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1994-11-29 第131回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年十一月二十九日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 粟屋 敏信君    理事 塩谷  立君 理事 谷  洋一君    理事 中馬 弘毅君 理事 穂積 良行君    理事 山名 靖英君 理事 吉田 公一君    理事 米田 建三君 理事 北沢 清功君       石橋 一弥君    金田 英行君       栗原 裕康君    田中 直紀君       西田  司君    蓮実  進君       平泉  渉君    青山  丘君       石破  茂君    長内 順一君       佐藤 茂樹君    星野 行男君       増田 敏男君    渡辺浩一郎君       池田 隆一君    遠藤  登君       加藤 万吉君    畠山健治郎君       濱田 健一君    前原 誠司君       穀田 恵二君    遠藤 利明君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     野中 広務君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       菅沼 清高君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁生活安全         局長      中田 恒夫君         警察庁刑事局長 垣見  隆君         警察庁交通局長 田中 節夫君         自治大臣官房長 秋本 敏文君         自治大臣官房総         務審議官    二橋 正弘君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局公         員部長     鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 滝   実君  委員外出席者         総務庁行政管理         局管理長    福井 良次君         農林水産大臣官         房企画室長   渡辺 好明君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     小畑 勝裕君         農林水産省構造         改善局農政部就         業改善課長   新庄 忠夫君         地方行政委員会         調査室長    前川 尚美君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十六日  辞任         補欠選任   佐藤 茂樹君     二見 伸明君 同日  辞任         補欠選任   二見 伸明君     佐藤 茂樹君 同月二十九日  辞任         補欠選任   平林 鴻三君     金田 英行君   阿部 昭吾君     渡辺浩一郎君   石破  茂君     星野 行男君   池田 隆一君     濱田 健一君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     平林 鴻三君   星野 行男君     石破  茂君   渡辺浩一郎君     阿部 昭吾君   濱田 健一君     池田 隆一君     ――――――――――――― 十月二十八日  固定資産評価替え反対等に関する請願穀田恵  二君紹介)(第九二号)  同(寺前巖紹介)(第九三号)  同(東中光雄紹介)(第九四号)  同(藤田スミ紹介)(第九五号)  同(正森成二君紹介)(第九六号)  同(吉井英勝紹介)(第九七号)  特別地方消費税撤廃に関する請願田中秀征  君紹介)(第一四七号) 十一月九日  特別地方消費税撤廃に関する請願外一件(佐  藤敬夫紹介)(第一五七号)  同(宇野宗佑紹介)(第一九四号)  同(浦野烋興君紹介)(第一九五号)  同(小川元紹介)(第一九六号)  同(小渕恵三紹介)(第一九七号)  同(尾身幸次紹介)(第一九八号)  同(大原一三紹介)(第一九九号)  同(岸田文雄紹介)(第二〇〇号)  同(久間章生紹介)(第二〇一号)  同(坂井隆憲紹介)(第二〇二号)  同(野呂田芳成君紹介)(第二〇三号)  同(二田孝治紹介)(第二〇四号)  同(保利耕輔君紹介)(第二〇五号)  同(町村信孝紹介)(第二〇六号)  同(御法川英文紹介)(第二〇七号)  同(村田敬次郎紹介)(第二〇八号)  同外一件(持永和見紹介)(第二〇九号)  同(山下徳夫紹介)(第二一〇号)  同(山本有二紹介)(第二一一号)  同(若林正俊紹介)(第二一二号)  同(池田行彦紹介)(第二四六号)  同(梶山静六紹介)(第二四七号)  同(武部勤紹介)(第二四八号)  同(丹羽雄哉紹介)(第二四九号)  同(葉梨信行紹介)(第二五〇号)  同(村山達雄紹介)(第二五一号)  同(簗瀬進紹介)(第二七〇号)  同(相沢英之紹介)(第二八七号)  同外一件(稲葉大和紹介)(第二八八号)  同(高村正彦紹介)(第二八九号)  同(佐藤孝行紹介)(第二九〇号)  同(桜井新紹介)(第二九一号)  同(田中直紀紹介)(第二九二号)  同(谷洋一紹介)(第二九三号)  同(戸井田三郎紹介)(第二九四号)  同(長勢甚遠君紹介)(第二九五号)  同(平沼赳夫紹介)(第二九六号)  同(平林鴻三君紹介)(第二九七号)  同(村岡兼造君紹介)(第二九八号)  同(渡辺美智雄紹介)(第二九九号) 同月十五日  特別地方消費税撤廃に関する請願阿部昭吾  君紹介)(第三四一号)  同(鹿野道彦紹介)(第三四二号)  同(増子輝彦紹介)(第三四三号)  同(江藤隆美紹介)(第三五六号)  同(岸本光造紹介)(第三五七号)  同(佐藤剛男紹介)(第三五八号)  同(坂上富男紹介)(第三五九号)  同(住博司紹介)(第三六〇号)  同(高鳥修紹介)(第三六一号)  同(根本匠紹介)(第三六二号)  同(穂積良行紹介)(第三六三号)  同(小里貞利紹介)(第四〇六号)  同(奥野誠亮紹介)(第四〇七号)  同(中村正三郎紹介)(第四〇八号)  同(額賀福志郎紹介)(第四〇九号)  同(鳩山由紀夫紹介)(第四三七号)  同(三原朝彦紹介)(第四三八号)  同外一件(山本拓紹介)(第四三九号)  同(金子一義紹介)(第四五八号)  同(中山利生紹介)(第四五九号)  同(藤井孝男紹介)(第四六〇号)  同(武藤嘉文紹介)(第四六一号)  同(森英介紹介)(第四六二号)  土地税制住民税に関する請願牧野聖修君紹  介)(第三五五号)  同(蓮実進紹介)(第四一〇号)  同(宇野宗佑紹介)(第四六三号)  同(金子原二郎紹介)(第四六四号)  同(原田昇左右紹介)(第四六五号)  同(宮崎茂一紹介)(第四六六号) 同月十七日  特別地方消費税撤廃に関する請願鈴木俊一  君紹介)(第五五二号)  同(日笠勝之紹介)(第五五三号)  同(逢沢一郎紹介)(第六一一号)  同(麻生太郎紹介)(第六一二号)  同(石橋一弥紹介)(第六二三号)  同(今津寛紹介)(第六一四号)  同(越智通雄紹介)(第六一五号)  同(粕谷茂紹介)(第六一六号)  同(細田博之紹介)(第六一七号)  同(小沢一郎紹介)(第六六九号)  同(奥田幹生紹介)(第六七〇号)  同(二階俊博君紹介)(第六七一号)  同(船田元紹介)(第六七二号)  同(前田武志紹介)(第六七三号)  同(村井仁紹介)(第六七四号)  同(渡部恒三紹介)(第六七五号)  同(伊吹文明君紹介)(第七四四号)  同(柿澤弘治紹介)(第七四五号)  同(坂本剛二君紹介)(第七四六号)  同(鳩山邦夫紹介)(第七四七号)  同(細田博之紹介)(第七四八号)  土地税制住民税に関する請願小里貞利君紹  介)(第五五四号)  同(持永和見紹介)(第五五五号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第五五六号)  同(伊藤公介紹介)(第六一八号)  同(越智通雄紹介)(第六一九号)  同(笹川堯君紹介)(第六二〇号)  同(田口健二紹介)(第六二一号)  同(中馬弘毅紹介)(第六二二号)  同(永井孝信紹介)(第六二三号)  同(西岡武夫紹介)(第六二四号)  同(堀之内久男紹介)(第六二五号)  同(麻生太郎紹介)(第六七六号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第六七七号)  同(石原伸晃紹介)(第六七八号)  同(江藤隆美紹介)(第六七九号)  同(大野功統紹介)(第六八〇号)  同(岸本光造紹介)(第六八一号)  同(久野統一郎紹介)(第六八二号)  同(近藤鉄雄紹介)(第六八三号)  同(佐田玄一郎紹介)(第六八四号)  同(七条明君紹介)(第六八五号)  同(島村宜伸紹介)(第六八六号)  同(鈴木俊一紹介)(第六八七号)  同(中尾栄一紹介)(第六八八号)  同(浜野剛紹介)(第六八九号)  同(原健三郎紹介)(第六九〇号)  同(原田憲紹介)(第六九一号)  同(福永信彦紹介)(第六九二号)  同(藤本孝雄紹介)(第六九三号)  同(村田敬次郎紹介)(第六九四号)  同(若林正俊紹介)(第六九五号)  同外三件(相沢英之紹介)(第七四九号)  同(井上一成紹介)(第七五〇号)  同(石田美栄紹介)(第七五一号)  同(大原一三紹介)(第七五二号)  同(木村義雄紹介)(第七五三号)  同(左近正男紹介)(第七五四号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第七五五号)  同(塩川正十郎紹介)(第七五六号)  同(高市早苗紹介)(第七五七号)  同(高木義明君紹介)(第七五八号)  同(二階堂進紹介)(第七五九号)  同(根本匠紹介)(第七六〇号)  同(野田実紹介)(第七六一号)  同(葉梨信行紹介)(第七六二号)  同(森田一紹介)(第七六三号)  同(山元勉紹介)(第七六四号)  同(横内正明君紹介)(第七六五号) 同月二十一日  土地税制住民税に関する請願樽床伸二君紹  介)(第八一〇号)  同(初村謙一郎紹介)(第八一一号)  同(愛野興一郎紹介)(第八二六号)  同(新井将敬紹介)(第八二七号)  同(石橋一弥紹介)(第八二八号)  同(糸山英太郎君紹介)(第八二九号)  同(遠藤和良紹介)(第八三〇号)  同(小川元紹介)(第八三一号)  同(小沢一郎紹介)(第八三二号)  同(越智伊平紹介)(第八三三号)  同(大内啓伍紹介)(第八三四号)  同(大島理森紹介)(第八三五号)  同外二件(奥田幹生紹介)(第八三六号)  同(狩野勝紹介)(第八三七号)  同(鹿野道彦紹介)(第八三八号)  同(柿澤弘治紹介)(第八三九号)  同(熊谷弘紹介)(第八四〇号)  同(左藤恵紹介)(第八四一号)  同(佐藤剛男紹介)(第八四二号)  同(高橋一郎紹介)(第八四三号)  同(虎島和夫紹介)(第八四四号)  同(西川太一郎紹介)(第八四五号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第八四六号)  同(堀内光雄紹介)(第八四七号)  同(前田武志紹介)(第八四八号)  同(増田敏男紹介)(第八四九号)  同外二件(村岡兼造君紹介)(第八五〇号)  同(村田吉隆紹介)(第八五一号)  同(谷津義男紹介)(第八五二号)  同(山本拓紹介)(第八五三号)  同(吉田公一紹介)(第八五四号)  特別地方消費税撤廃に関する請願愛野興一  郎君紹介)(第八二一号)  同(石井一紹介)(第八二二号)  同(金子徳之介紹介)(第八二三号)  同(笹山登生紹介)(第八二四号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第八二五号) 同月二十二日  特別地方消費税撤廃に関する請願加藤六月  君紹介)(第九七〇号)  同(吹田愰君紹介)(第九七一号)  同(米沢隆紹介)(第九七二号)  土地税制住民税に関する請願青木宏之君紹  介)(第九七三号)  同(石井一紹介)(第九七四号)  同(小渕恵三紹介)(第九七五号)  同(粕谷茂紹介)(第九七六号)  同(川端達夫紹介)(第九七七号)  同(河本敏夫紹介)(第九七八号)  同(志賀節紹介)(第九七九号)  同(月原茂皓紹介)(第九八〇号)  同(福田康夫紹介)(第九八一号)  同(松永光紹介)(第九八二号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第九八三号)  同(山田正彦紹介)(第九八四号)  同(渡辺美智雄紹介)(第九八五号)  同(大野由利子紹介)(第一〇四六号)  同(若松謙維君紹介)(第一〇四七号)  同(安倍晋三君紹介)(第一〇八八号)  同(今井宏紹介)(第一〇八九号)  同(臼井日出男紹介)(第一〇九〇号)  同(江崎鐵磨紹介)(第一〇九一号)  同(小野晋也君紹介)(第一〇九二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一〇九三号)  同(佐藤孝行紹介)(第一〇九四号)  同(櫻内義雄紹介)(第一〇九五号)  同(田野瀬良太郎紹介)(第一〇九六号)  同(中村正三郎紹介)(第一〇九七号)  同外一件(野呂田芳成君紹介)(第一〇九八号  )  同(鉢呂吉雄紹介)(第一〇九九号)  同(堀込征雄紹介)(第一一〇〇号)  同(松岡利勝紹介)(第一一〇一号)  同(森英介紹介)(第一一〇二号)  同(山崎泉紹介)(第一一〇三号)  同(渡瀬憲明君紹介)(第一一〇四号) 同月二十四日  土地税制住民税に関する請願安倍基雄君紹  介)(第一一八五号)  同(甘利明君紹介)(第一一八六号)  同(石田勝之紹介)(第一一八七号)  同(稲垣実男紹介)(第一一八八号)  同(岡島正之紹介)(第一一八九号)  同(小坂憲次紹介)(第一一九〇号)  同(桜井新紹介)(第一一九一号)  同(杉山憲夫紹介)(第一一九二号)  同(東家嘉幸紹介)(第一一九三号)  同(吹田愰君紹介)(第一一九四号)  同(山下徳夫紹介)(第一一九五号)  同(木部佳昭紹介)(第一二七一号)  同(木村守男紹介)(第一二七二号)  同(錦織淳紹介)(第一二七三号)  同(古屋圭司紹介)(第一二七四号)  同(細田博之紹介)(第一一七五号)  同(町村信孝紹介)(第一二七六号)  同(村井仁紹介)(第一二七七号)  同(片岡武司紹介)(第一三二五号)  同(佐藤謙一郎紹介)(第一三二六号)  同(井奥貞雄紹介)(第一三五一号)  同(大石千八紹介)(第一三五二号)  同(岡田克也紹介)(第一三五三号)  同(北沢清功紹介)(第一二五四号)  同(坂本三十次君紹介)(第一三五五号)  同(実川幸夫紹介)(第一三五六号)  同(須藤浩紹介)(第一三五七号)  同(富田茂之紹介)(第一三五八号)  同(鳥居一雄紹介)(第一三五九号)  同(西田司紹介)(第一三六〇号)  同(野田佳彦紹介)(第一三六一号)  同(宮地正介紹介)(第一三六二号)  同(森本晃司紹介)(第一三六三号)  同(石橋大吉紹介)(第一五〇一号)  同(石原慎太郎紹介)(第一五〇二号)  同(今村修紹介)(第一五〇三号)  同(金子一義紹介)(第一五〇四号)  同(小泉純一郎紹介)(第一五〇五号)  同(塩崎恭久紹介)(第一五〇六号)  同(山本有二紹介)(第一五〇七号) 同月二十五日  土地税制住民税に関する請願井上喜一君紹  介)(第一六四三号)  同(上田清司紹介)(第一六四四号)  同(久間章生紹介)(第一六四五号)  同(栗原裕康紹介)(第一六四六号)  同(佐々木秀典紹介)(第一六四七号)  同(塩谷立紹介)(第一六四八号)  同(田名部匡省紹介)(第一六四九号)  同(高橋辰夫紹介)(第一六五〇号)  同(竹下登紹介)(第一六五一号)  同(中谷元紹介)(第一六五二号)  同(中野寛成紹介)(第一六五三号)  同(永井哲男紹介)(第一六五四号)  同(野呂昭彦紹介)(第一六五五号)  同(鳩山邦夫紹介)(第一六五六号)  同(船田元紹介)(第一六五七号)  同(細川律夫紹介)(第一六五八号)  同(藤井孝男紹介)(第一九八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十四日  警察官の増員に関する陳情書外一件  (第一一号)  坂本弁護士一家失踪事件の捜査に関する陳情書  外九件  (第一二号)  地方議会機能強化に関する陳情書  (第二三号)  地方の振興及び地方経済活性化に関する陳情  書(第一  四号)  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のだ  めの国の財政上の特別措置に関する法律の適用  年限延長に関する陳情書  (第一五号)  固定資産税評価適正化等に関する陳情書  (  第一六号)  地方財政対策確立強化に関する陳情書外六件  (第一七号)  自治体病院に対する財政援助に関する陳情書外  一件  (第一八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 粟屋敏信

    粟屋委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穂積良行君。
  3. 穂積良行

    穂積委員 この臨時国会はまことに画期的な国会となりつつあると思います。村山連立政権のもとで、政治改革関連法案成立、また、税制改革関連法案成立、さらには、現在大詰めを迎えておりますWTO法案審議、こうした課題について、私ども自民党が支えてきております村山連立政権が着々と目覚ましい成果を上げていることは、国民にも広く理解いただいているところであります。  そういう中で、まず政治改革関係の話でありますが、長きにわたって、政界はもとより国民各位にも大きな論議を巻き起こしてきたこの問題が、去る二十五日、関係法律の公布ということをもっていよいよこの確定を見るに至ったわけであります。  そこで、この政治改革関連の話を振り返りまするに、我が国の戦後の政治制度の枠組みをつくってきた衆議院選挙制度について大改正が加えられることになりました。これについて、十二月二十五日には、周知期間も経て新しい制度での総選挙が可能になるという状況になったわけでありますが、どうも、この制度具体的内容等についてまだ国民各位には十分御理解が行き届いていないうらみがあります。そういう意味では、この新制度周知徹底ということが緊急の課題であることは自明のことでありますが、そうしたことについて若干御質問をしたいと思います。  実は、先週も地元に帰りますと、まだ衆議院選挙が小選挙区でその候補者の実名を書くのではないかというようなことを——いや、実はそうなっていないということを説明をしなきやならないような状況であります。そんなことで、新しい制度での小選挙区の選挙方式、あるいはブロック比例代表制での選挙方式等についても、具体的にどのような投票様式選挙が実施されるのかとか、それを初めとして、徹底的に今すぐにでもこの制度周知を図る必要があると思います。  それらについて、まず自治省当局の心構えなり段取りなりを御説明いただきたいと思います。
  4. 野中広務

    野中国務大臣 ただいま穂積委員から御指摘がございましたように、今回、六年の長きにわたりまして取り組んでまいりました政治改革関連法案が、先般の参議院の議決をもちまして、二十五日の告知をもって一応法律として終結をいたしました。  けれども、これは制度改革でありまして、政治改革はいわばスタート台に立ったと言わなくてはならないのでございます。今後、国民の信頼の回復、さらに確立政治腐敗の根絶に向けて努力をしてまいらなくてはならないわけでございます。それぞれ、政党、各会派のまた御議論、かつ御推進、そして御協力をお願いを申し上げる次第であります。  選挙方法につきましては、今御指摘のように、今回の衆議院投票方法記号式投票が行われるわけでありますが、不在投票につきましては白書方式でもございますし、また、投票告示日の締め切りが終わらない限り、それぞれ選挙区あるいは比例ブロックにおきましても投票用紙の大きさすら決まらないという状況でございまして、なかなかこれを国民各層皆さん方十分周知徹底をし、御理解をいただくことは、これから私どもに課せられた重要な課題であると考えておりますので、今後、今までもやってまいりましたけれども、チラシ、新聞広告テレビスポット等によりまして各有権者への周知徹底を図りますとともに、都道府県や市町村の選挙管理委員会協力を得まして、それぞれ当該地方公共団体広報紙による周知、さらには投票所における説明案内にも十分配慮をいたしますなど、投票に際しましては混乱有権者に生じないように最善を尽くしてまいりたいと思うわけでございます。  記号方式等の具体的な内容につきましては、選挙部長からお答えをさしていただきます。
  5. 佐野徹治

    佐野(徹)政府委員 具体的な投票方式につきましては、私ども今後十分に周知徹底を図らしていただきまして、投票に際しましては混乱が生じないようにいたしたいと考えております。  御案内のとおり衆議院選挙は、最高裁判所国民審査、これも同時に行われますので、そういった点につきましても、最高裁の国民審査は御案内のとおり、罷免を可とする者についてはバツをつけるという方法でございます。今回衆議院で採用されます小選挙区なり比例関係投票は、投票したいと思われる方なり政党に対しまして丸をつけるという方法でございますので、こういった点につきましては、混乱が生じないよう周知徹底に万全を期してまいりたいと考えております。
  6. 穂積良行

    穂積委員 投票の仕方などについては、これは技術的な話ですけれども、要するに、投票用紙で丸をきちっとつけないとだめだよというようなことを教え込まないと、間違う人もいるんじゃないかな。バツをつけて、有効かどうかなんという話もあるでしょうけれども、今お話のありましたように、最高裁判所の裁判官の適否についてはバツをつけるというような話になってますね。あれ間違って九つけたら承認ということになるかどうか。これは無効とかいう話になりますな。片方では、衆議院の方は丸の話ですからね。こうしたことも含めて、細かいこともきちっと国民各位に御理解いただくように努力いただきたいと思います。  さて、こうした小選挙区、そして比例代表並立制導入されましたけれども、これは大臣もう重々御承知のとおり、長い議論の末であります。私個人についてはっきり申しますけれども、私は、小選挙導入については、甚だこれは問題があり、慎重を期すべきだということを主張し続けた一人でございます。しかし、仮に、選挙制度を改めることによって政治の浄化、政界刷新といったことなどにつなげる、政治改革の目的を達成するためのやむを得ざる手段だというようなことを考えるとすれば、それてどうしても小選挙導入も図りたいという人たちの主張もある程度容認するとすれば、私は、民主主義政治の根底として、比例代表制を主とするいわゆる併用制が正義にかなうということを主張した一人であります。しかし、世論の大勢国会大勢でこうした制度が決まりました。  そうなりますと、私個人の従来の意見はともかくとして、これは新たな立法府において確定された結論ということでこれを受けとめ、この制度のもとで、それこそ今後の日本の政治が本当に引き続きこの制度のもとでいい方向に向かわなければ大変なことになる、悪い方向に向かわせるわけにいかないという、この新たな段階に対応する我々の覚悟と努力が必要だと思っておるわけであります。そのような気持ちでこの制度に対応しようと思っておるわけでありますが、そのような意味では大臣もいろいろ感慨深いのではないかと推察をしておるわけであります。  私も、そうした与えられた条件を受けとめて、それでこのもとで日本の民主主義政治がよりいい方向に向かっていく方向で努力しようじゃないかというふうに思っておるわけでありますが、そうなりますと、一つは、政治腐敗防止ということで今回法律改正が行われ、いろいろな面で規制強化が行われました。それで、その最も象徴的なるものは、いわゆる連座制の強化ということで、組織的選挙運動管理者等が連座の対象にもなるというような改正が行われたわけでありますが、これは三月から実施されるわけですね。これについても、特に来年の統一地方選挙を控えて、各界各層の関係者に今回のいわゆる政治腐敗防止関係法律周知徹底を図る必要があるのではないかと思います。  それで、そのときに一つ、これは今申しました連座制の強化について、私は、買収、供応等の従来から禁じられた選挙運動等をやらなければ何ら心配はない、これが前提でありますけれども、今回の制度改正に伴いまして、この制度を運用するに当たっては、立候補者の意思が、そうした違法行為も容認するような不届きな候補者がいて、それでその管理者等が違法行為を犯すというようなことなどが問題じゃないかと思いますが、その辺、肝心の、候補者と意思を通じて違法行為を行うというようなことについての、実際の法運用に当たって、現場の取り締まり当局や何やどうなるのかということあたりが、実はこのクリーンな選挙実現ということについてかぎになると思います。この辺について、自治省当局の、今申しましたことについての考え方を承っておきたいと思います。
  7. 佐野徹治

    佐野(徹)政府委員 今回の一連の改正で、いわゆる連座制につきましては相当の程度強化されております。  本年三月に成立をいたしました改正法におきましては、立候補予定者の親族、それから立候補予定者の秘書を連座の対象といたしますとともに、これらの親族、秘書が禁錮以上の刑に処せられたときは、執行猶予の言い渡しを受けた場合でございましても連座になるものといたしますとともに、連座の効果としては、当選無効に加えまして五年間の立候補制限を科すこととする改正が行われております。  それから、この国会で、衆議院におきまして、併合修正案として、この連座制のさらなる強化が成立をいたしております。これは、先ほど若干お話ございましたように、組織的選挙運動管理者等を連座の対象といたしますとともに、衆議院選挙における重複立候補者につきましては、小選挙区で連座となったときには比例代表選挙の当選を無効とする、こういった内容の改正でございまして、相当大幅な連座の強化にかかわる改正が行われているわけでございますので、私ども、この今回の腐敗防止策強化を実効あるものといたしますために、この内容につきましては、関係の方々に十分御理解をいただくということが大切であると考えております。  このため、できるだけ早く、地方選挙管理委員会等とも一体となりまして、チラシだとか、ポスターだとか、新聞広告だとか、いろいろな手段を通じまして、それからまた、わかりやすい事例集のようなものも作成をいたします等、いろいろな工夫を凝らしながら、この問題につきましては、関係者の方々の十分な御理解をいただげるように、周知徹底に取り組んでまいりたいと考えております。
  8. 穂積良行

    穂積委員 そのような姿勢で、とにかくこの点についても周知徹底を図っていただきたいと思います。  次に、政治資金の問題でありますが、これも、従来の政治資金を出していただく方式を、我々は自分の問題として全面的に見直しをし、態勢再構築を図らなければならないということになりました。そういうことで、これも、法律は施行されるわけですから、早く政治家サイドも、あるいは政治家に政治献金をなさる個人、企業・団体、団体の中には労組等も入りますけれども、そうした双方が新制度をきちっと理解し、誤りなきを期さなければならない、こんなふうに思うわけであります。  それと並行しまして、国民の税金から、政党助成法によって、各政党政治に必要な資金の交付を受けるわけであります。これも、各党の中央、地方、各段階にどのように政治資金が流れ、税金が本当に日本の民主主義政治のために有効に使われ得るかという問題となるわけでありますが、これらについて、自治省もあるいは取り締まり当局も、これはお互いにきちっと、今までのやりようではだめなんだよと、政治団体への受け入れ、候補者あるいは政治個人への受け入れ、これはこうなりますよ等々、これも周知徹底を図る必要がある。そのような意味において、この各政治家の政治資金の受け入れあるいは支払いの話と並行して、政党助成の受け入れ、その使用についての監査等についても、きちっと新制度の趣旨を徹底していただきたいと思うわけであります。  今申しました政党助成金につきましては、まあ、これが現在の政界再編の問題などもいろいろ絡んでいるやの話が伝わっておりますけれども、これについては、御質問したいのは、政党助成金についての、これからどのような交付のスケジュールあるいは交付された政党助成金の管理、それから使用された後の報告等について、この段階でぜひこれは皆さん含んでいただきたいというようなことがあれば、要点をちょっと御説明をしていただけないでしょうか。
  9. 佐野徹治

    佐野(徹)政府委員 政党交付金の今後の交付のスケジュールだとかその他の概要等でございますけれども、先般成立いたしました政党助成法におきましては、毎年一月一日の基準日、一月一日を基準日といたしておりますけれども、一月一日現在ないしは選挙のありましたときには総選挙なり通常選挙後の選挙基準日というものを設けておりますけれども、この選挙基準日の時点におきまして届け出のありました政党に対しまして、政党交付金総額の二分の一、半分は国会議員数に応じて、それから残りの半分は国政選挙におきます投票率に応じてそれぞれ各政党ごとの政党交付金の額を算定いたしまして、まずその二分の一を七月に交付をいたします。それから残りを、四分の一ずつでございますけれども、四分の一を十月、それから残りの四分の一を十二月に、それぞれ各政党に対しまして、その請求に基づきまして交付をするということにいたしております。  それから、政党交付金の使途につきましては、これはいろいろな御議論ございましたが、政党政治活動の自由を尊重する見地から、特に制限をしないということにいたしておりますけれども、一方で、政党交付金というのは国民の税金という貴重な財源で賄われるものでございますから、政党交付金の支出につきましては、公認会計士の監査を経た上で、五万円以上の支出はすべて公開をするということにいたしますとともに、その使途を明らかにいたしました報告書を広く国民に公開することにいたしております。  なお、政党交付金の支部による支出につきましても、支部の作成をいたしました支部報告書により明らかにされる、こういうことになっております。
  10. 穂積良行

    穂積委員 今の問題も含めまして、新制度を早く国民の皆さんに理解いただいて、そのもとでの次の選挙では正々堂々の選挙を行うということが肝心だと思う次第であります。  ただ、こうした新制度で、これは言うなれば我が国政治の中での壮大な実験でありまして、これがうまくいくかどうか、これは先ほど申しましたように、私ども政治家の努力も当然必要であります。  しかし、そもそもこの制度をやってみて、やはりここはおかしいとか、ここは見直すべきではないかということが、民主主義の生々たる発展という見地から、これはやはりそうしなきゃならぬというようなことが出てくるかもしれない。そのときには、また決まった制度にとらわれて、変な政治体制が長く続くというようなことにならないような心構えを国民政治家は持っている必要があると思います。  そうしたことで、私は、この新制度の中でもなお今後に問題を残す一つの問題があるということを例として出したいと思います。  それは、今回の新しい制度導入された衆議院比例代表区、ブロックで比例代表衆議院議員を選ぶという制度導入されたわけですが、これについて、これは既に導入されている、実施されている参議院の全国区比例代表制との比較においても、似たようだ、要するに各党の名簿によって当選人が確定したら、一たん当選したら、その党を離脱、離党等をしても、その議員の身分は失わないということになっていますね。私は、これは大きな問題が残っていると思うわけであります。  極端な例で言いますと、自由民主党の東北ブロック比例代表制で当選した衆議院議員が、翌日自民党を脱党して共産党に入党する。まあこれは一番極端な話かもしれませんがね。それでも、比例代表区で当選した衆議院議員の身分を失わないで、次の総選挙まで活動できるというようなことは理論的にあり得るわけです。現実にはあり得ないと思いますがね。  ただ、あり得る話としては、比例代表で当選した自民党議員が、無所属でやりたいとか、あるいは保守系の他の政党にくらがえしたいなんというような不心得者が出るかもしれない。それでも、その場合には議員の身分を失うということでなしに、しかも自民党としては、一人あるいは何人か脱党組で議席を減らしても、名簿によって繰り上げ当選ということでなしに、議席配分の変更が事後において行われるなんということが制度上やむを得ないということになっているのは、やはりおかしい、これは常識的には。私はそう思っているのです。  それで、これは実は五十七年の参議院について比例代表制導入するに際して一議論あったということは承知しておるのですが、憲法第四十三条で、国会は全国民の代表ということで選ばれるんだという規定、それを根拠に、選ばれたら、その信条に基づいて自由に、比例代表名簿はどの政党所属で当選させてもらったかなんということとは関係なしに、身分保持するのはやむを得ないんだという話になっておるのですが、私はこの立論は見直すべきだと思っているのです。  憲法第四十四条で、国会議員の資格についても法律で決めるということになっている。だから、立法問題だと思うのです。憲法の解釈と、いかなる法律による制度が、今のような私の提示した極端なケースで、あるいはそうでないとしても、道理に合わないようなことを許すような制度であってはならないということで立法すべきじゃないかと思うわけであります。  そういう意味では、今国会成立した比例代表導入においては、これは参議院の比例代表区の制度との見合いにおいてそのまま似たような制度にしたということはありますが、いずれの機会にか、これはしっかりした見直しをして、例えば私の考えからすれば、比例代表の名簿で、ある政党で当選した者がその党を離脱した場合には、議員の資格を失う、議員の資格を失ったら、憲法に保障される議員の特権等も当然消滅するというふうな制度にこれをすべきじゃないか。そのときには、その政党は、不心得者が出た後は、ちゃんと名簿の順位に従って補充当選をさせるというようなことにすべきじゃないか。  また、政党が分裂したりあるいは脱党組が出たというような場合、これは新しく制定された政党法等の関係をきちっとして、その名前を変えようが何しようが、政党法で法人格を取得した政党が包括承継する新法人に所属する場合にはその身分は継続するとか、そのようなことも含めて、これは今後継続検討すべき課題だと思います。  この問題について、実はこれをどこにお聞きし、相談したらいいかということを、きのうから実は私、個人的にあちこち当たってみました。  当初自治省は、それは参議院の比例区を導入した場合の、これは議員立法の法案、事務担当した参議院法制局じゃないか。では今度はどうだ、これは政府提案だから内閣法制局呼び出すかと言ったら、これは自治省がな、衆議院の法制局もある。それでは、衆議院法制局はこの問題についてどういう勉強をしているか、こういうことなどを聞いてみたんですが、政府、これは内閣法制局、それから参議院法制局、衆議院法制局、この法制上の、憲法あるいは法律論を詰めるべきセクションがありますけれども、これらについては、関係当局、私のきょうのこの今後の検討課題ではないかということを踏まえて、勉強を続けていただきたいと思うわけであります。  今申したことについての自治省当局のお考え方を聞かせていただきたい。
  11. 野中広務

    野中国務大臣 委員指摘のとおり、一連の政党で当選された方がその党を離脱されたときに関する問題については、さまざま議論があるところでございます。  けれども、一方、今御指摘ございましたように、憲法四十三条第一項によりまして、一たび選挙で当選をして議員としての地位を確保をされた場合は、単に政党を代表するのでなく、国民を代表する者といたしまして、その独立した地位は拘束されないということになるわけでございますので、直ちに議員の身分を失うことにはならないわけでございまして、私どもは憲法遵守の義務を持っておりますので、これにつきましては、やはりその議員の倫理の問題であり、この人を選んだ選挙民のまた今後に対する選択の問題であろうと思うわけでございます。  ただ、委員指摘を今されましたように、非常に問題をはらんでおるわけでございますので、今後、より、政党あるいは各会派において、十分こういう問題について御議論を詰めていただきたいと期待をする次第でございます。
  12. 穂積良行

    穂積委員 それでは、時間の関係上、政治改革絡みの話はこの程度にしまして、次に税制改革に関連する問題を質問したいと思います。  消費税の税率問題を中心に大変な議論を呼びましたこの税制改革も、一応今国会では関係法案の成立を見るに至ったわけでありますが、その中で、地方行政に実は重要なかかわりを持つ地方財源の問題として、議論の末、地方消費税の導入が図られたわけであります。  それで、この地方消費税を消費譲与税を廃止して導入するということは、これはこれで決まったわけでありますが、実はこの問題をめぐって、私どもも、地方関係者からいろいろと要請が来ておりますのは、特別地方消費税の問題であります。  この特別地方消費税は、消費税導入の際に、例の遊興飲食税の始末をどうするかということの議論の末に、三%の税率で設けられたものでありますが、今回の税制改革に当たってこれをどうしてくれるということが、実は関係者から要請、陳情が参っております。これは御承知のとおりであります。  そうなりますと、この今回の税制改革を、平成九年から実施する分野について、特に税率問題について見直し規定が設けられましたね。この見直しのポイントは何かということについて、特別委員会でいろいろ詰めた議論がなされました。  それはそれで結構なんですが、この特別地方消費税については、法律、附則に基づく見直しは、法律上どういう課題になっているかということはさておき、今後消費税制度の見直しの際にやはりもう一回見直し議論をすべきではないかと思うわけであります。同様の話が自動車関係の間接税等についてもあるわけですが、これについて大臣の御所見をこの段階で一応承っておきたいと思います。
  13. 野中広務

    野中国務大臣 ただいま御指摘になりました特別地方消費税や自動車取得税につきましては、それぞれ衆議院、参議院の税制改革議論を通じましても御議論のあったことは、十二分に承知をいたしておるところでございます。  しかし、率直に申し上げまして、特別地方消費税につきましては、委員から料飲税の経過等も御指摘がございましたように、平成元年度の税制抜本改正のときに、課税の対象となっておる消費行為と個別の地方公共団体の行政サービス、すなわち観光行政とかあるいは清掃行政とか、もろもろのいわゆる消費行為と行政サービスとの関係から、一応税率一〇%を三%にし、さらに関係する観光団体あるいは環境衛生の団体等への交付金等も創設することによってこれが併課されることになった経過であるわけでございます。  したがいまして、今日この地方消費税が導入されたからといって直ちに代替財源も見出すことなく廃止という結論を見出すことは、地方団体にとりましては、平成四年度におきましても約千五百億という税収があるわけでございまして、特に自主財源の乏しい都道府県におきまして貴重な財源となっておるわけでございます。また、御承知のように、この五分の一は市町村に交付をされておるわけでございまして、市町村におきましては全体税収の一割をこの税が占めておるところもございますので、今後この税源をどのように代替財源として確保するかの議論もさまざま詰めなくてはなりません。  しかし、消費税、そして地方消費税、特別地方消費税、三つの消費税が納税者にあるということは、それはそれなりに議論されなくてはならない問題であると私は思うわけでございまして、特別地方消費税等につきましては、その税目の名称のあり方等も十分考慮をしながら、やはり私としては地方の自主的、貴重な財源として確保をしてまいりたい、このように考えますとともに、また、国会議論を通じて慎重な御議論をお願いをしたいと思っておるところでございます。  一方、自動車取得税につきましては、もう申し上げるまでもなく、自動車の所有権の取得に担税力を見出しまして課する税でございまして一地方の道路目的税として受益者負担、原因者担当の性格を持っておるわけでございまして、これは約六千億の税源であろうと思っております。その七割は市町村に交付をされておるわけでございまして、こういう状況を考えますときに、消費税というものとは性格を異にするいわゆる自動車の取得に対する独立した私は地方の財源であり、税であろうと考えておるわけでございます。  今日の緊迫した市町村あるいは府県の財政あるいは市町村道の特に劣悪な整備水準等を考えますときに、この自動車取得税は特定財源としては貴重なものであると考えるわけでございますので、ぜひ御理解をいただきまして存続をしてまいりたいと考えておる次第であります。
  14. 穂積良行

    穂積委員 ただいまの大臣の御答弁の中にもありましたけれども、要は、特別地方消費税であれ、自動車取得税であれ、地方自治が叫ばれている中で地方自治の根幹をなす財源的なバックアップ、財源を確保できるかどうかというそういう問題に絡んで、おっしゃったように、千五百億の特別地方消費税、これはすぐに取り上げられては困るということを、地方公共団体の首長さんたちは必ず当面そういうお話をされるわけです。  しかし、大臣おっしゃったように、幾ら何でも消費税という言葉が入った消費税、地方消費税、特別地方消費税、さらにはそのほかのいろいろな間接税、こういうようなことなど、これはいずれ整理をつけていくべきじゃないかと私は思います。  その場合に、もう言い古された話でありますが、資産、消費、それから所得といった分野からどのように税金をちょうだいしていくか。それはバランスあるちょうだいの仕方が税制として理想だというふうな話があるわけですが、そこで地方税の問題としては常にこれまでも、それからこれからも問題となっていきますのは、やっぱり固定資産税の、要するに資産に対する課税にどれだけ地方税収の根拠を今後も置いていくか、こういう話だと思うんです。  固定資産税については、もう御承知のとおり、いろいろ問題があります。バブル経済の中で地価が高騰し、それで昨年の評価がえに際して激変をどうするかとか、いろいろあったわけでありますが、そうした中で、当面はこの一・四%ですか、の標準税率、それから制限税率というようなことなどもこれからどうするのかという話があると思いますが、この固定資産税の標準税率あるいは制限税率について今後どんな考えで対処していくかを、これだけは税制に関してお伺いしておきたいと思います。
  15. 野中広務

    野中国務大臣 平成六年度の評価がえに伴いまして、土地の税負担につきましては総合的な、今おっしゃいましたような調整措置によりまして、全体として税の増加が極力抑制されたものとなっておると考えておるのでございます。  この措置によりまして、東京特別区におきましても、特に大都市の地価下落が激しいという中における固定資産の評価の問題が言われておるわけでございますので、東京特別区に例をとりましても、平成六年度の固定資産税の税収の伸びはこれまでの評価がえ年度と同程度のものとなっておるのでございまして、税の負担の調整のために税率の見直しをしてはどうかという御議論もあるわけでございますけれども、平成四年の十二月の政府税制調査会におかれましても、今回の評価がえによる評価の上昇が地域によってさまざまである等から、税率の見直しについて減収になる市町村もあるなど、影響するところが大き過ぎるので、税負担の調整のために税率を見直すことは適当でない、そういういわゆる答申をいただいておるわけでございますので、税率の変更は行われなかったところでございます。現在もまたそのことを考えておらないのでございます。  固定資産税の税率を一律に引き下げました場合は、評価が上がるのは宅地だけでございます。家屋とか償却資産の税率を引き下げたら、これは入減収になるわけでございまして、土地だけの税率を引き下げるというのは、まだ全国市町村の評価の上昇割合が全くさまざまでございますので、新卒の引き下げによって多くの市町村がまた影響を受けるということになるわけでございます。また、宅地だけの税率を引き下げるとしましても、農地や山林の税率の方が宅地の税率より高くなるといったような問題もありますので、今申し上げたような理由から、現在はそのような考えを持っておらないところでございます。
  16. 穂積良行

    穂積委員 次に、警察行政関係のことで二、三お伺いします。実は、けさ出がけにニュースを見ましたら、また発砲事件が起こった、福島県いわき市で事件が起こったなんという報道がされておりますが、このところ、それこそ連日のように全国のあちこちで発砲等についての不祥事が起こっているようでありますが、私は、国民の生命、安全の保持というようなことからも、国内にピストルや何やが、野方図にというわけではないんでしょうが、どんどん流入して、それが不祥事を引き起こしている。暴力団とかあるいは強盗事件とか、そういうふうなことや何やで銃砲が使用され、国民に不安を与えているということは甚だ遺憾だと思うんですが、これについては、一体そんな物騒なものがどのように国内に入っているんだと聞くと、世界のあちこちの国からいろいろな手段で持ち込まれている、こういうことですが、私はこの問題については、一つは国内にそうした銃砲等を極力流入されないように関係当局がきちっとさらに対応を強化してもらいたい、こういうこと。それから、それがもちろん犯罪行為等に使用された場合には、厳正に早期に対策をとる、こういうことだと思いますが、こうした銃砲等問題についての警察行政の国家公安委員長としての大臣の所見あるいは事務当局からお話があれば、承っておきたいと思います。
  17. 野中広務

    野中国務大臣 ただいま委員指摘のように、最近銃を中心とする凶悪犯罪が続出をいたしておりまして、まことに憂慮にたえないところでございます。特に、今日までは暴力団同士の抗争による銃の使用ということが特徴的であったのでございますけれども、最近は、それが企業あるいは報道機関、さらには最近一連起きておりますように、駅の改札口におけるいわゆる通行中の民間人に向けられるとか、あるいはストアにおける女性店員に向けられるとか、一般市民に対してこれが凶悪犯罪として向けられるというのは、深刻な内容を持っておるわけでございます。  私ども、この状況にかんがみまして、さらに警察あるいは税関、入管その他関係機関と連携をとりながら今日までこの積極的な対応をしてきたわけでございますけれども、先週、閣議におきまして、村山総理から、銃の事件の続発にかんがみましてこの際徹底した施策を講ずるべきではないかという私に対する発言がございましたので、総理のこの命を受けまして、内部で協議をいたしまして、本日午前八時から、けん銃等に関係する事件をできるだけ抑制するための関係閣僚会議を開催をいたしたところでございます。  その閣僚会議におきまして、それぞれ関係する、内閣総理大臣、内閣官房長官はもちろんのこと、法務大臣、外務大臣、大蔵大臣、農水大臣、通産大臣、運輸大臣、郵政大臣、さらに内閣官房副長官、さらに内政審議室長、警察庁長官等を含めまして、けさから会議を持ちました。  一つは、暴力団等の銃器庫を直撃する取り締り締まりやら、あるいは国内に流入して拡散していくけん銃の摘発を徹底するとともに、広く国民に向けた広報啓発活動も行って、今日まで努力をしてまいりましたけれども、最近どうも暴力団から流出するだけでなく、新たに密輸されておるけん銃があるのではなかろうかと見られる節もあるようでございますので、水際でどのようにしてこれを防いでいくかということが重要な課題であると認識をいたしまして、関係各省庁、さらに連携を密にして、積極的に取り組んでいくことに本日決定をされたわけでございまして、具体的事犯の内容等につきましては警察庁からお答えを申し上げますけれども、本日閣僚会議に至った経過を申し上げ、私どももさらに一層の緊密な連携のもとに、この事故の防止のために一層努力いたしますことを申し述べて、御回答とさせていただきます。
  18. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答え申し上げます。  本年に入りましてから、委員指摘の事件等を含めまして、既に昨日までで、銃砲の発砲件数でございますけれども、二百三十七回を数えておりまして、死者も三十三名に上っております。今、大臣の方からお答えしたような事情でございますが、いずれにいたしましても、かつて発砲の大半を占めておりましたのは暴力団の抗争に起因するものでございましたけれども、それが、暴対法の施行後でございますが、減少傾向等にございまして、相対的に銃口が一般人に向けられる。そして特に最近では、市民生活なり企業活動なり、あるいは言論活動等に直接向けられるというようなことで、大変ゆゆしい事態だと私ども考えております。  けさほど来このように事態を受けまして関係の閣僚会合がございました点は、今大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、取り締まりの大綱はそのようなことでございますが、その中でも、特に水際の問題が重要かと思います。我が国で押収されておりますけん銃の八割ないし九割はすべて外国から密輸入されたものでございます。そういうことで、水際対策が供給の遮断策として大切でございまして、そういった意味で、いろいろな関係各省庁との連携が必要でございます。  また、それとともに、広い意味での水際対策としましては、外国の関係機関との協力が大切でございます。従来はICPOルートとか外交ルートを通じてそれをやっておったのでございますが、さらにこれに加えまして、特に我が国で発見されることの多い銃の製造国でありますとかあるいは仕出し国でございますが、こういうところを選びまして、こういうところとより緊密な協調関係をつくりたいということで、銃器対策の国際会議の開催をかねて計画しておったのでございますが、ちょうど本日からその会議を開くことにしております。  そのようなことを通じまして、外国関係機関との一層の緊密な連携も図って、十分な銃器対策を図ってまいりたいと考えております。
  19. 穂積良行

    穂積委員 とにかくしっかりやっていただきたいと思います。  同じ国民の生命安全ということに関しては、とにかく交通事故については、お聞きしますと、ことしも既に九千人を超える死者を出している。まあ政府の計画で、一年間の交通事故死者を何とか一万人以内にという計画をもって進めておられるということは承知しておりますけれども、この交通事故をできるだけ減らすための努力を引き続き、予算面等でも裏づけをきちっとして進めていただきたいと思うわけであります。これについては、とにかく時間がなくなりましたので、その問題点を指摘し、せっかくの御努力をお願いしたいと思います。  ところで、国民のために働いていただいているこうした警察組織でありますが、現場で本当に苦労をいただいている警察官の数について、実は、我が自由民主党の全国政調会議をきのう開催しましたところ、関係各県から強いその増員の要望がございました。  前にもブロックの自民党の会議でそうした関係県から言われておりますが、とにかく、警官一人当たり面倒を見てさしあげる国民の数ということからしますと、埼玉県を筆頭に、首都圏近接の各県が随分と全国平均からすれば一人当たりの人口数が多い。一人当たり、埼玉八百二十三人、茨城七百八十二人、栃木七百六十四人、群馬七百五十六人、千葉七百五十人というようなデータであるというふうに聞いております。例えば栃木県の政調会長からは、御用邸を抱えてとにかく現状では大変困っている、あるいは千葉県からも現地の事情の開陳がありました。  ほかの県も含めてですが、こうした現場の警察官の要員については、これは、警視正以上は国家公務員として警察庁の定員管理のもとにあるというふうに伺っておりますけれども地方公務員たる警察機構で働く方々、頭数が少ないから十分国民の生命安全のために働くのに間尺が合わぬということでは困ると思うのです。  そうした各県の状況警察庁も御存じかと思いますけれども、何とかその辺、その関係の当局、一つには自治省は行政局になるのですか、それから警察庁、それから肝心の財布を握っている大蔵など、寄り寄り協議して、このような地方の声を受けとめてしっかりと対応いただけないかと思うのですが、これについて自治省、それから警察庁それぞれに、そして最後に公安委員長・自治大臣の御所見を伺いたいと思います。
  20. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  警察官の定員でございますが、これにつきましては、地方財政計画の中で定員をどうするかということで毎年度協議をいたしておりますが、警察庁の要望もよく聞きながらこれまで対処してきておるところでございまして、最近でも、例えば昭和六十三年に九百三十人弱、それから平成二年には九百人、それから平成三年度にも五百人ちょっと増員をしたところであります。  この警察官の増員については、一つ行革審の答申がございまして、これは五十九年度、六十一年度等の答申があるわけでありますけれども、「地方警察職員については、人事管理の適正化・資機材の近代化等により、原則として増員を当分の間凍結するよう措置する。」というような、そういった趣旨もありますので、自治省としては、そういったことも踏まえながら、よく警察当局と調整、相談をしていきたいというように思っているところであります。  私ども、資機材の近代化といったようなことについてはこれは十分協力ができることでありますし、近年におきましても、警察の中の階級別の職員数の改善といったようなことを図って、警察官の士気を高揚するというような措置をとってきております。  全体として、行革の進んでいる中でございますので、人員の問題については、先ほど言ったようなことを基本に置きながら、よく相談をしていきたいというように考えております。
  21. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、最近の人口や世帯数の増加あるいは来日外国人の急増に伴います問題、また、きょう話題に出ておりますような各種警察事象の増加等に伴いまして、警察官のいわゆる負担人口、これは都道府県の人口を政令で基準が定められております地方警察職員たる警察官の数で除したものでございますけれども、その数がかなり多いものになっているという状況でございまして、各県の方から増員等についての要望が出ているということにつきましては、私どももよく承知しているところでございます。  しかしながら、警察官の増員につきましては、今自治省の方から話がございましたけれども、いわゆる行革審による原則凍結という答申が出ておりましたり、あるいは最近の国・地方を通じての財政事情が厳しいというようなことがございまして、抑制されているところでございます。  したがいまして、警察庁といたしましては、組織整備あるいは重点シフト等による組織人員の効率的な運用、あるいは優秀な人材を確保して個々人の職員の執行力を強化する、あるいは装備資機材の近代化による警察力の整備充実といったことを現在進めているところでございまして、お話の点につきましては、そうした中で引き続き必要な体制の整備という観点から検討をしてまいりたい、このように考えております。
  22. 野中広務

    野中国務大臣 今財政局長並びに警察庁からお答えをいたしましたように、私の場合は両面を所管をいたしておるわけでございます。今朝の閣僚会議におきましても、私から、最近の銃砲刀剣の特にけん銃による凶悪犯罪の増加、あるいは外国要人等の警備、テロ事件、その他重要な凶悪犯罪の捜査体制、あるいは広域犯罪、高速道路の問題、こういう諸般の問題を考えますときに、臨時行政調査会の勧告に基づきまして、平成四年、五年、六年は警察官の増員はゼロでございます。したがいまして、このような状況のときにやはり必要なところには増員も認めてもらうべきであるという観点に立ちまして、いわゆる予算につきましては大蔵大臣に、あるいは総務庁長官に警察官の増員について要望いたしますとともに、自治省としてもまた、警視庁以下都道府県警察のあり方については、今申し上げたような状況を踏まえながら考慮をしていかなくてはならないと認識をしておるところでございます。
  23. 穂積良行

    穂積委員 時間が参りましたので終わりますが、大臣は本当に地方行政の現場も御存じであり、高い識見を持っておられる大臣ですから、しっかりとした地方行政推進に引き続きお努めいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  24. 粟屋敏信

  25. 金田英行

    金田(英)委員 私は、一時間ほど地方分権についていろいろと自治省、そして総務庁の御意見を伺いながら、国民の最大の課題である地方分権をどうやって進めていくかということについて討議を交わさせていただきたいというふうに思います。  まず冒頭、政治改革が終わりました、そして税制改革も終わりました、そしてWTO等々の農業の大きな課題もクリアしようとしております。そこで、これから日本は何をしなきゃならないかと考えたときに、やはり行政改革だろうというふうに思っております。  村山総理も所信表明演説の中で、地方分権を強力に推進するんだ、分権大綱をこれからつくるんだというようなことを宣言しておられますが、これから始まります地方分権大綱あるいは地方分権の推進法の制定等々が、このたびの地方制度調査会の答申にあります、十一月二十二日の答申でございますけれども、この答申とどんな関係になるのか。そして、地方分権法をどういう形で進めていくおつもりなのか。  そこら辺、しっかりとスケジュール的なこともお聞かせいただきましてこれからのこの委員会での討議なんかにも参加させていただこうと思っておりますので、まず、そこら辺からお尋ねいたしたいと思います。
  26. 野中広務

    野中国務大臣 今御指摘ございました地方分権につきましては、今朝の閣議におきましても、総理から、それぞれ選挙制度の改正あるいは政治改革、WTO、これは一連の前内閣からの継続した懸案事項の整理であった、今後、特殊法人の見直し、あるいはいわゆる今御指摘ございました地方分権、規制緩和、これはまさしく内閣の真価を問われる問題であるので、各閣僚はそのリーダーシップを発揮して取り組むようにという指示がございました。  その中の一つであります地方分権について委員から今御指摘があったわけでございますが、御承知のように、現在行政改革推進本部に設置をされております地方分権部会におきまして、地方分権推進の基本的な理念や取り組むべき課題と手順を明らかにいたしました大綱方針の検討を今精力的に行われておるところでございまして、去る十一月十八日には地方分権部会の本部専門員の意見が関係閣僚に報告をされたところでございます。  また、十一月二十二日には、第二十四次地方制度調査会から地方分権の推進に関する答申が行われたところでもございます。また、地方六団体からも、地方自治法に定められました初めての意見書が内閣及び国会に出されたところでございます。  政府におきましては、このように地方分権部会の専門員の皆様方からいただきました貴重な御意見や、あるいは地方制度調査会の答申、あるいは六団体の意見書等を、今後年内に地方分権推進に関する大綱方針を策定をいたしまして、この大綱方針に基づきまして速やかに地方分権推進に関する法律の制定を目指すことといたしておるところでございます。
  27. 金田英行

    金田(英)委員 私も地方分権は最大の課題だろうというふうに思っております。しかし、残念なことに、地方分権、私も大賛成でございますけれども、このたびの自治省のとらまえ方、それから今後進もうとしていることについて、若干疑問に思っていることがありますので、そのことについて議論させていただきたいと思います。  まず、この地方制度調査会の答申の中に、冒頭、権限を移譲する際の考え方として、現在の市町村、都道府県という二層構造を前提に地方分権に取り組んでいくんだというようなことが書かれておりまして、こういう考え方で地方分権を進めてまいりますと、従来いろいろと巷間議論されております九州府構想とか、あるいは府県連合構想とか、あるいはまた道州庁構想とか、いろいろな構想が過去議論されてきていることは、御案内のとおりでありますが、こういった行政改革の方向について全く門前でシャットアウトをするんだというような考え方から始まっている。何でこんたことになるんだ、このことについての基本的な自治省の考え方をお尋ねしたいと思います。
  28. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 先般、十一月二十二日に、地方制度調査会から地方分権の推進に関する答申をいただきました。この答申の中におきまして、「現在の市町村、都道府県という二層制を基礎とする地方自治制度は、国民の間に広く定着して」いるとされているところでございます。  で、市町村につきましては、御承知のように、住民に最も身近な行政を行う基礎的な地方公共団体として自主的、自立的にその施策が展開ができるように、その充実を図っていくということが重要であると考えているわけでございます。  また一方、市町村を包括をする広域の地方公共団体としての都道府県につきましては、これは実態的にも、また国民の意識の面でも、定着の度が高まっているということを考え合わせますと、都道府県、市町村が協力をして、かつ連携をして進めるという現在の基本的な枠組みは、その意義を失ってはいないのではないかというふうに考えています。  今回の地方制度調査会の答申におきまして、これは、来るべき二十一世紀までのおおむね五年程度で具体的な成果を上げるということを目標として、当面の問題として、当面、二層制を前提として、「都道府県により重点を置いて進めることが現実的かつ効果的である。」というようなことで、その上で、住民により身近な存在で、地域づくりの主体であります市町村への権限の移譲を進めるということが必要であるというふうにしているわけでございまして、私どもとしては、地方制度調査会の意見は、地方分権を推進する上で貴重な御意見であるというふうに受けとめております。  いずれにいたしましても、地方分権は、先ほど大臣からもお答えがございましたように、大変重要な課題でございまして、私どもとして、具体的な成果があるように、これからも強い決意で取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
  29. 金田英行

    金田(英)委員 この二層制を前提とする限り、なかなか地方分権は進まないのだろうというふうに私は信じております。  というのは、この二層制というのは、国があって、四十七ですから、約五十くらいの都道府県がある、そして全国三千三百の市町村が四十その都道府県に分かれるというと、大体一県当たり七十くらいの市町村を傘下におさめているわけでして、国は五十の県を、県は七十くらいの市町村をというような、こういう構造になっているわけです。この構造ですと、やはり中央集権体制は絶対なくならないなというふうに思うのです。  というのは、この数の関係が、五十の傘下の組織をおさまえているというような事態では、ほとんどの人が自分の自由な意見を述べることができない、必然的に中央集権にならざるを得ないというような、そういう数の関係だろうというふうに私は思っております。  ですから、少なくても、相談できるというような数にするためには、いろいろな人と相談をするということになりますと、やはり十人程度だったら具体的にやっていけるなというふうに思っておりますけれども地方分権する場合、この五十という数は何としても見直さなきゃならない。そして地方分権、この五十というところに権限移譲をするといっても、量的にも質的にも移譲する権限が制約されてしまうというふうに思っております。  とういのは、県の領域というのは大体五十分の一の国土ですから、猫の頼みたいな、例えば佐賀県みたいなところ、そういったようなところに中央の権限を移譲するといっても、なかなか五十通りのところに移譲することは不可能だというふうに私は考えているのですけれども、その点についての御感想がありましたら、吉田局長さんといろいろ議論させていただきたいと思います。
  30. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 現在の都道府県に権限移譲できるのかというようなお話かと存じます。  確かに道州制等の議論もこれまでもございました。今回の地方制度調査会で、この問題については、やはり将来の問題としてはともかくとして、当面、五年程度で具体的な成果を上げるということになりますと、まず現行の都道府県、市町村という二層制をもとに権限を移譲していった方が現実的かつ効率的であるというような考え方で出されたというふうに理解をいたしております。  それで、都道府県でございますが、現在四十七あるわけでございますが、それぞれ既に戦後五十年近くいろいろの行政事務を通じまして、行政執行能力は随分高まっているというふうに私どもは考えております。  そして、区域の問題等につきまして、確かにそういう一定の区域ということはありますが、都道府県を、区域を越えて行うような行政も当然あるわけでございます。そういうものについては、実はこの前の通常国会地方自治法の一部改正をいたしまして、広域連合制度というものも創設をすることもいたしているわけでございます。そういう制度も御活用願いながら、できるだけこの都道府県というのが、国民の意識の間でも、あるいは実態的にも、定着をしておりますので、そういうことを前提に、まずそこで分権を進めていくというのが現実的な考え方ではないかというふうに思っているわけでございます。
  31. 金田英行

    金田(英)委員 この地方分権、大変大きな課題であります。どうしても成功させなきゃならない課題でありますけれども、このような進め方でありますと、自治省サイドの進め方という形で、閣内の協力がなかなかとりづらいのじゃないか。現実的に、地方分権をする場合の移譲先は都道府県だというようなことになりますと、都道府県というのは自治省の意向が強く働く機構でございます。地方交付税等々、財源をしっかり押さえておるというようなことで、各省庁は、この地方分権の取り組みにつきまして、自分たちの握っている仕事を自治省の意向が強く働く都道府県に移譲することに極めて強い抵抗を示されております。  そして、この地方制度調査会の答申等々も、庶務は自治省がやられておるということで、だんだんだんだん、笛は吹けども権限移譲が全然できないというようなことになりますと、構えが大きなだけに、政権の存続にかかわってくるのではないかという心配さえするわけであります。  何とかしてこの地方分権を上手に進めていくためには、各省の協力がどうしても必要だと私は思いますし、そしてまた都道府県という単位でありますと、キャッチャーが弱くて、どうもいろいろな豪速球を受けとめられないというふうに感じておりますけれども、何としてでもこの二層構造でやらなきゃならないという考え方、「当面ことは書いていますけれども、そこいら込もう少し検討いただけないものかどうか。  地方分権大綱の作成作業がもう時間的に相当差し迫っておりますので、そこいら辺、もう少し柔軟た対応ができないのかどうか、また後、若干議論させていただきますけれども、そこいら辺、まずお聞きしておきたいと思います。
  32. 野中広務

    野中国務大臣 今まで行政局長からお答えを申し上げましたように、当面、二十一世紀までの地方分権のあり方として、地方制度調査会あるいは分権部会等からも御提言をいただいたところでございまして、これに基づきまして大綱を年内に定め、さらに可及的速やかにこれを推進するための法律国会にお願いをしたいと、スケジュール的に、先ほど申し上げましたように考えておるところでございます。  したがいまして、私といたしましては、現在、都道府県、さらに市町村という二層が国民の中に定着をしており、住民の身近な問題につきましては、それぞれ市町村でこれを担当し、そして足らざるところを都道府県が補っていくという、そういう二層制を、それぞれ分権部会あるいは地方制度調査会が御提言をされましたことは、当面の問題として、これを推進したいと考えておるところでございます。  ただ、地方分権というのは、内閣が進めるべき課題でございますので、私どもといたしましては、総務庁を主管庁といたしまして、私ども自治省は裏方としてお手伝いをしていくということを考えておるところでございまして、総務庁長官にもその旨をお願いをし、総務庁としては、特殊法人等の見直し、規制緩和、いわゆる行政改革の大きな問題を持ちながら、また地方分権という課題を抱えていただくわけでございますけれども、今委員から御指摘ございましたように、各省庁のしがらみを考えますときには、総務庁が強力なリーダーシップを発揮していただき、私どももまたこれをできるだけお手伝いをして、地方分権を実りあるものにしていかなくてはならないというように考えておるわけでございます。  委員が御指摘になりましたような、なお幅広い道州制等のあり方につきましては、その後の課題として検討されるべきことであろうと考えておるところでございます。
  33. 金田英行

    金田(英)委員 それでは、総務庁さんにその点についてお聞きしますけれども、果たしてこのような形で各省庁の権限を都道府県におろすというようなことが、これからの取り組みとして展望できるのかどうか。権限移譲等については今さら言われたことではないわけでして、ずっと昭和三十年代から行政改革の目玉として取り上げられてきて、それが何にも進まなかったというような課題、そういった課題に、またさらに同じような仕組みで取り組んで勝算があるのかどうか、そこいら辺について総務庁のお考え、各省対応、各省の協力がないとできないわけですから、そこいら辺、お尋ねしたいと思います。
  34. 福井良次

    ○福井説明員 お答え申し上げます。  ただいま自治省当局から二層制の問題について御説明がございました。実は、先般の地方制度調査会のみならず、昨年十月に第三次行革審最終答申におきましても地方分権の議論がたされております。あらゆる制度でございますので、未来永劫そのまま見直さなくていいということではもとよりございませんが、ただいま自治省からも御説明がございましたように、当面都道府県、市町村という二層の地方公共団体が基本となっている、しかも住民に広く定着しているということが事実でございまして、そういうことを地方制度調査会なり行革審は提言をされておる。  政府といたしましては、そうしたものを十分踏まえながら、この年度末の分権大綱の策定に向けて取り組んでまいりたい。このスケジュールにつきましては、既に本年の二月の中期行革大綱におきましてこの年度末までに分権大綱方針を策定するということが、まさに内閣の意思決定として決まっておるところでございます。当然、各省とも十分協力の上、実りある大綱方針に練り上げてまいりたいというふうに考えております。
  35. 金田英行

    金田(英)委員 当面二層構造を前提に地方分権を進めていくのだというお考え、それは考え方ですから、それはそういうお考えですかと言うしかないわけでありますけれども、この都道府県を受け皿に権限移譲するといったときに、多くの反論が予定されております。  第一点は、県知事は公選で選ばれて、激しい選挙抗争の中で生まれる知事であるということから、各省庁の権限をおろす際に、自分たちの権限が政治色によって公平な行政判断ができるのかどうか。勝ち組、負け組とありまして、中央の権限が都道府県知事に移譲された場合に公平な行政事務が執行できないではないかという危惧をする方々がおります。それが第一点の理由であります。  また、県に権限移譲した際に、その県の領域が余りにも狭過ぎて、全国の五十分の一程度ですから狭過ぎて、自分たちの知恵を全国的な視野でやるような権限移譲はほとんど不可能だというようなことで、やはり県は受け皿として受け皿たり得ないというようなことが問題の第二点であります。  その点についてまずお尋ねしてみたいと思います。
  36. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 権限移譲を都道府県にする場合の問題点ということでの御指摘でございますが、地方分権というのは、現在成熟社会を迎えておりまして、そういう中でそれぞれ地域が個性豊かで多様で活力ある、そういう地域をつくっていくということが大切であるという見地から、住民に身近な行政はできるだけ住民に身近な行政主体であります地方公共団体でこれを行うのが適当であるというような見地から進められているというふうに私ども考えております。  そういう中で、今御指摘ございました都道府県の知事が公選であるということでございますが、これは、住民自身の見地からいたしまして当然公選ということになるわけでございますが、そうであるからといって、これがいろいろな選挙のしがらみで不公平、不公正な行政が行われるということは、過去の歴史を見ておりましても決してそういうことではなくて、住民の方々の監視もございますし、また議会のチェック、監視もございまして、長い目で見ればかえって公平な行政が進められてきているのではないかと私ども考えておりますし、今後ともそういうそれぞれの住民なり議会の監視機能がうまく機能していくということが大変重要だとは思っておりますが、公選だからといって公平な行政ができないということでは決してないというふうに思っているわけでございます。  それから、領域が限られているというのは確かにそのとおりでございます。そういう中で、その領域を越えて行われるような事務につきましても、これはお互いに協議をして一緒にやっていくとか、あるいはこれも先ほど申しましたが、現在でも一部事務組合制度というのがございます。あるいは、今度の自治法改正で広域連合制度というものをつくりまして、それぞれの地域を越えて広域行政ができるような仕組みをつくりまして、そこに国から直接権限を委任するというようなことができるというのも明文の規定を置いておりますので、そういう中で事業を実施していくということは可能であるというふうに思っているわけでございます。  確かに、将来の問題としては、委員指摘のような道州制といった問題もあろうかと思います。あろうかと思いますが、これはもう地方制度の抜本的な改革ということになりまして、当面五年程度で具体的な成果を上げようという場合には、現在の都道府県、市町村という二層制を前提にしていった方が現実的、実際的であるというふうに思っている次第でございます。
  37. 金田英行

    金田(英)委員 まさに抜本的な改革が今待たれているのでありまして、従来の、明治以来続いてきた二層構造を前提としたやり方では、やはり中央集権体制は直らないというふうに信じております。  議論を先に進めさせていただきますが、この地方制度調査会の答申の中に、国の事務、地方の事務、役割分担の基本的考え方というくだりがありまして、新たな視点に立って国の事務と地方の事務を抜本的に見直す必要があるというふうにうたわれておりますけれども、ここで、国というのは三つの仕事をするのだと言って、一つは国家の存立にかかわるような仕事を国がするのだ、それから全国的に統一されていることが望ましい仕事をするのだ、三として、全国的規模、視点で行われることが必要不可欠なものだ、そういったこれらの事務以外、残りは地方公共団体がやるのだ、こういうふうな区分けの哲学であるようですけれども、このような区分けの考え方では、各省庁の業務、今行っている業務はすべて国がやる必要があるという前提に立ってやっているわけでありまして、このような三つの考え方でやりますと、今の現状は何も変わらないということになりかねません。その点についてどう考えておりますか。
  38. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 御指摘のように、今回の地方制度調査会の答申では、国の事務と地方の事務、いわゆる国と地方の役割分担について提言をいたしております。  これは、現在国際的にも国内的にも大きな変革の時代を迎えまして、国と地方との関係について、そういう今日的状況を踏まえまして、時代の変化に対応した新たな視点で抜本的な見直しをする必要があるというようなことでこの提言を行っているところでございますが、具体的には、今委員おっしゃいましたように、「国はこ「国家の存立に直接関わる政策に関する事務を行うほかこ「国内の民間活動や地方自治に関して全国的に統一されていることが望ましい基本ルールの制定に関する事務」また「全国的規模・視点で行われることが必要不可欠な施策・事業に関する事務を重点的に行う」一方「地方公共団体は、国が行う事務以外の内政に関する広範な事務を処理する。」ということでございます。  いずれにいたしましても、国、地方公共団体の役割分担を見直しまして、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるようにということで、必要な権限の移譲や、国の関与等の是正、廃止、緩和、それから地方税財源の充実強化等を進めて、その地方の自主性、自立性を高めていくということが大変重要であると思っているわけでございます。  そして、今時に言われました全国的な規模、視点からということでこういうことも言っておりますが、こういう役割分担では国の事務と地方の事務は一向に変わらないのではないかという御指摘もございましたが、この権限移譲に関連しまして、地方制度調査会でも実は、「これまで全国的な統一性や全国的な規模・視点が過度に強調されすぎたきらいがあるが、全国的に影響があることをもって直ちに国の事務とすることは適当でない。また、全国的な統一性、全国的な規模・視点を重視して行う必要のある事務についても、国はできるだけ、その基準を示すことに留め、具体的な執行に当たっては、地方公共団体の裁量に任せるべきである。」ということも言っておりますし、「さらに、地方公共団体の事務処理について法律の制定が必要とされる場合であっても、法律制度の大枠的なものを定めるに留め、制度の具体的内容地方公共団体の条例で規定できる仕組みにすべきである。」というような見地からの提言もしているわけでございまして、こういう国・地方の役割分担を踏まえてこの地方分権が進みますように、各省も御理解をいただいてこれが進みますように、私どもは努力をしていきたいと思っているところでございます。     〔委員長退席、吉田(公)委員長代理着席〕
  39. 金田英行

    金田(英)委員 本当に大きな改革がこのような考え方でできるのかだんだん不安になってくるわけでございますけれども、これは国がやるんだ、国がやらない残りは地方がやるんだというような考え方、その考え方に今現状なっているわけであります。  そういう考え方ですと、各省庁は自分の権益を拡大するために、自分の所掌業務を大きくするために、あらゆる分野に、地方がやるべきことについてまでも、こういうことをやるのであれば我が省は補助金をつけますよというような形で地方の固有事務を侵食していっているわけであります。地方固有の事務ということは、町内のごみ集めをすること以外はほとんど国がかかわってきておるのが現状だというふうに思います。  公園をつくるにしても補助金が出る、小さな学校の遊び場をつくるのでも補助金がついている、補助金がついてから地方は仕事をやるというようなことになりますから、地方には具体的に国の指導を受けないでできる仕事は全く皆無だというのが現状であります。このような基本的な考え方、国がやるべきことをやって、残りは地方自治体がやりなさいよ、補助金についてもあるいは地元負担金についても若干述べられております。基本的にはこういう考え方でよろしいのですけれども、こんな考え方では地方自治は育ちませんよということを私考えております。  今までは、今までの基本的な行政法学的な考え方、まず国の事務と地方の事務を峻別するんだ、そして国の事務は、中央省庁と、そして地方支分部局あるいは出先機関、全国に網の目のように配置されている国の出先機関、これで国家公務員が行うのが国の事務ですよ。地方の事務というのはその残りの事務でありまして、それについては地方吏員が県庁や役場でやりなさい、こういう仕組みになっているのです。  しかし、考えてみますと、果たして国の事務と地方の事務という本質的な区別はあるんだろうかということに私疑問を持ってきておりまして、よく言われる、国防の問題だとか、あるいは警察の問題だとかそういった問題、あるいは外交の問題なんかはやはり国がやった方がいいなということはあるでしょう。しかし、それとて相対的な問題だろうというふうに私は思うのであります。  じゃ、民衆にかかわる、生活にかかわる問題は地方固有の事務かというと、そうでもありません。年金の問題だとか、保険の問題だとか、環境の問題だとか、そういったことについては、やはりそれは国がやるべきでないかという形で、地方の事務、国の事務という従来の峻別する考え方というのはもはやとり得なくなってきているのが実態でないかな、私はそう思っております。  国の事務といっても地元負担金を取るわけであります。地方の事務といっても国が補助金をつけているわけであります。一つの仕事について、国が全国の計画をつくり、県が都道府県計画をつくり、市がその実行、市町村計画をつくるという形で、一つの業務が国と地方とで一体となって連携しながら行われているというのが実態だろうと思うのであります。  そういったことについて、もう古い行政法学的な、国の事務と地方の事務をまず峻別することから始める、そういう考え方はもう時代に合わなくなってきていると私は思えてならないのですけれども、その点について吉田局長の御見識を伺いたいと思います。
  40. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 国の事務と地方の事務に関連してのいろいろのお話でございまして、実態的には、確かにおっしゃいますように、いろいろな事務につきまして国庫補助金等がございまして、国との関係があるということは、そのとおりかと思います。  この問題については、先ほど申しましたように、それで、ただそうだからといって、国と地方の事務を区分できないんだということに直ちになるんだろうかということでございますが、私どもといたしましては、やはり住民に身近な行政は、身近な行政主体である地方公共団体、そこの責任と権限でできるという仕組みをつくっていくのが、個性あふれる地域社会を建設していく上で大変重要なことであるというふうに考えているわけでございまして、そういう意味で地方の事務ということは区分できるのではないかというふうに思っているわけでございます。  それで、その財政面でのいろいろなことにつきましては、権限の移譲を、今言ったような役割区分に応じて権限を移譲すると同時に、財源についても、それが自主性、自立性が発揮できるように補助金等についての整理合理化も進めるべきであるというふうに考えておりまして、そういう御提言もこの答申の中にはあるわけでございます。
  41. 金田英行

    金田(英)委員 じゃ具体的にお尋ねします。  答申の中に機関委任事務について、この概念を廃止するというふうに言われておりますけれども、国の事務と地方の事務を分けて初めてこの概念が必要になってくるのですけれども地方の事務と国の事務というのをまず区分けして、だからそれを市町村にやらせているのが機関委任事務だというふうな今までの行政法学的な説明になっているわけですけれども、この概念をどういう理由で廃止するか、お尋ねします。
  42. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 機関委任事務は、御指摘のとおり、国の事務を地方の機関、知事や市町村長に委任をして執行をさせるというようなことでございますが、今回のこの答申では、そういう概念をもう廃止をいたしまして、現在地方公共団体の機関が処理しているそういう事務は、地方公共団体の事務にすべきであるという考え方でございます。  ただ、そうはいいましても、例外的に、国の選挙の管理、執行でございますとか、旅券の発給等、本来国の事務と考えられるものがございますし、そういうものであっても、国民の利便性と事務処理の効率性の観点から、地方公共団体が執行することが適当であるという場合もございますので、それについては執行の確保ということも重要でございますので、「地方公共団体の自主性・自立性を確保する視点を踏まえ新たな仕組みを制度化する必要がある。」という御提言をいただいているところでございます。
  43. 金田英行

    金田(英)委員 この機関委任事務の概念を廃止する、あるいは地方事務官制度については廃止する、そういった物の考え方には、これは市町村にやっていただく事務だからそういう概念は要らないんだよというのがあるんだろうと思うのです。  ですから——言っていることわかっていただけるかな。とにかく市町村がやっている事務だから、それは市町村の事務だということがあるんであって、これは中央省庁がやっている事務だから、それは国の事務であってというようなことは、結果的にあると思うのですが、国の事務とか地方の事務とかという本質的な区別はもはやないんだということについて、再度、そういう理解、そういう論理立てがあって初めて機関委任事務の廃止だとか地方事務官制度が要らないんだとかいうような、理論的な帰結としてそういったものが出てくるんだろうというふうに私は考えるのですけれども、この点について、まず国の事務と地方の事務を峻別する、そんなことができるのかな、もはやこの時代、難しくなったなというふうに思っているのですけれども、その点もう一度、何でなっているのか。
  44. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 機関委任事務については、地方公共団体で実施をしているわけでございますが、実態的な、感覚的な面といいますか、実際に処理をしている地方公共団体におきましては、これが機関委任事務であるとか、これが団体委任事務であるとか、これが固有事務であるとかというようなものを、一々峻別をしながら事務の執行をしているということではないかもしれません。実際の行政については、それぞれの事務を地方団体が処理しているというような実態はあるかと思います。  ただ、機関委任事務につきましては、やはり最終的に国の指揮監督が働くというようなこともあるわけでございます。そういうことで、この答申の方では、既に地方でかなりやっているんだから、そういうものについては、そういう概念も廃止をして地方団体の事務にすべきであるというような答申を出されたというふうに理解をしているわけでございます。  ただ、そうはいっても、国政選挙とか旅券の発給とかいう問題については、これはどうも地方の事務と言うには言いがたいと思いますので、そういうものについては新たな仕組みを考えていくべきではないかというようなことかと思います。
  45. 金田英行

    金田(英)委員 従来のそのような考え方では、国の事務、地方の事務を峻別してから事を始めるということでは、なかなか地方分権は進まないなというふうに思います。  というのは、既に現実の問題として、たくさんの各省庁が固有の事務として、国の事務としてやっている実態があるわけでして、それに切り込むには、この理屈ではなかなか切り込めないのではないかというふうに思います。  これは地方にやった方がより効率的にこの仕事が処理できるではないか、これは市町村にやらせた方が効率的でないか、合理的でないかというような、単に事務そのものの特色をとらまえて、そしてその業務を分担させていく。どこの機関に担当させたら一番効率的があるいは合理的かという考え方一本で事務を配分していくという方式をとらないと、ほとんど、これは国がやった方がいいとか、バケツを二つ置いておいて、こっちのバケツに入れるか、こっちのバケツに入れるかというような理屈では、抽象論が先に立って具体的な解決策にならないなというふうに思えてなりません。  具体的にお尋ねしますけれども、営林署は全国にたくさんの、大体二、三町村に一つぐらいずつあります。その営林署というのは、国有林野を維持管理しておるわけですけれども、国有財産ですから国が直接やるべきだという論理があるでしょう。しかし、国有林というのはその地域にとって環境のために極めて大切な機能を果たしているところでありまして、国有財産であっても市町村にやっていただいた方がよりいいんじゃないか、そんなことが考えられますけれども、これはやはり国の国有財産の管理事務だというふうな考え方に立ちますと。ほとんどこれは地方の事務にすることができません。  そんなことについて、やはりここいら辺で哲学の変更というのですか、物の考え方、もっと切り込みやすい哲学を持つべきだなと思えてならないのですが、その点についてもう一度。
  46. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 国・地方を通ずるいろいろな行政事務がございますが、それをどこの責任で処理をするのが最も適当かということと関連する問題だろうと思います。  今委員指摘のように、どこでやるのが最も適当かということでございますと、私どもが言っているのとそう変わらないのかという気もいたします。住民に身近な行政については身近な行政主体がやることが最も望ましいのだという見地から考えますと、先ほど言いました地方制度調査会の答申にありましたような、国・地方の役割分担というものも出てくるのではないかというふうに思っているわけでございます。  できるだけ身近な行政は身近な行政主体でやるということを基本に考えて、それに応じた事務配分をしていくべきであるというふうに思っているところでございます。
  47. 金田英行

    金田(英)委員 私は心配しておるのでありまして、何とか地方分権を成功裏におさめたい、多くの権限が地方に移譲される形を何とかしてとりたい、そのためにはそれなりの哲学なり理屈が必要だろうと思います。  具体的に、職業安定所というのがこれまた二、三町村に一つずつ配置されて、労働事務官が仕事をしているわけであります。それは市町村長やあるいは県知事とほとんど関係なく、労働省の指揮下でできるというような体制を各省持ちたがるわけであります。  そこで、ここいら辺で、その地域におけるあらゆる行政というのは都道府県あるいは市町村が完結的に行える体制をこれからとっていく必要がある。ここの領域で行われるあらゆるパブリックな業務は市町村にやっていただきますよ、ですから、国が直轄で事務所、事業所を配置してやっている仕事、そういったものについては市町村がやってください、そっちの方が効率的ですし合理的ですよという単なる説明地方分権を進めていく必要があると思います。  例えば、具体的にさらにお話しさせていただきますと、戸籍の事務は機関委任事務だとされています。これは、市町村役場に戸籍謄本をとりに行く、それは役場の吏員がやっていただきます。しかし、登記事務については、これまた二、三の市町村で一つの登記所をつくっておりまして、これは法務事務官が国の直轄機関として登記の仕事をしております。  じゃあ、何で戸籍の仕事は機関委任事務で、登記の仕事は法務事務官が直轄で、法務省直轄の機関を置いてやらなければならないのか、そこいら辺、何か合理的な理屈があるのですかと、いろいろな委員会で質問しますけれども、これについては合理的な理由がなかなか御答弁いただけません。まずほとんどないんだろう。地元住民にとっても、行くんだったら身近な市町村役場に行ってやった方が、親しみのある役場でやった方がうまくいくなと。  だから、こういった仕事、その地域におけるあらゆる行政というのはトータルで、まあいろいろ例外も、警察はどうするんだとか、いろいろなこともあるんだろうと思う。例えば貿易関係、貿易というのは税関だとかそういったことはどうするのかという議論もあるのでありましょうけれども、まず基本的にその地域における行政は全都市町村役場でやるんだと、トータルな総括行政機関として市町村を育てることがこれから絶対必要だというふうに思います。  そのことについては、今までおぞましい陳情という用語が全国至るところにあるのですけれども、こういった、その管轄地域における総合的な総括的な行政機関だというふうに市町村を位置づけますと、すべての情報は市町村から発せられます。おたくの町村ではどんな形になっているのですか、これを報告してください、あなた方の地域にどんな予算が必要ですかと、予算要求も市町村をベースに行われていきます。そんな形で、陳情ということは全くなくなる、むしろ要求とか要望とか、そんな形に切りかわる。  だから、各省の仕事は全都市町村が引き受けるんですよというぐらいの、そっちの方が効率的だし合理的だと、そんな考え方に今切りかえないと、この地方分権大綱うまくいかないのではないかというふうに思えてならないのですけれども、その点についてのお考えがありましたら、どうぞ。
  48. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 ぜひ地方分権を進めるべしという見地からのお話でございまして、私どももそういう格好で地方分権を進めてまいりたいと思います。  基本的に、地域に関する行政については都道府県と市町村で完結できるようにすべきであるという御指摘については、まことにそのとおりであるというふうに思っているわけでございます。そういうことで、できるだけ地域に関する行政については地域で完結できるというシステムをつくっていく、そういう分権型システムをつくっていくということが大変重要であろうと思います。  そういう中で、市町村は基礎的地方公共団体でございます。最も住民に身近な地方公共団体でございますので、ここがよく事務処理ができるようにしていくということは大変重要なことだろうと思っております。ただ、市町村だけで、やはり区域の問題もございますし、あるいは権限の問題もございましょう、そういうものについては広域的な団体である都道府県が処理をするということもこれまた必要かというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、地域に関する行政は、基本的には都道府県と市町村で完結できるというような仕組みをつくっていくということが大切なことであると思っている次第でございます。
  49. 金田英行

    金田(英)委員 私は、この地方分権、いろいろな思いを込めて成功させたいと思っているのですけれども、確かに消費税の値上げ等々で多くの国民に負担の増加をお願いしなければならないときに、この行政改革、特に地方分権の中で多くの合理化を進める必要がある。  その合理化を進める根本は何かというと、やはり公務員の定数の是正、大幅縮減だろうというふうに思います。その大幅縮減を実行するためには、どうしてもこの地方分権、あるいは全国に配置されている事業所、国の事業所、出張所の都道府県あるいは市町村への吸収、合併等が絶対必要だ。  そういうことにしますと、大体国家公務員、八十六万人おりますけれども、その約半数は国家公務員でなくなる必要が出てまいります。なくなる必要というのか、移管することができるという対応になってきます。そうしますと、相当の合理化が図られるのだろうというふうに思うわけであります。  具体的に申しますと、八十六万人の国家公務員のうち、霞が関に配置されているいわゆる中央官僚というのはわずか三万二千人で、パーセントにしたら約三・五、六%でございまして、ほとんどの国家公務員は地方支分部局、そしてその出張所、事業所に配置されております。  何とかしてこの地方分権を、もう少し合理化ができるな、やはり行政もリストラやっているなという形の見える地方分権にしていただかなければならないなというふうに思っているわけでして、そこの点についてもう少し切り込んだ、今までの県や市町村と違った県や市町村をつくるんだ、そのためにはやはり基本哲学として、国の業務と地方の業務というのは本質的に区別はないので、どこに担当させたら一番住民が喜ぶか、国民が一番便利になるかという視点で分けましょうというその切り口一本でメスを入れていかないと、各省庁の壁は厚くて切れませんよというふうに思うのです。  再度、お答えいただけるかどうか、この際、野中大臣に。
  50. 野中広務

    野中国務大臣 先ほど来お答えを申し上げておりますとおりに、当面の地方分権についてそれぞれ御提言をいただいたところでございます。金田委員の言われる真の地方分権を進めていきます場合には、今後なおさまざまな検討が必要であろうと考えておるわけでございます。  ただ、補助金行政一つをとりましても、現在の補助事業はだんだんと整理をされてまいりまして、平成四年度決算ベースで見てまいりますと、補助金事業につきましては十兆円であります。それが地方単独事業では十七兆円になっておるわけでございまして、補助金行政が非常に整理をされて、地方単独事業が伸びてきておる。  こういうことを考えましても、これからそれぞれ地方の分権を成功させていきます場合には、それに伴って、やはり地方みずからもその受け皿をつくっていくための推進をみずからやっていかなくては責任が果たせないわけでございまして、私ども地方行革推進のあり方を指示をいたしまして、地方みずからが行政改革を推進をして、分権を受けるにふさわしい責任と受け皿をつくるべきであると考えておるわけでございます。  そういう意味において、これから、今委員が御指摘になりましたような問題も視野に入れながら、けれども委員が御指摘になっておりますブロック制の、ちょっと委員の著書を拝見をいたしましたら、十一ブロックに国の出先機関を統合するようなことがございましたけれども、これは分権論とは趣を異にするのではないかと私は思っておるわけでございます。  ただ、今の定着した都道府県が、当面国の持つ権限を受けるにふさわしい地方公共団体であり、さらにそれを市町村の合併をできるだけ推進して市町村が機能を備えることによって、住民の一番身近なところにおける地方公共団体である市町村が、最終的にはできるだけ権限を受けて、行政サービスを行っていくという方向での努力をやっていかなくてはならない、私はそういうように認識をいたしておるわけでございまして、地方分権のあり方というのは、そういう点では段階を踏まなくてはならないのではないかというように考えておる次第でございます。
  51. 金田英行

    金田(英)委員 お答えありがとうございます。  憲法の九十四条に、地方公共団体が条例を制定することができるという規定がありますけれども、その規定の頭に「法律の範囲内で」というのがあります。そのことによって国はあらゆることについて法律をつくることができますし、このことによって各省庁の権限がだんだん拡大し、横へ拡大するのはいいのですけれども地方固有の事務を引き上げるというのですか、国の事務に取り込むことによって地方公共団体の失権をもたらしているというふうに私は思うのでありますけれども、この点。  そしてまた、今後五年間で地方分権をやると言っておりますけれども、たくさんの法律に基づいて中央省庁が仕事をしているわけでありまして、法律を直さないと地方の仕事になっていかない、そんなことになって、果たして五年間でこんな作業ができるのだろうか。むしろやるのだったら、もう少し大なたを振るった、まさに改革だな、そういった地方分権をこれからやらなければならないのではないのかなというふうに思っているのですけれども、この点についての大臣の御所見、法律の範囲内で間に合うのかどうか。
  52. 野中広務

    野中国務大臣 まさしく地方分権に対する国会の大きな認識と御理解と御決断をいただくわけでございまして、それなしに地方分権をなし遂げることはできないわけであります。  今委員指摘のように、各省庁がみずからの権限を保持するために新たな法律をつくるということであれば、国会の議に付さなくてはならないわけでございますので、国会がいかにして地方分権をこれからの最大の課題として御認識をいただき、御理解をいただき、御推進をいただくかというごとにかかっておると私どもは思うわけでございまして、私ども、また行政府といたしまして、それが可能なようにできるだけ努力をしてまいりたいと存じておるところでございます。
  53. 金田英行

    金田(英)委員 私は、長年の公務員生活等々で、これは大変な騒ぎになるなという感慨を持っております。果たしてできるだろうか。自治省が大綱を決めて、不承不承その大綱も閣議決定できるかもしれません。しかし、権限を渡すのは中央省庁であります。各省が自分の権限を、それもましてや自治省の意向が強く働く都道府県にやすやすと移譲するということは、到底想像ができないのであります。  ですから、この際私は、地方分権を成功させるためにも、各省の地方支分部局の大統合がぜひ必要だ。そうしますと、各省は、四十七やそういう、小さく分散、権限を分けることでなくて、地方支分部局を統合して、全国十一の、あるいはブロック、あるいはそんな組織がある。  大体、私の試算によりますと、仙台にある各省庁の出先を統合しますと、もっとも港湾建設局みたいな、横浜にあるようなのは東北部分を分割して仙台に持ってくる必要がありますけれども、そういう各省庁の現在ある出先を結わえるということだけで大分合理化にもなりますし、権限移譲はそこまでだったら大丈夫だ、各省の協力が得られるというふうに私は思えてなりません。  四十七にも全部個別各戸に配付するのは大変であります。ですから、自宅まで、お宅の玄関までは配達できないんだけれども、町内会長のところまでは権限は配達するから、そのブロック内で各知事さん方が相談してその行政を執行していただきたいというような形になりますと、地方分権も本当に各省の協力も得られてうまく進むんではないかなと私は思う次第であります。  とにかく二層構造を絶対直さないんだというかたくななことでは、村山内閣、格好のいいことばかり言って結局何もできなかったという形で、これは野党の全く格好の攻撃材料になることは必定であります。  もう一度、機会あるごとにいろいろと議論させていただきたいと思いますけれども、とにかく県では、我々の中央省庁の投げる豪速球を受けとめられるだけの捕手能力は極めて疑問であります。いろいろな理由等々があります。  時間も来ましたので、きょうのところはこれぐらいにさせていただきますけれども、これからも、大臣、そして長官、そして総務庁の皆さん方にも御指導いただいて、本当に地方分権、ああ、やれてよかったな、自分のことばかり考えるのではなくて、各省のこともやはり考えていただいて、各省が喜んで、よし、それだったら地方に、個性ある地域づくりのために貢献するんだというふうになり得るような分権大綱にしていただかないと、内閣は大変なことになるぞというふうに危惧しておりますので、以上述べまして、私の質問にかえさせていただきます。
  54. 吉田公一

    吉田(公)委員長代理 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  55. 粟屋敏信

    粟屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米田建三君。
  56. 米田建三

    ○米田委員 改革の米田でございます。私どもは、税制改革の関連法案の審議の中で、国民の声を受けまして、行革やあるいは将来の高齢化社会に対する対策、これらの見通しが不明確なままに消費税を安易に引き上げることに強く反対をしたところでございます。  そこで、私どもが危惧したとおりというべきでしょうか、本日公表されました各省庁が総務庁に提出をいたしました各省庁所管の特殊法人の見直しの検討内容や取り組み体制についての中間報告でございますけれども、自治省所管の公営企業金融公庫あるいは消防団員等公務災害補償等共済基金、これらも含めて、統廃合あるいは民営化などの具体的な突っ込んだ方向を示した省庁はもう皆無であると言ってもいい、私はそんな印象を実は読んでみて持ったわけでございます。実際名前は言いませんけれども、総務庁の担当の方もあきれておりましたよ。実はそういう内容でした。  この九十二の特殊法人の整理合理化の問題でございますが、これはたしか村山内閣の行政改革の最重要課題の一つのはずでございます。内閣を構成する国務大臣の一人として、自治大臣がこの結果をどのようにお考えなのか。やはり省庁による自主申告方式には限界があるわけでございまして、行政改革はやはり政治家の政治の責任と決断によってしかなし遂げられないんだなということを、改めて私は痛感をさせられた思いでいるわけでございます。大臣の見解を伺いたいと思います。
  57. 野中広務

    野中国務大臣 米田委員指摘の特殊法人の整理合理化、あるいは先ほど来、午前中御審議を賜りました地方分権の推進など、国・地方を通じます行政改革は今後の村山内閣の大きな課題でありますとともに、内閣が強い決意で取り組まなければならない重要な課題と認識をいたしております。  今回の特殊法人等に関する各省庁の報告は、けさ総務庁から報告されましたものは、あくまで二十五日現在までにおきます見直しの状況を中間的に報告するように示したものでございまして、時間的な制約からいっても御指摘のような内容になったことは、私はやむを得ないと思っておるのであります。  しかし、明年二月十日を目途に個々具体的な法人の見直しの結果を報告することといたしておりますし、さらに三月末にはすべて具体的スケジュールを含めましてそれらを明らかにするということになっておるわけでございまして、各省庁においてはその方向に向けて真剣な検討が行われると考えております。  また、けさ総理からも各閣僚のリーダーシップを特に要請をされたところでございまして、まさしく委員指摘のように、政治家、そして閣僚として、それぞれ諸官庁を統括する者の決断であり、実行であり、リーダーシップであろうと私は思うわけでございまして、徹底した見直しを行いまして、ぜひ国民の期待にこたえられるような成果を上げるように私どもも努力をしてまいりたいと考えております。
  58. 米田建三

    ○米田委員 ぜひとも政治の責任と決断において特殊法人の見直し、整理合理化に向けまして一層の努力をしていただきますようにお願いをしておきたいと思います。  次に、行政改革の必要性は、言うまでもなく、中央だけでなく地方の行革というものが、行革全体を考えた場合に当然大きな問題になってくるわけでございます。税収の減に伴う財政の悪化やかるいはこれからの高齢化社会の到来を考えたときに、直接地域の住民に接する地方自治体の行政改革、あるいは言い方をかえますと、スリムな、そして効率的な地方政府づくり、これが急務であろうかと思うわけでございます。  そこで、ひとつまず第一にお伺いをしたいわけでございますが、現在、地方公務員の数でございますが、どのようになっておりますか。過去五年間の、平成元年からの推移で結構でございますが、お尋ねをしたいと思います。
  59. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 地方公務員の総数で申し上げますと、近年、市町村を中心に増加傾向にございます。過去五年間の推移を申し上げますと、平成元年が三百二十一万八千人余り、一年置きまして平成三年が三百二十四万一千人余り、平成五年が三百二十七万人余り、こういう状況でございます。地方団体においてはこれまでも事務の統廃合あるいは民間委託による行革努力を行っていますが、他方で、医療、看護体制の充実などに伴う病院部門の増加、あるいは国の基準の充足等に伴う警察とか消防部門の増加が挙げられまして、また、高齢化対策の充実あるいは景気対策の推進を含む単独事業の増加、こういった要因が挙げられます。
  60. 米田建三

    ○米田委員 今の数字を伺いますと、平成元年から平成五年までの間に約五万八千名増加をしている、そういう勘定になるわけであります。今いろいろ当局、御説明されましたが、これはもう少し詳しく分析してみる必要があると思うのですね。  そこで伺いたいのは、自治体がみずからの判断で採用を決められている一般行政部門の増加数、それと教育とか警察消防等の特別職の増加数、これを比較してみたいと思うわけでございますが、その辺どうなっているのか、お答えを願いたいと思います。
  61. 鈴木正明

    鈴木(正)政府委員 一般行政部門の職員の増加でございますが、同じく最近五カ年間で見てみますと、平成元年から平成五年までで三万四千人余りの増ということでございます。これに対しまして特別行政部門、教育、警察消防の部門でございますが、平成元年から平成五年まででマイナスの五百人余りということでございまして、一般行政部門の方が多いわけでございます。  以上でございます。
  62. 米田建三

    ○米田委員 この一般行政職の増加と特別職の増加を比べた場合に、これははっきり違うのですね。  先ほど同僚議員の質問の中に、警察官等についてはむしろ地方から増員の要請すら相次いでいる、こういうお話もございました。ところが、これらについては恐らく自治省の御指導等もあってかなり抑えられている、横ばいである、むしろ若干減っておる、こういう状況なのですね。  ところが、問題は、地方の自治体がみずからの判断で採用数を決められる一般行政部門について著しい増加の現象がある、こういうことなのです。  具体的な名前を挙げるのはちょっと控えますけれども、自治体等によっては、やたらに公用車の運転手さんの数が多いとか、何でこういう職種だけたくさんいるのか、この辺は明らかに削減できるのではないかという指摘が、内部でも、また外部からもありながら、なかなか改まらない、そんな自治体も多いというふうに実は聞いているわけでございます。  今御案内のとおり、民間企業はリストラに直面をして、採用者数を減らして企業の生き残りに全精力を傾けているのが現状でございます。その中で、行政組織は倒産の危険がないから定員管理がルーズなのではないかといったふうなそしりを受けないためにも、やはりどうしても地方の自治体に努力を求めていくべきだと思うわけでございます。  そこで、自治省はこの地方自治体の定員管理の問題、どのような指導を行っておられるのか。本年の十月七日に事務次官の通達が都道府県知事あるいは政令指定市長に出されておりますが、どうも拝見したところ、一つの努力目標の羅列と申しましょうか、いささかその実効性に疑問があるわけでございますが、その点当局の御見解を伺いたいと思います。
  63. 野中広務

    野中国務大臣 今委員指摘のように、民間が厳しいリストラを行っているときに、地方公共団体の定員管理につきましてもまた厳しくあらなくてはならないというのは、お説のとおりでございます。  自治省といたしましても、今御指摘ございましたように、平成六年十月七日付で地方公共団体における行政改革推進のための指針をそれぞれ事務次官名で通達をしたところでございます。  この指針におきましては、行政改革推進のための重点事項として、定員管理の適正化と推進等を掲げまして、定員モデルやあるいは類似団体職員数の状況といった参考指標を活用するとともに、国の定員管理計画をも参考にしながら各団体ごとに自主的、主体的に定員の適正化計画を策定いたしまして推進することと、また事務事業の見直し、組織、機構の簡素化、合理化、民間委託、OA化等を積極的に進めることや、定員状況の公表を推進することに留意するべきであるとしたところでございます。  今後とも積極的にこの地方公共団体へ示しました諸点に留意いたしまして、一層定員管理の適正化を推進指導してまいりたいと思うわけでございます。  ただ、委員御承知のように、地方公共団体におきましては、一般行政部門について、ゴールドプランの推進を初めとする高齢化対策の充実あるいは延長保育、乳幼児保育等の保育サービスの充実、あるいは市町村保健センターの整備、景気対策の推進を含む地方単独事業が非常に増加いたした等の特殊な要件が、定員増の背景として最近あるわけでございます。  そういった部門を私どもも見ながら、なお大胆に地方がリストラを行っていくための施策を熱心に努力を傾けてくれるように、しかも自主的、主体的にこれが行われるように、これからもひとつ重ねて要望をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  64. 米田建三

    ○米田委員 確かに厚くせねばならない、そういう方向に持っていかなければならない仕事が地方に出てくる、これも事実でしょう。  これについて言いますと、先ほどの午前中の議論にもありましたけれども、中央の徹底的な行革によって中央に所属をしていた人材の地方への移管というような問題にも広がってくるわけでございますが、それはさておきまして、私が申し上げたいのは、必要でなくなったセクションや人員までそのままの形で抱え込んでいるという傾向があるのではないかという、そこに疑念があるわけでございます。  そこで、実は島根県の出雲市の例でございますが、この役所の中のセクションをつくるときにサンセット方式を導入しているわけです。当面の緊急事態に対応するための組織を設置をし、必要性が消滅した時点において自然に消滅するようなスタイルを組織の中に導入するという、そういう基本方針を出雲市はお立てになって実行をされた。  つまり、プロジェクトごとに組織を設置しまして、必要性が消滅したらその組織をなくしてしまう、そういう方式でございますが、例えば建設特別事業部とかスポーツ特別事業部とか、いろいろ設けられ、そして使命が終わったら、それは解散をして、また新たなプロジェクトのために役所の中で人材を集めてまたチームをつくる、こういう方式をおとりになって、三割ほどの職員の減に成功したという、こういうことを伺っているわけでございます。  こういう創意工夫をしておられる自治体があるということを自治省は御認識されておられるのかどうか。また、こういったことも含めて一歩突っ込んだ自治体のリストラについてのひとつ具体的な指針ですね、こういうことを自治省内部でも大いに研究をされて、どんどん地方との知恵の交換をする努力、これが必要ではないかと思うのですが、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
  65. 野中広務

    野中国務大臣 今委員指摘のように、出雲市におきまして平成三年から当面の緊急事態に対応するための組織を設置されまして、必要性が消滅した時点で自然に消滅をさせると言われる、いわゆるサンセット方式を導入をし、推進をしておられるということは、私どもも聞き及んでおるところでございます。  自治省におきましては、平成五年度に専門家の参画をいただきまして、具体的な定員管理の方策等につきまして調査研究を行い、報告書を取りまとめたところでございますが、その報告書では、定員管理の手法として事務事業の終了と同時に関連する組織や定員をすべてスクラップするサンセット方式の導入や、全部門で一定割合の見直しを行う計画消滅方式の導入をも提言がなされたところでございます。  今後とも各地方公共団体に対しまして、あくまで自主的、主体的に、けれども、さまざまな努力をされておるところの紹介を積極的にしながら、この定員管理の適正化が進められるようにしていかなければならないと考えておるわけでございます。  まさしく地方分権が大きな時代の流れとなっておりますときに、地方公共団体みずから果たすべき役割は非常に重要でございまして、また一方、現下の地方財政を取り巻く環境も極めて厳しい状況にあるわけでございますので、改めてそのみずからの責任を自覚し、地方公共団体におきまして、それぞれ社会の変化に対応した、簡素で効率的な行政の確立に向けて自主的に改革を図っていくことが要請をされておるところでございます。  このため、トップであるそれぞれ首長の適切なリーダーシップのもとで、管理監督者はもとより、職員も行政改革の必要性を認識をしまして、一体的な取り組みがされることが必要であると存じております。  委員指摘のように、私どもも、そういうそれぞれの全国で行われておるさまざまな努力を十二分にこれから交換をしながら、積極的な行政改革に取り組めるような体制を地方公共団体とともに模索をしていきたいと考えておる次第であります。
  66. 米田建三

    ○米田委員 ぜひ一層の努力をお願いをしておきたいと思います。  それに関連してでございますが、地方でもやはりこの行政改革の重要性について広く、一般の市民の方も含めて関心が当然高まっているわけでございます。そして、いろいろな意見、いろいろな批判が当然寄せられているわけであります、地方自治体に対して。  しかし、現実にはなかなか、これを断行すべきであるという一つの結論が出ても、いろいろな要因があってそれを実行できない。その大きな障害になっている要因の一つとして、まことに残念な話ではあろうかと思うのですが、まさにそこで働いている労働組合の反対が大きな壁になってちっとも改革が進まない、こういう例が多々あるというふうに実は聞いているわけでございます。これらの労働組合さんを大きな支持基盤にされておられる社会党さんと一緒に連立内閣を組まれ、また総理も社会党さんの党首がおなりでございますから、いろいろと難しい問題もあるのかもしれませんが、やはり断固として、日本の国家の将来のために、そして活力ある地方をつくっていくために、やるべきことはやらなければならないと思うわけでございます。この労働組合のリストラに対する抵抗の壁の問題について、大臣はどのように認識をしておられるのか、お尋ねをいたします。
  67. 野中広務

    野中国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、それぞれ職員の身分にかかわる問題について労働組合がそれなりの要求をされ、かつまた、労働組合としてのお取り組みをされることは、私どももよく認識をしておるところでございますけれども、少なくとも、今日私どもが目指しております地方分権につきましては、自治労本部職員の関係の諸君ともよく話し合いを重ねております。  少なくとも、この地方分権をなし得るためには、お互いに血を出し、そして汗を出さなければできるものではないという認識に立ちまして、むしろ、我々連立政権の時代になさなければできないことだというくらいの悲壮感を持ちながらこの問題に取り組んでおる次第でございまして、職員団体の諸君もそのことをよく認識し、理解してくれ、新たなる決意で臨んでくれておると認識をしておるところでございます。
  68. 米田建三

    ○米田委員 という大臣のお答えでありますが、私は、これはなかなか容易なことではないんじゃないかと思っております。しかし、この問題については、今後機会があれば、具体的な例を挙げながらまた議論をさせていただくつもりでございます。  次に、地方分権の問題に関しまして御質問をさせていただきます。  既に午前中の論議でも、これからの地方分権のあり方についていろいろな角度から質疑がなされたところであります。私は、やはり地方分権を拡充をしてまいる、そのときに、どうしても忘れてならないのが地方財政の自主性の強化、こういうことであろうかと思うわけでございます。この問題と地方分権の拡充を切り離して考えることはできない、そんなふうに思うわけでございます。  そこで、ひところ三割自治という言葉がはやった時期がございました。しかし、実際によく見ますと、我が国の中央と地方関係というものはなかなか特殊なものがございまして、例えば国税と地方税の合計に対する地方税収の比率を見ますと、我が国、日本が三五・七、アメリカ四五・三、ドイツ四七・一、こういうふうになっておりまして、ほぼ、多少の差はありますが、肩を並べている。片や、イギリス五・〇、フランス一六・九。こういうところと比べれば、むしろこれは圧倒的に高いのですね。  そうすると、この地方税の比率は決して低くない、こういう話になってしまうのですが、ところが、公共サービスの供給の比率を見ると、国と地方を合わせた支出に対しまして地方支出の割合は、我が国が六七・六、アメリカが五〇・四、ドイツが五三・八。つまり、地方税収とそして支出のギャップが我が国は極めて大きい、そういう特性があるということがわかってまいるわけであります。  私は、これは一体何を意味するのだろうかというふうに考えてみたわけですが、やはり我が国の中央と地方の政府の関係というものが、中央から地方財政移転をして地方に仕事をやらせている、そういう関係である。しかも問題は、どういうサービスをどういう負担で供給するかというこの基本的な決定権を、これまた実は国が基本的には掌握をしておる、こういう関係なんですね。  また、国、地方を合わせた税収の三五・七を引いたところの六四・三の部分を国が占めると同時に、では、一方で、その三五・その方の地方財政の財源、これはどうかというふうに見ますと、これまた国が完璧に統制、制御をしているのです。自主財源のはずの地方税にも課税標準、税率ともに厳しい統制が加えられておりますし、また、地方債も許可制のもとに起債統制がございます。そして、国税として徴収されてその一定割合が地方税に分配される交付税にしても、言うまでもなく国の租税の統制下にある。特定補助金は言わずもがなでございます。  そうしますと、地方とは名ばかりで、実際には、地方が完璧に国の下請とでも言っていいようなシステムに我が国の中央と地方関係がある、そう言っても私は過言ではないというふうに思うわけでございますが、地方分権の拡充を語るときにどうしても忘れてならないのは、やはりそれぞれの地方が個性ある発展を目指す。明治維新で廃藩置県が行われたわけでございますが、逆に廃県置藩を行うくらいの、そのくらいの一つの気持ちの中で、地方がこれから個性ある独自の発展を遂げるという方向に向けることが、やはり地方分権の拡充を考えるときに忘れてはならない視点ではないかと思うのです。  そこで、やはり権限の移譲とともに、財政の面でも租税統制を大幅に緩和をして、自主財源の、地方税の強化を図ること、こういう方向に踏み出すことに重点を置いた地方分権の推進策を考えていくべきではないかと思うわけでございます。  国が隅々まで統制をする、それは逆にいいますと、地方によっては大変便利なことでもあるわけでございまして、地方はいかに国からお金をいただくか、これに奔走する、もだれかかる、こういう現象もあるわけであります。しかし、こういう関係を基本的に変えていかなければ、本当の地方分権なんというものは、私は実現できないだろう。無論、そういう方向にいった場合には、財政力の自治体間の格差というような問題も出てまいりましょう。  しかし、自主性を持って個性ある発展を遂げようとすれば、当然自己責任というものも発生してまいるわけでございます。だから、例えば交付税も財政力に逆比例した配分ではなく、場合によっては行政水準の下限の保障をするといったような線に抑えて、そしてむしろ地方の自主的な財政の強化というものを図っていただく方向に持っていく、そんなことが長期的に見たら日本の真の地方分権の確立につながってまいるのではないか、そんなふうに考えるわけでございますが、地方財政の自主性の強化について大臣の基本的なお考えをお尋ねしたいと思います。
  69. 野中広務

    野中国務大臣 委員指摘のように、地方分権の推進にあわせまして、地方団体がより自主的、主体的な行財政運営が可能となるように、自主財源である地方税の充実と地方交付税の所要額の確保等、一般財源の充実強化は喫緊の急務であり、地方分権の際に地方財政確立というのは切り離して考えられない問題であると認識をしておるところでございます。  ただ、個別具体的には、委員が御指摘になりましたようなそれぞれ地域間格差とかいろいろな問題があるわけでございますけれども、基本的には、地方が自由な、そして自主的な財源を得なければ、地方分権の実を果たすことができないと考えておるところでございます。
  70. 米田建三

    ○米田委員 地方分権の問題を考えてまいりますと、本当にこれは行政のすべての分野を立脚点にしていろいろな角度から掘り下げて検討しなければ、確かに軽々にこうであると断言しがたいような大変な課題であろうかと私も認識はしているわけでございます。  しかし大臣、時間がやはりないわけでありまして、今回の地方制度調査会の答申においても、期限を切って法の制定まで求められているわけであります。ぜひとも我々議会の側としても、本当に総合的にかつ深く議論をし、しかも迅速にといった大変難しい要請にどうこたえていくのか、議論のあり方も考えなければならないかと思いますが、ぜひ政府におかれましても、極めて総合的かつ多岐にわたるこの問題に対する回答、答えを出すための一つのシステムづくりと申しましょうか、政策立案のあり方についても、今後ぜひとも急いで研究、検討をしていただきたいというふうに要望をいたします。  次に、政治改革関連法案成立をいたしました。この国民への周知の徹底について、午前中も穂積議員からも質問がございましたが、私もこの問題について少し角度を変えてお尋ねをしたいと思います。  さきの国会以来、政治改革の関連各法の成立を受けまして、これが実施されますと、本当に政治活動やあるいは選挙のあり方が革命的な変化を遂げるだろうと私は考えているわけでございます。  先ほど穂積議員が周知徹底策の必要性をお述べになりました。私も全く同感でございまして、特にこの公選法の改正について、選挙の浄化、腐敗防止の観点から、連座制の対象に組織的運動管理者も対象にするなどの大変厳しい規定が盛り込まれたわけでございます。いろいろ勉強をさせていただけばいただくほど、これはもう決定的に、もしこれが遵守されるならば、政治が、選挙がきれいになることは間違いなかろうと思われるほどの大変な改正であろうかと私は思うわけでございます。重ねてそれらの点も含めて、制度の改正も含めてこの国民への周知徹底を図るべきだと考えるわけでございます。  しかし、過去において、実は今回の改正ほど厳しい中身ではございませんが、既に相当前から努力は始まっているんですね。寄附行為の禁止等の浄化策も講ぜられてはきているわけであります。  例えば平成二年二月一日から実施された公選法の改正では、金のかからない政治を目指す、そう題しまして、町内のお祭りに寄附をしたり、各種会合にお酒を差し入れしたり、一昔前なら当たり前のように行われていたようなこれらの寄附行為もきちんと禁止をされている。そして、昭和五十年代前半からは、「贈らない、求めない、受け取らない」なんという、なかなか上手なキャッチフレーズ、これも考案されて、三ない運動として恐らく地域の町内会の回覧板や自治会の何か印刷物等にはいまだに刷り込まれているかと思うのですが、しかし実際にはどうだったのか、現実にはどうかということなのです。  町内のお祭りに寄附をするだの、各種会合に酒を差し入れるだの、今でもこれは平気で行われていますよ。私はやっていませんけれども、平気で行われているのですよ、大臣。むしろ遵守している政治家が逆に、あの先生はけちだなんて非難を受けるようなこれが実態なんですよ。これは私の偏見じゃないと思います。これが実態だと思いますよ。  こういう禁止または禁止されていることを知っている有権者の中にも、それを知りながら、実際罰せられた人がほとんどいないから、そんなものは構わぬのではないかということで、政治家にむしろ要求をするケースも多いというふうに、これは地方の議員のケースも含めてですが、そういう話を具体的に聞く機会が多いわけであります。  平成二年にきちんとそういうことが決められた。しかし、守られていないのですね。こういう風土の中で、本当に政治をきれいにしていくのだというこの流れ、厳しい法律ができましたけれども、果たして定着させることが本当にできるのだろうか、心配をしているわけであります。  また、あるいは、取り締まり当局がどういう体制をおとりになるのか存じ上げませんが、少なくとも私の感じでは、従来のような、事故治や選挙に関して、法を守らなくてもいいんだというふうな風土の中で今回の厳しい改正法が実施をされたら、恐らく当局がきちんと取り締まりをされれば、膨大な違反者が出るのではないか、こう思うのですね。ですから、ぜひとも今まで以上の、これまでしばしば行われた改正のとき以上の徹底した周知、PR、これを展開をしていただきたいのです。民間の新聞やあるいはテレビの媒体等もどんどん使って、私はこれに相当な予算を割いても、日本の政治の将来のために決してむだではないと思うのです。  そのことでぜひ大臣のお考えを伺いたいことと、また警察庁に伺いたいのですが、先ほど平成二年の改正以後の現実の地域の事情というものを私の見聞をもとにお話をしたのですが、実際こういうふうに守られていないという実情を御存じなのか、あるいは御存じでも、なかなか摘発できないのか、その点もあわせてお尋ねをしたいと思います。
  71. 野中広務

    野中国務大臣 米田委員指摘になりました平成二年のときは私も公選特の理事をやっておりまして、その改正にかかわった一人でございますけれども、現実に、米田委員が御指摘になりましたけれども、私は相当守られておるというように認識をしておるわけでございまして、私自身あの法が改正されましてから、みずから行くお葬式あるいは結婚式以外にお祝いを持っていくことはありませんので、恐らく前から考えますともう三分の一以下になってきております。  ただ、現実の問題として、委員がお説のように一般の方が理解しておられるかどうかということについては非常に問題がございまして、私どもも従来行っておった団体等から、もう金一封持ってこないなら来てもらわなくて結構だという、出席の案内が来なくなったというそういう団体も現実にあります。  あるいは、自分たちの近所でやっておる稲荷講等で、本当に小さな稲荷講をやりながら、そのおつき合いが政治家のためにできないということのつらさを自分自身で感じたこともございます。  けれども、これを乗り越えなければこれはできないんだということで私ども今日までやってきたつもりでございますし、それぞれの皆さんもそのような認識で努力をしていらっしゃるように見受けておりますので、大方私は成果は上がりつつあると考えておるところでございます。  今回三月に成立をさせていただきました政治改革関連法の内容につきましては、平成五年度の第三次補正予算の措置で十八億円を本年度に繰り越して今日まで周知徹底を図ってきたところでございますし、今回区割り法案等関連法が成立をいたしました。  特に、委員が御指摘になりましたように、選挙区の区割りあるいは腐敗防止策の強化等、周知しなければならない重要な問題があるわけでございまして、平成六年度の啓発関係予算として二十三億八千万ちょうだいをいたしておるわけでございますので、この予算をもちまして、国民一人一人に十分理解がいただけるように、いろいろな手段方法を講じ、具体的なまた例示も示しながら、万全を期して周知徹底に取り組んでまいりたいと考えますとともに、先般来申し上げておりますように、それぞれ都道府県選管あるいは市町村選管、そして市町村、都道府県の広報等を活用もいただき、かつ、総理府所管の政府広報等も積極的に御協力をお願いをして、連携しながらやってまいりたいと考えておるところでございます。
  72. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  警察といたしましては、今までも選挙に伴います違法行為については厳正に取り締まってきたところでございますけれども、今委員お話ございましたように、法改正の趣旨が十分全うされるようにさらに徹底した取り締まりを行っていきたいと思っております。取り締まり側としての法令の研究あるいはまた取り締まり体制の充実強化といったものについても、現在努めているところでございます。
  73. 米田建三

    ○米田委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
  74. 粟屋敏信

  75. 吉田公一

    吉田(公)委員 まず最初に警察庁にお伺いしたいのでありますが、先ほど穂積委員からも触れられておりましたので、私はそこを省いて、犯罪の広域化に対応するため警察法の改正がなされたわけでありますが、この改正に伴って警察として広域捜査の推進に具体的にどのように取り組んでおられるのか、まずそれをお伺いしたい、こう思います。
  76. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  このたびの警察法改正を受けまして広域捜査に係る関係規定を整備をいたしまして、各都道府県警察に対しては、広域捜査のための仕組み、共同捜査、合同捜査等でございますけれども、を積極的に活用するよう指導しているところでございます。  その一つの成果として、先般、富士写真フイルム専務殺害事件につきましては、警視庁、大阪の共同捜査により実行犯の検挙に至っているところでございます。  また、社会的、経済的に一体性の強い都道府県境の周辺地域における広域的な初動捜査を行うために、いわゆる北関東地区、西東海地区、静岡、愛知の県境周辺地区、あるいは近畿地区地方におきまして合計六隊の広域捜査隊を設置して、広域的な初動捜査に遺憾のないようにしているところでございます。
  77. 吉田公一

    吉田(公)委員 そこで、とにかく先ほど来からお話がありますように、けん銃、それから麻薬その他組織犯罪、特に広域犯罪につきましては、今刑事局長から御答弁をいただきましたように、それぞれ対策を考えられて、前にはなかったような、各県警をつないでそれぞれ捜査隊を編成しているわけでございますが、とにかく九州から北海道、沖縄まで組織犯罪等については飛び火をするわけですし、交通網の発達によって、これはもう全国どこでも大体二時間以内で行ってしまうというようなこともございます。  実は私は前から警察庁直轄の刑事捜査隊、これは各都道府県警を待たずに捜査のできるような、特に暴力団犯罪等については、そういう全国を直接犯罪取り締まりのために動ける、そういう捜査隊をつくってもらえないか、しかし、これは法整備等もございますけれども、ぜひひとつそういうことをお考えをいただきたい、そう思いますし、成田空港の警備について、今千五百人の警察官が成田空港警備で配置をされておりますが、その千五百人の警察官の人数が適切かどうかということは、直接警備に当たっている警察官の皆様方でないとよくわからないと思いますが、これらも当時の成田闘争以来下火になってきているわけでございますし、私自身では、千五百人、もう多いのではないか。  そういう人たちを、五百人なら五百人を回して、そういう広域犯罪に即取り組めるようなそういう全国を網羅した捜査隊ができないものか、そのことについて実は伺いたい、そう思っているわけであります。
  78. 菅沼清高

    ○菅沼政府委員 お答えいたします。  成田の空警隊の関係でございますけれども、空港警備隊千五百人が発足した経緯についてはもう先生十分御承知のとおりだと思いますが、これは二十四時間の体制で警備をしておりますので、具体的にはその三分の一、五百人ぐらいが実際のある時間断面での警備に当たる、こういう状態になっているわけでございます。したがいまして、千五百人が一時に、いっときにすべてが警戒に当たっているわけではございません。  なお、成田の状況につきましては、一見一段落したように見えるかと思いますけれども、先般シンポジウムとか円卓会議で交渉に応じたのは反対派三グループのうちの一つのグループでございまして、当面新しく積極的に交渉あるいは工事の対象になる平行滑走路の部分には土地を持っていないグループでございます。そこに土地を持っている二つのグループ、この中には徹底抗戦を叫んでいるグループもございまして、その二つのグループについては、全く今回は交渉の場に出てきていない、こういう状態でございますし、今後空港をめぐって工事、交渉等が進んでまいりますと、過激な妨害だとか反対動向ということも予想されますので、そういう意味で、成田の警備につきましては、まだ先行き必ずしも楽観はできない、このように考えているところでございます。  そういう意味で、成田の空港警備隊につきましては、さしあたりそれを変えるわけにはいかないと存じておりますけれども、今御指摘のございましたさまざまな警備事象あるいは警察事象に対応していくために、警察の組織の中での必要な要員のシフトあるいは合理化、そういったものを進めているところでございまして、そうした方向で当面はさらに対応してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  79. 吉田公一

    吉田(公)委員 次に、このごろ夜間の自転車が、昔はよくお巡りさんが注意したものですから、よく明かりをつけて走っていたんですけれども、最近は、あれつけると重たいものですから、省略しちゃって、ほとんどの人がもう無灯火になって非常に危険なんですね。これらの取り締まりというか、注意等については、もうこのごろは警察の方では省いちゃっているのかどうか、そのことについて一つ伺いたい。  それから、交通安全対策特別交付金というのがありますね。青切符でもって、反則金を納めた人はプールしておいて、それを各都道府県に配置をする、人口等について割り振りをする。これは交通安全教育のための施設整備だけに限ってお金が使えるという一種の目的交付金なんですけれども、そうじゃなくて、もっと広げて、広報啓発費等にも、交通安全対策や防犯活動等の警察活動などにも使い道ができるような、そういう交付金にならないかどうかということについて実はお尋ねをしたいんです。いかがでございましょう。
  80. 田中節夫

    田中(節)政府委員 お答えいたします。  夜間の自転車の無灯火の問題、第一点でございますが、夜間の無灯火で自転車を運転いたしますと大変危険でございますし、本人にとっても危険でございますし、また、他の車両と歩行者からも非常に問題が多いわけでございます。現在、夜間の無灯火で走行している自転車に対しましては、法令で前のランプをつけなければならないことになっておりますので、安全教育とかあるいは街頭における指導警告を強化しておるところでございます。  なお、自転車につきましては、一般的に歩行者、高齢者、障害者の方に大変不安を生じさせているという御指摘もございますので、先ほど通達を発しまして、今申し上げましたような観点で、安全教育とか街頭における指導をさらに強化してまいる所存でございます。  それから第二点目の、交通反則金を原資といたしますいわゆる交通安全対策特別交付金の使途の問題でございます。  これは御指摘のように、交通反則通告制度を発足いたしましたときに、この反則金に相当する額を交通安全対策特別交付金として都道府県及び市町村に交付するわけでございますが、これはその当時、あるいは現在でもそうでございますけれども、道路交通安全施設の整備が十分でないという状況のもとで、当面、当分の間の措置として、道路交通安全施設の整備を早急に進めるということで設けられたものでございます。  お話のように、平成三年にこの使途を若干拡大いたしまして、交通安全教育のための施設にも充当されることになりました。  そこで、さらにこの使途を拡大してはどうかという御意見でございますけれども、この制度の趣旨、あるいは現在、交通事故死者が六年連続して一万人を超えるというような厳しい状況のもとでございますので、道路交通安全施設の整備がまだ十分ではないというふうに私ども考えております。そういうような状況を考えますと、さらにこの交付金の使途を拡大するということにつきましては、やはりいろいろ問題があって、慎重な検討を要するのではないかというふうに考えております。  ただ、委員指摘の交通安全広報啓発費とかあるいは防犯活動等警察活動費につきましては、今後とも関係当局の御理解を得ながら、財政措置の全きを期してまいりたい、このように考えております。
  81. 吉田公一

    吉田(公)委員 次に、米田委員からも今質問がございましたが、公職選挙法について伺いたい、こう思います。  今回の公職選挙法の改正に伴いまして、当然法規制が厳しくなってまいりました。特に、秘書の連座制というのが新たに加えられてきたわけでございますが、この秘書の連座制につきましては、まことにはっきりしていない。そのことは、「当該公職の候補者等がこれらの名称の使用を承諾し又は容認している場合には、当該名称を使用する者は、前項の規定の適用については、公職の候補者等の秘書と推定する。」、つまり、推定するのはだれかということなんですが、これは重大なことだと思うんですね。つまり、秘書が仮に買収供応で捕まった、これは有罪を仮に受ける、こういうことが、もしその秘書を取り調べたときに証拠があって有罪とすべきだということになれば、これはこれで今までは済んでいたわけですね。今度はその秘書が有罪になるだけではなくて、つまり、おまえは秘書としてみなされるということになると、当選が無効になるわけですよね。当選が無効になる。このことは、私は、当選をした国会議員を無効にするためには確固たる論理的な刑法上の適用がないと、ただ単に推定する程度で当選したその国会議員が身分を失うなんということは、これはもう絶対に避けるべきだ、そう思っているんですが、どうしてこういうものがつけ加えられたのか、その点をまず私はお聞きをしたい、こう思うんですね。
  82. 佐野徹治

    佐野(徹)政府委員 これは、ことしの三月に成立させていただきました公職選挙法の改正の中での連座制の強化の一環でございます。基本的には、連座制についてどう考えるかという議論、いろいろございましたが、この改正では、秘書がやはり選挙運動につきましては相当の地位を占めておるというようなことにも勘案いたしまして、秘書を連座制の対象にいたしたわけでございます。  御案内のとおりでございますけれども、まず、秘書につきまして、この公職選挙法の二百五十一条の二の第一項の第五号で定義規定を置いてございます。これにまず該当するかどうかということの判断をいたすわけでございますけれども、第二項でこの「秘書という名称を使用する者」につきまして、候補者がこれらの名称の使用を承諾しまたは容認している場合、この場合には、この「前項の規定の適用」と申しますのは秘書につきましての本来の規定でございますけれども、この適用については「公職の候補者等の秘書と推定する。」という規定を設けたわけでございまして、これは本人が、本人と申しますのは候補者本人が、この名称の使用を承諾しまたは容認しておる、こういう場合に限定をして、そのような場合には、実態として、公職の候補者等の秘書が選挙運動をやった場合の扱いと同じような、扱いと申しますか、推定をするという規定を設けたわけでございますが、ただし、この推定規定に該当する方が、これが公職選挙法の二百五十一条の二の第一項第五号、本来の規定のこの秘書に該当しないことが証明されれば、これは秘書でない者として連座の対象にはならないという趣旨でございます。
  83. 吉田公一

    吉田(公)委員 現実には、選挙部長が言ったようには実際ならない。  それは、では、容認というのはだれがするのですか。つまり、容疑者の方が容認してしまった、そうしたらもう、すぐ連座制が適用される、そういうことになりませんか。  例えば、二十三日間も勾留してしまって、白状しないからといってもう一回検事勾留をかけて、そして、おまえ絶対秘書だろう、何でここで容認しないのだ、こうこう、こういうことで容認しているじゃないか、秘書として容認したらどうだ、こう言われて仮に容認した。片方は、容認していない、こう言う。片方は容認した。それで、容認するかしないかというのは、第三者の判断でしょう。取り締まり官の判断でしょう。だれが判断するのですか。第三者が判断するのでしょう。  それでは、片方は容認しない、容疑者の方は容認しました、こう言ったときにどうするのですか。それだけで、たった一言だけで国会議員の身分が失われてしまうのですから。そういう重大なことを、秘書と推定するなんて——国会議員の身分を失うのですよ。一体どういうことになっているのか、これは私は不思議でしょうがないのだ。前から言っていたのですよ。  だから、秘書とは何か。例えば、私は吉田公一の秘書ですと、こういうものをちゃんと取り交わして、そして、秘書とは何かということをきちっとしておかたいと、これは大変なことになりますよ。その点とうなんですかね。
  84. 佐野徹治

    佐野(徹)政府委員 若干、答弁が先ほどの答弁と重複する点につきましてはお許しをいただきた。いと思います。  今回の改正の基本的な趣旨は、この法律に規定いたします秘書に該当いたします者が買収罪等の罪に処せられた場合の連座制の規定でございます。先ほど来申し上げておりますように、秘書につきましての選挙上の一定の地位等にかんがみまして、今回の改正では新たに秘書を連座の対象者にいたしたわけでございます。  先ほどのお話の容認に関する部分でございますけれども、これは、公職選挙法の二百五十一条の二の第二項で、「公職の候補者等がこれらの名称の使用を承諾し又は容認している場合には、当該名称を使用する者は、前項の規定の適用については、公職の候補者等の秘書と推定する。」という規定でございまして、この規定に該当する場合には、公職の候補者がまず承諾なり容認をしているかどうかということでございます。  この具体の事案、これが連座制の対象となる秘書に該当するか否かという問題につきましては、この条文の規定にかんがみまして、最終的には司法当局におきまして判断されることになるのではないかというふうに考えております。
  85. 吉田公一

    吉田(公)委員 それは、最終的には司法当局が判断をするのは当然なことですよね。  だけれども、事実上、秘書が捕まった、それで検察官の取り調べに容認した。そうしたら、候補者そのものはまた呼ばれるわけだ。そうでしょう。秘書は容認しているのだ。ところが、あなたは容認していないのか、おかしいじゃないか。秘書が容認していると言っているのに、あなたが容認しないというのはどういうわけだ。秘書が承諾をしているのに、議員が承諾をしていないということはどういうことだ、そこで争われるわけですよ。  最終的には裁判で決着をつけるのだけれども政治家の場合は、そこまでいったらもう、これは多くの人たちに、ああ、あいつは秘書に買収供応させたんだと思われるわけだよ、既にもうその時点で。それを一年も一年半もたってから裁判でシロでしたなんて言ったって、その間の政治活動は制約をされるし、世間の目からは、あいつは秘書を買収供応に使ったやつだなんて言われるし、やはり政治家としては、ただ単に最終的に裁判でシロとクロがつけばいいのだというのじゃないのですよ。  だから、そういう意味で、検察官が、要するに容疑者として、おまえ容認しろ、容認したんじゃないか、おまえのおやじは容認しているじゃないか、この間みたいに何回も何回も検事勾留をかけて、それで徹底的に調べられてごらんなさい。冤罪事件なんてたくさんあるんだ。それはみんな自白ですよ。結局、裁判やってみたら、そのときの裁判の検察の取り調べがルーズだった。いいかげんな調べだった。みんな自白ですよ。これは自白しかないじゃないですか、承諾だとか容認というのは。  そういうことを考えたら、もしやったとすれば、秘書だけが有罪になるのはこれはやむを得ないですよ。だけれども、容認するかしないかということで、当然検察は秘書だけを処罰しようと思っているのじゃないのだ。その先にいる国会議員を何とかしようと思っているわけだから、その前段として秘書を調べるわけだから、やがては国会議員に手を伸ばしたいと思っているわけですよ。  そういうことについて、事の重大性について、さっきの憲法四十四条じゃないですけれども、そういう推測で国会議員を有罪にするなんという可能性だって大なわけだよ。だれが認めるのだ、推論で。検察が認めるのだ、検察官が。我々がそうじゃないと言ったってだめなんだ。検察官にそうだと言われればだめなんだ。秘書が、違います、うちの代議士とは意思を通じてやっているのじゃありません、こう言ったってだめなんだよ。検察官に、おまえ、そうじゃないと言われれば、それっきりなんだ。結局はそれは裁判じゃないですか。最終的には裁判でシロ、クロ決着をつければいいじゃないかなんという話は、これはまことに不都合な話なんだ。だからそういう意味で、これは検察官だって、容疑者をぶん殴ったり張り倒したりした検察官がいるわけでしょう。  そういう事態まで想定すると、なぜそこまでしなければいけないのか。本来選挙というのは自由なものなんですよ。本来自由なんだ。日本の公職選挙法は、あれもやっちゃいけない、これもやっちゃいけない、あっちもいけないというので、全部だめなんだ。本来は自由なんだから、こんなことまでして何も国会議員をひっくくる必要はないと私は思うのだ。そう思いませんか。
  86. 野中広務

    野中国務大臣 委員、せっかくの御意見でございますけれども、この法は委員が政権を持っておられるときに成立した法案でございまして、そのときに、私、そういう問題を十分御論議いただいて、そして成立をしたものであろうと思っておるわけでございます。  いやしくも国会議員の身分にかかわる問題でございますので、検察といたしましても厳正公平に対処しなければならないと思うわけでございますが、ぶん殴ったり、何かそういう、いささか不穏当なお話を聞きますことは残念でございますけれども、法に照らして厳正公正にやっていくつもりでございますし、秘書の身分につきましては、それぞれ法に定められて、そして秘書として証明された者についてこの法律が適用をされるわけでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  87. 吉田公一

    吉田(公)委員 大臣の御答弁で、おまえら、与党時代につくった法律じゃないか、こう言われますが、そんなこと言ったら、四十年間自民党がつくった法律ばかりでして、それはそれで、法律に対するいろいろな質問もできなくなってしまうわけです。  現に、検察官が暴力をやったということは事例で何件かあるわけでして、新聞等でも実は問題になったことであります。  そういうことを考えますと、これはだれが、どこの政党がつくったとか、与党のとき、野党のときということじゃなくて、これからの大きな課題として、なぜ私はそんなことを言うかというと、法律というのはひとり歩きしちゃう。決めた人が四十年も五十年も付き添って法律の解釈をしてくれればいいけれども、つくった人は二、三年でどこか打っちゃって、そして法律というのはひとり歩きする。この明文を見た人が、いわゆる検事がどう解釈するかということは、裁量権を与えたことになるわけでして、できるだけ裁量権のないような取り締まりをしてもらうためには、きちっと明文化しておかなけりゃおかしいじゃないか、そう思っているわけでございます。  秘書として推定するなんということは、まさに国会議員の身分に関することの関連でありますから、ぜひひとつきちっと、この法律の趣旨をちゃんとしておいてもらいたい、こう思います。  私は、またこういう機会がありましたら、このことについてまた再度どこかの機会で申したい、こう思っております。  時間がございませんので、次に、選挙区の分割についてお尋ねをいたします。  委員長、その前に、図面の大きいのがありませんと御説明ができないものですから、この図面では説明できないものですから、大きな図面で説明させていただきたいと思います。
  88. 粟屋敏信

    粟屋委員長 はい、結構です。
  89. 吉田公一

    吉田(公)委員 日本全国で、十五、各行政区域にまたがる選挙区の分割が行われたようでございますが、実は私はたまたま東京なものですから、東京の行政区域を分区をされたということについて、実は図面をもって質問をしたい、こう思うのですね。  ここは、本来は大田区であります。しかし、この部分をカットして品川区へつけて、残った大田区と、大田区の一部をつけた品川区と人口を同じにした、こういうことであります。  これは世田谷と目黒でありますが、世田谷は圧倒的に人口は多いものですから、世田谷の一部を割いて実は目黒区と合併をさせた地図でございまして、ごらんのとおり、世田谷通りがあるにもかかわらず、こういうへこんだ、わかりにくい選挙区の区割りになっているわけであります。例えば、こんなことをしないで真っすぐにすればそれで済んだ区割りが、わざわざこういうわかりにくい選挙区に実はなっているということであります。  これは練馬区と豊島区を分けた、行政区域を分割した選挙区でございまして、練馬の方が六十二万三千人の人口があります。豊島区の方は約二十八万程度でありますから、当然、四十万にしていくためには練馬区の人口をカットしなければなりません。どこか区域を分けなければなりません。そこで、そういうふうに分割をしたわけであります。こういうふうに分割をしました。  私は、もともとこういう出張所単位で分区をするということは非常にわかりにくいということで、大きな道路か鉄道か河川で分区したらいいじゃないか、こういうことを申し上げてまいりました。例えば、この図面でいきますと、こんなふうにならなくても、例えば、真っすぐ行って、ここで選挙区を切ることが実はできる。あるいは、ここから真っすぐ行ってこういう選挙区に、こっちを豊島区にやって、こんなぎざぎざな、こんなものを残す必要はないわけであります。例えば、ここの人は豊島の方へ入る新第十区になるわけですね、これは。ここも十区です。こんな三角形のこんなところも十区。残したこれも十区です。  そして問題は、ここにいる人は練馬区民、ここにいる人も練馬区民であります。ところが、衆議院議員選挙だけは、ここの人が同じ練馬区民でありましても、ここから出ている候補者には投票することができない。ここから出ている区会議員の人、都会議員の人、あるいは自分の区の区長、参議院議員選挙、都会議選挙は、全部練馬区全体で投票ができます。しかし、衆議院議員選挙だけはここの人は一切できない。こちらの人は、同じ練馬区民であっても一切投票できないということになりますね。  そうすると、行政区域をわざわざ分割したということは、ただ単に人口だけを見て、適当に出張所単位で分けて、こっちへ、少ない方へくっつけた、それだけの話ですか。まず、御答弁をいただきます。
  90. 佐野徹治

    佐野(徹)政府委員 まず、この衆議院議員選挙区画定審議会設置法、この三月に成立をさせていただいた法律がございますが、この法律では、この選挙区の区割りにつきましては、この審議会が案を作成して内閣総理大臣に勧告をする、こういうことになっておりますと同時に、この法律では、この改定案の作成の基準につきましても法律で明定されておりまして、この選挙区の区割りに当たりましては、各選挙区間の人口の均衡を図り、格差が一対二以上とならないようにすることを基本とする、こういう規定がございます。また、それとともに、「行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならない。」という規定もございます。  この審議会におきましては、この審議会の設置法の作成の基準でございますので、この作成基準にのっとりまして、人口の格差が一対二以上とならないようにすることを基本とする、こういう考え方を前提にいたしまして区割りがなされたものでございます。
  91. 吉田公一

    吉田(公)委員 わかりました。  そうしますと、実は東京都も、行政区域を割るということは重大なことだからやめてくれ、こういうことを自治省に対して意見を申し述べたと思うのですね。  それは、一対二というならば、これだって一対二以内ですよ。こういうふうな、道路に沿って線引きしたって一対二は一対二。しかも最高裁は、三倍以内なら違反ではない、合憲だということを言っているわけですから、小選挙区制で、行政区域をわざわざ人口の頭数だけそろえて割るのがいいのか、あるいは行政区域というものはひとつ生かして、仮に、三倍以内になるけれども、豊島区なら豊島区というもの、目黒区なら目黒区というものを生かした行政区域の中で小選挙区制を実施した方がいいのか。そのことは、私は、行政区域をきちっとした方が大事なことじゃないだろうか。ただ頭数をそろえるだけ、現行、現に三倍以内の選挙区なんかいっぱいあったわけだから。  だから、今度小選挙区制になって万やむを得ずやったんだと思うんだけれども、それは出張所単位でやったわけですよ、出張所単位で。出張所というのは既にもうこういう細かくなって、そして人口もわかっている。だから、一番簡単な話は、人口と区割りのわかっている、では第一と第三と第五出張所をくっつけて豊島へくっつければそれでいいじゃないか、こういう一番簡単な話なんですよ。だから、そこには哲学もなければ、行政区域の大事性とか重要性とか、そういうものは全然考慮されていない。  だから、私は、道路と鉄道と、きちっとこう少しは、選挙民がわからない。だって、こんな三角形のところ、ごみ出す人は一緒だけれども衆議院選挙は違っちゃうなんて。  それで、例えばここに練馬区の区長が住んでいたって、こっち側の人は投票することはできないんだよ。ここにいる区会議員は、ここから出ている衆議院議員とは直接関係ないんだ、同じ区民だけれども。ここから出る都会議員も、ここから出る衆議院議員とは関係ないんだ。そういうことが行われるという、まことに複雑だと思うのですよ。そのことについてもう一回御答弁をいただきます。
  92. 野中広務

    野中国務大臣 委員、もう釈迦に説法でございますけれども委員が今仰せのような話は午前中にも穂積委員からも御質問がございましたけれども、小選挙比例並立制を選択するかどうかというときに議論があったことでございまして、小選挙比例並立制を選択して、審議会の設置を決めまして、そして、審議会の答申結果はこの尊重義務を課しておるわけでございますので、私どもは、審議会の勧告に基づきまして、それを尊重して国会に提案し、国会の議決をいただいたということでございます。  委員がおっしゃいます三倍の憲法の許容範囲というのは、中選挙区下における三倍の許容でございまして、今回の方は限りなく一対二の範囲内でということを言われておるわけでございまして、先日来、それぞれ委員会におきましては、その二も若干超えたことで大変な議論がございましたわけでございます。したがいまして、そういう議論があったことをぜひ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  93. 吉田公一

    吉田(公)委員 確かに自治大臣として全国の小選挙区制の区割りについて個々にお答えをいただくということは非常に困難で、つまり、選挙制度一般についての御答弁をいただいたわけでございますが、実際に分区をされる者にとりましてはまことに重大なことでございまして、そこから出る同じ練馬区民でありながら、残った方の衆議院議員とは縁がない。ただし、比例についてはまだ投票できるのですね。衆議院比例については投票ができるわけだから、衆議院議員の固有名詞を書くその衆議院議員だけはただ一つできないのですね。知事選挙もオーケーだし、参議院選挙もそうでしょう。それで、衆議院議員の比例はできるね、比例はできる。都会議員、区会議員、区長選挙、全部できる。たった一つできないのは、小選挙区制で選挙をやる衆議院議員だけが投票できない。  こういう、割られる側から言わせればまことに変則的で、まことに意味のない、よくわからない、ただ頭数だけをそろえてくっつけた、そして、先ほど地図でお示ししたように、道路と鉄道でぴしっとできるものを出張所単位でこういうふうにやって、そして、住んでいる住民はその区割りがどこかのだか、一体どこからどこまでが投票地域になるのか、選挙公報一つ配るのだって容易なことじゃないわけです。  したがって、そういう意味で、これらの分区をされた、これは東京都も実は反対をして、たしか自治省に回答したのじゃないですか。練馬区なんかも回答したと思うのですよ。  ただ、本当は各区とも線引きを入れて回答をすればいいんだけれども、そうすると、何か特定の代議士のために線引きをしたのじゃないか、そういうふうに思われるものだから、なかなか実は言いにくかったのですよね。だから、結局は東京都なんかでも、行政区域というのは大事だから、それは人口に合わせることも大事だけれども、しかし行政区域を単独に一つの選挙区としてもらいたいという方が重要だという結論に達して、東京都はそういう返事をしたわけですよ。  これは吉田公一ただ個人の意見じゃないのです。東京都も練馬区もそうだし、割れる区なんかもそうでしたね。みんな反対でしたよ。だけれども、どこでそういうものを取り入れたのだか、参考にしてくれたのだかよくわからないけれども、全然無視をしている。そして、出張所単位でこんな複雑怪奇な線引きを実はしたわけだ。だから、こういうものはやはり選挙民が選挙をやりやすいようによくわかるような制度というのが大事なので、そういう点でぜひ今後の検討課題としてやっていただきたい、私は実はそう思っているわけであります。  事前に言うといったって、これはもう、政治家は介入させないとかするとか、特定の意見はだめだとかということがあって、これは各自の選挙区のことについてはなかなか言いにくかったのは事実なんです。みんな結局自分が有利になるのじゃないかと思って遠慮してしまったのだ。  だから、法律が通る前に言えばよかったのだけれども、結局はそういう背景で、だって、それはみんなそうでしょう。では、私は言いたいんだと言ったって、いや、そんなことを言ったらまずいぞ、お前が都合のいいように選挙区を割るんじゃないかと言われるぞなどと言って、そういう雰囲気が何かあって、我々の意見がなかなか反映できないような事前の小選挙区制の区割りだった。だから、法律成立してまだ一カ月もたたないのにこんな質問が出てしまうわけで、その点については、大臣も、先ほど御答弁にあったように、おかしいなと思われていると思うのですよ。  結論はそういうことで、あえて質問をさせていただいた次第であります。  終わります。
  94. 粟屋敏信

  95. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 吉田委員の後で大変質問しにくいのですが、改革の最後を質問させていただきます佐藤茂樹でございます。  最初に、短銃事件対策につきまして質問させていただきたいと思います。この件につきましては、午前中に穂積委員から一、二問質問がありましたけれども、非常に大事な問題だと思いますので、重ねて細かくお聞きしたいと思います。  最近、銃の脅威を身近に感じる短銃を使った凶悪事件というものが全国で非常に続発しております。  重立ったものを挙げましても、例えば九月の住友銀行名古屋支店長射殺事件を初め、まだ記憶に新しい、十月二十五日には東京都品川区内の京浜急行駅で起きた都立病院医師射殺事件、そして今月二十日に起きました千葉県松戸市のファミリーレストラン強盗致傷事件などがあり、また先週の二十四日には、大阪を初めとした五府県で一日に六件も銃犯罪が起きている。  そして、きょう関係閣僚会議を行われたそうなんですけれども、その午前中にも、例えば東京港区でパチンコ店の経営者の家が発砲されたりとか、また福島県いわき市で十九歳の建設作業員が後ろから撃たれたりとか、また名古屋市の朝銀前では銃を使った脅迫事件などが既に起きているという、そういう大変にゆゆしい事態でございます。  特に問題なのは、一般市民とか企業幹部、またマスコミ等をねらった発砲事件が非常に目立っているという事態でございます。今まで日本というのは、欧米に比べて非常に治安がよい、そういうように言われてきたわけでございますけれども、逆にそういう中で育ってきた私たち日本人というのは非常に無防備なだけに、今のこの状況というのは、一般社会へ本当に大変な恐怖感を与えてしまっているわけでございます。  国民生活、また国民の生命の安全を守るという観点から、何をさておいても対応しなければいけない喫緊の課題だと思うわけでございますけれども、国家公安委員長として、このような事態をどうとらえ、早急にどういう対策をとろうとされているのか、まずお聞きしたいと思います。
  96. 野中広務

    野中国務大臣 ただいま佐藤委員から御指摘がございましたように、最近短銃を使った凶悪事件が全国で続発をいたしまして、特に従来型と異なりまして、市民が身近で被害を受けるという不幸な事件が相次いでおるわけでございまして、私どもも、治安上極めて重大な事態が続いておると認識をしておるわけでございます。  警察といたしましては、けん銃の摘発を徹底して行いますとともに、この種事犯の防圧に最大限の努力をしてきたところでございますけれども、現在の情勢にかんがみまして、この問題が現在の治安上の最重要課題と認識をいたしまして、関係部門の総力を結集するとともに、関係省庁とも連携を密にいたしまして、けん銃の摘発強化、さらに特に水際対策、そして国民各層の皆様方の御協力をいただいて諸施策を強力に進めてまいりたいと考えるわけでございます。  今御指摘ございましたように、本日開催されました銃器犯罪対策に関する関係閣僚会議におきましても、銃器を使用した凶悪な事件が続発をし、多くの国民が不安を感じ、被害を受けておる最近の事態を重大な、深刻な事件としてとらまえまして、このような銃器犯罪に対し、有効かつ総合的な対策を講ずるために懇談を重ねたところでございまして、今後の対応につきましては、本日の閣僚会議の結果を踏まえまして、けん銃取締り対策に関する関係省庁会議におきまして検討が進められていく予定でございます。  特に、その中におきましても取り締まりの徹底と関係省庁の緊密た連携強化、いわゆる取り締まり体制の強化、密輸摘発の強化、暴力団対策の強化等を含めまして、また一方では国際協力の推進、さらに国民理解協力とを大きな柱といたしまして重点的に取り組んでまいりたいと存じておるところでございます。
  97. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今国家公安委員長の方からも御答弁ございましたけれども、さらにこの問題について、詳しく警察庁の取りまとめた数字に基づきまして御質問させていただきたいと思います。  警察庁のまとめによりますと、ことし十月までに全国で発生した発砲事件というのが二百六件で、既に二十八人死亡している。さらに今月も数が重なりまして、十一月二十七日現在で二百七十五件、死者三十三名ということで、もうこの段階で既に昨年一年間の死者三十名を上回っているという数字が出ております。また、十月中に押収した短銃というのが三百二十四丁で、これは何と平成になってから一カ月の押収量としては最高であったという数字も出ております。  また、一月からの押収量の累計は千四百三十一丁で、年間の押収量が過去八年間で最も多かった昨年の同期と比較してもさらに九十三丁多く、このままでいくとこの押収量の記録は多分更新されるだろうというぐらいの勢いであります。  そして、その中で一番問題なのは、先ほど答弁の中にもありましたけれども、一般人への銃の拡散ぶりでございます。暴力団関係者以外から押収したケースというのは、平成元年では全体の千十九丁のうち七十六丁と七・四%にすぎなかったのが、その割合が次第にふえまして、昨年は二八・五%を占め、ことしも既に三割を超えるという大変な増加を示しているわけでございます。この数字一つとっても、非常に一般社会への銃の拡散ぶりが本格化していることを端的に示していると思うわけでございます。  しかし、勝手に銃が拡散するわけではないわけでございまして、我が国で見つかる短銃のほとんどは海外で製造されたもので、流入のもとからどういう形で断つのかということが非常に大事になってくるわけです。密輸入罪で摘発された短銃というのが、十年前は四百十九丁あったわけです。ところが、銃がはんらんしている数がふえているにもかかわらず、昨年はたった六十丁までに大きく減少しているわけですね。  数字で言えば、密輸入事件で押収される短銃のパーセントというのは四%弱という低い率にとどまっているわけですけれども、この数字が物語っているように、警察庁としては今まで水際作戦やってきた、やってきたというように言われますけれども、この密輸の摘発というのは非常に低調で、十分に水際作戦というのは機能していなかったのではないかと言われても仕方がないわけでございます。  一体この密輸入罪で押収される短銃の押収率が低いのはなぜか、また、いろいろな分析をされていると思うのですけれども、今後そういう反省の上に立って、水際で食いとめるために、具体的にどこをどう強化されていくおつもりなのか、まず警察庁にお聞きしたいと思います。
  98. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答え申し上げます。  今委員指摘のとおり、密輸入罪で押収されました短銃でございますけれども、本年の場合は十月末までに六十三丁でございます。国内での押収量との見合いから考えまして満足と言えないことについては、御指摘のとおりでございます。  理由として、一概には申し上げられない点もございますが、考えられます点を数点申し上げますと、例えば国際的な物流の増大と出入国者の増加によりまして、検査の徹底等が大変困難化しておるというようなこと、あるいは、従来の密輸のルートでございますが、フィリピン等からの密輸のほかに、昨今はタイでありますとか、中国でありますとか、非常に密輸のルートが多様化しておるというようなこと、あるいは我が国の海岸線は大変長大でございますが、海港でもない漁港等へ小回りのきく日本漁船等を使って陸揚げするというようなことを言われておりまして、そういった面での不審船舶の発見はなかなか難しい点、あるいはさらに、けん銃の隠匿方法でございますけれども、御案内かと思いますが、家具をくり抜く、いろいろな巧妙な形で隠匿をされる、あるいはけん銃を部品に分けて輸入するなど大変巧妙化しているというようなことが考えられようかと思います。  いずれにいたしましても、委員指摘のとおり、我が国で押収されるけん銃のほとんどは外国から密輸入されたものでありまして、供給遮断という上では水際対策が大変重要なわけでございます。このため、税関なり入管なり、あるいは海上保安庁等の関係機関との連携を密にいたしますとともに、海港以外の漁港に沖合で荷を積みかえた我が国の漁船等により陸揚げされるというようなおそれもありますことから、漁業関係者あるいは港湾関係者等の協力の確保にも従前から努めてきたところでありますが、今日の事態を受けまして、さらに一層この協力関係を密にすべく、現在関係省庁の連絡会議で対策を協議しておるところでございます。  また、けさほど関係閣僚会議が開催されまして、総理からも強い御指示があったところでございますので、さらに有効かつ総合的な対策を樹立すべく努力してまいりたいと思います。  それからまた、広い意味での水際対策といたしましては、外国あるいは国際機関との協力も大切でございます。ICPOとかあるいは外交ルートなどを通じまして積極的な情報交換は従前からも心がけてまいったわけでありますが、特に我が国でも発見されることの多いけん銃の製造国あるいは輸出するもとになります仕出し国、こういった国との間でより緊密な捜査機関同士の共助関係をつくらなくてはいけないということで、我が国が主催して銃器対策の国際会議というようなものを開催しようと考えておりまして、ちょうど本日からその会議が始まっておるところでございます。こういった会議等の場を通じて関係各国への働きかけを行いまして、その理解協力を得ていく考えでございます。  今後ともこうした取り組みを通じて、水際対策の強化に努めてまいりたいと考えております。
  99. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今御答弁ございましたけれども、我々国会議員も考えておりますことは、やはり銃社会への傾斜というのは何としても食いとめなければいけない、そのためには、やはり銃の摘発というのはこれから国内において警察の最重要課題だと思うわけでございます。  特に、不法所持の摘発、また先ほど御説明ありましたけれども、密輸の摘発、また銃犯罪の確実な検挙ということを今まで以上にきっちりとできるように、これからやはり警察庁内の体制とか、また人員の整備強化というものを、第一線までも含めて行うべきではないか。  例えば九月に警視庁が新宿の歌舞伎町で環境浄化総合対策というものを一気にされましたけれども、そういうものも含めた、例えば特別のプロジェクトチームをつくるとか、また具体的に銃器専門の捜査員をこれだけふやすとか、そういうやはり具体的にどう対処されていくのかということが、国民が見ていて本当に警察が解決のために努力していることが納得していただけるような、目に見える努力をお願いしたいと思いますけれども警察庁の御所見をお伺いしたいと思います。
  100. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 御答弁申し上げます。  けん銃の摘発体制の強化を図るために、私ども警察庁におきましては、昨年四月に銃器対策室というものを設けておったわけでございますが、この重要性にかんがみまして、本年七月、警察法の改正によります組織再編の中で、これを課に格上げをしております。生活安全局の中に銃器対策課を設置したわけでございます。それからまた、各都道府県警察の場でございますけれども、これにつきましては専従捜査体制の整備が急速に今進んでおります。本年に入りましてから、銃器対策室、あるいは銃器対策課というような形で、名称は若干いろいろなものがございますけれども、銃器を専従して捜査する体制が九県で新たに本年度で設置されておりまして、累計全国で十九ほどの室が置かれておるようになっております。というようなことで、けん銃摘発体制の強化がそのような体制面でも図られてきておるところでございます。  けん銃の摘発でございますが、警察の総力を挙げて行うべきものでございますので、これは不法所持がいろいろな各層に広がっているという指摘がございますが、そのような実情から、生活安全部門のほかに刑事部門あるいは警備部門もこれに取り組んでおりますし、また地域警察部門でございますとか交通部門におきましても、常にけん銃摘発を念頭に置いて職務を執行しておるというところでございます。  このような総合力の発揮と部内でのパワーシフトということによりまして的確に対応しているところでありますが、今後ともなお一層の体制の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。  それからまた、専門的な捜査官の育成というような面につきましては、例えば税関等との人事交流というのも、府県段階でございますが、既にやっておりますし、あるいはまた警察学校などにおきまして、実践的な捜査技術の習得のための教育訓練コースを新設するというようなこともやっております。これによりまして捜査の質の向上を図ってまいりたいと考えております。
  101. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 この問題、非常に大事ですので、最後にもう一度大臣の決意をお伺いしたいのですけれども、現在のこの銃の拡散ぶり、増加傾向というのが顕著になってきたこの時点で、何が何でも徹底して歯どめをかけなければいけない、そういう状態だ、そのように思うわけでございます。そうでなければまた、将来のこの日本の社会に非常に大きな禍根を残すのではないかなという気がしております。  昨年、この銃刀法が改正されて、不法所持者などについては一年以上十年以下の懲役という非常に厳しくなった銃規制なのですけれども、しかし結果的に成果を見ると余り効き目がなかったのではないかなという感じがするわけです。  私などは、そういう点からすると、現行の改正された銃刀法をさらに厳しくして、例えば不法所持を十年以上の懲役とか、銃を使った犯罪が行われたときには無期懲役にするぐらいに厳しくしてもいいのではないかなという、そういう法整備の問題、もう一つは、やはり国民意識をどう変えていくのかということが非常に大きな問題でございまして、最近のこの一般人への拡散ぶりを見ていると、日本人のけん銃に対する抵抗感とか嫌悪感というものが非常に弱くなってきている。  また、そばにそういう人を見ていても情報提供しないとか、捜査協力をしないという、そういう傾向が非常に出てきているのではないかなという感じがするわけです。今やはりそういう意味での徹底した国民に対する広報啓発活動というものを今こそやらないといけないのではないかなというように思うわけです。  そういう、以上述べたような観点も含めまして、この件についてもう一度、国民の生命の安全を守るという立場から、大臣のこの問題に対する力強い御決意をいただきたいと思います。
  102. 野中広務

    野中国務大臣 委員指摘になりましたように、取り締まりの徹底を行いますとともに、けさほど来また関係閣僚会議等を受けまして、関係省庁との連携強化を行い、かつ、国際的な協力も推進をしますとともに、委員が特に御指摘になりましたように、国民理解と勇気ある協力をぜひお願いをしなければならないと考えて、私ども当面の最大重要課題として取り組んでまいりたいと存じておるところであります。  ただ、先ほど、昨年の七月改正されました銃刀法の施行の問題にお触れになりました。これは御指摘のように改正されたわけでございますけれども、けん銃とこれに適合する実包をともに携帯、運搬、または保管した場合には加重処罰規定、すなわち三十一条の二で三年以上の有期懲役になったわけでございまして、こういう罰則強化が行われたわけでございますので、こういう罰則強化の運用で定着化をより図ってまいりたいと考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、個別の事犯に対する厳正な科刑が実現をするように、悪質性の立証のために証拠の収集を含めた徹底した捜査を行い、また検察当局との連携も密にしながら、国民の銃に対する認識あるいは協力、そしてこの検挙の徹底した実行によって国民の期待にこたえられるように対処してまいりたいと存じております。
  103. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 続きまして、地方分権に関する質問を何点かさせていただきたいと思うのですが、もう午前中にも金田委員の方からもありましたけれども、今月の十八日に提出されました行政改革推進本部の地方分権部会の専門員の意見書や、また二十二日に提出された地方制度調査会の答申に対して、村山総理は所信表明以来一貫して、言葉では地方分権のことを本当に推進するということで述べられていて、それを受けられて非常に前向きな積極姿勢を明確にされたというように私は思っているわけでございますけれども、しかしながら、その周りの各閣僚から非常に強い反対意見が続出したという、そういう報道を聞いております。  また、答申という総論から、今後具体的に内容の具体化に向けた各論に入れば、分権による権限移譲によって権限を減らされてしまう中央省庁が非常に激しい反発をしてくるのではないかということが予想されるわけでございます。  それで、今回のこの答申全部を見させてもらうと、まず実現可能性を重視した内容であると私は思っていますけれども、最終的にどこまで実行に移せるかというのは、村山総理の決断と指導力にまずはかかっている、そして、さらには、それを支える所管大臣の自治大臣のリーダーシップというのが非常に大事になってくるのではないか。そういう意味では、いよいよ地方分権が実行に移される大詰めに入ってきたわけでございます。我々は今の政権を改革先送りというように批判してまいりましたけれども、この地方分権に向けた野中自治大臣の御決意をまずお伺いしたいと思います。
  104. 野中広務

    野中国務大臣 委員から今、行革審の地方分権部会の意見書あるいは地制調の答申に対しまして関係閣僚から反対意見が続出したというのは、私は閣議、閣僚懇を通じて承知をしないところでございまして、特殊法人の見直しについて若干まだ具体像の見えない発言をそれぞれ役所のペーパーでされた閣僚がありまして、そのことについて新聞報道がされた経過は私は承知をいたしておりますけれども、本地方分権に関する限り、まだそこまで閣僚からの発言を聞いたことはございません。  しかし、おっしゃいましたように、特殊法人の見直し等に次いで規制緩和、そしてこの地方分権というのは村山内閣に課せられた最大課題であると認識をし、総理もまたそのことを強く私どもに指示しておるところでございまして、地方分権はまさしく内閣挙げて取り組むべき重要課題であると考えておるわけでございまして、自治省を所管する私といたしましても、具体的な成果が上げられるように、強い決意で取り組んでまいりたいと存じております。
  105. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 時間もないので、その言ったか言わないかということは、別に新聞を出してやるのはもう時間もないのでやりませんけれども、続いて、その答申の内容の中でこれから大いに具体化の中で論議をしていかないといけないと思うのですけれども、まずやはり内容のメインとしては、都道府県と市町村の二層制として、権限移譲は「当面、都道府県により重点を置いて進める」としているわけでございますけれども、この点については、これからやはり大いに論議を呼ぶのではないかなというように思っております。  私どもは一貫して、反対に、権限移譲の主体というのは、やはりこれから地方の住民に一番身近な市町村を優先し、一方、都道府県はあくまでもこの市町村の補完的な役割を担うもの、そういうものにすると考えていたわけでございますけれども、そうではない答申内容になっているわけでございますが、そこで、大臣のいろいろな地方分権に対する考え方、いろいろな角度があると思いますけれども、この国から地方への権限移譲の主体は一体どこにするのか。住民に一番身近な市町村なのか、それとも現実的な選択として都道府県なのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  106. 野中広務

    野中国務大臣 私は究極的には住民に一番身近なところにある市町村に移譲をしていくべきだと考えております。  しかし、現在、すべて言われておる中央の権限を具体的に市町村に移譲して機能し得るかどうかということを考えました場合に、やはりこれをこなし得ることの能力を持った都道府県に第一義的には権限移譲をし、そしてその中でなお市町村がやれる可能性のあるものについては限りなく市町村に持っていくという、そういう手順を踏んでいかなくてはならないと考えておるわけでございまして、例えがいいかどうかわかりませんけれども、私は、住民をお城に例えますと、市町村というのは内堀だと思っております。そして府県というのは外堀だと思っております。そういうことを考えますときに、委員がおっしゃいましたように、身近な行政はできるだけきめ細かく市町村でやっていくという本来の目的に向かって進んでいきたいと考えておるところでございます。
  107. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今大臣から答弁がありましたけれども、まあ要するに、受け皿の、やはり能力の問題というのが非常に問われてくるということがございます。その中で、分権と言えば中央省庁は、すぐにその受け皿として地方自治体というのは能力不足ではないか、そういうことを挙げるわけでございますけれども、そういう意味では、この地方分権を考えるときに、これから権限移譲や財源の確保とあわせまして、分権の担い手となる自治体の行政能力の向上、また、それを担う人材の育成というものが非常に大事になってくるんではないかな、そのように考えておる次第でございます。  そこで、地方自治体の職員の行政能力の向上とモラルの高揚を図るために、今まで大体国と地方自治体問の縦の人事交流というのはありましたけれども、むしろ横の地方自治体間の人事交流を促進したりとか、これはまあ今企業が非常に大変な状況なので難しいんですが、創造力やコスト意識を高めるために定期的な民間との人事交流なども行えるような部分は、積極的に推進していってはどうかと思うんですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  108. 野中広務

    野中国務大臣 今お話しいただきましたように、地方分権を推進する上で受け皿となるべき地方公共団体の行政能力が可能かどうか、これは、一にかかってその担い手となるべき人材の育成にかかっておる次第でございまして、御指摘のように、地方公共団体間の人事交流、さらには民間の人事交流など、時代の要請に合わせた主体的な人材育成に取り組んでいかなければなりませんし、現在もまた取り組んでおるところでございまして、今後さらに地方公共団体間の人事交流につきましては、それぞれの地方公共団体において自主的な判断に基づき、相互に協議が行われるものと存じますが、私どもも進んでこの施策やあるいは施行しておるところの例を地方公共団体に示しながら、幅広い識見を持った人材が育成されるように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。  また、民間企業との間では、派遣研修の形で人事交流が行われておるのが通例でございますけれども、派遣期間中の研修生の公務員としての中立性の確保、あるいは住民の信頼性等を十分配慮を加えた上で、行政の効率化、サービスの向上化の観点から取り組みを進めることが大切であると考えておる次第であります。  いずれにいたしましても、委員が御指摘のように、自治省といたしましては、今後とも地方公共団体における自主的な人材育成の取り組みに対しまして、必要な情報を積極的に提供して、地方公共団体の一層の人材育成に努めてまいりたいと存じております。
  109. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 もう一つの地方分権を考えるときの大事な角度でございます住民自治の充実強化という観点から大臣の御所見をお尋ねしたいんですが、今行われている地方分権論の大きな限界といいますか、欠点とも言ってもいいと思うんですが、これは論議が専ら国と都道府県と市町村の三つの間に権限や財源をどのように配分するのかという、一言で言えば、団体自治の分野に絞られているわけでございまして、住民から見ると、住民不在で雲の上の方で国、都道府県、市町村という三つの団体間のたたき合いとなっている。  それがある意味でいえば、地方分権と言われながら国民が何となく白けている、そういうものの因になっているのではないかな。要するに、今の地方分権論というのは、地方自治体の主体者である住民を巻き込むことにまだまだ成功していないのではないかな、そういう感じが否めないわけでございます。  昔、フランスの政治学者でトクビルという人がおりまして、地方自治は民主主義の小学校である、そういう有名な言葉を残しました。  彼は一八三一年にアメリカに旅行して、地方自治国民政治参加の経験の場として大きな役割を果たしている実態を見て、驚きと感動とともにそう言ったそうでありますけれども、この地方自治地方分権について住民意識を活性化するためには、住民を地方自治の主人公にふさわしい大きな役割を分担させることがまず基本になければならない、そのように思うわけです。  地方分権によって、権限や財源が地方に移譲されたら、以前よりどの分野でどういう形で住民の発言権が増大し、また住民の意向が地方の行政運営によりよく反映されるようになるかということを、一つ一つやはり明らかにさせていかなければならない、そのように思うわけです。  そういう意味で、これからの地方分権の推進と相まって、住民自治の充実強化という観点から、この住民の発議制度や住民投票制度というものについて非常に前向きに検討していく必要があるのではないかなというように思っているわけでございますけれども大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  110. 野中広務

    野中国務大臣 全くお説のとおりでございまして、地方の時代と言われてから久しゅうございますし、地方分権が言われてからも地方から熱いものが伝わってこないということを私もたびたび口にしてきた次第でございます。  地方自治が住民の自発的かつ積極的な参加によって支えられなければならないことは言をまたないのでございます。我々はそれをつくっていくものであり、住民自治は地方自治の不可欠の要素であると理解をしておる次第でございます。  先般、地方制度調査会の地方分権の推進に関する答申におきましても、「住民自治の充実強化」のため、「住民による地方公共団体の行政への参加の機会の拡大を図るとともに、政策形成等における住民意思の反映の方策として、住民発議制度」等について検討をすることや、「地方行政の公正の確保と透明性の向上」のために情報公開や行政手続の適正化等を進めること、地方議会において、「会議の公開等により、住民に開かれた議会活動を推進していく必要がある。」こと等が提言をされておるところでございます。  地方分権を進めていく上で、国と地方の役割分担を見直し、国から地方への権限移譲などを行い、地方公共団体の自主性、自立性を高めていくことが重要でありますけれども、同時に、委員が今御指摘なさいましたように、住民の自発的、積極的な参加を得て地方公共団体の行政が運営されていくことが必要であると考えておりますので、今後とも、地方制度調査会の答申を踏まえ、委員が御指摘になりましたように住民自治の充実強化を図る方策を検討するなど、真の地方自治の実現に努めてまいりたいと考えております。
  111. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 続いて、残りの時間で市町村合併の問題につきましてお尋ねしたいと思います。  地方分権の受け皿として市町村の体質強化が非常に求められているということから、今までも一九六五年に十年間の時限立法として制定された市町村合併特例法が二度も延長されてきているわけでございますけれども、しかしながら、この間に市町村の合併というのは百四十五件にとどまっているわけでございまして、特に過去十年間を見ても、実際に合併した例はわずか十数件しかない。しかし、自治省が本年初頭に実施した調査によると、全国で約四百の市町村が合併を具体的に検討したり、既に動き出したりしているということなんですが、しかし、なかなか具体化しないのが実情でございます。この合併をなかなか進めることができない原因、障壁は何だというように自治省の方としては分析されているのか、まずお聞きしたいと思います。
  112. 野中広務

    野中国務大臣 お話しをいただきましたように、市町村の合併は昭和三十年を境にして、十分な——昭和三十年には大胆な合併が行われたわけでございますけれども、それ以来三十年間には、委員指摘のとおりに百四十五件、この十年間では十八件行われたのみでございます。  これまで合併が余り進まなかった原因は、一概には私は言えないと思うわけでございますが、市町村の合併は地方公共団体の存立にかかわる問題でございまして、関係市町村や住民の十分な合意形成が必要でありますために比較的時間を要することのほか、現行の合併に関する特例措置が合併の際の障害を除去するということにとどまっていたことに背景があるのではなかろうかと、ある意味において反省をしております。  第二十四次地方制度調査会の答申においても、「市町村の自主的な合併を推進していく必要がある。」との提言をいただいておりますので、これを踏まえながら、今日、道路、交通、通信網等が画期的に発展をしてきて、三十年前とは比較にならない状態であるわけでございますので、一層市町村が自主的な合併を行えるように、私どもも特例措置を整備し、拡充してまいりたいと考える次第であります。
  113. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 もう今の大臣の答弁に次に聞きたかったことが尽きているわけでございますが、要するに、今までの特例法の中身を見ますと、合併の際に障害となると考えられた事項をどう取り除くのかというところあたりに特例措置というものが非常に限られておりまして、やはり、市町村から見て、合併が非常に魅力ある、合併した方がいいと思われるような措置を講じていかなければいけないと思うわけでございます。  そこで、今大臣からも答弁ございましたけれども、やはり積極的に合併市町村が町づくりを図るという観点から、例えば道路、公共施設などの社会基盤整備のための事業への財政措置というものを積極的に講じていくというような、そういう今御答弁にあったことを確実に実施していただきたいということが一つ。  もう一つは、今、既に支援策として、国に先駆けて、市町村の合併の支援に、実施に踏み切っている都道府県が既に出始めております。これまで、特に都道府県が市町村の合併に財政支援策ということは特になかったのですけれども、合併した市町村に対して都道府県が独自の特別交付金制度を新設するという、そういう動きが広がろうとしているわけでございまして、例えば茨城県では、十一月の一日に誕生したひたちなか市がその適用第一号としているわけでございます。東京では、来年以降ですか、秋川市と五日市町の合併が決まって、それに対して適用しよう。山口県も同様の動きをしているわけでございますけれども、こういう都道府県のように、市町村合併に対して前向きな、意義ある努力をしようとしている、具体的に言うと特別交付金制度を設けて助けようとしている、その都道府県に対して財政的援助を積極的に行っていくべきであると思うのですが、自治省としてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
  114. 野中広務

    野中国務大臣 先ほど申し上げましたように、地方制度調査会の答申におきましても、「市町村の合併に向けての環境を整備するため、合併市町村のまちづくりの推進を図る観点を含めて積極的な財政措置を講ずべきである。」という答申をいただいておるところでございます。  したがいまして、自治省といたしましても、市町村の自主的な合併を推進するために、現行の措置に加えまして、合併に伴い必要となる社会資本整備を行うための積極的な財政支援を講じますとともに、委員ただいま御指摘のような、府県においての財政支援等についても、自治省としてどのような協力ができるかもあわせて検討をしてまいりたいと存じております。
  115. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 あと、もう質問いたしませんけれども、住民発議制の導入ということも答申にうたわれておりますので、ぜひ導入を進めていただきたいと思います。  最後に、せっかく総務庁来ておられますので、総務庁に一件質問をさせていただきたいのですけれども、パイロット自治体制度が実施されまして、ことしで二回目の申請を受けられたわけでございますけれども、昨年に比べまして、申請団体の、大体要望に沿えた率というのが、昨年は九〇%だったのが、ことし、は七五%、全く認められなかった項目も、昨年が八項目から十七項目というように、二年たって、各自治体とも大体どういう制度なのかということが周知されているにもかかわらず、この申請の要望に沿える率が非常に低くなっている。  そういう中で、いろいろパイロット自治体に手を挙げられたところにもお聞きしますと、やはりせっかくやる気と能力のある一部の自治体にということで手を挙げたにもかかわらず、二つの点で大きく不満があるというように言っているわけですね。  一つは、今までの特例措置というのが、法律の制定または改正を要しない範囲であるということが一つでございます。もう一つは、国に申請する前に都道府県との事前協議が義務づけられているという点がもう一つございまして、県との協議であきらめざるを得なかったとか、また県に圧力的な姿勢があるということで、本当は国にストレートに思いを伝えたかったにもかかわらず、そういうことができなかったという声が出ているわけでございます。  この法改正を伴う申請というのは、認めることは今の段階では難しいかもわかりませんけれども、都道府県との事前協議を撤廃して、市町村の生の要望がストレートに国に申請できるようにすべきだと思うのですが、総務庁としての今のお考えをお聞きしたいと思います。
  116. 福井良次

    ○福井説明員 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、ことしで二回目の申請の指定というものをやったわけでございます。昨年は七十八件の特例措置の申請、ことしは六十七件でございます。  御指摘のように、昨年は採択率が高かったわけでございます。いろいろな事情がございますが、恐らくことしの場合、昨年の経験を踏まえまして、各自治体がより自由に、自由な発想のもとに、いわば果敢に申請をされた結果ではないかな。申請の事前に、逆にあれこれと総務庁の方に御相談があって、事実上指導すれば、あるいは採択率が上がったのかもしれませんけれども、そういうことはパイロット制度の趣旨から好ましくないということで、いわばかなり自由な発想のもとに御申請いただいたわけでございます。  結果といたしまして、残念ながら御希望に沿える率は下がったわけでございますが、その理由等につきましては、各一件ごとに理由も明らかにしておりまして、世の中のそういう議論に供することができたのではないかというふうに考えております。  それから、委員指摘の二点の問題、法改正に伴うものにつきましては、これは御指摘されていましたように、現行のパイロット制度ではなかなかなじみがたい。行革審の答申自体が、法的な安定性等の観点から、今のような仕組みを答申されたという経緯もございます。  それからもう一点、都道府県の協議をパスできないかというふうなお尋ねでございました。ただ、この都道府県の協議の手続をかませるとした趣旨でございますが、本制度が円滑に機能し、かつ、地方分権の突破口として目的を達成するためには、やはり都道府県の支援、協力というものが不可欠だというふうに認識しております。  具体的に見ましても、許認可や、あるいは補助金の事務手続に関連しまして、市町村が求める特例措置の中には、都道府県が当事者となるものが数多く認められるところでございます。したがいまして、事前に都道府県と協議を行い、その支援、協力を求めるということ自体は、パイロット自治体制度を円滑に運営する上で必要なことと認識しております。  ただ、こうした都道府県の協議につきましても、この実施要領におきましては、必ずしも都道府県と合意を見ない場合であっても市町村は自由に国の方に申請をしていただきたいということも明記しておりまして、その辺は、市町村の無用な負担がないように、制度上も配慮しているつもりでございます。  いずれにいたしましても、今後、総務庁におきまして、この制度の実施状況については適宜にフォローアップを行うということにしておりますので、委員指摘のようなことがないよう、十分チェックいたしたいというふうに考えております。
  117. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  118. 粟屋敏信

    粟屋委員長 遠藤登君。
  119. 遠藤登

    遠藤(登)委員 社会党の遠藤であります。  まず、きょうは分権の話が非常に多うございました。それで、十二月末までに大綱を決定するというので、いろいろ今準備が行われていると思いますが、その分権の大綱決定と連動しながら、いわば財政的にも一定の方針を提起する必要があるのではないかというふうに思います。また、新年度の予算編成とも関連をしながら、五年間で実効あるものに仕上げたいという大変な御努力をされていらっしゃいますが、分権大綱と連動しながら、地方財政への拡大あるいは確保対策について、大臣としてはどんなお考えでいらっしゃるのか、お聞かせをいただきたい。
  120. 野中広務

    野中国務大臣 今委員から御指摘いただきましたように、地方分権部会の専門員の皆さん方から提示をされました意見をお伺いをいたしまして、総理を本部長といたします行政改革推進本部におきまして、これから地方分権のあり方について十二月中に大綱をまとめ、あわせて地制調からも答申をいただいておりますので、これを入れて大綱をまとめていきたいと考えておるところでございます。  さらにこの大綱に基づきまして、可及的速やかに地方分権推進のための基本理念を入れた法律国会に提案をいたしたいと考えておるところでございます。  また、委員指摘のように、地方分権を行っていく上におきましては、その第一として、これに伴います地方自主財源が必要であることは言をまたないのでありまして、今回の税制改革におきまして、安定的、伸長性のある地方消費税をお認めいただいたのも、またそこに大きな弾みがついたと考えるわけでございます。  よりこれからの地方財政確立のために、普遍的かつ伸長性のある、安定した地方財源が確保されなければなりませんし、あわせてこれを機能し得る人材の確保が、また養成が必要であると考えておるのでございまして、三位一体となって地方分権が推進されると考えて、今後私どもはこれを重点施策として取り組んでまいりたいと考えております。
  121. 遠藤登

    遠藤(登)委員 分権の拡大、財源の確保の問題、人材の確保の問題、これは本当に大変な課題だと思いますが、その裏役に徹して自治省は頑張る、こういうことのようでありますが、五年間で何と何と、具体的に年次的な推進の方向なども決まっていくのではないかと思いますが、それに伴う財政の問題も含めて十分な御配慮をされていく必要があるのではないかと、強く私らも真剣にこの問題に対応していかなければならないと思っておりますので、よろしくお願いします。  それから、先ほど町村合併の特例法が明年三月で切れるという問題が提起をされておりまして、これもなかなか進まない、あるいは全国四百の自治体が現在それぞれ検討機関なども置きながら合併に向けて努力をされているという状況もお聞かせをいただいたのでありますが、やはりまたその延長をするということにこれから話し合いに入っていくのだと思うのです、通常国会で。  それでやはり、なぜ合併が進まないのか、あるいはそれぞれ都道府県が財政支援をやっているということも踏まえて、これも非常に財政が大変な状況であろうかと思いますが、やはり新しい時代に対応した地方団体をつくり上げていく。それは、そこに住む住民の自主的な努力によってその目標が達成されるということについての積極的な支援、いわば、先ほどもお話ありましたように、メリットのある、効果のある政策、財政を含めて、これはもう大胆に提起をしていく必要があるのではないかとも思います。  非常に造詣の深い大臣の御所見なども、またそれらに対する対応の方針なども、若干先ほどお聞かせいただいたのでありますが、ちょっと具体的にひとつお聞かせをいただきたい。
  122. 野中広務

    野中国務大臣 委員が今御指摘ございましたように、明年三月三十一日をもって市町村合併特例法が期限切れになりますので、地制調の答申をも踏まえまして、これから合併促進法の新たなる制定を目指していきたいと存ずる次第でございます。  先ほど佐藤委員にもお答えいたしましたように、従来の合併の障害となっておるものを除去するのみならず、より積極的に合併が促進されるような財政支援措置をもあわせ考えてまいらなくてはならないと存じておりますし、今回の答申の中には住民発議制度も入れられておるわけでございますので、こういうものを有効に活用することによって、市町村合併がより積極的に推進をされなくてはならないと思っておるのでございます。  特に、先ほど申し上げましたように、高齢化あるいは少子化の深刻な時代を迎えていく中で、弱小市町村として果たして住民の期待にこたえ得るかどうかを考えましたときに、一つの市町村の境界があるために学校をつくり、あるいは保育所をつくり、あるいは特別養護老人ホームを設置しなければならないといったような個別具体的な福祉施策とか、あるいはこれからの、それぞれさまざまの市町村の担う役割を考えますときには、私は、今日のように道路、交通、通信網等がこれだけ発達したときに、それぞれの自治体行政にかかわる者がリーダーシップを発揮し、自覚し、そして住民発議をもあえて行って、大胆な市町村合併が行われることが住民の真の期待にこたえることであるというように認識をしておるわけでございます。私どもまた、それが自主的に行われるような十分啓発も行ってまいりたいと考えておるところでございます。
  123. 遠藤登

    遠藤(登)委員 非常に造詣の深い大臣でありますから、しかも重大な決意をもってこれに対応されようとしていることに大きな期待を寄せるものであります。したがって、高度成長過程の中で、御案内のとおり、過疎と過密が大変な状況にあって、財政力にしても、いわば自治体としての体をなさないような状況が生まれてきているのでありますが、新しい時代に対応する市町村というのが、いわば地方団体の構造というものの考え方、これはそこに住む住民が自主的に発想するものでありますけれども、いわば適正規模というのが、人口的に、財政的にいろんな見方があると思いますが、自治省としてあるいは大臣としてどんなお考えがあるのか。  それから、今大臣もおっしゃられましたように、広域行政に対応してきてからしばらく時間がたっておりますが、この点もあわせて、もっと積極的な対応を推進をしていく必要があるのではないかとも思いますが、その点もあわせてひとつ御所見をお聞かせをいただきたいと思います。
  124. 野中広務

    野中国務大臣 今後ますます進展をしていくことが予想されます、先ほど申し上げました高齢化社会、一方少子社会を考えますときに、市町村が社会福祉等住民に身近な行政サービスの充実を図ることが、より責任を持たされておるわけでございまして、これに対応した行財政の基盤が必要であるわけでございます。そういう意味において、市町村の合併もその有効な手段とし、適切な方法としての一つであろうと考えておるわけでございます。  しかし、現在の市町村が置かれておる状況はさまざまなものがございまして、その人口規模においで、全国を通じて一律に基準を示すというのはなかなか困難なことであると存じておるところでございます。
  125. 遠藤登

    遠藤(登)委員 非常に大事な課題でありますので、ひとつ大胆な発想に立って、新しい時代に対応する地方団体のいわば強化に向けて御努力をいただきたいというふうに思います。  次に、御案内のとおり、日本列島の四割は中山間地域、いわば国土の四割は中山間地域、そこに居住する人口は総人口の四%、約五百万人足らずということで、特に中山間は超高齢化社会というような状況にあって、国土の保全あるいは環境の保全上からこれはもう国民生活の将来にとって重大な課題ではないかというふうに思っているのでありますが、それなりの対策もそれぞれとってきたという経過がありますし、それぞれの自治体でも大変な御努力を重ねているということもわかるわけでありますが、なかなかその隘路を打開できないという状況があります。  自治省として、いわば中山間に対する対策というものの交付税措置を初めとして大変な努力をしてきている経過がありますが、具体的にどのような対策の対応の状況にありますか。今後これは本当に重大な課題だと思いますが、どのような対応方向にあるのかもあわせてお聞かせをいただきたい。
  126. 野中広務

    野中国務大臣 今御指摘ございましたように、我が国国土の保全のために、あるいは環境保全のために中山間地が果たしてきた役割がいかに大きかったかは、ことしの少雨渇水を見ますときにも私はこの意義の大きさを理解がされるのではなかろうかと思うところでございまして、委員指摘のとおりであると思うのでございます。  自治省といたしましては、農山漁村地域の振興を図るために従来から各種の地方財政措置を講じてきたところでございますが、ことしの地方財政対策におきましては、さらに中山間地を初め農山漁村地域における地方単独事業に対する支援措置といたしまして、一つには後継者の育成確保対策、二つ目には地域の活性化を図るための定住促進対策、三つ目にはふるさとづくり事業や農業集落排水緊急整備事業、ふるさと農道・ふるさと林道等緊急整備事業等を積極的に実施することといたしまして、今年度の地方財政計画に総額三千九百億円に上る農山漁村対策経費を計上したところでございます。  今後の施策につきましては、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴います影響により地域活力の低下が一層懸念をされますので、地域の自主性、創意工夫を生かした活性化の方策の推進が求められるところでございまして、農山漁村ふるさと事業の創設を含め、農山漁村対策等の地方単独事業をさらに拡充いたしまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  127. 遠藤登

    遠藤(登)委員 本当に大変な努力を重ねられていらっしゃるわけでありますが、特に今大臣のおっしゃるように、ウルグアイ・ラウンドの関連対策一兆二千億、これは六年間ということでありますけれども、ハードの面とかソフトの面などいろいろ大綱としては考えられておるようでありますが、その具体的な内容をもし詰められている部分があれば、お聞かせをいただきたい。
  128. 野中広務

    野中国務大臣 このたびの地方単独策の拡充の内容につきましては、三つの柱からつくっておるところでございます。  第一は、農山漁村ふるさと事業を創設することといたしておりまして、これはウルグアイ・ラウンド農業合意に基づきまして著しい影響を受け、また人口の減少や高齢化が進展しつつある農山地域の活性化を図るために、農業、林業等の振興を初め、自主的、主体的な地域づくりを推進するためのソフト事業に要する経費として地方交付税措置を講じようとするものであります。いわゆる竹下内閣のときに行いましたふるさと創生事業農山漁村版とお考えをいただいていいと思うのでございます。  第二には、現行の先ほど申し上げました農山漁村対策を拡充をいたしまして、農業集落排水緊急整備事業の推進、農道の整備等を推進をしようとするところでございます。  第三は、このたびの少雨渇水対策等に見られますように、森林、山林保全が大切であるということが認識を新たにされたところでございますので、特に森林・山村対策として、保全すべき森林を公有化するための措置あるいは林道の整備等を推進することといたしておるのでございます。  これらの対策に基づきます措置によりまして、平成十二年までの今後六年間において地方財政計画に基づきまして実施される地方単独対策は、ソフト事業、ハード事業を合わせまして今委員おっしゃいましたように一兆二千億程度と見込んでおるところでございますが、具体的な内容等につきましては、年末の地方財政対策において検討をして決定をしてまいりたいと考えております。
  129. 遠藤登

    遠藤(登)委員 この六年間にわたる一兆二千億というのは、いわば既決の交付税措置等を初めとしての財政枠とは別個のもの、上積みするもの、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  130. 野中広務

    野中国務大臣 そのように理解していただいて結構でございます。
  131. 遠藤登

    遠藤(登)委員 大変な課題でありますから、ひとつ地方団体も含めてこれらの課題解決のために全力を挙げなければならない問題ではないかというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。  それから、交付税措置でいわば地域福祉基金制度というのが創設されてきているわけでありますが、この制度の簡単な概要と、この設置状況やち運用の状況などについて、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  132. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  平成二年から平成十一年度まで、いわゆるゴールドプラン、高齢者保健福祉推進十か年戦略というのが、これは厚生大蔵、自治三大臣の合意で行われたわけでありますが、これは国庫補助事業を中心として組み立てられているわけでありまして、やはり住民に身近な地方団体で在宅の福祉であるとか、健康づくりだとか、民間のいろいろなそういう福祉活動を活発化するとか、そういう地方の特性に基づいたものについてはやはり地方の実情に合って単独的に推進するのが非常にゴールドプランとタイアップして効果があるのではないかという考え方から、地方団体が地域福祉基金を設置して、あるいはこれを拡充する経費というものを地方財政対策として地方財政計画に計上して交付税措置を講じていこうということで、平成三年度から三年間、初年度二千百億でございましたが、三千五百億、五年度には四千億円というように拡大しまして、総額としては三年間で九千六百億ほどの措置を地方交付税で講じたところでございます。  地方公共団体もこの措置を受けて、むしろ単独でこれらの地方交付税の措置に上積みをしているという状況でございます。  平成五年度末の状況で申し上げますと、地域福祉基金の現在高の見込みが都道府県で約二千八百億、それから市町村で八千三百億弱ということで、合計約一兆一千百億ぐらいとなっておりまして、交付税措置を上回るというような状況になっております。  実際この地域福祉基金の運用益を活用してどんなことをやっていたかということを調べた結果を申し上げますと、在宅の介護者に対する介護技術の講習会などの在宅福祉等の普及、向上といったような事業が五千四百事業、それから高齢者の健康、生きがいづくりの推進といったような事業に三千百事業、それからボランティア活動の活発化に対する事業が同じく三千百事業というようなことで、この地域福祉基金の果実を利用して、地域地域でそれぞれの地域に合った福祉対策というものが行われているというように私ども考えているところでございます。
  133. 遠藤登

    遠藤(登)委員 非常にこの制度は当を得てきたのではないかとも思いますが、こういう体制をますます拡大をしていく必要があるのではないか、強化をしていく必要があるのではないか。これにやはり民間の協力も積極的に活用していく必要があるのではないか、投入される体制をつくり上げていく必要があるのではないか。  それから、今問題なのは、何といってもやはり寝たきりの年寄りとか痴呆性の年寄りなども含めて、ひとり暮らしの老人の生活なども含めて、これはますます拡大をしてきている状況がありますから、いかにして地域的な介護支援体制をつくり上げるかということが非常に大きな課題だと思いますが、その辺の対応方針なども、基本的な方向だけでも結構でありますから、お聞かせいただきたい。
  134. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 委員おっしゃるとおり、地域地域でいろいろ事情も異なっておりますし、高齢者の階層、あるいは幅、人数といったようなこともそれぞれの地域で違ってきているわけでありまして、私どもとしては、国の補助事業とあわせて地方が単独で地域の実情に合ったそういう福祉施策というものを実現できるような地域社会、地方団体を形成していくのがいいことではないかということで、その財源措置の充実について努力をしてまいってきておるところでございまして、先ほど申し上げました地域福祉基金も、先ほど御報告いたしましたとおり、かなり活用されているということでございます。  それから、今年度には地方財政計画上で福祉関係の単独施策に充当し得る経費として、前年度に対して八%増の三兆一千億ほどを措置いたしておるところでございます。  非常に財政事情が厳しい折ではありますけれども地方団体の多様なニーズにも対応できるように、これからもこういった面での財政措置、財源を確保していくように努力をしてまいりたいというように思っております。
  135. 遠藤登

    遠藤(登)委員 それから、それぞれ本会議等でも問題になりましたわけですが、いわば保健福祉計画ですね、市町村、都道府県が計画を策定して、現在厚生省でそれぞれ厚生省を中心にして新たなゴールドプランの策定などに向けて詰めの作業が行われている、あるいは三月まで行われるということでありますが、これは来年度の予算措置の中で一歩でも二歩でも大体前進、対応ができるのかというのが都道府県や市町村の大変な悩みのようでありますが、それに対する対応方針などについてちょっとお聞かせをいただきたい。
  136. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 新しいゴールドプランでございますけれども、実は私どもはこれを正式に厚生省から提示を受けて協議をしているという段階ではまだございません。厚生省でそういう案をつくっているというような段階でございまして、先生御指摘のとおり、これは地域保健福祉計画をベースにしているものでございますので、市町村からは熱い期待を持って見られていることであろうと思いますし、私どももそういうように理解をいたしております。  したがって、今後関係省庁とこういった計画について正式に提示がありますればよく協議をさせていただいて、地方団体、そのための財政運営に支障がないような財政対策というものをきちんと講じていきたいというように思っております。
  137. 遠藤登

    遠藤(登)委員 それから、ちょっと農水問題、いらっしゃっていると思いますが、合理化法人等によるいわば譲渡所得税の軽減措置についての強い要求が出されておりますが、これは農業委員会を初めとして大変な課題になっております。それから、明年度の農業者年金の改定について大きな関心が寄せられております。女性の年金化を含めてどのようなプロジェクトで検討が行われているか、あるいは通常国会に法案の提起などもなされるというふうに聞いておりますが、この件についてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  138. 小畑勝裕

    ○小畑説明員 譲渡所得税の問題でございますけれども、この問題は、先生御案内のとおり長い要求をしておりますし、長い交渉経緯を持っております。難しい問題でございますけれども、一方では、農地の流動化を進めていくという面から見まして大切な問題だと思っております。そういう問題といたしまして、この譲渡所得税の特別控除についてその改善ができないか、検討をしているところでございます。  農業者年金につきましては、就業改善課長から御答弁させていただきたいと思います。
  139. 新庄忠夫

    ○新庄説明員 就業改善課長でございます。  先生御指摘のように、農業者年金、平成七年、来年でございますが、次期財政再計算というのを行います。これにおきまして農業者年金の事業なり財政、それから今後のあり方、こういったものにつきまして検討していただくために研究会を今開催しております。女性の加入の問題につきましてもこの研究会の場で十分議論していただきたい、こういうふうに思っております。  以上でございます。
  140. 遠藤登

    遠藤(登)委員 非常に大事な課題でありますので、十分な対応をお願いいたします。  時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  141. 粟屋敏信

  142. 北沢清功

    北沢委員 きょうは久々に地方行政委員会が開かれまして、当面する地方分権、それから今非常に関心事であります銃砲問題等を中心に質問されておりまして、私もそういう面では若干ダブるわけですが、それらを避けて、私が最近いろいろの地方の声といいますか、そういう面で若干自治省を中心にお尋ねをいたしたいと思っております。  今遠藤委員からお話がありました、日本の農業が非常に今までも手詰まりになりまして、特に地方にとっては、山村を中心に深刻な問題になっております。このままでは農村の崩壊につながりはしないかという思いで私もいっぱいであります。今回のウルグアイ・ラウンド農業合意の関連対策の中で、米市場開放に向けてこれからの農業を守り、また国際競争力をつけていくことができるかどうかにかかっている重要な対策であろうというふうに私は考えております。  この施策についての概要と、これらの施策をつくるに当たられた際の基本的な考え方をまず農林省にお尋ねをいたしたいと思います。     〔委員長退席、吉田(公)委員長代理着席〕
  143. 渡辺好明

    渡辺説明員 このたびの国内対策でございますけれども、昨年の暮れに閣議了解がございました。この閣議了解の基本方針に基づきまして、二つの点を基本的な考え方にいたしております。  第一点は、農業合意が農業、農村に及ぼす影響を極力緩和をするという点でございます。それから第二点は、農業、農村を二十一世紀に向けて持続的に発展をさせる、そして、将来にわたって基幹的な産業なり地域として次の世代に受け継いでいくということでございます。この二点を基本的な考え方にいたしまして取りまとめを行いました。平成十二年までの今後六年間、ラウンドの実施の期間でありますけれども、重点的かつ計画的に必要な対策を実施をしていきたいと考えております。  これによりまして四点ほど、一つは、誇りの持てる魅力のある産業としての農業の確立、それから二つ目は、農業生産の維持拡大をいたしまして国内供給力を確保する、そして三つ目は、消費者に対しまして良質、安全、新鮮な食糧を安定的に供給する、そして四点目は、住みやすく活力に満ちた農村地域の建設をするということを実現をしていきたいというふうに考えております。
  144. 北沢清功

    北沢委員 それでは、これらの対策費の概要の中で、国と地方の割合について大体どのような見通しを持っておるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  145. 渡辺好明

    渡辺説明員 国内対策六兆百億円、これは総事業費でございます。私どもの大まかな計算でございますけれども、国費の割合はおおむね五割、融資枠を入れておりますのであるいは五割を若干割るところかな、残余の部分が地方の負担あるいは受益者である農業者の負担になろうかというふうに考えております。
  146. 北沢清功

    北沢委員 それでは次に、ウルグアイ・ラウンドの関連対策の中で地方単独施策についてお尋ねをいたしたいと思いますが、中でも新しく創設をされるふるさと対策について、これは農水省や自治省はどのような方向性がねらいであるのか、それぞれお尋ねをいたしたいと思います。
  147. 渡辺好明

    渡辺説明員 自治省に先立ちまして御答弁をお許しいただきたいと思います。  私ども、今度のガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意に伴う影響は、とりわけ条件の不利な中山間地域等に集中をしてあらわれるのではないかなというふうに懸念をいたしております。そういう中で地域の活力の低下が懸念をされますので、こうした農山村地域の活性化を進める必要がございますが、その場合、国の総合的な施策に加えまして、どうしても地域において自主性なり創意工夫を生かした幅広い取り組みが行われることが必要であるというふうに考えております。こうした取り組みを支援をする地方単独施策というのは、私ども農林水産省といたしましても、非常に有効な政策手法であるというふうに考えております。  できるならば、地方単独事業の拡充に当たりましては、地方公共団体の自主性なり創意工夫が十分に発揮をされるようにしていただきたい。それから、先ほど申し上げましたけれども、農業合意の影響が大きく出てくるおそれのある条件不利地域に手厚い配慮がなされることが望ましいのではないかというふうに考えている次第であります。
  148. 野中広務

    野中国務大臣 北沢委員が御指摘になりましたように、今回のガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意というのは、私は、営々として国土保全のために、あるいは環境整備のために、国民の主食確保のために長い間取り組んできた我が国の中山間地帯には、農民の安楽死どころか、なぶり殺しになるのではないかという表現を使ってもいいほど深刻な影響を与えると考えておるのでございます。  そういうことを考えますときに、先ほど農水省からありました農業の合意に伴います各種の施策と相まちまして、自治省といたしましても、今回、先ほど遠藤委員にも申し上げましたように、農山村ふるさと事業を創設し、地方単独事業を拡充させていただこうとするところでございます。  これは、もう委員御承知のように、今申されました深刻な影響を受ける農山村、中山間地帯に対しまして、農水省からもお話がありましたように、地方単独事業として自主的、主体的な地域づくりに、ソフト事業に対する交付税措置と相まちまして、従来やってまいりましたいわゆる集落排水事業あるいは山村保全等の施策、農道整備等に対するハード施策をさらに拡充をいたしまして、関係省庁と相提携しながら、少しでも活力のある農山地帯をつくり上げていきたい、そして希望の灯を消さないようにしていきたいと考えておるところでございます。
  149. 北沢清功

    北沢委員 私は、今それぞれ御答弁がございまして、農村、特に山村では若者がほとんど都市に流出をして、高齢化のまさに見本のような形で山村が非常に衰退をしている。そういう中で、都市からUターンをしたいという若者もいるわけでありますし、また日本の社会にとって農業というものの存在がなくなり、また農村に生きる人がどんどんなくなるということは、日本のふるさとも含めて、日本の精神構造も含めて、これはもう非常に重大なこれからの問題だろう。  そして私は、いわゆる効率主義の社会の中で、今回の措置については非常に後ろ向きであるとか、ばらまきであるとかという一部の評論家の評論もございます。  しかし、生きるということを否定をしたり、また農村を否定したらどんな結果になるかということは、もう環境を含めてわかるわけでありますから、そういう面は、やはり農業を支援する人がむしろ悪者であるような、そういう感じを持つ、持たれるような世論形成というのが進められると、非常に日本は不幸だろうと私は思います。まさに今日のアメリカのあの経済的な犯罪社会というものはすべてその効率主義の中から次々とつくられたものであって、そういう意味から見ても、日本の健全な社会の発展にとって非常に大事だろうと思うわけですね。  しかし、私は、ただ心配することは、これらの問題はふるさと創生論のときも行われたわけでありまして、またその後、自治省で企画調整費や単独費の中で農水省が当然行わなければならないような問題も含めて今まで実績をここ三、四年積み重ねてきたわけでありますが、これらはすべてこれらの農業なり林業というものが地域社会にとって非常に大切である、そういう観点で進めてきたということに、自治省は誇りを持っていかなければならないというふうに私は思っています。  そういう中で、やはり考えられるところは、そういう意味では、これらの施策を受け入れる地帯というのは非常に貧困な、財政的にも非常に厳しい地帯でありますから、むしろこの施策を進める中で地元負担なり受益者負担というものがどういう形で、のしかかってくるじゃないかという思いもありますので、これらについての姿勢といいますか支援措置というものをどういうふうにお考えになられておるか、これらについて御答弁をいただきたいと思います。
  150. 野中広務

    野中国務大臣 委員が今御指摘になりましたように、私は、日本の農村を米の内外価格差等の視点だけで論じるのは大きな過ちでありまして、我が国は、日本列島の中心部を山脈がずっと縦断をしております。そこに雨が降るわけでございまして、梅雨どきに、雨が降る前に田植えをいたしまして、そしてその山に降る水を水田に蓄えることによって災害を防止し、そして防災措置を講じ、みずから環境整備を行い、そこから米文化を発展させ、三千年同じ土地に同じ作物を植えてもいや地をしないという、米を主食として営々として先人たちは培ってきてくれたわけでございます。  これを考えますときに、単に農村を過保護するような論点で論じられることは、私は、長い歴史を考えるときに、まことに残念であると思うわけでございまして、委員と同感でございます。そういうところは、より財政的に劣悪な条件を持っておるところでもございますし、高齢化が進み、かつ若者が定着しないところでもあるわけでございますので、今委員から評価をいただきましたように、自治省がここ数年にわたりまして集落排水事業の整備事業やあるいは農道整備あるいは森林保全等に地方単独事業としてこれにかかわってまいりましたことを御評価いただいたことは、集落の崩壊をもたらさない、そして地域づくりを活性化するという大きな使命感を持って仕事として誇りに存じておるところでございます。  今後も、今御指摘ございましたように、今回のウルグアイ・ラウンド農業合意に基づくふるさと事業を初めとし、また、それぞれ過疎債等を十分配慮をいたしながら、特別交付税等も十分念頭に置いて、それぞれ地域の活性化のために一層の努力をしてまいりたいと存じます。
  151. 北沢清功

    北沢委員 財政支援については大臣から力強い御答弁をいただきまして、これからの、補正予算等を含めていよいよ実行されるわけでありますから、適切にお願いしたいと思うわけでありますが、私はなぜこのことを取り上げたかといいますと、かつてというか、今も行われているのですが、ふるさと創生の事業の中でいわゆる自主性を重んずるということは、私は大切なことだと思います。  しかしその中で、たまたま一億円の金塊を箱に入れて眺めて、そうしたら非常に時価が下がったという、そういう事例等々、何かイベント的な意味でのふるさと創生は、ある意味では精神振興という面にはなるんですけれども、今回はやはりそういう世間の目も厳しいわけでありますので、これは何としても、先ほど言われたような目的を十二分に達成できるような、ひとつ積極的であり、なおかつ有効な事業を進められるよう、特に大きな意味での指導をいただきたいと思っております。  それで、次に問題ですが、これは私ども長野県の、過疎村と言われております伊那の大鹿村というところがございまして、私は現地の人からも聞いたのですが、このことは過日ある中央紙の大きな社説として具体的に取り上げられました。農村というのは、非常に、人材を育ててそれを都市へ送る、そういう中で後に残る人たちが一体どういう思いがあるかということを、歴史的に、文化財にはならない、年限的にはならないけれども、当時苦労しながら建てた中学校の跡地を、跡地というか中学校をぜひ図書館として活用したい、そういう話であります。  これは、今大鹿村には、全国から、そういう意味で何かユニークな問題がありまして、大勢人たちが訪ねておりまして、今盛んに言われております地域文化振興と呼ばれるこれらの動きが活発化しておるのでありますが、自治省は、これらに対する文化政策という面ですか、これは先ほど申し上げた企画調整費で新たに国際性、文化性という形で入れたのですが、これらについての現況と、さらに今後積極的に進める方途といいますか、そういう面についてお願いをしたいと思います。
  152. 野中広務

    野中国務大臣 私は、委員指摘になりました長野県の大鹿村で、旧中学校の校舎を利用して、住民がみずから労働奉仕をして、そして文化資料館として保存をしようとする記事を読ませていただいたことがあり、感銘を受けた次第であります。  労働時間の短縮による自由時間がふえていく中におきまして、文化的に豊かな生活を享受したいという住民のニーズにこたえるために、あるいは、特に過疎化が進み、そして学校の空き教室等が、あるいは廃校になった廃校跡等が残る中におきまして、それぞれ地方公共団体が工夫をして、音楽ホールや美術館等の文化施設の整備を行いますとともに、これらの施設の利用かつ活用をすることを初めとする文化的な町づくりに取り組んでいただくことは、まことに時宜に適したことであると思うわけでございます。  したがいまして、こういう状況を受けまして、自治省といたしましても、地方公共団体が命後進めてまいりますいわゆる文化的な施設づくり等につきまして有識者の意見をお伺いいたしたいと考えまして、地域文化の振興に関する調査研究会をお願いをいたしまして、去る六月に提言をいただいたところでございます。全国レベルの地方公共団体によるネットワーク組織の構築、また、今後の地域文化の施策に関して拡充の方向が示されたところであります。  自治省といたしましては、これまでも地方公共団体が自主的、主体的に行う地方文化振興対策に対しまして、ハード、ソフト両面から積極的な支援を行ってきたところでございますけれども、先ほど申し上げました研究会の提言をも踏まえまして、今後とも一層の支援を行い、拡充を図ってまいりたいと思う次第でございます。  今、大鹿村の廃校になりました御指摘の芸術文化の拠点としてつくられようとしておるのを、私も、先ほど申し上げたように聞いたわけでございますが、今後、まずは市町村において地域住民と十分意見交換が行われて、これが実現いたします暁には、私どももできる限りの協力をしてまいりたいと考えておる次第であります。  なお、先ほどふるさと農山漁村事業につきまして北沢委員から御指摘をいただきましたけれども、農業合意に基づきます施策について自治省として何らかの協力ができないかということを村山総理から私が命ぜられましたときに、このふるさと事業の説明に上がりました際にも、総理から、まあ一億円事業のときのように金塊を買うとか宝くじを買うとか、そういうことのないようにはみずからの自制を促してもらいたいというお話もございましたので、自主的、主体的に市町村がやる事業でございますけれども、折に触れ、また市町村もそういうことを自覚してくれておると存じておりますし、私どもも注意を喚起してまいりたいと考えております。     〔吉田(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 北沢清功

    北沢委員 ありがとうございました。  次に移りますが、最近環境自治体という言葉が非常に聞かれるようになりました。これは、二年前のブラジルの地球サミットの後、自治体はもちろんのこと、環境庁の関係者までが「これからの環境保全の主役は地方自治体だ」また、「地球環境を考え地域で行動を」、といったようなスローガンさえ提唱されておりまして、これからの地域環境なり地球環境を考えるに、自治体、地域の果たす役割というのは非常に私は大きいと思います。  このようなことは、すべてこの地球サミットの合意であると思いますが、二十一世紀に向けての行動計画、アジェンダ21で、一番で全国自治体との計画、ローカル・アジェンダをつくることになっていますが、これは地域社会のあらゆる分野を環境の視点から見詰め直して、経済発展や地域開発とともに統合された行動計画をつくる試みと言われるものでありますが、この公約の達成をめぐっての動きは、国内では既に環境基本条例が熊本、大阪、神戸等において施行され、また新潟県でも環境自治体の会議が開かれて、約五十の市町が参加をしているということであります。こうした動きを、環境自治体といった考え方について、自治省はいかなるお考えであるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  154. 野中広務

    野中国務大臣 ブラジルで行われました環境サミットの合意を受けまして、我が国においても、平成五年の十一月に環境基本法を制定されますとともに、同じく十二月に地球環境保全のための我が国の行動指針であります、委員今御指摘のアジェンダ21行動計画を策定をされたところであります。また、現在、環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱なる環境基本計画の策定が進められておるところと伺っておるのでございます。  これらにつきましては、環境の保全、創造における地方公共団体の役割の重要性を確認しまして、その自然的、社会的条件に応じた取り組みを高く評価しますとともに、これらの取り組みを積極的に支援をすることが必要であると考えておるところでございます。  現在、多くの地方公共団体が環境問題の重要性を十分に認識されまして、地球規模に立った足元から行動するという原点と原則に立って、地域の自然的、社会的状況に即した環境の保全、創造に取り組んでおられるところでございまして、自治省におきましても、従来よりこうした取り組みに対し、地方財政措置を通じて支援をしてきたところでございます。  例えば、地方公共団体の省資源化リサイクル施設等の整備につきましても支援措置を講じ、起債を行い、交付税措置を行ってきたところでございます。今後とも、地方公共団体が、地域の自然的、社会的条件に応じた環境施策を積極的に展開できますように、引き続いて、財政措置を含めて、充実強化に努めてまいりたいと存ずるところでございます。  今、委員からお話がございましたように、新潟県におかれまして、三回目の、いわゆる環境自治体会議が開催をされ、環境サミットの国際的合意であります持続可能な開発の実現に向けて、地方公共団体がみずからの役割を積極的に認識するとともに、相互の交流により政策の高度化を図っていくことを目的に開催されたと伺っておるところでございます。  地方公共団体が環境施策の充実に向けまして、環境の保全、創造に関する手法、技術、経験等を相互に交流しますことは、委員が御指摘されましたように、まことに意義深いものと私も考えておるところでございます。自治省におきましては、地方公共団体が自主的に実施をされます環境施策につきまして、このように財政的な支援措置を講じているところでありますが、今後、さらにこのような取り組みが活発になされますように、支援の充実を図ってまいる所存でございます。
  155. 北沢清功

    北沢委員 次に、警察庁にお尋ねをいたしたいと思います。  交通事故防止については、それぞれ各省庁で真剣に考えていただいておりまして、特に政府は人に優しい国づくりを目指しておりまして、人命というものは地球よりも重いと言われておりますが、毎年非常に大勢のとうとい生命が交通災害で失われておりますのが現状です。車は人々の生活に切っても切れないのが現状である以上、ただ単に交通安全施設の整備については、私は信号機や道路標識等の数をふやせばいいというものではないと思うのでありますが、これらの施設を中心として、警察庁として、今後どのような交通安全施設の整備を図っていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  156. 田中節夫

    田中(節)政府委員 お答えいたします。  委員指摘のように、交通事故は依然として減少しておりませんで、昨日現在の数字でございますけれども、死者が九千五百五十名、前年に比べまして二百二十二名の減少ではありますけれども、このまま推移いたしますと、本年も一万人以上にたるということは必至でございます。  このような状況のもとで、私どもといたしましては安全で快適な車社会づくりの主役、それは国民一人一人であるということを強調した施策を推進していく所存でございますけれども、中でも交通安全教育、それから取り締まり、そして交通安全施設整備につきましては、さらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。  委員指摘の交通安全施設の問題でございますけれども、従来から第五次交通安全施設等整備事業五カ年計画の一環としていろいろな施設を整備してまいりましたけれども、特に平成七年度におきましては、人に優しい交通環境の創造と銘打ちまして、二つの大きな柱をつくりまして、公共投資重点化枠予算によりまして要求をしております。  一つは、視覚障害者用信号機とか、あるいは歩行者信号の昔時間を長くすることができるような、そういう弱者感応用信号機などの交通弱者に配慮した信号機高度化事業。二つ目の柱といたしまして、交通事故を防止するとともに、交通渋滞を解消し、安全で快適な交通環境を生み出すための交通情報の収集、提供、そういうものの機能を高度化するという事業を推進してまいりまして、今御指摘のように、単に信号機あるいは標識をふやすのではなくて、その機能を一層高度化していくというような形での事業を特に推進してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  157. 北沢清功

    北沢委員 交差点でのお年寄りや子供の死亡事故も非常に聞かれるわけであります。私は友人がたまたま東村山市におりまして、昔は十五分で行けるところが今は四十分から五十分かかる、そういう話がありました。このことは、いらいらの解消であるとか、またはエンジンを吹かす等とか、いろいろな問題がありまして、環境が悪くなる。そういう中で、たまたま道路の拡幅、二車線から四車線にするということは、都市ではなかなか膨大な金がかかるわけであります。  そういう意味で、ちょっと行けば青信号、ちょっと行けば赤信号、そういう形から、コンピューター社会になりつつあるのですから、そういうものを信号機の中でもっと積極的に進めると、時間のロスもなくなるし、国民の不満といいますか、通勤通学や商売を含めて、私は大変な問題であろうと思うのです。案外軽く考えているが、交通標識を含めて、これはこれからの国の重点施策にしてもいいのではないか、そういうことを私は前から提唱しておりまして、委員会でも前に取り上げたことがございます。  今回、これらを要請として図られるようでありますが、私どもは与党でございますから、予算化に向けて積極的に協力をいたしたいと思います。そのことは警察庁も含め、自治省の今回の年度内の予算要求についても実現を見るような積極的な姿勢でひとつぜひ前向きに取り組んでいただきたいということを私はお願いをしたいと思うわけでありますが、自治大臣の御意見がございましたら、ひとつお願いをしたいのですが……。
  158. 野中広務

    野中国務大臣 人の命は何よりも重いものでございまして、交通対策諸般にわたりまして私どもはより積極的に対応していかなくてはならないと考えておるわけでございます。  自治省といたしましても、地方財政計画の中で十二分に配慮して取り組んでまいりたいと存じております。
  159. 北沢清功

    北沢委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  160. 粟屋敏信

    粟屋委員長 前原誠司君。
  161. 前原誠司

    ○前原委員 新党さきがけを代表いたしまして、質問させていただきます。  まず、公共事業入札についてお伺いをしたいと思いますが、我が党では今入札制度改革ということに真剣に取り組んでおりまして、なぜその改革をやらなければいけないかということでございますが、三つございます。  まず一点は、指名競争入札では当たり前になっている談合というふうなものは、独占禁止法で禁止をされているカルテル行為でございまして、これを見過ごしておく、ほっておくということは、法治国家の形骸化につながるのではないかという点であります。  それから、いわゆるたび重なるゼネコン汚職でも明らかでありますけれども一指名競争入札制度というのは発注者の権限というもの、あるいは裁量権というものが非常にございますし、また政治家の関与によって贈収賄が極めて起こりやすい構造にあると言われております。大体汚職の半分ぐらいがこの公共事業にかかわる問題ということが言われておりますけれども、こういうものを野ざらしにしておいては、国、地方合わせまして年間四十兆円の税金を使うものとして、納税者の理解はますます得られないのではないかという問題意識が第二点であります。  第三番目といたしまして、やはり競争原理の働かない談合、それから予定価格というふうなものが漏えいをしている、ボーリングという専門用語もあるようでございますけれども、結果的に公共事業の発注価格というものが予定価格に張りつきまして、公共事業が必要以上に高いものになっているのではないか。競争原理が働かないために予定価格に張りついているのではないか。もっともっと社会資本の整備をやらなければいけないのに、ほかのところに回せるお金があるのではないか。そういう問題意識が我々の三つのポイントでございます。  そうしたときに、では、具体的にどういう解決をしていくのかということでございますが、一つ目といたしましては、やはり手続の透明性、それから発注者、受注者の対等性あるいは客観性というふうなものを高めていくことがまず第一点で、そのために一般競争入札の拡大ということが言われているわけでございます。それから、ペナルティーを強化するとか、あるいは不服審査機関、第三者の監視機関というものも今以上に設けていく、独立性の強いものにしていくということも大切ではないかと思います。  ただ、こういうことはかり申し上げると、あめとむちでむちばかりだ、中小企業が本当に生き残れるのか。建設業界は地場産業的な部分、特に地方へ行きますと多いわけでありますので、そういうところが自然淘汰をしてしまうのではいけないわけでありますので、やはり時間をかけてあるべき建設業の姿というものを求めていく中で、徐々に構造改善というものをやっていく、産業自体の近代化をやっていくということが必要だと我々は考えております。  そういった問題意識を踏まえまして御質問させていただきたいわけでございますが、いわゆる日米の建設協議の中で、国の直轄事業としましては大体七億円以上、それから都道府県あるいは政令指定都市では大体二十四億円以上ぐらいを一般競争入札にかけるべきであるということでございますが、その他の部分、特に地方の部分では、まだまだ指名競争入札というものがまかり通っているということでございます。  これは建設省、自治省から非常にいい資料を提出をしていただきましたけれども、いわゆる指名の基準ですね、どういうふうな業者に対して指名をするのかという基準をつくっている地方公共団体というのは、全体の六六・七%であります。三分の二が指名基準を策定している。裏返せば、三分の一は指名基準すらも策定をしていないということであります。  首長なり、またその地域の有力者の裁量権、恣意というものが非常に入りやすい。また、その指名基準はっくっているけれども、では、公表までやっているといえば、全体の三八・三%しかないわけであります。つまり六一・七%が非公表であるということであります。  どういう指名基準を持っているのか。策定していない、あるいは策定していても公表しないから、内部でそれが恣意的にあるいは裁量権を持って運用されているという部分が非常に多い。不透明な今の指名競争入札を指摘する一番大きなポイントではないかと思います。  また、指名基準の運用基準というものを策定している自治体は全体の四六・七%。そしてその運用基準を公表しているところになりますと、また下がりまして三一・七%と非常に低い数字になっているわけでございます。  また、中央に行きますと、大規模工事になりますと大体JV、共同企業体というような形になっておりますけれども、この共同企業体の運用基準を策定しているところに至りますと二七・三%、非常に低いというふうなことでありまして、こういった指名競争入札というものがまだまだ地方の公共事業では主流になっているにもかかわらず、非常に不透明で、そしていわゆる首長またあるいは地域の実力者の裁量、また恣意というものが反映しやすいというふうなものを改善をしていかなくてはいけないと思いますが、この数値をもとにして、今後の改善策といいますか、自治省としてはどのように指導することを考えておられるか、大臣にお伺いできればと思います。
  162. 野中広務

    野中国務大臣 基本的な面についてお答えをしたいと思います。  今委員が御指摘になりましたように、公共事業の執行のあり方につきましては、国民の税、住民の税をもって行うわけでございますので、より透明度があり、かつ公正でなければならないし、競争性が保たれなければならないと考えておるのでございます。  なお、地方におきましてまだまだそのあり方が不透明である、あるいは進んでおらないという御指摘は、厳粛に受けなくてはならないと思うわけでございますが、一方、地方におきましては、委員が御指摘になりましたように、零細業者を抱えております。一挙に一般競争入札になりました場合には大業者がほとんどこれを制しまして、中小の零細業者が参入する機会がなくなるわけでございます。  そういった点で、私どもとしては、一定の歯どめをしながら、やはりかつ透明度を保ちながら、より地域の中小企業の参入できる道というのは考えていかなくてはならないというように存じておるわけでございます。いずれにいたしましても、透明性、さらに行政全体の情報公開というのは、地方団体に課せられた重要な課題であると認識をしております。  個別具体的な内容につきましては、政府委員からお答えをいたします。
  163. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 入札契約手続の改善の問題につきましては、自治省といたしましても、昨年建設省と協議会をつくりまして、そこでその改善方策について検討をしてまいりまして、昨年末にはその改善策をまとめて、地方公共団体にも通知をしているわけでございます。  その内容は、一つは、多様な入札方式の活用ということで、都道府県、指定都市においての大規模工事については、いわゆる制限つき一般競争入札を導入するということでございます。それからまた、指名競争入札における透明性、公平性の確保の問題についても言っておりまして、これは今御指摘がありましたとおりでございます。  大規模工事については入札契約について一般競争入札が導入されますが、まだその他の工事については指名競争入札によることになりますので、この指名基準の公開を初めとして、指名入札にかかわります透明性、公平性の確保のための方策を講じることが大事であるということで改善策をまとめているわけでございます。具体的には、受注者の技術的な適性あるいは入札意欲等を指名に反映させるために、公募型指名競争入札あるいは工事希望型の指名競争入札の採用を検討する、それから明確な指名基準及び運用基準というものを策定する、そして指名基準でありますとか指名結果、入札経過及びそれの結果について、あるいは発注標準等についてもこれを公表するということ、さらには指名審査委員会の運用について一層の適正化を図るというような改善策を取りまとめまして、既に昨年の十二月には地方公共団体に通知をしているところでございます。  その後の調査をいたしておりまして、今委員からお話がありましたように、まだ指名基準が十分ではない、あるいは公表が十分ではないという御指摘もございましたが、つぶさに検討いたしますと、指名基準につきましては、都道府県、指定市についてはもうすべての団体で策定をしているわけでございます。問題は市町村の方で、市の場合は八五%程度、町村でいうと六一%程度というところでございます。  公表の方も都道府県、指定市の方は言ってみれば九割前後のところが公表しているということでございまして、市町村レベルがまだ低いということでございます。  私どもといたしましては、各地方公共団体、昨年の通知の趣旨を踏まえて、現在この指名競争入札の改善に取り組んでいただいているわけでございますが、今後ともこの指名競争入札の改善を含めまして、入札契約手続の改善について適切に指導してまいりたいと考えている次第でございます。
  164. 前原誠司

    ○前原委員 ぜひその方向性で努力をしていただきたいと思うわけでございますが、しかしながら、まだまだ改革が緒についたとはいえ、公募型指名競争入札あるいは希望型指名競争入札、あるいはその他の入札方式というものもまだまだ件数が少ないというふうなことでございますし、都道府県、政令指定都市の指名基準というものは一〇〇%、ある程度整備されているということでございますけれども、私も地元に帰って業者の方々とお話をしますと、赤字の発注工事などをやはりやらされるというふうなことも非常に多いわけです。  また、そういうふうな基準があっても、実際問題、それが本当にうまく運用されるかどうか。よく業者の方と話をしていますと、請負のことを自嘲気味に請け負けとおっしゃるのですね。つまり、発注者に負けているというふうな言い方をされる業者の方が非常に多いわけでございまして、そういう意味からも、まず基準をつくる、そしてその運用基準も明らかにしていく、また結果も公表していく、そしてまた、そういう不服審査などの整備もやっていくというふうなこともあわせてやっていただきたい。  このいただいた資料によりますと、いわゆる入札自体の自由について明文化をしている自治体というのは三五・二%しかないというふうなことでございまして、やはりこういう比率もぜひ上げていっていただきたいというふうに思うわけでございまして、対等性が確保されて、いい公共事業というものが残るように、そしてまた、先ほど大臣が御答弁になりましたように、まだまだ特に地方などは建設業界というのは地場の主要な産業でございますので、そういったところが競争力を保ちながら、しかし近代化を図って伸びていくという体質に変わるように、自治省としても引き続き御尽力を賜われればというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、パイロット自治体の問題について簡単に御質問をさせていただきたいと思います。  私も府議会議員をさせていただいているときに、このパイロット自治体について京都府議会で何度か質問をさせていただいたことがございます。これはなかなか定着しなかった。二回の募集でわずか三十件というふうなことでございますが、要は、権限も財源も地方にないというふうなことがやはり一番大きなポイントだと私は思います。  初めはそういう案がつくられるような御尽力もされたような話を聞いておりますが、結局、そういう権限あるいは財源というものを地方に移譲するというふうなことが、やはり中央官庁の反対によって押し切られたというふうな話も聞いておりますし、また市町村がパイロット自治体に応募をするに当たっては都道府県と相談しなければいけないという項目もございまして、そういったところが、上部官庁の都道府県と相談して、なかなか自由がきかないという制度的な問題点があるのではないかと私は思いますが、そこら辺の御認識と、あるいはこのパイロット自治体を本当に地方分権の突破口というふうなところに位置づけてやるならば、この改善というものがこれから必要になってくると思いますが、その点について御所見をお伺いできればというふうに思います。
  165. 福井良次

    ○福井説明員 お答え申し上げます。  パイロット自治体制度につきましては、昨年及び本年の適用市町村の指定を合計いたしまして、御指摘のように三十団体でございます。その中に共同申請がございますので、市町村数にいたしますと三十九市町村ということでございます。  この数が多いか少ないかという問題でございますが、この制度を提言いたしました行革審答申におきましては、当面十ないし二十団体程度において、こういうところへの試行を想定されていたというところがございます。したがいまして、数の面だけから見ますと、必ずしも現状少な過ぎるというものではないのかなという感想を抱いております。  それから、委員指摘の都道府県との協議の問題でございます。  申請に当たりまして都道府県と協議を経るということにいたしました趣旨でございますが、市町村またはその共同体が申請するに当たりまして、やはりその都道府県の支援協力が必要不可欠であるというふうな認識があったわけでございます。  それで、具体的に申し上げますと、例えば許認可あるいは補助金の事務手続等に関しまして、市町村が求める特例措置、この中には都道府県が当事者となるものも数多くあるところでございます。したがいまして、申請に当たりましては、あらかじめ都道府県と協議を行い、その支援協力を求めるという意味でそういう制度を置いているわけでございます。  ただ、御指摘のように、市町村がそのために憶するといったことがなるべくないようにという配慮も実はしておりまして、この制度の手続を定めました実施要領におきまして、当該都道府県が当事者となる個別の特例措置、この取り扱いについて、必ずしもその申請のときまでに結論を得る必要はない、場合によりましては都道府県と協議が調わない場合におきましても、市町村から国に自由に申し出ていただきたいということも明文で書いてあるわけでございます。  ただ、今後この制度だけで画期的に地方分権が進むということはもちろんないわけでございますが、いずれにしても、その突破口の一つということでこの制度は重要な制度と思っておりまして、総務庁といたしましても、今後適宜にこの実施状況のフォローアップをしてまいるつもりでございます。そうした中で市町村に過重な事務的な負担等、ふぐあいが生じるようなことがないように、総務庁といたしましても十分チェックしてまいりたいというふうに思っております。
  166. 前原誠司

    ○前原委員 質問時間が終わりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  167. 粟屋敏信

  168. 穀田恵二

    穀田委員 私は警察の問題に限って質問したいと思います。  今各委員もお話ありましたように、一般市民まで標的にされるけん銃犯罪が相次いでいるということで、私、本当に深刻な事態だと思うのですね。これは先ほど基本的な認識はもう既に大臣からお答えになりましたので、けさの閣僚会議での決定の中で一番最初に言われたのは、暴力団の直撃ということを一番最初、きょうは大臣は朝の答弁でお答えになりました。そういった問題の内容について私はもう少し詳しくお聞きしたいと思うのです。  警察の捜査力の低下などがマスコミで指摘されているわけですから、そういう点からも、実は暴力団の直撃というのはどういったことを意味して、どの辺まで対策を打とうとしているのかということについて、まずお聞きしたいと思います。
  169. 野中広務

    野中国務大臣 私は、けさ行われました銃器犯罪対策に関する関係閣僚会議におきまして御報告を申し上げたわけでございますけれども、暴力団の直撃とは表現をしておらないつもりでございまして、今後の検討の重要な項目の一つとして、取り締まりの徹底と関係省庁の連携強化、その中身は、取り締まり体制の強化と密輸摘発の強化、暴力団対策の強化等でございまして、二つ目には国際協力の推進、三つ目が国民理解協力の確保、この三点に重点を置いたものとして、今後それぞれ、本日の閣僚会議の結果を踏まえてけん銃の取締り対策に関する関係省庁連絡会議が積極的に行われるように決定をされたわけでございます。  委員がただいま申されましたように、まことに今日の事態は憂慮すべき問題でございますし、また、我が国の良好な治安というのは、ある意味において世界に誇る文化の一つでもあると考えてまいりましただけに、市民の中にけん銃が入ってくる、こういうことはまことに憂慮すべきことであると考え、今後警察としてこれまで以上にけん銃の摘発を徹底してやらなくてはなりませんし、現在のような情勢を踏まえまして、今日の治安上の最重点課題と考えておるところでございます。
  170. 穀田恵二

    穀田委員 一番最初に穂積委員にお答えしたときにはもうちょっと違ったお話で、閣僚会議の開催をして、一つは暴力団の問題、二つ目に拡散対策、三つ目に広報、こうおっしゃったのですね。それは議事録を見ていただいたらいいのですけれども、中心問題は、いずれにしても暴力団に対する対策が今どういうふうな形で進められようとしているのかということをお聞きしたいわけです。  それで、まず具体的にいきましょう。やはり平成元年の警察白書によりますと、最近では「「組員」、暴力団の組員ですね、「一人にけん銃一丁」ともいわれておりこと指摘されています。ついせんだってこういう事件が起きて以来、各マスコミのその他の書き方でいいますと、大体十五万丁ぐらい存在するんじゃないかと言われている向きもあります。暴力団は、いろいろ、減ったとしても大体八万前後していますから、こういう間、推測で出ているのも含めてどの程度あるというふうに大体見ていますか。
  171. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答えを申し上げます。  暴力団が隠匿しておるであろうというものは相当数に上るというようなことについては私どもは推測はしておるのでございますが、ただその数が、一人一丁から掛け合わせて何丁になるというようなところまでは承知はいたしておりません。
  172. 穀田恵二

    穀田委員 ただ、これは警察白書に平成元年に「いわれておりこということで言っているわけですから、現実は、私言っているのは、暴力団に対する対策が非常に重点だと私は思うんですね。  きょうもお話ありましたように、密輸、つまり水際対策、そして持っておる者に対する直撃、こういうふうなことです。それは当然なんですよ。だけれども、中心問題は、いずれにしたって、どこから密輸が入ってきてどこに流れ込むかというと、これは一般社会に流れ込むという数字はそんなに多くないわけですよ。それは警察庁の警察白書自身でも何度もこういうことを指摘しているわけですから、結局のところは暴力団に流れ込んでいくという、経路は、最初はそこへ行くわけなんですよね。  したがって、どの程度今この日本社会に不法に所持されている銃があるのか、それは、全体としてはこれだから、これを根絶するということを今はっきりしようというふうに呼びかけるのが私は中心だと思うんですね。だから、幾らぐらいと見ているのかと聞いているんですよ。
  173. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答え申し上げます。  暴力団が隠匿、保有している銃器の数については明確なことはちょっと申し上げることはできません。  ただ、委員指摘のように、銃砲の発砲事件、昨日まで二百三十七回、三十三人の死者を数えておるわけでございまして、ただ、銃器の発砲事件というのは主に暴力団関係者によって敢行される場合が多いわけでございます。また、暴力団以外の者によるものでありましても、暴力団から入手したけん銃がその発砲に使用されておるというようなことで、何らかの形で暴力団がかかわっている場合がほとんどであります。  このように、けん銃を相当数、常に隠匿し、事あるごとにそれを使う、あるいはそれを他に流す、提供しておるという中心は当然暴力団でございますから、そのようなことからすれば、銃器対策の重点は暴力団対策の強化ということにつながっていこうかということかと思います。
  174. 穀田恵二

    穀田委員 どうも何万丁あるのかというのははっきりしませんね。そうすると、入ってくるのを、流入をストップさせるというのは、わかるのですよ。水際作戦も大事だ。しかし、今あるのは何丁あって、あなた方は、警察もそうですけれども、根絶するということを言っているわけだから、根絶しよう、こういう事件について不法所持を根絶するということが基本なんですから、そうすると、暴力団が持っているものに対して、大体どの程度、今大体この程度あるんじゃないかというのを大体推測してみんな出しているわけですよ。そういうものをわからないでやるといったって、冗談じゃないなと私は思うんですよ。  しかも、そうすると、この間押収した数は、その警察白書が大体組員一人当たり一丁じゃないかと言っていた時代から比べると、私計算しますと、大体、平成元年からことしぐらいまでで六千五百四十八丁入っているんですね。押収している。六千五百四十八丁押収している、計算しますと。そうすると、じゃ、相当減ったと思っておるのか、いやいや、まだたくさんあると思っているのかということは、結局どこを基準にして今暴力団対策を強めようとしているのかというふうなことがさっぱりわからぬじゃないですか。  だから、私は今大事な問題は、仮に八万丁から、世に言う十五万丁は多いとしても、八万丁から十万丁じゃないか、大体世に言われている、大体すべての新聞も言っているし、警察の幹部も大体そんなことを時々言っておられる、ちょくちょくとニュースでそういうことを言っておられる。そういう、逆に言えば、仮にその数字が的確ではないとしても、大体その程度あるというふうに踏まえてやっているのは事実だと思うんですね。  そうすると、六千五百四十八丁減ったわけなんだけれども、じゃ、一体全体本当に銃は減っているのか、今。日本社会における銃は、この平成元年に警察白書で言った、組員一人当たり一丁持っていると言われているという事態から減っているのかというのはどうですか。
  175. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答え申し上げます。  げん銃につきましては、毎年このところ千五百丁前後押さえておりますし、掛ける五で計算なさったかもしれませんが……(穀田委員「いや違います、正確に計算したの、これは」と呼ぶ)あ、そうですか、はい。いずれにしても、毎年でこぼこがございますけれども、このところ千五百ぐらいをやっております。  これは例年そのぐらいの数字をやっておるわけでございますが、なおこのように発砲事件が頻発しておるということからいたしますれば、国外からひそかにこれをある程度補うだけのけん銃が運び込まれているのではないか、そして国内で暴力団を中心に隠匿、保有されているのではないかということでございまして、その数が累計何丁になるかというようなことについてはちょっと……(穀田委員「いや、ふえているのか減っているのかと言ったのです」と呼ぶ)それも明確には申し上げられませんが、ある程度の同じような数はあるのであろうということでございます。
  176. 穀田恵二

    穀田委員 それで、ふえているんじゃないか、率直に言って。  というのは、今千五百掛ける四なんて言っていましたけれども、そういうのじゃないですよ。警察庁からもらった資料で、九百六十三、千三十二、千四百五十、千六百七十二、千四百三十一、足すと、平成二年からのを足しますとこうなると言っているのであって、おたくのところの資料、じゃ、違っているんだろうかと言わざるを得ないよね、そんなこと言い出すと。  それで、警察学論集の柴田理事官の論文によりますと、「本来、所持が許されてないけん銃が、暴力団らにより海外から大量に密輸入されて、国内に流通し」ている。大量に密輸されているということを言っているわけですね。こういう見解が正式見解がどうかは別として、ただし現実は大量に持ってきている。  そして二つ目に、押収けん銃の中身を見ますと、これは改造じゃなくて真正けん銃が多くなっているんですね、明らかに真正げん銃が多くなっている。  それから三つ目に、中国製のトカレフが新しくこの中にふえている、こういうことだとか、それから警察白書によりましても、何年でしたか、勝浦で捕まりましたね、あのときも八百丁ぐらい出てきている。  こういうふうなことからしますと、明らかにふえているんじゃないだろうかというふうに私は思っているわけです。ですから、今本当に対策を打つ上で、暴力団に対してどういう対策を打つかということが決定的だと私は思うんですね。だから、その点での対策はどのようにやってこられたのかということを、では、お聞きしたいと思います。
  177. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答え申し上げます。  銃器対策の中で暴力団対策が大変重要であることは御指摘のとおりでありまして、各都道府県警察におきましては、従来からも暴力団等の管理するけん銃、すなわち武器庫とでもいうものでありましょうか、これの摘発とそのけん銃の使用に係る犯罪ですね、これの防圧、検挙というものを最重点として取り組んでいるところでございます。  具体的には暴力団に対します視察内定の強化、けん銃摘発のための広範な家宅捜索の実施、それからけん銃所持事犯等についての突き上げ捜査の徹底というようなことを組織の関係部門が有機的に連携をしまして、総合力を挙げた取り組みを推進しているということでございます。
  178. 穀田恵二

    穀田委員 それではお聞きしますけれども、けん銃の押収状況といいますと、今言った暴力団の対策でいろいろ家宅捜索だとか、所持事犯だとか、総合的対策を進めることによって、平成二年は九百六十三丁、平成三年は千三十二丁、平成四年は千四百五十丁、昨年は千六百七十二丁、ことしは千四百三十一丁と確かに押収数はふえているわけですが、それではこの数字自身については、大臣にちょっとお聞きしたいと思うんですが、こういうけん銃の押収状況というものを見ておられて、この数字というものは多いと思いますか。
  179. 野中広務

    野中国務大臣 どれを根拠に多いとか少ないとか、私も申し上げる基準を持たないわけでございますけれども、少なくとも年々このけん銃の摘発について警察庁は鋭意全国の警察とともに努力をしておるというように認識をしております。
  180. 穀田恵二

    穀田委員 努力をしていることについては認めることはやぶさかではないんです。明らかに、根絶するという立場からすれば、そんなふうに今摘発しているけん銃数は多いとは残念ながら私は思えないんですね。  そこで、関係省庁の連絡会議などでそういう体制を一昨年からとられてきた。たしか一昨年の七月に開催し、要綱を決めていますね。昨年は何回開催されました。
  181. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答えいたします。  平成四年には数度行っておりますが、昨年は開催していないと存じます。
  182. 穀田恵二

    穀田委員 やはり私、今こういうところに、残念ながらあれほど重要な対策会議を開いて要綱まで決めているのに、まあ少し、ちょっとこうおとなしくなると言ったら語弊があるけれども、少し静かになるとやらない、がんがんやり出すと、ガンガンというわけですが、やり出すと開くということであってはだめなんじゃないかと率直に思うわけですわ。  そこで、私、水際についても本当に大切だと思うのですよ、二つの柱があるということは承知しているんです。海上保安庁にしても、税関にしても、本当に調べますと、確かにけん銃は減っています、波はありますけれども。薬物事犯の摘発はふえているわけだし、そういう意味で、本当に努力して現場ではやっておられると思うんです。  そこで、明らかに暴力団からの押収の比率が低下している問題、全体の押収けん銃の率の中で、それから密輸事犯の検挙の中で暴力団の占める割合が低下している問題、この点については大体どうお考えですか。
  183. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答えいたします。  むしろ暴力団の問題は暴力団でありましょうが、また暴力団以外のものによる拡散化傾向のあらわれだというふうに私ども承知をしております。
  184. 穀田恵二

    穀田委員 やはり拡散化傾向とさっき言ったのですが、私は、逆に言えば、暴力団への集中的な取り締まりでその成果を上げるという実態が少なくなっているんじゃないかというふうに思うんですね。明らかに拡散というのは、何かどこかから流れているわけじゃなくて、暴力団から拡散しているわけで、そこで、こうとっつかまえているわけですから、肝心の大もとのところでやはりしっかりとっつかまえないと、それはだめだと思うんですね。  そこで聞きますけれども、先ほど重点的な施策として捜索ということがありました。捜索件数で例えば一丁押さえるためにどれだけ捜索しているかという件数の問題がいろいろあると思うのですが、この間の状況では低下しているのですか、上がっているのですか。
  185. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答えいたします。  今数字は持ち合わせておりませんが、年を追うごとにけん銃一丁摘発するに要する捜索の箇所数というものはふえておりまして、たしか昨年は八十カ所くらいに一丁の割だったと記憶しております。
  186. 穀田恵二

    穀田委員 ですから、やはり暴力団に対する取り締まりが全体としていろいろあるけれども、的確な成果が上げられていない傾向は少しふえているということを、これはいろんな事象が示しておると思うのですね。つまり、押収けん銃が周りのところから出てくるけれども、肝心の暴力団の比率が下がっている。それから、今言ったように一丁のけん銃を押さえるのに捜索のところも多くなっている、こういうふうなことを見ますと、やはり暴力団に対する具体的な成果が上がっていないというのが率直に言ってあるんじゃないかと私は思うのですね。低下している。  しかも、いつも私不思議に思うのは、この間、銃が発砲されると、大体すぐ出頭してきたりする例があるわけなんですが、いつもあれ不思議なことに、けん銃と実弾何ぼといつも一緒に出てくるのですね。普通撃ったら、大体そのけん銃だけ持ってくるんじゃないかなと思うんだけれども、割とあれ一緒に持ってくるという不思議なパターンがあります。 それともう一つのパターンは、発砲事件がある意味で出てきますと、しばらくすると暴力団が出頭するというパターンが続いている例が結構あるんですね。私はここのところに非常に重大な問題があるのじゃないか、一つはやはり癒着の問題、広く指摘されている問題があるのじゃないだろうかということを言わざるを得ないわけです。  そこで例を出しますと、これは一つや二つではないんですね。ついせんだって、二十四日、いろんな事件がありましたときに、あの際、六時のニュースで、夕方の十八時、NTVですか、「プラス1」という放送でいいますと、田川市の病院襲撃に関して報道記者は、間もなく犯人が名乗り出るのではないかとの見方もありますというようなことを報道しているんですね。  だから、こういうことが一般で言われているような、間もなく名乗り出るのではないかとの見方がありますといって、どこの見方かというのは言わなかったけれども、少なくともそういうふうなことが関係者の中で公然と論じられているのじゃないかとばかりのことだと私は感じました。  それから二つ目の例としては、これは御承知のとおり、ジャブでパクられたらハジキの話を持ち出せという例があるのですね。これは昭和五十九年十一月、静団地裁沼津支部で開かれた元暴力団に対する銃刀法違反の件での中で、そういう主張を認めて無罪を言い渡したというときに、その中で語られている内容です。  それから、それだけじゃないのですね。同じように警察官と被告が捜索してやったという事件もあります。昨年の三月十六日、東京地裁の八王子支部の銃刀法違反の件については、無罪だということで、警察官にけん銃を出せば釈放すると言われて、関係者にけん銃を隠させて、警察官に見つけさせたというふうな話があります。  さらに、例の宝島、週刊文春の、宏道連合というのですか、田中議長の事件でもそうです。彼は、マスコミに答えて、「「拳銃を用意してほしい。いきなり宏道連合がやりました、と言って出頭されても困る。証拠は拳銃だけだから」」と警察に言われたと。「過去にうちが起こした事件は全部、拳銃をつけさせ出頭させましたので、今回も拳銃をつけて、私が付添って出頭させようとしました。」と。さらに、「出頭させようという交渉をしておいて、拳銃を預かったところへ警察のガサが入ったということですね。」そうだと。「拳銃、実弾が欲しいというので、「じゃあ、それも飲もう」と。そして私としては、それで話し合いがついているんだから、うちへ拳銃を置いてもガサは来ないだろうと思うわけです。」ところが、ガサが入った。こういうことで怒って、最後裁判になったわけですね。裁判になって、そういう証言をしているわけです。  だから、このような、そういう一連の事態が、やはり警察官との癒着と言わずに何と言うだろうか。だから、やはりこういう点も根絶する。そのことによって、暴力団にしっかり立ち向かうということが必要だし、国民の気持ちとしては、こんなことがあっていいんだろうかということで、本当に疑わざるを得ないことがいろいろな事象であるということについて、情けないと私は思うのですね。そういう点についてはいかがお考えですか。
  187. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど暴力団に対して十分な取り締まりがなされてないんじゃないかという御指摘でございましたが、平成元年以降の押収丁数を見た場合、絶対数におきましても、暴力団から押収したものはふえておるわけでございます、絶対数で。構成比において、暴力団以外のものと比べた場合に、暴力団からのものが減っている、暴力団以外のものがふえておるということでございまして、私、各県の警察は、大変困難化する捜査環境の中で、かなりの努力を進めておるものだと思います。  今お挙げになりましたいろいろな、癒着とおっしゃるのでしょうか、個別の例については、つまびらかにいたしませんので、お答えはないわけでございますが、いずれにいたしましても、このような実績を上げていることから、各県の警察がそれなりの努力をしていることについてお認めいただければというふうに存じます。
  188. 穀田恵二

    穀田委員 これは裁判で確定した事実の問題ですよ、別に控訴してもう一度争ったという事例じゃなくて。だから私言っているわけで、それはきちんと見てもらわぬと困りますね。  私は、個別の事例で言ったわけでなくて、こういう例がたくさん、一つや二つと違って、いっぱい出ている。しかも、こういうものを見たときに、我々一般国民としては、本当に大丈夫だろうかというふうな気持ちがあって当然と違うかと。そこに対しても厳正な立場をとっていただいて、そういうことがないようにということで努力するのが当たり前じゃないかと私思うのですね。  そのことについて余り触れられず、それは事実はつまびらかでないというような話をしておったんじゃ、それはだめですよ。私は本当にそう思います。そういうことがあっちゃいかぬということに厳正な立場をとること自身が今求められていると思います。  時間もあれですから、もう一つだけ。  私は、やはりそういう意味では体制の抜本的強化が必要だと思います。  先ほど中田さんはこう言っていました。それぞれのところで体制を強化するということで、各県の例は確かに出されました。対策室も課に格上げしただとか、都道府県警察の中で専従を置かれたという話はされました。しかし、肝心の本体のところは、じゃ、どうなんだろうか。「けん銃摘発総合対策要綱」の中でこう書いています。「専従捜査体制の強化」と書いていますね、要綱の中で。そしてさらに「関係部門におけるけん銃事犯捜査に専従する捜査員の増強」と述べていますけれども、肝心の本体のところでの、本体というか、各警察、末端、各府県だけでなくて、警察庁としての体制はどうなっているかということを最後にお聞きしたいと思うのです。  ついでに、國松長官は、新聞報道によりますと、麻薬や暴力団対策に比べて銃器専門の捜査員が育っていないとの批判は謙虚に受けとめるということが新聞の報道では書かれていました。それもあれですけれども、きちんと対応できるような体制、人員を整備する必要があると語っているわけですけれども、私は今こ具体的な方策として、人員配置はどうするのか、体制はどうするのか。それから、専従捜査体制についてはどういうふうにするのかということについてお聞きしたいと思います。
  189. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答え申し上げます。  けん銃の摘発体制の問題でございますけれども、いずれにしましても、警察の総力を挙げて取り組んでいるところでございます。  不法所持がいろいろな層に、社会各層に広がっているということから、関係する部門も多いということで、生活安全部門だけじゃございませんで、刑事部門、警備部門等もこれに取り組んでおります。また、地域なり交通の部門におきましても、常にけん銃の摘発ということを念頭に置いた職務の執行をやっておるということでございます。  このような総合力の発揮と、さらに部内のパワーシフトによりまして、的確に対応していけるような体制を努めてとってきたわけでございますが、今後とも、またさらに充実してまいりたいというふうに思っております。  それから、さらに、先ほどの件でございますけれども、暴力団の関係でございますが、いずれにしても実績で証明してまいりたいと思います。
  190. 穀田恵二

    穀田委員 最後に一言だけ言いますと、やはり、先ほどの話と余り変わってないものですから、こう言っているのですね、専従捜査体制を強化しなくちゃならない。それの人員はどのぐらいふやすつもりなのか。それから、関係部門における専従するというものと、それから今言った教育システムですね、具体的にどうするのか。予算と体制と人員はどうするのか、どうふやすのかということだけ最後に聞かせてください。
  191. 野中広務

    野中国務大臣 臨時行政調査会の答申に基づきまして、平成四年、五年、六年、警察職員は増員をされておりません。したがいまして、本日のけん銃の閣僚懇におきまして、財政措置と人員の増加について私から発言し、求めたところでございます。
  192. 穀田恵二

    穀田委員 わかりました。
  193. 粟屋敏信

    粟屋委員長 遠藤利明君。
  194. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 きょう、私、これで十番目の質問者になります。朝から、各般、いろいろな分野にわたりまして質問がございました。できるだけ重複を避けたいと思いますが、合併についてだけ、自治大臣に改めてお伺いをしたいと思います。  昭和二十八年に合併促進法ができて以来、種々各地で合併がされてきたわけでありますが、最近、四十周年なんという各市町村の会合にたびたび出させていただきます。ようやく、四十年ぐらいかかって、そういう合併の違和感というのが全くなくなってきた、そんな感じもしております、  そこで、その後、昭和四十年の特例法から、百四十五件と、多いのか少ないのか、判断がなかなか難しいわけでありますが、二十八年のころの合併というのは、多分、通勤時間帯を考えていきますと、大体三十分ぐらい、中心から歩いて三十分。馬車とかそういうものを使って三十分。そして今車ですから、そういう関係からいきますと、もう少し広い範囲内で一つの行政圏、そんな時代、時の流れといいますか、そういう要請があるのではないかな。  そこで、今回の答申を受けでどのように考えていらっしゃるのかということと同時に、その中で、なかなか進まない中で、住民発議制度とか、いろいろな形で具体的な提案がされているようでありますが、もう一つ、実際に、議員の皆さんから見ますと、意外に抵抗がある場合もあります。たしか、三期十二年やりますと年金があるとか、そういう議員の特例もいろいろあるわけでありますが、そんな形で、議員の特例なども含めて、見直しを含めて、具体的にどのような対応をしていくのか、大臣にお伺いをしたいと思います。
  195. 野中広務

    野中国務大臣 委員指摘のように、昭和二十八年の合併というのは、ほぼ人口を最低八千の規模に定めまして、その当時の時代の環境として、やはり委員も御指摘になりましたような、歩いて一定の時間というのもあったと思いますけれども、大体都道府県で一定の規模を定めまして、そして行政指導を強力にやってきたと思うのです。それが今日、明年にかけて合併四十周年を迎える大きな節目になって、それぞれ町村の意識もなくなって、一体的になってきたという今日を迎えてきておると私は思うわけでございます。  来年の期限切れを前にいたしまして、先般、「市町村の自主的な合併の推進に関する答申」を賜りましたので、市町村の合併が、地域の一体的な整備や市町村の行財政基盤の強化、さらには住民に身近な行政サービスが有効、適切に行えるように、私どもも市町村の合併を推進していく必要があると思うのでございます。  今委員からお話ありましたように、住民の発議制度の創設、財政支援の措置の充実、そして特に議会議員の任期、年金、こういうものの扱いというのが、合併上、非常に重要な条件となってくることは承知をいたしております。そういったものを十分考慮いたしまして、今後、この答申を受けまして、合併の効果が一層発揮され、推進をされますように積極的に取り組み、次期通常国会にこの法案をお示ししてお願いをしてまいりたいと存じます。
  196. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 それに関連しまして、ことしの六月の議会、通常国会で、中核市制度、これが成立をしたわけであります。これは決して合併を促進するということが目的ではありませんが、しかし、地域によってはそういう効果も出てくるのではないだろうか。  そこで、その当時、一年以内の施行というふうなことでうたっておったわけでありますが、地方分権の中で権限を移譲するというふうな形で、本来、先ほど大臣の答弁にありましたが、市町村がやればこれは一番いいんだ、当面、なかなか能力等が不足をしている部分があるので、都道府県に、そしていずれは市町村にという、そんな観点の中からも、まさしくこの中核市というのはストレートに権限を移譲できる、そんな仕組みを持つ制度ではないかな。  そんな意味で、ぜひこの中核市、多く指定できるような形をつくっていただきたいと思うわけでありますが、その進捗状況についてお伺いをしたいと思います。
  197. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 中核市の問題でございますが、今お話ございますように、本年六月に、地方自治法の一部改正によりまして、指定都市以外の規模、能力が比較的大きな都市について、その事務権限を強化することといたしました中核市制度が創設されたところでございます。  現在、私ども地方自治法の施行令など関係政令の改正等、法施行についての準備作業を鋭意進めているところでございます。来年度の早い時期にはこの制度が施行できるものと考えているわけでございます。  したがいまして、この法施行後、指定要件を満たす市から所要の手続を経て指定の申請がなされまして、来年中には指定が行われれば、一定の周知期間を経た後で、平成八年度の当初ぐらいには最初の中核市が発足することになるというふうに考えております。
  198. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 平成八年度ぐらいからということでありますが、現在対象可能といいますか、これは希望するかしないかはその市町村だと思いますが、対象可能の数はおよそ二十七ぐらいというふうに聞いております。権限を移譲する、いわゆる地方分権を進めるという観点からすれば、数多くそういう中核市の対象可能とした方が私はいいのではないだろうか。もちろん無制限というわけにいきませんが、これはたしか三十万というのは、第二政令市とかいろいろ今までの経緯があって三十万という要件ができたのだと思うのですが、若干それを下回ったとしても、例えば県都、そんな形の地域については、要件の変更をしなければならないわけでありますが、繰り入れる、そんなことを考えていただいたらどうかと思うのですが、いかがでしょう。
  199. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 中核市の要件の問題につきましては、実はこの通常国会でこの法律案が審議されたときにもいろいろ御論議がございました。今回のこの中核市は、指定都市に準じて、一定の規模、能力を有する都市に対して事務権限の強化をしていこうというものでございます。  したがいまして、対象となる都市については、移譲される事務に関して効率的かつ適正に事務を行うために、行政需要のある程度のまとまりと行財政能力が必要であるということでございまして、このため、市の規模、能力というのは人口や面積にあらわれるということにもなると考えておりまして、一定の人口、面積、そして人口を補完するものとして周辺地域における中核性というものを、この中核市の要件といたしているものでございます。  今御指摘ありました、県庁所在都市については、そういう要件を満たさないでもどうかというお話でございますが、県庁所在都市の規模、能力、人口を見ましても、やはり千差万別でございますので、県庁があるということだけで一定水準以上の行財政能力があるということは、なかなか直接結びつけにくいということでございます。  そういうことで、まずこの要件でこれに該当したところを指定をし、ともかくそういう市について、住民の身近なところで身近な行政ができるような、そういう市をつくっていきたいと考えているところでございます。
  200. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 人口十数万という県都もあるわけでありますから、すべからく全部というわけにいかないのですが、三十万以上という、その前後という、何か見当もあるのかなと思っております。  それで、そんな形で、政令指定都市あるいは中核市ということで、県にとりまして主要な地域が直接行政権限を移譲されていく。そうすると、県というのは、逆にその地域にとりまして山村とかそういう大変な部分を抱える、そして政令都市や中核市が直接国といろいろな関係で交渉を始めるということになりますから、そうしますと、できれば三十万とか五十万ぐらいの規模の町村合併をした町を連檐していく。  それを考えていきますと、今、この地方分権の答申の基本理念は二層制という形を当面認めよう、そういう前提にしてということでありますが、いずれ、国会移転等、そういういろいろな考えの中で、むしろ県をなくして、三十万、五十万ぐらいの町の連檐の中で道州制、そういうふうなことをもう既に検討していくときに来たのではないかな、そんなことを、私は道州制を推進すべきではないかなという考えておりますが、最後に大臣からお伺いをしたいと思います。
  201. 野中広務

    野中国務大臣 現在の社会経済情勢の変化に伴いまして、広域的な行政への対応から、委員が御指摘のような道州制の導入についての御意見のあるところは承知をしておるところでございます。  しかし、現在の都道府県制度というのは、実態的にも意識の面でも、私は国民の中に定着をしておると認識をしておりますので、直ちに府県を廃止し道州制を導入することには慎重でなければならないと考えております。  また、委員指摘のように、地方制度調査会の答申におきましても二層制を言われておるところでございまして、今後、道州制の導入に当たりましては、地方自治制度の基本的構造にかかわる極めて重要な課題でもございますので、中長期的な課題として十分研究をしていく必要があると存じております。
  202. 遠藤利明

    遠藤(利)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
  203. 粟屋敏信

    粟屋委員長 以上で質疑は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会