工事の優先順位というものを調整する必要がどうしても出てくるのではないかと思いますが、今後あるいはこれからということでございますが、ぜひ復旧の手順、段取り等を御検討いただげればありがたい。震災後の復旧に関してのリーダーシップ、この辺に関してぜひ見解をお尋ね申し上げたいと思います。
  35. 亀井静香

    亀井国務大臣 高見議員からは、瓦れきの中から私あてに詳細な状況ファクスを当日もいただいたというようなことで、以後、生々しい現地の中から講ずべき対策についていろいろと御指導、御提言をいただいたことをこの場をかりましてお礼を申し上げたいと思います。  なお、今委員の御提言で、おっしゃるように、中心までどうやって、どの社でもいいからこれを早期開通させるかということでありますが、ただいま委員おっしゃいましたJR、阪神、阪急、それぞれ事業体が違うわけでございますので、それぞれが共通の何かのことを制約されているために、例えば阪神がこうやってくれればおれのところはもうちょっと工事が先に進むがなとか、JRがこうやってくれればおれたちの方が工事が早く進むんだ、そういうようなことがあれば別ですが、それぞれが全力を挙げまして、もちろん耐震性を判断の中に置きながら、もう昼夜を問わず突貫工事でそれぞれが全力投球でやっておるわけでございますから、我々が優劣をつけて、まずJRが先だ、阪神だという状況には実際はないわけでございまして、それぞれが全力投球をしていただいている。それぞれについて何か問題があれば、我々としては全力投球でそれを支援をする。  そういう意味では、私どもはもう、いわば発生と同時と言ってもいいと思いますが、私も現地に参りまして、復興について国としては現在の法律、法令に関係なく全力を挙げて支援をいたしますから、そういう点については御心配なくひとつ工事に取りかかっていただきたいということを私は社長さん方にも申し上げたわけでございます。  現在、私鉄につきましても鉄軌法の現在の省令では援助ができぬわけでございますが、これも、現地で私がお約束いたしましたように、省令も改正いたしまして目いっぱいの支援をやり、さらに低利融資もこれにくっつけるという措置もとっておるわけでございます。これについては、うちの鉄道局の方で個々の事業体と密接な連絡をとって、押しつげるわけにいきませんから、先ほども申し上げましたけれども、まず財源ありきとかいうのじゃなくて、一日も早くこれを再開する、それにはどうしたらいいのか、その点で資金面その他について御要望があればどんどん言ってください、それを我々は中央政府として自治体とも協議をしながらこなしますということでやっていることを御理解をいただきたいと思います。
  36. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 ただいま大臣が申し上げたとおりでございますが、一言補足させていただきますと、今回の被害が非常に大きいということもございまして、私ども地震の直後に、実は民営鉄道協会あるいは関係のJR、鉄道建設公団あるいは鉄道総合技術研究所というところに話をいたしまして、技術的な支援を積極的にするようにという話をいたしました。  現実に、実は今申し上げましたJR西日本につきましては、JR東日本あるいは東海、北海道といったようなところから技術者が応援しておりまして、積極的に協力しております。また、鉄道建設公団、鉄道総合技術研究所、さらには大阪市の交通局といったようなところが、それぞれ市の交通局でございますとかあるいは私鉄のところに入りまして、積極的に応援をしております。  基本的には、今も大臣が申し上げましたとおり、各社施設でございますから、その社の技術陣が一番よくわかっているわけでございまして、外人部隊だけで工事ができるわけではございません。ただ、非常に不眠不休でやっておられますけれども、一部手薄なところもございます。したがいまして、そういう意味で技術的に支援をいたしまして、一刻も復旧工事のおくれることがないように協力をしているというのが実態でございます。
  37. 高見裕一

    ○高見委員 今回の鉄道の被害額は三千五百億円を超えるというふうに聞いております。特に阪神電鉄は年商売り上げの二倍を超える被害ということで、財政的な支援だして再建はあり得ない状態ではないか、これは客観的に見てそう思うわけでございます。しかし、当然阪神沿線の方はその電車しか自分の交通の便はないわけでございまして、現在の鉄道災害復旧事業に関する補助というものは、鉄道軌道整備法あるいは鉄道軌道整備法施行令、鉄道軌道整備法施行規則などで定められておるようでございますが、従来の鉄道災害復旧事業に対する補助を行った例というのは、地方ローカル線ばかりだったように聞いております。過去にどのような線区に助成されたか、例を示していただければありがたく存じます。  また、今回の地震被害の対象は従来補助を行ったことのない都市鉄道でございますが、今も大臣の御答弁の中にも若干ございましたけれども、これに対してどのような財政的な支援を考えているのか、具体的な部分について運輸省としての回答をお願いを申し上げたいと思います。
  38. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 先生御指摘のとおり、従来この鉄道軌道整備法によります補助というのは、地方ローカル線が実例としてございます。例えば、最近でございますと、JR九州路線あるいは島原鉄道、土佐電鉄、JR北海道のいずれもローカル線が対象になっております。  今回の地震に対します被害、先生おっしゃいましたように約三千五百億と見込まれておりまして、それに対しまして早期の復旧を図るということで、私ども最大限の支援をしたいということでございます。先ほど大臣からも申し上げましたとおり、現在、被害額の大きさあるいは経営に対する影響というのを把握に努めておりますし、一方で事業者の御意向もございます。そういうことを踏まえながら、災害復旧事業費補助あるいは低利融資というような必要な支援策について積極的に対応しようということで努力をしているところでございます。  なお、これも大臣から先ほどお話し申し上げましたように、鉄道軌道整備法の体系、今の基準では、地方ローカル線、赤字ローカル線というのが前提のような基準がございます。そういうものの要件の緩和をして、今回の地震被害を受けた事業者の意向も踏まえながら、必要な助成ができるように今関係当局と全力を挙げて折衝をしているところでございます。
  39. 高見裕一

    ○高見委員 自治体の補助の部分もお尋ね申し上げますが、今までは国の補助率と横並びということになっておりました。しかし、このような状況では、現在の自治体自身も非常に大きな被害を受けているという状況では、幾ら交付税で裏打ちをと申しましても、被害額が本当に大規模でございまして、また、鉄道だけが被害を受けたわけではございませんから、全体の被害を考えれば、自治体の財政を大変圧迫するということになりかねません。また、地方負担分だけ減らせば、鉄道会社の再建ができないことにもなりかねません。そういう意味では国の補助を引き上げる必要があるのではないかと考える次第でございます。  そもそも国だけが四分の一の補助をするという制度だったのであり、地方が四分の一の負担をするというのは、平成三年に豊肥線が被害を受けたときに地方が存続のために負担を申し出たからだというふうに聞いてございます。今回の被害状況では、地方被害額の四分の一という額を到底支え切れないのではないかというふうに思っております。  確かに、神戸市は財政力のある自治体ではございますが、そのような自治体の実情、今回の被害の大きさ、公共施設の早急な復旧の必要を考えると、企業努力で貯えない分については、地方の財政力というのを十分しんしゃくしつつ、考慮に入れつつ、国が積極的に支援をしなければ立ち行かないというふうに考えます。  今回の地震において、鉄道軌道整備法による財政援助だけではなく、国として何らかの別の支援策も展開していかなければならないと私は考えておりますが、現時点での大蔵省として考えておられる支援策について、具体的にお聞かせいただければありがたいと思います。
  40. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほども申し上げましたように、私どもとしては、とにかくあれだけの財政力を誇っております神戸市ではございますけれども、未曾有の天災に直撃をされたわけでもございます。しかも、鉄道だけではなくて港湾が、百五十バースほとんどこれは壊滅状態でもございます。埠頭公社関係だけでも大変な、一千億以上のあれを要する状況でもございますので、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、神戸市、兵庫県と緊密に協議をいたしながら、その財政力の中身についてまで、立ち入ったことを含めて協議を申し上げながら対応いたしております。  その意味では、四分の一では足らぬのじゃないかという御批判がございますが、先ほども申し上げましたように、埠頭につきましては今の法律ではゼロでございますが、これを特別立法で激甚災などと同じように八割まで国が見ていくというように思い切った措置を考えております。また、地下鉄とか新交通システム等につきましても、新交通システムにつきましては公共事業でやれる部分がございますから、そのあたりの組み合わせの中で、本当にこれは私どもは自治体と緊密な連携をとって、先ほども言いましたように、まず大蔵省の財布ありきじゃなくて、我々は自治体の立場、被災した事業者がきっちりと今後やっていけるという、そこの立場でやっておるわけでございます。  今も鋭意財政当局と折衝をいたしておりますけれども、今の我々のあれでは、物事というのは一〇〇%ということはいかぬわけでありますけれども、自治体も、ほぼ満足といったらおかしいですが、御理解をいただけるような対策はできるというふうに私は現在確信をいたしております。
  41. 高見裕一

    ○高見委員 大蔵省の方のお考えもぜひお聞きをしたいと思います。
  42. 増井喜一郎

    ○増井説明員 ただいま亀井大臣からもお答えがございました。私ども大蔵省といたしましても、今回の地震による鉄道の被害、非常に大きいと思っておりますし、国民生活に著しい障害が生じるということでもございますので、早期に回復を図る必要があると思っております。  したがいまして、今回の助成は、従来からの鉄道軌道整備法に基づきます国庫補助金に加えまして政策融資の活用を組み合わせることによりまして、これまで以上の手厚い助成措置を鉄道事業に対して行う方向で検討しております。  現在、自治省その他関係省庁の間で検討をいたしておるところでございまして、こういった措置によりまして、一日も早く復旧が実現いたしますよう私どもも期待しているところでございます。
  43. 高見裕一

    ○高見委員 自治省にもぜひお尋ねをしたいのですが、通常の自治体分の補助、すなわち四分の一を今回自治体で負担することは大きな負担になるということを申し上げました。  そもそも交付税は自治体の共同財源でありまして、何でも交付税措置で賄うということは交付税の性格から考えて限度がある、これは常識的にそう思うわけでございます。その意味では、現行の規定にとらわれず、国と地方が四分の一ずつ出し合うということではなくて、今回の場合だけでも特例的に国と地方の補助比率を見直す、地方負担を軽くするべき、そのように思いますが、自治省の見解をぜひ聞かせていただきたいと思います。
  44. 石井隆一

    ○石井説明員 先ほど来お話が出ておりますように、鉄道関係につきましては、国が災害復旧費の四分の一を負担する方向で検討されておると伺っておるわけでございまして、これにつきまして、あわせて地元地方団体が四分の一の補助を行います場合には、この地方負担も含めまして被災地域の地方団体でさまざまな分野で多大な財政負担が見込まれますので、私どもとしては、その実情をよく把握の上で、地方団体の財政運営に支障が生じないように、地方債あるいは交付税その他さまざまな仕組みでもって財政支援措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。
  45. 高見裕一

    ○高見委員 今回の災害は大変なもので、地方自治体は本当に過重な負担を強いられておりますので、できる限り自治体の負担を軽くする方策を当然のことながら模索するべきでございまして、自治省もその意味では努力を、あるいは御苦労をされておられると思いますし、運輸省も、大蔵省と自治省の問題ということだけ、そういう立場をとらずに、ぜひ可能な限り地方自治体の負担を軽くする努力を、先ほどの大臣の御答弁にもございましたように、現場も積極果敢にお願いをしたいというふうに思います。  次に、各種復旧事業に伴って、鉄道や港湾施設を含めたさまざまなインフラの整備がなされますし、これからは社会経済の復興に向けた基盤整備を早急に行うことが最重要課題でございます。震災からの復旧が円滑に行われるためには、税制面からの支援策も必要でありますが、例えば、今回の震災での修繕にかかる費用の税制上の取り扱いについてどのような措置が施されているか、大蔵省の意見をお伺いしたいと思います。  あわせて、災害復旧工事に伴い取得した資産、例えば鉄道の駅舎部分などの建物について、登録免許税の非課税措置を講ずるなどの検討をいただきたいと思いますが、その点についても大蔵省の見解を具体的にお伺いをしたいと思います。
  46. 田中正昭

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  法人が今回の大震災被災した事業資産を今後も事業の用に供するためには、復旧、修繕等行わなければならない、そのための修繕費を出さなくてはいけないわけでございますが、通常、修繕費のための費用の支出につきましては、その事業年度末までに支出したものを損金の額に算入することができるというのが税務上の基本でございます。  しかしながら、今回の災害につきましては、非常に損害の額が甚大で、また早期にその修繕等が完了しないというような事情にありますことから、損壊等をした固定資産の修繕のための費用につきまして、その見積もり計上を認めてほしいという御要望が各方面から寄せられております。  そこで、国税庁といたしましては、修繕等のために要する費用で災害のあった日から向こう一年以内に支出するものとして適正に見積もることができる金額につきましては、災害損失特別勘定というものをつくっていただいてそこに繰り入れるということで、損金に算入しても結構でございますという取り扱いをすることといたしまして、先日、十四日でございますが、このことを公にしております。したがいまして、事業年度をまたがった場合でも当該事業年度に損失計上することができるという措置をとっております。
  47. 高見裕一

    ○高見委員 登録免許税の非課税措置などは。
  48. 竹内洋

    ○竹内説明員 御質問の鉄道施設等に係る登録免許税の問題でございますが、この登録免許税の問題は、鉄道関係の建築物等だけではなく、今回の大震災で損害をこうむった住宅等を含めます建築物すべての問題でございます。したがいまして、私どもとしましては、今後の被災地復興のための計画等の具体化に合わせて検討していく必要がある、対応していく必要があると考えておるところでございます。  ただ、その減免措置の対象とすべき建築物等であることの確認の手続の問題につきましては実は技術的な問題がございまして、関係省庁、これは法務省、また、さっきおっしゃいました駅舎等でございますと運輸省でございます、あるいは国税庁等もございますので、そういうところの御意見、御協力もいただきまして、措置の可能性について至急に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  49. 高見裕一

    ○高見委員 しっかり前向きに、本当に前向きに検討してください。  また地方税関係では、災害復旧工事に伴い取得した資産は、新規に取得した資産というよりは損害を生じた資産につき復旧をしたのであり、帳簿価格が増加したからといっても、企業の収益が上がるというわけではございません。企業が地震復旧のために支出をして帳簿価格が上がったために自治体の税収が増加するというのでは、企業にとっては大きな、支出がダブルパンチで襲ってくるわけで、復興がおくれる可能性が大きゅうございます。  したがって、復興促進するためにもぜひとも何らかの税負担、とりわけ固定資産税を軽減する措置というものが必要であると考えますが、自治省さんの方はどうお考えかを、あるいはお取り組みの現状というものをお尋ね申し上げたいと思います。
  50. 板倉敏和

    ○板倉説明員 鉄道施設に係ります固定資産税につきましては、設備投資の負担が大きいということにかんがみまして各種の特例措置が現在講じられております。今後、復旧工事に伴いまして取得した資産につきましても、既存の特例措置の対象となる一部のものにつきましては、既存制度による軽減措置が当然適用されるということになります。  ただ、被災後の復旧投資によりまして新規に取得した資産のすべてがこの対象になるというものではもちろんございませんので、さらに何らかの特例をという御要望があることは承知をしておりますが、どの程度の資産が既存の特例措置に乗ってくるかとか、財政と税制の役割分担の問題ですとか、被害を受けた他の企業などの資産とか一般の住宅なども含めた全体の対応、こういうようなこと等々、検討をしなければいけない問題があるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、復興のための税制のあり方につきましてはこれから検討を進めていくということになりますので、この問題もその中の一つの課題として認識をいたしております。
  51. 高見裕一

    ○高見委員 すべて検討中ということなのでございましょうか。復興を速やかに行い、地元の産業の振興、被災地の産業振興のためにもぜひとも税制上の措置を講じていただきたく存じます。国税、地方税ともに今後も広く前向きな検討を重ねて、私有財産に対する援助と私企業に対する援助というものができない、個人に対する援助というものができないという中で、せめて税制ぐらい、取るものぐらいは少し抑えようという姿勢を持っていただければと存じます。  さて、鉄道の早急な復旧はもちろん急務でございますが、今後も余震が起こる可能性がございます。安全性が確認されないままとは申しませんが、復旧を急ぐ余りの暫定的な措置が余りに重ねられますと、いたずらに危険の拡大を招くということもなきにしもあらずかと思います。住民の方々も、今回の地震で安全だと信じ込んでいたものが簡単に壊れてしまうと、私もそうでございますが、現場を見ており、安全性に対してかなり神経質になっておるというのは事実でございます。現在、鉄道での安全を確保する対策、特に高架部分など、どのように講じておられるかを少しお聞かせいただきたく存じます。
  52. 亀井静香

    亀井国務大臣 私どもは、何度も申し上げますように復旧という立場をとっておらぬわけでございます。と申しますのは、大変なショックを受けたわけでございまして、あれが十五分おくれておればどんな事態になっておったか。そういうことで、当座、新幹線を開通させればいい、もちろん早くさせなければいけませんが、そういうものではございません。  そういうことで、JRの技術陣が全国から集まっての現地調査、検討をやっておりますと同時に、松本委員会が現地に三日間入り、詳細にわたる原因の調査、今後の対応等について検討いたしておるわけでございます。ただ、JRの新幹線復興については、検討委員会の結論が出てから工事に着手をするというわけには現実的にはまいりません。そういうことで、検討委員会の結論が出たら、基準が甘い、もう一度やり直しというわけにはまいらぬわけでありますから、このたびの震災のまだ上のレベルの、上限の上、上といいましたらこれは天災には限度がございませんけれども、このたびの震災のもうちょっと上ぐらいのところが来ても大丈夫だという耐震性を持った工事の内容であれば認めるということで、私どもとしては厳しくこの点は通達をいたしておるわけでございまして、なお、この検討委員会のアドバイスを常時いただきながら、現在復興工事をいたしておるわけでございます。  具体的には、鉄を柱に巻くというような非常に強い形での強度補強等をやるというようなことを含めて検討委員会の指導のもとでやっておるわけでございますので、そのように御理解いただきたいと思います。
  53. 高見裕一

    ○高見委員 よくわかりました。ぜひとも被災者の人たちに広く広報を、これだげのことをやっているのだということを知らしめてあげていただきたいのですね。すばらしいことやっていても、被災者の人がこうやって見上げるたびにどうも怖いだということでは残念なことでございますから、こういう努力をしているということをぜひ広報していただければと思います。  実際、鉄道の高架のそばに住んでいる人々は、あのひび割れた高架の上を本当にまた鉄道走るのかな、根本的にやり直さなくていいのかなということを、非常に神経質になってこられて、随分と言ってこられます。ぜひそういった広報を周知徹底していただければと存じます。  今の大臣答弁にもございました、もうしばらく地震の発生がおくれていたらどのような大被害が生じていたか、背筋が寒くなる思いがいたしますし、私も、ちょっと朝早い新幹線に乗ろうと思っておりましたので、そういう意味では命拾いしたのかなというふうな気も自分でしてございますけれども。  耐震基準強化という部分を先ほどから大臣が何度もおっしゃっていただいております。今回、今補修をしている部分だけではなく、既存の施設の耐震性の調査というものもお考えであるのかどうか。補強するべきところは至急補強するべきである、当然そう考えるわけでございますが、その点もお聞かせをいただければありがたいと思います。  また、こういうことで非常に大事なことは情報公開ではないかと思います。高架が倒壊した部分だと、今回の地震によって施設影響の出た部分については、徹底的に原因を今現在調査をしておられる。その結果を広く公表する必要というものがあるかと存じます。運輸省のどなたかに。
  54. 亀井静香

    亀井国務大臣 まず、広報でございますが、私どもこの点非常に重要だと思います。新聞等で、まず最初にいつまで開通ありきみたいに誤解されかねない記事も出ましたので、JR西日本に対しても強く、真意が伝わるような広報の仕方をしろということも既に指示をいたしておるわけでございます。  それから、耐震性の見直しの結果につきましては、既存の新幹線についても見直しをきちっとそれに基づいてやらせたいと思います。なお、現在も既に点検をそれぞれやらせておるわけでございます。なお、新線の建設はもちろんのことでございます。  情報公開、これはもう申し上げるまでもないですね。隠すことは何もないわけでございますから、広く結果を公表して、またいろいろな学者とか専門家の方は検討委員会の方以外にもたくさんいらっしゃるわけでございますから、そういう方々が、まだちょっとこれはおかしいのじゃないか、こういう点は検討が足らぬのじゃないかという御意見もそれに基づいていただけることにもなるわけでありますから、私どもはすべて公開をいたすつもりでございます。
  55. 高見裕一

    ○高見委員 ありがとうございます。  神戸港のことでございます。  岸壁及び機能施設は御承知のように大打撃を受けて、完璧な機能麻痺状態がまだ大半の部分で続いております。神戸港の国際海上コンテナの取扱量は、九三年ベースで我が国の全体の約三割という部分を占めている。しかも、我が国に寄港する国際定期コンテナのほとんどすべてが神戸に寄港しております。神戸港の国際コンテナ取り扱い機能の麻痺を国内のほかの港でカバーするにしても、そろそろ限界ではないかと存じます。かといって釜山や香港などにカバーをしてもらうことになれば、国際競争力の低下は避けられず、神戸港が復旧しても船が戻ってこないという可能性も現実の問題として大変人きゅうございます。神戸港で働く人たちはこの点をとても危惧しております。それゆえできる限り神戸港の復旧を急がなければいけない、そう思っております。特に国際貿易面を考えれば、神戸埠頭公社の岸壁部分の被害に対して至急財政的な援助をしなければならないと存じます。  先ほど大臣の御答弁にもあって大変感謝をするところでございますが、現行法を超えて、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法並びに激甚災害特別財政援助法の適用外になっている部分を何とかしようというお言葉がございました。その部分を、担当ベースで結構でございますが、きちっと確認をさせていただきたいと思いますけれども、いかがなものでございましょうか。
  56. 亀井静香

    亀井国務大臣 今の埠頭公社の問題につきましては、現在事務レベルで具体的に詰めておるところでございますので、ここには増井主計官も来ておりますけれども、先ほども申し上げましたように、財政当局も極めて強い問題意識を持って我々と同じ気持ちで取り組んでくれておりますので、結果としては、先ほども申し上げましたように神戸市の財政力等にこの再建が大きな重荷にならない、そうした措置になる、このように私はかたく信じておるわけでございます。ただ、詳細につきましては今詰めておる最中でございますので御容赦をいただきたい、このように思います。
  57. 高見裕一

    ○高見委員 今の、詳細に関しては今詰めている最中だ、しかし精いっぱいやっているとい三言葉、確かに承りました。  もし神戸埠頭公社に対する支援が十分なものでなければ、それはイコール利用料金にはね返ることになります。そうすると、当然神戸港の国際競争力を低下させることになります。そうすれば、港のハード部分が復興したとしても利用者は減少してしまい、神戸港は衰退する、あるいは雇用不安を引き起こすというふうなことになります。これは、全体の国益という観点から見ても大きなマイナスでございますし、被災者の方々のことを考えてもしっかりとした復興につながっていかないということになろうかと思います。また、利用料の上昇は国内の物価にも影響する、国民生活にとってもマイナスの効果をもたらすことになりましょう。したがって、何らかの形で利用料金を上げない方策を考えるべきであると存じます。財政的な支援以外にどのような措置を考えておられるのか、特に金融面からの措置について今後の方針というものを明らかにしていただければと存じます。
  58. 亀井静香

    亀井国務大臣 これにつきましては、上物その他につきましては特別な金融面の手厚い措置をいたすつもりでございまして、今これについて大体基本的な合意に達しつつございます。  それから、そこで一つの問題は、御承知のように民間の所有の埠頭もございます。食品コンビナートを含めてこれあたりも甚大な被害を受けておるわけでございますので、恐らくこれの今後の支援については市が相当なお手伝いをいただかなければならぬという事態になってくると思います。これにつきましても、国として自治省とも協議をしながらできる限りの救援措置をしていきたい、このように考えております。
  59. 高見裕一

    ○高見委員 具体的な金融面の措置というものはございますかどうか。今お考えの計画がもし発表できれば、ぜひ教えていただきたいのですが、答弁ございますか。
  60. 栢原英郎

    栢原政府委員 まず埠頭公社の上物の部分でございますが、これにつきましては、無利子貸し付けの道を開きたいということで、比率等につきまして今協議をしているところでございます。また、民有施設につきましては、大臣も申し上げましたとおり、市の復興あるいは雇用の場の確保という点からも大変重要というふうに考えまして、日本開発銀行からの低利融資による支援を行うことを考えております。
  61. 高見裕一

    ○高見委員 上屋の部分、いわゆる機能施設の部分も何らかの形で支援をする、その方策を、最大限可能性を探っておられるというふうにお聞きをいたしました。まことにありがとうございます。国が支援をしなげればそれだけ復興がおくれ、神戸、ひいては日本の貿易総体の国際競争力の低下につながってしまいます。さまざまな財政的な支援をぜひ積極的に御検討賜りますように御担当各位に強くお願いをする次第でございます。  さて、今も民間施設の部分に対する言及がございました。この民間部分への支援策というものは、今お聞きした範囲内のものだというふうに理解をさせていただいてよいのか。民間部分の支援策をできるだけ広くとっていただきたいという希望を持っております。その施策を、今御検討申のものをなるべくすべて御開示いただければありがたく存じます。
  62. 亀井静香

    亀井国務大臣 神戸港の民間所有の埠頭につきましては、従来もこれを市に移すあるいは移さないというような相当歴史的な経緯もございますし、現在、今後機能的な物流基地としてどう整備をしていくかという神戸市全体の計画もございます。  そういうことでございますので、何度も申し上げますように、従来のままでこれを復旧をするということじゃなくて、民間を含めて神戸港がこの際国際港として機能的な面を含めてきちっと整備をしていくには、民間の埠頭を今後どうしていったらいいのか、こういうことも私は今後の復興計画の大きな基本的な課題だ、このように考えておるわけでございまして、そのあたりは、市と関係者との間の協議を私どもも見ながら一緒になって検討していきたい。今の段階でどの部分をどうというわけにはいかないのじゃないかな、このように考えております。
  63. 高見裕一

    ○高見委員 わかりました。ぜひ御検討お願い申し上げます。  先日、大臣におかれましては、阪神・淡路大震災復興支援モーターボート特別競走の実施を御決断をいただきました。ありがとうございます。この特別競走によって確保される資金は、被災市民の生活向上や地域経済の復興に役立つ事業に活用いただけるとのことでございますが、モーターボート競走の売り上げから捻出されることを考えれば、神戸復興のために使うのが私は理にかなっているというふうに考えられると存じますが、復興に充てられる資金の使途についてどのような方針で臨まれるのか、お聞かせを賜りたいと思います。
  64. 亀井静香

    亀井国務大臣 私どもといたしましては、港の復興に限定した使途は考えていないわけでございまして、これにつきましては、やはり神戸市、兵庫県の、そうした自治体の御判断等に従って処理すべきものだ、このように考えております。
  65. 高見裕一

    ○高見委員 それは全くもっともな話でございます。しかし、被災地復興には非常に多額のお金がかかります。今回決めていただいたのは一年限りの分というふうに存じますが、五十億円という多額の援助というのは大変ありがたいことでございますが、総体の被害額を考えますと、さらなる援助がさまざまな形で講じられないかと考えております。したがって、今後も継続的に特別競走を開催するなどの措置を講じていただきたく思っております。平成八年年度以降のモーターボート特別競走等の措置の予定についてお教えいただければと存じます。
  66. 亀井静香

    亀井国務大臣 私どもは現在七年度五十億を目標にという形で既に決定をいたしておりますが、被災民であり、かつ本当に被災地の中から血の出るような復興についての御提言をされ続けておられます高見委員の御提言でございますから、八年以降についても御提言のようにやるように検討したいと思っております。
  67. 高見裕一

    ○高見委員 さらに、先ほどから大臣もお言葉として表現をしてくださっております、ただの復旧ではない本格的な復興というものを考えているのだ、こういうお言葉でございます。まさしく私もそれが重要かと存じます。  したがって、二十一世紀を目指した将来計画に合わせた復興が国際貿易の拠点としての位置づけからも、国益からも望ましいということで言うならば、特に国際貿易と国内貿易の連携や国際貿易船の大型化に伴うバースの水深を、犬深度バースでございますね、十五メートル以上にするというような配慮はぜひとも必要であると考えておりますが、その辺はいかがでございましょうか。大深度バースの整備等についてお聞かせを賜れればと存じます。
  68. 亀井静香

    亀井国務大臣 これは先ほども申し上げましたように、私どもとしては、旧に復するということは考えておらぬわけでございまして、国際港としての整備をこの際思い切ってやっていく、このことが被災地を不死鳥のごとくよみがえらせることでもございますし、また、関西経済、日本国経済にとって極めて重要なことだと思っております。  財政当局も、ここに主計官が来ておりますが、もとに戻してもとどおり船が着けばいいというような考え方は、今まで我々が折衝した経緯の中では、そのように大蔵省が考えておるというように私どもは思っておりません。財政当局もこの機にそういう意味ではグリエーティブな復興をやろうという我々と同じお気持ちでございますので、そういう、委員御指摘のようなことでまいりたいと思っております。
  69. 高見裕一

    ○高見委員 大変創造的な、大胆で先進的なお取り組みをいただけるということを聞いて本当に安心をいたしました。ありがとうございます。  さて、雇用対策についても若干お尋ねを申し上げたいと存じます。  例えば、神戸港が大きな被害を受けたことにより、雇用関係に大きな影響というものが生じでございますしばらく前でございますが、二月八日現在で、港湾は九千五百人、倉庫が約四千人、船員の方が五百人、トラック関係が三千人というふうな部分に影響が及んでおります。港の復旧が長期化すれば、関連企業も多く、さらなる雇用不安というふうなものを招くおそれがございます。また、交通の途絶や水道、ガスの途絶、観光地の被害などによって、ホテルでも自宅待機命令や解雇の通告が現実に出されております。このような状況に対してどのような施策を講じようとしておられるのか、運輸省の見解をぜひお伺いをしたいと存じます。  一言加えるならば、家をなくした人たちが次の不安におののき始めているのは当然のことながら職の問題でございまして、多くの地場産業が壊滅的な打撃を受けている中で、これは非常に大きな、重要なポイントであるということでお尋ねいたします。
  70. 亀井静香

    亀井国務大臣 まさしく今、民生の安定の一番の決め手はやはり雇用の問題でございます。これについて、雇用調整助成金あるいは雇用保険給付等について御案内のような特別な措置を今講じておるわけでございますが、一番大事なことは、そうした制度で期間を延ばし、中身についてやっていくことも大事ですが、エンドレスにやっていくというわけにはまいらぬわけでございますから、やはり被災された企業が企業活動を再開していただくということが一番大事なことであり、さらに、新しい企業といいますかビジネスを創出していく、この二点だろうと思います。  私ども政府全体といたしましても、とにかく歯を食いしばって、廃業するのではなくて、従業員を解雇するというのではなくて、そういう意味では新たな企業団地をつくるというようなことも御承知のように政府てこ入れでやるわけでございますが、そういう形で、もうとにかく廃業しないで、資金面その他についても前例にこだわることなく全力を挙げて支援もいたしますからということで、そうした個々の経営者に対しても力づけながら私どもとしてはやっておるわけでありますけれども運輸関係につきましても、私どもとしてはそういうことを具体的に経営者に対して言っておるわけでもございます。  当面、とにかく立ち上がってもらう、解雇して廃業するということがないような手だてを全力を挙げてやらなければならないということが基本であり、また新しい雇用の創出、こういうことにつきましても、運輸省としても運輸関連等についてもいろいろとアドバイスをし、そういうことについて資金の面、その他の面について細かい御相談にも応じていきたい、私はこのように考えております。
  71. 高見裕一

    ○高見委員 大変心強く、うれしい御答弁でございます。  同じ観点で、労働省のとっている対策について労働省から御説明を賜れればと存じますが、いかがでしょうか。
  72. 井原勝介

    ○井原説明員 労働省といたしましても、今回の震災に伴いまして被災地雇用状況に深刻な影響が生ずることを強く懸念しております。  被災地域内で雇用の維持を図ろうとする事業主の方々へ雇用調整助成金の支給、それから、被災による事業所の休業や一時的離職によりまして賃金を受けられない労働者の方々への失業給付の支給等、特例的な措置を講じているところでございます。こうした措置を通じまして、できる限り離職者を出さずに雇用の安定を図っていきたいというふうに考えております。  また、やむを得ず離職を余儀なくされた方々につきましては、地元における雇用をまず優先したいということを基本に踏まえつつ、全国の職業安定機関のネットワークを活用いたしまして広域的な職業紹介に努めてまいりたいというふうに考えております。  さらにまた、特に新卒者の就職問題についても大きく懸念をいたしておりまして、内定取り消しの回避それから採用の拡大について、事業主団体等に対しまして要請をいたしているところでございます。
  73. 高見裕一

    ○高見委員 要請を出しても、それを企業の側が聞けるかどうかというと、なかなかその状況にない企業が多うございます。要請を出してそれでよしとするのではなく、ぜひ具体的な新しい雇用の創造、創出というものを労働省でも、当然のことでございますけれども、積極的に御考慮賜りますようにお願いをいたします。  大臣、突然でございますが、例えば神戸のホテルをなるべく利用するというふうな施策も、省内あるいは他省庁、国としても歩調をあわせて働きかけていただきたい、そのように思います。  神戸のホテルがやっと復興復旧し始めました。什器備品から始まって、それこそお皿やカップの類などはもう一枚たりとも残っていないというふうな状況からどうにか立ち上がってきつつありますが、現実に神戸状況からいうと、客がそう簡単にいるわけがないのでございます。そういう意味では、国が携わる事業、国が展開する事業の中で多くの人が神戸に行かれます。そういう人たちが現在残念ながら、開業してなかったということも当然でございますけれども神戸以外の地域で泊まっておられます。神戸のホテルが開業し始めたら、ぜひ優先的に、率先をして市内のホテルを使うようにという御指導を賜りたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
  74. 亀井静香

    亀井国務大臣 もちろん、政府あるいは自治体のそうした公用の旅行の宿泊等について、委員御指摘のようなそういう努力は当然しなければならないと思います。私ども運輸省、これは旅行関係を担当しておるわけでございますから、そういう立場から各省庁、自治体にもその点はひとつ依頼をいたしたいと思います。  また、一般の方々も、もう神戸では泊まれないのだという先入観みたいなものが私はやはりあると思いますので、いや、もうこのホテルとこのホテルは大丈夫だ、また交通面でも、このホテルに泊まっていただいてもこのぐらいの時間でどこまで行けるのだ、そういう最新の情報を旅行業者等に運輸省の方から適切に流しまして、一般の民間の方々にも徹底をしていくような努力をいたしたいと思います。
  75. 高見裕一

    ○高見委員 全く大臣御指摘のとおりでございまして、本当にそうなんですよ。  実は、きのうも東京のタクシーに乗っておりましたら、神戸のタクシーはいつになったら走るのだということを聞かれまして、いえ、もう走っていますよと答えて、ああ、そうですかと、随分とんちんかんなやりとりがあったのでございますが、実は大阪の人たちでさえもそういうふうに思っている節がございます。要するに、近隣、近辺の方でもということですね、大阪というのはフォー・エグザンプルでございますけれども。  そういう意味では、今神戸はここまで復旧してきているよ、例えばタクシーもこれだけの台数があるよ、こういう交通機関があるよ、こういうホテルがオープンしたよということに関しては、ぜひ運輸省で積極的に広報を手伝ってやっていただきたい。それがどれほど被災者の方たちに、被災地の企業に励みになるかといえば、本当にはかり知れないものがあるというふうに思います。  また、復旧工事の中で、これは労働省の方の御指示かと思いますけれども、何か復旧工事にまつわる企業は四割は地元被災をされた方を雇用しなければいけないというふうなことを御指導いただいているようでございますが、復旧工事に関しましても、地元被災をした、しかし潜在的な能力は有しておるという企業を優先的に活用するべきではないか。  また、震災影響を受けている運送業者に対して、例えば瓦れきの解体に伴う仕事を積極的に請け負わせるなどの施策も、運輸省として他省庁にも働きかけて取り組んでいただきたいというふうに思います。運輸関係の事業者は、運輸省のそういう意味での強いリーダーシップそしてバックアップを期待してございますが、そういった瓦れきの処理等、これも一つの例でございますけれども、できるだけ強く他省庁にも働きかけていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  76. 亀井静香

    亀井国務大臣 この点につきましても、既に、そうした被災された運送業者、また、この地震によって仕事がなくなった運送業者、そういう方々が積極的にそういう仕事が確保できるように現地におきましてこれは具体的なバックアップを今申し上げておりますが、さらにそれを強めてまいりたいと思います。
  77. 高見裕一

    ○高見委員 ありがとうございました。ぜひ大臣の強力なリーダーシップがそれこそ末端の方々にまで浸透して、運輸省一丸となって災害の復興に積極的にお取り組みいただけますよう切に切にお願いをする次第でございます。また、昼夜を問わず神戸港や鉄道施設復旧に従事しておられる方々に心より感謝の意を表します。そして、工事が安全に終わるように心から願って、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  78. 井上一成

    井上委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時五十二分開議
  79. 井上一成

    井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高木義明君
  80. 高木義明

    ○高木(義)委員 新進党の高木でございます。  質問に入ります前に、改めまして阪神大震災で亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された多くの方々にお見舞いを申し上げる次第でございます。  なおまた、復旧に向けて日夜御尽力をされております地元の関係者あるいは各界のボランティアを含めた方々に、心から敬意を表する次第でございます。  さて、時間の関係もありますから、大震災関連、また整備新幹線問題、行政改革、この三本柱に絞りまして、以下お尋ねをしてみたいと思っております。  この災害を通じまして、我々は、備えあれば憂いなし、また一方では、災害は忘れたころにやってくる、こういう言葉、また、のど元過ぎれば熱さを忘れる、こういったいろいろな古い言い伝えがございますが、こういった言葉をしみじみ大切にしなげればならぬと私自身感じておるわけでございます。  特に今回の震災におきましては、交通運輸関係、まさに我が国の東西を結ぶ大動脈としての新幹線あるいは鉄道網、またそれぞれ港湾設備を中心にした被害の中で、まことに運輸大臣所管のさまざまな被害が、これはもう大変なことだったろうと私もしみじみと現地を視察して感じた次第でございます。  そこで、所管の大臣といたしまして既に視察をされておりますが、いつ、どのようなところを御視察されたか、まずお伺いしたいと思っております。
  81. 亀井静香

    亀井国務大臣 震災発生いたしました翌日、現地に入りまして、まず阪急の伊丹駅、駅舎が倒壊をいたしており、そこの中に、派出所の警察官一名が救出され死亡、一人は、私が参りましたときはまだ閉じ込められて、恐らく絶望的な状況だという現場でございましたけれども、地上でのそうした視察の後、ヘリコプターによりまして相当低空飛行もいたしまして、被災地全域、淡路島まで一応状況把握をいたしまして、こちらに帰ってまいりました。  次に参りましたのが二十八日でございまして、これは建設大臣と一緒に参りましたが、県庁、それと市役所で共同で知事または市長からの状況説明、今後についての救援、復興についてのお話を聞きました後別れまして、地上での被災状況を見て回りました。埠頭等はもちろん回ったわけでございますが、その後ヘリコプターで淡路島に参りました。現地被災状況を見たわけでございますが、その間、被災者の方々の避難されておる場所二カ所にお伺いいたしまして、お見舞いも申し上げたりいたしたわけでございます。
  82. 高木義明

    ○高木(義)委員 私も、実はおくればせながら四回現地に参りました。初めは姫路から入りまして、明石から船に乗りましてメリケン波止場に入りました。そこで洋上から神戸港あるいはまた造船所の岸壁、また長田地区の方にも足を延ばしてみました。またあるときは、三宮から灘区の方に歩きまして、阪神の青木駅から電車に乗って大阪に向かったこともあります。またあるときには、関西空港からジェットフォイルに乗りましてポートアイランドに着き、そして歩いて三宮まで、また三宮からJRの代替バスにみずから乗りまして住吉駅まで行きました。それから大阪に向かう。こういったことで私なりに現地の特に交通運輸関係の視察をしてまいりました。また、特にボートに乗りまして、ポートアイランド、六甲アイランド、まさにコンテナバースの、我が国が誇るそれぞれの地区のあの惨たんたるありさまを目の当たりにしたわけでございます。  そういう意味で、大臣、いろいろ視察をされまして、どのような認識と決意を持ったかということをぜひお伺いをしておきたいわけであります。  なぜ私がそういうことを言いますかと申し上げれば、今村山総理の危機管理がいろいろ新聞、テレビ等で大きな国民的な批判を受け、また話題になっておるわけでございますが、それはそれとしまして、この復旧について、まさにきょう一カ月目に当たるわけでありますが、当時は国会開会の前でございます。直前でございます。当然、通常国会でありますから、平成七年度の予算が審議をされる重要な会議でございます。そのときに当たり、この被害を見て、やはり補正予算じゃなくて、平時のときに編成をした予算を当然ながらいち早くいじって復旧をすることがむしろ大きな務めではないかな、そういう意味の危機管理の考え方をまさにお持ちであったのではなかろうか。今確かに、予算委員会を通じまして我が党は、補正予算はもちろん早期に成立をさせて、本予算については組み替えの要請を行うておりますが、あのときにあのような御決断が私はされるべきではなかったかなと思っておりますが、被災現場を目の当たりにした当時の、そして今振り返って、大臣の所見を聞いておきたいと思っております。
  83. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、気持ちといたしましては委員と全く同じ気持ちでございます。こうした事態に対して国家が機敏に対応しなければ国家としての意味がないわけでございますから、そのとおりだと思います。  ただ問題は、現実的にどういう対応をした方が一番効果的かということになってくると思うわけでありますが、私は、もちろん時期にもよると思うわけでござい望すが、このたびのような、七年度の予算を編成をして既に二十日からのそれにかけておるという状況の中で、この財源等を含めて、立法措置を含めてどうするかという扱いにつきましては、やはり私は現実的にはこのたび政府がとった措置しかないのではないかな、このように思うわけでございます。  まだ現在の段階で二次補正の中身をここで申し上げるわけにはまいりません、後ほどこれは明らかになりますが、間もなくなるわけでございますけれども、私どもとして交通関係の復興について、当面、これは施工能力との関係もございますし、いろんな関係がございますが、港湾にいたしましてもこの二次補正で当面の十分な事業は確保できる、このように考えておるわけでもございますし、鉄道につきましても、省令の改正をやりまして、これについての国からの補助措置また低利融資等の措置も十分現時点で鉄道の各事業者、あるいは港湾の、市を含めてそういう当事者等が対応できる措置がとれる、このように考えております。  問題は、資金もきちっと用意をするだけじゃなくて、特に港湾がそうでございます。御承知のようにあれだけの、百五十バースほとんどいかれておるわけですから、先ほど本会議でも私答弁いたしましたけれども、これをとにかく早急に、できるだけ応急と本格と組み合わせてやりませんと、これがよそにシフトいたしますと、場合によっては帰ってこないということもございますから、応急と本格復興、これを重ね合わせて連携するような形で早急に実施をしなければならない。  そういたしますと、施工能力のある業者も日本国で限られておるわけでございますから、今運輸省では業界と話をいたしまして、施工業者をとにかく神戸に集中をする。じゃ地方港湾建設はどうするのか。七年度予算におきましても港湾建設は組んでおるわけでございますから、この執行に支障を受けてはいけません。そういう意味では、地方につきまして、中堅あるいは小さい業者であっても、今まで元請ではなくて下請等でやっておったところが施工能力があるのであればそこに直接発注をする、そういうことも工夫をしながら、施工能力を神戸港について高めるということも今一生懸命努力をしておるところでございます。  委員のおっしゃるように早急にやらなければならぬということは全く同感でございますが、現実的な方法としては現在とっている方法しかない。さらに早期に七年度の補正を実施をしてかぶせていくということをやらなければならない、このように考えております。
  84. 高木義明

    ○高木(義)委員 では、鉄道関係におきましては既に復旧額が示されておりますが、特に被害の多かった港湾関係につきましては、専門家等の調査検討があり、具体的な被災額がそれぞれまた発表の段階で異なっておるというふうな状況であります。今日現在運輸省として、被災額を幾らという把握をし、そして復旧額についてはどの程度見積もっておられるのか、この点についてお聞きをしておきたいと思います。
  85. 亀井静香

    亀井国務大臣 はっきり申し上げまして被害額を最終的に確定をする状況ではないわけでございますが、一応現在のところ、鉄道関係は三千五百三十億、港湾関係が一兆四百億ということで兵庫県からの報告を受けておるわけでございますが、しかし何度も申し上げますように、今度水深十五メーターから十六メーターのそうしたバースも建設をするということで、復旧じゃなくて、旧に戻すのではなくて復興をするという観点から取り組んでまいりますので、私は必要な事業費というのはうんともっと膨らんでくる、このように考えております。
  86. 高木義明

    ○高木(義)委員 平成七年度に運輸関係の施設復旧のための必要な国費、これは私どもの試算でございますが、鉄道が約八百億円、港湾が二カ年復旧で五千億円、こうはじいております。  平成七年度の政府予算を見てみましても、神戸港に充当される国費は約百億円に過ぎない。例えば、復興のために、旧に復することなく、二十一世紀に向けた災害に強い港湾をつくろうという決意であるならば、まさしく十五メーターバースの高規格コンテナ埠頭、こういうことになるわけでありますが、この埠頭の予算は七年度は大井埠頭のみということでございます。  そういう状態であるだけに、我々はやはり七年度国家本予算に踏み込んでしなければ後手後手に回ってくる、私はそのような懸念を持つわけでございますが、今の政府は、まず六年度の二次補正で対応し、そして七年度予算を早期成立をされて、そして七年度予算の第一次補正で今後組んでいく、こういうスタンスのようでございます。これでは、これも理解をできないことではないんですけれども、もっと早くもっと強く、こういう立場での災害復旧であれば、私はこのくらい踏み込んでやるべきではないかと思っておりますが、さらに大臣の所見をお伺いします。
  87. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほども申し上げましたように、私どもは、国際港神戸港をクリエーティブな形で復興するというきちっとした視点に立って取り組んでまいるわけでございますので、先ほども一つの例を申し上げましたが、そうした大型バースを建設することもそうでございます。あるいは、上物等につきましてもそういう観点から整備をしていかなければならないと思うわけでございます。そうした基本的な計画にのっとって、先ほど言いましたように、しかし当面応急的な、使用できる状況にするという方向においても必要なわけでもございます。また、先ほども申し上げましたように、施工能力の問題もあるわけでございます。  金ばかり平成六年度の予算の中で積みましても、それがなかなか消化できないという事態も起きてくるわけでもございますし、そうした現実的なことをにらみながら、かつ平成七年度については、先ほども申し上げましたように、第一次補正におきまして、百億円ばかりでどうかたるわけではございませんで、これが上乗せをするという形で思い切った予算を編成をしていきたい、このように考えております。  それには、神戸港どうあるべきかという基本的なことについて、今後財政当局との間でいろいろと一緒に協議もしながらその計画を煮詰めていきたいと思いますけれども、大まかな計画は持っておるわけでございますけれども、そういう意味では、やはり今直ちにばばっと組み替えてということよりも、当面の財源的処置をして、そうして全体としてのそうした構想に要する資金は第一次補正でやるというのが私は現実的である、このように考えておりますので、今後委員の御支援をぜひひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
  88. 高木義明

    ○高木(義)委員 この災害に関連した今国会の議論の中で、さきの予算委員会等でも我が党同僚議員から訴えられておりまして、今後早急に対応するということの中で、例えば運輸関係の問題では港湾機能施設あるいは公営地下鉄、こういったものはいわゆる今の激甚災害法等の救済の対象にならない、こういった施設について新たな立法措置を含めて講じることが必要だ、こういうことも述べられております。また、空港、鉄道、港湾、この際全国の諸施設にわたって安全点検をしたい、こういうことも述べられておりますが、一カ月経過をした今日、どのような対応をされておるのか、この点明らかにしていただきたい。
  89. 亀井静香

    亀井国務大臣 陸海空それぞれ検討委員会を設置をいたしまして、この会合を何回も開きながら、現地の視察もいただきまして検討いたしておりますが、まだ委員会としてのそれぞれ最終的な結果というのは出ておらぬわけでございます。しかしながら、その中間的な御判断等を含めて、復興工事については密接な連絡をとりながら現在進めていっておるわけでありますが、そうした空港を含めて、それ以外の既存の施設につきましては、それぞれ今事業者が点検を専門家を動員をしてやっておる最中でございます。これもそれぞれの検討委員会との間でさらに今後密接な協議をやりまして、このたびの震災程度あるいはちょっと上程度のものが起きましても、全国のそういう施設、万全であるという体制をとってまいりたい、このように思っております。
  90. 高木義明

    ○高木(義)委員 そのようなことを含めましても、七年度の予算というのは、組んだときと今の現状はもう格段の差があるわけですよ。だから、私は強く、組み替えをしてでも早く手を打つべきだ、こういうふうに申しげておるわけです。  この辺、ちょっと一緒になりませんので次に移りますけれども、今回の災害で港湾、鉄道のほかにトラックあるいはバス、タクシー、また観光旅行業ですね、こういったところもこれは大変な被災を受けておるわけです。もちろん、今大事なことは民生の安定でございますから、住宅の供給あるいは食糧の確保、これはもう不断のさらなる充実をしなければなりませんが、そろそろ現地災害復興のためには経済の観点からの私は強力なてこ入れをしなければならぬと思っております。  こういう立場に立って、例えばそういった方々の事業所が被災を受けた、あるいはそこにおられる方々が実際に心身に障害を受けた、あるいはまた交通渋滞等のために経営の不振に陥った、そういったもろもろのいわゆる運輸交通サービスに携わっておられる方が苦しい目に遭っているのも事実でございますから、例えば助成措置あるいは税制の優遇措置、こういった救済策を的確に行う必要があると私は思っております。この点についての御所見を賜りたい。
  91. 亀井静香

    亀井国務大臣 御指摘のとおりでございまして、これにつきましては、ただ運輸関係業者だけ他の業者と別な取り扱いができるという場合というのはなかなか少ないと私は思うわけでございますけれども、私どもは、他の業種と同じように、これについては運輸省として、自分たちのエリアの問題についてはきめ細かい救済あるいは応援の体制をとるように、現地の、運輸省は御承知のように現地本部も持っておりますから、そういう形で各運輸関係の方々の御相談にも応じて、融資の雨その他を含めて、また荷主との関係等を含めて細かい世話役活動みたいなことまで踏み込んだ、そうしたお手伝いをいたしておると思います。委員御指摘のように、役人的な発想ではなくて、本当に親身になって、そうした方々の顧問弁護士、顧問税理士のようなつもりになって一線の運輸局の連中が、今もやってくれておりますが、今後ともやっていく、私はこのように思っております。
  92. 高木義明

    ○高木(義)委員 具体的な問題でありますが、神戸港には御案内のとおり多くの港湾関連就業者がおられます。特に、岸壁が災害を受け、船が着けない、フェリーボートも通わない、こういう中から当然、タグボートあるいはパイロット、そういった方々が仕事をしようにも仕事ができない、そういう事実もあるわけです。  例えば、タグボートにおかれては四百七十八人、パイロットは四十三人、通船が三十三人、起重機関係四十三人という数字も出ておりますが、こういったいわゆる船員の、船で働く方々については、陸上勤務であれば、こういう災害のときには雇用調整助成金という制度で、雇用契約を結びながら災害の復興に当たり、そして復興したらまたその職場に戻るという手だてをされておるのですけれども船員の場合にはこれができない。だから、何とか陸上勤務者と同等な取り扱いの措置ができないものか、こういう要望が強いわけでございます。二月八日の参議院予算委員会におきましても、厚生大臣は、雇用保険と同様の特別措置を講ずることを鋭意検討する、こういう発言をされておりますが、きょうは厚生省、ぜひこの点どのように具体化されつつあるのか、お答えをいただきたい。
  93. 辻哲夫

    ○辻説明員 ただいま御指摘の点でございますが、神戸港が受けた被害は非常に甚大でございまして、神戸港で就労せざるを得ない船員の方々がいらっしゃいます。それで、これにつきましては雇用保険におきまして、今回いわゆる激甚災害法によりまして、特例措置として雇用関係を維持した上でみなし失業給付ということで失業給付を出す、雇用関係を維持した上で給付を出すという失業関係の手当てがなされておりますが、船員保険法におきましてはこの手当ては法律的にございませんで、このたびこの措置に準じた措置を行うことにつきまして、本日午前中に医療保険審議会で諮問を行いまして答申を得たところでございまして、この趣旨に沿いまして所要の対応を私ども講じることによりまして、船員の方々が陸上労働者と処遇の面で差が出ないように取り扱ってまいりたいと思います。
  94. 高木義明

    ○高木(義)委員 その点強く要請をしておきます。  次に、時間の関係もありますから、行政改革について若干のお尋ねをしてみたいと思います。  村山内閣の最重要政治課題の一つに行政改革があると私は認識をいたしております。総理も国会等を通じまして力強いそういう発言をしておるわけでございますが、いかに発言があったにせよ、中身が伴わなければ絵にかいたもちであります。したがって、そのような生ぬるいことを決してしない、こういうふうに私は気合いを込めて今の政府を見詰めていきたいと思うわけでありますが、今回、運輸省関係におきましても、当然規制の緩和というのは避けて通れない課題だと思いますが、まず規制緩和について、その必要性、見直しの所見を、ぜひこの際お伺いしておきたいと思います。
  95. 亀井静香

    亀井国務大臣 規制緩和につきましても、委員承知のように、運輸省はずっと率先をして見直しをし、実施をしてきたわけでありますが、さらに、一応私どもとしては三月いっぱいをめどに今鋭意見直しを、作業を実施いたしております。大体百項目くらいになろうかと思いますけれども、これを今やっておる最中でございます。  ただ、私はいつも申しておるわけでありますが、必要のないそうした規制なり手続、それはもう思い切って廃止をすべきでありますが、一方、やはり交通の安全にかかわる問題だとか、あるいは弱者を最低守るというような、そういう観点からの規制、そういう問題については、とにかく規制緩和の時代だから全部取っ払ってしまえというような、そういうわけには私はいかない。そのあたりをきちんと見詰めてやれということを指示しているわけでございますが、委員御指摘のように、我々としては重要な課題だと思っておりますので、全力を挙げて取り組んでおります。
  96. 高木義明

    ○高木(義)委員 具体的な目標、手順についてお決めになる御意思、あるいはまたそういう準備はございますか。
  97. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほども申し上げましたように、一応三月いっぱいですね、これをめどに運輸省としては現段階で見直すべきものは見直す。先送りをするとかよそを見ながらみたいなことは考えておりません。
  98. 高木義明

    ○高木(義)委員 よそを見るようなことはしない、まずみずから独自で、ひとつ亀井大臣のリーダーシップを発揮できるような、そういうことを私は特に要請をしておきたいと思います。  次に、特殊法人でございますが、特殊法人につきましては、政府・与党の決着の中で政府系金融機関が先送りになって、まさに腰砕けに終わった。これは、やはり力強い政治のリーダーシップがなかったからじゃないか、私はそのように思うのですよ。運輸大臣はあの状況をどのように見ておられますか。
  99. 亀井静香

    亀井国務大臣 現村山内閣は、私は約束どおり全力を挙げて、各大臣がそれぞれ責任を持ってこの特殊法人の整理合理化等に取り組んでおると思います。  この間、十日に一応各省のその報告をしたわけでございますが、委員が御指摘のように、大蔵省が主管する例えば開銀、輸銀等について結論が出なかったじゃないかという御指摘でございますけれども、輸銀と開銀が一緒にならなければ、それで特殊法人の整理合理化ができなかったなんていう判断というのは、私は間違っておると思いますね。  要は特殊法人の見直しも数合わせじゃないわけでありますから、特殊法人の見直しをやることによって国民に対してちゃんとしたニーズが今まで以上に提供できるかどうか。そして行政効率が、行政機関にある面でかわってやっておるわけですから、それがさらに効率化していくのかどうか。要は、そのことが国民の利益になるかどうかということが私はポイントだと思うわけでありまして、ただ二つある金融機関を一つにすれば、一つ減ればそれが合理化だとは私は全然考えておらぬ。犬と猫を一緒にして、けんかしていてうまくいくわけないわけでありますから、子供も生まれぬでしょうしね、妙な言い方をしましたけれども。やはりそこらは、何が利益かというところにぴしっと目線を置いて、ただ数合わせをしなければ特殊法人の整理合理化がされなかったという考え方は、基本的に間違っておる。  私ども運輸省も、全特殊法人について、認可法人について検討したわけでございますけれども、これは御承知のように、鉄道整備基金は、そういう面ではいわばこれも政府系金融機関といってもいいと思いますね。開銀なんかと同じような機能を果たしておると思っていいと思いますけれども、これなんかも私どもは、ただ単なる数合わせで二つを一つにせぬと格好がつかぬので、鉄道整備基金と船舶整備公団と一緒にしたということではございません。  これはやはり、陸と海のそうした交通体系の整備をしていく上において運輸省本体がやる部分と、そうした特殊法人という形でやる部分と両方あるわけでございまして、私どもは本省としても陸海空のそうした交通体系の整備をやはり一体的に、バランスのとれた形で推進をしたい。そういう方向で今検討もしておるわけでございますが、それとの関係上、やはり陸と海をこの際一本化してトータルな、一体的な観点から取り組んでいくことが国民に対しての利益をさらに供与することになる、そういう判断でやったわけでございまして、新聞が、輸銀、開銀をしなかったから特殊法人の整理は腰砕けになるだなんて、ふざけたことを報道しておるマスコミが多いわけでございますが、これはやはり間違いだ、問題は中身だ、このように私は思うわけでございます。
  100. 高木義明

    ○高木(義)委員 運輸省関係の法人はかなりあるわけですね。そういう中で、今お話しのように犬と猫という表現を使われましたが、今回、運輸省が統合を図るのは船舶整備公団と鉄道整備基金だ、いわゆる海と陸だと。例えば鉄道整備基金と日本鉄建公団、陸と陸だ、同じ鉄道だ。あるいは陸と空だ、いわゆる新東京国際空港公団、こういったいろいろな組み合わせがあるのですね。何で今回、船舶整備公団と鉄道整備基金を一緒にしたのか。それぞれの仕事、事業、本当の意味でそれなりの成果を上げておりますし、今後国民生活あるいは産業にとっても大変な役割を果たしておるわけですね。  しかし、我々は特殊法人の合理化については聖域を設けない、やはりやらなければならぬ。しかも村山内閣は、九七年四月から消費税の引き上げを決めておるわけです。そしてその前提には、目に見える行政改革、こういうことなんですね回だから、今大臣が言われたように、数合わせの行革ではない。本当の意味で、役員の数とか職員の数を含めてきちっとした答えが出るような行政改革を進めていくお気持ちですか。大臣、どうですか。
  101. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほども申し上げましたように、これは当然のことだから、管理部門を含めて労働強化になるという批判があるかもしれませんけれども、もうちょっと頑張っていただいて、できるだけ職員数を、生首を切るなんてことは私はするつもりはございませんが、補充その他を含めて、やはりそういう面はスリム化していただく。また、別の面で業務遂行を効率化していく仕組みをつくっていけば職員の数も減るわけでございますから、これはもちろん理事の数を含めて、そういうことは私ども思い切ってやってまいりたい、このように考えております。
  102. 高木義明

    ○高木(義)委員 船舶整備公団は、いわゆる今阪神大震災の中で、陸の交通機能が寸断された、陸がだめなら海路でつなごう、こういう発想は、災害以後、必ず出てきて当然だったのですね。しかも、運輸省もかねてから公害の問題あるいは労働力の問題、エネルギーの問題、モーダルシフトを推し進めていこうではないか、こういう政策的な方針も持っておられる。したがって、それぞれの趣旨とこれからの政策展開を十分に踏まえた上で、そういうお考えを実行に移していただきたい、私はそのように思います。  最後に、今回、JR西日本新幹線被災をされまして、今動脈が断たれておるわけである。もし東海道新幹線であのような事態になったら、日本の国は一体どうなるんであろうか。そういう意味で、今運輸省でいろいろなされております政策の見直しを、この際、災害に強い交通体制、いわゆる総合交通体系の見直し、あるいは第二国土軸と言われておりますけれども、そういうふうなネットワーク、また港湾整備計画等についてもどんどん見直しが必要であると私は思うのですよ。その辺については的確に、例えば、運輸政策審議会等を開きましてやっていただきたい。この辺について決意を聞いて、私の質問を終わります。
  103. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員の御卓見は、今後の運輸行政の中で確実に生かしていきたいと考えております。
  104. 高木義明

    ○高木(義)委員 終わります。
  105. 井上一成

    井上委員長 米田建三君。     〔委員長退席、緒方委員長代理着席〕
  106. 米田建三

    ○米田委員 阪神・淡路大震災では、JR西日本を初め合計十三社におきまして不通になるなど、鉄道に大変大きな被害が出たわけであります。特に、安全とされていた新幹線で、高架橋等において九カ所が落橋する、まさに新幹線の安全神話が崩れたというふうに言わざるを得ないと思うわけでございます。したがって、ほかの新幹線は大丈夫なのか、新幹線だけではない、全国の鉄道が大丈夫なのか、国民の大多数が不安に駆られているというふうに私は思います。  そこで、午前中からの議論でも出ておりますが、鉄道施設の耐震構造の検討委員会を設置をされた、こういうことでありますが、例えば、関東地方におきましても、いつ大地震が起きても不思議ではない状況であると言われておるわけでございまして、この検討の結果とそれに基づく施策の実行が極めて急がれているというふうに思うわけでございます。  その中で、先ほど来の質疑の中で、この検討委員会の検討のスケジュール、そして結論を出していただくめどについて、何かはっきりしないような印象を受けているのですが、これは、要するに、残念ながらめどは不明であるということですか。
  107. 亀井静香

    亀井国務大臣 私が不明だと申し上げておるわけではございません。  検討委員会の諸先生方も、ほかの仕事を犠牲にして、これについて早期の結論を出さなければならないという必死の努力を今いたしていただいておるわけでございますから、我々の方で、この二月末だとか日にちを区切って申し上げるわけにはいかない。しかし、できるだけ早く、ぜひひとつお願いしたいということは言っておるわけであります。物事の性質上、期間を切って、それで不十分た調査検討に基づいて結果を出すべきじゃない。しかし、とはいいましても、復興工事等をそれまで待つわけにはいかぬわけでありますから、諸先生方の今までの検討を踏まえての、ハイレベルな、そうした耐震構造を持った復興工事をやるようにという指示をいたしておるわけでございます。  また、各JRとも独自の技術陣等も総動員し、先生方の意見も聴取しながら現時点での点検作業をやっておるということでございますから、そういうように御理解をいただきたいと思います。
  108. 米田建三

    ○米田委員 本当に極力お急ぎをいただきたいと思います。  さて、大都市における大災害がいかに国家経済全体に甚大な被害を与えるか、このことを我々はまざまざと体験をしたわけであります。したがって、私は、この阪神地区の復興は、当然のことながら、この際、まさに国家的な課題として、政治全体が日本列島防災化に取りかかるというぐらいな決意で臨む、その最初の年としてこの平成七年度というものが位置づけられなくちゃならないのじゃないか、そんなふうに考えているわけであります。  ところが、この政府提出の平成七年度予算というものは、単純に時系列的に見ましても、阪神・淡路の大震災に対する復旧復興対策というものを前提としておらないわけであります。ですから、被害の全容の掌握、また復興計画の策定を急いで、既に被害が判明している事項については七年度予算で早急に対策を講じる必要があるし、さらにまた、今申し上げた抜本的な防災列島、防災都市づくり、平成七年度を防災列島化の元年にするんだという、そういうことがもし共通の認識であるとしたならば、やはりこれは補正予算だけでけりをつける問題ではないわけであります。  例えば運輸の関連につきましても、鉄道、港湾等のインフラ機能回復の事業費、この追加も考えなくちゃならないし、あるいは耐震の基準等の調査につきましても全国的な調査を徹底して行う、この必要性を考えたときに、こういった費用の追加も考えなければならない。  そういう観点から、やはり私は、我が党が要求しているとおり、予算の編成替えを考えるのは当然だと思うのですが、重ねてひとつ大臣に。
  109. 亀井静香

    亀井国務大臣 予算の組み替えは考えておりません。
  110. 米田建三

    ○米田委員 考えておらないと断言をされましたけれども、平行線ですからこのぐらいにいたしまして、港湾の問題をちょっと大臣伺います。  神戸港は、コンテナ岸壁がすべて使用不可能になりました。御案内のとおり、我が国の輸出入コンテナ貨物の三割、四千万トンを扱っておるわけであります。海運関連の皆さんにとりましては、ほかの港に振り分けるといっても、受け入れ能力や距離の問題もあります。そう簡単な話じゃない。  そこで、運輸省復興計画では、六月末までにコンテナ埠頭二十一バースのうち八バースを応急補修し、ことし六月までに暫定使用を可能にする、こういうことでございますが、その六月末の段階で扱えるようになるコンテナの数量なんですが、震災前に比べてどのくらいにたるんでしょうか。
  111. 栢原英郎

    栢原政府委員 六月末までに、応急的な補修で八バースを利用可能といたしますが、これもようやく船が着けるという状況でありますし、また、通常、コンテナバースについておりますがントリークレーンという高能率のクレーンも、とりあえず一バースに一機ずつということを目標にしております。したがいまして、全体の能力は、バース数でいきますと三分の一ですが、実際に取り扱いできる能力というのはこれをはるかに下回り、恐らく一割あるいは二割程度の能力になるものと思われます。
  112. 米田建三

    ○米田委員 大変な事態だと思うのですね。そして、さらにこの運輸省復興計画では、本格復旧が二年後の九六年末、こういうことでございますが、この間に神戸の国際ハブ港としての地位、今までも低下ぎみだったわけでございますが、これまで以上にほかのアジア諸国に奪われる危険性がある。先ほど来の質疑の中で大臣は、重々承知はしておるが、実際、現実どういう対応ができるかという一つの問題があるというお答えがございました。  それはそのとおりだろうと思うのですが、私はやはり、国際コンテナ貨物に関しましては神戸港が横浜港を上回る日本で一番のいわゆるハブ港の機能を果たしてきたわけでございますから、先ほども御説明いただいた六月末の段階での回復能力を伺い、さらにまた、本格復旧が九六年末になる、こういうことであるならば決定的な一つのダメージを受けてしまうのではないか、こういうふうに心配をしておるわけでありまして、何とか復旧を急がなければならない、こんなふうに考えるわけでございます。ひとつその点。
  113. 亀井静香

    亀井国務大臣 全く私も委員と同じような心配をして来るわけであります工現時点でも大体二・五%程度が釜山港にシフトをしておるという状況もあるわけでございまして、長期化すればするほど他にシフトしていく危険性がございます。  そういうことで、何度も申し上げておりますように、本格的な復興と応急的な使用可能な復旧工事、このあたりを組み合わせをしながら、しかも危険があってはいけませんので、そのあたりを見きわめながら、現在あとう限りスピードを上げて、また先ほど申し上げましたように施工業者との関係もございますから、それを神戸に集中をするというようなこともやりながら取り組んでまいっておるわけでございますが、いかんせん、ばばっと手品のようなわけにはいかぬわけでございますので、そういう意味で、全力を挙げていることを御理解賜りたいと思います。
  114. 米田建三

    ○米田委員 神戸のみならず日本の外航海運の今の世界的な位置でございますが、御承知かと思いますが、震災の前から低下の方向をたどっていたわけでございます。ヨーロッパから見ますと、日本アジアで最も遠い寄港地である。当然時間もかかれば、燃料費、燃料コストも高い。さらには、埠頭のリース料あるいは荷役料等のコストも高い。また、ハブ港から国内の他の港湾へ荷を運ぶと、残念ながら内航運賃も高い。国際競争力という意味では、それらの事情が重なって我が国の神戸なり横浜なりの地位というものが低下を続けていた、こういう状況があったと思うのですね。  ちなみに震災前のコンテナ数の取扱高、これを見ますと、これは九四年の十一月現在、一位が香港、二位がシンガポール、三位がロッテルダム、四番に台湾の高雄、五番に韓国の釜山、そして六番がやっと神戸である。横浜港に至っては、ロス、ハンブルク、ニューヨーク、基隆に続いて十一位、こういう位置なんですね。貨物の集まるところに金融の拠点も集まり、また情報も集まる、こういうことでございますから、日本港湾のハブとしての地位の低下が日本経済全体の将来に与える影響は極めて大きい、私はこういうふうに思っているわけでございます。震災前からのこのような状況運輸省としてはどのように御認識されていたのか、念のため伺っておきたいと思います。
  115. 亀井静香

    亀井国務大臣 御指摘のとおり、私どもも当事者であって、非常に心を痛めているということでは済まないことでありますが、海上物流が今後とも日本経済にとって基幹的なものであるということは変わらない、もちろん航空貨物もございますけれども。そういう意味ではやはり港の機能を強化をしていく。そういう意味で、今度も神戸港も水深十五メートルか十六メートルのそうした大型のバースをとりあえず五つ建設をしようということで決定もしておるわけでありますが、現在大蔵省との間でも、もとに戻すというだけじゃなくて、国際港としての機能を強化をするということをやりたい。また、横浜、東京等含めて、既存の港につきましてもそういう観点から取り組んでいきたい、このように考えております。
  116. 米田建三

    ○米田委員 今まさに大臣から十五メーターバースの整備の必要性のお話が出たわけでございますが、既に香港港に一つあって、シンガポールには五つもある。しかも、この両港が西暦二〇〇〇年前後にはそれぞれ十六になる見通したというのですね。ところが、我が神戸、横浜は現在ゼロで、相手が十六になる二〇〇〇年にやっと横浜で二、神戸で五、今五という数字をおっしゃいましたから、こういうことであります。  先ほど来の繰り返しになって恐縮ですが、まことに時間との競争。これでもう日本海運、もっと申しますと、ひいては日本経済そのものの位置、これに大きな影響を与えると思うわけでございます。大蔵省とも今折衝中であるというお話がございましたが、それぞれの官庁、それぞれの役割はありますが、私は、やはり運輸省というのは、いわば国家を生き物に例えるならば、その骨組みを、骨組みづくりを担うセクションであろうかと思うわけでありまして、そういった意味でも、まさに大臣の剛腕で大いに頑張っていただいて、今日の予算編成のあり方も含めて、すなわち政治が国家的な優先課題に順位をつけて、その重要なものについては金もエネルギーもすべて集中するというふうなシステムに行政の仕組みを切りかえていく、その必要性が今回の大震災から得た、とうとい犠牲を代償にして得た大きな教訓ではないかと思うのです。大臣の御所感を。
  117. 亀井静香

    亀井国務大臣 米田議員の御意見に私は全く同感でございまして、交通政策、港湾をどう整備していくか、新幹線をどうしていくか、これはまさに運輸省プロパーの仕事でありまして、大蔵省は、いや財政事情が悪いからことしはこれぐらいにしてくださいという立場でございまして、交通体系の整備は、あくまで基本ポリシーは我が運輸省が決めていくということであろうかと思います。今後とも、委員の支援のほどをよろしくお願いいたします。
  118. 米田建三

    ○米田委員 全部同調されてはやりにくいのですけれども……。  港湾関係で最後にもう一点伺いたいのですが、この神戸港の復旧の費用が約一兆円かかる、こういうことであります。これが今後埠頭のリース料等にはね返ってまいった場合、先ほど日本のいわば港湾の国際競争力の低下の一因であるということで御指摘申し上げたコスト高、こういう問題につながってくるのじゃないか、こういうおそれがあるのですが、これについてはどのようにお考えですか。
  119. 亀井静香

    亀井国務大臣 港を復興をしたそのツケがリース料の方がはね上がっていくという形には絶対してはならぬと思います。そういう意味で、埠頭公社につきましても、御承知のように今の法律では補助できぬわけでございますから、新規立法をいたしまして、八割国が補助をし、あとの二割につきましても神戸市等が起債等の措置をし、自治省がこれを支援していくようなことの工夫を含めて、復興が今後のユーザー等についてはね返りのないような対応をしてまいりたいと思っております。
  120. 米田建三

    ○米田委員 ぜひ一層の御努力お願いをいたしまして、港湾に続きまして、やはり大切なのは今の日本空港のあり方、いわゆる位置づけであるわけでございます。港湾のハブ機能が低下をし、かつ空港もそうである、そういうふうになりますと、日本の将来は真っ暗になっちゃうわけでありまして、そういう意味で、今の空港のあり方について二、三お尋ねをしたいと思います。  私は、ハブ空港の存立の基本的な要件というのは、金融や情報等の拠点をきちんと備えた経済の中枢都市を後背地とする、このことが基本的な要件だろうと思います。首都圏においては、本来そういう意味では距離的に一番近い位置にある羽田がこの間の経緯の中で国内路線中心の空港とされ、また国際路線成田は首都圏の中枢及び羽田から遠距離にあり、依然として乗り継ぎには決してよろしくない状況にある、これはかねてより指摘されている点でございます。  一方、アジア諸国を見ますと、先ほどの港湾と同様と申しますか、大変一生懸命将来に向けて頑張っておられるわけで、例えば新ソウルメトロポリタン空港の構想、あるいは新香港国際空港の構想、これら国際ハブ空港としての地位を向上させるためのプロジェクトに既に着手しておるわけですね。こういう中で、ちなみに、現状においても、平成五年に運輸省が行った調査では、日本国内の空港から例えばソウルに向かう航空旅客のうちの約一割が、韓国が目的地ではなくヨーロッパやアメリカヘ向かうお客さんであるというふうなデータもあるわけでございます。  そこで、羽田の沖合展開事業でございますが、今進捗している、平成九年に新C滑走路が完成したとして、年間の離着陸の回数でございますが、これはどのくらいふえるのか、そしてまたそれが、二十一世紀といってももうあと五年で二十一世紀ですが、二十一世紀の初頭において旅客需要の伸びから見て許容量を既に超える二とになってしまうのではないか、こういうふうに心配しておるわけですが、その辺いかがでございましょう。
  121. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 羽田、今新C滑走路、整備をしておりまして、八年度末、つまり九年度の初めから供用が開始できますが、その場合の輸送力は、発着回数にして二割アップでございます。これでその後平成十一年度末にB滑走路ができますので、それまで含めましていつまで需要に耐えられるかということですが、六次空整で計算した時点では、私どもの見通しは二〇〇三年という見通してございました。ただ最近、航空需要、景気の低迷などで随分落ち込んできておりますので、二〇〇三年よりもこれはかなりずれてくるのではないか、この辺は七次空整で検討したいと思っております。
  122. 米田建三

    ○米田委員 当初の見込みよりもかなりずれるというお話でございますが、いずれにしましても、二十一世紀の初頭には大分きつくなってくるということは私は間違いないのじゃなかろうかと思うのですね。  それから、成田の二期工事、これについても、無事終了したとしても、遠からずやはり能力の限界というものを見ることになるのではありませんか。
  123. 亀井静香

    亀井国務大臣 将来の予測というのは、経済の今後の動向とも関係してくるわけでございますから、正確に見通すわけにはまいりませんけれども、しかし、国際化が進展をしていく、また、我が国の国内における経済活動も今以上に活発化していく、物的、人的な移動というのがさらに増大していくという予測をいたしました場合、私どもといたしましては、やはりそれに先立って、パンクしてからじゃなくてそれに先立って対応しなければならないという考え方でおるわけであります。現在成田につきましてもそういう努力をいたしておるところでありますし、また、関空についてもいたしております。  また、もっと申し上げると、私ども成田関空だけで日本のそういう機能が全うできるとは思っておりません。中国大陸、朝鮮半島が今後地球の上で急激に発展を遂げていくだろうというような予測もあるわけでございますし、そういたしますと、九州あるいは広島を含めて中国地方、これが一つの大きな経済圏を形成をしていく可能性もありますし、また、ソ連対日本の関係じゃなくて、自由主義経済のロシアと我が国を考えた場合は、東京、大阪との関係よりはむしろ札幌、青森等との関係が非常に密接になってくる、そのあたりが一つのまた大きな経済圏をつくってくる。地球的規模で見ました場合は、東京、大阪だけが日本表玄関ではなくなってくるわけでございますから、そういうことも含めまして、私どもとしては七次空整等について十分検討して対応してまいりたいと思っております。     〔緒方委員長代理退席、委員長着席〕
  124. 米田建三

    ○米田委員 全国、全世界に目を配りながらの構想を打ち立てているという、それはもちろん大事でしょうが、やはりまず当面の急務として、何と申しましても、巨大な経済圏を持ち、そして日本発展の牽引車でもあったこの首都圏におきまして、今の質疑の中でも明らかにされたように、成田、羽田というものが、今計画中の事業が終了したとしても、遠からずまた許容量に達するということを考えた場合に、何としても首都圏空港施設の拡充というものに力点を置かねばならない。特に首都圏第三空港というものの具体的な建設計画の策定が私は急がれていると思うわけでございますが、この検討状況並びにそれに取り組む大臣の決意を伺いたいと思います。
  125. 亀井静香

    亀井国務大臣 もちろん、先ほど申し上げましたように、将来的にはそういうことも必要になってくる場合もあろうかと思いますけれども、当面は羽田の整備を全力を挙げてやっておりますし、成田につきましても、大勢の関係者の方々が、本当に血のにじむような御努力をいただき、御協力をいただいてきたという経緯がございます。私どもとしては、そうした経緯を踏まえて、成田について関係者の皆様方から深い御理解をいただいて完成をしていくという努力を当面続けなければならない、このように考えております。
  126. 米田建三

    ○米田委員 ちょっと時間がありませんので、最後に、特殊法人の問題について、同僚の高木議員とはまた違った観点からちょっとお尋ねしたいと思います。  昨今の新聞報道で、政府の特殊法人が傘下につくった財団あるいは関連会社等の役員、職員が合計六万八千人に上る、本体の半分以上の人数に達している、こういう指摘がございました。特殊法人の定員を削減する努力が続けられてきたわけでありますが、一方で、別なところで膨らましていたんだという、こういう報道であるわけであります。  そこで、営団地下鉄でございますが、既定の路線を前倒しをして約五年後に特殊会社化を経て民営化をしていく、こういう政府の御方針である。この営団が基本財産の一部を負担し、常勤役員全員をOBで占め、従業員についても約二〇%をやはりこのOBで占めているのが財団法人の地下鉄互助会、こういう財団があるわけであります。この地下鉄互助会が、九七・六%出資のメトロ興業を初め、地下鉄トラベルサービスあるいはメトロフードサービス、はとバスに出資をし、そのうち三社については役員の中に互助会役員の兼任がいる、こういう形になっているわけであります。  さらにまた申し上げますと、別途に営団が一〇〇%出資の株式会社地下鉄ビルディングという会社がある。これは常勤役員全員が営団のOBです。また従業員の約七割がやはり営団のOBである。そして、新宿、渋谷、青山、赤坂でビルの賃貸しを行い、飲食店及び売店の経営等も行ってきた、こういうことであります。  この地下鉄ビルディングがさらに一〇〇%出資の会社が株式会社メトロ開発であり、あるいはその他出資会社としては地下鉄メインテナンス、先ほども出ましたが、メトロフードサービス、地下鉄トラベルサービス、シーアイ・メトロビル、こういった会社に出資し、役員も送り込んでいるわけであります。このメトロフードサービスというのは、地下鉄互助会と地下鉄ビルディングの両社で一〇〇%の出資、こういう勘定になっているわけでありまして、まさにネズミ講といいますか、がんじがらめの営団ファミリーが形成されているわけであります。  公的資金が投入されている政府系の特殊法人である営団地下鉄を頂点にして、それはいろいろ内部の事情はあるのでしょうが、本来他の民業に委託してもいい業務を取り込んで大きなファミリーを形成してきた。このことが果たして妥当であったのかどうか、大臣の御所感を伺いたいと思います。
  127. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員の御指摘と同じような状況がかつて国鉄の場合も、コバンザメとは言いませんけれども、ある意味では相互扶助なのかもしれませんけれども、そういう形の中で、何も民間に任せても、民間の競争原理の中で処理してもいいような仕事をそうじゃない形で次から次、孫から孫という形でやっていくということは、私は好ましいとは思っておりません。  そういうことでありますから、先ほどもちょっとほかの委員のあれにも私、申しましたけれども、ただ単なる数合わせをやるとか経営形態をただ単に変えるとか、そういうことが行政改革だとは私は思っていないわけでございます。やはりユーザーにとって、国民にとって利益になる、そうしたものをどうつくり出していくかということが行政改革でありますから、今委員御指摘のような問題につきましても、当然営団の民営化の中で私どもは検討させていただきます。
  128. 米田建三

    ○米田委員 最後に、一点お尋ねをいたします。  営団は、今約一兆円の長期債務を抱えている。主として財投、そして鉄道整備資金、これは無利子である、それからあと民間からも、この合計が約一兆円の長期債務、こういうことになっているわけであります。こういった大きな債務を抱えながら、これから民営化に向けての努力をされるわけでございますが、約五年後の特殊会社化の後のスケジュールがまだいささかあいまいな感じがするわけであります。健全な民営化に向けてどのような段階を踏まれるのか、最後に大臣から明確な見通しについて伺っておきたいと思います。
  129. 亀井静香

    亀井国務大臣 民営化の手続、委員がおっしゃったように大体七号線、十一号線の完成時を一応めどにしたいと思っておるわけであります。御案内のように、膨大な無利子融資等も財源にしながら建設実施しておるわけでございますので、また、そういう過程の中で今委員御指摘のような大変な債務も出てきておるわけであります。このあたりは、解決の方法がないわけではないといいますか、解決できると私は思っているわけでございまして、政府が株式を処分する過程の中で国家財政に、これは今市場の関係はわかりませんからどの程度寄与できるかは算定できませんけれども、そのあたりの財源もあるわけでございますので、膨大な債務を負ったままで民営化をさせていくというわけにはまいらないと私は思う。  御承知のように、国鉄は、二十七兆のそうした債務を棚上げしてああいう処理をしていくという形の中で民営化していったわけでございますけれども、私どもは、民営化した後健全な民間企業としてやっていける、その出発点はきちっとしなければなりませんし、その後の資金調達の面についても、これは営団地下鉄だげじゃなくて、全国の他の地下鉄に対して国がどうかかわっていくかという問題とも関連をいたしますけれども、そのあたりの措置もきちっとやって移行したい、このように考えております。
  130. 米田建三

    ○米田委員 以上で質問を終わります。
  131. 井上一成

  132. 赤羽一嘉

    赤羽委員 新進党の赤羽一嘉でございます。本日与えていただきました三十五分間、阪神大震災にかかわる案件に絞りまして、御質問させていただきます。  まず最初に、大臣御存じだと思いますが、ポートライナー、六甲ライナー、いわゆる新交通システムについて御質問したいと思います。  神戸は広大な埋立地、ポートアイランドと六甲アイランドがございまして、そこにかかっている新しいシステム交通システムを新交通システムと呼んでいるわけでございます。それの前に、阪神地域の鉄道は、実は北から阪急、JR、阪神というふうに並行して走っているわけです。我々の予想では、被害がひどかった南の方の阪神、JRが復旧が少しおくれるだろう、比較的北の方は被害が少なかったわけで、阪急の復興が一番早いのではないかという予想をしていたのですが、結果、現状を見ますと、阪神の方が早くて、今阪急が一番おくれている。これは恐らく、阪神は地べたの上を走っている部分が多くて、阪急は高架部分が多くてどうにもならないというような状況があると思うのです。  それを考えますと、ポートライナーにしても六甲ライナーにしても橋の上を走っている、これは本当は大丈夫なのかなというのをみんな感じているわけです。最近ようやく復旧のめどが八月を目途にという形で出ましたけれども、それまでは新交通のこの二つについては復旧予定立たずという形でして、ここの中央に届いていたかどうかわかりませんが、六甲アイランド、ポートアイランドに分譲マンションを買って、そこへ新しく居を構えた多くのサラリーマンなどは非常にパニックになりまして、陸の孤島になってしまうのではないか、今通勤、まだまだ非常に不便を来しているわけでありまして、六甲ライナー、ポートライナーについて、本当に復旧は一体安全なのかどうかということをまずこの委員会の中でできるだけ確認をしていきたいと思います。  まず最初に、橋脚の部分の被害状況を簡単にお知らせいただきたいと思います。
  133. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 ポートライナー、六甲ライナーが市民の足として大変重要な役割を果たしているというのは私ども十分認識しているところでございます。  今までの施設自体、これまでにあった最大規模の地震対応した施設ということでつくったわけでございまして、埋立地におきましても、かたい地盤に届くまでの非常に長い基礎ぐいを使用するといったようなことで、耐震性にも配慮してきたわけでございますが、今回被災状況があったわけでございまして、より耐震性の高い構造で一刻も早く復旧するということで、インフラの部分は道路をまず復旧するわけでございますが、より耐震性の高いものにするということで今計画をつくっているところでございます。(赤羽委員被害状況をお知らせください」と呼ぶ)被害状況といたしましては、現在、インフラの部分の落橋等がございまして、先生おっしゃいましたように、六甲ライナーの方は一応八月下旬に全線が回復するという状況でございます。(赤羽委員「ポートライナーの橋脚の破壊箇所とか状況を端的にお願いします」と呼ぶ)場所等でございますか。ポートアイランド線につきましては、三宮と中公園の間でけたが落下している、あるいはポートターミナルと中公園の間でけたずれ、それから全線で駅舎、橋げたの損傷がございます。六甲アイランド線につきましては、住吉駅でけたが落下、あるいは全線でやはり駅舎損傷、橋げたの損傷、それからアイランド北口駅北側でございますか、上り線のけたが落下しております。
  134. 赤羽一嘉

    赤羽委員 もうちょっと端的にお答え願えますか。  橋脚、いわゆる橋の部分が倒れているのか、壊れているのかということを聞いていて、私は現場を見ていますので、実際は壊れている箇所があるわけですね。橋脚は橋ですから、道路橋の示方書のガイドラインによっていわゆる関東大震災程度の耐震設計をされていると思うのですけれども、いわゆる新交通の、ポートライナーだけでいいです、その耐震設計なるものを教えていただけますか、安全基準というか。
  135. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 先ほど来申し上げておりますように、これまでにありました最大規模の地震に耐え得る、関東大震災クラスということを基準にしてつくられております。
  136. 赤羽一嘉

    赤羽委員 ちょっと質問に、何かこうぴんとこないのですけれども、私も専門家じゃないのでよくわからないのですが、設計水平震度というのですか、いわゆる立っている橋ですから、横揺れにどれだけ強いかという、その部分についてある程度の安全基準があるはずですし、これは今回は埋立地の上に立てるということで、その埋立地の上に対して特殊な安全基準が施されているのかどうかということを、御専門の方でいいですから。
  137. 栢原英郎

    栢原政府委員 ポートライナー、六甲ライナーの港の部分の大部分は臨港交通施設として設計されておりますので、私の方からお答え申し上げますが、橋脚につきましては〇・二八の水平震度を見ているということで、陸上の高架橋等と同等の設計がされているというふうに聞いております。
  138. 赤羽一嘉

    赤羽委員 〇・二二とかじゃなくて〇・二八なんですね。じゃかなり強いはずだった。これは、いわゆる今回埋立地で特に問題になった液状化現象なんかを考慮されてそれだけの強度にされているというふうな理解でよろしいのですか。
  139. 栢原英郎

    栢原政府委員 液状化現象が橋脚に与える影響につきましては、特に地中の基礎構造物の部分に影響するということで、これは先ほど鉄道局長がお答え申し上げましたように、かたい地盤までの基礎ぐいを打っておりますので、多分周辺の液状化対策はされていないというふうに思います。  今回橋脚が破壊をいたしましたのは、高速道路の壊れ方と全く同様でありまして、上部の重いコンクリートげた等の荷重が縦揺れの強い影響を受けて破壊をされたものというふうに見ております。
  140. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今お話にありました橋脚の構造のいわゆる基礎部分は、何というのですか、支持層というのですか、四十メーターぐらいまでコンクリートの支柱みたいなものを橋ごとに四本から六本打ち込んでいる。ところが、その橋脚台の基礎回りを見ていますと、液状化現象で深さ一メートル、幅五、六メートルの穴があいた状態が結構散見されるのですね。そういう中で海底に打ち込まれた支柱が本当に影響がなかったのかなということがすごく心配なんですが、恐らくこれも調査されているんだと思いますが、その調査の進行状況、わかれば。
  141. 栢原英郎

    栢原政府委員 現在、臨港交通施設部分、陸上部、建設省と運輸省といいますか、港湾管理者と共同して調査をしております。  橋脚の周辺に液状化によると思われる大きな陥没があるのは先生の御指摘のとおりでありますが、完全に液状化をいたしますと橋脚自体が立っていられなくなりますので、液状化の影響というよりも、むしろ荷重の影響で橋脚が破壊されているというふうに判断をしております。
  142. 赤羽一嘉

    赤羽委員 それで、ただ、昨日NHKのニュースなんかでも、液状化現象の側方流動により、例えば岸壁の護岸が破壊されたというようなことを結構センセーショナルな形で七時過ぎのニュースでやっておりまして、あれを見ていると、本当に地面が動いて構造物が破壊されているという現象を見まして、四十メーター打ち込まれている支柱が本当にすべて破壊されてないのかどうかというのは、かなり慎重を期して調査され、また必要があれば地質調査とかそういった専門的な調査をする必要が出てくるんじゃないかと思うのですが、その点、どうでしょうか。
  143. 栢原英郎

    栢原政府委員 現在、被害状況調査並びに復興の方法を検討するために、液状化を起こしたと思われるところではボーリング等の調査実施しておりますので、その結果を待って判断をさせていただきたいと思います。
  144. 赤羽一嘉

    赤羽委員 できれば、その調査がいつぐらいまでに出るかということを本当に地元の方たちに告知していただければということを要望しておきます。  大臣にこの点で聞きたいのですけれども大臣はこれまで新幹線の件についても、とにかく安全基準が大事だというふうにおっしゃられていました。あそこに住んでいる人は素人で、新交通というのは本当に大丈夫なのかと言っていることに対して、時間がかかっても調査してからやるんだという姿勢が大事だと思うのですね。その点について大臣の御所見を。
  145. 亀井静香

    亀井国務大臣 運輸省といたしましては、当初から、復興工事についてはそうした検討委員会の検討状況、これをしっかりと踏まえながら、そうした検討委員会の指導をいただきながら、復興する場合、今後どんな地震が発生するか神様でもわからぬわけですから、しかし今度の震災よりもうちょっと上のレベルのものにも耐えられるような、検討委員会が今後全国のそうしたものについてこうした耐震構造でやれという指示を出しても、それより上のレベルの設定でやっておれば問題がないわけでありますから、そういうことでやれということを厳重にこれは指示を出しておりますし、神戸市のそれにつきましてもそういう形で指導をいたしておるわけであります。
  146. 赤羽一嘉

    赤羽委員 そう言っていただけると、ポートアイランド、六甲アイランドに住まれている方たちもその方が安心だと思うのですね、拙速でやられるよりは。時間がかかっている、しかし、それは綿密な調査をし、だめなところは橋脚をかえてやるんだぐらいのことを意思表示していただけた方がいいんじゃないかと思います。  それで、じゃずっと調査していていいか、毎日会社に通わなければいけない、それこそ陸の孤島になるということで、恐らく代替バスの処置なんかもしていただいていると思うのですが、その辺の運行状況についてお知らせください。
  147. 高橋伸和

    ○高橋(伸)政府委員 六甲アイランド線の代替バスの運行状況でございますが、一月の二十四日、四両七十八便で運行を開始いたしております。その後、積み残し、乗り残し等も出てまいりましたので、二月十五日より十一両に輸送力を増強いたしまして、百九十九便、運行を一いたしております。これに合わせて、始発、終発時刻の延長も行っております。この措置により、六甲アイランド線については、十五日以降は積み残しはないというふうに聞いております。  ポートアイランド線でございますが、これも一月二十四日から五両、七十便で運行を開始いたしておりまして、二月五日には十一両、百六十八便に増強をいたしております。しかしながら、待ち時間あるいは滞留人員が相当出ておりましたために、現在、増便あるいは始終発の延長、それから三宮まで、現在は税関前まででございますが、三宮まで乗り入れようということで、現在検討中でございます。
  148. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今検討中と言われましたが、税関から三宮の駅までで、多分歩くと十五分ぐらいかかりますので、どうせなら三宮まで走らせていただきたいということと、やはりどうしようもない部分かもしれませんが、相当渋滞がひどくて、恐らく今ポートアイランドの人は歩いて一時間半ぐらいかけて、三宮に出て通勤しているケースが多いと思うので、何とかこの点の善処、増便でできるのか、道路規制もかけなければいけないのかは別にして、通勤の時間だけ特に御配慮のほどをお願いしたいと思います。  あと、今の代替パスで、今、三宮の駅周辺からJR、阪急、阪神の復旧駅まで出していただいていると思いますが、同じように、これは通勤の待ち時間、朝と夕方は特に二時間は最低待っているというような状況で、片道が本当に三時間、四時間かかって毎日会社に行っている。こういうのは看過しているのはどうかな。車両、鉄道の運搬量とバスのこの一台の運搬量というのはかなり違うのはよくわかるんですが、今以上の増便というのは、そちらの三宮から復旧のところというのはできないのかどうか、お答え願えますか。
  149. 高橋伸和

    ○高橋(伸)政府委員 神戸と大阪を結ぶ代替バスでございますが、現在、阪急、阪神、JR、三社合わせまして三百三両、一日約十七万から十八万人の輸送を行っております。  それで、きょうの午前八時のラッシュ時間帯でございますが、この所要時間を見てみますと、阪急、阪神、JRとも、ラッシュ時間ではありますが、大体順調に動いております。ただ、お客様の方は、三宮、住吉、御影で、やはり千人から千五百人ぐらいの方が待っておられるという状況でございます。  今、輸送力の増強ということでございますが、何分、車両をふやしましても、やはり車の回転が円滑にいきませんと、結局輸送力増強につながらない、こういうことでございます。現在、警察庁の方におきまして、新しい交通規制をやろうということで、今月の二十五日から復興ルートあるいは生活路線というものを指定いたしまして、バスを中心としたそういう復興関係あるいは生活関係の車両を優先して通そう、こういうことで現在進めております。その辺の状況、それから鉄道も西の方から少しずつできておりますので、その辺の状況を見ながら、渋滞対策、滞留のお客様の対策をやっていきたいというふうに思っております。
  150. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今言っていただいた二月二十五日からの生活ルート、こういうものの確保はすごく効果的だと思います。バスレーンというのを四十三号線で設定しただけでかなり、かかっている時間は順調に——待ち時間が圧倒的に多いということが今問題なんじゃないかなというふうに思うわけでありまして、その点、二月二十五日以後のさらなる改善というのを、あと一週間ですけれども、なるべく早目によろしくお願いしたいと思います。  あとバスの件で、ちょっとずれるんですが、実は一月二十六日の予算委員会、そして二十七日、小里地震対策大臣にも直接申し入れをしたんですが、ふろの問題が当初ありました。ゴルフ場のふろを開放してくれということで、今五十二のゴルフ場がふろを開放してくれているということで、本当にありがたい思いをしているんです。  それで、役所がというか、厚生省がというとあれですけれども、つくってきて、例えば東灘区の住民は三千三百人、ゴルフ場のふろに入れるとか、それで計一万五千人ぐらい入れるような形になっているわけです。じゃ、この東灘区り住民はどこのゴルフ場に行くようになるんだというと、いや、東灘区のゴルフ場じゃないですかなんて言うんです。東灘区にゴルフ場なんて一個もないわけでありまして、御存じのように、有馬とか、当然歩いてはとても行けないようなところのゴルフ場ばかりだ。その足の確保はどうなっているんだというと、厚生省は、いやわかりませんということで、いろいろ調べて、結果、運輸省でバスをボランタリーで五台出してくれている。  しかし、五台というのは余りにも、ボランタリーとはいえ、私、一度も見たことありませんわ、そのバスがどう機能しているか。せっかく出していただげるのであれば、何とかここはひとつ大臣から、バス協会幾つもあると思いますけれども、せっかくゴルフ場が開いているのに、ゴルフ場に行くと十人ぐらいしか入っていないという、こういうばかなことがあるのです。もう限られている、仮設ぶろとかできつつありますから、そんなに大変な量じゃないと思いますので、ここは一点お願いしたいと思います。
  151. 亀井静香

    亀井国務大臣 運輸省といたしましては、まずふろ場の確保ということで、旅館、ホテル等に協力を依頼をいたしまして、今無料という形で開放もいたしていただいております。また、今おっしゃいましたゴルフ場等が現在供用されておるわけでありますが、一応今私どもとしては五台、これはボランタリーでこれを実施をいたしていただいておるわけでありますが、これ以上ただで、もうちょっとボランタリーをふやしてくださいということは言いますけれども、私は、善意にだけ頼るというのはやはり対策ではない、このように思うわけであります。費用は国で見るわけでありますから、いろいろな形で、交付税で見る場合もありますし、やはり自治体がそういうことはちゃんとバス会社等に折衝して、有料でもいいからこちらに回してくれ、そしてそのお金についてはちゃんと支払う、それについて国が、交付税とか、今度の震災対策で膨大な金を自治体に出していくわけです。それに村山総理、絶対金に糸目をつけぬと言っておるわけでありますから、これは空手形に終わらぬわけでありますから、自治体は安心をしてどんどん借り上げたらいいと思うわけであります。  これはここで、本部といたしましても、県、市に対して指導をいたしておるわけでございますが、先生御指摘のように、状況改善されておらぬということであれば、さらに強力に、県、市に指導いたしたいと思います。
  152. 赤羽一嘉

    赤羽委員 県、市も泣いて喜ぶ強い発言だと思います。よろしくお願いします。  それで、被災者の生活ということで、今、旅館、ホテルを用意してくれた、これは私たちも申し入れました。特に高齢者、八千戸用意してくれと。実際はまだ七十戸ぐらいしか埋まっていない。これは、本当は時間があれば、どこに原因がありましたかというふうに大臣に聞きたかったんですが、実はこれは家財道具、全焼した家は別ですけれども、半壊とか半焼の家は家財道具がまだ家の中にある、壊れた家にある。それをほっといて遠くには行けないというのが、物すごい大きな、これが本当の原因なんです。これは余り国会では討論されてないんですけれどもね。だから不思議なんです。この本当に環境の悪い、今の何にもライフラインが通っていないようなところから離れがたい。それはもう家財道具を放置できないというような心理がやはり一番強いと思います。もちろん自分の生まれ育った土地というようなこともありましょうけれども、家財道具の問題というのがあるんですね。  これは神戸地区に、私が調べたところ、空のコンテナが二十フィートで七百個、四十フィートで三百五十個あいている。船主協会も、最初このコンテナを簡易宿泊所にしても結構ですよというような申し入れもあったやに聞いておりますが、このコンテナの利用、そしてもしくは海運倉庫、神戸はいっぱいありますから、そこのスペースも今相当あいていると思うのですが、その倉庫をトランクルームに利用するようなお考えというのは、大臣、ないでしょうか。
  153. 亀井静香

    亀井国務大臣 今委員御指摘のような被災者の方々の無理からぬ心理であろうかと思います。そういうものとの絡みで、この救援対策というのは地についた形で実施をしていかなければならない、このように思うわけであります。私は御指摘のようなことがあるのじゃないかと思います。  今おっしゃいました、じゃ家財道具をという問題でありますが、これもぜひ御研究をいただき、お聞かせをいただきたいのですが、そういうコンテナも、防湿装置だとかいろんな意味で、自分の大事な家財道具をコンテナの中に預けることについてのちゅうちょのお気持ちもやはり一方ではおありじゃないかという問題もあろうか。その場合に、高価な家具が破損した場合の責任の問題等もございますから、そのあたり私は、被災地の方々の意見を細かく集約をしながら対応していくことでないと、コンテナがありますから皆さん、と言ってもなかなかいかぬ面もあろうかと。このあたりひとつ地元でよく御承知でございますから、御意見を賜ればありがたいと思っております。
  154. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今の、どういったものを望んでいるかという調査をするということは大事だと思います。新進党もそういった形で第二次の提言として第一番目の項目で申し入れているはずでございます。  ただ、平常時と違いますので、トランクルームに預けたときとは全く違うと思いますし、そういったことは保証しかねるというような条件で出すということは考えてもいいんじゃないか。それと、仮設住宅が当たった人たちからやっていくとか、仮設住宅といっても六畳と四畳半でほとんどスペースがない状況ですから、仮設住宅に入っていく人たちからどんどんその家財道具を預けていくようなやり方もあるかと思います。  だから、何というか、その御心配が今あるのはもっともかと思いますが、アクションを起こしてみるということが今一番大事だ。政治は何もしてくれないんだというような思いが物すごく強い、現場では強い。だから何かしてあげなげればいけないというふうに思うわけでございますので、ぜひ実行をお願いします。  済みません、時間がきょうちょっと短くなっておりますので、最後に港湾関係、もう幾つか随分出ていると思いますが、港湾関係について残された短時間、質問をしたいと思います。  港湾関係についての費用の面では随分政府も御努力いただいていると思いますし、地元の方からも、神戸港湾というのは神戸の経済の四割を占めている、ここが立ち上がるかどうかが今後の雇用の問題、すべて神戸復興が成るかどうかだということで、神戸港湾について特段の御配慮をいただきたいという陳情が数多く大臣のもとにも届いていると思いますし、またその線に沿って御努力をいただいていると思います。  第三セクターの部分のことについてもきっといい結果が出るというふうに、本当は御質問をしたいのですが、そう確信しまして、一つお願いしたいのは、民間所有の岸壁というのが、実は貨物量でいくと四〇%民間所有だ。バースでいつでも二五%ぐらいが民間所有のバースになっている。典型的なというか、深江という一番東灘の南に神戸東部第四工区というところがございまして、ここにはこの前、農水大臣、視察に行っていただきましたが、食品コンビナートがある。この食品コンビナートは、いわゆる食品メーカーでいうと、明星、森永とか東洋水産、日本製粉、吉原製油というふうに、挙げていけば皆さんよく御存じの日本を代表する食品メーカーがコンビナートとして工場を持っているわけです。また同時に、そこには神戸の東灘高校とか公営の施設もある。市立プールもある。そういったかなり重要な土地なんですが、ここの護岸がやはり相当ダメージがひどくて、その食品コンビナートの関係だけでも損害が二百五十億円ぐらい出ておるという報告を聞いております。  今のままですと、民間所有ですから、公共施設の助成の対象にはならないという形になると思うのですが、民間で二百五十億というのは一簡単に言うようですけれども、とても立ち上がれないような巨額な損害でありますし、ここの食品コンビナートが機能しなくなった場合の影響というのは甚大なるものがあると思うのですね。運輸省だけじゃないと思うのですけれども一つは阪神地区の最大の食糧供給基地であるということなんですね。ここの部分を何とかしていただきたいということが一つ。  もう一つは、私がなぜそんなことを取り上げて心配しているかといいますと、きょうの本会議で、二年をめどに護岸を復興されるというようなお話がありましたけれども、二年かけているうちに玉が、物流がほかの港に流れるようになったとき、二年後には本当に神戸に、港は復旧したけれども、物流としての流れが戻ってくるかどうかというのが物すごく心配なことだと思うのです。  実際、神戸港の品目別にいいますと、さっき食品コンビナートの話をしましたので、ついでに言いますと、大豆が全国の輸入量の二二%が神戸港にあります。菜種は二四%、コーヒー豆が三三%、小豆は四〇%、カカオ豆二四%、小麦一六%。それぞれが入ってきて、あそこの製粉会社で小麦粉にされたりとかお菓子の会社でチョコレートにされたりとか製油会社で油を搾られたりとか、そういったことでそのウエートが大変高い。民間所有であってもその仕事の役割としては食糧供給基地という公の性質がかなりあるところだと思うのです。  この民間所有というのは、それぞれほかにも工区がございまして、それなりの重さというのがあるのですが、こういった民間所有の護岸に対する助成というのか、国としての何らかの措置をぜひ考えていただきたいと思うわけでございますが、その辺、御所見を。
  155. 亀井静香

    亀井国務大臣 今委員御指摘の問題が、今後ある意味では、あとはもうちゃんとしますから、一番大きな問題として私は残ると思っております。これについては、現在の所有形態のままでは、埠頭公社に対して今度措置をいたしますようなことはできないわけでありますから、問題は、今後市とそのコンビナートの所有者との間で所有形態をどうしていくかというようなことも、この際、埠頭を整備していくというグリエーティブなとらえ方の中で私は真剣に検討していただきたい。  ただ、今まで私が承知しているところでは、今までも、市に移管するとかあるいはしないとか、これは関係者の間で相当な経緯がございます。私はここでどっちがどっちなんて言いませんけれどもね。それをぜひひとつこの際は詰めていただいて、それによっては国として、今では低利融資しかできませんけれども、それ以上の実質的なてこ入れができる場合も出てまいりますので、それは関係者で協議をいただきたい。それを国が直接言ってやるわけにはまいりません。それを踏まえてできるだけ万全の処置をとりたいと思っております。
  156. 赤羽一嘉

    赤羽委員 お話もっともだと思いますので、しかるべき筋で上がってきたときには、運輸省を挙げて最大の応援をしていただけるようにお願いしたいと思います。  最後残された時間で、一つ心配していることを問題提起の形で質問したいのですが、神戸港というのは、私の認識でいくと、年間二百七十万本ぐらいですか、全国の三〇%ぐらいのコンテナを扱っている。これが随分この一月間で他に流れている。韓国の釜山港に流れているというような話も報道されておりますが、この点、この一カ月の状況を御報告願えますか。
  157. 平野直樹

    ○平野(直)政府委員 御指摘のとおり、神戸港はコンテナの約三割を取り扱っておる重要な拠点でございますけれども、この震災後、具体的にどのようにこれが回っておるかということを私ども調べました。ただ、時間がございませんので、一月の十七日から三十一日の間、この二週間につきまして、コンテナを取り扱っておる千社のうち主要十一社に対してアンケート調査を行ったわけでございますが、横浜港に約四七%、東京港に約二一%、大阪港に約一九%、この三港でほとんどでございます。なお、釜山港につきましては、約三%というような結果になっております。
  158. 赤羽一嘉

    赤羽委員 もう時間がないのであれなんですけれども、要するに、神戸というのは関西経済圏でありますから、これが東京や横浜に流れてまた陸送で持ってくるということは、きっとそんな続くものじゃないと思うのですね。ただ、コンテナバースとかガントリークレーンの設備を見ますと、大阪はかなり貧弱だ。西日本地方港といっても、それは全然けたが違うくらい。これは、本当に言って、名古屋は恐らく能力的にも飽和状態ぐらいに今入っているんじゃないか。これは余り楽観視せずに、かつ関西経済圏が本当に復興できるような自力を残しながら、この二年間かけてというか、二年間以内に必ず神戸復興について御留意していただきながら、最大の努力を払っていただきたいと思いますので、最後、その決意だけ伺わせていただきます。
  159. 亀井静香

    亀井国務大臣 御指摘のように、一刻も早く、しかも、復旧じゃなくて国際港としての復興をやらなければならないと思っておりますので、委員からも今後建設的な御助言をいただきたいと思います。
  160. 赤羽一嘉

    赤羽委員 ありがとうございました。
  161. 井上一成

  162. 樽床伸二

    樽床委員 新進党の樽床伸二でございます。大臣の所信にかかわりまして、未曾有の大惨事でございます阪神大震災に絡みまして御質問をさせていただきたいと存じます。  まず、先ほど来より、我々の同僚議員からさまざまな、大所高所から、また細部にわたりまして質問をさせていただいておりますので、できるだけダブらないような形で御質問をさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げたいと思います。  まず、私ごとで恐縮でありますが、私は、我が党の現地対策本部の担当ということで、神戸にも何度も何度も足を運んでいき、特に大阪選出ということもございまして、大阪から電車に乗り、そして一般の人と同じように代替バスに並び、そして現地へ行く、そして現地では歩くということをずっと繰り返してまいりました。阪神電車等々に乗っておりますと、これだけひどい被害に遭った、その線路をここまでよく引っ張ってきたものだなということで、改めまして、皆さんのまさに不眠不休のその努力に心から敬意を表する次第であります。  しかし、御存じのように、半ば公共施設でございます鉄道ということに関しましては、それについて莫大な被害がかかっております。この状況に対しまして、現在の法律によりますと鉄道軌道整備法、これによります補助があるということでありますが、私が大臣に申し上げるまでもなく、現在のままで果たしていいのか、今回の災害におきましては、適用条件が現在のままで一〇〇%当てはまるというように私は思えない。そしてまた、補助も国が四分の一、地方自治体が四分の一。これだけ被害に遭った自治体に四分の一の負担ができるのかということは私は甚だ疑問であります。  そういった点につきまして、適用条件の緩和そしてまた補助率の引き上げ、そういったこともお考えになっているのかどうか、再度お聞きしたいと存じます。  あわせまして、開銀融資の点につきましても、金利の問題、いろいろ言われておるところと思いますが、超々低利ぐらいの思い切った決断をいただくことができるかどうか、そういった点、あわせてお尋ねをしたいと思います。
  163. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員御指摘のような大変な被害でございます。これについて一刻も早く、耐震性を十二分に考慮した形での復興工事が開始をされて、それぞれ開通をさせなければならぬわけでありますが、それについては、委員御指摘のように、鉄軌法ではこのたびはほとんど適用できないわけでございます。これは省令を改正をいたしまして、全部フォローできるようにいたしたいと思います。  ただ、その四分の一をもうちょっと上げろというような御趣旨ではあろうかと思いますが、このあたりにつきましては、私どもといたしましては、自治体の財政力、そういうものを見ながら、またその自治体が将来復興に必要な財政負担、そういうものも全体でにらみながら、直接の補助は例えば四分の一であっても、迂回といいますか、自治省経由で措置をできる工夫もやれるわけでございますから、そこでできるだけ自治体の負担が少ないようにしたいと思います。  また、私鉄につきましてはそれぞれ希望がございます。阪急は、これは低利融資で、補助金はあれしたいということを言っておりますから、そこについては低利融資でいきたいと思いますし、阪神等については、これは両方の組み合わせという形になろうかと思いますが、これらにつきましても、私どもとしてはできるだけ利率等についても努力をいたしたい、このように考えております。
  164. 樽床伸二

    樽床委員 まさに、関係者の皆さんが本当に不眠不休の努力をされて現在まで来られてきたわけでありますので、ぜひとも、大臣のリーダーシップのもとでよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  そこで、先ほど来より何度も話題になっております港湾のことについてであります。  確かに、鉄道の復旧ができたといたしましても、いかんせん鉄道というのは、乗る人がおられて初めて成り立つものであります。鉄道そのものを引くだけでは、これは何ら今後の大きな発展には結びつかない。乗る人、つまり神戸そのものが再度大きく発展をしていかないと、これはどうにもなるものではない、こういった認識を持っております。その中で、先ほど来から出ております港湾の問題というのは、まことに大きな比重を占めるわけであります。  先ほどから同僚の米田議員の方からもお話がありましたように、近年、災害がなくても、我が国の海運業界がどうもちょっとカーブがおかしくなっているのじゃないか、こういう御指摘もあったわけであります。そして、大臣から本会議の中で、二年という非常に明確な期限も宣言をされましたし、十五メーターの深さを持つものをつくる、こういったはっきりとした宣言もあったわけでありますが、しかし、先ほど来からの質疑の中で、外国の港湾におきましては、我が国が用意する以上の数があるとか、そういった問題も多々ございます。そういったことで、その十五メートルのものだけ、それだけでは当然対処できないわけであります。  そして、先ほど来から言われておりますように、二年間の間でも、一度その物流が変わってしまうと、これは固定をしてしまう、それがまた帰ってくるためには、以前よりもさらに魅力がなければ帰ってこないわけであります。一度でき上がったものを、また神戸復旧したからまた帰ろうや、そういうものではないわけでありまして、そうすると、現在以上の魅力も神戸港につくっていかなければいけない。そういう中で、先ほど御指摘がありました十五メートルのバースだけではなくて、ハードソフトあわせて、神戸港がより魅力のあるものにしていかなければいけない、私はこういった感じを強く抱いております。  ただ、議員の方から規制緩和の問題につきましてもお尋ねさせていただきましたように、いろいろ公正取引委員会の調査等々、報告書等々にもありますように、これはいろいろな価値観の違いがありまして、一概にばさっといくわけにはいかないとは思いますが、そのさまざまな規制によってなかなか身動きがとれないというような状況もある、こういったこともあります。神戸のフェニックス計画の中には、きょう橋本大臣が本会議の中でお答えになっておられましたけれども、フリー・トレード・ゾーンを港につくったらいいじゃないか、こういうきょうの通産大臣の御意見はちょっと玉虫色のような感じがしたわけでありますが、そういったことにつきまして、港ということもありますので、運輸大臣のお考えもお聞きしたい。  また規制緩和について、先ほど必要なものと不必要なもの、こういうお話がありましたが、さらにもう少し突っ込んで御見解を賜れたらな、そういうような思いがいたします。  そして、ハードにおいても、十五メーターバースに限らず、ほかにどういうものをお考えになっておられるのか、またお考えになるつもりであるのか、そして神戸の港の将来ビジョンをどういった形でつくっていこうとされておられるのか、あわせてお聞きをしたいと存じます。
  165. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員御指摘のように、ただ復旧をすればいいというものじゃございませんので、国際港神戸港を新たにクリエーティブな形でつくるというような気概を持って取り組んでまいりたいと思います。  それには、先ほど言いましたような十五メーターから十六メーターのそうした大型のバースも、もちろん今五つ現時点でやりたいというふうに決めておりますが、それだけではなくて、上屋の問題とか、あるいは荷揚げに関するいろいろな諸設備をもっともっと近代化をしていく問題、あるいは荷が揚がった後の陸上輸送のアクセスの問題もございます。そのあたりを有機的、効率的な形でこの際整備をしてまいりたいと思いますので、それに対する基本的な計画というのを、やはり市がお役人の発想だけじゃなくて、そうした民間の関係の業者の方々と一緒になってどうしたらいいかという形で青写真をつくっていただきたい、それに対して運輸省としてはきっちりとこれはコミットしていきたいと私は思っております。あくまで、運輸省はお仕着せの、おまえたち、こういうものをつくれみたいなことではいかぬわけでありまして、地元の方々のそうした創意工夫、これは十分発揮をしていただくというのが前提であり、それに対して国としての助成措置というのはあとう限りやってまいりたい。  これは、今までのことにとらわれるなというのが村山総理の姿勢でありますから、そういう強いリーダーシップのもとで、我々はけっ飛ばされながら一生懸命対応しておるわけでございますので、今後とも、委員何かいい方法があったらぜひひとつお聞かせ願いたいと思います。
  166. 樽床伸二

    樽床委員 規制緩和のことにつきましては、先ほど高木委員の方にお答えになっておられますので、殊さら再度ここでしつこく言うつもりもございませんが、日曜日は荷揚げができないとか、いろいろなことが世間で言われております。関西新空港は二十四時間の、三百六十五日の空港でありますし、ハブ港湾といたしましては、同じような形態をとるというのが国際競争力の、すべてではございませんが、一つの要因でもあるだろうというふうに私は思っておりますが、担当が違うということかもわかりませんが、もし御感想がございましたら、一言お願いいたします。
  167. 亀井静香

    亀井国務大臣 別な委員の方にも申し上げましたけれども、不合理な規制とか手続というのは思い切って撤廃をすべきだ、私はこのように考えております。港に関するいろいろな規制につきましても、現在鋭意検討をしておるところでございますので、今委員が御指摘の港をめぐるいろいろな問題、縄張り根性で運輸省のことだけということじゃなくて、他省庁の共管の分を含めて検討をしていきたい、このように考えております。
  168. 樽床伸二

    樽床委員 港のことにつきましては以上で終わらせていただきたいと思います。  実は今回の災害は、軍神戸だけにとどまらずに、関西経済に非常に大きな打撃を与えておるというのは当たり前のことであります。そういう中で、私が大阪選出ということもございますので、どうも地域エゴということを言われがちでありますので、実は余り言いたくないわけでありますが、しかし国家的な見地からしてどうしても必要であるというふうな確信、信念を持っておりますので、関西新空港のことにつきまして御質問をさせていただきたいと思います。  今申し上げましたように、非常に厳しい打撃をこうむりました関西経済、この関西経済に一つの大きな光明を与えるのが関西新空港のさらなる建設促進ということであろうというふうに私は思っております。あわせまして、関西新空港の開港、新空港というハードそのものをつくるということだけではなくて、実はそれに派生する、それを契機として関西経済がそのハードをいかにうまく使っていくかということに官民挙げて取り組まなければいけないということであります。しかしながら、民間はどうしても利益というものがございますので、はっきり決まっていないことに本格的に乗り出すということはなかなかできないわけでありまして、新空港の全体構想が必ずできる、こういうことがはっきりすれば、それを前提に民間も一生懸命計画をつくり、やっていくということになるわけでございます。  そういった前提におきまして、まず関西新空港でありますが、御存じのように、株式会社方式というこれまでにはない形態でやっております。我々関西の者からいたしますと、こういう場所で言うのが適当かどうかわかりませんが、なぜ東京は公団であり、関西は株式会社なんだ、こういう非常にひがみにも似た我々の気持ちがあるのも事実であります。これは気持ちの問題でありまして、どうのこうの言うつもりはございませんが、そういった中でも大変よく頑張っておるというふうに私は思っております。毎日二億円の利息がかかるというような中で運営をいたしておりまして、今後、その収支の見通しを運輸省としてはどのようにお考えになっておられるのか。  そして、さらには来年度予算で大変御配慮をいただきまして、着陸料の値段が下がる、こういうようなこともありまして、大変深く感謝をいたしておるわけでございます。そういう中で、しかし、それだけで終わるのではなくて、さらなる何か御支援の具体策をお考えになっておられるかどうかということをあわせてお聞きしたいと存じます。
  169. 亀井静香

    亀井国務大臣 私どもは、関空がまさに官民一体となってやったという一つの大きな象徴的な形態であると思いますので、これは昔から大阪は商人の町、東京は役人の町ということが言われるわけでありますが、そうした意味では、私は、今後とも関空建設につきましては、そろそろくたびれたから、お上に全部預けるから、そっちでやってくれやという姿勢はぜひお持ちにならないようにお願いしたい。我々は、これは今の滑走路だけではハブ空港としては万全ではない、あと二本の滑走路はどうしても国家的なプロジェクトという観点から仕上げていきたい、このように考えておるわけであります。  財政負担の問題にいたしましても、今の関空会社の収支状況を見ましても、これは大変な状況であることは明らかでありまして、次の二期工事についてはまだ別な一つの工夫をしなければならない、このように思っておるわけであります。しかし、関西の地元が、今おっしゃったように、もうお上へというようなことであれば、何も関空にしなくても神戸沖という手もあるわけでございますから、向こうが熱心でございましたら、そちらを地方空港から国際空港整備し直すという方法もあるわけでございますから、ここはぜひ大阪の財界を含めて、今まで同様国と一緒になってやるという姿勢でひとつ頑張っていただきたいと思います。
  170. 樽床伸二

    樽床委員 ちょっと誤解があったら恐縮でありますが、決して大阪の経済界がもうやらぬから全部やってくれということではないわけでありまして、もちろん官民挙げてやらなければいけない、こういうことでありますが、私ども一抹の、私の杞憂に終わるかもわかりませんが、この震災の経済状況の中で若干の、杞憂に終われば幸いでありますが、一刻も早く経済の復興も果たしていかなければいけない。こういう中で、全力で官民挙げて努力をするように、我々も側面から全力で応援をしたい、このように思っておりますが、ぜひとも第七次空整の中で全体構想の着工ということが、これは我々の関西経済挙げて、これはひいては日本経済のためになる。先ほど大臣もおっしゃいましたように、大阪と東京だけではおそらく足らぬだろう、こういう将来の需要予測もされたところでありますので、そうすると、その第一歩であるわけでありますから、第一歩でつまずくと二歩三歩と歩んでいけないというのは、これは当たり前の話でありますので、ぜひとも早急な検討をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  実は私いろんな質問を用意しておりましたが、先ほど冒頭に申し上げましたように、同僚議員の方とダブる質問を何度も何度もするのは大臣に対してまことに失礼であろう、このように思っておりますので、最後に一点だけ突発的な質問で申しわけございませんが、お聞かせをいただきたい。  実は、本日の本会議の席におきまして、村山総理の、初めてのことであったので云々という、主語の問題につきまして、私どもの二階議員の方から質問がありました。  村山総理は、自分自身の主語は自分自身ではなくて地域の方々である、こういうことをはっきりと本会議の中でおっしゃったわけでありまして、私はその言葉を改めて聞きまして、驚きというかそういうものを私は感じたわけであります。  内閣の責任者といたしまして、一国の責任者といたしまして総理がすべて一人で全部のことができる、こんなはずはないわけでありまして、それぞれの所管の大臣の方々、責任者の方々が全員で努力をされる、その象徴として総理がおられ、これは昔の軍隊でいいますと、軍隊と余り言うのもどうかと思いますが、ちょうど一番トップであるわけです。そういった方の言動といたしましては、私はいかがなものかということを感じたわけでありまして、いいことはいい、そして謝るべきことは謝って先に向かって歩いていかなければいけないという信念をお持ちの大臣といたしましては、その点につきましてきょうの総理の発言に対してどのような感想を持たれたのか、一言お聞かせをいただきまして私の質問を終わりたいと存じます。
  171. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、総理のその発言、当時議場の中で聞いておりました。  私は、総理があのとき言われましたのは、前後の脈絡等からいいまして、早朝のこともあり、初めてのこともありというお言葉は、私は、何もそれで県の対応だとか市の対応は悪かったとか被災者の方が悪かったという、責めるつもりでおっしゃっているのじゃない。そうじゃなくて客観的に、やはりもう初めての経験、早朝のこともあって、皆が全力を挙げて緊急事態に対応をしたけれども、客観的に見ると、それは現場においてもそれは混乱もあったであろうということをおっしゃったというように、私は最初のときにそのように受け取っておったわけでありますから、それを別な形でとって総理を責めまくるということは、私はいかがなものであろうか。  私は、二階君は、議員は、私は非常にすばらしい議員であり、尊敬もしておるわけでありますから、—————————————————————あの人は立派な方でありますけれども。やはり私は、言葉じりをとって人を責め立てるということは、私は政治家同士でも余り私はやるべきじゃない。そうじゃないということを言っておられるし、それは二階先生以外にも、私も同じ人間で同じ場で聞いておって別な受けとめ方をしておるわけでありますから、それについて総理がはっきりと言っておられるのであれば、そうですかと言うのが私は政治家同士のことではないか。また政党としてもそうじゃないかな。余り言葉じりをとって——————責めまくるというのは、私はどうかなという感じがするわけであります。——今私は注意して発言したつもりでありますけれども、そういう言葉が不穏当であるとすれば、その点は取り消しをさしていただきます。  私が申し上げている趣旨というのは、やはり政治家が確信を持って言っていることについてはそれなりに正面から理解をしていただきたいという意味で申し上げたわけでございますので、不穏当であれば取り消しをさしていただきます。
  172. 樽床伸二

    樽床委員 とにもかくにも現地の方々は大臣の強力なリーダーシップを大きく期待をして待っておられるというのが、これは偽らざる事実であります。そういった方々の期待を裏切らないようにぜひとも、我々も今、与党と野党とかそういうことじゃなくて、復興のために挙げて努力をしよう、こういうことを申し上げておるつもりでございます。そういった点で、我々もできる協力は最大限をさせていただきたい、こういうふうに党を挙げて考えておりますので、ぜひとも御努力をいただきますように心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  173. 井上一成

    井上委員長 寺前巖君。
  174. 寺前巖

    寺前委員 時間が少ないようでございますので、端的にお聞きをしたいと思います。  今度の阪神・淡路の災害をめぐって国民の間には幾つかの、それまでの政治的対応についての質問が出ます。  一つは、アメリカでロスの地震とかあるいはサンフランシスコにおける地震とか大きな大地震があって、日本からも調査団が行っているじゃないか、それにもかかわらずそれを、日本にもしも起こった場合にはどうなるかということで検討がされたんだろうか、されたとしたならば今度のことについてはどういうふうに見たらいいんだろうかという疑問が一つは国民の中にあります。  それからまた、あの神戸を中心とする地域にああいうことは予測をしていなかったんだろうか。ところが、地震の予知連絡会の方では、向こう二十年から三十年の間にマグニチュード七というクラスのそういう地震が起こる可能性を持っている、そういう地域については特別なそういう監視地帯として対応していかなきゃならないというものが一九六九年ですか、出されている。あれから二十六年たっているんだからまさに的中してきているじゃないか、その間に何をやっていたんだろうか、こういう疑問が私は一般的に出ていると思うんです。  これに対して、当時大臣をおやりになっていたわけじゃございませんので、今にして思えばこれについてどういうふうにお考えになるのか、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  175. 亀井静香

    亀井国務大臣 このたびのような大変な被害が発生をしたということに対しては、私はやはり政治家として、この私も十六年ばかり政治家やっておるわけでありますから、政治家としてやはり責任を感じるわけであります。  大自然の大きな営みの中で、我々が生かされている存在だ、そういうことに対して常に我々は謙虚に政治に対しても行政に対しても取り組んでいかなければならない、こういうことを改めて私は痛感をするわけであります。  新幹線につきましても、四十二年から四十七年に建設をしたわけでございますけれども、恐らく当時の関係者は、日本列島を過去襲った最大級の関東大震災、こういうものが襲っても十分耐えられるという、そうした確信に基づいて耐震設計をし、建設をいたしたというように私は思っておるわけでございますが、しかし、結果としてこういう事態になったわけでございまして、天災は上限が予測できるものではございません。そういう意味では、耐震構造をどこまでにすればいいのかということは非常に難しい問題が現実的にはあろうかと私は思います。しかし、やはり過去のそうした経験、資料、データその他から、相当の余裕を持って、そうした鉄道あるいは建物等の建設というのはやる、そうした自然に対するおそれの気持ち、そういうものをやはり我々は今ここでもう一度かみしめなければならない、このように痛切に感じております。  それを政治家としてこの十六年間、そういうことに対して、では常時点検をしていくというようなことを含めて万全であったかどうかということについては、責任を感じるわけでもございます。
  176. 寺前巖

    寺前委員 きょう本会議で、大臣は、復旧でなくして復興に取り組むんだと、声高く問題の焦点を指摘なさったと思うのです。私はこれは非常に大事なことだ。とすると、日本列島というのは地震列島だ、こう言っても過言でないと思うんです。地震をとめることはできません。だけれども被害を最小限に食いとめることができるんだという立場を復興という言葉でお使いになったんだろうと私は素直に聞かしていただきました。  そうすると、今現実の生活の中で、あそこの地域におけるところのJRとか私鉄とか、盛んに復旧工事をやっています。しかし、日本列島全体が命改めてあれを見たときに、復興という角度から見た場合には、これをどういうふうにこれから処理していかれるのか。単なる復旧ではだめなんだ、復興なんだ、復興という道はどういうふうにしてあそこでおとりになるのかお聞きしたいと思います。
  177. 亀井静香

    亀井国務大臣 今、松本委員会が現地に三日間入りまして、相当時間をかけましての検討もいたしました。JRの技術陣が東日本からも東海からも参りまして、そうした崩壊をした原因、今後の耐震の問題について調査検討を今やっておるわけであります。私どもとしては、何月何日までに結論を出してくれ、こう申し上げるわけにもまいりません。と申しますのは、やはりこの際徹底的な検討をやっていただく必要がある。今委員の方々、いろいろな仕事をやっておられる方でありますけれども、そういう仕事を放てきをして昼夜この問題に時間をお割きいただいてやっていただいておるわけでございますから、何月何日までというわけにはまいりませんけれども、早急にできるだけ結論を出していただきたいということをお願いしておるわけであります。  問題は、結論がきちっとある程度出た段階で工事を再開をするのが私は理想であろうと思うわけでございますけれども、やはりJRの新幹線も大動脈でございます。そういう意味では一日も早い復興をしなければならない。その二つをどうやって可能にするかという問題でありますが、運輸省としてJRに指示をしておりますのは、検討委員会から今後日本列島新幹線建設について、こういう耐震基準でいくべきだというような一つの新しい基準ができてもまたやり直しをする必要がない、だから相当高いレベルの、このたびの震災以上の高いレベルを目線に置いた、そうした復興工事をやれ、そうでなければだめだということを言ってまいったわけでございます。  そういう意味では、具体的に今やっておりますのは、鉄板を支柱に巻く、今そういう工法での復興工事をやっておるわけでございますので、検討委員会のメンバーの方々は、今やっている方法であれば今度の地震程度、あるいはそれ以上のものでも、若干のあれはございますけれども、大丈夫だという御判断もいただいておるような状況でございます。  したがいまして、私どもは何月何日までに開通をさせなければいかぬ、そういう開通まず先にありきということは絶対やってはならないということを当初から指示をいたしておるわけでございます。
  178. 寺前巖

    寺前委員 今度の震災状況を見て、それ以上のものを余裕を持ってやりたいというんですから、それは少なくとも震度七以上のものに耐えられるというものとして考えていきたいというふうに私は理解したんですが、間違いなかったならば次へ進めさせていただきます。よろしいでしょうか。
  179. 亀井静香

    亀井国務大臣 そのとおりでございます。ただ、委員承知のように、震度の判定というのは、現在人間の体温をはかるような形では測定できないわけでございますから、相当な幅を持って判断をしなければならないわけでございますので、できるだけうんと上限の幅を持たせてやるように指示をいたしております。
  180. 寺前巖

    寺前委員 そこで、私は次に、気象庁の問題について、自分が感じた問題で質問をさしてもらいたいと思うんです。といいますのは、ちょうど私の住んでいる地域でも、私の家もかわらが落ちるし、灯籠が倒れるということがありました。私は、朝電気がつかないし、ガスはつかないし、テレビはつかないし、情報をどうしてとろうか、結局ラジオだ、ラジオは電池を入れんならん、さあ電池が、そんなの準備してない、慌てて時計から引っ張り出したりして、結局八つの大きな電池をつけてラジオから聞くことができました。  その情報を聞いた最初のときに、大阪は震度四だ、京都は震度五だ、神戸の方が穴と、こう出るわけです。ああそうか、相当ひどいことが起こっているのはあっちの方だな、それはまあ感覚的にわかりました。淡路島の話は出ませんでした。私は自分の仕事の関係もありましたので、早速山越えで現地の方へ行きました。だから私の念頭からは、大阪というのは四なんだから全然念頭にないんだというふうに頭から決めてかかっておりました。ところが、後から見ると、私、随分責められました。あんたは神戸、西宮、あっちの方ばっかり行くけれども、大阪を何と心得ているんだ、西淀で液状化現象が起こって堤防がこうなったよとか、まあ次々に言われました。私自身も頭の中の切りかえを必要としました。  そこで調べてみたんです。震度計というのはいろいろ配置するけれども、情報の元になる震度計は一体どこにあるんだろうか。京都には京都測候所がある、大阪には大阪の管区気象台のところにあります。あそこは非常に岩盤の強いところで余り震度に影響ないらしい、そういう話も聞かしていただきました。そうすると、結局大阪にはそこにしかないんだ、だからそこの判定だけで大阪を律することができるのか。  そこで不信が生まれたわけなんです。大阪の西淀の諸君とか豊中の諸君たちはあの情報というのはインチキなものだ、自分らの現に受けている、屋根が落ちてくる、つぶれていく、そういう事態と全然違うじゃないか、何が四だ、こういうことになってきた。  私は改めて大規模地震というのか、あるいは直下型地震というのか、どういう体制になっているのだろうかというので、気象庁の方がお出しになっている「地震と津波」というこの本をいただきました。これを見ると、「東海地域常時監視」というところでは、大規模な地震の直前の前兆現象をとらえるために、地震、地殻変動、その中には地殻岩石ひずみとか伸縮とか傾斜とか、それから地下水、潮位など、延べ百三十三項目にわたる観測網が整備されている、こう書いてある。  ところが、東海地域というのは何かというと、観測強化地域というふうに地震の予知連の方では位置づけている。この近畿のこういう地域については特定観測地域なんだ、ちょっと違うんだ。違う地域についてはどうなんだと聞いてみたら、このうちの地震の点についてだけやっております、こういうわけだ。  それなら、地震の点についてどういうふうにやっているのかという資料をもらったら、北海道で計測震度計をつけているのは二カ所だ、秋田の地域においては三カ所だ、宮城、福島の方面では七つ、新潟県では五つ、長野県では四つ、名古屋、京都、大阪、神戸地域は十三カ所、島根県東部で三つ、伊予なんとかでは九、こういうふうに書いてある。細部にわたって見ると、なるほど大阪に一つあるだけだ、こうなる。私は、こういうことでは、向こう二十年から二十五年、非常に危険な段階に来ているよという指摘があるのにもかかわらず、指摘どおりの方向についての検討がこれでされていたというふうに言えるのだろうか。  私はそこで疑問に思った。だから、もう少し細部にわたって震度計を配置しなければいかぬのじゃないだろうか。あるいはまた、ひずみ計その他も準備しなければいかぬのじゃないか。地震列島というのだからこういう内容について検討してもらう必要があるのじゃないだろうか。私の体験から感じた一つはそのことなんです。だから、特定観測地域と言ったけれども、それにふさわしいことにはなっていないのじゃないだろうか。  あるいはまた、今度地震が起こってから特別に機動班が出てきて、そして四カ所に常置されました。これは後からの話。しかし、その人たちは必死になってやってくれて、十七日じゅうには入り込んでくれています。私は感謝しますけれども、本当にもう少し管区の体制としては、そういう体制自身も管区ごとに置かなければいかぬのじゃないだろうかということを感じたのが一つ。  それからもう一つは、今度のことを通じて淡路島の問題がいつも問題になります。山の中腹にあるところのあの測候所、あれは人がおらぬようになっている。人がおらぬようになって、その人が飛び込んでいって初めて連絡をして報道するようになった。人がやはり最終的に決定をしていくということが情報の根源になるのじゃないだろうか。機器を強化することは大切だけれども、機器がどういう事態になるかという監視は人がやらなければならぬのだから、人の命にかかわる問題は最終的に人が責任を持つ体制というのは、気象の分野では外してはならないのじゃないだろうかということを私は体験から感じました。  そこで、最近ここ二、三年の釧路沖地震や北海道南西沖地震や北海道東方沖地震を見ると、私はその当時の地域の新聞を読みますと、機械がうまく動いていずに何分おくれになったという報道が全部出ておる。私はますます確信を深めたと言えばおかしいけれども、人が最終的に決めるものではないだろうかということを強く感ずるものなのです。  ところで、気象庁の出しておられるところのニュースを見ると、ニュースにもそういうことが書いてあるのです。気象庁のニュースの平成三年四月二十五日号にこう書いてあるのです。「我が国における震度観測は一八八四年「地震報告心得」に基づき組織的な観測が始められた。以来、震度は原則的に人間の体感や周囲の状況等から決定され、地震動の強さを総合的かつ簡便に表現できる量として、防災応急対応の情報として、また、地震学、地震工学の分野でもきわめて重要な情報として活用されている。」原則が人だということは、最近の気象庁の総務部総務課が発行しているニュースにも載っている。僕は、専門家だったらそういう結論をお出しになって当然ではないだろうか。私は、この二つの点を自分の体験からはっきりしてほしいなということで、もう時間がありませんので、大臣お願いしたいと思います。
  181. 亀井静香

    亀井国務大臣 私は、委員が御指摘の、予知は直下型についてはできませんけれども地震が発生をした場合の強度の把握、情報として強度を把握する場合には、やはり地震計が日本列島のあちこちにきちっと設置されてそれが機能することが大事だ、このように私は思います。  ただ、その場合、委員が御指摘のように全部有人化するということは、事実上やはりこれはいろいろな問題がございますので無理と思いますが、その地震計が今度もぶっ壊れたところがあったわけでもございますから、それを常に整備をして、今はそれが自動的に気象台等に入ってくる形になっておるわけでございますが、常時その機械を点検をしてきちっと作動するという体制をとらなければならない、私はこのように考えております。  あともう一つ何でしたか。
  182. 寺前巖

    寺前委員 細かく震度計を配置されない。
  183. 亀井静香

    亀井国務大臣 ですから、それは今申し上げましたように、細かく配置する必要は、被害をとにかく最小限に防ぐためにはやはり初動が必要なわけでございますから、そのときにはやはり地震の規模を的確に把握することが前提でございますから、そういう意味では、今後そういう面について努力をしてまいりたい、財政当局にも今後要求をしてまいりたい、私はこのように考えています。
  184. 寺前巖

    寺前委員 時間が来たようで終わりますけれども、私は改めて、震度計が全部連絡方法が切れて何分おくれになったという事実が最近の事実として出ている以上は、あのときに人が派遣されなかったらいつまでも放置されたことになる。情報が基礎になるから、したがって、それはぜひ検討していただいて、そのことが、完全に乗り切ることができるという保証がない限りは、私はすべきではない。やはり能力の限界というものを見分けなければいかぬということをあえてもう一度御検討いただくことをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。——何かございますか。
  185. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほど申し上げましたように、地震計の設置を含めて、そうした観測体制は強化をしてまいりたいと思っております。
  186. 寺前巖

    寺前委員 保ありがとうございました。      ————◇—————
  187. 井上一成

    井上委員長 次に、内閣提出船員雇用促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木義明君。
  188. 高木義明

    ○高木(義)委員 ただいま上程されております船時法につきまして、基本的には賛成の立場で以下質問をさせていただきます。  まずは船員雇用につきましては、もう御案内のとおり、円高あるいは景気の低迷、そしてまた漁業者におきましても資源の枯渇、あるいはまた輸入物の拡大、こういうことがありまして、大変雇用の面でも厳しい状況が続いております。特に中高年層の従業者が多い業種でございますので、私どもとしては、こういった海運界あるいは水産界の中での船員雇用については非常に関心を持ち、また将来を懸念しておるわけであります。したがって、そういう意味で、現下の船員を取り巻く雇用状況、これについてどのように御認識をされておるのか、お尋ねをしておきます。
  189. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員御指摘のように、極めて深刻な状況にあるということを、年々私どもは感じておるわけでございます。また、そのことが、この日本籍船の国際競争力の問題を含めて大きな影響も与えておるわけでございますので、良質な船員をどう確保していくかということは、またその身分保障等の問題も含めて海洋国日本にとっては重大な課題だ、このように考えております。
  190. 高木義明

    ○高木(義)委員 そういう認識の上に立ちまして、今、当面私たちは、少なくなる日本人の船員、この確保については関係者一同、官民挙げて取り組んでおることを踏まえて、後継者の育成ということを一番の柱にしながら、またある意味では世論の高揚も含めて、海を見直す。そういう意味では海の日の祝日化という運動もあっておりますけれども、具体的な後継者育成策についてどう取り組んでいこうとしておられるのか、お尋ねをしておきます。
  191. 加藤甫

    ○加藤(甫)政府委員 御指摘いただきましたように、船員の後継者の確保という問題は、これは外航海運にとりましても内航海運にとりましても、極めて重要な課題であるというように認識をいたしております。  このため、私ども、三つの柱で対策を進めておりまして、船員教育機関の教科内容を充実すること、あるいは練習船隊の代替建造等を進めましてその辺の充実を図ること、といったような意味合いにおける国立の船員教育機関が十八ございますが、それらの充実強化をひとつに図っていく、これが第一番目でございます。  それからもう一つは、若者を主たる対象といたしました海上産業のPR、ひいては海のPRというようなものを積極的に進めていく、それらの支援をまた我々の方もしていくというのが第二番目の柱でございます。  また、三つ目の柱といたしましては、実際に働く職場における雇用条件あるいは雇用の環境、例えば労働時間、休日等、あるいは荷役作業の安全性を向上するとか船内居住環境をさらによくする、あるいは船員災害の防止を図るといったような面における改善をより一層進めまして、より魅力のある職場にしていくというこの三つの柱を中心に対策を進めていくということをいたしておりまして、今後とも頑張ってやっていきたいと考えております。
  192. 高木義明

    ○高木(義)委員 私どもは、国際競争、激しい波の中で、労使においては最大限の汗を流して、むしろ自助努力という気構えに立っておくことは当然だと思っておりますので、日本船員が減ってくるということは大変憂慮すべきことでございます。まさに海洋国日本の安全保障の観点からも、私はこの次代への継承ということは当面する課題だと思っておりますので、ひとつ鋭意お取り組みをいただきたいと思っております。  次に、船員の福祉向上を図ることが船員確保の大きな柱でございますが、その中で、船員の諸権利を守ることも大切だと思っております。今日まで長い間取り組まれておりますが、実現をしていないテーマ、すなわち船員の公民権の行使でございます。いわゆる選挙権です。  今、いわゆる洋上における、あるいは船内における、また岸壁に係留中の船員皆さん方についてはそれなりの不在者投票制度があるのは、もう御承知のとおりでございます。しかし、外航船あるいは遠洋漁業については、今の制度の中では、例えば選挙期間中に内地に入港できない船舶のうちでも、そのタイミングによってはしたくてもできない、そういう状態が今なお続いておるわけです。これは運輸省におかれましても、あるいは自治省におかれましても、かなりの努力を、あるいは模索をしていただいておるわけです。例えば、通信による投票行動なども検討されておりますが、本人の確認あるいは投票の秘密、こういうものを守る意味で余り前進はしていない、こういうことでございます。  しかし、政治改革の波が今打ち寄せておる真っただ中なんですが、特にそういう中において、在外邦人の投票権、参政権、これも今大きな一つのテーマになっております。また、最近では、長期の在日外国人の地方の参政権、こういったことも今大きく広がりつつある、また国民的な議論になっておるわけですね。  そういう状況の中で、長い間放置をしてこられたこの問題を、今日、決着をつける時期に来たのではないか。私は、きちっとした保障制度をとって、代理投票とか、あるいは完全な配偶者とか親族とか、きちっとした裏づけのある方であれば、本人の意思がきちっと通じているのであれば、代理の投票制度的なものをもってしても、こういう物理的に投票はできない——不在者投票をしても投票日の前日に間に合わなければこれは無効になるわけでありまして、郵送したけれども投票後にそれが着いだということが間々あるわけです。今、我が国の商船約八百六十隻、漁船については千三百六十隻、これがいわゆる遠洋あるいは世界の七つの海にまたをかけて、そして仕事をされておる、そういう可能性のある船が二千二百二十隻余りあるわけですね。そこで乗っておられる方の二万人以上がそういうケースになり得る人たちなんです。  したがって、具体的にいつの選挙で何人がそういうことをできなかったかというのを私はまだ今のところ特には申し上げませんけれども、この際ひとつ船員の、基本的な納税義務をきちっと果たしておる国民の権利としての投票が、国政選挙におきましても地方選挙におきましても実現できるように、ぜひお取り組みをいただきたい。そういうことについて、まずは大臣の御決意をお伺いして、その後自治省の方から具体的な選挙の手続についてお願いをしたい、聞きたい。
  193. 亀井静香

    亀井国務大臣 委員おっしゃるように、納税者である国民がその権利を行使できない、意思があってもそれが絶対的な条件でできないということは、やはりこれは問題だと私は思います。ただ、これをどう解決していくかというと、投票の秘密の問題もございますし、公正さをどう担保するかという問題もございます。これあたりは、やはり私どもは在外公館の方々あるいは在外邦人の方々の権利行使に関することはもちろんでありますが、我々運輸省としては、船員の問題というのはまさに我々自身の問題でありますから、何かいい方法がないか、ぜひ委員からも具体的な御提言をいただきまして、我々もそれは検討していきたい、このように考えております。
  194. 大竹邦実

    ○大竹説明員 お答え申し上げます。  船員の方々につきましては、一般の不在者投票制度に加えまして、委員御指摘ございましたように、例えば指定港におきますところの不在者投票でございますとか、あるいは船舶内におきます不在者投票、さらには指定船舶における不在者投票など、不在者投票制度につきまして特例を設けているわけでございますけれども、確かに委員御指摘ございましたように、これらによってもなお投票が困難な方がいらっしゃることは事実でございまして、私どもといたしましても、これらの方々につきまして、投票機会の確保についていろいろ研究しているところでございますけれども、お話しございました、例えばファクスによります投票等につきましては、投票の秘密の問題でございますとか、あるいは本人確認の問題等がどうしてもあるわけでございます。  また、御指摘ございました代理投票につきましても、現行の公職選挙法では、身体の故障の方あるいは字が書けない方々につきまして代理投票、すなわち代理記載というべきものでございますけれども、こういうものは設けでございますが、それ以外は一切代理投票を認めていないわけでございまして、選挙権の行使を他人に委任するという意味での代理投票制度につきましては、これは慎重な検討を要する問題であろうと考えておるところでございます。
  195. 高木義明

    ○高木(義)委員 今の自治省のお答えは、全く目の前がまだまだ真っ暗で明かりの見えないような御答弁ですね。確かに、立場からするとそういうことになるのかもわかりませんが、そういう制度も一部に限られてあるわけですから、これを未来永劫に宙ぶらりんの状態にすることなく、この際、こういう政治改革で、在外邦人あるいは在日外国人の投票権の問題が今大きな問題として浮き彫りにされておるわけですから、したがって、この船員の問題について、具体的には代理投票、これも厳しいチェックのできるような知恵を絞って、もう決断だと思うのですね、だからそういうことをぜひやっていただきたい。  また、運輸大臣におかれましては、海上勤労者のために、これはひとつ政府の中で寄り寄り考えていただいて、できるだけ早い機会に実現していただきますようにお願いをしておきますが、最後に、御決意を聞いて終わりたいと思います。
  196. 亀井静香

    亀井国務大臣 先ほど申し上げましたように、技術的な面等で非常に難しい問題だというふうに私は思いますが、先ほども言いましたように、まさに船員の基本的な権利に関することでありますから、それが少しでも実現するような懸命な努力はいたさなければならぬと思いますので、委員からもまたいろいろと御助言を賜りたいと思います。
  197. 高木義明

    ○高木(義)委員 終わります。
  198. 井上一成

    井上委員長 寺前巖君。
  199. 寺前巖

    寺前委員 一問だけ御質問申し上げたいと思います。  日本港湾タグ事業協会というのが神戸の港にもございます。神戸港湾局の認可事業として八社、保有タグは三十二隻、船員二百二十名、港湾局では一隻が営業を行っているようです。二社ほど船社系列の会社がありますが、それ以外は神戸港を拠点とした中小業者で、大型外国船を対象としたパイロット等を業務にしているので、神戸港が復旧しないと業務が休業状態になるという事態が起こっているようです。  そこで、私はきょう労働委員会で、船員関係の船員保険法を、要するに休業状態になった、失業とみなすという、陸上における措置と同じようなことをこの分野でもする必要があるのではないかという質問をしておきましたが、今お出しになっている船員雇用促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案は、その適用対象を政令で決めるということになっています。今度の震災等による船員雇用不安が一定の地域等で発生する場合には、その対象にするようにこの政令で考えてもらえるのかどうか、私はその点を一言聞いて、態度を決めたいと思います。
  200. 加藤甫

    ○加藤(甫)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘いただきました船員保険の問題につきましては、当面の休業状態というものを前提にいたしてやっているところでございます。そして、社会保険庁の方で陸上労働者と同様の措置を講じてくれるというようなことでもって今話が進められていることは御承知のとおりでございますが、さらに、その先の問題といたしまして、この法律によってこのような事態に対処すべきかどうかという点につきましては、御承知のように、この船時法はあくまで離職を余儀なくされるという事態の発生を前提にして発動されるという性格のものでございます。  現在、地元のタグボートの皆様方は、早期復旧に大きな期待をかけつつ、港の再開に備えて雇用を維持しながら大変大きな頑張りをしていただいているところでございまして、こうした時期におきまして、先ほど申しましたように離職を前提としたこの法律の発動を将来にわたって行うかどうかという点につきましては、現在のところは積極的に考えることはない、つまり、そのような考え方は現在のところはないというようにお答えをいたしたいと思います。
  201. 寺前巖

    寺前委員 しかし、今のところはないにしたって、政令で考えられないことはないのでしょうね。政令事項になっているから、やろうと思ったら、必要になったらやることはできるというふうに読ませてもらってよろしいのですね。
  202. 加藤甫

    ○加藤(甫)政府委員 解釈の問題で大変に難しい点は、神戸港はあくまで復旧をする、したがって、考え方としまして、タグボートも、時間が若干たちますけれども、いずれは事業が回復するというような事態でございます。一方、この法律は、構造不況等によりまして、事業が本質的に縮小されていくというような事業についての離職者対策を進めるという理念でございますので、その辺の解釈がぴたっとくるかどうか、この点は検討を要すると思います。
  203. 井上一成

    井上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  204. 井上一成

    井上委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  船員雇用促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  205. 井上一成

    井上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 井上一成

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  207. 井上一成

    井上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十九分散会