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1995-06-09 第132回国会 衆議院 安全保障委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年六月九日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 神田  厚君    理事 大野 功統君 理事 中谷  元君    理事 町村 信孝君 理事 愛知 和男君    理事 赤松 正雄君 理事 岡田 克也君    理事 石橋 大吉君 理事 菅  直人君       麻生 太郎君    伊藤宗一郎君       瓦   力君    塩谷  立君       中川 秀直君    中山 利生君       中山 正暉君    浜田 靖一君       平泉  渉君    今津  寛君       佐藤 茂樹君    西村 眞悟君       東  順治君    二見 伸明君       山口那津男君    渡辺浩一郎君       池端 清一君    五島 正規君       早川  勝君    東中 光雄君       堀込 征雄君    山花 貞夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君  出席政府委員         内閣官房内閣安         全保障室長   坪井 龍文君         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁長官官房         長       三井 康有君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁人事局長 萩  次郎君         防衛庁経理局長 佐藤  謙君         防衛庁装備局長 荒井 寿光君         防衛施設庁長官 宝珠山 昇君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君  委員外出席者         国際平和協力本         部事務局参事官 國方 俊男君         安全保障委員会         調査室長    下尾 晃正君     ――――――――――――― 委員異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   塩谷  立君     中山 太郎君   谷垣 禎一君     江藤 隆美君   渡辺浩一郎君     月原 茂皓君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     谷垣 禎一君   中山 太郎君     塩谷  立君   月原 茂皓君     渡辺浩一郎君 同月二十二日  辞任         補欠選任   大島 理森君     後藤田正晴君   西村 眞悟君     安倍 基雄君   渡辺浩一郎君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   後藤田正晴君     大島 理森君   安倍 基雄君     西村 眞悟君   山口 敏夫君     渡辺浩一郎君 同月二十五日  辞任         補欠選任   大島 理森君     村田敬次郎君   東  順治君     工藤堅太郎君 同日  辞任         補欠選任   村田敬次郎君     大島 理森君   工藤堅太郎君     東  順治君 三月八日  辞任         補欠選任   大島 理森君     藤本 孝雄君   熊代 昭彦君     武藤 嘉文君   塩谷  立君     宮里 松正君   谷垣 禎一君     大原 一三君   中山 利生君     山中 貞則君   渡辺浩一郎君     熊谷  弘君 同日  辞任         補欠選任   大原 一三君     谷垣 禎一君   藤本 孝雄君     大島 理森君   宮里 松正君     塩谷  立君   武藤 嘉文君     熊代 昭彦君   山中 貞則君     中山 利生君   熊谷  弘君     渡辺浩一郎君 同月十日  辞任         補欠選任   今津  寛君     保岡 興治君   西村 眞悟君     中島  衛君   渡辺浩一郎君     塚田 延充君 同日  辞任         補欠選任   塚田 延充君     渡辺浩一郎君   中島  衛君     西村 眞悟君   保岡 興治君     今津  寛君 同月十四日  辞任         補欠選任   渡辺浩一郎君     吉田 公一君   石橋 大吉君     加藤 万吉君 同日  辞任         補欠選任   吉田 公一君     渡辺浩一郎君   加藤 万吉君     石橋 大吉君 同月十五日  辞任         補欠選任   渡辺浩一郎君     熊谷  弘君 同日  辞任         補欠選任   熊谷  弘君     渡辺浩一郎君 同月十六日  辞任         補欠選任   今津  寛君     鹿野 道彦君   土肥 隆一君     加藤 万吉君 同日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     今津  寛君   加藤 万吉君     土肥 隆一君 同月十七日  辞任         補欠選任   大島 理森君     大石 千八君   熊代 昭彦君     鈴木 俊一君 同日  辞任         補欠選任   大石 千八君     大島 理森君   鈴木 俊一君     熊代 昭彦君 同月二十四日  辞任         補欠選任   渡辺浩一郎君     藤井 裕久君 同日  辞任         補欠選任   藤井 裕久君     渡辺浩一郎君 同月二十九日  辞任         補欠選任   渡辺浩一郎君     須藤  浩君 同日  辞任         補欠選任   須藤  浩君     渡辺浩一郎君 四月十一日  辞任         補欠選任   大島 理森君     武藤 嘉文君   熊代 昭彦君     村田敬次郎君   塩谷  立君     若林 正俊君   西村 眞悟君     安倍 基雄君   石橋 大吉君     加藤 万吉君   土肥 隆一君     山下洲夫君 同日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     大島 理森君   村田敬次郎君     熊代 昭彦君   若林 正俊君     塩谷  立君   安倍 基雄君     西村 眞悟君   加藤 万吉君     石橋 大吉君   山下洲夫君     土肥 隆一君 同月十二日  辞任         補欠選任   渡辺浩一郎君     神崎 武法君 同日  辞任         補欠選任   神崎 武法君     渡辺浩一郎君 同月十四日  辞任         補欠選任   石橋 大吉君     池田 隆一君 同日  辞任         補欠選任   池田 隆一君     石橋 大吉君 同月十九日  辞任         補欠選任   大島 理森君     石橋 一弥君   熊代 昭彦君     蓮実  進君   塩谷  立君     谷  洋一君   渡辺浩一郎君     吉田 公一君 同日  辞任         補欠選任   石橋 一弥君     大島 理森君   谷  洋一君     塩谷  立君   蓮実  進君     熊代 昭彦君   吉田 公一君     渡辺浩一郎君 同月二十六日  辞任         補欠選任   渡辺浩一郎君     保岡 興治君 同日  辞任         補欠選任   保岡 興治君     渡辺浩一郎君 五月十日  辞任         補欠選任   大島 理森君     藤本 孝雄君   渡辺浩一郎君     久保 哲司君 同日  辞任         補欠選任   藤本 孝雄君     大島 理森君   久保 哲司君     渡辺浩一郎君 同月十一日  辞任         補欠選任   西村 眞悟君     竹内  譲君 同月十二日  辞任         補欠選任   大島 理森君     柿澤 弘治君   熊代 昭彦君     木部 佳昭君   塩谷  立君     佐藤 孝行君   谷垣 禎一君     鈴木 宗男君   竹内  譲君     西村 眞悟君   渡辺浩一郎君     羽田  孜君 同日  辞任         補欠選任   柿澤 弘治君     大島 理森君   木部 佳昭君     熊代 昭彦君   佐藤 孝行君     塩谷  立君   鈴木 宗男君     谷垣 禎一君   羽田  孜君     渡辺浩一郎君 同日  委員中西啓介君が退職された。 同月十六日  辞任         補欠選任   石橋 大吉君     中村 正男君   土肥 隆一君     田邊  誠君 同日  辞任         補欠選任   田邊  誠君     土肥 隆一君   中村 正男君     石橋 大吉君 同月十七日  辞任         補欠選任   西村 眞悟君     安倍 基雄君   土肥 隆一君     後藤  茂君 同日  辞任         補欠選任   安倍 基雄君     西村 眞悟君   後藤  茂君     土肥 隆一君 同月十八日  辞任         補欠選任   大島 理森君     谷  洋一君   渡辺浩一郎君     平田 米男君   石橋 大吉君     中村 正男君 同日  辞任         補欠選任   谷  洋一君     大島 理森君   平田 米男君     渡辺浩一郎君   中村 正男君     石橋 大吉君 同月二十三日  辞任         補欠選任   土肥 隆一君     池端 清一君   堀込 征雄君     沢藤礼次郎君 同日  辞任         補欠選任   沢藤礼次郎君     堀込 征雄君 同月三十日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     東中 光雄君 六月六日  辞任         補欠選任   堀込 征雄君     土肥 隆一君 同日  辞任         補欠選任   土肥 隆一君     堀込 征雄君 同月七日  辞任         補欠選任   大島 理森君     武藤 嘉文君   東中 光雄君     古堅 実吉君 同日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     大島 理森君   古堅 実吉君     東中 光雄君 同月八日  辞任         補欠選任   渡辺浩一郎君     塚田 延充君 同日  辞任         補欠選任   塚田 延充君     渡辺浩一郎君 同月九日  理事堀込征雄君五月二十三日委員辞任につき、  その補欠として石橋大吉君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月十五日  平和と軍縮の推進に関する陳情書  (第一四  七号)  基地周辺対策に関する陳情書  (第一四八号) 六月六日  新時代対応した防衛力整備計画策定に関す  る陳情書  (第二九三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 神田厚

    神田委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 神田厚

    神田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事石橋大吉君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 神田厚

    神田委員長 次に、国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
  5. 中谷元

    中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。本会期も残りわずかとなりましたけれども、久しぶりの委員会が開催できるということで、野党の皆様方の御協力に心から感謝申し上げたいというふうに思います。  ことしもいろいろございましたけれども、特にことしの前半は、阪神淡路大震災、地下鉄のサリン事件、オウム真理教の恐るべき犯行計画等が明らかになりまして、国民が非常に不安を感じたと同時に、我が国においても危機管理必要性認識をされた、そういう前半の時期でありました。  中盤は、現在国会会期末ということで、一つの政治的なイベントとして戦後五十年の国会決議をやろうじゃないかということで、それぞれの政党、それぞれの代議士が歴史観国家観について真剣に見詰め直し、またその問題点を整理しておりますけれども、早期に決議ができますようにお願いしたいというふうに思います。  そして後半は、安全保障にとりましては大変重要な年でございまして、現在、防衛力の今後のあり方検討が行われようといたしております。  現在の防衛あり方につきましては、自衛隊が発足をしてから、昭和三十三年から昭和五十一年まではいわゆる一次防から四次防という時期での防衛力整備、そして五十二年度から現在までは、約二十年間、現在の防衛計画大綱ということで防衛力整備が行われておりました。現在、それにかわる大綱見直し作業中期防の次期の計画作成作業が進められておりますけれども、その根本となる長官の御認識をお伺いしたいと思います。  まず、内外の情勢等日本安全保障環境が大変大きく変化をいたしておりますけれども、この変化の御認識からお伺いしたいと思います。
  6. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 お答えいたします。  国際情勢変化認識というお話でありました。まず第一に、東西冷戦が長い間続いてまいったわけでございますが、その東西冷戦構造終結をいたしまして新たなる時代を迎えておる、こういう認識のもとに、我が国防衛力あり方というものをさらに見詰め直しまして、そして、今後の我が国の平和と安全をいかに守っていくか、こういうことについて検討してまいる、こういう考えてあります。
  7. 中谷元

    中谷委員 いわゆる国際情勢認識ですから、冷戦後の社会、世界に対する認識をお伺いしたかったのです。確かにいわゆる冷戦は終わったものの、私は、三つ不安要素が出たと思います。一つは不透明な状況二つ目は不確実な状況三つ目は不安定な状況、この状況我が国を取り巻く環境に出たと思います。  政界でいいますと、今までは自社対立、いわゆる冷戦対立という状況から、現在は連立政権でございますので、自民党といたしましても、今までは安心して、安定してやっていたのが、連立を組むということでいろいろな気配りとかいろいろな対応をしなければいけない。それと同じ状況が、日本の置かれている安全保障状況ではないかというふうに思っております。  そこで、もう一つ防衛計画をつくる上での認識ですが、じゃ日本の国内、そしてその中でも自衛隊とか現在の防衛庁内局が抱えている問題点といいますと、どういう御認識をされていますでしょうか、具体的にお述べいただきたいと思います。
  8. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 現在自衛隊が抱えている問題点につきましては、例えば次のようなものがあると我々認識しております。  自衛隊の隊員と実員がかなり乖離しておりまして、特にこれは陸上自衛隊が顕著なわけでございますけれども、これが平時隊務の運営ですとかあるいは教育訓練、それから即応態勢などに影響を及ぼしているという点が一つございます。  それから、指揮・通信・情報機能あるいは警戒監視機能、さらに申しますと後方支援機能、そういったものの整備が、これは相対的な問題でございますけれども、正面装備品に比較すれば一般的におくれているという問題がございます。  それから、一部の正面装備品でございますが、近代化が遅延している、あるいは自衛隊の果たすべき機能につきましてややアンバランスが出てきている、そういったような問題を抱えていると認識しております。
  9. 中谷元

    中谷委員 以上簡単にお述べいただきましたけれども、現在の防衛力近代化という状況において、今の状態でも非常に古い装備、そして隊舎、宿舎にしましてもまだ古い施設が残っているという状況でございますので、今、コンパクト化とかハイテク化ということを打ち出されておりますけれども、私も、まず現在ある装備の更新をやってもらいたい。  それから、現在、駐屯地と自分の生まれ故郷、そして勤務地、これが非常にアンバランスになっております。特に北方重視ということで北海道にたくさん部隊がおりますけれども、そういう関係で、ふるさとに帰れないとか親元に帰れない、こういう問題も抱えておりますし、それから、駐屯地が多過ぎるのではないかと私は思います。  現在、全国には百六十駐屯地があるそうなんですが、昔、「歩兵の本領」という歌にも「八十余ケ所にたむろして」ということがありますけれども、昭和の初期には八十余カ所であったのが現在はその倍以上にもなっているということですので、やはりこの駐屯地の問題も今の問題だと思います。  それからもう一つは、予備自衛官制度ですね。予備自衛官制度をずっと続けてきておりますけれども、実際に訓練の内容を見てみますと、雇用主との関係で休みがとれなかったり、また、実際に訓練しても実戦的な訓練が果たしてなされているのか。特に、この前の阪神大震災でも非常に即応ということが要求されましたけれども、予備自衛官においてはほとんど表に出なかった。私の認識としてはほとんど出動もしなかったというふうに思いますけれども、せっかくある予備自衛官制度でありますので、こういう点も今後の大綱に生かしていただきたいというふうに思います。  そこで、そういう認識のもとに、これからの新しい防衛計画を今準備されている最中だというふうに思います。いろいろと報道されておりますけれども、これまでの大綱で守り続けていく点と、そして今度の新しい大綱で新しく打ち出していく点、今大綱見直し考え方で果たして何を変えようとしているのかという点を、新旧に分けて簡単に御説明いただきたいというふうに思います。
  10. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 現在、防衛力あり方検討の中でいろいろ防衛庁としても検討していることは事実でございます。  現在の大綱は、策定当時における安全保障環境全般につきまして総合的に考慮した結果、いわゆる東西間の軍事的均衡による抑止構造を背景に、西側の一員としての我が国防衛力の目標を限定・小規模、独力対処というふうに置いたというような一つ要素がございます。  それから、当然のことながら、現在の防衛大綱はいわゆる基盤的防衛力整備という考えに基づいてなされているものでございます。  現在、防衛力あり方検討に当たりまして、いろいろと考慮すべき環境変化情勢変化というものを我々認識しておりまして、基本的にはこの基盤的防衛力整備という考え方はとりたいというような考え検討しておりますが、新しいいろいろな条件変化というものを織り込んで新しい防衛力あり方検討していきたい。この辺は、今まさに防衛庁の中でも議論をし、検討している段階でございます。
  11. 中谷元

    中谷委員 今、守るべき点と新しい点ということでお伺いをいたしたわけでありますけれども、そのまず守っていく点において、やはりその辺をしっかり見定めた上で計画を立てていただきたいというふうに思います。  具体的にどれくらいの防衛力を持つかという量をはじき出す上においては、やはり具体的な戦力設計を行っていただかなきゃならないわけですが、いわゆる今までの発想でいく防衛力と、新たな任務が加わるということに関する新しい時代防衛力、つまり最低ライン最高ラインがございますけれども、一般的に最大値最小値ですね、これはどのように御認識をされているんですか。
  12. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 先ほど御答弁いたしましたが、現在の防衛大綱は、いわゆる基盤的防衛力整備という考え方防衛力整備を行っているわけでございます。この防衛力整備の基本的な考え方は、脅威を算定いたしまして、そして我が国防衛力規模を算定したという形ではございませんで、いわゆる防衛上必要な各種機能の具備ですとか、あるいは組織配備均衡ですとか、あるいは平時における警戒監視といったような要素に分けられるような形で、まさに独立国としての最小限度防衛力を持とうと、こういう考え方で出たわけでございます。  そして今回、冷戦終結後のいろいろな新しい情勢によりまして、そういった情勢なり条件変化がこれにどういう影響を与えるかということは、今我々検討しているところでございますけれども、基本的には、今申し上げました基盤的な防衛力整備という考え方はとりたいと考えておりますので、いわゆる脅威をはかりまして、そして我が国規模を算定するといったような考え方は現在とっていないところでございます。
  13. 中谷元

    中谷委員 今、基盤的防衛力構想についてのお話がありましたけれども、これをわかりやすく言うと、いわゆる基盤的防衛力というのは、状況変化対応して我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するよりも、いわゆる力の空白を日本に生じさせないため、周辺国不安定要素とならないために必要最小限我が国が持つべき防衛力というのが基盤的防衛力でございます。  現在、その大綱ができて二十年たっておりますけれども、別表に示している基準には達していない状況でもありますし、また、新聞報道から聞きますと、これからコンパクト化とかスリム化とかいうことで縮小されるんじゃないか、軍縮を前提としているんじゃないか、そういうふうな印象を持っておりますが、こういう今までやってきた基盤的防衛力構想考え方をさらにレベルダウンさせるんじゃないかという気がいたしておりますけれども、この辺、いかがなんでしょう。
  14. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 まず御質問の中で現在の大綱別表についてお触れになられて、その別表についての水準に達していないのではないかという御指摘がございましたが、我々考えております認識は、ほぼ別表水準に達したという認識をしております。  それから、新しい防衛大綱考え方、我々現在検討しているその過程において、初めに軍縮ありきといったような考え方をとっているわけではございませんで、防衛庁といたしまして、いろいろな諸要因から組織コンパクト化といったようなものも念頭に置いておりますけれども、いろいろな事態対応すべく、質的なレベルアップですとか、あるいは効果的な対応ができるような、さらには緊急な事態が発生した場合の弾力性の保持といったようないろいろな要素を考慮しながら考えておりまして、初めに軍縮ありきといったような考え方検討をしているものではございません。
  15. 中谷元

    中谷委員 基盤的防衛力でございますけれども、やはり私は、防衛計画というのは、国の、我が国防衛をするという意思を明確に明示し、表現することだというふうに思いますけれども、その最大値最小値という定義については、やはり最大値周辺国脅威を与えるような戦力であってはならない、しかし、最小値においては周辺国から侵略を意図させるような意思を持たせたらいけないというような判断基準だというふうに思います。  そういう中で、この考え方のもう一つの柱ですけれども、いわゆる今度の大綱においては、限定的・小規模侵略への対処という文言とか考え方が消えているのではないかという報道がされております。  そもそも自衛力の大前提として、今の大綱にも「国民の平和と独立を守る気概」と「万」、侵略が行われた場合にはこれを排除する」力が必要と。「いかなる態様の侵略にも対応し得る防衛体制を構成し、これによって侵略を未然に防止することを基本とする。」という、いわゆる国としては当たり前の常識的なことが書かれでおりますけれども、今回の検討においで、この限定的な小規模侵略という文字が消えておりますし、また、侵略に対しても独力で排除をするという今までの基本的な考え方も見えないわけでございますけれども、この点は、この考え方をお捨てになるのかどうか、この点についてお伺いします。
  16. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 軍縮の問題に関連しで若干申し上げます。  この村山内閣が成立するに当たりましては、三党の合意事項に基づいて成立いたしたわけでございます。その中におきましては、まず近隣諸国との信頼醸成を高めつつ軍縮を目指すと、こうあるわけでございまして、我が国に対する危険をどういうように評価するかという点におきましては、こうした近隣諸国との信頼醸成というものをいかに構築していくかということと関連をしながら、我が国防衛力あり方ということを検討していくという必要があるかと思うわけでございます。  また、限定的な侵略、小規模侵略という考え方は、今現在の防衛大綱の中にあるわけでございますが、これは、あえて言いますならば、東西冷戦構造の中におきまして世界大の戦争が予想されるというような場合等におきまして、我が国に対しましてあるいは限定的な小規模侵略があり得るかもしれない、そういうことをこの考え方の中に取り入れましで、そしてその場合におきましては、独力対処をしながら米軍の来援を待つ、こうなっておるわけでございます。  冷戦構造が崩壊をしてまいりますと、直接的な大きな脅威といいますものは、潜在的な脅威、こう申しでおったわけでございますけれども、徐々に薄らいできておる。こういうことになりますと、今後いかなる危険が我が国に迫ってくるかという点については、もっと広範囲な検討が必要であると思うわけでございますし、まず日米安保条約が存在する限り、我が国に対する侵略があった場合におきましては日米両国でこれに対処するということも必要である、こう考えるわけでございまして、そういう点も含めて検討をしていくことが大事ではないかと思うわけであります。
  17. 中谷元

    中谷委員 この問題についで、今防衛庁長官のお口から、ポスト冷戦時代になったから日本に対する侵略的な可能性が低下したというようなことが言われましたけれども、しかし、やはり防衛庁長官というのは、あらゆる事態、あらゆる可能性について先の先まで考えて、部隊を育成して引っ張っていくというのが常であります。  また、オウム真理教の事件、それから地下鉄サリン事件、そして阪神大震災と、全く想像もしないことが次々と起こっている。そういう不確実な時代に入っているわけであって、中国の軍事力の増強の問題等もありますし、また、台湾の李総統がアメリカへ行ったということで強く中国も反発している。こういう状況を受けて、日本侵略される可能性が低下したとは私は思えないわけであります。  新聞報道によりますと、この基本的な考え方の中に、そういう侵略的侵攻が日本に加えられる可能性は低下した、そういうふうに記述もございますが、一体何年先のことまで考えでそういう記述というか結論に至ったのか、この点についてお願いします。
  18. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 我々が今考えております国際情勢の基本的な認識といたしまして、冷戦終結によって世界的規模の戦争の可能性は大幅に低下したという認識と、他方で、冷戦構造下で抑制されてきた地域紛争等の危険はむしろ増大しているという認識を持って、なおかつアジア・太平洋地域、いろいろ西欧とは違う要素がある。多国間の安保対話の、安全保障の仕組みもまことに違う要素がある。そういった国際情勢を正確に認識した上で検討していかなければならないというふうに考えているわけでございます。  他方で、限定・小規模侵略の話でございますが、先ほど大臣からも答弁がありましたように、この限定・小規模侵略という考え方は、あくまでも東西冷戦下で、大きな二大国のある意味での抑止力のきいた中においでなおかつあり得る侵略というものを想定して、それに対して日本が独力対処といったようなことを考えたわけでございますけれども、そういう意味におきましては、冷戦が終えんした以上、冷戦下で想定した限定的・小規模侵略というものを前提にして防衛力について議論をするというのはなかなか難しいのではないかという認識を、今我々は持っております。  いずれにいたしましても、現在の防衛大綱も、基本的には脅威を算定して我が国防衛力を算定しているわけではございませんで、いわゆる基盤的防衛力整備、一国としての、独立した国としての、しかも力の空白をもたらさないような、そういう基本的な防衛力を持つためにはどうしたらいいかという形で考え出したものであります。  その考え方は、今回の新しい防衛力あり方検討においても、基本的にはそれを踏まえながら、そして新しい周囲の諸条件変化を織り込んで、どういう日本防衛力がよいのかということを現在検討をしているということでございます。
  19. 中谷元

    中谷委員 なぜこういうことをしつこく聞くかといいますと、今ある組織はそういう脅威冷戦を前提とした組織でありますけれども、これから長期展望の計画を立てる上において、今ある組織をそういう組織にするにはやはりかなりの年数と時間と、それから金額もかかるということであります。  特に来年度の予算は、この新しい計画、新しい中期防の初年度という非常に重要な意味を持っております。昨年の防衛予算は前年度比〇・八五五ということで、実際の隊務運営についでもかなりの大きな影響を及ぼしながら編成されたわけでありますけれども、では来年はどうなるかということで、今ある組織を維持する上においても非常に心配している上に、こういう大綱の議論が始まっでいるわけであります。  八月には概算要求をしなければならないわけでございますけれども、八年度の予算は一体何を根拠にこれから臨んでいかれるのか、そのお考えをお聞きいたしたいということ。  それから、官房長官あたりからも数字の議論が出ているわけでありますけれども、先ほど言うたように、防衛庁防衛力あり方は、数字ではなくでこれからの見通しによって積み上げていくものと言いましたけれども、しかし、仮に財政的な理由でこの防衛関係費が七年度並みとなった場合に、今の部隊にはどのような影響を及ぼすのか、そして、それで部隊の運営、任務の遂行に支障がないか、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。
  20. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 八年度の予算要求につきまして何を根拠にといいますかベースにして要求をするのかという質問に対して、私の方からまずお答えしたいと思います。  本日、安全保障会議我が国防衛力あり方につきまして検討が開始されたところでございます。この新しい防衛大綱一つのバックになることは確かにあると思いますけれども、予算ということになりますと、現在、中期防衛力整備計画というものがございます。そして、七年度でそれが終わるわけでございますけれども、八年度以降、この中期的な計画をどうするのか、これはもちろんこれから議論をするところでございます。仮に八年度から始まる中期的な計画というものが策定されるとすれば、当然のことながら、八年度予算はこの計画と整合性をとる必要があるというふうに考えております。  概算要求の時点では、それは防衛庁の責任におきまして、ある程度そういった議論の方向を踏まえながらやっていかざるを得ないと思いますけれども、八年度予算の政府の策定ということにつきましては、防衛大綱あるいは次期中期防といったようなものが進みますならば、それと整合性をとっていかなければならないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、八年度の概算要求については、これまた政府の中でいろいろこれから議論が出てくるかと思いますけれども、防衛庁といたしましては、必要な経費を要求するという基本的な考え方で臨んでまいりたいと考えております。
  21. 中谷元

    中谷委員 しかし、現実問題として、大綱の決定とか中期防の決定なしで概算要求をするということですが、いわゆる折衝する方は、大前提となるものが議論とならないわけですから、バナナのたたき売りじゃないですけれども、どんどん値切られる。まさしく今の時期にやるということは、将来、大きなステップとしても非常に影響を与えるわけでございますので、しっかりとした考え方を早期に打ち出していただいて、そして、予算の内容においても部隊の運営に支障がないようにぜひともよろしくお願いしたいというふうに思います。  特に最近は、訓練が非常に時間が制約されている。油代の関係で、飛行機とか船の航海とか訓練が十分できないという事例もあります。  また、オウム真理教の事件にも触れさせていただきますけれども、非常に優秀な隊員がそういう事件に巻き込まれていったということは、自衛隊の生活、そして自衛隊の仕事、隊務、それにもう少し充実感というか充足感があれば、そういう宗教に巻き込まれる可能性が少なかったのじゃないかと思います。  そういう意味でも、やはり精神的にも訓練の内容もきちっと充実させて、そして自衛官にとっても、何のために国を守り、何のために自分たちがいるのか、すなわち外国から侵略されたときには自分たちが身を張って守るという、いわゆる侵略に備えるという根本的な精神を大いにそういう防衛計画大綱に盛り込んでいただきまして、精神的にもしっかりとした自衛隊を育成していただきたいということを御要望させていただきまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  22. 神田厚

    神田委員長 次に、町村信孝君。
  23. 町村信孝

    ○町村委員 自由民主党の町村でございます。きょうは、オウム真理教と、震災対策と、それから、今中谷議員が言われました大綱の問題について伺っていきたい、こう思っております。  まず、オウム真理教の問題を先に伺いますけれども、大詰めの段階だと言われております。現職自衛官が関与をしていたということは極めで残念なことでありますし、自衛隊の信頼を低下させたという意味でも大変に遺憾な事態だと思っております。  いろいろな報道が舞い飛んでおりまして、蜂起部隊が二百人もいるとか三百人もいるとか、あるいは部隊ぐるみで関与していたのではないかという、これは私は、反自衛隊思想のキャンペーンにこの事件まで使うかなと思って非常にあきれてしまうのでありますが、一部のジャーナリストのそんな意見もあるのですけれども、現実何人の現職自衛官がこの問題に関与したのか、部隊として関与した事実があると私は到底思えませんが、その辺の事実関係についてまずお尋ねをいたします。
  24. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 隊員によるオウム真理教に絡んだ一連の事件は、いずれもオウム真理教関係者が一部の自衛官個人に対して工作を行い、規律違反及び犯罪行為にまで及んだ隊員が五名いたということであります。防衛庁といたしましては、部内において徹底的に調査を行いまして、みずからの手で厳しく律したところであります。  今、部隊ぐるみで関与しておったのではないか、こういうようなお話がありましたが、そのようなことは、現在、調査の結果においては全くございません。このことを明言しておきたいと存じます。
  25. 町村信孝

    ○町村委員 何十名、何百名という話があるけれども五名であったということで、さらに、これがまた、事件に関与した人がふえないということを私どもは望んでいるわけであります。  きのうですかおとといですか、長官みずから減給される、さらには防衛庁内での処分も行われた、こう報道されておりますが、やはり今後の自衛隊員の規律とか士気の維持とか服務指導、これは非常に重要だろうと思いますし、この問題にきっちりけじめをつけませんと、自衛隊に対する社会の信頼、国民の信頼が低下をするというゆゆしき事態すら考えられるわけであります。今後この問題に取り組みます長官の御決意を伺っておきます。
  26. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 国民の平和と安全を守り、国の独立を守る自衛隊におきまして、外部の反社会的な団体に教唆され、犯罪行為とかそういうことに走った隊員がいたということは、まことに残念なことであると思っております。  今後、自衛隊におきましては、国民の皆様に信頼される自衛隊、この確立のために、規律厳正な体制を確立をいたしまして、そして、国民の皆様に信頼される自衛隊を確立していくということが最も大事である、そういう観点から、先般、全自衛隊員に対しまして私からも訓示を行いました。  そして、監督責任等におきましても明確なる調査の上、厳しく処分を行ったところでございます。
  27. 町村信孝

    ○町村委員 私もその訓示を読ませていただきましたけれども、ぜひこの長官の御決意が全隊員隅々まで浸透いたしますように、そして、二度とこういう事件が起きないように、また、こういう事件に関与しないような、そういうモラルの高い、精強な部隊づくりのために、長官も先頭に立って頑張っていただきたい、このことを申し上げでおきます。  次に、震災の関係、ややまだまだ厳しい状態に置かれておられる被災者の方もいらっしゃいますが、一応一つの山を越えたのかな、そんな状態がとも思いますけれども、防衛庁としては、この阪神淡路大震災の教訓を踏まえて、今後の災害派遣についていろいろ御検討をしているというふうに伺っておりますので、その内容を伺いたいのと、特に、あのとき出動が遅かった等々のことから、自衛隊法八十三条第二項ただし書きの自主派遣についても相当詰めた議論をなさっておられる、こう聞いておりますけれども、この点についての防衛庁の見解を、まず冒頭伺っておきます。
  28. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 防衛庁といたしましては、極めて大規模な災害でありました阪神淡路大震災にかかわる災害派遣に関する教訓を踏まえまして、今後の自衛隊の災害派遣をさらに円滑に行うため、三月二十四日に私を議長とする災害派遣検討会議を設置をしまして、今日まで検討してきたところでございます。  この検討会議におきましては、災害派遣に参加した部隊の長などから直接意見を聴取をしたことを含めまして、改善を要する項目等を整理し、議論を行いました。  その内容についで主要なものを挙げれば、次のとおりであります。  今御指摘をいただきました自衛隊法第八十三条第二項ただし書きでありますが、その運用方針の検討でございます。  自衛隊の災害派遣は、都道府県知事等からの要請を受けで行うことが最も効率的であり、今後もこの原則を変える必要はないと思います。自主派遣については、これを補完する措置として位置づけるものでありまして、かかる観点から運用方針を策定することが必要である。  また、地方公共団体との連携強化が必要であるという観点から、先般の大震災における災害派遣活動におきましては、地方自治体との連携が必ずしも十分とはいえなかった点が指摘をされております。この反省を踏まえ、平素から、地方公共団体との連絡調整要領の確立、実践的な共同訓練の積極的な推進、災害派遣時に利用可能な場外着陸場の確保等を図って万全を期していくことが必要ではないか。またさらに、災害救援活動の円滑な実施のための必要な権限、情報伝達の迅速化、効率化、災害派遣にかかわる装備品等の充実、こういう点が必要である。  また、防衛庁といたしましては、これらの項目について、対応方針に沿って関係部局において実務的な検討を継続していくこととし、必要に応じて、関係省庁とも調整の上、その対応策を具体化いたしまして、自衛隊の災害派遣活動のさらなる円滑化を図って万全を期してまいりたいと考えております。
  29. 町村信孝

    ○町村委員 非常に重要なポイントばかり、四点、五点挙げられましたから、ぜひそういうことでさらに検討を煮詰め、あすにでも災害が起きるかもしれませんから、ぜひ早く答えをつくっていただきたいな、こう期待をしております。  特に、今長官が二点目に言われました地方公共団体との連携強化、これは非常に重要なポイントだと私も思っております。  どうも見ておりますと、例えば平成六年度、都道府県単位で自衛隊との共同の訓練をやっていないのが京都、大阪、沖縄。沖縄などは、平成三年度以降一度もやっていないという状態。さらに、政令市でいいますと、大阪、京都、神戸あるいは川崎、広島、こういうところがやっていない。どういう事情があってやっていないのかよくわかりませんけれども、しかし、見ていると何となく、ややもすると関西の方面は少しそういう意味で手薄だなという印象が率直に言ってございます。  さらには、最近当選をされた知事さんの中にも、自衛隊は違憲だ、ここまで言ってしまう人がいるのですから、もう何をか言わんやであります。  いずれにいたしましても、私は今改めて、国民一人一人の安全な生活という観点から自衛隊に対する期待が多い、ただそれを全部自衛隊がやるというわけにはもちろんいかない、したがって、警察、消防、こういうところとの連携が非常に重要になってくると思いますので、今後ともよくその点について御留意をしてやっていただきたい、こう思っているところであります。  私は、今回の大災害は一つのいい反省材料になったな、こう思っでいるのでありますけれども、こういった災害よりも実ははるかに大きな緊急事態というのがあるのであります。それは、あってほしくないわけですが、戦争という事態であります。それからさらには、間接侵略という形もあるでしょうし、これからは都市型のテロ、その萌芽というかミニ版みたいなものが未遂に終わったオウム真理教の今回の事件かなと思うわけであります。やはり、こういう非常事態に備えていくための体制づくり、法制上の整備というものに我々は国会議員として一生懸命取り組んでいかなければならない、こんなことを強く感ずるわけであります。  ただ、憲法の規定、あるいは内閣法、さらには国家行政組織法などの規定を見ても、例えば内閣総理大臣の権限というのは、ある意味では非常に限定されているといいましょうか、人の問題だと言う方もいらっしゃいますけれども、人の問題であると同時に、やはり法制上の措置が不十分ではないか、私はこう思っております。  日本とドイツを比較いたしますと、ドイツは、一九六八年に基本法を改正をいたしまして緊急事態法というものを制定しております。日本は全く手つかずであります。こんなことで、そういう日ごろの備えというものをきっちりやっておこうという気構えがないからこそ、ああいう事態になるとあたふたしてしまったということであろうかと思います。例えば非常事態になれば、自衛隊、警察、消防を含めて内閣総理大臣のもとで一元的に指揮管理ができるようにするといったような法律改正、さらには、必要あらば憲法の改正までも含んで、それは我々国会で十分議論をしなければいけない問題だと私は思います。  伺いたいのは、いわゆる有事立法、有事法制の問題なのであります。なかなかこれは、私ども自由民主党の中でも、積極論あるいは今はその時期ではないという議論があったり、あるいは自社体制のもとでは社会党の皆さん方がとても乗ってきてくれなかったということで、有事法制の必要性は理解されつつもこれが具体的な検討ということになっていなかったと、私は過去の経緯で承知をしておりますけれども、今回のような大地震というものがあった、これを契機として、非常事態にいかに効率的にきちんと対応できるのかということをやはり考えなければいけませんので、これまで政府が行ってこられました有事立法の検討状況と今後の取り組みについて伺っておきたいと思います。
  30. 三井康有

    ○三井(康有政府委員 一般論といたしまして、我が国有事に際しまして必要となる法制といたしましては、まず自衛隊の行動にかかわる法制、それから米軍の行動にかかわる法制、さらには、自衛隊とか米軍の行動には直接はかかわりませんが国民の生命財産等の保護のために必要となる法制の三種類のものが考えられます。これまで防衛庁といたしまして行ってまいりました有事法制の研究と申しますのは、このうち、自衛隊の行動にかかわる法制についての研究でございます。  この研究につきましては、自衛隊法の第七十六条の規定によりまして防衛出動を命ぜられるという事態におきまして、自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行する上での法制上の諸問題を検討の対象として、昭和五十二年以来研究を行ってまいりました。これまで、防衛庁所管の法令と他省庁所管の法令につきましては問題点の整理を終わっておりまして、それぞれ昭和五十六年と五十九年に取りまとめた結果を公表しているところでございます。さらに、所管官庁が明確でない事項に関する法令につきましては、現在、内閣安全保障室を中心とする政府部内で検討を加えているところでございます。  それからさらに、有事法制というのは単に研究するだけにとどまらず、さらに法制化をするか否かという問題についても御指摘になったと存ずるわけでございますけれども、この問題はやはり高度の政治判断にかかわるものでございますので、国会におきます御審議でございますとか国民世論の動向等を踏まえまして検討してまいるべきものであると考えております。  防衛庁といたしましては、もとより、有事法制が研究からさらに立法化というところまで進むということは、一般論としましては、防衛を預かる役所といたしまして極めで望ましいことであるという認識は持っておりまして、今申しましたように、国会の御理解が進み国民世論が熟せば、有事法制の法制化につきましても適切に対処していくことは私どもとしてもやぶさかではないというところでございます。
  31. 町村信孝

    ○町村委員 今三井官房長が言われたように、まさにこれは政治の問題だと私も思っております。昭和五十九年に取りまとめ結果が公表されて以降、率直に言って政治の方がむしろサボっていたということを私どもは深く反省をしながら、有事法制というといかにも何かおどろおどろしい、戦争の研究がみたいな話になりますが、やはりこの間の大震災のときに我々は非常に貴重な教訓を得たわけでありますから、もちろん、官邸を少し建てかえたりとか即時で事故現場が見られるようにする、そういうことも確かに大切なことだと思いますが、もっと国の根っこであるそうした法制問題について、これはもう与党とか野党とかそういう問題ではなくて、やはり国会を挙げてぜひ検討をし、早急にやらなければならないし、政府は政府としてぜひ取り組むべきこれは課題だろう、私はこう思います。  国家のことを常に憂えておられる防衛庁長官でございますから、ぜひ機会を得て、総理大臣あるいは閣僚の諸兄に玉沢長官の方からも、こういう問題を早急にしっかり検討し具体的な政治のタイムテーブルにのせよう、こういうことをひとつ御発議をいただければありがたいと思いますが、何か御所感はございますでしょうか。
  32. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 専守防衛という観点にあくまでも立ちまして我が国防衛をしっかりする、直接的な侵略、間接的な侵略にいかに対処するか、それはできるだけ効率的に、しかも効果的に行わなければならぬ、こう思うわけでございます。  有事法制といいますのは、自衛隊の行動をできるだけ円滑、敏速に行う、こういう観点からも必要であるというふうに認識をいたしておるわけでございますので、やはり今後さらに精力的な検討を行って日本防衛を全うするために努力をしていく必要がある、このように考えております。
  33. 町村信孝

    ○町村委員 防衛がもちろん第一義でありますが、防衛以外の有事というものもいろいろあるということでございますので、ひとつそういう観点でお取り組みをいただきたいと思っております。  次に、先ほど同僚の中谷議員もお触れになりましたが、今後の防衛力あり方についで若干お伺いをしたいと思います。  けさですか、安全保障会議が開かれたというお話が今ございました。そして年末までに、基本的な考え方あるいは大綱あるいは次期防ですか、これをつくり上げる、こういったスケジュールだと聞いております。私は前にも一回どこかの委員会で申し上げたことがあるのでありますけれども、防衛の専門家である、制服のトップである統幕議長がこの安保会議のメンバーに入っていないというのはやはりおかしいのではないかと思うのですね。必要に応じて出席させることができるということのようでありますが、やはり私は、フルメンバーとして統幕議長は入るべきだ、こうかねてより思っているのでありますが、いかがお考えでしょうか。
  34. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 安全保障会議設置法第七条では、安全保障会議議長たる内閣総理大臣が必要と認めるときは統幕議長を会議に出席させ意見を述べさせることができる旨、規定されております。従来から、統幕議長は同条に基づいて安全保障会議に出席し、適宜、軍事専門家として質問に答え、軍事情勢等についての意見を述べてきたところであります。  今後も、統幕議長の安全保障会議への出席につきましては、安全保障会議設置法第七条に基づき適切に対応がされるものと考えでおるわけであります。自衛隊防衛庁長官が指揮をする、こういう立場と、また統幕議長はそれを補佐する、こういう立場でございますので、私は、現在の第七条に基づいて適切に対処される、これで十分であると思っております。
  35. 町村信孝

    ○町村委員 もちろん長官がすべての上に立ってやっておられるというのは当然のことでありますが、やはり専門家の知恵というものも、フルメンバーとして私は参加させるべきではないか、必要あらばもちろん法律を改正する必要もあろうか、こう思っているところであります。  その問題はさておきまして、今後の防衛力あり方、先ほど中谷さんも幾つかの点を質問されましたから、できるだけ重複を避けるようにしていきたいと思いますが、今防衛庁の方で考えておられる今後の防衛力あり方に関する考え方の基本的なポイントが二、三あるようでございますから、ごく簡潔にその点をまず冒頭にお触れをいただきたいと思います。
  36. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 現在の中期防衛力整備計画におきまして、新しい防衛力あり方についてこの中期防の期間中に結論を得るといったような方針が閣議で決まっております。それをベースにいたしまして、防衛庁でこれまで新しい防衛力あり方についてずっと検討してまいりましたし、現在、その検討もかなり最終の段階に入ってきているということでございます。  現在の防衛大綱も、国際情勢あるいは防衛考え方その他、別表も含めて、それでできているわけでございます。今回の新しい防衛力あり方についで考える場合におきましても、我々としては、まず冷戦後の国際情勢をどういうふうに認識するのか、それから、その情勢を踏まえた上で、我が国安全保障政策あるいは防衛政策をどういうふうに基本的に考えるかということを検討していき、そして自衛隊あり方あるいは防衛力あり方というものを検討していく、こういう流れではないかと考えております。  政府部内でまだ調整をしているわけでもございませんし、防衛庁の中もまだ最終的に議論が煮詰まってきているわけでもございませんけれども、科学技術の進歩が非常に著しい、あるいは人的資源が限られてくるので、この人的資源を有効に活用しなければならない、あるいは極めて厳しい財政事情、それから最初に申し上げました国際情勢等々を考えてみますと、規模についてコンパクトといった要素、あるいは質的に充実し各種の事態に効果的に対応し得るもの、あるいは予期せぬ事態に円滑に対応し得る弾力性を有するものといったような要素を織りまぜながら、全体として自衛隊の体制改革をどう持っていくべきかということを、まさに今防衛庁の中で議論をしているという状況でございます。
  37. 町村信孝

    ○町村委員 その際、これはぜひ長官のお考えを伺いたいのでありますが、基礎は何といっても、毎回言い古されていることでありますが、やはりみずからの国はみずからの手で守る、そういう気持ちが国民の中になければならないし、もちろん自衛隊の諸君にもそういう気持ちがなければこれは成り立たないと思います。ややもすると、もう冷戦も終わった、何となく平和な時代だと。国を守る、それは大切かもしれないけれども、何となくそのボルテージが、やはり平時になればなるほど下がっていくと思いますね。ですから、私は、そういう国家として持つべき基本、国民として持つべき基本をしっかりとコンセンサスをつくっていく努力は絶えずやっていくということがやはり必要だろうと思います。  防衛庁のあるいは自衛隊の諸君の先般の大震災時における活躍、高い評価を受けたと私は思っておりますが、ああいったことも含めて、私は国を守る気概というものをどうやって国民の中に醸成をしていくかというのが大変重要なポイントだと思いますけれども、これを今後どうやっていくのか、難しい課題がなと思いますが、長官、お考えがあればお伺いをしておきます。
  38. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 災害が起きた場合におきましては、お互いに自分たちの郷土を守るために一致協力して災害に当たる、ここからスタートをしてまいりますならば、国が危急存亡の際、外国からの侵略に遭遇した場合におきまして、国民全員が自分の国を守る、こういう気概を持って事に当たるということは極めで大事なことであると思っでおるわけであります。したがいまして、防衛政策の内容についても論議をし審議をするということは当然大事なことでありますが、日本国民の一人一人がみずからの自由と独立をみずからの手で守る、こういう気概をいつも持つこと。  しからばそれをどのようにして持つかというお尋ねでございますが、やはりこれは、お互いに国を守る意義というものを話をし、さらにはまた、教育等におきましてもこれを徹底せしめて、自衛隊の中におきましても、国民の中におきましても、国を守るということは国民一人一人の使命である、こういうことを常に申し上げていくということも大事であると思いますし、そのような気持ちになっていただくということも大事である、このように思うわけでございます。
  39. 町村信孝

    ○町村委員 ぜひそういうことで各般にわたってやっていく必要があると思います。例えば教育ということを今大臣も言われましたけれども、学習指導要領ではかなりきっちりそこはなっているはずでありますし、教科書も、まあ不十分な教科書もありますが、それなりになっているのですが、現場の先生方がそういうことをしっかり生徒に教えているかといったような問題もあります。ですから、そういうこともぜひ防衛庁が文部省とよく相談をして、必要な教科書の改訂も含めて取り組んでいただきたい、また、現場でもそういう教育が行われるようによく注意をしていただきたいな、こう思っております。  もう一つ申し上げたかったのは、先ほど中谷さんも言ったけれども、どうも初めに軍縮ありきではないか、こういう印象を、我々その疑念をぬぐい去れないのであります。  もともと日本が物すごい大規模な軍拡をやってきたのならば、ちょっと膨らまし過ぎたよねといって小さくすることもあるのでしょうけれども、言うならば日本防衛というのは、これまでもそうであったわけですが、ディフェンスミニマムという思想でやってきたはずなんですね。  ですから、欧米諸国のように、わあっと物すごい勢いで大軍拡をやった人たちが、それがもう財政的な側面等々からたえられなくなって軍縮をするという状況日本とはそもそも違うのでありますけれども、ややもすると、もう冷戦が終わった、平和の配当だ、軍縮だ、日本防衛予算減らせ、非常に短絡した議論が多いので、よもや防衛庁がそういうことに乗らないと思っておりますし、先ほども初めに軍縮ありきではないという防衛庁の御答弁もありましたから、ぜひその基本をしっかりと踏まえて取り組んでいっていただきたい、こう考えます。  幾つか具体的な論点についてお伺いをいたしたいと思います。  私は、世界は、それは大きな戦争の可能性がなくなったということかもしれませんが、アジアの不安定性というものについての認識は、我が国を取り巻く状況なんですから、これはやはりもっと冷静に見なければいけないと思います。むしろアジアの諸国は、今大規模な軍備拡充中である、軍拡の中に日本が今置かれているんだという認識を持たなければいけないのではないか、こう思います。  例えば中国、北朝鮮、ソ連、日本を取り巻く大きな国があります。例えば、中国の軍備増強というのは物すごい勢いで進んでおります。経済が発展しているからかもしれませんが、毎年二割近い予算の伸びであります。近代化だと言うけれども、最新鋭の戦闘機を買う、あるいは核つきの原子力潜水艦を導入するなどなど。  これが、ただいま現在は日本脅威ではないかもしれないけれども、そう遠くない将来、日本脅威に十分なり得るのではないだろうか。その端緒が、尖閣列島とかあるいは南沙群島の方へのかなり積極的とも思える軍事行動があるわけであります。こうした中国の軍備増強の実態というものをどのように政府としてはお考えになるのか、お答えをいただきたいと思います。
  40. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 中国は、国防力については量から質への転換を図ろうとしており、近年、国防予算を大幅に増額させるとともに、海空軍力を中心に装備近代化を進めていると見ております。例えば海軍力については、ヘリコプターを搭載可能な駆逐艦の建造などが行われており、空軍力につきましては、ロシアからのSU27戦闘機の導入などが行われております。しかし、当面は、経済建設が最重要課題とされていることや、インフレ基調と財政赤字に直面していることもあり、国防力の近代化は比較的緩やかに進むものと見ております。  また中国には、近年、南沙群島等を中心に、海洋における活動範囲を拡大する動きも見られます。  我が国としましては、中国のこのような動向が中長期的にアジアの軍事バランスにどのような影響を与えるか十分注目していく必要があると考えております。同時に、中国に対しましては、軍事力や国防政策についての透明性を高めるよう、積極的に働きかけていきたいと考えております。  なお、先月十五日に行われた核実験に見られますように、中国が核実験を継続していることは極 めて遺憾であると言わなければならないと存じます。
  41. 町村信孝

    ○町村委員 今大臣のお言葉で、緩やかに増強だというような御趣旨であったかと思いますけれども、どうも私はそうは思えないのですね。あれだけNPT交渉をやっているさなかに核実験をやるというあの無神経さ、まさにかつでの日本の、明治時代とでも言った方がいいのでしょうか、富国強兵、富国と強兵を同時に進めている、こう見るべきではないだろうか。したがいましで、だからこそ、外務省にしては珍しくと言っては失礼かもしれませんが、無償の援助を少し控えようとか、そういう目に見えるアクションをとられた。  確かに、よくウォッチしていくということがまず大前提でありますけれども、我が国が中国に対して外交手段が何もないわけではないと思いますから、この日本を含めての周辺諸国、あるいはかって侵略というか、戦火を交えたベトナムとか、あるいは国境を接している国々がどれだけの不安を持っているかということ、いろいろな議員交流等々の中で、やはり彼らも、中国のこれからの先行きが非常に心配だ、こう言っております。富国と同時に強兵のスピードは相当速い、私はこう思っておりますので、そういう意味で、何も中国を敵視するということではなく、中国が友好国であるために、こうした異常なと思える中国の軍拡というものを、いろいろな我が国の持っている外交ツールを通じで阻止していく、こういう姿勢でぜひ臨んでいただきたい、こう思っております。  それから、北朝鮮についても、これももうかねてよりの核開発の疑惑でありますとか、スカッドB、C、さらにノドン一号の配備、こういうようなこと、ミサイルの長射程化というものも進んでいるということでありますから、これもやはり注意をしなければならない。想定したくもありませんが、もし南北に、仮に戦火が、戦端が開かれるということになれば、そこからまた大量の難民が出てくるとか、いろいろ不測の事態考えられます。当面は何といっても米朝交渉がどういうことになるのかなということなんでありますが、これもいろいろな報道があって、必ずしも現状がよくわからないのですが、現状及び見通しについてお伺いをいたします。
  42. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  五月の二十日からクアラルンプールで米朝交渉を非常に長期にわたってやっておりまして、これは核開発問題の中心的な話であるところの軽水炉の型の問題をめぐってのやりとりでございます。私どもは、要は、これは韓国が財政的にも、それから実際の建設においても中心的な役割を果たすという前提でKEDOのプロセスを進めるべきであるとの立場でございますけれども、北としてはそういう韓国がやるということについて非常に抵抗感があるという中で、具体的に何が可能かということについてのやりとりでございます。  それで、今交渉が、収れんさせなければならないプロセスで、大詰めと言ってもいいのかとは思いますが、ただ、大詰めでどんでん返しというのはよくある話でございましで、まだまだ楽観は許されない状況でございます。  この間、話し合いが続いでいればそれはそれでいいのだろうと思いますが、最大のポイントは、仮に北朝鮮側が交渉を決裂させて、その際に、去年の十月の米朝合意成立以来続けてきた核施設の凍結を破る、具体的には五メガワットの原子炉に再び燃料棒を入れるとか、あるいは今冷えております使用済み燃料棒からプルトニウムを抽出するとか、こういうことをいたしますと、これは米朝合意の枠組みの明確な違反で、米朝合意が全部崩れるということになります。そういたしますと、直ちにまた安保理に戻って制裁論議ということにもなり得るわけで、ぎりぎりのところは、そこの凍結が引き続き維持されたまま話し合いが続くということが非常に重要なポイントであろうと思っております。  今の時点でどうなっているかということにつきまして、まさに米朝間のぎりぎりのところなものですから、詳細は御容赦いただきたく思いますが、大体そういう感じでございます。
  43. 町村信孝

    ○町村委員 ちょっと追加で伺いますが、実際、そうすると、その今の、例えば燃料棒が本当に新しく入れられてないかとかプルトニウムの抽出がされてないか、そういうチェックはちゃんとできているのでしょうか。
  44. 川島裕

    ○川島政府委員 今はIAEAが厳重に見ている状況でございますので、そこのところは安心できると思います。  さらに言えば、制裁とかなんとかいう論議がありましたときも、みんな非常に心配いたしましたのは、そういう高ぶった段階に入りますと、当然IAEA等もう全部排除されてしまって、そうなると、あそこで何が起こっているかわからないという状況になるわけで、それはそれで大変嫌なというか、心配な状況になり得るということが昨年来ずっと心配していたところでございます。  その意味で、ぎりぎりのところ、凍結の維持というのが非常に重要なポイントであると思っております。
  45. 町村信孝

    ○町村委員 このほか、ソ連の極東軍の評価。確かに、千歳から飛び立つスクランブルの回数が半分ぐらいに減ってきたとか、いろいろな情勢変化もあるようです。基本的には確かにヨーロッパの方は軍縮になったのかもしれませんが、ある意味では、極東の方にどんどん移動してきて、極東の方はむしろ軍拡になっているんですね。そんなことも十分注意しなきゃならないのかな、私はこう思っております。  それから、一部のマスコミ論調の中には、ヨーロッパでCSCEができたからアジアにもそういうのをやったらどうだ。言うならば、CSCEのアジア版とでもいいましょうか、アジア地域安保とでもいいましょうか、そういう考え方があるのであります。  それは、できたら一つのすばらしい姿だと思うのでありますが、さっき申し上げたように、各国がそれぞれ、ある意味ではASEANの諸国も経済的に豊かになってきたから、相当な軍拡をやっています。そういう中で、またお互いの価値観がまだ違う国々が相当ある中で、そういうアジア版CSCEといったようなものは非常に難しいんじゃないかな、私はこう思うのであります。  したがって、逆に、この後で述べたい日米安保の重要性というのが浮き彫りになってくると思うのですが、このアジア版CSCEの可能性につきまして、御見解があれば承りたいと思います。
  46. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 お説のように、ヨーロッパにおきましては、東西冷戦構造の崩壊によりまして、それまで対峙しでおりましたワルシャワ軍事体制とNATO体制、いずれも方向としましては軍縮を行いながら平和的な地域を構築するということで、CFE条約が署名をされたわけでございます。  これと同じことがアジアで行われ得るかどうかということ、当然これも検討しなければならぬわけでございますが、村山内閣の三党合意におきましては、近隣諸国との信頼醸成を高めつつ軍縮を目指す、こうあるわけでございまして、まず近隣諸国との信頼醸成というものを構築をしていくということが大事である、こう思うわけでございます。  しかしながら、アジア地域、太平洋地域におきましては、各国の政治体制も、それからまた安全保障政策というものも非常に異なっておるわけでございますし、また、地域ごとにいろいろな紛争要素も持っておるわけでございます。  先ほど極東ロシア軍についてもお話がありましたが、ロシア軍の動向を見ておりますと、例えば欧州における通常兵器削減交渉が行われた際、その前後から、むしろ、ヨーロッパに配備しでおった通常兵器をウラルのこちら側の以東に相当移転してきている。ですから、この極東ロシア軍の軍事力といいますのは、活動は低下はしていますけれども、しかし、膨大な軍事力を蓄積をしているということは事実であるわけでございます。  また、周辺の諸国におきましても、アジア・太平洋地域におきましてはそれぞれ軍事力が膨大に 蓄積をされておるという事実はあるわけでございますから、そういう点におきまして、不安定な要素はたくさんある。  これをいかに安定化する方向に努力をしていくかという点におきましては、やはりここで力の空白をつくってはならない、また抑止力というものをなくしてはならない、お互いに信頼醸成を高めつつも、さらに自分の国を守る安全保障政策といいますのは今後大いに追求していかなければならない、このように考えておるわけであります。
  47. 町村信孝

    ○町村委員 よくわかりました。  次に、我が国防衛のもう一つの基本である日米安保のことについてお伺いしたいと思うのでありますが、冷戦が終わって、日米安保はもう要らないんじゃないかというような議論、これも一部、主要な新聞などにもそういうようなニュアンスの報道もございました。  逆に、アメリカの方も、ことしの二月ですか、国防総省のナイ・レポートというのはかなりしっかりとした日米安保の位置づけをしているようですけれども、先般来の自動車交渉の言うならば決裂など、経済摩擦がこんなに起きるんじゃ、もうしょうがないな、何のためにアメリカは貴重な軍隊をアジアに配置しておくのだというようなことで、まだ僕は新聞で頭だけ見ただけですけれども、フォーリン・アフェアーズのシャルマズ・ジョンソンさんの論文に、日米安保不要論とまではっきり言っているのかどうか知りませんが、かなりそれに近いようなニュアンスもあるようであります。  長官、先般、連休中に訪米をされましたが、この日米安保の意義というものをどういうふうに考え、また、アメリカがそれをどう受けとめているのか、基本的な問題でございますから、長官から御所見を承りたいと思います。
  48. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 日米安保条約の意義につきましては、東西冷戦終結したということに伴いましで、とかくその意義というものは薄らいだのではないかという考え方も一部にはあるわけでございます。東西冷戦構造におきましては、我が国に対しましてソ連の潜在的な脅威というものが常に重圧となって存在しておった。しかし、崩壊に伴いましてその重圧というものがかなりの程度薄らいだわけでございますが、やはり、日米安保条約の重要性といいますのは、対ソ連ということだけではなくして、地域の安定のために大きな役割を果たしておるということも考えなければならないと思うわけでございます。  そこで、米国の国防省が、ことしの二月に、東アジア・太平洋地域の戦略報告書を発表されました。  これを見ますと、アジア・太平洋地域におきましては、今非常に経済的な発展が著しい地域である、こう申しております。したがって、この地域が平和で推移をしていくということがどれほど大きな役割を世界の国々にもたらすかということを評価した上で、一方においては、これらの地域におきましてはいまだに膨大な軍事力が蓄積をされておりまして、一たん紛争が起きた場合におきましては、これまた大きな影響を世界に与える可能性がある。したがいまして、この地域の平和と安全というものを確保していくという点におきましては、やはり日米安保条約が果たしでおる、また果たしてきた役割、これからも果たすであろう役割といいますのは極めて大きなものがある、こういう認識であるわけでございます。  東西冷戦構造が崩壊をいたしましたが、これによって世界がすぐ平和になるということを多くの人も期待をいたしたわけでございますけれども、しかしながら、その後の状況をずっと各地で見てまいりますと、やはり宗教上あるいは民族上の紛争、こういうものがむしろ頻発をしておる、こういう状況ではないかと思うわけでございます。世界的な大きな戦争の可能性は薄らいだわけでございますが、地域によりましては地域紛争がより拡大をしていくという危険性は、むしろ東西冷戦後の方が大きくなってきているという感じもするわけでございます。  こうした不安定性、不確実性あるいは不透明性というものに対しまして、日米安保条約は、国際情勢の不安定に対する安定要素として、また不確実なものに対しましては確実性を、そして不透明なものに対しましては透明性を、こういうことで、この地域の平和のために米軍のプレゼンスが大きな抑止力として存在をする。そういう点についで、我が国協力しながら日米安保体制というものを堅持していくということで大きな平和を守る役割を果たしでいくことができる、こうした認識は両国ともに一致しておったわけでございまして、先般も五月の一日から四日まで訪米をいたしまして、ペリー長官とその点については意見の一致を見たわけでございます。  したがいましで、経済問題等が安保体制まで影響するかどうかという意見がありますが、一番大事なことは国の平和、地域の平和を守ることが大事であるわけでございまして、私は、何よりも安全保障というものが優先されなければならぬと思うわけでございます。  経済的な対立といいますのは、それぞれ経済上の問題を解決をする手だてがあるわけでございますから、それはそれなりのルールに従って解決をしていくということが好ましいと思うわけでございまして、自動車交渉等の決裂が安全保障等に及ぶという考え方は私はとるべきではないと思いますし、その点については冷静に対処していくべきではないか、このように思います。
  49. 町村信孝

    ○町村委員 ぜひそういう方向で今後も御努力をいただきたいと思っておりますが、やはりアメリカの方にも、また日本の国内にも、かつてのような冷戦時代における安保の、だれしもがなるほどねと思うような雰囲気が薄らいでいるのもまた事実でありますから、そこのところは、今回の今後の防衛力あり方についての考え方をまとめる際に相当精緻に論理構成をやっていかないと、なかなかそれは国民の理解を十分得ていくことが難しくなるおそれもある、こう思いますので、あえて指摘をさせでいただきました。  同時に、私は、この日米安保をより効果的に、効率的に、円滑に機能させていくような、そういう努力、今までもいろいろやってきたわけですが、今後さらに一層必要になってくるのだろう、こう思うわけでありまして、そのためにいろいろな方策を立てていかなければならない。  在日米軍駐留経費の負担問題につきましても、来年の三月で地位協定に基づく特別協定が期限切れになります。これをどういうふうにしていくのかというような問題、あるいは取得及び物品役務融通協定、ACSAと呼ばれておるようでありますが、これの締結の問題とか、TMD、戦域ミサイル防衛対処の問題でありますとか、あるいは日米間での武器技術面での協力、これは、共同研究からさらに共回生産へという話もあります。また、武器輸出三原則も、その限りにおいてはそのあり方を再検討する必要があるのではないか、そんな考えもあろうかと思います。  特に、長官今言われたように、やはり日米間の安全保障の問題が基礎であるとすれば、例えば今回のサミットの折に、日米両国間で首脳同士が会われることもあるでしょう、そのときに、まずそこの問題、安全保障の問題から入っていただく、そのことを確認した上でさらに他の問題に入っていくというような形での日米首脳会談が開かれればいいな、私はこう思っております。来週、総理もサミットに出発をされるわけでありますから、これも長官の方からぜひ、村山総理に対して、そういうことをきっちりまず踏まえてやってくださいねというようなアドバイスをしていただいたら大変いいのではなかろうかと思います。  今幾つかの例示を申し上げましたが、全部でなくて結構ですけれども、日米安保をより効率的に機能させるための諸方策の幾つかの具体的なポイントについて、政府の方でお考えがあれば、承らせでいただきたいと思います。
  50. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 我が国は、米国の関係者とさまざまな機会に協議を行いまして、意思疎通を十分図るとともに、在日米軍の駐留の一層の円滑化を進め、また、共同研究開発、共同訓練、日米防衛協力のための指針に基づく研究など、各種の日米防衛協力を行ってきているわけでございまして、これらを一層進めでいくということが大事であると思うわけでございます。  在日米軍駐留経費負担問題につきましては、これは、来年の三月で協定が切れるわけでございますが、やはり日米間ではこれを今後継続していくという点について意見が一致いたしたわけでございます。  しかしまた、調整をする部分が若干あるわけでございます。額をどうするかという点につきまして、我々の方としましては、総枠をこれ以上増額するよりはもうちょっと知恵を働かせてやっていただきたい、こういうような要望を出しておるわけでございますが、別に意見が大きく分かれるわけではございませんので、この点については、引き続き、両方が満足できる結論に至るよう一層努力をしてまいりたい。  それからまた、ACSAの点につきましでも、やはりこれは重要なことでございますので、この点につきましても、その重要性についで認識が一致したわけでございますので、できるだけ合意を得るように検討を進めるということでございます。  また、TMD等におきましては、専守防衛の観点から、これは我が国の政策判断が必要とされるところであるわけでございますが、本年と来年、二年間にわたりましで、今後の弾道ミサイル防衛に対する研究といいますか、検討というものを日米で行った上で、いろいろな資料の収集等を行い、技術的な点についても検討させていただきまして、その後に政策判断をいたしたい、こういうような点を申し述べておるところでございます。  また、日米両国が協力をしまして日本防衛に当たるということが条約の最も重要な点でございますので、日米両国の自衛隊と米軍が共同訓練をしまして日本防衛に万全を期す、こういう点についても、今後十分これを進めていくことが大事である、このように思っておる次第であります。
  51. 町村信孝

    ○町村委員 時間があればそれぞれについでもうちょっと伺いたいところですけれども、限られた時間の中ですから、今の御方向でぜひ鋭意お取り組みをいただきたいと御要望を申し上げます。  そのほかの基盤的防衛力構想のことについては先ほど同僚議員が伺いましたので、一点だけ。  先ほどハイテク化とかコンパクト化とか、質の高い防衛力、それぞれいいのですけれども、ややもすると専門家し過ぎてしまって、陸上自衛隊には普通科というところがあるのですね。例えば災害派遣とかPKOとか、札幌ですと雪祭りとか、いろいろな目的といいましょうか、いろいろなことに弾力的に対応できるのが普通科なんですね。  どうもいろいろなお話を聞いていると、普通科をどんどん縮小してしまうのではないかな、そんな話がちょっとありました。さっき弾力化というのが重要だと秋山局長は言っておられたけれども、やはり普通科を縮小してしまうとかえってまずい点が出てくるのです。普通科の重要性は結構こういう時代だからむしろ再認識すべきではないか、私はこう思っておりますが、御答弁、ございますか。
  52. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 現在、陸上自衛隊の体制のあり方について我々の中で議論しておりますけれども、その中におきます普通科の機能の重要性、それにつきましては十分認識しながら、この普通科の活用について、もちろんそれ以外の部隊との兼ね合いもございますけれども、今御指摘があったようにただ単にそこを縮小するといったような発想でやっているわけではございませんで、全体としてバランスのとれた、いい形の陸上自衛隊がつくれないかどうか、普通科の存在意義も十分認識しながら検討を進めております。
  53. 町村信孝

    ○町村委員 それから、装備ハイテク化とかコンパクト化、とてもいいのですけれども、例えば予算との関係でいきますと、ハイテク化コンパクト化がしたがって予算の節約になるかというと、むしろ逆のケースの方が多いのかなという感じがいたします。  七四式戦車と九〇式戦車を比べると、確かに乗る人員は四人から三人に減るのですけれども、単価は四億円が十億円ですか、相当大きくなりますし、したがって、高性能のものであるだけに整備費もかかるだろうし、場合によったら、耐用年数だって高度化すれば短くなるかもしれない。そんなようなことで、こういった問題がうまく両立するのかなといったような懸念があったりもします。むしろ、ハイテク化は経費をより必要とするという考えもあるのですが、これと、さっき局長が言われた財政の制約という問題、どう両立させていきますかね。
  54. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御指摘がありましたように、例えば戦車について申し上げれば、六一式戦車から九〇式戦車になりますと単価はかなり高くなったというのは確かにそのとおりでございますけれども、更新する場合に、やはり軍事技術の水準につきまして世界的な趨勢を見た上で、そして、更新するときの近代化あるいは最近はハイテク化といったような要素を、これはどうしても織り込んでいかざるを得ないということであります。  他方で、人的資源が限られてきておりますので、その有効活用という観点からも、例えば装備面について言えば、省力化するといったような要素はどうしても織り込まざるを得ない。  と同時に、厳しい財政事情も我々当然念頭に置いておりまして、そういったところ、いろいろな要素を勘案しながら考えていかなければならない。  個々の点を取り上げれば、確かに単価が上がることは事実でございますけれども、全体として、この厳しい財政事情にも対応しながら、この新しい体制改革を検討してまいりたい、かように考えております。
  55. 町村信孝

    ○町村委員 時間がなくなってまいりましたが、ほかにも幾つかお伺いしたいこともございます。  特に、正面装備の生産基盤がだんだんだんだん今縮小してきている。企業もリストラ、合理化をやらなければいけないということですが、やはり私は、若干コストが高くても国産化の努力をできるだけしていくということは必要だと思うのですよ。この間の地震じゃないけれども、余りにも安く、安くとやっていくと、地震があるとぼんと壊れでしまうとかいうようなこともありますから、防衛にもそれをなぞらえて考えたときには、やはり我が国の国内における防衛技術、防衛武器の生産基盤というものをしっかり持っていかなければならない。  あるいは予備自衛官、今度は何か相当長期の訓練をして新しい予備自衛官制度みたいなものを考えるというお話もあるけれども、なかなかこれは現在の雇用情勢等々から見て難しいのかなという感じもいたします。しかし、これはぜひ御検討いただきたいと思います。  そのほか、教育訓練の問題とか、あるいはレーダーサイトが非常に弱いのですね、本当はこれの抗堪性をどうやって高めていくかとか、あるいは隊員の処遇改善、隊舎、大分よくなってきたというもののまだまだ古いとか、給料だって決して十分ではない、各種手当も非常に不十分だとか、あるいは、きょうは全く議論の時間がなかったのであれですけれども、PKOの業務の位置づけなり、PKO法の改正の問題とか、いろいろな課題もございます。  いずれにしても、これからまた機会を得て、特に来年度以降の我が国防衛について、自民党は自由民主党としての考えをしっかりまとめていきたい、また、その意見を政府の方に申し上げていきたいし、また、この委員会ででもそうした議論を大いに深めていく必要があるな、こう思っております。  どうもありがとうございました。
  56. 神田厚

    神田委員長 次に、石橋大吉君。
  57. 石橋大吉

    石橋(大)委員 欠員補充で委員に選任され、また、理事に選任されたばかりでありますから、きょうは余り高度な軍事的な安全保障論などは、ちょっと私も身に余っておりますので、いずれまたそれは機会を見でやらせていただきたいと思っております。  御承知のように、兵庫県の南部大地震災害の経験を通じまして、災害出動を自衛隊の主任務に格上げをしたらどうか、こういう議論が与党の中にも、また国民の中にもあるほど、この災害救助活動を通じで自衛隊に対する国民の皆さんの期待や理解度が高まっておる、こういうふうにも考えますので、また、私は災害対策特別委員会委員もやっておりますので、きょうは災害出動に絞っで何点か質問をさせていただきたい、こう思います。  大変な大災害でありまして、初めに、玉沢長官以下自衛隊の隊員の皆さんの御苦労に一言敬意を表しておきたいと思います。  まず最初に、全体として、今度の大震災に当たっての防衛庁自衛隊の災害出動の全貌みたいなものが余り国民の皆さんに明らかにされていないと思いますから、最初にひとつその点について、全体の出動人員、部隊編成、装備、大ざっぱに言ってどれぐらいな経費が防衛庁として必要だったのか、そういうことをひとつまず最初に概括的に承っておきたいと思います。
  58. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 先般の阪神淡路大震災に際しまして、自衛隊は、発災直後から四月の二十七日までの約百日間、延べ数にしまして、人員で約二百二十万人、航空機で約一万三千機、それから艦船約六百八十隻、車両約三十四万両、これらが災害派遣に当たりました。そして、百六十五名を救助し、千二百三十八体の御遺体を収容いたしましたほか、人員、物資の輸送、医療支援、給食、給水支援あるいは入浴支援、倒壊家屋処理、こういった救援活動を実施したところでございます。  この間、陸上自衛隊は、中部方面隊隷下の第三師団、第一〇師団、第一三師団、これらが中心になりまして各方面隊、それから海上自衛隊は、呉地方隊隷下の阪神基地隊、それから自衛艦隊隷下の第一輸送隊、そして護衛艦隊、航空自衛隊につきましては、航空総隊隷下の中部航空方面隊と航空支援集団がそれぞれ中心になりまして、これらの救援活動を行ったところでございます。
  59. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今初めて概括的に自衛隊の災害救助の体制についで伺いましたが、非常に膨大な人員といろいろな装備の導入をされて、大変な規模のものであったものだなということを改めて感じたところであります。  次に、そういう大規模な救援活動をやられまして、今回の災害出動の経験を踏まえて、防衛庁としてはどういう反省点、あるいは検討すべき問題点があるというふうにお考えになっているのか、この点について伺いたいと思うのです。  五月三十一日の産経新聞によりますと、「防衛庁は、阪神大震災を教訓に自衛隊の救援活動の問題点を討議してきた「災害派遣検討会議」」議長は玉沢防衛庁長官のようですが、これを五月三十一日に開いて「自衛隊の出動のあり方の改善案を最終決定する。」これは予定記事です。「また、災害対策基本法などについては防災臨調に改正を求めていく方針も決める。」大見出しによりますと、「震度五以上で自主出動」をする、そういうようなことも検討されておるように報道されております。  この検討会議の結論などを含めて、ひとつ問題点について、余り細かいことはいいですから、主要な問題点をひとつ明らかにしていただきたい、こう思います。
  60. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 阪神淡路大震災にかかわる災害派遣に関する教訓を踏まえまして、三月二十四日に私を議長とする災害派遣検討会議を設置したところでございます。  まず、今までもいろいろ議論になったところでございますが、自衛隊の出動におきましては、やはり何と申しましても自衛隊法第八十三条によりまして、あくまでもこれは地方自治体との連携というものが大事でありますから、自衛隊の派遣については都道府県知事の要請というものを第一とする。しかしながら、物理的にそういうものができないと判断した場合は自主派遣も行う。  また、今お話がありましたように、震度五以上の場合に言及されたわけでございますが、この場合は、むしろ災害が発生したという場合におきましてはできるだけ早く状況を把握する必要がありますので、ヘリコプターその他の出動については、やはり調査をするという観点からできるだけ早くこれは派遣をするということが必要なのではないか、こういう点を含めて検討をいたしたわけでございます。  それからさらに、ただいま申し上げましたように、国の危機管理というものも大事でありますが、地方自治体の危機管理体制というものも必要なのではないか。災害が起きた場合におきまして、もし県の当局でその災害に対応できない場合にいち早く国に要請する必要があるわけでございます。その場合におきまして、自衛隊に対する派遣要請といいますものは的確に行われなければならない。派遣要請が行われたといたしましても、これが効果あらしめるためには、やはり地方自治体との連携、それからまた警察、消防との連携というものが必要でありますから、やはり従前から共同の訓練というものはもっとしっかりとしておく必要があるのではないか、こういうような点が検討をいたしてまいった主な事項でございます。
  61. 石橋大吉

    石橋(大)委員 そのほかに恐らくたくさん問題があると思いますが、時間がありませんから先に進みたいと思います。  次に、今度の兵庫県南部の地震に対する政府の対応に関連をしては、内閣総理大臣の対応を含めていろいろな批判がありました。しかし問題は、やはり的確に情報が伝わっでいないところに根本的な問題があるように思われるわけであります。その意味では、そういう情報収集のシステムを含めて、今後そういう災害が起こったときに的確に対応できるような措置を何としても講じなければいかぬ、こういうことが最大の問題になっていると思います。  自衛隊防衛庁に関連をしましても、どうも今度の兵庫県南部大地震の対応を見ていると、現地の部隊よりも上級司令部にいくほど情報なり状況の把握が非常に問題があった、弱点があった、こういうふうにマスコミの報道各紙を通じて何遍か指摘をされておるわけですね。  例えば、二月六日の朝日新聞に軍事評論家の前田哲男さんがこういう指摘をしているわけです。「上級司令部に行くほど目立つ 駐屯地の即時対応を生かせず」こういう中見出しをつけで、こう言っているわけですね。  姫路、伊丹、八尾などの自衛隊駐屯地は、大地の揺れと同時に県知事の要請を待たず、十七日朝、即座に立ち上がっていた。交通渋滞に悩まされながら、いくつかの方向かも被災地を目指す。  だが現場を離れ、上級司令部に行くほど「現場情報の軽視」や「情報認識の遅れ」「無為と不決断の累積」が目立つようになる。神戸市内に二十本以上の煙、高速道路の崩壊等の偵察情報に接しながら、中部方面総監の松島陸将はなお三陸はるか沖地震程度にしか評価しなかった。当日「県とコンタクトしていない」と、後日の記者会見で認めている。  連絡幹部を県庁に派遣するのが十八日、総監自ら方面隊全部隊の指揮を掌握するのは、十九日午後八時半、つまり事態発生から六十時間以上もたっていた。方面総監は、現場に出動した部隊を調整・統括しつつ、全体状況を陸幕に伝える指揮と情報の結節点にあったのだが、その重大な時期にどちらの機能も果たさなかったのである。危機管理の欠如というより、指揮・統制・通信・情報の欠落というべきだろう。こういう厳しい指摘をしているわけであります。  さっきも言ったように、この指摘にとどまらず、各紙がいろいろなところでこういう指摘をしているわけであります。この点について、防衛庁、どういうふうにお考えになっているか、承っておきたいと思います。
  62. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 これは、災害のあり方にいかに対応するかというシステムを御説明をしなければ理解がされないと思います。  まず第一に、阪神・淡路の地域におきましては大震災計画というものが立てられでいなかったということが反省材料であります。  つまり、東京を中心とする南関東の大震災計画が立てられて、法制化されておるわけでございますが、この場合におきましては、震災発生と同時に、東京都知事から防衛庁長官に要請がありましで、私の指令のもとに全国の部隊五万人を動員してこの地域の救済に当たるという形になって、この場合は、トップダウンということになっておるわけです。  静岡を中心といたしまして東海大地震計画も法制化されておるわけでございますが、この場合は、あらかじめ大震災を予想することができるという立場に立っておるわけでございます。その場合に、大震災が起こり得るという予想が立てられた場合におきましては、内閣総理大臣から私の方に指令がございまして、そのもとで、やはり同じような規模で既に配置をしておる、こういう体制になっておるわけです。  そこで、この兵庫県における震災でございますが、この場合は、そのような計画が立てられておりませんので、災害対策基本法及び自衛隊法八十三条によりまして、つまり、都道府県がその災害に対応できない場合におきましては、自衛隊に都道府県知事から要請を行うことができるということになっております。その要請する先は三自衛隊となっておるわけでございますが、陸上自衛隊の場合におきましては、姫路におる第三特科連隊でございます。  したがいまして、第三特科連隊が地震発生と同時に県側とコンタクトをとりまして、派遣の要請があるべきということで何回も連絡を出しておるわけでございますが、ついにその時刻が十時になった。そこで、第三特科連隊が対応する場合におきまして、これだけではとても十分できないという判断が行われた場合におきましては、第三師団の師団長に権限が移る。さらにまた、第三師団長から、これは一師団では対応しかねるという場合におきまして、初めて中部方面隊の司令に上がっていく、こういう形になっておるわけでございます。  その点におきまして、上部に行くほど現場の情勢、情報に疎いということでは決しでないわけでありまして、その経過をすべて見守りながら、最終的には中部方面総監の指揮のもとに全国から、とりあえずまず中部方面隊の各師団からの動員を図り、さらにはまた、全国からの動員を図りながら救済活動に当たった、こういうことでございます。  つまり、大震災計画というものが立てられていない場合におきましては、災害の場合は、連隊単位から上級に上がっていって、そこで指揮命令が行われる、こういうふうにお考えをいただければ御理解いただけると思います。
  63. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今、防衛庁長官の説明を聞きますと、阪神地区については大震災に対処する計画がなかった、これが根本的な問題点だった、こう言われます。私は、そういうこともあり得るだろうなというふうに思います。  同時に、やはりそれにしても、さっき言いましたように、中部方面の総監が方面隊全部隊の指揮を掌握するのが十九日午後八時半、つまり、事件発生から六十時間以上たっている。こういう対処の仕方には、これは地震だけじゃなくて、余り戦争のことは言いたくないのですが、防衛を主任務とする自衛隊の性格などからいったって、これはやはり情報収集や判断の上でも相当な欠陥があったのではないかな、ちょっとこう思わずにはおられないわけであります。  また、今もありましたように、連隊レベルからずっと情報を上げていくということですが、これも、自治体から情報が上がって、内閣総理大臣に情報伝達が遅かったために、村山さんの判断が遅かったということでぼろくそ言われてきでおったわけですが、そういうこととも兼ね合わせながら、やはりこれはどこかまだ検討しなければいかぬことも恐らくあると思っておると思いますので、きょうは与党質問でもありますし、時間もありませんからこれ以上突っ込みませんが、ひとつ十分対処をしていただきたい、こう思います。  次に、やはり同じ新聞記事の指摘ですが、中部方面隊というのが国際緊急援助隊の待機部隊に指定されている。これについては、  医官二十人、看護士五十人、ベッド数六十からなる医療援助隊(約二百七十人)と航空援助隊(三百六十人)が、「防衛庁長官直轄部隊」として地元に置かれていた。  九二年、初めてこの部隊が編成されたとき、宮下長官(当時)は、「大規模災害にも対処できること」と訓示した。にもかかわらず足もとで大規模災害が起こったとき、防衛庁のだれもこの部隊を用いようとしないのである。これは知事の責任ではないのではないか、 こういう指摘がありますが、この点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  64. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 御指摘のように、自衛隊は、国際緊急援助活動及び同活動に係る輸送活動を迅速かつ適切に実施するため、所定の体制を維持しております。  これらの待機部隊につきまして、今般の阪神淡路大震災においては、待機態勢にございました広島の陸上自衛隊第一二師団の一部が、発災後、給水活動を実施すべく速やかに活動を開始いたしましたほか、海上自衛隊の輸送船及び補給艦が給水支援や輸送支援を、それから航空自衛隊のC130が空輸支援を実施したところでございます。
  65. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今お答えをいただきましたけれども、国際緊急援助隊の待機部隊である中部方面隊の活用、こういうことについては余り具体的に触れられなかったのじゃないかなという気がします。私はそのことについてお尋ねをしているわけでありまして、その点に絞ってちょっと、なぜこの部隊が使われなかったのか、そういうことをもう少し具体的に説明をしていただきたい、こう思います。  それから、さっき玉沢長官も言われましたように、自衛隊の災害派遣はあくまでも県知事からの要請に基づく受動的なものだ、こういう大原則があることは私も承知をしております。しかし、実際には、災害の規模だとか程度によっては独自の出動、派遣も可能だ、こういうふうな指摘もあるわけですね。  例えば八〇年の防衛白書の中には「通常の災害派遣の特例として、防衛庁長官の命令により、方面総監等の上級の部隊の長が実施するものとし、自衛隊の総合力を発揮して実施する」、こういうことで、災害の関係については、これは主として、さっき説明がありました東海地震などを対象にして言っているわけです。そういう意味ではやはり大規模地震に対しては、さっき震度五以上というのが今度検討されて、そういうふうに対応できるようにしようということだろうと思いますが、今でも独自の判断で派遣は可能だ、こういうふうな指摘もあるわけですが、この点、どうですか。改めてもう一遍承っておきたいと思います。
  66. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 自衛隊が行動する場合におきましては、あくまでも法制度を明確にしておくということが第一である、文民統制を明確にすべきである、これはもう大原則であります。  したがいまして、長官が命令を発して部隊が行動する場合におきましては、大震災におきましては日本じゅうが大震災になる可能性があるわけでございますから、南関東大震災計画や東海大震災計画等と同じようなものを全国にまずつくりまして、そして、発災と同時に、要請に基づいて防衛庁長官が命令を出しまして派遣される、こういうことが大事ではないか、こう思うわけでございます。  例外中の例外で、どうしでももう通信網が途絶え、また、派遣要請者そのものの行方も全然わか らない、こういうような判断がなされた場合は、防衛庁長官が決断を出しまして部隊の派遣等を行うということは、これは当然のことだと思います。
  67. 石橋大吉

    石橋(大)委員 私は次の質問で、防衛庁としてどういう法律改正が必要だと考えているかということを質問しようと思っておったのですが、今、若干そこにも踏み込んだ答弁もありました。  今、限定された地域だけではなくて全国的に、日本列島に地震災害のおそれ、危険性があるから、そういう意味では、日本全国を対象にして、そこに対応できるような法律改正が必要だ、こういうような感じのお答えがありましたが、そういうようなことを含めて、自衛隊全体として、今度の兵庫県南部の大地震災害の災害出動や救助活動等を通じてどういう法律改正が必要だというふうにお考えになっているのか、もう少し具体的に、範囲を広げてちょっとお答えをいただきたい。
  68. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今回、災害対策基本法を一部改正いたしまして、自衛隊法第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた部隊等の自衛官が、警察官と同様に、都道府県公安委員会が指定した区域または道路の区間におきまして、自衛隊の災害応急対策を実施する車両の円滑な通行確保のため、通行の妨害となっている車両等の所有者等に対し必要な措置をとることを命じ、あるいはみずからが当該措置をとることができるということになったわけでございます。  自衛隊の災害派遣活動につきまして、まだいろいろ法律上にかかわるような問題もないわけではございませんけれども、災害派遣の中で自衛隊をどういうふうに位置づけるのかという議論にもかかわる話でございまして、今回の緊急な災害対策基本法の改正のほかに、そういった全体の災害派遣活動の中での自衛隊の位置づけといったものを、例えば現在防災臨調で議論をしております中で結論を出していただいて、そういう中でまた法律の改正といったものを検討していかなければならないと考えております。
  69. 石橋大吉

    石橋(大)委員 現段階では、全体として災害対策は政府を挙げていろいろ議論がされていますから、その議論の状況なども踏まえないとどうも余り具体的な答えができないような感じですから、それはそれとして、きょうはおきましょう。恐らくもっと広範囲にわたっての法律改正が防衛庁の立場からも必要なのじゃないかと僕は思っておりますので、それはまた別の機会に譲りたいと思います。  次に、御承知のように、自衛隊の災害派遣を契機にして、別組織をつくったらどうかとか、あるいはアメリカやフランスなどに設置をされている危機管理体制に学びながら、例えばアメリカの連邦緊急事態管理庁、FEMAのようなものを創設すべきじゃないか、こういう議論が非常に強く叫ばれているわけでありますし、ある意味でそれは当然のことではなかろうか、私はこう思っているわけであります。  例えば、アメリカの連邦緊急事態管理庁などの動きを新聞によってちょっとだけ触れますと、これは一月二十五日の朝日新聞ですが、ロス地震が襲ったのは去年の一月十七日です。一月十七日の午前四時三十分に地震が起こった。緊急事態管理庁の長官は、  十五分後にクリントン大統領に電話報告し、午後一時には現地へ向かって飛んだ。  午前五時半には早くも、サンフランシスコにあるFEMAの地域作戦本部が機材を持って被災地へ移動していた。午後七時、FEMAは現地対策本部を設け、二十その官庁、軍隊、赤十字などの活動を直接指揮、調整した。 この辺が、我が国では、各省庁がばらばらで縄張りが違っているものだから、なかなか緊急対策ができないし、統一のある行動ができない、アメリカの場合は、この緊急事態管理庁を中心にして統一的な緊急対処が非常にきちっとできるようになっている、こういうことのようであります。  そういう意味で、今度の兵庫県南部地震の災害救助などとも関連をして、こういう緊急事態対処をする新しいシステムを創設をすべきじゃないか、こういう議論があります。私もこの点、非常に大事なことだと思っております。  しかし、これは自衛隊の中に別組織をつくるかどうかという話とはあるいはちょっと質の違う議論かなと思ったりもしないことはないのですが、自衛隊の中に別組織をつくることについては、恐らく玉沢長官も含めて余り賛成じゃない、こういうことじゃなかろうかと思ったりもしておりますが、そこら辺について、一体どういうふうにお考えになっているか、ちょっとこの機会に承っておきたいと思います。
  70. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、別組織をつくるかどうかということでございますが、自衛隊は、我が国が外部から侵略される場合に我が国防衛に万全を期す、これが主たる任務、こういうふうになっております。しかしながら、災害に対する救援活動も非常に重要な責務である、こう考えておるわけでございます。  今日まで自衛隊は、訓練その他を通じまして行ってきた成果を、災害の救援活動についても万全を期して効果的にやってきでおるわけでございますので、私は別組織をつくってまで対応するということは必要ないと思うわけでございます。  また、よくFEMAが言われるわけでございますけれども、アメリカにおきまして、ロサンゼルスの大震災の場合におきまして、連邦軍が介入したのは発災してから十三時間後であった、こういうことをよく見ておく必要があるのではないか。  各国にはそれぞれのシステムというものがあるわけでございまして、我が国といたしましても、災害対策というものに対しましてはそれなりの官庁もあるわけでございますから、それがもっと有機的に連携をし合って最大限の成果を上げるということが大事である。各国にはそれなりの事情もあり、またアメリカのように、日本よりも何十倍も広い国土におきましてはそういう形の省庁があってしかるべきだと思いますが、日本の場合におきましては、やはり緊急性というもの、それから情報の伝達というような点で少しずつ改革をしながらやっていけば、十分危機に対応できる、私はこういうふうに考えでおるところでございます。
  71. 石橋大吉

    石橋(大)委員 自衛隊の投入よりも先に、平時の備えというか、ふだんの防災対策がどれだけしっかりしているか、こういうことが非常に大事だということ、この点は何よりも重要な災害対策上の根本問題だ、私はこういうふうに思っておりますから、それはそういうことで、別途また対応策を検討していかなければならぬと思っておりますし、防衛庁もそういう立場で、政府全体の議論の中でひとつ具体的な検討をお願いしたい、こう思っております。  もうそろそろ時間が来ますが、次は、今も法律改正に関連をして、災害時の車両の通行禁止あるいは規制の問題について法律改正が必要だ、こういう提言を防衛庁としてもした。これは既に御承知のとおり、先般六月一日の災害対策特別委員会の審議を経て、二日に災害対策基本法の改正がありました。そこである程度、さっき言われたような意味での法律改正は行われた、こういうことになっているわけです。  しかし、あの法律改正は、御承知だと思いますが、まず警察官、消防職員の任務があって、それで足らざるときというか及ばざるときに自衛官にそういう権限を認める、こういう法律改正だったと私は記憶しておるわけです。一つは、災害の程度にもよりますが、例えば関東大震災だとか兵庫県南部地震だとか、ああいうかなり大規模な震災のときには、これは言うべくして非常に規制は難しいと思う。  例えば東京なら東京を想定してみた場合に、かなりのラッシュアワーの時間に交差点なんかで車の渋滞している状況などを見れば、左の方へちょっと車をよけるとか、そんなことは言うべくしてできない。そういう意味で非常な難しさがあるというふうに思うのです。  それから、ある意味では警察や消防の任務を先行させて、それの補足を自衛官がするというような物のとらえ方でも、本当は現場の対応というのは、災害の及ぶ範囲にもよりますが、非常に難しいのじゃないかなという気がしでいるわけですね。それだけあまねく警察官や消防職員が配置をされている、あるいは配置をできる、こういう状況にはないと思うのです。何となく机の上で想定をした位置づけとしてはそういうことも考えられるけれども、災害の現場ではそういうことでは対応が非常に難しいのじゃないかなという感じがしているわけです。  それからもう一つは、警察や消防の場合には、ふだんからかなりその地域の実情を知っている。ところが、自衛隊の場合は、正直なところ、緊急事態で投入されたらそんなことはなかなかわかりませんから、そういう意味では、どこに自動車を避難させたらいいのかというような地理的な地域の条件、地理感もある程度ないと適切な処理はできないのじゃないか、こういうことを指摘をして、この間、私も災害対策特別委員会でいろいろやったのです。正直なところ、警察の答弁も半分答弁になっていないのですね。この点、防衛庁、どういうふうにお考えになっているか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  72. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今回の災害対策基本法の改正には幾つか主要なポイントがございますけれども、都道府県公安委員会による災害時における車両の通行禁止または制限に関する措置の拡充ということで、近接都道府県における規制まで行えるようにするとか、あるいは発災直前の規制、あるいは道路だけではなくて区域を指定して規制する、あるいは規制された場所の車両の運転者の義務ですとか、あるいは警察官による緊急通行車両の通行の確保のための措置等々、それがメーンの災害対策基本法の改正になるわけでございます。  実は、自衛隊に関する改正は、今申し上げましたメーンの改正とはやや趣を異にしでおりまして、都道府県公安委員会が指定した区域または道路の区間において、自衛隊の災害応急対策を実施する車両の円滑な通行、つまり、みずからの災害派遣で出しました車両の円滑な通行を確保するために、通行の妨害となっている車両等の所有者等に対し必要な措置をとることができる、そういうことでございまして、警察官がいない場合、警察官と同様その権限を行使することができる。  ただ、警察官の機能として最初に申し上げましたような主な改正の対象たる全般的な交通規制を、自衛官がやるということではございませんで、自衛隊が派遣いたしました災害派遣用の車両等の、みずからの車両の運行に支障が出た場合に、かつそこに警察官がいないときに、自衛官が警察官と同じ機能をとることができる、そういう改正でございます。  それから、もとより、御指摘がございましたように、現地の状況を十分に把握しているのは警察官であり地方公共団体でございますので、こういう機能が与えられたからといいましても、警察あるいは地方公共団体との常日ごろからの連携、あるいは災害発生時の連携、これは欠くことのできないことであろうと考えております。
  73. 石橋大吉

    石橋(大)委員 もう時間が来ましたが、最後に一つだけ、答えられたらちょっと聞いておきたいのです。  どうも全体として、災害対策上、情報の把握、収集に非常に問題があったということが言われるわけです。そういう中で、例えば防衛庁、消防庁、自治省というか、いろいろな縦系列の無線連絡はある、しかし、それが全部波長が違うというのか、そういうことがあって、情報通信システムそのものが縦割りになっておるために正確な情報の把握がなかなかできないというような問題点があるようですが、この点について防衛庁当局としてはどういうふうに考えておられるのか、結論が出ていないかもしれませんが、もしお答えできればひとつお答えいただきたい、こう思います。
  74. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 いかなる災害の場合におきましても、的確な情報をできるだけ集約して、それに基づいて判断をして次の行動をとるということが大事だと思うわけでございます。  それで、阪神・淡路の際におきましては、七時十四分に自衛隊のヘリコプターが飛び、九時十五分に県警のヘリコプターが飛び、十時過ぎに神戸市のヘリコプターが飛んだ。こういうことを見てまいりますと、我が自衛隊が一番出動が早かったということをあえて申し上げておきたいと思うわけであります。  問題は、その情報をどのように、例えば県当局あるいは国の中枢に伝えるかという点が十分ではなかったという点を反省をしなければならぬと思うわけでございましで、その点の改革を行う。  ただし、ヘリコプターの周波数が違うからということよりも、むしろ、電話があるわけでございますから、別にこれは機密を要するわけではございませんので、それぞれの要所に来たものが、電話でも何でもいいわけですから、できるだけ早く要路に伝わるように改善をすることがより徹底するのではないか、こう思うわけでございます。
  75. 石橋大吉

    石橋(大)委員 時間が参りましたから、終わります。  大変ありがとうございました。
  76. 神田厚

    神田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  77. 神田厚

    神田委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田克也君。
  78. 岡田克也

    ○岡田委員 新進党の岡田克也です。まず、オウム真理教関連で質問をしたいと思っております。  まず、これは事務当局にお答えいただければ結構だと思いますが、本件、オウム真理教関連で処分をされた自衛隊員の五名の氏名、身分、そして規則違反の内容、処分内容について簡単にお答えをいただきたいと思います。
  79. 萩次郎

    ○萩政府委員 お答えをいたします。  第一空挺団白井三等陸曹、三月十九日、南青山オウム教総本部に対する火炎瓶投てき事件に関与したこと及びオウム真理教関係者に内部情報を提供したことにより、四月二十八日懲戒免職。  第一空挺団浅野三等陸曹、オウム真理教関係者に内部情報を提供したことにより、四月二十八日停職三十日。この者は即日依願退職をしております。  第二対戦車ヘリコプター隊今中二等陸尉、オウム真理教関係者に内部資料を提供したことにより、五月二十四日付降任一階級下位。即日依願退職をしております。  第一空挺団東山三等陸曹、オウム真理教関係者数人とともに、平成六年十二月、広島市内で建物不法侵入したことにより、五月二十五日付懲戒免職。  第一空挺団郡司直樹陸士長、オウム真理教関係者に内部情報を提供したことにより、五月二十五日停職三十日。即日依願退職をしております。  以上五名であります。
  80. 岡田克也

    ○岡田委員 以上の五名の中で、四名までが第一空挺団所属、こういうことでありますが、この第一空挺団というのは一体どういう仕事の中身なのか、御説明をいただきたいと思います。
  81. 萩次郎

    ○萩政府委員 習志野にございましで、パラシュートによる降下を専門とする部隊であります。
  82. 岡田克也

    ○岡田委員 聞くところによりますと、この第一空挺団というのはかなり選ばれた人たちの組織である、重要な組織である、こういうことであります。  それでは長官にお聞きしたいと思いますが、七日に監督者の行政処分というのが出ておりますが、言うまでもなく最高責任者は長官であります。これだけの隊員の処分を出したこと、あるいは監督者の行政処分を出したことについて、長官としてどのような責任を感じておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  83. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 オウム真理教に絡んだ反社会的事件に関与した現職自衛官五人に対しましては、厳正なる懲戒処分を行ったところでありますが、この五人の自衛官を監督する立場にある者に対しましても、六月七日付で厳正な処分を行ったところであります。このような事態を招いたことにつきまして、防衛庁長官として、みずからを厳しく律するため、みずから進んで一カ月の俸給月額の二割を国庫に返納することとしたところであります。  オウム真理教が自衛隊組織ぐるみで取り込んでいたというような事実はなかったと判断しておりますが、今後引き続き、自衛官をどのような意図をもって活動に関与せしめようとしたかという点も含め調査を行うとともに、規律厳正なる部隊を保持し、信頼される自衛隊を確立していくことが私の責務であると考えております。  私も、みずから先頭に立って日本の民主主義を守り、平和と安全を破壊しようとする反社会的集団との闘いをさらに続けてまいる決意を新たにしでいるところであります。
  84. 岡田克也

    ○岡田委員 月給二割分お返しをしますというのは、国民から見るとほとんど説得力がないだろうと思います。  ただ、私は、長官みずからおっしゃったように、これからの再発防止というところが非常に大事なことだ、こういうふうに思うわけでありますが、再発防止について具体的に今までどのような対策を講じられたのか、その点についでお聞きをしたいと思います。
  85. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 自衛隊に対し不信の念を抱かせ、その威信を失墜させるような事件の根絶を期するとともに、国民に奉仕し、かつ信頼される自衛隊を確立し、厳正な規律の保持に万全を期するため、五月三十一日に各幕僚長等に対し、防衛庁長官通達を発したところでありますが、その通達に盛り込んだ措置の内容については、次のとおりでございます。  隊員教育上の措置といたしまして、「自衛官の心がまえ」を基本とする使命感等の一層の徹底布図り、その結果を把握し、教育の充実を図ること。精神教育等につきましては、社会に対する健全な視野を広め、各隊員がみずからの考え方等の問題点を自覚できるように集配討議等を重視すること。  次に、服務指導上の措置といたしまして、各級指揮官等がきめ細かく身上把握を行い、これに基づく服務指導を徹底すること。隊員が遵守すべき服務関係法令の内容を周知徹底すること及び今回の事件を参考にした服務指導を徹底すること。カウンセリング制度の一層の活用により、隊員の悩みや心理的問題を早期に解決するよう努めること。公務員宿舎は適正に使用されるよう指導すること。  さらに、使命感の育成のための教育や秘密保全の徹底を含む服務指導についての教育等のあり方、自衛官の外出制度のより適正なあり方等を中心といたしまして、制度上改善すべき余地があるかどうかについて検討してまいりたいと考えております。
  86. 岡田克也

    ○岡田委員 自衛隊員がオウム真理教に関連をした今回の事件について、国民が非常に不安に思っている。心配をしている。それはなぜかといえば、自衛隊が、戦車、戦闘機も含めて、そういう武器を持った集団であるからであります。したがって、こういうことが二度と起きないように  つまり、考えてみればオウム真理教が、ここ数年間でありますが、非常に過激な方向に走った、こういうふうに言われているわけであります。その数年間に、選ばれた人たちの集団であると言われている第一空挺団の中で、四名もその禍激な動きに参加をする者が出てきた。これはかなり異常なことではないか、どこかに大きな問題があるのではないか、そう国民は感じて、自衛隊の今の管理体制が本当に大丈夫なんだろうか、そういう目で見でいる、こういうふうに思うわけであります。  今長官からいろいろ具体的に、こういうことをするんだということを御説明いただきましたが、いずれもいわば事務的な説明といいますか、事落的な内容でありましで、本当にこれをやればこういった事件が再発しないのかどうか、大変不安に思うところであります。私はもう少し抜本的なことを考えた方がいいんではないか、こういう気がいたしますが、長官のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  87. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 オウム真理教がどのような意図を持って今回のこの反社会的な事件を起こしたか、これはまだ解明をされておるわけではございませんが、今までの資料等を見ますと、国家転覆を計画する、あるいはみずから自作自演の、社会を混乱させるためのテロ行為を行う、こういうことが今までの資料等で明らかにされておるわけでございますけれども、彼らがもし国家転覆というものを武力あるいはクーデターに近いようなそうしたことで行おうとするとするならば、当然、彼らは自衛隊員に接触をしてその獲得に努めたものと思うわけでございます。  私が今まで申し上げた中におきまして、自衛隊は、実力組織であるだけに、国民の信頼を中心としなければなりませんけれども、まずもってみずから厳しく隊内の規律を明確にするということが大事であるわけでありますから、五人の懲戒処分を受けた者も含めまして、隊内で厳しく調査した上で行ったわけでございます。今後とも、自衛隊はみずからの姿勢を明確にしまして、規律厳正なる部隊を保持していくということが大事である、こう考えるわけでございますので、従来から行ってきた努力というものを、これも引き続き進めていくということも大事であるということも申し上げておきたいと思います。
  88. 岡田克也

    ○岡田委員 長官のおっしゃることはわかるんですが、繰り返しになるかと思いますが、とにかく短期間に現職の自衛隊員の中で五名も、こういったいわば荒唐無稽とも思われるオウム真理教の考え方に賛同をする、あるいはそればかりではなくてその実行部隊となって動いた、こういう隊員州出てきたということは、これはやはり現在の自衛隊の教育あるいは管理、そこに大きな問題があるんではないか、そういうふうに思わざるを得ないわけであります。国民の多くもそう思っていると思います。  したがいまして、それについてこれから庁内でもいろいろ御議論をされて、そういったことが二度とないようにきちんとした体制をぜひ集いていただきたい。既に発表された通達の中身を国民が見ても、これで安全だ、こういうふうには受け取らない方が大多数だと私は思いますので、ぜひ、専門家の意見も聞きながら、そういったあり方、教育のあり方、管理のあり方そのものをもう一度再検討していただきたい、こういうふうに申し上げておきたいと思います。  もちろん、この問題は、憲法に定める基本的人権と絡む問題でありますから、大変難しい問題であることは重々承知をしておりますが、同時に、強力な武器を持った集団の中に起こったそういう事件であるだけに心配をしているわけでございます。よろしく御検討をいただきたいと思います。  さて、次に、午前中、町村委員の方からも同じような質問が出たかと思いますが、有事法制についでお聞きをしたいと思います。  実は、最近、元総理大臣の宮澤喜一さんが「新・護憲宣言」という本を朝日新聞社から出されまして、その中で、宮澤さんにしては随分はっきり物を言われているなという箇所があります。それは有事法制、有事立法の問題でありまして、百二十九ページに出てくるわけでありますが、「わが国が直接侵略を受けた場合すら、具体的に対処する方法、いわゆる「有事立法」について今日までほとんど整備されていないということを、私は強く憂うるものです。」こういう表現が出てまいります。  私はまさしくそういう視点でお聞きをしたいわけでありますが、政府における有事法制の検討状況について、簡単に御質問したいと思います。
  89. 三井康有

    ○三井(康有政府委員 午前中にも御答弁申し上げたわけでございますけれども、防衛庁がこれまで実施しでまいりました有事法制の研究と申しますのは、自衛隊法の第七十六条の規定によりまして防衛出動が下命されるという事態におきまして、自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行する上での法制上の諸問題を検討の対象として、昭和五十二年以来研究を行ってきたものでございます。  これまで防衛庁所管の法令及び他省庁所管の法令につきましては、それぞれ問題点を整理いたしまして、五十六年及び五十九年にそれぞれ公表し、国会にも御報告をしたところでございます。また、所管省庁が明確でない事項に関する法令につきましては、現在、内閣安全保障室を中心とする政府部内におきまして検討を加えているところでございます。
  90. 岡田克也

    ○岡田委員 いろいろ御検討されているということはわかっているわけですけれども、それじゃ長官にお聞きしたいと思うんですが、もし何らかの有事で自衛隊が出動をしなければいけないという事態、これは予想できないわけですね、突然来るわけです。そのときに、今のこの現行法制下で自衛隊の活動に私は重大な支障があるだろう、こう思うんですが、長官、どう思っでおられるでしょうか。今の法制の中で十分自衛隊の活動はできるというふうにお考えでしょうか。
  91. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 骨格におきましてはできると考えておるわけでございますが、なお不備な点は当然検討をして是正をしなければならない、このように思います。
  92. 岡田克也

    ○岡田委員 骨格においてはできるということなんですが、例えば、道路に爆弾が落ちて、戦車が通れない、自動車が通れないという状態になっているときに、例えばどうされるおつもりですか。
  93. 三井康有

    ○三井(康有政府委員 骨格において整備されているということは、同時に申せば、細部についで、今委員御指摘のような個々の問題点が今なお存在しているということでございます。  例えて申しますと、防衛庁所管の法令につきましても、防衛出動時におきます物資の収用等を規定しました自衛隊法百三条の政令が未制定であるとか、あるいは、同じく自衛隊法第百三条による処分を行うという規定がございますけれども、その相手方の居所が不明の場合についての規定を補備しなければならないとか、あるいは同じく百三条に基づきまして土地使用の時期を早めるという規定が必要であるとか、さらに、部隊が緊急に移動する場合に土地等を通行し得る規定が欠けているとかといったことがございます。  さらに、私ども第二分類と呼んでおりますけれども、他省庁の所管する法令におきましても、今先生も御指摘になりました損傷した道路等の通行のため、道路工事等の規制を定めました道路法に関しまして、応急補備に関し特例措置が必要であるとか、その他もろもろの点の整備が必要であるということは、私どももそのように認識をしておるところでございます。
  94. 岡田克也

    ○岡田委員 要するに、そういった法律面での整備をしなければ、いざ有事の際に自衛隊は動かせない、動けないというのが実態だと思います。もしやるとすれば、有事だから超法規的にやるということで、すべての法令を無視して行動をするのか、あるいは緊急に国会を召集して、皆さんもう既に持っているかもしれませんが、そういう法律の改正案というものを国会を通過させて、それでも一日、二日ではできないでしょうから、その数日間は自衛隊は動かずにいて、その上で動き出すという、まことにこっけいなことにならざるを得ないんじゃないかと思います。  やはりこれだけの費用をかけて自衛隊整備しているわけであります。いざ有事の際にそれが動かないということでは、一体何のために税金をかけてこれだけの整備をしているのか、こういうことになるわけでありますので、ぜひそこは、いざというときにきちんと機能し得るような形にしておくということは、私は、防衛政策の最高責任者である防衛庁長官の最低限の責任じゃないか、そういう気がいたしますが、御感想を聞かせていただきたいと思います。
  95. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 有事法制研究の目的は、現行法制上不備な事項についての問題点を整理し、研究しておるものでございます。しかし、近い将来に国会提出を予定しているわけではございません。しかしながら、我が国防衛を担当している防衛庁といたしましては、有事法制については、当然のことながら、研究にとどまらず、その結果に基づき法制が整備されることが望ましいと考えております。  いずれにせよ、有事法制の研究にとどまらず法制化をするか否かという問題は、高度の政治判断にかかわるものであり、国会における御審議、国民世論の動向等を踏まえて検討すべきものであると考えております。私といたしましては、国会の御理解が進み、国民世論が熟せば、有事法制の法制化についで適切に対処していくことはやぶさかではないと考えております。
  96. 岡田克也

    ○岡田委員 高度の政治判断とおっしゃいますが、その政治判断をするのは総理であり、そして防衛庁長官であると思いますし、世論も、やはり必要だと思う人が声を上げて主張しない限り世論というのは出てこないわけでありますから、私はぜひ長官に、他人事のようなことではなくて、責任を持ってこれを進める、そういう姿勢を出していただきたい、こう思うわけであります。  今までは、まことに残念右ことながら社会党が自衛隊の存在そのものを認めてこなかった、そういう歴史があります。しかし、今や社会党党首である村山総理は自衛隊の存在をきちんと認め、しかも今、総理大臣の立場にあるわけでありますから、むしろこの内閣こそ、長年の懸案であった有事法制について、その立法化に向けて第一歩を踏み出すにふさわしい陣立てになっているのではないか、このように思うわけでございます。  長官の御意見をもう一度聞かせていただきたいと思います。
  97. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 有事法制の法制化につきましては、各党各会派の御理解、御認識をいただくとともに、国民世論が熟すのであれば適切に対処していくことはやぶさかではないと考えておるわけでございます。今後も、思い出したように論議をするということではなくしで、もっと大きな広い議論をぜひ国会においても行っていただきたい、このように思います。
  98. 岡田克也

    ○岡田委員 国会の議論はもちろんでありますが、与党できちんと態度を決めていただきたいと思います。我々はいつでも議論する用意があります。そのことだけ申し上げておきたいと思います。  次に、PKOにおける武器使用について少し議論をしたいと思います。  この点については、私も外務委員会で質問もさせでいただいたところでありますが、現行法をつくるに当たってさまざまな議論がなされたわけであります。そして、その結果として今、正当防衛、緊急避難に該当するような場合、その隊員の個人の判断による武器使用というものが認められでおって、部隊としての武器使用というのは基本的に認めない。認められるのは、いざという場面で武器を使用しないという、いわば待て待てという意味での部隊長の命令というのはあっでも、使っていいという、あるいは使えという、そういう部隊としての指揮命令というのはだめなんだ、こういうことになっていると思うわけでありますが、果たしてこれでPKOの隊員として行かれる自衛隊員の安全が守られると、長官、そういうふうにお考えでしょうか。
  99. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 国際平和協力法第二十四条第三項は、自衛隊員等の生命または身体を防衛するためやむを得ない必要がある場合に、個々の自衛官の判断により武器の使用を認めております。防衛庁といたしましては、国際平和協力業務に従事する自衛官が、法の規定に従って適正に武器を使用し、もってみずからの安全を確保し得るようにとの観点から、今後とも法の趣旨の徹底を図っていきたいと考えております。  今までにPKOにおきましては数回の経験があるわけでございますが、危険であるあるいは身の危険を感ずるというような点におきましては、部隊長の判断によるかあるいは個人の判断によるかは別といたしましても、危ないという認識は共通のものがあるだろうと思うわけであります。  したがいまして、部隊長が命令によって武器使用をやると仮に決めたとしましても、危険性というものは去らない。ここを考えた場合に、平和協力業務といいますのは、あくまでもその地域において平和を維持するという仕事に従事をするわけでございますから、むしろ個々の隊員がその使命を全うするためにその責任を明確にし、個々の隊員が銃の発砲等におきましても責任を持つ、こういう趣旨をより徹底していった方がこの平和協力業務の趣旨に合うのではないか、私はこのように考えます。
  100. 岡田克也

    ○岡田委員 例えば威嚇射撃のような場合を考えたときに、自衛隊法ではそういうものは個々の判断ではしてはいけないということになっております。条文上そうなっております。それがなぜPKOの場合には、そういうこととはむしろ逆に、個々の判断でなければしてはいけないということになっているのか、そこはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  101. 國方俊男

    國方説明員 お答え申し上げます。  国際平和協力法第二十四条第三項につきましては、自衛官などの生命または身体を防衛するためにやむを得ない必要がある場合に、いわば自己保存のための自然権的な権利の発動として武器の使用を認めるという趣旨の規定でございまして、個々の自衛官に武器の使用の判断をゆだねでいるものでございます。  これは、国際平和協力法案を国会に提出するに当たりまして、政府として、国際平和協力業務に従事する際の武器の使用に関しまして、憲法上禁じられております武力の行使との関係についで慎重に検討を行った結果に基づくものでございます。  部隊としての武器使用につきましては、国際平和協力法案の審議の際に、すべてのケースが憲法上の問題があるというわけではないが、いろいろな形態があり得ることから慎重を期して差し控えている旨の答弁がなされているところでございまして、こうした判断から、現行の国際平和協力法では部隊としての武器使用は許されていないところでございます。
  102. 岡田克也

    ○岡田委員 なかなか議論がかみ合っていないと思うのですが、私が申し上げたのは、自衛隊法八十九条二項で、自衛官が武器を使用するには、正当防衛または緊急避難に該当する場合を除いては、当該部隊指揮官の命令によらなければならない、こういうふうになっているわけであります。つまり、威嚇射撃のような場合を考えた場合に、個々の隊員が勝手に武器を使用したのではかえっで危険がある、やはり部隊として隊長の指揮下のもとで行動すべきであるという考え方、これは当然の考え方だと思いますが、それに立っているわけであります。ところが、PKOの場合にはそれが全く逆になっている。  私は、先ほど長官おっしゃいましたが、しかし、隊員として行かれる自衛隊の方の身になれば、部隊として出ているときに、威嚇射撃なども個々の判断でやっていいですよというのではなくで、それはやはり部隊として武器を使用していく、威嚇射撃もしていく、そのことが隊員の皆さんの安全にもつながってくる問題ではないか、こういうふうに考えるわけであります。やはり出す以上は、国として精いっぱいのことをして、手当てをして出してあげたい、これは当然のことではないか、こういうふうに考えるわけであります。  実は、先ほど引用いたしました宮澤喜一さんの「新・護憲宣言」の中にも同じようなくだりが出てまいります。百六ページでありますが、これはPKOについて触れたところであります。その中で、「あれだけの仕事をしてもらうのに、「べからず、べからず」と封じ手ばかりをいっぱい並べざるをえなかったから、行った人は大変だったろうなということです。例の正当防衛と武力行使の問題ですね。」こういうふうに言っておられるわけで、当事者である総理ですらそういう問題意識を持っておられるわけであります。  外務委員会でも申し上げましたが、PKOの法律をつくったときには、社会党は野党でした。この法律に太反対で、牛歩までしました。しかし、今その社会党が与党の一角を担い、そして、総理大臣まで出しているわけであります。ですから、そういう状況のもとでもう一度この武器使用の問題をきちんと議論をすべきだ、こういうふうに思うわけで、そのためには、現実に隊員を送り出される立場にある防衛庁長官がリーダーシップをとってこの議論を巻き起こしていかないと、議論は進まないわけであります。この点についてぜひ長官の御決意を聞きたい、こう思いますので、よろしくお願いいたします。
  103. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 法律の見解を変えてまでやれという御趣旨がと伺ったわけでございますが、私といたしましては、あくまでも国際平和協力法第二十四条の第三項に基づきまして、海外における行動の場合におきましては、その法の趣旨を隊員一人一人が徹底をして持つことによってその国際平和協力業務を行っていくということが大事であると考えております。
  104. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、現行法のもとでその法律に違反しでやれなどということは一言も申し上げでおりません。立法論として、防衛庁長官が発案されて法律を改正をするということにしてはどうかということを申し上げでいるわけでありますので、その点について長官の御意見を聞きたいと思います。
  105. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 ただいま法律を変えるという考えは全く持っておりません。
  106. 岡田克也

    ○岡田委員 実際に隊員で行かれる自衛隊員の皆さんの気持ちを思うときに、本当にそれでいいのだろうか、こういう気がするわけであります。ぜひ御議論をしていただきたい、こういうふうに思っております。宮澤元総理ですら、今言ったように言われでいるということも念頭に置いていただきたい、このように思います。  時間もなくなってまいりましたので、次に移りましで、ゴラン高原のPKOの問題であります。  これも外務委員会で何度も聞いてきたところでありますが、まず確認でありますが、十一月に派遣をするということについては正式に断念をされたのでしょうか、どうでしょうか。
  107. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答えを申し上げます。  外務委員会でも御説明申し上げる機会がございましたけれども、御案内のとおり、カナダ部隊の一部との交代を検討しているわけでございます。三カ月ごとに人事のローテーションがあるということで、これはたしか五月の半ばごろに岡田先生から御質問があってお答えしたと記憶しておりますが、その時点で、可能性の問題でございますが、我が国が参加する場合の最も早い交代時期は十一月であったわけでございます。与党間でもいろいろ御検討願ってきたわけでございますが、五月中には結論を得ませんで、継続検討ということになったわけでございます。  そういうことから、またカナダ側といたしましても人事ローテーションの関係があるので、六カ月ぐらい前に知らせてほしいということを言われておるわけでございます。そういうこと等からいたしまして、現時点になりますと、事実上この十一月には間に合わないということでございます。なお、検討は引き続き行っているところでございます。  それから、国連及びカナダに対しましては、我が方の国内の検討状況を随時お知らせしてございます。
  108. 岡田克也

    ○岡田委員 国連、カナダ、あるいは中東の、調査団を派遣した先の国々に対して、十一月派遣はできない、これこれこういう理由によってできない、そういうことをはっきり言うべきであると私は思いますが、そういうお気持ちはありませんでしょうか。
  109. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 十一月というタイミングにつきましては、先ほど御説明したような性格のものでございますので、必ずしも関係国すべてに十一月というタイミングを知らせたわけではございません。特に、カナダと国連との間では、先ほど申し上げたようなローテーションの関係があるので、一つの想定されるタイミングとして先方も承知しておりましたので、そういうようなタイミングにつきましては事実上無理になったということは既に伝えでございます。
  110. 岡田克也

    ○岡田委員 事実上無理になったということを伝えてあるということでありますが、なぜできないのか、その理由も明確に伝えないと、日本の外交というのは一体どうなっているんだ、こういうことになるだろうと私は思うのです。  そこで、これはお願いでありますが、関係国に対してきちんと理由をつけて、これこれこういう理由で十一月派遣は無理である、このことをぜひ出していただきたい。もう最低限のことだと私は思うわけであります。そこまで出せないということになりますと、本当に日本の国というのはよくわけがわからない、理解不能の国である、こういうことになるのではないかと思います。  それから、新聞によりますと、昨日、河野外務大臣が村山総理にお会いになって、サミット前に来年二月の派遣決断を進言した、そして、もしこれは決断をしないと日本の国際信用を著しく損なうおそれがあるというふうに言われた、こういう報道がされておりますが、これは事実でありましょうか。
  111. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 御案内のとおり、ハリファクス・サミットにおきましては、村山総理がクレチエン・カナダ首相とお会いになる予定でございます。したがいましで、その時点で村山総理からどのように御説明いただくかという点につきまして、昨日、河野外務大臣が総理とも協議をなさったという経過がございます。  ただ、その内容につきましては、ちょっと私の方から申し上げられる立場にございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  112. 岡田克也

    ○岡田委員 ここでは、カナダという国に対して、それを意識して二月の派遣を早く決断しなければいけない、こういうことであります。これは、カナダに限らず、中東諸国にとっても同じことだと思います。  政府もあるいは与党も調査団を派遣して、別に出すという約束はされなかったとは思いますが、しかし、出す可能性があるから調査団も派遣したわけでありますし、そして、その調査の結果、指摘された問題点については国連からもきちんと返事が返ってきているという状況で、出さない、こういうことになりますと、私は、中東諸国からも日本の外交に対する不信、こういうものが出てくると思いますが、この点についで外務省はどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  113. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、与党間の検討も引き続き行っていただいているところでございます。また、政府としても検討を続けているところでございますが、これまでの検討経過も踏まえまして、やはりできるだけ早期に政府としての結論を出したいというふうに考えております。
  114. 岡田克也

    ○岡田委員 柳井局長は多分私と同じ気持ちだろう、こう思っているわけですが、この新聞記事を見てややほっとしたのは、河野外務大臣も、このままほっておいたのでは国際信用を著しく損なうことになるのじゃないかということで、認識はきちんとされているということが今回わかりまして、私もその点はほっといたしました。後は、外務大臣の政治家としてのリーダーシップの問題であると私は思います。  連立与党でいろいろ難しい問題もあるかと思いますが、事は日本の国際的信用にかかわる問題でありますので、ぜひ与党の間でよくお話しいただいて、きちんと意思決定をしていただきたい、このことを最後に御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  115. 神田厚

    神田委員長 佐藤茂樹君。
  116. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 新進党の佐藤茂樹でございます。  午前中からの各委員からのこの四カ月間のいろいろな安全保障の問題、大きな項目、ほとんど私も同じ項目なんですが、中身だけ少しずつ変化をさせながらお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、重なるわけでございますけれども、オウム真理教関連事件の責任問題についてまず御質問をさせていただきたいと思います。  本年三月に起こりました地下鉄サリン事件以来、一連のオウム真理教に関する事件で、日本は最も安全な国だというその日本の安全神話というものが一気に崩れ去ってしまったばかりでなく、事もあろうに、国の安全と平和を守るべき自衛隊員が、事件に関与し、また逮捕されるという前代来聞の事実の発覚に、多くの国民が本当に驚き、また残念な思いに至っているのではないか。また、我々安全保障委員会委員としても大変残念な思いがするわけでございます。  一方で、さきの阪神淡路大震災自衛隊は不眠不休で懸命な救助活動に貢献して、被災者の人々から本当に称賛と感謝を浴びでいたにもかかわらず、このような一部の反社会的行動を行った不心得者のために非難されるのは本当に残念至極なんですが、あえて申し上げさせていただきたいのは、このような不祥事に対してどういうけじめをつけたのかということが、自衛隊として一番問われる問題ではないかなというように思うわけです。  一昨日の六月七日に、長官は、御自身も含む十七名の防衛庁幹部の処分を発表なされたわけでございますが、その内容は、減給、戒告、訓戒、注意、そこまでの行政処分で、御自身については、先ほど御答弁もされておりましたけれども、俸給の十分の二を一カ月返納する、そういうものでございます。  あえて質問をさせていただきたいわけですが、長官は、これだけの自衛隊及び自衛隊員の重大事件に際して、なぜ最高責任者として御自身の辞任をお考えにならなかったのか、まず明確にお答えいただきたいと思います。
  117. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 オウム真理教に絡んだ反社会的事件に関与した現職自衛官五人に対しましては、厳正なる懲戒処分を行ったところでありますが、この五人の自衛官を監督する立場にある者に対しましても、六月七日付で厳正なる処分を行ったところであります。防衛庁長官といたしましても、このような事態を招いたことについて、みずからを厳しく律するため、進んで一カ月の俸給月額の二割を国庫に返納することとしたところであります。  オウム真理教が自衛隊組織ぐるみ取り込んでいたという事実はなかったと判断しておりますが、今後引き続き、自衛官をどのような意図を持って活動に関与せしめようとしていたかという点も含め調査を行うとともに、規律厳正なる部隊を保持し、信頼される自衛隊を確立していくことが私の責務であり、辞任によって責任を放棄するということは毛頭考えておりません。  私もみずから陣頭に立ちまして、また今までも、このサリンの問題等におきましても自衛隊は、化学防護隊を中心といたしまして懸命に戦ってきたところでありますが、今後も日本の民主主義を守り、平和と安全を破壊しようとする反社会的集団との戦いをさらに続けてまいる決意を新たにしているところであります。
  118. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 しつこくなるのでもう一度だけしかお聞きいたしませんけれども、まず責任回避ありきという長官の姿勢が自衛隊員の士気また規律にかかわる、そのように私は認識しておるわけでございます。  戦後の内閣で、辞任された防衛庁長官というのは今まで七名いらっしゃるわけです。その原因というのが、失言からスパイ事件、また「なだしお」のように事故の責任をとられた方々、それなりにいらっしゃったわけでございますが、それなりに辞任のされ方というのは非常に深かった。規律に違反していたとか内規がどうだとかというのは、どこまでも官僚までのレベルの問題でして、防衛庁長官というのはどういう政治責任をとられるのかということが一番問われているわけでございます。  現役の自衛官から、武装した宗教団体に絡む事件で懲戒免職や逮捕者を出すという今回の不祥事は、これは日本だけでなく全世界に与えた影響も大きいわけでございまして、そういうことも踏まえて、また五月二十六日には、長官が自分自身の引責辞任を否定されるような会見をされながら、次のようなことを言われているのですね、あいまいなままで責任をとって辞任することはむしろ無責任だと。私は、今回、防衛庁の庁内でしっかりと調査をされた結果の処分だと思うのですけれども、あいまいな形ではなくて、やはり一つの結論を出されたわけですから、ここで国民にも、さすが自衛隊だ、そう言われるような責任のとり方があるのではないかなと思うのですが、長官、もう一度お聞きしたいと思います。
  119. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今までの事例を挙げてお話をされたわけでございますが、確かに潔い辞任も責任のとり方だと思うわけでございます。しかしながら、問題に直面をいたしまして、その問題を回避して責任をとらないという面もあるわけでございますので、私はむしろ、現在戦いも続行中である、こういう観点から、日本の平和と安全を守り国民の生命と安全を守る、こういうことにおきまして全自衛隊がこれからしっかりと頑張っていく、こういうことをみずから進んで行うということが責任のとり方である、このように考えております。
  120. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今、大体、ほぼ全容が見えてきつつあるんですけれども、先日の法務委員会での刑事局長の答弁では、あと山がまだ三つあるというようなお話もされております。防衛庁内ではそれなりにしっかりとした調査をされて、そして六月七日にあのような処分をされたと思うのですが、万が一、これはあくまでも仮定の話なんですけれども、今後またしても自衛官が関与しでいるというような事実が発覚した場合には、長官、一体いかなる責任をとられるのか、お聞きしたいと思います。
  121. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 この事件はまだ全容が明らかにされておりません。したがいまして、私も先般も申し上げたわけでありますが、調査は現在続行中であります。  なおまた、今後のことについてのお話があったわけでございますが、やはり自衛隊は実力組織であり、今後もきっちりとした規律厳正なる部隊を保持して頑張っていかなければならぬわけでございますから、いかなる意図を持って我が自衛隊に彼らが接触しようとしたか、また、国家転覆の計画というものがあったのか、それはいかなる動機、目的によって行おうとしたのであるか、こういう点も十分解明されなければならないだろうと思うわけでございます。  また、今後予想されないような事案というようなものも起こり得る可能性もあるわけでございますから、そういうことに向かって進んでいく、平和を守るために全力を尽くす、こういうことが一番大事なことだ、こう考えております。
  122. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 再発防止の件については、先ほど詳しく質問されましたのでお聞きいたしませんけれども、このような不祥事が二度と起こらないようにぜひ再発防止に徹していただきたい、そのように要望する次第でございます。  それに関連しまして、特に本年三月二十二日に、山梨県の有名になりました上九一色村等のオウム真理教の関連施設への警察庁の強制捜査が行われたわけでございます。それから数カ月、空前の大捜査が行われたわけでして、我々もテレビを見でおりまして、まずカナリアの入ったかごを前に掲げながら入っていった捜査陣の姿が今でも記憶に新しいところでございます。  その際、防衛庁は、警察庁の要請によって、その三月二十二日だけですけれども、防毒マスク等戦闘用防護服四千二百セット、有毒物質の除去装置、また検知器十セットなどの貸し出しを行ったというように言われておるわけでございます。この強制捜査が皮切りとなって事件が一気に展開し、解決の突破口を切り開いていったことは結果として非常によかった、そのように思っているわけでございます。  そこで、見逃してはならないなと思ったのは、たまたま警察庁にこういう装備類がなく、時間的制約の中で貸与したということとか、また行政官庁同士の横の貸し借りなんだというような次元ではなくて、事防衛庁については、単なる防護服とか防毒マスク以外に重装備のいろいろなものもあるわけでございまして、防衛庁が防毒マスクや戦闘用防護服という庁独自のものを貸し出したという事実は極めて意味があるのではないかなというふうに思うわけです。  そこで、この防毒マスクとか戦闘用防護服の貸し出しはいかなる法的根拠に基づいてなされたものなのかについてここでお伺いしたいと同時に、これについては、あの段階での防毒マスクとか戦闘風防護服、若干それにまつわるものの段階でぎりぎり認めた特例であって、これが例えば重大器や重装備の貸し出しにまで及ぶことはないということになっているのか、その辺について明確にお答えいただきたいと思います。
  123. 荒井寿光

    ○荒井(寿)政府委員 ただいまお尋ねの法的根拠の関係でございますが、今回のオウム真理教事件に際しまして、警察庁から依頼のございました化学防護器材の貸与は、法令的には一時管理がえの形態でなされたわけでございます。その法的根拠は物品管理法第十六条二項でございます。  さらに、お尋ねの重大器や重装備などについてはどうなるかということでございますが、今の物品管理法に規定のございます管理がえの対象となる物品につきましては、管理がえを受ける者がその物品を所持することについて法的に認められていることが前提でございます。  警察法第六十七条の規定によりますと、警察官が職務の遂行のために所持することができるとされておりますのは、「小型武器」と明記されておりまして、例示されました、お尋ねのございました重大器などにつきましては、警察サイドから防衛庁に対して一時管理がえの要請をすることは想定されないと思います。
  124. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 続いて、全く角度が変わりますが、午前中にも委員の方から御質問がありましたけれども、中国の核実験及び新型の大陸間弾道ミサイルの発射実験に関しましての御見解をお聞きしたいのです。  先月の五月十五日に中国が地下核実験を実施し、また二週間後の五月二十九日に移動式の新型のICBMの発射実験を行ったという報道がなされておりますけれども、このような中国の核実験及びミサイルの発射実験につきまして、それぞれ外交上並びに安全保障上どのような御認識をされているのか、防衛庁長官及び外務省の方にお尋ねしたいと思います。
  125. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 先般のNPT再検討・延長会議において、核実験の自制をうたった核不拡散と軍縮に関する原則が採択され、また、ジュネーブ軍縮会議において全面核実験禁止条約交渉が精力的に行われている中で、先月十五日に中国が核実験を行ったことは極めで遺憾である、このように思います。  また、防衛庁といたしましては、先月の末、中国が弾道ミサイル関連の実験を行ったものと推定しておるのでありますが、実験が成功であったか否かについては確認はいたしておりません。
  126. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  核実験につきましては、今長官の方から御答弁がございましたが、全く同じ認識を持っております。まさに実験禁止の交渉が行われているとき、それからNPTの会議において核実験の自制というものがうたわれた直後にこういう実験が行われたということは遺憾であって、再び繰り返さないようにその旨を強く申し入れをした次第でございます。  それから、外務省といたしましては、ODAの実施官庁といたしまして、ODA大綱という観点からもこれは大変問題であるということで中国側に申し入れを行って、今後の対中協力についての総合的な判断の一環として、今般の実験を踏まえて対応するというふうに決めたわけでございます。  それから、ミサイルの実験につきましては、これは五月末に行ったということでございます。  こういう中国の一連の軍備に関する動向というものは、もとより日本は、安全というか平和という観点から関心を持って従来から眺めていた次第でございますし、そういう観点から、域内の、これはアジア・太平洋地域、中国を含めて各国の国防政策の透明性の向上というものが今後の課題であろうということで、中国との二国間ベースでの安保問題に関する対話とか、あるいはASEAN地域フォーラムといった多国間の場等におきまして、そういう国防政策の透明性、簡単に言えば、安心感を増すような方向でやるべきではないかという外交努力は続けていくべきものと考えております。
  127. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今アジア局長の方からも日本の今後の対応について若干触れられたのですけれども、さらに突っ込んでちょっとお聞きしたいのですが、きょうの読売の四面を見ておりますと、さらに中国は、これは確かな報道なのかどうなのか確かめでいただきたいのですけれども、先日の「東風」、中国語でどう読むのかわかりませんが、ICBMの「東風31」の発射実験に加えて、このほどさらに長射程で、北米大陸全域を射程におさめる「東風41」の実験も続いで実施されるとの見通しを明らかにした、こういう報道もなされているぐらいに何ら歯どめになっていないわけですね。  一番問題なのは、先ほどもそれぞれおっしゃっておりましたけれども、一つはNPTの無期限延長合意の四日後である、直後に行ったということと、もう一つ日本にとって大事なことは、同じ月の、先月の五月三日に日中首脳会談で村山首相が李鵬首相に核実験の停止を申し入れているにもかかわらず、十五日に核実験を行う。そういうことが事実として行われているわけです。これは、核軍縮を求める国際世論に反するとともに、この二国間の信頼関係を著しく傷つけるものではないかな、そういう感じがするわけです。  政府は、聞くところによりますと、既に、この核実験に抗議するために、九五年度の中国向けの無償資金援助の一部を圧縮する方針を正式に決定したそうですけれども、ただ、その中身というのはまだ明らかにされておりません。圧縮額は、日中関係全体の重要性に配慮しで非常に小規模にとどめる考えであるというようにも報道されているわけです。私は、事の重大性を深刻に受けとめて、従来どおりのその程度の抗議に済ますのではなくて、まず、核実験反対の意思を何らかの形で明確にすべきではないかな、そういう感じがいたしております。  もう一つは、先ほどアジア局長も触れておられましたけれども、今回のこの核実験並びに二十九日に行ったICBMの実験、まだこれからも行うかもわからない実験というのは、日本の政府開発援助大綱の原則に明確に抵触している疑いがあるわけですね。  これは先月の五月三十日にも閣議に報告されたものですけれども、その「原則」の3にこのように書いてあるわけです。「国際平和と安定を維持・強化するとともに、開発途上国はその国内資源を自国の経済社会開発のために適正かつ優先的に配分すべきであるとの観点から、」次ですが、「開発途上国の軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入等の動向に十分注意を払う。」そういう明確な一項目が原則としてあるわけですけれども、これに本当に抵触するのではないかな。そういう意味でいうと、ODAの見直しというものももっとやはりしっかりと検討されるべきではないのかということを外務省の方にお聞きしたいのがまず一点。  もう一つは、中国の核実験によりまして、フランスが非常に反応しております。フランスの国防大臣が、報道によると、これはラジオのインタビューですけれども、核実験再開を示唆した、そういう報道もなされているわけですが、もうすぐ首相、また外務大臣が行かれますサミットでこの問題を取り上げて言及すべきであると思うのですけれども、外務省としての今の方針はどうなのかお聞きしたいと思います。
  128. 川島裕

    ○川島政府委員 御質問の前半部分について、まず私からお答えいたしたいと思います。  先生御指摘の点、非常にそのとおりだと私どもも感じているところがございます。  ただ、それじゃODAをどうするかということにつきましては、先般の核実験につきましては、総合的判断の一環としてこの核実験の経緯を踏まえることとして、無償について圧縮という方向を考えたわけでございます。  ただ、中国との関係についで若干申しますれば、日中関係というものは日本にとって非常に重要な関係でございます。それは、今後十年、十五年、中国がどういう国になっていくのかということは、日本にとって大変重要な国際環境の一翼をなすものでございます。そういう観点から、仮に引き続き多くの大量破壊兵器をさらにつくるというようなことはやはり日本にとって大変重大な関心事になるということでございましで、これはODAをやるからとかいう以前の話であろうと思っております。  ただ、そういう中で、やはり中国に対して、そういう行動に走るとすればそれは非常に周り、周辺あるいはアジア・太平洋地域全体にとって問題であるという意識を、対話を通じて伝えるということ、さらに言えば、中国の存在感と申しますか、そういう国が引き続き軍事力の近代化を進めますと、さらにミサイル等々になると、やはり周辺に与える圧迫感というものがあるいは中国が考えている以上に大きいものがあるというような点は、むしろ率直なやりとりで指摘するべきであろうと思っておりますし、それはやっているつもりでございます。  ただ、今度ミサイルとかそういうものがあったのに伴って、よりもっと強力にODAについて対応すべきではないかというお尋ねでございます。  その点につきましては、先般の核実験につきましてはそういうことで、これを考慮に入れて見直しを行ったわけでございますけれども、今の時点ではそれ以上、個別のミサイルの今後の実験等々につきましては、これはその状況を見ながらODA大綱の全体の中で総合的に判断するということまででございまして、こういう実験があったからこれだけ減らすとか、そういうやりとりは必ずしも考えていないということでございます。
  129. 林暘

    ○林(暘)政府委員 フランスの核実験についてのお尋ねでございますけれども、御指摘のように、フランスにおきましては現在専門家に、核実験を行う必要があるか否かということの検討をさせているという状況であると承知しておりまして、その検討を踏まえて、最終的にはシラク大統領が判断するというふうに承知をいたしております。まだその判断は出されていないというふうに承知をいたしております。  サミットでどうかというお尋ねでございますけれども、御案内のとおり、サミットは経済問題と並んで政治問題についても議論をいたします。政治問題については、かなり各国首脳が自由率直にいろいろな議論をするという場でございますので、この中国の核実験の問題がサミットの場で議論をされることになるかどうかということについて現時点で申し上げることは難しいのでございますけれども、その議論の流れに応じで、総理の御判断で我が国の立場というものを表明される可能性ということはあろうというふうに承知をいたしております。  ただ、フランスにつきましては、今度のハリファクス・サミットの後、総理がフランスに行かれまして、シラク大統領と日仏首脳会談をされる予定になっております。したがいまして、日仏首脳会談の場においては、今御説明申し上げましたようなフランスにおける状況も踏まえて、フランスの核実験再開をやらないようにという形での日本の村山総理からの御発言というのは当然あろうかというふうに考えております。
  130. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 NPTの合意の後、これから核実験全面禁止条約の発効前に何となく抜け駆け的にやろうという国が出てくることを、非常に中国の例を見て恐れているわけでございまして、ぜひサミット等で話題にしていただいて、この問題について対処しでいただきたいなというふうに思うわけでございます。  また話は、角度変わりまして、自衛隊の災害派遣の件につきましてしばらく防衛庁にお聞きしたいのです。  午前中にもあったわけですが、防衛庁は、阪神淡路大震災を教訓に、自衛隊の救援活動の問題点検討する災害派遣検討会議を、たしか三月の末から防衛庁長官を議長にしてずっと二カ月間かけて討議されてきて、五月の三十一日に改善案をまとめられたとお伺いしておるわけでございます。  最初に、その改善案の柱となる内容と、また、それに基づいて今後災害対策基本法であるとかまた自衛隊法というものの改正まで踏み込んで求めていかれる方針なのかどうか、あわせてお伺いしたいと思います。
  131. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 今御指摘がございましたように、防衛庁では、極めて大きな災害でございました阪神淡路大震災に係る災害派遣に関する教訓を踏まえまして、三月二十四日に、防衛庁長官を議長とする災害派遣検討会議を設置いたしました。この検討会議におきましては、今般の災害派遣に参加した部隊の長などから直接いろいろ意見を聴取いたしまして、そういったものも含めましで、改善を要する項目などの整理をいたしまして、五月の末に議論の一応終結をしたところでございます。  その内容につきまして、主要なものを挙げれば次のとおりでございます。  まず第一点は、自衛隊法第八十三条第二項のただし書きの運用の問題でございます。いわゆる自主派遣の問題でございます。自衛隊の災害派遣は都道府県知事等からの要請を受けて行うことがまず原則であり、最も効率的であるということで、この基本的な考え方は変える必要はないということでございます。ただ、自主派遣につきましてこれを補完する、非常に例外的な措置として位置づけるべきものであろう、そして、かかる観点からその運用方針を策定する必要があるのではないか、基準を明確にしようということを決めまして、今その基準の明確化の作業に入っているところでございます。  次は、地方公共団体との連携強化の点でございますが、先般の大震災における災害派遣活動におきましては、地方公共団体との連携が必ずしも十分ではなかったという点が実は指摘されているところでございまして、この経験あるいは反省を踏まえまして、平素から地方公共団体との連絡調整要領の確立あるいは実践的な共同訓練の推進、さらには災害派遣時に利用可能な場外離着陸場の確保、そういったものを図っていくということが必要なのではないかということでございます。  そのほか、議論いたしまして一応のまとめをいたしましたのは、災害救援活動の円滑な実施のための必要な権限の問題、それから情報伝達の迅速化あるいは効率化の問題、そして災害派遣に係る装備品などの充実の問題、そういったものでございます。  今後、防衛庁といたしまして、これらの項目につきまして、対応方針に沿って関係部局でさらに実務的な検討を加えて成案を得でいきたい、必要に応じまして関係省庁とも調整の上、具体的な対応策をまとめてまいりたいと考えております。  なお、法律改正につきまして、災害対策基本法あるいは自衛隊法の改正についで、どういう検討状況なのかという御指摘がございましたが、先般、災害対策基本法の一部を改正いたすことになりました。その関連で、自衛隊法第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた部隊等の自衛官が、警察官がいない場合に、警察官と同様に、都道府県公安委員会が指定した区域または道路の区間において、自衛隊の災害応急対策を実施する車両の円滑な通行の確保のため、その通行の妨害となっている車両等の所有者等に対し必要な措置をとることを命じ、またはみずからが当該措置をとることができることになりまして、この関連で自衛隊法の改正をしております。  さらに、今回の災害対策基本法の改正以外の関係で、実は、災害対策を行うに当たりましで、自衛官がいかなる権限を有しているべきかということにつきましては、災害対策全体の中における自衛隊の役割のあり方についての検討を前提とすべきではないかというふうに我々考えております。  したがいまして、こういったさらなる自衛隊の役割に関する、あるいは権限の問題、あるいは災害派遣における自衛隊あり方、位置づけということにつきましては、現在、防災問題懇談会、いわゆる防災臨調というところでそういったかなり大きな視点からの検討がなされておりますので、その議論の結果を踏まえました災害対策基本法全体の見直し作業の中で、今後さらに我々としても検討していただきたいと考えております。
  132. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今の御説明でもう十分わかるのですが、一つだけちょっと今のに関連してお聞きしたいのです。  冒頭、最初の方に申されました自主派遣の基準の明確化がもう少し詰まってくると、八十三条二項のただし書きの部分、またあるいは八十三条全体がもわかりませんけれども、それが法改正が必要になってくるというようにお考えでしょうかどうでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  133. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 ただし書きについて、つまり、自主派遣についての運用の基準の明確化ということについての関連で、この自衛隊法八十三条のただし書きについて、法律改正をするという必要はないという前提で我々考えでいるところでございます。
  134. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 先ほど防衛局長の御説明の中にも、自衛隊を災害が起こったときにどういうように位置づけていくのかということが非常にこれからの大きな課題ではないかというお話がありました。現行の災害対策基本法では、第五章の災害応急対策のところで自衛隊というのがほとんどなかったわけですね。  今回、七十六条で一つの権限をもたらされたわけですけれども、特に今回のこの阪神淡路大震災のような大規模災害時に、自衛隊の迅速、効果的な活動が期待されながら、実は、仮に出動したとしても、自衛隊がこの被災地に入った場合に、自衛隊の権限は現行法では限られたものであって、非常に法的な不備を指摘する声を、現地に行っても、中部方面総監部もそうでしたし、第三師団の師団長以下にもお聞きしたら、そういう答えが返ってきたわけでございます。  例えば、災対法では、災害が発生したり、その危険が急迫している場合は、市町村長は応急措置のため、必要がある場合には他人の土地を一時使ったり、被災現場で工作物を除去、破壊できると定めております。さらに、警察官や海上保安官に限っては、これを代行できるとしているのですけれども、自衛官にはこの権限はないわけです。  今国会で、たしか先週だったと思いますけれども、衆議院の本会議において、この災害対策基本法の七十六条の部分、道路交通の規制の問題ですけれども、その部分だけ一部を改正する法案が可決されたわけですけれども、我々の認識としては、あれはほんの枝葉の部分の改正ではないかな。あれだけでは、今、例えば本当に同規模の地震が、大規模災害が起こったとしても、自衛隊の迅速かつ効果的な活動というのはなかなか期待できないのではないかな。  例えば災対法の中だけを見ましても、市町村長もしくは警察あるいは海上保安庁にはできでも自衛隊にはできないということが幾つかあるわけです。  例えば、この災害対策基本法の五十九条の「市町村長の事前措置等」また六十一条の「警察官等の避難の指示」また六十三条の「市町村長の警戒区域設定権等」また六十四条の「応急公用負担等」そして六十五条、いずれも市町村長にはできて、警察あるいは海上保安庁には代行できるけれども、自衛隊にはできない。我々は、これらを改正して、災害派遣時の自衛隊が、せめて消防、警察、また海上保安庁に準じた役割を果たせるようにその権限を明示して、特にこの第五章の災害応急対策の部分における自衛隊の活用をもっと前向きに考えでいかなければいけないと思うわけですけれども、その辺についての防衛庁としての御所見をお伺いしたいと思います。
  135. 秋山昌廣

    秋山(昌)政府委員 ただいま御指摘がございました災害対策基本法六十三条ですとか六十四条、そのほかの条文を引用されました、いわゆる応急対策といったようなことにつきまして実は現在、市町村長等が現場にいないとき、またはこれらの者から要求があったときは、警察官または海上保安官が市町村長の職権を行うことができる、御指摘のとおりの規定があるわけでございます。  かかる権限につきまして我々も強い関心を持っているところでございますが、自衛官に付与するか否か、この災害対策基本法全体の見直し作業の中で、先ほど申し上げましたとおり、災害問題懇談会の中で災害派遣活動の中における自衛隊の位置づけと相まって議論されることになろうかと思います。我々もその議論には積極的に参加してまいりたい、かように考えております。
  136. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 もう一つ、局長のお話の中でもありましたけれども、情報伝達システムの部分についでちょっと後でお聞きしたいのです。  我々新進党も、この被災地に行って、いろいろ被災者の方の声も聞きながら、現地の行政組織である県であるとか市の方にもいろいろお聞きしたわけですけれども、特にその中で、今回、兵庫県からの強い要望で、とにかく不備であり、何とかしてくれと、こういう声を言われたのですね。被災した県は被害状況を十分に把握できない、その場合、逆に国から県や市に情報を提供するという情報のバックアップシステムのようなものを検討してもらいたい、そういう趣旨のことを我々新進党の調査団に要望されていたわけです。  今の災害対策基本法の一つの問題としても、五十三条では、市から都道府県、そしてそこから消防庁、国土庁、首相官邸という下からの情報のラインというのは規定されているものの、そうしたら今回のように兵庫県が自慢にしていた肝心の情報通信システムがダメージを受けで、県自体が情報が収集できなくて機能麻痺に陥った場合、この流れというのはそれだけでは途絶えでしまうのですね。  そこで、そうしたらかわりに、どういうところが非常に大事になってくるのかということを考えたときに、どう考えてもやはり実力組織を持った自衛隊独自の情報ルートというものがどれだけフォローできるのかということが非常に大事になってくるのではないか、そういう感じがいたします。  今回の場合は、以前予算委員会長官にも御質問したのですが、もう一度言いますと、地震発生直後の情報収集にははっきり言うと混乱が見られたのではないかな、そういう感じがいたします。  十七日の午前七時十四分及び七時三十分に陸上自衛隊が、また八時十一分に海上自衛隊が徳島から偵察ヘリを飛ばしておりまして被災地上空を見て回ったわけです。それぞれ所属部隊に報告はしましたけれども、あの予算委員会でも長官はお答えになっておりましたけれども、特に徳島のヘリがそこで撮った写真は、伝送されて長官のもとに来たのはもう午後三時だった、そういう答弁もされているぐらいに、やはり反省すべきところがあったのではないかな、これはやはり今までの連隊、師団、方面総監部という、ただそれだけの、下からのボトムアップだけのルートだけでは一つの大きな問題点があったということと、もう一つは、やはり陸海空自衛隊が現場では情報をなかなか一元化できなかったという大きな問題点が指摘されているわけです。  そういうことも踏まえまして、現場から地方への連絡体制、さらには現場レベルの連携をどうとっていくのかということも踏まえて、今、情報収集体制の確立てどのようなことを防衛庁として前向きに考えでおられるのか、お尋ねしたいと思います。
  137. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 御指摘がありましたように、今回の阪神淡路大震災におきましては、リアルタイムで情報の伝達がなかったという点が反省材料として指摘されたわけであります。  そこで、まず、中央に対しましても、あるいは地方の中枢に対しましても、自衛隊が入手した情報ができるだけ早く伝わるように、ヘリ伝送の装置を全国各地にそれぞれ配置できるように購入することにいたしたわけでございます。また同時に、これは陸上自衛隊ばかりではなくして、航空自衛隊も海上自衛隊も配置をするということとなりました。  さらにはまた、現地の調査の結果わかった情報はできるだけ、陸海空それぞれが上部に上げると同時に、やはり例えば都道府県にも連絡をして、それができるだけ災害対策に役に立てられるように、迅速なる情報伝達というものを心がけでいかなければならぬ、このように思っております。
  138. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 阪神大震災のようなものが二度と起こらないことが一番いいんですけれども、もう一度起こっても、本当に自衛隊が効率的に活用できるように、ぜひ遠慮せずにどんどん要望を言っていただきたいな、我々その分についではきちっと後押しをしていきたいなというふうに考えております。  話はもう最後になりますけれども、長官はこのゴールデンウイーク期間にアメリカに渡られましで、ペリー国防長官を初めとする向こうの防衛の首脳と会われた日米防衛首脳会談を行ってこられたわけです。  当初の報道では、ポスト冷戦時代における日米安保体制の強化とその重要性を確認するための日米安保の再定義が最大のテーマになるんではないかというように報道もされたりしておったわけですけれども、国会に帰ってこられて御報告される機会もなかったと思いますし、また、十一月のAPECでクリントン大統領が来日された際に、日米首脳会談での日米安保強化に向けた新共同宣言もいよいよ調整が進んでいるというお話も聞いております。具体的に、その日米防衛首脳会談での会談の内容につきまして、長官の口から御報告いただきたいと思います。
  139. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 よく再定義ということが言われておるわけでございますけれども、しかしこれは、新しいポスト冷戦下において日米安保条約の必要性、意義というものをお互いに確認をした、こういうふうに受けとめていただければありがたいと思います。  まず、アメリカ側といたしましても、二月に東アジア・太平洋戦略報告というのを出されまして、そして、この地域におきましては膨大な軍事力が蓄積をされている、現在は平穏であるけれども、しかしながら一たん紛争が起きた場合には、大きな損害を、世界的な影響を与えるという形での認識があるわけでございます。  したがって、この地域が経済的に平和裏に繁栄するという要素もたくさん持っておるわけでございますから、やはり平和で安定した地域を構築していくという上におきましては、日米安保体制というものが極めて必要である、こういう認識に立ちまして、私とペリー長官の立場といたしましては、今後この日米安保体制が円滑に運用せしめられるように、種々の点について、その運用等の点について、例えばホスト・ネーション・サポートを今後も継続する点であるとか、あるいはまた日米の共同訓練をさらに円滑に進めていくとか、あるいはまたACSAの点も今後お互いに協議をしていくとか、それからまた、沖縄の三事案を中心とする基地問題もスムーズに解決をしていくということが大事ではないか、いろいろな点について論議をして帰ってまいったところでございます。  日米が、安全保障におきましてはしっかりとした体制を構築をしながら、信頼関係を維持していくということが大事である、こういう認識のもとに会談を行ってきたところでございます。
  140. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 まだまだお尋ねしたいことがたくさんあるのですが、時間が終わりましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  141. 神田厚

  142. 東中光雄

    東中委員 きょうは、村山内閣が防衛計画大綱見直しを行うための安全保障会議を開催されたように聞いておりますが、大綱見直しについてお伺いしたいと思います。  玉沢長官は、五月二十九日に日本記者クラブで講演をされた。新聞によりますと、長官防衛計画大綱見直しについて、これまでは北海道を比較的重点地域としてきたが、全方位的にしていきたいと述べて、冷戦下の対ソ脅威論に基づいた北方重視考え方を転換し、米軍と協力しながらアジア・太平洋の周辺地域の安定確保に重点を置いていく考えを表明した、こういうふうに報道されております。  今度の大綱見直しというのは、対ソということからアジア・太平洋の周辺地域の安定確保という方向に重点を移すという、これが基本方針だということでよろしいのでしょうか。
  143. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、さきの講演におきまして、私は、冷戦終結後の国際情勢変化等に対応して防衛力あり方検討を行うことが必要であること、また、我が国は、憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念に従い、日米安保体制を堅持するとともに、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備しできたところであるが、防衛力あり方検討するに際しでも、かかる我が国の基本方針は今後とも引き続き堅持すること、また、近隣諸国との信頼関係構築を進めた上での軍縮が重要であり、我が国の一方的軍縮は適切でないこと等を申し上げたものであります。  その上で、防衛力あり方については、現在検討中であり旦体的内容を申し上げる段階ではない旨申し上げた上で、幾つかの検討課題を例として申し上げたものでございます。  今お話がありました、東西冷戦構造下にありましてはソ連が我が国に対する潜在的な脅威であった、こういう点、そうした点が薄らいだという認識を示した上で、現在防衛力あり方検討を行っておるという認識を示したことは、そのとおりであります。
  144. 東中光雄

    東中委員 いや、今までから変わらないことは変わらないでいいのですよ。変わったところは何かといえば、対ソということを重点にしておったのが、アジア・太平洋の周辺地域の安定確保というふうに重点が変わった。しかし、専守防衛とかなんとかというのは、これは前のままでいいのです。今度変わったところは、そこにあるのですね。北海道を比較的重点地域としてきたが全方位的にいきたい、こういうことが括弧つきで報道されておりますが、それはそうなんですね。
  145. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 変わったことを強調されておるわけでございますが、検討しておるということを言っておるわけでございまして、すべてそれが決まったわけではございません。ソ連の潜在的な脅威が薄れたということ、そうなってまいりますと、今後、やはり我が国に対する危険性というものはどういうようなものがあるかということをよく検討して、我が国の平和と安全を守るためにどうするか、こういうような検討が今行われておるということでございます。
  146. 東中光雄

    東中委員 それはわかっているのですよ。検討の方向について、見直すのですから、今までと同じだったら見直しじゃないじゃないですか。方向は、対ソじゃなくてアジア・太平洋の周辺地域の安定確保、近ごろようそういうことが使われますね。そういうふうになったということだと思うのです。  それで、正面装備について、陸上自衛隊の定員や師団を削減するとか、戦車、艦艇や戦闘機を削減してコンパクトな自衛隊にするというようなことが言われておりますし、陸上自衛隊の定員を十八万から十五万人に削減すると言っておられますが、これは実員数に合わせるというだけであって、戦車にしても、対ソ脅威で増強した千二百両もある戦車を少し減らすということにすぎない。私たちは、報道されている範囲でいえば、そういうふうに思っています。  ところが、それとは別に、見直して、今度は強化する部分が出てきていますね。減らすと言っている部分は大したことではない。しかし、自衛隊のどこを変えようとしているのかという点について言えば、四つぐらい言われているように思うのです。  PKO出動態勢の強化、海上自衛隊の輸送艦、それから空自でも長距離輸送機や空中給油機を導入する、これは強化の方向ですね。  それから二番目の、各種の事態、武力侵攻以外のテロ、ゲリラ、災害等にも対処するということで、災害出動などを口実にした機動性の強化ということで、陸自の強化やタイヤ式装甲車を新しくふやしていく、これも強化の方向ですね。  それから、予期せぬ事態への対処ということで、即応性の高い予備自衛官制度の新設でしょうね。  さらに、核・ミサイル拡散対処のTMD研究ということになりますと、これはコンパクトな自衛隊ということを言われでいるけれども、実際、この四つの目的に向かって逆に強化されていくというふうになるように思うのですが、そうではございませんか。そういうことは強化しないと言い切れますか。
  147. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 我が国が必要最小限度自衛力を維持するという点について一番大事なことは、やはり効率的に日本防衛していくということ、これを追求していかなければならぬと思うわけでありますし、また、国民の皆様の貴重な税金を使ってやっておるわけでございますから、できるだけ税金が正当に使われるように効果をよく考えて、財政と効果ということを考えてやっていかなければならぬだろうと思うわけでございます。  また、日本は北海道から沖縄まで広大な地域を防衛しなければならぬわけでございますから、それにおきましては、日本が攻撃された場合というような事態が生じた場合におきましては、当然これはできるだけ早く迅速に防衛体制を構築していくというようなことが大事ではないかな、こう思うわけでございます。  今委員が挙げられました諸点は、何かそっちの方ですぐ決まったかのようなお話し方をされたわけでございますけれども、今私が申し上げた大きな観点からいろいろな個々の点についても比較検討をしておるわけでございまして、決して結論が出たというわけではございません。
  148. 東中光雄

    東中委員 結論が出たと何も言っていないのですよ。  要するに、今後の防衛力あり方についての考え方というのは、防衛庁から私もいただきましたけれども、これは項目だけ書いてあって、何かようわからぬ。しかし、具体的な方向でいえば、さっき言った、一方では陸自十八万を十五万にする、これは実定員にするということですね。それが自衛隊コンパクト化というふうに言われているけれども、しかし、さっき言った四つの項目ではむしろ強化の方向になっているじゃありませんか。  そういう方向で決まったと言っていないのです。そういう方向で検討されているのではございませんかということを聞いているのですが、それはどうなんでしょう。
  149. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 防衛力あり方といいますのは、ここでも何回も申し上げておるわけでございますが、村山内閣が成立するに当たりましては、あくまでも近隣諸国との信頼醸成を確立した上で軍縮等にも取り組む、こうなっておるわけでございます。我が国防衛力がどのようなところに必要最小限度というものを定めるかという点におきましては、やはりそうした近隣諸国との信頼醸成等の努力も相まって行われなければならぬと思うわけでございまして、何をもって強化するとか何をもって削減するとか、最初からそういうふうな考え方対処すること自体が私は適当ではないと思っております。
  150. 東中光雄

    東中委員 結局、方向性も何も検討していないということになるのですか。進んでいることは、そして報道されていることについては、そういう方向だとか方向でないとかいうことをはっきり言われたらどうですか、決まったと言っているわけじゃありませんから。  それで、考え方ですけれども、侵略に対して防衛する、これは自衛隊の任務ですからね。日本の安全を守るというのは自衛隊法上の自衛隊の任務ですね。それが、各種の事態対応するとか予期せぬ事態に備えるというふうな項目を挙げて、それで自衛隊を強化していくということになると、これは非常に重要な問題が山てくるということを指摘しでおるのであります。  それで、新聞にいろいろ報道されておりますけれども、五月二十一日付の朝日の報道した見直し案では、「防衛力の将来像」というのが書いてありまして、「日米安保体制とあいまって、我が国防衛する意思を明示するとともに、周辺地域の安定に寄与することを基本に、武力侵攻よりは、むしろ多様な危険に備える必要がある。」というふうに書かれているわけであります。  従来の大綱考え方は、限定・小規模侵略への対処を基本にしておりました。日本が独力で対処できないときは米国の協力を得で排除する、これが基本でありました。この基本は、今の「防衛力の将来像」の中で書いてあることからいくと、基本が基本的に変わってしまうということになるのじゃないか。「周辺地域の安定に寄与することを基本に、武力侵攻よりは、むしろ多様な危険に備える必要がある。こうなってきますと、アジア・太平洋の周辺地域における安定ということになれば、安全じゃないのですね。安保条約の六条で、在日米軍の行動も極東における平和と安全でしょう。自衛隊日本の安全でしょう。  ところが、アジア・太平洋地域における、あるいは周辺地域の安定ということになりますと、そこで起こっている問題、日本関係ないのです。安全とか侵略とかいうことではなくて、安定しておかぬとということで何とか防衛力影響を与えていく。これは非常に危険な、アメリカははっきりとそういう方向でやると言っていますよ。日本までそこへ行ったら、今までの自衛隊の基本が変わることになるというふうに私は思いますので、この点はいかがでしょうか。
  151. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 安定と安全の考え方で、解釈の仕方で日本安全保障政策が変わるんじゃないか、こういうような御質問だったと思うわけでございますが、冒頭に申し上げておりますように、我が国の専守防衛、また、非核三原則その他の点については変わらない、こう言っておるわけでございますから、だから、それを中心としてやっていく。  ただし、アメリカ軍が極東の地域に存在をしておるということは、従来にも増して、例えばソ連軍がなぜ日本侵略し得なかったかというと、やはり日米安保条約における米軍の抑止力というものがあった、こういうことを評価しなきゃいかぬじゃないかと思いますよ。  ですから、安定といいますのは、安全を守ることによって安定というものがあり得るわけでありますから、委員のように、すべて日米安保体制というものが変質して日本防衛政策が変質するかのように受けとめるのはちょっと考え過ぎじゃないか、このように御指摘をさせていただきたいと思います。
  152. 東中光雄

    東中委員 内容がさっぱり、防衛庁側からはっきりさせないので、ここでもあなたも言われませんので、朝日に載った見直し案で、「防衛力の将来像」と書いてあるところによると、「周辺地域の安定に寄与することを基本に、武力侵攻よりは、むしろ多様な危険に備える必要がある。」というふうな方向を出していると報道されているのですから。そういうものではないとあなたは今おっしゃったのですけれども、もしそういうものであったら、これはもう断じて許されないことだということだけはっきりしでおきます。あなたはそうではないとおっしゃるのだから、それはそれでそうお伺いしておきます。  余り時間がありませんので、もう一点。  自衛隊、私が先ほど言ったように、各種の災害とか四つの新しい任務ということを言われておりますけれども、八〇年以来の日本防衛分担とされてきたシーレーン防衛体制ですね、イージス艦、それからAWACS、それからF15などによる西太平洋の周辺千海里海空域防衛という体制そのものは、ソ連の脅威がなくなった、新しい体制だとおっしゃるのですが、このシーレーン防衛体制というのは、今までより縮小するとか、もうやめちゃうとかいうことになるのですか、そのまま維持していくことになるのですか。
  153. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 日本の周辺の領域及び周辺の海上ルートの防衛は、当然今後も進めていかなければならぬと思うわけでございますが、今御指摘の、はるかかなたから、例えば日本の場合は、中近東の方からずっとインド洋、マラッカ海峡から南沙諸島のわきを抜けで台湾沖を通って日本に来るというルートは、日本の全輸入量の七割を占めておる、こういうふうに言われておるわけでございます。  ただし、こういう海上交通の安全といいますのは、いずれの国もそうでございますが、一国だけでは万全を期すことはできない、こう思うわけでございまして、そういう点につきましては、沿岸諸国の御協力もいただかなければなりませんし、また米国の御努力もいただきながら、そういうことで今日まで確保してきたことは、委員も御承知のとおりだと思うわけであります。
  154. 東中光雄

    東中委員 長官 ちょっと素直に答えてくださいよ。そんなことはもう高等学校の学生に説明するのやったらそれでいいですけれども、私が今聞いていますのは、シーレーン防衛体制ということで、日本防衛分担ということで今までやってきたという体制があるんじゃないですか。一千海里海空域防衛ということで、イージス艦を配置し、AWACSを配置し、F15をやっていくという体制、その体制は、情勢が変わったということをおっしゃっているんだから、それは変わるのか、変わらないのか。今までのものはそのままやっていくのか、縮小していくのか。北海道に配置しておったものを減らすというふうなことも言われておるわけだから、このシーレーン防衛体制は従来どおりやっていくということですか、やめるということですか、縮小するということですか。お伺いしておきます。
  155. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 あえて申し上げますならば、先ほど来申し上げておりますように、対ソの潜在脅威論があったわけでございまして、我が国もそれなりの防衛努力をしてまいりました。  海上戦力、海上の防衛力におきましても、海上戦力というよりは海上防衛力でございますが、防衛力等におきましてもそういう配慮をしてきたわけでございますが、それが薄らいだという点におきまして、場合におきましては、機能が縮小したところにおきましては、それは検討の上に縮小するということもあり得るでしょう。しかし、委員が懸念されておりますように、膨大なる海上の防衛力を拡大していく、こういう考えは全くありません。
  156. 東中光雄

    東中委員 時間ですから終わりますけれども、私、何もこれから強化していけということを言っているわけじゃないのです。今までやってきた体制をどうするんですかということ、それは減らすわけじゃないのでしょう。  現に、米国防総省の東アジア・太平洋安全保障戦略の中にも、日本防衛力についで、シーレーン防衛でまだ弱点がある、一つは空中早期警戒能力、二つ目は艦載対空能力であるというふうにしで、日本がAWACSを購入し、イージス能力を付加しつつあるというようにわざわざ指摘していますね。  だから、これでいけば、イージス艦、AWACS、F15によるいわゆる北西太平洋の周辺一千海里防衛体制、シーレーン防衛体制というのはそのまま維持していくことになるんじゃありませんかということを聞いているので、それを縮小するんだったら縮小すると言えばいいです。拡大せいなんて私は言ってないです。そういう現にやっている体制、それからアメリカの東アジア戦略報告でも言っているそういう体制はそのまま維持するんですか、しないんですか、それだけ答えてください。それで質問を終わります。
  157. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 あらゆる視点を含めまして検討してまいります。
  158. 神田厚

    神田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十九分散会