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1994-10-11 第131回国会 衆議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成六年九月三十日)(金曜日) (午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 中川 秀直君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 草川 昭三君    理事 月原 茂皓君 理事 後藤  茂君    理事 中西 績介君       伊藤 公介君    浦野 烋興君       江藤 隆美君    越智 伊平君       川崎 二郎君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       島村 宜伸君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    東家 嘉幸君       中山 太郎君    野田  実君       村田敬次郎君    村山 達雄君       若林 正俊君    綿貫 民輔君       東  祥三君    石井 啓一君       市川 雄一君    岡島 正之君       加藤 六月君    工藤堅太郎君       笹山 登生君    鮫島 宗明君       田名部匡省君    高木 義明君       長浜 博行君    二階 俊博君       日笠 勝之君    山田  宏君       伊東 秀子君    坂上 富男君       鉢呂 吉雄君    細川 律夫君       三野 優美君  五十嵐ふみひこ君       不破 哲三君    松本 善明君 ――――――――――――――――――――― 平成六年十月十一日(火曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 中川 秀直君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 草川 昭三君    理事 月原 茂皓君 理事 渡部 恒三君    理事 池端 清一君 理事 三野 優美君       伊藤 公介君    浦野 烋興君       江藤 隆美君    越智 伊平君       越智 通雄君    川崎 二郎君       熊代 昭彦君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    斉藤斗志二君       志賀  節君    島村 宜伸君       関谷 勝嗣君    中谷  元君       村田敬次郎君    村山 達雄君       若林 正俊君    東  祥三君       石井 啓一君    岡島 正之君       加藤 六月君    北側 一雄君       笹山 登生君    鮫島 宗明君       田名部匡省君    高木 義明君       谷口 隆義君    中野 寛成君       長浜 博行君    二階 俊博君       日笠 勝之君    山岡 賢次君       山田  宏君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       嶋崎  譲君    細川 律夫君       山崎  泉君  五十嵐ふみひこ君       錦織  淳君    穀田 恵二君       志位 和夫君    松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  村山 富市君         法 務 大 臣 前田 勲男君         外 務 大 臣 河野 洋平君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 与謝野 馨君         厚 生 大 臣 井出 正一君         農林水産大臣 大河原太一郎君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         運 輸 大 臣 亀井 静香君         郵 政 大 臣 大出  俊君         労 働 大 臣 浜本 万三君         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     野中 広務君         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       五十嵐広三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      小里 貞利君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      高村 正彦君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      田中眞紀子君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 宮下 創平君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 小澤  潔君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       藤井  威君         内閣官房内閣外         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房外政審議室         長       谷野作太郎君         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一         部長      津野  修君         国際平和協力本         部事務局長   鈴木 勝也君         警察庁刑事局長 垣見  隆君         警察庁交通局長 田中 節夫君         総務庁長官官房         長       池ノ内祐司君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         防衛庁参事官  江間 清二君         防衛庁長官官房         長       三井 康有君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁教育訓練         局長      佐藤  謙君         防衛庁経理局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁総務         部長      粟  威之君         経済企画庁調整         局長      吉川  淳君         経済企画庁物価         局長      谷  弘一君         経済企画庁総合         計画局長    土志田征一君         経済企画庁調査         局長      大来 洋一君         科学技術庁長官         官房長     新  欣樹君         科学技術庁科学         技術政策局長  石井 敏弘君         科学技術庁原子         力局長     岡崎 俊雄君         環境庁長官官房         長       大西 幸夫君         環境庁企画調整         局長      石坂 匡身君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野村  瞭君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         法務省刑事局長 則定  衛君         公安調査庁次長 松浦  恂君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    高野幸二郎君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省欧亜局長 野村 一成君         外務省中近東ア         フリカ局長   須藤 隆也君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省条約局長 折田 正樹君         大蔵大臣官房総         務審議官    竹島 一彦君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省銀行局保         険部長     山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆俊君         国税庁次長   松川 隆志君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省初等中等         教育局長    野崎  弘君         文化庁次長   林田 英樹君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省保健医療         局長      谷  修一君         厚生省老人保健         福祉局長    阿部 正俊君         厚生省児童家庭         局長      佐々木典夫君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         食糧庁長官   上野 博史君         通商産業省通商         政策局長    坂本 吉弘君         通商産業省産業         政策局長    堤  富男君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         資源エネルギー         庁長官     川田 洋輝君         中小企業庁長官 中田 哲雄君         運輸省鉄道局長 戸矢 博道君         運輸省航空局長 土坂 泰敏君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省通信政策         局長      山口 憲美君         郵政省電気通信         局長     五十嵐三津雄君         労働大臣官房長 伊藤 庄平君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省道路局長 藤川 寛之君         自治大臣官房長 秋本 敏文君         自治大臣官房総         務審議官    二橋 正弘君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君         自治省税務局長 滝   実君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局総務局長  涌井 紀夫君         予算委員会調査         室長      堀  一郎君     ――――――――――――― 委員異動 九月三十日  辞任         補欠選任   野田  実君     越智 通雄君   伊東 秀子君     池端 清一君   後藤  茂君     今村  修君   中西 績介君     佐々木秀典君   鉢呂 吉雄君     嶋崎  譲君 十月三日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     原田  憲君 同月六日  辞任         補欠選任   工藤堅太郎君     渡部 恒三君 同月七日  辞任        補欠選任   市川 雄一君     谷口 隆義君 同月十一日  辞任        補欠選任   高鳥  修君     熊代 昭彦君   東家 嘉幸君     中谷  元君   原田  憲君     斉藤斗志二君   高木 義明君     中野 寛成君   谷口 隆義君     北側 一雄君   二階 俊博君     山岡 賢次君   今村  修君     山崎  泉君 五士風ふみひこ君     錦織  淳君   不破 哲三君     穀田 恵二君 同日  辞任        補欠選任   熊代 昭彦君     高鳥  修君   斉藤斗志二君     原田  憲君   中谷  元君     東家 嘉幸君   北側 一雄君     谷口 隆義君   中野 寛成君     高木 義明君   山岡 賢次君     二階 俊博君   山崎  泉君     今村  修君   錦織  淳君   五十嵐ふみひこ君   穀田 恵二君     志位 和夫君 同日  理事後藤茂君及び中西績介君九月三十日委員辞  任につき、その補欠として三野優美君及び池端  清一君が理事に当選した。 同日  理事月原茂皓君同日理事辞任につき、その補欠  として渡部恒三君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  予算実施状況に関する件      ――――◇―――――
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事月原茂皓君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任並びに委員異動に伴い、現在理事が三名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に       渡部 恒三君   池端清一君    及び 三野 優美君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 佐藤観樹

    佐藤委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  予算実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  7. 佐藤観樹

    佐藤委員長 予算実施状況に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野寛成君。
  8. 中野寛成

    中野委員 おはようございます。  新しい時代を切り開こう、日本もまた世界的な大変革の中で、それにおくれない、むしろ時代を先取りする、世界の運営をリードする、その意気込みを持ってこれから日本政治改革経済改革に取り組んでいかなければいけないと思います。  私は、一つの期待を持ってきょうはお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず、本論に入りますまでに、緊急問題について一、二お尋ねをいたします。  今月四日に起きた北海道東方沖地震被災者、その家族の方々に対して一言お見舞いの言葉を申し上げたいと存じます。政府においては、被災者に対する万全の対策、地域の復旧策に全力を尽くすよう求めたいと存じます。  また、昨日、本日、テレビの画面等でも、北方領土における悲惨な災害状況報道されております。人道的に見ましても、これを放置することは許されないと思います。ロシア政府との連携を密にしつつ、緊急に我が国としてもその対策を講じる必要があろう、こう思いますが、このことについてもお尋ねをいたしたいと思います。  また同時に、新しい災害が起こりますと、以前の災害をつい忘れがちであります。昨年の北海道南西沖地震によって、奥尻島を中心に痛ましい被害が生じました。その傷跡はまだ消えないものがあります。また、雲仙・普賢岳の噴火による災害もなお続いております。これらのことについて政府は万全の対策を講じなければいけないと思いますが、そのことについてまずお伺いしておきたいと思います。
  9. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員からお話がございましたように、国際情勢国内情勢、大きな変革の時期にあるだけに、そうした新しい時代を築く決意のもとに、一体となってこれからも努力をしていきたいというふうに考えております。  御指摘のございました災害でございますが、とりわけ先般の北方領土関連する被害につきましては相当甚大なものがあるというふうに報道もされておりますが、その被害の実態等々も十分に把握をしながら、適切に人道的な援助については惜しみなくやらなきゃならぬというふうに考えて、今対応について検討しているところであります。  それから、お話にもございました北海道南西沖地震対策、それから雲仙岳噴火による被害等につきましても、関係省庁一体となってこれまでも取り組んでまいったところであります。  具体的に申し上げますと、例えば雲仙岳災害対策の問題につきましては、非常災害対策本部を設置をいたしまして、住宅、民生、農林漁業中小企業対策等、二十一分野百項目にわたる総合的な体系的な対策を地元県、市と力を合わせて強力に推進してまいっておるところでありまするし、同時に北海道南西沖地震あるいは東方沖地震等につきましても、今申し上げましたように、まず生活をどう立て直していくかという問題やら事後の防災対策にどう万全を期していくかといったような問題、同時にまた、東方沖につきましては道路等が相当崩壊いたしておりますから、したがって生活に必要な水の問題、道路の問題等々についても関係省庁力を合わせて今万全の対策を講じておるところでございます。
  10. 中野寛成

    中野委員 なお、北方領土関係については、ロシア政府との関係はどのようになっておりますか。
  11. 河野洋平

    河野国務大臣 北方領土関係について、私から御報告を申し上げます。  先週末、九日現在でございますが、八名の死者がロシア非常事態省、これは役所でございます、ロシア非常事態省により確認されたほか、負傷者も多数発生している模様でございます。多数の建物が倒壊、発電所、パイプライン、電線が破壊されるなど大きな被害が出ている、特に色丹島被害が甚大であるというふうに伝えられております。子供と年金生活者が数千人単位でサハリンなどへ避難させられているという情報もございます。さらに九日午後、強い余震が発生をいたしまして、色丹島では津波が発生した模様であり、今後被害が拡大することも予想されるというのが現在私ども受けている情報でございます。
  12. 中野寛成

    中野委員 ロシア政府との関連はどうですか。要請がありましたか。
  13. 河野洋平

    河野国務大臣 ロシア政府、今申し上げましたのは、ロシア非常事態省より確認をされた情報でございます。
  14. 中野寛成

    中野委員 日本に救援もしくは協力要請がありましたか。日本はどういう連絡ロシア政府ととっておりますか。実情の報告だけですか。
  15. 河野洋平

    河野国務大臣 現在、政府としては、現地のニーズを確認をいたしまして、非常事態における人道的見地から適切な支援を行うべく情報の収集に努めている段階でございます。  その関連で、ロシア政府内に設置されております、ヤーロフ副首相を長とする災害復旧に関する政府委員会から派遣された視察団が先般現地を訪問したところ、この結果について連絡が来るという見込みでございまして、その報告等を今待っているところでございます。
  16. 中野寛成

    中野委員 北海道、そしてまた北方領土ともにこれから厳しい冬を迎えようとしております。むしろ冬の訪れを既に感じているところだろうと思うのであります。一刻も猶予はならない状況であろうと思います。精いっぱいの努力をされるように要請をしておきたいと思います。  もう一つ、緊急の課題が起こりました。  イラク軍クウエートとの国境地帯、非武装地帯から約二キロメートルぐらいに近づいている、戦車部隊中心にして。これについて国連も、また一方アメリカ合衆国もこれに対する対応策を今いろいろと講じられているわけでありますが、ひとり日本国だけ無関心というわけにはまいりません。既にけさのニュース等を見ますと、また引き揚げ始めたという報道も一部なされておりますが、どのような情報を得ておられますか。また、それに対して日本はどのような対応をなされますか。
  17. 河野洋平

    河野国務大臣 イラク軍動きについて、私どもが掌握しているところを少し御説明申し上げたいと思います。  最近、イラクは、十月六日の革命指導評議会声明等がござましたが、国連イラクに対する経済制裁の解除に見通しをつけなければ、国連への協力を見直すということを言っておるわけでございまして、この点について国際社会は懸念を持っているわけでございます。  五日または六日ごろからイラク共和国防衛隊の南下などの動きが見られ、十一日までイラク領内クウエート国境付近に二個師団を移動させ、既にそこにおりました既存の四個師団と合わせて六万以上、一部の報道では八万の兵力が展開するに至ったというふうに言われているところでございます。これに対しまして、アメリカは今のところ三万六千名の兵員をクウエートに向け輸送中というふうに聞いております。  現在、国連の安保理におきましてこの点についての議論が行われているところでございます。御指摘のように、イラク国連関係者から、既に自分たち兵力は引き返す指示をしているという説明がございましたが、現在のところ現実に兵力が引き返したかどうかについての確認はできておりません。
  18. 中野寛成

    中野委員 いずれにせよ、事が起こってからでは既に被害者が出てしまうということになるわけであります。これらのことは、未然に有事を防ぐこと、そのことが何よりも肝要であると思います。日本も、積極的に国連の一員として大きな働きがなされるように強く要請をしておきたいと思います。  さて、質問本論に入らせていただきたいと思いますが、私は、新しくできました統一会派改革を代表してお尋ねを申し上げますが、一部所属をいたします民社党や私自身の私見も含めながら、提案とともに質問をさせていただきたいと思います。  先日、お聞きいたしますと、総理は、母校の明治大学から名誉博士号を受けられたとお聞きをいたしました。おめでとうございました。そこで、村山名誉博士に幾らか歴史観を含めてお尋ねをしたい。なぜかというと、世界的な大変革のときを迎えている、お互いに使う言葉であります。ならば、その歴史観お互いに共通のものとして持たなければ、今後の対策は論じることができないと思うからであります。  私は、話が少々大きくなりますが、今二十世紀の終わりを迎え、二十一世紀に向かおうとしている、よく使われる言葉であります。ただ、これは数字上の言葉だけではなくて、偶然ではあろうと思いますけれども、世界史開拓時代が始まったのがちょうど紀元一〇〇〇年以降なのであります。実際、ヨーロッパでも、十世紀に民族大移動が終わり、十一世紀から十三世紀に、イングランド諸都市、それからライン川沿岸、南ドイツ、スイス、イタリアなどに都市の帯が形成をされております。ところが、大きなパラダイムシフトとも言える思想的な大転換がこの一〇〇〇年紀末に訪れているわけであります。  一昔前までは、環境保護派とか、エコロジストというと過激な政治集団に思われがちでありました。今は、だれでも何らかのエコロジストを自認していると思うのであります。開拓至上主義、人間が自然を支配するという価値観の見直しの時期に差しかかっていると言っても過言ではないと思います。西暦一〇〇〇年までは、人類が自然に屈服し、または自然が与えてくれる恵みの範囲の中で生活をした時代であったろうと思います。  しかし、後半の千年、すなわち現在までの千年は、人類が、産業革命にもあらわれておりますけれども、自然の恵みまたは自然がつくるその生産能力地球の新しい資源をつくる能力を超えて消費をし始めた。簡単に言えば、人類地球を食いつぶし始めた千年であったと言っても過言ではないと思います。これからは、人類と自然、人類地球が、まさにお互いお互いを守り育て合う友情の時期を迎えたと言っても過言ではないだろうと思うのであります。  よくリストラだとか規制緩和とかという言葉が使われます。これは、現在不景気だからリストラを進めている、案外リストライコール合理化と勘違いしている人もいますけれども、そうではなくて、この地球規模で歴史的に物事を考えたときに、我々はいやが応でもリストラをしなければいけないし、それを進める規制緩和をしなければいけない時代を迎えているんだ、こう思うんですね。  また、ちょっと長くなりますが、今は千年単位で申し上げました。百年単位で申し上げます。これは、社会党の綱領的文書と民社党の綱領とルーツが同じということもあるかもしれませんが、社会主義インターにともに加盟している政党として、実は数年前、社公民国民連合政権をつくろうと言ったときに、私は社会主義インターの資料を、諸決議をまとめて当時の社会党の政審会長にお渡しをしたことがあります。それまでは余り御存じなかったようでありますが、最近はだんだん共通用語がふえてまいりました。  その中で拝見をいたしますと、自由、公正、友愛という言葉を私どもは使いますが、社会党の文書を最近見ましたら、自由、公正、連帯などという言葉になっているんですね。自由をまず最初に持ってくるのには反対だといって随分社会党さん、当時抵抗された、公正を先にしようといって。近ごろは大分変わったようでございます。  そこで、私は、十九世紀は言うならば経済優先の自由の時代、それによって、しかし十九世紀から二十世紀の初頭にかけて世界大恐慌が起こった。やはり政治の仕組みを、政治が経済をコントロールしなければという考え方で共産主義や民主社会主義や修正資本主義が生まれたと思うのです。これも現在すべての思想が壁にぶち当たったと言っても過言ではない。言うならば、十九世紀は経済的自由放縦の時代であった。しかし、それをコントロール、政治がコントロールするために、二十世紀は政治の時代、公正の時代であったと思います。  しかし、これも窮屈さを生んでしまいました。そうすると、これからは何の時代だ。社会党であれば連帯の時代と言うのかもしれません。私どもは、連帯というよりももっと広い意味での友情、友愛の時代にしなければいけない、こう思っているわけであります。  友情の本質というのは、上下関係ではないと思います。人々に優しいと総理は演説でおっしゃるが、私は優しいという言葉はすばらしい言葉だと思います。しかし、政治家が安易に使うと、時にこれは傲慢な態度を示す言葉になります。上から下の人に優しくする、先進国が開発途上国に優しくしてあげる、そういう言葉になりかねません。むしろ人間の使命として、人類が本来持っている責任感としてさせていただくという姿勢の方がむしろ私は正しいのではないかと思います。  ならば、友情の本質というのは、上下関係ではありませんで、互いに成長するために努力をし合っているその姿を見て尊敬し合う、いたわり合う、補い合うという関係だろうと思うのであります。  これからの経済政策も、税制も、そして外交、防衛も、その視点がなければいけないと思うのであります。国と国との間の友情、大企業と中小企業の友情と助け合い、男と女の間の友情、過去と未来の友情、現在と未来社会の友情が大切なのだろうと思うのであります。  そこで、村山名誉博士の二十一世紀のビジョンと日本の役割について、まず基本的に、大変革時代ですから、そして社会党は大胆に政策を転換された、これからどうなるかますますわからないというときですから、まず基本的なスタンスをきちっと総理にお伺いしておきたいと思います。
  19. 村山富市

    村山内閣総理大臣 明治大学の名誉博士をいただいたことについても触れられましたけれども、これは私は何も学問的にすぐれているからというのでなくて、たまたま大学の卒業生で総理になられたという意味でいただいたものだというふうに、まあ恐縮しながら受け取っておった次第であります。  今委員から、これまでの世界の歴史の経過について、千年単位、百年刻みの分析をしたお話がございました。私もそういう時代の変化についてはほぼ同じ認識を持っておると思いますけれども、まあそういう経過を踏まえて、これからどういう理念と位置づけをしながら取り組むつもりなのか、こういう御質問だったかと思うのです。  私はこれからはやっぱり、まあ俗に言われますように、冷戦構造も崩壊してまさに世界は平和と協調の時代になりつつある、しかしそれだけではなくて、ユーゴ等に見られますように、地域的な、民族的、宗教的あるいはまた国境的ないろんな問題があって、紛争もまたあちらこちらで起こっておる、こういう現状にあると思いますけれども、今何よりも大事なことは、先ほど委員からもお話がございましたように、これからの世界について、地球上に住んでおる人類お互いに共生できるような、貧富の差をなくしていくために何をすべきか、あるいは一番大事な、人間の生存にとって必要な地球環境というものがだんだんオゾン層を中心にして今彼壌されつつある、こういう人類共通して生存に必要な環境問題というものをどう大事にしていくかというようなことも、やっぱりこれからお互いに取り組まなければならぬ大きな課題であるというふうに思います。  同時に、国内を見ましても、これはやっぱり力の強い者もあれば弱い者もある。同時に、今お話がございましたように、大企業もあれば中小企業もある。こういった状況の中で、お互いに共生できるような社会的公正というものをどう確保して維持していくかというようなことについても、政策的には極めて大事ではないかというふうに考えておりますが、まあ一言で申し上げますのならば、何よりもやっぱり平和は大事に守っていこう、同時に、お互いに連帯して共生できるような、そういう世界、そういう日本というものをどうつくっていくかということが、これから二十一世紀に向けて課せられた大事なことではないかと思うんです。  私は、人間にとって何よりも大事なことは、どうしたら自由に生きられるかという、自由というものもやっぱり保障はされる必要がありましょうし、自由が余りにも放任され過ぎますと強弱の不公平というものが生まれてまいりますから、そういう意味では、やっぱり弱者を助ける意味の、ある意味における社会的な規制というものもまた幾らか必要ではないか。そのことを通じてお互いが公平に、公正に生きられるような社会の土台をつくっていくというようなことがやっぱり大事なことではないかというふうに考えておるところでございます。
  20. 中野寛成

    中野委員 かなり共通の認識を持つことができたと思います。  そこで、私は今までのことを今度は国民生活に置きかえて考えますと、物価も上がる、税収もふえる、賃金も上がる、予算もふえる、こういうイタチごっこをしてでも社会がもってきた時代だったと思いますね。ところが、これからは、賃金は上がらない、でも物価が下がって実質上の生活には余裕ができた、税制改革も、内外価格差を中心にして物価を思いっ切り下げました、よって、消費税が少々上がっても実質消費者の負担はふえない、または下がるというくらいの大胆な施策というものが必要になってくる。そしてそのことの意識の転換は、しかし簡単なことではない。政治が勇気を持ってリードしていく必要が当然ある。この大転換期に向かってその変化をリードするためには、政治が信頼されていなければならない。だから、信頼を回復するために政治改革なんでしょう。  私は、経済もこれからはデフレ経済に軟着陸させていくという意識が必要なんですね。将来景気が回復する、自然増収がふえる、だから税制改革は先送りし、サボっていてもいいという話にはもはやならない。その意識を持たないと、減税をするときに、減税財源はまあ後で考えようという発想につながってしまう、無責任な政治につながってしまう、こう思うのです。  先ほど来、私は、友情、現在と未来の間の友情、後世代にツケを残してはいかぬという、これは友情から生まれるものでなければならないはずであります、そのようなことを申し上げたかったわけでありまして、そういう意味で、これから、政治不信を招くことのないようにするためにはいかにすべきか、幾らか各論を交えてお尋ねをしたい、こう思うのであります。  そこで、さて、社会党はさきの総選挙においてそういう公約をされました。幾らか引用しますと、「金まみれの自民党には政治改革を断行する資格も能力もなく、政権党としてはもはや失格である。」「現状の自衛隊は違憲状態である。」「PKO法については、自衛隊とは別組織をつくり、自衛隊参加を容認している規定を中心とした法の見直しが必要である。」「消費税率は上げるべきではない。」「緊急措置として、逆進性緩和のため飲食料品の非課税化を実施する。」などと公約されているわけであります。  その後、社会党は単独政権ではもちろんありませんし、自民党の単独政権でもございませんで、連立政権、細川内閣、羽田内閣を経て今日に至っているわけであります。しかしながら、過半数を割った自民党、百四十議席が半減をし七十議席ほどになった社会党とが肩を寄せ合って連立政権。  しかし、その結果として、わずか一年しかたたない中で、政権党としては失格と烙印を押したはずの自民党と連立政権を組み、しかも、総理になったからという理由で、自衛隊は合憲であるかのごとくPKO法に基づく自衛隊派遣も容認、そして消費税率の引き上げ等々、まさに公約と反することを次々に言明をし、実行をなさってきているわけであります。  このことについて総理は、公約というものはどういうものなのかという御認識を私はお聞きしたい気がいたします。  我々は、選挙公約をするときに、我々が政権をとればこうします、またはこうしたい、努力する、そういうことを公約に掲げます。よって、政権をとれなかったので、申しわけありませんが公約の実施はおくれますということはあります。しかし、政権をとりましたから公約を変えますというのは、これは吉本の漫才みたいになってしまいます。政権をとりました、国民の皆さんお待たせいたしました、これから公約を実施いたしますというのが本来の政治家の務めであり、公約の性格というものではないでしょうか。どうお考えですか。
  21. 村山富市

    村山内閣総理大臣 委員指摘のように、公約というのは、申すまでもなく政党、政治家が国民に対して約束をすることでありますから、その公約を守らなきゃならぬのは当然だと思いまするし、それがまた民主主義政治の基盤になっておるということについても、そのとおりだと私は思います。  しかし、その公約したことが具体的にどう実践をされていくかということにつきましては、その事態に対応したアプローチがあっても私はいいと思いますし、同時に、その変わった事態にその約束した公約が、どう実践することが可能なのかという選択的な政策の課題はあってもいいと私は思うんですよ。そういう意味で私はやっぱり公約というものは理解されるべきものだと思います。  これは誤解があってはいけませんから申し上げますけれども、いつも私が言っておりますように、まあこれだけ時代も変わってきているわけでありますし、恐らくこの七月の総選挙の際に、どういう連立政権ができるかということについてはどなたも想定はできなかったと思うんですよ。で、この選挙後のこれだけの大きな政局の変化の中で、やはりそれぞれの政党が責任を持った対応をしていこうというので政策の選択もしながら来ているわけですから、そういう経過についても私はある意味では御理解はいただけるのではないかというふうに思います。  社会党が、今御指摘のございましたように、例えば自衛隊の問題とか、あるいは安保の問題とか等々について政策の転換をしてまいりました。これは何も突然変異が起こって変えるんではないんですよ。これは冷戦構造が変化していく中で社会党の党内ではずっと一貫して議論されてきているんですよ。その議論を踏まえた上で、政権にもついたことだし、そういう立場もあって、そういう点からなされたというふうに私は思っています。したがって、それは何もその公約に反したものではない、明らかに国民の皆さんには御理解をいただけるものだというふうに確信をいたしておるところであります。  それから、現にここに私は公報も持っておりますけれども、社会党が昨年の七月の選挙のときに出したパンフレットなんかにつきましては、例えば「所得税の実質増税構造の解消や、飲食料品の非課税化による消費税の逆進性緩和など、国民的な要望に責任をもって応えられる取り組みを」いたします、こういうふうに七月の総選挙のときには公約には書いてあるわけであります。  私は、こういう意味では、飲食料品の非課税化については、これは議論はしているんです。議論はしておるけれども、この段階でそこまで持ち込むのはちょっと無理があるというので、三党間で合意をして、これからも検討する課題だというふうに残してありますけれども、私は、こういう意味におきましては、七月のこの総選挙におけるときの公約には反しているとは思っていないわけです。したがって、そのように御理解をいただきたいというふうに思います。
  22. 中野寛成

    中野委員 政策の大転換を遂げられたとおっしゃっている、議論も積み重ねてこられたとおっしゃっている。ならば、四月八日に細川総理が総辞職を表明をされて、それから二十数回にわたって当時の連立与党の中で政策論議が積み重ねられました。恐らく社会党はその後論議を積み重ねたのではないはずであります、今の総理の答弁では。それまでも総理は、この何年間か議論を積み重ねてきたというおつもりでの御答弁だったろうと思います。  しかし、あの段階、四月の段階と七月の段階とどう情勢が変わったんですか。例えば経済情勢が変わったのですか、国際情勢が変わったのですか。もし情勢が変わったとするならば、ただ一つ、あなたが総理大臣になったという、このこと一つだけではありませんか。当時も社会党は与党だったのです。とすれば、情勢の変化とは何なのですか。むしろ社会党から総理を出した、すなわち社会党政権ができたということのみだったのではないのでしょうか。  私は、政権をとったら総理がリーダーシップを発揮して、公約を実行するために具体的にどれだけの努力を示すかということが誠意ある政治家としての態度だと思います。連立政権ですから、また現実、今日までの行政との継続性も保たなければいけませんから、むちゃを申し上げようとは思いません。私は、総理が社会党からお出になったということになりますと、当然問題点の少々の先送りはあるかもしれません。連立政権なるがゆえに社会党だけの思惑どおりにはいかないでしょう。しかし、社会党はどのような努力をし、そして、どのような説得をした中で問題点が先送りになったのかということが大切なのであります。そのプロセスが大切なのであります。  例えば、原発はやがてなくすエネルギー源だという言い方、これは無責任であります。原発も、これは経過的な措置であります。未来永劫我々はそのウランやプルトニウムを使えるというものではなくて、限りある資源でありますから、当たり前のことなんであります。当たり前のことを、例えば軍備なき国家、当たり前なんであります。人類のこれが目標なんであります。それを社会党の基本理念でありますと言うところにこっけいさがあるんです。それは人類みんなが持っていることであって、政党の政策以前の問題なんです。常識なんです。  そういうことをお考えになるときに、政党の政策、政治家の公約というものに対して、もっと真剣に、そして具体的に現実性を持ってお立てになることが大事なんでありまして、まず政治の信頼というのはそこから始まりますから、しつこいようですが、重ねて総理の見解を問いたいと思います。
  23. 村山富市

    村山内閣総理大臣 具体的にお答えした方がおわかりがいくと思いますから申し上げたいと思うんですけれども、一つは、七月の総選挙以後、細川連立政権が誕生しました。その細川連立政権に社会党も与党として参画をさせてもらったわけです。そのときに合意した事項があります。その合意した事項の基本的な大綱については、ほぼ今の自民党、社会党、さきがけが組んでおりまする連立政権も引き継いできておると私は思っています。  それから、自衛隊の問題について若干お話がありましたけれども、これは本会議でも私は答弁いたしましたが、自衛隊は違憲であるという主張を社会党は言い続けてまいりました。それは、一つはやはり国際的な冷戦構造の中で米ソの超大国は対立をし合う、そして軍拡競争が熾烈に行われる、その軍拡競争の流れの中で当時の政権は、日本の防衛力の強化についてもいろんな角度から軍拡を推し進めようとしておる、これは何としてもやはり平和憲法の理念に立って食いとめなければいかぬ、こういう社会党の立場から、自衛隊は違憲であるという立場をとって抵抗していたわけです。  その自民党が軍拡を進めようとする力、それを阻止しようとする社会党の力等々が、私はやはりそれなりの経過を踏まえた上で、今日の例えは文民統制とかあるいは専守防衛とか、あるいは徴兵制の不採用とか自衛隊の海外派兵の禁止、集団的自衛権の不行使、非核三原則の遵守、核・化学・生物などの大量破壊兵器の不保持、武器輸出の禁止といったような原則を確立する上において大きなやはり力になってきたんではないかというふうに考えておりますが、そういう闘ってきた経過については、私は決して誤りではなかったというふうに自分では自負しているつもりであります。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、そういう冷戦構造というものが崩壊して国際的な対立というものがなくなって、これからは話し合いでお互いに協調し合っていこう、できれば軍縮も進めていこう、こういう状況になってきているわけでありますから、もう今やそういうイデオロギーで対立する時代ではなくなった、これからは国民のためによりよい政策を選択していく時代になったんだ、こういう立場に立って私どもは、政策について合意できるというものについてはお互いに選択していこうではないか、こういう立場から連立政権が組まれていると思うのですよ。  連立政権というのは、もう申し上げるまでもありませんけれども、やはりそれぞれの持っている党の持ち味もありまするし、歴史もありますし、理念も違うし、政策の違いもあるわけですよ。しかし、そういう違いを乗り越えて、何が一番今必要なのかということをお互いに選択し合って、国民のためによりよい政治をしていこうという意味で連立政権というものがつくられているわけでありますから、そういう点については、私は国民の皆さんにも十分御理解いただけると思うのです。  ただ、その場合に必要なことは、できるだけやはり透明性を高める、民主的な仕組みというものは守っていく、そして党内での議論は十分尽くすとともに各党間の議論も尽くし合って、それがまた客観的に国民の皆さんにもよくわかって理解してもらえる、ああ、連立政権というのはこういうものなのかと。  私は、今これだけ価値観が多様化しているわけですから、したがって、一つの政党が一つの政策でもって推し進めるには無理がある。多様な国民の意見が政治に反映されていくような、そういう仕組みというものが私はやはりある意味では大事な時期ではないかというふうに思いますから、連立政権は、そういう意味で大事にしていかなければならぬというふうに考えているところでございます。
  24. 中野寛成

    中野委員 今の総理の御答弁には重大な問題が指摘をされなければならないと思います。  一つは、自民党政権下で軍拡に次ぐ軍拡の動きがあった、これを牽制するために、対抗手段として、自衛隊は違憲と称し抵抗運動をしたとおっしゃった。そうすると、社会党は、自衛隊は腹の中では合憲と思っていたということですか。イデオロギー闘争の中で違憲と称する手段を講じたということでありますか。  憲法の解釈というものは、政策の手段は、野党のときにこう主張をし、または与党になったからこう提案をする、しかし連立政権だから一党の主張だけでは実現できない、よって、政府としてまとまるときにはこうなりますという一種の使い分けは、政策判断の中では幅があるものと私も理解をいたします。しかしながら、憲法解釈は、与党であろうと野党であろうと政府であろうと、その解釈の違いが変わってはいけません。  まして、時代の変化とともに憲法解釈や法律の解釈というものがある程度弾力性を持って、時代の趨勢とともに判決も変わっていくことを私も承知をしております。しかしながら、自衛隊が合憲であるか違憲であるかという国憲の基本にかかわる問題について、そのような解釈の違いというものがあったのでは困ります。自民党以上に、そうであれば社会党は解釈改憲をしておったということになってしまうではありませんか。  また、冷戦構造の崩壊を一つの環境変化に取り上げられました。冷戦構造が明らかに崩壊をしたのは五年、六年前の話ではありませんか。それが、細川内閣をともにつくったときになぜその発想に立てなかったのですか。情勢の変化とは、まさにあなたが総理になったこと以外に何もないではありませんか。  まさに自衛隊は腹の中で合憲と思いつつ、自民党の軍拡に次ぐ軍拡路線に抵抗するためのイデオロギー的手段として違憲を唱えたという今の総理の答弁から考えるならば、我々はこの国会においてあなたを相手にして論議することさえできないではありませんか。
  25. 村山富市

    村山内閣総理大臣 誤解しないように御理解をいただきたいと思うのですが、社会党は、自衛隊は違憲であるという位置づけをして、そして一貫をして運動を続けてきたわけです。これは間違いありません。  その上に立って、先ほど来申し上げておりますような国際情勢の変化やら、あるいは国内的ないろいろな要因やら、とりわけ国民の皆さんの中には、自衛権はあると、これはもうだれでも認めておるわけですから、その自衛権に基づいて必要最小限の実力組織というものは違憲ではない、こういう認識を示したのですよ。認識を示したのですよ。  それは、そういう時代の変化に対応して、しかし護憲という社会党の立場は変わっていませんよ。変わっていませんよ。ただ、自衛隊に対する解釈というものは、今申し上げましたように、今の実力組織というものは、自衛権を保障する意味の最低の実力組織だという意味で合憲と認めるということにしたわけでありまして、それは七月の連立政権のときからも、今あなたがおっしゃいましたように、もう六、七年前から社会党の中ではけんけんがくがくの議論をしてきているわけですよ。その議論をしている積み上げの上にその結論を出したのですよ。  その結論を出したことについて、党が決定する前に、私は総理という立場から私の見解を申し上げました。しかし、これは、私の見解の是非については九月三日の党大会で十分議論を尽くされた上で、それでよかろうといって了解をしていただいた、こういう経過があるわけでありまして、それなりの議論は尽くして、手続はどって、社会党の方針はそういうふうに決められたというふうに私は受けとめています。
  26. 中野寛成

    中野委員 今日の自衛隊の規模ならば憲法の範囲内だ、イコール合憲だという意味ですね。しかし、歴史的に見て、自民党の軍拡に次ぐ軍拡が行われていた時代には、それをセーブするために違憲論を唱えて運動されたと、先ほどおっしゃった。  私は、そこで具体的にお尋ねしたい。現在の自衛隊は合憲だとおっしゃるならば、その合憲の論拠を、我々は共通認識を持っておかなければ、今後の例えは安全保障理事国入りの問題も議論できないから、それではこうお尋ねをいたしましょう。  先ほども総理御自身がおっしゃったように、我が国にも自衛権があるということは総理もお答えになった。これは、政党でもこれを否定しているところはありません。それでは、自衛権というのは、自衛力の保持が備わって初めて権利というものは意味がありますね。そうすると、自衛力は持つことができるということになりますね。そして、現在の自衛力は憲法の範囲内であると総理はおっしゃっているわけですね。  それでは、その自衛力についてお尋ねをしたいと思いますが、まず国際法的に見れば、戦争は侵略戦争、自衛戦争、制裁戦争の三つに区分される、これは国際法上の通説ですね。総理は、このうち九条で放棄している戦争はどれだとお考えですか。自衛権を発揮する、その現在の自衛隊の力というものを必要とするものはそのどれだと思っておりますか。(発言する者あり)総理はどうお考えですかと聞いているんです。社会党の合憲論を聞いているんです。社会党の合憲論を聞いているんです。(発言する者あり)
  27. 佐藤観樹

    佐藤委員長 大出法制局長官。
  28. 中野寛成

    中野委員 委員長、私は今さら、法制局長官がどう答えるかはわかっております。総理の見解を聞いているんです。
  29. 大出峻郎

    大出政府委員 憲法の解釈にかかわる問題でございますので、まず私の方から申し上げさせていただきたいと思いますが、憲法九条の一項というものは、これは戦争を放棄しておる、こういうことでございますけれども、我が国を防衛するための自衛権の行使、こういうものまで否定をしているものではない、こういうことであります。  先ほど三つのタイプに分けてお話がございましたが、いわゆる自衛戦争、侵略戦争、それから制裁戦争というおっしゃり方をなさったわけでありますが、我が憲法九条というのは、我が国を防衛するために必要最小限度の実力を行使する、こういうことが認められておる、こういうことであります。
  30. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今法制局長官から憲法上の解釈についてお話があったわけであります。  御指摘のように、これまでの戦争の中には自衛のため、あるいは侵略のため、あるいは制裁のためというその項目があるかと思いますけれども、日本の場合には、あくまでも憲法第九条というのは、すべての戦争を放棄しているわけです。したがって、これはもう専守防衛に徹するという意味でありますから、その限りにおいては、今までの戦争で、名目は自衛のためとつけられたにしても、それを名目にして戦争が行われたということも私はあり得たのではないかと思うのですね。  したがって、そんな意味では、そうした意味における戦争というものは、一切これは放棄しているというのが日本国の憲法である。あくまでもこれは自衛のための専守防衛に徹した実力組織であるというふうに理解しなければならぬというふうに思っています。
  31. 中野寛成

    中野委員 すべての戦争を放棄している、で、専守防衛に徹した自衛力の行使、それは自衛戦争のことをいうのですよ。(発言する者あり)いやいや、自衛戦争なのです。それを自衛戦争というのです。
  32. 村山富市

    村山内閣総理大臣 いやいや、それはあなたの見解であるかもしれませんけれどもね。私は、あくまでも憲法というものを正当に理解した場合には、日本の憲法第九条というものはすべての戦争は放棄していると、しかし自衛権はあるわけですから、自衛のための最低の実力組織を持つことは違憲ではない、それはあくまでも専守防衛でありまして、こちらから自衛のために攻めていくというものではないんだというふうに私は理解をいたしております。
  33. 中野寛成

    中野委員 日本の自衛隊は専守防衛に徹すると最初に提案したのは民社党の当時まだ二代目の委員長の西村委員長当時でしたが、その後中曽根さんが専守防御とおっしゃったのです、たしか。別に専守防衛の解釈を聞かなくても我々はわかっているのですよ。わかっていますが、そしてその中で、専守防衛といえども自衛隊は違憲だと社会党はおっしゃってこられたのではありませんか。明らかに変わったのです。自衛隊の存在そのものを違憲だとおっしゃってきたんじゃないですか。  ですから、変えるなら変えるでいいんですよ。今までが間違いでしたと、そして、これからは時代の変化もありますから、社会党の政策を、基本政策を変えますとおっしゃられれば、それ一言で済むことなのですよ。  詭弁を弄して国民の生活を混乱させないでください。我々は、社会党が政策を変えたことを悪いと言っているのじゃないのですよ。変えていただいたら結構。そのことを民社党は長年待望しておった。だからこの際、しかし本当に変わったのですかと。今、村山政権下にあるから便宜変えているんですよと、政権をおりたらまたもとに戻るんですよでは困るのです。この大変革の年、今決めたことは、これから五年も十年も百年も後世に影響を及ぼすのです。だから、しっかりとそのことを踏まえていただきたいのです。  自衛権及びその行使は、国家のいわば正当防衛権として当然のことなのです。そして、一九二八年の戦争放棄に関する条約でいう国際紛争解決のための戦争も国家の政策の手段としての戦争も、ともに侵略戦争のみを指し、自衛戦争を含まないというのが国際的な理解になっているのです。イタリア憲法などにも九条と同じような規定がありますが、同様の解釈がなされているのであります。  憲法制定の際、マッカーサー・ノートにあった自衛戦争の放棄という言葉が原案の段階で完全に削除されているめです。憲法制定議会で、第二項の冒頭の言葉、「前項の目的を達するためこという文言が加えられましたけれども、それを提案した芦田氏は、それは自衛のための戦力保持を否定させないためのものであったと述べているのであります。そして、その修正の際、当時の占領軍から、その「前項の目的を達するためこという言葉を入れるのならば、そのかわりに憲法六十六条二項に「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」という、文民でない存在が生まれるから「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」という文民条項を入れるように、当時のマッカーサー司令部の方からそういう提言、要請があったわけであります。  このような経緯を眺めますと、結局この自衛のための戦争、あなたの言う専守防衛に徹した自衛力の行使、そのことは認められる、だからそれに徹した自衛隊は合憲であると明確におっしゃらなければ、ますます国論を混乱させるのです。そのことをはっきりとおっしゃっていただきたい。
  34. 村山富市

    村山内閣総理大臣 いや、どうして私はその混乱をするか、よく理解ができないんですがね。  これはどういうふうに解釈をしてまいりましても、日本国憲法の第九条というのは、いかなる名目がつくにしろ、戦争はやらないと、放棄しているんですよ。ただ、自衛権はだれも否定しません。したがって、この自衛権に必要と思われる、必要最低の実力組織は持ってもよろしい、こういう解釈については、私はお互いに合意できると思うんですね。  その解釈をするに当たって社会党は変わったのかと、こういう御指摘ですから、これは今までのこの議論の経過を踏まえて、合憲と認めるふうに変わりましたと、変えましたと、率直に申し上げます。これは変えたのです。  変えたことについては、大会でもずうっと一貫して両方の意見があって議論してきているんですよ。その議論をしてきた結末として、九月三日の大会で改めて方針が決まったんです。これからもその方針については国民の皆さんに御理解がいただけるように努力をしていかなければならぬことは当然だと思いますね。そういう経過があるわけです。  それで、私は、今あなたがおっしゃるように、そういうその理解と解釈でもってどこにどういう混乱が起こるのかというのは、私はよくわからないのですけれども、そんな意味では、これから日本の安全保障についてどうあるべきかということについては、お互いに共通の土俵の中で議論ができるような土台がてきたのではないか、そして、できるだけ国論を一致させながら、やっぱり日本の国の目指す道行きというものをしっかり見定めていく必要があるというふうに私は考えておりますから、こういう議論は大いにやらなきゃならぬというふうに思っていますけれども、そんな意味では、私は、別に混乱がそれで起こるということはないんではないかというふうに思っております。
  35. 中野寛成

    中野委員 一つ明らかになりました。一つ明らかになりました。社会党は、過去、自衛権を認めながら自衛力の行使は憲法で禁じられているとしてきました。しかし、今の総理の御答弁で、自衛隊は合憲であると初めて、現在の自衛隊は憲法の範囲の枠の中にあるとかなんとかかんとか、ややこしい言葉ではなくて、明確に自衛隊は合憲であるとおっしゃられた。そしてそういうふうに変えたとおっしゃられた、今。そのことを明確にしていただきたかったのです。便宜変えたのではなくて、変えたということをはっきりおっしゃっていただくことがこれからの議論を混乱させないことにつながっていくのです。  そして、現実に今日まで、私は社会党の悪口を余り言いたくはないけれども、できるだけ仲間としておつき合いをいただきたいと思いますけれども、しかし、この際、私ははっきりさせていただきたいのですよ。社会党がこれまで国民経済とか生活に及ぼした被害というものがあるのですよ。社会党の中に良識的な方は、我々の同志、いっぱいいらっしゃいますよ。しかしながら、今日までの社会党の政策、運動論というものが実はいろいろな問題を起こしました。  例えば日米安保条約反対運動を扇動して、経済社会に混乱をもたらしました。多くの学生が、労働者が、そして警察官が動員をされて、そのことによってどれだけの社会的、経済的混乱がもたらされたのでしょうか。原子力発電に反対し、エネルギー供給を悪化させた、成田空港開設に反対をして日本の国際化をおくらせた、国鉄順法ストライキを支持して、通勤する勤労者を苦しめ、経済の動脈を断ち切った等々。  今の問題も、自衛隊に反対するだけでなく、地域の社会党員の皆さんが、学校、職場におけるその自衛隊員の家族差別をあおって苦しめた。自衛隊員の子供たちが学校に入れてもらえない。しかし、いろいろな運動があって、その後、ここに新聞報道もあります。そういうことなどを私はむしろこの際深く反省をされる。もちろん自民党の政治に対する牽制効果があったことも否定しません、一〇〇%否定するなんということは言いません。しかしながら、これらの運動が大きな社会的混乱をもたらしたということも一方事実なのです。  今日大胆な政策転換することは歓迎です。歓迎ですが、過去のこれらの一連の行動に対して、社会党はそれを総括し、そして国民に謝罪をすることがむしろ再スタートの第一歩でなければならないのではないでしょうか。そのことを申し上げたいと思いますが、総理いかがですか。
  36. 村山富市

    村山内閣総理大臣 戦後の歴史の中にはいろいろな各界各階層のそれぞれの世界観があり思いがあって、いろいろな運動が展開されてきたということは私は否定し得ないと思うのです。しかし、それはすべて社会党の指導と社会党の責任だというふうに結びつけられるのは、ちょっと論理の飛躍があるのではないかと私は思います。  社会党のやってきたことが私はすべて正しいとは思いません。正しいこともあったろうし、あるいは運動に誤りがあった点はあるかもしれません。しかし、そうかといって、今お話しになったようなことがすべて社会党の責任であるというふうに言われることにつきましては、やはり若干の論理の飛躍が私はあるような気がいたします。  そういう意味において、社会党全体の歴史を振り返ってみても、それなりの果たしてきた役割というものは評価できる点もあるというふうに私は自分でそう思っています。しかし、今申し上げましたように、すべてが正しかったかといえば、それは運動にはもっとこうした方がよかったとか、あるいはもっとここを工夫すべきだったとか、そういう意味の反省しなければならぬ点はそれはもう否定し得なく私も持っています。しかし、今あなたの言われるような意味において、謝るべきではないかというようなことにはならないのではないか、私はそう思っています。
  37. 中野寛成

    中野委員 政治判断の問題でありますから、このことについてこれ以上私は深く申し上げようと思いません。これは政治判断ですからね。ですから、ある意味では水かけ論になりましょう。しかし、少なくとも多くの国民の皆さんが、今私が申し上げたようなことを指摘して我々のところへおっしゃってくるわけです。そのことを一部紹介を申し上げた。私はそのことをやはり肝に銘じていただきたいというふうに思うのであります。  例えばもう一つちょっと例を挙げますが、社会党は昭和四十一年当時、成田国際空港の建設に反対をし、一大反対運動を展開されました。その一環として一坪所有運動を展開をいたしました。一坪地主には山口総務庁長官大出郵政大臣も登録されているようであります。現在、日本の首都の空の玄関である成田空港が過密化し、安全にもかかわると言われている中で、成田空港の拡張について政府の一員としてどのように考えておられるのか。総理、そして山口総務庁長官、そして大出郵政大臣の御見解をお聞きしたいと思いますし、今なお一坪地主であられるのか、もうそれをおやめになったのか、ついでにお答えいただきたいと思います。
  38. 山口鶴男

    山口国務大臣 御指摘のように、一坪地主になった記憶はございます。  当時、私は、群馬県内に八ツ湯ダム建設反対の運動がございました。これはイデオロギー的に反対したのではありません。やはり地域の農民の皆さん方が理解をして、そして賛成とは言わなくても、やむを得ないという形で、理解と協力のもとにこのダム建設は進めるべきだという趣旨で地域の皆さん方と一緒に運動いたしておりました。  その経験で、成田の空港の反対運動におきましても、強制収用というような強権的なやり方ではなく、地域農民の皆さんと話し合いで円満に解決すべきだという気持ちで一坪地主になった次第であります。  その後、隅谷さんが、学者ですね、中心となりまして、運輸省の皆さんも理解を示した上で、熱田派の皆さんと話し合いを進めて、一定の方向が出つつあることを非常にうれしく思っております。  私は、隅谷先生がこの仲介になることにつきましてある程度御協力を申し上げましたが、そういう意味で、私は平和的に問題は解決すべきものというふうに思っでそのような行動をとった。現在もそのような気持ちでございます。(中野委員「現在も地主なんですか」と呼ぶ)現在は違います。
  39. 大出俊

    大出国務大臣 今の御質問にお答えをいたします。  私は、当時、沖縄県を除きましては日本一の広大な基地を抱える神奈川でございますが、非常にたくさんの、市民との間の、一緒になっての、トラブルといいますか、たくさんございました。そういう時代でございます。  国会に、先祖代々からの土地がなくなるという意味で、たくさんの陳情団が成田からお見えでございまして、そのグループに何遍かお目にかかりましたが、この方々から切実な現状の訴えがありまして、一坪運動を進めていくに当たっての協力を求められた時期がございました。もう三十年ぐらい前でございましょうか、成田さんが委員長時代だったと記憶しておりますが、その農民の皆さんの窮状というものに大きく私も動かされまして、何とかこれは話し合い解決の方向に持っていきたい、そういうことでその御要請に従ったというのが一坪地主に当時なった事情でございます。  それから以後ずっと、何とかこれは話し合い解決をと随分私も努力をしたつもりでございますけれども、現在は全く一坪地主運動には関係ございません。  以上です。
  40. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今二人の閣僚から答弁があったとおりだと思いますけれども、これはあくまでもやはり地域の住民と話し合いで解決するということを基本にしてこれからも精力的に進めていきたいというふうに考えています。
  41. 中野寛成

    中野委員 それでは、時間もありませんから、資料をお願いいたします。  一坪地主をいつおやめになられたのか、登記簿謄本など、これを証明する資料を本委員会に御提出をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  42. 佐藤観樹

    佐藤委員長 今中野委員の方から御提案ございました資料要求につきましては、理事会で追って語らせていただきます。
  43. 中野寛成

    中野委員 よろしくお願いをいたします。  さて、私はもう一つ、税制の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  先般、政府・与党の税制改革の考え方が提示をされました。これによりますと、福祉ビジョン、行革、不公平税制の是正、益税是正など、税制改革の前提条件というものがもう一つ不明瞭であります。  例えば、ことし一月十一日の社会党大会で村山委員長は、減税の財源を消費税率アップに結びっけることについては断じて認めることはできません。減税の財源は徹底した不公平税制の是正、世界の軍縮の波に沿って防衛費の見直し、不要不急の歳出を削り、足りない分は短期の特別国債で賄うべきだというのが社会党の主張でございますというふうに申しておられるわけであります。当時も与党であります。社会党は与党であります。  今回の税制改革は、選挙公約及び党大会の村山発言に違反しているのではないだろうか。先般も本会議で、社会党本部の表に掲げてあった、社会党本部の前の「消費税率引上げ反対運動推進本部」、この看板がいつの間にか外されておりますが、社会党の看板も一緒に外すべきだとこの前指摘した人たちがおりました。  私は、これらのことについて本当に、我々も内容的には一緒に消費税廃止法案まで提出した仲ですから、気持ちはよくわかっているのです。わかっているのですが、やはりそれらの手順については、民社党は三段階論を言いました。例えば、不公平税制の問題を指摘し、行政改革を指摘し、そして所得税減税をやり、そして間接税の充実を図らなければいけないことは、民社党は三段階論としてこれまでずっと言ってきたことです。  ですから、それはそれとしてわかるのですが、それらの内容について十分な内容が詰められていない、そして問題点を先送りされてしまっているということなのであります。行政改革の具体的な姿が見えないのです。総理の本会議の演説では、大変行政改革を力説なさいました。新聞などはトップ見出しですね。中身がわからないのですね。福祉ビジョン、これもさっぱりわからないのです。これから検討しますということなのですね。  こういう問題について明確に出し、将来はこうなりますということを申しませんと、冒頭申し上げましたように、これから経済情勢の動きを見てとおっしゃるが、しかし、バブルはもはやないのです。起こしてはならぬのです。急激な経済の回復が来され、自然増収が期待されるなどという時代は来ないのです。来させてはいけないのです。  そういうことを考えると、ちゃんと減税と減税財源はワンセットにし、そして同時に、福祉ビジョンと行政改革と不公平税制の是正というのはセットでお出しにならなければ意味がないのです。そのことについてどうお考えなのでしょうか。
  44. 村山富市

    村山内閣総理大臣 社会党は、先ほども申し上げましたように、昨年七月の総選挙の際には、飲食料の非課税の実現のために努力をして逆進性の緩和に努めます、こういうことは党が発行した文書の中に明記してあります。したがって、消費税を廃止するということについては主張はしていないわけです、政策の中では。  しかも、三党合意する中で、所得、資産、消費のバランスのとれた税体系を構築するため、間接税の税率引き上げなど現行消費税の改廃を含む総合的な改革ということが三党で合意されておることですね。したがって、その三党の合意に基づいてそれぞれの党が持つ主張をお互いに出し合って、そして合意を求めて先般報告したような結論に達したということであります。  私は、内容的に今度の改革というのは、一つはやはり六十二年に税制改革が行われていますけれども、その際には、比較的課税最低限の引き上げと所得の低い人たちに対する税率の緩和を行ったんですよ。それが、五、六年たちまして今日の状況を見ますと、比較約七百万以上の方々に対するやはり税の不公平、税率が高過ぎるといったような、中堅サラリーマンの重税感が強過ぎる、こういうことがたびたび指摘をされてまいりました。  考えてまいりますと、その年代の層というのは、一番子供さんの教育にも金がかかる時代だし、同時に御両親もお年をとられて、そして親の扶養もせにゃいかぬ、こういう意味では出費の一番多い年代ではないかというようなことも配慮いたしまして、その間の税率の緩和を図る必要があるのではないかということで、所得税の税率構造の改革をするということに手がけをしたわけです。  したがって、その改正によりまして、平均的なサラリーマンの大多数は、大体サラリーマンを退職するまでの間二〇%の枠内で所得税率はおさまるのではないかというような意味では、それなりの私は改革をしたものだというふうに自分では思っております。  もう一つは、そうはいってもやはり所得の低い方々に対する配慮もする必要があるというので、基礎控除等を上げて課税最低限の引き上げを行ったということでありまして、その総額が三兆五千億円になった、こういうことですね。そういう手がけをしたことによってそれなりの税制改革は行い得たのではないかというふうに思っています。  それからもう一つは、これは景気浮揚のためということもあるわけですから、したがってこの五兆五千億円という大枠は大体決まっておりますから、その残りの二兆円は、一律に所得税、住民税の減税を行って、そして総体として景気浮揚に役立てるような税制改革というものを手がけてやったという意味では、私はそれなりの結論を得たのではないかというふうに評価をいたしております。  ただ、今御指摘のように、税制改革をして消費税率を上げるということは、それなりにやはり国民の皆さんに税の負担をかけていくわけですから、したがって、そういう負担をかける前にやはりやるべきことがあるではないか。それは行政改革もやらにゃいかぬし、不公平税制の是正もせにゃいかぬし、経費の節減もせにゃいかぬ。しかし、それが十分にまだなされていない段階で、そういうものも想定して税率を上げることについてはこれはやはり問題があるというので、今前段に申し上げましたような税制改革を行うに必要な財源を充足する、そういう意味でこの五%という引き上げを私どもは決めたわけであります。  しかも、見直し条項も入っておりますから、消費税率を上げるのは平成九年からですから、したがって、可能な限りそれまでに行政改革もやらにゃいかぬし、不公平税制の見直しもせにゃいかぬし、同時に経費の節減も図っていく。そしてしかも新しいゴールドプランもお示しして、エンゼルプランも示して、そして年金や医療や福祉にどの程度の財源が必要なのかということもやはり緻密に計算をした上で、財源等々についても十分精査をした上で見直しを行おう、こういう方向もその中できちっと決めているわけでありますから、その点については大方の御理解をいただけるのではないかというふうに考えているところでございます。
  45. 中野寛成

    中野委員 総理御自身が答弁の中でいみじくも、問題はすべて先送りしましたということを例を挙げておっしゃられました、今。福祉の問題も行政改革の問題も、あと二年、三年先だから、その間にやりますとおっしゃられた。しかし本当は、今消費税率を五%としたということの根拠があいまいなんですよ。  すなわち、どういうことかといいますと、見直し規定を設けましたと総理がおっしゃられた。九六年九月までに税率を見直すという規定が法律に盛り込まれました。社会党の久保書記長も税率六%の可能性もあるかの指摘をされておられますし、そして武村大蔵大臣は税率が下がることはないとおっしゃっていると報道されております。すなわち、上がることはあっても下がることはないわけです。  そして多くの問題が先送りされました。行政改革、結構です。結構ですが、行政改革においてそれだけの大きな財源となり得るお金が浮いできますか。これはまさに我々政治側に立つ者の決意を示すものでしょう。具体的に行政改革で、果たして自民党、社会党の連立政権でどれだけの行政改革ができるかという疑問もありますが、行政改革を大胆にやったとしても、それほど大きな財源が生まれてくるものでないことはお互い承知の上ではありませんか。  そして、一方では新ゴールドプラン、来年度からの本格実施は不可能になったのではありませんか。与党は地方税分も含めて平成七年度一千億円、平成八年度二千億円の福祉財源を確保するといたしておりますけれども、新ゴールドプランとエンゼルプランを本格化させるべきであるという考え、これは来年からね、この両プラン合わせて、地方税分を含めて単年度で約八千億円必要なんですね。これも実際上は見送りでしょう。都道府県や市町村に提出させた老人保健福祉計画、地方自治体は一生懸命ですよ。真剣に考えていますよ。でも、これも実際上はこのような予算額では先送りせざるを得ないのではないのですか。  言うならば消費税率は、まあ言うなら現在の三%と、細川内閣のときに国民福祉税七%と言った、大体中をとって五%かいな、七%より上にするわけにはいかぬしと。しかし、そのためには財源上の無理もある、財政上の無理もあるから、問題点を先送りして、見直し規定を入れて、その間にいろいろ検討をしましょうということで、あやふやな形にしてしまったというのが実態ではないのですか。  今、我々国民が望んでいるのは、これからの財政運営どうなるんですか、経済はどうなるんですか、我々の経営計画はどう立てたらいいのですか、生活計画はどう立てるべきですかということを国民は問いたいわけですね。これに対する答えにはなっていない。そのことをどうお考えですか。
  46. 武村正義

    ○武村国務大臣 いろいろと御指摘をいただいておりますが、まずゴールドプラン、シルバープランは、まだ政府としては正式に認知ができておりません。ことしの春、各地方自治体から厚生省がヒアリングをされた集計が上がってきておりますが、これを政府全体として、ゴールドプランに次いで新ゴールドプランを公式に認めるかどうかというこの作業がございます。まだ認められておりません。そういう中で税制改革の議論が始まったということについても御認識をいただきたいと思います。  基本的には、これは細川内閣の与党の方も多いわけでありますが、二月に国民福祉税を発表して、その後、その反省の上に立って細川政権は再出発をいたしました。そして、前半の六月いっぱいまでに税制改革の議論をまとめよう、そして後半の秋に法案を国会に出して成立を図っていこう、こういう当時の合意でございました。それが羽田政権にかわってもほぼ同じ姿勢で踏襲をされてきたわけであります。  そして七月から村山政権にかわったわけでありますが、私どもあのときの三党合意の文書では、やはりこれだけの大きな問題を逃げるわけにいかない。実際は年度内でなければならないという絶対的な理由はないのですけれども、しかし、従来のこの真剣な方針はやはり踏襲しようということで、年内実現努力という合意文書で三党は一致をしたわけでありますし、村山総理も就任早々から年内実現に努力します、こうおっしゃいました。  しかし考えてみますと、もう七月、八月、我々は、特に自由民主党の場合は全く今まで税制論議には参加されていませんでしたから、ゼロから真剣な論議に入っていただくにしては時間が足りない、もうすぐ盆に入って秋が来る。しかし、この年内実現という約束だけは守ろうという考えで、大変真剣に短時間で三党は税制論議を詰めていただいたわけであります。  で、一番最初から税制だけでなしに福祉のチームも行財政のチームも置いて真剣に議論を始めていただいたわけですが、細川政権や羽田政権の連立与党においてもこの行財政改革は詰め切っておりません。抽象的な方針で終わっております。それぐらいやはり根が深い、難しい問題であったわけですね。それを村山政権になって一月や二月でぼんぼんと具体案を決めるというのは、まじめに詰めれば詰めるほど難しいな、こういう認識になってまいりまして、そして九月がもう訪れる、臨時国会が始まるという状況の中で全体の税制改革の整理をしていただいた。  それは先ほど来おっしゃっておりますように、先送りでなしに、引き続き福祉ビジョンも不公平税制も、そして行財政改革も取り組んでいこう。特に行財政については、既にチームは基本方針を発表いたしております。そして村山総理も、例えば特殊法人なんかは羽田政権よりも一歩前へ出て、年度内に特殊法人の方針を決めるという発言までいただいて、不退転で取り組むということもたびたびおっしゃっていただいた。  そういう真剣な姿勢で引き続き、まあ見直し期間は二年という目標でありますが、その枠の中で行財政改革を具体的な数字が見えるところまで詰めていこう、福祉のビジョンもきちっと詰めていこう、不公平税制も詰めていこう、こういうために私どもはあえて附則に見直し条項をきちっと置いて、法文の形で目標、日時もはっきりしておりますが、二年後の九月いっぱいということで鮮明にして、全体像を整理をさせていただいたわけであります。  今回は結果として二%の消費税のアップでありますが、将来の年金、医療、介護、新社会資本等々、全体の財源をこの二%アップでカバーできるものではありません。しかし、それでもやりくりをして、二%の中で五千億ほどを社会保障費に財源を振り向けていこうということになりました。それが、新ゴールドプランは認知されておりませんが、そこで主張されているようなホームヘルパーの充実とかあるいは特別養護老人ホームの建設とか、こういうものに優先的に充てさせていただこうという考えでいるわけでございます。
  47. 山口鶴男

    山口国務大臣 行政改革についてお答えいたしますが、去る九月の二十二日の臨時閣議におきまして税制大綱を決定いたしました際、総理が、この際、行政改革に対しては各閣僚が真剣に取り組むべきだという指示をされました。そうして、総務庁長官がその取りまとめを行うようにこれまた指示をされたのであります。  現在私どもが進めておりますのは四つございます。  一つは規制緩和であります。この問題につきましては、年度内に思い切った五カ年間の推進計画を決定いたしまして、着実に内外からの要請である規制緩和を進めてまいりたいと思っております。  次は地方分権でございますが、この問題は、行政改革推進本部におきまして地方分権部会を設置をいたしました。そうして、今専門的立場から真剣な議論をいただいております。国、都道府県、市町村の役割分担を明確にして、この地方分権を進めるための大綱をお決めいただき、その大綱に沿って政府・与党相談をいたしまして、できるだけ早く地方分権推進に関する法律を提案をいたしたいと考えておる次第であります。  それから、特殊法人の問題につきましては、かつての政権のもとでは二年以内に見直しを行うということになっておりましたが、政府・与党の提言も受けまして、年度内に、九十二ございます特殊法人、この見直しを行って結論を出すということにいたしております。これにつきましては、前倒しをいたしまして誠意を持って取り組むつもりであります。  それからさらに、情報公開でございますが、行政改革委員会設置法を速やかにお通しをいただきまして、従来は三年の任期中にこの情報公開の法制化に検討をいただくことになっておりましたが、これも前倒しをいたしまして、行政改革委員会の任期は三年といたしましても、この情報公開に関する法制化については二年以内にひとつおまとめをいただくように、我々としてはお願いをいたしているところでございます。
  48. 中野寛成

    中野委員 年金予算の国庫負担率の問題など、いろいろな問題を多く抱えております。見直し規定を入れられたということは、今るるおっしゃられた、いろいろな課題が先送りされている、その過程の中でとても税率がこれだけではもたないという状況を、御答弁の中でそれは自然に物語っておられたと思うのでありまして、それらのことをむしろ正直にこれから国民の皆さんとともに考える姿勢というものが必要なのであろうというふうに思うわけでありまして、これからさらに論議を重ねてまいりたいと思います。  きょうは終わります。
  49. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、田名部匡省君から関連質疑の申し出があります。中野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田名部匡省君。
  50. 田名部匡省

    ○田名部委員 私は、最初に、政治を志してから初めて野党というものを経験いたしました。したがって、野党というのはどういうふうに質問すればいいのかというのは経験がございませんので、多少脱線ぎみになることもあるし、あるいは通告をしていない問題で質問することもあると思います。どうぞお話をよく聞いていただいて答弁をいただきたい、こう思います。  国の基本というのは、やはり外交、防衛、教音、エネルギー、もっとあるかもしれませんが、大体そんなことだろうと思うのです。ところが、社会党と自民党は、長いこと国の基本で対立をしてきた不幸な歴史があるのですね。これは外国では余り、与野党であっても国の基本というものは大体一致しておるのが通例です。  ところが社会党、まあ共産党もそうでしょうが、要するに、さっきのお話を聞いておっても、間違っても政権はとることはないだろう、したがって、中選挙区でも過半数になるだけの人数を出さなかった。口では政権を担うんだ、こう言いつつも、実態は必ずしもそうでなかった。私は、そういうところが思いがけず政権党になった、そして今度は総理になられたということから変わっていったのだろう、こう思うのですね。  心の中では、私も随分親しい人がおって話をすると、建前と本音は本当は違うんだ。そう思うのだけれども、対立軸をはっきりしないと選挙にならぬものですから反対をしてきたというのが私は正直なところだろうと思うのですね。ところが、先ほど来の中野さんとのやりとりを聞いておっても、どうも答弁に無理があるなどいう気がしてならぬのですね。  おっしゃるとおり、確かに国際は変化をしてきた。いろいろあります。ありますが、私は前にも社会党の議員さんに言ったことがあるのですが、ベルリンの壁が崩壊したあの直後、もう政策を変えておけば今ごろこんな問題は起きなかった。ところが、お祭りが終わって、そのお祭り中にはんてんを着てくればいいものを、終わってややしばらくたってからはんてんを着てきたものですから、これは今ごろ何だ、お祭りは終わったのにという感じで国民が見ておったと思うのですよ。それが私は今の国民の批判になっている。  しかも、一・一の決定は剛腕だとかけしからぬとか、こういって言われてきましたが、いずれにしても、総理の一言で四十年も反対してきたことが一遍に変わる。これも見事に、鮮やかに変えた。私はあの本会議場で実は拍手をしたのですよ、あの見事な改革ぶりに。  ですから、言ってみれば、基本政策を変えてから党大会で追認を受けるというのは逆じゃなかったですか、あれは。下から積み上げて、大衆討議の中からあなたが変えたというのなら、これはまあそれもあり得るかな、いい方向に変えて、我々と同じ土俵の中でやられるということはこれは結構なことだ、こう思っておったんだ。しかし、社会党の中でもあれだけ反対しておった方々が一向に批判めいたこともない。やはり心の中では建前と本音は違った、こういうことに私は感じておるんですが、どうですか、この辺は。
  51. 村山富市

    村山内閣総理大臣 それぞれ見方はいろいろ私はあろうかと思いますね。今御指摘がございましたように、ベルリンの壁が崩壊し、ソ連が崩壊し、東欧が自由と民主主義を求めて解放される、こういう大きな歴史的な転換を背景にして、そのときに変えておけば何でもなかったではないか、こういう指摘の仕方もあろうかと思うんですね。  しかし、考えてみますと、戦後一貫をしてずうっと運動を続けてきたその運動の方針を変えるということは、よほどの経過と議論と、やはり悩みがなければそう簡単に変えられるものじゃないと私は思いますよ。で、そういう議論をずっとやってきているんですよ。ですから、皆さんも御案内のように、違憲合法論といったような意見があったこともありますね。そういう議論をずうっと積み重ねてきて、あなたがおっしゃるように党で十分大衆の前で議論をして、大衆の理解と納得を得た上で結論を出すというのがあるいは順序であったかもしれぬと思います。  しかし、こういう急激な政局の転換の中で私が総理大臣になって、そして総理大臣という立場で自衛隊は違憲です、こう言った場合に、もう次の日から私は総理大臣をやめなければいけませんね。(発言する者あり)それはそうですよ。それはそうですよ。ですから、その点はやはり総理大臣という責任ある立場で、責任ある立場で私の見解を述べたわけです。いいですか。その見解がもし社会党の大会で否定されれば、私はやはり当然党の方針に従って出処進退を明らかにしなければならぬかもしれません。しかし、そのことを通じて社会党も十分議論をして、そして私の見解に対して同意をいただいたというので今日があるわけでありますから、その経過は私はやはりそういうふうに正しく御理解をいただきたいと思うんですね。  これは私が総理になったから、ならぬからといって、党の方針がそれで変わったり変えられたりするものではございません。長い歴史の中で議論をしてきた結論として、新しい時代に社会党が発展をしていくためには、これはもうこういうふうに方向転換をした方がよかろうというので変えられたわけでありまして、そういうふうに私は御理解をいただきたいというふうに思います。
  52. 田名部匡省

    ○田名部委員 まあ拍手するほどのことでもないんですけれどもね。まあ幾ら言われても、唐突に変えたという印象というものは、私は本会議場で本当にびっくりしたんですから。あらかじめそういう議論がずっとなされておるというのがわかっておれば、はあ、やっとるんだなという気持ちがありますけれども、なかったんだ。  これは、前回の選挙の皆さんの公約を見たって、これは一年前ですよ、党の。「現状の自衛隊は違憲状態だ」、こうちゃんと言われている。消費税は云々、個人個人のを見たって、「米の自由化反対」という人ばっかりですよ、これ。  与謝野文部大臣、これはいいこと書いておりますよ。謙虚で清潔で責任ある政治、今までのような自民党では国民の信頼にはこたえられぬ、こう言っているんですよ、自民党の皆さん。  自民党が大敗すれば、いまある野党の他にいくつもの少数党が一緒になって「連合政権」を作ることになります。安全保障政策、国際貢献のあり方、憲法観などすべて違う政党がどうやって政権を作るのでしょうか。このような時まさに日本の政治は混乱し、日本は危機に立つどいえるでしょう。こういうことを訴えて今実際、自分はおやりになっているんですね、これ。  まあまあ、こうして一人一人見ればいろいろありますが、いずれにしてもこの変わりようには驚いておるし、やっぱりあなたは総理になってはまだ早かったのではないか、こう思うんですよ。  羽田内閣は少数内閣だと言われて自民党と一緒になられた。私は、自民党から候補者が出てくるものだと、こう思っておったんですよ。ところが、七十四人のあなた方の方がなったというので、羽田さんを批判したのはどういうことだったのかなと、こう思ってもみたりね。だから、党内の意見が一致してゆっくりおやりになればいろいろ責められることはなかったわけですから。  しかし、そういうことで、前回の選挙で自民党も社会党も大幅に議席を減らしたんですよね。減らした同士が、数が多いからこれは一緒になった。いや、そのときは多かったが、後から問題が起きて別れたわけですから。いずれにしてもふえたわけではないんですね。減らしましたよね。(発言する者あり)まあまあ、自民党はふえたが後から別れたと、こういうふうに御訂正申し上げます。  そうして、我々と一緒に政権をつくって、苦渋の選択をされて、そのころもいろいろ変えてきましたよね。それはそれなりに私はよく存じております。  ただ、自民党は当時、細川政権が知事時代に借用した一億円の問題をこの委員会で百時間追及しましたよ。まあすさまじい委員会だなと、こう思って見ておりました。かつてはロッキード、リクルート、佐川、いろいろなことでスキャンダルを起こして、その政党がこんなに追及できるもんかなという感じも実は受けたんです。片っ方はお借りしたとこう言っている、片っ方はいただいたということであれは問題になったわけですが。  いずれにしても、その後羽田首班を社会党も指名して、そうしてその直後、会派結成問題でメンツがつぶされたということで一日もたたずに野党に転じた、こういうことですよね、あのときは、メンツがつぶされたと。メンツじゃなかったですか。まあまあそんなことで、そうして野党宣言をし、一カ月後の五月の末に社会党中央委員会で、自社連立はやらないんだ、こう決定された。そのわずか数日後ですよね、自社連立内閣がスタートする。幾ら何でも、こういうことを見ていると、私は本当によく変わったなという気がしてならぬわけであります。  特に、総理の所信表明の中で、「私の政治理念を現実の政策に具体化し、この内閣の誕生で何が変わったかこいやもうよく変わったことはわかりました。どのように何を変えようとしているのかというのだけが今の質問でも明らかになっていない、先送りになっているという印象は、これは国民がみんな持っておるんだろうと思うんです。  まあとにかく、いずれにしても、今までは反米、親ソでしたよね、皆さんは。そうじゃなかったですか。日米安保は四十年以上にわたっていろいろと反対をしたわけでありますけれども、しかし、基本政策協議で、日米安保条約は、我々と一緒のときですよ、これは継承すると。その後、九四年、日米安保は維持をすると。その後、七月のナポリ・サミットのときは、クリントンと会って堅持に変わっていったわけですね。この継承と維持と堅持というものはどういうふうに違うんですか。
  53. 村山富市

    村山内閣総理大臣 日米安保条約が締結された当時、私どもは、社会党は反対をしていたわけです。それは、戦争参加をした国が全部テーブルに着いて平和条約は結ぶべきものである、したがって、全面講和というものを主張してまいりました。しかし、残念ながらその講和条約に参加しなかった参戦国があったわけです。同時に、その講和条約と並んで安全保障条約も締結されたわけです。  したがって、それは大きく対立する世界の中で一方の立場に立つものである、したがって、我々はそれは了解できない、こういう立場で非武装中立というものを表明していったわけです。私は、それはそれなりにその当時の世界的な背景というものがあって主張されたものだというふうに受けとめております。  しかし、もうソ連も崩壊しましたし、あるいはそういう意味における二大超大国が対立するというそういう世界的な状態も崩壊をして、今や軍縮と協調の時代に変わってきた。したがって、軍縮と協調の時代に変わってきた世界的条件を背景にして、安保条約の性格というものも、軍事的な面よりも、むしろ世界的な平和とアジアの安定といったような分野に果たす役割は、日米の協力関係の中では大変大きいものがあるというような全体の背景の違いの中から、やっぱり安全保障条約の運用というものも変わってくるのは私は当然だと思うんですよ。  そういう意味における評価をして、私どもは、これまでの政権のやってきたことについては継承しますと、そして、その安保条約は維持し、堅持してまいりますと、こういうふうに申し上げたのでありまして、私は、そのように皆様方にも御理解をいただきたいというふうに思っています。
  54. 田名部匡省

    ○田名部委員 さっきの中野委員質問を聞いておって、総理の答弁というのは本当に無理があるなど。細川内閣のときに社会党の閣僚が、党の基本政策は変わらない、しかし、内閣の一員だから総理に従うんだと、こういう答弁をされまして、私も、あの基地闘争なんか見ておっても、アメリカ帰れとかなんとかやってきたので、反米なのかな、こう思っておったのです。  実は、私も沖縄国体で青森県の団長で行きまして、佐賀県の自衛隊が選手で出てまいりました。いや、まあ、日教組の諸君がバリケードを張って、そうして、野球場へ入れないのですよ、もう自衛隊反対なものですから。とうとう私は、青森県との試合でしたから、この試合をさせないのであれば私どもは帰るということで、強硬にやりました。スタンドに来て、旗振って、自衛隊帰れ、帰れですよ。  ですから、党大会で決めたと言われるが、まだ各地方では、原発や自衛隊問題でなかなか混乱しているというのが実態ですよ。むしろ国民の方は混乱していないんですよ。社会党の中がいまだに混乱しておる。これは相当無理にやったからなんです。私は、外から見ておってそう思う。  特に、マスコミを通じて、皆さんの応援団の人たちがいろいろと言っておりますよ。「「ステーキは食いたいが牛は殺したくない」んだな」と。まさにこれは、本当に言い尽くすいい言葉だと思うんです。  どうですか。社会党の中の混乱というのは、もうぴしゃっと、これから何があっても大丈夫な状態なんですか。私の青森県が核燃サイクルがありまして、いまだにこれは大きな問題になって対立しているんですよ。どうですか、その辺のことは。
  55. 村山富市

    村山内閣総理大臣 社会党という政党は、これは各県本部それぞれ自治的な機能を持っておりまして、それを全国的に社会党本部に統括しておるわけですね。したがって、よく私が言うんですけれども、社会党はど民主的な党内言論の保障されている政党はないというふうに申し上げてまいりました。だから、物事を決めるときにやはりそれなりの時間がかかるんですよ。これはもうやむを得ないんです。  そういう運営をしてきておりますから、今度のような場合に、先ほども申し上げましたように、過去、戦後一貫をしてやってきた運動の方針を変えるということは、それは並み大抵のことではないんですよ。それを、これは相当期間をかけて党内では議論をしてきているけれども、なかなか結論が見出せなかった。その結論を九月三日の大会でようやく出したのです。それだけに、各地域の県本部ではそれなりの地域の事情も抱えておりますから、すんなり、いや、それでよかった、結構だといって受け入れられない要素がまだ残っていることは、私は否定しません。  特に、やはり沖縄等におきましては、これは、あれだけの犠牲を払って、しかも戦後あれだけの軍事基地があって、それは私どもの県とは違った意味の沖縄県民の感情もあろうかと思うんですよ。私はあの沖縄に参りまして、本当に自分自身で、なるほどこれはそういう気持ちになるのは当然だなということを感じてまいりましたけれども、そういう地域地域のやはり事情がありますから、それを上で決めたから直ちに右左そのとおりになるなんという、独裁政党ではありませんから。ですから、そういう混乱が若干下部にあることは、私はやむを得ないと思います。  これは時間をかけてやはり理解と納得と説得をしていただいて、そして全体として党が決めた方針に収れんされていく、こういうやはり時間的経過はある程度必要なことはやむを得ないんではないか。社会党はそういう政党ですということを皆さん方によく御理解をいただきたい。  したがって、党の大会で決めた方針がこれから変わることはありません。その方針に基づいて全国的に統一した行動がとれるようにしていくためには、今幹部の皆さんが一生懸命努力いたしてもらっておりますけれども、時間をかけてやらなきゃならぬことだというふうに私は思っています。
  56. 田名部匡省

    ○田名部委員 まあ時間かけておやりになる、こういうことでありますが、しかし、民主主義のルールというものは、賛成もあれば反対もあるんですよ。しかし、議論を尽くして決まったならばそれに従うというのが民主主義じゃないですか。ところが皆さんは、多数決で決まってもなお反対し続けてきた、こういう習性がおありになるんですよ。ですから党内だって、党大会では決まったがおれらは反対だ、こう言ってごねている人たちもたくさんおるんじゃないでしょうか。まあしっかりおやりいただきたい、こう思います。  それから、先ほど来自衛隊も、日の丸・君が代の話はなかったんですが、国民の間に定着した、これいつごろそう感じましたか。
  57. 村山富市

    村山内閣総理大臣 いや、いつごろといって、その期限を切っていつごろということは申し上げられませんけれども、しかし、戦後、全体の動向の中で、例えばオリンピックで日本が勝ては日の丸が上がって皆さんが拍手をされる、あるいは外国に行かれる船には必ず日章旗がついておる、こういう全体の社会的構成の中で、日の丸というものはやはり日本の国旗なんだなということがだんだんだんだん国民の中に定着してきつつあるという状況は、これは私は否定し得ないと思うのですよ。そういう状況をやはり受けとめて、そして日の丸はいいんではないか、こういうことを私は申し上げたわけであります。  したがって、いつごろから変わったのかというようなことについては、正確に何月何日から変わりましたというようなことは申し上げられませんけれども、しかし、全体のそういう動向を見て、私は、これはもう日の丸というのは国民の中に定着してきたなというふうに判断をいたしました。
  58. 田名部匡省

    ○田名部委員 そこの認識が、総理になったから、定着した、こういう発言をされたんですが、しかし、この日の丸や君が代というのは、もう大分前からですよ、オリンピック始まってもう何年になります、戦後。  ですから、私は、社会党は抵抗したかもしれぬけれども、国民の皆さんは、あんまりそういうものに抵抗はなかったと思うんですよ。じゃ、いつごろからそうなったんですか。
  59. 村山富市

    村山内閣総理大臣 戦後の日本の歴史の中で、それは数がどの程度あったか、世論調査をしてみてどっちが多かったかなんということは定かでありませんけれども、しかし、あの戦争中に日の丸の旗を正面に立てて、そして侵略的な行為をなされてきた、だから、あれはやはり戦争を思い出していかぬ、こういう国民の気持ちも否定し得ないものがあったと思うんですよ。しかし、それがまたずっと歴史の過程の中で、経過を経る中で、日の丸はもういいんではないかという気持ちにだんだん変わってきたという歴史的な経過は、私はやはり否定し得ないものがあったと思います。  しかし、最近では、さっきも申し上げましたように、もうほとんど国民の皆さんもあの日の丸というものは定着してきている、私はそう受けとめておりますから、したがって、私は、党内でもそういう議論はずっと一貫をしてやってきているんです。もう日の丸は認めてもいいんではないかという意見は、これまでもずうっと党内では申し上げてまいりました。そして、こういう機会に、もうはっきり党も方針を決めた方がいいんではないか、こういう決断をして申し上げたところであります。
  60. 田名部匡省

    ○田名部委員 こればかりではなくて、消費税も、米の自由化、AWACS、原発、すべて変わりましたよね。これで言うとおり、この内閣誕生で何が変わったか、よくわかりました。  まだ変わってないものがあるでしょう。これは何といっても、自民党も今大変な苦労をしておるようでありますけれども、自主憲法の制定。一九五五年の十一月の十五日、党の結成大会で決定した政策綱領ですけれども、これは、社会党は護憲ですよね。自民党はどうですか。
  61. 河野洋平

    河野国務大臣 今お尋ねがございましたように、立党当時、自主憲法を制定すべしという党の規定がございます。しかし、現在、国民の中にそうしたことを望む声が大多数になっているとは思っておりません。これは長い間、自民党の政権担当時代も一貫して、自民党は、憲法改正をその当時の内閣が政治的テーマとして取り上げることはしないということで来ているわけでございまして、党の規定は、現在見直しを行う作業がその緒についたところでございますが、私は、現在、憲法を改正する状況ではないという認識を持っております。
  62. 田名部匡省

    ○田名部委員 大蔵大臣のところはどうなんですか、さきがけは。
  63. 武村正義

    ○武村国務大臣 現行憲法に対しては、まずは遵守であります。そして、将来の改正論議からお尋ねをいただいているのかと思いますが、平和主義、国民主権、基本的人権、この憲法を貫く基本的な理想といいますか、原理は、たとえ将来改正がありましても、最大限だっとんでいかなければいけないというふうに思っております。
  64. 田名部匡省

    ○田名部委員 社会党はどうされますか。
  65. 村山富市

    村山内閣総理大臣 社会党は護憲で、平和憲法は守るという方針には変わりありません。
  66. 田名部匡省

    ○田名部委員 まあ、いずれにしても、大事な憲法、基本である、国の基本が変わっているということでも一緒になったわけですから、いろいろやはり誤解を受けるんですよ。  ですから総理は、私はそう思わぬと、三党が協力してと、こう言われるけれども、それならば前政権のときに同じことをやったってよかったようなものですけれども、そうでなかったのはいろいろ理由あったでしょう。ありましたけれども、やっぱり無理なんです、自社連立というのは、国民が見ても。私が言っているんじゃない、みんな言っているんですよ、国民の皆さんが、これは無理だと、この政権は。  しかし、これ以上お尋ねしても平行線ですから、いずれにしても、すっきりと謝るところは謝って、そうして、今までは間違っておりましたと、政権とらぬと思ったからやってきたのであって、今度はとったので申しわけないと、そうはっきり言われた方がそれはさっぱりするんですよ。  ただ、政権にあるからと、先ほど質問があったが、総理も社会党の皆さんも、以後政権をおりられても、このことは、変えたことはもとへ戻さないんですね。
  67. 村山富市

    村山内閣総理大臣 何か無理があった、無理があったという御指摘ですけれども、さっきから私が申し上げておりますように、もう今や理念やイデオロギーが違うから同じ政権は組めないんだという時代ではないと思うんですよ。理念や政策は、それはもともと党が違うんですから違いがあるのは当然だと思いますね。  しかしそれは、やはり共通の目標に向かって、私はいつも言うんですけれども、お互いに持っているものを遠慮し合って、そして相殺し合いながら何か合意点を見出していくというのではなくて、それぞれの党にはそれぞれの党の持ち味もあるしよさもあるわけですから、そういう持ち味やよさを出し合って、そしてお互いに議論したことの中から合意点を求めてよりよい政策を打ち出していく、そしてよりよい国民のための政治をやっていくというのがやはり連立政権の本来あるべき姿であって、私はそういう運営を心がけていくべきではないかというふうに思っておるわけです。  ですから、細川政権と羽田政権と今日私の政権というふうに連立政権を経験してまいりましたけれども、その経験を謙虚に反省しながら、いい点は引き継いでいくし、悪いと思われる点はやはり是正して、そしてよりよきものをつくっていくための努力をしていくというのは私は当然のことだと思いますから、そういう心がけでこの政権を維持していきたいというふうに思っています。  それで、政権がかわったら党の政策が変わるのかというお話でしたけれども、私は変わりはないと思います。
  68. 田名部匡省

    ○田名部委員 政権をおりられても社会党は二度と反対をしないということで、これは結構なことだと思います。  ただ、政治、政党というものは一体何なのか。三党議論をして相寄ってと、こう言われますけれども、政治には、やはり理論あるいは哲学、信念、いろいろあると思いますよ、そういうものが。ところが、今見ておる姿というものは、何かすり寄っていると。政権を維持するために、社会党も変わっていかなきゃならぬ。自民党も、私は、かつて自民党におったときのあの哲学というものはだんだんなくなってきているんじゃないか。何か、社会党に合わせなければその政権は維持されない。  かつて、党の税調で山中貞則先生が、あの売上税、消費税のとき、声涙下る演説をされましたよ。これは国家と国民のためにぜひやり遂げなきゃいかぬ、後は、若い連中はおれのしかばねを乗り越えてやってくれ。いや政治家になってよかったなと思ったものですよ。そんなものはだんだんなくなってきたから問題なんだ。その哲学がなくなっているじゃないですか、だんだん。  ですから、そういうふうに見ておるから、決して話し合いで相寄ってどうのこうのという印象ではないんです、国民から見て。何か、足して二で割っているようなことばかりに受けとめざるを得ないというところに私は問題問題があるんだというふうに申し上げておきたいと思います。  次に、資産公開ですが、八月の三日、五十嵐官房長官、これで十分だと思うと、新聞記事によれば。総理の、記者団に検討してみる、こういう話をされておる。これ検討しましたか、資産公開。
  69. 村山富市

    村山内閣総理大臣 閣僚の資産公開は、閣僚としての職務執行の公正さの確保あるいはまた政治、行政に対する国民の信頼の確保を目的として従来から実施をされておるわけです。したがって、閣僚就任時以降の資産の増減を明らかにし、その地位を不正に利用した資産形成を防ぐことが目的であると私は考えています。  閣僚就任以前の個々の資産の形成がどのように行われたかは、閣僚資産の公開の目的達成と直接関係はないというふうに考えておりますが、しかし、何といっても政治に対しては、政治倫理の確立やらあるいはまた腐敗防止というのが大事ですし、そのことを通じて政治の信頼を確立する、確保するということが大事でありますから、したがって、今のこの資産公開制度でなおかつ不十分な点があれば、お互いにこれは検討されるべきことではないかというふうに考えています。
  70. 田名部匡省

    ○田名部委員 今総理言われたように、議員がその地位を利用して不公正な利益を得ていないかどうかということを資金面から検討するというのは、これはねらいだと思うのです。ところが、この資産公開を見ただけではわからぬのですよ。これは桜井前環境庁長官が、一部の政治家がつまらぬことをやったおかげでのぞき見主義的なやり方に従わなければならなくなった、こう言っておりましたがね。  十五回になりますよ。私も二回資産公開をいたしましたが、相続の分はどれと、相続と書けばいいと思うのです。あるいは、国会議員の前の部分、それから国会議員になってからの分はこの部分ですよというふうに明示すれば、これは国会議員になってからはむしろ減っているんだなというのはわかる、あるいはふえたなというのはわかるのですが、今のままで新聞発表すると、いつふやしたかというのはこれはもうわからぬのですよ。  まあしかし、この総理の分を見てもなかなかそのことがわからない。ここを直したらどうですか。
  71. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは、ひとり個人の問題ではなくて、閣僚全体あるいは国会、政治家全体の問題だと思いますけれども、今の制度は、就任時にどういう資産を持っているかということを、閣僚の場合にはその家族も含めて、同居者も含めて公表する、こういうことになっていますね。  したがって、それ以前に今持っておる資産がどういう形でつくられてきたかというようなことについて公表することはいいのか悪いのか、できるのかできないのかというようなことについては、お互いにこれから必要があれば検討すべき課題ではないかというふうに私は申し上げているわけです。
  72. 田名部匡省

    ○田名部委員 国会議員になる前は、いろいろ仕事をしたり、何かそういうことで資産形成してきたと思うんですよ。問題は、国会議員の不正があったのかどうか。  例えば、今の議員報酬で東京に土地を買ってうちを建てるなどということは夢のまた夢ですよ。そういうことがあったとすれば、親の遺産を引き継いで建てたのか、親から贈与を受けて建てたのかというものが明確になれば別に問題ないわけですから。そこのところが書いてないものですから。ただ幾らある。田中長官ももう随分これはおありになるし、河野大臣も随分。  あるのは悪いんじゃないんです。ただ、恐らく相続で受けたのだろうと思うから、別にこれは問題ないんですから、そういうことが見てわかるようにしたらどうですかと。それがわからぬものですからいろいろと想像して、国民が、政治家というのは金持ち、政治をやると金持ちになるのかというふうなことをよく言われるものですから、ここを改めたらどうですか、こう言っているわけです。
  73. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは、私がここでそうしましょうとか、結論づけて申し上げるには余りにも、やっぱり皆さん方全体にかかわる問題ですから、したがって、それなりの場所で十分議論をしていただいて、改善すべき点があれば改善するということの扱いにすべき問題ではないかというふうに私は思っています。
  74. 田名部匡省

    ○田名部委員 随分時間がたちましたが、いま一つ、これは総理のことではない。まあ私もこれは新聞を見まして、うちを見たときは、質素なうちに住まわれてさすがだなやっぱり、こう思っておったのですよ。ところが、資産公開の金額を見たら、まあえらいお金持ちだな。三億ですか、三億四千万ぐらいですか。  それから、その中で、御夫人の名義もこれは入っていますから、実勢価格で入っているわけですから、それは奥さんもそれなりに貢献した、こう言われておりますからわかりますが、この中で、株を随分お持ちになっているんですね。この中には幾つか仕手株というもの、これは専門家でないとなかなかわからぬ株というものがあるんですよ、我々でも余り気がつかない。  どうやってお買いになったのか、株に相当知識をお持ちになっているのかわかりませんが、この中の平和、二千株お持ちになっていますよね。NTTも十四株。幾らのとき買ったのかわかりませんが、余り奥さんのことはわからぬ、こう言われておりますが、いずれにしても、この平和株はいつお買いになったのかということを、ちょっとこれは前もって言ってあったのですけれども、お知らせいただけますか。
  75. 村山富市

    村山内閣総理大臣 平和株を持っておるということは、この資産公開をするときに私は初めて知ったわけです。その平和という株がどういう性格の株かということもそれなりに問い合わせてみましたところが、これはパチンコ機械をつくるメーカーの株であるということも知りました。  それで、いっ買ったのかというお話ですけれども、聞いてみましたら、平和株の取得は、平成三年十一月に購入した。これは、証券会社の職員が勧誘に参りまして、そしてこの株はぜひ買ってほしい、買った方がいいですよというような勧誘があって、そして今申し上げましたように平成三年の十一月に証券会社の職員から購入をした、こういうことになっております。
  76. 田名部匡省

    ○田名部委員 普通、勧められて買える株かどうかというのは、これはもう個人の判断ですけれども、別に買って悪いというわけではないが、やっぱり危険が伴うわけですから。危険が伴うのですよね。NTTの株でさえも、あんなに高いものを買って相当落ちたわけですから、ましてや全然見も聞きもしない株を購入するというのはよほど勇気が要るんですよね。  ですから、株を買ったのはけしからぬとは言わぬが、いずれにしても、そういうこともありますから、いつ買ったとかどうしたとかということを明確にされていくというのは、要らぬ国民の疑惑というものを受けないで済むということだと思うのです。  特に、奥さん、大分の県庁の食堂を経営されて、どういう経過でこの経営をするようになったかはわかりませんが、いずれにしても相当あなたのために金を一生懸命預金をして、そうしてあれだけの預金というものを持ったということで、これは結構なことです。  ですから、いつの時点でどうなったかという、くどいようですけれども、そういうことをやらないと、疑惑を持たれたままということは、お互いに、このことばかりでないんですよ。これが疑惑と言っているんでない。(発言する者あり)いやいや、これが疑惑と言っているわけでない、こう言っているわけですから。  ただ、資産を持つことによって疑いを持たれる、政治家というものは、政治家になればお金がたまるんだなというふうに思われるものですから、そうならないようにこの資産公開というものをしっかりしてほしいと。私も実は資産公開のときそう言われたんですから。親の相続がほとんどでした、私は。私のときにやったものはもう幾らもないんです。むしろ減らした方が多かったけれども、減ったものは書くわけでないんですから。  そういう意味では、やっぱりもっと国民に、我々の資産というものはこういう形で形成されたということをはっきりした方が、一々弁解して歩けませんから、お互いそうしたらどうかと、こう言うんです。
  77. 村山富市

    村山内閣総理大臣 弁解する気持ちもありませんし、何もございませんけれども、私のうちのことまで話に出されましたけれども、何も私は貧乏を売り物にしているわけじゃありません。ただ、これまで一貫をして私のうちの家訓として申し上げたことは、できるだけ人様には迷惑をかけない、そして持っている能力努力お互いにつくり上げていこう、こういう気持ちでこれまでずっと一貫してやってまいりました。  それで、これは遺産を相続したものも中にはあります。同時に、三十年間近く、それこそ、自分の家庭のことを言っちゃ恐縮ですけれども、妻の名誉のためにも私は言わせてもらいたいと思いますけれども、三十年近く、朝四時ごろに起きて、魚市場から野菜市場から買い出しに行って、夜は八時から九時まで働いてきたんですよ。そして、一生懸命働いて積み上げてきた。それは私はもう、むしろ逆に妻から励まされて、政治家としておれはこれでいいのかと、もっと体動かして頑張らにゃいかぬと、こういう気持ちでやってきたような家庭ですから、そういうふうに私は御理解を願っておきたいと思うんです。
  78. 田名部匡省

    ○田名部委員 防衛、常任理事国入りやサミットの問題、農業問題も実は用意しておきましたが、時間が参りまして、大変残念であります。時間が来たようであります。あと二分しかないということですから、ここで終わらせていただきますが、総理、悪いと言っているんじゃないんですよ。お互い、政治家が国民からそういう目で見られるということなんです。ちゃんとまじめにやっておっても、あれはどうしたんだと。それが内容がわからぬようになっておるから言われるのであって、この際、すきっとした方がいい、こう思いますので、どうぞよく御相談いただいて、改革をしていただきたいというふうに思います。  時間が来ましたので、終わらせていただきます。     ―――――――――――――
  79. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、お諮りいたします。  最高裁判所涌井総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  81. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、山岡賢次君から関連質疑の申し出があります。中野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山岡賢次君。
  82. 山岡賢次

    山岡委員 十月九日付のニューヨーク・タイムズでございますが、CIAは、一九五〇年から六〇年にかけて、自民党に何百万ドルにも上る資金提供をしていた、また、ソ連が社会党に資金援助をしていた、こういう報道がなされております。関係者の証言や関係資料を添えての報道でございます。  このことは極めて重大な報道であると思います。いずれ、この件につきましては、国会のしかるべき機関におきまして徹底的に調査すべきである、こういうふうに思うわけでございますが、きょうのところは村山総理河野総理、自民党総裁としての御所見をとりあえず承っておきたいと思います。総理、お願いします。
  83. 村山富市

    村山内閣総理大臣 報道があったことは承知をいたしておりますけれども、そういう事実はないというふうに明確に党の方からも回答を受けております。  同時に、この報道について、確かであるかどうかということを確認する立場には、現在政府にはないということだけは申し上げておきます。
  84. 河野洋平

    河野国務大臣 四十年ほど前の話でございます。我が党事務当局をして調査をさせても、そうした事実は見当たらないということでございます。いろいろと新聞その他が書いたというふうに聞いておりますが、私はそうした事実はないと確信を、事務当局の答弁を信頼しております。
  85. 山岡賢次

    山岡委員 きょうのところはそのように承っておきます。  事務当局の報告でわかるような内容のものではございませんからこれは後でまた調査をする、こういうことできょうは終わらせていただきたいと思います。  今、村山総理に関しましては、北朝鮮と、また朝鮮総連とも深くかかわりますパチンコメーカー平和の株をお持ちだと。一介の主婦がこういう特別な株をお持ちであることは極めて難しいんじゃないか、こう我々は考えるんですが、それは今、田名部大臣からお話がありましたから、私から改めて触れませんが……(発言する者あり)失礼しました。田名部委員からです。元大臣です。  武村大臣にお聞きさせていただきたいと思います。  武村大臣の滋賀県のムーミンハウスと称する大津事務所のこの所在は、パチンコ店ミシガンの二階にございます。持ち主は日本名で金鐘喆というんですか、キム・ジョンチョル氏という人物でございます。このキム・ジョンチョル氏という人物はどのような人であり、大臣とはどういう御関係の人であるか、御説明をいただきたいと思います。
  86. 武村正義

    ○武村国務大臣 山岡委員、いやしくもこういう国会の場でありますからですね、一人一人の政治家のそういった具体的な事実を御指摘される場合には、きちっと調べて発言をしていただきたいと思います。  金鐘舘と私は日本名で呼んでいますが、私も十数年地方の政治の世界で生きてまいりまして、在日外国人、特に在日韓国人、在日朝鮮人の方々、たくさん知り合いがありますし、かなり親しくつき合っている方も何人がおられます。その一人に金鐘諸氏がいるのは事実であります。私の出身の町の方であります。大変、これは日本人が失いかけているような、皆さんも在日韓国人なんかに会われますと、改めてあの国が李朝時代を通じて非常に儒教の影響の濃い国であったと、私なんかはこの金さんに会うといつも、もっと奥さんを大事にしなさいよとか、お兄さんを大事にしなきゃだめですよとか、そういうお説教をいつも受けているぐらいの人で、私も一日置いている、そういう意味の立派な外国人であります。  さて、今冒頭申し上げたように、大津の私の事務所は、パチンコ屋の二階にあるわけではありません。それは全く事実と反しております。私のおじが経営をしております石油会社がございまして、そこの所有地でございまして、半分はガソリンスタンドに使っていて、半分は駐車場に使っていたわけですが、もう十何年前ですか、その駐車場の一部をパチンコ屋さんに、金さんに貸したわけです。そうすると、その間に土地が残りまして、その間を、私の兄がその石油会社の専務もいたしておりまして、兄が借りまして、そこに事務所を建てて私どもがそれを使っているという、登記上も実態上もそのとおりでございますから、改めていただきたいと思います。
  87. 山岡賢次

    山岡委員 御指摘のように、いやしくも国会の場でお聞きするのですから、よく調べた上でここに立っているわけでございまして、私の質問にお答えをいただきたいので、私は朝鮮の方とおつき合いをしちゃならぬとか、その方とどうというようなことは一切申し上げていないのです。この方はだれであり、どういう御関係がということだけを聞いているのでございまして、あえて申し上げるなら、そのパチンコ店はあなたの、石油会社のお兄さんが勤めておるところが貸しているところでございます。よく知っております。  全部、それならほかのことも申し上げたいのですが、きょうはそういうことを言うために来たんじゃありませんから。公安調査庁、いらっしゃいますか。いや、聞くつもりじゃありませんでしたけれども、じゃ、この金鐘喆という方はどういう方か、御説明をしていただきたいと思います。
  88. 松浦恂

    ○松浦(恂)政府委員 金鐘辞につきましては、かつて朝鮮総連滋賀県本部等の役員であったと聞いております。
  89. 山岡賢次

    山岡委員 どういう役員であったのか、もう一回言ってください、具体的に。
  90. 松浦恂

    ○松浦(恂)政府委員 具体的な中身につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。
  91. 山岡賢次

    山岡委員 それじゃ申し上げます。昭和五十一年、総連滋賀本部財務委員、昭和五十二年、総連滋賀本部執行委員、大幹部でいらっしゃいます。また、その他のいろいろなことはたくさんございますが、きょうはあなたのそういうことを言おうと思っているんじゃありませんから、もしそういうお話でしたら十三日にもやりますから、徹底的にお伺いをさせていただきます。  大蔵大臣は、平成三年の七月の二十一日に、朝日友好親善協会の招請で全国日朝友好促進議員連盟代表団の事務局長として訪朝をしておられます。また、平成二年九月二十四日、自民・社会訪朝団の自民党朝鮮問題研究事務局長としても訪朝をしていらっしゃいます。これは、北朝鮮に行かれようという国会議員の中から選ばれたのですが、大臣は、北朝鮮の方から大臣には来てほしい、こういう御要請があったとも承っているわけでございます。  また大臣は、我が国の対北朝鮮貿易の唯一の窓口であります東アジア貿易研究会の相談役にも就任をしていらっしゃいます。  しかし、そもそもは昭和六十年六月十一日、当時滋賀県知事のときに朝鮮対外文化連絡協会の招請で滋賀県知事団代表団団長として訪朝をしていらっしゃるわけでございまして、毎日マラソンの北朝鮮選手の参加要請を行ったことが大臣と北朝鮮の直接の接触のスタートであります。この北朝鮮の橋渡しをしたのが朝鮮総連の幹部である金鐘諸氏ではなかったのか。もうイエスかノーかだけでお答えください。
  92. 武村正義

    ○武村国務大臣 全くそんな事実はありません。
  93. 山岡賢次

    山岡委員 それでは、新たに記憶を呼び起こしていただきたいと思うわけでございます。  今ここにあるこの新聞でございますが、見覚えがあると思います。この新聞ですね。これは、北朝鮮の昭和六十年六月十七日発刊の新聞のトップニュースでございます。見にくいと思いますから、お許しをいただきまして、もうちょっと大きなパネルを出させていただきます。この新聞でございます。おわかりになりますか。おわかりになりますね。(発言する者あり)静かにしてください。この新聞です。おわかりですか。  この写真に載っておりますが、言うまでもなく、真ん中がキム・イルソン、金日成主席でございます。そして、この左隣ですか、そっちから見ますと左隣、ここにおりますのが大臣、あなたその人でございます。問題は、この写真の一番、これでいうと左側にいる人、そちらからいうと右側にいるこの方でございます。この方ですね、よく知っていると思いますが、この一番右側の人です。
  94. 佐藤観樹

    佐藤委員長 ちょっと、あれを借りて大臣に示さないと。
  95. 山岡賢次

    山岡委員 いいですよ。どうぞよく見てください。  大臣にお聞きをしたいのですが、この人は一体だれであり、どういうことをしている人物であり、また大臣とどういう御関係の人物であるのか、お答えをいただきたいと思います。
  96. 武村正義

    ○武村国務大臣 何か特別の深い関係があるかのごとき質問でありますが、これは名誉にかかわりますからいきさつを申し上げますが、全く名前も知りませんし、顔もよく覚えておりません。  確かにしかし、一九八五年ですね、九年前になりますか、滋賀県知事のときに北朝鮮を訪問したことは事実でありますから、そのときに、四、五日滞在しましたから、いろいろな人に会ったり写真を撮りましたから、その一枚であることは間違いないのかもしれません。  そもそもこの訪朝は私が積極的に意図したものでなく、実は滋賀県ではもう三十数回毎日新聞社主催のびわ湖毎日マラソンが行われておりまして、当時、毎日新聞の社長さんから、金を出して外国の選手を呼ぶというわけにはいかなくなった、だからひとつこの毎日マラソンをアジアのマラソンにしていきたい、アジアとなるとやはり北朝鮮の選手を呼ばなければ……(山岡委員「そんなこと聞いていないのです。だれかということです」と呼ぶ)いや、あなたが聞いていることが事の本質にかかわりますから。  北朝鮮の非常に強い選手がいるからこれを招請したい、ついては知事さん、一緒に、毎日新聞と全国放送をしておりますNHKの代表と陸連の代表が行きますので、団長で一緒にお越しいただきたいという話が来たわけでございまして、いろいろありまして、それをオーケーして私は団長として訪朝したわけでありました。  そうすると、向こうで体育大臣に会いましたら、じゃ、わかりましたと、来年からびわ湖マラソンに送りましょうと。事実送ってくれました。それでもう帰ってくればよかったのですが、毎日新聞とNHKの記者がおりまして、ぜひこの際、団長、金日成に会いたいと申し出をしてほしいということから、私が金日成主席と、たまたま地方の知事でありながら会うというふうな事態になったわけで、その写真は、県会議員、それから陸連の代表がいますが、そのもう一人も恐らく金日成主席と会ったときに横にいた人ではないかと今そう想像をいたしております。
  97. 山岡賢次

    山岡委員 時間がなくなりますので、質問にだけ答えていただければいいんです。質問にだけ。  公安調査庁、いいですか。それでは、このリ・チャンソンなる人物はどういう人物であるのか御説明をいただきたいと思います。当時どういうことをしていたか、この人は。
  98. 松浦恂

    ○松浦(恂)政府委員 リ・チャンソンさんは、当時朝鮮労働党中央委員委員で、最高人民会議代議員の職にあったものと見られます。現在も党・政府の要人であると見ております。
  99. 山岡賢次

    山岡委員 どういう仕事をしていた人か、その文化委員というのはどういう仕事をしていたことか、そういうことを御説明ください。公安調査庁。
  100. 松浦恂

    ○松浦(恂)政府委員 ただいま申し上げましたように、朝鮮労働党の中央委員、これは党の最高の意思決定機関であります中央委員会の委員でございます。(山岡委員「文化部長でしょう」と呼ぶ)それから、最高人民会議代議員といいますのは、これは政府の、国会に相当する会議の代議員でございます。
  101. 山岡賢次

    山岡委員 まあ答えにくいのでしょうけれども、それなら後で、どういう場所で、どういうふうなことで論戦をしても結構でございますが、この方は……(発言する者あり)いや、今申し上げます。今申し上げます。  この人物は、公安調査庁がいまいち正確に答えませんでしたが、この人の役割は、昭和六十二年一月には対外文化連絡委員会文化部長、こういうふうに公式にはなっております。しかしこれは、専門家が見るところは、対外スパイ工作の元締めであります。間違いない。これが間違っていたら私は責任を負います。そういう立場の者であります。表面的にはほとんど顔を出さない人でございます。表面的には今までほとんど顔を出さない。  こうやって、過去のこととはいえ、一緒に写真を撮っだということは、武村大臣は、リ・チャンソン氏にとってはまさに、あちら流に言えば同志的な扱いでございます。――――――――――――――――――――――これがこの新聞においては実証されているわけでございまして、金日成と隣り合わせで写真を撮る、これも北朝鮮においては神様の存在でございまして、申しわけありませんが、当時はあなたは一介の知事でございました。その立場で隣り合わせで写真を撮るということは、北朝鮮においては驚天動地の事態なんでございます。  このような人物と直接関係を持つ現日本の大蔵大臣が、なおかつ元日本官房長官もやっていた、これは我が国にとっては大変な問題である、こう私は指摘をせざるを得ないのでございます。  ところで、法務省おりますか、法務省。法務省おりますか。  また十三日にお話をいたしますが、もう一つ次のことをお伺いします。  九月二十五日の読売新聞の千葉県版でございますが、またサンデー毎日の二十三日の、この最新のものについてでございます。これと千葉県版、これでございますが、千葉県の御宿ゴルフ場をめぐっての政治家の疑惑問題が報道をされております。  この問題については、法務省当局は状況を承知しておられるのでしょうか。また、捜査すべきと思いますが、いかがでございましょうか。
  102. 則定衛

    ○則定政府委員 お答えします。  ただいま御指摘報道につきましては、法務当局及び検察当局とも一応知っております。報道されている中身につきまして、検察当局として捜査すべきか否か、これにつきましては、もとより検察当局が独自に決定すべきことでございまして、私ども法務当局としては何とも申し上げかねるところでございます。
  103. 山岡賢次

    山岡委員 事実関係はこれからといたしましても、一般論といたしまして、報道のとおりであるとするなら刑事事件となると思います。いかがでございましょうか。
  104. 則定衛

    ○則定政府委員 ただいま申しましたように、具体的案件につきまして捜査するかどうかは検察当局が独自に決めるわけでございますが、報道されている中身が果たしていわゆる刑事事件になるかどうか、これらにつきましても、当然のことながら捜査当局において、その必要に応じて適切に対応した結果どう判断するかというところにかかっていくかと存じます。
  105. 山岡賢次

    山岡委員 最高裁、おいでですか。  報道によりますと、この御宿ゴルフ倶楽部をめぐる問題に関連しまして民事訴訟がこれから行われ、答弁書が被告から提出されている、こういうことになっております。この答弁書の内容について極めて高い関心を持つものであります。この答弁書は、いずれ公判で明示されるものでありましょうから、当委員会に資料として提出をしていただきたいと思います。  報道によれば、この問題は政治改革関連法案が審議中に発生しているものであります。事実とすれば、まことに遺憾なことであるわけでございまして、国会としては事実を追及する必要があると思います。犯罪であれば、司直は厳正に対処すべきであると思います。そのためには、まず答弁書の内容が報道どおりであるのか否か知りたいと思うのでございますが、いかがでございますか、最高裁。
  106. 涌井紀夫

    ○涌井最高裁判所長官代理者 お話のございました答弁書と申しますのは、東京地裁に現に係属中の民事の事件につきまして一方の当事者が作成しまして提出した書類でございます。こういった訴訟書類につきましては、やはり事件当事者の訴訟活動に対する影響といった点も配慮する必要がございますので、従前から、裁判所の方からこの答弁書を提出するという扱いは差し控えさせていただいておりまして、そういう扱いで御理解を得てきているところでございます。  今回の件につきましても同様な扱いで御理解をいただければと思っております。
  107. 山岡賢次

    山岡委員 今は答弁書を出せない、こういうことかもしれませんが、総理にお伺いをいたします。  大蔵大臣につきましては、今申し上げましたが、これらの経歴や実態等々を見ますと、今まで言われているような表面のものと実際の中身は正反対に違うんじゃないか、こういうことを最近のマスコミが指摘をし始めているわけでございますが、当然のことではないかと思うわけでございまして、また、御宿ゴルフ倶楽部の疑惑につきましては、自民党の大物政治家の名前が報道をされております。  村山総理は、金権打破を公約として昨年の総選挙で当選をされてこられました。総理の公約を読ましていただきましたが、大変立派なことが書いてあるわけでございまして、読んでみましょうか。   第一二六通常国会は、佐川事件に端を発した巨額脱税・不正蓄財事件などの、金権腐敗政治に対する、国民の怒りの声によって、内閣不信任案が可決され、衆議院は解散しました。   この結果、自民党は分裂し、今、自民党政権は音を立てて崩れ落ちょっとしています。今回の選挙結果によっては、大きく政治状況が変わろうとしています。   まさに、「カネがモノを言う政治から、主権者国民がモノをいう政治へ」政治改革を実現させ、日本を蘇らせることが出来る時なのです。   私、村山富市は自社連立と、こうなるんでありますが、それはともかく、この御宿ゴルフ倶楽部疑惑問題といい、先ほど指摘をしました大臣の問題といい、極めて重大な問題でございます。  きょうは時間がございませんので、明後日、十三日に本委員会において改めて質問をさせていただきます。改めてさせていただきます。  総理は、今までこういうふうに公約をしてきた、政策の問題も含めて、実態は全く違うじゃありませんかと、こういうことで公約違反を率直におわびをいただき、国際的に問題のある人物と政権をつくるということは国民にとって到底理解、容認できないことであるわけでございまして、直ちに総辞職をすべきであると思いますが、いかがでございましょう。
  108. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今まで委員が言われたことにつきまして、大蔵大臣はそういう事実はないと否定しているんです。しかも、週刊誌に書かれたようなことを盾にとって、いかにも何か疑惑等の事実があるような印象を与えるような、そういうことについて私は今答えることはできない、答える必要はないというふうに思います。
  109. 山岡賢次

    山岡委員 きょうのところはテレビもありますし、順番もあります。そういうことで、四十五分、予定の時間でございますから終わらせていただきます。また十三日に改めて御質問させていただきます。
  110. 佐藤観樹

    佐藤委員長 ただいまの山岡君の発言中、穏当を欠く部分がありました場合は、後刻、速記録を調べまして、理事会で協議の上、措置いたします。  この際、草川昭三君から関連質疑の申し出があります。中野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。草川昭三君。
  111. 草川昭三

    草川委員 草川昭三であります。  私は、午前中に村山総理の政策変更についてのお考えを聞き、そして午後、特に閣僚の政治倫理、政治姿勢について午後一時からの時間を対象にさせていただきたい、こう思います。  そこで、今、午前中ですね、久方ぶりに総理に直接お会いをするようになったわけでございますが、大変御苦心の答弁を率直になされておみえになります。村山さんは、何といっても社労族が長い、私もおつき合いがあるわけでありますが、やはり防衛政策については随分戸惑う答弁がございます。私は国民の一人として、内閣総理大臣たるものが日本の国の安全保障あるいは国の防衛政策についてきちっとした哲学を持ってもらわなきゃ困る。  私は、今のお話を聞いていると、いろいろと長い間社会党は悩んできましたよ、それはわかりますよ、お互いに各党それぞれの情勢分析をやっているわけですから。しかし、結論から言うと、総理大臣になった、政権をとったから変わったと、この一言に尽きるのですよ、今の答弁は。それでは国民は納得しませんよ。だって、公約というのはあるわけでしょう。  我々だって皆さん方と三年前、あのPKO法案でどういう対決をしましたか。ぼろかすに皆さん方は我々を非難しましたよ。何と言いましたか。今すぐ直ちに徴兵制が始まる。あの参議院の選挙のときにみんなおっしゃった。我々は保守反動の手先だと言われたのだから、ここで。そういうわけですから、何も社会党の中だけの問題じゃないんですよ。多くの国民なり多くの議会人に対しても、どこでどう変わったかはっきり言ってもらわなきゃ困る。  だから明確に言ってもらいたいのですが、要するに、六月二十九日に自衛隊認知論を言われたのか、七月の二十日なり二十一日の本会議のときにあなたは自衛隊違憲論を取り下げられたのか、あるいは九月三日に追認をされたからそれでええのだとおっしゃるのか、明確に答えていただきたい。
  112. 村山富市

    村山内閣総理大臣 先ほど来お答えを申し上げておりますように、この自衛隊が違憲か合憲かという問題については、もう随分久しい間党内では問題を議論してきているわけです。  そういう議論の経過を踏まえた上で、たまたま私が総理大臣というポストに就任をした、しかもそれは社会党単独政権ではなくて三党の連立政権である、こういういろいろなこの状況等も踏まえた上で、ここでこれまでの党内議論に終止符を打つ意味でも結論を出すべきではないか、こういう私の決断で私は本会議で答弁をしたのです。で、その私の本会議の答弁を引き続いて社会党の党大会で十分議論もしていただいて、そして了解していただいた、こういう経過であります。
  113. 草川昭三

    草川委員 今の答弁は、要するに七月の二十日、本会議の答弁で決意をした、こういうことですね。  じゃ、河野総裁にお伺いをいたします。  六月の二十九日に自由民主党河野総裁は村山首班を指名されましたね。そのときには少なくとも村山さんは、さんとあえて言いますけれども、違憲論者だった。自衛隊違憲論者だった。自衛隊の違憲論者ということを承知をしながら自民党の皆様方は村山さんに投票したのですか。明確にお答え願いたい。
  114. 河野洋平

    河野国務大臣 委員ももう承知の上でお話をしておられると思いますけれども、我々は村山首班指名に臨むに当たって、三党で政策についての大枠合意をしているわけでございます。その政策の大枠合意には、外交政策を初めとして主要政策についてこれを継承するということについて合意があるわけでございます。こうした合意に基づいて我々は村山首班を指名したわけでございます。
  115. 草川昭三

    草川委員 それは私への答弁になっていません。少なくとも社会党さんとさきがけとの間に合意があったことは事実ですが、この問題については触れられていません。いいですか。そして、おたくたちは電話で御連絡をなすったようですね。丸のみだという話があったようですね。  そういうことで決められたわけですから、少なくとも、私は、六月二十九日のあの投票のときに、村山さんがいわゆる自衛隊違憲論を取り下げます、憲法の枠内だということを皆様方は承知をしていないはずです。(発言する者あり)今たまたまこちらの方から不規則発言がございまして、変わるということを信じていたから入れたというお話があった。多分そうでしょうね。  じゃ、変わるということを信じて入れたらそれはやみ取引ですよ、皆さん方がやったのは。政権をとるためのやみ取引だ。なぜなら、どうしてですか、国民の前にどうしてこの問題を明らかにするという政策合意を発表し、そして我々は旧連立とは違うのだ、こういう組み合わせをやるのだということを言わないのですか。そこをひとつ村山さん、明確に答えていただきたい。
  116. 河野洋平

    河野国務大臣 あの経緯について十分御承知だとは思いますけれども、我々は政権構想をそれぞれ持っていたわけです。自由民主党は自由民主党であの時点で政権構想というものを持っておりました。基本的な考え方を我々は当時の社会党委員長であった村山さんに部屋を訪ねてきちんとお渡しをして、村山さんはその我々の考え方を見ておられます。  さらに、今お尋ねのように社会党とさきがけとは合意が既にございました。その合意について我が党に提示をされたのでございます。その提示を受けて我が党としては、ここにおられますが、当時政調会長であった橋本政調会長が政調の幹部を集めて、このさきがけ、日本社会党の合意についてどうするかということを言われて、大筋合意、テーブルに着いて議論をするにふさわしい内容のものであるという判断をされて、我々執行部にさらにお任せをいただいて、執行部として議論をし、合意をしたという手順がきちっと踏まれております。
  117. 草川昭三

    草川委員 それは皆様方だけのいろんな話し合いの弁解にすぎません、そんなものは。  私が今質問をしているのは、村山さんが七月の二十日に、自衛隊違憲論ではない、憲法の枠内だということを言ったのは、いっ決断をしたのか。それは三党合意の中に明確に書いてあるのか。それを聞いているのです。
  118. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私は、たまたま総理に就任をして、本会議でこの質問に対して答えるという状況の中で私の見解を述べたのです。しかし、それは突然変異みたいにその日に決めたことでも何でもない。だから、さっきから申し上げておりますように、党内では継続して、継続してずうっと議論があっているわけですよ。その議論を踏まえた上で、私はそういう見解を述べたのです。いいですか。――ちょっと待ってください。  そこで、三党合意事項の中ではこういうふうに言っているわけです。「外交・安全保障・国連改革」ですね。   わが国は軍事大国化の道を歩まず、核武装の意思がないことを世界に向かって発信し、これをわが国外交の基本とする。自衛隊と日米安全保障条約を維持し、近隣諸国間の信頼醸成活動に力を入れつつ軍縮を進める。日本国憲法は、国連による普遍的安全保障を理念としていることを認識し、世界の平和とわが国の安全保障を確保するため、国連の平和維持活動に積極的に参加する。こういうことを書いているわけです。  それから、申し上げておきますけれども、「新政権は、日本国憲法の理念を踏まえて国連改革に努力」すると、「日本国憲法の理念を踏まえて」ということも明記しております。
  119. 草川昭三

    草川委員 だから、私が最初から何回か説明しているけれども、その中にいわゆる自衛隊は違憲ではないということが書いてあるのですかと。ただ、それは継続ということしか書いてないじゃないですか。継続で。  じゃ、なぜあなたはわざわざ七月の二十日の本会議で、自衛隊認知ということを言ったのですか。それは、あなたは三軍の長なんですよ。だから、三軍の長だからこそ自衛隊員だって、新しい内閣総理大臣、すなわちいわゆる陸海空、これの最高の長がどういう考え方か大変心配しておるわけですよ。だから、あなたは七月二十日にああいう本会議答弁したんでしょう。  それまであなたたちは何を言っていたんですか。憲法の拡大解釈によって、歴代内閣は、今や自衛隊は巨大な軍事力を持つようになり、アジア諸国からも警戒の念を表明されているとずうっと社会党は言っていたじゃないですか。突然変異じゃないですか。突然変異というのは、あなたが内閣総理大臣になったから突然変異したんですよ。  それだから、あなたははっきりとそれをまず認めて、私が言いたいのは、社会党の過去のこういう運動方針なり歴史の認識が誤っていたということをまず認めることがこの内閣のスタートですよ。それをごまかして、日本の国民の前にいいころかげんなことを言ってもらっちゃ困るんだよ、我々は。それだけを明確に申し上げたい。
  120. 村山富市

    村山内閣総理大臣 なぜ表明したのかと言われればだね、これは質問がありましたから質問に答えたんですよ。それ以外のものでもないですよ。質問もないのに私がわざわざ断って言う必要もないわけですからね。質問がございましたから答えたのです。  それから、ずっと言い続けておりますように、あなたがどういうふうに受けとめて理解されるかは、それはまたあなたの自由であるかもしれませんけれども、しかし、事の経過からすれば、何度も申し上げておりますように、やはり、講和条約を締結し安全保障条約を結んできたその背景には、全面講和ができなかった背景というものがあるわけです。  それは、やはり片やアメリカ、片やソ連というものを超大国にして、そして世界全体が対立していくという構造の中で、日本はどっちかに偏っちゃいかぬというので、我々は全面講和を主張し、非武装中立というものを押し立てて、そして、日本のこれからのやはり進むべき道はこれでしかないじゃないかというので運動をやってきたのですよ。その運動の過程の中で、いろいろなやはり国民的なコンセンサスがつくられてきているのですよ。そういう結果的にできている国民の世論、国民の声、国民の期待というものをやはり踏まえて考えていくのが政治じゃないでしょうか。  私は、そういう意味で、そういう意味で、その経過と歴史の中で党内でもそんな議論は繰り返し繰り返しやってきているわけです。その議論の結論として、今申し上げましたように、社会党は方向を変えましたということを申し上げているわけですから、御理解をいただきたいと思います。
  121. 草川昭三

    草川委員 全然それは理解になりません。全然理解になりません。しかも、今、総理の答弁は、大変私は総理としてはけしからぬ答弁ですよ。いわゆる質問があったから答えたまでだと。質問がなければ言う必要はないと。  それは、あなたは総理大臣になったんだから、少なくとも日本の国の安全保障、自衛隊等々の問題については、少なくとも新聞記者会見であろうとどういう場であろうと、毎日会見があるんだから、私は、総理になった以上は、皆さん多分御心配だろうと思うから、自衛隊の問題については、従来こういう態度をとってきたけれども今回は認知論に変わりましたということぐらいを総理は言うべきですよ。だって、日本の国民だけではなくて、東南アジアだって外国だってみんな心配しているんだから。ふざけてもらっちゃ困るよ。今の発言は撤回してくださいよ。
  122. 村山富市

    村山内閣総理大臣 それは撤回する、しないにかかわらず、これは三党合意の中に明確にうたわれているわけですから、もう。したがって、私が殊さらそれを改めて、まあおまえ、それを言えばよかったじゃないかという見解もあるかもしれませんよ。あるかもしれませんけれども、それはあえて私は言う必要はなかったと思って言わなかっただけの話でありまして、それは私は、やはりそこは見解の違いじゃないかと思いますけれども、私は私の気持ちを率直に申し上げているところであります。
  123. 草川昭三

    草川委員 時間がないので、もうあと一分でございますから。  村山さん、あのね、今もう大変あなた、強権的な答弁をしていますよ。あなたね、今までの社会党の人だったらそんな答弁してないですよ。権力の座につくとそんなに態度が変わるんですかね、権力の座につくと。その自衛隊という問題については、多くの国民の皆さんなり諸外国の人たちが、新しい内閣総理大臣はどういう見解だろう、みんな注目を持っていますよ。それは、そんな程度の話だというような答弁がございました。そんな程度なんというのも私は問題があると思うのです。これこそ議事録をよく調べて、総理として適格性のある答弁とは私は思いません。  あなたは、あなたなりに一つの考え方を持ってこういう枠組みをつくられたわけですから、それなりのやはり国民の理解なり野党の協力が必要ですよ。あなたのような強権的な態度をとられるなら、我々は我々で考えなければいけないということで、午前中は終わりたいと思います。
  124. 佐藤観樹

    佐藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  125. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草川昭三君。
  126. 草川昭三

    草川委員 草川であります。  閣僚の政治倫理の前に、一問イラク情勢についてお伺いをしたいと思います。  アメリカは、イラクが撤退をしない、こういう認識を示して、今の情勢が展開をしておりますが、我が国政府としての見解、そしてまた今後の対応を明らかにされたいと思います。
  127. 河野洋平

    河野国務大臣 草川委員指摘のとおり、クリントン大統領は日本時間の十一日九時演説を行いまして、イラクは国境付近に集結させた軍隊を撤退させると言っているが、撤退しているという証拠を見せていないというふうに指摘をして、さらに、我々はイラクが本当に撤退するかを注視していきたい、こう述べております。我が国の姿勢もこれと同じく、目下情報収集に努力中でございます。  しかしその一方で、こうしたイラク軍動きに伴いまして、在クウエート大使館は在留邦人に対しまして情報提供に鋭意努めておるところでございます。十日夕方には、これは現地時間でございますが、現地在留邦人関係者との間で緊急会議を行いまして、今後の対応を協議し、大使館より、現下の情勢を注視し、不測の事態に備え準備するよう注意を喚起したところでございます。  一方、不要不急の邦人の早目の出国についてアドバイスを行うと同時に、クウエート向け渡航者に対し渡航自粛勧告を出すというような作業を目下いたしております。今後の推移いかんによっては適切にさらに対応しなければならぬものと考えております。
  128. 草川昭三

    草川委員 ぜひ、重大な情勢でございますので、的確な対応を求めたいと思います。  では、閣僚の具体的な問題提起をし、政治倫理について質問をしたいと思います。  元暴力団組長の池田保次氏という方がおみえになりましたが、この方は昭和六十一年一月、大阪で不動産会社を設立をいたしました。コスモポリタンという会社であります。この会社は、京阪神の都心の地上げで得た資金を元に東海興業、雅叙園観光、日本ドリーム観光、石原建設等々の株を買い占めまして、証券業界の注目を浴びていたことがございます。  資金源は金融業者や暴力団が主で、一千億円以上の資金で仕手戦、仕手戦というのは証券取引法では株価操縦として禁止をされている行為でございますけれども、この仕手戦に投入をしましたが、六十二年秋の株価暴落や後ほど指摘をしますタクマ株の買い占めの失敗で経営難に陥り、関連会社が相次いで倒産をする。八八年八月十一日にはこのコスモポリタンの会長が失踪をするという事件が起きております。  そこで、同年十一月大阪地方裁判所が破産宣告をいたします。破産管財人の調べによりますと、負債総額は約三千億円、使途不明金が七百億と言われているわけでございますが、そこで、このコスモポリタン株式会社と亀井運輸大臣との関係について質問を申し上げたいと思います。  まず第一は、六十三年二月の初めのことでございます。コスモポリタンの会長の指示で同社の経理担当者が亀井大臣の秘書に額面二億五千万円の約束手形を二通、計五億円を手渡したということが言われております。この金は東京証券取引所一部上場のシロキ工業株とオーミケンシ株、約三十八万株の購入代金でございますが、このことについてまず亀井運輸大臣の答弁を求めたいと思います。
  129. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員にお答えをいたします。  池田社長とは私の友人を通じて知り合いになったということは事実でございます。しかしながら、株の売買とかあるいは約束手形の交換というようなそういうようなことについて池田氏と関係を持ったという記憶はございません。
  130. 草川昭三

    草川委員 ちょっと大臣、悪いですが、前のどこかお席に交代して座っていただきたいのでございますが。  じゃ、大臣も秘書もというような今御答弁でございましたけれども、コスモポリタンから五億円の手形を受け取っていませんか。もう一度念を押しますが、後で訂正をされるようなことはございませんか。
  131. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私の記憶ではそういうことはございません。
  132. 草川昭三

    草川委員 じゃ、大変恐縮でございますが、ここにアンティックジュエリー遊というこの関連企業でございますが、ここの約束手形の裏に亀井静香秘書高橋志郎さんの名前で判が押してありますが、これをちょっとお見せしますが、御確認願いたいと思うのです。――これはどうですか。
  133. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 今私、これを初めて見ますけれども、当時の池田氏との関係等につきまして若干ちょっと御説明をさしていただきたいと思いますが、当時、私の友人等、数で十七、八名だったと思いますけれども、池田氏から株の購入を勧められて、そのときに元本はちゃんと、元値を保証するからという、そういう勧めを受けて購入をした人たちがおりました。  ところが、大暴落が起きまして、約束どおりそれを元手で引き取ってくれという交渉をされましたところ、何か資金繰りが大変だということでなかなかこれを受けてもらえないという話でございまして、私のところに何とか池田社長に話をしてくれぬかということでございました。そういうことで、私、そうしたことを約束をして購入をさしたのであればちゃんとしてあげたらどうですかという私はアドバイスをいたしました。  その関係のことが、実はある新聞社に私は取材を受けまして、経緯を全部説明いたしました。そういたしましたら、その記者は、じゃ人助けをされたんですねということで、私は詳細を全部あれいたしましたから、その差額等を含めて、じゃ池田さんがまとめてくれということでございますので、うちの高橋秘書が関係者からまとめまして、じゃ、どこに代金を振り込んだらいいんでしょうかということですので、私は人助けをやっておるわけでありますから、悪いことをやっていると思っておりませんので、国会内の大和銀行の私の口座に振り込んでくれるようにという私は話をいたしまして、それに基づいて振り込まれたことが、ある新聞ではあたかも私が何か仕手株等をやってもうけたとか、あるいは差額補てんさしたみたいな大きな報道がされたわけであります。  実は私は、自身は告訴をしたいという気持ちでありましたけれども、それをいたしますと関係者に大変な迷惑を、私の友人にかけるわけでありますので、私はそれを告訴もしなかったわけでありますが、そういう足元を見ての、私にとっては極めて誤解を生ずるようなそういうことがあったことは非常に遺憾でございまして、今まで私自身これを弁明するといいますか、説明をする機会がございませんでしたので、委員の御質問は非常に私はきょうありがたいと思っておるわけであります。  なお申しますと、今管財人の話がございましたけれども、そういう関係の金が、池田氏から見れば私が話をしたということでもありますので、処理が亀井分というような形で社内に残っておったようでございまして、管財人からこれについての、私に対して問い合わせがございました。それで、私は私の友人等に連絡をいたしまして、弁護士を立てまして、彼らが管財人と折衝をいたしました結果、これについては円満に解決をしておる、このように私は承知をいたしております。  以上でございます。
  134. 草川昭三

    草川委員 ちょっと、それを返してもらえますか。  今の答弁は、最初は全然関知していない、私がここに約束手形を出しましてお見せをしたら、実はしかじかかくかく管財人、管財人のことはまだ私何も言っていないんですよ。いやいや、それはもうこれから問題提起をするのでございますから、ひとつ亀井さんも事の経緯というのは十分承知をしておみえになりますし、今もたまたま答弁がありますが、元本保証で株を購入するなんということは原則的にあり得ない話なんですよ。そういうことの株の取引に、現在運輸大臣という非常に主要な閣僚が御発言なされるというのは、これは庶民にとってみては驚くべき話で、元本保証の株の取引というのは現実にあり得るのかどうか。これは、大蔵省証券局を呼べば全くそれは違法だという答弁が出ることはわかっていますよ。  これは大蔵大臣に聞いたっていいと思うんですよ。元本保証の取引が通常あり得るんですか。ちょっと大蔵大臣に聞きましょう。閣僚として言ってください。
  135. 武村正義

    ○武村国務大臣 政府委員からお答えをいたします。(発言する者あり)
  136. 草川昭三

    草川委員 そんなことで時間をとるのはもったいない。だからやめますが、そんなことは当たり前のことですよ。これはもう閣僚として、大蔵大臣、自分で答えてくださいよ、これはモラルの問題だから。元本保証で株の取引があるなんということを主要閣僚が言っているんだから、間違いなら間違いと言ってくださいよ、これはテレビで見ているんだから。そんなことは承知ならぬですよ。いいかげんな答弁はやめてくださいよ。
  137. 武村正義

    ○武村国務大臣 もちろん私も、常識的には証券会社の営業活動でそういうことはないだろうというふうに思っておりますが、亀井大臣は個人対個人の話としておっしゃっているようであります。
  138. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 お答えいたします。  証券会社との間でということで私は申し上げているわけじゃありません。私の友人の、十六、七名だったと思いますが、その人たちに対して、池田氏がそういうことで株を買えと言ったと。それに対して、暴落した場合その約束を守らなかったと。もうとにかく首をつりたいような話まで私のところに持ち込まれまして、それはそういう約束をしてあなたは買わせたのなら、やはりこれはもうあなた約束を守ったらどうですかということを、私は個人の立場でアドバイスしたわけですから、これは証券会社の話じゃございません。個人対個人のそういう話でございます。私は、これは人助けを私はした。その間についての、それは困っている人を助けるのは当たり前でしょう、だってそれは。
  139. 草川昭三

    草川委員 困っている人と今おっしゃいましたが、元暴力団組長の池田という人がコスモポリタンという会社をつくり、いわゆる仕手戦をやったわけですよ。いいですか。それの会長が、おい、株を買いなさいよ、これが、買えば、どんどんみんなではやし立てれば上がりますよ、こういうことを言ったのでしょう。それに乗ったのでしょうね。そこで暴落をした、困った。そこであなたが中に入ってくるわけですよ。(亀井国務大臣「入ったんじゃない」と呼ぶ)  いやいや、新聞によれば、今私は何も言っていませんが、あなたは某新聞によればということを言っていますが、その某新聞によれば、池田というそのコスモポリタンの会長はいわゆるいろいろな経緯のある方で、こわもての人だから私が中に出た、私は警察官僚OBだからというインタビューがあるのです。覚えていますか。そういう中に入って、何が人助けなんですか。暴力団を相手に仕手戦をしかける、それによって多くの投資家が巻き込まれて損をする。その中に入っていくというのが、それが自民党の代議士のやることですか。
  140. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は、見識のある委員の御発言とはちょっと思えない御質問を受けておるわけでありますが、私は、池田氏が当時暴力団の現役の組員であるとかいうようなことは承知しておりませんでした。過去においていろんなことがあった人だというようなことは、うわさは聞いておりましたけれども。  その方から――私が申し上げた十六、七人という人は、何もこの方たちは仕手戦をやっている人じゃありません。私は名前を申し上げませんけれども、ちゃんとした方々なんですよ。そういう方々に対して彼がそういうことを言って、買わせて、その人たちが首でもつろうかというような深刻な状態に追い込まれた。そうであれば、たとえ元暴力団の団長であろうが団員であろうが、あの池田氏に対して私から、たまたま知り合いを通じてその人と私面識があったわけでありますから、そういうことはおかしいんじゃないかと言ってあげるのが何でいかぬのですか。そういう困った人を助けるのが何でいかぬのですかと私申し上げている。
  141. 草川昭三

    草川委員 じゃ、あなたがそこまでおっしゃるなら、その新聞等の中に書かれてある言葉もございますけれども、当然のことながらあなたの友人に裏をとっている。あなた、本当にこのコスモポリタンの推奨する株を買ったんですか。五人のうち三人までは私は知らぬと言っているんだよ。亀井さんだと言っているんだ。それが証拠に亀井さん、受領書、大阪市北区梅田一丁目コスモポリタン、会社の方の代表取締役、亀井静香殿、下記株券正に受領いたしました。白木金属工業二十万株、オーミケンシ十八万三千株。会社があなたからこれを引き受けたという領収書あるじゃないですか。あなたはまさしくこれに関与しているんだ。どうですか。
  142. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほど申し上げましたように、この件に関して、私の秘書に対して関係者の株券の取りまとめ等もやらしたんですよ。十何名をばらばらに受けるわけにいかぬと池田さんが言うわけでありますから、それでうちの秘書に、関係者の株券を全部集めて、そうして相手方に渡して、そうして購入したときの代金を払うということで、この大和銀行の銀行口座に振り込ましたという話であります。また、ちゃんとやるということをおっしゃっていただいた以上は、私の方としては事務手続、そんなもの私は知らぬとは言えない。まとめてくださいと言われればまとめる事務等をやらざるを得ない。そのことは私はぜひ御理解をいただきたい。  なお、申し上げておきますけれども、どの方がどう言われたかは知りませんけれども、真実は一つてあります。
  143. 草川昭三

    草川委員 私が言うことも真実なんですよ。いいですか。一亀井国務大臣「何も真実じゃない」と呼ぶ)冗談じゃないとあなた言っているけれどもね、そういう態度よくないですよ。あなた、我々が質問しているんだから、きちっと答えてくださいよ。  ちなみに、その池田というコスモポリタンの会長と最初に知り合ったのはいつごろでございますか。そして、どの程度の交際をされていたんですか。かなり深い交際を何回かやっていたという話を私どもは調べておりますけれども、どうですか。
  144. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 昔のことでございますから、いっのいつごろなんという私記憶は定かではございません、はっきり申し上げまして。  池田氏とは私は深いつき合いをした覚えはございません。具体的にそういうことがあるんでしたら、具体的にぜひひとつ私お話しいただきたいと思います。
  145. 草川昭三

    草川委員 仕手を勧められたのは、このコスモポリタンの会長から亀井氏が最初なんですよ。それで、あなたがその他の、近くの親戚の人か、料亭のおかみか、あるいは警察のOBの方だとか、いろんな方々と話をしたということは我々も聞いていますけれども、しかし、まとめたのはあんたじゃないですか。だからこういうのを書くのですよ、領収書を。(亀井国務大臣「何言っているんだ」と呼ぶ)何言っているんですか、じゃ、答えてください。
  146. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 ちょっと申し上げますけれども、事実関係を私はきっちりと押さえて私は御質問願いたいと思うんですよ。  私、先ほどから申し上げているように、これに、この株については、そうした約束を池田氏が守らないんで困っているということで、私はその後、彼と交渉して、ちゃんと約束どおりのことを履行するということを取りつけたわけです。  その後、今申し上げましたように関係者、十六、七人ぐらいだと思いますけれども、これはちゃんとした人ですよ、そういう方々からうちの秘書が株券等を集めて、そうして相手方に渡すのですから、受領証を受け取るのは当たり前の話であります、受領証を受け取らぬと困りますから。そうしてその代金を払ったということでございまして、また委員に私はこういうところでこう言うのは申しわけございませんけれども、そうした私と池田氏との関係等についてそんな揣摩憶測を持って私は断定をされてもらって、私自身の名誉に関することでございますから、ぜひそのあたりは御注意願いたい。
  147. 草川昭三

    草川委員 我々も、いいですか、閣僚の政治倫理、そういうものを追及しているのですから、私は、その大臣の席に座った以上、我々の質問にはきちっと答える、反論は反論する資料を出しなさい、今から言いますから。  じゃ、あなたが友達何がし、四人でも五人でも六人でもいいよ、あなた今十何人だと言ったけれども、我々は少なくとも名前は六人と聞いておりますよ。そうしたら、あなたが十人と言うならば、十人はどういう方々にこの二億五千万、二億五千万、計五億の株代金を集めたのか、あるいは何株渡したのか、そういう具体的な資料を出せますか、ここへ。
  148. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほど申し上げましたように、私といたしましては、別に政治家の業務としてやったわけでもございませんし、私が経営している会社でやったわけでもございません。たまたまそういう困っている方々からどうにかしてくれということでやった一過性のことでございまして、しかも、その関係者の名前を私が出したりすることができるのでしたら、私はとうの昔にその新聞社を告訴しております。それは、私の友人に対する信義上からもそういうことはできません。
  149. 草川昭三

    草川委員 じゃ、皆さんが、あなたのお友達が困っていた、相談があった、人助けをした。人助けをしたら、いいことじゃないですか、堂々と言ったらどうですか。言えないというのでしょう、今。言えないというところにごまかしかあるのですよ、あなたの態度には。じゃ、私がとにかく資料を出しますから。  次いで、その資料を出す前に、あなたはその株の取引に立ち会っていますか。
  150. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほど申し上げましたように、私はそのことを池田氏に伝えて、そうして彼が、じゃそういたしますと言った。あとは私の秘書がそういう形で関係者の株券等を取りまとめる、そういう作業をしたということでございまして、私が立ち会うような場面なんか起こるはずがございません。
  151. 草川昭三

    草川委員 あなた、大変重大な答弁をしました、立ち会うわけがない。ところが、実際上、専門的なことになりますからごく簡単に言いますと、約束手形を持ってきた、二通持ってきた。実は今あなたに見せた約束手形の最初の手形は、日付がこれは六十三年二月の十八日になっている。ところが、この二月の十八日にあなたはいなかったのです。そこで、あなたがいなかったために、亀井氏不在のため後日回収すると言って、この一枚目の手形はジャンプするのです。新たにこれを差しかえをするのです。差しかえをする領収書も全部私は持っています。  要するに、亀井さんがいた、亀井さんにこの株券と約束手形を交換する、ところが、亀井さんがいなかったからその分だけは後日に回すということなんです。だから、亀井さんが立ち会っているという証明なんですよ、これは。それでもあなたは関係がないとおっしゃる。これも強弁というのですかね、そういうことですよ。
  152. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員一つの仮定に基づいて私に、はずがない、はずがないとおっしゃるわけでありますが、だって、今の話でも、私が不在だったからと相手の方が言っているということでありますけれども、それはもうあちらの方が言っていることであって、私はそういう問題について具体的に処理に立ち会っていないわけですから、不在だとか不在でないとか、そんなことをおっしゃいましても、私は答弁のしようがありません。
  153. 草川昭三

    草川委員 答弁がないといったって、その株の取引にあなたは関与したのかという私の質問なんだ。(亀井国務大臣「しないって」と呼ぶ)だから、しない、しないけれども、そういうのの裏づけの資料があるじゃないですかということを言っているんだ。  だから、さらに話を続けます。この取引は当時の株の値段に約一億六千万円も上積みをされた異常に高い価格なんです。亀井代議士は時価より一億六千万円も高い値段でコスモポリタンに株を押しつけた、そういう役割をあなたは担ったのですよ。何が人助けですか、五割も高い値段で相手を泣かしたのだから。  当時、記者は、多分あなたの知っている新聞記者だと思いますが、株価より一億六千万円高く引き取らせたことは、コスモポリタン株式会社よりの借入金だ、政治献金ではないと言った、こう言うのですね。そのことはどうなんですか。そういうことを言ったのですか。
  154. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 何度も申し上げますように、この問題については私自身の取引だとかそういうことじゃございませんので、このことについて私が不法な利得を得るとか、あるいはまた政治献金とかそういうことが発生する余地は全然ございません。(発言する者あり)私の取引じゃございませんと私は申し上げているのです。
  155. 草川昭三

    草川委員 あなたの取引でないと言っても、あなたの名前で、そしてあなたの秘書があなたの名前で株を受け取り、あるいは約束手形を受け取り、そしてあなたのこの約束手形というのは大和銀行衆議院支店で決済をされているのだから、私は知りません――これは、金額はこれ二つだけでも五億ですよ。まだ、後ほど説明をしますと、これがもっと大きな金額になる。そこは、少なくともこれは我々庶民の感覚でいったら信じられぬことをやっているわけですよ。  関係がない、関係がないと言ったって、関係全部あるじゃないですか、あなたの名前が全部出ているのだから。それで関係ないなんというのは言いくるめも甚だしいよ。そんなものはもう答弁にならぬですよ、大臣としての。
  156. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は、先ほど申し上げておりますように、関係がないとは言っていませんよ。そうでしょう。私の取引とか私の利得のためにやったことではないということを申し上げている。  これは某新聞で私との独占インタビューという形で書いたわけですけれども、それはその記者も認めているのですよ。それは、亀井先生、じゃ人助けしたのですねと話したのです。だから私は、向きりで記事にしないということで、ああと思っておったら、ああいう形になったのです。ところが、私はこれを告訴いたしますというと、先ほど言いましたように、関係者が、私以外の関係者について具体的な疎明をせねばいけません。そういうことは、これはそれぞれ事業を営んでおったりいろいろな生活をしておるわけですから、それに迷惑をかけるわけにはいかぬということで、私は今日まで耐え忍んでおった。  ですから、先ほどおっしゃっていることは、関係ないとは言っていないですよ。だから、それに基づいて、うちの秘書が十六、七名の関係者から株券を集めて、それを彼の方に渡して、だから受取書があるのは当たり前です。悪いことをしているのなら、私だってはかじゃありませんから、どこかに架空口座か何かつくってそこに入れさせますよ。人助けで、自分のことじゃないから私は大和銀行の国会内の口座に堂々と振り込ませたのですよ。私だってそんなばかじゃありませんから、やましいことをしているのならそんなことをいたしませんよ。
  157. 草川昭三

    草川委員 亀井運輸大臣は重大なことを言っていますよ、あなた。あなたの政治倫理はそういう程度の話かしりませんけれども、我々庶民の感覚で言う金額とあなたが立ち会ったところの金額とはけたが違っているのですよ。だから、あなたの友達の名前を言いなさい、言うことできません、迷惑がかかる。裏金でしょう、結局。裏金の世界であなたは生きているんだよ。その点はどうなんですか。だったら、裏金の世界でなければ堂々と言えばいいじゃないですか。五人でも十人でも名前を出して、私じゃないということを言いなさいよ。言えないと言うんだからおかしい。
  158. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 それは、お言葉ですけれども、私の友人はそんなことをやっておりません。ただ、当時、御承知のように株式投資が非常に華やかであったために、そうした友人たちもなけなしの金とかいろいろなことを集めて投資をした結果、大暴落をして、もう大変な事態になったんですよ、これは事実。そういうことに対して、私が相談を受けて政治家として、相手が元暴力団員であろうと何であろうと、そういうことは関係なしに私が誠心誠意交渉するのが、弁護士じゃございませんけれども、当たり前の話でありまして、そのことをもって、亀井が政治倫理にもとることをやったとおっしゃるんでしたら、私は甘んじて受けたいと思います。
  159. 草川昭三

    草川委員 じゃ、時価の相場より一・五倍高い、すなわち差額が一億六千万円あったことはお認めになりますか。
  160. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 何度も申し上げますように、私は、個々の友人が幾らで購入をして、現在幾らの価格になっているかまで詳細なことを私は承知しておりませんでした。  それで、そういうことについてすべて詳細に、関係者の株券等を集めて、また、幾らで買ったのかというようなことを含めて、そうしてその差額について池田氏が、差額といいますか、全体について株券を受け取っておりますからやったということでありまして、私はその個々の詳細について知り得る立場じゃございません。
  161. 草川昭三

    草川委員 だって、交渉をしたのはあなたでしょう、人助けをしたと言うんだから。人助けしたと言うんだから、あなたが交渉したんでしょう。  そして、一億六千万円というのは――この会社はつぶれるんですよ、コスモポリタンという会社は、結局この仕手戦に失敗をして。ですから、先ほど申し上げたように、管財人が来て財産管理をするわけです。そうすると、亀井静香という口座がある、時価よりも一・五倍高いお金を払っている、亀井さんおかしいじゃないのと、一億六千万円返せと言われたんでしょう。照会状が来たんですよ。そうしたら、あなたはさっと、現金か小切手か何か知りませんけれども、一億六千万円ぽんと管財人に返した。返済したんです。大した金持ちですよ。どうですか、それは。
  162. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 ちょっと申し上げますけれども、一億幾らそのときの時価よりかあったかどうかは、私は、先ほど申し上げましたように承知する立場じゃございません。  ただ、私が言ったのは、損はさせない、元手で万一の場合は引き取るからと言って買わした以上は、元手で引き取って損をさせないようにしてやったらどうかということを私は言ったわけで、それに対して池田氏も、最初は、これはもう資金が不如意だというようなことを言っていましたけれども、しかし、そのようにいたしますということでやったわけですから、関係者は恐らく私はもうかっていないと思います。元手で引き取ってもらったという形になっておると思います。  その点につきましては、私が中身について知っておらぬのはおかしいとおっしゃいましても、私は、全体について話をそういう形でつないだということであります。
  163. 草川昭三

    草川委員 もうこれは静かに聞いていただければわかるけれども、弁護士法違反もやっていますよね。それから、証券業界の中では、こんな五億円の株の大きな、これはまた後ではもっと大きい金額が出てくるんですけれども、こういう中で明らかに、金額は知らないけれども、亀井静香という顔でこの取引が行われたことは事実なんですよ、私は知らない、知らないと言ったって。  それで、これは非常に問題があるんですが、時間がどんどん過ぎますから先へ行きますが、管財人に一億六千万円返還されたことを認めますね。
  164. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 これも、私が私の金で返還したわけじゃございません。先ほど申し上げましたように、向こうの会社の帳簿か何かに、まとめて亀井分、私そんな詳しいことは知りませんが、私に対しての金だというような記載があったということで管財人の方が私の方に照会があったものですから、私はすぐ友人等にこのことを連絡しましたところ、友人が弁護士を立てまして、管財人とこのことについて、返還その他についての協議をして、管財人とこれは合意が成立をしたと、このように私は聞いております。
  165. 草川昭三

    草川委員 もうますます自己矛盾というんですか、亀井さんの代理人の弁護士と管財人が交渉したんでしょう。そして、いいですか、あなた自身がいずれにしても請求書を受けたんですよ、管財人から照会状の。それは認めるのでしょう。何ならそういうことも全部出しましょうか。
  166. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私が申し上げたのは、先ほど言いましたように、コスモポリタンの会社かどうかは別といたしまして、破産した会社に、私に渡したという意味のそうした記録が残っておったために、管財人から私の事務所に対してその照会があったにとは事実です。私先ほど申し上げましたように、これは私自身に関することじゃありませんので、それで私の友人に連絡をしたところ、友人が弁護士を立てまして、そして向こうの管財人と交渉して円満に解決したということでございまして、私自身が弁護士を立てるという、そんな性格のものじゃございません。
  167. 草川昭三

    草川委員 またこれも次から次へと亀井大臣の答弁は変わっていくわけですけれども、いいですか、もう一回念を押しますよ。  あなたは、あなたの友達の世話をしただけだ、まとめただけだ、だから秘書の名前もありますよ、お金も亀井静香口座、大和銀行衆議院支店の中に入金されてますよ、こういうことを言っているわけです。だったら、あなたは関与しておるということを、関与したということを、そのものを認めているのでしょう、ここで認めているのでしょう。だったら、責任があるのでしょう。だから、なぜ時価の相場よりも一億六千万円も高いものを相手に買わせて、その相手の会社はそれでつぶれるのだから。そのためにどれだけ証券業界が迷惑をしましたか、日本の、一般投資家が。そういうのが全然あなたの頭に、念頭にないのだよ。政治倫理なんかあなたにないから、大きい声でけしからぬとかどうのこうの言うのだよ、あなた。どうだ。
  168. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほど来何度も申し上げておりますように、私自身のこれは利得に関することでもございませんし、また、証券会社と私がかけ合ってそうしたわけでもありません。一億以上幾らか私は知りませんが、私のそのときの記憶では、ですから、損をさせないという約束で買わせたのだから、約束どおりしたらいいんじゃないかということで、関係者が購入したときの価格と同じ価格を池田氏は、これは払ったはずでありますから、関係者は得はしておらぬと私は思います。  また、このことは、委員はけしからぬとおっしゃいますが、私は、政治家である以上はいろんな方々からいろんな生活相談も受けます。そういうときに、私どもがむしろ、弁護士法違反はやっちゃいけませんけれども、そうじゃない形で困った人たちのための力になるということは当たり前のことだと私は思っております。  したがって、私がやったことが政治倫理にもとるとおっしゃるのであれば、私は、先ほど申し上げましたように、甘んじてそれを受けます。しかし私は、政治家というのはやはり国会でいろんなこうした活動をするだけが政治家じゃない、やはり困った人があれば、それがだれであれ助けてあげる、法に反しないというもとでありますけれども、これが当然のことだと私は思っております。
  169. 草川昭三

    草川委員 これはちょっと、村山さん、途中ですから、重大なことを言っておみえになるんですよ。日常活動で市民相談をするのは当たり前。しかし、株を買うというのは、上がり下がりは常識。下がった。下がったから、けしからぬからこれを引き取らせる、これは権力を背景にしなきゃできぬ行為なんですよ。普通の人ができますか。私が自分の近所の人に、株が下がった、株屋へ行ってもとの値段で引き取れ、そんなことができますか。あなたは今それをしゃあしゃあとできると言っているんだよ。  総理大臣、この話だけ聞いていて、どっちが分がありますか。あなたも株を買っているんだから。
  170. 村山富市

    村山内閣総理大臣 いやいや、あなたも買っていられると、僕は買っていませんよ、株は。一株も持っていません。そのことだけははっきりさせてください。  今、問答を聞いておりましても、あなたは指摘をされるし、一方は否定しているわけですから、したがって、その事実関係が明確でありませんから、コメントする段階ではないと思います。
  171. 草川昭三

    草川委員 私が言っているのは、政治家というのが市民の相談を受けたら、株が下がった、もとの値段に戻せという交渉をするという行為自身が許されるかどうかということを聞こうとしているんです。それぐらいは答えてくださいよ。内容は関係ない。これはもう全く関係なく、関係なく。
  172. 村山富市

    村山内閣総理大臣 いやいや、それは事実関係がはっきりしていないのに、私がここで無責任にお答えする限りではないと思います。
  173. 草川昭三

    草川委員 これが新しい、自由民主党と社会党とさきがけの新政権の基本的な姿勢ですか。政治倫理を正しくやろうというときに、もう一回念を押します、これは切っていいです、亀井さんと切っていいです。  いいですか、市民相談があった、これはだれでもやらなきゃいけない。株が下がった、もとの値段で株屋に引き取ってくれ、こういうことを言うことができるかどうか。いいか悪いか。答えてください。それだけです。
  174. 村山富市

    村山内閣総理大臣 それはやはり、その事象における背景もありましょうし、いろいろな関係もある。(発言する者あり)ちょっと待ちなさいよ。ちょっと聞いてくださいよ。いろいろな関係もありますからね。
  175. 佐藤観樹

    佐藤委員長 静粛に願います。
  176. 村山富市

    村山内閣総理大臣 だから、そのことだけを取り上げて、いいか悪いかという判断はなかなかしかねると思います。
  177. 草川昭三

    草川委員 これはもう絶対に、これは質問できません。こんな総理大臣の答弁を国民が許すんですか。じゃあ、株屋があったって、株屋なんか必要ないですよ。証券取引法の改正なんというのは全く意味がない。それはだめですよ、そんなものは。そんなことだったら質問できない。――だめだよ。いや、総理に聞いているんだから、総理に。
  178. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 ちょっと、私のことですから……(発言する者あり)
  179. 佐藤観樹

    佐藤委員長 草川委員に申し上げます。  前段にかなり個別の具体的な問題がずっと出ておりまして、その間に総理に一般論をと言われましても、なかなかこれは総理も御答弁しにくい、こういうふうに思いますので、さらに事実関係につきまして草川委員と亀井運輸大臣の間で詰めていただきまして、最終的に総理の方から政治倫理という観点で答弁をいただく、こういうふうに進めたいと思いますので、そういう方向でひとつ質疑を続行していただきますようお願いいたします。
  180. 草川昭三

    草川委員 じゃ、もう一問聞きますがね、総理。我々は、つい数年前ですよ、証券・金融問題の不祥事でここで証人喚問までやったんです。そして証券取引法というのは改正されたんです。その中の一番の問題は、損失補てんだったんですよ。損失補てんを一部の特定の政治家なりあるいは業界がやるからけしからぬという話からきているのです。そのことを総理御存じでしょう。総理、もう忘れていますか、それ。知っていますか。知っていたら、私は、今のような御答弁はないんですよ。ここをひとつもう一問だけ聞きたいと思います。――いやいや、総理に聞いているんだから。
  181. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員指摘されましたように、一般の市場での取引ということであれば、そんなことはあってはならないと思います。しかし、民事上の個別的な事件については、それはまた、その間の事実関係が明確でなければお答えのしょうがないので、私はそういうことを申し上げているわけです。
  182. 草川昭三

    草川委員 あなた、休みのときに役所から入れ知恵されているけれども、そんなことをテレビで見て国民が聞いたら怒りますよ。五億だとか十億だとか大口の連中だけは損失補てんを認めるということじゃないの。そうしたら、日本の証券・金融市場というのは、今でも空洞化しているんですよ、手続が厳しいとか、手数料が高いから。東京証券・金融市場なんというのは、今、どんどんシンガポールだとか香港に逃げておるじゃないか。空洞化しているんだよ。その空洞化に今の総理答弁というのは輪をかけるんだよ。あなた、もう少し世界経済も考えてくださいよ、この証券問題は。そういうことを考えてもらわなければ困る。ただ、時間がもうどんどんどんどん過ぎていきますので、ここは次に行きます。  コスモポリタンというこの今の会社は、またほかにプラントメーカーのタクマという、これは大阪に本社のある会社でございますが、これの仕手戦を手がけたわけです。それで、ここにも実は亀井代議士は登場するわけです。  それで、このコスモポリタンがずうっと株を買い占めをして値段をつり上げ、そして乗っ取りを図ろうとするわけでありますから、そこで、タクマという会社の方は困るわけですから、第三者割り当てをし、対抗するわけです。結局、これはタクマという会社が勝つわけです。それで、このコスモポリタンというのは破産になっていくわけであります。  それで、このタクマ銘柄の株の取引についても、亀井代議士はかかわりはございませんか。
  183. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 当時、私自身の資金等について、もちろん銀行預金もございますし、あるいは株式その他の有価証券への投資も恐らくあったと思います。その中身について、私が一々これをああしろ、これをこうしろというようなことは私はやっておりませんので、私自身が積極的にタクマの株を購入しろとかあれとか売れとか、そういうようなことを私自身はやった記憶はございません。  全体のそうした私のことについては、いろいろな形で当時運用しておったはずでございますから、詳細がどうなったかということについては、当時の記録はあるかどうかわかりませんけれども、調べてみませんと何とも申し上げられません。
  184. 草川昭三

    草川委員 調べてみないとどういうかかわりをしたかわからない、これは一歩私が今から言おうとすることを先取りして答弁をしておみえになるわけでありますけれども、これは、六十二年の八月二十八日、このコスモポリタンの会長は、亀井先生からのタクマの株合計五十九万一千株の買い付け代金として約束手形を切るよう担当社員に指示をしましたと、あなたの言う報道にあるわけであります。  それで、あなたは否定をするかもわかりませんけれども、コスモポリタングループの資金導入会社というのがあるのですが、親和観光開発というのが奈良にございまして、この会社の手形がちょうど二通ございまして、二十万一千株分四億八千二百四十万円、手形を一つ切っております。一株当たり二千四百円。二番目に、三十九万株八億五千八百万円、一株当たり二千二百円。この二通が振り出しをされておるわけでございますが、これは既に六十二年の十月一日までに二通とも決済をされておりますが、これは亀井代議士に支払われたものではないでしょうか、お伺いをしたいと思います。
  185. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は池田氏との間で、そうした具体的な株の売買について彼に便宜を見てもらったとか、あるいは彼を経由をしてそういうことをやったという記憶ばございません。  ただ、先ほど申し上げましたような、私の友人等がそういう形をやっておった、その後始末と申しますか、それについて口添えをして関係者が円満解決をしたという事実はございますが、それ以外の、今何億とかおっしゃいましたけれども、そういうようなものが私の例えは株の売買、あるいはいろいろな形での私の手元に入ったということは、私は記憶ございません。
  186. 草川昭三

    草川委員 では、否定をされましたので質問をいたしますが、実はこの二通の手形、十三億四千四十万円です。ちょっと大きいですね、金額は。千円や二千円とか一万円、二万円ではございません、十三億四千四十万円という巨額の入金が大和銀行衆議院支店亀井静香名義の口座で決済をされているのです。  手形の内容を具体的に申し上げます。  一つ、額面四億八千二百四十万円、九月十六日決済、手形番号AD二六五五五一。支払い期日が九月十三日でございまして、今申し上げたように十六日決済。第二、額面八億五千八百万円、十月一日決済、手形番号AD二六六〇六四。これも支払い期日が九月三十日で、決済が十月一日。合計二枚、十二億四千四十万円という巨額の入金であります。これも関与していなかったと。これは恐れ入ったお話だと思うのですが、どうでしょうか。
  187. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほどから何度も御説明申し上げておりますように、私自身のそうした取引にかかわることじゃございませんので、先ほど申し上げましたように、まとめて、これをもとの代金という、いわゆるもとといいますか、買ったときの代金ということで、これを支払いたいということで、まとめてくれということでございましたから、まとめてそれを、私は、先ほど言いましたように、別に悪いことをしておるわけじゃございませんから、私の口座に払い込んでもらって、それを私の口座からさらに関係者に送金をする等の処置をとったということでございます。
  188. 草川昭三

    草川委員 これは議事録を調べなきゃわかりませんが、先ほど、関与していないと私は聞きました。今は、私がまとめました。しかも、十三億四千万円という金額が自分の口座に入り、決済をされている。関係ないというのは、これは少しびと過ぎるんじゃないですか。金額がでか過ぎる。あなたの世界ではそれが当たり前がもわかりませんけれども、私どもの社会生活では信じられませんね。その点、どうですか。
  189. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 もう何度も御説明申し上げておりますように、これは私の取引ではございませんので、関係してないかと言えば関係していると私は先ほど申し上げておりますでしょう。だから、そういう関与という言葉が、中身がどうかは別といたしまして、困っておる私の友人等からの依頼にこたえて、私が池田氏に話をし、それで彼が任意に、別に私が強制したわけじゃございません。その結果、じゃ、そのように、約束どおりに、じゃ、いたしますということで、関係者のを集めてくれと言われるから集めまして、そうしたら金額これこれということで私の銀行口座に振り込んで、それを私の秘書の方から関係者に向けて送金をしたということでございまして、それは関係していることは間違いありませんけれども、私自身が別に金もうけをしたとか、あるいは違法なことをやったとか、そういうことじゃございませんので、そういう意味で私は申し上げている。関係してないなんて申し上げておりません、先ほどから。
  190. 草川昭三

    草川委員 あなたの答弁はくるくるくるくる変わるんですよ。私が証拠を出すと、あなたは引くんですよ。そういう言い方は、私は閣僚として無責任だと思います。  いずれにしても、この手形の第一裏書人の欄には何と書いてあるか、手形の裏書人。広島県庄原市本町字下本町九六六の三、亀井静香印、こうなっているんですね。裏書があるのです。さらに、目的欄には取り立て委任について株式会社大和銀行と記載をされ、普通預金口座番号になっているわけです。  このタクマは株が下がってないんですよ。間違えてもらっちゃ困るんですよ。株が暴落をしてもとへ戻してくれというのは前段の話です。今度はタクマは勝ったのだから下がってないんですよ。一番高値にプラスアルファで引き出しているのです。引き受けさしているのです。おかしいでしょう。さっきは下がったから、泣き込んだから面倒を見た。今度は下がっていないのだから。相場の最高値段プラスアルファで幾ら上積みしたんですかね。三億九千四百八十万円の利益。タクマ株五十九万一千株の取引によって生じた約四億円の利益をあなたはその口座に振り込んでいるんですよ。何ですか、これは。証券会社をやっているんですか。ちょっと国税に聞きましょう、国税に。  ちょっと、国税。六十三年当時は、一年間に同一銘柄の株式の年間十二万株以上の譲渡により利益を得た者は、その利益につき、所得税法百二十条により次の年の三月十五日までに申告しなければならないと思うが、万一申告すべき所得を申告していないような者がいる場合、このような者に対する課税に国税当局はどのような取り扱いをするのか、お伺いをしたいと思います。
  191. 松川隆志

    ○松川政府委員 お答え申し上げます。  一般論として申し上げますと、国税当局といたしましては、あらゆる機会を通じ、課税上有効な資料情報の収集に努めておりまして、これらの資料情報と申告書とを総合検討して、課税上問題があるという場合には実地調査を行うなどして適正な課税の実現に努めているところでございまして、今後ともそのような考え方に基づきまして、個々のケース、事実ごとに適切な処理に努めてまいりたいと思います。
  192. 草川昭三

    草川委員 要するに、今の亀井さんのような例は過去にもあったんです。有名な政治家で、購入したのをばらして利益を上げた、そしてそれが国税の対象になった、こういうこともあるんです。だから、それは亀井さん、五十九万一千株の取引、私は世話しただけだと言っても四億円の利益を上げているんだから、相場よりも。これは大変な利益を上げたわけですよ、あなたでないとしても、あなたのグループが。そのあなたのグループというのは申告してないんだから。なぜならば、亀井さんでまとめてやったんだから。そんなことは通らぬ。大臣の答弁に私は、これはもう信頼性なし。  そこで……(亀井国務大臣「ちょっと答弁させて……」と呼ぶ)答弁をするならしてもらっても結構ですが、あなたが成田へ行くという時間があるから、私は遠慮して話を進めているんですから。成田空港へ行くというから私は説明しているのです。  あなたはかって、リクルート問題に関連して、平成元年ですが、自革連というのをつくられて、代表世話人としてこういうことを言っているのですよ。  政治家は、事実関係をとにかく全部明確にすべきだ。マスコミにバレてから弁明するのでなく、自ら事実関係をはっきりさせて、責任の所在を明らかにする。これが出発点だ。 普通のサラリーマンであれば、退職金の何倍ものカネを、何等リスクを払わないで、濡れ手に粟でポケットに入れる。しかも税金は払っていない。汗水たらしてやっている人間の立場からして、これは許せないという感情だ。   これが違法だとか合法だとかという次元ではない。東京地検特捜部の手をかりてきれいにするなどとは情けない。とあなたは述べているんだが、今の答弁と矛盾を感じませんか。
  193. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 まことに申しわけありませんが、全然矛盾を感じません。  先ほどもお話がございましたが、当時、私のいろんな資産運用等について、いろんなことが恐らくはあったろうと思います。これにつきましても、国税庁の方からの御指導がございまして、いろいろな面で、私の税務申告全体について。この時期等につきましては、国税庁の方で詳細な調査をされておるはずでございます。それに基づいて私どもの方としてはきちっとした処置をいたしておりまして、その中で、国税庁の方から、委員指摘のような、そういうことがあったということは、私は聞いておりません。  そういうことでございますから、先ほどから申し上げますように、私も友人等との関係もありますから、あの記事のとき、私は告訴したい気持ちでいっぱいでありましたけれども、できなかった。――ちょっとお待ちください。  それで、ばれてからというようなことをおかしいとおっしゃいましたが、当時も私は記者の取材に対して、私、すべてしゃべったのです、そのとき。新聞記事になってからじゃございません。私はすべてを話したつもりでございますし、その記者は、それは人助けなので、これは記事になりませんとまで私に対して言った経緯がございます。  そういうことでございますので、私は、今委員の引用の私の政治信念については微動だにいたしていないことをこの際申し上げたいと思います。
  194. 草川昭三

    草川委員 だから政治家は信頼できないという国民の批判が出るんですよ。国民が問題なんですよ、国民がどういう見方をするか。あなたが何言ったってだめなんだよ。  じゃ、最後に一つ。あなたは管財人に呼ばれて、この差額払ったでしょう。
  195. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたけれども、私自身のお金で払った覚えはございません。
  196. 草川昭三

    草川委員 要するに、管財人からけしからぬと言われてお金を返却したことは事実。  そこで委員長、資料請求をします。  ちょっと委員長にお渡しをしますが、ちょっと早口でしゃべります。  大和銀行衆議院支店に対し、同支店における亀井静香氏名義の昭和六十二年一月から昭和六十三年十二月までの普通預金取引、口座番号〇二七四八五八を含めほかに普通預金取引があればその取引、及び当座預金取引の明細を明らかにする預金台帳の写し。  二、亀井静香氏に対し、大和銀行衆議院支店における昭和六十二年一月から昭和六十三年十二月までの普通預金通帳、口座番号〇二七四八五八を含め他に普通預金取引があればその通帳、及び当座預金照合表。  三、第一勧業銀行奈良支店に対し、一つ、親和観光開発株式会社が振り出した、支払い期日昭和六十二年九月十三日、額面四億八千二百四十万円、手形番号AD二六五五五一。二、親和観光開発株式会社が振り出した、支払い期日昭和六十二年九月三十日、額面八億五千八百万円、手形番号AD二六六〇六四。以上、二通の決済手形の表及び裏面の写し。  四、東海銀行上前津支店に対し、株式会社アンティックジュエリー遊が振り出した、支払い期日昭和六十三年二月二十二日、額面二億五千万円、手形番号CW三〇一二一。二、株式会社アンティックジュエリー遊が振り出した、支払い期日昭和六十三年二月二十九日、額面二億五千万円、手形番号CW三〇一二五。以上、二通の決済手形の表面及び裏面の写し。  以上、一から四の資料の提出を要求をいたします。  このことは、ぜひ委員長、私ども細川内閣のときに、いいですか、いわゆる預金通帳の資料を国会が要求をするということについて、自民党からそういうお話がございました、細川総理について。私は、その際に反対をいたしました。一つのモラルということが必要ではないだろうか。しかし、残念ですが、山口委員長、当時の委員長でございますが、おみえになりますが、これは国会法による要求事項になりました。私は、そのときに非常に残念に思いましたが、今この際改めてあの当時自民党の皆さんが言ったことは正論があると思っているのですよ。そういう立場で今この要求を申し上げたい、こう思います。
  197. 佐藤観樹

    佐藤委員長 後刻、理事会にてお諮りをしたいと存じます。
  198. 草川昭三

    草川委員 私、ロスタイムがあると思っていたのですが、ロスタイムがないようでございますので、もう終わりますから、亀井運輸大臣は、成田へどうぞ行ってください。そういう、五分までという約束でございますので、行っていただきたいと思います。  最後の一問になるのかわかりませんが、実は、総理、この政治倫理という問題は、今私一つの問題提起をしましたが、依然として解決しませんね、政治家の考え方というのと国民の考え方の違いというのは。私は、極めて残念だと思います。きょうはテレビの時間でございますので、正確に自民党さんに引き継がなければなりませんので、最後に一つ要望申し上げますが、どうかひとつ、新政権ができた以上、少なくとも政治家は身ぎれいにしなきゃいかぬと思うのです。  そして、村山さんも、いろいろなこれからの矢面に立たれると思うのですが、今のような閣僚の答弁を許すということは、これは私は日本の恥だと思うのです。庶民が怒るのですよ。国民は、税金を払っていただいておるのです、国民に。それで、我々は規制緩和もしようじゃないか、それで景気をよくしようじゃないか、あるいは行政改革もやろうじゃないか、年内に本当にできるのかどうか、こういうところへ来ているわけですよ。  私は、本当はきょうは時間がありましたら、森林開発公団が長い間、スーパー林道なり大型林道をやっていただいておるのですけれども、自然破壊が甚だしい。特に、朝日岳なんというところがございまして、そういう地元の方々からのいろいろな要望も受けております。そして、七千億も公共投資をするけれども、舗装をすれば、それはもうどんどんどんどん亀裂で壊れていく、のり面にいろいろな杉を植えれば、寒い風でこれが全部失敗をしてしまっている、こういう問題も、本当は私は村山総理からも、現状を聞いていただいて問題解決をしたいと思っていたのですが、今のようにちょうど時間が来たので終わりますが、どうかひとつ最後に村山総理から、政治改革あるいは政治倫理の確立、真剣にやらないと日本の国民は政治不信に陥ります。私は、本当にそれはいいころかげんのことでは通らぬと思っておりますから、最後に村山総理の決意を聞いて話を終わりたいと思います。
  199. 村山富市

    村山内閣総理大臣 小選挙区制を含め、既に決定をされておりまする公職選挙法の改正、政治資金規正法の改正等々、一連の政治改革関連する法案は、恐らくこの国会で成立をさせていただけるというふうに思っておりますし、同時に、与党からも野党からもさらに連座制を強化する意味の関連する法案も出ているわけですから、この際、この臨時国会を本当に国民が期待する政治改革がなし遂げられるような国会にするべく内閣としても全力を挙げて取り組みたいというふうに考えております。
  200. 草川昭三

    草川委員 では、終わります。
  201. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて中野君、田名部君、山岡君、草川君の質疑は終了いたしました。  次に、深谷隆司君。
  202. 深谷隆司

    深谷委員 私は、自由民主党を代表して、村山総理初め関係閣僚に御質問をいたします。  一年ぶりの与党質問者でございまして、心穏やかに聞けることを幸せに思っております。  また、質問する前に、厳しいこうした時代とはいうものの、政治の最高のお立場になられた村山総理大臣に心から敬意を表しお祝い申し上げますとともに、今まだわずかな期間でございますが、あなたが全閣僚と一体となって必死に頑張ろうとしていることに心から敬意を表したいと思っております。  思えば、日本の政治、戦後の歩みをずっと振り返ってまいりますと、自由民主党と社会党が与党、野党になって対決をし、議論をし、そういう繰り返してございました。ついこの間まで、私も含めて社会党に激しい議論をいたしたことなど思い浮かべながら、令ともに日本の将来を担う立場になったことに感慨無量の思いを抱いておるのでございます。  現在の野党は、そういう自民党対社会党の対立の歩みをとらえて、今日の質問でもございましたように、変節とか野合とかいったような批判を繰り返しているようであります。しかし、世界も東西の冷戦は終わったのであります。みんなが心を一つにして、力を合わせて頑張っていこうという時代で、いたずらに過去の問題のみを追って、この野合であるとか変節だとかいうことは、私は時代おくれの御判断ではなかろうかと思っているのでございます。  もとより、新党さきがけも含めて社会党、自由民主党三党の歩みは今日までいろいろございましたから、その政策においても手法においても、若干の違いがあることは否定できないことだと思っています。しかし、日本の国にとって何が大事か、日本国民にとって何が大事か、この一点のいわば原点に立って御相談を申し上げながら協議をしていけば必ず実のある答えが出てまいる、このように思っている次第です。  そういう立場でこれから三党全力を挙げて協力して進むわけでございますが、幸い村山政権では三党の党首が主要閣僚になっておられますから、この際、お一人ずつ決意のほどを承りたいと思います。
  203. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今深谷委員から、政治の変革期における当面の連立政権の意義づけについて御意見がございましたが、私も全くそのとおりに受けとめております。  これまでも何度か申し上げてまいりましたけれども、もう今や保革が対立するとか、あるいはイデオロギーで対立し合うという時代ではなくて、共通の土俵の上に上がって、政策を中心に、何が一番国民のためにいいのかという政策を選択していく、そういう時代になっているんではないかと私は思うんです。  そういう意味で、先般来申し上げておりますように、社会党も変わらなければいかぬし、自民党も変わってもらわなければいかぬ。そして、新しい時代対応して、国民の期待に十分こたえ得るような政権というものをどうつくっていくかということを虚心に話し合って、そしてやっていくところに私は連立政権のよさがあるんだ、こう考えておりますが、できるだけ透明度の高い、民主的な、しかも国民の皆さんによく理解してもらえるような、そういう政権運営をすることが何よりも大事だ、そして、当面する課題について三党力を合わせて期待にこたえられるように頑張っていこう、こういう決意でございます。
  204. 河野洋平

    河野国務大臣 昨年夏の選挙は、大変残念ながら我が党は立党以来初めて過半数を割りまして、政権の座から野に下るという状況となりました。我が党も過半数を割って野に下るという状況になりましたが、我が党以外にそれでは過半数を制した政党はいるかといえば、何党も過半数を制した政党はないわけです。自由民主党、過半数を割ったといえども第一党、そして第二党は社会党でございました。この自民党と社会党、それに新党さきがけが一緒になって今日本の政治の責任を担おう、こう我々は相集って語り合ったところでございます。  それぞれの政党は、選挙においては、我が党が政権を担って全責任を得ればこうやろうという主張はしたわけでございますけれども、何党も過半数を得なかった。つまり、単独政権はできないという状況でありますから、それは国家国民のために他の政党とスクラムを組んで政権を担うということをどの政党といえども考えなければならないわけでございます。ということになれば、その政治手法において合意ができる、国民の皆様方から見て安心していただける組み合わせというものをそれぞれ探すのは当然のことだろうと思います。  社会党と組んでおかしいとおっしゃる方もありますけれども、そういえば、選挙直後に旧連立だって社会党と組んだ時期があるわけでございます。その旧連立は、政治手法において透明性を欠いたということで混乱が生じたわけでございまして、我が党はその社会党、第二党である社会党とも十分話し合い、協力をし、新党さきがけの参加もあって、新しい連立政権をつくることになったわけでございます。  今、村山総理からお話がございましたように、新しい世界で新しい我が党も生き方を模索をし、今国民のためにいかなる政策が最も優先されなければならないかということを虚心坦懐話し合って、そしてお互いに譲るべきは譲り、合意できるところを求めて、そして安定した政権をつくって、国民そして世界のために責任を果たしたい、こういう決意でございます。
  205. 武村正義

    ○武村国務大臣 かつて西ドイツのシュミットさんが、ある人が連立政権の要請は何ですかという質問をしたことに対して答えられて、それはもう連立を構成する政党間あるいは政党のリーダーの間の信頼関係、これがすべてですとおっしゃったことがあったようでございます。  そういう意味で、三党が、大小ございますが、それぞれの政策調整の場もありますし、国会運営の場もございますし、あるいは幹事長・書記長クラスの場もあり、党首の場もございますが、それぞれの段階で、文字どおり、今お二人がおっしゃったように、違いを乗り越えながら、どうしたら一致点を見出すことができるか、その一点に全力を傾注しながら努力を始めているところでございます。  わずか百日余りでございますが、ようやく日米包括協議を一段落をつけ、そしてこの国会には税制改革を取りまとめ、農政改革、政治改革も取りまとめながら、連立政権が対応をさせていただいているというところで、それなりの成果が上がりつつあるというふうに御評価をいただければありがたく存じます。
  206. 深谷隆司

    深谷委員 三党をそれぞれ代表する方のきちっとしたお答えを私はうれしく思っています。我々も全力を挙げてお手伝いしますので、どうぞ頑張っていただきたいと思います。  さて、世界動きは東西冷戦緩和の時代に相なりました。しかし、残念ながら至るところに混乱が続いておりまして、そして対立と飢餓の状態というのは一向に消えようとしていない。そこで、これから一層重要になってまいりますのは国連でございます。とりわけ国連の安全保障理事会常任理事国の役割というものは極めて大きいものになってくることは申し上げるまでもないことでございます。  そこで、我が国もこれに対してどのように対応するか、さまざまな議論がございましたが、過日、河野外務大臣は国連において演説をなさったのでございます。その演説は、日本の常任理事国入り立候補宣言なのか、いや、そうではないのではないかといったようなさまざまな議論がございまして、閣内でも一致していないではないかという批判もあるようでございます。河野外務大臣はどういうお気持ちで、どのようなお考えで演説をなさったのか、この際、明らかにしていただきたい。
  207. 河野洋平

    河野国務大臣 深谷議員御指摘のとおり、国連に対する期待は今や大変高うございます。東西の冷戦構造が終わるという事態から、世界国連に対してさまざまな問題の解決を真剣に望んでいると思います。  その国連でございますけれども、国連創設時、つまり今から四十九年前、国連加盟国は五十一カ国、現在既に百八十カ国を超える多数に加盟国はふえておるわけでございます。そうした状況なども踏まえまして、国連改革が重要だという声は国連加盟国の中でもう多数を占めているというふうに見ていいと思います。  そうした中で、私は過日、国連総会に参りまして、まず国連というものは世界の平和と安全のために役割を果たさなければならぬ、それは軍縮・不拡散の問題もそうだ、さらには社会経済問題、つまり開発とか難民とか環境とか人口とかあるいはエイズとか、こういった社会経済問題にも期待は多くなっているから、この問題でも国連は大いに力を尽くさなければならない、ということになれば、現在の国連は思い切って改革されなければ、機能的、そして効果的な動きができないだろう、そこで国連改革というものを求めたわけでございます。  私は、日本の国は、国連加盟時、あの当時を思い起こしてみると、我が国は世界の国々から随分といろいろ恩恵を受けた。そういうこともまた思い起こして、そして、その当時のことを思いながら、今我々はODA、政府開発援助では世界最高の数字を示すに至った。そこで我が国は、さらに国際貢献に努力もしていかなければならないということを申し上げ、一方で、しかし、それは我が国憲法の示すところ、武力の行使はいたしません、そして我が国は核兵器も保持しないし、武器の輸出もしない、平和国家に徹するという我が国の基本的な考え方を述べた上で、一方、国連改革が進み、安保理改組が進めば、常任理事国として責任を果たす用意があります、こう申し上げたわけでございます。  ちなみに、もう深谷議員十分御承知でございますけれども、常任理事国というものは立候補をして選挙によって選ばれるという制度ではございません。これは、非常任理事国は選挙によって選ばれるわけでございますが、常任理事国は選挙によって選ばれるという仕組みをとっておりませんので、おまえは、それ立候補宣言なのかと、こう聞かれれば、いえ、立候補宣言ではございません、しかし、この問題について重要な第一歩をしるしたということであると申し上げていいかと思います。
  208. 深谷隆司

    深谷委員 私は、細川政権の折に質問に立ちまして、確かに常任理事国入りをする、あるいはしても日本の立場としてはおかしくないとは思いましたが、ただ入ればいいというそんな安易な考え方ではだめですよと強く追及したものです。国連に対して世界で二番目の資金を出しているからとか、経済大国になったんだから当然入るべきだといったような安易なことで入ったのでは危険が逆に伴う、アジアや世界の諸国の誤解も招きやすい。だから、ただ手を挙げればいいということではなしに、日本は何ができて何ができないのか、これを明確にした上で世界の皆さんの心に問うということが大事だということを申し上げてまいったわけでございます。  現在の国連常任理事国はかつての第二次世界大戦の戦勝国でございますし、核兵器を持っている国々でございます。湾岸戦争に見られるように、いっ何とき軍事介入の危険がないとは限らない、むしろその危険が非常に伴う。そういうときに日本が何の条件もなくただ入りたいというのは余りにもお粗末でございますから、我が国の憲法に照らして武力介入はできないんだということを明確におっしゃったあなたの発言というのは大事なことだ、このように思っているのでございます。  戦後既に五十年たちます。我が日本はただの一度も戦火に見舞われたことがない。簡単にそれは当然だと考える人がいるかもしれませんが、あれ以来五十年の間に世界では七十回以上の戦争が続き、戦火が絶えたことがない。そういう中で一度も我が国が戦争に巻き込まれなかったというのは、平和を求めた国民の声、二度と戦争を起こしてはならない、かわいい大事な子供を戦場に出してはならないという悲願が政治と国民の声と一体となったからであろうと思う。そのことをどんな時代でも忘れてはならないし、守り続けるのが政治ではないか、このように思いますが、村山総理、いかがでしょう。
  209. 村山富市

    村山内閣総理大臣 おっしゃるとおりだと思います。  私どもも、あれだけの戦争の経験をして、平和憲法も持っておるわけでありますから、いかなることがあろうとも、いかなる名目が立とうとも戦争はしない、戦争には巻き込まれないという、やっぱり憲法の立場を堅持して平和を守り、世界の繁栄のために貢献をしていくというのがこれからの日本の大きな役割だというふうに私は思っております。
  210. 深谷隆司

    深谷委員 河野外務大臣の国連での演説で、いわば日本の立場というものを世界にお見せした、その日本が投げかけた主張というものに対して世界がどう反応するか、国連常任理事国入りの問題はきょうあす決めなければならぬという問題ではありませんから、村山総理、あるいは河野外務大臣、ひとつこれからどのような反応が世界から返ってくるかをじっくりごらんになって、国の行方を誤らぬように頑張っていただくように強く申し上げたいと思います。  国内問題に移りたいと思う。  バブルが起きてから本当に苦しい時代を経てまいりました。まあ冷害であるとか円高であるとか、それに激しい政権交代とか、せっかく景気回復の兆しかあってもそれを阻害するような諸条件がございましたが、どうやらこれから少しずつ明るくなるかなという、そんな状態になりつつございます。  ただ、その場合、通産大臣にお尋ねしたいんですが、一番大事なのは中小企業の対策です。景気が悪くなったときに、一番最初に苦労をしょい込むのが中小企業、景気が回復した後に、最後に本当にかなりおくれてその景気回復を感受できるのも中小企業。私は、日本の経済を支えてきた中小企業者の皆さんがこういう状態ではならないと思う。これからの景気回復の状況と中小企業の対策を含めて、橋本通産大臣に伺いたいと思います。
  211. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、最近の中小企業の景況というものを見ましたとき、一部に確かに改善を示す動きは出てまいっております。しかし、大きく分けて三つの懸念が存在していると思います。  まず第一に、過去の回復の局面と比べましたとき、中小企業の生産回復の動きが極めて遅いというのが一つ挙げられます。同時にもう一つは、在庫調整の進展が過去の回復局面あるいは今回の大企業の動きに比べてやはり鈍いということも事実であります。また、設備投資が製造業、非製造業を問わず極めて低水準であり、立ち上がりが見られておりません。ただし、これは中小企業だけではなく、大企業にも共通する問題であります。こうした事情に加えまして、為替レートも引き続き円高傾向で推移しておりますことから、我々としては、今後ともに中小企業の景況については十分注意をしてまいりたいと思っております。  ただ、一点追加をお許しいただきたいと思いますが、実は私ども、野党として当年度予算の採決の際、組み替え要求を提出し、結果としてこれが入れられず、反対をいたしました。この時点におきましても、我々は中小企業について非常な警戒心を持っておりました。そしてその状況は、現実にやはり非常に深刻であります。  ただ、通産大臣として仕事を始めてみまして、私は中小企業の将来に対して一つの夢が抱けるという確信は持ちました。なぜなら、この状況の中で、対策を求める声はそのとおり出ております。しかし、野党の政調会長として私が感じましたいわば後ろ向きの支えを求める声ではなく、より付加価値の高い製品を開発し、より積極的な国内における営業を行いたい、あるいは現在の自分の業種が力を持っているうちに新分野に展開したい、こうした非常に積極的に前向きの対応策を考えておられる方が、調査をしてみると非常に多い。これは、これから先、私どもがそうした声を大事にしていかなければなりませんし、明るい見通しの一つのもと、そのような受けとめをいたしております。
  212. 深谷隆司

    深谷委員 率直に言って、私どもが生きている町は中小企業の町です。我々が、あるいは国会で、役所で考えている以上に深刻な状態です、はっきり申し上げて。空洞化という問題もあるんですね、さまざまな問題がありますから。今回、参議院で中小企業対策特別委員会が設置されました。衆議院でも私は今呼びかけているところです。いずれにしても、知恵を絞って、中小企業をしっかり守るために通産大臣の一層の御努力をお願い申し上げたいと思います。  さて、今後の経済回復に大きな影響を与えるのは、申すまでもなく税制改正でございます。特に新政権において、所得減税について中堅所得者層に配慮して税率構造の累進性を大幅に緩和する方向でございますが、これに合わせて、当面の景気に配慮して特別減税も行うということになりました。恒久減税と特別減税をいわゆる二階建てという形でつくり出したのは一つのアイデアだと私は思います。これらを実施した結果どのような効果をもたらすのか、この見通しについて大蔵大臣のお考えを伺いたい。
  213. 武村正義

    ○武村国務大臣 午前中もお答えいたしましたが、大変限られた日数の中で三党の税制改革の皆さん、大変な御苦労をいただいて、今回の案が集約をいただくことになりました。  御指摘のとおり二階建てということになりましたが、なぜか二階建てになったことが、ややこしいといいますかそういう複雑な姿になった印象だけが語られる嫌いがありますが、ある意味では、去年の暮れから出ておりました五・五兆円という減税額、所得税、住民税の、これそのものを新政権は見直しをさせていただいた。本当に五・五兆円要るんだろうか。中を見ていくと、そのうち二兆円は課税最低限の引き上げに充てるという、三・五兆円を中堅層以上の累進税率の緩和に充てるという。  課税最低限一つ例にとりましても、既に現行三百二十七万、標準世帯でございますが、世界と比較しますと非常に高いレベルであります。これ以上日本の所得税の課税最低限をさらに上げていくことはどうだろうか、こういう意見が学者の中にも与党の中にもたくさんございました。そういう中から議論を集約していただいて、約半分、一兆円ぐらいにこれはした方がむしろいいのではないかという考えも出てきました。課税最低限に約半分充てるということで一兆円減りました。  今度は累進税率の方もいろいろ議論がございました。詳細に申し上げる場ではありませんが、あくまでも中堅層、いわゆる働き盛りの、家庭的にも負担の重いこういう方々に対する所得税の負担を軽減させていただこう、その一点にむしろ絞って議論をしていただいて、既に申し上げておりますように、生涯、標準世帯で千三百五十万までの方、今のレベルで見ますと大体九割を超すわけですが、九割以上のサラリーマン、標準世帯のサラリーマンがそれに該当する二〇%という率の中に入っていただけるような、そういう改革になりました。これは大変思い切った改革だと思います。  振り返りますと、所得税の累進税率は、数年前の、六年前の竹下総理のときの消費税の改革案で、いわば低所得層から中まではかなり大胆に改革をしていただきました。中以上が残っておった。これを自民党政権が砥の方を御苦労いただき、社会党委員長村山総理のもとで中以上のところに今度御苦労いただいて、これも思い切って下げて、やっとこれでカーブがそろったということでありました。  そういう結果として二・五兆円、締めて三・五兆円という結果になって、五・五兆円という減税に対する約束を既に発表いたしておりました関係で、差額の二兆円を特別減税で来年以降もお願いする、こんなことになった次第でございます。
  214. 深谷隆司

    深谷委員 恒久減税の中で相続税についての改正が行われたということは大変前進だと私は評価します。私は、もともと前政権のときに、小規模宅地に関しては二百平米までは非課税になさい、そうすれば都市住民がそれで追い出されることはなくなるのですよ、次の世代が安心して住めるのですよ、こう申し上げたのですが、これが八〇%になっていったことは効果があったことになるだろうと思うのですね。  しかし、まだ中小企業でいいますと承継税制とかさまざまな問題が残っていますから、どうぞこれらも含めてひとつ、せっかく三党そろい踏みでありますから、しっかり結論をつけていただきたいというふうに思います。  それから、相続税とあわせて都市住民に非常に大きな負担になっているのは、申すまでもなく固定資産税です。地価というのが非常に下がったものですから、ようやく大勢の皆さんが安心して住めるようになったのですが、まだ高い時点の地価で評価しているというのが実際ですね。これは地価税というのが一方にございまして、これは地価が高騰したときの対策ですが、言ってみれば固定資産税と地価税というのは二重取りじゃないかという批判もあるわけでございます。これはここに住みたいという人たちにとっては大きなマイナスでございますから、この固定資産税の問題並びに地価税の問題について、野中自治大臣、あなたのお考えを伺いたいと思います。
  215. 野中広務

    ○野中国務大臣 深谷委員の固定資産税についての御質問でございますけれども、今御指摘ございましたように、平成六年度の評価がえは非常に地価が高いときに評価をいたしましたために、都市中心部におきましては、御承知のように、ただいま御指摘を賜りましたような下落が続いておるわけでございます。けれども、土地基本法に基づきます評価でございますので、この評価については適正に行われたと考えておるわけでございます。  したがいまして、実際の税の賦課につきましては、住宅用地に係る問題につきましては課税標準の特例措置を講じますとか、あるいは評価上昇割合を、いわゆる宅地に係る暫定的な課税標準の特例措置を講じますとか、あるいはなだらかないわゆる負担調整を行いますとか、また家屋に係る耐用年数の短縮等の方法をとりまして、より税の全体的な負担について配慮をしてきたつもりでございます。  しかし、御承知のように、今申し上げましたような中心部におきます大都市の地価の下落は引き続いてあるわけでございますので、評価そのものをごらんになった市民の皆さん方からは強い懸念や不満や、またいわゆる御陳情があるわけでございます。  先日も、たしか深谷委員の地元だと存じましたけれども、中央区の皆さんがお越しになりまして、今お話のございましたような相続税の問題、地価税の問題、あるいは固定資産税の問題について厳しいお話を私も直接承ったところでございます。そんな中に、お年寄りの方が、もう後がないのです、私は、自分が亡くなったらここを出ていかざるを得ないのですという非常に痛切なお話をお伺いいたしました。  私も胸の詰まる思いがしたわけでございますが、固定資産税は、もう御承知のようにいわゆる全国約一億七千万余の地点を評価をいたしておりますために、全体について評価がえをするということは困難でございます。また、五年に一度の見直しでございまして、既に平成九年度の評価のもう事務に入っておるところでございます。したがいまして、非常に、この固定資産の評価について今改めて再評価の道を求めることは困難でございますけれども、極端な中心部について、先日の御陳情等を踏まえながら、私どもは何か方法がないか、事務当局に検討をさせておるところでございます。  地価税の問題については、バブルのときに地価対策として、また固定資産の評価と絡んでつくられたものでございますので、土地について税を考えるときには地価税のあり方を先に考えるべきでなかろうかと私は考えておる次第でございます。
  216. 深谷隆司

    深谷委員 どうぞひとつ知恵を絞って対応を講じていただくようにお願い申し上げます。  次に、消費税の問題について伺いたいと思うんですが、消費税の問題については野党から非常に厳しい追及がありました。私もかねてから安易な消費税の値上げというのは反対であると申しておりました。一%値上げをするだけで二兆円以上の増収になる、まるで打ち出の小づちのような安易な形で税が入ってくるということになりますと、国民に御迷惑をかけるのみならず、国民が求めている行政改革がおろそかになってしまう懸念もあるからでございます。ですから、そういう意味では私どもは、この消費税はぎりぎりに抑え込むということに全精力を傾けるべきだと考えているのでございます。  なぜ五%なのかということについていろいろな御質問や御意見もございましたから、そのことをきょうまた重ねて聞くつもりはございませんが、しかしこの点で言えば、私は、野党の追及の方がかなり矛盾と無責任さを示しておるのではないか、こう言わざるを得ないと思うのであります。  細川政権のときに、たしか二月三日でございましたが、明け方突然国民福祉税というのを打ち出しまして、このときが、消費税の事実上は二倍以上に当たる七%という数字を出されたのでございます。我々の猛反対でそれは引っ込めましたけれども、あのときの数字を、野党の皆さん、今の野党の皆さんでございますから、よもやお忘れではない、こう思うわけでございます。だから、五%がけしからぬと言うなら、もっと上げろというお考えでしょうから、それなら率直に御提案をなさって国民の皆さんの前で議論をしていただく方がはるかに民主的だと私は思っているところでございます。  問題なのは、消費税の問題が国民に迷惑をかけるということはいずれにしても間違いないことでございますから、その国民の皆様に、なぜなのかということをわかっていただくように積極的にお話をする、それが一番大事なこと。そして何よりも大事なことは、先ほど中小企業の話も出ましたが、景気が悪くなりますと、中小企業は本当に耐え忍んで人減らしをやったり節減をしたり合理化をやったりして、いわばリストラで乗り切ろうと頑張っているのですね。  ですから、日本の財政事情が厳しい、消費税を上げるというなら、まず国が痛みを感ずるような思い切った行政改革を行うということが必要になってくると私は思うのであります。行政改革の問題については既に基本方針が定められておりますけれども、あれを見ますと、まだ具体的なプログラムは出ておりません、年内に特殊法人の検討を行うということは伺っておりますけれども。やはりもっと思い切った行政改革を行って、なるほど政府は一生懸命リストラやった、頑張っているということが国民に御理解いただけるような、そういう中身のものを打ち出すことが丸事だろうと思うのですけれども、村山総理、いかがでしょうか。
  217. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今、深谷委員から、前段に、消費税の引き上げの問題について切々たるお話がございました。まことに私どももそのとおりに受けとめております。可能な限り消費税を引き上げることついては抑制をしたい、こういう意味でいろいろな角度から検討してまいりました。  しかし、早急に日本の社会の高齢化とあるいは子供さんが少なくなっていく、こういう高齢化と少子対策については緊急にやはり手当てをする必要があるというので、当面は、景気対策も含めてとりあえず一番重税感の強いところの手直しをして五兆五千億円という減税を行いましたけれども、その減税の財源も含めて、可能な限り当面緊急を要する高齢化対策あるいは少子対策等々に金をやはりつぎ込むべきである。こういう判断から、最終的に五%までぐらいの消費税率の引き上げはある意味では御理解をいただけるのではないか、こういう意味で消費税率を引き上げていただくようにお願いをしているわけであります。ただ、今お話がございましたように、国に、負担を強いる限りにおいてはやはり行政の側も身を削るぐらいのことはきちっとやってほしいと、こういう国民の声は強いと私は思います。  したがいまして、この行財政をどう改革していくかということにつきましては、これはもう国全体の問題でありまするし、とりわけふだんから努力しなければならぬ問題だと思いまするけれども、この内閣に課せられた大きな一つの課題だというふうに私は受けとめて取り組んでいくつもりでございます。  これは、先ほどもお話がございましたように、三党で「行政改革を進めるに当たっての基本方針」というものを御決定をいただいておりますから、これは今お話もございましたように、基本的な方針を示しただけで、具体的なものにはなっておりませんので、これを踏まえてさらに具体的にどう進めていくかということについて内閣は取り組んでいこうというので、先般も私は各大臣に対して、各省で具体的な取り組みの方策を提示してほしいということを要請しておるところでございます。  同時に、もっと具体的に申し上げますと、規制緩和につきましては、これまで決定されておりまする規制緩和方策というものを早急に具体化していくために、皆様方にも御協力をお願いしたいというふうに思っておりまするが、内外からの要望も十分踏まえた上で、本年度内に五年を期間とする規制緩和推進計画というものを取りまとめて計画的に推進をしていきたいというふうに考えておるところでございます。  そしてさらに、先ほどお話もございましたように、特殊法人につきましては、各省庁にお願いをして、平成六年度内にすべての特殊法人についての見直しを行う、そして具体的に特殊法人についての整理合理化について取り組んでいこうと、こういう決意を固めておるところでございます。  その他、地方分権や行政情報公開や、あるいは行政組織の各般の改革課題について積極的に取り組んでいく、そのことを通じてこれからまた国民の皆さんにも一層の御理解を賜らなきゃならぬというふうに考えておりますから、冒頭に申し上げましたように、行財政改革というのはこの内閣に課せられた最大の課題であるという受けとめ方をして、全力を挙げて取り組む決意だけは申し上げておきたいと思います。
  218. 深谷隆司

    深谷委員 村山総理の決意のほどはよく承りました。行政改革と一口に言っても、総論賛成、各論反対ということも起こりかねませんので、私たち議員も、特に三党が集まりまして、行政改革を村山政権で実現できるように推進を進める、まあ推進の議連というんでしょうか、形はまだ決めておりませんが、三党で議員も集まって後押しをしっかりするようにさせていただきたいと思っておりますので、どうぞひとつ行政改革は村山政権の大きな柱であると、そのくらいの決意を持って臨んでいただくようにお願い申し上げたいと思います。  政治改革についてお尋ねいたします。  まあ、政治改革というのは専ら小選挙区制の実現といった形になったことはいささか残念でございますが、これは既に国会で決まったことでございますから、早く区割りその他についてこれを実現させるように私たちも協力してまいりたいと思っております。  ただ、行政改革は小選挙区にすればいいんだということでは全くありませんから、肝心の  失礼、政治改革はですね、政治改革というのは、小選挙区制にすればそれで事足りるということではありませんから、国民の一番求めている、政治に明るさを取り戻す、腐敗を防止する、あるいは今度は税金から政党活動に助成金が出るわけでありますから、政党も社会的なきちっとした立場をつくらなきゃならない、つまり法人化の問題、こういう取り組むべき問題、言いかえれば政治改革の総まとめ、それがこれからだと思うのでありますが、この点に対して総理大臣のお考えを伺います。
  219. 村山富市

    村山内閣総理大臣 先ほど行財政改革の問題につきまして、深谷議員から積極的な御発言をいただきましたけれども、これは私の方からもお願いしたいと思いまするけれども、行政改革というのはこれまでずうっと言い続けられてこられまして、それほどの成果は上がっていないと私は思うのです。それほどやっぱり難しいものだということを十分踏まえた上で、内閣も真剣に取り組むつもりですが、議会の皆さんや国民の皆さんにも、そういう意味ではひとつ御理解と御協力をお願い申し上げておきたいというふうに思う次第でございます。  今、政治改革の問題についてお話がございました。当面は、小選挙区制に対する区割り法案を提出をいたしておりますから、したがって、中選挙区から小選挙区制度に変えていく。同時に、それに関連をして政党に助成をする交付金の法律、さらにまた、与野党から提出されておりまする腐敗防止に関する連座制の強化といったような一連の問題の法案をやっぱり議了し、可決していただくことが、ある意味では政治腐敗の防止に大きく前進をして政治に対する信頼を回復することになるというように思います。  特に政党に交付金をいただくわけでありますから、それだけ、交付金をいただく主体はやっぱり法律的にもきちっと明確にした上で受けるということはある意味では大事なことだというふうにも思っておりますから、ぜひひとつ、この国会で十分御審議をいただいて、最終的に実のあるものにしていただくことが大事ではないかというふうに思っております。  しかし、この腐敗防止という問題はこれでいいということはないわけでありますから、不断にやっぱりお互いの研さんの中から一層努めていく必要があるのではないかというふうに思いますが、そういう意味で、何よりも政治の信頼を回復するために政治の姿勢を正していくということについては、これからも全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
  220. 深谷隆司

    深谷委員 政治改革というのは、法律を変えていくということだけではありません。例えば国会のあり方とか委員会の持ち方、進め方、そういうものの問題のあるところは除去して改良していくということも非常に大事なことではないかと思うのですね。例えば、国会が開かれているときに海外で重要な会議があった、日本の国益にかかわる会議がある、こういうときは、がんじがらめに大臣はいなければならぬということではなしに、臨機応変に国家のために飛んでいくという形も必要でございます。  今回のこの予算委員会も、与野党の理事間で協議いたしまして、質問時間について、与党といえどもしっかり質問できるだけの時間を確保させていただいた。今までどちらかいいますと、与党側というのはいわば政府側でございますから、どうやって早く委員会を上げようか、どうやってスムーズに予算委員会を終了させようかということに腐心をいたしまして、どっちかいうと、与党の議員の発言というのは我慢に我慢を重ねて野党に目いっぱい時間をお渡しするという形をとってきた。  しかし、これからは単独政権ではございませんし、連立政権でございますから、それから、議員は一人一人国民を代表して出てこられておるわけでありますから、委員会の中でも与党だ野党だということで時間の制限をしないで、できる限り同じように発言をするという、こういう変え方もとても大事ではないかと思いまして、野党の理事の皆さんの御協議もいただきながら、ややそれに近づいた方向になっていること、これも政治改革一つだと心得ています。  それから、大臣諸公にこの際私も申し上げたいのでございますが、答弁に関しても、どうも今まで反論権というのがないみたいな感じだったのですね。質問する側というのはまるで検事のように追及して、大臣の方は小さくなって被告のようにあらしの過ぎ去るのを待つという構図があった。あれは国民の皆さんがごらんになって、どうも誤解を招くもとになっているのではないか。  きょうも午前中の質問の中には、失礼だが、かなり無責任な、一方的な発言もあった。思わせぶりで目次だけ読み上げているような質問で、中身は何にもなかったというのは、私は同じ議員として大変残念に正直思っております。  午後はかなり活発でございましたが、大いに大臣も、自分の主張が正しい、あるいは相手がその場で言っていることは間違っているということならば堂々と反論をして、ちょうちょうはっしの議論がこの委員会や国会でなされて、国民の皆さんがこれを冷静にごらんになりながら、一体政治はどちらが正しいのか、政治家はどういう姿勢でやっているのか、御理解いただくことがとても大事だと思うのでありますが、この際、三党を代表して一言ずつ感想をお聞かせください。
  221. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私は、今お話がありましたように、これは本会議における所信表明でも申し上げましたけれども、政治を改革していくというのには三つの柱がある、大きく分けて。  一つは、選挙制度を変え、あるいは腐敗防止を徹底して、選挙制度そのものの仕組みを変えていくことも政治を改革する一つの道ではないか。  もう一つは、行政の土台になっておる地方分権というものをやはり進めていって、行政の姿勢を基本的に変えていくということも日本の政治を変えていく大きな柱ではないか。  もう一つは、立法府と行政府のあり方というものをもう少しお互いに研さんをして見直しをしていく必要があるのではないか。土井議長と鯨岡副議長の方から一つの提言がなされているということも聞いておりまするけれども、今委員から御指摘のありましたように、委員会の審議のあり方等につきましても、それぞれ議会の方で御相談をいただいて、そして何らかの結論が見出せるとするならば、その結論は尊重して、そして行政府の方も対応していきたい。これはやはり行政府の姿勢もその上において変えるところは変えなければならぬというふうに思っております。  いずれにいたしましても、民主議会というのはやはり言論の府ですから、十分言論が闘わされてお互いの意見というものが開陳をされ合って、そして国民の皆さんにもよくわかっていただくというようなやり方が大事ではないかと思っておりますが、これは議会の方で皆さん方が御相談になることだと思いまするから、その御相談の結論については十分尊重してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  222. 河野洋平

    河野国務大臣 今まではどちらかといえば後ろ向きの問題をどう改善するかということが多かったわけでございますが、国民の期待にこたえて前向きの改革ということをぜひ進めていかなければならぬ。もちろん立法府の問題を行政府がとやかく言うべきでないと思いますが、そういう気持ちを私個人持っております。
  223. 武村正義

    ○武村国務大臣 確かにこの国会の論議は、本会議委員会もそうでございますが、与党対野党になっていないというか、野党対政府政府は与党と一体でございますが、そうであるために、政府としては極力波風が立たないように、おっしゃるように反論も避けながら答弁をするようなしきたりが定着しているような感じがいたします。  ぜひ、深谷委員の今の御提案、委員会全体で、国会全体で一つの方針をお決めいただけると大変ありがたいというふうに思いますし、かつて政治改革のときにはそういう時期がございました。
  224. 深谷隆司

    深谷委員 あわせて、この機会にぜひお尋ねしたいことがございます。それは政治と宗教とのかかわりについてであります。  我が国の憲法は、国民がおのれの信ずる宗教を選択する自由というものを認めています。人が心豊かに生きていくために宗教は不可欠なものでございますから、私は、神聖にして侵すことのできない存在だと思っています。しかし、一方において、だからこそ宗教もまた政治に介入してはならないのであります。政治と宗教は常に分離されておらなければなりません。これが我が国の憲法であり、国是でございます。  この件について、与謝野文部大臣の御意見を伺いたい。
  225. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 私どもの憲法は、先生御指摘のように、政治の領域と宗教の領域を分けて規定をしております。その原則は憲法二十条及び憲法八十九条に書いてございまして、やはり政治に携わる人間も、また宗教界の皆様方も、この二つの規定をやはり熟読玩味をしながらそれぞれの活動を行っていくということが必要であると思っております。
  226. 深谷隆司

    深谷委員 文部大臣がおっしゃるまでもなく、全くそのとおりでございます。政治が宗教に介入しないように、宗教が政治に介入しないように、きちっと区分していくことが大事。しかし、近年、どうもそれが明確になっていないような気がしてならないのは私一人でしょうか。  最近の各種のマスコミの報道等をこう見ますと、宗教団体の最高責任者がかなりの発言をなさっていることがすっぱ抜かれておりました。その中身を見ますと、政教分離は行わない旨の発言もあるし、あるいは各所において政治に介入するような発言も散見できるのでございます。我が党は、今日、証人喚問要求等をなしております。ゆえがなくてやっているのではありません。確たる根拠と背景があるからこそ我々は主張いたしておるのでございます。しかし、なかなかこれが一向に改められない。まことに残念でございます。  また、一説によりますと、一つの宗教団体が大量な票を持っている、これを移動させることによって選挙に介入する、それが政治に影響を及ぼす。いわゆる票の移動といったようなことです。これは明らかに法律に反することだと私は思う。こういう現実がもしはっきりしたときにはどのように対応するのか、これは野中自治大臣、御意見承りたい。
  227. 野中広務

    ○野中国務大臣 その前に、先ほど私、固定資産税の見直しと地価税の問題につきまして、固定資産税の見直しか五年であるかのように答弁したかと思いますが、三年でございまして、地価税は附則において五年ごとにそれを総合的に検討するという措置でございますことをお断りを申し上げておきたいと存じます。  ただいまの問題につきまして、従来、いろいろと政治と宗教とのかかわりにつきましては指摘をされておるところでございます。  私ども、今、自治省といたしまして、具体的にその票の移動等のお尋ねの趣旨にかかわるような事実関係を掌握しておるところではございませんけれども、少なくとも選挙に関しまして、いわゆる諸般の事情にかんがみ、不正が行われないように、常に適切な執行が行われるように見守っていきたいと存じておるところでございます。
  228. 深谷隆司

    深谷委員 野中大臣、恐縮ですが、見守るという消極的姿勢よりも、誤りがあったときにきちんと処理をすると、そういう所管大臣としての明確なお答えが欲しいのですが、いかがでしょう。
  229. 野中広務

    ○野中国務大臣 選挙を所管いたします自治大臣としては、適正な選挙の執行をそれぞれ都道府県選挙管理委員会、市町村選挙管理委員会に要請をしていく立場であり、国家公安委員長としてはまた、厳正に対処していく立場にございますことを付言しておきます。
  230. 深谷隆司

    深谷委員 重ねて申し上げますが、宗教を信ずるというのは、もともと人間としては当然求める道なのです。人間の一人の生きざまというのは限られていますし頼りないものですから、そういう心のよりどころを求めるということは大事なこと。私は、信心する方々のためにも、宗教が政治に介入するといったような、こういう誤解を招くような現象というのは慎んでいかなければならないと思っているのです。どういう宗教が好きとか嫌いとか、そんなことを言っているのではありません。ぜひとも政府におかれましても、そういう基本的な憲法に基づく日本の立場というものを十分に認識せられて、これからもしっかり対応していただくことを望みます。  なお、この件に関しましては川崎二郎議員が関連質問をいたしますから、ゆだねたいと思っています。  最後に、村山総理、もう一回私申し上げますが、先々月、政治経済調査のために、私、団長としてアメリカを回ってきました。何人かの仲間と  一緒に参って、上院、下院の皆さんとしばしば会合を行ったのです。そのときに一番アメリカの議員が繰り返し言っているのは、日本総理大臣、つまり日本を代表する顔がよく見えないということなのですね。なるほど一年間に四人も総理大臣がかわったら、日本人だって名前を覚えるのは大変かもしれませんが、アメリカ人が言うには、公式な会合でもいつも初めましてと名刺を出す、これでは何か日本と協議をしよう、腹を据えて議論しようというときに、頼りなくて本当に何となく国際的な信頼がから取れないのではないかと心配していますよ、そういうことを盛んにおっしゃった。  日本の商社の皆さんとお会いしましたら、商談が始まる前に、ところで今、政権、どういう政権が日本はとっているのか、その背景を教えてくれ、新しい総理大臣の生い立ちはどんなふうかといったようなことをしきりに聞かれて、そちらの説明をすることに大変なんだということをこぼされておりました。国際的な信頼を集めるためにも、あるいは国内の景気回復一つとりましても、政治が安定しているということでなければ国民は安心して消費に例えば回ったりするということはできないのですね。  いろいろな移り変わりがあって、今日ここに第一党である自由民主党と第二党である社会党と、そしてその仲を取り持つ新党さきがけが組んだ。私は、こんないい機会はないのではないかと思う。今こそ日本の政治のあらゆる面にわたって三党が協力をして、きちっと船のかじ取りをなす、そしてこの政権が少しでも長く続いて、世界の信頼と国民の信頼がから取られますような、そういう状況にぜひ持っていかなければならぬと思うのであります。  村山総理を初め河野総理あるいは武村大蔵大臣、そのほか有能な大臣が今回組閣に参加したわけでありますから、どうぞ英知を絞ってこの大事な日本の局面を乗り切っていただくように、またそのことに喜んで御協力することをあわせお誓い申し上げて、私の質問を終えて川崎議員に譲りたいと思います。ありがとうございました。
  231. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、川崎二郎君から関連質疑の申し出があります。深谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川崎二郎君。
  232. 川崎二郎

    川崎委員 深谷委員関連として質問をさせていただきたいと思います。  昨年の三月から今日まで一年半、その間に予算委員会、政治改革特別委員会、この両委員会だけで十八人の代議士が、また参議院の方が立たれ、政治と宗教の問題、政教分離の問題、また脱議運動、盗聴事件、税の問題等について質疑を重ねられております。  こういうまとめをしていただいているわけでありますけれども、ちょっと御披露しますと、昨年の十月四日越智議員、十月六日野中議員、十月二十八日武部議員、十一月五日水野議員、平成六年二月二十一日水野議員、二月二十二日島村議員、五月二十三日深谷議員、五月二十四日亀井議員、五月二十五日柳沢議員。参議院においては、平成五年十月七日宮澤議員、十月八日下稲葉議員、十二月九日片山議員、十二月十日吉岡議員、共産党であります。十二月十四日成瀬議員、一月十九日下稲葉議員、五月二十日前島議員、五月二十日石渡議員。それと、社会党の関議員が昨年の三月、トップを切って御質問をされたわけであります。  そこで、昭和四十五年創価学会は、古い話になります、言論弾圧事件を契機として政教分離を宣言されております。これ、新生十年として、言論出版問題、二度と同じ轍踏まぬ、こういう見出しになっております。その中で「明確に分離の方向」、少し読ませていただきたいと思います。   子は、いつまでも幼児ではない。体の成長にともなって、精神的にも、一人前の社会人として、活躍できるようにならなくてはなりません。今までは、創価学会と公明党は、この母と子の関係にあると見られてもやむをえなかった。それにしても、我々は、愚かな母親であってはならない。この愚かさは、結局、重荷となって自らにおおいかぶさってくるでありましょうし、子供も社会に貢献できない大きい赤ん坊として社会の笑い者になってしまうでありましょう。   我々は、これまで、公明党のために一生懸命応援し、守り育ててまいりました。だが第三党にもなれば、すでに立派なおとなであります。それでもなおかつ、これまでのように面倒をみなければならないとしたら、それは不合理というものであり、社会の批判をうけるのも当然の理でありましょう。   そこで、これは提案になりますが、創価学会と公明党の関係は、あくまでも、制度のうえで、明確に分離していくとの原則を、更に貫いていきたいのであります。   今後、たとえ票が減るうと、議員数が減るうと、それが世論の要望であり、本来のあり方であるならば、近代政党として、当然の道であります。   また、学会は、公明党の支持団体ということになります。当然、学会員の個人個人の政党支持は、従来通り自由であります。これが実はその当時創価学会が宣言された政教分離という問題であります。  しかしながら、十八人の方々の質問を読みますと、どうもほとんどの方が、これと全く違うことをしているんじゃないか、政教一致の方向は一層深まっているんじゃないですか、こんな疑念をかけられているわけであります。  政教分離の問題については、柳沢議員の質問にもあるとおり、世界各国の考え方、基本的に違います。例えば、イギリスでは国教を定める。また、ドイツ、イタリアのように教会の徴税権、税を取る、これを認めておる国もある。しかしながら日本の場合は、この議論の中にもありましたように、アメリカとまあまあ似たような形ではないだろうかと言われております。ただ、各国とも考え方が違う、こうした問題でありますので、日本の考え方というものを憲法に沿いながらきちっと明確に押さえていかなければならない、これが政教分離という問題であろうと思います。  そこで、先ほど文部大臣、日本国憲法第二十条、八十九条の問題から政教の分離の問題を少し述べていただきましたけれども、いろいろな今までの経過も少し読んでおいてくださいとお願いもいたしました。どうぞこの問題について、文部大臣のお考えをまずお聞きしたいと思います。
  233. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 各国いろいろな法制をとっておりますけれども、私どもの憲法のいわゆる政教分離の原則は、信教の自由の保障を実質的なものにするため、憲法第二十条第一項後段において、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」と規定しております。また第三項においては、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と規定しております。国権行使の場面において、国及びその機関が宗教に介入し、または関与することを排除する見地から定められたものでございます。  さらにまた、先生御承知のように、憲法八十九条は、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため「これを支出し、又はその利用に供してはならない。」と定め、この原則を財政面から補足しているところでございます。  このような憲法で定める政教分離の原則は当然のことながら遵守しなければならないと考えております。
  234. 川崎二郎

    川崎委員 それでは、最近いろんな方がいろんなところで発言をされております。少し御披露させていただいて、御判断をいただきたいと思います。ある意味では、国民の皆様方に、そして閣僚の皆さん方に、そして文部省等所管の庁の方々に御理解をいただきたいと思います。  まず、新生党の小沢代表幹事、新党準備委員会実行委員長であります。日経新聞に十月六日、こういう記事が出ました。「その意味で選挙制度改革を(公明党が)推進したのは政教分離を覚悟したのだと思う」、こういう見方を明らかにした。見出しは「公明は政教分離を覚悟」、こういう見出しになっております。これは伝聞でありますので、私もテレビを見ました。ちょっとそこのところを正確にお読み申し上げます。  今度の選挙は五割を争う選挙なんですね。今まで一〇%二五、六%、せいぜい二〇%ですよ。二〇%とったらダントツの最高点ですよという中選挙区制の中でなら、公明党は最大の支持団体である創価学会の票だけでとれたわけです。  だけど五〇%争う選挙になりますと、それはそれだけではとれないので、もっと広い層から支持を得ないとできない。ですからその意味では、今度の選挙制度改革を公明党が推し進めたということは、世上何だかんだと言われますが、僕は政教分離の覚悟をしたんだと。なぜなら小選挙区制になって一番厳しいのは公明党の議員の人ですね。僕はそう思いますよ。  こういう発言をされているんですね。まあ新党に入ったならば政教分離を認めてやる、しかしながら、今は政教分離はなされてない、こういうふうに新生党の小沢代表幹事は言われております。  第二点目、これは水野、柳沢両議員が既に予算委員会等で引用された文章であります。創価学会第二大田区中央本部衆議院選決起大会、遠藤議員の出陣式でのごあいさつであります。  必ずや皆様の御期待にこたえ、皆様の手足となり切って、先生を守り、学会を守り、民衆を守る妙法の政治家として、力の限り戦い抜くことをお誓いいたします。  私も池田門下生の一人としまして、先生より数多くの御指導、御薫陶を賜ってまいりました。先生の御薫陶のおかげで、広布に生きる使命を自覚することができ、妙法の外交官となって二十年間にわたり世界を舞台に十分戦ってまいりました。  私が何よりも感謝を申し上げていることは、先生の限りない御激励によりまして、広宣流布に生きる人生のすばらしさを教えていただいたことでございます。どこまでも、この師弟不二の原点だけを貫き通して、先生の御構想を実現してゆく弟子となりたい、先生の偉大さを社会に向かって、そして世界に向かって、断じて証明しゆく弟子となりたい。深い深い決意をいたしております。  いよいよ今こそ、この先生の大恩に報いるためにも、いざ鎌倉の思いで、そして今まで生きてありつるはこのことに合わんがためなりの思いで、この五体を大地にたたきつけて、全力を尽くして頑張ってまいりたいと思います。  こういう文章がございます。もう既に二回委員会で語られました。  三番目、これはどうやら現職の外務省の職員のようであります、渡辺さんという。これも読みます。  池田先生、大風会の渡辺博と申します。何々。その返事は神崎さんを通じて鈴木副会長に出しました。イタリア日蓮正宗創価学会書記長の神崎さんを通じて鈴木副会長に出しました。  その内容を一言で申し上げれば、八九年東欧で表面化した自由化のあの大きな波の背後には、一九六〇年代からのバチカンの東欧政策が少なからず影響しているというものです。特に七八年にはポーランド人の法王を選出し、八〇年のポーランドの自由化を喚起し、以降十年にわたり主にポーランドを舞台に共産主義体制と熾烈な戦いを繰り広げてきました。そしてバチカン側は勝利をおさめ、今後東欧でカトリック教会の復権、勢力拡大が確実に進むものと思われます。彼らは、五十年、百年単位で長期的な世界戦略を立てている模様であり、創価学会の世界広宣流布の最強かつますます勢力を増してくるこうかつな敵と思います。  こういう報告をされたようであります。  それから、創価学会の内部文書として赤旗が載せられた記事であります。これは創価学会の幹部指導用の内部資料ということになっております。先ほどの創価学会の政教分離宣言と余りにも私は違うように思うのでちょっと読ませていただきます。  自民党が二百数十議席あろうと、最後に参議院の二十議席の公明党ですべての重要法案が決まってしまう。現実に今、そういう事態が起こっている。しかも、そのバックに創価学会がある。日本の命運を決していくのが創価学会・公明党である。創価学会・公明党によってがっちり握られているのが今の日本である。現実にそういう状況が生まれてきている。 いろいろな批判が来るだろうという文章に続いて、   そうなると、やはり大事なのは同志が団結し、お互いに守り合い、それを突破していくことが今の私たちの広宣流布の命題である。そのバロメーターになるのが、来年の参議院選の比例区の得票数である。今、私たちはこれに七百五十万という目標を掲げて挑戦しようとしているわけである。前回は、六百九万票であった。七百五十万票というのは、至難な目標かもしれない。しかし、世間はその票が欠けることを望んで、さまざまな妨害をしてくる。また、世論をそういう方向に風を吹かせようとする。そういうなかでの今の私たちの活動である広宣流布のバロメーターは来年の参院選比例区の得票数であると言われておると。 先ほど読みました、もう議員が落ちようと何やろうと、これは世論が物事を決定していくんだ、公明党は独立してやりなさいよ、これは公明党の文書ならわかるのですけれども、これは創価学会の文書であります。  それから六番目に、これは先ほど週刊文春、深谷理事の方から少しあったところでございます。(発言する者あり)週刊誌じゃありませんよ、赤旗と申し上げました。週刊誌で言います。「そして、池田は、自分からこう言ったのである。「じつをいうと、あれを「待て」と言った張本人は、私なんです。しかし、新・新党は、もう後戻りはできない。ストップをかけるようなことはしませんよ。いずれ新・新党はできます」「他の党を見渡してみてください。組織をもってる党なんてありますか。うちだけですよ。みんな、うちをあてにしてるんですよ。」」こういう表現ですね。そして、「学会は、政治にかかわることはやめません。こう言うとまた、政教一致なんて言われますけどね。誤解しないでくださいよ。教義を実現するためには、政治の力がどうしてもいるんです。そういう目的で、公明党をつくったわけですから、これからも政治にかかわることに変わりはありません」、こういう表現になっております。  それから、これも既に委員会で何回となく亀井議員等から取り上げられた問題であります。  労働大臣ね、または総務長官、または郵政大臣になってもいいくらいの御主人です。すばらしい御主人です。みんな、あの、皆さん方の部下だから。そのつもりで。偉大なる精神、偉大なる一念を持っている皆さん方、仏の心を持ってる皆さん方にかなう者はありません。これからですよ、本当の仕事は。今までは簡単な仕事。デエジンたちがやって。  こういう発言。これは亀井議員が委員会でテープ等を出された問題であります。  さて、そこでこういうものをずっとお聞きになって、果たして政教分離というのが本当に守られているんだろうか。こういう問題について指導できますか、文化庁。どう思われますか。ちょっと文化庁。
  235. 林田英樹

    ○林田政府委員 宗教法人が宗教法人法に違反するような行為を行っていることが明らかな場合でございますと、所轄庁はこれを是正するよう指導することができると解しております。  御指摘がございました事柄の多くは、これまで国会で御質疑があり、またマスコミなどでも取り上げられてきておるところでございまして、私どもも関心を持って見守ってきたところでございまして、創価学会を所轄いたします東京都に対しても逐次連絡をとってきておるところでございます。  しかしながら、所轄庁でございます東京都からは創価学会については宗教法人法上問題があるとの報告は受けていないところでございます。したがいまして、文化庁としては、東京都ともよく連絡をとりながら今後の推移を見守ってまいりたい、かように考えております。
  236. 川崎二郎

    川崎委員 次長、今ちょっと、ずっと私が申し上げたこと、本当に政教分離守られているかどうか、よくお考えをいただきたい、こう思います。  それでは次に、関議員、亀井議員から質問のあった脱議運動についてお尋ねしたいと思います。  この問題の原点は、平成二年十二月、池田大作氏が法華講総講頭を日蓮正宗大石寺日顕法主より解任されたことから始まります。  下稲葉議員は、単立宗教団体で全国的に組織を持っていて、そして本山である日蓮正宗との関係が切れたにもかかわらず、先ほど御答弁のありました東京都知事の認証団体としていくのはおかしいんじゃないですかという質問をされました。宗教法人法第二条の「宗教の教義をひろめことあるが、その教義自体が少し変化をしてきているんじゃないですか、こういう御質問をいたしたところであります。  それに対して林田さんが、文化庁次長がこう答えられております。創価学会の教義とそれから日蓮正宗からの破門の関係でございますけれども、宗教法人創価学会の目的は、その規則第三条におきまして、「この法人は、日蓮大聖人側建立の本門戒壇の大御本尊を本尊とし、日蓮正宗の教義に基づき、弘教および儀式行事を行ないこ云々で、これはその日蓮正宗の教義に基づき教化活動が行われるということでございます。これが日蓮正宗から破門をされたといたしましても創価学会としての日蓮正宗の教義というものをお持ちになっておる。要は、大石寺がお持ちになる日蓮正宗と創価学会としての日蓮正宗という教義があるんだという実は御回答になっているわけですね。これはうーんと思いますけれども。  そこで、実は規約とか会則とかがあります。会則を変えると基本的には規約改正ということでお届けになるんだろう。その中で、確かにいろいろな変える点がありますからお届けになっております。なっておりますけれども、どうも昨年、会則の改正をされたんではなかろうか、こんな話になっております。もしここに規約としてお届けになったことと、そして従来の会則、こうだよというものと変わっていくとすると、やはり何らかの届けが事務的に必要になってくるのではなかろうかと思いますけれども、その辺は文化庁、御存じですか。
  237. 林田英樹

    ○林田政府委員 私どもが東京都を通じまして承知しておりますところでございますけれども、昭和六十三年の八月十七日に改正された創価学会の規則につきまして、東京都に届け出がございまして把握しておるわけでございますけれども、私どもはその後、いわゆる正式の宗教法人の規則につきましては、これが変更されたとは聞いておらないところでございます。  なお、宗教団体によりましては、それぞれの内部のいろんな規則的なものをお決めになる場合もあるわけでございまして、今回の場合が、御指摘の事実は私どもも現在把握はしておらないわけでございますけれども、この規則に、正式の規則に変更を来すような内容の変更が行われたかどうか、私どもとしても東京都を通じて聞いてみたいと思っております。
  238. 川崎二郎

    川崎委員 もし会則等が変わっていましたら、ひとつそれは速やかにおとりいただいて、基本的にはあなたのおっしゃるとおりに、大石寺の日蓮正宗もあるけれども創価学会の日蓮正宗もあるんだとこういう御証明をいただきたい、こういうふうに思います。  それでは、次に移らしていただきたいと思います。  創価学会の脱会運動、法華講からの脱議運動が過熱し、嫌がらせ、暴力、放火事件が頻発しておる。平成五年二月、関議員の質問となっております。その当時、これは書き方がちょっと激しいんだから読みません。脱議運動の被害状況報告書ということで出されているわけですけれども、このことはどうでしょう、警察庁か文部省、御存じですか。警察庁。
  239. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  ちょっと委員指摘の題名をつまびらかに承知しておりませんけれども、平成五年に関議員から、当時いろいろのトラブルで困っているということで困り事相談を受けた際に、それらの内容を記載した文書を警察庁として受け取っております。
  240. 川崎二郎

    川崎委員 その後の対応はどういうふうにされているか、どうぞ警察庁。
  241. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  平成三年ころより、各地で種々の紛争事案が発生いたしておりまして、特異な事案につきましては、関係府県警察からの報告により承知をしているところでございます。届け出を受け出動したパトカー等の警察官により事情聴取を行っているもの、あるいは関係者から告訴を受けて捜査手続に移行したものなど、事案によりましてその対応は区々でございますけれども、いずれにいたしましても、それらの事案発生の際には、当該都道府県警察において所要の活動を行いまして、違法行為があれば適切に対応しているというふうに承知しております。
  242. 川崎二郎

    川崎委員 二、三起こったことを読みます。  平成三年四月十三日午後一時半ごろ、地元の御信徒十五名ばかりと開信寺本堂にて勤行を終了し、説法を開始しようとしたところ、突然右記の集団が本堂内に乱入し、住職に対して質問があるなどと騒ぎ始めました。厳粛な法要の最中に突然起こった異常事態に一同騒然となり、とてもまともな対応は不可能との判断から、住職は乱入者に対し、本日は一切質問はお受けいたしませんと告げるや、突然総勢約三百名が総立ちとなり、口々に罵声を上げながら住職を取り囲み、つるし上げ始めました。それから三十分にわたり怒号とやじの中で彼らの集団暴行が繰り返され、前後左右から押され、こづかれ、引っ張られ、け飛ばされ、急報で駆けつけた、先ほどありました岡本巡査もたちまち彼らにもみくちゃにされ、警笛を鳴らしながら応援の警官を無線で呼んでくれました。  こういうものがあります。これは福岡県西警察署警察署長殿ということで、平成三年四月十五日、提出をされております。  それからもう一つ、広島県広島市興福寺、午後七時三十分ごろ、創価学会婦人部員によって起こされた放火事件。本人は逮捕。ここ三年、日蓮正宗寺院及び信徒自宅の放火は何件も起こっている。だれがしたのかわかりません。いずれにせよ、興福寺で放火事件が起こったという事件であります。  こんな事件がいろいろ出ています。(発言する者あり)いや、警察に調べてもらっているんだからいいでしょう。こういう事件が起きているということを関さんが報告された。まあ両者のトラブルであろう、何とかそれはおさめなきゃならぬな、これは当たり前の常識であろうと思います、どういう経過かわかりませんから。しかしながら、残念ながら関議員がその質問をされた後も次のような事件が起きているということになると、私ども、警察よっぽど関心を持っていただかなきゃならぬじゃなかろうかな、このように考えております。  平成五年十一月七日、長野県小諸市、オークサ本社社長で日蓮正宗の信徒である大草一男氏は、ちょっと表現は悪いですけれども読みます。生殖鬼ボーデン大草の素顔、みだらなハーレム妙観講、大草氏が所属する信徒組織名ですね。妙観講普及版と書かれた文書を大量に配布した、この会員たちを名誉棄損行為に当たるとして、損害賠償請求事件として東京地裁に現実に起こしております。東京地裁で今取り調べというか審理されているところであります。  平成五年十月三十一日夕方、北海道札幌市中央区南二十一条西十三丁目二番三十八号、日蓮正宗の末寺仏具寺、藤原広行住職の玄関前で起こった事件。前年以来、車で何者かによって尾行され続けている同寺院信徒上山芳子さんが、寺院前にとまっていた革がいつも尾行されている車と似ており、玄関を出てカメラで撮影しようとすると、車の中から四人が出てきた。四人の男がカメラをぶっ壊してやると叫びながら上山さんに体当たり。ひるまず上山さんがカメラを向けると、再び体当たりをくれて、上山さんが転倒、一一〇番通報でパトカー、救急車が来て、上山さんは入院、診断書は腰椎打撲の重傷、札幌南警察署に刑事告訴した。札幌南署に刑事告訴ですね。現在も上山さんは、後遺症のために車の運転ができない。  こういう事件が昨年の二月の後も続いておるようでありますけれども、その状況を警察庁は御存じですか。
  243. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  ただいま委員指摘の事案につきまして、民事訴訟の問題につきましては承知しておりませんけれども、それ以外のものについては概要は承知をいたしております。
  244. 川崎二郎

    川崎委員 承知しているのなら、ちょっと一件でも言ってください。承知しているんですね。一件でも言ってください。
  245. 垣見隆

    ○垣見政府委員 御指摘のありました事案のうち、広島でございました放火事案につきましては、被疑者を検挙いたしております。  それから、平成五年十月三十一日の事案につきましても、所要の捜査を行いまして、事案を送致している状況でございます。
  246. 川崎二郎

    川崎委員 もうちょっと言えませんか、内容は。どういうことでそういうことをされたんですか。おわかりになりますか。
  247. 垣見隆

    ○垣見政府委員 個別の事案でございますので、捜査の詳細については答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  248. 川崎二郎

    川崎委員 個別事案と言うけれども、どういうことでそういうことになったということはわかりませんか、警察庁。
  249. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、個別の事案につきまして違法行為があれば、所要の捜査を行いまして送致をするわけでございますけれども、その捜査の内容につきましては、答弁を差し控えさしていただきたいと存じます。
  250. 川崎二郎

    川崎委員 なぜこのような問題が、まあいろいろ時の感情としてあったと思うんです。一部やじも飛んでいましたけれども、感情としてあったんだろう。しかし、「「魔」と戦い続ける心が「仏」」聖教新聞、副会長山田邦明、知りません、この人は、私は。書いてあります。勇気を持って日顕宗六万登山の断固粉砕と広布拡大に邁進していきたい、こういう文章がありますね。「秋谷会長の談話 六万登山粉砕で大勝利」。「粉砕で大勝利」とはどういうことかなということを我々よくわかりませんから、いろいろ聞いていますと、大石寺に六万人の講の信者さんが登山をされる、それを断固阻止しなきゃならぬということのようであります。これは、創価学会の新聞に載っておることであります。断固粉砕しろ。  そうすると、その結果、例えばこんなのが出てくるのですね。「北大阪百日間総力闘争」、九月から十二月、「池田先生総講頭罷免から三年 浄妙寺尾花徹底追放 日顕完全撲滅 六万総登山断固阻止 仇討ちの時は今」こういうのがあるんですね。こういうのがあるんですよ。それから、これは「五月度行事日程表」、これは創価学会の日程表であります。四月二十五日、「地区六万総登山徹底粉砕委員会」、こう行事予定に入っているんですね。  要は、先ほどからいろいろ議論出ておりますけれども、なかなか文化庁で政教分離の問題とか宗教問題、なかなか難しい。我々も十分勉強していかなきゃならぬ問題だろうと思うんです。そのやはり一番前提が、その前提がやはり「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」信教の自由ここから出てくるわけですね。  そうすると、先ほどから議論のあるように、基本的には宗教法人として切れています。法律的には切れています。創価学会と日蓮正宗は切れています。その日蓮正宗が宗教行事として大石寺にお参りをしましょう、総登山しましょうというのを、他の宗教団体が断固粉砕せい、つぶしてしまえ、日顕撲滅せい、こういうことを言われる。これはちょっと宗教法人法から見てもおかしなことに私はなるんではなかろうかなと思います。「法令に違反して、著しく公共の。福祉を害すると明らかに認められる行為をした」とき、宗教法人法第八十一条では解散を命令することができると書かれております。  逆に言えば、信教の自由、自分の意思で宗教上の儀式に出ること、これは何人も妨げてはならない。これが宗教法人法のやはり基本になっている。信仰の自由を守りましょうよ。お互いに大事にしていかなきゃならぬ。しかしながら、相手の宗教はだめだというのは、私どもちょっと解しかねる。そして、昨年の、平成五年にもこのようなことで関さんから言われた。その辺は文化庁としてどういうふうにお考えになりますか。
  251. 林田英樹

    ○林田政府委員 お答えいたします。  一般的に、ある宗教団体の儀式行事を他の宗教団体が妨害するというようなことにつきましては、憂慮すべきことというふうに感ずるわけでございますけれども、個別の御指摘のあったような事件等につきましては、それぞれ関係当局におきまして、適切な対応を期待しておるところでございます。  宗教法人法を所管いたします私どもの立場といたしましては、御指摘のございました憲法二十条の信教の自由の保障の規定で申しますと、これは、国家と個人との関係を律するものであって、宗教団体と宗教団体との間の関係を直接規定しているものではないのではないかと理解をしておるところでございます。  また、宗教法人法第八十一条第一項第一号には、御指摘ございました宗教法人が「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」ときは、裁判所が所轄庁などの請求により解散を命ずることができる旨、規定されているのも事実でございます。所轄庁は、宗教法人について解散命令に該当する事実が客観的に明白に存在すると判断する場合に限りまして、裁判所に解散命令の請求をすることができる、こう考えておるわけでございますが、現在のところ、創価学会がこの事由に該当しているとは所轄庁である東京都も判断をしておらないところでございます。  文化庁といたしましては、当面関係機関とも緊密に連絡をとりながら、事態をよく見守っていきたいと考えておるところでございます。
  252. 川崎二郎

    川崎委員 こうした声を上げておる人たちの声も聞いてあげてください。文化庁、よろしゅうございますか。こういう声を上げている人たちの声も聞いてあげてください。警察庁、こういう声も聞いてあげてください。ぜひ個々に話を聞いていただいて、皆さん方が正確な御判断をいただきたい。警察庁。
  253. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  事案発生の際には、当該都道府県警察におきまして、所要の活動を行いまして、違法行為があれば適切に対処するのが警察の立場でございます。
  254. 川崎二郎

    川崎委員 それでは、私どもが非常に注目しております二つの交通事故を御紹介したいと思います。  まあ、ちょっと書き方、過激過ぎると思いますけれどもね、これね。週刊新潮。「大石寺「僧侶」を衝突死させた創価学会幹部」、こういう書き方をしているんですね。私ども調べましたところ、七月二十一日、ことしのです。六時十分、北海道大滝村国道二百七十六号線、トラックと乗用車が衝突、日蓮正宗、室蘭ですね、深妙寺の大橋住職が死亡されております。相手の車に乗られた、トラックに乗られている方は、名前を伏せます。創価学会員のようであります。これは交通事故だろうと思いますが、よくわからないんです、正直言って。しかしね、同時に、この号外を見てください、号外。「六万登山目前に遂に、日蓮正宗天罰下る!室蘭深妙寺大橋住職交通事故死!」、この事実、警察庁、おわかりですか。
  255. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員の御質問の交通死亡事故でございますが、本年七月二十一日午後六時十分ごろ、北海道有珠郡大滝村の左カーブの国道上で普通乗用車が右側車線にはみ出し、対向してきた普通貨物車と衝突し、普通乗用車を運転していた男性が亡くなった事故でございます。目下、北海道警察におきまして、現場での捜査、車両の確定、関係者からの事情聴取など所要の捜査を行っているところでございます。
  256. 川崎二郎

    川崎委員 交通事故だと思いますよ。しかしながら、こんな号外がその当日の二、三時間後に札幌でずっとまかれておった。これは警察庁御存じですか、このビラ。
  257. 田中節夫

    田中(節)政府委員 お答えいたします。  委員指摘のようなビラがまかれていたということを北海道警察から報告を受けております。
  258. 川崎二郎

    川崎委員 どのぐらいまかれたか、お聞かせください。
  259. 田中節夫

    田中(節)政府委員 お答えいたします。  まかれていたという事実は承知しておりますけれども、全体でどれぐらいかということにつきましては承知しておりません。
  260. 川崎二郎

    川崎委員 九月六日、札幌市西区内八軒橋、これは九時過ぎであります。日蓮正宗聞仏寺信徒富岡孝一さんの運転するワゴン車に、三人乗っておられました、対馬さん、富岡さんの奥さん。トレーラーが衝突をいたしました。私ども、現場を関係者に見させましたところ、とでもこのようなカーブの切り方をするのは考えられないということで、トレーラーが衝突をいたしております。  この事件、九月六日、起こったばかりでありますから、どのくらい警察庁御存じですか。
  261. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘の交通事故でございますが、これは本年九月六日午後九時五分ごろ、北海道札幌市西区発寒の道道、これは北海道の道でございますが、道道の橋の上で大型セミトレーラー牽引車、いわゆるトラクターでございますが、この車が右側車線にはみ出し、対向してきた普通ワゴン車に衝突して、そこへワゴン車に追従していた軽四輪貨物車が衝突した事故でございます。  この事故で、普通ワゴン車の運転者、これは男性でございますが、その男性と同乗の女性が死亡し、普通ワゴン軍に同乗中の運転者の妻とトラクター運転者が重傷を負ったというものでございます。
  262. 川崎二郎

    川崎委員 自治大臣、先ほどから担当者ばかりにお聞きしておるわけでありますけれども、各所でいろんな事件が起きております。日蓮正宗側からすると、いろいろ心配事が多いようであります。どうぞいろいろな御調査をきちっとしていただき、明確にしていただきたいと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  263. 野中広務

    ○野中国務大臣 御指摘のようないろんな事象につきまして、それぞれ関係する都道府県警察におきましては、厳正、適切な措置を行っておるものと承知をいたしております。  ただ、ただいまそれぞれ御指摘になりました問題につきましては、私ども国家公安委員会としても重大な関心を持ってまいりたいと存じます。
  264. 川崎二郎

    川崎委員 それでは、最後の質問に移ります。  全国に千ぐらいの創価学会会館、創価会館、研修所等があると言われています。この中に二千人、三千人収容できる巨大施設もあり、大変な資産だろうと思います。こういうものは大体文部省に届けるんですか。ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  265. 林田英樹

    ○林田政府委員 宗教法人法は憲法の信教の自由、政教分離の原則にのっとって制定されておるところでございまして、宗教法人の所轄庁には民法法人に対する監督権や調査権のような権限はないと解されているところでございまして、所轄庁である東京都におきましても創価学会の施設の全体の把握はできていないと承知しております。
  266. 川崎二郎

    川崎委員 今文部省から、基本的にはそういうことは法体系としてない、全体の施設がどうということはないという御答弁があったのですけれども、自治省、どうでしょうか。
  267. 滝実

    ○滝政府委員 お尋ねは、地方税のうち固定資産税に関連してのお尋ねだと存じますけれども、個々の市町村が課税いたしておりまして、その資産の保有状況、これについて私どもが把握しているということはございませんので、御理解を賜りたいと思っております。
  268. 川崎二郎

    川崎委員 国税は違う方面からアプローチされていると思うのですけれども、全体構造というのはおわかりになっているんでしょうか。
  269. 松川隆志

    ○松川政府委員 お答えいたします。  個別にわたる事柄について具体的に答弁することは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、国税当局としては、収益事業と非収益事業の区分経理、そして資産の利用状況を的確に把握し、その適正な課税の実現に努めているところでございます。
  270. 川崎二郎

    川崎委員 一応国税庁は、全体的に宗教法人のものは国税庁としては大体わかっているけれども、個々のことについては言えぬということなんですね。そういうふうに解釈しておきます。  実は、水野議員から、そうした施設が全国の組織的選挙の拠点として連日使われ、電話、ファクス、衛星通信に至るまで使われておる、こんな指摘がされております。このことについて、選挙施設としてずっとそれが使われるということになると何か問題がありますでしょうか、国税庁。
  271. 松川隆志

    ○松川政府委員 国税庁といたしましては、選挙運動云々という視点ではございませんで、宗教法人につきましては、御承知のとおり、収益事業を営む場合に限ってその収益事業から生じた所得について法人税が課されるということになっております。したがいまして、選挙運動の結果、例えばその収益事業に該当するというようなことがございますとそういう問題が起こってくるということでございます。
  272. 川崎二郎

    川崎委員 区割り法案が成立しますと、来年からは政党に対し交付金が支給されることになります。私は、思想の自由、信教の自由は我が国において最も重要な基本であると思います。政治的思想の自由を保障するため政党、政治団体には特典が与えられており、先ほど申し上げましたように、今日国から資金的な援助まで行うという時代になります。また、信教の自由を保障するために宗教法人には特典が与えられており、固定資産の非課税はその代表的なものであります。  ただ、この二つの特典を政教が一致して同時に利用されるということになりますと、これは大きな政治問題であると私は考えざるを得ないと思っております。(発言する者あり)そうですね、一致しているとですね。四月二十五日の朝刊に、新宿区信濃町の学会第二別館、家賃を払わないまま個人の住宅地として利用、こういう記事が載っておりました。中国新聞ですね。四年四カ月分、二千数百万円払ったということでありますけれども、国税庁、これ御存じですか。
  273. 松川隆志

    ○松川政府委員 お答えいたします。  マスコミ報道がされたことにつきましては承知しております。ただ、お尋ねの件は個別にわたる事柄でございますので、答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。
  274. 川崎二郎

    川崎委員 池田名誉会長が学会施設を居宅使用していた、四年四カ月分、二千数百万円払った。そうなると、個大使用でありますから、当然宗教用財産から外されるということになる。収益事業用の資産、家賃は払われたわけですから、もらった方は当然それを収益として届けなきゃならぬということになると思うんですけれども、自治省、そうなると解釈上は固定資産税をかけるということになりますね。
  275. 滝実

    ○滝政府委員 そのような有償貸し付けということが事実であるとすれば、課税庁において当然適切に対応している、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
  276. 川崎二郎

    川崎委員 こういう事案が一つあった。ただ、我々のところに、同じようなものが随分あるんじゃないかという御指摘があるんですよ。  熱海にあります東海研修道場、渋谷国際友好会館、箱根研修道場、長野研修道場、榛名、群馬にあります研修道場、霧島研修道場、六十二、三万坪あるらしいですね。八王子にあります加住研修道場、芦屋の牧口記念館、大沼研修道場、こういう中に専用施設なるものがあるんではなかろうか。この辺との課税関係というのはやっぱりきちっとしていかなきゃならぬということになると思います。  この辺は、これらの施設がすべて宗教目的に使われているかどうか、国税庁、先ほどのお話だと個別はきちっきちっとやっているというようなことだろう、ここでは言えぬよということだろうと思いますけれども、どうですか。
  277. 松川隆志

    ○松川政府委員 個別にわたる事柄についてはお答えできませんが、一般論で申し上げますと、国税当局といたしましては、あらゆる機会を通じまして、マスコミ報道も含めまして課税上有効な資料情報の収集に努めております。そして、その申告書と総合検討して課税上問題があると認められる場合には、実地調査を行うことなどによりまして適正な課税の実現に努めているところでございます。
  278. 川崎二郎

    川崎委員 自治省、それでは固定資産税の担当の方、ちょっと話を聞かしていただいて、その後自治大臣、課税の公平、極めて重要なことであります。宗教施設だから当然非課税であります。先ほど申し上げたように特典であります。しかしながら、個大使用なりいろいろな形がありますと、これから税制のさまざまな論議に入っていくときにやはり国民から批判を受けることになります。こういった点をきちっとしていただきたい、その辺の御見解を賜りたいと思います。
  279. 滝実

    ○滝政府委員 個別の地方団体がそれぞれ課税の公平、適切、こういうような観点から努力をいたしている点でございますので、事実関係に基づきまして適正な対応をされているというのが私どもの基本的な認識でございまして、今後ともそういうような努力をさしていただく、こういうことには変わりございません。
  280. 野中広務

    ○野中国務大臣 ただいま御指摘の固定資産税にかかわる問題につきましては、地方税法三百四十八条は、いわゆる宗教法人が持つ境内あるいは境内建物について、主として宗教活動を行うということを建前として非課税にしておるわけでございますので、今後この課税につきましては、さらに東京都初め関係課税それぞれ市町村において適正な課税が行われるものと、私ども期待をいたしておるところでございます。  今後なお私どもは、適正な課税についてさらに関係課税団体について指導をしてまいりたいと考えております。
  281. 川崎二郎

    川崎委員 大蔵大臣、国税の方から課税の公平という問題についてお答えを賜りたいと思います。
  282. 武村正義

    ○武村国務大臣 現状につきましては、国税当局からお答えをしたとおりだと思います。今後とも、宗教法人に対する課税につきましては、一層適切、厳正に対処をし、遺憾のないように努めてまいります。
  283. 川崎二郎

    川崎委員 これにて私の質問は終わります。政教分離の問題、政治問題として極めて微妙でありますけれども、最も大切な問題でもあります。(発言する者あり)
  284. 佐藤観樹

    佐藤委員長 静粛に願います。
  285. 川崎二郎

    川崎委員 これから我が党がこの論議を深めていくということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  286. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて深谷君、川崎君の質疑は終了いたしました。  次に、三野優美君。
  287. 三野優美

    三野委員 日本社会党を代表いたしまして、総理以下関係大臣に若干質問をいたしたいと存じます。  去年の七月の総選挙以降、細川政権、羽田連立政権、これが金銭疑惑や強権政治によって短期に次々と崩壊をしてまいりました。そして今日、村山政権が誕生したのであります。五十年間の対立のあった自民、社会、そしてさきがけの連立政権は、大方の国民の予想しなかったところだと思います。  共産党を除く今の野党の皆さんは、総選挙では非自民の連立政権を目指すとのことを国民に訴えてまいりました。当時、社会党も、山花・赤松執行部で同じ主張をしておったように思います。ところが、その一部に、非自民ではなしに、自民党一党支配の政権を終えんをして、社会党を軸とした連立政権を目指すと主張した人がおったのであります。  政治は常に動いております。ましてや東西対立の時代が終わり、そのことは国民意識にも変化をもたらし、当然政党にも影響するわけであります。したがって、政治家は常に時代の動向に敏感にかつ柔軟に対応する能力が求められるのであります。今にしてみれば、この主張はまことに見事な政治判断であったと感心させられるのであります。  国民の中には、自社が組んだ政権、ましてや社会党委員長を首班とする政権がそうもつはずがない。そこで、奏足当時の世論調査は、支持率においてまことに厳しいものがございました。しかし、日時の経過とともに村山内閣の支持率は、与党とともに上昇しつつあるのであります。その中身は、総理の人柄、庶民性と高い人格、第二は政権の安定性なのであります。くるくるかわる政権へ国を任すことの不安であります。安心、安定した長期政権としてその任務を果たしてもらいたいという願いでありましょう。  野党の一部には、選挙制度が変われば早期に解散・総選挙をと言う人が本会議でもございました。今、衆議院に籍を置く私たちは、去年の総選挙で、七十年の歴史を持つ選挙制度のもとで、国民の信を得て正当に選ばれた者であります。選挙制度が変わったからということで、どうして任期を待たずして、国内外の重要課題を放棄して解散しなければならないのか。これは全く解散の論拠とならないのみならず、憲政に無責任な態度でしかありません。この際、総理の憲政に対する責任を明確にしてもらいたいと思います。  東京家政大学の樋口恵子教授は、自社さきがけの連立がうまく化学反応を起こしてくれるならば、国民にとってよい政治ができるのではないかと期待すると言っておられます。他にも同意見を持っておられる方が多いようであります。社会党は、未来への理想を求めつつ、徹底した平和主義と庶民政党としての特徴、自民党は現実主義とその決断力、新党さきがけは理性の改革の党、そんな特徴がうまくかみ合ってくれることを期待しているものと思います。  ところで、社会党の支持者や一般市民の中には、しかし社会党はこの連立の中で、どうも従来の理念や政策を放棄をして、一方的に自民党に譲歩しているのではないのか。日本の政治に社会党的存在が必要であり、総保守化することに心配をしている部分がございます。  しかし、今日のように国民意識が多様化した社会で、政権党が一党派の思想や政策を一方的に押しつければ、それは強権政治となるのであります。ましてや連立政権のもとでは、どの党が政権についてもそんなことは不可能なんであります。今政権を担う政党は、広く国民の動向と与野党の意見に気を配り、その集約としての最大公約数が政府の方針の基本に据えられなきゃならぬと思います。  したがって、党の基本政策や選挙の公約との間に落差が生まれることは、ある意味では当然なんであります。同時にその政府方針が、首班である社会党の理念や政策に一歩でも近づける努力、これはやっぱり当然求められると思うのであります。  この政権のもとで村山総理は、社会党の今日まで果たしてきた役割、理念、政策をどう一歩でも前進させようとしているのか、そしてまた、村山政権の特質、これをどう表現されようとしているのか、この際お尋ねをしておきます。  同時に、自民党も総選挙で国民の批判を受け、政権を一時期離れる結果となりました。しかし、村山政権への参加で自民党の支持率も回復の兆しかあります。自民党も過去に弱点がなかったわけではありません。例えば、世間で言う族議員的体質、どうも大企業中心で弱者には目を向けにくいのではないのか、軍事大国化を目指しているのではないかなどなど、誤解を含めて批判があったことは認めなきゃならぬと思います。  そこで、連立政権をきっかけに、国際的には、大国主義をとらない、内にあっては、軍縮、平和主義、そして大衆政党として社会党と共有し得ることができるのかどうか、そして、平和憲法に対する自民党の改憲論を転換する決意があるのかどうか、この際、河野総裁にもお尋ねをしておきます。
  288. 村山富市

    村山内閣総理大臣 現政権に対して、いろんな角度からの指摘がございました。私も率直にお答えを申し上げたいと思いまするけれども、この政権に課せられている当面の課題は何だろうかということを考えてまいりますと、一つはやっぱり、これまでずっと引き続いて議論をしておりまする区割り法案の早期成立をして、腐敗防止も図りながら政治改革を実行していく。  さらに、これから少子・高齢社会といったような大きな国民的課題も抱えているわけでありますから、そういう対策を万全に講じて、これからのそうした社会に対する国民の不安を解消して、安心してもらえるための改革を推進しなきゃならぬ。  同時にまた、規制緩和を中心とし、地方分権等も含めた行政改革も行って、新しい時代に十分対応できるような、そういう国内の改革というものをどう進めていくかといったような緊急の私は当面する課題もあるかと思います。  同時に、国際的にも、日本の果たす役割あるいは東南アジアの国々の日本に対する期待等々を考えた場合に、国際的にも果たしていかなきゃならぬ大きな役割を担っておる。  こういうことを考えてまいりますと、私は、やっぱり政治的な空白はひとときも許されないのではないか、そういう役割を国民の期待にこたえて万全に果たしていくことが今の政府に課せられた大きな課題ではないか、こういう自覚を持ってこれから政権を運営していきたいというふうに思っておるところでございます。  ただ、先ほど来御意見もございますように、同時にまた、社会党の中にもそういうお気持ち、不安を持たれている方もたくさんあろうかと思います。私も率直にそれは承っております。この三党連立政権という中に社会党はもう埋没してしまって、社会党の存在というのがだんだんなくなっていくのではないか、こういう不安を持たれている方はたくさんあろうかと思いますね。  ですから私は、先般も党の両院議員総会でごあいさつで申し上げましたけれども、また先ほども申し上げたのですけれども、やっぱり連立政権というのは、日本の今の政治の世界の中では絶対多数を握っている政党がないわけでありますから、したがって必然的に連立政権を組まざるを得ない。その組まれる連立政権の枠組みをどうっくるかというのは、やっぱり政策を中心にして話し合って、そして合意できるものが力を合わせて結集していくという以外にはないのではないか。そういう経過も踏まえて今の政権が誕生しているわけであります。  私は、この政権というのは、やはり政党が違うだけにその持ち味も違うし、歴史も違うし、あるいは持っている理念や政策の違いもあると思います。これは当然だと思うのです。そういう違いをお互いに認めた上で、お互いに意見を開陳し合って、そして合意点を求めていく。  その場合に、それぞれの政党にはそれぞれのよさがあるわけですから、そのよさを相殺し合うというのではなくて、生かし合いながら合意点を見出してよりよいものを探求していくということが大事ではないかと思いまするし、何よりも求められるものは、やっぱり公明性を高め、透明性を高め、そして民主的にやって国民の皆さんにもよく理解してもらえる、なるほど連立政権というのは多様な国民の意見が民主的に反映されるいい政権ではないか、こういう認知をしてもらうことが大事ではないかというふうに考えておりますから、そういう決意でこれからも政権を担当していきたいというふうに思っているところでございます。
  289. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほども申し上げたところでございますが、昨年夏の選挙の結果は、自由民主党にとりましては、選挙の直前の議席を上回る議席を国民からいただいたわけでございます。しかしながら、自由民主党は、その選挙の結果に対しまして、これを厳粛に受けとめて、総裁以下三役がそろって責任をとって退陣をするという事態となったわけでございます。  恐らくこれほど厳粛に選挙の結果を受けとめた政党はないのではないかと私は思いますが、そうして総裁以下退陣をされました後、私は、実はいわゆる派閥の長でもなければ何でもない私が選ばれて総裁の席に座るという事態となりました。これは恐らく自由民主党立党以来いまだかつてない事態でございます。こういうことは、自民党の議員があの状況を極めて厳しく受けとめた、そして反省をし、自由民主党の新しい出発をしなければならないという気持ちがそうしたことになったのだというふうに思っているわけでございます。  その後、雌伏一年、今度は村山社会党委員長を首班として担ぎまして連立政権をつくることになりました。村山総理の指導のもとで、三党は一致してこの政権を安定した政権とするための努力をいたしております。  例えば防衛費におきます概算要求などにつきましては、防衛庁長官もおられますけれども、非常に厳しい状況の中で、これは従来よりも思い切って抑制した概算要求をするというようなことにいたしました。これらは恐らく三党による連立政権の結果であるとお考えをいただいてよろしいかと思います。  先ほど総理からも御答弁ございましたように、三党は、それぞれの持ち味というものを大事にしながら、国家国民のために、あるいは世界国際社会のために懸命な努力をいたしたい、こう決意を固めているところでございます。
  290. 三野優美

    三野委員 河野外相は、去る九月二十七日、国連において演説をされて、平和国家として憲法に禁ずる武力行使はしない、そして非核、武器輸出禁止の原則など日本国有の政策を冷戦後の世界に広げると強調し、開発や環境、人権、人口、麻薬、エイズなど地球規模の経済・社会問題にこれまで以上に取り組むことを主張されました。これは一応国民に歓迎されたものと思うのです。  さて、国連改革のことを触れておりますが、一つには、どうも国連が核保有国の五常任理事国の大国支配の感が強く、政治や軍事に力点を置き過ぎているのではないのか。そこへ日本、ドイツなど経済大国のみが参加をして国連にどんな変化が生まれるのか。強い発言力を持たない多くの小さい国々や発展途上国の意見がどのように反映できる改革になるのか。  二つ目、国際紛争に使われる武器の大半は、常任理事国である大国から輸出されているのが多いわけであります。武力紛争防止の一つとして、武器輸出の歯どめをどうするのか。  三つ目、核不拡散条約の無期限延長を支持すると言われましたが、広島、長崎市長の核実験即時全面禁止要求との矛盾、これをどう受けとめているのか。  四つ目、国連総会において我が国政府は今日まで、反核決議に対して反対や棄権をするという態度がしばしばあったわけです。これに対する反省と今後の対応の方針、これを聞いておきます。  最後に、常任理事国入りを果たして、政府演説の武力不行使をどのように担保されるのか、お尋ねいたします。
  291. 河野洋平

    河野国務大臣 大変多数の御質問でございますので、もし答弁が漏れましたら、後ほどまた御指摘をいただきたいと思います。  まず最初に、国連改革についてお尋ねがございました。国連改革、なかんずく安保理の改組について、これは国連の中で目下作業グループなどが各国の意見をそれぞれ出し合いまして作業が進んでいるところでございますが、お尋ねの趣旨を参酌しながら御答弁申し上げるとすれば、大国ばかりの安保理ではいかぬ、いわゆる開発途上国と申しますか、そうした国々の意見というものはどうなるのだ、こういうお尋ねがまず最初にございました。  私どもは、常任理事国と非常任理事国と両方とも改組されるべきだ、つまり、常任理事国の数もふやし、非常任理事国の数もふやしていってはどうかという提案をいたしております。これは、常任理事国というものは、常にグローバルな視点、グローバルな視野で地球上全体を見る、そしてグローバルな問題について対応をする、そういう視点を持つ、あるいはそういう能力を持つ、そういうことがまず一つ重要ではないか。  一方、非常任理事国としてさまざまな地域、分野あるいは立場、こういう方々にお入りをいただいて、それぞれの立場、それぞれの地域あるいはそれぞれの分野で御発言をいただく。しかし、時に開発途上国の方々、これはいろいろございますけれども、例えばの話ですが、なかなかグローバルに目は届かないけれども、自分たちの周辺の問題あるいは自分の問題について考えて発言をするということは貴重なことでございますから、こういう方々の御意見もさらに安保理の中に反映されるということが必要ではないかというふうに考えているということをまず申し上げたいと思います。  それから、ちょっと順番があれこれになりますが、核の問題について言及がございました。  NPTの無期限延長を言ったけれども、広島や長崎の市長の気持ち、考え方をおまえは理解しておるか、こういう御質問だったと思いますが、私は十分広島の市長さんの意見なども伺っております。長崎もいろいろと私ども拝聴をいたしております。  これらにつきましては、もちろん我々は、究極において核の廃絶を目指すということが我々の願いでございますし、主張でございます。しかし、直ちにそういかないということであれば、まずこれ以上核保有国がふえるということがないようにその枠をはめる、そしてさらに核保有国には、徐々に徐々に実験も禁止し、保有する核の数も減らし、最終的には究極的な廃絶に向けて進んでもらわなければならないというふうに思います。  私は、NPTの無期限延長を主張する以上、核保有国に対して、まずは全面的核実験の禁止条約に一日も早く全核保有国が合意をするということが望まれる、ぜひやってもらいたいということを言いまして、来年は核が最初に使われた年から数えて五十年目、ぜひこの節目に、せめて核実験全面禁止だけは合意してもらいたい、そして、それが合意できれば、その署名式は日本でやっていただいたらどうかという提案まで具体的にいたしているところでございます。  それから、兵器輸出国だ、安保理の大国はみんな武器輸出国ではないか、この武器輸出国がもう少し考えなきゃならぬという御指摘、私全くそのとおりだと思います。  先般、緒方貞子さん、UNHCRの緒方さんのお話を伺うと、全く私は同感でございましたけれども、緒方さんは、とにかく安易に通常兵器がどんどんと輸出をされて、その通常兵器があちこちに散在することが殺りくの原因になっておる、だからこの武器の移動というものがもっと制限される必要があるということを言っておられました。私も全く同感でございまして、武器の移転というものができなくなるように、できにくくなるように、あるいは武器の移転が透明性を持つような、そういう仕組みをさらにふやしていかなければならぬというふうに思っているところでございます。  漏れましたら、後でもう一度御指摘ください。
  292. 三野優美

    三野委員 多岐にわたっていますけれども、時間の関係で次に移りたいと思います。  次に、従軍慰安婦という言葉、これはどうも使いづらいわけであります。正確に言えば、強制連行による性的奴隷というか、強制というか、適当を言葉がないわけでありますが、村山総理の「人にやさしい政治」とは、国内はもちろん、国際社会でも同じであろうと思います。  戦後五十年、今なお未解決のいわゆる従軍慰安婦の問題は、日中戦争から第二次世界大戦の日本の敗戦まで、多くの女性が犠牲になったわけであります。時の軍が直接または間接を含めて関与したことは、一九九二年一月に宮澤内閣のもとで加藤官房長官が正式に認め、謝罪をしました。九三年五月にも、河野官房長官も旧日本軍の関与を認め、その解決を真剣に検討すると言っておられます。  我が国が常任理事国入りの意思表示をする以前に、この基本的人権にかかわることを解決すべきです。この問題の解決なしに、人権外交を口にすることこそおこがましいと言わなければならぬと思うんです。  これは、国際社会の問題であると同時に、国内問題でもあろうと思うんです。国民のほとんどの人々は、慰安婦という言葉を耳にし、活字を見るたびに、戦慄の思いをし、耳を押さえたい、目をふさぎたくなると言っておるわけでありまして、戦争とはいえ女性がここまで犠牲にされていたのか、余りにもひどい、これは世代を超えた女性共通の嘆きであり、怒りの声なんでもあります。  一日も早く解決してもらいたい。戦争を知らない若い人たちも含めて、私たちが国際社会においてわだかまりなくおつき合いできるような環境をつくってほしい。これは、年齢や職業、男女を超えた圧倒的多数の国民の願いであります。  外務省の役人の言う国家間の賠償問題とはその性質を異にすると私は思うのであります。また、平和条約締結時、その実態は、関係政府はともに把握していなかった事件でもあろうと思います。  この際、各党の皆さんにもお願いを申し上げたいと存じます。私たちも政治家として、国際社会や人権を語る前に、思想、信条、立場を超えてともにこの問題の解決に汗を流したいと思うんです。ぜひお願いしたいと思うんです。  そこで、総理お尋ねします。  村山総理は、いや人間村山富市としてこの従軍慰安婦という言葉を聞いたときに、どういうようにあなたは受けとめておられるのか、国民の前に総理の真情をお聞きしたいと思うし、また、河野外相も今日までこの問題にはしばしば触れておられるわけでありますが、単にもう言いわけや形式主義的に何らかの措置をするなどと言うのではなしに、関係者も含めてだれもが納得し得る処理をする、これこそ国際日本の果たすべき役割じゃありませんか。人権を言う政府の当然の仕事だと思うんです。この際、この問題についてお尋ねをしておきたいと思う。総理及び外務大臣、お願いします。
  293. 村山富市

    村山内閣総理大臣 三野委員の切々たる訴えを私は率直に受けとめております。  俗に言われますこの従軍慰安婦の問題は、これはもう言葉では言い尽くせない、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけ、同時に、従軍慰安婦としての数多くの苦痛を経験され、心身にわたりいやしがたい傷を負わされておる、こういう人間一生にとって取り返しのつかない問題だというふうに私は深刻に受けとめておりますが、そうした事態を引き起こした我が国としての責任とおわびというものはたびたび私は表明してきたところでございますし、同時に、先般、五十年問題に関する私の談話の中でもその気持ちは率直に申し上げておるところであります。これはもう三野委員の御指摘のとおりだと私は受けとめております。  そこで、政府としては、来年五十年を迎えますから、その五十年を迎えるに当たって、こうした問題についてどのように対応していけばいいのかということについて今政府の中でも官房長官を中心に検討してもらっておりまするし、同時に、与党三党の中でもこの問題に対する決着をどうつけるかということで真剣な議論もしてもらっておるというふうに聞いておりますから、そうした状態も十分踏まえた上で対応していくことがいいのではないかというふうに考えておりますが、いずれにしても、やはり何らかの決着をつけなければならぬだろうということについては、真剣に受けとめて考えておるところであります。
  294. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘の従軍慰安婦問題は、個人的に人間として感じたことを率直に申し上げれば、まず第一に、極めて恥ずかしい問題だというふうに私は感じております。さらに、今総理からも御答弁がございましたように、多数の女性の尊厳というものを傷つけた、あるいは、それはただ単に尊厳だけではない、いやすことのできない傷を負わせたということに対する気持ち、こういうものを私は強く持っております。  もちろん国として、国と国との関係はサンフランシスコ平和条約その他で片がついている、こういうことではあります。しかしこの問題、そうした方々に出会ってみれば、やはり胸の痛みというものは人間である以上だれしも感ずるところだろうと思うのです。  一方、いまだに我が国から、例えば東南アジアの国々にいわゆる買春ツアーなどと呼ばれる旅行があるなどという報道などを見ると、これはもう全く話のほかだ。反省もなければ、過去の問題について我々はどう教育を受けてきたのか、あるいは教育をしなければならないのかということも感ずるわけでございます。  いずれにしても、今総理から御答弁がございましたように、先般出されました内閣総理大臣の談話、この談話を具体化するというために努力をしなければならないというふうに考えているところでございます。
  295. 三野優美

    三野委員 この問題は、私は、例えば日韓条約のもとで国家賠償は終わっているとか、フィリピンその他の国々と賠償問題は終わったとか言いますけれども、私は、賠償の対象以外の問題だ、これは。家が焼けたとか服をとられたとか、そういう損失の問題ではない。まさに人間そのものを否定するような行為なんですから、韓国の場合だと、たとえ韓国政府が個人補償はいいよと言ってみてもそれで解決するような問題ではない。この問題は、我々がそれなりの決意を示してちゃんとしたことをしない限り未来永劫に続くことなんです。人権という問題、人間をどう見るかという問題。したがって、例えば一部に言われるように、婦人会館をつくるとか婦人センターをつくれば、そんな話とは私は違うと思うのです。  したがって、ぜひそういう意味で、これこそ与野党を含めて政治家として、人間としてちゃんとする、それをちゃんとしないから、さっき外相が言ったように、いまだに買春ツアーなんというものが出てくる。どれほど重いものかということをやはり我々はちゃんと政府としてする必要がある、国家としてする必要がある。そのことをお願いしておきたいと思います。  次に、税制についてお尋ねします。  税制改革は、国の財政とともに国政の基本となるものであり、公平公正を基本として、慎重かつ納税者たる国民の大方の納得するものでなければなりません。今から私が大蔵大臣に質問しますのは、一般市民がここはどうなんだということを言っているわけですが、そのままあなたに質問しますから、国民に対するお答えとしてください。  一、所得税減税五兆五千億、その中の恒久減税三兆五千億は消費税率引き上げの引き金となり、減税が麻薬となって五%になったのではないか、こういう意見がある。これに対してどう答えられますか。  二つ目。減税は景気対策として論ぜられたので、三年間で打ち切れば七年間ぐらいの自然増収で賄えるのではないか。その後の自然増収分、どの程度あるかという議論はあると思いますが、これは福祉予算に充てられるのではないかという意見がありますが、これはどうなのか。  三つ目。消費税を含めた増減税と将来の年金を含めた福祉とを考え合わすと、今の五十歳、六十歳代の高所得者と若い低所得者の間に大きな格差が生まれてくる。これは単に税収というだけではなしに、とりわけ地方の低賃金、退職時が三十万円前後で終わる人たちや、パートや臨時職員など生涯賃金が平均十万、二十万の方がたくさんおるわけであります。  調べてみると、例えば三十万以下の人は十人以上の企業でも六五%余り、十人以下では七二%余りおるのですね。この人たちはずっと安い賃金で生涯終わるわけですね。これらの人たちは、年金もやっぱり受け取るのも低額なんです。こういう人たちが圧倒的に多いのでありますが、税を論ずる場合には当然国民は納税と受益、福祉ですね、これを総合的に考えるわけでありますから、そういう立場からして今度の税制は問題はないのか。  四つ目。よく言われる利子、有価証券譲渡益等の資産所得への総合課税と納税者番号、これについてどう考えるか。  五番目。租税特別措置による法人税減収額が四千三百億余と言われていますが、この削減目標。  赤字法人、五三%。毎年税金を納めないけれども会社は健全だといってずっとあり続けて、中には会社が大きくなっているところもある。これに対してどうするのか。  年金受給者の中でも高額所得者の方には、やはりこういう社会を、高齢者社会を迎えていますから、御協力いただけないものだろうか。  行財政改革で、大蔵大臣が党首のさきがけは、年間二兆四千億削減が可能だという政策を発表されました。我が党はもちろん、けさからの議論のように与野党一体となってこれは取り組まなきゃならぬのですが、これは一体どこまでやる決意があるのか。  九番目、政府は九六年九月までに、不公平税制、行政改革を断行してということで、消費税も含めて再見直しをするという見直し規定があります。民間では五%ぐらいだったらリストラはやれるということを先ほども言われておりました。政府は、このリストラも含めて二年後までに消費税の税率も含めて見直す。上げることもあるかもわからぬ。それは福祉との関係もあるでしょう。しかし、下げることもあるかもわからぬということをぜひ御理解をいただきたい。  最後に、去る九月三十日に愛知県警は、名古屋地検、国税当局と協議の結果、愛知県五区選出の日本新党代議士近藤豊氏の事務所及び自宅を強制捜査をした。政治資金規正法違反、所得税法違反の容疑であります。昭和五十三年七月から平成四年までの間に、何と八団体、六億九千七百万を集めて、水増し領収書を出したというのです。税務署から献金者に所得税の還付を受けるという手口なんであります。これはもうまさに、一部はもう献金者も認めているようですけれども、この件では元新生党の大谷代議士もおるわけです。同様事件で今公判中ですね。単なる脱税というよりも、税の詐欺なんだ、これは。  今や御承知のように政治改革ということで三百億の金を政党は受け取ろうというときに、こういう税制度を悪用して、こんなことをやってどこが通りますか。私は、直ちにこれは政治倫理審査会にかけるなりして出処進退を明らかにすべきだ、そうでなければ国民は納得しないと思うのです。  この点について、捜査の経過と、再発防止のために国家公安委員長である自治大臣はどう考えているか、お答えいただきます。  以上で、私の質問を終わります。
  296. 武村正義

    ○武村国務大臣 たくさんお尋ねをいただきましたので、いささか簡潔に過ぎるかもしれませんが、お答えをさせていただきます。  まず、五%の税率にかかわるわけでございますが、これは初めに五%があったわけではありません。三・五兆円に五・五兆円を切り詰めたといいますか、再精査をさせていただいたことが五%を可能にした、こういうふうに思っております。  自然増収のお尋ねでございますが、自然増収という概念も余り定かではありませんが、景気の動向によって、特にいい場合に税が予想以上に伸びることをいうのかもしれませんが、財政需要は数限りなくございますし、今日の定率繰り入れ停止の状況や二百兆円の国債残高等を考えますと、自然増収は自然増収として、そのときの財政運営全体の中で対処すべきものだというふうに思っておりまして、減税そのものを自然増収で賄おうという考えは私どもはとることができませんでした。  それから、高額所得者と年収三百万円以下の方々との論議でございますが、まず課税最低限を上げる等の努力をさせていただきましたが、課税最低限以下の層、まあ三百万というとそういう層になりますね。今までは大体九割ぐらいが税を払っていると聞いておりましたので、その層は一割前後になるんでしょうかね。いや、住民税の最低限直前ぐらいの方々になるのでしょうか。そういうふうにとらえましても、これは、非課税対象者になってまいりますと、減税措置で救う道は確かにありません。問題は、歳出のサービスの面で公平な対策がとられるように努力をしていくことではないかと思っております。  今回の減税は、課税最低限も引き上げますが、主としては働き盛り減税と言っておりますように、中堅層に重点を置いた減税で対処をさせていただくことになりました。  それから、税の公平確保の観点から租税特別措置法についてお尋ねがございましたが、これは、ことしも秋から年末の時期に、来年度の税制改革の中で真剣に努力をさせていただきます。特にことしは抜本的な改革という姿勢で努力をしていきます。  納税番号、総合課税につきましても、本会議で御答弁してまいりました。年金や住民基本台帳等がほぼ見える状況になってまいりまして、いよいよ、これにリンクする形で税の番号制についても真剣に取り組んでいかなければいけませんし、その中に利子や株式配当等にかかわる総合課税の問題もあるというふうに認識をいたしております。  以上、ありがとうございました。
  297. 野中広務

    ○野中国務大臣 三野委員指摘の政治資金にかかわります所得税の還付につきましては、具体的捜査内容につきまして私から御報告申し上げる立場にございませんし、御遠慮申し上げたいと存じますけれども、この種事犯に対しましては、警察といたしましては、今日までも厳正に扱ってまいったと信じております。このたびの委員指摘の事項につきましても、それぞれ関係省庁と一緒になりまして、今厳正に捜査中であると承知をいたしております。  ただ、お説のように、一人の政治家として今政治改革の大きな流れの中に、しかも、きょう午前中からも政治倫理について非常に厳しいそれぞれ御質問があったところでございます。そんな中におきまして、私どもは、改めて国民に新たなる税の負担を含めてお願いをしなければならないこの深刻なときに、政治家が法を悪用して、そして税の還付を受けるなどということは倫理としてあり得ないことであります。  私ども、その意味において、お言葉を厳粛に受けとめて対処してまいりたいと存ずる次第であります。
  298. 三野優美

    三野委員 坂上委員と交代いたします。
  299. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、坂上富男君から関連質疑の申し出があります。三野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。坂上富男君。
  300. 坂上富男

    坂上委員 村山総理を初めといたしまして、各閣僚の皆様方、本当に御苦労さんでございます。国民のための政治をひとつ期待をいたしております。  早速でございますが、もう時間が五分削減されました。まずお聞きをいたしたいと思います。  一つは、ロシア国境警備隊による日本漁船に対する発砲、沈没事件についてでございます。これはもう本当に、漁民の皆様方が安全操業のために体を張って操業をなさっておるわけでございます。しかも、外務省で張り出された文書を私は見ておりますのでよく存じ上げているわけでございますが、一体この漁民の皆様方の安全保障、これについてどういうふうな対応をこれからとられようとしているのか、とられる自信があるのか、これをまずお答えを外務大臣からいただきたいと思います。
  301. 河野洋平

    河野国務大臣 政府といたしましても、北方四島周辺水域における漁業をめぐる昨今の状況は大変心配をいたしておりまして、先般の国連総会の際、私とコズイレフ・ロシア外務大臣との会談におきましても、私より、民間人に対する発砲事件が再発することのないよう強く申し入れたところでございます。  このような我が方のたび重なる申し入れにもかかわらず、先日、十月四日でございますが、再び我が国漁船に対する発砲事件が起きました。漁船が沈没したということは、人道的観点からも、また領土問題についての我が方の基本的立場にかんがみましてもゆゆしき問題でございまして、まことに遺憾であると考えております。この点、翌日午後、野村外務省欧亜局長がチジョフ駐日ロシア大使を外務省に招きまして、厳重に抗議するとともに、かかる事件の再発防止のための措置をとるよう強く要請をしたところでございます。  また、北方四島周辺水域における日本漁船の操業問題につきましては、政府としては、北方領土問題に関する我が方の基本的立場を万が一にも損なうことがあってはならないとの基本的立場の枠内で、何ができるか鋭意検討してきているところでございます。  このような検討の一環といたしまして、九月に事務レベルでロシア側関係者との間で非公式かつ予備的な意見交換が行われましたが、先般の日ロ外相会談において、本件に関して引き続き話し合っていくことが確認された次第でございます。
  302. 坂上富男

    坂上委員 今おっしゃったことは、この張り出しで大体書いてあるからわかるわけでございます。  ただ、ロシア大使の言い分からいいますと、日本漁船による違法な操業であることを指摘しておきたい、こういうようなロシア側の大使の主張があるわけでございます。これはもう解決しなければまたこういうことが起きるわけでございます。厳重抗議をしたとか何をしたとかと言っても、こういうことの事実の認識の違いがあれば、これは起きないとも限らぬわけでございますから、そんなことが大変な不安でございます。きちっとこの問題を解決していただくことが最も緊急な私は外交でなかろうかと思っておりますので、強く要請をいたしたいと思っております。  次に、今度は、農業の国内対策大綱骨子の財政的裏づけについてでございます。これは大蔵大臣を中心にして、簡単でいいですからお答えをいただきたいと思います。  先般、いわゆるラウンド合意の対応対策といたしまして、国内対策大綱骨子が発表されましたが、財政的裏づけについては何ら示されておらないわけであります。私は、端的にお聞きをいたしますが、補正予算でこれを行うというのか、あるいは来年度の予算概算要求には国内対策が入っていないから、組み替えとしてやられるというのか、あるいはそのシーリング枠の特別枠として認められるというのか、金額はいつごろ、どういう形で発表なさるのか、きちっとお答えいただきたいと思います。
  303. 武村正義

    ○武村国務大臣 先般、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱骨子が決定をされまして、これをもとに目下論議をいただいているところでございます。  この経費の扱いにつきましては、御承知のように平成七年度の概算要求についての閣議了解としましては予算編成過程において検討する、こうなっておる次第でございます。したがって、今具体的に二、三の例をお挙げいただいて、どれだというお尋ねでございますが、今の段階では、予算編成過程の中でひとつ十分検討をさせていただいて、適切な対処をさせていただくということでお許しを賜りたいと思っております。
  304. 坂上富男

    坂上委員 そこで問題は、農民の皆様方も、また私たちの党の要請も、農業国内対策大綱とそれから食糧管理法等の法制化問題と批准について、三者同時決着すべきである、こういう意見を私は強く持っておるわけであります。  今、大蔵大臣のお話によりますと、予算の過程の中でと、こういうお話でございますが、これが批准されまして、まかり間違えまして予算の食い逃げをされては困るわけでございます。予算の食い逃げといいますかな、逃げられたら困るわけでございますので、これはひとつ三者同時決着という方向できちっとこうしていただくように対応していただきたいと思っていますが、いかがです。
  305. 武村正義

    ○武村国務大臣 いずれにしましても、もうこの秋から年内いっぱいの話でございますし、私どもは、いやしくもこれは基本的な政府の方針でございますから、今おっしゃるような御批判は受けることのないようしてまいりたいと存じますし、予算そのものは、国会の審議から考えますと、その後に来るといいますか、時系列で考えますと、やや最後の時期に押しやられる可能性があるわけですが、政治的には、しかしそこはきちっと、農家の皆さんに御不安をいただくことのないよう、納得いただくような姿勢をやはり明らかにしていかなければいけないというふうに思っております。  事務的な処理においては時系列がございますが、政治的にはやはり一体対応するという考えでまいります。
  306. 坂上富男

    坂上委員 ぜひお願いをいたしたいことであります。  その次に、消費税についてでございますが、食料品の非課税についてでございます。  税制大綱の中の見直し規定の中にこの食料品は含まれておるのでございましょうか。いかがですか、大臣。
  307. 武村正義

    ○武村国務大臣 見直しの表現としましては、消費税の「課税の適正化」でございましたかね、であったと思うのでありますが、与党のプロジェクトチームの論議としましては、中小事業者の特例等の現行消費税の措置をさらに詰めていくというふうなとり方をしてこうした表現が入ったようでございますが、一応「課税の適正化」でございますから、それにかかわるあらゆる問題がこの対象にはなっているというふうに解釈してもいいのではないか。この文言が入った動機は今申し上げたようなことでございましたが、言葉どおりに解釈をしながら対応をしていっていいのではないかというふうに思っております。
  308. 坂上富男

    坂上委員 ぜひ、食料品非課税問題について、見直し規定の中においてもあるいはこれからの審議の中においても、ひとつ非課税対象としていただきたいことを強く要請をいたしておきます。  次は、福祉予算についてでございます、大蔵大臣。  税制大綱の中に福祉対策、七年度分が一千億円、八年度分が二千億円、新たに出すことになっておるわけであります。きょう午前中にもこの指摘があったのでございますが、この時点ではいまだ消費税財源はないわけでございます。この財源はどこから持ってくることになるのか。厚生省の他の予算を回すのでは意味はないのであります。別枠とされるおつもりなのか。この点について明確なお答えをいただきたいと思います。
  309. 武村正義

    ○武村国務大臣 たびたび別枠のお話が出ますが、概算要求は概算要求でございまして、これを基本にして年末に向かって予算の精査が行われて、査定といいますか、最終の結果に至るわけでございまして、概算要求の額よりは、そういう意味では、精査されれば金額そのものは少しでも、財源の厳しい状況でございますから、歳出の面でも抑制をされるのが最近の実態であります。  そういう予算編成作業の中で、あくまでもこの一千億、二千億も、工夫をして適切な対処をしてまいりたいという考えでございます。
  310. 坂上富男

    坂上委員 ちょっと大蔵大臣にだけ質問しでもお疲れでしょうから、ちょっと法務省にお聞きをいたします。  まず、小沢一郎代議士の後援会、政治資金規正法違反問題が捜査の対象になっているはずでございますが、これは一体今どうなっておるのか、捜査の見通しは今どうなっていますか、お答えいただきたいと思います。
  311. 則定衛

    ○則定政府委員 お尋ねの小沢一郎代議士に対します政治資金規正法違反の告発事件につきましては、なお引き続き検察当局において捜査中でございます。  その捜査の見込みということでございますけれども、これは捜査の結果、検察当局が決めるということでございますので、現時点で私ども法務当局から申し上げるべきではないと思っておるわけでございます。
  312. 坂上富男

    坂上委員 ぜひひとつ迅速厳正な捜査をお願いしたいと思います。  いま一つは、私たち新潟県に起きておる問題でございますが、いわゆる新潟県知事選挙におきまして佐川急便から三億円が資金提供されたということは、捜査当局の発表によって明白であります。そのうち一億円については、当時の金子候補がこれを受領いたしまして、虚偽報告をいたしたということで現在裁判中でございまして、近く判決が出るとのことでございます。あとの二億円ルートのことでございますが、これは全く、だれが受け取って、どういうふうにされたかということははっきりしてい狂いわけでございます。  この点についても目下捜査中だというお話のようでございますが、一体これについてはどういう捜査の見通しになっておるのか。特に金子元知事が、一億円でこうやって知事を棒に振って裁判にかかる、しかし二億円のことについては全く閉ざされたままということに対して、特に新潟県民は、極めて不公平であるといって皆様方から強い私たちは指摘を受けているわけでございます。これ、ひとつぜひ明確にしていただかなければならない問題でございますが、まず、捜査はどうなっておりますか。
  313. 則定衛

    ○則定政府委員 お尋ねの件は、金子陣営に所属する氏名不詳者に対する政治資金規正法違反等の告発事件でございますけれども、本件につきましても、現在東京地検におきまして所要の捜査活動を続けていると承知しております。
  314. 坂上富男

    坂上委員 ぜひ、時効などというような事態にならないんだろうと思いますが、この二つの事件は、大変私は国民の皆様方が注視している事件だろうと思っておりますので、厳正迅速な捜査を期待をいたしたいと思います。  さて、私は最後に、実は軍縮、非武装についてお聞きをしたかったのでございますが、ちょうどもう時間ですの通知が参るようでございますので、中途半端に聞いておりますと、また時間の関係もございますが、どうぞ、三党首、村山総理あるいは河野外務、それから武村大蔵の各党首からお聞きをいたしたいのでございます。  いわゆる私たちは、軍縮を強く推進をするということがこの三党協議の中にも書かれているわけでございますが、どのようなプロセスで、ことしの概算要求については努力をいたしましたと、その次からはどういうふうなプロセスを立てられるのか、ひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。
  315. 村山富市

    村山内閣総理大臣 時間もないようですから簡単にお答えいたしますけれども、これは、これまで我が国の防衛というのはあくまでも専守防衛に徹して、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないということを基本にして私は整備は進められてきていると思うのです。  で、その方針を引き継ぎながら周辺諸国との信頼関係の構築を進めて、我が国が、特に国連の中でも国連の軍備が登録される制度を促進して、よその国に兵器を売って、その兵器を使って紛争が起こる、それをまた今度は売りた国がおさめに行くというようなことを繰り返すようなことではだめじゃないですかということを、私は先般国連のガリ事務総長がお見えになったときにも申し上げましたけれども、そういう気持ちで日本の国は率先をして軍縮を進めていくということが大事ではないかというふうに考えています。
  316. 河野洋平

    河野国務大臣 外務大臣といたしまして、アジア地域フォーラムという、ことし始まった会議がございます。これは、アジア・太平洋地域の代表者が、外務大臣が集まりまして、アジア・太平洋地域の安全というものに対して話し合うという会議でございますが、同じテーブルに着いて、それぞれの平和、安全について話し合う、こういう話し合いによって平和をしっかりと確立していく、そういうアプローチの仕方もあるというふうに考えております。外務大臣として、この点についても努力したいと考えております。
  317. 武村正義

    ○武村国務大臣 防衛費は、どうしてもそのときどきの世界を取り巻く情勢に左右されがちでありますが、節度ある防衛力の整備に努めながら、中期、長期的には世界全体の世論の中でも軍縮に向かって日本努力をしていくべきだというふうに思っております。
  318. 坂上富男

    坂上委員 ありがとうございました。
  319. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて三野君、坂上君の質疑は終了いたしました。  次に、錦織淳君。
  320. 錦織淳

    錦織委員 質問に先立ちまして、一つだけ申し上げておきたいことがございます。  多くの方が既に指摘されておりますように、今、世界の歴史は大きく転換を遂げようとしており、私たち日本なり国民がどのような進路を歩むのか、そういうことがこの国会の責務として問われているわけでございます。そのために、国会の審議や予算委員会の審議においてどのようなスタンスでそういう点を議論すべきか、そういうことが当然問題になってくるわけでございます。  私は、このような審議においては、事実に基づき沈着冷静な議論を行っていく、そして与野党を超えた共通の認識は何か、相違点は何か、そういったことを政策の項目別に一つ一つ点検をしながらまじめな議論をしていくことが大切である、このように考えておるわけでございます。  ところで、けさほどの山岡委員質問を聞いておりまして、私は大変驚きました。私事にわたって恐縮でございますが、私は長らく弁護士として活動をしてまいりました。事実は何か、事実はどのようにして確定するのか、これは大変大切なことでございます。事実は証拠によって裏づけられなければならないし、また事実に対する判断、評価は客観的な批判にたえ得る合理的なものでなければならないと考えるわけでございます。  私はけさほどの質問の中に、一緒に写真に写っていたならばエージェントであるとか、あるいは関係があるとか、そういったような極めてびっくりするような論理の飛躍がこの天下の国会においてなされているということを知って、大変悲しみにたえないものでございます。  どうか、今後はこのような次元で議論がなされることなく、本当に、国民から見てなるほどと思われるような議論を展開していただきたい、特にそのように要望するものでございます。  ところで、村山政権の使命はいろいろな大きな課題を抱えております。私ども新党さきがけとしては、多くの課題の中でも特に国連常任理事国入りの問題、また行政改革の断行ということについて強い関心を寄せております。  ところで、村山政権の発足に当たって締結された三党合意によれば、国連常任理事国入り問題については、背伸びをせず、慎重に対処する、このように明記されております。当然、この協定は総理として、御署名を当時の社会党の委員長としてされた、こういうことでありますから、当然この三党合意の線に沿って政策を進められるものと信じておりますが、そのように理解してよろしいでしょうか。
  321. 村山富市

    村山内閣総理大臣 先般の国連河野外務大臣が演説されたこともこの三党合意に基づいたものだと私は確信をしておりますし、それから、今委員お述べになりましたように、この三党合意の中にはこういうことがございますから、私紹介しておきたいと思うのですが、   地球環境・資源・人口・貧困・難民・人権・麻薬・エイズなどの地球的課題や、冷戦後の国際情勢に的確に対処することを国連中心的な使命とするため、日本がイニシアティブを発揮して抜本的な国連改革を行なう。また、その主旨に沿った国連憲章の改正を行なう。   被爆体験、非核三原則、武器輸出禁止三原則を持つ国として、核・通常兵器軍縮、軍備管理に努力する。   日本国憲法の理念に基づいて、武力行使を目的とする軍事行動に参加できないことを明確にする。   以上の認識の下に、我が国の常任理事国入りについては、国民のコンセンサスを得、多くの国々の賛同を得た上で、安保理において積極的に責任を果たしたいと考える。 これが三党合意された理事会に臨む態度ですから、私はこのことを踏まえてやられたものだというふうに確信をいたしております。
  322. 錦織淳

    錦織委員 外務大臣にお尋ねいたします。  外務大臣としても、この問題には三党合意を踏まえ、慎重に対処するというお考えであるというふうに確認させていただいてよろしいでしょうか。
  323. 河野洋平

    河野国務大臣 我が国外交にとっても極めて重要な問題でございますから、でき得る限り多くの方々の意見を慎重に聞き、演説草稿もつくりたい、こう思っておりました。  もう一つ申し上げれば、それはただ単に演説草稿をつくるためだけではなくて、こうした態度を表明するためにも十分な議論が必要だというふうに考えておりましたが、委員もお気づきだと思いますが、ここ一、二カ月の間、マスコミ、新聞、テレビ、雑誌その他を通じまして、安保理常任理事国入りについてはこれまでとは比較にならぬほど濃密な議論が行われたというふうに感じております。それらは世論調査その他にも一部は反映してきておるというふうにも考えまして、私は今回国連で演説を行わせていただいたわけでございます。
  324. 錦織淳

    錦織委員 それでは、慎重に何を議論し、解決しておかなければならないのか、その前提問題とは何かということについて次にお尋ねをしたいと存じます。  この国連常任理事国入りの問題については、多くの方が既に御承知のように湾岸戦争を契機といたしております。日本は百三十億ドルという大金を出資したけれども、しかし、それにふさわしい評価を受けなかった。これは日本の一国平和主義の限界である、このような指摘がなされました。問題は、しかしこの一国平和主義を克服する方向がどうかということでございます。私が理解する限り、大きく分けて二つの流れがあると思います。  一つは、この湾岸戦争の教訓から日本も国際的な安全保障に積極的に関与すべきだ、そして、この安全保障の概念を軍事的な側面に力点を置く、このような考え方がございます。既に御存じのように、昨年の二月、自由民主党の国際社会における日本の役割に関する特別調査会、いわゆる小沢調査会の報告を読みますと、国際的安全保障という概念を立て、そしてこの概念と日本国憲法の関係を論じながら多国籍軍へ参加することが日本国憲法のもとにおいても可能である、そしてそういった考え方からこのような国際的安全保障に日本も積極的に参加するべく国連常任理事国入り問題を考えていくべきである、このような指摘がなされております。  他方で、しかしながら湾岸戦争がなぜあのような激烈な軍事紛争になったのか、その原因を考えてみますと、イランのホメイニ政権に対抗させるべくイラクの軍事的力を支援するというそのようなさまざまな国際的な動きが存在したのも事実でございます。そして、このような武器の輸出、売買が国連常任理事国を構成する五大国の多くによって展開されているという事実にかんがみるならば、そのことについて私たちがどのように切り込んでいくのか、このことが大切である。そういった点に力点を置くという考え方もございます。  そこで、総理お尋ねいたします。  今のような二つの路線の違いが明確に私はこの日本国内にあると考えております。そのような点について既に議論は決着済みであると考えておられるのか、そういった点はなお日本の進路をめぐる大切な問題として今後十分に議論していかなければならないと考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  325. 河野洋平

    河野国務大臣 私から先に答弁をさせていただきます。  私のこのたびの国連演説におきましては、私は、憲法のもと、日本は武力行使を行わないということを国連の場で述べたわけでございます。国際連合という公式の場で日本国政府を代表して、私はそうはっきり申し上げてまいりました。この私の演説で今の議員の二つの流れのうち村山政権はどちらをとるかということについてははっきりしたとお考えをいただいてよろしいかと思いますし、さらに私どもは今回の演説の中で軍縮・不拡散、これは我々がやらなければならない大きな問題だということも提起をいたしております。  少し話が長くなって恐縮でございますが、さらに国連には、創設時には恐らくなかったかもしれない環境問題とか人口、難民、さらにはエイズ、麻薬、こういった問題まで国連に対して期待をされる昨今でございますだけに、国連はそうした期待にもこたえる、そういう改革が行われる必要がある。それはいわゆる経社理の機能の見直しといいますか、あるいは強化といいますか、こういったことも我々は提起したところでございます。
  326. 錦織淳

    錦織委員 これまで日本国憲法と国連常任理事国入りの関係のみが議論されてきた嫌いがあると思います。私は、もっと大切な問題があるということを指摘したいのでございます。  それは、まず第一に、国連改革の中身は何かということであります。そして、国連常任理事国としてはどのような責務を果たすべきか、この具体的な内容、この二つでございます。  先ほど私が指摘しましたように、二つの流れがあると申しました。どちらの流れをとるかによって今の二つの問題についての答えが随分と違ってくるわけでございます。  まず、国連改革の問題でございます。  国連改革の問題は、国連創設時の加盟国に比べて現在は数が飛躍的に拡大した、だから安保理の常任理事国を含む理事国の数をふやそう、安保理の枠を拡大しよう、そういったことのみに関心を寄せるのか。それとも、広く国連の改革を、経社理やあるいは総会のあり方、事務局のあり方、そういったことも含めて考えていくのか。あるいはさらには、WTO条約のあり方まで含めて考えていくのか。そういった点で大いに違いがあると考えます。  まず、この国連改革の問題について、今のように国連改革イコール安保理の枠の拡大である、このような考え方に立っておられるのか、そうでないのか、あるいはその点についてはまだ決着していない、こういう認識なのか。その点について、では外務大臣にお尋ねしたいと思います。
  327. 河野洋平

    河野国務大臣 国連はずっと改革についての議論を行っているわけです。現に国連の財政についても改革が行われなければならないということで議論がございまして、国連の財政改革については提案が出て、その方向が定まりつつございます。  今回は、主として安保理の改組という視点で議論が行われているということにかんがみて、私どもはあえてこの安保理の改組について議論を行っているわけでございまして、国連全体の改革は、議員がおっしゃるように、経社理の問題もございます。あるいは総会の活性化もあると思います。これらの問題については、私は先般の演説ではそれぞれ取り上げて提案をいたしましたが、国連加盟国の現在の関心事と申しますか議論は、安保理をどう改組するかというところにその議論の焦点がいっているという事実、実態というものがございますので、その議論の実態に即して我々も議論をしているところでございます。
  328. 錦織淳

    錦織委員 ことしの九月五日の産経新聞に元防衛大学の教授の方が論考を寄せておられます。タイトルは「「常任理入り」軍事貢献は当然」、こういうタイトルでございます。「常任理事国入りすれば、軍事的貢献は当然であり、諸外国でわが国の常任理事国入りを希望、支持している国もこれが前提である。」安保理の「常任理事国とは、現在の常任理事国のすべてが核保有国であるように、本音も建前も「大国」である。大国でないと常任理事国としての任務を果たせないのが現実である。Lこのように書いておられます。  もちろんこれは個人的な見解でございます。しかしながら、現実の安保理を固定的にとらえ、そしてその現状に対する厳しい批判と、それを克服していく視点を持たない限り、安保理の枠の拡大というものが、単に数をふやしただけ、そしてより一層現状を固定し、そしてその中に日本も入っていくというおそれがあるわけであります。  この点について外務大臣はいかがお考えでしょうか。
  329. 河野洋平

    河野国務大臣 現在の常任理事国五カ国は、国連創設時の国際社会の中でだれしもが認める五カ国であったと思います。しかし、その後半世紀近くたちまして、現在では、現在の常任理事国五カ国以外にも、グローバルに国際社会のことを考え得る能力といいますか知識といいますか、そういうものを持つ国が現に出てきている。それから、議員が先ほどおっしゃいましたように、国連加盟国の数も創設時に比べると三倍以上の数になってきた。  そこで、国連全体の意見を代表してといいますか集約して安保理で議論を行うということについては、今のままでいいだろうか、こういう疑問から、安保理改組はそういう視点からも議論がなされているわけでございまして、そうした視点にこたえるためには、例えば非常任理事国をもっとふやそうとか、あるいは常任理事国の数もふやしていいのではないかというような議論が行われているということは実態でございます。  ただし、議員がおっしゃいますように、私先ほど申しましたが、国連というものが、そうしたことだけが国連に対する期待かといえばそうではないということも事実でございますから、安保理の改組は安保理の改組として、次にはやがて経社理の問題も出てくるでしょう、総会の活性化の問題も出てくるに違いない。それは我々から大いに提起をしなければならない問題だというふうに考えてはおりますが、現在は安保理の改組がその議論の中心になっているという実態があるということを重ねて申し上げる次第でございます。
  330. 錦織淳

    錦織委員 そうしますと、国連常任理事国として何をなすべきか。この場合に、日本が何をなすべきかという議論は多くなされております。あるいは何ができないのかという議論はなされております。しかし、私はそういう問題ではないと思います。  現在の五大国を含む常任理事国がどういう役割を国際社会において果たすのかという、そういう観点から我が国が常任理事国入りに当たって問題を提起するかどうか。つまり、核兵器あるいは通常兵器の売買、輸出、そういったものに対して厳しくこれを禁じていく方向で常任理事国入りの責務をとらえるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
  331. 河野洋平

    河野国務大臣 安保理の役割は、国際の平和と安全について議論をし、実効ある行動について論ずるということがまず最初だろうと思います。一たんトラブルが起きた後、それをどうやって抑え込むかという議論と同時に、そうしたトラブルが起きないような、問題を未然に防ぐということもまた重要なことであろうと思います。  東西の冷戦が終わった後、各地で残念ながら発生をいたしておりますさまざまなトラブルというものは、民族間の対立てあるとか宗教上の対立てあるとか、あるいは、いずれにせよ貧富の厳しい格差というものがそのトラブルの原因になっているというふうにも言われておるわけでございまして、こうしたトラブルを未然に防ぐ方法についても大いに議論をしなければならないというふうに思います。  今議員が指摘をなさいました核の不拡散でありますとか、あるいは先ほど総理からも御答弁申し上げました通常兵器の移転についてその透明性を確保する、国連軍備登録制度などというものをもっと拡大をしていくということも重要だろうと思いますし、安保理がやるべき仕事はまだまだたくさんある、我が国が提案すべき問題はあるというふうに私は思っているわけでございます。
  332. 錦織淳

    錦織委員 外務大臣の国連演説をなさった後の各国の反応を見ておりますと、これをきっかけに多くの国々が手を挙げております。このことについて考えますに、問題をただ安保理の枠の拡大を図ればいいという観点からアプローチいたしますと、何だ計算が違った、日本とドイツだけが入れると思ったのになどということになりかねないのでありまして、そういった点で私は、先ほど指摘した三つの点、つまり、国連改革の中身は何か、そして、安保理として日本のみならず常任理事国の責務は何か、そしてまた、日本国有の問題として日本国憲法との関係はどうか、こういった三つの点を今後国民的なコンセンサスを得ながら十分に議論をしていく、これが慎重にという意味であると理解いたしますので、ぜひともそのような観点から議論を詰めていただくことをお願い申し上げます。  なお、最後に一つだけお願いがございます。行政改革の問題を一言だけ申し上げておきたいと思います。  これまで、総論賛成、各論反対ということで、なかなか行政改革ができなかった。私はぜひ総理にお願いしたいのは、成らぬ行革、するが行革という観点で、ぜひともこの行政改革をきちんと断行していただくことをお願い申し上げます。  それから、先ほど冒頭に申し上げましたように、山岡委員の午前中の質問、私どもの代表でございます武村大蔵大臣に対して、まことにゆゆしき、私に言わせれば極めて恥ずべき質問がなされた。このことについては、このような質問がなされたこと自体が命後の国会論議をゆがめていくということを恐れるものでありますので、山岡委員の発言については、この発言をぜひとも謝罪していただくとともに、撤回をしていただきたい、そのようなお取り計らいを委員長にぜひともお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。  ありがとうございました。
  333. 佐藤観樹

    佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  334. 佐藤観樹

    佐藤委員長 速記を起こしてください。  ただいまの錦織委員の御発言は、それも含めまして、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。  これにて錦織君の質疑は終了いたしました。  次に、志位和夫君。
  335. 志位和夫

    志位委員 私は、日本共産党を代表して、村山首相並びに関係閣僚に質問いたします。  制約された時間なので、消費税の税率引き上げ問題に絞ってお伺いしたい。  その第一は、昨年の総選挙の社会党の公約とのかかわりであります。村山首相は、きょうも答弁で、税率引き上げは公約違反でないと断言されましたが、あなた方の社会党の総選挙中の言明を見ますと、いろいろな場所で,税率引き上げをやらないということをはっきり言っております。例えば、これは朝日新聞の総選挙中に公表された「各党「こうします」」という各党の政策一覧表です。七月七日付。総理、よく見てください。いいですか。社会党のこの欄について、消費税の税率問題について、「税率は上げるべきではない。」とはっきり書いてあるわけですね。  総理にお聞きしたいのですが、これは総選挙における国民への公約でないのですか。端的にお答えください。
  336. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私の手元に昨年七月のときに社会党が出しました政策大綱があるわけです。これは、「豊かさを実感できる生活基盤を」という見出しでつくられているわけでありますが、その中を見ますと、「国民が納得できる税制改革を断行します」というこの見出しの中で、「所得税の実質増税構造の解消や、飲食料品の非課税化による消費税の逆進性緩和など、国民的な要望に責任をもって応えられる取り組みをすすめます。」こういうことになっていますね。したがって、いろいろなものがあるのじゃないかと思いますけれども、これは本部が責任を持って出した文書ですから、私はこのことを申し上げているわけです。
  337. 志位和夫

    志位委員 そうすると、その社会党の政策というのは、今言った大綱の本部が責任を持ったものだけで、それ以外は責任ないということですか。そうなるわけですよ。  総理、聞かれたことをちゃんと答えてほしい。私が聞いているのは、消費税の存続か廃止かについてのあなた方の公約じゃないのですよ。いいですか。税率の問題について、引き上げるか引き上げないかについてのあなた方が聞かれたものについて、引き上げないとはっきりおっしゃっているわけですよ。あなたは、その大綱は政策だけれども、公約だけれども、こっちの方は公約じゃない、こうおっしゃるんですか。――これごらんになってみますか。
  338. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今拝見をさせてもらいましたけれども、私は、先般来答弁しておりますように、消費税の扱いにつきまして、消費税率は上げませんと、上げることには反対ですとこう仮に選挙のときにお話を申し上げても、その後のやはり情勢は変わっていくわけですからね……(発言する者あり)いや、変わっていくわけですから、したがって、したがって私は、やはりその事態に対してどういう政策の選択をすることが一番いいのかという議論があって当然だと思うんですよ。当然だと思うんですよ。しかしそれは、それは選挙のときにもし約束したことと違えば、それはそれなりにやはり国民の皆さんの理解と了解を得なきゃいかぬというので、その努力は私は個々の議員がそれぞれやはりやられておると思いますし、それは当然やらなきゃならぬことだと。  同時に、そのことの是非については、いずれまた審判を仰ぐときに有権者の判断もいただくわけですから、したがって、私はそういうふうに理解をしておるところであります。
  339. 志位和夫

    志位委員 そうしますと、まず公約とお認めになったわけだ、あなたはこれを。これは事実としてまず確認したい。そして、公約はしかしできないんだ、できないこともあるんだということがあなたの今のおっしゃった中身ですね。減税のこともあったと言うわけでしょう。  しかし、この公約の中には、減税の財源についてもどうするかという公約まであるんですよ。いいですか。それについては、「歳出の見直し、法人課税の適正化こそういうものによって減税の財源、福祉の財源はやるべきだと。それも公約なんですよ。あなたは公約と認めたわけだ。税率を引き上げないが公約で、引き上げて五%にするのはあなたの方針で、これは明瞭な公約違反でしょう。公約違反という事実を認めますね。その事実を認めてください。
  340. 村山富市

    村山内閣総理大臣 いや、私が先ほど読みましたね。党が、党が責任を持って出した文書はこれなんですよ。これなんですよ。(発言する者あり)いやいや、これなんですよ。ですから、ですから私はこれを公約として守ってきているわけです。いいですか。それで、それぞれ新聞社等が選挙のときにアンケート調査やったりしたのがありますね。そういうものを拾い上げますと、やはりそれぞれの議員によって違いがあることはまた私はやむを得ないと思うんですね。  したがって、そのことをもって公約じゃ、公約違反じゃないかとこう言われてみても、なかなか答弁の限りじゃないんですけれども、ただ、ただ私は先ほど来申し上げておりますように、申し上げておりますように、やはり選挙が終わった後、いいですか、選挙が終わった後いろいろ情勢は動いていくわけです。  第一、連立政権をつくるなんという想定があったかどうかといいますと、これは連立政権がつくられてきたわけですよ。連立政権がつくられますと、その政権に参画している政党がそれぞれ約束したことが完全に果たせるのなら、それは苦労もなければ何もありませんよ。しかし、連立政権が構成されているということは、お互いの持っているその政策をやはり出し合って、譲り合って、そして合意を求めていくというところに連立政権の持つやはり妙味があるんです。それを生かし合っていくというのはこれはやむを得ないことであって、その連立政権が否定されてしまうのならそれは別ですよ。私は、やはりその点は国民の皆さんに十分納得と理解ができるようにすべきことではあるというふうに思います。
  341. 志位和夫

    志位委員 党が責任を持ったものは大綱の方であって、これは党が責任を持っていないんだということになるような答弁ですけれども、そうじゃないんですよ。  私は、このアンケートが出てきた背景を全部調べてみましたよ。そうしたら、こういう文書が各党に朝日新聞社から届けられている。そしてこう書いてある。「公党の政策として責任を持ったものを文書をもって回答してほしい」、書いてあるんです、そういうふうに。  それから、同じ日の七月七日にNHKで「各党に問う」という討論番組がありました。それは、各党の書記長と政策責任者がこれに出席しているわけですよ。この場でも、税率引き上げどうだと聞かれて、日野政審会長、今の与党の税調のプロジェクトの責任者ですか、彼は、税率アップは絶対にしちゃいかぬ、テレビの場でも言明しているのですよ。だから、党が責任を持って回答した文書でも、日本国じゅう、テレビを見ている皆さんの場でも、そういう責任ある幹部が、税率アップ絶対にしない、こう言っているわけですよ。それを、まずその事実をどう考えるのか。  あなたは連立政権になったからと言いますけれども、連立政権の三党の中で消費税の増税を公約にした党がありますか。社会党は反対、さきがけだって、この同じ政策対照表では税率はそのままにすべきと書いてあるのですよ。自民党だって税率引き上げをしますといって選挙を戦ってないのです。だから、その三党が集まって連立の合意だというけれども、どうしてその税率引き上げという結論が出てくるのか。(発言する者あり)全くそういう説明つかないじゃないですか。財政状況がどうのこうのと言いますけれども、それがわからなかったのかということになります。その財政は、増税によらないで歳出の見直しあるいは不公平税制の是正、防衛費の見直しでやるというのがあなた方の公約だったじゃないですか。  だから、どう見たってこれは公約違反なんですよ。国民はみんなそれで怒っているのですよ。だから、今新聞を見たって、投書の中で、社会党に裏切られたという声が日本国じゅうにあふれているじゃないですか。ですから、あなたはそれにどう答えるのか。公約違反と認めないのか。
  342. 村山富市

    村山内閣総理大臣 先ほど来答弁していますように、あなたが言われるように、私は、それはテレビは聞いていませんからわかりませんけれども、わかりませんけれども、それはいろいろあったと思います。それは否定しません。  しかし、先ほど発言っていますように、総選挙が終わった後、連立政権が組まれたんです。その連立政権というのは、もう何遍も言いますけれども、それぞれ理念や政策の違う政党が共同じでつくっている政権なんですよ。その政権の中でいろいろ議論をして合意点を求めていくということの中から生まれてきた結論として、この国会に提案をされるような税制改革が合意されたわけですから、そういう経過については、私は、国民の皆さんには十分説明すれば理解してもらえるものだ、こういうふうに思っております。
  343. 志位和夫

    志位委員 また連立政権だからという言いわけですけれども、ともかく、あなた、連立政権の場合、最大公約数という問題がありますよ。だから、各党の政策が全部実現できないことは確かにある。それは認めますよ。しかし、反対の政策を実現するというのは、やっちゃいけないんですよ。税率引き上げやらないと言ったあなた方が税率引き上げをやるということは、やっちゃいけないんですよ。私、これは、この問題は、だれがどう見たって公約違反は明瞭なのに、これを認めないというのは、本当に不誠実だと私は思う。あなた、人柄がいいとかいろんなそういう声が一部にあるようだけれども、本当に不誠実ですよ、あなたの態度は。  やはり、公約を守るということは議会制民主主義の土台ですし、増税反対を掲げて当選したあなた方、それが当選したら増税の推進をやるということ、こういうことが許されるなら、こんな恐ろしい政治はないですよ。こんなことをやったら、私は、選挙をやる意味がなくなる。あなた方がやっていることは、議会政治、政党政治、議会制民主主義、全部覆す暴挙だということを指摘して、次の問題へ進みたいと思うんです。いいですか。あなたはどうしても認めない。  第二の問題として私聞きたいのは、政府が、中堅サラリーマンの減税、こうおっしゃっておることについてであります。  大蔵省の発表した試算、私随分研究してみたんですが、これでは、消費税率が引き上げられた場合、増減税差し引きで年収六百万円以上の世帯はおおむね負担減になる、こういうふうに書かれております。大蔵大臣にちょっと事実の問題だけ確認させていただきたいんですが、これは逆に言いますと、大蔵の試算でいいますと、年収六百万円以下のサラリーマン世帯はおおむね差し引き増税になる、こう理解してよろしいですね。
  344. 武村正義

    ○武村国務大臣 これはどういうデータを根拠にするかにもよりますが、というのは、大蔵省のデータはデータでございますが、年次を追って何年ぐらい先までの変化を見るかということも含めて、そういったことによって、多少、プラスになるかマイナスになるかというのは変化が出てまいります。  基本的には、私どもは、標準世帯七百万以上については、今回の所得税、住民税の累進税率を緩和をさせていただくことによってかなり思い切った減税になるという認識を持っております。一志位委員「六百万円以下の層は増税になるの」と呼ぶ)これは、福祉のいわゆる財政サービスが具体的にどう充実していくかということとも相関するわけでございますから、一概に所得税だけで云々はできかねますし……(志位委員「試算でどうなっているか聞いているんです」と呼ぶ)試算では、六百万以下は平成十年になりますと減税……(志位委員「増税でしょう」と呼ぶ)そうですね、○・一と。  これももう一言申し上げておきますが、昭和六十一年の税制、これが継続していると仮定した場合の税負担の増減額はまた変わってまいります。
  345. 志位和夫

    志位委員 一つのことを答えるのに随分かかるのですけれども、要するに、六百万円以下は増税ということになるわけですね。  そうしますと、最近、国税庁が民間給与の実態の調査を出しました。サラリーマン世帯で六百万円以下といいますと、これで、最新の調査では、大体七五%ですよ。サラリーマンの四人に三人はおおむね増税になるという計算になるわけですね。  しかも、私、大蔵省の試算を調べてみますと、増税を少な目に描くいろいろなごまかしかある。  その第一は、この試算を見ますと、給与収入が年々増加するという仮定を置いて、一九九八年の時点での増減税は幾らかという計算になっております。大蔵大臣、そうしますと今、年収六百万の人は一九九八年、平成十年には年収幾らになると仮定して計算されたんですか。これ、数字だけで結構です。
  346. 武村正義

    ○武村国務大臣 過去のデータでは、大体定昇とベアを足しますと、平均ですが五%くらいだと認識をいたしておりますが、大蔵省の試算の場合は、四%にやや抑えて計算をいたしております。  詳しい点は主税局長から、政府委員から説明をいたします。
  347. 小川是

    ○小川(是)政府委員 一つの試算として四百万円から試算を提供してございますが、平成六年に四百万円の方は……一志位委員「六百万円を聞いているんだ」と呼ぶ)失礼しました。六百万円のケースですと、平成十年で約七百二万円という水準になるわけでございます。
  348. 志位和夫

    志位委員 つまり、大蔵省の試算でも、実際には差し引き増税になるのは七百万円以下の世帯ということになるわけですね。そうしますと、さっきのこの国税の調査でいいますと、八三%になるんですよ。  それだけじゃない、もう一つ問題点がありまして、大蔵の試算では、家計収入を夫の給与収入のみという世帯をモデルにしていますね。しかし、実際の世帯というのは、夫の給与収入以外に妻の非課税のパート収入などあるわけです。総務庁の家計調査年報の最新のものを見ても、大体年収七百万円ぐらいの世帯は実収入は八百五十万円になる。そうなりますと、その分消費課税は重くなるのですよ、消費税は重くなるのですよ、大蔵試算よりも。  そこで、私、そういう大蔵のごまかしじゃない本当のパネルをつくってまいりましたけれども、ちょっとごらんになっていただきたいのですが、横軸は給与収入です。縦軸は増減税です。赤い棒は増税、青い棒が減税。そうしますと、私たちの、そういう二つのごまかしを排除した計算をしますと、年収八百万であっても増税の方がまだ若干多いのですよ。年収一千万になってやっと減税が若干上回る。年収八百万までの世帯というのは、この国税の調査では八八・五%ですからね。私、念のためにこちらの総務庁の方のでも計算してみたのですけれども、やはり九割です。つまり、サラリーマン世帯の約九割が差し引き増税になるというのが今度のあなた方の改革の中身なのですよ。  私、これは総理にお伺いしたいのですけれども、中堅サラリーマンの減税、減税と言うのですけれども、国民の大多数、九割に差し引き増税を押しつけておいて、何が中堅減税になるのか。これはごまかしじゃないですか。総理、どうですか。総理ですよ。
  349. 小川是

    ○小川(是)政府委員 今お尋ねの点は、今回の改革が、平成六年から実質消費税が平年度化されます十年までの間の税負担の状況を試算としてお示しするのがこの問題を御判断していただく上で材料になるかと思って、試算をしたものでございます。その間給与収入が一定で全くふえないという仮定を置くことはいかにも非現実的でございますから、ここでは毎年四%ずつふえるという仮定を置いて計算をしているわけでございます。  それで、先ほどお話がございました、確かに七百万円の方が八三%を占めでございますが、ここで試算をしておりますのは、どこかの世帯の形で試算をしてみる必要がございますので、夫婦子二人の世帯について試算をしているというのが前提でございます。  なお、夫婦子二人の場合の世帯の収入の分布は先ほどの八三%とは様相が大分違ってまいりまして、例えば最近のところでも、先ほどのお話がございました六百万円以下というところは四〇%台というウエートになってくるわけでございます。いわんや、この後給与収入がふえるに従いましてそういう世帯収入を持っておられる方の世帯のウエートは次第に下がっていく、そういう前提に立ってこの試算を御検討いただきたいと思うわけでございます。
  350. 志位和夫

    志位委員 標準世帯夫婦子二人、そして夫の収入だけというのが非現実的で、実際には家計収入では実収入がある、全部そういう具体的な現実の試算で私言っているのに対して、何ら反論になっていませんよ。  それで、やはり私聞いているのですね、大蔵の試算でも、いいですか、大蔵の試算でも七割になってくる、八割になってくる。私たちが試算すると九割になってくる。大多数に増税を押しつけておいてどうして中堅減税なのか、こういうごまかしをやめなさいということを総理に伺っているわけで、あなた自身の言葉で言明してほしい、釈明してほしい。あなたが言わなきゃだめです。
  351. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私が先ほど来申し上げておりますのは、六十二年のときの税制改革の際に、最低課税率を引き上げて、そして四百万円以下ぐらいの層の皆さん方の税率の刻みを減らして、そして税の軽減を図った。ですから、そのときには比較的課税の低い人たちに、所得の低い人たちに減税をやったわけですよ。そのひずみがある程度出てきて、そして中堅サラリーマン層に重税感が強い。だからこの際ひとつここをならして緩やかなカーブにしようではないかというので、是正をしたのです。ですから、皮肉にも前の政権、前といったってずっと前の政権ですけれども、六十二年の政権のときには所得の低い層をならして、今度は、社会党が政権をとったら、所得の比較的高い層をならしたというようなことを皮肉に言われましたけれども、私はそういう考え方でやったことが一つ。  それからもう一つは、これからやっぱり高齢社会になって、しかも、少子対策も含めて、いろいろ金がかかっていく、そういう面で財源が必要になっていく、そういう場合に、所得税だけにその負担を依存していくことについてはやっぱり問題があるのではないか。だから、所得と資産と消費というものにバランスのとれた形で課税することがいいのではないかということは、これは、渡部さんお笑いになっておりますけれども、旧連立政権のときからやっぱりそういうことは課題になって検討してきているわけですよ。  したがって、できるだけ公平に社会的な負担ができるようなものにしていこうというような観点から議論をされておるわけでありまして、その一つだけを取り上げて、そしてこれらの層には増税になるではないか、こういう指摘は私はどうかと思うんですね。  したがって、全体として国民に対してできるだけ公平な課税と負担をしていただくということが税制改革の基本ではないかというふうに考えておりますから、そういう考え方でもって今回の税制改革は行われたということを申し上げておきたいと思います。
  352. 志位和夫

    志位委員 今私は答弁を聞きまして、本音が出たと思うんですよ、高い層の方の改革だったと。さっき、あなたが言ったように、例えば所得税の二〇%の適用限界というのは、現行でも一千四十六万までなんですね。それを一千三百何十万まで拡大しようというわけですから、一千万円以上の層が主に潤う、そういう今度の改革なんですよ。やはり高額所得者、数パーセントの改革のために、庶民を犠牲にしていいのかという問題が今あるわけですよ。  それから、あなた、高齢化社会のためと言ったけれども、私はこの前の国会でもこれはさんざん論議をしましたが、お年寄りに一番つらい税金は消費税なんですよ。逆進性もお年寄り世帯、年金暮らしのお年寄り世帯の方がはるかに激しく出るのです、どんな調査を見ても。今度も、大体年金暮らしのお年寄りの年金、全部合わせたら二十五兆円ですよ。それで二%上がれば、それが消費に回ったとしたら、大体お年寄りからだけでも五千億円ぐらい吸い上げるわけですよ。その一部をたとえ福祉にあれしたとしても、本当に泣くのはお年寄りですよ。ですから、公平だ、公平だという言い方で、私は、実は弱者にそういう負担を強いるやり方は絶対承服できない、このように思います。  最後に、私、時間もなくなりましたので、見直しの問題、見直し条項についてお聞きしたい。  総理は、本会議の答弁で、これは予断を持ってない、上に上げるか、下に下げるかわからない。つまり五%を最終的にどうなるかわからないということをおっしゃったけれども、私、武村大蔵大臣にお聞きしたいんですね。  あなたは、九月二十五日のNHKの討論番組でこうおっしゃっている。いきなり七という数字を出しても、国民の皆さんからそう簡単に理解は得られない。見直し条項も入りまして、これからも議論を続けていく。行革や福祉の議論にはもう少し時間がかかる。そんな中で、粗っぽく六、七とぽんと決めるよりは、ここは五%でやや低目といいますか、妥当な数字で抑えておいて、そういう問題はこれから議論して詰めていこうということです。つまり、いきなり六、七と言っても、出すわけにはいかないから、とりあえず低目の五で抑えておこうというのがこの見直しの意味だと。これだと、悪名高いあの腰だめの数字と同じになっちゃうじゃないですか。
  353. 武村正義

    ○武村国務大臣 見直し条項の真剣な意味を認識していただいていないというふうに思いますね。なぜなら、午前中も答弁いたしましたように、この九月の臨時国会までに行財政改革の具体的な方針を詰め、それに伴う財政需要の減の数字まで詰め切ってしまう。片方、また福祉の将来展望の中で、年金や医療や介護にどの程度の金額が要るのかという、このことの数字も詰め切ってしまうということは容易なことではありませんでした。そういう中で、さらに時間を置いて真剣に詰めを続けていこうという意味で見直し条項を置くということになったわけでありまして、これもちゃんと二年後といいますか、という目標まで明確に定めているわけであります。  そういう意味で、整理して申し上げますと、見直し条項は何点か入っておりますが、消費税率の引き上げにかかわってきそうな項目と、消費税率の引き上げを抑える可能性を秘めた項目と、両方ずっと四項目ぐらい並んでおります。  言ってみれば、年金、医療等にもかかわってまいります福祉の財政需要というのは、これはもうかなりはっきりしていることでございますから、むしろほっておけば、このままいけば消費税の引き上げにつながりかねない要素を持った項目でありますし、行財政改革というのは、やはりこれは改革の中身にもよりますが、どちらかといえば歳出カット、経費節減を期待させる項目であります。  不公平税制、そこには租時法の問題と消費税課税の適正化という項目が入っておりますが、これも両面ございますが、どちらかといえば財政需要を抑制するあるいは財源を新たに生み出す、そういう期待の持てる項目でありまして、そういう幾つかの要素が重なってこの見直しの中に書かれていることも御理解をいただきたい。そして、真剣な結論の結果、必要があれば最終的な見直しを決断をするという考え方を打ち出しているわけであります。
  354. 志位和夫

    志位委員 いろいろなことをおっしゃいましたけれども、あなたが結局テレビで言ったことは事実なんですよね。私が言いたかったのは、五%というのは最下限の数字であって、結局六、七に上げていく、そこのところに本音があるのですよ。本音があるからこそああいう発言になった。  あなたは減らす努力、減らす努力と言うけれども、例えば軍事費の問題、どうですか。総理の社会党は軍縮が公約でしょう。ところが、今度の概算要求では○・九%の増加じゃないですか。抑制する、抑制すると今おっしゃったけれども、正面装備はどうなっているか。戦車とか潜水艦とか護衛艦とか戦闘機とか、これは契約ベースでは四・五%伸びているのですよ。九千二百十五億円ですよ。後年度負担で全部ツケ払いになって、後年度負担の伸びは九・七%ですよ。軍縮と言いながら、実際は軍拡のレールを将来にわたって敷いている。  財源の問題というのは、こういう軍事費にメスを入れる、本当の国民のための行政改革をやる、あるいは大企業の不公平税制の是正をやる、これをやれば出てくるのですよ。それをやる姿勢を私は政府から感じないですね。  本当に感じない。それをやらないでおいて増税だと言っても国民は納得しないと思うのですね。  私、一たん増税がやられれば、武村さん、同じ番組の中で、直間比率四五対五五に徐々に持っていくということも同意していますよ。そうなると消費税率一〇%ですよ。一たん増税の道が開かれればそっちの方向に持っていかれる。  私たち日本共産党は、消費税の増税計画の断固撤回を強く求めたいし、それからやはり、こういう点で国民にとって村山政権の存続は百害あって一利ない、そういう点では即刻退陣を私は強く求めたいと思います。そして、いかなる形でも自民党政治の継承では日本の政治はよくならない……
  355. 佐藤観樹

    佐藤委員長 時間が経過いたしました。結論をお急ぎください。
  356. 志位和夫

    志位委員 そのために私たちは全力を挙げて奮闘したいと思います。  以上をもって質問を終わります。
  357. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十二日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会