○中川(秀)
委員 わかりました。大いに研究して、税という形でない形もやはり重要な選択肢だと私も思います。
財政の問題についてお伺いをしたいんですが、私はやはり、
日本の財政も完全にもう曲がり角を過ぎてきているんじゃないかという感じがいたします。
それは、今までですと、例えば国、地方それから財政投融資、この三者が一体となったやりくり財政というのは可能だったんですよ。財政トライアングルといっていますが、国の財政、地方の財政、財政投融資、このやりくりが可能だったんですけれども、もうそういう
時代ではなくなってきた。
膨張する財政需要に対応するために、国債の増発、地方財政、財政投融資、こういうものを組み合わせたりあるいはつけかえたり、いろいろなことをしながら、補助金のシステムでもくるくる変わってきておるわけでありますが、そういうことをずっと続けてきたことは、結局は、むしろ財政の膨張体質につながってしまった。むしろ
日本の
経済の活力を妨げる要因になり始めている。これから大事なのは、やはり地方財政や財投も含めたグランドデザインをもう一回今回の税制改革と同時に見直さないと、つまり、ある
意味では歳出全体も見直していかないともうやっていけない、そういう状態にきているんだろう、このように思うわけでございます。
大蔵大臣に伺うのですけれども、赤字は今三百兆ですね、大体、国、地方合わせて。地方財政だってもう百兆に近い赤字にだんだんなっていく、今はなっていませんが、なっていく。合わせれば、国鉄のいろいろなものも入れれば三百兆ですよ、大体。こういう
状況の中で、私は、歳出構造全体をいろいろ
議論しなければいけない。
大蔵大臣の御所属の
さきがけ党では、特殊法人の民営化あるいは廃止あるいは改革というものをいろいろ言っております。個々にはいろいろな
議論がある。それによって公共性が損なわれて大変なことになる、地方に高速道路ができなくなるんじゃないかとか、あるいはむしろ公共料金が上がるんじゃないかとか、あるいは簡単に民営化株が今の株式市場で消化できるかいといった御
議論も当然あるわけでございます。
また、総定員法で二十数年やって四万人しか公務員は減らなかった、それによる削減額は三千億円ぐらいだ。そんな簡単に大蔵大臣等のおっしゃるように一兆六千億も歳出が減らせるか、こういう御
議論も役所の中でもあったやに伺っておりますけれども、いずれにしても、全体の
議論を大変な政治
決断でやっていかざるを得ない。そういうふうな
時代に入ってきておると私は思うわけで、若干これは理想論だなという部分も含めて、これから行政改革にまで踏み込んで御提案もしてみたいと思うのですが、できるところからやるという
方向で御
答弁もいただきたい、こう思っているわけです。
例えば、公共事業でも各省のシェアや事業のシェアはほとんど変わっておりません。そしてなおかつ、例えば下水道、これは市民が生活投資ということで何よりも必要としているところはたくさんあるわけですが、建設省の下水道事業が行われ、同じ町で、また同じところで農林省の集落排水対策事業が行われる、こういう重複投資などというものもかなり各方面で
指摘をされておるわけですね。
ついこの間、中央区でことしの二月ですが月島第三小学校というのができまして、一階から四階が小学校と幼稚園ですね。それから地下に高齢者のための福祉センター、ふれあい作業所というのができた。国に例えれば、文部省と厚生省というようなものが一緒になって施設をつくった、こういう例もあるわけですね。
予算の配分を本当に効率的にするためには、省庁間を横断したような、そういう
予算編成というものも必要だと思うのですよ。大蔵省も仲介役になってそういう
予算編成をしていくという仕組みが求められていると思うのです。もしそれが大蔵省にできないのだったら、これはもう編成権を官房にかなり移譲するしかなくなってくるわけで、そういうことも検討してみたらどうだろうか。
それからまた、お金を使われた後の事後の評価システムというものも、例えば会計検査院は不当事項とかというので
指摘をする、それに対して余りペナルティーもない。どう
予算が配分をされたか、税金のむだ遣いがなかったかということには目を光らせているけれども、
予算配分の適切さや類似事項のダブりにまで踏み込んだ会計検査というのは余りしてないのじゃないか。こういうこともきちっとしておくべきではないかな。
予算と決算、国会においても審議の場を
一つにすべきではないかという
議論も行われております。
あるいは、概算要求が締め切られましたけれども、税収との差は、今の数字で見積もっても七兆円ある。相当厳しい査定を要する。
いろいろなこれから大変な作業があるだろうと思いますが、私は、年金だって
世界的に非常に高い水準に今なってきていると思うのですよ。そうすると、やはり一定の資産があって生活のできる人には、こんなことはとっぴな
議論だけれども、年金の受給は御遠慮いただくということも、公平性の観点から
議論をしてもいいのではないかなという感じもいたします。
それからまた公共事業も、建設国債を増発して、不況下に公共事業をどんどんやっていく。しかし、それがもう完全に既得権化して、なかなか今度は好況になっても減らせない、増分主義ばかりになる。こういうものも、やはりゼロベースの
予算編成ということで検討し直すべきだろう。一定の補助事業については、サンセットで見直すことも必要だ。
それから、全体的に財政再建計画、五カ年計画というのも昔あったのですが、その後、税制改革やあるいはまた総合
経済対策等の中に、陰に隠れて、今財政再建の計画は事実上はそういうことに置きかわってしまっておるのですが、私は、やはり税制改革と同時に財政改革もしなきゃいけない、歳出改革もしなきゃいけない。それはもう現
政権が与えられた、今の政治が与えられた不可避の課題だと思うのです。そういう
意味で、やはり財政再建の五カ年計画というのを別途設けるべきではないか。
具体的に幾つかの項目を挙げて今御提案を申し上げましたが、大蔵大臣の御所感を伺います。