○竹内(譲)
委員 個々の企業の
努力ということもおっしゃっていましたが、私は
政府の
役割というのは非常に重要だと思うのですね。結論からいうと、やはり大胆な
規制緩和を進めることだと思います。そして、
金融・証券市場においても、アメリカは、今おっしゃられたマイクロソフトの社長とか、ビル・ゲーツやあるいはさまざまなソフトの小さな企業が本当に世界一の売り上げの企業に近づいてくる。そういう大胆なことができるのも、やはり
規制緩和、自由な発想で物がつくれる、そしてまた売れる、そしてまたそういう証券市場にどんどんの上がっていける。そういう意味でも、特に
金融・証券市場の
規制緩和というのは非常に僕は大事なことだというふうに思っておるわけでございます。
きょうは余り細かいことには立ち入りませんけれども、
日本経済の構造をよく
理解しておく必要がある。よく皆さん
経済構造を改革するとかいろいろおっしゃいますけれども、そこをよく
理解しておく必要があるのじゃないか。私は、今何が
日本経済において問題かというふうに
考えるのですね。これはやはり戦後の
日本から説き起こさないといけないのじゃないかなというふうに思っております。
私はまさに戦後生まれの人間でございますけれども、やはり、この戦後の
日本、敗戦の貧しさから脱却して、とにかく豊かさを目指して一生懸命働いて、諸先輩がお金をためて貯蓄に努めてきた。現在、
日本の家計貯蓄率は世界最高でございます。西欧に追いつこうということで、高度成長期にはこの貯蓄を企業が特に国内の近代化投資等に使いまして頑張ってきたわけでございます。したがいまして、経常収支の黒字などを生む余裕がなかったわけでございます。国民の貯蓄というものは国内で十分に生かされまして、高度成長が実現したというふうに
理解しております。
そして、この高度成長が終わって、企業が貯蓄を余り使わなくなった七〇年代後半には、
景気の失速を防ぐために、まさに皆さんもよく御存じの、国が大量の国債を発行して貯蓄を吸収し、
公共投資などに使った。そのときも大幅な経常収支の黒字は出なかったわけでございます。しかし、その結果は今に至る
財政赤字の拡大である。国は国債発行を抑えて、その後
財政再建に乗り出しました。一九八〇年代以降のことであります。そのときから、企業も国も、国内にあり余る貯蓄を有効に利用しない状態が始まったんだというふうに思います。いわば国内で貯蓄が余り始めた、貯蓄に対する投資の不足ということが生じたというふうに
理解しております。
国民は一生懸命働いて、商品やサービスを供給してつくって収入をふやす。ところが、将来が心配なのでその所得を余り消費に使わず、貯蓄としてため込む。特にまた
日本人のそういう明治以来の節約志向というものがこれに輪をかけていると思いますが、企業の投資も国の赤字もこの国民の貯蓄を吸収し切れない。したがいまして、一生懸命働いでつくった商品とかサービスは国内で余ってしまうという状態になっているわけです。そこで、オイルショック以降、
日本人は余った商品とかサービスを一生懸命工夫して海外に売り始めた。そうしなければ
不況になってしまうからでございます。こうして世界最大の経常黒字が発生した。
この黒字は八〇年代から今日までどんどん累積をいたしまして、ついには世界一の対外純
資産国になってしまった。対外純
資産の増加ということは、国内で使われない
日本人の貯蓄がいわば外貨建ての
資産となって積み上がってくることでございますので、当然この
日本人の間で外貨建ての
資産があり余り、その
価値は下がってくる、つまり外貨の相場は円に対して相対的に下がる。これが、八〇年代から始まった倍以上に達する大幅円高であるというように
理解しております。そういう環境があった上で、その上でプラザ合意とかがあったから大幅な円高になったというふうに思っております。その結果、
日本全体の所得や
資産の総額で見ても、一人当たりの所得や
資産で見ても、
日本は押しも押されない
経済大国になった。
しかし問題は、国内の生活はほとんど変わっていない、豊かさを実感できないこの
日本人の生活、ここがやはり問題だと思うわけでございます。相変わらず将来が不安で一生懸命働いて貯蓄に励んでおる。ところが、これが生産意欲を生んで海外にどんどん物を売っていかざるを得ないということからも、ますますドルがたまって円高になってくる、それがまた国民の生活に新たな不安を持ち込む、いわばこういう悪循環が続いているのではないかというふうに思うわけです。
円高に伴ってこの
不況で倒産や失業の不安が出てきた、また円高に伴って先ほどの産業空洞化というものが出てきた、そういった意味で、ますます消費を切り詰めて貯蓄率を高めているということの悪循環に陥っている、これが経常黒字を拡大して、円高を進めて、
平成不況を長引がしたというふうに
理解しております。一生懸命ためた貯蓄は、
年金や生命
保険の基金で生命
保険の皆さんたちが海外の不動産や株とかそういったものに使っておるわけですが、これがますます円高で、働けば働くほど損失が拡大していく、こういう悪循環に陥っている。その意味で、個々の企業云々とい
うことではなくて、やはりこの悪循環を大胆に断たなければならないというふうに私は思っておるわけです。
その意味で、
規制緩和ということが一番大事だ。特に内外価格差の縮小を伴う国内物価と住宅価格の低下ということがやはり大事なんではないか。
日本人にとってやはり住宅ということが非常に豊かさを感じる上で大きなウエートを占めているというふうに思っております。その意味で、この輸入関連あるいは住宅にまつわる
規制緩和というのを大胆に進めていくことが大事であるというふうに思っております。それが結局、この現在の所得と
金融資産でより多くの量、またより質のよいものやサービスや住宅を入手できるということにつながってくると思います。
そしてもう
一つ、
規制緩和はやはり
民間投資を活発化する、ニュービジネスのフロンティアが拡大するということだと思います。その意味で、情報関係とか技術関係、研究関係などのインフラを大胆に
整備していく必要があるというふうに思っております。この
公共投資計画、この間つくられましたけれども、やはりこの際、建設国債等の発行によって、大胆にこれは資金を調達して実行すべきだというふうに思っております。
その意味で、この
規制緩和をどれだけ本当にできるのか、原則自由、例外規制ということがやはり今求められているのではないか。前政権からいろいろ出てまいりましたけれども、もっと本格的に、今こそ
民間の皆さんのさまざまな知恵を本当に吸収して、大胆にこの
規制緩和、原則自由、規制撤廃の
仕組みをつくっていく必要があるというふうに私は思っております。これが国内の貯蓄超過を減らし、また経常黒字を縮め、円高圧力を後退させる、そして為替レートは安定するのではないかというふうに私は思っておるわけでございます。
大臣の所見をお願いいたします。