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1994-11-09 第131回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年十一月九日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 高橋 一郎君    理事 佐田玄一郎君 理事 桜井  新君    理事 自見庄三郎君 理事 住  博司君    理事 遠藤 乙彦君 理事 岡島 正之君    理事 河村たかし君 理事 田中 昭一君       荒井 広幸君    川崎 二郎君       岸本 光造君    斉藤斗志二君       坂井 隆憲君    関谷 勝嗣君      田野瀬良太郎君    谷垣 禎一君       松下 忠洋君    山下 徳夫君       新井 将敬君    大矢 卓史君       高木 陽介君    永井 英慈君       日笠 勝之君    吹田  愰君       大木 正吾君    山崎  泉君       横光 克彦君    吉岡 賢治君       小沢 鋭仁君    矢島 恒夫君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大出  俊君  出席政府委員         郵政大臣官房長 木村  強君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省放送行政         局長      江川 晃正君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      増井喜一郎君         会計検査院事務         総局第四局長  平岡 哲也君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川口 幹夫君         参  考  人         (日本放送協会         長)      森川 脩一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   中村 和夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     安藤 龍男君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     齊藤  暁君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     中井 盛久君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     菅野 洋史君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室〔経         営計画〕局長) 慶田 敏紀君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   石渡 和夫君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月九日  辞任        補欠選任   斉藤斗志二君    松下 忠洋君 同日  辞任        補欠選任   松下 忠洋君    斉藤斗志二君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表  及び損益計算書  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表  及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 高橋一郎

    高橋委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の両件を議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件審査のため、本日、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋一郎

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 高橋一郎

  5. 大出俊

    大出国務大臣 日本放送協会平成年度及び平成年度決算に関して御説明をいたします。  ただいま議題とされました日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事意見書国会提出につきまして、その概略を御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  宣本放送協会から提出された平成年度財務諸表によりますと、平成三年三月三十一日現在、一般勘定につきましては、資産合計は四千六百十七億百万円で、前年度に比し八百二十六億一千五百万円の増加となっております。  これに対しまして、負債合計は二千五百三十三億三千八百万円で、前年度に比し四百六十億一千七百万円の増加となっております。  資本合計は二千八十三億六千三百万円で、前年度に比し三百六十五億九千八百万円の増加となっております。  資産内容は、流動資産一千百八十億四千九百万円、固定資産三千二百六十八億九千八百万円、特定資産百六十七億五千四百万円であり、負債内容は、流動負債一千四百二十一億一千百万円、固定負債一千百二億二千七百万円となっております。  また、資本内容は、資本一千八百五十四億二千七百万円、繰越欠損金百三十六億六千二百万円、当期事業収支差金三百六十五億九千八百万円となっております。  受託業務等勘定につきましては、資産合計負債合計とも、二千百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  一般勘定につきましては、経常事業収入は四千八百八十四億六千六百万円で、前年度に比し一千八十七億一千六百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は四千四百二十四億九百万円で、前年度に比し四百五億七千七百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は四百六十億五千七百万円となり、これに経常事業外収支差金七十一億二千八百万円の欠損を加えた経常収支差金は三百八十九億二千九百万円となっております。  これに特別収入九億九千万円を救え、特別支出三十三億二千百万円を差し引いた当期事業収支差金は三百六十五億九千八百万円となっております。  受託業務等勘定につきましては、経常事業収入は三億三千六百万円であり、これに対しまして、経常事業支出は二億八千五百万円となっております。  この結果、経常事業収支差金は五千百万円となり、これに経常事業外収支差金六百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は四千五百万円となっております。  なお、監事意見書におきましては、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  引き続きまして、平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事意見書国会提出につきまして、その概略を御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された平成年度財務諸表によりますと、平成四年三月三十一日現在、一般勘定につきましては、資産合計は五千五十八億五千六百万円で、前年度に比し四百四十一億五千五百万円の増加となっております。  これに対しまして、負債合計は二千三百七十四億八千二百万円で、前年度に比し百五十八億五千六百万円の減少となっております。  資本合計は二千六百八十三億七千四百万円で、前年度に比し六百億一千百万円の増加となっております。  資産内容は、流動資産一千百十七億一千三百万円、固定資産三千五百四十五億六千万円、特定資産三百九十五億八千三百万円であり、負債内容は、流動負債一千三百三十七億一二千七百万円、固定負債一千三十七億四千五百万円となっております。  また、資本内容は、資本一千九百五十五億一千四百万円、積立金百二十八億四千九百万円、当期事業収支差金六百億一千百万円となっております。  受託業務等勘定につきましては、資産合計負債合計とも、二千百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  一般勘定につきましては、経常事業収入は五千二百二十億四千万円で、前年度に比し三百四十五億七千四百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は四千七百九十五億八千二百万円で、前年度に比し三百七十一億七千三百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支差金は四百三十四億五千八百万円となり、これに経常事業外収支差金五十五億四千万円の欠損を加えた経常収支差金は三百七十九億一千八百万円となっております。  これに特別収入二百五十六億二千四百万円を加え、特別支出三十五億三千百万円を差し引いた当期事業収支差金は六百億一千百万円となっております。  受託業務等勘定につきましては、経常事業収入は三億九千百万円であり、これに対しまして、経常事業支出は三億二千七百万円となっております。  この結果、経常事業収支差金は六千四百万円となり、これに経常事業外収支差金一千万円の欠損を加えた当期事業収支差金は五千四百万円となっております。  なお、監事意見書におきましては、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。  以上でございます。
  6. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長川口幹夫君。
  7. 川口幹夫

    川口参考人 ただいま議題となっております日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び監事意見書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、一般勘定当年度末の資産総額財産目録貸借対照表で見ますと四千六百十七億百万円で、この内訳は、流動資産一千百八十億四千九百万円、固定資産三千二百六十八億九千八百万円、特定資産百六十七億五千四百万円、このうち固定資産内容は、建物七百五十二億百万円、土地二百三十三億四千九百万円、機械及び装置九百七十五億百万円、放送衛星百四十四億一千五百万円、その他の固定資産一千百六十四億三千二百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、八百二十六億一千五百万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく衛星放送設備番組設備整備等によるものでございます。  一方、これに対する負債総額は二千五百三十三億三千八百万円で、この内訳は、流動負債一千四百三十一億一千百万円、固定負債一千百二億二千七百万円、このうち固定負債内容は、放送債券四百四十七億一千万円、長期借入金四百五十五億六千七百万円、退職手当引当金百九十九億五千万円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、四百六十億一千七百万円の増加となっておりますが、これは受信料前受金増加等によるものでございます。  また、資本総額は二千八十三億六千三百万円で、この内訳は、資本一千八百五十四億二千七百万円、繰越欠損金百三十六億六千二百万円、当期事業収支差金三百六十五億九千八百万円でございます。この資本総額は、前年度末と比較し、三百六十五億九千八百万円の増加となっております。  次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ二千百万円でございます。  次に、損益計算書について申し上げます。  まず、一般勘定経常事業収支について見ますと、受信料等経常事業収入は四千八百八十四億六千六百万円で、前年度と比較し、一千八十七億一千六百万円の増加となりました。  これは主として、平成年度を初年度とする五カ年の経営計画のもとに、平成二年四月から、やむを得ず受信料額の改定を行うとともに、受信契約維持増加に努めた結果によるものでございます。  なお、有料受信契約件数は、三十四万件増加し、当年度末には三千二百六十五万件となりました。  次に、経常事業支出は、四千四百二十四億九百万円で、この内訳は、国内放送費一千五百七十八億六千五百万円、国際放送費三十七億二千万円、契約収納費四百十七億二千二百万円、受信対策費十四億一千八百万円、広報費二十億六千八百万円、調査研究費五十三億五千六百万円、給与一千二百七十六億七千二百万円、退職手当厚生費四百二十五億七千二百万円、一般管理費百六億一千四百万円、減価償却費三百五十八億四千万円、未収受信料欠損償却費百三十五億六千二百万円となっております。  これは前年度と比較し四百五億七千七百万円の増加となりましたが、主として、放送番組充実受信契約維持増加施策推進に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は四百六十億五千七百万円となり、これに経常事業外収支差金七十一億二千八百万円の欠損を差し引いた経常収支差金は三百八十九億二千九百万円であります。さらに、特別収入九億九千万円を加え、特別支出三十三億二千百万円を差し引いた当期事業収支差金は三百六十五億九千八百万円となりました。このうち、債務償還に充てた資本支出充当は百五十億八千七百万円であり、事業収支剰余金は二百十五億一千百万円であります。  なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  次に、受託業務等勘定経常事業収入は三億三千六百万円で、経常事業支出は二億八千五百万円となりました。  その結果、経常事業収支差金は五千百万円となり、これに経常事業外収支差金六百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は四千五百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては、一般勘定経常事業収入へ繰り入れております。  なお、監事意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  引き続きまして、平成年度概要につきまして御説明申し上げます。  まず、一般勘定当年度末の資産総額財産目録貸借対照表で見ますと五千五十八億五千六百万円で、この内訳は、流動資産一千百十七億一千三百万円、固定資産三千五百四十五億六千万円、特定資産三百九十五億八千三百万円、このうち固定資産内容は、建物八百四十一億七千三百万円、土地二百三十五億六千六百万円、機械及び装置一千六十五億四千六百万円、放送衛星二百十億三千三百万円、その他の固定資産一千百九十二億四千二百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、四百四十一億五千五百万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく衛星放送設備番組設備整備及び建設積立資産増加等によるものでございます。  一方、これに対する負債総額は二千三百七十四億八千二百万円で、この内訳は、流動負債一千三百三十七億三千七百万円、固定負債一千三十七億四千五百万円、このうち固定負債内容は、放送債券四百三十八億一千万円、長期借入金三百七十二億八千五百万円、退職手当引当金二百二十六億五千万円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、百五十八億五千六百万円の減少となっておりますが、これは短期借入金長期借入金減少等によるものでございます。  また、資本総額は二千六百八十三億七千四百万円で、この内訳は、資本一千九百五十五億一千四百万円、積立金百二十八億四千九百万円、当期事業収支差金六百億一千百万円でございます。この資本総額は、前年度末と比較し、六百億一千百万円の増加となっております。  次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ二千百万円でございます。  次に、損益計算書について申し上げます。  まず、一般勘定経常事業収支について見ますと、受信料等経常事業収入は五千二百三十億四千万円で、前年度と比較し、三百四十五億七千四百万円の増加となりました。  これは主として、受信契約維持増加に努めた結果によるものでございます。  なお、有料受信契約件数は、四十万件増加し、当年度末には三千三百五万件となりました。  次に、経常事業支出は、四千七百九十五億八千二百万円で、この内訳は、国内放送費一千六百八十三億一千万円、国際放送費三十七億七千万円、契約収納費四百六十九億四千一百万円、受信対策費十四億五千六百万円、広報費二十二億五千二百万円、調査研究費五十二億九千三百万円、給与一千三百二十六億一千五百万円、退職手当厚生費四百八十九億四千万円、一般管理費百十二億八千六百万円、減価償却費四百四十一億八千六百万円、未収受信料欠損償却費百四十五億三千百万円となっております。  これは前年度と比較し三百七十一億七千三百万円の増加となりましたが、主として、放送番組充実受信契約維持増加施策推進に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は四百三十四億五千八百万円となり、これに経常事業外収支差金五十五億四千万円の欠損を差し引いた経常収支差金は三百七十九億一千八百万円であります。さらに、特別収入二百五十六億二千四百万円を加え、特別支出三十五億三千百万円を差し引いた当期事業収支差金は六百億一千百万円となりました。このうち、債務償還に充てた資本支出充当は百八十億五千六百万円、建設積立金繰り入れは二百四十一億二千八百万円であり、事業収支剰余金は百七十八億二千七百万円であります。  なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  次に、受託業務等勘定経常事業収入は三億九千百万円で、経常事業支出は三億二千七百万円となりました。  その結果、経常事業収支差金は六千四百万円となり、これに経常事業外収支差金一千万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は五千四百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては、一般勘定経常事業収入へ繰り入れております。  なお、監事意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  これをもちまして、概要説明を終わらせていただきますが、今後の協会経営に当たりましては、公共放送としての使命と責務を深く認識し、放送事業の一層の発展に努力をしてまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  8. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院平岡第四局長
  9. 平岡哲也

    平岡会計検査院説明員 日本放送協会平成年度及び三年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。  まず、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成三年八月十六日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて同年十二月五日内閣に回付いたしました。  次に、同協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成四年七月二十八日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて同年十二月八日内閣に回付いたしました。  同協会の両年度決算につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  10. 高橋一郎

    高橋委員長 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 高橋一郎

    高橋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
  12. 荒井広幸

    荒井(広)委員 ただいま御説明のございました平成年度及び平成年度日本放送協会決算につきまして質問をさせていただきます。  私はシン自由民主党荒井広幸でございます。シンというのは新しいだけではなくて、進歩するという意味でのシンでございます。  早速、平成年度事業で、これはすばらしいなと私は思いました。特に私、障害者を家族に持っているものですから、平成年度教育テレビで「きょうのニュース~聴力障害者のみなさんへ」という番組を新設されたわけです。これは本当に、手話つきニュースでございまして、遅きに失したかなどいう感はありますけれども、平成年度にこれを実現していただいて、大変に聴力障害者の方にとっては福音であろうというふうに思います。  聴力障害者皆様方からの反応、声というものをお聞かせいただきたいと思います。
  13. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  今お話がございましたように、平成二年の四月に聴力障害者の皆さんへのニュースを始めました。今年度の四月からお昼も五分間、月―金で始めております。現在、聴力障害者の方が三十七万人ぐらいかな、それから難聴者の方を加えますと二百万から三百万人の方々がいらっしゃるのじゃないかということで、そういう難聴者の方、それから高齢者の方の間で、もう少し易しく、ゆっくりニュースをというような話もございまして、あのニュースをセットしたわけでございます。  現在、いろいろな御意見が寄せられておりますが、朝の時間帯にも設定してくれないかというようなお話とか、それから年末年始のニュースの実施もしてもらいたいとか、もう少し情報量をふやしてほしいというような御要望が寄せられております。
  14. 荒井広幸

    荒井(広)委員 それに触れて、次の問題とあわせてお聞かせをいただきますが、我が国としては、国際貢献をする日本という立場をきちんと内実あるものにしていかなければならないわけでございますけれども、その意味で、我が国の、あるいは日本の我々一人一人の生活を含めて幅広く海外に御理解をいただくということをあわせて、平成年度にはテレビジャパン事業ができたわけです。これは非常に、そういう我が国の、国際貢献する日本の一つの姿、あり方としても画期的な記念すべき事業であったと思います。  欧米で一日に数時間という単位で放送されているということをお聞かせいただいているのですが、これについての海外での評価、評判というものはいかがでございましょうか。
  15. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  日本の文化とか現在の日本の様子を非常によく伝えてくれるということで、在留邦人のみならず欧米現地人たちにも歓迎されております。現在、アメリカで邦人を中心に六千八百世帯、ヨーロッパでは七千二百世帯、現在欧米に在留しております邦人の四割以上が、できればテレビジャパンを見たいというアンケート調査の答えがございます。そういうところでございます。
  16. 荒井広幸

    荒井(広)委員 ただいま御説明がありましたように、私は、この点は、邦人皆様はもとよりでございますけれども、現地方々に、これは特に先ほど冒頭に申し上げましたような意味で重要なことだと思うのです。  そこで、先ほどの「きょうのニュース」とテレビジャパン事業での反応を、評価をお聞かせをいただいたのですが、それでは、この反応とか評価というものは、投書やあるいはお電話というような形で聞いておられる方、見ておられる方々NHKによこしていただいたものなのか、寄せていただいたものなのか、それともNHK世論調査をしてそういう声をおまとめになったのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 中村和夫

    中村参考人 NHKが今直接世論調査をしたということではございませんで、この番組を放送しております現地現地法人を通して、あるいはNHKに直接そういう問い合わせがあってそういう意見が入っているということでございます。(荒井(広)委員ニュースの方はいかがでございますか、聴力障害者の」と呼ぶ)  聴力障害者の方は、正確な世論調査みたいなものをやろうとしますとプライバシーの問題等なかなか難しい面がございまして、なかなか正確にそこはできないという実情がございます。
  18. 荒井広幸

    荒井(広)委員 中村専務さんの方からお話があったように、非常に、調査をするというのはある意味で実に難しい問題があるわけです。  NHKの大きな柱としているものが、放送法にも定められておりますけれども、いわゆる世論調査をするということでございます。前回の平成年度の予算審議の際にも会長にいろいろと御意見をお聞かせをいただいたわけでございますが、実は、今の一番、二番の二つの質問をさせていただいたように、やはり私は、調査というものをしっかり国民全員が認識をしていく、そしてそういう意識の上にNHK皆様方の御活躍をお願いする、こういうことだろうと思うのです。  私は、NHKの回収率というものに着目をいたしました。非常に回収率が高いというふうに私は評価をいたしておりますが、調査をするときの回収率を高めるための努力ということについて御説明をいただきたいと思います。
  19. 中村和夫

    中村参考人 ただいま御指摘ありましたように、世論調査におきましては、本当に回収率が非常に大事でございまして、NHKの場合は、面接の場合には大体回収率が七〇%前後で安定しているというふうに思っております。  ただ、この回収率を確保するというのが、今御指摘のようになかなか難しゅうございまして、面接員が出向きましても、深夜帰宅とか短期不在というようなことがありましてなかなか面接できないケースがございまして、調査のやり方も、在宅率の高い土日に行いますとか、それから調査の際の質問の量を余り複雑で長時間かかるようなものにしないとか、それからあらかじめ協力のお願いをするとか、もちろん再三にわたり訪問をしたり、いろいろな形をとりますけれども、大体そういうような回収率を高める努力をしながらやっております。
  20. 荒井広幸

    荒井(広)委員 社会構造の変化で非常に回収率を高めるために苦労されているということの御開陳がございましたけれども、平成年度、三年度でも、当時でさえ大変だと思うのですね。まして、ますます社会構造、特に不在の方が、お勤めに出たりいろいろな方でいらっしゃるわけですし、大変にこれからますます費用がかさむことだと思うのです。  そういう意味で、世論調査NHKとしてかけている費用はどれくらいで、また、それは、部内でのやりくりということでもあると思いますが、果たして十分なものなのか、ちょっとその辺御説明いただきたいと思います。
  21. 中村和夫

    中村参考人 端的に申しますと、千八百人規模の全国調査を行いますと大体九百万円かかるということでございます。  世論調査を行うことがNHKに義務づけられておりまして、年度当初に大体予算措置をしていただいておるということで、必要に応じて、選挙があったりいろいろなことがございますと別な形でそういう費用は捻出するということでございますが、大体の世論調査については年度当初に予算措置をしていただいているということでございます。
  22. 荒井広幸

    荒井(広)委員 なかなか言いづらい点があるのかもしれませんが、後ほども予算については申し上げたいと思いますけれども、NHKでは、「NHK世論調査」ということで世論調査部がこのような報告をしております。  その一ページ目に「はじめに」というところで「公共放送として、視聴者の信頼に応え公正で質の高い情報伝達の役割を担うNHKにとって、世論調査は、世論の動向把握の上で欠かせない手段であり、その結果はニュース番組の素材にもなっている。」というふうに続いてまいります。  こういう点を私は考えますと、極めてNHKの送り出している情報、放送というものの根幹にこの世論調査というのは位置づけられる。この中身が世論調査でなくて世論操作であれば、これは大変な問題をつくってきたかもしれないし、つくるかもしれないということでございます。  その前に郵政省にお尋ねをさせていただきますが、NHKはこのような形で、前回同様質問した形で見えてきたわけでございますが、民放各社も世論調査を行っているわけでございます。先ほど、NHKは面接方式等々含めてかなりサンプリングを、だれを調査するかという以前にサンプリングを非常に重要視しているのですね。しかし、民放の場合はショーアップという点に非常に目が向いておりまして、どちらかというと調査対象の抽出方法なども含めまして誤差値の多い調査方法をしている。場合によりましては、テレビを放送していて、そこで電話やファクスで御回答をいただくのですね。これは世論調査ではなくてアンケート式の考え方なんですが、見ている側は世論調査的な発想で、ああそんな反応なのかというのですが、実は見ている人たちが送ってくるわけですから、サンプリングという前提はないのですね。こういうことを考えますと、放送事業者に対して放送法が期待しているところ、これは国や郵政省が入らない。これは、放送法にのっとって、民放事業者の皆さんを含めて制作をする現場の方、調査する方々は、これを執拗に、入り込まないということを真摯に守っていただいているわけですね。  しかし、先ほど申し上げましたように、公平性とか客観性とか透明性、こういうものを前提として我々は信頼しているから、その番組や調査というものに対して、うんとこううなずいて自分の自己判断の材料にしているわけですから、郵政省として、調査そのものの公平性や客観性、透明性を確保できるような取り組みをすべきではないかと私は思うのですけれども、郵政省の御見解はいかがでございましょうか。
  23. 江川晃正

    ○江川政府委員 民間放送事業者が、先生おっしゃいますような、いわばショーアップ的と申しましょうか、世論調査みたいなことを利用してやっているということは間々見るところでございます。  我々、個々の調査そのものについて一々その中身を把握しているというわけではございませんが、民間放送事業者がどういう調査などをしているのかというのをちょっと調べますと、大きく四つのやり方でやっているということがわかります。一つは面接調査であり、もう一つは電話調査、それからもう一つは、ただいま先生おっしゃいました、電話で、番組を見ている視聴者からプッシュホンか何かでもらう、テレゴングと言っているようですが、それから街頭インタビュー、この四つぐらいをいろいろ組み合わせてやっているところでございます。  そのそれぞれについて、個々の調査方法とか中身とかということについて一個一個我々把握をしているわけではございませんが、そういった調査を行うに当たりましては、例えばここで今議論になっております世論調査というものにつきましては、大体各社ともそれぞれの世論調査の方法というものにのっとりながら、調査する対象によりますけれども、大体サンプルが千から三千とかという形で、いろいろなクラスに分けたサンプルをとってやっているというのが現状でございます。  それにしましても、先生最後におっしゃいましたように、そういったような調査が、放送というものが有する高い公共性とか社会的影響力の大きさというものを考えますと、当然に郵政省といたしましても、先生御指摘なさいましたように、放送事業者が世論調査を行うに当たっては、その調査の公平性とか客観性、透明性というようなものを十分確保して、またそういう方法で取り組んでいくべきものと考えているところでございます。
  24. 荒井広幸

    荒井(広)委員 取り組んでいくべきものというところにつらさみたいなものを感じるわけですが、これはやはり、私は、小さな違いが大きな違いになった時代になったと思うのです。ソビエトとアメリカの対立というようなこともなくなってきたということに象徴されるように、小さな違いが大きな違い。これは、だれが責任をとるか、責任の所在を明確にするか、こういった姿勢が、大変大きな、政策や国民の信頼にこたえるべき根幹的姿勢であろうと私は思います。  そういう意味でいいますと、放送法で期待している部分というのが非常にあるわけです、NHKにも民放にも。それは、言論の自由というもの、表現の自由というものは当然あるけれども、公に担っているその職員といいますか、仕事の中身というものに勘案をすれば、いかに透明性を高めていくかということが一つだと思うのです。公平で客観であれば、透明性を上げていただければ、これはだれでもが納得できるし、チェックができる、こういうことでございますので、NHKには御質問しているわけでございますけれども、民放の皆様方に対しても、局長の方からぜひ、どのような形で透明性を高め、そして客観、公平に調査をしているのかというようなところを、ぜひみずからのそれこそ精神にのっとって、みずからの各社の積極的な公開、透明度というものを出していただくようにお願いをしていただきたいというふうに考えている次第です。
  25. 江川晃正

    ○江川政府委員 先生の強いそういう御意見、御要望につきまして、私、郵政省の放送行政局長といたしまして、民放各社に十分にその意が伝わるようにお話を申し上げたいと思います。また、きっと、この議事録ができ上がりますから、その議事録も私配ったりして、民間の放送事業者にかくあるべしということをお願いしたいと考えております。
  26. 荒井広幸

    荒井(広)委員 よろしくお願いをいたします。  さて、そこでNHKに質問をさせていただくのですが、調査部門というのがNHKはきちんとつくってあります。そして、編成、編集という放送側、送り出し手の側があるわけですけれども、それぞれの、調査部門で公平性とかあるいは客観性とか科学性にのっとった、きちんとした手続を踏んで調査をしている、信憑性という意味できちんとチェックをしているのかという部門ごとの問題があるわけです。それから、送り手の方として、その調査は持ってくるけれども、歪曲して使っていないか、こういう意味で、編成、企画の段階でのチェックというものがなされているのか、それぞれについてどういう体制になっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  27. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  御指摘のように専門の部門がございまして、世論調査をやっている部門がございます。その世論調査を専門にやっている部門の出先といいますか、それが編成局の中にもございます。  それで、世論調査をやる場合には、どのタイミングでどういう調査をやったらいいか、設問の問題、それから結果の分析の問題、その数字がどういうふうに扱われなければならないのかという専門家の意見が必ず、番組に出るまでには反映されます。常に調査部門の専門家と一緒になって、設問から放送に出すまでの間のチェックがなされるようになっています。制作部門だけがその数字を単に数字として、こういうふうに恣意的に使うというようなことはできない仕組みになっております。必ず世論調査の専門家の意見を聞く。数字の使い方もそこで相談して、表現の仕方もきちんと相談した上で放送に出していくという形になっております。
  28. 荒井広幸

    荒井(広)委員 この点についてはまだ改めて御質問したいと思いますが、それぞれの部門がそれぞれに緊張を持ってチェックをする。同時に、編成、番組で調査を使うわけですから、そのときに、例えば設問の仕方として、ある一定の設問、答えが出てきて、その数字が出ても、番組の使われ方にするとその設問の流れとは違う流れで使われれば結果的にデータの中身も違うはずなんですね、具体的な事例は出しませんが。そうなったときに、実は二番目の歪曲化というのが起こるおそれなしとは言えないのです。  ですから、それぞれの部門が、今の御説明にもありましたけれども、設問から放送までということを言っておられましたが、かなりの緊張関係がないといけない。調査部門の人が、あの番組で結果を見てしまったけれども、あれはやはりちょっと使い方おかしいよ、我々の設問、目的を持った調査としては客観性であるけれども、こういう形で使ったけれどもあの番組にはそぐわなかったな、あの切り口では問題があるな。こういう意味では、ぜひとももっと緊張をしたチェック、それぞれの方々の良識にのっとった体制というものを御要望申し上げる次第でございます。  そこで、郵政省にお尋ねいたしますが、同じように、先ほど聞いていただいた中身に関連するわけでございますが、民放においてそのようなチェック体制というのは十分に行われていると思うかどうか、御感想をお願いいたします。
  29. 江川晃正

    ○江川政府委員 世論調査の結果のチェックにつきましては、通常、民間放送会社の場合には、放送番組と同様に、編成部門とかあるいは放送番組審議機関の審議などを通しまして、放送に乗る前に客観性をチェックしているというところでございまして、今私、特に調査したわけではございませんが、逆に、特別にバイアスのかかった、こんなひどい調査があったというような特別な事案、問題が生じたという報告も、私の方まだ受けていないところでございます。
  30. 荒井広幸

    荒井(広)委員 あってはならないわけでございますので、どうぞその点も含めて、自発的な民放の皆様方からの公開というものを私は期待している次第でございます。  そういうことで申し上げできますと、実は、国会というものは国民の皆様方の民意を集約するという機能を一つ大きく担っているわけですね。世論調査というものは、ある意味においてその国会の機能を補足しているという、そういう成熟社会になってきているわけです。ということは、国会意見の集約と世論調査というものの科学的なものでの集約というものが、場合によっては相対峙することがある。もちろんそれは、国会はさらに将来を考え、さまざまなことを考えて結論を出すわけですから、民意の集約が、そもそもそれが結論になるとは限りませんが、ここに第四の権力と呼ばれるマスコミ、特に放送事業者の方々の大変な責務があるわけですね。だからこそ常にこの委員会の席でもいろいろな形で問われてきたわけです。特に、政治的なテーマということになってきますと、政局ということも一つありますが、私はそれは取り上げて申し上げません。問題は、政策決定に多大なる影響を及ぼすということなんです。  大臣、会長さん、この点を非常に、特にNHKの場合担っているわけでございますので、くれぐれもそういう点に御注意をいただきたいというふうに考えているのですが、時間がございませんので、大臣にちょっと御所見を承りたいのですが、そのようなことで放送法の精神を非常に考えながらお互いに礼節を持って真摯にやっているということでございますけれども、しかし、私は、公共性、客観性、そして先ほど言った国会の機能を補完する、あるいはそれ以上の力を持ち得る時代になった、そうなればやはり自発的に透明度を増していく、公開をする、そういう姿勢も各社に必要だと思うのです。そのようなことで、放送行政を所管する大臣としての御見解といいますか、御所見を承りたいと思います。
  31. 大出俊

    大出国務大臣 荒井先生の御質問にお答えをさせていただきます。  先生非常にこの分野を御研究いただいていると聞いておりまして、残念ながら前回の議事録に目を通している時間がなかったのですけれども、前にも御質問いただいているということでございますが、全く同感だと申し上げる部分が非常に多いわけでございます。  私もかつて調べたことがございますが、今放送法お話ございますけれども、放送法の三条の二、二つ非常に、三つ申し上げてもいいのかもしれませんが、「政治的に公平であること。」これはいろいろな場面で今まで国会の議論になっております。三条の二の一項三号というところには「報道は事実をまげないですること。」今お話ございました、そのとおりでございます。  もう一つ、これは非常に重要だと思っているのですけれども、今の国会の議論と世論調査の補完というお話がございましたが、この四号には「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」これは非常に私は大事だと思っているのです。規制緩和に関する遅い時間の番組を見ておりましたが、あれは電話アンケートみたいなことですけれども、進まない原因はといったら、政治家が三四%、官僚が三四%、ぎょっとするような実は数字が出てくるわけですね。ですから、これはいろいろな角度から、ここに書いてあるとおり「多くの角度から論点を明らかにすること。」まさにそのとおりだと思うのでありますが、そういうように、今のお話の中で公平性そして客観性そして透明性、三点をお挙げになって、そして科学的にというお話ございましたが、まさにこの科学的、これがなければ世論調査意味がないと私は思っているのです。  なぜかといいますと、放送法の四十四条の二項というところに義務づけているのでありますが、「協会は、公衆の要望を知るため、定期的に、科学的な世論調査を行いここうなっている。これしかないんだ、法律上は。科学的以外の世論調査をやっちゃいけないことになっているのですから、「科学的な世論調査を行い、且つ、その結果を公表しなければならない。」こういうことでございますので、御指摘は全く御指摘のとおりだと思っておりますので、放送行政局長さん以下、NHK川口会長さんもおいでになりますけれども、よく相談して、御趣旨を体して進めたい、こう御答弁申し上げます。
  32. 荒井広幸

    荒井(広)委員 郵政の大先輩でもあり、大臣の御所見で、本当にありがたく思います。大臣はいつも縦じまを着ておられるわけで、これは真っすぐなストライプですから、横しまのようなことがないように、ぜひお願いを申し上げたいと思います。  結びに、会長さんに確認をさせていただきたいのですが、それだけの、大臣がおっしゃった話をまとめれば、きちんとした担保としての予算だと思うのです。協会の中での予算の配分は確かにおありだと思いますが、そういう意味で私は、特にこの透明度を上げるための予算みたいなものも含めて、必要な経費はきちんとかけていただきたいと思いますが、その点御見解をいただきたいと思います。
  33. 川口幹夫

    川口参考人 当然、調査の重要性ということは、私も非常に強く認識しております。したがいまして、これにかかる経費等についても、必要なものは必ず出すというふうにしていきます。  今までは、大きな調査、例えば国民生活時間調査、これは何年置きにか行いますので、毎年ではございませんが、そのときで大体七億以上かけております。普通の年は大体四億強だと思います。四億強は安いか高いかというようなことは、それは中身の問題でございますから、私は、もし必要ならばこれに増額をしても構わない、やるべきだと思います。そして、これから後、例えば選挙に関する調査だとか、いろいろな調査がますますふえていきますから、これの公平性、客観性、透明性ということを重要視しながら、適切な予算措置はしていくことをお約束いたします。
  34. 荒井広幸

    荒井(広)委員 終わります。
  35. 高橋一郎

  36. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 それでは、早速NHK並びに郵政省に質問をしてまいりたいと思います。  その前に、NHK川口会長、二期目再選されての初めての委員会だと存じております。まずもってその再選をお祝い申し上げたいと思うと同時に、巨大なNHKのかじ取り役、御苦労が多いことかと思いますが、しっかりと頑張っていただきたいことも申し添えておきたいと思います。  さて、その川口会長が再選されたときに、今後の経営についてということで三つの柱を申されておりました。一つは、公共放送の役割を果たす番組づくりにしっかりと精励をしていきたいということ、それから映像国際放送の推進ということ、それから公共放送の役割を果たす緊張感あふれる組織経営という、この三つを柱として抱負を語っておられます。  そこで、この順に従って質問をしてまいりたいと思うのですが、ただ、前回の私の当委員会での質問で、国際放送について質問させていただきました。ですから、番組づくりとNHKの経営ということについて、この二点について、順次質問をしてまいりたいと思います。  私は、やはりいい番組をつくるためには技術革新を大いに進めていく必要があろうと思います。その技術革新の柱、一つはハイビジョン、立体テレビのように、テレビの画面や音声をいかに高品質化して臨場感、実物感をグレードアップさせるかという方向が一つ。あと一つは、多メディア・多チャンネルや双方向化、つまり情報化ともいうべき方向が一つあろうと思うのですね。  前者の臨場感、実物感をグレードアップさせるということについて、NHKは今までも随分その技術革新に取り組んできたところでございますが、特にこの放送技術の分野で、将来のディジタル時代の放送に向けてNHKは技術開発にどう取り組んでこられたのか、あるいはこれからどう取り組んでいこうとしておるのか、この点についてまず御質問を申し上げたいと思います。
  37. 森川脩一

    ○森川参考人 お答えを申し上げます。  NHKでは、放送の発展を図る意味合いから、基礎から応用まで一貫した研究体制で今の放送の改善あるいは新しいメディアの開発ということを一元的に進めております。その中でも非常に大きなテーマは、先生ただいま御指摘のとおりディジタルの問題でございますけれども、まずディジタルについては大きく言って二つの方向でいろいろ取り組んでおります。  一つは、番組を制作するあるいはニュースを取材するという、いわゆる放送局側の機器の問題であります。その中では、VTRでありますとか、それから中継現場から放送局へ転送する機器でありますとか、その他局内で使用します機器、これのディジタル技術を応用し、高品質で効果的な番組であり、ニュースを出せるような、そういう方向へ向けた研究開発を行っております。  それからもう一面は、新しい放送メディアの開発の面でございまして、この中には、例えば高品質で能率的な映像や音声のディジタル符号化方式の研究、ちょっと難しいですけれども、それからディジタル放送に効果的な伝送方式の研究であるとか、あるいはマルチメディア時代に対応する受信機の開発でございますとか、そういうものの研究を進めております。  今後の方向といたしましては、このようなディジタル技術の、つまり個々の要素を集大成いたしまして、新しい統合的なディジタル放送というものを次の時代の新しい放送メディアになるというぐあいに位置づけまして、その実現へ向けまして研究開発を行っていきたい、また、現にそういうことで努力をしているという状況にございます。
  38. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 NHKは、とにかく従来から先導的役目をずっと果たされてこられましたので、これからもますますもってその新技術の開発に積極的に取り組んでいただいて、そして国民に広くすぐれた放送を享受できるように、これからもひとつしっかりと努力していただきますようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、さらに突っ込んで、NHKはハイビジョン放送にも鋭意取り組んでこられたところでございます。いよいよ今月の二十五日、免許証を確保いたしまして、NHKと民放各局がハイビジョン放送を実施していくことになっております。今後、ハイビジョン放送の普及推進NHKとしてどう取り組んでいくのか。  過日の調査の資料がちょっとここにございますが、六十五歳以上のお年寄りの今後のテレビに対する要望、一番このハイビジョン放送を強く要望しておるということも聞き及んでおるところでございまして、それが非常に待たれるところでございまして、どういうふうにその普及をこれから推し進めていこうとしておるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
  39. 森川脩一

    ○森川参考人 NHKとしてハイビジョンの普及推進にどう取り組んでいるかという御質問でございますので、技術面をもちろん含め、あるいはその他のいろいろな側面についてお答えを申し上げさせていただきたいと思います。  まず第一番目には、番組の面でございますが、先生今御指摘のとおり、この十一月二十五日から始まりますハイビジョン実用化試験放送におきましては、一週七十時間の放送のうちNHKが四十時間を分担し、その中で、ニュース、情報番組の新設でございますとか教育、教養番組などの番組ジャンルの拡大、それから映画、スポーツなど週末編成の充実というところに重点を置いたハイビジョン放送をやってまいりたい、こういうぐあいに考えております。  それから、広報活動の面でございますが、十一月からはNHKが主体的に免許を得て放送するわけでございますので、地上の総合テレビあるいは衛星放送などの番組広報におきましてハイビジョン番組の積極的なPRを行って、視聴者に対するハイビジョンの認知度を高めてまいりたいというぐあいに思っております。  それから、三点目はメーカーへの協力要請でございますが、ハイビジョン受信機の低価格化あるいは衛星放送受信機へのコンバーターの内蔵化、そういうものを積極的に進めていただくように、メーカーに対しても協力要請を引き続き行ってまいりたいというぐあいに思っております。  それから、長野オリンピックへの取り組み、ちょっと触れさせていただきますが、一九九八年に開かれます長野の冬のオリンピックをハイビジョンの普及のいい機会というぐあいにとらえまして、機材を整備し、全種目を可能な限りハイビジョンで取材してまいりたいというぐあいに思っております。  あと、技術開発の面でもいろいろな努力を傾けてまいりたいというふうに思っております。
  40. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 ハイビジョン放送の実現に鋭意取り組んでいただいておることはよくわかりました。  ただいま長野オリンピックの話が出ましたが、ぜひこのころに各家庭に普及するように、しかも機器の値段も随分これは影響してこようかと思いますので、その受信機あるいは受信機の値段の低下というようなことにつきましてもしっかりと努力をしていただいて、開発期間をなるべく短期間にしていただいて頑張っていただきますことを要望しておきたい、かように思います。  ただ、そこで、一つだけちょっとお聞きをしておきたいことがございますが、一部に、アメリカのATV放送ですね、テレビはディジタル放送ですから日本のハイビジョンとは番組交換ができないのではないかというような話も聞かれるわけでございまして、果たしてそれが本当なのかどうか、誤解なのか。やはり相互に番組交換ができないと、日本の文化を世界に知らしめる、あるいは各国の文化を日本に引き入れるというようなことが、だんだんハイビジョン放送が進んでまいりますとそういうことができなくなっていく、そういう心配をするわけでございまして、その辺のところを明らかにしていただきたい、かように思います。
  41. 森川脩一

    ○森川参考人 先生のおっしゃいました、番組交換ができないというのは誤解かということでございますけれども、それはそのとおり誤解でございます。  ちょっと話が細かくなって恐縮ですけれども、放送を行いますための技術規格は、二種類でその技術規格が成り立っておりまして、その一つをスタジオ規格と申します。このスタジオ規格は番組制作とかそれから国際間での番組交換に用いる、そのための規格でございます。それからもう一つは、伝送規格と申しまして、これは放送局から発射される電波の方式の規格でございます。  まず、アメリカとの間ですけれども、スタジオ規格につきましては、つまり番組交換上必要な規格につきましてはアメリカとの間で互換性はきちっとございます。したがって、番組交換については問題はございません。  それからもう一つ、ヨーロッパでございますが、ヨーロッパのハイビジョンの規格と申しますのは日本やアメリカの方式とやや異なりますけれども、これについても、お互いの信号を変換するための方式変換が日本でもそれからヨーロッパでも既に開発され、実用に供されております。例えばことし二月に行われましたリレハンメル・オリンピックでは、これらの変換機を活用いたしまして日本、ヨーロッパが協力して番組制作に当たりました。その他オリンピック以外でも、ヨーロッパのプロダクションがつくった番組日本のハイビジョンで放送するということもやっております。こういうこともさらに発展させていきたいと思っております。  以上でございます。
  42. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 郵政省にちょっとお尋ねをいたしたいのですが、先ほど申し上げましたように、放送が多メディア・多チャンネル化を迎えるわけですが、今後一層国民に定着していくために放送のソフトの充実が大変重要であると考えるのです。各放送事業者が創意工夫して国民のニーズにこたえる放送ソフトを制作することが非常に大事であると思うのですが、行政として今後そういうソフトの充実のための環境整備に鋭意取り組んでおられると聞いておるのですが、具体的にここで御報告をいただければ、かように思うわけでございます。
  43. 江川晃正

    ○江川政府委員 放送ソフトの充実の重要性という点では、先生ただいま御指摘ございましたように、これからのマルチメディア社会においては最も重要なものの一つだという認識を我々も持っているところでございます。いわば新しい言葉で、この辺のことをコンテンツという言葉を使っておりますが、このコンテンツの充実が、いわば端末機器、プラットホームと言っておりますが、それから転送する部分をディストリビューションと言っておりますが、そういった三つの分野の中でソフトを中心とするコンテンツが非常に重要だということは先生おっしゃるとおりでございます。  そういうことにつきまして、我々、放送のソフトにつきましては、何もきのう、きょう急に始まったわけではございませんが、重要なる認識を持って幾つかの施策をやってきております。  予算がいろいろと小そうございますので、細かいことをことことと申し上げるのもいかがかと思いますので、法律に基づいてやっておるようなことを一つ、二つ挙げさせていただきたいと存じます。  電気通信基盤充実臨時措置法というのがございまして、それに基づきまして、放送番組を制作する人材の研修事業ということに予算をつけているところです。それから、有線テレビジョン放送の放送番組の制作用設備を整備する、いわば放送番組充実事業というのに予算をつけるということをやっております。それから、三つ目のあれでいきますと、放送番組センターというのがございますが、そこにおける放送番組の収集、公開事業等の推進に取り組む金を用意しているというようなところでございます。あわせて、一番最新で大きなものは、これは前国会で法律をつくらせていただいたわけでございますが、放送番組の制作用に使われる映像とか音響、素材、それらを収集、制作、保管しまして、新たに放送番組を制作する者に提供する放送番組素材利用促進事業というのが新たに法律でできるようになりました。これは、本年度の予算にも予算がついているところでございます。  そういったようなことで、先生おっしゃいましたが、ソフトの中身そのものではありませんが、ソフトをつくる環境の整備というところに郵政省、いろいろと意を尽くしてきているところでございます。小さなものまで挙げますと切りがございませんので、このあたりでその施策についてはとどめさせていただきますが、ソフト充実の一助といたしましてそのようなことをやっておりますが、今後とも、多様な質の高い放送ソフトの制作を推進するための多角的な施策というものを展開してまいりたい、そう考えているところでございます。
  44. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 NHKの技術革新と、そして郵政省のいい番組をつくる環境づくりと、これがうまくコンビネーションされて、これからも国民に広くいい番組が提供できるように、ひとつ御努力をお願い申し上げたいと思います。  続きまして、NHKの経営基盤ということについて若干質問をしてまいりたいと思うのですが、平成二年から六年度経営計画におきまして、平成年度から平成年度までの五年間は平成二年四月に改定した現行受信料額によって収支の均衡を図ることとしていましたが、平成年度の収支予算では七億円の黒字を計上し、平成年度以降に累計で五百二十二億円を繰り越す見通しになってまいりました。このような中で、平成年度以降の収支見通しはどうなるのか。また、既に川口会長は、平成年度は受信料は値上げしない、こういうふうに新聞紙上等でインタビューに答えておりますが、現時点においてNHKとして現行受信料をいつごろまで維持できるものなのか、ここで明らかにしていただきたい、かように思います。
  45. 川口幹夫

    川口参考人 平成二年に値上げをして以来、今度の年度でその五カ年計画が終わるわけでございますが、幸いに、この五年間の財政的な状況と申しますのは、大変ありがたいことに順調に来まして、現在五百億以上のお金を次年度に繰り越すことができるというふうな状況にもなっております。それを踏まえて私は、ことしの一月の記者会見のときに聞かれましたので、七年度は値上げをしないということをはっきり申し上げました。  ただ、その後、じゃ八年度はどうだ、九年度はどうだというふうにお尋ねがありましたので、これについてはまだ何とも言いがたいというふうにお答えしております。それは、今後予想されることが多少不確定的要素を含めて、しかも客観的情勢にNHKがどういう対応をしていくのか、その対応の仕方についても非常に大きな選択肢がいろいろありまして、ここではっきりと八年度まで値上げしないことをお約束することは差し控えるべきじゃないかと思ったわけです。  現在詰めておりまして、来年の頭にはそのことを確定できると思いますが、まず私の現在の考え方では、八年度も値上げをすることはない、しないでもいいというふうに思っております。もちろん、いろいろな事業をやらなければいけませんし、七十周年を来年三月に迎えますが、さらに今後のNHKがどのような形で発展、展開していくのかというふうな問題、難しゅうございますけれども、そのようなことをいろいろ勘案しても、できるだけ視聴者には御迷惑をおかけしないという前提で計画を立てていきたいというふうに思っております。
  46. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 国民は、値上げはだれも望んでおらないところでございまして、今後ともNHKがその合理化、効率化に努めていただいて、値上げが、八年、九年としないことが延びることをここで要望をさせていただいておきたい、かように思います。  時間が参りましたので、最後に郵政省に、今後NHKに対しまして事業運営のあり方について、いよいよ七年度からのまた中長期の基本方針を今NHKが御検討中だということを賜ったわけでございますが、NHKに望むことがあれば、あればというか大いにあろうかと思うのですが、最後にそのことをお聞きして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  47. 江川晃正

    ○江川政府委員 この五年間のNHKの計画に基づく経営につきましては、ただいま川口会長からもお話ございましたように、おおむね順調にいったものではないかと我々考えているところでございます。  そこで、その上に立ちまして、今後の経営につきましては、先ほど来川口会長のその経営に当たっての、再任に当たっての決意表明と申しましょうか、ああいうものもございますが、そういうものにのっとりながら、技術革新とか国際化等の諸課題に積極的に対応するとともに、これからマルチメディアという時代に突入してまいる、まあ入っているという方もいらっしゃいますけれども、そういう時代の到来に向けまして、放送と通信の融合が進む中で、公共放送としてのNHKが果たすべき役割を十分に御認識いただきまして、マルチメディア社会における調和ある発展を図り、国民の信頼にますますこたえていっていただこうということを期待しているところでございます。
  48. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬委員 終わります。
  49. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、高木陽介君。
  50. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 改革の高木陽介でございます。  NHKは、ハイビジョンを初め海外放送等々多角的な事業を展開されているのですけれども、まず最初に、平成年度及び三年度の収支決算概要、これがきょうのメーンテーマですので、それについてNHKにお伺いしたいと思います。  まず平成年度は、受信料改定などもあって、二百十五億円の黒字決算で、予算に対しては一億円の増加、三年度は、さらに収入の確保と業務全般にわたる合理的、効率的運営の徹底に努められて、百七十八億円の黒字決算となって、予算に対しては四十二億円収支改善が見られた。  これらの数字を見ると、NHKもよく頑張っているな、そういう感じがするんですけれども、しかし、ここでちょっと気になることがあるんです。それは、平成年度は受信料収入四千六百五十六億円で、未収受信料、いわゆる払ってない人ですね、集められなかった、これが百六十四億円、平成年度が四千九百六十三億円の受信料収入に対して未収金が百七十二億円。これはかなりの額に、一般の感覚からいうとあると思うんですけれども、同じ放送を見ながら、一方では受信料を払う、また一方では払わないという、視聴者としては非常に不公平感を感じると思うんです。  そこで、今二年度、三年度決算書でわかりましたけれども、四年度、五年度までの未収金の推移、あと滞納者ですね、これが何人ぐらいいるのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。
  51. 菅野洋史

    ○菅野参考人 お答え申し上げます。  滞納数というとらえ方をしているわけでございますけれども、滞納数は五年度末で九十九万九千件でございます。それから、四年度分の確定分では、未収金は百五十億円でございました。そして、このいずれもがこの数年ほぼ横ばいということでございます。五年度分の未収金については、現在回収中ということでございますので、まだ確定してないということでございます。
  52. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 滞納者が五年度九十九万九千。この滞納者の抑制というのが受信契約数の増加と並んでNHKの営業努力の指標となっているようなんですけれども、これまでこの逓信委員会で、八二年の三月には、公平感というものを維持していくためには、百万を超えてはいけないということを基本にして鋭意努力を重ねているとNHK側は答えられて、さらに、九一年の四月のまた逓信委員会で、百万というものを一つの防御ラインにしながら精いっぱい頑張っている、このように言われているんですけれども、九十九万九千、まあ横ばいで、あとぎりぎりのところまで来ているんですけれども、この百万件を突破した場合にどうなっていくのか、また、さらに今後も未収金また滞納者にどう対応していくのか、これをちょっとNHKにお答え願いたいと思います。
  53. 菅野洋史

    ○菅野参考人 先生おっしゃいますとおり、百万というものを一つの線にいたしましてこれまで努力してまいりました。そして、毎年五十万程度の世帯増があるわけですが、そういう中でこの百万の線を維持するために努力をしてきたわけでございますけれども、視聴者の生活時間帯の二十四時間化というんですか、それから価値観の多様化というんですか、そういう中で営業現場としては非常に苦労が多い。その中でただいま九十九万九千ということでございます。  もちろん、その対策としては、お客様の生活時間帯に合わせた訪問それから文書対策それから電話を使ってお願いをするということも組み合わせた、文書それから電話それから訪問の三つを効果的に組み合わせた滞納対策というものを工夫しながら今やっているところでございます。
  54. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 今のお答えで、努力しているということでそれを認めるしかないんでしょうけれども、例えばマンションなんかでパラボラアンテナが一つだけ立っていて、その中で各世帯、いわゆる衛星放送のチューナーあるかないかわからない。訪ねていって、それで、いや、うちはないんです、こういうふうに言われてしまえばそれ以上やりようがないと言われればそうなんですけれども、やはり百万件が払っていない、ここら辺のところでやはり不公平感というのが視聴者側にはかなりあると思うんですよ。  あと、NHKも受信料収入ということでいろいろと努力されている中で、視聴者が不快感を感じないような集め方、これはかなり努力してもらいたいと思うのです。  実は、私も議員になる前に普通のサラリーマンというか新聞記者をやっていて、うちの家庭にちょうど引っ越したときに訪ねてきました、受信料を取りにですね。そのときに、ちょうど家内が一人だったんですけれども、それに対して、何か忙しかったんですけれども、なかなか出てこないということで、この家は受信料を払わないみたいな言い方を、玄関先で大きな声で騒いだというんですね。そういうようなこともやっている。これは人にもよるんでしょうけれども、そこら辺のところもしっかりと指導をNHKサイドとしてはしていただきたいな、そのように思います。  続いて、要員の効率化について伺いたいのですけれども、要員の効率化、いわゆる削減ですね。これもかなり努力されているみたいで、平成年度が純減三百十一人、三年度が三百五十三人と純減を行ったのですけれども、その後の要員の効率化、これも四年以降どういうふうに推移しているのか。また、本来あるべきNHKの適正要員数、一体どれくらいの規模がNHKの業務をやっていく上で必要な人数なのか。ただ単に減らせばいい、目標もなくやっていくとなるとよくわからなくなってくるんじゃないかと思うので、そこら辺の適正要員数ということについてもちょっと伺いたいと思うのです。
  55. 安藤龍男

    ○安藤参考人 要員の効率化の推移についてまず御説明をいたします。  協会は要員の効率化を昭和五十五年から実施をしております。当時の協会の要員数は一万七千人弱、一万六千九百二十という体制でございまして、その後年三百名以上を超える効率化を着実に実施をしてまいりまして、平成年度の計画が実施されますと一万三千二百六十名ということでございますので、この十五年間で見ますと三千六百六十名ぐらいの要員を削減したことになります。  これは五十四年の当時の要員規模の二一%を超える効率化になるということでございまして、この間これだけの効率化をやりながら衛星放送等新しい放送サービスの充実に努めてきたということで、こういう協会の効率化努力に対しては、私どもとしては、視聴者も一定の御理解をいただいているのではないかなというふうに自負をしているわけでございます。  ただ、そういう形で、先生も効率化いつまで続けるんだという御指摘かと思いますが、相当規模の効率化ということで、スリムな要員体制も一定の規模に達してきているのではないかなというふうに私ども感じておりまして、これからは若干要員削減の規模を抑制をしつつ、なおかつやはり効率的な経営努力というものを念頭に置きながら、新しい時代の中での、特にハイビジョンとかあるいは映像の海外発信とか災害の緊急報道といったような、果たすべき新しい放送サービスの充実というものに心がけていかなきゃいけない。そういう意味で、新しい事業展開に向けての要員体制というものを、なかなかこれは何名体制が適正だということは申し上げにくいのですけれども、そういうものを築き上げていかなきゃいけないかなというふうに考えております。
  56. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 具体的な数字、何人が適正規模かというのを出せないみたいな感じなんですけれども、例えばNHKの経営というのは受信料収入でやっている、国民に負担を強いているわけですね。そう考えますと、今税制特でかなりもめていますけれども、税金をどうするかということに対して、例えば、これだけ必要なんです、福祉のビジョンはこうです、また行政改革で要員をこうします、これを明確に示さないと多くの国民は納得しないと思うのですよ。  それと同じように、NHKがこれだけの事業展開をこれからしていきたいと思います、そのためには要員はこれだけ必要なんです、またこの設備投資にはこれだけ必要なんです、こういった具体的な数字を提示していかないと、受信料を取りに来たから払う、今振り込みが多くなってきたから、どんどん国民は知らないうちに払っているという形で、ここら辺を、NHKの責任として今後何か具体的な、検討委員会でも何でも結構です、そういうのをしっかりとつくりながら国民に提示をしていただきたい。これは要望として申し上げたいと思います。  続いて、NHKの関連企業について伺ってみたいと思うのですが、川口会長の前の島体制のとき、商業化という批判をかなり浴びて、関連企業、クリエイティブですとか、またはエンタープライズだとか、どんどん広がっていったような気がするのですね。  ただ、受信料収入でやっていくために経営の効率化とともに副次収入もしっかりと確保しなければいけない、そういったジレンマがNHKの中にあると思うのですけれども、ここでちょっと指摘しておきたいのが、関連企業各社が営業面で民放の各社だとか民間のプロダクション各社と競合して圧迫を受けている、そんな指摘が結構なされていると思うのです。  これも御存じだと思うのですけれども、ことしの三月に「NHKの「商業化」問題に関する調査報告書」というのが民放連の営業委員会で出されました。その中でこんなことが書かれているのです。これは九二年、三年くらいにかなりいろいろと調査をして、それをまとめたのがことし発表されたみたいなんですけれども、  NHKの九二年度の受信料収入は約五千三百億円。これに対してNHK系関連企業・団体の主要二十八社・団体の同じ年度の売り上げ総計は二千四十億円。この売り上げのうち、NHKからの委託費は三〇%程度を占めるとみられるので、この三〇%分の約六百億円を引いた残りの約千四百億円が一般企業、自治体、一般視聴者を対象にした営業活動による売り上げになる。このうち、一般企業と自治体からの収入がどの程度かハッキリしないが、一般企業や自治体では、当然広告宣伝費や広報費名目で支出しているわけで、この部分が民放の営業活動と競合することになる。  この千四百億円の売り上げは、九二年度の在京テレビ一局の平均売り上げとほぼ同程度で、民放全社売り上げの一割程度になるというのですね。それで、  映像制作プロダクションの水準でみると、最大手の東映これが約九百四十億円で、それを上回る。  また個別の企業レベルでみると、中核的存在のNHKエンタープライズの場合、九二年度は二百六十億円の売り上げとなっている。同社の場合、NHKからの受託分は約四〇%・百二十億円程度とみられており、それを差し引いた百四十億円の売り上げても、民放関連大手のTBSビジョン、独立系大手のオフィス・トゥー・ワンを上回っている。こういったことを指摘されているのです。  これは現在、昨年度で結構なんですけれども、関連企業の総数、それと総売り上げ、その実態についてちょっと伺いたいと思います。
  57. 齊藤暁

    ○齊藤参考人 まず、NHKの関連団体の総数をお答えいたします。  昨年、現在とも同じでありますが、二十八団体でございます。これに職員の福利厚生団体の健康保険組合それから共済会を含めて三十団体ということになります。  NHKからの委託業務の実施等によりましてNHK事業を補完または支援いたしまして、公共放送としてのNHK事業の遂行に協力しているということでございます。
  58. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 総売り上げも聞きたいのですけれども、総売り上げと、NHKの関連企業に対してNHKからどれくらい、何割くらい業務委託がなされているのか、売り上げに比べてどれくらいの割合かというのをちょっとお伺いしたいと思います。
  59. 齊藤暁

    ○齊藤参考人 総売り上げでございますが、平成年度決算数字で申し上げます。総売り上げ二千五十億円でございます。このうち、業務委託などNHKからの収入、NHK関連の収入の占める割合でございますが、大体四割程度、四〇・五%という数字になっております。
  60. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 もう少し民放連からの指摘というものを挙げてみたいと思うのです。 これは具体的な事例なんですけれども、「衛星放送「青春TV―タイムトラベル」の百万人大投票の協賛のケース」、こういうのがあるのですけれども、  NHK衛星放送が九二年九月二十六日に放送をスタートさせた「青春TV-タイムトラベル」の百万人大投票のイベント(実行委員会はNHKサービスセンター、NHKクリエイディブ、NHK衛星放送部の三者で構成)は、家電メーカー九社が特別協賛したほか、ビデオテープメーカー二社が協賛して実施された。ちなみに、特別協賛したのは、東芝、日立製作所、三洋電機、ソニー、日本ビクター、三菱電機、シャープ、NECホームエレクトロニクス、松下電器産業で、協賛したのはTDK、富士写真フイルム。  最終的な「大投票」のイベントは九三年三月十八日にNHKホールで実施され、三月二十日に二時間三十分番組として衛星第二で放送された。特別協賛金はチラシ、ポスターへの協力と投票の集計費の補填の名目になっている。NHK側は、「大投票」のイベントへの協賛であって、「番組制作」に直接関係ない部分の負担というのが回答。  こうしたケースがそのまま許されると、番組をイベント仕立てにすれば、それに対する協賛名目で一般企業、自治体からの資金導入が容易になる。特に「大投票」の場合は、明らかに放送目的のためのイベントであり、結果として放送番組に係わる形で営利行為をしたことに連なるとみられるのではないか。 こういうふうに指摘しているのです。  特に地方においては、NHKの地域会社、関連会社が地方自治体の出資を得て自治体イベントに深く入り込んでいる、そういう指摘も多々ありまして、ローカルではNHKの媒体価値、ブランド力というのは強くて、特に地方の民放というのはその県一つだけですから、そこから比べますと、全国放送というのを武器にその関連会社が民放の仕事をどんどんとってしまうという指摘があるみたいなのです。  これに対して、NHKは民放とその関連会社の競合についてどのようにとらえているのか、また、今後関連企業、さらにリストラ等がいろいろ叫ばれる中で統廃合等々どう考えているのか、これをお伺いしたいと思います。
  61. 川口幹夫

    川口参考人 御指摘のようなことがありました。その調査、それから民放連からの申し入れといいますか、苦情の方も承知しております。  私は平成三年に会長になったのですけれども、その前の島会長のとった一つの方向が、NHKは将来受信料体制ではやっていけない、したがって、みずからを民活化といいますか、そして事業拡張をやって、そして受信料にかわるべき財源としてそこに依存するべきだと、簡単に言えばそういう形でもって、大きくメディアミックスという考え方で相当強い振興をしたわけです。それがあちこちで摩擦を起こしまして、今おっしゃったような事例も大体そのときのことですが、幾つかの非難、指摘を受けたということがございます。  私は、NHKと民放というのは、この四十年来同じ土俵の上で、しかも日本の放送を両方から支えてきた、そういう一種の戦友ではないかという考え方をしておりまして、そのようなことのために民放、HNKがいがみ合うという形は絶対好ましくない、日本の放送をあわせてよくしていくという観点に立つべきだというぐあいに思いましたので、早速、各地の民放連に所属する会社、例えば札幌地区、仙台地区、山形地区、名古屋地区、それから大阪、広島、松山、そして福岡と、その土地の民放の社長さん方ともひざを交えていろいろお話をしました。  結果としては、そのことによってNHKが関連団体をいわゆる収益のために使うのではなくて、文化創造団体というふうな形で位置づけることにしたい、そして、もちろんそれぞれが株式会社もしくは財団法人ですから、それぞれの個体としての事業はやはりあります、しかも多少収益を上げる、もちろん株式会社は相当収益を上げる必要がありますから、これについては節度を持ってやりましょうと。そして、民放の方にもそのことを理解していただいて、NHKが関連団体を全体の位置づけの中で、効率化の問題とか、それから将来への財政的な基盤を固めるための副次収入の問題とかいうところで適切な関連団体の発展をすることは認めてもらいたい、こういうふうな話をしてまいりまして、一応その当時の民放サイドからの非難は、消えてはおりませんけれども、相当少なくなったというぐあいに思っております。  ですから、今後関連団体については節度のある、しかもNHK事業に直接非常に大きく禅益すると同時に社会的にも還元をする、それで、余り無用の摩擦を民放そのほかと起こさないようにするということを前提にして進めてまいりたいと思っております。
  62. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 節度のあるというお言葉をいただいたのですけれども、これも一つの見方をすると、例えば民放が一つの県で四波それぞれあったとする。その中で、四波あるからそれぞれうまくやっていた。そこへ大NHKが乗り込んできた。それで、もう自分たちの領域を侵すんじゃない。これは、自由競争の考え方からいくと何を考え違いをしているのだ、そっちだって民放なんだから、企業なんだから、努力すべきじゃないか、これが普通の考え方で、しかも視聴者側から見ると、それでNHKの経営効率化が図られ、また財産というか収入がふえていく、そのことによって受信料がずっと抑えられるということは、一般視聴者から見れば、これはどんどんやってもらいたいという意見もかなりまた出てくるのじゃないかなと思うのです。ここら辺が公共放送のつらいところで、どういうふうに判断しているか。  今会長の方から節度あるというお言葉をいただいたのですけれども、郵政省はどのようにその関連企業と民放の競合ということを考えておられるか。
  63. 江川晃正

    ○江川政府委員 ただいまの高木先生のお話、私ちょうど申し上げたいなと思っていたことを言っていただいたようなところがございまして、若干なぞるような言い方になって恐縮かと思いますが、NHKの関連団体というのは、もともとNHKの業務を支援して、NHKの効率化に資することを目的として設立されているものでございますから、したがいまして、関連団体の事業活動というのはそういう目的に沿って行われることが不可欠でございます。言うまでもなく、いたずらに民間企業と競合したり特定企業と結びついたと誤解されるような、そういうようなことのないように、節度を持って行うことが必要だということは言うまでもないところでございます。  しかし、同時に私、私というのは個人ではありません、郵政省として、NHK、民放、両方をあわせて放送界の発展というものを考えなければならない立場から申し上げますと、NHKがこのことについて過度に遠慮してしまいまして、いわばやろうとする仕事を関連事業を通して石橋をたたいても渡らなくなってしまう。そういう仕事ぶりになってしまったら、これはNHKの活性化のためにも、あるいは先ほど川口会長の言葉をおかりしますと、日本の放送をあわせてよくしていこうという視点からいきましても、これはむしろ悪い影響が出てくるのではないかなという懸念もするところで、この部分が、高木先生今補足的に御質問いただいたところだと、私が申し上げたいことが一緒だったと言うのはそういうところでございます。  そういう意味におきまして、郵政省といたしましては、今後ともNHKが関連団体の事業活動に十分配慮して、NHKがいわゆる商業化というようなことで批判を受けることのないように期待すると同時に、関連団体の生き生きとした活動、活躍によって一層NHKの業務そのものも活性化されていくということも同時に願っているというのが郵政省の考えでございます。
  64. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 大体その関連企業についてはわかりましたけれども、そこから、今度は関連企業じゃなくて、NHK本体の巨大化鈍判というか、これもよく民放が言っていることなんですけれども、大体テレビが四波、ラジオが三波、こんな七波も持っている放送局は世界でも最大級だ、こういった指摘の中で言われているのですけれども、九三年二月、昨年に発表した「NHK将来構想」の中で、音声メディアの現行三波を再編成して一波削減する方向で検討するとありました。これは、会長も何回か記者会見されたと思うのですけれども、この削減対象と見られるラジオの第二放送、これは特に語学放送ですとか、そういう人気のある番組ですね。それ以外にも市況だとか気象関係の放送だとか、そういったものがあるので安易に削減できないのじゃないかな、こういった意見もある中で、どのような方針になっていくのか、それをちょっとお伺いしたいと思うのです。
  65. 川口幹夫

    川口参考人 ラジオ一波の削減というのは、実は私がその推進者でございまして、そうしようと思ったのです。それは、ラジオの聞かれ方の現状を調べてみますと、第二放送については非常に少ない。特に学校放送に関してはほとんど利用されていないという現状がありました。ですから、もし一波を削減するならばラジオ第二はどうだろうかという発想でやったのです。  ところが、その構想を発表いたしました後、二、三の新聞社の方からこの問題について非常に克明な論評が出まして、そして、それを受けまして聴取者の方から私のところに多数の反論が寄せられました。それは、今第二放送を私は利用しているという立場に立って、そして第二放送をやめることがどういう影響を及ぼすか、それを十分に考えてほしい。当然私はそういうことは前提のもとにやっておりまして、必要なものはラジオ第一放送またはFM放送の中で吸収をしようというふうに思っていたのです。  ところが、それではだめだ、やはり第二放送の中での位置づけというのがはっきりしているから聴取者は安心して開けるのであって、それをむざむざチャンスを奪ってしまうのは、NHKとしてはや減り許しがたいというふうな強い抗議がございまして、それで今、どのような形に結論を出そうか、翼社長期構想の具体化計回というのをまとめておりますので、その段階でははっきり結論を出そうと思っております。  御存じのごとく、音声による語学放送というのは非常に効果があるのですね。場合によってはテレビよりか語学の習得にはラジオの方がいいというふうな現状もありますし、それから船舶等のいわゆる船舶無線で受ける情報だとか、いろいろなことが第二放送の中にはまだ強く求められておりますから、そこを考えまして、どのような形でこの問題に結論を出すか、現在慎重に検討中でございます。
  66. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 私も、中学、高校時代に、ラジオの英語講座ですか、英会話等々を聞いて一生懸命勉強した思い出がありますので。  そういった中でNHKはスリム化を意識していると思うのですよね。そういう中で、ラジオ第二の放送番組制作費ですか、これもいろいろと調べてみて、直接費が年間約十億円程度だというふうに聞いたのですけれども、国内の放送費用二千億円程度から比べますとほんのごく一部で、じゃ第二がなくなったからこれでスリム化されましたよ、こんなふうに言われたら、やはり多くの国民が、もっと削るところはないのか、こういった論議になってきてしまうと思うのですね。  ですから、そこら辺のところも含めて、ただ視聴率、聴取率、これが高いから、低いから、そういった民放的な発想じゃなくて、何が必要で何が本当に不要なのか、そういった観点をしっかりと持っていただきたい、これも要望として申し上げておきたいと思います。  では、続いて、放送法の改正について。  ことしの六月ですか、通常国会放送法が改正されて、国境を越えるテレビですか、越境放送が解禁というか、広がりました。NHKがある意味でいうと義務化されたみたいな形で、特にここで問題となってくるのがテレビジャパンの問題です。テレビジャパンの敏速の一部をNHKが無料放送、今スクランブルをかけていると思うのですけれども、それを無料にしていく、こういうふうな話も聞くのですが、それについて、具体的な計画と、あと、その無料放送をすることによって経費がどれくらいかかるのか、それをお伺いしたいと思います。
  67. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  今御指摘のように、テレビジャパン欧米現地法人を通じましてスクランブルをかけて有料で放送をいたしております。ヨーロッパで十一時間、アメリカで十五時間程度やっておりますが、放送法の一部を改正する法律案に基づきまして、今度は協会の必須業務として映像による国際放送業務が義務づけられたというような形になりまして、来年度は一日当たり三時間から四時間ノンスクランブルで現法に委託をして放送をしてもらおうという計画を進めております。  経費の詰めを今いろいろな形でやっておりますが、テレビジャパン向けだけではなくて、アジアの放送局とかCATV局にも素材を配信するという業務とパラで行っているところがございますので、経費の詰めをやっておりますが、十億から二十億の間で実現できるのではないかというふうに思っております。
  68. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 これも民放の方の発言をちょっと引用させてもらっちゃうのですけれども、フジテレビの社長がこの問題について、国内の受信料を海外向けに使っていいのかと。これはやはり素朴な疑問だと思うのですよ、僕らが日本でお金を払って、それで放送を見る、そのためにお金を払っているわけですから。それが、受信料を払っていない人たちのところへ電波が流れて、またそれを提供して、そこは無料になるという、ここら辺のところで違和感というか、ちょっと違うのじゃないの、そういう意見もあると思うのですが、それについてNHKの見解を。
  69. 中村和夫

    中村参考人 御承知のように、本年度NHKの予算審議の中で附帯決議として、衆参両方の逓信委員会から、映像メディアによる国際交流を推進することという附帯決議がございました。それと、やはり国際化の進展の中で日本の情報を世界に向けて発信するということ、諸外国の正しい日本理解を促すということ、それから、在留邦人が七十数万現在おりまして、海外に旅行する人たちが千三百万人に達するというようなことから、そういう方々への情報提供というのも公共放送の責務ではないかというようなことでこの国際映像放送というものに取り組んでおるわけでございます。
  70. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 あと、この問題について郵政省にもお伺いしたいと思うのですけれども、「放送批評」の十月号にある論文があって、その中で、ちょっとまた引用させていただきますけれども、放送メディアを通しての国際理解の促進は、本来ならば国の施策として国みずからが行うべき事柄である。それをNHKに肩がわりさせるのが将来の放送体制にとってよいのかどうか。NHKの九四年度収支予算を見ると、国際放送実施のための国からの交付金十八億円は、前年度の場合二十二億円よりも少ない。九三年度と九四年度の収支予算を比較すると、九四年度事業収入は前年度に比べ百三十億円ふえたが、事業支出は収入以上にかさんだ。この結果、事業収支差金は百四十五億円で、この中から百三十八億円を資本支出に充当し、残る七億円を翌年度以降の財政安定のための繰越金に組み入れている。九四年度予算は辛うじて黒字を計上しているが、九五年度は受信料を値上げしない限り、ここら辺はちょっといいのですけれども、そんな中で、国際放送の実施に伴う経費に受信料の一部を充てることを国民は支持しているのかどうか。受信料は国内放送を視聴するための負担金として支払っているのであり、国際放送まで想定しているわけではないというのが大多数の国民の意識ではないだろうか。  国の方針としては、やはり文化だとか日本の事情だとか海外に知っていただかなきゃいけない。また、海外邦人のためにもできる限りサービスを提供しなきゃいけない。それを、これはNHKの側じゃないのですけれども、NHKとしてもそれを全部負担されますと、それは受信料からやらざるを得ない、ここら辺のところで国としてどういうふうに今後とらえていくのか、それもお伺いしたいと思います。
  71. 江川晃正

    ○江川政府委員 物事を微分的に見ると不正義のようですが、積分的に見ると正義というのはあり得るとも思うわけです。  NHKは、従来から短波国際放送というのを行っていることは先生御案内のとおりかと思います。短波国際放送というのは、NHKが一つには、先ほどの御回答にございましたけれども、我が国の事情を紹介して国際親善の増進や外国との経済交流の発展に資するということが一つと、もう一つは海外同胞に慰安を与えるという使命がございまして、NHK公共放送機関としてこの役割を果たすということでやってきているわけでございます。そういうことにかんがみますと、その放送は、結局はいわば積分的に見ますと国民全体に利益をもたらすことが期待されることから、従来からこの費用につきましては受信料という形で国民が公平に分担してきたというところでございます。  今回、法律の改正で映像国際放送ができるようになったというのは、いわば今まで短波で、音声でやっておりましたのが映像になる、音が絵になるという変化だけというとちょっと語弊がありますけれども、それが中心でございます。したがいまして、映像国際放送の持つ趣旨とか目的とかというのは、従来の短波国際放送と変わりないものでございますので、その実施のためには、やはり従来と同じように受信料を充てていくのが適当であろう、そう考えてやっているところでございます。
  72. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 ちょっとまたしつこいようなんですけれども、その理論、すごくわかるのですけれども、その公平感、一番最初に質問した受信料の、百万払っていない、こういうものがありますからね。そうなってくると、やはりそういう国際的な放送をすることによって国の利益になる、または国民の利益にも返ってくるのであるならば、もっと国が積極的にやる。これはやはり詰めていきますと、お金の問題になってきますから、大蔵との兼ね合いになるわけですよね。そこら辺のところではもっと郵政も積極的にやっていただきたいな、こういうふうに考えます。  さらに続いて、同じ放送法の改正の問題について、これは特にアジア諸国なんでしょうけれども、今度NHKじゃなくて日本国内の事業者、民放も含めて海外向けの放送ができる道が開けてきたと思うのですけれども、現状として、民放などは特に採算ラインには乗らない、こういった指摘、意見等も聞こえて、財源を理由に二の足を踏んでいるというのが結構今までの現状じゃなかったのかなという気もするのです。その海外向け放送の取り組みというか、民間の、民放等々含めての現状及びその展望、それを郵政省にお伺いしたいと思います。
  73. 江川晃正

    ○江川政府委員 個々の企業名はちょっとここでは避けさせていただきたいと存じますが、さきの通常国会放送法の改正をさせていただきまして、こういう映像国際放送の制度が、枠組みができたという情報を得まして、また、もちろんその法律を改正するに当たっては、いろいろと世の中とも接点がありますから、事前にその情報を持つ機会は持っているわけでございますが、そういうでき上がったということも得まして、ある放送事業者がやってみようかという事業化の検討を行っているということは、私たちも承知しております。それが三つも五つも十もあるかというと、私たちまだそこまでは承知してございませんが、少なくとも単数はあると考えております。しかし、この後、ではどうなるのかというときに、そういう一つが具体的事業化で入っていけば、他の事業者もこの道にまた参加してくることが期待できるぞと我々は考えておるところでございます。
  74. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 現状はなかなか厳しいような感じもするのですけれども、これも、特に民間、民放というのはやはり商売ですから、もうからぬとやらぬというのが素朴な発想だと思うのですね。だからこそ、こういう国際放送というものに対しての国のスタンス、また郵政のスタンスというものをしっかりと持って、逆にそれを支援できるような形というのを確立しないと、結局手を挙げる人がいない、手を挙げてみたけれども結局赤字になってしまった、また手を引いていく、では何のためにこの放送法を改正したのか、そういったことにもなりかねないのじゃないかな、そういうふうに考えています。  続きまして、ハイビジョンについて、これをお伺いしたいと思うのです。  現在、ハイビジョンの試験放送をずっとやられて、今度民放も免許を部分的に配分してやっていくということになるのですけれども、これまでNHKが本当に先導的というか中心的にずっとこのハイビジョンを開発してきたと思うのですが、具体的に、これまで一体幾らのお金がこのハイビジョンの開発にかかったのか。さらに、BS4ですか、これが打ち上がって本放送になっていく、そんなときに、それまでの間にどれぐらいかかってしまうのか、ここら辺の見通しもお伺いしたいと思います。
  75. 森川脩一

    ○森川参考人 お答え申し上げます。  御質問のハイビジョンに対するこれまでの経費のトータルのうち、まず研究開発に要しました経費、これは昭和三十九年度から平成年度までの間、約三十年間でございますが、この三十年間で合計二百十億円になっております。  それからもう一方の、番組制作費それから設備の減価償却費、人件費といったハイビジョンを放送する関係の経費といたしましては、実験放送の準備を始めました昭和五十九年以来平成六年までの間、約十一年間でございますが、合計で五百九十六億円となっております。  それから、今後のハイビジョンに要する経費でございますが、これからの放送の充実などに伴って徐々にふえていくことになろうかとは思いますけれども、いたずらに経費の膨張することがないように、例えば番組制作面では、ハイビジョンそれから現行放送との一体化政策を進めるとか、あるいは設備の経費についてもできるだけこれのコストダウンを図るとかということで、経費の効率的な使用に努めてまいりたいというぐあいに考えております。
  76. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 これは郵政でもNHKでもどちらでも結構だと思うのですけれども、現在のハイビジョンの受信機、一体これは何台ぐらい出回っているのか。九七年の打ち上げ予定のBS4、それ以降本放送になっていくと思うのですけれども、そのときには大体どれくらいの受信機、今まだ五十万円前後の価格ですから、一般家庭まですぐにいくのかどうかわからないのですけれども、そこら辺の予測、これをちょっと郵政でもNHKでもどちらでも結構です、お伺いしたいと思います。
  77. 森川脩一

    ○森川参考人 ハイビジョンテレビの数でございますが、日本電子機械工業会の平成六年九月末の調査でございますが、これによりますと、ハイビジョンテレビは二万八千台になっています。なお、MNコンバーターつきのハイビジョン放送、つまりハイビジョンを受けて現在の四対三に変換する、それで四対三のテレビでも簡単に見られるという、そういうコンバーターのついたテレビの受信機、これを含めますと出荷台数は十七万台というぐあいに工業会当局が報告をしております。  それから、本放送時の予測でございますが、仮に一九九七年ごろ本放送開始ということを想定いたしますと、これは外部の調査機関の調査によりますと、ハイビジョンのテレビの普及はそのころで約四十万ないし六十万台という予測がなされております。
  78. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 ことしに入って江川局長の発言、ディジタル、アナログ発言ですか、これはちょっと耳の痛いことかもしれませんけれども、これをもう一度確認をしたいと思うのですね。  ここら辺、素人だとなかなかディジタル、アナログ、一と〇、こんなことぐらいしかわからなくて、一体どう違うのか。さっき田野瀬先生も御質問されていたんですけれども、これをもう一回明確にして、今後どういうふうにこのアナログ、ディジタルをとらえながら取り組んでいくのか、それをちょっとまずNHKの方に開きたいと思います。
  79. 森川脩一

    ○森川参考人 ハイビジョンは、先生御承知のとおり、今の現行うレビの五倍の情報量を持っております。したがって、これを放送衛星の一チャンネルの電波で放送するというためには、できるだけこのもともとの特報量を圧縮をしまして、その上で電波に乗せなければなりません。  ミューズでございますが、今放送されているハイビジョンはミューズという手法を用いておりますが、これは今申し上げました、情報を圧縮する部分、この部分にはディジタル技術を用いて情報を圧縮し、それから電波にこの信号を乗せる部分、電波で伝送する部分、この部分については今の衛星放送と同じアナログの方式を利用して、それでもって受信機へ送り込み、受信機側でもとのハイビジョン信号に戻す、この戻す際にはディジタル技術を用いている、こういうシステムになっております。  このシステムは、電波の部分を今の衛星放送と同じような形式にしておりますために、放送衛星と同じ受信機で受信ができるという特徴がございます。つまり、今のBSチューナーをそのまま使える、それでハイビジョンが受かるという特徴を持っております。  それから、一方のディジタルの方式でございますが、これは情報の圧縮から、電波に乗せるところから、あるいは受信機の復元から、これを全部ディジタルで行っているというものでございます。  NHKは、このディジタルというものの研究につきましては長い間これを手がけてきているわけですけれども、できるだけそのメリットを生かしまして、将来の機能の高い放送サービスというものを目指していきたいと考えておりまして、今我々は、先ほどちょっとお答えしましたように、あらゆるディジタル技術を全部統合いたしまして、新たなメディアとしてこれを展開していきたい、そういうことから、国際会議にもそういうことを提案して、研究を進めているわけでございます。  そういうことで、これから来るべきディジタルの時代へ向けて、鋭意研究あるいは開発に取り組んでまいりたいという所存でございます。
  80. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 同じような形で、今後のアナログ、ディジタル等々の展望というのですか、これを郵政の方にお伺いしたいと思います。
  81. 江川晃正

    ○江川政府委員 技術の各論は申し上げることはできませんが、大きな流れといたしまして、来るべき二十一世紀というのが、ただいまのお話にもございましたように、ディジタル技術等の技術改革を背景としまして、映像、音声、データ等の情報を自由に創造、加工、発信できるマルチメディア時代が到来するというふうにだれもが予想するところでございます。こうしたマルチメディア時代において、放送を広い意味での情報通信等の中にどのように調和させ、どのようにさらに発展させていくのかということが今後の放送行政の非常に重要な課題だと私たち考えているところでございます。  そこで、乏しい役人の知恵だけでやっていても仕方がございませんから、学、民、いろいろな方々、利用者の方々に集まっていただきまして、本年五月から郵政省に、マルチメディア時代における放送の在り方に関する懇談会というのを設置、開催いたしております。NHKからも会長委員として御参加いただいておりますし、民放からも、メーカーからも、視聴者代表としての方からも入ってもらっているところでございますが、その懇談会におきましても、ハイビジョンも含めました放送全体のディジタル化の展望というものにつきまして検討いただいておりまして、来年の三月にはそれなりの報告をいただけるということで動いております。それをいただきまして、郵政省もそれを尊重しながら対処してまいりたいと考えるところでございます。
  82. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 ハイビジョンについては最後の質問なんですけれども、今試験放送、それで将来実用放送して、これが放送されるのはいいのですけれども、その受信料というか、料金、これはとうしていくのか。  これはもうかなりお金をかけているわけですね。衛星放送もそうなんですけれども、結局衛星放送料金は別料金で取られている。ハイビジョンも今までいろいろと投資してきた。これは受信料でどんどん投資していくわけですね。一般の視聴者は全然見ていない。それを見ていないわけですね、今まで。それで、いよいよ試験放送から本放送になった。さあ自分たち、ずっと今まで払ってきた受信料から投資されたから見れるのかなと思ったら、また別料金取ります。こういうふうになりますと、また一般の感情として、何やっているんだというふうに思うのじゃないかなと思うのですよ。そこら辺の計画、また展望、これをちょっとお伺いしたいと思います。
  83. 中井盛久

    ○中井参考人 長期計画を担当しているものですから、私の方からお答えさせていただきます。  ただいま御質問がありましたけれども、今のところNHKとしては、ハイビジョンの料金そのものを今直ちに料金化していくということは、今は考えておりません。  御指摘のように、今はまだ新しい放送サービスをそういうふうに展開していく、その普及、発達に資するという我々の公共放送の先導的な役割があるのではないかということで、開発部門で衛星放送の料金の一部をその開発のところに今使わせていただいているということでございまして、いよいよそれが実態的に、この十一月二十五日からの試験放送、実用化試験放送に対する準備が一段と進んでまいります。そのようなことで、できるだけ安い受信料が普及していくようなこと、そういう努力をしなきゃいかぬ。  また、先ほど来のお話にありますように、MNコンバーターというようなもので、ワイドのテレビであっても同時にハイビジョンの画像が多少落ちるかもしれぬけれども見られるというような状況、そういうようなものをつくって、総合的な中で最後にはやはり何らかの形で料金にはね返るということはあり得ると思いますけれども、今現在、ここ数年の計画の中では、ハイビジョン料金化をするということは今すぐには考えていないというお答えだと思います。
  84. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 いつかは取らなきゃいけないなというのはすごくわかるのですね。わかるのですけれども、本当に、視聴者の感情だとか素朴な国民の思い、それをやはりNHK方々もしっかりと肝に銘じていただきたいと思うのですね。  あと、もう時間も大分なくなってきましたので、最後にアトランタ五輪についてちょっとお伺いしたいのですけれども、これは今までも、バルセロナ、ソウル、その前のいろいろなオリンピックがありまして、NHKが主体となってかなり興奮の映像を送ってもらったのですけれども、その放映権料、これが過去、ソウル、バルセロナ、ことしはワールドカップ、サッカーがありましたね、これが、放映権をとるために大体どれぐらいかかってきたのか。アトランタの方もかなり吹っかけられているという話もちょっと聞くのですけれども、ここら辺が一体どれぐらい予定しているのか、または言われているのか、それについてお伺いしたいと思います。
  85. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  オリンピックの放送権料は、規模の拡大ということもございまして、大変お金がかかるようになってまいりました。一九七六年モントリオール大会と比べまして、バルセロナ大会が四十倍を超す値段になっております。バルセロナが五千七百五十万ドル、日本円で八十八億ちょっとというところまできております。  アトランタの放送権の交渉につきましても、先月やりましたけれども、双方の考え方の開きが大きくて、物別れということになりました。  規模が大きくなって種目もふえて、それが期間十六日間の間に集中的に行われるということで、参加選手もどんどんふえてくるということで、カバーするの自体なかなか大変だ、そういうことで、日本は民放と一緒にジャパン・プールという形で交渉をやっておりますが、二年前に川口会長がローザンヌのテレビ関係者の会議で演説しましたように、もうオリンピックの放送権料については限度にきているということも明言しておりますので、アトランタの交渉についても我々の主張を粘り強く展開しようというふうに思っております。
  86. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 あと、もう質問はいいです、もう時間もないので。今後の長期計画もそれにあわせて聞こうと思ったのですけれども、さっき田野瀬先生の質問で答えられましたので。  これが幾ら吹っかけられて、ずっと向こう側の金額とこっちの思いとが全然合わなくても、あれだけの大イベントを、ではお金が合いませんから放送しません、これは絶対ないと思うのですよね。いつかはそれなりの額まで上がっていってしまうのかなという気がするのです。  そのときに一番気をつけてもらいたいのが、今ジャパン・プール方式で民放といろいろとやっているのですけれども、やはりかなりの負担はNHKにかかってくるわけで、それをきっかけに受信料をぼんと上げる。先ほども受信料の値上げのことについては会長言われましたけれども、本当に努力されている、それはわかるのですが、やはりこういうのをきっかけに、オリンピックのためだと言われたら、見ている人も、ああ、それはしょうがないなと思ってしまう可能性もあるし、ここら辺のところは本当に経営努力と、あと粘り強い交渉と、かなりオリンピックの商業化も批判される中で、うまくやっていかなければ、ここでまたぐんとつり上がってしまうと、またその次、その次と、これは本当に際限なくいってしまうと思うのですね。  ここら辺のところで、相手のあることですからこれは大変な御苦労だと思うのですけれども、きっちりと、これも最後に、視聴者側の立場に立ってこの交渉等も貫いていただきたいな、そのように思います。  以上で質問を終わります。
  87. 高橋一郎

    高橋委員長 午後一時から委員会を再開する予定とし、この際、休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十二分開議
  88. 高橋一郎

    高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭一君。
  89. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 私どもは、今回提案がされているNHK平成年度及び三年度決算についてはこれを承認をするという立場でございます。二年度、三年度NHKが大変厳しい状況の中でいろいろと御苦労されたことについて、まず敬意を表しておきたいと思います。  そのことを前提にいたしまして、わずかな時間でございますから大綱三点について私は質問をさせていただきたい、こう思います。三十分ですから、往復で大体一つ十分程度ということでございます。  まずその第一点は、受信料問題について二点お尋ねをしたいと思います。  御案内のように、NHKは受信料によってその経営が維持されていると思います。この制度は今日極めて正しいし、今後もそうあるべきであると私は思っております。この制度によりまして、公共放送として政府からの距離を確保し、言論放送の自由が守られ、NHKの自主自律が担保されている、こう思っております。したがって、諸物価などの上昇によってNHKの経営が赤字になると、その都度料金改定、聴視料の値上げが行われてきたと思います。最近では九〇年、平成二年に改定が行われたわけです。  その際、経営計画の形で視聴者に約束をした五年間の据え置きというのがあったと思います。これが九四年度で終了する、こういうことになるわけですから、今後NHKの経営の中で、経営が厳しくなる、赤字になる、こういう状況になった場合には、NHKとしては当然のこととして値上げが要請をされてくるだろう、こう我々としては受けとめておりますが、さきの事業計画予算では九五年度については値上げはしない、こういうことが明らかになっております。  平成五年、九三年度決算を見ても、八十数億円黒字で、財政安定化資金としては九三年度末でおおむね六百億円ぐらいあるのではないかな。この数字を見ると、九六年度も値上げは回避できるのではないかな、こう思うのですが、この点について、そういうことになるのか、第一点としてお尋ねをしたいと思います。  それから第二点は、同じ問題ですけれども、私は、問題は平成九年、九七年度以降の料金問題についていろいろ問題点が出てくるのではないかな、こう思っておるわけですが、九七年度にはBS4が打ち上げられることになっております。放送界は本格的に衛星時代に入ってくると思います。  衛星放送、とりわけハイビジョン放送に力を入れるということになってくるのではないかな、こう思いますが、この際、先ほども質問がございましたように、今日までも多額の経費を使ってきているわけですが、今後も、この衛星時代においてBS4が打ち上げられてハイビジョン放送に力を入れていくという、そういう経営の形が変わっできますと、この料金の問題についてはやはり考え方が大きく変わってくるのではないかな、こういう気がするわけですが、受信料で賄うということについて、そういう展望でいいのかどうなのか。また、他の方法で、新しい九七年度時代については受信料制度を見直すなどということについて考えておられるのかどうか。  この点について、先般出されております「NHKの将来展望に関する提言」においても、視聴者に過大な負担を強いることのないよう、現行放送との一体作成、非放送分野との連携強化など、コスト低廉化のため工夫を最大限講じることが必要という指摘がされておるわけですが、これらの提言も受けまして、今後の衛星時代、ハイビジョン時代における受信料のあり方についてNHKとしてどういうお考えをお持ちになっておるのか、この二点についてお伺いをしたい、こう思います。
  90. 川口幹夫

    川口参考人 来年以降の経営計画につきましては、既に来年度は値上げをしないという前提で計画を進めております。恐らくそういう予算案に確実になります。  九五年、平成七年以降の問題ですけれども、これについては、現在繰越金として持っている額を考えますと、これまた値上げをしないでも十分やっていけるというふうに思っております。  ただ、平成七年以降にいろいろなことが実は予想されまして、NHK自体も七十年の大きな節目を越えるわけですけれども、世界の大勢、それから、日本における放送と通信の今後の問題等々ありまして、どのような形での財政状態になるのか、まだ不確定要素がいっぱいございます。したがいまして、今、中長期の経営計画というものを練っておりまして、その中で平成年度についてはどうするか、なるべく早く決めたい、年内に結論を出して、年明けには外部に発表できるような形にしたいと思っております。当然、NHKとしては受信者に負担をかけないで、しかもすぐれた番組を出して御期待にこたえるというのが建前、本音でありますから、それを守るために精いっぱい努力をしたいと思います。したがって、スリム化した経営、あるいはいたずらな冗費を戒めるというふうなことは当然であります。  それと、衛星の視聴者をふやすことによって収入を増加させるということも当然やります。いろいろな経営の計画を立てまして、できるだけ受信者の負担にならないような形をとるということをもう一遍お約束したいと思います。具体的には、来年初めにはきちんとした形でお約束が外に向かってできるのではないか、こう思っております。  それから、九七年以降、平成でいうと九年以降ですけれども、おっしゃるように、新しい衛星も打ち上がりまして時代は新しい展開を迎えることに相なります。このときに我々がどのような放送を出していくのか、そういった問題についてはただいま鋭意詰めているところでございまして、そういう計画についてもしかるべき彩できちんと外部に公表し、視聴者の御批判を仰ぎ、そして私ども、お願いすべきところはするというふうな態度でいきたいというふうに思っております。
  91. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 九七年度以降の問題については今後十分検討されていく、こういうお答えですが、関連をいたしまして、これは今後マルチメディア時代とNHKの経営のあり方、近未来像との関連が大きく出てくるのではないかな、こう思います。マルチメディア時代とNHKの近未来像という立場から、四点について、NHKとしての今日時点のお考えを少しお聞きをしたい、こう思います。  その第一は、今も申し上げたわけですけれども、平成九年、九七年度にBS4の先発機が当然打ち上げられるであろう、こう思っております。先ほど申し上げましたように、本格的な衛星時代を迎えることになると思うのですが、NHKは現在、地上放送と衛星放送の両方を行っているわけですね。BS4時代の地上放送と衛星放送のあり方について、基本的にどういうビジョン、考え方をお持ちなのか、この点をまず第一点としてお聞きをしたい、こう思います。  それから、関連をいたしまして第二点ですが、衛星放送もハイビジョン化することになると私は思うのですね。新しいBS4時代の放送サービスの内容、あるいは特に映像四波の役割についてどのようにお考えになっておるのか、この点について関連してお聞きをしたい、こういうふうに思います。  それから三つ目ですが、マルチメディア化が進んで光ファイバーなどが整備をされますと、もうアメリカなどでも出ておりますけれども、ビデオ・オン・ディマンドなど新しい形のサービスが可能となると思います。我が国においてもそういう方向で進んでいるのではないか、こう思います。つまり、この中では放送と通信融合型のサービスが新しく出てくるであろう、こういうふうに予測をされるわけで、今後この光ファイバーの整備などについては急速に進められていくであろう、こういうふうに思うとき、これらの有線系のインフラストラクチャーに対して、NHKとしてどのような新しい放送サービスを考えていくのかというのは極めて重要な問題ではないかな、こう思うのですが、この点についてどういうお考えを持っておられるのか、この点を三点目としてお聞きをしたい、こういうふうに思います。  それから四つ目でございますが、いわゆる多メディア・多チャンネル時代、マルチメディア時代を迎えるわけですが、今も申し上げましたような中で、特にこのCATVの普及が私はかなり拡大をしてくるのではないのかな、こう思っております。  先般アメリカにも参りましたけれども、アメリカでは既にテレビ受像機を持っている世帯の六一・五%の普及率だとお聞きをするわけですね。我が国の場合には、いわゆる難視聴地域の場合にはNHKの記入者の中でおおむね二四%というふうに聞いているのですが、これは間違っていれば訂正をいただきたいのですが、しかし都市型の、いわゆるマルチメディア時代におけるCATVの普及率というのは、まだわずか五・四%と極めて低いわけですが、今後我が国におけるCATVの伸びなどについて、普及のあり方について、NHKとしてはどういう分析をされているのか、この点をお聞きをしたいと思います。  聞くところによりますと、今NHKはCATVに対してはソフト面とか技術面で協力をやって、共存共栄で、これは私よくわからぬのですが、団体一括支払い割引制度で、CATV側がお客さんから料金を徴収して、そしてNHKに納入をしているというシステムだ、こういうふうに聞いているのですが、今後CATVの普及に関連して、受信料制度という観点からどのようなお考えを持っていこうとされているのか。つまり、マルチメディア時代、新しい多様なサービスが可能となって、新しいサービスが次々とふえる中で、今日のこの受信料制度を貫くことができるのか。いわゆるマルチメディア時代の受信料制度と視聴者の負担のあり方について、やはり今後ミクロの議論といいますか検討が必要ではないか、こう思うのですが、この点についてお伺いをしたい。  以上の四点について、まとめてお答えをいただきたい、こう思います。
  92. 川口幹夫

    川口参考人 私からは総括的なお話を申し上げまして、中の番組編成とかあるいは技術に関することは担当からお答えいたします。  まず、これからのNHK、特に平成九年からどうするかという問題についてでございますが、ハイビジョンを本放送に持っていこうというふうに考えておりますのは、こういう理由でございます。  これまでのNHKの発展の歴史を見ますと、必ず、新しいテクノロジーを開発をして、それに対して積極的な姿勢で当たる、そして受信者をふやしている、視聴者をふやしている、そして視聴者の御満足いただくようなものをそこでまた積み重ねているという歴史がございます。テクノロジーは決して私どもにとっては害になるものでは全くないことは当たり前ですけれども、大いに新しいテクノロジーを利用することによって、NHK自体の使命をより強くかつ広く果たしていくというふうに考えるべきだと思います。  ハイビジョンに踏み切るには大きな三つの壁がございまして、一つはお値段でございます。五十万以上のお金ではとても一般の家庭に普及するはずはございません。それからもう一つは、あの大きさです。日本の家屋の中では、とてもあれが普及するとは思われないというふうなこと、これを解決することがまず先決だというふうに思いまして、メーカーの皆さんともいろいろ話をしました。  今後、例えば平成九年段階ではどうなるか。確実に、形は、大きさは大きいですけれども、幅が狭くなります。プラズマを使った受像機というものが開発されることは確実になりました。そして、お値段の方も、恐らく四十万を切って三十万円台のものになるであろうというふうな確信が大体持てるようになりました。  最後にもう一つ、越えなければいけない大きな問題は、ディジタル化の問題です。これは既に江川局長さんが、ことしの三月に問題になりましたけれども、私は、江川さんは新しい警鐘を鳴らして、我々にそれにどう対応するかということを考えろというふうに言われたものだと思います。確かに、世界の趨勢はディジタル化へ向かってまっしぐらに進んでおります。それに対して、今NHKが旧来のスタイルに固執しているならば、それは取り残されてしまうということは当然であります。ただ、それでは我々が開発したハイビジョンというのは全く死物化するのか、死んだものになるのかということでありますけれども、それは、現在の段階ではハイビジョンにまさる映像というのはないというふうに思わざるを得ません。  そこで、九年段階で本放送をやって、そしてその後、ディジタルにいかにうまく接続をするかという問題を解決しなければいけない。それも解決できるというふうな結論を得ましたので、九年段階で本放送に踏み切ることを、そして踏み切ることによってより豊かな放送の内容をお伝えをして、そしてそれがNHKの次なる発展につながっていくというふうに志したいというふうに思っているわけでございます。ですから、それについてはいろいろ技術的なことをクリアにし、それから番組面のことを考え、そして受信料体制をどうするのかということまで、広く、狭く、細かく検討していこうというふうに思っておりまして、現在そっちの方で動いております。  以下、番組のこと、それから技術のこと、受信料のことについては担当の役員から御報告いたさせます。
  93. 中村和夫

    中村参考人 一番目と二番目についてお答えいたします。  先ほど御指摘のように、平成年度になりますと、BSの普及一千万台時代に入ります。平成九年、BS4が打ち上がって、その数年後には衛星八チャンネル時代が到来するだろう。一方、CS、CATV、多チャンネル化はどんどん進みましょう。それから、CD-ROMとパッケージメディアの展開も片っ方ではございましょう。そういう中で、我々、映像四波についてはその波の性格をもっとクリアにするようにという要望をいただいておりまして、そのソフトの中身を充実すべく努力しておるところでございます。ハード上のインパクトだけではなくて、ソフトのいいものを出さないと衛星放送の普及に結びつかないという時代に入ってきておるというふうに認識しております。  それで、BS4時代になりまして、一方でハイビジョンの普及チャンネルの中で、ニュース情報系の番組とかエンターテインメント、音楽番組、ドラマ、映画等々、また新しいソフトの展開が行われます。ハイビジョンは、御承知のように、いろいろな演出の手法が今までと違いまして、合成とかいろいろできることになっておりますので、そういう新しいソフト、新しい器の中で、どういうふうに展開するかということも、BS4の時代までにはいろいろな検討が加えられて、やがて衛星の波がハイビジョンの本放送に入っていくという時代になっていくと思います。そのときになって、保有映像波をどういう形の性格づけにもう一回ブラッシュアップするかということも片っ方に見据えながら、多チャンネル化の中でソフトの多様な展開というのも、これから考えていかなければならないというふうに思っております。
  94. 中井盛久

    ○中井参考人 それでは、先生の三と四の問題について。  一つは放送と通信の融合型のサービスがこれから出現し、有線系のインフラに対してNHKはどういうふうに新しいサービスをしていくのかという御指摘、御質問がございました。  我々といたしましては、そういう段階が、先ほど来の御議論なり御答弁の中に出ておりますけれども、割に早い段階でそういう時代に参るうということは予測いたしております。  それで、今現在はそれにどういうふうにマッチングするかということを、いろいろ近未来的にはきちっとこれを事業化したり、あるいはどの程度やっていくかということは今踏まえて研究いたしておりますが、具体的には関西学術都市におきまして新世代通信網パイロットモデル事業というのが、民間それから官そしてNHKももちろん入りまして、いろいろな形で光ファイバーを利用して、それがオン・ディマンドでどういうふうな形で出てくるかというようなことも研究いたしております。  この間も、私もそこを見学してまいりましたけれども、自分の好きな時間に好きなものが見られるということは、やはりサーバーといって一つの記録装置みたいなものがあって、そこにためておいた記録を引き出すのですが、一人の人が押したときに同時にもう一人の人が来た場合は、多少時間がかかって引き出すというような時間の誤差があったり、その辺の実際のアクセスがどういうふうに簡単になってくるかとか、まだそういう細かなところで研究途上でございます。  そういうようなところをなおかつ我々は研究して、結局放送というか先ほど来のお話にありますがコンテンツ、中身でございますので、その辺のところの研究もあわせて、しかもそのアクセスがどういうふうにいくかということも見合わせながら今研究してまいりたい、こう思っております。  ただ、そういう光ファイバーとか、有線系でいくものはどんどんそうやって進んでまいろうと思いますが、同時に、無線系の今やっている放送などもだんだん個人視聴的な要素も強まってまいりましょうし、小型化して、自分がどんどん移動している段階でいろいろな情報をとりたいというようなことで、そういうような無線系のインフラも依然として残り、重要な部分をある程度占めるのではないかというふうに我々は考えております。放送というのは非常に低負担で、そして同報性というか、同時にたくさんの人に知らせられます。それから何といっても災害に対して非常に強い。それから地域とか広報性というのがあります。それから先ほど来の移動性で、どこへ行ってもラジオとか、それがやがてはテレビでも、こういう小さなもので見られるというような状況になってまいりますし、その部分はその部分で非常に残ってまいろうというふうに我々は考えております。  それからもう一点、CATVのお話でございますが、CATVの方は、NHKといたしましては今までも共存共栄で、いい番組を出せばCATVの方でも受けていただいてそれを流していただける、そういうふうな共存共栄の形でやっておりますけれども、これからは、郵政省の御指導もあって、地域性がもっともっと広がってまいるというような状況があります、都市型など特にそうでございますので。そういうような形でいきます場合に、我々が聞いていただいている方々にどれだけいい内容のものが出せるかという問題に尽きると思いまして、その辺、協力関係をますます強めな赤ら、そういうソフトづくりということに励んでいきたい、こう思っております。  以上です。
  95. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 ちょっといろいろ聞きたいのですが、時間がもうありませんので、最後に、ハイビジョンのディジタル化の問題について、簡単にお聞きをしたいと思うのです。  ことしの二月に江川放送行政局長が次世代の高品位テレビとして、このハイビジョンについてアナログ方式からディジタル方式に転換する可能性がある等々の発言がございまして、翌日これを取り消す、こういう経過がございました。これは、我々はそれなりに了解をしてきたところです。ところが、最近本屋に行きますとマルチメディアという本が山のように出ているのですね。何冊か見ますと、この中で、やはりこれは単なる勇み足しゃなかったのではないかという意味のことが、アナログ方式とディジタル方式というものについては政府としても、あるいはNHKとしてももうちょっときちんとした方がいいのではないか、こういう意見などがたくさん出てきております。  それなりに理解をしているつもりですが、「NHKの将来構想に関する提言」がございまして、この中でも「わが国で唯一実用のレベルに達しているミューズ方式によってその普及を図るのが最も現実的である」、こういう提言ですが、NHKは新しい周波数帯での実現が期待されるディジタルハイビジョン放送への発展にも十分配慮すべきであるという指摘をしている、こう思います。そういう立場から、やはり今後このディジタル化の問題については、もう少し国民に対してもきちんとした立場、基本的な考え方を鮮明にした方が混乱がないのじゃないか、こう思います。  時間がございませんのでいろいろ言うことはやめますが、この点について、大臣の方から少し見解もお聞きをしたいし、NHKの方からもお聞きをしたいと思います。
  96. 大出俊

    大出国務大臣 田中先生の御質問にお答えをいたしますが、これは考え方が違うというふうにお受け取りいただきたくないのでありまして、江川局長のかつての発言も、私大臣ではございませんが、よく知っているつもりでございます。しかも、私は、かつて電電公社副総裁北原安定さんが、「電気通信革命」という本も書いておりますが、これを最近読み直してみましたが、一九八三年、四年、五年、六年、三鷹の例の電気通信学園のこっち、三鷹市中心に、あそこで壮大な実験をやった。だから、関西に行って、けいはんなのものを見ても私は新しい気がしない、実は。ビデオ・オン・ディマンドも当時もやっていたのですから、光ファイバーを初めてあのときに出してきたのですから。  そういう立場でずうっとフォローしてきて考えておりますけれども、このハイビジョン、BS4を九七年に打ち上げる、打ち上げれば十年ぐらいもつのだから、ハイビジョン空から降ってくるのだからといって、それでいいのだと言っていられるか、実は。強烈に心配するのですよ、私は。  ITUの国際会議が京都でございまして、お名前は挙げませんが、アメリカの方とも会う機会が何遍もありました。放送業者も電話をやれと言うのですよ、電話業者も放送をやれと言うのですよ。強烈な競争をやれと言うのですね。これはゴアの信念だと言うのですね。ここから始まるのですよ。そうすると、かつてべータというビデオのカセットがございましたね。あるいはあの方がVHSよりは優秀なのかもしらぬと言われている、技術的には。しかし、威張ってみたけれども、アメリカ、欧州が全部VHSになってしまったら、べータは撤退せざるを得ないのでしょう、ソニーは。そうでしょう。  そうなると、そうのんきなことを言っていられる時期ではないという気が私はするので、なったばかりですからこれ以上能書きは言いませんけれども、この国の将来のために、これはもう田中さんは電電公社以来ですから御存じだと思いますけれども、交換もA型、H型、クロスバー、電子交換、クロスバー、電子交換の中に接点ないのだから、これは。企業の側だって持たないところが出てしまうのだから。この問題はそこまでかかわる、日本の将来の、次の世代のリーディングインダストリーを含めての大きな問題なのですから、そういう意味で、真剣なやはりこれは、今の段階は意見を闘わしていい段階なのだから、調べるものはとことんまで調べて、議論すべきものはとことんまで議論をして、誤りない方向を出すべきだというのが持論です。  もう一点だけ、申しわけありませんが。  例のCATVでございますけれども、日本は去年五十五万世帯ふえまして、それで百六十三万世帯です。全部の四・七%です。全世帯の四・七%、私が調べまして正確な数字ここに持っております。そこで、アメリカですが、ついにこの間もFCCのハントさんともいろいろやりとりをいたしましたが、ここにこれも正確な数字がございますが、五千九百三十三万世帯加入しておりまして、世帯数全体の六三%がGATVに加入しています。カナダが七〇%加入している。ベルギーは九〇%です。日本は四・七%です。これは、NTTがしっかりしているからとか、いろいろな議論がございますよ、光ファィバーをここでやるのだからと。だから、その意味では、逆に日本にそれはプラスなのだという意見もあるけれども、これまたそういうのんきなことを言っていられるかという問題がございます。したがいまして、CATVとの、つまり放送と通信の融合問題もいろいろ今議論してもらっているわけですけれども、あわせて、これはおっしゃるとおり考えなければいけない問題だ。  最後に、もう一点だけ。  これは国民の選択だという御趣旨の御質問が出てくる感じでございましたけれども、そんなこと言ったって、真空管のラジオがある時期に、トランジスタラジオが出てきたら、真空管の箱型ラジオが消えてなくなった。CDが出てきたら、アナグロ式の蓄音機なんというのは世の中からなくなってしまう、これは。そうすると、国民の選択には違いないのだが、マルチメディア時代の焦点に、どういう機器を、どういう価格で、どういう使い勝手で開発をするかという、ここがなければこの問題は前に進まないですよ。そういう意味で、短い期間ですけれども、一生懸命やってみたい、こう思っております。  私の意見が入って恐縮ですけれども、以上答弁にかえます。
  97. 川口幹夫

    川口参考人 NHK郵政大臣の御意見と全然違っているわけではございません。むしろ、時代の認識についてはほとんど同じような認識をしております。ですから、私どもは、絶えずこれから起こることに対してできるだけ適切な対応をしたい、そしてその適切な対応の中で本当に視聴者の役に立つものを選んで、そしてきちんとした経営計画で進めていきたいというふうに思っております。
  98. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 終わります。
  99. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、横光克彦君。
  100. 横光克彦

    ○横光委員 横光克彦でございます。  私もNHK平成年度及び三年度決算には賛成の立場で質問させていただきます。  我が国においては、あら障る分野において技術革新の目覚ましいものがあるわけでございますが、とりわけ二十一世紀の高度情報社会、いわゆるマルチメディア社会の実現を目指しての電気通信分野における技術革新は目覚ましいものがあると思います。先日、私も高度情報化社会研究会の一員として関西文化学術研究都市を視察させていただきました。けいはんなプラザという一角ではございますが、ビデオ・オン・ディマンド、またテレビ電話、さらにATR音声翻訳通信、ハイビジョンスタジオ等、いろいろ見学したわけでございますが、まだ、けいはんなプラザという一角、中心だけではございますが、実際その現場を見まして非常に感動したわけで、これが行く行くは日本全国じゅうに広がっていくのかな、そういう時代がやがては来るのかな、そうしましたら、これは非常に生活様式も一変するでありましょうし、またそれぞれ頭の回転も大変でございます。そういった中で、今までいろいろな先生が御質問されましたが、やはりハイビジョンの時代というのがこれからは中枢になっていくのではなかろうか、そういう気がいたしております。  そこで、またハイビジョンのことに絞って私はちょっと質問をさせていただきたいのですが、いよいよこれまでの実験から、十一月二十五日からハイビジョンの実用化試験放送ということになるわけですが、まず郵政省にお聞きしたいのですが、従来の実験放送とそして今回の実用化試験放送、どこがどのように違うのか、端的にお答え願いたいと思います。
  101. 江川晃正

    ○江川政府委員 試験放送というのは、放送設備の試験などのために試験的に行われる放送でございまして、したがいまして、将来実用に切りかわるということを予定するものではございません。それともう一つ、そういうものでございますから、広告放送、いわば営業と申したらよろしいでしょうか、そういうものは制度上認められていないというものでございます。これに対しまして、実用化試験放送、先生御質問の、今月の末には入ろうとしている形のものでございますが、これは将来実用に移すことが予定されている放送でございます。一般放送事業者につきましては、その場合、広告放送、いわば営業的なことでございますが、それを行うことも可能ということになってございます。
  102. 横光克彦

    ○横光委員 実用化試験ということですから、結局本放送をもちろん目指しているわけですが、今の実用化試験放送の免許のあり方というのは、これは過渡的な免許ですね。こうした場合、行く行くは本放送の時代が来る。そうした場合、本免許のときが来るわけですね。郵政省としましては、この実用化試験放送をどの程度、一年ごとに更新していくのでしょうが、どの程度までやって、あるいはその期間、そしてまた、受信機の普及台数がどの程度まで普及した場合実用化から本放送に移るんだ、そういった目安といいますか、そういったものはお考えなんでしょうか。
  103. 江川晃正

    ○江川政府委員 先生のただいまのお話の中にもございましたが、実用化試験放送といいますのは、一年の期間で免許を与えることとしてございます。したがいまして、今度の十一月二十五日にいきますと、来年の十一月二十五日にはその一年が来るわけでございますが、その時点で、さらにこれを実用化試験放送で続けるか、あるいは本放送に変わっていくのかというのは、そういう一年の切れ目ごとにきちっともう一度見直していく、検討していくということになろうと考えております。  それでは、そういういわば転がしをしていくときに、何回いけば、あるいは市場がどうなれば本放送に変わるのかにつきましては、現在のところまだ具体的な数字なり物差しを持っているところではございません。世の中の市場動向、実勢なども見守りながら、それから具体的にこれから行われる実用化試験放送のできぐあいなども見ながら今後考えていくべきものだと考えております。
  104. 横光克彦

    ○横光委員 今度の実用化試験放送では、曜日ごとの多重免許ということですが、このハイビジョン実用化試験局の放送予定時間というのがもう決まっておりますね。要するに、一つのチャンネルでいろいろな局が放送するわけですが、こうした場合、ここに書かれておりますように、四時から六時、ここは大相撲などをやられるようにはなっておりますね。  そうしますと、いろいろ割り当てられている民放、こういったものはそれぞれ放映権、そしてまた編成権を持っているわけですね、その枠の中で。そうした場合、ハイビジョンが普及していく、あるいは国民にそのよさを知っていただくのに大きな場として考えられるのが、やはり高校野球ではなかろうかと思うわけです。こうした場合、曜日横断的な番組ですね、高校野球。しかも、もう朝からやっているわけですが、一時から六時までの間、高校野球というのが非常にハイビジョンを見てもらうのにはいいチャンスだと思う。そのときに、こういうふうにその時間帯にほかの民放が入っているわけですね。  こうした場合、その放映権をNHKが買うのか、あるいは譲ってもらうのか、あるいはまだらで放送するのか、このところの考えはどうなっているのでしょうか。ちょっとお聞きしたいのですが。
  105. 江川晃正

    ○江川政府委員 先生、お手元の「ハイビジョン実用化試験局の放送予定時間」というのをごらんになりながら御質問がと思います。  この予定時間によりますと、月曜から日曜日まで、一つのトランスポンダーを時間ごとに、日ごとにNHKが使ったり、NTVが使ったり、TBSが使ったりというふうになっているということは御案内のとおりでございます。  そうしますと、今先生がおっしゃいますように、例えばどこかの会社が高校野球を、あれは横断的に十何日間やるはずでございますから、やりたい、こうなったときにこれはどうするんですという御質問がすぐわくわけでございます。これは、こういう一つのトランスポンダーを何人もの事業者が共同して使うという使い方というものは、免許の制度の中で今回初めてつくったわけでございますが、あわせて、今先生御質問の部分につきましては、その一定、限られた期限の中で、横断的に何時から何時まではX社がやることができるようにするという免許の仕組みも、そういうこともつくったところでございます。  したがいまして、具体的には、高校野球を映そうという社が出てきたときには、この人たちはその間においてはどいて、そこに免許が行くという形で高校野球の放送もできるようにするという、いわば新しい免許制度を、改善したと申しましょうか、用意したところでございます。
  106. 横光克彦

    ○横光委員 せっかくのハイビジョン普及のいいチャンスだと思いますので、余りいい形でなかったら受信者はやはり地上波をどうしても見てしまいますので、十分な御配慮をお願いいたします。  次に、今度混合免許ということで、初めての試みで、民間放送も参入してCMも許可になる、そういうことでございますが、NHKというのはコマーシャルがないというのが皆さん一般の考えになっているわけですね。そうした場合、同じチャンネルの中で、民放がコマーシャルをやりながら、またNHKになって、NHKが終わるとまた民放が入ってコマーシャル、非常に受信者というものはこんがらかるんじゃないか。このあたりの整理といいますか、対処といいますか、そういったことは何か工夫されているんでしょうか。
  107. 江川晃正

    ○江川政府委員 御疑問のことに関する対処も、それなりに検討しているところでございます。  具体的に申し上げますと、先生おっしゃいますように、一時から三時はNHKを見ていたと思ったらば、黙って見ていたら急にばかっと例えばコマーシャルが出る、あれ、NHKコマーシャル始めたのかと誤解してしまうことが発生する危険がないわけでもありません。  そういうことも考えまして、この放送はだれがやっているのか、何社がやっているのかということをその放送番組の中で、例えば初めと終わりなのか、途中なのか、それはいろいろとあろうかと思いますが、この放送の放送者、責任者と申しましょうか、それは何らかの形で表現できるように、画面の右下か上が、あるいはどういう、ロゴで出すのかなんとかといういろいろな形で、視聴者にわかるようにしていきたい、そういう措置を講じるようにしているところでございます。
  108. 横光克彦

    ○横光委員 はい、わかりました。  次に、NHKさんにお聞きしたいのですが、先ほどからの質問の中で、現在のハイビジョンの受信機の普及が二・八万台である、そしてまたコンバーターつきが十七万台であるというお答えがございましたが、現在郵政省やNHKが公共施設などで普及のためのデモを行っているわけですが、その施設の主なところはどういうところでやっているか、そしてまた、その全体数はどれぐらいであるか、ちょっとお聞かせください。
  109. 森川脩一

    ○森川参考人 先生おっしゃいましたように、ハイビジョン放送は現在日本の各地で公開受信をされているわけですけれども、その場所はさまざまでございまして、駅でありますとか、空港でございますとか、それからデパートでございますとか、その他郵便局あるいは我々の放送局でも公開をしております。  その数でございますが、九月一日現在で六百十八カ所になっているというぐあいに承知をしております。
  110. 横光克彦

    ○横光委員 普及のためにいろいろと御努力されているわけですが、それにしましても、まだまだ二・八万台というふうに非常に少ないわけですね。ですから、先ほどもお話が出ましたが、一九九八年の長野オリンピック、ここがハイビジョンを国民の皆様方に知ってもらう大きな絶好の機会じゃないか、そういうふうにとらえて努力されていると思います。  それで、先ほどのお答えの中でも、機材とかいろいろなことで充実を図っていくというお答えがございましたが、やはりソフトですね、ソフトの普及というのがまず第一である。ハイビジョンならではの番組、いわゆるほかの今までの画面と違って美しい、これだけ美しいんだ、あるいはこれだけ横長で落ちつきがあるんだとか、あるいは臨場感があるんだとか、いい音が出るんだとか、いろいろなよさを知ってもらう大きなチャンスなわけですね。そういった意味では、ソフトの充実というのが、やはり開発というのがこれから普及の非常に大切な分野じゃなかろうかと。そのソフトの開発について、NHKはどのように考え、また実行しようとしているのか、お聞かせください。
  111. 中村和夫

    中村参考人 御指摘のように、長野のオリンピックをハイビジョンの一つの大きな普及のためのきっかけにしたいというふうに考えております。  この二十五日からの実用化試験放送に際しましては、NHKといたしましては、情報系の番組をぜひ入れてみたいと。テレビの場合、情報系の番組をやはり入れないとなかなかその機能を発揮しないということで、これまでテレビの歴史を振り返ってみますと、白黒のときも、カラーテレビのときも、衛星放送の初期も全部スポーツがまず対象になったというようなこともございまして、今の試験放送でもスポーツがその対象になって、ワールドサッカー等々やってございますが、そこから次第に情報系、ニュース、そういうものに入っていくということがございますので、今度の試験放送では「週刊ハイビジョンニュース」というのを金曜日の夜に、ぜひ設定したいと。オーディションをつくりましたけれども、やはりハイビジョンならではの合成とか、新しいプレゼンテーションが考えられておりまして、そこでまた新しい分野が切り開けるのではないかというふうに思っております。  それから、映画とか音楽会、そういうものにも非常に向いている面がございますので、そういうものも実用化試験放送の中で定時的にはめるように努力してみたいと。それから、教育、教養、そういう番組についてもぜひ入れてみたいというふうに思っております。「趣味の園芸」とか「三か月英会話」とか「芸能花舞台」とか、これは一体化の制作の方法で、そういうものも定時的に入れてみてはどうかということで、その編成を今国めているところでございます。     〔委員長退席、河村(た)委員長代理着席〕
  112. 横光克彦

    ○横光委員 ハイビジョンの今後の普及は番組ソフトにかかっていると考えているわけですが、これがハイビジョンだという、非常にそういったものが難しいんじゃなかろうかと私は考えているわけです。  いわゆる昔の画面が総天然色になるという驚き、それからまたカラーで見たいという欲求、そういったものがマッチしてモノクロからカラーに転換したときのあのショッキングな転換、あれほどのものは、このハイビジョンの場合は残念ながらそこまでのショッキングな差はないと思うわけですね。しかし、ゆっくりではありますが、そうした今のより、よりいいもの、いろいろな分野でよりすぐれているものを見れるようになる。そしてまた、一般の受信者はより質の高いものを求めつつある時代ですので、やはりこれは行く行くは評価されて、また普及していくであろうと私は思っております。  ですから、そこで、結局のところ、この普及に一番大きい問題は受信機の問題にやはりたどり着くわけですね。いかにいいものであろうと、余りにも高ければどうしても手が届かないわけで、この受信機の開発というものをメーカーとともにNHKが取り組んでいる体制を整えたということをお聞きしております。  壁がけ式テレビですね。これがどの程度の薄さになり、また本当に額縁のようになるのか、そしてまたその見通しですね、いつごろそういったものを発表して、そのときの価格がどの程度でいけるのか、そういったところをちょっとお聞かせ願いたいのですが。
  113. 森川脩一

    ○森川参考人 先生おっしゃいますように、まさにこれがハイビジョンだというような画面を楽しむためには画面が大変大きくないとそういう進力は出てこない。それで、同時に奥行きをできるだけ薄くしまして、日本のうちの中にもちゃんとおさまるようにしたいということを考えておりまして、去る十月にプラズマ型ディスプレーパネルの共同研究開発協議会というものを設立しました。  このプラズマ型のディスプレーパネルと申しますのは、NHKがかなり長い間かかって基礎的な研究を積み重ね、大体研究段階は脱したかなどいう時点に立っているものです。これを今後、平成十年の長野のオリンピックまでに実用機を開発していきたいと考えています。そのときのパネルの大きさは四十型を考えております。それからその厚みは五センチというふうに考えています。それから、次いで、平成十一年ごろを目指しまして五十型、四十のさらに大きいものですけれども、これの受像機の試作、これは試作の開発でございますが、そういうものに取り組んでいきたいと。  それで、いずれにしましても、新しい時代の新しいディスプレーパネルというものを目指してまいりたいというぐあいに考えているわけでございます。  それから、値段は一体どのくらいになるかという御質問ですけれども、今の時点で値段を正確に見通すことは非常に難しいわけですけれども、願望的な思いを込めて申し上げれば、将来量産になった段階で一インチ当たり一万円、ですから、四十インチですと四十万円程度、その辺を目標といたしまして開発を今進めているところでございます。     〔河村(た)委員長代理退席、委員長着席〕
  114. 横光克彦

    ○横光委員 やはり一番の問題はその大きさ、厚さ、そして極格でしょうし、さらなる開発努力をお願いいたします。  次に、このハイビジョンの製作費がこの予算のあれに載っていますが、九四年度が大体百十億ぐらいかけているわけですか。予算の二%の範囲で研究開発をやろうとしている。  しかし、このハイビジョンの番組制作というのは、先ほどからお話ありますように、随分といろいろな面で高くつくわけですね。カメラにしてももちろんそうですし、私はスタジオを見学しましたが、壁から全部普通のスタジオと違うのですね。それからまたドラマの場合は大道具、小道具、あるいはかつら、メークにまで現状のものではもう太刀打ちできない。さらに、スタッフも今よりはたくさん要る。そういった意味で非常に経費がかかる。  これはわかるかどうかわかりませんが、例えば一つのドラマの場合、一時間のドラマの場合、そういったハイビジョンでつくった場合と普通の場合と今どれぐらい価格の差があるのでしょうか。
  115. 齊藤暁

    ○齊藤参考人 ハイビジョンと通常のテレビの場合との経費の差についてでございますけれども、具体的に個々の番組でかなりいろいろなケースで違ってまいりますので、例えばハイビジョンが何割増しとかという言い方は一概に難しいと思いますけれども、一般論として、今先生がおっしゃったように、例えば制作の機材の価格が高い、あるいは機材の機動性は改善されてまいりましたけれども、現行放送の機材と比較しますとまだまだ小型化あるいは軽量化が進んでない、そういう意味では運搬とか人手がかかる、それから、番組収録のための機材の整備、設営などに事前の準備がかかります、照明等にやはりきめの細かい時間がかかるといったような要因が絡んで、全部番組制作費にはね返ってまいります。  一般的に、機材そのものといたしましては現行のテレビ機器の三倍から四倍の値段だということになっておりまして、そういったことを合計、総体的に考えますと、通常の番組よりはかなり割高であるということが言えると思います。
  116. 横光克彦

    ○横光委員 ハイビジョンの開発普及は近い将来のテレビの中心となっていくものと思いますが、確かにまだまだいろいろなことで経費がかかり過ぎる。  特にNHKの場合は、経費というのは今の受信料から支出するしか財源はないわけですね。そうした場合、先ほども質問がございましたが、実際今ハイビジョンを見ている人といいますか、二万八千台の人しか見られない。普通の人はなかなか見れないわけですね。行く行くは見られるような時が来るということを考えましても、今は見られない。そうしたことを考えますと、非常にこの問題は慎重に、また国民の人たちの理解を得ながら進むことが大事じゃないかと考えております。金がかかるので受信者に負担をかけるというようなことのないように、また受信料値上げということにつながらないようにお考え願いたいと思っております。  次に、これも先ほどから何回も質問されているわけですが、今も一部では、NHKの開発したミューズ方式、これは時代おくれじゃないかという意見もあるわけです。  これは、私は技術の専門家ではないのでよくわかりませんが、私なりに受けとめておりますのは、結局ハイビジョン放送は非常に電波資源を多く使うわけですね。そのために地上波での実現が非常に難しい。また、今後携帯電話の普及や、あるいはまたテレビ携帯電話の登場等によって、地上波での電波資源はますます不足することが予想される。さらに、技術的に非常に難しい。こういった理由から、私なりの考えですよ、こういった理由から、NHKがハイビジョンの開発に取り組んだのが、いわゆる伝送部分でのアナログ方式、BSを使っての。そういった形として受け取ってよろしいんでしょうか、まず。
  117. 森川脩一

    ○森川参考人 NHKはハイビジョンの開発に二十年以上長い時間を費やしてまいりましたけれども、それが、大体基礎的にその研究の成果があらわれて、それでこれからそれを、受信者に対してその成果を還元していこう、いわばハイビジョンのテスト放送みたいなものに踏み込んでいこうというふうに考えていた当時におきましては、今の衛星の一チャンネルを通して送れる方式というのは、ミューズというのは最も実用的であったということからそういうふうにしてまいったわけでございます。
  118. 横光克彦

    ○横光委員 ところが、アメリカでFCCがATV構想というのを発表しましたね。これは、同じハイビジョンでも地上波で、しかもディジタルで、その目標を二〇〇七年に置いているということですが、非常に技術的に難しいことでありながら、こういう構想を打ち上げる。昔はアポロ、二十年後には月に立つんだという、まだ開発がスタートしたばかりでもそういった目標を立ててやるのがアメリカのやり方だと思うんですが、そして開発も私はかなり進んでいるんじゃないか。  アメリカにおける地上波のディジタル化のハイビジョン研究、これは、研究状況というのはどういう状況でしょうか。
  119. 森川脩一

    ○森川参考人 アメリカにおきましては、アメリカの連邦通信委員会、日本でいうと郵政省に相当するところだと思いますが、ここがアメリカにおける次世代放送方式、いわばアメリカ版ハイビジョンでございますが、この次世代放送方式に関する諮問委員会を設置をいたしまして、これを中心として規格の策定作業が進められております。  この連邦通信委員会の計画によりますと、一九九五年ないし九六年ごろ技術の規格を決める、その後約十五年を目途といたしまして現行のテレビからこの次世代の新しい方式への全面移行を行う、こういう計画というぐあいに聞いております。  それで、今の規格の検討にさらに先立ちまして、いろんな新しい方式の性能の評価試験が現在行われております。それで、それの後、規格が決まり、実用機を開発し、放送局を設置しというような一連の手続を経て、次の新しいアメリカの放送が始まるわけですけれども、その始まる時期と申しますのは、この規格が決まってから大体六年後であろうというぐあいに考えられています。  したがって、今世紀末ないしは来世紀の初めにアメリカにおいて、今先生御指摘のアメリカスタイルの放送といいますか新しい放送といいますか、そういうものが始まるというぐあいに考えられます。
  120. 横光克彦

    ○横光委員 これからもうちょっと本当はお聞きしたかったのですが、時間がございません。残念ですが、これで終わります。どうもありがとうございました。
  121. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、河村たかし君。
  122. 河村たかし

    ○河村(た)委員 決算ということでございますので、やはりNHKの特色といいますと、受信料ということで、それが何となくやはり公共放送ということで絡んでおりますので、公共放送とはどういうものかというのは、どうもそれについての問いは、かなり基本的ですけれども、一元的ではないかもわかりませんが、NHKは一応公共放送だと言われておりますが、それを、番組が放送の生命ということになりますと、NHKさんとしては、番組の中で公共放送というところをどうやって生かそうとしているのか。  また、それは、どうしても受信料に頼った、いわゆる公共放送と言われるNHKじゃなきゃできないんだろうか、そういうことは。  その辺のところをひとつ、川口会長とそれからまた政府の方にもお伺いしたいというように思います。
  123. 川口幹夫

    川口参考人 NHKが存在する一番の価値は、やはり信頼できる放送が行われているということだと思います。つまり情報の提供、ニュースの分析、解説、そのほか現在起こっている事柄に対して的確にNHKが真実を伝えていく、あるいはその中身の解明をしているということだろうと思うんですね。という意味で、信頼できる放送を目指すというのが、これはNHKの第一の使命ではなかろうかと思っております。  それじゃ民放はいいのかという議論になりますけれども、民放は、形の上で商業放送でありますから、やはり利益の上がる仕事というものを第一に持ってこざるを得ないという問題があります。したがって、信頼できるということよりも先に利潤を追求する方向にやはり行ってしまう、これはもうやむを得ないところだと私は思うんですね。  ですから、NHKが、そういう意味では利潤を全く考えないで、純粋に視聴者のために信頼できる放送を出し続けるということこそ第一の目的でなければいけないと思っています。  それともう一つは、やはりテレビにおける教育性ということですね。私はよくごろ合わせみたいにして、ためになる放送と言いますけれども、ためになる放送というものの存在もまたなければ、これは放送として大きな欠落を生じていると言わざるを得ないんじゃないか、こう思いまして、教育放送の充実というのはこれまたNHKの大きな使命である。したがって、今後の大きな課題の一つに、教育テレビの改革ないしはハイビジョン放送における教育放送のあり方ということを追求してまいろうというふうに思っております。  ただ、頼りになる、ためになるというだけではやはり放送としてはどこか寂しいわけでありまして、どこかで楽しませるものがなければいけない。それは例えばスポーツだとかドラマだとか娯楽番組等のたぐいを指しますけれども、これも、充実した内容のものを送ることによって十分視聴者にテレビあるいはラジオが持っているよさを感得をしてもらうというふうなことではなかろうかと思うのでございます。  そういう意味で、NHKとしてはより一層今申し上げた事柄についてレベルを上げ、範囲を広げ、そしてより深い内容のものをお送りすることが第一の使命である、こういうふうに思っております。
  124. 河村たかし

    ○河村(た)委員 また大臣にもそこのところをお伺いしたいところなんですけれども、その信頼できるということなんですが、そういう感覚もありますけれども、これは個人のイデオロギーの問題になるかわかりませんが、新しい時代におきましては、いわゆる多チャンネル・多メディアとなるかわかりませんが、いろいろなものがぼんぼん出てきまして、その中から、そういう総体的なものから何か信頼できるものをみんなで生み出していく、発見していく、そういうところに信頼性はどちらかというと僕は持つべきではないかと。  NHKというのは、私も結構見ますが、1チャンネルをひねりますと、ひねるんじゃないんですか、リモコンで当てますと、確かに非常に安定的に信頼できるような、何か真実を語るように見えますけれども、やはりそうではなくて、本来は、皆さんがお金を出しておる非常に民主主義的な理想的な制度をつくったのですから、そういうことでしたら、もっといろいろなものがぼこぼこ出て、たまには誤報もあって、そういう多様性の中に真実を発見していく、そういう作業の方がいわゆる二十一世紀にNHKが目指すものとしてはふさわしいのではないかということで、真実を報道する、だからNHKは大きくなってこういう状況でいいというのはちょっと僕は、ぴんとこないわけではありませんけれども、僕なりに疑問点を感じるのですが、どうでしょうか。
  125. 大出俊

    大出国務大臣 お話ございまして、NHKなるものと長く私もかかわりがあるのでありますけれども、公共放送としての基礎といいますか、これは後の御質問があると思って答えなかったのですけれども、やはり国民個々に料金を徴収をするというシステムですね。  これは実は新宿の、きょう菅野理事、営業担当の理事がお見えになっていますけれども、営業所なんかに行ってみますと、大変な努力をして、新宿なんというのは高層ビル、高層住宅がたくさんありまして、そこに独身の人たちがいっぱい入っているのですね。そうすると普通の日に行ってもいないのですね。日曜日に職場の女性まで入れて委託集金の形の方々がみんな出かけて、ズックの靴を履いて上りおりをしながら、まずベルを押しても入れてくれない。NHKですと言って三回も四回もしゃべってやっと入れてもらって、何カ月分ございますから払ってくれという話から始めて、中には、君そんなこと言ったってこれ見ろと言って書いた紙を出したから、見たら質屋に入っているテレビの質税というのが出てくるというのですね。見てないのだから払わないと言うと、そんなこと言ったって契約があるでしょうなんていうようなことで公共放送の理解を求めて払ってもらう。  一生懸命やった結果がきょうの数字にあらわれているということで、私はこのシステムが公共放送の基礎なんだろうというふうに思っておるわけでございまして、放送それ自体はディジタル放送の方への大きな、さっきもちょっと述べましたが動き、あるいは近年の視聴者のニーズの多様化、それにこたえる番組の編成、諸外国の対日理解の促進という意味での在外在留邦人に対する放送などなど、これがやはりやれるのはNHKなんだろうというふうに思っておりまして、そういう基礎の違い、その上に立って、民放との切磋琢磨という言葉がいいか悪いかわかりませんけれども、そういう形で進めていくのがNHKなんだろう、公共放送なんだろう、こう思っているのですけれどもね。
  126. 河村たかし

    ○河村(た)委員 繰り返しになるかわかりませんけれども、私としては、先ほどちょっと言われましたけれども、利潤を追求するということになるとどうしても信頼できない要素も出るのじゃないか、私は意外とそうは思わなくて、それはそれで、今も言いました間違いが起こるかわからぬけれども、こういういろいろなものがぶつかり合ってその中から出てくるのであって、だから、そういう面でも今の時代においてはいわゆる公共放送と民放と分ける分水嶺はいよいよ低くなってきておるのではないかというのが一つの問題点ですよね。  それからもう一つ進みますが、この間テレ朝問題で、政治的発言のいわゆる公平、向こうで言うフェアネスドクトリンですか、あんな話が出まして、その文脈の中でNHK釣公平という話が、これはNHKから出たのではない、椿さんが言われたかどうかちょっと忘れましたけれども、そういう話が出たのですが、そういう面で民放となぜNHKが要るかという問題なんですけれども、そのNHK的公平さというのはNHKさんの方は認められるのか。また、それは、もしそうだとすれば民放で言う公平さとどういうふうに違うのだろうか、そこをひとつお伺いしたいなと思います。
  127. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  あのときに巷間言われましたNHK的公平さというのは、いろいろな形で討論でも中継等でも物理的な公平さというのが一つの形としてある、それからトータルとしていろいろな形でバランスをとりながら番組を構成していくやり方もある。  NHKの場合にはいろいろな形でトータルとして公平さを維持していくような番組編成なり番組制作を行っておりますが、「国会討論会」、今「日曜討論」と申しておりますが、あの場合にやはり物理的に各党をきちんと出して同じ場で討論を繰り広げるというようなやり方、個々のインタビューで論点を深めていくやり方等々いろいろな組み合わせをやっておりますから、だからどの部分を指してNHK的公平というのか私は定かではありませんが、とにかく我々現場では、放送法三条の二の第一項に書かれてあります国内放送番組の編集に当たっての四つの準則、これを常に念頭に置いて番組というものをつくっております。  一つは公安及び善良な風俗を害しないこと、政治的に公平であること、報道は事実を曲げないですること、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。  これに準拠いたしましてNHK独自の国内番組基準というものをつくっておりまして、これはNHKの内部で、政治上の諸問題は公正に取り扱う、意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにして公平に取り扱う、言諭の自由を維持し真実を報道する、ニュースは事実を客観的に取り扱い、ゆがめたり隠したり、また扇動的な表現はしない、ニュースの中に特定の意見を挟むときは、事実と意見とが明らかに区別されるよう表現する、ニュース解説または論評はニュースと明確に区別されるように取り扱うという国内番組基準というのを常に念頭に置いて番組をつくっていく、絶えずこういう国内番組基準というのをみずからに問いかけながらつくっているということになります。  一過性で、そのときだけおもしろければいいという形ではなかなか、先ほど会長が言いましたけれども、信頼性を損なうということでございます。そういう観点から、不偏不党、公平中立、言葉で言うとなかなかきれいごとになりがちなんですが、国内番組基準というものをみずから念頭に置きながら現場は番組をつくっておるということでございます。     〔委員長退席、遠藤(乙)委員長代理着席〕
  128. 江川晃正

    ○江川政府委員 この言葉が、テレビ朝日、椿発言問題で出たことでございますので、ちょっと郵政省からも一言御説明させていただこうかと思います。  実は、NHK的公正さという言葉はNHKが言ったものではございませんで、新聞の記事の中に出ておりました。それから、本人、椿さんの発言を調べてみますと、NHK的公正さというまとまった言葉は使っておりませんが、NHK的な公正さをたっとぶとかなんとか、そういうふうなちょっと長い言葉を使っております。したがいまして、この言葉自身の意味はどういうのかということは、本当は椿さんに聞かなければわからない話だというのがまず第一点でございます。  しかし、使っている言葉の前後から判断しますと、我々は椿発言の整理をするに当たりましては、ああ、この人はこういう使い方をしているんだなというふうに理解しました。その理解を申し上げますと、椿さんの発言の文脈の中で出てくるのは、例えば、八人の人がいればその一人ずつ、一人一人の重さにかかわりなく八分の一の機会を平等に与える、これをいわばNHK的公正さという言葉で表現しているように我々は理解しました。そのことは、別の言葉で言いますと、物事の算術的正義と申しましょうか、配分的正義ではなく算術的正義がNHK的だというふうに言っていたように思います。  ところで、本当にNHKがそういうふうに算術的正義、八分の一の、重さを無視した八分の一の均等割合的なことでやっているのかということにつきましては、私調査をしてございませんが、必ずしもNHKは、我々の椿発言を調査している傍らでちょっといろいろ見た範囲では、NHKが必ずしも機械的配分をやっているとも言えない部分があるのではないかなというふうに思った次第でございます。  そういう意味で、もともとの言葉の意味は、我々が推測するに、しかできないわけでございますが、大体そういうふうに椿さんは使っていたんじゃないかな、そういうふうに理解しているところでございます。
  129. 河村たかし

    ○河村(た)委員 確かに、NHK番組を撮りますと秒数なんかを非常に気にされまして、そんな取り扱いをされておりますけれども、こういう問題についても、例えば、それはチャンネルが非常にふえますと、アメリカのC-SPANがどの程度フェアにやっておるかどうか、ちょっと秒数までやっておるかどうか知りませんけれども、やはりNHKという巨艦の中で解決をしなくても、それはそういう部門でやるのが出てくるのであって、政治的発言の一つのフェアさをとっても、民放とNHKは際立ってこれは違うということで、それもそうはNHKの独自性を特別に言う理由ではないなというふうに、私は一応はそう思っておるわけでございます。  そんなことで、一応私の言いたいのは、受信料を取るというのは、本当に、いわゆる税金とは違いますので、これはボランタリー的な、ボランティア的なお金という、一応建前という、そういう制度でございますので、非常に理想的なスタイルで、それも多分昭和二十五年でございますので、あのころは占領軍の、いわゆる向こうでよくありますノンプロフィットセクターといいますか、みんなでお金を出し合って社会活動、いろいろなところで社会的な、公共的な活動をして分担していこうじゃないか、そういう気持ちが非常にあったのではないかと思いますね。  だから、こうやって国会審議をやるのは、それは一つの実質的な民主主義のあらわれですけれども、やはり国民の方からしますと、せっかくお金を出したところが、後はどうも、決算も三年も四年もたっておるということもございますし、どうもその後のところに積極的にかかわっていくというスタイルは意外とないわけでして、だから、受信料スタイルということを貫いていくなら、余り大きいものをがんといくよりも、それは受信料なら受信料の姿で忠実にいって、いろいろな分野に、やはり多チャンネル化ならそういう時代にそれはそぐう、そういう格好でNHKも生きていけばいいのではないか、それが私の考え方でございますが、この辺は会長とうでしょうか。
  130. 川口幹夫

    川口参考人 NHK的公平さとか、そういうものについては、今るる議論がありましたけれども、私も、そういう形で公平さを守ろうとしたって無理だ、そんなばかばかしいことじゃなくて、もっと全体的に見て、NHKは公平だ、絶えずそういう形をつくっている、あるいはそういうふうなことを目指しているというふうに見られる方が信頼感があると思います。  今先生のおっしゃった中で私も全く同感なのは、もっとNHK、多様性を持て、そしていろいろな形があっていいのではないか。それで一つのことだけでもって押し通そうとするのは無理でもあるし、また多様性を追求することによって番組自体がもっと生き生きしていくんじゃないかというふうに思います。ですから、多様であり、かつ多彩である。多彩というのは、色合いがいろいろあって、一色ではないということですね。そういう意味での番組のあり方を望みたいと思いますし、さらに、ニュースならニュースでも、その伝え方、解説の仕方等々にいろいろな工夫を凝らして、決して単一でない、単色でない行き方を目指すべきだというふうに思います。ありがとうございました。
  131. 河村たかし

    ○河村(た)委員 今のことなんですけれども、マルチメディアが非常に普及しまして、仮に双方向で全部みんなやれるようになると、一番極端な格好を行きますと、各個人が放送局になる時代というふうに一応迎えるわけですね。そういうときは、公益的なといいますか、そういう真実的なものはNHKは統一的に管理しなくても、みんなでそこでお金を出し合えば、それは幾らか免税にするようなシステムをつくって、みんなで地域に公共的な放送ができるようになる。そういう闘争の中から、何か全体的な真理に近いものが出てくる。  そういうのは今のところまだそんなスタイルにはなっておりませんけれども、そういうことをしますと、お金を出す、寄附金を出す、それはやはり免税にしていったり、そういうシステムが要りますから、これはまだ社会構造全体のことにかかわりますが、ぜひ今後の時代は、せっかく受信料システムという、いわゆる民主主義の一番理想形をとって、それも義務じゃないというすばらしい、いわゆる個人献金スタイルですね、一つ言えば。そういうことをとっていますので、もっと多様に分かれながら、そこで地域で公共的なものを育てていく、そんなところにぜひ目も向けていただきたいなというふうに思っております。  それから、受信料によって今支えられているということでございますので、今のようなこういう国会審議することもそれは大事でございますけれども、直接視聴者の皆さんからいろんな話がやはり来ておると思うのですね。苦情が多いという話は聞いておりますけれども、苦情ばかりじゃなくてNHK頑張れという話も来ておると思うので、それはどういうような話があって、具体的に二、三、こんな話があって、それをNHK番組づくりないし組織づくりの中でどういうふうに生かしてきたのかということを、ひとつお話をいただければと思います。     〔遠藤(乙)委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 中井盛久

    ○中井参考人 お答え申し上げます。  NHKの方では、今、大体年間にいろいろな反応、局に来ていただく方、あるいは電話をかけていただく方、ファクスをいただく方、そういうものを全部年間で合わせますと、実に五百二十五万件という、昨年の数字でございますけれども、問い合わせからいろいろな接触が五百二十五万件という形でございます。一日に直せば一万幾らとか、土日がなくなると二万件くらいになるんでしょうか、そういうような形で、いろんな国民の方の反応がございます。  一番具体的には、例えば国会中継をしているときに、国会中継の途中で大相撲が始まった。大相撲の放送が四時から入るというのが実際は五時ぐらいまで引っ張っていくというような事態が往々にしてあるのですが、そういうときになりますと電話がパンクするぐらいにたくさん入ってくるというような実情でございます。  それは一つの反応ということでございますけれども、そのほかでは、NHK自身はそういう形での、何というのでしょうか、声だけじゃなくて、NHK自身が積極的に地方の有識者からも意見を求めたいということもございまして、各地に視聴者会議というものをつくっております。年間大体三回ぐらいの会合を全国の五十三カ所の放送所で開会しております。全体でいえば延べ七百五十七人ぐらいから意見を聞いている。そのほかにも視聴者懇談会というのも各地で開いているというような形で、積極的にそういう意見も吸収しております。五百二十五万件という数字はそれも含めていることでございます。  そういうような形でたくさんの方々のお声をいただいておるわけです。それをできるだけ早目に整理をして、現実に番組等で早く生かせるものはクイックレスポンスということで直ちにそれを実現していくというシステムは組んでおります。  その具体的な話としましては、例えば天気予報の一つのマークで、夜間の晴れのマークを太陽だったら夜の晴れというのはおかしいじゃないかというような声があったりしまして、それをお星さんのマークにかえていち早く実現させたとか、それから台風襲来時の交通機関の情報量をもっとふやせというような声もその地域地域によりまして非常に参るわけでございますが、どちらかといいますと、ともすると東京中心の情報というのがNHKのような場合出やすいわけですが、そういう声は電話でいただくと同時に、地域の自発的なローカルニュースをふやしていくというようなことも努力いたしております。  それから、朝の連続テレビ小説が午前の八時十五分にあるわけですけれども、これについても、自分たちがだんだん出勤に要する時間が長くなってまいりまして、住宅地がだんだん遠くなってくるとどうしてもこれが見れないということがいろいろ御注文がございますので、最近では衛星放送の朝の七時半から普通の総合テレビとは違って先行的に、急いでいる方には七時半に衛星放送を見ればその日の朝八時十五分にある番組を見れる、そういうようなことも実現したというようなこと等々、余りぴたっとした話ではないかもしれませんけれども、そういうようなことが現実にお声をいただき実現したという例でございます。
  133. 河村たかし

    ○河村(た)委員 今後については、今みたいな視聴者会議それから直接に五百二十五万件ですか、そういうのを生かしていくということであって、特別に直接国民というか視聴者の声を何か生かしていくような、そういうものは特別な制度としては考えておられませんですか。
  134. 中井盛久

    ○中井参考人 お答えします。  時々そういった電話がどういうような状態でNHKの中に入ってくるかというようなことを番組にしたこともございます。それからもう一つは、NHKが今取り組んでいる仕事ぶりというのはどういうふうにやっているかというのは、広報番組と申しますけれども、そういうような中で一こまでそういう状況を時々お伝えしたりはいたしております。  ただ、余りにも多岐にわたる反応でございますので、それをうまく整理してやるというのはなかなかやっておりませんで、その五百二十五万件の数字というのを全部吸い上げて、そして整理をして対応はどういうことであったという状況は常に経営委員会なり理事会なりに報告を受け、処理するようには努力いたしております。
  135. 河村たかし

    ○河村(た)委員 何遍も申しわけないのですけれども、そのNHKの大きい受信料システムですね。先ほど会長も言われましたけれども、教育的な取り上げ方というのは非常に強調されましたが、もう一つNHKとしてやってほしいのは、せっかく受信料を取って、いわゆる国営放送じゃなくてみんなの放送なんですから、NHK自体が例えば最高意思決定機関の経営委員会ですか、そういうものでも議事録を公開しろとかいろいろな議論は、過去のをちょっと見ましたらあるようですけれども、そういうところでも、特別秘密のものは別ですが、NHK自体が民主主義を教育するというのですか、そういうことを自分自身でやっていく。  そういうことをやりますと、いろいろな人が出てきて結局会議がごちゃごちゃになって、また経営委員会を例えばテレビでやりますと自由に意見が言えぬだとか、そういう反論があると思いますけれども、そうじゃなくて、あえてそういうところへ切り込んで、しかしそういう理想的な、理想というか実質的な民主主義を、自分たちも苦しいけれどもやっていくんだ、そういう姿勢を私としてはとっていただきたいので、経営委員会なんかに、特別に戦略的なところは当然これは決めていただいて秘密会でもいいのですけれども、原則的にはカメラを入れていただいて、みんなのチャンネルNHKをこんなふうにしてみんなは動かしているんだということをやっていただいたらどうかなと思いますが、いかがですか。
  136. 川口幹夫

    川口参考人 NHKは、本当に受信者の支える受信料によって経営され、受信者のために番組を出している、そういうところでございますから、当然のことながらこの経営体質というものは常にオープンでなければいけない。それから、ディスクロージャーといいますけれども、中のものを絶えず外にお示しするという形をとるべきだと思っています。ですから、今おっしゃった経営委員会の論議についても、私どもは絶えず記録をとっておりますから、御要望があればこういうことが話し合われましたということをお話しすることにはやぶさかでないと思っています。  ただ、現在のところ、経営委員会自体の例えは細かい速記録をとってそれを公開するというのは、経営委員会自体が相当機微にわたることを論議したりしますので、一々の経営委員さんの言説に足かせをはめるような格好になっても困るというふうなこともあって、そこまではしておりません。しかし、御要望があればそういう形でもってどのような論議が行われてどういう結果になったのかということはお知らせしたいと思っております。
  137. 河村たかし

    ○河村(た)委員 中身を文書で見せるというお話はあるのですけれども、やはりNHKの一番得意な画像を使わないこともないのでして、特別なものは別ですけれども、そういうところへ入れて、本当にそういうところでどんどんやっていくんだというのを一番初めに、受信料を取っているNHKが先んじて挑戦していってほしいなという感じがしますので、全部が全部やれとは当然申しませんから、例えば番組づくりをどうやってやるんだろうかというようなところあたりは、もしカメラを入れられると、それなりに非常に興味を持ってみんな見られると思いますので、ぜひそんな方向も目指してほしいのですが、ちょっと一言お願いできますか。
  138. 川口幹夫

    川口参考人 私は経営委員会に任命をされておりますので、私からやりますということは今すぐ申し上げられません。ですから、経営委員会の皆さんと御相談して、もしそういうチャンスがあれば、例えばテレビ経営委員会のようなものをひとつ実施をしてみるというふうなこともちょっとお諮りしてみたいと思います。決してかたくなにそういうものをやらないということは思っておりません。
  139. 河村たかし

    ○河村(た)委員 本当に教育を標榜されるのでしたら、みずからそういう苦しい民主主義の社会に突入していくということをぜひ期待をしたいと思います。  それから、よく話が出ますが、いわゆる番審の問題が形骸化とよく言われますけれども、NHKの場合はやはり今言いましたように民放よりさらにもうちょっと機能的にやる必要はあろうかと思うのですが、その辺のところ、民放とさらに差をつけて番審が生きていくような方法を考えておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  140. 川口幹夫

    川口参考人 番組審議会は非常に活発化してきているというふうに申し上げていいと思います。一時形骸化だの公式的論議しか出てないとかいうふうなことを言われましたけれども、現在、私が就任してからでも三年間ですが、本当に毎週毎週、中央番組審議会では非常にいい議論が展開されております。非常にはっきりと皆さん物をおっしゃいますので、しかも、今委員長が非常にいい議長ぶりをお示しになりますので、各委員がほとんど必ず一審議会で一回は発言をするというふうな状況になっておりまして、大変活発でございます。だから、そういういい形での審議会というものをこれから先もぜひ続けていっていただきたいというぐあいに私どもは思っております。
  141. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そういういい状況でしたらぜひ、先ほどの経営委員会の方は会長の御権限でないかもわかりませんが、番審にテレビカメラを入れてみんなに見せるというのは会長の権限でできると思いますので、そういう状況でしたらぜひいたしていただくと、かなり見る人はここは、見ない人は見ませんけれども、見る人は非常に興味を持って見るのではないかと思いますので、ぜひその辺のところをひとつ、どうでしょうか。
  142. 川口幹夫

    川口参考人 そのことを前提に、まだ委員さんには話しておりませんので、今度の委員会で、こういう議論があってこういう話が出ました、どうでしょうかという話し合いはさせていただきます。
  143. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それでは、ちょっと変わりまして、最近マスコミによる人権侵害といいますか、結構取り上げられておりまして、いわゆるワイドショーというのですか、出版の方では結構それは出るのですけれども、放送が意外と余り取り上げられない。しかし実際は、昼のワイドショーなんかいろいろなことがあるということも聞いておりますが、これは訂正放送の規定ですかね、放送法四条ですか、放送法四条の規定もあると聞いておりますけれども、何か外国なんかでは反論放送ですか、そんなのを認めたり、そんな制度もあるようですが、それとか、アメリカなんかで非常にそういうことは意外とうるさくて、損害賠償を取られたとかいう話も聞いておりますけれども、この辺の、チャンネルがふえできますとかなりいろいろな突っ込んだ放送もされると思いますが、その辺のところをどういうふうに制度的に持っていかれるのか。この辺は政府にも、NHKさん両方にお聞きしたいと思います。
  144. 江川晃正

    ○江川政府委員 先生御案内のように、放送法の第四条には訂正放送について書いてございまして、その四条を見ますと、「真実でない事項の放送をしたという理由によって、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあった日から二週間以内に請求があったときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。」ちょっと長くなりましたけれども、きちっとそのように書いてございます。  さらに、その第五条では、「放送事業者は、政令の定めるところにより、当該放送番組の放送後三週間以内に限り、放送番組内容を放送後において審議機関又は前条の規定による訂正若しくは取消しの放送の関係者が確認することができるように必要な措置をしなければならない。」という旨も規定してございます。  この辺が訂正放送の実体的な規定の部分でございます。この制度は、比較的簡易迅速に、損害をこうむったと思われる被害者と申しましょうか、の名誉回復、名誉等の回復もできるものであって、それなりに有益な制度だと考えているところでございます。  ただ、何分にもできましたのは昭和二十五年でございます。この法律四条ができまして、それから多少の変更も、五条に追加みたいなのがございましたが、それ以来三十年たっておりまして、例えば平成六年二月号のジュリストで、「名誉・プライバシー問題の現段階」という論文がございますが、そういうものなどによりますと、請求期間及び番組の保存期間が短過ぎて被害者の権利救済に欠けるなど、本制度の不備を指摘する有識者の声というのも上がってきているところでございます。  諸外国におきましても、全部網羅的に今ここで申し上げるわけにはまいりませんが、イギリスでいいましても、番組は保存期間を九十日としております。それからドイツでも、多少州によって違いがありますが、二カ月から三カ月の保存期間というのを設けているところでございます。  そのような状況なども踏まえ、また現実に今いろいろなところから上がっている声、及び現実にいろいろなところからも郵政省としてヒアリングをしているところでございますが、そういう諸外国の状況、ヒアリングの状況などをひっくるめまして、放送事業者を含めた関係者からの意見を聴取しつつ、この訂正放送の請求期間とか番組の保存期間なども含めまして、この制度のあり方について法改正を視野に入れてただいま検討しているところでございます。
  145. 中村和夫

    中村参考人 放送法四条をまつまでもなく、先ほども申しましたけれども、国内番組基準というのがございまして、放送によって人権を侵害した場合はもちろん、事実と相違していることが明らかになったときには、放送法四条の趣旨を踏まえて、速やかに取り消しまたは訂正することをこの番組基準で定めております。反論権あるなしにかかわらず、基本的な人権については最大限に尊重されなければならないということで、わかった時点で速やかにそういう措置をとるということにしておりまして、そのための責任体制等々も常々整備しているところでございます。
  146. 河村たかし

    ○河村(た)委員 今江川さんからお伺いしましたけれども、一応、三週間というのを三カ月に保存期間を延ばすように具体的にするのではないかという話があって、本当えらい金がかかって大変だなという話もあるのですけれども、具体的にこれはまないたにのっておるのか、どういうふうですか、これは。
  147. 江川晃正

    ○江川政府委員 ただいま申し上げましたように、保存期間を多少延ばさなければいけないなという思想はしっかり持っておりますが、今各事業者とかいろいろな方々意見を聞き回っております。平たく言えばヒアリングと言っておりますが、ヒアリングしておりまして、そうした意向なども踏まえ、それから諸外国のあり方も踏まえて、今の三週間というのをどのくらい延ばすかということは決めていきたいと思いまして、ここでにわかに、先生今三カ月という言葉が出ましたが、そうしますというようなことを軽々に御返事はできない。目下検討中で、しかし、そういうことも頭に置いてやっているということでお答えにさせていただきたいと思います。
  148. 河村たかし

    ○河村(た)委員 次に、ほとんどの方がお伺いになりましたけれども、ハイビジョンについて、細かい話はいいのですが、私のところのテレビも最近色がちょっと落ちてきまして、買いかえにゃいかぬと思っておりますけれども、大体今の国民の感覚としては、本当にテレビを買っでいいものかどうか。五十万を切ったのもありますが、きれいに見ようと思うとまた百万近い金が要るよと。一応買ったところはいいけれども、ディジタル時代が来たらこれは使えぬようになるのかどうかとか、そういうことは、非常に下世話なことで申しわけないんですけれども、国民に向けてNHKとして、こうこうだから安心して買ってくれとか、それはディジタル化時代に向けても使えるなら使えると、そういうことをちょっと言われないと、難しい話はいいのですけれども、実際に高いものですからなかなか買うところへいきませんので、ぜひわかりやすく国民に向けてお話をいただきたいと思います。  買ったらいいかどうかぐらいのところをずばりお願いします。
  149. 森川脩一

    ○森川参考人 御説明申し上げます。  ちょっと過去の経緯にさかのぼって御説明をさせていただいた方がいいかと思いますが、ハイビジョン放送の拡充とか強化のことに関しまして、この五月の電波監理審議会答申を受けまして、十一月からの実用化試験放送への移行でございますとか、あるいは平成九年打ち上げ予定の次の放送衛星での本放送化でありますとか、後発チャンネルでのハイビジョン放送の実施、そういった一連のハイビジョン放送に関する国の御方針が明確にその中で示されたわけです。  NHKとしてもこれを受けまして、その実用化試験という新たな運営形態によって、主体的により魅力あるサービスを行い、ハイビジョンの放送の普及について今まで以上に力を入れ、先導的な役割を務めていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、値段のことでございますので、いろいろなものの値段にちょっと触れさせていただきますが、家庭用の受信機は発売当初、これは平成三年でございましたが、そのときの値段は四百五十万円でございました。その後、第二世代のLSIの開発とか、あるいは量産化技術の確立とか、そういうものによって急速にコストダウンが進みまして、現在では四十五万円台の製品も販売されている状況になっております。つまり三年間で約十分の一になったわけでございます。さらに今後もこの普及が進みますれば、一層の低価格化というものが進むというふうに考えられます。  それからもう一つは、放送局側で使っております番組の制作機でございますが、これもハイビジョンの当初は、大体現行設備の五倍から七倍というような非常に高いカメラあるいはVTRを使わざるを得ませんでした。しかしその後、技術開発研究を進めた結果、番組制作に使いますカメラとかVTRにつきましても、非常に形が小さく軽くなるばかりでなくて、コストの面でも非常にコストダウンが進められる状況になっています。恐らく一両年じゅうには現在の方式のカメラやVTRとそう大きく違わない価格までハイビジョンのカメラとVTRの価格が下がっていくだろうというぐあいに考えています。  そうすることによりまして、例えば、NHKはもちろんですけれども、それ以外のいろいろなプロダクション、ハイビジョンの番組をつくりたいけれども機材がない、お金が高いというようなところもこのハイビジョンソフトの制作に参入して、より豊かなバラエティーのあるソフトがそろっていくのではないかというふうに思います。  それから、将来のことを先生おっしゃったわけですけれども、将来ディジタル放送が開始された場合には、今お持ちのハイビジョンの受信機にディジタル放送用のアダプターを付加することによりまして、ディジタル放送をそのハイビジョン受信機で楽しむことは可能であり、したがって、そのお買いになった受信機がむだになるということはないわけであります。  なお、ハイビジョン受信機の中に内蔵されているいろいろな回路の値段はどんどん下がっているわけでございますけれども、今申し上げたアダプター自身の値段も時とともに下がっていくというふうに十分予測されますので、そういうことによって、ディジタルの放送が開始された時代にあっても、視聴者の方々はそう改めて大きなコストをかけなくてもそういうものがお楽しみいただけるのではないかというふうに考えております。
  150. 河村たかし

    ○河村(た)委員 僕も初めてわかりました。何か江川さんの話を聞いてから、ハイビジョンを買ってもこれはディジタルになって全部没になるかしらと思っておりましたら、一応アダプターをつければ使えるようになるということ、意外と国民は知らないんじゃないんですかね、そこら辺が。ですから、今、NHKの方はまじめですからいろいろ順に御説明いただきましたけれども、かなり強く心配ないよ、どんどん買ってくださいと言えば、これは大分雰囲気が違うのではないかな。  アダプターというのは幾らぐらいするのですか。サービスですか。
  151. 森川脩一

    ○森川参考人 まだディジタル放送の受信機そのものが出てまいりませんから、そのアダプターの方も何ともわかりませんけれども、受信機に比べてごくやすい値段になるのではないかな、そのことは可能だというふうに考えています。
  152. 河村たかし

    ○河村(た)委員 わかりました。  それからもう一つといいますか、映像による国際放送の話が先ほどずっと出ておりまして、そこに受信料を使うのはいかがなものかという話が出ておりましたけれども、この辺は考え方としましては、NHKというのはもっと広く、スタテレビなんかもありますけれども、やはり国際的なスパンの中で、日本のナショナルフラッグと言うと怒られますけれども、そういうしっかりしたものを組み立てるためにはやはりもうちょっと広い、今江川さんの話のように積分的に考えるかどうか知りませんけれども、それはそれでいいじゃないかという立場で考えればそうなって、そうじゃなくて、やはり受信料というのをもうちょっと厳格に持っていて、それはそれで国内で、そういう姿の中でNHKはやはり生きていくべきだ、そういう考えで、大体いずれに考えたらいいかというふうに分かれるのでしょうかね。  これはまた、イギリスのBBCなんかは非常に苦境があって、最近はそこをカバーしまして非常に積極釣に海外に出ておられるというふうに聞いておりますけれども、そこら辺との対比からも考え方をひとつお教えいただきたいと思います。
  153. 江川晃正

    ○江川政府委員 BBCの議から先に触れさせていただきますと、BBCは、みずからは映像国際放送を実施しておりません。そして、やっているのはBBCが出資している子会社、BBCワールド・サービス・テレビジョンというのがございますが、その会社が映像国際放送をやっているということでございます。  それからもう一つ、我が国に戻りまして、NHKの映像国際放送を日本国の中に住んでいる人からもらう受信料、国内受信料と申しましょうか、それを使うのはどうかという御意見かと存じますが、先ほども実はお答え申したところでございますが、繰り返しになるから、ちょっと時間がございませんでしょうから省きますが、一応映像国際放送というのは、今までも現にやっております短波の国際放送、ラジオでございますが、あれが映像に変わっただけだということで、したがって、それの持つ国民的利益というのは、短波の場合とまさることはあっても劣ることはないのではないか。したがいまして、短波の世界でやっていた受信料を使い込む、ちょっと言葉が変ですね。受信料を使うというその仕組みは、この映像国際放送でも十分成り立つ、また、国民に納得できる考えではないかということで進めているところでございます。
  154. 川口幹夫

    川口参考人 九月にBBCの会長と副会長に会ってきました。副会長が実はワールド・ワイドの社長をやっています。そして、一応本体と切り離して、いわゆるBBCの本体とは関係のない形で海外展開をやろうというふうなことを前提にしているんですね。前から非常にあそこはそういうことについては積極的に、かつ幅広くやってきているのですが、問題はないかというふうにいろいろ聞きましたら、現段階では企業としてはまだやはり成功しない、マイナスが非常に出ているというふうな話でございます。  それで、例えばBBCはもちろん英語国ですね。ですから、例えばアジアに放送するにしても、アジアには大体一億数千万の英語を理解できる人口がある、だから英語のまま出せばいいんだというふうに思っていたけれども、実際やっぱりやってみると、例えば日本向けには日本語でなければいけないし、中国に向かっては中国語でなければいけないというふうなこともあって、そしてロンドンにそういういわゆる同時通訳ですね、英語のニューズを中国語または日本語に翻訳するスタッフを置いて始めたんだけれども、これがなかなか大変で、実にいろいろな問題が起こって、これを今から克服するのは大変だというふうな話をしておりました。  車ほどさように、海外放送をやるにしても、海外向けの映像発信をやるにしても、問題点は多いわけです。ですから、NHKが切り離して、例えばBBCみたいな別会社をつくってやるというのも一つの方法ですが、これは企業的にはなかなか難しい問題がある。それから、といって、NHKがやっぱりやることの必然性とか必要性はあるわけですから、私は余り規模を広げないでじっくりやろう、ただし一歩一歩前進しようというふうな形をとろうというふうに今思っております。  それは受信料をお納めくださっている受信者の方々も御納得いただけるんじゃないか。特に、先ほど中村が申し上げましたけれども、今一年間に一千万人の海外旅行者がいるわけですね。その方々、それから在留邦人が四十万から五十万は必ず毎年いらっしゃる。そういうふうなことを考えれば、国内の方々が出していただいた受信料でそれに見合うぐらいの放送をすることはいいんではなかろうか。それが大体今、初年度ですか、七年度は大体十億から二十億というふうに踏んでいるんですが、当然先々は、今度は南米、中南米向けだとかあるいはアジアに向かっての放送だとかということもまた考えていかなければいけないだろう。難しい問題が多いんですけれども、着実に前進をさせたいというふうに思っております。
  155. 河村たかし

    ○河村(た)委員 受信料をいただいているから、何かこう常に小さく小さくというような話も出てくるんですけれども、また一方は、NHKの持っているこれだけの能力を何もそう押さえ込むことないじゃないか、もっとどんどん出ていったらどうだという考え方も僕は十分あり得ると思うんですよね。  だから、そういうことから今のまたその話なんですけれども、その海外放送にそういう受信料を使うとか使わないという問題は、やっぱりNHKに対する一つの国際戦略ですかね。そういうことは一つあるんでしょうかね、考え方としては。まあ、GNN構想の中でも出てきたようですけれども、川口会長は否定するんじゃなくて、KGNNですか、私は私なりのGNNがあるんだということをおっしゃられたようですけれども、やっぱりそういう意味では、僕は、受信料は取っておられるから取っておられるでいいんですが、そのかわり、先ほど言いましたように、もっと、苦しいけれどもいろいろなものを公開していって、民主主義の多様性というのか、泥沼というのですかね、そういうところも見せながら、しかし、やっぱりせっかく能力があるんだから、そう余りがんじがらめにする必要はまたないのではないかなという気がしておりまして、その辺のところはそのKGNNと関係があるのかないのか、ちょっと会長に一言。
  156. 川口幹夫

    川口参考人 平成三年の七月ですが、私が就任しましたときには既にGNNがスタートをかける寸前でありました。十月一日に会社を発足させようかという時期であります。中身が非常に膨大でありまして、そして果たしてこれが成功するのかしないのか、大変危うい状態であるというふうに判断をしまして、規模を縮小しようということで、その企画、計画自体はストップをさせました。  ただ、そのことによってNHK海外への発信を一切やめたというわけでは全くない。それには、当然のことながら、NHKがやっぱりやるべき仕事の一つだというふうに思っておりましたので、ちょっとふざけたわけではありませんけれども、KGNN、川口流の国際清報発信というふうに一応名をつけて、それにはステップがある、そして一歩一歩できるところから始めていって、そして最終的には世界のどこでもNHKの放送が見られる状態にしようというふうに思っておりました。そのステップを今踏み始めて、第一歩が来年の四月の欧州とアメリカでの映像発信だ、こういうふうに思っているところでございます。
  157. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それから、ちょっとこれは番組の中のことですから、そんなことまで言うなと言われるかどうかわかりませんけれども、「NHKスペシャル」が五十分やっておりますが、どうも非常に長くて、充実したのもありますけれども、やはり非常に速い時代に入ってきましたので、例えば「クローズアップ現代」なんかのような三十分ものぐらいで、コンパクトにまとめたのをどんどん出した方が非常にそういう面では説得力があるんではないかなという感じもちょっとしますが、ちょっと番組内部のことで申しわけありませんけれども、お答えいただけませんでしょうか。
  158. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  「NHKスペシャル」を五十分にいたしましたのは平成年度の四月からでございまして、それまでは六十分でやっておりました。今御指摘ありましたように、ごらんになった方の中には、冗長であるとか、長い時間ちょっと生理的に苦痛であるとか、いろいろ御意見を述べる方がいらっしゃいまして、やはり五十分に少し短くして、そのかわり五十分十分引きつけて見せられるだけのテーマの掘り下げとか、そういうものをねらったらどうだろうということで十分間短くしております。  一方、やはり三十分ぐらいでタイミングよくジャーナリスティックに今の問題を取り上げる、それも範囲を広くとっていろいろな問題、スポーツからエンターテインメントまで、今の時代が直面しているいろいろな問題について、やはり関心のあるものを機動的に取り上げるという番組も必要だろうということで「クローズアップ現代」をつくったわけですが、「クローズアップ現代」については、来年度編成等々もさらに充実する形で、もっと見やすい形で中身を充実させていきたいというふうに思っております。
  159. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これでこちらの決算の方の質問は終わりますけれども、委員長に議事運営についてちょっとお願いしたいということは、本委員会では、この決算について承認することについて採決が行われることを伺っておりますけれども、本日の税制改革特別委員会で、国民に新たな負担を求める法案の審議が極めて不正常な形で行われようとしておると聞いております。  こうした中で、こういった採決は、行うかどうか、ちょっと疑問を私も感じておりますので、本委員会の採決の動向が税制改革法案の取り扱いに何らかの影響を及ぼすとすれば、委員会としては極めて重要な問題であると言わざるを得ないと思います。私は、委員長に対しまして、本案件の採決は本日行うべきではないと思います、改めて理事会で採決の是非をぜひお諮りをいただきたい、かように思います。いかがでしょう。
  160. 高橋一郎

    高橋委員長 河村委員の提案につきましては、矢島議員の質疑が終了後直ちに理事懇談会において対処したいと思います。
  161. 河村たかし

    ○河村(た)委員 どうもありがとうございました。
  162. 高橋一郎

    高橋委員長 次に、大矢卓史君。     〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕
  163. 大矢卓史

    ○大矢委員 大矢卓史でございます。大先輩の大出先生、郵政大臣御就任おめでとうございます。郵政所管のことはもちろん、国会全体のことで非常にお詳しい先生でございますので、いろいろとお聞かせ願いながら、この決算を粛々とやらしていただきたい。  ただ、当初の質問に入ります前に、少し、ただいまの質問の中で中井理事の御答弁ございまして、私もこの問題、前々からお聞きしたいなと思っておったのですけれども、国会中継がございますね。いつも委員会等でやる場合に、これはもう国会で時間が決まっておるのか、またNHKさんの方で決まっておるのかわかりませんけれども、最終の方のときに切れてしまいます。そして、真夜中に放送したり、いろいろなことをやっておりますけれども、私は、できれば引き続き最後まで放送していただきたいし、そういうことで一度はお聞きしたいなと思っておりましたのですけれども、先ほどの中井理事の御答弁の中にありました、何か三時までで終わるものが国会の都合で四時まで延びて受信者の方から大変苦情が出たんだということをこの二年度、三年度決算の中で答弁をされました。  恐らくそういうことが記録に残っていると思うのですけれども、長い国会の大先輩でございます先生、そういうことがかつてあったのであるか。僕が知る範囲では、たとえ六時から一分過ぎましてでも夜中に回ったということは聞いておりますけれども、大臣の御記憶の中にそういうものがあったのかどうか、まずお聞きをしたいと思います。
  164. 大出俊

    大出国務大臣 御質問にお答えをいたしますが、本来これは国会の運営にかかわります問題でございますので、今私は政府の側、行政の側におりますので私からお答えをする筋合いではないとは思いますけれども、過去の経験の中にあるかという御質問でございましたのでお答えを申し上げたいと思うのでありますが。  私は国対委員長を五年もやっておりまして、私が一番長い経験者でございますけれども、この種の問題は、いつも、時間ぎりぎりできちっと組みましても何かのトラブルができるとずるずるずるとずれてきて、最後のところがNHKの五時なら五時のところにぶつかってしまう、残ると夜十一時から、こういうことにならざるを得ないことになる。五月に私が羽田総理に予算委員会で三時間質問いたしましたが、あのときも、前の事情がございまして、三十分、私の時間が三時間のうち二時間半まで放映されるのですが、三十分といっても正確には二十八分ですが、これが入らない。ですから、軍人恩給にかかわる私の質問などなどは夜の十一時からのところで放映をしている。  こういうことなんですけれども、ここらはやはり国会の運営の中で、そういうことは間々あるわけですから、どうするかというのは緻密に計画を立てていただいてやってみるより仕方がないのじゃないかなというふうに過去の経験で思っておりますが。
  165. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは二年度、三年度決算をやっているのですけれども、その間にそういう事実があったのかどうか、お答えを願いたいと思います。
  166. 中井盛久

    ○中井参考人 お答えします。  具体的なこのごく最近のところはちょっと今調べさせていただいております。原則的には五時までの中継をして、五時以降になると、大相撲ともし重なっている場合は五時以降は大相撲に入らせていただいているのがここ数年続いていると思います。  しかし、もう少し前の段階に入りますと、ルールがまだきちっとしていなくて、中継そのものが、国会の中継の方と、やめてしまったりというようなルールがはっきりしないようなときの例はたしかあったと私は記憶いたしているのですが、そういうことが一つ。  先ほど申し上げましたのは、ティピカルな例として、何か反応があるのかというときの例として、一つの予定されていたものが実際には切れてしまうというような状況のときに反応があるという非常にティピカルな例として相撲と国会というようなことが現実にあったものですから、そういう例として、一つの例としてそういうときには反応が物すごくあるんだということを申し上げた次第ですが、そういう点で御理解を願えればと思います。
  167. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは速記を一遍起こしてもらったらいいと思うのですけれども、先ほどの御答弁の中では、三時までのやつを一時間延ばして四時までになった、そのために非常に視聴者の方から文句が出たんだという答弁だったと思いますけれども、今の話と全然違うのですね。これは速記を起こしていただいて、これは、一つそういう不正確なことを言われると、もうすべてがNHKが言っておることが何か、公の場所で言うのにただ思いつきで、一つの例として言ったんだというようなことではなしに、やはり具体的に先ほどはそういうことで答えられたと思います。  そういうことで、これは委員長、これも含めて後ほど速記を起こしていただいて、そして、そのことを訂正されるなら訂正されるということでないと、これは何か、例としても、これはもう国会の大先輩もずっと苦労してこられた中で、いかにも放送そのものが、国会の中継が国民に対して申しわけないことをしているように聞こえます。  もう一点僕は郵政省にお聞きしたい。これも大臣のお考えをお聞きしたいのですけれども、かつて私は、夜中でなしに、できましたら教育放送の方に、高校野球は切りかえますので、僕は、この国会中継も、もしやられるときには、引き続いて聞きたい方、教育放送の方でこれをかえるというようなことはどうだろうかなと僕なりに思っておりましたところが、かってそういう放送をしたときに郵政省の方からしかられたんだということを今ちょっとお聞きしましたのです。そういうことは、常識的に考えて、これはもう教育テレビの免許だからということのようでありますけれども、高校野球はやはり高校だからこれは教育テレビでいいんで、国会のやつは教育にならぬからだめだということになるのか、それは行政当局は当局の法律の読み方があると思いますけれども、これも大臣としてお聞かせ願いたいと思います。
  168. 大出俊

    大出国務大臣 私は、三十二年国会におりますから随分いろいろな経験がございますが、今のように第二に切りかえるというような例は経験がございません。つまり、第一でやってきた中継が、決められたおおむね五時なら五時という時間に来ますとぽっと切れる、切れた後は夜遅い時間に放酸する、これがもう一貫している一つの形だと。これは国会の運営の側で一遍また各党で御相談いただきたい、こう思っていますが。
  169. 江川晃正

    ○江川政府委員 実務的な点でございますので。  私たち、ちょっと今関係の者にも聞きましたけれども、そういう例というのは、私たちゃっただろうかというふうに、記憶にもございません。しかし、後で調べまして、後ほど先生の事務所に御説明に上がらさせていただきたいと思います。
  170. 大矢卓史

    ○大矢委員 これも、今NHKの方から聞いたばかりの話なので、そういうことのときに郵政省からしかられたということを今聞いたばかりです。ですから、そういうことがあったのだろうと思いますけれども、これはそういうことがあったのかなかったのかわかりませんけれども、また後ほどお聞かせ願いたいと思います。  NHKの歴史でございますけれども、私も本当に最近生い立ちというものを読ましていただいてわかったのですけれども、生い立ちはどの程度御存じでございますか。
  171. 川口幹夫

    川口参考人 大正十四年の三月二十二日に芝浦の仮放送所で第一声を上げた、そして後は、社団法人の東京放送局と、それから続いて大阪放送局というのができましてラジオの放送を続けた、それから、昭和二十五年になって新しい放送法の中で新NHKが誕生したというふうに存じております。
  172. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは当初は逓信省の方で出願者を募集して一般にやらすということで、東京と大阪と名古屋で三つの局でこの放送をやらす、許可するということで出発したようです。そこで、なかなか出願者が多くて、まあ大阪は大阪、東京は東京で一つになって一緒にやりなさいといったところが、特に大阪は希望者が多くて、それがまとまらなかった。時たまたま選挙があって、犬養毅さんが逓信大臣になられた。そのときの逓信大臣になられた方の方針で、民営よりむしろ公営にしようということで、当初は東京、大阪、名古屋という三つの社団法人をつくったのですね。それが今日のNHKの前身だと言われている。言いたかったのは、一つは、大臣の決断で非常に大きく変わり、またこれ時代の流れで大きく変わっていくことができるということであります。  それと、今公共事業ということでやっていますけれども、やはり出発がそういう民間ということでございますので、先ほど言われました、島体制から川口体制にかわって、そのときの島体制は、やはり将来を見据えて、これではいけないということで、これ以上受信料というものを上げることができないから、何とかほかに考えなければならぬということで、いろいろなことをやられた。ただ、結果的にはこのことがいいか悪いかは別であります。しかし、いろいろなことを模索しながらやられて、そして川口体制にかわってきた。  これは大臣、先ほども、お忙しくて前回の予算のときのものを読むことができないということを言っていらっしゃったので、私が申し上げたことは、NHKはこれからも、受信料に今頼っておるわけでありますけれども、やはりこの世の中の、これから日本の変わりぐあい、これからいきますと、この受信料が、けさから、いつまで値上げをしないのかという話でしたけれども、私は、もうこれ以上受信料を値上げをしていくという感覚は持たない方がいいのではないか、持つべきではないのではないか。  そういうことになりますと、当然、今のハイビジョンの問題にいたしましても別な方法でお金を取っていくのではないか。いろいろあります。そして、将来はマルチメディアということで、それを見た人だけが負担をしていくというふうにいろいろな変わり方があって、ハイビジョンにつきましても、大臣、先ほど田中先生の御質問で、僕も大臣と同感なんですけれども、私もベータの、ソニーを信用してあれを買った、まず最初に買ったその一人ですけれども、ところが、結果的にはもう何にもならぬ箱になってしまった。  そういうことで、ハイビジョンがいいだ悪いだということは利用する者が一人一人考えたらいいじゃないかということでなしに、やはりいろいろなものを考えながらそれをやっていかないと、今は確かにハイビジョンというものがあるかもわかりませんけれども、それが二十一世紀から先になってまいりますと、やはり方式が変わってくる。その間に使われなくなって、それでいいということならいいですけれども、これが絶対ですよということでやりますと、将来、これは間違っておったということになってきますと、これはもう、特に大ベテランの大臣のときに、あのときに、こういうこともある、こういうこともある、利点も欠点もあると。ですから、今現在はこうですけれども、将来は違いますよということをわかるように親切に教えていくことによって、それを選択するのは自由ですから、お金持ちの人が何ぼかかろうがそれを買うということは自由であります。そういうことで、先ほど御意見を承りまして、そのとおりだなと私も同感でございます。  ですから、江川局長がおっしゃったことも、やはり業界そのものは、ハイビジョンでなしに横長のやつをもう用意しておったのです、あのとき。だからそういうことで、すぐにそれを売り出しにかけて、今それで利益を上げておる、いろいろな業界業界で考えていますけれども。  ただ、受信料で賄っておるNHKさんが、今のところは利益も出ていいのですということですけれども、またこれ何年かたって今度は値上げですよということはもう難しい。だから、そのときにどういう形でやっていくのか、これは今からやはり考えなければならぬ。  そういう一つのことで、私は、あのエンタープライズほか株式会社をつくられて、今三十何社か四十何社にふえましたか、そのことについても、片一方はもうけたらいかぬ特殊法人であって、片一方は、株式会社というのはもうけなければならぬ。もうけるためにその五一%全部出資しているわけですね。だから、普通の場合に、民放がプロダクションができましたのは、民放でストライキが起こった、自分のところで製作できなかった、そうなりますと、そういうプロダクションを頼ってということで、いろいろな製作プロダクションが出てまいりました。  そうじゃなしに、まあ島さんなら島さんという、先ほども、冒頭、会長説明願いましたように、そういう島さんの考え方でやっておられた、それがいいとか悪いとかは別として。結果的には、一つもこれが効果が上がっていない、逆にマイナス面が多いと思いますけれども。それが出資の金額について、また収入の面でたくさんの収入があるように書いていますけれども、その収入はほとんど金利収入であります。この年度の収入にいたしましても二千万もないわけであります。今でも三千何百万で、それは普通の金利よりもずっと落ちるわけであります。  ですから、そういうことが、株式会社をつくっていくということが、それは島さんは島さんなりに考えたこととは違う結果が起きたのかもしれませんけれども、一般的には武家の商法だと言われておりまして、もう既に赤字会社を吸収してエンタープライズをやらなければならぬ。これは何も一つの方針があってやっておられるのでなしに、成り立たないから合併させていくということが起こっていると思いますね。だから、先ほどから各先生方いろいろな御質問でその関連企業の問題も言われておりますけれども、これからどうするのだということになりますと、ここで将来を見据えて、川口体制の中でもやはり真剣に考えていくときではないか、私はこのように思っております。  そこで、私がこの前の予算のとき申し上げましたことは、NHKさんでやらなければならぬことはやはり当然やるべきです。しかし、いろいろな要求が出てまいりまして、それを何でもかんでも受け持ってやっていくということになりますと、これはもう幾ら金があっても足らないわけでありますから、その点、法律は法律で改正になりました。そして、国際放送にしても国が負担をするという法律があります。それについて一体NHKとしては、その今の国際放送に八十億という金を年間使っている。多い少ないは別であります。それを、命令放送の場合ならこれは国が持つ。また今度は映像でやる。これは二十億かかる。その場合にNHKとして、郵政省さんこれだけ下さいよと要求をして、また郵政省が大蔵省にこれを要求して、そしてそれが大蔵省の査定でもらえないのかどうか。  そこらも含めて、まず、大蔵省はきょう来ていただいておりますので、御答弁を願いたいと思います。
  173. 増井喜一郎

    ○増井説明員 お答え申し上げます。  先生御承知のように、NHKの国際放送につきましては、放送法三十三条一項によりまして郵政大臣NHKに命じて行わせます命令放送と、同法九条一項三号の規定によりましてNHKが本来の業務として行う自主放送の二種類があるわけでございます。私どもといたしましては、郵政省の御要求に基づきまして、国として放送法に基づく命令放送に要する経費につきましては全額負担をするという形で毎年々査定を行い、予算をつけているというふうに考えております。
  174. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは、日本放送協会の目的、放送法の七条では、「放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送を行うことを目的とする。」ということは目的にはあるわけであります。しかし、法律の改正で命令放送というものが入り、また今度映像の中で入るようになりました。その中で、一体どこからどこまでが命令放送なのか。八十億の予算の中で、国からもらっていくのが十八億だということを聞いております。  そうなってまいりますと、これはもう命令放送だけやっておったらいいのだということになりますと、あとやらなくてもいい。ですから、どこまでが命令放送で、また、それからこの間から質問なんか出ておりますハイビジョンにいたしましても、この受信の進歩発展に必要なことだからやるべきだということですけれども、このことにつきましても、果たしてこれはメーカー側の立場で通産省がやるべきことなのか、わざわざNHKさんがどうしてもやらなければならぬことなのか。そこらをやはり自分のところで、受信料を納めている人というのは、これはもう自分がそれを聞きたいから、見たいからということで、聞く方の、ラジオの方はもうゼロになりましたけれども、やはり見たいからということで納めておる。  その金が、これからどんどんまた高度成長で負担ができるという状態ならいいですけれども、その負担ができない状態の中で、これにも金をかけ、これにも金をかけということでなしに、僕はこの前の予算のときに申し上げましたのは、やはり国が公共放送について、今の現状の場合ですと、どれだけの負担をし、そしてまた受信料をどれだけ負担をしていただくか、そしてこれだけのものをやるのだということでないと、どこからどこまでがどうで、金が足らなくなったらまた上げたらいいのだという今までの方式ではいけないということをこの間の予算委員会のときに提起させていただいた。そして、行く行くはこのままの形ではいけないであろう。  というのは、受信料の滞納とかいろいろ言いますけれども、一体この法律の中で受信料を取れるか取れないかというのは、これは強制力はないわけであります。強制力のない中で、第一線は非常に苦労して集めていらっしゃると思いますけれども、聞きますと、やはり納めなくてもいいということで、納めない人は納めないで通るわけであります。  そういう中で、契約というのは、世帯数からまた事業者、テレビを置く事業者のところは一つ一つ要りますね。そういうところからいきますと、今の契約しているところを標準に置きますけれども、本来全部いただいたら一体何ぼいただけるのか。それが今これだけしか契約がないのだという数字は私わかりません。だけれども、契約をしている中で、先ほどの話からいきますと、一〇%が未収だということである。しかし、その数字が正しいのかどうか。契約が、今一生懸命契約されて、皆さんが納めなければならぬというのが一つの数字出ておりますけれども、そうでないと、実際に今払ってない人がたくさんあるわけですから、その払ってない人は強制力がないし、これからも強制力を持たせることにはならぬと思います。  ですから、郵政省は郵政省で、役所は役所で全部NHKに受信料を払うことになっている。だから、それはそれで予算の要求はどういうふうになっているのだということを聞きますと、それがこの程度は納めていただくということが郵政省として出てくると思いますよ。出てくると思いますけれども、予算上は雑費扱いだという。だから、各省庁また役所、物によったら、そういう公共機関というのは固定資産税が免除されているということはありますけれども、受信料については全部取ることになっているのですね。それも、一台一台、利用しておるのまで取られる。大臣の部屋のあれもそうですし、みんな取ることになっている。その場合に、非常に金額が少ないから、そういう立て方かどうか知りませんけれども、雑費の中から何ぼか納めているであろうということで、具体的に各省庁すべてもらっているというお話ですから、そのまま信ずるといたしましても、やはりそこらにも受信料を取るという限界がやはりあると思いますね。  ですから、将来に向けて、私はこれでいいのかなということを考えながらも、やはり今の現在では二年先まではこのままでいけますとか、そういうことでなしに、もうこれ以上は値上げができないよ、そのためには一体どういうことをするんだと。  島さんのやったことは、いい悪い別として、普通の出資をした金額についての配当としては余りにもやはり少ない金額です。ということは、先ほど質問にありましたように、本体が五千億の水揚げの中で、その関連のところは二千億やっているというのです。二千億やっている割には千何百万という配当というのは非常に少ない配当だ。利益ですからね、これ。  ですから、そこらも含めて、これから一体、今まで島体制から川口体制にかわられた。それは非常に不退転の決意でやっていらっしゃるし、それから非常に努力していらっしゃると思いますよ。しかし、合理化、合理化といいましても、やはり第一線で頑張っている人は物すごく頑張っているんですね。だから、何でも締めたらいいというものではないと思いますよ。だから、それをやっていくために、これからどこをどうしていくんだということも含めて、会長、御意見をお伺いしたい。
  175. 川口幹夫

    川口参考人 まずNHKと民放のことですが、このNHK、民放の併存体制が始まったのは昭和二十五年の放送法で、二十六年には民放ができて、二十八年に民放のテレビができた。今の形になってきたわけですが、私は、この形というのは世界でも珍しい、希有な形で発達をしたものだと思っています。それがいいのか悪いのかという評価については、これはいろいろな御意見がありましょうから一概には言えませんけれども、少なくとも放送をずっとやってきた者としては、やはり世界に誇るべき一つの形じゃなかったろうかというふうな感じを持っております。  ただ、NHKが受信料によって運営されるということは、結果としては、時代がたつにつれまして非常に不安定になってくる。先行きはもう受信料は入ってこないんじゃないかということまで言った人もおりますけれども、私はそういうものではなかろう、受信者に対して、NHKが信頼されている、信用を博しているという時代があるならば、それはある程度続いていくだろうというふうに思います。  ですから、続ける努力をまずすることが一つだ。ただし、どこかでその努力がもういけなくなるということがあることは予想しておいてもいい。ですから、いろいろな対応の仕方を考えておきたいとは思っております。その対応の仕方が、いわゆる関連団体つくって副次収入をどんどん上げてというふうなやり方だと、それは早晩やはり行き詰まってしまうというのが過去の経験からして非常に鮮やかでございます。ですから、関連団体から入ってくる副次収入というのには余り過度の期待をすることはできないと思います。それをやろうとすると、結局民放系のいろいろなところとバッティングをして、そして、非常に放送界の混乱を招くようなことに相なります。ですから、そうじゃなくて、もうちょっとお互いが話し合いながらうまく和合していく形というのがあるだろうというふうに思っています。  一つの形は、ペイテレビというのをどこかでどういうふうに導入するかというふうな問題でありますけれども、現在は、先ほど申し上げましたように、受信料体制自体がまだ非常に健全な方向づけをたどっておりますから、急速にそのことに踏み切る時期では全くない。ただし、先にいろいろなことが起こってくるだろうから、いろいろなことを予測して今から研究、検討しておくということだけは絶対やっておこうと思っております。  それから、関連団体から入ってくる、いわゆる株による出資に対する配当というのは、おっしゃるとおり非常に少のうございます。ただ、問題は副次収入でございまして、副次収入は、今ちょっと数字を細かにしませんけれども、何十億という単位で関連団体から入ってきております。ですから、副次収入というのはやはり関連団体から入ってくるものでありますから、単に株式の配当だけからというのは当たらないのじゃないかなというふうに思います。     〔岡島委員長代理退席、遠藤(乙)委員長     代理着席〕
  176. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣、今また会長そんなこと言われますから言いますけれども、平成年度で入ってきているのが、これは配当金千八百七十九万円ですね。副収入とおっしゃるのは九十三億円だと思います。  ところが、この九十二億八千五百万円というのは、これは受取利息なんですよ。わかりますか。全体ではこれだけありますよとおっしゃる。その内容は受取利息なんですよ。それで、受取利息の金で金もうけしているんですか、NHKは。金を預けてそれが入って、それが副収入ですか。そんなこと自慢したらいけませんよ。何十億あります、わかっておっしゃるんですか。  そうではなしに、やはり現実に、それはそれで非常にいい利殖しているのか知りませんけれども、金利が上がってくることが、そんなもの立派な経営でも何でもないんです。やはり関連が必要だということでやられたんでしょう。だから、必要でなかったら今すぐにやめられたらいいんです。必要でやられた。その副収入のうちの九十二億がそうであって、千八百万円がそれは事業収入だというのは、こんなもの自慢されたものじゃないですよ。だから、さっきの答弁と同じで、みんなわからぬと思って何でも言うたらいいというのと違いますよ。それはわかって言ってくれているんですか。
  177. 齊藤暁

    ○齊藤参考人 ちょっと整理して申し上げます。  関連団体からの直接のNHKへの配当金、これはおっしゃるとおり平成三年一千八百七十九万円でございます。これは年々ふえておりまして、平成年度三千五百五十九万円と一応なっております。  それから、いわゆる副次収入という言い方の中で、この配当金と別にNHKの権利関係あるいは番組の二次利用権とか、そういったことを、例えばNHK出版とか、そういうところが利用して収入を得る。それでNHKへ還元するお金がございます。会長が言われたのはそのことでありまして、そちらの副次収入は平成年度大体四十四億を予定している。数十億と申し上げたのはそちらの数字だと思います。  ということで、運用資金の件は、さっきお話が出ましたけれども、受取利息は確かにおっしゃるように九十三億、これはそのとおりでございます。
  178. 中井盛久

    ○中井参考人 大矢先生に先ほど調べますとお約束しましたので、今回答が戻ってまいりまして、ことしの五月十三日の衆議院本会議の代表質問がございまして、一時から十五時五十分まで代表質問がございました。実際に、やはり代表質問が多少延びまして、多少といっても四分でございますけれども、十五時五十四分になって相撲に切りかえた。要するにわずか四分なんですけれども、そういうような切りかえのときとか、時間がちょっと変更になると反応があるという一つの例として先ほどは申し上げたので、何かお気にさわることがあればまことに申しわけないのですけれども、そういう一つの、反応の中にはそういうものが、非常にティピカルな例として、相撲中継なんかを待っている人が、一分でもおくれると電話がばっとかかってくるという状況を申し上げたかったわけであります。
  179. 大矢卓史

    ○大矢委員 だから、僕はさっき言いましたように、一遍速記を起こしてくださいな。後でまた相談していただくようですから、起こしていただいて、先ほど僕がお聞きしましたのは、三時に決まっているものが四時まで一時間延びた、それで文句を聞いたということ、それは正確に今のような話をしてもらわないと、速記録に残ったままで、何か国会の中継が皆さん方から非常に不興を買って文句が殺到したというように聞こえますので、それは速記録を起こしてもらって、また後ほど理事会でよく相談していただいて、訂正なら訂正でやっていただいたら結構です。  そこで、これも大臣に、世間話のような話で申しわけないのですけれども、公開録音というのは非常に人気があるんですね、引っ張りだこのようでありますけれども。普通一番わかりやすいのはのど自慢だと思いますけれども、のど自慢をやるためにNHKさんの方で一カ所当たり、歌い手さんのギャラはピンからキリまであるといってもそんなに変わらないと思いますので、大体幾らくらいおかけになられるのですか、ちょっとお聞きしたいのですが。
  180. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  のど自慢は、一本平均およそ番組制作費として六百八十万円の支出となっております。
  181. 大矢卓史

    ○大矢委員 そのようであります。これは一切合財入っているのですね、六百何ぼというのは。
  182. 中村和夫

    中村参考人 公開放送の仕組みを申し上げますと、現在公開放送につきましては、いろいろ地方自治体からの依頼、例えば市制何十周年とかいうような周年記念、それから市民会館の落成何年という節目のときに公開放送をやってくれないかという場合、それからNHKの開局五十周年とかNHK自体のそういう節目、そういうときに実施の計画を行っているわけでございます。実施の計画を行うに当たっては、全国的なこれまでの配分、そういうバランスを考慮しながらやっております。  原則として、地元から協力金をいただかないで、NHKは出演料、職員の旅費、編曲料、構成料、番組収録のための美術セット、照明、音声の経費など番組制作にかかわる経費のすべてを負担して、それで大体六百八十万円という形になっております。  ただ、地方自治体の周年記念を自治体と共同主催をしてイベントとしてやる場合には、例えば体育館でやる場合には、舞台が狭過ぎるとか、張り出しか必要だとか、会場の隅々まで音声が届かなかった、そういうような場合には地方自治体の御協力を得て、共同でイベントとしてやるということを行っております。そういう形で行っております。
  183. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういうことで六百何ぼかかるようですけれども、自治体の負担がどの程度ならまあまあと思われますか、大臣。
  184. 大出俊

    大出国務大臣 御質問でございますからお答えいたしますが、いろいろな例が今までの過程にはございまして、私、横浜、神奈川でございますけれども、どのくらいまでということになると、これはその内容、そのときどきの計画、それがどの程度公共という意味における影響力があるのかというようなこと、いろいろな要素があるのだろうと思うのです。ですから、一概にこのくらいまでならばということはちょっと申し上げかねるのじゃないかと思うのですけれども、NHKの皆さんかどう考えているかはわかりませんけれども。
  185. 大矢卓史

    ○大矢委員 会長、どの程度なら普通だと思いますか。
  186. 川口幹夫

    川口参考人 何百何十円という金額を今申し上げるような立場にはないのですが、やはりNHKが払うものと比較して不当に多いというようなことは絶対避けなければいけないと思っております。
  187. 大矢卓史

    ○大矢委員 どの程度ですか。何ぼぐらいですか。
  188. 川口幹夫

    川口参考人 どれぐらいでしょうか。その土地状況とか、それから会場の規模あるいは会場の条件、ところによっては全く放送に適しない場所を、これを使ってくれ、ここは由緒があるからぜひ使ってくれというケースだってあるわけです。そうすると、ふだんの放送以外にいろいろな設備を投入したり、あるいは舞台をつくったりカメラ台をつくったりというようなことをしなければいけませんから、その分をそれじゃ自治体の方で持ってあげるというようなところで話し合いが行われるわけです。ですから、個々のケースがいろいろ違いますから、一括しては申し上げられないという感じがいたします。
  189. 大矢卓史

    ○大矢委員 ですから、そういう状態で、何もないところへ行ってやれと言ってやる場合は、それはかかると思うのですよ。だけれども、普通の場合に現地に行かれる場合はどの程度かというような、ここだったらやらぬ方がよろしいよということでやられる場合で、大体どの程度の負担までが普通かなと。これじゃこれ以上かかるからやめておきなさいという場合、これはもう地方自治体とおっしゃるのですから、地方自治体というのはやはりみんな議会で承認を得なければいかぬですね。NHKさんはNHKさんで、初め言われた、自分のところで記念行事をやられる場合はもう一〇〇%持たれるのは当たり前のことですけれども。今ずっと行っておられますね。だから、今行っている中で、一般的に百万円が妥当なのか、二百万円が妥当なのか、三百万円が妥当なのか、一体どの程度なら普通だとお思いになりますか。
  190. 中村和夫

    中村参考人 今会長説明しましたように、その会場によっていろいろケースが違いますので一概には申せませんが、こういう設備が必要だということを自治体にお話をして、自治体がその手配をして払っていただけるという形になっておりまして、私どもの推測でございますが、市民会館等の相当きちんとした設備の場合百万円ぐらいなのかなと、体育館等いろいろな点で手を入れなければいけないというようなところで三百万ぐらいなのかなという見当はございます。
  191. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういう考え方でやっていらっしゃると思います。ところが、体育館の場合は五百万かかっているのですよ。現実にかかっている、僕は聞いてきた。だから、それはいいとか悪いとか、五百万かかろうが一千万かかろうが、来てくださいというところは何ぼでもあると思いますよ。あるのですけれども、やはりそこらが、今おっしゃったような百万、二百万、三百万というのが常識なら、常識程度のことでやれるということでないと、前に何かいろいろと新聞に載ったことがありますけれども、そういうことを――やはり当然金は要ると私は思います。何でもいいから来てくれということではないでしょうけれども、やはりその地元の負担というものが今おっしゃったような程度の、常識的な程度でないと、やはり議会も通しにくいなというみんな苦労もあるわけですね。ですから、現実には一生懸命やっておられる中で、そういう負担もあるなということをやはりおわかり願いたいなと思います。  今度会館で、いろいろな会館を今ずっと日本全国持っていらっしゃいますけれども、なかなかリストラのせいか何か、地方の会館の中でのスタジオを使うのがこのごろ非常に難しくなっているなと。というのは、番組がなかなか地方で振れないなということがあると思うのですけれども、実際にどの程度のスタジオが今、日本全国ずっと局がありますね、やはりそこそこのところにはみんなスタジオがあるのですけれども、現場の方、仕事をしたいにもなかなか仕事ができぬというようなこともあるようですけれども、その点とういうふうにお感じでございますか。
  192. 中村和夫

    中村参考人 全国にございますNHKの放送局が、自分のエリアのそういうホール、そのホールの性能、これからの建築予定等々は一応把握しております。ただ、先ほど御質問がございましたように、公開放送というのは地域的な偏りがないようにバランスよく組み立てますので、そういう把握をしている事実と、地域の偏りがないようなバランスと、そこの整合性の上に立って公開番組は開かれますので、そういうことを把握していることが邸公開番組に結びつくということではございません。それから、御承知のように公開放送については大変御要望が多うございまして、今年度は昨年度の倍、二百四十本以上ふやしておりまして、現在五百四十一本で公開放送をやっておりまして、こういう形での展開はこれからも続けていきたいと思っております。
  193. 大矢卓史

    ○大矢委員 話が戻りましたのでまた言いますけれども、担当者がそういう一つ一つの番組で違うのかどうか知りませんけれども、全体で締めくくっているところはあると思いますけれども、やはりその基準が一般にはわからないわけです。今あまねくずっと回っておりますと言うけれども、その担当者がかわりますと、その人のあれでしますので、そこらもみんなにわかりやすいようにやっていただいた方がいいと思う。私がお聞きしたのは、NHKの各放送局がありますね、そのスタジオが今地方で余り使われてない、全部余っているのと違うかというようなことを僕もお聞きしましたので、その点いかがですかということをちょっとお聞きしたのです。
  194. 中村和夫

    中村参考人 お答えいたします。  NHKのスタジオの利用度については、いろいろな形で今その利用度を上げるようにいたしております。ただ、そのスタジオの使い勝手それから規模がまちまちでございますので、その持っているスタジオがどれだけ適した番組を出せるのかということとの見合いで、各放送局が持っているスタジオの利用、その促進を図っていきたいと思っております。
  195. 大矢卓史

    ○大矢委員 現場の人は一生懸命頑張っていらっしゃるのですけれども、なかなか現場のそういう人が働く場所がなくなってきたというのが現実のようでありますので、やはりそれだけの大きな、すべてのところに局を持っていらっしゃるのですから、それはそれなりに、現場の人がやはり働きがいのあるような彩で、今おっしゃるようにずっと使っていただければいいな、これは要望いたしておきます。  それから、今の会館のことで、大阪が建てかえの資料をいただきました。それで、東京のNHKホールというのは三千句ぼですか、キャパが非常に大きくて、御専門の音楽中心のものですけれども、大阪のものは千五百ほどだそうである。多目的ホールというのは結局何にも使えないホールになってしまいますので、その東京の三千何ぼと大阪の千五百ということになりますと、千五百で、その使い道が何でもええねん、何でも使うねんという、いわゆる町の公共事業の自治体のホールと違いまして、やはりNHKのつくられるホールというのは、東京で音楽をやるなら、こちらではどういうものをやるんだという計画性で建てられないと、やはり音楽を中心にやっていくということになると、千五百でしたらキャパとしては合わないわけですね。  これを東京でつくり、大阪でつくって、当然東京でもやってもらい、大阪でやってもらうということになりますと、今予定を見ておりますと、東京のホールはやはり週に何回か使っていらっしゃいますから、一般の人が使おうとしてもなかなか使えないということもありますし、また使いたいにも非常に高くて使えない。というのは、もちろん貸し賃もそうですけれども、すべてNHKサービスがやっていただくサービスが非常に懇切丁寧で、高くついてどうにもならぬということのようでありますけれども、これがまた、大阪は大阪でそういう番組をやっていただくということになると、やはり一般にも利用していただかなければならぬ。そのときにも、やはり東京は東京でどういうものをやるんだ、大阪の千五百はどういうものをやるんだということでおやりにならないと、何となしに東京のホールの小型をつくったんだということでは、利用される場合非常に、これは専門家の方が全部いらっしゃるのですから、そういうこともよく考えて、多目的ホールということでなしに、多目的ホールというのは何にも使えないホールだと言われていますように、東京は東京で、三千何ぼというのは専門の歌の方のやつでいきますと非常にいいようでありますけれども、大阪の千五百ですともう歌の関係では採算がとれないとも言われております。一般のところで千五百や千八百というのは市民ホールでも幾らでもありますので、やっていただくのは非常にいいのですけれども、どういう形でどういうものを主にやるホールになるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  196. 齊藤暁

    ○齊藤参考人 大阪のホールはこれからつくるホールでございますが、その場所場所に合わせてどのぐらいの規模のホールが適当かということは、いろいろ条件が違うと思います。音響設備さえ非常に優秀であれば千人規模でもコンサートもできますし、いろいろ多目的に使える。特に大阪の場合は、大阪局の希望としてはもっと大きい希望もございましたけれども、千五百規模であれば非常にいろいろな多角的な使用が可能だ。もちろん、公開番組を含めまして、大阪放送局としてのいろいろな文化活動なり放送番組等への利用を考えて有効に使う。同時に、大阪市の方からの要請もございまして、文化拠点として一つイメージされて、大阪市と一緒に建てる建物ですから、そういった意味で、このホールを単にNHK協会関係だけじゃなくて、広く市を含めて大阪周辺の方々の文化の拠点として有効に使いたいということで、千五百名程度の、かえってその方が使いやすいという意味で私どもは考えましたということでございます。
  197. 大矢卓史

    ○大矢委員 ちょっと意見が違うのですけれども、それはそれで、ないよりはましですから、やってください。  あと、この間、NHKを見させていただいたときに、非常に記録の映像をたくさん置いておられて、戦時中のニュース番組を買われて保存されていらっしゃいますけれども、これ今のNHKでも、だんだんそういうソフトが多くなりますと、あそこではもたないということがありますし、また、いろいろな放送に関する歴史的なものを保管していくということになりますと何か別な方法を考えなければならぬ。  先ほど申しましたように、それはそれで、NHKさんがそういうものを収集して保管していくということもありますけれども、やはりその取りまとめの郵政大臣の方でそういうものを集めて、ともかく、東京一局では、これは会社ももしものことがあったら全部なくなりますから、灰になってしまいますから、やはり各会社は全部データは東京以外のところに持っていますので、関西方面でもそういうものを保管するところを、先ほど言いましたNHKの受信料じゃなしに、やはり国の方でも何かそういうものを保存するものを考えなければならぬのじゃないかと思いますけれども、よろしかったら、大臣ちょっとお考えをお聞かせ願いたい。
  198. 大出俊

    大出国務大臣 ちょっとどうも私の答弁は、やはり特殊な、いろいろな事情があると思いますので、ちょっと私から申し上げにくいと思うのですが、恐縮ですが……。
  199. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういう質問があったということも含めて、これからもよくお考え願いたいと思います。  そこで、時間がないようでございますので、特に、会長さん十八番の、紅白の川口川口の紅白かと言われているその紅白についてお尋ねをいたしたいのです。  紅白は、我々が年を越す年末の国民的な行事だと思っておって、そのときだけはずっとくぎづけであれを見ておるという方が非常に多いと思います。ただ、それがだんだん人が見なくなるということは、いろいろな移り変わりもあるでしょうけれども、それをおつくりになった会長としては、やはりこれを充実をしていっていただければこそ、それを縮小するというようなことはいかがなものかと私は思うのです。何かことし、紅白が少し変わるのではないかというふうに言われているのですけれども、その点そういうことのないようにもしていただきたいのですけれども、何か、今進んでいる話の中でいろいろなことがあって、もう決まってしまっておるのか、それとも、やはり従来どおり、せっかく川口体制になって紅白が小さくなっていくということがいいのかどうかということも含めてお答え願いたい。
  200. 川口幹夫

    川口参考人 私は、紅白の川口ではございませんで、今は会長川口でございます。したがって、紅白も一番組というとらえ方をしますけれども、今回時間を短縮しましたのは決して縮小するという意味ではございませんで、中身を充実しよう。あの長い長い時間、三時間何分でしたか、七時半から始める、七時二十分から始めるということですと物すごく長い時間かかるわけです。そうするとかえってだらだらと中身が締まらないという御評価もあるわけです。番組をつくっている者としてはできるだけ締まった形でもって、緊張感のあふれる紅白にしたいというふうなことで時間の短縮が行われるというふうに決まったものだと思います。
  201. 大矢卓史

    ○大矢委員 これも、逆に言いますと、短ければ短いほど人選される人が少なくなるわけですね。それを裏返して言いますと、NHKに出なくてももういいのだというふうになる。逆に今までは、NHKに出ることが、その人たちが来年に向けての、それまでの長い間の努力が実ってきたということで、光栄に思い、またこれから前進していくということですけれども、それが短くなって人選も少なくなって、ああそうですかということはNHKにとっても非常に寂しいことだと思うのです。  これは、NHKだけでなしに、テレビ界そのものがこれから変わっていく。ですから、言われておりますマルチメディアになってきたら結局、今はNHKさん非常に力があって、またテレビが全部力があって、それを皆さん見なさいよということで、すべて万能であるということですけれども、マルチメディアの時代になりますというと、今度は見る方がそれを選んでいくという立場になります。これはきょうあしたの話じゃないですけれどもね。  そういうことで、やはり将来はそういうふうに変わっていく。そういうことで、私は、やはり発想の転換をしながら将来を考えないと、もう幾ら、受信料今のままでもよろしいと言っても払う人がなくなってくる。向こうが選んでくる。マルチメディアというのは向こうが選ぶ方の立場ですから。これはもうNHKさんだけではなしに、民放はもちろんただですけれども、そういうことでやはり様子が変わってくる。  ですから私は、そういうことでやはり国が持つべきものは持っていく、そして、今NHKに日夜非常に御努力願っておる、それはわかりますので、それを一層御努力していただく。そういうことで、やはりこれから持つべきものは、郵政省なり大蔵省に言わせますと、今御答弁ございましたように、郵政省が要求してきた、要求してこないものまでをつけるわけにいきませんけれども、要求してきたものはやはりつけていくという方針のようでありますので、そこらは、先ほど申しました犬養逓信大臣で大きな変革を遂げたように、これから大出郵政大臣で、この業界が大きく変革を遂げられるだけの実力を持っていらっしゃる大臣でございますので、御努力願えればということを申し上げて、最後に一言、そのことでお答え願って質問を終わらせていただきます。
  202. 大出俊

    大出国務大臣 貴重な御意見を数々いただきましたが、一生懸命やってみたいと思っておりますが。
  203. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員長代理 次に、矢島恒夫君。
  204. 矢島恒夫

    ○矢島委員 けさほど委員長に許可していただいている資料配付をまずさせていただきたいと思います。お願いします。
  205. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員長代理 どうぞ。
  206. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今配付していただいております資料は、ことしの三月、NHK予算審議のときにNHKの関連会社の一つであるNHKアイテックの海外事業本部が作成したものとして、放送関係のODA問題について私が質問したときに、委員長、大臣、それから川口会長一数名の方にお配りした資料であります。そのときは委員に配付しておりませんので、きょうはまず委員の皆さん方にも配付したというわけです。  そこにありますように、海外事業本部が作成した「平成年度以降の経済協力案件御説明資料」、こういうことで、そのときにも私申し上げましたけれども、入札も終わっていない段階でプロジェクトごとに受注する商社やメーカーの名前が記入されている、こういう問題を取り上げたわけであります。  そのときも私指摘しましたが、ODAにおける無償援助というのは要請主義になっている。いわゆる援助を受ける相手国からこういう援助が欲しい、こういう要請があって初めて動き出す。そして受注者は入札をもって決定する。ところがこの文書では、「要請促進中」という表現もその備考欄の方にあるように、いわゆる相手国に日本に対してこういう援助を要請しなさい、こういう働きかけを行っているようにうかがえるわけです。そのことを私は予算の審議のときに質問したわけであります。さらにその備考欄の後ろには、この要請を促進し、受注するところの業者名までが入っているわけであります。この文書を見ますと、放送関連のODAの問題で商社やメーカーの談合が行われている、こういう疑惑を持たざるを得ないわけです。  まず確認したいわけですけれども、この文書は、NHKアイテックの海外事業本部が作成したものに間違いないかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  207. 齊藤暁

    ○齊藤参考人 この資料につきまして、私どもからNHKアイテックに照会をしました。確認をいたしました。ODA案件の対象となる可能性のある各国の放送局建設などの計画の動向の調査結果、これをNHKアイテックがまとめたものということがわかりました。
  208. 矢島恒夫

    ○矢島委員 その問い合わせの中で、NHKアイテックの海外事業本部が作成したものに間違いない、こういうことを確認したいと思いますが、関心を持っている企業を参考までに記入したと。  ところで、そこの中に「要請促進中」というのがありますが、これらの問題、あるいはその作成の備考欄に記入されている企業名、こういうものはなぜ記入しであるかについて、御説明いただきたい。
  209. 齊藤暁

    ○齊藤参考人 まず、「要請有」あるいは「要請促進中」という記述についてでございますが、「要請有」というのは、既に我が国政府に当該国から要請があったものというふうに聞いております。それから、「要請促進中」と表記されております件につきましては、現地放送機関が、可能な限りODA援助が実現できるように、当該国の政府に対して要望をしている状況にあることを「要請促進中」と、当該国の中の状況を記載しているということでございます。
  210. 矢島恒夫

    ○矢島委員 なかなか難しい答弁でございまして、「要請有」はわかりましたが、「要請促進中」というのは極めて微妙だと思うわけですけれども、この文書は確かにNHKアイテックが作成した内部文書であると。  しかし、このことによって私が疑惑を持ったのは談合の問題なのですけれども、郵政省はこの件について、やはり私の質問の後調査をしたと思いますけれども、NHKアイテックは放送関係のODAでコンサルタント業務を行っているわけですが、本来コンサルタント業務というのは中立的なものでなければならない。どの商社が関心を持っているか、その関心を持っている企業を参考までに記入したなどということで作成をされていること、まことに不可思議なことだと思うのですが、郵政省のその後の調査の結果について御報告いただきたい。
  211. 江川晃正

    ○江川政府委員 この資料につきましては、NHKアイテックが自社のノウハウを活用して、独自に収集した情報を私的にまとめたものであるというふうに承知しております。  それから、このアイテックが経済協力に関するコンサルタントとして、ODA対象となる可能性があるプロジェクトについて情報を収集することは、業務遂行上当然のことであろう、そういうふうに考えております。  以上でございます。
  212. 矢島恒夫

    ○矢島委員 江川局長のその調査の中で、談合というようなものはなかったという結論ですか。
  213. 江川晃正

    ○江川政府委員 このNHKアイテックの問題につきましては、私どもの方はじかに調べているというわけではありませんで、NHKがアイテックについていろいろ調べたその話を聞いて、判断しているところでございます。
  214. 矢島恒夫

    ○矢島委員 NHKに同じ質問ですけれども、談合についての問題はどういうような状況でしょうか。     〔遠藤(乙)委員長代理退席、委員長着席〕
  215. 齊藤暁

    ○齊藤参考人 全くそういう話は聞いておりません。NHKアイテックは、海外における技術提供等のためにコンサルタント業務をする会社として指定を受けております。その指定に従って業務を受注しているということでございまして、その仕事を進めるに当たりましては、公平な立場できちっと業務を遂行するということを心がけておると聞いております。
  216. 矢島恒夫

    ○矢島委員 要するに、談合はない、JICAがこれを取り仕切っているということもありまして、きちんとやっているはずだということを私一度御説明を受けました。  しかし、その論拠というものが本当に信用できるのかということは、九月六日の日に公正取引委員会が、ODAの談合疑惑で、この配付いたしました文書の中にも名前が出てくる我が国の名立たる商社等三十数社を立入検査を行ったわけですね。これは直接的には技術協力の機材調達に関する分野でありますけれども、JICAが入札を行っているにもかかわらず、談合が行われているという疑惑が浮上したわけであります。公正取引委員会が立入検査を行うという事態が起こったわけであります。この事実からも、前にもお聞きしたJICAが厳正にやっているということなどは、どうもこのことでは説得力がないのではないか。  調べた結果、談合はないというわけですが、どういう調べ方をしたかも私ども聞きたいし、また、その資料等も要求したわけですが、実際には私どもの方には、手元には来ませんでした。  そこで、この問題についていろいろと報道されていることは、もう御案内だと思います、いわゆる公正取引委員会が立入検査を行ったということについては。特に、無償供与にこの談合の本丸があるんだ、こういう書き方をした新聞もあるわけであります。例えば、外務省のODA責任者であります経済協力局長は、九月十二日発売のアメリカのニューズウィークのインタビューに答えているわけですが、それによりますと、長年にわたって大手商社によるODA談合のうわさを聞いたことを認めているわけですが、その上で、我々はうわさだけに基づいて調査を行うことはできないという弁明もしておりました。  言うまでもなく、無償供与やあるいは技術協力、こういうものは国民の税金を使ってやるわけであります。だからこそ納税者への還元という趣旨で、無償供与と技術協力というのは日本の企業が受注する仕組みになっているわけです。ここで談合が行われて価格がつり上げられているとしたら、これは税金のむだ遣いであると同時に、まさに国際的に日本の信用が失墜することになるわけであります。  大臣にお聞きしたいのですが、以上のような状況の中で、大手商社ぐるみのODA談合疑惑ヘメスが入れられようとしているわけです、今現在。ですから、この放送関係のODAについてももう一歩踏み込んだ調査が必要ではないか、こう思うわけですが、大臣いかがでしょうか。
  217. 江川晃正

    ○江川政府委員 NHKアイテックはコンサルタント業務を行っている会社でございますから、業者に対して中立を守り、また適正に行っていると考えるのが、これが常識ではないかと思います。もしそれがそうでなければ、ほかの会社がNHKアイテックを使わなくなることになってしまいます。  そこで、NHKアイテックはシンクタンクですから、ODA候補案件について独自に情報を集めるときに、そのプロジェクトにだれが関心を持っているかということが情報として集まってくるのも、これまたごく自然じゃないかと思います。そういう情報が集まったものを備考に書き、結果としてそこが落札したということをもってそれが談合だと決めつける積極的理由はないのではないかと考えております。
  218. 矢島恒夫

    ○矢島委員 局長は今、中立的なものであるからそんなことはないんだ。そのような答弁でこの問題を解決すべきではない。  委員長、私もう一つ内部資料を資料として配付したいのですが、よろしくお願いします。
  219. 高橋一郎

    高橋委員長 どうぞ。
  220. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今配付させていただいた「業務委託契約書」というものであります。これは見ていただければおわかりいただけると思いますが、NHKアイテックと日本電気、ソニー、日商岩井の間で取り交わされた業務委託契約書であります。委託内容は、カンボジア国の放送局整備プロジェクトに関して放送機器のシステム設計あるいは適合性評価、こういうことであります。  郵政省から、私、平成元年から平成五年分までの放送関係のODAの実績をいただきました。この平成五年までの実績の中には、このプロジェクトは入っておりません。これらの商社とメーカーが、次のODAをにらんで、準備作業としてNHKアイテックに、カンボジアにはどんな放送機器を入れたらよいのかなとの調査を依頼しているわけであります。  問題は、NHKアイテックは、放送関係のODAのコンサルタント業務をほとんど一手に引き受けている。このコンサルタント業務というのは、開発途上国へ援助をする場合、相手国にとってどのようなシステムや設備をつくったらいいのかなと、技術協力を含めてコンサルタントを引き受けているものであります。  これは個別のプロジェクトでいいますと、日本の援助を供与する開発途上国との間にまず交換公文を交わす。それでコンサルタント契約が結ばれる。そのコンサルタントを踏まえて入札図書が作成されて、入札が行われる。これが一つの順序だと思います。  このカンボジアの件では、交換公文が交わされるはるか以前に、カンボジアでどのような放送局をつくったら幾らかかるか、メーカーと商社に委託されて調査をしているわけであります。もしこの後日本がカンボジアに対して放送局設置の無償援助をすることになれば、これは大いに威力を発揮する調査であります。何しろカンボジアでコンサルタント業務をやり、詳細設計やあるいは施工管理をやることになる業者に事前に同じような調査をさせて、そして資料を入手する。しかも秘密厳守ということをさせているわけであります。その内容については、今お配りした文書の中にあるとおりです。  これで幾ら厳正に入札をやっても、情報は筒抜けではないのか。ここに示されているように、問題はかなり深刻なんですよ。深刻な認識を持って、コンサルタント会社というのは中立だから大丈夫だとか、あるいはJICAがやっているから大丈夫だとかいうのではなくて、こういう問題をもっと真剣に厳正な調査をしなければいけないんだ、このことを私要求するわけですが、大臣、このことについていかがでしょう。
  221. 江川晃正

    ○江川政府委員 この資料はどういう正当な存在根拠を持ってここにあるのか、私にはわかりませんし、どういう意味合いのペーパーなのかについてもわかりません。したがいまして、先生これに基づいてるる御質問なさいましたが、今直ちにこれについてお答えできる状態にはございません。
  222. 矢島恒夫

    ○矢島委員 もちろんNHKとしても、この委託契約書なるものは今私お渡ししたものですから、すぐに即答というわけにいかないかもしれませんが、調査するという件について、NHK並びに郵政省はどうお考えですか。
  223. 江川晃正

    ○江川政府委員 これの本物であるかどうかということも含めまして、かつ、それがどういう意味合いでこれが存在しているかということなども含めまして、調査するかどうかも含めて、後に検討してみたいと思います。
  224. 矢島恒夫

    ○矢島委員 これが本物であるかどうかというのは調査するのですか。
  225. 江川晃正

    ○江川政府委員 いろいろなことを含めまして検討すると申し上げました。
  226. 矢島恒夫

    ○矢島委員 こういう問題が、今実際にODA問題で公取の立入検査が技術協力の機材調達という分野で行われているわけですけれども、これは氷山の一角だと言われているわけですし、公正取引委員会のこういう立入検査もさらに広がるであろうということも言われているわけであります。実際にいろいろな問題が起き上がってきてから慌ててあれこれやるのではなくて、みずからこの資料についてきちんと調査し、ぜひ御報告をいただきたいと思います。  次の質問に入ります。  このNHKアイテックを含めて、NHKの名前を頭につけた関連会社が幾つかあります。NHKグループという言い方をする場合もあります。これらは株式会社ではありますが、公共放送であるNHKから出資を受け、そしてNHKの名前を冠しているわけであります。ですから、その行動というのはやはり視聴者の誤解を受けないようにしなければならないと私は思うわけであります。  これらのNHK関連企業の宣伝活動だとかあるいは各種のイベントヘの参加、こういうものも含めて、いやしくも特定の企業や団体と特殊な関係にあるような誤解を受けるようなことがあっては、NHK本体のイメージを傷つけるものであり、公平、公正、こういう立場を十分にわきまえていかなきゃならない問題だろうと思いますが、会長、いかがでしょうか。     〔委員長退席、河村(た)委員長代理着席〕
  227. 川口幹夫

    川口参考人 NHK出版は関連団体の中でも非常に大きな出版会社でありますが、その出版会社が広告ということによって営業行為をいたし、そして出版というものをより盛んにしよう、これは当然の行為だと思うのです。  そこで、今、載せる広告媒体をもっと選べというふうな御意見だと思いますが、そのことについては、十分いろいろなことを考えた上で出版協会としては依頼をしているのだろうと思います。ただ、それがあるいは適切でないというケースがあるならば、それはそれとして受けとめて、今後の問題として、私は出版協会の方にも注意をしたいというふうに思っております。
  228. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今、私がまだ質問をしていない、つまり、NHKの名前をかぶせたいろいろな関連の企業あるいは出資している会社があるわけですが、そういう、NHKという名前がつけば、やはり一般的にNHKそのもののいろいろなイメージや何かがつくようになるだろう。そういうところも慎重にやらなきゃならないだろう。その中に出版協会というのも一つはあるとは思いますけれども、私の質問は、そういう点をやはりきちんとしていく、それは出版協会だけではなくて、その名前をかぶせているものについてはそのことも含めて慎重にやっていく必要があるのだろう、こういう質問をしたわけなのです。  時間の関係もありますし、今NHK出版協会ということが出ましたので、それについての会長の答弁が既になされているということですので、具体的に、その中身というのはこういうことでございます。  ここに国民政治協会が発行しております新聞がございます。ここにNHKの出版協会の広告が載っているわけであります。実は、この国民政治協会の機関紙ですが、大体NHK出版協会の本の広告ですけれども、ほぼ定期的に広告が掲載されているわけであります。  もちろん、この国民政治協会については、御案内のとおり政治資金規正法による自民党の政治資金団体に指定されているわけですが、ここでその組織の問題や活動の問題を私はとやかく言うものではありません。結局、特定の政党の政治資金を集めることを主たる活動としている団体の機関紙に、NHK出版協会というNHKから出資を受けている関連団体、これが広告を掲載する。やはりNHKの公平、公正のイメージが損なわれないかと考えるわけですが、いかがですか。     〔河村(た)委員長代理退席、委員長着席〕
  229. 齊藤暁

    ○齊藤参考人 御指摘の件につきましては、先ほど会長が申し上げましたが、出版協会として、多様な読者層を開拓するためにさまざまな媒体を使って販売促進活動を行っております。このケースもその活動の一つであるというふうに聞いております。  個々のケースにつきましては、出版協会が独自の判断で、総合的な判断の中で対応していると思いますけれども、NHKとしましては、公共放送NHKのパートナーとしてそれにふさわしい判断をするように絶えず指導もしておりますし、出版協会としてもそういう判断に基づいてのことだと思っております。
  230. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今お答えにあったように、広告というのはやはり自分のところで出版しているものが多くの方に知られるように、つまりその効果というものを考えて広告を載せるのだろうと思うのです。  それで、この新聞に広告を出すことによってどれだけの効果があるのかという点なんですけれども、ことしの九月九日の官報に、それぞれの政党、政治団体の政治資金報告が出されております。国民政治協会の機関紙の発行事業費は五千二百二十四万六千七百五十六円となっています。これを健の政党の機関紙の発行事業費というものと比較してみたのですが、例えば、私ども日本共産党は二百二十二億五千五十六万円であります。これがいわゆる機関紙、赤旗の発行部数で二百数十万部。それから自民党の機関紙が二十三億一千六百二十一万円。社会党が二十億二千四百九十六万円。民社党は四億六千百八十五万円。これらと比較しましても、けた違いにこの国民政治協会の機関紙の出版にかかわっている経費というのは少ないわけです。  おおよそ二十万部と聞いたこともありますけれども、広告というのがその効果というものを考えていくならば、果たしてここに載せることが効果があるのか、こういうことを疑いたくなるわけであります。それで、えてしてありがちな、おつき合いとか、こういうことでの広告掲載というのがあります。少なくともこの場合、広告掲載という形をとったところの政治資金の提供という疑いさえ持だれかねないわけであります。  あくまで広告のいわゆる掲載基準、広告効果が第一であるというのであるならば、ひとつこの広告の掲載料、それから広告主であるNHK出版協会が判断した具体的な効果、例えば発行部数は幾つでこうなっているという客観的な材料を提示していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  231. 齊藤暁

    ○齊藤参考人 非常に詳細なデータは今手元にございませんが、国民政治協会の紙の発行部数は二万余りと聞いております。  今回の出版協会の掲載料でございますが、十五万円というふうに聞いております。
  232. 矢島恒夫

    ○矢島委員 やはり広告を出す以上は、その広告の効果ということだろうと思います。そういう疑いを持たれるような形での問題については、先ほど会長さんも言われましたけれども、いろいろな場面で慎重な取り扱いというのを今後ともぜひお願いしたいと思います。  最後に、今回審議されている平成年度決算について一言述べていきたいと思います。  実は、平成年度の予算案では受信料の大幅な値上げが実施されたわけであります。しかも、この年は二月に解散・総選挙が行われました。その結果、三月に入ってからNHK予算案等値上げ案が発表されて、わずか二週間ぐらいの後には、つまり三月下旬には値上げ案が審議される、それで承認された。そこで、視聴者やあるいは国民の合意形成はおろか、意見を聞くことすらままならない状況であったというのがあのときの状況でした。  こうしたことから、我が党はこの平成年度予算案、大幅な受信料値上げを拙速で行うということには反対いたしました。そういうことで、この決算にも賛成することはできない。  なお、平成年度分につきましては、特に異議はない、このことを表明して質問を終わりたいと思います。
  233. 高橋一郎

    高橋委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。  速記をとめてください。     〔速記中止〕     〔委員長退席、遠藤(乙)委員長代理着席〕     〔遠藤(乙)委員長代理退席、委員長着席〕
  234. 高橋一郎

    高橋委員長 速記を起こしてください。  この際、暫時休憩いたします。     午後五時十五分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕      ――――◇―――――