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1994-11-17 第131回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年十一月十七日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  十月三十一日     辞任         補欠選任      直嶋 正行君     吉田 之久君  十一月一日     辞任         補欠選任      吉田 之久君     直鳴 正行君  十一月二日     辞任         補欠選任      溝手 顕正君     鈴木 貞敏君      山崎 正昭君     関根 則之君  十一月四日     辞任         補欠選任      鈴木 貞敏君     溝手 顕正君      関根 則之君     山崎 正昭君  十一月十六日     辞任         補欠選任      喜岡  淳君     中尾 則幸君      星野 朋市君     長谷川 清君      中川 嘉美君     木庭健太郎君  十一月十七日     辞任         補欠選任      長谷川 清君     星野 朋市君      木庭健太郎君     中川 嘉美君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大久保直彦君     理 事                 二木 秀夫君                 櫻井 規順君                 泉  信也君     委 員                 鹿熊 安正君                 河本 三郎君                 溝手 顕正君                 山崎 正昭君                 穐山  篤君                 久保  亘君                 中尾 則幸君                 渕上 貞雄君                 直嶋 正行君                 星野 朋市君                 木庭健太郎君                 高崎 裕子君                 下村  泰君    国務大臣        運 輸 大 臣  亀井 静香君    政府委員        運輸大臣官房長  黒野 匡彦君        運輸省運輸政策        局長       豊田  実君        運輸省鉄道局長  戸矢 博道君        運輸省自動車交        通局長      高橋 伸和君        運輸省海上交通        局長       平野 直樹君        運輸省海上技術        安全局長     小川 健兒君        運輸省港湾局長  栢原 英郎君        運輸省航空局長  土坂 泰敏君        気象庁長官    二宮 洸三君    事務局側        常任委員会専門        員        中島 啓雄君    説明員        労働省労働基準        局賃金時間部労        働時間課企画室        長        岩田 克彦君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (港湾整備に関する件)  (造船事業に関する件)  (運輸関係社会資本整備に関する件)  (航空規制緩和の在り方に関する件)  (関西国際空港株式会社警備契約に関する件  )  (車検制度に関する件)  (移動制約者対策に関する件) ○理事補欠選任の件     ―――――――――――――
  2. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、喜岡淳君及び中川嘉美君が委員辞任され、その補欠として中尾則幸君及び木庭健太郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 河本三郎

    河本三郎君 大臣、自民党の河本でございます。  きょうは衆議院の方で大変お忙しいところ御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。  まず、運輸行政重要課題に対する大臣の取り組みの姿勢についてちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。大臣、就任されて間もなく五カ月になろうとしておりますが、その間の御経験等も含めて、陸海空にわたる今後の政策展開について大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  5. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 就任いたしまして五カ月近くたったわけでございます。当初私は記者会見でも申し上げましたが、日本の将来にとって陸海空の均衡のとれた体制をいかに整備していくかということが大きな課題であるわけでありますが、その中で非常に痛感をいたしておりますのは、国全体の予算配分、執行のあり方との関係で、今のままではそうした体制整備が十分にいかぬのではないかという大変な問題意識を私なりに今持っておるわけであります。  例えば整備新幹線の問題にいたしましても、また空港整備の問題にいたしましても、これを公共事業として正面から取り組んでいく、そういうフレームワークといいますか、そういうものが国家としてできていないということを非常に私痛感をするわけでございます。そういう意味では今後、六百三十兆の公共投資基本計画も策定されたわけでありますが、その中で従来のシェアというのを見直して国家にとって重要なそうした施策については重点的な配分をしていく、そういう方向に変えていかなければならない、運輸省自体がそうした努力をしなければならない、私はこのように考えておるわけであります。  そういう意味では、整備新幹線にいたしましても、後からつくる新幹線の通るところの自治体の負担がだんだん重くなっていくようなことは絶対これはやってはならない、私はこのようにも思っておるわけであります。また、これは国家的事業でありますから、ただ単なるJR各社の短期的な採算見通しみたいなものだけで国の基幹的な整備新幹線をつくってはならない、そういう意味ではフル規格でいくということを私は言っておるわけでございますけれども、そういうことを実現するにはやはり公共事業として正面からこういう問題も取り組んでいく必要がある。  また、空港整備にいたしましても、別に今はぜいたくな乗り物じゃございません。国際化時代において、また国内における交通機関として基幹的な役割を果たしておるわけでありますから、これもユーザーの、利用者の懐を当てにした、空港整備特会当てにした、それだけでの財源による整備ということでは、とてもじゃないけれども追いついていかない。そういう意味では、私はやはりこれも水路をつけかえる必要がある。そういう意味で、整備特会なんというのは私は今三毛猫だと言っておるわけでありましてトラの子じゃない。もうこれを解き放っても、そうして公共事業として正面から空港整備をやっていく。  そういう意味で、第一年度として来年は、関空着陸料トン当たり百円、ジャンボで五万円ぐらいになろうかと思いますが、これを手がけていく。空港施設を国が買い上げるという形で財源をつくり来年度は実施をしていくことにしておりますけれども、そういうような方向で今後そういう問題もやっていきたいと思います。  また、港湾整備も、海洋国家としては国際間の大量輸送を考えた場合は、今後ますます重要性が深くなっていくわけでもあります。国内のまた大量輸送という面でも今テクノスーパーライナーという高速船を開発いたしておりますけれども、これに伴う港湾整備等もございますし、また、ただ港をつくるだけじゃなくて、その地域活性化につながっていくような港湾整備、これも大きな課題であります。  こういうものはやはり予算の裏づけがないとできないわけでありますから、そういう国全体のシェアの変更ということに運輸省としては全力を挙げていきたい。そういう意味で来年度の概算要求も、港湾局あたりはちょっと不満のようでありますが、まず運輸省自体が国全体の突破口を開いていく以上は、運輸省自体が従来のシェアという単純計算じゃなくて、やはり来年度分については、またそれぞれ年によって変わっていくわけでありますけれども、めり張りをつけた要求をしようという形でこのたびのような概算要求もいたしておるわけでございますので、ぜひひとつ皆様方に御支援のほどお願いを申し上げたいと思います。  以上でございます。
  6. 河本三郎

    河本三郎君 大臣陸海空それぞれの問題について大変積極的な政策展開についてお聞かせをいただきまして、ありがとうございます。  今、大臣お話にもございました港湾のことについて次はお聞きしたいと思いますが、港湾空洞化ということが叫ばれるような時代になってまいりました。これは先ほど大臣お話にもございましたように、我が国が海外から物を輸入する、そして加工貿易立国として栄えていくためには、今後もやはり港湾整備建設というのは大変重要である、このように認識をしている者の一人でございます。  そこで、東アジア諸国は、その高い経済成長によりまして今や世界貿易の約一四%を占めておりまして、これら諸国港湾におけるコンテナ取扱量も十年間で四倍以上に増大をしております。その結果、九三年には香港シンガポール、それぞれ一港での取扱個数は、我が国全体での取扱個数をもしのぐ状況になっております。神戸ですら、高雄、釜山にも抜かれ世界第六位ということで低迷をしているところでございます。東アジア欧米を結ぶ基幹定期コンテナ航路の中には、日本の港を抜港する、つまり寄港しないというサービスもあらわれ始めております。  一方で国内港湾、これは利用料金国際的に非常に高いということもございます。そして荷役通年フルタイムサービスがなされていない。すなわち休日は休業する、休日は仕事をしないということだと思います。そして、ハード面でも近隣諸国施設水準に大きくおくれをとっております。  このままでは日本国際海上輸送網から取り残されてしまう。すなわち、港湾空洞化が生じて国際貿易に多くを頼る日本国内発着貨物輸送効率が著しく低下するという心配がされておりますが、国際海上輸送において日本国際競争力を維持するための方策について、特に施設面での対応について運輸省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  7. 栢原英郎

    政府委員栢原英郎君) 委員指摘のように、国際コンテナ輸送における船舶大型化というものは著しいものがございまして、現在、アジア欧米を結ぶ航路就航船舶の約五割を四万トン級以上の大型船が運んでいるという状況にあります。  一方、我が国港湾におきましては、これらの大型船対応できる水深十四メーター以上の大型コンテナ岸壁はわずか二割にすぎませんし、また五万トン対応できる水深十五メーター以上の岸壁については、既にシンガポールでは五バース香港でも一バースが稼働している状況にありますが、我が国では平成八年にようやく二ないし三バースが稼働できるのではないかという状況にございます。  一方、急増する輸入コンテナ貨物対応して、従来の狭いヤードではなくて広いコンテナヤードを持ったもの、そして高速荷役の可能なクレーンを持ったコンテナクレーンというものを整備していく必要がありますが、これも我が国港湾がこれまで輸出対応型で整備されてきたということもあって著しく立ちおくれた状況にあります。  このような状況を解決するために、現在、コンテナターミナル大水深化、高規格化ということを急ぎ国際競争力を確保していくということで、平成七年度の予算においても重点項目の一つとして要求をしているところであります。その予算の確保に今後全力を挙げていきたいというふうに考えております。
  8. 河本三郎

    河本三郎君 今、平成八年に二つから三つバースが完成するとおっしゃいましたが、それはどこですか、教えてください。
  9. 栢原英郎

    政府委員栢原英郎君) 現在、横浜港で二バース、それから神戸港で五バースの工事に着手をしております。この七バースのうち二ないし三バース平成八年を目標に整備を急いでいるという状況でございます。
  10. 河本三郎

    河本三郎君 次は、テクノスーパーライナーについて質問いたします。  先日、我々運輸委員会でこのテクノスーパーライナーに試乗いたしましたが、千トン貨物を五十ノットの高速で運べるということで、これが実現をされますと北海道、九州から首都圏まで半日程度で結べるということになります。海上輸送に大革新をもたらすものと期待されておりますが、このTSLが運ぶカーゴはどのようなものが適合するのか、またその港湾の配置についてどのように考えておられるのか、教えていただきたいと思います。
  11. 栢原英郎

    政府委員栢原英郎君) 高速でかつ大量の海上貨物輸送できますテクノスーパーライナーが実用化されるということになりますと、我が国の物の流れ全体に大きな影響を与え、国土の均衡ある発展にも資するということが期待されております。  現在、テクノスーパーライナーにどのような貨物が適合するかということについては、港湾局だけではなくて運輸省内の関係局が共同して調査をしておりますが、これまでの成果では野菜、果物、水産品など、あるいは機械部品といったような輸送時間が短縮されることによって商品価値が高まり、かつ運賃負担力が向上するといったような品目が適しているのではないかというような調査の結果が出ております。  このテクノスーパーライナーが就航する港湾につきましては、コンテナ埠頭と同様に大変広いヤードを必要といたしますし、また船だけが高速で移動するだけではなくて、港における滞留時間をできるだけ短くするためにも高速荷役機械等が必要になってくるということもございます。さらに、陸上交通へのアクセスが容易なことということも必要なことでありますので、これらの条件に適合するようなところ、そしてかつ十分な輸送需要が見込まれる地域をベースに、現在との地点が立地点としてふさわしいかと、いうことの調査検討を進めているところであります。
  12. 河本三郎

    河本三郎君 ありがとうございました。  次は、空港についてちょっと質問いたします。  今後、世界の中でも特にアジア地域が著しく経済成長をしていくことが予想されております。それに伴いまして、アジア国際航空需要も高い伸びを示すことが見込まれております。こういう流れの中で、韓国香港などアジア近隣諸国においても大規模拠点空港整備が着実に進められておりますが、我が国国際空港の現状を見ますと、成田空港や本年九月に開港した関空滑走路が一本しかない状況であります。決してハブ空港とは言えないのではないか、このように思っております。このままでは日本アジア各国とのハブ空港化競争に負けてしまい、先ほども申し上げましたが、いわば港湾空洞化に続いて空港空洞化という現象が進むのではないかと大変心配をしております。  我が国もその経済力にふさわしい国際ハブ空港整備をしていかなければいけないと思いますが、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  13. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) 日本国際社会の中で生きていかなければならないし、そのために国際交流が不可欠でございまして、それを担うのは航空役割でございます。国際空港は、その航空役割を果たしていくための基盤となる施設でございまして、我が国の存立にかかわる大変重要な施設であるというふうに認識をいたしております。  今、先生仰せのように、現実は成田が一本、関空もおかげさまでできましたが一本でございまして、これからのアジアを初めとする国際需要対応できる状況ではございません。成田につきましても、先般、円卓会議合意が形成されましたが、新しい空港つくりに努力をしてまいりたいと思っておりますし、関空につきましても全体構想の実現に向けまして今地元といろいろ調整をいたしております。需要対応できる将来の空港というのを一刻も早くつくりたい。  空港は、空港そのものでなくて、背後にある経済圏の力というのも大変大切でございますが、日本はその面でアジア諸国に劣るものではございません。しかしながら、空港整備が立ちおくれれば先生指摘のような問題が出ると思います。そういうことがないように、運輸省として最善の努力を尽くしてまいりたいと思います。
  14. 河本三郎

    河本三郎君 次は、兵庫県の播磨飛行場播磨空港の件でお尋ねをいたします。  西播磨というところは、人口東播磨も含めて百八十万ほどの人口がございまして、純生産額というのも五兆四千億ぐらいの規模でございます。そしてここには、科学技術庁が音頭をとって現在、平成九年の一部供用開始を目指して順調に進んでおります大型放射光施設、八GeV・SRもそういう状況で間もなく完成をしょうとしております。これは我が国国家的プロジェクトでございまして、世界各国から技術者研究者が大勢来るわけでございまして、地元の期待も大変高いものがございます。  そういう流れの中で、小型ジェット機によるビジネス航空需要対応する空港として、六次空整では欄外記載という位置づけでございましたこの播磨飛行場の今後の見通し、すなわち第七次空整についてどのような取り扱いになるのか、教えていただきたいと思います。
  15. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) 播磨空港は、今仰せになりましたように小型ジェット機を使ったビジネス需要などに対応する飛行場ということで、兵庫県で現在検討をなさっておられる空港でございます。  経済社会の変化に応じましてそういう新しい飛行場の要請というものが高まってきているわけでございまして、そういうことについては私ども十分理解をいたしておりますが、新しい空港という考え方でございますので、需要の動向なり整備の方式については、これは十分検討する必要があろうかと思っております。そういうことで、六次空整では今仰せになりましたように、必要な調査検討をした上で整備を進めていきましょうということで播磨空港位置づけられているところでございます。  私どもとしましては、現在県でいろいろ調査をなさっていらっしゃいますので、その成果も十分お承りしながら、七次空整でどういう位置づけにするか十分御相談をしながら取り組んでまいりたいと思っております。
  16. 河本三郎

    河本三郎君 最後の質問でございます。  十一月の初めに大阪観光サミットというのが開かれたようでございますが、この観光大臣会議に議長として挑まれた亀井大臣の御感想、またポイントなどを少々お聞かせいただきたいと思います。
  17. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 委員を初め皆様方の大変な御協力を賜りまして成功裏に終わることができたと思っております。世界百一の国、地域、機構の方が参加され、そのうち五十二の大臣本人出席をされまして、二日間にわたりまして熱心に討議をくれたわけであります。  観光が人と人との心をつないでいく、そういう意味では世界の平和にとって基本的に大事な仕事だということ、またさらに、特に発展途上国におきましては、その国の経済発展にとっても観光業というのが決定的な役割を担っているということでもございます。さらに、観光を熱心に発展させようとすればするほど環境の保護、こういうものにも意を用いざるを得ないし、また、過去の文化を大事にし、さらにその文化を将来に向けて発展をさせていく、これがまた観光の振興に不可欠だというそうした共通の認識が形成をされまして、これが大阪宣言となって結実をしたわけでございますので、今後の世界各国観光政策の指針となるものができたと。  なお、今後四年に一度、こうした観光大臣サミットを開催していこうという合意も成立をいたしまして、カナダとインドが現在名のりを上げたというところでございます。  以上でございます。
  18. 河本三郎

    河本三郎君 終わります。
  19. 櫻井規順

    櫻井規順君 大変短い時間ではありますが、造船関連タクシー関連、それからトラック関連三つのテーマで今から質問をさせていただきます。  最初に造船関連でございますが、韓国造船所建設設備増大計画に対するOECDあるいは日本政府対応について質問をいたします。これは私ども社会党造船対策特別委員会が、ことし新年当初よりこの問題については運輸省当局に対していろいろな提言をしてきたところであります。  ことしの一月から三月にかけて、韓国主要大手造船会社が大変な建造設備増大計画を発表して取り組み始めたところであります。これは日本語読みにしますが、現代が五十万総トンドック二基を初め、それに関連して韓国大手造船会社が相次いで造船計画を発表するという事態になったわけであります。このままいきますと、韓国建造能力は二〇〇〇年には九百万総トンに達するというふうな驚異的な建造能力になるわけであります。それを合算して世界建造能力は二〇〇〇年の新造船建設需要がピークと思われる時期に、建造能力が三千四百万総トンに対して、需要の見込みは二千五百万総トンという過剰建造能力を持つことはもう明らかであるわけであります。  そんな観点から非常に深刻な事態を今迎えているわけでありますが、運輸省日本政府当局OECDという舞台で大変な御努力をしていただいた。その結果、OECDあるいは日本関係国努力でその後の韓国設備拡大状況はどうなのか、そして、今後なお実効性ある措置を講じていかなければならないと思うわけでありますがどんな対応になっているか、御答弁いただきたいと思います。
  20. 小川健兒

    政府委員小川健兒君) 韓国造船業界が現在数基の大型建造ドック建設計画を進めているということは、我々十分に承知しております。  それで、本件につきましては、国際的な造船需給バランスを崩し、過当競争による船価の低下や造船需要の先取りなど造船市場不安定化をもたらすものとして、OECD造船部会におきまして日本初め西欧諸国それからアメリカ等主要造船国が強い懸念を表明したところでございます。くらに我が国は、今後ともそのOECD造船部会あるいは韓国との政府間協議あるいは韓国との民間協議等、あらゆる機会を通じましてこのような設備拡張が適切でないということを訴えていく所存でございます。  このような韓国設備増強に対して日本造船業国際競争力を高めていかなきゃいけないということで、そのために我々といたしましては、テクノスーパーライナー等技術開発を進めるとか資機材の標準化を進めるとか、あるいは生産システム高度化などを積極的に進めて国際競争力を高めていきたいというふうに思っております。
  21. 櫻井規順

    櫻井規順君 私は、韓国ドック増大計画に対してその後どうだったのか一それから今後どう対応していくのか、国内対応についてはまだ質問していきますので、その辺はどうですか。
  22. 小川健兒

    政府委員小川健兒君) 韓国増強に対しては国際的なあらゆる場で、政府間の場あるいは多国間の場、二国間の場で韓国設備増強が今後世界造船市場を混乱させることになるということで、それを自粛するよういろんな場で訴えてきたわけでございます。  ただ、韓国はこれに対しまして、各国懸念につきまして自国造船業界に対してその旨を伝えるということは言っておりますし、また過剰投資によって韓国造船所が損しても何ら政府助成はしないということは言っておりますが、設備の新設をやめるということは対外的には言っておりません。
  23. 櫻井規順

    櫻井規順君 きょうも日韓造船課長会議をやられているというふうに思うわけであります。十二月にはOECD造船部会の会合を持たれるわけでおりますので、鋭意その辺は御努力をいただきたいと提案をしているところであります。  関連しまして、OECD造船協定、いわゆる船価規律というものが平成八年になりますでしょうか、一月一日、効力発生ということで、これもことしの十二月のOECD会議で調印をされるということになっているわけであります。  御案内のように、こういう内外の競争の中で造船もまた価格破壊が国際的に進んでいるわけであります。平成四年に比べまして五年、五年に比べまして六年と受注量あるいは建造量はグローバルに見て大変伸びてきております。ところが、CGT単位のコストというものは大変急激に落ちてきているわけであります。これが技術の向上に伴う適正な単価の低下ならよろしいわけでありますが、経営に響き雇用に響くようないわゆるダンピング競争という形で展開されて、OECDが今反ダンピング協定を締結したところであります。これに対応して国内の適正船価の指導をどうなさるのか、ひとつ見解を聞かせてください。
  24. 小川健兒

    政府委員小川健兒君) 現在、船価が非常に下がってこれから造船所の経営が非常に厳しくなるというふうに認識しているわけですが、今度OECD造船協定の基本的な合意が七月に行われまして一九九六年の一月を目途に発効させるということになっているわけですが、この造船協定によりましてコストを無視した低船価受注が抑制され、我が国のみならず世界造船業の健全な発展にとって重要な役割を果たすものと我々としては期待しているところでございます。  運輸省といたしましても、船価動向に関する情報の収集などを行って、OECD造船協定に反するような低船価受注、これが行われないよう造船事業者を指導してまいりたいというふうに思っております。
  25. 櫻井規順

    櫻井規順君 建造許可の権限を運輸省はお持ちになっているわけでありますので、どうぞ許可に際しては適正な船価で受注できるような指導を強められるように御要請をしておくところであります。  次に、そんなわけで内外の設備能力の問題が大きく問われているわけでありまして、日本もまたそうして国際的な努力をしていかなきゃならない。我が国自身の現行設備能力、これ四百六十万CGTということは、長い戦後の造船産業の中の英知として、あるいは国際的競争の中で位置づけをしたわけであります。この四百六十万CGTという設備能力を堅持するという点においては、運輸省の態度はいくさかも変更ありませんか。
  26. 小川健兒

    政府委員小川健兒君) 今後の世界の新造船の建造需要に対しまして、世界建造能力は現状の設備で十分対応できるというふうに我々は考えております。また、OECD造船部会におきましても、新造船の能力の抑制というものを旨とした造船政策に関する一般指導原則というのが採択されておりまして、加盟各国ともこれに沿った施策を協調的に実施してきたところでございます。  こういった状況にかんがみまして、我が国としては現状の設備能力を増大させることは適切でないというふうに考えておりまして、現状の能力を増大させるような政策は今後ともとらないということにしております。
  27. 櫻井規順

    櫻井規順君 ありがとうございました。  内外とも非常に過当競争に陥る要因をはらみながらこの業界は動いているわけであります。    〔委員長退席、理事二木秀夫君着席〕  そこで、国内的な要因としては、並列建造の解禁を求める声も若干あり、中手造船所大型船建造設備の使用認可というような動きもあるわけでありますが、これは内外の趨勢に逆行するものというふうに受けとめているわけでありますが、過当競争に陥らないための造船設備政策についてどんなお考えか、お聞かせください。
  28. 小川健兒

    政府委員小川健兒君) 先ほど申し上げましたように、今後の世界の新造船建造需要に対しまして世界建造能力は現状の設備で十分であるという認識を持っております。したがいまして、運輸省といたしましては、今後とも中長期的な需要動向を踏まえて、構造的な需給不均衡を招かないよう現行の設備政策、要するに現在の能力を増大させないという政策を引き続き堅持していきたいというふうに思っております。
  29. 櫻井規順

    櫻井規順君 次に、内航海運対策についてお伺いをします。  大変に中小企業の多い内航海運業界において老朽船の解撤と近代化船の建造を同時に行い、船舶過剰を防いできた船腹調整制度の今日まで果たした、あるいは今日果たしている役割は非常に大きいものがあるというふうに考えております。現在、海運造船合理化審議会において審議をされているところでありますが、並行して運輸省当局におかれては、日本内航海運組合総連合会を初め関係労働組合等の意見を十分尊重して対処されるようにこれは要望をしておきます。  関連をいたしまして、船舶整備公団について質問をいたします。  非常に中小企業の多い内航運送業界がスクラップ・アンド・ビルド方式で内航船舶の建造を行っているわけであります。資金力の小さい会社にとって、共同建造、共同所有方式のもとで建造資金の長期、低利で返済できるこの制度は非常に業界にとって実効性のあるものとして今動いているわけであります。ここのところ特殊法人の見直し等の問題でこれが俎上に上っているやに聞くわけでありますが、何ら国の一般会計の補助金もないこの団体の、そしてかつまた、こういう内航海運にとって大変実効性のある船舶整備公団の存続堅持について強く求めておきますが、いかがでしょうか。
  30. 平野直樹

    政府委員(平野直樹君) お答えいたします。  離島航路等の国内旅客船事業あるいは国内貨物輸送の約半分を分担しております内航海運業という事業につきましては、我が国経済社会に不可欠な役割を果たしておるというふうに考えておるところでございますが、この事業につきましては御指摘のとおり大半が中小零細事業者でございます。したがって、資金調達能力は極めて乏しいわけでございます。しかも、船を一船つくるということは大変に大きな資産をつくるということでございますので、なかなかそうした資金を調達することは困難であるというのが実態でございます。  また、今御指摘ありましたように、船舶整備公団というのが共有によりましてこういった船舶の建造を行っているわけでございますが、この共有方式によりまして公団の共有部分については担保を要しないというような非常にユニークな制度でございます。また、公団につきましては、これが船主でありますので技術的な支援も行うことができるということでございますので、こういう制度によりまして零細事業者の船舶の代替建造を進めておるというのが実態でございます。旅客船、貨物船ともに耐用年数を過ぎた老朽船舶というものが約半数を占めておるというのが実態でございますので、この近代化のためには船舶の代替建造を促進していく必要があるというふうに考えておるところでございます。  そして、それ以外にも公団は内航海運業の構造改善あるいは環境保全、さらには船員の高齢化対策、モーダルシフト等々のさまざまな海運政策の推進にも貢献をしておるところでございまして、御指摘のとおり公団の社会的使命は非常に大きいというふうに考えておるところでございますので、今後ともそうした役割を果たしていくべきものというふうに考えておるところでございます。
  31. 櫻井規順

    櫻井規順君 次に、中小造船業第四次構造改善事業と漁船建造について質問をいたします。  農水省とまたがる点があって、この漁船建造については難しい問題があろうかというふうに思います。いずれにしても、漁船の発注が激減をしているというふうなこと、それから非常に人手不足、特に若者が漁船、ドック造船所で働く、あるいは漁業に働くことが少なくなっているというような状況が現状の大きな課題としてあります。  そこで、構造改善事業の中での漁船建造にウエートを置くような政策をおとりいただきたい、一つはそれであります。特に、漁船建造の需要拡大を図る、あるいは漁船技術の継承、あるいは漁船乗務員の居住性や操業時の安全性の向上というのは、いわば造船サイドから確保していく必要があるというふうに考えますし、現実にそうでありますので、そういう点で積極的な取り組みを構造改善事業の中で取り組んでいただきたいということが一つ。  もう一つは、やはり農水省との連携を制度化して進めないとこの事態は進まないのではないかというふうに思うわけでありますが、農水省との連携の強化について運輸省の方から積極的に働きかける、その辺の姿勢と考え方をひとつお聞かせください。
  32. 小川健兒

    政府委員小川健兒君) このところの国際的な漁業資源保護などを背景といたしまして、我が国国際漁業に対する操業規制が年々厳しくなってきておるようでして、それに伴いまして漁船建造造船所の経営環境が非常に苦しくなっていると承知しております。運輸省といたしましては、中小企業近代化促進法に基づく第四次の構造改善事業を現在進めているわけですが、その構造改善事業におきまして漁船造船所対策というのを重点課題の一つとして取り上げております。  具体的に申し上げますと、北海道、東北、新潟地区などの漁船造修依存度の高い造船事業者を対象といたしまして、内航船あるいは観光船等の新規需要の開拓とかあるいは事業の多角化など、漁船造船所の経営改善を積極的に支援していきたいというふうに思っております。これを実施する上で、特に水産庁でございますが、連携をとりながらできる限りの支援をしていきたいというふうに思っております。
  33. 櫻井規順

    櫻井規順君 次に、TBT塗料について質問いたします。  TBTの使用については、我が国は実質的に今禁止をしているという状況であります。これは自主的規制を基本にしながら、運輸省からも通達、指導をくれているところであるわけでありますが、問題は、我が国だけ禁止しているという姿は早期に克服しなきゃならない事態だというふうに思うわけであります。そういう意味で、世界各国が使用を禁止するようにIMOを通ずるなり多様な形でこれは進めていただきたい。  現状はどうか、今後の対策はどうかを簡潔に答弁いただきたいとともに、この代替製品の開発の促進について運輸省としても鋭意取り組んでいかなければならぬ問題だというふうに思うわけであります。代替製品ができない限り国際的にもなかなか禁止態勢はできないだろうというふうに思うわけでありますが、とにかくこのバックアップを、運輸省として早期に新代替製品が開発できるように御努力いただきたいと思います。いかがでしょうか。
  34. 小川健兒

    政府委員小川健兒君) まず最初の、TBTの禁止に向けての国際的な取り組みに関しましては、TBT塗料の規制に関する国際的動向といいますのは、平成二年十一月に国際海事機関、IMOですが、その第三十回の海洋環境委員会で我が国が他国に先駆けてTBT塗料の使用禁止の提案を行ったわけでございます。しかし、IMOの審議におきましては、代替塗料が広く開発されていないということを理由に全面禁止は時期尚早とくれたわけです。しかし、各国政府に対してTBT塗料の使用規制を促進するよう勧告する決議が採択されました。それ以降、海洋環境委員会におきましては、我が国を初めドイツその他の加盟国からTBTのモニタリングの結果あるいは代替塗料の開発状況の情報が提供されているところでございます。  我が国といたしましては、今後ともIMO及び加盟国に対しまして、TBT塗料の全面使用禁止に向けて引き続き働きかけていきたいというふうに思っております。  それから、TBT塗料の代替塗料の開発の現状でございますが、平成二年の九月にTBT塗料が、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律というのに基づきまして第二種の特定化学物質に指定されたわけでございますが、このような状況を踏まえまして、運輸省においては塗料メーカーに対しましてTBT塗料の製造の抑制とそれから代替塗料の早期開発を通達により指導いたしました。また、塗料メーカーによる代替塗料開発の取り組みに対しまして支援をいたしております。  代替塗料につきましては、これまでに船底塗料メー力ーにおいて開発が進められているわけで、既に一部実用化されているものもございます。運輸省といたしましては、今後ともこれら代替塗料開発に向けた取り組みに対し支援をしていきたいというふうに思っております。
  35. 櫻井規順

    櫻井規順君 これは建造上の競争の妨げになるという観点ではなくて、そもそも水産物への汚染、そして、今ではとにかく海洋の生態系への影響というものを配慮しての日本の禁止措置であるわけでありますから、日本のみが守っても意味がないとは言いませんが汚染は防止できないわけでありまして、一刻も早い各国での禁止を促すようにしていただきたいと考えます。  次に、タクシーに関連して質問をさせていただきます。  最初に、今全国で運賃改定が出されてきているというふうに思います。運賃改定の根拠は何を主な根拠に挙げられているのか。そして念のため、運賃ブロックが全国幾つあって今幾つの運賃ブロックで値上げ申請が出ているか、簡潔に御答弁ください。
  36. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) ただいま運賃改定の申請が出されているのは、全体では八十三ブロックのうち三十一ブロックから運賃改定の申請が出ております。  改定理由でございますけれども、悪化した経営収支のバランスの改善、それからタクシー運転者の賃金改善、タクシー運転者の労働時間の短縮、こういった労働条件の改善のための原資を確保したいということが主たる申請の理由となっております。
  37. 櫻井規順

    櫻井規順君 最初のところをもう一遍言ってくれませんか。
  38. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 失礼いたしました。  悪化した経営収支のバランスの改善でございます。
  39. 櫻井規順

    櫻井規順君 そのとおりだろうと思うんです。  ここで取り上げたい問題は、その中の労働時間の短縮あるいは労働条件という角度から取り上げてみたいと思います。  御案内のように、平成二年に週四十六時間にするということで運賃改定しました。それから、平成四年は週四十四時間にするということでもって運賃改定をしました。今回の運賃改定の大きな柱は、今度は四十時間労働制に向けて四十二時間にするその原資としたいということが大きな柱になっているわけであります。  そこで、労働省に最初にお聞きしたいと思うわけでありますが、平成二年と平成四年の運賃改定が労働時間と労働賃金にどうはね返っているかということを確認できますでしょうか。数字を余り細かに披瀝くれても時間がかかってしまうわけですが、数字を必要最低限披瀝していただきまして見解を聞かしてください。
  40. 岩田克彦

    説明員(岩田克彦君) お答えいたします。    〔理事二木秀夫君退席、委員長着席〕  平成四年の改定との直接のつながりというのはなかなか難しいところでございますが、数字を見ますと、全産業における年間の総実労働時間、これは労働省の毎月勤労統計調査によるわけでございますが、全産業におきましては平成三年で二千十六時間、平成四年が千九百七十二、平成五年が千九百十三時間となっております。バス、タクシーから成ります道路旅客運送業という部分がございますが、ここにおきます年間の総労働時間は平成三年が二千三百十二時間、平成四年が二千二百九十三時間、平成五年は二千三百二十一時間ということで、ほかの業界に比べまして長いという状況にあると思います。
  41. 櫻井規順

    櫻井規順君 申しわけない。恐らく労働省もこれは数字では把握しかねると。今の数字はそのとおりだというふうに思うわけでありますが、運輸省の方ではその辺どういうふうに把握されてますでしょうか。わかりますか。
  42. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 運賃改定と労働時間の関係でございますけれども、ちょっと東京と静岡の例について調査いたしましたので、御報告をさせていただきます。  タクシーの運賃改定を行いました場合に、改定後一年を経過した時点で給与等の支払い実態調査を実施いたしまして、その改定前の一年間と比較して給与の改善状況調査いたしておるところでございます。例えば東京地区でございますが、平成二年の改定におきましては、乗務員一人当たりの平均賃金支給月額のアップ率は七・四%で、一定の改善がなされております。平成四年の改定におきましては、一・二%のマイナスとなって厳しい状況でございます。静団地区でございますが、平成二年の改定では五・三%のアップ、平成四年の改定では二・六%のマイナスということでございます。  また、労働時間の関係でございますが、これは労働省の賃金構造基本統計調査、これは毎年六月だけの調査でございますけれども、これを都道府県別に見ますと、月間総労働時間でございますが、東京都では平成二年では二百十三時間、平成五年では二百五時間、静岡県では二百三十二時間から二百二十二時間、これによりますと労働時間の短縮が図られているという状況でございます。
  43. 櫻井規順

    櫻井規順君 静岡まで出て恐縮でございます。  結局、平成二年から三年、おっしゃるようにわずかながら労働時間も短縮されている。労働賃金の方も増額されている。しかし、全産業に比べますと、やっぱり格差はなお開いている。  余り細かく論ずる時間がありませんが、労働省さんにお伺いします。タクシーの労働の実態として時間外労働というのが非常に大きいわけでありますが、数値は結構でありますが時間外労働の実態というのは調査されているのか、運輸省調査されているのか、簡潔に御答弁ください。
  44. 岩田克彦

    説明員(岩田克彦君) 先ほど引用しました労働省の毎月勤労統計調査によりますと、タクシー、バスから成る道路旅客運送業というようなものがございまして、それでとっておりますが、他産業に比べまして長いという状況になっております。
  45. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 今、労働省の方からお答えいただいたように、全体として総労働時間、時間外とも長い状況のようでございます。ちなみに、毎月勤労統計調査の道路旅客運送業、これを平成二年と平成五年で比べますと、平成二年の総労働時間が二千四百二十三時間、所定外がうち三百四十一時間、これに対しまして平成五年でございますけれども二千三百二十一時間、所定外が三百七時間ということで、平成二年から五年にかけて大きな流れとしては減ってきているということでございます。
  46. 櫻井規順

    櫻井規順君 いずれにしましても、時間内労働は確かに変わっているけれども、総労働時間については余り変化は見られないというのが実情であります。それで、いま少し提案でございますが、どうぞ時間外労働の実態というものをひとつ実態に即した調査をくれるように強く求めておきます。そんなわけで、今度の運賃改定に当たってもその辺の歯どめを、労働条件に直接影響するように指導を強めていただきたいというふうに思うわけであります。  それで問題は、賃金の全産業との比較も労働時間も残業時間も、私から見ればいさくかも変化していない。大変な労働実態にあるわけでありますが、その根因、原因というのは、高度成長期のタクシーの車両数が今日こういうふうに不況時になっても変化していない。他の産業は、大変な自主努力や行政指導もあって、設備の市場に対応した努力をしているわけであります。しかし、タクシーに関しては高度成長期の車両のままにいるというところに、この異常な労働の根因があるというふうに思うわけでありますが、運輸省はいかがでしょうか。
  47. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 先生指摘のように、四、五年前の高度成長時期におきまして、特に深夜の輸送力が足りないというふうなことから相当の車両の増車を各地で行ったところでございます。  タクシーのこういう需給調整ということにつきましては、昨年五月に運輸政策審議会から答申をいただきまして、基本的には各事業者の自主的な経営判断によるのが適当であるということでございます。しかしながら、なかなか事業者の自主的判断が減車という格好で出てこないケースも多いのが実態でございまして、そういった場合におきまして著しい供給アンバランスがあるという場合には、私ども必要に応じて必要最小限度の範囲での行政指導ということも必要になってくるんではないかというふうに考えておるところでございます。  こういった観点から、供給力が著しく過剰な地域につきましては供給過剰地域という形で指定をいたしておるところでございます。平成五年度には全国で二十六の地域交通圏を指定いたしておったわけでございますが、平成六年度におきましては全国で四十一の地域交通圏の供給過剰地域指定を行っておるところでございます。  このほかに期間を限定いたしました減車でありますとか預かり減車といったことも、各地方運輸局で必要最小限度の状況の中でやらざるを得ないということでもございます。今後ともこれらの措置を弾力的にかつ適切に運用していくことが必要だと考えております。
  48. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 今、担当局長からこの問題について御説明を申し上げましたが、私の基本的な考え方もちょっとここで述べさせていただきたいと思います。  委員指摘のように、車両とお客との需給関係、これがバランスを崩す場合が経済の状況の中で起きてくると思います。それが大きく経済の実勢と乖離をしない状況で車両が運行するということが理想でありますけれども、実態として運輸省も、きっちりとそれが常に一致しているという状況での車両についての増減の指導は、私はなかなか実態面として不可能な面があると思います。別に私は、規制緩和というような立場で言っておるわけじゃございませんけれども、基本的には各経営者、これは労働組合ともいろいろ協議をされることが多いと思いますけれども、そうしたそれぞれの経営体がやはり一つは責任を持って自主的に判断をしていくという部分が相当部分を占めなければならぬのではないか。  そういう中で、どうしても需給関係が崩れているというような場合には、これはやはり中小のタクシー業者については格別の配慮をしなければ、資金力とかドライバーの確保その他の面で、中小のタクシー会社の場合はふやした減らしたというようなことがそう簡単にやれる能力、キャパシティーは私はないと思いますので、そういう場合には、特に中小のタクシー業者については、運輸省としては具体的な配慮をすべきだということを私なりに局長の方には指示をいたしておるわけでございますので、そのように御理解賜りたいと思います。
  49. 櫻井規順

    櫻井規順君 規制緩和の問題はまた別の角度で、別の機会に論じたいと思いますし、過去何度も私これを取り上げてやっております。  時間がなくなってまいりました。  東京の各地区の客待ち状況の車の過剰状態は目に余るものがあるわけであります。そこで、供給過剰地域の指定がまだまだ現状においては不十分であるわけであります。それと対応した預かり減車の制度をかなり今は活用して需給調整に当たっていくべきだと思いますが、その辺の考え方を一、二分でちょっと披瀝願えますか。
  50. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 需給バランスの考え方については、今、大臣からもお答えいただきましたように、中小零細事業者への配慮ということを頭に置きながら、あるいは運転手雇用への配慮ということも必要かと思いますが、必要に応じて最小限の範囲で減車を指導していかざるを得ないという面があるところでございます。  供給過剰地域につきましても地域の実態に応じて指定をいたしておるところでございまして、また期間限定の減車や預かり減車についても必要に応じて適切に運用してまいりたい、かように考えております。
  51. 櫻井規順

    櫻井規順君 その次に、トラックの二次架装と貨物積載量について質問をいたします。  御案内のように、荷主のニーズあるいは輸送貨物の品質維持向上、労働環境の改善という観点から、二トン車にしても四トン車にしても車両の二次架装が行われるのが一般化しているわけであります。バンボディー化あるいはクレーンの架装あるいは冷凍・冷蔵装置あるいは環境NOX対策の装置等々あるわけであります。そのことによって車両の自重が御案内のように重くなって、その分だけ貨物積載量が減少しているということで、荷主さんの方は、四トン車のはずではないか、二トン車のはずではないかと言っても半分程度しか積めないという実情もある。また、メーカーと運送会社との関係の問題もあろうかというふうに思います。  そこで具体的に、今後つくる二トン車、四トン車の自重と積載量は表示どおり確保するという指導、それから現在使用過程にある車の必要な限りでの改善により荷重を、二トンなら二トン、四トンなら四トン積めるような保証をすべきだというふうに考えるわけでありますが、現在どういう努力をくれているのか、この促進についてはぜひ早期に指導ができますように要請するわけでありますが、取り組みについて御答弁いただきたい。
  52. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 架装減トン対策でございますが、まず新車につきましては車両を軽くするということが基本がと考えておりまして、軽量化を図ることによりまして架装減トンを最小限に食いとめていく、こういうことを自動車メーカーに対して要請をいたしております。具体的には、ボディーのアルミ化を図る、燃料タンクの樹脂化を図る、こういった開発をメーカーに対して要請してきておるところでございます。こうした結果、先般、十月末から十一月にかけまして東京晴海のトラックショーにおきまして、架装しても積載量が減らない定量積載型の軽量トラックが開発されまして、既に一部実用化されておるところでございます。  それから、使用過程車につきまして、改造問題でございますが、現在、全日本トラック協会それから自動車工業会と私ども運輸省の三者で、架装減トンに対します標準改造マニュアルというものをつくりたいということで検討中でございます。マニュアルは安全面には十分に配慮をしなければいけないわけですが、比較的低コストでできないかということで現在鋭意検討中で、できるだけ早くまとめ上げたいと思っております。こういう改造マニュアルができますと、改造審査が行われるに当たりましてそういった時間が非常に大幅に短縮されるというメリットが出てくるものと考えております。
  53. 櫻井規順

    櫻井規順君 終わります。
  54. 泉信也

    ○泉信也君 二十分間という短い時間でございますので、簡潔にお尋ねをさせていただきますことを御容赦ください。  まず、運輸関係社会資本の整備についてお尋ねをいたします。  運輸省の所管いたしますいわゆる社会資本の中には鉄道、地下鉄そして空港港湾あるいは航路標識といった大変重要なものがございます。地下鉄一つとりましても、公営、営団含めまして九三年度末の累積赤字が一兆二千億にもなるというような大変大きな課題を抱えておるわけでありますが、きょうは、新幹線空港港湾、この三つにつきましてまずお尋ねをさせていただきます。  整備新幹線につきましては、オリンピックを控えておるということで、私どもにとりまして高崎-長野ルートというのは国威の意味からも大変重要な整備路線だ、このように思っておりますが、全体事業費あるいは七年度以降の残事業、どのような数値でございましょうか。
  55. 戸矢博道

    政府委員(戸矢博道君) お答え申し上げます。  北陸新幹線の高崎-長野間につきましては、平成元年度から鋭意工事を実施しているところでございますが、その後の物価上昇、あるいはトンネルや路盤で予想以上の難工事になったといったようなこともございまして、先生指摘のとおり十年二月のオリンピックに向けまして今まさに急ピッチで工事を進めているわけでございますが、事業費といたしましては平成五年四月価格で八千億を超える程度と見込まれておりまして、現在調整中でございます。  そういう意味で、平成七年度以降の残事業費といたしましては、今後の物騰等の状況にもよりますけれども、現時点では約四千二百億円程度というふうに考えているところでございます。
  56. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。  残事業が四千億を超える、こうした中で七年、八年、九年といった三年間で基本的には完成をくせなきゃならないということになるわけでありまして、そういたしますと、平成七年度の予算要求の数値を拝見いたしますと二千六百九十億と、こういう要求がなされております。この数値でも場合によっては不足ではないか、もっとたくくんのお金が必要ではないかというふうに私は考えるわけでありまして、長野ルートの完成に全力を挙げていただく、恐らく他線区に回せるような余裕はほとんどないのではないか、こんな思いを持っております。  また、空港の問題につきましてはいろいろな方から御指摘がございますように、日本のいわゆるハブ空港としての機能が果たせなくなってきておるということでございます。HSCT対応というようなことで五千メーター滑走路四本、あるいは三千二百ヘクタールというような規模のものを日本につくる必要があるというような御提言も民間からなくれておるわけであります。  空港整備事業の今日までの姿を見てみますと、いわゆる公共事業全体の中に占めます空港予算シェアが、例えば平成六年が一・三九でございます。昭和四十七年が一・七四、こういうふうに公共事業の中で低下をしてきておるということは大変残念なことであり、問題であると思っております。また、空整特会の中に占めます利用者負担という観点から眺めてみましても、例えば昭和四十五年が二三%、五十年が六二%、平成七年は七〇%というふうに利用者負担によっての整備がなされておることを示されております。  このことは恐らく利用者負担の限界にもうきておって、これから本格的にいわゆる国際ハブ空港整備するということを考えますと、何か抜本的な整備、制度の改革をやらなければならないのではないか、こんな思いを持つものでありますが、来年度の予算要求も踏まえましてどのようなお考えをお持ちかをお聞かせください。
  57. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) ハブ空港整備我が国の存立にかかわる重要な課題でございまして、運輸省として全力を挙げて取り組んでまいらなければいけないと思っております。ただ、これは大変お金のかかる仕事でございまして、委員ただいま御指摘がありましたように、既に使用料が大変高い水準になっておるわけでございます。これ以上使用料が高くなっていくことには、私どもはやはり問題があると思っております。したがいまして、事業費の節減あるいは地元との分担関係、いろんな工夫を凝らすと同時に、一般財源の確保という点についても、今シェアの低下の御指摘もありましたけれども運輸省としてはこのインフラ整備重要性にかんがみてぜひ努力をしてまいりたいなというふうに思っております。  それからまた、使用料の問題につきましても、関空につきましては、ことし若干ではございますが引き下げの要求どもいたしておりまして、いろんなことでハブ空港整備が一般財源の確保も含めまして円滑に進むように運輸省として努力をしたいと思っておりますので、どうか御支援をお願いしたいと思います。
  58. 泉信也

    ○泉信也君 大変大きな課題でありますが、けさほど来他の委員からも御指摘ございましたように、周辺諸国大型空港整備を急いでおりますだけに、ぜひ早い解決策を当局におかれましても御検討いただきたいと思いますし、私どももまた新たな観点から取り組まなければならない、こんな思いを持っております。  次に、港湾につきまして、大型コンテナ埠頭につきましては、私ども参議院の運輸委員会は現地も見せていただきました。また、けさほど来の質問でも他の委員からも御指摘がなされておるわけでありますが、行政監察局からはことしの二月に、外貿コンテナターミナル整備の促進ということで勧告もなくれております。また、日経新聞関係の資料によりますと、コンテナ対応地元の方々から大変強い要望があるという資料も出ておるようなわけでありますが、このコンテナ埠頭に対する取り組み、もう一度お聞かせください。
  59. 栢原英郎

    政府委員栢原英郎君) 委員指摘のように、香港シンガポール等の急速な整備に比べまして我が国コンテナターミナル整備が一歩おくれているというのは事実であるというふうに考えております。農水省の統計でも、我が国の食糧自給率四六%ということで、このような数字に象徴されますように、基幹的な生活物資を運んでいるコンテナ輸送における国際競争力の低下というのは我が国の国民生活に深刻な打撃を与えるというふうに考えておりまして、平成七年度の予算でも最重点課題としてこの大型かつ高規格のコンテナターミナル整備に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところであります。
  60. 泉信也

    ○泉信也君 一方、先日の北海道の東方沖地震の際に発生しました津波でございますが、東北まで含めまして、北海道の方はもちろん、津波の襲来に対する不安を大変持たれ、高台への避難をなさった方もあるような状況であります。また、離島港湾においてはまくに唯一の交通手段として港湾整備が求められておることは御承知のとおりであろうと思います。  私は、皮肉を申し上げるわけではありませんが、人に優しい政治という内閣の方針からいたしますと、津波の心配もなく、また離島にとって唯一の交通路である海上交通を確保するということは大変重要なことだと思っておりますが、この点についてどのように対応しようとしておられるのか、お話をお聞かせください。
  61. 栢原英郎

    政府委員栢原英郎君) 現在港湾の背後に住んでおります人口は、いわゆる海岸防災事業における要防護人口というものの六割を占めております。このような人口の集積を守るために、現在港湾事業及び港湾海岸防災事業で私どもが所管をしております事業費の約二割を津波防波堤あるいは高潮対策の事業等に注いでいるわけでありますが、全体事業費が圧迫される中で、このような安全にかかわるものについては何とか必要なものを確保していきたい、そのためにも全体事業費をぜひ伸ばしていきたいというふうに考えております。  また、離島につきましては、離島を中心として一億八千万人の人々の足ともなっておりますので、この離島港湾の事業は約一割弱でありますけれども、これについてもおくれを来さないように努力をしていく所存でございます。
  62. 泉信也

    ○泉信也君 大臣、お聞きのように各局長工夫をしていただいて事業の推進を図ろうとしていただいておりますし、大臣も大変積極的な施策を展開しようとしておられることを新聞紙上等で承知いたしております。  そこで、来年度のこれらの予算要求につきましては、資料を見ますと、例えば新幹線は一四四%、これは伸び率が大変大きいのですが、絶対額は先ほど申し上げましたようにこれでも足りないのではないかと思っております。それから空港、都市幹線鉄道等は七%、港湾は三%、こういう概算要求がなされておりますが、これは何としてでも満額確保していただかなければ運輸関係の社会資本は充実できない。  また、かつて財政審が港湾をCランクに位置づけました。私どもはそれは認められないという姿勢でございましたが、今回の運輸省概算要求を見ますと、港湾が一番少ない三%であるということは、非常にうがった見方をすると財政審の答申を追認しておるのではないかとすら考えられるわけでありまして、大臣にはぜひこの概算要求を満額確保していただきますようにお願いを申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  63. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 応援のお言葉をいただきまして、心強く思っておる次第であります。  私は、港湾予算がCランクだとは思っておりません。Aランクだと、超Aランクだというような気持ちでおるわけであります。これも、気持ちの上では一四四%やりたいわけでありますけれども、御承知のようにそうした一つの枠組みの中でやるわけでございます。  最初にも私はちょっと申し上げましたが、今から運輸省として大事なことはシェア全体をどう変えていくかということが基本戦略だ、私はこのように思っておるわけであります。そうした場合、じゃ戦闘を開始するわけですが、どこを一番の戦闘部隊に仕立てていくかという戦略上の判断になるわけでありますが、先ほども申し上げましたように鉄道整備、それと空港整備公共事業としてきちっと位置づけられていないということが私は基本的に大きな問題だというふうに考えておるわけであります。そして、従来公共事業として正当な位置づけを受けていないところを正面に据えて闘うという戦略的な判断でやっておるわけでございまして、港湾整備を軽んじた財政審の考え方を私が踏襲しておるわけじゃございません。委員はそのあたりは御理解をいただいておると思います。  ぜひ全体を、満額を目指して頑張りたいと思います。運輸省の突撃によって全体のシェアが変わっていくということを実現したいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  64. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。  もう一点、運輸関係社会資本の整備を推し進めていきます上には大変大きなお金が御承知のように要るわけであります。公共投資基本計画の六百三十兆円もまだ財源的な裏づけがなされていない、そういう中で今回の税制改革の議論を踏まえてみましても、こうした社会資本関係の投資の財源はほとんど議論されないまま今回の税制改革がなされようとしておるわけでありまして、これからの財源確保に対して、大臣、どのようにお考えでございましょうか。
  65. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、長期的な視点に立ては六百三十兆、この中でどの程度シェアを今から伸ばしていくかという問題があろうと思います。特定財源をつくるという一つの方法もございますが、これもなかなか言うはやすくして現在そう簡単にいける問題じゃない、そういう面についての知恵も出していきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、公共事業世界の中で運輸省が大変に軽視されるといいますか、そこを委員皆様方のお力をいただいて正当な地位に位置づけていくということが私は予算確保の一番大きな問題だと。これは整備新幹線についても同じでありますし、港湾についてもすべて同じであろうかと思います。  また、将来の税制面等を含めていろんな変化が出てくる中で、我々がそういうものの中で具体的に、そのときの状況にもよりますので今から予測をするわけにはまいりませんけれども、例えば見直し規定とかいろいろな問題もございます。そういうことの総合的な検討の中でやはりきちっと位置づけていくことも将来は考えなければならない、このように考えております。
  66. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。  気象庁に二つ目の問題としてお尋ねをさせていただきます。  先日、IPCCの特別報告書というものを、気象庁の方から地球温暖化に関する最新の科学的評価という形で発表をしていただきました。大変私にとっても関心のあることでございますが、地球規模での実態把握のために気象庁はどういうことを今やっていらっしゃるのか、恐れ入りますが、簡潔にお願いをいたします。
  67. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) お答えいたします。  気象庁は現在、世界気象機関に関します国際的な枠組みの中でその一環としていろいろな仕事をいたしてございます。岩手県三陸町の綾里の気象ロケット観測所あるいは太平洋上の南鳥島におきまして、地球温暖化に関します温室効果気体等の観測を実施しております。くらに、国内四カ所におきまして、オゾン層あるいは有害紫外線に関する観測も実施いたしてございます。また、西太平洋及び日本周辺の海域におきまして海洋気象観測船凌風丸によりまして、洋上大気あるいは海洋深層に至る厚い層におきまして温室効果気体等の定量的な観測を世界に先駆けて行っているところでございます。また、この観測船につきましては現在、その代替船の新鋭の海洋観測船を建造中でございます。  これらのデータは、国際的な地球環境の監視計画に非常に大きな役割を果たしているというふうに考えてございます。  また、当庁におきましては、WMO、世界気象機関の温室効果気体世界資料センターを設置いたして世界の温室効果気体のデータを収集解析しておりまして、その成果を発表いたしてございます。  さらに、温室効果気体に加えまして、地球温暖化あるいはオゾン層破壊に関します、地球環境に関します最新の知見につきまして常に評価を加えておりまして、その結果を情報提供しているわけでございます。
  68. 泉信也

    ○泉信也君 発表されました文書を見ますと、CO2の問題一つとっても大変先行き厳しい制約が必要ではあるという指摘がなされておるようでございます。  今、長官にお答えいただきました情報センターというものがいわゆる日本国際協力の中で十分機能していけるような予算措置あるいは陣容、そういうものが整っておるのかどうか、もし整っていないとすればぜひ私としては大臣にお力をいただきたいと思いますし、整っておるとすればくらに世界の温暖化防止のために役割を果たしていただきたいと思っておるわけでございます。長官、いかがでございましょうか。
  69. 二宮洸三

    政府委員(二宮洸三君) 気候問題に関しましては、先ほど申し上げました監視、観測のほかに将来予測が非常に重要なことになってまいっております。スーパーコンピューターを用いまして将来の気候を予測いたします気候モデルを開発いたしておるところでございまして、日本を初め世界の各地域でどのような気候変動が将来起きるかということを精度よく予測いたしまして、その成果を提供できるように現在努めているところでございます。  また、今後打ち上げられる予定がございます地球観測衛星などのデータを広範に利用いたしまして、地球温暖化の監視体制の強化や予測技術の高度化に努めてまいります。  これらの成果は、我が国におきます地球温暖化にかかわる施策の基礎資料として役立てていただいてございますし、また世界の専門家によりまして地球温暖化の科学的評価を行っております気候変動に関します政府間パネルなどの国際的な活動にも大きく貢献できるものと考えてございまして、これからもこの業務をしっかりと展開していきたいとふうに考えでございます。
  70. 泉信也

    ○泉信也君 ありがとうございました。
  71. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、本日は航空行政、その中でもとりわけ規制緩和をテーマにして幾つか御見解を承りたいと思います。  まず最初に、近年アメリカ及びECの域内におきまして規制緩和が大幅に進行しております。  御承知のとおり、アメリカの例を挙げますと、一九七八年から具体的に着手をしまして、最終の八五年にはその規制の主体であった民間航空委員会、CAB自体の廃止を実行いたしました。また、現在ECにおいても市場統合とあわせまして、八八年から規制緩和に向けてのパッケージーがスタートしまして、それがパッケージーⅡさらにはパッケージⅢという段階で、一九九七年には完全自由化を完結させる、こういう方向で動いております。こういった動きを見ますと、世界航空事業の潮流というのは自由化の方向で動き出しているのではないかというふうに思うわけであります。  最初にお伺いしたいのは、こうした流れ日本としてどう受けとめておられるのか、さらに、日本においてもこれと同様の方向に行くというふうにお考えなのか、まだそこまではとてもというふうにお考えなのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  72. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) アメリカとECで自由化の取り組みが行われておるわけでございまして、今仰せになりましたようなプログラムで物事が進んでおるわけでございますが、自由化につきましては、これは非常に利用者の利益を増大するという面がございまして、例えば価格の低下であるとか、あるいはサービスの多様化であるとか、それによる実質的な消費者の所得の向上であるとか、いろんなメリットが期待できるわけでございます。  ただ、それと同時にやはり問題も出ておるようでございまして、アメリカの例でいきますと、私どもが聞いている範囲では、不採算の路線からは撤退をする。自由化でございますから撤退が自由にできる。その結果どういうことが起こるかというと、大都市のもうかる路線に集中をする。そこで非常に激しい競争が行われまして、中小企業が淘汰をされる。そして、大企業の寡占状態になるということでございます。寡占状態が出ると、やはり価格がもう一回上がる。それから、そういうプロセスの過程でやはり倒産に伴う解雇という問題も出るようでございます。  それから、ECの方も自由化は進めておりますが、現実問題として主要空港のスロットの制約がございまして、思ったように新規の参入あるいは輸送力の増強ができない。したがって、運賃の方も一たん下がりましたけれども、またもとへ戻ったというようなことを言われております。  評価というのはいろいろあろうかと思いますが、プラスの面、マイナスの面、両面がございますので、それを正しく見据えて、我が国としてはそういう例を踏まえながらどういう対応をしたらいいのか、我が国独自の考え方で将来をきちんと見据えながら基本的にはやはり消費者の利益の増大、それと我が国企業の発展各国との安定的な関係、いろんなことを達成する必要があると思いますので、そういう例も見ながらプラス・マイナス両面を考慮しつつ対処していかなければいけないかなというふうに考えておるところでございます。
  73. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今アメリカにおける、特に規制緩和の評価について局長の方からお答えがございました。ちょうど、たまたまこれ十月に経企庁がつくった資料だと思いますが、楽市楽座研究会中間報告というのが出ておりまして、この中でアメリカの旅客航空についての規制緩和の歩みをずっと検証いたしております。  確かに、今局長がおっしゃったように規制緩和にはメリットもあればデメリットもある。したがいまして、デメリットを抑えながらいかにメリットを追求していくかということに方向としてはなるんじゃないかと思うわけであります。  ただその中で、さっき申し上げたように、八五年に完全に自由化がくれてちょうど今十年近くたっているわけですが、やはりこの十年間を見ますと、当初いろんな問題が出てきたものが、例えばさっきお話しになったような中小企業の問題とか地方が便数が減ってしまったとか、こういう問題は一時的に出ましたが、最近の状況を見てますと、例えばコミューター航空が逆に地方を中心に発達をしてくるとか、あるいはそのコミューター航空会社が低コストを武器に大手に対抗できるくらいの体質で参入をしてきているとか、推移を見ますといろんな変化があるわけでございます。  私はここで大事なことは、なぜこうなってくるかといいますと、規制緩和されますと常に新しい勢力が違う発想でいろいろ参入をしてくる、大手航空会社といえども、このことによって非常にプレッシャーがあって不断の努力を絶え間なくやらざるを得なくなる、ここが非常に大きな意味があるんじゃないかと思うわけであります。  そういう点でも民間のいろんな創意が生かせるということを考えましても、ぜひアメリカの例も勉強しながら進めていただきたいというふうに思うわけでありますが、今申し上げたような点について何かございましたら御答弁いただきたいと思います。
  74. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) アメリカのディレギュレーションの評価というのは、今いろんな分析が行われておりまして、今先生仰せになったような分析も確かにございます。メリットも間違いなくあると思いますが、同時に今のことに関連いたしますと、ディレギュレーションの前の企業の数というのがたしか百幾つあったわけでございますが、その後非常にたくさんの企業がビジネスチャンスが到来したというので参入をして、そしてまたそれが全部、全部というのですか、ほとんど淘汰をくれて、結果的に企業の数が減ってしまったという分析もあるわけでございまして、一口に言ってまだ評価が完全に確立したというところまでいってないんではなかろうかという気がいたします。  いずれにしても、プラス・マイナス両面、確かにございますので、我が国としてどういう姿がいいのか、よく考えて対応したいなというふうに思います。
  75. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 次に、国際的な動きについて御質問させていただきたいと思うんでありますが、ICAOという国際民間航空機関がございます。ここで今月の二十三日からモントリオールにおきまして第四回国際航空運送会議を開催するというふうに、これは私新聞で読んだわけでありますが、この会議では実は一九九二年以来いろいろと議論されてきたようでございますが、現在の国際航空における二国間協定の枠組みを大きく変えていって、いわゆる国際航空路線の開設とか運賃の設定、そういうものを原則自由化するような多国間協定を結ぶ、このことを最終目標として検討されているんではないかというふうにお伺いしております。  したがいまして、まずお聞きしたいのは、この会議に当然運輸省の方も御出席をくれると思うわけでありますが、この会議に臨むに当たっての運輸省の基本的な方針、あるいはスタンスといったことをお聞かせをいただきたい、これが一点であります。  それからもう一点は、こういう動きを見てみますと、例えば今議論になっておりますいわゆるWTOができますと航空自由化に向けた協議が始まるというようなことも言われておりますし、最近のガット・ウルグアイ・ラウンドでは一応見送られましたが、こういった議論経過を見ますと、大きな世界流れとしては、くつき申し上げたいわゆる二国間協定からマルチの協定の方向にいきつつあるんではないか。特に、例えば日本という立場からこれを見ました場合に、よく議論されますが、日米航空協定における不平等性というのが、これは運輸省が長年努力されてもなかなか解消されないわけでありまして、そういった問題を考えてもマルチにいくこと自体もメリットがあるんじゃないか、こうも思うわけでございます。  こういった多国間協定というものについて現時点でどのように考えておられますか、お伺いをしたいと思います。
  76. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉が自由化を目指して行われたのに並行いたしまして、ICAOの場でも航空の新しい枠組みをつくっていこうと動きが出てまいりました。今おっしゃいましたように、一九九二年からいろいろ勉強してまいりまして、一つの事務局案のようなものができておりまして、今回それについて今月の未から来月にかけてモントリオールで各国が集まって議論をしましょうという状況になっております。  その内容は、基本的には自由化の方向を目指していこうというものでありまして、ただ、多国間の枠組みでいくのか二国間の枠組みでいくのかということについては、これは今のところどちらでなければならないということではないという事務局の案になっているようでございます。  御承知のように、航空は長い間一九四四年のシカゴ体制、これによって領空主権をお互いに認め合って、二国間で権益を交換して交渉をして協定を結ぶ、それを指定企業がそれぞれ行使するというやり方でずっとやってまいりました。これに対しまして、今一つの新しい動きが出てきておるということでございます。  これに対する各国の動向を見ますと、アメリカがこれを支援いたしております。アメリカは一九九二年の八月にオープン・スカイというポリシーを出したわけでございますが、それによりますと、基本的に自由化を目指す、多国間の取り決めをつくっていこうということであります。アメリカはこの方針に従いまして、さっき日米の話がありましたけれども各国にその方針で交渉をしようということでやっておるわけでございますが、これは各国から見ますと、アメリカの強い企業が各国のマーケットに進出するのをアメリカの政府が支援をしておるというふうにとられるわけでございまして、世界じゅうの反発を招いております。  このオープン・スカイ・ポリシーで協定がまとまったのはオランダだけでございまして、フランスはこれに反対をして協定の破棄をしておりますし、アジアでもタイがやはり協定の破棄をしております。アメリカはいろんなところでこのポリシーによって各国とぶつかっておるという現状でございます。  それから、ヨーロッパの方はといいますと、くつき申し上げましたように、EUとしては自由化をパッケージのⅠ、Ⅱ、Ⅲということでやってきておりまして、EUの内部については自由化に取り組んでおりますが、EUの外部にはどうかといいますと、ここは各国の利害がいろいろございまして、必ずしも自由化を目指すということで明確な態度が出ておりません。態度は今のところ不明確でございます。  それから、その他の多数の諸国は、これは自由化なり多国間の枠組みには極めて慎重な態度をとっておるというのが現在の姿でございます。  こういう中におきまして日本としてどうするかということでございますが、先ほど申し上げましたように、現実に二国間の枠組みでシカゴ体制が長い間動いておりますし、それがまた今も作動しているのは間違いございません。ただ、一つの方向が自由化であり、多国間の枠組みであることもこれは否定できない。そういう中にあって、日本としてどうするかということです。  先ほども申し上げましたように、自由化にプラスとマイナスの両面がある。それから、我が国利用者の利益、我が国航空企業の発展というのもこれは国益にかかわる重要な問題だ、各国との安定的な関係も必要だというふうに思います。そういったようなことをいろいろ考えまして各国との間でコンセンサスをつくっていかなければいけない。  そういう意味で、この会議に積極的に参加をいたしましてこれから議論をしたいと思いますが、自由化のみが正しい方向である、マルチのみが正しい方向であるというふうに今の段階で結論づけてしまうのはどうだろうか。もう少しいろんなことを考えながらやっていかなければいけないだろうと思いますが、いずれにしても積極的に議論に参画してまいりたいと思います。
  77. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ここで大臣に一点お伺いをしたいのでありますが、今私の手元に我が国航空三社のデータがございます。財務諸表のデータでございますが、このデータを見ると、やはり非常に経営的に厳しい状況に立ち至っています。  私は、今局長からお答えもございましたが、国際航空事業という視点で見ますと、基本的には自由化という、これは時期の問題はいろいろあろうかと思いますが、そういう大きな方向にあると思うんですね。その中で、今の航空三社を見ますと非常に競争力の面で心配でございまして、こういう中で自由化が進んでいくと将来やはり企業の存立そのものも心配しなければいけない、そういうことになり得る可能性があるんじゃないかというふうに思うわけであります。特に、我が国航空政策を見ますと、昔の四五、四七体制と言われる時代から段階的に規制も緩和の方向にあるんですけれども、しかしまだ四五、四七体制の枠組みというのは大きく変わっているわけではないわけですね。  そういう中で、私、ちょっとこれは相愛かもしれませんが、思わず思い出したのは米なんですね。結局対応がおくれてしまったために非常に大きな、これはいろんな御意見あるかもしれませんが、私なんかそういう見方も一面できるんじゃないかというふうに思っているわけでございます。確かに航空世界というのは、今、土坂局長からありましたように、領空権の問題とかあるいは軍事的なことも含めて難しい、もちろん普通の貿易とは違うということはわかるんですが、こういう大きな流れの中でやはり対応がおくれると非常に心配するわけでございます。  そういう意味で言いますと、私、まず大臣にお伺いしたいのは、こういう大きな流れについてどのように受けとめておられるかということと、同時に、民間企業でありますから各社各社それぞれ努力をしなければいけないわけでありますが、それを引き出すような行政政策といいますか、さっき申し上げた四五、四七体制の枠組みを上手に緩めながら、少し先を行くようなそういう政策がやっぱり必要じゃないかと思うわけでありますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
  78. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 先ほどから委員お話を聞いておりまして、将来にわたっての時代流れといいますか、そういう認識というのは私も同じような認識をしておるわけであります。問題は、今局長からも御答弁申し上げましたように、世界のそれぞれの国がお互いに国益という立場で激しくしのぎを削っておる。御承知のように、特にアメリカが圧倒的な力を持っているというそういう中で、我が国が独自の航空会社を持ち、そして将来発展をしていくという立場に立った場合、なかなか具体的な問題については難しい面に現在も直面をしておると思います。  ただ、今委員がおっしやいましたように、今の三社体制でやっておるわけでありますけれども、ある意味では三社が協力し合う分野はもっと思い切って営業面を含めて協力体制をとっていく。競争するということがもちろん基本的に必要でありますけれども一そういうことも思い切ってやっていくべきだと思います。共通の費用でコストダウンできるのであれば、そういう面についても、まだまだお互い縄張り根性を出さないで協調していけばそれがコストダウンにつながっていく面も、空港の利用その他の面についてもうんと私はあるんじゃないかなと思います、非常に細かい話になりますけれども。  世界的にも、今度日航が共国運航をやるということに踏み切っておりますが、そういう面でも、世界航空会社との思い切った共国運航というようなことも私はどんどん進めていくべきだと思います。  また、自由化ということについては、局長も申しておりましたけれども、車と道路の場合も許容量との関係はありますけれども、御承知のように飛行機の場合は空港のキャパシティーとのやはり関係がございますので、なかなか自由参入というようなことでほっておくわけにもまいらないという面もあろうかと思います。  また、安全面の配慮というのが、自動車についても同じではありますけれども航空機の場合はやはり安全面が確保できる、それがどの航空各社にとっても基本的な条件だと私は思います。アメリカあたりでは国内的には相当お互いに弱肉強食みたいな形で進んでおるわけですが、その結果、航空事故がそれで起きていると即断はできませんけれども、御承知のように大変航空機事故が増発しているというのが今アメリカでも大きな問題になっておるわけでございます。  そのあたり、自由競争とそうした安全レベルの維持の問題と、いろいろ私は航空業界については難しい問題があろうと思いますので、それだけに運輸省が妙な過保護にならない、妙な規制にならない、そういう面に配慮しながら、一方ではきちっと交通整理をもっともっとグローバルな青写真に基づいて、国内的にもまた青写真に基づいての指導を私はしなければいけないんじゃないかと思います。  国内でも私のところにも今いろいろ陳情といいますか要請が来るんですけれども、離島関係にいたしましても、今では船の足しゃなくてやっぱり飛行機の足を望まれますし、御承知のように、ちょっとこれはどうしても全部赤字という状況にもなっております。採算ベース中心で、いわゆる自由競争だからといっていった場合には、そのあたりの足がなくなってしまうということもございますし、本土内におきましてもやはり地方における住民の方々の空の足への期待というのは非常に多いわけでありますから、採算路線と不採算路線、このあたりをうまく抱き合わせをしながらやっていかざるを得ない。  不採算路線からどんどん航空各社が手を引いて採算路線中心に営業していくという形になりますと、これはやはり問題も出てこようかなという感じもいたしますので、委員の御指摘の一つの流れ、そういう方向を見詰めながら具体的な努力をいたしたいと思いますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。
  79. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今大臣のお答えの中で、ぜひ青写真を描いてというお話がございました。私それが一番大事だというふうに思いますので、ぜひお願いを申し上げたいと思いますし、できればやはり長期的なものをきちっとつくってやっていくべきだというふうに思います。  それから、お話の中で一点、これは改めて何か機会があればちょっとまた質問もさせていただきたいと思いますが、今の採算路線と不採算路線のあり方とか、それから離島の問題というのは、確かにこれまで費用面で見ますと採算、不採算路線は料金なんかを抱き合わせでセットでやってきました。私はこの間予算委員会で高速道路の質問のときに申し上げたんですけれども、このやり方が本当に国民の目に見える形でオープンなやり方かというとちょっと疑問がございます。むしろ、例えば離島の問題なんかは、私も重要性を否定しませんが、これは別の形できちっと目に見える形で政府政策として、例えばアメリカなんかも補助金を出しているというふうに聞いていますし、そういう方向があるんじゃないかなと思っていまして、これはまた改めて勉強くせていただきたいと思います。  それで、時間ありませんので、将来の問題ということで言いますと、ことしの六月でございますが航空審議会の答申が出ました。この中でこれからの航空事業の生き残りに向けていろいろと提言がなされております。  もちろん、この中には航空会社が民間企業としてやらなければいけないということもあるわけでありますが、この答申が六月に出まして大体半年近くたっているわけでございまして、これは航空審議会の答申でございますから、そこで考え方が出たと、役所として大事なことは、その答申を受けてやるなら、こういうことをきちっといつまでにとか目標を明確にして行政としての仕事を着実にやっていくということが大事だと私は思うのであります。  例えば定量的な目標とかいつまでにとかいうふうなことで、今この答申を受けておやりになっているのかどうか、お伺いをしたいと思うのであります。
  80. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) 六月の答申で、非常に厳しい状況の中で競争力の向上を図るためにエアライン自身がコストダウンなり収益力の向上に努めなくいというのがまずございまして、行政というのは、それを支援するための環境整備をしなきゃいかぬのだよということでございます。具体的には、一つは規制の見直しの問題、それからもう一つはこれからの課題でございますが、空港整備なんかについてもちゃんとやっていかなきゃいかぬということになろうかと思います。  今先生仰せになっておるのは、その行政に求められたものについての計画のようなものについてどうなっておるかということであろうかと思いますが、実はそういう具体的にいつまでに何をやるという計画が現在あるわけではございません。そこは本当はそうあるべきだと私どもも思いますが、まだそこまでいっていない。  とりあえず今やっておりますのは、我が国の企業が存立てきるかどうかという非常に大事な時期にかかっておりますので、何としてもこの一、二年の間に航空企業が生き残るというか、今の状況を乗り越えてもらわなければいけないわけでございます。ある意味では緊急事態であるというふうに認識をしております。エアラインもそういう意識で今あらゆるリストラの努力を尽くしておりますので、私どももそれに対応する一種の緊急的なことを一生懸命やらなければいかぬなというふうに思っております。  そういうふうな関係で、例えば先国会、航空法の改正をお願いいたしましたけれども、運賃の弾力化あるいは定例整備の海外委託、そういったとりあえず今やらなきゃいかぬことを一生懸命やっている、こういう状況でございまして、先生の御指摘はまことにそのとおりだと思いますが、もう少し時間をかけて考えさせていただきたいと思います。
  81. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 最後に意見を二つだけ申し上げて、ちょっと局長の御見解があればお伺いしたいと思うんですが、一つは、今の航空審議会の答申の中で規制緩和の部分なんですが、国内における例えば路線の問題を見ますと、ダブルあるいはトリプルトラッキングとか割引運賃制度とか、こういう答申が入っています。  ただ、私、長年民間企業で仕事をしてまいりましたので、その経験からいいますと、確かにそれはありがたいことかもしれないけれども、基本的な枠組みの部分を将来どうするよと、例えばさっきの例で申し上げますと路線免許とかあるいはいわゆる認可運賃等の部分についてこれからこうなるよという、さっきの大臣のお言葉をかりれば青写真のようなものが目に見えてこないと、なかなか民間企業としては中長期に計画を立てにくいという面があります。確かに局長おっしゃるように緊急避難で当面の対策は一生懸命やるということなんですが、その先のことをやはり考えられるようにしていただきたいということが一つでございます。  それからもう一点は、この答申の中で空港使用料について見解が出されています。私、これも民間企業という立場から見ると、基本的にちょっと違うんじゃないかなという部分がございますので申し上げたいんです。  この考え方は、いわゆる国際空港国内空港とに分けてそれぞれについて評価をしながら判断します、これ以上上げられないという言い方もくれておりますが、ただ、企業の競争力ということで考えますと、これは国際国内もセットでございまして、現実にアメリカの大手企業なんかはむしろ国内で培った競争力でもって国際線にどんどん出てきているというような実態でございます。そういう面で言いますと、やはりもっと総合的に使用料の問題というのをとらえる必要があるのじゃないか。現実に三社のPLを見ますと、特に国内中心のところは、一部ほかのものを含みますが、空港使用料が事業費の大体一四、五%のウエートを占めている、こういう状況でございまして、そういう視点からもぜひ御検討をお願いしたい。  その他、詳しい問題についてはまだ時期を見てお伺いしたいと思いますが、この点だけ申し上げて、あと御見解を承れれば承って終わりたいと思います。
  82. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 航空審の答申の中で、委員指摘着陸料の問題についてそういうあれが出ておりますが、航空審の考え方は考え方として尊重いたしますけれども、私は委員と全く同じ考え方でございますので、来年度は関空着陸料を下げるということで着手いたしますが、これは逐次国内空港についても同様な形で進みたい、このように考えております。
  83. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 終わります。
  84. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  85. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  86. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 質問通告をしておりました問題の前に、けさの東京新聞でございましたけれども、きのう何か衆議院で論議をされたそうですが、少し後で聞かせていただきました。けさの新聞を見まして、やはり政治家と金というか、大臣とお金という問題についてはマスコミなり国民なりが高い関心を持っておるということを一つ思いましたのと、もう一つは、きのう衆議院で大臣お話をくれた以上の話が新聞には載っておると、大臣のインタビューも載っていると。これは何なんだろうなと。一応、国会に対して大臣が答弁された。それはある意味では国民に向かって答弁された最高のものであると我々は認識しています。それと違う形でも載っているということで、少しその点を質問に入る前に四、五点聞きます。  一つは、大臣にまず御確認しておきたいんですけれども、きのうの答弁の中で修正申告した話に絡んでおっしゃっていたのは、なぜこういう事態が起きたのかというときに、親しい友人からのことですから、家を建てるので金がないから用立ててやるから使っておけよ、適当なときに返してくれればいいというようなことだったんだと。それでこういう問題が発生したんだというお話大臣はたしかされたと思います。  そこで御確認なんですけれども、このお金を友人から自宅建設の際ですか借りられたと言うんですけれども、これは要するにある意味では無利息無担保で友人から借りてしまったと、だからこういう形で多分契約書も交わされていないということだろうと思います。多分、当初借り入れて、何年何月までにこうこうこういう形で返済しますよというのもなかったんだろうと思います。これでいいのかどうかという確認をまずくせていただきたいと思います。
  87. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) おっしゃるとおりでございまして、全額じゃございませんよ、全額を友人からじゃなくて、ちゃんと担保を出して利息もきちっとという形でも金融機関から調達いたしました。  こんなことを言っちゃおかしいんですが、わずか八畳ぐらいのベニヤで仕切ったところで、六人家族が飯場と同じように部屋の隅に布団を積み上げていて夜になるとざあっと敷いて、私も家族をまたいで奥に行って寝るような生活を相当長く続けておったわけです。子供もだんだん大きくなってきますから、女の子も二人おりますので、それで家を建てにゃいかぬということで、実はその資金をどうするかということの中で、私を政治的にもいろいろ応援してくれておった友人がおりますし、そういう人がそういうあれなら使っておけよというようなことで、そういうことですから、親しい友人ですから別に契約書とかそういう水臭いことば全然ございません。  そういうものとあわせて資金を調達し、また、そういうことの中にはそうした友人等からの政治資金としての提供もあるわけでありますから、そういうのがごっちゃになっているというわけじゃございませんけれども、きちっと整理はくれておりますけれども、そういうことの中で家を新築して、当然御承知のように税務署にこれは届け出にゃいけませんから、そういうことできちっと金の出どころも税務署に届けてという形で、これはもう税理士に任せておりますからそんなことに私は直接タッチしておりませんけれども。  そうして何年か経過した時点で、税理士の方から私の方に、この利息のない部分については贈与というかあれになるからこれは税金を私わにゃいかぬということなのでそのようにさせてもらいますと言うから、それはもう任せますからという形で、その分何年がよく私は覚えておりませんが、それじゃ何年か分をまとめて修正をするという形で出したというように思います。  それで全部事案は終わっているということでございまして、そういう意味では税務処理上の税務署の見解と納める側の見解とがそれは違っている場合も間々あることですから、そういうことについては税務署側のおっしゃるとおりにやったということでありますから、これは別に追徴金だとかあるいは脱税だとかいったぐいの話しやございませんので、私は適正にそれで納税をいたしたと。  それで、委員の今のあれの中でインタビューと言ったけれども、インタビューといったって、きのう私は夜飲んで帰りましたら、私の高輪の宿舎の玄関のところで待っていたんですよ、部屋のところで。待っていまして、私は今と同じような話を、昔の話ですからよく覚えていませんがなと言いまして、そのようなことを玄関口で立ってその記者に話をしたということでございまして、特別にインタビューを受けたとか正式にということじゃございません。  以上です。
  88. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、これ勝手に書いたのかどうかわかりませんけれども、今、いつかも定かじゃないということをおっしゃっていますね。ただ、これを見ると明確に六十三年の話だと
  89. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) いや、私も言った覚えはありません。
  90. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 六十三年に自宅を新築する際に金を借りたんだと。しかも、借りた額がどうかというと、「借金は三億円で、うち二億円を自宅の土地と建物の建築費に使い、残りは政治資金などに充てた」と。ある意味ではそういう部分が明確になっているということですから、そこだけ。
  91. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 今申し上げましたように、記者とのやりとりはそういうことでございまして、それは資金を調達した時期がいったか昔のことだからよく私は覚えておらぬと。ですから、家を建てる前であることは間違いないだろうなという言い方は払いたしました。だから、その記者が私の新築した日にち等を調査しておったんじゃないかとその記事を見ますと思います。  また、これは資産公開で明確にしていることでありますから、その借金の問題等も、以後はずっと利息を払ってきておるわけでもありますし、その中で一億以上が私の政治団体ですか、貸付金に恐らくなっているというようなことになっておったと思います、私は資産公開のときにそれを見ましてね。ですから、そういうことを資産公開したその資料と合わせて私はそういう記事をお書きになったんじゃないかなと、このように思います。これは私の推測です。
  92. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つわからないのは、大臣はこれインタビューじゃないとおっしゃるんですけれども、「取材に応じこということで書かれている部分で聞きます。  これは何を書いてあるかというと、修正した所得の額というのは、大臣きのうはよく覚えていないというお話だったんですけれども大臣はここでは明確に「百万円単位ではなかったけれど、税理士に任せてあったので覚えていない。」とおっしゃっている。そうすると、これはまくか億の単位じゃないだろうと思うし、ただ数百万円単位ではなかったというようなことだけおっしゃっているんですよ。その部分がこのとおりなのかどうかということを聞きたいんです。
  93. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 私は、その記者にというより、今も実はそのあたり適正にこっちはもう納めているわけですから、各税務署にずっと税金を納めて、それは私は実務には携わっておりませんから、税理士に任せておるわけですから、どの年度に幾ら払ったというようなことを、私自身のんきかもしれませんけれども、私は承知しておりません。この件についても税理士からあったので、それはもう税務署のおっしゃるように処理をしてくださいという私は受け答えをして、これは処理したと思っております。  ただ、記者の方が幾らだったんですかと、昔のことだしよく覚えていないと。そしたら、百万ですか二百万ですか、あるいは億ですか、何千万とか言われるもんですから、だからよく覚えていないんだと。しかし、そのあたりよくわからぬな、言われてみると百万単位じゃなかったかなとか、そういう言い方をしたんで、実際私は今よくわかりません。  だから、これは新聞に出た以上ちゃんと調べりゃいいじゃないかと話してありますが、こんなことを言っちゃおかしいんですが、私は悪いことをしておるわけじゃございませんので、これはもうずっと税金をことしも払ったと思いますし、そういう中でのことでありますから、私がこれは政治家としてきっちりと世間に疎明しなければいかぬというような、そういうあれじゃありませんので、私はゆうべも、記者は十二時前だったですか、ぐらいだと思いますけれども、というように答えだということです。  以上です。
  94. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 あともう二つだけあるんですけれども、一つは、これ修正申告をなさいましたね。これはもう事実だと。そうすると、普通修正申告すると、それまではあいまいな形の取引になっていますね、友人からお借りになったわけですから。くつき言われたみたいに、契約書もないし、どういう状態になっているかというのもなかったと。そうすると、修正申告した後はその方たちと、複数なんですか、数人ですかの方と契約書をもう一回交わし直して、その後はきちんとなっているというふうに、それだからもう大丈夫なんだ、悪いことはないんだと、こういう形なのか、それを一つお聞きしたい。
  95. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) それは先ほど言いました、私は税理士を非常に信頼していますので、全部任せておりますので、そのあたりを税務署のやりとりの後で、これはちゃんと契約書を取り交わしてきちっとやった方がいいと税理士が判断してやったのか、あるいは私が聞いたのでは、恐らく今までどおりその分だけ利息相当分をずっと納税しているんじゃないかと思いますよ。ということであれば、そのまま友人に利息を払うとか、そういうことをしないで来ているんじゃないかと思います。  このあたり、はっきり言いまして私はよくわからないんですよ。これは悪いことをしているわけじゃありませんから、お互いに金の貸し借りで契約書を取り交わくにゃならぬというわけでもありませんしね。ただ、納税手続の面だけきっちりしておればいい話ですから、それはいずれにしても、それ以来税理士がちゃんと整理した形で対応していると、このように思いますから、それはちょっと私はわかりません。
  96. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この問題、もうそれ以上余り聞く気はないんですけれども、ただ大臣は悪いことをしていない、そのとおりおっしゃる。  僕らがわかりにくいのは、お金を借りた場合、普通大きなお金だったら、大臣と私と金銭の感覚が違うのかもしれないけれども、二億か三億かわかりませんが、そういう大きなお金を契約書がないまま友人だから借りたと。ただ、修正申告なりそういうことをすれば、たんは何かこういう貸し借り関係があるというのはある意味では明確にしておく必要があるだろうし、大臣の今のお話では利子をとにかく返し続けられている、税金で払い続けられているんでしょうから、逆に言うと元本は多分まだお返しになっていないんだろうというふうに思います、借りてから一切。  そうすると、一体それは本当に借りた金なのかもらっちゃう金なのかということも起きてくる可能性があるわけですよ。その辺をやはり私は明確にしなくちゃいけないんじゃないかなと、その点を最後にこの問題ではお伺いしておきます。これでもうこの問題は終わりますから。
  97. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) それは親しい友人との間のことですから、それぞれそうしたきちっとした様式といいますか、形式を踏まずにやっている場合というのは一般にもあると思います。  私の場合も、そういう意味で水臭い関係じゃない関係ですが、税理士がちゃんとその後契約書なりを取り交わしておいた方がいいんだという判断でそうやっているかもしれませんし、あるいはやっていないかもしれません、はっきり言いまして。  だから、それは一人の友人じゃありませんから、もちろんそれぞれの立場もあるでしょうし、それはどういう対応をしておるか知りませんが、私は全然これはやましいことがあるわけでもございませんし、そうした金を借りたことで何かその友人に対してやっちゃいかぬことを、便宜を見たとか職務権限でこうやったと、そういうことがあるはずじゃない友人でありますから、それは表に出たって構わぬことでもあります。それは私はできる限りきちっとすることはやっぱりしておいた方がいいなとは思いますけれども、これはちょっと税理士に確認いたしませんと、ここでお答えできないと思います。
  98. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大臣、いろいろやり方は御自分で判断されるんでしょうけれども、そういうふうに借りたお金だと大臣はおっしゃるから、それならばそれで借りてこうなる、元金は当面これならばこうやって返すんだという形を何かの形で明確にされないと……
  99. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 御指導いただいてありがとうございます。
  100. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いや、それをしないとやっぱり何となく人から見れば三億のお金、何か友達からもらったものだと……
  101. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) いや、三億じゃない、銀行から借りていない金ですから。
  102. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 三億かどうかわかりませんけれども、億になるお金だと思うんです。そのお金を結局もらっちゃったというようにそれは見えますよ。見えちゃう可能性がありますよ、元金返されていないときは。将来元金をどうするんですというのは、その辺をやはり明確にしておいていただければいいなと思います。
  103. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) わかりました。
  104. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 さて、大臣にひとつお伺いしたいのは、スチュワーデスの問題でいろいろございました。大臣が最初に発言された路線の問題まで含めて、訂正する前の話です。その話というのは、非常にある意味では反響を物すごく呼びましたし、後で訂正をされ、取り消されたことを聞きました。  ただ、やはり印象としては非常に残っている。行政指導のあり方、大臣の指導性のあり方、それから民間の会社に対するかかわり方というような問題では、ある意味ではこの問題というのは実際にさまざまな波紋を呼びました。その点について、大臣として今後どうくれていくつもりなのか。大臣の指導性、行政指導のあり方、そしてこれは省庁と民間会社とのかかわり方の問題、この三点をどんなふうに考えて今後やられるつもりなのか、まずそこをお聞きしたいと思います。
  105. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) スチュワーデスの確保の問題について行政指導をいたしたわけでありますが、ただ、ここで委員にちょっとこの点だけは正確に御理解いただきたい点がありますのは、スチュワーデスの確保に関して私どもが指導いたしましたのは、御承知のように航空法に基づく運航規定で、緊急事態には一体となって対処するということがスチュワーデスに義務づけられているわけです。  そうしたスチュワーデスが一体感を持って緊急事態に対処することに対してマイナスの働きをするようなことは、私どもとしてはこれはやっぱりそういうことはやめなくい、是正しなさいという指導をせざるを得ないというそういう立場からやったわけでございます。ただ、そのとき行政指導の中身としてこれを聞かなければ増便等について差をつけますよみたいなことは、行政指導の中身にはこれは入っていないということを、もし誤解しておられればぜひひとつ明確に御認識をいただきたいと思います。  これは、私が記者会見で行政指導をしたことを発表いたしましたときに、新聞記者から、じゃ聞かない社が出てきたらどうするんですかという質問があったんですよ。それに対して私から、いやそれはちゃんとした経営者だからきちっと従ってくれると思うけれども、一般論として言えば、安全運航はどうでもいい、とにかくもうかればいいというそういうあれで経営している場合と、そうじゃなくて安全運航第一に考えておる会社との間では、運輸省の行政というのはくいころを振ってこれをやるわけじゃないので、運輸省としては何よりもお客を安全に運んでもらう、緊急事態において一人でも多くのお客に助かってもらう、そういうことに対して熱心な会社と、そうじゃない会社について、結果として差がつくことはこれはしょうがないんじゃないのという、私は記者会見の場でそれを言ったわけなんです。  ところが、委員指摘のように、何か圧力をかけているみたいなそうした印象も持たれる、無用な誤解を生ずるということで、私はその後の記者会見で、記者会見におけるその部分は私が取り消したということでございまして、行政手続法のいわゆる構成要件といいますか、そういうものとは実体面においても違っているということだけはひとつ委員に御理解をいただきたいと思うんです。  今後の問題でありますが、私は、安全面につきましては強い規制あるいは行政指導を運輸省は今後ともかける場合があると思います。これは他の分野でしたら経営者の自主性だとかそういうものでやっていただきゃいいんですが、事、安全性については、経営者の自覚に任せるという考え方も一つには確かにあるんですが、やはり経営者の自覚だけに任せられない。  性悪説をとるわけじゃございませんけれども、やはりこれはきちっとやっていただかなければいかぬということは、法律できちっと規制をかける、政令で規制をかける、これもさらに必要だと思います。また、今度そういうことについて、法律事項じゃなくても安全に直結していく、雇用形態そのものは労働省の管轄ですけれども、今度の場合も雇用形態が安全面に影響を与えるということで私どもは行政指導をしたわけです。そういう観点から行政指導をやっていくという場合は今後ともあろうかと思います。  しかし、私がここで申し上げたいのは、何よりもそうした交通関係に携わっておる経営者、そこの従業員の方々は、そうした役所からの指導だとか法律で規制されているということ以前に、自分たちの社会的責任として安全を第一にやっていくということでぜひやっていただきたい、このように私は考えています。  以上です。
  106. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大臣はやっぱり警察出身だから、安全とそういう管理の面ということで非常に御関心を持っていらっしゃる。そこで、これも週刊誌なんかでも報道されましたけれども大臣と日航の対決みたいな形になったと。事実はそうじゃない、差ができるというのはどうなのかと思ったということですね。  その中で、大臣、後で聞いていけば処理されていることはわかりますけれども大臣が自分のアイデア会社だというふうにおっしゃっている会社がありますね。ジェイ・エス・エス、ジャパン・セキュリティー・サポート。
  107. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) いや、ジェイ・エス・エスです。
  108. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いや、それも後でちゃんと聞きますけれども、ジャパン・セキュリティー・サポートを略してジェイ・エス・エス、今はジェイ・エス・エスという社名を使っているという会社がございます。これは日航が五〇%の出資だということでございます。これは大臣の発言によると、中曽根民活のときに警察庁から私が頼まれてつくった会社で、私が生みの親であるというようなこともおっしゃっています。ですから、この会社と大臣との関係というのは何なのかというのをまず説明いただきたいと思います。
  109. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) これはもう六、七年ぐらい前になると思いますが、当時警察庁に国際テロ課、名前は後で変わりましたけれども、当時世界でテロ・ゲリラ活動が非常に頻繁に行われて邦人が被害を受けるというような事案もいろいろ発生しましたし、またちょっと前にはハイジャックというようなことも頻繁に世界で行われている。そういう中で、テロ、ゲリラを防止し、海外における邦人の安全をどう確保するかという観点で警察庁も非常に心を悩ましたわけでありますが、それで国際テロ課というのもできたわけです。  私は、警察におったときにそういう仕事を実は長い間ずっとやっておったわけでありまして、そういう経験から、警察の組織なり活動では海外においてはなかなか情報が収集できない、そういうことをもう痛切に感じておったわけであります。中曽根さんの当時民活というあれがあったわけですが、やはり民間の力でこれをサポートをする、お手伝いをするということがないといかぬのじゃないかなということを私の経験から痛感をいたしまして、警察庁の関係者もそういうことでもございました。それで、日本航空に私の方から、世界の翼日本航空、お客を運ぶだけが仕事じゃない、運んだお客が安全に海外で仕事をしたり旅行をしたりしてもらうことについて、広い意味でのそうしたセキュリティーに日本航空が目を向けて努力をくれる必要があるんじゃないですかという話をしたんですよ、当時の人に。  そうしたところ、いやそのとおりですね、ぜひやりましょうという話で実はジェイ・エス・エスが発足をしたということでございまして、だから当時からもとの警視総監がこれの社長になり、大勢警察関係者が入社をする、警察をやめて行ったのも相当おりますけれども、そういう形で発足をした。  今世界に、国の名前は言いませんが、ほとんどの国にそうした調査網、エージェント等を張りつけて情報が入っておるわけでありまして、これは今大変に評価をされておるわけです。湾岸戦争のときアメリカ軍が戦闘を開始した日をぴたりと当てたのは世界でジェイ・エス・エスだけでありまして、このことはNHKとか朝日新聞のアエラあたりでも何回も取り上げられて高く評価をされ、現在も世界の治安情報等が昼夜を分かたずどんどん入っておるということでありまして、そういう意味では大変いい仕事をしておると思います。  それとあわせて、ハイジャック防止ということで手荷物検査の分野も成田空港等で、よく中身はわかりませんが、独占じゃないでしょうけれども今まで相当部分を担当しておったんじゃないかな、私はこのように思います。また、今度関空でもそういう手荷物検査等、そうした一つの成田でのノウハウ、そんなものを持っていますから、そういう形で入ったということはこの役員から私はちょっと聞いております。  そういうふうなことで、ある意味国内のハードの分野と外国におけるそうした情報収集の分野、さらに、かつて三井物産のあの方が誘拐されましたけれども、そうした誘拐事案が起きた場合にその救生活動もやるというのがあの会社のあれでございまして、日本航空もそういう形で役員も派遣していますけれども、非常にいい仕事をしている、私はこのように思います。  そういうことでありますから、生みの親といったらおかしいんですが、アイデアも私、警察関係者との間で出したということもございます。ずっとそういう面についていろんなアドバイスを、今度ソ連邦が崩壊をしたというか、何かそのあたりについての情報をとれる体制を急いでつくるべきじゃないかとか、南米あたりの状況等を含めてそうしたアドバイスは私なりにずっとやってきたということでございます。  以上です。
  110. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃったように、ジェイ・エス・エスは役員が日航くんと警察関係者がほとんどのようですけれども、役員の中で例えば、私たちそれも見せてもらいました、鶴谷敏明さんですか、この方はそういう関係の方でない。それから剣持くんですか、この方もそうではない。この方というのは亀井さんとの関係でお入りになったのかなとも思いますし、これ簡単に言って一体どんな関係の方か、簡単で結構です。
  111. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 両者とも私の親しい友人でございます。鶴谷につきましては学生時代からの友人でございますし、剣持くんも私の大変尊敬する税理士さんでございます。
  112. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ですから、先ほどいろんなアドバイスをしてきたということで顧問料をもらっていらっしゃったと。二年間のやつを見せていただきまして、二年分は間違いなく月十万円ですかいただいていたということですけれども、これはそうすると大臣は設立当初から顧問として顧問料をずっともらい続けられていてということなんですかね。この顧問料をもらい続けて、おやめになっているでしょう。その部分を説明していただければと思います。
  113. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) なかなかこの会社は設立後も財政事情というのは憩うございまして、日本は企業も含めて個人も安全には金を出さぬと言ったらおかしいんですが、当たり前だということで、非常に理解を得にくかったということもありましたけれども、おかげくまでいろんなところからもそうしたことについての理解とそれから出資といいますか、そういうものがふえてまいりましたので、私は本当のことを言うと、実は私のところに顧問料が十万円ずつ払い込まれているのを知らなかったんです。  といいますのは、私、運輸大臣になったわけですけれども、そのとき民間の顧問とかそういうのはもうやめにゃいけませんので、それで私もジェイ・エス・エスとの関係、正式に顧問になっているかどうかなんということも意識の中にはなかったんですけれども、それで調べてみましたら、顧問に名前を連ねて、それで月々十万円が私に払い込まれているということを実はそのとき知ったわけで、だから私はいつからか知らなかったんですが、それは一切そこでストップという形にいたしましたということを御説明いたします。
  114. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、ちょっともう一つ簡単に説明していただきたいんですけれども、べンツの問題がありましたね。質問通告していますから大臣御存じだと思うんですけれども、ジェイ・エス・エス所有のベンツが所有者が亀井大臣になっていた、当時は大臣じゃないですね、という問題があったんですけれども、これはそのとおりなのか。いつまでこれを、どういう根拠で使っていらっしゃったのか。利益供与ならば政治資金の収支報告書にきちっと記載されたと思うんですけれども、そういう処理をされていたかどうか。簡単にそれだけお答えをお願いします。
  115. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) ベンツは常時ということじゃなかったと思いますけれども、一時期使用しておったことは間違いないと思います。だから、委員指摘のように厳格に言えば、その時期、私がそこのジェイ・エス・エスの所有のベンツに乗っておれば、少なくともその間の給与とかなんとか報酬として使った部分も計算をして、私の所得という形で処理をして恐らく納税等をしなけりゃならなかったという面があるかと思います。  これについては、そうした私とジェイ・エス・エスとの関係でもありますから、その車を私の物として専有的に利用するということじゃございませんでしたので、その点についてはそうした細かい処理がどうだったかと厳格に言われると、その部分を、乗っていたときの卓の使用料、これは当時顧問だったかどうか知りませんけれども、私に対する報酬なり政治献金として厳密な計算をせぬとけしからぬと委員から言われれば、それは申しわけなかったなと言う以外にはないと思います。
  116. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今も大臣がおっしゃったように、ジェイ・エス・エスが最近、関西国際空港と直接契約して関西国際空港の警備を担当しております。やっている部分はJALの入っているエアラインの南棟とANAとJASの入っているエアライン棟二棟、この警備担当、広くが大体床面積で二万平方メートルという大きな建物、ちょっと言われた手荷物と違う部分で警備を担当しております。  これは運輸省の方に聞きます。ジェイ・エス・エスと関西国際空港株式会社が正式に警備委託契約を交わしたのはいつですか。
  117. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) 会社に問い合わせましたところ、平成六年の六月三十日に契約をしておられます。
  118. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 関西国際空港の警備については、これは一昨年ですけれども、当初空港全体を五つの区画に分けるんです。そして、関西国際空港株式会社というのは第三セクター的な会社ですから、警備についてはやはりいろんな意味で競争して公正、透明にするためにいわば指名入札のような形で、これは警備を担当するような形で決めております。これは警備業協会の方にもそういう書面が出ておりまして、指名業者選定基準まであって、そのもとで各社が何社がそれぞれ応募いたしましてやっております。正確に言いますと、専門の空港の子会社がありますから、これはもう直轄地域ですから別ですけれども、それを除くと残り四区画は九二年九月までに三十二社が応募しまして、いわゆるプロポーザルですけれども、九二年の十二月に四社が決定をしております。  今言ったエアライン棟は、当初その中の一社が担当するように決まっておりました。どういう場所がといいますと、こう区画を分けるんですよ。そして、今言われているのは第二区画というところなんですけれども、そこの部分をきちんと決めておりまして、この部分については、警備会社の名前を言うと保安上問題ありますから言いません、ほかのある警備会社に担当が決まっていた。ところが、その部分だけが後になってジェイ・エス・エスに変わっていくんですよ。ほかの四社はみんなプロポーザルによって決まった。このジェイ・エス・エスだけは関空株式会社との直接契約になっている。競争も何もしていないということになっている。そのとおりでいいですか。
  119. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) そのとおりでございません。  関西空港の警備については、エリア警備と施設警備と二つございます。これは関空会社が本来御自身の判断で警備会社とお決めになることですが、調査をいたしましたところ、関空会社ではエリア警備と施設警備と二つに分ける。  エリア警備というのは全般的に空港を六つの区域に分けまして、その区域ごとに、例えばゲートの出入管理であるとかパトロールとか、そういったことをやる警備でございます。これにつきましては、空港の非常に中核になる部分につきましては二つ区画があるのでございますが、これは関空会社との一体性を確保する必要があるということで関空の子会社に警備を委託している。残りについては、四区画ございますけれども、これは公募をした上で一定の基準に合うかどうかの審査をし、プロポーザルを出させて契約をしている、こういう手続になっております。  他方の施設警備というのは、これは建物そのものの警備でございまして、この建物にも二種類ございます。  一つは関空会社みずからが使用する建物でございますが、これはさっきと同じょうに関空会社との一体性を確保する必要がありますので関空の子会社に警備を委託しておる。  残りがエアライン棟と言われておるエアラインが使用する建物でございますが、これにつきましては、エアラインの業務、オペレーションあるいは機密の保持、そういったことと非常に密接にかかわり合いがありますので、やはりユーザーであるエアラインの御希望とか御推薦をまず聞かなければいけないということで、エアラインの御希望を関空会社は聞かれたわけでございます。そうしましたら、そのエアラインの方から、先ほどの受託手荷物の検査等で従来から関係があったということもありましてジェイ・エス・エスの御推薦があったということであります。会社の方はこれをうのみにするということでなくて、くらに指名基準等に合わせて審査をして最終的にジェイ・エス・エスを選んだ、こういうふうに私どもに報告がありました。
  120. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 航空会社から要望があった点を航空会社に確認されましたか。
  121. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) 航空会社からの推薦状が関空会社に出ておりますので、それを私どもで入手して確認をいたしました。
  122. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 推薦状の問題以前に、私ども航空会社からこの話を聞きました。どういう経過になっているかというのを調査させていただきました。  推薦状が出た時期がいつかを教えていただきたいと思うんですけれども、そうすると、どういう経過をたどっているかというと、このジェイ・エス・エスの問題については、ジェイ・エス・エスの側からいろんな話があって、それぞれ各航空会社は関係ありますから、航空会社の方はどうしたかというと、ジェイ・エス・エスくんが来たと、エアライン棟については関空株式会社さんが私たちを一応推薦していただいております、そういうことを聞いた航空会社は、ある航空会社はそのまま仕方がないということで、ああそのとおりですかというふうにして決めております。そして、ある航空会社は少しもめております。トラブルがありました。何かどば言いません。そして、それがあった後に決まった形になっておるわけでございます。  局長、聞きますけれども、指名以外で決まった、いわゆる直接契約で決まった会社というのはジェイ・エス・エスともう一つあります。いわゆる荷物のセキュリティーを管理する、これは成田でもやっている会社があるんですけれども、そこは直接契約を関空くんとしているわけです。ただ、いわゆるエアライン棟という大きな部分を管理するという、施設が大きい部分について直接契約をしているのはジェイ・エス・エスだけじゃないですか。ほかにありますか、関空さんが直接契約したのは。
  123. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) 関空会社がどういう警備会社と契約をなぐるかとか、そのやり方、エアラインがどういう基準で推薦なさるかというのは、これはそれぞれの会社が独自の判断と責任でお決めになることでございまして、国が介入することではないというふうに私どもでは思っております。
  124. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ申しておきますと、航空会社が自分の警備のところもあるんですよ、自分がやらなくちゃいけない警備の部分についても。この場合、ある航空会社の場合はジェイ・エス・エスくんとある社が争って、ジェイ・エス・エスともう一社があって、このどちらかを競合させた上で決めていらっしゃいます。全く何もなくてストレートにすぽんと入っていったところというのはこのエアライン棟の契約だけなんです。いわゆる随意契約にこれだけはなっているんですよ。そうじゃないですか、違いますか。
  125. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) 先ほど申し上げましたように、エリア警備と施設警備に分ける、施設警備については自社のものは子会社に、他社の使用するものは推薦によりということでございまして、他社の使用するものというのは一つしかございませんのでそれがジェイ・エス・エスになっておる、こういうことでございます。  それから、受託手荷物の検査のことをおっしゃっていますが、これは関空会社が契約をしているのではなくて、エアラインがジェイ・エス・エスとおやりになっておることでございますので、これは関空会社とは全く関係がないことでございます。
  126. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いや、ジェイ・エス・エスのことは言っていないんだ。ほかの警備会社の話よ。局長、間違っちゃいけませんよ。  ともかく、もう一回確認しますけれども、いろいろ事情はあったにしても、この関空の中で警備会社が指名もせずに直接決まったのはジェイ・エス・エスだけでしょう。これはほかと競争してやったんですか。推薦があったとはいえ競争してやったんですか。一社だけしかないんじゃないですか。
  127. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) 関空会社のエリア警備それから関空会社の施設、これ全体の中でジェイ・エス・エスと契約をしているというのは、これは随意契約によってやっておりますが、それはそれだけでございます。  それから、そのほかに関空会社以外のエアラインがジェイ・エス・エスと契約なくっておる例はこれはまた幾つもあるわけでございますが、これはどういう契約のくれ方をしているか私どもにはわかりません。
  128. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 推薦状をぜひ後で、いつの時期にどうされたか、航空会社から出たとおっしゃいましたね、推薦状があると。それによって決まったんだとおっしゃいましたね、ジェイ・エス・エスについては。航空会社の要望で決まったとおっしゃったでしょう、局長。それはぜひきちんと教えてくださいよ。我々は航空会社から、いろいろ私たちも質問をするんですから変なことはできませんから……
  129. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 民間の話じゃないですか。
  130. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 いやいや、民間の話なのになぜこれを言うかというと、大臣最後に聞きたいんですけれども、やっぱりこれは民間であるけれども第三セクターです。ですから、ほかのいろんなものを決めるときもどうやって決めていったかというと、関空の場合は本当に小さなものまでできるだけいろんな会社が競い合って競争してなるべく指名で決めていこう、その方が公正であり透明性がある、そういうことをきちんとやっていこうとやったわけですよ、ほかの問題では。ただ、この場合だけが少し形として、航空会社の推薦があったということをおっしゃっていますから、だから特殊事情があるから決めたとおっしゃるんですけれども、形としてはこれだけになってしまったという事実だけ残っているんです。  本来、こういうものを決めるときは、一般論で結構ですよ、特殊事情は別として、民間会社であろうとも国の金が入った施設であるならば、やはりいろんな意味でいろんなところを競い合わせて料金だってできるだけ安く上げた方がいいんですから、しかも、安全性という意味できちんと何社かを競合させながらやるということが大切だろうと私は思っているんです。その点について大臣からも聞いておきたいと思います。
  131. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) ちょっと大臣のお答えの前に一言だけ御説明しておきますが、関空会社がどういう警備会社を選ぶかというのは、これは関空会社が自主的な判断と責任で決めることだというふうに私どもは思います。  それから、関空会社がその判断の一環として、建物についてはそれをほかの人に使わせるときはユーザーの利便を考えて推薦を尊重して決めるという判断をしたわけでございまして、この判断そのものが間違っておるとは思いません。  それから、エアラインがどういう方を判断されるかというのはこれはまたエアラインがお決めになることでございまして、国が介入することではないと思います。  いずれにしても、結果として確かに随意契約になっておりますが、そのプロセスそのものは公正に行われているものと私どもは思います。
  132. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) さっきから聞いていますと、私が関係していることは何かみんなおかしなあれでやられているんじゃないかみたいな話ですよ。
  133. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そんなことはないですよ。運輸省に聞いているんです、大臣には聞いていない。
  134. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) いや、ですから、私はうがって言っているわけじゃないけれども、人を見れば泥棒と思えということもあるかもしらぬけれども。  この件について申し上げますと、何度も言いますよ、私はこれについて生みの親といいますか、アイデアを出したという面で責任があるわけですから、ずっと私として意見を求められればいろいろアドバイスもしてきた仲です。それで組閣になったのが二十九日ですね。私は別に運輸大臣になるなんて思っていませんでしたから、細川政権か羽田政権か知りませんが、あなた方の政権がずっと続くと思っていましたから、私は運輸大臣になるなんてあの時点では思っていませんでした。  ですから、私はそれまでの間アドバイスがあればいろいろアドバイスしましたけれども、しかし、簡単に言いますとジェイ・エス・エスがいい会社になってきていますから、航空会社にとっても非常にいい関係になっていますから、そういう問題について、個々の営業について私に相談するよりもそれはもう個々に関係ができちゃっていますから、この問題について私は相談を受けた覚えはございません、はっきり申し上げまして。そんな営業ベースのことまで私はした覚えはございません。  ただ、今運輸大臣という立場ですから今の立場で申し上げますと、それは今航空局長が話しましたふうに、これは第三セクターであっても民間の株式会社ですから、これが自主的な判断、もちろん社会的責任とか安全、いろんなことを考慮しながら、しかし自主的に判断をしていくという立場だと私は思う。それについて運輸省がいろいろ指名入札、随意契約の中身についてまでああでもないこうでもないやるとすれば、私がスチュワーデス問題でやった行政指導以上にけしからぬと批判されるのは目に見えているわけでありまして、またそこまで私はやるべきじゃないと思う。自主性に任せるべきだ。  その中身は、私さっきから初めて聞くものですから聞いていますと、それぞれ何も問題ないんじゃないですか。私はさっきからどこが問題なのかさっぱりわからない。よく教えてください。何か意図があれば別ですよ。意図がないのであれば、善意であれば、本当にどこが問題なのか教えてくださいよ。私は本当に納得できない。  こんなことを言っちゃおかしいですけれども、あなたはこの間予算委員会でもいろいろ聞かれましたけれども、私のことについて何かああでもないこうでもないと。本当にこれはいかぬなとか、良心がうずくみたいなことを少しは聞いてくださいよ。本当にこれはお願いしますよ。
  135. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 以上です。
  136. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 車両法の改正の際、私は自動車整備振興会あるいは整備業者の背くんから大変勉強もさせていただきました。  今、御報告をさせていただいている中で、安全性とか公害防止という点で大変皆さん御心配もされているわけですが、この法改正に伴い、特に前検査、後整備の変更によりユーザー車検が急激に増加をするわけですが、現在、全国的にはもちろん北海道でも昨年度と比べて二倍から三倍になっているわけです。前検査の導入はいつからでしょうか、法改正の施行の来年七月からになりますか。  それから、法改正時にも私強調したんですけれども、前検査の導入により定期点検整備が適正に実施されないということになれば、これは中小業者の整備業界にとっては営業に大きな影響があるというこれも問題なんですが、それ以上に安全とか公害対策に重大な問題が起こってくるわけです。点検整備の励行対策の一つとして勧告制度が新たにつくられたわけですけれども、これをどのように活用されますか。
  137. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 定期点検整備の実施時期でございますけれども、道路運送車両法の一部を改正する法律の施行時期については、平成七年の七月を予定しております。御指摘の定期点検整備の実施時期は検査の前後を問わないこととするという点につきましても、法律の施行に合わせて実施することといたしているところでございます。  また、点検等の勧告でございますけれども、これは継続検査等で不合格となる場合におきまして、それが劣化または摩耗により生ずるものであって、かつ定期点検整備が実施されていないときなどに発動するということでございます。この勧告制度を有効に活用いたしまして、ユーザーに対し適切な点検整備が実施されるように指導してまいりたいと思っております。
  138. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 次に、前検査の対象として営業用のトラックとか大型ダンプ、バスというのは、例えば乗車定員だとかそれから積載量が多いということで安全性に対する配慮というのが特別求められると思うんです。運行管理者などを活用して点検整備の励行を行うということで、前整備は残していくべきだというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  139. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 定期点検整備の実施時期は検査の前後は問わない、こういうことといたしたわけでございますが、この対象車種につきましては、これによりまして自動車使用者の保守管理意識の向上、あるいは整備事業の健全な発展を促進する、こういう趣旨を踏まえまして原則的にはすべての車種に対して適用されるものと考えております。  しかしながら、今先生からも御指摘ありましたように、自家用自動車、軽自動車、これは別といたしまして、いわゆるトラック、バス等につきましては、重量物を運搬いたしましたり不特定多数のお客さんを輸送する、こういうこともございます。こういった点から、検査前に点検整備が励行されるように、バス事業者、トラック事業者、整備管理者等に対しまして点検整備の必要性を周知してまいりたい、かように考えております。
  140. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 そうすると、これは実際上は前整備という形で残っていくというふうに考えてよろしいでしょうか。
  141. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) ただいま御答弁申し上げましたように、やはりバス、トラックという車種につきましては、社会的な影響も大きいことでございますので、定期点検の励行というものをぜひ守っていただきたいということで指導申し上げたいと思っております。
  142. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 ユーザー車検が急増するということに伴って、現在車検代行業というのがかなり進出してきているわけですね。北海道でも、本州系列の代行業者というのが札幌ほか中堅都市に進出をしているという状況があります。代行業はユーザーにかわって国の検査場で車検を受けるということになるわけなんですけれども、ここでいろんな問題が生じております。  その一つは、代行業に頼んで検査をパスするということで、いかにもこれで点検整備が終わったかのようなとらえ方をしているユーザーがいる、あるいはそういうような誤解を招くような言い方をする代行業者も中にはいるという話も伺っています。少なくとも、検査をクリアしたか否かにかかわらず、整備の必要性というものをユーザーに直接はがきなどで通知するということは必ずやっていただきたいということが一つ。  それから、検査を通らなかった車両に対して勧告する場合ですけれども、これは代行業者にではなく、当然ユーザー本人に通知するということがどうしても必要だと思いますので、この点も必ずお願いをしたいということがあります。  それからもう一つは、認証の資格のない、つまり無資格の代行業者が整備をするということは違法行為になるわけで、これはあってはならないことなんですね。これに対しては厳しく対処していただかなければならないというふうに思います。  今私がそれぞれ指摘をしたことに対して、具体的な対策、どういうふうに考えておられるのか、お尋ねいたします。
  143. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) ただいま先生からお話ございましたように、自動車ユーザーに点検整備の必要性をまずよく理解してもらう、こういうことが何よりも必要でございまして、九月から十一月の三カ月間、これを重点点検整備推進運動期間といたしまして、各種のイベントを含めて現在推進しているところでございます。  また、検査の際には、従来どおり定期点検整備記録簿の提示を求めるということなどによりまして、定期点検整備の励行を指導いたしたいと思っております。  それから、ただいま先生からも御指摘ございましたが、代行業を利用したユーザーに対しましては、必要に応じてはがきによりまして定期点検整備の必要性を既に通知いたしております。この制度を今後とも充実させてまいりたいというふうに考えております。  それから、いわゆる車検代行業者の違法行為に対しましては、これは認証を受けずに自動車の分解整備を行うということに対しましては、法に照らしまして厳正に対処してまいります。
  144. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 勧告の場合にユーザーに直接通知するということは、これはしっかりお願いいたします。
  145. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) ちょっと今申し落としましたが、勧告につきましても郵送により本人に連絡をいたしたいと思っております。
  146. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 次に、前検査の導入にかかわって点検整備の実効性を高めるということで、自動車検査証に対する留意すべき事項という点でお聞きしたいんですけれども、今度の法改正というのは、六カ月点検を廃止するということで、その上で四十七条ではユーザーの点検整備の義務というものが課せられたわけですね。このことをきちっとやっぱり担保していただかなければならないという点で、政省令で担保できるということをどういうふうに考えておられるのかということが一つです。  それから、自動車検査証の留意事項でそのことを明確にしていただきたい。あるいはユーザーの保安管理責任や、検査と整備が全く違うということなど必要な内容を、これ例えば黒字一色ではなくて赤など目立つ工夫をして記述していただきたいというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  147. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) ユーザーの保守管理意識というものを向上させるに当たりまして、御指摘いただいた点を含めまして現在検討中でございますが、具体的に政省令にわたるのか、あるいは実効的にできるのか、その辺を含めて現在検討中でございます。  その点で、自動車検査証に点検整備の必要性というものを具体的に記述をする方向で現在検討中でございます。
  148. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 その中身ですけれども、検査と整備が全く違うんだということを、これは文言できちっと説明、付記をしていただきたいということと、私、今例えば赤い色ということで具体的に例を出したんですけれども、読み流さない、ぱっと見てよくわかる目立つような記述という工夫がどうしても私は必要だと思うんです。その点いかがでしょうか。
  149. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 具体的にどういう形で記述するか、先生からの御指摘も踏まえまして検討をいたしたいと思いますが、それとあわせまして、点検整備というものはユーザーの自覚にまつところが大きいということから、自主的な点検整備についての促進キャンペーン、こういうものを実施時期までに徹底してやっていきたいというふうに思っております。
  150. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 今、ユーザーの自覚というお話も出たんですけれども、今までと制度が大きく変わっていくわけですが、ユーザーの責任がそれだけ大きいということもあり、この点は本当にユーザーに安全性だとか公害防止、そういう角度から徹底的に教育をするということが必要で、学校教育だとかあるいは自動車教習所での徹底など、この点も本当に図っていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  151. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 先生指摘の点も含めまして積極的なPR活動というものを展開してまいりたいと思っております。
  152. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 次に、これも安全性、公害防止という問題にかかわって大変重要な問題なんですけれども、今度の法改正に伴って、これは整備業者の背くんからも強く指摘を受けたところなんですが、定期点検項目というのが例えば現在二十四カ月点検で百二項目というふうになっているわけですね。  ところが、点検項目と保安基準の検査項目というのはもう違うわけですね。ですから、現在の二十四カ月点検での百二項目であっても、保安基準の検査項目から見るとこれはやっぱり足りない、今でも足りないということがあるのに、それが今度は六十項目に約四割削減されるということになるわけです。しかし、これによって保安基準の検査項目というのは変わらないわけですね。そうすると、このすき間というか格差というものがどうしても大きくなっていく。この問題が大変私は重要になってくると思うんです。  一方、ユーザーから見ますと、単純に点検項目が減ったからいいというふうに考えがちなわけですね。しかし、指定整備工場の皆さんからいうと、点検項目だけを点検すればよいというものではないということで、保安基準を満たすかどうかというのはもう全く別問題なわけですから、点検項目は減っても変わらないんだ、要するに保安基準をクリアしないと合格しないんだよということをユーザーに周知徹底しないと、これは私は誤解が生ずるというふうに思うんです。  同時に、この落差というかすき間が今よりももっと大きくなってくるわけですから、ここは政省令で明示をするということも当然必要ですし、本来は保安基準に合格するのかどうかということからいうと、必要な点検項目は変わらないんだということを本当に徹底していただかないとだめなわけで、これを具体的にどういうふうに対策として考えておられるのか、この点伺いたいと思います。
  153. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 先生指摘のとおり、確かに点検基準と検査基準というものは違うわけでございます。検査基準はこれは保安基準に適合しているということを確認するものでありまして、一方、点検基準というのは標準的な使用形態を前提に事故、公害等をあらかじめ予防するというもので、その目的、役割は違っているところでございます。  具体的に、やはり整備工場に持ち込んだ時点においてそういった誤解がユーザーにありますとトラブルのもとにもなりますので、私どもも、整備事業者はもちろんでございますが、一般のユーザーに向けても種々のキャンペーン、パンフレット、そういうものをこれからも活用いたしましてよく趣旨を徹底してまいりたい、そういうふうに考えております。
  154. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 私は、政省令でここを明示するということがどうしても必要だと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  155. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 点検項目あるいは検査内容は省令で定めるということにいたしておりますので、中身は省令で定まるわけでございますが、この点どういう相違があるかということについては、私ども各種のPRの機会を通じてユーザーに説明することが必要であろうと思っております。
  156. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 次に、近代化資金の拡充の問題に関係してお尋ねいたしますが、制度改正に伴って、この整備業界というのは圧倒的に中小の皆さんが多いということで経営に深刻な影響を与えるという問題があるわけですね。この中でも設備投資を適切にしていくというようなことで、今皆さん対応を一生懸命考えておられるわけです。  前回の質問で、私はこの自動車整備近代化資金の拡充で、例えば返済期間の延長だとか低利の問題もお願いしましたし、また融資対象範囲の拡充というような問題も含めて拡充のお願いをしました。融資対象範囲については拡充する方向検討中ということでしたけれども、この点ほどうなりましたでしょうか。
  157. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 自動車整備近代化資金でございますが、これは指定整備率を上げていくということを目的といたしまして平成六年度予算で十億円の予算措置を講じたところでございます。  これにあわせまして、自動車整備近代化資金を一層御利用いただきやすくするということから融資対象の改善を図っております。具体的には、新技術に対応した設備でありますとか教育設備あるいは作業環境改善施設というものについて改善を図っておりまして、新たに追加いたしましたものとしましてはABS、アンチスキッド・ブレーキ・システムの診断機、それから教育研修用の機器、工場内の換気ダクト、こういったものを新たに追加いたしております。  また、貸付条件の見直しも行いまして、この八月からは従来の長期プライムレートからの低減率〇・二%を〇・二五%に拡大いたしたところでございます。
  158. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 この問題の最後に大臣にお尋ねいたします。  これも前回取り上げたわけですけれども整備業者の皆さんが大変頭を痛め、困っている問題が自動車重量税の問題なわけです。  重量税というのはユーザーが印紙で納付する、代行する制度にはなっていないんだというふうに言われるわけです。車検というのは制度としては安全性、公害対策のためのものであって、これ本来重量税とは関係がないんです。ところが、重量税が導入されたときに、これが納付をくれないと車検証は交付されないということで、雑則で制度としてうたわれているわけですね。これは権利創設税という性格からいっても、制度としてもう一体となっているわけなんです。  そこから実態としては、整備事業者の皆さんというのは、車検などの仕事を全部終えてからお客さんに支払っていただくという形にならざるを得ない中で、結局この重量税という税金を一時立てかえるという形になっているんですね。それで、一月に二百万から三百万も立てかえざるを得ない、そしてそれがすぐには払っていただけなくて、ボーナスの時期とか時間差があるという大変な負担が起こっているわけです。  先にもらいなくいということになると、逆にこれはお金をいただくと領収証を発行しなきゃならないわけで、それにまた印紙を張らなきゃならない。代行じゃないと言いながらそういう負担もあるという、これはやっぱり重量税とセットになっている制度のために大変な問題が起こっているわけで、ここは本当に業者の意見を聞きながら、運輸省として大臣が大蔵省に働きかけるなど、私は具体的に対応をぜひ考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  159. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 大臣にお答えいただく前に、私からちょっと御説明させていただきます。  先生指摘のように、確かに自動車重量税の代行納付ということが整備事業者の大きな負担になっているという実態がございます。これにつきまして整備料金が高いというふうな誤解も一部にあるわけでございますが、整備料金と自動車重量税、これは別のものである、自動車重量税はユーザーがお支払いになるべきものである、この点を私ども積極的にPRしていかなきゃいけないと思いまして、平成六年度の予算でポスター等そのための予算を今確保して、具体的にポスター等の作成にかかっている状況でございます。
  160. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 今、局長がお答えをいたしましたけれども、そのことも私は大事だと思うんですが、確かに委員指摘のように消費税と逆な形になっていますね。これはやはり零細な業者にとっては大変な問題になっているということだと思います。  今、局長が申しましたように、本来ユーザーが払うべきものだということをユーザーに徹底するということも一つの方法でありますけれども、しかし今のような実態はそれだけではなかなが解消できないんじゃないかということを私は危惧するわけでありまして、まあ国税から、税金を取る代行をやっているんだから、手数料でも取ってやれば一番いいと思うんですけれども、それができるかどうかは別として、何らがこの際、今までの長い経験を踏まえて私は解決をしなければならぬと思います。  確かに、これは大変に大きな問題になっているということは事実であろうと思います。大蔵省と鋭意これは折衝して、解決のため努力いたします。
  161. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 その点ぜひよろしくお願いいたします。  それで、次の問題ですけれども、視覚障害者の移動にとって、交通機関の点字ブロックとか案内板というのは当然設置されなければなりません。駅の構造というのは大変複雑で、私たち健常者でさえ進路を見きわめるのに大変まごついたり、案内表示を見ないと的確に進めないという問題があります。ましてや、視覚障害者にとっては、どこに階段があって、どこのホームがどちらに向かうのかとか、トイレはどこかとか、エスカレーターはどうなっているとか、本当に御苦労の連続だというふうに思います。  駅全体の配置構造がどうなっているのか、出入り口に案内板の設置が私はどうしても必要だと思いますが、この点字案内板は、JR、大手民鉄、地下鉄に現在との程度設置され、今後の計画はどうなっているのか。また、階段などの手すりにつける点字表示は何駅設置され、今後の計画がどうなっているか。北海道はどうなっているのか。これは数字でお願いいたします。
  162. 戸矢博道

    政府委員(戸矢博道君) お答え申し上げます。  お尋ねの点字案内板あるいは点字つき手すりの設置状況でございます。平成五年度末の状況でございますが、点字案内板が全体で百五十二駅設置されております。うちJRが十駅、大手民鉄が四十八駅、それから地下鉄が九十四駅でございます。また、点字つきの手すりは千五百七十九駅設置されてございまして、うちJRが九百二十七駅、大手民鉄が三百六駅、地下鉄が三百四十六駅に設置されております。  また、JRの北海道では、点字案内板が三駅、点字つき手すりが十八駅に設置されているところでございます。なお、札幌の市営地下鉄でございますが、五年度末段階では点字案内板あるいは手すりとも設置されておりませんでしたが、現時点では東豊線の全十四駅に点字つき手すりが設置されております。  私どもといたしましては、おっしゃいました視覚障害者の方々のための設備、これ以外にもいろんな設備がございますが、そういうものも含めまして、全体に逐次施設整備が進むように指導してまいりたいというふうに考えております。
  163. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 次に、大臣にお尋ねいたします。  これは私は六月にも取り上げたんですけれども、視覚障害者の移動にとって点字ブロックというのは命綱だと言われています。  東京視力障害者の生活と権利を守る会が全会員を対象にアンケート調査をことしの七月から八月にかけて行いまして、百人が回答する。私はその結果を見て大変驚いて、胸が詰まる思いになったわけです。私、ここにその調査結果を持っておりますが、鉄道駅のホームからの転落があったというのは百人中五十人、実に回答者の半数が経験している。「全盲者は六十八人中四十四人で三人に二人は転落経験があることになる。弱視者も三十二人中六人である。転落の回数は最多で六回が一人、五回は三人、四回は四人である。四回の一人は弱視者である。転落時に電車が来るかどうかはまさに運であり、死と隣り合わせで行動している視覚障害者の現状を端的に表す結果である。」、こういうふうに記されているわけですけれども大臣、この事実をどう受けとめられますか。
  164. 戸矢博道

    政府委員(戸矢博道君) 私ども運輸省といたしましても、視覚障害者用のブロックの設備をふやすということは大変大事であるというふうに十分認識しているところでございまして、平成六年に私どもが策定いたしました公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施設整備ガイドラインというものに基づきまして、積極的にその設備の促進を図るように鉄道事業者を指導しているところでございます。  逐次、JR、民鉄を含めまして設置が伸びてきているというふうに考えておりますが、今後とも私どもガイドラインに基づきまして、誘導、警告ブロックの設置の促進を図るように、特にJRの設置率が私鉄に比べるとかなり低いわけでございますので、積極的に鉄道事業者を指導してまいりたいというふうに考えております。
  165. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 今、局長がお答えいたしましたように、これについては全力を挙げて今取り組んでおりますが、鉄道営業等交通機関の営業については、身体障害者の方々についてのそうした施設をきっちりとするということが私は営業の前提条件だ、このように考えておりますので、今後とも全力を挙げてやらせていただきます。
  166. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 次に、点字ブロックの設置状況で、JRは四千六百六十駅中二千二十一駅と半分にも達していないわけですね。二千六百四十五が未設置、今年度の設置予定はわずか百四十駅、このペースでいきますと十九年かかってしまうわけですね。  さきの私の質問運輸省は、速やかな設置が図られるよう指導したいと答弁されたわけですが、十九年もかかっては決してこれ速やかとは言えないわけで、いつまでに整備を終えるのか、ピッチを上げるべきだという点での具体的対応をお尋ねするのと、これ空港もお尋ねしたんですけれども空港は七三%が未設置ということです。これも大変おくれており、現状がどうなっており、今年度の計画と、それから今後このピッチを上げていただきたいというふうに思うんですけれども、今後の進め方についてお尋ねいたします。  それからもう一つは、大手民鉄と地下鉄がほぼ整備が終了したというふうに前回答弁いただいておりますが、私ども調査して驚いたのは、整備が終了しているというけれども、障害者にとってはもう大きな不安を抱える実態にあるわけです。  一つは、駅の中に入るとホームだけしかないとか、階段の前の警告ブロックはあるがそれが全く出入り口からつながっていない、安全に車両に乗りおりができないというものになっているわけですね。JR、私鉄、地下鉄などさまざまな形で乗り入れている駅についていうと、もう一層問題が鮮明です。私、市ケ谷の駅から永田町から新宿から全部調べてみたんですけれども、市ケ谷では営団から都営の乗りかえで誘導ブロックが途中で切れている。それから、都営の一番線から二番線へは全くない。あるいはJRから地下鉄の乗り口も階段の部分含めてブロックがないというような実態です。  二つ目は、色も形も違う、これは他社はもちろん、同じ会社の中でもこういう現象があること。  三つ目は、運輸省のガイドラインの統一性の確立という問題なんですが、ガイドラインでは階段の前後に警告ブロックを二枚並べている。これは二枚あれば階段だなと、それなりの意味を持ってくるわけですが、ホームと同じ一枚しかないところもあるんです。すると障害者はホームか階段のブロックかわからないわけですね。ですから、少なくともこれは統一して設置していかないと、時には危険に遭遇するという問題もあり、これらについてはどういうふうに対応されるのかということをお尋ねいたします。
  167. 戸矢博道

    政府委員(戸矢博道君) 視覚障害者の方のブロックの設置でございます。  先ほども申し上げましたように、JRは私鉄あるいは民鉄、地下鉄に比べまして設置率が低いというのは事実でございます。ただ、五十七年度末にJRの場合ですと約一割でございましたものが、五年度末では約五割にまでなってきているわけでございます。これから設置いたします駅は、利用客が少なくて未舗装なものとかいろんなものが出てくるわけでございますが、私どもといたしましては、JRにつきましても積極的に設備整備されますように指導してまいりたいというふうに考えております。  それから、もう一つ先生がおっしゃいました誘導、警告ブロックの仕様とか配置につきましては、私どもがつくったガイドラインのほかに、実は自治体等が特に策定したというようなものもございますし、またガイドラインをつくる前にこういうブロックをつくったというような事例もございまして、若干そういう不統一のことがあるということだろうと考えております。  おっしゃるように、駅によりまして差がありますと、利用する方々から見ると大変混乱を生じるということにもなりかねないわけでございますので、私どもといたしましては、鉄道事業者に対しましては極力私どものガイドラインに沿って整備を行うように今後とも事業者を指導していきたいというふうに考えております。
  168. 土坂泰敏

    政府委員土坂泰敏君) 空港は四年度末の状況が二七%の整備状況でございます。さっき先生仰せになりましたように、残りの七三%が整備されていない、そういう状況でございまして、これはほかの輸送機関に比べて非常に立ちおくれているという認識を持っておりまして、このままではいけないと本当に思っております。  五年度末の見込みが現在のところ四〇%ということでございまして、二七%から一年間で四〇%まで上がるわけでございますが、これでもまだ見劣りがしておるわけでございまして、今後さらにこれは本当に一生懸命促進をしていかなければいけない。ガイドラインに沿ってさらに前進するように全力を尽くしたいと思います。
  169. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 終わります。
  170. 下村泰

    ○下村泰君 今、私がこれから御質問申し上げようといたしましたところ、高崎委員の方から質問されたことがほとんど重複しております。したがいまして重ならないようにしていきたいと思います。  今も点字ブロックのお話が出ましたけれども、実際に大臣が東京駅なんかへ今度お出かけになりましたら、何番線何番線と各ホームの上がり口がある、その上がり口を御自分で目をおつぶりになって歩いてみると、どこがどこだかさっぱりわからない。下の方の手すりやなんかに何番線何番線と点字がついているんですね。そこまで来て初めてわかるわけです。しかも、東京駅の場合には非常に通路が広うございますね。そうしますと端がわからないんですよ、どこだか。こういうのも視覚障害者にとっては大変な難儀なことなんですね。  それから、今も高崎委員の方からありましたけれども、あの点字ブロックによってかえって落ちる方々が多い。障害者の方々に言わせると、逆説的に、何度か落ちなきゃ一人前にならないなんというお話もある。そうすることによって危険性がだんだんと体にしみついてくるというわけですね。だけどそんなことをくれたんじゃ本当は困る。  こういうことで、一つこんなお話があるんです。これはことしの五月二十八日の午前十時十五分ごろなんですが、JRの岡山駅十六番ホームで、津山駅より乗車した主婦駒井増美さん五十四歳が、車いすで下車し、移動中に約九十七センチメートル下の線路に転落し、胸や足の骨を折り、収容された病院で三時間後に急性心不全で死去された、というのがあるんですね。これはまたどういうわけでこんなことになったのかなと、障害者の団体の調査があるんです。  その調査を見てみますと、こういうことがあります。  関係者の話から、鉄柱付近から動きだしたKさんの車イスは、停車していた車両がちょうど途切れた箇所で、線路へと転落した模様である。  そこで、転落経路の地点の勾配を測定した。ホームは線路側を下方にして、二度から六度の傾斜(横断勾配)がついている。横断勾配が三度を上回ると、車イスに相当熟練している人でなければ、車輪をとられ、坂下の方向に流される。傾斜角度最大六度の箇所で車輪をとられたKくんは、線路側に向かって車イスが動き出すのをコントロールする間もなく転落した模様である。こういう報告があるわけです。  そうしますと、ホームをよく見ますと、真ん中から両脇へずっと幾らか勾配がついているんです。例えば、雨の降ったときなんか雨がたまらないように両側の線路へ落ちるというようなことなんだそうですがね、屋根のないところは。そんなことがそのまま許されているものですからこういう結果が出てきたんですけれども。  そして、こういう経過、今私のお話をお聞きくださってどういうふうにお感じになりますか。今、JR西日本はどういう対応をなくっていますか。
  171. 戸矢博道

    政府委員(戸矢博道君) 私ども、先ほど申し上げました平成六年に策定いたしました公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施設整備ガイドラインというところで、ホームの床面の水勾配は百分の一程度というような基準をつくってございます。  ホームの急な勾配というのが好ましくないことは我々も認識しておりまして、そういう基準をつくっているわけでございますが、施工の精度とか、あるいは実際の使用状況、あるいはホーム面の部分的な補修といったようなものによりまして局所的にガイドラインの数値を超えるような傾斜のホームがあることも事実でございます。  先生指摘になりました事故の原因が直接このホームの傾斜のためであるかどうかというのは私ども確認しておりませんけれども、むしろ警察の取り扱いでは、この方は病死というふうなお扱いであるというふうに伺っております。  いずれにいたしましても、そういうこともございましたので、移動制約者の方々にもより安全に施設を利用していただくために、今月に入りまして鉄道事業者に対しまして、ホームの新設や改良の際には、今後とも原則としてガイドラインに準拠して設計、施工するように、それから二番目に、既設のホームにつきましても、特に傾斜が急であると思われる場所につきましては、注意喚起の表示を行うとともに補修に努め、当面補修が難しい場合には、駅員等に対しまして周知徹底いたしまして、移動制約のおありの方々の移動に適切に対応するようにという指導を行ったところでございます。
  172. 下村泰

    ○下村泰君 それで、例えばこの駅の方、JR西日本の方では改造する気が全然ないというような返答をしたというのですけれども、それは事実ですか。変える気がない、つくり直す必要がない、このままでいいというような態度をとったというのですが、どうでしょうか。
  173. 戸矢博道

    政府委員(戸矢博道君) 私どもがJR西日本から聞いたところでは、局所的に急角度がありましたが、当該場所については平均的には〇・二%程度の勾配であるということでございます。  JR西日本の岡山支社では、危険な箇所を調査いたしまして、危険な箇所については補修をするというふうに申しております。
  174. 下村泰

    ○下村泰君 ですから、一番恐ろしいのは、運輸省という建物の中にいらっしゃる方と一番出先とが合わない。これはどこでもそうだろうと思いますけれども、多いんですよ。運輸省という建物の中に入っていらっしゃる方は、これこれこういうふうに指導をいたしました、あるいは指導しております。ところが、出先の方へ行けば、そんなことは聞いたことないというのが多いんですよ、これは。こういうのを一つ一つチェックしていたらえらいことになりますから、そこまでとてもする気はありませんけれども、そういうことが多々見られるんです。ですから、こういうようなのはほっておくわけにはいかないと思いますよ。またこういう駅が決して少なくはない。  それから、私、一番最近感じることは、機械化されるのは結構なんですけれども、駅員さんがホームに余り立たないで、ホームへ備わっているテレビがありますが、あれで監視している。あれだけで監視しているからこそ、例えばあの白いつえをついている方がそのつえを挾まれて引きずられるとか、あるいは障害を持った方々が腕を挾まれる、指先を挾まれて引きずられてお亡くなりになるというようなケースが出てくるわけですね。  そうなりますと、一番大事なのは人間ということになるわけで、点字ブロックその他でもってホームを完全にして危険を防止するのも結構ですけれども、大事なのは、やはりホームに人がいて見張るということも大事なことじゃないかと思います。それは人員整理をして人をどんどん合理化して少なくするのは結構でしょうけれども、やはり発車をするときでもなんでもかんでも人様がきちんと見ていれば私はそういう危険はないと思うんです。どうなんですか、そういうことに対して。大臣いかがでしょう、これ。
  175. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 御指摘のように、機械化、合理化、コンピューター化とか進めば進むほど先生指摘のような問題が安全面においても起きてくると思います。そういう意味では、無人化、列車の乗務員も今ずっと減らしておりますから、また駅の勤務員も減らしておりますけれども、そういう中でも、きちっと駅の構造、ホームの構造、そういうものとの関係で、やはり最低限人の目できちっと安全を確認するというような体制は、それぞれの場所で条件が違いますけれども、それをきちっとやるのが駅長の仕事であり、また経営者の仕事であろうかと。画一的にやれば必ず今委員がおっしゃいましたような問題が私は起きてくるというように考えます。
  176. 下村泰

    ○下村泰君 私も戦争の経験者ですから、戦争の話はしたくはありませんけれども、アメリカのあの有名な軍事評論家が、原爆を落として相手の国に幾ら大損害を与えても、最終的には相手の国へ兵隊が実際に両方の足で立たなければ戦争に勝ったとは言えないんだというようなことを聞いたことがあります。これは戦争になぞらえちゃまことに申しわけないんですけれども、結局最後は、人間の社会は人間でなきゃだめだということになりますので、よろしくお願いします。  それから、ここにちょっと写真がございますので、理事の先生方には許可を得ておりますので、写真を見てください。(資料を手渡す)その一枚目の女性の載っている写真なんですけれども、それ実は電動車いすごと車に乗れるんです。次のページを見ていただいて、左側の下の方を見ていただくとわかりますけれども、車が置いてありまして、そこへ車いすで来た方が、スイッチを持っておりまして、そのスイッチによってコントロールされていまして、ドアがあいて引き上げる段が出てきて、そのまますぽんと中へ入れるようになっております。運転席へきちんと入れるようになるんですね。そういうふうに改造されているんです、その車は。  中へ乗りますと、腕のきく方は御自分自身でハンドルを握るんですけれども、両方の腕がちょっとあれで指先だけという方にはまたそういうのがあるんですよ、別に。親指よりかもう少し大きいかな、操縦桿みたいなのが出ているんですね。その操縦桿一つの操作によって前進もすれば後退もする、右左、カーブでも何でも曲がれる、あるいはブレーキもかかるというような車なんです。  これはもちろん改造車なんですけれども、これまでとにかく障害を持った方々が運転する場合は、車いすから運転席に御自分の力で乗りかえにゃいかぬ、あるいは人手をかりて乗りかえなきゃいけない、そして運転席へ座らにゃいけなかったわけですね。それが今度は、この改造車は、車いすのままとにかく外からリモコンでドアをあけて自分が車いすごと入っていって、しかも運転席へガーンとしっかりロックくれて、こんなかぎがありまして、それが車いすの後ろにガチンとかかるんですよ。御自分で運転できるように車いすはそのまましっかり固定されるわけです。  そんなような車なんですけれども、もしこれが実際に導入されて動けるようになれば、これはもう大変障害者の方々の活動範囲も広くなりますし、まるで違った世界になってくると思うんです。  この車によって大きな事故があったとは、もちろん大きな事故も小さい事故も伝えられていないんです、今私の聞いている範囲では。全然そういうことがない。これはアメリカだとか北欧では十年以上前からもう使われているんです、実際に。そして動いているんですね。だから、これを何と。かして我が国も導入したいなと思うんですけれども運輸省としてはこういう改造車というのはそう簡単にはいかないと思うんですけれども、ちょっと御意見聞かせてください。
  177. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) ただいま先生から写真も拝見させていただきましたが、車いすごと運転席に着いて運転できる自動車でございますが、ちょっと私ども日本ではまだそういうものを実現といいましょうか、出てきておらない状況でございます。  自動車の構造、装置、これは運転手の方はもちろんでございますが、一緒に乗っておられる方あるいは第三者の安全を確保する、こういった観点から一定の基準が必要でございます。座席の強度がやはり一定のものが必要であるとか、そういう基準が必要でございます。  ただいま先生からお話がございました、この車いす自体がその運転席としての強度なり安全装置として適しているということならば、これは私ども特段ノーと言う理由はないわけでございます。運行することはもちろん可能でございます。
  178. 下村泰

    ○下村泰君 お話聞くとばかにあっさりしたような、運転席がきちんとしていればいい、その運転席そのものが心配なければいいわけですね。
  179. 高橋伸和

    政府委員(高橋伸和君) 運転席自体と、それから固縛といいましょうか、自動車の台車自体がきちっと取りつけられている、一定の衝撃に対してその座席が安全であるということが確認されれば、それは可能であるわけです。
  180. 下村泰

    ○下村泰君 運輸省から出ているいろんな基準を見ますと、規制を見ますと、あらこんなに心やかましいんじゃとてもこれは無理だなと先に思うんですが、わりかた答えが簡単なんで今びっくりしているんですけれども、大丈夫なのかな。いざその場になって、やっぱりこれはだめなんだなんて言われると困るんだけどな。実は、この車の導入を考えていらっしゃる方が、一年ぐらい前から輸入に向けてキャンペーンをしたいと考えていらっしゃるんです。  それで、これはひとつ大臣に御協力願いたいと思うんですが、私この間ある新聞を見たら、国鉄をおやめになって、今大変生活が苦しいというので主婦の方々が陳情にお越しになったときに、やにわに陳情者に背中を向けて、懐から財布を出して、秘書くんに封筒を持ってこさせて、その中に幾ばくかのカンパをしたという記事を私はちらっと見たんですけれども、瞬間的にそれだけの行動をとる大臣ならば私の言うことは聞いてくださるとは思うんですけれども。  実は私のところにビデオテープがあるんです。そんなに長い時間じゃないんです。ちょっとの時間です。今そこにお見せしたその写真がそのままあのビデオテープを見ていただくとよくわかるんですけれども、そういう陳情している方々をお連れして大臣にひとつ見ていただきたいと思いますが、いかがですか。
  181. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) もちろん、おいでいただければ直接お会いもいたします。  今、委員からお話を聞いておりますと、また局長も今答弁をいたしておりましたけれども、これはそんなにああだこうだといって難しい問題じゃなく、技術的な問題だと私は判断いたしておりますので、これはぜひ委員が御指摘のように、それによって障害者の方が生活が便利になられるということであれば、ぜひこれは実現する方向運輸省としてもまくに積極的に取り組んでいきたいと思いますので、また具体的に委員にひとつ御指示を賜りたいと思います。お願いします。
  182. 下村泰

    ○下村泰君 大変心強いお言葉でありがとうございます。  じゃこれはこれといたしまして、次は、いつもこれは私は問題にしているんですが、天王寺駅の問題なんです。これは運輸省側も非常に頭が痛い問題ではないかと思うんですよ。  ただ、だんだんJR西日本の言い方も幾らか変わってきています。お客さんの流れを動線というふうな言い方をして、その動線を変える必要もあるんではなかろうかというようなことは言っているんです。しかし、今私の手元のこういった関係者とJR西日本側とのやりとりがある文書を見るんですけれども、これを見ていますと非常に何か感情的になっているような言い方をくれるんですね。  実際に西日本側も認めていることは認めているんですよ、エレベーターがいかに大切かということは。それで「障害者や老人にとってエレベーターとエスカレーターとどっちがベターか、というとエレベーターの方になる。」と、こういうふうに言い切っているんですね。絶対将来においては設置するという言葉もはっきり言っているんですが、じゃいつ設置するかというと未来永劫はっきりしないわけなんです。  それで、ここのところが私はこれを見ていても非常におかしいと思うし、それからしまいにはJR西日本をつぶす気かと言い出しているんですよ。エレベーターをつけると大変大きな金がかかるから、そのエレベーターをつけることによって西日本をあなた方はつぶす気なのかとまで言い切っているんですが、こういうことに関して果たして本省の方はどういうふうに受けとめているんですか。
  183. 戸矢博道

    政府委員(戸矢博道君) 私どもも、移動に制約のある方々のためのエスカレーター、エレベーターの設置というのが非常に大事であるというふうに認識していることにつきましては、先ほどから申し上げているとおりでございます。鉄道駅についても、そういう意味で新設あるいは改良の場合でも可能な限りそういうものを設置するように努力をしようということでやってきているわけでございます。  ただ、御指摘の天王寺駅につきましては、エレベーターの設置を行うといたしますと、駅構造の全面的な改良工事が必要になってしまうというようなことでなかなか設置が難しいということで、そういう障害のある方々に対応できるエスカレーターを設置したというふうに聞いております。  私ども運輸省といたしましては、エレベーターの整備指針というのをつくっておりますけれども、エレベーターが設置困難な場合に当たっては、障害のある方々に対応できるエスカレーターを設置するようにというようなことで指導をしておりまして、今後ともこういう整備指針等に基づきまして施設整備を図るようにというふうに指導していきたいと考えております。
  184. 下村泰

    ○下村泰君 ここで先ほど大臣に申し上げたようなもう食い違いが生まれてきているんですね。  確かに障害者用のエスカレーターは取りつけたとおっしゃるんです。でも実際にこれを動かすとなるとえらいことになるんですよ、これは。一回上ったりするのに四分以上かかる。しかも、逆に動いているときに障害者が来たら、障害者の方は駅員さんに通知しなくちゃいけないんですよ、ちょっと来てくださいと。  そうすると、これは逆方向に行くときはこのエスカレーターをとめなくちゃいけない。そうしますと、このエスカレーターを利用している一般の乗客はどうなるんだということになる。これは大きなトラブルになるんですよ、利用者と。例えば極端も言い方をすれば、障害者の車いす一つのために何百人かの客が動けなくなるという状況も出てくるわけでしょう。そうなりますと、怨嗟の声は当然障害者の方に集まるわけですよ。何だ一人のためにということになるわけです。ところが、障害者用のエレベーターがあるならばそんな問題はもちろん起きないんです。  しかも、大臣だっておわかりのごとく、これから高齢者の時代が来るわけでしょう。高齢者というのは動けなくなれば即障害者と同じなんです。そうなりますと、この障害者は全部、老人は全部、まあ全部が全部とは言わないでしょうけれども、車いすの老人がふえるわけでしょう。そういう方々が多くなってきたら、じゃこの障害者用のエスカレーターはのべつ幕なしに障害者を運んでいなくちゃならない、その車いすの方々を。そうすると一般の方はどうなるんですということになりますね、話の先々として。  それと、これは大臣にも聞いていただきたいんですけれども、つい十五、六年前ですよ。私は余り外国というのは好きじゃないんです、よくハワイへ行ってどうのこうのなんて言いますけれども、私はもう兵隊当時に東南アジアをくんざん回ってきていますから。  日本ぐらいいい国はない、こんなすばらしい水とこんなすばらしい食べ物のある国は世界じゅうないんですよ、どこへ行ったって。よくヨーロッパの方へ行くと、このシャトーがどうのこうのと能書きを述べますけれども、地震もない土地であれだけの城が残っているのは当たり前だ、あんなものは。そこへいくと、日本はのべつ幕なしにがたがた揺すられているんですから、そこにあれだけの城が残っているんですから、日本は大したものなんです、日本という国はね。そういう自分で固定観念を持っていますから、私は余り外へ出てみょうなんて思ってないんです。  ところが、ハワイのホノルルに行ったときにびっくりしたのは、あのすばらしい海岸に車いすがずっと置いてあるんですよ。日本の江の島にありますか、鎌倉にも。由比ケ浜にありますか、車いす。日本の場合には、こんなもの置くな、ばかやろうと。景観が悪いとか見てくれが悪い、こんな人に泳ぎに来てもらうわけじゃないやと、こうなんですよ、日本人は。取っ払いますよ、みんな、みっともないからといって。ところが向こうは置いてあるんです。ハワイのホノルルには世界じゅうからいろんな方がいらっしゃる。中にはおみ足の悪い方もいらっしゃる。となれば車いすは当然使う。そのために置いてあるわけでしょう。  日本空港がそうでしょう。羽田だってつい最近だと思いますよ、車いすを置くようになったのは。私が出入りしているときはなかったですよ、車いすは。最近やっとそんなものがふえてきた。これが日本の現状なんです、実際のことを申し上げて。  ですから、大臣、そういうふうに考えていただきますれば、私が今言ったこの天王寺駅のエレベーターぐらい、本来だったら運輸省の力でごおんとやるべきが当たり前です。しかも、一九九七年に大阪の長居というところで今度身体障害者の国際大会があります、いわゆるパラリンピックみたいなものがね。そうしますと恐らく大阪の方では、障害者用のエレベーターがないから天王寺駅は使わせないで、別のバスに乗せてできるだけそういうところは見せないようにとか使わせないようにといって運ぶんじゃないかと思いますよ、私は、その出場選手を。  それから、先ほどから関西空港お話も出ていますけれども、関西空港でも、確かに設備はよくなっています、設備はよくなっているんですけれども、きて障害者が使うとなるといろんな不便があるんですね。電動いすで行けばそのままぶっかってしまって、これよりおまえ中へ入るなと変なものが置いてあったりなんかして、本当に使えないというような状況がたくさんあるわけなんです。  しゃべると私はあとは何十分でもしゃべりますけれども、余りしゃべってもいられませんからこのぐらいでやめくせていただきますけれども、そういうふうに細かいことが山積しているわけですよ。だから、局長が先ほどからおっしゃって、さっきも私は言ったでしょう、運輸省という建物の中で、私らがお話をさせていただいて、こうしていますよ、こういう指示は出していますよと言っても、今私が申し上げたように出先機関とは全然違うんです。こういうとこ保ろを認識していただいて、大臣にひとつ答弁をいただいて私の質問は終わりにします。
  185. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) いろいろ具体的な事例を取りまぜてお話をお聞かせいただきましたわけでありますが、この村山政権は、人に優しい政権、一人一人の生きとし生けるものとの共感を持ちながら政治をやっていくということが基本理念でございます。そういう面から、特に体の不自由な方々ができるだけ普通の障害のない方と同じような生活をしていただくために、またこれは何も楽だとか楽でないというんじゃなくて、精神的にそういう面で生きていることの喜び、楽しくを感じていただくにはどうすればいいかということが私は基本であると思います。  そういう意味では、今いろいろ御指摘いただきましたが、交通機関等についてそれをどうやっていくかという具体的な問題については、本年度一億二千万のいわゆる補助をするという制度にもなっておりまして、それも逐次やっておりますが、こんなものじゃ足りません。  それと同時に、国からの補助だとか、それはもちろんやらにゃいけませんけれども、先ほどのどなたかの質問にも私申し上げましたけれども、そういう交通機関を経営している者のまくに社会的責任としてこのことはきっちりと取り組む必要がある、私はこのように思います。そういう意味では、例えば駅長さんが車いすに自分で乗って動いてみられればいいんですね。あるいは目隠しをくれて、耳に栓をくれて、自分の駅をそういう方々が利用される場合にどうなのかということで御自分で点検をくれればいい。そういうものの中に立って、じゃどこを改造していけばいいか、どこをどうすればいいか。  そういう面については、もちろんこれは設備資金も要ります。今天王寺の話が出ましたけれども、確かに私鉄を含めて、鉄道あるいは航空機、そういう機関を含めて、各社がいろんな設備投資をやる中で、そこに膨大な金を一時につき込むということはなかなか実際問題としては難しいと思います。  そうした場合は、やはり重点的に、ここはエスカレーターで大丈夫なのか、あるいはここはどうしてもエレベーターでないといかぬのかとか、私はそれぞれに合ったノウハウが出てくると思うんですね。それに従って各会社またその現場現場の責任者がこの問題については全力を挙げて取り組むように運輸省といたしましても、何なら鉄道局長が目隠ししたり車いすに乗って現場を歩いてくれればいいと思うわけでありますが、それぐらいな気持ちでこの問題は取り組んでいきたい、このように考えております。  以上でございます。
  186. 下村泰

    ○下村泰君 委員長、済みません、これで終わりにするつもりでおりましたけれども、もう一言だけ言わせてください。  実は、私が岡山県の方へ参りまして、智頭鉄道、智頭急行というんですけれども、これは何か一番最初は明治時代に敷設をされるはずだったのが、全然だめで、最近になって、ことしの十二月ごろに開通されるんですけれども、おもしろいことに、宮本武蔵の生まれた土地を走っているんです。宮本武蔵という駅があるんですよ。何だこれはと言ったら、いや駅の名前だと言うんですよ、宮本武蔵という。それで、その隣が大原という駅なんです。この二つのホームは地上から大変高いんですね。  そのために、そこの町議会議員で岩江という人がいるんですけれども、私は自費でもそれをつけるといって何かいろいろと準備をして、今何か簡単に、そこは本当はエレベーターじゃなくなっちゃったんですけれども、そういうこともしているんですよ。しかも、第三セクターの民間が、大して資本のないところでもとにかくそういう手当てをしているということの実態があるわけですね。もしあれでしたら、後ほどどうぞひとつ職員の方に聞いていただきたいと思いますけれども、こういう実態もあります。  ことしの十二月からこれは営業を開始するんだそうですけれども、それくらいの努力をしているということもひとつお認めくださいまして、なお一層先ほどの大臣の言葉の裏づけをお願いしたいと思います。
  187. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  大臣には大変御苦労さまでございました。     ―――――――――――――
  188. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) 委員異動について御報告いたします。  本日、木庭健太郎君が委員辞任され、その補欠として中川嘉美君が選任されました。     ―――――――――――――
  189. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 大久保直彦

    委員長大久保直彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に中川嘉美君を指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十八分散会      ―――――・―――――